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38回国会衆議院1961/05/10

内閣委員会 第32号

発言数
61
登壇者
10
会派数
2
開催日
1961/05/10

会議録

久野忠治自由民主党

○久野委員長 これより会議を開きます。  法務省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を許します。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。飛鳥田一雄君。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 今回の法案について、われわれの理解のできないところが一、二ありますので、御説明を伺っておきたいと思うわけです。  この条約に基づいて、国際連合との間の犯罪の防止及び犯罪者の処遇に関するアジア及び極東研修所を日本に設ける、こういうことになりますし、そしてその所長は日本の政府と国連との協議に基づいて国連が任命をする、こういうふうに外務委員会等で御説明になっておられるようです。しかし現実には、そのスタッフは日本側から提供をする。そしてそれは法務総合研究所の一部とする。これを国際連合研修協力部という形で、その研究所の中におまとめになる。そしてその協力部の部長は国際機関としての研修所の次長をもって充てる。こういうふうに御説明になっておるようであります。しかしこの二つの研究所の機能的な関連、仕事をして参ります場合のからみ合いというものが、何か理解できないような感じがしますが、この点についてまず御説明をいただきたいと思います。

津田實検事(大臣官房司法法制調査部長)

○津田政府委員 ただいまの御質問の点でございますが、法務総合研究所に、仮称ではありますが、国際連合研修協力部を設けまして、そこに部長以下の職員を置くわけでございます。その職員の任務は、国際連合との共同事業でありまするところのこのアジア極東研修所の仕事をするということになるわけであります。従いましてその部に属する職員のすべての任務は、このアジア極東研修所の行なう研修、研究、調査に対する協力、こういうことになるわけでありまして、そのこと自体がそのものの任務ということになるわけであります。ただその協力をいたしますやり方につきましては、法務総合研究所の本来の所長あるいは次長、さらに最高には法務大臣の指揮、監督に従ってその協力を行なう、こういうことになるわけであります。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 そういたしますと法務総合研究所の中の国際連合研修協力部というものは、アジア及び極東研修所とは全然別個のものであり、この協力部の部員は研修所の所員とならないわけですね。

津田實検事(大臣官房司法法制調査部長)

○津田政府委員 その国際連合研修協力部の部員が即、アジア極東研修所の職員の一部をなすわけでございます。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 そういたしますと一人で二つの資格を持つわけですか。

津田實検事(大臣官房司法法制調査部長)

○津田政府委員 極東研修所と申しまするのは、この条約からも見られまするように、日本国と国際連合との共同事業体であります。共同事業体におきましては、それ自体独自の財産とかいうようなものを持たないで、むしろ両方が財産を提供し、労務を提供するということになるわけであります。その労務の提供自体を、日本国の機関としては法務総合研究所の国際連合研修協力部が行なう、こういう形になるわけでございますから、ここの研修所の所員と申しますのは、いわゆる通常所員ということになるだけのことでありまして、身分的にそこの所員という特別の身分があるとは理解されないわけであります。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 通常そこの所員というのもちょっとわかりにくい話なんですが、そういたしますとこう理解してよろしいわけですか。協力部の方々はアジア及び極東研修所の所員としての身分は取得しない、だがしかし現実にこの研修所の委嘱を受けて全面的に調査という労務を提供する、こう理解してよろしいわけですか。

津田實検事(大臣官房司法法制調査部長)

○津田政府委員 所員としての身分と申しまするのは、考え方あるいは説明の仕方によると思います。日本国の国家公務員的の身分としてはこの共同体の身分というものはそれはあり得ないと思うのでありますけれども、共同事業体の中へ入りましていろいろな事務を行なう、そのことについてはその共同事業体の組織の中において仕事をし、組織の運営に従って仕事をするという意味において、所との従属関係と申しますか、そういう意味のものはあるわけでございますが、厳格に言う国家公務員的の身分的なものは極東研修所には存在しないと言い得ると思います。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 そういたしますと、私はさっきから調査という高級労務の提供をするというだけだという意味にあなたの御説明を聞いておったのですが、私が身分ということをくどく伺いますのは、やはり指揮命令系統というものがあるはずですから、協力部としての部員は当然法務大臣の指揮、命令にあるいは監督に服するわけです。もしアジア及び極東研修所の所員となる、こういうことになりますと、当然ここの所長の指揮、命令、監督に服することになりますので、一人の人が二つの異なった——これは全然異なっておるわけです。一つは日本国であり、一つは国際機関ですから……。そういう異なったところから指揮、命令、監督を受ける、こういう二つのものがダブるのじゃないだろうかという疑問が非常にあるわけです。それで私は身分々々と伺ったわけですが、御説明ではその点が明白ではありませんので、それでは今度は指揮、命令、監督という方面からのルートを一つ御説明いただきたいと思います。

津田實検事(大臣官房司法法制調査部長)

○津田政府委員 その点でございますが、法務大臣は日本側から提供いたしまするところの職員の身分を監督する、これは国家公務員法上の身分を監督するということは当然でございます。ただ日本の法務大臣から命ぜられておるところの任務は、国際連合と日本国の共同事業を行なうこの研修所の業務に従事するということが、包括的に命ぜられておるわけでございます。内部のいかなる方法によっていかなる調査をするかということは、あげてこの研修所にゆだねられているということになるわけです。ですから職務活動の内容については、もっぱら研修所の方針に従っていくということになるわけです。そこで研修所におきましては、この条約の第二条に掲げておりますように、「所長は、次長と協議して、研修所の事務局を組織し、かつ、これを指揮し、並びに、次長と協議して、この協定に基づき政府により提供される研修所の専門職員及び事務職員並びに関係地域内の他の諸政府との取極に従いこれらの諸政府により指名される職員を選ぶこと。」こういうことになっておりまして、所長は次長と協議してこれらの事務局を組織し、そしてこれらの職員を指揮していく、こういうことになっておるわけであります。従いまして指揮名義は明らかに所長ということになるわけであります。しかしながらその実体は次長と協議して行なうということであります。その実体の協議して行なうという趣旨は、国際連合とのこの条約締結に際しましての合意としては、協議というのはあくまでも両者の意見の一致であるというふうに了解をされておるわけです。その点は他の面から申しますると、この日本政府の義務等におきまして、いろいろな労務を提供したり、あるいは建物を提供をいたしまするが、それらの点についてはすべて日本の国内法に従い、かつ予算の範囲内で行なうとされているわけです。従いまして次長の系統、つまり日本国側が国内法によって認めない限りは、研修所は結局何もできないということになる。そこで次長が日本側の代表として合意に賛成して、その合意したところに基づいて指揮し、監督されるということになれば、結局日本国の意思によって指揮、監督されるということになります実体でありますので、それと包括的にこの研修所の事務に対して協力すべく法務大臣から命ぜられているという両者の点を合致いたしますると、その者の職務上の義務あるいは職務に対する監督権が出て参るというふうに考えております。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 その所長と次長とが協議して運営を行なう、その協議とはすなわち両者の意見の合致である、こういう了解ができておる、こうおっしゃるわけです。そういうものは、何か文書になっておりますか。今までも何べんかそういう点について事件が起こっておる、問題が起こっているわけですから、単なる口頭了承でなく、文書にしておきませんと問題が残るおそれがありますので、そういうものを文書にしていらっしゃいますかどうですか。

津田實検事(大臣官房司法法制調査部長)

○津田政府委員 その点は文書はございません。しかしながらこの条約を締結するにつきまして参りました国連側係官と十分の了解をいたしておるのみならず、先ほど申し上げました日本政府の義務自体が、国内法の範囲内において行なうということになっておりますので、国内法に従ってできないこと——国内法に従ってできないことと申しますのは、国内法によって行動する法務大臣の権限についても同様でありますが、それについてできないことはあくまでもできないと言うととは、条約上主張できるわけなんであります。結局合意ということはこれによって裏づけられていると解釈できるわけです。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 議事録か何かに残っておりませんか。

津田實検事(大臣官房司法法制調査部長)

○津田政府委員 公式の議事録にはございませんが、当時協議いたしましたもののメモには残っております。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 やはりそういう問題は、議事録なりメモに残っておるとすれば、メモにサインをして交換をしておくなり、何かきちっとしたことをやっておかれませんと、かりに国内法に違反したことはできないということが条文に明らかになっておりましても、国内法の解釈それ自体についてまた問題が起こるおそれがあるわけです。従ってそういう点を明確にしておかれることが今後は望ましいと考えます。  そこで、国内法に違反をしないまでも、一つの方針の違いというものは出てくるだろう、こう私は思います。たとえば犯罪の防止及び犯罪者の処遇などという問題についても、思想犯の場合とか政治犯の場合とか、あるいは一般犯罪の場合とか、いろいろ違って参ります。その処遇方法についても、公安調査庁などというものを設けること自身が違法だというような見解を持っておる者も現に日本の国内にあるわけです。従って法律の解釈それ自身にも相当問題がありますので、次長と所長との間には調査がどこまでやれるかという点について、かなりの意見の食い違いがあるだろう、こう私たちは思うわけです。従ってその場合に協議という言葉を厳格にしておきませんと、問題が起こるおそれがある、こういう点で申し上げたわけです。  そこで指揮命令系統の方はわかりました。そういたしますと、また身分に戻りますが、協力部の方は法務大臣の命令を受けて研修所の業務を行なえ、こういうことでやるわけですね。従って研修所の正式の所員とは言えないわけですね。くどいようですが、いかがでしょう。

津田實検事(大臣官房司法法制調査部長)

○津田政府委員 本件の条約に出ております「研修所に、次の職員を置く。」という意味の職員にはむろんなるわけです。日本側がこの職員を提供するという条約になっております。しかしながら先ほど申し上げましたように、国家公務員法的な身分というものは研修所にはない、こういう意味を申し上げたわけであります。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 そういたしますと「研修所に、次の職員を置く。」というような意味での職員というのは私にはよくわからないのですが、それなら何で法務研究所の中に国連協力部などというものを設ける必要があるのですか。法務研究所の人を極東研修所の方に出向させればいいのじゃないですか。特に国連協力部というものを今度わざわざこしらえるわけでしょう。こしらえておいて今度はこっちへ持ってくるという必要がどこに出てくるのでしょうか。

津田實検事(大臣官房司法法制調査部長)

○津田政府委員 この研修所は先ほど申し上げましたように、日本国と国際連合との共同事業体であります。従いましてここの研修所の職員ということにいたしますると、その者の身分の取り扱い、あるいは給与問題とか、いろいろな問題については全く日本の法制と離れた問題として考えざるを得ない。そういたしますと、そういうようなものもあるいは立法すれば可能ではありまするけれども、非常に複雑になるわけです。その意味におきまして、日本側から提供するこの研修所の職員はあくまでも日本の公務員としておきたい。これはまた共済組合上の問題とか退職金の問題とか、いろいろな問題がからんで参りますので、あくまでも日本の職員にしておかなければ、やはり有能な人も得られないというような意味におきまして、かような形をとったわけでございます。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 そうすると法務総合研究所の中に国際連合研修協力部というものを設けたのは、純粋にこの研修所に行かれる人々の身分のことを考えてやったのであって、特別新しい目的をもって協力部を作ったものではない、こういうことに尽きますか。

津田實検事(大臣官房司法法制調査部長)

○津田政府委員 日本国内の組織といたしましては、この国際連合研修協力部の仕事というのは研修に協力するという仕事であるという意味におきまして、そのこと自体はやはり日本の国の仕事であり、そのもの自体は国家の事務として行なうということでありますが、その行なう内容はあくまでもこの研修所の事柄であるというにすぎないわけであります。その意味におきまして、全面的に身分関係でこの組織ができた。あくまでも動機はまさにその通りでありますけれども、組織として成立した以上は、そういう任務はやはり法務総合研究所に与えられておる、こういうふうに解釈せざるを得ないじゃないかと思います。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 解釈せざるを得ないのではないかとおっしゃるのですが、現実には研修所の仕事はあるけれども、国連協力部としての具体的な仕事は従って今後も出てこないわけですね。

津田實検事(大臣官房司法法制調査部長)

○津田政府委員 国際連合研修協力部としての仕事と申しますと、やはり部の部員の配置でありますとか、そういうもの自体の仕事はやはりその部には残るわけです。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 そういたしますとここに行かれた、仕事をなさった方が、そこで勉強したり仕事をしたりした結果を個人として発表するというような場合には、一体法務大臣の許可が必要なのですか、あるいは研修所の所長の許可が必要なのですか。

津田實検事(大臣官房司法法制調査部長)

○津田政府委員 この研修所の仕事の内容としていろいろ研修をいたし、調査をいたしたものを個人として発表するということはあり得ないと思います。それはやはり研修所の仕事としてやったことであり、研修所が発表する、あるいは研修所の調査ということになると思います。みずからが時間外に個人的に調査することは、これは何ら妨げのないことでございます。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 ともかくこの二つの関係は何かすっぱり割り切れないものを感じさせるわけですから、一つこの点について明確な態度を、今後実際の行動の中ではっきり出していただけるようにお願いしたい。そうでありませんと、せっかくこちらが人間を出し、費用を出しているにもかかわらず、日本の考えておるのとはかなり違った運営をせられてしまうおそれもあるのではないか、こういう感じがいたしますので、その点は一つ明白にしていただきたい、こう思います。  それから第二の問題でありますが、今度羽田空港の出張所を廃止して羽田の入国管理事務所を置くことにした。大ぜいの人がここを出入りするので、事務が非常にふえておる、こういうことでございますが、何か羽田出張所でそのままやっておりまして不便な点を発見せられたのかどうか。そういう問題を、ただいただきました数字だけではなしに、もう少しわれわれにわかるように御説明をいただきたいと思います。

高瀬侍郎法務事務官(入国管理局長)

○高瀬政府委員 ただいま御指摘になりました出張所では不便であって事務所に昇格する具体的な理由があるのかというお言葉でございますが、現在の出張所と申します性格は、東京の入国管理事務所の隷下機関になっておりまして、その執行いたします面におきまして、東京の入国管理事務所の所長の命令を受けなければならない立場であります。かかる際に、一つの問題が羽田に起きますと、東京の所長に指示を仰ぎ、東京の所長は本省に指示を仰ぐという手間が現在の出張所では要るわけでございますので、これを直結し、直接本省が当該事務所に指示を与え得るというようなことにいたしたい、かように考えまして出張所の昇格をお願いした次第でございます。

緒方孝男日本社会党

○緒方委員 関連して。先般私が資料をお願いしておったものが今出されておりますが、それにつきまして矯正局長にお伺いいたしたい。刑務所における便所の問題についていろいろ資料が出されておる。まず基本的に私が聞いておきたいことは、この資料の中にも書かれておりますように、便所の問題は衛生上必要なことであるから、こういうふうに理由づけられておるわけです。私は衛生的に見て必要だという前に、人道的にどうかということが基本になっていなければならないのじゃないかと思う。先般も申し上げましたように、便所の中に遮蔽物もないような状態、他人のおる前で便をしなければならないような状態、それから臭気がふんぷんとしてまるで便所の中におるような環境の中に置いておくことは、衛生的の害悪よりもむしろ人道的な立場に立って考えなければならない問題ではないか。法務省は人権尊重の一番中心的な指導機関である、そういう立場に立ってのお考えを一つ私はお伺いしておきたい。

福井徹法務事務官(矯正局参事官)

○福井説明員 矯正局長が出張で不在のために私がお答えいたします。  ただいま便所に関する基本的な考え方は、衛生の観念というふうなことよりも、むしろ人道的な立場において基本的に考えなければならない問題ではないかというお話をいただいたわけでございますが、まさにその通りでございまして、私たちももちろんそのことを基本に置いて考えなければならないという立場は、お説と全く同一でございます。ただ現在まで、これらの刑務所内における置き便所というふうな特殊な装置はいまだに解決されていない実情は、おおうことのできない事実でございますけれども、私たち法務省の立場といたしましては、可能な限りの予算を投じまして、逐年これが改造、あるいは水洗式への移行、あるいはくみ取り式への移行というふうな計画を立てて実施して参ったのでございます。なおここ数年かからなければ完成し得ない状態にあるということははなはだ遺憾な点でございますが、今後ともに努力しまして、資料にも差し上げておりますように、少なくとも五、六年先には解消し得るという予算の見通しもございますので、その点を資料として差し上げたのでございます。

緒方孝男日本社会党

○緒方委員 基本的にはそう考えておられると言っておるが、あなたの方の出されたこの資料の中にも、今日まで、諸種の条件はあったでしょうが、積極的な予算の裏づけは実現していないということをあなた方自身が認められておる。私はなぜそう言うかといえば、少なくとも人権尊重の一番指導的な立場にある法務省が、自分の管轄下において、自分の取り扱う場所において、人権が無視されたような状態を作り出しておいていいかどうかという問題、そういうことをしておりながら、国際連合の諸機関を日本に誘致しようというのはおこがましい話じゃないかということを私は強調したい。だから、少なくとも衛生的な立場に立つならば、伝染病がどれだけ起こったか、起こらなかったかというふうな利害、打算の上に立ってしか問題は処理されない。少なくとも全国に人権が侵害される状態でもって幾多の施設が今日存在しておるということの立場に立ったならば、予算措置ができたとかできなかったとかいうことでは済まされない。それに対して私はあなた方の積極的な意見がほしいということを言っておる。

福井徹法務事務官(矯正局参事官)

○福井説明員 御趣旨のところは私たちもよくわかりまして、今後ともに努力をいたしたいと考えておるわけでございます。ただ置き便器を水洗式に改造いたしますという操作は、考えの上では非常に簡単でございますが、最後のページにも掲示してございますように、一つの便器の装置そのものについて二万五千円ぐらいの金がかかるわけでございます。しかもそのほかに、明治時代あるいは大正前期にできました特に木造の刑務所におきましては、その施設そのものがすでに相当程度いたんでおりまして、水洗式に変えるならば、もうその施設そのものから変えていかなければならないというような実情のものもたくさんあるわけでございます。従ってそういうふうな老廃朽いたしました施設の改善あるいは改築というようなことは、逐年計上しておりまして、計画的に遂行しております。その際には必ずこれを水洗式にするという方針でただいままで参っておるわけであります。そういう意味での基本的な態度、あるいは基本的な予算の組み方というものについては、態度が一貫しておるわけでございます。ただ現在地方に数々残っておりまする小さな支所であるとか古い刑務所等におきましての置き便所装置を、今直ちに全面的に改造するという問題は、ただいま申し上げましたように、便器そのものの改造では解決できない問題を含んでおりますので、その点大へん申しわけないと申しますか、苦しい立場にあるということを御了承願いたいと思います。

緒方孝男日本社会党

○緒方委員 私はこれはむしろ法務大臣から御返答を承らなければ意味のない話だと思う。今までそれぞれの関係機関においては毎年相当な改築予算などを要求したけれども、予算折衝面においてこういう問題は二義的、三義的に落とされてきた、だからいまだにこういう野蛮な状態の中で囚人が生活しておるという事態に立ち至っておる。法務大臣自身が、こういう自分の管轄下において、しかも国民の人権尊重の観念を高揚させなければならない責任官庁として、こういう状態があっては困るということに対して積極的な推進をなさるお気持があるのかどうか、これが一番重要な問題であって、関係のお役人の方に聞いてもしようがないから、法務大臣の御答弁を得たい。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○植木国務大臣 刑務所におきましての便所施設の改善の問題につきましては、仰せの通り、単に衛生上の問題ばかりでなしに、人道上の問題ではないかというお説につきましては、私も全く同感でございます。従いまして、着任日も浅うございますが、三十六年度の予算編成の際にも、刑務所の収容施設全般についての改善について大蔵当局とも十分議を遂げまして、そうして最も緊急を要する部分についてその実現をはかっておるわけでございます。従ってこの便所の施設につきましては、刑務所全般でなしに、便所施設だけを全体を通じて改善をするということも、一つの大きな努力をすべき目標になると思いますが、まだ今日のところ、総合的に便所だけを取り上げて全国の刑務所をどうするかという問題についての具体的の案もございませんので、これを至急に研究いたしまして、そうして一般的の施設改善の際に便所を改善するというだけではなしに、便所施設の改善だけ取り上げて特別な努力ができないかというので研究をしたい、こう思っておるのであります。かようにいたしますれば、場合によって経費さえ獲得することができれば、これによってこの部分の改善について従来よりも急ピッチによくすることができるのではないか、こうも考えますから、今後とも一そう研究もいたし、努力もいたしたいと思います。

緒方孝男日本社会党

○緒方委員 私はそのように人道的な立場においてこの問題を見ていく場合においては、単に刑務所という法務省が管理しておるところばかりじゃない、実際は警察庁が扱っておる警察の中にある留置場においても、これと同じような傾向が至るところにあります。より劣悪なところがたくさんあるわけであります。これも所管が違うから別の話ということでなく、人権の尊重という立場に立ってものを考えるならば、至るところの警察署においてもその施設の改善をはかれというあなたは御命令をなさる立場にある。それだけの積極性を進めるにおいても、御自身の配下にこういう場所がたくさんあったのでは、他庁なり他のお役所に対してあなたが発言する場合に、まずみずからの所管しておるところの刑務所を——もちろん私も便所だけことし一年に全部切りかえろとか、三年計画でやりかえろとかやって、また来年は全部の施設をやりかえろとか、そういうむだなことを言うわけではありませんが、少なくともそういう非人権的な状態をなくしていくという意思が、あなたの方で積極的に動いてくれるかどうかということに私はかかってくるものではなかろうか、こういうふうに思います。だから来年度なら来年度において、どれだけのことを責任をもってやるつもりかというあなたの積極的な意見を私は聞きたい。

植木庚子郎自由民主党法務大臣

○植木国務大臣 仰せごもっともでございまして、今直ちに具体的のお答えを申し上げることは困難でございますが、今ほども申し上げましたように、この問題についての計画を至急立てまして、来年度の予算の際には、その実現に向かって邁進するように努力をいたしたいと思います。

緒方孝男日本社会党

○緒方委員 もう少しほかの問題についてお伺いしますが、受刑者の人たちが今労務に服しております。労働しております。この労働は一日を幾らに換算しておるか、それを一つお伺いいたします。

福井徹法務事務官(矯正局参事官)

○福井説明員 労務賃という考え方の御質問の趣旨は、どちらであるか、私明確にすることはできませんが、現在刑務所の作業を運営いたしております際の受刑労務というものは、その対価は国庫へ帰属するわけでございますが、その意味での労務は、大体日に九十円から百円くらいに上がっております。それを対価と言えるかどうかわかりませんが、そういう対価を国庫へ納める基礎の数字というふうに考えて、運営して参っておるのであります。

緒方孝男日本社会党

○緒方委員 三年なら三年の懲役、五年なら五年の懲役に服するということは、その間その人間の労務の提供を強要するという観点に立たれておるのか、その間におけるところの自由を拘束するという観点に立たれておるのか、日本の刑法はいずれに中心を置いておるのか、その点を一つお伺いしておきます。

福井徹法務事務官(矯正局参事官)

○福井説明員 日本の刑法の立場から申し上げますと、受刑者は強制的な労務に服するということが建前でございまして、それに対していわゆる対価といいますか、労働の対価を当然に給するのだという建前はないわけでございます。ただ受刑者を労務に服せしめました場合には、監獄法の規定によりまして、作業賞与金というものを給することになっております。その作業賞与金の金額は、その人の能力とか作業の性質によって異なると思いますが、その金額は大まかに申し上げますと、全国平均はあれですが、大体千円から千四、五百円の月計算によって作業賞与金を給するのが実情でございます。

緒方孝男日本社会党

○緒方委員 私はそこにも非常にあいまいな人権侵害が出てきているのではないかと思います。今むろん監獄法を改正しなければならないことをずいぶん長い間御苦労なさっているはずですが、私は今矯正の立場においても五年、六年別世界に閉じ込めて、その人たちが社会に帰るときに、無一物の裸のままに荒波の中へ突き出されるという状態を作っておくということが、そういう人たちを再びこの社会に復帰させる上において大きな障害になっておるということも事実なんです。その根本はどこにあるかといえば、単なる自由の拘束だけでなく、強制的な労働をさしている。その労働に対する正当なるところの労費が払われておらないというところに、私は問題があるだろうと思う。私は当然国内におけるああいう懲役そのものは、その人間の自由を拘束するというのが建前であって、一方働く労働に対しては正当なるところの労賃を支払うような仕組みにすべきが当然でないだろうか、こういうふうに考えますが、御所見のほどをお伺いいたします。

福井徹法務事務官(矯正局参事官)

○福井説明員 ただいま御指摘のように、問題は矯正行政の上におきましても非常に重要な問題点でございまして、長年各国においても研究され、日本においても研究を続けられ、また努力を続けている問題でございますが、私たちも作業賞与金の増額に関しましては、ただいま御指摘のような趣旨にのっとりまして、本人が刑務所から出て社会に復帰する際の少なくとも就職資金、あるいは就職するまでの生活資金に足りる額まではほしい、そうすべき性質のものではないかという建前に立ちまして、逐年増額の計画を立て、大蔵当局とも折衝を重ねて参っておるのでございますが、現在までに必ずしも十分な額でないという点は御指摘の通りだと思います。今後ともに努力いたしまして増額の実現をはかりたい、かように考えております。

緒方孝男日本社会党

○緒方委員 千円ばかりの賞与金というようなもので問題は片づくものではない。人に罪を着せて収容して、働かせるということは、昔の奴隷制の中から生まれた一つの弊風だ。私はそういう奴隷制の上に立ったところのやり方でなく、あくまでも基本的な人権は尊重されているのだという建前に立って刑務所が運営される方向にいくことが、中に入って刑を受ける人たちの社会に対する責任観が当然生まれてくる。奴隷の状態に押し込んで無償の労働を強要して、働き方がよかったら幾らかでもごほうびをやろうというふうなやり方は誤りじゃないかということなんです。今度の法の改正がいつでき上がるか私はわかりませんが、そのうちに私が申しましたような正当な労賃を支払うような仕組みでもってお作りになろうとしておられるかどうか、その点も一つお伺いしたい。

福井徹法務事務官(矯正局参事官)

○福井説明員 現在進行中の監獄法の改正の問題については、私も直接タッチしておりませんので、その現状を明らかにすることはできませんが、ただいま御説のような考え方に基づいて改善する意欲はあるというふうに承っておりますので、その程度で……。

久野忠治自由民主党

○久野委員長 これにて本案についての質疑は終了いたしました。     —————————————

久野忠治自由民主党

○久野委員長 本案に対し草野一郎平君外十七名より修正案が提出されております。     —————————————     法務省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案   法務省設置法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   附則中「昭和三十六年四月一日」を「公布の日」に改める。     —————————————

久野忠治自由民主党

○久野委員長 この際、本修正案について提出者よりその趣旨の説明を求めます。草野一郎平君。

草野一郎平自由民主党

○草野委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提案者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  本文はお手元に配付してありますので、朗読を省略いたします。  政府原案の施行期日は四月一日でありますが、その日はすでに経過しておりますので、本法は公布の日から施行することが適当な措置と考えまして、本修正案を提出いたした次第であります。何とぞ御賛成あらんことをお願い申し上げます。     —————————————

久野忠治自由民主党

○久野委員長 本修正案については、別に御質疑もないようでありますので、これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。  別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  まず草野一郎平君外十七名提出の修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

久野忠治自由民主党

○久野委員長 起立総員。よって、草野一郎平君外十七名提出の修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて、原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕

久野忠治自由民主党

○久野委員長 起立総員。よって修正部分を除いては原案の通り可決いたしました。  これにて法務省設置法の一部を改正する法律案は、修正議決いたしました。  なお議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

久野忠治自由民主党

○久野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。      ————◇—————

久野忠治自由民主党

○久野委員長 駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案起草に関する件について議事を進めます。  本件につきまして小笠公韶君より、各位のお手元に配付いたしました通りの草案が提出されております。

久野忠治自由民主党

○久野委員長 本草案について、提出者よりその趣旨の説明を求めます。小笠公韶君。

小笠公韶自由民主党

○小笠委員 駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案について御説明を申し上げます。  この改正案は、本法の施行の状況及び駐留軍関係離職者の特殊事情にかんがみ、実情に即した改正を行なおうとするのがその趣旨でございます。  その要旨を御説明申し上げますと、まず第一に、中央協議会の委員に厚生次官を加えるため委員の定数を一名増加し、連絡調整を一段と強化することであります。  第二は、中央協議会に事務局を設置し、機能の強化をはかることであります。  第三は、条例によって置くことができるとなっております都道府県協議会と同様に、市町村にも駐留軍関係離職者等対策協議会を設けることができることとし、国はこれに要する経費の一部を補助することとして、実情に即した対策が講ぜられるようにすることであります。  第四は、特別給付金の支給範囲を広げて、昭和三十二年六月二十二日の岸・アイク声明の行なわれたときに、PX従業員等、軍諸機関雇用労務者であった者が、引き続き在職し、政府雇用労務者に切りかえられた後、離職した場合には、前の軍諸機関雇用労務者であった在職期間と政府雇用労務者としての在職期間とを通算して、特別給付金を支給できるよう改めることであります。  第五は、駐留軍関係離職者で、公共職業訓練を受ける者には職業訓練手当を、公共職業安定所の紹介による就職のため居所または住所を変更する者には移転に要する費用をそれぞれ支給することであります。  その他、本案は公布の日から施行しますが、職業訓練手当及び移転に要する費用の支給に関する部分は、雇用促進事業団法の施行の日から施行するといたしているほか、所要の改正を加えております。  なお、本案施行に要する経費は、本年度既定予算の範囲内及び予備費をもって充てることにいたしております。  以上が本案の趣旨であります。

久野忠治自由民主党

○久野委員長 本草案について御発言はありませんか。——御発言がなければ、本草案について、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣に対し意見を述べる機会を与えることといたします。藤枝総務長官。

藤枝泉介自由民主党総理府総務長官

○藤枝政府委員 この法律案は予算を要する内容を含むので、ちょっと弱るのでございますけれども、事情やむを得ないものと考えます。

久野忠治自由民主党

○久野委員長 これにて内閣の意見開陳は終わりました。     —————————————

久野忠治自由民主党

○久野委員長 お諮りいたします。駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案の草案を委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

久野忠治自由民主党

○久野委員長 起立総員。よってそのように決定いたしました。      ————◇—————

久野忠治自由民主党

○久野委員長 この際お諮りいたします。理事高橋等君が委員を辞任されました結果、一名の理事が欠員になっておりますので、その補欠選任を行ないたいと存じますが、これは先例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

久野忠治自由民主党

○久野委員長 御異議なしと認めます。  それでは高橋等君を理事に指名いたします。  次会は明十一日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時三十七分散会

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