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38回国会衆議院1961/04/14

農林水産委員会 第30号

発言数
176
登壇者
16
会派数
3
開催日
1961/04/14

会議録

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出の農業基本法案及び北山愛郎君外十一名提出の農業基本法案を一括議題として質疑を行ないます。  なお、総理がお見えになるまで、主として北山愛郎君外十一名提出の農業基本法案について質疑を行なうことといたします。  質疑の通告があります。これを許します。藤田義光君。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 私の質疑の途中におきまして価格問題で中断されたのでございますが、本日はまず農業従事者の労働対策に関して最初にお伺い申し上げたいと思います。  昨年秋の衆議院総選挙におきましては、池田内閣の貧農切り捨てということが政策論議の一つの重点になったのでございます。しかるに、社会党の農業発展八カ年計画案によれば、現在全農家人口の六五%を占める兼業農家に関しまして、その三分の一は農業にとどめ、三分の一は農産物加工工場に就労させ、残る三分の一は工場に就職させるということをこの計画でうたっておるのでございます。そうしますると、大体概算いたしまして、政府案が予定いたしております、十カ年間に千四百五十万の農業人口を大体一千万にするという政策と、社会党の三分の一の兼業農家を工場に転業させるという政策による農家人口の減少傾向は大体同じじゃないか、この四百万前後の農業人口が減少することを目して貧農切り捨てということになれば、社会党の農業発展八カ年計画でも貧農切り捨てを予定しているということを言われてもやむを得ないのじゃないか、この点に関しましてまずお伺い申し上げたいと思います。

北山愛郎日本社会党

○北山議員 社会党の農業発展の八カ年計画というのは、昨年の総選挙の前に、昨年の春、一つの試案としてそういうものを作ったのであります。その案によりますと、もちろん、私どもとしては、農業の就業人口が過去十カ年の平均として一年に二十余万人、約二十五万人程度は農業以外に転出をしておる、その事実を否定しておるものではなく、また、それをいけない、そのような農業人口の他産業に対する流出というものについてこれを妨害しようという考えはないのであります。従って、そのような過去の実績というものを基礎にして、ごく自然の形として農業発展の計画を作ったわけであります。従いまして、あの八カ年計画では、八カ年後における農業の就業人口は直接の農業については大体千二百万と考えておりまして、それ以外に、御承知のように、社会党の農業基本法では、農業に関連をする加工業、農民の手によって加工業その他関連産業を振興させるということに重点を相当置いておるわけでありまして、そういうふうな関連産業に約二百万程度、従いまして、直接間接農業に従事する人口は千四百万くらい、こういうふうに一応その当時の作業としてはいたしたわけであります。しかし、これはあくまで一つの見通しといいますか作業でございまして、このような形にわれわれが農業の就業人口を人為的に配置する、こういうものではないことは御了解を願っておきたいと思うのであります。  政府案と同じではないか、こういうふうなことでございますが、基本的に違う点は、私どもは、農業の中で農家の所得の向上、あるいはできるだけ農業の内部でもって就業人口を収容するというところに重点を置いておるのでありまして、政府の基本法においては、当然農業では過剰人口だから農業外にこれの流出をむしろ助長するというところに基本法の力点を置いておるわけであります。こういう点は政府の基本法の至るところに現われておるものでありまして、たとえば、農地の移動を円滑にするとか、あるいは、この委員会でも審議をされました農林漁業金融公庫、この中の自創資金におきましても、今度は取得資金に重点を置いて、維持資金は従来よりも減らして、比率を転換して、自創資金というものが自作農の維持のためというよりはむしろ経営拡大の性格に転換しておる。要するに、農地をふやして経営を拡大するものは援助をし融資をするけれども、零細農の方には補助もあるいは融資も消極的、行なわない、少なくする、こういうような点においても小さな農家がやむを得ず農業を捨ててよその産業に転出をするという方向へ施策のいろいろな形における政策を行なおうとしておる。この点が基本的に違うわけであります。そこが、切り捨てというのはあるいは表現が少しきついかもしれませんけれども、私どもとしては、これはどうしても小さな農家いぶり出しの政策である、こういうふうに申し上げるのはその点でございます。要するに、社会党の案は、もちろん農業だけに重点を置くのではなくて、第二次産業、第三次産業の振興ということに大きな政策の重点を置いておりますことは、せんだっての大会で採択されました長期経済計画の中でもはっきりしておるところであります。ただ、問題は、池田内閣が言っておるようにはたして所得倍増計画なるものがその計画の通りに発展をするものかどうか、こういう点につきましても、最近における国際収支なり世界経済の動向、こういうものを考えましたときに、ただ他産業の発展、成長だけに依存をして、そして農家の人口をよその産業に移せばそれでいいのだ、こういうことではやはり真の農業政策にはならないという観点から、できるだけ農業の発展の中で就業の人口なりあるいは所得の増加をはかっていきたい、ここに社会党の基本法の中心が置かれておるわけであります。その点が基本的に違う、それだけを御了解願いたいと思います。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 私は、ただいまの御答弁の中で、八カ年計画で千二百万にするということになりますと、大体十カ年計画では数字的にわが党の案と全く一致するということだけは北山議員が是認した結果になる、そういうふうに解釈をいたします。  それから、政府案との比較がございましたが、社会党案の致命的な欠陥は、農業というものの中に閉じこもりまして、農業の封鎖主義というものを非常に強調しておる。ほかの産業との関連において農業基本法の推進を考えるという工夫に欠けている点がある。言葉を変えれば、農業自体の中で農民の所得の増加その他をはかると言われますると、これは、社会党的な見方をすれば、今度農用地の拡大をやって新しく三百万ヘクタールを開墾をして、その中に貧しい農家は全部はめ込んでしまうという見方も出てくるんじゃないか。貧農をほかの産業にいぶり出すのじゃなくて、同じ農業というワクの中にこれはそれ以上に深刻な事態に追い込んでしまうのではないか、こういう誤解を生ずると思うのですが、ほかの産業との関連を考えてないというのは、これは一つの弱点ではないかと私は思う。だから、そういう、私が今申し上げました、新しい開墾を三百万ヘクタール一生懸命やると言われる言葉の裏には、農村の小規模の経営者を新しい開墾地に追い込んでいく、こういう政策が予定されているんじゃないかと思うのですが……。

北山愛郎日本社会党

○北山議員 それは大へんな誤解でございまして、なるほど、従来保守党の政府がとり来たったような開拓の政策、こういうような方式では、確かに、土地の条件の悪い山地とか傾斜地に農家を移す、こういうことはむしろ農民を苦しめるという結果になるかもしれませんけれども、しかし、私どもは、そのような今までの保守党の政府がとっておったような、まことに農民にとっては不親切な、ただ金を貸してあとは自力で人力でもって開墾しろというような、そういう冷酷な開拓政策はとらないのであります。むしろ、これは、この前に申し上げました通り、何と申しましても、日本は、零細農の一つの原因というのは、農地が不足しておるということにあるのでありまして、外国に比べましても、日本の土地全面積における農地の割合というものは非常に低いのであります。むしろ今までにもつともっと日本の土地を農地に利用するということをはかっておらなければならなかった。これを怠っておる。怠っておるばかりでなしに、一体、山林原野の実測の調査すらもやっていない。そういう熱意が完全にないわけです。それはいろいろな理由があるでありましょうが、とにかく、そういう今までの間違った政策の結果として、農地が土地全面積の二〇%以下である。そして、しかも一町歩というような零細農家の中で苦しんでおる。これを解決して、農用地を造成するということは当然の施策であって、むしろ今まで保守党の政府がやられなかったものを大規模にやろうというのがわれわれの基本法のねらいでありまして、この精神は、この席上における農林大臣の答弁からも、決して政府といえども否定はしておらぬと思うのです。問題は、そのような農用地の造成をやるのだとこう言いましても、実際には、所得倍増計画なり、その中における財政投融資の中で農林水産業に対する投資はわずかに毎年一千億程度、あるいはまた十年後における農地は相変わらず六百万ヘクタール、こういうような計画を立てている以上は、政府はその必要性を口の先では言っておりながら実際には実行する気がない。政府案にはそういう考えがない。われわれは、今までのおくれたそういう部面を、われわれの基本法を通すことによってその方向に行こう、もっと農地をふやして、そして農家の経営規模というものをその部面だけでも広げてやろうという考えでありまして、その三百万ヘクタールのところへ今までのような貧弱な開拓農家をたくさん作ろう、そういう考えは断じて持っておらないというふうに御了承願いたいと思うのです。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 勉強家の北山議員がちょっと自民党の政府の案を読み落としておられるのじゃないかと思うのです。われわれは、単に自給度の向上だけによって農家が救われるというような誤解を受ける社会党案に反省を求めるわけなんです。耕地を拡張する、草地やあるいは農地を拡張することが農政の重点だということは、もう少し古いのじゃないかと思うのです。しかも、私たちは、生産的、経済的に考えまして有利であれば、第二条第二項によりまして、土地及び水の有効利用、整備開発ということをちゃんと約束しているのです。今後とも新規開発はやるわけなんです。それは否定しておりません。その点誤解ないようにお願いしたいと思います。  時間がありませんので重点だけ申し上げますと、ただいまも言われたように、農業人口は、今まで大体一年間に二十六万減ってきておる。昭和二十四年から昭和三十三年まで平均二百六十万減っております。ほかの産業は九百万近くふえておる。そうしますと、この農業人口の減少の傾向は、基本法実施後には急激にまた強くなるのじゃないか。これは、農業基本法を実施しておる各国の実績によりましても、農業人口というものはほかの産業に吸収する勢いが非常に強くなっている。アメリカにおいては全人口のわずか一〇%、イギリスは五%、ドイツは二〇%と、非常に農業人口が少ないのですが、日本の農業人口は、社会党の農業基本法実施の暁にはどういうカーブを描いて減っていくか。減ることだけは認めておられるようでありますが、その点をお伺いしたいと思うのであります。

北山愛郎日本社会党

○北山議員 その前に、先ほど、社会党案は、自給度の向上に重点を置いて、非常に閉鎖的な農本主義といいますか、そういうふうな傾向があるというお話がありましたが、われわれの農業基本法はそのような古い農本主義ではないのであります。しかし、問題は、農業基本法なのでありますから、農業基本法の中で経済政策全般を規定するわけにいかぬのであります。私どもは、基本法である限りは、これに直接関連する部面についてはこの問題にも若干触れておりますけれども、しかし、少なくとも中心を農業政策そのものに置いている、こういう点であるのでありまして、農業だけがわれわれの念頭にあって他産業の発展は考えておらないという点は、これはそのようにお考えにならぬようにお願いしたいと思うのであります。  それから、自給度の向上にいたしましても、むしろ、政府案の方は、今後の農業生産というものを比較的消極的に見ておられる。ことに、穀類の生産なんかについて、今度の麦対策にしても、非常に消極的じゃないかと思うのであります。政府案によりましても、今後畜産を十年間に三倍程度にふやす、こう言っておるのでありますから、家畜の濃厚飼料等については相当需要量がふえて参るわけであります。たしか、政府の出しました資料によりましても、六百万トンくらいの濃厚飼料が、千二百万トン、倍くらいにその必要性がふえて参る。社会党案によると、もっともっとふえるわけであります。こういうふうに家畜の飼料というものを今後ふやさなければならぬ。こういう観点からいたしましても、価格とか、あるいは現在の麦類等のいわゆる家畜の飼料の生産性の問題とか、いろいろ問題はあるでございましょうけれども、飼料全体として見まするならば、われわれとしては農業生産をもっともっと拡大をしなければならぬ。今度の大豆なりあるいは麦類をあのような措置をとりまして、しかも十年後においては大豆、麦類の輸入を増大させるというような政府の考え方にはわれわれは賛成することはできないのであります。  そういう点をまず申し上げまして、その次に、就業人口でありますが、私どもは、今のお尋ねに対しましては、よその産業の事情、この条件とも関連するわけであります。社会党が政権を取りました場合に、これは農業政策のみならず、ことに他産業につきましても、特に現在の経済の二重構造、すなわち中小企業、零細企業というものは非常に悪条件のもとに置かれて、そこで働く人の労賃等はむしろ農家の労賃よりも低い、こういうふうな事態があるわけであります。従いまして、そういうような他の産業のしかも二重構造の問題を一方においてわれわれは解決をしていく、同時に、農業につきましては、この基本法に示されておるような農家の所得を引き上げていく、こういうような政策をとるわけでありますから、ここで簡単に農業人口が今の速度あるいは今まで以上の速度でもって農業の外にどんどん流れていくのだ、こういうような判定はできにくいのじゃないかと私は思うわけであります。しかも、農村の中では、御承知のように、相当多数の老人あるいは婦人等が農作業に従事いたしております。将来におきましては、現在中学校を卒業しただけで他産業なり農業の仕事につくというようなことを、あるいは高等学校まで教育程度を高めて、そうしていわゆる生産に従事する年令を引き上げるというような問題も出てくるでありましょうし、また、われわれの主張しておりますような国民年金によって老後の生活が完全に保障されるということになりましたならば、現在六十才以上あるいは六十五才以上の老人たちが無理をして仕事をしておる、そういう人たちが農業から引退して参る、こういうことも考慮されるでありましょう。とにかく、就業人口につきましては質の問題も考えなければならぬのでありまして、所得内容を引き上げることによっていわゆる労働化率が減少するという問題もあわせて考え、これは今後いろいろな諸要素を勘案して、いずれにしても、農業に働く人たち、農民たち、それから他の産業に従事する労働者の生活、こういうものを引き上げていく、そして雇用の機会をふやしていくというところに総合的な雇用政策、経済政策というものを考えて参りたい、その中で今の就業人口の配置というものを計画して参りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 そうすると、農業人口の見通しにつきましては、まだ社会党にはそれが立っておらないということがはっきりしたわけであります。  それでは、お伺いしたいのは、社会党の諸君は農村の労働対策、最低賃金制その他を非常に強調される。その趣旨はけっこうでございますが、この労働対策の軸心となるべき本人の希望や能力によってほかに転業する場合のお世話をする規定を全然設けていない。政府案は、その第二十条で、本人の希望と能力によって転業をする場合は教育もしてやる、職業訓練もする、職業紹介もする、農村地方における工業の振興もやるのだ、それから、今御指摘の社会保障制度も考えるという規定を二十条にはっきりときめておる。これは農業憲章でありますから表現は短かいですが、きわめて重要な規定であります。この農業従事者のほかの産業に転職する場合のこの規定、就業の機会の増大の規定というものはきわめて良心的な配慮のもとになされた規定であります。ところが、社会党の案にはこういう規定が全然ない。農業従事者の教育の規定は、わが党と同じように、第十九条に相当する規定が第十三条にございますが、ほかの職業にいく人のめんどうは全然見ない、こういう解釈が成り立つわけでございます。そうすると、結局、先ほど私が申し上げましたように、農業人口というものを農村の中に封じ込めて、ほかの産業との関連において農政というものを考えていないという、前近代的な基本法ではないかという誤解が生まれる。その点をどういうふうにお考えになっているのですか。

北山愛郎日本社会党

○北山議員 その規定は、政府案にとりましては相当重要な規定であるとは思うのであります。まあ重要だと考えておられる。しかし、社会党案におきましてはそれほど重要だと考えておらないのであります。と申しますのは、すでにいろいろな職業訓練等の制度もございますし、職業紹介等の制度もございますが、問題となるのは、農村から容易に他産業に移り得る人については、いわばそういう必要がないわけであります。現在農村から出ておりますような若い労働力、これは何らそういう職業教育をしなくてもどんどん出ていくわけであります。問題は、中年、老年、いわゆる中高年令層の方々や、あるいは婦人の方々の問題、こういう方々を農業からよその産業に転出をさせようと思うから、教育をするのだというところでもって政府案はむしろごまかしておられる。私の方は、そういう人たちが単に職業教育をやったぐらいで今の条件のもとでよその産業に移り得るものという、そういう簡単なものとは考えておらないわけであります。むしろ、それよりも、もっとよその産業における受け入れ態勢、こういうものをよくすることの方がより大事ではないか。むしろ、政府案がそういうことを強調しておるのは、問題をそういうことにすりかえて、さも転業について便宜をはかっておられるかのごとく問題をごまかしておるような感じが、失礼ではございますけれども、そういう感じを持つのでございまして、むしろ、私どもは、そういうよその産業に移動すること、転業することがむずかしい人については、教育のみならず、もっともっとよその産業の労働条件をよくしていく、こういうことをしなければならない、こういう考えでございます。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 それは、二十条の中に社会保障を強化するということを約束しておるのですから、そういう御心配はないと思いますが、これは見解の相違になります。現在全国の農業高等学校の卒業生は約七万人、そのうちで農村に卒業と同時にまずとどまるのは五万人前後ですが、それが現在は卒業後五年たちますと三万人くらいになっておる。年寄り、子供だけがほかの産業に転出しておるのではございません。若い者もどんどん出ておる。そういう場合の規定も十分考慮されておるのですが、見解の相違でありますから、次の質問に移りたいと思います。  次にお伺いしたいのは、これは芳賀議員にも相当重要な関連があると思いますが、ガットとIMFに関する社会党の方針をお聞きしたい。農産物の貿易の自由化は進めるのか、現在よりも引っ込めるのか、あるいは現状維持でいくのか、これが第一点。第二点は、砂糖に関してはどう考えられておるか。この二つをお伺いいたします。

芳賀貢日本社会党

○芳賀議員 社会党の農産物の貿易自由化の点につきましては、原則的にはまず国内の農業を保護するという大前提の上に立って進めることは言うまでもないことであります。この点が非常に政府の方針と違っておるわけであります。順序といたしましては、農業の拡大の方向をやはり自給度の向上というところに一つの目標を置くということは当然であります。現在の農産物の輸入状態は、麦類につきましては御承知の通り約二百五、六十万トン、大豆等につきましてはおよそ百二十万トン、飼料等につきましては百万トン程度、さらに、砂糖については、これは粗糖でありますが、やはり三十六年度は百二十万トンくらいの輸入が予想されるわけであります。こういう膨大な外国からの輸入を自由化の形の中でいつまでも持続するということは、国内の農業の拡大発展をはばむ逆の施策であるということは言うまでもないのであります。ここにわれわれは国内の自給度の向上というものを近代的な感覚の中で達成しようとする意欲を示しておるわけであります。従って、この自給度の向上をはばむ目的を持った自由化に対しては反対であります。しかし、日本の農業が今後われわれの考えておる方向に近代化されて十分国際競争力に耐え得る時期というものは絶無ではないのであります。そのために、社会党の法案の中におきましても、むしろ政府案よりも積極的に、農産物の今の輸入等に対しては、進んで海外市場の開拓をはかるということが明らかになっておるわけでありまして、そこに積極的な意欲があるわけであります。ですから、日本の農業を圧迫し農民を不利益にする自由化政策はとらないということを十分御了承願いたいわけであります。  砂糖につきましても、全国の一年間の消費量の大体二〇%程度が今日の国内甘味資源の生産の状態であります。こういうことは世界に例のないことであります。従って、われわれといたしましては、この甘味資源の国内の自給度の向上達成ということに対しては主力を注ぐことは当然であります。従って、社会党の究極の考え方は、砂糖につきましては専売制度を採用する、こういう方針は従来から一貫してきまっておる点であります。ただ、問題は、一挙にして現在の国産二十万トンを百万トンにするということは容易なことではないのであります。従いまして、これも、第一次五カ年計画とか、第二次五カ年計画というふうに順を追って国内の甘味資源の増産をはかる。そのためには、てん菜糖あるいはカンシャ糖あるいはまた澱粉を原料としたところの精製ブドウ糖工業というものを大きく育成強化して、しかも、これらの産業は、主として農民の蓄積した資本によって、いわゆる農業協同組合を中心とした共同化方式の企業を拡大して、しかも既存の民間企業におくれをとらぬような何億、何十億という規模の近代的な企業体というものを農民の蓄積資本によってこれを設備して、これに対して国は全面的に助力を行なって、急速に原料の生産と甘味の工業化の問題については進めていく。そういうことが順調に行なわれれば、やがて将来はその大部分を国内の生産によって自給することができる。しかも、その自給の方式につきましては、当然、これは、今のような砂糖の独占資本が不当の利潤を収奪して国民に対しては不当に高い砂糖を消費させるようなことを根絶させるためには、国家的な政策を持った専売制にこれをするのが当然であると思いますし、この点は藤田さん初め与党の諸君も御異論はないところだと考えておるわけであります。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 第一点の答弁はどうもはっきりしないのですが、要するに、日本の農村に不利になるような自由化はやらないということになりますと、わが党と全く政策的に一致しておるということであります。しかし、違う点は、社会党の八カ年計画では、私はちょっとこれは非現実的なお約束だと思うのですが、現在の農産物輸入の外貨約三千億を二千億減らすんだ、三分の二減らすんだ、そして、減らしたその資金をもって農業基本法実施後の新しい農政をやるんだという。その数字だけは、私は、世界の大勢に逆行している、全く徳川時代の鎖国政策ではないかと思うのです。今日、ガット、IMFというものの協定の推進ということは、御存じの通り世界的な趨勢なんです。私は、自由化の方向は進めると同時に、農村保護という面を二本建として考えていく、こういうことでなくてはならぬと思うのですが、その際において二千億も一挙に——一挙にじゃない。八カ年計画でしょうが、これを削ってしまうということは、全く現在の世界経済の動きに逆行し、特に北海道、本州、四国、九州という四つの狭い島に一億という大人口をかかえておれば、社会党の諸君が天下を取っても、この大人口を食わせるためには、貿易の振興が政策の重点なんです。その貿易の振興という面に逆行する危険がある鎖国政策というものは、絶対現実的にやれない。そういう際において、輸入農産物三千億を二千億減らすんだ、こういう数字的根拠には私は合点がいかないのです。そういう点は、北山さん、どうお考えでございますか。  それから、砂糖の問題に関しまして方向を示されました。私も賛成な点もたくさんございますが、社会党は、その提案理由によりますと、農産物加工振興法というものを予定しておる、そして農産公社というものを設置するということになっている。その農産公社を中心に考えておるのかどうか。農産公社は、協同組合から出資させる、町村も協力させるという非常にちゃちな構想のようである。これでは、芳賀さんの言うような何億、何十億の砂糖産業というものはとうてい絶望ではないかと思う。その点を一つお伺い申し上げます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀議員 第一の点は、これは農産物の輸入量が減れば、結局それを買い取る資金がだんだん減少するということは当然なことであります。従って、これは今後の農政上あるいは経済上の政治いかんにかかっておるわけです。従って、適切な施策によって農業の拡大発展が行なわれ、そして生産が増強して、外国からの輸入に依存する度合いが低くなれば、無理に輸入をしなければならぬということはないだろうと思います。もちろん、われわれとしても、国内で生産してなお不足するものは、その絶対不足量については当然輸入に待つ以外に方法がないことは言うまでもないのであります。ただ、政策的に農民や農業を圧迫する目的で自由化を進めて、国内の農業の生産をはばむような貿易方式というものは、全面的に排除しなければならぬわけであります。従って、農業の生産が増強すれば、結局農産物の輸入が減少するということは当然であります。それが十年後に二千億減少するかどうかということははっきり断定することはできないとしても、大幅に減少するということは言うまでもないことであります。しかし、減少したものをすぐどのような施策に向けるというような、そういう荒唐無稽な政策は社会党としては何ら持っていないのであります。これは、国際収支上外貨をそれだけ必要としないという結果になって、経済の健全性というものはそこから生まれてくるが、その減少した分を直ちに農業政策に振り向けるというようなことは、国の財政経済上から言ってもとれないことでありますからして、その点は誤解のないようにしてもらいたいと思うわけであります。  それから、農村における工業化の促進の問題については、藤田さんが言われたいわゆる農産公社の問題も、わが党の一部の人たちの試案的なものが発表されたことは事実であります。しかし、これは、党の正式な政策として、また法律案として国会に出すというところまで熟してはいないわけであります。検討の資料として取り扱ってはおるが、しかし、この構想なるものは、読んでいただけばわかりますが、農村工業といっても、農村地域の村や町の内部において、自給的に原料を加工して、それをまた地元の農家や住民が消費するための加工産業という意味であります。私の申し上げましたのは、近代的な工業という意味の分野の中で発展を示すという規模になれば、これは、当然、藤田さんが言われたごとく、やはり何億、何十億という企業の規模でなければ近代的な農村における工業ということにはならない、また、他の民間産業の同一の業種と競争する力を備えることはできないという判断の上に立っておるわけであります。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 どうも、政策の一つの重点と思う点をお尋ねすると、大体国会に出す段階でないとかいろいろ言われますが、話が前後しますけれども、私は、社会党が政府案の二十条に相当する転業するための規定を設けなかったのも、政府案の貧農切り捨てを攻撃するために、このようなものを作れば攻撃の材料がなくなるから、わざとこの二十条に該当する規定を作らなかったという社会党の諸君の苦心はよくわかるのです。わかるのですが……。  いつも私の質問は途中で中断されるという運命にありまして、まだほんとうに序の口でありまして残念でございますが、委員長、総理は約束通り来るのですが。

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 ええ、参ります。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 それでは、次に、浅沼前委員長時代以来の社会党の農業政策の一つの重点であり、先般の総選挙におきましても公約として皆さん方約束されて当選された、牛乳三合論でございます。私は、こういう勉強家の農林委員が社会党におりながら、どうして委員長にああいう夢物語的なものを公約として発表させたかということを、最大の友党として非常に残念に思っております。これは、現在乳牛八十二万頭、国民一人当たり三勺しかできていないのを十倍にするということになると、乳牛が八百二十万頭要るわけです。ところが、今の日本の輸送力からすれば、外国の乳牛を輸入する限界というものは、御存じの通り年間二千頭なのです。また、日本の現在の八十二万頭の乳牛の増殖率というものは、大体五割が限界です。八十二万頭を毎年うんと生めよふやせよとやっても四十万頭程度です。これは八十二万頭の基準で五割増しではありませんが、五割ふえたものの五割増しということになると、大体社会党の牛乳三合論では四百万頭は輸入せざるを得ない。ところが、一年間に二千頭しか輸入できないということになりますと、一体何年計画で——三百年か五百年計画か一千年計画というようなことになりますかどうですか。どうもこの数字がよくわからないのですが、お示し願いたいと思います。

北山愛郎日本社会党

○北山議員 どうも、政府や自民党の方々は、事農業の問題では夢がなさ過ぎると私どもは考えるわけであります。政府の計画としましても、これからの成長財としては畜産であり果樹である、こう言っておられるわけです。しかも、特に戦後における畜産の生産の増大、発展というものは、非常に悪条件のもとに置かれながら、しかも大きく伸びておるわけであります。ことに、私どものような東北の農村地帯におきましては、むしろ鉱工業の生産よりも畜産の伸び率の方が高いというような状態にあるわけであります。しかも、それは、政府が有効な非常にすぐれた畜産政策をとったわけでもなく、また非常に安い乳価の悪条件のもとにおいてすらも、そのように飛躍しておるわけであります。従いまして、私どもが基本法の中でうたい、しかも今準備いたしております牛乳法案のようなものを作って、大いに成長財としての畜産の発展のためにいろいろな施策を行なうということになりましたならば、戦後十五年の畜産の伸び以上に、あるいは倍、三倍というような畜産の増大を私どもは期待することができると思うのであります。もちろん、牛乳三合論というものは、選挙のスローガン、目標でございます。選挙のスローガン、目標というものをたてにとって、これを実体的な十年計画として御理解になるということは、私は間違いだと思う。また、一面からすれば、むしろ、牛乳三合論なんというものは、三合じゃないじゃないか、外国では現実に五合も六合も飲んでおる国民があるのでありますから、もしも世界じゅうのよその国で三合飲めない、あるいは五合飲まないというのを、世界じゅうで日本の社会党だけが牛乳三合論を絶対言っておるならば、これはまことに天下を愚弄した話でありますけれども、しかし、牛乳の消費がふえ、畜産が伸びておるこういう事態において、これを推進して一人が一日三合ずつ飲めるような目標のもとに政策を進めていこうということは、正真正銘これは私どもの政策の目標として国民にお誓いを申し上げ、この実現に向かって努力をし、またそのためにこそ今度の農業基本法を出したわけであります。その点については少しも誤りはないのでありますが、問題は、われわれも現在いろいろな努力をいたしておりますが、もちろん十年間では無理でございます。しかし、農地の拡大にしても、なぜ私どもが二百万町歩の草地を増大するということを政策の中に掲げておるか。やはり、草資源といろものは、今お話がありましたような乳牛の飼料を自給しなければならぬし、また、先ほども申し上げたように、濃厚飼料等の増産についても積極的な政策をとる必要があって、政策をここに置いておるわけでありまして、決して、私どもは、ただ選挙のときにスローガンとしてこれを掲げて、あとはもう忘れてしまったというものではない。問題は、十年ではなかなか無理でございましょう。われわれの今の目標では、十年で六倍ふえる程度、こういうふうに考えております。もちろんこれには相当外国からも輸入しなければなりませんし、また、国内における家畜の増殖という点においても十分配慮しなければなりませんが、しかし、それらの政策を総合的にやるということと、現在農民が期待し要望しておるという政策とは一致しておるわけでありますから、私どもが、社会党の牛乳法案あるいは飼料需給安定法、あるいは農業基本法、こういうものを実行いたしますならば、牛乳三合の来る日は、決して五十年とか百年とかではなくて、もっともっと近い将来に実現ができる、そうしてこそ初めて日本の国民の食生活というものは向上できると考えておるわけであります。また、同時に、一人一日三合論なるものは、一方においては牛乳の増産、畜産の生産をふやすという政策と同時に、日本の国民として一日三合くらいの牛乳が飲めるような生活というものを確保していく、こういう両面の目標があるわけであります。それには労働者の賃金を引き上げるとか所得を引き上げるということと両々相待って、単に農業政策としてではなくて、国民生活向上の目標として浅沼委員長がお話し申し上げたわけでありまして、この委員長の遺志を私どもは継いで、一日も早く三合の実現のために努力して参る、これが社会党の農業基本法である、このように御了承願いたいと思います。(拍手)

藤田義光自由民主党

○藤田委員 今社会党の席から拍手が起こりましたが、私は、結局、この三合論というものは、われわれのゼネレーションには実現性がないという印象を受けたわけです。やはり、政治は現実でありますし生きものでありますから、少なくとも五年か十年以内には実現することをとらえて国民に訴えないと——私は社会党は近い将来必ず政権を取ると思います。ところが、その政権を取るのになかなか近づかない最大のガンは、社会党の政策の非現実性です。私はこの牛乳三合論を一例にとったわけでございます。政治家は、目標、夢を与えることは必要ですが、やはり、それにはなるべく近い将来に実を結ぶ夢を与えることが一番国民に忠実なるゆえんではないかと思うのであります。私はそうでもございませんでしたが、われわれの同志の中には牛乳三合論で落選した人が多数おる。ところが、真相を北山事務局長から聞いてみると、これはなかなかすぐには実現しないのだ、ほかの社会党の一連のものと同様にこれは非現実的のものであるということがわかりますと、これはどうも先般の投票に誤って投票したということになりまして、また次の選挙では社会党は減り、私たちの最大の友党たる社会党に政権を譲りたいという私たちの悲願がかなえられない、こういうふうな結果になることを、私は率直に申して憂慮するのであります。  それで、三百万ヘクタールを開墾されて、そのうちの三分の二の二百万へタタールは草地を作って牛乳三合論に即応する牧草を作るのだということでございますが、これも、私たちのしろうとの計算によれば、二百万ヘクタールでは足りないと思います。二百万ヘクタールの草地では八百万頭の乳牛は養えないと思うのです。これは勉強しない国民はそういうところにすぐ飛びつきますが、よく勉強すると社会党から離れていくというこういう政策はなるべく出さないように、この際委員会の席上を拝借してお願い申し上げておきたいと思うのです。  総理はやがて来るようでありますから、また私の質問がしり切れトンボになりますが、たとえば、農業団体の整理というものにつきましても、社会党に小川豊明君がおられて一生懸命勉強されておるし、二つの単位の農業団体に整理統合するのだというそれぞれの案もあるようでありますが、どうして農業憲章たるこの農業基本法の中に農業団体を整理するのだという良識ある政治の方向をお示しにならなかったのか、一つの問題を長く質問する時間がありませんので、この問題をお伺いを申し上げたいと思います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀議員 先ほどの畜産農業対策の問題でありますが、われわれが牛乳三合論を唱えたのは、これは、国際消費水準から眺めた場合、日本の場合には食生活の様相が違いますが、牛乳、乳製品等については西欧諸国に比べて、藤田さんも漫遊されて御存じの通り、二十分の一ないし十分の一という低い水準に置かれておるわけです。これをせめて国際消費の平均水準並みに引き上げるとすれば、飲用牛乳並びにバター等を牛乳に換算するとやはり少なくとも国民一人一旦二合ぐらいの消費量を実行できるということが日本の国民全体の生活水準が国際的にやや平均に近づくという実証になるということを基礎にして三合論というものを唱えたわけです。従って、政府の所得倍増計画によっても、十年後に国民の所得が実際に倍増して、しかも勤労大衆の所得が二倍、三倍に現実になった場合の食生活の様相というものが現時点より大きく変貌するということは否定できないと思う。大衆の生活が貧困に置かれて、一部の富裕階級の所得だけが伸びるというような平均所得の伸び方は、これはいけないですが、全体の国民の生活水準、消費水準が伸びるということが実現した場合には、これは当然一日三合の牛乳消費の能力は出てくるということは否定できないですよ。ですから、牛乳を生産して押しつけるというのではなくして、国民の消費構造の改善の中からそういう需要が起きてくる。これにこたえるのは、やはり政治、政策を通じて当然のことで、ですから、われわれは、そういう要請ができた場合には当然自給度の向上によって最大限にこたえるし、なお足りない場合には外国からの輸入に待つということも、これは経過的にはやむを得ないことであるというように考えるわけです。現在におきましては、御承知の通り、三十五年度は大体全国で一千二百万石程度の生産でありまして、不足分についてはやはり輸入を行なっておるわけなんです。この程度では一日一合ずつ飲んでも半年ぐらいしか数量がないということになるんですね。年間一日一合にすれば現在の倍の生産をあげなければならぬということに当然これはなるわけであります。ですから、そういう国民生活の向上、所得の増大と対応した意味において、やはり畜産農業に重点を移して、そうして強度の施策をここに行なうということは当然なことであって、これは、社会党が積極的に長期計画の上に立ってこれを進めるか、現在の政府や与党の皆さん方がへっぴり腰で消極的に看板だけを掲げて仕事をしないというその相違点が、これは将来の夢の実現ができるかできないかということの分かれ道になるとわれわれは考えるのです。それにはやはりいろいろな施策が必要であって、たとえば、藤田さんが言われた通り、乳牛の急速な増殖をするといたしましても、自給すべき飼料源がなければ乳牛をふやすことはできないのであります。従って、これには大幅な草地の拡大計画というものが長期的に立てられて、これを造成するということは国の全面的な責任で行なうということに当然なるわけなんです。従って、われわれは、十カ年計画で二百万町歩の草地を国営で造成して、この造成された草地は主として畜産農業の発展の方向に向けていく、そのほかさらに百万町歩の畑地を造成して、そうして畑地農業の拡大発展の基盤として生産基盤の増大を行なう、こういう雄渾な長期的な実現可能な政策というものは、当然国家の責任で行なわなければできないということは言うまでもないわけであります。この構想を、かりに直ちに社会党に皆さんが政権を渡してくれるとするならば、これはもう直ちにこれから十カ年計画で大体われわれの掲げておる計画というものを進めることは当然でありますが、かりに数年間自民党の政権にこれをゆだねておくとしても、このような政策を自民党がまじめに採用して実行しようとすれば、その半ばぐらいのものは実現できるじゃないかとわれわれは考えておるわけです。従って、これは、社会党が、現憲法下において実行できる、現政権下においてもまじめにやろうとすればできるという、この点を出発点にしておるということも、皆さん御了解の通りであるのであります。さらにまた、えさの問題についても、今のようにえさが日に日に高騰して、現在の政府は何ら打つべき施策を知らないのであります。せっかく飼料需給安定法があっても、この運営ができない。そういう状態で、牛乳の値段は少しぐらい上がるが、しかしそれよりもえさの値段が上がって、むしろ牛飼いはえさ屋のえさになるために牛を飼っておるような状態に置かれておるわけであります。こういう間違った現在の池田内閣、あるいはこれを支持する与党の皆さん方においては、一つ社会党の基本法を十分熟読翫味されて、やはり虚心たんかいに、藤田さんのように話し合うという態度で大いに質疑を続けていただきたいと思うのであります。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 総理が見えたから質問をもう一点で終わりますが、社会党の案を私は熟読翫味すればするほど、社会党は政権を取らないように努力しておるという姿が出てくるのです。非現実的な政策をあまり織り込み過ぎている。共同的保有の問題にしましても、非常に分配論にうるさい社会党の諸君が、分配面はほとんど考えていない。あるいは、労働問題に真剣な社会党が、農業従事者がほかの産業に転職する場合の配慮がない。先ほど来申し上げた通りなんです。  私はまだ以下数十点疑問な点がございますが、最後にこの際お伺い申し上げたいのは、北山政策審議会事務局長は、社会党の基本法を本会議に上程されましたとき、その趣旨説明の中で、農業生産組合法案を始め、浅沼前委員長以来の悲願たる牛乳法その他十指に余る関連法律案を国会に出して皆さんの御審議を願うと約束された。私は、農業基本法というものは、農業憲章ですから、これだけでは社会党のほんとうの気持がわからないから、先ほど来誤解もあるような発言もあったかもしれぬが、どうして関連法案は今日に至るまでただ一つも出ないのか。ただ農業生産組合法だけがようやくでき上がったという風のたよりを聞きますが、もう国会はあと一カ月余りしかないのですよ。だから、この一点を見ても、社会党は実現性のないことを約束し過ぎる。これでは、われわれの悲願たる、最大の友党に天下を渡すということがなかなかできないのじゃないか、こういうことを言葉を大いにして申し上げているわけです。だから、この関連法律案は大体いつごろ出されるか。もう時間がございませんので、きわめて端的に御答弁願って、一応私の質問を終わっておきます。

北山愛郎日本社会党

○北山議員 われわれが今の自民党のように何十万という官僚を擁した政府を持ちまして、そういう機構を駆使いたしましていろいろな作業ができるということであればいいのでございますけれども、残念ながら、野党である社会党としては、法制局と首っ引きで作業をするというわけであります。それで、農業生産組合法につきましては本日提案の運びに至ると思うのでありますが、来週は、次に例の近代化法、あるいは牛乳法というふうにして、できるだけ今月の末ごろまでには主要な法案を提案したい、こう考えて準備をしておるわけであります。御承知のように、魚価安定等の関係の法律あるいは沿岸漁業振興法、そういうふうな作業も中にはさまりましたので、水産問題もわれわれは重要と考えておりますので、若干時日がおくれたわけでございますが、私どもとしてはそういうふうなお約束した法案はぜひともこの国会に出したいと考えております。その準備をしておるわけであります。  と同時に、われわれは、今回の農業基本法案並びに関連法案というものは、政府案、社会党案、みなそれぞれ関連法案と一つの体系をなすものでございますから、政府案につきましても、また社会党案につきましても、長期にじっくりと、基本法並びに関連法案もあわせてここで一つ日本の農業における今後の基本政策を作り上げるのだ、こういう気持で腰をすえてこの新しい農業基本立法というものを作り上げたい、こういう気持でおるわけであります。そういう見地からいたしますならば、この国会はあと四十日しかございませんけれども、問題は、何もこの会期の中で農業政策を作らなければならぬという義理合いはございません。むしろ、今度の基本法は、政府の基本問題調査会にいたしましても、その委員の構成からしましても、ほんとうに農民の代表が入っておらない、しかも農民の意見を聞かないで、一部の官僚出身者とか、あるいは財界の代表とか、そういう連中が中心となって政府の基本問題調査会の答申ができ、それに基づいて政府案ができてきたわけであります。こういう経過からいたしますならば、この基本法というものを十分国民の中に浸透さして、そうして農民の意見も吸い上げていく、そうしてだれにも納得のいくような基本法を作るというためには、相当な時間を私は要すると考えるわけであります。そういう見地に立ちまして、お約束の法案はもちろん出しますけれども、そういう考え方で一つ政府案についても社会党案についてもじっくりと審議をしてもらいたい、こう考えるわけであります。     —————————————

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 次に、総理がお見えになりましたので、内閣提出、農業基本法案について質疑を行ないます。  質疑の通告があります。これを許します。西村関一君。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 池田総理は、昨日の新聞記者会見におきまして、重要法案は今国会中に通す、農業基本法案もあくまで通すのだ、こういう御見解を発表しておられましたが、その御熱意のほどはまことにけっこうだと思いますが、しかし、農業基本法案は、政府案も社会党案も、ただいまお聞きの通り、ほとんどまだ総括質問の序の口に入っているという段階でございまして、これからまだなかなか多くの問題を残しておるのでございます。そういう段階にあるということを総理はよく御承知だと思いますが、そういう点を一つ頭に入れて私の質問にお答えを願いたいと思うのであります。  私は、政府提案の農業基本法案が出されましてから、衆議院、参議院の本会議並びに農林水産委員会あるいは予算委員会等におきまして総理が答弁せられましたことを注意深く拝聴しておったのであります。また、この会議録を熟読翫味いたしまして、そこに総理が何を意図しておられるかという点をつかもうと私なりに努力したのでございますが、残念ながら、率直に申し上げまして、今日、日本農業が曲がりかどに来ておるということが言われておるこのときに、日本農業をどうするかという問題について、その方向なり進路をどうきめるか、今日の国際過剰農産物裏における日本農業をどうするか、また、貿易為替の自由化の中にあって日本の農業をどのようにやっていくか、他産業との所得のアンバランスをどのように解決していくかというような具体的な計画がまだ十二分に示されていないということを感ぜずにはおれなかったのであります。私は総理が一国の宰相として、この日本の人口の四割を占めるところの農民の立場に立って農政をどう進めていくかということを腹がまえとしてこの農業基本法に取り組んでいただいておるものと思うのでございますが、残念ながら、今までの総理の御答弁等によりますと、まだそれらの点を十二分に伺うことができなかったということを申し上げざるを得ないのであります。たとえば、今度政府の農業基本法案の中におきまして、一体日本の農畜産物の自給度をどうするか、こういうようなことが強く出てないと思うのであります。御承知のドイツの基本法にいたしましても、わが社会党の基本法案にいたしましても、この農畜産物の自給度を高めて、国民をしてあとう限りの食糧供給を確保させるというようなことが明確にうたい上げられておるのでございますが、また、そういう観点から基本法の問題に取り組んでおるのでございますが、政府案におきましては、食糧、原料の自給を究極の目的とするためにこの基本法を出すのであるかどうかというようなことがきわめてあいまいであると思うのであります。このことがはっきりいたしませんと、基本法の性格が十分に出てこないと思うのでございます。食糧の自給ということを目的といたしましたらば、生産基盤の拡大にいたしましても、あるいは未利用地や水面の耕地利用化の計画にいたしましても、意欲的に計画的に行なうことができるのでありますが、そういったようなことが政府案には閑却されておる、少なくとも軽視されておるという印象を受けざるを得ないのであります。また、貿易為替の自由化に関連いたしまして、政府はたびたび、米麦の自由化はしない、酪農製品や砂糖の自由化もやらないということを言っておられますけれども、今日の国際過剰農産物裏にありまして、米麦等の自由化をどの程度まで、いつまで押えることができるか。ガット等の関係もありまして、この問題は、ただ政府の御答弁、総理の今日までの御答弁だけでは、まだ国民は十分に納得することができないと思うのであります。先般の本委員会におきまして、角屋委員の質問に対して総理は、米の直接統制をやめて間接統制に切りかえるということは、池田内閣の続く限りやらないということを言明せられたのでございますが、その際問題になりました国民所得倍増計画、経済企画庁から出ております昭和三十五年十二月二十七日付のこの資料によりましても、これは閣議決定になっておるということについての論議がかわされたのでございますが、閣議決定はしたというものの、これは進路として、構想として一応決定したのである、個々の問題については弾力的に取りきめていくのだ、こういう意味の御答弁があったのでございますけれども、ただあれだけの御答弁では、どうもわれわれは納得することができないのであります。先ほどから申し上げておりまするような関連から申しましても、何だか政府は外国から安い米を入れるのじゃないか、台湾においても、韓国においても、タイ国においても、あるいはアメリカにおいても多量の米がだぶついておる、これを日本に持ってくるのじゃないか、自由化によって直接統制をはずして外国の米を入れるのじゃないかという心配が多数の農民の中にあることは疑う余地がないのであります。こういう点につきまして、もう一度明確に総理の御見解を承りたいと思うのであります。さきの南條農林大臣は、農林漁業基本問題調査会の答申案の中に出ておりますところの昭和三十七年度からは米の自由化も避けられぬというようなことがほのめかされておるのに呼応いたしまして、米の統制撤廃も避けられぬということを新聞に談話を発表せられまして、そのことが問題になったことがございます。それから間もなく南條農林大臣はどういうわけか取り消されまして、当分の間米の統制撤廃はやらぬというような工合に言われましたけれども、どうも、一ぺん出たものがまた引っ込められましても、何かそこにあるんじゃないかという不安が農民の間にあるということ、これは総理もよくお考えのあるところだと思うのでございます。むしろ、私は率直に総理にお伺いしたいのでございますが、外国の米を入れた方がいいという考え方を腹の中では持っておられるのじゃないか、ただ時期の問題等についてはまだ今発表すべき段階ではないというようなお考えなのであろうかどうか。この閣議決定事項につきましても、角屋委員の質問に対して、総理は、「一応、企画庁における諮問段階の所得倍増計画の答申と、全体を計画として決定しておるのでございます。個々の内容につきましては、われわれは時間があればこれを変えるつもりでおったのでございますが、何分にも時間がない関係上、これは全体としての指針としてきめるというので、その内容につきましては「構想」によって弾力的にやると言っておるのであります。」、こういう御答弁をしていらっしゃるのでございますが、私は、こういう大事な問題、池田内閣の一枚看板であるところの所得倍増計画に関連をいたしまして、食糧管理制度の問題について重要な答申をしておるこの問題を、時間がなかったからといって片づけられるものであるかどうか、また、指針であればその指針に従って処理さるべきであるにかかわらず、ただ、直接統制をやめることはいたしません、間接統制に切りかえるということはいたしませんということを言われただけでは、どうも納得がいかないと思うのでございます。  また、その際質問のございました麦対策の問題についてもお伺いいたしたいのでございますが、この問題につきましても、政府は大麦及びはだか麦の生産及び政府買い入れに関する特別措置法案を国会に提出をしておられるのでございますが、これによりまして、三十五年度産の大麦、はだか麦を政府に買い入れる、また、作付転換に対する措置を講ずるということを言っておられるのであります。しかも、最近の新聞に報ぜられるところによりますと、自由民主党の政調会あたりでは無制限に買い上げるという方針を打ち出しておられる。こういったような点が非常に矛盾がある。池田さんが総裁をしておられるところの自由民主党の政調会においてそういう方針を打ち出している。もしそうであるならば、この法案は撤回さるべきだと思うのであります。  そういう点につきまして、先般の角屋委員の質問に対する総理のお答え等に関連をいたしまして、まずその点から総理の御見解を承りたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 質問が多いようでございますから、もし足りないところがございましたら、またあとから御質問いただいて御答弁いたしたいと思います。  米の統制撤廃はしないということは、もうはっきり申しておる。これはそう簡単にいくものじゃない。そうして、こういう大問題というのは、これは一つの調査委員会が出したからどうという問題ではございません。私は、繰り返して申し上げておるように、米の統制撤廃はいたしません。  それから、輸入米の問題でございますが、これは以前に比べましてよほど輸入米も少なくなっております。ただ、国交関係で、輸出貿易のためにある程度の部分は、ごく少量入れることは、これは今の国際貿易上から言ってやむを得ない。しかし、これも国内の米に非常な影響のあるようなことはいたしておりません。農産物の自由化につきましては、もう前の国会から言われておりますように、これはなかなかできるものじゃない。ガットに入っております各国の状況を見ましても、米麦等につきましては、やはり自由化の国でも制限をしておることは御承知の通りでございます。  なお、大・はだか麦につきましては、御質問の点がよくわかりませんでしたが、自由民主党の調査会でどういうことをきめておるか、私は聞いておりませんが、ここで説明申し上げたようなことに対してまるで反対のような決議はしていないと思っております。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 その点についてお尋ねしたいのですが、時間がありませんから次の問題に移りたいと思います。  所得倍増計画と農業基本法の問題でございますが、総理は、二月八日の予算委員会において、淡谷委員の質問に対して、十年後には五〇%伸びる、普通三三%というふうに言われておりますが、五〇%は伸びる、こういうことを御答弁になっていらっしゃるのでございますが、そのような見解に立って、十年後には基本法において言われておりますところの自立経営農家というものがどういう形のものになっていくか。また、十年後には農業人口を四割にする、少なくとも現在の半分にする、そういうことを含めて所得倍増の問題に対してお答えをしていらっしゃるのでございますが、大体、このような四割にするあるいは半分にするというようなことがわが国の鉱工業の伸びから見て妥当である、また、工場の地方分散等によってこのことが無理なくできるんだというようなことでありますけれども、しかし、事実は、今日農業人口というものが減っておると申しましても、それは中学卒業生の大部分は鉱工業に吸収されて参りますけれども、実際の中堅農家の農業に従事するところのものは動かない。ましてや、家をあげて農業を離れていくといったようなものはきわめてまれであるということが、昨年の農業センサスの中間報告においても出されておるのでありまして、こういう問題について、実際においてこういう人口の移動ができるものとお考えになっていらっしゃるか。もしそれができないということになるならば、そこに重大な違算ができてくると思うのでございますが、この農業人口の問題につきまして総理はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 およそ、政治というものは、政治家がこうするああするという問題ではない。それは二の次でございます。国民がおやりになる。政府はそれを国民がよりやりやすいように道を開くということが政治なんでございます。だから、今の農業の生産性の向上は他の産業のように倍とか三倍とかいうふうになりにくい、普通にほっておけば十年たっても三〇%、四〇%、こういうふうな状態が農業の本来の性質なんで、それをできるだけわれわれも努力して五割程度増加するようにしよう。そういうような施策を農業基本法においてやろうとしておるのであります。そうしなければ、今他の産業から比べて二分の一とか三分の一とかという状態をどうもこうもできないと私は思う。だから、農業生産が五割ふえた場合において、その所得を倍にしようとすれば、二割五分大体農業就業者が減るわけです。今半分とか三分の一とかいうものを三倍にしようとすると、五割しか生産が伸びないとすれば、これを人口が半分くらいになるように強力な施策をしていって三倍になるわけでございます。私は、政治というものは、こういう目標で農民とともにやっていくのがわれわれの農業に対する務めだ、こう考えておるのであります。何ぼ減るのだというようなことは私は言ってはいない。そういうような情勢である、従って、国民とともに、農民の方々とともにやりましょうというのが私の考えであるのであります。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 事実情勢がそのようになっているし、そのように仕向けるような施策を打ち出していかなければならない、それが政治だということをおっしゃるのでありますが、実際問題として、今日、完全就労どころか、失業者の救済さえもろくろくできていない。また、企業合理化の名のもとに多数の首切りが行なわれておる。こういう現状において、自然的にどうして農業人口が鉱工業に吸収されていくという見通しがつくか。こういうことは、ただ総理がそういうふうにやっていくんだと抽象的に言われることだけではとても納得がいかない。また、今日の日本の産業構造の中において低賃金のもとにあえいでおる都市労働者の中に、農業をやめて入っていこう、土地を離れて、農地を捨てて転業しようというような者が出てくるということが考えられるかどうか。そういったような問題がやはり関連すると思うのでありますが、工場の地方分散ということを言われますことも、これはむしろ農村の人口をして非常に安い賃金の中に閉じ込めてしまうという結果を来たさせる。特に、今日の賃金構造の中におきましては、多くの臨時工が存在しておる。そういうところに農業人口が吸収されていくということが、はたして農民の利益になるだろうかどうか。そういう点を総理はまじめに考えておられるかどうか。実際問題として挙家離村の現象はほとんど起こっていない。ただ、新卒の若いはつらつとした労働力を持っておるところの青少年が出ていくだけでありまして、実際に農業に従事する人々は農業をやめていない。こういったようなことで、総理が考えておられますような、十年後には少なくとも二・五ヘクタールの規模による粗収八百万という、そうして百万戸の自立経営農家といったようなことが、構想として樹立できるかどうか。こういう問題につきまして、ただ抽象的なお答えじゃなく、もう少し具体的なデータをあげてお答えを願いたいと思うのであります。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 今お話しのような現状であったのであります。それを、農業基本法を御審議願って、今度積極的に施策をやっていこうとするのでございます。だから、農村をほうってしまうというなら、これは別でございます。そういうふうな事例もありますから、新卒の中学卒業の者だけが今行っているというような実態ではだめだから、農村をほんとうにりっぱな農村とさせるわけにいかぬから、農業基本法を制定して、今後これに基づいていろいろな施策をやっていこうとしておるのであります。従いまして、わからぬわからぬとおっしゃいますが、私の見るところでは、われわれの農業基本法に対する関心が日とともに高まって、早くこれを通そうという機運がどんどん出ていることを見て、私は非常に心強く思っておるのであります。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 それは総理はどういう方面からそういう情報を得ておられるか知りませんけれども、私らが農村を回りますと、非常に心配しているのですよ。基本法がほしいということは、これは農民の多年の夢でありますから、基本法さえ通るならば何とかなるだろう、今までのような苦しい生活が何とか希望が持てるだろうという、いわゆるにじ色の夢を抱いておるのでありますけれども、実際は、私の心配しておりまするような問題が解決されないということでは、ただ基本法さえ通ればないよりはましだ、こういう考え方では、一ぺんこれが通ってしまったならば、なかなかこれを改めるということはむずかしいのでありまして、こういういろいろな問題をはらんでいるところの基本法につきまして、むしろ多数の農民が心配していると思うのであります。一体どうしてこの経営規模を拡大することができるか。農業基本法さえ通るならば拡大できるというふうに総理はお考えになっているのかどうか。事実、今日の日本の農家は、今さら私が申すまでもなく、その八割以上は、非常に低い、八反以下の経営面積しか持ってない。これをどうして二町五反にするかということに対する具体的な政府の考えが少しも出てないと思うのでありまして、こういう点を明確に打ち出していただかないというと、農民は安心してついていけないのじゃないかと思うのであります。さらに、行政投資の問題につきましても、本委員会において質疑がございましたが、十四兆円のうち一兆円しかついていないというようなことでは、はたして基本法という名にふさわしい予算であるかどうかというようなことについても、これは逐次それをふやしていくんだということを言っておられますが、一体今の段階においてどのくらいにふやすというお考えを持っていらっしゃるか、そういう点もあわせてお伺いをいたしたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 これは、農業をよくしていくためには、日本の経済全体がよくならなければいかないのでございます。全体の経済を拡大して、そうして、そのうち特に農業、中小企業に力を入れようとしておるのであります。私は、きのう新聞記者諸君との会見のときに、たとえがいいか悪いかは御判断願いまするが、われわれも社会党も民社党も、もうあかだらけになって、みんな風呂に入りたい。しかも、おれは熱風呂でないといかぬ、華氏の百四十度くらいでなければおれは入れないと言う。われわれは華氏の百三十二、三度くらいで入れる。それから後にだんだん熱くすればいい。それを、ある外国人が言うのに、日本の各政党はみんな農業基本法をやりたがっている、しかし風呂がぬるいとか熱いとか言うてみな風呂に入ろうとしない、これじゃいかぬということを、私はある人から聞いた。私はその通りだと思う。(「かぜを引くぜ」と呼ぶ者あり)だから、かぜをひくから、中に入っていてだんだん熱くする。入らないでいたらますますかぜを引く。こういうふうに私は考えておるのであります。そこで、農民がかわいい。百三十二度ならぬるま湯ではございません。そういう気持になって、お互いが農民のために一ついいスタートを作ろうというのであって、もうまつ裸になって、これをどういうふうにやっていったらいいかというときに、もう少し熱くなければいかぬということではならないので、一日も早く、一時間も早く農業基本法を通し、そうして農民のためにりっぱな農村を築くということこそ、われわれの務めだと私は考えておるのであります。従いまして、今の、十四兆円のうち一兆円しかついていない、これではどうにもならぬというのは、これは経済の発展と同時にどんどんそれの倍にも二倍にもしていこうというのが私の所得倍増論の考え方であります。

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 西村関一君に申し上げますが、お気の毒ですけれども、ちょうど時間でございますから……。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 それでは一問だけ。  こっちからも声が出ましたが、実際ぬるま湯ではかぜを引いてしまうのです。そういうことでは、何ぼ風呂に入れ入れと言ったって入れるものではないのです。いろいろな問題がございますが、どうも残念ながら時間がありませんので、多数の問題を次回に保留いたしまして、私はもう一問だけお伺いをして終わりたいと思います。  総理は、自立経営農家を主眼にしてやるのか、あるいは自立経営農家に満たない、規格に合わないところのものは協業という形でやっていく、こういうことであるようでございますけれども、しかし、この協業というものの中にはいわゆる兼業農家というものを含めて考えておられると思いますが、究極におきまして、ますますふえつつありますところの兼業農家の問題に対しまして、自立経営農家との関係において、しかもこれが生産を向上し所得を増加していくという構想のもとに立って、これをどういうふうにお考えになっておられますか。協業との問題、しかもこれは在来の農協等の組織とは別個な協業体を考えておられるようでございますが、むしろ、こういうことから、今日の日本の商業資本というものが農業の生産面にまで入り込んできて、そうして、今まで加工とか融通の面だけにタッチしておりましたところの日本の商業資本というものが生産の面にまで入り込んでくるというふうな道を開く心配があるのじゃないか。こういうものをどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。この点も非常に心配している点でございますから、最後にこの一点だけをお伺いいたして、私の質問を終わりたいと思います。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 私は、農業自体は自立経営でいきたい。しかし、数百万の農家が直ちにみんな自立経営農家になるということ、これはなかなかむずかしいと思います。今でも、ほうっておいても第一種兼業、第二種兼業というようになっている。これは、われわれは、前向きの形で、そうしてりっぱな農村を作ろうというのでございます。この問題をどうするかあの問題をどうするかといって非常にうしろ向きのお考えのようでございますが、われわれは前向きでいこうというのであります。私は、それが国民に対する愛情だと思います。いろいろの点はございましょうが、ただ、原則は自立経営でいく、そうして、地方によって違いましょうが、兼業農家で協業もやっていく、これがわれわれの考え方です。それで、日本の農村がりっぱに打ち立てられるまでそうしなければいかぬ、こういうふうに考えております。

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 次は、片島港君。

片島港日本社会党

○片島委員 最初に総理にお尋ねしたいと思うのですが、農業基本法の第一条からずっと通読をいたしまして、この前からの審議の状態をいろいろと顧みてみましても、日本農業に対する評価といいますか、考え方というものは、第一条において、また前文においても、わが国の国民経済がだんだんと成長発展して、かわいい農業が取り残される、こういうことに総理の言葉から言えばなるわけでありますが、それで、何とか他産業の従事者と生活を均衡させるようにしていきたい、こういうようなことから農業基本法の条文がずっと書きつづられておりますが、何だか、農業というものが国民経済に依存をしておって、国民経済は黙っておっても総理の言葉のようにだんだん成長する、しかし農業は成長しないから何とか手を引っぱって連れていかなければならぬのだというような感じを受ける。私は、それでは少し農業がかわいそうじゃないかと思う。わが党の基本法はもちろんでありますが、ドイツの基本法の第一条を見ましても、ドイツ国民経済の前進的発展に寄与せしめるということを目的としております。かわいそうだから手を取っていってやろうという考えでなくて、国民経済の成長発展の仲間入りをさしてもらって、国民経済の発展に、総理の言われるように前向きの寄与をせしめるというのである。やはり、日本の農業も、国民経済に並行してそれの成長発展を手伝わしてもらうという、それだけの意欲を今以上に持たせなければ農民は非常に落胆をすると私は思うのであります。他産業はどんどんと成長する、しかし農業はいつまでも取り残されているから、かわいそうだから手を引っぱろうというだけでなくて、お前たちも一緒になって日本の国民経済全体の発展のために仲間入りをして寄与してもらいたい、こういうことが一貫しての基本法でありますから、そういうことが書いてなければ、農民として非常に心さびしいと思うのでありますが、その点は総理はいかがでありますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 それはあなたが一人お考えになっていることで、私はそんなことは毛頭考えておりません。日本がこれだけの驚異的発展を遂げた原因はどこにあるかといったら、農村の生活が戦後非常に伸びてきたからであります。これは、農地法の改正その他がございましたりして非常に伸びてきた。中小企業その他の関係も伸びていった。そうしてずっと伸びつつあったのだが、農業は、一時足踏みというか、伸び方が少なくなった。それでほかが伸びている。これではいかぬ。日本経済の発展のもとをなした農業を今までと同じようにどんどん伸ばしていこうというのが農業基本法の考え方であります。農業なくして日本の経済はありません。かるがゆえに、これは日本経済のもとである農業を発展させよう、こういうのでございまして、決して、取り残されておるから、気の毒だからではございません。前向きにいけば、農業政策が日本の経済政策のもとであるということを私は言っておるのであります。

片島港日本社会党

○片島委員 これは基本法でありますから、何とか手をひっぱっていく、また選択をさせたりいろいろやることは、手続的なことは書いてありますが、そういうことは大前提として前文なり第一条の目的に書いて、農民に対してもっと勇猛心をふるい立たせるような構想がここに書いてほしかった。総理は気持だけはそういうふうに持っておられるのでありますが、しかしながら、私は、また今までの委員会の審議なり基本法を通じて流れる考えとして、他産業が非常に成長しておる、そうして農村人口もどんどん他産業の方へ移動して吸収されておる、そうしてすべてが他産業に依存をしておるような感じを、今までの質疑応答を通じても感じております。他産業の成長というものに農業の発展がげたを預けたような格好になっておるのでありますが、他産業が非常に好況に恵まれ、またぐんと成長する場合はよろしゅうございますが、非常に不況になったという場合には、他産業の成否によって農業自体が振り回されるようなことになるのじゃないか。他産業への依存度が強ければ強いほど、また、農業のこれから先の方向をきめるのに、他産業にあまりげたを預け過ぎると、他産業によって農業が振り回されるようなことになるのではないか。また、国際的な好況、不況というものもありますが、日本経済だけが国際経済から取り残されるということはあり得ないことであります。そういったような場合に、他産業が不況になった場合、農村から吸収されておったところの人口が大量にまた農業に逆戻りをしなければならぬ、逆流をしなければならぬというようなことになるのではないか。その点について、このなにを見ましても、他産業の成長によってという依存度が非常に強い。そういたしますと、総理は、農村は苗しろである、都会は墓場であると言っておられましたが、他産業の苗しろになっても農業の苗しろとしては枯渇してしまうのではないか。一ぺんは出ていくのでありますが、それから先また帰ってきたときには受け入れ態勢はないというようなことになるが、現在の経済成長そのものを見ても、自民党の内部にも、少し総理の今まで考えておったような高姿勢でいいかどうかというような批判もあるようでございますが、その点はいかがでございますか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 私は、農村は他産業の苗しろとは言っておりません。民族の苗しろと言っております。だから、他産業の苗しろだということを前提にしての御質問にはちょっと答えにくいと思うのでありますが、農村の子弟が他の産業に行かれたときには、その子弟は他の産業人でございます。それを受け入れるような不況は、私は来ないと思いますが、受け入れるという力は、他の産業にはなくとも農村にはあり得る。それが農業の大事なところ、国の苗しろだというところはそこにあるのであります。

片島港日本社会党

○片島委員 他産業の成長というものの中には、やはり賃金は、戦前も言われておったのでありますが、できるだけ安い方がいい。賃金を安く守っていくためには、食糧その他の原材料は安い方がいいにきまっております。そういう点で、他産業がだんだん成長する場合には、低賃金なり低米価あるいは低原材料費、そういったようなものが、これはたといきらいであってもその方が実際は都合がいいわけであります。一方の方を上げていけば、成長がそれだけ少し足踏みをするか、成長率が鈍るのではないかと思いますが、その点はいかがでございましょうか。

池田勇人自由民主党内閣総理大臣

○池田(勇)国務大臣 今ごろ、低賃金がいい、低物価がいい、こういうような議論をする人は世界にもあまりありません。賃金の上がり方がめちゃくちゃに上がってはいけないという議論は当然でありますが、賃金は上げない方がいい、安い方がいいという考え方の議論は、日本でもあまりないと考えております。上がり方がノーマルで地についた合理的な上げ方がいいのであって、戦争前の誤った経済のもとではそういうことを言っておりましたが、今では、低賃金、低物価というようなことは日本でもあまり言わないだろうと思います。

片島港日本社会党

○片島委員 現在の六百万の農家の中で、政府が目標にいたしております家族経済の自立農家、しかも、これは、ちゃんと法文に書いてありますように、自立経営農家というものは、「正常な構成の家族のうちの農業従事者が正常な能率を発揮しながらほぼ完全に就業することができる規模の家族農業経営で、当該農業従事者が他産業従事者と均衡する生活を営むことができるような所得を確保することが可能なもの」、これが政府の意図しておりますところのいわゆる自立家族経営農家でありますが、これは現在の六百万戸の中でどのくらいありますか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 大体、一町五反歩以上を耕しておる農家というものが一応考えられますが、大体これは六十万戸ぐらいであります。しこうして、現在、農家の耕地面積が少なうございまして、農業からの所得は主たる収入でないけれども、農家として農外所得を主として受けておる兼業農家というものが相当にあると思います。

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 片島委員にちょっと申し上げますが、総理は四十分でどうしても出ていかなければならないということであります。ただし、農林大臣は残っておられますから、そのおつもりで……。

片島港日本社会党

○片島委員 そうしますと、これは所得倍増計画にも関係してくるのでありますが、現在六十万戸ほどの自立経営農家がある、ここに法定しておりますような、とにかく他産業の従事者と均衡した生活を営むことができる所得者が六十万戸あるわけですが、やはり、この計画年度までには、他産業の従事者の水準がだんだん上がって参りますから、今の六十万戸もその割で上がるのですか。なおかつ、目標としておられる自立経営農家は百万戸ですから、あとから加わってくるであろう四十万戸の自立経営農家も、これから先ずっと水準は同じように上がっていくという意味でありますか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 経済の成長に伴って、それに負けないように、現在あります六十万戸の所得もできるだけ上げるように農業政策を進めたいと考えておりますし、同時に、現在の六十万戸以外の農家の規模を拡大し、あるいは近代化し、高度技術を入れ、機械化し、あるいは共同経営というものを進めつつ、これをふやしていきたいというのが私どもの考えであります。

片島港日本社会党

○片島委員 時間がございませんから簡単にしますが、大体目標としております百万の自立経営農家を育成しようということについては、現在はまだ三十万から五十万くらいのところでありますから、これを百万にするには相当農地の移動が行なわれるわけでありますが、政府の計画によりますと、計画年度におきましても農用地はそれほど増大をいたしておりません。そういたしますと、農用地がお互いに移動して自立経営農家百万戸を造成することになりましょうが、大体どのくらいの面積を移動の対象としてお考えになりますか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 ただいまお示しの所得倍増計画に現われておる一町五反というのは、一つの目標であります。私どもがこれから施行していきます場合には、全国的に見て地域的にそれだけの面積を要しない部分もあります。これは面積にこだわる必要はないのであって、一つの目標として立てておるのであります。だから、地方によっては一町五反があるいは二町になるところもありましょうが、そういうことで進んで参るつもりであります。従って、今の関係から言えばまだ足りないが、農地の移動で農業から他産業に転じていく者もありましょうし、また、兼業農家として自分がやっておる農地を一部減らしていく傾向もございます。こういうものもありますが、これもなかなかそれだけでは足りません。しかし、今御指摘のように、政府の倍増計画においてはあまり土地がふえぬじゃないかという御指摘でありますが、これは、たびたび申し上げておりますように、農業基本法制定の暁、その中にある農業基盤の整備開発という問題については、相当に現実的に具体策を立てるつもりでございます。そのことは、社会党さんの御案によりますと、大体今大きな目安を三百万町歩とおっしゃいますが、私どもは、今後におけるふやすべき農作物その他のことを考えながら、現実にどれだけの面積をふやしたらよろしいかということの調査の上に立って順次ふやしていきたいと思います。なかんずく、草地、牧野等に関してましては相当の面積をふやしていかなければならぬだろうと思います。

片島港日本社会党

○片島委員 また新たに農地を作るということは別にいたしまして、政府の目標にしておる自立経営農家を作るには、現在の農地が相当移動しなければ私はできないと思うのです。そのためには相当の農地の移動が行なわれるでありましょうが、一体、何十万町歩、あるいは百何十万町歩か二百万町歩か、どの程度を想定しておられますか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 これは、ただいま申しましたように、地域的によりましてどれだけの面積があればよろしいかということはいろいろ違って参ります。そこで、現在何万町歩を移動せしめるかという目標は立てておりませんが、これは現実にそういう場合には移動しやすいような方向にいろいろな法的措置を講じていきたいと考えております。

片島港日本社会党

○片島委員 それでは、農地の移動の面積というものの想定ができないということになりますならば、一ヘクタール当たり大体どのくらいの相場であるということによってどのくらいの資金量が必要であろうか。農業の構造改善を行なうについて、農地の集団化、近代化または自立経営農家の育成ということについては、農地の移動の想定、それに伴う資金の手当というものにめどをつけておかなければ、ただほうっておいてはできないと思うのでありますが、いかがですか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 ただいま、これに関連する問題といたしましては、小団地の開放というような問題なりがありますが、ただ、移動面積の問題につきまして、自作農創設資金というようなものが百六十億ことしはありますが、この問題は、片島さん御指摘のように、今後の計画遂行にあたりましては、法律制定の後に根本的検討を加えて、それに関する必要な資金量なり、また融通の措置も、融資を仰ぐのであればそれに関する条件というものも考えて参りたいと思っております。ただいま幾らの金額ということをすぐに申し上げる段階ではございません。

片島港日本社会党

○片島委員 総理にまだお伺いしたいことが数点ございますが、この点は一つこの次の委員会まで保留させていただきたいと思います。よろしゅうございますね。始めたのがおそかったものですから……。  そこで、私は、関連して一問だけ聞いておきます。農林大臣、選択的拡大というのをこの前御説明になったのですが、選択的拡大というのは、需要の減るものを転換する、そして需要のふえるものに振り向ける、それから、二番目には、外国産農産物と競争関係にあるものの生産を合理化する。これは法案に書いてあります。こういうふうに理解してよろしゅうございますか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 その通りです。

片島港日本社会党

○片島委員 需要の減るものを転換して需要の増に振り向ける、外国との競争にあるものをこれを合理化する、調整をするということになれば、選択的拡大と書いてありますけれども、選択的縮小もあるわけですね。増ではなくて、選択的拡大ではなくして、選択的縮小もあるわけですから、これは選択的だけが大きな問題であって、拡大というのはちょっとみめのいいようにつけただけで、これでは、選択的縮小と選択的拡大と選択的合理化と、結局、選択ばかりしておって、農民が非常に迷うようなことになって、拡大の方へ進むことができなくなる。需要のないものを減らして、需要のあるものをふやしたいと言うが、それには外国との競争がある。しかも、一方においては、自由化ということについても何がどの程度いつ自由化されるのか農民にはわかりませんから、そういう自由化とのかね合いで、選択ばかりしていていつも迷うということになりはしませんか。この選択的拡大ということは、今までの農林大臣の言っておられるのとこの基本法で言っておられるのとではだいぶ違うのじゃありませんか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 これは片島さんのお言葉とは思えませんが、あまりに言葉にこだわっていらっしゃる。需要の減っていくものはむしろだんだんこれをやめて、買われるべき作物を選択的にふやしていく。それは、今まで作れなかったものをふやしていこうということで、小麦のように、日本にはパン用小麦というものは外国から入れておる。ソフトにしろハードにしろ入れておる。そういうものはむしろ国産化して日本で作るということになれば、これは増産の拡大です。しこうして、私どもは、生産性の向上をやり、しこうして総生産を拡大していく、こういうことでございますから、あなたの見方は言葉の表を言っているので、そういう言葉の問題は私は根本の問題ではないと思います。

片島港日本社会党

○片島委員 根本の問題ですから、これは総理が御出席になったときにお尋ねいたしますが、私の言ったのは、選択的拡大と書いてあるが、選択的縮小ということもあるのじゃありませんか。大麦とかはだか麦みたいに縮小の問題もある。その縮小したものを転換させることによって今度は拡大をはかる、しかも、その拡大も、どんどんふやすのではなくして、外国との競争関係によって調整をするのでありますから、選択的縮小も含み、選択的転換も含んでおるところの選択的拡大であって、ちょっとこの言葉は基本法から言った場合には僭越な言葉ではないですか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 おかしいことのお尋ねですが、外国との競争力をふやしていくという問題は、もちろん国内におけるたとえば大豆などについて競争力を高め生産性を高めて反収を上げるということをさしているのでありまして、同時に、今後における農家の生産所得を上げさせるためには、まず外国に支払っている金を減らして、外国から輸入しているものを国産化していくという問題が入っているわけであります。こういうようなことははっきりと選択的拡大である。これからは、売れるもの、需要のあるものを選択しつつ作っていこうというのですから、私はこの言葉は正しいと思っております。

片島港日本社会党

○片島委員 基本的な問題については総理が御出席のときにまたお尋ねすることといたしまして、きょうはこれで終わります。

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時四十九分休憩      ————◇—————    午後二時二十九分開議

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  角屋堅次郎君外二十四名提出、沿岸漁業振興法案を議題とし、提出者にその趣旨の説明を求めます。角屋堅次郎君。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋議員 ただいま議題となりました沿岸漁業振興法案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。  戦後のわが国漁業の著しい発展にもかかわらず、沿岸漁業の衰退と関係漁民の窮乏には目をおおわしめるものがあります。昭和三十三年の沿岸漁業臨時調査によれば、経営体総数の八六・一%を占める沿岸漁家の漁獲はわずか全体の一七・九%を占めるにすぎず、漁家一経営当たりの平均漁獲高は十九万二千円、しかも、これは、やや能率的な三トン未満の動力船によるものを含んでいるので、無動力船階層では一段と低くなっております。昭和三十三年における階層別の漁業生産所得調査によると、三トン未満動力船階層の一経営当たり漁業生産所得は十九万八千百六十八円、同じく就業者一人当たり生産所得十一万三千六百八十九円となっているのに、無動力階層では、一経営当たり七万八千九百五十七円、就業者一人当たり五万九千五百九十円であります。このような低い所得を余儀なくされております関係で、漁家の消費水準は極めて低く、農民一〇〇に対して九四%、都市一〇〇に対して六三%を占めるにすぎません。  沿岸漁業のこのような窮状は、沿岸から沖合いへ、沖合いから遠洋へと、もっぱら外に伸びることのみに目を奪われ、沿岸漁業への施策を軽視してきた歴代政府の行政上の誤りによるものと断じても決して過言ではないと存じます。  荒廃し果てた漁場を改良し、沿岸漁業を振興し、関係漁民の所得及び生活水準を向上させるためには、あれこれの思いつきで当面を糊塗しようとする政府の無責任な態度を一擲せしめ、思い切った振興政策をしかも総合的に実施するのでなければなりません。すなわち、漁業条件の改善、水産資源の増殖、漁業の生産施設及び水産物の流通施設の整備等の事業につき、総合的な計画の実施をはかるとともに、これに必要な助成措置を講じ、もって沿岸漁業の近代化、共同化を促進してその経営の安定と沿岸漁業者の所得及び生活水準の向上に資する必要があります。われわれが沿岸漁業振興法案を提案するに至ったのはこのためであります。  次に、この法案の概要について申し上げます。  まず、この法案でいう沿岸漁業の範囲についてでありますが、漁業権もしくは入漁権に基づく漁業(当該漁業以外の漁業で、総トン数十トン以上の漁船を使用して営むもの以外のものを含む。)をいい、沿岸漁業者とは沿岸漁業を営む者及びその者のために沿岸漁業に従事する者をいうことをいたしました。  第二点といたしましては、この法律でいう沿岸漁業振興事業とは、国、地方公共団体、漁業協同組合または漁業協同組合連合会が沿岸漁業を振興するために行なう事業であって、農林大臣が沿岸漁業振興審議会の意見を聞いて定める基準に適合するものをいうこととし、その主要なものを例示いたしました。重ねて申し上げますが、沿岸漁業の振興は、一、二の施策を思いつきで施すことによっては不可能であり、強力な施策をしかも総合的に施すことが肝要であります。従って、第二条第三項に例示いたしました項目は、どれ一つとして重要でないものはありませんが、なかでも一号から七号までは、漁場の豊度を高めることによって漁業の生産性を向上するための事業であり、私どもの最も重視しているものの一つであります。すなわち、第一号から第五号(特に人工孵化放流事業)に至る事業を大がかりに推進することによって水産資源の増大をはかるとともに第五号から第七号までを推進することによって、いわゆるとる漁業から育てる漁業への発展を目ざそうというわけであります。なお、特に一言申し添えておきたい点は、養魚事業のうちきわめて大きな将来性を持つものと考えられる海面養魚事業の促進のため、漁協の自営を条件として特に補助率を高めた点であります。  また、漁業の生産施設及び水産物の流通施設等の整備を推進するほか、特に集団操業の指導のための施設の設置に関する事業及び漁業生産組合の育成に関する事業を推進することによって漁業の共同化を促進することもまた私どもの重視している事業であります。  第三点といたしましては、沿岸漁業振興事業は都道府県及び国の定める毎五カ年を各一期とする沿岸漁業振興基本計画及びそれに基づいて国及び都道府県が作成する沿岸漁業の振興年度計画に基づいて行なうこととし、それぞれ計画の作成方法その他について詳しく規定いたしました。これは、従来の水産行政の最大の欠陥である場当たり行政を排し、長期的な展望と計画を持った行政を確立することによって、より効果的に沿岸漁業振興事業を推進しようとの念願によるものであります。  第四点といたしましては、国の沿岸漁業振興年度計画または都道府県の沿岸漁業振興年度計画に基づく沿岸漁業振興事業を実施する者は、漁業権に属する区域内においては、当該沿岸漁業振興事業を行なおうとする場合には、当該区域にかかる漁業権者、入漁権者及び漁業法第八条の規定による漁業を営む権利を有する者の同意を得なければならないと規定することによって、これらの者の権利を保護することといたしました。  第五点といたしましては、規模が著しく大であり、かつ二以上の都道府県の沿岸漁業者によって利用される施設及び高度の技術を必要とするものについては、国がみずからこれを行なうこととし、国の積極的な施策を期待することといたしました。  第六点といたしましては、都道府県に対し、都道府県が農林大臣の承認を受けた沿岸漁業振興年度計画に基づいて自ら行ないまたは補助を行なう事業に対する国の補助率を法律で定め、かつ現行の補助率を引き上げることによって、振興事業の促進を期することといたしました。由来、沿岸漁業振興の基本対策は財政政策との対決にあるとさえ言われております。次に述べる低利長期資金の貸付けとともに、私どもの最も力を入れているものの一つであります。  第七点といたしましては、資金の貸付についてでありますが、農林漁業金融公庫(以下単に「公庫」という)は、第三の規定により農林大臣の承認を受けた沿岸漁業振興年度計画に基づいて沿岸漁業振興事業を行なう漁業協同組合または漁業協同組合連合会に対し、当該沿岸漁業振興事業の実施に必要な資金で公庫法第十八条第一項第五号、第五号の二、第七号または第八号に掲げるものの貸付を行なうものといたしました。なお、貸付条件は、都道府県が補助を行なう事業にかかる沿岸漁業振興事業の実施に必要な資金として貸し付ける場合には、利率は年五分以内において、その他の沿岸漁業振興事業の実施に必要な資金として、貸し付ける場合には、利率は年三分五厘以内、償還期間(据置期間を含む。)は三十年以内、据置期間は五年以内において、公庫がこれを定めることといたしました。なお、沿岸漁業振興計画の実施に必要な資金を貸し付けるための原資として、昭和三十六年度に一般会計から新たに五十億円を公庫に繰り入れることとしております。  第八点といたしましては、この法律によってその権限に属させられた事項をつかさどるほか、農林大臣の諮問に応じて、沿岸漁業の振興に関する重要事項を調査審議し、及びこれに関し必要と認める事業を農林大臣に建議するため、水産庁に附属機関として沿岸漁業振興審議会を設けることといたしました。  以上がこの法案の提案理由及びその内容の概略であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御採択いただきますようお願い申し上げる次第であります。

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 内閣提出の農業基本法案及び北山愛郎君外十一名提出の農業基本法案を一括議題といたし、質疑を続行いたします。  これより主として北山愛郎君外十一名提出の農業基本法案について質疑を行なうことといたします。  質疑の通告があります。これを許します。大野市郎君。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 北山愛郎君外社会党の御提出になりました農業基本法案につきまして若干の質疑をいたしたいと思います。  まず第一に、二月二十三日の本会議におきまして、北山愛郎君より日本社会党を代表して社会党の農業基本法案についての趣旨、内容の概略の御説明をいただいたわけであります。私どもは、御提案になりました提案者各位の社会党の議員諸君が農政に対しまして練達であり、かつ非常に農村のために御努力なさっておる御熱意には、かねて敬意を表しておるものであります。従いまして、提案の内容に対していろいろうんちくを傾けられることは、これはもう私どもも期待をしておるのでありますが、問題は、提案者の北山さんから、本委員会におきまして、この社会党提出の案件は社会党のイデオロギーを含んでおらぬものである、こういう御説明がありましたので、この点は間違いがございませんか、もう一度伺いたい。

北山愛郎日本社会党

○北山議員 この前の委員会でその点について申し上げましたのは、社会党でございますから社会主義の実現に向かってそれを目標として進んで参るということは当然のことでございます。ただし、今回の農業基本法を作るにあたりましては、直ちに社会主義のイデオロギーをこの法案の中に生かすという趣旨で作られたものではなくして、日本の現状、日本の農村あるいは農業、農民の実態から見て最も現実的であり、しかも今の憲法のもとで理論的に可能な範囲でもって政策を作ったのだ、こういうようなことを申し上げたのでございまして、たとえば、共同化の問題にいたしましても、御承知のように、社会主義の農業経営の形というのはやはり共同化という方向へ進んでおるという事実について、私どもは否定しておるわけではないのであります。しかし、その共同化の形が、現在の日本の農業経営の実態から見ましても、何としても零細経営であって、非常に小さな反別を家族経営の形で耕作をしておる、それでは合理的な経営、機械を使った大きな経営、そしていわゆる生産性を上げるというようなことはなかなかむずかしい、こういう状態にございますので、そこでこれを解決をするには共同経営の形が妥当ではないか、同時にまた、規模を拡大すると申しましても、それは、大きな地主がたくさんの農民を使ってやる方法とか、あるいは資本主義的な企業形態の経営によりましても大規模経営はできるわけでありますし、また外国にもその例はあるわけでありますけれども、日本の場合においては、やはり農民を土地から引き離すということはよくない、土地は耕作する者がこれを所有するという形にしておいて、しかも経営の規模を広げていこう、こういうためには、どうしても共同化、われわれが言っておる生産組合、共同化の形が望ましい、こういうことをこの前るるとして申し上げたわけであります。しかし、その共同経営にしても、決していわゆるイデオロギーの実現のために強力に権力的に強制的にこれをやるのでなくて、段階的にやる。政府案においてもそういう趣旨を申されておりますが、われわれとしても、農業生産組合にしても、経営の一部、すなわち酪農部分なりあるいは果樹の部分なり、そういう一部の共同経営というものもこれを認めていき、奨励していく、それからまた、最終的には、関係の各農家の方々がもし同意をするならば、農地まで出資をして、全部的な農業共同経営という形も認めていこう、さらにまた、経営の共同化まで至らなくても、いわゆる共同組織、共同作業なり、共同で機械を持っていくような、——これも政府案の中にもございますが、共同組織の方向についても奨励していこうじゃないか。とにかく、問題は、経営規模を拡大して、しかも合理的な経営をしていく形にし、農民自身がお互いに協力してやるという場合においては、強力な共同化の形が最も妥当である、そういう意味でもって私どもの基本法ができておるわけでありまして、直ちに社会主義のイデオロギーを実行しよう、そういう意図でこの基本法は作られたのではないということを申し上げたわけであります。社会党が社会主義実現の理想を捨てるものではないのでありまして、一歩々々その方向に進むということは当然のことでございます。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 ただいま、目的は目ざしておるが、この基本法自身には、その目的を直接実現するという形でなくて出してあるというお話でございましたが、一つの政党というものがありまして、ささたる事務的な一案件を規制するための法律案などと異なりまして、日本の人口の四割以上を占めております農村の帰趨に関し、しかも私どもはこれが国民経済全般の富の源泉になるというふうに考えておりますだけに、社会党さんがこの基本法をお出しになるのは、イデオロギーの実現に直接つながるそういう内容を盛っておらるるに違いないと期待しておったのでありますが、今の御説明では、それはない、その方向はそうだがこれには直接ないというお話でありますと、実は、共同的保有、第九条の農地の所有形態などを含みましてわれわれはその解釈に戸惑うところがあります。そこで、先般来理事会などにおきましても、私は社会党の基本的な重要な政策の具現をこの法案に盛られておらるるはずなのにと思いますから、提案者ではありませんが賛成者として名を連ね、しかも本会議において社会党の提案の法案という形で宣言がありました以上、河上委員長にこの委員会に御出席をいただいてつぶさに社会党の真のお考えをただしたい、またそれが社会党の党首としてもこの委員会を通じていろいろその趣旨を宣明せらるる絶好の機会ではないかと考えられまして、御要求をいたしたのでありますが、今日の段階においてはいろいろ研究中であるということでございますので、時間の都合もあって私は質問に入ったのでございます。従って、はなはだ絶好の機会と思いましたが、事情でまだ御研究中ということでありますから、本日はその点は一応保留をさせていただいて、以下質疑を続けたいと思います。  そこで、基本法の各条文をそれぞれよく研究いたしてみたのでございますが、私どもは、その中で、後ほどそれぞれの問題で個々に御質疑をいたしたいと思いますが、共同的保有という農地の所有形態とか、あるいは農村生活の集団化という二十四条の内容とか、さらに、長期農業計画という三条の社会党本来のお考えの計画経済の考え方、山林原野の解放に関する八条のいわゆる第二次農地改革をお考えになっておるのじゃなかろうかというふうな点、また、全額国庫負担による農地造成、土地改良その他の十条、あるいは十八条の卸売市場の国営、また、資材、飼料、動力の生産、輸入、販売についても国営を考えられておるような二十条の規定、ざっとそのようなものだけを拝見いたしましても、社会党さんがイデオロギーをこの法案の中にやはり持ち込んでおられるという印象を受けたのであります。この点はあるいは意見の相違が出るかもしれませんが……。そこで、そういたしますと、イデオロギーは入ってないんだとおっしゃればおっしゃるほど、実は私どもの心配いたしたいのは、社会党政権と社会主義政権についてのいわゆる構造改革論の問題でありますが、この構造改革論の問題は、国民の目で見ますと、社会党はどっちへ行くんだろうというので、これは非常に注目をされておるところでありまして、この点につきましては、この次に社会党は何をするんだろうというのが問題なのであります。すでに五年前の統一当時の論争もわれわれは承知をいたしております。しかも、社会党さんの議員構成の中の派閥の分布を見ましても、社会党の左派の人の方が多いのは明らかであります。そういたしますと、社会党はこの次に農業に対して何を考えておられるかということを、この基本法を取り上げるにあたりまして私どもとしては大いに究明をして、行き先を伺いたいと思うのであります。趣旨はそういう意味でどうぞお話し願いたいと思います。  具体的な点でございますが、この社会党綱領によりましても、あるいは選挙直前にお出しになりました政策問答集を拝見いたしましても、そういう疑問が相次いで浮かんで参りましたので、そういう具体的な問題を一つ伺いたいと思います。特に、あなたの方の機関紙の社会新報に、総評議長に対する回答としてお載せになりましたその中身のところとして、革命政府に移行する条件についてというものがございましたが、その中に、護憲民主中立政府が社会主義政府に移行するには、独占資本の支配力の弱化と反独占国民連合の社会党の階級的指導性が必要である、その次に、構造改革は革命の主体的条件を成就させる政治路線であり、客観的条件を無視するものではない、こういうように言っておりまして、護憲民主中立ということと社会主義政府ということと、その字句をはっきり区別しておられる。そこで、承りたいのでありますが、この皆さんの機関紙で論じておられますところ、あるいは綱領の中でも各所に出ております、社会党政権が社会主義政権に移行するにあたっての革命という内容、これはどのような意味でしょうか。革命ということはどういうことでございましょうか。

北山愛郎日本社会党

○北山議員 これは農業基本法案からは相当離れた問題でございますが、基本的にはやはり関連をしてお述べになっておられますので、まず最初のお話からお答えをして参りたいと思うのであります。  イデオロギー、イデオロギーということを言われますが、私は、この基本法のイデオロギーは何もなかった、そういう思想といいますか、理念というものがなくて作ったのだ、こういうのではもちろんないのでございます。この点は、当初における本会議の趣旨説明におきましても、私どもはっきり申し上げておる。それは、まず第一に、社会党としては搾取を排除するということであります。働く者が、働かない者、いわば資本家とかそういう階級によって搾取をされ、そうして社会的には非常に大事な価値を生む生産労働をやっておる者が貧しい状態にあって、一方では働かない者がぜいたくをしておる、こういうような社会のあり方は正しくないのだ、もしも自民党の方がこういう社会党の考え方が間違っておると言うなら、そうおっしゃっていただけばいいのですが、われわれはそういう基本的な態度でおるわけです。最終的には、そういう搾取を排除して、搾取のない社会を作り上げようということであります。それから、あの本会議における趣旨説明でも最後に申し上げました通り、われわれの基本的な態度というのは、農民というものは、物を作る、非常に社会的に大事な価値を生産する労働者である、働く人たちである、人類のどの社会におきましても、やはり、最も大事にされなければならないのは、物を作る人だ、その物を作る農民の方々が、歴史的に見ましても、また現在におきましても、非常に恵まれない、あるいは独占資本の力によって抑圧をされるような状態にある、そういう状態を排除して、そうして大事な生産労働に従事しておる農家の方々を大事にしようというのがこの基本法の根本のわれわれの考え方である、こういうことを申し上げたのでありまして、そういう意味において、これはもちろん社会主義の考えに通ずるものでありますが、そういう理念でもって作られておるわけであります。  従いまして、先ほどお述べになりました条項にいたしましても、たとえば山林、原野の問題にしても、土地資源というものは、これは個々の人が作ったものではなくて、天から賜わったもので、天然の人類に与えられたものである、ですから、だれが持っておりましても、その人は、この人類に与えられたありがたい資源というものをみんなのために最高度に活用するという義務があるのだ、こういう原則をうたっておるわけであります。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 ちょっと御発言中でありますが、それはまた後ほど伺うということを先ほど申し上げたので……。

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 時間もあれですから、御質問に御答弁を合わせて一つやっていただきたいと思います。

北山愛郎日本社会党

○北山議員 ですから、先ほど来お話がありましたような問題につきましては、そういう基本的な態度である。従いまして、私どものいわゆる革命というのは、今のような大資本や大金持ちがのさばり返っておるような政治、あるいは社会経済の制度、あるいはこれを支持しておる政治とか制度を変えていって、そうして、世の中で最も大事な仕事をしておる労働者や農民がしあわせになれるような政治をやる体制、そういう政治をやる権力、これを持つことがいわば革命だ、こういうふうに考えておるわけであります。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 この点につきまして、社会主義政権がその革命を経過して樹立されたときにどういうふうにつながっていくかということが、私ども先ほどから繰り返しておる一番の要点でありますが、現行憲法のもとでは云々という事柄がこの委員会でたびたび皆さんのお答えの中に出ておりますが、そういたしますと、社会党さんは、社会党政権の革命を経て社会主義政権に変化したときには、憲法を改正せられるわけでありますね。

北山愛郎日本社会党

○北山議員 私ども社会党が今掲げております今回の農業政策にいたしましても、その他の経済政策にいたしましても、今目標としておりますことは、現在の憲法の範囲内で可能なもの、こういうふうに考えておりますので、現在の憲法を改正するという考え方は持っておらないのであります。しかしながら、憲法の改正ということは、社会党が考えるのではなくて国民の考えることであります。ある時世が来れば、これはいつまでも固定するわけではありませんから、人間の頭の中も変わってくるわけでありますので、そういう段階になって、今の憲法はもっとこの点を変えろというようなことにほんとうに変わってくるならば、そういう時期があるいは来るかもしれませんけれども、今社会党が考えておる諸政策を実現するために憲法を改正する必要はない、こういうふうに考えておるわけであります。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 そこで、あなたの方の社会党綱領によりますと、社会党は政治権力をその手に獲得し、究極的にはこれを安定するというのがありまして、永久政権を考えておるものだと言われておるのでありますが、これも究極的に社会党が安定するとなっておりますが、ただいま自然にそういうふうに移り変わるような御見解を言われましたが、それでよろしいのですか。社会党が能動的になさるのでありますか。

北山愛郎日本社会党

○北山議員 社会党の綱領についての今の問題は、よく世間では、今お話しになったように、そうしたような事項があるから社会党は永久政権をねらっておるのだ、こういうことを言われておりますが、これは明らかにためにする議論でございまして、綱領の全体をお読みになれば、そうでない、それが誤りであるということがはっきりわかるのであります。社会党は、政治権力を持ちましても、反対党の存在を許し、しかも、いわゆる民主主義を通じ、議会を通じて多数を占める。要するに、国民多数の支持を受けるということによって権力を取るのでありまして、取ったあとにおいても反対党の存在を許していくのだ、こういう考え方が綱領の中によそのところにはっきり書いてあるわけであります。それから、安定するということを言われますけれども、これは、責任を持って自分の政策を実行したいと思う政党としては、どの政党といえども同じだと思うのであります。現在の池田内閣といえども、やはり永久に池田内閣を続けたいという気持で政治をやっておるのだろうと私は思うのであります。そのうちやめるのだ、来年になったらやめるのだという気持じゃないと思う。自民党の方々も、自分たちが政権を取っておって、この政治がいいと思って、この政権がいつまでも続くことを念願しつつやっておる。そういう気持はどの政党も同じでありまして、そのためにはやはり自分たちの勢力の基盤というものを安定させる必要がある。安定をさせるということは、権力的に力でもって強制するというのではなくして、多数の支持をいつまでも得るような正しい政治をやるということが、すなわち安定させるという趣旨だと思います。この点は正しく綱領の全体をお読みいただきたい。そうすれば今お話しのような誤解は明らかに氷のように解けてしまうだろうと私は思います。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 かつての旧左派綱領にあなたの言説と相反する事柄がありましたので、国民はそういう心配をして、いわゆる社会主義政権というものは、革命を経過してできるときに、そのあとのいわゆる諸制度その他の問題、いわゆる左派綱領などではその点が非常にはっきりと、憲法の改正から、産業の国有化、行政、司法の諸機関、教育、新聞、出版、放送などの諸機構を社会主義の方向に適応させる改正を考えていることは周知のことでございますので、この点に対し何回でもこの問題は国民としては確かめつつ社会党の行き方を見守っておるので、この質問をいたしておるのであります。  そこで、社会党さんは、今回のこの運動方針書に基づきましても、共同経営を支持をいたしながら、「共同経営だけに安住するのではない。」という方針をおきめになっておられますが、これはどういう意味でありますか。社会党の運動方針の中で、あなた方の農村活動の項目の中に、「共同経営だけに安住するのではない。」という表現がございますが、これは練達の皆さんが農村の問題に対して御理解なされぬはずがないと思いますが、この点を承りたい。

北山愛郎日本社会党

○北山議員 お答えいたします。  それは、社会党のこの前の党大会における運動方針の審議の際にも、また、運動方針を作る際にも議論が出たわけでありますが、農業問題というものを、経営の形、共同経営でもって、ただそこに重点を置いて、いわゆる経営構造の問題としてだけ考えておるということは間違いであって、共同経営だけに問題を集中していくのではなくて、やはり、価格政策であるとか、あるいは農民に対するいろいろな独占資本の圧迫であるとか、そういうものを排除するような総合的な政策等をあわせて行なっていかなければいけないのだ、ただ問題を、共同経営すれば万事オーケーだ、農業基本法ができればそれで解決をするのではなくて、また、共同経営だけできればそれでいいんだということにただ狭い運動に局限をしないで、もっと広い、価格政策の問題やらの面で広げていかなければならぬという趣旨で、たしかその運動方針に書かれておる、こういうふうに了解をいたしております。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 総合政策の一環だという御説明でありますから、すなおに承っておきます。  その次に、「生産の共同化の運動は、資本主義体制下における農業と農民の在り方について、はっきりした問題を提起し、その限界を教えてくれる。」そうでありますが、その限界とは何でありますか。

北山愛郎日本社会党

○北山議員 それは、今申し上げたことでございますが、はっきり申し上げますならば、現在の協同組合促進のいわゆる農民運動、これに対する一つの反省といいますか、その問題を扱っておるわけであります。ともすると今の資本主義の環境というものをそのままにしておきながら、経営の共同化だけをやれば解決するというような指導方針ではいけないのじゃないかという批判なわけであります。従いまして、そのことに触れて、しかも共同経営をしていくうちにいろいろな壁にぶつかるのだ、共同経営を指導して、あるいは農民が自分で自主的に今の資本主義、今の制度の中で共同経営を進めていく際に、あっちの壁こっちの壁にぶち当たるということ、そのことを言っておるわけであります。たとえば、共同経営をしたいと思いまして金を借りる。ところが、なかなか農協にしろ農業金融の道がつかない。共同化資金というものは今の制度には非常に少ないのでありますから、金が借りられぬという壁にぶつかる。あるいは、借りられましても、それが一割以上という非常に高利の金だということで、経営上非常な困難をする。また、せっかく牛を共同で飼って経営の方はうまくいったと思いましても、今度は乳価の方が安くて独占資本に安い値段で牛乳が買いたたかれる。そういう壁にぶつかるのだ、共同経営をやっていればやっているうちに、そういうあちこちの壁にぶつかってしまって、社会というものの矛盾がいろいろの面ではっきりと出てくるのだ、こういう趣旨を申し上げておるわけなんです。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 はっきりいたして参ったわけで、そうだろうと思ったのであります。従って、社会党の御提案の農業基本法がかりに採択せられたといたしましても、それは現行憲法下における対策であって、それらの壁が必ず前に立ちふさがるということをやはりここでお認めになっておられるわけでありますか。その点御意見が違えばまた聞きますが、この基本法の次の形を変えた何かの法制というものを、そういうお考えであれば必ず頭の中に御用意がなければならぬ。その予測もあるはずであります。そういうことはありましょうか、どうですか。

北山愛郎日本社会党

○北山議員 今のお話は少し問題を飛躍しているのじゃないかと私は思うのであります。いきなり、その運動方針の今の事項をお読みになって、直ちにこれを憲法と結びつけるということは、少し議論が飛躍しているように私は思います。むしろ、たとえば、今実例を申し上げましたように、共同経営をやっていこうとする。ところが、安い資金が借りられない。そうなれば、安い共同化資金を貸してもらえるようにその政策を要求するということになるわけです。あるいはまた、せっかくしぼった牛乳の値段が安い。そして乳業資本にもうけられておる。これを今の制度のもとで是正をしていく。これがすなわち社会党が政策的に取り上げておりますところの点であります。たとえば共同化資金にしろ、低利長期の融資をしなければならぬという原則をこの基本法に私らは述べております。また、そういうものを具体化するいろいろな政策を進めて参りたいと考えております。それから、牛乳の値段にしろ、やはり、農家のしぼった牛乳の生産者乳価というものは生産費と所得を補償するような形でやっていく、こういうことにして参りたい。要するに、今の資本主義の経済の中でいろいろな経営の共同化をやろうといたしますとぶつかるような壁、その壁を個々に解決していく。全体の今の資本主義の制度を一挙にひっくり返さなければ問題が解決しないのではなくて、個々にいわゆる農民をめぐっておるそういう障害を解決をしていこうというのが社会党の今の基本法なわけであります。ですから、別段それが憲法にすぐ結びつくものではない。そういうわけでありますから、社会党の農業基本法というものは、先ほどもお話し申し上げたように、相当長期にわたってこれをなし遂げるだけでも大きな社会党の事業だと思いますし、イデオロギー、イデオロギーということを申されましたけれども、私どもは、やはり、働く農民を現在においての資本主義から守っていく、資本主義をぶちこわすというのじゃなしに、資本主義のそういう働く人たちを圧迫しておるその部面々々を解決していこう、こういうことでございまして、相当長期にわたってこの基本法でもっていけるのだ。もちろん、私どもは相当研究をして作りましたけれども、これを完全無欠なものだとは思っておらないのであります。また、そういう欠陥があればどんどんこれを解決していく。しかし、方向としては、これでもって相当長期にわたってやることによって日本の農業は発展をするし、また、農民はしあわせになれる、こういう確信を持って長期の一つの政策として出しておる。これだけは間違いがないのであります。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 今私が確かめたいと思いましたことは、もちろん人間の作るものですから完璧な法律は考えられないでしょう。しかし、社会党がわが案として基本法をお出しになっておりますので、御自分で基本法を一つ提案しておられながら、これは資本主義の壁の中でぶつかり合うので必ず問題が出るのだということを今年の運動方針の中でうたっておられるのは、すでに、わが党の案が通るから、——多分そうだろうと思うのです。わが自民党政府の案が通るので、政府の案ではどうも満足ができぬからそれはやるのだが、その場合に壁に突き当たる、こういうふうに運動方針で、いわゆる時限を切った運動方針ですから、お考えだろうと思うのですが、そういうふうにすなおに理解してよろしいのじゃございませんか。

北山愛郎日本社会党

○北山議員 私どもは、政府の基本法が通らなくても、今の資本主義の農民をいろんな面で圧迫をしておる壁にぶつかると思うのです。しかし、もしもあなたの方の政府の基本法が通れば、なおさらそういう農民が資本主義の壁にぶつかる状態がもっとひどくなるのだ、そういうお考えであるならば、それも私は認めます。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 私はすなおに読んだのでありますけれども、あなたの方の案はお通しになる御意思で御提案になるわけですが、そういう具体的な提案がありながら、この制度のもとでは壁にぶつかるのだ、あなたの社会党案を実行してもその通りであるとお考えになっておるのでしょうか。

北山愛郎日本社会党

○北山議員 それは運動方針であります。従って、そういう農民を圧迫をするいろいろな壁があるということを認めるからこそ、われわれは、それを打破するための政策、しかもそれは農民が目標としてかちとるべき政策を出しておるわけです。そういう現実があるからこそ政策が出ておるわけです。運動としては、もちろん、壁があるという現実、それは認めておる。もちろん、私どもは、社会党の農業基本法が出れば、その資本主義の壁というものは、全部なくならないまでも、非常に主要な部分は解決をされるのではないか、そういうふうに確信をしておるわけです。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 しつこく承っておりますのは、あなた方が今日この憲法のもとで提案された基本法が成立したとする。もちろん、お出しになるのだから、成立するとお考えになるのでしょう。そうして、資本主義下においてあなたの基本法を実行なさるが、それも壁にぶつかるのだ、その壁にぶつかるとすると、その次にどういう転化をされるかという事柄を、長期の見通しにおいては国民としてはこれを重視せにやならぬわけです。そこで、この問題の皆さんの方のいわゆる経済自立と完全雇用の産業政策というものを拝見しますと、三年から四年の期間で農業の近代産業としての発展基礎を作る、その次の五年間で農業の共同化をやるんだ、その次の五年間は全産業の社会主義化をやって国民経済の計画化をやるんだというスケジュールが発表されております。私は、あなた方のお考えではそれは当然だと思うのです。そこで、当然だと思いますと、われわれとして確かめておきたい点があるわけです。それは何かと申しますと、皆さんが今の農地の共同的保有ということを言われるときには、自主的にという言葉がつけ加えられてあります。まさに自主的であらねばならぬと思いますが、隣のソ連や中共のいわゆる農地改革の歴史を研究しますと、いずれも自主的とか自発的とかいう法律を制定し、そうして、世界に発表するものも、自発的、自主的という大きなサブ・タイトルがついて進行しておるのを知っておるわけなんです。そういうような形がありますので、今日のソ連や中共は社会主義国家でございますか共産主義国家でございますか、どんな御見解でございましょう。

北山愛郎日本社会党

○北山議員 どうも最初お話しになるお話と最後の御質問とが関連がなくてちょっとまごつくのでありますが、私どもとしては、ソ連がどうあろうと、中国がどうあろうと、それはこの基本法とは直接関係がございません。しかも、ソ連や中国が、初めは自主的だとか言って、それからだんだん強制的になった、こういうようなお話でございますが、どういう資料を基礎にしてお話しになったかわかりませんが、ソ連については、一九一七年に、御承知の通り、革命と同時に、直後に土地の国有、無償でもって土地を国有にして、いわゆる戦時共産主義の状態に入ったわけです。それからいろいろな段階を経まして、むしろそういう強制的な政策というものがだんだん緩和をされたような時代もございまして、いろいろな経過を経てきておる。また、中国は中国で別なコースを歩んできております。要するに、合作社から人民公社に至るいろいろな段階を経ておるわけです。しかし、そういうことはそれぞれの国の実態の問題でございまして、私どもとしては、この法案の中に自主的にということを書いてある。これをすなおにお読みをいただきたいと思うわけであります。強制的に農地を共同保有させるとか、あるいは国有に持っていくとか、そういう考え方は一つもないのであります。これは繰り返し繰り返し申し上げております。ことさらに、何かこの裏にあるのではないか、こういうふうに疑心暗鬼をお持ちであるならば、そういう間違ったお考えや先入観みたいなものはお捨てになっていただきたい、こう思うのであります。しかし、私どもは、そういう、何といいますか、いわゆる根拠のないイデオロギーといいますか、目標のないイデオロギーのためにこれを作っているのではない。繰り返し申し上げておる通り、やはり、農民のしあわせ、あるいは国民のしあわせ、働く者のしあわせということを念願してこれを出しておるわけでございます。もしも国民の中でそういう立場に立って考える人、働く人たち、労働者や農民やすべての働く人たち、あるいはまじめに勤労というものを尊重する気持を持っておる人たちであるならば、すなおに読めると私は思うのであります。そういうふうな考え方で見ていただきたい。そうでないというと、この社会党の基本法によって損をする人ももちろんございます。たとえば肥料とかあるいは電力とか、今の政治のもとでぬくぬくと大きくなって、そうして非常に大きなもうけをあげている独占的な資本家たち、これに対しては社会党の農業基本法はあるいは快いものではないと思うのであります。もしもそういうような人たちの立場に立つならばいろいろな疑心暗鬼も出て参るでございましょうが、しかし、働く農民の立場に立つならば、私は、すなおに読めるのではないか、こう考えるわけであります。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 もう一つ承りたいのでありますが、皆さんの方は、イデオロギーではなくて、農民のためにということだそうです。われわれも同じように農民のためを考えて努力をしておるものでございますが、社会党というものがイデオロギーを中心にした結集であることは間違いない。そこで、そういう点についてはよく御存じでございましょうが、一つ伺いたい。社会主義と共産主義について、非常に簡単でけっこうです、ほかの言葉は要りませんが、社会主義と共産主義の関係について、あなたの派の中にはマルクス派の人たちが多いと私は伺っておりますが、マルクスの流儀によりまして、社会主義と共産主義に関する関連を、一言でけっこうでありますから、承りたい。

北山愛郎日本社会党

○北山議員 社会主義にも何十かしらの種類がある、こう言われております。共産主義にしても、実際の現実の共産主義・中国の共産党なりあるいはソ連の共産党なり、そういう個々の国の共産党がやることと、それから、昔から言われておる共産主義、一つのいわゆる理想社会を作り、万人平等の、そしてみなが困ることのない、働ける人は働き、そうして、ほしい人はほしいだけのものを取るというような意味の、いわゆるユートピアですね、そういう考え方が昔からあるのでありまして、そういう考え方が悪い、こうはおそらく皆さんも申さないと思うのであります。こういうことで、いろいろあるのでありますから、その共産主義、社会主義とたった二つ並べてどうだこうだと言うことは、ちょっと、私は専門の学者でもございませんし、僭越だと思うのでありますが、簡単に申し上げるならば、よく俗に言われておりますように、共産主義の段階では、働ける人はその能力に応じて働くのであって、それから、働けない人でもその必要に応じて受け取るのだ、これが共産主義の段階で、社会主義の段階では、働きに応じて、その力に応じて働き、また、その能力に応じて、働きに応じて受け取るのだ、分配を受けるのだ、これが社会主義だ、こう言われておるのですが、簡単にお答えすればそういうことになると思います。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 私は、北山さんは政審の事務局長でもあり、またそういう問題の専門家だと思いますので伺っておるのですが、マルクスがゴータ綱領批判で述べておりますのは、社会主義は共産主義の初歩の段階だと彼はきめたわけです。そして、それを信奉しておる人がたくさんあるのですよ。そこで、あなたの方の綱領を拝見すると、綱領の中で、分配の問題が——この農業の問題をやりますと、経営の問題にからむ限りには価値の分配問題が入ってくるわけです。そのときに、あなたの方の綱領によりますと、平等な分配ということになっておるのですね。それですから、いわゆる社会主義がその働いた能力に応じて所得を取るということであるというと、公平なる分配という表現ならば私どもは理解できるが、平等な分配というものは、これはこの通りでよろしゅうございますか。

北山愛郎日本社会党

○北山議員 われわれが政治的なその一つの綱領なり方針として使っております平等というものは、そういう算術みたいな、観念的な平等だ、だれもがもう寸分違わない状態を平等というのだ、こういうような考え方では当然ないわけです。とするならば、今のように、一方では非常な金持ちがあり、そしてそれれらがぼろもうけをしておる、一方ではもうあくせく働いておる人がその分け前が非常に少ない、生きていることもやっとだ、こういう状態を平等化していく、これはおわかりになると私は思うのであります。これは、人類の普通の民主主義の考え方からしましても、平等という考え方があるわけであります。そういう方向へ持っていくということでありまして、文字通りだれもが同じ月給で同じ働きをしろ、男も女も、おとなも子供もやれ、こんなことは、それは観念的な平等かもしれませんけれども、私どもはそういうことを言っておるのではない、そういう趣旨で使っておるのではないということは、正しくお読みになればすぐわかる、こういうように思います。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 この点は別にあなたが断定なさるのも潜越だと思うし、私どもの読み方も誤っているとは、そうばかり言えないと思いますが、公平なる分配という表現があるのです。平等な分配ということは、共産主義的な平等というような表現のときにおもに使われております。これは見解が違うなら違うでけっこうですが、そこで、私は、中共やソ連が社会主義国家か共産主義国家かということを先ほど伺いましたが、これはあなたの御見解で十分ですが、一つお聞かせ願いたい。

北山愛郎日本社会党

○北山議員 私も、実は、どうもむしろ基本法みたいな現実の政策作りに追われまして、そういう学問的な、よその国のことまで詳しく調べるということには至りません。しかし、私の感じている印象では、先ほど申したようなものさしではかっていくならば、まだソビエトといえども共産主義の段階にはいかないのではないか、こう思うわけであります。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 そこで、なぜそんなふうなことを伺っておるかと申しますると、先ほどもよその国のことは知らぬとおっしゃるが、かりそめにも一党を代表して、委員長も事情でお出にならないときにお話をされまして、お知りでないというならば、私の調べたもので皆様に一つ答弁をしていただきたいが、私は、結局、この社会党さんの農業に対する進み方が、これは偶然かもしれませんが、イデオロギーをもって結ばれている政党でありますから、そのようには考えない。何かこれはやはり御研究の結果と思っておりますが、一九二九年に、スターリンが小農経済の社会主義的改造という論説において指示したことに従って、ソ連も中共も、いわゆる農業に対する政策の展開が今日まで行なわれておるのは文献で明らかであります。つまり、いわゆる零細農を逐次統合して、巨大な農場、すなわち集団農場とし、集団労力を用いて農場を建設し、集団農場を拡大し発展させるという構想をスターリンが一九二九年に述べましたが、これらに基づいてソ連の農業の構造というものが方向づけられておりますし、特に顕著なのは中共の農業開発の歴史でございます。この考え方で参りますとあまりぴったり符合いたしますので、そこで、社会党さんの中に旧左派綱領を信奉せられた方々がたくさんおられるものだから、私どもは、この機会に、農村が方向を間違えて、今出されたぼたもちはおいしそうだというので食べ過ぎたために、その次に下剤を飲まなければならぬことになると心配でありますので、この問題についてお聞きしたいと思うのです。  先ほど言いましたように、自発的願望という問題で、例は幾つかありますが、一九三五年のソ連のコルホーズ農業アルテリ模範定款第一条を見ますと、勤労農民は、共同の生産手段及び共同の組織された労働をもって、集団的すなわち社会的経営を建設し、自発的に農業アルテリを結成するとあります。これらの歴史の実際の報告を聞きますと、これを自発的と判断なさる方方があるかどうか。それは御自由でありますけれども、われわれは、この点に大きな疑問と、それを裏づける資料を持っておるわけであります。これは、御承知のように、畜産の問題におきまして、このアルテリの結成に至ります一九二八年から一九三五年の間に、家畜をいわゆる供出のような形でこれを取り上げられるということで、家畜の大屠殺が行なわれたために、御承知のように、かろうじて一九五六年代に至ってソ連の家畜の頭数が戦前をようやくカバーするという程度になったことから見ましても、これらは自発的になされたかどうかには疑問があったのです。それから、一九五四年の中華人民共和国憲法第八条には、はっきりと、農民の土地所有権が保護せられると書いてある。しかも、自発的意思の原則に基づいて生産の共同化、購買、販売の共同化、信用の共同化を組織するよう個人農民を奨励する、こういうふうな規定がありまして、自発的意思と明らかにされておるのであります。さらに、一九五六年の六月には、中共は初級合作社から高級合作社に移しかえておりますが、そのときに、土地の私有制を農民の自発的願望によって集団所有制へ無償で移行をしておるのであります。このときにも中共の農民が非常な動揺をして、香港方面へ脱出し、これを裏づける幾多の材料が彼らの国の機関誌人民日報にも載っておることで明らかであるのであります。特に、私どもが中共の農業社会化の推移を見ますときに心配するのは、互助組を作ったところまではまことにうまい制度でありまして、わが国の今日の協同組合のような形で、しかも戸数は平均五・七くらいで、自己の計算で経営をせしめた時代がございます。これが数年続きますと、一九五五年の八月になりますと、初級農業生産合作社を作ることになったのでありまして、このときには、土地は私有を原則とし、合作社へは出資をいたす形でございました。これはただいまの協業経営の形態とひとしい外形であります。しかも、ここまではいいのですよ。自民党の案の中にも、そういうことを望まれる方々は協業経営を御援助しようということがあるから、そこまではいいが、そういうことでは農業の壁に突き当たるぞと社会党さんがおっしゃっておるから、そこが問題の分岐点になる。そこで、設立当時にどうなったかといいますと、収益は土地と労力に応じて分配するというのでありましたが、出資する土地の評価の問題、いいたんぼも悪い土地もあるわけで、土地の報酬と、投下した労働の質と量をいかにきめるかという労働報酬、この内容の個々の問題、大まかに見て土地の報酬が幾らで労働報酬が幾らかという比例の問題にぶつかったのであります。これが社会党さんのおっしゃる壁の一つかもしらなかった。そのほか、中共の実態からいたしますと、会計や書記の欠乏のようないろいろな事務的な悪条件もあって、小学校の生徒をおろして書記に使ったというような悲惨な状況も伝えられておりますが、それはさておいて、その次に、これができたのは一九五五年の八月でしたが、その騒ぎを契機として、一九五五年の後半から五六年にかけて社会主義化運動を推進するという声明が出て、五六年の六月の末には高級合作社模範定款が発表されたのであります。ここのところが問題でありまして、このときにも、農民の自発的願望によって、そうけんかばかりしておったのではかなわないから、肥沃な美田も、枯れ果てたたんぼも、どうせのことただでいいから差し上げようと、農民諸君が自発的願望を持ったそうでありまして、土地の私有制から集団所有制へと切りかえて、土地の報酬は何らの代償の支払いもなく消滅してしまったのであります。この形が高級生産合作社の形態でございまして、今日の人民公社は御承知の通りの行政組織までをひっくるめた妙な形でありますから、ここは言いません。ここは言いませんが、初級合作社の段階で社会党さんが壁にぶつかるという予言をしておらるるといたしますると、その次に起こるものは、こういうような実例が隣の国で起きております。心配するに越したことはございませんが、何しろ先のことだから、今言えば、それは、政党政治といたしまして、そんなことをいたしませんとおっしゃるでしょう。ことに、選挙スローガンなどでは、それはできないことも言うんだというけさほどの北山提案者の御発言まであるのですから、私もここで何もおっしゃらないとは思いますが、しかし、農民諸君と御相談いたしますときには、ここは一番大事なところじゃないかと私どもは思うのであります。今日の人民公社の形は、先ほど言いましたように、行政組織が入って、民兵であり、行政長官であり、産業の大将というような工合でございますから、それは行き過ぎの形としましても、ただいまの合作社という形が似ておるので、壁にぶつかってそんなことにならねばいいが、かように思って先ほどの質疑をしつこくいたしておるわけなんであります。  それから、同じくソ連の変遷を見ましても、最初革命が起きましてから、一九一七年から二七年までは食糧飢饉で驚ろいて、とにかくものを作ってくれというので、商品作物の奨励策をさすがのレーニンもやらせたわけでありますが、十年たつと、農業政策の大転換、第一次五カ年計画ということになりまして、スターリンが非常にのさばり、先ほどの一九二九年の小農経営の社会主義的改造というテーゼで指導して今日に来たわけであります。この過程においての形態につまきしては、トーズという土地共同耕作組合の段階は言うことはないが、集団農場の段階ですでにこの問題が出ておるので、われわれは、社会党さんが御提案になっておる第九条の土地の共同的保有を自主的にとおっしゃるが、こういう問題をわれわれといたしましてせんじ詰めて考えると、隣の国のようなことで、社会党政権から社会主義政権に移るときに革命を経過しておなりになるそうでありますから、そういうときに真に農民諸君の自由と創意工夫というものが抹殺せられるようなことになっては一大事である。特に、これらの国々の二年続きの大凶作ということは、丸い地球で赤い国だけが大凶作で、カナダや北欧の国がそうでないということは、従来の凶作の例から見ますると、われわれとしては理解がむずかしいというような意味合いにおきまして、これは農業管理、農民に対するいわゆる経営政策に無理があるのじゃないかと判断をしまして、社会党さんが第九条を考えられ、しかも一番最初に申し上げました農地造成、土地改良その他に全額国庫負担でいたしましょう、こういうようなうまい——どういう予算措置をなさるか、これも問題でございまするが、うまいお話をいろいろ並べられますと、なおさら心配になるわけでありますが、ソ連、中共のそういう実例がございますので、そこで、あなたの方で基本法を実行されてぶつかる壁の中に、そういう壁を予測せられるかどうか、そのこと一言だけ承りたい。

北山愛郎日本社会党

○北山議員 なるべく短くお答えします。ただいまのソ連や中国におけるいろいろな御研究は敬意をもつで拝聴いたしました。しかし、ソ連や中共は……(発言する者あり)そういう例をもって社会党の基本法を批判されるのは少し無理ではないかと私どもは思うのであります。少なくともわれわれがソ連や中国その他の国々のいろんな事例の中で読み取れることは何かと申しますと、共同化というものは強制的にやっては失敗するということであります。これだけは、私どもは、いろんな外国の例とかそういうものから見まして、やはり強制的にやってはいかぬのだ、こういう考え方を持っておるわけであります。従いまして、そういう外国の例を十分参考にいたしまして、われわれの農業基本法におきましては、決して強制的に共同化を進めようという考えは持たない、自主的にやるのだ、こういう趣旨が盛られておるわけであります。それと同時に、もう一つは、ソ連、中国とか、そういうところの外国の例を研究なさるのもけっこうでございますけれども、やはり問題は日本の国内の問題であります。国内には、社会党が宣伝をしたりイデオロギーを振り回さなくても、すでに幾多の共同経営の実例があるわけであります。しかも、その中には、全部の共同経営で、土地に対する分配は全部やらないのだという非常に進んだ共同経営の実例すらも現われておる。この事実、この農民の中から自然に起こってくる要請といいますか、必要というものを現実に見て、その個々の問題、国内の問題を検討して日本の農業政策を作らなければならぬと私どもは考えておるわけであります。自民政府の池田総理以下が水戸に行かれまして、農業団体の代表者とお話しになりましたその際にも、あまり社会党の共同化ばかりけなしてはいけない、やはり農民は、家族経営を守るということも大事だけれども、所得をふやすということにより関心を持っているのだ、そういうことを農業団体の代表者から総理大臣や農林大臣が言われて、ぎゃふんと参った、こういうふうに伝えられておるのでありますから、国の中にも、ソ連、中国から輸入するのでなくて、国の中、そういう今の資本主義の中におきましても、共同経営の芽がどんどん出てきておるという実態をよくごらんになっていただきたいと思うわけであります。  それから、お話の中に、また、政府案の中でも、共同化については、確かに当初は協業化の促進という非常に強い形で協業化を進めていくという考え方があって、それが後退をして協業の助長ということにうしろ向きに若干なってきた、こういうふうに伝えられておるわけでありますし、また、政府案の中にも生産法人の考えもあるわけでありまして、決してわれわれの共同化の考えというものが基盤のない外国からの輸入物だというふうにお考えにならないようにしていただきたいと思うわけであります。  それからまた、最後に、選挙スローガンでできないことを言ったと言われましたけれども、私どもは、牛乳三合というのはできる目標として、この選挙の公約を実行するためにこそ、われわれが今農業政策基本法というものを出しておるわけであります。その点も誤解のないようにしていただくと同時に、むしろ、政府の所得倍増計画なるものが、これは計画だと初めは言ったがだんだんに「計画の構想」に後退をして、そして、今や、物価倍増計画じゃなかろうか、あるいはまた、最近における国際収支の問題やら、どうも先行きが怪しいというふうにまでなってくるような、そういうふうな矛盾といいますか、計画の当初において足元からくずれるようなことは、社会党はしたくない、こう考えておるわけであります。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 北山さんに御質問いたしたいのですが、ただいまの御発言の中に、農村の中には自発的な意思で、(「学生の討論会じゃないぞ」と呼ぶ者あり)——失敬なことを言うな。

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 静かに。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 あなたのお話の中に、農民の自発的な意思で、もう今日においても、土地に対する分配は要らぬから、ただ一緒にたんぼを出し合って、そこで協業、共同の経営をして分配をやっているという例もある、そういうものもよく見ていかねばならぬというお話でございましたが、そういう例は私ども寡聞で実は知らぬのでありますけれども、ございますのですか。土地の問題の権利を放棄してですよ。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)議員 ただいまの問題については……

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 いや、あなたに質問していない。北山さんの言われたことに対して質問している。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)議員 私も提案者の一人ですから、私からもお答えいたします。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 あなたにはこの次に聞きますから……。

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 前の質問に関連がありますから、聞いて下さい。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)議員 大野委員に申し上げますが、イデオロギー論争だとかあるいはソ連や中国の合作社の問題とかコルホーズの問題とかいうものにはいろいろ見方がございまして、これはやはり見る人の立場々々によって違うのでありまして、きょうは学生の討論会ではございませんから、議題になっておりまする農業基本法の関連において議論をしていただきたいと思います。  そこで、関連のある問題については、たとえば中共の初級合作社に対して、互助組から初級合作社、高級合作社あるいは人民公社への発展の途上におけるいろいろな問題については、私は六十日にわたって現地をつぶさに視察して参り、また、国会からも正式の調査団が派遣されて見てきておって、その報告書も出ておるわけであります。大野委員は寡聞にして現地を見たということを聞かないのでありますが、何らかの一方的な報告書か何かに基づいての発言のようにどうも思われるのでありまして、私どもは、中国は、やはり、中国の民族性と申しますか、いろいろな条件があって、中国の互助組は中国の互助組であり、中国の初級合作社は初級合作社であって、それをとってもって日本の参考とはなるかもしれませんけれども、そういうものを直ちに日本で実行しようなどとは考えるものではないのであります。この点は一つお含みおきを願いたい。  それから、特に中国における合作社の運動などにつきましては、現在の日本と現在の中国を比較されるならば、あるいはまた現在の日本の状態とソ連の農村の実情を比較されるならば、これは非常に大きな差があると思います。しかし、中国の現状を見て日本の現状と比較して批判をされるということは、私はこれは当たらないと思うのでありまして、戦争前の中国、戦争中の中国、そうして現在の中国とを比較したならば、資本主義国においては見ることのできない非常な発展が見られるのでありまして、こういう点は、そう画一的にこれを考えることは間違いではないかというふうに実は考えるわけであります。  ことに、今の共同化の問題でありますが、実は、この共同化の問題については、社会党と自民党とは当初から対立をしておる。これは大野委員も御承知の通りでありまして、日本における共同化の歴史というものは、御案内のように、四国、中国あるいは鳥取、島根等における果樹地帯に自民党を中心とする政府の苛斂誅求がはなはだしいために、農民が自発的意思に基づいて税金対策が当初の目的でこの共同化が行なわれました。しかし、その段階はわずかの段階でございました。もちろん、それには、最初のほんの一、二年の間は法人として登記されたものは法人税を課したのでありますけれども、その後、法務省はこれを法人として登記は認めたけれども、国税庁はこれを法人として取り扱わない。こういうことで、私ども社会党といたしましては、法務省が法人として登記を認めたものは法人としてこれを取り扱うべきであるという主張をしたのに対しまして、政府は、ついに、法務省の認めた法人に対しても法人として取り扱いをしないということになって、今日裁判が行なわれております。これは今政府の方が敗訴になりそうになっております。おそらく政府が敗訴するでしょう。自由民主党の主張は、いまや裁判によって敗れようとしている。しかし、政府は今度農地法の一部改正法律案、農協法の一部改正法律案によって農民の主張を通そうとしておられるようであります。  そこで、私が申し上げたいことは、この共同化の問題こそは、日本の学者の中からとか、学校から出たものでもなければ、政府の役人の間から出たものでもない。これこそ、日本の歴史の上において注目すべき、農民の創意に基づいて、農民のみずからの力を集結して共同化というものを考えて、これこそ新しい日本の農民の向こうところの方向であるという確信のもとに出発をし、今日に至っておる。これはすでに全国で一千をこえるところの共同化の実態が相当な成果をあげておることは何人も承知するところであります。最近政府の調査結果の報告を聞いておりませんけれども、すでに昨年の春において登録せられた法人が六百をこえておる。今日私は一千をこえておると考えるのであります。そういうふうな農民の創意に基づいて正常な発展をしておるこの共同化について、これをただコルホーズ式であるとかあるいは人民公社式であるとかいうようなイデオロギー的にこれを排撃する態度は、これこそ私は農民の創意工夫に基づいて今日ごらんのような成果をあげておるものを封殺しようとする陰謀以外の何ものでもないと言わざるを得ないのであります。しかし、自民党の諸君がどう考えておられるにかかわらず、役人の方からは、協業という、表現は違うけれども中身においてはほとんど違わないものができておって、それが農地法の一部改正法律案とか農協法の一部改正法律案となって出ておるのであります。従って、私どもは、そういうふうに今の日本の農民の農業経営というものを考えた場合の将来性というものは、ここに一つの光明を見出して農民は積極的にその方向に向かおうとしておる。現に、新潟県の農業団体からは、政府の基本法に対して共同化を積極的に進めるような法文が見出されないことははなはだ不満である、共同化を積極的にやるべきであるという陳情が大野委員のところへも来ておるはずでございますので、これはやはり農民のそうした意欲を正しい方向に指導しなければならないのがわれわれ政治家の責任ではないかと私は考える。  もう一つ、先ほどから繰り返し言われておりますが、壁の問題、共同化をやっていく上に壁がある、こういうお話がございましたが、これこそ、今のような資本主義的な農政が行なわておりまして、たとえば畜産が盛んになる。これはいいことだ。しかし、畜産が盛んになれば飼料が暴騰する。そうして飼料会社だけが利益をほしいままにする。せんだって私が総理に申し上げたように、このような状態では、農民は畜産が盛んになればえさ屋のえさになるのではないか。資本主義社会においては飼料会社の食いものになってしまうのだ。そういうところに一つの壁があるということは大野委員も否定されないだろうと思う。あるいはまた、乳価の問題なんかについては北山議員から答弁がございましたから触れませんけれども、これ一つをとらえてもその通りです。あるいは肥料にしてもその通り。硫安の価格は国際価格は一俵五百円でしょう。ところが、日本の農民は八百円以上の硫安を使わされておる。貿易自由化をやるというなら……    〔「質問以外のことを答弁しているじゃないか」と呼ぶ者あり〕

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 石田君に申し上げます

石田宥全日本社会党

○石田(宥)議員 どうか自由に輸入させたらどうか。そこに肥料資本家の政治的圧力が加わって自民党ではやれない。こういうように、自民党政府のもとにおいては幾多の壁がたくさん並んでくる。資本主義社会においては破り得ない壁がある。それはやはり社会主義的な力によってこれを打破する以外にはないのではないですか。それには、しかし、私どもが基本法の関連法案で出しておりまするように、飼料需給安定法、これはここ一両日中に提案をいたしますが、飼料需給安定法の一部改正法律案あるいは、化学肥料や農薬や農機具や電力やガソリン税に対する……

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 石田君に申し上げますが、質問したことに対して答弁して下さい。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)議員 対策を考えていって、そうしてその壁を破るようにしなければならないのではないか、こういうふうに考えるのでありまして、そういう点は大野委員も御承知のはずでありまするが、一つ補足答弁をいたしておきます。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 北山議員、先ほどの、土地の所有権を捨てて共同にした実例がありますか。

北山愛郎日本社会党

○北山議員 私の申し上げたのは、たしか前回の委員会でわれわれに配付をされました「農林金融」という雑誌がございます。その雑誌の中に共同化の実例が載っております。その私の見たのが間違いであれば訂正をさせていただきますが、その「農林金融」という雑誌の中の実例をごらんになれば、その中では、土地を出資をして、そうして分配を——土地を放棄するということはないわけです。一応出資をするんです。しかし、剰余の分配の際に、その土地に対する分配はしないんだというようなことをその実例には書いてあったわけであります。そのことを申し上げたのでありまして、その「農林金融」の実例を一つよくお読みいただきたいと思うのであります。私のざっと読んだのが間違いであれば訂正をいたしますが、その例を申し上げたわけでございます。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 ただいまのようなお考え、石田議員は壁というのはこれこれだといっていろいろやられたが、私が北山議員に伺ったのは、壁というのは、あなたが出された法律案が通ってもこの壁が出るとお考えなのか、それとも、通らないで、自民党政府のが通るから壁が出るのかどうかと伺ったら、その点に対しては、あなたとは見解が違うお話があったんですよ。ですから、社会主義政権下でなければできない部分があるというお話であれば、私どもはすなおに理解ができるんです。そういう趣旨で伺ったのが、提案者の中でその問題でもどうもちぐはぐな御意見が出るのははなはだ残念で、これはどうも大学生以下じゃないか、かように私どもは思う。この意味におきまして、今のこの共同化の問題で、自分の土地の収益まで要らないといって喜んで参加する人がそういうふうな工合で一部にあるというお話でございますので、まああなたのおっしゃったことはほんとうだといたしましても、そうなると、一体、そういうことは、農業のほんとうの形において農業がよくなるのかどうかという点が、われわれの農業基本法問題の一番の出発点なのであります。しかも、石田議員の触れられた点ですが、私どもは協業組織ということは助長をいたそうとしておりますが、共同経営について私どもは非常な疑念を持っておるのでありまして、一口に共同という言葉で言われるのは迷惑であります。その点は、あなたに言われるまでもなく、そういう理解の上で質問をいたしておりますから、御心配要らない。  そこで、私がなお心配なのは、そういう工合で、今のスターリンが一九二九年に言ったことから発して、とにかく一九五四年には劉少奇が同じようないわゆる社会主義的改造の過渡形態について論じている。中共をごらんになって、中共は大へんいいところだという石田議員の視察談でございまするから、こういう形がいいとお思いになって、また日本の社会党に持ち込まれるかもしれませんので、この問題についてこういう事実がありますし、それと、いわゆる社会主義化改造に至る過渡的な形態として類例が幾つかありますので、こういう類例に対して私どもは関心を持つわけなんであります。つまり、農業と手工業の社会主義的改造の主たる過渡的形態は部分的には勤労大衆の集団的所有のもとにある合作社である、資本主義工業と商業をこれにするには国家資本主義の形態を経由する、かようなる形を劉少奇は一九五四年の大会において宣言をいたし、五五年には、国家計画委員会の主任の李富春がこれを裏づくる事柄をさらに具体的に述べておりまして、農業や手工業の面では、共同化の道を経て、小生産者の個人所有制を労働人民の集団所有制に変えること、生産力を絶えず発展させるという趣旨でこれらのことを規定しておる。工業や商業では、国家資本主義の各種の形態を経て、資本家の私的所有制を全国民所有制にするとこれを述べて、これを実行に移しておるわけであります。他国の政治が大へんいいという御視察談でありまするので、社会党が社会党政権から社会主義政権に移りましたときに、そういう事柄をお取り上げになることになりますると、私どもの一番最初の農民の土地の所有権という、いわゆる土地の所有形態に大きな変化が出て参りまするので、それらの点に対して、私どもはその問題にしぼって、今までの質問は全部私としては皆さんの真意を伺いたいと思いましたが、北山議員は、そういう事柄をすでに国民の一部では率先してやっておるから、そういう動きに注目すべきだという御発言でございまして、注目なさるのはけっこうでありまするが、社会党の主流におられて、それらのことを社会党さんがお取り上げになるのでございましょうか。

北山愛郎日本社会党

○北山議員 われわれが審議をいたしておりますのは、中国の農業政策ではなくて、日本の農業政策でございます。ですから、先ほど来再々申し上げておりますように、外国のいろいろな実例を勉強するということはけっこうでありますけれども、そっくりそのまま日本でどうだかとかいうことに、日本の今の基本法に引き直して考えるということは、おやめになったらいいだろう、私はそう思うわけであります。それで、先ほど来再々申し上げたように、いろいろな外国の例を見ましても、共同化というものは強制的にやってはいけないし、また、失敗をするんだという実例が相当あるわけであります。そういうような外国のいろいろな実例をわれわれはよく考えまして、そうしてこのわれわれの政策を作っておる。ただ、しかし、中国の場合、あるいはソ連の場合にしても、アメリカの場合にしても、いい点はいいとし、悪い点は悪いものとして、これを正しく認める。中国だからだめなんだ、ソ連だからだめなんだ、アメリカだからいいんだということに、いろいろ先入観を持ってやりますというと、日本の政治は進歩しないと思うわけであります。ですから、先ほど石田議員が言われました中国のいい点、これは自民党の方々でもまた率直に認めておられる人も相当あるわけです。また、少なくとも、いろいろな問題があろうとも、戦前の農民の姿に比べれば、農民の生活から見ても、また中国の農業生産にしても、飛躍的な発展を遂げておるこの事実だけは見なければならないと思うのであります。革命の一九四九年、あの当時においては一億一千三百万ですか、その程度の穀物生産であったものが、一昨年あたりではたしか三億トン以上になった。ことしは非常な不作でありまして、災害のために相当後退しておるようでありますけれども、そういうふうな農業発展、ソビエトにおいてもそうであります。しかも、その農民というものが、革命前におきましては、地主とかあるいは封建的な勢力のもとで、また悪い政治のもとでその生活が不安定で貧しかった。あるいは戦争のためにいじめられた。こういう農民が、現在におきましては、中国の現在の実態がはっきり示しておるように、完全な社会保障制度のもとで老後の生活は保障される、病気になっても無料で医者に見てもらえる、こういうふうないい点がたくさんあるわけです。だから、いい点はいい点としてやはり認めて、いい点はまた学んでいくという心がまえが、社会党であろうと自民党の方々であろうと、これは率直に認めていく、そして日本の政治というものを進歩させていく考え方でなければいけない。われわれも何かしら共通の点があるから、これはソ連のものだろう、これは中国のものだろう、そういうふうな間違った考え方は一つおやめになっていただきたい、こう思うわけであります。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 大へん懇切なお話でございました。そうありたいと思います。ところが、山林原野の問題に対しまして、国有林、公有林もさることでございますが、私有林の解放の問題が第八条にあるわけです。そうすると、たとえば、きのうあたりも、いわゆる土地強制収用法の道路関係の公共事業を執行するにも大へん手続に問題があるというので、この国会でそれらの修正さえも出ておるのであります。その場合に、とにかく三百万町歩からのいわゆる農用地の拡大をやるにはなかなか並み大ていのことでは——特に私有林原野に対しては問題があると思いますが、これらは社会党におかれてはどのように調整をせらるるおつもりでありますか。

北山愛郎日本社会党

○北山議員 社会党の基本法の第八条、いわゆる国有林あるいは私有、公有のものにいたしましても、調査の結果農用地に転換すべきものについては、これを買収をしたり、あるいは貸付をしたり、あるいは国有の場合においてはこれを払い下げる、私有林なんかについても利用権の設定なんかをやる、こういうのは社会党の基本法で初めて作った制度ではないのであります。現在の農地法におきましても、造林臨時措置法なりにおきましても、利用権の設定なり未開墾地の買収なり、そういう制度はあるのでありますから、そういう制度を十分活用して計画的にやっていく、こういう点がわれわれのいわゆる前進的な政策であります。問題は、社会党の基本法の中のいわゆる土地に対する考え方、この基本にありますように、私どもは、その財産を私有財産だからけしからぬから取り上げて分配するんだ、こういう考え方に基づいておるのではない。土地資源というものは、この前もお話し申し上げたように、だれが管理をしておっても公共の幸福のためにこれを最高度に利用するという義務がある。従って、おれのものだから遊ばしておいてもいいんだ、おれのものだからどんなふうにおれの方で処分してもいいんだ、こういうことは許されない。やはり、その財産権は制約を受けるのだ。従いまして、その所有者がその土地に適するような方法でどんどん活用するということは奨励されるわけであります。しかしながら、粗末に使っておったり、おれのものだからどんなことをしても勝手なのだというようなことは制限を加える。そうして、そういう考え方の基礎の上に立って、最終的には、六〇何%という山林原野の中で相当部分が十分に利用されておりませんので、その利用度を上げるという見地から、実測調査をやり、あるいは土地の分類調査をやり、あるいは利用区分というものを設定して、そしてわれわれ日本人に与えられた天与の資源というものを一つ思い切って最高度に活用しようという考え方に基づいて第八条が作られておる。こういうふうに御了承を願いたいと思います。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 天然資源の利用方法についてでありますので、原則はその通りだと思います。今の法制もそうなっております。ただ、三百万町歩というふうな量ですね。これのこなし方についての現実の問題について、帯みたいな道路でさえも非常な難関がある。まあこの問題は議論がありますから、これは対立した、実効がどうかという問題でありますから、この点はお互いの意見でございましょう。  そこで、第二十四条の農村生活の集団化というのがありますが、これは一体何をお考えでありますか。

北山愛郎日本社会党

○北山議員 その前に、今の農地拡大のことでございますが、これは、御承知のように、農地行政白書によりましても、その中に、今までの開墾のやり方、開拓の方式によって開発をしましても、二百万町歩くらいは開墾可能地があるのだ、もしも開拓方式を変えていわゆる草地開発というような新しい方式をとるならば、もっともっと開発可能地があるのだ、こういうような農林省の農地行政白書が出ておるわけであります。また、いろいろな外国人の資料、見解、また先般来農地局から配られましたいろいろな資料、こういうようなものを見ましても、三百万町歩の開発ということは、これは水田にするというようなことであればむずかしいと思います。しかし、大部分は草地でありますから、われわれは、そう無理しないでも開発ができる、また、しなければならない、こう考えておるわけであります。  それから、生活の集団化でありますが、これはごらんになればおわかりになると思うのでありますけれども、何しろ農村の衣食住の生活文化というものは非常におくれておるわけであります。ですから、現在生活改善ということで生活指導普及というものをやっておりますけれども、こんなものではだめだ、もっと積極的にやるためには、どうしても農村の住宅そのものを農業に適したような近代的な農家の住宅の様式に作り直すように助成をし、指導をしなければならないということが一つであります。それから、もう一つは、御承知のように、ところによっても違いますけれども、日本の農村はいわゆる散居方式であります。ばらばらに農家が点在をしておる。新しい開拓地におきましても、その割り当てられた耕地の中に農家を置くというような格好で、点在しておるわけです。これが生活のために非常に不便なわけであります。たとえば、最近におきましては、農村から通勤者が相当出ておりますが、パスが散在しておる農家に一軒々々寄ってその人を乗せていくのじゃないのでありますから、バスに乗ればあとは早いのですが、バスの停留所までが何十分も歩かなければならぬ、こういったようなことを毎日繰り返している。あるいはまた、農家が点在をしておるために、耕地を非常に粗末に、もっともっと利用度が高められるのに、屋敷に大事ないい土地を使っている。あるいはまた、点在しておるために、道路の密度が多過ぎる。もう少し道路を節約して、土地を農地に転換するとか、いろいろなことができるわけです。また、電灯をつげるにしても、一軒々々の農家に電線を引っぱって、結局においてはその途中の電線のロスというものは農家が負担することになる。あるいは電報や電話やその他いろいろすべての生活文化に関係したものが、この散居形式によって非常な負担といいますかロスが出ておるわけであります。従いまして、なかなか困難な問題でございますが、やはり、農村においても、百戸なり二百戸なりというふうに、生活住居をできるだけ一つの集落に集めていくという方式をとることでなければ、われわれが目標としておる都市と農村との生活文化の格差を解消するということはできないのだ、こう考えておるわけでありまして、これは外国においてもいろいろそういう問題を扱った例もありますが、日本においては、どうも、農村の住宅にしろ、あるいは今の文化的な問題にしろ、取り上げない。この際、一つ、農村のそういう生活形態というものを見直して、これを近代的なものにして、年寄りが老後を送る老人の墓場のような農村にしないで、もっと近代的な新しい農村を建設をするということは非常に大事じゃないか。しかも、今の日本の農業の実態は、どうやってもこれは家族が中心となった経営でありますから、生活と生産が結びついているわけです。生活が不合理であれば、その影響は生産に及ぶわけです。しかも、これは主として婦人の労働の過重になってきておる。こういうことを考えまして、農村の生活の基本的な形を改めて、集団化といいますか、部落に集中させていくという考え方であります。ですから、よく言われますように、食べることも食堂で一緒にやる、衣食住の消費生活を集団化するという考えではございません。しかしながら、共同化できる部面、たとえば共同洗たく場であるとか、あるいは共同炊事であるとか、できるだけ集団化をすれば、それが合理的にできるようになる。従って、それがすなわち婦人の労働を軽減するんだ、こういう考え方であります。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 最後に、提案者の北山さんは大へんじゅんじゅんと説かれて、その通りであれば一つの着想だと思います。ただ、人間性の問題で、生活の集団化という問題は、外国のいい例はとれ、悪い例は捨てろ、お説の通りですが、一九五九年の中国の人民日報にもこれらのいわゆる集団生活というものがどんな状況であるかというふうなことが記事として載るような実情でありまして、これらは、せっかく農村を大切に取り扱おうというお互いでありますから、理想に走ってあまり農民の迷惑にならぬようにしたいものだと考えます。これは私の見解ですから答弁は要りません。  それから、重要な生産手段の社会化、公有化、計画経済の実施、農業における共同化というのがあなたの方の社会党綱領に出ておるのでありますが、農村の生産手段の中で土地は最も重要なものでありますが、これらは社会主義計画経済の実現の暁においてこの通りに実行せられるものと考えますが、間違いありませんか。

北山愛郎日本社会党

○北山議員 この点は、前の委員会でも申し上げましたけれども、土地に対するいろいろの制度なりあるいは考え方、こういう考え方というものは人の頭の中にあるわけなんです。現在まで、農家の方々が、自分の耕す土地は自分がどうしても持っていなければならぬ、こう言うのは、やはり、歴史的なものがあって、昔から農民の地位が不安定である。封建時代であれば、領主が土地を持って、奴隷みたいに働かされて、その収穫の大半を持っていかれる。そういうふうな非常に不安定な状態にありましたので、やはり、農家としては、自分の生活を守るためにはどうしたって自分の土地にしがみつくという気持が、長い農民抑圧の歴史の中から生まれてきておるのだと私は思うのであります。従って、この考えがある限りは、土地の所有というものは制度としては当然残るのであって、われわれは、農業の発展のためにその所有が問題にならないといいますか、われわれの基本法の中で政策をする上においては十分尊重していく、むしろそれがプラスなんだ、こういうふうに考えておるわけであります。何しろ、人間宇宙船が飛ぶ世の中でありますから、人間がいつまでも固定した観念の中で進歩しないということはないと思うので、みんなの気持がだんだん変わってくる。そういう中で制度が変わってくるのだ、こう考えるわけで、社会党の農業政策にしろ、いろいろな政策というものは、民主主義を通じてやるという限りにおいては、やはり国民の意思というものを十分尊重してやっていく。おれの政策はいいのだと言って頭から押しつけるというようなことは、社会党は極力これを避けるという方針でいくわけであります。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 ただいままでずっといろいろ質疑をいたして参りましたが、私どもは、社会党ではいろいろやゆをされた方もありますけれども、これはお互いに真剣に農村のしあわせを求め国の繁栄を求めることには間違いないのでしょうけれども、社会主義というものは日本だけじゃないはずなんだ。いろいろな形の政党はあっても、そのイデオロギーに基づいてみんなが言っておられるに違いないのですから、それらの国々の幾つかの実例が非常に似通った部分があるならば、われわれはやはりこれを検討すべきだと思って申し上げた。しかも、その問題でも、今のような形でわれわれが採用できるかという疑問のものもある。これは、お互いの見解だから、疑問のままでお互いが対立する部分もございましょう。ただ、社会主義政権を目ざさるる諸君の政党が、その眼目である土地の所有権という問題に対して、これはまだどうなるか、みんなの気持を聞かなければわからないのだという今のお話だけは、実はわれわれとしてはまだ納得がいきません。しかし、これは、農業基本法の問題の一番根幹として土地所有制度の問題に対する論争点が中心だと思いますので、その疑問は疑問のままで、私はまだ限られた時間の中では了解ができないのでありますが、中国、ソ連の行なってきた農業改革の姿とそのテーゼがあまり似ておりますので、この事柄を繰り返して言うたのでございます。いろいろ集団生活などの着想も承れて、大いに一つ検討いたしたいと思いますが、要するに、農民の土地に対する執着というものが根幹だと思いますので、ソ連や中共のような、自発的という表現でありながら、農民を圧服してそういう改革を断行するというような、そういう独裁的なやり方は日本の国でないことを私は望んでおりますので、その点だけいまだ心配を残して、私の質疑を終わりたいと思います。      ————◇—————    〔委員長退席、大野(市)委員長代理着席〕

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員長代理 次に、農林水産業等の振興に関する件について調査を進めます。  かますの問題について質疑の通告があります。これを許します。稲富稜人君。

稲富稜人民主社会党

○稲富委員 緊急の問題、農業生産品であるかますの問題であります。  現在農村地帯の現状として相当かます生産を行なっておるわけであります。このかますには穀用かますと肥料かますとがありますが、かますの年産額について御調査ができておると思うのであります。大体年産額はどのくらいになっておりますか。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 かますの生産の最近の数字を申し上げますると、大体一年間一億一千万枚程度であります。

稲富稜人民主社会党

○稲富委員 かますの生産額は年額大体百二、三十億見当、百億をこしておると思うのでございますが、この際承りたいと思いますことは、このかますの中の穀用かますについてまず承りたいと思うのであります。政府は、最近、政令によりまして、穀用かますのほかに、硬質米に対しては紙袋及び麻袋の使用を許可するということを決定されているわけでございますが、これがかます生産者に与える影響がどういうものであるかということは十分御調査になっていると思うのでございます。その調査の結果を承りたいと思います。

須賀賢二食糧庁長官

○須賀政府委員 今回、米麦の包装に対しまして、ただいま御指摘のありましたように、硬質米につきましては麻袋、紙袋の使用も認めるようにいたしたわけでございます。これにつきましては、かます生産者に対しましていろいろ影響のあるところは十分考慮しながら処置をいたしておりますが、特に私ども配慮いたしましたのは、従来主として俵のみが米の包装に使われておりました地帯がなお広範にあるわけであります。そういう地帯は、いろいろ農業団体、また私どもの末端の検査系統におきましても、俵のみを使用させるというような指導が現実に行なわれておったわけでありますが、いろいろ末端農家の労力の関係等もありまして、できる限り簡易な経済的な包装を使うように改めるということで、従来かますをあまり使っておりません地帯にかますの使用を積極的に導入するということによりまして、がます生産地帯の生産者が直接大きな影響を受けませんように、私らとしても十分配慮しながら指導しておるわけであります。

稲富稜人民主社会党

○稲富委員 大臣に承りたいと思いますのは、パルプ業界あるいは麻袋業界におきまして従来のかますを麻袋に切りかえよう、あるいは紙袋にこれを切りかえようという運動が数年前から起こっておったということは事実なのであります。ところが、もちろんその間食糧庁においてはいろいろ検討をされたと思うのでありますが、従来、米は生きものであるから、空気の通らない紙袋等はあまりよくないんだ、こう言われておった。ところが、今回、今食糧庁長官から答弁がありましたごとく、突如として紙袋並びに麻袋を硬質米においては使用してもいい、こういう政令が決定された。ここで大臣にお尋ねしたいと思いますことは、政府は、御承知のごとく、所得の倍増を主張し、あるいは農民所得の増大だということを非常に主張されております。こういうようなすべての政策をとろうとするときに、年額百億に達する農業生産品のその生産に経済的な影響を及ぼすというこの問題をあえてとられたということに対して、政府のこの政策が妥当であるかどうかという問題であります。この点に対して農林大臣はどういうお考えを持っておるか、承りたいと思う。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 この取り扱いに関しましては非常に慎重な態度をとって今まで参りましたが、やはり、農家経済の立場から、逆に、みずから俵を作るという労力はやめて外から簡単に紙袋を買っていく方がよろしいという立場にある農村地帯の農民の方々は紙袋使用を許せという要求もあったようであります。かたがたもって、それを紙袋に詰めたときに中へ入れた米の変質というような問題がありはしないかという見地に立って、十分の研究をいたしました結果は、そういうような影響もないようでありますので、そこで、選択的にこれを認めていくということにいたしたわけであります。稲富さんの御心配のように、かます生産地帯の農家にとっては、あるいはそういうことによって影響する結果収入が減るというようなことがあってはなりませんので、この際、あわせて、従来かますの使用を認めておらない地方に対しましても積極的にかますを使ってよろしいということで、その方面に今まで認められない地方にかますの使用を認めたという点は競争になりますけれども、新しい販路と申しますか、使用地帯をも許可して調整をはかっていったわけでございます。

稲富稜人民主社会党

○稲富委員 さらに、この問題につきましては、去る三十年の三月でございますか、第二十二国会のときに、この麻袋並びに紙袋を使用するという問題は当衆議院においては農林委員会の同意を得るんだということを政府はその当時言明いたしております。その後当農林委員会でどういうような同意を得られたのか、その点の政府のとられた処置を承りたいと思います。

須賀賢二食糧庁長官

○須賀政府委員 麻袋、紙袋の使用は、特にかます生産地帯に相当の影響が予想されますので、ただいま御指摘がありましたように、この問題は長年にわたりまして国会でもいろいろ御論議があった点でございます。それで、かます、俵以外の容器を使用する場合は国会の了解を得てからそういう措置をとるようにという御決議が当院にございました。私どももその趣旨でやって参りました。前国会に衆参両院ともこの問題を取り上げられまして、直接の動機は建議に基づいて処理をしたものでございます。特に、最近共同乾燥調製施設等が普及をして参りまして、俵、かます以外の容器を使いたいという要求が相当多くの農業団体から出て参っておったのであります。その建議を御処理なさいます委員会におきまして、今日の段階においては、俵、かます以外の容器の使用も認めるべきであるという趣旨で御採択になった。それによりましてこういうことになったわけであります。

稲富稜人民主社会党

○稲富委員 農林委員会は同意していないと言っておりますよ。これは、今食糧庁長官の話からいきますと、そういう建議があったからそれに基づいてやったとおっしゃいますが、農林委員会では正式に同意はしていないのだというお話であります。いろいろの報告書を見ますと、参議院の方では農林委員会等でいろいろお諮りになって、しばしば意見を聞かれておるようでございますが、私の聞くところによりますと、衆議院の方ではあまり同意を受けるようなことをやっておらない。この点非常に衆議院及び参議院に対する取り扱い方が不公平ではないかと思うわけです。この点は、今長官は、衆議院の同意は建議によって得たとおっしゃるのですが、その点はどういうような状態でございますか。その当時の農林委員はそういう同意を与えていないと言っているのです。

須賀賢二食糧庁長官

○須賀政府委員 前国会におきまして請願の採択があったわけであります。今それの記録を調べておりますから……。

稲富稜人民主社会党

○稲富委員 それでは、さらにお尋ねしたいことは、請願の採択でやったと逃げておられますが、請願の採択でこういう重大な問題を決定するということは、これは非常に軽率ではないかと思う。請願においてそういう問題が採択されるとしても、委員会として、あらゆる角度から検討して、これが及ぼす影響等は十分検討する必要があると私は思う。特に私がここで申し上げたいと思いますのは、しばしばこれが論議されますときに、このかますの生産地帯というものは他に十分な副業がないので、有力なる農村の副業なんです。それで、このかますが麻袋あるいは紙袋に変わるということになりますと、農村副業に大きな影響を及ぼすので、実は、その当時から、政府においては、そういう地方には相当の副業を何とか一つ考えて、かますにかわる副業ができるまではかますを使用するようにするのだということもその当時から大臣は言われておった。この副業対策に対して、いわゆるかます生産地帯の副業対策に対して何らかの手を打たれたか、また、どういうような構想を持っておられるのか、将来何とかかます生産地に対する副業等を考慮の中に入れられておるのか、その点一つ承っておきたいと思います。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 副業の問題は非常に要望される問題でございますけれども、実際に具体的な問題といたしますと、なかなかむずかしい問題でございます。農林省におきましても副業対策というものは前々からいろいろやって参っておるのでございますが、なかなか目新しく農民にもぴんと来、経済的にも非常に有利なものというのはなかなかないわけでございまして、現在の副業対策といたしましては、副業品の販売あっせんであるとか、あるいはそれの品評会であるとか、そういうふうなものを中心にいたしてやって参っておるのでございますが、三十六年度から、新たに、主要な地帯につきまして、副業のためのいろいろ経済的なあるいは自然的な立地条件というようなものも基礎に置きまして、そういう地帯においてどういう副業を持っていったらいいかというようなことを調査して、そうして今後の副業の指針にしよう、こういうようなことで新しく予算も決定いたしておりまして、そういう考え方で進めていきたいというふうに考えておるわけであります。具体的にこれこれの地帯についてかますにかわるものとしてどうこうというような形で考えておりませんけれども、全体の問題としてはそういう考え方で進めております。

稲富稜人民主社会党

○稲富委員 それから、かますの検査の問題になりますが、これは、先般来、御承知の通り、国営検査と県営検査とありまして、国の方から通達をされまして、生産地においては非常に大恐慌を来たしました。この検査に対して将来一元化するということが必要ではないかと思うのでありますが、これに対して将来どういうような考え方を持っていらっしゃるか、この機会に明らかにしておいていただきたいと思うのであります。

須賀賢二食糧庁長官

○須賀政府委員 特に福岡等のかますの主要生産地帯におきましては、現在国営検査でなくて実は県条例に基づく検査が行なわれておるわけであります。これは、今後の問題といたしましては、できる限り検査の一元化をはかることが望ましいという考え方でございますが、現地の事情その他もありまして、直ちにその方向に持っていくということも多少その間いろいろ問題があるかと思っております。しかしながら、そのために実際のかますの取引なりまた流通にいろいろ支障を来たしては困りますので、先般、福岡県のかますにつきまして、その間の調整をしてもらいたいという希望が現地から強く出されたおけでございます。それで、私どもの方では、とりあえず、今年の問題としては、県条例に基づいて検査をいたしておりまするかますは、これを使用する側でそのまま使用できるという形に改めまして、当面支障のないように指導いたしております。ただ、検査の一元化の問題は後日の問題として残っておりますけれども、県当局とも十分相談をいたしまして、できるだけ早い機会に、もっと根本的な調整ができますようにいたしたいと思っております。

稲富稜人民主社会党

○稲富委員 くどいようでございますが、来年度においては、一元化がまだ達せられぬ場合は、本年と同じように県営検査といえども生産地に影響しないような取り扱い方をするという意味だ、こう解釈して差しつかえないのでありますか。

須賀賢二食糧庁長官

○須賀政府委員 さしあたりそういう方向をとっていく以外にないと思います。

稲富稜人民主社会党

○稲富委員 次に承りたいと思いますことは、これは肥料かますでございますが、最近ある商社が肥料かますを朝鮮から輸入する、こういう計画が出ておりまして、これがかますの生産地にもまた非常に大きな不安を投げかけて、ひいてはこれがかますの生産地の将来の生産にいろいろな影響を及ぼしている、こういう事実があるのでございます。こういうことに対して、政府としていかなる考え方を持っておられるのであるか。将来、ただいま申し上げましたような朝鮮かます等を輸入する、こういうような計画があるのであるか、承りたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 お話のように、そういう希望を持って話があったことは事実であります。ことに、これは、韓国におきまして、肥料代金の決済をするのに困るから、肥料代の範囲でかますを入れさせぬかという話がありました。しかし、内地における肥料かますの生産者の立場もありますので、内地のかますの需給関係をよく考えて慎重に考慮すべきものとただいま考えております。

稲富稜人民主社会党

○稲富委員 かますの問題で最後に承っておきたいと思いますことは、どうも、最近、かますの問題に対しましては、ただいま申し上げますように、紙袋、麻袋を使用していいというような政令が出る、こういうようなことから、非常に不安の中にかえって生産が鈍るというような傾向があるわけなんです。これは農民に対しては決して親切なゆえんじゃないと思うのでありますので、やはり将来のかます対策というものを考慮しなければいけないと思う。先刻大臣の言われるように、従来俵を使っておった地帯にかますを使用していいということになりますと、その辺の販路というものを十分拡張するということによって、生産地のかます生産が鈍らないような方法を講じていただきたい。さらに、麻袋を使用していいということになっておりますが、麻袋は非常に価格の変動が大きいので、こういうものに対しましても、やはり懇切なる指導を持っておりませんと、ただ麻袋がいいのだ、こうなりますと、麻袋がみんなよいといって、かますの生産が鈍りますと、やむなく今度は高価な麻袋を使わなければいけないという問題が起こってくると思う。ここにも問題があるわけなんです。  さらに、紙袋の問題は、これはあなたの方で研究なさって、硬質米には影響ないのだ、軟質米には悪いのだ、こういう結論が出ているのでございますが、この点は実におかしいと思うのです。米というものは生きものであるので、軟質米に悪影響を及ぼすのに硬質米に悪影響を及ぼさないというような解釈自体、私たちどうもふに落ちないのです。こういう点、どういうような角度からそういう結論を出されたのかわからない。私たち、そういうことを考えますときに、軟質米は悪いけれども硬質米はよいから紙袋を使えと言われると、パルプ業者の運動が効を奏したという感じが農民の中に出てきて、これは実におもしろくないことだと思うのです。こういうことに対しては、やはり、政府としての確たる方針を立てて、そうして、かますの生産を鈍らせないように、かますが従来俵を使っておった方にはけていくような問題、麻袋はこういう影響がある、紙袋はこういう問題があるという的確な方針を樹立して、生産する者が不安のないようにしなければいけないと思う。不安の中に生産すると生産が鈍る。生産が鈍りますと、結局かますが足りないからほかのものを使用するということになっていくわけであります。こういうことに対して的確なる方針を立てることが必要であるということ。  さらに、ただいま申しました韓国産の肥料かますにつきましても、これは日本の農業経済に及ぼす影響が非常に大きいから、政府としては考慮して、軽々しくそういう取り扱いをやらないという方針を樹立せられて、生産者の生産に安心を与える態勢をとることが必要である、こう思うのでありますが、これに対する考えを承りたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 ただいまお答えを申し上げましたように、韓国産のかますの輸入に関しましては、内地におけるかます生産者、ことに農業者の立場を考えて、この取り扱いを慎重に研究いたしたいと思っております。  それから、全般的に見て、今後における包装を何にするかということに対しては、これは、米麦の入れたものにしても、あるいは肥料の入れたものにしても、今後かますをどういうふうに指導していくかということについて、全体的、総合的に計画を立てて研究して示せということについては、私も全く同感でありまして、よく研究させて、そういう方向に向けていきたいと思います。

稲富稜人民主社会党

○稲富委員 最後に、食糧庁長官も見えておりますので、この際、かますの問題とは別でありますが、承っておきたいと思いますのは、穀物検査の刺し米であります。刺し米の帰属について従来いろいろ問題があったと思うのでありますが、これに対してどういうふうに解釈をされているか、承りたいと思います。

須賀賢二食糧庁長官

○須賀政府委員 刺し米は、私どもの取り扱いの原則としましては、これはもとの俵へ刺し戻すという建前でやっております。ただ、現地の事情によりましてそういう扱いができない場合、たとえば新潟県の例でありますが、これは、出荷の時期に大量に殺到いたしまして、それから、新潟では検査をいたします場所等の関係もございまして、業務的に一時に全部戻すことが事実上困難な場合、それで、昨年から、新潟県の場合、刺し米相当分のものをあらかじめよけい入れてもらいまして、刺し米として抜きましたものは生産者団体に返すという扱いに変えたわけであります。そういうことで現実にやっております。そういう特殊の扱いをきめました場合のほかは、原則としてもとの俵へ戻すという方針で処理をしております。

稲富稜人民主社会党

○稲富委員 刺し米は大体政府のものだというような解釈をなさっているわけではございませんか。今回は三月三十一日に千百六十五号通達が出されておりますが、これは原則として政府のものだ、しかしながら、できるだけ農民に返した方がよい、こういう考え方じゃないですか、政府の考え方は。

須賀賢二食糧庁長官

○須賀政府委員 俵の中から、検査のときに、御承知のようにそれを刺しで取りまして、それを材料として検査をするわけであります。従いまして、それはそのままもとへ返しまして、その返ったものを一体として米として私どもは買い入れておるという形になっております。従いまして、それをもとに戻しまして、もとへ戻したものをそのまま政府が買っておるわけでございますから、そういう意味においては、それも入りましたもので政府に帰属しておるわけです。ただ、新潟の場合のごときは、刺し米としてそれを抜いたものは、それは生産者に返すということを初めから取りきめまして、それを返しても残りの正味が実際は六十キロを切らないように、初めから調製をしていただきたいということにしておるわけでございます。

稲富稜人民主社会党

○稲富委員 それはこういうことではございませんか。刺し米は六十キロを下らないような刺し米を取る、そうしてこれは政府に帰属するんだ、しかし、原則は農民に返さなくちゃいけないが、農民の了解を得れば、これは産米改良その他に使うような方向に持っていってもいい、政府の考え方はこういうような考え方じゃないですか。

須賀賢二食糧庁長官

○須賀政府委員 繰り返し申し上げますように、刺し米はもとの俵へ返すのが原則でありますということにしてあるわけです。従いまして、刺し米が刺し米として独立に別に処理をされるということは、先ほど申し上げました新潟のような例外的な場合を除きますと、刺し米だけが独立に処理されるということは、これは原則としてないわけです。

稲富稜人民主社会党

○稲富委員 それでは、私汽車の時間がありまして時間がありませんので、ただ大臣に最後に一言お尋ねしておきたい。私たちが政府に対して長い間要望しておる問題は、農業災害補償法の改正問題があるのでありまして、政府も、この農業災害補償法の抜本的改正をやるということについては、すでに昨年の春ごろからこれに対する協議会等を作って、すでに小委員会等の案もできておると聞いております。地方の組合員の中には、この農業災害補償法の抜本的改正が行なわれるんだといいながら、そういう理由で困難な運営を実は預かってきておるわけなんですが、すでに国会の会期も半ばを越すにもかかわらず、今日まで農業災害補償法の改正案が国会に提出されないということは、私たち最も遺憾に思っておるのでございますが、はたして政府は今国会においてこの補償法の改正をやる御意思があるのであるかどうか、さらにまた、もしもあるとするならば、いつごろこの法律の提出を国会になされるつもりであるか、この点を一つこの際承っておきたいと思うのであります。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 御意見はごもっともでありますが、いろいろな事情でおくれておりますことを遺憾といたします。最近大体法制局の審議を終わりますので、近く最後案が決定しますれば国会に提出いたしたいと思っております。

稲富稜人民主社会党

○稲富委員 ただ、この機会に申し上げたいことは、実は、私も農業災害の問題につきましては共済の県の連合会長を預かっておるのでありますが、御承知のごとく、現在の農協共済は解散せよという意見さえも全国的にあるわけなんです。われわれは、それを収拾する上においては、これは政府が抜本的改正を今回の国会でやるんだからということで、私たちは今日まで不平を食いとめてきているのです。もしもこの際改正案が出ない、こういうことになりましたならば、おそらく、私は、地方におきましては、農業共済事業というものは停滞してしまうだろうと思うのです。停滞して、あるいは解散も出てくるでございましょう。そういう後にいかなるいい法案ができましても、これがもとに復することはなかなか困難だと私は思うのです。こういう点から申し上げましても、この農業災害補償法の改正に対しては、政府はもっと熱意を持って当たってもらわなければいけないのじゃないかと私思うのでございます。最近、新聞等を見ますと、盛んに、農林大臣等は、この農業基本法は本国会で成立さすんだというような、そういうことに対して非常に強がりを言っていらっしゃるけれども、今日農村で一番問題としている農業災害補償法を、今日といえども国会に提出しないということは政府の非常な怠慢だと思う。聞くところによりますと、与党との折衝にひまどっておるということも聞くのでございますが、少なくともこれは最近に思い出されたことじゃなく、すでに数年前から計画されておって、ことに昨年の春から抜本的改正があるということで具体的な作文に移られておると思うのです。それを、いまだもって、何とか近いうちにやりますというようなことでは、私は、農民はますます疑惑の中に農業災害の問題を考えると思うのであります。これに対しては、ほんとうに政府は今国会に提出してほんとうに今国会でこれを通過せしめ改正をするんだ、こういう熱意があるならば、そのあるところをこの際伺わしてもらっておきませんと、非常に農民は不安に思っております。現に、私たちなんか、これがために各連合会の総会も開かれないでおるというのが、おそらく全国の各団体の実情だと思うのでございますので、これに対してはっきり政府の所信のあるところを国民に明らかにするという意味で、一つ明らかにしていただきたいと思うのであります。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 御意見、ごもっともでありますが、いろいろな事情でおくれておりますことはまことに恐縮でありますが、来週の中ごろまでには法制局が済みますので、国会に提出し、審議をわずらわして、今国会において成立をさしていただきたいと思います。内容につきましては相当農家の今までの要望をいれてございますので、抜本とおっしゃいますが、バッポくらいのところで……。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 関連。  この問題は、大臣も御承知のように、私も社会党から選ばれて、小委員として、足鹿君と、昨年の夏の暑い期間も、われわれは休会中も真剣に取っ組んで、御承知のように答申された協議会案が出たわけでありますが、この過程にいろいろ問題点が出てきたわけです。そこで、この問題は、時間もないし、あと芳賀君が大豆問題があるそうですから、来週にこの問題は取り上げて、協議会案に対するその後の経過、それから、今まで局長通牒を出して押えておる問題、こういうような問題を政府に御質問申し上げますから、一つ十分御準備を願って万遺漏なきを期せられたいということを関連して特に要望しておきます。

稲富稜人民主社会党

○稲富委員 私まだ質問がありますが、次の機会に譲りたいと思います。     —————————————

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員長代理 次に、大豆価格の問題について質疑の通告があります。これを許します。芳賀貢君。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 農林大臣にお伺いしますが、実は、昨日の委員会において、三十五年産の大豆価格について政府委員に所信をただしたわけでありますが、食糧庁長官では明らかな答弁をすることができない事態になったのであります。従いまして、本日は大臣から直接具体的な方針を明らかにしてもらいたい、そういうことですからして、数点にわたってお尋ねいたします。  まず第一の点は、大豆の価格問題については、昨年の通常国会以来、福田農林大臣、さらに南條農林大臣、現在周東農林大臣の三大臣が、それぞれ、国会において、三十五年産大豆については、貿易自由化を進める関係上、大豆の自由化が実行された場合は非常に国産大豆に価格的な影響を与えるので、この影響を遮断するために、国産大豆については、農家の庭先手取価格三千二百円でこれを支持するようにする、そういう言明が行なわれてきまして、われわれもそれを最低の支持価格として信頼しておったのでありますが、すでに三十六年度の予算も成立しまして、三十五年の大豆については法律的な根拠を用いないで予算措置でこれを行なうということが明らかになっておるので、それでは、どのような具体的な内容で庭先価格三千二百円を農家に保障するのか、この点が明らかになればいいわけでありますが、大臣の明快な御説明をお願いいたします。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 農家に対して保障をすると申しますか、補いまする価格は、農家手取り三千二百円、こういうことを前大臣もその前の大臣も答弁いたしておることはお話の通りであります。ただ、その手取りということの意味がいろいろにとられましたことは遺憾でありますが、農安法等の規定から考えると、これはやはり、農家が生産しました大豆を選別し、俵に入れて農協等の倉庫に持ってくる、そこで渡す価格ということになっておるのが従来からの考え方であり、取り扱いのようであります。それが大体庭先で裸で三千二百円というふうにとられておりますが、従来からの取り扱いがそういうふうになっており、大体農業団体の方でもそういうようなことを了承しておるように聞いております。  もう一ぺん繰り返しますと、農家の生産したる大豆を選別し、俵に詰めて農協等において受け取る、そこで渡す価格が三千二百円、こういうふうになっているわけであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 そこで、だめ押しをするようでありますが、国会におきましては、三十五年二月二十四日の当農林委員会において、わが党の松浦委員から福田農林大臣に対してこの問題の質問を行なっておるわけです。このとき初めて、貿易自由化の問題に関連して、大豆価格については庭先三千二百円で全量買い上げをするということを福田農林大臣が言明しておるわけです。その次には、三十五年九月二日の農林委員会において、南條農林大臣から、私の質問に答えて、やはり同様の趣旨の言明が行なわれたわけであります。なお、これに補足して須賀食糧庁長官から、三千二百円の庭渡し価格で政府が全量買い上げをする場合においては、現在の農産物価格安定法ではこれを適用することは不可能である、従って、これを実行するためには農産物価格安定法によらないで、それ以外の法的措置を講じてこれを実行しますという事務当局からの補足的な言明が行なわれたわけであります。その次には、今年になりまして、三十六年二月二十二日に、周東農林大臣から、当委員会における私の質問に答えられて、前両大臣と同様の趣旨の答弁が行なわれたわけであります。さらに、三十六年三月二日には、予算委員会の第三分科会において、わが党の永井勝次郎委員から三十五年産大豆の取り扱いについて農林大臣に対して質問が行なわれたわけでありますが、このときの答弁の中で、周東農林大臣が非常に親切丁寧に具体的な方針を示されておるわけであります。この答弁の内容によりますと、大豆の買い取り方針については、農家の庭先裸価格とは言っておりませんが、生産者が現地の農協倉庫の前あるいは食糧検査所の前に生産物を搬出しまして、いわゆる庫前検査を行なって、これは検査法にあるのですが、そのとき検査をして、農協、業者に売り渡す、そういう状態で、これはいわゆる従来の取引慣行による荷姿によって、包装規格によって庭先三千二百円とする、こういう大臣からの御答弁がありまして、なお、事務当局からは、須賀長官並びにさらに村田第二部長から、その取引の様相というものは、農産物検査規格の別表第一の規格によるいわゆる素俵の検査、これが国営検査による生産地の生産検査の状態であるので、この姿をもって農家の庭先手取り価格三千二百円とする、こういうしさいな説明が行なわれて、これで大豆の取り扱いはこの方針でいくということがはっきりしたわけなんです。(「それでいい」と呼ぶ者あり)それでいけばいいのですが、昨日の質疑応答によりますと、大臣ははっきりしたことを言っておるのですが、あなたの部下の役人諸君の間ではそれと違ったことが計画されておるわけです。これは非常にけしからぬことであると思いますので、実はわざわざ周東大臣の答弁をわずらわす問題ではないわけですが、この際、手取り三千二百円というのは、裸といえばなおけっこうでありますが、農家が生産して、それをいわゆる農産物検査法に基づく生産検査を受ける状態で検査を受けたもの、それを庭先手取り価格三千二百円ということで実行する、こういうことを明らかにしていただいて、それを基本にしてすみやかに——大体全販連が調整保管しておるという説明もありましたが、その分に対して適用さるべきであると思いますが、この際その方針を明確にしてもらいたい。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 いろいろ経過の御指摘がございましたが、この前予算の分科会でお答えをいたしました事務当局の説明にやや実際上の形と違ったことがありましたことはここでおわびをいたします。主要農産物の法の規定する受け渡し関係の実際は、大豆におきましては、大体生産したものを選別し二重包装に入れて倉庫において受け渡しをするのが実情でございます。それによりまして、その際三千二百円を渡すということであります。従って、庭先だとか素俵だとかいろいろな問題が今まで出まして、少し混乱をしておるような状態で、御迷惑をかけたことはまことに恐縮でありますが、実際上の取り扱いはそのことが正しいのでありますので、そういう形において買い上げ、それに対して補給金を出す、こういう形でございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 そういたしますと、大臣の言明されたことが正確であって、昨日食糧庁長官の説明した内容は間違いであった、それを取り消しておわびをする、そういうことなんですか。

須賀賢二食糧庁長官

○須賀政府委員 ただいま大臣から御説明のありましたことと、私から昨日申しましたことと実は同様の御説明をやっておるわけでございまして、私が昨日申し上げた通りでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それでは、いつ政府委員が言ったのが間違っておったのか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 それは、私が申し上げたのは、この前の予算分科会において、部長が、裸で庭先で、こういう話をたしかしたと思います。私は、実際の動きをよくそのときは知っておりませんので、部長が申したことがその通りであろうという答弁をいたしておるわけでありますが、実際上の取り扱いは、ただいま申しましたように、生産した大豆を選別し、そうして二重包装に入れて受け渡しをするということが実際の動きであるようでありますので、その実際に合わしていくのがよろしい。その行き方は大体農業団体の方でも十分了承をしてくれているわけであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 今言われたのは三月二日の分科会における村田第二部長だと思いますが、裸ということは言ってない。大臣の言われたと同じことを言っている。農家が生産した収穫物を一定の規格に達するように選別して、検査規格に指示された包装、荷作りにして、いわゆる生産検査というわけですが、それを食糧事務所あるいは出張所に持ち込みまして、そこで検査を受けて農協の倉庫あるいは業者の倉庫に収納する、大臣の言われたこと通りに村田部長は言っておるわけです。ですから、間違いないわけです。今大臣の言われたこともそうですね。どの点が間違っているのか、別にあやまっていただく必要はないのです。

須賀賢二食糧庁長官

○須賀政府委員 前回、予算分科会の際に、私どもの第二部長がこの問題につきまして御答弁をいたしたわけでございますが、北海道の大豆の取引は、内地の場合と違いまして、非常に複雑な取引の形をとっておるわけです。その点につきまして十分実態をつかまないで答弁された点があるわけでございます。それで、結論的に申し上げますと、前回予算分科会で御説明申し上げました点が実際の扱いと食い違っておるわけでございまして、その後しさいに検討いたしました結果、昨日私から繰り返し御説明申し上げましたような扱いとならざるを得ないわけでございます。前回分科会で申し上げました点と昨日私から御説明いたしました点が食い違っております点は、昨日の説明でその点修正をさせていただきたいと思うのであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 食糧庁長官の答弁や説明が間違っておったということであれば、これは閣議でみな了承するわけです。従来の三大臣の言明、あるいは昨年南條農林大臣の言明を補佐した須賀食糧庁長官の補充的な言明、あるいは分科会において周東農林大臣の言明を補足した村田第二部長の説明、これはもう首尾一貫しておるわけです。これは間違いないのですよ。ただ、昨日の食糧庁長官の答弁は、生産者が農産物検査法に基づきあるいは都道府県の条例検査規定に基づいて生産検査を行なったものを農協あるいは雑穀業者に売り渡して、それらの業者がさらにそれを解装して、選別も改め、あるいは包装、荷作りも改めて、今度は生産検査の規格でない規格に合う状態で検査を受けた、その姿を庭先価格とするということになったので、それはおかしいじゃないか、従来の政府の方針と違うじゃないかということできのう議論したのですが、一事務当局の説明じゃこれはわれわれとしては受け取るわけにはいかない。ですから、これは、農林大臣、三人も農林大臣がかわって、一緒のことを言っているわけです。池田内閣になってからも南條農林大臣と周東農林大臣がこのことを明確に言っておるわけです。一役人の長官がときどき言うことを取りかえるくらいのことは大目に見ることができるが、しかし、時の政府の農政を担当する主管大臣が言うことに間違いはないと思う。あなただけに私は信頼をしておる。これは金額の問題じゃないですよ。素俵と本作りを置きかえれば、庭先価格は百五十円ないし百七十円安くなるわけです。木作りから逆算していけば、庭先価格というものは大体三千三十円ないし三千五十円ということになって、これは政府の趣旨に反するということになる。ここに重大な問題があるわけであって、この点を明らかにしてもらいたいと思います。今までの歴代の大臣の言ったことが単なる宣伝のために放言しただけであって、実際やるときには豹変して安い値段で買い取る方針であるのならば、それでもいいですよ。今の政府がそういうことを考えているのなら。ともかく事態を明らかにしてもらわなければ困るわけです。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 その点は、先ほど申し上げた通りでありまして、農家が生産したる大豆を選別をして、そして二重包装にして、農業倉庫等に出して、そこで受け取る、こういう価格で、その際三千二百円払う、こういうことです。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それであればよいのです。ですから、検査ということになれば、これは農産物検査法の規定による国の検査を受けなければならぬということになって、その検査法を基礎にして、たとえば北海道あるいは内地の都道府県等においても、その道条例あるいは県条例をもって検査規格というものが設けられておるわけです。米等においてはその一とか二の規格というものはないのです。ただ、雑穀に関しましては、生産者が包装、荷作りをして検査を受ける荷姿と、今度は業者がそれを遠方へ運んで、たとえば北海道から津軽海峡を越えて東京とかあるいは大阪とか、そういう地域の消費地帯に運ぶためには、包装をさらに綿密にしなければならぬ。あるいは二重包装にするとか、商品価値を高めるために、素俵の場合の等級規格と木作りにした場合の等級規格が、同じ二等を基準とする場合には、素俵の二等検の内容と本作りの二等検の内容とは内容が違うのです。整粒歩どまりというものは違うのです。ですから、大臣が言われた通り、生産者が自分の収穫物を自分で選別、調製して、そして規定に基づく包装、荷作りをいたしまして、規定に基づいて食糧検査所の前あるいは指定された農業倉庫の庫前において食糧庁のいわゆる係官の検査を受けて、そこで二等検であるとか三等検であるという認証をもらって、それで初めて販売ができるということになる。ですから、その姿、その段階のものをいわゆる庭先価格とするということは大臣の言われた通りで、これはわれわれとして十分了承できるわけなんです。食糧庁長官の昨日言ったことは、それをさらにまた荷作りを全部解体して、そうして今度は選別機械にかけて厳重なる選別——別の規格に基づいた選別、調製を行なって、そうしていわゆる別の規格による包装、荷作りを行なって、さらに検査を受ける。それは、北海道であれば、北海道外に出す場合にはそういう検査を受けなければならぬということになっておるわけです。ですから、その受ける検査というものは、いわゆる通例言うところの生産検査とは違う意味なわけです。ですから、これではつじつまが合わぬじゃないか、単に生産者価格を安く支持するための三百代言的なインチキじゃないかということを私は繰り返して指摘したのですが、それで問題が解決するわけじゃないですからして、今大臣の言ったことがほんとうであるとするならば、食糧庁長官に厳命して、その状態で庭先価格をきめるということをあなたが指示してもらえば、一挙にこの問題は解決すると思うのです。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 私が先ほど申し上げたのはその通りでございまして、繰り返して申しますが、生産者が生産したものを選別して、そうして二重包装にして農業倉庫に出す……

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 二重包装なんて書いてないですよ。検査法に二重包装なんてことは……。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 農林省告示第九七四号というのがあるのでありまして、これは、農林大臣福田赳夫として、三十四年十一月十一日に出ております。その中に、一号、二号とありまして、その中の(イ)、「この表の価格は、かます入二重包装正味」何々と書いてある。「この表の価格は、かます入二重包装正味六〇キログラムのものの価格であって、中味の価格は」云々、こういうことになっておりまして、これは農産物規格規程というものによっております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それは、長官、大臣に教える場合はすべてを教えぬといかぬです。それは規格の何を言っておるわけですか。生産検査を受ける状態というものはどういうものであるかとか、いわゆる本作り検査をする規格はどういうものであるということを一応御進講申し上げて、それから大臣にそういうものを読み上げさせぬければ。この大豆の検査規格は、検査法の別表には規格その一と規格その二と両様あるわけなんです。特に北海道においては、北海道の検査条例というものがありまして、農家が生産したこれらの指定主要農産物を販売しあるいは加工委託する場合においてはまず第一に規格一の生産検査を受けなければならないということが、これはその条例に明らかに示されておるわけです。ですから、北海道においては、もう全農家が必ず規格第一の生産検査を受けなければ、これは処罰されるわけです。あるいは農協とか集荷業者は庫前検査の指定の取り消しをされるというように罰則規定の適用があるわけなんです。今大臣がお読みになったのは、規格その二だけをお読みになったのであって、これは北海道においては全面的に生産者は適用されないその規格のことであります。ただ内地府県においては、長野県だけに限っては、規格二の検査を生産者が受けるという実績を今まで示しておりますが、特にその生産地であり、今回の五万トン対象になっておる全販連が手持ちしておる大豆というものは、その五万トンの九八%が北海道で生産された大豆であるということを考えた場合、この北海道の大豆というのは、全部規格一の生産検査を受けて農協に販売し、あるいは雑穀業者に販売し、あるいは共販等によって委託加工する。全部規格一の検査を通過しておるものであるからして、大臣の言われた、生産者が選別し、包装荷作りした状態ということになれば、もちろん別表の規格一の検査のその規格の状態で、これをもっていわゆる庭先価格とするというのは、これは妥当である、そういうことを私は申し上げておるわけです。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 よく調査いたしまして、次の機会に私積極的に答弁をいたしたいと思います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 そうであれば、きょうは無理な質問を続ける意思はありませんが、この際申し上げておきたいことは、農林大臣のあなたがほんとうに農政を憂えて農民のためをお考えになっても、このあなたの下におる、たとえば食糧庁長官であるとか各局長がほんとうにあなたの意を体しないで、事務屋のいわゆるどういう考えか、私も役人の経験がないからわかりませんが、思わざる事態を招くような仕事をする場合があるわけであります。まあ、その根拠というものは、できるだけ理屈をでっち上げて、たとえば庭先三千二百円をほんとうに支払わなければならぬような場合も、素俵を木作りということにすれば三千五十円で間に合う、それならば国の負担は少なくなるということになりますが、そういう意味で価格安定政策というものは進められておるべきものじゃないと思うのであります。    〔大野(市)委員長代理退席、小山委員長代理着席〕 特に大臣がこの国民の総意を反映する場である国会において責任を持って言明したことが、事務当局において歪曲されるような事態が、全部ではないが、ときどきあるわけであります。間々あるわけです。そういうものをうまくやった役人が、それが糸口になって昇進が早いということもわれわれは聞いておるのですが、これはまことにけしからぬことであります。そういうことが出世主義の近道であるとするならば、これはわれわれとして厳重にその根源を断つ努力をする必要があると思うのですが、特に周東農林大臣はこの農林省においても大先輩と言われる人格者であるからして、最近の農林省のそういう間違った風潮があるということを私は参考までに申し上げておきますが、十分大先輩としてみんなを総攪されて、そういう間違いのない、伝統的ないわゆる農林官僚の筋の通った精神がまた復興するように、一つがんばってもらいたいと思いますが、いかがですか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 農林省の役人がみんな御指摘のようなことをやっておるとも思いませんけれども、これはやはり農村のことを考えていろいろやっております。それが今までの実情であると思いますが、いろいろ今お話しの点につきましては、私もよくわからぬ点がありますから、よく調査の上答弁をいたしたいと思います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それでは、ただいま大臣のお話しの通り、大臣において十分責任を持って事態をきわめていただいて、次の機会に責任のある方針を当委員会に示していただきたい、そういうことを申し上げまして、本日はこれで保留さしていただきます。      ————◇—————

小山長規自由民主党

○小山委員長代理 次に、農業災害に関する件について調査を進めます。  東北、北陸地方における農林水産関係の雪害対策の措置について政府からその説明を聴取することにいたします。周東農林大臣。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 ただいまの東北、北陸に関する雪害対策の問題につきましては、皆様の御希望もあり、ことに積雪地帯における実情は非常にお気の毒な状態でありまして、従って、今日まで農業災害あるいは林業災害、果樹災害等全部調査をいたしました結果、総額において十七億何がしになります。これは従来としては天災融資法の発動にならない額でありますけれども、しかし、そういう問題は額にこだわるべきでなくて、現地の実情をよく見きわめまして、非常な気の毒な状況にありますので、天災融資法の発動をいたすことに決定をいたし、近くその発動をいたさせたいと思うのであります。

小山長規自由民主党

○小山委員長代理 ただいまの政府の説明に対し質疑があればこれを許します。  別に質疑もないようでありますから、本日はこれにて散会いたします。  次の開会日は公報をもってお知らせいたします。    午後五時三十九分散会

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