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38回国会衆議院1961/02/14

農林水産委員会 第3号

発言数
32
登壇者
6
会派数
2
開催日
1961/02/14

会議録

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 これより会議を開きます。  農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。  農林水産業の基本施策について質疑の通告があります。これを許します。  質疑される方に念のため申し上げておきますが、理事会の申し合わせにより、質疑時間は一時間程度にお願いいたします。  片島港君。

片島港日本社会党

○片島委員 先日の農林大臣の農林政策に関する御説明、また農林関係予算の御説明を承りまして、それに関連して、こまかいことは法案が出たときに触れますが、お尋ねを二、三いたしたいと思います。  農業の構造改善、また近代化という大きな目標を掲げて、今度の国会に予算としても非常に目新しい費目が追加をせられました。また、農業基本法を初めとして、農林省の農業政策に対する意欲は非常にりっぱなものでありますが、しかし、計画年度の十カ年というものを先に見通して農業所得を上げていくために、たとえば、自立経営が二町五反だとか、協業を進めるとか、あるいは協業をした場合の水田がこうなる、機械化がこうなる、果樹がこうなるといったような先の方の展望は非常に明るく見せてありますが、そこに行き届くためのネック、隘路というものに対する一つの解決策、具体的な事柄が何も示されておらないように感ずるのであります。特に自立経営と協業、さらにはまた兼業農家も相当残るようでありますが、一体、近代化をはかり構造改善をやった計画の最終年度において、自立経営というものと協業というもの、また兼業農家の比率はどういうふうに見ておられるものであるか、また、どこに重点を置いて育成をしようとするものであるか。兼業農家に対する考え方というものも非常にあいまいであります。たとえば、生産性の問題、経営規模の問題、こういったような点から兼業農家に対する態度というものも非常にあいまいにしておられるわけでありますが、もっと、そこにいくまでの、また目標年度におけるところの農業の実態がどういうふうになるかということも、この際お伺いをしておきたいと思うのであります。  それとあわせて、すでに本会議や予算委員会でも論議がかわされたのでありますが、農業人口の構成の問題であります。相当多数の農業人口が他産業に流出をする。統計から見ても数字は出ておるわけでありますけれども、流出をするのは新卒の若い人たちばかりであって、農民がだんだんと老齢化をする。その老齢化に対する対策、また、農業人口は若い者が減りますが、農家の戸数というものは減らない。こういう者に対して、予算でも示してあるような職業訓練あるいはあっせんとかPR、そういったようなものだけで解決ができると思っておられるものであるかどうか、また、零細農家が転業をする場合にどういう措置を持っておられるのか、そういったような点につきまして、私はもう少し明確な御説明をまず承っておきたいと思うのであります。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 お答えをいたします。  農業構造の改善に関する問題はなかなかむずかしい問題ではありまするが、しかし、今日の農村、農業というものにおいて、農業から出てくる所得を引き上げるにつきましても、どうしてもこれはやらなければならぬ問題だと思っております。それにつきまして、まずお尋ねの点でありますが、まず、問題といたしましては、あくまでも私どもは家族経営農家の育成ということに原則、中心を置きまして、協業経営というものをとれに補完的に考えていきたいと思っております。わが国の農村は、今まで、片島さん御承知の通り、非常に多数の農家が零細な土地を耕しておる現況であります。ことに、農地改革によりまして小作というものの形を自作に変えたいということは、一つの前進でありましたけれども、その規模というものはあまりふえないで、従来の小作地がそのまま自作になったということだけであります。やはり、その当時からも、次の段階はいかにして農業基盤というものを広げて、そして経営の内容を充実させるかということは当然問題として考えられていかなければならぬ問題でありましたが、今日までなかなかその点が困難でありましたのは、一つは、何と申しましても、他の産業、鉱工業の方面の発展というものがなくて、どこへ雇用の機会を求めるかということが非常にむずかしかったときであったと思うのです。幸いにいたしまして、この数年来というものは、御承知の通り、非常な鉱工業の発展であります。農業に比較して、より高い成長度を示しておる。しかもこの方へおのずから農業労働人口の移動が毎年四十万前後出て参ります。こういう形は、積極的に農村から離村させるということをやるのではないのですけれども、実際問題として、国全体としての産業発展の上から見て当然そういうことが行なわれることは、諸外国の側に見る通りであります。そこで、そういう点、実際の問題に当面いたしまして、同時にわれわれが今後農村をどう持っていくかということを考えるときに、当然に、そういう機会を活用しつつ、外に出る人々に対しては雇用の機会を与えるような、先ほども御指摘がありました職業訓練なり職業あっせんというようなことをやったり、今度の予算の中には、農村においての鉱工業技術の修得をなすための施設も考えていく、平生からそういう場合における技術的な修得をさせたいということも考えておるわけであります。そういうことで外に出られる。  一面におきまして、家族経営を中心とした自立し得る農家というものの目標としては、やはり一番問題になるのは農業基盤である農地等の拡大であります。そういう場面を利用しつつ一つ考えていくのも方法である。ただし、今お尋ねのように、それならば、二町五反がいいのか、一町五反がいいのかということでありますが、この点は、地方的にもそれぞれ違いましょうし、農業経営の内容についても違って参りますから、一律には参らぬと思いますけれども、やはり、そういう方向へ向かって、自立し得る家族経営を中心とした一つの農家の形成ということが構造改善の一つの目標になると思います。  同時に、先ほど申しましたように、このことは片島さん御承知のように、日本の現状からいたしまして、そう目標を立てましてみんながみんな農地の拡大ということもなかなか急速にいかぬという場合もございましょうし、そういう意味合いにおきましては、今の協業化問題というものがここに出て参ります。やはり、家族経営にいたしましても、お話のように、近代化、高度化ということを進めていって、所得を引き上げるとか、あるいは生産性を高めるということになりますから、それも当然必要になって参りますが、それが零細農等の集団におきましては、その協業化するための法人化という形が現われたところへ近代化、機械化というものを持っていくという形に一つ考えていきたいという考えております。  また、それに対する施策といたしましては、もう少しやりやすいようにものを考えているかというお尋ねであります。やはり、土地の基盤を広げるということに対しましては、当然農地法に対する従来の土地所有の制限をとるとか、あるいは従来の自作農主義を中心とした農地法の考え方を多少例外的に、法人化した場合において土地が持てるような形をとるとか、また、そういう場合における土地が、外に、今までのところにいかないように、農業協同組合等において、土地を耕す人のところにいくように信託に預かってあっせんするというような方法も考えているわけであります。  それから、お尋ねの、そうやっていくとだんだんと農村に残るのは老人ばかりになって老齢化しないかということでありますが、これは私どもざっくばらんに言いまして心配をいたしている点であります。しかし、先ほど御指摘がございましたように、学卒等の転出というものは、従来はたしか八、九十万ありましたのですが、その中で半分くらいが農村にとどまり、半分が出るという傾向でありましたが、最近はもっと減りまして、残るのは二十万前後ということになります。しかし、こういうふうな形は非常に心配でありますが、現在残ってきている二十万くらいのところは、全く筋金入りの形で、いろいろな農業の研究もいろいろな形で行なってきておりますし、むしろ、そういうふうな将来は農村に残って中堅としていこうとする人々に対しては、農業に関する再訓練の施設等に関する国庫の補助も増額するとか、またそれらに対する種々な助成政策もとる。今度の予算等におきまして、特に農村における農業青年を中心としての指導に遺憾なからしめるための農業青年会議的なものに助成するとかというような方向をとろうと考えております。  また、それらに対して、戸数は減らぬが人間が減るというお話でありますが、戸数の減り方というものは、ちょっと年は忘れましたが、確かに農村労働力の減はあっても戸数の減は最近二万戸くらいしか減ってないということでありますが、これは、ただいまのような学卒というものが多数出ているということなり、あるいは農業をやった人々が二十万くらい出て、また逆に十万くらい帰ってくるというような事柄は、必ずしも希望すべきことではないかもしれませんけれども、戸数に関しての減も起こるのではなかろうかと思いますが、これらは必ずしも私も心配しておらないのであります。  大体今のお尋ねに対してお答えを申し上げた次第であります。

片島港日本社会党

○片島委員 私は、もっと実際の農村の現状はきびしいものじゃないかと思うのであります。特に農家の娘さんたちは、農業のお手伝いをするのをいやがって、ほかの仕事に出ていく。今農家の長男は嫁さんをもらうのに実は非常に困っております。嫁に来手がありません。そうして、自分の娘は農家の子供ではあるが農家には嫁にやりたくないというような実情が非常に顕著に現われてきているような状態であります。そういうことになってきますと、そう心配は要らないと言いますが、あとに残っている若い人たちの中には、どうしても農業経営を相続しなければならぬというりっぱな人もおりますが、しかし、よそに出ていっても、たとえばそれだけの能力がないというような人もとどまっているわけであります。必ずしも残った者がみなりっぱな青年ばかりとも、また優秀な経営者ばかりとも限らぬといったような状態で、ただ目標だけきめておきましても、私は、これから先のいわゆる農業従事者というものの質の問題が非常に大きな問題になってくると思う。また、離農するという場合も、賃金の問題や労働市場の安定というものが非常に要件となって参りますから、そういう対策もあるものかどうか、これは労働大臣にもお尋ねしなければならぬのでありますが、いわゆる農業従事者の質といったようなものについては、私は、もっと真剣に考えていただかなければならぬ問題だと思うわけですが、どうですか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 その点は、私は、御心配はごもっともだと思います。従って、私どもは、現状のまま放置していけばそういう傾向をますます多からしめると思います。そのことが、今日結局農業というものに対する曲がりかどに来ておる、これに対する基本的な対策を立てろ、立てなくちゃならぬ、こういうことになっておるわけでありまして、結局、農業基本法というものを提出して皆さんの御審議を願うということもその点をねらっておるわけでありまして、やはり、今後における農業も、従来のような農業の姿でなくて、経営内容につきましてもかなり高度化し近代化した方向へ持っていく、そうして、端的に申しますれば、もうかる農業という形に一つ引き上げる必要があろう。そこに一つの魅力を持たせる必要があるのじゃなかろうか。働けど働けどなお楽にならざる云々というような形でなくて、とにかく経営する農業から受け取る所得というものを、現在のような状態に置かずに、一つ引き上げていく。それにはどうするかという問題。くどくは申しませんが、すべてをこの中に入れて考えておる点であります。ことに、私は、所得だけの問題でなくて、生活水準に対してほかの都市と均衡をとりたいというねらいは、一つは所得をふやすということは主たる目標ではございますが、同時に、都市及び農村における生活環境というものを変えていく。これに対しましては、たとえば下水道、上水道あるいは娯楽施設その他というようなものにつきましても、農村だけは何もなくてもいいという考えでなくて、ある程度そういう生活環境をも変えていく、あるいは、社会保障制度等につきましても、農村に、消極面ではありますが、こういう方面も都市と変わらざる形に持っていく。そして、あらゆる方面、所得の面の増加と生活環境の改善というような面からも、農村におって働いてもよいというような魅力を出すことが必要である。かように考えております。

片島港日本社会党

○片島委員 農業近代化資金融通制度というものを今般の農業近代化のために新しい制度を作られたわけでありますが、系統資金を農業近代化のために農民の方におろしていくというこの考え方には異論はないのでありますが、国と県がおのおの一分ずつを補給するということになりますと、なお七分から七分五厘といったような利息を払わなければならぬわけです。今までの制度金融の例から見ましても、大体一番利用する者は一町五反以上といったような相当片寄った一部の者になっておる。一町前後というのは、農業手形——まあこれにいたしましても、相当高い、短期は二分三厘、また長期は一割一、二分といったような高いものでありますが、中農というところはそれを使うけれども、また、五反百姓といいますか、非常に零細なところは、農協の普通の貸付やあるいは個人から高利貸しを借りるというようなことで、運用をちょっと間違うと、かえって階層分離をどんどん進めていくというようなことで、弱い者いじめというような傾向になるのではないかという批判もあるわけであります。そこで、一分というものを、今の有畜農家創設資金や天災融資法と同じように国で二分くらいの補給をするのが適当ではないか。また、せっかく近代化を促進すると言っておいて、初年度から貸し出しを半額にする、公庫の貸付についても四〇%は翌年に持ち越すといったような例になっておって、利用者は非常に一部のものに限られておる。また、貸し出しの事務も非常に非能率的であるということで、非常に能率が上がっておらぬ。近代化資金を最初から半分として、半分はもう翌年に持ち越すのだというのでは、近代化を促進する趣旨からしても、また、三百億というワクを振りかざして宣伝しておる手前、羊頭狗肉の批判を受けるのではないかと思うのでありますが、この二点についてまずお尋ねしたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 金利補給の問題については、私は、御意見ごもっともだと思う。できれば国から二分くらいの補給をし、あわせて県から一分も出れば非常にいいと思いますが、このたびの処置といたしましては、お話のように、国から一分、県から一分ということで、二分になっております。私は現状で必ずしも満足はいたしませんが、これはいろいろ財政の都合もありますし、また、御承知の通り、今日まで出ております公庫融資の金利等の問題とも比較をいたさなければなりませんし、まず第一段階として大体七分五厘程度を目標に金利補給を考えざるを得なかったのであります。私は、すべての産業に関する金利の低下というものとあわせ考えつつ、将来さらに金利の低下というものについて努力いたしたいと思います。同時に、この系統金融機関の金利引き下げに関して補給をしていくということは、ともかくもやらなければならぬ現状において一つの方式ではございますけれども、根本は、相互共助というものを目標として立っておる地方の信用農業協同組合の金、系統金融の金というものについて、預金及び貸付金利としても、相互金融を本質として、他の営利金融機関とは違うのだということを標榜しておる機関が、もう少し、精神的と申しては恐縮ですが、そういう意味で金利低下に努力してもらうための呼び水とも考えてやったわけであります。この本質が考えられていくように私どもは今後仕向けていきたいと思うのでありますが、なかなかむずかしいことでありますが、農村にある系統金融の金が、預かった金はだんだんふえてくるけれども、貸付は農村に還元されないという形は何とかして是正しなければならぬ。その一つの是正の方針を目途として金利の補給ということも出ておりますが、これが永久であってはならない。補給してもらわぬでも、系統金融機関の金が安く貸せるような方向へ持っていくことが私どものこれからやらなければならぬ仕事だと思います。むずかしい問題でありますけれども、これは超党派的に地方農村における農業協同組合というもののあり方について一つ御協力を願いたい、かように思います。  それから、今の金額の問題でありますが、実際に御質問の内容について現在どうなっておるか、私どもよく知りませんが、しかし、お話のように、金というものは要るだけ貸してもらって役に立つわけで、半分ずつにして翌年回しでは役に立たないということでありまして、これは、具体的な場合々々に応じて、半分はことし出し半分は翌年に回していくということが実際の経営近代化の役に立たぬのならば、これは改善すべきだと思いますが、しかし、事業の計画の遂行の状況に従って、半分はことし出しあとは来年でいいという場合には、そういうことで行くことが至当であるかと思いますが、これは具体的な問題に処して指導して参りたいと思います。

片島港日本社会党

○片島委員 貸し出しについて、利子補給をするからというのでいろいろひもをつけたり、手続がめんどうであったり、なかなか借りられないということになると、どうしても翌年回しが多くなる。また事務の能率ということもありますから、これらはさらに今後の委員会においてまた検討していきたいと思います。  ただ、これから先農協というのは非常に忙しくなる。この近代化を進め構造改善を進めていくという政府の方針によると非常に忙しくなる。農協自体が体質改善をし構造改善をしなければならぬ状態である。そういうときに、小規模で片手間にやる程度ならいいのでありますが、相当大幅な貸付事務などをやる。しかもコストの高い資金をもって七分なり七分五厘でいく。まあ一割ぐらいでないととてもやっていけない。人をふやしたり、またこの貸付事務ばかりでなく、農協としてはいろんな仕事が出てくるわけでありますが、私は、そこで採算割れをするのじゃないかと思う。今まで、小規模なものなら、農協は何も貸付の仕事ばかりやっておるのではなく、いろんな業務を合わせて行なっておるわけであります。信用、購売その他で、どんぶり勘定というか、あれで穴のあいたところはこちらでちょっと埋めておるといったようなことがありますが、しかし、大規模になるとそういうことにはならぬ。私は、その点、今後の農協のあり方とともに心配をするのでありますが、いかがでしょうか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 片島さんの御意見、私は、一々もっともな点があると思う。今後における農村に対する近代化資金の貸付に関しましては、その貸付の期間というものを一体どういうふうに考えるか、貸付の対象というものをどう考えるかということで目下検討いたしまして、関係法案を出して参りますので、十分御審議を願いたい。ことに、私が心配いたしますのは、片島さんの御意見もそれだと思うのですが、単協あたりにおける預金を受け付けて貸し付ける事業部門が一緒になって、そこからどうもどんぶりになっておるということは、いかに組合員の特定な人間の集まりであるにしても、やはりそれらの預金者の保護というようなことも考えつつ、しかも相互金融機関としての本質をりっぱに発揮させるためにはどういうふうにしたらよろしいかということについても考えておりますが、まだ最終の結論を得ておりません。いずれ、近代化法案の提出の場合までにはまとめまして、御意見を伺い、御審議を願うことになると思います。御了承をいただきます。

片島港日本社会党

○片島委員 これからの農協のあり方というものも非常に重要な問題でありますが、私は、今までの制度金融の実情というものがどういうふうになっておるかということもこの際承っておきたいと思うのでありますが、たとえば、農業改良資金は、あれもいかぬこれもいかぬといったような、手続がやっかいで、政府の干渉も強くて、制度が非常に硬直をしておるのであります。あまりめんどうだから県で一つこういう制度をやろうというので、県で穴埋めをやっておる。また、有畜農家の創設資金も標準単価が安くて、非常に自己負担が重い。改良資金の債務保証の倍率は六倍程度であるが、大部分は死んでしまっておる。現在はどういうふうになっておるかわかりませんが、そういうときに一分の利子補給でひもをつけると、農協に採算割れの負担を負わせながら農協を政府機関化して、その自主性がなくなって、農協本来の業務に支障を来たすおそれがあるのではないかということも心配をしておるのであります。特に、ちょっとこれは聞いただけでありますが、開拓者営農振興資金とか寒冷地畑作振興資金とかあるいは主務大臣指定の災害施設の資金なども近代化資金に統合するというようなうわさも聞いておるのでありますが、そうなってくるとますます問題が出てくるので、それも近代化資金に統合するのかどうか。先ほど申しましたように、農協の本来の業務に支障を来たすおそれはないか。この点をいま一つ聞いておきたい。

坂村吉正農林事務官(農林経済局長)

○坂村政府委員 農協の金利に対しまして一分の利子補給をいたしまして七分五厘に下げて、そして金融をつけていくという場合に、農協が採算割れをするのじゃないかというお話でございますが、現在の農協の金利を見てみますと、末端の農協では大体一割前後、一割ないし九分五厘というのが大体平均の貸付ベースになっておるわけでございます。それが現在の農協の大体一般に見た採算の貸付率になっておるわけでございますので、私は、今度の近代化資金につきましては、九分五厘というところで、できるだけある程度は勉強していただいて、九分五厘というところをベースにいたしまして、それに対しまして二分の利子を補給して七分五厘にする、こういうふうに考えておるわけでございますけれども、全体的に考えますれば、農協が採算割れをするというふうには考えていないわけでございます。ですから、そういう点は今後も農協法の改正その他いろいろ準備をいたしておるのでございまするが、農協の経営の合理化といいますか、そういう方面につきましても、あわせて必要があれば法令の改正をいたしまするし、それから指導も十分やっていきたい、こういう工合に考えております。

片島港日本社会党

○片島委員 自作農創設維持資金についてでございますが、創設の方と維持の方との配分が、前年度に比べると非常に大きく逆転をしておるわけであります。これは農地の取得というととを重点に考える近代化のためであろうと思います。しかし、今まで消費資金、維持資金の方が比重が非常に多かったのは、災害補償制度に非常に欠陥が多い、あるいは天災融資が非常に不十分であるといったために、非常に大きな比重を占めておったわけであります。それが、今近代化を進め、構造改善を進めていくについて、そういうものが必要がなくなったかといえば、私は、必要がなくなったわけではないと思う。そうすると、天災融資法を改正して利子を引き下げるとか、あるいは償還期限を延長するとか、貸付限度の引き上げを行なうといったような、何らかそれに裏づけとなる、見合うようなことをやるというならいいのでありますが、ただ近代化のため、土地取得のためというだけで維持資金が犠牲になるということでは、私は、今後重大な問題だと思う。天災融資法に手をつける考えがあるのかどうか。そうでなければ、維持資金というものについても、もっと真剣に検討すべきじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。  また、この際つけ加えて、農業災害補償法についても非常に大きく御説明ではうたわれておりますが、いつごろをめどに国会に提案をせらるる考えであるか、この点も伺いたい。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 御指摘のように、自作農創設資金というものについては非常に御要望がありましたが、このたびは大体ワクの拡大というものと貸付限度の引き上げを一部認めたのであります。大体百三十億を百六十億のワクにいたし、それから貸付限度を従来二十万円を三十万円にいたしております。なお、金利の引き下げ等の要望もありましたが、この際は一応五分五厘ということに据え置いたのであります。ただし、お尋ねの維持資金の方をえらく犠牲にして創設資金の方をよけいにするのじゃないかということでございますが、これは一応分けておりますけれども、さらに相互融通をきかせるつもりでおります。維持資金等について必要があればさらに具体的問題についてその融通がなし得るように私は考えております。そうしたいと思います。  それから、農業災害補償法の法案については、大体三月上旬までには案を決定いたしまして提出できるかと、かように考えております。天災融資法につきましては、今の農業災害補償法との関係とも関連いたしまして、さらに検討していきたいと思います。

片島港日本社会党

○片島委員 農地の所有権の移転ということは非常に重要な問題で、一方に離農する者があり、一方に取得する者がありますが、いかなる方法で、また、土地の価格、農地の価格というものをどういうことにきめるか。ただ自然の成り行きにまかしておくか。取得する者と離農する者との間の取引ですね。もちろん農協の信託制度というのを考えておられるようであります。私は、大幅に農地の所有権が移転する場合には、たとえば政府機関としての農地公庫といったようなものでも創設をして、一般会計によるか、または公債によるかは別といたしまして、最も適当な時価においてこれを買い上げ、そうしてきわめて長期な融資をして、無利子でやれば一番いいのですが、きわめて低廉な安い利息で売り渡す、こういったような相当秩序の立った機構のもとにおいて行なわないと、いろいろ農地の移転というものは混乱を来たすのではないか。ただ信託制度を設けるというような程度のことでやっていけるのかどうか、この点について何らかの構想がございますなら承りたい。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 ごもっともな御意見でありますが、ただいまのところ、国営の機関でも作って農地の売買移転に関するあっせん、また長期低利な金を貸し付けるということは、まだ考えておりません。ただ、お話のような点もございますので、この際、ともかくも一つ、農村において農村事情というものを一番よくわかっており、相互扶助機関である農業協同組合等に一つの信託制度を設けてあっせんをさせたらどうか。よく信託制度ということが新聞に出ておるものですから、ひょっとするとあれで土地担保金融でもやるのじゃなかろうかというような誤解もありますが、ただいまのところでは、とにかく移転されるべき土地についてこれを預かって適当な方へ移転させようというようなあっせんをさせるということが主たる眼目のように考えております。

片島港日本社会党

○片島委員 そういうこともありますから、農協は非常に仕事も忙しくなってきますが、農村の事情に通じておるといいましても、今までやったことのない新しい事業であります。しかも政府の構想というものは相当大規模なものを予定されたわけでありますから、もっと合理的な秩序立った機構、機関というものを作らなければ混乱をするのではないか、これはさらに御検討をお願いいたしたいと思います。  時間があまりありませんから先を急ぎますが、農産物の自由化についてであります。これは今後の農業経営にとって非常に重大な問題でありまして、主要農産物については慎重な態度をとるという政府の方針でありますが、ただ、何と何を自由化するか、また、何と何は制限をする、何と何は最後まで自由化はしない、しかもその品目とまたその時期が非常に重要な問題であろうと思うのであります。今日のわが国の政府が誇示しております外貨の手持ちから見て、また経済の成長率というものから見た場合に、私は、とうていガットの勧告をはねのけるということはできないだろうと思う。そうすれば、どういう品目については食いとめるという確信があるのかないのか。そうでないと、米、小麦、大豆、菜種、いろいろ並べてありますが、また、てん菜、そういうものをどの程度に選択できて拡大をするのか、あるいは現状維持でいくのか、収量は今まで通りにしておいて手間だけを減らす、生産性とか、あるいは所得とか、そういったようなことばかりでなくて、どの程度のものをこれから生産するのか、どれだけ必要なのか。これは自由化という問題と非常に切っても切れない関係があるわけであります。それでないと、いろいろのこれから生産物について生産をする場合に、どれをどの程度いつごろまではやっていいのか、それから先はどういうように転換をするのか、生産量の問題とか、こういったような点について農民にはわからぬ。それを明らかにしておかないと、農民に向かってやみ夜に鉄砲を撃たせるようなことになっても困る、非常に不安を感じております。ですから、この貿易の自由化については、農産物については農林大臣が、担当は通産省ですけれども、よほど確固たる見通しと確信がなければ、今後の農産物の生産について農民は非常な不安を持っておると私は思うのですが、その点はどうですか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 お話の点は私ども同感であります。そこで、農産物につきましては、もうわが国の農村の主要産物である米麦とか、これから増産をしてもらって新しい農村の所得の重大な中心になる酪農畜産物というようなものにつきましては、当然これはなかなか自由化はできませんし、また、やらないつもりでおります。ただ、大豆とかいうようなものにつきましては、近く国内の大豆生産農家を保護する措置を今度も議会で御審議願うことになっておりますけれども、この措置が発効いたしました後において、本年に自由化をいたしますが、これは、十分に、それがために大豆生産農家が影響を受けないようなことにいたしておるつもりであります。その他につきましては、大体、木材というようなものについては、現在も丸太等については自由でありますが、これは、今日の日本の林業の現状と申しますか、生産成長率というものに比較して伐採量が多く、過伐になっておる現状から言いますると、ものによって違いますけれども、ある程度これは自由化して入れた方が、むしろ日本の林力を保護していくという立場から必要であろうということで、丸太は自由になっております。それから、今日まですでに自由化されているのは約五〇%近くあります。四七%。これらはむしろ日本の農村にも消費者一般にも利益と申してはおかしいかもしれませんが好影響を与えるであろうというものが自由化されております。それから、綿花、羊毛というものが近く四月か五月ごろには自由化される予定でありますが、これらは大体日本の内地農村には影響がないと見ております。むしろ一般消費者のためにはこの方がいいのじゃないか。そうしますと、広い意味における農産物といいますか、これが自由化されますと、大体六〇%余というものが自由化されます。あとはなかなか自由化はいたさないつもりであります。  この点は片島さん御承知でございましょうけれども、関税のガットの勧告にたよるかという話ですけれども、全世界どの農業国におきましても、御承知の共同市場あるいは自由貿易連合国におきましても、相当に強い連合のもとに、しかも保護すべき農産物についてはちゃんと保護しておる。日本だけが自由化というものが行なわれて農産物は保護されないであろうということではないのであって、そこは弱い農村に対する保護を十分にやって参りたいと思っております。

片島港日本社会党

○片島委員 大・裸麦が一番やり玉に上げられておるわけでありますが、今年最初に十二万町歩転換をする、二千五百円の手切れ金で一つやってみなさいということで、大豆、菜種、てん菜、小麦などに転換をするように言っておられますが、これについても長期の確信が持てるものかどうか。どうしても転換しなければならぬ、大・裸麦が要らぬようになったから、こういうようなところだろうというような見当で、思いつきでやられるということになると、これは大へんな迷惑を農村としては受けるわけであります。もう麦の問題が議題になりましたのは数年前からであります。それに対して今まで手をつけていない。転換ということはなかなか容易なことでもありませんが、私の調べによると、大麦の反当収量というものは、ヨーロッパの特に先進国は別といたしまして、世界的な水準を決して割ってはいないし、また、これが機械化せられ新技術が導入せられるということになれば、さらに二、三〇%の反収の増、あるいは相当生産費も労働力の軽減によって減ってくる。値段も安くなる、反収も上がるということになれば、特に生産性拡大の重要な目標になっておる畜産の飼料としてもっと何らか意欲を示していいのではないか。ただもうだめになったから逃げ込むのだというようなことでなく、方向転換の場合には、それ自体としてもっと意欲的な政策を政府は示していいのではないか。私は、小麦についても、大豆、菜種についても相当心配をしております。たとえば、小麦について転換をさせると言うが、一体品質をこのままでいくのかどうか。改良技術というものはまだ確信のあるところにはいっておりません。あるいはそれをハードかソフトの方に転換させると口先で言ってみたところで、そう簡単にいくものじゃないと私は思う。しかも、日本ではアメリカ・パンに非常に長くなれておりますから、そう食べたこともないようなパンを作ってみたところで、それが食生活にすぐに現われてくるかどうか、そういった問題も非常に心配であります。また、大豆、菜種についても、実は大豆も自由化されるようなお話でありますが、菜種というものも、青刈り飼料というならこれは別でありますが、油脂原料としての菜種のウエートというものは非常に減ってくると私は思うのです。しかもその栽培法というものはきわめて原始的なものでありまして、これに対する栽培法についての改善対策といったようなものも示されてはおりません。そうしたならば、菜種というものも長期的な見通しを持って考えられておるのかどうか。てん菜についても同様であります。暖地ビートなどは非常に流行になっておる。各府県で小規模工場が、県知事と契約をして、これから政府が力を入れるというので、既得権を獲得するためにいろいろと動いてやっております。また、大分県、岡山県あたりでも相当工場をやっておるのですが、その実績なども調査になっておるのかどうか。また、小さい工場が各県単位で知事との契約をやっておる、それをそのままにしておってよいのかどうか。てん菜がサトウキビに劣ることはだれでもわかっておることでありますが、外国でも調査しますと、しぼりかすなどを飼料に回して採算をとっておる、こういったような現状でございます。そうしますと、てん菜にしても菜種にしても大豆にしても、どの程度まで拡大をしていくのか、力を入れていくのか、その見通しというものも非常にあいまいになってくるのじゃないか。大・裸麦については、先ほど申しました通り、もうただ投げてしまうといったような態度、また、ほかの転換については、何か思いつきの気まぐれみたいな態度が私たちには見えて非常に心配です。その点はどうですか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 御意見でありますが、大麦、裸麦につきましては、この数年来毎年食用としての需要が減る一方であります。もちろん、麦作農家の保護の立場から、従来はこれに対して需要がなくとも買い上げて食管会計において保護をいたしております。しかし、でき得べくんば、食用として需要の減限する大・裸の数量等について、その需要に見合った形に供給を持っていきつつ、その減らした部分は積極的に他のもうかる作物に転換さしていったらどうか、その方が、国民経済の上から言っても、また農家所得の確保の上から言っても適当ではなかろうか、これがむしろ新しい行き方であろうということで、その需要に見合った形において大・裸の減反、作付を減していこう、こういうことにいたしておるわけであります。  もとより、御指摘のように、転換をする場合における一部は、畜産の奨励に伴って、必要なる畜産施設あるいは牧草という問題についても考えられますが、その一つとして、御指摘になった大・裸をあるいは食用がなくともむしろこれを飼料化する問題はどうかというお話、これらにつきましても、現在試験を実際にやらしております。これは、確かに、大・裸等を飼料としてある加工をする、わずかな設備でもって有効な飼料に変化するという問題はありますが、これを今すぐどうというわけにいきませんので、試験の結果その方に転換できればその方に向けることも考えなくちゃなりません。そのときにおける換金作物としての手取りがほかの作物と比較してどうかということも関係がありますので、その点はなかなかむずかしい問題でありますが、慎重に考えて善処していきたいと思います。  ことに、今御指摘になった小麦はどうだというお話であります。これらについてはもとより問題は品種改良にあります。現在ハードだけでなくてソフトの小麦も約八十万トンくらい輸入しております。これらは早く転換し得る一つのものであります。そういうものをたくさん買う。ハードを合わせますと二百万トンくらいになります。これをもしも国産化し得るならば、これは明らかに農家所得の拡大にもなりまするし、日本の輸出入関係において好影響を与えるものと思います。しかも、ハードにつきましては、かつて昭和七、八年に四、五年かかってこの品種に改良されて、これから固定化しようというところで戦争に巻き込まれてもとに返りましたが、試験では一つの目標は持っているわけです。こういうことも考えて、早急にはいかぬと思いますけれども、やはり品種改良とあわせて輸入小麦の国産化ということをはかっていく意味においては転換の対象になるべき一つの目標ではないか、かように考えております。  それから、大豆についてお示しであります。これは、一面におきましては輸入大豆を防遏するということもございますし、それにはやはり今お話しのように、品種改良が最も必要なんです。日本でああいう重要な穀物について品種改良について残されている点は、この大豆をもって最たるものとされると私は思う。従来は近間からかなり多くの安い大豆が入っておるから、換金作物としてはこれを減してきたという昔の農政は、当時の事情としては私は適当であったと思うのです。私どもの記憶いたしますところにおきましても、大正の十年前後におきましては四百万石以上の内地生産大豆があった。みそ、しょうゆはこれでいっておったわけです。現在は百六十万石前後ですか、そういう問題におきましては、やはり少なくともそういう程度におきましては私はできるであろうと思うし、もしも反収を上げて含油量の多いものを増産することができれば、今入れておる製油用の大豆等についてはかわり得るのじゃなかろうか。そこは意欲だけでなくて現実においてそういう処置がとれればかなり転換し得るのじゃなかろうか。今度大豆については、自由化に伴って差損の助成をして、損を与えないようにする制度のほかに、かなり大きな金額を与えて、大豆及び菜種に関する試験研究費というものを相当に増額をいたしておるのはその点でございます。

片島港日本社会党

○片島委員 南九州のごときは、今年わざわざ防災の試験という予算までつけていただいたぐらいのところです。非常に畑地が多い。そこで、カンショは非常に重要な農産物で、この問題は最も重要な問題であります。カンショについて、この前の価格が決定された場合のいきさつなどを見ておりますと、非常に将来を危ぶんでおるわけであります。カンショに対する対策、また今後の価格についてどういう見通しを持っておられましょうか、大臣の所見を承りたい。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 カンショの問題は澱粉の価格によってある程度保護していくという問題になりますが、これにつきましては、何といたしましても、結晶ブドウ糖の計画的な増産と申しますか、そういう問題に対する処置が多少おくれております。片島さん御承知のように二二十五年度はかなり結晶ブドウ糖の工場の設置が促進されまして、生産が伸びまして、幸いにして澱粉の原料であるべきカンショ、ほしイモですか、それに対する売り込みは政府には少なかった。あの価格で売れておったわけであります。そういう点から見ますと、この保護というものは、イモ作地帯における対策としては、何としても結晶ブドウ糖の工場設置をさらに進めつつ、これに対する価格処置というものを考えていく。これはあくまでも内地における甘味資源の増産対策に即応して、すみやかにてん菜糖及び結晶ブドウ糖の育成をはかっていくということが必要である。そのことができますれば、おのずからカンショ地域におけるイモの保護はできていく、かように考えております。

片島港日本社会党

○片島委員 最後に林業の基本対策について承っておきたいと思います。  山林の開発活用ということは、非常に山林の多いわが国としては、今後の政府のいう所得倍増計画については非常に重大なものと思いますが、果樹とか畜産ということは表面に出ておりますが、山林開発は表面に出ておりません。ただ保険制度の拡充とかあるいは新しいところでは多目的林道を作るといったような細々としたもので、政策の裏に隠れておるような感じがするのであります。山林については、まず第一には、林野庁が林野行政も行ない、また林野事業も行なうので、これは基本問題調査会でも問題になっておるようでありますが、ややもすると事業の方に力がいって、一般の林野行政に力が抜けていくのではないか。これを分離するということも考えられるのではないかというようなことが書いてあったのでありますが、機構改革について何か将来考えられるところがあるかどうか。  それから、林業所得は、これも基本問題調査会で取り上げられたごとく、比較的少数の大規模林業経営者の所得が大部分を占め、その他の多くの中小林業経営者や、特に林業労働者のごときはきわめてみじめなものでありますが、そういう調整をどういうように考えられるか。大規模山林所有者に使用せられているところの林業労働者は、一般労働者に比較いたしまして、また一般の農民に比較いたしましても、これは比較にならぬ格段のみじめな状態であります。しかも、これは調べておりませんのでその職場によって違うと思いますが、これは団結権も持たず団体交渉権も持たず、ただもう大規模経営者、またそういう資本に万年搾取せられているだけの労働者でありまして、また自分の子供もそういう状態であります。学校にもやれない。こういう点について政府はもっと何らかの政策をとるべきではないか。  さらに、大規模経営者は、自分の自己資本なり、あるいは非常に有利な外部資金によってどんどんと、安い労働力を搾取して植付もやり、また非常に能率のよい近代的な経営をやっている。ところが、中小所有者は、なかなかそうはいかない。資金もなかなかない。これは非常に長期の計画によってやらなければならぬ問題でありますが、現在のような造林資金——今度伐調資金は上げられるとか聞きましたが、今の造林資金のような程度のもので十分と思っておるのかどうか。奥地における粗放大規模民有林というものに対して何らかもっと活用するための方法、国有林野における適当なところとともに、とれが利用権なり、あるいは国営の場合は払い下げということもありますが、そういったようなもっと総合的な考えというものはないか。調整的な行政機能を発揮することはできないのか。  これらの点について大臣の所見を承っておきたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 お話の点について、林野行政に関して機構の改革をする意思はないかということでありますが、ただいまのところすぐにどうということはまだ考えておりません。ただ、しかし、私は、林野庁というものが国有林行政だけをやっておってこれで満足しておってはいかぬのである、むしろ、林野庁というものは、国有林の経営はやっておるけれども、同時に、広い意味における日本全国にある民有林、これらに対する行政をもっと積極的にやることが必要であろうという考えは前から持っておるのであります。従って、その意味において、今日の林野庁は大きく進んで参っております。たとえば、官行造林等によりて今までやっている仕事を、今度一部水源涵養というような立場においてはこれを森林公団に移して、一部民間におろそうというような考えを持ったりいたしておりますが、まだこれで十分だとは思いません。問題は、国有林経営から出てくる利益をもってといいますか、これをもって民有林に対する林道あるいは植栽というものに対する助成を大きく行なっていこうということをこの数年前からやっておられますが、漸次これを拡大していく方向へ持っていって、林野行政の広い意味における実をあげよう、こういう考え方で進めておるわけであります。  それから、ただいまのお話の山村における林業経営に関して、もう少しきめのこまかいところまで手を届けられないか、ことに、中小林業者に対して手が届かぬじゃないかというお話であります。ことに林業労働者に対する問題をお話しになりました。私は、今後の山村経済、あるいは林業経営というものと関連いたしましてかなり心配になるのは、薪炭を作って生計を営んでおる者だとか、あるいは林業者に雇われて労働賃金を得ておる者とかいうものの心配がございます。こういう面につきまして、やはり林業経営の内容について変わるべきは変わらなければならぬ。今林野庁で考えておりますのは、かなり多くの天然林がそのままにされております。こういう問題に対して、樹種の転換により、しかも、栽培林業と申しますか、ある程度、肥料なり水なり、農業経営と同じような形にこれを持っていく、それによって林力の早期培養ということが問題になって取り上げられておる、こういうことが一面に出て参ります。そこに多くの労働力の吸収、雇用の機会を与える。さらに、行く行くは、やはりある計画のもとに——薪炭というものがほかのものに変わっていく傾向でありますから、そういう場合におけるそれらの跡始末といいますか、労働の場所を与えるためにも、こういう経営的な面に吸収することが必要でありましょう。そういう薪炭関係に使われた部分は何に転換するかといえば、やはり今問題になっております。パルプとかいう方面に変わっていくと思います。こういろふうな問題なんかを合わせつつ、山村林業経営の実態が変わっていくに沿うて、これに必要な処置をとって、林業労働者に対する雇用の機会なり所得を引き上げていくということが一つの考え方ではなかろうか。それらに対して、みな完全にとは申しませんが、それぞれこのたびの予算にもその施策費を計上しておるのは、そういう考え方でございます。  なお、造林資金等について考えないかということでありますが、これは事務の方からお答えをさせます。

植杉哲夫農林技官(林野庁業務部長)

○植杉説明員 お答え申し上げます。  ただいまの金融の問題でございますが、今度の予算におきまして、経営安定資金というようなものを新しく設定いたしまして、五町歩から百町歩くらいの森林所有者というものの約三十万戸を一応考えておる。わけでありますが、従来五十万ということに考えておりまして、その経営を安定するために、将来経済状態から縛られまして老齢林を手放すというようなものを防ぎますために、系列資金を融通するという制度を新しく考えております。それから、従来の伐調資金につきましても、これは本年度また同様に取り扱っており、それから、造林融資のワクにつきましては、これを大きく拡大いたしまして、国有林から振り向けますものも、前年度の七億を九億に増大いたしておりまして、それらを通じて造林の推進をはかりたい、そういうふうに考えております。

片島港日本社会党

○片島委員 基本問題調査会の基本対策は非常に遠慮して書いてありますけれども、よく読めば、林業労働者に対してもう少し所得を上げるようにするのだ、それを上げることによって何とか所得の均衡といいますか所得の配分を公正にしていくのだ、どうもそれ以外にはないようなことが書いてあるのであります。そういたしますと、山村における林業労務者の人々に対する方法としては、政府が賃金について勧奨してこれらの人々の日当をもっと上げるといろごともできないとしますれば、行政的指導でなく法的な措置を講ずるか、何らかの対策が必要である。ただ調査会でああいうものを書いた、書いたから考えおくだけでは林業労働者の賃金は上がってこないと思うのですが、林業労働者にとってはたった一つしか取り柄のないことをわざわざあの調査会で取り上げておるのであります。政府としては当然これにしんにゆうをかけてでももっとよく取り上げていただかなければならぬ問題であると思いますが、その対策はお考えでございますか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 林業の問題は非常にむずかしい問題だと思うのです。しかし、ただいま申し上げましたように、林業の経営の内容というものはかなり変化しなければならぬと思います。これは、御承知の通り、日本の蓄積林木というものを、いかなる形、どういう方向に将来重点を置いて向けていくか。そこには従来の木材の需要の各面において非常に変化が起こる。起こさなければならぬと思います。そういう面と関連して林業経営に携わる労働者の処遇ということも考えられる。しかし、これは一つの目標でありますけれども、これらは基本問題調査会等においてきめておりますように、種々の点から、林業経営の実態とか、あるいは林地の価格、あるいは木材の移動状況とか、ただいま申しましたような木材の需要関係の変化、また変化さすべき将来の問題等を考えあわせまして、一年調査をいたしました結果、これに対する対策をはっきりきめていきたい、かように考えております。

片島港日本社会党

○片島委員 一番最後でありますが、先ほど非常に過伐をしておるというようなお話がちょっとありましたが、未開発林の非常な過伐の現象と、それにもかかわらず、一部には非常に蓄積を持っておるといったような片寄った状態でありますが、これに対する対策をどう考えておられますか。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 これは、地域的によくものを考え、そうして、やはり、あるところにはまとまってお話のように片寄ってあるが、その地方には林道というものの設置がおくれているためにというとともあります。やはり、里山が多く切られて奥地が残っておるという問題、こういう問題は、同じ場所においても、また地域的に見ましても非常に片寄っておることは御指摘の通りであります。これらは十分に調査の上において将来の対策を立てたいと思います。

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 関連して角屋堅次郎君。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 大臣せっかく御出席の際でありますので、少しくお伺いしたいと思いますが、実は、御承知の通り、東北、北陸方面の雪害で今度本委員会からもそれぞれ二個班の人員を派遣することになって、私きょう出発するわけでありますが、過般この緊急問題に関する大野委員あるいは石田委員の質問があった経緯を考えてみましても、政府のこれに対する対策というのは、率直に言ってきわめて不十分な感じがするわけです。たとえば、自作農維持創設資金のワクの問題、あるいはその他果樹等の非常に被害を受けておるものの対策の問題とか、天災融資法発動の今後の見通しとか、いろいろな問題を含めて、必ずしも明確ではない。私ども災害の現地に参りますれば、もちろん実態の精査をしなければなりませんが、同時に、今日政府の方でこういう点についてはこういうふうに考えておるということについても、できればいささかでも明らかにしたいという気持があるわけです。この機会に、大臣の方から、東北、北陸方面の雪害対策に対する基本的な見解というものをお伺いしておきたいと思います。

周東英雄自由民主党農林大臣

○周東国務大臣 主として新潟県の雪害の問題だと思いますが、これに対しまして、とにかく災害の実態の調査をいたしておる最中であります。調査の判明次第即刻に処置をとるようにいたしたいと思いますが、同時に、私どもの所管といたしましては、長野営林署ですか、そこに命じまして、必要な建築材料等が判明すれば、国有林の持っている材木等について適当なものがあれば直ちにこれに応ずるように調査をやって準備をせいという指令は出しております。全般的にはまだ調査が判明いたしませんからおくれておりますが、これは何としても困っていらっしゃる。ことに住宅問題は大きいと思いますので、それに対しては私は判明次第十分の処置をとる覚悟です。

坂田英一自由民主党

○坂田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三分散会

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