内閣委員会 第30号
- 発言数
- 424 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/04/25
会議録
○久野委員長 これより会議を開きます。 防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、前会に引き続き質疑を継続いたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。緒方孝男君。
○緒方委員 本日は総理もお見えになっておりますし、私は第二次防衛計画を進める上における総理の基本的な態度に対しまして、御質問を申し上げたいと思いますが、前回総理が本委員会に参りまして、わが党の石山委員の質問に対して御答弁がありましたが、その御答弁を要約してみますと、第二次防衛計画は今防衛庁で策定中であり、これが私の渡米前までに間に合うかどうかはわからない、また第二次防衛計画にあたって、アメリカの防衛援助がどの程度になるのかということについては今検討中であるが、今のところどれくらいにしてくれということは私の方から言い出さないつもりである、こういう御答弁をなさっておると思います。これは一つの言葉の表現としては私たちも聞くことができますが、今まで歴代の内閣がとってきた防衛計画なり防衛の政策なり、それに伴うアメリカのいわゆる無償援助なり、あるいは貸与なりというものを抜きにして、今日までの日本の防衛計画というものが考えられなかったという点から考えますならば、この総理のお考えをそのままに受け取るならば、総理自身が今までの内閣と違ったいわゆる国防に対しての関心が相当薄らいできたような印象を受けてくるわけであります。そういうふうにはわれわれもまた考えられない。してみますと、今後の日本の第二次防衛計画というものに対して、アメリカの援助はさほど期待をしておらないというのか、期待をされないというのか、そういうことが含まれておるのではなかろうかと、こういうふうに考えられますが、それについての総理の御考えなりをお伺いしてみたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 国連憲章のもと、アメリカと集団安全保障の体制にありますので、そうしてまたわが国の防衛産業は御承知の通りもちろん十分ではございません。従ってわが国の防衛計画につきまして、アメリカの援助を受けることは、従来ほどの程度ではないかもしれませんが、今後におきましてもアメリカの軍事貸与ということは考えられるのであります。ただ第二次防衛計画はまだきまっておりませんから、これだけのものをほしいというところまで行っていないということを申し上げたのであります。
○緒方委員 今日までにおけるアメリカから日本に供与されたるもの、または貸与されたるものを総合したものは、相当な額に達しております。日本の防衛計画を進める上においては、アメリカの援助というものは一つの大きな柱になって組み立てられておると思います。だから今までの歴代内閣はアメリカに行くにあたっては、まず第一番に外交問題についての見解の統一をはかろうということになる。次にはアメリカと日本との防衛計画をどう進めていくか、その上に立ってアメリカはどれくらい日本に援助してくれるかということが、話の第二の中心議題になっておるはずと思います。その次にはまた経済援助というものが出てくるわけですが、歴代の内閣総理大臣がアメリカに行って、アメリカの大統領なりアメリカの国務省あたりと話し合いをする場合の一番大きな中心議題は、やはり防衛計画に伴うアメリカの援助をどれくらいにしてもらうかということが、一番大きな話の中心になっておったと思います。それが今までの御答弁の中から申しますと、援助を幾らにしてくれというような話は私の方からは出さないつもりであります、こういう総理の御見解なり御答弁を聞きますと、今度の渡米にあたっては、防衛問題はあまり触れないというふうな御答弁のようにも聞かれるわけですが、その点はどういうわけですか。
○池田(勇)国務大臣 私がアメリカに参りましての話題は、まだ双方できめておりません。しかし今まで、岸さんが行かれたときとは情勢は少し変わっておるのではないか、話題も変わってくるのではないかと私は思います。吉田さんが行かれたときには、やはり岸さんのときのような話とは違っておったと私は考えておるのであります。
○緒方委員 もちろんまだ具体的に国防会議において第二次防衛計画というものが、はっきり数字的にまとまっておらないにしても、一応の総理の構想としては、どれくらいな援助は仰がなければならないであろう、それに対する日本側のいわゆる計画なり、それに対する義務なりは、どういうふうに果たされなければならないだろうくらいな構想なくして、単なる行き当たりばったりの話というものはあり得ないことだと私は思います。そのあらましの構想くらいでも承りたいということを、再三委員会でお尋ねをしておるわけでございますが、あくまでも白紙でもって臨もうというおつもりでございますかどうか、その点もお伺いしておきます。
○池田(勇)国務大臣 白紙というのもいろいろ種類がございますが、防衛についてのアメリカの援助が話題になるかならぬか、まだきまっておりません。話題になったときに白紙でいくかどうかということも、もちろんきまっていないわけです。話題の問題につきましては私はもっと検討の上で、向こうと相談したいと思います。
○緒方委員 あまり掘り下げて考えてしまうわけにはいきませんが、アメリカのいわゆるドル危機という問題から起こりまして、対外援助というものは相当引き締める状態になってきておるということは事実であります。NATOあたりにおける経費についてもそれぞれの関係諸国に分担させて、アメリカの海外の出資をできるだけ縮めるようにいろいろと工作が講じられつつあります。極東における防衛も、韓国、台湾その他における経費の負担も、できるならば日本に多少なりとも肩がわりしてもらいたいというようなことが、論議の対象にもなっておるかに聞いております。してみますと今のところアメリカの援助というものが、赤城さんが構想を練ったときは千五百億程度のものを期待しようとしたが、それが今日の段階ではなかなかおもしろくいきそうにない。だから一応アメリカに行って話し合いをしてみた上で、確定的な第二次防衛計画を作る以外に道がないという状態に置かれておるのではなかろうかというふうに考えますが、その点の御消息はどういうようでございますか。
○池田(勇)国務大臣 もちろん第二次防衛計画を作る場合におきましては、アメリカの物的援助というものは一応頭に入れていきましょう。しかしわれわれはそれ以前に、日本の防衛力はどういう姿でいくべきかということをまず考え、そしてその足らざるところをアメリカの援助を受けるというふうに進めていくと思います。しかしいかんせん、まだ第二次防衛計画は、御承知の通り今防衛庁で企画立案中でございますので、結論は出ていないのであります。
○緒方委員 私の想像も総理の想像も、そろいうふうにあまり大きな違いはないと思いますが、今までアイゼンハワー、ニクソン、ダレス、こういう方々がアメリカの政権を握っておったときの状態と、新しくケネディ政権ができたところの状態のもとにおける日本に対する援助額が、より多く期待されるということは、なかなか困難ではなかろうかというふうに考えますが、その点についての総理の御見解はどういうことですか。
○池田(勇)国務大臣 アイゼンハワー大統領時代におきます日本に対しての援助も、時によって変わってきております。これは考え方が相対的、総合的なものでございまして、日本の防衛力の増強の程度によりまして援助も変わってくると思います。傾向といたしましては、アメリカの方は日本の経済力も非常に進んできたから漸減、日本が非常に力を入れればそれに相応した援助、こういうことになると思うのでございます。従いまして傾向としては、日本の経済力の増強によって減ってくる傾向でございますから、防衛力をどういうふうにするかということによりまして、減らずにふえるという場合も全然ないことはございません。しかし傾向としては漸減ということが一つの方向だと思っております。
○緒方委員 今までの政権、新しい政権、そう大して政策上に変わりはないが、日本の経済力の上昇に伴うて漸減はあるかもしれない、こういうふうな御答弁ですが、それ以前に新たに出されたアメリカのドル防衛、できるだけ海外に流出するドルの負担を少なくしようとする政策から出てくる減少額というものは、お考えの中には入れてないのかどうか、その点も一つお伺いいたしたい。
○池田(勇)国務大臣 このアメリカのドル防衛政策はいろいろございまして、軍事援助が経済援助に変わる場合もございます。ただ問題は、軍事援助が非常に減るかと申しますと、私は漸減ではございましょうが、手のひらを返すような変わり方はないと考えております。全面戦争ということでなしに、局地戦争につきましてのケネディの態度も、前よりある程度強化されておるようです。また軍人の家族の引揚問題につきましても、アイゼンハワーの場合と違って、家族はあまり引き揚げないというふうなことに変わってきておりますし、また基地の漸減ということも考えておるようでございますが、他の国は少しは減ったようでございますが、日本の場合につきましてはそう急激に減るというようなことはございません。また労務者の問題につきましても、これはある程度減るということになりましょう。私はさしてあの当時日本で一般にいわれておったような激変はないと考えております。
○緒方委員 手のひらを返すような大きな変化というものはないにいたしましても、われわれが予想する以上の、いわゆる漸減の速度についてはきびしいものがある。そう考えていかなければなりませんが、赤城さんが構想を練ったその計画なりが今防衛庁において再検討されて、新たな防衛計画を作ろうとしておる。その防衛計画の中において、当初赤城さんのときには千五百億円というものを期待して計画が一応立てられた。しかしこの千五百億の期待というものが容易ならぬ事態であるとするならば、そのままの計画を遂行するためには、援助が少なくなるかもしれない分だけは日本の経済力、いわゆる日本の自力でもってこれをまかのうて計画を進めるのか、またはその計画の一半というものを縮小してやっていくのかということが、私は重大なポイントになってくるのではなかろうかというふうに考えますが、首相の御見解はどうでしょうか。
○池田(勇)国務大臣 赤城構想というものは私は存じておりません。従いましてどういうふうなものでありますか、今防衛庁で、先ほどお答えしたように検討いたしておるのであります。日本の国力、民生の安定、世界情勢、そうしてまた一つにはアメリカがどのくらいの援助をするか、そういう各般の事態を頭に置いてただいま検討をいたしておるのでございます。
○緒方委員 何か赤城構想なるものは、赤城さんが防衛長官のときに、赤城さんがどこか山の中に入って一人で考えたことのように池田総理は言われておりますが、赤城さんが出されたいわゆる第二次防衛計画の草案というものは、防衛庁の中で練られた一つの案であると私は思います。単なる赤城さんの思いつきではない。その計画を練った方々が今防衛庁の幕僚の中におって、同じことを再検討しておるということをわれわれは考えなければならぬ。何も赤城さん個人の思いつきの発表ではない、私はこういうふうに考えるわけです。だから、私は赤城さんのときの構想が、全面的に再検討しなければならなくなった一つの前提は何かというと、アメリカに対する期待額というものを、その状態の中で考えたように見積もるわけにはいかないという現実が、そうさしておるものではないかというふうに考えるわけです。私は赤城さんのことは知りませんというのは、少し総理大臣としては無責任なお答えではなかろうかというふうに私は考えます。
○池田(勇)国務大臣 防衛庁で決定したものでも、それは防衛庁の問題でございます。私は当時閣僚でございましたが、閣議にかかったわけでもないし、国防会議にかかったわけでもございません。また聞くところによりますと、防衛庁で決定した案でもない。だから私はそういうものは見たこともございませんし、国会で赤城さんの何か意見を聞いたことはございますが、その内容につきましてはつまびらかにしておりません。従いましてそれを議題にしてどうこうということはまだ早いのではないかと思います。
○緒方委員 してみますと、赤城さんが一年もかかってやっとそういう計画を作ったのを、またあなたが総理大臣になり、防衛長官がかわったからといって、根本的にそれをほごくずの中に入れなければならぬ理由は一体どこにあるのですか。人がかわったから何もかもやり方が変わるのだというふうなやり方は、私は納得のいかない問題じゃないだろうかと思います。その点はどうでしょう。
○池田(勇)国務大臣 変わるとも変わらぬとも申し上げておりません。変わるとか変わらぬとか言っておるのではない。存じません。そうしてこれは権威のある防衛庁の決定を受けたわけでもございません。国防会議にかかった案でもないのであります。だから変わるとか変わらぬとか、ほごにするとかなんとかという問題ではないと私は考えております。
○緒方委員 少なくとも国防会議の議長が、私は今までのことはあんまり存じません、またこれが変わったのか変わらないのか、その点も私はわかりません。これで国防会議の議長たるあなたが、最高責任者としての役目が果たせますか。今までの過程はこうであったが、こういう障害があったから再検討しなければならないということくらいを、あなたははっきりと握っておかないで、日本の国防の最高責任者としての役目が果たされると私は考えません。あまりにも役目に対する無関心と無責任なのか、それともわれわれ議員を愚弄しておるのか、いずれかでなければならないと思います。あまりにも無責任なお答えではなかろうかと思います。
○池田(勇)国務大臣 一国の総理といたしまして、国防問題について関心は持っておりまするが、前の一時代のある大臣が、これは決定も何もせずに、その間での構想につきましてとやこう批評を加えることは差し控えたいと思います。私の地位が重要であるだけ、私は以上のようにお答えするよりほかございません。
○緒方委員 あまりこのことに深入りしても、時間がございませんから、先に進めませんからやめておきますが、もしアメリカのいわゆる援助が期待通りにいかない情勢になるとするならば、防衛の一つの構想、計画というものは、日本の国力に合うようような形で、民生の安定を阻害しない程度でもって行なっていく、大体こういう御答弁であったと思いますが、もし今後、極端な話からいたしますならば、アメリカの援助というものが皆無になったという想定の上に立って、長官も総理も日本の国防が漸増にならない状態になってもやむを得ない、こういうお考えですかどうか、その点も一つお伺いしたい。
○池田(勇)国務大臣 先ほど申し上げましたように日米共同防衛、こういう建前から考えますると、全然援助がないというふうなことを想像してとやこう言うことは、あまり益がないと思います。実態に沿ってわれわれの構想、議論を進めていくべきだと思います。
○緒方委員 時間がありませんから、大体の話は打ち切りますが、アメリカにおいても国防問題についての再検討の時期に立たされている。すべてが変わろうとは私も思いませんが、今までのアイゼンハワー政権下に行なわれておった力の政策、軍備拡張一点ばりの政策が、さしものアメリカの台所の底がのぞかれるような状態を引きずり出してしまいました。そのアメリカの力の政策に乗って、言うなりになっていった韓国、台湾、南ベトナム、トルコ、こういう国は、国民生活というものはまさに塗炭の苦しみの中に追い詰められて、経済的な成長というものは一切途絶してしまってきておる。軍備を拡張するということは、貧困の政策であるといわれております。私も今までのことは別として、池田総理も、新しく日本の再出発のために、冗費、むだづかいの金を、できるだけ民生安定、国民生活の向上の方に振り向けて、この防衛というものに対する一つの考え方を根本的に考え直す時期に、客観的な情勢は要求しておるのではなかろうかと考えておりますが、池田総理の御答弁を一つお願いしておきます。
○池田(勇)国務大臣 わが国の防衛ということは、単に自衛力を増強するということではございません。やはり民生安定、経済の発展でございます。その間のかね合いにつきましてわれわれが検討し、施策を講じておるのでございます。今後の世界の情勢の推移から見まして、私は自衛隊の国力に沿うての漸増ということを変える気持はございません。
○緒方委員 これ以上御答弁をお願いしようとも思いませんが、韓国の実情は、あなた方が想像し、発表いたしておるような状態とは大よそ違う現状でございます。台湾においてもしかりでございます。南ベトナムにおいても、その政権の危険に直面しておることは、生活の不安の中から出てきた一つの現象でございます。トルコのメンデレスの失脚も、同様に国民の生活の犠牲がこれ以上耐えられないという一つの現実の現われであります。そういう轍を日本は踏みたくないということをわれわれは念願しておる。だから私は今具体的に何ら危険も感じない、外国の侵略というようなことに名をかって、軍備の拡張の政策で国民の生活を犠牲にすることは、かえって国力が危険に瀕する結果になるものと私は憂えます。そういうことを再度御検討になって、第二次防衛計画は、アメリカの期待がどうあろうとこうあろうとにかかわらず、日本の防衛は国民の生活を土台に置いた防衛計画に立て直していただきたいことを要望して、私は次の質問者に譲ります。
○久野委員長 次に田口誠治君。
○田口(誠)委員 総理のおいでになっておる時間が短いのと、質問者の数が多い関係上、十分にお聞きをいたしたいことが聞けないと思いますので、今まで審議をした経過からいって、ぜひ池田総理にお聞きをしなければならないという点を一、二御質問申し上げたいと思うわけでございます。 今審議をいたしておりますこの防衛二法案は、新安保条約による日米共同体制を強化するという一環のものでございまして、第二次防衛計画の一つの柱になり、土台の一つになるものであるわけでございます。従ってこういうものでありますために、審議の過程におきましても、私どもは十分に納得のいく御回答を得たいというので、それぞれ同僚が質問を申し上げたのでございますが、その回答の内容につきましても、十分に納得をするだけのものがありませんでしたので、大きな危惧を抱いておりますと同時に、国民もまた新安保条約が成立をいたした後の、第二次防衛計画の一環であるこの防衛二法案の審議でありまするから、大きな関心を持って見守っておるわけでございます。従ってそういうようなことから、私はここで総理にお聞きをいたしたいのは、こういう重要な法案でありますだけに、十分に時間をかけて、そうして国民の納得のいく審議の上に立って結論を出す、これが民主議会のあり方であろう、かように考えておるわけですが、この点についてまずもって総理の御意見を承りたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 どの法案も重要なものでございますが、ことにこの防衛二法案は重要な法案と考え、そうして委員会における審議も相当私は行なわれたと聞き及んでおるのであります。従いまして審議はもちろん民主主義のあれでございますから、十分尽くしてもらわなければなりません。しかし審議々々と申しましてもある程度、程度も考えなければならぬ。相当審議はされたものと私は聞き及んでおります。
○田口(誠)委員 今の御回答からいきますと、相当審議をしたから、もうそろそろ結論を出す時期になっておるというような心持ちで、御回答のあったようにお聞きするわけでございます。ところが私の方から質問を申し上げたことは、今まで質問を申し上げました事項に対する回答で、それぞれ政府の方の御回答にそごを来たしておる面もございましたし、そうして私どもの聞こうとすることがそのまま回答されておらない面もあるわけです。従って先ほど申し上げましたように、とにかく第二次防衛計画の一環としての二法案だけに、十分時間をとって審議をいたしたいという考え方から質問を申し上げたわけなのです。それで何時間審議をした結果どうこうということではなくして、こういう重要な議案については十分に審議をして、そうして結論を出してもらうのだとか、あるいは十分に審議をしなくとも途中で時期によっては打ち切りをするのだとか、こういう二つに分かれると思うのです。それで私の要望申し上げて質問をしておることは、こういう重要な法案だけに、十分なる時間をかけて質疑応答をし、了解をし、国民の納得のいく上において結論を出すのが民主政治のあり方であろうと、こう考えておるのであるから、それで首相はこの点についてどう考えられるかということをお伺いしておるのです。ほかのことは言っていただかぬでもよろしいのです。
○池田(勇)国務大臣 十分審議せられることを内閣総理大臣として望んでおります。しかしこれは国会の問題でございます。
○田口(誠)委員 十分に審議されることを望んでおるというお言葉でございますので、この問題につきましてはまだまだ相当たくさんの質問者も予告をしておりますし、相当時間をかけて審議をしなくてはならないものだと思いますので、そういうようなお考えの上に立って総理大臣がおられ、国防会議の議長としてもこの防衛二法案の審議をお考えになっておられるということを確認しておきたいと思うのであります。 それから第二の質問でございますが、十三日の石山委員の、この第二次防衛計画というものを訪米する場合の手みやげに持っていくのかどうかという質問に対しましては、手みやげに持っていくというような考え方は全然持っておらないのだという答弁がなされております。それでその言葉の表現のことでございますが、手みやげということになると、いろいろ解釈をされるので、答弁上手な総理としては、いろいろ逃げを打たれたのかもわかりませんが、ここで確かめたいことは、手みやげを持っていく考えがないというとの御答弁は、次期防衛計画に対しては、六月にアメリカを訪問されたときに、話題に載せないという考え方でおるのだということに受け取ってよろしいかどうか、この点を承りたいと思うのです。
○池田(勇)国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、第二次防衛計画は今検討中でありますから、話題にするしないの問題もそこから出て参りますし、またたとい万一それができたといたしましても、ケネディ大統領との会談で、第二次防衛計画の話を二人でするかしないかということもきまっていない。だからほとんど全部がきまっていないと心得ていただきたいと思います。
○田口(誠)委員 緒方委員の質問に対すると同じような御回答があったわけでございますが、そこで私の疑問に思いますことは、少なくとも一国の総理大臣が、国会を終了して、そうして今日までいろいろと援助も仰いでき、また今後の日本の国防に対しても援助を仰ごうとするところのアメリカを訪問された場合に、日本の国防に対するところの結論というものを出さずに行かれるということは、私どうも納得がいかないのでございます。こういう重要な問題につきましては、国会で審議を行なって、国民の総意という形において総理が行かれることが当然だと思うのです。それで総理大臣としては、今度の訪米ということにつきましては、国民の総意というものを持っていかれる意思がないのかどうか、この点をまず伺いたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 国民の総意を持っていくと申しましても、私自身が国家の代表として正式の招待を受けて行く、そういう意味におきましては、私は国民を代表して行くのでございます。従いまして参りましても日米間の共通の問題等々につきまして会談をする予定でおります。
○田口(誠)委員 重ねてお伺いいたしますが、国民の代表ということと国民の総意ということの相違を、総理大臣はどういうようにお考えになっておるのですか。
○池田(勇)国務大臣 私は国家の代表として、そして日本国民のお考えになっていることは私自身も考えているのでございます。そうすれば国民の総意を持っていく、持っていかぬでなしに、私が行けば日本の代表として向こうは取り扱ってくれると思うのです。
○田口(誠)委員 今、国会が開かれておりまして、たくさんの議案が乗せられて、国民の代表が審議をいたしておるわけです。そこでこの決定というものは、これは一番新しい国民の総意であろうと思うわけです。そこで最も重要法案であるこの二法案を審議決定をして持っていく。そのことはやはり国民の総意として堂々と持っていかれる筋合いのものであろうと思うわけなんです。こういう点についての何か意見の相違はございますか。
○池田(勇)国務大臣 御質問の点がわかりませんが、私はアメリカを訪問するしないにかかわらず、この重要な二法案は一日も早く御審議、御決定を願いたいという気持でおります。
○田口(誠)委員 そこで第二次防衛計画との関連でございまするが、これは今日まで質問をいたしました過程におきましては、第二次防衛計画というのは立案中であって、まだ成案はできておらないのだ。言葉のニュアンスとしては、およそ五月の中旬あたりには国防会議を開いて、そうして国防会議の議を経て、こういう第二次防衛計画案というものの全貌ができ上がるだろう、こういうことなんでございます。そこで今申しましたように、きわめて重要な法案でありますだけに、もう少し成案を急がせて、この国会に間に合わせるような方法ができないものか。それとも五月中旬と言ってもあまり日にちもないわけでございまするが、国防会議を繰り上げをして、そうして今まで成案はできてない中においてある程度の全貌というものを国民の前に明らかにして、そうして私どものこの審議にもそれを乗せて、審議のできるような方法をとってもらうことが当然のことであろうと思うわけなんですが、こういう点に対するところのお考えはどうなんですか。
○池田(勇)国務大臣 第二次防衛計画は三十七年度からのものと心得ております。従いまして十分慎重な検討を要する問題でございます。今国会に提案できるかどうか、私は疑問に思っております。どちらかと言えばできないのじゃないか。
○田口(誠)委員 第二次防衛計画は三十七年度からということでございまするが、これは今までの御答弁の中にも第一次防衛計画でできなかったものを、さしあたり今度の二法案として出してきたのだという御答弁もあったくらいでありますから、首相の方から三十七年度という、こういう表現の御回答のあることも予想されるわけなんでございます。しかしながら今度の二法案の内容を見ますると、これはやはり第二次防衛計画と切り離して考えられないものである。第二次防衛計画の柱の一つとなり、土台の一つとなるものであるということは、はっきりしておるわけなんです。それでも全然関係のないということを言われるかどうか、この点もはっきりしてもらいたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 第二次防衛計画はもう当然第一次計画から引き継いでいくものでございます。そういう意味において関係はございましょうが、今回御審議願っておる二法案は、第一次防衛計画の未完成のものと申しますか、未完成、未補充のものを補充しようとしておるのであります。それから十三個師団の編成というのは、これは今の日本の現状から考えましてこれをやる必要がある、こういうのでありまして、第二次防衛計画を立てるもとというような直接不可分のあれではございません。問題は、第一次計画というものが第二次へ引き継がれて、もとになることは当然でございますから関係はございますが、第二次防衛計画の新たなる計画と直接不可分のものとは考えておりません。第一次の補充でございます。
○田口(誠)委員 そこで矛盾が出てくるわけなんですが、提案された議案の内容から見ますると、簡単なことで申しますならば、これはこの前首相に対しても幾分質問があったと思いまするけれども、定員を増加するという内容でございます。これは現在二十五万四千七百九十九人というのが定員でございまするが、それを二十六万八千三百三十三人に改定をしたい。すなわち一万三千五百三十四名というものを増員いたしたいというのが、提案の内容になっておるわけなんです。ところが第一次防衛計画の中で定員が決定されておったにもかかわらず、陸上自衛隊だけでも二万七百二十名、二万一千名に近いところの欠員があるのではないですか。未完成のものを完成するということになれば、当然定員増というものを提案してくる前に、欠員を補充することを第一にやらなければならないと思うのです。しかも今日までのこの欠員を埋める方法としてどうかという質問に対しましては、われわれの納得のいくような内容のものが全然回答されておりません。こういう点の矛盾をどうお考えになりますか。
○池田(勇)国務大臣 今回の定員増の目的は、主として飛行機並びに艦船の要員の補充でございます。御承知の通り予算の決定を見まして飛行機、艦船は着々増強されておるのであります。この方面に携わる自衛官の不足を補うことが主でございます。そして陸上自衛隊の方におきましても千数百名を新たなる施設部隊としてお願いいたしておるのでございますが、陸上自衛隊における欠員、この問題はそれとは別個に、われわれは今度いろいろな検討を加え、あらゆる手段でこれを補充していこうとしておるのでございます。自衛隊の方に欠員があるからというので、艦船、飛行機の方の部分を取りやめるというわけには参らないと考えます。
○田口(誠)委員 最後にお答えになったいろいろな方法、考え方を持って補充の面を埋めたいということにつきましては、今日までの質問の過程におきましてもずいぶんその点をただしたわけなんです。ところがこれなれば補充ができるのだというように、われわれの受け取るような御回答がないわけなんです。それで国防会議の議長である池田総理は何かの方法で、いい考え方をもってという表現でございまするが、もう少し具体的に、どういうようにして補充するのだという点を明確にしてもらいたいと思うのです。
○池田(勇)国務大臣 具体的な方法でございまするから、所管の大臣から御説明することにいたします。
○西村国務大臣 ただいまの総理大臣の御答弁に関しまして、私から申し上げますが、最初新しくこういう定員増を、しかも一次計画の中で定員増をしたのではないか。一次計画というのはあくまでも計画でございまして、たとえば陸上においては十七万に対して目標十八万、それから艦艇におきましても現在保有しておる艦艇は目標に達しておりません。その範囲内においてのいわゆる増員であり、艦艇あるいは航空機増に対しまする増員でございます。問題は、主力は海空でございまして、一万一千名の自衛官の中で九千五百名は海空の増員でございますから、この点は御納得がいただけると思うのであります。問題は陸上自衛隊について千五百名増員する。これも新しく国民の要望にこたえて建設部隊を四、五編成する、大隊等を編成する、こういう意味でこれは国民の要望、非常に御要望が強いのであります。 問題は欠員の処置であります。欠員につきましては、志願兵制度におきましては、どうしても常時——きのう入る、同時にまた翌日にすっと出るというような、普通の官庁の一月一日にぱっと入れて採用するようなやり方ではないのであります。年何回入れて退職していく契約関係の例であります。従って技術等につきましても、志願兵制度においては一応そういう欠員というものは一万名前後ある。また陸上自衛隊におきましても、かりに応募率が非常に盛んな時代におきましても、六千や七千の欠員があることはこれは御納得がいただけると思います。問題はただ現在までにおいて比較的欠員の数が多いではないか、これは私も認めます。ただその認めた事実に対してどういう手を打つか。これに対しましてはわれわれは部内におきましては年令を場合によれば十七才でも、よその国々でもやっておる例があるから一つの方法、たとえば学校を卒業してからあまり期間を置いて募集するのがいいのか、あるいは学校を終えたらとたんに来られるようにするのがいいのか、あるいは募兵の技術上の問題がございます。試験が受かってからまた入隊までに非常な期間を置くと、それぞれのほかの方面へ散っていくというような問題もあります。あるいはまた試験を月数回やる。非常に便宜的な試験方法をとるとか、いろいろな方法によりまして、これはわれわれは改善していく強い意思を持っておるのであります。もちろん現在でも応募の倍数はあるのであります。相当の倍数はあるのでありますが、われわれは質を下げないで、しかも所定の目的だけは達して参りたい、こういう具体的な方法をとって参りたいと考えております。
○田口(誠)委員 今防衛庁長官の方からかわって答弁されましたが、どうしても欠員を補充することができなければ、年令を下げてでも補充をしたいという答弁があったのですが、これはまあ防衛庁長官だから無理からぬことであると思いますけれども、年令を下げて——今労働基準法では何才から使ってはいかないとか、女子の場合の就業はどうだとかいうような、一つの規制というものがあるわけなんですが、全然そういうことをお考えになっておらず、とにかくほかに定員を埋めることができなければ、どんな年の若い人でも入れて補充をしたいというようなお考え方は、これは大へんなお考え方だろうと思うのです。それで私はそういうようなお考え方の上に立って補充をしたいというただいまの御答弁というものは、これは全く苦しまぎれの答弁であって、私の方から真剣にこの矛盾をついた質問に対する答弁にはなっておらないと思うのです。この点につきましては重ねて申し上げても無理だと思いますので、重ねて防衛庁長官には質問はいたさないというつもりでございます。 それから池田総理にお伺いいたしたいと思いまするが、今の二万一千名という欠員というものは、現在あるところの管区隊の六つ、それから混成団の四つ、これを十三個師団に改編をいたしたいということなんです。三つふやすということなんですよ。三つふやすということは七千名の師団、結局三個師団ふやすということになるわけなんです。この補充というものは、簡単に考えて何とかいい方法をもってやりたいというようなことくらいでは、やれるものではないわけなんです。従って十三日の首相に対する質問に対しても、どうしてもできない場合には日本に徴兵制度をしくのかと言ったら、徴兵制度をしく考え方は全然ない、こういう御答弁でございましたし、そうして今の防衛庁長官が池田総理にかわっての答弁では、どうしても欠員を補充できない場合には年令を下げてでもやりたいと言って、基準法に触れるような発言もなされておるわけなんです。従ってこういう法案を今日出されるということは、これは池田総理、政治家として、総理大臣として、こういう重要法案を審議するについて、これは妥当な案であると考えられるかどうかということなんです、良心的に……。だれが考えてみても、これは矛盾きわまるものであるわけなんです七妥当性があるというなれば、それを具体的に一つ説明してもらいたいと思うのです。
○池田(勇)国務大臣 御質問に対してお答えが的はずれかもわかりませんが、それだけおっしゃると……。 十の今の管区と混成団、これを十三個師団に編成がえというのは、人員の問題のことよりも、わが国の地形その他用兵の問題から出ておるのでございます。定員の問題と直接には関係ないのであります。
○田口(誠)委員 用兵の問題についてちょっと具体的に説明していただきたい。
○西村国務大臣 これは少し専門的なことですから、私からお答えいたしますが、それで十の単位に現在分かれておりまして、約十年近くを過ごして参ったのであります。その間に御存じの通り今日の陸上自衛隊は、装甲車あるいは運搬車等による機動力をもって、長い隊列を作って移動するなら移動しなければならぬ。現地管区隊の一応の編成の単位は一万二千七百名、こういうようなものをもってはたしてわが国の地形に合った機動力、効率を、たとえば六百台の運搬車を一挙に動かすがいいか、三百台前後あるいは三百五十台くらいで動かすのがいいか、そういう意味で用兵上の観点から機動力というものを考え、地形というものを考え、それから現在の装備の状況、装備がだんだん進んで参ります。それらを考えますと、むしろこの十三の隊に分けた方がいいのじゃないか。ことに御存じの通り、事実申し上げますと、たとえば関東から東海へかけまして、あるいは大阪から山口県の方へかけまして、現在のところ部隊はないのであります。そういう部分に対してはやはり隊を置くべきだ、こういう考えでございます。
○田口(誠)委員 そこで、三十分しか時間をもらっておりませんので残念ですけれども、これ以上ちょっと追及できませんので次に移りまするが、今日までの経過の過程において十三個師団に編成をして、そうして日本全土においてミサイル兵器を持ち込んでミサイル化するということは、大かたこういうことは決定的のようになっておるわけです。それで私がお伺いいたしたいことは、このミサイル兵器の中には核弾頭をつけられるものもあるわけなんですね。それで最近は小型の核弾頭というものが相当に重宝がられて、これがまた効力を相当に発揮いたしておりまするので、それで十三個師団を編成すると同時に、ミサイル化をすると同時に、小型ぐらいの核武装は日本の自衛隊に持たれる考えであるかどうか。これは国防会議の議長さんにお伺いしたいと思うのです。
○池田(勇)国務大臣 たびたび申し上げております通り、また前内閣の時代から申し上げておりますように、ミサイルは持ちますけれども、核弾頭をつける核兵器を持つことはいたしません。
○田口(誠)委員 そのことは日本の予算上の問題であるか、それともまだ米国の方からそういうような要請があったり、話し合いがついておらないから、その考え方を持っておられるのか、もう一つは憲法解釈上から言われておるのか、お伺いいたしたいと思うのです。
○池田(勇)国務大臣 あらゆる方面から考えまして、そういう意見を持っております。
○田口(誠)委員 あらゆる方面というのは、私の質問は、予算の面からと、それから米国との調整がとれておらないということ、それから憲法違反になるということと、この三つが含まっておると思うのです。これをその方面から考えてという御答弁であるわけなんです。ここで私は今日までの審議の経過から、総理大臣の意見と今日までの意見と、重要な点で相違のある点が一つ出てきておるわけなんです。それは憲法解釈上からいきまして、小型核兵器は絶対に新憲法上からいって持てないということは、場合によってはあり得ないのじゃないかというような、原則としては持たぬのだけれども、場合によっては持てるのだというような表現になっておるのですけれども、池田総理の方は、やはり憲法違反になるから、これは持たないのだということが、今の御回答の中には含まっておると思うのです。その点明確にしてもらいたいと思うのです。
○池田(勇)国務大臣 前からも議論されておりますように、われわれは憲法上、他国を攻撃するということはもちろん考えておりません。核兵器というものは、今までの考え方では、いわゆる攻撃武器として一般に取り扱われておるのでございます。しかし核兵器がいつまでも攻撃武器であり得るか、あるいは攻撃は全然なくて自衛のためにぜひ必要な場合が将来起こった場合に、それが自衛の範囲であれば、憲法学上は持てないという結論は出ない場合もあるだろう。これは学者の議論だと思います。それがここで議論されたのではございません。私はここでは自衛のための、ほんとうに防御のための核兵器が将来あるのならば、そういう場合に憲法上違憲なりという断定は下し得られないだろう。これは法制局長官あるいは西村長官の答えにもあったかと思いますが、私もそれは同感です。しかし先ほど申し上げましたように、核兵器というものは今の状態は攻撃的のものだ、従いまして憲法上からもそういう攻撃的なものは持ち得ない。また原子力基本法から申しましても、法律的に平和利用以外には持たない、こういうことになっております。またわれわれは核兵器の洗礼を受けた唯一の国民でございます。平和を祈念しておる関係上、そういうものは持たないと私は政治的にお答えいたしておるのであります。
○田口(誠)委員 時間がございませんので、最後に一言だけ確認をしておきたいと思いますが、今の小型核武装の関係でございますが、これは今いろいろと回りくどく説明をされたわけでございまするが、端的に言って、現在の憲法上から疑義があるということを確認しておいてよろしいですか。
○池田(勇)国務大臣 ただいま申し上げた通りでございます。
○田口(誠)委員 もう時間が超過いたしましたので、私は終わらしていただきますけれども、この点につきましては、あとから同僚議員が質問するだろうと思いますので、これで終わらしていただきます。
○久野委員長 次に飛鳥田一雄君。
○飛鳥田委員 もう緒方さんや田口さんから基本的な問題を伺いましたし、あとには石橋君がやはり基本的なことを伺う予定ですから、私は三つだけごく簡単な事実を伺っておきたい、こう思います。 まず第一には、今も田口さんのお話にも出たのですが、核兵器、この問題が、日本自衛隊の所有すべきものなりやいなや、あるいはアメリカが持ち込む場合に事前協議の対象となるやいなや、こういうことが非常に議論されました。だがしかし、世間にCBRと並び称せられておりまする化学兵器、あるいはバイオロジカル・ウィーポン、細菌兵器、こういうものについての御見解はほとんど伺っておりませんでした。この際これについて伺っておきたいと思いますが、まず日本の自衛隊は化学兵器、すなわちもっと端的に申し上げれば毒ガス的な兵器を、あるいは細菌兵器的なものをお持ちになる意思があるかどうか、この点を伺いたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 私は毒ガスの使用は国際法上禁止されておると思います。いろいろ新しい兵器につきましては、あまり存じませんので、専門家からお答えさせます。
○西村国務大臣 CBRのことでございますが、われわれとしましてはあくまでも自衛でございます。従って現在たとえば核の放射能の被害であるとか、たとえば核兵器にしましても、そういうものの防御の面、これについてはわれわれは当然研究はしていかなければならぬ、あくまでもこれを防いで参る、その意味でわれわれはきわめて消極的な態度をとる、こういうようにお答え申し上げます。
○飛鳥田委員 日本の自衛隊が両兵器を持たない、こういう意思ははっきりいたしました。ところがアメリカの新聞などを見ますと、アメリカ・ユタ州ソルト・レークの砂漠の中に工場ができ、建設費約一億ドル、三万三千平方キロ、一九四七年以降約三十四種類の細菌兵器を製造中だ、こういわれております。そしてもはや三百グラムあれば全人類を絶滅することができる、こういうふうにさえ紹介せられております。しかもさっきちょっと総理は国際法に禁止されているというお話でしたが、多分御存じだろうと思いますが、国連の軍縮委員会の中では、一九四七年以降再々にわたって、この兵器の禁止あるいは製造停止、こういうことが形の上では議題となりながらも、現実には討議をせられずにお流れになってしまっている、こういうことでありまして、国連はこのことに関して結論に達していないわけです。だからアメリカがそういう工場を持つということもあり得るわけであります。そしていろいろアメリカの平和団体が出しておりまするパンフレットなどを見ますと、これに対する反対運動がたくさんあります。もし原爆を日本に持ってくることについて反対だ、そして事前協議の場合にお断わりする、こうおっしゃるのならば、そうした化学兵器あるいはバクテリア兵器、こういうものを日本に米軍が持って参ります場合、これは事前協議の対象となるのでしょうか、それともまた事前協議の対象となってあなたはこれを拒否なさるお心持であるのかどうか、これを伺っておきたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 細菌兵器と申しますか、何かCBRですか、これは国際法上私は使用を禁止していると心得ております。製造までは禁止しているかどうかは存じません。しこうしてこの実体がよくわからないのですが、核兵器につきましては事前協議——装備の重大な変更でございます。しかしCBRというものはどういうものかわかりません。装備のはなはだ重大な変更ということならあれですが、実体がよくわかりませんので、その点をお答えするわけには参りません。
○飛鳥田委員 はなはだ失礼ですが、日本の防衛をつかさどる最高責任者として、少なくともCBRというのは並んで議論をせられているものです。そしてすでにアインシュタイン博士も、これは水爆以上の災厄を人類にもたらすだろう。こう言っておりますし、水爆と異なって、住民が殺されるだけで建物や土地はそのまま残るから、これを使用する誘惑というものは非常に大きい。だからこれは非常に危険なものだということを再々言っているわけです。そして御存じのようにイギリスで起こりました平和運動、原爆禁止運動についても、バートランド・ラッセル博士などはこのC及びBの兵器について、口をきわめてこれが停止を訴えているわけです。一国の総理大臣として、これのおそるべき殺傷力なりその内容というものを、それは科学者ほど御存じになる必要はないと思いますが、しかしその重大性を知らぬというのは、いささかうかつではないだろうか。おそらく世界じゅうの国の責任者にして、CBRのCBを真剣に考えていらっしゃらない、知らなかったとおっしゃった総理は、あなた一人ではないだろうかと私は思います。しかしまあ、そんなことを言っても切りがありません。少なくともこれが水爆以上に大きな大量殺傷力を持っておるという事実を覚えておいて下さい。そして同時に、これは朝鮮戦争の際にも部分的に使われたのではないかという節さえあるという事実も覚えておいて下さい。そしてまたあなたの部下は、アメリカのそういうものにある程度協力しているにあらざるやと思われる節のあることも覚えておいて下さい。労務基本契約の中で丸山長官は細菌学職というものをアメリカ軍に提供しております。そして日本では石井部隊という細菌部隊がありましたことも世界で有名なものです。アメリカの上院の外交委員会の軍縮分科会の報告書を見ますと、第一次世界大戦のときにはCBが使われた。そして第二次世界大戦においてこれを使おうとしたのは日本だということがちゃんと書いてあるのです。それだけ明らかでありまして、石井部隊というものがありましたという事実も覚えておいて下さい。これだけの事実があって、それでなおかつ御存じないというのは、私はちょっとうなずけない。もう一度伺いますが、細菌兵器、ガス兵器、こういうものをアメリカ軍が日本に持ってこようとすれば、それは事前協議の対象となるべきものですか。事前協議の対象としなくてよろしいものですか。
○池田(勇)国務大臣 私はそういう細菌兵器は国際法で禁止していますから、そういうことはないと考えております。
○飛鳥田委員 そういたしますと、もし国際法で禁止をしておっても、先ほどあなたのおっしゃるように所有することあるいは製造することまでは禁止されていない、こうおっしゃったのですから、使用しないことはないと信じますとあなたがおっしゃるのなら話がわかりますが、日本の国内に持ってこない、こういうところまではあなたは保障できないでしょう、国際法でも……。従ってそういうものは事前協議の対象となりますか、なりませんか。
○池田(勇)国務大臣 使用することはできないものになっておるものを、これは事前協議するという問題は起こらないと思います。そういうものは使われないのであります。
○飛鳥田委員 それでは伺いますが、もしかりに持って参りました場合には、国際法違反ということをたてにして、日本政府はそれの国外搬出を要求できますね。
○池田(勇)国務大臣 国際法で禁止しているものを、ここで論議するということはナンセンスだと思います。
○飛鳥田委員 よろしゅうございます。ナンセンスである以上、当然日本の政府はそれに対して措置をおとりになる、こう私は了解します。これが第一の問題。 第二の問題として、今まで安保条約の問題について、第七艦隊は在日米軍ではない、こう岸総理も藤山外相もお答えになってこられたのです。従って第七艦隊の行動というものは事前協議の対象とならぬ、こういうお話でした。そう伺ってよろしいわけでしょうか。
○池田(勇)国務大臣 第七艦隊は日本にいないのでございます。在日米軍ではございません。
○飛鳥田委員 そういう御解釈に対して、私もある程度議論が成り立ち得るかと思っておりました。ところがアメリカの議会の公聴会などを拝見してみて、私はがく然といたしました。一九五九年の相互安全保障法に関する公聴会を見ますと、フェルト将軍は——これは太平洋地区司令官ですが、フェルト将軍は、第七艦隊は日本から離れては存在し得ないと書いてあります。「ダズ ノット メインテイン イットセルフ オフ ジャパン」と書いてあります。こう見ますと、日本から離れて存在できない第七艦隊、こういうふうにはっきり責任者が言っておられるわけです。しかも第七艦隊の旗艦はヘレナです。このヘレナの母港は横須賀になっており、そしてこの旗艦の司令官であるキベット将軍の官舎は横須賀にあります。こうなって参りますと、在日米軍でないと言い切って、それで平一然と済ましていけるものかどうか。やはりこれらのアメリカの、現実に第七艦隊を運営しておられる人々の見解を、もっとわれわれは考え直してみる必要があるのではないだろうか。一方の国の総理大臣は、第七艦隊は在日米軍ではありません、日本にいないのですからと、あなたはおっしゃる。片一方の太平洋地区司令官は、第七艦隊は日本を離れては存在できない、こう言うのです。こういうことについて日本国民が疑問を持たないとしたら不思議ではないでしょうか。私はやはりこの点について、国の最高責任者としてのあなたに明快な御判断を仰いでおきたい、こう思うわけです。決してからむわけではありませんから率直にお答え下さい。
○池田(勇)国務大臣 第七艦隊の基地はどこにあるかという問題になりますと、いろいろな説があると思います。われわれは一応フィリピンではないかという気持を持っております。しかし御承知の通り第七艦隊は極東太平洋地域を舞台にして、いろいろ活動しておるようであります。従いまして日本の領海内、日本におりますときは第七艦隊も在日米軍ということが言い得られましょう。ただ向こうの国会で日本を離れては存在し得ないという意味がどういう意味か私はわかりませんが、補給その他の関係や何かあるのではないか、私の第七艦隊に対する見解は以上の通りでございます。
○飛鳥田委員 やはり事前協議の対象として在日米軍の行動を規制する、こういう基本的な精神は、日本が不必要に日本国内に起こった以外の戦火に巻き込まれないことを配慮してのことだ、これは岸さんがはっきりとおっしゃったことです。その精神に照らして、在日米軍なりやいなやをきめていかなければなりませんし、そしてまたその行動を規制していかなければならぬわけです。単なる言葉の遊戯で問題が解決するとは思いません。第七艦隊が日本にいる間は在日米軍だなどとおっしゃるのはいかがなものでしょう。艦隊というものはいつでも一つの港にいるものではありません。あちらこちらに出撃し、こちらにあるときには遊よくするということが任務であって、その港に入っているときだけ在日米軍——それではフィリピンのスービック港に入っているときだけ在比米軍、台湾の基隆港に入っているときだけ在国府米軍、沖繩に入っているときだけ在沖繩米軍だなどという話が、巷間の冗談話ならいざ知らず、一体この国会で通用していくでしょうか。お互いに水かけ論とおっしゃればそれまでですが、私はやはりこの第七艦隊が日本を離れては成立し得ず、そしてその旗艦であるヘレナの母港が——司令部は確かに海上にあるらしゅうございます。だがしかし旗艦のヘレナの母港が横須賀であり、そこにキベット中将の官邸まである、こういうことでありますならば、これは非常に日本に強く結びつけられておる艦隊、こう言わざるを得ないのではないでしょうか。そしてこれはアメリカのインディアナポリスで出しております海軍の白書でありますが、海軍白書を見ますと、横須賀は太平洋勢力のかぎであるということをはっきり言っております。もしそうだとすれば、これだけ横須賀に強く結びつけられ、横須賀を中心にして行動する第七艦隊というものが、在日米軍でないということだけで事前協議の対象から離れてしまうというところに、何らかの矛盾をお感じになりませんか。
○池田(勇)国務大臣 第七艦隊がもし日本を基地として作戦行動をとるという場合につきましては、私はもちろん事前協議の対象になると思います。しかし今の具体的な問題で日本を基地として作戦行動をとるかとらぬかという問題につきましては、事実問題でございますから専門家に御答弁いたさせます。
○飛鳥田委員 そこで問題が出るわけです。基地として作戦行動をとる場合には事前協議の対象になる、こうおっしゃる。すなわち横須賀を離れて第七艦隊が成立しないという事実上の問題を肯定なさるわけです。そこで問題は進んで、基地として戦闘作戦行動をとおゃしゃるのですが、一体基地として戦闘作戦行動をとお考えになる場合に、横須賀から出ていってすぐミサイルを撃つ、大砲を撃つ、そういうことだけをお考えになっているとすれば、これは常識的に笑いものです。少なくとも横須賀の利用が密接に行なわれた場合には、基地としてどの程度まで利用せられているかということを明確にしていただかないと困るのではないだろうか。基地としてという意味をもう少しはっきりしていただきたい。
○池田(勇)国務大臣 私は艦隊その他の補給が横須賀で行なわれるということをもって、直ちにこれを基地と考えるわけにはいかぬと思います。従って事実問題でございますから、政府委員からお答えいたさせます。
○林(修)政府委員 飛鳥田委員よく御承知と思いますが、在日米軍という言葉自身は実は安保条約にはないわけでございます。昨年問題になりましたのは、在日米軍というのは事実問題として起こるようになったことだと思っております。そういう意味において、日本に本拠を持っておらない意味において、第七艦隊はいわゆる在日米軍ではない、かように申してきているわけでございます。しかし御承知のように事前協議条項におきましては、つまり在日米軍であろうとなかろうと、日本にあるから在日米軍でございますが、要するに日本を作戦基地として戦闘作戦行動に出る場合は、事前協議の対象になっております。従いましていかなる艦隊といえども、日本を戦闘作戦行動の基地として使って、そこから出ていくという場合には、事前協議の対象になるわけでございます。しかし戦闘作戦行動というのは、昨年も御説明したと思いますが、補給行動は含んでおりません。一般の意味の補給行動は含んでおりません。従って単に補給の基地になったということだけでは、これは戦闘作戦行動の基地とは言えないと思います。やはりそこを基地として、直接的な戦闘作戦行動に出る、こういう場合のことでございます。御承知のように空軍の場合あるいは陸軍の場合は比較的その点がはっきりいたしますが、海軍というものは常時実は海上におります。従いましてそういう意味の観念はなかなか簡単ではございませんけれども、要するに横須賀なら横須賀を戦闘行動の基地として使うという場合に、事前協議の対象になる、かようなことでございます。一般的に申しまして、第七艦隊は日本に根拠を持っておりません。ですからその場合においては事前協議の対象にならない、かように考えております。
○飛鳥田委員 別に言葉じりをとらえるわけではないですが、日本に根拠を持っておりませんと、あなた断定できますか。だって海軍の白書なんかでも明確に書いてあるのですよ。しかもこれはアメリカ政府の出版物ですよ。そういうものをみんな否定してしまって、根拠ありませんと——あとでお貸しするからお読み下さい。別にその点で議論をする気はありませんから……。 ともかくそこで問題は、補給が直接戦闘作戦から区別せらるるという観念に問題があるのではないか、むしろ戦闘作戦をやるという目的を持って補給をしていく行為は、戦闘作戦行動の中に当然含まれるべきものであり、通常の平時における艦隊遊よくに必要な補給は、これは戦闘作戦行動に含まれない、こう考えなければ常識的に納得できないのではないでしょうか。いかがでしょうか。いかなる補給でも戦闘作戦行動に含まれないとおっしゃいますか。戦闘作戦行動を遂行するための直接的な補給というものは、当然戦闘作戦行動に含まれると考えなければならないものじゃないでしょうか。
○林(修)政府委員 これは昨年もお答えしたかと思いますが、要するに戦闘作戦行動に直接結びつくような補給、たとえば前線で戦争している場合に武器弾薬を軽重隊が送ってくる、こういうものは戦闘作戦行動の一部だと思います。そういうものでなくて、艦隊に対して水を供給し、また弾薬を補充するために入ってくる、こういうものは私は普通の意味の戦闘作戦行動ではない、かように考えます。
○飛鳥田委員 少なくとも補給それ自身の中に戦闘作戦行動と一体をなすべき補給行為があることはお認めになった。そこでそういう戦闘作戦行動と一体をなすべき補給行為か、平時の補給行為かを区別するのはだれですか。そうして事前協議に付さなければならぬという決定をするものはだれですか。
○林(修)政府委員 先ほど申しましたように、補給行動というものは、この戦闘作戦行動の中に含まれるようなものが入っているということでございまして、戦闘作戦行動の外に及ぶようなものはもちろん含まれないのでありまして、さっき申したように直接的に、たとえば空挺部隊に対して武器を補充するとか、あるいは前線に出動しているものに対して軽重隊が武器を持っていく、こういうものは戦闘作戦行動の一部と考えられます。そういうものはその軽重隊自身戦闘しているわけではございませんが、これは戦闘作戦行動だ、かように考えるわけであります。そういうものは結局実際上の事実問題で判定していくほかはないと思いますが、実際上は常時協議して、その範囲をきめていく、かように考えているわけであります。
○飛鳥田委員 実際上は常時協議してとおっしゃるのですが、向こうは事前協議の対象とすべきでないと言い、こちらは事前協議の対象とすべき戦闘行為の一部分としての補給行為だと認定した場合、意見が分かれた場合に、これは事前協議にならないということですか。それでは全部アメリカの思う通りじゃないですか。第七艦隊というものが、冒頭申し上げたように、日本を離れては存在できないとフェルト大将が断定をせられているほど横須賀と強く結びついているにもかかわらず、現実には第七艦隊の行為は全部放任、こういうことになってしまうのではないかという懸念を私たちは持たざるを得ないわけです。そこで事前協議というものの活用の仕方を今順々に伺ってきたわけです。総理、いかがでしょうか。問題を広げても仕方がありませんから、一つの補給行為という問題に限定してよろしゅうございます。それが戦闘作戦行動と分かちがたく結びついているような場合、そう日本政府が認定をした。ところがアメリカとしては、いやそうじゃないのだ。これは林さんも常々議会で言っているように、補給と戦闘とは違うのだから、これは事前協議の対象にならぬ、こう強硬に主張した場合、その調節はどうなりますか。しかもその調節は非常に急ぐ段階にあるわけです。平時と違って、緊迫した雰囲気の中で行なわれるのですから、結論を急ぐ必要があります。そういう場合の調節をどうなさるおつもりか、これは総理の手腕によるところですから伺います。
○池田(勇)国務大臣 作戦行動に直接結びつき、不可分のものであれば、これはだれが考えたって、それが補給であっても作戦行動と思います。そういうことはやはり両方の常識で、私はそう問題は起こらないと考えております。
○飛鳥田委員 そうたやすく楽観をなすっていらっしゃると、キューバのような問題が起きるわけです。キューバの問題について、アメリカがマイアミ・ビーチなどをその根拠地として提供したことも明らかですし、いろいろな武器あるいは兵員、こういうものを提供したこともほぼ明らかなわけです。世界の人々が知っているわけです。にもかかわらず、何らの関係なきがごとく今まで言って、声明もしてきているのがアメリカ政府じゃないでしょうか。そういう常識で割り切れないところにこの国際政治のむずかしさがあり、そしてその割り切れないむずかしさの中から、戦争の危険というものが絶えず再生産されていくのじゃないでしょうか。やはりそういう場合のことを考えて、総理としてはこの際断固たる所信を表示しておかれることが正しいのじゃないだろうか。何も私はきょうあなたを責めつけるつもりで申し上げているのではなく、足りない部分をはっきりしていただいて、そして国民に少なくともある程度の理解を得ていただきたいと思うので、このことを申し上げているわけです。 もう一度伺いますが、補給行動等について、一方は戦闘作戦行動と分かちがたく結びついていると考え、他方は分かちがたく結びついてはいないと考えて意見が違った、そういう場合に事前協議の主題とするやせざるやということについての調節の方法をどうお考えですか。
○池田(勇)国務大臣 先ほど来答えております通りに、作戦行動と直接結びつき、不可分のものであれば、それは補給であっても事前協議の対象になります。しかし作戦行動でない場合におきましては対象になりません。これはお互いに常識で考えるべきことで、観念上違ったときにはどうするかということは、私は杞憂ではないかと考えます。
○飛鳥田委員 もうこの点について議論いたしません。私は御忠告申し上げておるつもりです。しかしそう常識ですべてが片づいていくのなら、ラオスにも問題は起きませんし、キューバにも問題は起きませんし、コンゴにも問題は起きませんし、世界至るところ問題は終息を告げるはずです。しかし次次に問題が起こっていくのは、あなたのおっしゃる御自分だけの常識で問題が片づかないからだということを、読みの深い政治家として一つ頭に入れておいていただければ幸いです。ともかく私たちはこの点についていまだに依然として疑問を解いていない、こういうことを申し上げざるを得ないわけです。どうぞ一つ、横須賀と第七艦隊との関係、さらにはフェルト大将がどういう証言をアメリカの国会でなすったか、こういう点をもう一度御検討せられんことを望みます。 そこで第三の問題ですが、実は去年だったと思いますが、富士の演習場に問題が起こりました。これも日米の関係、この防衛二法を審議して参ります場合に、どうしたって西村さんのおっしゃるように、日本の防衛力というものはアメリカの防衛力と共同せざるを得ないという状態であるそうでありますから、そうでありますならばなおのこと、米軍と日本の政府との関係というものは明確にしておかなければいけないだろう、こう思います。富士の演習場の問題は、江崎長官があなたの意思を受けてだと思いますが、これは米軍に交渉して解除させるかなりかたい確約をなすったわけです。そうして富士の住民の方々は、それほどまでに江崎さん、第一次池田内閣が約束をして下さるのならば、われわれはすわり込みその他の実力行使はよそう、こういうことを考えて直接行動を控えられたようです。ところがその後、待てど暮らせど富士の演習場は戻ってきません。この点について政府も交渉をなすったのだと思いますが、伝え聞くところによりますと、総理自身もマッカーサー大使と御交渉になったようであります。その間の経緯を一つ聞かしていただきたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 お話の通り、組閣当初でございましたか、江崎君から、富士の吉田付近における演習場の問題につきまして相談がありました。われわれはアメリカに対しまして返還を要求します、だからしばらく待ってくれ、こういうので、一応住民の方々に納得を得たのであります。その後鋭意アメリカ関係当局と返還方の交渉をいたしておるのであります。結果はまだ交渉中でございまして、経過につきましては防衛庁長官からお答え申し上げます。
○西村国務大臣 富士演習場と申しましても、御存じの通り東富士の地域、また北富士地域がございます。米軍としてはこれを一括して演習場と申しております。また昨年起こりましたのは北富士の問題で、前長官があの緊急事態に対しまして、返す、その返す真意は、日本の自衛隊に返還をする。言いかえますならば、地位協定のたしか二条四項の(b)に基づきまして自衛隊側に返還して、共同使用を米軍に認める、こういう線で当時おさまったわけであります。そのあとを受けまして、私どもといたしましても、あるいは在日米軍司令官、また太平洋艦隊司令長官のフェルト大将の方まで一応意思は通して、返還を求めておる。ただ問題は御承知の通り昨年来の状況を見ておりますと、米軍におきましてもあの演習場を簡単に去って他に演習地を求めるというのは、非常に困難性がございます。言いかえますれば演習の頻度も多少高まっております。そこで返還にあたっての条件、使用の条件というものについてできるだけ日本側とアメリカ側で折り合って、その間において今度地元民の意向とこれを調節して参る、こういう考え方のもとに、われわれといたしましてはこの問題はかなり真剣に折衝いたしておることは事実であります。
○飛鳥田委員 江崎君がフェルト大将に会われ、総理がマッカーサー大使に会われたという話もありますが、それは事実ですか。
○池田(勇)国務大臣 アメリカの武官とそれからマッカーサー大使と私で一回、一緒に会いました。
○飛鳥田委員 実際はそういう御交渉にもかかわらず、私横浜の調達庁で調べてみたのですが、かえって米軍の使用頻度は高まっている。今まであまり北富士は使わなかったのにもかかわらず、このごろは猛烈に使っているじゃありませんか。かえって逆になっているわけです。聞くところによりますと、ここへ来ておりますものは沖繩の第三海兵団だという話でありますが、これはいかがでしょう。
○西村国務大臣 私から申し上げた方が、事具体的でございますから述べますが、確かに頻度は高まっております。それはその間、昨年一カ年の状況を見まして、情勢の変化等も多少加わっておると思います。ですから、米軍の立場々々で事情等もあろうと思いますが、しかし同時に日本側における交渉の経過もございまして、それら両者相待って使用回数あるいは返還の条件を考えていく。それから沖繩の海兵隊というお話毛ありましたが、大体あれを使う主力は沖繩の海兵隊であるということも確かでございます。
○飛鳥田委員 そこで問題が起こりますのは、日本の基地を在日米軍でない沖繩の海兵隊に勝手に使わせておいて、その方面は知らぬ顔、そして現実に横須賀に基地を置いている第七艦隊は在日米軍ではないという形で、向こうへ突き放してしまうというようなやり方が、一体許されるものだろうか。なるほど在日米軍でないといいましても、沖繩の海兵隊は日本にやって参りますと、在日米司令官の区処を受けるとか、統率の中に入るとかいうような形式的な変更はあります。しかし現実的に第三海兵団は、また太平洋地区司令官の命令があればさっと行ってしまうのでありまして、これは明らかにどんな形を整えようとも在日米軍ではないわけです。この在日米軍でないものに北富士の演習場を使わせるということについて、総理はいかがお考えになるでしょうか。
○池田(勇)国務大臣 従来内地に駐留しておりました米陸軍と同様に、昔から沖繩におりました陸軍も使っておったわけであります。私が返還の交渉をいたしましたときにも、これは今お話のように日本に参りまして在日米軍の指揮下におる、こういう関係上、あれを返還を受けても従来通り使っても差しつかえないから、日本の自衛隊に返して下さい、こういうことでいっておるのであります。従来からそういうような格好をとっておりますので、在日米軍の指揮下にある場合におきまして富士演習場を使うことは、従来もそうでございますし、今後も認めていかざるを得ぬと考えております。
○飛鳥田委員 沖繩の第三海兵団は一体何をする軍隊か。今度の三月二十八日に出ましたケネディの国防予算特別教書をお読みだと思いますが、このマリーンこそはアジアにおける機動部隊として——ケネディ氏のいわゆる極東に起こるいろいろな浸透作戦、あるいは自由に対する脅威、こういうあらゆる変に備えるための機動部隊として沖繩にためられているわけです。こういうものが富士の演習場を公然と使って演習をする。そしてそれを日本が許している以上、アジアの諸国民は、何だ、日本は結局アメリカのしり馬に乗って、おれたちの国へ勝手なことをするための軍隊を作っているじゃないかという印象さえ持つはずです。同時にもっと重要なことは、この第三海兵隊は核兵器戦争、非核兵器戦争、この両者に備えることのできる装備をしておる、こういうアメリカ軍の発表です。そうだとすれば、この北富士でどのような演習をしておるかということも想像のつくことですし、こういう点について、核兵器の持ち込みは困る、こうおっしゃる以上、この第三海兵隊が富士へ入って参りますたびに、一応あなた方は、これが核装備はしているのか、あるいは核に対して対抗する手段をしてきているのか、そういうことをお確かめになって使わしていらっしゃるかどうか、これを伺っておきたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 具体的の問題でありますから防衛庁長官から……。
○西村国務大臣 われわれは沖繩から参ります海兵隊の大体の任務は存じております。言いかえますれば、これは局地戦を対象にしましたいろいろな戦闘行動でございます。従って日本のあの富士山麓の地形等もかなり訓練に役に立つ、そういう意味から使っておるのでありまして、またこれは私ども当然その目的は、やはり極東の平和と日本の安全に寄与するという、言いかえれば安保体制によって施設を提供する一つの目的の範囲内でございます。そうしてただいま核とか非核とかいうお言葉がありましたが、国内において局地的核戦争のためにやっているという事実は私ども聞いてもおりませんし、そういう事実はないと思います。あくまでも普通の砲あるいは戦車によるところの地上演習でございます。
○飛鳥田委員 だんだん長官はほんとうのことをおっしゃり始めたわけです。地形の点、さらにはアジアにおける局地戦争の戦闘訓練である、こうおっしゃった。今アジアにおいて火のついているところはどこですか。ラオスじゃありませんか。しかも巷間伝うるところによりますと、ラオスの地形とあの富士演習場の地形とはそっくりである、だから返せない、こうアメリカがはっきり言っている、こういうふうに伝わっています。だれがどう考えてみたところで、なるほどそれはもっともな話であります。国際情勢の変化とさっきおっしゃった。そうしてアジアにおける局地戦闘の訓練である、こうおっしゃった。そして第三海兵隊であるということもお認めになった。しかも第三海兵隊は今何のために待機しているかといえば、これはラオスにおける戦闘に備えるためだということは米軍の発表です。すなわちちょうどかつて妙義山の演習場を朝鮮における山岳戦のために米軍が使ったのと同様に、富士の演習場は今ラオスにおける戦闘訓練のためにしばしば使われている。頻度が高まっているという事実も、これも隠せない事実じゃないでしょうか。そういうことをそのままやむを得ないというふうに総理、おっしゃって使わせていって、それで日本の極東政策が云々、平和を求める日本の政策が云々などとおっしゃってみたところで、アジアの国民がこれを信じないのはあたりまえだと思うのです。問題は一富士の演習場の問題にあらずして、日本のアジアにおける平和に対する態度を疑わせる問題にまでこれは発展していくということを、一つ十分承知をしていただきたい、こう私は思っておるのですが、その点いかがでしょうか。
○西村国務大臣 私の説明についての部分だけ申し上げておきますが、これは富士演習場がラオスと同じだから、こういうふうにはちょっと飛躍し過ぎるのではないかと思うのであります。あちらとは気候風土も違います。また川の状況、ジャングルの状況、こういうところから考えましても違うのであります。ただ砲とかタンクの演習、歩兵的な演習、これを目的にし、同時にこれは日本の共同防衛にも、言いかえれば日本の平和、極東の安全、これに寄与するもの以外にないというふうに私は解釈しているのであります。
○池田(勇)国務大臣 極東の安全と平和のために、ある程度の基地を安保条約で認めておるのであります。われわれはその条約によりまして、与えられた範囲内におきまして、これを寄与することを認めておるのであります。
○飛鳥田委員 私は問題を三つの問題点についてだけしぼって伺いました。しかしどの一つをとって考えていただいても、問題は具体的でありながら、全体としての政治にからむ問題であったと私は信じます。そういう点で、この問題について単なるコンニャク問答をし、たとえば今西村長官が、私がラオスと地形が似ている、同じだとこう言った言葉じりをとらえて、気候が違う。あたりまえですよ。ラオスと富士が同じだなんて私だって言っていやしない。そういうことで問題をそらそうとなさらずに、北富士でジャングル戦をやったり、あの山の高低の中でラオスにおける戦闘訓練と比較的同じ状況があるのだという意味で、あれを使っているのだというふうにちゃんとおとりになって、まじめに一つお考えをいただきたい。この問題はただ社会党があなた方を責め上げるなどという形の問題ではないのです。ですから、きょう私はただ事実を並べて反省を求めているというだけで、もっとすなおに聞いて、もっとすなおに日本全体の政治のあり方、そして極東の平和を求めていく池田内閣のあり方というものを、深く反省せられることを私は望みます。以上で私のを終わります。
○久野委員長 次に石橋政嗣君。
○石橋(政)委員 先ほど緒方委員に池田総理が答弁した際に、どういう問題を話し合うのかということを盛んにお伺いしたわけでございますけれども、総理は別に何もお漏らしにならなかったわけです。ただ私、ここでせっかく初めて総理になられて池田さん、アメリカに行かれる。アメリカの方で中心になって話をする大統領も、ケネディが新しくかわって就任しておる。全く初めての話し合い、そういうことになりますと、何としても日本側から絶対に持ち出さなくちゃならない問題というものが、ほかにもあると思いますけれども、一つあると思うのです。それは沖繩の問題です。沖繩の人たちも一日も早く日本に帰りたいという熱望に燃えております。日本の国民もまた一日も早く沖繩の施政権を日本に返還させたいと熱望をいたしております。この問題を池田総理が初めて会うアメリカの大統領に提起しないということは、私は絶対にないと思うのですが、その点いかがですか。アメリカに対して沖繩の施政権の返還問題についてぜひ申し入れをするというお考えですか。
○池田(勇)国務大臣 日米共通の問題いろいろございましょうが、今この問題をぜひという結論には至っておりません。御承知の通り沖繩問題につきましては、今までの岸総理、また各外務大臣も参りましたときに、いろいろ話をしておるのであります。私もこの問題について関心は持っておりまするが、今これを話題にするかどうかにつきましては結論を出しておりません。
○石橋(政)委員 これほど日本の国民、沖繩の人たちにも関心の深い問題についてすら、まだケネディに問題として持ち出すことをきめてないというのは、私はどうも国民の気持というものから総理は少し浮き上がっておりはせぬかと思う。この問題について何も秘密にしなくちゃならないような事項もないと思うのです。国民の熱望を受けて、そのまま表明してくるということが、一国の総理としての私は当然の責任であろうと思う。その責任をも回避されるということでは承服できません。 これに関連するわけですが、最近沖繩の人たちは、日本の国会に議席を持たしてくれ、こういうことも盛んに言っておられます。日本の国民の大半もその気持を十分に私は了としておると思う。この問題は国内法上やろうと思えばできますか。またアメリカと話し合わなければできない問題ですか。その辺はいかがです。
○池田(勇)国務大臣 議席を持つというその具体的なことが、代表を送るというわけではないのでございますか。あるいはフランスが昔アルサス・ローレンを占領しておったときにそこからの選出代議士の席を、空席でございますが、置いておったということも聞いておりまするが、御質問の点は、選出しなくても席を置くということだけでございますか、その点をはっきりしてからお答えいたします。
○石橋(政)委員 沖繩の人たちの代表者を国会に実際に出席させるということは、私ども非常にむずかしい問題じゃないかと思うのです。しかしそれもできるかということも一つであります。それができなければ、今総理がおっしゃったように、席だけ置いて空席にしておく、こういうことはできるのかという二つの問題についてお尋ねしたつもりなんです。
○池田(勇)国務大臣 お話の通りに代表を送るということはちょっとむずかしいのではないか。席を空席でも置いておくかという問題につきましては、私はただいま検討を加えておるところで、問題として取り扱っておりますが、結論は出しておりません。
○石橋(政)委員 それでは実際に出席を願うことは困難にしても、沖繩の人たちの分として議席を持っておくということは検討中だとおっしゃいましたが、そのことは別にアメリカと話し合わなくても、国内の問題として処理できるわけですね。
○池田(勇)国務大臣 そういう問題について検討しているのであります。
○石橋(政)委員 それはどういう意味ですか。アメリカと話し合わなければできないか、日本だけでできるか、それもまだわからぬということですか。
○池田(勇)国務大臣 法律的の問題と外交上の問題、いろいろの点がございますから、検討しておるのであります。
○石橋(政)委員 検討してもまだ結論が出ていないということですか。どうして出ていないのですか。総理がわからなければ、法律の専門家がおるわけですから、一体外交上、外交折衝の面でどういう点で難点がある、あるいは国内法で処理するとしてもどういう点で問題があるというふうに、一つ整理して御説明を願いたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 まだ整理の段階に至っておりません。各方面から検討しておるのでありまして、御答弁する段階にまだ至っておりません。
○石橋(政)委員 その熱心な沖繩の人たちの熱望を受けて検討しておるということでありますから、それでは一応それで了承いたしておきたいと思います。 次に、第二次防衛計画というものをアメリカに行く際に携えていくという考えはないという、この間の御答弁があったと私了承いたしておりますが、その点は確認してよろしゅうございますか。
○池田(勇)国務大臣 そういうものができても、持っていかないというふうに答えておるのではございません。私はそれはなかなかできないだろうし、またでき上がったにいたしましても、これを討議するかどうかということは問題だと思います。
○石橋(政)委員 そうすると、これもまだでき上がったら持っていくかどうかわからぬ。でき上がるか、でき上がらないかもわからないので、まだ検討の段階だということになるのかと思いますが、それほど熱心に渡米に際して携行しようという意図もないようにも受け取れるわけでございますけれども、私はここで一つ基本的な問題として、防衛計画だけなぜ長期計画が必要なのか、この点について総理のお考えを聞いておきたいと思うのです。かりにアメリカの援助というものを相当期待しておる。従ってこのアメリカと話し合いをする際に、こういう形で増強しようと思いますと、こういうことであるならば、長期防衛計画というものは一つの使命を持つわけです。現に岸総理が昭和三十二年に渡米した際には、そういう目的を持っておりました。いわゆる防衛三カ年計画というものを作りましたときには、日本はこのような計画を進めて自衛力の漸増をやります、従って米軍の方も一つ特に陸上部門、陸軍は早急に撤退して下さいという要求をいたしておりまして、これを承認されております。これも一つの長期防衛計画策定の目的になろうかと私は思う。今度第二次長期防衛計画を作ろうという態度を、池田内閣もお示しになっておるようです。しかもこれもだいぶ紆余曲折があったと思うのです。去年作らなかったというところから見ても、あまり熱心でないのではないかという感じも私たち率直に受けております。それはそれなりに理解できるのですよ。いわゆる所得倍増という柱で経済政策に重点を置いていこうとされますならば、どうしても防衛計画の方まで手が回らぬという気持も十分にわかります。何も防衛予算だけ向こう五年間も指定席、予約席を与えておく必要はないわけで、それも一つの見識だと思うのですが、しかし一月十三日の国防会議ではやはり長期防衛計画を作らす、なるべく早く作りたいということをおきめになっておるようですが、今度は一体何のためにこの長期防衛計画を作られようとしておられるのですか。
○池田(勇)国務大臣 日本の国土防衛のためには、私は計画を作る必要があると考えております。
○石橋(政)委員 それはたとえば量をふやしていく。第一次計画のように、陸上自衛隊を十八万人にする、海上自衛隊は十二万四千トン、航空自衛隊は千三百機、そういう整備をやって、特に陸上自衛隊は十八万目標で増強していくから、一つ米軍の方は早く撤退してくれという目的は、第一次計画の場合はあった。第二次計画の場合ではふえません。質的増強という表現が使われている。質をよくしていく。そういうことならば、何も長期計画を立てる必要はないじゃありませんか。年度々々その予算の範囲内でいろいろな情勢を勘案して、特に総理が重点を置いておられる民生安定の予算等とのかね合いを常に考え合わせながら、年次ごとに増強できないことはございませんですよ。何も五年間にわたって先の先まで防衛予算の大体の予約席、指定席を与えておく必要はないじゃありませんか。その方がより現実的に処理できるのじゃないでしょうか。
○池田(勇)国務大臣 物事の考え方でございますが、わが国防衛というものを経済の成長と見合って漸増するという場合におきまして、一年々々で計画を立てるということはなかなか困難である。御承知の通り防衛関係費は、継続費その他一年度限りでなしに、三年、四年というようなこともございますので、性質上私は五カ年計画を立てる方が、その場その場でやるよりも、むだがなくして、うまくいくと考えております。
○石橋(政)委員 しかし実際、計画を立ててみたところで、計画通りいかないというはっきりした証拠も上がっているわけなんです。池田内閣の立場で、防衛産業の育成強化、そういう面から長期計画が必要だというなら、一つの理屈だと思うのですが、別にそういうことはないわけですか。
○池田(勇)国務大臣 防衛生産の計画も、関係各省でいろいろ重点的に考えておるようでございます。そういう問題も全然ないことはございません。あらゆる点から考えまして、やはり自衛力の漸増という建前からいけば、経済力と見合ってある程度の計画は私は必要だと考えております。
○石橋(政)委員 せっかく計画を立てられましても、なかなか思うようにいかない。特に先ほども話が出ておりました田口委員ですか、指摘しておりましたけれども、第一次防衛計画においても、特に陸上自衛隊は目標を充足することができない。はるかに定員に及ばない実勢力しか持っておりません。一体十八万人陸上自衛隊を増強しようと思って進めてきたのに、なぜ二万数千人の欠員が出るという状況にあるのか。総理は、なぜこの隊員が集まらぬのだろうと真剣にお考えになったことがありますか。これは巷間、池田内閣のおかげだ、所得倍増でだいぶ景気がよくなったので、自衛隊なんかに行かなくても就職できるところが何ぼでもあるから、自衛隊の欠員を充足できないのだという説をなす人もありますけれども、総理は、なぜ集まらないか、真剣にお考えになったことがありますか、そしてその対策をお考えになったことがありますか。
○池田(勇)国務大臣 自衛隊に対しまする国民の認識と申しますか、考え方がまだ十分でないのではないかという点もあります。あるいはまた経済界の好況ということもございましょう。また一面におきまして、りっぱな素質を持った人を入隊させようという選考の問題もあると思います。私はこういう問題につきまして、防衛庁長官につきましては、ただいまどうしたらいいかということを検討しておるところでございます。
○石橋(政)委員 質のいい人を集めようということはわかります。その質のいい人を採用できないのです。それほど募集に応ずる者が少ないわけなんです。今総理は二つ原因をあげられました。一つはいわゆる国防とか自衛隊とかいうものに対する国民の関心が非常に低い。これは西村長官も「政府の窓」というPR雑誌に書いておられます。それからもう一つは経済の好況、これもやはり原因しておる。そうすると私は問題が二つとも非常に重要だと思う。一体なぜ国防意識が低いのか。幾ら総理や池田内閣、政府が、かねと大鼓をたたいて宣伝しても、国民はその侵略というようなものを現実的にそうあるものだとして心配してないということなんです。今の世界情勢ではそういう心配はない。それをむだな金を使って自衛隊なんか作ってくれてという気持があるから、あなた方御指摘の通り、国防意識が低いのですよ。これは大へんな問題ですよ。そういう国民の意識をはっきりとらえて、むだな防衛予算というものは増額しないようにしていくことが大切なんだ。もう一つの経済の好況、これが自衛隊の募集率をうんと低くしているということになると、これは総理としては非常に痛いところでございますね。一番泣きどころと言っていいのじゃないですか。総理としては、景気は好況を続けていくという確信を持っておられる。反動がくるということは絶対にあり得ぬと言って、強気に突っぱっておられる。そうしますと景気がよくなれば、自衛隊に集まってくる者はますます少なくなる。私は非常にジレンマに陥るのではないかと思う。 そこで防衛予算というものを、西村長官は国民所得の二%くらいほしいと言っておりますが、私はそんなに防衛予算にさいていくことはむだだと思います。昭和四十一年度において国民所得は、池田内閣の計算では十八兆円、その二%といえば三千六百億円です。べらぼうな話です。私はそういう第二次防衛計画を作ってもらったら大へんだと思う。前任者の赤城長官はせいぜい二千九百億円くらいだと言っておった。私はこの二%なんという線にあまりこだわらないで、所得倍増、民生安定というものに重点を置いて、防衛計画もあなた方の立場で考えていくべきじゃないかと考えますが、総理、いかがですか。
○池田(勇)国務大臣 自衛隊におきましても、御承知かと思いまするが、航空あるいは海の方につきましては非常な志願者でございます。防衛大学なんかは十一人に一人という率でございます。欠員の多いのは陸上自衛隊でございます。私はあなたが今言われたようなことにすぐ結論を持っていくということはどうかと思います。 それから国防関係予算をいかにするかということは、先ほど来申し上げている通り、日本の経済の発展、民生の安定を向上しながら漸増していく。昭和三十八年度に二%にするというふうなことは私は考えておりません。民生の安定と防衛力の増強ということは、私はつながっていっているものと考えておるのであります。
○石橋(政)委員 空の方は希望者が多いとおっしゃいますが、これは空にあこがれる青年の気持です。自衛隊で一生懸命努めましょうという気持ではない。幸いに御飯も食べさしてくれる、被服も与えてくれる、そうして技術を教えてくれる、いいところだから行ってみよう、技術を覚えようと思って行っている人もあると思う。だからそういうことのない陸上自衛隊には行かないと割り切っているのです。 今の予算の面でございますけれども、防衛予算を幾ら充てるかということなくして、第二次防衛計画はあり得ない。だから最終年度どの程度の防衛予算を見ていくかということは、一番大きな柱になるわけです。しかし西村長官が言う二%なんというものは問題でないというお答えでございますから、これ以上申し上げません。 もう一つ、第二次防衛計画の中で防空ミサイルというものがまた非常に重点を置かれております。私前に質問いたしましたら、ホークとナイキ、これを装備したい、できればボマークも装備したい、こういうお話でございます。ところがホークもナイキもボマークも核兵器という部面があるわけです。ホークは核、非核両用です。ナイキも、ナイキ・アジャックスを装備するのだと言っておりますが、実際のランチャーは共用です。いわゆるナイキ・ハーキュリーズの方とです。ボマークは純然たる核兵器です。これも核、非核両方あると防衛庁は言っておりますが、とにかく核兵器として私どもは考えております。そうしますと防衛庁が第二次防衛計画で装備を予定いたしておりますホーク、ナイキ、ボマークというものは、核、非核両方の兵器です。池田内閣は、さっきからもお答えになっておりますように、核兵器を装備する意思はないということを言っておられますけれども、それではこの程度のものを憲法上核装備として持つことは許される範囲に入るのかどうか。かつてオネスト・ジョンなら合憲だとおっしゃいましたが、こうした防御的な対空ミサイル、これは核兵器であっても憲法の許すところとお考えになっておるかどうか。現実に装備の問題が出てきているのですから、明確にお答えを願いたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 先ほど来申しておりますように、核兵器を持つ気持はございません。
○石橋(政)委員 それでは憲法上持てるのか持てないかということです。純然たる防御的な防空ミサイル、これは憲法上持てるか持てないかということです。
○池田(勇)国務大臣 これは先ほどお答えした通りでございまして、憲法論としてそれが攻撃的でなく、純然たる防衛のためのものならば、法理論としてこれは禁止をしていないというのが、今の定説だと考えております。しかし法理論はどうあろうとも、私は政治として核兵器を持たぬ、こう言っておるのです。
○石橋(政)委員 政治としてはわかっております。それでは専門家の長官にお伺いします。ナイキ、ホーク、ボマーク、こういう防空専門の対空ミサイルは、いわゆる兵器の分類をした場合に防御的なものに入りますか、どうですか。
○西村国務大臣 御存じの通りナイキはランチャーは両用でございます。それはアメリカが今製造をしていないからやむを得ず使うのであります。ナイキの方はナイキ・ハーキュリーズは使わない。ナイキ・アジャックスを使う。それからホークにつきましては核のことは考えておりません。ボマークはまだ検討いたして——これは物によっては両用の部面があると思います。われわれはこの間来委員会を通じまして、核を装備するようなミサイルにはなるべくいかない、こういう考え方、今の強いはっきりした政治方針に従って参りたい、こういう考えでおります。
○石橋(政)委員 池田総理が法理論的には防御的なものなら憲法上持てるとおっしゃったのですよ。政治的には持たぬ。だからナイキ、ホーク、ボマークというものが核装備をしたものであったならば、これは防御的な兵器と言えますかと聞いているのですよ。
○西村国務大臣 核の問題は法理論は一部残りましょう。政治方針あるいは政策として核は装備しない。従ってわれわれはその範囲内においてのものを考えていく。従ってナイキ・アジャックスのごときは、ハーキュリーズを持った方が明らかに射程も長いし、あるいはより防御的な効果を発生するかもしれませんが、はっきり言えばこのアジャックスで線を引こう、こういう考えでございます。ですから防御的であるとか防御的でないとかいうことは、これはそのときのいろいろな事情も考えていかなければならないでありましょう。将来のいろいろな兵器の発達、たとえば相手方の航空機のいろいろな動かし方、あるいは航空機の開発のされ方によっても違って参ると思います。ですから一がいにこれは防御的である、これは何だと一つ一つ議論しておりましても、ある時点においては言えましょう。ある時点においては変わって参ることもあり得るのではないか、こう考えられます。
○石橋(政)委員 どうもまともにお答えにならないのですが、核装備をした場合のホーク、ナイキ、ボマークというものは、防御的な兵器に入るのですか、攻撃的な兵器に入るのですか。あなた方は分類しているのだから、こちらが分類しているのじゃないのですよ。あなた方が分類しているのです。われわれは使ってみなければ防御的に使ったか攻撃的に使ったかわかるものか、こう言っているのですが、お宅さんの方では最初から兵器そのものに攻撃的なものと防御的なものがあるとおっしゃっているのです。
○西村国務大臣 われわれはあくまでも国土の防衛、防空でございます。防御的兵器と解釈しております。
○石橋(政)委員 そうしますとホーク、ナイキ、ボマークは、たとい核装備をしても、核弾頭を用いても防御的な兵器である。従って憲法上は、法理論的には装備しても違憲とは言えない。ただ政治的にそのような装備を考えていないだけであるという結論になると思いますが、間違いないですね。
○池田(勇)国務大臣 私はホーク、ナイキ、ボマークのことをよく存じません。そういうことは存じませんが、憲法上の議論としては核兵器は、これが自衛のため必要欠くべからざる場合におきましても、憲法上は絶対に違憲であるというふうには考えないのが多数の説でございます。しかし憲法の解釈がどうあろうと、われわれは核兵器は使わない、こう申し上げます。これより答えようがないと私は思います。
○石橋(政)委員 答えようはないかもしれませんけれども、私どもは憲法論と政治論がこんがらからぬように整理してお尋ねしているわけですけれども、総理は防御的なものならば核兵器でも装備することを憲法は禁止しているとは思わないとおっしゃる。ただ政治的にそういうものは持とうと思わぬだけだとおっしゃる。それではホークとかナイキとかボマーク、これは持とうとしているのですよ。自衛隊はあまり知らないとおっしゃいますけれども、もう訓練を受けに行く予算も総理はお認めになっているのです。それでこれは核弾頭を持つこともできる兵器なんです。発射することもできるわけです。そうしますと憲法上の疑義というものをここできちっとしておかないという手はありませんよ、遠い将来のことじゃありませんから。だからホーク、ナイキ、ボマークは核装備をしても、これは防御的な兵器なんだと西村長官は今おっしゃった。防御的な兵器ならば憲法上はかりに自衛隊が装備しても、違憲とは言えないという解釈が一つ確立しなければならぬじゃないですか。ただ憲法上認められようとどうしようと、池田内閣はこれを持とうという意思はないのだということはもうわかったです。その前段の方をお聞きしているわけです。もう一回お願いします。
○池田(勇)国務大臣 持たないと言っているのでございますから、憲法の解釈としてはそういう説がありますけれども、持ちません、これよりほかに答えようがありません。
○石橋(政)委員 それでは私ちょっと角度を変えてお伺いいたしましょう。その憲法上持てるとか持てないとかいう限界はどこにあるのですか。攻撃的なものならば持てない、防御的なものなら持てる、一体その憲法の基準はどこにあるのですか。
○林(修)政府委員 これは純粋に法律論として私としては申し上げるほかないわけでありますが、具体的な各兵器がどうなるかということになると、知識がないわけですから別でございます。先ほど来総理が言われました、私ども前から言っておりますのは、要するに今の憲法九条の解釈として、自衛のため必要な限度における実力の装備は憲法違反でない、かように言っておるわけであります。その場合に解釈といたしまして、個々の武器についてでなくて、これは全体として考えるのが第一でございます。しかし個々の武器につきましても、それ自身がたとえば今の自衛のため必要な限度というものを越えるもの、こういうものは個々の武器についても私は持てない、かように考えるわけであります。その例としてたとえば原水爆というようなものが例にあがると思います。こういうものは、要するにいわゆる自衛のための国土防衛ということに使うべき性質のものでないと思います。そういう意味においては、私は憲法上持てないものである、かように考えるわけであります。しかし憲法で言っている自衛のため必要最小限度という憲法の考え方として、これは要するに核ということと実は直接の関連はないわけです。核装備をしておるものは非常に破壊力が大きい。破壊力が大きいから、これはたとえば原水爆によって代表されるように、他国に向けて戦闘をする、あるいは自国の防衛のために、自国の上空とか、自国の周辺において使う性質のものではない、こういうことによってこのようなものは入らない、かように考えるべきであると思います。これは極端な例を申せば、たとえば将来科学の発達で、小銃だとかピストルとか、こういうものでも核というものが使えるような時代になった場合に、こういうものが核を使うがゆえに、憲法上わが国は持てない、こういうことは私はあり得ないと考えるのであります。これは極端な例を申したわけでありますが、そういう中間において、さっき申しましたような抽象的な問題になって参りまして、自衛のために必要な限度というものを越えるか越えないか、それは私はその兵器の性格によって、たとえば日本における防空戦闘というものに使えるかどうかということで判断すべきもの、かように考えるのであります。
○石橋(政)委員 私は従来林さんも含めて、歴代内閣が憲法解釈をする場合に、必ず主張して参りました三原則に立脚して御説明願いたいと思う。現行憲法の九条は、交戦権は認めてない、しかし自衛権は認めている。戦力は認めてない、しかし自衛力は認めている。それではその限界は一体どこか。三つの原則だ。急迫不正の現実的な侵害が行なわれたという場合、そういう場合に、他に適当なこれに対処する手段がないという場合に、必要最小限度の処置を講ずる、これが自衛権、自衛力の限界だ、こういう御答弁をなさって参っております。そうしますと今の核装備であっても、防御的なものは憲法上持てるというのは、対処する措置として必要最小限度のものに入るという解釈をとらなければならぬわけですね、その点いかがです。
○林(修)政府委員 自衛権の行使の限界ということについては、今石橋委員がおっしゃった通りであります。その自衛権を裏づけるために必要最小限度の自衛力が持てるというのが、従来の政府の解釈であります。従いましてその自衛力の範囲というものも、そういうような自衛権を最小限度に行使する、それに役立ち得る力、かように考えるわけであります。従いましてそれを出て、つまり他国の攻撃にも転用し得るというようなものは持ち得ない、かように考えるわけでありまして、そういう範囲のものとわれわれは考えております。
○石橋(政)委員 それではその必要最小限度というのは、時代の流れとともにやはり動くものですか。
○林(修)政府委員 必要最小限度というものは、観念的には私は動かないと思います。観念的には常に同じでございますが、必要最小限度の、たとえば実力をどの程度の、極端に申せば小銃しかない場合には小銃も入るでしょうし、大砲しかない場合には大砲をもって対抗できた、こういう意味においては、その内容は時代とともにある意味においては変革するもの、かように考えます。
○石橋(政)委員 それでは必要最小限度というものは観念的には動かない、わかりました。 ここでまた問題が出てくるわけですが、ミサイル攻撃を受けた場合には、日本の自衛隊はどうにもできないということを、この間西村長官も言っておられます。そういう場合には、外野であるアメリカにお願いをしなければならぬ。これは長官も、ミサイル攻撃を受けた場合に、これを防御するためにはほかに方法がない。直接その発射される基地をやっつける以外に方法がない。その基地をやっつけること自体は憲法上許されるというのも、この必要最小限度のワクの中に入るという考えの上に立っているわけですね。ミサイル攻撃を受けた場合に、これを阻止することが不可能だ、それはミサイルの基地を破壊しない限り不可能だ、従ってそのミサイル基地をやっつけるということは、憲法上、坐して死を待つのが憲法の精神とは思えないから、これは憲法上許しているとおっしゃっておりますが、これも必要最小限度のワクの中に入るという見解の上に立っておられるわけですね。
○林(修)政府委員 今の点は石橋委員よく御承知のことだと思うわけでございますが、実はもう何回かここで御答弁したことでございまして、自衛権の観念として、今おっしゃった、たとえば坐して死を待つというのが自衛権の本質ではない、こういうことは何回も申し上げております。しかしまた他面におきまして、それだからといって、平時からそれに対抗するような大きな力を持つことは、これも今の三原則と申しますか、自衛のための必要な最小限度というものには入らない、かように言っておるわけであります。従いましてその場合どうするかということになれば、いつか防衛庁からお答えしたようなことになるのだろう、かように考えます。
○石橋(政)委員 そこで外野と内野が出てきておるのです。日本の方では、自衛隊では能力がないのだ、われわれは内野の守備だけやるのだ、そういう事態はもう外野の守備範囲だ、だからアメリカがやってくれるのだというのが、皆さん方の説明なんです。アメリカがやってくれるというのは、結局他に方法があるということなんですか。自衛権の行使の三原則のうちの二番目の、急迫不正の現実的な侵害があったけれども、日本の自衛隊がのこのこ出ていかなくても、アメリカというものがちゃんとおって処理してくれる。他に適当な手段がある。だから発動しない、こういう解釈になるのですか。
○林(修)政府委員 そうでは私はちょっとないと思います。自衛権の観念から申せば、しばしばここで例に出されるような、たとえばミサイル攻撃を受けて、それを防御する手段が他にない。たとえば日本の上空においてミサイルを撃ち落とせば、これはもう問題ないわけでありますが、それができない。発射基地をたたく以外に自衛の方法がないという場合に、その発射基地をたたくことは、観念としては自衛権の行使の観念に入る、こういうことはもう申し上げたことであります。従いましてその場合に、それをたたく方法は自衛権の行使の手段に入る。しかし日本としては、そういうものを常時持つことは、これは憲法九条二項の精神からいってやはりできないのではないか、そういうことからいえば、自衛権の観念には入りますから、それをたとえばアメリカがやる、こういうことは、私は国際法的に違法ではない、かように考えるわけであります。しかし日本が常時そういう他国をたたき得る力を持つことは、九条二項の範囲を出ることだ、かような考え方でございます。
○石橋(政)委員 それではおかしいじゃないですか。この必要な限度というものが、その問題一つでもわからぬことになりますよ。私は二番目の原則にひっかかるというならば、それなりに理解したのですけれども、敵ミサイル基地を攻撃することは必要最小限度のワクの中に入るのだ、手段はワクの中に入るのだ、しかしその措置を講ずるための兵器はワクの中に入らぬのだ、必要最小限度というものの意味が不明確じゃないですか。必要最小限度というワクがきまらぬじゃないですか、それでは。きまりますか。きまるならもっとはっきり言って下さい。
○林(修)政府委員 この点は何回か申し上げておると思いますが、自衛権の行使、いざという場合に、その自衛権の行使の要件に該当するだけの自衛権の行使、つまり国際法的にいえば、自衛権というものはいわゆる行使の要件でありまして、自衛力を持っていることと持っていないこととは別問題であります。従いまして現在各国は、国連憲章から申しましても、自衛戦争以外にはできないはずでございます。従って自衛権の行使、実力の行使は、自衛権の行使以外には今の国連憲章からいえばできないはずでございますが、しかしその持っている実力は、自衛のため必要な限度を越えて持っている国は、客観的に申せばたくさんあるわけであります。そういうことは、国際法的には今のところ別に禁止されておりません。従いまして自衛権の行使を最も有効ならしめるためには、他国の持っている力よりたくさんの力を持つことが、いざという場合の自衛権の行使を最も有効にし得ることでございますから、各国は持っているだろうと思います。しかし自衛権の行使の要件は、先ほど申したようなワクに縛られておる、かように考えるわけであります。ところがわが国の場合は、九条一項、これは自衛権を放棄したものにあらずということは、これはおそらくどの学者も認めておると思います。しかし二項において、そのための裏づけとしての自衛力のワクということから、われわれの自衛のための必要最小限度というワクが出てくるわけであります。これは見方はいろいろ学者によって違いますけれども、政府の解釈は、自衛力のために必要な限度まではよろしい。これもいけないという学説があることはもちろん承知しておりますが、二項の解釈としてこういうワクが出てくる、かように考えております。別に矛盾はないと思います。
○石橋(政)委員 あなたの答弁を聞いておりますと、時間ばかり食ってしまって総理が退屈しますから、それでは総理の質問に移ります。 さっき飛鳥田委員の質問の際に、CBRのCBの持ち込み、これは事前協議の対象になるかという質問に対して、総理は、国際法上使用を禁止しているものを協議するもしないもない、そんなものは協議の対象にならないのだというふうに答弁をされておりましたが、これはちょっと矛盾ではないかという感じを聞いておって受けたのです。なぜかといえば、CBRと絶えず三つ続けて言われているのです。このRの方は事前協議の対象になっているのですよ。上の方のCBだけは、どだいそんなものは使うことを禁止しておるのだから協議の対象にならぬと言ったら、それなら核兵器というのは使用してもいいことになっていますか。国際法上使用することを前提として事前協議の対象にしているわけですか。いかがですか。
○池田(勇)国務大臣 CBRというものは私はよく知りません。Cが何、Bが何、Rが何か存じませんので、専門家に答えさせます。核兵器につきましては、従来から言っておられるように事前協議になるのであります。それから毒ガス等につきましては国際法上禁止されておりますから、これは事前協議の対象にはなりません。もちろん入ってくることは絶対いけないのであります。
○石橋(政)委員 さっきもさんざん飛鳥田委員と専門家の間で質疑応答がなされて、総理は賢明なのですから、もうCBRはおわかりになっていると思うのです。この三つは今絶えずひっつけて言われているのです。化学兵器、細菌兵器あるいは放射線、核兵器といわれているもの、この三つのものはCBRとして、一体としていわれているのですよ。いずれも大量殺戮兵器で、国際法上も禁止されている。使ってはならないのです。こんなものは法律的にも道義的にも同じ条件にあると私は思う。にもかかわらず、そのうちのRだけは新安保条約の事前協議の対象になっているのですよ。それなのにCBについてはどうも不明確で、事前協議の対象になるかということに対して、そんなものは大体使ってはいかぬものだから、持ち込むはずがないということで片づけたのでは、それでは核兵器の方は何でわざわざ事前協議の対象にしたのですかと言わざるを得ない。同じですよ。
○林(修)政府委員 これは御承知かと思いますが、毒ガス兵器あるいは細菌兵器については、使用の禁止のはっきりしたものが国際条約でできております。核兵器につきましては議論があるわけでございまして、ヘ−グの陸戦法規に禁止されているという説もあるわけでございますが、これははっきりした規定はない。あるいはジェノサイド条約というような問題もあるわけでありますが、しかしまだはっきりしておらないわけであります。そこにいろいろ議論があるわけであります。御承知のように、現にそれで国際的な問題も始終討議はされておると私は思います。そういう意味におきましては、核兵器という問題については問題がある。しかも従来わが国において核兵器の問題が非常に大きな政治的な問題でもございますから、はっきりこれは持ち込みを事前協議の対象にしている、かような経過だと思います。
○石橋(政)委員 いつもこちらが政治論でいくと法律論へいく。法律論でいけば政治論で逃げる。全く何のために審議しているのですか。時間かせぎですか。核装備は憲法上持てるのですかと言えば、そんなことは問題じゃない、政治的に持たないのだと言う。今度の場合はなぜそのRだけ事前協議の対象にしたのですかと言ったら、いや法律的にまだ国際法上禁止しておらぬからと言う。今度は政治的に答弁して下さいよ。事前協議で核兵器だけは絶対持ち込ませないというお気持が、事前協議の対象に核兵器を選んだのでしょう。それと同じだけの熱心なお気持があれば、当然核兵器と同等にCもBも事前協議の対象にして拒否するという態勢をとればいいじゃないですか。国際法上これはもう禁止されているから、核兵器は禁止されていないから、そんなことで国民は納得しませんよ。大体大量殺戮兵器だという点では同等ですけれども、そういうことで国民が納得すると総理は思いますか。今度はあなたのお好きな政治論で、政治的にはっきり答弁して下さい。
○池田(勇)国務大臣 私が国民が納得して下さると思います。毒ガスその他につきましては、国際法上禁止しているのでございますから、協議の対象にならぬ。核兵器につきましては、そういう国際条約が機能的に出てくるという説もございましょうが、これは問題になっているので事前協議をする、これで国民は納得して下さると思います。
○飛鳥田委員 一つだけそれにからんで申し上げます。そう簡単に国際法が禁止しているとおっしゃって片づけてしまって、あとで舌をかまないように一つだけ事実をお知らせしておきますが、CBR作戦兵器の不使用決議案を、アメリカの下院議員のカーステンマイヤーという方が昨年の中ごろ提案をして、しかもこれは決議に至らずお流れになっております。あなたのおっしゃるように国際法で禁止されておるものなら、こういう決議案を何もわざわざカーステンマイヤー議員がアメリカ国会に提案なさる必要もありませんし、それがあまり審議の対象にならずに流れてしまうというような問題も出てこないはずです。そういう点もよくお考えになって下さい。アメリカにだけ適用にならない国際法規というものがあれば別ですが、アメリカにだって適用になるとすれば、こういう事実をあなた方は十分お考えになって、そういうことをおっしゃる必要があるのではないか。こういうことについて、別に私は答弁を求めません。御忠告だけ申し上げておきます。
○石橋(政)委員 どうも不明確です。国民の納得を十分に得ようと思えば、大量殺戮兵器として同等に重要さを持っておりますものすべてを事前協議の対象にして、持ち込みを拒否して、法律的にもぴしっとしておくという措置を講じていくのが、政治家としての責任だと思いますから、そういうふうにやっていただきたいということを私は申し上げておきます。 最後に、もう一つお尋ねをしたいのですが、今度の防衛二法案の一つの大きな柱になっておりますのは、総理も御承知の通り統幕の強化であります。これは新しい事態の推移に伴って、指揮、監督、命令、そういうものも迅速を期さなければならぬというので、世界的な傾向として統幕の強化がとられているわけであります。日本でも今度この二法案によって統幕の強化がはかられようとしているわけでございますけれども、私この間も西村長官にも申し上げたのです。こういった統幕の強化が行われる段階においては、必ずシビル・コントロールの強化が考えられております。日本ではそれが相伴って考えられておらないようですけれども大丈夫ですかということを申し上げたのでございますが、最近アルジェリアにおいてもああいう例が起きております。大丈夫だと観念的に思っておってもこれは片づきません。軍部の台頭、軍部の反乱、それは総理の言葉をかりて言えば、——国のすることだなんて、そんなことは通じなくなってきているのです。フランスでも現に起きている。われわれが軍事を論ずる場合には、何としても常にこれを完全に政治が押えていくシステムというものを確保しておかなければ、大へんなことになると思うのですが、この点についてどういう形でシビル・コントロールの強化をお考えになっているか、お聞きしておきたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 従来からわれわれはそういう考え方で、政治が優先するというので、防衛庁設置法その他はっきり規定しておるのであります。今後も統幕会議の議長が他の幕僚長と相談して会議をして、そうして長官の指揮を受けてやる、この根本の原則は何ら変わっておりません。
○石橋(政)委員 そういうのを観念論だと私言ったのですよ。総理もさっきから、国防会議の議長、自衛隊の最高指揮官でありながら、私はわかりません、そういうことばかりじゃありませんか。長官は長官で、これまた二年も三年も続いた長官はありはせぬ。くらっくらっとかわっている。今度は池田内閣は留任させるつもりですか。そうしますと、直接政治家を補佐する機関というものを強化しなくちゃいけないのですよ。やはり制服とシビリアン、文官とを対比して考えざるを得なくなってくるのですよ。現にいろいろな事件が起きているじゃありませんか。 それでは私はこれから処理していただきましょう。今度の六管区隊、四混成団の編成を十三個師団に編成がえするのは、これは国内治安対策と災害の対策だ、そんなことを言った陸幕長がおるのですよ。池田内閣の国会における正式の説明とは矛盾することを堂々と言っている陸幕長がおるのですよ。それに対しても取り消しを要求したということも聞きません。訓戒、注意を与えたということも聞きません。ただ閣議で西村長官がぼそぼそと、あれは真意と違うようだくらいのことを言って、本人はてんとして訂正しておりません。要するにこれほど制服がだんだん、いわばのさばってきている。それがますます統幕の強化で、力強くなろうかという時代になってきた。こっちの方は旧態依然、総理大臣は専門家じゃないからわかりません、長官はくらっくらっと何カ月かでかわっている。補佐する文官の皆さんはどうかといえば、やれ通産省からおいでになって、いつになったら帰れるだろうか、大蔵省からおいでになって、いつになったら大蔵省に帰れるだろうか、こういう状態ではシビル・コントロールなんて、口で幾ら言ったってだめだ。長官も自身で言っているのですよ。長官はそれを何の武器にしているかというと、だから国防省に昇格して下さい、こう言っていますがね。何も国防省に昇格したからといって片づく問題じゃない。総理はこの間一蹴しましたね。国防省なんか考えていません。国防省なんか考えていないというならば、やはり総理、責任がありますよ。どうしてそういった泣きどころを克服していくか。そして制服を、法律に書いてある通り完全にぴしゃっと押えるように体制を作っていくか。理屈でなしに専門家に対抗するためには、やはりそういった人的陣容というものの強化をはからなくちゃだめじゃないですか。法律に書いてあるからなんて、それならフランスの法律に、反乱してよろしいと書いてありますか。私はもっと国防会議の議長として、専門家じゃないからなんということではなしに、こういう根本のところはしっかりとつかまえておいていただきたいと思う。今のままで大丈夫ですか。総理はさっぱりわからぬ。長官はくるくるかわる。文官の諸君は早く原省に帰りたい。そういう中で、法律に書いてあるからシビル・コントロールは大丈夫でございます、あくまでこう言い張りますか。
○池田(勇)国務大臣 私は今の自衛隊はやはりシビル・コントロールでいっておるし、また将来もそれでいく確信を持っております。
○石橋(政)委員 そのシビル・コントロールというのを総理はこの自衛隊法で言っておられるわけでしょう。自衛隊が出動する場合には、まず国防会議にかからなくちゃならない。閣議にもかからなくちゃならない。国会の承認も得なくちゃならない。それだけ網の目を張りめぐらしてあるから、勝手に制服どもがうろちょろするおそれはない。完全に押えてある、こういうことです。それでは後生大事に金科玉条としておる自衛隊法について私は疑義を出しましょう。この間もこれをお尋ねした。一体国会の承認、国会の承認というけれども、実際に国会の承認を得ないで防衛出動が起こる可能性があるじゃないか。それは間接侵略の場合だという問題を私は提起した。間接侵略の場合には七十八条の規定によって、命令による治安出動ということで国会の承認は事前には必要としない。二十日以内に事後承諾を求めればいい。ところがこの間接侵略というものの中には、外部からの武力攻撃的な色彩を帯びたものもあるのだという御説明である。この間私の質問に対して防衛庁と法制局の方で御相談になって、池田内閣の統一見解としてここに出して参りました。「間接侵略は、原則的には外部からの武力攻撃の形をとることはないであろうと思うのでありまするが、その干渉が不正規軍による侵入のごとき形態をとりまして、わが国に対する計画的、組織的な武力攻撃に該当するという場合は、これは自衛隊法第七十六条の適用を受け得る事態であると解釈するわけでございます。」間接侵略の中にも七十六条の防衛出動の対象となるものがあるのだということを言わざるを得なくなって参りました。そうしますと治安出動の対象としてのみ間接侵略を考えるわけにはいかないじゃありませんか。この統一解釈でいくならば、間接侵略の中にも七十六条の防衛出動の対象となるようなものもあるのだということなんだから、七十八条の間接侵略という例示はこれは取らなくちゃいけないでしょう。あなた方の立場でいえば、内乱、騒擾等、その他の緊急事態に際してくらいの表現を使わなくちゃならないのじゃないですか。間接侵略は何も命令による治安出動の対象だけじゃないということが、この統一見解で出てきたのですから。いかがですか。
○池田(勇)国務大臣 御質問の点はっきりわかりませんが、間接侵略でやっておったとき、それが不正規軍その他計画的に組織的になって、そうして直接侵略の様相を呈したときには、これは七十六条でいくよりほかないと思います。しかしそういう場合のないいわゆる間接侵略というものにつきまして、七十八条を規定いたしておるわけであります。だから事態が変わってくれば七十六条でいくのが当然だと思います。
○石橋(政)委員 そこまではこの間結論が出たのです。私は結論が出たところまでさかのぼって論議しないつもりなんですよ。それで統一解釈をいただいて、間接侵略の中にも七十六条の防衛出動の対象となる部分がある。その場合には国会の承認を必要とするという解釈をこの間確立しました。しかし法律でどうもその点が不明確なのです。なぜかというと、間接侵略というのは治安出動の対象として、最も代表的なものとして例示してあるわけです。私はあなた方の立場からいってそういう解釈をおとりになるならば、せめて自衛隊法を改正して、七十八条から間接侵略という言葉を抜いておかなければ、間接侵略でも七十六条の対象として国会の承認を得なくちゃならぬ間接侵略もあるし、あるいは純然たる間接侵略で国会の事後承認だけでいい間接侵略もあるということなんだから、七十八条だけに間接侵略というものを代表的例示事項としてあげておくのはおかしいじゃありませんか、こう言っておる。
○池田(勇)国務大臣 別に私は改正の要はないと思います。七十八条は間接侵略のことを規定してあるのであります。その間接侵略が直接侵略に様相が変わってきたときには七十六条でいくというのでございますから、事態が変われば変わった場合の条文でいくのでございます。
○石橋(政)委員 政府の言う統一解釈というのは、間接侵略という言葉を使うこと自体おかしいじゃありませんか。間接侵略の中にも武力攻撃の形をとるということがあるのだ。そのときには間接侵略じゃないのだときめつけてしまえばいいじゃありませんか。おかしいじゃありませんか。
○林(修)政府委員 この自衛隊法の七十六条、七十八条は、実は初めから今石橋委員のお読みになりました通りに解釈してわれわれ考えておったわけでございますが、間接侵略という観念は国際法的にいえばいろいろ議論がある観念でございます。これに対して武力攻撃というのは非常にはっきりした観念だとわれわれは考えております。従いまして間接侵略は、そこにありますように、一または二以上の国の教唆、干渉によってある国に大きな内乱、騒擾というふうなことを起こすということが、普通間接侵略と言われております。しかし世上間接侵略という観念の中には、不正規軍等によるものも入っております。不正規軍によって外国が、つまり内乱ではなくて外国が組織的、計画的にある国を攻撃する、こういうものは、それは正規軍でなければ直接侵略とは言えないわけでございますが、不正規軍のような場合でもこれは普通間接侵略という観念に入れて考えられておりますけれども、これはやはり同時に武力攻撃に当たるわけでございます。国際法的には武力攻撃に当たる。七十六条の武力攻撃は大体国連憲章の五十一条の武力攻撃と同じ意味に解釈しております。また同じ意味に使っておりますから、当然そっちに入ってくるわけであります。従いまして言葉自体の道理として、七十八条の間接侵略という例示でございますが、これは七十六条に当たるものは当然はずれる、かようにわれわれは初めから解釈しておりまして、この点私どもは疑義はないと実は考えております。石橋委員のおっしゃるような御議論もあろうと思いますけれども、これはわれわれは従来としても疑義がない。当然武力攻撃に当たるものは七十六条に当たる、かように考えておりますから、今改正する必要はないと考えております。
○石橋(政)委員 私はさっきいろいろ申し上げましたシビル・コントロールという面を真剣に総理が、長官はどういう者を持ってくるか、あるいは文官でこれを補佐する人々をどうするか、どうして強化するか、真剣に考えているならば、ここまでしつこく言いませんよ。そんなことは大したことはございません、法律に書いてありますからと言うから、それならそんな大切な法律なら、きちっとしておきなさいと言っているのです。きちっとなってないじゃないですか。間接侵略というものが明らかに七十六条の対象にもなるし、七十八条の対象にもなる場合もある、こういう解釈をしておられるのです。それではこの間の統一解釈は訂正しますか。「間接侵略は、原則的には外部からの武力攻撃の形をとることはないであろうと思うのでありまするが、その干渉が不正規軍による侵入のごとき形態をとりまして、わが国に対する計画的、組織的な武力攻撃に該当するという場合は、これは自衛隊法第七十六条の適用を受け得る事態であると解釈するわけでございます。」間接侵略の中に入れているじゃないですか。そういう場合は間接侵略と言わないのだとなぜ言わないのです。こういう不正規軍が計画的に組織的にやってくるのは間接侵略と言いません、これは外部からの武力攻撃でございますとなぜ言わないのです。そうしたらつじつまが合いますよ。それを言わないでこの統一解釈を出される以上は、明らかにそういう不正規軍の組織的、計画的な侵入も間接侵略というのだから、そうしたら七十六条の対象となる間接侵略と七十八条の対象となる間接侵略と二つある。それを七十六条では間接侵略に全然触れないで、七十八条の最も代表的な例示事項としてあげるのはおかしいという私の理論、成り立たないはずはありません。大体長官はお認めになっておりますけれども、どちらかやらざるを得ないのですよ。法律を改正するか、この間の統一解釈をしからば取り消していただいて、計画的、組織的な不正規軍の侵入は、それは間接侵略と申しません。それは外部からの武力攻撃でございますと、取り消されたらどうですか。
○林(修)政府委員 この点も実は自衛隊法制定当時、あるいは昨年の安保条約のときにもはっきりお答えしておりまして、今そこでお読みになりました通りにわれわれは考えております。しからば七十八条で間接侵略という言葉を落としたらいいじゃないかという御議論があります。間接侵略という言葉は、普通は直接侵略に相対応する言葉でございます。武力攻撃という観念は完全に二者区別される観念ではないわけでございまして、そこに七十六条と七十八条の書き方の問題があるわけでございます。武力攻撃というのは国際法、国連憲章五十一条に使っておりますようにはっきりした観念、要するに 一国の組織的、計画的な他国に対する攻撃、こういうように観念しております。これは代表的なものが直接侵略、正規軍をもってする攻撃、しかし不正規軍等によってやる場合もこの中に入ってくる場合があるというように、組織的、計画的な攻撃と認められれば入る、こういうふうに考えられております。そういう不正規軍のものは観念的には直接侵略、間接侵略のどちらに入るかといえば、間接侵略に入ると普通考えられているわけであります。しかし武力攻撃に入ることは明らかであります。従いまして七十六条と七十八条を対比してみた場合に、そういうものはどちらに入るかというと、武力攻撃に当たる以上は当然七十六条に入るわけであります。七十八条には入りません。これは従来の解釈ではっきりしております。今おっしゃったように、しかしそれが世上間接侵略のカテゴリーの中で考えられているから、七十八条の文言を直したらいいじゃないかという御議論だと思います。そういう御議論の立つ余地は私はないとは申しませんが、しかし従来間接侵略の大部分はそういうものではないわけであります。武力攻撃に当たるのは七十六条にはっきりしておりますから、そういうことはわざわざ改正しなくても観念ははっきりしている、かように考えております。
○石橋(政)委員 観念ははっきりしているとおっしゃいますけれども、林さんが法制局長官をこれまたずっとやっておられるわけじゃない。池田内閣が永久に続くわけでもない。やはり拘束するのは法律です。解釈ではない。法律ができたらこれは独立独歩ですよ、あなた方の解釈がどうあろうとも。やはりきちっとそういう統一はしておくべきだ。だれが読んでも二様に読めるなんという問題を、こんな大切な法律で残しておくべきではありませんよ。しかも間接侵略の判定なんというのはむずかしいじゃありませんか。それでは今のキューバの事件を、具体的なものをお聞きしましょうか。キューバのあれは直接侵略ですか、間接侵略ですか。
○林(修)政府委員 これは侵略というのは、要するに一国の他国に対する攻撃を意味していると思います。組織的、計画的な攻撃。あの場合に、今お使いになりました間接侵略と言うためには、アメリカという国がキューバを攻撃すると考えなくちゃいけない。そういう事実は私はないと思います。
○石橋(政)委員 その間接侵略の定義をさっきからおっしゃっていますね。一または二以上の外国の教唆あるいは干渉によって発生した大規模な内乱、騒擾、あれは典型的なものですね。干渉も教唆もしておりますよ。ケネディ大統領がみずから、がんばれと言って演説をぶっているじゃないですか。あれは教唆じゃないのですか。また自国内で訓練までしておりますよ。教唆、干渉、これほど歴然たるものはありません。それでもなおかつ、間接侵略じゃないとあなたは言おうとしている。それほど解釈がむずかしいのですよ。そんなあいまいなものをそのままにしておいていいのですかと私は言っている。具体的に出てきておるあのキューバの事件一つ見て、あれは間接侵略ですかどうですかと言っても、答えられないじゃないですか。あれは教唆でもない、干渉でもないと言うのですか。
○林(修)政府委員 その点、石橋委員のおっしゃる趣旨がちょっとはっきりしないのでありますが、七十八条からかりに間接侵略という言葉を落としましても、普通の一国の干渉また教唆による内乱、これは当然七十八条に入るわけでございます。従いましてこれを落とせとおっしゃいましても、事態は一何も変わらないわけでございます。同じでございます。つまり七十六条の方には武力攻撃が入っている。武力攻撃には世上間接侵略といわれるものの一部も入っている。こういうことがはっきりしている。七十八条の方にはその他の内乱、騒擾で、警察力をもってしては防御できない、鎮圧できないというものが入ってきております。七十八条から間接侵略という言葉を落とそうと落とすまいと、その点は同じでございます。これはしかしそういう一国の警察力をもって防遏できない内乱、騒擾の代表的なものが間接侵略であろう、かように考えて、武力攻撃に当たらない間接侵略があそこに入る、こういうわけで、あそこに例示を持ってきておるわけでございます。決してあの字句があるために、七十六条の防衛出動、七十八条の治安出動の紛淆を来たすことはないと考えておるわけであります。
○石橋(政)委員 間接侵略というのはそれほど定義づけがむずかしいものだ。現実に起きている事件を見ても、あなた方には判断がつかない。それほど幅が広い問題だという例として申し上げた。 それではお伺いしますけれども、この外部からの武力攻撃というのと外部からの侵略——侵略と武力攻撃でもいいですが、その意味は同じなんですか。
○林(修)政府委員 侵略については、侵略の定義に関する条約という問題が現在ございまして、正式にまだ発効してなかったかと思いますが、いろいろ議論があります。侵略となりますと、今申し上げましたように直接侵略の以外に、間接侵略という観念が当然に入ってくるわけであります。そこで非常に議論があるわけであります。武力攻撃、アーム・アタックというものは、武力による一国の他国に対する計画的、組織的な攻撃でございますから、現実の面にずっと出てくるわけでございます。これは非常にはっきりしておる。侵略は今申しましたように間接侵略、侵略の中に間接侵略を含めるかどうかという観念において、武器、弾薬の補給とかあるいは干渉というものが入るとか入らぬとかいう問題になりまして、侵略というものについては非常に定義上問題があるということで、国際法的にも国連憲章というものは、武力攻撃という言葉を使っております。それで定義の条約はありますけれども、これもたとえば共産圏が賛成しないとかなんとかの関連でなかなか成立しない、こういう関係になっております。 〔発言する者あり〕
○石橋(政)委員 答弁がはっきりしないからしようがないのですよ。これでしまいなんです、片づけば。それではお尋ねしますが、その計画的、組織的な正規軍の攻撃、こういうものは武力攻撃、こういうものは間接侵略のワクの中には入るが、防衛出動の対象でもあり、そしてまた安保条約の五条の武力攻撃でもあるわけですね。従って米軍の出動を待つことになるわけですね。それは間違いありませんか。
○林(修)政府委員 不正規軍等の形によるものでも、一国の他国に対する武力攻撃と見得る事態になれば、安保条約の第五条は発効するわけでありまして、この点は昨年もお答えした通りでございます。
○石橋(政)委員 それではその計画的、組織的な不正規兵等の武力攻撃も、いわば外部からの侵略に当たるという解釈ですか。
○林(修)政府委員 武力攻撃に当たるという観念であります。
○石橋(政)委員 私は侵略に当たるかと聞いております。
○林(修)政府委員 侵略という観念は、一般的に申して武力攻撃より広い観念だと思います。広い観念で、しかし侵略というふうに広い観念であるだけに、侵略の、たとえば実力の、今申しましたような正規軍、不正規軍の攻撃以外に、たとえばお金を使うとか、あるいはいろいろな援助だけをしてやる、こういうようなものも侵略の範囲に含めるべきかいなかでいろいろ議論が分かれて、国際的にもなかなか議論がきまらないという問題でございまして、侵略という観念が原則として私は広いのではないか、かように考えます。
○石橋(政)委員 その点で、私これも研究しておいていただかなければならぬと思いますが、国防の基本方針の四号ですよ。この中には「外部からの侵略」という言葉が使ってある。これもやはり統一しておかなければいかぬのじゃないですか。武力攻撃と侵略とは違うとおっしゃっているのだから、この点も統一がなければ、解釈でまたまちまちになりますよ。この点いかがですか。
○林(修)政府委員 自衛隊の発動要件は、これは全く自衛隊法によることでありまして、自衛隊法に従ってやるわけであります。国防の基本方針は大きな方針をきめたものでございまして、言葉づかいについて多少一般的な言葉を使っておりますけれども、現実の自衛隊の行動はもちろん自衛隊法によるわけであります。
○石橋(政)委員 一般的な言葉を使っておりますと言うけれども、国防の基本方針ですよ。国防会議にかけてきまった国防の基本方針ですよ。そんないいかげんな言葉を使っていいということにはならないと思います。それほど違う言葉なら、武力攻撃、侵略という意味が違うのですから、厳密な言葉を使っておかなければ、国防の基本方針自体があいまいなものだというのでは大へんな問題になりますよ。これは幅をうんと広くしてあるのだから大丈夫なんということでは済みません。アメリカとの関係、それをうたってあるのですから……。
○林(修)政府委員 国防の基本方針第四号は、直接侵略も間接侵略も含めて考えておると思います。しかしもちろん間接侵略の中で、旧条約の場合は一条で間接侵略にも、アメリカが日本の要請があれば出得るわけであります。現在の安保条約では第五条で変わりまして、間接侵略の中でも特殊の事態、武力攻撃と見得る事態でなければ出ないということになっておるわけであります。その点が非常に違うわけでございますが、第四号の字句は、一般的に直接侵略、間接侵略を含めて、日本の国防方針をきめてあるわけであります。
○石橋(政)委員 国防の基本方針では、旧安保条約を頭に置いて書いてありますね。旧安保条約を新安保条約では変わってきております。新しい安保条約では内乱条項というものは削除されております。これは削除されておるのですよ。現在それを国防の基本方針で依然として米軍とともに対処する道が残されておるのが、私はおかしいと言っておる。国防の基本方針と新安保条約と違うじゃありませんか。これは旧安保の観念なんですよ。今あなたの答弁した通り……。
○林(修)政府委員 この点は今申しましたように、米軍の行動し得る範囲、これはもちろん旧条約と新条約は違います。違いますが、この国防の基本方針の第四号の書き方「外部からの侵略に対しては、将来、国際連合が有効にこれを阻止する機能を果し得るに至るまでは、米国との安全保障体制を基調としてこれに対処する。」これは私は変える必要はないのじゃないかと思います。たとえば今の新条約の四条から申しましても、わが国の安全が問題になる場合には協議するということもあります。米軍はもちろん実力で行動するわけではございませんが、しかもそこで協議して援助を受けるということもあるわけであります。そういう意味におきましてこの四号を変える必要はない、こう思うのでございます。
○石橋(政)委員 そういう言葉でのごまかしで質疑をやると、国会の論議というものは意味ないです。これは旧安保条約時代にできておる国防の基本方針なんだから、安保条約が改正されて日本の自主性が高まったという現在においては、食い違ってくるのが当然なんです。それをなおかつこのままにしておかなければならぬという理屈がどこにありますか。現実とぴったり合うような国防の基本方針を作れるのだから、そうすればいいじゃないですか。総理、そういう解釈が成り立つからということで済むことではございませんよ。——あなたにもう聞いてない。
○林(修)政府委員 この点は昨年も安保条約を改定する場合にもわれわれも検討をいたしました。しかし国防の基本方針は非常に大きな方針を打ち出しておるわけでございまして、今申しましたような観点から申しまして、四号を特に改める必要はわれわれはないと考えたわけであります。
○石橋(政)委員 結局旧安保条約では内乱条項があった。だから日本政府がお願いして、間接侵略の場合でも内乱の場合でも米軍の出動を仰ぐことができたわけです。そのころの国防の基本方針なんです。これが今では内乱条項が削除されて、間接侵略というものは自衛隊が主として対処するということになっておる。それならそのように国防の基本方針が一致しておらなければいかぬですよ。そのままでいい、ほうっておいていいということではないと思うのです。そこでもまたこだわる。とにかくなぜ法律なり条約なり、あるいはそういうものの解釈で、こういう解釈ができるからいい、こういう解釈ができるからいいと言って放置して、あいまいのままにしておいて、論議の種をいつまでもいつまでも残しておくのですか。あなた方の立場でも、そんな疑いが起きないようにぴしゃっと整理しておけばどうですか。やろうと思えばできることなんです。なぜわざわざそんな不明確にして、こういう解釈もあります、ああいう解釈もありますというような法律にしておくのですか。あるいは基本方針にしておくのですか。きちっとしておくだけでも国会の審議がよほどスピード・アップされますよ。やらないから私たちも何回もやらなければならぬ。この金科玉条としている法律自体についても総理、十分に御検討になって整理すべきものがあれば整理するという態度をはっきり出されたらいかがですか。あなた方の立場を私の立場でこんなことを言うのはおかしいのですけれども、いかがですか。そのお答えがあれば私はやめます。
○池田(勇)国務大臣 われわれはいたずらに法律を変えるということではない。やはり国民の良識によりまして解釈できる。その解釈がまちまちにならぬというときには、何も変える必要はないと考えております。
○久野委員長 午後二時三十分より再開することとし、この際暫時休憩いたします。 午後一時三十九分休憩 ————◇————— 午後七時九分開議
○久野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 この際、西村防衛庁長官より発言を求められております。これを許します。西村防衛庁長官。
○西村国務大臣 先般来この二法案を審議する過程におきましてお話が出ておりました杉田幕僚長の、十三個師の改編の際における、昨年の暮れと思いますが、発言がございました。それに対しましてしばしば私の所信を委員の各位から御質問がございました。この際その経過等もはっきり申し上げておきたいと思うのございます。またそれに対する私の考え方も申し上げてみたいと思いまして、お許しを願ったわけでございます。 私から申し上げるまでもなく、たしか十二月でございますが、杉田陸上幕僚長が新聞あるいはテレビ、ラジオ等を通じまして、自衛隊特に陸上自衛隊は治安部隊、治安隊である、こういうような発言が当時伝えられたのであります。そこで私もこれを異様に思いまして、翌日の閣議ですぐ正式発言を求めまして、私といたしましてはそういうような所信は聞いておらぬし、またそれはおそらく杉田発言なるものは本人の本意ではないと思うが、自衛隊本来の任務には変更を来たしていない、こういうふうに私は閣議を通してまず是正をいたしました。それから直ちに私は杉田幕僚長を呼びまして、その真相を確かめたのであります。所信としてというか、発言として出しておるが、どういう意味で発言されたかと言いましたら、その発言は自分の真意を伝えていない、やはり自分としては自衛隊の任務は変わっていないということを言っております。そこで私としまして、そういうようなことであるならば、諸君、特に政府のような立場に立つ者の発言というものは、ややもすると非常に物事を曲解されるようなことは、現在のシビル・コントロール下に立つ自衛隊としては妥当でないと思う。機会を見てできるだけそれは是正に努めてもらいたい。そこで杉田陸幕長といたしましては、その後一月に入りまして北海道に正式の観閲か視察に参りました際に、北海道談話の形式をもちまして、それははっきり是正するように言っておるのでありまして、その当時の談話を私も直ちに新聞で調べて覚えておるのでございますが、師団編成は治安対策をおもな目的にしているというのは誤り伝えられたもので、純防衛的なものである、こういうような趣旨のことを述べておるのであります。この点につきまして、今日までこの発言が糸を引いて誤解を生みやすいことにつきましては、私今後とも十分にこれについては是正を加えて参りたい、こういうことで一言発言を申し上げておくわけであります。 それからなおこの機会に、私といたしましてはあくまでも現在の国軍、言いかえますれば新自衛隊というものは、法律あるいは国会の意思によりきめられましたシビル・コントロールによるという強い所信を持って運営して参りたい考えであります。あくまでも政策の基本は国会を通じた国家の意思、そうして政府を代表する総理大臣並びに防衛庁長官の統轄下において自衛隊の運用をやって参りたい、こういう考え方でございますことをあわせて申し上げておく次第であります。
○久野委員長 質疑を継続いたします。横路節雄君。
○横路委員 今度の防衛二法案の改正をめぐって、とりわけ陸上自衛隊の十三個師団の改編について、ただいま長官から去年の十二月二十二日杉田幕僚長が新聞記者に語りましたその談話について、今一部御訂正がございましたが、もう一ぺん私はそのときの談話について申し上げたいと思います。これは各新聞社とも全部同じですから、長官一つ聞いて下さい。「杉田陸上幕僚長は二十二日、記者団と会見「第二次防衛計画で現行の六管区、四混成団の十個単位編成を十三個師団に改編することになっているが、これは国内治安・対策と災害出動がねらいである」と述べた。」この記者団の会見というのは、きょうここにおられる、取材をしておる防衛庁担当の記者団の諸君です。この取材に当たられた記者団の諸君は、いつもであるならば、あるいは長官に対して、あるいは幕僚長に対して、それぞれ記者の諸君の方から質問をして、それに答えられるという形式をとるのだが、このときは杉田幕僚長はみずからの意思で、別に記者団からこういう発言を要求したわけではない。幕僚長自身がこういう点について述べたのです。治安対策とそれから災害出動がねらいだ。ですからこの点については変わりはないのです。私はきのうの質問の続きですから、自衛隊法七十六条、七十八条、安保条約の第五条、第四条について重ねてお尋ねをしていきますが、私はこの点についてただいま西村長官から御答弁ございましたが、われわれは杉田幕僚長がそれで取り消しをしたとは思わないのです。なぜならば、あとで申し上げますが、杉田幕僚長が陸上自衛隊の富士学校の学校長として、そのつど幹部の諸君を養成するにあたって教育された「良い中隊の育成について」という本がここにございます。これはきのう実は私から関係委員の諸君に要求して見せてもらったのですが、これは前から私は——前に一度詳細に読んでありましたので、私がここで聞き違えたとか思い違いをしたということで話をしてはいかぬ、こう思いましたので、これは念のために出してもらったのです。あとでこの点は申し上げますが、この杉田幕僚長の考え方は何も今始まったものではないのです。だからその点はあとで私から詳細に申し上げます。 なお三月の四日に私が予算委員会の質問のときに、杉田幕僚長が昨年の十一月の九日にそれぞれの部隊に配付している治安行動草案について触れたわけです。ところがその問題はさらに発展をして、参議院の予算委員会でそれが問題になって、そうして参議院の予算委員会では防衛庁としては治安出動時における行動の基準というものについて、参議院の予算委員の諸君全員に配付をしたわけです。あとで、私が三月の四日に質問をしたというので、防衛庁からは参議院の予算委員の諸君に配付した治安出動時における行動の基準というものについては、丁寧に私のところに届けていただきましたから、この問題もあとで問いただしたいと思っているわけです。ですからこれらを考えてみたときに、杉田幕僚長の十三個師団の編成というものは、治安対策並びに災害対策である、こういうことについては、決していささかもその後方針が変わっていないのです。ただ北海道においでになられたときに、記者団を集めてどういう発表をされたか、私はよく存じておりませんが、本来からいえばこれほど問題になっている——しかも今まではそういうことはなかったわけです。この十三個師団の編成というものは、国内の治安対策と災害の対策のためである。しかも十一月九日には、その治安行動の草案について配付されている。だから本来からいえば、わが党の理事の諸君が要求しているように、杉田幕僚長にここに来ていただいて、そうして自分の新聞記者団に対する言明、談話は誤りであったという点を国会を通して明らかにしない限り、私はこの十三個師団の編成というものは治安対策並びに災害対策、災害出動のものであるという、その印象はぬぐうことができないと思うのです。もしも杉田幕僚長に、西村長官が言っただけの考えがあるならば、旅先で記者団に言っただけの考えがあるならば、本会議はあさってですから、今晩でも杉田幕僚長は一つ防衛庁の記者の諸君を呼んで、あらためて自分としては去る十二月二十二日に発表した十三個師団編成は治安出動と災害出動のための編成であると言ったのは誤りである、こういう点を明らかにすべきですよ。もしもここに出てこれないというならば、その点を私は明らかにすべきだと思う。札幌に行って、一月の何日かに、旅先でこういう談話を発表した。その旅先の談話の新聞を読んで、長官がそれを委員会で得々と語られて、それで私たちが国民の代表として、そうでございますかとは言えません。当然あなたはこの十二月二十二日の談話が間違いであるというならば、あなたは直ちに杉田幕僚長に電話をして、きょうは防衛庁の記者団の諸君全部集まってもらって、そこで絶対に誤りである、こういうことを言って明日の新聞にそれが正確に出れば、なるほどそうだったかなということになるが、一月二十日ですか何日ですか、北海道の部隊の何か視察に行かれて、そのときに随行した記者団といいますか、おそらく内閣総理大臣や防衛庁長官についていくのと違う。あるいは北海道の在住記者であったかもしれないのです。どうです西村長官。幕僚長がここに来てみずからの責任において取り消すべきだと思うのですが、もしもそれができないというなら、きょう幕僚長に言って、きょうは防衛庁の記者団と懇談をして、そしてみずから誤りであったという取り消しを明日の新聞を通じてやりなさいよ。それだけのことをして、どうしてもここに出てこれないというなら、一月何日かの札幌の旅先の記者団の談話をあなたはここで読んで、それでもってわれわれに納得してもらうなんといってもそれは無理ですよ。どうですか長官、私の言うことに間違いございませんでしょう。
○西村国務大臣 私といたしましては、私はなるほど微力であるかもしれませんが、ただいま総理大臣の任命を受けまして、自衛隊の法律による統括者でございます。従ってなるほど私の下には内局もございますし、また各幕幹部、統幕議長もおります。しかしそれぞれの所管の範囲内において仕事をしておる。私がその統括者であります。それに対しまして、すでに杉田発言なるものが新聞であるいはラジオで伝えられましたから、私といたしましては直ちにこれは是正すべきである。しかし本人の意思も問いたいと思いまして、本人の意思を問うたところ、自分の真意ではない、これははっきり申しておりますから、そこで私はただ新聞談話等でこれを打ち消す以上に、私が閣議という責任ある立場で各関係閣僚並びに総理大臣の席におきまして、これは誤り伝えられたものである、真意は捕捉していない、これを私は直ちにやっておるのであります。その意味で私は基本的には本人の意思も十分公式の席において伝えたつもりでございます。しかしそれでもなお足りませんから、本人に注意も与えると同時に、本人もまた自発的に新聞で起こったことでありますから新聞を通じてやっておるのでありまして、せっかくの横路委員の御希望でありますけれども、今晩そこまでそういうことを繰り返してやらなくても、すべては私の責任においてやっておる、こうお考えをいただきたいのであります。
○横路委員 私どもはこの点については今の長官の言明が、国会で三月四日の予算委員会、その後引き続いて行なわれた参議院の予算委員会で、昨年の十一月九日に杉田幕僚長が治安行動草案というのを各部隊に配付をした。これはあとでゆっくり聞きます。私どもはこれがなければ、十二月二十二日の杉田幕僚長のこの発言は、あなたのそういう取り消しでなるほどそうかなと思います。しかし十一月九日の治安行動草案というのはあとで十分論議をしますが、これは全く大へんなものです。しかもこの点についてあなたの方で、小倉の自衛隊、熊本の自衛隊でそれぞれ何冊か紛失したものだという点もお認めになった。紛失をしたそれぞれの自衛官については、処罰をしたという点も明らかにされた。ですから私はそういう関連で、この杉田幕僚長の言は、ただ単にあなたに言われて、そうして自分の言い違いであったという問題ではないのです。その十一月九日に配付した治安行動草案がなければ、あなたのそういう言明でわれわれも了とするかもしれない。そうではないのです。 杉田幕僚長は一体自衛隊をしてどういう訓練の方針をされたのですか。長官はこれをお読みですか。「良い中隊の育成について」というのを読んだことがございますか。私は一つ前のところを読みますと、「よい中隊の育成については筆者富獄生の名とともに富士学校記事を通じ長い間全国の読者に親しまれ、就中青年幹部諸官にとっては実務遂行上は勿論、修養研さんの糧として愛読せられて来たところである。これらは現陸上幕僚長杉田陸将が、かつて初代富士学校長であった当時本校記事に寄稿されたのに始まり、その後第三管区総監、次で東部方面総監に転任された後も引き続き繁忙な公務のかたわら執筆し続けられたものである。」ここでこの陸上自衛隊の富士学校でこの幹部訓練というものがいかに政治教育をやり、いかに思想教育をやっているかということが明らかになっている。お読みになったことがありますか。そのことを一つお聞きしたいのです。お読みになったことがございますかというその点です。
○西村国務大臣 私はまだそれは読んでおりません。しかしそういういろいろ学校教育を、富士学校の校長でありますから訓育を彼がやったということは、私はかつて富士学校長であったからやったと思います。その本自体は読んでおりません。
○横路委員 ここにこういうことがあるのです。「富士学校では学校創設以来新しい指揮官の道として次のことが強調されている。我々はこれを実行しているであろうか?」、そこで「指揮官への道。私は神に誓って自衛隊におけるりっぱな指揮官たることを深く期するものである。日本の地位と国力並びに私の力量とその欠点とを自覚し世論に惑わず政治にかかわらず常に徳操の涵養と自己の研さんに邁進し」、その次です。「又確固たる反共精神を持しつつ模範を衆に示し課せられたる仕事はこれを熟知し命令は直ちにこれを実行に移しもってその目的精神の貫徹を期したい。」この「確固たる反共精神を持しつつ」、一体これは思想教育ではございませんか。これは政治教育ではございませんか。これは明らかに自衛隊法の例ですな。これは明らかにそうではございませんか。政治教育ですよ。思想教育ですよ。私は今これを一部あげましたが、これはゆっくり私——はこれを読んで、実に驚くべきことが書いてある。ですからこれはあとで逐一申し上げますが、今一例だけ申し上げた。それぞれ個人の思想がどうあれ、それは自由ですよ。しかし自衛隊はあくまでも国を守るという建前です。あなたがおっしゃるようにわが国に対して外部からの武力攻撃があれば、断固として祖国を守るというのが自衛隊でしょう。こういった思想訓練、政治訓練をなぜやるのです。あなたはお読みになっていないというならば、一つあなたの方できょうさっそくおとりになって今晩お読みになって下さい。そうして明日一つ朝からゆっくりこの問題について議論しましょう。(「容共だ」と呼ぶ者あり)いやいや、これは大へんな問題なんだ。私はこの中を読んでみて、これは実に驚いたことなのです。いいですか。容共とかなんとかではないのです。いいですか。これは長官みずから知っているように、こういう政治教育、思想教育をやってはならぬということは、自衛隊法その他ではっきりしているではありませんか。あなたの方では自衛隊に対する宣誓で、この点は明らかにしておるではありませんか。 そこで長官、私はこの問題はあとで申しますが、十一月九日の治安行動草案その他から見て、さっそくきょう杉田幕僚長は、たくさんの政府委員がいらっしゃるのだから、きょうこれだけ国会で問題になっておるのだから、この委員会が終わったら——何時に終わるかわかりませんが、終わったら一つ防衛庁の記者の諸君にお集まりをいただいて、国会で問題になってまことに残念だ、自分の真意はそうではない、そういう取り扱いをすべきじゃありませんか。もしも真意でないというならそうすることが、私は誤解を解く道だと思うのですよ。私の方が親切に言っているのですよ。私はそうなさるのが——ほんとうから言えばここに来ていただいて、そうしてみずからそこで釈明をされる、取り消しをされるのがほんとうだが、あなたの方の理事が、それは絶対できないと言う以上は、きょうそうなさることが、この防衛二法の審議にあたって、そういう誤解を解く道だと思うのです。長官、どうです。
○西村国務大臣 杉田幕僚長の発言自体につきましては、先ほど来の私の責任ある立場においての、しかも責任ある立場においての発言是正で、これはもう納得は、少なくとも私は、国民は、あの当時新聞にも私の発言が出ておるので、納得はしていると思います。問題は、この富士学校の講演と申しますか、訓育の過程におきまして、共産主義云々ということは出ております。しかし私は少なくともこの自衛隊というものは、民主主義のもとにおいて教育され、民主主義を破壊するような考え方、あるいは直接には国際共産主義の脅威に対しては備えるということは、常にもうこの委員会を通しても申し上げているのでありますから、私はそういう限度におきましてこの教育が行なわれていることは、国民は納得ができるのではないかと思うのであります。
○横路委員 いや、今の長官の答弁は非常に重大ですよ。今あなたが言った点は、あなたお読みになっていないと言うなら、今晩一つ読んでいただいて、そして長官にあした御答弁いただきたいと思うのです。見ていない。ここに「又確固たる反共精神を持しつつ」とある。これは、いいですか。自衛隊法に基づいて自衛官は宣誓しているじゃありませんか。その宣誓についてはどうなんです。明らかに政治的目的、政治的行為の中にもあるじゃありませんか。こういうことを「指揮官への道」の中で、こういう思想教育をやっていること、こういう政治教育をやっていることをもって、国民は理解するでしょう——それは国民の大多数は、そういう共産主義思想については反対だということは、私も承知していますよ。しかしそれぞれの個人がどういう思想を持っても、それは自由なんです。それはあなたおかしいじゃないですか、そういうことをおっしゃるのは。そういう政治教育、思想教育をこの陸上自衛隊の富士学校、幹部学校において「指揮官への道」として、そういう訓練をなさること、それは明らかに違法ですよ。その点はどうですか。
○西村国務大臣 自衛隊の任務は、国土の平和、独立を守る使命でございます。従って民主主義的な基盤に基づいてすべての行動が行なわれる場合は別でありますが、そうでなくて、言いかえれば国際共産主義の脅威からくるような国家の秩序の破壊というものに対しては、自衛隊員は勇敢に国土を守ってもらいたい、そういう観点からの一つのものの見方というものをしっかり教えることは、あたりまえのことだ、こう考えております。
○横路委員 そうじゃないのです、長官。今日のフランスのアルジェリアに派遣されている軍の反乱を見て下さい。いいですか。民主主義的な日本において、しかも憲法に基づいていわゆる合法的な政権ができた。それはいわゆる資本主義の政党の基盤に立った内閣でないかもしれない。そういうものが将来総選挙を通じて、民主主義的な手続によって、社会主義的なそういう政党を基盤にした政権ができる。そういうものができても、それはあくまでも憲法の手続によって、民主主義的な手続によってできた政権である以上は、これはあくまでもその国を守るのが自衛隊の本分ではありませんか。それをその政権は社会主義政権であるから反対だ、こういうやり方をとるということは、今日のフランスにおけるあのアルジェリアの反乱のような事態を、今日の自衛隊というものは内在しているじゃありませんか。こういう政治教育、思想教育は明らかに間違いですよ。どうですか、これは。
○西村国務大臣 なるほど憲法におきましては、個人々々の思想の自由というものは認めております。しかし自衛隊の任務というものの中で彼らは教育され、訓練されるわけであります。そこで憲法に抵触しない、憲法のもとにおいて少なくとも国会が承認した自衛隊の任務がございます。国土の平和、独立を守る。言いかえますれば、その裏にあるのは、破壊的な活動を防ごう、秩序の破壊を防ごう。それはすなわち言いかえますれば、私は一つの例から言えば、国際共産主義のような脅威というものから国土を守ることも自衛隊の任務である。従ってその線に沿うての訓練が行なわれることは当然だと私は考えております。
○横路委員 この問題については、「良い中隊の育成について」の問題と関連して、またこの十一月九日に出されました治安行動草案との関連で、さらに時間をかけてなおよくお尋ねをしたいと思いますが、まずきのうの続きの七十六条、七十八条、第五条、第四条との関係でもう少しお尋ねをしたいと思うのです。 西村長官にお尋ねをしますが、この間接侵略というのが、この間の二十日の議論からきょうの午前中の議論にも問題になったわけですが、その間接侵略というのに対しては、なるほど国際的にはいろいろな用語もございましょうが、防衛庁としては間接侵略というのは、どういう状態を間接侵略と言っているのか。特にこの自衛隊法七十八条の中に規定している間接侵略とは、どういうものを言っているのか。何もこれは、国際的にどこの国がどう言っているというのではないのですから、この点は一つきちっとお答えをいただけると思うのです。——いや、きょうは一つ長官に……。
○西村国務大臣 私の足りない分はその他の政府委員から補足をいたしますが、自衛隊法七十八条——間接侵略という言葉はこの委員会でもたびたび出まして、国際的にはこの用語が成熟していないということは、まあおわかりをいただいておるのでありますが、少なくとも自衛隊法には間接侵略というのは七十八条に一つ出て——もちろんそれ以外にも出ておりますが、七十八条でこの間うちから御説明いたしております間接侵略の大きな概念は、他の国からの教唆または干渉によって国内に騒擾あるいは内乱が起こるというような状態、こういうふうに一応考えられております。そこでそれが今度は武力行動的なものを伴った場合はどうなるか。そういうことは比較的少ないけれども、万一そういうことがあった場合においては、その部分においては、武力行動の面があります。武力行動と間接侵略とは相対する概念ではなくて、間接侵略と直接侵略とが相対する。こういうような解釈のもとにおける七十八条の間接侵略というものは、大体においてわれわれがこの条文を読みますと、間接侵略その他緊急の事態に対処して、事前協議なしに、事前承諾なしに、自衛隊の総理大臣の認定による出動が行なわれる治安出動、こういうふうに考えております。従ってこの間接侵略というものの一般のきちっとした概念は、国際的にははっきりはさまっていないけれども、われわれとしては間接侵略は、先ほど申し上げましたように外国の教唆、干渉によるところの内乱、騒擾、それから七十八条におきましては、その一部が外国の武力、外部からによるところの武力攻撃に入るものもある、こういうふうに解釈いたしておるわけであります。
○横路委員 実はこの「法律時報」の別冊、それから参議院において治安行動草案が問題になりまして、私たちもいろいろ調べてみますと、防衛庁における間接侵略の規定というのは、今長官の言ったようになっていますね。重ねて私の方から読んでみます。こうなっていますね。「間接侵略とは、外国による教唆または干渉によって引き起こされた大規模の内乱及び騒擾をいう。」ですから、今長官の言った言葉と同じなわけです。今長官からも御答弁があり、私からも、これは防衛庁で使っている言葉ですが、同じ言葉を申し上げた。そこで七十八条の間接侵略とは、「外国による教唆または干渉によって引き起こされた大規模の内乱及び騒擾をいう。」それが七十八条の間接侵略ですね。長官、どうですか。——今そこでうなずいていらっしゃいますから、一々お立ちにならなくともいいですが、そうすると七十六条で、この中のどこにも間接侵略という言葉がない。「内閣総理大臣は、外部からの武力攻撃に際して、わが国を防衛するため必要があると認める場合には、国会の承認を得て、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。」この七十六条のどこにも間接侵略という言葉がない。ですから七十六条は、外部からの武力攻撃に対して防衛出動が命ぜられる。七十八条で間接侵略、外国の教唆または干渉によって引き起こされた大規模な内乱及び騒擾に対して治安出動が命ぜられる、こういうようにわれわれは考えていたのに、この間からの石橋委員の質問に対する西村長官の答弁を見ると、七十六条の中にも間接侵略が含まれているというが、七十六条のどこに間接侵略が含まれているのですか。どうなんです。
○西村国務大臣 間接侵略と直接侵略、この概念が同じ層にあるのではありません。武力攻撃というのは、言いかえますれば組織的な計画的な武力による外部からの攻撃、こういう面では間接侵略でも、先般来申し上げていますように不正規兵の投入——不正規軍、義勇軍というような、外国の意思を受けて入ってくるような計画的、組織的なもの、それはやはり外国の干渉によるものであるけれども、武力攻撃という面から見たならば、私は七十八条に入るのだ。そして七十六条の方は、間接侵略は一つの例で、むしろ緊急事態に対処する、こういうように……
○横路委員 あなたは七十八条と七十六条を違えていますよ。
○西村国務大臣 七十八条の方が緊急事態です。そこで武力攻撃というものは、間接侵略でも普通の間接侵略、言いかえれば武力攻撃という面が現われていないかもしれない教唆、扇動というような面、あるいは干渉でもそこまできていないけれども、武力行動というものが出てきた場合においては、七十六条によって武力行動の面から防衛出動になる、こういう解釈であります。
○横路委員 長官、その点私は具体的に聞きますが、今の長官の言葉、あなた自身七十六条と七十八条とひっくり返して答弁したりしておられるが、七十六条の外部からの武力攻撃、その中には間接侵略も入るのだ。そうするとそれはどういう場合か。私があなたにこれから具体的にお尋ねしたいのは、外国のいわゆる正規兵であるならば、それは間接侵略ではないですね。直接だ。そこでこれはどういう場合ですか。たとえば外国の義勇兵であるとかで、正規軍ではないですね。その点をはっきりして下さい。
○西村国務大臣 私が七十六条で外部からの武力攻撃と申し上げましたのは、言いかえますれば一番はっきりした例は、外部から計画的、組織的に正規軍が入ってくる場合でございます。これが武力攻撃。それからもう一つは、不正規軍の場合においてはわれわれはやはりこれは武力攻撃と解釈する。しかしこの概念を別の角度から見れば、やはり間接侵略の態様も持っておる、こう解釈すべきではないかと思います。
○横路委員 そうすると長官、今のあなたの前の方の正規軍というのは、七十六条にいう外部からの武力攻撃だ。そこで、しかし正規軍ではないけれども不正規軍だという、その不正規軍というのはどういうことですか。一つは外国の義勇兵であるとか、あるいは日本国民であるけれども、外国で武器その他の援助を受けて、日本国民が外国の武装その他によって入ってくる、そういうものをあなたは言っているわけですか。それはどうなんですか。
○西村国務大臣 不正規軍の場合も私はもちろん入ると思います。それからあなたの設例のような場合も、計画的、組織的であり、外国の意思を体して武装して国内に侵入するというような場合におきましては、私は入ると考えます。
○横路委員 それではあなたにお尋ねしますが、外国から国内に武器がたとえば落下傘その他でどんどんおりてきた、あるいは向こうから船で武器がどんどん送られた、そうして国内にいる一部の者がその武器を受けて、国内で内乱を起こした、これはどちらです。向こうから船で送ってきた武器を使って直ちに攻撃を開始した、そういう場合はどうなんですか。
○西村国務大臣 私はやはりそれも計画的、組織的であり、しかも外国の意思あるいは指揮を受けている、そういう場合におきましては、武力攻撃であると考えるべきではないかと思います。
○横路委員 長官、あなたの答弁は、私ここではっきり申し上げますが、間違いですよ。なぜ間違いかというと、前の日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約の第一条をここで読んでみますよ。「平和条約及びこの条約の効力発生と同時に、アメリカ合衆国の陸軍、空軍及び海軍を日本国内及びその附近に配備する権利を、日本国は、許与し、アメリカ合衆国は、これを受諾する。」ここからが大事なんです。「この軍隊は、極東における国際の平和と安全の維持に寄与し、」その次です。「並びに、一又は二以上の外部の国による教唆又は干渉によって引き起された日本国における大規模の内乱及び騒じょうを鎮圧するため日本国政府の明示の要請に応じて与えられる援助を含めて、外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するために使用することができる。」、前の日米の安保条約においては、この点が日本における不平等といいますか、屈辱条約なんです。この第一条によって日本の国内における内乱、騒擾にアメリカの軍隊が出動するということは、独立日本としては耐えられないというので、安保条約改定の中で、岸総理なり藤山外務大臣はこの点を改定したと言って、現行の安保条約の第五条にはこの姿を全く消して、第四条の中に影をひそめたじゃありませんか。今あなたは何と言ったのだ。私が今、外国から船あるいは飛行機によって運ばれたその武器を持って日本国内における国民が内乱、騒擾を企てた場合にはどうなるのだと聞いたら、あなたは、それは七十六条によって武力攻撃だと言う。いいですか。七十六条の武力攻撃は、安保条約第五条を引き受けているのですよ。外部からの攻撃があれば、アメリカは集団的自衛権の発動によって行動するのですよ。そうすれば前の条約の第一条で、たびたび皆さんの方で答弁しているように、一または二以上の外部の国による教唆または干渉によって引き起こされた日本国における大規模の内乱及び騒擾を鎮圧するため、アメリカ軍隊が出動するということは、独立日本としては屈辱的なんだ、こういうことで第五条からはずして、そうして第四条の常時協議の中に影をひそめたではありませんか。それをわざわざ取り上げて、そしてこの第五条の適用、外部からの武力攻撃があれば、アメリカは集団的自衛権を発動して出るのですよ。その場合に大規模な内乱、騒擾に対してアメリカ軍隊が鎮圧のために出る。しかもこれは有無を言わさず出るのです。あなたの説明からいけば、前と違うのです。こういうことは、現行安保条約を直すときに、前の岸総理なり藤山外務大臣は口をきわめて、こういう屈辱的な条約は変えたのだ、第五条からはずしたのだ、こう言っておるじゃないですか。あなたの答弁は全然違いますよ。そういうことは今平然として言われて、そうして自衛隊法七十六条の武力攻撃、これを受けて安保条約第五条の外部からの武力攻撃、そしてこの内乱、騒擾に対してアメリカ軍隊が集団的な自衛権を発動するということは、この新安保条約においては絶対ないのですよ。それは間違いです。そういうことを今防衛庁の長官が言われては、一体あなたの方で長いことかかって、旧安保条約から新安保条約に何で改定したのだ。長官、それは間違いですよ。まあ間違いは間違いとして、間違いでございました、そう言われなければ、大事な問題ですよ。今になってそういうことを言われては大へんですよ。
○西村国務大臣 私はただいま御説明のような場合に、飛行機やあるいは艦船で武器を投入して参ります。その場合におきましては日本のどこかの領海に不正規兵が必ず入ります。また飛行機は領空には日本の飛行機で来るのではありません。航空機は不正規兵か正規兵か知りませんが、とにかく他の国が干渉する意図を持って、その指揮下において武器が運ばれて、投入をされるのでありますから、すでに私はその場合においては武力行動が発動されておる、こういうふうに解釈していいのではないかと思います。なお法理上のことでありますから、さらに詳しい政府委員からも御答弁をさせます。
○横路委員 ちょっと待って下さい、加藤さん。私の方もこの防衛二法案については、これは最終的な段階で議論していると思うのですよ。ですから今防衛庁長官から法律に詳しい、条約に詳しい政府委員というけれども、別に加藤さんは日米安全保障協議委員会の委員ではない。日米安全保障協議委員会の委員は西村長官と小坂外務大臣なのだ。そのときにこの条約の第五条の適用が、解釈が私はわかりません。それは政府委員にまかせますなどと言っている間に、この第五条で内乱、騒擾に対してアメリカ軍隊が集団的自衛権の行動だなどといって出ては大へんなんですよ。だから私はこの点は、せっかく今加藤さんが答弁なさろうとしているけれども、あなたは別に安全保障協議委員会の委員でもないのですから、非常に重大な責任を持つ長官ですから、もう少しあとで、あなたの答弁を求めるときは私の方からもお願いしますから、長官にもう少し……。これは防衛庁長官なのだから、あなたはきょうは専門家にというように言わないで、やはり間違いは間違いと、そういう点を明らかにされた方がいいと思う。 そこで長官、それならばあなたにお尋ねしたい。この前の条約の第一条ですよ。長官、前の条約の第一条というのは重大なのですからもう一ぺん読みますよ。どうぞお持ちになって私と一緒にどうぞ。第一条、もう一ぺん読んでみますよ。「平和条約及びこの条約の効力発生と同時に、アメリカ合衆国の陸軍、空軍及び海軍を日本国内及びその附近に配備する権利を、日本国は、許与し、アメリカ合衆国は、これを受諾する。」その次、「この軍隊は、極東における国際の平和と安全の維持に寄与し、並びに、一又は二以上の外部の国による教唆又は干渉によって引き起された日本国における大規模の内乱及び騒じようを鎮圧するため日本国政府の明示の要請に応じて与えられる援助を含めて、外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するために使用することができる。」ですから前の条約は、一または二以上の外部の国による教唆または干渉によって引き起こされた日本国における大規模の内乱及び騒擾を鎮圧するために、日本国政府の要請があれば出るのですよ。いいですか。これを独立日本としては屈辱的な安保条約であるということで、全部削ってしまったのです。ところが今あなたの解釈からすれば、自衛隊法七十六条による外部からの武力攻撃というのには、外国からの正規兵ですね。他の国からの軍隊の侵入、攻撃が始まる。武力攻撃のほかに一または二以上の国のいわゆる教唆または干渉によって引き起こされたそういう内乱、騒擾、それもいいのだということになると、この安保条約第五条で、「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」だから武力攻撃があれば、きのうもここでずいぶん議論しましたが、アメリカの軍隊は集団的自衛権に基づいて行動するのです。そうすると前の条約の第一条が独立日本としては屈辱的なのだというので、これを削ってしまったのに、あなたはわざわざ自衛隊法七十六条の拡大解釈によって、前の条約の一条で削ったものをわざわざ自衛隊法七十六条の外部からの武力攻撃の中に入れたため、安保条約第五条によって内乱及び騒擾に対してアメリカ軍隊が集団的自衛権に基づいて行動するということは、これは先ほどから私が言ったように、この前の安保条約から現行安保条約に移る際に、藤山外務大臣、岸総理は、これは絶対に不平等だというか、屈辱的な条約だからこれを削ったのです、こう言って第四条の随時協議の中に入れているのですよ。その屈辱的な条約だ、不平等な条約だといって削ってしまったのを、なぜわざわざ七十六条の武力攻撃の中に拡大解釈をして入れて、なぜ安保条約第五条によるアメリカの集団自衛権の行動をまき起こすように、あなた一個人の意思として入れるのですか。こんな解釈は昨年の安保特別委員会において全然ないですよ。西村長官になってからの独自の解釈ですよ。大へんですよ。
○西村国務大臣 私から申し上げなくても、政府委員は経過はさらに詳しいのでありますし、またたびたびこの問題は安保委員会にも出ておったと思うのですが、間接侵略の概念においてはオーバーラップする部分がある。言いかえれば先ほどの外部から入ってくる武器輸送なりあるいは正規軍が外部から入ってくる場合は、やはり明らかに武力攻撃になるのだ、侵入であります。外部から、とにかく何らかの相手方の国の意思を受けて、指揮のもとに航空機なり艦船が入ってきた、それが投下される。その部分は私はやはり共同防衛の対象になり得る武力攻撃だ、こう解釈すべきではないか。なお私は確かに安全保障協議会の日本側委員でございます。しかし同時に私は内局の補佐を受けております。足りない部分は内局の面から説明させることもお許しを願いたいと思います。
○横路委員 ちょっと待って下さい、加藤さん。あなたから御説明を受けますが、それでは西村さん、七十八条の間接侵略というのはどうなんですか。私は西村さんにお尋ねしている。防衛庁の長官に聞いているのです。あなたは兵を動かすのだから——いやあと言っているけれども、そう笑って済まされない大問題なんです。七十八条の間接侵略はどうなんですか。
○西村国務大臣 細部に議論がわたりますから、もちろん私から答えますが、同時に私一人が兵を動かすわけではなく、内局なり各幕の補佐を受けて兵を動かすのでありますから、その意味で一つ内局の諸君が発言することもお許しを願いたいと思います。
○横路委員 いや、待って下さい。そこは私も了解しましたが、七十八条の間接侵略というのはどういうのですか。まずあなたが御答弁なすって、それから足りない点は加藤さんなり何なりに言わせなければ、あなた自身が七十八条の間接侵略がどうなっているかということの答弁をなさらないと、補足すると言ったってもとがなくては補足のしようがないじゃないですか。もとの方を言って下さい。
○西村国務大臣 間接侵略の定義は、先ほど申し上げましたように一または二以上の外国からの教唆、干渉によるところの大規模な内乱、騒擾、こういうふうにとっております。その趣旨は七十八条においても貫かれております。なお、その補足につきましては加藤官房長から申し上げたいと思います。
○横路委員 私が聞いたあとで加藤さんは答弁して下さい。これは実際非常に重大なんですよ。これは何といいますか。その場限りの答弁ということでなしに、ぜひ一つ御答弁いただきたいと思います。今の西村長官からの答弁では、間接侵略については、七十八条の間接侵略はどうですか、こう聞きましたら、やはり一または二以上の外部の国による教唆または干渉によって引き起こされた大規模な内乱、騒擾だというのです。そうすると七十六条の間接侵略はどうですかと聞いたら、同じことを答えられたですね。七十八条のこの間接侵略によるいわゆる行動というのはこれは治安出動、七十六条のこの行動は防衛出動となるわけです。そうして七十六条の防衛出動は何に関係をしてくるかというと、安保条約の第五条に関連をしてくるわけです。ですから外部からの武力攻撃だ、こうなれば有無を言わさずアメリカ軍隊は集団的自衛権に基づいて行動する。そうするとせっかく長い間かかって前の岸内閣のときに、われわれは納得いたしませんでしたけれども、しかし国民に向かって何と言ったか。前の安保条約の第一条による一または二以上の外部の国の教唆または扇動による大規模な内乱、騒擾に対して、アメリカ軍隊が出動して日本国民に対して鎮圧するということは、独立日本にとっては耐えられない屈辱的な意味があるので、こういうのを削れということで、第五条から削った。しかし自民党の中でもいろいろ意見もあったらしく、あとで四条は聞きますが、四条の中に影をひそめてあるが、ただこれは常時協議である。ですからそういう意味でこの七十六条——私どもはこの七十六条にはそういう間接侵略のそれはないと思うけれども、しかし同じ間接侵略を聞くと、七十六条もそうだ、七十八条もそうだと言う。片一方の七十八条は治安出動だ、片一方の七十六条は防衛出動で五条を受けてアメリカ軍隊は直ちに出て鎮圧する。おかしいじゃないですか。ですから一つ今あなたお聞きのように、長官は七十六条の間接侵略も七十八条の間接侵略も同じ言葉で規定しておる。ですからこの際加藤官房長から一つその点は、七十八条の間接侵略と七十六条の間接侵略はこういうふうに違うのだという具体的な言葉でなければ、今の長官のお言葉はだれが聞いたって同じにしか聞かれはしない。だからその点、加藤さん一つ補佐役として十分にしっかり答弁して下さい。
○加藤政府委員 この問題につきましては先般も石橋さんからお尋ねがありまして、私一応お答えはしたわけであります。おっしゃる通り旧安保条約の第一条には、今お読みになりましたようなことがあるわけであります。米軍の駐留につきましては、三つの規定があるのであります。一つは極東における国際の平和と安全の維持に寄与する。第二には一または二以上の外部の国による教唆または干渉によって引き起こされた日本国における大規模な内乱及び騒擾を鎮圧する。第三には外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与する。この三つのことがある。間接侵略の定義といたしましては、国際的にはいろいろなむずかしい問題がございまして、まだ一定はしておりません。しかしながら自衛隊法の七十八条の間接侵略という言葉につきましては、先ほど読み上げました一また二以上の外部の国の教唆または干渉によって引き起こされた大規模な内乱または騒擾というふうに解決をしておるわけでございます。そこでこの間接侵略の態様がだんだんと最近は新しいものが出てくる。そこで不正規軍の侵入によるような場合はどうだということになりますると、これはさっきから長官のおっしゃっておりまする通り、武力攻撃と見られる場合があるわけです。同時に外部の国の干渉によって引き起こされた内乱または騒擾と見られる部分もあるわけです。この部分は旧安保条約の第一条の解釈においてはオーバーラップしておる。外部からの武力攻撃ということと、間接侵略ということと重複した部分がある。今度の安保条約の第五条におきましては、武力攻撃に対して防衛行動に出るということが規定されたわけであります。この武力攻撃の中には、重なっておった部分が、不正規軍の侵入によるようなものも入っておる。旧安保条約の第一条においては、間接侵略であると同時に外部からの武力攻撃もあった。今度はいわゆる内乱条項が削除された。これは旧安保条約の第一条においてもオーバーラップしておるものであるから、その部分を除いたものが純粋な外国からの武力攻撃というものに該当しない内乱条項、間接侵略、これが削除されたということでございまして、これは前回石橋さんの御質問に対して、私当時安保条約の審議委員会の速記録をもってお答え申し上げたのでございまして、当時安保条約の審議の際に、すでに法制局長官及び外務省の条約局長もその趣旨で答弁をいたしておるわけであります。
○横路委員 そうすると七十八条の間接侵略というのは、これは一または二以上の外国の教唆というものも入っておるのでしょう。そうすると今あなたがこう重なっていたのを分けたのだ。旧安保条約の第一条の中における一または二以上の外国の教唆あるいは扇動による大規模の内乱、騒擾というものの重なっていた部分をはずした。はずしたというのははずれた部分——私の方からいえばはずれた分というのは七十六条にはずれた分が入っておる。その七十六条のはずれた分というのは何かというと不正規軍だ。外国の義勇兵その他というものである。しかしいわゆる間接侵略、日本の国民が国内において、そのときの政治状態その他においていろいろ不満もあろうが、そういう状態でいわゆる武器を持って行動を起こした、これは内乱及び騒擾になりますね。その場合にその武器が外国から船によって運ばれるとか、そういう状態はあるかもしれない。しかし外国の義勇兵なり不正規軍が入ってこない、こういう場合の内乱、騒擾は七十八条だ、こういうわけですね。この点はどうなんですか。その点が大事なんです。
○加藤政府委員 今御説明いたしましたのは、不正規兵の侵入、不正規兵による武力攻撃の場合が、外部からの武力攻撃だということを申し上げたわけであります。そこで武力攻撃に至らないで、外部からの武力攻撃というものに該当しないで、単なる物資、武器等を補給したということになると、武力攻撃とは見られないというふうに思います。
○飛鳥田委員 ちょっと関連して。今の横路さんの議論と少し離れますが、今までの防衛庁のお答えを聞いておりますと、一つの疑問が出てくるわけです。間接侵略というのは、侵略を受ける側から見た一つの形態だと思うのです。侵略を行なうものが一ないし二以上の国と、こうはっきり限定をせられますが、国でなければならない理由というのは、一体条文のどこから出てくるのですか。旧安保条約の第一条は廃止されたのですから、従ってこれにこだわる必要はございません。一体国でなければならぬのか。あるいはまた七十六条の武力攻撃、こういうものについても、どうも長官のお答えは国という概念のようでありますが、攻撃を行なう主体は国でなければならないという法解釈は一体どこから出てくるのか。この非常に発達した現代社会において、具体的には国であることが大部分であり、おそらく国以外の場合は少なかろうと思いますが、しかし理論的には少なくとも宗教団体でもいいはずです。世界じゅうにたくさんの資金を持っている宗教団体というものはあります。MRAとか何とかかんとかいうのはたくさんあります。そういうものであっても、おっしゃる通りの不正規兵を組織してやってくれば、これは直接攻撃である場合もあるし、宗教的な侵略の方法をとって、日本の政府はどうもよくないからひっくり返せ、こういう形でくれば間接侵略でもあると思うのです。国でなければならぬというのは一体どういう条文の根拠に基づくのか。私はそういうところに防衛庁の今までのいろいろな御説明の混乱のもとがあるような気がするのですが、長官どうでしょうか。
○西村国務大臣 間接侵略の国際間で確定した定義というものはなかなか困難だ、私はこれは御了解いただけると思うのであります。ことに間接侵略に対しまして、今日兵器の発達と申しますか、科学の発達がいろいろございますから、非常な変化はこれからもまだ起こってくると思う。ただわれわれが今この解釈をとっております国といいますのは、現実の事態を考えます場合におきまして、特定の思想団体と申しますか、あるいは宗教団体等が、何ら他の国家の意思を背景としないで、あるいは意思に基づかないでやっていくことは、私どもは現実にそういうことはあり得ないと考えております。そこで国というものを一または二の国家という表現をしておる、解釈をしておるわけであります。
○飛鳥田委員 たしか今から五年ぐらい前だと思いますが、国連の総会の中でも間接侵略の問題について、間接侵略の主体が自由ヨーロッパという団体であるというような議論が、盛んになされているという事実を御存じでしょうか。これは国が間接侵略の主体であるという議論ではなくして、自由ヨーロッパというような反動団体であるというような議論が現実にあったのです。そういう場合も考えてみると、必ずしも国でなければならぬ——現実的にそうである場合が多いというだけであって、法解釈としてそうなければならぬというのは、何か理由があるのか。これを伺っておかないと、われわれの次の質問が出て参りませんから、それだけを関連質問として伺っておきたい、こういうことです。
○加藤政府委員 そのお尋ねに対するお答えは、先ほどの長官の答弁で尽きておると思います。大体侵略に関する定義に関する条約を見ましても、やはりこれは国というものを主体に考えております。新しい事態が起こりますれば、それに応じてまた国際的にいろいろな取りきめとか申し合わせができるだろうと思います。今のところ現実の問題としては、私は国を考えることだけしかないのではないかというふうに思うのでございます。
○横路委員 加藤官房長、私はあなたにこの際お尋ねをするのですが、間接侵略というのが国際的にも定義がはっきりしていない。あなた自身この旧安保条約の第一条の「一又は二以上の外部の国による教唆又は干渉によって引き起された日本国における大規模の内乱及び騒じょう」について、重なっている分を離すという、その離す、七十六条に入れる方は、外国の不正規軍によって現に日本に対して武力攻撃が行なわれた場合、それから外部から武器その他が船によって運ばれようが、日本国民が国内にあって、それによって内乱、騒擾を起こした場合は七十八条の適用なんだ、そうですね。そう私は聞いたのですから、そこからさらに続けようと思いますが、それは違いますか。あなたが重なっているのを離すというのはそういうふうに聞いたのですが、それがまた違いますか。
○加藤政府委員 ただいま申し上げましたのは、間接侵略というのは一または二以上の外部の国の教唆または干渉によって引き起こされる大規模な内乱、騒擾という概念があるわけであります。それから外部からの武力攻撃という概念が一つあるわけです。そのうちで不正規兵の侵入のごときは、これは外部からの武力攻撃であります。同時にこれは外国の干渉によって引き起こされた内乱または騒擾というふうにも見られる、この点が重なっておる。これ以外のところ、重なっておるところ以外の間接侵略という条項が、今度はずされたのだ。これ以外のものを、七十八条の間接侵略という定義では私どもは考えているということであります。
○横路委員 それでは西村長官、今加藤官房長から伺った離すということは、私もそう了解しておるのですよ。あなたが説明された真意はそうであると私は解する。それであれば七十六条の中にも間接侵略を入れる、七十六条の外部からの武力攻撃の中にも間接侵略という言葉の概念を入れることは、言葉の上から非常に混同を来たしませんか。それであれば、先ほどからこの自衛隊法に言われているように、明らかに七十六条は外部からの武力攻撃、それは正規軍であれ不正規軍であれ、外部からの武力攻撃、そうして七十八条の治安出動の対象になるいわゆる間接侵略というのは、あなたの方で言っている、われわれの方もまたここで言っている一または二以上の外国からの教唆または干渉によって引き起こされた大規模な内乱、騒擾、ですからその点を今まで使われている間接侵略という言葉をそのまま七十六条の中に当てはめて説明しようとするから私たちからそういう疑問が提示されるので、七十六条は外部からの武力攻撃なんだ、それは正規軍であれ不正規軍であれ、外部からの武力攻撃なんだ、いわゆる一般的な概念としての間接侵略というのは七十八条なんだ、こういうふうになればここで議論することも、われわれは安保条約第五条との関係においても、前の安保条約から現行安保条約に変わった経緯からいっても、なるほどこの安保条約の第五条による集団的自衛権の行動に基づくアメリカ軍というのには、いわゆる一般的な用語における間接侵略は入っていないのだ、そういうことになるので、ここで議論するときに七十六条の中に、その一般的な用語である間接侵略という言葉を使うから私は問題が起きると思う。この点はやはり用語という点をきちっとする必要がある。この点、何でしたら加藤さんからどうぞ。
○加藤政府委員 この点は前にも石橋委員から御指摘になったところでありまして、立法政策的な見地からすればいろいろ問題がございましょう。しかしけさほども総理大臣はこの条項でよろしい、こうおっしゃったわけでございますから、私からはこれ以上意見を申し上げることはできません。ただ外部からの武力攻撃という言葉と間接侵略という言葉とは対比しないという点は御説の通りだと思います。しかし今の規定でも運用上差しつかえがないというふうに私は言うことはできると思います。
○横路委員 官房長、せっかく私とあなたの意見が、用語上自衛隊法七十六条、七十八条、安保条約第五条との関係でだいぶ用語というものがだんだん煮詰まって、お互いが理解がいける程度になると、またあなたがむし返すようなことを言われるわけですが、この点はけさちょっと私も池田総理から石橋君に対する答弁というものは、言葉の上でどういうふうに明確になったか、ちょっとはっきりしない点がありましたから、この点は重ねて恐縮ですが、池田総理は石橋委員に対して今の点をどういう言葉で表現されたのか。間違いがあれば石橋委員から質問します。その点どうですか。
○加藤政府委員 私も正確には覚えておりませんが、結論としては今の条文を変える必要はないということでございます。
○横路委員 それであれば、自衛隊法七十六条における外部からの武力攻撃、自衛隊法七十八条は間接侵略、こういうふうにせっかく総理から今の言葉を変える必要がないというならば、やはりそういう言葉でお互いに法律なり条約というものをきちっと確定解釈しておかないと、第五条は運用の面で非常に問題になりますから、その点を一つ申し上げておきたいと思います。 次に、長官にこの点お尋ねをしたいのですが、第五条の問題で、きのうの長官の答弁はどうしても理解ができない。納得のできないというのは初めから納得できないのですが、そうではないのです。理解ができないのです。その点をお尋ねしたい。それは第五条でこうなっておるわけですね。これを要約すれば、日本国内におけるアメリカの軍事基地に対する攻撃を、日本に対する攻撃とみなして、日本に対する攻撃であると認めて、共通の危険に対処するように行動することを宣言する、こうなっておるわけです。これはアメリカの軍事基地に対する攻撃は、アメリカは個別的自衛権の発動である。それから日本としては、同様に個別的自衛権の発動である。こういうわけです。 そこで私は長官に次のことをお尋ねしたいのです。安保条約は御承知のように、日本の平和と安全並びに極東の平和と安全、こうなっておるわけです。そのためにアメリカ軍隊は駐屯をしているわけです。またそれを認めた。そこで私がお尋ねしたいというのは、こういうことなんです。韓国が外国から武力攻撃を受けた。そこで米韓相互防衛条約が当然発動された。日本の基地から飛び立った。その飛び立つ場合も、直ちに戦闘作戦行動に出れば、それは六条にいう交換公文で事前協議になる。しかし一たん沖繩に移って、それから沖繩を基地にして飛んでいけば、これはこの条約の一つの抜け道でございますが、必ずしも事前協議の対象にはならない。そこで韓国が第三国から攻撃された。米韓相互防衛条約を発動した。そこで日本の基地から、飛び石伝いだが、沖繩に移って相手の国を攻撃した。その場合に、日本の基地から事前協議で認めて攻撃をした。その場合には、日本国内におけるアメリカの基地は、当然国際法上の交戦区域になるわけですね。日本の基地から飛び立っていけば、事前協議に基づいて日本が許可して、日本の基地から飛び立ってその第三国を攻撃すれば、国際法上の交戦区域になるわけです。そこで第三国は、そうすれば当然日本の国にあるアメリカの基地に対して、みずからの自衛権に基づいて攻撃をしてくるでしょう。この場合には、アメリカが日本の基地を利用して、米韓相互防衛条約に基づいて、韓国を攻撃した相手の国を攻撃した。その国は国際法上の交戦区域として、日本におけるアメリカの軍事基地を攻撃した。この場合に、一体日本は個別的自衛権は国際法上発動できるのかどうか。この集団的自衛権、相互防衛条約を結んで集団的自衛権を発動するならば、それは成り立つわけです。ところがこの安保条約はそういう意味で相互防衛条約ではないと政府側は言っている。そうしてこの第五条を集団的自衛権の発動ではない、個別的自衛権の発動だ、こう言っている。そうすると、一体今申し上げました順序に従って、韓国が攻撃された、米韓相互防衛条約を発動した、日本の基地からアメリカの飛行機その他が飛んでいって、その韓国を攻撃した相手をやった。相手は国際法上の交戦区域として、みずからの自衛権もあるから、日本の国内におけるアメリカの軍事基地を攻撃してきた。この場合に、日本の自衛隊が個別的自衛権を発動してやれるでしょうか。きのう石橋委員から具体的な例として、たとえば日本の領海——港に停泊するというばかりでなしに、領海もある。そこにたとえば軍艦が待避をしてきて、領海におる。アメリカの軍艦が待避をして領海におる。それを第三国が来て、領海におけるアメリカの軍艦を攻撃した。撃沈されたか、大破したか何かわからない。あるいは大破して無事であったかもしれない。しかしその領海におるアメリカの軍艦がただ攻撃されたというだけで、日本は個別的自衛権の発動に基づいて自衛隊を出動させるということはできましょうか。この自衛権の発動というのは、きのう私が言っているように権利ですからね。急迫不正の侵害だ、それ以上とる手段が他にはないということ、そしてそれに伴う最小限の防御だということ、それが自衛権の規定なわけです。一体その場合に、日本の自衛隊が個別的自衛権の発動であるとして、自衛隊法七十六条に基づいて、外部からの武力攻撃であるとして、内閣総理大臣は自衛隊の出動を命じ、あるいは国会の承認を求めるということ、そういう個別的自衛権は一体あるのでしょうか。私はこれは絶対にないと思う。この点いかがでしょう。きのうこの点は少し時間がなくて、長官から御答弁を十分いただけませんものでしたから、その点についてお尋ねをしたいと思うわけです。
○西村国務大臣 われわれは米軍と日本間で結ばれておりまして、これは日米間の相互信頼に立っております。またその思想の基礎は、御存じの通り国連憲章によってきっちり立っておる。そこで米軍の行動でございますが、この場合におきましても米軍というものは、動く場合におきましては、国連憲章のワクの中で動く。そうなりますとやはり駐留しておる米軍が、自衛、こういう目的から動く。しかも日本の基地を使って戦闘作戦行動をやるのでありますから、その場合におきましては、日本の基地を使って戦闘作戦行動をやるということは、まず設例としては非常にまずいのではないか。その場合においては事前協議で——日本は自分の方に報復を受けるということを、非常に国民も心配をし、また政府もこれに対してははっきりしておりますから、事前協議の条文を入れてこれを押える。ですからこういう事態自体が、私は普通の状態においては規定できない。それから私どももあくまで国連憲章の中でいくのでありまして、アメリカの国が侵略をやろう、アメリカ自体も侵略とか先に手を出すとか、こういうようなことはあり得ないと思う。従ってわが国に対して逆に出てくる場合には、わが国自体が自衛権の発動で私は解決できるのではないか、こう考えております。
○横路委員 それは長官、私は長官の御答弁はどこか勘違いをなさっていると思うのですよ。私たちもこの安保条約がなるほど国連憲章五十一条に基づいてできている、こういう説明は何べんも承っております。国連憲章五十一条というのは、御承知のように武力攻撃が現に発生した場合です。武力攻撃が現に発生した場合においては、この国連憲章五十一条に基づいて、その自衛権の発動ができるのですよ。それから国連憲章は、集団的自衛権については、これは本来からいえば、長官、これを否定していないわけです。国連憲章五十一条は、これは国連憲章を作る場合においては、過渡的な例外規定として、五十一条のいわゆる地域的な相互防衛条約を作ったことは、国連憲章のその成立の過程で明らかになっている。しかし明らかであるけれども、その地域的な安全保障は認められ、同時に従って相互集団的自衛権も認められていることも事実です。ですから韓国に第三国から武力攻撃があった。そこでアメリカと韓国の米韓相互防衛条約に基づいてアメリカは出動した。このことは国連憲章五十一条における集団的自衛権に基づいて当然なんです。そこで日本とアメリカは、この日米の安保条約に基づいて——この五条ではないのですよ。第六条に基づく交換公文で、さらにこの安保条約で日本の平和と安全並びに極東の平和と安全のために、アメリカの軍隊は日本におる。そうして日本の施設を利用して、極東の地域に戦闘作戦行動に出るときには事前協議するとなっておる。そこでアメリカは当然米韓相互防衛条約に基づいて、しかも日米安保条約に基づいて、第六条の交換公文に基づいて事前協議にかけて、あるいは緊急の場合においては飛んでいってかけるという場合も、現実には起こるかもしれないけれども、そこで日本の国内から出ていったその場合に——うしろにおる防衛参事官ですか、私は長官にお尋ねしておるのですから、もう少し私の言うことを聞いて、あなたの方で補佐することがあったらそれからなすったらどうでしょうか。学校の生徒なら先生に怒られるところですよ。 そこで長官、いいですか。ですからそういう意味で、その基地から飛んでいく。ところがそれは当然相手の国からすれば、国際法上交戦区域ですから、当然それに対して攻撃を加えてくる。その場合にいろいろあろうと思うのです。たとえばそのアメリカの基地に対して、なるほど原爆、水爆の攻撃が加えられて、そうしてそれが周辺における日本の国民に多くのいわゆる殺傷を与えるという場合もあろう。しかしそれは例外なことであって、きのう石橋委員からは、その相手の国を攻撃した軍艦が日本の領海に入ってきた。それを第三国が、その領海にいるアメリカの軍艦に対して攻撃を加えた。攻撃を加えたというだけで、日本はこの第五条に基づいて個別的自衛権を発動することは、無理ではないかというのですよ。自衛権とは何か。急迫不正の侵害だ。いいですか。それ以上とる手段はない。それは最小限度の手段だ。しかも自衛権は権利であって義務ではないわけです。一体これはどういう理由——そのことについて長官、これはいわゆるあなたがよく言う日本は交戦権はないが自衛権はあるのだ。従って個別的自衛権の発動というこの場合には、一体自衛権はどうやって発動できるのでしょうか。この点についてきのうは時間もございませんでしたから、この点もう一ぺん一つ長官から、あるいはまた長官の御答弁でもしも足らなければ、加藤さんでも補足していただいていいですが、長官から……。私も順を追うて質問しているわけですからね。 〔委員長退席、草野委員長代理着 席〕
○西村国務大臣 私はあなたの言う設例が、前提が少しおかしいと思うのです。言いかえますれば、日本の基地を使って、そうして戦闘作戦行動に出ていくようなことから、報復なり日本の領海内に一種の攻撃が加えられた。われわれといたしましてはそれは戦闘作戦行動に出る場合におきましては、事前協議の対象にしぼっておるのであります。そこでまずその前提というものは私はくずれる、こう思うのでありまして、その設例の前提が、日本の基地を使って直接的に韓国なら韓国を攻撃に行く、こういうふうな前提のもとに報復爆撃があるのではないか、こういうように御誘導というか、なさっておるように思います。そういうふうな設例では日本の安保体制の運用は行なわれ得ない。言いかえれば、日本の基地を使った形においての報復爆撃を受けるような形での在日米軍が日本の基地を使用するということは、安保の精神ではないように思います。なお足りない点は、加藤君の方から……。
○横路委員 これは加藤さんにあとで答弁していただきますが、しかし今の長官の御答弁は、これは説明、答弁になりませんよ。それならば、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約を読まなければならない。この条約はどうなっておるかというと、こうなっておるのですよ。両国が極東において国際の平和及び安全の維持に共通の関心を有することを考慮して、この条約を締結することを決意したのですよ。そうして今度は第六条で——何で一体アメリカの軍隊が日本におるかというと、第六条では、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するためにいるのですよ。日本にいるアメリカの軍隊というものは、もちろん一つには日本の平和と安全、同時に一つには極東の平和と安全に寄与するために施設、区域を提供しておる。そのことを日本は認めた。そうして今度はこの条約第六条の実施に関する交換公文で、「日本国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用は、日本国政府との事前の協議の主題とする。」となっておる。だから今あなたが、韓国が攻撃された、そこで米韓相互防衛条約の発動をした、そこで日本の基地からアメリカ軍隊が出ていく、そんなことはこの条約でないのですよなんということは、この条約締結の趣旨を全然あなたは御存じないということになります。そんな議論はできませんよ。いいですか。そこで事前協議に付するのです。事前協議に付するというときに、当然アメリカ軍隊は日本の平和と安全のためであるが、同時に極東の平和と安全のためにいるのだ。安全のためにいるのだから当然出動するのですよ。そのときに、日本に対して出てよろしゅうございますかと言うでしょう。しかし日本はうまくないと言う場合もあるかもしれないが、全部が全部うまくないとは言えないですよ。言えないでしょう。それをあなたが、いやそういうことは例外のことなんだ、そういうことを例にとって私がだんだん話を進めて聞いておるのは、何かおかしいなんということを言うが、そういうことは日米安保条約なり米韓相互防衛条約なり、さらにアメリカと台湾の国民政府とのいわゆる相互防衛条約なり、米比相互防衛条約をあなたは御存じないということになるじゃありませんか。だから私は一つずつ具体的に例をとって言った。何の理由もなしに、いきなりぽかんとどこかの国から、日本にあるアメリカの軍事基地に攻撃を加える、そんなことは今の国際的な慣習、国際的なそういう今日の外交上の状態からいってないですよ。そういうものが一つずつ積み重なって攻撃を食うわけです。だからあなたが、そういうことはないだろう——そういうことは絶対あってはならない。私たちも絶対あってはならないと思う。しかしそういう順序を追って行なわれた場合に、この第五条で、アメリカの軍事基地に対する攻撃は日本に対する攻撃であるとみなして、日本もその反撃に出る、宣言するのだから……。その場合にどういうことで日本は、個別的自衛権の発動によって、七十六条によって自衛隊が出動すると言えるのかと聞いている。集団的自衛権の発動あるいは相互防衛条約、国連憲章五十一条に基づく集団的自衛権、相互防衛ということが確認されているならば、この第五条で行けますよ。行くなと言ったって、条約で結んだ以上は行くでしょう。しかしそうではないのだから、それならば一体どこで個別的自衛権の発動ができるのかと聞いているのですよ。それを聞いている。私どもはあってはならぬ。あってもらっては困る。しかし現実には条約はそうなっているのだから、その場合に個別的自衛権の発動ができるという理由は一体何ですかと聞いているのですよ。今度はおわかりでございましょう。
○西村国務大臣 設例が非常に具体的過ぎるものですから、具体的によくお話を聞かないと答弁が横道へ入る場合もあると思います。そこで韓国が米韓の安全保障体制に基づいて発動する。その前に第三国の攻撃があった。第三国の攻撃というものは、私はこれは国連憲章に反する不正な攻撃であると思います。何といっても攻撃を加えたのだから。そうするとそれに対して私どもは、もちろんさっき申しましたように、連鎖反応で、韓国に対して攻撃を加え、日本を直接あるいは直接的に戦闘作戦行動の基地に使うことは、おそらく時の政府は拒否するでありましょう。しかしあなたの設例の例外のような場合に、かりに日本の軍事基地が報復的に攻撃を受けた場合においては、もとが第三国の不正攻撃であります。それが拡大されて日本まで来たのでありますから、その根拠に基づいて、いわゆる急迫なり不正の侵害として日本が個別的自衛権を発動する、こういうふうに私は考えております。
○横路委員 長官、どうしてそれが急迫不正な侵害なんですか。しかも私は——待って下さい。あなた具体的にと言うから、私具体的に言ったのですよ。第三国を攻撃した軍艦が日本の領海に入ってきた、退避をしてきた。領海ですよ。領海に入ってきた、港もない領海に。具体的な例です。その場合に、相手の国から攻撃を受けた。一体日本のどこが攻撃された。どこが急迫不正な侵害なんです。それに対して急迫不正な侵害だ、そしてとるべき行動がそれしかない、しかもそれは最小限度だ。とるべき行動はほかにあるじゃないですか。そんなことどうだということで国連に訴える場合もあるだろう。外交交渉でやる場合もあるだろう。そういうことを一切抜きにして、直ちに急迫不正な侵害であって、それ以上とるべき手段がないとして、個別的自衛権を発動することは無理ではございませんか。だからこれは長官、こうでないのですか。これは実際には義務なんです。約束したのだ。だから個別的自衛権という名前をうたってあるけれども、これは安保条約で義務づけられた条項なんです。だからどうしても出なければならぬのだ、こうなれば、それはそういうことも成り立つかもしれない。義務づけられた条項なんですから、だから出なければならないということになる。けれども今私が申し上げたところで、どこが急迫不正な侵害ですか。どこが一体それ以上とるべき手段がないという、そういう手段でしょうかね。長官、どうですか。
○西村国務大臣 私はこの解釈は、はっきり日本に対して現実的に武力攻撃が行なわれる。たとえばあなたの設例の場合におきましては、しかもそれが領海であり、あるいは日本の陸上における基地であります。これは日本の領土が侵されていることであります。だから当然個別的自衛権が発動する。これは日本人としてあたりまえのことではないかと思います。
○横路委員 長官、これはたとえば領空侵犯にしても、領空侵犯があったからといって、これは直ちに外部からの武力攻撃であるとして、それぞれの国が武力反撃に移るというようなことはないのですよ。加藤さん、そうでしょう。国際法的にも、いわゆる領空侵犯があったから、直ちにそれは武力攻撃をするのだなんということは、国際上そういう慣例はないですよ。それをこの第五条では、有無を言わさず個別的自衛権の発動として、武力反撃に移るというところに無理がありますよ。国際的な慣例は、領空侵犯があっても、直ちにそれを武力攻撃で撃ち落とすとかなんとかということはないでしょう。この点は、あなたはそういう意味で専門家ですが、国際的な慣例はそういうことになっていないですよ。その点はどうですか。
○加藤政府委員 これは私が申し上げるまでもなく、横路さんよく御存じだと思いますが、ただ単なる領空侵犯というものは武力攻撃には該当しない。武力攻撃と考える以上は、組織的、計画的な武力による攻撃である。単なる領空侵犯でありますと、これはもう第五条の武力攻撃に該当しないということは、これは毎々申し上げている通りであります。
○横路委員 長官、この第五条は、アメリカの軍事基地に対する攻撃があった場合に、日本の自衛隊の出動というのは義務づけられているのでしょう。(「自衛権」と呼ぶ者あり)いやいや、義務づけられているのでしょう。これは、出ますよと約束したことなんでしょう。これはどうなんですか。そういう義務、約束が全然なくて、ただ個別的自衛権でいくのですか。第五条はやはりその場合には義務、約束をさせられているのである、この点はどうなんですか。
○西村国務大臣 この第五条は、日本の国土が侵される。言いかえれば組織的、計画的に武力による攻撃を加えられたのだ、その場合におきましては、日本は当然のことを当然に宣言したにすぎないと私は解釈しております。
○横路委員 いや、西村さん、それは違うのですよ。それは去年の安全保障条約の中で、これは加藤さんは終始政府委員としておられたから御承知の通り、藤山外務大臣は、日米の安保条約特別委員会で、これは約束したものです、約束したものだから、義務づけられたといえば義務づけられたものです、この点はこう言っているのですよ。今私が皆さんに申し上げていることは、決して間違ったことを言っているのじゃない。これは去年の安保条約の答弁の中にきちっとしているものを私は申し上げている。加藤さん、そうですね。個別的自衛権の発動ではあるが、しかしそれは約束されている、義務づけられているものである、これは藤山外務大臣が明確に御答弁なすっている。この点はどうですか。
○加藤政府委員 私ども安保条約の審議を通じて聞いておりましたことは、この条約によりまして新たな軍事的義務を加重するものではない。今まででも、もし日本に対する武力攻撃があれば、日本は七十六条によって防衛出動をいたします。その武力攻撃があれば日本も防衛出動するのだということをきめたものであるというふうに答弁があったように記憶しております。
○横路委員 実は私ここに去年の安保特別委員会の会議録を持っているのですが、いずれあとで適当な時間もあろうと思いますので、その点はあとで申し上げます。そこでそのときの答弁をきちっと出して私お見せしますが、これは個別的自衛権の発動には無理があるのですよ。そこでこの点は、いわゆる約束したものだ、約束したものだから、それを義務づけられたといえば義務づけられたものだ、こういうふうに解釈してよろしい、そういうふうに言っているのですよ。約束したものです。これは今ここに会議録を持っているのですが、これをここで引っぱっているとちょっと時間がかかりますから、あとで適当なときに、私の言ったことが間違いでないことを、藤山外務大臣の当時の答弁の速記録を読んで私は申し上げたいと思います。 次に私は日米安保条約の第四条の点について一つお伺いをしたいのです。まず私は西村長官にお尋ねしたい点は、「締約国は、この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。」こうなっているわけです。そこでまず条約の実施について日米の安全保障協議委員会のメンバーである西村長官にお尋ねをしたいのですが、これは少し前のことになりますが、三月二十四日に、これは各新聞一斉に出ておりますが、APの東京発として、「ラオス情勢の緊迫化に伴い米軍の移動が注目されているが、富士山ろくで二十世紀フォックス映画のロケに協力していた米海兵隊は二十三日突如撮影を中止して出発した。行く先は明らかにされていないが、いかなる情勢の発展にも備え得るよう沖繩基地に帰任したものと信じられている。」そうしてなお同じく二十五日の新聞には「大平官房長官は二十四日夜の記者会見で、富士演習場で演習中の米海兵隊が突如移動を開始したことに対し「まだ海兵隊移動の事実関係については報告を受けてはいない。もし移動した海兵隊がどこかで何らかの武力行動に参加するのであれば、新安保条約に定められた事前協議の対象となるが、単に沖繩の基地に引き揚げたのならばその必要はない」」こうなっているわけです。そこで丸山調達庁長官にお尋ねしたいのですが、このアメリカの海兵隊は一体いつやってきたのか。いつあなたに対して演習をしますよという通告があったのか。
○丸山政府委員 三月の富士演習場の米軍のスケジュールは二月に通告がございました。
○横路委員 二月何日。
○丸山政府委員 二月の二十三日でございます。
○横路委員 二月二十三日にどういう通知があったのですか。
○丸山政府委員 三月の予定としまして四日から二十七日までの演習通告がございました。
○横路委員 兵力は。
○丸山政府委員 兵力は二手に分かれておりまして、千五百名の部隊と千四百名の部隊でございます。
○横路委員 これはどこの港に入ったのですか。
○丸山政府委員 これは沼津の上陸演習場より入っております。
○横路委員 これは防衛庁長官、西村さん、あなたはこの海兵隊の沼津上陸については別に報告を受けていませんね。
○西村国務大臣 個々の具体的なものにつきましては、私は一々目を通す場合もありますが、しかしこれらのことにつきましては事後に調達庁長官からも報告を受けております。
○横路委員 この点は長官、あれでしょう、日本国内におけるアメリカの軍事基地を利用して日本に入港してくるアメリカのいわゆる軍用船、軍艦によって運ばれてくる兵隊については、地位協定で日本政府に対しては通告の義務はなかったですね。その点はどうですか。
○西村国務大臣 港等に入る場合におきましては通告を受けております。ただ私は、御存じの通りの立場でありますから、一々個々の具体的なものに目を通す場合もあるということを先ほど申し上げたのであります。
○横路委員 違いますよ。これは長官、そうではないのです。その点が非常に問題なんですよ。日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定、このうちの第五条の第二項で、通知をする義務がないのです。日本は通知を受ける権利がないのですよ。これははっきりしているのです。防衛参事官、あなたはそういう間違ったことを教えて長官を補佐してだめですよ。地位協定の第五条の第二項で、アメリカは通知する義務がない。日本は通知を受ける権利がないということをあなたが答弁しなさい。長官、これはやはり違うのですよ。
○丸山政府委員 施設、区域の関係でございますから私から申し上げます。一般的には米軍の兵力が日本の基地に入るには通知の義務はございません。
○横路委員 防衛庁の長官、これはそうなっているのです。地位協定の第五条の二項で通知をする義務がないのです。通知を受ける権利がないのです。ここが問題なんです。 次に丸山さんにお尋ねをするが、新聞によると在日米軍司令官からあなたの方に二月二十三日に、三月の予定として三月四日から二十七日まで兵力は二手に分かれて、千五百と千四百が沼津から上陸をして富士山ろくで演習をする。これは帰るときは何か通知がございましたか、帰りますよという。
○丸山政府委員 通知はございません。
○横路委員 長官、今丸山調達庁長官が言われたように、帰るときは全然通知がない。全然通知がないのですよ。これがこの地位協定の非常に重大な問題点なんです。全然通知がない。勝手に来て勝手に帰っていくのだ。しかも日本の港から出ていくのだ。全然日本政府に知らせがないわけです。これが地位協定の非常に不平等な点なんです。そこで私は長官にお尋ねをしたいのですが、全然何も断わりなしに勝手に使って、勝手に使ったのですからせめて使ったあとくらい、ありがとうございました、これから帰っていきます、普通ならそう言いますよ。それを使っておいて帰るときはさっさと帰っていく。何も通知がない。ところが私があなたにお尋ねしたいのは、三月三十一日にワシントンのボールドウィンという有名な軍事評論の記者ですが、ニューヨーク・タイムスの特約としてこういうふうに書いていますね。「米国防総省の観測筋では、二十九日に終わった東南アジア条約機構理事会で承認された柔軟な妥協的決議を初め、ラオスでの戦闘のテンポがゆるくなっていること、ラオスの停戦と中立化への英提案に対するソ連の反応がはっきりしないこと、ラオスでモンスーンの時期が近づいていることなどすべてが結びついて、SEATOまたは米国による軍事干渉を可能性の少ないものとしていると見ている。それにもかかわらず太平洋での米軍の予防のための軍事行動は今日も続いている。空母キアサージ号は、バンコク沖のシャム湾付近に集結中とみられる第七艦隊に合流しようとしている。C・D・グリフィン中将の率いる第七艦隊には攻撃空母三隻(ミッドウエー、コーラルシー、レキシントン)、対潜空母ベニントン、海兵隊ヘリコプター空母セーティスベィのほか巡洋艦二隻、駆逐艦多数、潜水艦数隻と海兵隊員一個大隊約千六百人から成る水陸両用部隊などを含んでいる。第七艦隊の兵員は約六万である。東南アジア地域における海軍兵力の集結に加え、航空機と海兵隊が西太平洋の前進基地に移動し、タイにおける補給の集積が続けられている。沖繩に司令部を置く第三海兵師団を率いるドナルド・M・ウェラー少将は海兵隊の空陸機動部隊を指揮し、第七艦隊の艦上かタイにいるとみられている。」こういう記事です。これはまさにラオスの戦況、戦闘が非常に重大化して、アメリカとしては重大な決意のもとに第七艦隊を逐次タイの付近に集結をしている、こういう記事なんです。そのために富士にいるところのこれらの海兵隊が引き揚げたのですが、こういう状態は極東の地域における安全が阻害されるという重大な問題です。そうすれば、あなたの方としては当然これは安保条約の第四条に基づいて、日米の安全保障協議委員会によって協議しなければならない。 〔草野委員長代理退席、委員長着席〕 ところがこの間から私は本委員会において石橋委員その他に対するあなたの説明を聞いていると、日米の安全保障協議委員会は去年の七月でしたか九月でしたか、たった一回開かれたきり、その後開かれていない。明らかにこのラオスの情勢に基づいて、ラオスの戦闘状態は一体どうなっているのか。その点について極東の地域にどういうような脅威を来たすのかということを、あなたは当然この新安保条約第四条に基づいて、しかも日米安全保障協議委員会設置に関するこの往復文書に基づいて、日米安全保障協議委員会の開会を要求をして、情勢を聞かなければならぬのに、あなたはやってないじゃないですか。私はこの間うしろで聞いておって、あなたは去年の七月か九月にたった一回開かれた。なるほどそのときはあなたではないから、あなたの責任はないかもしれないが、このラオスの情勢がこういうように急変したという状態においては、当然第四条をたてにとって日米安全保障協議委員会をあなたは開かなければならない、要求しなければならぬ。あなたは間違っているのじゃないですか。こちらが要求すれば直ちに開けるものを、あなたはあのとき間違って答弁をしてあとで訂正した。お互いの協議が整わなければ開けないというふうにあなたは答弁して、あとで間違って訂正した。私はうしろで、これは重大だと思って聞いておった。長官、第四条に基づいてなぜやらなかったのですか。第四条に基づいて日米安全保障協議委員会をなぜ開いてやらないのです。当然条約に基づいてやらなければならぬじゃないですか。私は怠慢だと思う。どうしてやらなかったのですか。長官の御答弁を願います。
○西村国務大臣 もちろんわれわれは必要に応じてはこれは開きます。また先般お答えいたしましたように、新しい大使が着任されまして信任状でも奉呈された後落ちつかれますれば、外務大臣と寄り寄り協議中でありますが、安全保障協議委員会等も持とうという心組みでございます。しかしわれわれのいわゆるトップ・クラスの安全保障協議委員会は、これはあくまでも基本的な問題を扱う委員会であります。従ってわれわれは日本の必要な事柄あるいは常時の必要な事柄におきましては、それぞれの補佐の系統、言いかえれば各幕僚あるいはその他の線におきまして随時協議をさせておるのであります。それで一向支障はないというふうに存じております。
○横路委員 いやいや長官、それは違いますよ。去年の安保条約で岸総理が与党の代表である愛知委員に対して、極東の地域について統一解釈をした二月二十六日の会議録を私はここに持っておりますからこれを読みますが、このラオス情勢というものは、なるほど今日はイギリスのあっせんもあり、ソ連も平和的に解釈しようとして、そういう状態では進んでおるけれども、先ほど申し上げましたこの三月の二十三日に突如海兵隊が引き揚げていった。そしてアメリカは異常な決意でラオスに対してやっておる。これはあなたも御承知だ。軍事顧問団三百名をいよいよ軍服を着せて指導しておるじゃありませんか。しかもラオス情勢についてはイギリスが非常に心配をして、積極的にソ連に対してこの停戦協定に応じてもらうようにやっておるじゃないですか。なぜこういう状態でせっかくある安保条約第四条におけるところの安全保障協議委員会を開かないのですか。あなたは全然第四条のこれに該当しないとお思いですか。
○西村国務大臣 私どもはこの条約の実施に関し随時協議し——もちろん私どもがトップでやる場合もありましょうし、また随時協議の形態は、その準備行動として平素緊密な連絡をとる形態もとるのであります。と同時に日本の安全または極東における国際の平和及び安全に対する脅威——私は今ラオスに対するアメリカの国防政策というか、外交政策の裏打ち、抑制力として艦隊が動いたことは、なるほど新聞報道等で知っております。これが直ちに今日本の安全云々というふうに私が認めてそれを求める、これは私どもの上に立つ指揮官である総理大臣の判断であります。私どもはそういう必要はない。いわんや海兵隊の千五百や二千の演習というもの——海兵隊の性格は非常に機動力で動く部隊であります。それだけに演習はかなり機動的に動く。私どもはあの富士のあれもラオス関係で動いたとは必ずしも解釈しないのであります。それは演習内容の一つでもあり得る場合があるのであります。海兵隊の動きは御承知の通りあの機動的な性格ですから、沼津から上がりますのでも、沼津という特別な港があるのではなくて、ああいう形で沼津の地域を使って上がっては参っておりますが、しかしわれわれはあくまでも条文の趣旨を生かして、安全または極東における国際の平和云々という脅威が生じたときというふうに今のところ判定しないから、あえてそれを理由に安全保障協議委員会を設けるということはやっていないのであります。
○横路委員 それはこういう極東の地域に対する情勢の変化について、向こうは要求しないかもしれません。しかしあなたの方では当然日米安全保障協議委員会を開いて、しかも富士山ろくで約三千二、三百の兵が使用して、突如それが帰っていった。しかもだれが考えてもラオスの情勢というものは、全世界あげてラオスの戦闘状態はどう終結するのか、だからアメリカはあれだけの決意をして、その後キューバ問題が起きたが、あのときはラオスについてあれだけの決意をして、第七艦隊を集結して、イギリスはそのために急いでソ連に対してああいう申し入れをしておるではありませんか。あなたがそういうことについて、それは総理大臣がやるであろうなんと言うのはとんでもないことです。ちょっと私、読んでみますよ。これは昨年の二月二十六日に日米安全保障特別委員会で極東の範囲が問題になりましたときに、岸総理が極東の範囲に対する統一解釈をなすったときに、与党を代表して愛知委員からこういう御質問をしております。愛知委員の質問を読んでみます。「それから、たとえば極東という概念は、この四条について申しますると、今のお話ではっきりして参ったわけでありますが、同時に、この極東の周辺で、たとえばベトナム——地理的には南ということになりましょうが、ベトナムというようなところは、この条約で言う極東という概念に入らないといたしましても、そういったところは極東の周辺地区でありますから、そういうところにおける事態が極東における国際の平和及び安全を脅かす場合は、この第四条におきましては、いわゆる協議の対象になる、こういうことであると思うのでございますが、いかがでございましょう。」そこで岸総理は、「極東の平和と安全が脅かされるということは、直接に極東の地域内に何らか起こるという場合もございましょうし、あるいは、極東の地域ではないが、その周辺において発生した事態が、ひいて極東の安全と平和に影響を及ぼすという場合もあろうと思います。従って、そういう意味において、四条の協議の対象になることは当然でございます。」こう言っているのですよ。しかも西村長官、あのときは、この極東の地域はどうかということで問題になったときに、これはこういうようになっているのです。その前段として岸総理から、「この条約全体を通じて、われわれがこれを維持し、守っていく、他から不当な侵略行為があれば、やむを得ず実力を行使してこれを排除するというような点におきまして、両国が共通の関心を持つという地域は、今お話しになりましたように、自由主義の立場をとっておる国々の支配しておる領域というものがその主眼になるわけでございまして、共産圏において実力をもってこれが平和と安全を維持しておられる地域というものは、われわれの共通の関心を持っておる地域には入らないというのが適当であろうと思います。」ですから、ラオスに起きた状態は、その周辺の極東の地域に脅威を生ずるというような場合においては、第四条において協議の対象になる、こういうように明らかになっているのですよ。今度新しいアメリカの大使が来たら、一ぺん日米の安全保障協議委員会を開いてやりましょう。そんな儀礼的なものじゃないのですよ。明らかにこれは第四条の協議の問題で、去年はこの事前協議の場合に、第六条のほかに第四条が一体入るのか入らないのかということで、この特別委員会で非常に議論になったあとに、わざわざ岸総理がこういう確定解釈をして、岸首相が文章を書いて渡して、長官、今ここに私持っているのですよ。これを全部委員に配付して、わざわざ愛知委員と岸総理の間で話をつけて、そして第四条は、この極東の周辺の地区に起きた事態が極東の地域に脅威を与える場合に関しては、この第四条の協議の対象になりますか、なります、こういうことでこの国会は答弁は終わっているのです。これは与党と政府ときちっと打ち合わせてやったことなんだ。これだけ世界があげてラオスの状態について非常に心配している。しかもこの富士山ろくの沖繩海兵隊が何にもものも言わないで帰っていった、こういう状態で日米の安全保障協議委員会を開かないということは、明らかに怠慢ですよ。加藤さん、どう思いますか。官房長、どうですか。怠慢という言葉が強ければ——あなたは当然長官を補佐して日米の安全保障協議委員会を開くように要求するのが、あなたの補佐する立場ではありませんか。それならば何で安保条約でこういう日米の安全保障協議委員会なんか作ったのですか。そうじゃないですか。ちょっと言葉がきついかもしれませんが……。
○西村国務大臣 基本の問題でありますから、私からお答え申し上げます。安全保障協議委員会のメンバーは、防衛庁長官だけではないのでありまして、外務大臣もこの一員であることは、私から申し上げるまでもないのであります。従って日本政府として、言いかえますれば日本政府の代表として、これは協議を要請するわけであります。一防衛庁長官の判断だけではない。政府全体としてこの条文の安全に対する脅威とか云々とか必要があればという趣旨で、私どもはこれを開くか開かぬかを判断するわけでありますが、あの場合におきましては、われわれとしては、単に防衛庁長官だけではなく、外務大臣の立場においてもそういう判断を下して、あえて要請をしなかったのであります。
○横路委員 そうすると長官、なるほどキューバの問題は、日本と地理的な関係において、あなたは遠くの問題として考えておられるでしょう。しかしラオスの問題は、この安保条約において極東の範囲とはどこなんだ、こういうことについて議論をしたが、これは非常に問題なんです。なぜならば、この安保条約の中心の課題です。その場合に当時岸総理は困り果てて、そうして極東とはどこなんだ、それはフィリピン以北、北海道の周辺だ、こういう答弁の中で、最後に確定解釈をしたわけです。長官、あなたはただ何でも条約のことだから外務大臣だろう、外務大臣だろうと言っても、あなたは防衛庁の長官なんだから、当然あなたから外務大臣に、この点については日米の安全保障協議委員会でやらなければならぬと言わなければならない。これはどうしてかというと、私はこういう点で申し上げているのですよ。そこでこの「新安全保障条約にいう「極東」の観念」というのを読んでみますと、「新条約の条約区域は、「日本国の施政の下にある領域」と明確に定められている。他方同条約は、「極東における国際の平和及び安全」ということもいっている。一般的な用語としてつかわれる「極東」は、別に地理学上正確に画定されたものではない。しかし、日米両国が、条約にいうとおり、共通の関心をもっているのは、極東における国際の平和及び安全の維持ということである。この意味で実際問題として両国共通の関心の的となる極東の区域は、この条約に関する限り、在日米軍が日本の施設及び区域を使用して武力攻撃に対する防衛に寄与しうる区域である。かかる区域は、大体において、フィリピン以北並びに日本及びその周辺の地域であって、韓国及び中華民国の支配下にある地域もこれに含まれている。」その次なんです。「新条約の基本的な考え方は、右のとおりであるが、この区域に対して武力攻撃が行なわれ、あるいは、この区域の安全周辺地域に起こった事態のため脅威されるような場合、米国がこれに対処するため執ることのある行動の範囲は、その攻撃又は脅威の性質いかんにかかるのであって、必ずしも前記の区域に局限されるわけではない。」ですからこの意味は、ラオスも南ベトナムも入るということなんですよ。 そこでこういう解釈をする前提として先ほど私から申し上げたように——もう一ぺん言いますよ。西村さん、今は平穏な状態ですから、お互いにこれは笑って済ませますけれども、特にあなたは日米の安全保障協議委員会の四人のうちのお一人ですから、日本側の二人のうちのお一人ですから、私はもう一ぺんこの点を言います。これは愛知委員ですよ。この条約でいう極東という概念に入らないとしても、そういうところは極東の周辺地区でありますと言って、たとえば南ベトナムをあげておりますが、そういうところにおける事態が極東における国際の平和及び安全を脅かす場合は、この四条におきましてはいわゆる協議の対象になる、こういうことであると思うのですが、いかがですか。その通りです、と言っている。西村さん、あなたは新しいアメリカの大使が来たから、まあこれからやりましょうということではないですよ。これは明らかに、あなたはこの条約について、この間聞いていてちょっと誤解されているのではないかと思った。それは協議が整わなければ、日米の安全保障協議委員会は開けないというふうにあなたは一ぺん答弁をして、そうして防衛庁参事官から紙が出て、ああ違いましたというわけで、私はうしろで見ておった。これは一方的に要求したら、向こうは開かなければならない。あなたはラオスの状態について、なるほど今はイギリスが仲介的なあっせんの労をとって、そうして事態をおさめようと努力しているから、おそらく心配はないだろうと思うが、富士に来ている沖繩海兵隊が、突如帰ってラオスがああいう状態になった。第七艦隊は集結していった。そういう状態で日米の安全保障協議委員会の開会要求をして、どうなっているのだ、こういうことについてお聞きになることは、この第四条をあなたが防衛庁長官として正しく理解をして、正しく運用されて、日本の平和と安全、極東の平和と安全に寄与するという、これは当然おやりになることではありませんか。加藤さん、あなたはどうですか。その点は長官なら長官でいいですよ。
○西村国務大臣 基本の問題でございますから、私からはっきり私の態度を申し上げておきます。安全保障協議委員会というものはトップの会合でございます。従って事柄が重大であれば、もちろんいつでも要請いたしてやる覚悟は持っております。ただ問題は、防衛庁長官でやるのでなくて、外務大臣も同様に日本国を代表したトップのメンバーとしてやるわけであります。従ってこの条文からは、日本の安全あるいは極東の脅威というものに対して、特に日本の安全に非常に影響するとか、そういうような趣旨を判断するのが、われわれのあるいは外務大臣の立場であります。それらを判断して、われわれはこの条文を発動してやる段階でないと思うから、そのために協議委員会の要請はいたしてないのであります。私はそれでよいという判断、また外務大臣も同じような判断のもとに動いておるのであります。ただ大事なこういうような段階に対しましては、もちろんわれわれの方、また外務省におきましても、必要な程度におきましては、不断に情報交換なりあるいは意思の疎通を求めている、それで私は十分であると考えております。
○横路委員 そうするとあなたは、あの三月の終わりから四月の初めにかけて、ああいう緊迫したラオスの情勢、もしもラオスにおいて戦闘行動が拡大をしてくるということになった場合に、極東の平和と安全が維持される、極東の地域には何ら脅威を与えない、こういう態度で済みますか。あなたはラオスの情勢については、全然自分たちのらち外のことである、この安保条約とは全然無関係だ、こういうようにお考えになっているのですか。それともラオスの情勢について、平和的に解決されることが望ましいと思っているのですか。あれはよそのことだから、おれたちの知ったことでない。防衛庁の長官としては知ったことでない、こういうのですか。それとも、もしもあなたが今何か機関を通じて、アメリカ側と情報の交換をやっているというならば、それはどういう機関でやっているのですか。そうしていっそういう情報の交換をやったのですか。具体的に一つ答弁をいただきたい。
○西村国務大臣 私、もちろん国務大臣でありますと同時に防衛庁長官でありますから、単に防衛庁長官の立場だけでありません。閣議におきまして、あるいはその他において、国務大臣としての立場からも判断をいたします。従って国務大臣の範囲においては国際情勢の判断も、それは当然いたすべきであります。そこで私といたしましては、あの段階においてラオスの情勢は、日本の安全と極東の脅威、特に日本の安全に影響が強い、こういうふうに私どもはまだ判定する段階ではない、そのうちに、御存じの通りむしろ平和解決という線が強くなってきております。従って私どもは、この条約と交換公文に基づいて、あえて安全保障協議委員会までは持たぬでもいいのではないか。ただわれわれにはわれわれの補佐官があるわけであります。この補佐官が、あるいは国防の観点、言いかえますれば軍事と申しますか、そういう面から情報というものをもらい、また聞くということは、これは当然職責の範囲内であります。外務省は外務省におきまして、やはり大使もおります。あるいは大使の下の公使その他の者がおるわけでありまして、それぞれ情勢判断は持っております。
○横路委員 今の防衛庁長官の答弁は、われわれふに落ちないのです。ラオスの情勢は、日本の平和と安全には関係はない、だから日米の安全保障協議委員会を要求する意思はなかった。私どもが言っているのは、先ほどから何べんも言っておるように、この日米の安保条約は、明らかに日本の平和と安全、しかも極東の平和と安全のために、この第六条でアメリカ軍に対して施設、区域を提供して、そうしてこの交換公文で日本の施設、区域を利用しての戦闘作戦行動が事前協議の対象になって、この安保条約の運用いかんというのがどうなるのかということは、非常に問題なんです。だからラオスでああいう情勢が出てくれば、一体この安保条約の運用はどうなってくるのかということは、国民ひとしく心配をしている。当然われわれ国会議員としては、去年も安保であれだけ審議をして、しかも第六条からする交換公文の極東の範囲、極東の平和と安全に伴って、一体日本の施設を利用しての戦闘作戦行動はどういう事前協議になるのか、一体どういう同意を得なければならないのかどうか。そこであなたの方は、第四条で日米の安全保障協議委員会が開かれるから大丈夫です、こういう話があった。委員長、先ほどから長官はこう言っております。何も日米安全保障協議委員会は、私ばかりじゃない、外務大臣もそのメンバーの一人だ。私もそう思う。そこでおそらく西村長官のおっしゃりたいところは、国際的なことというか、条約の運用というか、そういうラオスの情勢その他については、自分よりも外務大臣の方が、おそらく情報その他もとっておるだろう、こういう意味にしか私は解せない。だから一つこの際、委員長にぜひお願いをしたい。それはこのラオスの問題というのは、何もこのラオスだけに限った問題じゃない。この安保条約第四条の運用に関しての日米安全保障協議委員会がどういう運用をされるかということなんです。わざわざこの往復文書の中で、このことをやっておるのじゃないですか。ですから、委員長に一つお願いをしたいのは、今すぐといっても、どこかへ帰っているでしょうから、明日劈頭ぜひ外務大臣を呼んでいただいて、この日米安保条約の第四条、特にラオスの問題について、なぜ日米の安全保障協議委員会を開かなかったのか。今長官に言わせると、おそらく外務大臣の方では、外務省の機関を通じて情報もとっておるだろうということです。ですからぜひその点について、一つ委員長にお願いをしたい。そうでなければ、この安全保障協議委員会を去年の七月か九月に開いたままてんとして開かない、新しい大使が来てからやるなんというようなことは、この条約の精神にのっとって、そんなことはできないですよ。だから、この点は委員長、ぜひ一つお願いしたい。これはぜひやってもらわなければならない。これは大事な点ですよ。
○久野委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○久野委員長 速記を始めて。ただいま横路君の御要望の件については、後刻理事会を開いて協議をいたしたいと存じます。
○横路委員 私は理事ではございませんから、理事会に出て意見を述べるわけには参りませんが、特に私は委員長にお願いしておきたいのは、これは日米の安全保障協議委員会、特にこれはあとで石橋委員からお話ししてもらった方がいいのですが、日米の安保条約改定に際して、岸総理が初めてアメリカに行かれて帰ってきたときのおみやげとして、たしか日米の安全保障委員会ですか、ちょっと名称が違うかもしれませんが、それを作ったというのがお手柄になっている。そしてそれが今度は第四条に基づいて日米の安全保障協議委員会になっているわけです。しかも第四条は常時協議をすることになっておる。しかもこれは一方的に日本が開会要求をし、アメリカが開会要求をすれば、それは当然応じなければならないことになっている。ですからそういう意味で私は防衛庁の長官、あなたお聞きのようにずいぶんこれで時間をかけてお尋ねをしているのですが、なかなかおっしゃらないわけです。ですからそういう意味で私は池田内閣は、ラオスの情勢についてはどうなっても知らぬのだ、あまり心配はないんだ、こういうことは日米の安全保障条約からいって、また極東の平和について非常にわれわれは心配をしていればこそ、この日米の安保条約について政府並びに与党は一生懸命になってこの改定をされた。外務大臣でなければわからぬというのであれば、ほんとうからいえば私はここにすぐ呼んできてもらいたい、官邸におられるのでしょうから。官邸におられなければ自宅におられるのでしょうから。ですからそういう意味でぜひ一つお呼びいただきたい。これはぜひ私はお願いをしたい。私は理事でございませんから……。 長官にお尋ねをしますが、先ほど長官は、自分は日米の安全保障協議委員会の開会要求はしなかった、これはなぜか。何かあなたの方の機関を通じて、ラオスについてはアメリカ側から逐一情報を受けているという、そういうお話がございましたから、あなたの方のどういう機関がアメリカのどの機関から一体情報をお受けになっているのか、その点一つ具体的にお話をしていただきたい。あなた御答弁していただいて、足らなければどなたでもけっこうです。防衛局長でもいいですよ。なければないでもいいですよ。
○海原政府委員 一般的に米軍との間の情報の交換につきましては、それぞれの機関を通じて行なっております。一例を申し上げますと、統合幕僚会議事務局でございますが、これはやはり在日米軍の司令部との間に連絡がございます。それから陸上自衛隊の幕僚監部におきましても、やはりあちらの陸軍司令部の方の情報関係と連絡がございます。そういうものを総合いたしまして、私の手元で取りまとめました情報というものは、逐一長官の手元に出してございます。これは重要なものにつきましてはそのつど、あるいは一週間ごとに取りまとめて御報告をいたしております。こういうことになっております。
○横路委員 それでは防衛局長、あなたの方から取りまとめて防衛庁長官に報告したアメリカ側から受けたラオスの情勢というのはどういうのですか。どういう点について報告なさったのですか。
○海原政府委員 御質問でございますが、ただいまこの席で先方から聞いております情報というものを、逐一申し上げることはいかがかと思われますので、遠慮させていただきたいと思います。
○石橋(政)委員 ちょっと関連して質問させていただきたいと思います。新しい安保条約に基づいて作られておる安全保障協議委員会というのは、一つは新安保条約の六条に基づく交換公文、これで規定された事前協議をするという任務を一つ持っている。もう一つは旧安保条約当時設けられておったいわゆる日米安保委員会、厳密に言いますと安全保障に関する日米委員会というものの仕事をそのまま引き継ぐという確認が行なわれておることは、御承知の通りだと思います。ところがこの旧安保条約に基づくいわゆる安保委員会はしょっちゅう開かれておった。防衛庁長官と外務大臣と太平洋軍司令官とアメリカ駐日大使とこの四者はしょっちゅう寄って、いろいろな意見の交換、情報の交換を行なっておるのです。ところが新安保条約に引き継がれて、新しい安保協議委員会に移管されてからは、全然そういうのが持たれておらない。防衛局長は、今その下のクラスで行なわれておりますなんと得々と言っておりますが、そんなことは前も行なわれておったのです。なぜ新安保条約の段階になってから、その下のランクだけで行なわれて、ハイ・クラスの協議委員会は持たれないか、この疑問が出てくるのは当然ではありませんか。なぜなんですか。ちょっと参考までに申し上げましょうか。この安保委員会というのは、言うまでもなく岸さんがアメリカに行って、岸・アイク共同声明を発表した。その中で確認されてできたのです。できて以来何回も会合を持たれております。その中で今ラオスの問題が出ましたけれども、そんなに緊迫したラオスの問題ほどのことでない場合でも、いろいろな情報の交換、意見の交換が行なわれております。 一、二例を引きますと、昭和三十二年の九月四日に行なわれた第二回の会合、この場合にはスタンプ大将が主として極東の一般軍事情勢に関し、特に日本の防衛と関連せしめつつ概説を行ない、引き続きこれについての意見交換が行なわれた。いいですか。まだありますよ。第四回、これは三十二年の十二月十九日に開かれております。委員会は国際情勢の現状、特に最近の科学の進歩並びにその分野における自由諸国の潜在力を検討し、さらに科学の発達の影響並びにこれに処する自由諸国の政策につき討議した。まだそのほかあとの方に、次いで委員会は極東の軍事情勢に関して討議した。しょっちゅうやっております。しかも当時は安保委員会が行なわれたら、そのあとにおいてわざわざ共同発表をやっておる。日本側は外務省の情報文化局が責任をもって発表いたしております。こういうふうに見ていくと、新しい安保条約は自主性を確保したのだ、旧安保条約よりも自主性は確保されたのだ、こうおっしゃるけれども、この協議会の運営一つ見ても一体自主性が確保されたのか、改善されたのか、疑問を持たざるを得ないじゃありませんか。ラオス情勢であれほど緊迫した事態においてすら、協議委員会は開かれない。かつての安保委員会の当時には、それよりもっと急迫してないような事態の場合でも、しょっちゅう寄ってあなた方、防衛庁長官や外務大臣は意見の交換、情報交換を行なっておった。ここに問題が一つある。もう一つは、当時はそんなに掘り下げたものではないけれども、共同発表という形でわれわれの前に、国民の前にこういうことをやりましたという発表を行なっておった。それも新しい安保協議委員会ではやっておりません。一体これでも改善された、自主性は確保されたと長官は主張されるのでございましょうか。お伺いいたします。
○西村国務大臣 前回の九月八日における安全保障委員会、正式の場合は安全保障協議委員会でありますが、この内容につきましては、当時新聞発表をいたしております。それから御存じの通り、この交換公文をごらんいただきましても、もちろん安全保障協議委員会を開くこともよろしいし、日米間においては、その他適当な諸経路において随時協議をするというような表現もございまして、われわれはトップの話し合いもよし、また適当な諸経路においての話し合いもよいということにこの協議委員会というものを解釈し、交換公文の趣旨にのっとって考えておるわけであります。
○石橋(政)委員 そういった諸経路によっての話し合いというのは前も行なわれておったのですよ。その上のクラスに日米安保委員会というのがあったのです。それで、それがそのまま日米協議委員会に移行しているわけなんです。だからここで私たちが比較して論議しなければならないのは、旧安保条約のもとにおけるいわゆる安保委員会と、新安保条約のもとにおける協議委員会なんですよ。この二つの運営の方法というものを私、今比べて申し上げているわけです。当時は大してそう緊迫したような情勢がなくとも意見の交換、情報の交換が行なわれたじゃありませんか。新しい委員会においては、ラオスにおいてあれほど緊迫したときにおいてすら、あなたのハイ・クラスにおける情報交換、意見の交換は行なわれておらないじゃありませんか。軽く扱われるようになっておりませんかということを申し上げているのです。それからもう一つは、新聞で発表したとおっしゃいましたが、安保委員会当時は、わざわざ外務省が責任を持って、日米共同発表を行なっているのですよ。これすら今度はやめてしまっている。少しも改善の跡は見えないじゃありませんか。全くこれでは百歩後退したと言われてもやむを得ないのじゃないですかと申し上げているわけなんです。
○西村国務大臣 私どもはもちろん事態が、必要がありますればこれは開きます。要請いたしまして開きます。私ども先般来の状況においては、何も安全保障協議委員会そのものを要請しないでも、その他の諸経路で随時あるいは必要に応じ、緊密な連絡を取り合っておるわけであります。この趣旨から、私どもはあえてあの際には安全保障協議委員会を要請しないのであります。しかもこれは単に私だけの意見ではなくして、外務大臣ともよく連絡はとっておるのですから、何ら……。
○横路委員 今西村長官は、外務大臣とも相談をして、そうして日米の安全保障協議委員会を開かないことにした。先ほどそうではないじゃありませんか。先ほどはそうではなしにあなたは、外務大臣、そちらの方の情報は外務大臣、自分としては必要がないと思って、別にこれは日本の平和と安全には関係がないと思ってやらなかった。あなたは今、外務大臣と相談をして開かないことにしたと、こういうことを言う。それでは委員長、私はこれはあしたまで待って質問しようと思ったが、それではだめですよ。今呼んで下さいよ。今呼ばなければ、一体第四条に基づいて当然日米の安全保障協議委員会——こういうラオスの情勢は、なるほど極東の地域ではないかもしれない。しかし極東の地域に重大な脅威を及ぼす周辺の地域に起きた場合においては、当然これは第四条でやることになっている。イギリスが必死になってソ連を説得してラオスを平和の状態におさめよう。これはインドにおいてもしかりなんである。その場合に日本は、日本の平和と安全には関係がないから、こういうことで、この安保条約のいわゆる日本の平和と安全、極東の平和と安全、そうして第六条、それに伴うところの第六条の交換公文、さらに今石橋委員からお話がございましたところの日米の安全保障条約について合意された議事録、こういう重大な問題があるのに、今言ったように外務大臣と相談してやらぬことにしたという。違うじゃないですか。それでは今呼んでもらわなければだめですよ。今呼んで下さいよ。
○久野委員長 先ほど申し上げた通り処置いたします。 防衛庁長官から再答弁の申し出があります。防衛庁長官。
○西村国務大臣 私が申しておりますことについていろいろ論議をされるようでありますが、私の趣旨は、この四条の安全保障協議委員会、言いかえれば随時協議、または安全保障協議委員会を一方が要請すればやり得る、これは当然この条文通りでございます。ただその前提は、日本の安全または極東の脅威ということであります。そこでその極東の脅威であるとか、特に日本が要請する場合には、日本の安全にこれが影響するかどうかの判断がまず前提に立つわけであります。そこでその判断は、われわれはわれわれなりに判断をいたします。外務大臣は外務大臣なりに判断をいたします。言いかえますればそれはメンバーであります。しかもそれは日本国を代表しての日本側のトップの会合でございます。そこで判断をする場合におきまして、われわれは閣議において、特に防衛関係の大臣と外務大臣とは関係がその意味では深いのでありますから、相当ひんぱんにわれわれは閣議あるいは閣議以外におきましても連絡を取り合って、その間においてそういう結果、私の方としても、これは私も要請する必要がない。おそらく外務大臣の方も要請する必要がないと思ったからその話がない。そこでわれわれの意思というものは、当然もうぴったり同じ意思であるわけです。言いかえれば、政府は一体としてやったことである。それを称して相談ということは、ですから常時行なわれております。私と外務大臣の間にも、もうこれは常時行なわれておるわけであります。意思の統一は、その点を称して私は相談と申し上げているのであります。
○横路委員 委員長、今の西村長官の答弁は、前の答弁とは違うのですよ。それはどうしてかというと、西村長官は、先ほどは外務大臣と相談をしてというか、協議をしてというか、意見の一致を見てというか、自分としては日米の安全保障協議委員会の開会を要求しなかったのだ。ところが今長官は、この第四条については、日本の安全と保障について影響があるような場合に要求するのであって、ラオスの問題は極東の平和と安全だ。だからそういう意味では、日本の平和と安全には関係がないから、そういう意味では自分の意思と外務大臣とは通じているというのです、意見の一致を見た。相談をした、協議をしたということと意見の一致を見たということは違うでしょう。意見の一致じゃない。意思がそこでもって通ぜられるようになっていたということは違いますよ。 それからもう一つ、西村長官は重大なあやまちを犯している。なぜ犯しているかといえば、この日米安保条約については、長官御存じのように自由民主党としては河野一郎氏を中心にして、約一年間にわたって党内でこの安保条約について議論をしたときに、河野一郎氏を中心にする諸君は何と言った。この安保条約は日本の平和と安全だけに限るべきである、極東の平和と安全は削除すべきである、これが自民党の党内において、河野一郎氏を中心とした春秋会といわれる諸君が、党内で猛烈な修正運動をやったじゃありませんか。ところがそれについて最後はどうなったのです。その点がとうとう日本の平和と安全だけではなくて、極東の平和と安全が入れられて、そうしてそれが事前協議、第六条で日本の施設を利用しての戦闘作戦行動になって、そのためにこの日本は極東地域におけるその脅威によってあるいは紛争状態によって、日本はその戦争に巻き込まれるのではないか、こういう心配がこの条約全文を通してあることは、自民党の党内であったればこそ反対運動が強かったのじゃないか。それを今第四条について、日米の安全保障協議委員会は日本の平和と安全と関係のあるときだけ開くので、極東の平和と安全に関係がないから開かないのだということは、この日米安全保障協議委員会を開く上からいって、それは重大なあやまちを犯していますよ。それまで外務大臣と意思を通じてあるのですか。ますます重大ですよ。ますますそれは外務大臣に今来てもらって……。日米安全保障協議委員会の、そんな大へんな安保条約の運用なんてないですよ。先ほどの答弁と違うのですよ。相談をした、協議をした、意見の一致を見たというのと、自分の意思が通じてあるというのとは違うでしょう。(「以心伝心だ」と呼ぶ者あり)今こちらから言っておるように、意思が通じてある、以心伝心だと言うけれども、それは絶対違いますよ。それは違うのですよ、長官。それはだめですよ。条約の運用について重大なあやまちがある。それは違うのですよ。
○西村国務大臣 私の言葉の、失礼でありますが、用語が不適当であればですが、端々で非常に御議論が出るようでありますが、私の真意をおとりいただきたいのであります。言葉の端ではありませんで……。私は、御存じの通り防衛庁の仕事と外務省の仕事、安保体制を通じて非常に緊密な連絡をとらなければならないから、平素におきましてかなりこれは密接な連携を、下部機構におきましてもまた私と外務大臣の間におきましても、不離一体にとりつつあるのであります。そこでこの問題は、もちろんラオスの問題は日本の安全であると同時に極東の脅威に関係あると申しますか、ラオスというものは関係あるということは、私はどなたから教わらないでもわかるわけであります。問題は現実のこの条文のように、必要があるかどうかという判断がまず先に立たなければ要請ができないのであります。そこでその判断に基づいて、私もまた外務大臣も同じ意思のもとに要請をしてない。だからその形は、なるほどそれは何時何分に何時間集まって相談したとかしないとかしなくても、われわれは随時会っております。相当数会っております、外務大臣とは……。それを相談といえば相談とも言えましょう、相談でないと言えば……。意思は十分通じ合っている、不離一体であります。この点は私は責任を持って申し上げるわけでございます。 また極東の安全に関係——このラオスが発展すれば、極東の安全に関係あるということも、私もこれはどなたがおっしゃるまでもなく、安保体制の上において明文があるのでありますから、それはわかっております。ただ問題は、あの事態においてこの条文を発動して、安保協議委員会まで正式に一方的に要請するかどうかの判断の問題であります。私どもはそういう意味では、この段階においてはまだない。そのかわり適当なる諸機関においては、常時やはり緊密なる連携をとらして、お互い同士がまた意思の交換なりあるいは情報の交換なりはやってもらう、これは当然の仕事だと考えております。これで御納得をいただきたいのであります。
○横路委員 まあしかし西村さんの答弁の前段はやはり間違いですよ。あなたはあとで訂正されたから……。訂正ですね。あなたは先ほどは、この日米の安全保障協議委員会というのは、これは日本の平和と安全、ラオスについては日本の平和と安全に関係がないからやらなかったのだ、これは明らかに間違いですよ。(「関係ないとは言わない。」と呼ぶ者あり)いやいや、そうですよ。 そこで私は防衛局長にお尋ねしますが、あなたの方はアメリカ側のどの機関と連絡をしておるのです。もう一ぺん言って下さい。どの機関とやっておるのです。
○海原政府委員 どの機関という御質問でございますが、先ほどお答えいたしましたように私どもはそれぞれの対応する機関を持っております。先ほど申し上げましたように、統合幕僚会議議長というものは政治的にも先方の最高司令官と話しております。また顧問団長との間にも私どもの次官は定期的な会合を持っております。それ以外にそれぞれの情報を担当しておる部門がございます。その辺のところは終始緊密な情報の交換をいたしております。
○横路委員 その最高司令官というのはだれですか。最高司令官と協議しておるというのは、それはだれですか。
○海原政府委員 在日米軍司令部です。
○横路委員 あなたの方は外務省とはどういう連絡をしておるのです。
○海原政府委員 御存じのように、私どもにはそれぞれの在外公館に現在九名、外務事務官の身分を兼務いたしまして、防衛駐在官が勤務しております。それからの報告は、逐一外務省の系統を通じまして——外務本省であります、その報告はそのつど私どもの方に連絡を受ける、こういう体制になっております。
○横路委員 それで今度のラオスの情勢については——あなたの方はその富士の山ろくでやっていた三千幾百名の海兵隊が帰ることについては、別にあなたの方に相談があったのですかなかったのですか、その点はどうなんですか。
○海原政府委員 先ほど調達庁長官からお答えがありましたように、正式のいわゆる引き揚げの通知は聞いておりません。しかし引き揚げたということは事後に私は承知いたしました。また新聞紙上に先ほどお読みになりましたようなことがございましたので、そのような事情かどうかということは一応聞いてございます。その回答では、そうではない、演習は予定通り終了したから引き揚げたのだ、こういうような回答であります。
○横路委員 そうすると、あなたの方でやっておるアメリカの司令官なり軍事顧問団との情報というのは、事後に通報されるということですね。あなたの方でも新聞で見て、そうしておやおやこれは大へんだ、帰っていったのだな。向こうに聞いてみたらこういう事情で帰っていった、こういうわけですが、そういう事後に通知をされるということで、そういうような事後に通知される機関であれば、それは協議機関ではないじゃないですか。どうなんです。
○海原政府委員 私の御説明が不十分で申しわけございませんが、私自身といたしましては、当時の新聞紙上に伝えられました海兵隊の引き揚げということにつきましては、新聞を見まして、新聞に伝えているような理由で引き揚げたのかどうかを確かめたわけでございます。
○横路委員 これは防衛局長は私も率直でいいと思うのです。率直でいいというのは正直でいいと思う。あなたも新聞を見て、これは引き揚げたのだな、これは一体何で引き揚げたのだ、こう思って向こうに聞いてみた。しかしこれはいわゆる日米安全保障協議委員会の下部機構、専門委員会はまだできていないそうですね。しかし専門委員会はできていないが、専門委員会にかわる機能という意味でおやりになるのだろうと思う。それがわれわれといいますか、一般国民と同じように、新聞で見てから、初めてその新聞をたよりにしてどうだったのだ、こういうことでこの安保条約の運用なり、第四条によるところのこの常時協議ということが、一体ほんとうにできているのですか。この点はわれわれは非常に問題になる点なんです。これはただ単に事後通知といいますか、こんなことで協議になりますか。この点どうなんですか、西村さん。 なおこの際、あなたに聞いておきたいのですが、この日米安全保障協議委員会の下部の専門委員会といいますか、今私が聞いただけでも、実際はこれは、うしろの方でもみんな笑っておるけれども、これはほんとうに何といいますか、こんなことで一体この条約の運用ができるのだろうか、こんなことで一体日本の自衛隊というのは何をしているのだろう、防衛庁何しているのだろう、みなそう思っておりますよ。ところであなたは、日米安全保障協議委員会について、この下部機構、専門委員会とか、そういうものを一体どうなさるのか、この点一つ明らかにしていただきたいと思います。
○西村国務大臣 海兵隊の引き揚げの問題を一応例におとりになっておられるようでありますが、海兵隊は千五百名でありますか、二千名でございますか、御存じの通り演習に来ております。そこで海兵隊の性格というものは、演習をきわめて短期間に打ち切ったり、要するに機動的な性格を非常に付与せられておる。その演習の性格が急に引き揚げた、こうわれわれは通告も受け、また情報も得ておるわけであります。 そこで今度は、後段の御質問の問題でありますが、日米安全保障協議委員会の下に下部機構を設ける必要ありやいなや。われわれはその意味では現在関係の、特に軍事面と申しますか、防衛面につきましては、常時それぞれの機関において、さっきから御説明するように連絡をとっておりますから、私どもは今その必要はない。むしろその目的は一応達しておるが、必要がさらに濃化され、あるいは必要性が強まれば、われわれはまたこれを両者の間で話し合って設けよう、こういう考えで、今安全保障条約は運用しておるのであります。
○受田委員 関連。ただいま横路委員の質問は、この間私がこの委員会でお尋ねした問題に関係をして参りましたので、私から一言お尋ねしたいと思います。長官は、先ほど外務大臣とはしばしば会見をしておるということでした。ところが昨年の第一回日米安全保障協議委員会では、フェルト太平洋司令官、マッカーサー駐日大使、外務大臣が議長で、江崎君が防衛庁長官として参加しておるわけです。今お話の中に、在日米軍司令官が出ておるようです。一体この委員会、今あなたのお話の中に出てきたこの委員会の構成は、太平洋司令官ですか、あるいは在日米軍司令官が軍を代表するのですか。
○西村国務大臣 もちろんわれわれの方は外務大臣並びにこの交換公文によりまして防衛庁長官、それからアメリカはたしか、交換公文ではっきり出ておりますのは、日本に駐留する大使、それから同大使の首席顧問たる太平洋軍司令官、こういうふうになっております。ただ問題はこれらの、特に太平洋司令官は遠くから参りますから、事故があるというか出席できない場合におきましては、これは在日米軍司令官、言いかえれば現在バーンズ中将でありますが、これが出るという場合もあり得るわけであります。
○受田委員 そうすると、だれが出てもいいということになるわけですね。はなはだあいまいな委員会、責任者の所在がはっきりしない、こういうことになる。どうですか。そういうことですか。
○西村国務大臣 これは交換公文をごらんいただけばわかるのでありますが、ここでちょっと読んでみますが、合衆国側においては、合衆国側の議長たる日本国駐在合衆国大使のほか同大使の首席顧問たる太平洋軍司令官、ただし在日米軍司令官は、太平洋軍司令官の代理となることができる、こういうふうに書いてあります。
○受田委員 そうしますと、在日米軍司令官の問題が今出ておったのです、あなたの側から。これはどういうことですか、はっきりして下さい。
○西村国務大臣 ですから、たしかこの前のときにはフェルト大将が出ております。ハワイから見えたと思います。ただ、ただいまの防衛局長の話の中でバーンズ将軍という言葉が出たのは、司令部の長はバーンズ将軍であります。これは御存じの通り東京の府中と申しますか、あそこにあるわけであります。その長が在日米軍司令官であり、第五空軍司令官を兼ねておる。それが安全保障協議委員会を開くときにハワイから来なければ、ハワイの総括者の代理として在日米軍司令官が出る場合がある、これは交換公文に基づいてその代理を認められておるわけです。その部分だけは代理を認められておる。
○受田委員 めったに開いたことのない協議委員会に、在日米軍司令官を予定するということに問題がある。 もう一つは、昨年の九月のこの第一回の協議委員会には、随時ひんぱんに密接な協議をする、そして世界の軍事情勢の報告や日米共同防衛体制の基本というような問題にも触れて随時密接に協議するといいながら、今横路委員の指摘したように全然それをやっておらぬというのは、随時密接協議という当時の双方の共同声明の違反でもあるのじゃないですか。
○西村国務大臣 それは、ですから交換公文の中に随時協議、常時とは書いてありません。随時と書いてある。この随時というのは、もちろんわれわれは随時にやるがいいが、しかし同時に適当な諸経路という言葉を入れております。だから必ずしもトップ・クラスだけが随時集まらなければならぬ——適当な諸経路においてもお互いに連絡をやってこの交換公文の趣旨を生かそう、そういうふうに書いてあるわけであります。
○受田委員 それはあなたは、はなはだ言葉の遊戯をしておるわけです。随時密接な協議ということになれば、一年に一ぺんか開いておるかどうか、これは問題があるわけです。特に軍事専門委員会も開きたいということは、昨年の安保特別委員会でもはっきりと政府の言明の中にあっておる。ラオスの問題などのそういう世界の軍事情勢みたいな問題も、当然こういう問題で専門的に検討されなければならぬ。それが全然開かれていない。またトップ・クラスの協議委員会も開かれていない。これは防衛庁長官、あなたは非常に怠慢である。 同時に、あなたはそういう重大な任務を忘れて、ことしの一月七日に、静岡県の弥生会というあなたの後援者の団体の漆畑きよという人を先頭にして、広報宣伝活動に協力させるという意味で、浜松の航空自衛隊の飛行機を堂々と使って遊覧飛行をさせる、そういう事実がもたらされておるじゃないですか。あなたの、この双方の協議をするという重大な任務を忘れて、そういう自衛隊の飛行機をあなたの政治目的のために——特にあなたは自衛隊の政治活動は絶対に禁止されておる立場であるにかかわらず、これを堂々とお正月のまだおとそのにおいが抜けやらぬ一月七日に、あなたの関係者を飛行機に乗せて浜松の航空自衛隊で遊覧飛行するということは、天下の公器を私するものであり、一方で政治活動の目的に自衛隊の飛行機を利用したということになると思うのですが、このことに対してあなたはどういうお考えを持っておられるか、御説明を願いたいと思います。
○西村国務大臣 前段の安全保障協議委員会につきましては、もちろんわれわれはふだんもこの協議委員会の運営については頭を使っておるつもりであります。 〔委員長退席、草野委員長代理着席〕 ただ御存じの通り、昨年安保条約が改定されましたのは六月でございますか、そこで九月に開かれ、その後におきまして政変がございました。あるいは選挙がございました。またアメリカにおける大きな変動もありました。また当時のマッカーサー大使等も更迭になるという、こういううわさも立ち、またわれわれもこういう状況になるのではないか。そのくらいならば新大使を迎えてからでいいのではないか。もちろんラオスの問題がありますが、ラオスの問題に対しましては、さっきのような判定をいたしたわけでございます。決して任務を怠ったわけではございません。 それから私のことに関しましては、浜松でそういう投書があったように私は聞いております。もちろんこれは私としては、自衛隊の長であります以上はできるだけ身を慎むべきでありますが、自衛隊といたしましては、従来とも訓練に差しつかえないことにおいて、広報の目的を果たすならば、体験飛行と称しまして広報活動をさせております。参りましたのは選挙区ではないのでございますが、浜松におきまして体験飛行を行なったことは事実でございますけれども、時間もきわめて短いというふうに聞いております。しかしこういったことが乱用されないようにということだけは、私も自分で慎重に考慮はして参りたいと考えております。そういうふうに申し上げたいと思います。
○受田委員 今の後段の御答弁で問題があるのですが、静岡の漆畑きよさんというのは、あなたの後援者であると聞いております。弥生会という婦人会の団体もあなたの支持者である。静岡はあなたの選挙区ではないかと思うのであります。すなわちあなたの選挙区の住民を自衛隊の飛行機に乗せて、浜松の航空自衛隊のその空を遊覧飛行するというようなことは、これは政治問題です。この天下の公器の自衛隊の飛行機を利用したということになると思うのですが、私はこれは非常に大事な問題だと思いますので、長官、それに乗られた方々はあなたの支持者であったか——それが静岡というあなたの選挙区の住民であったというところに問題があると思うのです。御答弁をお願いします。
○西村国務大臣 その点は私の私事に関係して大へん遺憾でありますが、ただ問題は、従来とも国会議員の方々の御紹介により、あるいはその他民間から強い要望があった場合におきまして、広報宣伝の目的をもちましてきわめて短い時間、体験飛行というものをやらしておるのであります。従って先般のその投書による事柄も、私はそれは短い時間、体験飛行として正式の許可を取ってやったことと考えておるのでありまして、もちろんこれらのことにつきましては、今後ともその運用については防衛庁長官として十分考慮を払って参りたい、こういうふうに考えております。
○受田委員 選挙区の問題は……
○西村国務大臣 もちろん住民の、私どもの支援者も入っておることは率直に認めます。
○受田委員 あなたの支持者を乗せて静岡から浜松の上空へ飛び立ったということは、これはやはり問題があるわけなんです。すなわち静岡市はあなたの選挙区である。その選挙区の住民を連れて行ったことはないということが言えますか、どうですか。漆畑きよさんというのはあなたの支持者である、弥生会の組織というのはあなたに関係がないものであるというならば、私はあえて言いません。しかしあなたのはっきりした支持者が、静岡から浜松へ飛んだというところに問題がある。
○西村国務大臣 その点は投書の事実が違うのでありまして、浜松基地において輸送機が置いてありましたのに対して、短い時間浜松の上空において体験飛行を行なったのでありまして、時間も短いし、それから同時に静岡からそこまで飛行機で飛んだというわけではないのでございます。それらの連中は、みなバスか汽車かで来たものだと私は考えております。
○受田委員 この問題は、私としては、あなたが大事な協議委員会の開催もしない、その下における軍事専門委員会の問題も忘れて、ただひたすらに選挙目的のために自分の選挙区の住民を——飛んだところは浜松であろうとも、乗った人はあなたの選挙区の人である。そこに問題があるのであって、私は自衛隊に公私の別をはっきりさしていただきたい。この点は自衛隊の隊員には、自衛隊法の六十一条で、はっきり政治活動の禁止規定がある。また施行令にもはっきりと詳しい規定があるのです。職権その他の問題を悪用してはならぬという規定があるのです。自衛隊の長官が……(「それは誤解がある。」と呼ぶ者あり)誤解じゃない。自衛隊の長官が、自衛隊員の政治活動のできない立場に対して、少なくとも信頼される自衛隊になるために、長官は自分の行動の上にも、自分の部下が行なう上にも、どうか一つあやまちがないようにというところを私はあなたに訴えたい、要求したいのです。今誤解だという声でございましたが、誤解であれば長官から御答弁願いたい。その飛行機にあなたの選挙区の人は一人も乗っていない、そして静岡から乗っていった人は自分の応援者ではないということがはっきり言えるならば、誤解だということを解いていただきたい。それだけ……。
○西村国務大臣 もちろんこれははっきり申し上げますが、これは静岡から浜松へ飛んだのではございません。浜松の基地にある飛行機を訓練の合間に体験飛行として許可をとってやったことは事実でございます。時間も短いのであります。ただ乗った人間が私の応援者であることは、これは私も率直に認めます。ただそれらはすべて……(発言する者あり)お聞きをいただきたいのでありますが、防衛庁といたしましては、従来国会議員やその他の御紹介があった場合に、訓練に支障がないというような場合におきましては、体験飛行の広報活動を行なっておったことは事実なんであります。その一つの例として私の場合も当てはまりますかもしれませんが、しかし事柄が防衛庁長官と直結をいたします部分におきましては、私としてもその点は十分に慎重な行動を今後はとりたい。同時にまたこれらの体験飛行につきましても、あくまでも訓練に支障を来たさないように今後とも運営をして参りたい、こういう趣旨でありますことを御了解願います。
○受田委員 それでは長官の答弁で、今後誤解を一掃するように努力したいということでございますから、それを私了承して、長官にその点を十分御注意を申し上げます。
○横路委員 長官にお尋ねをいたしますが、先ほどの日米安全保障協議委員会の下部機構である専門委員会はまだできていない。まあ作らなくてもいいのではないか、こういうことのようです。しかし私はここで申し上げたいのは、先ほど丸山調達庁長官からお話がございましたように、二月二十三日に在日米軍の司令官から調達庁の長官に、三月四日から二十七日までですか、海兵隊について二手に分かれて千七百と千五百ですか、千四百ですか、使うことになっていた。しかしこれは先ほど私が申し上げましたように、地位協定の第五条の第二項に基づいてどこの港に入ってくるか、アメリカの海軍の施設を利用する場合においては、全然通知がないわけです。しかし調達庁長官には何日から何日まで使いますよということがあるのですが、いざ引き揚げていくときには、何にも連絡がない。こういう点について、一体これでいかに地位協定において一方的に——一方的ではない、これは政府の間でやったにしても、こういう点については私は不平等だと思う。こういう点については、在日米軍から調達庁長官に通報があると思う。引き揚げるならば引き揚げるように、そういう点についての通知、連絡等は、私は当然あってしかるべきだと思う。先ほど防衛局長から答弁があったように、われわれと同じに、新聞を見て初めてアメリカ軍が向こうの機関にいつ帰ったのかがわかる、こういうやり方では、ほんとうに随時協議をするということに私はならないと思う。その点私は当然こういう点については、本来から言えば、これは地位協定の中でそういうことが当然改正さるべきであったのですが、われわれの主張がいれられないで、これは与党の方が無理やり通したわけです。通したが、しかし運用の面でこういう点は私は当然直すべきだと思うのです。だれが聞いたって、私は笑い話になると思う。この点はこの日米安全保障協議委員会等における当然の議題として、私はそういう点については当然対等というか、そういう方向に持っていくべきだと思うが、その点はいかがですか。
○西村国務大臣 もちろん向こうの意思によりまして、あるいは、義務ではありませんけれども、通報を出してくる場合もあります。ただあなたのおっしゃるように、こういった事柄についても日本にいろいろな問題を起こし、あるいは不安感を醸成するような、安全保障条約の精神に反するような心配がありますれば、われわれはこの運用上の問題として安全保障協議会の議題に供してもいいと思うのであります。これは一つの御意見として私は承っておきます。
○横路委員 それから長官、この点についてはただ単にアメリカに提供した施設を利用して、特に海軍の場合においては施設としてのいわゆる入港あるいは出港については、通知の義務はない。通知を受ける権利はない。同時にもう一つ重大なことは、緊急やむを得ざるときにおいては、通常の港に入るあるいは出ることについても、全然連絡を必要としないわけです。こういう点は、いわゆる日米合同委員会における合意議事録にとどめてあるので、当然日米の合同委員会でこれはこれから直すべきだと思う。もう一度申し上げますよ。今のように、たとえば横須賀だ、あるいは佐世保だ、沼津だ、アメリカに提供した施設を利用して入る場合においては、当然入港、出港の通知の義務はない。まして緊急やむを得ざる状態においては、通常の港に入ったり出たりすることについても、全然これは通知の義務はない。これは日米合同委員会で合意議事録にとどめてある。こういうことは当然私は訂正すべきだと思うが、どうですか。
○丸山政府委員 お話の通り、日米合同委員会の合意によりますものにつきましては、一般の施設通りの通告ということを定めてございません。演習場の点に関しましては、陸上演習場の使用に関する合意議事録がありまして、これには使用を開始する七日前に通知をしなければいかぬという規定がございます。その他御指摘のような点に関しましては十分に検討いたしまして、今後処置いたしたいと考えております。
○横路委員 それから長官、もう一つ問題がある。それは、第六条にいう交換公文では、アメリカ軍に提供した施設を基地として戦闘作戦行動に出るときは事前協議の対象になる。そうするといわゆる施設、基地はきまっているわけです。たとえば横須賀だ、佐世保だ、今この富士を使う沼津だ。ところが一般の開港、たとえば北海道でいうならば函館だ、稚内だ、釧路だ、室蘭だ、こういうところを利用して戦闘作戦行動に出るときは、事前協議の対象にはならないのですよ。だから事前協議というのはこういう抜け穴だらけなんです。もう一度申し上げますよ。日本政府がアメリカの軍に提供した施設を基地として戦闘作戦行動に出るときは、これは事前協議の対象にする。しかし一般の通常開港に入って出ていくときは、その場合の戦闘作戦行動に出るときは、これは事前協議の対象にならないのです。私はこの点は事前協議の抜け穴であると思う。第五条並びに第六条の事前協議の抜け穴であると思うが、この点はいかがですか。
○西村国務大臣 御設例のように普通の港は、戦闘作戦行動の基地として使うということについては、条約は何ら認めていないのであります。基地としてちゃんと与えたものが戦闘作戦行動に使われる場合には事前協議の対象になる、こういうふうに解釈をいたしておるのであります。
○横路委員 長官、その通りなんです。第六条の交換公文で、今あなたがおっしゃったように、これは日本国で行なわれる戦闘作戦行動のための基地として日本国内の施設及び区域の使用は日本政府と事前協議の対象になる。今あなたのおっしゃった通りです。ところが日本の開港その他を使って戦闘作戦行動に出てはならないという規定はないのです。いいですか。従ってその一般の開港等を利用して一たんは待避してきて、それから再び戦闘作戦行動に出るような場合においては、何らこの条約は事前協議の対象になっていないのです。これが事前協議の抜け穴なんです。これは長官、そうですね。これはそうなっているのですよ。日本が提供した施設、区域を利用して戦闘作戦行動に出るときは事前協議の対象だ。しかしいわゆる軍艦は一般の開港にも入るのです。敵艦の攻撃を受けてやむを得ず待避する、緊急やむを得ざるときは一般の港にも全部入ることができる。そこから再び外洋に出て戦闘作戦行動に出る場合には、これは事前協議の対象にはならないのですよ。これが事前協議の抜け穴なんです。長官御存じですか——御存じですかというと失礼でございますが、そういうようになっているのですよ、いかがでございますか。
○西村国務大臣 われわれは普通の開港は戦闘作戦行動の基地として認めておりません。そういうふうに解釈をこの条約はいたしておるのであります。
○横路委員 ところがこの合意議事録できまっているじゃないですか。これは「昭和二十七年五月日米合同委員会において次のように合意されている。」「二、米軍用船舶又は航空機の出入する海港及び空港 (イ)協定第五条第一項に定める軍用船舶及び軍用航空機は、通常開港又は米軍の管理する空港から出入する。」そうなって(イ)(ロ)(ハ)の(ハ)に「これらの軍用船、航空機は緊急の場合は、他のいずれの日本国の港又は空港にも入ることができる。」この昭和二十七年五月の日米合同委員会の第二項では、これは港については通常開港をずっと書いてあります。ところがその(ロ)の項には、緊急の場合は、他のいずれの日本国の空港または港に入ることができる。だから外洋において戦闘作戦行動をやった、相手の飛行機なり軍艦から追撃を受けた、そこで一たんは待避してくる、戦闘作戦行動をやって待避してきた、そこから再び外洋に出ていく、明らかにこれは基地として利用しているじゃないですか。基地としては利用してはならないじゃない。緊急やむを得ざるときは利用してもよろしい。緊急やむを得ざるときとは、それはなるほど暴風雨その他もあるでしょう。しかし戦闘作戦行動においてやむを得ず待避するときは使ってよろしいのだ。この昭和二十七年五月の日米合同委員会できまっているじゃないですか。だから私は抜け穴なんですよと聞いている。だから私はあなたに、こういう点についても御存じですかとお尋ねするのは大へん失礼に当たるのですが、これは非常に抜け穴なんです。これはいかがですか。
○西村国務大臣 重ねて申し上げるのでありますが、われわれはそれを戦闘作戦行動の基地として認めているものではありません。ただ船舶の普通の出入としてわれわれは認める、こういうことであります。
○横路委員 この日米合同委員会の緊急の場合とは、暴風雨の場合もあるでしょう。戦闘作戦行動において相手の国の飛行機や軍艦から迫撃をされて、緊急避難として入ってくる場合もあるのですよ。調達庁長官、そうですね。日米合同委員会はあなたの方の担当ではないですか。あなたに答弁を求めているのですよ。
○丸山政府委員 私も防衛庁長官の答弁通りと考えております。
○横路委員 これは丸山調達庁長官、緊急の場合はというのは、暴風その他の場合もありましょうが、やはり相手の国から追撃をされ、そういう場合の待避ということも含まれていましょう。当然そうでしょう、緊急の場合というのは。長官、ちょっと今、これは昭和二十七年五月の日米合同委員会の合意議事録なんですが、長官、いかがですか。そうでしょう、緊急の場合は。もう一ぺん申し上げますが、それでは丸山さん、もう一ぺん私お読みしますから……。
○草野委員長代理 横路君にちょっと申し上げますが、調達庁長官に今御質問中だと思いますので、防衛庁長官が一、二分便所に行きたいとのことでありますから……。
○横路委員 基本的人権に関することですから、いいですよ。 それでは丸山さんにもう一度これを私からお尋ねしますが、実は第六条の事前協議の問題との関係がありますのでお尋ねしておきたいのです。 これは「米軍の構成員、軍属、家族の出入国」こうなりまして、「昭和二十七年五月日米合同委員会において次のように合意されている。」二番目に、「米軍用船舶又は航空機の出入する海港及び空港」(イ)の項、「協定第五条第一項に定める軍用船舶及び軍用航空機は、通常開港又は米軍の管理する空港から出入する。ただし、米軍関係者以外の乗客又は乗員が輸送されるときは、左の港から出入国するのを原則とする。東京、川崎、横浜、横須賀、清水、名古屋、四日市、和歌山下津、大阪、若松、博多、三池、唐津、佐世保、長崎、鹿児島、津久見、舞鶴、神戸、宇野、呉、広島、新居浜、岩国、徳山下松、下関、門司、八幡、敦賀、青森、釜石、塩釜、函館、小樽、釧路、室蘭、羽田空港、岩国空港」こうなって、「(ハ)これらの軍用船、航空機は緊急の場合は、他のいずれの日本国の港又は空港にも入ることができる。」こうなっている。この緊急の場合というのは、暴風その他によって待避せざるを得ないという場合もあるが、しかし外洋において、あるいは船の場合は外海において、いわゆるそういう戦闘作戦行動等において待避する場合に、緊急やむを得ざる事態としてこういうところを利用することも、出入することもできる、こういうふうにこれを解釈することが正しいのではないですか、こういうように私お尋ねしているのです。いかがですか、緊急の場合はというのは。そういうように私はお尋ねをしているのです。
○丸山政府委員 せっかくのお尋ねでございますが、施設及び区域に関する以外の一般の港に関する事項は運輸省の所管でございますので、私からオーソリティのある答弁はできません。
○横路委員 これは調達庁長官の権限外だということになると、どうもこれはまた運輸大臣に一つ出てもらわなければならぬ、こういう大事な点については。これはまあ委員長代理に一つ重ねて私お願いしたいわけですがね。これは先ほどの理事会で、おそらく今晩おそくというのですか、あすの朝というのですか、どちらかにきめていただいて、外務大臣をお呼びするときに、これは一つぜひ運輸大臣にも来ていただきたい。 さて次に、それでは調達庁長官にその点をお尋ねしても権限外だということですから、権限外のことをお尋ねしても恐縮ですから……。 第四条のことですが、ここでこうなっておりますので、これまた一つ長官並びに加藤さんにお尋ねしたいのです。「締約国は、この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。」こうなっているわけです。そこで、これは先ほどから何回も聞いております日米の安全保障協議委員会の問題ですが、ここで加藤さんに一つ御答弁をしていただいていいのですが、「この条約の実施に関して随時協議し、」ですから、この条約の実施とはどういうことなのか。その次にお尋ねしたいことは、この条約の実施についての協議とはどういうことなのか。その点をまずお尋ねをしたい。
○加藤政府委員 お尋ねの趣旨がよくわからないのでございますが、要するにこの条約の実施について協議するということでございますると、絶えず情報の交換等を行なうということは明瞭にこの中に入るというように私は考えます。
○横路委員 加藤さん、私の質問がよくわからぬということですが、私は、第四条で「締約国は、この条約の実施に関して随時協議」というから、この条約の実施について随時協議するというが、それはどういう内容ですかとこう聞いているのです。
○加藤政府委員 これはその言葉の通り、この条約の実施について協議するということでございまして、どういう点をお尋ねになりますのか、たとえば一番典型的な例は、今申し上げましたように情報等を交換するということは明瞭に入るであろうというふうに思います。
○横路委員 それでは私の方でお尋ねしますが、こういう条約の実施についての随時協議については、これは当然条約ですから、条約全体についてですね。だから、そういうことになれば当然この中にはアメリカ駐留軍の配備、装備の状況等の問題があります。それから日米を中心にする国際軍事情勢、特に極東における、安保条約からすれば共産陣営の動向や軍事力の検討ということもするのではないか。あるいは自衛隊の配備や装備の状況や計画等についてもある程度話をするのではないか、第三条がありますからね。それから日米の防衛力の維持、発展の現状と計画とか、有事の際の作戦計画、随時協議ですからね。あるいは米軍の区域外、たとえば、だから私が先ほど言ったように、一体ラオスのような情勢等が起きた場合においては、やはり当然この条約の実施についての随時協議、こういうことが行なわれるのではないですか。そういう内容のことをさしているのではないでしょうか。具体的に聞きますが、そういうことでないか、こう思ってお尋ねをしたのですよ。
○加藤政府委員 よくわかりました。私、申し上げました通り情勢の検討及びこれに伴う防衛計画と申しますか、こういうことにつきましては協議の対象になると思います。それから配備、装備のことでございますが、これは第六条の規定に基づきまして別に地位協定があり、この地位協定に基づきまして日米合同委員会というものがあるわけでございますから、これはやはりこの系統の方の協議になるというふうに考えます。
○横路委員 次の点は「また、日本国の安全又は極東における国際平和及び安全に対する脅威が生じたときは」、そこでこの条文の読み方は「日本国の安全」、そうして「及びこれに対する脅威が生じたとき」、それからその次は「国際の平和及び安全に対する脅威」、こういうふうに脅威が、日本の安全に対する脅威、国際の平和と安全の脅威、そういうように私はこの条文を読むべきだと思うのです。そうして私はあなたにお尋ねをしたいのですが、日本の平和と安全が脅かされた場合にもこれは随時協議をするわけですね。そうしてあなたにお尋ねをしたいのは、日本の平和と安全が脅かされた場合とは一体どういうときのことをいうのですか。どういう状態のときに随時協議をするのか。日本の平和と安全が脅かされた、その内容です。
○加藤政府委員 これは具体的な例になりますので、詳細に実際について申し上げることはなかなか困難であろうと思います。ただやはり日本に対する脅威でございますので、たとえば相当国際関係がやはり緊張するということが一つ前提になると思います。そういうふうに国際関係が緊張した場合におきまして、わが方に対して何らかの脅威を与えるような兵力を集中したというようなことがありますれば、しかもその場所とか集結の仕方というふうなことで問題があろうかと思いますが、きわめて抽象的に申し上げますれば、そういう場合は日本に対する脅威が生じたと認められる場合もあろうと思います。
○横路委員 これは日本が武力攻撃を受けたときは、もうすでにこれは第五条であるから、この第四条の協議の対象ではないわけですね。この点はどうですか。
○加藤政府委員 この第四条の読み方でございますが、脅威が生じたときでございますから、これは実際武力攻撃が行なわれた場合、これは脅威と言えば言えると思います。しかし次の第五条を読みますと、今お話のごとく私は大体事前の場合であろうというふうに考えます。
○横路委員 それから次に領海、領空侵犯の反復や軍事力を伴った経済封鎖、こういう点はどうですか。
○加藤政府委員 軍事力を伴った経済封鎖ということになりますと、これは私は非常に明瞭な脅威であろうと思います。しかし領空、領海の侵犯ということになりますると、これはやはりその場合について考えなければならないというふうに思います。国際情勢がどういうふうになっておるかというふうなことも前提に置いて、いろいろな事情を判断して考えなければいけないでありましよう。
○横路委員 西村長官にお尋ねをしたいのですが、これは四月二十一日の朝日の朝刊でございますが、この中に——これは記事ですから……。「二十日午後四時四十分から約三十分間、航空自衛隊総隊指揮下の実施部隊に警戒警報が発せられ、全隊員に非常呼集がかかり、一時待機した。松前未曾雄同総隊司令の話によると、同日午後四時すぎ、米軍から「韓国上空に国籍不明機が現われた」との情報がはいったためとった措置だが、間もなく情報の確度が弱いことが判明したので直ちに解除したという。なお西村防衛庁長官は「二十日の警戒警報は単なる警察行動で、決して戦闘準備指令というようなものではない。航空自衛隊は常時二十四時間のスクランブル(迎撃体制)をとっているのでその体制を強化したまでだ」と語っている。」、これはあれですか、韓国の上空に国籍不明の飛行機が現われた、こういう場合にはどういう経路であなたがおっしゃったように、そういう警戒体制をおとりになるのか。日本の上空ではないわけですね。韓国の上空に現われた、こういう記事でありますので、この点について、長官の談話等もございますので、このときの状態、それからどういう一体情報、どういう点を総合しておやりになられたのか、その点について一つお答えいただきたい。
○西村国務大臣 私はある程度その間の消息はその後において報告を受けましたが、詳細は防衛局長から御報告をまず申し上げます。
○海原政府委員 今委員のお読みになりました朝日新聞の記事は、以下申しますような事実についてのものでございます。すなわち、四月二十日の十六時三十分ころに、朝鮮——韓国でありますが、三十六度線の西海岸付近の群山というところがございます。その群山付近で三機の国籍不明の飛行機が領空侵犯をした、こういうことで、韓国のF86F戦闘機が八機ないし九機領空侵犯のために飛び上がった、こういう事実が実は連絡ございました。なぜ連絡がございましたかといいますと、そういうことは当然京城におります米空軍司令部から第五空軍の方に連絡があった。一応第五空軍の方からわが総隊司令の方にこういうことがあったがということの連絡がございました。それでこの連絡がありましたので、たまたま総隊司令は、従来このような演習というものが、いわゆる防空警戒の時期でございますが、この時期を選びまして、十七時に演習警戒の発令をいたしております。それで三十分後に解除した。従いまして、これはたまたま松前総隊司令の方で判断をいたしまして、防空警戒のための演習を実施した、これが事実でございます。
○横路委員 この場合にあれですか、これも合意議事録で、こういう場合の状態については、これは第五空軍と防衛庁は相談をすることになっているわけですね。ちょっと問題が前の日米合同委員会の合意議事録に移りますが、この場合そうですね。
○海原政府委員 先生のおっしゃいます相談ということではないと思います。先ほどから申し上げておりますように、私どもはいろいろな機関相互間におきまして十分ふだんから連絡をとっておりますので、第五空軍の方から総隊司令部に対しまして、このような情報があったから参考までにお知らせする、こういう形で松前総隊司令が米軍の情報を受領した、こういうことでございますので、いわゆる協議ということではないと私は思います。
○横路委員 これは今のあれですが、防衛局長聞いて下さい。「航空交通管制昭和二十七年六月および同三十四年六月日米合同委員会において次のように合意された。」そして一つは、航空交通管制で昭和二十七年六月の合意についてあるわけです。これは読みません。ところが昭和三十四年六月の合意については、そこの第四番目にこうなっているのですね。「防空上緊急の必要があるときは、防空担当機関が保安管制を行なうことに同意している。」そうして五番目に、「国外から飛来する航空機が管制本部に対して位置通報を行なうべき地点の決定に際しては、日本政府は防空担当機関と協議する。」、そこで防空担当機関とは何か、これはアメリカの第五空軍だ、こうなっているのですね。だからそうなると、これはどうなんですか。この防空上緊急の必要があるときの保安管制は防空担当官が行なう、それは日本政府が防空担当官、日本でいえば自衛隊、防衛庁、それからアメリカでいえば第五空軍、こうなっているのですね、御存じではなかったのですか、これは。
○海原政府委員 今先生のおっしゃいましたことは承知いたしております。
○横路委員 そうすると、これは「防空上緊急の必要があるときは、防空担当機関が保安管制を行なうことに同意している。」、そして防空担当機関というものは日本政府では防衛庁、それからアメリカでは第五空軍、こうなっているわけですね。これは間違いございませんね。それでよろしければそれでよろしいですよ。
○海原政府委員 今先生のおっしゃいましたことをあれしておりませんでしたが、御存じのように日本の航空交通管制につきましては、一応運輸省の方と私の方とが協議して実施いたします。全般的な航空交通管制につきましては運輸省の責任でございます。自衛隊の飛行場につきましては運輸大臣からの委任を受けまして、自衛隊のそれぞれの機関がこれを実施いたしております。従いまして今お読みになりました点は、防空担当機関として自衛隊だけか、こういう御質問のように受け取るのでございますが、ちょっとその辺があいまいでございますので……。
○横路委員 防空担当機関というのはアメリカにおいては第五空軍です。日本においては防衛庁ではないのですか。航空自衛隊といいますか、何といいますか、これは運輸省ですか。アメリカにおいては第五空軍ですよ。これはどうなっているのですか。
○海原政府委員 わかりました。今先生のおっしゃいました意味におきましては防衛庁です。ただその実施につきましては先ほど申しましたように一般的な航空交通管制との関係がございますので、運輸大臣と協議してやる、こういうことでございます。
○横路委員 次に加藤さんにお尋ねをしたいのは、これはどうなるのですかね。先ほどから問題になっている間接侵略、大規模の内乱、騒擾そういうことが起きた場合においては、これは第四条における随時協議の対象にはなるわけですね、この点はどうですか。
○加藤政府委員 これは私は第四条の協議の対象になると思います。
○横路委員 そこで先ほど問題になりましたこの自衛隊法七十六条、自衛隊法七十八条、それとの間接侵略の問題、前の安保条約第一条における、この一または二以上の外部の国からする教唆または扇動による大規模の内乱、騒擾、それに対して日本政府の要請があれば出ることになっておる。それを今度削ってしまったわけです。これは今度の安保条約の一つの進歩だとこう言っている。ところがこの間接侵略によるところの大規模の内乱、騒擾については全く姿を消したかというと、姿を消さないで第四条の随時協議の中に入ってきたわけです。これはただ相談するというだけですか、相談のしようによっては……。それではおれの方で助けてやろうかということでアメリカの軍隊は出るということになるのですか。ここが非常に問題になったのです。ほんとうからいえば、この四条にもこれは入るべきではなかった。おそらく当初藤山外務大臣は、あの人の何ですか、外交問題懇談会等のそういう会合における発表をわれわれ見ていると、自分は政治的生命を賭してもこの内乱条項については全部削除するのだ、こう言っているのが自民党の中における与党の何といいますか、強硬論者といいますか、どういう表現をしたらいいかわかりませんが、一部の人の反対があって第四条の中にこういう形で出てきた。ですからそういう意味では前の条約の第一条にある問題になりました屈辱的な条約というか、自主性のない条約というか、そういうものに対して完全に姿が消えないで、この四条の中にこうやって随時協議になっている。この随時協議というのはどういう意味なのか、そうしてそれに対しては一体日本政府の要請等があれば出るのか、あるいはアメリカ軍みずからの判断である程度そういう場合は出ることがあり得るのか、この点は先ほどからの間接侵略等の関係がございますので、一つ御答弁いただきたいと思います。
○加藤政府委員 この点は前の安保条約の審議の委員会でも問題になったことを記憶いたしております。削除されましたのは御承知のごとく一または二以上の外部の国の教唆または干渉になる大規模な内乱または騒擾に対しまして、これを含めて外部からの武力攻撃に対して米軍を使用するという条項になっております。これを削りましたことによりまして、そういうふうな場合におきまして、米軍を使用するという規定はなくなったわけであります。第四条で協議いたします。協議をいたしましても、前の条約の第一条の規定はないのであります。そういう趣旨で武力を、米軍を実力行動として使用するということはないという趣旨で、この協議は運用されなければならないというふうに思っております。
○飛鳥田委員 関連して。この安保条約第四条について、横路さんの御質問の中に日本の安全に対する脅威、極東の平和と安全に対する脅威、こういうものが生じたときには随時協議をする、こういう話、その場合に脅威という言葉の中には、すでに第五条の規定している武力攻撃が発生をしてしまった場合は含まれないかどうか、こういうことを質問をされますと、加藤さんは含まれないという御返答のようだったと思いますが、それではこの脅威とは一体いかなるものであるか、こういうことをさらに正確に定義をしておきませんと、やはりこの条文はこの脅威というのを勝手に解釈することによってどうにでも動いていくものだ、こう考えるわけです。そこでできる限りこの脅威という言葉を正確に定義をしておいていただきたい。こういう意味で脅威の定義を一つ伺いたいと思います。
○加藤政府委員 脅威という事柄につきまして問題になりますることは、私は実態であろうと思うのです。脅威の定義をどういたしましても、その場合場合の事実に即して考えなければならぬことではないか。脅威とは何かとおっしゃれば私は脅威、どれが脅威かということが問題だろうと思います。第四条の脅威という事柄の中には、私は武力攻撃があった場合においては字句の上では入る。第五条とあわせて読みますと、その場合には第五条の適用があるのだから、第四条の適用があるというふうに言わないでいいのではないかというふうに申し上げたわけであります。
○飛鳥田委員 脅威という場合をその実態に即して解釈をしていく、こういう御説明なわけです。そうして条文解釈としては第五条の武力攻撃は含まれるけれども、一部は含まれるけれども、しかし現実に第五条がある以上は、この四条の中に含ましめる必要はない、こうおっしゃるわけですね。それでは間接侵略という問題は脅威の中に入りますか。
○加藤政府委員 この間接侵略という事柄を、先ほど申し上げました通り外部からの教唆または干渉によって起きた大規模の騒擾または内乱、そのこと自体が日本の安全に対して脅威を与えるかどうかという場合でございますが、日本の安全に対して間接侵略が脅威を与えておると認めれば、私は第四条の対象になるというふうに思います。
○飛鳥田委員 少なくとも間接侵略が日本の安全に対して脅威を与えておる、こういう御説明です。もしそうだとするならばそれは脅威となる、こう言われるのですが、与えておるという御説明の中で明確になっていると思いますが、少なくとも脅威という場合には、それは具体的な行動として日本の上に何らかのものが加えられている場合を含まないというのが当然じゃないですか。脅威は少なくとも潜在的である。潜在的であるがゆえにこそ脅威であるのであって、もし潜在的でなくなってしまえば、それは他の別の行動であるわけです。そういう意味が日本の安全に何らかのことを与えておる状態、こういうふうにあなたは言われた。そこに問題があるのじゃないか。脅威は少なくとも潜在的なものだということを御承認になるでしょうか。
○加藤政府委員 潜在的であるか顕在的であるかということでございますが、脅威というものは一つの事実がありまして、その事実が実際の行動になって現われた場合ですね。その行動の現われ方が問題であろうと思います。私は広く脅威といえば何らかの事実がある。その事実が日本に対して脅威を感ぜしめておるのだというふうにお答えする以外にないと思います。
○飛鳥田委員 何らかの事実がある。その何らかの事実と日本というものの存在のこの二つですね。この間に目に見えるような具体的な行動がある場合には、すでにそれが他の武力攻撃なりあるいは間接侵略になってしまうのであって、少なくともこの二つのものの間には、目に見えるような具体的な物理的な力関係というものは存在しないのじゃないか。こう解釈しない限り、脅威と侵略と武力攻撃と、そういうものの区別はみんななくなってしまうわけです。私は少なくとも国連の総会の中でポーランドの代表が、もし平和に対する脅威が潜在的でないならば、もはやわれわれはそのとき実際の侵略に対処しているということである、こう言っている言葉が、少なくとも脅威という言葉の本質を示していると思うわけです。そういう意味で、少なくとも脅威という限り、それは具体的な物理的な力が日本に何らかの形で加わっているという場合でない。少なくとも潜在的な問題であると言わなければならないと思うのですが、そういうものとして脅威をお考えになっていらっしゃるかどうか。肯定なさるかどうか。もしそうでないとすれば、武力攻撃、間接侵略、脅威、侵略、そういうものの概念、区別というものは全然あいまいになってしまいますよ。
○加藤政府委員 私はその言葉はそれぞれの条文に即して考えられなければならないと思います。第四条の場合の脅威というものは、大多数はおっしゃる通りのことであろうと思います。しかしそういうふうな実際何らかの行動、事実が日本に対して加えられた場合に、これはもう脅威ではないのだというふうに言い切れるかどうかということにつきましては、私は若干疑問に思います。
○飛鳥田委員 少なくとも大部分の場合がそういう潜在的なものであって、それをいかに評価するかというところに問題がある。こういうことをやはり御承認になったと私は思うわけです。そこでそれならば、その潜在的であり、武力攻撃か、あるいは間接侵略か、あるいは内乱か、そういう日本に対してプラスでないものをやがて発生せしむべき可能性、こういうものをいかに評価するかということは、これは政治家の判断でなければならない、こう私は思うわけです。その判断をどうするかということについて、私はこの第四条というものは、お互いに野放しになっているのじゃないかと思う。アメリカがこう判断する、日本がこう判断する、こういうような形で野放しになっているのじゃないか、こう私は思うのですが、その点アメリカがこう判断したことについて、日本は異議を述べられるのですか。それとも日本がこう判断してこれが脅威であると考えたことについて、アメリカは異議を述べられるのですか。
○加藤政府委員 これは私申し上げるまでもないと思いますが、協議でありますから、何らかの措置をとろうと思えば、双方の意思が一致しなければいけない。一致をするまでに至る段階においては、私は双方の意見を述べることはできると思います。
○飛鳥田委員 そういたしますと、アメリカはこれを脅威であると判断した、日本は判断していない、そういう場合にでも、アメリカの側から協議を申し込んでくれば、これに応ぜざるを得ない。日本が脅威と判断した、アメリカは判断しない、その場合に日本がアメリカに対して協議を申し込めば、アメリカはこれを拒絶することができず、当然協議をする、こういう形になるわけですか。
○加藤政府委員 私は今お述べになりました通りであろうと思います。
○飛鳥田一雄君 そこで非常に重要なことが出てくるのじゃないか。と申しますのは、日本の政治家は非常に単純に言葉をお使いになるわけです。私たちが安保委員会の中で岸さんに再々聞かされた言葉があります。そうしてまた今西村長官からもこの数日間再々伺っています。すなわち国際共産主義の脅威、こう言うのです。一体共産主義が存在すること自体が、すでにこの第四条の極東の平和と安全に対する脅威であり、あるいはまた日本国の安全に対する脅威だと長官は判断していらっしゃるのか。すなわち国際共産主義というものが存在していることそれ自身において、すでに脅威と判断していらっしゃるのか、これを長官に伺いたいわけです。
○西村国務大臣 私もなるほど国際共産主義の脅威という言葉を使っております。しかしそれがこの四条の対象になる場合においては、脅威というものはそこに何らかの情勢の変化、日本の安全を脅かすような客観的な変化があって初めて——存在そのものがすでに脅威というのではなくて、その国際共産主義によって何らかの変化なり、事実なり、行動なりが起こって、そこで脅威、こういうふうにとっていただきたいと思います。
○飛鳥田委員 長官はやはり日本を代表して委員会に御出席になる方であり、そうして安保条約の運用に非常に重要な役目をになっていらっしゃる方です。その方が、ちゃんと条文の中に極東の平和と安全に対する脅威、あるいは日本国の安全に対する脅威というような言葉で使われているこの脅威という言葉を、しかもそれに非常に隣接したところで、違う意味でたやすくお使いになるということは、相当問題があるのじゃないか。そういう言葉は常に外国に伝えられて、あなたの真意を誤り伝える結果に終わるわけです。今長官は、自分がいつも国際共産主義の脅威と唱えておったことが、この第四条の脅威とは違うのだと御説明になりました。しかし岸さんはこう言いました。この安保条約それ自身は、その基本的な精神、その成立のための基本的な動機は、国際共産主義の脅威に日米が提携して対決をする、そういうためにこの条約ができたのだ、こうおっしゃっているわけです。そうだといたしますと、国際共産主義の脅威という言葉の使い方は、直ちにもってこの第四条の脅威に当たってこざるを得ないのではないのでしょうか。長官は今違うとおっしゃいましたけれども、現実には当たってくるのではないでしょうか。そうすると三通りの言葉の使い方をなさるわけですか。この安保条約ができ上がる基本、すなわち自衛隊、そういうものが行動する基本としては、国際共産主義の脅威に対決をするためにあるのだ、こういう使い方が一つ。常識的に演説なさるときに国際共産主義の脅威という言い方、それは確かに四条の脅威とは違う、こういう第二の言い方。第四条に極東の平和と安全に対する脅威、こういう厳密な条約解釈上の脅威という使い方。こんなでたらめな三つの使い方をなさっている以上、国民の概念は混乱するばかりですよ。一体この安保体制、安保条約というものは、あなた方のお説によれば、日米が提携して国際共産主義の脅威に対決をする、そういう体制ではなかったのですか。これを伺いましょう。
○西村国務大臣 岸前総理がどういうふうな御答弁をされましたか、私自体は直接は存じておりませんが、今あなたの言葉を通じて、前総理が国際共産主義の脅威というものを前提として——もちろん私は、前岸総理でありましても、国際共産主義の存在そのものが、直ちに脅威とは言っていないのだろうと思います。やはりそこに何らかの日本を脅かすだけの変化、情勢あるいは行動、こういうものを前提にして日米安全保障体制が平和維持のため、安全維持のための抑制力である、また最悪の場合においてはこれが行動力にかわる、こういうふうな趣旨で申されたと思います。私の申しましたことと、また四条の解釈の趣旨と何ら変わらないのじゃないか、こう考えるのであります。
○飛鳥田委員 いずれにせよ、厳格な意味で第四条の脅威を使った場合において、国際共産主義の存在それ自体は脅威だとは言えない、こういうことがはっきりしたわけです。 それではその次に、たとえば日本のすぐお隣に北鮮という共産主義の理念によって指導せられた国があるわけです。そしてこの国はいつも三十八度線を境にして韓国と向かい合っている。しかもこの国は韓国に向かって統一を呼びかけている。そして場合によれば、われわれもよく耳に入るのでありますが、平壌からわが国に向かっていろいろな放送を行なってくる、こういう事実もあります。またいろいろなパンフレット等が日本に送られてきます。それは私たちはそう思っているわけではありませんが、あなた方の目からごらんになれば、当然日本に共産主義の宣伝をするものであるとお考えになるでしょう。何らかの具体的な行動があるのです。隣に位し、しかもすぐそばに位置し、そして現実に何らかの行動が行なわれているわけです。これを一体あなた方は日本の安全に対する脅威あるいは内乱を起こさせるための脅威、極東の平和と安全に対する脅威、こういうふうにお受け取りにならないのですか、なるのですか、脅威の内容として具体的に伺います。
○西村国務大臣 われわれも単に文書を出されたから脅威とは簡単には解釈はしない。しかしまたその文書の内容によりましては、脅威になる場合もあろうと思うのであります。
○飛鳥田委員 さらに極東にはウラジオストック、ニコライエフスク、こういうような軍港があります。そしてこれらにはアメリカの三倍するような潜水艦が集結しているといわれています。すなわちそれ自体としては、国際共産主義は存在自体としては脅威ではないけれども、しかし隣に位し、そして現実に装備を向上させていく、そういうこと自身は脅威になりませんか、いかがですか。この脅威を厳格に解釈をしておいていただきませんと問題があります。冒頭に申し上げたように、加藤さんもお認めのように、脅威とはすなわち潜在的なものなんですから、これは政治家の解釈いかんによってはどのようにでも解釈をせられるおそれがありますので、この点を明確にここでお述べになっておいていただきたい、こう思います。
○西村国務大臣 もちろん私どもは脅威という言葉は相対的な面もあると思います。日本の国内の事情また相手方の事情、これらも相互の関係で考えていかなければならぬと思うのであります。日本の国が非常に安定しているというような場合において、私どもは直ちにこれを脅威、ことに四条の脅威というふうに解釈すべきではないと思います。日本自体の国情が非常に不安定になるような場合、また相手方の方で行動上あるいはその他の国際全体から見た状況の変化、これらすべてを判定して考えていかなければならぬのではないかと思うのであります。
○飛鳥田委員 関連ですから、もうあまり長くしゃべることはむずかしいのですが、ともかく国連において平和に対する脅威ということは、各国々が勝手に認定のできないようになっているはずです。国連の総会において平和に対する脅威、こういうものを認定するような形になっているはずだと私たちは思います。現にスペイン事件の際に、国連の安保小委員会がこれを脅威と認めるかどうかということを議論いたしました。また一九四六年十二月のギリシアの問題についても、安保理事会の小委員会は、これを平和に対する脅威と見るべきかどうかを議論いたしております。またパレスタイン問題の場合にも、あるいは一九五〇年の朝鮮動乱のときでさえ、この問題は国連で決議を必要としておったわけです。いずれにもせよ、脅威という言葉をそう一国で、冒頭申し上げているように、一政治家の認定によって片づけていくということは、非常に危険だということを国連自身が認めて、このほとんどすべてを安保理事会の小委員会で議論しているという事実、このこともやはりこの第四条の協議というものとからめて考えていかなければならないのではないか。そこで私は先ほど加藤さんに伺ったわけです。脅威というのは一方的に認定していいのか、アメリカが脅威と認めれば、日本が脅威と認めなくてもこの協議をするのか、こういうことをくどく伺ったわけです。当然ここには脅威ということに関して、やはり第四条の適用せられる前提として、第四条の協議に入るべき脅威であるかどうかを、日米双方が同意しなければならないという前提が次に出てくるはずだと思うのです。すなわち脅威というものは、加藤さんが再々お述べになったように、定義はむずかしいのです。そしてようやく潜在的なものだという一つの属性だけが、お互いの間に共通した定義になりましたが、ともかくむずかしいのです。こういうむずかしいものをきめていくのに、四条の運営についてそういう考え方をしなければならないのではないか、そしてそういうことについてアメリカともちゃんと話し合っておかなければならないのではないかと思うのですが、この点について長官、いかがでしょう。
○西村国務大臣 先ほど来官房長あるいは私から申し上げておるように、脅威に対しましては、これは協議の前提であります。従ってそれぞれの国が安保条約の精神を体しまして、そしてそのもとにおいて一方が要請する、要請すれば当然受けるでありましょう。その上で今度は十分なる意思の連携をとるわけであります。しかも生じたときというのは、単に一政治家の認定とおっしゃいますけれども、ある程度客観的な面も多分に備わってこなければ、安保条約を結んだ精神からも逸脱するわけでありまして、私は飛鳥田さんのおっしゃるような御心配はないと思うのであります。
○横路委員 先ほど加藤さんから、この第四条における日本国の安全及び極東の安全に対して脅威が生じた場合というので、いわゆる七十八条の間接侵略の問題を私はお尋ねしたわけです。これは先ほど御答弁もありましたように、前の安保条約の第一条にあったものをはずしたわけです。ところが実際には全部はずれないで第四条に残っておる。国民としては、この第四条におけるところの随時協議の条項に入ったので、これは米軍が介入すべき道をまだ残しているのではないか、こういう点についてやはり非常に不安を持っているわけです。本来からいえば、この条文については、藤山外務大臣が外交問題懇談会においてたびたび言明されておるように、藤山さんとしては自分の政治的生命をかけてもこれは削除する、こういうのが遺憾ながら残ったわけです。先ほどの自衛隊法七十六条の問題も合わせて間接侵略の点について、われわれとしてはその細部にわたってお尋ねしたのもそういう意味なんです。 そこでこれは協議はするが、そういう意味では絶対に米軍が介入すべき道は残していない、こういう点についてもう一度加藤さんから——ほんとうは長官からということになりますか、加藤さんからでもそういう点一つお話をしていただきたい。
○加藤政府委員 この点は、先ほどもちょっと申し上げましたが、旧安保条約の第一条におきましては、駐留する米軍というものは、「極東における国際の平和と安全の維持に寄与し、並びに、一又は二以上の外部の国による教唆又は干渉によって引き起された日本国における大規模の内乱及び騒じょうを鎮圧するため日本国政府の明示の要請に応じて与えられる援助を含めて、外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するために使用することができる。」とありまして、米軍を使用するというところが第一の骨子だったわけであります。今度は新しい条約におきましては、米軍の兵力の使用ということにつきましては第五条に規定してあるだけでございまして、第四条で協議をいたしましても、その協議からあの条約だけに基づいて米軍の使用という事態は起こらないというふうに私どもは考えておるわけでございます。
○横路委員 こういう点について使用しないものと私どもは考えておると言うが、この条約の折衝におきましてそういう点については明らかになっているのですか。
○加藤政府委員 これは私は直接に米国と交渉したわけではございませんけれども、外務省と連絡をいたしました際にそういうふうな趣旨に了解いたしております。
○横路委員 次に、先ほどからラオスの問題でいろいろお尋ねしました日米安全保障協議委員会は、この第四条に基づいて当然日本政府が要求してやらなければならぬという意味で関連があるわけですが、それは、「極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたとき」、これで当然日米の安全保障協議委員会は開かなければならぬ、こう私は思っているのですよ。この点もあとで長官にお尋ねしますが、一つ官房長から、「極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたとき」、その内容についてお話をしていただきたい。
○加藤政府委員 これも私がお答えすることが適当かどうかちょっと疑問に思いますが、私どもは非常に賢明なる長官をいただいておりますので、そういう政治的な判断につきましては長官がおやりになると思います。
○横路委員 それでは一つ賢明なる長官、今官房長からそういうお話がございましたから、「極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたとき」というのは、一体どういう場合にこの随時協議をするのか、これは長官から御答弁をいただきます。
○西村国務大臣 この条約の四条の精神は、「締約国は、この条約の実施に関して随時協議し、」という面もあります。「また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威」、そこで問題は、日本国の安全を害することはある意味においては極東の安全を害し、極東の安全を害することは日本国の安全を害する、これが私はこの四条の立て方の趣旨だと思います。日本国の安全は極東には関係ないとか、極東の安全は日本国に関係ないとか、こういうふうには私は言い切れないと思います。そこで先般のラオスの事態は、それらの観点から判断し、またいわゆる安全保障協議委員会のメンバーである外務大臣との意思の疎通、連絡もはかった結果、われわれとしては今の段階においては安全保障協議委員会を要請する段階ではない、こういう結論に政治判断が立ったわけであります。その辺を御了解いただきたいと思うのであります。
○横路委員 今の長官の御答弁は、私の質問に対するお答えにはなっていないのです。私はこう聞いたのですよ。「又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたとき」、こうなっているが、それはどういうときをさしておるのですか、こう聞いておるのです。今長官は、極東における国際平和が日本の安全に影響するような場合、こう言うが、それは実際はどういう場合ですかと聞いておるのです。
○西村国務大臣 それは起こりました事態一つ一つについて、私どもはそれこそ賢明な判断をしていかなければならぬと思うのであります。架空の事態を想定して、ただわれわれがここで論ずる問題ではない。もっとわが国の安全なり極東の平和に対しては、私どもは想像ではなしに、一つの起こった事態に対して、自分たちの置かれた地位、責任というものを考えまして、日本の国のために判断をして参るべき事態だと思うのであります。
○横路委員 それでは私の方から一つずつ具体的にお尋ねします。まず第一番目に、極東の平和と安全が脅かされた場合、脅威が生じた場合というのは、一つには極東の地域で武力攻撃が発生した場合、これはどうですか。 〔草野委員長代理退席、委員長着席〕
○西村国務大臣 その事態いかんによってわれわれは要請すべきである。単に極東の一角に武力攻撃があったら直ちにそうだ、こう簡単にわれわれはその要請する判断を下すべきではない、その事態によって判断をいたします。
○横路委員 ちょっと待って下さい。長官、私が聞いているのはこう聞いているのですよ。「極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたとき」というのは、どういうときなんですか。そこで今あなたから具体的に御答弁がないから、私から極東地域で武力攻撃が発生した場合、それは当然入るでしょう、こう聞いたのですよ。極東地域で武力攻撃が発生した場合、それはこの第四条の「極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたとき」、その中に入るか入らないかと聞いているのですよ。私は初めにこう言っている。長官、どうですか、これは具体的に聞いているのですから、抽象的ではなしに、そうだとか、そうでないとか言っていただきたい。
○西村国務大臣 極東の範囲というのは、大へん前にも問題になりましたが、極東といっても広いわけでありまして、そこで私どもはこの条約の趣旨、ことに四条の趣旨を活用して、これを行使するかどうかの判断の問題にかかってくるのではないかと思います。一がいに、ただ抽象的に、武力攻撃がどこかであったら直ちに、こうは言わぬ。しかしそのために四条は、この条約の実施に関して安全保障協議委員会の会合を要請しないでも随時協議できる、あるいは適当な経路において協議するように交換公文においてはっきりするのであります。直ちに安全保障協議委員会を開かなければならぬというふうには——まずその前の状態を判断する。その判断の中へ今のあなたの抽象的に言われたことが当てはまるかどうか、これがわれわれに課せられたる一つの責任でもあります。それは賢明にわれわれが判断して参りたい、こう言っておるのであります。
○横路委員 どうも今の長官の答弁は、私は少し的はずれだと思うのです。長官、これは第五条で、日本に対して武力攻撃が発生した場合においては、直ちに集団的自衛権、個別的自衛権に基づいて極東の危険に対処するように宣言するとなっておるのです。どうも長官は、この条約については、ただ日本の平和と安全ということのみにこだわっておるようです。日本の平和と安全だけであれば、何もこんなに議論しないのです。極東の平和と安全の条文がここで削られておれば、第六条の交換公文その他も問題ではないのです。ですから長官、これは第五条で日本及びアメリカの軍事基地に武力攻撃が加えられた場合に直ちに武力反撃に出る。第四条では、極東の地域で武力攻撃が発生した場合は当然協議すべき対象ですよ。長官は先ほどから、日米の安全保障協議委員会をラオスの問題でやらなかったので、今度はどうもこの問題でやるとも言い切れなくなったものだから、極東の地域で発生した武力攻撃について、これまた日米の安全保障協議委員会で当然協議すべきなのに、御相談しないわけですか。これはどうなんです。
○西村国務大臣 私は先ほどから申し上げておりまするように、安全保障協議委員会を開くのも一つの方法でございましょうが、同時にまた往復書簡には適当な諸経路によって協議すると書いてあります。必ずしも協議委員会でなくてもいい、そういうような趣旨も書いてありますので、従ってわれわれはこの四条の趣旨を生かしてその事態を判断して参る、こういうことであります。
○横路委員 長官、どうも今の適当な諸経路で話し合うというのはどういうことですか。
○西村国務大臣 これは往復書簡に書いてありますが、「このような協議は、両政府が適当な諸経路を通じて行なうことになります。」同時にこの安全保障協議委員会を活用するというようなこともここで述べてあるわけであります。その趣旨に従って、ある場合には防衛庁側において、ある場合においては外務大臣側においてやる場合もあると思います。それから安全保障協議委員会でやる場合もあります。こういうように文章が書いてあるわけであります。それによって私は御説明を申し上げたわけであります。
○横路委員 しかし長官、極東の地域に現に武力攻撃が発生した場合、これはまず日米の安全保障協議委員会で随時協議をしておく、そうしてこの点は第六条の交換公文にいうところの施設、区域を基地としての戦闘作戦行動に対する、いわゆる事前協議に対する予備的協議と言った方がいいのではないですか。そうじゃありませんか。どうも長官はその点、ラオスの問題で日米の安全保障協議委員会をやらなかったことを私たちに追及されたものだから、それを逃げるように逃げるように答弁されているが、これはそうではないですよ。現に極東の地域に武力攻撃が発生した、この場合は長官、こうなんですよ。韓国で発生すれば米韓相互防衛条約が直ちに発動する。台湾及びその付近で発生すれば米華相互防衛条約が直ちに発動する。フィリピンで行なわれれば米比相互防衛条約が発動する。しかも米比においてはどうなっておるか、太平洋全地域におけるところのアメリカの軍艦や飛行機が攻撃されたら、直ちに行なわれるのですよ。直ちに行なわれれば、日本におけるアメリカの軍事基地から直ちに戦闘作戦行動が行なわれる場合もあり得る。だから当然事前協議の予備的な協議として、日米の安全保障協議委員会をやらなければならぬ。当然そうじゃないですか。これが日米の安保条約だけならば問題ないですよ。それが米韓だ、米華だ、米比だ、ANZUSだ、こうなっているじゃありませんか。そういうものを抜きにして、西村長官はただ単にこの日米の安保条約だけを対象にして考えるところに、今のような答弁が生まれてくると思う。当然これは事前協議の予備的な協議ですよ。加藤さんに聞いても、長官がああ言ったのだからそうですと答えざるを得ないだろうが、こういう答弁にあなたは補佐できますか。これはできないじゃありませんか、どうですか。今の長官の答弁で、もし極東の地域に現に武力攻撃が発生すれば、米韓、米華、米比、ANZUSその他のものが発動してくる可能性がある。いつ一体日本の基地から飛び出すかもしれぬ。そういう事前協議の予備的な協議事項として、当然これは日米の安全保障協議委員会で協議しなければだめですよ。これは自衛隊法第五条に基づいて、次は直ちに出なければならぬ、そういう責任を負わされているのだから、だから聞いているのですよ。あなたはそういうことをおっしゃるけれども、もっと条約の運用——この第四条における「極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたとき」というのは、極東地域に武力攻撃が現に発生した場合、当然行なわれますよ。そうじゃございませんか、もう一ぺんお尋ねしておきます。
○西村国務大臣 極東と言ってもいろいろな地域があるわけであります。武力攻撃、あるいは武力行動がそこで行なわれたら、直ちに四条を発動して委員会を開かなければならぬとは考えておりません。問題はそれによって関連するいろいろな認定が必要なわけであります。たとえば米韓、米比、特に米韓というような場合におきましては、われわれはおそらく事前協議に当然入って参るでありましょう。保障委員会を動かすというようなことも判断の強い材料になりましょう。それからいま一つは予備であるかどうかという問題は、予備の場合もありましょうし、予備でない場合も入っておる、こう解釈をすべきだと思うのであります。
○横路委員 いや長官、お尋ねしますが、それではあなたはこの極東とはどこをさしておるのですか。極東の地域で武力攻撃が発生したというのは、どこをさしてあなたは答弁しておるのですか。長官、あなたはどういう考えで答弁しているのですか。
○西村国務大臣 これは安保条約でも大へんもまれました問題でございますから、誤りなきを期する意味において御説明をしたいのでありますが、一般的な用語として使われる極東は、別に地理学上正確に画定されたものではない、こういうふうに言っております。しかし日米両国が条約に言う通り共通の関心を持っているのは、極東における国際の平和及び安全の維持ということである。この意味で実際問題として両国共通の関心の的となる極東の区域は、この条約に関する限り在日米軍が日本の施設及び区域を使用して、武力攻撃に対する防衛に寄与し得る区域である。かかる地域は大体においてフィリピン以北並びに日本及びその周辺の地域であって、韓国及び中華民国の支配下にある地域もこれに含まれている。これが極東の解釈であります。
○久野委員長 本日は時間もございませんので……(発言する者、離席する者多く、議場騒然、聴取不能)次会は明二十六日午前零時五分より開会することといたしまして、本日はこれにて……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)暫時休憩いたします。 午後十一時四十分休憩 ————◇————— 午後十一時五十六分開議
○久野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 先ほど零時五分より開会すると宣告いたしましたが、理事会の申し合わせにより、明日は午前十時より開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後十一時五十七分散会