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38回国会衆議院1961/05/23

内閣委員会 第38号

発言数
26
登壇者
7
会派数
2
開催日
1961/05/23

会議録

久野忠治自由民主党

○久野委員長 これより会議を開きます。  住宅基本問題調査会設置法案を議題とし、提出者より提案理由の説明を求めます。岡本隆一君。

岡本隆一日本社会党

○岡本(隆)議員 ただいま議題となりました住宅基本問題調査会設置法案について、提案理由並びにその要旨を御説明申し上げます。  このたび政府は地代家賃等統制令の撤廃に関する法律案を提案いたしました。その理由とするところは、第一には終戦当時に比し住宅事情のやや緩和せること、第二は現在統制を受けている借地、借家は、建坪延べ三十坪以下の住宅及びその敷地でありまして、その後の経済事情により次第に統制を守らないものがふえてきていることなどであります。しかしながら政府の調査によりましても、今日なお住宅難世帯は二百万といわれ、低所得層ほどきびしい住宅難にあえいでおります。  従って住宅の需給の不均衡の著しい今日の住宅事情のままで統制を撤廃いたしますときは、家賃の高騰は必至でありまして、低所得者の生活を著しく圧迫することは当然といわなければなりません。政府は長期経済政策十カ年計画の中で、住宅建設の前期五カ年計画を発表いたしました。それによりますと住宅建設総数四百万戸のうちの六割は民間自力建設に期待し、政府施策住宅はその四割の百六十五戸、そのうち、百二十万戸は公庫及び公団住宅もしくは大企業の給与住宅等でありまして、低所得者層の入居可能な住宅としての公営住宅はわずかに四十万戸程度にすぎません。これをもってしては、政府の目途とする一世帯一住宅の実現は、貧しいものにとっては夢の夢と言うよりほかありません。  さらにまた近年宅地の値上がりははなはだしく、土地は最も有望な投機の対象となりまして、持てるものによって買い占められ、勤労者みずからの住宅建設を一そう困難にいたしております。かくのごとく戦後日本の復興は目ざましいものがありますが、住宅はひとり取り残された存在として、国民すべての認めるところでございます。  地代家賃等の統制撤廃は、かかる情勢下にありましては時期尚早でありまして、住宅難を解消し、住宅需給のアンバランスをなくするための強力な住宅建設こそこれに先行すべきであります。よって政府は、この際内閣に強力な住宅問題解決のための住宅基本問題調査会を設け、すみやかに完全な住宅対策を樹立して、国民の住生活を安定せしむべきであります。  以上が本法案提案の理由であります。  次にその要旨を御説明申し上げます。  第一に、住宅問題に関する基本政策を総合的に調査審議し、国民の住生活の安定をはかるため、総理府に付属機関として住宅基本問題調査会を置くものといたしました。  第二に、調査会は住宅の建設に関する基本的かつ総合的な政策の樹立に関する事項を中心として、国民の住生活の早急なる安定を期するための諸事項を調査審議し、内閣総理大臣の諮問に応じ、また必要に応じて内閣総理大臣または関係各大臣に対し意見を申し出ることができることとし、同時に内閣総理大臣または関係各大臣は、この意見を尊重しなければならないことといたしました。  第三に、調査会の委員は学識経験者の中から二十名以内をもって内閣総理大臣が任命することとし、調査会に所期の目的を達するために専門調査委員を置くことといたしました。  以上が本法案の要旨でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。      ————◇—————

久野忠治自由民主党

○久野委員長 次に、北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律案を議題とし、政府より提案理由の説明を求めます。藤枝総務長官。

藤枝泉介自由民主党総理府総務長官

○藤枝政府委員 ただいま議題となりました北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律案の提案理由について御説明申し上げます。  歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島につきましては、わが国固有の領土であるにもかかわらず、昭和二十年八月ソビエト社会主義共和国連邦により占領されて以来、事実上同国の支配下にあり、わが国の施政権が及んでいないという特殊な状態に置かれております。このため、これら北方地域の地先の漁場において漁業を営んでいた旧漁業権者等その他北方地域の元居住者は、北方地域に復帰することはもとより、その周辺の漁場において漁業を営むこともできないという困難な状況にあります。一方北方地域において旧漁業法に基づく漁業権または入漁権を有していた者等については、前述のような事情に基因するものではありますが、本土において戦後とられた漁業制度改革に伴う漁業権補償の措置をとることができないため、本土側の旧漁業権者等に比し不利な地位にも置かれております。  北方地域に関するこのような特殊事情及びこれに基因して旧漁業権者等の置かれている特殊な地位等にかんがみ、これらの者に対し特別の措置を行なうことにより、北方地域に関する施策を講ずる必要がありますので、北方地域旧漁業権者等の営む漁業その他の事業及びその生活に必要な資金を低利で融通する業務等を行なう機関として北方協会を設立し、これに対し国が所要の資金の交付を行ない、もってこれらの者の営む漁業その他の事業の経営とその生活の安定をはかり、あわせて北方地域に関する諸問題の解決の促進に資するため、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の内容について概略御説明申し上げます。  第一に、この法律による特別措置の対象となる北方地域旧漁業権者等の範囲でありますが、その一は、北方地域の地先水面につき旧漁業法による専用漁業権またはこれを目的とする入漁権に基づき漁業を営む権利を有していた個人であり、その二は、北方地域において定置漁業権または特別漁業権の免許または貸付を受けていた個人または法人の構成員もしくは出資者たる個人であります。その三は、これらの者が死亡した場合における後継者であります。その四は、以上の者のほか、昭和二十年八月十五日まで引き続き六カ月以上北方地域に生活の本拠を有していた一般元居住者であります。  第二に、特別措置の実施の機関として北方協会を設立し、これに対しその業務の財源に充てるための基金として、十億円を国債をもって交付することとしております。この国債の償還期限は十年、利率は年六分としております。  第三に、協会の業務についてでありますが、その一は、北方地域旧漁業権者等に対する低利資金の貸付であり、これは個人に対する貸付のほか、北方地域旧漁業権者等と関係のある漁業協同組合その他の法人に対する貸付、その他北方地域旧漁業権者等の福祉の増進を主たる目的とする事業を行なう市町村への貸付をも予定しております。また貸付の対象となる資金の種類には、漁業その他の事業に必要な資金のほか、生活資金も含めております。その二として、北方地域に関する諸問題の解決の促進をはかるため必要な調査研究及び啓蒙宣伝を行なうこととしております。  最後に、協会の解散及び解散した場合における残余財産の処分につきましては、別に法律で定めることとしております。  以上がこの法律案の提案の理由及びその内容の概略であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。

久野忠治自由民主党

○久野委員長 両案についての質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————

久野忠治自由民主党

○久野委員長 次に、臨時医療報酬調査会設置法案及び社会保険審議会及び社会保険医療協議会法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、質疑を許します。  質疑の申し出がありますので、これを許します。滝井義高君。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ただいま議題となりました両案について、少しく質問さしていただきたいと存じます。  厚生大臣も御存じのように、日本における医療はここ数年来、療養担当者の側と保険者である厚生省、特にこの両者の対立が非常にきわだって、十分な国民医療の進展ができない客観情勢があることは御存じの通りであります。一体こういう混乱が起こったそもそもの原因というのは、根本的にはどういうところにあると厚生大臣はお考えになっておるのか、まずこれを一つ率直に、大臣がお考えになっておるところを明白にしておいていただきたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 お話のように診療報酬の問題をめぐって、今回もそうでありますのみならず、過去においても何べんも何べんも紛糾と混乱を繰り返したわけであります。どういうことでこういうふうに多年紛糾、混乱を来たしておるか、またどうしたらこれを直せるかということは、日本の医療のためにきわめて大事な問題だと思うのであります。それにつきましては、いろいろ根本的に医療行政そのものの中にこういうことが起こってくるような原因も、なきにしもあらずと思うのでありますけれども、この診療報酬をきめます機構とか手続とかいうものにも、大きな原因があったのではないか。そこでこの診療報酬をきめます機構や手続の欠陥の是正をすることもきわめて大事である、少なくともここに大きな原因がある、こういうふうに私どもは考えてきておるのであります。  特にこの診療報酬をきめます手続、機構は、滝井さんには釈迦に説法でございますけれども、中央医療協議会に諮って、その諮った医療協議会の意見をもとにして厚生大臣がきめるということになっておるのでありますが、この医療協議会の構成に特に大きな欠陥がある。つまり今までの構成は、医療協議会はいわゆる四者構成で、第一は医療を担当される方の側、次の第二のグループは保険者のグループ、つまり医療報酬を払う方の責任者、それから第三は診療報酬を負担する立場に立つ事業主、被保険者のグループ、それからもう一つはどっちにもつかない中立的な公益委員という第四のグループ、こういう四者構成であります。ところがそれぞれの分類はありますけれども、第一のグループの医療担当をする方の側はいわば診療報酬を受け取る側で、第二の保険団体、それから第三の事業主、被保険者は払う方の側である。いわば対立する立場に立っておる。そこで第一グループに対して、第二、第三というものが払う側としては共通的な立場を持ちますので、受け取る方の側一に対して払う方の側二というように勢力が非常に違う、こういうことでありますので、医師会側などは、一対二の医療協議会に出ても自分たちの意見が通らないにきまっておる、これでは出てもしようがないと言っておる。こういうことも大きな原因だったと思います。だから医療協議会をボイコットする、医療協議会の外で、力でというか、診療報酬をきめるということをやった。ここらに大きな欠陥がある。ですから今度の案では、この基本的な点を一対一にしよう、受け取る方の側一に対して、今まで二であったものを一つにして、片方八人対片方八人、第二、第三グループを合わせて第一グループと同じ勢力にしよう、そうすれば、初めから出てもしようがないというような、そういう勢力の違った構成でない公平な構成になりはしないか、こういうふうなことを考えたのでありまして、そこら辺にいわば大きな原因があった、こういうように考えるのであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ここ数年来、混乱をしてきた医療混乱の原因は、医療行政の中にもあるが、主として診療報酬の決定の機構と手続の中に問題があった、その二点に対していろいろ御説明がございました。まず大臣のそのものの見方は、ある程度正鵠を射ておると思います。そうしますと、そういう医療行政の中と、診療報酬の決定の機構と手続の中にそういう欠陥があったので、それを今度のこの両法案でお直しになって提出をせられた、こういう大臣の身がまえだと思います。ところが不思議なことには、去る十三日に療養担当者の団体が大会を開いて、政府の中央社会保険医療協議会の改組案は、自民党三役と療養担当者側の団体との間の話し合いの公約に違反をしておる、従って絶対に反対であるという見解を打ち出しておるわけです。こういう見解が出るということになると、社会保障制度審議会にまでおかけになって、そうして出されたのですが、与党三役との話し合いの公約に違反をしておるということでまっこうからの反対を受けるということになると、これは非常に問題だと思うわけです。これに対する絶対反対論を、医療推進をする上に一番重要な役割を演じなければならない団体が唱えておるわけでありますから、これに対する古井厚生大臣の見解というものは、一体どういう見方であるのか、これを一つ御説明願いたい。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 そこで、事実だけはまず明確にして御理解を願っておかなければなりませんが、三月三日でありましたか、自民党の三役の方と両医師会の代表の方と話し合いをされて、ある一つの、話し合いの結果、結論がそこにあります。そこでその中にそれでは医療協議会に触れる部分があるのかないのか。その中には御承知のように医療費の引き上げについていろいろございます。また医療制度の改革についてもございます。たとえば第一に七月一日に一円を相当上回る金額で医療費の引き上げを行なう、第二に入院料、往診料、歯科補綴料はすみやかに引き上げを検討する、第三に医療制度については検討を加える、こういうことでありまして、医療費をめぐった問題は、事実あのときの話し合いの焦点でもありましたし、当時新聞等にも発表されておるように、あの話し合いの中にはっきり出ておりますけれども、医療協議会の構成とかいうふうなものについては、私の知る限り、あのときの話し合いにはっきり出ておるものはないのであります。でありますから、自民党三役との話し合い、公約を無視したものだ、反したものだという根拠、よりどころを、私ども実はその言い分に対して理解は十分できない、医療協議会については申し合わせ事項がないのでありますから。そこでどこが違反している、公約違反という事実は、私どもはないように思っておるのであります。そのほかにどういうお話し合いが、結論に達したか、それが話の中途であったかは、これは詳細は関与していない者にはわかりません。けれども、結論的に話し合いがつきましたものは公にもなっておる通りでございますので、この点は事実の問題といたしましても、まず御理解を願っておかなければならぬ点だと思うのであります。もっとも考え違い、見のがしがございますれば、それに対応してまたお答えを申し上げたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと厚生大臣の今の御見解は、三月三日の三役との公約というものは、診療報酬における七月一日からの一円を相当上回る額の引き上げとか、入院料、往診料、歯科の補綴等についてはすみやかに措置する、三番目には残余の問題は追って検討する、ということはそれは医療制度だろう、これらの問題は今回改正案を出しております両案についての公約には合致をしない、こういう見解ですな。あとで別の公約があるのですが、それは法案の具体的な内容に入ったときに出て参りますので、少し先に進みますが、大臣はそういう見解で、従ってこの改正案は公約違反でない、こういうことに大臣としての見解ははっきりしました。  そうしますと、大臣がそういう意向であるのに、療養担当者の団体は、これは公約の違反であるから、従って公約通りにこれが直されない限りにおいては、たとい医療協議会は改組をされてもそれに参加するわけにはいきません、こう言っておるわけですね。一方、古井さんが御諮問になりました総理府の社会保障制度審議会の大内会長からの答申の一番末尾に、非常に大事なことが書いてあるわけです。どういうことを書いておるかというと、「いずれにしても、過去において見られたような混乱を絶対に避けるための措置を講ずることが肝要である。」こう書いているわけです。前にはいろいろのことを言っております。しかしやはりこの答申の急所はここだと思うのです。まあ過去の行きがかりがあろうけれども、それらのものは水に流して、今後における日本の医療保険の伸展のために混乱のないように、政府では措置を講じなさいよ、こういうことだと思うのですね。これは池田総理の言葉をかりていえば、ある程度厚生省も一つ寛容と忍耐が必要だぞ、こういうことだと思うのですよ。もちろん、しかし泣く子と地頭には勝てぬというように、無理がまかり通ることは許されぬと思うのです。しかし混乱を絶対に避けるための措置を講じなければならぬ、こういうことでございますが、混乱を避けるためにとったこの医療改正案の措置によってより大きな混乱を生むことは、これは古井さんだけの不徳のいたすところでは許されないことになるわけです。そこで、もう事態は大体入らないということを大会で公の団体が宣言をしたわけですから、従って当然国会においてこういう法案を審議するときにおいては、この大内会長の答申にもありますから、やはりわれわれは事態の収拾というものも頭に入れながら、法案の審議に入らなければならぬ、こういう客観情勢は明白なんですね。そうしますと、相手方は反対なんですから、この事態に古井さんは一体どう処理しようとするのか。しゃにむに所信を貫くべしという一本筋をこの段階に通そうとするのか、それともこの段階で政府は忠実に答申に従って、両法案を出したのだけれども、客観的情勢がそういう状態ならば、池田総理の寛容と忍耐という静的な態度でものを処理する、というだけの寛容と忍耐が古井さんにあるのかどうなのか、こういうことなんですね。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 そこで、公約と違うとかいうその問題とは別に、今おっしゃったような事態もあることであるから、どういうふうにしたら最善の結論が得られるかという問題になるわけであります。問題は何とかして過去に繰り返したような、また今後ほうっておけばいつまでも何回も繰り返されるかもしれぬような紛糾と混乱を、将来何べんもありますこの医療費の引き上げの問題のつどに起こさないようにしたいというところが要点でありますし、そのことはだれしも、国民全体が望んでいることだと思うのであります。医師会自体も望んでいることだと思うのであります。そのつど話し合いもくそもないということで混乱を起こすことは、良識ある限りはだれも望まないと思う。そこで私どもとしては今回の改正案が、この機構、手続の問題では、その意味において最善であると思っておりますので、極力この案の理解を得たいと思うのであります。納得してもらいたい。理解と納得を得て、そうして十分理解していただけるならば協力をしてもらうこともできるのではないか。私どもの考えが及ばない、よりもっとすぐれた案があるならば、それはまたそれでございますが、私どもとしてはこれが最善、最上の案だと思いますので、これについてとにかく意のあるところを、内容等を誤解なく理解をしていただく、こういうことによって理解と納得のもとに協力をしていただきたい。われわれの考えに至らぬところがあればこれは幾らでもよくしようというだけのことでありますから、幾らでもそれは名案があらばでございますが、われわれには今これ以上の案は考えられない、こういう状況でおるのであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 今出した案が最善の案である、従って寛容と忍耐ではなくして、納得と理解で一つ押していこう、こういうことなんですね。しかしこれからが大事なことで、しかしベストだと思っておるけれども、よりよき案があれば——ベストの上によりよき案はないのだが、これがベターならば話はわかるが、よりよき案ということを言われたからベターらしいのですけれども、これが最善だと思っておるが——おそらくベターでしょう、ベターなんだ、しかしベストがあればということです。なかなか含蓄のある御答弁ですから、混乱を防止するためにもっといい案が考えつけば、よりよきものにするということが自分の念願だから、そのときはまたそのときで御意見も聞こうし、話し合いにも応じましょうという態度のようでございます。十分古井さんの意のあるところはわかりました。  そこでもう一点は、古井さんも今言われましたが、三役が七月一日から医療の単価で一円を相当上回るものを引き上げるということを言っておる。それを療養担当者の代表者はどう受け取っておるかというと、こう受け取っておるのです。七月一日から単価で一円を相当上回るものを引き上げるということは、こういう医療協議会法や臨時医療報酬調査会設置法以前の問題である、従って今度の国会に出ているこの改組案とは別個に処理すべき問題であるという見解をとっておるようでございます。これがまた一つの公約であるような宣言その他を発しておるようでありますが、これに対する見解は一体どうなのか、これをお伺いしておきたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 なるほどお話を伺えば、今度の医療費の引き上げは別問題である、こういうふうな御意見もあるのかもしれぬのであります。けれども私の承知する限りでは、改組後の医療協議会に入って医療費の問題はきめようじゃないかということが、三役と両医師会長との話し合いの前提であり、基本であるように私は承知しております。無関係と私は承知しておりません。のみならず、かりにそこが——私はそこに関与しておりませんからどうであるにいたしましても、もし別問題だということになればどうなるのか。別問題でありましたら、現行法を運用して、現行法の規定に従ってやらなければならぬ。事は動きませんから、法律に従うほかはありませんから……。そうすれば法律は厳固として医療協議会に諮って厚生大臣がこの問題はきめるのだとなっているのですから、その法律がある限りは医療協議会は無視できないのですから、それならば改組を延ばして、今度は現在の医療協議会できめろという話になるのであろうか。とにかく医療協議会にかけなければならぬことだけは、そういう法律になっておるのですから、法律違反ができない以上は、改組とは別にというならば、それは先の問題にして、今の協議会にかけてきめろということにならざるを得ぬのではないか。それができないことであったことが過去何年間の事実であって、今までの医療協議会では構成も気に食わぬ、医師会はボイコットするということで参加しないのですから、そこにかけてきめるということはできない。今度もできないし、過去も何年間もできなかった。できなかった道を歩めということでは論理的にもおかしなことである。それでありますから、その辺のロジックからいたしましても、話し合いの内容が具体的に何であるにいたしましても、しょせんこの医療協議会にかけなければならぬ。動けるような医療協議会にしなければならぬ。   〔委員長退席、宮澤委員長代理着席〕そうすると改組した医療協議会に関係してくるということにならざるを得ないように、それ以外には考え得ないように、その点からも実は私は思っておるのでありまして、どうもだれが考えましてもそれ以外に考えようがないのではなかろうか、こういうふうに私は思っておるのであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 問題はそこらの認識の問題になってくると思いますが、私も法律論としては大臣の通りだと思います。七月一日から実施をする単価改定の問題を処理しようとするならば、法律的には、新しい医療協議会ができない限りは、旧医療協議会で処理ぜざるを得ない。ところが旧医療協議会には療養担当者の団体が参加をしていない。参加をしていないが、しかし過去において大臣みずからがおやりになったように、まあカナマイシンを処理されたわけですね。当時十二人の残っておった委員と、新しく欠員の十二人の中から三名の公益委員を任命をされて、十五人でカナマイシンを持ち回りで処理された。こういう形で、あの時点で——当時の大臣の新聞談話をちょっと見てみましたが、カナマイシンというものは非常に大事だ、人間の命に関することである、これを医療協議会にかけてやることは正しいことである、正しいと思ったことを正しいと思ったそのときの判断でやる、これが大臣の当時の談話として出ているのですね。こういう知恵を大臣におつけになるのは事務当局だと思うのですが、実は結核の耐性菌を撲滅するためにズルファミン剤が使われなければならぬという問題が医療協議会で起こったときに、こういうことをやってみたらどうかという主張を私が一回したことがあるのです。ところが当時、法律的にはそれはできないことはないという答弁をしたのは、大臣のうしろにいらっしゃる館林医療課長です。しかしそういうことはやらない方がいいという答弁を私にしたのです。ところが古井さんになってそれをおやりになったわけです。こういうことができるのは、結局過去において医療協議会というものは非常に形式的にしか運営されていなかったのです。もう昭和二十六年橋本さんが厚生大臣のとき以来、診療報酬の問題を決定するときには絶えず、まともに医療協議会がきちっといったことはない。いつももめて、そしてりっぱな、意見一致をみた答申が出ないまま強引に多数決でやる、退場をする、あるいは大臣の強行告示でやる、こういう形でやってきて、ほんとうの医療協議会の機能を持った行き方がやられていないのですね。こういうことが結局医師会をして言わしめれば、医療協議会を軽く扱う形になるのですね。そして三役との話し合いで事を運んだ方がむしろうまくいく。それがまた政治的判断で正しくいけるのじゃないかという感じが起こってくるのですね。これは全くそういう過去の厚生行政にもこういう混乱の一つの罪があったし、医療協議会の機構あるいはその手続の方法においても問題があったという点を指摘されたのは、そういうことをひっくるめて私は善意に解釈したいのですが、従って今度の問題についても、もしこの法律が通らないということになる、あるいは通っても療養担当者側が公約違反だという認定をする限りにおいては、今の医療協議会と同じ形になってしまうということのおそれがあるので、三役との話は以前の問題だという出し方をしてきたのじゃないかと憶測をされるわけです。大臣としてはこれを最善のものだからぜひ通してもらいたい、しかし通してもそれが機能を発揮できるかどうかは、大きなインテロゲーション・マークに包まれているわけです。こういう忠ならんと欲すれば孝ならず、孝ならんと欲すれば忠ならざる立場に追い込まれる可能性があるわけです。そういうことになったときに、いわゆる三役との公約で七月一日から実施するということが、やはり前のカナマイシンと同じような形をとらざるを得ない形になるのではないかという気がするのです。私はそういう感じがするのです。そのときにはどうするかといっても、仮定の問題には答えられないとおっしゃるかもしれないけれども、これは仮定の問題ではなくて、大臣自身が、筋としては今の医療協議会にかける以外に方法はないじゃないか、以前の問題だといっても、法律的には今のものが厳として生きているのじゃないかという私の主張と同じ主張になってきているのですけれども、そのときには医療協議会には療養担当者の団体は参加しないのですから、今の十五人でおやりになるということになるのでしょう。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 この三者構成と申しますか、医療を担当する側という一つのグループと、医療費を負担し、あるいは支払う方の側という一つのグループと、それから第三者的な公益的な立場の委員というグループと、この三つのグループで構成するというのが今度の案でございますけれども、その構成がそういうふうになっておるのに、かりに円満な姿でこれが構成ができなかったという、そうは考えませんけれども、そういうふうな形になった場合、これは運営に非常に困難な問題が起こるのであります。なるほど法律的にいえば、過半数とか、開会の最小限度の定足数はあるかもしれませんけれども、構成が円満にできていないという事態がかりにあった場合には、それで法律論だけをたてにとって開けるかどうか、これは一つの問題があると思うのであります。政治的な処理として、行政的な処理として、非常に困難な問題にぶつかると思うのであります。カナマイシンのときのことと違って考えますことは、あのときは医療協議会はえんごしたままで、とても開けない、満足に開けないという事態にある。一方このカナマイシンの使用ということは、だれにも事柄自体には異論がない。どこの方面にも一つも異論がない。一日でも早く使えば、それだけ早く患者がなおせる。異論のある人は一人もない。学界にも、関係者にもないというのに、機構が動かぬからというので、これを使わないで置いておくということは、私は耐えられぬ。そこで責任をとってもいい覚悟でカナマイシンは使ってしまおう、責任を問われてもかまわぬ。事柄にだれも異論がないのですから、人命を助けるために必要なんですから、カナマイシンの問題は、私は多少扱いが異例になっても、責任が起こってもやろうと決心したのであります。ところがこの医療費の問題は、御承知のように非常に議論のある問題であります。だれも異論のない問題どころではない。支払いを受けるお医者さんなどの側では、もっと足らぬという議論もありましょう。それから引き上げになれば、診療報酬がそれだけ上がれば、上がったものをだれが負担するのかといいますと、保険団体が負担する、また患者が負担する、それで保険団体の負担と申しましても、結局一般の国民に保険料ということでかぶさってくる。払う方の側からいうと、低い方がいいということになるかもしれない。そこで医療費の問題は現在の問題にいたしましても、今予算にきまっております引き上げの一〇%の問題にいたしましても、これを具体化する方法にいたしましても、お医者さんの側、つまり受け取る方の側にも意見があろうし、それから支払う方の側に意見がないのかと申しますと、これは医師会の方とはなるほど三役と話をしたでしょうけれども、払う方の保険団体は三役と一ぺんも話をしておりはせぬ。この方は満足しているが、上がってたまらぬ、せめて政府がもっと肩がわりをしてくれなければたまらないという意見は相当濃厚のようにも見えるのであります。そうしますと、これほど意見のある、議論の残っておる問題を、あの議論のないカナマイシンと同じようにやってしまうということは、これは私は政治的になかなか同日に論じ得ない点がある。議論のある問題だからこそ、医療協議会で、受り取る側も払う方の側も両方同席して、そこで論じて、やはりここだという結論を両方が納得してもらうことにおいて、よい妥当な結論が得られるのでありますから、カナマイシンの場合の例もございましたけれども、このあとの、今回の医療費の引き上げの問題も同じように扱ってよいものかどうか、これは私はそこに大きに問題があると思う。議論のある問題だけに、独断専行的なことが適当かどうか、大きに問題がある、こういうふうに私は思っているのであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ちょっと、定足数が足らぬので、無効の委員会になっては申しわけない。大事な法案ですから……。

宮澤胤勇自由民主党

○宮澤委員長代理 今すぐ来ますから、続けて下さい。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 今の古井厚生大臣の御意見を聞いておると、目的さえよければ手段はどうでもよい、しかし目的が悪いときには手段もそうはいかぬぞと、こういう感じがするのですがね。鼠小僧のような理論では工合が悪い。とった物を貧民にやるから、従ってどろぼうはいいのだということにはならぬと思うのです。法律論としては、それはやはり筋が曲がっていますよ。政治的にはいいですよ。だから政治的にはあの措置によって古井さんは価値を上げました。拍手かっさいを浴びたわけですから……。私も拍手かっさいをした一人です。しかし実は医療協議会がああいう非常の措置をとり得るという知恵をつけたのは、やはり事務当局のはずです。それはそういう形で過去やってきたのです。全部やってきた。大事なものを決定するときも、もう強引に押し切ってしまったのです。だから今度、この答申案の中で、経営と監督とを分離して、政府管掌の保険者に当たる厚生省は、もうあの委員の中に入りたもうなと、どういう裁断を大内先生の方から下さなければならぬというのは、やはりそういうところにあったのですよ。  まあ、その問題はそのくらいにして、次は少し理屈っぽくなりますが、今回この社会保険審議会及び社会保険医療協議会法の一部を改正する法律案をお出しになりましたが、社会保険医療協議会の方については相当微に入り細をうがって改正をされたわけです。ところがこれと唇歯輔車の関係にある社会保険審議会については何も当たっていないのです。これは一体どういうわけですか。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 現実の診療報酬をきめます問題が紛糾して、この問題が従来から軌道に乗らないものですから、診療報酬をきめる手続、機構を改革したい、こういうことでありますので、これに関係した医療協議会の改組ということを考えたのであります。社会保険審議会の方は、これが診療報酬を決定するための機構であるということにはなっておらぬ、これは別のものでありますので、きょうの問題、つまり診療報酬決定の手続方法論を改善しようという問題と別の問題だ、こういうふうな見地で、これには今回手を触れていないわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それはお城の本丸を攻め落とそうとする場合に、外堀と内堀を埋めずして一挙にやろうとするのと同じですよ。だからなかなか目的が達成しにくくなるのです。その社会保険審議会の内容を大臣は御存じだと思います。あるいは御存じなければあれですが、今のような答弁は御存じないから出るのかとも思いますが、社会保険審議会というのは、健康保険とか、日雇い健康保険とか、あるいは船員保険とか、厚生年金の事業の運営に関する事項を審議するところなんです。これをもっと具体的に言えば、法律案を審議するところです。すなわちこれは健康保険法という法律そのものを審議するところです。ところが医療協議会はどこから出てきているかというと、この法律から出てきているのです。従って木を見ているけれども、その山を見ることを忘れたらこの問題は解決しないのです。一挙に本丸を攻め落そうとしたって、それは無理ですよ。昔徳川家康がやったように、大阪城の外堀、内堀を埋めて夏の陣、冬の陣を経て大阪城というものは落ちるのです。ここを大臣はちょっと見落しているのです。だからまずこういう大きな問題を解決しようとするときには、土俵を相当広げて——狭い土俵でやるとなかなか弱いやつは上がってこないですよ。大臣の方は権力を握っておるのだから、医師会、歯科医師会、薬剤師会、三師会を相手にしたって権力でやれば手玉にとることができる。ところが民主主義になるとなかなかそう権力ばかりだけではいかぬ。土俵を広げてやって三師会を土俵の上に上げて、一つ土俵の上で——これは衆人環視の中で負けたのだったらしようがない。文句の言いようがない。ところが狭い土俵にしてやると、弱いやつは万が一にも勝つことはないから上がってこないのです。ところが広い土俵だと、柔道の道場くらいの広さになると、もしかすると足でもとって倒せるかもしれない、こういうことがあるのです。従って社会保険審議会をあなたは見落としている。これは大きなこの法案の改正案を出す一つの致命的な見落としだと私は思う。それは立法論から言っても均衡を失することになる。と申しますのは、この社会保険審議会は御存じのように三者構成です。そして被保険者の利益を代表する者と、それから事業主及び船舶所有者の利益を代表する者と、それから公益を代表する者、九、九、九の二十七です。ところがそもそもの健康保険法から出てくる医療協議会、医療協議会の具体的な内容というものは、健康保険法によっていろいろの問題はやるのです。たとえば療養担当規程、指導の大綱というのは、みんな健康保険法から医療協議会に委託をされてくるわけです。そのもとの健康保険を審議するところの社会保険審議会に一体医療の担当者が何人入っておるかということです。

山本淺太郎厚生事務官(保険局次長)

○山本説明員 先生も御指摘のように社会保険審議会というのは、ただいまお読みになりました所掌事務でございまして、明らかに健康保険法、あるいは健康保険法をトップ・バッターとする共済組合等を含めた、いわば健康保険の体系全体を審議する審議会ではございませんで、あくまで政府管掌の健康保険及び政府管掌の船員保険のみを審議する審議会でございます。つまり事業の運営を政府が管掌するそういう個々の保険の具体的な運営を審議する場所でございまして、健康保険法全般を審議する場所ではございません。従いましてただいま大臣の御答弁になりましたように、診療報酬という健康保険以外にもわたりまする社会保険全体における診療報酬を審議する場所は、この場所以外の医療協議会というものが特別の役割を持つものとして抽出されてできておる、こういうふうに理解しておるのでございます。従いまして今次の診療報酬の正しいあり方をどう考えるかという問題につきまして、社会保険審議会は直接の関係がないということで、社会保険審議会の方はいじらなかったのでございます。また政府が社会保障制度審議会に、適正な診療報酬のあるべき姿はどうかということで、白紙でいいものをまとめて下さいといってお願いしまして得られました答申、結論でも、社会保険審議会のことにはどうも触れられていなかったということで、政府としては今回はこの審議会の方はいじらないということにしたわけでございます。  なおただいま御指摘になりました社会保険審議会に診療担当者が何人おるかということでございますが、法律には診療担当者を代表するものということでなくて、公益委員の中に医療担当者を含むということで現在たしか二名公益委員の中に入っておられるように考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 山本さんのその理論は正鵠を得ていない。社会保険審議会はなるほど健康保険と日雇い健康保険と船員保険と厚生年金の事業の運営をやるわけですから、これは主として政府管掌です。しかし日本の医療の背骨は一体何かというと、政府管掌の健康保険です。政府管掌の健康保険が国民健康保険にも適用されておるし、共済組合も右へならえをしておる。だから政府管掌の健康保険の改正案が出れば、共済組合だって何だって全部改正案が一蓮托生についてくるわけです。これは日本の医療の背骨なんです。この背骨を今山本さんの言うように、政府管掌だから、従って健康保険全般をここではやるところでないからなんておっしゃると、それならば一体他のものを何でここへ右へならいさせるのだとこうなるわけです。ところがこれは背骨だから一部をやったにしても全部をやるのと同じになる。そこに医療担当者は公益代表でしか入っていないのですよ。こういう行き方が問題なんです。まず第一に法律が生命なんですから。法律からすべてのものが出てくるのです。医療協議会法だってその法律から出てくるのだから、健康保険法に医療協議会で諮問を受けなければならぬというようなことがなかったら、医療協議会なんか要りはしないのだ。ところが健康保険法にそれがあるからこそ、こういうことになるわけです。   〔宮澤委員長代理退席、委員長着席〕 そこでまずここらあたりの、この委員の構成を問題にしなければならぬというのが一つです。これは今のあなたの前段に対する反論です。  それから後段に対する反論は、いわゆる社会保障制度審議会では、そういう答申が出ておりませんとおっしゃるけれども、それは古井さんの方で、そういう諮問をやらなかったのですよ。社会保険等の適正な診療報酬を定めるためとるべき方途について諮問をしたのであって、そういう諮問をやっていないわけです。ところがそれに対する答申が出たならば、今度はあなたの方でもう少し大局的に、大所高所からお考えになって、当然やらなければいかぬ。それをおやりになっていない。この大もとを直さずして、末だけを正そうとしたって、これは中国の人が教えてくれているように、百年河清を待つにひとしい。だから従ってさいぜん言ったように、外堀と内堀を埋めずして一挙に城主の首を取ろうと本丸に乗り込むようなもので、そんなことをしたら一ぺんに捕虜になってしまう。捕虜になって返り討ちですよ。だから私は当然まずここを変えなければならぬと思う。そうして療養担当者の代表に法律を審議する場を与える。どうせ三者構成なんですから、これも三者構成にしたらいい。古井さんの言われたいわゆる診療を受ける側と診療する側、そうして公益、この三者構成にされて、堂々とここでまず法律論を展開すするのですよ。その場を作ってやるのです。この法律から医療協議会やいろいろの内容が出てくる。これがもとなんです。ところがこれをやっていない。これがいわば、ここは徳川家康の故智にならっておる。昔から統治をする場合には分割統治をせよということですね。ここだけは分割統治にしているのです。一番大事な法律を審議するときは医療担当者を公益で祭り上げておいて、今二人とおっしゃったが一人か二人入れておいて、大して発言権がないようにしておく。それが医療協議会にきたら少し人数をふやすけれども、ここも今までは古井さんみずからが言われたように二対一にして押えつけておく。こういう分割統治は徳川家康の分割統治です。しかし大事なところがちょっと落ちていた。惜しむらくは孫子の兵法を知らなかった。そこでこれは私はここも改正しなければいかぬと思う。法律がもとなんですから、おやりになるならこの際おやりになったらいい。この点について一体どうお考えになっているのか伺いたい。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 先ほども事務当局から申しましたように、この社会保険審議会と医療協議会との関係でありますが、二つの点でこれは別個のものであると考えるのであります。第一番目に、この医療保険も、政府管掌、日雇い、船員というものもございましょうが、組合管掌という大きな分野もある。国民健康保険という大きな分野もある。その中のこの組合管掌、国民健康保険以外の部分のことだけの範囲内で、この運用について審議をするのがこの社会保険審議会であります。一方その範囲は運用に関する広い事柄になっておるのであります。部門は狭まっておりますけれども、事柄は広い範囲に及んでおる。一方診療報酬の方は、どの保険にも通ずる診療報酬を審議する機関として、横割りでこの医療協議会というものができておる。この二つは全く別個のものであります。  そこで今回の問題は、診療報酬の問題をめぐって紛糾が起きるから、これを改善したいということでありますから、診療報酬の関係の機構だけに手をつけておるのであります。関係のないことには——診療報酬以外のことにも問題がないとは申しません。医療制度全体にたくさん問題があります。これは別途次の段階において、何もその問題のみならずたくさん基本的な問題がありますから、診療報酬と別の基本的な医療制度の問題は改革をやりたい。ここは診療報酬の関係を改善したい、こういうことでありますので、おっしゃる社会保険審議会などの問題は、全然問題がないとまで言うのではありませんけれども、今日の問題としては診療報酬に関係した機構を相手にしておるというのが、この案であるのであります。  なお、社会保障制度審議会に諮問いたしましたときには、要するに診療報酬の問題は適正にきめるにはどうしたらいいのか、どういうふうに改革したらいいのかということを広く尋ねたのでありますが、診療報酬の問題の回答としては医療協議会のことを考えろ、こういう御回答で、今の社会保険審議会の問題は別個の問題としてわれわれが限局したのではないけれども、自由に考えたあげく、別問題にされておるのであります。そういうことでありますから、これは医療保障制度全般の問題の一環として、診療報酬の問題と無関係な別の問題として検討するなら検討するという、ここに線を引くのがやはりこの場合としては穏当である、こういうことで私どもは必要な範囲内においての改革を企てたわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 今、社労の方で何か法律を上げなければならないから大臣来いということでありますから、今の大臣の御意見に対してちょっと私の見解を述べて打ち切らしていただきますが、広く答申を求めたけれども、診療報酬だけの答申があった、こういうことですが、しかし答申は冒頭にこう書いておるのです。「社会保険等の診療報酬の適正化は、単に、現行の健康保険や国民健康保険制度の診療報酬支払い制度に見られる各種の欠陥を是正するだけでは十分でない。」十分でないと書いてあるのですね。次が大事なんです。「基本的には、医療制度を近代化し、健康保険、共済組合、国民健康保険等各種医療保険制度の抜本的な改正がなされなければならない。」こう書いてある。従って抜本的な改正をするためには、一体どこで改正の答申をしてくるかというと、結局社会保険審議会の答申を求めることになるわけです。ここに法律案の要綱をかけるのです。そうすると、やはりここがこういう形ではいけないのです。ここは単に諮問だけでなくて意見も多分述べると思っていたのですが、勧告ができるかどうかちょっと今条文を持ってきておりませんが、そうするとここの法制をしておかないとうまくいかない。何も向こうから具体的に出てこなくても、各種医療保険制度の抜本的な改正がなされなければならぬと書いてあるのですから、これを先におやりになっておったってちっともかまわぬわけです。これはやらぬでもかまわぬとおっしゃるかもしれないけれども、やはりこれは心をやわらげる道になるのですよ、こういうように一番大事な法律を審議するところを対等にしますぞということで。財政と法律というものは密接な関連があるわけです。財政なくして社会保険というものは成り立たぬことは、大臣御存じの通りです。そうすると、財政の診療報酬の問題は医療協議会、しかしその裏づけをなすものは社会保険審議会における法律審議なんです。こういう点で、ここいらあたりは納得がいかない。おそらくこれは医師会も気づいていないですよ。気づいていないから文句を言わない。だけれども、これは人が気づかないからといって、やはり政治は大所高所からものを見て、さいぜん申し上げましたように、ある程度土俵を広げてでも国民医療を進展させるために解決しなければいけません。そして善意と理解を持って相手方を納得させようとするならば、こういうものもやはり先手を打って出していくのが政治だと思うのです。ところが言われた筋だけをどんどん追っていくと、ウサギの一本道になって、ウサギというものは帰ることを知らぬから、ぽんと猟師に打たれてしまう。こういう打たれ方を古井さんがされることを私は好まない。だからウサギの一本道ではなくて、追い込んでたたくのはやさしいのですから、ときには抜け穴を作ってやることが必要なんです。そういう意味で、社会保険審議会がどうも手をつけられていない。依然として分割統治——まさかそういう気持はないと思いますが、結果としては残っていると言わざるを得ない形が出ている。こういうことで、一応意見だけ述べておきます。  実はこれからそもそも本論の医療協議会に入るので、今は前段ですが、向こうが急いでおるというメモが回ってきましたから、あとは次回にやらしていただきたいと思います。

久野忠治自由民主党

○久野委員長 暫時休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕

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