農林水産委員会 第41号
- 発言数
- 65 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/05/25
会議録
○坂田委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、魚価安定基金法案、漁業生産調整組合法案、角屋堅次郎君外二十四名提出、沿岸漁業振興法案、角屋堅次郎君外二十三名提出、水産物の価格の安定等に関する法律案及び芳賀貢君外二十四名提出、水産業改良助長法案を議題として審議を行ないます。 これより五法案について参考人の方々より御意見を承ることといたします。 本日御出席をいただいております参考人の方々は、病気のため出席ができないとの申し出がありました伊藤佐十郎君と会議のためおくれて出席するとの申し出のあった安藤孝俊君を除きましては、お手元に配付いたしてあります参考人名簿の通りでありますので、御了承を願います。 この際参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。本日は御多用中にもかかわらず本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。水産関係につきましては深い造詣を持っておられる各位には、この際忌憚のない御意見をお述べいただき、法案審査のため御協力をお願いいたしたいと存じます。 参考人各位には最初に十五分程度御意見をお述べいただき、あとで委員の質疑に応じていただきたいと存じます。 それでは、片柳真吉君からお願いをいたします。
○片柳参考人 私は全漁連の会長でございまするが、本日は私どもの非常に関心を持っておりますこれらの法案につきましてわれわれの意見をお聞き取りを願う場を与えていただきまして、厚くお礼を申し上げる次第であります。本日は、私以外にそれぞれ専門家の方が多数参考人として御出席でございますので、私からは一般的にまた大綱的な見地からこれらの法案につきまして率直なる意見を申し上げて御参考に供したいと存ずるのであります。 まず、政府から提案されておりまする二法案、漁業生産調整組合法案及び魚価安定基金法案でございますが、一口に申し上げますと、わが国の中小漁業の経営安定のための施策といたしまして、水産物の価格、特に多獲性大衆魚の価格安定のために、一面で漁場における漁業生産面からの調整をいたし、これと関連して、そのとれました生産物の流通の面から価格を何とか支持して参りたいという深い関連を持っておる法律というふうに私どもは理解をいたしておるのでございまして、いわば二つの法案が一緒になって初めて一つのある程度の効果を期待できるという意味で、不可分のものというふうに理解をいたしておるわけであります。 われわれも参画をいたしましたところの農林漁業基本問題調査会の漁業部会の答申でも明らかになっております通り、成長経済下におきまするわが国の漁業の健全な発展を期しまするためには、一つには構造改善を主軸とした沿岸漁業の振興をはかる、これは沿岸に近いところの新漁場を開発することもありましょうけれども、また、他面においては、沿岸を基盤として沖合いへ進出する、こういう両面の構造改善と私どもは理解をしておりますが、さような意味の構造改善をめどとした沿岸漁業の振興をはかって、漁業の生産性を向上し、また漁業者の所得を増大していくということが一つの大きな線であったのであります。さらに、もう一つは、現在の沖合いから遠洋にかけましての漁業は各種の国際的制約が次第に強まってきておりますので、いわば従来の沖合いから遠洋への外延的な発展が頭打ちとなっておりますることは御案内の通りでありまするが、その結果、沖合いを中心として非常な過剰操業あるいは過当競争の状態が顕著でございまして、カツオ、マグロあるいはサンマ、イカ、アジ、サバ等におきましては非常に経営が不安定でありますので、これらの中少漁業の経営をいかにして安定せしめるかということが今後の漁業政策のもう一つの大きな問題ではないかというふうに結論をつけられておるのであります。 その意味におきまして、この二つの政府提案の法案が、今言った基本問題調査会の答申の線に沿いまして、ともかく中小漁業の経営安定のための水産物価格安定に必要な施策として提案されておるのでありまして、その趣旨におきましては、基本的にはこれに賛同をいたすものであります。 漁業生産調整組合の構想でありまするが、これは法律案として現在御審議をいただいておる次第でありまするが、実は、この生産調整組合の考え方は、自然発生的といいますか、漁業者の自主的な一つの組織運動としてすでに現在をいたしておることは御承知の通りであります。すなわち、サンマ漁業を中心といたしまして、全国さんま漁業協会がすでにできておりまして、過去においてサンマの季節的・地域的な集中のためにサンマの価格が非常な暴落をいたしておりますので、これを何とか自主的に調整をいたしたい趣旨から、すでに二カ年にわたって、漁業者の自主的な取りきめによりまして、もちろんこれは水産庁当局の御援助もあったと思いまするが、少なくとも自主的な方法として、操業の調整、あるいは積荷の制限、あるいは休漁日の設定、入港調整等の生産面の調整を今日までやっておる実績があるのでございまして、大体この実態を基盤としてこれが法制化された、かように見ておるのでございまして、現在すでにできておりまするものを法制的に確認、確立をするものというふうに理解をいたしておるわけであります。 もちろん、この生産調整組合につきましては、私どもの部内においても若干の意見なしとしないのでございまして、基本問題調査会の今後の十カ年の水産物の需給から見て参りましても、なお八百数十万トン程度の水産物の需要があるということが指摘をされておるのでございまして、従って、さような国民経済の面から言っても、いたずらにとり得る魚をとらないということは、これは一つの敗北主義ではないかというような意見も実は一部にはあるわけであります。従って、とれる魚を単にとらぬということは、これは私どもの念願ではないのでございまして、とれるものはできるだけとりながら、しかし他面において少なくとも生産費ぐらいはカバーできる程度の価格と見合うということがありませんければ、これはいたずらに豊漁貧乏を繰り返すばかりでございます。従って、何も単にとれるものをとらぬというわけではないのでございまして、地域的あるいは季節的に一時に市場の処理能力を越えて不当にサンマ等がとれて参りますと処置もないわけでございますので、それを適当に時期なり水揚げ等を調整しつつ魚価の調整をはかりながら、できるだけ生産を上げて参りたい、こういうふうに考えておるのであります。従いまして、私どもは、生産調整組合だけで今後の魚価対策としては満足はいたしておらないのでございまして、今後、漁港を整備することはもちろんでありますが、生産、消費地を通ずる冷蔵庫等の整備、あるいは水揚地から消費地への水産物の運搬施設の整備等をはかる、あるいは市況通報の制度を完備するということで、要するに、とれたものを魚価の暴落を来たさない限度において極力これを増産をして国民需要に応じて参りたい、ただ野放図にとってきたということでは漁業者が参ってしまいますので、そういうような趣旨においての生産調整としてこれを実は理解をしていきたいと思うのでありまして、もちろん、消極的な敗北主義であってはならぬというふうに考えておるわけであります。ただ、私どもは、生産調整組合あるいは魚価安定基金法ができますることはその意味で一つの進歩であると考えます。 ただ、今日までまことに等閑に付されております問題は、海でとれた魚を水揚げして、それから中央の市場等に出荷をされるわけでありますけれども、海陸の接着点でありますところの生産地の市場について的確なる政府の法制なり指導方針がないということをきわめて遺憾に思っておるわけであります。中央市場の問題については今日までも数次の改正がなされ、現在政府においても中央市場法の改正をお考えになっておるようでありますけれども、中央市場へ出る前の産地、浜におきますところのいわゆる生産地市場について何ら法制も中央の的確なる指導もない。場合によっては自分のとってきた魚を自分の協同組合以外の団体に出荷をしてそこで買いたたかれておるという例が非常にあると思うのでありまして、そういう意味で、私どもは、市場制度調査会におきましても、中央市場とあわせて産地市場の問題をまず解決してもらいたい。そういたしませんければ、肝心のところが抜けてしまうわけでありますので、そういうような産地市場の問題につきましても明確な法律・制度等を早急にお立てを願いたい。とってきた魚を冷蔵庫に入れて調整をするという、そういう接着点の産地市場機能について、もっとはっきりした生産者のためになるような産地市場制度をぜひともお考えを願いたいということを特に付言をさせていただきたいと存ずるのであります。 それから、魚価安定基金法案でございますが、これも実は八千万円の裏打ちがありますところのすでに通過を見ております予算の執行に必要なる法律というふうに私どもは理解をしておりますが、遺憾ながら、八千万円の魚価安定に関する予算ということでは、どうも畜産物、農産物等の価格安定に関する予算と比べまして格段の貧弱なる予算でございまして、まことに遺憾しごくに実は存じておりますが、しかし、これも実は国会議員の先生方にもずいぶん御配慮を願ってようやく八千万円であれ取れたというきわめていきさつのある予算であります。そういう意味で、金額はわずかではございまするけれども、何とか不完備ながら通過させて、これを次第に補完・修正をしていくというふうにお願いをしたいと思うのであります。この基金法案につきましても、従来ほとんど水産庁の予算におきましては皆無でございました流通関係の予算がこの両三年にできておるのでございまして、サンマかすの保管事業に対して金利の助成を骨子とする水産物流通対策の補助金が前年度までは千数百万円が予算に計上されておったのでありますが、この補助金でありますると、一つには昨年のようにサンマが不漁でございますとこの予算は未使用に終わってしまうわけでございます。わずかな予算ではありまするが、サンマの不漁等で魚価がある程度よろしい場合においてはこの予算は未使用として使用しない部面もございまするし、また、国の補助金でありますると、なかなか補助金をいただくまでには手続も相当かかるというような煩瑣な点もございますので、従って、民間の出資と合わせまして一定の基金を作りまして、その運用益で金利等の助成をいたすということは、従来の予算よりもある程度進歩はしておるというふうに見てよろしいと思うのであります。さらに、従来の水産物流通対策の補助金は今申し上げました通りサンマかすの保管に対する金利の助成だけでございましたけれども、今回の魚価安定基金法によりますれば、助成の対象も、生産調整組合の行なう経費の補助、さらに、保管をした場合におきましても、従来の金利に加えまして、保管料につきましても補助ができるということになっておりますから、補助対象の範囲も拡大せられておるわけであります。ただ、いかにも、国が八千万円、地方公共団体が四千万円、われわれサンマ業者が四千万円、合計一億六千万円では、とうてい非常な成果を期待するわけにはいかぬかと思うのでありまして、米麦、畜産物等の価格安定の予算施策と比べますると、まことにどうも貧弱な感じがいたすのでございます。今後サンマ以外のイカでありますとかアジ、サバ等にもこの基金構想は拡大をされるものと存じますけれども、さようなことも含みまして、いま少しく政府においても財政的な支援を与えてしかるべきではないか、また、サンマの魚かすだけじゃなくして冷凍をしたものについても魚価安定基金のいろいろな補助の対象にもしてもらいたいというふうに考えておるようなわけであります。率直に申し上げまして、八千万円の予算では、民間の八千万円と合しましても、魚価安定という大きなスローガンを掲げるほどの実効を期待できるかどうか、実はいささか疑問に思っておりまするが、しかし、従来ほとんどなかった水産庁の予算に新しい流通面の予算ができたのは実は初めてでございますので、私どもは、八千万円を取るにもずいぶん四苦八苦いたしたような過去の記憶もあるのでございますし、また、もう五月も過ぎなんとしておりましてサンマ漁期も近づいておりますので、不十分ではございまするけれども、これを一つ何とかサンマ漁期に間に合うように御配慮いただいて、これを橋頭塗として、後に述べまする社会党から御提案になっておりますようなああいうような構想にまでぜひとも一つ国会においては次第に拡充をしていただきたいというふうに存じておるわけであります。 次に、社会党の議員の各位から御提案になっておりまする法案でございまして、これにつきまして意見を申し上げまするが、まず、水産物の価格安定に関する法律案、これは、私ども、一昨日この法律案を送付いただきましたので、早急に勉強をいたしましたので、まだ詳細にこれを理解する時間も実はないのでございまするが、私どもは、かねてから、全漁連に参りましたときから、どうも水産物については何ら魚価流通に対する対策がない、かつて私どものやっておった食糧庁等の経験からすれば、少なくとも保存のきくものは政府において買い上げくらいはしてよろしいのではないかということをばかの一つ覚えのように実は言っておったわけでありまするが、これもなかなか実現ができない。ところが、最近、事業団という構想で、政府が相当の支援をした事業団を通じて価格調整をするという構想をすでに畜産方面でもお考えになっておるようであります。私どもも、この構想は、魚価安定基金を論議する場合においても、将来はこういう構想にまでぜひ行っていただきたい、政府買い入れが困難でありますればこういうような構想を一つぜひ持っていただきたいというふうに考えるのであります。ただ、今言ったように、内容をつぶさに検討する時間もございませんのでありますが、一覧いたしまして多少理解に苦しみました点は、価格が下がりました場合には標準価格との差額を交付金として政府から補てんをするというアイデアがございまするが、それとまた別途に事業団ができまして、事業団がやはりある一定の価格で買い入れをする、ですから、政府の交付金による補償と、事業団の買い入れ、おそらくこれは生産費を割らぬ程度の価格でお買い上げになると思いますが、この事業団の買い入れとの関係が、実は法律案だけではちょっとどういうことになりまするか理解がしにくいというような点であります。こういう意味で、私どもは、この構想は私どももかねてから一つの問題としてしきりに考究をいたしておる点でありまして、この構想には必ずしも反対をいたすものではないのであります。ただ、角屋先生等もこれは御提案者であるようでありまするが、私どもは漁業協同組合運動でございますので、できれば協同組合の共販事業という面でまずできるものはやりたいと思うのであります。共販事業でどうしてもできないところをあるいはかような公団なり事業団という構想で処理するということかと思いますが、これができた結果本来やるべき漁協の共販事業の領域とも競合することになりますると、かえってその辺でいけないのではないか。これはもちろん運用の問題でありますので、この辺は行くと思いますが、そういうようなことを一つこの法案の御審議の際にはお考えをいただけばけっこうと存ずるのであります。 それから、特にこの法案で御関心を持っていただく点でありがたく存じておりますのは、外国産のフィッシュ・ミールの問題であります。これをやはりこの事業団に一定の価格で売って、おそらく事業団で価格調整をするということであろうかと思うのであります。私どもも、沿岸漁業の魚かすの面から見て参りますれば、できるだけ魚かすの価格を下げたくない、少なくとも生産費をカバーできる程度の魚かすの価格は支持いたしたい。そうしませんと、魚価安定基金を作りましても、魚かすが安い外国産のミールの輸入によってすぐさま影響されては、同じ農林省内部における政策に矛盾が出てくるわけでありますので、従いまして、魚価安定基金を作ってサンマかす等を中心としてかすの価格を支持しようという以上は、外国から安いかすが入ってきてそれによって脅威を受けるという問題についてお考えがなければ、これはいたずらに混乱が起きる。現に起きておるわけであります。現在、食糧管理特別会計で外国産のミールを入れるという問題が現に予算上におきましても通過しておるわけでありまするが、この辺も、魚価安定基金の構想と、食管特別会計が入れるという、縁なきところでこれがやられるということについては、私どもは実は反対をいたしておるわけでありまして、私どもは、沿岸漁業の振興とあわせて畜産の振興に協力することはもちろんでございますので、従って、国内かすについては生産費を保障するし、また、安い外国産のミールが入ってきた場合においては、それを適当なる機関で調整をして、沿岸漁業振興と畜産の振興の両全を期する、こういう構想をぜひこれはお考えをいただきたいと存ずるのであります。 それから、もう一つは、この価格安定の法案では、水産動物が対象になっておりまして、水産植物の方までまだお考えが行っておらぬかと思いまするが、実は、水産の海草類につきましても、最近の情勢は、貿易自由化のルールに従って、やはり相当の問題が次第に顕著になっておるのではないかと思います。韓国ノリの問題は、これは国会でもいろいろ御配慮願っておりまして、また、先般の関税審議会におきましても、従価大体四割、従量で二円程度の関税が決定されておりますので、これでおそらく大体は何とか措置ができるかと思うのでありまするが、ただ、問題は、寒天の原料のテングサ類でありまして、これが、先般御審議をいただいた関税定率法の改正案でも、外国から入ってきまするところのテングサ類が無税になっておるわけであります。私どもは非常に反対いたしたわけでありまして、零細漁民がほんとうに裸になって海へもぐってとってくるところのテングサ類について、外国から安い原料が入ってくることは、非常にこれは大きな脅威でございまして、現在二百万貫程度の国内の生産でありまするが、最近は百万貫内外のものが外国特に北欧なりアフリカ方面から国内産価格よりも相当安い価格で現在輸入をされております。ぜひとも関税面でこれを防遏してもらいたいということを関税審議会におきましてもいろいろ私は微力を尽くしては参りましたけれども、衆寡敵せず、輸出原料という意味において無税になったようないきさつでありまするが、かような問題についても、この事業団において、国内のテングサと輸入のテングサ類を一箇所で調整をするということも、これも一つお考えをいただいたらどうであろうかというふうに思っておるようなわけであります。 それから、沿岸漁業振興法案と水産業改良助長法案でございますが、私どもは、沿岸漁業振興ということが今日まで国会なり政府等においても相当口では言われておりまするけれども、財政的裏打ちその他においてはまことに貧弱きわまるのでございますので、従って、このような法案につきましては何ら異存はございません。ただ、基本問題調査会なり漁業制度調査会の答申も終わっておりますので、政府においてこれらの答申を基礎として早急に農業基本法案に匹敵するような漁業に関する基本法案をぜひともお出しをいただきたいということをこの機会に強く御要望しておきたいと思うのであります。私どもは、しばしば言っておりますように、農業基本法案について国会ではずいぶん御議論が現在されておるようでありまするが、率直に言いますると、農業問題についてあれまで御熱心な審議をされております御苦労をうらやましく実は存じておるようなわけであります。農業については今日まで生産なり価格対策あるいは資材対策、金融対策等についても一応いろいろな政策がされておりまして、ただ、それが、現在の内外の情勢からすれば、従来のやり方を根本的に再反省をして新しい農政としてこれを展開して参る、こういう曲がりかどに来ているという表現が私は確かに当たると思うのでありますが、漁業については曲がりかどではないのであります。まだ道がついておらないというのが率直に言いまして漁業に対する今日の制度ではないかと思います。流通価格面なりあるいは貿易面その他についても、ほとんど今日まで具体的な流通対策あるいは価格対策、資材対策、食管法なり農産物価格安定法なり肥料関係法、飼料需給安定法その他の一連のそういう施策がないのでありまして、道をスタートを切って今までのやり方をこの際再検討して曲げるというよりも、スタートにおいてこれからぜひとも政府・国会において沿岸漁民が生きる意味の基本的な方向を一つ打ち出していただきたい。要するに、漁政の今後のあり方について天下に宣明されまして、また、国においてはこれに基づいて真剣に各般の予算なり法制を整備をしていただきたいというふうにお願いをいたしたいのであります。 なおいろいろ申し上げたいこともございますが、時間があまり過ぎますることはお約束にそむくわけでありますので、どうぞ、私ども、政府提案の法律案についても、もちろんこれはこれでもう双手を上げて歓迎というわけではないのでありまするが、今言ったようにサンマの漁期も迫っておりますので、ともかく、これは何とか、せっかく取った予算が生きないことも残念でございますので、できれば社会党から御提案のような構想もできるだけ入れてお取り組みを願いたいと思うのでありますが、もしそれが短時間の国会でできないとしますれば、社会党御提案の構想なども十分取り入れて今後補完体制をしていただきたい、かようにお願いを申し上げたいと存ずるのであります。 以上、はなはだ雑駁でございましたが申し上げまして、御参考に供した次第でございます。(拍手)
○坂田委員長 次は、岡本清造君。
○岡本参考人 岡本でございます。一昨日この委員会に出るようにというお電話をいただきまして、それから資料をいただいたりして、時間がございませんで、はなはだ不勉強で出たわけであります。そういう点から申しまして、ただいま片柳参考人が全般について非常に深い御見解を述べられたのでありますが、私は、その数多い法案の中の魚価安定制度に関する法案につきまして、平素勉強しておる立場から若干意見を述べさせていただきたいと思います。 言うまでもなく、価格というのは、経済問題として、すべての経済現象のかなめと申しますか、中心と言うか、あるいは逆に言えば経済生活をしていく上の出発点、前提でもあるわけです。すべてのことが価格へ、——現在の経済では当然そうだろうと思うのですが、その価格の問題、これは非常にむずかしい問題だろうと思うのであります。特に、鮮魚、なま魚につきましては、昔からなま魚に相場なしと言われておりまして、その価格について、原理と申しますか、法則と言いますか、一定の傾向などというものがはっきり出ないと言われておった。その水産物価格を何とかして安定させなければならないし、また、安定させようという政策としてはまことにむずかしい問題だと思いますが、このむずかしい問題を政府及び社会党案で示されたようにその問題とお取り組みいただいたことは、先ほど片柳参考人も申しましたが、水産業に関係のある者として非常に敬意を表する次第であります。 ただいま申しましたように、価格の問題は非常にむずかしい。そのむずかしい問題について立ち向かったのでございますが、その取り組み方について私は若干基本的な点を申し上げたいと思います。 私、大学の教授をしておるものですから、実際のことは非常にうといので、あるいは皆さんに迂遠なとおしかりを受けるかもしれませんが、やはり、この際基本的なものをしっかりお考えいただきまして、そこからどのような価格安定の制度を打ち立てていくかということをよくお考えになりながら当面の法案の審議をお願いしたいと存じます。 まず第一に、私、気がつきましたのは、政府案にいたしましても、それから、社会党案は、これは非常に構想が大きくなりまして、片柳さんからも言われましたが、私、ちょっと拝見した法案だけではわからないのですが、まず第一に政府案について申しますと、私の考えでは、価格安定については、長期的な基本的な価格安定・維持というそういうふうな面と、それから、当面の価格が非常に暴落するとか、あるいは産地で暴落するとか、ある魚種が暴落する、それではその漁業がやっていけないから何とかしようという面とあるわけですが、この法案は、非常に具体的な、当面と申しますか、あるいはその効果は短期的な効果を持つようなそういう安定法案であると思います。この基金制度を見ますと、制度そのものはかなり長期的でございますけれども、しかし、条文をずっと読ましていただきまして、ねらっておるところは何かというふうなところを見ると、どうも当面のある魚種についてというような感じを抱かされておるわけです。いずれは広げてもいくだろうし、また、基本的なものに成長させていくのでありましょうけれども、しかし、勉強する者の立場から言えば、まず基本的なものの方が先になるわけでありまして、その点で、これからむしろ実際をやりながら基本的な価格安定・維持という方向へ伸ばしていただきたい。ところで、その基本的な価格安定という場合に、たとえば、現在の漁業の経済構造と申しますと、実ははなはだ大まかな表現でございますけれども、商品を販売する能力なくして商品販売をやっている。非常に極端な言い方でありますが、刀を持たずに切り合いしているようなもの、商品販売の方はすべて商人まかせというふうな状況が現在まであったわけであります。現在もあるわけです。少なくとも、現在では、とったものはほとんど全部売らなければならぬ、そういうふうな状況にありなから、商品経済の発達した中で漁業をやっておりながら、漁業者は海のことは一生懸命になるけれども、おかから後のことが問題にならない。そういうふうな漁業者があります。それから、もう一つは、その漁業者が、非常に大きな漁業者から零細な漁業者に至るまで、また、経営の経済的な能力と申しますか安定性というふうな点から見ましても、非常に格差のあるピンからキリまでの生産者がずらっと並んでおる。そういう点で、価格といっても一体どこの価格を見ていいか。これは理論的にはいろいろな説がございますけれども、すその方を見るのか、あるいは中を見るのか、あるいは上の方を見るのか、そういうふうな点ではっきりさして、どこかで価格を安定していかなければならない。同時に、それは他の物価、ことに漁業用資材、燃油、それから造船価格、なかんずく漁夫の労賃との関係、漁夫の所得、それから一般労賃水準との関係、それと比較し、かつ、海での労働という非常に労働として苦しい労働を持っている、その労働者の労賃というものが確保できるような価格は一体どうなのだという点を見て、そしてそのような標準の価格をできるだけ変動のないように、むしろ生産の増大に刺激するような価格へ持っていく。こういうことが長期的な基本的価格安定の問題点だと思います。 その点で、そういうふうな長期的な価格安定策の打ち出す手と申しますれば、どうしても現在の流通機構を全面にわたって整備する。そこでおのずから今申しましたような安定的な価格が打ち出るような流通機構を作り出す。いろいろな価格について政府が手を出したりあるいは業者の団体による統制をやったりいろいろしますけれども、実際は統制というのは価格現象については非常に弱い効果しか持ちません。価格の持つ論理が政策を上回ってぐんぐんと進んでいく。あの戦時統制のような非常に強力な権力のもとでやった統制でさえも、価格面ではかなり逃げられてしまう。そういうふうなことから見ますと、ある理想的な価格あるいは標準的な価格を実現しようとするならば、実現するような条件を流通機構を整備することによって作り出す。そうすれば、言うてみれば価格について手を打たなくても出てくるのじゃないか。私はそれをねらっておるわけなんですが、そういう点から申しまして、基金法なるものは、おそらく、立案者としては、頭の中では理想的にそれを描いておられるのでございましょうけれども、あの法案の中にはそれがうかがわれない。その点で私若干あきたらないのでございますが、そのような点を国会の方面でももう一つ御要望願いたい。 それから、短期的と申しますか、具体的と申しますか、そういうふうな価格安定につきましては、あの法案でもそう表面には出ておりませんが、においをかぎつけますと、サンマ価格対策のような感じがいたすのであります。これもまた一、二年後には順々に範囲を広げて参るのでございましょうけれども、予算その他の関係も、実際にやれるものといたしましてサンマを予想されているのだと思います。また、実際にここ数年の間特に価格の上で問題になりましたものはサンマ漁業でありますから、それをおねらいになったのは当然でございますけれども、しかし、水産物価格を安定させるという看板からいたしまして、もう少し何かお考えがあってしかるべきではないかと思います。たとえば、標準最低価格をサンマの魚かすに置くのだと申すのでありますが、イカの価格を問題にした場合に、イカかすというのはないのだし、はたしてサンマかすとイカとどういうふうに価格がなるのか、あれを運用する場合に何を考えられているのか、私には十分わからないのであります。 それから、もう一つは、生産費だとかあるいは最低価格だとか標準価格だとか言いますけれども、その価格を一体どのようにして算定し、つかんでいくのか。まあそれは法案でございますからそんな詳しいことは書いてあるはずはないのでございますが、最低価格はこれはわかりますが、しかし、最低価格を維持することは必ずしも漁業のためにいいとは限らない。その辺のところが問題になりますが、たとえば、平均価格というときに、その平均をどうとらえるか。また、それをとらえて、しかるべき平均価格を打ち出すような準備が行政庁にできているかどうか。ただ、どの法案でございましたか、平均的販売価格というふうな文字を出されておるのでありますが、その価格がきめられた場合に業界に及ぼす影響というのは、それをよく考えた上で平均を出さないと、ただ机の上で平均したというのでは非常に困るわけですが、その辺の説明が十分ない。私、経済学をやっている限り、そういうところの説明がないと、趣旨には賛成だがというふうなことになりまして、十分な理解ができないのであります。 それから、もう一つ問題なのは、価格安定とその裏づけになっております漁業生産調整組合、これも趣旨としては十分理解できるし、わかるのでございますが、これも私理想を申し上げるのでありますが、あの調整組合をどのようにして作り出すかということ。たとえば漁業種類別に作り出すのか、あるいは価格安定——この価格安定というのは魚価全般でありますが、水産物の価格を安定させるという効果を持つような組合を作り出すのかということであります。私の言う基本的な価格安定というときには、サンマ、イワシというふうにその一つ一つは具体的に出ますけれども、それよりも大衆魚の価格ということで出てくるわけであります。実際には市場ではサンマの価格、イワシの価格、イカの価格としてございますけれども、経済的に見ますと卸売市場で百円から百五十円くらいの間の相場であります。ところが、大衆魚であって、国民から見れば、それがイワシであろうとサンマであろうとサバであろうと、これは同じことなんです。そういうふうな大衆魚の価格というふうに考えました場合に、業種別の細い線で切られた生産調整組合がはたしてそのような価格を打ち出すような機能を果たすかどうか。それよりも、これも調べなければわかりませんが、一定の需要と供給とのほぼ適合するような地域を考えまして、かりにこれを水産経済地域とでも申しますならば、そういうふうな水産経済地域の中で主要漁業種類を今言っような生産調整組合にしていくことが実際に理想的な価格を打ち出すメカニズムとして適切じゃないか。これは相当準備が要りますけれども、そのように存じます。 社会党案のなにを伺いますと、たしかスエーデンで非常に漁価安定制度が発達しておりますが、あれに似たような案ではないかと私思うのであります。そのスエーデンでも、あの広いところを三つくらいの大きな海区に分けまして、その海区ごとに価格調整機構を打ち出すような仕組みになっております。ただ、スエーデンの漁業経済状況と日本の漁業経済状況とはかなり違います。また、流通機構の諸条件につきましても、そういうふうな価格安定をする機構上の準備がすでにできておる。だからあれができたわけでございますが、日本では、先ほど片柳参考人が言われたように、流通上のことは、中央市場の制度は整備しつつありますが、まだ生産から消費に至るまでの全流通については非常に不満足な点がたくさんある。特に産地市場につきましてはいろいろな流通上の条件が不備でありまして、その不備な結果が価格暴落に出て参るのでございますから、やはり、価格だけをいじくるのじゃなくて、そのような価格になる環境と申しますか、条件を作っていただきたい。 私、調査の関係、勉強の関係で、ちょいちょい漁村に参りますが、大漁地帯へ行きますと、実はこれは物理的に不可能なんです。輸送能力が全然ない。それから、水揚げ地を指定してというけれども、かなり大きな漁業であれば、かなり広い範囲の水揚げ地がどこも同じくらいに大量に水揚げされているのです。実際の業者から言えば、若干の間隙はあるでしょうけれども、私たちから見れば、どこも一ぱいです。特にサンマのような場合を考えますと、東北線は一本でございますから、宮古で積もうと気仙沼で積もうと、結局レールは一つなんです。そのレールの消化能方がないとやはりうまくいかないのじゃないか。そういう点で、まず輸送のワクを広げることが第一だと思います。 第二には、これは時間的な調節でございます。もちろん、冷蔵庫、加工業がございますが、冷蔵庫にいたしましても、冷蔵庫の設置が現在はなはだ不合理です。特に国民経済面で見た価格安定をさせるような立地のいいところへ冷蔵庫が設置されておりません。私の調べたところで、少し古いのでありますが、冷蔵庫の稼働率は平均しまして四十何%であります。七五、六%稼働率がなければならないのが、立地条件が悪いために、すなわち、入庫させるためには相当な運搬費をかけなければならぬようなところにあって、しかも時期的に入ってくるものがないというふうなことで、五〇%以下の稼働率しか示しておりません。もう少しあれを流動的にどんどん使って価格安定に資するようにしようとすれば、やはり、冷蔵庫の分布の合理的な配置を考えなければならぬと思います。そういうふうな点を十分整備するのでなければ、理想的価格になるはずがございません。 そういう意味で、今日の価格対策は対症療法的な対策をねらっておるように思うのでございますが、しかし、一歩でもこのむずかしい価格問題と取り組んで、そしてそれに芽を出して、これから根を張り枝を築き上げていくという意気込みで、その第一歩としての基金制度というふうに理解いたしまして、できればこの法案の通過するように私は望むものでございます。 実際問題として一億六千万円の運用益でどのくらいの価格安定操作ができるか私わかりませんが、けさ新聞にも出ておりましたが、三千三百億円の中でかりに三割が大衆魚だといたしまして一千億円であります。一千億円の百分の一、十億円を何かオペレートしなければならぬとして、はたして一億六千万円の——しかもそれを使うのではございませんで運用益金でやろうというのでありますが、どのくらいのことができるか、私実際のそろばんを置いたことがございませんからわかりませんが、数字から見てかなり困難なことだと思っております。しかし、この困難なことを困難だと言ってしまってはいけないので、困難なことと取り組みながら、さらに、私が先ほどから申し上げましたような基本的な諸点を考慮いたしまして、価格についてもやはり基本的な価格安定というものを打ち出すような努力をしていただきたい。議員の先生諸君には、そのような注文をつけながらどうか御審議を願いたいと望む次第であります。(拍手)
○坂田委員長 ありがとうございました。 次は、高木和夫君。
○高木参考人 今般内閣提案にかかります漁業生産調整組合法案並びに魚価安定基金法案に対しまして、私はサンマ漁業者といたしまして率直に私どもの意見を申し上げたいと存じます。昨晩伊豆の突端から東京へはせ参りまして、十分な勉強をいたしておりませんが、きわめて雑駁な意見であるということを御承知おき願いたいと思います。特に、全漁連会長の片柳先生とも重複することを御了承願いたいと思います。 現内閣が中心施策といたしております所得倍増計画でございますが、この所得倍増計画は、われわれども第一次産業の倍増計画を達成するためには、非常に困難性があるのではないかと心配をいたしております。特に、漁業に対しましては、一隻当たり、一企業単位の漁獲高が倍になるとは想像できません。また、われわれのとります魚の値段が倍にされるとするならば、国の価格体系が狂って参りますので、これも許されないのではないかというふうに考えるわけでございます。また、漁船あるいは漁具等の設備投資がだんだんと増大されて参りまして、その償却にきゅうきゅうとしておる反面、われわれの仕込み資材と申しますか航海経費はほとんど下がっていないのであります。ただ燃油につきましてはここ数年少しずつ下がっておりますが、その他はほとんど下がっていない状況でございます。 私どもは、全漁連を中心といたしました組合運動や、あるいは業種別団体によりますいろいろの諸方途を講じまして、私どもの収入の増加のために努力してきておるのでございまするが、まことに遅々として進まない状況でございます。御承知の通りに、漁業者は、雨の日も風の日もあの狭隘な船の中で家族と離れて生活いたしておるのでございまするが、その収入は他産業と比べましてきわめて低いのでございます。一刻も早く抜本的な対策を講ぜられまして、われわれの渇望いたします経営の安定をされるよう切にお願いいたす次第でございます。 私どもの主たる漁業でありますサンマ漁業は、御承知の通りに、多獲性の大衆魚であります。特に時期的にあるいは地域的に北海道、三陸等に集中水揚げするわけでございます。そこの港において処理能力を越える水揚げ高でございまして、魚価が一時的に非常に暴落するのでございます。それでなくてさえ経営の非常に困難な不安定な中小漁業者をますます脅やかしておるのでございます。いわゆる大漁貧乏でございます。一昨年より、私どもは、自分たちで自主的に、無線通信連絡によりまして、いわゆる集中水揚げ、水揚げのたくさんある港へ集中的に入っていくことを避けるために、無線連絡し合いまして集中水揚げを排除しようということを努めて参ったのでございます。また、大漁時における休漁日を設定いたし、あるいは最高積載制限を行ないました。航海の安全や乗組員の休養をあわせて考えて参ったのでございます。また、北海道等におきましては、根室を中心といたしまして、大漁時における処理能力を越えた場合には自主的に水揚げを休んでおるというような状況でございます。 今般農林漁業の新政策の実施に伴いまして本二法案が上程されましたことに対しまして、私ども漁業者といたしますと非常に深い関心を寄せている次第でございます。農業につきましては、その生産物の約七〇%が国の価格安定の対象とされておると聞いております。しかしながら、水産物については価格対策は皆無にひとしい状況はすでに御承知の通りでございます。政府がその対策を鋭意推進する意図によりまして今般両法案を国会に提出をされましたことは、時宜を得た措置といたしまして、私ども非常に喜ぶ次第でございます。しかしながら、両法案の内容を見ますのに、自主的調整による魚価安定施策が基本的な考え方でありまして、多年私どもが熱望して参りました本来の魚価対策並びに流通改善の諸方策は積極的に織り込まれていないと存ずるのでございます。 まず、魚価安定基金法案についてでございますが、第一番目に、その目的として、自主調整等の事業につき助成すると書いてございまするが、生産、流通、消費の各分野に対しまして強力に推進する意欲に欠けているように存ずるわけでございます。 第二番目に、魚価安定基金の政府の出資額はまことに僅少でありまして、前述の片柳先生あるいは岡本先生が申しておりました通り、わずかに一億六千万でございます。この運用益といいますと千二、三百万と存ずるのでありますが、これではたしてどれだけの仕事ができるでありましょうか、どれだけの事業ができるでありましょうかということは、きわめて疑問でございます。この法案については、何か政府出資の八千万円で打ち切られるような感を受けるのでございますが、将来これが追加増額が可能なような処置を配慮されたいと存ずるのでございます。 第三番目には、業務の内容でございますが、従来国が実施して参りました水産物流通対策事業、これは千三百万円ばかりやはり毎年予算に計上してございまして、魚かす対策、キロ十一円でサンマを買って加工した場合、規準価格以下になると魚かす業者に対しまして保管日数に応じて利子補給をするという考え方でここ数年継続しておりますが、ほとんど使われていない状況でございます。ちょうどその値ごろになる期間がきわめて短いからでございます。十一円を割りまして九円、八円になりました場合、業者は九円、八円で買うので、この流通対策には乗らないのでございます。また、十二円、十三円になりましてもコスト高でできないのでございます。従いまして、有名無実にひとしいような施策であったのでございます。今般この法案はこれに改善を加えて制度的に工夫したものでありますが、いずれにいたしましてもサンマかす対策の域を出ないのでございます。例年サンマの生産量の約三〇%が魚かす原料でございます。約四〇%が冷凍魚、残りの三〇%が鮮魚やあいるは開きとかカン詰とかの加工となっておりまして、このせっかくなサンマは、生鮮食料品でございますので、魚かす対策だけでなくて食料品として消費を増大するように、冷蔵、冷凍その他の加工も含めましてこの助成の対象となるように範囲を拡大されるようお考えを願いたいと存ずるのでございます。 また、調整組合法案の第十条の個別的特定制限に対する調整措置がはっきりいたしておりません。明確を欠いておるのではないかというふうに考えられます。また、基金運用益の先ほど申し上げました千三百万円では、私から申し上げるならば、九牛の一毛であろう、まことにわずかしかないように考えられるのでございます。農林漁業基本問題調査会において答申いたされましたごとく、水産物の価格安定をはかるためには、生産者の自主調整組織を機軸として漁業調整をはかり、あわせて冷蔵・加工施設の整備と消費拡大のための積極的な価格維持政策の確立、あるいは魚価が一定水準以下になった場合にはある公的機関が積極的に全量買い上げ方式を採用すべきだと言っておりまするが、これが実施には、私ども考えますのに、技術的に専門的に言って相当困難性があると思います。たとえば北海道で揚がるサンマ、この同じサンマを三陸から南の方へ持って参りますと、その魚体によっても非常に考え方が違って参りましょうが、これをきめるのに生産原価でこれをきめるといたしましても、あるはまた種々の方途を考えていきますと、私ども非常に困難性があるように考えられます。そういう考え方で施策がこの法案に反映するようにぜひとも御配慮願いたいと存ずるのでございます。 次に、漁業生産調整組合法案に関してでありまするが、第一に、法案の第十条第二項による事業の活動にあたって、これは先ほど申し上げました技術的に専門的な判断並びにこれを判断するために相当の資料・材料が必要でございます。この収集と、これらの事業を生産調整組合において行なうには、各主要港に指導監督員あるいはまた魚価の管理委員会というようなものの機構が必要ではなかろうかと存じます。この事業の運営費は相当膨大であろう。これを調整組合の賦課金、要するに漁師から取ってまかなえというのでございますが、金額の負担がきわめて過重である。私どもは基金の出資を行なっております。その上にこの膨大な経費の負担を負わされるのは非常につらいと存ずるのでございます。これらの事業費は国が別に財政的措置を講ずるか、あるいはまた基金から助成するかの措置をお考え願いたいと存ずるわけでございます。また、調整組合事業を推進するためには、国はやはり各港等に積極的な指導・監督の方途をぜひ御勘考願いたいと存ずるわけであります。 第二番目に、本法案は、漁業調整組合員以外の人々について、これは強制加入になっておりませんので、この規制が明確でないのでございます。自主調整の事業は元来業者が集まり合ってやっていくのでございますので、いわゆるアウト・サイダーによりこの方面から自主調整がくずされる憂いがあると思うのでございます。従いまして、行政指導によりまして、あるいはまた政府が組合加入への命令等が発動できるようにして下さらなければ、おそらくそういう方面からくずされる危険性があろうと私どもは考えるわけでございます。 第三に、漁業調整法案は生産者の自主調整方式を主軸といたしておりますが、本法案並びに基金法案では十分とは私ども考えられないのでございます。従いまして、主要港における漁獲物の処理・加工施設の整備拡充について、三十六年度予算に計上された冷蔵庫の設置、助成に関する予算をさらに拡大下さいまして、消費地における冷蔵庫をもあわせ作って下さいまして、既存の各冷蔵庫等との有機的な利用により生産者の行なう生産調整事業の円滑化をはかっていただきたいと存ずるものでございます。 また、さらに、先ほど岡本先生が申されておりましたが、輸送の円滑化でございます。私ども、三陸へサンマを揚げますと、うず高く積まれまして、ある年には山になったサンマが下からウジでもってくずされている状況を見ているのであります。魚かすにするにも扱い手がなく、ただ山に積まれておる状況であったのでございます。このときに冷凍貨車でもあったならば、もう少し配車が円滑であったならば、あるいは冷凍トラックなりあるいはまた海上輸送の冷蔵船があったなら、そんなことはしておかないのに、それがない。当時私どものサンマが一貫目当たり二十円に下がっておった。二十円以下といいますと、このくらいのりっぱなサンマが、一本一円以下、八十銭くらいでございます。そのときに信州においてサンマの価格はどうかといいますと、やはり一本十円くらいに売られているのでございます。こういう状況を考えましたときに、輸送という問題がいかに重大かということをつくづく考えさせられたのでございます。 また、生産地の魚市場が、われわれから申し上げますと、まことに合理的な運営がなされてないように存ずる次第でございます。従いまして、国は生産地の魚市場の合理的な運営がなされるように御指導、御監督下さいますよう、切望いたす次第でございます。 いずれにいたしましても、両法案がこの国会に提案されまして御審議の過程にございまするが、私ども中小企業といたしまして、政府や国会から私どもに対する援助の手が差し伸べられてきたことに対しまして、ほんとうに心から感謝申し上げる次第でございます。一刻も早くわれわれが経営安定できますように御審議をお願いいたしたいと思います。この両法案は、私どもから見ますと、先ほどからるる申し上げました通りに非常に不満足ではございまするが、サンマの漁期も差し迫っております。従いまして、すみやかに御可決下さいまして、漸進的にこれを進めていただくよう、ぜひともお願い申し上げる次第でございます。 簡単でございますが、御参考までに申し上げました。(拍手)
○坂田委員長 次は、和田丈一君。
○和田参考人 西日本のまき網関係にあります和田でございます。一昨日電報をいただきまして参ったのでありますが、一々これを検討する時間がありませんので、遺憾ながらまだ十分に調べておりません。ただ、いろいろこういう法案が審議されるというようなことは常に新聞などでも拝見しておりましたし、また、ここに今日いただいたものをちょっと見せていただいたので、大体、ただいま片柳会長さんその他の方々からお話がございましたが、私どもが申し上げたいと思うことはこれでほとんど尽きたと思うておるのでございます。私は、ただ、西日本における多獲性のアジ、これがどうなっておるのかという現状を申し上げて御参考にしたい、こう考えます。ただ、漁業生産調整組合法案、魚価安定基金法案、この両法案はこれを一本として考えていくべきじゃないか、こういうように私ども考えるわけであります。 そこで、概要申し上げますと、常に私どもが期待しておりましたことなどがこれに初めて織り込まれたということなのであります。そこで、この両法案には、結論から申しますと賛意を表します。しかしながら、先ほど来皆さんのお話がございましたように、これで満足かといえば、決して満足ではございません。不満ながらでございます。物足りぬ感じが十分します。今からこれを基礎として御検討願いたい。なお、これを行なわれますことによって、次年度は一つ思い切ったこの線に沿った諸政策が行なわれていくように希望したい、こう思っておるわけであります。 しかし、この法案についてなぜ全面的に賛成なのかということになりますと、現在、西日本における多獲性のアジ、サバ漁業は、もう五年も七年も前から苦難の道を歩んできた業界でございますが、御承知の通り、海区におきましては、西日本海区と申しますと、山口県沖合いから長崎県沖合い、李ラインの周辺、こういうことになっておる。そこで、業者は自主的に資源の調査をし漁場の開発をいたしまして、ただいまは東海、黄海を漁場としてある季節には参っております。けれども、季節的に量的にとれるときには一ぺんに揚がってくるわけであります。そこで、一番困っておるのが価格の安定のための流通対策であります。しかし、それにはまた資源という問題もございます。でありますから、私どもが今行ないつつあり、また行なおうとしておる事柄は、生産調整と休漁日の設定、流通対策による価格の安定、これには、先ほど来先生方の御意見がございましたが、まず冷蔵庫の建設など、それとあわせて高度の加工の研究、もう一つ言うならば魚食普及の研究宣伝、こういうこと、加工はもう今は御承知の通り加工時代になったと私は考えております。こういうことでありますので、冷蔵庫を作って鮮度を保たせると同時に、加工に大いに力を入れなければならぬ時代が来ておるのではないかと私は考えております。 そこで、今行なっておりますことは、概要を申し上げますと、このまき網は、西日本のまき網として現在稼働いたしておりますまき網が、中型、小型を入れて約百四、五十統で、季節的に漁のあったときには一日の漁獲が十五万ケースくらいのものが揚がってくるのであります。十五万ケースと申しますと、一ケースは十五キロ入りのケースになっております。ところが、これをどうして輸送しておるかと申しますと、沖合いであの風速十何メートルという中にも操業するのでありますから、沖でケースに入れるような仕事はできません。そこで、たとい三千ケースありましても五千ケースありましてもわずか短時間に運搬船にまき込んでとってしまうというようなことから、現在は水氷でもって持って帰りますので、働いた晩から漁港へ帰ってくるのは、海区、漁場にもよりますけれども、遠ければ二昼夜、近くの場合は一昼夜といったようなところから持って帰り、そうして、持って帰ったものは即時陸揚げされて鮮度の保全に努められる、こういうことになっております。かりに十五万ケース一日に揚がりますといたしまして、これが二日、三日ということになります。何十万ケースでありますから、この分は必ず滞貨になる。これはどうするのかといいますと、これまた底びき漁業と違います。底びきは、御承知の通り、沖合いでケースに入れて持って帰る。ところが、このまま網のやっておりますアジ、サバというものは、ただいま申し上げましたように、水氷の中につけて持って帰る。ですから、産地市場へ持って帰ったときには、岸壁へ揚げたときには生きたような姿をしておる。それを揚げてそこでケースに入れる。漁の少ないときには貨車が回りますからそのまま鮮度が保たれる。ところが、一日十万ケース、十五万ケースが三日も四日も続きますと滞貨になります。そういうことになりますと、たまたま生きた鮮魚を持って帰ってあるにもかかわらず、貨車待ちするのに二日も三日も野ざらしにして、こもかぶりで市場の岸壁に積み上げられておる。それをようやく貨車の整備を待って運んでいく。ところが、あとから揚がったものは、まず先のものからということになりますから、やはりそれは二、三日ずれる。これから申しましても、これは私は重大な問題だと思います。生きた魚がせっかくとれて持って帰っておるにもかかわらず、消費市場へ持ってきたときには鮮度が落ちてしまっている、そういったものが消費地へ入ってくるということは、何とか打開したいと考えます。 そこで、これらにつきましても、われわれ業界では、申し合わせいたしますし、また、各船が連絡し合って、そうして一つの港に集中しないようにということは努めてやっておりますけれども、何と申しましても、みな事業家なんでございますから、あるいは船の関係、距離の関係ということになりますと、なかなか申し合わせが徹底いたしません。それから、休漁問題、これは生産調整と同時に資源対策の問題とも考え合わせてやっております。でありますから、最近では一カ月に四日間の休漁日を設けてやっておるのですが、このまま網は働くのはどんなものかと申しますと、季節によっていろいろな関係がありますので一様には参りませんが、しけの多いときには月に十日何がしであります。それから、比較的働いたときでまず二十日でございます。この程度である。このうちに四日間の休漁日を設ける、そういうことによって生産調整をやっておるのでありますけれども、やはり、業界が申し合わせだとかいうくらいのものをやっておりますと、一部の違反者の行為によってそれがともすると破壊されるというようなことであるわけなんです。そこで、この法案が望ましいという原因が一つございます。 流通面におきましても、今申し上げますようなことでありますため、これは先ほども御発言がありましたように貨車の問題が大問題です。いつも要求しておりますが、国鉄にせめて冷凍車を西日本に二百車だけ一つ回してくれというようなことを話しておりますけれども、なかなか、やはり予算の関係で、二百どころじゃない、五十両も実現しそうにありません。そういう滞貨さばきのことから考えまして、まず冷蔵庫、——先ほど来御意見がございましたが、私どもそこにあると思うのです。生きた魚が持って帰られてある、その陸上へ生きた魚が揚がっておるにもかかわらず、消費者のもとへは鮮度の低下したものしか届かぬのだといったようなこと、これが大きなガンであります。そこで、まず産地市場に相当な冷蔵庫の設置が望ましい。また、適当な地の利を得た消費地にももちろん必要であろうと思いますけれども、そういうようなことから、貧しい中にも最近は御協力を得て、福岡にわずかながら三千トン級の冷蔵庫を建設しようとして今かかっております。しかしながら、三千トンの冷蔵庫でどうなるかと申しますと、今申し上げましたように、十五キロ入れたケースが一晩の漁で十五万ケースも入ってくるのだから、それが三日続けば四十五万ケースになる。そういうようなときにはとうていこれによって目的を達するということはできません。でございますので、この冷蔵庫の設置ということは、これは相当莫大な費用になると思うので、とてもわれわれの手に負えるものではございません。そういうことで、お願いしたいことは、流通面において価格の安定のためでもあり、また、生きた魚を食ぜんに送っていただけるような方法を考えた場合には、まず第一に、産地としての地理的にいいところへ相当な冷蔵庫の建設、同時に高度の加工研究であります。この点につきましては、私どもも、昨年来、少しでもこしらえてみればまたあとで何らか御協力願えるのじゃないかということで、下関に加工会社を最近作りました。一、二カ月前から動いております。これが一日に大体千五百箱くらい加工できる。これは今ミールをやっております。また、研究中でありますけれども、それによって調味料もやりたいというようなところまで今研究しております。でありますから、まず鮮魚が加工によって食ぜんに上げられるというようなことが最も必要じゃないか、何か加工の方法を考えたいと今業界では懸命に研究しております。 そういうようなことなんでありまして、それがどうなるか。西日本のそれぞれのものが百四、五十統のまき網があって、アジ、サバのまき網でありますが、それらが季節的に一日に十五万ケースもとってくる。それが三、四日続く。それじゃ生産過剰かというと、そうじゃない。皆さんも御存じの通り、全国的には決して生産過剰じゃない。流通の面に障害がある。これは局地的な問題だというふうに考えます。そこで、流通の問題に重点を置いて私ども業界は研究して参っております。 そうしたようなことからこの法案を拝見いたしますと、まずそういうことがほとんど入れられてある。ただ、悲しいかな、内容がどうも何だかちょっぴりしたようなことばかりなんでありますけれども、現状においてはこの程度でもやむを得ぬのじゃないか。近い将来においては、社会党さんから御提出になっていらっしゃるところまで早く実行できるような御努力をお願いしたい、こういうように考えるわけであります。でありますから、私どもは、そういう生産調整、それから今の魚価安定基金の問題も、先ほど来しばしば御意見がございましたが、これは本年おやりになるのはサンマくらいのところじゃないかというふうに考えております。もしも西日本のアジ、サバを主体としたこの大量の魚を扱うということになりますと、これでは何にもなりません。これはすぐおわかりになっていただけると思います。かりに三千ケース積んだ運搬船が五十隻入港するとして、入港する船は主として山口、下関、長崎、この三カ所になる。 〔委員長退席、小山委員長代理着 席〕 これは漁場の関係によって三カ所に集中する。こういう場合に、魚価安定のため何隻かのものを犠牲にして集中しないように入港するところを指定するのだ、こういうようになりますと、魚のことですから、今三カ所あげたのですが、三カ所の中でも価格にいたしますと一ケースが百円ぐらい違うことがある。下関と福岡では一ケースが五百円と六百円で売っておる。そういうことになりますと、一ケースで百円の差が起こる。一隻にしましても、三千ケース積んで帰ってくると三十万円、これが十隻では三百万円、早い話が、極端に申し上げますとそういうことになります。われわれ西日本の業界にいたしましても、このたびこうした法案を御審議願い、まずこの法案が施行されることは大へん好ましいと考えておりますが、われわれの方に生産調整組合を作った、かりにこういたしますと、この魚価安定基金の方にも応分の出資をさしてもらうようになるだろうと思います。けれども、その規模において、先ほど来お説がございましたように、全国のこれほどの問題を一億や八千万ぐらいのもので解決しようということは、私はとうてい困難だと思います。先生方もこの点はよく御承知だろうと思います。少しぐちをこぼしますと、私どもは今まで長い聞捨て子にされたような目で見ておるのです。と申しますことは、沿岸漁民、零細漁民あるいは中小業者すべてが困っているんだということは皆さんよく言われる。けれども、農村対策と比較いたしまして、ちょっぴりしたものも今まで行なわれていない。これに対する施策がわれわれには何ら与えられていないということなんです。自主的に、自主的に、こういうことなんです。貧乏人に自主的にと言っても、自主ばかりの力ではいきません。そこで、せめてこの法案を早く御審議願って、少しは不満もありますけれども、われわれがすでに行ないつつあり、行なおうとしておることがこの中にすべて含まれてあるのでありますから、まずこれから肉づけしていただきたい。そして、次年度においては御検討願って実情に即したようなものに御協力願いたい、こういうように私は考えます。 今、西日本におきましての現状を御参考に御説明申し上げたわけでありますが、大漁貧乏、大漁貧乏と申しますけれども、常に大漁貧乏かというと、そうじゃない。季節的、時間的、局地的にとれるときがある。そういうようなことから輸送が輻湊する。これが一番です。全国的に見てこの大衆魚が過剰生産だとは私どもも決して考えておりません。でありますから、たまたま生きた魚をそうしてとれるものなら、ただ生産調整によって休漁日ばかり設けるのは無策の策じゃないか。ある一定のところまでは、とれる限りはとるのだということでなければならぬと思います。一定の休漁日は当然でありまして、また、現在にいたしましても、月に四日という休漁日以外に、もう一つ、そのときによって、もしもこれでは陸に持って帰ってもとうていどうにもならぬだろうというときには、無線電報でもってすべての船は臨時休漁することにいたしております。そういうことをやっておるのですが、やっておる中に、先ほど来申し上げますように、自主的にわれわれが業界で申し合わせたということになりますと、何ら法的根拠がない。そうなりますと、わずか一部の者の違反によって、ともするとたまたま仕上げた協議が破壊されていくといったようなことで、実は困っておったわけであります。そういう意味からいたしまして、この二法案には私は原則として賛意を表するものでございます。 なお、社会党さんから御提案になっていただいておりますものも私ども拝見さしていただきましたが、理想としてはほんとうにけっこうであります。私は、そうありたい、そうあってほしいと思う。何だかひがんだようなことも申しますけれども、先ほど来申し上げますように、農村対策は、米穀にいたしましても、すべて生産から消費までずいぶん大きい予算でもって御熱心にやっていらっしゃいますが、ちょうど沿岸から沖合いの中小漁業者あたりの立場から申しますと、何だかまま子扱いされておる。ちょうど、大ぜいの者がわんわん泣いておるけれども、それは蚊の鳴いておる声のように聞かれておるような感じを持っておるものでございます。そういう意味からいたしまして、これはほんとうの大要だけ申し上げまして、そして、西日本の現在多獲性のアジ、サバを主体とした動きがどうなっておるかということについて概略御参考に申し上げたわけでございますので、これを御参考にされまして、これからこの法案にますます肉をつけていただきまして、まずいくところは社会党さん御提案になったようなところまで持っていっていただきたい。まず、現状においては、この第一歩としてこの法案を施行するということで早く御審議を願いたい、こういうように考えるわけであります。 簡単でございまするが、私の意見を終わります。(拍手)
○小山委員長代理 ありがとうございました。 続いて、宮城雄太郎君にお願いいたします。
○宮城参考人 宮城でございます。 まず最初に、内閣提出の漁業生産調整組合と魚価安定基金法案とが相関連する一体の法律案のごとく理解されますので、その部分について意見を開陳いたしたいと思います。 魚価安定基金法案の提案理由の御説明の中を拝見いたしますと、「従来実施して参りました水産物流通調整事業につきまして所要の改善を加え、この基金の事業として制度的に確立いたしたいというものであります。」というその次に、「昭和三十六年度はさしあたりサンマかすを指定する予定にしております。」という御説明でございますが、この理由からいたしますると、従来の行きがかり上、この法案の骨子をなしているものが、結局のところ、多獲性の水産物が時期的に過度の漁獲が行なわれ価格が低落いたしました際の最終的な価格の形成は、魚肥の価格を安定させるという線にねらいを置かれているように思われるのであります。その点がまず第一点として私は疑問に思うのであります。と申しますのは、漁業は、御承知のように、歴史的に見ましても、また現実的に見ましても、漁業活動の主たる目的は食料物生産が目的であります。少なくとも魚はなまの姿もしくは食品物としての加工原料として流通することを目的にして漁業活動が営まれているとするなれば、その価格の形成が安定する方策こそがまさに価格安定の眼目点でなければならない、こういうふうに感ずるのであります。しかしながら、漁獲物はしばしば流通において暴落現象を来たしていることは御承知の通りであります。しかし、これは、現実に見まするなれば、先ほども和田参考人がお話しになりましたように、水産物流通を全国的な規模においてとらえていったなれば、それは局地現象として暴落はするが、全国的には一応の平均的価格あるいは平均的需要の中において水産物は流通しているものである。こればまさに間違いのない現実であります。といたしますなれば、昨年の農林漁業基本問題調査会、これに私も関係いたしたのでございますが、その答申の基礎をなしました政府の諸資料によりますれば、少なくとも国民所得の成長値に照応して水産物の需要は増大していくのである、水産物の食品としての需要は国民の中にまだまだ大きな余地を残しておるということを答申しておるわけです。これは資料の示したところでありますし、本日の朝日新聞の報道等を読みましても理解できる点であります。としますなれば、少なくともこのように一方に消費の需要がある、しかし現実的に局地的に起こった現象のために価格が低落しておる、こういう低落現象に合わして価格を安定することが漁業なるものの生産活動を安定させるもとであるのかどうかという点に私は大きな疑問を持つのであります。ともかく、全般的な観察の上に立って見ますると、今日の生産量の状況では、きわめて時期的にあるいは局地的に起こる現象なのであります。これは、必ずしも言われるごとく沖合い漁業の過当競争によって招来する現象であるときめつけてしまうわけにいかないものであるということは、一方に現実に消費があるのであります。そうして、ある地帯だけにそこの輸送力、貯蔵力あるいは漁港における諸施設の不備・不完全のために起こる現象である。これにメスを入れずして、ここで下がったから魚の価値を無視して魚が価値通り流通することに目隠しをして魚肥の価格で安定するということになれば、漁業者の経営は最終的に最低の線に押えられるだろうということを看板とした政策であろうという点について、私は理論的な点において納得いたしかねる点があることをまず御指摘申し上げておきたい。 私は本来が職業柄理屈の方が多くなるたちでございますが、しかし、これは単に理屈として申し上げるのではない。私はしばしば漁村に出向いていく場合がありますが、数年前三陸地方にサンマが非常に豊漁であった時期に、ある三陸の漁村の冷蔵庫で、二月でありましたが、カン詰会社に供給いたしておりまするサンマの価格は貫当たりが九十円から百円の価格において供給しておるのであります。そうして、その漁業組合が仕入れましたサンマの価格は何ほどであったかと申しますと、二十円から三十円の価格で買い取ったものであります。すなわち、ある一定の時期だけその漁業者の生産物を市場から隔離して保管するなれば魚は価値通りに流通するということを私は現実に見て参りました。魚価対策とは、このような流通機構に隘路があるなれば、流通機構の隘路をいかにして打開するかという方針が先行しない限り、現実の魚価安定というものはあり得ないのであります。ある局地的に多獲されるからこれを漁船の数を制限する、あるいは時期を制限する、このことは、現実に申しまするなれば、自由漁業は別といたしまして、多くの日本の漁業の中の中心をなす漁業は許可漁業であります。であるとするなれば、行政的措置において当然配慮さるべき問題、いわゆる許可方針なる行政的配慮と経済現象との間に起こる矛盾食い違いをまず問題として取り扱わざるを得ないのではないか、そういう気がいたすわけであります。でありますから、私が今岩手県における実例を申し上げましたように、問題は、魚の価格を維持するのに時期がある。しかし、その時期をじゃまをしているものは、流通上の取り扱いの上にあり、さらに、魚を消費者にまで届けるべき各種の機能の不足から生じておる。そういう点に問題の視点を合わせて魚の価格が公正に決定されるなれば、それはまた需要を刺激して、大漁貧乏というような現象をある程度食いとめることができるだろうかと思うのであります。 その意味では、内閣提出の二法案に対する私の不満は、少なくとも漁民に対しては魚の価格を安定してやるぞ、という看板をお掲げになっておるけれども、内容はきわめて貧弱であることは先ほど来からの参考人の御開陳の通りであります。私は、漁民がこの法案を読みまする場合に、さしあたりはサンマ、さらにアジ、サバというふうにだんだんと自己の生産物全般に及ぶだろうという幻想を持つだろうと思うのです。そのような幻想が漁民に振りまかれることは好ましいこととは考えられない。さらに、このような法律案が出されますことが実は現実なのである、これ以上には出られないのだというところに一歩譲歩するといたしましても、私は、今度はこういう見解が生まれるのであります。というのは、まずさしあたり、多獲性生産物のうちサンマの場合を見てもわかりまするように、肥料の価格でかりに押えるという形で、ある程度成功をして、漁業の経営安定が保たれるといたしましても、これを他のアジであるとかサバであるとかイカであるとかいうものにこのままの方式が当てはまるだろうかという点に疑問を持つものであります。サンマの場合でございますと、ある一定期間魚かすにしたものを市場から隔離しますならば、これは値下がり現象というものがある程度防げるでありましょう。これは先ほど冷凍サンマの現実を申し上げたことと同じことであります。しかし、アジであるとかイカであるとかあるいはサバであるとかいうものは、サンマとは違った商品性を持っておる。これはかすの価格で安定しようといってもなかなかできるものではない。どこまでもこのサンマ以外のものをある一定の価格において安定させようとするならば、それは当然鮮魚としての価格安定の方式がなければならない。こういう点が法律案の中においてはきわめて不明確にしか私には読み取れないのであります。 それから、次に、もう一点、魚価安定基金の点についての疑問をば申し上げておきたいのでありますが、この疑問の第一点につきましては、資本金の構成の問題でありますが、これはもう他の参考人の方がお話しになりましたから詳しくは申し上げません。いずれにいたしましても、日本漁業の中で非常に高いウエートを占めておるものの生産制限を行ない、この生産制限を行なったものに対して調整金を交付しょうという考え方をお持ちになるならば、一億六千万円の運用益の場合、大体社会的通念から申しまするなれば一千万円くらいの補給金しか出せないはずであります。サンマが、このような法律の発動するようなときには、おそらく一億二、三千万貫以上の漁獲があるときだろうと思います。そうなりますと、一日調整を発動して休漁させます場合に、これに現実に平均した漁獲高だけの補償をするのには、この運用益によって何日間の生産制限が可能であるとお考えになるかどうか、こういう点につきまして私は疑問がある。 さらに、これを、アジ、サバ等の漁業の場合にサンマの方式をそのまま持って参りますると、サンマ基金の資本構成の中から、西日本の場合には、これは私の推測に過ぎないのでありまするけれども、加工業者は抜けていくのではないか。サンマの場合には漁業者と加工業者が一本になっておるわけですが、鮮魚の場合になりますると、加工業者と漁業者との関係は、サンマかすをめぐるように漁業者と加工業者との利害が一致するということはあり得ないのではないか。生産物流通の中においては、本来は売り方と買い方との間には相反する利害関係を持つわけであります。そうしますると、魚価安定のために仲買人であるとかあるいは魚屋であるとかが漁業者と一体になって基金に参加し得るであろうかという可能性についての若干の疑点が私はある。 そういうふうな点を考えてみますと、なかなかこの法律案は率直な気持で実は賛意を表しかねるのが私の今の気持でございます。もう少し一体の法律として十分な御検討、御審議の要があるのではないかという愚見を申し上げるにとどめておきたいと思います。 次に、水産物の価格の安定等に関する法律案についてでありますが、私はこの趣旨にはおおむね賛成であります。本来、魚価安定が最終的にたどり着く場合には、このようなスタイルをとらざるを得ないのではないか。これはしかし理想論であって現実ではないと申しましても、少なくとも法のねらいとするところは内閣御提案の法律案よりも前進的であります。はるかに前向きであります。ただ、これといえども若干の問題がないとは私は申せない。これはすでに片柳参考人が御指摘になりましたから多くを申し上げませんが、いわゆる平均販売価格とこの事業団の買い入れ価格とのそれがどういう形において違うのであろうか、この点が実は私には消化しにくい。一昨日法案をいただいたばかりでございますので、十分に読んでおりません。そういうせいでもありましょうが、なかなか消化しにくい部分がかなりございます。それから、保証価格と事業団の買い入れ価格との関係がどうも明確にわかりません。と申しますのは、市場価格が低落いたしました場合に、あらかじめきめられた価格で取引するという段階で事業団が買い取るのか、あるいは事業団はまた別途にそこに起こって参りました価格現象に従った形で相場をつけるのかということがよくわからないということであります。それから、買い入れるタイミングが非常に問題であろうと思う。 もう一つ、この事業団につきまして、私どもの多年の見解と若干の食い違いを一応申し述べますると、この事業団は販売及び購買でありますから、買い入れ、さらに売りつけるというのは当然のことでございましょうが、それがあらゆる諸施設を持って運用していくというふうなことは、漁業の現実から申しますると、もう少しゆるい形に考えた方がいいのではないか。ということは、こういうことであります。事業団は、価格が低落をいたしまする場合に、市場隔離のためにそれらの水産動植物を一時買い上げて、そうして、この保管操作によってある一定の価格を漁業者に保障し、さらに、その保管されたる水産物が流通して参りまする場合には、これは事業団の構成員である漁協系統もしくは加工業協同組合の系統を利用するという特約的方式をとることの方がより現実的ではないか、そういう感じがいたしております。そのような場合に、その水産物を保管いたしまする冷蔵庫をなぜ事業団が持たなくてもやれるのではないかと申すかと申しますると、その理論的根拠は、今日の産地には非常に多くの保蔵施設がありますが、むしろ保蔵施設が不足しているのは消費市場なんであります。東京、大阪等の大都市市場におきましてはある程度の保蔵能力を持っておりまするが、これから消費が拡大するであろうと思われます地方小都市の場合を見ますと、この保蔵能力がきわめて低いのでございます。従いまして、今のところ、保蔵施設として国が重点的に流通対策上作るのは、産地よりもむしろ消費地である。産地の場合は、今日も系統及びそれらの関係諸団体が持っている冷蔵庫と事業団が特約をいたしまするなれば、ある程度の市場隔離の操作は可能であるのではないかという感じがいたしております。さらに追いかけて申しますると、先ほど申しました消費地の保蔵施設等におきましては、これは、漁協なりあるいは加工なりというふうな協同組合の中央機関が、むしろ、産地は産地にまかして、消費地へ出張るべき時期である。そのような形において産地と消費地とが相照応して魚価安定の対策が完全になるのではなかろうかという感じがいたしております。 ただいま申しましたような状態で、魚価安定対策に対しましては、むしろ水産物の価格の安定等に関する法律案の方が理論的にはすっきりしておる。しかし、若干の疑点なしとはしない。その点について十分なる御考究のほどをお願いして、私のこの問題に関する開陳を終わりたいと思います。 さらに、他の参考人各位があまりお触れにならなかったので、この五つの法案の中から水産業改良助長法案についての意見をごく簡単に申し上げたいと思います。 御承知のように、現下の沿岸漁業の不況を打開することのためには、いろいろな諸方策があると思います。この社会党の提案理由の説明の中には、漁業者の自主的な再建意欲を盛り上げ、その活動を助長する政策の確立と書かれておりますが、おそらく、これは、このような考え方なしには沿岸漁業の振興という問題は処理できないと思います。しかし、この考え方は、ひとり沿岸漁業だけの問題だけではないのでありまして、水産業全般を通じて漁業なり産業を近代化しようとするならば、このような意図において貫かれなければならないはずであります。ところが、今日の水産業の内部的な技術の発展の状況を見ますると、ある漁業に一つの漁法の革命が起こり、近代的技術が導入されますると、それは、漁業資源及び漁業者各個間の競争のために、先ほど申しましたような流通上の上においてあるいは資源上の上において各種の差しさわりがある。そのために、現実には、近代的漁法の導入を積極的に普及しようとすることをば政策的にはむしろ抑制しているのではないだろうかというふうな矛盾があるやに私どもには見られるのであります。従って、水産業のための技術改良の現実は、小手先技術の上にとどまっております。そうして、現実に近代的技術をどんどん導入してその経営能率を促進しているのは一部の大資本に帰属する漁業たるにすぎないのであります。中小漁業以下の漁民の不況は、技術的な段階で申しまするならば、このような技術の導入の跛行性から来るものとも言えるのであります。これでは水産業の全般としての近代化は望めないはずであります。もし沿岸漁業を実際に今日の姿から多少とも改善いたそうとするならば、この技術を漁村に漏れなく普及し、漁村のものとして、これによって有力なる漁場に展開するような政策と意図がなければならない。そういうことなしにはおそらく不可能ではないかというふうに思っております。そういう場合に一番問題になる点は、個別零細な競争を克服する手段として、技術改良助長が十分に行なわれるような仕組み、ねらい、そういうものが大切だろうかと思います。そういう場合に私はこういうふうに考えるのであります。これは、私ども関係いたしました漁業制度調査会におきまする答申の場合にも、漁業者の協業システムを非常に強く推し進めて強調いたしておりますが、まず、技術改良が十分消化できるような漁業のシステム、経営のシステム、操業のシステムを作り出すことなしには、先ほど来申しましたような近代技術と資源流通との矛盾点が解消しないのであります。そのような政策を一方に打ち立てながら技術改良の方式を進めまするなれば、沿岸の漁業は必ずしも手こぎの舟あるいは距岸せいぜい出かけても五海里、十海里というような海洋の中に漁船がひしめき合う必要がなくなって参るかと思うのであります。要するに、技術を生かして使う方策、そういう基礎の上に改良助長が行なわれることを最も好ましい形と考えております。 そこで、この改良助長法の中での若干の疑点を二、三指摘いたしますると、建前としては国及び各都道府県の水産試験研究機関が一体になって改良技術の推進を行なうという建前をとっておるようでありますけれども、この試験場を、漁民の大多数を占める沿岸ないしは中小漁業に視点を合わせた機関であるという前提の上にお立てになっていなければならない。試験場は試験場として何となく従来の惰性でやるものというふうにお考えになっておりますから、そこで研究員制度というふうな形のものが盛り込まれているようであります。しかし、これは、今日、少なくとも、都道府県に存在する試験研究機関は、その行なうべき研究試験は沿岸及び中小漁民の視点に合わせた研究であることが最も現実的であるというふうに私は考えております。従って、それが技術改良普及と関連をする改良指導のセンターとしてでき上がるように構成せざるを得ない。そういう意味においては試験研究機関の今日の体制を大幅に充実する必要がございましょう。そういう充実を前提として考えます限り、この改良助長法の意図は、仄聞するところによりますと目下水産庁で作業中であると言われます沿岸漁業等振興法の中に一括して考えるよりも、強い言葉で申しますならば木に竹を継いだような形において存在せしめるよりも、むしろ単独法としてお出しになったこの意図の方が正しいかとも私は存じております。しかし、いずれにしましても、この助長法を現実に漁民にプラスさせようとするなれば、いろいろこの法案の中に助成率その他が書いてございますが、こういう助成率が勇敢に政策の上に取り上げられることなくしては一片の法律たるにとどまってしまう危険性なしとしないのであります。とにかく、重ねて申し上げます。沿岸の漁民は多くの資本を持ちません。そして、また、今日の漁村の現状から見ますと、中堅労働力が年々離散をする、離村をしていく傾向を深めております。その中において沿岸の漁業を維持しようとするならば、当然、人間の労力にかわる近代的技術、機械化の方向というものが促進されざるを得ない。この点は、農業の改良助長法その他との関係から見ましても、当然これは一本の法律にしておくべきものかとも存じます。 最後にもう一点申し上げますと、そういうふうなところに視点を合わせていきまするなれば、社会党の法案の中にあるような生活改善普及員の問題にまであまり神経質にならなくてもいい。これは、現実にある生活改善普及員の制度を漁村にスムーズに適用できるように改善をする、そうしてその改善に要する費用をつぎ込んでいく、こういうことによって果たせられるのではなかろうかと思います。 以下の法案等に触れるべきかとも思いますが、与えられました十五分の時間をはるかにオーバーいたしましたので、この程度で私の意見開陳を終わります。(拍手)
○小山委員長代理 ありがとうございました。 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。 質疑の通告がありますので、これを許します。角屋堅次郎君。
○角屋委員 ただいま、それぞれ、意見を求めております政府提案の二法案並びに社会党提案の三法案について貴重な御意見の開陳があったわけですが、本日は午後本会議も定例に始まるということでありまして、せっかくの機会でありまするから漁業政策等の問題にまで触れていろいろ貴重な御意見を承りたい、こういうふうに存じておりましたが、今申しましたような事情でありますので、簡単に数点参考人の皆さんにお伺いをいたしたいと思います。 まず片柳参考人にお伺いしたいのでありますが、先ほどもお話しのように、今次国会では、農業関係の諸問題については農業基本法初め関連法案等がそれぞれ与野党から出されて参りまして、今日の非常に困難な事態に処する農業の基本的な政策という問題についていろいろ論議しておるわけでありますけれども、残念ながら、漁業関係については、すでに農林漁業基本問題調査会の漁業関係の答申も出て、さらにまた漁業制度調査会の漁業制度に対する答申等も出て参りましたけれども、農業と並ぶ漁業の基本政策ということについては肩を並べることができなかったことはまことに遺憾であると思います。もっとも、これは、漁業関係については、すでに衆議院を通過しております漁業権問題、あるいはまた沿岸漁業、沖合い漁業等を中心にいたしましたこれからの構造改善政策をどう進めるかというような各般の問題がありまして、なかなか政府としても苦慮しておられると思います。ただ、漁業の基本政策の立て方として、私どもは、漁業の場合には、沿岸から沖合い、さらに遠洋というふうに、農業と違って階層間の格差が非常に多いわけでありますから、従って、農業基本法に準ずる漁業基本法的なものを一つの大きな柱として、沿岸漁業についてはその中における冷岸漁業振興法というものを考えるのが本筋じゃないかという意味で、すでに沿岸漁業振興法を出し、漁業基本法については今鋭意検討中であるわけであります。今日残念ながら政府の方から沿岸漁業等振興法がまだ出されておりませんけれども、私ども承るところによりますと、農業基本法に準ずる基本法的な性格を沿岸漁業振興法の中に織り込めて、そうして漁業基本法ともいうべきものについては見送るのではないかという感じがするわけであります。この際、法制的な立て方として、やはり、農業基本法に対比すべき漁業基本法というものを、資本漁業から零細漁業までも含んでそういう基本的な法案というものをまず作って、その中できわめて問題の多い沿岸漁業振興をどうしていくか、あるいは中小漁業等の沖合い漁業の問題をどうしていくか、こういうふうな法の立て方をするのがいいのではないかというように考えますが、まず法制的な今後の漁業基本政策の段取りについて全漁連としてどう考えておられるかをお伺いしたいと思います。
○片柳参考人 ただいまの角屋議員の御質問でございますが、私ども沿岸漁業を代表しておりまする全漁連といたしましては、先ほどもちょっと触れましたように、農林漁業基本問題調査会では、農業、林業、漁業、平等に、政府から基本方策につきまして御諮問がございました。これに対してすでに答申も了しておるわけであります。従いまして、私どもは、数次のいろいろな機会を持ちまして、農林大臣その他各方面に、ぜひとも農業基本法と同じに漁政のあり方についての基本構想を作っていただきたいということを非常に強く政府なりに御要望いたしておるわけであります。ただ、御指摘のように、農業とはまた漁業は性質が違いまして、同じ漁業内部においても非常な格差がございまして、また、漁業の生産は、農業と違いまして、ノリ等はあるいは種苗をまいてそこに生産をするわけでございますが、概して、漁業生産といいまするものは、海洋を回遊しておるところの魚族をだれがとるかという資源分配論でもございます。従って、他の産業との格差のあることももちろんでございまするけれども、しかし、漁業内部においても相当の格差がございまして、しかも、それは、概して、一つのカツオならカツオ、マグロならマグロという限定された資源をだれがとって自分の所得に帰属させるか、こういう問題が非常にございまして、従いまして、私どもは、漁業の基本法を論ずる場合においては、農業基本法のように横の方の他産業との均衡ももちろんこれは最終的には不均衡を直して参りたいと思っておりますが、漁業内部の格差についても、やはり沿岸の漁民が何とか生活のできるラインにおいて公正なる資源の配分ができるように、漁業法の運用についてもそういう趣旨で制度の改革なり運営をしてもらいたい、こういうふうに考えておるのでありまして、漁業法の方も、答申が終わりましたから、次の国会には提案されることと存じますが、これは、漁業権制度なり許可漁業制度、そういうものの制度を作るだけの静態的な法制にしか過ぎませんので、その漁業法を今言った沿岸漁業者が何とか生活水準が上がるラインということと結びつけて運用されませんと意味がないわけでありまして、そういうふうな政策的といいますか流動的な意味の基本法、それは今申し上げましたような他産業との均衡ももちろんでございますが、まずまず漁業内部においての問題、これは許可漁業の運用その他の問題にも強く関連する問題でございますので、そういう意味の基本法をぜひ一つ出していただきたいということを強く念願をいたしております。しかし、遺憾ながらまだ提案をされぬような状況でございまして、私どもは、端的に申し上げますが、今次の国会でどうしてもいろいろな御事情で御審議ができないようなことになった場合においては、臨時国会等がありますれば、少なくともこれにはぜひお出しを願いたい。私は、農業基本問題があれだけ天下の論議になっておりながら、漁業問題がまことに——今他の参考人も述べられましたように、ほとんどこれがなおざりにされておりますということは、基本問題調査会にわれわれが熱心に参画して答申を申し上げた点からもまことに遺憾に存ずるわけでありまして、そういうように、農業とやはり違った二面的な意味で基本的なものを作るということが必要ではないかと思います。私ども全漁連といたしましても試案等はいろいろ研究しておりますので、何か御質問でもあればまた別途に申し上げたいと思います。
○角屋委員 せっかく漁業関係者の方々がお集まりでありますから、私の当委員会でいろいろ農林水産関係の問題を論じて参ました経験からちょっと率直な感じを申し上げますと、かつて水産委員会という独自の委員会が国会にもあったわけですけれども、農林水産委員会というふうに統合されまして以降は、農業関係の問題がほとんど八、九割まで国会論議の焦点になって、林業関係、漁業関係というのは爼上に上る機会がきわめて少ない、こういう実態ではないか。もちろん、それは、一つには、農業関係は就業人口が約千五百万近くおる、一方は百万に満たない、そういうことが、いわゆる政治家のものを取り扱う考え方の中に陰に陽に作用しておるかしれませんし、同時にまた、漁業関係団体の政治面への反映という問題について十分であるかどうかという問題も、あるいは場合によってはあろうかと私は思う。いずれにいたしましても、そういう感じがある。今日農業の基本的な諸問題を論ずるときに漁業問題はすべてあと回しにされておるという傾向がある。あるいは、先ほど来特に漁価安定の問題を中心にした参考人の各般の意見を聞きますと、高木さんあるいは和田さんの方では、直接この関係の法案に結びついておりますので、きわめて不満足ながら、最初のすべり出しとしてはこれでもということで言っておられるようですけれども、しかし、意見としては率直に内容的な問題にまで触れられて述べられましたように、きわめて弥縫的であり、きわめて消極的であり、非常に大きな今後の飛躍的な前進から見ては問題が残っておると思う。せっかく所得倍増計画とかあるいは農林水産関係と他産業との所得均衡ということを言いながら、実際には所得格差が水産業内においてもきわめて大きい。そういう問題の中で取り上げてきた中小漁業等を中心にする漁価安定対策としての政府原案を見ると、一体これで所得倍増計画の中における漁業関係者の将来の発展というものが大きく約束されるのかどうかということは疑問だろうと思う。さらにまた、片柳参考人その他からも申されましたが、私は、所得倍増計画でも、今後の所得弾性値等から見た漁獲の需要量というものが大体八百四十万トン程度に達するだろうと言いながら、実際にとる量として見込んでおるのは、それから百万トンくらい下回った七百四十万トン程度のものを考えるというふうな問題の中に、やはり、今度の価格安定の二法案のいわゆる生産調整というところに所得倍増計画と関連をして矛盾を感ぜざるを得ないわけです。従って、そういう面から見て、私どもが価格安定で出しておる考え方というもの、あるいは政府が価格安定で出しておる二法案の考え方というものは、積極的な面で価格安定をはかっていくのか、あるいは消極的なコントロールによって価格安定の少しばかりの役割を果たそうとするのか、その辺のところにやはり法案の出発点としての問題があるんじゃないかというふうに感ずるわけです。 それぞれ参考人の意見によりますると、社会党案についても貴重な御意見が出ましたが、将来の方向としてはこの方向に進むべきであるが、現状としてやむを得なければまず政府二法案から、こういうのが関係者の御意見でなかったかと思うのですけれども、私どもは、現状から言って、われわれの法案でもすぐに進め得るというふうに判断をしておるわけであります。予算その他の問題にも触れられていろいろ政府原案の不満な点を表明されましたけれども、この際、特に、全漁連あるいは価格の安定に関連のある関係団体としては、この法律の処理がどういうふうになるにいたしましても、あるいはまた私どもの出しております法案そのものについて意見の出た中にいろいろ疑問点も出されておりましたけれども、時間の関係上これらの詳細について触れることはできませんが、今後とも、先ほど申しましたような水産関係団体の国政への意見の反映という面について積極的な努力をされ、また、諸政策についてはやはり具体的なプランを持って国会に意見具申をするということが近道でありまするから、そういう面で、現実に立脚しながらも漁業の発展のための具体的にどういう諸政策をとるかという点について皆様方の積極的な国会への意見の反映ということを特に希望いたしておきたいと思います。特に、専門関係で出ておられます岡本先生や、あるいは農林漁業基本問題調査会あるいは漁業制度調査会等に関係されたといわれる宮城さんにも、いろいろ専門的な立場からお伺いしたい点は多々あるのでありますけれども、本会議がすでに始まる時刻でありますので、今後とも皆様方の国会でのいろいろな意見の反映について大いに一つ努力をしてもらうことを希望するとともに、私どもも、漁業に直接関心を持ち、また情熱を持っておる一人として、そういう意見を国会内で十分消化し、また解決をしていくための努力を惜しまないものでございますから、そのことを特に希望して、本日は質問を終わらしていただきたいと思います。
○小山委員長代理 森田君。
○森田委員 私、資料関係でちょっとお伺いしておきたいと思います。 農民の生活程度を高めるということが大体どの程度かというと、米麦に魚を食えば、それでまず大体平均的な目標が達せられたと見ていい、こういうのが古くからの農村での言い伝えになっている。同時に、今の農民は購買力があるのです。生産過剰という現象は、資本主義では生産が過剰になって購買力がないから、恐慌に陥るというようなことになるのです。漁業の場合は生産過剰じゃない。ただ、それを普遍的に配給するのに今のところ施策がないから、それで一時的生産過剰になるのだということは皆さんの御意見で非常によくわかっておると思います。なお、生産過剰の原因として、地域的、一時的のほかに、魚類としての鮮度を落としてはならないという魚自体から来る制約もあるのだ、私はこう考えております。そこで、結局、結論としてどういうことになるかというと、どうしてこの一時にとれた魚を平均して一年一ぱい山村・農村あたりのすみのすみまで食ぜんに上せることができるかということが解決すれば、今のこの法案などほんとうは用がないのだと私は実は考えているものなんです。こんなものは一時のこうやく張りであって、今の施策がきちっと立ちさえずれば自然に不用に属する法案だと考えておったものですが、きょう皆さん練達堪能の方々の御意見を拝聴いたしまして、自分の平素考えておったことが間違いがなかったということに非常に自信を得たようなわけなんです。 そこで、問題は、そういうふうにはっきりしていることをなぜ一体政府がずっと前からこれを施策しなかったかということに問題が帰着するわけで、これは全く政治の貧困に帰着すると私は考えていいと思うのです。そこで、それならば、一体、漁民諸君の団体、あるいはきょうの宮城先生あるいは岡本先生のようなりっぱな方々が、こういうことに対して政府に献策なさったことがおありになるか。それと同時に、また、それに対して、予算関係は別として、こういう具体案があるのだから、これを実行に移せば、今の食改善の上から考えましても、漁業本来の目的を達成する上からきわめて妥当な施策になるのだ、こういうような案をお立てになられて政府に要求なされたことがおありになるか。また、漁業団体の方から、こういうふうにやると国民全体も幸福になり、かつ漁民その他立場々々の方々も幸福になれるのだ、こういう案をお立てになられて、団体の方々から上申なさって強く要請なされたことがあるかどうか。もしそういうことがあったとすれば、そしてそういう案がおありになるとすれば、もしお持ちになっておいででございましたら一部ちょうだいいたしたい。また、そういう参考資料がここここにあるのだということでしたら、それを一つ御指摘お願いできますれば、それを参考にしてわれわれはまたわれわれ独自の立場から一つの案を立ててみたい、こう考えますので、一つその資料の点についてお教えを仰ぎたい、こう思うのであります。
○岡本参考人 公に意見を具申したかというふうなお尋ねが最初にございましたので、それについてお答えいたします。 実は、私、研究者でございますから、そういうような意味での手続で発表したものはございません。しかし、従来から、日本水産会及び全漁連その他いろいろな水産団体の方々と会合する機会がございましたときには、プライベートでございますけれども、外国の事情を言えばこうこうだ、これを一つ取り上げたらどうですかというような意味で意見の交換をすることがございますし、また、水産庁の方々ともその程度の意見の交換をしております。 それから、資料でございますが、今まとまりまして大体そういうようなことをやっておりますものに水産研究会というのがございます。先ほど私申しましたスエーデンの魚価対策はこうこうだというようなことも、水産研究会で照会してもらいました。流通問題につきましては、私、二十七、八年ごろから水産庁の予算で調査さしていただきましたが、三年で打ち切りというので、これからというときに打ち切りになったわけで、結論的なものは出ておりませんが、たとえば小売業につきましてはこういうようなことが問題になって、これは東京都内でございますが、産地市場の問題へ入りかけて、それで時期がなくなって終わったわけでございます。ごく少数でございますけれども関係者の間で常に問題にはしておるのでございます。ただ、それを公に政治的な意味で何かやったかといいますと、私の知っている限りでは割に少ないかと思います。資料その他につきましては、先ほど申しました水産研究会に御照会なさいましたならば、かなりのものが集まることと思います。
○片柳参考人 全漁連では今日まで政府その他にもいろいろ陳情しておりますし、また、各種の委員会でも、私が出ております委員会ではいろいろ申し上げておりますので、さようなことは取りまとめまして別途お手元に届けたいと思います。従って、冷蔵庫その他の問題、あるいは漁かす等の政府買い入れの問題等もいろいろ今日まで陳情等もいたしました。特に、お話しの流通問題では、私どもは、たとえば長野県なり山梨県等に入る魚は中央市場を通じてそれからまた分散していくというような経路が従来の経緯でございますが、ああいうような海のない県あるいは東北の農山村地帯につきましては、御承知のような従来の塩サケあるいはニシン等がもう入って参りませんので、今問題になっているこういうようなサンマあるいはサバ等につきましては、これを塩蔵等いたしまして、各県の農協とタイアップして農村に配給して参りたいということも現に計画をしております。私の方では産地市場の調査も大体了しておりまするし、たとえば長野県の農協連のごときは、すでにもう各単協が相当の冷蔵庫を持っておりまして、経済連が間に入って今まで鮮魚を入れておるという例もございまするし、特に東北の三陸のサンマ等を秋田、山形等の農村地帯に入れることは、これはうまく提携ができますればそう困難なことではないと思うのであります。また、市場側でも、中央市場でなくてたとえば長野だとか甲府等のああいう消費地の市場側からも、中央市場を経由せずして直接生産者団体と取引をいたしたいという要望も出ております。この辺は市場制度調査会でも問題になった点でありまして、また、各参考人の御指摘のように、ある時期的には生産過剰のようであっても、全体的にはまだ需要があるわけでありますので、そういうような冷蔵加工あるいは直接農協との提携等によりまして、あまりにもひどい漁村の魚が何とか一つ出ますように努力してみたいと考えております。 資料等はまた別にたくさんのものがございますので、あとでお届けいたしたいと思います。
○森田委員 ありがとうございました。 漁業基本法、沿岸漁業振興法等の原稿等も若干拝見したのですが、どうも私ら納得しません。沿岸漁民をおかに上げるというようなことまで書かれておるのですが、われわれは、逆なので、伝統があるのだから海の者は海へという考え方なんです。それで、今の案などについても、私は青森県ですが、消費地であるとともに生産県でもあるので、イカなどではだいぶ参っておりまして、万やむを得ないときにはこの案も仕方がないだろうという御意見、私も同感でありますが、今の農村における協同組合と連携をとると運搬など非常に簡単にできるのではないか。特殊な団体等をこしらえて新たにそれが運搬施設等を持つということはおかしなことで、むしろ消費地は遠く離れた農村ですし、そこには農協で全部トラックを持っておるのです。サンマなど一時にたくさんとれたときには、そこへ全部トラックを集中して農村に持って帰ればめんどうでないじゃないかということも考えておるので、非常に参考になりました。ありがとうございました。 いずれあとで資料をちょうだいに上がりますから、よろしくお願いいたします。
○小山委員長代理 これにて参考人各位に対する質疑は終了いたしました。 なお、この際一言ごあいさつを申し上げます。参考人各位には、御多用中にもかかわらず本委員会に御出席いただきまして、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。 二時まで暫時休憩いたします。 午後一時十四分休憩 ————◇————— 午後三時二十九分開議
○坂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 内海安吉君外四名提出、自作農維持創設資金融通法の一部を改正する法律案を議題として、提出者に提案理由の説明を求めます。内海安吉君。
○内海(安)議員 ただいま議題となりました自作農維持創設資金融通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。 自作農維持創設資金融通法は、農地改革の成果を保持するため、金融面を通じて自作農の転落防止、農業経営の安定向上をはかることを目的として昭和三十年に制定せられ、自来、農業者に対し、農林漁業金融公庫を通じ、利率年五分、償還期間二十年以内、据え置き三年以内の貸付条件で、農地または採草放牧地の取得、維持もしくはその細分化防止等のために必要な資金の融通が講ぜられてきましたことは、皆さん御承知の通りであります。 しこうして、本法の制定後漸次その融資ワクは増額され、昭和三十五年度までに維持資金三百六十一億円、取得資金百十一億円、相続資金三億円が融通され、農業経営の安定向上のため、特に災害を受けた自作農の経営と家計をその破綻から救済する上において大きな役割を果たして参っているのであります。 しかしながら、一面におきましては、現行制度の内容と運営の状況を検討いたしますならば、貸付ワクが少ないとか、融資手続が繁雑であるとか、経営不振農家が融資対象から除外されがちであるとか、災害対策資金としては貸付条件が実情に沿わないとか、今後改善を要する問題点を数々包蔵していることはいなめないところであります。 過般、農業基本法案が衆議院において審議せられました際におきましても、農業基本対策を確立し農業の生産性の向上と所得の向上を実現するためには、当然、自作農維持創設資金を含む農業金融制度のあり方を根本的に再検討する必要のあることがしばしば指摘せられたのであります。 また、去る三月三十日、農林漁業金融公庫法の一部改正案を可決いたしました際におきまして、委員会が自作農維持創設資金の貸付条件の改訂について全会一致の決議をいたしましたのも、さきに述べました趣旨によるものと信ずるのであります。 従いまして、自作農維持創設資金融通法に対しましては、現下の農政をめぐる諸情勢に適合し得るよう早急に改正を加うべきものと考えますが、この際は、諸般の都合により、従来からの懸案事項となっておりまする貸付限度額の引き上げについては、とりあえず農林漁業金融公庫の業務方法書を改訂することとして、法律事項としては、北海道の農家負債問題の解決に一歩前進する方向に範囲をしぼって同法の改正問題を取り上げることとしたのでありまして、この点委員各位の格別の御理解を賜わりたいと存ずるものであります。 御案内のごとく、北海道の多くの農業者は、過去数年にわたる冷害等の災害その他の原因によって多額の固定化負債をかかえることとなり、農業経営の維持安定にせっかく努力しているのでありますが、かかる状態より一刻も早く、できるだけ多くの農家が立ち直るよう援助いたしますためには、北海道の農家に対し三十六年度に貸し付ける自作農維持創設資金の貸付条件を、この際最小限度緩和することが必要であると認め、ここに本案を提出することにした次第であります。 以下本案の内容について申し上げますと、昭和三十六年度に限り、北海道の農業者に対しましては、この法律により貸し付けられる資金については、その償還期間が現行二十年以内とあるのを二十五年以内に、また、据置期間が現行三年以内とあるのを五年以内に、それぞれ延長して、貸付条件の緩和をはかることといたしております。 なお、三十六年度の貸付資金に限定しました理由は、次の機会に本制度の抜本的改正が行なわれるであろうことを含んでの措置であることは申し上げるまでもないところであります。 以上が本案を提出した理由及びその内容であります。何とぞ慎重に御審議の上すみやかに御可決下さるよう御願い申し上げまして、提案の理由といたします。 —————————————
○坂田委員長 次に、芳賀貢君外十一名提出、自作農維持創設資金融通法の一部を改正する法律案を議題として、提出者に提案理由の説明を求めます。芳賀貢君。
○芳賀議員 ただいま議題となりました自作農維持創設資金融通法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。 自作農資金融通制度は、この法律の第一条に、「農地及び採草放牧地が農業経営の基盤であり、かつ、農業者がこれらの土地を所有することがその農業経営の安定を図るための要件であることにかんがみ、農地若しくは採草放牧地を取得し、自作地若しくは自作採草放牧地を維持し、又は自作地若しくは自作採草放牧地の細分化を防止しようとする農業者に対し、農林漁業金融公庫がこれに必要な資金を長期かつ低利で貸し付けることにより、農業者の経営の安定を図ることを目的とする。」とありますように、農地は耕作する者の所有とする土地制度の基本原則を貫き、農業経営規模の拡大と農民生活の安定をはかり、もって日本農業の発展の基盤を築くべきことをその使命とするものであります。従いまして、本法による融資制度は、耕作農民のために小作農地の自作地化を促進し、所有農地の拡大をはかり、自作農地を維持するという農地制度上の目的が強く要求せられるという特色を持つものであります。それゆえに、この資金は、利率、償還期間、据置期間等の貸付条件においても農業関係の制度金融の中では比較的有利に決定せられておるのであります。すなわち、昭和三十年本制度発足以来、旺盛な資金需要に応じ、昭和三十五年度までに四百七十五億円に達する金額を融通して参ったのでありまして、農業経営の安定のために果たして参りました役割は決して少なくはないと存ずるものであります。しかしながら、この制度の効用を将来十分に発揮せしめ、他産業に比較しておくれがちな農業の発展に寄与させるためには、なお多くの問題点を指摘せざるを得ないのであります。 近来自創資金の運営上実情に沿わない点が多くなり、本制度の欠陥がようやく露呈して参っていることは何人もいなめないところであります。たとえば、この法律制定当初におきましては、この資金は中庸規模以下の農家をそのおもな貸付対象としていたのでありますが、このねらいは徐々に崩壊し、最近においては、通常の金融べースに乗りにくく、しかもこの資金を最も必要とする農民の階層がとかく疎外されがちであること、また、内外における一般的な金利水準の低下の趨勢に対して貸付条件は必ずしも有利でなくなっていること、激増する資金需要に対し融資ワクが窮屈で貸付限度が過少に失している等であります。 しかして、一方、今国会で審議中の農業基本法案におきましても、わが日本社会党案においてはもちろん、政府案におきましても、農業基本政策を確立して農業所得の増大を期する上において金融政策の担当する役割がいよいよ重大である旨強調されたわけでありまして、今後すみやかに自作農維持創設資金制度を含む農業金融制度についてはそのあり方の根本的な改善がはからるべきはもとより当然であります。 以上の趣旨にかんがみ、わが委員会においては、去る三月三十日、農林漁業金融公庫法の一部改正案を可決した際、満場一致をもって、自作農維持創設資金の貸付条件については、その限度額の大幅引き上げ、年利の大幅引き下げを行なうとともに、据置期間は五年、償還期限は三十年以上に改訂すべき旨の附帯決議を付しましたことは、本制度の根本改正に対する国会の意志を明確にしたものであります。 よって、この際、右に述べましたような現行制度の問題点に対する反省の上に立ち、かつ、日本社会党提案の農業基本法案の趣旨にのっとり、ここに本案を提出することとした次第であります。 以下本案の内容について申し上げますと、第一に、現行貸付条件について、利率年五分、その償還期間二十年以内、据置期間三年以内となっている点を、利率年三分五厘、償還期間三十五年以内、据置期間五年以内に改め、また、貸付金の限度については、現在農林漁業金融公庫の業務方法書によって三十万円と定められようとしておりますが、この程度では農民の融資需要にとうてい応ずることはできないので、この際、貸付限度額の大幅引き上げを実現するとともに、法律に明記することとし、これを百万円とすることといたしております。 第二に、本法改正による施行期日以前の貸付金については、利率のみ三分五厘に引き下げ、償還期間、据置期間は従前の通りといたしております。 以上が本案を提出した趣旨及びその内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを希望するものであります。
○坂田委員長 次に、内閣提出、中央卸売市場法の一部を改正する法律案、家畜取引法の一部を改正する法律案、家畜商法の一部を改正する法律案、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案及び農林中央金庫法の一部を改正する法律案を議題として、順次政府に提案理由の説明を求めます。八田農林政務次官。
○八田政府委員 ただいま上程されました中央卸売市場法の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明申し上げます。 青果物、魚介類、肉類等、いわゆる生鮮食料品の適正かつ円滑な流通をはかりますことは、生産者の所得の向上の上からも、また一般消費者の利益を増進する上からもきわめて重要であります。これら生鮮食料品は、品質が変化しやすく、多様であるという商品の特性から、通常、卸売市場において価格の形成と物資の集散が行なわれ、卸売市場が流通機構における中枢的な地位を占めている実情にあります。 そこで、政府は、中央卸売市場法に基づき、中央卸売市場の育成及び指導監督に鋭意力を尽くして参りましたが、最近における生鮮食料品の流通の実情において、中央卸売市場を初め、広く生鮮食料品の卸売市場についての対策を確立する必要が痛感され、一昨年三月、臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会設置法が制定されたのであります。同法に基づいて設置された臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会におきましては、一年間にわたり慎重に調査審議を重ねた結果、卸売市場対策の基本方針及び卸売市場対策に関する措置について答申がなされたのであります。 政府といたしましては、この答申の趣旨に沿って、生鮮食料品の卸売市場の整備改善を進めるべく諸般の措置を講じて参る所存でありますが、同答申を具体化するための立法措置といたしましては、中央卸売市場法を改正して、中央卸売市場の開設及び整備の計画的推進をはかるための規定を新たに設けるとともに、中央卸売市場における業務の適正かつ健全な運営を確保するため、現行規定を整備強化することが必要と認められますので、この法律案を提出した次第であります。 次にこの法律案の主要な内容につきましてご説明申し上げます。 第一は、中央卸売市場の開設及び整設備に関する計画の樹立及びその円滑な実施をはかるための措置についての規定の新設であります。すなわち、農林大臣は、生鮮食料品の適正かつ円滑な流通をはかるため必要があると認めるときは、中央卸売市場の開設及び整備に関する計画を定めることができることを規定するとともに、この計画の適正かつ円滑な実施をはかるため必要がある場合には、その計画に定められた地方公共団体に対し開設及び整備に関し必要な勧告をすることができることとし、さらに、右の計画に基づいて必要な助成措置を講ずることといたしております。 第二に、中央卸売市場における卸売業務の適正かつ健全な運営を確保するための規定の整備強化であります。 その一は、卸売業者の兼業の届出についての規定の新設でありますが、中央卸売市場の卸売業者の性格にかんがみまして、卸売業者が卸売業務以外の業務を営む場合におきましては、そのことにより本来の業務の適正かつ健全な運営に支障を生ずることのないよう監督に万全を期する必要がありますので、卸売業者が兼業を営もうとするときは事前にこれを届け出ることといたしたのであります。 次に、現在中央卸売市場の卸売業者の間における合併、営業の譲り受け等につきましては私的独占禁止法の適用除外規定が設けられておりますが、これを中央卸売市場の卸売業者と類似市場の卸売業者との間における合併及び営業の譲り受けにつきましても拡充し、中央卸売市場を通じての集中的な取引に資することとしております。 このほか、新たに、卸売業務の許可に際し附帯条件を付しうることとすること、及び卸売業者に対し必要により業務等に関する改善措置命令を発し得ることとする等、監督規定を整備するとともに、売買方法に関する規定の改善をはかっております。 第三は、中央卸売市場指定区域の周辺地域の卸売市場に対する改善措置に関する規定の新設であります。最近における生鮮食料品の流通範囲の拡大の傾向にかんがみ、中央卸売市場指定区域の周辺の一定地域の卸売市場につきましても、その業務が中央卸売市場の業務と密接に関連するものにつきましては、必要に応じ、これら周辺地域の卸売市場の開設者または卸売業者に対し、その施設または業務方法に関し必要な改善措置をとるべき旨の勧告を行なうことができることとし、中央卸売市場を通じての生鮮食料品の流通の適正円滑化に資することといたしたのであります。 第四は、中央卸売市場審議会の設置であります。先に述べました中央卸売市場の開設及び整備に関する計画の樹立、これに基づく勧告等、中央卸売市場法の施行に関する重要事項を調査審議する機関として、農林省に中央卸売市場審議会を設置し、学識経験者の意見を十分取り入れて同法の的確な運用を期すこととしております。 以上がこの法律案の主要な内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。 次に、家畜取引法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明いたします。 近年、国民生活水準の向上に伴い、畜産物に対する需要の増大は著しいものがあり、かつ、農業経営の改善向上のため家畜・家禽の飼養増加の要請も強いものがありまして、これらに対応し農家の家畜飼養頭数も帯しく増加し、昭和三十五年二月現在では、戦前の水準に比べこれを大きく上回り、和牛では一倍半、乳牛では四倍半、豚では二倍半に達しており、今後における農業の最も成長し得る部門としてその発展を期待されておりますことは御承知の通りであります。 しかしながら、家畜の取引過程につきましては、逐次改善を見つつありますが、なお近代化・合理化を要する問題が数多くありまして、今後飛躍的な畜産の発展及び国民食生活の格段の向上を期する上におきまして、家畜の取引過程を早急に整備改善することがきわめて重要であると考えられるのであります。 政府におきましても、二、三年来家畜取引の改善対策に関しまして関係学識経験者等の意見を取り入れつつ総合的に検討を加えて参ったのでありますが、家畜商の地位の向上、家畜市場の整備確立、生産者団体の共同事業の推進及び家畜の取引資金の融通の円滑化、食肉市場の整備等の措置を講ずることが必要であるとの一応の結論に達するに至りましたので、家畜取引の実情に即しつつ積極的にその改善のための方策を講ずることとし、他の関連する諸措置を講ずることといたしますとともに、今回家畜取引法の一部改正案を提出することといたしたのであります。 現在、家畜の取引及び価格形成は、全国約千三百の家畜市場において行なわれる家畜取引によって大きく影響されておりまして、これらの家畜市場につきましては、現行家畜取引法によりまして登録制度を採用し、産地家畜市場の再編整備を期しまするとともに、同市場における取引及び価格形成の公正かつ適切をはかるため、取引方法、代金決済方法等につき必要な規制を加えているところであります。しかしながら、同法制定後の状況を見まするに、産地家畜市場の再編整備のみでは必ずしも所期の効果をあげ得ないことや、家畜市場におけるせり売りまたは入札の方法による売買が現在の同市場整備の状況等では必ずしも適正円滑に行なわれないことがありますので、あらためて必要な規定の整備を行ない、家畜取引の改善をはかることといたしたのであります。 以下改正法案の内容を御説明申し上げます。 改正の主要点は三点でありまして、まず第一に、家畜市場の再編整備につきまして、その対象を産地における家畜市場のみから集散地における家畜市場にも広げまして、この対象を地域家畜市場といたしますとともに、都道府県知事が、特に整備が必要と認める地域の家畜市場の開設者に対しまして、再編整備を行なうべき旨の勧告をすることができるようにしたことであります。 第二といたしまして、家畜市場における家畜の売買方法について、従来のせり売り、入札を原則とするとともに、市場設備の整備状況に即応しまして公開的また競争的な方法で価格形成の適正を期し得る限り他の取引方法を認める場合を拡充し、かつ、この場合には一定の条件を付することができることとしたことであります。また、この法律の規定に違反して家畜市場における売買を行なった家畜取引業者に対して、都道府県知事がその家畜市場における業務の停止を命ずることができることとしました。 第三に、家畜取引業者は、家畜市場の開場日及びその前後の日に家畜市場周辺の一定の場所で原則として家畜取引を行なってはならないこととしたことであります。 以上がこの法律案の提案理由及び主要な内容であります。 何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。 次に、家畜商法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明いたします。 近年、家畜の飼養と畜産物の生産は、国民生活水準の向上と農業経営改善の必要に伴いまして急激な増加を示しておりますとともに、また、今後におきまする農業の成長部門といたしまして畜産の飛躍的な発展が期待されておることは、すでに御承知の通りであります。しかしながら、家畜の取引過程につきましては、いまだ十分な近代化と合理化が行なわれているとは言いがたい状況にありまして、今後畜産農家が適正な生産の成果を収得し得るようにし、畜産の一そうの振興をはかりますためには、この取引過程を改善し整備することが緊要であると考えられるのであります。 政府におきましては、二、三年来家畜取引の改善対策に関しまして関係学識経験者等の意見も取り入れつつ総合的に検討を加えて参ったのでありますが、家畜商の地位の向上、家畜市場の整備確立、生産者団体の共同事業の推進及び家畜の取引資金の融通の円滑化、食肉市場の整備等の措置を講ずることが必要であるとの一応の結論に達するに至りました。このうち、家畜商の地位の向上に関しましては、家畜商自身及び一般の要請も強いところでございまして、また、現在の家畜取引、なかんずく大家畜の取引は、農業団体がある程度行なうもののほか、多くの部分は家畜商の手を通じて行なわれておりますので、特に家畜商の行なう取引の公正を確保することがまことに重要性を有するのであります。このことは、畜産の飛躍的な発展と畜産食品の消費増大のためきわめて緊急の時務であると考えられるのであります。現在家畜商法により免許を受けている家畜商は全国において約七万人おりますが、これらの家畜商におきましても、最近とみに自覚を深め、その地位の向上につき自主的努力をするとともに、その趣旨に即するような関係法規の改正の要望が高まってきている趨勢であります。政府といたしましては、これらの事情を勘案検討いたしまして、今回家畜商法の一部改正法律案を提出することといたしたのであります。 改正の主要点は三点でありまして、第一に、家畜商につきましてその行なうべき家畜取引の業務に関しまして必要な知識に関し適切な講習会の制度を設け、この講習会の課程を修了した者またはその者をその家畜取引の業務に従事する使用人その他の従業者として置いている者に対して家畜商の免許を与えることとしたことであります。なお、現在すでに免許を受けている家畜商については所要の経過措置を認めることにいたしております。 第二に、家畜商は一定額の営業保証金を供託しなければ営業を開始してはならないこととし、家畜商の信用を補完してその経済的・社会的地位の向上をはかるとともに、家畜商の取引の相手方の保護をはかることとしたことであります。 なお、営業保証金の額につきましては、その家畜商の家畜の取引の業務に従事する者の人数が一人であるときには二万円とし、その従事する者の人数が一人をこえる場合には一万円にそのこえる人数を乗じた額を二万円に加えた額とし、営業上必要最小限度の信用補完措置をとることとしたことであります。 第三に、家畜商に家畜取引に関する帳簿を備えつけさせるとともに、都道府県知事が必要に応じその職員をしてこれらにつき検査を行なわせ得ることとしたことであります。 以上がこの法律案の提案理由及び主要な内容であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。 次に、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。 わが国の畜産は、近年国民生活の向上に伴う畜産物の需要の増大にささえられ、また、農業経営の改善上の要請から、目ざましい発展をいたしております。しかして、今や、わが国の畜産も逐次農業経営における零細副業的地位を脱しつつありまして、家畜の飼養規模、飼養管理の形態も漸次拡大ないし改善されつつあります。 このような趨勢に即応いたしまして、政府としましても、家畜の改良増殖につきましては、昭和二十五年に制定されました家畜改良増殖法の適切な実施とその他の措置により極力努力をして参ったのであります。しかしながら、わが国農業の発展、特にその中における畜産の振興が重要な課題となっております現在、家畜改良増殖法の施行の経験と最近における家畜の改良増殖の技術的進歩その他に照らしましても、家畜の改良増殖に関する法制としましては、現行法の諸規定のみをもってしては刻下の要請を満たすのに不十分となっていると考えられるのであります。すなわち、家畜改良増殖技術の進歩に即し、家畜の改良増殖関係の法制を総合的・体系的に整備するとともに、その適切な運営その他の措置によりまして、家畜の改良増殖の成果を効率的に農業者にもたらし、畜産の発展とあわせて農業経営の改善に貢献する必要が痛感せられるに至っております。そこで、今回家畜改良増殖法の一部改正を行なうことといたしたのであります。 以下改正法律案の重要な点につきまして御説明申し上げます。 まず第一に、家畜の改良増殖が極力総合的かつ計画的に効率よく行なわれることにより畜産の振興をはかり、あわせて農業経営の改善に資する趣旨を明らかにするため、この法律の目的につき所要の改正をすることといたしました。 第二としましては、国及び都道府県が家畜の改良増殖の促進施策を積極的に行なうべき義務を定めることとし、その施策においては、家畜の改良増殖の成果である優良な資質を有する家畜の農業経営に対する導入を助成指導し、かつ、今後における有畜農業経営の改善の方向に即し有効に貢献することになるように努めることといたしました。 さらに、別途農業近代化資金融通制度の創設が行なわれる等に伴い、今般有畜農家創設特別措置法を廃止することとなっておりますので、この事態に対処しまして、家畜の導入その他につきまして時代の要請に即した有畜農家育成に関する基準を農林大臣が定め、家畜の改良増殖を有効に行なうための援助、指導は、その基準に沿って行なうことといたしておるのであります。 第三といたしましては、農林大臣は、家畜の飼養管理及び利用の動向並びに畜産物の需要の動向に即して、家畜の種類ごとに、すなわち、牛、馬、めん羊、山羊、豚その他政令で定める家畜につきまして、その改良増殖に関する目標を定め、かつ、これを公表しなければならないものとし、この目標に即して、都道府県知事は、その管轄する区域内の家畜の改良増殖に関する計画を定めることができるものといたしました。しかして、国は、都道府県に対して、その家畜改良増殖計画の実施に必要な援助に努めるものといたしたのであります。 第四に、家畜の凍結精液の利用の実用化に伴い、種畜及び家畜人工授精に関する規定の整備をいたしました。すなわち、現行の種畜及び人工授精に関する規定は、人工授精が緒についた当時に制定されたものであるため、凍結精液の利用を予想しておらず、この点において不適切なものがあると思われますので、この点の整備をすることといたしたのであります。 第五に、家畜登録事業に関する必要な規制を行なうことといたしました。家畜を登録して、その血統、能力、体型を明らかにすることは、家畜の改良増殖を促進する上にきわめて重要な事業であり、わが国においても古くから行なわれており、昭和二十三年に制定されました種畜法には家畜登録に関する規定がありましたが、これにかわる家畜改良増殖法制定の際は、当時のやむを得ない諸事情からその規定を設けられませんでした。しかし、すでに述べました今後における畜産の重要性にかんがみまして、家畜登録専業は、今後の家畜の改良増殖の方向によく適合し、公正に運営される必要がありますので、所要の規定を設けたのであります。すなわち、家畜登録機関の登録規程は農林大臣の承認を要することとし、登録規程がさきに述べました家畜改良増殖目標に即したものであり、かつ、公正に家畜登録事業を運営するに十分なものであることをその承認の要件とすることにいたしました。また、これに加え、家畜登録機関に対する国の助言、指導その他必要な援助及び農林大臣の監督に関する規定を設けることといたしました。 第六といたしましては、農林省に家畜改良増殖審議会を置くことといたしたのであります。この審議会は、学識経験者をもって構成し、家畜改良増殖目標その他家畜の改良増殖に関する重要事項につきまして農林大臣の諮問に答え、また、意見の具申を行なうものであります。 以上が本法案の提案理由及び主要な内容でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。 次に、農林中央金庫法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。 御承知のように、農林中央金庫は、大正十二年産業組合中央金庫として設立されて以来三十有余年、農林水産関係各団体の中央金融機関としての役割を果たして参ったのでありますが、最近における組合系統資金の充実により、昭和三十四年七月に、それまで金庫に対して行なわれていた総額二十億円に上る政府の優先出資が全額償還され、現在金庫の出資は民間出資のみによって構成されている次第であります。 農業の近代化を進めて参ります場合に、これが資金として、農林漁業金融公庫等の政府資金による融資を拡充していく必要があることはもちろんでありますが、組合系統資金の積極的活用をはかることがきわめて大切な問題であることは御承知の通りであります。これがためには組合系統金融組織の整備拡充と活発な活動が必要と思うのでありますが、特に、金庫につきましても、構成団体との間に相互信頼に基づいた有機的結合を深め、真に農林金融の中枢機関としてその機能を十分に発揮できるよう、その体制を整備する必要が痛感されるのであります。 以上の事情に基づきまして、従来金庫の役員が政府任命でありましたものを出資者総会による選任に改めるほか、事業に対する監督規定を整備する等、所要の改正を行なおうとするものであります。 次にこの法律案のおもな内容を御説明申し上げます。 第一は、役員の主務大臣任命制を廃止いたしまして、理事長及び監事は出資者総会で選任することとし、副理事長及び理事は理事長が任命することとする等、金庫の役員に関する規定の改正を行なうことであります。 第二は、金庫の業務の重要性にかんがみ、業務の運営に関する重要事項を審議するため、理事長の諮問機関として主務大臣の認可を受けて理事長が委嘱する審議委員の制度を新たに設置し、従来の評議員の制度を廃止することとしたことであります。 第三は、農林中央金庫監理官を廃止すること並びに主務大臣の監督に関する規定及び罰則その他条文の整備を行なうことであります。これは、役員選任方法の改正と関連いたしまして、事業面における監督を強化し、金庫の業務の運営及び財産の管理の適正を期する必要がありますので、これらの点につきまして主務大臣が予防的あるいは補正的な指導監督等を行ない得るよう、主務大臣の監督に関する規定及び罰則を整備いたすこととし、これに伴い従来の農林中央金庫監理官を廃止することといたしたのであります。 以上がこの法律案を提案する理由及びそのおもな内容であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さらんことをお願いいたす次第であります。 —————————————
○坂田委員長 ただいま提案理由の説明を聴取いたしました各法律案に対する質疑は後日に譲ることといたします。 ————◇—————
○坂田委員長 次に、水産業の振興に関する件について調査を進めます。 韓国ノリ輸入の問題について質疑の通告がありますので、これを許します。角屋堅次郎君。
○角屋委員 大臣の御出席を得ましたので、この際時期的に重要な問題であります韓国ノリの輸入問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 御承知の通り、韓国ノリの輸入問題については、国内のノリ生産の増産傾向からいたしまして、かねて国内ノリ生産業者の保護の立場から政府においても慎重にこの問題の取り扱いをきめて参りました。また、衆参両院の農林水産委員会においても、昭和二十九年の五月十日、当時の参議院水産委員会において決議が行なわれて以降、しばしば衆参両院の関係委員会において韓国ノリの輸入制限問題についての決議ないしは申し合わせがなされておる経緯がございます。しかも、本年度は国内のノリの生産は異常な豊作でありまして、四十億三千三百万枚に上るのではないか、業界の数字で参りますれば昨年度よりも十七億三千九百万枚増加したというのでありますから、異常な豊作傾向でございます。従いまして、こういう沿岸漁業の重要な柱である浅海漁業、特にノリ生産の豊作状況から見まして、これときわめて関係の深い韓国ノリの輸入問題をどう取り扱うかということは、ノリ生産関係者から異常な関心が寄せられておりまするし、同時に、過般開かれました全国ノリの役員会あるいは総会等においても、国内のノリ生産の豊作傾向から見て、この際生産者に大きな打撃を与えるような韓国ノリの輸入問題については、できる限りこれをゼロにしてもらいたい、こういう強い要請等も出て参っておるのでございます。 この際大臣にお伺いしたいわけでありますが、政府といたしましても、非常におくれてまことに残念だと思いますが、いずれ沿岸漁業振興法案等を提案されて参ると思いますけれども、その点からしても、浅海養殖あるいは養魚等の事業は今後積極的に拡大をしていかなければならぬということが農林漁業基本問題調査会の水産関係の答申の中でも出ておる経緯とも関連をいたしまして、国内ノリ生産の本年度の状況から見て、よほど韓国ノリの輸入問題については慎重を期さなければならないと思う。現在、需給調整協議会等でも、生酢者側は一枚も入れるべきでないという意見であり、また、一方、輸入業者関係では本年度二億五千万枚の輸入希望を述べたようでありまして、その間にあって最終的に問題の処理を通産省・農林省の相談で今日取り扱っておる段階だと思いますが、本年度の国内ノリ生産の豊作傾向と関連をいたしまして、韓国ノリ輸入問題をどういうふうに取り扱おうとされておるか、この点大臣からまず第一にお伺いしたいと思います。
○周東国務大臣 ノリの生産がこの一両年に急激な増加を見ましたことは、一面におきまして私ども大へん喜びにたえないことであります。その結果国内における生産者が問屋その他の方へ売る価格が半分近くに落ちてきたという問題に対して、私どもは、今後とも韓国ノリの輸入問題のあるなしにかかわらず考えてみなければならぬ。御承知でございましょうけれども、今生産者価格は大へん落ちておるけれども、消費者価格はちっともこれによって影響されない。下がってこない。これは、一般ノリについても、つくだ煮ノリについてもそうでございます。ここにいかなる欠陥があるか、メスを入れなければならぬ。本来ならば、生産者価格が下がって消費者価格も安くなれば大へんいいことで、消費者価格の下がることによって売れ行きがよくなるということは、結局増産と相待って生産者の手取り収入もふえることでありますが、その面について少し打つ手がおくれているのではないか。相変わらず従来なりの取引で生産者は安く買い取られており、しかも消費者価格は少しも下がらないということは、そこに、何らか、取引上の問題なり、市場の問題なり、また需要の面の増大に関する処置なりがおくれているのだろう。実は、国内の生産増加に対してどうするかという問題を速急にただいま対策を考え中でございます。 その際たまたま韓国ノリの問題が出ております。生産者の側から言わせまするならば、こんなにふえているのだから、韓国ノリは一枚も入れるな、こういう意見の出るのもごもっともでありますが、この点については、角屋さんの御指摘のように衆参両院の決議もあり、その決議によると、一億枚の範囲は一応外交上の関係もあって認められてきております。その意味においては、私どもは、決議の趣旨を尊重しつつ、従来の範囲においてこれを考えていくことは、国交上また必要なことではなかろうか、かように考えておりますが、これらは、ただいま申し上げましたように、国内生産がふえている上に、さらに些少でも輸入があるということで、生産者が踏んだりけったりになるということになっては大へんでありまして、私どもは、これらの増産がされたことは業者にとってはよいことであるから、結果としてはその増産されたものによって有利に所得のふえるような方法を考えつつ対策を立て、また、輸入が多少ありましても、これによって生産者が非常な迷惑をこうむらないような処置を考えていきたい、かように考えておるわけであります。 そのためには、資金関係において低利融資を考えるとか、あるいは、先ほど言ったように、市場関係あるいは取引関係というような、いわゆる流通機構の問題も考えて対策を立てることが必要である。今日、韓国ノリが入らなくても、五億のノリが滞貨しておるということは非常な重荷になる。その上にことしさらに四十億も生産されるということは、一昨年の二十三億の倍近くで、えらいうれしいことですが、これに対する対策を、韓国ノリの問題を考えることももちろん必要ですが、その前に大きく考えていって、生産者の利益を保護したい、かように考えております。
○角屋委員 この際、参考までに、水産庁長官に、大体三十年以降の韓国ノリの輸入実績というようなものについてお伺いしたいと思いますが、私の手持ち資料では、三十年度四千百万枚、三十一年度九千九百万円、三十二年度七百万枚、三十三年度一億一千九百万枚、三十四年度七千九百万枚、三十五年度九千七百万枚、これはそれぞれの年度の一月から十二月までという統計をとった数字をデータとして持っているわけですけれども、この際、過去の三十年以降の韓国ノリの輸入実績について、数字的な問題を明らかにしてもらいたいと思います。
○西村(健)政府委員 ただいま角屋委員の御指摘の通りの数字であります。なお、二十九年度は一億六百万枚であります。私は今古い過去の事実をちょっと失念した点もございますけれども、三十三年度一億一千九百万枚、それから三十四年度七千九百万枚というのは、時期的な関係でたしか二千百万枚というのが早く入って、それが翌年の一億枚から二千百万枚削られておる、こういうことになっております。 なお、御参考までに、戦前の昭和九年から十一年は、四億五千四百万枚程度、こういうことであります。
○角屋委員 今水産庁長官からお話しのような点で、昭和二十九年に衆参両院の関係委員会で決議がなされて以降、おおむね、国内のノリ生産の実情等を十分考えながら、韓国からノリを入れる最高額については一億枚の限度内においてとどめてきた経緯になっておるのですが、元来、私どもも十分には承知いたしませんけれども、韓国ノリの輸入問題については、国会関係の中でも、一部、韓国ノリの輸入によって相当な利益が生まれる、こういうふうなことから、特に韓国ノリの輸入に熱心な諸君があるやに聞いておりますし、そのことが正常状態における韓国からどれだけのノリを入れるかというそういう数字を非常に乱しておるというふうに判断をしておるわけですけれども、この際、韓国ノリの外貨割当等を受けておる輸入業者、こういうものは、資料によりますと、伊藤忠商事、あるいは東京食品、第一物産、高島屋飯田等だんだんと出ておりますが、この韓国ノリの輸入の消費者に渡るまでの取り扱い問題、こういうことについては今日まで一体どういうふうにしてきておるのか、事務的な問題でありますから、水産庁長官からお伺いしたいと思います。
○西村(健)政府委員 事務的な問題につきましては通産省の方からお答え願いたいと思います。
○山本説明員 韓国ノリの輸入の手続でございますが、まずそれぞれの年度に総ワク幾ら入れるかということが決定されまして、それに基づきまして輸入の手続が始まるわけであります。ただいま韓国側の方が輸出組合を作っておりまして事実上一本化しております。日本側の方も、それに対抗する関係上、便宜商社の間で申し合わせをいたしましてその年ごとに交代で当番商社を作って、そこに一括外貨割当をする、それによって具体的な輸入の手続を進めるということにいたしております。入りました貨物はそれぞれ商社の間で割当に応じまして配分するという仕方になっております。
○角屋委員 去年の実績で、韓国ノリの輸入の単価と、それが入れて参りましてから消費者に渡るまでの大体の価格を中心にした筋道についてさらに御説明を願いたいと思います。
○西村(健)政府委員 価格につきまして、昨年の十月に調査しました数字がございます。あるいはその後の事情は変わるかもしれません。百枚当たりでCIFの価格が三十五年におきましては四百七十五円、それが問屋渡しで六百十七円、それから、生産地の卸売価格が、これは内地のノリですが、九百四十円、それから、小売価格は千百四十円であります。
○角屋委員 先ほども申し上げましたけれども、韓国ノリの輸入問題では相当政界の大手筋が関係している人があって、国内のノリ価格と韓国ノリとの関係では、韓国ノリの方が相当安いという点から、そこにもうけが出るということで、国内ノリ生産の方の立場も忘れて、従来から相当に、特に通産省あたりには大きな陰の圧力が加わっているのじゃないかということがよく言われるのですけれども、これは事務のあなた方にお聞きしてもそういうことがあるとかないとかいうことは言えないと思いますが、実際に私どもノリの生産関係から聞いておるところでは、水産庁関係は浅海養殖者の立場から相当に努力しようとする、ところが、通産省は貿易一本のところへ持ってきて、またこれに介在をする政界の大手筋等もあって、その辺のところに相当問題が生じ、いつも水産庁が押えられる、こういう経緯のように聞いておるのですが、その点は、通産省としては、やはり、この問題に直接関係の深い水産庁の立場、あるいは国会の衆参両院の関係委員会の決議、こういうものを十分尊重しながら公正な措置をされておるのかどうか、これはいかがですか。
○山本説明員 私の関知いたします範囲におきましては、特に特別な圧力というような事実は何ら存じておりません。輸入の数量を決定いたします場合には、官庁内部では関係各省、すなわち、生産者側を代表いたします農林省、水産庁、それから、本件につきましては特に韓国側との外交問題との関係がございますので外務省にも参加してもらいまして、それぞれの立場からの御意見をよく出し合って、その協議の結果決定をしておるわけであります。
○角屋委員 本年のノリの生産は関係団体の方では約四十億枚に上ると言っておりますが、少なくとも三十五億枚を突破しているということは明らかだろうと思うのです。すでにまた生産者のところに五億枚近くがまだ残ったままであるとも言われている。この際水産庁の長官にお伺いしたわけですけれども、所得弾性値その他いろいろな問題があろうと思いますけれども、従来国内の消費者筋ではけていく数量、私どもは普通の状態であれば二十五億枚程度かというふうに思うのですけれども、その辺のところは一体どういうふうに見ておられるか、お伺いしたいと思います。
○西村(健)政府委員 ノリにつきましては、御承知のように、国内では浅海養殖を進めておりまして、年々種苗の採取というような技術も改良されまして増産はされております。御指摘のように、私どもがただいまのところ県を通じて集めた量は三十六億枚程度ですが、これはなおズレがあると思います。 これの消費につきましてどうかという問題でございますが、私どもの考えますところでは、所得弾性値は非常に高いものであろう、こういうように考えております。この数量といえども、私は、国内における消費というものの今後においてなお増産してもこれは悲観するに当たらないと思います。ただし、先ほど大臣から御指摘のありましたように、現在、産地のノリが大体一枚四円から四円五十銭くらいに下がっておるにもかかわらず、消費者に渡る価格は下がっておらない、こういうところに一つの大きな問題があるのではないか。従いまして、その辺の取引機構というものについて何らかの手を入れて今後考えていけば、消費者の負担にはよらずして生産者の相当な手取りの増加、こういうことに私は考えられると思います。
○角屋委員 これは通産省に直接関係のある問題でありますけれども、本年度の需給調整協議会では、生産者側とノリを輸入する関係団体との間で意見がまっこうから対立した中で、最終的に農林省、水産庁で断を下して一億枚の範囲内の外貨割当を行なう、こういう段取りで百万ドルの外貨割当というものを内定をしておるのではないかと私は思うのですが、その間の当面の事情はどうなっておりますか。
○山本説明員 ノリの輸入ワクの決定にあたりましては、従来から、生産者団体、問屋団体、輸入業者団体の三者の代表をもって構成しております需給調整協議会の意見を徴して決定するということにいたしておるのでありますが、本年度は特に六月一日から関税が引き上げになるという時間的な制約がございます。従いまして、需給調整協議会の最終的な結論を待っておりますとその時期に間に合わなくなるおそれがございましたので、急遽、その協議会の結論を待たずに、外務省、農林省、通産省、三省の間で相談をいたしまして、前年通り一億枚を輸入するということを決定いたした次第でございます。
○角屋委員 この際、今年の韓国ノリの輸入の問題について、本年度の豊作傾向から見れば、最高限度の一億枚入れるということは大へん大きな問題があると思うのですが、さらに、一億枚という解釈の問題についても、大阪の保税倉庫の中に五千万枚の韓国ノリがあると言われております。一億枚と考えた場合に、大阪の保税倉庫にある五千万枚は当然含んで輸入数量として考えておるものと思うのですが、その点を明らかにしてもらいたい。
○山本説明員 大阪に参っております現物につきましては、実は韓国側が日本政府に何ら事前に了解を取りつけることなく一方的に持って参っておるものでございまして、これにつきましては、日本政府としては何ら特別なる了解を従来いたしていないわけでございます。従いまして、今回一億枚を入れる際にあたりまして、この五千万枚は、もしそのまま入れるとすれば当然一億枚のワクの中に入ることになるわけであります。聞いてみますと、だいぶ品質が悪くなっておるというような話もあるようでありまして、そうなりますと、場合によると一部のものは向こうに送り返すというようなこともあるかもしれませんが、いずれにしましても、どのノリを買うかは輸入業者のコマーシャル・ベースによる話し合いに一任しておるわけでございまして、政府としては、本年度取りあえず今度きめました一億枚を入れるということを決定いたしておるわけでございます。
○角屋委員 この際大臣にお伺いしたいのですが、大阪の保税倉庫にある五千万枚の点については、通産省の方から話がございまして、これはいずれの取り扱いをするにしても一億枚の範囲内において考える、こういうことでございますが、与党内の一部には一億枚を突破してさらに入れようという動きもあるやに聞いておるわけでありますけれども、本年度の韓国ノリの輸入の問題は、最大限やるにいたしましても一億枚が最高の限度である、それをあくまでも堅持していく、こういう方針であるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
○周東国務大臣 国内におけるノリの生産事情が非常に変わっておりますし、一部に国際関係も考えてもう少しふやせぬかという話もありますが、大体、今通産省からも答弁いたしたように、本年は一億のワク内で処理いたしたい、かように考えておる次第であります。
○角屋委員 ことしの国内ノリの生産状況から見て、韓国ノリの一億枚輸入というものを今後どういうふうに取り扱うかということが国内のノリの生産価格に影響するところがきわめて大きい。まだ生産者の手持ちが五億枚もあると言われておる現状と、今日の所得弾性値から見て、一体四十億枚近く行っておるノリ生産がフルにうまくはけていくかどうかというような問題とも関連して、生産者側としては非常に心配をしておるわけです。韓国ノリの輸入問題と関連をして、特に生産者の素朴な気持としては、価格暴落に伴うところの措置については、政府でもってはっきり最低限は保障してもらいたいという強い要請等も出て参っておるわけです。元来、農林水産物の価格の問題については、今後貿易自由化に伴い外国の農林水産物をどう扱うかという問題とも関連してきわめてむずかしい問題になるわけですけれども、国内の生産状況が十分国内の消費量を満たし、さらに場合によってはある程度オーバーするという状況の下で、外交その他諸般の情勢から外国から入れるということをかりに認めるにいたしましても、そういう場合においては、生産者に対する補償措置というふうなものについて、行政的にやるか法的にやるかは別として、これはやはり今後十分考えていかなければならぬ問題ではないか。たとえば、大豆の貿易自由化に伴う問題についてどうするとか、それが菜種に及ぼす影響についてどうするかというふうに、いろいろ農林関係でも問題が出て参るわけでありますけれども、韓国ノリの問題等についても、やはり、そういう考え方と関連をして、生産者に大きな打撃を与えるこれらの問題については、生産者の所得確保の意味からも十分考えるべきではないかと思いますが、一体農林大臣はその点を今後どういうふうに処理されるつもりでありますか。 〔委員長退席、秋山委員長代理着 席〕
○周東国務大臣 私は、先ほど申し上げましたように、韓国ノリの輸入ということによって補償の措置を講ずるのかというお尋ねには、すぐにはそうは参らぬと思うのです。これは、韓国ノリの輸入の前に、私どもお互いにいろいろ研究し合って参りました中で、ノリのごとき、二年のうちに一ぺんに五割も増産されるという状況が消費に合っていないということです。その点については、先ほど申し上げましたように、ある意味においては、消費者価格が下がっても片方は生産性が高まっているから手取りが多くなるし、そういうことに対する取引の改善その他によって需要を伸ばしていくことができると確信をいたしております。ただ、それには多少時間もかかりましょう。そういう点について、内地における生産がふえていくならば、御指摘の五億枚の倉庫にあるというようなものと同じような考えで、かりに入れましても、そのものと合わせて、市況を圧迫しないような形に措置をするというふうなことがまず先だと思う。そういたしませんと、いろいろ言われておりますように、内需はふえるけれども、生産の方で値下がりがして、なおこの一億枚の輸入によって影響が来たというようなお話もありますので、そこはやはり弱った話で、まず日本の急激な増に対する措置を考えていく、その一環として輸入ノリについての措置も考えなければならぬ、かように考えております。 先ほどいろいろお触れになりました中に、今後韓国ノリの輸入については輸入を扱う人間についてもかなり検討する必要がある、いろいろ政治家をバックに圧力があるというお話がありましたが、そういうことは私はなかろうと思います。どうも、あの中に、外貨割当をもらって権利売買をする者があり、その者がかなり害毒を流していると思います。今日検察当局でも調べているが、そういう人間はやめてもらった方がいいと私は考えているのであります。そういうことからメスを入れていくことがよいと思う。権利貿易によってもうかって、それがいろいろ不当なところにまかれるということがあったならば、私はけしからぬと思う。こういう点は、今後の措置を通産省ともよく考えていきたい、かように私どもは考えております。
○角屋委員 通産省の方にお聞きした方が適切かもしれませんが、韓国ノリを一億枚入れると数億のもうけが輸入関係者にあるということを言われるのですが、大体、この価格差その他から見て、去年の実績でけっこうですが、どの程度もうけがあると判断をされているか。
○山本説明員 輸入した場合にどれくらいの利益があるかにつきましては、いろいろ調査をいたしませんとわかりませんし、実際問題といたしましてなかなか捕捉しがたい問題でございまして、大へんに申しわけございませんが、それについて申し上げるような資料はございません。
○角屋委員 今ほかの委員からもちょっと私語がございましたけれども、去年の輸入価格、それから、先ほど来若干言われましたが、そういう経緯で小売に持っていく場合のルートをたどりますと、総数量があるわけですから、概算どの程度ということはわかるのではないか。私はこれで汚職追及をやるつもりはないのですよ。これは常識的に、韓国ノリを入れることによってずいぶんもうかる、だから政界の大手筋の一部がこれに介入するというようなことが言われるのだがそれは別として、常識的に、一億枚入れる場合に、去年の場合は大体どれだけもうかると概略判断をされておるのか、もう一度明らかにしてもらいたい。
○山本説明員 比較的安い品物を輸入いたしました場合に、それが消費者の手に渡るまでには幾つかの段階がございますので、どの段階でだれがどのくらいの利益をあげるかということは、これはなかなか捕捉しにくい問題でございます。輸入業者がどのくらいもうけるか、問屋がどのくらいもうけるか、これはそれぞれの取引の条件によって違っておりますので、一がいに幾らかということは申し上げかねる次第でございます。
○角屋委員 もう一度お伺いしたいと思いますが、もうけというと、やはりいろんな諸経費を引かなければならぬということでむずかしく考えておられるかもわかりませんから、簡単に問いを返して、段階別にどういう格差的な利益といいますか、利益と言ってしまってはまた誤解があるかもしれませんが、その辺の数字を一つお伺いしたいと思います。
○西村(健)政府委員 もうけという意味ではございませんけれども、さっき申し上げましたように、CIFの価格が四百七十五円、それから問屋渡しは六百十七円、このマージンがいわゆるインポーターのマージン、小売価格は、先ほど一千百四十円と申しましたが、これは内地のも全部くるめておるのでございます。従いまして、韓国ノリは二割くらい安いと見るべきだ、この場合に八百円程度と見たとして、四百七十五円、六百十七円、八百円、こういう数字で一億枚というふうにかけていただけばいいと思います。これ以上、私内容について申し上げるのは……。ただ、三十三年は、CIFの価格は二百八十八円である、しかるに、ノリの小売価格は九百二十七円、こういうことで、三十三年はマージンは非常に大きかった、こういうことは言えます。それだけでございます。
○角屋委員 さっきの韓国ノリの輸入に伴うところの国内ノリ生産価格の低下というふうな問題の補償要求というものが素朴に関係者から出てきておるわけですけれども、私は今差額的にどういうふうな利益と言っては何ですが機械的な数字が出てくるかということをお伺いしたのですけれども、やはり、その辺のところともにらみ合わして生産者保護ということを考えていく、これで私は若干のことはできようかと思いますし、そして、なおかつ、沿岸漁業に従事しておるこれら関係者の今後の経済的な発展という問題から政策的にさらに考えなければならぬものも含めてノリ関係の予算としてさらに考えていくということにしたならば、関係者の不安というものは相当程度やはり解消できるのじゃないかと思う。大豆のときに瞬間タッチ制とかなんとかいうことを一時言ったことがあったけれども、そういう方法の是非は別として、とにかく、貿易自由化に伴うところの農林水産物の外国からの輸入と、これが国内の生産者価格に及ぼす影響、その間の生産者擁護の立場からどうするかという問題については、やはりきめこまかく考えていかないといけない。今日、政府の指導等もあって、人工採苗その他非常にノリ関係も研究熱心で、私の選挙区の伊勢湾方面でも大へん積極的にやっておるわけですが、そうして増産傾向になったとたんに国内での売り渡しの価格が相当に下がっていく、そこへまた必要でないはずの韓国ノリを輸入されてさらにまた追い打ちをかけられる、これでは一体ノリ生産関係者はせっかく熱意を持ってやったけれども泣かなければならぬという実態にある。そういうことを政治の舞台においてそのままに看過することはできなかろうと思うのです。これは沿岸漁業振興の非常な大きな柱になる浅海養殖の問題についてすでに出ておることだし、今後その他の問題についても政策推進過程で当然問題になってくる。これは、やはり、農林大臣、国内ノリの今年度の問題をもちろん含みまするけれども、これらの問題については真剣に基本方針をきめてきめこまかくやらなければならぬかと思うのですが、お考えを承りたいと思います。
○周東国務大臣 私先ほど申し上げていますように、水産に対して、特に浅海養殖等が今後の大きな施策の一つになります。それに対しては、これら生産を増加した漁民がそれによってかえって損をするような形にならぬように、あらゆる面で施策をやっていきたいと考えます。ことに、ノリの問題は、実はこの間から水産庁当局には、どうするのか、早くしろということで、今研究させておるのであります。韓国ノリも、ことしは六月より前に入れたい、——というのは六月一日以降は関税が倍になります。こういうことも、ある意味においては、これから割当しないで自由に入れられるようになるといいますが、片方日本の国内生産がふえて価格は下がる、片方は関税が倍になるということであって、非常に遠大な考慮が払われておるということも御承知を願っておきたいと思います。
○角屋委員 時間の関係もありますので、韓国ノリの輸入の問題については この程度にいたしたいと思いますが、要は、沿岸漁業振興の場合でも、浅海養殖あるいは養魚関係、こういうものは、今後の政府から見た場合は成長財、答申からいくとそういう考え方を受けておるわけですけれども、今日この時点では、すでに韓国ノリの問題との関連でノリ生産の問題は相当困難な壁にぶつかってきておる。これは畜産が成長財と言われながら今日飼料の問題で大きな壁にぶつかっておるのと同じで、やはり、政府の農政面の従来からの欠陥は、生産指導ということについては相当大きな熱意を注ぐけれども、これが流通・消費と三位一体となった農政の責任面に欠ける点が多いのじゃないか。これは、そういう点では単にノリの問題ばかりじゃございません。基本法は鳴り物入りで言われておりますけれども、鳴り物入りで言われる農林水産関係では、ずいぶん多くの問題が今日露呈されておる。ノリの問題もその一つであろうかと思うのですが、そういう点では、当面の問題はもちろん、今後の問題についても、一つ価格関係の問題を中心にしてきめのこまかい政策を樹立されるように希望しておきたいと思います。 一応私の質問はこの程度にして終わります。
○中澤委員 関連。 これは、大臣、韓国といろいろな輸出入関係があるから、食管で輸入して、市価を圧迫しない程度で売り出して、その利益差をノリの振興なりいろいろな面に使う、そういうような方法は政策的に考えられないですか。——ちょっと私の思いつきの考えだけれども。そうすれば、市価も安定し、受けた利益は浅海漁業に対して政府が援助していける。こういう何か一挙両得みたいな方法が、これはしろうと考えですが、現在とればあり得るんじゃないかと思いますが、どんなものでしょう。
○周東国務大臣 それは、今角屋さんにお答えしたのですが、関税が六月から二割から四割になります。そういたしますと、国内の生産が増になって価格が下がるのと見合ってそうえらいもうけがこれからなくなる、そういうことに深い考えを向けておると申し上げたわけであります。従って、ただいまのところノリについて食管法で買い上げるというようなことは考えなくてもいいんじゃないかと考えておりますが、よく研究いたします。 ————◇—————
○秋山委員長代理 この際お諮りいたします。 ただいま内閣委員会において審査中の北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律案について内閣委員会に、また、建設委員会で審査中の水資源開発促進法案及び水資源開発公団法案につきまして建設委員会に、それぞれ連合審査会開会の申し入れを行ないたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋山委員長代理 異議なしと認め、さように決定いたしました。 なお、連合審査会を開会する場合の日時につきましては、両委員長と協議の上公報をもってお知らせいたします。 ————◇—————
○秋山委員長代理 なお、この際参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 ただいま本委員会で審査中の内閣提出、農業近代化資金助成法案、農業信用基金協会法案、農林中央金庫法の一部を改正する法律案、内海安吉君外四名提出、自作農維持創設資金融通法の一部を改正する法律案及び芳賀貢君外十一名提出、自作農維持創設資金融通法の一部を改正する法律案、以上の五案につきまして参考人の出頭を求めその意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋山委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。 なお、参考人出頭の日時、人選等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋山委員長代理 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十一分散会