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38回国会衆議院1961/04/18

農林水産委員会 第31号

発言数
147
登壇者
18
会派数
2
開催日
1961/04/18

会議録

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 これより会議を開きます。  本日付託になりました芳賀貢君外十一名提出、農業生産組合法案を議題とし、提出者に提案理由の説明を求めます。芳賀貢君。     —————————————

芳賀貢日本社会党

○芳賀議員 私は、提案者を代表し、ただいま議題となりました農業生産組合法案について、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。  さきに国会に提案して御審議をいただいております日本社会党の農業基本法案におきましては、農業経営の共同化及び近代化をはかる施策として、(1)わが国農業における過小農経営を克服するため、農業生産組合その他の農民の共同組織を育成すること、(2)国は、農業経営の共同化を促進するため、全額国庫負担による農用地の造成、土地改良及び集団化により農業生産基盤の整備をはかること、(3)国は、農業協同組合の下に農業生産組合を育成するため、農業生産組合に対し、その事業及び施設について、指導、助成、機械の貸付、長期低利資金の貸付、税法上の特別措置等の措置を講ずること、(4)国は、農業経営の共同化及び近代化を促進するため、農業協同組合の活動を活発ならしめるよう必要な措置を講ずること等を明示しているのであります。  この農業基本法案の趣旨に沿い、農民の経済的地位の向上をはかるため、農民が相互扶助の精神に基づいて共同して農業を行なうための組織を整備確立するとともに、新たに農業生産組合が農地等に関する権利を取得し得るようにする等、現行農地法に所要の改正を加えて生産または経営の共同化を促進することが必要であると考えるのであります。  すなわち、わが国農業は、歴史的に時代の支配層によって搾取され、抑圧され続けてきた結果、今日なお過小農経営から脱却できず、土地その他の生産条件の整備が立ちおくれ、農村の生活文化は前近代的な状態に足踏みしている状況でありますが、これらの歴史的な悪条件を克服して農民の所得と生活とを豊かにし、都市と農村との文化水準の格差を解消することは、われわれの年来の念願であるのであります。  さらにまた、戦後において、農地改革や農村民主化によって一時向上した農民の地位は、大資本の支配力の復活によって、生産、価格、流通の各面にわたる経済的な圧迫を受けて低下を来たし、他産業との所得格差は拡大してきており、その上、農業を自由経済に組み入れ、貿易の自由化によって国際競争にさらそうとする政府の政策により、小農、中農はもとより、比較的規模の大きな農家すらその自立はやがて困難となり、農業の発展はこれによって決定的に阻害されると考えるのでありまして、われわれは、農民が独占資本の収奪から自己を防衛するとともに、進んでは共同の力により農業生産力の発展の契機をつかんで参ることが肝要と存ずるのであります。  以上のような見地に立って、われわれは、農用地の拡大、土地条件の整備、農畜産物及び農業用資材の価格流通面における適切な施策等、各種の施策を一そう計画的かつ積極果敢に実行するほか、農業の経営形態については、経営規模を拡大して、わが国の農業構造の致命的欠陥である零細経営から農民を解放するため、基本的には、共同化、共同経営を推進することといたし、本案により、農業協同組合の下に農業生産組合を育成するとともに、新たに農業生産組合がその共同経営のため必要となる農地、採草放牧地に関する権利の取得を認めることとしたのであります。これが社会党が特に農業生産組合法案という独立単行法案を提案した趣旨であります。  次に法律案の主要な内容について御説明申し上げます。  まず、農業生産組合の行なう事業、その組織等についてでありますが、第一に、その行なう事業につきましては、農業生産組合は、農業及びその附帯事業のみを行なうものとして、原則としてそれ以外の事業を行なうことは認めておりません。  第二、農業生産組合の組織原則につきましては、農業経営の共同化及び近代化を貫徹することと、一方においては、生産手段の導入の必要性をも考慮して、農業生産組合の組合員はすべて組合の事業に常時従事しなければならないこととするとともに、その事業に常時従事する者のうち、組合員またはその世帯員以外の者の数は、常時従事者の総数の三分の一をこえてはならないものとしているのであります。  第三に、その組合員につきましては、組合員の資格を、組合の住所のある市町村の区域内に住所を有する農民で定款で定めるものとし、特に準組合員制度を設けず、また、定款の定めるところによって加入を制限することができるものとしておりますが、これは、地域性を考慮した土地と労働の地縁的な共同化に眼目を置いて組合の事業を推進することが農業の実態に即応するものであるとの考え方に出たものであります。なお、この農業生産組合は、独立の経営体として農業経営を行なう関係上、出資制度をとることとし、組合員は出資一口以上を有しなければならず、しかして、組合員の責任は、出資額を限度とする有限責任とすることにしております。  第四に、組合の管理及び財務の運営につきましては、おおむね一般の農業協同組合と同様の規定をいたしておりますが、剰余金の配当方法につきましては、まず、年五分以内で定款で定める割合の出資配当をなし、なお剰余がある場合には、組合員が事業に従事した程度に応じて配当することといたしております。  第五に、設立等の手続につきましては、農業生産組合が組合員の共同により農業経営を行なうという従来に例のない生産事業を実施する組合であることにかんがみ、かつ、出資制度、有限責任をとっている建前から、一般の農業協同組合と同様、認可主義を採用するとともに、一面においては、生産組合の設立を容易ならしめるため極力その手続を簡素化することといたしました。すなわち、七人以上(当分の間は設立を容易にするため二人以上)の農民が発起人となり、設立手続を終了し、行政庁の認可を受けたとき初めて農業生産組合が成立するものとしておるのであります。  第六に、農業生産組合を農業生産法人として発展させるため、都道府県は、組合の設立及びその業務の運営に関し必要な指導を行なうとともに、国は、生産基盤の拡充、機械化、有畜化の促進、技術経営面の指導、賃金の確保等について積極的な助成をすることといたしております。  次に、本案の大きな柱ともいうべき農地制度の改正の主要点について申し上げます。  農地の所有形態につきましては、農業基本法案におきまして、農地は、これを耕作する者が所有するという原則を貫くとともに、農民自身の自主的な意思によって、農地に関する権利を共同で保有するよう漸進的にこれを指導することといたしておりますが、この基本法案の理念に沿って、地主的土地所有者を排除する従来の農地法の精神を堅持しつつ、一面、共同化を推進するため、新たに農業生産組合に農地、採草放牧地についての権利の取得を認めることとしたのであります。  すなわち、第一には、新たに農業生産法人が農地または採草放牧地についての所有権または使用収益権を取得し得るようにするとともに、その場合においては、従来の農地等の最高面積の制限を緩和して、農地法第三条第二項第三号または第四号の別表で定める面積にその農業生産組合の組合員に属する世帯数を乗じた面積まで取得し得ることとしたのであります。  第二に、農業生産組合の組合員がその農地または採草放牧地に関する所有権以外を組合に対して設定しようとする場合には、従来の小作地等の保有の制限を適用しないこととし、また、組合員がその賃借している農地を組合に対して転貸しようとする場合には、所有者の承諾を要しないこととして、組合の農地等に関する権利の取得を容易ならしめるとともに、一方において、農業生産組合が一たん取得した農地等については、これを他に貸し付けることを禁止して、共同化の実をあげることといたしております。  第三に、創設農地について所有権以外の権利を組合に対し設定した場合、その組合が解散した際におけるその創設農地の取り扱いについて規定しております。すなわち、創設農地については、従来原則として賃借権等の用益権の設定は禁止されております関係上、組合が解散した場合等には、一定の手続を経て旧所有者に返還するか、それができない場合には国が買収する旨を規定しております。  以上が農業生産組合法案のおもなる内容でありますが、政府案におきましては、農業生産法人については、組合法人以外に、有限、合名、合資会社のような会社法人をも考慮し、これらに対して農地等に関する権利の取得を認めることとしておりますが、本来、営利を目的とし、構成員の資格要件に何らの制限を加えず、二人以上の者がかなり任意に設立し得る会社法人を認めることは、農民の一部を土地、資本を所有する資本主義的企業者へ、他の多数の農民を土地、資本から分離された農業労働者へ、それぞれ分解させることとなり、農村の階層分化を一そう激化せしめるおそれ少なしとせず、害多く益少ないかような措置は、われわれとしてはこの際とらざることとし、日本社会党案におきましては、農業生産法人は、生産組合法人に限ってこれを認め、強力に育成しようとするものであります。このような農業生産組合の制度によってのみ、農業の近代化、合理化が達成されることをわれわれは深く期待している次第であります。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容の説明であります。何とぞ慎重に御審議の上すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。     —————————————

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 次に、石田宥全君外十一名提出、土地改良区の財政の再建に関する特別措置法案を議題とし、まず提出者に提案理由の説明を求めます。石田宥全君。     —————————————

石田宥全日本社会党

○石田(宥)議員 ただいま議題となりました土地改良区の財政の再建に関する特別措置法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  戦後の土地改良事業は、農地制度の大改革と相並ぶ国の最も重要な施策の一環として、自作農を中心とする農業経営の合理化と農業生産力の発展をはかり、食糧その他の農作物の増産によって、農業の国民扶養力を引き上げ、ひいては国民経済の成長と発展に寄与することを目的として強力に推進されましたが、一方では、これが法的体系の整備のために昭和二十四年土地改良法が制定せられたのであります。自来今日まで数次の改正を見、本法を根拠に土地改良事業の実施、土地改良区等の設立運営が行なわれ、農民諸君の努力と相待って、わが国食糧農業問題の前進のため多くの成果をあげて参ったことは御承知の通りであります。  最近の実績を徴しまするに、昭和三十二年度までに事業費で約二千七十余億円、完成受益面積約百八十八万ヘクタールに達し、栽培技術の進歩向上に助けられつつ、農地なかんずく水田の生産力は飛躍的な増大と安定を見ることとなったのであります。昭和三十年以降、五年続き六年続きの豊作がうたわれておりまするが、水稲におきましてはすでに千二百万トン台の生産水準をもって平年作とすることが今日の常識となるに至っているのであります。このように、土地改良事業は土地生産力の発展に役立っておりますると同時に、一面においては、農業労働の軽減による労働の生産性の向上に裨益し、総じて農業の近代化、合理化を促進して参った事実を否定することはできないと思うのであります。  戦後の土地改良事業はかような効果をあげて参りましたが、同時にまた、今なお全国には数百万ヘクタールに達する要土地改良面積が残されており、さらに、新時代に即応し、畜産農業、果樹農業等の振興のため強力なる畑地対策の推進が要請せられておるのであります。それにもかかわらず、食糧事情の若干の好転を背景として、いわゆる農業生産基盤整備事業に対する政府の熱意が近来とみに冷却の傾向を示し、昭和三十六年度予算におきましてもその徴候を明瞭に看取できますことは、はなはだ遺憾とせざるを得ないところであります。  われわれといたしましては、むしろ、現在の土地改良事業がその内部に持っておりますもろもろの欠陥、すなわち、事業進度の遅延による経済効果の減殺、事業の一貫施行体制の不徹底、営農技術指導の不十分、事業完了後の施設の維持管理方式の不備、農民負担の過重等各種の問題点に真正面から取り組み、一つ一つこれを解決すると同時に、他産業との所得格差が漸次拡大するおそれのある今日の情勢下におきましては、さらに高い次元の上に立って、農業の共同化、近代化を推進する必要のあることを認めており、これがためにはあらゆる施策に先だって農業生産基盤の整備拡充とその制度の確立に努めて参らねばならないと信ずるものであります。  われわれは、去る二月十七日、政府に先だって、農業基本法案を国会に提案し、ただいま各位の御審議をわずらわしているのでありますが、本案におきましては、前述の見地に立って、農業基盤の整備拡充については特に意を用い、その前文で、国の責任において積極的かつ計画的に農用地の大規模な拡張、土地条件の整備及び共同化による経営の拡大と近代化を促進することを明らかにし、さらに、本文では、農業基本計画に基づく農業年度計画の実施に必要な予算の確保をうたい、また、農業経営の共同化を促進するため、全額国庫負担による農用地の造成、土地改良及び集団化による農業生産基盤の整備をはからなければならないことを述べて、もって国の義務として農業生産基盤の整備拡充を積極的に促進すべき旨を明示しているのであります。政府案におきましては、この点においていささか見劣りがあるのでありますが、いずれにいたしましても、農業基本法成立の暁には、土地改良事業の手続規定を中心とする現行土地改良法には、新しい理念に基づいて大幅な改正を加うべきものと考えるのであります。  われわれは以上の趣旨により土地改良法の抜本改正を主張するものでありますが、ここに至るまでの間におきましても、いたずらに手をこまぬいて待っているわけには参らぬ緊急の課題が生じているのであります。すなわち、それは、土地改良区の財政を再建して、その体質改善をはからねばならぬということであります。御承知のごとく、土地改良区は、団体営土地改良の主たる事業主体として、はたまた、国営または県営により施行せられた農業施設の管理主体として、土地改良法に基づいて設立される公共団体でありますが、あたかも全国の多数の市町村や農業協同組合が財政上の危機や経営上の困難に見舞われ再建整備に苦慮いたしておりますると同様の運命に陥りつつあるのであります。  土地改良区の設立状況は、昭和三十五年三月三十一日現在において一万二千七百三十二地区、その関係面積は三百三十九万二千ヘクタールでありますが、農林省の調査によりましても、大なり小なり経営の不振に悩む土地改良区の数は一万、専任職員の設置すらできないものはその八割にも達するものと目され、これらのうち著しい事業の不振団体は三百二十九地区、関係面積十四万二千ヘクタールに及び、その負債額五十四億三千三百万のうち、延滞額は八億八千四百余万円であると報告せられておりまするが、さらに詳細な調査をいたしましたならば、不振団体はおびただしい数に上るであろうと想像されるのであります。しかして、そのよってきたる原因はさまざまでありますが、その主たるものは、国営、県営及び団体営の各級事業が一貫施行せられず、多くのものが、経済効果の発生しないうちに借入金の償還に入ること、あるいは事業進度の遅延により金利が増大すること等、結局は農民の負担力の限界を越えて過重な金銭が賦課され、多額の延滞を生じて業績不振に陥っているものと認められるのでありまして、国または都道府県の側における指導や施策に適切を欠き、そのしわ寄せを受けているところに根本原因があると断ぜざるを得ないのであります。土地改良区がはつらつとして健全な運営を行なわない限り、農業生産基盤整備の画期的な前進を望むべくもないのでありまして、かくては農業基本施策の確立そのものも画餅に帰することは明らかであります。  ここにおいて、われわれは、かかる不振土地改良区に対し、国、都道府県及び農林漁業金融公庫等が一体となって、その借入金について、利子補給、貸付条件の緩和等の措置を行ない、もってその業務の円滑な遂行を期することが必要であると認め、本案を提出した次第であります。  以下その内容について申し上げます。  第一に、債務の弁済が著しく困難な土地改良区につき、その財政の再建のため必要な援助措置を行なうことにより、その業務の円滑な遂行をはかることをこの法律の目的といたしております。  第二に、債務の弁済が著しく困難な土地改良区は、財政運営の現況及び債務の償還計画、農林漁業金融公庫または農林中央金庫から受けることを必要とする援助の内容、事業の実施に必要な資金の調達方法、業務執行の体制を改善するための措置、事業の実施に関する事項等を内容とする再建整備計画を作成し、これを都道府県知事に提出して、その計画が適当であるかどうかの認定を求めることができることとし、その申請は昭和三十八年三月三十一日までにすることにいたしております。また、土地改良区が再建整備計画を作成する場合には、その組合員の三分の二以上が出席する総会において、その議決権の三分の二以上の多数による議決を必要といたしております。  なお、都道府県知事がこの計画を認定する場合には、農林省令で定める基準に従って行ない、かつ、認定するときには農林漁業金融公庫または農林中央金庫の意見を聞かなければならないこととしております。  第三に、農林漁業金融公庫は、再建整備計画が適当である旨の認定を受けた土地改良区に対し、その計画達成のため必要な資金の貸付または貸付金にかかる償還期限の延長、利子の減免その他の貸付条件の変更をするものとし、その場合の償還期限の延長は、農林漁業金融公庫法の定める償還期限を越えて十年を限り行なうことができることといたしております。  第四に、都道府県知事は、土地改良区に対し、再建整備計画の作成及び実施につき必要な指導を行なうものといたしております。  第五に、国は、毎年度予算の範囲内において、都道府県に対し、再建整備計画が適当である旨の認定を受けた土地改良区に対してその計画の達成のため債権の利息を減免した農林中央金庫に対しその減免した利息の額の全部または一部に相当する金額を都道府県が補助した場合の経費については三分の二を、土地改良区に対しその計画の達成に必要な事務費の全部または一部に相当する金額を都道府県が補助した場合の経費についてはその全部を、それぞれ補助することといたしております。  以上が本案の提案理由とその内容であります。何とぞ御審議の上すみやかに御可決賜わらんことをお願いいたします。

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 ただいま提案理由の説明を聴取いたしました両法律案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 次に、内閣提出、農業基本法案及び北山愛郎君外十一名提出、農業基本法案を一括議題とし質疑を行ないます、  質疑の通告がありますので、これを許します。野原正勝君。

野原正勝自由民主党

○野原(正)委員 私は、農業基本法制定のいわば基礎になっておると考えられます農林漁業基本問題調査会の答申との関連について政府の御見解を伺いたいと思います。  内閣に設けられました農林漁業基本問題調査会の答申は、前書き以下、第一節の総括において、第一に基本問題と対策の方向づけ、第二に政策決定の基準、第三に農業政策と投融資というようなことをうたい、第二節には所得政策をうたっておりまして、第一が所得目標、第二が価格政策、第三に作物災害対策というものをうたっております。第三節において生産政策をうたって、第一が生産政策の問題と目標、第二が生産政策の方向、第三に生産政策の諸施策というものをうたっております。第四節において構造政策に触れるのでありますが、第一が構造政策の目的と方向、第二に構造改善の目標、第三に構造改善の諸施策、こういうものが基本問題調査会で昨年夏にまとめ上げました答申でございます。これが法律という形あるいは予算という形になる際においては、この答申の中にも触れておりますが、この答申に述べているところを予算ないし法律という形で政策化するためには、さらに個々の政策ないし施策についての具体的検討を必要とするであろうが、そのような検討は政府によってなされることを期待するというふうなことで、この答申に述べておるところの政策化と関連して新たな立法措置を必要とするけれども、また、あるいはすでに存在する法律の改正をもって足りるというものもあろうし、これらについてはすべて政府の責任において具体的に検討してほしいというような意味の答申でございます。  いわば、この基本問題調査会が設けられて、多数の学者の方々あるいは農政に対する理解の深い方々、各方面の有識の方々の手によって、非常に長期にわたってこうした検討がなされたわけであります。それによって生まれましたこの基本対策と答申というものが一体どのような形で政府の法案として現われたか。私どもこれを見ますと、全体的にはほとんどこの答申を受けて書かれたようにも思います。立法されましたその精神を貫くものは、基本問題調査会が政府に提示いたしましたそうした問題とほとんど矛盾はないと思いますけれども、全体としてどのような関係にこの答申を取り扱われたか、その点から大臣の御所見を伺いたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 お答えをいたします。  御指摘のように、農業基本問題調査会というものは、民間の学識経験者がそれこそ自由な立場に立って農業に対する基本的な問題を研究され、その立場に立ってかくあるべしということの答申が出たのであります。政府といたしましては、この答申を尊重しつつ、その基本問題調査会の答申に現われた各般の事項を、その取り上げ方、方法、またこれをいかに法制化するかというような点につきましては、全部政府の責任においてこれを決定したわけであります。あくまでも自由な立場に立って決定された答申の内容というものは、現在の日本の農業の実態というものを見きわめてそれから出た意見でありますから、私ともも十分これを取り入れつつ基本問題を研究いたしました結果、農業基本法を制定することが妥当であり必要である、こういう考え方でこの法律を制定するに至ったのであります。

野原正勝自由民主党

○野原(正)委員 いわゆる農政の曲がりかど、農業が曲がりかどに来たということに対する現状認識の問題でありますが、答申におきましても、まず一番先に、農業者の生活水準の低位と所得の低位を生ずる諸要因というものをあげております。農業生産の低さというものを先にあげておるのでありますが、何がために農業が生産性が低いのかということについては、「労働力の過剰、経営規模の狭小、土地制度の硬直性、資本の欠乏(高金利、資本装備率の低位)または資本の不適正利用(過剰投資、高地価)、技術的知識能力の低位であり、さらに農業が生物を対象とする有機的生産部門であることもあげなければならない。そしてこれらが相互に密接に結びついている。なかんずく労働力の過剰等土地に対する過度の人口圧力」というようなことをあげておるのであります。これからスタートをいたしまして、農業の生産性の低い点をいかに打開をするかという具体的なことについて、あとでいろいろ、生産政策あるいは構造政策、価格政策というような問題で、所得、生産、構造と、三つの大きな柱でうたっておるのであります。私どもは、そういう生産性の現に非常に低いということについては、これはもう残念ながらその事実を率直に認める以外にはないと思う。また、この現状認識の中で、交換条件、価格条件の不利ということを特に第二にうたっております。農民の生産しました農産物が、その交換条件において、価格条件において、はなはだ不利であるということに対するいろいろな要素を並べておるのであります。そういったような点をこの基本法の中に十分に盛り込んだと大臣はお考えになっておられるか、その点を伺ってみたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 この答申の中に現われましたただいまの御指摘の部分、ことに、生産性の低さというものを一体どういうふうにして引き上げるか、あるいはまた、農産物の自然的、経済的な不利、ことに価格問題に現われる交易条件あるいは土地条件等の不利というものを保護し挽回するためにどういうふうにして法案の上にこれを立てたかというお話であります。これらの点につきましては、特に第一条等にも、その意味におきまして、農業の生産性の向上、生活水準の均衡をせしめるということを目途として施策を立てるということを書き、それを具現化するについて二条各号にこの点を書き上げておるわけであります。同時にまた、生産物に対する価格安定ということの施策に対しては、特に農業の生産条件、交易条件等に関する不利を補正する施策の重要な一環として、生産事情、需給事情、物価その他の経済事情を考慮して、その価格の安定をはかるために必要な施策を講ずるということを十一条に規定いたしておりますし、これらの問題に関連いたしましては、さらに十三条等において、農産物の価格関係において輸入農産物によって影響を受けるという事態の生じないように特殊な保護を加えるというような条文を置いて、それぞれこれに関連して必要な法制的措置、予算的措置を講ずることの基本を明らかにいたしておるわけであります。

野原正勝自由民主党

○野原(正)委員 農業政策の今後の対策についての方向づけという問題でございますが、今後のわが国の農業をいかなる方向において発展せしめるかということについては、まず現在の背景という問題を無視してはあり得ないということがこの答申にも特に強調されておるのであります。経済成長という問題との関連で、「今後十年の経済成長は順調であり、年率にして七%前後であると見込む。これは農業の生産構成にも大きな影響を与える。」ということをまず一つの背景として考える。池田内閣は、所得倍増計画ということで、国の総生産を今後十年間に二倍以上に発展させようという一つの基本的な構想でおるようでございますが、そうした背景の中においていかに日本の農業政策の方向を向けていくのかということを、この基本問題調査会においても指摘をしております。特に基本問題調査会の方は年率七%前後であると見込んでおるのであります。また、就業の動向として、「経済成長に伴う就業人口の動向からみて、農業就業構造は改善の契機をもつであろう。」、つまり、現在のような零細農、きわめて経営規模が狭小で、しかも農外の所得によってかろうじて生計を保っておるといったようないわば兼業農家等に対する問題についても、経済成長に伴っての就業人口の動向から見て農業就業構造は改善の契機を持つだろうということを予想しておるのであります。それから、貿易条件についても触れております。「貿易自由化の傾向は農業にとって関係が大きい。自由化政策と農業保護政策との関係の調整が必要とされる。」というようなことを一つの背景として考えつつ対策の方向が示されておるわけであります。この対策の方向づけの契機になりましたこれらの問題については、政府はこれを十分考えてこの基本法の中身に取り入れたと思うのでありますが、その点はいかようなことに理解しておられるか、伺っておきたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 御指摘の基本問題調査会において答申いたしましたわが国農業の将来に対する方向づけというものに関して、ただいま御指摘のように、日本の農業については、将来生産性を向上し、また農業構造の改善をするというようなこと、こうして所得を均衡せしめるというような事柄は、いずれも基本法においても取り入れていることでありまして、ただいまお話しの点は、農業基本法の前文におきましても述べておりますように、現在における農業の実態が、他産業の高度成長という中にあって農業がそれに対してややおくれがちになっておる。こういう面について、何がその原因であるかということを探究しつつこれに対処していく。そうして、農業の生産性の向上、農業構造の改善ということをやらなければならぬという考え方におきまして、基本法の前文を受けて各条文におきましてもそのゆえんを明らかにしつつ、それぞれ対策を立てることにいたしておるわけであります。なかんずく、今お話しの点につきましては、あくまでも、農業の生産性の向上、構造の改善というような問題に触れ、しこうして、生産性向上におきましてはいかなる方向をとるかということは、当然、農業従事者の問題、あるいは農業構造の上においていかなる人数の就業労働によってこれを経営し、その経営に従事する労働者の経営のあり方としてはいかなる方向にあるべきかというような問題なり、また、さらに、生産性の向上については、当然農業が近代化さるべきであって、その近代化の方向といたしましては、あるいは高度な技術を採用し、あるいは機械化を行なうとか、あるいは協業を行なわしめるというような事柄、これらはいずれも、基本問題調査会において答申を出しておりまする現状認識とその上に立っての将来の農業の方向づけということに対応して、大体農業基本法にもこれを取り入れて実行に移さんといたしておるのであります。

野原正勝自由民主党

○野原(正)委員 ただいまの大臣の御答弁によりまして、基本法の第二条の国の行なうべき施策というものが、すべて、この答申案による対策の方向づけの契機によって、与えられんとする  一つの現状の認識等から出発をして、そこに考えられた所得政策、生産性の対策、構造改善の対策という形に現われてきたということは明らかであります。そこで、私どもは、しからば、この政策を決定していった場合の農業政策と一般の農業政策に関連した問題がたくさんあると思うのであります。単に農業だけの問題で解決がつかない点がたくさんあるわけであります。特に、政策決定の基準として考えられることは、農業の基本問題としての対策というものは単に農業政策の範囲にとどまっているわけにいかない、むしろその対策は一般の経済政策がより重要であるということを基本問題調査会が答申をしておるわけであります。農業の基本問題に関連して、一般経済政策について触れるのが適当である、農業の基本問題の立場から一般経済政策に対して必要な要請がなされるべきである、特に農業構造改善のために完全雇用政策の達成についても要請がなされるべきであるというように、特に政策決定の基準の問題になって参りますと、これはひとり農業政策だけで農業問題は解決はつかないのだ、むしろ一般の経済政策というものとの関連が非常に深い、従って農業を発展させるためのさまざまな経済政策というものを積極的に農業の面でも要請しなければならないというふうなことを実はうたっておる。これは当然その点を政府も考えていることだと思うのでありますが、そういうような点についての配慮はどのように考えられておったのか、その点を大臣から明確にお話し願えれば幸いだと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 御指摘の点はごもっともでありますが、その点は、答申に書かれておりますと同じように、政府の出しました農業基本法第二条におきましても、一例をあげますと、「その政策全般にわたり、必要な施策を総合的に講じなければならない。」という書き方をいたしておりまして、農業の今後のあり方に関しては、農業だけで解決するものではなくて、すべての他の政策がこれに伴い総合的に行なわれなければならないということを明らかにしたゆえんであります。しこうして、これに関連をいたしまして、同じく第二条第一項の六号、七号、八号等にそのことを書いておるのでありまして、一面におきましては、農業構造に関連をいたしまして、農村の就業労働人口の移動というような問題に関連をいたしましても、他の産業が発展する方向へ現実的に移動する農業者の中の人間を、しっかりと技術におきましても訓練をし、所を得てこれが就業できるような方向をとろうというような考え方、これは、ただいま御指摘のように大きく労働政策ともつながるものでありまして、私どもは、農業が全体の産業の中の一つとして、ともに日本人が所を得て各所に働くということの行き方を考えつつ、農業の発展も進めていこうということの現われでありまするし、また、八号におきましては、交通、衛生、文化等の環境の整備、生活改善、婦人労働の合理化等により農業従事者の福祉の向上をはかり、生活水準の均衡を得せしめるということの意味は、その農業者の所得というものに関して、これが増加することに一つの重要な点がございますけれども、単にそれだけではなくて、農村環境というものが、他の産業と申しますか、都市住民等に比較して非常におくれているということになれば、これは追いつかないことであります。そういう面にも関連して、あるいは、農村における道路あるいはその他の交通の問題なり、あるいは、衛生上の問題といたしましては、上下水道なりあるいは電気とか無医村の解消とかいうような問題とか、あるいは、進んではある程度の娯楽施設といへ、ものも考えるべきであろうし、また、その他生活改善等におきましては、婦人の力を要する点が多々ございます。ここに非常にむだを省きつつ、生活を合理化しつつ、しかも婦人の力を十分に活用させつつ、農村の発展に寄与せしめることが多々生活の上にあると思います。そういう面を含めまして、すべての計画を総合的にやっていくということの意思をはっきりと法律に書いたわけであります。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 この際、野原委員の質問に関連をいたしまして、今後の審議についての動議を提案をいたしたいと思います。  ただいま、野原委員の方から、農業基本法の質問に関連をいたしまして、農林漁業基本問題調査会の農業の基本問題と基本対策の答申との関連について御質疑がなされたわけでありますが、私どもも、かねてから、農林漁業基本問題調査会の農業の基本問題と基本対策の答申、これが農業基本法との関連については、いずれすみやかなる機会に小倉事務局長等責任者の出席を求めて、基本問題調査会の答申の中身の報告を聞き、これに基づいての質疑を尽くして、これが農業基本法との関連について十分精査をすることが適切である、こういうことで要請をしておったわけでありますので、きょうは野原委員の方からこれらの問題についても質疑がありましたので、この機会に、委員長において、なるべくすみやかな機会に、農林漁業基本問題調査会の農業の基本問題と基本対策、これに対して小倉事務局長等責任者からの報告を求め、この問題それ自身についての審議を開催されるように、動議として提出いたしたいと思います。

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 ただいまの角屋堅次郎君からの発議に対しまして、私は、理事会において御決定を願って、なるべく早い機会にさような方向に進めたいと思います。

野原正勝自由民主党

○野原(正)委員 大臣の御答弁によりますと、この政府の出された農業基本法案は、そうした農業に関連のあるあらゆる国の施策について、また経済施策についての点を遺漏なく盛り込んだというお話でございます。この第二条「国の施策」というものを見ましても、その点がかなり詳しく現われておる点も私どもは承知をしておるのでありますが、何せ、農業はわが国の産業経済のいわば基盤でもございます。農村、農業というものの発展の上に立って初めて日本の著しい経済の発展成長が見られておるということからしましても、また、その基盤である農村の発展、農業を近代化して農民の所得を他産業と均衡のあるものに高め、生活を豊かにしていくという、この農業基本法を貫く立法の精神というものを具体的に進める段階になりますると、当然のことながら、農業政策というよりも、むしろ国の政策全体がそうした方向に行かなければ、その農村の問題は解決がつかないというふうに考えておるのでありまして、その点については、今後も、これはひとり農林大臣の責任ということではない。むしろ、先般私がこの法律が提案されました直後本会議におきまして代表質問をいたしました中にも、総理大臣以下各省大臣がそれぞれの責任においてその所管の事柄について積極果敢にその施策を行なうべき腹がまえがあるかどうか、むしろ農林大臣としては所管大臣でありますから、当然これは責任でございますけれども、あなたが人ごとのような考えを持っておられるとするならばそれは許しがたいことだというようなことを申し上げたのであります。今のお話を聞きましても、基本問題調査会がそういう点を特に強く要請をしておるということを十分に受けて政府の案ができておるということが理解されたわけでございます。  そこで、この問題一つずつ質問をしますと実は長いことですから大へんなことになりますので、一応この点はあとに譲りまして、次の問題に触れてみたいと思うのであります。  この第四条で国の財政上の措置というものをうたっておりますが、その中で、第一項の、「必要な法制上及び財政上の措置を講じなければならない。」ということは、それはまあきわめて明確に規定されていますから、この点についてははっきりしておると思います。  第二項の点でございますが、農業政策で一番問題点は、やはり何といっても農業金融問題であろうかと思います。この金融問題についての表現が、「必要な資金の融通の適正円滑化を図らなければならない。」というような表現でございまして、必要な資金の融通の適正円滑化というようなことは、どうもいろんなふうに解釈されるおそれがあると思うのでございます。必要な資金というのは、必要にして十分な資金というふうに私どもは理解をしたいところでございます。融通の適正円滑化ということは、これは、農業という一つの第一次産業を発展させる資金でございますから、短期高利の資金では問題にはならぬ。当然長期低利の資金であるというように常識としてこれは考えておるのでありますが、この適正円滑化をはからなければならぬといったようなことの中には、どうもそこまで明確にしていないという点がございます。その点などについての御意見を明確にしておく必要がある。いずれこれは大蔵大臣からはっきりと伺わなければならぬと思っておるわけでございます。  なお、これは何回も言っておりますから、今さらくどく聞くのもどうかと思いますけれども、なお念のため申し上げておきますと、第一項におきましての、財政上の措置を講じなければならないということは、われわれのこの第四条に対する考えとしては、大きく言うならば、国の長期経済計画というふうなものとともに、農林関係予算というものの要求されるものが、当然この法制上及び財政上の措置を講じなければならぬというこの義務規定によって必要な財政投融資が十分に満たされる、またそうなければならぬものだというふうに理解しておるのでありますが、その点で、どうも長期計画というふうなものとの関連は今のところいささか実は明確を欠いておるわけでございます。一応の参考程度ではありますが、所得倍増計画というものが、われわれの要請によって、農業基本法が成立をして農業の近代化のために必要であるならばその分は十二分に考慮されて計画が変更される用意があるというような意味合いの前文がついて、これを参考にするという閣議決定がなされておる。これを単に無条件で政府の行政の指針にでもされたのでは、ひとり社会党などばかりでなく、われわれが第一黙っていないところなんです。しかし、その点がちゃんとあそこまではっきりしていますから、まあ、よもや政府としても、十六兆一千二百億という十カ年の行政投資の中で農業は一兆円だというような妙なことにこだわることは断じてないだろう、そう考えておるわけでありますが、この点、第一項における財政上の措置と、それから次の必要な資金の融通の円滑化という問題に対して、所管大臣としての農林大臣の腹がまえというか御決意を一つ聞いておきたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 お話の点はごもっともでありますが、政府におきましては、この基本法案を出しますにあたりましては、十二分にそれらの点を考慮してこれは作成をいたしておるわけであります。ことに、基本法の第二条各号によって規定しておりますものは、こういう事柄について国は総合的計画を立てなければならないと、はっきりと義務を負っております。さらに、これらの二条を受けまして、たとえば農業生産に関する施策という九条において、「国は、農業生産の選択的拡大、農業の生産性の向上及び農業総生産の増大を図るため、前条第一項の長期見通しを参酌して、」と書いてあります。この「前条第一項の長期見通し」なるものは何かといえば、第八条に、「政府は、重要な農産物につき、需要及び生産の長期見通しをたて、これを公表しなければならない。」というふうになっております。一応第八条に基づき立てた長期見通しを第九条によって参酌しつつ、「農業生産の基盤の整備及び開発、農業技術の高度化、資本装備の増大、農業生産の調整等必要な施策を講ずるものとする。」ということになっておりまして、これがもう一ぺん二条にひっくり返って政府の施策の義務になるわけであります。しこうして、御指摘のように、第四条におきまして、「政府は、第二条第一項の施策を実施するため必要な法制上及び財政上の措置を講じなければならない。」、2におきまして、同じく、「政府は、第二条第一項の施策を講ずるにあたっては、必要な資金の融通の適正円滑化を図らなければならない。」ということになっておりますので、私どもは、表面に表われた文字からいたしましても、各条を比較対照いたしますと、政府の意のあるところがはっきりいたします。  さらに、金融に関しまして、適正円滑とある以上は相当長期低利の金が出るであろうというお話でありますが、適正とは、すなわち、農業の実態にかんがみ、また、農業の資金といたしましても、一律に長期低利という形でなくて、そのおのおのの間に条件が違うこともありますが、概して長期低利な金が農業に対する適正な資金だ、こういうふうに私ども考えております。これらに関しましては、十分に具体的処置に応じつつ、この金融を政府が義務づけられていくものと私は考えております。  それから、ただいまお話がありました財政的処置を講じなければならないという点は、いずれも二条及びただいま一例をあげました八条、九条の関係からいたしましての適正な施策を立てつつ進む、すなわち、将来における見通しの上に立っての農業基盤の整備、あるいは開発というものを一例にとりましても、必要な関係があれば、それに対しての必要なる財政並びに資金の融通、財政投融資というものが考えられていかなければならぬ。御指摘の所得倍増計画に一兆円となっておりますが、これはただ一時の出まかせでなくて、たびたび総理及び大蔵大臣も答弁いたしましたように、これらのものに対しては、今後における施策も総合して、土地造成等に対しても資金あるいは財政的措置を講ずるにやぶさかではない、こういうことをはっきり申しておりますし、私もたびたび主管大臣としてそのことを申しておるわけであります。

野原正勝自由民主党

○野原(正)委員 基本問題の答申によると、所得政策、所得の目標というものについて、かなりこまかくいろいろな問題についての事柄に触れております。農業経営についての所得の目標というもの、その中でも他産業従事者の世帯との考え方、あるいは自立経営の場合、あるいは自立経営以外のもの、あるいは農業全体についての所得の目標というようなこと、基準の状態、農業所得の成長率、所得目標についての検討というようなことで、あらゆる点からかなりこまごまと所得の目標ということについての考え方というものを指摘しておるわけであります。政府の施策についても、答申で指摘されたようなことについて、大体、農業所得の増大をはかるとか、あるいは他産業と均衡ある生活の水準を云々というようなこととか、いろいろな点で所得についての考え方というものは随所に現われておりますが、この調査会の答申と表現において多少違っておるような向きもあるように思いますが、その点、政府の出された法案との関連は一体どのようにお考えになっておられるか、伺いたい。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 なるほど、御指摘のように、基本問題調査会において掲げております所得目標というものと同じ書き方はこの法案ではいたしておりません。これは、農業所得というふうな問題をすぐに考えましても、基本問題調査会の経過におきましても、非常に個個ばらばらの形でむずかしいという考え方を書いております。それらをわれわれといたしましては参酌いたしまして、むしろ個々の所得目標というようなことの表現はいたしておりませんけれども、実質におきましては、まず、農業それ自体の所得が上がっていくためには、農業の生産性を向上せしめるということによって、農業就業人口の一人当たりの所得を上げていくという方向をはっきり打ち出していこうじゃないか、また、一がいに所得と申しましても、重要な部面は、先ほど申しましたように、生産所得というものは重要な部面にはなりますけれども、それ以上に、先ほどのそれらの所得を合わせつつ、生活環境がほかからおくれておることを直すというようなほかの面からの点がございますので、むしろそういうような面から生活というものを取り上げて、生活水準の均衡を得せしめる方向を現わしたわけでございます。もとより、その中における農業所得というものの方向、総生産を上げるということは私どもの意図しておるところでありますが、それだけを上げるということによっては足らぬ点もありますし、また、それをいかなる分野と比較するかということにつきましては、農業基本問題調査会におきましても非常にむずかしい問題だということを言っておりますし、むしろ、私どもは、裏の面からと言えば適当ですが、実質的に農家の各個人の所得を上げるためには、ただいま申しましたように、生産性を高めるということと、それから、全般的には生活水準を均衡せしめるという方向へ向かっていった方がよい、こう考えて、基本法はかくのごとく規定をいたしたわけでございます。

野原正勝自由民主党

○野原(正)委員 価格政策の問題でございますが、基本問題調査会が特に非常に重要視しておるのは価格政策。価格政策についてはいろいろと触れておりますが、農産物価格と農業所得の過度の変動を避ける、農業所得の妥当な水準を維持する、農産物価格水準を安定し農産物消費を消費者の負担の限度で維持する、供給不足または供給過剰を避けるため農業生産を可及的に弾力的にし有効需要に適応させる、消費者需要の変化に生産を適応せしめる、生産の選択的拡大に資する、以上のような機能を通じて国民経済の安定的発展に寄与するというようなことを前提としていろいろと価格政策をうたっておるのでありますが、この基本問題調査会の答申に出ておる価格政策の機能なり考え方というものは、どうも一種の非常に経済合理主義的な考え方が強い。つまり、日本のような農業の自然的・社会的・経済的不利を補正するという大前提の上に立って見ると、どうもこれだけでは非常に不満足であろうというふうに私どもは理解しておるわけであります。どうも、この価格政策については、価格の安定ということを強くうたい出しておる。これはもちろん当然でありますけれども、同時にまた、生産する農民の所得を安定向上せしめてその生活がより豊かになるためには、当然重要農産物についての価格を支持するという考え方が貫かれなければならぬと思う。これにつきましては私も実は先般の本会議における質問のときにその点を特に指摘しておいたのでありますが、あくまでも、価格政策の眼目といいますか、考え方の基調というものが、やはり生産費を保障する、そうして再生産を行ない、生産した農民の所得の安定向上をはかれるということでなければならぬと同時に、一面においては、この基本問題調査会が特に指摘しているように、消費者の立場というものも考えられたものでなければならぬということになると思うのであります。政府の価格政策の中にはそういう面について必ずしも明確でない点があるようでございます。農業所得の増大をはかるというようなはっきりしたことがございますから、そういうものを一緒に読めば、価格安定ということは農業所得の増大をはかっていくのだ、増大をはかろうと思えばこれは当然眼目は生産費を保障するという考え方でなければならぬということにも受け取れますけれども、その点はこれを批判する側から見るといろいろと文句もあろうかと思うのであります。この際、一つ、どのような考え方であるか、価格政策についての大臣の御所見を伺っておきたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 価格安定の政策に関しましては、ただいま御指摘の農業基本問題調査会の答申なり意見に現われておるところと、われわれの基本法に現われておることは私は変わっておらないと思います。今四項目か五項目にわたってお述べになりました基本問題調査会の考え方を私どもは取り入れておるわけであります。私どもは、今いろいろお話がありましたが、あくまでも、将来の農村に対して生産を奨励し、また目標を示して、これを誘導していくという立場に立ちましては、そのものが生産されてから需要があって売れていくという形をとっていかなければならないと思うのです。これが基本であろうと思います。これを合理主義だとか何とか言いますけれども、これがほんとうに農家に対する私は親切なやり方であろうかと思います。しかしながら、需要に応じた生産を行なわしめる。しこうして、次の段階といたしましては、取引条件等の不備を是正する。自然的な影響を受ける農産物は、時期的に値がいいからといって、急にふやすこともできなければ、また、値が悪いからやめるということもできません。そういう面を考えつつ、でき上がったものは、ある程度、取引条件というものを改善するといいすまか、または流通機構をしっかりした形にして需要者に対抗するというような方向をとることが私は基本線でなくちゃならぬと思うのであります。従って、かくのごときことをとることを基本といたし、しこうして、なおかついろいろな点において経済変動によって支持するという必要がある場合におきましては、当然、たとえばこの基本法に書いていますように、生産の事情であるとか、あるいは物価その他の経済事情を参酌して安定した価格にこれを持っていこう。これに対しては、現在もまたやっておりますように、米に対する価格安定の処置、支持政策、あるいは重要農産物に対する価格安定の方策、またはたとえば蚕繭等に関しましての価格安定の方策等、こういうものはそれぞれのものに応じて価格支持政策をとっておるわけであります。そのことをやらぬというのじゃなくて、ここに現われた方式の中において必要な処置をとるということに関しましては、政府におきましても、たとえば米についての問題は現在の方針をとり続けていくし、また、農産物価格安定法によるものはその政策をとっていく、また、今後におきまして、必要なことが起こりますれば、それに相当する価格安定の法律制度を作っていくというのが私の考え方であります。しかし、基本はあくまでも需要に応じた一つの生産を指導しつつ、常に安定した価格で生産をし、安定した価格で取引ができるような形にすることが最も必要なことであると私は思っております。これを、単なる需要のあるなしにかかわらず、一応ある価格を指定して、それをもって売り買いできるようにして生産をさせるということになりますると、需要のない面に関しましては無理が起ころうと思う。だから、私は、理想的にはやはり何といってもそれが一番大切なことだと思う。やむなき場合においてとられる方策として、価格支持政策ということ、その中に現われる生産費及び所得補償方式、よく言われますけれども、そういう問題が出てくると思うのであります。私はそういうふうに考えております。

野原正勝自由民主党

○野原(正)委員 そこで、大臣が今、米の現行食管制度というものについてはこれを維持するのだという抱負をはっきりと明確にされました。実は、この基本問題調査会が答申しました、特に価格政策の中での米の価格と管理というものについては、これは必ずしも明確でないのでございます。「米の管理は、供給著たる農家に対して価格安定の機能をもち、所得の均衡的効果に資するとともに、他方、消費者家計に対して特に減収等の異常な事態に対してもなお価格と供給の安定を期し得るものでなくてはならない。」、あるいはまた、「需給の円滑および価格の安定を期しうるような市場構造を考える必要があろう。そのような市場構造としても種々考えられるが、その一つとして次のような考え方がある。需給の操作及び価格の安定に必要な数量は政府が買い入れ、生産者は政府に売却の義務があるものとし、政府は主として消費地のためにこれを売却する。この場合この数量をこえる部分についても、生産者の申込みにより政府は買入れの義務を持つものとする。ただし、買入価格については売却義務によるものとの間に格差を設ける。」ということがある。「(イ)管理の対象たる米の買入、売渡価格は、米の再生産、消費者家計、需給事情等を参酌したうえで一元的関連のもとに定めることとする。この場合・米の再生産は、上述の意味で所得均衡を目標とした再生産である。」というようなこともありますが、このあとの方の(2)に非常に重要な問題が指示されておる、まあ一つの示唆があります。「むろんこれに対して現行制度のあり方と運営をそのまま継続すべしという見解もあり、また他方いわゆる間接統制に移行すべしとの見解もありえよう。」、どうも、基本問題調査会の答申を流れておるものは、あまり断定的なことを言わないで、政府の賢明なる施策に待つというような示唆に富んでおるということになるわけでございますが、特にこの点などは、何か読み方によるといろいろなふうに見られる。現在の食管制度はもちろん完璧なものとは申しがたいわけでございますが、いろいろと矛盾もあるというような点から、議論としては間接統制とかいろんなことがございます。そういうことを強く言う方もございます。私どもは、現在の米の食管制度というものの中身については非常にあきたらない面もございますので、これはできるだけ生産者も消費者も十分納得できるように改善をしていただくという必要はあると思います。しかし、その本質はあくまでも食管制度というものは貫いていかなければならぬというふうに考えておるわけでございます。その点についての政府のお考えを伺いたいと思います。  次に、麦の価格と管理というものについては、基本問題調査会もだいぶ頭をひねったところだと思うのでございますが、麦の問題については必ずしもはっきりしておりません。「麦の管理のあり方を歪曲しておる内麦買入価格と麦の売却方法を是正する必要がある。」としまして、「(ア)内麦の価格支持のための食糧管理特別会計の負担の合理的処理をなすこと、輸入外麦の品質と価格について需要者の必要により的確に反映させるため管理の弾力化を図ることを考慮する必要があろう。(イ)麦作は作付体系において重要な地位を占めているので、内麦の買入価格については、逆ざや相当分程度は裏作飼料作物を含めた反別補助と麦作合理化の補助への切替えを考慮すべきである。なお、反別補助等への切替えについては、同時に作物保険の機能を取り入れることもあわせて考慮する必要があろう。(ウ)麦価の支持水準は、麦作の合理化に伴い漸次引き下げられるべきであろうが、その際も主産地の生産者手取りについては、少なくとも現在程度の水準を維持すべきである。(エ)麦の売却には、現地売却、競争入札の方法を大幅に取り入れる要がある。」というように、麦についてはだいぶ苦労したように、これを見ましても出ております。麦については麦対策委員会の答申もございまして、大体、基本問題調査会が答申しておったこのような麦作の転換対策と合理化に対する補助金を出すことによって麦の買入価格を漸次自由化の線に持っていこうというような考え方が、いわば非常な経済合理主義的な立場で答申がなされたわけであります。これに対しまして、政府では、そういう立場でいくことが基本政策との関連において非常に問題があるということから、これまた非常な御苦労の上で今日お示しになったような麦の転換対策ということになったわけでございます。むしろ、この基本問題調査会の麦の価格と管理に対する考え方よりも、政府の考え方の方が一段と明確になっておる。おそらくその点においては生産者も十分私は理解されることと思う。米と麦に対しましての政府のお考えを、この際一つ明確にしていただきたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 基本問題調査会というものは、先ほどもお話ししましたように、学者とか実際家というものが自由な立場で意見を述べ、また、その結論を答申されたものと思います。その中で、いかなる点をどういうふうに取り上げ、これを法制化し実行に移すかということは、政府の責任でやることであります。  従って、ただいまお示しの米に関するいろいろな事情も、これは客観的に見て自由な立場で自由な御意見で答申がなされておることは、一つの答申としては、私は見て参考にしていくことは必要だと思います。しかし、米に関しましては、たびたび政府が言明いたしておりますように、米作農民というものに対する保護の制度がない限りは、生産者の米の買い入れ統制ということは続けて参りますと、かように申し上げておきたいと思います。  また、麦に関しましては、御指摘のように、あの委員会においてもいろいろ答申されておりますが、今後における農村の指導、農業のあり方としては、現実に需要の減ってくるものについては、他の方向への消費の奨励、消費の宣伝ということを考えることはもちろんでありますけれども、これを他の作物に、より需要の多くなるべきものの方へ転換させることが親切なやり方であり、私は妥当だと思いまして、目下提案されておるような大・はだか麦等に関する転換作の方法を打ち出したわけでございます。ただ、その移り行く間における過渡期の処置としては、できるだけ農家に対する保護措置は講じて参りたいというのであります。麦につきましても、小麦のごときは現在二百万トンも輸入しておりまするし、これがもし日本の国土、気候等に合わないために絶対に日本で作り得ないものならともかく、試験研究の結果は、国産化し得るということの見込みがないでもないのであります。そういう面については国産化を奨励する、こういう方向へ持っていきたいと考えております。従って、大・はだか麦等についての転換の一つの作物としては、同じ裏作であるところの小麦の方向へ一つ考えていったらどうだろうか。ただいま申し上げました試験研究の結果、品種改良等が必要でありますならばして、その中でことにパン用としてのハード小麦の方でございますが、ソフト小麦については今日でもある程度やれるのじゃなかろうか、どういうような考え方で転換の作物の目標といたしておるようなわけであります。

野原正勝自由民主党

○野原(正)委員 元来農業に不利となる要因を持つ農産物の市場構造、いわゆる流通の改善及び加工というような問題、今後特に果樹その他が非常に発展いたしますと、当然この農産物に対する加工というような問題も出て参ります。生産政策にだけ力を入れて、加工、流通という部門を従来はなはだ軽視してきたような傾向に見られがちであることは、はなはだ遺憾とするところでありますが、基本問題調査会の答申では、特に加工、流通過程の合理化というようなことをはっきりと指摘をしております。政府のこの基本法の中にもそうした事柄に多少触れておりますが、特に今後の農業が近代化をされ合理化が進んでくるに伴いまして、生産の対策と相呼応いたしまして、加工、流通過程の合理化、近代化が強く要請されることと思うのでありますが、その点に対する御見解はいかがでありましょうか、伺っておきたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 御指摘の点は全く同感であります。今まで、農業といえば、とにかく耕作して農産物を作り出すまでのことのようにあるいは考えられた向きもあるでございましょう。しかし、今日は、御承知の通り、農業というものがアグリカルチュアではなくてアグリビジネスとならなければならぬと言われておる点は、生産されたものについての加工、流通という方面にまで大きく踏み出すことが絶対に必要であるということから、かくのごとき言葉さえも使われ出してきている点であります。この点については、お話のように、従来から農業協同組合等によって加工施設を持って農産物の加工をやってはおりましたけれども、むしろ、農業基本法の制定以後におきましては、農家の力を大きく強めるためにも、また、生産物に対する流通部門において弱い立場で買いたたかれないようにするためにも、また、手取りをふやすために付加価値を増加していくためにも、あらゆる面からこの加工の面まで踏み出すことが必要でございます。従って、農業基本法においても、第十二条であったと思いますが、「農業協同組合又は農業協同組合連合会が行なう販売、購買等の事業の発達改善、農産物取引の近代化、農業関連事業の振興、農業協同組合が出資者等となっている農産物の加工又は農業資材の生産の事業の発達改善等必要な施策を講ずるものとする。」という書き方にいたしておりますが、むしろ、われわれが今後成長農産物として指導し奨励していこうとする畜産または果樹の面におきましては、野原さんの御指摘の通り、ただ単に豚を飼い酪農を奨励するというだけではなくて、その生産物をあるいは販売しあるいは乳酪の製品として耐久性を持たせつつ外に売っていく、その資本形成は一人々々の農家としては非常に弱いと私は思いますけれども、幸いにして農業協同組合等に持つ資金というものを大きく活用し、それらを出資し、またはそれに農業者自体も加わりつつ、方々に工場を誘致しつつ、加工の面に大きく踏み出す、この方向にいかせることが必要だと考えて、かくのごとき規定をいたし、また、それらに関連いたしまして、農業近代化資金助成法というものを制定しようとしておるわけでございます。

野原正勝自由民主党

○野原(正)委員 次に、輸入農産物の問題でございます。  第十三条にも明らかにしておりますが、基本問題調査会においても、農産物輸入の問題を特に強く関心を持って指摘しております。「貿易自由化に伴う輸出の増大により国民経済が伸長するとすれば、この面から農業構造の改善が期待されるとの見解もあろう。しかし、わが国農業の現状においては、当面農業保護を堅持せざるをえないが、その際つぎの方針をとることが適当である。」ということで、「農業保護を貿易自由化の傾向に即して可及的に調和せしめる。そのため長期的に成長が期待されるべきものについて特に必要があるものを保護する体制とし、また特殊の農産物(たとえば乳製品など)を除き、農業保護は原則として関税で行ない、このため必要があれば関税を是正する。また、貿易による農業保護は、国内の農産物に対する価格政策、生産政策と密接な関連づけを図る。このため必要な農産物については、行政価格水準決定の前提となる需給計画に基づき輸入賦課金ないし弾力関税の賦課等の措置が考えられる。なおこれと関連して特に麦などについては不足払いまたは作付補助等の併用が考慮される。」というようなことを指摘しておるわけであります。  政府の法案を見ますと、第十三条にはそれらの点が十分盛られておるようにも思います。しかし、この問題につきましては、先般私本会議で質問しました際に特に指摘しておきましたことは、何としても、わが国の農業というものは、ここ当分の間は国際競争に今にわかに耐え得るような段階ではないというこの事実であります。わが国の農業の近代化が進み合理化が進んで大いに生産性が高まったときに、あるいは国際競争裏にそのままさらしても十分耐え得るようなことになるものもあるかもしれない。しかし、遺憾ながら、大部分のものは、どうも、日本という、このあまりにも耕すべき耕地が狭いとか、いろいろな自然的・社会的・経済的な不利というものを考えますと、よほど特殊なもの以外には、外国の農産物との関連において、手放しの自由化をされたのではえらいことになるというような心配が実はどこまでも抜けないわけであります。現に輸入しておるものにつきましても、できるだけ早くこれを国内で生産できるように、国の大きな政策としてこれは積極的にやる必要があるわけでありますが、この貿易自由化ということが、日本の経済成長、産業経済の政策の面では大いにこれは要請されることでありましょうが、どうも、農産物に関する限りは、遺憾ながらそれと相矛盾する要素を多分に含んでおるというところに問題があると思うわけでありまして、その意味から、貿易の自由化につきましては、当然貿易自由化に備えての万全の対策をあらかじめ用意して、それが十分に悪影響をもたらさぬというようなことを見定めた上でなければ、かりそめにもこれはやるべきではないということを私どもは強く主張せざるを得ないわけであります。政府の第十三条にもそういう点が考えられておるようでございます。この条文は条文としまして、やはり、日本の農業というもの、現在でさえも、他と比較しまして農民の所得が低い、生産性がまだ十分に高まっていないというような点から見まして、この点は特に関心を持っておる事柄であろうかと思うのでありまして、基本問題調査会も、その点を憂えるの余り、いろいろな点についての問題点をここに提起しております。政府の、大臣としての御見解を伺っておきたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 野原委員の御心配の点は、私も同感であります。機会あるごとにたびたび申し上げておりますように、日本の農業の保護の立場から、とにかく、外国との競争力の弱い農産物、ことに今後これを育てていこう、そして農村の所得を上げようという場合、特にそういう面については十分意を用いまして善処いたしていきたいと思っております。ただ、いろいろの場合に、たとえば外貨保有高というものが相当多額になってきておるような今日において、その面からする為替自由化をいつまでも認めぬというような形は、非常に理論的には弱くなります。しかし、それに対しましては、今度は、御承知のように、これはガット二十五条でありましたかの承認を得まして、当然に弱い農産物を保護していくということは、ヨーロッパにおける共同市場で結束しております七カ国におきましても、自由貿易連合における五カ国の連合体におきましても、同じくその措置をとりつつ国内の農産物の保護に当たっております。私どもは、いろいろむずかしい点はありましょうが、野原委員のただいま御指摘のような点に関しましては、十分に意を用いて、国内における農産物の保護に欠くるところのないように措置をいたしていくつもりであります。

野原正勝自由民主党

○野原(正)委員 災害対策でありますが、この基本問題調査会の答申は、非常に勇敢な案をまず冒頭に示して、考え方を示しておるのであります。作物災害対策については、現行制度をやめて国家による災害補償または補助に切りかえるという案が一つ、保険制度でなく災害金融制度で対処するということが一つ、次は現行の農業災害補償制度について必要な改正を加えるというような三つの案について示唆が行なわれておるのであります。いやしくも、日本の農業が戦後非常な冷害、凶作あるいは幾多の風水害等に悩みながらも国民食糧自給という大きな国家的使命を果たしてきたこと、また、価格等もインフレの中で必ずしも農産物は有利な立場できめられたとは思わないこと、政府供出に対する農民の強い抵抗も現にあったわけでございます。そういうことに対しましても、一たび災害になった際において、その再生産を保障し、農民の今までの労苦に多少なりともこたえる措置として、農業災害の補償制度が果してきた大きな役割というものは、私どもはこれは忘れることのできない問題であろうと思います。基本問題調査会がここに現行制度を廃止して国家による災害補償または補助に切りかえるというような案を示したり、あるいは保険制度ではなく災害金融制度で対処するというような案を示したりして、そういういろいろな考え方を一応出したものの、結局は、現行の農業災害補償制度等について必要な改正を加えるなどの考え方ということで、今度の政府のお考えは、第三点の考え方に立って、これをやめるわけにもいかない、これをまた金融制度に切りかえることもなかなか困難であるということから、現行の農業災害補償制度を、農民の負担を思い切って軽くするというようなことや、現在行なわれておる多少の矛盾等を調整する意味で、いわゆる抜本改正というものをお考えになっておるようでありますが、いずれ関連法案の一つとして、また、関連するしないは別としましても、当然この国会に御提案になると考えておりますが、災害対策に対してはいかようなお考えを持っておられるのか、その点を承っておきたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 災害対策に関しましては、ただいまいろいろお話がありましたが、政府といたしましては、第三の現行の災害補償制度を改正して臨む、かように考えております。近くその法案の決定を見て御審議を願う段取りになるかと思います。

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十六分休憩      ————◇—————    午後二時六分開議

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出、農業基本法案及び北山愛郎君外十一名提出、農業基本法案に対する質疑を続行いたします。野原正勝君。

野原正勝自由民主党

○野原(正)委員 農業基本法案の何といっても一番の中心は、生産政策であります。いかにして生産を発展させていくかという問題が基本法の一番大きな眼目であると思うわけであります。基本問題調査会が答申しました基本対策におきましても、生産政策の問題と目標という点で、あらゆる角度から生産性の向上という問題と取り組んでおるわけであります。その中で、政府の第八条及び第九条等に、農業生産に対する需要及び生産の長期見通し、また、農業生産に関する施策というようなことでいろいろ触れておるわけでありますが、この基本問題調査会の答申をいかような観点から取り入れられたか、その点一つお伺いしたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 お答えをいたします。  基本法では、生産につきましては、先ほど申し上げましたが、需要に関して長期見通しを立て、とにかく将来とも売れるものを作るという建前を原則としまして立てております。その関係に立って、将来需要の伸びるものを生産させるということで、その関連におきまして、国が長期の需要の見通しを立て、その見通しに即して各般の施策が立てられるように努力し、それに必要なる法制的整備をしていく、予算的整備をしていく、こういうのが建前であります。

野原正勝自由民主党

○野原(正)委員 今の大臣の御説明で十分意を尽くしておられるわけですが、なお、この際、私どもは、日本の農業生産の発展の伸び、これは、今後の農業総生産を拡大すると同時に、農民の所得を上げる、拡大し増大する一つの最も大きな問題でありますので、基本問題調査会の答申によりますると、生産の伸びというものはたしか三%に見ておるようであります。今後十カ年における農業生産の成長率の目標を年率約三%としておるということでございますが、この三%の伸びということはあまりに低過ぎるんじゃないか。畜産その他の点については、すでにこの答申でも、三倍以上にするんだ、牛乳あるいは食肉、鶏卵といったようなものは三倍以上に伸びるであろうということをはっきりいっておりまするし、現に、最近の状況等を見ましても、これは三〇〇%以上になるということは当然であろう。なお、蔬菜、くだもの等につきましてもおそらく二倍以上に拡大されることと考えます。米等については、現在の生産はやはりある程度伸びておるが、米についての三%というようなことならばあるいはうなずけるかもしれませんが、日本の農業生産全体を見るというと、三%などということはどうもあまりにも低いんじゃないか。積極的に国の施策を加えていった場合には、五%にもあるいは七%にも伸びる可能性は一体ないものだろうかどうか。その点、三%というような基本問題調査会の答申を頭に入れ過ぎて、非常に消極的な、あまりに大事をとった案であるんじゃないかというふうに思いまするが、いかようなお考えで農業生産の伸びというものを考えておられるか、伺いたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 この点は、野原さんの御指摘のように、やや安全率を見ながら考えたということになるかもしれません。しかし、そのことは、あくまで農産物というものの過去における伸びの実績をもっての将来の予測であると思います。これは、御承知の通り、生活程度が向上するに従って農産物に対する需要の弾力性、弾性値と申しますか、これが低いということでありますので、われわれとしては、従来の実績をもとにして将来の予測を立てるということが一つのいき方であります。従って、もし希望的予測といいますか、政策的予測ということになりますと多少違って参ろうかと思いますが、この点は、あくまでも、御指摘のように、畜産物、果樹については三倍半あるいは二倍半というようなことで見ております。これは今言ったような立場で観測しておると思いますが、それから、穀類その他におきましても、あるいは今後の日本国内における生産の伸びなり、あるいは国外に対する輸出農産物というものを今奨励しようとしております。農業基本法の中にも農産物の積極的輸出の助成ということについて考えております。そういう問題を取り上げて実行に移した場合において、将来の動きによってあるいはもう少し変わってくるのじゃないかと思いまするし、希望的予想と申しますか、政策的予想をまじえつつやることも考えられますが、あくまでも、われわれ、計画を立てる上からには、堅実な実績をもとにしての予想ということに立たざるを得ないと思います。

野原正勝自由民主党

○野原(正)委員 私は、前の本会議における代表質問の際にも特に指摘したところでありますが、日本の農業は、その恵まれた気候、風土というようなもの、まあ降雨量とか気温とかいうふうなものを考えるときに、地勢的には非常にこれは開発は困難でございますけれども、山岳地帯等においてもまだまだ草地開発をして畜産を発展させる手段は残されておるわけであります。また、現在の耕地そのものにつきましても、生産性を高めるための土地条件その他あらゆる点で、土地及び水の有効な利用開発というようなことを積極的に進めていくと同時に、また、農業の技術を発展させるというようなこと、また、畜産、果樹といったようないろいろな面で選択的拡大が今後合理的に進められていく、その他、同時に、機械化が進み、あるいはまた農薬、肥料その他十分にそうした生産性を高める必要資材が潤沢に安く供給されるということになりますれば、まだまだ実は前途洋々たるものがあるのじゃないかというように考えておるわけでありまして、その点については、どうも政府の考えておられる根拠というものはあまりにも消極的であるように私には考えられて、遺憾に思うわけであります。農業は今大きな転換期にありまするし、農民もいろいろな悩みを持っておりますけれども、これは単なる価格政策や何かで考えられる問題じゃない。あくまでも総生産を増大する、そうして今後国民生活の安定向上に伴って需要構造の変化が見られるわけでありますが、その需要の構造の変化に対応して必要とするものが豊富に生産されるということであらねばならぬと思う。また、同時に、日本の農業は現に莫大な外国からの農産物の輸入に依存しておるという問題がございます。少なくも外国から膨大なものを輸入しておる。この輸入を今後の施策によって国内生産に置きかえていくというような積極的な努力をしなければならないと思う。現に、この基本問題調査会の答申を見ましても、麦につきましては三麦を通じておそらく生産は下回るだろうというふうに見ておりますが、私は、小麦等については、品種の改良等ももちろん大いにやらなければなりませんが、むしろ三麦を通じて将来はこれを国内でもっと生産するというような方向にいってもらいたいと思いまするし、また、現に、最近の飼料事情、畜産の発展、畜産の振興が時代の大きな要請となって参り、それに伴って、最近のえさの事情というものは、まことにどうも驚くべき窮迫した状態であります。政府が手持ちの麦を農協に出すというような措置も大へんけっこうなことでありますが、しかし、これはやはりいわゆる後手であります。応急の対策としてはなるほどけっこうでございますが、そんなことで日本の畜産の事情は救われるべきものじゃない。膨大な家畜の飼料を国内において自給するというような必要が出て参る。あるいはまた、甘味資源におきましては、これはもう大臣よく御存じの通り、国内においてのてん菜糖の生産をもっと増加させる、あるいはまた澱粉糖化によるブドウ糖の生産というようなものも、日本の農業の生産性の向上のために非常に大きな役割を持つものだと考えておりますし、そういったような点で、まだまだなすべき点が非常に多いようであります。今日本の農業は転換期にある。従って、ここに農業基本法を制定し、積極果敢に農業の生産性を高めていくための国の施策と相呼応して、農民それ自身の創意と工夫、努力によって、あるいは農業団体等の非常なお働きに期待して、農業の近代化が行なわれるわけでありますが、その近代化を意図するものは、結論すれば、農業の生産政策、生産を高めるということであり、大いに生産が伸びて、それによって国民の所得、農民の所得がふえるということでなければならぬと思う。そういう点について痛感いたしまして、基本問題調査会そのものの案も私をして言わしむればきわめて消極的な案だ、また、政府がそれを受けて作られたこの政府案というものもあまりに大事をとり過ぎたのじゃないか、さように考えております。と申しますことは、これは相当に金のかかることでございますから、あるいは、第四全等で国は必要な施策を講ずるための立法上または財政上の措置を講じなければならないという義務規定を置いたがために、あまりどうも発展させるために金がよけい要るとかえって因るということもあるのじゃないか、そういうような御心配をされて遠慮した案を作ったとすれば、これはまことに遺憾でございます。金はかかるかもしれませんが、日本の農業は将来まことに前途洋々たる発展の途上にあるものであるというように私どもは理解したい。その点の大臣のお考えはどんなふうでございましょうか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 野原さんの御意見は、私は御意見としては賛成であります。ただ、政府が案を立てていろいろと国会で審議をお願いするにあたりましては、やはり、堅実な案をもととして御説明いたすよりほかにないと思います。しかしながら、私どもは、いわゆる所得倍増計画というものができたときと、この農業基本法の制定後における農産物等の今後における生産の見通しについては、さらに違った見地からよく検討を加えて、修正をする必要があれば修正をしなければならぬと思います。それはたびたびの機会に総理も私も申し上げておる通りであります。ことに、農産物のごときは、一面生産をふやすということの半面に、需要の増加に対する積極的な施策を行なうことによって、生産をしたものを心配なく売らせるように農民のためには指導していくことが必要でありますが、従来、ともすると、作れ作れという形で作られたものの、需要面についての奨励とかいろんな問題が足らなかった点については、野原さんの御指摘の通りであります。その両々相待って、そうして将来の見通しというものを合わせて生産計画を進める段におきましては、野原さんの御意見は十分に考え、尊重していくべきところだと思います。  ことに、御指摘の、外国から相当量の農産物が輸入されておる、これを国産化したいということは、私の年来の主張であります。これが国産化されていくならば、ひとり農家のためによいととであるのみならず、日本の国民経済の上から言って、外貨の節約になるわけであります。その意味においては、まず第一に輸入農産物の国産化ということを取り上げるべきであるという、その点は全く同感であります。その間に、ものによりましては、日本の国土、風土に合わせつつ国産化するという点については、相当時間のかかるものもございます。しかし、直ちに着手してやり得るものもあるのではないかと思いますので、これは当然取り上げるべき問題だと思います。ことに、御指摘の国内の甘味資源のごときは、私はこの間からいろいろの問題に関連して研究を命じておりますが、一応、将来の輸入糖に対して、その半額に近い七十万トンの国産化を目ざしておるようであります。うち、てん菜糖が四十万トン、ブドウ糖の関係が二十万トン、小笠原、沖縄の関係の黒糖が十万トンというような関係になっておりますが、これは一体もっとふえるべきものならばふやすべきじゃないか、それに対してあらかじめ土地改良というような政策と相待って、てん菜糖のごときをどういうようにふやし得るのかということはやってみる必要があるんじゃなかろうか。そういう点ができれば、これは一つも日本の国として損にはならぬことで、こういう点は着目すべき問題だと考えております。  いずれにいたしましても、これらは、農業基本法制定の暁におきまして、各条文に明示しておるところの方向に向かって、慎重な研究と大胆な計画を立てて、そうして、それに必要なる資金に対しては、財政投融資の関係を通じて、国は相当にこれに対して支出をすべきものと私も考えております。ここに新しい農業基本法の制定の意義があると思うのであります。

寺島隆太郎自由民主党

○寺島委員 関連して。  ただいま同僚野原委員の質問に対しまする農林大臣の御答弁中、うんちくを傾けられて特に甘味資源のことに触れられて御答弁があったのでありますが、これに触れて一つお伺いをいたし、大臣も御所見をおそらく同じくいたすであろうと思いますけれども、実情に対しましてさらにお考えを承っておきたいのであります。  ただいま、大臣は、特にてん菜糖及びブドウ糖の育成強化を力説せられ、これが農業基本法にいう総生産の増大につながるものであり、輸入農産物を国内産のものに置きかえることにつながる問題であるということをるる力説せられたのでありますが、そのてん菜糖すなわちグラニュー糖は別といたしましても、ブドウ糖の実情をながめてみますと、これはサツマイモにつながるのであります。先日この委員会におきまして、あなたの部下であります食糧庁長官すなわち政府委員の答弁において、サツマイモはこれは大きな目で見ると斜陽作物であるという分類をせられたのでありますが、斜陽を斜陽でなくすることもまたこのブドウ糖の育成強化につながる問題であろうと思いまして、私もきわめて情熱を傾倒いたしてこの育成強化を見守っておりますけれども、実情は、どのくらい酵素糖化の、もしくは結晶ブドウ糖のそれらのブドウ糖が実際消化せられておるかということを調査いたしたのであります。と申しますのは、東京の有名デパートでブドウ糖が売られておるという農林省の説明でありました。そこで私は秘書をして有名デパートを全部歩かせたのでありますが、有名デパートの中で商品が展示せられておりましたのは、わずかに松屋と東横デパートの二軒だけであります。しかも、日本テレビでブドウ糖のPRをいたしておるとは聞いておりましたけれども、このマス・コミによるPRの方法にもきわめて問題があって、もう少し有効適切な方途を講じなければならないということはありますけれども、実際にこの二軒でどのくらい売れておるかといいますと、これは一週間に一袋しか松屋及び東横デパートのそれぞれにおいて売れていない。これが実情であります。もっとも、その際に、これは私の秘書が実際足を運んで両方のデパートの売り場にたたずんで調査いたしたのでありますけれども、ブドウ糖と一般の砂糖とを混糖した、いわゆる混糖の砂糖は、これは一日に五、六袋くらい売れておる、こういうことであります。ゆえに、ブドウ糖の育成強化というようなことに対しましては、本法にいう選択的拡大にもつながる問題でありますからして、ただいま農林省御当局におきましては共販会社等の御構想もあるようでありますけれども、これは徹底的にPRをいたして——混糖をいたすというようなことは両方の特徴を殺すものであるというようなことも、これは一部の砂糖会社のためにする宣伝にわれわれがペテンにかけられておったというようなことも言えるのであって、実情から言えば、混糖したものの方がよけい売れておるというのがマーケットにおける実情なんだというようなこともここに把握いたし得たのでありますからして、ただいま野原委員の質問に対しましてのお答え、ブドウ糖及びグラニュー糖、これらを大いに拡大して甘味資源の総合対策を樹立達成させるという御答弁が、ただ懇切御答弁に終わらざるよう、その実情を徹底的に把握して、そうして食糧庁当局にもすぐさまお命じになって、本法を運用して、血の通う、そして実効あらしむるような不退転の処置をやるお気持があるかどうかということを、特にこのブドウ糖問題について、ただいまの答弁に関連して承っておきたいと思います。本件については、大臣並びに食糧庁長官、それぞれ御答弁をいただきたいと思うのであります。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 結晶ブドウ糖の問題に関してただいまお話しの点は、私もあなたと同じ感じを持つのです。実は、私も、ブドウ糖はどうもさっぱり売れぬじゃないか、これはどうも普通のカンシャ糖と並べておくとみんなカンシャ糖を買っていってブドウ糖を買わぬじゃないかというような話を言うくらいであります。徹底的に消費宣伝ということに対して力を入れる必要があるのじゃないかということを申しておるわけです。ところが、そのときの業者の答えは、どうもまだ個人消費の方の家庭に入るのはどうもおくれておりますが、カン詰、ジュース工場等の加工工場には相当まとまって入っておるという説明でございました。それを大きに今後伸ばすことも必要だろう。ことに、内容が、乳幼児等、からだのためには非常に衛生的にいいという話もあるのですから、そういう面もひっさげて宣伝するのがよかろう、それに対して力を入れるのが必要だろうと私も考えます。それまではかなり苦労も要ると思いますが、御指摘のように、結晶ブドウ糖の消費の宣伝等に関しましては今後とも大きく力を入れたいと思っております。

野原正勝自由民主党

○野原(正)委員 生産政策の中で、政府の出しました基本法案には、第九条に農業生産の基盤の整備及び開発というようなことを特にうたっておりますし、また、第二条に土地及び水の有効な利用並びに開発ということをうたっております。何としても、農業生産を高めるための基盤は、やはり土地条件の整備であろう。従来、食糧増産対策のためにということで、莫大な公共事業費を投じまして土地改良事業その他をやって参ったのでありますが、一昨年から食糧増産対策費という名前を農業生産基盤の整備ということに改めて、そうして、これはひとり米あるいは麦というようなものに対する対策だけではなく、従来の澱粉食糧の生産を高めるだけに飽き足らなく、むしろそれに加えて蛋白食糧あるいは脂肪食糧というようなものについても同様の観点から生産基盤の整備強化を徹底しようというような政府の意図と見受けておったわけでありますが、しかし、名前は変わりましても、やはり中身はさほど変わっていない。むしろ従来の延長というようなことで、やはり土地改良事業といえば水田地帯を中心とした生産基盤の整備事業というふうなものが国営、県営あるいは団体営等によって行なわれておる。最近においてはそれに畑地灌漑といったようなことも相当積極的に進められておることはまことにけっこうでございますが、これがきわめて不徹底であるというそしりを免れないと思う。なお、特に今後の問題としては、農耕地としては従来の考え方によれば開発がなかなか困難のような地域、山の傾斜地帯、そういうようなものを、草地開発ということならばこれを農用地として十分に開発できる可能性があるわけであります。ましてや、そこに水を適切に利用していく。従って、今後の土地改良あるいは草地開発というような仕事、農業の土地条件を整備するということは、すべてこれは土地だけではなく水も必ず一緒にした一つの利用開発というようなことでなければならぬと思う。そういう点については、第二条にもあるいは第九条にも農業生産基盤の整備及び開発という点で触れてはおりますが、これが今後農業の生産政策を行なう眼目であるといろ点につきまして、政府はこれに対するいかようなお考えを持っておられるか。  なお、これに関連して考えなければならぬ点は、将来、水資源というものが、農業用水として利用されるのみならず、工業用水としても非常に重要なものだという点について、その調整を考える必要があるというふうなことを基本問題調査会でも実は指摘しておるわけであります。たまたま本委員会に出ておりますたとえば愛知用水公団の問題等ございますが、一方においては、水資源開発というような大きな観点から、これを一本の水資源を開発する大構想でいくというような計画、考え方もある。あるいはまた、農業用水と工業用水あるいは都市の利水というようなものを含めた開発というようなことも考えられておるようであります。まだ政府の意見が最終の段階には決定していないというふうに聞いておりますが、私どもは、今後の日本農業の発展を考えるならば、土地及び水の有効な利用開発ということを第二条にはっきりとうたっておいたことは、これは非常な策を得たことであると思います。これに対して、今日までやって参りました土地改良事業等をできるだけ早く完成するとともに、今後新しい発展を考えるために、進んで土地の利用の高度化、これは必ずしも新しい開拓地をどんどん切り開くというようなことよりも、むしろ現在まで非常に生産性が低いと言われておる開拓地であるとか畑作地帯、——東北地方、北海道等にはそういう地域が非常に多い。そういう地帯の畑作、雑穀地帯と言われておるような地帯について、従来米作のために取り来たったようなそうした政策を、土地改良事業というようなものをむしろ積極的に進めていく必要があるように思うのでありますが、第二条あるいは第九条に関連して、政府の今後の御決意はいかがなものであるか、伺っておきたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 御意見はもう全く賛成であります。一体、農業の基盤を造成し養うという問題におきまして、常に土地と水が離れてならないということは御指摘の通りでありまして、その意味において、御指摘のように、第二条及び第九条に、土地及び水の有効利用及び開発というような文字を使いましたのもその意味でございます。ことに、野原さん御指摘のように、畑地におきましても、水というものの利用が完全にその畑地に対して行なわれておる場合においては、これをカリフォルニアの例をとるまでもなく、常に必要時期にネジ一つあければ灌漑されていく。この点においてどれだけ農産物の生産が確保されておるかわからないのであります。その点は、日本が指導したパキスタンの農地の開発におきましても、水と畑地の間に関連性を持たしてやったのでありますが、私は、日本がなかなか財政的な問題で苦労をしておりますが、カリフォルニアのやっているものと同じようにいかぬにいたしましても、やはり、畑地の今後における開発について、それに対して灌漑用水というものを十分に計画的に取り入れておけば、非常に畑地の生産が上がるということもまたはっきりわかっておるのですから、その意味におきまして、土地の開発については水のことをあわせで考えていきたいし、また、従来田畑について水のないために生産性が落ちているところに対しては、御指摘のように、土地改良という形において、用排水の施設を設けることによってこれに対処していきたいと思います。今日まで予算上ややこれに対しての予算が足らぬではなかろうかという含みのあるお尋ねであります。これらについても将来におきまして十分考えていきたいと思います。

野原正勝自由民主党

○野原(正)委員 この調査会の答申、特に生産政策の中で技術対策というものを強くうたっておるのであります。特に畜産技術の研究と普及が重要となることは言うまでもないというような表現で、今後の農業生産の発展の基礎が土地条件の整備強化にあると同時に、それと同じように技術対策というものに特に力を入れなければならない、技術の問題については、なかんずく畜産技術の研究と普及が重要となることは言うまでもないというぐらいに実は明確にうたっておるのでありますが、今まで国のやっておりました施策の中にも、農業の技術普及の仕事については大いに力を入れておることはもとよりで、これは私どもも承知しております。ただ、ここに基本問題調査会が特に畜産の問題を指摘されまして、これを見ますと、私どもも実はなるほど全くこの通りだというような感じがするのでございます。ほかの部門においては、かなり技術の方面が浸透もしており、普及もされておりますけれども、この畜産の分野になりますと、遺憾ながらまことにお粗末と言わざるを得ないわけであります。そういう点に対して、まさに、基本問題調査会のこの答申というものは、今日までの農林行政に対して一矢を報いたというか、反省を促したものだと私は理解しておるわけであります。第九条には、生産基盤の整備及び開発ということに続いて、農業技術の高度化、資本装備の増大云々ということが触れられております。ここで農業技術の高度化というものを特に第九条でうたっておる。あるいは第二条においても、国の施策の中に、項目としては、農業の技術の問題、教育の問題等があります。特に、私は、この農業基本法案の中で最も大きな成長部門としてお取り上げになっておられる畜産の振興については、全体の生産の伸びというものは年率三%そこそこであろうけれども、しかし、畜産に対しては、政府の案でもこれを三倍にするというような非常に積極果敢な案が示されておるけれども、これはもっと大きくなるだろうと思う。しかし、畜産がそこまで発展するということならば、この第九条にうたった技術の高度化という問題は一体いかように考えたらよろしいか。今まで、現に農林省の中には農業技術改良の制度があって、技術員あるいは普及員というような制度がある。その中に畜産の技術員というものももちろん入っておる。しかし、これと比較するのはおかしな話ですが、養蚕については、これは養蚕の技術員というものがかなりの密度で実は現に養蚕の指導に当たっておるわけであります。これらと比較しましたときに、どうも畜産の部門だけが非常にまだ軌道に乗っていないというような感じがするわけであります。これは畜産の関係はなかなか急に適当な指導者を得ることは困難であります。これは、むしろ、学校の教育というようなもの、あるいは技術の研修というようなものを通じて技術者の養成までも考えなければならぬ問題かと思いますけれども、しかし、畜産の分野を将来大きく発展させるというならば、ここにやはり畜産の専門の技術者、高度の技術者をできるだけたくさんに養成をし、確保して、そして、これを専門員とし、普及員として新しい一つの普及制度なりに発展せしめる必要があるように思うわけであります。特にその点については基本問題調査会がはっきりとそういう点で示しておるという点を私どもは重要視いたしまして、政府も当然その問題は考えておると思いまするが、政府案の中でいかような考え方でその問題を今後取り上げていくお考えであるか、その点の御決意を伺いたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 この点に関しましては、ただいま御指摘のように、第九条で、特に高度な技術を取り入れるに必要な施策を講ずるということになっておりますが、特に、御指摘のように、今後の農業生産の発展を考えるときに、高度な技術を取り入れるということは日本農業としてやらなければならぬ大きな問題だと思います。ことに、御指摘の畜産に関しましては、果樹と同様に、これは新しく伸ばすべきものとしてその点に特に力を入れたいと思います。  第一は、私ども、その意味におきまして、三十六年度におきまして、農林省の持っておる試験場等に関する組織を改善をいたしまして、そうして畜産とか園芸部門に関して特に力を入れるのでありますが、御指摘の点にありました農業改良普及員というものが現在一万九百人ほどあります。これが、どちらかというと、比較的一般農事というような格好で、何でもできるかわりにあまり深くないということ参言えます。新しい技術員を増加するということはなかなか急速には間に合いませんので、さしあたって、この一万九百人の農業改良普及員の中から畜産とか果樹とかいうものに対して特技の養成をいたすために、各都道府県にありまする園芸試験場あるいは畜産試験場等に委嘱して、五十人ずつくらい分けて技術の再教育をするということを一つやっております。同時に、そのことは、農業者自体の中からも畜産をやろうとする者に対する技術の指導、研究、修得を行なわしめる予定になっております。さらに、将来、来年度以降につきましては、何とかして技術員それ自体を各試験場等あるいは各県の指導に従事する者として増員をいたしたいと考えておりますが、本年度はわずかですが増員になっております。将来これを考えたいと思います。  なお、学校の問題にお触れになりましたが、この点は、将来文部省とも話をいたし、今大きく科学技術庁が取り上げておりまする、技術者の需要に関し将来に備えて学校の技術科目というかその方の充実をはかりたいという希望の中に、将来やはり農業技術の修得に関して特に意を用いる必要があるのじゃなかろうかということを今日から相談をいたしておるような実情でありまして、あくまで毛技術を取り入れて生産性を高めるということに関しましては、これを教える上においても、また農家の上においても技術修得に関してできるだけの処置を講じたいと考えております。

野原正勝自由民主党

○野原(正)委員 基本問題調査会の答申で一番問題になりましたのは、第四節において構造問題に触れたことであります。まさにこの構造問題こそ今後の日本農業の非常に大きな問題点をはらんでおるわけであります。あらゆる角度からこの調査会はこの構造問題と真正面から取り組んだと私どもはこれを理解しておるのでありますが、その中で、結局、日本の農業の将来というものを考えるときに、自立経営の育成ということが主となり、また、協業組織と協業経営というような点に新しいまた一つの活路を見出そうとしておるかに見ておるのであります。非常に問題が多いのでありますが、これはあまり短い時間でこれをつまびらかにできないのでありますが、この構造政策はいかような観点からこの基本問題調査会の答申をお取り入れになったか、その点をまず伺っておきたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 これは、農業基本問題調査会の答申にもありますように、今後の農業の生産性を高めるということからいたしましても、構造問題に対し、特に農業就業人口の問題に触れて答申をいたしております。私どもも、この点は、今日における農業がとにかく零細土地所有の上に立って過剰の労働が投下され、零細な経営をしているところもあるのでありますから、その点は率直に認めつつ、どれをどうするかということについて、私は、国民の協力を得、理解を求める必要があると思うのであります。幸いにして、日本における国民経済の発展は目ざましく、御承知の通り、鉱工業の発展が非常に著しい。その間にあって農村からの労働移動というものが行なわれている現況というものを、すなおに、曲がらずにこれを認めて、しかも、その方に移動していく人々に対しては、でき得る限り職業訓練なり技術訓練を与えつつ、よりよき働き場、所を得しめるというところに持っていくということとあわせて農村における就業人口の問題を解決するということが、当然に、農業の近代化、機械化あるいは高度技術の採用によって残されたる人間でも従来以上に生産性を高めるということになるのではなかろうか。この点はいろいろ問題が多いと思いますけれども、この点を率直に私どもは認めて、それに対策を立てるということが必要であろうと思います。

野原正勝自由民主党

○野原(正)委員 大臣の説明で農業構造に関するお考えを伺いまして、まことに適切な御答弁だったと思います。  第十五条において家族経営の発展と自立経営の育成を論じ、この問題を明確にした。第十六条においては相続の場合の細分化の防止に触れておりますが、第十七条において協業の助長ということで、先ほど大臣のおっしゃったように自立経営で農業の発展を期すると同時に、一面において農業の近代化に即応して協業化を助長していくということ。協業化というのと共同化というのと、どうもまことに明確を欠くようなまぎらわしい文句を使っておりますが、私どもは、もちろん本質的にはそう根本的な理念の違いがないと理解しておる。共同と協業というようなことをあまりむずかしく考える必要はなかろう。要するに、農業の近代化が進んでいくに伴って、必然的に共同化というか協業化は次々に大きく発展するであろう。これはもう自然の流れであろうと私どもは考えております。日本の農業にいたしましても、突如として協業が進んできたのじゃなくて、実は、農村の今までの様子を見ておりますれば、ほとんど協業によらないものがないと言っていいくらい実は協業というものは昔からございます。たとえば、一本の水路を作って水を持って参りますのも、めいめいに作った例はない。全部これは協業。あるいは作場道にいたしましても、一軒だけの作場道ではない。畑は入り組んでおりますけれども、とにかく一本の道を何人もで肥やしをかついで通る。しかし、肥やしをかついで通るようなそういう行き方でいけないために、お互いが土地を提供し合って農道を作る、そこに機械が入っていく、農作業が楽になり、機械化が促進される、こういうことに相なるわけで、今までの農業も、すべて、その歴史的発展の過程を見ますと、やはり協業化、共同化というような線で今日に至ったというふうに考えております。特に、今後畜産あるいは果樹等が進むに伴って、どうしてもその部門がますます大きくなるであろう。この関連法案としてすでに成立をしておりますが、果樹振興特別措置法のごときも、やはり、すべてが集団果樹園、共同防除というようなもので考えられておる。あるいはまた、今後の養蚕などの仕事につきましても、共同化、集団桑園というふうなものが考えられておるわけであります。政府はややもすると自立経営の農家というものに少し重点を置き過ぎて、どうも協業化というものをあまり積極的にやらぬのじゃないかというような心配をする向きもあり、また、それを非難する向きも一部にはございます。しかし、決してそういうものではない。日本農業の進歩と発展に即応し、農業の近代化、経営の合理化を進めるためには、むしろ積極的に農民の意思によって協業は助長していくという考え方であるということを伺いまして、私ども実は安心はしておるのでありますが、大臣がどのような御決意であるか。構造問題については実は問題がたくさんございますから、いずれまたあらためて時間をかけて伺いますが、きょうのところは、ほかにもいろいろ予定がございますので、協業化に対する大臣の御決意のほどだけ伺いまして、私の質問をひとまず打ち切ることにいたします。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 ただいま御質問の点に関しましては、私は、あまり心配していただかないでもいいと思います。御指摘のように、私ども政府案におきまして、家族経営の自立農家を作ることを原則に置いておるというのは、あくまでも、土地の所有権を第三者あるいは生産法人等に移して、あるいは家畜の所有権を移し、機械の所有権を移して、共同所有によってやるというような場合においては、できる限りその当事者、農業者の希望によってそれをやるということだけでありまして、ただいま御指摘のように、従来から、協同組織によって、産業組合あるいは最近における農業協同組合がやっておりますように、個人々々が自動耕転機なんか持ってやるということは資本が固定して損だ、それを数人の土地を持っておる農業者がこれを使い合って、あるいは耕転に対して協同するというような形は従来からやっておるのであって、これは今さらのことじゃないので、これをどんどん進めたいと思っております。あるいは、くだものを作る人が加工工場を農業協同組合において持って、自分らの生産したものをそこへ持っていって加工してもらう、こういうことの協同組織による協同ということはもう従来からやっておるのでありまして、これは、家族経営農家と申しますか、自立経営農家というものはやっておる。これは疑いないことで、これはちっとも遠慮せずどんどんやってもらいたいし、われわれは奨励するわけであります。  一番論点になる点は、今の土地を共有に移し、自分の所有権を放し、そうして、自分らはともかく形式的にはその法人の持つところの土地または法人が使用権を持っておる土地に労働を提供するという形については、これは農業者各人の希望によりまして、それになりたいというものを助長していくということであります。本来の協同の問題をごっちゃにしていろいろと宣伝をされる向きがありますけれども、それなんかは農業者は一番よくそのことを承知しておるのでありますから、心配ないと思います。野原さんの御指摘のような点については、大体多くの場合協同組織による協同というのは今までもすでにやっておるし、今後もまた大いに力を入れて参ります。そういう点ははっきり区別して論戦をしないと、何もかもごちゃごちゃにして政府案を批判されることは、はなはだ迷惑しごくと考えております。

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 次は、森田重次郎君。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 私前に若干の質疑をいたしたのでありますが、その当時教育問題について一つ残しておきましたので、きょうはこの点についてお伺いしておきたいと思います。  農業基本法の第十九条に、「国は、近代的な農業経営を担当するにふさわしい者の養成及び確保並びに農業経営の近代化及び農業従事者の生活改善を図るため、教育、研究及び普及の事業の充実等必要な施策を講ずるものとする。」、こう規定しているのであります。そこで、教育問題も議論をすればたくさんあるのでありますが、しかし、私は、きょう、特に問題を限定いたしまして、農業高等学校の教育方針についてお伺いいたしておきたいと思うのであります。  これを特に御質問申し上げたいと思うのは、農業基本法が実施せられて、自立農業、協業による農業というものが新しいスタートを切るということになりますれば、これの農村における指導層というものは、高等学校を卒業した方々が中心になるのではないか。従って、この方々の養成いかんによっては、この農業基本法がうまくいくかいかぬかということを決定するきわめて重要なポイントになるのだ、私はこう考えるのでお伺いをいたしたいのでありますが、農林省当局においては、文部省との間に、この新たなる法律を制定するにあたってどういう方向に日本の教育を持っていかなければならないかということをすでに御相談になっておいでになるのでしょうか。この点についてお伺いしておきたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 御指摘の点はごもっともな点であります。私どもは、十九条を書きます場合におきましては、今日、農村から離れて参ります青年の中には、いろいろな理由で離れて参る者もございましょうが、要するに、農業というものを他の産業と同様にある程度安定した形に持っていくということができますれば、やはり、農業に関する魅力を感じ、農村にとどまっていくと思います。それに関連いたしましては、他の施策をとると同時に、中堅層としまして農村に残っていく人に、新しい農業に関するあり方を教え、技術の教育をし、農業指導のできるような形に持っていくことが必要で、さしあたっては、農業研修所とか、あるいは先ほど申し上げましたような行き方によって果樹、畜産等に関する講習というような形で今スタートをしておりますが、文部大臣とは、やはり、将来に向かっては、先ほど技術教育の点についてお話し申し上げましたが、農村に残るべきりっぱな青年を育成していくためには、農業教育に関しても十分な考え方を持って、それが地方の農村にあるとすれば、それに対して程度を高めたものに内容を充実しなければならぬじゃないか、また、遠く離れた場所に高等な教育——大学等に関しましても、現在農業に関する大学はありますけれども、そこに入る人は、ともすると、大学というものの帽子をかぶりたいために、入学試験等において一番楽だからそこに入る、卒業したら農村に帰らないというのがやや多いようであります。そういう中にあって、何とか農村に踏みとどまってやるという人間に対しては、その入学等に関して何とか厚遇する道はないかというようなことを、私どもも目下相談をしておるわけでありまして、まだ具体的なものは立っておりませんけれども、当然に、他の技術問題と関連いたしまして、将来の農業教育のあり方について私は考えていく必要があると考えております。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 文部省においては、この農業基本法の制定せられるにあたって、今までの農業高等学校等の方針でこの法律実施に十分だというお考えでございましょうか、それとも、何らかの姿においてもっと的確な方向を指示するつもりでございましょうか、この点を承っておきたいと思います。

纐纈彌三自由民主党文部政務次官

○纐纈政府委員 お答えします。  農業の近代化ということにつきましては、先ほど来いろいろそちらの方からの御説もありますが、どうしても技術方面を向上いたさなければならぬという観点のもとに、特に先ほど御指摘になりました十九条におきましても教育の問題に触れておりますので、文部省といたしましても、ぜひ農業の近代化に適応する中堅技術者を養成したいという考えのもとに、実は学習の要領を改定いたしまして、高等学校においても三十八年からこれを実施することになりました。そこで、われわれといたしましては、農業高校につきましては、いわゆる経営者の養成をする課程と、さらに技術者を養成する課程の二つに分けまして、今までやっております農業科につきましても、畜産の問題につきましても、また園芸の方でございますか、そういう問題につきまして特に主力を注ぎましてこれの推進をはかると同時に、また、技術者養成の問題につきましては、特に農産物の製造課程あるいは農業土木、また農業化学、そういうような方面の知識を向上せしめる課程について特に強力にいたすことにして、中堅技術者を養成することに努力していくという計画を持っておるような次第でございます。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 ただいま大臣の御答弁をいただき、さらに文部当局の御答弁もいただきましたが、その中に技術者を養成するとかあるいは土木の方を云云とかいうような内容のこともあるのでありますが、しかし、私は、やはり、高等学校を卒業して実際農業をやるという人々は、そういう技術者であるとかなんとかということよりも、根本的に農業それ自体の価値というものを本格的に認識して、そうして農業人として一生を終わるのだという根本的な信念を持つことが農村における経営者の一番大事な資格ではないか、実はこう考えるのであります。はたして今の高等学校あたりでやっている教育の方針がそういう方向にいっているのか、この点に私は非常に大きい疑問を持つのであります。そこで、農林大臣もしくは文部省あたりで、この農村の指導層としての資格、つまり人間的理想像、そういうようなものを農村の指導者あるいは実地の農業経営者としてどんなふうに描いているか、もしそういう人間像とでもいうようなものを目標として考えておいでになるのでしたら、その点もお伺いしておきたいと思います。

纐纈彌三自由民主党文部政務次官

○纐纈政府委員 お答えいたします。  お説のように、農村にとどまって農業を経営するという意味におきましては、技術方面ばかりでなく、やはり農業に対する親しみを持つというような問題も非常に必要でございます。実は、最近ややもすれば農業が軽視されまして、農業学校に進む者が少ないのではないかということを言われ、心配しておりました。ところが、中学校の卒業生に参りますと、ある程度農業以外の方面に進んでいく者も相当多いようでありますが、農業高校に志願をする者は相当多いという傾向を見ておるわけであります。  そこで、先ほど申しましたように、いわゆる経営者養成の課程にも、特にそういう観点から主眼を置かなければならぬ。特に、先ほど申しましたように、技術方面もありますけれども、ことに経営者としてやっていくということにおいて、いわゆる人間の養成というものを大いに考えていかなければならぬ。そういうことで、学科の中にも、農業経営あるいは管理というような、経営者として特に必要な知識を養成するという点についても強化していきたい、という考えを持っております。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 そこで、今度の農業基本法を見ますと、たとえば農地の分散を防ぐために一子相続というような形で持っていこうとまでしておる。そこで、農業高等学校に入る者があれば、その者は学校を出たならば必ず農業経営者として生きていけるのだ、いくのだ、こういうような養成方法でなければならない。はたして今の高等学校の卒業生がそういうふうな形で養成されているかどうか、学校を卒業してほんとうに農業経営者になっているのが一体どれくらいあるのか、こういう点と、あわせて一つこの実情についての御意見を承っておきたいと思うのであります。

纐纈彌三自由民主党文部政務次官

○纐纈政府委員 お答えします。  従来、御承知のように、二十七年度から産業教育振興法におきまして、特別の助成をして、これを奨励いたしておりましたが、もちろん農業の方についても今後さらにこれを活用するという問題もありますし、先ほど申しました経営者の養成というのは、大体、私どもは、町村に居ついていく人を中心にしてやる。それから、技術者の養成につきましては、やはり、二男、三男という人が会社等にお勤めをするとか、農産物の製造とかいう方面に従事するような意味合いにおいて、いわゆる経営者として、農業基本法を作られますならば、今後行き詰まった農業の壁がぶちこわされるということでもございますし、そういう点では大いに希望を持たせて、われわれとしては、農村にとどまって農業のために誠心誠意働くことのできるようないわゆる経営者を作っていきたい、こういう考えでおる次第でございます。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 そこで、具体的に問題をこちらから提起して御答弁を仰ぎたいのですが、どうも今の農業高等学校に入る方々はきわめて雑然としているので、卒業してはたして農業をやるのだかやらぬのだかわからないような方々も、高等学校だからといって学校の中に入れているといったような空気が非常に多いと私は思うのです。そこで、入学選考の資格として、学校を卒業したならば大体これは農業経営の実際に当たるのだ、こういうような資格を選考して入れるというような学校が一つの県のうちに二つか三つあってもいいのじゃないか、それを厳重に守っていく学校があっていいのじゃないかと私は考えるのですが、そういう方向に持っていく御意向があるでしょうか。

纐纈彌三自由民主党文部政務次官

○纐纈政府委員 特に選考のそれを特定してやるということは、私は、入学試験、学校に入れるという意味においてどうかと思うわけでございます。先ほど来、具体的といって抽象的であったかもしれませんけれども、いやしくも農業高校にお入りになる方は学校を出てからも農村で落ちついて仕事のできるような形に置くようにわれわれは努力していきたい、こういうことは最初から申しました意味合いの中にも含まれているわけでございまして、そういう意味合いで、いわゆる農村の経営者養成の教育課程におきましてはそういう点に特に重点を置きたい、こういう考えでございます。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 どうもあまりはっきりしないようでありますが、もうここで農業基本法まで作って、農業をやることそれ自体独得の性格でこれからの文化生活が営めるのだということを見当に進んでいくのですから、農業高等学校という特殊な性格を持った学校には、今私が要請いたしましたようなことを入学の資格として十分厳重な選考をすべきだと私は考えるのでありまして、その点は将来ぜひそうしていただきたいと思うのです。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 私からさっき触れておいたのはその点でありますが、今言われたように農業を将来やる人しか入学させないということはなかなか困難だと思います。しかし、中堅となって農村に残ってやるというような青年に対しては何らか学校の方で優遇の道はなかろうかということで研究いたしておりますと申し上げたのは、その点に触れてお答えしたつもりであります。まだ具体化しておりませんし、問題も多いと思いますが、農村に残ってしっかりやっていくという人に対しては、授業料の減免というところまで考えていいのじゃなかろうかと思うのです。これは財政上の問題もありますので研究しなければならぬと思う、研究してやるということを申し上げたのであります。そういう裏からの行き方を研究しないと、農業をやる人しか入学を許さぬということもちょっと困りますので、そういういろいろの点について考慮をめぐらして研究いたしておるのであります。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 関連。  一言だけ文部政務次官にお伺いしたいのですが、先ほど来の森田委員の質問、非常にいい質問だと思うのです。現在全国に農業高等学校が八百十ある。その卒業生は、正確にはわかりませんが、六万五千ないし七万あります。ところが、その卒業生の就職先を見ますと、大体五%ないし一〇%を除いて、農業以外に就職している。だから、あなたが経営者養成、技術者養成という将来の構想を考えられることもけっこうですが、既存の農業高等学校の教育の再検討をやるべきじゃないかということを森田委員も言われたと思う。現に八百十の農業高等学校で約百億の予算を消化しておるわけなんです。百億使いながら、その九割以上が農村を離れてほかに就業するということになりますと、農業高等学校創立の所期の目的にも反した結果になるのじゃないか。現に、たとえば七十年の歴史を持っております熊本の阿蘇農業高等学校に、農業科四十名、林業科四十名、畜産科四十名の卒業生がおりますが、はなはだしい例として、畜産科のごときは、ことし、四十名の卒業生のうち三十八名が、畜産関係の事業以外の、労働省の労働基準局あるいは一般の銀行会社等に就職しておる。こういう点で、教育方法を再検討して、農業基本法実施後の新しい事態に備える必要があるんじゃないか。これらについて文部省で何かお考えがあるかどうか。これについて一つ御答弁願わないと、森田委員の質問に十分沿わないと思いますので……。

纐纈彌三自由民主党文部政務次官

○纐纈政府委員 ただいまのお話でございますが、農業が行き詰まっておるというようなことから、やはり多少そうした傾向がやむを得ず出てきたんじゃないかということも考えられます。しかし、私どもとしては、農業基本法によって日本農業の体質改善をし、発展せしめるということでございますので、これによりまして農業の将来に大いに希望を持つようになりますれば、今のようなそういう傾向も自然と私は解消されていくんじゃないかと思います。いずれにいたしましても、農業が伸展するに従って具体的に方策というものも考えられていかなければならぬと思いまして、かような意味におきまして、われわれとしては、今後農業高校のあり方につきましてもさらに検討、研究を続けていきたいと考えております。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 そこで、第二の具体的な問題をお伺いしておきたい。最近文部省が中心になって盛んに試験を奨励しておる。何でもかんでも試験々々というので、農業高等学校の生徒までほかの一般の高等学校と同じような格好で試験をやっているようであります。試験によって人間が作られるというふうなお考えに対しては、私は非常な疑問を持つ。今の日本は生存競争が非常に激しいから、結局試験によるより仕方がないじゃないかということで上の学校に入っていく。実に惨たんたる光景だと実は考えるのです。もう小学校になれば中学校にどうして入るか、中学校に入れば高等学校にどうして入るか、高等学校になれば大学にどうして入るか、まるで試験によって人間を裁断しておるかのような光景を呈しておる。私は、これは大きい問題だと考えておるのであります。農業高等学校を卒業して農村に行って自立農業の経営をやるんだという人に、何のためにこういう試験などというものをしいるのか。そして、学校の先生は、ここの学校から何点取った生徒が何人出たなどということが、いかにも教育の最高の姿ででもあるかのように誇っておる。一体何という姿か。少なくとも農学校は特殊な目的を持っておる学校でありますから、試験じゃいけません。やはり、ほんとうの農業人を作るのが目標なんです。そういう意味において、少なくとも農学校の生徒に対してはこういう試験に参加させるべきでないという考えを私は持っておりますが、いかにお考えになりますか。

纐纈彌三自由民主党文部政務次官

○纐纈政府委員 入学試験に特殊な勉強をさせるということについてはすでに非常な批判もございます。しかしながら、上の学校に入りたいというのが多数の希望で、志望者が多いということでございますので、自然に、上の学校に入りたいということになると、そういう気持のあることは御当人もそうでございますが、親にもそういう傾向がある。そういう傾向が教育のほんとうの姿をゆがめるという形になっていることを心配しているわけでございます。ただ、しかし、学内において試験をするということは、少なくとも義務教育におきましては、大体全国的に一定の労力を持った卒業生を出さなければならぬというようなことにおきまして、学力のテストというようなものをやることも必要だろうと思います。それから、高等学校におきましても、やはり、自分の学習したことをほんとうに覚えているかどうかということを試すというような意味におきまして、ある程度の試験が必要じゃないか。技術家養成等につきましては、特に実習方面に大いに力を入れるわけでございますから、そういう問題はまた別として大いにやらなければなりませんけれども、一応入学試験によって行き過ぎのような、ああいった片寄った勉強は何とかしなければならぬということは考えておりますが、なかなかいい方法はできません。ただ、試験をすることを全廃するということは、一面においては、若い連中のことでありますから、ある程度学力も低下するというおそれもあるから、われわれとしては考えておりませんが、行き過ぎをいかにして是正するかという点につきましては大いに検討いたしております。なかなかむずかしくていい方法がないのでございますけれども、その点につきましては、文部省といたしましても実は相当頭を悩ましている問題であるということを、この機会に申し上げておきます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 関連。  文部政務次官は先ほどから非常に農業教育について御熱意があるような御答弁をしておられましたけれども、実情は決してそうでないと思うんです。これはもう少し端的に実情をお述べにならないと大へんな誤解を招くから、関連してお尋ねいたしたいと思います。  それは、今、農業基本法と関連してか、あるいは政府の宣伝と関連してか、農業高校の志望者が非常に少なくなっております。これは御存じだと思うんです。そこで、県によりましては、静岡県、それから鳥取県、これは農業高校を廃止して工業高校にする、こういうことになりました。ただ、鳥取県の方では、県会がそのために議論が二つに分かれて、農業高校を整理するということは取りやめになったそうです。しかし、どこともそういうような傾向を持っておって、今、次官は、技術と、それから経営というふうなおっしゃり方をしましたけれども、各県の事情はそういうことじゃなくて、工業高校に非常にたくさんの志望者が集中する。それで、農業高校に入った者もそういう方面に出ていく。そこで、工業高校の補充をとりあえず農業高校でするために、さっき次官が農業土木を拡充しておりますとおっしゃったその通りになっているのです。しかし、その農業土木を学んだ生徒というものは、農業土木に従事するのではなくて、工業の土木に行った者と同じような扱いでそちらの方に向けるという指導をして農業高校へ生徒を吸収をしておる。それから、工業は希望者が多くて応用化学に入れない。そこで、農業化学の課程をふやして、そこへ生徒を入れて、その者は応用化学を出た者と同じような就職や扱いをするということで、各県の教育委員会はそういうことをやっておるわけです。これは次官も御存じないはずないのです。特に文部省もそういう御指導をしておるはずです。あるいは黙認しておられるはずなんです。それを、今おっしゃるように、そういうことをすることは農業を尊重するためにやるんだ、新しい農業に即応するためにやるんだというようなことは、これはおっしゃることとやっておられることと大へん違いますので、もう少しその点をはっきりおっしゃらないと、私ども聞いておってとんでもないことを言っておられるというように感じますので、正直に御答弁願いたい。

纐纈彌三自由民主党文部政務次官

○纐纈政府委員 今のお話のように、いわゆる所得倍増によりまして技術者の養成をしなければならぬ、こういうことは非常に大事なことでありまして、その国策に沿っての技術者養成をやる努力は一生懸命やっていることは先生も御承知の通りであります。同時にまた、農業基本法も国策としてやるわけでございまして、そのために必要な技術者も養成しなければならないわけでございます。ただ、どうも、いわゆる科学技術者が足らぬ足らぬということで、その声があまりに大き過ぎて、世間の趨勢もそういうような傾向になっております。それで、今のお話のように、おそらく農業土木を出た方であるいは農業以外に行かれる人も今の情勢では相当あるかもしれませんけれども、今後やはり所得倍増の計画が達成され、同時に農業基本法によります農業の近代化ということが将来実現されることになりますれば、私は、やはり、その趨勢に応じて農業に従事する人も相当出てくるものと思うのであります。私は、ただいまお話しのように、文部省といたしましては、特に技術者養成のためのいろいろの施策をいたしておりますが、同時に、農業基本法に即しまして農業教育に対する力も同様に入れておりますがゆえに、先ほど来私がそういう答弁をさせていただいたようなわけであります。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 質問ではございませんけれども、今次官がおっしゃったのは、また少し違うんです。そうじゃなくて、工業高校へは希望者が多くて収容できない。農業高校の方は希望者が少ない。そこで、結局、農業高校を整理するわけにもいかないから、工業高校のかわりを農業高校でやらしておるという事実は、次官もお認めになったような実態なんで、こういうことを是正しないといけないということを指摘したまでの質問ですから、御答弁は要りません。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 時間がないそうですから、どうも質問が半端になって困るのですけれども。そこで、私は、今までの文部省の教育に対する方針の立て方が、心棒が一本抜けているような感がしてならない。それはどういうことかといいますと、農学校の具体的目標というのは、簡単に理想図を申し上げますと、私は、こうだと思うのです。自主的な計画を持って、与えられた条件の上に立って、よりよく生きていく経営人、これを養成するのでなければなならい。同時に、この人は社会人として協同組合人でなければならない。だから、今の自立農業から見ますると、自立農業として経営規模というものが与えられる、その上に立って今の協同組合と提携することによってよりよく生きるにどうすればいいかという、この自主経営ということを学校でどうやって練っていくのか。従って、いろいろ栽培学であるとか肥料学であるとか土壌学であるとかいう部分的な学問は、全部計画的な自主経営の中に部分として織り込まれることによって初めてその価値を持つものであって、その部分の学力がいかに優秀であって、いい試験の成績を取っても、根本的な人格の養成という点で欠けておれば全然意味がない。こういう指導がどうも私は欠けているとしか考えられない。これは実に嘆かわしいことだと私は考えておるのであります。そこで、実はゆっくり御質問を申し上げて新しい方向を開きたい、こう思っておったのですけれども、時間がないというのですから、私の意見をそういうふうに申し上げたのです。  そこで、そういったような方向へ今後一体持っていけるかどうかということ。特に、高等学校の三年間の生活というものは、一つの学級が協同組合なんだと言っています。農業協同組合なんだ、こういうものの見方から、この生活自体の中で協同生活人としての訓練をする有機的な訓練方法をとらなければだめなんです。従って、三年間あそこで農業協同組合人としてのいろいろの訓練を経ていけば、彼は、学校を卒業するや、すぐ村へ帰って、自分の一軒の家の経営が立つと同時に、組合人としても優秀なる指導者になるのだ、そういうふうに持っていって、これらの人の信念、そして社会人としての生きていく価値の認識、自覚、こういうことをはっきりと持たせてやることによって、初めて農村文化の形成の基礎が確立するものだ、これが私の結論なのでございますが、そういう方向に今の農業教育はいっていないように私は考える。そこで、農林省の方でもこういうような基本法を作って今の環境整備だけはやったのでしょうから、文部省はこれを買って立って、これに即応するようなことにして、そして、農業それ自体に価値があるのだ、農村文化というものは生きていく上にきわめて価値があるものだという自覚の上に立つ教育をやってもらわなければだめなんだということを考えている者なんです。ほんとうはこう結論を申し上げたのでは質問にも何にもならぬのでありますけれども、しかし、社会党の方々に時間が約束してあるそうですから、この辺でやめますが、大体アウトラインだけは申し上げたつもりですから、一つそれに対する御意見を願いたい。

纐纈彌三自由民主党文部政務次官

○纐纈政府委員 先ほど来、今度の新しい学習指導要領の中にはいわゆる経営管理という問題について特に今まで以上に力を入れていきたい、こういうことでございまして、その趣旨は、今森田先生がおっしゃったような意味合いにおいて、ほんとうの農業経営者としていくことのできるような教養を授けたい、こういうことを考えておるわけでございますから、大体私どもが考えておりますことは森田先生の御意見に一致しておるものと考えておる次第でございます。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 わかりましたが、それの前提としては、どうしても一県少なくとも一校、モデル学校としてでもよろしゅうございますから、卒業したならば必ず農業経営をやるんだという人を、多少学力が劣っていても何でもいいから入れて、みっちりと教育をしてやるという学校を一つくらい作るくらいの勇気を文部省に持ってほしいということをお願い申し上げて、私の質問を終わります。      ————◇—————

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 次に、農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。  新潟県における部落有林の帰属問題について質疑の通告がありますので、これを許します。石田宥全君。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 政府提案の農業基本法によれば、国有林の払い下げについて特段の配慮が払われておるようであります。しかし、先般森林公団法の一部改正についての法案審議の過程におきましても問題になりましたように、山林の実態を政府の方で把握されていないのではないか。たとえば、農林省の統計では、個人所有、会社所有の山林の面積は全国で一千二百五十万町歩あることになっている。ところが、自治省の統計では、固定資産税の課税対象である個人有、会社有の山林面積は七百三十万町となっております。もちろん、保安林というものが課税対象からはずされておりますから、必ずしもこの数字だけで議論をするわけにはいかないと思いますけれども、山林の面積の把握というものがきわめてずさんなものであるということは、この数字から明らかであると思うのであります。  私は、時間の関係もございまして、今問題になっておる新潟県の一つの例を取り上げたいと思うのでありますけれども、たとえば新潟県の岩船郡の高根村というところでは、一千町歩の山林が、これは役場の土地台帳でもその村の森林組合の所有になっておる。それから、法務省所管の登記所の土地台帳でも、これは民間の森林組合の所有になっておるのであります。ところが、その一千町歩は、実は国が国有林として管理をしておる。これは数十年来争いをいたしておるのでありまして、今訴訟になろうとしておるわけでありますが、聞くところによると、そういうふうに、千町歩、二千町歩というような山林が国有林であるか民有林であるかというような点の争いで訴訟になっておるものだけで二十数件もあると言われておるのであります。それほど山林というものに対する実態の把握がずさんであるということをわれわれは認めざるを得ないのでありまして、これについて、先般農林大臣から、山林の実態把握については十分調査するという御答弁がございましたが、それと同じような問題で、今実は裁判になっておる問題が、やはり新潟県の岩船郡の神林村というところにあるのです。  そこで、端的にお尋ねをいたしますが、ここの山林については、明治の末期に部落有林野の統一についての特別立法、時限立法がございまして、強制的に部落有林野というものは統一されたはずであります。先般森林公団法の審議にあたりましても、林野庁長官は、部落有林というものはない、昔の部落有林というものはこの部落有林野統一の法律によって記名共有になっております、こういった答弁をしておるわけであります。一般的にはそのように理解されておるのであります。ところが、ここに今私が指摘いたしました神林村の塩谷という部落の小字長三郎山一三三五番地、これは事実上部落がこれを管理する形になっておるわけです。で、そういう部落有林野の統一が行なわれて今日に及んでおるわけでありますが、部落有林野統一の際に、統一をしておらなかったわけです。これはやはり記名共有にならなかったわけです。しかし、その明治四十何年かの時代にさかのぼって私は議論をしようと考えるわけではございません。ところが、その後進駐軍が駐屯いたしまして、間もなく、ポツダム政令によって、部落有林野というものに対してこれは勅令で処理されておるわけですね。従って、その後における町村合併にあたっては、部落有林野というようなものは町村有に切りかえなければならない、町村合併にあたってはこれを財産区という区制を設けて管理するようになって参っておると思うのです。ところが、私が指摘いたしておりまするこの問題は、その後町村合併が二回行なわれておる。その二回とも、町村合併によってその新しい町村の所有にも移されず、また、財産区の設定も行なわれず、記名共有にもならないで、明治の初めからいまだに法務省所管の登記所の台帳にも所有名義の記載がない。役場の土地台帳にもその所有名義の記載がないのであります。こういう場合に、はたしてその山林はどこにその所有権が帰属すべきものであるか、これを一つ自治省の立場と法務省の立場とから見解を明らかにしてもらいたい。

香川保一法務事務官(民事局第三課長(心得))

○香川説明員 お答えいたします。  おそらく、御質問の問題の山林は、登記所の所管しております土地台帳には部落の名称を所有者として記載してあるのじゃないかと思うのであります。と申しますのは、土地台帳に載っております以上、所有者の記載が全然ないということは考えられないことであります。そこで、ある部落の名称で所有者が記載されております場合に、法律的に考えられますのは、先ほどお話のありましたように、従来部落が所有しておりましてそれが財産区になったか、財産区にならなかったために町村に所有権が帰属したか、この二つのケースが考えられるわけです。そのほかに、部落の名称を所有者として記載しております場合に、実態上部落民の共有になっておる山林もあるわけでございます。部落自体が持っておるわけではなくて、部落民の共有になっておるものもあるわけであります。そこで、かりに土地台帳に部落の名称を所有者として記載されておりました場合に、これをいずれのケースと考えるかは、台帳の記載からは直ちにきめかねる問題であろうと思うのであります。本来、部落民の共有財産でございますれば、先ほどお話のありましたように、町村に帰属する、あるいは財産区になるということは法律的にないわけでありまして、当初から共有でそのまま今日まで続いているケースのものであろうと思います。従いまして、今申しましたいずれのケースに該当するかは、いろいろ実態調査をしてみないことには、土地台帳の所管庁としての登記所としましても決しかねるわけであります。台帳法では登記官吏は土地の所有権を確認するということになっておりますけれども、所有権がいずれに帰属しておるものかという確認は非常に困難なことでありまして、台帳を登記所が移管を受けまして約十年余りになるのでありますけれども、さような事件が出てくる場合にそれぞれ従来の経緯を調査さしておるのでありますが、いろいろ地元に争いがありまして、しかも登記官吏が的確に所有権の帰属を審査する資料もなかなかない状態でございまして、結局、究極的には訴訟によりまして裁判所で所有者の確認を判決によってしてもらう以外にどうしようもないというケースが相当あるようであります。従いまして、今御質問の塩谷でございますか、その件につきましては、いずれに所有権があるかということはここでちょっと答弁できないような次第でございます。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 今の第三課長のお話ですと、部落有というものはあり得るということを聞いたのですが、部落有林野の統一とその後の町村合併の際には、部落有というものは認められないので、もしそういうものがありとすればそれは財産区というものを設ける、こういうことになっておると思うのですが、そうではないのですか。

香川保一法務事務官(民事局第三課長(心得))

○香川説明員 私、先ほど申しましたのが言い方が悪かったのかと思いますけれども、部落名に台帳はなっておりましても、部落の総員の共有になっておるのがあり得ると思います。お説のように、部落がいわば一種の法人格を持っているような形で戦争中財産を持っていたわけでございます。これは、財産区になっておるか、あるいは村に帰属しておるか、いずれかであるわけであります。そのまま部落があたかも法人格を持っているような状態で部落自体が所有しているという法律関係はないわけであります。部落の人たちの共有になっているという場合はあるわけでございます。そういう趣旨で申し上げた次第でございます。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 それならはっきりするのです。私もそういうふうに実は理解しておったわけです。  それから、この問題は、実は、地券交付台帳によると、調査した結果、地券証を交付されていないのです。でありますから、そういうことになりますと、最終的には裁判に待たなければならないが、今までの部落有林野の統一、その後において二回も町村合併を行なっておるが、その際にも、地券台帳から見て、地券証が交付されていないし、所有名義は登記されておらないのであるから、そうすると、原則的には法律的にはどこに帰属すべきものであると判断されるか。

香川保一法務事務官(民事局第三課長(心得))

○香川説明員 地券の交付がなされていないということから、直ちにだれも所有者がいないということにはならないと思うのでありますが、先ほど申しましたように、御質問の事件は、おそらく登記はされてないだろうと思うのであります。登記をいたします場合には、先ほど申し上げましたように、所有者が明確に表示されないような部落名を登記するというふうなことは絶対ございません。従って、登記簿に登記されていなくて、昔からいわゆる地租の課税台帳であった土地台帳、現在登記所が所管しておるものでございますが、それの所有者として部落名が記載されておるわけだろうと思うのであります。しかし、そういうふうに土地台帳に明確に所有者が記載されていない、法律的にはだれのものかわからぬ、部落名だけが記載されておるということから、実態上の所有者はだれもいないというふうにも法律的には直ちに判断できないわけであります。全然所有者がいない不動産でありますれば国庫に帰属しておるわけでございますが、台帳上明確に所有者が記載されていないという一事から、直ちに国庫に帰属しておるという法律的な判断を加えることはいかがかと思いますし、また、さように台帳の記載が不明確であるといたしましても、所有権がいずれに帰属しておるかは、やはり実態関係の調査に待つほかないわけでありますが、それがいかように調査してもはっきりしたい、また、登記所が調査いたしまして、たとえば村に帰属しておるという判断で村のものだというふうに台帳の記載を訂正いたしましても、他方に所有権を主張する者がありますれば、やはり争いになるわけであります。終局的には判決によってさような場合にはきめる以外に方法はない、かように考えるわけであります。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 次に、自治省の行政課長に伺いますが、今のお話のように、最終的には法務省の見解のようなことであろうと思われるのでありますが、今指摘した問題は、そこの区長なる者が区長名義で部落の一部の人たちを相手に訴訟を起こしておるわけです。そして、今お話し申し上げたような事情のもとにあって、部落有というものが法律上あり得ないことになっておるわけです。あると言うならこれはまた話が別ですが、国の法律がちゃんと施行されて、あり得ないことになっておる。ことに、部落有林野統一などについては全国至るところで暴動が起こって、私どもの近所でも刑事事件が起こって数人の刑事犯罪人を出しておるという事態もあって、強制的に部落有林野の統一が行なわれておるわけです。そこで、自治省に伺いたいのは、部落有林というものはあり得ないという立場がやはり正しいのではないかと私は考えるのですが、自治省としての指導監督上、やはり部落有というものはお認めになりますかどうですか、まずその点を伺いたい。

岸昌自治事務官(行政局行政課長)

○岸説明員 お答えいたします。  部落有というものを認めるかどうかという点でございますが、私どもの方で所管しておりますものは地方団体としてあるものでございます。従来は、自治法が施行になります以前には市の一部あるいは町村の一部と呼んでおりました。現在におきましては財産区でございますが、地方行政を所管いたしております官庁といたしまして、もっぱらそれを対象にしておるわけでありまして、それ以外の記名共有でございますとかあるいは部落有というようなものは、私の方では取り扱っていないわけでございます。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 部落有というものは取り扱っていないということは、原則的に部落有というものは認めないということなんですか。

岸昌自治事務官(行政局行政課長)

○岸説明員 地方行政に関する問題でないという意味でございまして、部落有というもとが社会的実態として認められるかどうか、あるいは法律の上においてどのように評価されるかということは、自治省の所管外の問題である、こういう趣旨でございます。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 そうすると、地方行政上の問題としては、部落有というものは認めていない、こう理解してよろしいのですか。

岸昌自治事務官(行政局行政課長)

○岸説明員 地方行政の問題といたしましては、部落有というものに特別の法律上の地位を与えていないわけでございます。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 そこで、伺いますが、本件については二回町村合併が行なわれておりますけれども、今の神林村が成立いたします際に、財産区というものについての決議がございます。その決議の中には本件は含まれておらないわけです。従って、本件が財産区の取り扱いを受けていないということは明らかなのであります。そうすると、財産区ではないということは——この決議は時間もありませんから読みません。お手元に資料があるのじゃないかと思いますが、含まれておらない。財産区でなくて、同時にまた、行政上の行政区というもので法人格を与えたものがあるのですかないのですか。

岸昌自治事務官(行政局行政課長)

○岸説明員 行政区というものにつきましては、五大市に区というものがございます。これにつきましては法人格はございません。法人格のございますのは、御承知のように東京都の特別区だけでございます。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 だんだん明らかになったと思うのでありますが、そうすると、地方行政法にないところの部落区というものは法人格を持つかどうか。

岸昌自治事務官(行政局行政課長)

○岸説明員 法人格はございません。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 法務省の見解はいかがでしょうか。地方行政法には部落という行政区はない。財産区でもない。かりにその部落民がわれわれのところはこれを区と呼ぼうというようなことで区という名称を用いた、あるいは部落のボスが自分の都合によって区という名義を用いて自分が区長という地位に便宜上ついておる、そういう場合に法人格は認められるかどうですか。

香川保一法務事務官(民事局第三課長(心得))

○香川説明員 不動産その他の財産を所有できる主体としての法人はそれぞれ法律で認められておるものに限るわけでございます。ただ勝手に区という名前をつけたからといって、それが法人格を取得するというふうなことはないのであります。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 それで明らかになったようです。実は、任意に区という名儀を用い、区長という名義によって部落民を相手に今訴訟をやっているわけです。そういうことは、地方行政法を無視し、民法上の概念にも沿わないものであると私は考えまして、このことを実は確かめたわけですが、ただ、しかし、最初に私が指摘いたしましたように、これは林野庁の統計ということになりますか、農林省の統計によると、千二百五十万町歩もの山林があることになっておる。保安林を除くといたしましても、自治省の関係の固定資産税の対象となるこの問題については七百三十万町歩しかない。あまりにも開きが多過ぎるのですね。そうなると、これから農業基本法を審議する場合におきましても、林野の未開発地の開発というようなものを議論をいたすにいたしましても、ことごとくここに障害があるわけです。これは私ども偏見だと言われるかもしれませんけれども、こういう大きな問題というものはやはり大きな旧地主勢力が障害を作っておるのではないかということが考えられるわけです。一体、今私が指摘いたしましたような問題というものの指導監督というものはどこが責任を負っているのか。自治省なのか法務省なのか。法務省は登記事務については十年前からこれを所管しておるという話ですが、そういう事態が生まれるということは実は私ども理解に苦しむわけです。法務省の土地台帳を見てもわかること、役場の土地台帳を見てもわかるわけですね。ところが、それがわからぬ。何千町歩という土地が民有地で民間人の登記になりながら、それが国の国有林として管理されておる。こういうようなことが法治国である日本の国に現存しておるということは、われわれ理解に苦しむわけですよ。その指導監督の責任は一体どこに帰属するのですか。行政課長と法務省、両方でどうぞ。

香川保一法務事務官(民事局第三課長(心得))

○香川説明員 お答えいたします。  従来の税務署が所管しておりました当時も、それから最近までも、土地台帳法は実は国有地については適用がないことになっております。と申しますのは、先ほども申しましたように、税金をとるための課税台帳であったことから、国有地については土地台帳法は適用ございません。従いまして、今までは、国有林のみならず、一般に国有地につきましては、登記所は台帳事務としては全然所管いたしていないわけです。これが、民有との境界争いとか、ひいては所有権が混乱する、所属が明確でないという弊害がございますので、昨年の通常国会におきまして不動産登記法の改正がなされまして、今後は国有地につきましても従来の台帳と同じような機能を果たす登記簿にすべて登記されるということに改正されたのであります。今申しましたような改正だけでもって直ちに国有林全般が明確になるとはとうてい考えられませんけれども、できるだけ明確にしようということで、登記所としましては、今申しましたような改正が昨年なされたのであります。  それから、先ほどちょっと私の答弁が足りなかったのかもしれませんが、先ほどの事件は訴訟になっているそうでございますけれども、私が申し上げましたのは、財産の所有者としての主体になり得るのは法人格ないし自然人でなければならぬわけでございますけれども、訴訟は御承知の通り必ずしも法人格がなくても当事者になれるわけであります。その一つは、御承知の通り、いわゆる人格なき社団といわれるものでございます。たしか民事訴訟法の四十六条だったと思います。もう一つは、本件の具体的な事案を存じ上げておりませんので想像でございますけれども、本件の場合には、あるいはは、民事訴訟法の四十七条の規定によりまして、いわゆる選定当事者という制度があるわけでございます。これは、先ほど申しましたように、裁判所がそういった訴訟適格を認めたといたしますならば、あるいはその山林が部落のすべての人の共有だというふうに一応考えて、それの代表者というものを訴訟当事者にして訴訟が進行されているのじゃないかというふうに、これは想像でございますけれども考えられるわけであります。法人格がないからというて、先ほどお話のありました区長というようなものが当事者にはなれないということではないのでありまして、財産の主体としてと訴訟の当事者としては観念が別でございますので、補足して説明させていただきます。

岸昌自治事務官(行政局行政課長)

○岸説明員 ただいまのお尋ねの点は、実は各省の所管にまたがる問題でございまして、私からお答えすることはお答えにならないと思います。自治省としてお答えできます問題といたしましては、財産区の問題あるいは財産区の組織の問題及び固定資産税の課税の仕方の問題につきましては自治省所管の問題であります。森林組合名義になっておりますものが国有林として管理さている、こういうような問題は私どもの所管ではございません。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 今第三課長から話がありました人格なき社団ということ、これはあり得ることです。ただ、しかし、この場合にその訴訟を起こすについては、その利害関係者の同意が必要でなければならないのではないか。たとえば、それは行政区でもないし財産区でもないけれども、やはり実質的に部落が管理しているという場合に、その部落を代表して訴訟を提起するには、部落の会議に諮って部落民の同意を必要とするのではないか。それを全然やらないで訴訟を提起するという場合に、区長としての代理権行使ということになると思うのでありますが、代理権を行使する場合には、その集団の意思を代表するものでなければならないのでありますが、それが全然ないとすれば、やはり人格なき社団としての代理権の行使というものにはならないのではないかと思いますが、どうですか。

香川保一法務事務官(民事局第三課長(心得))

○香川説明員 現在係属中の訴訟にわたりますので、裁判所がいかように考えているかわかりませんけれども、先ほど申しました訴訟当事者としてその代表者を認める一つの例としての選定当事者の場合でございますが、この場合には、お説の通り、多数の者の利益のために、ある者が代表して訴訟を遂行するわけでございますから、多数の者の中から選定された者、そういう者しか代表権がないわけであります。人格なき社団ということになりますと、人格なき社団であるためには代表者の定めがなければ認められておりませんので、初めから代表者がきまっているわけでありまして、その者が訴訟遂行者になる、かようになるわけであります。これは抽象的な議論でございまして、本件の場合に当てはまるかどうかは何とも申し上げられないわけでありますが、そのいずれかであろうかと想像するわけであります。

東海林稔日本社会党

○東海林委員 ただいまの行政課長の答弁に関連して一つだけお尋ねしたいのですが、地方行政法の建前からすると現在行政区として認めているのは東京都並びに五大市だけだということでありますが、私どもが実際地方に行ってみますと、小都市あるいは町村で、市条例とか町村条例でもって区あるいは区長というような規定を設けておる例を実際私は幾つか知っておるわけです。そうなりますと、先ほどの御答弁から受け取りますと、そういうのは地方自治法の違反のように受け取れるわけですが、この点一つこの際明確にしていただきたい、かように思います。

岸昌自治事務官(行政局行政課長)

○岸説明員 お答えいたします。  町内会、部落会につきましては、昭和十八年の地方制度の改正で設けられまして、これが、先ほど石田先生のお尋ねにもございましたように、昭和二十二年の政令第十五号によりまして解散を命ぜられておりまして、今日では法律上の制度になっていないわけでございます。この町内会、部落会に相当する実態が各所にございますことは、ただいま御指摘の通りでございますが、わが国が独立いたしまして、ポツダム政令が失効いたしました後におきましては、そういう事実上の組織ができますことは、これは何ら違法でないわけでございます。これを法制化するかどうかという点につきましては、私どもといたしましては、その自主的な組織運営にゆだねる、こういう方針のもとに、ただいままでのところ法制化の愚図を持っておらないわけでございます。ただいま御指摘の、条例によりまして区長その他を設けておる点はどうかという点でございますが、これは、地方自治法では、条例で設けられます市町村の内部組織と申しますか、下部組織といたしましては、地方自治法の百五十五条の支所、出張所というのがございます。これ以外のものを条例で設けるということは自治法の認めていないところでございます。しかしながら、いわゆる嘱託員あるいは末端連絡員というような名目におきまして、特定の職員を市町村の非常勤の職員あるいは常勤の職員といたしまして委嘱いたしますことは、これは差しつかえない、こういう解釈をとっております。

東海林稔日本社会党

○東海林委員 そうすると、今のお話によりますと、区長という名目で末端事務を委嘱するのは条例で定めてもいいが、区というものを置くととは違反だ、こういうふうに理解していいわけですか。

岸昌自治事務官(行政局行政課長)

○岸説明員 大体においてそういうことでございますが、(東海林委員「大体でなしに、はっきり」と呼ぶ)区長なり、あるいは連絡員という職員を条例で置く、あるいはそれを任命するということは差しつかえないわけでございます。しかし、条例で区というような組織を置くということは、先ほど御説明いたしました地方自治法百五十五条の予期していないところである、こういう趣旨でございます。

東海林稔日本社会党

○東海林委員 予期していないという言い方なんですけれども、私は、そういう規定を設けることが地方自治法の違反になるのじゃないか、違反になるのかならぬのか、そこをはっきり聞きたいのです。意図してない、そういうことでなしに、その点をはっきり聞きたいのです。

岸昌自治事務官(行政局行政課長)

○岸説明員 ただいまの点でございますが、私どもといたしましては、違法であるとまで断定するのはやや困難ではなかろうかと思っておるわけでございます。御承知のように、条例は、地方公共団体の事務につきまして条例を一制定することができる、自治法の二条にも十四条にもそういう規定がございますので、百五十五条の規定が支所、出張所というものを条例で設けることを期待しておるからといいまして、直ちに条例でそういうものを作ることが違法であるとまでは断定できないのではなかろうか。ただし、百五十五条の条例というものは、そういう区というものは予期していない、かように考えておるわけでございます。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 本件に限るわけではございませんが、やはり、町村合併の問題や市町村議会の問題については、部落あるいは財産区の問題等は、これに関する限り、当然自治省の所管であり、自治省が指導監督の責任を負うべき事案ではないかと思うのでありますが、どうですか。

岸昌自治事務官(行政局行政課長)

○岸説明員 さようでございます。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 以上で大体私の問わんとするところは明らかになりました。時間の都合もありますので、これで終わります。     —————————————

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 次に、農業災害補償法の改正に関する件について質疑の通告がありますので、これを許します。中澤茂一君。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 大臣に伺いますが、昨年、御承知のように、われわれは制度改正協議会で、休会中の夏の間も、三十六年水陸稲から実施しようという方向で、さんざん苦労をさせられたわけです。そこで、われわれも忍びがたきを忍んで、党から言わせれば社会党の原案よりかだいぶ後退したものだということだが、しかし、われわれは、最大公約数で農民のためにまとまるならばこれも万やむを得ない、こういう考え方で昨年一年取っ組んだわけございます。ところが、それが予算編成の過程において何か大きくカーブをしてしまった。その内容は一つもわかりません。どういう曲がり方をしちゃったのか。だから、一体協議会というものに対して大臣はどうお考えになっておるか。ただこれは意見を聞いて、勝手に言わしておけばいいのだ、こういうお考えで協議会を作られたのか、協議会の答申というものをどこまでも尊重するという考え方で協議会をお作りになったのか、まずその辺からお伺いしていきたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 お答えいたしますが、協議会については、作らして、聞いておけばいいという考えではございません。皆様方が大へん党派をこえて制度改正について忍びがたきを忍んで御協力をいただいたことについては感謝をいたしております。従って、私ども、この協議会の答申のほとんど大部分をいれて案を作成し、ただいま法制局の審議は大体終わるという状況になっております。何とかして早い機会に提案をして御審議をいただきたい、かように考えております。その経過におきまして、協議会の答申を全面的に取り入れることのできなかったことはまことに恐縮でありますが、大部分やはり協議会の御答申の趣旨に沿うて案を立てておるわけであります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 それは、大臣、一部取り入れなかったから遺憾であると言われるが、その一部が問題なんです。それはわれわれも休会中の暑い中を二十数日にわたって二十名の小委員会であれだけ議論をしたのです。しかし、その一部をもし取り入れなかったならば、おそらくこれは一、二年後にまた改正という問題が出てくるとわれわれは判断しておる。それは決して農民不満の解消にはならないと判断しておる。そういう点については、大臣は、一部取り入れなかったが、大部分は取り入れた、これは私の本会議における質問に対しても大臣はそうお答えになったが、その一部というものを大臣はどういう感度でお考えになっておるのですか。農民の立場から考えて、どういう感度でその一部を考えておるか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 皆様の御苦心になったことについては十分了承できるのでありますが、私は、いろいろの事情でその一部が取り入れられなかったことはまことに残念でありますけれども、しかし、大部分の点に関して農業者、農民の方々の希望を取り入れてございますので、これはやはり前進のための一歩としては農業者の希望を大部分取り入れている案の成立をさせることが必要であろう、こういうことで進んでおるわけであります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 それは、大臣、大きな錯覚を起こしておるのです。それは、たとえば一つの例を取り上げてみますと、歩合再共済をやる、こういう考え方でしょう。歩合再共済をやるということは、これは今までと同じ形に戻っていくということなんです。この協議会の一番のポイントの中心点はどこにあるかといえば、村に積んだ金は村から出しませんというところに農民が納得しているのです。村と事業団と二本でいく、そして村で農民がかけたものは決して村から出しません、そこで、異常災害があれば、二分の一超以上は全額国庫から出して事業団から村へ来るというところがここの改正点の主要なポイントなんです。そのポイントをはずしてしまったら、この改正案というものは何ら意味がないと私は思うのです。再び農民不満が爆発してくる、私はそう判断しておる。要するに、村で積んだものは村から一銭も出さないのだ、そこに改正の急所があったのですから、それを再び歩合再共済を県連で取り上げていく、こういう形になったら、今と一つも変わらないことになる。そういうことを大臣考えたことはないですか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 ごもっともな仰せでありますけれども、私どもの歩合再共済に付するものは、各末端の共済組合の決議によって歩合共済に付するかどうかということも決定するのでありますし、また、これは原則でありまして、みんな歩合共済になるとも私は考えません。また、御指摘のように、その町村でかけられた掛金というものがいかなる形になり、いかに利用されていくかということは完全にわかるように、自主的な立場で町村にとどめおくことが原則になっておりまするし、さらに、歩合共済については、ただいまも申しましたように、組合の決議によって歩合共済に付するかいなかを決することでありますから、その点ははっきり区別して考え得ることかと思います。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 それは、大臣はそう言うけれども、大体要綱を見ても、県連合会の歩合共済率というものの決定がなければこれは成り立ちませんよ。実際問題を考えてごらんなさい。成り立ちますか。村の組合の責任でもって村の組合が決議して、うちの方の村は県連再共済にしましょう、こういうことになったら、危険地帯だけはやりますよ。ところが、危険地帯はやるけれども、災害の少ない地帯は何でやりますか。要するに、村で積んだ金は村から出さないという原則なんだから、災害の頻発地帯以外は、これは再共済しませんよ。その場合保険経済が成り立ちますか。成り立ちっこないですよ。そうすると、今の県連というものはなおよけい宙ぶらりんになってしまう。そういうことになりませんか。私の考え方は違いますか。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 仰せのように、歩合再共済をやります場合には、末端の共済組合が連合会に歩合にかけるということを決議しなければいかぬと思うのです。それと同時に、末端の共済組合で歩合にかけると決議されたものは、連合会としては、歩合を受ける、こういう決議がなければいかぬと思うのでございまするけれども、その場合に、先ほど大臣から言われましたように、通常災害の全部の責任は末端の組合に全部おろそう、こういうことに考えておるわけでありまして、そのうちの一部をそういう末端の意思によって連合会でプールしよう、こういうことを例外的に考えておるわけでございますから、そういう意味から申し上げますれば、あぶない地帯だけがかりに集まりました場合におきましても、金額としてはそこでプールができるわけでございまして、普通の現在のような保険の関係において逆選択が行なわれるというような実態とはだいぶ違って参ると思うのであります。ですから、その点は、かりに現在の共済組合が半分歩合共済をやろうということになりましても、あるいはまた三分の一の組合が歩合共済をやろうということになりましても、連合会としてはその範囲においてやっていけるというふうに考えておりますので、そういう考え方で立案をいたしておるわけでございます。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 何も局長に答弁してもらうより、今こまかい問題に入ったから、話を元に戻しましょう。それはまたぼつぼつ一項目ずつやっていきます。少なくとも、大臣は、行政責任者として、協議会を作った政治責任といものを一体どう考えておるか。日本は今悪い風習があるのですよ。審議会を山のように作って、審議会に諮問すれば、それは法的には規制を受けないけれども、少なくともそういうものを作った以上はそれを尊重するという風潮がなければいかぬですよ。その協議会を作って、四十五人の人間にあれだけ去年の夏の暑い間まで苦労をかけておいて、その政治責任というものを大臣は一つも考えないでしょうか、どういうものですか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 私は、その点につきましては、先ほども申しましたように、非常に御苦労いただいたことについては感謝いたしております。しかし、御指摘のように、委員会が作られ、ただ諮問機関みたいなことにして、国のやり方、政治についての裏づけをするというような行き方もいけませんし、また、いかにりっぱな意見があっても、これを政府の考え方で一つも取り上げぬのも、これはいかぬと思います。しかし、その点につきましては、私ども、本来の処置につきましては、十分意見を尊重しつつ、しかも、重要な部分について、農家がこれを進めることによって従来よりも一歩前進するということの立場におきましては、一部についてさらに検討を将来に向けて残しつつ進めることも一つの行き方であり、このことは決して委員会と申しますか協議会を無視したことにならないと考えております。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 私は、そうじゃないと思う。少なくともあれだけの大委員会、四十五人委員会を作っておいて、そして二十幾回にわたる討議をさして、私は政党人としての大臣と行政長官としての大臣のけじめははっきりつけねばいかぬと思う。少なくともそういう行政長官としての立場から考えるなら、やはり、協議会の意見、答申というものは全面的に取り上げるべき責任があると思うのです。一部取り入れたからそれでいいだろう、そんなら今後協議会とか審議会というものは私は意味がないと思う。その点は大臣は見解の相違だと言えばそれまでですが、しかし、協議会にあらゆる階層の人が入りまして、あれだけの大規模な協議会で、あらゆる人の意見を総合して、しかも、意見がまとまらぬから小委員会をやろうということで、これも二十人の小委員会、しかも三党の代表が入って、入っていても入ってなくてもこれは同じことだろうが、三党の間で四回、五回にわたって意見調整をしておるのですよ。秘密会談をやっておるのですよ。では社会党はこの原案よりここまでおりてくれ、われわれの方はここまで前進しようという会合を、三党の七人の国会議員が入りまして、三党は完全に譲るべきを譲って意見調整をやったのですよ。そこまで来たものを、途中で政党の御都合で勝手にひん曲げるということは、これはどうしてもわれわれは納得できませんよ。その意見調整をやらないで、意見がばらばらのままにやったのならとにかく、最終の段階においては二十人小委員会においても山添保留意見が一件あっただけです。あとは全部意見一致したのです。そうしての答申案になったのを、その保留意見が重点になってこれが変わってきた。そういうことは、私は行政官としての大臣は無責任だと思うのです。そうでもないですか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 一部取り入れることができなかったことに対しては、非常に残念でございます。遺憾の意を表しますが、これは他の基本的な部分については全部委員会の意見を取り入れて作りましたのであります。一部入れなかったことは遺憾ではありますが、私は、農民のために一歩前進して、従来よりよりよき形に進めることができれば一つの行き方であろう、かように考えまして処置をいたした次第であります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 きょうは時間がないから、こまかい点は後日に保留して譲りますが、決してこれは一歩前進じゃないのです。いろいろ問題が出てきます。現に、もう一部からは、安全率二〇%の引き上げ問題で非常に掛金が高くなる、こんなものはだめだという意見が出ているのです。そういうふうに、こまかい問題に入っていけば幾らでも問題はありますよ。しかし、それは保留して、農民がいやだ、——大臣が行ったときはおせじにいやだとは言わぬかもしれぬが、われわれは、至るところで農村懇談会をやった場合、どうだ、この制度は君らどう考えるかと言えば、まず八割はやめてくれという意見です。だから、その農民の率直な意見を私は政治の中にやはり反映すべきだと思うのです。もうとてもこういうものはかなわぬ、だから、それについては、現在、組合の解散、こういう問題が、現実の問題として事業執行停止、解散の問題がたくさん出ておるわけです。だから、そういう点について、大臣は今度改正すればこれで解散も事業執行停止もなくなって全部やっていけるという自信をお持ちですか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 いろいろ苦労の点もあると思いますが、私は、改正法が通過いたしますならば、よく理解を求めれば、またその趣旨がわかれば、全部解散とかなんとかいう形にならぬていくのではないか、かように考えております。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 どうでしょう、大臣、いやだというものを、今までの制度に欠陥があって、いやだということになってきたのだが、いやだというものはやめさしてみたらどうでしょう。一応いやだというものを無理にやれやれという話は、ちょっと無理じゃないですか、これは。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 この改正法案が通過の見通しが立った場合におきまして、いろいろと地方の事情によってこれでもなお解散をしたいというような場合におきましては、解散の基準等を示して、その場合においては処置すべきであると私は考えます。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 それは、そうおっしゃるけれども、この改正案の急所を抜けば、これは、大臣、いま二年たってごらんなさい。私は予言しておきます。再び全国また解散です。大臣、そういうことを考えませんか。農民の意見を聞いてみませんか。前と同じことをやるのなら、もうこんなものはやめてくれと言っている。さっき言ったこまかい問題に触れれば、村から一銭も出さぬよ。金が残れば、今度はお前さんたちが消毒でも自由に使えよ、無事戻しもやりたければやれよ、村から一銭も出さないというところにとの改正のポイントがあるのですよ。その話に触れればまたこまかい問題になりますからやめますが、一体、農民が解散、事業執行停止をしようという動きを現在でもやっておる。この改正案を説明した地帯でもやっているのです。これはどういうところに一原因があると思いますか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 私は、今までの制度そのままでありますれば、お話のように、村の組合で集める共済掛金の行方というものがどういうふうになっているのかということもよくわかりません。今度の改正は、少なくとも共済組合に自主的な立場からその掛金等の保有は大体原則として町村に保有されるし、その意味においては農家の希望がここではっきり出て参りますし、また、従来ともすると掛金というものに比較しまして共済金の額も少なかったというような点については、約倍額に引き上げるとか、また、一律一体に強制加入ということにしておくのはおかしい、むしろこれは自由加入の形に少し強制加入の形を変えてもらいたいというようなことなり、こういう点は、私は、農家の方が理解していただければ、そういう点では一法だと考えております。いろいろな点について希望もありましたが、ただ、問題は、共済組合連合会をなくせよという問題につきましては残っておりますが、しかし、そういう点を除きますと、共済組合における事務費、人件費というものに対し全額国庫負担をして、負担を軽からしめるようにせよというようなことも、今度はこれを実行に移しますということになれば、なるほど一部におきましては共済組合連合会の存続というものに対して意見のある部分もあると思いますが、しかし、大体通常災害においては共済組合が行ない、異常災害においては直接保険事業団がやります。ただ、家畜と養蚕というものが一部連合会に残りますが、大体原則として農家の希望が大部分入ったこの部門を遂行していって、さらに第二段階のものを考えるということも一つの行き方であろうかと私は考えます。

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 中澤君にちょっと申しますが、大臣は五時に特別の事情があるらしいので、御質問はずっと続けていただきたいが、その点だけを……。あとから足鹿委員も御質問になる関係になりますが、その点御了承の上で一つお願いします。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 社会党も今晩正木氏のお通夜を五時からやりますから、私の方も五時に打ち切ります。質問はいずれ保留いたしておきます。  そこで、あまりいじめてもお年寄りで気の毒だから、局長にちょっと聞いておきますが、組合解散の現況と原因、それから今再び起こりつつある県における解散運動、長野県で言えば、長野市なんかは完全に署名を取ってあるわけです。そういう全体的な現況、どのくらい、どうなっているか。現在改正案を説明してもなお解散機運が出ておる地帯があるはずです。そういう現況をあなたの方から説明して下さい。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 具体的な数字はいずれあとから申し上げますけれども、先般来までの解散といいますか事業休止をやっておった組合といいますものは三十幾つあるのでございますが、そのほか、解散を決議しまして、県知事に認可の申請をいたしておりますけれども、知事の認可を受けられないというような状態にあるようなところもございますし、この点は、解散の場合に知事がこれをすぐ認可をしてしまいますと、その他のいろいろな災害対策等も万全な措置が講じられていない状況でございまするので、昭和二十九年でございましたか、解散についての認可をしないようにということで指導の通牒が出ておるわけでございます。それがいろいろ問題になっておるわけでございます。そういうふうな状況でございますが、最近におきましてもあちらこちらで解散の動きが幾分ございます。これは、中澤委員がおっしゃいましたように、今度の制度改正の中身をはっきり説明しても解散を決議しておるのだということではございませんで、制度改正の中身については、まだ具体的な内容は、はなはだ遺憾でございますけれども、国会にも提案がまだされておりませんので、末端まで浸透いたしておりません。具体的な問題は今後いろいろ国会に提案すると同時にいろいろ知らせるということが必要であろうと思いまするけれども、最近の情勢は、山形であるとか、あるいは九州では佐賀県、それから山口県、高知というようなところでぼつぼつ解散決議をいたしまして、その認可申請をしておるところがございます。それで、これらも実態的には非常に災害がなかったということで、それに対する今までの制度の不満が大体大部分だろうと思うのです。それから、あるいはいろいろの勢力等による運動もございます。実際問題としてそういう動きもございます。ですから、制度が今度はこういう工合に改善されるのだということがはっきりいたしますれば、これは農民としても共済組合としても考え方は相当違うものが出てくるのではないかというふうに見ておるわけでございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 関連して……。  大臣がどこかへ行かれるそうですから、一つ承っておきたい。  先ほども、中澤君の質問に対して、解散の基準を設定して今後処理をしたい、こういうことでありますが、この前、制度改正協議会の際にも、去年の四月以来、たびたび、前大臣の福田さんからも、また坂村経済局長からも、解散基準を設けて今後やるのだということは公式にも非公式にも何回も聞いておる。ところが、一向にこれは実現されておらない。初めは、この制度改正とは別個に、青森県の平賀町の実情等で私が協議会で追及いたしました際にも、解散問題については今後基準を設けて処理するのだがということで、私どももその成り行きを見ながら今日に至っておるのです。この制度改正と解散の認可問題は、私は別個な問題だと思うのです。というのは、大臣も御存じだろうと思うのですが、ことしの一月三十日に行政管理庁から勧告が農林大臣あてに出ております。それの内容について見ましても、はっきりこの解散問題についても九県十七組合を抽出して得た結果がはっきり出ておるわけです。その解散の実情なり原因等を見ましても、説得に説得を重ねてもなお解散をやるという実態になっておるわけです。法四十六条の二項によって定められたものを、行政庁の認可を必要とする条項が他の条項によってあることを幸いとして、あくまでも法改正までは基準設定をして認可をしないんだということでは話が違うと思うのです。この点ははっきりしていただきたいと思うのですが、昭和三十三年から三十四年の解散阻止の通達をこの際どう処理するのか、制度改正とは別個にどう処理されるかということです。これは行政管理庁の勧告とも相待ってどう対処されるかということを私はこの際大臣に明らかにしていただきたい。三十三年から三十四年の農林経済局長通達を見ますと、実に不当と思う、あるいは不法と思うような阻止通牒であります。たとえば、制度に対する不満等を直接の理由とする解散の決議に対してはこれを認めることはできない、こういう通牒であります。加入、脱退はあくまでも法によって認められておりませんが、しかし、法四十六条の二項によって適法に処理された場合においては、組合解散はこれは可能になっておるのです。ただ、行政庁が認可を必要とするという条項があるだけによって、あなた方がこの阻止通牒というものを出して今日まで押えてきておられる。では、その根拠はどうかというと、制度に対する不満を直接の原因とするものについては認めることができないとか、あるいは、農済制度は国の施策の末端組織であるから、その公益性という観点から見て当否を判断しなければならぬとか、こういう不法な理由でもって解散を阻止することは、私はこれは憲法上も大きな疑義があると思うのですよ。こういう理由ならざる理由をもって解散を阻止してこられた。今日まで、制度改正が現実の問題になってきておっても、なお各地に解散の声がおさまらないということは、今度のあなた方がお考えになっておられる制度改正をもってしては農民は満足しておらないということが、これは末端まで相当浸透しておると私どもは見るわけなんです。そういう点から、先ほど来しばしば言われておられますが、今後この阻止通牒をどうされるのか、いわゆる解散の基準はどういうものを考えておられるのか、それをこの際はっきりしていただきたいと思うのです。  この法改正をあなた方はどう考えておられるか知りませんが、市町村の段階における改正の実施、特に、事務・人件費の全額負担はことしの七月でしょう。それから、当初案でいくならば、保険事業団の発足は来年の二月でしょう。そうすると、事実上においては、また一年間、この三十三年、三十四年の解散阻止通牒をそのまま生かす御所存ですか、それは私どもは納得できません。そういう意味のものではなかったはずです。制度改正協議会の論議の過程において、この阻止通牒の撤回問題についてはあなた方も納得をされて今日に至ったと思うのです。当時の政務次官であった小枝さんも、協議会の席上においでになって、私が平賀町の問題を中心に質疑を重ねた際にも、おさめ方としてはいろいろ話した結果そういうふうにおさめる、今後はこの解散通牒については善処する、こういうことで話がついておったはずですよ。ですから、先ほどお話があったように、解散基準の設定をこの際やるべきだと思うのです。その基準はどういう基準で設定していかれるか、この点だけは大臣がおいでになる間にぜひ明らかにしていただきたいと思います。制度改正とは別個ですよ。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 お話の点、ごもっともでありますが、今の解散阻止通牒というものもいろいろと議論のあることは聞いております。やはり、これは現在強制加入の制度でもありますし、簡単に解散をさせてあとでやはりしなかったらよかったというような場合が出てきましょうし、ある程度強制加入の制度になっております現状というものは、共済保険組合のあり方に関しても、多分に公共的な意味も持つという意味においてこれが考えられたものだと思います。従って、今度制度が変わるにつきましては、それらの制度の内容等に関しましてよくこれを知らしめた上で、そうして解散をするというのならば、それは許していこうというようなことで、今日までおくれておると思います。しかし、御指摘のように、七月からいろいろな人件費、事務費の関係が、全額国庫負担になったり、あるいは保険事業団の発足が来年の二月になるということについて、そこまで解散の許可というようなものを延ばすことになるのではないかというお尋ねですが、それは、先ほど毛申しましたように、この法案についての見通しが立ちますれば、その間直ちに基準を示して、これが認可を与えるように持っていきたいと思っております。認可の基準というものに関しましての内容については、局長から答弁をいたさせます。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 先ほどの大臣の御答弁の通りでございますが、認可の基準等につきましても現在いろいろ検討しておるわけでございまして、実際解散をいたしました場合におきましても、たとえば、例を申し上げますると、赤字ができたから解散してしまうのだというような場合もございましょうし、それから、解散をした場合にも、職員の処理をどうするかというような問題もございましょうし、いろいろそういう各方面の問題をある程度検討をいたしまして、そうして、そういうようなものを考えて認可をするということに持っていかなければならぬと思っておるのでございますので、十分そういう問題を今検討いたしております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 それはどういう法律上の根拠で今まで阻止されたのか。今度新しく基準を設定されようとするのは、法律的な根拠は何に基づいて検討されるのでありますか。  それから、大臣に最初第一にお尋ねしたのは、一月三十日付の行政管理庁の勧告については御検討になりましたかということなのです。われわれが仄聞するところによりますと、予算編成に籍口して、小委員会案をずたずたに切ったものの法制化を現在考えられておる、こういうふうにわれわれは聞いておるのですけれども、あなた方が考え方を出された後において、一月三十日に行政管理庁は勧告を出しておるわけです。ですから、小委員会の考え方も、また一般の世論も、政府の一部である行政管理庁の意見も、しばしば申し上げることでありますが、制度改正協議会が考えた改正案というものに客観的に妥当性があることは天下は認めておるのです。それを、ごく小部分の人々の策動によって今日その線がゆがめられようとしておることを私どもは遺憾に思うわけです。その行政管理庁の勧告が発せられたのは、あなた方が方針を出された後です。この前私は予算委員会の分科会において大臣にこの問題についてお尋ねをいたしましたが、あのときは管理庁が方針を出してから幾日もたっておりませんで、まだ検討ができておらぬというお話でありましたから、私もやむを得まいと思いましたが、今日となれば相当な時間が経過しております。ですから、行政管理庁の勧告についても十分御検討になる時間がその後あったと思いますから、その検討の結果についても、農林省としてはどういうふうに受け取ってその対策を考えておられるか。  行政管理庁もおいでになっておるようでありますが、今の解散阻止通牒の問題に関連をしますが、大体あなた方が勧告をされたものを拝見してみますと、全般的に見て強制加入を緩和する方針を打ち出しておられるようであります。その緩和には、加入脱退の自由、あるいは一定部分の加入脱退の自由とか、いろいろ問題もありましょうが、適法に処理された解散議決あるいは事業休止も含まれるものだと私どもは解釈をいたしますが、その点についてのお考えはどうでありましょうか。また、農林省から検討の結果何らかのあなた方に対する御報告がありましたか。それらの点についてもあわせてこの際承っておきたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 行政管理庁からの勧告の内容は拝見をいたしております。その趣旨も十分取り入れて私は処置をいたしております。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 解散の認可に関する通牒の問題は、農業災害補償法の四十六条に、「解散の議決は、行政庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。」、こういう条文があるわけでございまして、自由裁量の範囲が非常に広い法律になっておるわけでございます。そういう関係もありますので、先ほど申し上げましたように、強制加入、災害補償という性格を持っている制度でもございますし、そういう意味から申しまして、ほかの制度との関連を考えて、軽々にこれを解散させることは農民のためにならない、こういうような意味で、事務費も国庫で持っておりますし、掛金も国庫で負担しておる制度でございますから、そういうふうなことで解散の認可をしないようにという指導をして参ったのであります。そういうようなことでありますが、ただ、今度解散の認可に関する通牒を直そうということを考えておりますのは、事態がだんだん変わってきておりますし、それから、十分末端に自主的な責任を負わせよう、こういう制度改正を考えておるわけでございますから、そういう問題との関連におきまして、それでもどうしても解散をしようという場合にはこれはやむを得ないではないか、こういうことで考えておるわけであります。

藤井香総理府事務官(行政管理庁行政監察局監察官)

○藤井説明員 お答えいたします。  われわれの行政緩和の勧告の中に、解散あるいは休止についてはこれを考えておるのかどうかという御質問であります。その点はわれわれは結論を出しておりません。ただ、一定の基準に基づいてやる必要があるということを申し上げておった。その一定基準につきましては、農林省でとくとお考えをいただきたいというふうに思っております。それから、もちろんでありますが、この勧告に対する回答はまだ農林省からはいただいておりませんから、農林省の方の考えは承知しておりません。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 行政管理庁の勧告に対しまする農林省の回答は、制度改正の立案をいたしまして、その案によって回答を申し上げる、こういうことで考えておるわけでございます。そこで、大体行政管理庁の御指摘の点は、今度の制度改正の案にはほとんど大部分のものが盛り込まれまして、行政管理庁の監察の御指摘の線に沿いました改正を考える、こういうことで立案をいたしておるわけでございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 お尋ねしたいことはまだたくさんあるのですが、どうも局長ではいかぬです。大臣にも出てもらわなければならぬし、場合によっては行政管理庁の長官にも御出席を願って、この点は十分にあなた方の勧告されたことに対するその見解をただしていかなければならぬ問題がたくさんある。そういう機会を一つ作っていただいて十分検討させていただきたいと思う。幸か不幸か、今聞きますと、何かはんの条文の一部の事務的な改正が出ておるそうですからその案件の上程の際でもこれはけっこうであります。  ただ、私が局長に聞いているのは、余分のことを言わないで、今度基準を作る場合は法的にはどの法律に基づいて基準をお作りになるか、基準の柱となるべきものはどういうものか、今、行政管理庁も、その場その場の通牒で押えることはよろしくない、こういう意見だったわけですが、どういうものを考えておるのか。私は、認可権があるからといって、効力を生じないということになっておるからといって、解散を阻止することを局長通牒のごときものでこれを阻止するということは、法律に対して行政上の越権の措置だと思うのです。これはもう絶対に撤回をしなければならぬ。直ちに撤回をしなければならぬ問題です。これは制度改正協議会でもずいぶん議論をした。ところが、局長は、制度改正とにらみ合わせて、これが実施になったときはやるのだというふうに、いつのまにか所見を変えられた。ここに速記録を持ってきておりますが、あなたはそういうことを言っていない。ここにあなたが言ったことがあるのですよ。違うのです。だから、そういうことを言ってはだめですよ。少なくとも半年以上にわたって検討に検討を重ねた協議会の公式あるいは非公式の場において、あなたが言っておるのはそういう意味ではないのです。これは明らかに不当だ。自分の局長当時の通牒ではないけれども、前任者のやられたことであって、自分がとやかくいうことはどうかと思うけれども、はなはだ行き過ぎだ、だからこれは撤回するようにいたしましょう、こういうお互いの了解のもとにおいてやったのです。それを、あなたは、先ほどから聞いておりますと、制度改正の趣旨が徹底した上でなお解散したいものは解散さしてよかろうなどと、よくそういうことが言えたものだと思う。その考え方をやめて、今言ったようにちゃんとした答弁をして下さい。基準の根拠と、その法的根拠の問題です。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 法的根拠でございますが、法的の根拠は、先ほど申し上げましたように、農業災害補償法四十六条というのは非常に自由裁量権の大きい条文でございます。ですから、こういうような条文を使いまして、ただむやみやたらに、あるいは認可するとか、あるいはとめるとかいうようなことは、これは法律の運用から言いましても適当ではないというふうに私も考えております。ですから、先ほども御指摘がございましたけれども、それでは、経済局長通牒で、法律で認められております解散の認可を絶対にやってはいかぬのだというふうに押えていきますことも、これは必ずしも情勢によっては適当ではないという感じもいたしまするが、これを出しました当時の状況から判断いたしますると、私は、その当時といたしましては、行政指導として、そういう解散認可をなるべくしないで、そうして農民のために国の災害補償という制度の恩恵を受けさせた方がいいという情勢であったろうと思うのでございます。ところが、最近の情勢におきましては、私はそれが必ずしも適当であるとは思っておりませんので、前々から申し上げておりますのは、これはすぐに通牒を撤回するということを申し上げておる趣旨ではございませんで、そういう考え方でございますから、今までそういうことで指導しておりますので、これは何らかのきっかけを一つ考えまして、そうしてこの通牒の撤回を一つ検討いたします、こういうことを私は私的にも公的にも申し上げておるつもりでございます。そういうようなことでございますので、制度改正が実施になってからということは、私は今一書毛申し上げておりませんし、考えてもおりません。ただ、だんだん今後改正される制度がどういうことになるのかということをやはり農民にも共済団体にも判断をする機会を与えるのが、私は農民に対して親切じゃあるまいかというような感じがいたすのでございますので、そういう機会を一つつかみたいということを申し上げておるわけでございます。これは非常に真摯な態度で農民のために考えておるわけでございますので、その点一つ御了承を得たいと思います。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 今そういう答弁をすると話がおかしいので、四十六条は自由裁量を非常に多く取り入れた法文だというのでしょう。それでは、自由裁量が多く入っている条文というのは一行政官の命令でとめてよいものか。こういうことは法理論の問題ですよ。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 ですから、先ほど申し上げましたように、法律論といたしましては私は必ずしも適当ではないと思うのでございますが、その局長の通牒を出した当時の情勢から言いますと、そういう実際的な要請があったのではあるまいかというふうに考えておるわけでございます。しかし、現状におきましては、私は必ずしも適当な通牒であるとは考えておりませんので、できるだけ適当な機会を得てこれを直したいというふうに申し上げておるわけでございます。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 私はそんなことを聞いているのじゃない。自由裁量という法律的な問題を行政官の命令でとめていいのかということを聞いているのです。ほかのことを聞いているのじゃない。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 それは、必ずしもいいとは言、えない場合もありましょうし、あるいは、全体の行政から言いましても、行政の指導といいますか、そういう全体の行政から言いまして、こういう具合に指導した方がいいのじゃあるまいかという場合もございましょうし、そういう大きな立場から言いまして、たとえば自由裁量によって認可ができるのだ、こういう場合におきましても、全体の行政から言いまして、その場合には当分の間許さない方がいいのではないかという指導をすることもこれはあり得ると思うのでございます。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 それはとんでもない話だ。自由裁量を知事にまかしているということはいいでしょう。しかし、それはその知事の判断でやるべきことであって、一局長の通牒でこれを押えているところに問題がある。法理論から言って。これは明らかに立法権に対する行政官の侵害ですよ。知事は自由判断でやればいい。そこまではいいが、その知事あてに局長通牒を出して、その局長通牒が解散を認めない方針であるといって、知事のところに申請書が出ているのをみんな押えている。これは明らかに立法権の侵害じゃないか。そういうことになるでしょう。自由裁量もそこまでいったら行き過ぎですよ。それがあなたは行政権としていいと言う。そういう経済局長の頭でよく農林省の経済局長が勤まりますね。知事までの自由裁量はいいですよ。たとえば長野県の一例を申せば、私は知事とも解散申請の問題で話した。ところが、知事は、私はこんなものはほんとうはいやだ、事実今までに災害でもらったよりも掛金の方が多いのだから、私は解散を認可したいので、農民が言うのも無理はない、しかし、通牒があるために農林省に持っていくわけにはいかないんだ、こう言っておるのです。これは、明らかに、幾ら自由裁量法律でも、法律に対する行政権の侵害だと私は断定しておりますが、そう思いませんか。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 お説の通り、私も、最近の情勢から言いますると適当な通牒ではあるまいということを考えておりまするからこそ、適当な機会に改善すべきじゃないかというふうに考えておるわけでございます。ただ、その場合に、国庫からたとえば事務費も出しあるいは国庫負担をもやっていろいろやっておる制度でございますので、これは何もかも野放図に認可をするという線に持っていくということは別途一つの指導として考えなければならぬ問題だと思いますので、解散の認可基準というようなものについては十分検討いたしまして、農民があとでしまったというようなことが起こりませんように指導して参りたい、こういう工合に考えておるわけでございます。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 指導と法律は絶対別だ。自由裁量法律だから局長命令でとめるということは、とんでもない話だ。きょうはお通夜に行かなければなりませんので一応保留しておきますが、そういうことを言うなら、今度は法律理論を徹底的にやりましょう。自由裁量法律で局長命令でとめてあるいかなる実例があるか。そんなものはありませんよ。私も全部調べてみたんだけれども、これだけですよ。そういうことは明らかに法律に対するところの行政権の侵害じゃないか。  そこで、もう時間もあれだし、足鹿さんがいま一点関連質問をやるというから、資料要求をしておきます。  通牒の出る前の今までに解散許可をした組合数と組合名、許可の年月日。第二は、解散組合の現在申請してある数と組合名。それから、申請はやらないが、三分の二の署名は全員取ってしまったというところが至るところにある。それは知事に出しても認可しないから出さないだけで、そういうものがあるのです。そういうものの数、それから県別の組合名。それから、その次は、事実上事業執行停止をしておる組合数、それと組合名。これを、いつになるか、この次の委員会までに正式に資料として出して下さい。それから、今まで局長通牒を出した県が数県ある。その局長通牒を出した通牒の原文を当委員会の資料に出して下さい。  この四つを資料要求して、きょうは保留をいたしまして、一応私の質問は打り切ります。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 御要求の資料はこの次の委員会までに提出するようにいたします。ただ、最近の実情がどこまで把握できますかわかりませんけれども、できるだけ把握いたすように努めたいと思います。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 別な機会で十分お尋ねしたいと思いますが、ただ今までの質問の締めくくり的な点で、はっきりしたい点がありますので、四十六条の二項に基づいて、「解散の議決には、第四十三条第二項〔特別議決〕の規定を準用する。」とあって、三項で、「解散の議決は、行政庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。」、こう規定されている。そこで、農林大臣はこの解散決議が法令上適法であるかどうかという形式審査をやるものとわれわれは解釈すべきだと思うのです。この四十六条二項、三項はそういう趣旨のものだと私どもは理解する。だから、私は、法的根拠はどこでやられるのかということを言っている。四十六条の三項においてはそういう法的根拠はありません。あなた方が法的根拠としてやっておられる点は、農林省設置法の四条十七号が、  「協同組合、農林中央金庫、農林漁業金融公庫その他本省の所掌事務に係る団体につき許可又は認可を与えること。」、この条文をたてにしてあなた方はこういう一つの権限を振り回しているのではないかと思うのです。この法律をもってしてはあなた方は解散阻止通牒を出す権限はありませんよ。そういう行政権の乱用をやってもらったのでは、一定の法律が厳然としてあるにかかわらず、あなた方が農林省設置法に基づいてかってな抑制通牒を出して、しかもそれは要求があっても撤回の声明もやらない、不法不当の運営をしていることが明確になっておってもやらないということは、われわれは重大な問題だと思うのです。ですから、形式上その決議が適法に行なわれているかどうか、法令上の適否を審査すればそれでいい。実質的なその健全性であるとか公益性の問題については別個の問題です。四十六条の三項はそういうことはないはずであります。何かあなた方が別な内規等を作っておやりになっておるのなら別でありますよ。農林省設置法以外には、あなた方がそういうものをやる権限はありません。何に基づいてやっているんですか。それをさっきから私は聞いているんです。また、行政管理庁も、この解散議決や事業の休止等をやっている組合等についても、あなた方は九県十七組合について当たっておられますが、農林省はどういう指導を今後において行なっていくか。それらの実態も別な機会に私はよくお聞きしたいと思います。あなた方が観察をされた場合の実態についてもよく伺っておきたいと思いますが、その点は法的な根拠のないことを行政庁が一片の通牒でもって押えるということは許すべからざることなんです。ですから、この問題はまた時間をかけてやりますが、法的な根拠は四十六条の三項からは出ませんよ。何によってやっておるか、御答弁ができなければ、次回までに考えておいていただきたい。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 法律論につきましては、いずれ私も別に検討いたしまして次回に御答弁申し上げたいと思いますが、ただ、今感じますことは、四十六条の三項といいますものは、この法律の体系からいたしますると、実質的な裁量権を相当持っているというふうに実は考えられるのでございますが、二十五条には、行政庁の認可権の拘束ということで、設立の場合には認可権を拘束しているわけであります。ところが、解散の場合には拘束していない。設立の場合には、「行政庁は、前条第一項の申請があった場合において、設立の手続又は定款若しくは事業計画の内容が法令又は法令に基いてする行政庁の処分に違反せず、且つ、その事業が健全に行われ、公益に反しないと認められるときには、設立の認可をしなければならない。」、こういう拘束規定があるわけでございますが、解散認可の場合にはないわけでございます。そういう意味からいたしましても、実質的な裁量があるというふうに考えておるのでございますので、いずれ十分法律論を詰めまして、あらためて御答弁申し上げたいと思います。

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 明日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。午後五時三十分散会

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