内閣委員会 第4号
- 発言数
- 73 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/02/16
会議録
○久野委員長 これより会議を開きます。 科学技術会議設置法の一部を改正する法律案を議題とし、政府より提案理由の説明を求めます。池田国務大臣。
○池田(正)国務大臣 ただいま議題となりました科学技術会議設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び要旨を御説明申し上げます。 本改正法案は、科学技術会議の議員の定数を二名増加しようとするものであります。 科学技術会議は、科学技術の振興に資するため、科学技術全般にわたる施策の総合調整に関し、内閣総理大臣の諮問に応ずる機関として、昭和三十四年に設置せられたものであります。 最近における科学技術の進歩発達はまことにめざましく、これによりて幾多の新領域が開拓され、あるいは国政のあらゆる分野に影響を及ぼす等、科学技術振興の重要性は増加の一途をたどりつつあります。なかんずく政府が経済運営の指針として採択しました所得倍増計画を達成するためにも、科学技術の振興に格段の力を注がなければなりません。 このような情勢に対処して、国として総合的な科学技術振興策を樹立し、これを強力に推進していくには、極力科学技術会議を活用いたしまして、その活発な活動を期待することが最も適切であると考えます。従ってこの際科学技術会議を構成する議員のうち、科学技術に関してすぐれた識見を有する議員の数をさらに二名増員いたしまして、科学技術会議の機能を強化し、かつ充実せしめようとするものであります。 なお本改正法案によりまして新たに増員される二名の議員は、これを非常勤といたしております。 以上、この法律案の提案の理由及び要旨を御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。 ————◇—————
○久野委員長 次に、防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、政府より提案理由の説明を求めます。西村国務大臣。 —————————————
○西村国務大臣 防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の提案の理由及び内容の概要について御説明申し上げます。 最初に、防衛庁設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。 政府は、国力国情に応じて防衛力を整備する必要があることを認め、防衛庁の職員の定員を一万三千五百三十四人増加し、現在の定員二十五万四千七百九十九人を二十六万八千三百三十三人に改めることといたしました。この一万三千五百二十四人の増加分のうち一万千七十四人が自衛官で、残りの二千四百六十人が自衛官以外の職員であります。自衛官の増加分はそのおもなるものについて申し上げますと、陸上自衛隊については千五百人でありまして、施設関係部隊の増強のために充てるものであります。また海上自衛隊における増員は四千四百三十人でありまして、艦艇の増加に伴い必要とされる人員の配置並びに航空部隊の整備及び後方支援部門の充実等のために充てるものであります。なお航空自衛隊における増員は五千百十二人でありまして、航空方面隊及び航空団の増置並びに保安管制、教育、補給等の部門の拡充のために当てるものであります。 第二に、陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の一そうの統合的かつ能率的指揮運用を達成するため、統合幕僚会議の機能の充実をはかることとし、出動時における自衛隊に対する指揮命令の基本及び統合部隊の行動についての指揮命令に関する補佐の職務を統合幕僚会議が行なうこととし、さらに統合幕僚会議に統合幕僚学校を新たに付置することといたしました。 第三に、防衛大学校に従来の任務のほか、防衛大学校の教育訓練を修了した者その他長官の定める者に対し、理工学に関する高度の理論及び応用を教育訓練する任務を新たに加えることといたしました。 次に、自衛隊法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。 第一に、自衛隊の組織及び編成等を整備することといたしました。陸上自衛隊については、現在の管区隊六及び混成団四を師団十三に改編し、その編成をわが国の地形に適応させ、運用を軽快ならしめるように改めることといたしました。海上自衛隊については、操縦教育の一元化をはかるため、新たに長官直轄部隊として教育航空集団を置くこととし、また従来艦艇のみからなっていた自衛艦隊の編成を改め、自衛艦隊は護衛艦隊及び航空軍団その他の直轄部隊からなるものとし、海上艦艇部隊と海上航空部隊との一元的運用をはかることといたしました。航空自衛隊については、防空体制の充実をはかるため、西部航空方面隊を新設し、第五航空団の司令部の所在地を改め、第六航空団及び第七航空団を新設する等の措置を行なうことといたしました。 さらに陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊のそれぞれの補給処における調達、補給等の業務の効率的運用をはかるため、その統制業務を行なう機関として補給統制処を置くことができるように所要の改正を行ないました。 なお従来の練習隊群を練習艦隊に改称し、自衛艦隊司令、航空総隊司令等の名称をそれぞれ司令官に改めることといたしました。 第二に、防衛庁設置法における統合幕僚会議の所掌事務の改正に応じて、統合部隊の行動についての長官の指揮は統合幕僚会議の議長を通じて行なうものとし、これに関する長官の命令は統合幕僚会議の議長が執行するものとすることに改めました。 策三に、予備自衛官の員数を二千人増加し、一万七千人に改めることといたしました。 第四に、自衛隊はその任務遂行に支障を生じない限度において国際的な運動競技会等に対し、必要な協力を行なうことができるようにいたしました。 第五に、自衛隊の施設において自衛隊のための作業に従事する隊員以外の者でみずから食事をととのえることができない者に対して、自衛隊の見学者の場合と同様に適正な対価で食事を支給し得るようにいたしました。 以上両法案の提案の理由及びその内容の概要を申し上げた次第であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成下さるようにお願いをいたします。 ————◇—————
○久野委員長 次に皇室経済法施行法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。緒方孝男君。
○緒方委員 瓜生次長さんに御質問申し上げます。皇室経済法の一部を改正する法律案の上程がなされまして、内容を見ますと内廷費及び宮廷費の増額が申し出られておるわけでありますが、その理由として出されておりますものは、内外御交際の経費の増大ということが、一つの条件にもなっております。それからまた経済情勢の変化に伴いということもその内容の一つになっておりますが、内外御交際の経費というものは、内廷費の中で支弁すべき範囲はどの程度のものであるかということを、一つ御説明をお願い申し上げたいと思います。
○瓜生政府委員 内廷費の方で支弁をされます範囲は、普通の国賓なんか見えました場合の特別の晩餐会ですとか、夜会ですとか、あるいはお宿を提供されるとか、そういうような経費は宮廷費の方でございまして、内廷費ではございませんが、しかしながらそういう場所にお出になるために御服装をととのえられるという面がございます。そういうような御服装のような点は内廷費の方で支弁をされます。なお外国からのお客の中で特別の方、主として王室の方が、何かでごくお内輪で皇族の方だけで御交際をなさる場合があるのでございます。そういうような場合の経費に充てる場合があります。
○緒方委員 してみますと、各国の元首などが来日された場合、公式な晩餐会とか歓迎会とかいわれるような部面についての経費は、宮廷費の中で支弁がせられておる。それはこの宮廷費の中に見込まれておるということなんですか。
○瓜生政府委員 さようでございます。
○緒方委員 してみますと、平素の御服装なり、それに臨むところの御準備のためにかさむ経費である、一般的な家庭的な消費が中心になっての経費がかさむということだと思いますが、そうですが。
○瓜生政府委員 大体そうでございますが、なお先ほどちょっと申し上げましたけれども、そのほかに、お内輪での御交際、国家的な立場ではなくて、ごくお内輪で特別にお集まりになる。つまり向こうの皇帝が見えますと、こちらの方の両陛下、皇族の方がおいでになっておつき合いになる。これはごく私的なものでありますから、そういう場合の経費に内廷費が充てられる場合がございます。おみやげなんかにつきましても、ごくお内輪にちょっとお上げになるというものが内廷費から出る場合もございます。しかしながら大部分のものは宮廷費の中でまかなわれるのでありますから、そう大きな金額ではございませんが、それにしましても御交際の範囲がふえますと、そういう経費がふえるということでございます。
○緒方委員 それにつきまして天皇陛下なり、あるいは皇后陛下なり、または皇太子の方から、内廷費についてのいわゆる不如意の申し出が、あなたの方に意思表示がなされたわけですか。
○瓜生政府委員 特別に不如意というお申し出を受けたということはございませんけれども、その内廷費の方は、実は公経費ではなくて、御手元金で、国家機関としての宮内庁が経理する経費ではないというふうに法律でもきめてありますが、しかしお手伝いをしておりまして模様を見ておりますと、やはりもう少しふやさないと円滑にいかないというふうに感ぜられたわけでございます。
○緒方委員 最近皇太子並びに皇太子妃あたりがアメリカその他東南アジアの諸国に御旅行なさっておられまするが、それらの経費は宮廷費の中からまかなわれるものであって、内廷費として支出する部分はございませんか。
○瓜生政府委員 ほとんど大部分は宮廷費でございまするが、御旅行においでになる際に、ごく普通の場合にもお使いになるような公式の礼服などは宮廷費で調製しておりますけれども、それ以外のものを内廷費で少し余分にお作りになるというようなことで、幾らかよけいに経費が出るというような部面はございます。なお御旅行になりますと、その機会にお内輪の方におみやげをお買いになる。そういうようなものは内廷費で買っておるというので、幾分の経費はそういう機会に内廷費からも出ているわけであります。
○緒方委員 これはあなたの方から厳密に数字的に出されることは困難な問題だろうと思いますが、その御交際のためにかさむところの多少の御経費の増大と、また皇太子の御結婚に伴って新たなところにまた経費が増大するであろう。それからまた職員の給与の引き上げの問題だとか、いろいろありますが、それらがどれくらいな金額に見積もられて上げられるという数字、たとい%でもかまいませんが、何かの基準が出せますか。ただばく然と八百万円を増額してくれというのは、どうも私たちには説明の方法がつかない面がございますが、その点について、どういうところにどれくらいな増額をしなければならぬという何らかの根拠を示していただきたいと思う。
○瓜生政府委員 この八百万円の増額の内訳として、これは大ざっぱに見まして、交際関係の御経費並びにその他の物件費というようなもので三百五十万円くらいの増、それから皇太子殿下の御結婚、また浩宮様の御誕生、そういうことに伴いまする皇族の御異動、それに伴いまする御経費としては二百万円くらいの増、これは二百万円の増ということは必ずしも多くないように見えまするが、清宮様の御結婚で減っておりますから、その方を差し引いて、ふえた方が差引二百万円の増、それから内廷の職員の給与費の増でありますが、内廷の給与費の増は、三年間に国家公務員のベースが平均して二割六分五厘上がっているわけでありますが、それをかけますとおおむねそれが二百五十万円の増、三百五十万円、二百万円、二百五十万円、それを合わせてやりますると八百万円になると思います。 なお、経済情勢の推移ということがこの中に織り込まれておりまするけれども、物価の値上がりはこの三年間に、十二月のところで見ますと、東京のところで約六〇%であります。そういうことがこの中に織り込まれておりまするけれども、それはここに幾らというはっきりしたものはちょっと申し上げかねますけれども、織り込まれておるということをお含み願いたいと思います。
○緒方委員 そうすると宮廷に奉仕されているところの職員の方々は、今まで三年間の間何らの給与の増額は行なわれなかったということですか。
○瓜生政府委員 一般公務員の上がります際には、それに見合って内廷職員についても上げるようにしてきているわけであります。たとえば一般公務員が去年の十月かに上がっておりますけれども、それに見合うように内廷職員にも上げておりますが、そういうことになりました関係上、内廷費の方は苦しくなっております。そういう点がありますので、その苦しさをなくしていこうというので、一応ふやしていこうというのであります。
○緒方委員 一般職員の給与というものは内廷費の方で支出さるべき性質のものではなくて、宮廷費の方で支払うべきが当然であると思いますが、今日までそれは内廷費で支給されておりましたか。
○瓜生政府委員 宮内庁で働いておりまする国家公務員は全部、宮廷費というよりも宮内庁費——総理府の中に入っておりますが、宮内庁費というもので支払われておるのでありまして、内廷費ではございません。しかしながらこの内廷費で私的に御使用になっている職員、たとえば掌典、内掌典でありますとか、神事に携わる職員がおります。それからその下の人とか、そういう神事に携わる方は、これは陛下が直接私的に御使用になっている人ということになっております。それから生物学研究所というものがございます。陛下が御趣味で生物学の御研究をなさっております。そういうところで働いておりまするのも、これも国家事務ではなくて、陛下の私的な意味のお手伝いをするという職員ですから、これも内廷の職員というので内廷費の方で支弁をされております。従ってわれわれなんかはこの内廷費の方の給与を受けているのではございませんので、宮内庁費の方の給与をいただいているわけであります。
○緒方委員 そうすると内廷費の方で支払われておるところの職員の総数は、どれくらいのものですか。
○瓜生政府委員 現在のところ二十五人であります。
○緒方委員 われわれ想像いたしますときに、この皇室の経費の増額というものを見ましても、内廷費の増額を見ましても、どうも一律に一人当たり十万円ずつ毎月上げておる。こういうふうな印象を受けるわけです。総理大臣の給料を上げたから、皇族や皇室その他も一般に十万円ずつ毎月上げてやろうというような形で出されておる向きがある。これはどうも私たちは、根拠が非常に変なものがありますが、御説明でもって多少はそれは考え方を変えるにいたしましても、われわれは一般的に皇室の内容は十分に存じません。想像するところによりましても、天皇陛下、皇后陛下、皇太子並びに皇太子妃にしても、おんみずから市中で物品をあがなうことはありますまい。おんみずからが懐中にお小づかいを持って歩かれるということもありますまい。要はその御用を達するところの人たちによって、それらが満足されておるといわなければならぬ。してみますると、その経費が増大されてくるということは、何も天皇陛下やあるいは御皇室一家に御不自由をかけようとは思わないが、それをまかなっておるところの側近の方々が、袞竜のそでに隠れて甘い汁でも吸うておりはしないかという世間一般の疑惑を生む根拠になりはしないか。そういう意味におきまして、これはもちろん内廷費であります以上は、会計監査の対象になるような性質でもございませんし、あくまでも天皇陛下御一家のお小づかいであります以上は、お小づかいとして使うことは御自由でありますが、それは天皇陛下、皇后陛下、あるいはまた御皇室一家が御自分で使うのでなくして、その節度はおそばについておられる方々の節度にかかってくると私は考えるわけであります。そういう面についてもう少し何に何ぼ要るというような、具体的な資料を提出していただきたいということを私は要望として申し上げておきます。 いま一つ皇族費の問題につきましても、先ほど申しましたように百二十万円の増額が出されておるわけであります。百二十万円は先ほど申しましたように一人月に十万円のベース・アップというような印象しか受けられないわけなんですが、これについても私は、説明も先ほどの宮廷内の説明とは今度は変わった御説明があるかどうか、一つお伺いをしておきたいと思います。
○瓜生政府委員 内廷費の部分と共通する同じような面もございまするが、皇族さんの場合の御交際その他の活動の増加による経費の増という面のことを申しますると、御交際の度数が最近非常に多くなっておられます。これは外国の大公使館がふえますると、それに呼ばれてお出になる場合も非常に多い。国賓がふえる以外に、呼ばれてお出になる場合は大てい皇族さんがお出になり、両陛下はお出にならない。そうなりますとそういう場合にやはり御服装もいつも同じものでもいけない、衣装をととのえられるという関係の経費がふえます。それから呼ばれてばかりいてもいけません。時には何かなさるという御経費、そういうものもふえて参ります。なお国内の関係のいろいろな方との御接触の場合の経費、それも一般のレベルがとがってきておりますし、それに応じた御交際をなさるというような意味で、そういう経費もふえております。それから内廷の場合でありますと、平素の諸経費はほんとうの職員の経費とか、服装の経費とか、御勉強の経費ですとか、そういうものが主になりますが、宮家の方でありますとお住まいの関係は、御自分の一お住まいを持っておられまして、そういうお住まいを整えられる経費というようなものもかかって参ります。そこにある家具調度なんかをあつらえるというような経費もかかって参ります。お住まいの関係なんかは両陛下の場合ですと、国の経費でいっておりますが、そういう点が皇族の場合は御自身で出されておるのです。そういう点がよけいにかかっておると思います。それから人件費の関係は、内廷の方では先ほどちょっと申しましたが、今のところ全体五千万円のうちで人件費に当たるものが約九百万円であります。そうしますと一割八分ふえるわけであります。宮家の方は人件費の割合がおもらいになる金の約四割くらい、宮家によって違いますけれども、四割くらいにもなります。これは宮家の方へ行っておりますのは、国家公務員としては事務官が一名と運転手が一名だけであります。その他の事務をやる人、それから侍女のような人とか、その他の人の経費は全部皇族費の方でまかなう、そういう方面の人件費のベース・アップ、これも内廷の場合よりもよけいそういうものが考えられていく、そういうような点があるのでございます。なお物価の値上がりの影響していく点は、これは両方同じでございます。六%これはこの中に含んでおります。同じような面もございまするが、違った要素がある。従って増額の率は内廷費で申し上げますると一割六分になるのですが、皇族費の場合は四割の値上がりというふうに考えておりまするのは、実情を見ましてそういうふうにいたしておるわけです。特に実情を見ましてと申しまするのは、今までの実績を拝見しておりますると、各宮家の方はいただかれる経費ではほんとうに不足をしておられる。いろいろ無理をされる。こう言ってはおかしいけれども、いろいろ工面をしておられるという点がございます。内廷費よりももっと苦しくやっておるというような点がございますので、そういう点をやはり考えていかなければならぬというような点もございまして、内廷費よりも一そう多く見てあるわけであります。
○緒方委員 あなたの御説明を聞くと、御交際の範囲が広くなったから、衣装その他をなにしなければならぬというふうに言われますと、おしゃれの費用をたくさんつけてやらなければならぬというふうな俗っぽい、われわれの頭にはこないような気がいたします。それは一般的な物価の上昇で多小の増額を差し上げなければならぬだろうというお気持だけならば私もなにしますけれども、御服装をととのえるに毎月十万円ずつ増額しなければならぬということになりますと、一回のお客さんに一着ずつを作らなければならないのかというふうな疑問も出てくるなにがするわけです。私は何も御皇族の方々に不自由をかけようとは思わないが、そうおしゃればかりもしてもらう必要もないと思う。私はもう少し理屈の通った出され方が必要ではなかろうかと考えるわけでございますが、この点はどうですか。
○瓜生政府委員 この御服装の経費の多くなりますのは、そのふえる全額ではありません。その中にそういうものを含んでおるということでございますが、これは主として妃殿下の場合でありますが、殿下方はよくわれわれにもおっしゃるのです。質素にしていくべきだ、しかしまた品位を保たねばならない、その度合いはどういうものだろうという点でよくいろいろ考えますということを言われるのでありまして、やはり主として外国の使臣との御交際の場合が多いものですから、そういう場合には呼ばれる方の筆頭で皇族さんがお出になる。その他の方もおられます。そういう場合にやはり品位を保っていくことは、日本の国の品位にも関係するので、そういう点はいろいろ考えなければいけない。質素に過ぎてもいけないし、その度合いというものはいろいろ苦労しますということを伺っております。従っていわゆるおしゃれをなさるというような観念とは私は違うように思っておるわけであります。
○緒方委員 私は御皇族は一々おしゃれをしておる、ぜいたくをしておるということを言うておるのではない。あなたの御説明でいうとおしゃれをされておるようになるということを、私は指摘したわけです。これは御皇室はどのような御経費がかさんでおるのか。内容に立ち入ってまでできませんが、たとえば高松宮にしてみましても、これは港区の方に光輪閣などという御邸宅があられたはずである。今はこの御邸宅は御使用になっておらないで、他にお貸しになっておる。お貸しになっておるけれども家賃も何もいただいておらない。こういうような状態の中において不如意だ不如意だと言われるのは、これは理屈に合わない面もあるのだが、そういう面についての御進言などを申し上げる必要がありはしないかと思いますが、どうですか。
○瓜生政府委員 光輪閣のことをお尋ねのようですが、光輪閣は高松宮さんの御所有の建物であります。地所は全部ではありませんが一部分が国有で、その部分を借りておられるのでありますが、これは現在の生活費ではああした大きな建物を御自身の住まいに維持管理されるのには不足する。それで御自身は裏の方に四十何坪の建物をお作りになって、そこにお住まいになっておる。光輪閣は光輪倶楽部というところに貸しておられますが、それによって維持管理をさせておられる。あの光輪閣の土地は相当の部分が国有の土地で、それを借りておられるわけですから、それが年額相当の金額になります。あの場所がいいものですから、たしか今数百万円になります。それから固定資産税もありまするし、光熱費、水道、その他いろいろの経費もやはり相当の金額になる。そういうものを光輪倶楽部というところが全部負担をしておる。そうしているわけで、従ってこれは私、話を聞いてみますと、光輪倶楽部自身も相当経費がかかるの、ときどきいろいろなところへ貸し付けて、それからの収入も得ておられるけれども、実際は赤字で相当苦しいように聞いております。そういうふうな事情でありますので、高松宮さんとしては光輪閣はお持ちだけれども、実際問題としては光輪倶楽部に利用させておられる。しかも利用させることによって、お持ちになっておるためにかかってくる経費を、そのクラブの方で負担をさせておるということになっておるわけであります。
○緒方委員 他に利用させておって自分は別なところに移られておる。利用させられておる方はこれは非常にありがたいことだと思うのですが、利用させていただくならば国にさせていただきたいと私は考える。そのために皇族の方々の御生活に御不自由はさせないという方針を出されておるのだから、個人的にクラブだからというような形でもってお貸しになるのでなくて、お貸しになるなら国にお貸しを願いたい。そうすれば国でもってこれが使える。国際親善に使おうと何に使おうとこれは自由ですが、高価なところであり、場所もいいところと言われるならば、それほど重要なところであるならば、それをまた個人に貸すならば個人に貸して、相当の収益を上げても私は差しつかえないのではなかろうか。ただ個人的にそれを貸しておって、金はいただいておりません。生活は苦しいから国の方から出して下さいというのは、話のつじつまが合わないじゃないかと言っておるのです。
○瓜生政府委員 一応御意見として承るわけでありまするが、国としてそういうような建物を利用されて、それに伴ういろいろな経費を相当使われるという点は、これだけ経費がかかると実際問題としてはなはだむずかしいのではないかと思います。そういうような事情が私はあると思います。民間でなくてはいかぬというお考えではないと思いますけれども、そういうことだと思います。
○緒方委員 次に皇室財産の面ですが、たとえば常盤松の御用邸、高輪の御用邸、葉山の御用邸、沼津の御用邸、那須の御用邸、こういう場所は天皇陛下なり皇后陛下はときどき御利用なさっておりますか。
○瓜生政府委員 今おっしゃいました常盤松の方の御用邸というのは、最近まで皇太子殿下がおいでになったところで、その後東宮御所ができまして、今あいております。しかしながらなお先に義宮さんなどがあるいは場合によってしばらくお使いになるようなことがあるかもしれぬというので、そのまま今維持されておるわけであります。葉山の御用邸は、これはときどきお出かけになっております。実はきのうまでもお出かけになっており、きのうお帰りになりました。那須の御用邸のこれは主として暑い夏の間でありますが、御滞在になっております。沼津の御用邸は、最近あまりお使いになっている度数は多くないのであります。ここ二、三年はお使いになっていない点はあります。その前はお使いになったのですけれども、最近あまりお使いになっておりません。それではあそこの場所についてどうするかというような問題は、いろいろ研究問題としてわれわれも考えてはおるわけでありますけれども、しかしながら今のところこれをどうするということの結論を得ておるわけではありません。実情はそうなっております。
○緒方委員 葉山の御用邸、那須の御用邸、これはまた必要な個所でもございましょうし、たとい年に一回でも御使用の必要の場所であるとするならばかまいませんが、先ほど申しましたように常盤松の御用邸や高輪の御用邸、沼津の御用邸と、御使用にならないところを、いつまでも御用邸という名のもとに置いてしておくことは、日本の今日の経済情勢から見て、常識はずれの形だと私は考えるわけです。御必要があれば国はいつでも国の財産を御提供申し上げる状態になっている。してみるならば、御必要でない場合、国がこれを使うて差しつかえないと、私たちは法の建前上そう考えます。すみやかに、今御使用の必要の見当たらない場所、いわゆる常盤松の御用邸、高輪の御用邸、沼津の御用邸を、これをいつまでも御用邸としてあき家にしておくか、それとも何らか国の用に供するような方法にしていただくか、いずれか一つ政府と合議をしてみていただきたいということをお願いしておきたいと思います。 いま一つは、下総の御料牧場の状態なんですが、牧場は今どういう経営の状態になっておるかを一つ御説明を願いたい。
○瓜生政府委員 下総の牧場、これは現在あそこで馬の生産、飼育、それから乳牛——馬は全体で今あそこに七十二頭おります。乳牛が四十一、豚が八十四、綿羊が七十、鶏が千三十七、そういうようなふうに飼われております。そのほかにそういうものに必要な飼料を作る畑があります。なおそのほか、宮中の宴会なんかの場合に使われる清浄野菜の栽培もやっております。そういうようなことをやっております。なおここは、春ちょうど桜の咲くころは気分のいいところでありますので、外国の使臣の接伴にも、この場所が使われております。外国使臣が見えまして、四月のちょうど桜のころ、三回に分けまして、そうして馬に乗る人は馬に乗って桜を観賞する、そういうような意味の国交親善のための場所にも使われておるわけであります。
○緒方委員 昔まだ人が働くというすべを知らないときには、御皇室みずからが蚕をお飼いになり、田に稲を植えられて、百姓、町人にその生業の道を授けられたという、かつての御皇室のお話がございます。そういう場合に、必要なことであるならば、私はこういう牧場なり、あるいはまた御用田をお持ちになっても差しつかえないことであるし、必要なことではなかろうかと思います。今日の時代において、御皇室みずからがこういうことをなさる必要があるかどうか。その坪数といたしましても百二十八万坪からの広大な土地でもございますが、はたして今日御皇室が牧場などを経営なさる必要があるかどうかという経済的な価値については、どんなものでございましょうか。
○瓜生政府委員 これは皇室用の国有財産で、皇室直接御使用という意味ともちょっと概念が違いますけれども、しかし皇室の用に供するためということでございますから、おっしゃったようにも考えられましょうけれども、この牧場は皇室との関係が非常に深い沿革がある。そうして最初から馬を生産する場所として非常に沿革のある場所で、馬の生産については一つの伝統を持っておる。そういう伝統はやはり生かしておこうという点があります。特に馬の関係で皇室の方々がお使いになります御料馬なんかも、いろいろそれに合うようなものをこういうところで考えるとか、あるいは皇室ではいろいろの儀式なんかで馬車を使っておられます。馬車を引く馬というのも、だんだん普通のところでは生産が少なくなっております。いい馬をほしい場合に、それに必要な馬をここで生産をするということによって意義があるというような点があると思います。それから牛とか豚とか、そういうような関係のものは、皇室でのいろいろな宴会、その他両陛下、皇族さんの御用のものは、ここで生産したものを持ってきております。特に外国使臣なんかの接伴の場合に、ここで特別に工夫して作ったものを出すという場合においては、特に喜んで感謝をされている。接伴の意義もそれによって増大するというような点もございますし、現在ここを皇室の用として、国有財産でありますが、宮内庁がこれを管理することにはやはり私は意義があると思います。先ほど申しましたように、外国使臣の接伴ということもあります。なお皇太子殿下など皇族の方がここへ行かれて、馬の練習なんかなさっていることもありますし、そういう意味もあると思います。
○緒方委員 新浜の狩猟場、埼玉にもございますが、これは毎年お行きになっておりますか。
○瓜生政府委員 それはカモ猟の場所のことだと思います。埼玉の方と千葉の方と二カ所ございますが、これは主として接伴用に使われておるわけで、外国の使臣、なお国内のおもな方々をお招きになっての接伴用に使われておる。このカモ猟に十一月の半ばから三月の半ばくらいまでは、相当ひんぱんにそうしたお招きを陛下がされておるわけであります。なお皇族の方も御一緒に、あるいはそのお客と御一緒によくここにおいでになってカモ猟をなさっておるので、ここは相当使われておるわけであります。
○緒方委員 私は牧場の問題にしても、五十年、百年前の日本の状態の中で百万坪持とうが、二百万坪持とうが、必要であるならばそれは御利用になるととも、あえて意義のないというような問題ではないと思いますが、考えますと、今日のような日本の経済事情のもとにおいて、ないよりもあった方がいいという程度のお考えでありますならば、もっと日本の国情に沿うたところの経済的な利用価値を考えていただきたいと思います。いま一つのカモ猟の場所にいたしましても、二カ所は必ずしも必要であるかどうか。そのカモ猟をなさることが悪いのではなくて、やはり御用猟場であるならば、他に民間のものは入れないだろうと思う。その辺は特別な区域が作られておるならば、民間には利用のできない状態であろうと考えられますので、一カ所ぐらいは開放してやった方がいいのではなかろうかという気持もいたすわけでございます。現在の皇室の財産は、従来御皇室が使っておったから、そのまま皇室が利用するところの権利を持っておるというふうな形で、これが利用継続されていくような傾向が見受けられますが、そういうことは皇室の私有財産化になる危険性を私は考えなければならないと思います。憲法にははっきりと、皇室は特別な私有財産は持たない、御必要なものは国がこれを提供する、御必要でなくなったならば直ちに国に返していただくという建前になっております。これも皇室が使っておった場所、ここは皇室が管理しておったところだという形ばかりをとっていくならば、皇室の私有財産化が確立して参ります。これは憲法に違反する結果を招来する危険を私は感ずるわけであります。そういうふうに、少なくとも今日の状態で必要であるならば、われわれもいつでも御使用になることにやぶさかなものではございませんが、今必要でないものを、何かこれは皇室の権利だという形でもって確保されるような形のないように、運用しておいていただきたいということを最後にお願いして、皇室経済は一応これで打ち切っておきたいと思います。
○久野委員長 受田新吉君。
○受田委員 私、皇室経済法施行法に関連して一言と、皇室典範に関係して二、三点お伺いしたいと思います。 皇室の経費は内廷、宮廷いろいろありますが、繰越金、つまり使い残った場合は繰越金として次年度に繰り越されておるのでございますか。全部使い切っておるのでございますか。
○瓜生政府委員 皇族費の方は今までは一ぱいですから、今度も繰り越しはないと思います。内廷費の関係では幾らか予備費を組んでおりまして、予備費が残る場合はございますが、そういうのはこれを蓄積なさっておるわけであります。そして何かの機会に多額の金が要る場合には、その蓄積をお使いになる。たとえば皇太子殿下の御結婚がございましたけれども、あの際は、国費からいただきましたほかに、私的な経費というので、内廷の方で相当の金、約二千万円くらいお使いになったと思いますが、それもある程度蓄積をなさっておられる、それでやっておられるわけであります。
○受田委員 これは宮内庁の予算要求の際にも考えられておると思うわけでる分は貯金をしておいて、次の機会にまとめて使うようにしていくという形になるのですね。それは特例だと思うのですが、蓄積というのは貯金ですか、何ですか。
○瓜生政府委員 これは内廷費の性質上、ぽんと御手元金になるわけですから、普通の予算とは違うわけです。これはちょうどわれわれの俸給で言えば、余れば貯金をするのと大体観念が同じだと思います。ですから、蓄積をなさっておるのは貯金でありましょうが、それで不時の要に備えられるということでございます。
○受田委員 それは予算編成上における特例だと思うわけです。普通のところでは使い残れば次年度に繰り越すわけです。皇室の場合は、貯金をしておいて次にまとめて使う機会を待つ、こういうようなことになるわけですね。そうすると御生活をいともきびしくされて、節約された部分を貯金をされるというような行き方ですが、これは一種の家計と同じように内廷費を見ればよろしゅうございますね。
○瓜生政府委員 よろしゅうございます。
○受田委員 そうした場合に、今も緒方委員からもお尋ねになった予算額の問題などが、実に大ざっぱに線が引かれておるわけでございますが、たとえば内廷費でまかなう雑役に当たる職員の給与の基準が、つかみ金ということになるおそれがないか。給与法の基準に基づいた支給がたとい内廷費からであってもなされておるか。勤労奉仕隊が大ぜい皇居へ参って天皇のおそばで作業についておるわけでございますが、そうした人々に対する心づかいというようなものも何か考えておるのかどうか。そういうようなきちっとしたものは別になくて、大ざっぱにやっておられるわけですか。
○瓜生政府委員 いわゆる公金ではありませんので、こまかい点はともかく、職員の給与につきましては、国家公務員ならば、たとえばこういう経歴の人でこれくらいならこれくらいの給与というように大体の基準がありますから、そういうので給与を出しておられるわけであります。国家公務員の方が上がる場合には、そういう機会にそれに応じて上げる。まあ国家公務員と同じような基準でやっておられるわけであります。
○受田委員 典範に定むる陵及び墓の管理等に要する経費は、どこから出るようになっておりますか。
○瓜生政府委員 その方は宮廷費でありまして、内廷費ではございません。
○受田委員 国家に功労のあったような人がなくなった場合には、天皇が祭資料を出されますね。そういうのはどこからですか。
○瓜生政府委員 祭資料は宮廷費の報償費の方から出します。内廷費ではないと思うのです。災害のお見舞金なんかは内廷費であります。
○受田委員 祭資料の基準、つまり金一封でありますけれども、その基準というものも、今度ベース・アップがされれば幾分増加されるというような配慮があるかどうか。とにかく内廷費、宮廷費の中からそういうものはすべて基本的な計算の上で出てくるわけですね。
○瓜生政府委員 特に謝礼的な性質のもの、これにつきましてはわれわれのところでは今まで大体大まかな基準のようなものはありますけれども、これを再検討いたしておりまして、社会的な一般の程度が上がれば、それに応じてある程度上げていかないといけないというふうに考えて、場合によって幾らか上げますけれども、しかしながら職員の給与が一割二分上がったという場合、たとえば千円なら千円を千百二十円にするということはちょっと形が悪いわけでありますから、そこらは場合によっていろいろ考えていきたいと思います。
○受田委員 皇居の中で働かれているいわゆる一般職の公務員でない職員、内廷費でまかなう職員の待遇等につきましても、これはわれわれの干渉することのできない対象という意味でなくして、やはり内廷費から出される給与費——人件費でなくて何か別の名前から出ているかもしれませんが、そういうものについても宮内庁としては、個人の生活が一般職の公務員と比較して遜色のないような形でされるように十分取り扱っていただいておると思いますが、重々この点も含んで御検討願いたい。 それから私、天皇御一家の御生活がそう派手であるとは思いませんし、質素を旨とされていることも十分わかるのでございます。だから皇室に関する諸経費について必要なときには、私たち国会で承認をする場合にも御協力するにやぶさかでないのですが、実態が明らかになっていないと、何だか雲の上のことは一まとめにして承認してくれということになってくると、今緒方委員の言われたような疑義が起こって、治外法権の立場があまりにも強力に見られるおそれがあると思うので、ここは十分お含みおき願いたいと思う。 もう一つ皇室典範の規定でお尋ねしたいのです。前の皇室典範には一世一元制の元号の規定があります。ところが新しく制定された皇室典範には、どこを見てもその規定がない。これはいつか私お尋ねしたことがあるのですが、その後政府は一向この問題について私の質問に対する答えを出していないのです。そこで私はまず第一にお聞きしたいのですが、昭和という年号の法律的根拠はどこにあるか。すでに無効になった皇室典範に基づく一世一元制であるから、元号制を認めていない新皇室典範の場合には、どこに根拠があるかをまずお尋ねしたいのです。
○高辻政府委員 お答え申し上げます。この件につきましては、ただいま受田先生もお触れになりましたように、かつて内閣委員会でございましたか、非常に詳しい御質問を私自身が受けたことがございますが、重ねての御質問でございますので御答弁申し上げますと、御承知のように旧皇室典範や、さかのぼりましては太政官布告、それから関係のある法令としては登極令で元号のことが規定されておりました。それが新憲法と同時に法令の改正がありました際に、皇室典範も登極令も廃止されましたし、新皇室典範にも元号のことは載っておりません。ただ一つ太政官布告が残っております。残っておりますというのは、特別の廃止する措置は講ぜられておりませんが、それの法的効力というものは、現在におきましては、国民に対してその中身を強制するような効力を有するものとしてはないというのが結論でございます。従って昭和という元号が今どういう根拠を持って動いておるかというお尋ねに対するお答えといたしましては、それは一般の国民を拘束するものとしてというよりも、すでに長い間、昭和という元号のもとに国民生活が行なわれてきておる、その一種の習律的な関係として現在は行なわれていると言わざるを得ないと思います。 それから少し先ばしってお答えすることをお許し願えるとすれば、かつてお話がありましたように、こういうものをそのまま放置しておくのはよろしくないというお考えでございます。その際にもお答えしたことでございますが、こういう元号の問題というものは、われわれの考え一つできめるのはいかがかというわけで、やはり何か調査会というようなたぐいのものを設けて、広く御意見を聞いて措置を講ずべきであろうということを申し上げたこともございます。それがいまだに実現に至らないで、大へんいかぬではないかという御非難はごもっともだと思うのでございますが、なかなかそういう措置ができないわけでございました。これは総理府の方からお答えがあるかと思いますが、今度の予算ではそういう関係のものを審議する調査会といいますか、審議会と申しますか、そういうものが設けられるやに承っておりまして、その審議会等で一つ検討を始めて、御趣旨に沿うようにいたしたいという考えでございます。
○受田委員 先ばしった御答弁であってもけっこうでございますし、私がかねて憂慮した問題の一つである。私が今申し上げた昭和という年号の法律的根拠はどこにあるかということは、今初めてお尋ねするわけです。この根拠のないものを国民に強制しておるわけです。昭和何年ということは、法律の上にもどこにも出てきておるわけです。元号を用いることが出ておる。ただこれを使用しなければならぬという法律的根拠はないわけです。強制力がないわけなんです。そこで慣例としてこれを用いておるというような薄弱な根拠では、昭和そのものを用いておる国民も、おれたちは根拠のない慣例習慣で用いていくというようなことでは、これは用いなくてもいいのではないかというようなことになって、西暦紀元でやってしまえというような人もどんどんできてくるということになる。そこで今そういう審議会というものを、かねて要望したことにこたえる意味で何かできるというのですが、それはそういう政府の意図があるわけですか。
○藤枝政府委員 ただいま御指摘がありましたような元号、その他たとえば国葬というような問題もありますし、要するに帝国憲法から日本国憲法へ変わったときに落としておるそういう幾つかの問題があるわけです。それについて十分調査をいたしたいと思いまして、来年度の予算におきましてはとりあえずその調査を始める一部の費用をお願いいたしておるような次第でございまして、将来はいわば典礼等を調査する審議会等を設けて、十分に民間の御意見等も伺ってきめて参りたいというふうに考えております。
○受田委員 私、予算委員会の説明の中でまだそこを聞いておらなかったわけですが、今初めてお聞きしたわけです。これは非常に大事なことだと思うのですが、その調査するということは機関を作るということでなくて、ばく然と調査する、それは総理府のどの機関かがやるというわけですか。
○藤枝政府委員 ただいま申し上げましたように、とりあえず一体どういうものを調査しなければならぬかというような問題があるわけです。元号であるとか、国旗の問題であるとか、国葬の問題でありますとか、そういうものをまず調査いたしまして、そうした上でさらに典礼審議会とでも申しますか、そういうものを設けていきたいというふうに考えております。
○受田委員 その調査をした後に、典礼審議会は次の問題として考えられるわけですか。やはり法律の根拠を有する設置法のようなものでお出しになるお含みがあるわけですか。
○藤枝政府委員 もちろん典礼審議会的なものを作りまするときには、これは法律の根拠による審議会にいたしたいと考えております。
○受田委員 非常に前進してきたわけです。ただ私ここでもう一つお尋ねしておきたいのは、天皇もだんだんと老境に入ってこられておる。私、天皇の御長命を常に祈っている一人でございますけれども、生き身でございますから、万一のことが陛下の上に起こるという場合が絶無ではないわけです。そういう場合に、何ら手だてがない段階においては結局どういうことになるのですか。そういうものができる前に陛下のお身の上に万一のことがあったという場合に、年号が新しく変わることになるのか、紀元何年という西暦を用いるのか、どういうことになるのですか、そこを一つ御答弁願いたい。
○高辻政府委員 どうも非常に答弁のしにくいお尋ねでございますが、先ほど申し上げました趣旨のことをずっと続けて参りますれば、当然新年号を権威あるものとして、国民一般がそれによらなければいけないというような法的効力を持たせるものとして新しい年号を設定するということは、法律上の根拠が要ることは当然だろうと思います。従ってそういう意味での元号を、いかなる元号が立てられるかということは、今直ちにできるかといえば、それはそういう事態に際会した場合に、必要な措置が講じられていなければできないと申し上げざるを得ないと思います。 立ちましたついででございますから、先ほどの私の答弁を若干補足させていただきたいと思いますが、たとえば、太政官布告のことについて言及をいたしましたが、官庁部内の取り扱いといたしまして、国民一般に拘束的効力を及ぼすものとしてでなしに、官庁一般ではそういうふうに使うというようなことは、これは特別な法律の根拠がなくてもできないわけではございません。もう一つ、たとえば昭和の年号を使うというようなことが個々の法律で明らかにされていれば、その法律の施行に関してはその年号が使われることも、これまた当然でございます。従って先ほど申し上げ、ただいま申し上げております趣旨は、一般的に元号を国民がそれに準由すべきものとして使わせる場合には、それ相応の法的措置が要る。さかのぼりまして、先ほど総務長官からお話がございましたが、新憲法施行の際にしからばわれわれは何も考えていなかったのかと申しますと、実はそうではございませんで、法律の準備をいたしたのでございます。しかし当時はちょうど占領当時でございまして、元号というような問題につきましてはえらくあちらは神経質でございまして、ついにそれが成案の運びに至らなかったという経緯がございます。これはよけいなことでございますが、そういう経緯のままに今日に至っておるわけでございまして、まあ先ほどお話がございましたように今回これを取り上げて、考慮していこうということになっておるのが状況でございます。
○受田委員 私が心配しているのは、陛下の御身の上に万一のことがあったという場合に、昭和をそのまま使っていくのか、あるいは西暦紀元を用いることになるのか、そういうことが現在はさっぱりわからぬでおるわけでしょう。これは実に不安定な状況ですよ。一体どうしたらよいのかということで、万一の事態が発生した場合に、政府も国民もその翌日から年号のところを何年と書くか、昭和三十八、三十九、四十年とそのまま続けていくのかどうなのか。旧典範の慣例からいうならば、旧典範の規定を重んずるならば、一世一元というものを、また皇室みずからが何かを宮内庁の方に出すようになさるというようなことがあった場合に、国民はそれに従うということになるのでしょうが、皇室典範は法律事項になったのですから、また国会へ諮ってやって、そう簡単に法律が一夜や三夜でできるのではないのですから、また世論調査をやったり公述人が来てやったりすればやはりかかる。そういう場合にはさしあたりどういうことになるのか。それは私は非常に不安な点があるので、ここははっきりお答えをしておかぬと、国民は宙に迷うて日時の明記ができないような状態になってきては大へんだと思う。それに備えて、明確な御答弁によって、現時点における政府の解釈をはっきり示しておいていただきたい。
○高辻政府委員 ぎりぎり結着の法律論として申し上げれば、先ほど申し上げたところに尽きていると思いますが、しかし何か考えろ、できなくては困るから何か知恵を出せと仰せになりますなら、どうも国民がその年号を使わなければ一切法的生活の面ではできないのだというような意味の元号というものは、ちょっとむずかしいと思いますけれども、しかし現在の習性では、ある人は昭和を使い、ある人は現にありますように西暦紀元を使っている人もございます。そういうような意味で、習律だけの観点から申しますれば、おそらく昭和の元号というものが今まで確とした習律として一応来ているものが、やはり天皇の御交代の際に元号が変わるものだという基礎に立つといたしますれば、何か新しい元号ができませんと困るでありましょうが、その際考えられる措置といたしましては、これはほんとうの私見で、一つの考えにすぎませんけれども、おそらく新しい元号を作って、国民が自発的にその元号によって事を処理していくという方法もあろうかと思います。しかしこれは政府としてお答えする段階まで今実は行っておりません。それはむろん当然の方法としては、元号問題を法的にいかに解決するかということが先であるわけでございますために、それがなくなった場合にどうするかということを今考えろというのも御無理かと思うのでございますが、しかししいて申しますならば、そういう際には新しい元号制度というものをやはり維持していきたいというのが、要路というか、政府の考えであれば、その際に新しい元号というものを作って、国民の自発的な意思によってそれを実現していくという方法があろうかと思います。しかしそれがいいかどうかはそれ自身一つの問題だろうと思いますので、やはりその辺は調査会あたりで十分に考えていただくべき問題だろうと思います。
○受田委員 新皇室典範の第四条に「天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。」という規定があるわけです。従って即位されると同時に元号が改めてこられたのが、従来の慣例なんです。その崩御された場合には、こういう元号というものを、四書五経などの名文句を拾い上げて、それを取り出して用意してあったわけです。確かに用意してあったのです。そうしなければ、直ちに易経、詩経、書経、孝経などの文句を引き出そうといったって、急に頭のない知恵をしぼったって出るわけがないのですから、前から用意してあったのです。そういう手だてが施してあったのですから、そういう意味からいったら、そういうこともあり得るということであれば、政府は政府の考え方で、次の元号はこういうものだということを、およそ宮内庁などと御相談されておられることも考えられる。私たちとしては、いろいろな考え方もあると思うのですけれども、別にそれにとらわれる必要もないとも思っておりますし、西暦紀元をすべて共通に用いてもいいと思っております。いろいろ方法があると思いますので、私自身結論も得ておりませんけれども、そこに何か結論を出さぬと、皇室典範第四条のそれ自体が現在起こったときに、迷い迷うておられたのでは、政府もあまりにぶざまになると思うのです。これは大事な問題で、いいかげんな問題ではないのです。間髪を入れず、陛下がなくなられると同時に皇嗣が即位されるのですから、それと同時に元号が変わらなければならないのですから、あとから追認するというような事項とは違うのです。これは非常に大事なことなんですが、今だいぶ前進した御意見を伺ったから、そこはそこまでにしておきます。 もう一つ、皇室典範の規定では、十六条に、摂政を置く場合は、天皇が未成年者である場合と、精神、身体の重患または重大事故があるとき、こういう規定があるわけです。こういう新事態になってくると、天皇御自身が外国旅行もされなければならないし、すでに日本へは外国の君主も訪問しているわけです。そういう意味からいって、この摂政の規定は、象徴としての天皇の地位にあられる限りは、天皇の外国旅行は不可能であるという規定ではないかと思う。これは人権を無視するというか、陛下はその生涯を通じて国外に一歩も出られないのだという手きびしい制約を受けているわけです。この点について天皇の外国旅行は可能なのか。私が見たところでは、この規定を見ると天皇は、国事事項を取り行なう場合における責任上、外国へは出られないのではないかと思うのですけれども、法律的解釈、法理論の上からと、それから現実の問題と、この両面から御答弁をお願いいたしたいと思います。
○高辻政府委員 皇室関係の法令に非常に御造詣の深い受田委員でありますので、特に取り上げて申し上げる必要もないと思いますが、御承知の通り憲法上、及びそれに付属する法令も入れまして、天皇の権能を代行されるような場合を想定されておりますのは、法定代行の摂政制度と、それから委任代行の四条の二項と、その二つの道がございます。その二つの道で国事行為をかわって行なわれる措置が講ぜられない限りは、外国にお出になって、国事行為をみずからすることができない。そういうような外国旅行を考えますと、今申すような法定代行の制度なり委任代行の制度なり——法定代行の制度は今御指摘の通りもう場合が限定されておりますから、そのほかの場合としては委任代行が残るだけだと思いますが、そういうようなことが十分に講ぜられておりませんと、事実上むずかしいのではないかというふうに私自身も考えるものでございます。
○受田委員 宮内庁側としてみても、陛下の外国旅行を政治的に考えても、陛下御自身が外国を旅行されれば、国際親善に非常に役立つ場合がしばしばあると思うのです。そういうような場合に、今のような法定代行の摂政の場合にしても、委任する場合にしても、いずれにしてもそういうことが現実にできるならば、摂政を置くというならば、皇室典範の規定を改め、改正事項として取り扱う必要があるのではないか。これが委任事項にしても法定事項にしても、天皇の国事事項を、職務遂行上の支障の起こる問題を解決するのに、現状でできるかどうか、現状では不可能と断ずるのか、現在の規定で幅広く解釈すれば可能性があるというのか、そこを一つはっきりさしていただきたい。
○瓜生政府委員 天皇陛下が外国御旅行でもなさるというような場合でありますると、摂政を置かれる場合の条件の「精神若しくは身体の重患又は重大な事故により、」というような項目にはならないので、摂政を置かれておいでになるということではないと思います。憲法第四条第二項の「天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。」という規定に基づいて法律の定めがあって、かわる方がきまっておりますれば、外国旅行のための一時の事故、そういうようなことで、いっときますからそういうことができないという場合には、こうこうこういう方に委任することができるという形になっておれば、外国御旅行もおできになると思います。ただ現在のところですと、そういうような委任のこともありませんし、飛行機が非常に発達しておりまするから、ごく短期間近くへおいでになることは、これは可能かと思いますが、長期間だとこれはむずかしい。たとえば短期間でありますと、国内の場合、たとえば国内で北海道とか九州においでになる。そうすると内閣の書類なんかの関係は、そこへ参事官の方が持ってこられて、そして裁可あるいは認証というのを得ておられるわけであります。国外の場合でも、これはもうごく近いところで、飛行機ですと半日もあれば今はどこでも飛んで行けるわけですから、そういう場合はいいのではないだろうかというふうに考えます。しかしながら普通の御旅行、いろいろな、皇太子殿下がお出かけになったような、ああいう親善旅行にお出かけになるというような場合においては、ああいうような期間の場合ですと、これは何か憲法四条の法律がないと実際の問題として困難であります。今のところ天皇陛下が外国に御旅行になろうかということが具体的な問題として出てきていないものですから、従って特にこの憲法四条第二項に基づく法律の制定ということもできていないわけであります。
○受田委員 この憲法の四条の規定、まあ天皇の国事行為の委任を定める法律というものができていない。これはせっかく憲法の根拠法があるわけです。摂政の規定も変えることができる。両方とも改正の道があるわけです。すべてこれは法律事項で変えられるわけです。一応原則だけは確立しておいて、たとえば北海道へ陛下が出張された、猛吹雪、海上の暴風で数日間滞在を余儀なくされたという場合で、認証式をやろうと思ってもなかなか認証式もできないで、内閣も宙ぶらりんにいるというような場合も予想できることなんですから、大体そういうものはきちっとして、一応法律の上で幅を持って書いておくべきです。そうしないと、最近の国際情勢などを天皇御自身でごらんになっておられると、内閣の助言と承認に基づく天皇の国事事項を行使される場合に、ある程度高度の判断力がおつきになると思うのです。今では全く敗戦の空虚の中からそのまま、日本の国以外のところには陛下の現実の目は向いていらっしゃらないのですから……。そこで常に国会で発言されるときにも、国際間の親善とかなんとかおっしゃっておられるけれども、これは非常に空虚な気持で言っておられると思うのです。そういう意味からも、天皇の海外旅行というものが可能であるような道をちゃんと開いておかないと、日本のすべての国民——もう宇宙時代になっておるのです。そういうときに国民の象徴が国外へ一歩も出られないような手かせ足かせ、おりの中へ入っておられるわけです。これはそういうことを考えると、一つ陛下御自身の行動の自由、国外視察というようなことも可能であるような、幅を持った措置をおとりになっておく必要はないかと思うのですが、こういうことを一つお尋ねをしておきます。 そのぐらいにしておいて、きょうは十二時を過ぎましたので質問を終わらしてもらいます。
○久野委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時十五分散会