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38回国会衆議院1961/04/20

農林水産委員会公聴会 第2号

発言数
74
登壇者
17
会派数
2
開催日
1961/04/20

会議録

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、農業基本法案及び北山愛郎君外十一名提出、農業基本法案について公聴会に入ります。  この際公述人各位に一言ごあいさつを申し上げます。本日は御多忙中にもかかわらず公述人として御出席を賜わり、まことにありがとうございました。農業問題につきまして深い御識見と御経験を有せられる公述人各位より、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を承り、もって両案審査の貴重なる参考に供したいと存ずる次第でございます。  なお、公述人各位には、最初委員長の指名順に一人約二十分程度お述べいただき、あとで委員の質問に応じていただきたいと存じます。  なお、田中、凌、村谷、梅沢の四公述人には午前中に御意見をお述べいただき、質疑を行なうことといたします。また、他の公述人は午後に御意見をお述べ願い、質疑を行なうことといたしますので、御了承願います。  なお、公述人各位は委員に対し質疑を行なうことはできないことになっておりますので、さよう御了承願います。  また、公述人各位に申し上げますが、御発言の際は委員長と呼び、委員長の許可を得て御発言なさるようお願いいたします。  それでは、公述人田中覚君よりお願いいたします。なお、田中公述人は所用のため正午までという約束でございますので、田中公述人に対する質疑を先に後ほどになってお願いをいたすことになると存じます。

田中覚三重県知事

○田中公述人 私、ただいま委員長から御指名をいただきました三重県知事の田中覚でございます。  農業基本法案につきましては、政府案のほかに社会党、民社党からもそれぞれ別個に法案が用意されておりますし、これらに対する意見や批判等は、すでに農業基本問題調査会の答申が提出せられました当時から、広く新聞、雑誌等にも展開せられておりまして、また本国会におきましてもすでに十分討議がなされつつあるようでございます。従いまして、ある意味におきましては、もうこれらについての議論も出尽くしていると言ってもいいのではないかと考えられるのでございますが、私は、府県の第一線で農民に密着して農林行政を担当いたしております知事の立場において、また、最近工業開発が急速に伸展をいたしまして、これに対して農村がこれまた急速に変貌しつつあるわが三重県の県政を担当する立場におきまして、二、三の観点から所見を申し上げたいと存じます。ただ、日ごろ県政に没頭いたしておりますので、本法案につきましては大きな関心は持っておりますけれども、体系的な分析等をいたしておりませんので、従いまして、本日の陳述も、そういう意味では十分体系的になっておらぬ点のあることも御了承いただきたいと存じますし、また、先ほど申し上げました、県政を担当する立場で、あるいは具体的な三重県知事の立場という点から申し上げますので、超党派的な観点に立ちまして所見を申し述べる次第でございます。  まず第一に、政府を初め各政党が農業、農村の問題をこのような形でお取り上げになり、非常な熱意を持って対処されつつあることに対しまして、私は衷心敬意を表するものでございます。日本農業が今日大きな転換期に差しかかり、政治的にも経済的にもまた社会的にもきわめて重大な要素をはらんでいることに基因することはもとよりでございますけれども、それにいたしましても、各政党がこのような形でくつわを並べて農業問題を取り上げられたことはいまだかつてなかったことでありまして、私は、政府、各党の御努力に対しまして深く謝意を表してやまない次第でございます。  次に申し上げたいと思いますことは、目下審議されておりまする農業基本法は、戦前から一貫してとられて参りました国の農政を大きく転換する画期的なものであり、戦後の農地改革に次ぐ大改革の展開を予想できるほどの重大な法案でありまするから、もとより十分論議を尽くしていただき、慎重な御処理をいただきたいのではございまするけれども、しかしながら、基本的に、本法案につきましては、この国会で何とか成立をさしていただくということを目途としてお進めいただくように、特にお願いをいたしたいのでございます。  その理由といたしますところは、この法案は、当面する日本農業の諸情勢に対処いたしまして、日本農業の向かうべき新しい道を明らかにすると同時に、農業に関する政策の原則を示すものでありまして、農村においても相当大きな期待が持たれているという事実、また、第二には、今後の施策について法制上及び財政上の措置を政府に義務づけるばかりでなく、国会に対しまして、農業の動向に関する年次報告であるとか、あるいは施策の文書提出といったようないろいろの点を義務づけております。従いまして、全般的に農政に対する国の責任ある措置を求めておるという点から考えまして、従来の国の施策を大きく前進させておるという点からかんがみまして、その早期成立をはかることが、農民のためにも、また日本農業のためにも必要である、かように考えるからでございます。なおまた、第三の理由といたしましては、現に全国各府県においていろいろな形で農業法人化の動きが顕著に見られるのでございますが、これに対しましてはっきりと法的な根拠を早く与えておきませんと、現に、法人化しました経営におきまして、経理の処理その他いろいろの点において問題を持っておる点もないわけではございません。一たんそういうことが露呈されますると、今後の法人化に対しましても逆にそれが一つの足どめとなるというふうな懸念もございますので、私どもといたしましては、この際本法案の早期成立をはかっていただくということが、根本的にお願いをいたしたい第一点であるのであります。  しかしながら、この法案は、その掲げる目標ははなはだいいのでありまするけれども、これを達成するための具体的方途であるとか、あるいはその目標に至るまでの過程が十分示されておりませんために、農村においては、一面、大きな不安や疑問があると同時に、いろいろの誤解を生んでおることも否定できない事実でございます。この点につきましては、提案されておりまする政府案は表現がいささか抽象的であり、かつまた、言葉から受ける感じが弱いというか、そういう点があるのに反しまして、社会党から出されております案、あるいは民社党の案においても、一部そういうふうに見受けられまするが、内容や考え方についての議論は別にいたしましても、とにかく、より具体的であり、より明確であるという点においては、各党から出されておる案の方が一歩前進をしておる、かように考えられるのでございます。従って、そういうふうな一般的な不安や誤解がありまする現状におきましては、この法案を早期に成立させるためには、これらの不安や疑問やあるいは誤解に対しまして明確な回答を与え、これらの不安等を一掃するよう討議を尽くされ、また、広くPRを徹底することが必要であると存ずるのでございます。  以下、現に農村で持たれておる、あるいはまた第一線の県行政を担当する立場において抱いておりまする疑問なり、そういったものを二、三申し上げて、私の責めをふさぎたいと存じます。   〔委員長退席、秋山委員長代理着席〕  まず、不安の第一点でございますが、それは、この法案の意図するところは、構造改善といいますか、構造政策がその中核であると存ずるのでありますし、また、そうでなければならないと考える次第でございます。しかるに、構造改善の要素といたしまして、土地、資本及び労働力、この三者をあげることができるのでございます。そのうち、土地につきましては、現在でも地価は高騰の一途をたどっておりまするし、また、農民の他産業への就労が最近非常に増加はいたしておりまするけれども、いわゆる離農の形態をとるというよりは、むしろ兼業化への傾向を強めておりまして、農民の土地に対する執着はむしろ以前よりは逆に強まってきている。こういうふうな状況でありまする関係上、政府案の意図せられまする自立農家のための経営規模の拡大ということが現実にできる可能性がきわめて乏しいという事実でございます。従いまして、これに対しましては、いわゆる貧農が切り捨てられていくのではないかというような不安も出てくるわけでございます。現に、農村を歩いてみますると、かつて戦後の農地改革におきましては地主が土地の収奪を受けた、今度の法案におきましては、いわゆる貧農が土地を取られるのではないか、こういうようなことをほんとうに心配している農家もあるのでございます。また、このような自立農家を育成するための最大の手段は、他産業の高度成長ということに依存する形になっているのでありますが、この他産業の高度成長がはたしてどこまで一体続くのか、期待できるのか、それらに対する不安もないわけではございません。従いまして、単に他産業の高度成長のみに依存する形をとっておりまして、農業の内部で条件を作り出す、そういう政策が比較的乏しいというふうな不安にもつながっておるわけでございます。従って、どういうふうにして具体的に経営規模の拡大——ここで私が特に言っておりますのは、いわゆる土地の獲得という点でございますが、そういったことがはたしてできていくのかどうか、その手段と過程をぜひ一つ明らかにしていただきたい。これが農村の不安を解く第一の問題ではなかろうか、かように私ども考える次第でございます。  次に、構造改善の第二の要素である資本の問題でございますが、資本装備の高度化も、今後構造改善を進める上におきましてこれは大きな役割をになうものと考えるのでございますが、率直に申し上げまして、現在の農家は、いわゆるただの補助金はほしいけれども、借りる金には意欲がはなはだ乏しいというのが実は実情でございます。はなはだしいのは、自己資金ですら農業に回さないで、むしろほかの有利なものに投ずるというような、そういう投機的な傾向すらないわけではございません。いわんや、借金までして装備を高度化するということにつきましては、相当の不安もあり、また積極的ではないのでございます。いわゆる企業的観念に乏しいのでございますが、これに対する対策を明確に打ち出して、財政投融資なりその他の形を通じまして、農村にほんとうに資本の流れるということを保証していただくことが肝要ではなかろうかと考える次第でございます。  次に、構造改善の第三の要素といたしまして、労働力の問題でございますが、これにつきましては、いわゆる技術的装備が問題でございます。これからは、いわゆる成長部門である果樹、園芸、畜産等の商品生産農業を大いに発展させることが、いわゆる農業の選択的拡大という形で強調せられておりますけれども、しかしながら、これを発展させるための個々の高度な技術というものももちろん必要であり、現に農村においてはそれがはなはだ欠けておるということは御承知の通りでございますけれども、さらに、それ以上に、いわゆる経営や管理的な技術というものは、今度の拡大する規模の農業経営を推進するためには特別必要になってくるかと考えるのでございます。しかるに、現実には、そういう経営的な、管理的な技術というものは、農家にははなはだ乏しいのでございます。この技術的な確信の裏づけがないために、先ほど申し上げました資本につきましても、今まで借りたことのないようなそういう多額の金を借りることになかなか踏み切れない、また、回収についての不安も残るというようなことにもなりがちでございます。従いまして、これらについての今後の具体的な対策とういものを絶対に必要とするというふうに私は考える次第でございます。なおまた、労働力といたしまして今後のこの構造改善のにない手になるととろの農家というものを一体どこに目標を置くかということが、一つの大きな今後の構造改善の問題点ではなかろうかと考える次第でございます。と申しますことは、いわゆる専業農家に限るのか、せいぜい第一種兼業農家程度までその対象になるのではないかというふうに考えるのでございます。また、現在の農家にはそういう構造改善のにない手になる積極的な意欲というものははなはだ乏しい。従って、この法案で理想を高く掲げておられますけれども、この法案の意図するものがほんとうに実現できる時期はいつであるかと言いますると、おそらく世代の交代の行なわれるときまで待つほかはないのではないかというふうな問題もあるわけでございます。  以上が構造改善についての不安なり疑問なりあるいはまた今後の積極的な具体的施策についての要望でございます。  第二は、生産政策、いわゆる選択的拡大と言われておるところの生産の問題でございますが、これにつきましては、今後各県ともそれぞれの考え方で、あるいは果樹に、あるいは蔬菜に、あるいは畜産に、また畜産の中でもいろいろの種類があり得るわけでありますが、そういったものをばらばらにやるというふうなことになりますと、今後においてまたいろいろの問題を残すわけでありまして、私どもは、この生産の選択的拡大にあたりましては、地域別及び品目別に生産地帯の確立をはっきりと打ち出していただくことが必要ではなかろうか、かように考える次第でございます。  次には、生産政策における経営規模の拡大の問題でありますが、この中で、特にいわゆる個々の自立経営の創出、いわゆる協業経営化ということが一つの論点になっておるようでございますが、私ども実際第一線で行政をいたします立場から申し上げますと、これはアイザー・オアというような問題ではなくて、むしろ、地帯により、あるいは経営の形式により、それぞれの地域の条件に応じて自立できる可能性のあるところは自立経営を促進をいたして参りますし、自立経営の見込みのないところにおきましては、積極的にいわゆる共同化というふうなことを指導する必要があるのではなかろうか、かように考えておる次第でございます。自立経営の創出の可能性について大きな疑問の残ることは、先ほど、土地の獲得について、地価なりあるいは面積なり、そういうものについて申し上げた通りでございますが、協業経営につきましても、共同化のよいことは今までの事例に徴して相当はっきり示されておるのでございますが、しかしながら、現実問題としてなかなかこれが伸びていかないのが現状でございます。私どもは、一昨年伊勢湾台風という史上未曾有の大きな災害を受けまして、木曾、長良、揖斐、あの三大川の下流のデルタ地帯というものは、全村水没いたしまして、耕地も家も、あらゆるものが流失をいたしました。この復興につきましては、国の非常な御援助をいただき、この委員会からも格別の御支援をいただいたのでございますが、この復興の過程におきまして、また以前のような姿で復興をするよりも、この際は、一そう将来の水害に備える意味におきましても、あるいはまた今後の新しい農業の転換期に対処する意味におきましても、徹底した一つの共同化、全村共同化というふうなことができないかという趣旨をもちまして、改良普及員等が繰り返し繰り返し説得をいたしたのでございます。あの災害の直後、人心不安のさなかにおきまして、深夜に歩いておる者は物取りか普及員かと言われるくらい、普及員を動員いたしまして、今後の農業の経営のあり方というふうな点から、たとえば、耕地の復旧にいたしましても、あぜをなくしてしまう、そして徹底的な耕地整理をいたしまして、共同化の基礎を作るというふうなことを指導いたしたのでございますが、実際に現実にできたものはどれだけかと申しますると、まことにお恥ずかしいのでございますが、九戸のものが寄り集まって養鶏の共同経営を始めたのが一つと、五戸の農家が水田の完全な共同経営に乗り出したというのが一つの例、また、五戸の農家がいわゆる農林省の奨励する農村アパート、そういう住宅の建設に踏み切ったという、三つの事例をようやく生み出した程度でございまして、現実においてなかなかこの共同化というものの前進には骨が折れるということを示しておるのでございます。そういうふうな観点から、私どもは、この農業基本法案の今後の推進にあたりましては、先ほど申し上げましたように、相当長い目で見て、自立可能なものにはその方向へ、共同化の可能な地域はそういう方向へというふうなことにせざるを得ないのではないか、かように考えておる次第でございます。  なお、この生産政策、ことに選択的な拡大をはかる今後の問題点の一つといたしましては、いわゆる生産計画と需給計画、もちろん、国内自給の可能なものは自給するというふうな前提も必要でありましょうが、そういう生産計画と需給計画というものがはっきり一体できるかどうかという点に一つの不安を残しております。その中で最も大きな問題は、米に関するといいますか、米作についての方針を確立せられることが前提条件ではなかろうか、かように考える次第でございます。と申しますことは、現在、米作につきましては、長い伝統があり、国の政策におきましても一番完備した形をとっております。従って、米作であれば安心である、また、労働の収益も一番高いというふうなことがはっきり言えるのでございます。従いまして、国において米作においての方針がはっきり確立されない限りにおきましては、いかに商品作物あるいは畜産の多頭飼育というふうな方面への選択的拡大を強調いたしましても、なかなかその方向へは乗り移らないというのが現状ではなかろうかと考える次第でございます。これにつきましては、これは全く私の思いつきでございますが、米作につきましては、今後およその生産の目標というものをはっきりさせまして、それについての達成の方途は、いわゆる反収の増加、生産性の向上というふうなことにむしろ主力を置くべきであって、反別の増加というふうなことは考えない、むしろどちらかと言えば反別は減らすというような方法をとるべきではなかろうかというふうに考えておるのでございます。御承知の通り、現実には、昨年は前年よりも水田が全国的にふえているというふうな状況は、この選択的拡大がそういう面で一つの阻害になっているということをはっきり示すものではなかろうかと考える次第でございます。  第三に、価格政策の問題でございますが、生産の選択的拡大をはかるためには、何と申しましても価格支持政策を確立することが肝要でございます。先ほど米作について申し上げましたことのちょうど裏返しになるわけでございますが、いかに蔬菜や果樹やあるいは畜産に踏み切ると申しましても、農民の行き先に対する不安というものは大きいのでございまして、従って、これに対するはっきりした政策というものが打ち出されない限り、生産の選択的拡大というものは、これもまた大きな障害にぶつかるのではなかろうか、かように考える次第でございます。特に、この価格支持政策におきまして、生産費なりあるいは所得を補償するというような考え方が維持せられなければならないことはもとよりであると考える次第でございます。  第四番目に、この法案の意図するところの諸政策を実施する第一線の問題でございますが、たとえば、先ほど申し上げましたように、構造改善を促進するというためには、個々の農家の家庭にまで立ち入った指導をしなければ、私は、完全な自立農家の創出ということはできないのではないか、かように考えるのでございます。一例を申しますれば、具体的な一農家におきまして、長男はどうする、次男はどうする、三男はどうする、その学校の行き先から今後の職業の転換から、いろいろなことまである程度の相談相手になるような第一線の指導ができない以上は、なかなかこの構造改善というものができないのではないか、かように考えるのでございますが、今の行政の組織の中ではそこまで相談相手になれるような指導体制ができておりませんし、また、そういう指導の責任を一体だれが持つかという問題もはっきりいたしておらないのでございます。そういう意味におきまして、本法案の推進にあたりましては、それらについても格別の御配慮をなされることを特に希望してやまない次第でございます。  なお、この生産政策の中で申し落としたのでございますが、今後の新しい農業生産を担当するにない手といたしまして、大資本の進出をどういうふうに考えていただくかということが一つの問題でございます。御承知のように、すでに水産会社が上陸作戦をとって畜産等に乗り出しておる、あるいは農畜水産物の加工に乗り出しておるということは顕著な事実でございますが、最近におきましても、たとえば、三重県でも、従来製糸をやっておりました亀山製糸が、新しく大規模の養鶏に乗り出しつつあります。いわゆる十万羽養鶏を目標といたしまして、蚕糞、蚕沙の利用等をもちろん中心にしておるわけでありますが、大規模養鶏に乗り出しておる。また、先ほど申し上げましたデルタ地帯の木曾岬村におきましても、最近県外から大資本を導入する話が持ちかけられておるのであります。このように、大資本の進出を、今後のこの農業基本法案の内容の問題として、あるいは推進の方法としてどういうふうに考えていくかというのが一つの問題でございまして、従って、養蚕の場合に、製糸家と原料繭の生産者との間の関係なり、あるいは、たばこの専売制度における関係なり、そういうふうなこともいろいろあわせ考えますと、こういう大資本の進出によるところの大規模経営というものを今後どういうふうに考えていくかということが、一つの問題点ではなかろうかと考える次第でございます。   〔秋山委員長代理退席、委員長着席〕  時間がなくなりましたので、大へん中途半端でございますが、あと私が申し上げたかった項目だけをつけ加えさしていただきまして、私の陳述を終わりたいと存じます。  その一つは、本法案の意図せられるところは、先ほど申し上げましたように、基本的にわれわれも賛成であるのでございますが、ただ、その内容から見まして、いわゆる平坦地帯の農家が主たる対象になり得るのであって、それ以外のいわゆる山村地帯あるいは沿岸漁村地帯の農家に対する対策というものが本法案の中ではどのように考えられていくのか、はなはだ不明でありまして、それらに対しまして私どもは大きな不安を抱いております。いずれの県におきましても、山村、漁村の問題が最近一番むずかしい問題になっております。ああいう山間の段々畑におきまして、あるいは階段の水田におきまして、みのの下に隠れるような一枚の水田、ああいう小さな水田をたくさん抱えておる地帯では、自立経営も協業も現実問題としてできがたい。そういう地帯の農業を一体今後どういうふうに持っていくべきであるか、そういうふうな対策もぜひとも一つこれは考えていただきたいのでございます。  このほか、この法案を推進するにあたりまして、農業諸団体の役割をどのように考えていくか。民社党の案におきましては、農業協同組合の役割というのが中核になっておりまして、かなりはっきりしたことがうたわれておるのでございますが、この農業団体の役割なり、また、その役割を果たすための団体の整備という点につきましては、いろいろな問題があるわけでございます。そのほか、なお、この法案を推進するにあたりまして、各県の計画と、府県の間のいろいろの相互調整の問題でありますとか、いろいろの問題がございます。これらにつきましても若干意見を申し上げたかったのでありますが、時間も経過いたしましたので、この程度でとどめさしていただきたいと存じます。  要は、冒頭に申し上げました通り、いろいろ問題はございますが、この段階において本法案を早期に成立さしていただくことが今日の農政の前進に大きく寄与する、そういう意味におきまして、私はぜひともそういうふうなお取り計らいをいただくように特にお願いをいたしまして、私の陳述を終わる次第でございます。(拍手)

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 ありがとうございました。  凌時正君。

凌時正全国開拓者連盟委員長

○凌公述人 私は、全国の開拓者連盟の委員長をいたしております凌でございます。  農業基本法の問題につきましては、基本的な考え方は、政府案も社会党案もともに同じであるというふうにわれわれは理解して、また、今の日本の農業の新しい転機にはぜひこういう角度から検討をしていただくことが必要だということを考えておりまして、この問題の提起と問題の基本的な考え方には大いに敬意を表し、ぜひこれを進めていただきたいと思うのでございますが、この問題を契機といたしまして最も喜ぶはずの農民の諸君の間に、非常に大きな不安と不信の念が生まれているということは、非常に大きな問題であるというふうに考えます。  まず、私は、基本法の考えております、法律の体裁になっております考え方は、現状からこの問題をどう具体化していくかという具体的な政策が各党の中でまだ御検討がない、これが農民の方々に理解されていない、誤解を生ずる一番大きな点であると考えておりまして、この点は、早く具体的な案をお示し願って、問題の具体的な解明に資していただきたい、かように考えますが、現段階では、農業に対する基本的な考え方に、自民党と社会党において大きな違いがございます。これは農民にとりましては非常に画期的な法律でございまして、農民の将来の運命を左右するものでございますから、私は、こういう問題は慎重に御討議願って、十分に意識の統一されたところで、あるいは各党おのおの政策というものがございましょうが、ある程度まで超党派的にこういう問題の解明をなさいまして、そうして、最も農民の実情、要望にこたえられるように審議をしていただき、直すべきところは直していただくようにして、十分に時間をかけて慎重に御審議願いたい、かようにまず私は考えるのでございます。  まず、問題点といたしまして、従来の農業政策と質的に変わって参りましたことは、食糧政策というものが今度の法案の中でははっきりとうたわれてなくて、従来食糧政策の観点から農業政策というものが、農民に理解をされておりましたが、その点が非常に希薄になっております。まだ、農民の中のたくさんの人たちは、日本の食糧供給のにない手としての考え方の上に立って農業を営んでおりますが、最近の麦の作付転換とかあるいはいろいろな需給情勢の変化によりまして、従来の食糧生産政策というものが非常に希薄になっております。農民の心の中では、また何かの事情で国が食糧生産を農民に必要とするようなときには、一片の法律でまたすぐにこれを変えられやしないか、せっかくここで自分たちが資本を投下していろいろ新しい経営に切りかえても、そういう危険が十分にあるし、そういうときには一体国はどういうふうにしてそういう問題に対処をしてくれるかということをやはりこの法律の中ではっきりと示してもらいたいという意向もかなり多くあるというふうにわれわれは理解いたしておりますので、この点も一つ十分にもう一度別な角度で御審議を願って問題を解明していただきたいと思うのでございます。  日本農業に対する現状の認識というものは、政府案ではかなり不解明になっておりますが、国民経済に寄与した事実に対してはどなたも異論がないと思います。現在の日本の農家が零細個別経営に至りました原因は一体どこにあるかという原因追求というものをもう少し明瞭に出していただいて、その原因に対してどういう措置をするかということで、所得政策なり生産性の向上と結びつくような考え方を一つもう少し深めていただきたいと思うのでございます。農民のかなり長い間の徳川時代や明治時代からの伝統によって個別零細経営という経営形態はございましたけれども、明治以降の国の自作農主義と食糧政策というものの農政が今の農家の個別零細経営のワクを破れなかったじゃないかという考え方もかなり大きく存在しているということをわれわれは承知しております。このワクを突破できない、いわゆる近代化できないために、農民は、内部の生活を保持するために、やむを得ず、そこに、日本で特殊とも言われるような篤農業という、経営採算を度外視した篤農業と、多角経営という二つの特殊な経営形態に発展をして参り、これがやはり農業の近代化を阻害している大きな内部的な原因になっているというふうにわれわれは考えておりまして、これをどういうふうな形で突破して参るかということが、やはり今度の基本法で論議されなければならない大きな課題であると思うのでございます。この点につきましては、われわれの考え方では、今度基本法が創設いたしておりますような自立経営という農家の経営形態、二町五反程度の経営ではたして今後他産業との生産性の均衡のとれた新しい発展方式がとれるかどうかということをもう一度再検討してみなければならないというふうな考え方が農民の間にもかなり出て参りまして、そういう考え方の出て参ります大きな原因とでも申しますか、そういう原因を調べてみますと、ずいぶん多くの農民は共同化とか協業化という新しい方向に進んでおりますが、協業化、共同化をいたします第一の条件といいますものは、土地に対する地代、資本に対する利潤、労働力に対する労賃というようなものが適正に評価されて、企業経営として採算が合うか合わないかというようなところまでこの問題は発展をして参ります。自立経営の農業形態では、こういうような農家経済の算定をいたしませんで、主として投下した労賃収入部分というものが大きな収入のウエートになりまして、企業と生計費というものが非常に分離しにくい状態になっておりまして、将来日本農業の農家の安定の方途はこの自立経営の二町五反程度の経営で他産業の人たちと同率な所得を取り農業の近代化が他産業と並行して進められるかどうかということが農民の中にも大きな疑問点になっておりまして、この点は、どうしたらいいのかということはまだはっきりとわれわれはつかんではおりませんけれども、とにかく、協業化というような方向に進んでおります一つの大きな現象を見てみますと、当然、ただいまのような方向に向かいつつありますので、この点は、やはり、他産業と均衡した、生産性の向上とその所得の格差というものを是正するということが主眼でありますれば、必ずしも自立経営、必ずしも共同経営というふうな固定した考え方ではなく、やはり、農民の自主的な意図によって、現地のいろいろな状況に応じて十分に農業が近代化し所得が増大するような農民の意図を中心として、これを国が保護助成していくということの方が農民の実態に合うのではないかというふうにわれわれは考えております。  次に、自立農家の創定でございますが、近代化委員会で出しております試算では、経営の未確立ないわゆる非自立農家というものが相当数存在をしていくということが出ておりまして、この人たちは将来一体どうなるのかというような大きな不安がございまして、この人たちも将来自立安定農家に育成して参るのか、あるいは所得だけの合理化をはかって現状の程度で進んで参るのかということが、この階層に属している農民の人たちの大きな不安であると思います。私は、日本農業の特質といたしまして、五百万農家あるいは六百万耕地というものが長い間継続され、これが一挙に解消できないという特殊事情というものがございますので、やはり日本ではある程度の農家が存在しなければならないような要因があると思うのであります。資本主義の発展過程で必ずしも西欧並みに農家が減っていくような平面的な考え方ではなく、日本にはやはり日本の特殊事情があって、特に日本の農家は特殊な経営をせざるを得ない状況になっておりますので、ある一定の農家の存在ということはやはりやむを得ないものであって、その農家を新しく近代的に発展させる方途ということが一番重要な事項で、今のように能力のある人が自分の能力に応じてどんどんどんどん進んで参るということではなく、これらの階層の人たちがやはり相当安定した農家になり得るような措置をこの際お考え願っておくことが大事なことだというふうに考えております。そのためには、やはり農地問題というものが将来の経営を決定する大きな要因でございまして、約二百五十万と称されておりますとの階層に属する農家が二町五反なり三町なりの経営をいたすためには、相当の耕地の拡大というものが必要になって参ります。この点は、やはり、従来の国土の利用計画とか、あるいはいろいろな計画で、日本の未墾地をもう少し農業上に利用すべきであるというようないろいろな従来の資料がございますので、こういうものを基礎といたしまして、その拡大をはかっていく必要がある。特に、畜産を重点とした発展の方式を考えますと、どうしても未墾地の開放というものが新しい農家の安定に大きな役割を果たすというふうに考えられます。未墾地の買収と、ここに入ります農家は、当然、既存の農家の中から新しい経営方式を考えている農家、あるいは分村とかいろいろな形で農家が分散移動をして参ると思いますので、そういうものを十分に助成できるような対策をやはりこの制度の中で十分にお考え願っておくことが必要ではないかというふうに考えます。今のような農業の耕地の内部の流動だけで耕地の拡大と経営面積の拡大というものを解決するということは、内部的な事情から見てもなかなか至難なことだと思います。農民の方々は、たとい小面積であっても、祖父伝来の受け継いだ資産であり、自分の祖先発祥の地であり、墓場を持ち、そこに生活の基礎を持っておりますので、あるいは他産業に出て参るかもしれませんけれども、農地はやはり将来帰ってきたときに使うというような形で農民の手に残り、決して、経営拡大の今考えているような方途で、安易に、農業をやらない人から農業をやる人に農地が移動するということは、農民の長い歴史と感情の中からは出てこないし、これらの農民を早く安定させるという段階からも、また、国土の利用という点から考えても、やはり、開拓、開墾というものはある程度進めるべきであり、また、経営上から参りましても、自分の経営の基地を下に持ち、草地なり牧畜なりの基地を上の方に持って経営の姿が二分されるということは、農業の生産力から参りましても、すべての点において不利であります。経営の主体になるところに生活の基礎を置くということが大事なことでございまして、草地の方の関係でも、将来畜産を振興いたすためにも、相当の草地造成が必要であるというような資料も農林省から出ておりまして、これは畜産振興の上からも必要であると考えますので、そういう観点から見ても、やはり、経営の基礎をその新しい基地に置くというふうな方途を十分にお考え願うことが大事なことであるというふうにわれわれは考えております。  それから、もう一つわれわれが非常に疑問に思いますことは、農業の近代化、いわゆる生産性の向上と、他産業と均衡する所得をあげるということが、内部で一致した方向に進めるかどうかということでございまして、実は、所得を他産業と均衡させるということが主点でございますれば、それに必要ないろいろな施策が生まれて参りますけれども、農業の経営方式、生産方式を他産業と匹敵するような近代化をさせながら所得を上げて参るということになりますと、自作農家で相当の資本装備も必要になってき、また、家族経営や従来の経営方式で一定の所得をあげて参りますというような段階においては必ずしも近代的な他産業と匹敵するような生産性向上の装備を内部でしなくてもいいじゃないかというような議論もしておるのを私は聞いておりまして、この点は私はまだよく理解ができませんが、こういう点をもう少し解明をしていただいて問題の処理に当たっていただきたいと思うのであります。  先ほど申しましたが、自作農主義だけでは問題は解決しないのではないか、他産業との均衡ある生産性の向上という面では、非常に今申し上げた点から問題が出てくるというふうにわれわれは考えておりまして、従来、個別経営が行き詰まりまして、どうにもこうにも生産力の発展が期待できないというようなときに共同化あるいは協業化というものが生じて参っております。あるいは個人では資本の装備あるいは技術、労働力の導入というものがどうしてもできにくいというような場合、あるいは市場で品質の統一とか規格の統一とかいって商品売買をやるようなときに、そういう市場的な要因から協業もやるというような形態が出て参りまして、戦後、われわれの開拓地でこの問題はずいぶん研究をし、大かたの開拓地はこの共同なり協業なりという形で出発をいたしまして、そのうちに個別経営に移り、現段階では、再び、内部の共同なり協業経営をしなければ農業の新しい時代に対応できないという動きが非常に多くありますことは、日本の新しい協業経営なり共同組織なりの考え方の上にかなり御参考になるのではないかというふうにわれわれは考えております。  いずれにいたしましても、農家の中の、出て参ります方々もございましょうし、あるいは残る人もございましょうが、特に残る人の政策に重点を置いて、現在の農家から百万戸程度の農家を自立安定させるというような近代化委員会の考え方を皆さん方がおとりになっているとは考えてはおりませんが、とにかく、兼業農家の、特に低位なものは別個といたしましても、少なくとも大部分の農家が自立安定に参ります方途をやはりこの際十分に御研究願うようお願いしたいのであります。  今の考え方でわれわれの了承する範囲では、いわゆる経営的に非自立の一町歩程度の農家が協業をして所得の合理化をするということが問題になっておりますが、小面積の人が共同をしてやってみましても、単位当たりの所得というものは、投下した資本に比べて、その所得が大きくなるということは、われわれの経験では出て参りませんで、むしろ、借り入れ資本の償却とかあるいはいろいろな点でそういう点がくずれて参っておるという事例の方が多いのでございまして、やはり、共同化なり協業化をいたしますには、相当の規模で相当の人たちが集まって有効に資本を動かし経営をうまく回して参りませんと失敗をいたしますので、今後この点についても十分に御審議願って、未熟なわれわれではございますが、われわれが失敗した経験を生かして、新しい制度の中で再び繰り返さないような措置を十分に御研究願いたい、こう考えております。  なお、従来の価格政策の問題でございますが、農業内部の合理化というものがあまり強く進んで参りますと、当然保護政策というものの色彩が薄くなって参る懸念があります。農民の経済というものは、外部からある時期までささえられませんとやって参れません。自立で進んで参ります段階に至るまでは、従来よりも相当に強い保護を必要とするのではないかと思います。特に、価格政策につきましては、せっかく生産が上がり増産されても、価格の点でマイナスになってくれば、農家経済というものは直ちに破綻をします。そういう点から、従来の保護政策をさらにある時期までは一そう強化するということもぜひ必要ではないかというふうに考えております。  なお、他産業に行く人については、必ずしも国内の他産業だけで吸収するというお考えではなくて、国内の農業技術を持った人たちが海外に移住することも十分に可能でございますし、また、農民としても自分の年来の技術を生かせるので、こういう転出する農家の海外移住という点も十分に考慮願いたいと思います。  さらに、もう一点、既存の農民の新しい対策というものがかなりここでは皆さんの熱意ある御審議をいただいておりますが、開拓農家の戦後十五年の苦労というものは、皆さんも御承知の通り、一生懸命でやっておりますが、苦労して参り、しかもこの農家は安定自立農家への意図が熾烈でございまして、これはやはりこの基本法の中に特に従来の既入植者に対する特別な措置というものをお考え下さいまして、この土地が集団化し、農業がある程度まで営農類型を基礎にして計画的に進展して参りますような条件が具備しておりまして、何とかやっていける素地がございますので、この点はやはりこの制度の中で十分に別個にお考えを願いたいのであります。  さらに、農業に関連したいろいろな法律が出ておりますが、農業の共済等の問題の法律もまだ出ておらないようでございますし、これもやはり新しい農政をささえる一つの柱でございますから、小委員会等で決定をいたしました案を一つ尊重されて、一日も早く御審議願うようにし、いずれにしても、六割切り捨て、あるいはコルホーズ化というような、この決定的な、すべてオール・オア・ナッシングというような農政をなさらずに、やはり、農家の実情に即した、そして現実すぐに出発できるような体制を内部でお整え下さいまして、農民の要望にこたえていただくように切にお願いして、私の公述を終わります。(拍手)

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 次は、村谷永一郎君。

村谷永一郎全国町村会理事

○村谷公述人 私、全国町村会の理事、岩手県の紫波町長でございます。全国町村会においてきめられた線に沿ってお話しいたしたいと思いますが、基本問題につきましては、昨年末全国町村会においていわゆる農林省の委員会案というふうなものを検討いたしまして、意見を決定し、関係方面に御提出申し上げておったのでございますが、その後各党で今回法案の御提案というふうな運びになりましたが、地方自治体関係の事柄から申し上げさせていただきたいと思います。  農業政策については、国の果たす役割はまことに重大なものであることは申し上げるまでもございませんが、同時に、地方の末端における市町村の果たす役割が実際は非常に大きいというふうに、現実の問題として考えざるを得ないのでございます。この場合に、現在の政府提案の基本法の中に、いわゆる地方公共団体という言葉を使っておられますが、私どもといたしまして何か物足らない感じがするところがあるわけでございます。というのは、国と地方公共団体の協力関係、あるいは国と地方公共団体の行政組織の整備とか、あるいは運営改善というような点も非常に不分明であります。末端の市町村長がこの仕事をやらなければならぬ場合に、責任を負わされてどの程度の仕事をどうやればいいかというような点、実は多少懸念たきを得ないわけでございますので、こういう点について、ぜひ、二項の国と府県あるいは市町村というふうな担当区分を明確にしていただいて、市町村長の権限はこうであるというふうにお示しをしていただきたいと考えるのでございますが、何でも聞くところによりますと、基本問題調査会の答申によると、基幹的事項は国でやる、それから、地方的弾力的な仕事は地方公共団体というふうにやられておるようでございますが、末端の市町村の行ないます事項については、ぜひ優先的に、事務の配分と申しますか、さらにその財源の付与についても特段の御配慮をお願い申し上げたいと思うのでございます。  それから、現在、たびたび公述人の方からお話がございますように、農村人口は現実にどんどん減っております。昨年の十月の国勢調査の結果によりましても、全国町村三千余りのうち八割以上が農村の人口が減っておるというのが現実でございますが、その人口はすべて都市に集中をしている。これは農村ではとても行く先不安でならない。人口の収容力の足りないということも事実でありますが、同時に、米も統制撤廃になりはしないかというようなこともちらちら見えたりして、つい不安になってしまうというようなことで、ますます都市と農村との格差が開くというふうな感じを抱かざるを得ないのでございます。ことに、私の懸念いたしておりますことは、農村地帯において、農学校を出た優秀な青年が農業に従事せずに他の産業に就職口を求めるというふうな実態があるのでございますが、こういうふうなことも、農業に対する何か魅力を失っているというようなことで、農村にある者としては非常に心配いたしておるわけでございます。これらの点について、今回の法案においては、環境の整備であるとか、あるいは就業機会の増大というふうに、いろいろ農業経営構造の改善等についても御配慮があるようでございますが、こういった点は、具体的にこういうふうなことをやるのだというふうに、はっきりとお示し願えれば、青年諸君も安心して農村に残りはしないかというふうに考えるわけでございます。この御政策をやられる場合に、もちろん、基本法でございますから、抽象的、観念的にならざるを得ないかと思いますが、さらにこの裏づけをなす特別法というふうなものをぜひお作りをお願い申し上げたい。おそらくおやりになろうかと思いますけれども、ぜひともこういう点について御配慮を願いたい。  それから、いろいろな政策を進める場合に、私ども心配をいたしますのは、いわゆる後進地域、私岩手県でございますが、何か都市周辺のところが財政投融資が多く受けられる。ひがみと思えばひがみかも存じませんが、どうもいなかの方はやはり依然としておくれていく。これは、間に合わないからというような、ペイしないからというような考え方があるとすればそれまででございますけれども、何かしらそういうふうなひがみを感ぜざるを得ないのであります。ことに、農村の道路というようなことなどにつきましては、もう実に惨たんたる状態でございますが、そういうふうな農村の道路というふうなことについても、特に具体的な政策としてお取り上げをいただきたい。  それから、環境衛生、——衛生というふうなことになりますと、これはいささか農業対策というものとはずれるかと存じますけれども、こういうふうな面も、医療に事欠く農村地帯があるということを御認識願いまして、この政策を行なわれます場合に、ぜひとも衛生政策というふうなことも取り入れられて考えていただきたい。つまり、この農業政策の中には、考え方として、農村計画といいますか、新しい村作りというふうな考え方、——従来、町村合併になりまして、ある程度町村の財政もよくなり、一般的な面においても向上して参りました。その後新農村建設計画というふうなこともやって参りましたが、今度の基本法によりまして、その上にさらに新しいもう一つ村作りというふうなものを積み上げていただきたいというふうに考えるわけであります。結局、地域農民というふうなものは、もう今、どうするか、どういうふうな政策が出るかというので、非常に心配をいたしておるときでございますので、まさに転換期に立つこのときに、ぜひとも足がかりとして農業基本法というものをこの際すみやかに御制定をお願い申し上げたい。あるいは両党の間においては多少の差異がございましょうけれども、一つ何とか小異を捨ててこれを成立せしめるように、農民の立場からお願いを申し上げる次第でございます。  以上をもって公述を終わります。(拍手)

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 次は、梅沢一郎君。

梅沢一郎埼玉県三俣農協組合長

○梅沢公述人 私、東京から一時間半ばかりかかるところの農村におります農民であります。一町ばかりの田畑に、乳牛二頭、今農業協同組合長をやっておりまして、日夜農民の利益を守ろうということで一生懸命やっておるのでありますが、今回こうして農業基本法が自民党また社会党から国会に提案されて論議される。農民とすれば、全く、せっかく自分が跡継ぎにしようと思った長男も農村を出ていく、あるいはまた農村には嫁も来ない、こういうような時期でありますので、何とかしなくちゃならぬ、こういうことで一生懸命やっておりますが、なかなかこのむずかしい農村の中でのしがらみから抜け出すわけにいかない、こういうときでありますので、このように農業の基本的方策をどうすべきかということが論議され、国の政策として決定されることは、農民として喜ばしいことであります。しかし、この農業基本法について、私は、今自民党が現在多数でありますので、実現最も可能なるものは自民党の農業基本法でありますから、そこへ焦点を合わせていろいろと勉強もいたしておるわけでありますが、どうもなかなかにこれは重大である、かように考えておるのであります。  そこで、やはり、どうしても問題になりますのは、例の百万人の農家を二町五反の百姓に仕上げるのだというこの自立経営農家育成の政策、これであります。私のところが、組合員が五百五十名ばかり、農地がこれまた大体五百五十町歩、平均一町のところでありますが、ここで二町五反の百姓を作っていくのだ、十年間に私のいるところで二町五反の百姓を作っていくのだということになりますと、二百名そこそこになる。ちょうど私のところは三十一の部落がありまして、各部落に二十名くらいずつの農家がおるのでありますが、七人くらいの農家が二町五反の百姓になる、あとの十三人見当の農家が、今度は農業はもう野菜とあるいはたかだか飯米くらいで、工場勤め、あるいは勤め人になるのだ、こういうような姿が今出てきて、そしてこれを自民党政府はやっていくのだ、こういうことでありますが、今農家が兼業として働きに出ておりますところの労働市場において、ほんとうに安心した労働市場、行く行く生活に不安がない、こういう市場でありますならば、農家は喜んで出ていくのであります。農地を捨てて出ていくのであります。ところが、これが不安がある、首を切られたら一体どうなるのだろう、こういう不安のために、農家は、自分は出かせぎにいくが、女房には一生懸命農地を守らせておる、こういう実態であります。この労働市場を今のような姿のままで置いて、しかも今度十年間にこういう工合にして専業農家また兼業農家を農業から離脱させていくのだ、こういうようなことになりますと、これはもういても立ってもいられない、こういう不安にかられておるのが今農家の大部分の現状でございます。むしろ、私たちから言わせれば、そういう場合には、ほんとうに安心して農家は出ていけるのだという政治をまずここで打ち出して、そしてやっていくのが至当ではあるまいか。ところが、その道行きについてはさっぱり私たちにははっきりしたことがわかりません。私たちの方から邪推すれば、いたずらに不安をかり立てて、そして農家の離脱をとにかくそこでやらしていこう、こんなふうなことさえも考えられるのじゃないかという非常に素朴な農家の気持であります。(「そんなことはない」「心配するな」と呼ぶ者あり)これは、国会議員さんはおえらいのでありますから、そういうことを考えないかもしれませんが、農家は素朴にそう考えております。どうか、こういう点につきましては、ぜひ一つ、大多数の人たちがほんとうにこれならできそうだ、こういうような仕組みのものを考えていただきたい。こういうような方途は、今私たち農村におる者といたしますと、まず十年間にそんなことをやると言ってみたところでこれは絶対にできっこない、わしらはとても今のような状況では農地を手放すことはできない、こう五反百姓、七反百姓は言っておるのでありまして、どうかそういう点について御勘案をいただきたい、かように考えます。  次に、農業生産の問題について、選択的拡大、こういう言葉が言われておるのでありますが、これも、農家から見れば、特に私たちあたりは、米麦中心、いわゆる関東平野のどまん中で米麦中心の農業をやっておる地帯であります。今まで米のみの増産だ増産だと言ったところが、今ここでとっこつとして、選択的拡大である、需要の多いものに生産を振りかえていく、また、輸入農産物と競合するところの農産物の生産の合理化をやるのだ、こういうような打ち出し方をされておりますが、実際には、今、私たち米麦作農家といたしますれば、生産を増加させる一番手っとり早い方法は米の増産であります。鴻巣の農林省東山農業試験場においても、ごく最近の米作の研究の結果、関東平野においても、米は、適切なる耕地条件を整備して管理をするならば、四石五斗あるいは五石という米作りをやることも決して難事ではないのだ、あたりまえなんだ、こういう線が打ち出されてきておる。今私たちが実際に収穫しておりまする米は、せいぜい三石足らずであります。二割や三割の増産は今できるのであります。ところが、米はもうそろそろ余ってくるのだから、まあまああんまり増産しなくてもいいというようなほのかなる流言が流されておる。これでは農民は安心して米の増産に励むわけにはいきません。耕地整理をやるというような意欲なんかも農家とすれば非常に減退させられるわけであります。米の増産はどんどんやるべきだ、しかしながら、不適格な地帯においては米を作ることをやめるのだ、こういうような指導でもされるならば私たちはいいと思うのでありまするが、そういう点について非常にばく然としておる。この食糧管理法も、何か米はもうだんだんにやめていくのだ、こういうようなことも流されておる。まことに農家としては不安しごくでありまして、この点についても、しっかりした——池田内閣がおる間は食管はやっていくのだということでなくて、とにかく食糧管理法というものは存続していくのだ、これは堅持するのだ、日本の農家の収入の五割、六割を占めるところの米麦生産についてはお前たちに心配をかけない、こういう線をぜひ私は打ち出してもらいたい。しかも、なお、麦の問題については、皆様方も御存じのように、ああして政府は大麦、はだか麦の特別措置法を成立させようとしておるわけでありまするが、私たち麦作農家といたしますると、決して好きやこのんで麦を作っているのではないのであります。できればあの大麦なんというのは非常に採算の合わないものでありまするからやめたい。しかしながら、やめれば肥料代が出ない。こういうようなせっぱ詰まった気持で大麦を作っておるのであります。ところが、この大麦を、今度は人間が食わないから大麦はもうだんだんに政府は買わない、お前たちがもし作りたいというなら勝手に作るがいい、そのかわりその場合にはえさにでもするんだな、こういう程度の法律が今度提案されておるということでありまして、私たち関東の農民はこの間一橋の共立講堂で大会を開いて、そうして、はち巻をして東京の市内をデモ行進をしたのであります。私もそこに参加をいたしました。まことに、われわれとすれば、こういうような無慈悲な政治というものはないのであります。大麦の場合なんかには、もし、大規模にして生産を上げるならば、労働力を節約するような生産方式を実行するならば、決して大麦だって飼料にならないわけではないのであります。また、大麦が悪ければ、今度はいわゆる牧草、こういうようなものに振りかえてもいいのであります。でありまするが、何と申しましても、そういうような耕地条件がないのであります。てんでんばらばらに一反や五畝の小さなたんぼが、あちらに散らばり、こちらに散らばり、そうしてその間には水田がある、こういうような日本の農業、ここでいわゆる土地条件の整備、こういうようなことがしたいのでありまするが、農家とすればなかなか資本がない。金を借りたいといっても、国の方から低利のを借りられるといっても、それさえもなかなかにむずかしい。ワクがある。こういうようなことでありまして、ぜひこの際、この耕地条件の整備、徹底的な土地改良、この点については国が責任を持って全額負担をするというようなことでやるべきである。そうして、近代化農業の設立ということは、言えば農場経営、外国で言っているような農場経営、こういうようなものを目標として、もしせめて自民党が資本主義的な農業として考えてやっていくというなら、なぜ農場経営というような考え方の政策が打ち出せないのか、私はこう考える。  次に、価格支持の問題でありまするが、今、選択的な生産の拡大という場合に、農家は豚だとかあるいは鶏だとか、私自身酪農をやっておりますが、あるいは蔬菜、果樹、こういうようなことで、できるだけ手間賃を取りたい、あるいはもちろんもう少し高度になれば資本に対する報酬も含めて取りたい、こういうようなことで一生懸命そういうような新しい仕事に手をつけていこうということでやっております。ところが、ここで一体待ちかまえているものはどういうことでございましょう。政府が有畜農家創設事業ということで七、八年前に始めましたあの酪農経営、これは酪農振興法という法律がありましても、決して乳価というものはささえられない。そうして、ほんとうに採算の合わない乳価のままでずっと来た。あの有畜農家創設法に基づいて、これは私どもの加須市の区域でありまするが、六十戸ぐらいの農家が導入をいたしましたが、現在酪農をやっている者はその半分にも足りないのであります。あとの農家は、酪農ではなくて苦農だから、この際私はやめるんだ、こういうことでやめて参っておるのであります。また、豚の場合、今、豚なんかについても一生懸命になって、一町そこそこの農家で、豚を飼う場合には多頭飼育でないといけないということで、一度に三十頭あるいは五十頭飼おうというような豚舎を、言えば天井からおっこちたような気持でやっておるのであります。ところが、農林省のあの千葉の畜産試験場へ行ってみれば、一人で豚なんというものは三千頭ぐらい飼えるのだ、自動給餌機というので豚を飼えば三千頭くらい飼えるのだという。なるほど、ある新聞で見ますると、どこか神奈川県の方ではそういうような豚飼いが出てきておる。そうすると、一体三十頭くらいの豚飼いと、あの二千頭、三千頭というような豚飼いでは、どういうことになるのだろう。ところが、今度畜産物価格安定事業団とかというようなものができるとか、あるいはそういうようなものを作ろうということで政府は考えておるという。その場合に、豚の価格を下へてこ入れするところの価格というものを幾らに見込んでおるのかといったならば、何かキロ二百十五円、そういうことで、これはまあ私がもし聞き間違えておるのならば訂正いたしますが、そういうことであるというと、これはもう豚飼い農家は首をくくってからでなければそういうような価格支持の恩典には浴せない、こういうことに相なるわけであります。鶏の場合なんかも、今私たちのところで三百羽養鶏あるいは五百羽養鶏をやっているが、しかし、片一方において一万羽養鶏です。一万羽養鶏をやるならば、一羽の鶏で五円あるいは五円五十銭かせげば、それでけっこう採算がとれる。ところが、せいぜい五百羽くらいの養鶏ということであっては一体どういうことになるのだ、一体鶏飼いの前途というものはどういうものだろう、こういう不安であります。しかも、これら諸般の問題について、価格支持の政策というものは決して適切に打ち出されてはいない。蔬菜の問題なんかについては、昨年の冬ああしてせっかく作った白菜がただになって捨てちゃった、大根も捨てちゃった、ところが、しばらくたったらまた白菜が値上がりをしてきて、私があるところへ行ったところが、もう高くて白菜が食えない、こういう悩みの多い百姓、こういうような実態であります。一体、こういうような実態、こういうような百姓にだれがした。戦争前においては、地主制度のもとに、物納小作料で、小作人はただ生きていればいいということだった。そして、地主さん一つ貸してくれと言えば、一つのたんぼを二つにこま切れにして、こいつをあっちへ貸す。そういうようなことでこま切れたんぼを作っていた地主制度は終戦とともに終わりになりました。あのときに、そのままの姿で、いわゆる耕作者の姿のままで農家は引き継いだ。終戦直後の食糧不足のときには、米は一万円で幾らでも羽がはえて飛んでいく、麦も幾らでも高く売れる、こういうときにも、ぎりぎりの供出制度で、その十分の一あるいは二十分の一の安い価格で農家に米あるいは麦を供出させておいて、要するに資本の蓄積を許さない。貧乏な農家のままにしておいて、そして、今ちょっとばかり米が緩和されてきた、麦がちょっとばかり余ってきた、このときになったら、お前たちは自主独立していくのだと言う。内閣から出されております農業基本法の中に、農業者の自主的な努力というものに対して国は援助をしていくのがこれの本旨である、こう書いてある。私はとんでもない話だと思う。まず国が責任を負うべきだ。国が責任を負って、そして、この立ちおくれた農業に対しては、余すところのない、いわゆる財政投資と申しますか、そういう投資をして、完全なる耕地条件あるいは水利条件、そういうようなものをここでまず打ち出す、その上に立って私は農業政策をやってもらいたい。  そういうような観点に立ちまして、自民党の農業基本法というものは農民にとっては納得のいかない、合点のいかない、まことに無慈悲な残酷な法律である。一つこの際、そういう意味合いにおいて、農民がほんとうに救われる方途というものを何が何でもとにかく打開し、樹立していっていただきたい。この農業基本法というものはほんとうに重大な法律でございますので、どうか、農家といたしますと、ぜひそういう点について思いをいたされまして、真剣なる御討議、御論議をいただきまして、農家が納得のいくところの政策をぜひ打ち出していただきたい、かように念願を申し上げまして、私の公述を終わります。(拍手)

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 公述はこれにて終わりました。  これより公述人に対する質疑を行ないます。  質疑の通告があります。これを許します。  念のため申しますが、一時ごろまで御無理でもお願いをすることにいたしまして、通告者が六人おられますので、大体十分程度にお願いいたしたいと思います。  綱島正興君。

綱島正興自由民主党

○綱島委員 簡単にお尋ねをいたしますが、田中さんに最初一つお尋ねをします。  それは、大体自営農家の実現は困難だと、これは皆さんおっしゃいましたが、これはちょっと誤解がありはせぬかと思うのです。ことさらに自営農家を百万戸作り上げるということは、この法律では何にもございません。なるほど、この法律をこしらえる前にいろいろな意見があったところもあるようですが、法律というものは成立すると一つの厳とした規制力を持って発動して参りますので、その前にどう言ったとか、こういうつもりじゃったとかということは大体関係が薄くなって参ります。立法理由が明記してない限り、そうはなりません。しいて言えば、立法理由というものは前文というものがこれに近いかと思う。その中には一つもそういうことはございません。そこで、たとえば、信濃川平原であるとか、あるいは濃尾平原であるとか、あるいは筑豊平原のまん中、単一農業をおもにやるようなことが自然事情になっておるところは、大体相当の規模でないと立ち行かぬでございましょうから、そういう地域においては勢い自営農家をこの程度ならいけるというめどをつけておくことが大切だと思いますので、そのことについてはいずれ他の立法に待つのであって、かようなものも作らねばならぬと思うておるのでありますが、困難であるというのは、全部山間地までどこまでもやるという意味と誤解をなさらずにおっしゃったのか、あるいは、これはこの法律に書いてございますが、主要な地域的に計画を立てるのでありますけれども、こういうところをよく御考案になって考察されての御意見でございましたかどうか。幸いにそうでなかったらなおけっこうであります。  それから、資本装備の問題だとか、生産手段を明らかにせよという御意見でございました。これはもちろんやるのです。基本法というものは、字のごとく基本法でございます。これにはたくさんの法律を装備しなくちゃ一つの固まった政策とはなりませんので、それは農林委員会だけにかかるのじゃございません。他の商工委員会等にもかかりまして、都市の形成とか、そういうものもみんなかかって参るのでございます。こういう点も、割合にあなたの御意見は法文を読んでおいでの上の御意見のようでございますから、そこで、そういう点はどういう御意見であったろうか。基本法というものだけでやっていくというお考えでございましたか、それともそうじゃなかったか。  それから、もう一つ、村谷さんは、町村は何も書いてなくて義務だけあるというお話ですが、これは、御承知の通り、平衡交付金等を得るにしても、法律の原因によって出したものは、原因になりましょうから、私どもがその用意をして、特に協力をせにゃならぬ。協力は法律的根拠によってしたということを明らかにして自治行政にまかせるわけでございますので、この点、それらを御承知の上で特にそういう御質問になったのか、あるいは、そうでなくて、義務だけで終わらせるということで御発言になったのか、その点も伺っておきたいと思います。

田中覚三重県知事

○田中公述人 ただいま私にいただきました御質問といいますか、あるいは御意見といいますか、それに対しまして簡単にお答え申し上げたいと思います。  まず第一番に、私が自立農家の実現は現実の問題としてなかなかむずかしい状況にあるということを申し上げたのでありますが、その点は、一般的な問題といたしましては、個々の農家についてはそれだけ必要な土地の獲得が条件になるわけでございますが、そのこと自体に相当の困難性があるということを指摘いたしたのでございます。特に山村あるいは漁村地帯における問題といたしましては、たとえば、綱島先生御郷里でよく御存じでございますが、ああいうふうな漁村だとかあるいは山村の多いところでは、階段水田、階段畑が非常に多い。ああいうふうなところで実際問題として自立経営をはかるといいましても、これもなかなかむずかしい、また、協業化の道をとるにいたしましても、これも現実の問題としてむずかしい。そういう事態が多かれ少なかれどこの県にも存在をいたしておりまして、私ども県政を担当する立場といたしましては、やはり、そういう山間の僻地に対する農政というものの裏づけが従来割合に少なかったのじゃないだろうかというふうな気がいたしまして、今度の基本法におきましても、そういう感がいたしますので、せっかくこういう法律ができるものである以上は、そういう方面への施策も、これはもとより農政一本で解決できるとはわれわれも考えておりませんけれども、そういう方面の御考慮もぜひいただきたい、こういう趣旨で申し上げたのでございます。  それから、第二に、自立農家を達成するための具体的な手段なりあるいは具体的な過程というものが明らかでないということを申し上げたのでございます。これにつきましては、この基本法自体は一般的な原則というものを示して、これに付帯した個別の立法なり施策でもって別途お答えをいただくというふうなことももちろん可能でありましょうし、また、農林省の政策ばかりでなしに、ことに他産業への就業の確保というようなことになりますれば、当然に通産省初めほかの省の政策にも関連をいたすのでございまして、この点は、私どもといたしましては、別に基本法でどうしてもそこまではっきりさせなきゃ困るということを申し上げているわけではございませんので、一応、基本法の成立にあたりまして、それらに対する国なりあるいは国会の方の考え方というものをある程度示していただいて、農民の現実の不安にお答えいただくということが必要じゃないか、こういう趣旨で申し上げたのでございまして、御了承いただきたいと存じます。

村谷永一郎全国町村会理事

○村谷公述人 国は法制上または財政上の措置を講ずるということになっておるようでございますが、あえて私が申し上げましたのは、おそらく地方交付税の中に含んでいるというふうなことで措置せられるのではなかろうかと存じますが、実は、地方交付税という魔術によって私どもは困った例がございます。たとえば、補助金等が、かりに五万円なら五万円という場合に半分で二万五千円になるわけでございますが、実際には七万円かかる、その半分の三万五千円でなければならぬものを、五万円として二万五千円という場合がよくございますので、その点特に申し上げて、実際に間に合うような財政措置をという意味で申し上げただけであります。

綱島正興自由民主党

○綱島委員 あとお答え願わぬでもよろしゅうございますが、私ども法律に義務づけをして公共団体の協力と書きましたのは、財政措置の標準基準になるように特に書いているのでございますから、さようなことのないようにあらかじめ用意しているのでございますから、御了承を願います。  それから、次に梅沢さんにお尋ねいたします。  何か政府があるいは政党が農村を立ち行かないようにしたんだということに近い御発言でございましたが、そういう意味でございますか。農村が立ち行かないような事情がたくさんございます。農村ばかりでない、中小企業等にもございます。そういうようなことは政府がことさらにしたと理解をされて、あなたの言葉の上ではそういうふうに言われましたが、そういう理解でございますか。

梅沢一郎埼玉県三俣農協組合長

○梅沢公述人 今の御質問でございますが、積極的にそういう意図があったとは私も考えません。しかしながら、現実にいわゆる消極的には結局そういうことになった。もしそれを積極的に打開する方途があったならば、これは私は、今のような農業というものはもう少し前に改善されておったのではなかろうか、かように考えるのであります。

綱島正興自由民主党

○綱島委員 ただいまのお話でございますが、実は、さような事情が農村に出て参りまして非常に困るというところから、これらのことに対する手を打ちたいということで基本法ができたので、基本法というものはその不利益状態を温存するということに努めているのではないという御理解はございますかどうか。

梅沢一郎埼玉県三俣農協組合長

○梅沢公述人 結局、今までの政策というものが、結果的には適切でなかった。そのことのためにこうして積もり積もっていわば百姓というものがほんとうに生活に行き詰まった、こういうようなところまで来たので、しようがないからここでそういうような政策をぶち出してくる。そうして、できれば、ここまで来たのはしようがないから、これから先とにかく積極的に打開していくんだ、こういうようなことでございまするから、もちろん前のものを温存するところは温存しなければならぬでありましょうし、積極的に打開するところは打開していかなければならぬであろう、こういう工合に私は考えております。

綱島正興自由民主党

○綱島委員 それだと、先ほどからのお言葉は非常に受け取りがたい。たとえば、選択的拡大ということの中に麦の問題がある。麦は、御承知の通り、大体大麦とはだか麦で二百九十五億円昨年買っております。そのうち五十億くらいはほとんどめどがつかないのです。昨年も一昨年もございます。そうして、結局月に十億近い倉庫料を払っている。こういうことでありますから、一応選択的な政策を行なうよりしようがないところへ押し詰まっておる。それで、今までも、農村の実際の耕作形態というものをどうしても尊重いたすものですから、何か考えねばならぬということを考えつつとうとうここまで来たということで、あなたのおっしゃっているような勝手ほうだいにしようという意思から来たことではない、こういうことは御理解できませんか。

梅沢一郎埼玉県三俣農協組合長

○梅沢公述人 私も、実は、麦の問題については自分たちに直接の利害関係があることでありますので、いろいろ研究をいたしまして、たとえば農林省の鴻巣の東山農業試験場あたりへ行きましても、いろいろ麦の研究などにつきましても聞くのでありますが、いわゆる畑作に対する研究、また、麦、特に大麦、はだか麦に対する研究、これはまことに今まで放置されておって、この重大なる麦に対してほとんど基本的な研究がないのではないか、そういうようなことで、麦の問題について行き詰まってきたので、農林省の方でもあわてて、おととしあたりかに初めて東山農業試験場の分場として上尾に畑作研究の部門を独立させた、こういうようないきさつがあるようでございます。もし麦の問題について五十億か百億の金がどうしてももったいないからこの際百姓はがまんしてくれということでございますならば、こういうようなことでほんとうに一生懸命研究をしたのだが、なかなか早く収穫のできる麦であるとか、多収の方法であるとか、労力の節約できる方法であるとか、こういうようなことがどうしても実現できないのだからこの際だめだということならば、そういう時期にそういう政策はやってもらう、まだとにかくそういう点についていわゆる政治としての責任というのが十分に果たされていないままに現在に至っておるのではないか、かように考えるのであります。

綱島正興自由民主党

○綱島委員 今の麦の問題は非常に重大でございますから、お話しいたしますが、麦というものの特色は、御承知の通り、他の農産物のできないときにできる。別のものは夏とれるが、麦は冬とれるという、これは非常に便利な植物でございます。けれども、小麦は去年二百八十三億買いましたが、全部これは売れました。ところが、これには、今の小麦よりも今おっしゃった通りに十日くらい早くできますと、あとの植えつけ、田やその他イモというものに間に合います。こういうことで非常に困るものだから、あらゆる研究をやって、御説の通り間に合わぬので、一応これはしようないかというのでああいうものを出したのです。ところが、非常に朗報が起こりましたことは、パンパスというものでやると七倍くらいの効果が出てくるということで、それなら麦を早どりせぬでもいいということになるので、政府はできるだけ努力いたしておりますから、この点はどうぞ御了承願います。

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 次は、角屋堅次郎君。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 午前中四人の公述人の御意見があったわけですが、主として自民党の推薦である田中公述人、村谷公述人にお伺いいたしたいと思います。  昨日の公聴会における公述人の供述の場合もそうでありますが、各党それぞれから出されておる方々がいずれも党に直接関係のない方々が多いわけでありまして、従って、推薦の形式としては社会党あるいは自民党から出されておりますけれども、いずれも農民のためのりっぱな農業基本法というものを十分に慎重審議をしてこれを作り上げてもらいたい、こういうことが超党派的な希望であったわけであります。たまたま、本日、田中公述人並びに村谷公述人から、特に時限を切って、今度の国会でこれを通すようにしてもらいたい、こういうふうな話が出たわけでありますけれども、御承知の通り、今度の国会には農業基本法並びにそれに関連する農地法、農協法の一部改正以外にたくさんの法律案が時限的にも制限をされた法律案が出て参りまして、これらの法案の処理等も今日まで六、七件やって参りまして、その関係で、農業基本法の論議そのものとしてはわずかに十数時間今日までに費やしておる段階であります。しかも、きのうの公述人あるいはきょうの公述人から出ておる意見からいたしましても、いろいろ農業基本法の中で包蔵しておる具体的なプランというものもできる限り明確にしながら、これが実施の過程でそごが起こらないように、あるいは政府・自民党の考えておる農業政策の基本の問題については、構造政策面、生産政策面、あるいは価格政策、こういうものについての本質を十分に理解しながら、そうしてそれらの問題についての問題点を具体的に処理しながら、りっぱな農業基本法を作るためには十分に時をかしていかなければならぬ、こういう観点を私はかねてからとっておるわけであります。同時に、第一次産業の場合で考えますと、例の農林漁業基本問題調査会からは、農業に対する答申以外に、林業答申あるいは漁業答申等も行なわれておりまして、私どもとしては、農業、林業、水産業を含めての第一次産業に対する国の基本的な政策を総合的にやはり考えなければならぬという立場を持っておるのであります。遺憾ながら、林業の問題については林業答申は出ておりますけれども、今次国会に林業政策そのものについての考え方は何ら明らかにされておらない。また、漁業問題についても、いまだに沿岸漁業振興法の問題を含めて漁業政策の問題については法案が提示されてないというような段階にもあるわけであります。先ほど田中公述人の意見の中にも、山間部における農業政策の問題、あるいは沿岸地帯における農業政策の問題等も十分精査されなければならぬという御意見もございましたが、これらの問題は、農業地帯だけの問題ではなしに、やはり、林業との関連、沿岸漁業との関連、こういうものを総合的に精査をしなければならぬ。そのためには、農業政策として、あるいは林業政策として、漁業政策として、それぞれ出されてくるものを総合的に検討しながら、りっぱな第一次産業に対する政策を打ち出す、これがやはり今日の段階における国の政治の責任であるというふうに私どもは考えておるわけであります。従いまして、そういう観点から申します場合には、今日における農業基本法を中心にした論議の時点、あるいはまた、今申しましたような観点からいたしましても、十分それらの問題を政府みずからも積極的に出してきて、それらの総合的な視野の中でこれらの問題を処理していくという立場は、私はやはり第一線の地方自治体を預かる知事あるいは市町村長の立場から見ても当然の希望ではないかと思うわけであります。単に農業基本法そのものが今次国会に出されてきたから、この国会でどうしても通してもらわなければならぬという立場には、根本的にはやはり欠陥が包蔵されておるのではないか。十分、やはり、これらの問題については、国際的にも注目され、日本の農業基本法として今後打ち出されていくわけでありますから、西ドイツ初め諸外国の農業基本法の実施過程あるいはそれらの結果も十分勘案をして、日本の土地に合った農業基本法をお互いが衆知を集めて作り上げていく、こういう努力を十分にやっていく必要がある。   〔委員長退席、田口(長)委員長代理着席〕 単に、農林漁業基本問題調査会の答申が出て、それを受けて立って政府原案が出てきた、そして国会の論議の不十分なままにこれを強行突破をするというような形ではなしに、あくまでも、農業団体あるいは農民、農政学者、各界各層のあらゆる衆知を集めて、日本のグラウンドに合ったりっぱな農業基本法をなるべく早い機会に作り上げていく、こういう心がまえが地方自治体としての願いではなかろうかと思うわけでありまして、この点については、きょうの公述人の公述の前に、おそらく今申しましたような一点についてはぜひ一つ加えておいてくれということであったかどうか知りませんけれども、田中公述人の後ほどの構造政策あるいは生産政策、価格政策等にはわれわれも十分共鳴し得る点が多々あるわけでありますけれども、第一点の問題について、なぜ今次国会においてどうしても成立させなければならぬということを田中公述人並びに村谷公述人は強調されるのであるか、今私が申しました点についてはどういうふうに考えておられるかという点について、まずお伺いしたいと思います。

田中覚三重県知事

○田中公述人 ただいま角屋議員のお述べになりました点は、基本的に言って私どもの考えと相違があるわけではないのでございます。私どもも、せっかくできる基本法であるからには、ほんとうに世界に誇るに足る基本法であり、同時に、日本農業の将来の長い展望にこたえられるものでなければならない、そういうふうに考えております。従いまして、冒頭に私も申し上げました通り、慎重な御審議を十分尽くしていただきたい、また、各方面の意見も十分一つおくみ取りいただきたい、これは私どもが最初から申し上げておるところでございます。ことに、水産とかあるいは林業とか、そういう方面の法案がまだ用意されておらぬというお言葉でございましたが、これらにつきましては、この農業基本法案に続いて引き続き提案されるという期待を私は抱いておるわけでございます。特に早期成立を希望する考え方といたしましては、今日、日本の農業あるいは農村の当面しておる事情というものは、すでに相当の事態が現われておるのであります。先ほど私はその一例として申し上げたのでありますが、たとえば、いろいろの形で農業の法人化が随所に行なわれてきております。あるいはまた、大資本が進出をするというふうな事態も見られておる。これらに対しまして、国としてあるいは地方の自治体としてどういうふうに対処すべきかというふうなことにつきましては、早く法律のよりどころを私はいただきたいのでございます。ことに、たとえば共同化の一つの形態である農業法人にいたしましても、早く法律の根拠を持って指導監督をいたしませんと、経理面なり管理面なり、そういう面におきまして、かえって問題を起こしたり、あるいは欠陥を露呈するというふうなことになりますと、今後共同化を大きく進めるというふうな場合の支障になるような事例となるのではないかというふうなことも懸念されるのでありまして、そういう意味で、この基本法は、今の政府の原案ではいわゆる基本原則を定めるというふうな内容のものになっておりまして、ほんとうはもう少し掘り下げていただきたい点もあるのでございますけれども、一応こういう法案で早く成立をしていただいて、そして、これに続く具体的な政策は個々の法律なりその他の形をもって処理をしていただくことも可能ではなかろうか、こういう考え方で申し上げたのでございます。

村谷永一郎全国町村会理事

○村谷公述人 私のお答え申し上げるのも、ただいま田中公述人が申し述べられたと大体同様でございます。結局、農民は今足がかりが何とかほしいというふうな気持があるわけであります。実は、二、三日前でございますが、五十人ばかり町村長が集まりました際に、これは慎重にやって、まず今すぐでなくてもよかろうという人もだいぶありました。しかし、これはなるべく早くやってもらいたいという声がだいぶ強かったものですから、私は、そういう意見を反映する意味で、すみやかにというふうに申し上げたわけでありまして、論議の点については、どうぞ国会の方においても十分考慮していただきたいと思います。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 きのう、きょうの今までの公述人の中で、政府自民党の農業基本法の性格として私どもが判断しておるところを端的に述べたのではないかと思ったのは、読売新聞の田中公述人の意見でございます。これは、ざっくばらんに、池田総理の抱懐しておる農業に対する見解、あるいは農業基本法の主流をなしておる考え方を端的に述べておるものじゃないかという感じが私どもはいたしたのであります。農地の造成ということはあまりやる必要がない、あるいは、価格政策については、いわゆる自立農家がペイするというところに基本を置いた価格政策を考えるべきである、あるいは、従来の保護政策というものはだんだんと取りはずしていかなければならぬ、経済ベースで農政というものを考えていくべきである、あるいはまた、その他食管の問題については、かねて本委員会でも総理の出席を求めて私から追及した一幕が所得倍増計画との関連でありましたが、これらの問題についても、食管制度については早晩改廃を考えていかなければならぬ、これが今日農政のいわゆる手かせ足かせになっておるのだ、こういうようなことを端的に述べられたのであります。こういうふうに、自民党の農業基本法がこれから持っていこうとする基本的な性格を端的にきのうの読売新聞の田中公述人は述べた。ところが、きのうの団体側その他から出ておる方々は、自民党の農業基本法に基盤を置かずに、いろいろそれぞれよって立つ基盤の考え方から要望等の意見を申しております。これがはたして政府・与党の農業基本法の中でかなえられるかどうか保証は何らないのであります。政府・自民党の考えている農業基本法でいくならば相当大きな問題を今後にはらんでおる。従来の保護政策的な農政というものから経済合理性による農政へということが一環として貫かれておるのが政府自民党の基本法の本質ではないかというふうに把握しておるのでありますが、これら農業基本法の根本的な本質というものを田中公述人や村谷公述人はどういうふうに考えておられるかという点を一つ明らかにしていただきたいと思います。

田中覚三重県知事

○田中公述人 ただいま、基本法をめぐる自民党及び社会党の基本的な見解の相違点を中心にお尋ねをいただいたのでございますが、確かに、今御指摘のように、両案の間には考え方においてもあるいはまた具体的な対策の取り上げ方におきましても相違があることを私どもはよく承知いたしております。しかしながら、また、他面におきましては、その目標とするところが、表現の差異はございましても、ほんとうに農民のためになり、また日本農業の将来の発展になるような、そういう基本的な法律を作りたいという点においては両党とも同じような考え方に立っておられるのではないかという面もあるわけであります。従いまして、私どもといたしましては、現実にマッチした行政を担当する立場から申しまして、先ほども申し上げましたように、たとえば、個々の自立経営に重きを置いていくか、あるいは協業化の方向を重点的に進めるかというふうな点につきましては、そのどちらかにしぼっていくというふうな考え方に必ずしもとらわれないで、現実の諸条件を十分検討いたしまして推進をしていくことが実際的ではないかというふうに考えております。そういう意味で、現在の政府案におきましては一応その両様のかまえが示されておる。ただ、内容的にはそのいずれに重点が置かれておるかといえば、私は、やはり自立農家の育成創出という点に重点があることはよくわかりますけれども、しかし、他面におきましては、やはり協業化への道も開き、その促進ということもうたわれておるのでございまして、実際行政面でやっていく場合におきましては、この法案が一応あれば、確かに農政の前進はこの際はかり得るのじゃないか、こういうふうに考えまして、もとより早期成立を望んでおるのでございますが、特にいつまでといってこれをわれわれが期限をつけて要望しなければならぬという事情はないのでございまして、要は、いいものをやはり早く作ってもらいたい、この一語に尽きるのでございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 田中知事は政府案の本質について端的に触れることを避けられたわけですが、もともと私の出身県の知事であり、最初のスタートはわれわれが推薦をして知事になったということで、きょうは自民党の推薦ということもあって、もっと自由な立場で供述をすれば自由に農政面のお話もできたかと思うのですが、これ以上この問題について触れることは避けたいと思います。  そこで、たとえば農村人口の他産業への流入の問題についても、地元の三重県では、御承知の本田技研の臨時工の大々的な整理問題が大きな暗影を投げたという事実もございまして、やはり、今後の自立経営の可能性という問題については、先ほど綱島委員からもお尋ねがありましたけれども、今日の政府・自民党の考えているような形でこの十年間に二町あるいは二町五反歩のものを百万戸作るなんというのはとうてい実現性が薄いのだということを田中公述人は端的に述べられたが、まさにその通りだろうと思いますが、やはり、かりに、政府・自民党が考えるような、今日の不健全な農村人口の他産業への移動というものを根本的に改正をするということでなくてこれをやろうとする場合には、ことにまた、田中公述人が述べられたように、経済の高度成長というものに依存をし過ぎて、農村自体の自主的な立場でなくてこの高度成長に依存していくということの前提がくずれる場合においては、根本的に大きな障害を生ぜざるを得ないというふうな段階も予想されるわけです。むしろ、政府・自民党の考えるような農業基本法を実施するという場合には、総選挙前に池田総理が六割削減論を叫んで、これが政府・与党内に大きなショックを与えた、それで、離農政策というものに非常にちゅうちょし、これらの問題についての具体的なプランというものを明らかにし得ないというふうな問題が自民党自体としてはあるのじゃないかという感じもするし、また、農業外への農業人口の流出の問題に対する雇用の安定あるいはまた今日の臨時工その他いろいろな問題をはらんでおる、そういう問題の根本的な解決が資本主義下ではたして十分できるかどうかということについて私どもは根本的に疑問を持っておりますけれども、そういうことが総合的になされない限りは、政府・自民党がいかに看板だけは掲げても、そういう問題の処理というものはむずかしいのじゃないかという点を私は感ずるわけですが、その問題について田中公述人はどういうふうに考えておられるか、あらためてお伺いしたいと思います。

田中覚三重県知事

○田中公述人 ただいまのお話は、私も同じ三重県の出身でございまして、県内の同じ事情を基礎としてお話をしておるわけでございますが、先ほど私が申し上げましたのは、いわゆる政府案におきましては、経済の高度成長、ことに他産業の異常な発展、それによるところの農村からの人口の吸収というものが一つの大きなてこになっておる、私も、はたして高度成長がいつまで、またどの程度期待できるかという点につきまして不安の点がある、その反面、農村の内部でいわゆる自立農家を作り上げるような条件を作り出していくというふうな政策面での配慮がむしろ少ないのではないかということを申し上げたのでございます。これは、今角屋委員からお話がございましたが、実は、本田技研の工場を三重県の鈴鹿市に誘致いたしまして、現在千数百名の労働者をかかえておりますが、先般三百人あまり、いわゆる臨時工として採用いたしました者の解雇をいたしました。もちろん、これは、これにかわって新しく工業高等学校を卒業した新卒者の採用に切りかえたのでございます。しかし、それにいたしましても、一時的には相当の不安を与えたことは事実でありますが、これはその一例でありまして、要するに、農村から他産業に流出する人口というものがそういった形で不安定な条件をしいられておるという状態におきましては、農業からの完全な離脱ということにならないのであります。その点で、一方において経営規模を拡大できるところの自立農家の育成と申しましても、困難がある。農家というものは、他産業への就職機会の増大は、単にあくまでも生計補充、いわゆる兼業という形をとりまして、土地に対する執着がなかなか喪失しない。そういう現実の条件のあることを私も指摘したのでございまして、これらに対しまして、本法案を今後実施されるにあたりましては、政府におかれましても格別の対策なりあるいは具体的な方途というものをはっきり明示していただきたい、こういうふうに私の方から実はお願いをいたしたわけでございます。ただ、社会党で強調しておられまする、たとえば国費によるところの開墾による土地の造成という問題でありますが、これは、今日農村におきましては相当大きな魅力のある問題であり、また、開墾を通じて共同化が促進されるという問題のあることも私よく承知いたしております。しかしながら、この大規模な開墾というものが、結局は、社会党の意図されますようにそこへ零細農をかかえてしかも共同化に向かうということでありますれば、帰するところは、やはり、能率の増進なり、農業からの人口の排出ということを避けることはできないのでありまして、いずれにいたしましても、他産業への人口の吸収という政策は、自民党案におきましても社会党案においても、私は絶対に必要な政策ではないか、こういうふうに実は考えております。いずれにいたしましても、これに対する対策なり社会保障政策なり、そういったものが同時に用意される必要のあることは私も十分強調はいたしたいのでございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 時間の関係もございますので、村谷さんに一点だけお伺いいたしたいと思います。  先ほど農業教育の問題について触れられたわけでありますが、たしかスイスの農業基本法だったと思いますが、いわゆる農業のにない手としての次代の青少年の教育ということについて国がやはり相当の経費を出して基幹要員の養成をやるというようなことを基本法でもうたい、実際に実施していくということをやっておりますが、農業教育の問題について、ややもすれば、経済の高度成長あるいは工業技術者の確保というところに目を奪われまして、案外第一次産業の今後の近代化なり発展のために重要である基本としての農業教育面というのが置き去りにされがちである。今後の農業教育のあり方についての村谷公述人の御見解があればお伺いしたい。

村谷永一郎全国町村会理事

○村谷公述人 農業に従事する子弟の教育でありますが、現在は農業高等学校を出た者もあります。そういうふうな技術をおさめた方は、義務的にまでは困難かと思いますが、やはり、どうしても地元に残って農業をやっていただきたいというふうに考えるわけであります。そういう意味で、これは当たるか当たらぬか存じませんが、国の方でもそういうふうな学校に対して特別な保護の政策か何かとっていただいて、ぜひ、いわゆる農民教育といいますか、そういうふうな中核体を作る政策を強くお願い申し上げたいと考えておるわけであります。

田口長治郎自由民主党

○田口(長)委員長代理 湯山君。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 簡単に田中公述人と村谷公述人にお伺いいたしたいと思います。  まず田中さんにお尋ねいたしたいことは、基本法をなるべくすみやかに成立さしてもらいたい、こういう御希望でございましたが、今の政府案の基本法の中で、自治体の執行責任者として一体知事は何をするというようなことが大体おわかりになっていなければ、そういう御希望が出てこないと思うのですが、どういうふうにお感じになっておられるか、承りたいと思います。

田中覚三重県知事

○田中公述人 法案の第三条に、「地方公共団体は、国の施策に準じて施策を講ずるように努めなければならない。」、こういうふうにあるわけでございまして、この条文が必ずしも規定されておりませんでも、現在の国と地方自治団体の関係から申しまして、国の政策を地方公共団体が実行をするという関係に置かれておる問題がはなはだ多いのでございます。そういう意味におきまして、私は、この法案に盛られておるところの考え方なりあるいはこの法案を基礎として今後打ち出されるであろうところのいろいろの政策というものを県なり市町村は一面において消化をし実行をしていくという立場から、この法案に対するいろいろの意見を申し上げておるつもりでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 ただいまのような御観点に立てば、むしろ、先ほど公述人が述べられた不安とか誤解とか、そういうところの方が実際は執行責任者としては強調されなければならないのじゃないかというように私は考えるわけです。そうして、お述べになった中には、末梢的な問題だけじゃなくて、きわめて重要な問題をたくさん含んでおりまして、御指摘になった点、私も同感の点が多いわけであります。ことに、極言すれば、おっしゃったように、実際に政府が意図しておるような自立農家を作っていくというようなことは世代が交代しなければ無理じゃないかという御指摘も、確かに肯綮に当たる点があると思います。そうだとすれば、そういうのをすみやかにやってもらいたいということは、それは、気持としては、今の農業は曲がり角に来ている、何とかしなければならないというそのあせりや気持はわかりますけれども、それだからといって、何でも早ければいいというものではないと思うのです。  そこで、もっと端的にお尋ねいたしますけれども、今おっしゃったようないろいろな不安な点もあるし、実際にそのことをやれと言われても困るような問題を含んでおるものを早く成立さすという、その早く、成立さすという中には、たとえば県の交付税をふやしてくれというのであれば、多少反対があっても強行突破してでもやってもらいたいという場合もあると思いますけれども、こういう法律を多数で何としてでも強行してでも成立さしてもらいたいというような意味の早期成立を望んでおられるのか、そうじゃない、そんな無理して成立さしてくれということではないんだ、こういう区別があると思うのです。いずれの方なんですか、お伺いしたいと思います。

田中覚三重県知事

○田中公述人 私も、先ほど申し上げました通り、この法案に掲げておる目標と、現実に農村に存在しておる条件との間に相当大きな開きのあることは率直に認めざるを得ないのでございます。従って、このギャップを埋める具体的な段取りなり、あるいは政策なり、過程なり、そういうものをぜひ一つお示しいただいて、これらについての農民の不安なり、疑問なり、あるいはまた、えてしてありがちな誤解等も一つ解いていただきたいということを申し上げたつもりでございます。それにもかかわらず、なおかつ早期にその成立を要望するとは一体いかなる理由によるのかということがどうもお尋ねの御趣旨のようでございますが、私は、この法案に盛られておるところの目標その他につきましては、これはやはり長期的に見て今後の日本農業の行方を示す一つの重要なポイントである、こういうふうに考えております。従いまして、これについては相当やはり長い期間をかけることが必要ではないかというふうに見ておりますけれども、しかしながら、現実の政策を実行していくという立場から見ますると、かりに協業化にいたしましても、あるいは自立経営にいたしましても、私どもは必ずしもそれをそのどちらかというふうに割り切った考え方で推進をしなければならないというふうには思っておりません。しかし、現段階におきまして、かりに自立経営を重点に置くにいたしましてもあるいは共同化を促進するにいたしましても、共通的に農業施策として重点が置かれなければならない問題がたくさんございます。たとえば、土地改良を中心にいたしますいろいろの土地条件の整備というふうな問題、水利の問題も含めての問題でございますが、こういう問題は、共同化にいたしましても自立経営にいたしましても、今後もっともっと大きく取り上げていかなければならない問題であります。そういうふうな問題が、この基本法が早期に成立しておりますれば、国の法制上あるいは財政上の責任として義務づけられておるというふうな考え方から、むしろ今のような形に置かれておるよりは一そう促進できるのじゃないか、従って、どういう形をとるにしても、基礎的な施策というものがこれによってむしろ促進される可能性がある、こういうことを私は確信いたしておりますがゆえに、その早期成立を特に要望いたしておる次第でございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 そういう御答弁だと、もう一つお聞きしなければならない。それは、特に公選知事として県民に対する責任をお持ちになっておられる、そうして知事さん自体が今のような不安な点を持っておられて、実際にこの構造改善というようなことは端的に言えば世代がかわらなければむずかしいのじゃないか、あるいはその実現の可能性はきわめて少ないというようなことをおっしゃっておられる。しかし、この構造改善ということがこの基本法の中心になる問題だということもよくおわかりだと思うのです。多少その予算の裏づけができるとか、あるいは他の面で前進が見られるとかいっても、そういう今言ったようなことが基本法にあるのだからという、基本法というとにかく法的な権力を持って自治体に押しかけてくる、そうしてそれが知事さんからあるいは県民に押しつけられていく、こういうことが今おっしゃったことからは出てくる可能性があるわけです。むしろ、その場合には、知事さんの立場としては、そういう立場をとるのじゃなくて、県民の側に立って、政府の方に抵抗していく、あるいは考え直してもらっていく、こういう立場をおとりになるのが至当だと思います。そういう意味から、先ほど誤解やPRの足らないところがあるということもおっしゃったわけで、知事さんのお立場としては、むしろ、そういう関係立法の内容が明らかになるまでは待ってもらいたい、こういうお態度をとるべきだと私は思うのですが、こういう点はいかがでしょうか。

田中覚三重県知事

○田中公述人 ただいまの点は、もとより、それらについての議論も十分尽くされ、一般農民の間に安心のできる体制があらゆる分野で整えられた上で実施に入るということがもちろんそれは望ましいと思いますけれども、率直に申し上げまして、それらにつきましては、今後なお相当時間をかけないと、具体的な法律なり政策に出てこないというふうな問題もあろうかと存じます。いずれにいたしましても、この法案の意図しているところが早期に実現をするということが私どものねらいであることはもちろんでございます。ただ、その具体的な道行きとして、こういう画期的な法案がとにかく成立するということが農政を前進させる一つのムードになるのじゃないだろうかというふうに私は考えておるのでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 それでは、どんな無理をしてでも、たとえば先般安保条約なんかずいぶん無理して通過しましたが、ああいう無理をしてでも通したい、こういう御希望なんですか。

田中覚三重県知事

○田中公述人 大へんむずかしいお尋ねでございますが、この問題につきましては、国際的な関係で制約を受けているとかそういう問題はないわけでございまして、何が何でも無理に早く成立してもらいたいということまで私は申し上げておるわけではございませんが、でき得べくんば、いろいろお考えの相違やまた具体的な政策についての御意見の相違が各党の間にありましょうとも、できる限り、その共通的なものといいますか、農政を前進させるという面における共通面の基本対策というものを一つ早く打ち出していただいて、それを具体的な法律として成立さしていただくという方にぜひ一つ御努力をお願いいたしたい、かように考える次第でございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 村谷さんには一括してお尋ねいたしたいと思います。  これは町村会として十分御検討になった結果に基づく御公述だと思います。町村会は、先般も官行造林廃止の場合に会長さんにおいでいただいてこの委員会で参考人としての御意見をお聞きしたのですけれども、そのときは大へんな誤解のもとに賛成だというような御意見がありました。町村会のお立場として、ぜひ早くやってもらいたいというようなことでございましたのですけれども、御公述の中にやはりこれについてのいろんな心配の点の御指摘がございまして、私どももごもっともだと思っておるわけです。と申しますのは、やはり、ここでいう自立経営農家を作っていくということについては、町村長さんは十分御存じのように、以前新農村建設というのがございました。このときは、重点は土地の交換分合ということがその中心眼目であったはずですけれども、これは実際問題としてほとんどできないで、有線放送ができたり、そのほかのものにかわっていったと思います。そういう御体験をよく御把握になれば、今、一体、こういう自立経営農家を作っていく、ことに一部の者の農地を一部に取得させるというようなことがはたして可能なのかどうか。ことに、その責任は何といっても町村長にかかってくるわけですが、そういう問題、それから、国の施策としていろいろ、先ほど予算とかいうようなことは考えるというような意味の御質問もありましたけれども、実際、今までのところ、国民皆保険というようなことでも、ずいぶん国策としてやられましたけれども、実際はどの町村も持ち出しになって事務費も十分見られていない。今度の国民年金にいたしましても、やはり同じで、実際は、これの申し込みというのですか、これをずいぶん強力に国策として推し進められましたけれども、なかなかこれもお骨を折った割合に思う通りの結果は現われないし、実際には町村の住民の中でこれに対するかなり大きな不平不満もあると思います。そういう矢面に立ってきておる町村長の皆さんが、こういうほんとうに農村の将来を決定する基本法の決定にあたっては、私は、農村の憲法というような考え方から言えば、町村長さんは町村内の農民の人の一々賛否の投票でもして聞いて町村長の御態度をおきめになるというぐらいなことが必要じゃないかと思うのですが、そういうことを十分おやりにならないで、上の方だけ、町村会の役員の人だけで事をおきめになるというのは、前回の官行造林の例もありますし、これはもっと慎重にやってもらって、ほんとうに末端の皆さんの町村内の農民が納得するその時期までこれを通すのを待ってもらいたいというような御態度の方が、私は町村長さんの立場としては正しいんじゃないかというふうに思いますが、その点どのようにお考えになっていられるのでしょうか。

村谷永一郎全国町村会理事

○村谷公述人 お答え申し上げます。  自立経営農家を直ちに作るというふうなことは、なかなか容易ではない、私自身もそう思っております。それから、こういうふうな重要な問題は、農民個々の意見も集約してきめるべきではないか、上の方だけできめるべきではないということでございますが、やはり、各県の町村会では、もちろん農業団体等も入れてこの問題についてはいろいろ協議しておるはずであります。現に私どもの県もそういうふうなことをやったわけでありますが、こういう関係で、全部とはもちろん申し上げません、相当にそういうふうな声が強いというので申し上げるのであります。私どもといたしましては、じかにはだで農民自身が非常に今不安がっておりますことを感じておりますので、まずこれでも一歩前進になるならばそれにもすがりたいというような気持があるわけであります。今直ちにどうというふうなことは、私は申し上げる筋合いではないと思います。

田口長治郎自由民主党

○田口(長)委員長代理 田中、凌、村谷、梅沢の四公述人には、御多用中のところ貴重なる御意見をお述べいただき、ありがとうございました。  午後二時五分まで休憩いたします。    午後零時五十七分休憩      ————◇—————    午後二時二十三分開議

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農業基本法案について公述人よりの意見聴取を続行いたします。  なお、公述人の発言は一人約二十分程度にお願いいたします。  宮川精一君。

宮川精一石川県農業協同組合中央会会長

○宮川公述人 私、宮川でございます。現在石川県の農協の中央会におりまして、私個人自身といたしましては、過去約四十年に近い間、石川県から一歩も出ないで、農村と農業の発展のために微力を尽くして参っておるのでございます。  今回、日本の農業に対しまして、農業基本法という、日本農業の今後の育成についての大きな一つの法案が国会に出ておりまして、日夜熱心に御討議をいただいておりますることは、農民の一員として心から喜びにたえない次第でございます。四十年の私の農業生活といいまするか、農村生活を通じて、いつもこいねがっておりますることは、日本の農村に、明かるくて健康でそうして平和な農村、しかも明日に何かしら希望が持てるような農村というものが建設されたならばということを考えておるのであります。  終戦後と申し上げまするか、朝鮮事変後と申し上げまするか、とにかく日本の経済が飛躍的な発展を遂げておる中におきまして、われわれ農業の発展というものは比較的微弱である。このことは、池田総理の言葉を待つまでもなく、今日までの日本農業の経営の零細性と農業人口の過剰ということが大きな一つのエレメントをなしておるのではないかというふうに私も考えておるのであります。農民がその時代の社会一般の生活と同じ生活水準を自分の営農の所得においてなし遂げられるということは、農民としては最も喜びとするところであり、また光栄と思うところであろうと思うのでありまするが、一般の生活水準が急速に高まるにもかかわらず、農家の所得というものがこれに追随し得ないというところに、今日のわれわれの持っている大きな悩みがあるのではないかと思うのであります。従って、われわれが自分たちの生活水準を世間一般の水準に持ちいくためには、農業所得だけにたよることができない、いわゆる兼業化というものが非常に急速に伸びているということも今日の農村の実情ではなかろうかと思います。もちろん、兼業というものは、戦前にも日本農村においては非常に多くあったのでございまするが、戦後、兼業の一つの特徴は、いわゆる俸給生活によるところの所得というものに従事する者が非常に多くなった。従って、従前のような日雇いによるところの兼業所得と本質的に違いまするところは、農業に投下されまする労働力の質に大きな影響が来ておるのではなかろうかと思うのであります。従って、世上よく言われまするところの、かあさん農業であるとか、あるいは老人農業というような一つの新しい形態が農村に生まれてきておることも、こういう労働の質の問題から出てきた問題だろうと思うのであります。こうしたところの農村の現状を認めまして、これを最初に申しましたように希望の持て得る農業に再編成するということが、私は農業基本法のねらいではなかろうかと思うのであります。  特に、私のおりまする石川県のごときは、農家の兼業率が約八割に近いものがあるのでございます。しかも、経営の主体は米作に依存しておるのでございます。全国の農家の水田保有率はたしか五五%内外だと思っておりますが、私の石川県においては、また北陸地帯におきましては、それをはるかに上回っておるのでございまして、最も水田率の多いのは、御承知の通り富山県の九二%余り。私の石川県におきましても八三%に近いものが水田でございます。従って、農家経済の支柱をなすものは水稲であり水田であることには異論がないのでございます。こういうような地帯におきましての農業の近代化というものをわれわれは考えていかなければならないと思うのでございます。  今日国会におきまして研究され討論されておりまする農業基本法は、あるいは政府原案に対しまして宣言法的な色彩が濃過ぎるんじゃないかというような議論もあるようでございますが、私は、この法律は農業基本法であり、あくまでも基本法であるからして、この基本法を打ち立てることによって、それから具体的な幾つかの法律あるいはその他の法令というものが出てくるのではなかろうか、また、そうなってもいいのではないかと思っておるのであります。私の地帯におきましては、どんな農家をとって考えてみましても、とにかく、今日までの状態におきましては、これはとうてい伸び得られない。ここにいわゆる新しい一つの経営形態というものを打ち立てなければならないということは、言葉で言わずとも、その気持の上ではみんな感じております。従って、青壮年の部類のように比較的積極的で新鮮さに富んだ人たちは、経営規模の拡大ということ、また、あるいは選択的生産の拡大という言葉でも言われておりますような果樹あるいは蔬菜というものに対する関心、あるいはもっと高度な園芸栽培に対する関心、あるいはまた、これからの食糧構造の変化に伴って、それに応ずるところの作物としてのいわゆる畜産部類、これらはいずれも取り上げる必要を痛感いたしておりますし、しかも、それを取り上げます場合には、少しでも経営の規模が大きくなった方が有利であるということをはっきりと自覚しておるようでございます。こうした農民の自覚を早急に法制的な裏づけをもって押し進めるということは、最も彼らに対して経営の面におきましての安定感を与えるものというふうに感ずるのであります。  私は、農業基本法につきましては、法律学者でもありませんし、こういう法律に対してはきわめて弱いのでございますが、読んで感じますことは、そして今日まで農村に対してとられました幾多の農業に関する政策あるいは法律というものと考えあわせまして、私は、やはり、この農業基本法の一つの特徴は、法律の政府原案で申しますれば、四条、六条、七条というものが、今日までの農業政策から画期的に離れて、しかも農業にとって非常に力強いものがあるというように感じておるのでございます。生産性の向上、それから農家所得を高めるということにつきましては、先ほど申しましたように、いち早くこの零細性というものを打破していかなければならないというふうに考えましたときに、農民の本質から考えてみましても、いわゆる自家経営といいますか、家族を中心としたところの農業経営を発展させることが、ほんとうの百姓のしんからの願いではなかろうか、こういうふうに感ずるのであります。  この自立といいますか、あるいは家族労力を中心とした自立経営を推し進めるについては、特に、われわれの地帯のような水田地帯におきましては、結局耕地の拡大ということが前提条件になってくるのであり、しかも、そうしながら、同時に、成長部門であります畜産、果樹というものをかみ合わせていくという、そういう複合体の経営形態をとるといたしますれば、何といたしましてもその基盤をなすものは耕地であろうと思うのであります。従って基盤整備ということもこの基本法にもうたってございますが、強力にこの点を推し進めていただきたい。少なくとも北陸、石川におきますところの農業の近代化というものは、その基盤が整備されて、その上に初めて近代的な農業というものが打ち立てられるのではなかろうかというふうに感じております。  こういうふうに考えて参りました場合に、この基盤の問題を取り上げておられますが、やはり、何といいましても、農業構造の問題がこの基本法の中の主軸をなすやにうかがわれるのでございます。今言ったように、経営規模の拡大ということが前提になりますが、いわゆる零細経営に従事している農家、しかもこれらの大多数は兼業農業を営んでおるのでございます。平坦地域におきましての兼業農業は比較的やりやすいのでございますが、先ほど田中公述人からもお話がありましたように、山間地帯におけるところの零細農をいかにして救っていくかということが、われわれの今後の大きな一つの問題ではなかろうかと思うのであります。もちろん、こういう点につきましても、今後の各種の施策によって十分に救済していただけるとは信じまするけれども、われわれが一番懸念いたしますることは、そういう平坦地域で、土地信託も容易にできる、あるいは工場兼業もたやすくでき得るという地帯は問題外でありましょうけれども、そうでない地帯のいわゆる山間僻陬地におきまするところの零細農をいかにして近代化していくかということについて、また、彼らをしていかにして今日の社会生活水準と同じ地位にまで生活を持ち上げていくかということについて、この法制が実施されたあとにおきまして十分にお考え願いたいと思うのであります。  あるいは、零細農の救済という意味合いから、いわゆる工業方面へ、第二次、第三次産業方面へ転業という言葉も出て参るのでございまするが、農家の子弟であって中学、高等学校を卒業した若い世代の労働力でありますれば、そういう方面へ割合と出やすいのでございまするが、すでに十年十五年という、貧しいながらも、小さいながらも営農をやっておりましたこの人たちの工場方面への転業あるいは離農というものは、大へんにむずかしいのじゃなかろうかと思っておるのでございます。国の面から考えてみましても、これはまことに小さい地域から大きなことを申し上げるようで恐縮でございまするが、二次、三次産業の発展に伴ってどんどんそういう方面への労働力の吸収が活発に展開されるというような事柄でこの答案となっているようでありまするけれども、私が今申しましたように、すでに十年、十五年、年令にいたしましては三十五、四十という人たちのこうした問題につきましては、もう一ぺん考える必要があるのではなかろうか。なるほど、量的にはそれで十分二次、三次産業におけるところの不足を充足し得るかもしれませんけれども、行った人間にとりましては、彼らが今まで経験を積み、そうして努力をしてきました営農技術なり生産技術というものを一応白紙に帰さなければならない。彼らが今日まで十年、十五年の間に蓄積いたしましたその技術をさらに大きく発展させることによる転業といいまするか、地域の農業からの離農というものを一応考えてみてもいいのではなかろうか。この問題に対しましては、すでに、午前の凌さんだと思います、一言触れておられたのでございまするが、そういう面から考えてみまして、今後の日本農業の近代化に付随いたしまして、日本の今申しましたような階層の人たちを、自分たちが今日まで得たところの技術と経験を生かしてさらに農業によって発展させる、生活を安定させるという意味合いにおきましての移民政策というものを、やはり相当強く取り上げていただいてもいいのではなかろうか。このことは基本法の問題から逸脱しておるかもしれませんが、私は、基本法が意図しておるところの新しい農村を建設するという問題に付随してこの問題も当然お考えを願いたい。私は昨年二カ月ばかり南米の方へ行ったのでございまするが、そこへ行ってみて、ほんとうに農業で自分の生活を安定させ、そうしてそれをより一そう発展せしめるというのには、この南米の天地を除いてはないのではなかろうかという感を深く持って参ったのでございまして、内地におけるところの農業構造の改善とこの問題をにらみ合わせてみても、決して徒事ではないのではないかと考えておるのでございます。  なおまた、この基本法の中におきましてもたしか第十条かと思いますが、農業災害に関する施策についてもうたっておるのであります。この農業災害に関しましては、すでに御承知のように、われわれの方におきましては、農業災害補償制度の改正の問題につきまして強くこの実現を要望いたしておるのでございます。この制度の問題につきましては、学識経験者、議会関係の方々、あるいは各政党の代表というような方々によって、補償制度に対する協議会をお持ちになり、これに対するところの農林大臣への答申も出ておるはずでございます。われわれは今日まだこれが議会に上程されておるようには伺っておりませんが、農民全体の声といたしまして、この問題もあわせて急速に実施していただきたいということを県下のどこへ行っても聞かされるのでございます。  私が今言ったように、すでに現実の農村におきましてはこの近代化の線が相当強く進んでおる。協業化の問題も、協業経営、共同経営の問題も相当前進しておるのでありますから、これをさらにはっきりと裏づける意味におきましても、この農業基本法をなるべく早期に成立させていただくことをお願いいたしまして、公述人としての意見の発表を終わります。(拍手)

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 次は、清水淳君。

清水淳群馬県酪農研究会会長

○清水公述人 私は、群馬県の赤城南麓で酪農経営を営んでおりますかたがた、酪農が経営的にもほんとうに成り立つように技術なり経営の研究をしようということで組織されておる群馬県酪農研究会の会長をやっております。  私は、日ごろ農業をやっており、しかも大へん手不足な経営を今担当しておりますので、長い間、農業の憲章ともいうべき基本法案が出されるということについては大へん待ちあぐんでおった一人なんです。しかし、今国会で論議されている基本法案も、各党から出されておるものについても、私ばかりではなく、農民の大部分の者は、全く雲の上の論議みたいな感じを受けていますので、各党の基本法案がどういう性格を持っているかというようなことについても、私自身まだ全く検討したことがございません。また、本日公述人として依頼を受けましても、きのう速達でこちらから法案が届けられて、けさ乳をしぼって早々に来ておりますので、二時間ほどの車中で見たにすぎないのでありまして、具体的にどの条項がどうであるかということについて全然述べることはできないのでございます。  私は、六年ほど前、農林省の事業で国際農友会が派遣しましたヨーロッパ農業実習生の一人として、約一年半ほどデンマークに滞在し、あちらの国の農業事情について農家に住み込んで体験して参りました。今まで日本で宿命的だと思われておった暗い、しめっぽい農業の事情とは違って、健康的で文化的な快適な生活が五十年ほど前からすでに農業で確立されておる。その点、デンマークと日本の事情との相違を痛感いたしました。そこで、日本に帰ってきてから、われわれが宿命だと思っておったような零細性、あるいは金不足というような状態から脱却できる方法があるはずだということで、少なくとも経営的にはかなり努力をして参ったのですが、今日まで約五年間経て、われわれ日本の農業を取り巻く事情とデンマークとは大へん違うのだということを最近しみじみと考えさせられております。そういう意味で、デンマークにおける小農、中農、大農という階層的な経営の主畜経営の中で、日本の金に換算して六十万から七十万円くらいの所得、粗収入は約百五十万円、そして、労働日数は、これはデンマークでも家族労作的な企業だという形で小農は営まれておりますので、夫婦で約四百二十人目から五百人目の投下労働、それでその成果をあげている。家畜の規模は、乳牛が約五、六頭、そして豚が年間五十頭から七十頭くらい、鶏が三百羽、そういう規模の小農経営が、われわれの日本においては一町五反くらいないし二町で、少なくとも私が在住しています北関東あたりでは実現できるということでした。そこで、そういう意気込みで今までかなり努力をして参りました。  しかし、今問題にされている基本法案自体にはそういう具体的な表現はなかったものと思いますが、提案理由の説明書を見ますと、近代的家族構成における経営というものが大体それに当たるのじゃないだろうかということで、いみじくもその一致点を見出すのですが、私は、乏しい経験ではありますが、日本の農民がかほどまで待ちあぐんだ法律、私もその一人なんですが、さていよいよ出てみると、あまりにも抽象的である。もちろん、これは農業憲章ともいうべきものですから、ある程度やむを得ないし、なるほど前文もついている。憲法など大へん重要な法律は前文がついている。将来の農業の方向をきめる重要な憲章的なものだから抽象的でもやむを得ないとしても、しかし、あまりにも抽象的で、そしてむずかしい熟語が使ってあって、農民の言葉でないということ。これは引き続いて出る法律でそれを補っていくというような言い方をされておりますが、しかし、すでにその一部として顔を出しておる畜産振興事業団の内容であるとか、あるいは農地法の問題だとか、あるいは今までも効力を発していたはずの飼料価格安定法だとか、あるいは集約酪農、酪振法であるとか、そういうようなことをずっと経験して参りまして、どうもそれらがそれを裏づける法律であるかどうかということを大へんに疑問に思っております。これは、たとえば近代的家族構成における労働力というものが約二ないし三人といいますから、大体四百ないし六百人目の稼働日数であると考えられますが、それで一町五反なり二町五反という規模をやり、しかも選択的拡大の対象たる畜産一つを取り上げてみても、それはまず労働生産性を数倍に引き上げて初めて可能な状態であって、しかもそれが現実的に今の環境の中でできるかということになると、大体、私自身乳牛を飼っておりますので、その面から若干技術的な面で失礼になるかもしれませんが申し上げると、牛乳は将来大へん需要が伸びるからということで大へんわれわれも希望を託しておったわけですが、しかし、大体現状の私どものかなり合理化された仲間の経営の水準を見ても、乳代に対して約一五%ないし三〇%くらいの所得率しかないわけなんです。それは、結局、五十円であっても平均的には二十石ですから十万円の乳代で、せいぜい二万円しか所得がない。これは十頭飼っても二十万。子畜収入というものは、大へん僥幸を頼むということで、雌ばかり産まれるわけではありませんし、そういうことで、せいぜい二十万円から三十万というのが十頭飼った場合の所得であり、しかも、日本の生産手段の中では、結局技術水準も低いし、十頭飼っても大体一頭に年間四十人目以下に乳牛に投下する労働を減らすことは非常に困難です。デンマークでは六ないし七人目で小農はやっておりますが、一つの事例で申し上げますと、私が昨年五頭飼育で一頭に四十六人目でしたけれども、これはかなり合理化された労働の状態であったのですね。それを三十人目に減らそうと思って、今ミルカーを入れる段取りを考えたり、あるいはかなり手間が省けるような畜舎の改築にかかっておるのですが、それには、やはり、三十人目くらいに引き下げる可能性というものは、どえらい金が要るのでして、今十頭の乳牛を入れる牛舎を作っているのですが、五十万円以下ではとてもできない。そして、乳牛が現在五頭ですから、あらためて五頭入れるとなると七十万円かかる。百二十万円。しかし、それは、一方で農業近代化融資制度なんかが言われているわけで、二百万まで個人に貸すという話ですが、そうなると、結果的には借金奴隷に——五分以上の利子を払うようになってしまって、そういう足かせから抜け出ることができない。そういう意味でも、われわれは三十人目に減らすことができればと思うけれども、それは十頭でも三百人目ですからワイフの労働を加えれば一町五反くらいの飼料畑の栽培というものはある程度可能なんですが、しかし、それにしても、少なくとも飼料作物のコストの七〇%は労働ですから、その労働節約を考えるためには、こんなあいまいな農地の集団化というような状態ではどうしても金がかかってしまう。そういうことで、現状ではとてもそこまで考えられないし、将来とも考えられない。しかも二百万近い金がかかってしまう。それは政府が今度農協内部の金を貸すために二分の補給をするということですが、七分五厘なり七分ということで今までよりは安くなっても、しかし、百万、百五十万という金を借りて七分の利子を払いながらやっていくということは、とうてい十年くらいの期間でできるはずはないと思う。そうして、長期的な見通しで畜産の発展というものは食生活の構造改革から見通しができても、短期的に見れば、今日非常に悲惨な状態が現われて、非常なえさ高で、そうして、他面畜産物価は下がりぎみである。乳価ばかりは、幸い、むしろ生産が不足だということから若干今高目ですが、しかし、昨年の夏あたりから、大体濃厚飼料は、私たちの言う栄養単位、——大麦一キログラムの持つ栄養を一飼料単位と言う。そういう基準でえさの単位を考えているのですが、一飼料単位当たり大体五円から七円上がる。去年の夏あたりは濃厚飼料が平均一飼料単位三十五円ぐらいでしたが、今日では四十円いたします。そうすると、一升牛乳を生産するのに、はね返りは実は約七円から八円になる。それだけコスト高になるわけです。だから、最近乳価だけが若干上がりぎみだといっても、三円や四円では全くえさ高を補っておらない。そうして、それが、自給率を向上すればいいじゃないかという言い方が一方であるようですが、しかし、デンマークで、九町歩で乳牛は高々六、七頭しか持っていない小農経営でも、七〇%しか自給できない。これは、あちらは一毛作で、日本は多毛作が可能だということで事情は違いますけれども、日本の場合、先ほど申し上げた栄養の単位で言うところの飼料単位から考えると、大体一反で一般の生産力は千ないし千二百飼料単位しかない。ところが、乳牛は、五〇%自給しようと思えば、千五百ないし二千飼料単位必要なんです。それが、集約酪農地域の計画で見ますと、八〇%ぐらい自給することを目途にするということをうたっていますが、結果的にはまっかなうそなんで、そういうことは日本では実現しないのです。だからこそ、結果的には、農林省の生産調査など私ども分析してみると、栄養単位から見るとせいぜい四十から四十五ぐらいしか自給していない。だから、結局、そういう選択的拡大の対象を果樹、畜産に置き、そうして特に畜産に大へん期待を持たせて自立経営を達成させようという御意図のようですが、今一つの事例をあげましたように、農民の現地における実情というものが、内部的に統計資料としてもまだ十分そろっていないんじゃないか。これは私はデンマークにおって大へんうらやましく思ったのですが、日本の農林統計というものは、組織的には国際的に非常に高い水準にあるということが言われていますが、経営経済の部門などの技術的な分析にもたえる意味での統計というものは、ある意味で全く不備で、うしろから三番目。そういう状態の中で計画を積み重ねていこうとするのは、どうも農民が不安になるのも無理からぬことじゃないか。  そういうことで、私はつじつまの合わないような述べ方をいたしましたが、要するに、生産力を労働の面で高めるのにはとにかく金が大へん必要なんです。特に畜産部門においてはそういうことなんですが、それが、デンマークのように、償還期間が五十年、あるいは、農地の買収については、国定小農の場合、百一年目から農地の代金を返す。だから、三代ないし四代目から金を返していく。そうして、利子はせいぜい三分か四分で、据え置きが五年から十年もあるような、そういう国で初めて、不安なく、内閣提案の基本法案などがねらうところのそういう自立経営に持っていこうとするようなことが可能なんじゃないか。  まして、流通部門を見ても、法案では農業団体などを強化することについて大へん努力を払うといううたい方がされておりますが、しかし、農協陣営の人々が戦後非常な努力をして、内部的にも努力をして、共販体制などをやっきになって確立しようと思ってやりましたけれども、具体的に法律でささえたということはかつてはありません。それが今後はその面についても期待しなければならないと思うのですが、現在私どもは一組合員として農協に全幅の信頼を置いてはおりません。というのは、こういう高度な、ある意味でむしろ総資本の側から農業の近代化が要求されるというにおいが強い中では、農協はどうしても経営主義に、経営体的な側面で強化するという方向に押し流されますから、そういうことで農政活動的な面はやっても、本来農民は生活を高めるという非常な悲願を持っておるわけですが、その悲願を政策の面で政府などに要求する、あるいは自治体に要求していく面でのそういう農民運動的な面というものは、一応そういうことをやろうということは言っておりますが、実質的には大へん弱いわけです。そういう農民の組織体的な要求には農協はこたえることは今日なかなかできない。だから、やはり、経済的な合理性を農民が経営改善の中で農協にバック・アップしてもらうという方向で強化をされるべきで、そういう意味で、やはり、農産物価格等の問題を通じて、——これは、日本の農民というものが、一面所有者でもあり、しかも労働者であり技術者であるという、ある意味では得体の知れないような日本の農業経営の特性でありますが、それは私どもにそういう案があるわけじゃありませんけれども、農産物価や、あるいは肥やしや農機具など、ヨーロッパの先進農業国と比べると制度的に大へん悪条件にあると思うんですが、そういうことについては、少なくとも団体交渉権を持つような、それは農民組合なんかでは長いこと要求しておったということを聞いておりますが、そういう団体交渉権が農民にも持てるような政策が、やはり一面で必要じゃないだろうか。農民的なコースで近代化を求めていこうという意欲は大へん今日高いわけなんですが、それを達成しようとするのには、やはり側面でそういう点が法制的にないと、絵にかいたもちになりはしないだろうか、こういうおそれを私は大へんに持っております。  そういうことで、今度内閣提案と、社会党あるいは民社党のそれぞれの法案が出ておりますが、関連法案で具体的なことはやるからけっこうなんだというような言い方をしておりますが、どうも私どもはそういう意味で信じられない。関連法案としては、十分こういう心配のないものを持っているのだということがやや確定的な案として持たれないと、決して法文を見ないからまだ不安であり誤解だということでなくて、私はほんとうの疑惑を持っておるわけなんです。農業憲章の名にふさわしいのであるならば、まだ国会でも内容のディスカッションは十分されていないと私は思うのですが、そういう意味で、むしろ、他の法案との関連などでごたごたしないように、臨時国会で農業基本法を十分練ってもらって、そして一致点の見出されるところで、今後の農業政策が農民のイニシアチブでどんどん推進できるような形で農民の中にもどんどん下して、ドイツやあるいは他のヨーロッパ先進国で見るような、農民あるいは農業団体のイニシアチブを中核にした形で、十分論議した末で基本法というものを制定してもらいたい、このように考えています。  終わります。

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 次に、出原忠夫君。

出原忠夫農業

○出原公述人 出原でございます。今まで日本農業は一人前に取り扱われていなかったように思うのでございます。今度三党におかれてそれぞれ基本法案を出していただいて、やっと一人前に農村及び農民を取り扱おうかということにしていただきましたことは、非常に喜ばしいことだと思います。だいぶ関心を持って読みもし、また、自民党の方にも社会党の方にもお会いしていろいろ勉強はしてみたのでありますが、何せ非常に画期的な大きな問題でありますので、なかなか私にも消化できかねるのでございます。しかし、せっかく意見を述べろということでございますから、私は私なりの立場で自分の感じておる点を率直に申し上げて御参考に供したい、かように考える次第でございます。  逐条的に申し上げますが、前文について、政府案は、私はもう少し農業が過去において優遇されなかったということを主張していただく必要があるのじゃないかと思うのであります。「わが国の農業は、長い歴史の試練を受けながら、」というだけでは、ちょっとさびしい気がするのでございます。そのあとで、大いに苦しみながら貢献した、今後も大いに貢献しろということでありますが、少しおだてられておるような気がしますので、もう少し、そういう点を、気持のうちにはあると思いますから、何かの表現でうたっていただければありがたいと思うのであります。  それから、社会党の前文でございますが、資本主義の攻撃、社会主義的強調が法律の前文としては少し出過ぎているのじゃないかという感じがするのでございます。家族経営を頭から否定してかからないで、もう少し表現の仕方があるのじゃないかという感じもいたしますので、さように感ずるのでございます。  それから、資本主義か社会主義かという問題は非常にむずかしい問題で、私たちもどうもなかなか割り切れないのでありますが、その中にもやはり中間的立場もあるように思うのでございます。特に、農業者は、小さいながら資本家であると同時に、労働者でもあるという実態でありますから、そういう立場で立案されたい、かように考えます。  それから、あと先になりますが、自民党の方の案は非常に民主的に自由意思を尊重されておるように思うのでありますが、御承知のように、農業者は長く民主的、自主的に動く訓練を経ておりませんので、非常にそういう点に期待をかけられても少し無理がかかるのじゃないか、なかなか自主的な動きができにくいのじゃないかという感じもしますので、もう少し積極的な計画的なにおいが出る法案に修正していただくか、あるいはそういうふうなものが望ましいように思うのでございます。  それから、総則は大体似かよったように思うのでございますが、総則の中で、これはあとで出ておりますが教育の問題でございます。私は、いろんな席上で、都市と農村の所得の格差をなくするということが本法案の大きなねらいのようにたびたび聞いております。私もまたそう信じておるのでございますが、都市と農村の所得の格差をなくするのなら、まず都市と農村で働く人の頭の格差を直さないと、せっかくの金をつぎ込んでも、いろいろな環境整備をしても、成果があがらぬのじゃないかということを心配しておるのでございます。御承知のように、大体、統計的には、都市でおも立った産業で働いておる労働者の諸君は、高校以上が大体七五%、農村で働いておる青年諸君は、練習農場、農業高校、普通高校を出た諸君が平均して二五%に足らないと思います。さらに、大学出を考えますと、より一そう差があるのでありまして、その点を一つ強く取り上げていただきたいのでございます。その教育もなかなかむずかしいのでございまして、先ほどもお話がございましたように、農業高校へは行ったが、よそに出ていっておるというようなことでは困るのでありまして、私は、これは町村と県と国の責任において、将来経営に従事するということを条件として、国費、県費、町村費をもって責任ある人材を計画的に植えつけていただきたい。大きな部落には大学の卒業生がおる、高校卒業生も相当数おるというふうにしていただきたいのであります。その大学も、農業がきらいになるような大学ではだめなんでありまして、農業経営に希望を持ち、自信を持つような教育のやり方ということでありまして、それには、理論も常識も相当に知っておる、それから実際の経営能力も持っておる、こういう人を作らないと、ただ学校で講義を聞いて試験で点数をとったというのでは農業経営はできません。従って、この大学コース、高校コースには、必ず、各地で成功しておる農業者の家に、また、協業経営をやって成功しているところへ一年以上実地留学して、そこの実際の経営のやり方を体験するというふうな教育の課程、教育の施設を作っていただきたいと思うのであります。そして、この点に関しては惜しみなく金を使っていただきたい。これは決してマイナスにはならぬ点でありまして、おそらく三党とも御異存のない点であろうと思うのでございます。  その次は、財政措置と、農業の動向に関する年次報告、施策を明らかにした文書というふうなことでございますが、私は、この点が今度の法律の山じゃないかというふうに、私なりに考えておるのでございます。ドイツあたりは、大体この辺が中心になって、あとあまりないとかいうお話も聞くのでありますが、そして、この点だけは各党とも大体同じようなお考えを持っておられるように思いますので、ここに共通の広場を一つ発見していただいて、いろいろな点についてはさらに十分御検討を願うということで、結論的に申し上げますが、一応この法案は通していただいて、それから細部にわたる点を十分審議していただくということにしていただいたらどうか、かように考えておるのでございます。  それから、今度は、農業生産に関する施策の中で、社会党の方では農用地の拡大を強くうたっておられるのでありますが、私は、社会党でお考えになっておるほど大きく財政的にやれるかどうかわかりませんが、もう少し自民党の方も、基盤の整備及び開発という程度でなしに、積極的にやっていただいたらという気がしておるのでございます。  それから、価格の点でございますが、自民党の方では必要な施策を講ずるというふうに表現され、社会党さんは農畜産物の決定に参加する権利が保障されるというふうになっておるのでありますが、権利までいくかどうかは私もよくわかりませんが、ただ作ったものがあなたまかせでいつも値段をきめられておるのでは非常に困るのではないかという気がするのであります。  それから、一つ、これは法文でありますから実際問題がどういうふうになるのかわかりませんが、市場を国営にするということを社会党の方で述べておられるのでありますが、蔬菜などのような、多少投機的な、それから非常に季節的なものを国営に持っていった場合にどういう結果が生まれるかという心配をするのであります。この点は内容的によく聞いておりませんので、その程度にとどめておきたいと思うのでございます。  それから、次は、構造改善の問題でございます。これがだいぶ問題になっておるようにお聞きしておるのでありますが、自民党の方でも、家族経営と自立経営の育成を言うだけでなしに、協業の助長を一応うたっておられるのでありまして、社会党さんの方は、生産組合、共同組織という点を強く打ち出されておるのであります。現実に、私は農民の仲間にいろいろ知り合いが多いのでありますが、個人経営で相当成果をあげて、基本法がどっちに向こうが一向問題にせずにゆうゆうと都市の所得と平均するような実力を持って暮らしておる者も相当おるのであります。だから、そういう人がおることをあまり否定してかからないで、そういう人も生かしながら、零細な方々をうまくめんどうを見ていただくという考え方で、前にそういう話も出ておりましたが、実情に即して進んでいっていただいたらという気がするのであります。私は、これは自民党の席上でも申し上げたのですが、自民党の方は二町五反、三町というようなことを初めに漏れたか何かで言われ過ぎるから、持った者より貧乏人の方が多いのだから、そういう点で社会党さんから非常にひどくかみつかれるというようなことになるから、むしろ面積はあまり言わないで所得の面で表現する方がいいのじゃないかということを申し上げたのでありますが、そういう意味で中小農業の方がやはり一番心配しておるのでありますから、その点についてもう少し積極的な考えを起こしていただきたい、かように考えるのであります。  それから、教育のことについては先ほど申し上げましたので省略いたしまして、私、法案についてはしろうとでよくわかりませんが、大体以上のような点が法案を拝見して気にかかるような点でございます。  飛び飛びではございますが、逐条的に所見を申し上げたのでありますが、結論としては、やはり、先ほど申し上げましたように、この法案の背骨は、とにかく財政上の措置を講ずる、いわゆるグリーン・レポートを出して農業の動向を報告する、年度の政策を明らかにするという責任を負われるということが山だと思いますし、各党この点では一致しておられるのでありまして、これから十分審議していただいて、できれば一つ今国会でこれを通していただき、さらに引き続いて付帯する法律その他について十分な御審議を願いたい。と申しますのは、この基本問題の調査とか、あるいは法案が提出されましてから、農業者は、一面喜ぶと同時に、一面、皆さんからお話がありましたように、不安とが相交錯して、非常に動揺を来たしておることは事実でございます。特に、農村青年の諸君は純情でもありますし、また敏感でもありますので、仕事が手につかないというようなことを言う青年も見受けるのであります。そして、また、これは指導者の方々にも非常に責任があると思うのでありますが、日本の農業は割が合わぬのだ、つまらぬのだつまらぬのだばかり言うて宣伝されるものですから、必要以上におびえを感じて、なだれを打って都市に青年が逃げております。私の言葉で言えば逃げておる。御承知のように、六百万農家を維持するのには、年々四十万の男女青年が要る。統計で見ると、十七万が十三万に減り、ことしはさらに十一万くらいに減るのじゃないかと思いますが、そうすると、二十年たってそれが農村へ帰らぬとすると、池田さんが言う通りになりつつあるというような状況でありまして、そういう動揺を一つ防いでいただいて、なるべく早くみんなが落ちついて農業に精進できるという方向へ進んでいただきたいと思うのであります。  御承知のように、実力のある農業者は、はなはだ失礼ですが、あなた方の年俸ぐらいな収入はちゃんとあげておりますし、それからまた、そういう個人経営の確立をしておる人もおりますし、また、青年諸君で協業あるいは共同経営というようなことで非常に成功しておる者も、私たくさん見て知っておるのでありますが、中にはあぶなっかしい者も見受けられるのであります。ましてや、鶏や豚の多数羽、多頭飼育ということが非常な勢いで伸びていることは御存じの通りでありまして、私は、間もなく生産過剰というようなことが起こるのじゃないかということさえ心配しておるのであります。そこで、この間も自民党の方に、この点については、法案が通過するといなとにかかわらず、できれば情勢報告をしていただいたらどうかということをお願いしておいたのでありますが、そういう意味からしまして、できれば早く法案の格好をつけていただきたい、かように考えるのでございます。  私は、日本の農村問題は、やはり農村の内部だけではなかなか解決できないというふうに考えるのでございます。人口の問題もありましょうし、あるいは道路の問題、社会保障の問題、その他いろいろな問題が総合的に実施されないと、なかなか解決できないと思うのであります。そういう意味で、私たちは、前から、実は、養老年金について、無掛金で六十五才以上、男女を問わず一様に二千五百円の年金を出していただきたい、その財源は減税を少なくすることによってまかなわれるのじゃないかということを、これは自民党の方にも、社会党の方にも、また大内委員長にも申し上げてきたのでありますが、その実現を見ないのははなはだ遺憾であります。これが零細農に対する思いやりでありまして、中小農業者は、御承知のように、減税とは大して関係がないのでございます。しかも、全国民的施策でありながら、農村には都市よりも老人が多いという点から、その受益率が高いというような、あか抜けのした社会政策を中小農業者のためにやっていただきたい。それが農村の世代変わりを早くして、農村が若返り、生産の意欲が向上して、農村が明るくなるきざしになります。夫婦で五千円という金は、都市では大したことはございませんけれども、農村では大した力になると思います。  以上、私の感ずる点を申し上げまして、せっかくお招きをいただいた責を果たしたいと思うのであります。(拍手)

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 次は、江藤倉司君。

江藤倉司津久井農協参事

○江藤公述人 江藤でございます。私は、協同組合の末端、単協の職員をしておるものでございまして、先ほども石川県の会長がいろいろとお話をされ、また、昨日は、傍聴しておりましたが、一楽さんも話されましたけれども、末端の農協として、かりにこの基本法案が通った場合には、先ほど三重県の知事さんとかあるいはそのほかの方からもお話があったのですが、今まで、いろいろな農村に対する施策が実行される場合には、いつも私たち町村の協同組合がほとんど責任を負っておる、こういう感じというか、実際でございまして、たまたま公述人に呼ばれて政府の法案等も見まして、こういう法律が施行される場合にはまた農協が苦しむのじゃないか、こういう感じを持ってきょうここに立ったわけでございます。   〔委員長退席、小山委員長代理着席〕  私の方の農協は、一郡一農協でありまして、一昨年の八月に十三組合を一つにして、現在三千八百人の組合員、平均反別は約四反七畝でございまして、非常に狭い農地でございます。なお、全面積の一割に足りない農地でございまして、あとは全部山でございます。その山がほとんど官林、県林、こういうので、非常に苦しんでおります。そういう状態の中で、現在協同組合が農家と一緒になって戦っているのが私たちの農協の姿でございます。生産状況と申しますと、今成長部門であります畜産が主でございまして、牛乳等は日量約二万八千キロ出ております。なお、卵にしましても日量約五千キロ、豚にしましては、農協の子豚の貸付預託が常時四千頭、こういう状態の中で、今協同組合があらゆる投資をして、生産部門に対する生産技術の指導、それから販売に対する施設をしているわけでございますが、そういう点で、私たち、きょうの新聞を見ても、一楽さんや中央会の会長さんが言っておられる意見とちょっと違うという点だけは一声えると思うのであります。  特に、私たちは、この成長部門であります畜産につきましても、せっかく私たちの願っている基本法が通っても、ほんとうにこの基本法が正しく実施されるかどうか、こういう点を心配しているわけでございます。たとえてみますと、実は、この二カ月ばかりえさが不足しまして非常に問題が起きたわけでございますが、そういう点に対しまして、飼料の需給安定法もあるのでございますが、その安定法の中の品目に加わっている大豆かすとかふすまとかが非常に高いわけです。そういう反面、豚肉等につきましては、安定事業団ができましても、きのうも申しておりましたように、上位と下位ときめまして、下位の価格を二百十六円くらいにするということも言っておりますが、はたして、そういう価格で、現況の大豆かすやふすまの価格でえさとして作った場合に、ほんとうに採算がとれるかどうか、こういう問題を一番心配しております。牛乳等につきましても、安定法によりますと、大体一升四十円から三十三円、こういうことを言っておりますが、あの内容を見てみますと、安定法でなくて、むしろ調整機関、調整法としての役割じゃないか。私たちは現実に農家と一緒に豚の生産をし、牛乳の生産をして、現在経済連を通じて売っているわけですが、そういう方面で非常に苦しんでいるわけです。むしろ上位価格と下位の価格との差が、これからのやはり成長部門の農業の所得として、農家の手取りとして入ってくる段階じゃないか、こういうふうに考えているわけです。そういう点で、私は、今、内閣が出されておりますこの基本法がそのままもし通るとしたら、農協としては非常に心配だ、こういう点でございます。ですから、むしろ、この基本法を通す前に、現行における肥料の問題、あるいは糸価安定法の問題、あるいは飼料の安定法の問題等につきましても、現行法がほんとうに現行の農産物価格の中で正しい役割として生きているかどうか、こういう点を考えたときに、やはり安定法がしかれても非常に心配がある、こういう点を考えているわけでございます。  そういう意味で、政府が出されております安定法は、私たち内容はよくわかりませんが、いずれにしましても、現行のような形で基本法ができたら、あまり期待ができないと言えると思うのであります。たとえて申しますと、実は、三月十六日に虎ノ門の共済会館で大会をやって、私どものところは、乳牛も五千頭くらいおりますし、鶏が十五万羽、豚も七千頭おりますので、えさがなくて困って、農家の人たちが五百人ほど来たのですが、農林省へ行きまして、水産庁長官やあるいは畜産局長、食糧庁長官等に会っても、非常にあいまいな回答をされているわけです。ですから、ああした方々の頭の中でもしこの基本法の内容が作られて、将来末端の農協が事業主体あるいは施行主体としてされるのでしたら、非常に疑問がある、こういう点が言えると思う。特に、私の方としましては、先ほど申しましたように、平均反別が四反七畝でありまして、農家として現行の中で生産投資をする金というものはほとんどありません。そういう点で、現行預貯金が約三億七千万円あるわけでございますが、その三億七千万円をこえて現在農業部門に資本投下をしております。なお、私の方は神奈川県北部の津久井でございますが、この基本法の規模に当てはまるような農家が一割近くあるのでございますが、この農家に引き上げるまでに二百万の金を農協があらためて貸せるかどうか。また、これを貸す県なりあるいは国がその裏づけとして取るものがあるかどうか、こういう点をまず考えるわけでございます。そういう意味におきまして、私たちとしては、資金の面でも非常に問題があると思うのでございます。特に、現行の段階におきましても、先ほど申しましたように、生産量を上げていくためには、農協は預貯金を全部出してもなおかつ足りないという現況でございます。そういう中で、また農協がそうした個々の農家の樹立のための事業の中心となるとしたならば、相当考えていかなければならない問題があるではないかと考えるわけでございます。特に私たちが今一番問題としていることは、津久井郡におきましては、これ以上農家の固定資本に投下をすることはできないという考え方の上に立っております。そういう意味において、現行農協としましては屠場を持っております。牛乳の処理場も持っております。また、三十六年度には、養蚕もやっておりますので、共同桑園等を作りまして、稚蚕飼育を三齢までやって、蚕にして農家に配ろう、こういう形で、現在四町歩の桑の植え付けも終わっております。そのように、現行の段階では農協でいろいろとやっているわけでありますが、その中で国や県のやっている役割、こういうものがどれほど大きいか、そういう点を見たときに、この基本法の中にうたわれている問題をそのまま農家に移した場合、農協として非常に大きな負担がかかってくるではないかと考えております。なお、私たちが資金がないので、信連とか共済連、あるいは中金、漁業資金等がかりに出しても、担保の裏づけがなければ貸さないという現況であります。そういう点から見まして、現行の中でこの基本法に基づくように二町歩農家に引き上げていくのには、五人に一人の割合で農家を抜いていかないと、結果的にはこの基本法の集団地の形成にならないわけでございます。そうしたことがはたしてできるかどうかという点、疑問でございます。そういう点で、農協としましては、一昨年の合併の問題も、津久井郡全体が共同化の方向をとっていくべきだ、こういう方針から出たわけでございます。  流通過程の問題につきましても、私、系統連の悪口を言うわけではありませんが、現行の段階で、全国連、県連がそういう生産の中で固定資本の投下をしているかどうか、こういう点につきまして非常に疑問があるわけでございます。たとえば、現行の豚肉価格でございましても、きのうあたり芝浦の相場が枝肉キロ当たり二百八十五円もしております。しかし、実際に芝浦で取引されている現物価格というものは、キロ当たりそれより十円から十五円安いわけでございます。しかし、そういう場合、農家としては、農協との無条件委託の中でどういうことを言っているかと申しますと、やはり芝浦相場の高値で買ってもらいたい、こういう約束を農協もするわけでございます。しかし、現実には、経済連を通じても、実際には新聞相場よりキロ十五円安いのだ、こういう中で連合会から私のところへ伝票の仕切りが来るわけです。しかし、私たちとしましては、そうしたことを実際に農民に打ち明けて、現行はこうだということをどうして言えますか。こういう点に末端農協としての苦しみがあるわけでございます。そういう点から考えまして、私たちとしては、先ほど申しましたように、連合会、全国連と県連との同じ協同組合でありながら、考え方の違うところが一つでございます。それで、なおこの間全販の方に聞きましたところ、現行の段階で東京の中央市場にこれ以上豚を集めることは非常に危険である、こういうことを言っております。そういう点から見て、この基本法の中にあります価格の問題につきましても、やはり、基本的な条項はいいとしても、これに付帯する法案がはっきり確立されない限り、農家としては乗ってこないのじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。  それと、もう一つ価格の問題で、卵、要するに養鶏の問題が安定事業の中に入っていないわけです。現行の鶏卵は一キロ当たり三遠市場で百六十五円、平均百六十二円ということを出しておりますが、なお、鶏卵のあとに来る廃鶏処理の問題につきましても、単に豚肉だけの安定をとっても、やはりこれから系列化してきます養鶏事業に対して、廃鶏処理に対しては肉の問題はどうするか、こういう関連的な問題がほとんどこの安定法の中にない。こういう点を考えましても、やはり、基本法の中の価格の安定性ということについては非常に不備があるのではないか、こういうことも言えるわけでございます。  もう一つ、牛乳の問題にしましても、きょうの新聞等を見てみましても、弘済会の売店の牛乳が二十日からなくなってしまう、こういうことを言っております。しかし、十二円で売れと言う。資本家はやはり十四円で売ってもらいたいということを言っておりますが、農林省は、国の重要産物だからどうしても簡単に上げることはできないと言っております。しかし、二月、三月ごろの政府が外国から輸入した小麦に対しまして、政府はどういう売り方をしたかというと、入札制度によって一番高いところへそのふすまを売っているわけであります。そうした関係で、末端価格としては、キロ当たり八百三十五円という高値が政府の売り渡しとしては出たわけでございます。そういう中で、政府としては、飼料需給安定法というものがありながら、やはり無防備な形で業者を通じて末端生産農家には生産資材が流れているわけであります。その反面に、今申しましたように、肉畜なりあるいは牛乳の安定法の内容を見ましても、そうした関連産業との格差をなくすというような要旨でありながらも、現行の段階において、そういう不均衡な、ふすまは八百三十五円である、しかし牛乳は駅売りも十二円以上に上げてはいけない、このように、非常に重要な法案が国会で審議されようとする中で、また、当然基本法の中に重要な一つのポストを占める肉畜の安定価格の法案そのものが審議されようとする中で、そういうものが政府の一つの方策として流れているということは非常に問題があるのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。  そういう点で、私たち末端農協の職員としまして一番問題となるのは、もちろんこの基本法の条項も大事でございますが、これをささえるいろいろな法令がはっきり性格を現わしてこない限り、ただいま申しました鶏卵、豚肉、牛乳等の問題を見ましても非常に不安定である。特に、中央市場はこれ以上収容力はない。こういう点を見ましても、どこへ豚肉、どこへ牛乳を持っていったらいいか、こういう点に悩むわけでございます。特に、牛乳等の問題を見ましても、私、二十六年から牛乳の問題を扱っておるわけでございますが、今まで乳業会社がどういうことをやっておったかと申しますと、わずか一割に満たない牛乳が増産されても、昔はます当たりで買ったんですが、ます五円ないし十円の価格の引き下げをやったわけであります。そういう点を見ましても、非常に不安定な形における安定法あるいは酪振法の十九条、二十四条、こういうものが審議されてきたわけでございます。そういう点から見まして、やはり、いま少し、成長部門として基本法の中で農業生産の拡大をしていくならば、そういうものの肉づけをする関連法案というものをまず先に出して、そういう中で生産意欲を助長するようなしっかりしたものを政府は作っていただいて、この基本法案の審議に入っていただいたらどうか、こういうふうに考えておるわけであります。  もう一つ、協同組合の育成とか、協同組合法を変えるということを言っておりますが、現行の段階で私たちが今考えておることは、全国連の考え方と全然違います。一部には合う点がありますが、末端農協では早くこの基本法を通せというようなことは一人も言っておりません。そういう点を考えても、私はきのう傍聴していまして憤慨したわけであります。ほんとうに農業基本法を農民は待っているかどうかというと、私たち山村農家ではそういうことはおそらく言ってないと私は信じております。私も一昨日まで二百二十何部落回って座談会をしておったんですが、基本法の問題というのは、非常に心配しておりますが、すぐ通せということは言っておりません。また、三月十六日の農民大会に来たときも、私のところは五百人ばかり来たのですが、ああしたえさの価格、魚かすの輸入等の問題、大豆かすの輸入等の問題を直接農林省の局長等から聞きまして非常に憤慨しているわけでございます。そういう点から見ましても、安定制度の問題をいま少し骨をつけていただいた上においてやっていただいたらどうか、こういうふうに考えているわけであります。特に、えさの問題をこまかく申し上げますと、この間払い下げになりました末端価格六百十三円という三十キロのふすまがあったわけでありますが、この手数料はどういう形で格づけされたかと申しますと、全購連が五円、県連が十円、末端農協は二十円という形で末端価格六百十三円という価格を出されたわけでありますが、はたしてこの数字が妥当かどうか、こういう点に対しても疑問があるわけでございます。そういう一つずつの問題を見ましても、協同組合に対して共販施設を強化する、あるいは協同組合法を改正して信託をやる、こういうことを言っても、ほんとうにこの問題をやるのは末端の農協でございます。そういう点から見まして、政府におきましては、協同組合なり農村の問題につきましては、全国連の方だけの意見を聞かないで、末端農協の方々の意見もぜひお聞き願いたい、かように考えるわけでございます。特に生産部門に対する生産施設、これにつきましては、末端では非常に苦しんでおります。こういう点につきましても、いま少し町村農協の財政等をお考えになって、基本法等の問題に対してはじっくりお考えになっていただきたいと思っております。  それと、この基本法がかりに施行されて、資金の流れ方の問題でございますが、これに対しても、先ほど申しましたように、私たちとしてはちょっと心配をしておるわけでございます。私の農協は、先ほど申しましたように、四千万の赤字をしょって、三千八百何人かの組合員で今農協の運営をしておるわけでございますが、今信連、上部連合会等の機関から借りるための担保が一つもなくて、これ以上生産資金に対する資本投下をどうしようか、こういう形で今悩んでおります。幸い今、月に大体五千七百万くらいの販売代金が入ってきますので、その販売代金の前借りという形で現在新しい生産部面への投資をしておりますが、はたして、そういうものを乗り越えて、今俗に言う金融系統機関が、こうした末端農協に、農地の集団化をするあるいは生産の拡大をするための資金に対して特別な資金の融資をしてくれるかどうか、こういう点に対しても、私たちは非常に苦しい中で協同組合の運営をしてきただけに疑問に思っておるわけでございます。  そういうことでありますので、ぜひそういう点も十分にお考えになって、私は、この国会で通さなくても、それほど農民は急に死ぬわけではないと思うので、そういう意味で、一つじっくり臨時国会等を持って、農民の憲法でありますので、御審議のほどを願いたいと思っております。  もう一つ、工場誘致とか、あるいはゴルフ場の問題、こういう問題が神奈川県の県北にもひしひしと迫っておるわけでございます。特にゴルフ場につきましては、時と所を問わずゴルフ場に作っておいて、あとは住宅地の切り売りという形でどんどん農地の転用が行なわれております。そういう点に対して、基本法の中でどういうように考えていくか、こういう点も私たちとしては悩んでおる点の一つでございます。  もう一つは、工場ができまして、工場と工場との間に農地があるわけでございます。そういう農地をいかに集団化していくか、こういう問題にも大きな悩みがあるわけでございます。  それと、今神奈川県の県北には大洋漁業という水産会社が四十五億の金をもって入ってきておりますが、はたして、この水産会社と、これから基本法の中で生産構造を変えていく場合において、どういう関連の中で価格の安定をしていくか、こういう点が非常に心配でございます。彼らの話を聞きますと、今彼らとしては豚肉は少なくもキロ三百円ということを言っております。そういう中で資本投下をしておるわけでございますが、先ほど申しましたように、農林省が大蔵省との取引の中で行なわれておるものは、二百十六円という非常な低価格の中で予算五億円くらいを組んでおるわけでございますが、そういう点等を見て、私たちとしては現実の問題として非常に心配があるわけでございます。  そういう点等から見まして、政府の案等につきましては、いま少し十分な審議の上に立って、なお現行にある飼料需給の法律とかあるいは肥料の問題、糸価安定法の問題、肉畜事業団の問題等もがっちり表面に出していただいて、農民の納得の上に基本法というものを作っていただきたい、かように考えておるわけでございます。  特に、私がなぜ社会党の基本法に魅力を感じたかという問題は、私のところは、先ほど申しましたように、四反七畝の耕地でございまして、この中に三千八百の農家がひしめいておるわけでございますが、兼業農家でないという農家はほとんどありません。なおかつ、そうした人たちがかりに二町歩以上の経営をやっても、いわゆる流通市場の中でたたかれるという問題が現実の問題としてあるわけでございます。特に、牛乳等の問題につきましても、専業農家と一般農乳農家という形でキロ当たりにしても五円くらい違うわけでございます。また、野菜等につきましても、私のところは七月から十月までの間にキュウリを約一億円くらい売りますが、全郡プール計算の中で現在市場に出しております。そういう点等を見ましても、やはり、現在私たちは、そうした選択的拡大の中に立って、自立農業の確立ももちろん必要でございますが、現行の価格制度あるいは流通部門の中では、そうしたものよりも、もっと地域的な生産部門の中でやはり共同体が必要ではないか、こういうように考えております。  もう一つは、私たちみたいな非常に傾斜度の高いところで、はたして集団化ができるかどうかという問題につきまして、そういうためにあるいは機械化というものを個人的に持っても、現行の段階では非常に不利でございます。そういう意味では、特に機械化ステーションというものは、やはり農協等で集団的に持って、その形における生産農家へのサービスが必要じゃないか、こういうふうに考えておる点が一つ。  それから、もう一つは、農地の問題でございますが、先ほど申しましたように、全面積の一割が耕地でございまして、その残った九割が県や国有地でございます。そういう点等の払い下げに対して、私たちとしては非常な魅力を持っておるわけであります。先ほど申しましたように、共同桑園等も、今度町がやっと国有地の払い下げを受けまして、四町歩共同桑園にしたわけでございます。まだまだ私の方としては未墾地等があるわけでありまして、そういう点ができれば、私たちの経営はこれ以上伸びていくのではないか、かように考えまして、そういう点を現実的に現在の生産方式の中に取り入れるという点で、現在魅力を感じておるわけでございます。  簡単でございますが、以上でございます。(拍手)

小山長規自由民主党

○小山委員長代理 次に、小池進君にお願いいたします。

小池進農業

○小池公述人 小池でございます。私はほんとうのどん百姓で、百姓の経験は四十年をこしておりますけれども、実は、こうしたところでおしゃべりをするとか、むずかしい法律や理屈ということには非常に苦手なんでございます。ことに、非常に重大な問題を含んでおりまするきょうの公述などには向く男ではないのでございますが、急の御推薦をいただいて、来ないのも卑怯だという感じを持ちましてまかり出たわけでございます。  先ほど、どなたからかお話がありました通り、この農業基本法が二つ一度に国会に出たということによりまして、私たちも非常に奇異な感にとらわれておるのでございます。今まで私はあまり政治のことには関心を持ち知識を持っておりませんので存じませんが、こうしたことは非常にまれだったのじゃないかというふうに考えております。そして、とにかく、さっきどなたからかお話がありました通り、百姓も御用済みになったのではない、与野党とも、農業者を救うために、農民のためにりっぱな法律を作ろうという御意図があるということに対しては、衷心から敬意を表しておるものでございます。先ほど申されました通り、農民というのは非常に政治感覚にうといのでございます。しかし、なかなか、がめつさを持っておりまして、最近のように他産業の伸びがすばらしくなり、自分の所得や生活というものが沈滞するというと、もたもた、もやもやをし始めるのが農民の通弊でございます。そういう点から、二つ農業基本法が国会に上程されたということによりまして、とみにこの農業基本問題に関する関心が強くなったという現状のように私は見ております。正直のところ、もう基本問題ということがいろいろの報道機関あたりから流れてわれわれを啓蒙してくれたので、すでに長い間そういうことが繰り返されていたのでございますけれども、しかし、一部にはそれは非常な関心を持ちまして指導的な立場にあっていろいろと解説をし指導をせられている方もあったようでございますけれども、全体的にはきわめて関心が低調であったというふうに見ております。それで、二つ出た、一体どういうことになるのだというふうに考えて、私たちも実はまさかそういうふうに二つ一度に出るのではないと考えておりましたのが、二つ出た。額面通りに受け取りますと、これは非常に農民を大事にして下さるという御意図がその中に含まれているということを感じておりますが、私は正直だから、額面通りに受け取っておるのでございます。二つ出てみますと、もちろんそれは狭い視野に立って、——われわれはくわを持てば三人ぶり、四人ぶりやれるのですから、決して皆さん方に負けませんけれども、こうしたことに対する批判力とか比較、そういうことに対しては自信もないのでありますけれども、しかし、二つあればどちらをとるかというふうに考えるのでございます。そして、いろいろ足りない知恵をしぼって、おくればせながら急いで法案を拝見する、しかし、なかなか第何条第何項ということは百姓の頭には入って参りません。あまりにも複雑過ぎて、もたもたしてしまって、どういうふうに受け取ってよいのかわからない。これは私だけでなく多くの百姓はそういう形じゃないかと思うのでございます。ただ、さいぜん申し上げました通り、関心は深くなった。その深くなったゆえんというのは、とにかく自分の生活が苦しくなった、所得が他の産業とバランスがとれなくなって大きな断層ができてきた、これではおれたちはあほったらしいというがめつさから関心が深くなったと思うのであります。そういう点から考えてみますと、実際農業者というものはあまりにものんき過ぎるというふうに私は考えております。  この基本問題が今日あるについて、私一つ妙な思い出があるのですが、これはたしか昭和二十四年の五月かと思っております。敗戦後いろいろの混乱とか動揺というものが一応昭和二十四年にはまあまあ見通しがついたというふうに、見ようによっては見られたのでありますけれども、まだまだ食糧事情は非常に悪くて、遅配、欠配が常習的にあって、なかなか全国的には食糧の見通しは暗かった。そして、そのときに、財界のお歴々の一部に、いかに国費を投じて食糧の増産に政府がてこ入れをいたしましても、なかなか効果があがらぬではないか、むしろ、この際考えを改めて、食糧は輸入に仰いだ方が得策じゃないかという意見が出たのでございます。それをあの石黒のひげじいさんが聞きつけまして、とんでもないことだというので、工業倶楽部へ財界の大御所連中にお集まりを願って、あのしらが頭を振りながら、農業生産というものは非常に生産のテンポがのろいから、すきっ腹に飯を食うような効果はそう出るものではないということを説かれ、また、農業と他の産業との関連等について話された。われわれは、そのとき、じい様何言うかというふうに感じておったのですが、一番最後に、とにかくいかなる国におきましても、これは過去の歴史が、農業の健全なる成長を伴わない第二次、第三次産業の成長発展ということは長く続かないということを言われたのを覚えておるのでございますが、ちょうど今、日本はすばらしい経済成長をいたしまして、農業者だけが置いてきぼりになりつつある、すでになったというふうに私たちは考えております。そういう段階になって、これはほうっておけないということで、おくればせながらそれに何らかの保護の手を加えなければならないというところで基本法ができ上がったというふうに考えております。もちろん、でき上がったと申しましても、各党でその法案というものはでき上がって現在国会へ提出されている状態なんですが、私もいろいろなまかじりに法案の内容等について一応拝見し、また自分の足りない頭なりに考えておりますが、さっきもお話がありました通り、いよいよしぼってみますと、やっぱりわれわれが一番関心を持つのは構造の問題だ。私は、ある学者から、基本法というのは、日本のは西ドイツの農業基本法というものを大いにしんしゃくしてあるということも聞かされておりますが、西ドイツのそれはどういう形でどういうふうになっているか、私はよく存じません。ただ、西ドイツは一九五五年に農業法が国会を通りまして、五八年までわずか三年の間にかなりの効果が出たということを私は聞かされております。行ってみたわけではございません。それらを考えてみると、あまり簡単な考え方かもしれませんけれども、適切な法であれば、必ず、その効果は、一年二年ではどうか知りませんけれども、私たちは出るものというふうに確信をしております。そして大きな期待を持っておるのでございます。さっきも申し上げました通り、法案全体を私たちが眺めて考えてみましても、ここがこう、あそこがああということはなかなか指摘できません。きょうも朝からほかの公述人の方からいろいろなお話をお聞きいたしまして、ほんとうによい勉強になったと思っておりますが、ことに私たちの地帯で一番関心の深い問題はやはり構造の問題である。その問題をよく考えてみますと、これはやはり地帯別にその環境が違うごとに考え方が違うのじゃないか。私のところは、埼玉県の平坦地で、米麦を主とし、それに養蚕あり、また一部蔬菜もあるというような、しごく恵まれた地帯なのであります。そういう地帯におりますので、私だけでなく、幾人かの意向をたたいてみますと、やはり構造の問題は家族経営による自立農家ということを希望しております。そして、構造の問題は、私たち基本法を拝見いたしまして、池田さんのいわゆる切り捨て論とかいうようなことも拝聴いたしましたが、しかし、面積にあくまでこだわるべきではないということを早くから考えております。   〔小山委員長代理退席、委員長着   席〕 もちろん、自立農家として立っていく条件はいろいろあるでしょうが、面積の問題を考えた場合に、これが場所によってまちまちだと思います。ことに、法律というものは一片の条文をもって国全体に通用される性格が強いのでございますから、地域によってはそれを喜んで受け、地域によっては苦虫をくっつめて眺めるというようなことが起こるのは当然だと思います。私、米価の算定についてずいぶんひどいことをするというふうなことを考えたことがあるのですけれども、統計の上から見ますと、一石の米を作るのに場所によっては一万七千円かかっておる。場所によっては二千八百円で上がっておる。それを一律一体に石一万円で買い上げるというような矛盾があると同様に、やはり、法律というものは地域環境を加味して区分して適用するわけにいかないというところになかなかむずかしい点があるのじゃないかというふうに私は考えております。私の地帯ではと私は申しますが、構造の問題は、そういう意味合いから、どうしても私の地帯では極端な協業化というようなことにもあまり魅力を感じておりません、むしろ自立経営にする、そして、あくまで面積というものにはあまりこだわり過ぎずに、所得を対象とした自立経営というふうに考えております。その点は、私は古いことを申し上げてはなはだ失礼でございますけれども、過去における、過去といいましても、終戦後の農業関係で一番大きい革命的な改革というのは農地改革であったことは皆さん御承知の通りでございます。あの農地改革の効果というものがいかに大きかったかということは、今さら私らが説明申し上げるまでもございません。そうして、やはり、あの農地改革があったがために現在の日本の第二次、第三次産業もこういうすばらしい成長発展を遂げたのだと私は考えております。おそらくこれは私だけでなく皆さんも御同感だろうと思うのでございます。あのときに農地改革の法の内容がよかったからそういう成果がおさめられたのであって、もしあのときに内容をちょっと改めて、全体を、つまり農地の私有を認めないで国有にでもして、そうして純然たる共同化ということにいったら、あるいはこれほどの成果はおさめられなかったのじゃなかろうか。私も、戦争の末期、あの当時は、非常に、農業資材もなく、労力もない、肥料もない、しかもけつをひっぱたかれるような思いをして、増産しろ増産しろと、全体主義的な行き方で増産を強要されました。で、苦肉の策として、何とかして共同作業によって労力不足を補い、何とかやっていこうということで、ずいぶん苦労して共同耕作にも手をつけ、また、さらに共同作業はやってみましたけれども、全体を共同化するということに成功したのは一つもありません。部分的な共同ということに対しては相当の自信も持っておりまして、これは私は今後ともうまく伸ばしていけば非常にいいと思います。先ほど、どなたかからもお話がありました通り、仕事の種類、農業生産の種類別によっては、共同ということは非常に高度の結果を生み出しております。しかし、百姓だけでなく、人間おのおの本能的ながめつさはあるので、そのがめつさを全然ためられれば、お釈迦様のような気持になれば共同化もりっぱに仕上がると思いますけれども、そうでない限り、なかなか全面的な共同化ということはむずかしいものでございます。ことに、農地の共有というようなことになりますと、妙な執着を持っております。そのために、これはもう理屈抜きに反対するという機運が私のととろでは見受けられております。そういう点から、私は、構造の問題に対しては、政府案、それと、一部分の共同ということを保護助成するという行き方に、どうか両党ともお話し合いになって、そういう線でお進み願いたいということを懇願いたします。  それから、もう一つの問題は、社会党さんは新たに三百万ヘクタールの畑地、草地を開発開墾して、現在の全国土の三〇%、——私は詳しい数字は存じませんけれども、日本は六百万町歩の農地に六百万戸の農家があるのだということを言われておりますが、そうしますと、六百万ヘクタールに対する三百万ヘクタールということは五割増。そうして、国土の三〇%に農用地を引き上げるということを言われておりますが、私は、この点非常に不安じゃないかということを感じておるのでございます。と申しますのは、もちろん農地を拡張して高度に利用することは農業経営には非常に大事なことで、日本農業の大きな発展を妨げておるものは狭隘なる農地が大きな条件だということはわれわれよく存じております。しかし、よく考えてみますると、あの終戦後食うや食わずの時代に、ありとあらゆる工夫をして、河川敷やら何やらできる限りの開墾はすでにし尽くされているのじゃないか。もちろんまだまだ幾分は適当な農用地に向く未墾地があるかもしれませんが、三百万ヘクタールというのはちょっと無理なんじゃないか。ことに、日本のような常襲災害地におきましては、ほんとうにこれは考えさせられる。われわれは平坦地におきまして、山の木がなくなってどうっと水がくれば稲がひっかぶるということをたびたび繰り返してきておりますので、実は、平坦地におりましても、山の木を切られるということには全面的な賛成はできかねるのです。ことに、未墾地の利用ということに対しては、私、想像いたしまするのに、これは畜産生産の面に大きく利用なさるという御意図のようですが、それはまさにその通りだと思います。しかし、草を作るにいたしましてもなかなか条件が必要なんでございます。牧草を作るにいたしましても、年間の無霜の期間がどれくらいあるか、傾斜はどれくらい、土質はどうであるか、どれくらいの雨量に耐えるかということを考えますと、なかなかそう簡単にはいかない。無理をした開墾ということには私は賛成できかねるのでございます。もちろん先進地のお話も聞いております。また、さっき清水さんからデンマークのお話を承りましたが、デンマークあたりは農業先進国として農民の生活文化というものは非常にはなやかだというようなことを聞いております。そのデンマークの農地の生産力と日本の農地の生産力とを比較されたことを私聞いております。それは、はっきりと申し上げますと、草博士と言われます猶原恭爾博士でございます。あの人の調査実験からいたしますと、デンマークの一エーカ−当たりの年間の日射熱量というのは四カロリーだ、日本はそこへいくと十七カロリーあるのだ、そうして、実際に一つの面積を区切って年間草の採集方法というのは、われわれしろうとにはちょっと想像のできないような緻密な計算になっておるようですが、その結果でき上がったものは、日本では四倍以上の生産力があがっている。しかも、それが昭和二十五年、六年、七年と三カ年の私の地帯における調査の結果そういうものが出て、時は覚えておりませんが、それを農林省の畜産課に行って話したところが、こんなべらぼうな数字は出っこないということで、気違い扱いされたのを覚えております。そういうようなことも考えますと、無理な開墾ということよりも、ある程度適正な、どれが適正か私にもよくわかりませんけれども、あまり無理のない開墾で農地の拡張ということにとどめまして、生産能力の非常に高い既耕地を高度の土地改良をし、そこに持っていって、これははなはだ尊大な言い方でございますけれども、ほかのことじゃ別ですけれども、われわれ日本の百姓というのは、日本の農民というのは、農業民族としては世界で最優秀として評価されているということをだれかに私聞かされております。自分でもそういうものだと自負しておるのであります。(「それで一番貧乏だ」と呼ぶ者あり)それで一番貧乏なのは妙な現象ですが、(「政治の欠陥だ」と呼ぶ者あり)いや、私は政治だけとは考えておりません。私はお釈迦様の縁を引いておりますので、みずからも大きな反省をして、農業者自体もうんと勉強しなければならないと思っております。これは私の表面だけでなくてほんとうに心からの声でございます。しかし、実際問題といたしまして、これは古い話になってまことに恐縮ですが、国土が狭いよりは、シャッポの下を生かさないという、これが一番進歩の妨げになることはよくいろいろの場合に申されております。われわれがほんとうの百姓の気持からせっかく選んだ代議士諸公が、りっぱな農村、農民を作るためにいろいろの保護政策を法制化して下さるということに対しては、われわれ自体もこれは半分は貧乏する責任が何だかあるような気がいたしますので、決して依存心だけを持つつもりはございません。必ず努力をして、もうちょっと頭を働かしまして、国の施策と相待ってりっぱな農村、農民として生きる覚悟でございます。  どうも妙なことになりましたが、もう眠くなりそうですから、この辺でよろしく……。(拍手)

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 次は、木村亮君。

木村亮栃木県農業協同組合中央会青壮年連盟部書記長

○木村公述人 栃木県農協青壮年連盟の一員の木村でございます。  まず最初に、農業基本法の問題につきまして、私は、農業委員会とかあるいは役場あるいは協同組合の方からも、この基本法の問題についての話あるいは文書を見せてもらうとか聞かしてもらったことがございません。私たちといたしましては、やはり、従来から、われわれが何とかして農民の立場においては法的に保護されなければ立ち行かない現実というものを非常に痛感いたしておりますので、そうしたことを強く関係団体には要求いたしておったわけでございます。そのためには、組織といたしましては、なけなしの金を集めて、資料を集め、あるいはこれを印刷して配布はいたしてあるのでございますが、そういう点におきましては、やはり、もう少し、われわれ末端の農民に対しましても、幅広く、深く、しかも懇切丁寧な説明が加えられてよく知らしていただきたかったということが、私たちとしては強い念願でございます。  この案文を見せていただきまして、特に内閣提出の案文につきましては、私も非常に不勉強でありますので解釈に苦しんでおると思うのでございますけれども、内容を解釈するのに、考えようではよくも見え、考えようでは非常に恐ろしいというような感じも見えますので、理解に苦しんでおります。一方、社会党から提案されました対案を読みますと、われわれとしましては、非常に平易に書かれておりますので、受け入れやすいように感じておるわけでございます。  次に、総括的に申し上げたいのでございますが、現在の時点におきましての私たちの農業をめぐる問題は、他産業の従事者との間におきましての生産的な構造問題あるいはいろいろ所得的な格差の問題ということが非常に多く差ができておるということは、諸先生方におきましても十分お認めのところでございます。そういう観点からいたしまして、雑な話にはなりますけれども、長期にわたりまして現内閣が絶対多数を持って政権をとられておりまして、そして現在の曲がりかどあるいは壁に突き当てたような農業の状態に持ってきたということにつきましては、一面われわれにも責任はありますけれども、現在におきましては政治による力が何といっても八、九割ではないかというふうに考えておるわけでございます。選挙のときには与野党両方の意見を聞いておりますが、ともに農民のためにはやるということを約束されて票を持って国会に出られたことだと考えておりますけれども、その公約がはたしてその後実現されたかどうかということにつきましては、私たちは非常に疑わしく考えておる次第でございます。前文を読みますと、非常にわれわれに対しまして感謝の言葉を述べられ、あるいは御苦労であったという言葉が見受けられるのでありますけれども、しかし、絵にかいたぼたもち、あるいはほめられただけでは、私たちは腹が一ぱいにはならないのでございます。従いまして、今後におきましても十分この法案につきましては御検討の上に実施を願いたいと思うのでございます。  次に、国の施策という内閣から出された面でございますが、第二条の一でございますが、需要供給のバランスが破れたときにその生産の転換云々というふうにうたってございます。過日、われわれは、関東地区におきまして、大麦、はだか麦の特別措置法に対する絶対反対の大会を、これは農業・農民団体総あげでいたしました。このときには、もちろん自民党の方も社会党の方も全部入った大会でございましたが、このようなことは、大麦、はだか麦がもう要らなくなったからということで、買付の制限あるいは作付の転換を法的に強要されるというふうに私たちは感じておるのでございます。そういう意味からいきまして、二条の一にありますところの需要供給のバランスが破れそうになった場合におきましての生産の転換という問題がうたわれておりますと、今後いろいろな面で一生懸命やっておりましても、いや、ふえたからこれで終わりだというふうに切り捨てられるということになり、私たちは何に転換していいのかわからなくなるということでございます。  次に、農業生産の問題でございますが、農民の立場からいたしますれば、農業の物的な総生産量の増大ということは必ずしも私たちは考えておりません。私たち自身の問題といたしますれば、やはり、貨幣の量、金の量がいかにふところに多く残るかということが私たちの希望でございます。しかしながら、半面、内閣という立場におきますれば、国民全体の立場ということを考えられて、量的な増産ということもお考えになるとするならば、これらに対する裏づけをどうしても私たちとしてはお願いしたいのでございます。  そこで、次の問題は、第八条を見せていただきますと、「長期見通し」云々というふうに書いてございます。一方、社会党案におきましては、生産の計画から需要供給に向かいましてのそうしたバランスにおける計画化ということが非常に強くうたわれております。私たちの立場から考えれば、やはり、計画的に生産され、これが計画的に消費をされて、われわれの生活というものがより高いものでなくてもいいから、ある程度の水準における生活をするための計画的な生産がなしたいということがわれわれの念願でございます。  それから、こうしたものを作るにおきましての農政審議会という事項があるのでございます。ここにおきましても、審議会に案はかけるけれども、その答申されたものがそのままといいますか、相当重視されないことがもしあるといたしますならば、私たちとしては非常に不安でございます。その審議会に対しても、真にわれわれ農民の代表というものをその構成の中に入れていただきたい。これが社会党の案の方には見えるようでございます。  次に、農業災害の問題でございます。これは両案ともありますが、特に、災害の防止対策、復旧、農民の災害による損失の補償という問題につきまして十分な措置をお願いいたしますと同時に、農業災害補償制度の改正にあたりましては、去る二月の十三日かと思いますが、農林大臣に答申されました通りにやっていただくことがけっこうだというふうに考えておるわけでございます。  次に、農産物の価格と流通の問題でございますが、国の施策に応じましてわれわれがまじめに一生懸命働いておりますならば、その生産されたものの生産費及び所得補償が完全になされるということが私たちといたしましてはぜひお願いしたいところでございます。ところが、今までわれわれの間におきましては、国の奨励するものの反対のものを作った方がむしろわれわれにとっては得だという言葉が通っておりますので、このような言葉が通らないような施策をぜひお願いしたい。その点で、支持価格、特に、社会党案に盛られておりますものは、価格決定のところに農民を参加させるという点、われわれ、農民が作った自分のものを自分の力できめることができないという全国農民の悩みを何かこの一事で解決してくれたような気がいたしまして、非常に喜んでおる次第でございます。  次に、流通の合理化の問題でございますが、この点では、私たちは農業協同組合を中心といたしました運動をいたしておりますので、販売の面におきましても、購買の面におきましても、生産から販売に至るところのすべての問題についての協同組合の現在のあり方は、その法的措置よりも、むしろ政府等の米麦等の取り扱いというような、出先というような感じを受ける協同組合のあり方から脱却いたしまして、真に生産協同体として農民の立場を守れるような、あるいはそれを指導できるような協同組合の姿により戻していただきたいということでございます。  なお、農産物の価格の点でございますが、その用途別によりまして支持価格というものを考慮していただきたい。一つの例を取り上げますとビール麦でございます。大麦の作付転換ということになりますと、栃木県あるいは関東各県におきましては大麦をビール麦に転換することが一番たやすいのでございますけれども、相当な数が増産されますと、どうしてもこの価格が引き下げられるという形になりますので、やはり、醸造用の麦でありますならば醸造用という形におきましてはっきりした価格を出していただき、これを協同組合によって集荷いたしまして、そして、国がこれを買い取り、会社に流すというような方法をとっていただきたいと思うのでございます。  それから、農業資材の問題につきましては、やはり、先ほど申し上げましたように、協同組合を通しましての購買事業を確立さしていただきたい。そのためには、安価にしてしかも適時に適量なものが流れるように、協同組合を通して手配を願いたいということでございます。それは、生産の長期計画とあわせまして、やはり資材の計画をいたしまして、時期にずれないようにお願いしたいというのが私たちの望みでございます。  次に、農業構造の改善の問題でございますが、これは内閣提出のものと社会党提出のものとの間に相当開きが見えます。ここにおきまして、家族農業経営が自立経営になるようにするということで、その説明を若干読ませていただきますと、夫婦と子供というようなことで、その労働が二、三人単位というふうに書かれてあったのでございます。しかし、現在の私どもの農村、あるいは全国的にも同じだと思いますけれども、今までの家族制度内におきましては、どうしてもまだ年寄りがおります。しかも子供をある程度の学校へも上げたりしなければなりません。そういたしますと、夫婦と子供という説明でありますけれども、この夫婦のうちのいずれかの労働力が、子供のために、あるいは老人のために引きさかれ、しかも、労働力にならない子供の労働力と、一人前にならない、あるいは他の労働を削減するところの老人の労働というものがここに出て参ります。そういうようなことになりまして、これが家族農業経営を中心といたしまして、しかも、われわれの付近といたしましては、他産業との均衡という場合におきましては、どうしても二町五反ないし三町歩という面積を必要といたします。その場合に、今までのような労働ではどうしてもこれは成り立ち得ないのでございます。これは、われわれの県が農業的に非常におくれておるために、米麦、あるいは私たちの地帯は麻地帯でございますから、それがためにそういうことになるのかもしれませんけれども、そういうことが言えます。さらにまた、平均いたしまして私の部落は一町一反程度でございます。これが二町五反ないし三町ということになりますと、反当り今取得価格が十五万ないし二十万いたしておりますので、三百万ないし四百万の金が融資され、あるいは何らかの方法で手に入らなければ、こうした拡大ができません。従って、農民の立場からいたしますと、これを借り、あるいは何らかの方法をいただきましても、ただなら別でありますけれども、これらの資金を出してまで、その利子を払ってまで、拡大を現在の時点においてやるということはとうていできませんし、それからまた、付近の農業の関係からいたしましても、そういう強い者が残って弱い者が他に出ようといたしましても、なかなか一朝一夕にはいかないというのが現状でございます。  それから、土地改良及びその利用の面でございますが、これらの面につきましても、土地の高低あり、区画の問題あり、水利あり、農道ありというようなことでございますので、これが自立経営をいたすために相当量に広げられます。それから、協業を実施いたすということになりましても、やはり、土地の基礎的な条件を整備いたさなければ、なかなかこれが円滑に進みません。そういうことになりますと、この土地改良事業に要するところの資金も相当なものが要ります。しかしながら、現在におきましての農家のふところ工合からいきますと、そう簡単には参らないのは先ほど申し上げたと同じでございますので、やはり、こうしたものの裏づけといたしましては、資金的な対策というものがはっきり法案の中に打ち出され、しかも国の責任という問題も出していただきたいと思うのでございます。  それから、次に、協業の助長と、それから社会党で出しました共同化の問題であります。小家族において機能拡大をはかりまして、そして家族経営において生産過程におけるいわゆる部分的な共同作業という問題と、全般的な共同化という問題でございますが、今までにおきますところの農業の構造や形態の中におきましては、家庭内におけるところの単一共同作業というようなことによっても何とかなったかもしれません。しかしながら、こうした農業基本法案というように法的にこれを定めて、しかもこれを今の農家及びその従業者が他産業におくれない形においてなすという場合におきましては、今までのそのつどつどのヌエ的な共同作業ではなかなかできがたいということで、最近に至りましては、われわれの仲間といたしましては、やはりその共同化の方向へ方向へと逐一進んでおります。もちろん、これは、長い間の土地私有権の歴史と、各一戸々々におきますところの独立農業経営との、この切りかわりの時期でありますから、そう短兵急にできるとは思いません。土地所有権の問題につきましては、先ほど小池さんからも述べられましたように、これは、当然、全体的な所有ということはいましばらくの間はむずかしいのではないか。いわゆる個人的な所有の上において個々に経営上の問題でこれをどう共同化していくかということが私たちとしては一つのねらいであり、そうならなければならないというふうな考えを持っております。  次に、教育の問題でございます。内閣案の十九条と社会党提案の十三条には、何か季節的な農業者を育成するというような教育という問題があるのでありますけれども、やはり、農業者としてほんとうに地についたものにするためには、基礎的な教育等からこの問題は特に重点的にお願いしなければならないと考えております。  それから、次に、就業機会の増大の問題でございます。これはあるいはしかられるかもしれないのでありますが、私たちが受け取ったところでは、私たちの付近では、三、四年前までは一日の日雇い労務者の賃金が約二百円前後であったのでありますが、現在におきましては約四百円前後に上がってきております。非常に農業労働というものが不足を来たしております。それと同時に、他産業へ出ている三二男も非常に多くなってきております。しかしながら、その他産業に出ていっている者は、近くに日立の工場がございますが、大部分が臨時雇いの形でおりますので、これがどういうことになるかということを非常に心配いたしております。それで、私たちといたしましては、やはり、農業の経営というものを、ただ単に畑やたんぼの上における経営、あるいは家畜舎内における経営でなくして、さらに進みまして農産物を原料としたところの加工工場というものにこの農家の二三男を吸収して、農家の全体的貨幣の量を多くしていただくというようなことをお願いしたいのでございます。  以上、私は非常に勉強不足でありますので簡単に意見を述べたわけでありますけれども、私が昨晩と一昨晩のわずかの時間に読ましていただきましたこの両案の中からも以上のようなものを指摘することができ、しかもこれは公述人として一昨日速達をいただきましてからの勉強でございますので、非常に粗雑でございます。しかしながら、こういうようなことが一般の農民の間におきましては非常に知れわたっていないというのが現状でございます。  この法案は、農地改革以来の日本の農業革命ともいうべき非常に重要な問題で、裁判におきますれば農家の使命を決する判決にもひとしいものでありますので、やはり、十分に時をおいていただきまして、農民にその趣旨を徹底させ、国では、こういう組合の状況のためにこうなんだ、外国の状況はこうだ、お前たちの責任においてこうしてもらいたい、そうすると何年後においてこのようになるのだというようなことを十分一つ知らしめていただきまして、そうして、党の面子あるいは何者かの力によって押しつけられるような形でなくて、真にわれわれ農民のために今後混乱を来たさぬように諸先生にお願いいたしまして、私の公述を終わります。(拍手)

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 これより公述人に対する質疑を行ないます。  質疑の通告がありますからこれを許します。  なお、申し上げたいことは、五時からいろいろ用件のある方も多いようでございますので、五時まで、通告者二人でございますが、大体半分ずつで御了承願いたいと思います。  森田重次郎君。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 最初一人々々に御答弁をわずらわし、あとで皆さん共通に一つお尋ねしていきたいと思うのであります。  江藤倉司さん、あなたの実際の経験に基づくいろいろの御意見、あるいは詳細なる事実に基づく数字、そういうもの等をあげての公述に対しては、いろいろ教わるところが多かったのであります。この公述を聞いておりますと、今現実に迫っている幾多の政治問題があるんだということがよくわかるのであります。しかもこれは早急に解決せないというところにあなたの不満があって、それが相当情熱的にきょう公述せられておるようであります。ところが、これらの問題を解決するには、やはり、この農業基本法というようなものが原則的にきまっていて、それに関連したいろいろの法律をすみやかに制定し、それを実施するのでなければ、あなたの今の御不満にこたえることができないわけなんです。従いまして、そういう前提の上に立って、農業基本法はまだゆっくりやった方がいいという結論は、どう考えてもわれわれの納得することができないのであって、これは、あなた、社会党さんの方にお味方なさるという意味において、社会党さんがなるべく今通したくないという御意図があるから、それに沿うような御公述をなさっておいでになるのではないかと私は思う。だから、この点は、あなたの態度の結論とあなたの前提としての材料は全然矛盾の上に立っておるのではないか。従って、この点どうお考えになるか、これを一つ聞いておきたい。  それから、そこで今度は共通の質問でございまして、私は社会党から提案されたこの法案は非常に興味深く読んだのであります。非常に理論的でもあり、相当御苦心の上提案せられたものでもあり、かつ、社会主義的な信念というものがこの上に盛り上がっておいでになる。ただ、問題は、はたしてこれが日本の農村の指針として妥当であるかどうかということが、現実的な政治問題としてわれわれ考えなければならないものだと思う。第九条を見ますと、「農地は、これを耕作する者に所有せしめることを原則とし、」ということで、建前とすることになっている。ところで、その農地は、今のことは建前なのであるが、究極の目標をどこに置くかというと、農地に関する権利は自主的にこれを共同保有に移行させるということが究極の目的なのであります。その権利というのは何のことかというと、所有権はむろん含んでいると私は解釈します。そのほかに借地権もあるでしょう。地上権もあるでしょう。あるいは使用貸借権みたようなものをも包括するかもしれない。そこで共有と言わないで共同的保有と書いたのは、つまり、所有権だけの問題でないからという包括的な意味を持たせたものだと思う。しかし、結論として申し上げますと、との権利をその共同体に移すということが究極は根本なんです。それはその社会党の方々の理想的境地をここへ表現したものだと私は思う。そこで、第十条を見ますと、社会党さんは日本の経営主体をどこに置くかといいますと、これは農業生産組合その他の農民の共同組織というのでありまして、わが自民党のような自立的な経営というものはこの条文は認めていないのであります。そこで、その二条を見ますと、むろんこれを促進しておるのでありますが、第十一条を見ますと、御存じの通り、「都道府県の区域内の必要な地に農業サービスセンターを設置するとともに、機械化促進の機構として都道府県ごとに国営農業機械ステーションを設置する」というような書き方なんです。やはり、どう考えても、これは共同化ということが経営の主体になる。これは社会党さんの結論としては当然のことだと私は思う。これは非常に勇気のある一つの提案だと私は思う。しかしながら、日本の農村の実情にこれははたして適するか、これがわれわれの非常な疑問とするところなのであります。すなわち、われわれといたしましては、いろいろ日本の農業組織、たとえば日本は水田を中心とした耕作であって、あの水田の中にステーション会々のような大きな機械を持っていったらどうすることもできないというのが、これは日本の農業の一つの宿命だとわれわれは考えておるのであります。従いまして、われわれとしては、やはり、日本の農業の基盤、条件というものに立脚してやる限りは、この自立経営というものが中心でなければいけない。しかしながら、自立経営ではとても面積が小さくてだめなんだ、そういう方々は申し合わせによって何人か寄り合って協同組織にする。われわれの方で協業と言っておりますが、これは共同組織と言ったって一向かまわない。そういう言葉にわれわれとらわれておるのじゃない。しかしながら、われわれの方は、自立経営の農家というものを中心としていこうじゃないかという、それに付属して副次的に協業的なものを望む者には協同組織としてやらせたらいいだろう、こういうのがわれわれの方の案なのであります。先ほどあなたは共同的な点が非常に魅力的で社会党の案に賛成だとおっしゃったですけれども、われわれの方もやはり協業をやりますから、そこに魅力を感じていいはずだと私どもは考えるのであります。そういうようなわけでありまして、特に、あなたのところの基盤、条件を今聞きますと、四反五畝が大体平均だという。そうすると、相当零細な農家の多いところでありますから、ある程度われわれの方の協業へ持っていって下さっても一向差しつかえない、こういうようなことなのであります。  そういうようなことでありまして、われわれの協同経営には二つある。一つは部分的な協同経営でこれは先ほどあなたおっしゃったような形のものができる。これは近いところは機械でも何でもいけばいい。まず脱穀調製の機械のごときは最も典型的なものだし、薬品による共同防除のごときも典型的なものだ。しかしながら、経営というものは、総合的な一主体としての総合責任を持つか、部分的に機械だけ共通にやる協同経営であるか、これははっきり峻別して議論しなければ、私は議論にならないと思う。そういう意味で、やはり部分的な協同経営はもちろんわれわれの方の法案でもちゃんと認めておるのですよ。そこで、やはり、日本の農業経営はどうしても今の自立経営による責任主体が中心にならなければだめなんだというのがわれわれの信念でこういうような法案ができた。これが最も日本の実情に適するものだというのは、先ほど埼玉県の方がおっしゃった通りです。実際、たれが考えたって、農民の心理の上に立脚してみれば、喜んで共同経営として権利を提出する者がありましょうか。そればかりではない。もう一つは、能率も上がらないと私は考えるのであります。  そこで、私はお伺いしておきたい。私は、社会党の方々と対決する最も大きい焦点は、自立中心の農業経営で協業を並立させていくのが日本の実情に適するか、それとも、社会党さんのように農業生産組合とか共同組織一本でそこへぜひまとめようまとめようとなさるのが日本の実情に適するか、それをはっきりさせなければ私は議論にならないと思う。そこで、お伺いしたい。どうか、これに対して、日本の農民心理、あるいは日本の農業経営の現実に即して、はたして社会党さんのような方向がいいか、それともわが自由民主党のとっている方向がいいのか、これに対する御見解を一つお伺いしたい。特に、あなたはデンマークの方においでになられて、そうして酪農をやっておいでだそうですから……。私は、一般の農作物を作る場合のことはある程度協業も意味があるのじゃないかと考えているのですけれども、しかし、動物を養うという場面は結局愛が根底になります。だから、これは協業なりあるいは協同組合でいくということはなかなか至難であって、私はこういう方向はとらすべきものではないということを常に考えているものなんですが、特にあなたの体験に基づいてこれに対する御見解をお伺いできればと思うのであります。  以上、部分的な方々と、共通の皆さんの御意見と、一つかわり番にお答え願えればと思うのであります。

江藤倉司津久井農協参事

○江藤公述人 決してそういうあせりでなくて、私も実際に酪農もやっておりますし、養蚕もみんなやっておるわけであります。しかし、基本法を制定して、今まで政府あるいは農林省に勤めている役人の方あるいは大臣の方が、そんなに簡単に、基本法を制定したことによって考え方を変えられるかどうか、こういう疑問を持っておるわけです。たとえば酪振法の改正を私たちは盛んに願ったわけです。しかし、結果的には、極端に申しますと、やはり資本家に牛耳られたような形の酪振法の改正が、草地造成だけを含めた中で改正されたという形を持っておるわけです。ですから、むしろ、農業基本法だけに頼らなければ現行の保護法がスムーズにいかないかどうかということ自体に、私は問題があるのじゃないかと思っております。そういう意味で、少なくとも、基本法を通していく上においてやはり骨となるのは、現在の保護法が完全にそういった保護法の立法精神にのっとってほんとうに履行されているなら、そんなに私は両者競合して騒ぐことはないと思うのです。そういう意味で、やはり私はそういう点を疑うわけです。たとえば、なぜそれでは輸入ふすまを入れて、この百姓が金を使って東京へ来ておるそういう中で……

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 時間の都合がありますから、質問に対してお答えを願います。

江藤倉司津久井農協参事

○江藤公述人 そういう意味で、現行法がやはりスムーズにいかない限り、基本法が成立してもむずかしい。こういうわけで、政府案に対しては何回も私は申し上げたわけであります。  それで、共同経営という問題でございますが、先ほど申しましたように、私のところは水田が百八十町歩くらいしかないわけであります。政府に米の売り渡しも五十二俵くらいしか出ないわけで、広い農地のところの農業というものを見ておりませんので、先ほど経営状態を申しましたように、私の部落はすでに部落単位に共同化の体制をとっております。そういう意味で、もうすでに専業化という第一段階を五年くらい続けております。酪農につきましてもすでに百七戸、養鶏につきましても百戸、豚につきましても六十戸、養蚕農家というものを今年専業農家を五戸やりまして、そういう中から専業化から共同化の方向へ走ろう、こういう自信を、山間地帯の段々畑の中で共同経営方式というものを打ち出したわけです。ですから、私自体この基本法の条項の中で見ますと、先ほど申しましたように、非常に自分たちの行政地区の面積の八割九分が県有地、公有地であるという中からしても、山林の開放が必要である。こういう点からみまして、すでに里山の開放以外にそうした官有地の開放等は絶対的に必要だ。しかし、そういう農地を取得する場合において、先ほど申しましたように、もう私のところの農協には上部信用事業連から借りる担保が一つもない。こういう点から考えまして、今私たちがこういう状態の中で、要するに今のこの基本法の中にあるような自立的な農業経営規模を拡大していくならば、やはり国有地にする以外にないのじゃないか。それを貸すだけの金はないということなんです。ですから、そういう点で、現行の段階にいま少し開ける道があるならば、私たちはもっと考えを持てるわけでございますが、私は農協に奉職しまして八年になりますが、依然としてそういう下に来るほど苦しい中で、やはり協同組合を中心としての農業を育成している関係からして、やはり、そうした共同経営ということは、自分の経験の中から正しい、こういうふうに考えまして、先ほど公述申し上げたわけであります。

清水淳群馬県酪農研究会会長

○清水公述人 共通の問題について御質問いただいた中で、まず共同化の将来性というか、農民心理から見た土地との関連のことですが、私は、デンマークの農民の考え方、それから、日本に帰ってきてから、畜産経営を真剣にやろうとする青年層、わけても私たち前橋近郊の最近のいろいろな事例から見て、一方また若干学問的な面を見た中で言えることですが、土地は一つの資本財として農民が考えるというような可能性が今日出てきておるわけです。従って、いわゆる土地への無上な愛着、あるいは家畜への愛情愛着というようなことは、だんだん、明治的教養人ならばいざしらず、そういう若い世代の農民は、資金不足があったからこそ、土地以外に資本財を持たなかったということから、無上な、むしょうな愛着を持っておるわけです。そういう意味で、価格主義政策などがしかれるとか、特に乳価などの問題で不安なしに資材と乳価というようなものがきめられるならば、私は、土地など一種の資本財としての理解でどんどん提供して、より共同化で、過剰投資などを防ぎながら、労働生産性を上げていくという傾向がどんどん発展していくだろう、こう思っています。従って、単に年配の人々の多くは割合に土地に非常な愛着を持っているのですが、それは何かしら非経済的ないわゆる農本主義的なものじゃないか、こう思っているのです。それと、デンマークにおける場合にも、アメリカのあの政策、何といいましたか、ニュー・ディール政策ですか、そういう借款を得て、そして協同組合組織によるサービス・ステーションというものを農機具について大規模なものを作ったのです。これはある段階でかなり役割を果たしておったのですが、これと私がさっき言ったことと、正直なところ若干矛盾があるのですが、協同組合形態による農業具サービス・ステーションは今日すたれているのです。個人の営利的な面も加えた、個人のイニシアチブを中心にしたような農機具サービス・ステーションが発展してきておる。従って、共同的な形での農機具サービス・ステーションは割合デンマークでは長い期間にたえなかった。こういう矛盾がありますが、しかし、それも、私がおった五年前には、二十万戸の農家の中に四万台しかトラクターがなくて、あとはほとんど——現実には非常に重要視しているのですが、大体デンマークの規模では十五町歩以上でないと農機具というものを持たないということからして、ほとんど大部分の農家は馬による耕作をしておったのです。トラクターでなしに馬による機械化でしたが、それがそういうふうに日本の場合と大へん違うのは、今、農民は、やたらに型を変えられて、新型のものを農機具メーカーからある意味では強制的に売りつけられるような形をもっているという、そういうことから来る過剰投資をこの零細者の中で避けるためには、やはり、私は、かなり国家が援助した、国営とまで言わないまでも、そういう農機具サービス・ステーションが各地方々々にまでできる必要がある、こういうことで考えておるわけです。大へん不十分でしたが、御回答申し上げます。

小池進農業

○小池公述人 さいぜん私が申し上げました通り、今また清水さんからもお話がありましたが、やはり、じいさま連中はなかなか共同に踏み切れない。無理をしてやるというところにゆがみから妙な反動的な現象ができてうまくいかない場合が非常に多いということを申し上げるつもりだったのです。さっきもくどくど申し上げましたけれども、地域によっては、先ほどのお話の通り、非常に経営のケースが小さいところでは、これは共同化して、そして余剰労力というものをどういう方面にか——とにかく、百姓というやつは、投下する労働力というものの生産価値がどういう形をとっても高ければ、そして零細経営でもそれが保っていければ、それが一番いいんじゃないかと私は考えております。そういう形にするためには、今のところ私の地帯では部分的な共同というのが一番うまくいっております。極端な例ですが、養蚕の例を見ましても、現実に私最近までやっておったのですが、養蚕業に対する政府の施策といいますか、いわゆる蚕糸対策で、桑を抜けば補助金をくれるというようなことから、また養蚕に見切りをつけてよしました。まだうちでは細々やっておりますが、よしたのがあるので共同がくずれたわけですが、養蚕日数も大体二分の一にできるわけです。その間、女どもの労力というものは、養蚕というのは、やはり生きものですから非常に苦労が多いのです。ところが、責任を持てるような飼育にたんのうな人が担当して、そうして種で分けて三齢まで置いてうちへ持っていく、ほかの者は養蚕業にもう安々と携わっていくというようなケースが非常にうまくいっております。部分的な共同は昔からやっております。それをさらに助長するという程度で、とにかくお互いのがめつさがまあまあこの辺ならためられるというのが共同の限界じゃないかというふうに私は考えております。そうして、あくまで自立経営ということでいかないと、私たちが消えてなくなったあと若い者はどういうふうに考えていくかわかりませんけれども、私の見通しで、私の地帯で今の段階では、自立農家プラス——プラスと言うと語弊がありますけれども、それと並行的な部分的な協業、共同と申しても差しつかえないと思いますが、それが一番いい方法だというふうに考えておりまして、現在そういう方向で進んでおります。最近の例で申しますと、とにかく、私のところは、さっき申し上げましたように、米麦中心で、そのほか養蚕があり、さらに最近は純然たる消費地がすぐ近くにもできております。住宅公団あたりができて一年に三万人も人口がふえたというようなところがありますので、非常に純然たる消費人口がふえております。そのために、蔬菜の需要、ことに果菜類の春ものあたりはかなり需要が多くて、東京までは持ってこられないというような現況になっております。しかし、そうしたものは、一人当たりを考えてみますと育苗というものはなかなか容易じゃありませんが、技術にたんのうな者が主任になって、そうして共同育苗をして、それででき上がった苗を分けてやるということは、非常に経済的でしかも安全なものになっております。しかも、そうしたことが非常にいいのは、全然のしろうとの者でも、労力を提供することによって高度の技術を分けてもらうというような形で、すぐに経済的に非常にいい影響を与えておるようでありますから、私はそういうふうに考えております。

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 今の問題は、繰り返して一言えばこういうことだと思うのです。家族経営を充実していくということと並行的に、いわゆる協業化、共同化的なものをあわせていくのがいいか、あるいは将来一体の共同組織の経営に全部移すのがいいかという御質問だと思いますので、それに対して簡単にお答えを願います。

宮川精一石川県農業協同組合中央会会長

○宮川公述人 結論だけを申し上げます。われわれの知っておる範囲におけるところの各国農業は、ほとんど家族経営を中心にやっております。従って、日本の農業におきましても、将来家族経営というものを中心にしてやるべきだと信じます。ただし、特に第二種兼業のような零細農業におきましての部分につきましては、主軸とした基幹農家を中心にした共同化というものは十分なり得ると存じます。だから、私は、二つの複合的な経営形態というものが生まれていくだろうと存じます。

出原忠夫農業

○出原公述人 先ほど申し上げましたように、現実に個人経営で満足して自信を持って将来の見通しをつけている人も相当数いますし、それから、若い人は共同へ踏み切っている人もおります。一がいに共同に踏み切る、個人経営だけに踏み切るというのは、どっちも行き過ぎだと思います。従って、現実の事態に即応し、また、農業の中にもいろいろ何がございまして、種類によっても違いますし、地域によっても違いますから、一律化することは行き過ぎだと思います。

木村亮栃木県農業協同組合中央会青壮年連盟部書記長

○木村公述人 私は、先ほど申し上げましたように、将来におきましては共同経営の方にいくべきだというふうに賛成をいたしております。それは、結局、現在までの農業の状態というものをさらに存続させ若干程度手を加えるということであるとするならば、仰せのような家族労作的な農業経営にプラス生産過程の若干の共同ということで間に合うかもしれませんけれども、農村労働力というものが急激に減少している現在におきまして、しかも耕地が相当広がっていくということになりますと、婦人の労働というものはより一そう過重になって参ると考えております。そこで、労働力の問題からいきましても、やはり共同経営化していくべきだ。大きくなることによりまして、機械もみんなの出資で入りまして、そうして機械も年じゅう新しく改良されていきますので、この償却も早目にいたしまして、新しいいい機械を持ってやっていくという方向にいきたい。それから、生産物の点におきましても、あるいは農業のその時期々々の技術の点におきましても、ただ自分々々だけのいわゆる篤農的な技術という形におきましては、その地帯、ある小範囲内においてはいいかもしれませんけれども、大きな面におきましての農村全体におけるところの経済という問題につきましては、やはり共同経営化の方向にいかなければならない。このためには、やはり、現在の協同組合の規模というものをもっと大きくいたしまして、その協同組合が農民の要求にこたえられるような、酪農なら酪農専門に取り扱うところの協同組合の中にある一部門ができ、あるいはまた、豚、養鶏、あるいは野菜、家畜というような、それぞれの専門的なものが大きくなった協同組合の中ならばできるというふうに考えます。同時に、部落におきましては、部落の組織形態というものがこの共同経営化の方向へ逐次移っていくならば、部落の組合というものが協同組合の部落拠点という形において構成されるということによって、全体的に農家経済というものが向上できるというふうに確信しております。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 皆さんの御意見を拝聴いたしまして大へん参考になりました。ありがとうございました。

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 角屋堅次郎君。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 午後、与野党六人の公述人の御意見を承ったわけですが、いずれも、第一線にあって直接農業に従事し、あるいはまた農業諸団体の幹部をやっておられるだけありまして、いろいろ貴重な意見を承りまして、大へん今後の法案の審議に参考になったわけであります。ただ、与党の方から出られました方々は、これはけんそんであろうと思いますが、十分法案の中身についても勉強していないしよくわからない、こういうふうな前提等もありましたけれども、私どもは、今度政府から提案になりました農業基本法と、数年来いろいろ慎重審議をして参りまして自信を持って提案をいたしました私どもの農業基本法、この問題については、私どもの法案においては、国際農業との競争の中で今日までいろんな歴史的な経過もあり、農業が悪条件に置かれ、また、他産業との所得の格差が拡大をしておる現状をどう打開をし、国際競争に十分耐え得る日本農業の発展をどうしていくかという前提に立って、特に、今まで国の責任においてやらるべき面がきわめて不十分、不徹底であるという点については、農業憲章ともいうべき農業基本法の中においては、今後本腰を入れて国が責任を持ってやるべきことを明らかにすべきだ、こういう点から、第二条において国の責任をうたい、あるいは価格政策の問題についても、構造政策の問題についても、あるいは生産政策の問題についても、資材流通面の問題についても、国が直接責任においてやるべきことを明示していることは、法案の条文を見られれば、私は明らかであろうと思う。私どもは、政府自民党から提案をされておる農業基本法は、農林漁業基本問題調査会で農業問題を討議して答申をしておる中身から判断をいたしましても、今日までとってきたと称される農業に対する保護政策というものもだんだん取りはずしていきながら、経済合理主義に基づいて農業の再編成をやろうという、そういう経済合理主義的な立場が法案の本文のあらゆるところに貫かれておるという点に重大な問題があるということを常々から指摘しておるわけでありまして、午前中にも申し上げましたように、いみじくも自民党推薦で出た昨日の読売新聞の田中公述人の意見は、端的に自民党の基本法の本質というものを明らかにしたものではないか。そういう前提に立った農業基本法ということになると、これは、先ほどどなたか言われましたように、酪農は楽農でなくて苦農だというような皮肉の言葉まで言われましたけれども、そういう農業の再編成による貧農の切り捨てなり、あるいはまた、残ったところの農業それ自身の問題についても、依然として問題を包蔵するような形で打開をされない状態が長く続くのではないか、こういうふうに私どもは判断をしておりますので、これらの問題については十分本質の討議を今後とも慎重に続けなければならぬ、かように考えておるわけであります。   〔委員長退席、田口(長)委員長代理着席〕  そこで、この際特に自民党推薦で出られました公述人の方々にお伺いをいたしたいわけであります。所得の均衡という問題がよく言われるのでありまするけれども、他産業との所得の格差、これはやはり所得均衡に持っていかなければならぬ。この点について、私は過般の池田総理に対する総括質問の中でも申したことでありますが、自民党の農業基本法の中では所得均衡という言葉はどこにも条文上出てこない。生活水準の均衡ということは言っておりますけれども、ことさらに所得均衡ということについては法案の条文から逃げておる。具体的に予算委員会やあるいは本委員会の討議を通じて考えてみましても、自民党の農業基本法の前提となるべき所得倍増計画の中で、今後の農業の経済成長あるいは農業人口の減少、こういうふうなものをもってしても、今後十年間に農業の所得はせいぜい五割増し程度である、こういうことを池田総理も明言せざるを得ないという事態等もあって、また、きのうも公述人の意見では、田中公述人であったと思いますが、農業と他産業との所得均衡ということは将来ともに絶対不可能なことである、こういうふうな前提等も述べられておったわけでありますが、この機会は自民党側の公述人にお伺いしたいわけでありますが、政府・自民党の農業基本法で今後進める場合に、農業と他産業との所得均衡ということが具体的に期待できるというふうにお考えであるかどうか、この点を一つお伺いしたいと思います。宮川さんから代表的に一つ。

宮川精一石川県農業協同組合中央会会長

○宮川公述人 代表的とおっしゃいましたが、私と違った意見を持っていらっしゃる方もおありかと思いますので、どうぞお聞き取り願いたいと思います。  所得均衡の問題は、これはむずかしい問題でありまして、私自身でも長期の経済成長の過程というものをはっきりつかめません。しかしながら、われわれは、他産業との所得均衡ができるように、農業自体におけるところの活動あるいは農業の外部におけるところの活動というものをにらみ合わせていかなければならぬと思いまするが、それでは一体何年後に同一水準に達するか、また、達するところの確信があるかどうか、こうおっしゃいますが、私自身は今計数的にそういう検討の数字は持ち合わせておりません。しかし、達せしめたいという熱情だけは持っております。そういう意味において、農業の経営の拡大とかあるいは協業化という面を推し進めていきたい、こういうふうに思っております。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 なぜこういうことを聞くかと申し上げますと、御承知のように、政府の所得倍増計画を見ましても、第二次、第三次産業の経済の成長というものは八%ないし九%あるいはそれ以上に期待できるという。その場合においても農業部面の経済成長はせいぜい二・九%程度である、こういうことで、実際問題として農業と他産業が同一条件で出発してずっと進んでいくといたしますと、経済の成長部面から相当な開きが出てくる。そういうふうな産業本来の性格というものを国の責任においてどういうふうに農業政策としてカバーするか、こういうことが非常に重要になってこようと思う。そこに農業政策の本来の政治の部面があろうと思う。その重要な一環として、たとえば価格政策というふうな問題が一つ出てくる。ところが、政府・自民党の価格政策の部面を見ると、私どもの判断としては、需給均衡に前提を置いた価格政策をこれからとろうということで、私どもが明らかに言っているように、生産費及び所得補償方式を原則とする価格政策を貫いていこうという考え方を堅持しておられない。今までとってきた食管制度の問題についても、米麦価等についての生産費・所得補償方式を前提に置くような価格政策においても今後は修正がなされるのではないか、こういうことが懸念されている。今日まで農民所得の大宗をなしてきた米麦等においてしかりである。こういうふうな前提から言った場合に、私どもは、政府・自民党の農業基本法が今後進められる場合において、所得格差というものは縮まるのでなく、ますます拡大をする危険性が包蔵されてくるのではないかということを率直に言って心配するわけです。こういう面について一つ御所見をさらに承りたいと思います。今度は出原さんにお願いします。

出原忠夫農業

○出原公述人 社会党がおっしゃる新しい意味における保護政策ということも理解できないではないんですが、ただ、それを国の責任において直接なさる方がいいか、あるいはまた、低利資金とか金融面とか、そういう面でなさる方がいいかということについては、私はなかなか割り切れません。従って、あまり気負い立って、国でなさるということがうまくいったらいいが、下手にいったらちょっと引っ込みがつかぬのではないかという心配がある。英国では、御承知のように、私は数字がちょっと記憶違いかもしれませんが、三千億の農業用の財政の中で、農民は五百億しかない、あと二千五百億はほかから補給されているということで、国が直接なさらぬでも、そういうことによってかなり伸びているということを聞いておりますので、その辺は一つ十分御研究いただきたい。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 私は、国の責任においてやるという面は、従来の日本の農業をめぐる諸条件の中で、今日悪条件に置かれている農業問題を打開するためには、当面相当な期間、国際競争力に耐える日本の農業基盤というものをはっきり整備するまでは、国が相当責任を持ってやっていかなければならぬということであろうかと判断しておるわけです。ただ、これは論議になってはいけませんのでこの程度にいたしますが、たとえば、御承知のように、所得倍増計画の中における行政投資が十六兆一千三百億の中で、わずかに農林水産業関係の投資については一兆円しか予定してないというふうなことが大問題になる。こういうふうなことでいいのかどうかという問題もあるし、いろいろ所得倍増計画とからめて、あるいは農業近代化小委員会等の論議等の中身に入って検討してくると、幾多の問題を含んでおることは御承知の通りだと思う。同時に、政府・自民党の農業基本法の中で構造改善、——私ともも言っておる構造改善という問題が一つの焦点になっておることは御承知の通りですけれども、農地造成問題については、出原さんは相当積極的に農地造成についてもやっていかなければならぬという立場でございましたが、小池さんの方は、農地造成というものはあまり積極論でもなかったように聞いたわけです。その二町なり二町五反の自立農家を百万戸作るという一つの政府・自民党のプラン、こういうものは、今日二町なり二町五反以上の農家が全体の中できわめて僅少であるというものを、百万戸程度まで作ろうという場合におきましては、相当な農地の移動というものが考えられる。それが今日いわゆる農業をめぐる前提条件の中で容易にできるものであるか、あるいは容易にできないものであるとするならば、そういう面を打開するという前提条件が必要であると考えられるが、これらの問題について一つお伺いをいたしたいと思います。この点は一つ代表的に小池さんの方から……。

小池進農業

○小池公述人 ただいまの御質問の要旨は、自立農家の育成、しかもその構造のケースというものを二町とか二町五反とかで百万戸というようなことだと思います。私ども考えておりますのは、さいぜんから申し上げておりますように、大所高所からものを考えて国の施策というようなことに参画したこともないのでございまして、あまり詳しくは申し上げられません。しかし、自分の気持から申し上げますと、とうてい一朝一夕に、今政府が考えていられるような百万戸の自立経営農家ということは至難だと思います。しかし、これは、さっきの質問にちょっと逆戻りしますけれども、とにかく、所得の面を考えてみましても、イギリスの例が出たようですが、私も数字をあまりはっきりは申し上げられませんけれども、イギリスにおいては、農業総所得が、邦貨に換算して、大体少ないので、三千五百億と聞かされております。ところが、国が農政につぎ込む金額は幾らかというと、三千億だ。要するに、農民全体をまるがかえにしているような形で農業保護というものがなされておると聞かされて、私たちはほんとうによだれの出るような思いがいたします。しかし、それをよく考えてみますと、イギリスにおきましては、全人口の五%しか農業人口がないということも聞かされておりますので、イギリスの経済力をもってすればそれくらいのことはできるじゃないかというふうに私は考えております。翻って、わが国でそれを考えてみますと、現在のところ、三七、八%の農業人口というものがあり、経済成長率はあるいは世界一高いかもしれませんが、しかし、成長の量というものを考えた場合には、まだまだそこまで、——われわれやってもらいたいけれども、農業保護というものは期待できないのだと、私は謙虚な気持で思います。  それから、さらに、今の構造の問題ですが、私は詳しく数字を存じておりません。どのくらいいわゆる自立経営農家というものがあるのか、(角屋委員「三十万前後」と呼ぶ)三十万前後だと申しますけれども、そのうちには、地域、環境によって五反でもりっぱな自立経営農家というものはあるはずだと思います。現に私のところにあります。二反でも百万円の収益をあげていれば、これはりっぱな自立農家だと思うのであります。そういうものを考えれば、私は、面積にこだわらずして所得をもって自立経営農家というものを律すべきだということを先ほど申し上げたわけであります。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 われわれの方から推薦をしております方々に対してもいろいろ陳述の点について質問をすればいいのですが、時間の関係もありますのでこの程度にいたしますが、いずれにいたしましても、きょうおいでになった午後の方々は、それぞれ第一線にあって直接農業に従事され、また、農業諸団体の幹部としていろいろ第一線における指導をされておられる方々の御意見でありまして、大へん具体的な問題にまで触れられ、私どもの今後の委員会の審議に非常な参考になったことを感謝申し上げまして、質問の時間も限定されておりますので、この程度で私の質問は終わりたいと思います。ありがとうございました。

田中覚三重県知事

○田中公述人 これにて公述人各位に対する質疑は終了いたしました。  公述人各位に一言ごあいさつ申し上げます。本日は御多忙中のところ御出席をいただき、長時間にわたってきわめて貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  明日は午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十六分散会

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