内閣委員会 第41号
- 発言数
- 47 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/05/30
会議録
○久野委員長 これより会議を開きます。 北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律案を議題とし、前会に引き続き質疑を継続いたします。 質疑の申し出がありますのでこれを許します。山内広君。
○山内委員 過日のこの委員会で与党からと野党からと一人ずつ、この北方問題について最も御熱心な方よりいろいろ核心に触れた御質問がありました。私もその質疑応答を聞いておったのでありますが、どうしても私の立場から、重複するようにはなりますけれども、掘り下げた御質問をしておく必要を感じますので、以下若干の重複のきらいがありますが、再質問の形でお伺いしておきたいと思います。 まず第一点は、提案の時期が非常におくれておった。実はこの問題は予算委員会でも横路委員からかなり詳しく御質問もあり、会議録も私読んでおりましたので、いろいろな事情もありまして、非常に時期がおくれたことは私ども得心がいくわけであります。そのことについては深く責める気持はございません。けれどもこの御提案の仕方が、私は非常に親切が欠けておるという点は指摘せざるを得ないと思います。と申しますのは、今度新たに生まれる北方協会の性格は一体どういうものかということを判断したときに、この主務省令が出されないと実は非常に困るわけです。審議に支障を来たす。今ここへ入ってさましたら、机の上に、省令そのものではありませんけれども、内容を書いたものが出されておるわけであります。こういうものをもっと早くお出しいただけば、おそらくこれらの質問もほとんど半分も要らないのではないか。これは省令でありますから、別に国会に諮る必要はないかもしれませんけれども、初めて生まれるこういう特殊法人に対して、どういう形で北方協会が生まれるかということの、この大事な最初の省令だけは、その原案なり骨子なりというものは見せていただかなければ、私ども審議するわけにいかぬのであります。ここにはまだ内容を読むいとまがないわけでありますけれども、これから質疑応答の形で、あるいはここに書かれておるものを御答弁になるのかもしれませんが、質疑応答の形でやっていきたいと思うわけであります。特にこの雑則の三十五条というのは、この協会が解散した場合の残余財産の処分について規定されている。それは法律で定めることとなっている。もちろんここ一年や二年で協会が解散されるとは想像もできないわけでありますから、別に法律で定めるということも考えればまあ差しつかえないようにも思いますけれども、しかしこれは十年後に国債が現金になった場合に問題が起こってくる。当然解散した場合の財産はどういうふうに処分するという法案の骨子くらいはこの際示していただきませんと、将来お家騒動の種を残しておくことになる。そういうことでこの法律案の内容が示されないということも、私は不満の一つなわけであります。今お聞きしたこの三十五条に対する基本的な考え方はどういうふうにお考えになっておるのか、法律案があったらお出しになっていただきたい。これは別に予算を伴う案でありませんから、かりにこの法律を通すにしても、継続審議をして完璧なものに修正して、この次に議決するという手もあるわけですから、この法律案は当然お出しになるべき性質のものだと私は思う。その御用意があるのか、またそういうお考えがあるのか、なければその骨子はどういうふうにお考えになっているのか、まずその点を明らかにしていただきたい。
○林田説明員 第三十五条の規定でございますが、これは一般に法律で特殊法人を作りました場合に、その解散につきましては大体こういうふうに解散した場合の残余財産の処分については別に法律で定めるというような規定を設けますのが一般でございます。大体そういう一般の方針にのっとりまして、こういう規定を設けたような次第でございます。やはり将来島が復帰して参りまして、この協会が使命を果たしたというふうな場合におきましては、残余財産については漁業権補償というようなことも考え合わせまして、その処分を別に法律で定めるというような考え方を持っておるような次第でございまして、大体一般の規定と同じでございますから、特にここで法律案としてお示しする必要はないのではないかというふうに考えております。
○山内委員 この北方協会についてはあとでもまた問題にしたいと思いますけれども、この間もあの質問の中にも出ておる。引揚者はこの十億というものをもらったという感覚でおられる人もあるでしょうから、なおこういう財産の処分というものを明瞭にしておきませんと、将来私ももちろん国会議員に十年はいないと思います。あなた方もどこへか転任されて関係者がいなくなると、そこで問題が残る。よそのような法人では一つのフォームとしてこういう規定があっても、実際は内容のないものかもしれませんけれども、この北方協会に対してはこういう考え方だ、漁業権はどうするのだ、見舞金はどうする。あとでまたお伺いしますけれども、そういうことをはっきりしておく必要がある、そういうふうに考えてお尋ねしておるわけです。
○林田説明員 先生のおっしゃいますようにこの法人が解散いたしましたような場合におきましては、漁業権補償とか、そういうことを考え合わせまして、旧漁業権者及び入漁権者に対する特別の措置をいたしまするために、その資金に充当するというようなことを別に法律で定めるというような考え方をいたしております。
○山内委員 これは大切なことなので、またあわせて別の方から次にお聞きをいたしたいと思いますが、質問の第二点にありました省令、総理府令、農林省令、大蔵省令、これは三つ必ず出ると思います。主務省令のほかに大蔵省の方も出さなければならぬようになっておりますが、その内容をお示し願いたい。
○林田説明員 それでは今お配りしておりまする政令と省令の見込み事項があるのでございまするが、大体こういうことを規定いたしたいというふうに考えておる次第でございます。 それで政令、事項といたしましては、法律案の第七条第一項でありまするが、登記に関する事項を政令で規定するようにいたしておる次第でございます。 なお政令事項の第二といたしましては、この法律案の附則第五条の政令で定める設立の登記に関する事項でありまするが、これは設立の登記は北方協会の登記すべき事項につきまして、主たる事務所の所在地で行なうものとする旨及び設立の登記における添付書類に関する事項とする見込みでございます。 次に省令事項といたしまして、二条二項二号でございますが、「主務省令で定める海域」というのがございます。「主務省令で定める海域」と申しますのは、定置漁業権と特別漁業権を島の人たちが持っておるというものについて、「主務省令で定める海域内に所在する漁場において漁業を営む」ということにいたしておる次第でございます。それでこの主務省令で定める海域は、北方地域に属するいろいろな島と北海道との間の海域を中間において分けまして、その中間から北方地域の方に近い方の海域は、この主務省令で指定する海域というふうにする次第でございます。 次は第二条第二項第四号の主務省令でありますが、これは専用漁業権、入漁権、定置漁業権、特別漁業権を持っておった者が死亡したという場合におきまして、その死亡した者の配偶者、子、父母のうち、主務省令で定めるものがこの措置の対象になるということでございます。それでこの配偶者と子、父母のうちで協議いたしまして、それらの中から一人を選んでくる、そういうふうに協議して定める者の一人を対象にしようということでございます。 その次は法案の第四条の第四項の国債の交付に関しまする大蔵省令でございます。大蔵省令は引揚者対策などにおきまする国債がございまするが、そういうふうな他の国債と大体は同じような大蔵省令になる見込みでございます。その内容といたしましては、国債利子の支払い期日とか、国債交付の手続、それから国債利子支払いの手続とかいうような事項を規定する見込みでございます。 その次は二十二条二号でございます。この二十二条の二号の業務の貸付の対象でありますが、これで主務省令で定める法人に対して転貸資金を貸すということになっておるわけでございます。それでその主務省令で定める法人といたしましては、漁業協同組合、水産加工業協同組合、農業協同組合、または中小企業等協同組合を指定いたしたいというように考えております。 それから二十二条三号の主務省令で定める法人でありますが、これはその法人に対して直接貸し付けるという場合の法人でございます。その法人は、水産業協同組合、農業協同組合または中小企業等の協同組合であって、北方地域旧漁業権者等が、たとえば総組合員の五〇%をこえるもの、すなわち五〇%以上旧漁業権者がその組合員になっておるというようなもの、それから合名会社、合資会社、有限会社または株式会社であって、北方地域旧漁業権者等が、たとえば社員または株主総数の九〇%をこえ、かつ北方地域旧漁業権者等の有する持ち分または株式数が、たとえばそれぞれ総持ち分または総株式数の九〇%をこえるものとする見込みでございます。すなわちこういうふうに北方地域の旧漁業権者が株主数で九〇%以上、それから株式数で九〇%以上というように、九〇%以上で構成しておるというような会社を対象とするという考え方でございます。 その次は二十二条四号の主務省令で定める事業でありますが、これは市町村に貸す場合にどういう仕事に対して貸すかということでございますが、公共的色彩の強い事業であって、かつ相当数の北方地域旧漁業権者等が受益すると主務大臣の認定するものとする見込みでございます。 その次の二十四条二項、この業務方法書において定める事項でございますが、それは貸付金の使途、貸付の相手方、利率、償還期限、据置期限、貸付金額の限度、償還方法、担保に関する事項等、貸付に関する業務の方法及び業務委託の基準に関する事項とする見込みでございます。 その次は三十二条の主務省令で定める事項でございますが、これは協会の財務及び会計に関して必要な事項を主務省令へ委任しておるわけでございます。経理に関する原則とか、予備費の計上、予算の流用等の制限、予算の繰り越しに関する事項、そういう事項のほか、予算総則、資金計画及び決算報告書等に記載すべき事項とする見込みでございます。 政令と省令につきましては以上の通りでございます。
○山内委員 大体これで方針、基本的な考え方は出されておるわけでありますけれども、−希望としてはこういう省令なりそういったものは、参考資料として要綱でなく、もっと省令という形で出していただければ一番親切であったと思うわけです。 もう一つ、この北方協会の定款とか、こういうものはどうせ業務指導で、案はおできになっておると思うわけですが、協会ができないうちに示すというのもどうかとは思いますけれども、そういう定款あるいは業務方法書、こういうものは一応こういう方法でやりますといって、今印刷で出した程度のものはお示しいただがなければ、私どももちょっと得心がいかないわけです。こういうものはもうすでにお手元に用意されているかどうか、伺いたい。
○林田説明員 実は北方地域の引揚者につきましては、今までいろいろ調査の資料もあるわけでございます。しかしながらその財産の状況、所得の状況、どの程度困窮しておるかというようなことにつきまして、どの世帯がどういうふうな状況であるということがまだ十分把握されていない次第でございます。それで貸付金の利率とか、あるいは貸付金の限度、それから生業資金とか施設資金とか、いろいろ貸付資金の種類もあるわけでございまするが、何名程度がその対象になるであろうかというふうなことを相当把握いたしたい、そうしてその貸付の資金別の限度とか、あるいは金額もきめていきたいというようなこともございまして、実はまだ十分できていないような次第でございまするので、御了承をお願いしたいと思います。
○山内委員 用意がないそうですから、これは一つ早く資料を整備されて、りっぱなものを作っていただきたいと思います。 次にお伺いしたいのは、これは一つ長官から御答弁いただきたいと思うのですけれども、この前の質疑応答の中にも出たこの法律の考え方、これはやはりはっきりさせておく必要がある。見舞金という形であれば、これはもうもらったのだ、煮て食おうが焼いて食おうがわれわれの勝手だ、こういう気持が強くなる。また漁業権の補償ということであれば、これはどうしても算出の基礎というものを明らかにしておかなければならない。この前は漁業権の補償という考え方であれば、一応積算の基礎は七億五千万という数字をお出しになった、これは私は詳しくはわかりませんけれども、少なくともサケ、マスを主体としたあの択捉の漁業権というものは大へんなものだと思う、これはまるが一つ落ちておるので、七十億というなら話はわかるが、七億というので漁業権補償というのであれば、これはちょっと解せない。もしこれについての算出の基礎があったら、もう一度はっきりしておいてもらいたい。 また引き揚げてきて、とにかく困っていられる漁業家を救済するというのであれば、これはまた北方協会の性格というものをもっと明らかにしておく必要もあるし、運用などもその点ではっきりと考える必要がある。どうもこの法律の考え方というのは、この前も予算委員会で問題になった記録も読みましたけれども、長官の御答弁もどちらかはっきりしないので、最終的なお考え方をお示し願いたいと思います。
○藤枝政府委員 提案理由にもお示し申し上げたように、この四つの島についての漁業権者その他の方々が引き揚げて、そうしてその島が日本の領土と主張されていながら、実際には帰れない、こういう特殊な事情を考慮いたしまして、しかもこれらの人たちがそういう状態にありますから、一般の金融機関とか制度金融によりましてはなかなか乗りにくいような問題もある、そういう点を考慮いたしまして、この協会をしてそうした生業資金あるいは生活資金の貸し出しをさせるということでございますので、見舞金とか漁業権補償とかいう性格を持っておるわけではございません。従いましてこの考え方はあくまでも個人に対してお金をやるという考えではないわけであります。ただそうは言いましても、それでは一体どれくらいの金額をこの北方協会の資金としてあげた方がいいかということを考えましたときに、従来の漁業権補償にやったときの北海道の例等も考えまして、一応の積算の基礎といたした、こういうことでございます。
○山内委員 これも計画された方々の考え方は、この間も見舞金か漁業権補償かということでだいぶ意見が分かれたわけでありますが、しかし今長官の御意見では、そういう特殊な事情に置かれている人の生業を助けてやりたいのだ、こういうお考えで、私はそれは非常に妥当だと思うのです。しかしそういうことになりますと、この四つの島だけに限るという線が私はやはりおかしいと思う。樺太から引き揚げてきた人もおりますが、北千島から帰った人もおる。この施政権が及ぶとか及ばないとかいうことは、あなた方の方で一つのワクをきめるときだけの考え方なのであって、戦争ということで引き揚げてきた者の立場からすれば、施政権がどうだとかこうだとかいうことではない。やはり困っている人は救ってやらなければならぬ。四つの島だけに限定するということは、そういう考えであれば、もう少し踏み込んだあたたかい手が広く多くの人に及ぶような構想をしていただきたい。長官も御存じだと思いますけれども、北海道の零細漁民というのは非常に困っておるのであります。特に道南地方は、今もって娘を身売りしたとか、いろいろな社会問題が起こっておるのであります。ですから四つの島だけの人を対象とするということでなく、これはもっと大きく広く救援する必要がある。特にこの間の質疑応答から、何かしら見舞金でもらってしまったというような錯覚を起こしておる。ですから十億もらうということで、その話の中にも出ておりますが、自薦他薦の人事で妙なうわさが飛んでおるという話も出ておる。この北方協会のそういう人的構成、役員の人事もわかっていないわけです。ですからこれははっきりときめるものはきめておかないと、十億が雲散霧消してしまう。煮て食おうと焼いて食おうと勝手なのだ。藤枝さんのような人が会長で、久野さんのようなりっぱな人が理事長であれば、十億で創意工夫でやれということもできるかもしれませんが、これは今どういうふうなお考えでおられるのか、人的構成というものはわかっておらない。なおこの性格をはっきりさせる必要がある。これは公債で六分の利子がつく。あとは貸付は何分になるかわかりません。最低三分とか七分とか議論が出ておりますけれども、いずれにしろ、貸し倒れがないとすれば、十年後にはこれが二十億を越える資産になります。今からはっきり性格を打ち出しておいて、漁業権補償ということでみんな特定の人たちだけに取られるということよりも、零細漁民に広く資金としてそういうものを運用する。考え方としては、漁業権の補償に若干やっても、なお余ったらば、それを広く使う、そういうお考えに立つことも今の場合に必要でないか。そういうことで、この北方協会の将来の事業が大きくなり、資産がどんどん累積していった場合、決してこの四つの島ということに限定しないで、もっと困っている人々にどんどんそれが活用される、そういう考え方をやはり持つべきではないか、こう思うのですが、これについてのお考え方はどうですか。
○藤枝政府委員 第一に、海外から引揚げられた方々、これは単に樺太あるいは千島に限らず、朝鮮半島あるいはその他あるわけでございますが、こうした方々が長年にわたる生活の本拠を失ったということから、引き揚げてきていろいろ生活の上において御苦心、御苦労なさっておられる、これは事実のわけでございます。そうした点につきましては、非常に不十分でありますけれども、以前に引揚者給付金の制度も作りましたが、そうした引揚者一般の対策ということで考えていかなければならないのではないかというふうに考えます。今回の北方協会については、繰り返して申し上げるようでございますけれども、この四つの島につきまして、日本がわが国固有の領土であるということを主張し、そうして一日も早く完全なるわが国の領土権が及ぶべく努力をいたしておる、またそこから引き揚げられた方々は、その日の一日も早いことを非常に望みつつ苦しい生活をされておる、こういう特殊な状態を考慮いたしまして、このような措置をとったわけでございます。従いまして、一般の引揚者についてはすでに引揚者給付金もございましたが、その他引揚者一般の問題として別途考究すべきではないかというふうに考えております。 それから第二の、十年後になりましたならば、この協会の資産の相当なものになることは御指摘の通りでございます。従いましてこうしたものがゆがめられた形で使われてしまうということは非常に残念なことでありますし、厳重に防止しなければならないことでございます。従いまして協会の人事構成等につきましても、いろいろ自薦他薦があるというお話でございますが、そうしたことにとらわれずに、ほんとうにこの協会がその使命を十分に果たせるような人的構成を考慮いたしたい。しかもこの大部分の方が北海道に住まわれて、従来とも北海道庁においてはこれらの方々の対策について非常な御苦心をなさっていらっしゃるのでありますから、北海道庁等の御意見も十分に伺って善処をいたしたいと考えておる次第であります。
○山内委員 長官の今の決意で安心いたしますが、私どももこの問題で一番心配しておる点はそういう点なんです。何か一部の人の食いものになりはせぬか。こういうことを申し上げるのもちょっと変かもしれませんけれども、実はこの前この問題で質疑のありましたあとに、私新聞を見て妙な錯覚を起こした。それは藤枝さんの方の政党が国民協会というものを政治資金を集めるために七月ごろ作るのだというのです。そうするとこれは北方協会というと、何か国民協会の北海道の出店のような錯覚を起こす。これはこの法案を審議している私がそう思うくらいですから、一般の国民が表題だけを見て、何か兄弟のような感じを起こしても無理もないと私は思う。これはどっちか一つ——こっちは北方協会という名前を独占する権利がありますから、国民協会の方は一つ名前をお変えになって、性格が全然違うということを明らかにしていただいた方がいいのじゃないか。これは少し余談になりましたが、そういう考えを持つほど、私どもとしてはこの北方協会というものの将来を、やはりこれは国民の血税ですから十分に見守る責任もあります。しかし長官は決意を表明されておりますので、一つしっかりやっていただきたい。 これもまたくどいようなんですが、実は北方協会の性格ですね。公庫のような性格でもあり、また公団のような事業というものも相当考えておる。この特殊法人は一体どういうふうに考えたらいいのか。公庫とするならば、今の名前の問題にも関連して、公庫という名前をはっきりお使いになった方がいい。そういうことで、この北方協会の性格というものをどういうふうに規定するのか、この点を一つお伺いいたします。
○林田説明員 北方協会は仰せになりましたように、公的な特殊法人というふうに規定したらいいのじゃないかと思うのです。公庫と申しますると、これは国民金融公庫とか、農林漁業金融公庫とか、いろいろ公庫というのがございまするが、この事業の内容といたしましては、そういう北方の旧漁業権者、引揚者に対して貸付を行ないますわけでありますから、そういう公庫の面もあるわけでございまするが、そのほかに啓蒙宣伝と申しまするか、貸付のほかの引揚者に対する事業も行ない得るようなことになっておりまして、貸付だけを目的にするというものでもございませんので、公庫に近いようなものでございまするが、公的な特殊法人というのが一番いいと存じます。
○山内委員 これは国債で十億貸し付ける。補助でないわけで、この間のような乱暴な発言はどうかと思うのですが、この特殊法人の国債ですね。これを出資というようなお考えで検討されたことはなかったかどうか、この点も一つ……。
○林田説明員 この北方協会に対する資金の供与につきましては、最初から国債で交付するということになっておりまして、国が出資するということはなかった次第でございます。
○山内委員 では質問を次に移しますが、これは昭和二十年の八月十五日現在とはっきりうたっておるわけです。ところがこの八月十五日以前に、すでに関東軍も敗走したり、いろいろ北には情報もあって、この十五日前に引き揚げたというような同じ事情の人も相当あろうかと思うわけです。これは資料がないので、私断定はできませんけれども、あの状態では極端な例をいえば、十四日に引き揚げてきた人もあったろう、そういう場合はっきりと日にちを限定しておくことは、将来運用上に支障になりませんか。この点どういうふうにお考えになっておりますか。
○藤枝政府委員 お話のようにソ連が満州等へ侵入いたしましたのは、八月の九日でございますので、この前処置をいたしました引揚者給付金等については、そうした事実を入れております。しかし調査をいたしました結果は、この四つの島につきましては、当時はまだ何らの状態がございませんで、大体ソ連の進駐して参りましたのは八月の末ごろと判断をされるわけでございます。従いまして終戦の日の八月十五日ということに限定しても、今御指摘のようなことはないのではないかというふうに考えております。ただこれはまだ調査が十分行き届いておりませんが、強制疎開的な形で八月十五日以前に内地へ引き揚げさせられたというふうなものがありますならば、それは考えなければならないのではないかというふうに考えております。
○山内委員 今のことは運用におまかせするほかないと思います。了解いたします。 これはこの前も議論になった点でありますが、この北方協会が創立されまして、すぐ事業にかかる。そうしますとさしあたりに運用資金が困る。そこで一時借入金というものを認めておる。しかしこれは国債を担保にするというようなことはしない方針だというような御説明のように思ったのです。しかしこの最初の創立当時の運用資金というものは、特殊な何かの手を打ってやらないと、すぐ発足するというわけにはやはりいかぬと思います。これは何回もお聞きしたわけですが、六分の利子を運用資金にも充てる、こういうことでありますから、場合によっては事業の開始を一カ年延ばして、一年の利子が入ってからやるという、これもいい方法ではないと思います。非常にこれは待望している人たち、こういうものができてしまって、あすにもすぐ資金が必要だという人に一年お預けにするということは気の毒だ。南方同胞援護会の方を見ますと、あれは補助金で運用されておるわけです。そういうことであれば、同じ立法の精神からいって、これも最初の年は補助をやるとか、あるいは一時借り入れも——全額十億借りるというようなことはいかぬでしょうが、借り入れ期間は一カ年となっておりますから、六分、六千万ぐらいは何とかこれは手を打ってやらないと、せっかく開店しても直ちに実効を上げるというわけにいかぬと思います。この点どういうふうにお考えでありますか。
○藤枝政府委員 御指摘の通りでございますので、一時借入金の制度を設けましたのも、そのような趣旨も含めたわけでございます。この六分の利子が入るまでじんぜん日を送っておるというようなことはとうていできないことでありますから、さしあたりこの協会が運用できるような一時借入金についても、十分政府といたしましてもあっせんの労をとりたいと思っております。なおそれに足りない分の資金等につきましては、この前もお答え申し上げましたように、あるいは担保に入れるということも必ずしも禁じておらないわけでございますし、ただそういう場合に利子が相当になりますと、一方貸付の利子は非常に低いものですから、その差額が相当額になるというようなことも考えなければなりません。そういう点は十分考え、さらにこの協会が発足をいたしまして運営が始まって、なお資金等について相当な逼迫を来たすというような場合には、適当な方途をとりたいと考えておる次第でございます。
○山内委員 それではまた質問を進めまして、この協会には評議委員会というものを設ける。そういうことで、これは会長の諮問にこたえる機関、こういうことになっておるわけです。ところが、私は今ここに法律案要綱を開いて見ておるのですが、どうもこの評議員会というものの性格は、ぎょうぎょうしく諮問機関を設ける必要もないのではないか。定款がしっかりしており、業務方法書ができておれば、なぜこういう評議員会を協会が設けなければならぬのか。どういうふうにこれは運用されるのか。この間もちょっと話が出ましたが、かえってこういう特殊な人を委嘱しておきますと、そういう立場を利用して、盛んにこの資金を自分の方に有利に誘導していく一つの機関になるおそれもある。この評議員会というものを設けたお考えの基礎と、どういうふうに運営され、どういうことをやってもらうのか、明らかにしていただきたいと思います。
○林田説明員 評議員会を設けました趣旨でございますが、この協会の行ないまする事業は、利害関係は多方面にわたりまして旧漁業権者のほかに——その旧漁業者におきましても、専用漁業権、入漁権の所有者とか、あるいは定置漁業権の所有者、特別漁業権の所有者、あるいはそういうものに雇われておった者、貸し付けを受けておった者、それからそういう旧漁業権者のほかに生活の本拠をこれらの地域に有していた者、いろいろ関係者があるわけでございます。また北海道だけではなくて、ほかの内地の県にも引揚者がおりまして、そういうふうに多方面にわたっておりまするので、評議員会を置きまして、その評議員会には評議員といたしましては利害関係者の代表者を入れまして、そのほかに北海道庁とかあるいは引揚者の多い富山県の県庁の職員とか、その他に学識経験者も入れまして、定款とかあるいは業務方法書で、この業務運営の方法はきまりまするが、その貸付にあたり、あるいはその他の業務の運営にあたりましては最善を期することができまするように、いろいろ重要な事項を調査し、審議して、意見を述べてもらうというような考え方から、こういうものを役員のほかに置くということに規定した次第でございます。
○山内委員 この二十条によりますと、二十五人以内で組織するというだけで、これの選出方法とか、そういうものは何もうたっておらないのですが、これはどういうような選出方法なんですか。
○林田説明員 ただいま申し上げましたように、旧漁業権者あるいは引揚者のような利害関係者でございまするが、そういう利害関係者のほかに、地方庁の職員とかあるいは学識経験者を選びたいというように考えておりまして、この二十一条に「評議員は、北方地域旧漁業権者等及び協会の業務に関し学識経験を有する者のうちから主務大臣が任命する。」というように規定しておる次第でございます。
○山内委員 そうしますとこれは主務大臣の任命だけで、別に利害関係者からどういうふうにして選び出すとか、そういうことはないわけですね。全く大臣の一方的な任命だけに終わるわけですか。
○林田説明員 特に諮問機関を設けまして、それにかけて評議員を選ぶというようなことは規定してない次第でございまするが、大臣が公正に、最も評議員として活躍していただきたいというような方を選ぶということになるわけでございます。
○山内委員 この前も議論が出て若干は明らかになったのですが、この十億の資金の配分と申しますか、運用は、今部長が言われる通り、多種多様といいますか、生活資金もある、事業の運営資金もある、また対象も法人もあれば、個人もあれば、市町村長まである、こういうことになりますと、一応このワクというものは、どこかにめどを置かないと、力のあるものにとられてしまって生業資金に回らない、零細な方には行かない、こういう心配を感ずるわけです。こういう点は、せっかく設けられる評議員会ですから、いずれこういうものとよく相談されまして、やはり最初にすっかりめどをつけて片寄った運用にならないようにお願いしたいと思うわけです。 その次に市町村にまで資金の割当をやりますと、漁港なり船入澗というものを考えますと大へんな資本金が要るのです。それで一カ所に資金が片寄る危険があるわけです。市町村に対する貸付については、どういうふうにお考えになっておられますか。
○林田説明員 市町村に対する貸付はここに規定しておるのでございますが、その前に生活関係の資金とかあるいは事業関係の資金とか、そういう資金が満たされましてから、第二段といたしまして市町村に対しても考えたい。またそういう規定がありませんと、市町村に貸そうという場合にも貸すことができなくなりますので、一応規定をいたしておりますが、これも今後の資金の額に応じまして、貸付を考えていきたいというふうな次第でございます。
○山内委員 この法案の第一条の末尾に「北方地域に関する諸問題の解決の促進」ということが書いてあります。この北方地域に関する諸問題とは一体何をお考えになるのですか。それを解決するというのにはどういう手段、方法、目途を持っておられるのか、お伺いいたします。
○大竹政府委員 一条に書いてございますように、この法律の目的は「北方地域に関する諸問題の解決の促進に資する」、これは法律の目的でもございますが、また同時に設立されます北方協会の仕事にもなっておるわけでございます。北方地域に対しましては一御案内の、ふうにいろいろな問題がございます。問題になっておりますような領土の所属の問題、早く島に帰りたいというふうな問題もございます。あるいはその周辺の海域で安全な状態で漁業を営みたいというような問題もございます。あるいは今回とりましたような措置に関連して、この地域の関係者の生活をさらに安定したものにして参るというふうな問題もございます。あるいは先般来いろいろ問題になっております司法的な戸籍の問題というものもございます。あるいは島に帰りまして墓参りをしたいというような希望もございます。 いろいろな問題がございますが、これは政府がみずから直接行なわなければならぬというようなことも多いわけでございます。特に外交上の交渉によりまして解決をいたしていくというようなことは、当然政府みずからの責任なのであります。そういうようなことを除きまして、関係者の生活の安定をさらにはかる。それがために関係者の生活の実態をよくつかんでいく、あるいは関係者の希望をそのときそのときに応じましてよく調べる、あるいは漁業につきまして今日拿捕事件というようなものが御案内のようにたくさんあるわけであります。それらの実態をよく調べて参る、そういうような調査をやっていただきまして、政府がそういうふうな問題に取り組みます際のいろいろな基礎資料を提供する。この協会は資金の貸付が一つの業務でございますけれども、また関係者の間におきましてただいま申しましたような種類の調査をやっていく、あるいはそれに伴いまして世間にそういう問題を周知させまして、多くの人たちの協力を得ていくというふうな仕事は、この協会といたしまして適当な仕事ではなかろうかというふうに考えて、そういう仕事をやって参りたいというふうに考えております。
○山内委員 この法律案要綱の第一にも出ておるのですが、この表現は、前に岡田委員からも指摘がありましたが、ちょっと今お話の中に出ておりますような仕事をやる場合に誤解を生むおそれがある。何か領土返還と帰属をきめるときの運動の先端を行くような、政府みずからがやらなければならぬものを北方協会がやる。この善隣友好の関係に水をさすような運動が行なわれると、これも一つ問題になるわけです。これは長官が最初に述べられたような目的を込めるのであれば、むしろこういうことはうたわない方がいいと思う。こういうものをあまり出し過ぎますと、とにかく金を貸すところが一つの政治運動をやったり、妙なところで誤解を招くおそれがあるということについて、長官のお考えを伺いたい。
○藤枝政府委員 ただいま特連局長からお答え申し上げたようなことを考えておるので、非常に大げさに考えますと御指摘のような点はあろうかと存じます。しかしあくまでこれはこの四つの島から引き揚げられた方々の身のまわりと申しますか、生活あるいは生業のお世話をすることを主としておるわけであります。それに伴うそうした引き揚げた方々の身のまわりのいろいろな問題があるわけでございます。そういうものはあわせてこの協会でやってもらうということでありまして、あくまで政府対政府の外交ルートにおいて解決しなければならぬようなことについて、この協会にやっていただく意思は全然ないわけであります。従いましてまた協会の首脳その他がきまりますれば十分その趣旨は徹底をいたしたい、この協会が政治的な目的で動くようなことのないように十分注意をいたしたいと考えております。
○山内委員 十分一つ御注意願って、運用に誤りのないようお願いしたいと思います。 次に伺っておきたいことは、業務の範囲の最後の方に「業務に附帯する業務」とある。これは一体どういうことをお考えになっているのか。
○大竹政府委員 御指摘の表現が使ってございますけれども、一般に法人といたしまして活躍いたしますためには、事業目的のほかにそれに通常附帯しましたような日常の業務があるわけであります。通常法人にはこういう表現がついておる、その程度の意味合いをもちましてここに書いてあるわけでございます。
○山内委員 一つのフォームで書いたといえばそうですが、とかくこういうものも拡張解釈されて投機的な仕事にでもやられると、やはりこれは協会の将来を誤ることになるものでありますから、必要のないものならば削っておかれた方がいいと思います。 その次に金融機関に委託することができるとなっております。この委託手数料というふうなものは、どれほどお考えになっておるか。
○林田説明員 委託手数料につきましては、これは金融の方式によって違うのでございますが、たとえば現在農林漁業金融公庫あたりが貸しております場合には、委託金融機関にある程度の責任を持たしておりまして、二割程度の責任を現在持たしておるのでございます。そういうことも考えあわせて、貸付の残存額の二%程度を手数料として交付をいたしております。それで今回の場合の貸付方式で、委託金融機関に責任を持たせるかどうかということが出てくるわけですが、そうしますとなかなか貸付が困難であるという点も考えなければいかぬと存じます。しかし全然責任を持たせないという点も問題でございまするし、一割程度責任をたせるというようなことにいたしましたならば、二分の手数料よりも以下の手数料にしなければならぬのではないかというように考えております。
○山内委員 これは私の意見になりますけれども、金融機関だけに委託ということはおかしいと思います。というのは、生活貸金のようなものを取り扱うということになりますと、この北方協会を札幌に置いて、あと何カ所か出張所を置くという御説明ですけれども、全道あるいは本州にまでまたがって金融機関だけ委嘱しておきますと、そういう資金の運用ということはやってくれない。むしろ市町村長にそういう仕事をお願いして運用さした方が、実際に実情に沿うような運用ができる。この金融機関と限定しないで、そういう市町村にも——これは手数料を払わなくてもいいと思います、町村の困っている地元の人の救済ですから。こういう個条も一カ条くらい設けておく必要があるのではないか、これについてお考え方を承りたいと思います。
○林田説明員 ここに金融機関というふうに考えておりますのは、銀行だけではなくて、実は漁業協同組合とかあるいは農業協同組合のようなものもこれに入っておる次第でございます。そういう実情によりまして、そういう協同組合を通じて貸していくということが主になっていくと存じておりますので、市町村と同じような相当下部の実情に詳しいものを委託していくということにいたしたいと存じております。
○山内委員 しかしここは金融機関と限定されておりますが、今の協同組合までも適用されるのであれば、やはり書く必要はありませんか。
○林田説明員 農業協同組合とか漁業協同組合は預かり金を受けまして、それからまた貸付の業務を行なっておりまして、ここにいう金融機関になるわけであります。
○山内委員 私、ちょっとそれはおかしいと思うのです。なぜというに、協同組合も貸付の対象になって貸付を受けられる機関です。それに金融を委託して適当にやれといったら、自分のところで使うでしょう。そういう心配はないですか。
○林田説明員 現在農業関係の資金でございますと、たとえば自作農創設維持資金とか、その他いろいろ農林漁業金融公庫から貸しておる資金がございますが、そういうものは一番末端は協同組合を使っておるのが相当多いわけでございます。それでそういう心配はないと確信いたしております。
○山内委員 組合の個人に貸す場合は、これは私はそうないと思う。ところがこれは組合自体も借りられるのでしょう。そうすると自分の方へ運用をまかされた、それを自分の組合で使うということは当然起こってくるのじゃないですか。これはどういうことですか。
○林田説明員 仰せのようにこの二十二条の二号によりまして、組合が転貸資金を貸す場合に、組合が借りて組合員に貸すという場合もあるわけでございます。あるいは三号にありますように、組合が事業をやるについて、組合自身が直接借りるという場合もあるわけでございます。それで今度は個人に貸す場合に、組合に委託して貸すという場合が別に考えられるわけでございますが、その資金の間には混淆がないように、組合につきましては常時検査をいたしておりますので、そういうことは十分監督をいたしたいと存じております。
○山内委員 時間もだいぶたちましたので質問は終わりますけれども、前回あるいは今回のいろいろ質疑の中を通じて、その運用をよほど気をつけていただきませんと、長官の言われるようなお考え方が誤って将来問題を起こすおそれを非常に感ずるわけです。しかしこの救いの手を伸べれば、このために救われる人もかなりおるわけです。相当の期待を持っていると思います。従ってこの北方協会というものの公益性といいますか、それを十分に考えて一つ万全を期していただきたいと思います。
○久野委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時二十二分散会