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38回国会衆議院1961/04/26

内閣委員会 第31号

発言数
286
登壇者
13
会派数
3
開催日
1961/04/26

会議録

久野忠治自由民主党

○久野委員長 これより会議を開きます。  防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、前会に引き続き質疑を継続いたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。石山權作君。

石山權作日本社会党

○石山委員 朝早くから夜おそくまで、九時間以上毎日質疑応答をしておるので、長官初め政府委員の方々はだいぶお疲れのようにも思います。それでゆうべなどの質疑を聞きますと、私の方で懇切丁寧に質問をしているにもかかわらず、御答弁はぶっきらぼうであって、堂々めぐりである。それでは理解しにくいのでございます。それでも私けさ、ここ一週間ぐらいにわたった質疑応答の中をば集約してみました。それで長官がゆうべぐっすり休まれて、頭の感覚の新しいところで一つ答弁をいただければ、あるいは私が間違って考えている点が是正されるのではないか、こう思うので、四点ばかり、今まで私どもが質疑応答の中で感じた点をば申し上げてみます。  第一に防衛二法、わが国自衛力という問題は、どうしましても日米安保条約をば度外視して論ずることは不可能でございます。それで日米安保条約の全体の中から感じられる点は、長官初め官房長あるいは防衛局長のお話は大へんに不明確でございます。そして長官はしょっちゅう、この条約は相互信頼が基礎であるというふうなことを言われる。だから穴があっても、欠点があっても、不明であっても、相互信頼ですべてその穴は埋めることができる、ざるで水をくむことができるような話をしているわけなんです。それで私はお伺いをしたいのでございますが、日米安保条約のうちで何としても一番問題になるのは、在留のアメリカ軍と日本の軍事基地の問題だと思います。これを要約いたしますと、軍事基地とアメリカ軍との関係、これはもちろん間接侵略等の問題とからめて、ともするとアメリカの動きによって、日本人の知らないうちに、極東の平和という美名のもとに、日本の平和はおおむね痛められる。そしてわれわれはその混乱の中に巻き込まれて、相互援助をばその中で行なっていく。つまり私たちは知らない間に、いつの間にか日米安保条約の魔術にかかって、戦争するのではないかということをば、私は第一に考えるのでございますが、そういうことはないのだということを、もしこの場合あなたが言い切れるとするならば、一つ事例をあげていただきまして、明快に答弁をしていただきたいのでございます。まず第一点はそれでございます。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 この安保条約の基本は、それの根底にある思想と申しますか、考え方がきわめて大事なんであります。そこで日米安全保障体制を結ぶことによって、平和あるいは安全というものが確保できるかどうかでございます。われわれといたしましては、これは国会でも非常に問題になりましたが、長い論議の結果、安全保障体制を結ぶことによって、むしろ国の安全、言いかえますればこれによって戦争が抑止できる、あるいは進んでは平和の確保ができる、そういう趣旨のもとにこれが結ばれておる。この観点からまずものを見ていただきたい。またわれわれはそう見ておるのであります。特にこの第一条におきましても、締約国は、国際連合憲章に定めるところに従って、平和的手段云々というふうに、問題をあくまでも平和に置いてというふうに書いてございます。「国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むことを約束する。」こういうふうに書いてございます。私はこの趣旨から、戦争に巻き込まれるという危惧よりは、むしろ戦争を遠ざける、あるいは進んでは平和維持、世界の平和に寄与する、こういう建前でまず考えていけば、今の御質問に対する根本的な解決になるのではないかと思うのであります。

加藤陽三防衛庁参事官(長官官房長)

○加藤政府委員 ただいま長官の仰せになりましたことを若干補足して申し上げます。今長官が申し上げられました通り、日米安保条約の前文におきましては、「国際連合憲章の目的及び原則に対する信念並びにすべての国民及びすべての政府とともに平和のうちに生きようとする願望を再確認して、この条約を結ぶ」とございまして、第一条は今長官がお読みになりましたようなことが書いてございます。第七条には「この条約は、国際連合憲章に基づく締約国の権利及び義務又は国際の平和及び安全を維持する国際連合の責任に対しては、どのような影響も及ぼすものではなく、また、及ぼすものと解釈してはならない。」と書いてあります。国際連合憲章では、御承知かと思いますが、第一条におきまして「国際連合の目的は、国際の平和及び安全を維持すること。」である。第二条の第三項には「すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危くしないように解決しなければならない。」第四項におきましては「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。」これが国際連合の大きな目的であります。ところが一面におきましてこういうふうなことでやりますれば、侵略とか戦争というものは起こらないはずなんです。ところが現実の世界というものはそうでもないというふうなこともありまして、御承知の通り第五十一条に自衛権の規定があるわけであります。第五十一条は、そういうふうな原則と並びまして「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。」こういうのが国際連合憲章の規定でございます。こういう規定を前提にして安全保障条約というものはできている。そこで日本及びアメリカはいかなる場合におきましても、国際連合の規定に従って行動をとるのでございますから、これに違反することはないわけでございます。そういう点を御了解願いたいと思います。

石山權作日本社会党

○石山委員 日本の軍隊という言葉が適当でないとすれば、自衛隊でございます。自衛隊はアメリカ軍に対しては相互信頼の関係で問題をすべて解決する。その次にいわゆる極東の平和かどうか知りませんが、世界の平和に寄与するという立場は抑制力である、こういうようなことは前々からいわれているのでありますが、その点には間違いございませんか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 日本の自衛隊が存在し、かつ訓練し、国力に応じて漸増されること自体は、日本自体の一つの平和の守りでございます。同時にそれは安保体制、また日本自体が安全であること、または平和であることが、世界の平和に寄与する、私はそういう意味で抑制力ともなると思うのです。また日本に事態が起こった場合に、日本を守る、言いかえれば自衛隊が戦闘力を発揮することも、またこれは最小限に平和に戻そうという努力でありますから、私はその行動力自体も、広い意味では世界、極東の安全なり平和なりに関係して参る、こう考えております。

石山權作日本社会党

○石山委員 日本の自衛隊に対する発想は国連憲章を母体にしている。国連ではどういう形態にあるかといいますと、大ざっぱに言えば、西側は自由主義である、東側は共産圏である、AAグループ。この三つです。この三つのどのグループも一つとして国連憲章は否定していないと思うのです。しかしわれわれが相互信頼をかけている日米安保条約は、何と申しましてもこの国連憲章から見ますと、この三つのグループからすると片寄っているのではないか。そして国連に加入をしない国をアジアにはかかえているわけです。もし真にわれわれが国連憲章を大切にし、国連憲章の旗のもとで日本の自衛隊をば見るという体制とするならば、日本の外交、日本の防衛というものは、おのずから隣国の大国が未加入であるというこの問題は捨てておくことはできないはずです。  ここで委員長、私はやはり外務大臣の必要がありそうに思いますけれども、これは提案事項として委員長はよく覚えておいていただきたいと思います。  その努力を日本の国はなしていない。総理大臣に聞いても、まだわからない、これは日本の国だけでできる問題ではないと言っておる。日本の国だけでできる問題ではないということは、多数の国々との関係かというと、そうではないと思う。どうしてもこの日米安保条約によってアメリカと結びついた日本は、アメリカの意向をうかがわないことには、隣国の大国あるいは北朝鮮を国連に加入させなければならないという努力をしないということだと思うのです。  そうしますと、ここで問題が起きるのは、日本の自衛隊の姿が全然変わるということだと思う。中国が国連に加入したときの日本の自衛隊のスケール、あるいは北朝鮮の場合もそうでございましょう。これを度外視して、日本の自衛隊の軍備が大きいとか小さいとかいうことは論じられないと思う。国連憲章を大事にし、国連憲章のもとでわれわれは日本の自衛隊を見、世界の平和、極東の平和を考え、日本の国の安全を考えるとするならば、池田内閣はそれを率先してやらなければならぬのだが、なぜやり得ないのだろう、こういう疑問は、私は素朴な国民はみな考えていると思うのです。この場合、国民に親しまれ愛される自衛隊という言葉を使っているが、長官は愛され親しまれる自衛隊の存在としてどういうように説明なさるのか。あなたは外務大臣でないと言っているのだけれども、まず関係閣僚として自衛隊の長官として、一つできるだけお答えをいただきたいと思います。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 私も防衛庁の責任を持ちますと同時に、また国務大臣のいすもいただいております。従ってそういった問題に対して強い関心と、また一半の責任は政府としてあるわけです。そこで中共に対する問題は、政府といたしましては、御存じの通り世界全体あるいは極東全体の問題で、こういう平和の中から問題解決の道を探したいという努力あるいは意欲というものを持っていることは御存じの通りであります。ただその具体的な方法になって参りますと、まだこれは時間の問題もありましょう、方法の問題もありましょう、そこに具体的にどういうようにするということはこれからの問題である、こういう態度であるわけであります。  それから自衛隊につきましては、御存じの通り国土の守りであります。しかもこれは前提として、国防の基本方針にございますように、われわれは国力国情に応じて考えて漸増主義をとっております。国力国情に応じということは、単に国内の事情だけではございません。世界の平和体制あるいはアジアの安全体制、平和というようなものと相応じてこれを考えていくべきだと思います。でありますから今の前段の、主として外交、外政上の問題の動き方に応じて、また国力国情に応じてわれわれの自衛隊というものが、今後考えられていくことは当然だと私は思うのであります。従って私は現在の段階におきましては、現在の段階においての自衛隊というものを正しくその位置を占めさせ、正しく訓練し、そうしてそれを国民に理解を求め、親しんでいただく、これが一番健全な道ではないか、またこの点をそういう方法によってやっていることは、国民は御理解いただけると思うのであります。

石山權作日本社会党

○石山委員 国民は御理解いただけるというが、私はさっぱり理解できない。話はわかるけれども理解はできない。まあ了解はできないということかもしれません。こう考えてみましょう。私どもは日本の自衛隊は、民生安定をば無視して大きくしていくということではないと思う。民生安定の上に日本の国の守りとしての自衛隊の存在価値、こういうととは原則だろうと思う。せんだって新聞で見ましたが、ソ連から帰ってきた人のお話を聞いてみますると、例の東方号がゆうゆうと上がった。大したものだ。しかし裏町を歩いてみたら、化粧した女の人が少なかった。まとうていた上着の色はあまり違っておらなかった。仕立ての格好もやや似ているというようなことを報告しております。その方はついでにこういうふうに書いている。これはちょうど日本が昔、軍部をば中心にして躍進した時代、軍事力に金をうんと投資して、働け働け、兵を強くすることは国を強くすることだ、やがてよくなるのだから働け働けというような格好でやったことと似ている、こういうふうな報告をしているわけですが、そういうことを私たちは一応考えてみるわけです。ここで私は、どうしましても国民は安い防衛費ということを一番先に考えると思う。そうした場合に、国連加入をしない中国がたとえば核装備をした。ということは、皆さんはそれを考えただけでもいろいろな兵器の用意を考えるでしょう。それに対応する準備をしなければならぬと思う。その金は、大ざっぱにわれわれしろうとが考えましても、二百億、三百億の金ではございません。千億をこえる金がなければ、中国の核兵器に対応する準備は不可能だといわれているのですが、こういう場合において、自衛隊自体から見ても、日本の国の安全を考える上から見ても、民生安定、安い防衛費ということを考えてみましても、日本の外交は外務大臣だけでやるというものではない。自衛隊自体としても私は想定図があると思う。たとえば中国をば敵視した場合の防衛力はこんなもの、中国が国連加入し北鮮が国連加入してわれわれと肩を並べた場合の防衛費は、こういう形態になっていくという想定図はできるはずなんです。それを考えてみたら、自衛隊の中からでさえも私はゆう然として、中国国連加入、北鮮国連加入の声が起きなければならぬと思うのですが、あなたたちからそういうことを一ぺんも聞いたことがない。アメリカのことは大へんほめている。中国やなんかの国々はなかなか相互信頼が置けないような説明をばされる。私たちはそういうことでないと思う。国民の率直な希望というものはそういうところにないと思う。  そこで私はもう一つ前へ進んで話をしますると、日本の自衛隊の教育方針という問題が出てくると思います。自衛隊幹部の教育方針という問題が当然出てくる。これはまたあとでお尋ねいたしますけれども、そういう問題が必ず出てくると思う。もし皆さんの御意見をそのまま是なりとしますると、西側は世界のうらでは存在価値があるが、東側は存在価値がないのだ、敵であるというふうなことが話の端々にはさまれているではないか。これは厳重に戒めなければならぬと思うのですが、私はそういうふうなことが考えられてなりません。  次に三つ目のことでございまするが、たとえば事前協議ということをば、日米安保条約の場合にはいろいろな欠点を埋める、いろいろな国民の要望もそれにこたえることができるというふうなことを言っていたが、これはきのうの横路委員等の質問を聞いてみましても、そういうふうな格好では動いていかないようでございます。事前協議の場合には、これは安保問題の場合にも拒否権の問題等でいろいろ問題があったようですが、今日においても、私たちは事前協議の場合においてもアメリカに指導権があるのではないか、あるいは安全委員会に対しましては日本は故意にサボって、アメリカ軍隊の自由に動くようなことを黙認している傾向があるのではないか、こういう危惧を私は質疑応答の中で感じたのでございます。事前協議はそういうものではないのだ、現実にこういうふうに有効に動いているのだという事例を私は感じ得なかったのでございますが、その点も一つお答えをいただきたいのでございます。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 前段の外交に関する問題は私の直接の所管ではございませんから、あまり深い議論は申し上げません。必要に応じてお答えいたします。  私はいつも中共の問題の解決は——もちろんすべて平和に解決していくことはけっこうであります。これにはやはり時間とか方法、言いかえれば一つの慎重な態度をとって参らなければならぬ、これは政府の一貫した態度でございます。これは前向きという言葉が出ている、意欲は持つ、また積極的な方途は探す、しかしそれは時点とかあるいは方法とかというものを考えていかなければならぬ。従ってわれわれとしては、われわれ日本国あるいは日本に課せられたる自衛の責任、これは当然やっていかなければならぬ。防衛費が安いか高いかの問題でございますが、私どもの所見は——さっきソ連の状況をお話しになりましたが、私もソ連の事情を自分で知っておりますが、明らかにこれは一つの独裁体制の国家におきまして異様なことは、確かに予算を集約します。物動計画を立てます。統制国家でありますから、これはいろいろ政府の一つの意思で参りましょう。しかし日本は民主国家でございます。それぞれの自由な御意見が国会を通じあるいはその他を通じて言われておりますから、それに調和が発見されております。その調和の結果が、一応今は国防費というものをこうやっておりますが、ただこれが日本の現状から見ますとはたして妥当であるかというと、私はまだ安過ぎると思っています。防衛費は高過ぎるのではなくて、むしろ安過ぎるくらいのものである。そこで私はむしろ財政力から見て二%前後をめどにしていって、ちょうどいいのではないかと思うくらいであります。と申しますのは、なぜ安過ぎるかと申しますと、日本の自衛力というのはまだほんの骨組みであります。従いまして、あなた方もよくおっしゃいますが、タンクが古いじゃないか、小銃が曲がっているじゃないか、これは事実もあります。これらもやはり安過ぎる結果こういうものになっているのであります。そういう意味から私どもは真剣に防衛努力は続けて参りたい、こういうように考えておるのであります。  それから事前協議とか安全保障委員会をサボっているじゃないか、そういう考えは毛頭ございません。私は着任以来必要に応じてはこれをやろうという態勢を持っております。現に先般もこの委員会を通じ申し上げましたが、やがてなるべく近い機会に持とうではないか。ただそれをやる必要性があるかどうかの判断は、われわれは政府内部において慎重に判断をした結果要請をする、こういう所信でございますので、御了解をいただきたいのでございます。

石山權作日本社会党

○石山委員 怠けていないということになりますと、防衛庁の幹部諸公、あなたを含めて、少しルーズだということになりかねない、能力が少し不足だということになりかねないと思いますが、これは私は大いに努力をしていただきたいと思います。きのうも私の方の委員から事例をあげまして、前任者はかなりに小さい問題も毎回開いて御相談をしておる。そしてその御相談の結果をば公文書で発表しているという丁寧な体制をとっているということも、この際われわれは強調しなければならないのではないかと思います。  次に間接侵略の問題でございますが、これは私もそれぞれの本をちょいちょい開いて見ましたが、定義は不明瞭でございます。間接侵略の定義というものは定まっていないようでございます。ただたくさんの例証を、こういうこともある、こういうことも間接侵略という中に含まれるというように例証をあげますと、かなりその格好がわかってきますけれども、これはまだ前々からの国際連盟時代からも論議になっているようですが、いまだ国連の中においてもこれは確定していない。ということをばまずいいことにして、きのう大へん問題になっている自衛隊の治安出動の面にからんで、オーバー・ラップするという問題に対しては、アメリカ軍が入ってくるという危険性があるということは、ぬぐうべくもない気がするのです。つまり言葉をかえていえば、いわゆる日本の大衆運動、あるいはある意味では、もうちょっと進んで言えば、日本が民族的に独自に行なうところの革命運動そのものに、アメリカ軍は容喙をするという立場がとられてくるのではないかということが、質疑討論の中で残された問題だと思います。私は法理論を聞くのではないが、そういうふうに実際はならないのか。ならないようにするきちっとした条約上の規定があるのかどうか。どこをば適用してそういうことがなし得るだろうか。この疑念をばどうしても解いていただかなければならないのでございますが、御説明をいただきたいのでございます。

加藤陽三防衛庁参事官(長官官房長)

○加藤政府委員 その点は前回も申し上げたのでございますが、新しい安保条約と旧安保条約第一条と比べてみますると、旧安保条約の第一条におきましては、昨日も条文を読んで申し上げましたが、駐留している米軍は極東の平和と安全に寄与し、一または二以上の外部の国の教唆または干渉による大規模の内乱、騒擾に対して、日本国政府の明示の要請に基づいて使用されるということと、外部の国、外部からの武力攻撃に対して使用される、三つの場合に使用されることになっております。今度の安保条約におきましては、米軍が軍隊を、武力を使用する場合は、第五条に限られておる。第五条というのは「武力攻撃」とこう書いてある。いかなる形におきましても武力攻撃でない限りにおきましては、第五条は発動しないということを、昨日から申し上げているわけでございます。これで御了解願えますか。

石山權作日本社会党

○石山委員 武力という言葉の限定の仕方が、この場合われわれが今まで考えている武力というものと、今あなたの考えている武力というものはだいぶ違うと思う。それは間接侵略の場合、あなたはいろいろなものが重なるとかいうことを言っているじゃありませんか。そうしますと、そこに微妙な判断に苦しむ条件が出てくる。判断に苦しむ条件ということを実際の行動に行なう場合は、その出動者側の主観的判断によって問題がきめられるということです。その場合のことを考えると、米軍が日本の民族運動、大衆運動に容喙する可能性が出てくるのではないかという心配はぬぐうべくもないのではないか、残されているのではないかと思うのです。私は法理論を言っているのじゃないのです。私は努めて常識的にあなたたちに聞いているのだから、答弁しやすいと思うのだが、それでも残すようではだめですな。

加藤陽三防衛庁参事官(長官官房長)

○加藤政府委員 どうも私の答弁が御理解願えなくて残念でございますが、第五条は武力攻撃に対して発動する、こうなっているわけです。武力攻撃という形態をとられておる。その武力攻撃の中には、普通の場合は正規軍による侵略というものが考えられましょう。しかし不正規軍による侵略というふうなものもありますれば、これは観念としては間接侵略という観念に入るかもしれぬ。しかし形態としては武力攻撃である、そういう場合には第五条は発動いたします。それ以外の場合には第五条は発動いたしませんということを申し上げておるわけでございます。

石山權作日本社会党

○石山委員 ここのところは、社会党としましては大切なところなんです。ですから私はもう一ぺん長官にお伺いしますが、国内問題に関します限り、普通いわれているところの武力攻撃のないところには米軍を容喙させないということをあなたは言明できますか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 武力の介入の面においては五条が発動になりますが、それ以外におきましては米軍は武力介入はいたしません。

石山權作日本社会党

○石山委員 わかりました。次に自衛隊の件につきましてお伺いをいたします。私は自衛隊を考える場合に、この前も池田総理がおいでになったときも申し上げましたのですが、自衛隊はどうのこうのといっても大へん大きくなったのですね。この大きなものを私たち見ている場合、もちろんこれは国を守るという善意、この善意は私は何も否定しておりません。ただその善意がちょっと曲がっていくような場合があるわけです。実例として輝けるフランスの陸軍、これは全く部隊として見れば輝けるフランス陸軍ですよ。このフランス陸軍があの通り、ちょっと本国から離れるとああいう格好になる。しかしこれも善意ですよ。おそらく今反乱を起こしたといわれる人たちは、フランスのためである、そう思っていると思うのです。この善意は私否定しないけれども、その善意の認定の仕方によって国民に迷惑をかけ、世界の平和に迷惑をかけている。私は治安出動を考える場合に、善意であろうけれども、いかにして自衛隊が勝手に動くことを押えることができるのかということは、常にわれわれは工夫しなければならない問題だと思う。私どもの方からもいろいろ言われておりますが、統幕強化は行なわれたわけです。そうして有事の際には、かなりに敏速に動くことが可能だと言われます。しかし僕らは逆に考えてみますと、それぞれの新聞、雑誌の解説等を見ましても、あるいは陸幕の責任者が言うようなことを見ますと、今度の十三個師団のやり方は、どうも治安出動に便ならしめるために、もう一つは建設部隊を各師団に置く、これはもう師団分割の主眼点だというふうなことを言われているわけなんです。そうしますと私どもはどうも不安になってなりません。一体日本のどとに、十三カ所も一万ないし八千くらいの軍隊を置かなければ、日本の治安が保たれないものか。これは私は前の杉田発言とかそういうものを別にしてお聞きするわけですが、そういうふうな不安というものがあるのでございましょうか。それとも純然たる軍事上の要請によってこの案が立案されているのかどうか、それをお聞きしたいのです。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 毎回繰り返して申し上げて恐縮でございますが、自衛隊の任務は直接侵略、間接侵略並びに公共秩序の維持、こういうふうになっておりまして、従って自衛隊の任務は治安維持そのものではないのであります。しかし自衛隊が治安維持をやることも当然の任務だ、こう考えております。問題は従って御議論のように、十三個師団編成がえした、そこにおいて自衛隊の任務が変わってきたのだ、私どもはそういうふうには御説明も申し上げてないし、またおそらく大多数の国民もそうはお受け取りにならぬ。ただ現在の十単位のものを十三にするのは小型にした方が能率が上がる、こういうことなのでございます。この間も六百台の車をぞろぞろ連れて歩くよりは、三百なり三百五十のもので機動的に動いた方が日本の地形に合う、この観点から十三に分けた。ことに少し片寄っておりました。たとえば中国方面は災害がありましても、大阪まで連絡を頭脳的な本部には求めなければならぬのが、少なくとも中国に一カ所頭脳ができれば、それだけ支店がふえたようなものでございますから便利になる、そういう点も考えておるのでありまして、私どもは国内に十三に分けて国民を押えつけようという意思は毛頭ないのでございます。と同時に、災害や天変地異があったときには、そこにまたそういうものがあることは、むしろ国民に安心感を与える。善良なる国民はこれによってむしろ積極的にたよって下さるであろうと私は確信をいたして、十三個師団を御提案を申し上げておるのであります。

石山權作日本社会党

○石山委員 第二次五カ年計画による増強案はまだ作成されないと言っておりますけれども、増強の方向をたどるということになるでございましょうか、どうなんですか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 これは先般も御説明申し上げましたように、防衛局と申しますか、事務の段階におきまして案は練ってもらっております。また国防会議の参事官クラスの専門の御意見等も、各省関係多少はお打ち合わせはしておると思うのでありますが、まだ防衛庁としまして、防衛庁長官の段階におきましてこれを論議する段階までは来ておらないのであります。ただ事務の方から、先般も国会で防衛局長が御答弁申し上げましたように、陸なら陸については一応一次計画で十八万ある。それを防衛局としてそれくらいの線は目標にしていとうじゃないかという案は検討しておるということは、私もこの間の国会の答弁を通じて聞いておる次第でございます。

石山權作日本社会党

○石山委員 少ない自衛費、少ない防衛力で最大の効果を上げるということが目的だろうと思いますが、今の自衛隊はそういう目的に沿うているわけですか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 もちろん私は、現状のまだ貧弱な中におきましてその目的に沿うように努力しておりますが、より以上これを充実し、整備して、さらによりよい御奉公を申し上げたい、こういう考えであります。

石山權作日本社会党

○石山委員 貧弱な自衛隊ですか。貧弱な自衛隊が旧軍隊の三十倍以上の火力を現在持っている。これで貧弱だとは私は言えないと思う。アジアにおいて中国を除いては、日本の軍隊と肩を並べ得る——軍隊じゃない、自衛隊だな。自衛隊と肩を並べ得る軍隊があったとしたらお知らせ願いたいと思う。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 私からお答えします。なるほど十分でないかあるかということは、議論の分かれ目もありましょう。しかし私どもは、さっきも例示いたしましたけれども、現在の装備では欠点があるのではないかと御指摘なさいます。銃が曲がっているじゃないか、それからタンクが古くて困るじゃないかと参議院の社会党の方面からも、決算委員会等ではさんざんおしかりを受けるのであります。そういう面からいきますと、私どもはやはりそういう面は更新したい、そういう気持も持ちます。またそれによって初めて人的な訓練が生きてくる場合もあるわけであります。もちろんこれは国力国情というものを考えつつやって参らなければならぬと思うわけであります。それから火力が大きくなったじゃないか、これは事実でございます。戦前の軍隊よりは今の軍隊の方が火力は多いのであります。しかしこれは全体の科学の進歩という中においてお互いに見合っていかなければならぬのでありまして、科学の進歩以前の姿と今とを比べるわけには参らぬのではないか、こう考えております。

石山權作日本社会党

○石山委員 防衛局長、私が問うていることは、貧弱だという日本の兵備力は、中共、ソ連を除いて、アジアで日本を上回る戦力のある国をあげていただきたいということを言っているわけなんです。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 お答え申し上げます。その前に、先生から現在のわが管区隊は旧日本師団に比べて数十倍の火力、こういうお話がございましたが、私どもの手元の数字ではそのようにはなっておりません。これは先般の当委員会におきましても御説明いたしましたように、師団の火力というものの比較はなかなかむずかしゅうございます。先般申し上げましたように、単に編成装備表にあります火器類を全部同時に撃つということは、まずあり得ないわけです。これが機動力ということとかみ合わされまして、具体的に地形、状況下におけるいわゆる実際の火力としてどうなるかということは、それぞれの検討が必要でございますが、これは非常にむずかしくなりますので、試みに各師団の編成装備表にあります火力を同時に全部撃ったという仮定で計算いたしますと、現在の管区隊は一分間に約十九トンの火力です。これは旧日本師団に比べますと、現在の管区隊を一といたしまして、旧日本師団は〇・四八、すなわち旧師団に比べて二倍ということになります。そういう比較をいたしますと、私どもの手元にございます資料では、たとえば米歩兵師団は一・三倍、ソ軍の狙撃師団は一・四五であります。こういう数字がございます。さらには韓国の歩兵師団もやはりわが国の管区隊と同じような編成でございますので、火力はほぼ同じ、北鮮またしかり、そのような状況になっておりますので、御了解願います。

石山權作日本社会党

○石山委員 鉄砲かついでトテトテ歩いている陸軍ばかり言っているのじゃないか。海軍や飛行機あるいはロケット装備等の問題をみな伏せて、一番比較しやすいところを言っているというのはけしからぬじゃないか。こういうことを言ってわれわれの言うことを甘く過ごそうというのはいけないことだと思う。もう一ぺん全体の兵備力の比較をば私は聞きたいのでございます。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 私のお答えが十分でなくて申しわけございません。私どもの手元にありまする数字で申し上げますと、国府が二十四個師団・四十三万、海兵隊を含んでおります。艦艇は百九十九隻で約十四万八千トン、戦闘機は三百、戦爆撃機二十、そのほか百八十を含めて五百、これが国府軍の装備であります。韓国におきましては十九個師団、六十三万、海兵隊を含んでおります。フリゲートその他で七十五隻、約五万三千トンの勢力である。航空機は三百機であります。フィリピンは御存じのような状況でございますが、予備師団四個師団を含めまして全部で三万三千、艦艇は二万九千トン、戦闘機等は百五十機、こういう数字が一応ございます。次に極東ソ軍というものの数字は、一応三十三個師団で四十五万、艦艇は七百隻、五十万トン以上、航空機四千二百機以上。それから中共でございますが、これは百十個師団、二百五十万、公安隊を含みます。艦艇は六百四十隻で十七万トン前後、空軍につきましては三千機、約三十万人と推定しております。北鮮は十八個師団、五個旅団で五十四万、公安隊を含みます。艦艇は百隻で一万七千トン、航空機九百九十機、こういうのが一応私どもの手元にある数字でございます。

石山權作日本社会党

○石山委員 そうしますと現われた軍備の力、ひそんでいるところの人口、経済力、こういうものを総合してみますと、私ども日本の力というものは、ソ連、中国を除いては第一等の国であるというような印象を受けるわけです。それを長官に言わせるならば貧弱なる自衛隊だと言う。なぜそういう言葉が出るか。それはソ連、中国のような大国をば想定しているからです。それと肩を並べたいからなんです。だから貧弱という言葉が出る。しかし人口、国土、こういうものと引き比べてみれば、私どもはソ連とも中国とも肩を並べているというのが現状だろうと思うのです。それがとにかく貧弱に見えるということは一体何だろう。私は思うに、どうも向こうの国々の人々をば敵だというような——敵だと言って悪ければ不信感を持っている。太平洋の遠いアメリカは大へんになつかしい人なんだ、ここに私は問題があるのではないかと思う。身分不相応な自衛力を養わなければならないというのは、ここら辺から問題が出ていっていると思う。長官、あなた、私の言うことわかっていますか——では御答弁をいただきましょう。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 申し上げますが、私どもは国防費の比率をいつも申し上げるのでありますが、国防費の比率を申し上げましても、日本は近代国家としては、国民所得に対しましても、予算の中に位します国防費の地位が世界最低でございます。日本のように一・四三なんという国防費のパーセンテージを持っている国は、日本以外にはないのであります。これは遠くソ連の例をごらんになりますと、国民所得の一六%である。西ドイツをよく敗戦国の例として比較いたしますが、西ドイツにおいても五%程度国民所得に対して防衛費を持っております。日本の場合には本年度においては一・四、あるいは取り方によっては一・四を切っておるのであります。その意味で私は安いと申し上げた。また現実に装備等をごらんいただきましてもけっこうでございます。私はいつでも御案内申し上げますが、雨の漏るような施設の中で暮らしておる航空隊もあるのであります。トタン板の中で暮らしておる航空隊もあるのであります。それらにつきまして国土を防衛しようという場合におきましては、せめてそういうものくらいは人間並みにわれわれはしたい、こういうような考え方もやはり装備改善の一つ、施設改善の一つに入ってくると思うのであります。  それから、なるほど韓国やなんかとの比較の問題はありますけれども、これも一億の人口を持っておる国と、千万単位あるいは千万以下の人口を持っておる国の陸軍なり、あるいは海軍なりと比較いたしますれば、私は日本は多過ぎるどころではない。まだ国力国情に応じていま少し防衛努力をやっていいのではないか、こういう考え方で申し上げておるのであります。

石山權作日本社会党

○石山委員 雨が漏ったりしたのは、これは直してあげなければいかぬ。それからベッドが二段にも三段にもなっているのは、これは一段にしてあげなければならない。職業軍人と下級隊員との給料の差はなるべく縮めてやるというふうにわれわれは考えておる。こういう点はわれわれちっともやぶさかでないのです。私の言いたい点はそういうことではなくして、先ごろ新聞にも出ておりましたが、防衛局長は西村長官と池田総理に、西ドイツの指数をば種にして、いたぶったというような表現が新聞に書かれておる。そろそろ防衛庁は時の政治をば左右する端緒が始まってきたというふうにわれわれはとれる。西ドイツの場合との数字の比較だと思うのですが、たとえば社会保障がちゃんとできておる国、生活が一定の安定を保って、その上に貯金か、あるいは衣服か自動車を買うというふうな費用を持っている国々と、日本の国を同一の考え方で比較をするということは、これは防衛費そのものの量を見ては私は当たらないと思うのです。私はそういう比較の仕方ではいかぬと思うのです。今防衛庁で出している資料というものは、平面的になでたところの防衛費だけじゃないですか。アメリカの防衛費を見てごらんなさい。表面に出ている防衛費と関係産業に投資されている防衛費をくっつけてみたら、それはいかにも大きいように見える。大きいように見えるけれども、向こうの国の所得を考えてみれば、日本から見れば、これはまだまだ小さいと言い得るのではないか。日本の国のように、池田内閣になってから特にそうでしょう。公共料金は上がる、税金は約束を守らない、そうしまして社会保障はついていないとするならば、われわれから出す防衛費というのは、まるまるわれわれの身のうちから出る。もっと強く言うならば、われわれの血肉から分けてやる防衛費ということになる。よその方はそうじゃないのですよ。よその方の国では、たとえば服を何着も持っておるという。われわれはお客さんに呼ばれて、夜どこかの家に行きますけれども、このまま行きますよ。外国に行ってみたことのある人はだれでもわかる。夜になって招待を受けたら、どういうふうな格好をしていかなければならぬか。みんな衣服を取りかえていくじゃありませんか。だんな様ばかりじゃございませんよ。御婦人もみなちゃんと礼服を着て行かれるようにできている。そういう国々と同一な考え方で表面の数字だけをながめて、長官、ながめてですよ。日本の防衛費は安いなどとは何です、あなた。防衛局長も防衛局長だ。西ドイツとのあんな比較の仕方をして、日本の防衛費は安いなどとはどこを押せばそんな音が出るのです。全くもってこれはけしからぬと思う。もうそろそろ内局は軍服に突き上げられて、日本の経済の全体、民生安定を見ないで、ただ軍備の増強をはかろうとするお手先をかついでいるのじゃありませんか。内局強化どころの話じゃない。全くですよ。資料の出し方というものをもっと正確にしなさい。そうでなければ、皆さんの撃ったたまなんか決して敵地に落ちやせぬよ。そんな数字の出し方ではたまはみんな狂って飛んでいってしまう。まことにたよりにならない自衛隊ということになる。  私は経理局長にお伺いしますが、今度の三十六年度予算におきまして、国庫債務負担、継続事業費は総計でどのくらいになるでございましょうか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 経理局長はただいま参議院の方へ回っておると思いますが、いずれ参ります。それから私御質問の御趣旨を十分とれなかったのでございます。失礼でありますが、もう一ぺん御質問の要旨を教えていただきたいと思います。あなたの御質問をちょっと私聞きそこないましたから……。

石山權作日本社会党

○石山委員 今聞いたのは、国庫債務負担と継続事業費が何ぼになるかということです。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 国庫債務負担行為と継続費の後年度にわたっての総計は、二千億くらいだと私は覚えております。二千億円くらいが後年度にわたる国庫債務負担行為と継続費の総計でございます。

石山權作日本社会党

○石山委員 それは最終年度は何年になりますか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 私、詳細の資料を調べさせますが、飛行機とか艦艇とか、ものによってでございますが、年度がたしか四年度で、ロッキードのごときは三十九年であります。それから艦艇はものによって七年、八年と、こんなふうになっているのではないかと思います。

石山權作日本社会党

○石山委員 これは担任者が来ないのでちょっとわからないかもしれませんが、ついでにもう一つ調べていただきたいことは、最近五年間で防衛費のふえていった額が大体どのくらいかということも、一つお調べ願いたいと思います。

加藤陽三防衛庁参事官(長官官房長)

○加藤政府委員 いずれ後刻経理局長が参りまして詳細な御説明をすると思いますが、手元にあります資料で申し上げますと、国庫債務負担行為は、昭和三十六年度は二百九十四億三千五百万円でございます。それから継続費は総額といたしまして二百十億三千七百万円、三十七年度が五十四億五千四百万円でございます。  それから防衛関係の費用の予算の推移でございますが、昭和三十年度が、防衛庁費と防衛支出金と合わせまして千三百二十八億円、昭和三十一年度が、同じく防衛庁費と防衛支出金と合わせまして千四百八億円、昭和三十二年度が同上の合計で千四百十二億円、昭和三十三年度が千四百六十二億円、昭和三十四年度が千五百三十三億円、昭和三十五年度が千五百七十六億円、昭和三十六年度が千七百七十七億円、かように相なっております。

石山權作日本社会党

○石山委員 私は何だかその数字はこれに出されている数字とだいぶかけ離れているように見えてなりません。これは数字のことですから、私は取り急いで聞く必要はないと思いますが、ここで概算してみますると、国庫債務負担、継続費は約千億円というふうに見ているわけですが、二千億というと、なおさら防衛費は年度割にしましても、それは加算されていくということになります。西村長官の御意見になりますと、もしかりに五年間とすれば、毎年四百億ずつ重なっていく。私は一千億でも第二次五カ年計画では二百億円ずつ重なっていくから、大へんな問題だと考えておりました。本年度の一千七百七十一億に対して、平均化されて足されていく。二千億だ。しかし国民は一千七百億だ。皆さんの方ではこういうふうな隠れみのでやっていらっしゃるわけですね。しかし実際は安いというように防衛費を見せたいものですから、これを国庫債務負担行為にして隠している。長官の言い分を聞くと、二千億というじゃないですか。そうすると四百億だ。それであなた、どこを押して安いなどと言えるのですか。私はきょうはこういうことを長官に聞いていただきたいと思います。これは二十六才の女性の文章でございます。この人はお嫁さんになりまして、しばらく新聞、雑誌その他をあまり詳細に見なかった。しかし最近どうも世の中があわただしくなったので、新聞と地図をにらみ合わせて見たというのです。そしたらこの人は、日本の国が大へん小さいということを発見したと言っています。世界地図を見て、大へん小さいことをあらためて発見して驚いた。しかもこの中には九千万の人々がひしめき合っている。その次です。しかもお隣の国は、科学の発達した大きな国、これを仮想敵国のように考えて、防衛費をどんどんふやしている。あまりにも無謀ではないだろうか。防衛費は、社会保障費と学校教育費に回すべきだという私の考えは間違っているでしょうか。こういうふうにこの女の人は言っているのでございます。ここで私は考えたいのは、国民の素朴な純真なこの考え方は、皆さんのような高度な、国の政治を指導される人から見れば、否定さるべき考え方でしょうか、大切にしなければならない考え方でしょうか。一つお聞かせ願いたいと思います。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 もちろん一人の女性の意見でありまして、民主主義の国におきましては、一人の意見も尊重しなければなりません。しかしながら一人々々がその置かれた環境から、小さな素朴な窓から物事を見る判断も大事でありますが、同時に国全体の視野から、あるいは世界情勢の視野からものを見る判断も必要であろうと思います。そこで政治に関係する者としては、できるだけ国民の意見を聞くと同時に、また国民に対して啓蒙と申しますか真実を知らせ、情勢を訴えるということも必要だろうと思うのであります。私はその認識、必ずしも正しい認識とは思いません。その女性の認識は、その置かれた立場において、真実といいますか、情勢というものを把握されておらないという結論から、日本の国防費のあり方を御議論になったのだろうと思います。  先ほど継続費や国庫債務負担行為が隠れみのではないかとおっしゃいますが、その点は私は違うと思います。継続費や国庫債務負担行為も国会において、この委員会で同じように慎重審議をお願いいたしました結果、国民の意思によってきまっているものでございます。決してこれは隠れみのでこそこそと防衛庁限りで勝手にやっておるものではないということを、一つ御認識いただきたいと思います。

石山權作日本社会党

○石山委員 私はこの女性の言っていることは真理だと思うのです。正しいと思うのですよ。しかし皆さんの政治がこの正しいことをゆがめてしまうということに気がつかれないでございましょうか。そして言う言葉は、狭い窓から世の中を見て。狭かろうが、広かろうが、正しいことは正しいと受け取ることが私は政治の要諦だと思う。ところがちょっと上に上がって、この女性の言う真実というものをば見下したような考え方で政治をとろうとしているのは、これは保守党の特権ですか、性格ですか、あなた個人のそういう性格なんですか。私はこの考え方は間違っていると思わない。その面は正しいのじゃございませんか。どこが一体正しくないと言えるのです。ただその正しさが現実に応用できるとか、応用できないとか、今は無理だという話はわかるけれども、正しくないというのは何事なんです。御答弁をいただきましょう。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 世界じゅうが無防備になり、それから全部完全軍縮ということであれば、一つの人類の悲願でございます。その意味からいっての正しいとか正しくないとかいう議論であるならば、これはまたそういう意見も立つでありましょう。私どもは、現実の政治をやり、現実の責任を持っておる。またあなたも同じような現実の政治家だろうと思うのであります。理想家ではない。政治家である以上は、やはり現実を直視しつつやっていらっしゃるのではないか。その論点から見て、私は純心な御議論であろうと思いますけれども、その方のお立場というものをそういうふうに判断したわけであります。

石山權作日本社会党

○石山委員 私はこういう考えをば尊重していかなければ、政治というものは濁ってしまうということです。国民のおそらく半分は女とするならば、私は女性の素朴な考え方は、これに似通ったものがたくさんあるのではないかと思うのです。それからきょう私は高輪からバスに乗って来たのですが、いわゆる日本の財界や政界の指導階級のむすこたちが入るという有名な学校を二つ前を通ってくるのです。そこの正門にびたっと防衛二法は絶対反対というビラが下がっている。その学校はわれわれ貧乏人の入る学校じゃ、ないのです。そこにそういうビラがかかっている。私は若い人たちの純真というものは、そういうところにあるのではないかと思うのです。ですからぼくらとしましては、濁った現実悪に片足をかけなければこの世の中が渡っていけないとしても、国民のこういう考え方にこたえるためには、努めて安い経費で防衛というものを考えなければならぬのではないか。これにこたえるのが政治家の任務だ。そうすると、ここに御婦人の簡単な言葉で言う、お隣の国は科学の発達した大きな国、これを仮装敵国としていることは、こういうことも私はうなずける正しさではないか。あなたの方こそ故意に広い窓々といって、アメリカの方の窓はあけているのだろうけれども、北の方の窓は春になっても開かぬというやり方じゃないですか。あなたこそ目の前が狭い。この人は二十六才で人生の経験は浅いかもしれぬけれども、世界全体を見ての言葉で、あなたよりも広い窓で見ているのではないかと私は思うのです。あなたの方がよほど狭い。自衛隊という窓、防衛庁長官という窓だけで見ている。そうじゃございませんか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 それはたしか新聞の投書に出ていた御意見だと思いますが、私も拝見しております。なるほど女の純真な方は、地図に書いてある大きさだけを見て物事を御判断なさる気持もわかるが、それと同時に私も世界各国、共産圏、自由圏をつぶさに見ている男でございます。現実の姿を見まして、世界の置かれた現状、それに片足を現実におかけになるというが、政治をやる以上は、現実に両足を置いて理想に持っていかなければならぬ。片足だけでは政治はできないのでございます。第一にしっかり現実の姿に足をつけつつ、しかも一つの理想なり政策に向かって推進する、その場合に国民の個々の御意見も尊重するが、同時にまたその中でわれわれとしては国民に対して訴えるべきものは十分訴え、そうして民主主義的な方法でものをきめていく。慶応かどこか知りませんが、そういう大学にビラが張ってあったのも、それも一つの意見でしょう。しかし同時に私どものうちには、早く防衛二法案を審議したらどうだという投書もまたたくさん参っております。

石山權作日本社会党

○石山委員 では長官、あたなはこういう御婦人のことは否定されるというふうにとってもよろしいのですか。もっと何か弁解したいのですか。否定するなら否定をなさいよ。こういう考え方はけしからぬというふうに否定できないでしょう。否定できるなら否定できると言って下さいよ。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 私は理想論としては一つの考え方だと思います。しかし現実に両足をちゃんと置いて、そうして世界あるいはその他の状況すべてを判断してみると、その御意見に対しては、私は個人の意見ではありますけれども、それだけをすなおにそのまま政治に反映するわけには参りません。こういう趣旨でございます。

石山權作日本社会党

○石山委員 西村長官はもっと前向きに人生とか世界とかを見、そして政治を行なっていただけると私は思っていたのですが、どうもそういうフレッシュな心がないようで非常に残念です。  次にお伺いしたいことは、私はやはり金のことを考えるものですから、兵器といわゆる日本の関連産業のことを少しくお聞きしておきたいと思います。特にこの第二次防衛計画は、西村長官は一生懸命だけれども、池田総理はあまり熱意がない、こう世間でもっぱらいわれているわけです。池田総理の頭にあるのは所得倍増、国内消費を高めて、そして産業の発展を考える、こういうように言っております。西村長官、一生懸命やることはもちろん長官ですからそれは任務でしょう。その背後に第二次五カ年計画をば執拗に進めていく一つの理由として、関連産業の業者が著しく結束をして、圧力団体になって第二次防衛計画を推進している、これが裏話だといっておる。しかしまあ裏話の存在とかそういうことは別にして、私のお聞きしたい点は、たくさんの兵器をばお作りになるわけであります。ですからたとえば飛行機一機一億円としましても大へんな額になるのでございますから、われわれとしては先ほども何べんも申し上げたように、安い経費で完全なものをというふうな欲ばりの考え方でございますから、兵器のコストに対してはかなりに鋭敏なのでございます。神経質でございます。お伺いしたいことは、今度の兵器の中で、新三菱重工からは、どうも契約はしたけれども、おもしろみがないので困っている、ある会社からは契約をやめる、こういうふうに言ってきていると聞いておりますが、現在は生産や計画等はそごを来たしていないのかどうか、これをまず第一にお伺いしたい。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 防衛生産の問題でございますが、私は防衛生産力というものはもう少ししっかりしたものだと思って防衛庁長官になってみたのでありますが、石山さんも防衛庁長官になられてみますとおわかりになるのでありますけれども、予想外に日本の防衛生産力というものは貧弱だ。金鉱工業の生産額の一%でございます。一%ということは、かりにパーツを補給しようと思っても、その能力がないという危険性がまだ多分にある。そして高いものをよそから買わなければならぬというようなことも起こりましょう。またある火薬なりその他のものを受注しようと思っても出血である。それだけの設備をしても将来見込みがないなら出血受注は受けられぬと言う。防衛生産力は貧弱でありまして、むしろ私はそういう方面からいま少し防衛意欲的な声が上がってくる方が望ましいと思っているくらいであります。防衛生産の面から私に圧力がかかってくるということは毛頭ないということを申し上げたいのであります。なお今の具体的な状況につきましては、装備局長から御答弁申し上げます。

塚本敏夫防衛庁参事官(装備局長)

○塚本政府委員 防衛生産に関していろいろ石山委員から話がありましたが、確かに値段等につきましては相当予算面上苦しい点もありまして、業界の方に相当値下げを願っておる面はあります。そういう面から新聞等には出血だ、あるいは非常に苦しいというような声が出るのではないかと思います。ただ中にはやはり予算面上赤字になっておるところもないではありませんが、大体においてとんとんあるいは幾らか利益が出るというところにはいっていると思います。

石山權作日本社会党

○石山委員 たとえば三菱化成では、これ以上防衛庁のおつき合いはできないと言って、この三月で砲弾用火薬の生産は辞退する旨を申し入れた、こういうふうに言っているのですが、これは事実ですか。

塚本敏夫防衛庁参事官(装備局長)

○塚本政府委員 火薬の点につきましては、これは従来火薬につきまして設備維持のための補助金が出ておったわけでありますが、これは通産省関係で出しておったわけであります。これが廃止になりまして、その設備を維持することができなくなったということで、廃止する面も出てきているような状況であります。これにつきましては現在のところまだ火薬につきましては手持ちがありますので、すぐという問題ではないのでありますが、将来についてどうするかということは検討しなければならぬ、かように考えております。

石山權作日本社会党

○石山委員 特車——今度西村長官は戦車と直したかどうか、私よくわかりませんけれども、特車の修理はすげなく断わられたので、どうしてもこれは北海道の日本製鋼室蘭、ここまでみな持っていって修理をしなければならないというふうに新聞は報じていますが、そういう形態になっておりますか。

塚本敏夫防衛庁参事官(装備局長)

○塚本政府委員 特車の整備につきましては、そういうような事実もあります。

石山權作日本社会党

○石山委員 これは各産業界がわざといやがらせをやって、そうして第二次五カ年計画を立てなければ、私の方では設備が不可能だから受け取りませんよという意思表示か、もう一つは、少量であるにもかかわらずわれわれは納めなければならないのだから、設備投資のお金をばよこさなければいやですよという表現か、どっちなんです。

塚本敏夫防衛庁参事官(装備局長)

○塚本政府委員 全体につきましては、やはり早く長期の計画を示すということが必要であろうと思います。ただ特車の整備につきましては、これはそういった新たな設備を作るという問題もないのでありまして、さしあたりやはり経済を考えまして、ほかの方に転換したいという意向が強いために、そういうような結果になっております。

石山權作日本社会党

○石山委員 例のF104の問題についてお伺いしますが、新聞によりますとこういうことを言っております。簡単に申しますと、われわれはたとえばF104であっても日本で作りたい、部品も日本で製造したい。しかしそうすると今の状態では大へんに高いものにつくようでございます。安いコストでF104をやるとすれば、アメリカの製品を多く使わなければならないというふうに言うております。ここで長官、考えなければならないのは、日本の防衛とそれに使用する兵器と、兵器を作るところの産業との関連、一体どこに中心を置いておるのか。安いものをば唯一に考えれば、アメリカの余り品であるかお古品であるか知らぬけれども、今の兵器はアメリカの兵器でございますから、アメリカからおおむねのものを買い入れなければならない。それでは日本の産業は、せっかく防衛庁の兵器産業によって息吹きを吹き返そうとしている機械産業は、当てがはずれる。さればといって、日本に産業を育成するといって皆さんの方から発注すれば、大へんなコスト高の現象が起きるというジレンマがあるわけなんです。これは技術ではなくて、あなたたちの政策の問題でございます。国防会議等ではこの問題をばどういうように論議をされているか、聞きたいのでございます。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 私の所信を申し上げますと、国のあるいは政府の方針としましても、防衛産業の育成、言いかえればこれは兵器の国産化という言葉になろうと思いますが、この方針は堅持して参っております。問題はしかし国力と申しますか、国の財政力を考える、また効率化というものを考える。一方防衛産業には関連産業が多いのでありまして、単にこれは投資しておる人間あるいは金融しておる人間だけの問題ではなくして、そこに働いておるたくさんな労務者あるいは労働しておられる人たちの生活の問題もあるわけであります。また関連産業、下請産業というものは相当大きなものもありましょう。そこで私の所信といたしましては、なるほど非常に膨大な、国力に応じられないような設備投資を要するようなもの、あるいは技術がまだ非常に無理であるというようなものについては、外国に依存しなければならぬこともありましょう。しかし同時に防衛産業は兵器々作るのであります。あるいはそれに関連した関連器材を作るのであります。従って有事即応ということを考えた場合においては、ある場合にはパーツその他を日本国内で生産されなければ、ものがあっても補給が続かない。これはナンセンスであります。そこでその場合においては最小必要限度は、経済ベースの問題をこえても、やはりこの防衛産業は育成して参らなければならぬ。従ってそういう場合においては、ある場合には金利補給の問題、あるいは一つの方法として補助金政策も考えられましょう。また場合によっては小型な兵器廠というような構想も出てくるでありましょう。こういったような形で、やはり防衛産業の基盤は国力に応じ、国情に応じて育成はして参る。ただその間に財政力も勘案し、また国情も勘案した輸入品というものも多少は考えて参る、こういう方針のもとに具体的にはこれを進めて参りたい、これが私の考えでございます。

石山權作日本社会党

○石山委員 ある学者は、これからの科学の発達は、ミサイル開発をすることによって科学産業その他が発達する。これからの産業はおそらくミサイル開発によって動くだろう、こういうふうに言っております。防衛庁といたしましては、このミサイル開発に対して今度の予算措置として重点を置いたかどうか、この点を一つお聞かせ願いたい。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 予算措置の具体的内容につきましては、装備局長その他から御説明を申し上げると思いますが、ミサイルにつきましては、毎回この委員会を通じて申し上げておる通り、兵器の近代化という意味からは、われわれは開発をやはり続けて参る。必要に応じては国内生産にも移らなければならぬものも若干はあると思います。ただ問題は、ミサイルと申しましても私が申し上げておりますように、あくまでも防御的な性格であります。防空的な観点からでありますから、日本の国情に応じた小型化と申しますか、そういう面を中心に考えていかざるを得ない、こういうふうに考えてミサイル装備あるいはミサイル開発、そういう観点からの予算措置なり予算御審議を願っておるわけであります。

塚本敏夫防衛庁参事官(装備局長)

○塚本政府委員 ミサイル開発に重点を置いたかということになりますと、ことしの予算におきましては、去年より一億程度はふえておりますが、重点というところまでにはいっていない、かように考えております。なお合計八億でございます。

石山權作日本社会党

○石山委員 八億という金は防衛庁費から見れば小さいですが、ことし一億ふやしたという勘どころは一体どこにあるのですか。

塚本敏夫防衛庁参事官(装備局長)

○塚本政府委員 これは従来はミサイル、特にAAM、空対空であります。これはパーツごとの試作をやっておったのでありますが、大体総合的なところまでいきそうだという点におきましてそういった増額をいたしたのでありまして、重点と申しますとそういったところではないか、かように考えております。

石山權作日本社会党

○石山委員 秋田の道川で糸川博士が盛んにミサイルをやっているのですが、防衛庁ではそれを見学しておりますか、あるいはそれの研究に補助費等を出しておりますか。

塚本敏夫防衛庁参事官(装備局長)

○塚本政府委員 糸川博士のロケット打ち上げのときに防衛庁から行ったかどうかは、私まだちょっと聞いておりませんが、それについて防衛庁としては補助はいたしておりません。

石山權作日本社会党

○石山委員 これは万年筆ロケットだといわれておりまして、世界では特異な存在だ。一ころこれは兵器に寄与するというので大へん問題になったわけです。しかしそれは別です。別にして防衛庁として日本で唯一のロケット開発をなさっているときに、係官が一人も立ち会わないとか、そんなふまじめな話はないじゃないですか。訓練係でも何でもいいのだと思うのだが、だれも行きませんか。何も関係がないということですか。

塚本敏夫防衛庁参事官(装備局長)

○塚本政府委員 行ったかどうか私ちょっと今まだ聞いておりませんのでつまびらかにしておりませんが、ただそういった糸川博士の研究につきまして、技術研究本部も当然関心は持っております。

石山權作日本社会党

○石山委員 行ったかどうかはわかりませんけれども、関心は持っている。おとめの恋心みたいな話をしてはいけませんよ。その考え方は何ですか。私はそういうことに問題があると思うのです。関心があったら突き下げて、今度何月何日に秋田県の由利郡道川というところでロケットの試射があるのだ——気象関係もあるでしょう。防衛庁には気象関係もあるはずです。皆さんは金をかけている。金をかけているにかかわらず、研究しないということは何事です。しかも糸川博士以外には日本ではだれも研究していないのですよ。それはやはり忠実なやり方とは思われませんので、もっとまじめにやっていただくように、長官、特にこの点要望いたします。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 装備局長は内局でありまして、技術研究本部という付属機関として膨大なものがございます。具体的に行ったか行かないかという問題ではなくて、技術研究本部としても非常な関心を持っておりますから、それらの発表、あるいはその研究というものは、当然研究いたしております。またこの方の系統の学者といいますか、関係方面でも、アメリカのケープカナベラルと申しますか、軍のミサイルの発射基地を先般も団体を作っておいでになったくらいでありまして、そこで私は両者が両方に関心を持っているということは当然だと思います。またやっていると思います。

石山權作日本社会党

○石山委員 おそらくまじめな防衛庁の方々のことですから、局長がお知りでなくても、行っているだろうと思いますけれども、それが内局に上がってこないところに——特に国会ではこういう問題はかなり論議されるということが、私はわかるだろうと思う。上がってこないところに私は問題があると思います。ですから私たちは、たとえば治安出動の問題について、杉田さんの発言の問題の真相を本人から聞きたい。そうしたら、内局でこれは十分やり得るなどと言うのですが、こういうものですね、委員長。まことにこれではたよりのないような感じがいたしますので、私はその点についてはまず伏せておきますが、あとで御調査をなさって御報告を願います。  それで長官、あなたのお得意とするところの問題に私は進んでいきたいと思いますが、これは言うところの軍人精神の問題でございます。日本の自衛隊をどういうふうに育成していくかという考え方、私は何回も申し上げるように、日本の自衛隊というものは、アジアでは中国、ソ連を除いては一番大きな格好になった。日本の国ではいろいろな名前をつけているのだけれども、外国ではこれは軍隊として通っていることは、間違いのない事実なんです。この間違いのない事実を、私たちはいかにして新しい時代の国を守る自衛隊に仕立てていくか、まだ歴史が浅いのですが、仕立てていくという工夫がこの場合特に必要だろうと思う。私たちはこの軍人精神というものは、外敵と戦う場合にもたくさんの素養が必要だと思います。たとえば旧軍隊が満州で犯したような罪、こういうことも絶対に排撃しなければならない。もう一つ、今度のわが自衛隊の任務は、治安にかなりのウエートを置かれたというふうになってきますと、日本の軍人精神というか、自衛隊員のものの考え方というものは、近代的に訓練され、ある意味では洗脳されなければならない職業軍人もあるのではないか、こういうふうに私は考えるわけですが、隊員を訓練する支柱は一体何本ぐらいあるのでございましょう。支柱の数をあげて、一つそれを例として二、三お示しを願いたいのでございます。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 自衛隊並びに自衛隊員の服務の本旨というものは、自衛隊法で国会で国民の意思によってきまったはっきりした精神があるわけであります。言いかえますれば、その自衛隊法に書いてありますように、規律あるいは団結あるいは同時に率先して国民、国土の守りのためには危難にも挺身しなければならぬというような各種の要素がございます。あるいは民主主義下における一般社会人としての教養ももちろん大事でございます。同時にまた、軍の特有の一つのそういった服務の性格というものも、この中に入って参るわけであります。それらを支柱としてやっておるわけであります。

石山權作日本社会党

○石山委員 槇防衛大学長が毎年新入学生に行なう言葉というのが出ております。それを読んでみますと、均衡のとれた人、民主主義を理解する人、二、防衛の任務と順法の精神、三、名誉と義務、四、規律、自主、信頼、五、服従、個人、集団の意義などをちゃんとわかるようにしなければならないというふうに説いておるようでございますが、これも自衛隊の中の訓練、精神訓練と申しますか、道徳訓練と申しますか、こういうのも、普通一般の隊員にもこんな考え方でやられておるのか、それとも昔からよくあるところの軍人精神、ああいうふうなもので訓練育成されているのかということをお聞きしたいのです。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 もちろん軍人精神といわれる中にも取り入れるべきものは当然ございます。たとえば勇気であるとか決心であるとか、あるいは規律であるとか、これは当然万国共通のものだと私は思うのでございます。軍隊的なあるいは軍の性格からくる当然の要素であります。しかし民主主義下の軍人あるいは兵として特に要請されておるものは、何と申しましてもその前提は人を尊重する、人間性を尊重する、また個人の自覚、これは何といっても強い要請だろうと思います。命令だからとただいいましても、そこに個人の自覚を持ってその命令を守って参る、規律といってもただ機械的にごまかし、かつての軍隊で言われた面従腹背、これはかつての軍隊の一番欠点だろうと思います。こういうものをなくなす。  従ってこの機会に申し述べさせていただきますが、現在の自衛隊では比較的それが少なくなってきた。昔は員数をそろえるためには人のスリッパを持ってきてもそろえる。こういうことは現在の自衛隊ではないのでございます。また本人の自覚を促さないでただビンタを張る、こういうようなことはもちろん今日は全然ないのであります。こういうような点で、新しい意味の教育訓練というものがある程度浸透しております。しかし石山さんのおっしゃるように、できましてまだ日が浅いものでございますから、これはいろいろの意味の御批判もいただきながら、われわれはこれをよりよきものに、国民の負託にこたえる軍隊、そういうものにしていかなければならぬ、こういう考えでございます。

石山權作日本社会党

○石山委員 私はあまり数を科学的に分けてしゃべることはいやがる男の一人ですが、私流に申し上げてみますと、第一に国に尽くす、これは一つの基本だろうと思います。それからもう一つは命令をよく守る、こういうことだろうと思うのです。これはあなたの言う万国通有の軍隊の理念だと思う。これは私は昔から変わっていないだろうと思う。変わっていないが、このままの評価の仕方では、治安出動などなすった場合には大へんな問題が起きるのではないか。もちろん外国と戦争した場合などはとんでもないことを行なうということになるのではないか。私はこれをもっと分けて、近代的に国に尽くすという思想をば植え付けなければならぬ。命令を守るのであるけれども、これは先ごろ落ちたジェット機の問題等を見ましても、最終の判定はその飛行士、操縦士の考え方によってきめられるというふうに言われておりますが、私はそれはやはり大事だと思うのです。命令をよく聞くという根本、われわれはアイヒマン等のことも考えられます。命令を聞く中に個人の判断、個人の道徳観、こういうふうなものがきちんと育成されていかないと、とんでもないことになるのではないかというふうに思うのですが、具体策については局長からでもいいが、長官、私はこの際説明していただきたいと思います。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 服務規律の基本は、自衛隊の任務は国土の守りであります。言いかえれば国民の平和を守って参ります。従って祖国愛というものは、何と申しましても根本の基調だろうと思います。国を愛する、国を愛することは、同時に今日は天皇に仕える昔の軍隊ではございません。国民的な基盤、国民のための軍隊でございます。祖国すなわち国民であります。そしてその中において軍隊的な要素の勇気であるとかあるいは規律であるとか、命令服従というものもあります。しかし同時に、これはもうわれわれがここで申し上げるまでもない。当然皆さんが平素やっておられる民主主義というものからくる人間性の尊重と申しますか、それからくるところの個人の自覚と申しますか、これが不断に徳操として基盤に流れておるということは、もう当然のことだと思うのであります。これらの点が昔の軍隊の、最近出ました小説や映画の「人間の条件」に出てくるあの姿とはだいぶ違っておる。言いかえれば、人間性はあくまでも徳操の一部として強調する。また今日の文部省の教育あるいは学校教育においても非常に強調されておる。ですから、隊員自体も衛員諸君も学校においてすでにそういう教育は受けております。軍隊的な性格の中にわれわれはそれを不断に注入しながら、しかし祖国愛であるとかあるいは軍人としての徳性というものは十分にそこで鍛えてもらう。また本人の自発心も促して参りたい、こういうことでございます。こうして参りますれば、必ずやよい自衛隊ができ上がっていくものと確信を持っておる次第であります。

石山權作日本社会党

○石山委員 たとえば現在の自衛隊が形をなしているというととは、日本人が在来から持っている祖国を愛するという考え方だと思うのです。だから祖国を愛することには、日本国民はみんな考えていると思います。ただ教育の仕方の中で、たとえば共産主義は悪魔の持つ思想だ、魔物の持つ思想だ、悪いものだ、こういう限定の仕方でもし自衛隊の方々が教育されているとするならば、治安出動の場合などには大へんに問題を大きくしてしまうのではないかという心配を持つおけです。警察は政治に対して中立だと言っております。この場合における軍隊が、国内におけるたとえば小さな騒擾等の問題に対して、中立性を保ち得るものかどうかという心配をわれわれはまた持つわけです。政治的に片寄らないようなことを厳格に規正した教育課程をば上から、内局から現地におろしているのかどうか。そのおろす内容も、この際私はお聞きしたいのですが、中心は長官からお話をいただき、こまかいところは、たくさん並べなくてもよろしいが、範例として五つ、六つ局長から御答弁をいただきたいと思うのです。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 国を愛し、それから国土を守り、もちろん国という言葉には国民というものが一体化して入って参ります。そうしてそれを破壊から守り、無秩序から秩序に回復する、これが任務だということが隊員の基本の教育になっているわけであります。これはもう当然私どもが言わないでもわかっておりますが、不断に繰り返しております。いま一つはできる限り、国会というものが憲法において最高の権威であります国民に基盤を置く、そういう国民の手によって運営される自衛隊である以上、国民の意思を中心にものを判断していく、これは当然のことだと思うのであります。従って破壊という面から考えますれば、破壊的な考え方、あるいは暴力による革命、こういうようなものに対してはやはり不断に隊員としては、衛員としては認識を持っていなければならぬと私は考える次第であります。

小幡久男防衛庁参事官(教育局長)

○小幡政府委員 ただいま長官の申し上げました趣旨によりまして、われわれがこれまでとって参りました、またこれからもとっていこうとする方針の概要は、大体次のようなものであろうと思います。  まず第一に使命を自覚すること、これは国を守るということであります。これも単に古い意味の観念ではなく、祖先から受け継いだ国を光を添えて次の世代に伝える、その光がやはり民主主義だろうと思っております。それから自由と責任の調和の上に築かれておりますこの民主的な生活を守るということも一つの含みであろうと思います。  それから第二は個人を充実する。これは先ほどから長官がおっしゃいましたように個人の充実は、りっぱな社会人として積極的で片寄らない人間を作る。先ほど石山さんのお話にもありました通り、これが真の勇気を生む資質であるというふうに考えております。  それから第三は責任の問題であります。これは御承知のように自衛隊の職務は非常に危険と困難に対するものでありますと同時に、また非常に連帯性の強い、一身の利害を越えてやらねばならぬ。部隊の安危が一身にかかるという性質のものでありますから、そういう覚悟において、その持ち場を守るというふうな責任感を強調したいというふうに考えております。  規律につきましては、先ほどから命令と服従の関係がいろいろ問題になっておりますが、これにつきましてはわれわれは理性ある服従というものが、真の規律を確立するゆえんであるというふうに考えております。従って命令というものは適切であって、違法というものはもちろん許されない。しかしまた服従する方も全体の中の一人として自分を自覚しまして、その命ずるところに従うというふうな、理性ある服従というものを確立したいというふうに考えております。  団結につきましては、非常に人間的な情味ある結合の中に、困苦と苦難に耐える団結というものを強調したい。さらに進んで陸、海、空が割れることなく、一丸となって国に尽くしたい、かように考えております。  大体以上のような観念で、今後とも指導したいと考えておる次第であります。

石山權作日本社会党

○石山委員 まあ表面をそのまま聞けば、かなりに進歩的な感じがするというところでしょう。しかし実際細部に運行された場合には、昔の軍人精神があるいはよみがえってくる危険性がその中にひそんでおるものと私は思うのです。これは何も自衛隊をけなすのではない。けなすのではないけれども、軍隊の通有性というものがありますね。この通有性は、われわれが本気になって常にそれを是正しようと努力しなければ、ただ列記的に並べただけでは、軍隊の持つ悪い通有性がぐっと浮き上がってくるのをわれわれは見るものでありますから、十分に努力していただきたいと思うのですが、この点はどういうふうになるのでしょうか。  これは長官もお聞き願いたいと思うのですが、こういう願望を持っておる。警官と自衛隊を引き比べて、自衛隊はおれたちはこうでなければならぬというように、問題が起きても、これは治安出動などの例をとって考えておるようでありますが、警官は時によってのことであり、この時によってのことでありということは、たとえば何か問題が起きたときに、自分が殺傷を受けるという意味も含まれておりましょう。そういう場合が警官には間々あるということでしょう。しかし自衛隊は有事の際は絶対だ、有事絶対のものであるから特別に尊敬されなければならないというような願望を持っているようでございます。   〔委員長退席、草野委員長代理着   席〕 有事の際は絶対だ、ですから特別な階級なんだ、特別な尊敬を受けなければならないというふうな願望がかなりに強いようでございますが、これに対してはどういうふうな御見解を持っておりますか。  それからもう一つは皇室と自衛隊の問題でございますが、天皇がいまだかつて親閲をなさらなくて、一国の元首という言葉を私の見た本にはついているのですが、日本の場合にはこれは元首ではないのですけれども、元首ということを一体考えているのかどうか。自衛隊の幹部は天皇を元首にしたいという御意向なのかどうか。まあ親閲をいただきたいということももちろんでしょうけれども、元首にしなければわれわれの思想統一ができないというふうなことがその中にあるのではないか。これをお伺いしたいと思う。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 私は自衛隊あるいは軍人であるから特別にということは、個人としてあるいは願望する者があるかもしれませんが、一般論としては私はないと思います。ただ軍の特殊な性格、言いかえますれば警察は御存じの通り日常の行政が主体でございます。片方は国土を守る、言いかえれば戦闘というものをある程度予想した訓練でございます。従ってまた有事の場合においては戦闘に身をまかさなければならない。そこで服務規律にも特に、「事に臨んでは危険を顧みず」ということをはっきりうたっております。法律できまっております。危険を顧みず、この危険を顧みずという一つの精神といいますか、道徳的姿勢というものに対しては、国民が尊敬を払ってやるということは、私は当然だと思うのであります。軍人なるがゆえに特殊な分野である、こういう考えではないのですけれども、一個の社会人としても、その職責を通じて、事に臨んで危険をも顧みず、まず自分が危険の中に入っていくのだ、しかもそれはたまたまではない、常時的体制で入っていくという点においては、不断に激励してやるということは必要ではないか、私はこう思うのであります。  それから天皇と自衛隊の関係、これは今日シビル・コントロール下におきましては、われわれは一応国民の手によって、言いかえれば国会の意思によって、最悪の場合においては運営される。しかし天皇というものはやはり一国のシンボルでございます。憲法ではっきり国民の総意による象徴だと書いてあります。その立場においては、われわれはやはり尊敬は払わなければならぬ、こういう考え方は当然だろうと思います。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 関連して、二つばかり伺いたいと思います。まず第一に、憲法十九条だったと思いますけれども、日本国民は思想、信条の自由を国によって保障されているはずだと思いますが、この点はいかがです。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 憲法の通りでございます。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 自衛隊は個人の所有ではなくして、公の機関だと思いますが、どうでしょう。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 その通りでございます。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 従って自衛隊に入られる方々は、一応宣誓を行なっておると思います。その宣誓書を見ますと、「政治的活動に関与せず、」こういうことがきちっと書いてあります。自衛隊法施行規則三十九条です。そこで伺うのですが、昨日横路委員が杉田さんの「良い中隊の育成について」という本の中で引用せられました言葉、すなわち「指揮官への道」という宣誓の言葉の中で、「又確固たる反共精神を持しつつ」こう書いてあります。これを長官は否定をなさらずに、逆に肯定をなさるような答弁をきのうなすったわけです。これは私かなり重要な今後の問題じゃないか、こう考えますので、この点を明確にしておきたい、こう私は考えます。反共の精神を強固に持しつつということは、一体どういうことを具体的には意味しているのですか。憲法によって国民は思想、信條の自由を確保しているはずです。従って自衛隊も公の機関である以上、当然憲法の保障するところにたがってはならないはずです。にもかかわらず、自衛隊の幹部諸公が強固な反共の精神を維持しつつということは、一体どういうことでしょうか。これは明らかに個人の思想、信條の自由を制限するものである、こう言わなければなりません。一体これについて長官はどうお考えになるのか、もう一度私は伺っておきたいと思います。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 その言葉は何も共産党を排撃するとかいうのではなくて、私が昨晩申し上げたのも国土の防衛、言いかえますれば自衛隊の任務、考え方というのは、破壊的な活動に対しては、これは断固としてこれを守る、この精神は堅持していかなければならない。私自体もその思想は強い思想を持っておるものであります。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 一体、共産党と違う、これはそうおっしゃらざるを得ないでしょう。共産党の方々がこの国会にも三名議席を持っていらっしゃるのですから、そうおっしゃらざるを得ないでしょう。それでは共産党でない反共の精神、これは一体何です。それではこの反共の共という字は何を意味しますか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 私はその本は見ておりません。ただ反共という言葉はよく使われますが、その意味は憲法と矛盾はしない。言いかえますれば破壊活動的な面に対して、それぞれの立場からこれを批判していくのが大体中心であろう、こういう意味で私は申し上げたのであります。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 そこに問題があるのです。まあかりに反共の共をコミュニズムと解釈する。これは思想ですよ。それすなわち破壊であるという確証をあなたはどこからお出しになるのですか。一体破壊主義であるという確証をどこからお出しになるのですか。それは一つの行動に現われざるうちに思想を判断するものです。思想を判定する行為です。これはすなわち憲法が最も戒めているところじゃないでしょうか。一体それではコミュニズムはイコール破壊主義ですか。まさかあなたの学殖がそういう断定はなさり得ないだろうと私は思います。いかがですか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 これは思想の理論の内容でありますから、あえてここで私は理論闘争を申し上げるつもりはございません。ただ問題は、マルキシズムその他をよく御検討をいただきますと、その中にいわゆる階級闘争、あるいはその闘争による手段、これらをお考えいただきますと、おのずから私はおわかりいただける面もあろうと思うのであります。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 階級闘争は破壊主義じゃありませんよ。階級闘争なら私たちもやっていますよ。そうしてまたその手段とおっしゃるが、手段は具体的に現われたときにのみ法の対象となるのであって、それが人の心中にある限りにおいては、その思想、信条の自由は確保せられなければならないというのが憲法の精神ですよ。憲法の精神をあなたはじゅうりんなさるのですか。かつて悪名高き治安維持法というのがありました。この治安維持法が法として最も非難せられたものは、具体的な行動が現われないうちに、思想そのものに泥足を踏み込んだというところにあるのです。こういうものを少なくとも今後の民主社会においては絶滅したい、こういう願いからこの憲法が制定せられたことも御存じだろうと思います。あなたは再び旧治安維持法当時のあやまちに戻っていく。かりにその主観において善なりといえども、その結果はまた大きなあやまちを犯す結果になるのです。治安維持法が密輸入されているじゃありませんか。もう一度繰り返して伺いますが、一体手段、結果、そういうものが具体的に現われないうちに、あなたは思想を判定する資格をだれによって与えられたのですか。公に、長官としてですよ。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 思想は各人自由でございます。それぞれの所信に従って、私は判断する、あなたはあなたなりの判断をお持ちになる、国会議員の立場におきまして……。これも公の立場です。私は防衛庁長官の立場におきまして、自分の思想を持っておるのであります。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 それが自衛隊の指導精神であるとすれば、それは思想、信条の自由を犯すことになりませんか。一体思想、信条の自由を犯すものにならないかどうか。コミュニズムが破壊主義であるといろ断定は、あなたは今なさらなかった。同時にまたそのコミュニズムと日本共産党とは別ものだとこうおっしゃった。それでいながら一方においてあなたの部隊は、強固なる反共精神を維持しつつと断固として言われるわけです。これでは自衛隊の態度というものは、憲法十九条をじゅうりんするものだと言わないわけにいかないじゃありませんか。もし百尺一歩を譲ってコミュニズムという思想が、具体的に日本で政治活動となり、そしてそれが具体的にあなたのおっしゃるような破壊活動を起こし、あるいは起こす客観的な危険がある場合に、初めてあなた方は自衛隊の態度として、早く行動ないしはその危険に対処するのだとおっしゃる権利が出てくるはずです、百尺一歩を譲っても。にもかかわらずいきなり強固なる反共の精神に徹し、こういうことは憲法違反だと断定をせざるを得ないと思いますが、いかがですか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 私は破壊活動というものを中心に考えた場合におきましては、その思想を堅持することは憲法違反ではないと思うのであります。自衛隊の任務は、あくまでも破壊から国土を守るというのが中心の考えであります。あくまでもその任務に基づいてその指導が行なわれるというのは当然だと考えております。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 もう一度伺いますが、破壊活動イコール、コミュニズムという断定はいつなさいますか。それはあなたの主観にしかすぎない。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 これは客観的にも御判断いただきたいのでありますが、共産主義そのものが、それでははたして今われわれが普通言っておる民主主義と違うか違わないかの見方の問題であります。私どもはあなたのお説には必ずしも全面的には賛成できない。共産主義の場合におきましても、平和革命を唱える場合もありましょう。同町に暴力革命を唱える歴史的事実もあるし、また行なっておる面もあるのであります。こういう点から考えますれば、共産主義の中には破壊的な活動の要素をひそめやすい、あるいはひそめている場合もかつてあり、あるいは今後もあるかもしれぬ。こういう意味から、私どもはそういう考え方というものは当然今の自衛隊の任務の範囲内であると考えております。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 そこなんです、問題は。あなた方はコミュニズムについてそうお考えになる。私たちは別の考え方を持つ。そしてそれが時に平和革命の道をとるということもあり得るのだし、他の違った事例において破壊活動を伴う行動をとった場合もある、こうあなたはおっしゃる。そういういろいろな議論、いろいろな観察、そういう思想の自由というものを保障するところに憲法があるのじゃないでしょうか。それをいきなり一つの考え方をもって断定をしてしまい、それがまた国の機関である自衛隊の信条となるとすれば、それは明らかなる憲法十九条のじゅうりんだ、こう言わないわけにいかないわけです。一体日本共産党の諸君は日本国民ではないのですか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 日本共産党員も日本国民であることは疑いない事実であります。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 日本共産党の方が日本国民であるとすれば、その方々も憲法十九条によって、少なくとも保護せられるはずです。その人々に対峙するということを第一命題に掲げている軍隊などというもの、自衛隊なんというものが憲法違反でないはずはないじゃないですか。そこでそういうことは水かけ論でありましょうから、ともかくわれわれは憲法違反であることを厳重に御忠告申し上げて、次の問題に移ります。  一体反共という考え方は、一つの思想の流れ、一つの政治的な傾向ではないでしょうか。いかがですか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 御質問の意味がちょっと私にはとりにくいのですが、反共という流れと申しますか、これは否定したものであって、積極的にはどういう内容を盛るかは別の問題でありましょう。ただ消極的な意味で、アンチという字がついておるのであります。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 消極的であれ、積極的であれ、アンチという一つの傾向がある以上は、それは思想であり、一つの政治的な傾向であると言わなければならぬのじゃないでしょうか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 これは広い意味では、政治という言葉に入るかもしれません。私どもは自衛隊の任務は破壊から国を守る、秩序を回復する。この面からくるならば、私は私なりの昨晩来の解釈で、十分思想の自由というものは保持されると考えております。いわんや自衛隊のワクの中においての一つの方針であります。自衛隊の外に出て、各人が憲法に従って自由に判断することは、各自の自由でございましょう。それから率直に申し上げますが、自衛隊の中に、共産主義を信奉して入ってくる者はないと考えていただきたいのであります。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 一つの政治的な傾向であることをお認めになった。同時にそれは一つの政治的な傾向である以上、共産主義あるいは共産党という政党に加盟しておられる人々、あるいはそのシンパサイザー、こういう人々の政治的な傾向に影響を与えるものであることもお認めになるだろうと思うのですが、いかがですか。世間に対して全然影響のない言葉ですか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 私は共産党というものを対象にして言っているのではない。あくまでも破壊活動あるいは秩序を乱す、こういうものに中心を置いて、この考え方をお進め願いたいし、私もそういう意味で反共という言葉を申しております。また昨晩来その考え方を申し上げておるのであります。自衛隊の任務は、破壊活動から守る、秩序の回復、これが主任務でございます。そのための教育でございます。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 破壊活動、破壊活動とそればかり強調されますが、しかし社会は、反共という言い方、コミュニズムという言い方の中に、世界じゅうにおけるたった一つの破壊活動の源泉を発見する、こういうことではないはずです。もしあなたが破壊活動、破壊活動とおっしゃるのならば、右翼のある種の人々の行動もまた破壊活動でなければなりません。一人一殺というような考え方がかつてありました。そしてまた現代社会においても浅沼委員長が刺殺され、あるいは嶋中夫人が刺されるなどという形態が出ましたことも御存じの通りであります。これも一種の破壊活動でしょう。こういう破壊活動の源泉は他にもあるのです。にもかかわらず破壊活動に対決するとあなたはおっしゃりながら、実はその中に、あなたの考え方に従っても、一つの言葉しか出していない。反共、こう言うだけなんです。そうだとすれば、それは破壊活動ということを口にしながら、実は何かを目途としておられるとしか思えないわけです。  そこでもう一つ伺いますが、反共の精神に徹しつつ、こういう言い方は、  一つの特定な政治的な傾向に影響を与える力を持っておりますか、おりませ  んか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 広い意味では私は持つであろうと思います。しかし狭い意味で、特に日本にある合法政党である共産党をどうするとか、そういうことに直ちに影響はないと思います。それからあなたのお言葉でありますが、いわゆる右翼も反民主主義という言葉で表現をして教育さるべきでありまして、私は先ほど民主主義下における軍隊、その教育、こういうふうに申し上げておるのであります。これは当然教育の中に入ってきているべきものだと私は思うのであります。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 この「指揮官への道」というものには、反民主主義というものは言も出ていない。反共だけが出てくる。びっこじゃないですか。この本の思想自体が問題なんです。そしてあなたは共産党は別だ別だとおっしゃっていますが、この本を拝見しますと、こう書いてあります。七十ページに「日本の共産党はこの間隙を利用しようとしているし、最近の国鉄の闘争もまたそうであって自己の責任の完遂など眼中にないようである。」こういうふうに明らかにこの本は日本共産党を指示しているのです。そうだとすれば、それは一つの政治的な影響を与えるものであるということを言って差しつかえがない。そしてあなたは、広い意味でとか狭い意味でとかおっしゃいましたが、この国会答弁で、よく広いとか狭いとか出てくるのですが、一体思想に、政活的な傾向に広いとか狭いとかありましょうか。そこであなたのおっしゃる最も狭い意味で聞いておきましょう。こういう反共の精神に徹した教育を行なうということは、自衛隊内の人々が選挙の場合に投票するときに、共産党に入れたいと思っている人も、実は党員ではありませんよ、あなたのおっしゃるように党員はいないと思いますが、しかし何らかのかげんで入れたい人も出てくるでしょう。私の知っている人も、非常に保守的な考え方を持っていながらも、あまりに岸内閣のだらしなさに憤激をして、今度共産党に入れましたという人もいました。それはその人の自由です。そういう自由を、少なくともこういう教育を行なうことによって制約するものだとお考えになりませんか。そういうごく狭い意味でも大きな影響を与える可能性がありはしないですか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 現実の問題としまして、自衛隊は徴兵制度でないのであります。志願であります。自衛隊に志願をしてくる者は、特別な意図があればいざ知らず、通常われわれ常識的に考えまして、まず共産主義ないしそういったような線から自衛隊に志願する方は、こっちからお願いしてもまずないのではないかと私は考えております。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 そういう現実論で、厳格にわれわれが思想の自由、信条を保護しなければならない現状をはぐらかしていこうとする。われわれは思想、信条の自由を国民に確保いたしますためには、一人のあやまちもあってはならないという態度でなければならないはずです。しかもこの御本は、拝見しますと九段社という本屋から出版せられ、二百二十円で市販されています。影響は自衛隊の中だけにとどまっているとは考えられません。そしてこの九段社にこの間電話をかけて聞いてみたわけです。この本を僕もほしいのですが、こう言いましたら、これは非常に売れ行きがよくて、全部売り切れてしまいました、こう言うのです。多分自衛隊でうるさいというので買い集められて、焼き捨てられたのだと思いますが、それはどちらでもよろしゅうございます。いずれにせよ、これは市販されたものです。自衛隊内における影響だけではないですよ。少なくともこれは一個の政治的な影響を与えるものだと長官も今広い意味ではお認めになりましたが、認めざるを得ないじゃないですか、いかがですか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 私は自衛隊員個人個人は、先ほどから申しましたように民主主義的な自覚というものを強調しておりますから、具体的な、いわゆる自分が法に許された範囲内での政治行動をとる場合におきまして、たとえば選挙のような場合においては自分の判断、また日本の政治全体が投票においては個人々々の判断でいく。しかし私は自衛隊へ入ってくる者に少なくとも共産主義を信奉しようとする者はいない。また現実にそういう者は特定の意図を持って、何かかき回そうというなら別でありますが、私はあり得ないと思う。その限度において十分憲法の保障する自由というものは守られておる、こう考えておるのであります。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 長くなって恐縮ですが、これはかなり重要なことですから御勘弁願いたいと思います。一体そういう、入ってこないとか入ってくるとかいう事実論で、一つの重要な法律的な問題をあなたははぐらかしていこうとなさるけれども、共産党の影響を受けた人は自衛隊の中で絶対に絶無ですか。私は絶無とは言い得ないと思います。絶無だということはあなた方も断言できないでしょう。やがてその証拠は、きっとたくさん上がってきます。そうだとすれば、そういう人々に対し、またこの本を買って読もうとする自衛隊の父兄、あるいは自衛隊員の友だち、こういう人々に対して相当大きな政治的な影響を与えることは事実じゃないですか。あなたは広い意味の政治的影響というものをお認めになった。しかも一体一般の人は、反共の精神というふうな字を読んで、これは日本の共産党は別物なのだという理解ができますか。それが日本国民の平均の理解でしょうか。西村さんは反共の精神を堅持しつつという文章を読んで、これは日本の共産党は別物なのだ、これをよけておいて考えるべきだ、こういうふうに御理解できるでしょう。しかし日本人の平均の理解力において、そういうふうに読めますか。それをまず伺いましょう。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 私は過去の共産主義を中心にした行動が、やはり日本人の間には相当ないろいろ影響を与えているといいますか、それに対する感触は持っておると思います。私は反共という言葉と申しますか、今のあなたの御質問に対しては、大体の国民はいずれかの道でこの意味はわかると思います。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 僕の伺ったことをかちっと答えてもらいたい。反共の精神を堅持しつつという言葉を読んで、日本国民の少なくとも義務教育を終えた水準の方々は、ははあ、これは日本共産党は別物なんだ、こういう理解ができますかと言っておるのです。そういう能力を持っていますか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 私は国会の中に共産党が議席をお持ちになり、また合法政党であることは国民もみな知っておると思います。従って私は十分理解ができると考えます。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 もうそこに至っては詭弁といわざるを得ないと私は思います。世の中の人が判断してくれるでしょう。反共の精神に徹しつつと言ったときに、西村防衛庁長官は、日本国民全体が日本共産党は別物なんだという理解をすべきものだとおっしゃる。これを詭弁といわずして何でしょうか。白馬非馬の論という言葉があります。それに非常に似てるのではないか。あなたのお話を伺いながら、私ちょうど大学当時韓非子という本を読みました。あの韓非子の説難編を思い浮かべざるを得なかった。その言葉をあえて申し上げておきます。水かけ論ですから、それでは先に進みます。  今あなたは広い意味で政治的な影響力を与える、こうおっしゃった。それでは自衛隊法施行令八十六条をごらん下さい。「法第六十一条第一項に規定する政令で定める政治的目的は、左の各号に掲げるものとする。」こうなっておりまして、「三 特定の政党その他の政治的団体を支持し、又はこれに反対すること。」特定の政党、これについて共産党という言葉は除くと、こうあなたはさっきから答えられておるから、まあそれはかりに百尺一歩を譲って認めたとしても、その他の政治的団体、いわゆる共産主義によって指示せられている、あるいはリードせられている政治団体というものもあるでしょう。そういうものに影響を及ぼします。さらに「五 政治の方向に影響を与える意図」、反共という政治方向を作ろうとする意図、こう読めるじゃないですか。「政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し、又はこれに反対すること。」すなわち反共という政治方向を作ろうとすること、こういうことを政治目的として掲げているわけです。これをやってはいかぬと言っておるのですよ。自衛隊法施行令八十六条はそう書いてあるのですよ。これに明らかに杉田さんの行動は抵触するじゃないですか。一体、自衛隊法をあなた方は正確にお守りになっておらぬ。都合のいいときだけ守って、都合の悪いときは広い意味とか狭い意味とか、そっちの意味とかこっちの意味とか、何々を除外するなどという変な特例を設けておやりになりますが、そういう態度こそ過去の治安維持法の時代に戻るきっかけとなるのです。あなたは主観的には善意であられると思いますが、しかし次々と着任をせられる長官は、やがてそれを一つの方向へねじ曲げていく足場を発見するはずです。そういう意味できっかり伺っておきたい。八十六条の三、五号に杉田さんの発言は抵触しませんか。しかもこの本には「日本共産党」とちゃんと書いてありますよ。「この間隙を利用しようとしている」と書いてありますよ。あなたの言葉と違うのですよ。その辺をはっきり伺いたい。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 その杉田君の書いた文章、本は、私は全体として読んでおりませんから、一つ一つの字句をとっての御議論は、私としては御答弁は十分できないかもしれません。問題はしかし、その杉田さんの考えておる基本的な態度は破壊活動、あるいは秩序を回復するために信念的でなければいかぬということを中心に述べたものであって、私はそれから見ましても八十六条の三号とか五号に該当する行為とは考えておりません。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 見てないというお話ですから、お手元に差し上げました。どうぞ読んでみて下さい。そこには僕が言ったことと違うことは書いてないのですよ。そしてあなたは反共の精神というものに徹するということが八十六条の三号ないしは五号に触れないとおっしゃるのですか。さっきあなたは政治的な方向に対して影響を与えるということをお認めになったじゃないですか。お認めになった以上、これは当然五号に触れるということはあやまちのないことですよ。答弁が首尾一貫しないということは、私たちとしては非常に困りますよ。

小野裕防衛庁参事官(人事局長)

○小野政府委員 こまかい条文の解釈もございますものですから……。ただいま御指摘の文章、表現の内容については、私も十分にはまだ承知しておりませんが、御趣旨のような前提のもとに、自衛隊法施行令八十六条の関係でございますが、第三号の「特定の政党その他の政治的団体を支持し、又はこれに反対すること。」あるいは五号の「政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し、又はこれに反対すること。」これは、自衛隊法六十一条で制限しております、禁止しております行為に関係する「政治的目的」というものをこういうふうに表現したのであります。  まず第三号でございますが、「特定の政党その他の政治的団体を支持し、又はこれに反対すること。」という意図はないのではないか。お話の点から考えまして、そういうふうに感じたといいますか、あるいはそういう事実と申しますか、本人がそう感じておりましたことを事実として一応書いたということはございましても、特定の政党に対して反対するという政治的意図、目的というものはないのではないかと考えますのが第一点であります。   〔草野委員長代理退席、委員長着席〕  それから第五号の関係は「政治の方向に影響を与える意図」ということでありますが、これにつきましては、従来人事院等の解釈と私どもも同じ考え方をとっておりますが、この「政治の方向に影響を与える意図」というのは、日本国憲法に定められた民主主義政治の根本原則を変更しようというような意思、考え方で、これがこの第五号の「特定の政策を主張し、又はこれに反対すること」ということになるのでありまして、そういうことには該当しないのではないか、このように考えております。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 おかしいじゃないですか。憲法違反のことだけにあなたは五号を限定なさろうとします。それでは自衛隊の諸君が農業基本法に賛成であるとか反対であるとかという意思表示をしていくことは、憲法違反じゃないというのですか。憲法の基本の問題ではないからこの場合五号には触れないとおっしゃるのですか。そうじゃないはずです。少なくとも具体的な政治、その政策に対して、その人の資格において賛否を表わしてはならぬということになっているはずですよ。そうしてまた反共の精神に徹しつつということは、少なくとも反共の方向を作っていくという意図にあらずして、一体いかなる意味があるのですか。そういう一つの政治的な方向に影響を与える行為じゃないでしょうか。しかもそれは先ほど来長官と私の間にいろいろ議論がありますように、憲法の十九条によって思想、信条の自由が保障されているという前提を置いて考えてごらんなさい。いかがですか。

小野裕防衛庁参事官(人事局長)

○小野政府委員 最初の「政治の方向」ということでございますが、これは政策の問題等いろいろございます。こういうような問題につきましては、別ないろいろな制限のワクはあるかもしれませんが、その条項におきましては、一応この中には含まない。この第五号の解釈といたしましては、日本国憲法に定められた民主主義政治の根本原則を変更しようとする意図で、「特定の政策を主張し、又はこれに反対すること。」こういうふうに政府部内におきましては従来から解釈を統一しておるわけであります。また三号の関係で「特定の政党その他の政治的団体を支持し、又はこれに反対すること。」といいますことにつきまして、著者と申しますか、作者と申しますか、本人が自分の考えをここで述べました場合に、あるいは影響することがあるかもしれません。その点はただいま長官が言われましたように、抽象的にはあり得ることかもしれませんけれども、また本人として、自分の感じを申しますという程度のことは、特に反対ということを明示しているわけではないのであります。これには当たっていないと考えるわけでございます。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 自分の感想を述べるという段階ではないじゃないですか。「指揮官への道」ということで、富士学校の生徒諸君全体に杉田さんが訓辞として与え、それを読み上げさせ、教訓として与えているものです。そうだとすれば、それは全然無目的だとは考えられない。これからチューリップを見に行きましょう、きれいですよという目的の場合と違って、反共の精神に徹しつつという限りは、それが政治的な意図以外のものであるということを、あなたもまさか断定はできますまい。政治的目的を持っていると言わざるを得ないのではないでしょうか。いかがでしょうか。

小野裕防衛庁参事官(人事局長)

○小野政府委員 この場合におきまして、そういう意図を持っていないものだと私どもは考えたいと思います。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 もし政治的な目的を持っていないものとお考えになるとすれば、あなた方のおつむが少しどうかしているのじゃないでしょうか。私はさっきも長官に申し上げたように、白馬非馬の弁をここで何べんも伺いたいとは思いませんし、おつむが少しどうかしている御解釈に対して、どうこうという考えはもうありません。しかしさらに自衛隊法施行令八十七条は、その十三号に、「政治的目的を有する署名又は無署名の文書、」云々として、「回覧に供し、掲示し、若しくは配布し、又は多数の人に対して朗読し、若しくは聴取させ、あるいはこれらの用に供するために著作し、又は編集すること。」として、これを禁止しているのです。これにも明らかにひっかかってくるじゃないですか。「政治的目的を有する署名又は無署名の文書、」それを「著作し、又は編集すること。」こういうことにきちっとかかってきます。こういうことをあなた方が何べんも何べんも平然と見のがしていらっしゃいますと、自衛隊というものはやがては国民の一部を敵にし——断っておきますが、私たちはコミュニストではありません。ではありますが、大ぜいの国民に思想の自由を保障しなければならぬという責一任は持っているはずです。ですから、やがては一部の国民に対して自衛隊は向くという形になるだろう。そうしてその具体的な方向が十三個師団編成という形で、今もくろまれつつあると言わざるを得ないわけです。そういう意味で杉田さんのこの発言は、かなり重要なものである。あなた方の部内においても、そのような思想を判定するような無謀なことはおよしになることをお勧めします。  関連質問で長くなってしまって恐縮です。石山さんどうも済みません。もう一つついでに聞かしていただきたいが、私さっきから長官のお話を聞いておって、どうもふに落ちないことが一つあります。と申しますのは、国防費は日本では安過ぎるということを何べんも言われるわけです。西ドイツに比べて国民所得の二%にまで達していないとおっしゃるのですが、あげ足をとるわけではありませんが、お宅からいただきました防衛年鑑を見ますと、もう二%をこえているのです。一九五八年度の予算でさえ二・〇八%だと書いてあります。これは私は別に検討してみたわけではありませんから、ちょっと自信はありませんが、おたくの資料ですからそのまま使わしていただきます。一九五八年度でも二・〇八%です。五九年度、六〇年度といけば、もう二%をこえていますよ。しかしその議論はようございます、これは計算ですから。  そこで私はこういうことを考えていかなければいけないのじゃないか。機械的に国民総所得を考えて、それに対して何%という考え方は公式主義じゃないだろうか。西ドイツの国民は何%を国防費に使っておる。日本の国民は何%を国防費に使っている。だから日本はまだ防衛努力が足りないとおっしゃるのですが、しかし国民の生活というものを考える限り、その比較は少なくとも最小限度年間一人当たりの国民所得を比較してみる必要があるのじゃないでしょうか。一人当たり国民所得を比べてみますと、この「国会統計提要」という三十六年度版を読んでお聞かせしますが、日本は年間所得二百五十三ドルです。ところが西ドイツは一人頭八百四ドル、フランスに至っては九百五十六ドル、こういうふうにもう国民所得、国民所得とおっしゃるのですが、国民一人当たりの所得、こういうものを比較せずして、頭から国民所得だけを比較して、そのパーセンテージを計算されるのは、少しずさんじゃないでしょうか。民生安定ということをお考えになるあなたのお説としては、いささか私は受け取れない、こう思うのです。今後もまた防衛庁長官としてあちらこちらで御演説をなさるでしょうから、その場合に国民所得の二%にも達していないなどという御議論をラフになさいますと、国民は迷います。もっと正確にやるべきじゃないだろうか。まず伺いますが、もしそういう種類の比較をするとするならば、国民一人頭の所得を比較していくという方向がより正確であり、民生安定のために正しい態度じゃないでしょうか、いかがですか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 まず前段の二%云々の言葉でありますが、防衛庁費とそれから国民所得、国民所得は一応政府が発表しておるものであります。防衛庁費は予算で御審議願ってはっきりしておるものでありますが、その比率は数字で正確に出るのであります。三十年度が一・三、それから三十一年度が一・三三、それから三十二年度は一・二四、それから三十三年度は一・四二、それから三十六年度は一・三五、こういうような数字でございまして、数字は私は間違いない。二%をはるかに割っておる。  それからもう一つは、国民所得一人当たりとそれから防衛費との割り振り、これはお説は一応一人々々のアメリカの国民所得、あるいはスイスだどこだ、こう出ます。その場合におきまして、インドのごときにおきましても同じような問題が起こる。あの低い国におきましても国防費はどのくらいか。そうしますと、やはりインドにおきましても二・五%、あるいはビルマにおきましては九・四%、どういうふうに考えて参ります。なるほど西ドイツも日本よりは四倍くらいの国民所得を持っております。それでも五・二%、イタリアは日本の二倍半ないし三倍といわれておる国民所得でありますが、これは四%以上であります。ですから、必ずしも所得の高い国だけの比率ではなくて、われわれはこれは世界の共通の統計資料に基づいて御説明しておる。私は何もラフなただ国民所得の多い国だけをとって申し上げているわけではないのであります。低い国のパーセンテージも同様に相当な高率をとって、それぞれの国情に応じて防衛をやっておるのに対して、日本は二%じゃないか、こういうふうに申し上げておるわけでございます。これは数字でございますから、私は何もそれによってラフだとかラフでないとかいうのではなく、数字そのものでございます。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 そういう数字の使い方自身が、民主主義あるいは民生安定ということを口になさる方々としては、ラフな使い方ではないか、こう申し上げておるわけです。たとえばインドをごらんなさい。あなたのお説のような軍備を強行しております結果は、インドへ行ってみますと、いまだにはだしの人、そして農村地帯へ入ってごらんなさい。非常な困窮な生活をしておるじゃありませんか。あなたは少なくとも国の防衛ということを第一前提にして、国民の生活などというととはどうでもいいというふうにおっしゃるのではないはずです。少なくとも日本が民生の安定ということを口に唱えつつ、なおかつそれを守る、そういう政策をあなた方が出しておるのですよ。もしそうだとすれば、これは今私の申し上げたような比較をしなければならぬのじゃないか。バターか大砲か、こういうふうに二者択一の政策を立てて、大砲がいいのだ、バターは犠牲にすべきだという御議論を池田内閣がなすっていらっしゃるのならば、私はそういうお説も伺えると思います。バターも大砲も両方だ、こうおっしゃっておるから、そしてその間にちょうど調節のとれた国防費をという御議論ですから、私が今言うように国民一人頭の比を考えていくべきではないか、それが正確ではないか、こう申し上げたわけです。その上に、そういう一人頭国民所得に、もっと正確にいえばさらにエンゲル係数をかけるべきではないか、そして比較の基礎を出すべきものだ、私はこう考えておるわけです。この点についていかがでしょうか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 これは私は国防費のことを申し上げるのでありますが、同様に社会保障費なり民生安定費をとる場合におきましても、同じように国民所得に対してこれだけこれだけというふうに言っておるのでありまして、私はこれ自体、数字自体を使う方法も別にラフだとは思わないのであります。ただ問題は、今度その財政と申しますか、国民所得の構成とか、たとえば非常に金持ちが片寄っておるとか、貧乏人が多いとか、そういう構成に入ってきますと、今度はまた議論が出て参ります。あるいは財政支出の面におきましても、西ドイツは連邦であるとか、あるいはそうでないとかいう国の一つの機構の内部に入って参りますと、私はこの数字は異論の出るところであろうと思いますが、数字そのものをとる場合におきましても、これは社会保障費であろうが国防費であろうが、国民所得がでこぼこである場合にはこういう数字が出てくること、しかもそれから見て、日本は二%である、ほかの国は何%である、日本は最低である、この立論というものは決してインチキでもなければラフでもない、こう御了解いただきたいのでございます。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 もうこの議論は関連質問ですから繰り返しません。しかしいずれ機会を改めて、私きちっといろいろな諸要素を計算してみて長官の御議論を反駁したいと思います。いずれにせよ、この二つの問題を通じて十分御理解をいただきたいことは、自衛隊は少なくとも憲法を守り、同時に日本国民の民生安定ということを忘れてはならぬ、こういうことだけは銘記しておいていただきたい。

石山權作日本社会党

○石山委員 先ほど私は教育等の問題について——ただいま飛鳥田委員から思想の問題について触れられたわけですが、私、教育の問題についてかなり神経質になって、何回も長官に御答弁を願っておるわけです。それで特に最近、これは私はきょうこのことに触れると、それだけでまたたくさんの時間を要するので、懸案事項としてお話を申し上げておきたい点がございますが、治安出動された場合の、国民に対する強大な武器を持った自衛隊が出動した場合の心がまえというものは、とっさにこれはきめられない。やはりふだんの教育が順次になって、非常に困難な判定をば自衛隊がなさなければならない場面に出っくわすと思います。それを判定が誤らないような教育をふだんからなしていただきたい、私はこういうふうに思っております。武器を持っているのでございますから、万が一しますと、同胞相撃つというようなことが簡単に行なわれます。特に武器の使用の場合は、私の入手した一つの文書を見ましてもこういうことを言っている。「人を殺傷することは、武器によらない場合においても犯罪になる。しかし、武器使用に関する法律に基づいて殺傷する場合は、治安行動という目的のために国家が必要であると認めて許したものであるから、犯罪として取り扱われない。」これは大いにやれというふうなことになりかねないですね。この文書を読んでいくと、お前罪にならぬから大いにやれ——私は何もこの問題だけを取り上げて言うのじゃない。もしそういうふうなことが治安出動の内容等になれば、大へんなことになるのではないかという意見でございます。これはもし御答弁があればいただきますけれども、これは懸案事項として、治安出動の場合にはいわゆる思想の問題、政治の問題、大衆行動に対する理解の度合いの問題、こういうふうな問題が常々に隊員にしみ渡るような片寄らない教育を十分にしていただきたい、そういう提案をしてこの問題は一応打ち切りまして、私は国防会議の問題に入りたいと思います。  時間が大へんおそくなって気の毒でございますけれども、私も役目上、国民の気持をば背後にして質問を続けているのでございまして、一つがまんをして聞いていただきたいと思います。今後の統幕の強化に対して、内局は形を変えないでいるようでございます。気持では変えて一生懸命やるというようなことになるだろうと思いますが、それではいけないので、内局も強化するような工夫をすると同時に、その上の国防会議も、この際組織をば再検討してみる時期に際会してきているのではないかということを前提にして私はお伺いするわけですが、第一にお聞きしておきたい点は、昭和三十二年五月二十日に決定した事項がございます。これはずっと前から出ているのでございますから、一つ読んでいただきたいと思いますが、これは前文と、項目として一、二、三、四と四カ条があげられているわけですが、ここにも侵略という言葉が出ております。「国防の目的は、直接及び間接の侵略を未然に防止し、万一侵略が行われた時はこれを排除し、」というふうな前文から始まりまして、四つの項目をあげておりますが、この考え方はやはり基本になっておるのでございましょうか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 お説の通りでございます。

石山權作日本社会党

○石山委員 お説の通りでございますと言っているが、昭和三十二年五月二十日の当時の総理大臣と防衛庁長官はどなたでございますか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 今承れば、岸内閣総理大臣、小瀧防衛庁長官だったと思います。

石山權作日本社会党

○石山委員 防衛庁長官でございますから、見なくてもその通りだというふうに御答弁はしていただけると思うのですが、その中には侵略を未然に防ぐという言葉に、あなたがしょっちゅうおっしゃっている抑制力がそれについていると私は思っております。それからわが国の独立という言葉の中には、日米関係は阻害されておらぬというふうな考え方になるのでございましょうか。これを一つお伺いしたいと思います。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 国防の基本方針にある通り、「民主主義を基調とするわが国の独立と平和を守ることにある。」そのために自衛隊は、自衛隊の固有の任務を持つと同時に、国といたしましては国連憲章に基づいて日米間に安全保障体制を維持してわが国の平和と独立、極東の安全、これの維持をはかっておるわけであります。

石山權作日本社会党

○石山委員 ここにも国連という言葉が唯一無二のよりどころになっているのですね。それから昭和三十六年の今日西村長官にも、やはり国連というものが中心になっていると私は思うのですが、私たちが国連を中心にするということと、西村長官の国連を中心にするということはだいぶ違うということは、さっき私もお話ししたのですが、できれば私たちは、ここの四項の中にあるこの言葉を大へん大切にしておきたいと思うのであります。四項の「外部からの侵略に対しては、将来、国際連合が有効にこれを阻止する機態を果し得るに至るまでは、米国との」という言葉を使っているわけですね。国連を将来とも育てていく、この気持、これは私はやはり気持だけではいかぬ。やはり実際の面に現われてこなければいかぬと思うのです。たとえば私はイイナイイナといわれている本年度の防衛費なども二百一億ですか、増額になった。その二百億を、私は、国連に出してみるという考え方、そういう実際的な努力をなさらないで、将来国連はなんぞと言うことは、私は他愛のないことだと思う。ほんとうに国連を中心にするのならば——われわれは海外派兵を憲法上いけないと言っている。しかし将来国連がほんとうに中心になる可能性があれば、日本が、世界が、それぞれ金で負担するか人で負担するか、いろいろ負担の仕方があると思う。防衛庁としてこういうような国防の基本方針というものを定めていながら、それに対してどれくらいの動きを示したかということを、この際一つお聞きしたいのです。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 それは防衛庁の任務ではないと思うのであります。むしろ私はそれは政府全体の任務、また所管のそれぞれの行政庁もあると思います。そこで私どもとしては、この国防の基本方針に基づいて、防衛庁の任務として、当面する財政問題としては防衛力の漸増をはかり、これを忠実にやっておるのであります。問題は、国連外交なり国連強化につきましては、政治全体、あるいはその所管大臣としての外務大臣が、人的強化その他、DAGその他においてもいろいろ苦心をして、国費を投入するとかしないとかいう論議を今やっている最中でございます。

石山權作日本社会党

○石山委員 国連の話をしたりラオスの話をすると、すぐ外務大臣というでしょう。外務大臣を連れてこなければ話にならぬということになるのじゃないですか。そうでなくて、あなたは池田内閣の閣僚の一人として連帯責任があるのだ。そうした場合に、自衛隊費を節約するから百億国連に出しましょうや、そういうような意見は、今のところなかなか出ませんか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 私どもは国連強化は国連強化で、国力、財政に見合った手を打つなら、政治として、あるいは国務大臣として賛成でございます。同時にまた、自衛力漸増も国務大臣あるいは防衛庁長官としてやって参りたい、こういう考えでございます。

石山權作日本社会党

○石山委員 あなたから国連中心について何ぼか国連を育てましょうなんという言葉をとるまでには、おそらく三時間も話をしなければそれはとり得ないでしょう。しかし私は時間さえ与党の諸君からもらえれば、本気になってこの問題を論じていいと思う。なぜかというと、基本方針としてちゃんと書いてある。それをあなたがちっとも実行しないということは、あなたたちの先輩の岸総理大臣がきめたことにも違背しているし、われわれに公約していることがみんな違っているということになるでしょう。ただうたい文句だけだ。私は国防会議を強化しなければならない、こういうふうに申し上げたわけですが、この点に関しまして、この条文をごらんになって、長官はこのままでよろしいのだというふうにお考えになっていられるかどうか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 私はこの条文でけっこうだと思います。そのかわり、これを機能的に動かすということはやっておりまして、私参りましてから、毎月国防会議という形ではないですが、同じメンバーあるいは必要なメンバーを入れて、国防会議懇談会をやっておるのであります。

石山權作日本社会党

○石山委員 この国防会議については、民社の受田委員がしょっちゅう聞いているようでございますが、総理大臣が二重人格であるということ、この二重人格であるということは、治安出動の場合などではどうなんです。独裁者が生まれるというふうにならないでございましょうか。もう一つは、議員と言っているのですが、これは外務大臣とかあなたとかそういうふうなのが全部議員だというわけです。これも二重人格です。ほんとうの議員、こういうふうなものはわれわれ野党から出したって、事国防に関する限りは私は決して無意味でないだろうと思う。というのは、社会党は再軍備反対をしているから、私はそれは反対だけれども、民社という政党、あるいは再軍備をば容認している共産党の諸君、こういうような人たちを入れてこそ、初めて二重人格になって片寄るという性格が直るのではないか。私極端な例をあげましたけれども、閣僚が議員になって、国防会議できめたことをまた、総理大臣がいる、あなたがいる、小坂がいる、企画庁長官がいる、そこへ閣議で回してやる。何のうまみもないじゃありませんか。チェックされるところは何もないということです。いわゆる国防会議として最高の——国会の下におりますから最高とは言えないのですけれども、防衛庁設置法の中にあるわけですね。そうすると、この中においては最高の会議なんです。その最高の会議が二重人格で、持ちつ持たれつするということは、新しい面をつかみ得ないということです。議員の顔ぶれの中に大臣以外の議員を入れる、民間の有識者の議員を入れる。そして国家をば、自衛それのみを考えないで、政治を見る、経済を見る、あるいは社会思想を研究している、こういうふうな人たちをも寄せ集めて会議を開いてみる。そして国防の大綱をきめるというふうなことは、構想としてはまずいものでございましょうか。長官、構想としてはうまくないものでございましょうか。答弁を願います。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 もちろん民間の知識を大いに活用するということは、われわれ考えて参らなければなりません。しかしこの国防のいろいろな計画なり方針がきまりまして、さらにそれの具体的な予算編成、法案等、あるいは防衛費等、すべて石山先生初め国会議員の御承認をいただくわけでございます。きょうのように慎重なる審議をいただいているわけでございます。私はその意味で、独断ということはあり得ないと思うのであります。

石山權作日本社会党

○石山委員 今度のフランスのドゴールを見ましても、いろいろつかまなければならぬ。ということは、そんなにりっぱな人等でも、やはり法律的な背景がなければいかぬということです。この場合も国防会議の議長さんが総理大臣というようなことで、たくさんのものをつかんているということですね。つまり国防の大綱をつかむということは、国力を完全につかむということなんです。しかも国会がなければ治安その他の出動の可否は、総理大臣に握られているということなんです。これを一体どこでセーブするか。国会が休んでいる場合どうするか。六カ月か七カ月でしょっちゅう大臣の首をすげかえるような現今の総理大臣の権限からすれば、この会議をばぐっと押えることができるのじゃないですか。ぐっと押えればこれが諮問機関となって、閣議にかかればするすると通ってしまう。一体どこでその野心を押えることが可能でございましょう。国会が休会中、一体どこで押えるかということをば私は心配するものですから聞いているのでございます。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 総理大臣は突然出てくるものでありません。これはやはり国会の御承認をいただき、その前提には政党を背景にし、その前提に選挙という、国民の意思というものを激しく反映するものを控えているのであります。これらを通して行政運営が——これは大きな意味においては行政でございますが、行政運営が行なわれるのでございます。しかもその行政運営の現実的な面におきましては、治安出動の場合にはさらに国家公安委員会と十分なる連絡をとる規定もあるわけであります。私はそういう面で、十分に国民自身によるチェックというものは行なわれると考えるべきものだろうと思います。

石山權作日本社会党

○石山委員 間接侵略もありますよ、長官。間接侵略は公安委員会とは別ですよ。そうなりますと軍隊ですよ。  もう一つは、総理大臣総理大臣と、大へん偉いのですね。けれどもわれわれみたいに国会の中から見てごらんなさい。自民党、保守党の派閥の所産ではございませんか。派閥の所産ですよ。私は今のような現実を……(発言する者あり)あなた方、私に痛いところを言われるからそんなことを言うけれども、実際はその通りじゃないか。だからあなたの方の若い仲間も、今のような派閥の所産の総理大臣には困るから機構改革、構造改革論などと、社会党のまねを始めてきている。それほど総理大臣というものの現在というものは私は問題があると思うのです。この総理大臣に二重人格を持たせ、国防会議議員にまた二重人格を持たせておくということは、独裁化になるという危険があるのです。きょうはあなたから答弁をとるのはやめましょう。ただ私はこれを懸案にして、この次に大いにやりたいと思うのですが、これを十分に考える必要があるのではないかということ。  それからもう一つは、この国防会議の性格として、統幕強化がなされました。統幕の統一がなされて、有事の際だけでなく指揮、命令、行動に敏活、流動性を持たせるということになったようでありますが、それをば内局が押え得るきめ手を、残念でございますけれども今は持っておりません。加藤官房長が何ぼがんばったって、とてもじゃないですが、まだとどめ得るだけのあなたの第二、第三陣が残念ながらそろっておらぬ。そこに私は疑問があると思うのです。それは長い目で見てもよろしいと思うのですが、それをばカバーするのがこの国防会議の任務だと私は思うのです。そうすると、あなたに言わせればこの国防会議は何ら直すところがないわけだ。直さなくてもいい、一生懸命会議を開いていましたよ。それではあなた、統幕がきちっときまった場合の内局の整備、翻って国防会議の改編ということ、再検討ということも大いに必要なことではないかと思うのです。  それからもう一つ、大体国防会議という会議をば、この防衛庁設置法の中のどんじりに入れておくということは一体何事ですか。もっと権威を持たせるためには、ちゃんと独立をさす設置法が必要なのではないかと私は思うのだが、その点だけは御答弁いただけるでしょう。再検討するという御答弁はいただけるでしょうが、どうでございますか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 まず国防会議の構成がどうかという点、これは一つの御意見だとは思います。ただ大体各国のこの種のものはこういう構成でできておる。言いかえれば、各国の例も多分当時調べたろうと思うのであります。特に平素から国防に関係の深い者を議員という形でもって不断に検討さす、必要に応じその会議をさらに拡大さす、そうして閣僚あるいは閣議、そしてそれの実施につきましては国会の御承認なり、あるいはまた平時の場合における予算措置、有事の場合における予算措置、すべて国会の御承認を経るという憲法の条章によってチェックできる。ただ石山さんもそういう御意見をお持ちということは、私も一つの参考にはさせていただきたいと思います。  それから流線型になると、統幕が流線型になるから、シビル・コントロールがくずれるではないか、私はそうは思いません。現状でも一応努力して、われわれはシビル・コントロールの原則はくずさないように、いわんや政治の原則において今の憲法その他防衛庁設置法、あるいは国防会議の法律と申しますか、その運用、これによってシビル・コントロールは確立して参る。ただ私の意見といたしましては、防衛庁を省に昇格したい、それにはやはり長くいてもらいたい。優秀な諸君がこれから、先般来出ているように、五年も十年も防衛庁にいていただく、また同時に防衛庁にもりっぱな人材がシビルの面でも集まっていく。これにはやはりきちんとした省というものを確立すべきではないか。このためにはぜひ努力したい。石山さんにもシビル・コントロールの確立のために御協力をお願いしたい。それから国防会議がどんじりに入っているということでございますが、これは何か当時の手続上の問題ではないかと思います。官房長、御存じであれば……。

加藤陽三防衛庁参事官(長官官房長)

○加藤政府委員 これは御承知と思いますが、防衛庁設置法は昭和二十九年に制定されました。国防会議の構成等に関する法律は昭和三十一年にできたものでございます。防衛庁に移ります際に国防会議に構想があったのでありますが、構成等についてまだ意見が一致しなかったわけでございます。そこで防衛庁設置法の第三章というのに置いたわけでございまして、お考えとしては御意見のようなことも私はあり得ると思います。当時の事情はそういうことでございます。

石山權作日本社会党

○石山委員 私は最終の御答弁をあなたからいただいたのですが、最後の御答弁が堂々と、防衛庁をば国防省に昇格したい、それを石山君、あなたも賛成してくれ、そういう答弁を聞こうとしたのじゃなかったのです。要らぬことを宣伝してはいけません。何ですか。私は人柄がいいといっても、その問題は聞き捨てになりません。国防省になるにはなるような資格が必要だ。たとえば憲法問題等もちゃんと整理をなさる。そういうふうなことをなさらないでやるということになれば、これは力をもって——きょうあたりもおそらく力をもってわれわれを押し切ろうと蠢動しておるのだが、国防省昇格もそういうやり方で蠢動ずるということは、われわれは全く不愉快千万だし、それではいけないと思う。今加藤官房長から言われた点もありますが、この第三章の国防会議の問題については、法令をばもう少し整理なさる必要があるのではないかということを言いまして、まだ申し上げたい点もたくさんありますけれども、皆さんの顔を見るとだんだん顔が青くなるようでありますから、これで終わります。(拍手)

久野忠治自由民主党

○久野委員長 午後二時より再開することとし、この際暫時休憩いたします。    午後一時三十六分休憩      ————◇—————    午後二時二十九分開議

久野忠治自由民主党

○久野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。受田新吉君。

受田新吉民主社会党

○受田委員 私は先回一部の質問をいたしまして、残余の質疑を大半残しておりました関係上、きょうはその質問のうちで特に長官の御意思をはっきりしていただきたい諸点をただしてみたいと思います。  まず第一に、新しい安保条約は十年の期限が付せられておるのでございますけれども、この十年の期限が到来したときに、一体日本の自衛力というものはどの程度まで前進をしておるものであるか。少なくとも防衛庁といたしましては、新しい安保条約には十年の期限付というはっきりした線が出ておりまするので、その時点においてアメリカ合衆国が一方的に、期限前にでも、期限が到来したならば、安保条約から約束をのがれるというような意思表示がされるかもしれないわけでございますので、その際において日本の自衛力は十年の期限満了当時、どういう状況にいくことを防衛庁としては想定されておるのであるか、お伺いをしたいのです。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 考え方によっては非常にむずかしい問題でございます。安保を変えまして、それから昨年を入れましての十年後の日本の置かれる国際的な状況、また世界の平和に対する状況、同時に科学その他の進歩、言いかえれば兵器の開発です。それから日本の国内における国情、こういうものを勘案していかなければ、ただ財政力だけを考えてとか、片面的なことは申し上げられないと思うのであります。そこで私どもとしては、さしあたりの五年くらいの見当は一応財政その他を見て具体性を見てやります。それ以上になりますと、われわれはその以後においての国力国情、これは国際間をも含めてのものに基づいて、想定を進める以外にない。正直に申し上げてそういう気持でございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 十年の期限満了とともに日本国は自主自立の防衛力を保持するとともあり得るのかどうか、お尋ねいたします。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 それは言いかえますれば、現在の国連というものがどういうふうな性格なりを出してくるか、またわれわれの理想する国連のようなものに一応なって、各国が軍備を全部撤廃しておるのか、そういうようなこととも関連をいたしておるのでありまして、その場合においての自衛力というものは、単に武器によるあるいは兵器による自衛力でなくて——他の面においての自衛力というものはあるでありましょうが、武器による自衛力というものは非常に減少している場合もあるし、またわれわれのそういう念願する事態と逆の方向に行っておる場合においては、また違った形の自衛力強化というものも行なわれておるのではないか。ただ問題は、われわれがこれから作り上げる一応の五年間の長期防衛計画を基礎として、またその事態において物事は考えなければならぬというふうにはなると思います。三十七年からまた一応長期防衛計画というものを作っています。そしてその間にまた事態の変形というものを見ながら、われわれは近づいていく事態に応じて構想を練っていかなければいかぬと思うのであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 昨年新安保条約が論議された際に、政府としましては十年の期限を切ったことをさも誇らしげに申しておられたわけです。われわれはこれをきわめて短期間にする道はないのかというお尋ねを繰り返したのでございますが、政府は自信をもって十年の期限を主張されました。従って十年の期限が到来したときに、アメリカが日本の防衛義務を消滅したいという意思表示をしたときに、日本の自衛力というものが先ほど申し上げておる独立自主の体制を持ち得るようになっておるのかどうかについては、一応防衛庁としては構想がなければならないと思うのであります。大体長官、軍備というものはその場で突然準備されるものではない。軍備は蓄積されるものであるということはおわかりですか。従って十年の期限が到来するときに、この期限を誇っておられた防衛庁、日本政府としては、この時点においては一応の自主独立体制が確立するのだという目標を置かれておったのか、さらに長い期間をその時点においてアメリカにお願いするようになる場合もあるという構想を持っておったのか、そのいずれであるかお答えを願います。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 従来の条約が片面的である、あるいは無期限であるという面からくる反射的と申しますか、そういう意味で一応常識的な十年というものを作ったのではないかと私は思います。というのは、私自体が条約の締結者ではございませんから、這般の事情、その間の事情をはっきりと認識はできません。しかしその気持を察しますに、無期限であることは非常に片面的である、一方的なものである。それに対して期限をいつで切るか——これは確かに争いがある、意見があるところでありますけれども、一つの防衛というものを考えた場合においては十年くらいで一応更新、言いかえれば相互の意思を合致させる——更新をきめることがまず一つの常識ではないか。だからこの十年というものが出たのではないかと私は考えます。  そこで十年を目安に防衛力をどう長期的に立てていくかということでございます。それに対してはわれわれは、十年まである程度具体性を持って考えればよろしいのでありますが、防衛は所得倍増計画のように数字の面だけでいけない面が多分にあると思います。国際間の事情、いわんや国連というものを今日本の政府といたしましては中心に置いて強化し、この条約のどこかに書いてありましたように、国防の基本方針にもありますように、国連が有効な能力を持つに至るまでというような考え方も持っておりますから、それを基準にして参りますと、国連の強化、国連の能力の発揮、そこらにも実際の姿をこれから五年くらいの見当はまず徐々に強化もされるだろうが、しかしわれわれの方もある程度強化していく、自主性をさらに伸ばしていく。それから先のことになりますともう少し具体性を持ったものに対しては、状況を見定めなければならないと思うのであります。ですから人によっては、いや十年たったころには、日本の自衛力は国民所得の七%くらいになっておらなければならない、そういう説の人もありますけれども、しかし私、防衛庁長官としては、正直に申し上げますと、そこまで自分が踏み切るだけの所信はまだ持っておりません。

受田新吉民主社会党

○受田委員 はなはだあいまいな構想で、十年後の新安保条約期限満了の事態における防衛構想を伺ったわけです。これには防衛庁長官としてあなた御自身が何らかの信念をお持ちにならなければ、自信のほどをお見せいただかなければ、われわれ自衛隊の存在ということに対する国民の信頼などもから得られないと思います。ここにおられる自民党の議員の方々は、従来この国の防衛に関してはほんのわずかの方が熱心に御研究されておるだけで、なかなかこういう問題に取っ組んでおられない。あなたも長官になられてから勉強を始めたということを言っておられるのであります。そこで長官として一つあなたの確信を述べていただきたいことは、あなたは防衛費の国民負担は国民総所得の二%程度であるべきだという一応の考えをお持ちです。たまたま所得倍増計画をお持ちの池田内閣の閣僚になられたのでありますから、ちょうど十年後に新条約の期限満了というときを迎えるわけであります。十年後における国民総所得の数字とその二%という構想による防衛費とを、一つ数字をお示し願いたいと思います。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 内閣のやっております所得倍増計画は十カ年計画であります。私どもの当面して長期の見通しを立てたいと申しますのは、三十七年度を初年度とする五カ年計画でございます。従って最終年度においてどの辺にめどをおくかという腹づもりの問題でございますが、これもなかなかとり方はむずかしいと思います。正直に申しまして、二%がいいか、三%がいいか、あるいはそれ以下がいいか、ただ一応先ほど議論もありましたが、各国の比率等から見、少なくとも日本の国力あるいは国情等から、五年くらいの最終年度には二%前後におさめたらまず妥当ではないか。しかもこれは単に私だけではなくして、ここ二、三代の防衛庁長官もそういう説を出しております。それではそれは科学的な根拠があるかというと、これは非常にむずかしい問題でございます。社会保障費にしても、国民所得の何%あればいいと、そうははっきり割り切れるものではありません。しかし一応のめどというものはどなたもお持ちになる。その中で私は単に私一個の長官としてではなくて、歴代長官のやってきたあとも顧みつつ、将来の展望も考えて、五年間くらいの見通しとして最終年度は二%前後でおさめられれば大体妥当ではないか。ただしそれから先のことになりますと、単に所得倍増という数字だけの面から考えて、それの何%がいいと言うにおいては、科学兵器の発達、開発もございましょう。国際情勢の変化も、五年よりは十年先の方がはるかに人類の理想からいえば、もっともっと平和に近づくべきであります。そうなれば国連というものも強化されてくるでありましょう。軍縮とか核実験停止とか、そういういろいろな面から考えてくれば、必ずしもそこまで行ったときには何%ということは私には言い切れない、また私が自信を持って言いますには、それではあまりにも自分自身の所信は大胆過ぎる、こう思うのであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 所得倍増からくる十年後の国民総所得の数字はお持ちであるはずでしょう。それをお示し願います。

木村秀弘防衛庁参事官(経理局長)

○木村(秀)政府委員 二十二兆円ないし二十三兆かと思います。はっきりした数字はただいま持ち合わせておりません。

受田新吉民主社会党

○受田委員 二十五兆ないし六兆とわれわれは聞いておる。そうしますと二十五兆にいたしましても、その二%といえばどれだけになりますか。お答え願います。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 一応算術計算いたしますと、二十五兆ですから五千億円でございますね。

受田新吉民主社会党

○受田委員 御名答です。五千億円の防衛費が十年後に予想される国民総所得の場合において確保される、あなたのぎりぎりの構想からいえばそうなるわけです。それだけで近代的な装備をして、近代戦に対処し得る自主独立の自衛隊を、十年の期限満了の後において作るのだということに、一応の目標は置いておられるのですね。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 私の二%あるいは前後と申し上げるのは、五年後の国民所得に対する比率でありまして、十年後の国民所得に対して何%ということをここで申し上げるには、国際情勢、国力国情、また同時に科学兵器の発達というようなものを考えた場合には、ここで言い切ったところであまり意味はない。ただ財政の面とか、そういうものから数字を出したのであります。それから二%という数字も、五年後の最終年度における目標を一応考えたのであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 新条約は十年後には期限が切れるのですよ。期限満了になるわけなんです。その満了時において日本の自衛隊はどうあるかということは、これはしっかりしたお考えを持って対処しておられないと、先ほど申し上げた通り、アメリカ側の日本の防衛義務は消滅したのだということで、向こうからそういう申し出をする場合もあるのです。そのときこそ日本は独立した自衛隊としての貫禄を示されるべきだと思うのです。その十年後における立場がそうあり得ることも御承知ですか。   〔委員長退席、草野委員長代理着席〕

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 確かに十年たてば期限が切れて消滅するというのではないのであります。そこで更改されるときに、あるいは日米間の関係が、国際関係から、あるいは国連のあり方から変化すれば、あるいはなくなる場合もあり得るかもしれないし、継続する場合もあるかもしれない。ただ私どもは、それとは関係はありますけれども、アメリカが去ったから、われわれは守らぬとか、守れぬとかいう議論でなくて、われわれの自主防衛の態度というものは、あくまでも国力国情に応じて伸ばしていこう、しかし国情というものの中には、当然平和と安全のあり方の問題、もう一つは科学兵器の開発、国内における民心のいろいろな考え方、こういうものも私は要素に入れなければならぬ。その意味で五年以内のところは数字的に一応めどもつけられる。それから先は、私個人としては持てるでしょう。七%か八%がいい。あるいは三%がいい。しかしこれは防衛庁長官として申し上げるにはまだ早過ぎる。そこで私としては、その国情を定めるには五年計画をまず立てて、その間に蓄積もされましょう。五年計画を実施してその蓄積に乗りつつ、さらに先の五年の見通しを立てたらいい、こういう考えでございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 私は先ほど申し上げましたが、軍備というものは突然できるものではなくて、蓄積されるものである。従ってあなたは十年後の日本の自衛隊の存在というものに、一応の目標としては大きな目標を置いておかなければならぬ。長期計画の必要性というものも、そういうところから出ているのです。これは軍備というものの特殊性からくるのです。従って十年後に更新されない場合があり得るのですから、その場合に日本の自衛隊がどういう立場になっているかは、一応はっきりしたものをあなたは持っていなければならぬ。特に一九五三年でしたか、総理の池田さんが渡米されたときに、池田・ロバートソン会談、いわゆる日本の地上兵力の三十数万をあちらから要請されたとき、日本は漸増というお約束でお帰りになったことがあるのですね。そういうことも考えると、陸上自衛隊というものは今後アメリカのお世話になることは大体ないものと認めていいのかどうか、海空は今後漸次これを撤退させる方向にいく目標を持っておるとか、陸海空の三軍の編成の基本方針くらいは、あなたとしてはお持ちになっておらねばならぬと思うのです。御所信を伺いたいと思います。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 陸上におきましては、もう申し上げるまでもなく、現在補給人員として五千名しか米軍はおらないわけであります。それから海空は御存じの通り発足がおくれております。海軍よりはさらに空軍はおくれておるわけでありますが、そういう面からも、われわれはそれ自体としても日米安保体制というものを考えないでも、これは当然漸増しなければならぬ。同時に足らない部分については抑制力で補ってもらう。ただ十年先の安保の期限が切れた場合を考え、更改されたらどうだ——これは一つの仮定であります。しかし全然ないとは言い切れぬでしょう。そういう場合に自主防衛ということを考えてみましても、国際情勢なり、国内情勢なり、国力というものをどう見るかということがまず先決でございます。もちろん蓄積でございますから——今までも蓄積は貧弱ながらしております。これから先も五年計画で蓄積されましょう。古くなるものもあるが、更改されながら蓄積されておりますから、そこで突然新しい国軍が出てくるわけではありません。その延長として出てくるのであります。その目標、めどを公開のこの席で話すというわけにはいきません。だからわれわれは今——海空両軍の自衛力というものは、今はまだきわめて貧弱であります。古い船の五万トンもこれから先代艦建造をやって参らなければならぬとか、飛行機の能力につきましても御存じの通りのまだ状態でございます。そこらは必ずしも安保体制そのものではなくて、アメリカを帰すとかいう問題以上に、まずみずからできる範囲の努力をしていく、その目標でやっているわけであります。だから今海軍あるいは空軍はアメリカに帰ってもらうのだから、急いで飛行機を持つのだという考えでやっておるわけではありません。さしあたりの問題は安保体制の基調の上に立ってやっておる。それからかりに十年たちましても、現在の状況下で進んでおるといたしますれば、おそらく私は何らかの形の集団安全保障体制というものは、この形で続くかあるいは他の形で続くか、日米間であるかどうか知りませんけれどもあるのではないか。ということは、今日の世界の現在の時点における形は、一国は一国で防衛できないというのが各国の共通した考え方であります。日本もその範疇からはずれるわけにはいかぬ、こう考えております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 あなたの今の集団防衛体制の問題については、あなたの党なり、あなたの政府なりに理解ができるのです。今私が指摘しました池田・ロバートソン会談で陸上兵力を漸増するという約束、その約束のきき目が現われたのが、岸さんが一九五七年にあちらへ行かれたときの、一年以内に陸上部隊を撤退するという約束、この約束は確かに実行されました。そういうところから考えていくと、今後の海空のあり方というものについても、何らかの見通しが私は立つと思うのです。すなわち日本の海空の漸増計画というものをあちらに理解させ、協力させることで、大よそいつごろ日本の海空の実力は自主防衛ができるようになるかという見通しは、長官としてお持ちになっておらなければならぬ。私第一点でお尋ねした陸上部隊は今後アメリカにお世話になることは、たとい日米共同作戦を展開するような場合においても、おそらくあり得ないだろうという見通しが立つかどうかということ。その次は海空の漸増計画によって、おおむね日本が自主独立の防衛体制をしく時期というものはどの辺に置かれるものであるかということについて、長官の御意思をお伺いいたしたいと思います。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 非常に言葉だけの問題でございますので、あるいは真意が出にくいかもしれませんが、自主防衛といっても、あるいは一番いい例は陸上の問題でございますが、外部から攻撃があったのに対して、陸上に対しては守れるじゃないか。確かに今の陸上でもってある程度のことはできます。できますが、その侵略と申しますか、攻撃の規模にもよる、こう思うのであります。従って私どもは防衛と侵略は、相かね合っていかなければならぬ。その態様、それからそれが今日の時点においての場合と、これから五年先、十年先の時点における兵器の態様、あるいはその他の侵略をする国の国柄と申しますか、その背後の国際勢力、こういうものも考えていかなければならないのでありまして、一口にそれではいつになったら私どもはひとりで守れるのだといっても、守るということにも限度があります。アメリカやソ連でさえ、お前の国はひとりで守れるかといえば、守れるとも言えるし守れないとも言える。これと同じ議論ではないかと私は思うのであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 日本の陸上自衛隊の存在というものは、アメリカは一応日本の防衛にあたっては、陸は安心だという限度にきておるのですか、どうですか。必要があればまた応援しなければならないという立場にあるのですか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 一応局地戦等に対しましては、わが自衛隊は対処できると思います。しかしその侵略の態様いかんによっては、たとえば陸上において非常に大規模な攻撃をかけられるという場合においては、もちろん共同防衛の線が働くことは当然であります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 日本の防衛力というものは局地戦にたえる程度のものであって、局地戦以上に大がかりな戦争の規模になった場合にはたえ得ないものである。そのときはアメリカの共同防衛ということに名をかりて、アメリカの力をかりるということですね。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 名をかりるのでなくて、これは安保体制によって、日本の安全と極東の平和のために共同防衛するわけであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 当然名をかるわけです。そこで私、今お話が出ましたので、共同作戦をやる場合の態様についてお尋ねをしたいのです。共同作戦をやる場合に、問題は指揮系統でございます。日本は日本なりに自衛隊を指揮する司令官がおる。あちらにも司令官がおる。両々相待って助け合いをして共同作戦をやるというのが、昨年以来の御答弁のようでございました。法律論としては私この点は一応うなずきます。日本は独立国ですからね。しかしながらこの統一指揮権という問題は、すでにNATOにおいて実績を上げて、欧州に統合総司令官が、アメリカが担当して、平時において置いてある。理事会か何かできめておる。戦時においてはもちろん統一指揮官の指揮に従うわけです。実際に日本の実力とあちらの実力とを比較したときに、日本が法律論として、独立国である、自主的な自衛隊であるからといって、あちらと全く対等の立場で自衛隊の行動ができるものかどうか。これは先般来、しばしば制服の方々の御発言で思い当たることがあるのでございますが、長官、法律論と実際とを混同して、この指揮系統に統一的な指揮官を置く必要はないという御所論を、政策は実際でございますから、実際の部門を担当されている長官として、これを固執されますか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 なるほど御議論はあることでありますが、NATOの場合におきましては、統一軍の問題にしろ、統合司令部の問題にしろ、これは一つは多数国家の集合体であります。そこにも一つの、日米間の安全保障体制とは違った面があると思います。そこで私どもとしては従来とも統一司令部は設けない、統一指揮官は置かない。それぞれ独自の司令官を持ちながら、緊密なる連携のもとにやっていく、こういう考え方は対等に持っております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 この新安保条約に、統一指揮官を置いてはならないという規定はないと思うのでございますが、いかがでしょう。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 それは特に明記も何もございません。

受田新吉民主社会党

○受田委員 岸・ハーター往復書簡を拝見いたしましても、ここに安全保障協議委員会のようなものを設けたいという意思表示はされておりますが、そうした統一的な指揮官の問題などに触れるような委員会であってはならぬという規定もないわけだ。安全保障協議委員会において向こう様から、統一指揮官を置こうではないかということが提案できるかできぬか、また日本側からも、日本は自主独立国家だから、日本における軍の行動では統一指揮官を置いてもらいたいというような情勢ができたときに、それが提案できるかどうか、お答え願います。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 私はこれは条約の解釈上、そういう提案をしようと思えばできぬことはないと思います。   〔草野委員長代理退席、委員長着席〕

受田新吉民主社会党

○受田委員 法律論で言う場合と実際の場合とは、大いに相違があり、日本の自衛隊はアメリカのお指図で増減がされているというこの現実を考えたときに、今のように、陸上の問題などでも池田・ロバートソン会談ではっきりと要求されておる。海空はアメリカが握ろう、陸は日本が握ってくれというアメリカの共同防衛政策に日本が協力して今日を迎えておるのでございますので、実際の共同作戦の場合にアメリカ側から——共同作戦になる前でも平素からでも、安全保障協議委員会において、日米共同作戦の場合はアメリカ側から統一指揮官を出してほしいという申し出があるかもしれぬ。それは今、禁止する規定がないからできると言われた。しかし日本政府としては、アメリカがそれを申し出た場合には拒否するのですか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 今のところ私どもは既定方針通り、言いかえますれば、統一司令部というものをやらないで、それぞれの自主性を重んじつつ緊密なる連携のもとに共同防衛に当たりたい、こういう所信は変わっておりません。

受田新吉民主社会党

○受田委員 アメリカ側から申し出られた場合は拒否するということですか。統一指揮官を置くことを申し出られた場合は拒否するのですか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 統一指揮官というものは考えておらないわけであります。言いかえますれば、おそらくアメリカもそういうような日本の考えは平素から十分知っておりますから、申し出もないでございましょう。かりに申し出がありましても、われわれとしましては今の考えのもとでは拒否するという結果になると思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 向こう様から申し出る場合もあるし、こちらから申し出てもいいのだ、規則としてはそういうことになって、やることもできる。統一指揮官を置かないということは、これはどこにもそういう制約がないのだということを伺いました。  そこでもう一つこれに関連するのですが、安全保障協議委員会において、先般来お尋ねを申し上げておりまする専門的な軍事小委員会、防衛専門委員会、何にしてもいいですが、こういうものは、昨年の安保特別委員会の討議を通じては、政府側から、軍事専門委員会のようなものを設けて、とにかく両方の間の意見交換を正式にさせたいというお話をしておられるのですがね。ところが長官は、これが議題になっていなかったことをこの間言われたのですが、あなたとか外務大臣とか太平洋司令官とかあるいは駐日大使とかいう、そういう最高のスタッフのほかに専門委員会というものが別にあって、両方側で意見の交換、協議をするという機関が、あなた個人としてはあるべきであると思われますか、そういう必要はないというお考えですか、あなたのお考えを一つお聞きしたい。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 私個人の意見でなくして、防衛庁長官としてお答えいたしますが、その場合におきまして、私どもは現在のところは、平素各関係機関で緊密な連携は十分とっておりますから必要はない。その必要がありと、われわれあるいは両者の間に意思の合致を見た場合におきましては、これは置くでありましょう。現在のところはそういう考えはございません。

受田新吉民主社会党

○受田委員 現在のところはない。しかしそういうものは将来においても置く見通しを持たないものか、あるいはこういうものは置いた方がいいという事態が現われるまでは絶対に置かないというような考え方なのか、そこのところのはっきりしたもの——今は置く必要ない。しかし双方の間の話し合いを具体的に専門家にさせるという立場は、これはとった方がいいと藤山さんも言っておられるのですからね。そういうものと自分の意見とは違うのだ、当時の外務大臣とおれとは意見が違うのだ、こういうことなら、はっきりその意見が違うという理由を言っていただきたい。当時は必要があったと思うが、その後必要がなくなったのだということ、御答弁願います。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 私は当時の事情とそれほどは変わってないと思うのでありまして、当時も必要がありとはだれも言ってないと思うのであります。問題は、それではないからといって何もしてないかというと、常時各幕僚長なり向こう側の軍の代表者とそれぞれ必要に応じ協議もし、意見の交換もやっておるのでありますから、実体は何ら変わらないと思います。ただそれを下部の軍事専門委員会というものを特に起こす必要は現在ない。では将来もないかといえば、私は必要に応じては、これは作ろうと思えば両者間の意思が合致すればできるわけでございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 私ここでもう一つお伺いをしておきたいことは、岸・ハーター往復書簡の中にもはっきり書いてあり、きのうもあなたがここで答弁しておられる。すなわち日本とアメリカの間におけるいろいろな協議というものを、両政府が適当な諸経路を通じて行なうことになっておるという御答弁でありますが、このことについて安全保障協議委員会を通じなくて、あなたと向こうの太平洋司令官あるいは在日米軍司令官、外務大臣と駐日大使、あるいは総理大臣があちらへ行かれたときに両首脳と話をするとか、こういうものがこの中へ含まれておるという解釈になるのですか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 このような協議は、両政府が適当な諸経路を通じて行なうことになります。私は大体そう解釈しております。防衛庁長官とフェルト大将、あるいは外務大臣と駐日大使あるいは国務省当局、そういうふうに考えております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 そうしますと、今の軍事専門委員会のようなものを置くとすれば——これは置く場合も一応考えておかなければいかぬわけです。置くとすれば、安全保障協議委員会の付属機関にするか、あるいは池田さんがあちらに行って話をされて、その結果別ワクできめるとか、いろいろの置き方があると思うのです。昨年の国会では、軍事専門委員会というようなものがあることが好ましいというお答えがされておるのです。必要ないという答弁ではないのです。はっきりと、そういう答弁がしてある。従ってあなたは過去、長官になられて半年もたって、まだ米軍との間の正式の協議ということをされておらないわけなんでございますが、少なくともこうした特別の機関を作って、そこで双方が正式に話し合いをするということは、あなたたちの怠慢を補う意味においても必要じゃないのですか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 なるほど私が着任する前に、初めて新安保が成立したわけであります。そこで第一回の安全保障協議委員会を開いております。その後におきまして御存じの通り、昨晩申し上げましたように日本側に選挙がございました。政変がございました。またアメリカの方も大統領選挙があり、政変があり、続いて国の代表機関である大使の異動等も行なわれた。その間を待つということは、むしろトップ・クラスの会合としては、私は常識だろうと思うのであります。あたりまえだろう。しかし私は少なくとも在日米軍司令官とは相当緊密な会合を持っております。また下部機構も相当持っております。そういうような意味から、私は安全保障体制の運用面において、十分自分の責任は果たしつつあると考えております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 政変とかその他のような事情で、世界の軍事情勢が変わるものじゃないと私は思う。そういう問題は常時政変に関係なく流れていくものなんです。政変があるからこういう会議を開かなかったということは、これは内閣がずっと続いておるのですからね。選挙があっても政変があっても、常に事務当局と密接な連絡をとったそうした話し合いがされるというのが筋じゃないですか。政変や選挙によって、そうした国際間の問題が遅延されるということは本筋ではない。政府は厳然と選挙中にも存在しておるのだ。こういう立場からの御所見を伺いたいです。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 もちろん事務当局と申しますか、行政当局としましては、その間において当然これはやっております。問題は、安全保障協議委員会というものを正式に開くかどうかの問題になりますと、アメリカとしても元首がかわるのであります。でありますから、それからくる代表者も異動があるわけであります。できる限りその異動を待ってということは、当然の常識ではないか。それ以外の部分においては、緊密なる連絡はとるのでありまして、決して怠慢を犯しているわけではないと考えております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 政治的立場をとる人々がそういう怠慢をしている間に、事務的な双方の防衛専門委員会というものは、ちゃんと仕事をするような体制にしておけばいいじゃないですか。事務当局同士は政変に関係なく、軍事専門の立場で研究ができるのですからぬ。私はその点を指摘したいのです。いかがですか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 それは名前を特につけるかつけないかの問題でありまして、私どもは常時その面においては緊密な連絡を、各幕なりそれぞれの機関がとっておると申し上げておるのであります。実体的には何ら変わりはないと御了解願いたい。

受田新吉民主社会党

○受田委員 実体に変わりはないということを仰せられておりますけれども、正式の話し合いというものでなければ権威がない。おわかりの通りです。私はこれ以上この問題はつきますまい。  そこでもう一つこれに関連する問題は、新条約の第六条によって米軍は日本の施設及び区域の使用を許されておるわけです。これは権利及び義務ですか、権利だけですか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 権利でございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 そうしますと、日本に米軍が駐留しなければならないという義務はないわけですね。日本の防衛の責任さえ果たせば、日本に駐留しなければならぬという義務はないわけですね。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 条約上からは出て参らないと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 アメリカは日本に駐留しなければならない義務はない、しなくても条約上では条約違反にならぬ、こういうことですか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 その通りでございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 そうしますと米軍が、最近ケネディ外交においては、ドル防衛の立場から、在外基地の縮小整理、兵員の減少というような政策を持っている。日本の場合にはあとから特例を設けたようでございますが、そういう政策の結果、日本から、駐留しておる義務のない権利しかない米軍がどんどん退いていっても、これは日本側としては条約上は差しつかえないわけですね。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 ケネディの最近における国防教書、六億ドル追加要求したあの国防教書の思想をごらんいただきましても、ケネディ大統領といたしましては、やはり何といいますか、集団安全保障体制における基地と申しますか、そういうものに対して非常な重点を置いております。従って日本に関して極東の安全というようなものを考えた場合におきまして、基地に対する政策、考え方は変わらない。言いかえれば引き揚げていくというようなことは、あのケネディの世界戦略からそういうものは出てこないと思います。その考えは当たらないと私は思うのであります。ただドル防衛から一部節約するという構想は出ました。しかしこれも家族の引き揚げはやめました。ただできるだけ、家族は引き揚げないけれども、多少の自分たちの節約はせよ、こういう指令は出したことは事実でございます。従って私はそう何らケネディの国防政策によって、日本の基地に対して引き揚げるとか引き揚げないとかという問題は出て参りませんし、もう一つは、かりに引き揚げる場合でも、大量に引き揚げる場合においては、当然日本の事前協議の対象にも——私は四条の協議の対象になると思う。事前協議ではございません。これは間違いましたが、四条の協議の対象にはなり得るのではないか、これは日本の安全とか極東の平和に関連をします。

受田新吉民主社会党

○受田委員 事前協議の対象にはならないですね。御存じの通りです。四条の協議というものの実行というものについては、あなたが御承知のように、開いても開かなくてもいいようなんですから……。そうしますと米国側が独自の判断で在日米軍の引き揚げを計画するということに対して、日本側は条約的には、法律論的には何らこれに文句を差しはさむことができないものであるということになりますね。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 もちろんこの法律の面からは権利であって義務でない。しかし私は単に法律論だけではないのであります。これは言いかえますれば、いつも申し上げますように、日米安全保障体制というものは相互の信頼であります。そうしてそれが同時にアメリカも、極東の安全は世界の平和、自国の安全にも響いて参るでありましょう。同時にまた日本も同じ立場であります。そこでこの相互の信頼からこの条約が生まれておるのであります。私は設問されたような、一方的にただアメリカがそういうものを考えないで、条約だけを残してばっと引き揚げる、そういうようなことは、そういう事態は想像もできないのであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 全部引き揚げるという場合でなくて、一部引き揚げる、あるいは大部分が日本の周辺に待機するような形で、日本の防衛をある限定された地点において負担する、こういう形も考えられるわけですね。これは条約に何ら違反することなく、彼らが引き揚げて、たとえばハワイやグアム島で日本の防衛義務を果たす、こういう形をとることは、これは条約的には何ら問題はない。また実態に即しても、日本に莫大な在日米軍がおるよりも、その大部分がそういう方向で待機しておるような形で、一朝事あるときに出動する、こういうような立場をとるならば、世界のすべての国々に対する公平な措置として歓迎されるというようなことになるならば、これはアメリカがそうするかもしれぬ。そうすることは、日本側から要求してもいいし、アメリカから持ち出してもいいのでございますが、そうした措置というものはどうですか、あなたはどういうお考えをお持ちでございましょうか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 私は先ほどケネディの国防教書のことを申し上げましたが、国防教書に現われたはっきりした思想におきましても、与国との、言いかえれば基地を持って、その与国の能力と合わせて自由世界への侵略を阻止する、この決意というものははっきり出ておるのであります。ですから、私はケネディの世界に声明した国防教書の思想からいきましても、そういう変化というものは起こり得ない、こう考えております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 あなた御自身は、日本におる現在の米海空というものの部隊は、これは減ってはいけないのだ、そういうお考えなんですか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 私も現在の日本の置かれたる日本の自衛力の姿、それから置かれたる国際情勢から考えまして、同時に日米安全保障体制という体制をとっておる姿からいえば、日米の協力関係として、ことに米軍の海空の勢力があることは必要なことではないかと考えております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 あなたのお考えは、現時点における米海空軍の実績を確保しなければならない、これはふえる必要はないし、減る必要はない、現時点の兵力でいいのだということになるのですか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 もちろん現時点においては、私はこれで差しつかえないと思います。しかし情勢の変化によりましては、またその変化というものは当然起こってしかるべきだと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 現時点における米海空軍の勢力が、日本に駐留されている限界でよろしいのでありますが、どの程度あるのかはっきりお示し願います。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 現在の駐留軍の勢力は防衛局長から御説明させます。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 お答え申し上げます。先般の委員会におきましても申し上げましたように、大体在日米軍といたしましては、陸が五千名、海が一万四千名、空が約二万七千名程度、総計いたしまして、約四万六千名というのが現在の状況であります。陸につきましては、先生も御承知のように、主として管理、補給等の部隊の構成員でございます。海につきましては、主としてアメリカ第七艦隊に対する補給、管理、整備関係の人員でございます。空につきましては、横田、三沢等に展開しております米空軍の要員であります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 米海空軍の実績というものを伺ったのでありますが、そこで一つ私お尋ねをしたいのは、日米の共同防衛体制、そういうものをしく場合に、海軍側と空軍側の実力はアメリカが握っておる、陸上は日本が握っておる、こういうふうに日本の自衛隊は三軍のバランスがくずれておる、これは長官、お認めになりますね。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 御存じの通り海軍あるいは空軍というものは、陸上より発生がおくれております。また非常に財政力も要するものもある部分もあるのであります。従って海空の方は、もし日本がもっともっとより均衡を強くバランスをとるつもりがあるならば、私はいま少し海空は伸ばさなければならぬが、しかしそれかといってはたしてそれをやることがいいか悪いか、それも一つの疑問に思います。言いかえますれば、現在ある程度の均衡はとれております。しかし完全にそれだけで自主防衛体制というものを考えた場合においては、あとから発生したものは多少その他からおくれて参ることは当然であります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 海空を増強することによって、その部分だけ米軍が漸次撤退をしていくというような方向に原則的にはなるのですか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 先ほど申し上げましたように、われわれはむしろ発生がおくれ、装備もまだ代艦等ごらんの通り五万トンも供与の船であります。更新するのもおくれております。しかし財政力も考えなければならぬ。そこでわれわれは、わが国の立場においてこの漸増をはかっていく。米軍の撤退を前提に考えて、これだけ持っていったらこれだけ米軍は帰ったらいい、こういう立場で海軍、空軍については増強は考えておりません。

受田新吉民主社会党

○受田委員 そうしますと日米の軍の実力は、日本が増強される部分というものは全く別ワクでプラスされておるのであって、双方の実力を比較検討しながらバランスをとるという形ではないわけですね。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 米陸海空軍とわが陸海空の自衛隊とのそれぞれの勢力関係におきましての御質問と思いますが、先生も十分御存じのことと思いますが、第一次防衛力整備計画におきましては、先ほど先生も御指摘のありましたように、まず米地上軍の撤退を求めるということが一つの方針でございました。同時にわが国土はわが手で守るということを最初に完成できますのは、一応陸上自衛隊である。海空の部隊を編成することにつきましては、先生も御存じのように、それぞれの要員を教育するのに期間がかかります。従って第一次防衛計画においてはまず陸を整え、海空については先ほど長官から御説明のありましたような弱点をまだかかえているわけであります。これらも今後の第二次防衛計画において適当に埋めて参りたいということでございまして、その間において米陸海空との関係はどうなっておるかということでございますけれども、私ども事務的に考えておりますところでは、私どもの海空の力というものは、本来理想的に申しますならば、もっと増強されておらなければならないはずのものでございます。すなわちそれだけおくれておるという面がございます。幸いにして何も事はございませんので、今日までその教育、訓練、将来の発展のための要員の養成はできてきたというのが現状でございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 日本の自衛力は非常におくれていたので、それは別ワクに考えるのだというような印象を私受けてきているわけです。つまり日本が実力をつけても、アメリカ側の実力からその部分を引き去るということでなくして、おまけになっておるのだというような印象を受けた。私はここで米と日本との両方の防衛体制をにらみ合わせていく力は、やはりアメリカ側が握っておると思うのですが、日本が部隊を増強しても、アメリカは陸だけは引いたけれども、海空はそのままにしておる。日本のあり方を適当にながめながら、アメリカがうしろで支配しておるという形になっておる。これは双方の防衛力の漸増計画の上から見ましても、はっきりとアメリカ側に主導権があることを印象づけておりますが、長官、いかがですか。うしろを向かなくても大丈夫です。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 私の説明が不十分なために、先生にそういう印象を与えたかと思いますので、さらに説明を付加させていただきます。決してアメリカの方がうしろで采配と申しますか、綱を握っておるということではございません。先般領空侵犯のことがありましたときに御説明申し上げましたように、わが航空自衛隊というものはまだまだ力が十分でございません。また海上自衛隊の現勢力は、この四つの島を有事の際に防衛するに十分な力ではございません。従いましてその足りない点を今後埋めて参りたいというのが私たちの考え方であります。その間におきましては、先生御存じのように、やはり米軍の空軍とか海軍は機動力がありますので、万一の場合にはその機動力を持った米軍の力を一応当てにする、こういうことでございまして、そのために軍がうしろでかじをとったり采配をとったりしていることは私ども全然感じておりません。

受田新吉民主社会党

○受田委員 万一の場合に米軍の機動性を期待しておるというお言葉が今あったわけですね。そうしますと、現在は万一でないと私は思う。万一でないときにはそういう機動性を期待する必要はないのでございますから、平時においてはある期間、ある時点に、一定の地域に米軍が後退しておる。ハワイやグアム島に退いておいてもらって、日本の国には米空軍や海軍は今現実にはおらない、あるいは非常に少数しかいないのだ、こういうことでやっていけるのではないですか。万一のときにさっと出てくればいいのではないですか。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 事務的になりますが御説明を重ねますと、たとえば第七艦隊を例にとって申しますと、これは先生御存じのように、横須賀と佐世保が基地になっておりますが、しょっちゅう日本におるわけではございません。しかしこれが置かれておりまして、万一の場合に横須賀に入ってきた。直ちにその艦隊に対する補給、修理ができるかということになりますと、ノーでございます。すなわち平時から、第七艦隊が入ってきましたときに備えて補給、管理のための人間はどうしても要るわけでございます。先ほど申しました海軍の人員は、そういう艦隊施設の維持、補給等に当たる人員が合わせまして一万四千人ということでございます。従いましてこの一万四千人はいわゆる部隊的なものでございませんし、かつ有事の場合には直ちにこの人員をどこかから持ってくることはきわめて困難でございます。さらに米空軍については、先般も申し上げましたように、現在のわが航空自衛隊の力では、いわゆる全天候性の戦闘機がいまだ数少のうございますので、領空侵犯、わが国の領空を守るために行動しますことも、夜間、悪天候の場合におきましては、実際上は大部分米軍の飛行機にたよっているわけでございます。従いまして、先生もおっしゃいましたように、どこかに行っておって持ってくればということは、非常に実現困難ではないかと私どもは考えております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 どこかに行っておって有事の際に出かけてくる、こういう形は困難だ——そういう要員の者はちゃんとそこに置いておいて、飛行機を持ってくればいいのですから、われわれの国にアメリカの軍艦や飛行機があまり大げさに待機しておるような印象を与えないような形をとるべきではないか、こう私は言っておる。そういう形をとっても条約違反にはならないのですから、そして実際にもそういう形をとっておく方が、平和を愛好する日本の国の立場を明らかになし得るという、そういうお考えをお持ちじゃないですか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 あなたのお考えはいわゆる有事駐留という御意見だろうと思いますが、われわれはこれはとれないのであります。言いかえますれば、もちろん万一の場合における機動力の発揮もございましょうし、同時に常時駐留による平和の維持による、何と申しますか抑制力の面もまた考えて参らなければならぬと思うのであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 そこで私一つこの際指揮命令の角度から、新しい法案の中身にちょっと触れます。これは非常に大事なことですから……。それは今度の自衛隊の指揮に関する法改正の趣旨の中に、統幕議長に長官の指揮権を執行させることが規定されておる。長官、あなたの権限を統幕議長を通じてと、こう書いてあります。これはあなたの力が、通ずることによって確かにロスが出てくる。途中で適当にチェックされて、その通ずる機関の統幕議長が三軍をぐっと握る強大な権限を持つと私は思います。通ずる機関を新しく設けたことは、決して文官優位の原則を犯すものではないという御意見かもしれませんけれども、実際の問題を考えてみましょう。統幕議長の権限が強化されることは間違いないですね。そしてこれに伴うところの、あなたの命令が途中で適当にチェックされたり、ロスが出たりするという危険のあることもおわかりですね。御答弁願います。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 もうすでに私から申し上げるまでもなく、政策面の基本は内局の補佐を受けて私が決定いたします。同時にその内局の補佐を受けてきめました行動の基本に関する範囲内において、そのもとにおいて今度は作戦なりその他の部分を各幕がやる。統合幕僚会議が従来直接やっておった命令の基本につきましては、各幕長が統合幕僚会議で決定し、それがまた同時に私の意見によって判断される。そしてそのきまったものを、今度統合部隊に命令を伝達する場合に、統合幕僚会議の議長というものを通してやる。だから私はその間にいたずらにいろいろなものが付加されるとは考えておりません。従って従来のシビル・コントロールの権限は何ら侵されていない。言いかえますれば、防衛庁長官の権限というものはやはり依然としてしっかりした権限を持っておるものだ、こう解釈をいたしております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 しっかりした権限を持っておると、自慰的な御発言があったわけですが、実は私はこれに問題があると思う。あなたがきめられた命令を下へ出されるときに、長官の指揮は、「当該部隊の行動についての長官の指揮は、統合幕僚会議の議長を通じて行なうものとし、これに関する長官の命令は、統合幕僚会議の議長が執行する。」となっておって、あなたの指揮は議長がパイプになっておるのですよ。その分は今あなたの答弁は抜けておる。お答え願います。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 この命令の名前は私の名前であります。それから命令の執行はなるほど議長を通じてやる。長官の命令を議長が具体化するわけであります。執行していくわけであります。それは現在の各幕僚長の命令の執行も同じような形をとっておるわけであります。私の名において各幕僚長がきまった命令を執行していくわけであります。私はその点は何ら変わりがない、そのように考えております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 変わっていないことはないのです。三幕の幕僚長と、今度はその上に統合幕僚会議の議長というものが現われておる。議長というものが一つ出たことは、そのパイプが一つふえたのです。ものを流すのにも、パイプが一つでもふえれば、おしまいごろにはだんだんとロスが出るじゃないか、チェックされるじゃないですか。そういう意味からも、強大な権限を持つ長官の指揮権が、パイプの中で適当にゆがめられる危険がある。いや弱められると言いましょうか、あなたの権限が弱められる。あなたが直接幕僚長に指示したときよりも、統幕議長を通じてやったときの方が、一段階あなたの力は抜けておるのです。つまりあなたの権限が、人に委任することや人を通ずることによって、だんだんとその間が複雑になって弱められるということは、十分あなた御承知にならなければならぬですよ。いかがですか。

加藤陽三防衛庁参事官(長官官房長)

○加藤政府委員 先ほどの長官の御答弁を少し敷衍して申し上げたいと思います。今お尋ねになっておりますことは、この改正の条文に書いてあります通り、陸海空の自衛隊のいずれか二以上の部隊におきまして統合部隊を編成した場合でございます。統合部隊を編成しました場合において、その統合部隊に対する長官の指揮命令をどうするかということでございます。現在はその点はどういうふうになっておるかと申しますと、自衛隊法の二十二条の三項に「前二項の規定により編成され、又は同一指揮官の下に置かれる部隊が陸上自衛隊の部隊、海上自衛隊の部隊又は航空自衛隊の部隊のいずれか二以上から成る場合における当該部隊に対する長官の指揮監督について幕僚長の行う職務に関しては、長官の定めるところによる。」これが現在の規定でございます。これはどうなるかと申しますと、陸海空の二以上の部隊から統合部隊を編成いたしますね。その統合部隊の指令官に対する指揮命令が今でもあるわけでございます。それは長官の定めるところによりまして、陸海空の幕僚長のうちの一人の幕僚長を指定して、その者にそれをやらせるというのが現在でございます。その幕僚長のやる仕事につきましては第八条に書いてございまして、自衛隊法の第八条「長官は、内閣総理大臣の指揮監督を受け、自衛隊の隊務を統括する。但し、陸上幕僚長、海上幕僚長又は航空幕僚長の監督を受ける部隊及び機関」、すなわち陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊「に対する長官の指揮監督は、それぞれ当該幕僚長を通じて行う」というのがあります。これをあわせてお読みいただきますと、長官の命令の伝達の仕方そのものには変わりはない。ただ陸海空の幕僚長のうちのだれか一人を指定してやらしておりましたものを、今度は統合部隊につきましては統合幕僚会議の議長を通じてやらせることが適切である、その点を書いてあるわけであります。命令の執行の仕方については変わりないということを御了承願いたいと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 それが問題なんですよ。通ずる機関が一つふえているということ、これは間違いないですね。

加藤陽三防衛庁参事官(長官官房長)

○加藤政府委員 そのふえているということでございますが、形式的には一つふえました。しかし私の申し上げているのは、部隊に命令の伝達をする経路といたしましては、今までどこかの幕僚長がやっておったことを、今度は統合幕僚会議の議長がやるのでありますから、その部隊に関する関係においては変わりがないということを申し上げたいのであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 その通りなんです。つまり二本建になっている。二本建になっていることが問題だ。すなわち三軍を握っていくという機関の統幕議長が指揮権を委任されたわけです。そういう命令の執行権を委任されているのです。そういう重大な権限が三軍の全体に及ぶような立場で統幕議長に与えられたのでありますから、統幕議長の権限というものは陸幕、空幕、海幕のばらばらにいったときより非常に強大な権限ですよ。これは加藤さん、おわかりですか。非常に強大な権限です。

加藤陽三防衛庁参事官(長官官房長)

○加藤政府委員 その陸海空の三自衛隊の統合部隊とおっしゃいますのは、これはよく御承知と思いますが、陸海空の自衛隊の全部を統合する部隊というわけではないのであります。必ずしもそうではないので、陸海空の、たとえば北海道について申しますと、陸上自衛隊の方で申せば北部方面隊、海上自衛隊の大湊地方隊の艦艇、それから航空自衛隊の第二航空団の勢力というものを合わせまして、一つの統合部隊というものを作る場合があり得るわけであります。ではその場合、今でもそういうことはできるわけで、その場合に今どうなっているかというと、陸上幕僚長か航空幕僚長か、だれか一人の幕僚長に統括さして、それを通じて指揮する。その陸上幕僚長や航空幕僚長の地位を統合幕僚会議の議長に持ってくるというわけであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 それが問題なんです。あなたはごく一部分の部隊のことを例に引かれましたけれども、この規定によれば二以上から成る部隊を総合的にやることもできる。一朝事あるときに陸海空三軍の全部を一括して統括部隊を作った場合には、統合幕僚会議の議長を通じなければできないじゃないですか。どうですか。

加藤陽三防衛庁参事官(長官官房長)

○加藤政府委員 それはおっしゃる通りであります。ただしかし今でもそういう場合を仮定いたしまして、陸海空全部の自衛隊を統合して部隊を作りますと、陸海空の幕僚長のだれか一人を長官が指名して、これをやらせるということになるのでございます。やはり指揮は一元化しなければいけませんので、どこかに中心を置かなければいけません。

受田新吉民主社会党

○受田委員 大へん大事な御発言ですね。指揮を一元化する、つまり陸海空三幕が統一された大部隊となって、日米共同作戦に対処する準備にもこれは必要なことであります。そういうことになりますね。

加藤陽三防衛庁参事官(長官官房長)

○加藤政府委員 米軍との共同防衛作戦というのは、どういうふうになるかということでいろいろと事態が変わってくると思いますが、陸海空全部の自衛隊を一本にしてやるという場合が、はたして現実に必要であるかどうかということにつきましては、いろいろ意見があろうと思います。個々具体的な場合について考えなければなりませんが、大多数の場合はそういうようにならないのではないかと私は考えております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 この三幕の統括の上に立つ大権限が統幕議長に与えられていることを、あなたは今御確認されたのでございますが、そういう強大な権限を持つポストが一つふえたということについて問題があるのです。大体文官優位の原則で、長官は一応文官でいらっしゃる。しかしながらあなたのところに持ち出す各幕の情勢判断、そういうものの資料というものは、大体各幕の幕僚長が握っておるのですね。それをあなたは見られて、情勢判断をされて、適当な指揮をされるわけです。従ってあなたが別の方から資料を集めるのでなくして、やはり各幕の権威ある制服の皆さんが集め得た資料をもとにして、あなたが判断をされるようになるのです。日米共同作戦の大がかりな場合になってきたら、そうでしょう。そういうことになるでしょう。いかがですか。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 今先生のおっしゃいました情報、調査資料の収集の経路でございますが、もちろん各自衛隊、各幕僚幹部がそれぞれの手で集めておるのは事実でございます。同時に防衛局は、防衛局の第二課というのがございます。そこではまた防衛局第一課、すなわち自衛隊の編成、装備、行動等に必要な情報資料の調査というのは別個にやっております。従いまして、実はたとえば諸外国の状況でありますと、先般申しましたように、現在七カ国に出しております九名の外務事務官を兼務しております防衛駐在官から、いろいろな情報を外務省を通じて私どもがとっております。そういういろいろな資料を突き合わせまして、最後に長官の方で総合的に防衛庁としての判断ができる、こういう体制になっておりますことを申し上げておきます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 外務省を通じての資料入手の方法も伺ったのでございますが、内閣の総理府においても、何かそういう情報収集の機関はありませんか。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 総理府のことを私が申し上げるのはどうかと思うのでございますが、内閣調査室もございまして、そこはまた内閣総理府として独自の資料を収集に当たっておる、このように承知しております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 いろいろな方法がある、いろいろなところから入手される。内閣の調査室の資料をあなたの方で参考にされないのですか。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 私どもは政府の、そういう情報と申しますか、諸種の調査資料等を持っておりますところは、外務省を中心の機関といたしまして、定期的に事務担当者の連絡をいたしております。そこでいろいろな情報の交換をいたしております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 情報の交換ということになりますと、あなたは今総理府のことを何かよそのお話のように聞いておられたけれども、やはり内閣調査室から出た資料もそこで総合的に連絡されるわけですね。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 その通りでございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 よそごとじゃない問題ですね。やはり大事な問題です。総理府のことを言ってはというお話で、何か敬遠されたようなお話があったのですが、敬遠される必要はない。総理府にもそういう機関があって、それらと連絡しておると言えばいいのです。なるべく触れたくないようなお話をされておるのは、私は非常に遺憾に思います。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 私の発言が不十分でございましたが、私は防衛庁の防衛局長としてお答えをいたしておりますので、よその役所のことを申し上げる資格はない、こういう意味で申し上げたのでございます。そういう内閣調査室との情報関係の交換をいたしておることは知っております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 それでそういうものはあなたの方へ、そこにもそういう役所があって、そこからもいろいろ資料が行っている。ただ私がここでおそれるのは、長官、あなたの内局を通じて、外務省を通じて、いろいろ機関はあるけれども、結局制服の皆さんの握っている権限というものは非常に大きな力でありますから、この力を通じてやろうとするならば、何事もできるのです。あなたは制服の威力というものを十分御承知されておると思うし、また制服のその強い威力に対して、ここにおられる加藤さんのような長く防衛庁におられた、こういう人ががんばっておる限りは、私はいいと思いますけれども、こういう人々が去っていったら、文官優位の原則は至るところでくずれるおそれがある。かつてこの指揮権を与えられた、権限が強化された立場で、制服の軍部が横暴をきわめた例は関東軍である。日本政府は不拡大方針であったのにもかかわらず、現地の軍はどんどん事件を拡大していった。シナ軍だってそうである。マッカーサー元帥だって、三十八度線を乗り越えていこうとして、戦略上の理由で勇ましいことをやりかけた。ところがこれはト大統領によってばっさり首を切られたですね。あなたの場合は、ト大統領のような場合とは違って、そういうところにばっさり首を切るほどの力がないのです。たとえば先般来から問題になってきておるいろいろな発言をする人々に対して、制服の皆さんに対しても十分注意をして必要な措置をとるというようなことにも、勇気が欠けておるわけです。そういう意味から、三幕の議長の責任者に、あなたの持つ強大な権限を与えるということは、関東軍やシナ軍、マッカーサーの三十八度を越える問題等に関連して、これは制服横暴の非常に重大な第一段階、七里塚の一つであると思うのです。私は願わくは長官、制服に強い権限を与えるというこの法律をあきらめられて、あなた自身の権限が強化されるならば幾らでも私は賛成します。その点においては政治と自衛隊と混同されるようなおそれもあるのでございますので、私はその点に非常に不安があるわけです。従ってこの際、自衛隊の真のあり方は、文官優位の原則を確立すべきであるという強い立場から、願わくはかかる権限の強化、三軍総指揮官に与えられた強大な権限を剥奪するようなお取り扱いをされる必要があると思う。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 アメリカのいわゆるマッカーサー罷免の例をおとりになりましたが、アメリカにおきましてもシビリアン・コントロールの原則は確立をいたしております。同時にまた今回のケネディの国防教書にも、それをはっきり言っておるのであります。そこで日本の場合でありますが、日本の場合におきましても同様に各国の例をとりまして、これは国会の御審議を得まして、そうしてあるいは人事、予算あるいは行動の基本、こういったものにつきまして、法制的に、あるいはさらにその上に国防会議なり総理大臣の最高指揮権、また防衛出動等につきましては国会の承認というシビル・コントロールの原則は立っておる。あとはそれを運用する人の問題でございます。そこで私はそれらが常時安定していくことは必要でありましょう。言いかえますれば、防衛庁長官が再々かわるということがはたしていいかどうか。これは一つの意見が立つでありましょう。これは法制上の問題ではなくて人事の問題であります。また私は法制に関係があるとは思いますが、たとえば今内局には優秀なスタッフがそろっております。特に御指摘になりました加藤官房長のごときも、防衛庁に十年終始しております。その他の諸君にも相当おります。しかし私はさらに各省から来た非常に練達たんのうな諸君も、シビリアンとして将来育っていく人も防衛庁に作ってもらいたい。それにはやはり単に一つの総理府の出店であるよりは、省としてその中にすっきりさせたいというのが私の——シビル・コントロールを法制的にさらに強めたい。どうぞその点は受田委員におきましても、今後御協力願いたいと思うのであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 私はあなたに今の御発言に関連してお尋ねを繰り返したいのですが、このシビリアン・コントロールの問題は、日本の民主的な自衛隊の立場からは、あなたが命をかけて守ってくれなければ非常に困る問題です。あなた御自身が実は制服が立案をしたいろいろな情勢分析、考え方というようなものに賛意を表せられたりして、押し上げられるような傾向に私はあると思うのです。その点は専門家でないのですから、その専門家でないあなたが実力を持たない限りは、制服がクーデターを起こす危険もあるわけですよ。今のように三軍の責任者が「長官の指揮は、統合幕僚会議の議長を通じて」と、通ずるパイプがとんで毛ないパイプであって、そのパイプがあなたにかわって自衛隊を動かすような形にもなる。これは長官の命令を執行するのだ、あるいは長官の指揮権を委任されたのだという立場で、統幕議長というものが、その人間がとんでもない人間であったならば、その命令に対してどのような措置でもできるのです。あなた御自身がそれを通ずるのですから、そういう点においてあなたの実力を失うようなことのないように念を入れなければならぬし、加藤さん、あなたも長い間シビリアン・コントロールの点でがんばってこられたのが、こうして三軍の指揮権の強化をはかるような形に持っていかれて、結局制服の横暴ということで、やがて内局は消え去らんというようなことになりかねない。その点あなたは制服に非常に御期待をされておるようでございますが、制服の内部には非常に文官に対する反感もあるし、またおれたちは実力部隊だぞという権力組織らしい誇りを持っておるのでございますから、長官、内局の皆さん方、一つ十分警戒をして、制服の諸君の横暴を押えるような法改正の配慮を常にする必要があると思います。  そこで長官、あなたは今国会の承認もあるし、いろいろあるとおっしゃったけれども、この間ちょっと触れただけでお尋ねを繰り返さなかった点があるから、そこだけを特に追及します。あなたは自衛隊法七十八条の治安出動について、実は私が繰り返し国会承認を要求したのだが、今国会承認もあるのだとおっしゃったけれども、こういう大事なところで内閣総理大臣の治安出動命令をあなたが長官の立場から賛成されて、そしてこれをお出しになるというようなときに、国会の意思を無視してやり得ることが起こるのです、危険があるのです。従って私は国会の承認ということを繰り返し申し上げ、あなた方の責任も軽くしてあげようというので、非常に親切な立場で発言したのです。私はもう一度ここでつけ加えたいのは、国会の承認を得てこれが発動されるなら、あなた方の責任も軽い。従って治安出動においては国会の承認をとることにせよ、また七十六条の問題と同じような立場で、全然甲乙のない立場から、国会承認の形式をとれということを、きょうもう一度あなたに要求したいのです。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 そのお説は、私先般お承りいたしました。同時にまた私もその際にもはっきりお断わりをいたしたのでありますが、私は現在の法制でよろしいという所存でございます。その理由等については、先般申し上げましたからお答えいたしませんが、私は法改正の必要はないと考えております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 自衛隊法八十八条には、防衛出動時の武力行使の規定がある。との防衛出動時の武力行使は、「第七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた自衛隊は、わが国を防衛するため、必要な武力を行使することができる。」という規定がある。この規定は、七十六条の「外部からの武力攻撃のおそれのある場合」にも武力行使ができるかどうか。

加藤陽三防衛庁参事官(長官官房長)

○加藤政府委員 これは前々から当委員会においてもお尋ねがありました。そのとき以来一貫しておりまする政府の答弁は、おそれある場合に防衛出動をかけ得ることになっておりますけれども、これは国連憲章の五十一条に照応する規定がありますが、現実に武力攻撃が行なわれなければ、武力の行使はできないという解釈をとっておるわけでございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 そういう問題が一つあるわけです。従って国会の承認は、外部から武力行為のおそれある場合、武力攻撃がある場合、そういうような重大な事態に対しても、ちゃんと国会の承認が前提になっている。七十八条の条文は、国内の緊急事態に対する特別措置でしょう。そういうときに自衛隊の出動を国会の承認をしないでやって、二十日以内に何とかするという規定がその次に出ておりますけれども、内閣総理大臣やあなたは大へんな責任を負わなければならぬことになる。内容からいって、第七十六条の武力攻撃のおそれある場合、武力攻撃の場合と七十八条の治安を維持する必要のある場合を比較してみましょう。日本の同じ主権者である国民同士の間で問題が起こったときには、国会の承認を得ぬで、ぱっと自衛隊を出してこれを鎮圧する。また七十六条のように、直接外部からの武力攻撃、またそのおそれがある場合、こういうときには国会の承認を前提にするということ、この比重関係からいっても、国会の承認を当然私は七十八条に持ってくるべきではないかと思うのです。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 たびたび申し上げますように、七十六条は国際間の関係がはっきりして参ります。七十八条の場合はあくまでも国内的な問題であります。従ってこの場合の条文をお読みいただきましても、一般の警察力をもっては治安を維持することができない、こういう状態であります。善良なる国民、ほとんどこの人たちが非常な不安な状態に、不良な国民はいざ知らず、善良なる国民であれば、この事態に対しては緊急事態であります。そこに緊急事態と書いてあります。しかも一般の警察力をもって維持できないという状態においては、直ちにやれる。そうして同時にこの際にはおそらく警察の方は緊急宣言と申しますか、それをまた発動するでありましょう。警察の方もそうして総理大臣の統合指揮下に入る、こういう仕組みになっております。私はそういうような諸事態から見まして、大多数の国民というものは、むしろ自分の保護のために緊急出動をしてもらうことを期待するのであって、私は国会の事前承認とは性格がだいぶ違ってくる。国内的である。同時に国民というものはこれに強く期待をする。また片一方は国際関係であります。意見の多い段階でございます。また将来非常な禍根を強く外部に残す段階であります。それで国会で事前承認を厳重につけておる。この性格の差があるということを御了承願いたいと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 性格の差は、あなたのおっしゃることを別の角度から見なければならぬと思う。国内の問題であるだけに、国会の討議を通じて自衛隊を出動させるべきです。これは国際問題よりももっと、お互い国民同士が血で血を洗うような形のものは、少なくとも国会の討議を十分尽くすべきである。その結果その出動権を発動さるべきであると思う。逆の立場をお考えにならないと、主権者である国民に武器を持って対抗するような自衛隊の出動を命ずる権限が、総理大臣に与えられているということ、その当時においては国会の承認を必要としないということ、これは問題がある。特にあなたの国会承認ということもあり、国民の意思は十分尊重しているという立場から言うならば、繰り返し私があなたに訴えておりますところの、要求しておりますところの国会承認の規定を各所に作ることである。たとえば自衛隊法の二十一条、私はこの間言ったのですが、閉会中に方面隊とか地方隊とか航空隊などをどんどん増強するようなことが政令でできるようなこういう規定は、非常に重大な規定であるから、急ぎ臨時国会を開いてでも、自衛隊法の審査はできるのですから、政令で出すまでもなく、臨時国会を開くような事態だと思うのです。この点についてどうお考えですか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 もちろん平素の部隊編成等については、国会の承認を得て法律によって行なうということで、皆さんの御審議に待つ。いわんやこのように慎重御審議願っているわけでありますが、問題は、国会がなく、緊急のような場合におきましては、軍の性格上、これは私は当然だろうと思います。また各国は、かつての日本の旧憲法におきましては軍の編成大権は天皇の大権にしておったくらいですから、非常に機動力をとうとぶ。また各国で法律で軍の編成を作り上げている国は少ないのであります。わが国はそこまで念を入れて、原則としては軍の編成は法律によっているのであります。例外的措置としては、軍の性格からやむを得ない、また必要であると私は考えております。方面隊なども軍の編成ですから、そういうふうに申し上げたのであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 私がお尋ねしているのは、そういう場合には臨時国会を開いて、当然国会にこれをかけることができる。臨時国会の召集は三日か四日すればできるのであります。そういう方法をおとりになるような事態だと思う。すなわち国会閉会中に政令が出せるようなことをしないで、きょう私は新しく提案するのですよ。事実必要があれば、臨時国会を召集するような手続でこれは解決すべきではないか。だから国会の承認ということを原則とする以外の措置をおりになるべきでないということを言っておるのです。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 これは別に財政上の緊急措置を伴うものでもございません。後年度に負担を残すものでもございません。現在の定員の編成、なるほどそれは原則としては法律できめる。しかし災害であるとかその他のような事態におきまして、臨機応変のために部隊の編成を変えるということは、一々国会の御承認を得ない方がむしろ効率発揮であり、これが国民のためになる、こういうふうな趣旨からこの規定はできておりまして、その点は残念ながら受田さんとは意見がずっと違うのでございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 意見の相違という問題ではないのです。国会の承認を常に原則とする自衛隊のあり方を、あなたが信念で持っておられない。国会軽視という考えを持っておられるから、国会が開かれていないときに方面総隊を増置したり地方隊や航空隊をふやしたりすることをあくまでも固執されておられる。私はその点においては少なくとも自衛隊の責任は国会を通じて行なう、こういう観点にあなた御自身がお立ちになっていただきたい。あなたが幸いにして平和愛好家であり、にこやかなお顔をされた人であるからこう申し上げるのです。しかしながら防衛庁長官の地位にとんでもない好戦家がすわったような場合に、長官命令で総理大臣の指揮を仰いで勝手に治安出動をやる危険が多分にあるのです。国会承認という手続をとっておけば、その好戦長官を抑圧する手段がとれる。将来にわたって民主主義国家の原則を守るために、政治優先の原則を確立するために、少なくとも自衛隊法のあらゆるところに出ている国会尊重を無視した規定を、適当に是正する措置ということをあなたはおとりにならなければいけない。そのことを今重ねて、閉会中にやる場合には臨時国会を召集する手もあることをお教えして、あなたの御決意をお伺いしたいのです。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 私も国会議員の一人でございますから、国会が憲法による国家最高の機関であるということは承知しております。しかしながら同時にまた自衛隊の任務、性格、特に軍隊的性格というものの機動力、これは国民のためにあるのでありますから、国民のために役立つような行動はとってもらわなければならぬ。その調節点、緊急やむを得ないときは臨時部隊編成が行なわれるということは、財政上の負担を国民にかけるわけでもございませんし、これは私は妥当な規定だと思うのであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 自衛隊のあり方について、また一方防衛局の立場については、防衛庁設置法の中に防衛局の任務というものが「防衛及び警備の基本及び調整に関すること。」「自衛隊の行動の基本に関すること。」というのがあるのです。一方今度は陸海空の自衛隊の立場になると、またここに統合幕僚会議の構成の権限等に関係してくるものは、指揮命令の基本というものが出てきておるのです。そういうふうに指揮命令とこちらの内局の基本的な問題とに、それぞれ基本という問題が出てきておる。その間に文官と武官、制服との間に権限の混淆を来たす危険のある文句が出ている。これをはっきりしておかないと、内局というものはほんのわずか長官補佐役として、防衛の全く大あらましな基本的な問題くらいしかお取り扱いにならないで、制服の握ったりっぱな案に屈従させられるという、長官がどっちを採択するかというときに、内局の案はつまらぬ、制服の案が名案だということになるおそれがある。そういう意味で、この規定は両方にそれぞれの特色を生かして、特に内局が厳重に制服のわがままを押えるようなはっきりした規定を、この防衛庁設置法のそれぞれの局の規定としておきめになってはいかがですか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 これは新しい法律上の問題でございます。私としましては人事、予算、こういうもの、並びに防衛出動のような行動の基本の問題は、十分内局を通じて補佐してもらいます。と同時に作戦上のいわゆる命令の基本でございます。従ってこれらの詳細につきましては、さらに御納得いただけるように官房長から御説明申し上げます。

加藤陽三防衛庁参事官(長官官房長)

○加藤政府委員 今御指摘になりました個所でございますが、統合幕僚会議の方は自衛隊に対する指揮命令の基本及びその統合調整をやるわけでございますから、軍事専門的な見地からする基本及び統合調整の任に当たる。防衛局の方は長官の政治的な補佐機関としての、そういう政策面からの防衛計画及び警備計画に関する補佐をするわけでございます。この調整はどうするかということでございますが、これは防衛庁設置法の第二十条にございまして、関係のところだけを読んでみますと、第二十条の第三号に「統合幕僚会議の所掌する事項について長官の行う指示又は承認」これについては「官房長及び局長は、その所掌事務に関し、長官を補佐する」とありまして、ここで調整をとっておるわけであります。片方は軍事専門的な見地から立案をし、企画をいたします。片方は主として政策的な見地から立案し、企画する。これを第二十条で、長官に対し政策的な見地の方からの補佐にかけるわけです。

受田新吉民主社会党

○受田委員 加藤さん、非常に説明が具体的であったわけです。私はそこで今のそれぞれの任務を一応伺ったのですが、統合幕僚会議の議長という地位は、一方文官の最高責任者である内部事務的には事務次官、これとの関係において問題が一つ出ておる。統合幕僚会議の議長と事務次官とは、給与の上においても他省に見ることができない特別待遇をしております。しかし統合幕僚会議の議長には、今度持った新しい権限に対応するように、ほかの陸海空の長としての陸海空将よりももっと高い権限を与え、地位を与える必要から、アメリカの統幕総長が持っておるような強い地位を日本の場合認証官等で付与する、こういう構想も私は自衛隊の立場からは当然浮かび上ってくるのではないか、そういう気持がするのでございますが、いかがですか。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 私もこの席を通じて初めて御意見を伺ったのでありますが、かねがね自衛隊を扱いまして、各幕僚長以上くらいは認証官であってしかるべきではないかという考えを持っております。この認証官であることと内局がこれをコントロールすることとは、別個の問題であります。私は認証官なるがゆえに権限を逸脱して勝手な行動をとるとか、長官が統括できないということはないと思います。あれだけの人数を統括する人間としては、やはりたとえば地方の判事、裁判長ですか、検察庁の検事長くらいが認証官であって、自衛隊のみは認証官であってはいけないという議論は必ずしも立たないのではないか、こういう考えのもとにそういう意見は持っておりますが、まだこれは検討は命じておりません。

受田新吉民主社会党

○受田委員 地方の裁判長や検察官は認証官ではないのです。認証官という地位に、統幕会議の議長、それから陸海空の三幕までもあなたはするという御意見を出されて、認証官が四人できるわけです。この問題については、事務次官が認証官である統幕議長より下に置かれるような立場になったのでは、あなたの補佐役としての立場から、制服を大事にして事務系を粗末にするということになる。今あなたのお考えを聞いていると、制服を四人も認証官にするという構想を伺った。事務系統は一向頭が浮かばないで、認証官によって常に支配されるような風下に置かれる危険があると思うのです。長官、あなたの今のお考えは、これは逆にお考えになられて、事務系統の責任者をもっと重視して、統幕の責任者に対して対抗ができるような形にしておかないと、私がしばしば懸念する文官優位の原則はこわされますよ。御注意を申し上げますよ。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 お話がはずみましたから、認証官の考えを私は申し上げたのであります。まだ部内で検討させておる段階ではありません。しかし認証官であるからどうだこうだという問題ではないと思います。三軍を私のもとで統括しておる各幕僚長あるいは統幕議長というようなものは、やはり一つの身分でございます。これに対してはやはりはっきりした統制力は持たしていい。その基本を文官が、あるいは補佐を受けて私なり総理大臣なりがしっかり握る。そのかわりその文官については、私は安定して落ちついて、防衛庁でりっぱに人材としてやっていってもらいたい。その意味で私は、国防省への昇格も必要ではないか、こういうように申し上げておるのであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 あなたにいま一つこれに関係して聞いておきたいのですが、今の長官は、あなたがもし指揮命令を誤られた場合には政治的責任があるわけですね。ところが議長とか各幕の長とかいうものは、そうした三軍統制の責任というものが長官にあるのですから、それぞれの制服の諸君は責任回避ができるという問題が起こるのです。政治責任の所在という意味からも、長官はいたずらに強い責任を持ち、制服の諸君は長官の命なりと称して適当な方法でごまかせる危険がある。こういうことについても、文官と武官の責任体制というものをきわめてはっきりしておかれる必要があると思います。御答弁願います。

西村直己自由民主党防衛庁長官

○西村国務大臣 その意味で、内局で人事の基本も握っておるのであります。そのために人事局長も置いてあるのであります。もちろん私あるいは最高の人事におきましては総理大臣の意見も十分聞かなければなりませんが、そういう意味で内局には人事局という大きな機構もあるわけであります。   〔服部委員「委員長」と呼ぶ〕

久野忠治自由民主党

○久野委員長 服部君。   〔発言する者、離席する者多く、議場騒然、聴取不能〕

久野忠治自由民主党

○久野委員長 ……起立多数。よって、本動議のごとく可決いたしました。(拍手)——起立多数。よって、本動議は可決いたしました。(拍手)  防衛二法案に関する質疑は以上をもって終了いたしました。   〔「わからぬ、わからぬ」「理事会を開け」と呼び、その他発言する者多し〕

久野忠治自由民主党

○久野委員長 静粛に願います。——静粛に願います。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

久野忠治自由民主党

○久野委員長 それでは始めます。引き続き議事を進めます。  先刻、服部安司君から質疑終局の動議が提出され、委員長はこれを起立に問いました上、起立多数、よって動議が可決された旨を宣告したのでありますが、この宣告が徹底を欠いたきらいがありますので、理事懇談会の協議に基づいて、確認のため、念のため、あらためて採決をいたしたいと存じます。  服部君から提出されました質疑打ち切りの動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

久野忠治自由民主党

○久野委員長 起立多数。よって動議は可決されました。(拍手)  これにて質疑は終局いたしました。

久野忠治自由民主党

○久野委員長 これより両案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。藤原節夫君。

藤原節夫自由民主党

○藤原(節)委員 私は自由民主党を代表して、二法案に対し賛成の意見を表明せんとするものであります。  最近における科学兵器の著しい発達の結果、一たび全面戦争が起これば人類の破滅を来たすということから、世界平和に対する諸国民の願望は、期せずして戦争抑制という世界の世論となって現われているのであります。一方現実の世界の情勢を見ますると、遺憾ながら国際間の相互不信は依然として根深いものがあり、絶えず各地において局地戦争が続発しておるという現状でありまして、世界の平和は力のバランスによって保たれておるというのが偽らざる現実の姿であります。  このような国際情勢下にあって、わが国の国防を全うするためには、一方において国連の活動を積極的に支持すると同時に、他方日米間の安全保障を基調として、国力国情に応ずる必要最小限度の自衛力を整備することが何よりも肝要なことであると確信するものであります。世上いうところの無防備中立の論に至りましては、これら現実の国際情勢を無視する理想論であって、これは国家の存立と民族の生命を全うするゆえんでないと考えますので、われわれは絶対に容認し得ないところであります。  今回提案されました二法案は、要するに国土の防衛と国民の安全を期するために、ひいては世界の平和に貢献せんとして、国防の基本方針に従い、国力に応ずる防衛力の充実と、国情に沿うたその効率的使用を意図するものであります。これはまさに国民の期待に沿うものであると確信いたしまして、ここに賛意を表する次第であります。(拍手)

久野忠治自由民主党

○久野委員長 次に山内広君。

山内広日本社会党

○山内委員 私は最初にどうしても一言申し上げざるを得ない点は、ただいまのような混乱が引き起こり、言論の最も高度に許さるべきこの国会において、ああいう質問の最中に、しかも理事者側において答弁のないまっ最中に、動議によってこの大事な防衛法案の質疑が打ち切られたということは、これが言論の府である国会において起こったということは、まことに民主主義の自殺行為であります。この点はあげて委員長の不手ぎわと、与党の責任であることを劈頭に申し上げざるを得ないのであります。しかしながら理事会の話し合いもつきまして、議事を円満に運ぶということでありますから、その線に従いまして、これから日本社会党の同僚議員のお許しを得まして、私はこのいわゆる防衛二法案につきまして絶対反対の立場から、その理由を明らかにせんとするものであります。(拍手)しかしながら本会議において十分申し上げる機会もあるはずでありますので、詳細にわたります点はその機会に譲りまして、ごく要点のみを簡潔に明らかにいたしておきたいと思うわけであります。  防衛庁設置法の一部改正案は、そのねらいとするところは、言うまでもなく統合幕僚会議議長の権限の強化であります。このことはきょうも強く指摘された線でありますが、今まで長官は常にシビリアン・コントロールということをお話しになり、かりに自衛隊の存置を認める方々も、この文官優位の法則がある限り、むやみなことはしないであろうという期待が非常にかけられておると思うのであります。しかしながらいろいろお話の中にも出て参りました通り、この文官優位の原則の一角がくずれていくということが、今度の防衛庁設置法の一部改正で明瞭になりました。このことをわれわれ国民は非常に憂えざるを得ないのであります。なぜかならば、実際に武器を掌握している兵隊の人たちが権限を持つということは、いかに誤れる結果を招来するかということは、それは世界各地における実証をあげることができるばかりでなく、わが国内においても、犬養さんはなぜ殺されたのでありますか。二・二六事件はどうして起こったのでありますか。そうして軍部が権力を強く握ったために、ついに誤れる戦争を引き起こした事実を、私どもは思い出さざるを得ないのであります。これが防衛庁設置法一部改正に対する反対の大きな理由であります。  次に自衛隊法の一部改正でありますけれども、これは今度十三個師団を編成するそのねらいとするところは、装備の近代化あるいは国内治安対策である、そういうふうな御説明があるわけであります。この装備の近代化ということについては、私どもの一番おそれることが、総理を初めあなた方の御発言を通じて、やがて日本に核武装のときが必ずくる、こういうことに対する強い疑いを深めるのであります。なぜかと申しますに、憲法解釈の問題でありますけれども、私初めて国会に出て参りましてあの九条の解釈の政府の統一見解を伺い、それから次々といろいろ政府の方針を聞いておりますと、かつては記録の上では、自衛力すらも否定した時代があります。しかるに最近では憲法解釈上は、防衛のためであれば核武装も違法でない、こういうような見解に変わり、政策としては持たないのだ、そういうお話でありますけれども、政策はいつ変更になるかわからぬわけであります。そうして現実に皆さんが導入し、あるいは試験をし、そうしていろいろ発注されている今のミサイルというものは、やがて核弾頭をつけ得るミサイルにすべく、装備の近代化という名前でどんどんと進められておる。この行き方に対する国民の恐怖というものは、非常なものだと思うのであります。特に国内治安対策につきましては、この議会においてもいわゆる杉田発言というものが取り上げられました。明瞭に今の自衛隊というものが、目的を変更して国内治安に回ってきた。本来ならば杉田発言は、この議会において本人みずからの手によって究明さるべきでありましたけれども、ついにそれがなされなかったわけであります。特に私どもが考えなければならぬのは、今の日本は確かに世界的な好景気のあおりを食って、景気はいい。しかしこの今の好景気というものがいつまで続くのか、この夏、秋、来年早々、一たび大きな反動の波が来ますと、大へんな不景気が襲ってきます。特に今政府が打ち出しておるところの貧農切り捨ての政策というようなものは、国民は非常な疑惑をもって見ておる。最近は公共料金を上げました。諸物価がどんどん上がってきておる。国民はこの物価の値上がりに対して、非常に生活の不安におびえておる。すなわち国内の不安というものはどこから出るか。政治の貧困からこういう状態が出てくるときに、自衛隊が国内治安維持だということで、そのほこ先を国内の方に向けてきた。いつこれがわれわれの同胞の上に弾丸を撃ち込むところの自衛隊に変わらないと保障はできないと思うのであります。こういう点がこの自衛隊法の一部改正にあたり、政府の説明を通じて私どもは心配をする点なのであります。  そのほか今度の論議を通じまして、憲法九条をめぐる捨てたはずの戦力と、守るべき自衛の具体的な限界というものはどこにあるかということも、明瞭にされませんでした。直接侵略、間接侵略に対する政府の見解も不統一であり、日米安全保障条約第四条にからんでの見解というものも非常に混乱をしておる。自衛隊法七十六条、七十八条の解釈問題、こういうものも見解が明らかでなく、また日米安全協議委員会の性格というようなものも明瞭にされなかったわけであります。こういうことで国際情勢あるいは武力の極端に発展した今日、こういう防衛二法案による自衛の強化というよりも、もっと根本的にどうしたら日本の自衛が確保できるのか、こういう基本的な問題に立ち返って、ほんとうの基本的なものからやりかえる必要のある段階だということを、私どもははっきり感じ取っているわけでございます。そういう意味できょう行なわれたような強行手段によって、かりにこの防衛二法案が通ったといたしましても、日本の将来の歴史に大きな汚点の一時を残すということを私どもは心配するわけであります。  そういう意味で、ぜひともこの防衛二法案はすみやかに撤回いたしまして、新たなる角度に立って国会に諮るべき新提案がされることが正しい行き方だということを申し添えまして、私の反対討論を終わります。(拍手)

久野忠治自由民主党

○久野委員長 次に受田新吉君。

受田新吉民主社会党

○受田委員 私は民主社会党を代表いたしまして、御提案になっております二つの防衛関係法案に対して、はっきりと反対の意思表示をいたしたいと思うのでございます。ただいま私は民社党を代表いたしまして質疑を試みておったのでございますが、この質疑中に委員長より質疑を取りやめる旨の宣告がされました。この点につきましては非常に遺憾の意を表しておりますので、討論の中に残余の質疑の重要点も織り込んで、今よりこの二法案に対する反対理由を申し上げたいと思います。  自由民主党の方々は、歴代の内閣において自衛隊を漸次増強して今日に至っておられます。かつての警察予備隊、引き続く保安隊、さらに自衛隊と、目まぐるしい国際情勢の変転の中に、強大なる自衛隊への完成を目ざして努力をしてこられております。ところがこのたび池田総理が渡米をされようという段階になりますと、池田総理は、総理大臣就任以来岸内閣があの大きな反対を受けた原因であるはっきりした自衛隊に対する意識をぼかして、憲法問題その他の問題とともにその姿を没して、実は所得倍増論とかあるいは社会保障、公共投資の線を打ち出して参ったのでございますが、これを是正してすみやかに対米交渉のみやげにしなければならないという立場から、このたびこの防衛二法案の思い切った改正案をお出しになったものと思います。ただ私はここで特に御指摘申し上げたいことは、自民党の方々、自民党の政府が強力に自衛力増強を企図しておられるにかかわらず、国民はこれを知らず、納得せず、国民的基盤の上に自衛隊増強が進められておらないということです。  第二の問題は、日本の自衛隊の増強は、この委員会におけるしばしばの政府の御答弁にはっきり伺うことができますように、アメリカの極東戦略の一環として日本の自衛隊を増強するという立場をとっておられるのであって、いわば対米追随の自衛隊増強政策というその本質の姿を暴露されておるのであります。この意味におきまして二つの大きな誤謬を犯され、日本の自主防衛体制という立場よりも、あまりにもかけ離れた立場でこの自衛隊の増強計画が進められているということを指摘しなければなりません。  その第一の、国民の信頼の上に立つという自衛隊であらなければならないはずの自衛隊が、なぜ国民に信頼を受けておらないか。はなはだ自民党の方々をもって御残念なことであるこの原因の根本は、政府自身が自衛隊を国民に周知徹底せしめるところの努力を欠き、またその自衛隊そのものの姿が新しい憲法の精神を逸脱する方向にあり、その解釈も政府独自の得手勝手の意味に理解しておられるというようなところが、勇気を持って国民に自衛隊を理解させることを欠いているのではないかと思います。国民に知らしむべからず、よらしむべしという立場で自衛隊が増強される限りにおいては、自衛隊がどのようなりっぱな装備を持ち、莫大な兵力を養成いたしましても、国民の支持の上に立つ自衛隊とはなり得ないのであります。  第二の問題の、アメリカに追随する自衛隊であるということにつきましては、きょうもお尋ねした問題点について、長官以下政府委員の方々よりの御答弁によっても明らかなごとく、アメリカの立場に協力するという主張のもとに、実はアメリカの政策にかなうごとくに、陸上は日本の自衛隊で握り、海空はアメリカにまかせるというような、そうした極東戦略の一環に明らかに協力する体制で、この法案の改正も提案されたものと認めます。そういうところが、私をして言わしむるならば、自由民主党の方々に、自主的な立場に立つ自衛隊をもっと勇気を持ってあなた方の立場から、国民の信頼の上に立つべき自衛隊にすべきが自民党の立場ではないかという点、特にアメリカに対しても、独立国家としての権威を勇敢に発露するような、そういう外交政策と防衛政策をあなた方の立場ではとるべきではないかと思うのであります。  法案の内容について一言いたしますならば、特に今回の改正案が、陸上を中心に定員不足をしているという募集難に対抗して、逆に大幅な増員計画を立てているということは、これまた大きな問題点である。第二の問題点は、先ほど社会党の山内委員から指摘された通り、シビリアン・コントロールの問題です。自衛隊が民主主義の基盤に立つ祖国の自衛隊である限りは、国民の名における自衛隊の真面目を発揮しなければならぬ、国民とともにある自衛隊であるべきにかかわらず、国会の意思を無視して、制服が横暴をきわめるような方向に法案の改正がされておるということ、こういうことを積み重ねることによって、おそらく遠からず制服の諸君がその莫大な兵員と莫大な装備力をもって、少数の内局の人々を押え、文官である長官の権限を適当に犯すような、いわゆる軍部独裁の方向に自衛隊が変貌していくのではないかという懸念を持っております。その意味におきまして、今回の改正案の中には、あまりにも勇敢に幕僚の責任者である幕僚会議議長に強大な地位と権限を与えているということを、私は絶対に許すことができないと思います。  私たちは当面国連による集団安全保障体制の確立に対しては、深くこれを理解するものです。同時に日本の自衛隊の形が、国連憲章と憲法の精神によく即し、また国連や憲法の立場に立つ自衛隊の改編がなされて、そして自衛隊を漸次縮小する方向に当面持っていくべきであるという主張をしておるのでございますが、私たちの観点からいたしまして、あまりにも逆な方向に自衛隊が進められていることを遺憾この上なく存ずる次第でございます。政府は、また自民党の各位は、自衛隊というものを、今申し上げましたような立場で国民とともにある自衛隊へというあなた方のお立場から、少なくとも全努力を傾注して、国民の少なくとも多数の信頼を得るような姿に切りかえるべきであり、またシビリアン・コントロールが犯されないように、往年の軍部独裁のような姿が、満州軍のような姿が、あるいはシナ派遣軍のような姿が、あるいはマッカーサーが犯した三十八度線越境のような姿が、日本の現実に再び現われないように十分御注意をされ、今後対米折衝の上におかれましても、日本の立場を堂々と主張して、アメリカの依存外交の一翼を承るようなあなた方の政策をお進めにならないように御注意を申し上げておきたいと思うのでございます。  以上、きわめて簡単でございまするけれども、ただいま二つの法案の最終的取り扱いに対する委員長その他の方々のなされた措置が、非民主的であることをここで深く遺憾に思いまするとともに、今後の日本の防衛施策のあり方に重大な転換をされるように努力されんことを希望いたしまして、反対の理由を申し上げ、討論を終わります。(拍手)

久野忠治自由民主党

○久野委員長 これにて両案についての討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の両案を一括して採決いたします。両案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

久野忠治自由民主党

○久野委員長 起立多数。よって、防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の両案はいずれも可決いたしました。(拍手)  なお、議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

久野忠治自由民主党

○久野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十二分散会

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