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38回国会衆議院1961/04/12

農林水産委員会 第28号

発言数
255
登壇者
16
会派数
3
開催日
1961/04/12

会議録

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 これより会議を開きます。  農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。  この際、飼料問題について政府に説明を求めます。周東農林大臣。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 最近、飼料の需給関係からいたしまして、飼料の値上がりがありました。これに対してどういう措置をとるべきかということについて研究いたしました結果、この委員会でも申し上げたかと思いますが、緊急対策として、さしあたり、ふすまの増産、また、ふすまの輸入、大麦・はだか麦の飼料化に対する問題、大豆かすの売却、その他の植物油かすに関する処置、フィッシュ・ミールに対する処置、飼料用脱脂粉乳に対する処置等について案を立てました。  ことに、ふすまの増産に対しましては、三、四月の計画といたしまして大体八万八千トンの増産の計画を立て、専管小麦の分の中で五万四千トン、一般の増産について三万四千トン、合計八万八千トンの計画を立て、これらの増産をいたしますについて、工場については、従来六十六工場が指定されておりましたのを百二十工場にふやして実施するという形をとったのであります。そのうち、今日まで着手実施に移りましたのが、大体合計いたしまして四万トンでありました。進捗率は四六%であります。なお、そのあとの五四%であります分は、四月中旬ないし下旬において残余を遂行いたす計画になっております。今日まで実施に移りました四万トンの内訳は、専管小麦について二万九千トン、増産一万一千トン、こういう形になっております。それから、工場の増加につきましては、四月二十四日大体増加する工場が指定されることでありまして、今後の動きになって参ると思います。  次に、輸入ふすまにつきまして、三月、四月の計画は大体四万トンであります。そのうち実施に移しましたのが二万一千トンでありました。約五三%に当たっておりますが、残りの分が四月中旬までに二万トン実施されるものと思います。これらの実施に移りました二万一千トンは随意契約をもって農協に払い下げるという形にいたしております。  それから、第三番目の計画としまして、一般の製粉工場に対するふすまに対する協力要請の問題があります。この要請に従って、この十一日に回答が参りました。これについて数量約一万五千トンで予定しておりますが、これは回答がありましたので、四月から五月にかけまして実施に移されるものと思います。  それから、大・はだかの飼料化の問題であります。これにつきましては、農協に対して直接払い下げるということのために必要数量の申し出をとっておりますが、まだ全部申し込みが参っておらぬようでありますが、四月十日から売り渡し実施を準備し、その申し出によって随意契約をもって売却をいたす予定になっております。従って、これが実施に移されますと、麦ぬかは従来の倍以上の増加になるものと考えます。  それから、大豆かすの売却でありますが、これが三、四月の計画六万トンでありますが、今日まで実施いたしましたのが二万五千トン、約四二%であります。これが残余は四月中旬ないし下旬までに全部済んで参ると思います。  それから、その次に、飼料用の脱脂粉乳でありますが、これは、学童給食用の脱脂粉乳を一時立てかえて、あと輸入によって補うという計画であります。これが大体千二百五十トンの予定になっております。そのうち三、四月のものとして実施済みが七百五十九トン、六一%実施済みでありまして、四月下旬までには残余五百トンの実施に移すつもりであります。  これらの点を総合して見まして、こまかい点はお尋ねによって事務当局からお答えさせますが、大体において、麦ぬかあるいは脱脂粉乳等の価格、ふすまについての価格等は、一般の市場価格よりも安い価格で出すように指導し、また、その方向に向かって進んでおりますので、まだ全部とはいきませんが、麦ぬかなりその他二、三のものについてはやや値下がりの傾向を見せております。  以上が緊急措置に対するその後の大体の経過であります。

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 ただいまの説明について質疑の通告がありますので、これを許します。芳賀貢君。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 ただいまの飼料問題について大臣にお尋ねする前に、一点大臣にお尋ねしたい点があるのです。  それは、大臣が岩手県の盛岡に先般行かれて、そのとき記者会見を行なった際、今国会において農林省関係の法案については、政府提出の農業基本法についてはあくまで今国会で成立させるが、その他の関連法案については今国会で成立は期待しない、次期国会において関係法案は成立させる、こういうことを言ったという記者団発表が新聞に記載されておるわけです。これは国会の審議上非常に重大な問題だと思う。内閣が法律を提案した場合は、国会に審議を求めて当然これはその会期中に成立させたい、そういう意図で内閣から法案が出されたと思うが、所管の農林大臣が、農業基本法だけは今国会で成立させるが、他の関係法案に対しては次期国会で成立させると言われたということは、どういう意図でそういう御発言をなさったか、明らかにしてもらいたい。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 これは全く意外なことをお尋ねであります。私は、そういうことを言うことはございませんし、言った覚えもございません。どういう形でお聞きになったか知りませんが、私は、はっきり、この問の盛岡の会場におきましても、むしろ逆に、二カ年間もずいぶん研究したとおっしゃいます社会党さんの方もよほど自信を持ってお出しになった、私の方も自信を持って出しておる農業基本法に対して、これは本国会でなくて次期国会に継続審議するというようなお話だが、なかなかこれは困った自信のない話だという話をいたしました。私は、政府提案の法律に関して、農業基本法だけ出たらあとは次期国会でよろしいということを申すわけもありません。これは申しておりません。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 これは中央の新聞に記載されたのだから、われわれはそういう事実があるというふうに判断して今質問したのですが、こういうふうに書いてある。農基法は今国会で成立するよう努力する、関係法案の成立は次の国会になるだろう、以下は日ソ漁業交渉について述べられておるのですが、これは、今大臣が、そういうことは絶対言わぬというのであれば、それを信頼したいと思いますが、やはり、この国会は農政国会とも言われて非常に関心が当委員会に集中しておるときでありますから、出された法案についてはすべて同様に考えて、熱意を持って政府もその審議に臨む、そういう態勢をぜひ整えておいてもらいたい。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 申すまでもありません。どの新聞か知りませんが、たくさん新聞が来ておられましたから、どうかおただしを願いたい。そういうことを私が言うはずもありませんし、そういう点には一切触れておりません。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 では、質問に移りますが、第一点は、先月政府は飼料需給安定法による飼料審議会をお開きになって、そして政府の飼料需給計画の一部改訂を行なわれたわけでありますが、この計画の改定内容について大よその点を説明願いたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 計画改訂は別にないのであります。三十六年度における緊急対策を立てたのであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 いや、三十五年度の計画の一部改訂をやったのじゃないですか。やらないのですか。

花園一郎農林事務官(畜産局参事官)

○花園説明員 便宜私からお答え申し上げます。  この三月に行ないました飼料需給安定審議会は、三十六年度の飼料需給計画を諮問いたしたわけでございます。ただいま芳賀先生の仰せられました計画改訂の件は、昨年十月におきまして三十五年度需給計画の一部改訂を行なったわけでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 この点は、衆議院の予算委員会等においても、飼料事情が逼迫しておることから、三十五年度の飼料の需給計画に大きな現実の狂いが来ておる、それで、速急に飼料審議会を開いて三十五年度計画についても改訂を行なって、その実態に適応するようにえさ対策を進めるという言明が農林大臣からあったわけです。その後に審議会が開かれたのであって、当然、これは、三十五年度の計画改訂というものを行なって、それに基づいて具体的な飼料需給対策というものを進めるべきであるにもかかわらず、審議会を開いておきながら改訂をやらぬというのはどういうわけでありますか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 それは、ただいまお話をいたしましたように、緊急対策としての一つの案を御審議願ったのであります。その中におのずから過去の問題についての増加変更もあるでありましょう。私は、行き方として、目下非常に緊迫しておる飼料の問題について、その緊急対策というものを立てて、それを諮問するということで何ら差しつかえないと思います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それではお尋ねしますが、この計画で問題になるのは、各飼料年度における期末のいわゆる在庫数量、それは次年度のいわゆる期首の繰り越し数量ということに当然つながっていくわけです。ですから、改訂をしないままで間違いがないのだということになれば、期末の繰り越し高というものは相当大量に上っておるわけです。飼料が逼迫しておる中においてこういう相当多くの数量をかかえておるということは非常に不合理だと思うのですよ。ですから、現実の期末における繰り越し数量というものが、各品目についてどういう内容になっておったか、その点の実態を説明しておいてもらいたい。計画と、それに対する実態ですね。

花園一郎農林事務官(畜産局参事官)

○花園説明員 便宜私からお答えいたします。  飼料の三十五年度年度末の翌年度への一応の繰り越し数量といいますものと、三十五年度末におきます緊急対策実施後における繰り越し数量の差のことに若干なると思いますので、そのことについてお答えいたします。  三十六年度の需給計画の策定にあたりまして、三十五年度よりの持ち越しをいかに見たかということでございますが、三十五年度よりの繰り越しにつきましては、ふすまについて四万五千トン弱でございます。それから、小麦につきまして十三万三千トン、大豆につきまして四万二千トン、脱脂粉乳につきまして五百トンというふうな数字を、一応われわれといたしましては三十六年度の需給計画の年初持ち越しとして考えたわけであります。しかしながら、ただいま仰せられました通りに、こういう緊急時にそういう大きな持ち越しがあるということになればどんどん売れということでございますが、そういう観点におきまして、われわれといたしましては一応三月中旬以降におきましてこの緊急対策といたしまして若干の放出量の増をいたしましたために、ふすまにおきましては約二万トン、小麦におきましてはそのまま、大豆におきましては、これは大豆かす換算でございますが、当時の到着ベースのズレを一応別にして、大豆かすで一万三千トン、それから脱脂粉乳はその通りであります。そういうふうに、一応緊急対策の実施に伴う持越量の減少を見ております。この持ち越し量の減少は、当然三十六年度の年度末におきます持ち越し数量に影響が出て参るわけでありまして、その点は、三十七年度の需給計画を立てます際に、この持ち越し数量をさらに改訂して参る、またはそのための多少の繰り上げ輸入をいたすことになるかと存じます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それでは、三十五年度末の期末繰り越し残高というのは、現実にはどういうことになっておりますか。

花園一郎農林事務官(畜産局参事官)

○花園説明員 ただいま申し上げましたのが現実の姿になっております。持ち越し数量の中には、特に大豆かす等につきまして、船便その他の関係で若干到着のズレがありまして、これは、一応買い付けておりますけれども、現物としてはまだ日本の領土内に入ってきておらぬというものもございますので、その意味で、ただいま申しましたいわゆる計画上の持ち越し数量と現実の数量とは違うわけでございますが、それは大豆かすにつきましてそういう結果が出ているということであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 ですから、事実上計画にそこが来て、そのままで三十六年度の計画が立ったとすれば、三十六年度の当初の繰り越し高は狂っているでしょう。すでに最初から計画と違っておるのじゃないですか。

花園一郎農林事務官(畜産局参事官)

○花園説明員 ただいま三十六年度の当初計画が違うではないかというふうに判断して申しましたが……。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 どっちも狂ってくるではないか。

花園一郎農林事務官(畜産局参事官)

○花園説明員 三十五年度の計画といたしましては、一応次期への持ち越し数量としては狂ってくるわけであります。三十六年度の当初計画といたしましては繰り受け数量が違って参るわけでございますが、これは当然その後の三十六年度におきます飼料の輸入を促進いたしましてこれを補って参ることになるわけであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 だから、計画をこういうふうに狂わす場合は、三月にわざわざ飼料審議会を開いたのですから、そこで三十五年度の計画の改訂を行なうのが当然でしょう。そうして、繰り越し残高を大体現実に合うような計画に直して、実態に合うものが三十六年度の当初の繰り入れ高ということになるでしょう。そして最初から三十六年も狂わないものが行なわれるということになるではないか。だから、そういうばかばかしい飼料審議会というものはやる必要もないじゃないかということになるのです。一体何のために審議会を開いたわけですか。でたらめなことばかりやっている。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 ちょっと異なお尋ねだと思いますが、三十五年度に飼料の関係は非常に需要が伸びて計画上放出が足らなくなる、それで、三十六年度に持ち越しを予定した数量からこれを出して緊急対策を立てる、そのことを一緒に緊急対策として私は飼料審議会にかけてある。そのことは、当然、内容としては、あるいは御指摘のような三十五年度の持ち越すべき数量が変わって参るという意味においては計画が違ってくるかもしれません。しかし、そのことは、当然緊急対策として従来の行き方に応じてこういう行き方をするということで立ててあるので、私は差しつかえないと思います。同時に、三十六年度も狂うのではないかとおっしゃいますが、三十六年度において持ち越すべき数量が従来から減ってきておる、このことは、減ってきておることを土台として、今後における三十六年度全体の需給計画に基づいて内地生産及び輸入数量を確定し、将来についての供給計画を策定するということで、それは私はちっとも差しつかえないと思います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 政府の計画がそういうものであれば、これは何をか言わんやなんですね。三十六年度の計画も最初からでたらめな、実態に合わぬものを作っているのだから。そういうものが飼料審議会でやる需給計画の内容なんですか。全然でたらめなものでいい、実態と何も合わぬでも、畜産局の役人が適当なことをやって、計画の改訂も何もやらぬでもいいということであるのか、その点がはっきりすればいいんですよ。計画はでたらめであっていいということがはっきりするんなら、それでいいですよ、大臣の言うように。それであればわれわれはその考えで臨むわけですからね。

花園一郎農林事務官(畜産局参事官)

○花園説明員 飼料需給計画と申しますのは、国内のその年度における需要が幾らであるか、それに対して政府がどの程度の供給量を確保しなければいかぬか、また、供給してやらなければならぬかということでございます。この数字につきましては、当然需給安定審議会の議を経まして、三十六年度についてはこの数字が大体おのみいただいたわけでございますが、そのランニング・ストック、持ち越しと申しますのは、あくまでその需給のバランスを保つための年度問の一つのランニングの問題でございまして、これは政府在庫の問題でございまして、従って、政府在庫の問題といたしまして別に、これの充足をつけて参るということで当然これはよろしいのではないかと思っております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 そうじゃないですよ。年度末の三月にわざわざ飼料審議会を開いているでしょう。その場合三十六年度の計画についても審議しているでしょう。そうして、結局、その三十六年度の計画は、前年度からの繰り越しというものは緊急放出されないままの数字になっているのですよ。これは総体で二十三万三千七百トンということになっておる。それを、今説明員が言うところによると、ふすまについては二万トンの狂いがある、大豆かす換算についても一万三千トンの狂いがある、こういうふうに狂ってしまったものが、それが三十六年度の前年度からの繰り越し数量ということになっておれば、最初から狂った計画を作って平気でいる。それで差しつかえないんですなんてばかなことを言う役人というのは、ちょっとまれですよ。あなたでわからなければ畜産局長の安田君を呼んで当然これは説明すべきだと思う。  委員長、局長を呼んで下さいよ。こういうでたらめな説明をする説明員じゃしょうがないですよ。  この計画については畜産局長が出席してからあらためて質問することにして、その次にお尋ねしたい点は、特に大臣から具体的な政策が述べられたが、しかし、その対策を実行することによって、現在高騰しておる飼料の価格というものはどの程度引き下がって安定線をたどるものであるか、そういう確信があってこの対策が講ぜられたか、その点はいかがですか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 今日の飼料価格の値上がりの大きな原因は、何と申しましても供給力に弱さがあったと思うのであります。そこで、私どもは、ふすまあるいは大豆かす、あるいは油かす、粉乳というようなものにつきまして、総体的に必要量の見通しを立てて、それに対する供給力というものを、内地の国産で供給し得るものと輸入しなければ不足するもの等を考えまして、そこに増加計画を立てたわけであります。従って、一応、この価格に関しましては、必要数量の需要に見合った供給量をふやすということによって価格の安定をはかるということが目標でありまして、現に、この麦ぬかあるいはふすま等に関しましては、最近の状況がやや下落傾向に入っておる、まだ様子を熟視しておりますけれども、一応そういう方向に来ておることは、私どもは、施策の効果が順次出てくるのではないか、かように思っております。ただ、その大豆かすについては、これは御承知の通り輸入のものが大部分でございまして、これがやや時期的に供給量のずれがあるようであります。大急ぎでこの点を埋めようとしておりますが、その点、並びに最近における外国産大豆の値上がり等から来る関係からいたしまして、大豆かす等については幾分これは将来供給量をふやしてもあるいは横ばい関係になるのではないかという見通しを立てております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 具体的な問題として、先ほど、ふすまの価格の抑制措置として、これを農協団体に直接払い下げるということを言われましたが、この緊急対策の要綱によると、必ずしも大臣の言われた通り農協だけを対象にしては払い下げしないのではないかと、われわれはこれによって判断するのですが、これは、一体、どの団体とどの団体に、いわゆる需要者団体と称するものに払い下げするのか、その団体の名前を一応列挙してみて下さい。

花園一郎農林事務官(畜産局参事官)

○花園説明員 便宜私からお答え申し上げます。  ただいま芳賀先生の言われましたように、全部が全部農協というわけではございません。農業団体においては、全購連、それから全酪連、全畜連、それから全開連、日鶏連、それから北海道飼料協会。それで、残りはメーカー並びにいわゆる卸売系でございますが、配合飼料保税工場会、これはメーカーの団体でございます。それから、もう一つは飼料元卸組合でございます。この八団体に払い下げをいたしておるわけでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 最初の六団体はまずいいとしても、あとの二団体については、これは大豆の意図に反したような対象団体じゃないですか。何と何ですか、何だかはっきりしたことがわからなかったのですが……。

花園一郎農林事務官(畜産局参事官)

○花園説明員 配合飼料の保税工場会でございます。それから飼料元卸協同組合と申します。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 配合飼料保税工場会というのですか、これは一体どういう団体なんですか。これが生産者団体と称せられる団体ですか。少し詳しく、どういうものであるか言って下さい。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 これはむしろ飼料を安くしたいということから出ておるわけです。飼料として配合されるものについて、保税工場で配合した場合においては、その輸入したものに対する税金がかからないというものがあるわけです。だから、そこで配合させて出すという関係で従来から行なわれておるわけです。その点は、保税工場以外のところへ入りますとむしろ税がかかるというようなことがありまして、そこで、保税工場における配合工場で配合したものを入れる、こういうことであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 これはどういう構成になっておるか、これにはどういうえさ会社が参加しているか、その会長あるいは社長なるものはだれになっておるか、あるいは実力者がだれか、そういう点はわかるでしょう。

花園一郎農林事務官(畜産局参事官)

○花園説明員 配合飼料の保税工場会のメンバーを大きな方から申し上げますと、日本配合飼料株式会社、これは資本系列から申しますれば三井物産系でございます。それから日本農産加工株式会社、これは資本系列から申しますと三菱でございます。それから、菱和飼料株式会社、協同飼料株式会社、この協同飼料は若干農業団体の出資を受けておる会社でございます。ここら辺が大どころでございまして、ただいまその実数を私ちょっと失念いたしましたが、七十何会社が入っておるように考えております。これの会長でございますが、これは飼料需給安定審議会の委員もしておりますが、河田師郎氏であります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 もう一つの方はどうですか。

花園一郎農林事務官(畜産局参事官)

○花園説明員 元卸の方は、飼料の卸問屋と申しますかが結成しておる協同組合でございまして、これの会長は木村房五郎氏であります。これも飼料需給安定審議会委員であります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 何も飼料安定審議会委員だからまともなものだということにはならぬですからね。ただ、大臣はしばしば、緊急放出の分については農協を対象にして払い下げしますということを委員会においても各地においても言明しているのです。そういうふうに言明しておりながら、実際には農協以外の団体に、しかも飼料メーカーなるものに相当量緊急放出分を払い下げしておるということについては、問題があると思う。大臣はこの点については知らないのです。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 これは、芳賀さん、そんなことを言っては私はおかしいと思う。私は、今まで大・はだかに関しましてもやってないところを早くやるために農協へ払い下げることを断行し、ふすまについてもその方をよけい使いたいという気持です。しかし、場所によっては、そのことは理論倒れになって、うまくいかなければ畜産農家に対して迷惑をかける。そういう面におきましてこれを取り扱っておるのであり、大麦、はだか麦についても、農協に、払い下げに対しては希望を取って、希望がある数量においては、今ある限度におきましてできるだけその方に回す。今のふすまの問題にしても、大体六五%以上が農協へ行くことになっておる。だから、それは場所とところで押えませんと、何でも農協へやったら完全に早くいくということではなかろうと思います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 これは、大臣が今までそういうふうに宣伝しておったので、われわれは宣伝と違うじゃないかということを言っておる。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 今お話しした通りを言っておる。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 この点については、各団体、メーカーについての払い下げの内容を後刻資料で出してもらいたいと思う。  その次に、今大臣が言われました大・はだか麦の払い下げについても、これはやはり大臣の宣伝とだいぶやり方が違うように考えられるのですが、政府手持ちの大麦、はだか麦を緊急放出する場合、なぜ現物そのもので払い下げできないのですか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 今度農協等に出すものは、希望によりまして現物で出します、そういうことですよ。ちっとも違っていません。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それは粒状で農協に全部出すという意味ですか。

須賀賢二食糧庁長官

○須賀政府委員 私から補足して御説明申し上げます。  今回の飼料対策といたしまして政府手持ちの大・はだか麦の払い下げの方法は二通りに考えております。精麦業者の手を通しまして麦ぬかとして飼料用に放出される形が一つ、それから、緊急対策といたしまして農業団体に直接原麦のままで払い下げをいたします形が一つ、両方の形を併用いたしておるわけであります。後者の方ば、非常に飼料が足りないという状態でございますので、とりあえず、新麦が出回りますまでの四月から六月の問にかけまして、単位農協に対しまして直接原麦のままで払い下げをする方法を考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 この点も大臣の言うこととちょっと違うのですね。あなたは全部原麦のままで農協に払い下げると言っておるが、食糧庁長官は、いやそうではない、二色でやる、精麦会社に払い下げをして、払い下げしたのは全部麦ぬかにしてしまうというのですね。そういう迂遠なことをする必要はない。やはり、そういう場合には、大臣の言われた御意思通り、全量を原麦のまま払い下げをして、そして緊急処理した方がいいと思うのです。どうせ家畜の腹に全部入れてしまうのですから、一回精麦会社にやって全量麦ぬかにしてしまうということであれば、これは直接原麦全量を流すということの方が適正だと思う。こういう点も役人の段階にいけば大臣の意思とだいぶ違ってくるのですよ。あんたは下情に少し通じていない点があるのじゃないですか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 芳賀さんは、私が参議院その他農林委員会においても至るところで申し上、げていることをよくお調べになってお話を願いたい。私は、今あなたのようなお話があって、直接の場合には丸粒を使ってよろしい、それを農協の方が割って使ってもよし、麦ぬかにしてもよし、設備があるから急いで出してくれという話があるから、従来は精麦業者から出しているが、これは出しましょう、しかし、その場合におきましては、千八百円で農協から買い上げ千二百円で売り渡すことになりますので、そのときに非違がいやしくも行なわれては困るが、それに対して全部責任を持つかということまで参議院で言っている。それならば出す。出すについては、抽象的じゃいかぬのです。だから、農協の希望のあるところは農協に出しますとさっきから言っている。出したものは全部丸粒でお渡しして、ぬかにしてお渡しするのではない。しかし地方によってはそういかぬ場所がある。しかも、現在希望を取っているが全量とは来ておりませんよ。だから、そういうものはその地方において精麦業者を通じてぬかにして出す。これは現状に合った姿だと思うのです。私どもの答弁はちっとも違ってもおらなければ、あなた方の要求によって、必要な場所には出してくれと言うから出している。今の食管長官の話も必要なところにはそっちで出す、片方はぬかが足らぬからぬかで出すということで、しかも、今度はぬかについては精麦に行く場合のぬかに関する価格のことまで私は考えている。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 関連。  ただいまの答弁ですがいろいろな条件があるわけですね。設備の整っていないところへ出しても困るということで、圧偏または挽砕をする設備を有しているということが条件になっているわけです。それはいいといたしまして、特に新潟県の豪雪地帯などで輸送力の非常に困難なところから、最近毎日のように、あすのえさもない、何とか頼むというような電報がずっと入ってきているわけです。そこで、そういう麦作地帯でないところ、大・はだかというようなものはほとんど作っておらない、貯蔵されておらない地域、そういうところの農協が申請し希望した場合にもそういうところへも回してやれるかどうかということが一点。もう一つは、山村等において施設のない農協の場合に、これは連合会の施設が付近にあり、いろいろな経済上の事情等によってそれは連合会へ払い下げをしてもらった方が都合がよろしいというような場合には、連合会も対象にしてもらえるかどうか。それから、第三点は、末端の実需団体に渡るときの価格というものが幾らになるか。この三点について、長官からでもけっこうですからお答え願いたい。

須賀賢二食糧庁長官

○須賀政府委員 今回の農業団体に払い下げまする大・はだか麦は、ただいま御指摘がありましたようにいろいろ条件をつけております。と申しますのは、これは農家から買い上げました麦を再び農家へ売り戻すという形になるわけでございます。むしろ食管の従来の仕事の建前から見まして非常に異例な場合に当たるわけでございます。それでいろいろ条件をつけておりますが、農業団体が買いまして、これをその構成員に圧偏または挽砕をして売り戻すということを建前といたしておるわけであります。これは、大・はだか麦が飼料用として使われております本来の形から考えてみますると、大体、農家が作りましたものを、飼料用または自分で飯用に供するものを自分の手元に残しまして、その残余の部分を政府に売っておるというのが従来の形であります。従いまして、粒えさに使いますものは、通常の場合は農家の手元に残しておるわけでございます。今回の場合は、建前といたしては、当面、ふすま、麦ぬかが非常に足りない、それを政府手持ちの大・はだか麦で補給をするという建前をとっております。やはり、そういう形で使われる建前のものだという考え方をとっておるわけであります。それで、対象は単位農協を対象といたしております。これは大体現物がそれぞれ地方に散在をいたしております単位農協の倉庫に入っおるという姿のものが一番多いわけでございます。輸入飼料のごとく、港に入って参りまして、中央団体等のルートから流していくというようなものでございません。現実に地元にあるものでありまして、需要量等をまとめますにつきましても、やはり、単協から、私の組合へこういう程度のものをほしい、それに対して政府が直接売っていくという形が一番端的であり、また時間的にもむだがないという考え方をもちまして、単位農協を対象といたしております。  それから、麦作地帯でない農協についてはどうかというお尋ねでございますが、これは、建前といたしまして、どうしても、あり場所あり姿のままで渡すというふうに考えざるを得ません。遠隔地まで政府が運送していくというわけには参りません。それで、あり場所あり姿のままで払い下げを受け、大麦につきましては一俵千二百円で売却する考えでございますが、それで払い下げを受けまして飼料として使っても経済的に引き合うという条件でないと実際問題としては使われにくいのじゃないか、従って、そういう条件で使います農協に使っていただくというふうに考えております。従って、ただいまお尋ねの中に、連合会でまとめる場合も払い下げを受けられるかというお尋ねがありましたが、私どもの方は、政府側としては手数はかかるのでありますけれども、そういう連合会の方でまとめていただくということでなくて、直接単位農協を相手といたしまして、その農協が必要とするものを個個に払い下げていくという形をとっております。  それから、設備の問題でありますが、これは、自分で圧偏または挽砕の設備を持っておられまして、自分でそういう処理をしていただくということが最も一般的な形であるというふうに私ども考えております。実際問題といたしましては、農協自身の設備でなくても、このごろは農家の共同利用施設のような形で簡単な粉砕施設というものが相当普及いたしております。そういうものを農協が使って粉砕をするというような場合も実際にはあり得る、また、そういう場合も払い下げの対象にしたいというふうに考えております。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 そういたしますと、さっき私が申しましたような新潟県の豪雪地帯で麦作地帯でないところは、全然その恩恵にあずかれないことになるのですね。ことに長い間の輸送困難な状態のもとにおいて、また、山間地帯等でほかの作物の十分収益のないところで最近家畜の飼育がずいぶん盛んになっておるわけですが、そういうところが、今お話しのようなことでありますと、全然その恩恵にあずかれない、それがために地域的に最近ふすまなどが非常な暴騰をしておる。これは、業者が特に品物を抱いておってなかなか出してこない、そういうことで今悲鳴をあげておるわけです。ところが、そういうところは全然放置しておくこういうことになると思うのですが、そういうことについては少しもお考えになっておらないようでありますが、どうなんですか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 今事務的に長官からお答えしたと思いますが、これは、新潟等のごとき地方において飼料に困っておるときに、政府の持っておるものを、これはもっと研究しなければいけませんが、何か農協の方から連絡して、そのあり場所に取りに行くというようなことであれば、それに払い下げていくということを研究してもいいと思います。千二百円の中には運賃は入っておらぬらしいですから、価格が違ってくると思いますが、取りに来るかどうかというような問題についても、もう少し研究してみたいと思います。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 そうすると、麦作地域でないところは、麦作地域までの運賃を負担すればよろしい、それならば希望に応じてやる、こういうことですか。

須賀賢二食糧庁長官

○須賀政府委員 あり場所あり姿で渡す建前でございますから、現実に麦がない地帯の農協が麦のあり場所の地帯まで買いにいく、その問の運賃を農協側で負担していただくということであれば、これはもちろん払い下げをするつもりでおります。私が申し上げておりますのは、今回の払い下げについて政府自身の経費で現物を運送するということまではちょっといたしかねるということを申し上げたわけでございます。  それから、私からつけ加えて申し上げますが、新潟県の場合は、御要望もございまして、最近新潟に入っておりました輸入ふすまを緊急払い下げをいたしました。現実に大・はだか麦等がない地帯は、やはりそういうようなこともいろいろ考えまして、ほかの方法もそれぞれ併用いたしまして措置をしていかなければいけないのではないか、かように考えております。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 それから、もう一点お尋ねしておきますが、大臣の今の報告を聞きますと、業者の協力で一万五千トンのふすまを確保できる、こういう御報告なんですが、この点は、議論としては、飼料需給安定法の第七条の発動の問題との関連で、これは一つの大きな問題であると思うのでありますが、今長官から御説明がありましたように、新潟等の場合においては輸入ふすまという話もありましたが、やはり、こういう業者の協力によって確保できる相当数量のものというようなものでも御配慮を願わなければならないと思うのです。それで、価格はどの程度で業者から確保できるのか、それを一つ伺っておきます。

花園一郎農林事務官(畜産局参事官)

○花園説明員 昨日製粉団体の方から回答がございまして、畜産局長との問で一応の妥結を見た線は、包装込み六百九十円でございます。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 なお、新潟に対しましては、特に積雪等の関係で困っていらっしゃるので、輸入ふすまを一千トン価格を少し下げて新潟の農協に払い下げるということも、それはすでにやっております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 そこで、政府手持ちの大・はだか麦の緊急放出ですが、先ほどの大臣の説明によると、四月以降毎月四万トン程度払い下げを行なうということですが、これは、毎月の計画に沿っていくとすればその総体の放出の数量を何十万トンくらいに見ておるか、それから、計画的にこれを何月まで続けてえさ対策を完全にするか、その点はいかがですか。

須賀賢二食糧庁長官

○須賀政府委員 大臣から四万トンというお話がございましたのは、大体、従来精麦工場から出ておりました麦ぬかの数量というものは月間およそ三万トン程度のものでございますが、今後麦ぬかを増産する目的で、精麦用原料の払い下げ、大・はだか麦の払い下げをふやすというようなことによってさらに月間四万トン程度、合せて七万トン程度の麦ぬかが市場に出回るようにしたいという趣旨をお話しいただいたわけでございます。それで、全体としてどういうことになるかということでございますが、大体四月から今後約一年間くらいの私どもの見込みといたしましては、この一年間の精麦用大・はだか麦の消費見込みは大体六十万トン見当——三十五年度が大体七十万トンであったのでございますが、目下、私どもは、三十六年度は年間六十万トン見当くらいではなかろうかという見込みを立てております。それで、六十万トンは精麦用として予定をいたしまして、これから麦ぬかが約四割近く出るわけであります。それから、そのほかに、麦ぬか増産用としまして年間約四十万トン程度を予定いたしておるわけであります。これは全量麦ぬかになるというふうにお考えいただきたいと思うわけでありますが、六十万トンのほかに麦ぬか増産用として四十万トン。それから、そのほかに、農業団体に直接払い下げをいたしますものを、農業団体の実際の払い下げ希望によっていたすわけでございますが、これは個々に末端で希望が出て参りませんと実際の数字がどのくらいになるかよくわかりませんけれども、私どもの手元の大・はだか麦の政府手持ちの状況から考えますれば、ただいまお話し申し上げましたような計画によりまして農業団体へ直接払い下げる数量としては、二十万トン程度のものは私どもの手元としてある見込みでございます。もし、農業団体の方の直接払い下げの希望が、実際に今後末端で積み上げられて参りまして非常に大きいというような事態になりますれば、先ほどの精麦業者の手を通して麦ぬかを増産しようと考えておりまする四十万トンの計画につきましても再検討する用意は持っておるわけでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それでは、大体農協を対象にして払い下げるのは二十万トン程度というお話ですが、この払い下げの条件ですね。押し麦にするとかあるいはひき割りにするという施設のある単位農協ということになっておるのですが、それは、この払い下げを受けて、それをえさ用に回すために、たとえば米作地帯におきましても精米の施設なんか当然あるわけですから、そこにひき割り機を備えつける、設備するというようなことでも、当然払い下げの対象農協になるわけですね。その点はどうなんですか。

須賀賢二食糧庁長官

○須賀政府委員 最近は、米作地帯等でも、たとえばもみがらを粉砕して飼料にするとかいうようなことが相当行なわれておりますから、大体簡単な粉砕機程度のものは大ていの農協であれば手持ちがあるようであります。それを通しますれば、ひき割りになるわけでありますから、そういう形において処理する。特に設備関係で払い下げが受けられないというような事例は、これはもちろん個々の農協の実態をよく見てみないとわかりませんけれども、大ていの場合ないものと考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 畜産局長がまだ来ないようですが、最後に、三十六年度の当初の政府の保管しておる飼料が大体二十万トンくらいはあることになっておりますが、そういう数量はどこに現物が在庫されておるということはわかると思うのですが、いかがですか。

花園一郎農林事務官(畜産局参事官)

○花園説明員 ただいま申しました通り、緊急対策が飼料需給安定審議会以後において策定実施されましたために、若干持ち越し数量の現物のあり方が計画の数字とは違うという点については申し上げた通りでございますが、これは、おおむね、御存じの通り、食糧特別会計の農産物安定勘定で買い、売り渡しをいたしております関係上、食糧庁の指定いたします各輸入港の倉庫におもに存在いたしておるわけであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 食管で一応買いつけておるわけですから、そういう買いつけた飼料を現物保管するというのは、これは政府の責任だと思うのです。こういう二十万トンもあるということになれば、どこにどれだけあるということは明らかになっていなければならぬ。何も二十万トンを常時手持ちする必要はないのじゃないかと思うです。ですから、政府の緊急対策とあわせて、在庫数量に対しても、大臣としても十分な検討を加えて、この程度はやはりこの際緊急対策の一環として放出すべきならすべきだと思うという指示を与えて、これは善処されたらいいじゃないかと思うのですが、その点は農林大臣はどう考えておるのですか。  それから、現物の在庫の所在地については、これはあとで資料として出してもらいたい。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 その点はお話の通りです。持ち越しがありましたので、今度も需要に対して供給数量を増加して緊急対策を立てたわけでありますから、今後とも需要の増加という趨勢に応じて三十六年度全体に関する供給計画を立てて参ります。持ち越された数量は、その供給源のおのおの内容をなすものでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 あと畜産局長が来てから計画の関係はお尋ねいたしますから、保留しておきます。

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 大野市郎君。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 飼料の問題につきまして二、三お尋ねいたします。  今度えらく高騰してみな困ったわけでありますが、これは、今の需給安定法があって計画を立て、そうして審議会もそれを承認しておるわけでありますが、四月はまだ少しですが、二月、三月の二ヵ月の動きを見ても、六百円台のものが九百円まで上がっておるわけですから、末端の実需農家は非常な困窮をするわけです。そこで、制度としては需給安定法があって、行政官庁がこれを握っておるわけでありますので、どの程度に価格の変動の報告を受け、そうしてその判断に基づいて放出その他の作業をされておるのか。その価格の動き、それはすぐ裏に需給の逼迫あるいは需給の緩和が裏づけされると思いますので、その制度の問題をまずお聞きしたいと思います。

花園一郎農林事務官(畜産局参事官)

○花園説明員 飼料需給安定法は、一応年間の需要に対しまする政府の担当すべき受け持ち量をきめまして、政府がこれを外国から輸入して国内に売却するという建前でございます。従いまして、その年度間には、別々の売却数量を定めまして、それに従いまして売却をいたしておるわけでございます。特に一月以降におきましては価格の高騰が一応予見されましたので、六月以降十一月までは毎月八千トンあるいは一万六千トンというような数量を売却いたしておったわけでございますが、一月以降は二万トン、二月は日数が少ないせいもありますが、一万七千トン、三月はさらに二万トンというふうに、一応持っておりますえさを飼料需給計画のワク内で最大限度に活用いたしまして売却をいたして参ったのであります。それに、さらに、三月におきましては、ただいま御審議願いました緊急対策によります増加売却を実施いたしたわけでございます。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 実際にやられた例は今承ったわけですが、そういうのでなくて、現実にその日その日に値段がついて売買されておりますので、それが六百円から九百円ということは大へんな上がり方なんですが、そのときに機動性を持って対処できない実情であるから、制度的に欠陥があるのではなかろうか、あるいは制度を拡充すべき部分があるのじゃなかろうか、こういう趣旨で制度の問題をお聞きしておるわけであります。

花園一郎農林事務官(畜産局参事官)

○花園説明員 ふすまにおきましては、当然、この基礎にありますものは、国内のふすまと同類の、これを総合して糟糠類と申しておりますが、糟糠類の国内の供給量が幾らあるかというようなことが政府の操作をいたします基礎に一つあるわけでございまして、これにつきましては、当然食糧庁の売却の数量その他を一応勘案して定めておるわけでございます。従いまして、この法律の建前は、そういう糟糠類の需要を概計いたしまして、それに対する国内の供給力との差し引きの不足量というものを政府が責任を持ってめんどうを見るという建前になっておるわけでございます。従いまして、年間を通じて一応食糧——食糧と申しますと小麦の売却でございますが、あとは米の売却、大・はだか麦の売却といったものを通じて、そういうものから出るかすでありますとか、米ぬか、麦ぬか、ふすま、こういったたぐいについての食糧の方におきまする売却計画に応ずる数量とのかね合いにおきまして飼料需給計画を発動して参るわけでございますが、その点につきましてはただいまいろいろ精査いたしておりますが、やはり、食糧の方の売却数字の実態を畜産局の方で把握いたしますのが、食糧の方は各現地の食糧事務所で売却しておる、従って、これの実態の、たとえばこの月は小麦が売れたか米が売れたか、こういったものと、それに応じてどの程度のかすがそれじゃ国内に放出されておるであろうという一つの前提になりますものは、どうしても多少おくれがちになりますので、こちらの需給数字に基づきます売却が多少その点の実態とはずれて参るという点は一つの問題点になろうかと思います。従って、今後は、食糧庁の売却に応じます国内の飼料生産というものを当方といたしましてもっと迅速に把握いたしまして、それによってその月のふすまの不足量というものの放出量をすみやかに確定するというのが一つの必要な措置であろうかと思います。  それから、油かす類につきましては、最近さらに亜麻仁かすがいわゆる自動承認制による自由輸入になりまして、これは早晩綿実かすあるいはコプラかす等につきましても自由制になりますので、国内の需要に応じました供給は当然国外から相当迅速に行なわれるようになると思いますが、これまでは油かす類はすべて割当制でございます。従いまして、国内の油業者の生産いたします油かすの実態というものとの関連におきます政府側のかす類の放出というものにつきましてはやはりその間の連繋に問題があるかと存じますが、ただ、大豆油かすにつきましては、飼料用に必要なものはほとんど全量、と申しますことは、三十五年度の所要量二十一万トンのうち二十万トンですが、これを政府が放出するという計画で実施いたしまして、これは三月までで二十一万トンをオーバーいたして総計で二十三万トンになるかと思いますが、多少多い目に放出いたしておりまして、飼料用の油かすにつきましては、政府は一応千二百七十円という安値でいわゆる農業団体を通じまして売却いたしておるわけであります。これは責任を一応遂行しておるかと思います。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 具体的にもっと簡潔に質問いたしますと、価格が著しく騰貴した場合にいわゆる第七条の発動になるわけですが、その、いわゆる著しく価格が上がるという判定ですね。その判定は一体どういうふうにきめるのか。先ほどからの御説明では価格の問題が欠けているのですよ。ですから、数量でなくて価格の変動によってこれが発動されるのであるから、いかほどの率で上がった場合に著しいと判定をせられるか、これを一つ伺いたい。

花園一郎農林事務官(畜産局参事官)

○花園説明員 ふすまの価格につきましては、政府の織り込み価格と申しますものは、御承知の通り、包装込みの六百十八円でございます。従いまして、政府が払い下げております輸入ふすま、これはそれよりもさらに五%安の五百八十六円でございますが、これはその値段で農業団体等に払い下げているわけであります。それから、政府が特にふすまを生産いたさせますために選定しております専管ふすま生産専門工場、これにつきましては、織り込み価格六百十八円で農業団体に引き渡しを実行さしているわけであります。その後におきましてさらに追加指定いたしました増産工場、これは一般の食糧用生産をいたしております工場に臨時飼料のふすま生産をさせる工場でございます。これは大臣の御説明もありましたように最近百二十工場に増加いたしましたが、これらの売却もやはり六百十八円で農業団体に払い下げを命じております。  これらの点で、一応われわれが低値で政府のものを払い下げておりますものが、ただいま申し上げました通りに、ふすまで二万トン、小麦で毎月の売り渡しが約四万五千トン程度、これは六〇%歩どまりでございますから、約三万トンが放出されるわけでございますが、これを合わせまして約五万トン程度の放出がございます。そうしますと、国内のふすま供給量の半分は政府が飼料需給安定法に基づく売却によってやっておるわけであります。従いまして、こちらの政府が売り渡しておるものが安値でございますと、それとの見合いにおきまして今度はふすまの市中価格が形成される。従いまして、市中価格は、卸売段階で申しまして昨年は六百七十円程度を推移いたして参ったわけでございますが、これは当然政府の売り渡し分との総合平均価格になり得るわけであります。そういう前提をおきまして、現在考えておりますのは、そういう総合平均価格において、たとえば七百円を上回るというふうなことが出て参りますれば、そのときは、これが逼迫して参った、高騰したということになる、かように考えます。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 三月の末にすでに九百三十円の高値が出ておるのです。これも七百円台から八百円台を経て九百円台という工合に上がり、しかもその二カ月の問に実需者からひんぱんにSOSを打電いたしてきておるわけです。この点は、私は、この現場を糊塗すればいいというのではなく、せっかくそういう法律があって需給安定が期待せられるのに、何か制度上の欠陥があるので手配がおくれるのじゃなかろうか、こう考えるから申しておるのでありますから、その点、率直に、過ぎたことは過ぎたことでありますが、今後は、七百円のめどを立てて、それを踏み越えたならば政府が手を打ってくれるんだ、こういうことになると、いわゆる思惑は姿を消すことができる。それでほんとうの実需だけが価格形成の要素になる。それでなければこの法律は空文だ。私も需給安定審議会の委員をいたしたことがありますが、一年に一回しか開かない。それでなおさら制度上の欠陥があると私は判断をしておるのですが、本日この席上で今すぐでなくともようございますが、制度改善に対して農林大臣とされての具体策を早い機会にこの委員会においても御報告をいただきたい。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 御指摘の点は、飼料対策、飼料政策のいろいろの点において考えなくてはならぬと思います。ことに、農業基本法制定後における成長財としての畜産をやる上において、飼料をいかに安定させるかということが一番大きな問題になると思います。寄り寄り準備を命じておりますことは、今後の需給の見通しをはっきり立ててもらいたい、そうして、それは、家畜ことに飼料の見通しに対する供給力を算定し、その供給力に合う国内における生産がどれだけできるか、また、自給飼料という農家自体が対応し得るものはどのくらいになるか、−これは牧野と関係するものであります。しこうして、自給飼料及び国内生産飼料によってまかない切れないものが、どれだけあるか、これは輸入計画として立てて、それを、むしろ月別平均としててと申しますか、相当量ゆとりのある期間に輸入するような計画を立てる、しかもその上にある程度の余裕のある数量、持ち越し得るような数量を持って、いろいろな変動に備える準備が必要であろう、そういうような需給計画を立てるということとあわせて、御指摘の飼料需給安定法についてどの点を改善するかというようなことを考えております。これはどうしてもそういう点からすべての対策を講じつつ今後われわれがやろうとする畜産政策に対応いたしたい、かように考えております。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 その点は大臣の実行を期待いたしまして次に移ります。  実は、先ほどから、農協、農業団体に払い下げる飼料の行き先に非常に重点を置かれた御発言を聞いたのでありますが、実は、今日、農家が飼育しております畜産物の販路を確保することによって農家が畜産の導入に踏み切った幾多の例がある。そういうふうな歴史的な経過並びに今日の現状におきましても、いわゆるディーラーと申しますか、そういう形のルートでそれらの飼料の買い入れをしておる農家がずいぶんあるのであります。従いまして、農林大臣が農協をわが国の農村地帯における中核体としてこれを強力にして農村を豊かにしたいという考え方は、私どもも同感でありますし、それはもとよりでありますけれども、われわれは自由主義の経済を考えておるのでありまして、その意味において、やはり価格というものは競争があった方が一般的に適正な価格に近づくわけであります。そういう意味におきまして、この第七条あるいは第九条の規定などをおきめになった趣旨というのも、そういう実態があるので倉庫業者あるいは販売業者その他の立ち入り検査までの規定があるのであります。こういうような慎重な配慮の法体系があるのでありますから、ただ概念的に農協を強くせねばならぬという原則論はもちろん私どもは第一に承認いたしますが、現状の経済の組織、流通機構というものに対して、政府の指導方針がそうであるということでおきめになるならなるで、やはり業界としては順応態勢をとらなければならぬ。私は、農林大臣、総理大臣がこの方向で渡すからといって政府の権限にあるものを農協なら農協だけに渡されるということをおきめになることは、憲法上の問題においても、行政がそこまで行っていいものかどうか疑問の点が残ると思います。実は、この質問をいたしますのは、新潟に千トンの雪害対策用としてのふすまをお流しになることは大へん喜ばしいことであります。とにかく雪害でえさの手持ちのない農家が至るところに散在しておるわけであります。これらの農家の中には、従来からの長い取引で、そういうディーラーを通じてのルートを持っておった人たちが現在あります。前回二月に配付を受けたときには、ディーラーが半分、——これは実績ではディーラーが七割、農協が三割でありましたが、そういう雪害の関係で特に五割、五割に行政庁が御示達をなさって、随意契約で渡された。しかも、雪害用の血の出るような地方の要求であるので、横流しなどが一粒でもあってはいけないというので一軒々々農家から受領証をとらせてその配付を二月の中旬にされたのであります。きょうは十二日でありますから、昨日十一日には末端に届くだろうというお話もわきで聞きましたが、これが農協一本で流れることになりますと、せっかくの親心でありながら、農民はサービスのいいところから買いたいわけであり、あるいは多少歴史的な因縁、つながりというものもあってディーラーから買いたい者もおるかもしれません。これは、経済の実態から、サービスの競争によって、農協から買うことは経済的にもまた農協を強くする実態からもよろしいというところに納得して初めて農協の価値があり農家の幸福があると思うのですが、これが前回も手数料なしで配給をいたしたいという切なる話があって行政官庁は五割・五割に踏み切られたものであると思います。この点重要な配給ルートの問題でありまして、流通機構の改善という問題に対して、仄聞するに参議院における答弁でも私どもの耳農協ということで流れて参りますので、お気持はわかるけれども、現時点におきましての農政に対しては私は疑問がありますので、お伺いをしたい。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 その点は私もよくわかります。先ほどから芳賀君のお尋ねに対してもお答えをしておるのは、農協の方から、こういう緊急な事態に対して、時間的にもまた価格的にも直接早く売った方がいいから流してくれという要求があったのに対して、これを全部というわけではなく希望がある場所はそれによってやる、農協だけではいけない場所がありますから、そういう場所においてはディーラーを使うということにいたしております。おのずから、私は、今お話しのように、一本にしても、農協に加入してないところも、あるいは今お話しのような過去の関係で取引をしておるというところもありましょうし、これを一がいに全部ということを考えておるわけじゃない。むしろこれは社会党・自民党を通じて超党派で御協力を願いたい。私先ほど申しましたように、緊急措置として敏速果敢に、かつ手数料等もできるだけ倹約になるように直接使うようにしてもらえぬかという措置にいたしたい、こういうことで主として大。はだか麦に対する問題で私は答弁したのであります。今のその他の問題につきましては、今聞きますと、二月の新潟に対するふすまですかの払い下げは、これは半々になっております。四月にもう一度また新潟には特に出す計画になっておる。そういう点はよく考えまして措置をいたします。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 どうか、こういう意味合いにおきまして、大・はだか麦の問題に対しましても、私は、自由経済体制下におきましての政府物資の払い下げに対しましては、サービス競争という事柄が忘れられたならば農協のボスはあぐらをかくというような風評さえひどい話では末端の農民から出ておる話があるのでして、そういう意味合いにおいて、一つの組織体が一つだけで独占していくというような行き方は、私どものものの考え方では納得ができないのでありまして、そういう意味合いにおきまして、われわれはやはり現政府は自由主義経済を尊重せらるる政府と考えておるので、われわれといたしましては、そういう独占的なことのないように、サービス競争において末端の農民が利益を得られるように、ぜひ流通機構の問題は御考案をいただきたい、かように私の見解を申し述べ、御善処をお願いして私の質疑を終わります。

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十五分休憩      ————◇—————    午後二時五分開議

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  予備審査のため本委員会に付託になりました天田勝正君外二名提出の農業基本法案を議題として、提出者の提案理由の説明を求めます。天田勝正君。     —————————————

天田勝正民主社会党

○天田参議院議員 私は、提案者を代表して、ただいま議題となりました民主社会党の農業基本法案について、提案の趣旨と法案の概要を御説明申し上げたいと存じます。  わが国の農業が曲がりかどに来ていると識者によって指摘されて以来、十年になんなんといたしておりますが、歴代内閣が農業問題に真剣に取り組まず、いわゆる三割農政のまま今日に至りましたことは、まことに遺憾のきわみであります。すなわち、今日各位の関心事であります所得格差の問題一つを見ましても、わが国が戦後最初の好況に見舞われました昭和二十六年における農林業就業者一人当たりの年所得は六万二千四百円でありますが、同年における非農林業一人当たりの所得は十七万五千四百円であったのであります。この当時すでに抜本的農業対策を樹立しなければならなかったのであります。  かつて保守党内部においてさえ、赤城農相によって農業に関する五つの赤信号が指摘され、日本の農業の危機が警告されたのでありますが、言葉だけの指摘にとどまって、何ら対策は立てられなかったのであります。その後、日本経済の成長は目ざましく、わけても鉱工業生産の伸びは世界の驚異と相なったのでありますが、農業の伸びは他産業と歩調を合わせることができず、昭和三十四年における所得格差を見るならば、農林業就業者一人当たりの所得は九万二千円、非農林業就業者一人当たりの所得は三十万四千円と、格差は拡大したのであります。すなわち、八年間に他産業就業者所得が十三万円伸びる間に、農林業就業者所得はわずか三万円伸びたにすぎません。その結果、非農林業一人当たり所得を一〇〇とするならば、農林業一人当たり所得は三〇・三%にすぎないのであります。かかる状態から、義務教育を終えた若者であって農業にとどまる者は、この五年間に半減いたしたのであります。もしこのまま放置いたしますならば、わが国の農業は老人の惰性農業から崩壊の道をたどるでありましょう。  そもそも、いずれの国といえども、農業国から近代的工業国に発展する当初には、存在しない工業から税収を得て国の財政をまかなうわけにはいかないのでありますから、財政は農業者に依存しつつ、工業を育成して参るのであります。特に、わが国のごとく、封建時代、長い問鎖国政策によって諸外国との通商の道を閉ざされて、商業資本の蓄積も十分でないまま明治新政権の誕生と相なったのでありますから、明治新政権の財政は地租に依存し、この財政の支えによって、殖産興業の名のもとに、官業財産払い下げを柱として鉱工業を育成する一方、政商に暴富を積ませてきたことは明かな事実であったのであります。さらに、わが国の特徴は、商業資本から産業資本への自然の発展ではなく、産業資本への地主資本の動員であると思うのでありまして、明治当初における鉄道の建設、銀行の普及はその代表的なものであります。  このような地主の租税負担と資本動員は、あげて耕作農民の肩に転嫁され、つい十数年前まで比類なき高額小作料の収奪として存在したのであります。  かくして、農村は、長い間常に貧しく捨ておかれ、国民食糧、その他農畜産物の供給者としてのみならず、産業の発展につれて低賃金労働者の供給源として、また、下級兵士の供給源として国のための美名のもとに動員せしめられて参ったのであります。私は、わが国近代産業の形成に、このように寄与して参りました農業従事者に対し、今や国は償いをしなければならないときが立ち至ったと思うのであります。以上の歴史的事実を全国民に理解していただき、その協力を得てこの法案により画期的施策を実現し、これによって農業発展の障害となる経済的、社会的諸要因を除去し、農業従事者の所得を他産業従事者のそれと均衡させ、農業生産性を向上し、かつ農業従事者の地位を向上せしめようと存ずるのであります。  次に法案の内容について申し上げます。  第一に、国等の責任を明確にしたことであります。われわれは、ただいま趣旨説明において申し述べました通り、この画期的大事業を遂行することは国の責任であるとの観点立つのでありますから、政府による報告事項、計画事項を除き、他は全条文にわたって国の責任を規定したのでありますが、総則中に概括して、まず、目的の条において、この法律の趣旨の実現を国の責任において行なうことを目的とする旨を明らかにし、次いで、法制、財政、税制、金融等、施策全般の責任を規定し、地方公共団体もこれに準ずることによるほか、農業従事者の協同組織の助長、地域性の配慮、必要予算の計上、資金供給等の責任を明らかにしたのであります。  第二は、農業近代化に計画性を貫いたことであります。わが党は、立ちおくれた農業を急速に近代化するためには、計画的に遂行することが必要であると考え、そのため、計画を、農業基本計画、農業年度計画、長期生産計画の三つといたしました。農業基本計画は、一、農業生産基盤の整備拡充計画、二、農用地の造成計画、三、農畜産物の生産及び需給計画、四、農業用資材の需給計画、五、協同組織の拡充計画、六、農業経営の近代化計画、七、所得格差の解消計画、八、生活環境の整備計画の八計画といたし、農業年度計画は右の基本計画に基づいて毎年次年度の農業年度計画を立てることにいたし、長期生産計画は主要農畜産物のおのおのについて立てることにいたしたのであります。  以上の八計画は、その名称によってほぼ御理解いただけると存じますので、一々の説明は省略いたしますが、その二、三について申し述べます。わが国の山林原野のうち、農用地に転換可能なものが五百万町歩と称せられるのでありますが、これらは現在の機械と技術をもってするならば容易に農用地になし得ると思うのであります。もちろん、すべてを田畑に造成することは不可能でありますが、わが国の高温多湿の気候は、北欧酪農国における牧草収獲年間二回に対し、わが国の平地においては八回の収獲でありまするから、酪農地帯として大いに期待し得ると思うのであります。零細過小農、手労働の解消はわが国農業の宿命的課題でありますが、貧農切り捨てに陥らず、零細協同化に終わらせないためにも、国費による計画的農用地造成は最も重視すべきものであると信ずるものであります。次に、所得格差解消の問題は、本法の眼目ともいうべきでありまするから、曖昧な言葉を避け、そのものずばりと規定いたしたのであります。  第三の特徴は、農業協同組合及び他の農業従事者の団体の役割につてであります。これらの団体を重視すべきことはすでに述べたところでありますが、わが党はその役割を九カ条について規定いたしたのであります。そのおもなるものは、農業協同組合をして長期生産計画の実施に当たらせるほか、農畜産物の流通の面、農業用資材の生産、輸入の面、あるいは市場のコントロール、組合貿易等に主導的役割を果たさしむることにいたしました。また、わが党が各種の農業従事者の団体を農業協同組合と同様に扱ったのは、農業の近代化、協同化または所得の増大のためにあらゆる農業従事者の団体を動員することが実際的であると考えたからでありまして、団体の名称、内容のいかんを問わないことにいたしたのであります。  第四の特徴は、農畜産物の価格と流通についてであります。農業従事者の不利は流通面においてはなはだしいのでありまして、売り値も買い値も先様次第であります。われわれは、まず、主要農畜産物については生産費及び所得補償の原則によることとし、さらに、農業協同組合及び農業従事者の団体によって、販売、貯蔵、保管、加工の事業を推進せしめるとともに、市場を三つに分けて、生産地市場は農業協同組合または他の農業従事者の団体の専管とすることにし、消費地市場は生産者、消費者を運営参加せしめて公共性を強め、さらに主要都市に国営モデル市場を設けて農業者の団体と消費者団体の連携を強化することにいたしたのであります。  第五は、兼業農、零細農及び僻地農業対策であります。これらに関して特別の対策を持たなければ、農業の近代化はもちろんのこと、所得格差の解消は不可能であります。まず、兼業農家が協同事業に参加する場合、従前の農業所得が確保される措置を講じ、零細農家は協同化により専門農業として育成しようとするものであります。さらに、僻地農業は、他産業との所得格差のみならず、農業従事者間においても格差ははなはだしいのでありますから、全般にわたって特別措置を講じて、農業の地域的所得格差とともに他産業に対する所得格差解消をいたそうとするものであります。  その他、農業災害については、完全補償の方向を明らかにし、また、生活環境の整備、農業従事者の団結権、団体交渉権を規定し、農政審議会に建議権を付与するなど、所要の規定を行なったのであります。  これを要するに、農地所有の権利は改変せず、農業従事者が喜んで協同組織に参加する方途を講じながら、国の責任において、農業の近代化と農業従事者の所得が他産業のそれと均衡するように諸施策を講じ、農村と農業従事者の地位の向上をはからんとするものであります。  何とぞ御審議の上御賛成賜わりますようお願いいたします。      ————◇—————

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 次に、内閣提出の農業基本法案及び北山愛郎君外十一名提出の農業基本法案を一括議題として質疑を行なうことにいたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。森田重次郎君。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 私は、内閣提出の農業基本法について若干の質問をいたして、日本の農業経営が何ゆえに農業基本法を提案させるに至ったかの理由等についてもお伺いしておきたいと思うのであります。  まず、農業経営の主体についてお伺いしたいのであります。今の日本の農業経営は、大体、自作農、第一種兼業、第二種兼業、こうなっていることは明らかでありますが、この三種の農業経営の主体の一経営当たりの耕地面積、その平均はどうなっているか、同じくその経営者の数、こういうことについてまずお伺いしておきたいと思うのであります。

大澤融農林事務官(大臣官房審議官)

○大澤政府委員 六十年のセンサスの結果でございますけれども、自作が四百五十五万二千、自小作が百九万、小自作が二十一万九千、小作が十七万八千、こういうことになっております。そこで、耕地面積が、自作地が、四百八十五万町歩、小作地が三十三万三千町歩ということになっております。それから、専兼業別でございますが、専業農家は二百七万五千、それから、兼業農家につきましては、第一種が上百三万一千、第二種が百九十三万八千、こういうことでございます。二月当たりの平均耕地面積でございますが、これを専業農家について見ますと、東北では一町三畝ということでございますし、近畿について見ますと、ぐっと小さくなりまして、六反田畝というような数字になっております。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 そこで、今の経営主体の二月当たりの一年の平均所得は大体どうなっているでありましょうか、その点をお伺いいたします。

大澤融農林事務官(大臣官房審議官)

○大澤政府委員 二月当たりの所得を見ますと、今の東北、近畿について申し上げますと、専業農家につきましては、東北が三十八万六千円、近畿につきましては三十四万五千円。さらに、兼業農家につきましては、東北では二十万三千円、近畿では十五万三千円。これは三十二年の農家経済調査の結果でございます。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 そこで、大体日本の農業経営の現実ということが明らかになったと思うのでありますが、内閣で方針を定めた所得倍増計画に基づいて、これは今お答えになりましたそれぞれの問題について最終の十年後の大体の想定、これをお伺いしておきたいと思います。

大澤融農林事務官(大臣官房審議官)

○大澤政府委員 十年後の問題についてお尋ねでございますけれども、これにつきましては、農業内部の諸条件あるいは農業外の諸条件、いろいろ条件の変化というようなことの予想がなかなかむずかしい点だと思いますけれども、たとえば、所得倍増計画では、一つの大胆な見通しだと思うのでありますが、二町五反というようなものが自立経営と考えまして、それの所得は百万円くらいじゃないかというような見通しを大胆に立てておる例がございますけれども、今申し上げましたように、いろいろな条件の変化で、将来の構図をはっきりこうなるのだというふうに描くことはなかなかむずかしかろう、こう思います。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 しかし、二月当たり、つまり一経営農家当たりどれくらいの所得額を目標にしているかという想定くらいはできておるのじゃないでしょうか。

大澤融農林事務官(大臣官房審議官)

○大澤政府委員 所得倍増計画では、個々の農家につきましてこのくらいの所得になるであろうというような計算はいたしておりません。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 次に、法案の中にある協業についてでありますが、これは、生産組合あるいは法人ということになっているようでありますが、十年後には大体どの程度になるだろうかというような想定が立っておるのでしたら、お伺いしておきたいと思います。

大澤融農林事務官(大臣官房審議官)

○大澤政府委員 これも、率直に申し上げまして、協業経営がどのくらいできるかというようなことの想定はございません。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 そこで、その点はこの程度にしておきまして、第二の問題についてお伺いしておきたいのであります。それは、農業経営規模の拡大ということが最も大きいテーマになっていると思うのであります。規模を拡大し、これを集団化し、これを機械化する、そこに農業経営の近代化があるのだというふうな趣旨だと考えるのでありますが、そこで、お伺いしておきたいことは、第十六条によりますと、遺産相続の際の細分化を規制しておるようであります。しかし、今の耕地面積を拡大するという意味においては、この条文のことがこの通り行なわれたとしても、現状以上に細分化しないというだけのことでありまして、 これによって耕地面積が拡大されるということにならないと考えるのでありますが、いかがでございますか。

大澤融農林事務官(大臣官房審議官)

○大澤政府委員 今の相続による経営が分別しないようにという規定でありましては、消極的に規模が小さくならないようにということの働きをなすにすぎない、こう思います。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 そこで、どうしても、耕地面積を拡大するという意味においては、国有林の中における開墾適地であるとか、あるいは今まで放置されていた高原地帯であるとか、あるいは干拓地、あるいは湿地帯として放置されているものを土地改良その他の方法によって開拓することが絶対に必要だ、こう考えるのでありますが、これに対してどの程度まで開拓が可能であるかということについてお伺いしておきたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 お話の点は、私どもも今後における農業の発展見通し、ことに需給推算に基づく農作物の必要とする土地面積、また、牧畜、家畜の畜産を伸ばすために必要なる土地面積、また果樹園についてもしかりでありますが、そういうものの需給の上に立って必要なる拡張、造成、また牧野の造成は考えていきたいと思っております。たまたま今日において開墾適地として考えておるものは百五万何千町歩かあります。そのうち六割くらいが耕地となり得るという予想になっております。また、別途牧野として適地だと思われるところが百八万町歩ばかりある。この中には相互重複しておる部分もございます。こういう面積をただ抽象的にすぐ開墾あるいは草地として全部やるというのではなくて、今後における需給の見通しの上に立って、必要なる面積については、これが開墾、干拓あるいは拡大に努めておりまするし、これに対して必要なる措置といたしましては、国有林野等の払い下げあるいは使用権の設定等に関して適当な措置はそのつどその段階において考えていくつもりであります。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 ところで、条文を拝見いたしてみますと、第二条の一項二号に「土地及び水の農業上の有効利用及び開発」、第九条の中ごろに「農業生産の基盤の整備及び開発」と、わずかにこの「開発」という言葉がここに顔を出しておるだけであって、政府の態度としては何か新開拓について熱意を欠いているのではないか、他の産業の発展に期待するところが多く、農業は国家全体から見て第二義的なものであるかのようにみなされるということが巷間批判されているようでありますが、この点につきまして大臣の信念のあるところをお伺いいたしたいと思うのであります。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 巷間いかなるためにする宣伝がありましても、私どもは、第二条に掲げてありまするように、農地の開発、水資源の開発等に関して必要なる措置を国は立てねばならぬということで、文字の書き方の大小でなくて、実質においてこれが需給推算に基づいて必要な措置を講じて参り、着実なる計画に沿うて計画を立て、国家の措置をきめるつもりであります。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 そこで、これから開墾していかれる、あるいは開拓されるというのでありますが、これは、耕地面積一戸当たりのものを拡大する意味においても、新たに開墾されもしくは干拓等されたものには、新しく入植させるという方法でなく、むしろ地元増反を多くするという方向で動くべきものではないか。むろんこれは全部これでなければならないとは申し上げませんが、大体そういう方向に持っていくべきものではないかと考えるのでありますが、これに対する御意見を伺いたい。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 それは、お話しのように、ところによりましては地元増反の方向を主として考える場合もございましょうし、まとまった地域における開拓地域においては、これは将来における自立経営農家として必要な面積を取って移住させる、そうして元の農家の小さい反別の耕地は他の農家に合わせて経営の拡大をはかるということも考えられる。これは、一律と言わずに、具体的な場合においてそれぞれに沿うて計画を進めたいと思います。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 先ほども開墾、開拓の点についてちょっと触れましたが、東北その他は国有林が非常に多い。しかも相当放牧地としても利用できる部分がありまするし、また畑地としても、場合によっては開田まで可能であるというような場所があるのでありますが、しかし、この国有林の開放というのは、なかなか民間で要求しているようには実現されていないというのが日本の実情であります。私らはこの点についても多年国有林開放論を提唱して参りました。わが青森県などは特に多い。岩手県しかり、福島、山形、東北地方は大体そうなっているのでありまして、これらについては、もう少し思いやりのある考え方で地元に開放するという方針を立て、これが実現を期していただきたいと思うのでありますが、御所見いかがでございますか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 ただいまもお答えをいたしました中に、将来の計画に沿うて国有林野の払い下げ、使用権設定等について法制の改正を準備しようとしている、こうお答え申し上げたのでありますが、国有林開放についてといいますか、払い下げについて今まで意見のあることもよく承知いたしております。それは、従来、国有林として民有林に払い下げをして、その立木をどうするかという問題が出て参りました。地元の関係といたしましてはそれも必要でありますが、一面、山林の公共性というものを考え、国土保全上、治水上の問題から申しまして、これは、払い下げましても、木を伐採して利用するだけでなくて、払い下げる場合においては、将来の林野としての国土保全上の処置をあわせて講ぜられるということが当然必要だと思うのであります。そういうことなしに、ただ国有林を払い下げてくれといって、立木を伐採して利用することだけで、あとがそのままになるということは治水上非常に問題があります。そういう点を考えつつ、林野として利用する場合における払い下げの問題も、また今後における畜産奨励における牧野の問題として利用する場合も、また畑地として適地として考える場合も、すべて具体的な計画に沿って立てていくつもりであります。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 そこで、巷間、この農業基本法なるものは貧農を切り捨てるのだという議論が相当あるようであります。そこで、お伺いしておきたいことは、ただいま農業経営の主体として第一種、第二種兼業というものが現実的には存在することは疑いのない事実であるが、この兼業農家を何か行政的な措置で離農させる、これを強制的に離農させるというようなふうに巷間伝えられておるのでありまして、私らはこれは全く誤解であるというふうに考えておるのでありますが、御所見いかがでございますか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 そういううわさを立てている人があるのだろうと思いますが、それが誤解でなくてもし間違った話によって惑わされているということがあっては困りますので、私どもはそういうことに対して絶えずお話しを申し上げているわけであります。私どもは、兼業農家の個々の農業にいたしましても、専業農家の行なう農業にいたしましても、農業としての部面においては新しい形に近代的改革をするような方向へ持っていくように施策を行ないます。しかし、別途、現在における鉱工業の発展に伴いまして自然的に労働移動が生じている現実を私らは見失ってはならないと思います。私どもが現在の農村農業において一人当たりの生産性を高めていくという一つの方向は、何と申しましても就業人口が過剰である、それが零細農地において農業を営んでいるところにあるわけです。しかしながら、何らの施策なく、他の方向へ転換する道のないときに近代化、合理化ということは、これはできないことであります。今日のごとく鉱工業の非常な発展に伴ってその方へ出ていく労働力の移動の現状を見つつ、これらに対しては職業の訓練なり技術訓練をさせて、よりよき職場に働くところを得さしめるという方向を考え、あわせて、残った者に対する機械化、近代化を促進して生産性を高めようとするのでありまして、その問には、農業者に積極的、強制的な移動をさせる意思はございません。あくまでも日本経済全体の発展の中ですべての人間に所を得しめて生活をさせていくという行き方こそ、農村問題の解決にもなるわけであります。その問題に目をおおうことはできないと思います。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 これはただいまの御説明で了承いたしますが、たとえば、小面積のものを持って経営しておる、しかしながら彼は小面積の経営をもって満足しておるのである、こういう者も私はおると思うのであります。従いまして、こういう者がどこかへ持っていかれるのじゃないかというところに農村不安がある。そこで、これは、憲法の建前等から申しましても、そういうもので満足して、それでいいというものを、しいてどうしようというようなことはあり得ないことでありますから、その人の自由意思を尊重すべき建前だと考えるのでありますが、いかがでございましょうか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 お説の通りであります。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 そこで、問題は、今までの耕地面積というのは大体きまっている。それに先ほどの御説のような新しく開墾する面積がプラスされる。一戸当たりの面積を多くするというのでありますから、どうしても一部の農家が外に去って、そしてその土地が今まで経営していた方々の面積に付加されるということにならなければ、耕地面積の拡大にはならない。これは当然のことだと思うのでありますが、そこで、零細農家が喜んで外の方にかわっていくという政治上の環境を整備することがきわめて大事なねらいになるのだと思うのであります。その環境を作るという政治上の方途は一体どんなことになるのでございましょうか。その点をお伺いいたしたいと思うのであります。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 その点は、ただいま一つの例は申し上げましたが、やはり、現状とし、移動していく労働人口に対して、技術的訓練、職業的訓練、教育の面からいたしまして、移動した先において正当な労務に服し得るような形に訓練していくことが一つであります。また、それを想定いたしまして、ただいま別途低開発地域工業開発促進法案を提出いたしておりますが、その意味するところは、現在の鉱工業発展地帯における水あるいは電気の行き詰まり等から考え、また、農村における労働力というものをいながらにして吸収しつつ、そこのところに働く場所を得しめるために、工場の分散、都市の分散ということを考えております。こういう面につきまして、現実に農村にいつつその方に移転していくことは、今後における大きな施策だと思います。現に、御承知のように、各地区にできております工場の姿は、その土地における二、三男を吸収していく、また転職してその方に行って相当の収入をあげているのもございます。また、将来におきましては、農村に工場を誘致するにいたしましても、その目標とする一つは、農産物を加工すべき工場を大きく考えたいと思っております。それは、個々の農家の零細な資金よりも、農業協同組合等の集まった金を大きく投資する、たとえばハム工場の設置というようなことが考えられますと、そこに農村における畜産物の加工場を得て、商品価値の付加をなし得るのみならず、一面には、その子弟またはその家族が畜産に従事し、畜産を発展させ、かつ工場に勤めて賃金を得る道を得る。そういう問題は工場誘致の場合に優先的に考えることであり、それら以外の鉱工業に対しましても、これが分散に応じてそういう処置がとられると思います。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 工場を地方に誘致して、農村の零細農業の方々が喜んでその場所に移るという点が一つの大きいねらいだと思いまするし、また、他の関係法案も出ているようでありますが、私らの心配することは、大体、工場立地という点から考えまして、今のわれわれの立っている立場は自由主義の立場でありますから、もうからなければ工場誘致をしないじゃないかということが原則になると思うのであります。そうなりますと、この立地条件としての道路、港湾、鉄道、空港、電信電話、工業用水、工業用地、これらを自然の姿に放置しておきますれば、後進地域としての条件のよくない地域はいつまでたっても浮がび上がることができないのだという制約が出てくるわけなのであります。ここに、政府が工場を地方に誘致するんだと言っても、はたしてほんとうに工場を地方に持ってくるだろうかということについて疑念を持っている農民諸君が相当おるのであります。そこで、こういうような工場誘致の特別な工作、つまり、自然に放置しておくのではなく、そこに政治上の考え方があるんだということが必要だと私は思うのでありまして、この点について大臣の御所見を承りたい。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 お話の点は、後進地域開発促進法というものがこういうことを含んでいる。私もただいま一例をあげたにすぎませんが、工場を誘致するという前提においては、道路の問題なり、鉄道の問題なり、港湾の問題なりを考えるべきで、かつて自由民主党の委員会において決定された東北開発はその点をねらっておりまして、とにかく、各個々の県別の利益に走るということよりも、東北の開発のために道路、鉄道、港湾をまず設置するということでやっているのは今までの例でおわかりかと思います。そういうことが工場誘致に関連して当然出てくる問題でありまして、われわれが農山村等の後進地域における環境の整備ということを考える場合には、そういうことは当然出てくるわけであります。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 この工場誘致の問題は、耕作面積拡大の根本的な前提になる、こういうふうに私は大づかみに考えているわけであります。ところが、この農業基本法を見ますと、なるほど、大臣が先ほど御説明になりましたように、工業を助長するんだということが書いてございますが、これは何か農産物の加工等の工業というようなことに狭い意味に書かれているようでありまして、私は、やはりこれは、建前が違うのだと言えばそれまででありますけれども、農業基本法の中に特に林業などというようなものを特別に書いた条文等もあるのでありますから、農民を安心せしむる意味においても、工場を誘致するんだということを特に書いた方がよかったのじゃないかと実は考えているのでございますが、この点はどんなふうにお考えになっておいでになりますか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 二十条の規定は、そういうお話のような狭い考えでありません。農山村における工業の振興ということは、もっと広いのであります。その中で鉱工業もありましょうし、先ほど申しました水なり電気に困っている京阪神地帯あるいは北九州地帯のところへそのまま持っていって、電気が足らぬということにならないように、むしろ水、電気等も考え、そして農山村あるいは未開発地域に持ってくることが必要だ。その際に考えられることは、まず、農産物を加工する工場あたりは、同じく工場を設置するといたしましても農家の利益になるということで、それも考えなくちゃならぬ、こう考えておるわけです。  それから、あくまでもこれは基本法であります。この条文の第二条の各号に規定している事柄を、今後この法律制定後、法制におきまして、あるいは制度におきまして、予算的な措置におきましてもぐんぐんとこれをもとにして私は要求し、新しい制度を作っていくことがこの基本法のねらいであります。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 耕地拡大の問題はこの程度にいたしておきまして、次に、耕地の集団化についてお伺いしておきたいと思います。  私は、本案のうちで最もめんどうな問題は耕地の集団化ではなかと実は考えるのであります。集団化して機械化するというのが大きなねらいだと考えますので、それだけにこの集団化ということがきわめて問題になると思う。そこで、お伺いしておきたいのでありますが、集団化するためにはいろいろの方法があるでありましょうが、どういうような方法でこれを実施なさる御予定でありますか、お伺いしておきたいと思うのであります。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 前々からやっておりまする耕地の改良、土地改良というようなものとあわせつつ、土地の交換分合ということが私はもっと積極的に行なわれるべきだと思います。これは個個の農家の持つ分散したる農地を集団化する一つの方法だと思います。同時に、今お話がありました中で、各所有権というものが別々にありましても、同じような条件のもとにある畑地というものに対しては、集団しておる土地に機械の共同利用によってこれを耕作するということも労力の節約のためになるし、また、個人々々の持ちものについては、ばらばらに分散しておるものをでき得るだけ集団化して交換分合することが農業労力の節約になり、かつ耕作等において能率化し得るものである。これは、かつて大体百七十万町歩の交換分合を計画して百二十何万町歩は終わっております。新たになお百三、四十万町歩ほど計画をして交換分合をはかり集団化いたしたいと考えております。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 この農地の交換分合についてお伺いいたしたいのですが、これは、御存じの通り、戦時中にすでに実験済みだと私は実は考えておったのでありまして、これほど困難な問題はないように思います。そこで、今大臣が交換分合を幾ら幾らおやりになったというお話でありますが、しかし、それは今までの方針に基づくそれであって、今度新たに農業基本法というものを制定せられて、それでこの交換分合によって集団化をはかろうというのでありますから、それは再編成という意味でなされなければならないようなことになるのではないかと思うのであります。そこで、お伺いしておきたいことは、適正規模として一戸当たりの耕地を想定し、それをできるだけ一カ所に集中するということはどの程度まで一体期待できるのか。私は非常に困難な問題のように考えるのでありまして、これについての農林省における自信のほどをお伺いいたしと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 お話のように、これはなかなか簡単にできるというふうには思いません。しかし、それを貫いてやっていくところに新しい農政の方向がある。むずかしいむずかしいとおっしゃいますが、現に百七十万町歩を計画し、百二十何万町歩が実行済みであります。しかし、むずかしさというものの中には、土地の生産性といいますか、土質の生産性の違っているところはなかなか困難です。そこには新しく土地改良というものと並行してやりたいということを申し上げたのはその点であります。同時に、集団化の関係は、耕地整理等によりまして二反歩あたりにまとめて区画整理をするというようなことが入るのでありまして、これは真剣に取り組んでいって、新しい方向に機械化し、技術を高度化する場合には農民の理解を得つつやることが必要であります。決してこれは強制ではありません。これは過去においてもできておるのであります。私どもは実験に基づく確信を持っております。しかし、ただ何町歩やるかといっても、これはその地方々々によっても違ってくるでありましょうし、一応の計画としてはでき得る可能性のある土地面積を考えて計画を立てておるわけであります。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 そこで、今の土地改良の問題でありますが、この区画整理をやることによって農地の交換分合ができるということがただいま大臣の御説明の中にもあったようでありますが、日本全体を見て、まだ区画整理をしていない土地が相当あるように考えられるのでありまして、これを徹底的に実行することによって農地の交換分合が相当程度可能ではないかと考えるのであります。ただ、問題は、地元負担金が相当多いのでなかなか容易にこれを実現することが困難だというのが地方農民諸君の要望のようであります。そこで、これに対して徹底的な助成をやらなければなかなか交換分合が困難だと考えるのでありますが、この助成の方法等についての御所信をお伺いしておきたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 お話の通り、土地改良に関する負担区分の問題については新しい見地に立って検討する必要があると私どもは考えております。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 そこで、第三番目の機械化の問題についてお伺いしておきたいのであります。  私は、この機械化の典型的なものはアメリカであると思う。自由主義ではあるが徹底的な機械化をやっている。片方ソ連においてもまた徹底的な機械化をやっているのだ、こう見られるのであります。そこで、わが国においてわが国に適するような機械化というものは一体どういう姿で現われるだろうというのが、この農業基本法を実施する上にきわめて大事な点になるように思うのであります。そこで、お伺いいたしたいのは、今のわが国の農村に現在使用されている機械の規模あるいはその種類別台数、一台の価格、こういうような点につきまして多分資料がおありになるだろうと思いますので、お伺いしておきたいと思うのであります。

大澤融農林事務官(大臣官房審議官)

○大澤政府委員 主要の動力機について申し上げますと、電動機が三十四年に百四万台、エンジン発動機が百七十五万台、動力耕転機が三十三万台、動力噴霧機が十五万台、動力脱穀機が二百三十四万台、動力もみすり機が七十一万台というようなことになっております。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 こまかいことはまたあとでお伺いするといたしまして、時間の関係がありますので進めますが、この機械を購入するに、自己資金で買っているものが一体どれくらいあるか、借金で買っているものがどれくらいあるか、農民諸君の機械を買うための負債総額などというようなものが明らかでしたら、お伺いしておきたいと思うのであります。

大澤融農林事務官(大臣官房審議官)

○大澤政府委員 後刻資料を調べまして提出いたします。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 今、農村では、機械化機械化というので、基礎条件が整っていない、つまり、集団化もされていない、あまり耕地面積が多くないにかかわらず、機械を競争して買って、しかもそれが借金になっているというのが大体日本の現実のようであります。ここに私は農民諸君の相当の苦悶があるということを見ているのであります。そこで、この土地の集団化というものが農業基本法を実施する上においてどうしても必要なんだ、しかしながらこれは強制的にはできない、それから、先ほどの大臣の御意見によりましても、一体どの程度まで二戸当たりの耕地というものが集団化されるか、いろいろの点から、私は非常に困難だと考えているものであります。そうすると、機械化といっても、一体どの程度まで能率が上がるかということが、これはおそらく日本の農業のしょっている宿命じゃないかとまで私は考えているのであります。そこで、社会党さんのものも調べて見たのでありますが、やはりこの集団化の点については共通な悩みを持っていると私は思うのであります。共同化と申しましても、私は二色あると思います。というのは、作業を共同化するということと、農業経営を共同責任においてやるということとは全然違うのだ。そこで、私は、今特に問題のこの集団化と機械化の問題に関連して、私の意見を申し上げて、一つ御意見をお伺いしたい。時間の関係上そういたしたいと思うのです。    〔「ゆっくりやれ」と呼び、その他発言する者多し〕

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 集団的独語は慎んで下さい。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 私は、共同経営に責任を持たせるということは非常な危険を伴うものだという考え方でありまして、この点は、私は、わが党の自立経営が日本の実情に最も適するものだと考えている者の一人であります。しかしながら、今申し上げました集団化が可能でないから、機械の適用がうまくいかないのだという点に悩みがある。そこで、提唱いたしたいことは、一定の土地の区画を限って、機械を利用することだけの生産組合、もしくはこれに準ずる団体を作って、機械を利用して作業をすることだけを共同化する、しかし、最後の責任を取る経営の責任はその組合にはないのだ、こういうような方法で、ある土地の範囲内だけに土地を持っている者は、全部その区域のものに入る義務を持つのだというような法制化ができないか。そして、その機械を共同して利用することについては政府で徹底的な助成をしてやる。これならば私は土地の集団化と機械の適用可能なりという考え方を持っておるのでありますが、これについて農林当局はどんなふうにお考えになりますか、一つお伺いしたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 その点は政府も考えている一つの点でありまして、一口に協業と申しましても、お話のように、一番金のかかって、労力がかかっておる作業、たとえば耕地を耕やすこと、ことに深耕の度合いが生産に正比例するということが言われておりますが、それを従来のように牛ですきをもってやっているようなことよりも、機械でやる。それを、先ほどのお話のように、個々の小さな農家が別々に機械メーカーの売り込みに迷わされて持つ。なるほど便利かもしれぬが、あとは資本が寝る。この形態は改めていかなければならぬ。そういう場合に、個個の家族農業でやっておりましても、その耕すということに対して、共同に耕作機械を持って、そうして数個の農家が一緒に耕す作業について共同していくということは、現在もできることであるし、それはけっこうな話である。それに対してわれわれは助成をし指導もしていこう、こういうことであります。ただ、お話のように、危険があるとおっしゃいましたが、その問題は別といたしましても、もう一つの協業、今論戦になろうとしている点は、常に土地なり機械なり家畜なりを共同出資なんかで自分の所有権から離して、そのものに対する経営の権利を他の方に渡すという考え方は、これは農家の自発的意思にまかせていこう、そうして、その機運が満ちた農村においては、またそのある特殊な業態においてはけっこうじゃないか、それは助成していこう、それも私どもは全部の農家を今すぐにという考え方を持っているわけではありませんが、その希望が出ているところに対してはそういう指導をしていこう、こういうのであります。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 ただいまの点は、私は、一定の土地を限って、そこは集団化されるのだから、機械の適用可能なりという点に私の案の妙味があると考えておるのでありますが、大臣の御意見ですと、それは強制的にやらないというふうな御意見のようであります。しかし、この程度のことは、別にそう自由意思を拘束するというのでもなし、また、政府の方で機械の操作、管理あるいは機械を購入すること等について相当の助成金を払って、相当の援助をしてやるぞというような指導方法で参りますれば、私はこれは可能性ありと実は考えておるのでありますが、いかがでございましょうか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 それは私の言う指導であります。もちろん、そういう問題について有利であるということは、だんだん各地におきまして農家、ことに農家の青年諸君が目ざめておられます。それで、そういう場合に、共同利用化される農機具を助成をし、持たせる、そういうことに対しては、われわれはそういうことをやろうという場合にこれに対して助成をするのであります。そのことに一つも反対はいたしておりません。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 そこで、第十七条を見ますと、その第二行目に、「農業協同組合が行なう共同利用施設の設置及び農作業の共同化の事業の発達改善等必要な施策を講ずるとともに、」とある。これに該当すると思うのでありますが、これはしかし、農業協同組合と何も限定する必要はないのであって、その他の農業実行組合という任意組合でもよろしゅうございましょうし、あるいはいわゆる生産組合でもよろしゅうございましょう。特にこれを農業協同組合と限定したことはどういうところから来るのでございますか。

大澤融農林事務官(大臣官房審議官)

○大澤政府委員 これは例示的にあげておりまして、特にそれに限るという意味ではございません。農業協同組合法に協同組合がこういう事業を行なうということが書いてございますので、それを書き出して例示をした、こういうことでございます。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 大体この問題についてはこの程度で打ち切ります。  その次の問題に移ります。これはもうすでにしばしば政府でも声明されておったところではありまするが、最近、地方を回りますと、やはりこういうようなことが相当農民諸君の疑惑の点になっているようでありますから、もう一ぺん大臣にお伺いしておきたいと思いますが、貿易の自由化により日本の農産物の価格が非常に低下するんじゃないか、それに対して一体政府はどうなさるつもりかという、この貿易の自由化という題目が大きく取り上げられているだけ、これが問題になっておるのであります。特に、われわれの方では、大豆、菜種等の生産者の問にこの問題が相当取り上げられている実情がありますので、これに対しての御所見を伺っておきたいと思うのであります。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 これから伸ばしていこうという作物、あるいは国際競争力の弱いものにつきましては、自由化をできるだけ延ばして、その間に競争力を養おうという考えであります。しこうして、かりにこれが自由化された後に問題が起こりましたならば、これに対しましては、別途、ガットの会議に、特別な保護をなすべき必要がある場合においては承認を求めて、関税の処置なりあるいは輸入制限の処置なりをとることができると思います。これは各ヨーロッパ諸国においてもアメリカ等もとっておる措置であります。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 農産物の価格決定の問題でありますが、これは審議会においていろいろお諮りになるもののようでありますが、私は、この中に生産者としての農民諸君の意見というものを相当強く取り上げる必要があるのだと考えているのであります。これは今までどういうような程度に取り上げられていたか、今後またこれに対してどういう方法をおとりになるおつもりか、この点をお伺いしておきたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 これは、それぞれの農産物につきまして、現在におきましても、米に関しては米価審議会、その他の重要農産物の価格安定法に基づく関係におきましても、農業者の代表等の意見を聞いております。また、繭糸価安定法におきましても、それぞれの委員会で農民の代表からの意見を聞いておりますが、今後の措置といたしましても、現在ある制度以外に、新たに価格安定政策をとらなければならず、またそれに対して制度を確立する必要があるとすれば当然それが確立され、それらに対しての運用に関しては農民の代表をこれに加えて意見を聞きつつ処理する方向へ持っていきたいと思っております。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 次に、米の問題についてお伺いいたしておきたいと思います。  農村へ帰っていろいろ農民諸君と接触してみます。そうすると、もう政府の方では米がたくさんだからこれ以上作らなくてもいいという方針なんだそうだ、はたしてそうなんでしょうかというようなことを聞かせらるるのであります。所得倍増計画等をちょっとのぞいて見ましたところが、十年後に現在の一割程度増産すればいいというような書き方になっているようであります。こうなりますと、農民諸君の疑いというものは必ずしも無根拠だとも考えられないのでありまして、この米の増産方針について政府の御所見をお伺いしておきたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 これは、私は、人口の増その他というものは、やはり米食の増加要因になって参ると思います。しかし、国民生活の向上とともに、食生活の改善といいますか、内容的に言えば、一人当たりの米食率は、最近における状況は減って参っておるのでございます。この点は私はよく農民の方々にも理解していただかなければならぬ。そういうことに目をおおうて、いつまでも米は何ぼでもたくさん作ってよろしいというような誤解を与えることは親切でないと思う。私は、その意味において、そういう実態をよくお話をし、しかも現在における絶対数量は確保していかなければならぬと思うが、その意味において、ラフな言い方でありますけれども、現在の生産数量は少なくとも維持されていくわけですから、これを減らす必要はないと思います。しかし、それをやっていくのに、いかに土地を効率的に使いつつやっていくか。これは今与野党一致している問題でありましょうが、とにかく畜産なり果実なりを農村において増産しようという、この増産というものの目的は那辺にあるか。これを増産していくということは一人当たりの米食率が減ることです。だから、その辺のことは、やはり、妙な隠しごとをせずに、ほんとうに理解をさしてやっていく。絶対量が減るのでない、だからあなた方は米を作って下さい、しかし、新しい方向として、土地の効率利用によって、一部の土地は畜産をするとかあるいは果樹に持っていくとか、必要ならば今の牧野の増反といいますか、ふやすことによって畜産をやっていく、こういうことを私は親切に話し合いつつ持っていくことが必要だろうと思います。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 その資料としてちょっとお伺いしておきたいことは、米は一体どれだけ輸入しておるか、ここ三年ぐらいの問の数量と、その価格をお伺いしたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 お尋ねの点は数字的に今お答えをいたしますが、日本でもだんだん米がふえて的確に作っていただいております。その農民の努力に対しても、不必要な外米の輸入は漸次減して参ります。ことし三十六年度も大幅に計画は減していくつもりであります。現実の数年の輸入実績は今事務からお答えいたします。

須賀賢二食糧庁長官

○須賀政府委員 ここ数年の外米でございますが、三十三米穀年度では外米の輸入量は相当まだ多かったわけでございまして、三十三米穀年度では五十万一千トンでございます。それから、三十四米穀年度では、これが二十六万トンになっております。それから、三十五米穀年度では二十万トン、この三十六米穀年度は、外米の輸入量が非常に減少いたしまして、現在予算で見ておりますのは約五万八千トンになっております。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 これは私らにはよくのみ込めないのでお伺いいたしたいのですが、日本でももう米が相当とれている、それで、大体自給自足ができるというよりもむしろ余るのではないかというふうにも言われておる、それに今のように輸入している、これがやはり農民諸君の一つの疑問なんであります。米がたくさんあるというのに外国から米を買うというのはどういうことかということです。そこで、米を輸入せねばならぬ理由ですね。これは何か国際的事情とかそういったようなものがあるのではないかと思うので、その点を一つ明らかにしていただきたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 お話の点がありますから、たった三年の間に五十万トンを五万トンまで減してきた、もう要らぬものは外国からも買いたくない、これで御了承願います。ただ、あとの五万トンでございますが、これは、特殊な用途に使うので、大体食糧ではないようでございます。あるいはのりとか特殊なものであります。その関係と、多少日本品を買ってもらう国において、支払い関係でそれしかないというところがあるようであります。特殊な外国事情があるようでありますが、それでも、米にかわってほかのものでやってもらいたいということで、米は十分の一に減しておることを御了承願っておきたいと思います。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 そこで、これは大臣と所見を異にするようでありますが、ちょっとお伺いしたいことは、米の消費の傾向というものは漸次減少しつつある、それで、副食物で補う、こういうのです。なるほど、牛乳、肉、くだもの、こういうものはむろん必要でございましょう。しかし、これは相当考えなければならないことでありまして、米は何としても主食なんです。一朝天災のようなものがやってきて、主食が減るということになったら、いかに副食物が多いからといって国民は絶対に満足するものでないことは、これは明らかです。治にいて乱を忘れず、天災というものは忘れたころにやってくる。ここ数年豊年が続いたからといって、米を軽く見るような傾向については、私らは非常に時代おくれか何かわかりませんけれども、おかしなことだと考えているのであります。のみならず、この米の消費量が減ってきたということは、私はこう考えているのですが、大臣の御所見をお伺いしたいのは、戦時中に米が少なくなった、そこで、米を食われるのでは困るから、パンを食えパンを食えと言って、学校の生徒などにまで給食でパンを食わせる習慣をつけた、その子供らが今大きくなっているから、やっぱり米よりもパンを食うというような傾向になっているのではないかと実は考えるのであります。だから、やはり、政府がその心がまえで指導を加え、それに沿うような施策をしていくというと、米の消費量を増すこともまた可能ではないかというのが私の考え方なのであります。そこで、私は、やはり、日本は何としても米というものを中心として、これの生産費を漸次減らしていくということも一つの農家の所得を増加せしむるゆえんではないか、こう考えるのでありますが、いかがでございましょうか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 御説でございますが、私どもは必ずしも米はもう主食でないとかなんとか言っておるわけではないのです。これは、やはり、考え方としては、米は主食で肉は副食だというような考え方もいかがかと思うのです。これは私どもは外国人のまねをする必要は必ずしもありません。ありませんけれども、外国人の方ではむしろ肉食の方が主です、分量的に言えば。それにわずかのパン、これでいっている。そこに、極端なことは言いたくありませんが、私どもは、米も、先ほど申しましたように今後ある程度増産していくのだが、しかし、これは、一つの体質改善からいきましても、肉とかその他の蛋白、脂肪の給源をふやすということが、食糧として人間の体質にも合い、また体質がよくなり、そしてやはり満足していっておるわけですね。そういう実態に目をおおってはいけないということだけです。米というものは、まだまだ、日本人の民族性といたしまして、これは何といたしましても重要な部分を占める。しかし、その占める部分というものが一人当たりは現実に減ってきているわけです。お話のように、米食奨励をうんとやって、倍食えといっても、これはなかなか困難な事情だろうと思います。もとより、米を作った場合には、それを消費させるための消費の研究もやることがよろしいと思いますが、私は、実除上の流れが示しているように、蛋白、脂肪というものがふえれば米食は減るという現状は、目をおおってはいけないと思うのであります。そういうものに目をおおいつつ何か米をどんどんよけい食わされるのだという誤りを犯してはならない。これはよく考えていきたいと思います。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 そこで、次にお伺いしたいことは、米をもう少し食わせるように農林省が指導していいのではないかと考える。ただ食え食えと言ったって、それはうまくいくわけがないのでありまして、やはり、うまい米を作るということが大事なことじゃないか。そして、そこに価格の差があってもいいのではないか。うまい米なら高くても買うのだから、こういうような方法等をも考うべきではないか。従って、種類の改造なり奨励の方法によってうまい米を作らせて、これを高く買ってやるのだという方法と、そして消費の方もうまいから売れるのだという傾向を作ることも、その一つの方法じゃないかと考えるのでありますが、これに対しての御所見はいかがでありましょう。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 お説はごもっともな点もありまするし、これは、生産自体について昔のように各品位、品等別に生産を奨励するということも必要でございましょうし、もっとうまい米を食べさすということになると、単味ではいけません。これは戦前のことをよく御存じでしょうけれども、これは、米屋さんが各種の種類の米を混合して、いかにうまい米を作るかということだった。そういう問題等考えますと、これは米の配給から買い上げから全部根本的に非常な問題の多い点であります。考えは御意見として承っておきますが、すぐそれじゃそうするという簡単にいくものでないと思います。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 それでは、次に、基本法の第一条を見ますと、三行目に、「農業の自然的経済的社会的制約による不利を補正し、」という一項がございます。この「農業の自然的経済的社会的制約」というのは、やはり、他の産業と比べての農業の根本性格というようなものを明らかにしたものだろうと思いますが、いかがでございましょう。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 その通りでございます。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 そこで、第二条の第二項にも、「前項の施策は、地域の自然的経済的社会的諸条件を考慮して講ずるものとする。」という一項があるのでございます。ここでもやはり農業の基本的性格を明らかにしたものではないかと思うのですが、いかがでございましょうか。

大澤融農林事務官(大臣官房審議官)

○大澤政府委員 第一条で言っておりますことは、今森田先生が言われたように、農業の基本的性格についてのことを申しておりますし、あとで申されたことは、地域についてのそういう条件を申しております。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 こういうことでございましょうか。この二項は、各地域についての農業の根本性格にのっとるような施策を講じなければならないという意味と解してよろしゅうございますか。

大澤融農林事務官(大臣官房審議官)

○大澤政府委員 単に農業に限らず、たとえば、自然的条件と申しますと、平坦地であるか山であるかというようなこと、あるいは、社会的条件と申しますとその辺の社会的な特別な慣行であるとか、より広い意味でのそういう地域の諸条件を考えて施策をしなければならない、こういう意味であります。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 言葉の上ではそれでいいと思いますが、それでは、端的にお伺いいたしたいのですが、この第二項に地域格差を是正するという意味が盛られているのでしょうか、いかがでしょうか。

大澤融農林事務官(大臣官房審議官)

○大澤政府委員 地域のいろいろな条件を考えまして施策をするということで、地域の格差というようなことも結果として減少していくというふうに考えております。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 そこで、大臣にこの点御意見をお伺いいたしたいのですが、この書き方ですと、地域格差是正というものを一体含んでいるかどうかということは、必ずしも明らかじゃないと私は思うのです。含んでいるかのごとく、いないかのごとく、どうもあいまいな表現だと私は考えるので、これははたして地域格差是正という点を含んでいるかどうか、この点を一つお伺いしておきたいと思うのであります。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 この条文は、格差の問題とは別に、——一般に自然的、経済的、社会的な不利を補正して計画を立てなければならぬという規定がありますが、もう一つ、日本国全体に一律一体でやれない、地域的にやはり自然的、経済的、社会的条件の違いがあろうから、そういうところは地域的にものを考えて施策を立てろ、こういうことで書いてあるのであります。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 この地域格差というものの発生する諸条件はむろん農業だけに限ったことではないのでありまして、その他一切の社会現象として総合されて地域格差ができることは当然のことだと思うのであります。しかし、私は、そういう総合的条件の上からあるものを除去して、農業それ自体から見て、やはり農業経営の上の地域格差というものは存在するのだというふうに考えているのですが、いかででありますか。

大澤融農林事務官(大臣官房審議官)

○大澤政府委員 農業内部でも地域によって格差があり得ると思います。従いまして、地域的ないろいろな条件を考慮して施策をやることによって、そういうものは逐次なくなっていくのだろうというふうに考えます。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 くどいようでありますが、そうすると、もう一ぺん念を押しておきたいことは、この第二項の規定は、地域における農業の根本性格をその地域々々に適するように考慮して実施しなければならないという意味が一つ、もう一つは、やはり、農業上から来る地域格差というものは農業基本法に基づいて是正していくんだ、こういう二つの意味を包含するものと解釈してよろしいのでしょうか。

大澤融農林事務官(大臣官房審議官)

○大澤政府委員 先ほど申し上げましたように、単に農業だけの条件を考えるということではないと思いますが、農業上の地域格差の問題は、このような施策をとっていくことによって漸次是正され解消されていくというふうに考えております。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 もう少しはっきりしていただきたいのは、今私の申し上げたこの二つの意味ですよ。地域格差是正というものを含むか含まないかということをここにはっきりしていただきたい。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 その点は、今審議官が申しましたように、ここの規定は、とにかく、自然的、経済的、社会的な諸条件の不利を是正して計画を立てるという考え方を受けて、さらに、そのことは一律一体にいかぬ、地方的にまた違っている点があろう、その地方的な不利な条件を考えて施策は立てろということが眼目ですから、その結果、あなたのお話のように、地域についての違いをその施策によって変えていくということから、いろいろな違い、格差と申しますか、それが直されていくということは当然結果的に出てくると思いますけれども、書いてあることは、どこでも一律にいきがちなものを、施策を立てるときにはもう少し地域的にものを考えていけ、こういうことを書いておるわけであります。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 どうも私の質問に対して必ずしも明確な御答弁を得たとは考えられません。しかし、私は、やはり農業上の地域格差というものは存在するんだ、従って、この第二項は内容として地域格差是正というものは含まれているのだ、こう解釈するのが、どうも条文の性質上当然じゃないかと考えているのですが、どうですか。もう一ぺん一つ……。

大澤融農林事務官(大臣官房審議官)

○大澤政府委員 今申された地域格差の問題は、農業上の地域の格差、こういう意味だと思いますけれども、第二条に掲げております施策は、いわゆる狭義の農業政策に限らず、非常に範囲の広い政策を総合的に講ずるわけであります。それらを講ずる場合に地域の諸条件を考えるということでございますから、そういうことによって結果として農業上の格差も漸次解消されていくということになろう、こういうふうに考えます。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 地域格差是正というものは、結果的に発生するものではなくて、政治上の具体的なテーマとして取り上げて、地域格差を是正するための予算措置その他のことをやらなければならないはずなんです。それを含んでいるのかどうかということは、われわれ後進地域の代表者としてはきわめて重大な問題なんです。そこでこれはお伺いしているのです。だから、含むと考えていいわけでございますね。

大澤融農林事務官(大臣官房審議官)

○大澤政府委員 今までお答えした通りでございます。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 これ以上……。ただ、私、ちょっとこれが問題だと思いましたので、この地域格差是正のための西欧の立法されたものを調べてみました。それによりますと、スイスの農業法の第二条には、本法の適用において山岳地方における生産及び生活の困難なる諸条件はこれを特に考慮する、こう書いておる。それからまた、同法第四条に、特に第二十二条及び第三十一条の規定適用のために山岳地方を考慮に入れて云々。イタリアのそれにもございます。それから、オーストラリア農業法の第三条の二項にも、この連邦法の施行にあたってはさらに山岳農民地域における困難な生産及び生活条件が特に考慮されなければならない、こう規定しているのであります。だから、私は、第二条の第二項については、やはりそういうような規定みたいにはっきりとしておく必要があると考えるのであります。これは、先ほど申し上げましたように、後進地域のわれわれとしても、どうしてもここに地域格差是正というような意味のことをうたっていただいて、そして、予算の措置のときに、こういう規定があるからこれにのっとってと、こう持っていかなければいけないというのが私どもの考え方なので、その点でお伺いしているわけであります。

大澤融農林事務官(大臣官房審議官)

○大澤政府委員 そういう地帯に対して特別な施策をするのだという意味がこの条項には含まれております。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 私は与党の一人なんですが、この第二条の第一項の一号から八号まで見ますと、この中には地域格差というのは全然書いてありませんね。

大澤融農林事務官(大臣官房審議官)

○大澤政府委員 一号から八号の中には直接そのようなことは示されておりません。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 従って、この第二項に地域格差を含めないと、地域格差是正ということがこの基本法にどうも明確でないと私は考えるのです。

大澤融農林事務官(大臣官房審議官)

○大澤政府委員 今申し上げましたように、第二項にありますこれらの諸条件を考慮して第二条一項に掲げている一号から八号までの施策を総合的にやる、こういうことでございますから、今申し上げましたように、特別の地域に対しては特別の施策をするということが含まれるわけであります。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 森田さんのお話ですが、この条文の書き方だけで地域格差の問題をどうこうということではございません。地域格差の問題は全体を流れる考え方であり、そして、先ほどお話を申し上げたように、農山村あるいは後進地域に工場を誘致するというような問題も、そういうことによって得られる農外所得等の関係によっても地域格差はなくされなければならぬ、また、他の問題、生活環境というものから考えて、無点灯部落を解消する、無医村地区にお医者をというような問題は、やはり地域的な格差をなくする問題であります。ただこの一つの問題、これだけが全体ではございません。この問題については、先ほどから繰り返して申しますように、自然的、経済的、社会的不利をなくするということの計画を立てるのだが、その計画は一律一体ではいけない、地方的な諸条件を勘案して立てろということを考えているのでありまして、全体の農業従事者の生活水準を均衡せしめるということについては、法を流れる全体として、地域的な、あるいは農業内部における格差もある、これらすべてをできるだけ早急にその格差を是正していくことが全体のねらいであります。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 どうも大臣と所見を異にするようでありまして、これ以上あれですけれども、先ほど大臣お立ちになられたのであれですが、問題は、つまりこういうことなんです。後進地域と先進地域とは、農業の方面から観察しても格差があることは明らかだと思うのです。そこで、後進地域の方で農業上の施策で格差是正のために予算をとってもらいたいという要請があるわけです。ところが、この基本法の中にそれが明確になっていませんと、やはり要求する根拠というものがきわめて弱いものになるのじゃないか。そういう意味で、総合施策として大臣がそうおっしゃることは私はわかります。所得倍増計画の中においてもこの地域格差を是正するということが明確にうたわれておりますし、ほかの政府の御意見などをお伺いしても、やはりこの地域格差是正ということがうたわれておるのです。だから、やはり、農業基本法の中にもこれをうたわれておった方がいいんだという考え方で私は御質問申し上げております。しかし、何べんやっても同じことを繰り返されたのではあれでありますが、ただ、こういうことなんです。私は、第二条の第二項は、地域による農業の自然的性格というものはその地域に適切なるようにやれということが一つと、それから、大きいテーマとして次に地域格差是正ということを含んでいるのだと解釈するものであります。そこで、私の解釈の通りだとすればという仮定の上に立って申し上げるのでありますが、もしそうだとすれば、第四条を見ますと「政府は、第二条第一項の施策を実施するため必要な法制上及び財政上の措置を講じなければならない。」と、こう書いてあります。さらに、第五条においても、「国及び地方公共団体は、第二条第一項又は第三条の施策を講ずるにあたっては」云々と、こう書いておるのであります。そこで、問題は、先ほど私が申し上げました通り、地域格差というものを是正するということがこの第二項に含まれていると私は考えるし、政府委員の答弁もまたそうだというふうにうなずかれるような御答弁でございますから、それならば、予算措置においても、第二条第一項と限らないで、第一項、第二項ということですから、この第一項というものを削って、政府は第二条の施策を実施するため云々と書けばよかったんじゃないかと私は考えるのでありまして、特にこの第二項を除外した理由がわからなくなる。そこでこの点を一つお伺いしたい。

大澤融農林事務官(大臣官房審議官)

○大澤政府委員 お答えいたします。  第二条の第二項は、第一項に掲げた諸般の施策をやるあり方、いわゆるやり方を述べたのであります。ですから、その気持がさらに第二条第一項ではこういうことを講じなければならないと政府を義務づけるし、それをやる場合に、前項の施策をやる場合にこれこれの条件を考慮して講ずるものとするというように、あり方を述べているわけであります。従いまして、第四条なりあとのところで第二条第一項の施策という場合には、第二条第二項のようなあり方でやる第二条第一項の施策ということでございますから、その点は含まれているわけであります。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 私はやはり今の御見解には必ずしも賛意を表し得ないのであります。この所得格差の問題というのは、所得倍増計画の上からもきわめて重要視されている一項であるし、農業本来の性格から見ても、日本のように南は九州から北は北海道の果てまでの間でありますから、地域格差というものは必ず存在する。そうすれば、やはり、この地域格差是正というものは、農民の生活を高める上においてきわめて重要な政治的の目標でなければならないのでありますから、やはり、予算措置を講じてもらわないのでは全然無意味なことになると考えますので、そういう点から私は今のような御質問を申し上げたのであります。しかし、これは見解の差になるようでありますからこの程度で打ち切っておきますが、政府においてもこの点はもう少し明瞭にしておくことが大事じゃないかと私は考えるのであります。とにかく、私は与党でありますけれども、しかし、日本の農村というものの苦悶なり現実なりを直視して、ここから一歩新しい世界に踏み切ろうというのでありますから、現実は現実としてこれを厳密に議論しておくことが必要であると考えて、以上のような議論をいたしたものでございますので、その点に対しては特に御考慮をお願い申し上げておきたいと思うのであります。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 森田さんのお話、突き詰めたお考えはよくわかりますが、私どもは、法を流れる全体の精神は、単に地域的格差ということだけでなくて、農業自体における階層的な問題もあると思います。それから、他産業との差がある。これらを含めて、一々書いてないのですが、しかし、農業従事者の生活というものと他産業に従事する者と均衡せしめるということも入っておりますし、しかも、その施策は一律一体であってはならぬ、それは常に地域的な自然的、経済的な不利をよく考えて施策を立てるということで、二項で、一項の計画を立てるときは地域の自然的、経済的、社会的諸条件を考慮して講ずるものとするとなっており、その施策に対して、受けて四条では全部予算的措置を講ずるのですから、これは私はちゃんと入っておると思うのです。

森田重次郎自由民主党

○森田委員 私はただいまの御説明には必ずしも承服するものではありませんから、政府においてもこの点御検討願いたいと思います。  私の質問はこれで打ち切ります。

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 大野市郎君。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 基本法の問題で二、三点質問いたしいとた思います。ただいまの問題の続きでありますが、地域の自然的、経済的、社会的諸条件の問題につきましての考え方については、大臣から一通りの見解が述べられたのでありますが、この点の法的な形式の問題についてはあるいは疑義があるかもしれませんので、私も問答を承っておって、この点に対してはなお考えたいと思う一人であります。なぜなれば、他産業と農業の格差是正の問題だけじゃなくて、農業だけの中でも大へんに地域的にへんぱな不利益をこうむっておる地域が多いのであります。特に、この点につきまして、第二条の施策の中には、政府案におきましては農産物そのものにも選択的拡大ということを大きな柱に立てておられます。これと地域的な作物との競合関係で現実の問題としてその土地の農民は心配をしておるのであります。そこで、この点を突き詰めてみたいと思うのでありますが、大臣の御所見は、もちろんこの二項は第一項の内容を規定する条件であるから、第一項の施策の実行にあたってはこれを含むものであるという御言明でありますので、その言明をもととして、まず次の論点を進めたいと思います。  実は、御承知のように、新聞の記事についてはその出所がなかなかむずかしいのでございますが、ことしの二月二十二日に毎日新聞が特報いたしましたのが、農林当局の言明として、「米の作付転換に乗り出す」という記事が載っておったのであります。長いものでありますから詳細は省略をいたしますが、要するに、農林省において田畑輪換政策をとることをきめているが云々という記事であって、十年後には二十五万から六十万ヘクタールくらいの過剰な水田ができるであろう。これが結論でございます。ただし、これは、その場合にも田畑輪換酪農の方が水稲単作農家よりも所得が増加するという試算がつけ加えて出されておるものでありますから、これはどちらでこの試算をされたものであるか、この趣旨はどういうものであるか、承りたいと思います。

大澤融農林事務官(大臣官房審議官)

○大澤政府委員 私、その新聞記事を承知しておりませんけれども、そういう試算がどこで行なわれておりますか、必ずしも公のものではないのじゃないかと思います。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 この点、ただいま必ずしも公にされておらないというのでありますから、新聞の記事で私もそのことの当否を申すのではありません。一つの試算として考えられたろうと思うのでこれを持って参ったのであります。  そこで、私は、先ほどのお話の中にも、米の消費の動向と伴って、品質と同時に味の問題が米の中身に取り上げられるべきだという御趣旨の発言を承ったのでありますが、私も実は同感の一人であります。私どもが農村を回りまして、特に東北の米産単作地帯を回りますと、米に生計をゆだねておる現状からしまして、米の成り行きは非常な真剣な問題になっております。そこで、現在米を作っている請君に対して、この収穫が、集約農業をさらに合理化をしていけば反収の増加を期待することができるはずでありますし、かたがた、食生活の変化によって一人当たりの米の消費量は減る趨勢にあることもいなめないと思いますので、行ったり入ったりでこれらの計算の数字に対してはまさに試算の域を脱することはできないはずであります。それはそれでよろしい。それから、先ほどのお話にもありましたように、天災が一ぺん来ればそれらの紙の上に書いた計画はだめになる。私どもは農業に計画経済が不向きであると申すのは、そこにあるのでありますから、そういうような意味で、計算がどういうふうに紙に書いてあったからといって、これをどう問題にしようとはいたしませんが、ただ、私は思いますが、基本法に選択的拡大と大きな柱を立てたからには、農林省の指導をせられるにあたっては、大胆率直に、これらの諸条件を積み重ねるならばどういう形のものが出るだろうかという、仮定の条件を仮定として、すべてそうでなければ理論は構成されませんから、これこれの条件であるならばこうなるというものは積極果敢にお示しになってしかるべきものと思います。それに対する変化が政策として考えられていくべきであると思う。  ここで非常に興味を持ちましたのは、いわゆる乳牛四頭を飼育した場合の試算が載っておりまして、一・四ヘクタールの水田面積を経営しておる場合に、水田の所得は、これは全部水田をつぶすのでなく、水田のうちの一部を田畑に転換するのでありますから、水里所得が入ってくると思います。その水田所得をこの試算では十九万五千二百五十円と見まして、酪農所得が十五万五千七百九円、合計三十五万九百五十九円という計算が出る、もし水稲単作農家のままでおりますと、同じ面積で二十四万八千四百七円の所得しか得られないという試算がつけてございますが、これは公式でなかったとしましても、この試算は自信を持ってなされたものかどうか、伺いたいのであります。

大澤融農林事務官(大臣官房審議官)

○大澤政府委員 私、その試算の内容を承知しておりませんので、何とも申しかねるのでありますが、先ほど来大臣からもお話がありましたように、米の消費につきましては、今後の見通しについていろいろ問題があるわけでございます。将来少ない面積で今以上の米の生産をあげるというようなことも考えなければならないと思います。そうした場合に、今おっしゃった田畑輪換というようなことが当然取り上げられて将来の農業の形になると思うのでありますが、そういう意味で、畜産局を通じ、振興局を通じて、この田畑輪換というような問題も、作付体系ですとかあるいは技術のあり方ですとかいうようなものをただいまモデル的に研究をしております。また、実験をしております。そういう意味でいろいろの試算があるかとも思うのでありますが、内容を承知しておりませんので、何とも申し上げられません。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 そう逃げ腰であったのでは、とてもそれはおさまりません。これは農林省の中で出たのは間違いないのだから。  大臣、これは、こういう形で進むならばこういうものが出るというのは公表しても差しつかえないものだと思います。条件が変われば結果が変わるのですから。田畑転換以外に水田農家が豊かになる道がないというので私どもは賛成しておるのだから、こういう試算があるならば——あるのだから、あなたは、知らないなどと言わないで、一つ部内に命ぜられて、そういう試算を出していただいて、そうして、こういう形でやればこういうふうになるのだという、石川県にも実例があるのだから、それらを一つ資料としてお出し願いたい。これは言うてもしようがありませんから、その資料の要求をいたします。  私は、現在水田を持っておる者に対する将来の豊かな経営としての水田酪農を大いに望むものでありますが、もう一つある。これは今度は地域格差の問題であり、いわゆる東北僻地の問題であります。これはどうなるかというと、ただいまの政府の御提案の中にも、明らかに、第二条の第一項の二号に、「土地及び水の農業上の有効利用及び開発並びに農業技術の向上によって農業の生産性の向上及び農業総生産の増大を図る」とございます。ここで水の問題でありますが、かねて、農民所得倍増計画を経済審議会が答申をしまして、政府におきましてはこれにさらに国民所得倍増計画の構想なる別紙をつけて閣議の決定をせられておりますので、私どもはこの答申案自身をうのみにして政府が施策をせられるものとは考えません。弾力的に運用せられることを承知しておるものであります。この弾力的運用の範囲におきましても、いわゆる水の利用の問題に対しまして、十年後に水田が余るのじゃなかろうかという試算などもあるせいでありましょうが、今年度の予算編成にあたりましても、農林省の部内においては、畑に水をやる畑地灌漑はよかろうが、水を引いて水田を作るということは好まないという風潮が流れておったように聞いておりますが、この点、はいわゆる地域格差の是正という閣議の決定の基本的な考え方、こういうものからしましても、現内閣がそのような片寄った考え方を持っておるはずがない思うのであります。  そこで、承りたいのでありますが、御承知のように、ただいま、土地改良をやるにしても、農地の造成をいたすにいたしましても、特殊な開拓の事業には別個な方途があるいは考えられるかもしれませんが、全般的に社会党さんの御主張のように全額国が費用を持つなどということは、現段階でまさかできないと私どもは思いますので、どうしても農民の負担が一部出るのであります。ところが、農民の負担を考えに入れて土地改良をいたそうとしますときには、これらの灌漑排水の事業を実行するためにあたって、所得が確保されるという見通しがなければ、土地改良も農地の造成も実行がむずかしいのであります。だから、私どもは、農民がこれならば経営ができるという目安を与えなければ、それが畑作であろうと水田であろうと、僻地の農地の造成ということはむずかしいと思うのであります。私どもは、米が大体西から上がってきて東北、北海道という工合に北に石数の増加が続いておる趨勢を知っておりますだけに、土地改良の実行の過程を考えましても確かに東北がおくれておるのであります。そういう意味合いで、北陸、東北のいわゆる地域格差の大きい地帯に、せっかく米の適地であることが明らかであり、水さえ入れば水田にりっぱになる場所がまだたくさんあるのだから、その場合に地力を増強させるということが地域格差是正の一番早道だと思います。畑にしては採算もすぐあがらぬ。反七千円やそこらの収穫ではなかなか農民は自己負担を出さぬ。池田内閣においては食管制度は必ず続けるということを言明をしているのでありますから、何としてもこの時期において水田にして、農家に米ができて所得が確保されるのだという安心感のもとに早く地力の培養をさせなければ、将来もしいろいろな考え方の変化で池田内閣の考え方が変わるようなことがあった場合には——池田内閣は存続中は変わらぬそうでありますが、そういうような場合に取り残されては、永久にこれらの地帯は後進地域のままであります。だから、畑地にするなら予算は出すが水田はごめんだというような農地局の考え方がもし相当にびまんしておるものであるとするならば、私は変えてもらわねばならぬと思いますが、地域格差是正のために、地力の培養、従って所得の確保せられている水田の開発、こういう意味での一つの国の方針を是認いただけるかどうか、農林大臣に伺いたいのであります。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 今後における作付転換とかあるいは成長農産物をどこに持っていくかということに関しましては、全国一律一体にやるわけではございません。その地方々々における実情を考えて適当な政策を実行していくわけであります。従って、お話のように、米作専門でいく方がよいというような地帯におきましては、それは計画の運用におきまして考慮すべきことであろうと思います。御指摘の、水田の方はもうやめてしまうというような考え方は持っておりません。従って、県営土地改良等におきましても、本年度御承知の通り二十地区を新たに認めておる格好であります。そういう点については、いろいろ話はあるようでありますが、御心配はないと思います。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 なお、農業の近代化というような問題もありまして、特に暗渠排水、このいわゆる湿田の乾田化ということが要望せられております。もとより暗渠排水が重要であることは御承知であると思いますが、暗渠排水に対して格段の熱意をお持ちかどうかを確認いたしたいと思います。

伊東正義農林事務官(農地局長)

○伊東政府委員 先生おっしゃいました乾田化の問題でございますが、暗渠排水等につきましては、大体事業は団体営でやっております。それで、今後も、いわゆる農業経営を近代化して機械を入れていくというようなことを考えておられます際に、この乾田化ということはその前提になるというふうにわれわれ考えましたので、ことしは団体営の国の負担等につきましても前年よりもふやし、また三分五厘の融資等でもこの事業をやっておりますので、先生のおっしゃいましたような方向で乾田化は積極的にやっていきたいと考えております。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 ただいまの土地の開発の問題につきましては、乾田化の方向に力強く踏み出しておられることを確認できて、ぜひそういう方向でやっていただきたい。  そこで、劈頭申し上げましたように、農村が米作に執着をしておるからといって、米そのものではないのでありまして、所得が多いことを望んでおるのでありますから、将来の水田の面積がああだこうだということは、地力の培養になりさえすればいいのであって、地力培養後の水田の方向転換は、所得が確実にふえるという保証が得られるならば、農民諸君は喜んで方向転換も是認をせられるに違いないと思いますので、どうか、こそくなことでなくて、熱情を持って農家の所得の確保ということで御決断をいただきたいと思います。  第二点として、第九条に、農業生産の調整をやるということがございますが、自由経済の主張を持っておりますわが党などにおいては、生産の調整がこれまた非常にむずかしい問題だと思いますが、この点に対してどのような施策をお考えであるか、聞きたいのであります。

大澤融農林事務官(大臣官房審議官)

○大澤政府委員 生産の調整でございますが、選択的拡大ということで、これからふえるものについては伸ばしていく、需要の減るものについては減らしていく、あるいは転換をしていく、そういうことを円滑にやっていくというやり方をとらなければいかぬと思います。具体的にどういうものについてどういうふうにするかというようなことでございますが、たとえば麦の転換というようなことについてただいま考えられておるようなことが具体的な施策としての一つではないかと思います。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 まさに一つの例として大麦、はだか麦の転換の問題が出て、法律の説明もすでに終わっております。たとえば、野菜物、卵、肉、あらゆる成長作物が並べられておりますが、自由主義経済界における産業構造において、生産の調整は法律によって作付転換という形の奨励金で納得していただくという方法もわかります。それは一例でございます。何かもっとありそうなものでありますが、今日政府当局が用意しておられる施策はそのほかにどういうものがありましょうか。

大澤融農林事務官(大臣官房審議官)

○大澤政府委員 たとえば、ただいま青果物についてとっております、情報交換をして時期別に生産の調整までを組合を通じてやるというようなことも一つの方法であると思います。その他のことにつきましては、さらに具体的な問題として今後いろいろ研究をしていかなければならないことだと思っております。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 もう少し勉強してほしいな。これは、各国の具体例としても、たとえばアメリカがどういうことをやっているかという先例もあるでしょう。あるいは、このたびのいわゆる農業基本法を持っております西ドイツにしてもフランスにしても、実例がありましょう。あるいはイギリスの穀物に関するいわゆる不足払い、その他の方法もありましょう。政府の考えておられる生産調整についての具体的な施策の要綱と申しましょうか、着想と申しましょうか、そういうものがこの法律通過後すぐに必要になりますので、一番近い日にそれらの問題に対して資料としていただきたいと思います。

寺島隆太郎自由民主党

○寺島委員 あとで私は機会を得まして本法に対しまする私の質問を申し上げたいのでありますが、私の同僚である森田君並びに大野君からるる米作に対するうんちくを傾けられた質疑が重ねられまして、つつしんでこれを拝聴いたしたのであります。これに関連して、大野君からただいま大澤さんに勉強して資料を出せということを言われたので、それに関連して私もあわせて一つ資料を出していただきたい、かように思うのであります。と申しますのは、先ほど、森田君の質疑に対しまして、農林大臣は、うまい米を食べたいという消費者の熾烈なる欲求に対してこたうべく、農民の側においてこれをいわゆる選択的という言葉によって農林省は農作物全体の上においての選択的拡大は声を大にして言っておりますけれども、いわゆる米の中における選択は許されないのだ、すなわち、うまい米を作りうまい米を消費者に与えるということは食管制度というワクの中においてはやりようがないのだという意味の御答弁であろうかと推察いたすのであります。しかし、大きな趨勢、すなわち、もう戦後ではないと言われて年久しい今日の段階において、こういう食管制度というワク内であっても、いわゆるうまい米を作ってなおかつ今日の農家経済の所得を償って余りあるような品種を作るという条件を満たす部分が何かないかどうか。ということは、ほかの人なら私は聞かないのです。今日鬚髪白きを加えておりますけれども、その時分はそこにすわっておられる周東さんは農林省米穀局長として盛名をはせて、率勢米価の問答等においては並みいる政府委員で太刀打てる人はなかった。その率勢米価の問答をひっさげてさっそうと答弁した往年の周東さんを見来たって、その周東さんが今内閣に列し農林大臣に位いたしておるから、選択的拡大というものを米作の内部においていかように消化し得るやという問題について、大澤審議官をして督励させ、須賀食糧庁長官を督励して、この次に私が質疑をいたします際の資料に資せられるよう御用意おき下さいますならばまことに仕合わせである、かように思いまして、両君の質疑に関し敷衍いたしまして私も資料を要求いたし、その資料とはかかる意味の資料であるということを補足申し上げる次第であります。

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 藤田義光君。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 最大の野党であります社会党の諸君がこの時間に農林部会を始めるということはまことに残念でありますが、審議をきわめて真剣にやるために、私、しばらく質問の時間を拝借したいと思います。  まず第一点にお伺いいたしたいのは、農業基本法の前文に、本法を出すに至った経緯が中ほどに書いてあります。まず第一に、ほかの産業との生産性あるいは生活水準の格差を是正するのだ、また、澱粉質から蛋白質に至る消費構造の変革に応ずるのだ、あるいは労働力の移動に対応するのだ、一々私はこの点は全面的に賛成でありますが、この前文を通観いたしまして、農業の本質の一部として、農業というものには保護政策がつきものであり、世界各国の例を見ても相当強力にこれをやっておるが、この点においてやや前文は親切を欠くのじゃないか、このように思っておりますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 私は藤田さんの御心配もよくわかりますが、私どもは、農業を新しい時代の農業として強く立ち上がらせるためには、まず、あらゆる面について今までの農業経営の内容に当たって、生産性を高めるとか、あるいは近代化、技術の高度化、機械化というようなもの、あるいは農業構造に関してこれを新しい考え方のもとに率いるということが第一のやり方でなければならぬと思います。しかし、先ほどから論争になっておりますように、農業の持つ自然的、経済的、社会的の不利ということは、いかなる施設をやりましてもやはり全部解消はできないと思います。しかし、これは御承知のように自然的な条件という天候に支配される農業でありますから、ある程度科学的の力で操作はできるとしても、どうしても人為的に解消ができるものではない。こういう点におきましては当然国家が保護の立場をとり、また、近代化、機械化、技術の高度化をなすについても、必要な面について、資力的に弱い立場に対しては、将来とも力強く育てるため国家の財産的、金融的の補助助成が必要であると考えております。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 従来の農政の重点が食糧生産第一主義であったことは大臣も認められると思います。しかるに、昭和三十一年、新農山漁村振興対策要綱が出まして、翌年には農林白書が発表された。社会党は昭和三十三年から三年間基本法を審議したというのでありますが、わが党におきましてはすでに昭和三十一年から基本法的な準備を開始しておるわけであります。そういう観点からいたしますと、どうしても、この基本法は、一九五五年の西ドイツ、あるいは一九四九年のスイス、五一年のイギリス等の前例法を見ましても、所得を中心に考えた基本法でなくてはならぬ。ところが、私は率直に申し上、げて、十二月二十日案におきましては面まりに合理主義が徹底した案文であります。それを二月四日に補正いたしまして今日の案が出ておるわけでございますが、その十二月二十日案の印象では合理主義に少し片寄っておる。その雰囲気が今回の基本法に残っておるのじゃないか。その点は、われわれとしても、関連法律等においてよほど深刻に反省し、足らざる点を補正する必要があると思いますが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 農業基本法はあくまで農業に関する憲法であり、大綱を示したものでありまして、従って、これは一日も早く通過しまして、そしてこの第二条以下にずいぶんたくさん書き上げておりますが、抽象的と言えば抽象的でありますが、しかし、各般にわたって、基盤の造成から、あるいは農業構造、農業資材の問題、あるいは労働移動に関する処置、価格政策というものがみな入っております。これらに関しての必要的施策というものは、私も現に考えておるものもございます。また、これは議員の皆様に超党派にいろいろ御議論がございましょう。それらの意見を聞きつつ、しっかりとこの農業基本法の目的達成のために必要なる法律制度、また、それに伴う予算制度、金融制度の発現と申しますか、これを発動することについて早く手当をしていくことが今日必要であると考えております。基本法の方はあくまで基本法でありますから、あるいは所得の方が少しおくれて生産合理主義になっておるかというお話でございますが、その点は、生産を進めるにつきましても、やはり、売れるもの、確実にもうかるものを作らせようという行き方であり、その生産を上げるについて農家の生産性を高めつつ所得を上げていこうということを考えておりますが、これらは、いずれも、その実際的の施策は、ただいま申しましたように、法律制定後における各条文に基づいて、皆さんの御意見を聞いてしっかりとした案を政府がやるべき義務を負うているものと考えております。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 条文に入りますが、第二十三条には「行政組織の整備」という表現を使っております。私は、基本法及びその関連の法律を実施すれば、当然現在の農林省の機構というものを根本的に検討すべきではないかと思うのです。この点、社会党の諸君の質問がございませんでしたが、やはり、この法律を推進するのは行政官庁たる農林省でありますから、ここに相当強力なる機構を検討整備する必要がふると思うのですが、大臣のお考えと、多少でも具体的な構想がありましたらこの際お示し願いたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 これはまことにごもっともな御指摘であります。私は、その点に関しましては、藤田さんの御意見と同様に、この農業基本法をひっさげて新しい農政の方向を示し、これを実行していくにつきましては、機構について相当の改善を加える必要ありと考えております。この国会にもあるいは一部出そうかということでありましたけれども、しっかりした農業基本法が通過の後に根本的なものを考える必要があろう。考え方といたしましては、ともすると従来の農林省の組織は各局がばらばらになっております形です。そのために、たとえば酪農あるいは畜産の振興にいたしましても、経済局の果樹振興とか農地局の別個の奨励というものとは食い違いが起こってくる場合が多かった。今度は、少なくとも農林、農業というものを一体に考えて、将来かくすべきである、そのかくすべき一つの総合計画の一環として、畜産はかくあるべし、果樹生産はかくあるべし、農地の拡大はそれに相応してかくあるべしということが立てられるべきはずであります。その総合計画のもとに各局が同じ方向に向かって進み得るように、私は農林省の機構を考える必要があると思います。  なお、お尋ねがございませんでしたけれども、行く行くは、今度の農業基本法の指向するところは農林省だけででき得ないものが多々ありますので、労働省、通産省あるいは厚生省等の関係においての総合調整が必要であります。場合によっては、内閣においての問題を考えなければならぬかと思っております。さらに、このことは、第一線にあって農業の基本の実態指導をすべき地方官庁または地方農業団体等がやはりこれに相応して働き得るように、農林省の出先または都道府県のあり方についても、考えていきたい、かように考えております。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 その行政機構の問題に関連しましては、内閣法あるいは農林省設置法、行政組織法等の関連法律の相当大規模な改正が必要でございますが、次の通常国会には大体整備される気持がありますかどうですか。これはきわめて関心が大きい問題でありますので、重ねてお伺い申し上げたい。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 私は、この法案が成立を見ますれば、直ちにその方面と取っ組んでいかなければならぬと思います。従って、一日も早うこれが成立することを望んでやまないのであります。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 法の第二十四条には農業団体の整備をうたっております。この内容に関して、具体的にどういう整備をしようとするのか、お示し願いたい。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 農業の将来に向かって農業団体が重要な役割を占めるということは御承知の通りであります。従って、これらが力強い基礎を持つことが必要でありましょう。今日も、農業団体、ことに農業協同組合等の合併促進に関する法律も提案いたしております。しかし、農業団体のあり方としては、単にそれだけでなく、農業協同組合というものがよって立っておるところの相互扶助の団体であるという精神的部面も大きく取り上げて、その方向に向かって活動してもらうような指導も必要でありましょうし、また、一部このたび出しておりまする、団体の整備ということに当たらないかもしれませんけれども、農業協同組合の持つ資金を農村に還元するために必要なる施設を考えるとか、あるいは、先ほど一部お触れになりましたが、将来の生産に関して見通しに立っての生産を各地域に受け持たれ、また、それがやられていくわけでありましょうが、青果物等のごときは農業協同組合がかなり自己調整をやるような道も考えていく必要があるのじゃないか、生産調整、出荷調整というようなものが何かそこに必要であるのじゃないか、そういうことをやるについても地域的に農業協同組合等のあり方、また、これから指導的役割をなす農業委員会等の問題が一律に現在のままでよいか、あるいは将来それに対してもう少し改正を加える余地なきやということに検討を加えていきたいと思います。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 私ははっきり申し上げて、現在の農業団体は頭でっかちである。これはやはり思い切った整備をやる必要があるのじゃないか。ほかの産業に比べましてこのような雑多の団体が乱立し、いろいろな弊害も生じておることは事実であります。全中等でもいろいろ案を考えておるようでありますが、わが政府案におきましては規定にはっきり約束しております。社会党案におきましては、どういう理由か、これはうたっておらぬ。社会党の小川豐明案というのがありまして、相当思い切ったドラスチックな整備案もあるようでありますが、それほど勉強しながら、この農業憲章たる社会党案では農業団体の整備に全然融れておらない。私はこの点社会党の良識を疑う一人でありますが、こういう観点からしまして、私は、全国単位の連合会は再検討の必要がある、しかもそれは非常に急ぐ、こういう基本法というような根本的な法律成立の機会でないとなかなか切開できないのじゃないかと思いますが、これは一つ大臣の忌憚のない御意見をお聞かせ願いたい。また、単位農協にしましても、昭和二十八年に全国町村はすでに合併促進法を実施いたしまして、八千数百の町村がわずか二千に減っている。民主主義の基盤たる自治体というものが非常に強化されて、人口八千基準に一応各党協力してあのような案を作っておる。末端の農協も非常に弱小農協がある。先般愛知県の知多半島に参りますと、三十四の農協がある。しかも、農協長が半分は不在、非常勤農協長である。こういうふうな状態では、農民の唯一の団結の機関である農協というものが強化されない、そういう観点からしましても、末端もこの際全面的に一応検討するという大臣の決意がありますかどうですか、お伺い申し上げたい。現に、単位農協に関しましては法律も用意されておるようでありますが、重ねて大臣の御所見を伺っておきたい。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 これは、単に農協に限らず、農業団体についてのあり方について再検討をいたしたいと私は考えます。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 大臣の良識を期待いたしまして、これ以上はお尋ね申し上げません。  次に、末端の農家で現在一番悩んでおる問題は、農業資材の問題です。機械、肥料、農機具あるいは農薬、この生産に関しまして農林省はどういう指導をされておるのか、万石を一つ例にとりましても、規格はめちゃめちゃであり、値段もめちゃめちゃであります。特に、弱小な農薬会社、あるいは肥料会社等におきましては、どうしても資本的な制約がありまして、りっぱな研究施設も持っておりませんし、農業機械化促進法という法律はありますが、これはほとんど動いておらないのです。私は、協業の助長という規定を作った以上は、これと並行的に農業資材というものに関しまして農林省が相当真剣な態度をとっておるということは現実に示す必要があると思う。そのためには、いろいろ問題はありましょうが、千四百五十万農家のために弱小業者を整理するくらいの思い切った手を打つべきではないかと思いますが、大臣のお考えをお伺いしたい。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 お話の点は最も重大な点に触れて御質問であります。私も、本法律の制定後における目的達成のために、農業資材の問題が大きな問題になる、それと取り組みたいと思います。ことに、御指摘の農業機械の問題は、なかんずく重要な点である。今日鴻巣試験場に有力な技術官がちゃんと控えておりますが、研究費が足らない、規模がやや小さいということもあります。今日、いかなる地域にいかなる機具を使わせるかというようなことに関しましても、また、先ほども触れましたが、どうもあまりメーカーが多過ぎて、毎年々々少しずつ改良しては、私のを買え私のを買えということで、応接にいとまがない、そういう問題をいかにしたら打開し得るか、また、相当安心してしばらくはこれを継続して使えるというようなよい機械を出す、これもやはり、日本の土地に即応した機械等についてどういうような形で指導し、どういうような形で取引形態を整えるかということについては考えていきたいと思います。ことに、機械化する場合における使わした機械のアフターケアと申しますか、修繕処理というようなものも安くととのえて安心させるということも必要であります。これらのことをすべて考えて、製造、取引、流通の関係を考えて対策を立てたいとただいま研究をさせております。  肥料に関しましては、御承知の通り、少しおくれて恐縮でありますが、硫安肥料等につきましては、徹底的合理化というものを要求して、通産省と協力のもとに、今まで長い間合理化する合理化するといっていつまでたってもきまらぬで、少々僕もごうをにやすというか、少し耐えられなくなりましてある要求を出し、これは相当の合理化法案を一定限られた年限において示し、そうして年々の価格の下落というものを端的に示していきたいと思って、その方向に向かって結論を出すように関係当局が業者とも話し合いを進めておるのであります。また、カリ、燐鉱石等の燐酸肥料についても、カリ肥料の原料は日本にございませんが、これらについては、あらかじめ政府が需給推算に立って必要な分量の総合輸入計画を立てて臨みたいと思います。  それから、農薬等の問題につきましては、これは価格の占める割合が特許にあります。これをどういう形で安くするかということも特に命じて研究をさせております。私どもの立場といたしましては、実際の運用によって農家に対してよい品物を安く供給する方途を見出すべく努力をいたしております。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 この機械化の点に関しましては、法の第二条第一項第三号にただ一言機械化という表現を使ってあるだけなんです。私は、協業というものが助長されてくれば、今日の農業機械化促進法というような微温的な法律では、とても農家の需要に応じ切れないし、また、いろいろな矛盾撞着を生じてくるということを一番憂慮しているわけでございます。  次にお伺い申し上げたいのは、社会党の諸君は、農用地の拡大、新規開墾ということを社会党の基本法の一つの軸心にしておるのでございます。政府案では従来の土地改良予算あるいは新規開墾等に対しましてきわめて不熱心であるという誤解を受けておるのでございます。第二条第一項第二号には、土地及び水の有効利用並びに開発と、はっきり規定してあるのにかかわらず、あるいは第九条には、生産基盤の整備、開発というような表現も使って、非常に親切に規定してあるにもかかわらず、そういう風評が飛んでおる。これは、私は、財政担当官庁の方面からそういう情報が流れておるんじゃないかと思うんです。これは私は実にけしからぬ情報であると思います。むしろ、農産物の選択的拡大が実施されますと、たとえば新潟県の米どころの土地改良費そのものは予算的に増額されるんではないかとすら考えておるのでありますが、そういう情報を大臣は耳にされましたかどうですか。  また、この基本法に関連した法律等においてそういう懸念のあるような法律をあるいは予定されておるんじゃないかというようなことも心配されておりますので、この際お尋ねしたい。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 先ほどもお答えをいたしましたように、土地改良、土地造成については、この法律の施行とともに、私どもは、新しい見地に立って、将来の需給の見通しに立って、どれだけの耕地を必要とするか、どれだけの牧野が必要になってくるかということをもとにして、現実に立って計画を進めるつもりであります。まあいろいろとお話はございます。野党さんの方でもなかなかまじめに研究して下すっておりますが、どうも今度の予算が少ないじゃないかとおっしゃる。これは、ざっくばらんに申しまして、農業基本法を研究して出したときは二月で、予算の要求は八月で、前内閣のときです。その問において新しい内閣に変わりまして、予算のあれはついておりません。実際上としては、法律ができますれば、今後の問題として、これらの施策について法律、制度並びに金融制度、財政的処置を講ずるつもりであります。総理もこの点をたびたび言明しておりますので、その意味におきましても、早く基本法ができて、この二条各項、四条、五条にありますことを実行させていただきたいと思うのであります。それをすることによって、できるかできぬか、私どもの農業基本法制定の価値の分かれ目だと考えております。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 例の第十一条の価格の問題でありますが、社会党の第十四条と対比いたしまして常に誤解を受けておるわけです。私は、ほんとうの農政の長い将来を考えれば、生産費・所得補償方式というのはまずい、こういう信念を持つ一人であります。しかるに、社会党の価格政策は、生産資・所得補償方式一本やりのように私は解釈いたしております。大臣のお考えをお伺いいたします。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 これは社会党さんの方とは御指摘のように少し考え方が違っておりますが、私どもは、長い目で見て、農家というものが作ったものは必ず売られる、売られるときに、過剰な生産でなくして、需要に応ずるように供給がなされるということに指導することがほんとうの親切だろうと思うのであります。その意味において、私どもは、新しい農政の立場によっては、将来の長期の需要の見通しを立て、それに応ずる生産計画を立てていこう、こういうことでございます。しかしながら、そういうことをいたしましても、なおかつ自然的、経済的な不利というものがございまするし、また、いろいろな経済的変動もありますから、それがために価格関係が出てくるという場合におきまして、これに対する安定の処置をとるということは、従来通り、米についてとっているような方策、農産物価格安定法がとっている方策、あるいは繭糸価格安定法がとっておる方策等、それぞれその品目別に適当なる処置を講じていくわけでありますし、ことに、それに対して参考となるべきものは、生産事情、物価その他の経済事情を参酌してとありますその生産事情等という中で、当然生産費というものも、いろいろとまちまちであるにしても、一つ参考資料として考えていくのであります。これは決して私どもは間違っていないと思います。ことに、先ほど来いろいろほかの方から御指摘のありましたように、イギリスの不足払い方式の問題にしても、アメリカの現在の余剰農産物買い入れ制度にしても、あの金持ちの国においてすらその問題は論議されておるものであります。これは、ほんとうに理想的なものは、やはり電給推算に基づく一つの生産方法を立てさせる方が一番親切だと思うのであります。それができない場合、またそれをやってもなおかつ変動のある場合において、それぞれの物資に従って適当な安全措置を講じていくということは、法律、制度の上でも、予算措置でも講ずる考えであります。ちっとも私どもはこれによって農家の迷惑にならぬようにしたいと思います。

川俣清音日本社会党

○川俣委員 関連して。  大臣の答弁中に基本的にはっきりせぬ点がございます。そこでお尋ねをいたしたいと思いますが、農業は食及び住に対する基本的な対策だと思うのであります。食が中枢であろうと思う。水産を含めて農業は食、林業を含めて住、食と住だ。ところが、大臣の今までの説明は、生産構造についてはいろいろと述べられておりますが、消費構造につきましては何か他人事のように言われております。たとえば、米の例をとりましても、米の食い方、うまいものを作らせようという話はありますが、一体米についての消費構造をどうすべきかという点については、検討がなされていないようでございます。食い方も、日本は米の食い方はいろいろあります。ただたいて食うというのが普通でありまして、秋田のように切りたんぽにして食うとか、あるいは御幣もちにして食うとかという食い方もありまするけれども、そうした消費構造について、将来どうするんだ、その結果需給の状態がどう変わるかという消費構造に対する見通しもなしに、ただ生産だけを問題にしておるようでは、農業の基本法に対する基本的な考え方ができていない、私はそう理解する。従って、当然消費構造のあり方につきましても検討されていなければならないと思うが、大臣の御答弁をわずらわしたい。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 どうも川俣さんはいつもあまり大きな声をされますから、気の弱い者は少しびっくりしますので、どうぞ、静かにお話し願っても十分わかりますから。これは冗談ですが……。  米の消費構造とおっしゃいますが、それは研究していないのじゃないのです。食糧研究所ということで、一体米を将来何か別の変化した形においてやれないか、これは、かつて米が余って困ったとき、大正十年前後、これをやったことがあります。こういうことももちろん考えてはおります。ことに、先ほどから申し上げたように、消費構造ということを考えれば考えるほど、それはすべての生産物に対して将来の消費の伸び方というものと考え合わせて生産計画を立てる必要があると言っているのでありまして、その意味においては、消費のあり方というものを常に頭に置きつつ、生産、供給の計画を立てていくというのが私どもの考えであります。

川俣清音日本社会党

○川俣委員 米の食い方が変われば需給がどうなるかということの検討は一つもされておらないのです。従来通り、たいて食うものとしてしか考えてない。たいて食うのは日本だけなのです。蒸して食うこともありましょうし、焼いて食うこともありましょうし、そうした消費構造の変化に応じて需給が変わってくる。たとえば、にぎり飯を食うことによって、家庭でたいて食べないでも消費量というものは変わってきているわけです。従って、ただ需給のバランス、バランスと言うけれども、将来の消費構造をどういう方向へ指導していくのだということがない。たとえば、これは牛乳につきましても、酪農品についても同じです。食い物というと米と麦だけだという考え方をしておるじゃないですか。そうではないのです。消費全体の、食物全体の消費構造はどうあるべきかという構造を描きつつ、そこで需給のバランスが将来どうなるであろうかという検討を立てなければならないだろう。まあきょうは関連ですからこの程度にしておきますけれども、十分検討された上でなければ、ただ早く通すだけが能だということにはならない。まだ検討すべき問題は残っておるということだけを申し添えておきます。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 この価格問題に関連いたしまして、われわれが地方を回りまして強く要請されるのは、果樹農業振興法が成立いたしておりますが、果樹園芸等に関しまして、この際価格安定法をぜひとも一つ考えてほしいという強い要求がありますが、この点の準備がありますかどうか。

齋藤誠農林事務官(振興局長)

○齋藤(誠)政府委員 お答えいたします。  果樹並びに蔬菜等のいわゆる青果物についての価格安定措置についての御質問でございますが、青果物につきましては、豊凶等の関係がございまして、非常に価格変動の著しいものでございますので、これに対しまする何らかの統制方法を講ずる必要があることは御指摘の通りでございますけれども、現状におきましては最も困難なものの一つでございますので、われわれといたしましては、まず計画出荷、出荷調整というような方法をとり、さらにまた、果実につきましては、先般お話しいたしましたように、やはり加工と相あわせて価格の調整を基本的には考えて参るというようなことを考えておるわけでございます。しかし、いずれにしても、価格変動の大きいものでございますので、われわれとしても何らかの措置をとりたいと思います。そういうことで研究は続けております。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 第十一条の価格の規定で、第一項だけを読んで非常に批判がある。第二項と総合して読めばよく納得できると思うのですが、この第一項と第二項と総合して一つ御説明をお願いしたいと思います。

大澤融農林事務官(大臣官房審議官)

○大澤政府委員 先ほど来、価格政策についての基本法の考え方につきましては、大臣のお話で尽きておると思うのでありますけれども、ただいまのお話で、第十一条の第一項をお読みになって誤解が生ずるという点でございますが、第二項にございますように、価格政策が果たす役割というのは相当広範な意味がございます。そこで、政府は毎年度価格政策につきましていろいろなものに価格安定政策あるいは支持政策をとるわけでございまして、そういういろいろの品物についてとられたものを総合的に考える、それからまた、ここにありますように、選択的拡大という立場からは、今やっている価格安定政策はどうなのだろうか、価格支持政策はどうなのだろうかというような点の検討、あるいは、それらが全体として、あるいはそれぞれが農業所得の確保の上にどういう役割を果たしておるか、あるいはまた、農産物の流通という面で価格政策が阻害をしておりはしないか、合理化を進めておるかどうかというような点ですとか、あるいは、農産物の需要の増進の役割を果たしておるのか、あるいはまた、むしろ逆に増進を阻害しておるのではないかというようなこと、あるいは、さらに、国民の消費生活の安定の上にどういう役割を果たしておるかというようなこと、こういうことを、すべての価格安定政策をとっておる品物についてさらに総合的な見地から検討をして、さらに価格政策全体としてこういうやり方がいいかということを考えよう、そういう思想で価格政策を運営していかなければならないという気持は、この第二項を含めた全体から流れておるんだ、こういうように思います。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 次にお伺いしたいのは、第十六条の相続の細分化の防止の規定でございます。一部の論者は、これは憲法違反じゃないか、あるいは現在の相続法の建前からなかなか矛盾があるのではないかという誤解がございます。この点に関しまして、どういう御見解であるか、お伺いしたい。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 今お話の点に関することは、別に法律を作らなければなりませんが、ねらうところは、分割相続を否定する法律ではないのであります。分割相続はそのままあるだろうけれども、経営の上において、なるたけ分割された農地がばらばらにならぬように、一つにして経営が進められるようにやっていこうということを考えておるのであります。従って、その点は憲法違反にはならないわけであります。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 相続法との関係はどうですか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 分割相続はそのまま認めておって、そうして、分割されて相続された土地をできる限りそのまま合わせて活用のできるように経営の面において一本化していこうということを考えておるのであります。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 そこで、こういう問題に関連して農地法の一部改正が問題になってくるわけでありますが、農地法の改正によって最高保有面積の制限を撤廃するとなれば、どの程度のものを予定されておるか、お知らせ願いたい。

伊東正義農林事務官(農地局長)

○伊東政府委員 農地法の改正は今提案しておるところでございますが、これは、先生御承知のように、現在は、内地三町、採草放牧地五町、北海道は十二町、採草放牧地二十町という取得後の最高限度をきめておるわけであります。ただ、例外としまして政令で、自家労力でやります場合にはこの例外を認めるという形になっておるわけであります。これを、最近の農業技術の発展あるいは就業人口が減ってくるというようなことから見まして、そういう原則じゃなくて主として、自家労力でやるというような場合には、今の制限を解いて取得することができるというふうに規定を変えておるわけでございます。ただ、その場合に、上限としまして、それでは三町を五町とか十町とか、そういうようにぴしゃっときめて、そこまではいいんだというような上限を作りますことは、まだいろいろな検討を要する問題がございます。地別の営農類型でございますとか、そういう今後の検討に待つ問題が多うございますので、今度の法律の改正では、上限を幾らというふうには規定いたしておりませんで、三町をこえても主として自家労力でやる場合には取得できるというふうに改正いたしたわけであります。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 質問が飛び飛びになりますが、芳賀委員からいただいた「社会党の農業政策」というパンフレットの中には、農業発展八カ年計画というものがしるされてあります。それによりますと、社会党の諸君は、大体この基本法の実施によって国民のカロリーを二千二百カロリーから二千四百五十カロリーにしようという目標を立てておるのであります。政府案によればこの点はどういうふうになりますか、お伺いしたい。

大澤融農林事務官(大臣官房審議官)

○大澤政府委員 倍増計画による試算によれば、カロリーは、三十一−三十三年を基準にいたしましたものが二千二百三十七カロリーでございますけれども、目標年次には二千五百六十六カロリー、こういうことでございます。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 政府にもちゃんと用意があることを記憶いたしておりましたが、数字を忘れたからお伺いしたのでありまして、社会党以上の緻密な案があることは承知しております。  次に、現在、専業農家は全農家の三五%、兼業農家が約六五%ですね。ところが、社会党の八カ年計画によれば、この六五%の兼業農家が一農家に三人男子の農業従事者があると仮定したら、一人は農村に残すんだ、一人は農村加工工場に入れるんだ、一人は分散して来るであろう工場に勤めさせるんだということを具体的に計画案の中にうたっておる。そうしますと、私は数学はきわめて不得手でありますが、概算してみますると、わが党の十カ年計画千四百五十万人を一千万人にするのと、数字的に全く同じなんです。この四百五十万人の農業従事者を貧農切り捨てと言うことは、これは解釈ができない。私は、こういう兼業農家中心に農家人口の移動が行なわれるであろうか、あるいは専業農家も同様に移動する可能性があるかどうか、お伺い申し上げます。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 これは、現在ある過小農の中の専業農家というものもありましょう、あるいは一町歩から一町五反の農家もございます。そういう中から他産業へ移動する人もあると思います。そういう点は、すべての専業農家、第一種、第二種兼業農家を問わず、移動の関係が起こっている現状を見失わず施策を立てるというのであります。これは、藤田さん御指摘のように、社会党さんといえども、やはり、近代化、高度化、技術は入れる、あるいは法人化を進めると言われると、それは当然に労働の移動が起こってくることを前提としなければ、合理化された場合に生産性が上がってきて余った分をそのまま使っておったのでは、農業の生産性は上がらないのですから、この点は同じようになることは当然でありまして、これは、私は、はっきり&農家の方々にも訴えつつ、日本の農業のあり方というものを、一面には近代化し、高度化し、技術化し、生産性を上げるということをはっきり言いながら、そうして、しかも、これらの生産は、価格政策についてはあるいはやや違うかもしれませんけれども、ただ単に高価格をにおわすようなことできめて、生産だけを上げて需要にマッチしない形でたんぼだけふやしてもだめだ、こういうふうにも思うのが私たちの考え方です。私どもは、真剣なる社会党さんの御研究は尊重いたします。けれども、これは、やはり地についた形において、今後の農村を再び泣かしちゃならないのだ、作った物は常に安定した価格ではけ口があるという形に生産を持っていかなければならぬところに私どもの苦心があるのです。これはそう簡単だとは思いません。しかしその行き方をはっきり指導し、訴えつつ進まなければ、単に現在目先において喜ばしても、これはぬか喜びになるのではなかろうか。こういう点において、私は、社会党さんの意見の中にはなかなかいい御議論もあると思いますが、しかし、一がいにたんぼをふやして全農家を入れるという政策と、一面において近代化、高度化によって合理化するということとは、おのずからそこに矛盾が出てくるのでなかろうかと思うのであります。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 そこで、社会党の資料では、昭和二十四年から昭和三十三年の間に農村人口は二百六十万減ったんだ、他産業の人口増加は九百万だということで、このように、一年平均二十六万過去十年間に減っているという厳然たる事実を認めておる。ところが、三百万ヘクタールを新しく開墾するのだということになりますと、どうもやはり貧農を開墾した新しい三百万ヘクタールに詰め込んでしまう、そういう誤解を受ける。今大臣の答弁の通りの解釈が出てくる危険が非常にあるのです。  そこで、社会党の基本法には率直に言っていい点もあります。いい点もありますが、致命的な点は、社会党の第九条の所有形態という問題、これは一番致命的でございますけれども、それと相並んで非常に問題になります点は、ほかの産業との関連を考えておらない。農業自体だけを考えて、自給度の向上によって農家は救われるという印象を受ける。これでは、私は、非常に農政通の多い社会党の案としては、ほかの産業との関連を考えざる基本法では、これはなかなか今後の農政はうまくいかぬのじゃないかと考えておるわけでございます。政府案におきましては、第二十条で、就業の機会増大と、きわめて親切な規定を設けて、ほかの産業に移ろうという人には、真剣に、あるいは就業のお世話をしよう、職業訓練をやろう、あるいは地方への工場の分散も優先的にやって、それに入れようという規定を設けております。  この第二十条の運用で一つお伺いいたしたいのは、労働省の職業訓練のほかに、農業従事者からほかに転業する人のための別の職業訓練を計画するかどうか、何かその計画がありましたらお示し願いたい。

大澤融農林事務官(大臣官房審議官)

○大澤政府委員 特に別個のものを設けるというようなことでなく、職業訓練の中で、農村の方々が他の職場へ出られる場合に技術を身につけて有利な転職のできるような訓練に重点を置いて施策を進めております。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 次にお伺いいたしたいのは、大体逐条審議になってしまいましたが、ほかの農林委員諸君からなるべく重複質問がなくて済むように各条をやっておきたいと思いますが、第二十二条に、林業の規定が一カ条あります。専業林業と農業兼業林農との関係はどういう規模を考えておられますか。また、この林業に関しましては、これは基本法だから方向を示すだけでもけっこうでございますが、ちょっと貧弱過ぎやしないかという誤解がありますので、お伺いいたします。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 これは、主として農業と林業との関係を考えて、農業者に対して土地の拡大なりあるいは林業をあわせ経営させるような立場で条文二十二条を置いておりますが、林業全体につきましてはまだこれでは足らぬと思います。これにつきましては、現在森林法の規定がありまして、いろいろ規定をいたしておりますが、さらにこの森林法の規定の改正というものを考えつつ、森林関係については別途考慮を加えていきたいと思います。次の段階になると思います。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 その林業に関連してお伺い申し上げたいのですが、漁業に関しては基本法に全然うたってないのですが、どういうお考えでしょうか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 これにつきましては、ただいま法制局で審議を進めております。当初、一番大事な漁業の基本法を作るについて、必要なる漁業権制度というものの改正が、諮問をした委員会の答申がことしにならぬとまだ出てこないのであります。これを待って確たるものを立てた方がよかろうということで、一応沿岸振興法というような形で出す準備はしておりましたが、最近漁業権制度に関する答申が行なわれました。ついては、それをその中にある程度入れるべきか入れぬかということで、ざっくばらんに言うと研究中でございます。大体の方向はまとまりましたが、これが成案を得次第国会に出して御審議をいただきたい、かように考えております。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 次にお伺い申し上げたいのは、第二条第一項の八号に、主として厚生省に関連した規定があります。農村福祉の問題、こういう問題に関しまして、大臣は先ほども、基本法がいよいよ具体化すれば各省に関連があるのだと言われました。何か相当強力な横の連絡機関ができますかどうですか、その点お伺い申し上げます。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 この点につきましては、まだ具体的に一々の問題を取り上げている段階ではないのでありますが、たとえば農山村における道路問題、これは、今まで道路といえばどうも農村をはずれた第一号、第二号国道、県道というものが中心になっておりましたが、農山村における道路問題も考えていかなければならぬ。このことは先ほどの工場誘致に関連した問題として私どもは考えていきたいと思っております。また、衛生関係といいますか、無医村地区の解消という関係で厚生省と話し合いを進めて参りたいと思っております。現在一部着手はいたしております。少し時間がかかり過ぎるじゃないか、早く無医村地区の解消をしたらどうかということで、具体的に相談をしたいと思います。また、無電灯部落を解消する、あるいは無電話地区における電話の問題とか、ことに生活改善というものが、消極的ではありますけれども大きな立場で環境衛生というような問題にも力を持つものでありますから、従来ともこれは千八百人くらい生活改善普及員の設置をいたしておりまして、効果の見るべきものが非常にあるのであります。これが少し少ないけれども、非常に喜ばれております。むしろ婦人の方が中心になって各県でやっておられますから、お聞きになっておる点もあると思います。こういう点を含めていろいろと各省の関係と話し合いをし、制度化するものは制度化していきたい、かように考えております。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 西ドイツの基本法の過去五年間の実績を見ておりますと、大体農家の収入が年々六%ずつふえてきておる。農業人口も大幅に減りまして、現在二〇%ということになっております。その点から関連しますと、政府の所得倍増計画の人口の自然減の二・九%という数字ではほかの産業の終戦後の西ドイツとの比較と、農業だけの西ドイツとの比較において、あまり遜色があり過ぎるのではないかという気がいたします。大臣の御所見をお伺いいたします。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 この点は御指摘の通りでありますが、これは、西ドイツにおける農業の実態と申しますか、生産対象というようなものがだいぶ違っております。かなり輸出のできるものがあります。日本の農業の主たる関係の米というものは、必ずしも輸出はできないものであります。こういう点も違っておりましょうが、しかし、ともかくも、今御指摘のように、西ドイツにおける鉱工業の発展という非常に目ざましい点は、ここに労働の吸収というものが起こった。先ほど藤田さんが御指摘になりましたように、私は決して社会党を批判するわけではございませんけれども、日本の国民全体に日本の各産業を通じて所を得せしめることが必要であろうと思います。農業だけの内部で農業の改革ということは困難な事情でございます。これは今までの日本の農村の形態がやむなき形において過小農地の上に過剰農業労働力がつぎ込まれてきた。幸いにしてこの数年間における日本の鉱工業の発展は目ざましいものがあり、これは今後も続けなければならぬし、続くものと思いますけれども、その場合において、全産業を通じて日本の国全体が富み、その中において日本国民が所を得て所得を得るという形をとるという一つの方向から見れば、なお一そう鉱工業との連関において西ドイツのごとき問題を考えつつ、しかも農業内部においては有効な生産を進めるように指導していく、こういうふうに持っていくならば、さらに生産は伸びていくのではなかろうかと思っております。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 突然の命令で資料を用意しておりませんから何ですが、おそらく間違いはないと思いますが、先ほど終戦後西ドイツの基本法実施以来五年間の実績の一部を申し上げましたが、西ドイツの昭和三十年の農業関係の予算を一〇〇として、昭和三十五年は二二一に飛躍しておる。実に目ざましいき農政予算の増加であります。私たちは、どうしても日本の農林予算を西ドイツ以上に飛躍していくことがこの基本法の裏づけの絶対の要件であると考えております。関連法律を実施いたしまして、西ドイツ並みに農政予算をふやす自信が大臣おありですかどうですか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 この農業基本法を通していただくということの一つの目標は、これによりまして、第二条に掲げてある施策を国が行ない、これに必要な財政的の措置、法制的の措置、金融的の措置を講ずる義務を国に負わしておる。何が必要なものであるかということは論議はあるにしても、この法律の制定以後においての農業に対する施策の拡大は期して待つべきものがあると考え、また、それがあるがためにこの法律を制定しようとしておるわけであります。その意味においても、これが早く成立いたしまして、皆さんの鞭撻を受けて、何が必要かという必要なものを出して、一緒になって国家から出させていただきたい、かように考えております。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 今の御答弁によりまして社会党の諸君も農業基本法の成立に協力するとは思っておりますが、私はさらに社会党の資料に基づきまして御質問申し上げます。社会党は、二千億ないし三千億に上る農産物の輸入をチェックいたしまして、二千億節約する、農産物の輸入を二千億ストップする、これによって農業基本法実施に伴う諸経費に充てる、こういう八カ年計画を立てておるわけであります。しかし、IMFあるいはガット等からしまして、貿易の自由化ということはもう世界的な雰囲気、流れなんだ。現在日本の自由化はまだ四五%程度なんだ。西欧、アメリカにおきましてはすでに九〇%の自由化が実現しておる。この四つの狭い島にこの大人口をかかえて、今後の政策の重点は、やはり貿易の振興で、日本の高度の技術を活用するということが一つの有力な武器である。その観点からすれば、これはやはり、必要に応じては自由化を促進いたしまして、国内産物との競合は関税定率法あるいは輸入制限等によって考えると十三条にはっきり約束しておりますので、自由化の方向はたどっていくべきである。しかし、自由化の方向をたどるについては農産物の日本における競争が激しくなって農家に非常な不利を与えやせぬかということが社会党の案と比較して政府案の一つの欠点のような言論がありますので、大臣、自由化の方向はどういうふうな御予定でありますか、お伺いいたします。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 自由化は、原則的に言って、私はこれを拒否すべきものではないと思います。しかしながら、一面におきまして、アメリカあるいはヨーロッパの共同市場、あるいは自由貿易連合、そして、国国におきましても、その国における保護をなすべき農産物等については、あるいは関税、あるいは輸入制限等によって、ガットの承認を受けて保護をいたしております。日本は、やはりその同じ形をとりつつ、その間に競争に耐え得るように生産費を低下し、生産性を上げ、優良な品質のものを作るような方向に持っていくことが必要だと思います。だから、自由化につきましては、やはり方向としてはその方向に進むべきでありましょうが、それが完全に日本の内地農産物の生産保護に欠けないように処置をとりつつ、方向は進めて参りたいと思います。  また、ただいまお話しのように、社会党さんの二千億の農産物の輸入を防遏して財源に充てるということは、非常にけっこうなことであります。私も、でき得る限り農産物の輸入はこれを国産化するということを、これは政府も言い、またそのつもりで考えておりますが、これは、なかなか、八カ年計画ですから、一ぺんとはおっしゃっていません。その中におのずから物によってできるものとできないものがあります。これは、私ども、一例をあげましても、小麦のごとき、二百万トンも入れて、その中にソフト小麦は八十万トン、あと百二十万トン、このパン用小麦をいかにして国産化するかということについては、社会党さんもおそらく急にはいかぬし、あるいは相当分量はなかなか日本の風土に合わぬということになるかもしれません。こういうことを研究の上において、二千億というものを節約して全部充てるとおっしゃるならば、私どもはちっとも異議はございません。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 私は一昨年の秋欧米を回りましたが、ドイツ、フランスを中心とした六カ国、あるいはイギリスを中心とした七カ国というものの経済的な結合というものはますます強化されまして、経済的観点から見ますと、一見独立国家みたいな、非常に強固な団結を示しつつあります。特に、ドイツ、イタリア、フランス、ルクセンブルグ、オランダその他を中心とした経済的結合が強いために、イギリスのディヴァィド・アンド・ルール、分割統治という従来の外交方針を変更せざるを得ない、ヨーロッパ各国を戦わせて、その間隙を縫ってイギリス経済の発展をはかってきたイギリスの外交方針も変更せざるを得ないというイギリスの非常なあせりを痛感して帰ったのであります。こういう観点からすれば、当然相当の自由化をやるべきであると考えますが、大体欧米並の自由化まで持っていかれるつもりかどうか、自由化した場合においては、何年計画くらいで欧米並みに持っていこうとするかという、大臣の御方針があったら伺いたい。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 これは日本の農産物の競争力培養の時限と関係をいたすと思います。今日、全部の自由化を何年までにということは、ちょっと困難でありまして、申し上げかねます。しかし、この四月大豆の自由化というものが行なわれますれば、大体七二%くらいになると思います。あとは大事な米、麦、これはなかなか自由化はできません。また、いろいろな問題で自由化という問題が起こりましても、これはガットの承認を得て当然いくべきものでありましょうし、また、現在のような食管制度によって買い上げている場合、国がやっているということをとらない場合は、必要があれば国が負担をして持つということもありましょう。しかし、現在米の生産というものは内地においても非常によくなっている現状で、外国米の輸入は、先ほど申しましたように、三年間に十分の一まで減して、農家を保護していこう、かように考えている次第であります。今、何年で全部やるかということは、ちょっとお答えをいたしかねます。

藤田義光自由民主党

○藤田委員 そこで、約束の時間が参りましたが、現在農業基本法に直接間接関連いたしております法案が当委員会に約十九かかっておると思うのです。このほかに、数字は正確でなくてけっこうですが、今後いろいろな法律案の提出を予定されておりますが、幾つくらいを予定されておりますか、委員会の審議の都合上お知らせ願います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 大体あと四つくらいあるようでございます。会期もだんだん経て参りましたので、法案は関連のあるものですから、どうか一緒に御審議を願って、すみやかに成立するようにお願いいたします。

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 野原正勝君。

野原正勝自由民主党

○野原(正)委員 同僚森田君が質問しておられたことで政府の答弁が明確でないことがございました。第二条の国の行なうべき施策について、地域格差、地域の自然的・経済的・社会的諸条件を考慮して行なうべしということに対してどうもまだ十分でないというような意見もあったようであります。このことに対して私はこの際政府の所見をただしたいと思います。  申すまでもなく、日本の農業事情というものは、九州から北海道の非常に長い地域にわたって、立地条件に大きな差がございます。その間に山脈があり、小さな川が流れており、いろいろ土壌の違いもありますし、また、長い海岸線を持っておるというようなことから、実は、わが国の農業の今日までの姿を見てみますというと、地域の特性というものを織り込まない農政はなかったということが言い得ると思うのであります。あらゆる農業施策の中にその地域的な特性というものを織り込んで、非常にきめのこまかな農政をやってきたと思います。そこで、私は伺いたいと思いますが、この農業基本法の第二条の国の施策、それについては、地域の自然的特性というものを十分考慮するということについて今までもやってきたわけでありますが、たとえば東北地方あるいは北陸地方等を含めた積雪寒冷単作地帯に対しては、すでに積寒法というものを作って、これは昨年期間の延長をいたしました。そこで、農業基本法が成立いたしましても、そうした地域の特性というものは今後といえどもますます重視され、きめのこまかな自然の立地関係というものを十分に取り入れた農業でなければ、日本の農業は立たないと思います。そこで、今問題になりますことは、たとえば海岸砂地地帯農業振興法とか、急傾斜地帯農業振興法、湿田単作地帯あるいは畑作地帯、特殊土壌地帯、こういったような特殊立法がございます。これらは時限法でございますから、ぼつぼつ期限が切れるものもございます。従って、この法律は政府としては当然延長するお考えであろうと思いまするが、その点はいかにお考えでありますか、一応伺っておきたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 ただいま御指摘の特殊地帯における施策に関する法律は、延長する考えております。

野原正勝自由民主党

○野原(正)委員 これは、大きく言えば、九州から北海道までの間にわたる日本列島の農業を行なう上において、あらゆる立地関係の複雑な問題を一本でいき得ないというところからこうした特殊立法が生まれたわけでありまするが、また、これをこまかく見るならば、同じ一つの流域の中でも、たとえば里の地帯、平野地帯の比較的恵まれた農村地帯というものもあれば、山の沢をさかのぼるに従って、奥の方には非常に恵まれない山村地帯というものがあるわけです。そうして、いわゆる平野地帯においては、土地改良事業を行なう上につきましても、相当の大面積がありますから、これは国営事業として国が取り上げたり、あるいはまた県営事業あるいは団体営事業というふうなことで、だんだん沢をさかのぼるに従って、奥地になるに従ってその規模が小さくなることは、自然の環境上やむを得ないと思います。そこで、今までの日本の農業の施策を見ておりますと、まず国の食糧自給度の向上という政策、またその要請に基づいて、やはり最も効果の上がるそうした平野地帯の土地改良事業などに非常に重点が置かれた。また、その反面においては、奥地の山村地帯の小面積の土地改良事業などというものは非常におくれてしまったという事実もいなめない事実であろうと思うのです。そこで、その問題については、小団地土地改良事業であるとか、あるいはまた補助面積の対象をだんだんと減らしていこうというふうなことで、積寒法その他の中で考慮されてはおりますが、まだそうした山村における農民が自分の飯米さえも十分でないような地帯というものは取り残されていて、そういうところは実は生活が非常に不安定であります。従って、国全体として見ると、食糧自給度は非常に向上して参りまして、米に対してはやがては生産は十分に問に合うというような段階が近づいておることも事実でありますが、そうした奥地の恵まれない山村地域の住民の生活の安定というようなことから考えますと、やはりそうした地帯の土地改良事業等をやりまして、少なくも十分な飯米を作らせる、あるいは余ったものはこれを販売できるというようなきめのこまかな政策をやらなければ、非常に片手落ちになる。つまり、里の恵まれた地帯だけがあくまでもよくなって、非常に環境的に恵まれない地帯が取り残されてしまうおそれがあるんじゃないかというようなことを考えておるわけであります。そういう点から、今日各地から要請されておるたとえば新しい県営土地改良事業というようなものの計画を見ましても、いずれかと言えばそうした残された地点についての非常に強い要請があるようでありまして、そういうところについて、今後そうした地方の特殊な条件というものを十分考慮した考え方をしないと非常にアンバランスになるという点もございますので、その点はすでに政府におかれても十分に考えておられると思いますけれども、地域の特性を考慮してなされるという農業基本法の精神というものが、あくまでも今後も明確にそうした点を十分考えてなされるように、われわれは強くこれを要望する次第でありますが、大臣の見解を伺っておきたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 その点は先ほど森田さんの御質問にお答えしたのですが、この二条の二項というのは、そういう点を含んではっきり書いたつもりであります。すなわち、地域の自然的・経済的・社会的諸条件を勘案して施策をやろうというのであります。この点は、先ほどの御質問、また、お話のありました僻村、山村の山の奥というようなものなんかについて、教育の問題にしろ、あるいは農業経営の上におきましても、いろいろの点について非常におくれておる、こういう問題については、われわれは、僻村対策とでも申しますか、そういうふうな特殊なことを考える必要があるんじゃなかろうか。すでに離島振興対策というものができておりますが、あれには僻村対策は入らないようでありますから、そういうふうな問題も考えていかなければならぬということを考えております。御指摘の通り、各地域的にきめのこまかい施策を講じていくことが今後の必要な問題だと思います。

野原正勝自由民主党

○野原(正)委員 先ほど藤田委員の質問で貿易の自由化の問題が出ておったようでありますが、本日の新聞を見ますと、大豆の輸入関税の税率の改正が大体きまったように伺っております。西欧諸国と違って、日本の農業というものは、あらゆる面から、自然的・社会的・経済的に不利な諸条件に置かれておるということは、日本の土地というものは、耕すべき耕地が非常に狭く、しかもこれは西欧諸国と違って非常に地勢的に恵まれないから耕地が狭かったのであります。耕して山天に上る、山の上までも段々畑を作るというふうなことまであえていたしましても、今日六百万町歩にも足らないという農耕地の現状というものを考えるときに、私どもは、今後、草地開発といったようなこと、あるいはまた、現在も北海道、東北等においてもまだまだ相当の土地の開発は可能だと思います。それは大いにやるべきだと私は思いまするが、それにいたしましても、戦後の開拓の実態を見ますと、なかなかそう急激にうまく成功できないという事実もございます。もちろんこれらは政府の政策を今後大いにやらなきゃならぬわけでありますが、そういったような日本の農業の実態というものは、このまま国際競争にさらすというようなことでは、当分非常な危険があると思う。従って、貿易の自由化というものそのものについてはあえて反対はできないとおっしゃいますが、少なくとも農産物に関する限りは、もしかりに貿易の自由化をやるとしても、その大前提がなければならぬと思うのです。つまり、貿易の自由化に耐え得るだけの農業の近代化が進み、生産性が高まり、農民の所得が安定向上したときに初めて貿易自由化という問題が考えられるのであります。そうした農業に対するそれらの大前提をもし万一でも忘れたら大へんです。まずそれらの施策を十分に完全に行なって、諸準備、諸体制が整った後でなければ、万端の準備整わざるうちに万が一でも貿易の自由化をするというふうなことになりますと日本の農業というものは非常な苦しい段階に陥るという点はすでに大臣もよくわかっておると思いますが、軽率に今回の農業基本法が貿易自由化のためのものであろうというように勘ぐる向きもございますが、断じてそういうものではないという点は明らかにしておいていただきたいと思います。  なお、私はこの問題についてはいずれあらためてお伺いいたしますが、大豆、菜種等に対する価格安定のための暫定措置、あるいはまた国内における現在のえさの逼迫した需要の状態、こういうものに対する国内での生産の問題もございます。あらゆる角度から、日本の農業は、大臣が先ほどおっしゃったように、今まで外国からの輸入に依存しておったものはできるだけ早くこれを輸入しなくても済むようにしたいというその線に沿って、強力に国内のそうした農産物の生産を増大する、そのことによって農民の所得をふやすというために、第二条における国の施策というものはその角度から非常に大きな問題が出てくると思います。従って、非常に消極的な目で見ると、日本農業は国際競争に耐えることは困難だから、これはなかなか容易でないという見方もありますが、見方を変えて言えば、わが国の農業というものは、国の施策のよろしきを得て、第四条における国の財政的措置あるいはまた金融政策というようなものも十分に行なわれ、あるいはまた農業の合理化、機械化、近代化が進んでいって、あるいはまた技術的な研究、指導機関といったふうなものまでもほんとうに軌道に乗っていくならば、あらゆる角度から非常に大きく生産性が伸びる余裕がまだ残っておる、決して行き詰まってはいないと私は思う。今までの日本の農政の中で非常に遺憾に思いますことは、農業政策、また、農村の生産を高めるための生産基盤を整備強化すると言いながら、結局は財政の投資が十分でなかったという一点に帰するように思います。従って、金をかけないで大いに生産を上げるとか、農民の所得を引き上げようとしたところで、これはおそらくできないことである。従いまして、先ほど藤田委員が質問をしましたが、西ドイツにおいては、法制定以前に比べるとすでに二〇〇%を上回っているということを私も伺いまして、それが事実とすればまことにどうもうらやましいことであります。しかるに、わが国の農業関係予算というものは、大臣よく御存じの通り、昭和二十七、八年をピークとして財政の比率は年々減って参っております。ここ三年ほどの問にようやくにして盛り上げたとはいうものの、わずかに九・六%にすぎない。全体の額は千八百七十三億でありますから、これは昨年の予算から見れば四二%もふえております。これは大臣の非常な御苦労もあり、われわれもその予算の推進に当たったのでありますが、その辺のところで満足したり喜んでおったのではいけないのであります。農政に対して最近非常に力を入れつつある事実は、私どもはまことに御同慶にたえないと思っておりますが、そんなことで甘んじておってはいけません。私どもが特に遺憾に思いましたことは、この際農林大臣にこんなことを言ってもおかしいので、いずれ企画庁長官に来てもらってとくと聞きたいと思っておりますが、例の所得倍増計画の中にとんでもない農政軽視の数字が出ておる。これは企画庁長官も何回も言い直しまして、絶対そんなこのではございません、新しい基本法ができれば必ずこれは十分増額する用意がございますから、これ以上あまり責めないでくれ、こうおっしゃいますが、私どもは何となく気にかかるのであります。というのは、ああいう数字が出たこと、経済審議会において多数の経済学者その他いろいろな方が集まって、今後の行政投資についての十六兆一千三百億という金が出て、そのもとを私はよく知りませんけれども、その中で、農林水産という第一次産業にわずか一兆円で済ませてくれということ。こういう、現実を全く無視した、現実の農民の要望を全く顧みないそうした数字というものが一応上がったということ、そのこと自体私どもはまことに恥ずかしいと思う。そういうばかげた考え方があればこそ、われわれは声を大にして——これは単なる与党のための法律でも何でもございません。むしろ全六百万農家のための農業基本法だと思う。その面においてはおそらく社会党もわれわれと同じ気持であろうと思う。そういう気持で私どもは農業基本法に臨んでいるので、第四条の財政上の措置については、許す限りというような半端なことでなしに、大臣もよほどここらあたりでこの基本法と心中するようなお気持でやっていただきたい。その御決意と考えまするが、特に、貿易自由化については、この際明確に腹に据えて考えてもらいたい。日本農業の生産基盤が整備強化され、その経営の合理化、近代化が進んで国際競争に耐え得るようになるまでは野放しの貿易自由化は断じていたしませんということでなければならぬのであります。もし貿易の自由化というような形をやむを得ずとる場合には、その対策をちゃんと準備して、別な関係予算で、農民に対しては何らの不安がないというだけの前提、用意の上でなければ、断じて貿易自由化には乗ってもらいたくない。その点については十分おわかりと思いまするが、あらためて大臣の口から一つはっきりさせておいていただきたい。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 お話の点は、十分承知して対処していくつもりであります。今日いろいろ問題になっているのは、外貨の事情から、貿易の収支関係からしての自由化ということが問題になっておりますが、私どもは、あくまでも、内地の農業の保護ということ、そうして、国際競争ができるように農産物の生産事情が変わるまではこの自由化問題は延ばしていきたいと思っております。しかし、いろいろな問題がこれにからんでおりまして、外貨事情等の関係から自由化問題も出て参りますが、しかし、そういうことの問題を離れて、ガットにおける承認を受ければ、当然関税その他の関係で内地の農産物の保護に当たることができるのであります。そういう問題もあわせ考えつつ、お話のような点について十分努力いたし、善処いたす覚悟であります。  また、予算等の問題についてだいぶ御鞭撻がありましたが、これはその意味においてこの法案もできるわけであります。それをやるにつきましても、どうか皆様の御理解と御鞭撻によって早くこの法案を通過させていただいて、そうしてあらゆる面に関して来年度予算編成までにいろいろな法律制度を作って、これで政府に向かって一つ強い要望を出していただくことを私は待っております。

野原正勝自由民主党

○野原(正)委員 時間もおそくなりましたから、一点だけ伺っておきます。実は、小さいようなことで非常に大きな問題でございますが、この農業基本法立法の精神、また、農村を振興するという問題、農民の所得を他産業と均衡のある所得にし、あるいは生活水準を引き上げようとするためには、単に農政だけにとどまらず、あらゆる政策がみなそれに集中されなければならぬのでありますが、そこで、一つ気にかかる問題、当面の問題がございます。というのは、運賃の問題であります。国鉄の運賃の問題でいまだにどうも未解決な点が残されております。私どもは現在国鉄当局が非常に苦しんでおりますことはわかっておりますが、少なくとも農林水産物資についての運賃については、今回の値上げ率一五%という原則はやむを得ないといたしましても、計算の方法その他によって、はなはだしく不利になり、二十数パーセントにもなるというようなおそれのあるものがあるやに聞いております。そういうものが断じてあってはならぬと思います。でございますから、一五%アップという点だけは私どもいたし方のないものと考えておりますが、それについて、特に食料品あるいは木林、魚介類あるいはまた農業資材である肥料その他いろんな問題は、特に心して、国鉄当局と暫定割引の措置を強く推進を願いたいと思います。また、遠路離の割引制度がどうなるのかという心配をする向きもございます。これは国鉄当局も最近は近いところはトラック輸送に切りかえられているということでありますが、遠距離の物資については、これはトラック輸送に切りかえもできない地帯であります。たまたまそういう地帯から運び出されるものはすべて農林水産物資であるわけでありまして、この遠路離の政策的な公共割引制度というものを軽率にも取るようなことがありますると、これは、農業基本法において農民の所得をふやそう、そしてまた地域格差を解消しようという大精神というものが、その一角から遺憾ながらくずれ去るおそれさえあるわけであります。でございますから、事は運輸大臣の責任に属することでございましょうけれども、私どももしばしば委員会においてもこの問題を論議したのでありますが、この際、一つ、できるだけ近いうちに、これは非常に急いでおるようでございますから大臣から責任を持って運輸当局にその問題は当たっていただきたい。  以上私は大臣に対して御要望いたしまして、私の本日の質問はこれで終わります。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 要望でございますが、ちょうど御質問がありましていい機会でありますから……。公共割引制度については、御承知の通り、当分のうちというのが入りました。これは、もとは六月三十日までだったのでありますが、これを当分のうちと書き変えたわけであります。その点につきましては、恒久的に直せという要望がありますので、今後ともこれは努力を続けていくつもりであります。その他の問題につきましても、ただいまいろいろ御要望のありました点を入れて、実除問題としてすべてにわたって実効的に処置するように今折衝中であります。それは、運輸大臣からも申し入れがありまして、国鉄及び農林省の事務当局との問において折衝を開始しておるわけであります。きまりましたら御報告をいたすことになると思います。

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 明日は午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十四分散会

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