逓信委員会 第13号
- 発言数
- 157 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1961/03/22
会議録
○山手委員長 これより会議を開きます。 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会の承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。森本靖君。
○森本委員 この間うちから私が当委員会で質問をいたしておりましたテレビの第二チャンネル・プランについて電波監理審議会に諮問した、こういうことでありまするが、その内容についてはどうなっておりますか。
○荒卷政府委員 まことに申しわけありませんが、ほかの資料を調べておりましたので……。
○森本委員 私もこれは一つ厳重に忠告いたしておきたいと思いますが、少なくともこのNHKの予算の審議をする際におきましては、電波、放送の問題でありまするから、電波監理局長は、これは当該の責任者でありまするから、こういう場合には、一時半から委員会が正式に開催せられる、こういうことになっておりまするので、当面の責任局長というものは一番先来て待っておるという程度でなければならぬはずでありますから、これは一つ特に厳重に委員会を代表して政府当局に猛省を促しておきたいと思うわけであります。 なおかつ、私の方から特にこの問題についてお聞きしたいのは、この問からずっとわれわれが質問をいたしておりまして、特にUHF、VHFの使い方、その混在のあり方については、当委員会で相当に論議になっておるわけであります。それが近く発表になるということを聞いておりましたところ、われわれは新聞でこの発表を見たわけであります。願わくは、少なくも当委員会であれだけ論争しておる問題でありまするから、電波監理審議会に諮問をすると同時に資料として当委員会にお出しを願うのが、私は適当でなかったかというふうに考えておるわけでありまして、特にその間のいきさつを郵政省にお聞きをしたかったわけでありますが、後ほど局長が来た際にお聞きをすることにいたします。 それではNHKのこの予算案についての問題点を一つ一つさらに聞いていきたいと思いまするが、まず、今年度の技術研究費についてはどの程度になっておりますか。
○春日参考人 技術研究費については、調査研究の総額が七億七千五百三十八万六千円でございます。そのうち技術研究に充てますものが約六億でございます。その六億のほかに、実は三十五年度と三十六年度で技術研究所の施設を更改いたしております分が入りますのと、それから技術研究に従事している人たちの、これは一種の研究費でございますが、給与を入れますと、総額がこの前御答弁いたしましたような十四億程度になるわけでございます。
○森本委員 技術研究所の施設を更改したということよりも、本年度について技術研究費として昨年度よりも増額になっておる分は、どの程度ですか。
○春日参考人 約三千五百万円です。
○森本委員 ちょっとこの際聞いておきたいと思いますが、この技術研究の問題について、郵政省からは全然そういう点についての指示はないのですか。
○春日参考人 ございません。
○森本委員 現在NHKが技術研究所において研究いたしております主要な項目は、どういうことですか。
○田邊参考人 お答え申し上げます。 テレビジョンは、FMを含めましたUHF放送の研究、 カラー・テレビジョンの研究、テレビ国際中継の研究、ステレオ放送に関する研究、物性に関する研究、計数に関する技術の研究、超大電力放送の研究、放送装置自動化の研究、磁気録画の研究等でございます。
○森本委員 テレビの国際中継についての研究をやっておるということでありますが、オリンピックがあと数年後にあるわけであります。その際におけるテレビの国際中継というものを具体的にどういう方向においてやろうとしておられるか、もしそれについての考え方があるとするならば、お聞かせを願いたいと思います。
○溝上参考人 私どもといたしましては、この次に東京で行なわれますオリンピックには、ぜひとも国際的なテレビ中継をやりたいという念願を持っておりますが、その方法といたしましては二、三の方法が考えられますけれども、その際、こういうふうに話がやや具体化したという一番の根拠は、人工衛星を利用するものがやや計画が進んできたという点にあると思うのでございます。ただこの問題は、NHKだけ、あるいは日本だけでやるという問題ではございませんで、国際的に相当大きな協力態勢が要るものでございますから、今の段階といたしましては、国際的な進行の状況を注意しておる、それで技術研究所の方で主として研究いたします問題は、テレビジョン側としてはそれにどういう形で協力をするか、その内容について研究しておる、こういうふうな段階でございます。
○森本委員 そうすると、UHFのいわゆるテレビ中継その他における研究を進めておる、こういうことでありますが、その研究の内容はどういうことですか。
○田邊参考人 UHFのFM放送につきましては、一応、先般来いろいろ議論されましたように、とりあえずUHFでスタートするけれども、やはり将来はVHFも利用するということでありますので、UHFの受信機のいろいろの技術的な研究をやっております。テレビジョンにつきましては、具体的に申し上げますと、送信機の問題、受信機の問題、電波全般の問題、送信側のアンテナの問題等々につきまして、具体的に研究を進めております。なお、これにつきましては、郵政省に電波技術審議会というものがございまして、その中で、今回UHFを第二次チャンネルプランの中に取り入れるにつきましては、いろいろ技術的な基準を検討するように郵政大臣から指示を受けておりまして、その諮問に答えるために、研究所でやりましたいろいろ今までの研究成果を中心にいたしまして、メーカーその他を集めまして、すでに答申する段階にきております。
○森本委員 その、郵政大臣から技術的にという点について、もう一回ちょっとお話し願いたいと思います。
○田邊参考人 電波技術審議会の中に、UHFテレビジョン放送に関する委員会がございまして、たまたま私がその委員会の委員長を勤めております関係で、私が中心になりまして、いろいろ放送事業者、メーカー、あるいはその他の学識経験者を集めました委員会を数回開きまして、すでに昨年からやっておりますが、先ほど申し上げましたように、受信機の問題、送信機の問題、あるいはアンテナ、あるいは電波に関する問題等々について、いろいろデーターを持ち寄りまして議論を重ねまして、大体答申案を作りまして、近く正式の電波審議会の本委員会に答申する段階でございます。
○森本委員 私がそういうようなことを聞いたのは、これは政務次官に大臣の代理としてお聞きしたいと思いますが、毎年私が言うことでありますけれども、放送法の第三十四条に関連をいたしましての、郵政省並びに政府が、NHKに対しての研究の指示あるいは指令、そういうようなものについては、放送法の三十四条においてできることになっておるわけであります。特に国際的なテレビの中継の問題とか、UHF帯におけるところのFM放送の受信機の問題とか、あるいは送信機の問題、こういう問題は、単にNHKだけの問題ではないわけでありまして、実際は民間放送も大いにこの影響を受けますし、また、電波放送という面からいたしましても、この研究の成果は、単にNHKだけが国有に専有すべき問題ではないわけでありまして、こういう点は放送界にも非常な大きな貢献をするわけであります。そういう点からいくとするならば、少なくとも放送法の第三十四条に基づいたことをやらしてもいいのではないかと考えるわけでありますが、この放送法第三十四条が現在まで空文にひとしいような格好になっておるわけでありますが、この三十四条に関連をして、今の技術開発という点でNHKが現在努力をしておる、そういう点についての関連を、政府はどうお考えになるか。
○森山政府委員 放送法三十四条に基づいて、放送に関する研究を郵政大臣が命ずることができるようになっておるわけでございますが、この三十四条の命令を出すにつきましては、従来予算の裏づけというようなことを念慮に置いておるものでありますから、そういう意味で、予算の裏づけを従来欠いておりましたために、NHKの自主的研究の形をとってやって参ったというのが、従来の経過でございます。
○森本委員 従来の経過はよくわかっておりますが、今、田邊専務なり溝上副会長から答弁のあったようなUHF帯のFM放送の研究、特に送信機、受信機の研究、あるいはまた、国際的なテレビの中継の研究、あるいはステレオ放送の研究、さらにカラーテレビの研究、こういう問題については、単にNHKだけの問題ではない、日本の放送事業における大きな問題であるし、国際テレビ中継の問題等になった場合においては、少なくとも日本を代表しての国際的な一つの放送問題にも発展をする。そういう点については、少なくとも放送法の第三十四条がある限りにおいては、この三十四条を生かして、政府がNHK当局に指示あるいはまた協力を要請し、そうして若干ながらも、政府がこれに対して第三十五条による交付金を負担するというのが、ほんとうの建前ではないか。現に予算がないからこれはできないのであって、そうしてそういうことについては、NHKが今自主的にやっておる、こういうことになっておりますが、法律の建前からいくとするならば、少なくともその中の若干でも、やはり郵政省が技術研究所にこれを命ずべきじゃないか、こういうことを聞いておるわけであります。現実にできるできぬは、今年の予算はすでに通っておりますし、また、NHKの予算もここに出てきておりますので、そういう問題について本年どうこうということはできませんけれども、本来ならば、こういう問題については郵政省並びに政府当局が考えるべきではないか、こういう点を言っておるわけであります。それについて、政府当局としてはどうお考えかということであります。
○森山政府委員 森本委員のお説はごもっともでございまして、今後そういう方向に向かって努力をいたしたいと考えております。
○森本委員 その答弁でけっこうであると言いたいけれども、実際は歴代大臣が、毎回その方向において努力をするということを、過去六カ年間私は聞いてきておりまして、それがいまだに実を結んだことが全然ないわけであります。しかし、厳然として三十四条と三十五条がある限りにおいては、これを大いに使うように私はやっていただきたい。将来、郵政当局としては、今の政務次官の言葉を実行に移すような方向へ、単なる国会におけるその場限りの答弁で済ますということでなしに、将来これを大いに利用するようにしてもらいたい。そうして初めてNHKの技術研究というものが、公式に生きてくる点もあるのじゃないか。そうしないと、やはりわれわれとしても、現在のNHKの技術研究所の研究の成果については、そういうことはあり得ないにしても、おれのところの技術研究を公開しろ公開しろと言うけれども、おれの方はおれの方で自主的に一生懸命経費を節約して研究をしておるのだ。それを何のために民間放送に開放しなければならぬのかというような意見も、出ないとも限らないのであります。また、ややもすると、独善的になりがちな場合もあり得るのであります。そういうふうに考えた場合に、現在の国際放送と同じような方向に政府当局としては努力をしていかなければならぬというふうに私どもは考えておるのでありまして、そういう点も、将来十分にお考え願いたい。と同時に、NHK当局にさらに私は質問をいたしたいと思いますことは、そういうことでございますけれども、NHKがNHKとして自主的にこの放送技術の研究について一生懸命やっておるということは、よくわかります。わかりますが、今日のいわゆる放送電波の世界が、日進月歩でどんどんいっておる。この今日の状況下におきまして、わずかに三千五百万円程度の新しい方式ということについては、何といたしましても、私は、金でこれをはかるわけじゃないけれども、少なくとも今日のこういう技術研究については、多額の金を要するということは明らかだ。そういう点からいくとするならば、政府がなんにも言わぬからということでなしに、自主的に放送技術の改良、改善ということについては、NHKは考えていかなければならぬ。これはまた使命であります。そういう点を考えた場合に、やはり公共放送として考え方ありとするならば、少なくともこういう方面には、私が一昨日でしたか、委員会で申し上げましたように、番組の充実、さらに新しい技術の研究、こういう方面にこそ、NHKが力を入れて、初めて公共放送としての立場が明確になる。こういうことは、民間放送としてはでき得ない今日の仕組みでありますから、そういう点を、私は、十分に将来の予算編成等については考えていかなければならぬのじゃないかと思うわけであります。この三千五百万円程度の増額というものは、一体何のための増額ですか、ちょっとその内容を聞いておきたいと思います。
○春日参考人 三十五年度と三十六年度の比較では、御指摘の三千五百万円でありますが、実は三十五年度の研究費には、カラー・テレビジョンの実験研究というものが、約四千万円以上入っておったのであります。それが三十五年度の中途から本放送になりましたために、三十六年度はその分が落ちたわけでございます。でございますから、予算規模の比較においてはそういうことになりますけれども、その分を引いたものを申し上げますと、今申し上げましたものの約倍の六千万円くらいのものは出てきておるわけであります。その六千万円くらいのものは、すでにラジオの方の研究は終わっておると考えられるものがありますから、先ほどの田邊専務から御答弁いたしました、いわゆるテレビジョンの新しい中継方式、それからUHFの大電力のラジオ及びUHFの将来特設しなければならぬテレビジョンの研究、そういうものが主たる目的になってふえているわけであります。
○森本委員 その程度では、なかなか私は具体的な技術研究というものはむずかしいと思いますが、もも一回、先ほど田邊さんがちょっと御答弁されましたが、国際テレビ中継については、実際問題としてNHKが担当する役割というのは、技術的にどういうところですか。
○溝上参考人 この問題につきましては、実は協会の中にも委員会を作りまして、同時に国内的に各方面と御連絡をし、あるいは御指導を得ながら、今後さらに進めていきたいと考えておりますが、現実に今までの経過から申しますと、やはりテレビジョンに直結した研究、たとえば送信機その他テレビジョンのシグナルを国際回線に乗せるためには、どういう問題があるか、どういう点を研究する必要があるかというような点を解明して、その分について重点的に研究したいと考えております。
○森本委員 そうすると、これは郵政省の電波当局に聞きたいと思いますが、かりにオリンピックのテレビの国際中継を行なうということになった場合に、人工衛星その他に積載する中継送信機その他については、これは郵政省が行なうことになりますか、それとも国際電電が行なうことになりますか、あるいは日本電信電話公社がやるということになりますか。――これはおそらくやらぬと思いますが、国際電電がやるということになるのか、政府当局がやるということになるのか、あるいはまたアメリカが打ち上げたものを借りるという形になるのか、その点はどうなりますか。
○西崎政府委員 どうも本日遅参いたしまして、申しわけございません。 ただいまの御質問でございますが、宇宙通信が将来テレビの国際中継に非常に活用されるであろうということは、私らとしましても深く感じておることでありまして、それの国内における受け入れ態勢を早く整備したいというふうに考えております。それで、今お尋ねの人工衛星、すなわち通信衛星に乗せる中継費はどこが負担するであろうかということでありますが、将来は別としまして、さしあたっては、やはり日本はまだそういう人工衛星を打ち上げるという段階にまで準備が進んでおりませんので、おそらくアメリカとかそのほかの国が打ち上げた人工衛星を利用さしてもらうということになると思います。
○森本委員 これは研究課題でありまして、今の財力からいってそういう形になるのもやむを得ないと思いますが、その場合、その中継装置を通じて向こう側に電波を送ってそれが到達をするという間の、何と申しますか、その所有権というか、利用権といいますか、そういう点についての角度はどうなるのですか。かりにNHKの波がこっちからいって、それを中継して向こう側に送るという場合、その放送権というか、そういう権限はどうなるわけですか。
○西崎政府委員 実はまだ現実問題としまして、そういう通信衛星が飛んでおりませんので、国際的にそういった点は確定しておるわけでありませんで、むしろ研究問題ということになっておるわけであります。地上施設は、当然それぞれの国が負担するということになると思いますが、ただ、飛翔体でありますところの人工衛星の管理がどういう形になりますか、そういう点については、いろいろ個人的な意見はございますけれども、まだ国際的に確定はいたしておらないわけであります。いずれにしましても、ITUの問題そのほかの国際的な問題として処理されるものではないか、こういうふうに考えております。
○森本委員 それなら端的に聞いておきますが、東京におけるオリンピックには、このテレビの国際中継が可能かどうか、そういう見通しを持っておられるのかどうか。今までのようなやり方、この前のローマのオリンピックのような中継方法を行なうのか、それともさらに前進をして、今言った国際テレビの中継が、なまのままで、人工衛星等を通じて行なわれるというふうな形になる見通しがあるのかどうか。
○西崎政府委員 その問題につきましては、われわれ関係者としましてはできれば間に合わせたいと考えておりますが、実際問題としまして、アメリカなりその他の国の人工衛星を利用さしてもらうということになりますと、そういったところの進捗状況はどうかということになるわけであります。それらの点につきましては、御承知のように、今総理府に設けられております宇宙開発審議会の会長以下が、アメリカ、欧州その他を、そういった角度も入れて視察しておられ、四月には帰国される予定になっておりますので、その暁はある程度はっきりするのじゃないか、こういうふうに考えております。
○森本委員 それでは、その問題は一応おきまして、先ほどあなたにも御質問したわけでありますが、今度の第二次のテレビのチャンネル・プランについて、電波監理審議会に諮問する諮問案なるものを発表になったと新聞で見ましたが、これは事実ですか。
○西崎政府委員 事実であります。
○森本委員 これは当委員会であれだけ論戦をし、議論をしておるが、それは発表と同時にわれわれ委員に資料として配付したらどうですか。
○西崎政府委員 配付がおくれて申しわけないと思います。お言葉に沿いまして、配付さしていただきたいと思います。
○森本委員 これは、この間うちから当委員会において当面の問題として論戦をしておる問題でありますから、ぜひそういうふうな措置を早急におとり願いたいと思うわけであります。 それから、NHKの予算に戻りまして、本年度新しくこの増収の中から建設費繰り入れの予算措置というものを講じておるわけであります。NHKとしてはこれは最初であろうと思いますが、これらの建設費は何ぼですか。
○春日参考人 今までやっておりました措置に、今先生の御指摘の新たな措置で、受信料収入から建設費に計上いたしましたのは、九億三千万円であります。
○森本委員 新たな制度として九億三千万円が建設費に繰り入れられておりまするが、今までの建設費というものは、こういう形でなかったのでしょう。
○春日参考人 必ずしもそう申し上げられない点もあるかと思います。現実には、放送協会が二十五年以前にはこういう形でもって建設を進めておりましたが、二十五年以後におきましては、各建設費で事業収入から回しますものは、御承知のように、減価償却引当金とその年の返還金に充てます分とが回っていたわけでございます。ところが、三十六年度は、そのほかに、今言いますように三億九千万円を回しましたが、その理由は幾つもございますが、そのうちの一つは、従来は建設をいたしますと、受信料が非常に伸びていって、将来の受信料収入から返してもらっていける借金だったのでございますが、今まで、テレビジョンを昭和二十五年に始めて三十四年度までは、テレビジョンの運営費の借金を返すために受信料収入から充てておりました。三十五年度になりまして、ようやく運営費の借金がなくなりました。それが第一点。もう一点は、これから作ります局が、ほとんど第二次チャンネル・プランに基づく小電力局と、それから教育放送のテレビジョン局でございますので、将来の受信料収入から返すという目当てが、従来のような総合テレビの受信者の数が大量に獲得できるというのと違った時代に入ってきている。それともう一つは、この予算書でごらん願います三十五年度、三十六年度受信料収入の幅がかなり大きいというようなことをいろいろ考え合わせまして、この際、将来の第二次チャンネル・プラン早期達成で、できるだけ見えないところをなくすということのために、九億三千万円程度を建設費に回すという考え方をいたしました。これは、別に法律的にも抵触することがございませんし、それから幸いにして、と申しますか、予算書でごらんになりますように、五年前に発行いたしました債券が、七年に返還期限が延長されましたために、三十五年度はわずかに一億ぐらいにしか債券の返還がないというふうな、一種の借金を返す金額が非常に少ない谷間に向かっておりますので、この際そういう措置をとらしていただきたい。しかし、著しく大量に回しますことには、議論があると思います。そういたしますので、実は電々公社、国鉄その他の例をずっと見ましたのですがそれよりもはるかに小さいものでございますが、先ほど申しました諸返還金その他を入れまして、全部でもって事業収入の八・五%それなら事業方針からいって妥当ではなかろうかということで、そういうふうな計算をしました残りが、九億三千万円という形でございます。
○森本委員 今の八・五%というのは、何の基準ですか。
○春日参考人 当年度の事業収入の総額から、いわゆる建設に回る計の金額でございます。
○森本委員 その八・五%というものの根拠は、どういうことですか。なぜ私がこういうことを執拗に聞くかということは、もともと九億三千万円程度のものは、最初に私がNHKの当局に予算の大綱の問題をお聞きしたときには、この項目はなかった。その後、この問題が出てきたわけであります。こういうことが今年限り行なわれて、そうして来年度その他については、やはり基本的に従来の方向でいく、本年に限りこういうふうな措置をとったんだということであるとするならば、これはわれわれとしても一応この予算編成については了承ができるけれども、これが今年度一つの例になって、将来もこういう方向でだんだん拡大をされていくということになるとするならば、これは私は、NHKの予算編成にとっては、あまり好ましくないやり方ではないかという点が考えられるわけであります。そこで、もし八・五%という基準ならよろしいということであるとして、その八・五%というものは、毎年毎年続けていく、こういう考え方であるとすれば、それは本年のこういう九億三千万円というものについては、本年度限りの措置であって、来年度以降については、やはり従来の基本的な予算の編成方針というものを考えていく、こういうことであるかどうか。これは一つ非常に大事な問題でありますから、副会長あたりからお聞きしておきたいと思いますが、なんなら会長から聞いてもいいわけであります。これは将来のNHKの予算のあり方については、きわめて重要な意義を含んでおるわけであります。
○溝上参考人 ただいまの御質問に対してわれわれが考えておりますことを申し上げますと、実は御指摘のように、今回は途中からこういう方法が妥当であろうというのでとったわけでございますが、ただいまのところでは、そのやり方は一応本年限り。しかしながら、前々から国会の方でも御審議をされております受信料の問題を根本的に検討するという問題が残っておりますので、ただいまの問題は、一般的には受信料金全体の構想をさらに検討していきたいというふうに考えております。
○森本委員 本年度限りであるとするならば、これは私も一応了承いたしまして、さらに今副会長が言われましたように、NHKのテレビの料金にいたしましても、ラジオの料金にいたしましても、この予算の遂行上においてわれわれも根本的にこれを検討し、一つの成果を上げなければならぬ、こういう考え方を持っておるわけでありますから、それに関連をいたしまして、将来の問題についてはやはり考えていかなければならぬと思います。その点を私はこの委員会における質疑応答で明らかにされなければかりにこの措置が来年も再来年もずっと続いていくということになるとするならば、少なくともこういう理論も成り立つわけであります。それだけのラジオ収入なりがあるならば、この際問題になっておるところの受信料金を引き下げるべきではないか。これは普通の電々公社とか国鉄公社のように、直接納める人の利益にはね返ってくるという形ではないわけであります。現実のNHKの施設というものは、逆にNHKの施設が拡充され、建設がどんどん拡充されていっても、これはほとんど難視聴地域に向いていくわけでありまするから、今聞いておるものは、ほとんどそれほど関係はない。これはおれの金でほかへ使っておるのじゃないかという理屈になるわけであります。そういう点を勘案して、NHKの建設費というものは、今まで事業収入から繰り入れられたことはあまりないわけでありますが、それが今年九億三千万円という額が繰り入れられたということについては、そこに一つの予算編成のあり方が違ってきたという感じを抱くわけでありますので、もしそういうことになるとするならば、事業全体からながめて、今八・五%という数字を出しておりましたけれども、それがはたして妥当であるかどうか。 それからさらに、テレビとラジオの将来の料金がどうなっていくのか、それに関連をして、テレビとラジオの置局をどういうふうに持っていくのか、そういう総合的な関連性の上において、これはなさるべきであると思います。たまたま私の仄聞するところによると、今年度意外に収入があったから、そんなことでほうっておいてはどうにもならぬということで、無意識だろうと思うけれども、とにかくそういう金があるならば建設費に繰り入れるということで、一局でも二局でもテレビ、ラジオの局を創設したらよろしいということで、おそらくこういう措置がとられたことと思う。しかし、こういう措置については、今言ったように、テレビとラジオの料金の将来の整備、さらに置局の将来の見通しというものをはっきりと総合的に立てて、こういう予算の組み方をやるべきである、こう私は考えるわけであります。この私の意見について、反対なら反対、その通りでよろしいということならよろしいということを、政府当局並びにNHK当局から重ねて私は回答をもらっておきたいと思うわけであります。
○森山政府委員 来年度以降につきましては、御趣旨の線に沿って十分の再検討いたします。なお、電波監理局長より補足説明をいたさせます。
○西崎政府委員 確かに今先生がおっしゃいましたように、受信料収入の中から建設費に充当するということは、NHKとしては初めてのことでありまして、将来の問題としては、なお今後十分検討の要があると思います。ただ、御承知のように、ほかの公企業におきましては、業務収入から資本充当ということが行なわれているわけでありまして、NHKの場合には、直接その利益がその同じ時期には受信者に還元してこないという点は、確かに違うわけでございますが、ただ、時期的に見ますと、将来の転換期その他によります負担というものが軽減されるわけでありますので、ある程度はこういった措置も是認できるのではないか。ただ、その率をどの程度にするかということにつきましては、いろいろ議論のあるところだと思います。従いまして、そういった点につきましては、受信料調査機構といったようなものも設けられる予定になっておりますので、そういった機会に一つ十分研究して、将来にあやまちのないようにしたい、こういうふうに考えております。
○上林山委員 関連して。ただいまの森本君の質問に対して政府当局の答弁を聞いていると、その論旨が明確でない。将来に対する計画というものが、私どもから見ると不安な点がある、こういうふうに考えるので、一言お聞きしておきたいのですが、受信料は、公共放送の建前からいって、安いにしくはない。あるいはできれば無料でもよろしい。ところが、そうしたようなことをあまり極度に考え過ぎて計画を立てていくと、公共放送の本質を失ってしまう。公共放送は、言うまでもなく国民にあまねく聞かせ、見せていくべきものである、そういうような性質からいって、広い立場から予算のやりくりをして、これを建設的な方向に――ものを作るという意味の建設だけではなく、広い意味の建設という意味から予算をそれぞれやりくりしていくということは、決して不健全ではない。そういうような観点に立って、ただ即答ができないならば、これに対して検討を加えて、一つ公共放送としての本質を失わない予算のやりくり、こういう考えのもとに進んでいくのだということを明確にされないと、私は、どうもあなた方がどこに方針があるのか、疑わざるを得ない。ただ、森本委員がああいうふうに言われたので、それもそうかいなと、ちょこっと思って――この予算を早く通したいという気持はわかる。われわれも、早く通したいと思って出席して静かに聞いておるわけです。しかしながら、あまり大事な問題を安易な妥協のみによって、この場を切り抜けるということは、私はとらない、こういうふうに考えておる。あまり長くやるとじゃまになるので、この辺でやめるが、これに対しては一つ明確な、もっときぜんたる態度で、何ものにもわずらわされないという態度で、御答弁なさい。言えぬのなら、研究して答弁するなり、どっちでもよろしい。
○西崎政府委員 われわれの方も、この考え方自体、すなわち受信料収入から建設費に資金を回すという考え方自体は、これはいいことだと思っております。ただ、問題は、先ほど申し上げましたように、一体その比率をどのくらいにするかということだと思いますので、そういった点を、今後受信料調査の場合に、なお検討さしていただきたい、こういうふうに申し上げたわけでございます。
○上林山委員 ただいまの答弁では、またあいまいになってきたんだけれども、私は今のあなたの答弁を信頼する。これは、受信料からことし新たに建設費に回した。これはいいことだ。私もそう思うのだ。だから要は、私は、その前提の上に立って、公共放送はいかにあるべきか。受信料は安いにしくはない。しかしながら、将来安くしていくが、そうしていっても、なお余ってくるというなら、プールして全体の予算というものを考えていけばいいので、これが国民に奉仕していく公共放送の建前なんだから、何も新しい分野を開いたからといって、これが妥当でないのかなあと、批判されてみると、たじたじとなるようなことではだめだ。われわれはいいことだと考えておる。今のあなたの答弁を信頼しますから、その答弁を、これからの質疑応答でこわさぬように、御注意しておきます。
○森本委員 これはやはり今、上林山さんが言ったように、NHKの予算のあり方としては、これは初めてのことなんです。そこで、特に重要な問題だから、私が聞いておるわけであります。それから、最初にNHKが予算の大綱を持ってきたときには、一応この九億三千万円というものは出ていなかったわけです。実際に受信料の収入が相当上がっておるからということにおいて、これが建設費に繰り入れられたわけです。だから、私が言っておるのは、そういうふうに建設費に繰り入れるということについては、このNHKの事業の性格から言って、電電公社やその他の公共企業と同じように考えるということは間違いではないか。現実の問題として、そういう考え方に立って、今日までは建設費に繰り入れることをしなかったわけです。今まででも、予算の編成のやり方においては、建設費に五億円や六億円の繰り入れをすることは可能であった。三十五年度の予算案においても、これをやろうと思えば十分に可能性があるわけです。しかし、それは今言ったような考え方において、やってこなかったわけです。たまたま今年度は、いわゆるNHKの受信料の収入というものがこれこれありますということで出していったものだから、それほどあるなら、これは建設費に繰り入れろということになって、一も二もなくあなたの方はよろしいということになって、入れるということになったわけです。しかし、私はそういうふうに簡単な問題ではない。将来のNHKの予算のあり方、受信料の問題にもこれは関連をする問題である。だから、こういう措置をとったことがはたしていいか悪いかという問題を検討するよりも前に、テレビ料金はいかにあるべきか、ラジオの料金はいかにあるべきであるか、さらに将来どの程度の料金が妥当であるか、あるいはテレビとラジオとの料金を一緒にして、どの程度にするがよろしいか、あるいはラジオの料金については、現在の八十五円というものをどの程度に下げるか、全廃するか、そういう点も十分に検討し、それと同時に、将来の五カ年計画のテレビの置局、さらにラジオの置局、その他の総合的な問題を検討して、なおかつこの問題に戻って検討すればよろしいのではないか。これが今直ちにこういう措置がよろしいということであるとするならば、受信料を下げろという今の意見にもなってこないとも限らない。だから、そういうものは総合的に検討してやるべきであって、今政府当局がこういう措置をとったのがよろしい、将来もそういう方向がよろしいということはこれは私はやはり即断過ぎると思う。あなたの方は、それだけ検討していないはずです。検討していないから、そういうふうに突っ込まれて、すぐ九億三千万繰り入れるということになった。検討しておったならば、そういう点については、それはいろいろ理論的にあなたの方は反駁できるはずです。それが反駁ができないから、こういう結果になった。だから、そういう点を将来ずっと残していくということでなしに、今言った総合的に検討をする必要があるのではないか。総合的に検討して、もう一回ここに戻って、これがよろしいかどうかということを考えるべきである、こういうことを言っておるわけです。私の意見は、一つも無理がないわけです。それを先ほどから私が聞いておるわけであって、西崎さんの方は、答弁で、そういうふうに将来大いに検討いたします、こういう返事でけっこうなんです。それを今よろしいと思いますなんといっても、それはあなたの方は、一つも検討せずにおって、ここの委員会で質問があったから、すぐよろしゅうございますというのは、ちょっとそれは私は見当違いじゃないか、こう思うわけです。これは政務次官――局長に答弁させるのは気の毒だ。やはり政治家として一つ政務次官の方から、こういう点については総合的に検討し、よりよい結論を見つける方向にいきます、こういう措置は本年度限りだ、これが一番妥当なんです。どうですか。
○森山政府委員 森本委員の今お話しのような線において十分検討いたしまして、次年度以降の予算を編成して参りたい、そう考えております。
○森本委員 その程度にいたしまして、それでは次に移りますが、次に、NHKの助成金並びに補助金、こういうふうな問題。NHKは金がない金がないと言いながら、案外助成金を出したり、補助金を出したりすることもあるんじゃないかと思いますが、三十五年度で、NHKがどこかに助成金を出したり、補助金を出したり、あるいはまた三十六年度でそういう措置をとるということはありますか。
○春日参考人 先生の御指摘のその助成金、補助金という意味が、ちょっとつかみにくいのでございますが、もしN響にNHKが出している交付金のようなことを申すのだ、あるいは共同通信社の通信を買うようなために共同通信に出しているような金というような性質の金でございますならば、N響、共同通信、それぞれ一億円程度の年間の予算を組んでおります。
○森本委員 そのN響と共同通信以外にはないのですか。これは、この前放送法を改正したときに私が質問をしたことがあって、たしかそういう項は必要だから残しておいてくれというふうなことが、私は記憶にあるわけでございますが、その際に、そんなものは必要でないんじゃないか、こう言うたところが、あなたの方は、そういう点は必要だから、こういうことであったわけだ。必要なら、実際にやっているのじゃないか、こう思っているわけです。
○春日参考人 この前放送法改正の際に、NHKが外部の仕事に出資ができるようにしたらどうだという議論は、審議の過程で確かにございました。出資ができることによって、もっと積極的にNHKの仕事を進められるという長所と、それから出資ができることになったことによって、放送関係に使われる費用が、むしろプログラムの充実とかそういうことでなくて、そういうところに出ていって焦げついた場合の責任をどうするかという、両方の議論がございまして、依然として現在の放送法では、改正後もNHKは外部の仕事に対して出資ができないようになっております、結論は。でございますから、そういう意味で先生が御質問になっておられるとすれば、そういう金は全然計上してございません。ただN響とか共同通信とか、そういうふうな、つまり一年分のニュースを買うような金とか、あるいはN響を助成してプログラムの質的な要素をよくするというような予算は、組んでおるのでございますが、御指摘のような予算は組んでおりません。
○森本委員 オリンピックの共同何とかいうのに、千三百万円程度出ているのじゃないですか。
○春日参考人 これはオリンピックの強化対策ということで、オリンピク側から見ればそういうふうに言っておりますが、私どもの方が出しております三千五百万円は、これからオリンピックまでの四カ年間に、外国の一流選手をオリンピック強化委員会が招きました場合に、それを全部NHKがラジオ、テレビで中継する、その中継する放送費として出しているわけでございまして、オリンピック強化委員会にぽかっと一定額を、いわゆる助成の形で出しているわけではないのでございます。
○森本委員 これは助成する金でなかったら、そういうふうに事を分けて、いわゆるこれはプログラムを編成するについて、プログラム上必要であるということを断わっておかぬと、これはなかなかわかりにくい。オリンピック委員会ですか、その方では、NHKからの助成金、こういうようにちゃんと麗々しく載っているわけです。NHKもえらいものになったなあ、私はそう思った。そういうふうにあなたの方から事を分けて、これは番組中継なり、その番組を放送する際の放送費用としてのものであるということであるとするならば、これははっきりするけれども、一般がそうとっておらないわけでありますので、特に聞いたわけであります。 次に、給与問題に移りますが、本年度従業員の待遇改善については、どの程度この予算では見ているわけでありますか。
○春日参考人 三十五年と比較いたしますと、従業員と約束をしております年間の定期昇給の四・一%のほかに、基準賃金の一二%のベース・アップという予算を組んでおります。
○森本委員 それで、あなたの方から出ている「NHKと他企業との給与ベースの比較」という資料でありますが、この資料は正確ですか。
○春日参考人 三十五年七月現在において、つまり調べ得るだけ調べた資料なんでございます。
○森本委員 この給与ベースというのは、一句含んだベースですか、基準外も基準内も。このA新聞からNHKに至るまで……。
○春日参考人 これは基準賃金の比較でございます。
○森本委員 そうすると、これは基準外賃金は入っていないわけですね。
○春日参考人 さようでございます。
○森本委員 基準内ということになりますと、これは何と何になりますか。
○春日参考人 NHKの場合の基準賃金と申しますのは、本人の本給でございます。それと地域給というものがございます。地域差がございます。この地域給と、それから家族手当と申しますか、家族の数によって出す、それを三つ含めたものを基準賃金と申しております。
○森本委員 これは、その他のものもそういうふうにとってありますか。
○春日参考人 多少、給与の立て方の違いもあると思いますが、われわれ比較いたしました限りにおきましては、ほぼ同じような立て方のものをとってございます。
○森本委員 この「NHKと他企業との給与ベースの比較」を見た場合に、NHKのこの金額というものがあまり高くないということは、この表で見ても明らかでありまするが、そういうふうな他企業との比較という点については、この給与ベースをきめる点についてどうお考えですか。たとえば、この一二%ということについては、大体公務員と歩調を合わす、こういうことで今年度のベース改定については考えたわけですか。
○春日参考人 公務員の一二%という数字は一応の参考にいたしましたが、この前も御答弁申し上げました通り、われわれは、やはり物価指数とか卸売物価指数とか、昨年からの物価の変動とか、そういうものをいろいろ考えてみまして、この前御答弁申し上げました通り、一〇%程度をベース・アップする考えでおりましたのに、実は来年度は若干職員制度と申しますか、職員制度の変更をいたしまして、いわゆる長期安定策をとりたいというふうなことを考えましたので、さらに二%程度をよけい考えまして、一二%というべース・アップの数字を考えたわけでございまして、一二・四%という公務員の勧告は一応のよりどころとはいたしましたが、それが全部ではないということでございます。
○森本委員 私が大体調べたところによると、この他企業との間の格差というものがNHKはかなりあるということが言えるわけでありまして、そういう点からいっても、私は、このべース改定をかりにこの一二%ということであるとするならば、あまりにも、公共放送としての襟度を保つ点からいっても、低いではないかという点が十分に考えられるわけでありますが、一応これは予算でこうなっておりまするから、今さらどうにもなりませんけれども、実行予算との間においても、先ほどの予算総則の項もありまするので、これはでき得る限り従業員側ともよく話し合いをして、この待遇の改善については御努力を願いたい、こう思うわけでありますが、その点についてはどうですか。
○春日参考人 私どもといたしましても、予算の許す範囲において、できるだけ給与をよくしてそのかわり仕事の能率を上げて、いわゆる高能率、高賃金というものを一つの目標といたしておりますので、毎年の例でございますが、従業員の組合との交渉によって、できるだけの努力をしていきたいということを申し上げます。
○森本委員 それから、今のそれに関連いたしましての新職員制度でありますが、これが全部が全部、私は一切悪いとは申しませんけれども、なかなかこれは――私はこれを一応読んで勉強してみましたが、私も国家公務員の方でやったときに、こういう制度を非常に研究したこともありまするが、本来なら、ここで一つ一つ聞いてみてもいいと思いますけれども、なかなか時間がかかりますので、きょうはこれを一つ一つ聞くのはやめにいたしますけれども、これを貫いております精神というのは、何といたしましても、その人の能率だけを中心にした考え方に立っておるわけであります。やはり給与、職員制度というものについては、その人の年令と、その人の世帯構成がだんだんふえるに従って、その人の生活保障給というものを考えると同時に、それに応じて一つの能率制度というものを、いわゆる職務管理的に考えていく、この二つの面が合わないと、こういう労務管理というものは、往々にして失敗をすることがあるわけであります。この新職員制度の内容を読んでみますと、その一つの基本的な精神というものが、今言ったように、その人の能率ということと職階を中心に考えておるわけでありまして、それは具体的にその人の年令なり生活態度がだんだん変わってくる、それに応じてのある程度の考え方というものが、あまりにも低きに過ぎるのではないかということを、この前文を読んでみると直感をするわけでありまして、何か人間を一つの機械の中に押し込んで、ローラーで向こうの方に送っていくような感じを、この新職員制度の内容から受けるわけであります。私は、そういう点については、こういう点についても必要であるとするならば、やはり職員で構成いたしております、しかも、労働組合の中でも堅実な歩みを進めておりますところの日放労あたりとも、協会側が十分に話し合いをして、そうして、私がこの前会長にも言いましたように、話し合いに話し合いを続けて、そうして何かの了解点に達してこれが実行されるということになるとするならば、ある程度両者が考えておりますところの意見の相違というものが氷解をするのじゃないかという点が考えられるわけでありまして、この新職員制度というものを実際に実行に移すというまでには、私は、協会側としては相当の話し合いをする考え方を持っていってもらいたいと思う。そうして、とことんまで話し合いをして、両者が了解点に達するような努力を特に願っておきたい、こう私は思うわけでありますが、そういう点について、総務局長としてのお考えを聞いておきたい、こう思うわけです。
○赤城参考人 この新職員制度は、組合に示したのは去年の十一月でございまして、その間、森本さんのおっしゃるように十分検討を組合との間に続けておるわけでありますが、何しろこういう制度を実施する場合におきましては、職員一人々々が納得いくものでなければ実行に移せないということは、われわれ口をすっぱくして言っているところでございまして、そういう意味合いにおきまして、理想としてはわれわれも全職員が納得のいく制度でなければならぬということで、もちろん組合執行部の考えを十分聞くと同時に、職員一人々々の意見も十分受け入れまして、今後やはりNHKの根幹となります職員を扱う制度でございますので、そういう気持でもって進めておる段階でございます。
○森本委員 この問題については、私は多くを質問いたしませんけれども、一つ、今総務局長が言われたような点を当局としても十分にお考えの上、これはこの間会長にも特にお願い申し上げましたように、こういうふうな新しい制度を確立するということについては、職員側とも十分に話し合いをするという襟度でもってこれをやっていってもらいたい。そうして円満な話し合いがなされて、その上に、この公共放送としての使命に遺憾がない、こういう形の労務管理ができることを特に要請をしておきたい。少なくとも、こういうことにおいて両者が決裂をして、何らかの戦いに発展するというような形をぜひとらないように、これは私は特に協会側にこの点を要望をして、このこまかい点についての質疑は、本日は省略をいたします。 それから、次に聞いておきたいことは、常任監事がNHKの機構に一名おるはずでありまするが、この常任監事からの監査報告といいますか、そういうものについては、年間何回出ておりますか。これは経営委員会に直接報告をいたしておりまするか、それとも会長に報告をいたしておりまするか、どっちですか。
○溝上参考人 常任監事の方へはあらゆる考査あるいは監査の報告書が参っておりまして、その中で大きな問題があった場合には、委員長の方に報告することになっておりますが、ちょっと文書で報告が出ているかどうかわかりませんけれども、会合のつど口頭では、もし問題があった場合には、申しております。
○森本委員 これは私が毎年質問をすることでありまするけれども、どうも常任監事というものの地位と仕事の内容が明らかでない、しかし、待遇は普通の理事とあまり変わらぬ、こういうことになっておるわけでありまして、私は、待遇がけっこうなことはいいと思いますが、それが実際に常任監事としての監査事項というものは、やはり職分が明確でなければならぬと思われる。そこで特に私が聞いたのは、放送法の第二十六条にこれがあるわけでありまして、われわれが放送法を審議したときにも、この項については特に私が要請をいたしましたのは、「監事は、会長、副会長及び理事の行う業務を監査し、その監査の結果を経営委員会に報告する。」ということで、会長、副会長の指示を今日常任監事は受けないことになっておる。受けないけれども、常任執行部でないところの経営委員会の指揮を直接受けるということになりますると、経営委員長、経営委員というものも、ほとんどこれは常勤をいたしておらぬわけであります。そこで、こういうふうな報告ということについては、監事が監査をするということは、定期的に、これは年に何回なら何回、何月なら何月から何月まで行なう、そうして文書で経営委員会にこれを報告をする、こういうふうな形にならなければ、この常任監事の監査の方法というものはルーズになりがちであるということは、この放送法を改正するときに私が指摘をしたところであります。その後、この監事の運営というものが、今申し上げましたように、年に何回これを監査し、そうして何回経営委員会に報告をする義務がある、こういうふうな内規的なものができておるかどうか。これを聞いたわけであります。これはあなたに聞いてもわからぬと思うが、法律上は郵政大臣……。
○溝上参考人 ただいまお話になりましたような、規則といたしまして年に何回というものはございませんけれども、常任監事はいろいろな部内の会合にもしょっちゅう出ておりますし、それからいろいろな判断の資料というものはたくさんに提出されておりまして会合のつど、もし大きな問題があれば、委員長の方に報告があると思いますが、ただ、今まで実際問題といたしましては、経営委員会の方で、こういう問題があるから一つ調べてもらいたいというふうな問題を出されて、かなり全国的な規模で調べたことは数回でございます。
○森本委員 大体この常任監事というのは、各会社の監査役に匹敵するものなんですよ。そうすると、各会社の監査役というものは、その会社の定款に、年何回これを監査をし、これを報告する、こういうことがちゃんとあるわけであります。法律できめるときには、そこまでわれわれはきめなかったわけで、四項の、要するに「会長、副会長及び理事の行う業務を監査し、」こういうことになっておるわけであります。そういう点から考えてみますると、この監事というものは、ただ経営委員会、理事会に出るだけが能じゃないわけであって――、これは経営委員会、それから理事会に出ていくだけが能だったら、これはあほうでもすわっておればそれでいいわけであります。そうでなしに、実際問題として有力に監査をやって、その監査の結果をちゃんと文書で報告をしなければならぬ、こういうふうな内規をきめるべきが至当であると私は思うわけでありますが、この点は、会長、副会長に聞いてもわかりませんので、電波監理局長としては、この放送法が改正されて以来、この放送法の二十六条の四項によるところのやり方については、どういうふうな法の執行をしておるか、あなたの方が御承知なら、御答弁を願いたい。
○西崎政府委員 今ちょっと持ち合わせておりませんので、あとで資料をもって申し上げます。
○森本委員 いや、こういうことは持ち合わせがなくても――昨年放送法の改正のときに、私がこの問題を提起しておるわけです。こういうことになりはしないかと言うたら、そういうことはございません。そんならしっかりやりなさい、こういうことであの放送法の改正案はこの委員会を通ったわけです。その後、常任監事の点について私が一、二回質問をしたところが、さっぱり要領を得ぬところの回答があった。だから、この際、この常任監事というものは、内規的に年に二回か三回くらい報告をしておるのか、あるいは口頭でやっておるのか、文書でやっておるのか、そういうことは、電波監理局長は、今なにがございませんということでなしに、実際はこれは知っておらなければならぬ事項です。知らぬなら知らぬでいい。知らぬとはっきり言うて下さい。
○森山政府委員 監事は、放送法第二十六条にあります通り、会長、副会長及び理事の行なう業務を監査し、その監査の結果を経営委員会に報告しておると承知しております。
○森本委員 だから、こうなっておることを現実にはどういうふうにやっておるか、こういうことですよ。だから今のところはっきりわからぬから、あとでよく調べるなら調べる、こういうことでもいい。はっきり答弁しておいて下さい。
○森山政府委員 ただいま聞いたところでは、格別の内規もないようでありますが、監事の事務運営は円滑にいっておるように聞いております。
○森本委員 いや、監事の業務が円滑にいっておるなら、どういうふうに円滑にいっておるかということを聞いておるのです。私が聞いたところによると、正規に文書でちゃんと何カ月に一回というふうに監査をするのがほんとうだ。これは各会社でもどこでもそうだ。だから、せっかく常任監事というものを作って、月給も十万円程度ですか、その程度を出してやっておるとすれば、あえて常任監事というものは、ポストをひったくるために作ったということでなくて、現実問題として常任監事はNHKにとって必要である、そうしてこの二十六条の四項を忠実に実行しておる、それがためには一・四半期ごとに一回の監査をやって、その監査報告については文書で経営委員会に報告をしなければならぬ、こういうふうにぴしっとやっていくのがほんとうではないか。そういうふうにやっておらぬようにわれわれの方は感ずるから、将来そうやらすようにしたらどうか。こういうことを聞いておるのです。だから、政務次官としては、はっきり言えば確かに御説の通りだから、そういう方向にやるように私の方は今後やらせますと、こう言えばいい。どうですか。
○森山政府委員 監査の方法といたしましては、口頭による監査もあり、また文書が必要とする場合には、文書による場合もあり得ると存じます。現実には、NHKめ実情に応じて監査のやり方をやっておるだろうと考えておるわけでございます。ただいま森本先生の言われました方法も、一つの方法であろうと考えております。よく実情に合いますような監査の方法に、もし改変する必要があれば改変をするように進めたいと考えております。
○森本委員 だから、私はそれは具体的にどういうふうにやっておるかということを聞いておるのです。その具体的にやっておることがないと言うから、ほかの電電公社やその他においては、監事というものについては、今私が言ったようなやり方をやっておる。普通の会社でも、監査役というものはそうなんです。だから、今言ったようにやるのがほんとうではないか。やってないとするならば、そういうふうにちゃんとしたやり方をやるように改めるべきじゃないか。こういうことを言っておるわけであります。政務次官が、せっかく検討して改善するようにしますと言っておるから、これ以上この問題を私は追いませんけれども、これは前から一つの問題になっておる点でありますから……。あなた方、委員会で言われるときは困ったような顔をして聞いておるけれども、一月、二月するとすぐ忘れてしまって、この次の委員会で私が質問すると、前のときのことは忘れてしまって、ちっともできておらぬ、こう言うのです。ですから、繰り返し同じことを何回も言わなければならぬことになるので、この監事の問題については、あのときに論議をしたように、ポストをとるためだけの監事ではないのだ、監事というものはこういうように必要だ、こういうことを実際にやっておるのだということをいつでも答弁できるように、ちゃんとやってもらいたいということなのです。その点も十分胆に銘じて検討していただいて、次にはっきり答弁ができるようにしておいて下さい。
○森山政府委員 胆に銘じて十分検討をさしていただきます。
○森本委員 部内監査の問題でありますが、大体NHKの監査の方法としては、いわゆる会計検査院がやっておりますけれども、部内監査としてどういう措置をとっておりますか。
○小野参考人 部内の自治監査としましては、監査室といった組織がありまして、この組織を通じまして、本部の各局の業務並びに地方の局の業務について、年に一定の計画を立てまして、大体中央放送局は毎年一回は必ず回るような措置で監査をいたしております。その監査の結果は、いろいろ要点を文書にいたしまして、理事会は月二回ございますが、この席では、監査の状況並びにその中で非違を認めた点があれば非違の点、改善を要する点があれば改善を要する点につきまして、これには各局長も出ておりますので、問題点を明確にいたして改善の資に供するというような措置をとっております。
○森本委員 その監査室の機構は、大体どの程度の人数がおりますか。
○小野参考人 正確な数字はわかりませんが、二十名ぐらいの陣容を持っております。
○森本委員 一つ、会長の方に私が申し上げておきたいと思います。これは次の三十四年度の決算の審議のときでけっこうでありますが、今、小野専務が言われたように、二十数人の内部監査機構を持っておる。これはNHKの理事会の権限に属するところの監察部の機構である。そこで先ほど言いましたように、常任監事というものがちょっと宙に浮いた感じを抱くわけでございます。この常任監事の下に、いわゆる監査機構というものを置くとして、監査機構というものと理事機構というものを経営委員会にそれぞれ直結をして、今のように、常任監事はスタッフも何もない、ぽこんと一人常任監事がおるという形を改めたらどうか。そうすれば、名実ともに常任監事が放送法二十六条四項によることを文書によって報告する可能性ができる。ところが、今のように、常任監事が一人ぽこっとおって、女の子が一人ついておるような常任監事に、文書でもって経営委員会に報告しろなんといったって、これはおよそナンセンスです。そんなことは政務次官知らないから検討するという答弁でしたけれども、およそそういうことを内部でやらしておれば、内部の監査機構というものは充実したと思う。そこで、理事会に直結して監査機構というものを常任監事の指揮命令系統に移したならば、名実ともにこの監査機構というものはきちんとするのではないか、こういうことを考えておるわけでありますが、この点については、NHKとしても、機構の問題でありますから、内部で十分検討をお願いしたい。その点についての検討を一つ会長に要望しておきたいと思いますが、会長、どうですか。
○阿部参考人 十分検討することにいたします。
○森本委員 これは政府当局の方も、今の常任監事のあり方とNHKの内部の監査機構との関連性、その点をやはり十分組み合わせて考えていった方が監査機構が充実するのではないか、こういうふうに私は考えておるのでありますが、これを政府部内においても、NHKの検討を受けて一つ検討してもらいたい、こう思うわけでありますが、どうですか、政務次官。
○森山政府委員 監事の活動あるいは内部監査の必要性については、重要なことはもとより申すまでもないことでございますし、それから監事の活動あるいは内部監査の充実について郵政省として十分留意することはもとよりでございますが、ただ法律上、経営委員会の活動とかこれに伴う監事制度の運用につきましては、郵政省は関知しない建前になっておるわけでございます。そういうことで、郵政大臣への報告事項にもなっておらないわけであります。ただ、事実問題といたしまして、先ほど来お話がありました点につきましては、十分留意いたして参りたい、こういうことでございます。
○森本委員 ただ、これは政務次官、非常に遠慮せられて言っておるけれども、この機構は、あえて私が郵政政務次官にお尋ねしたのは、放送法の第二十六条四項をこの委員会で審議をする際に、十分にこれが活用できますということを政府当局としては答弁をしておるわけです。政府は、そのときに、こういうことで一つ権限を持ってこれを提案をしておるわけです。実際問題としては、法の施行がどうなっておるかということについて郵政省が監督官庁としてこれについての意見を述べるということは、私は差しつかえないと思う。だから、法の命ずるところによって、あなたが行政指導なり相談を受けたら、十分に検討してもらいたい、こういうことであります。この点については、私はあまりそう遠慮は要らないと思いますから、NHKと大いに意見を戦わせて、そうして一つの結論を得てもらいたいということでありますので、一つ誤解のないようにお願いしたいと思います。
○上林山委員 関連して。ただいまNHKの常任監事の問題について質疑応答があるようでございますが、質疑応答を聞きまして、政府当局にしても、NHKにしても、確かに常任監事制度に対する十分なる認識とその運営がないように、私も静かに拝聴しておってうかがえたわけでありますが、率直に言って、政務次官、あるいはNHKの正副会長もそうでございますが、常任監事制度というものは、盲腸的な存在なのか、それとも確かに必要な制度であるとお考えになっておるかという点を、まず私は承ってみたいのです。それによって、これはNHKに限らず、それぞれの立場の人が、放送法の改正というものをやがてまたやらなければならぬ時期も来ると、私は思っております。でありますから、そういう機会に、これは根本的に検討しなければならぬ、こういうふうに思いますので、政府当局並びにNHKの首脳部の方々が、どうお考えになっているか。いわゆる盲腸的存在なのか、この制度があって、これを活用するということがほんとうにいいのかどうか、この点をまず聞いておきたい。どうもあいまいのようでありますから……。
○森山政府委員 社団的な組織――団体全般と言ってもよかろうと思いますが、監事とか監査役というような、理事あるいは取締役等の執行機関の業務を監査する組織というものは、どこにもあるものとして、そういうものが必要であることは申すまでもないところであります。ただ、会社あるいは団体等の実情を見ますと、場合によっては、それらの監査組織が有名無実に帰している場合も、事実上は少なくないわけであります。しかしながら、NHKの場合につきましては、特にその公共的使命を考えまして、この監事の責任はきわめて重かつ大であると考えております。この監事の職責を十分遂行することにつきまして、もし現に遺憾の点があるといたしますならば、十分にこれに改善を加えていかなければならぬと思います。
○溝上参考人 先ほど申し上げましたように、規則によって年に何回か文書による報告をするというふうな形式的な点につきましては、不備な点があったかもしれませんけれども、重要な会議には出席いたしまして、しかも、非常に部内の事情に詳しい人が監事の職におりまして、いろいろ意見を述べる。同時にまた、おそらく委員長の方にも大事な問題については十分な意見が出ておると思いますので、私どもとしましては非常に大切な制度だと思っております。
○上林山委員 郵政当局におかれましても、NHKの首脳部におかれても、制度としてはきわめて重要な制度である、運営の面においてとかく不明確な点ないしは不行き届きの点があるかもしれないが、実際の運営としては相当効果もあげているのだ、こういう実情を私は承りましたので、これは一応了といたしますが、ここは委員会だからといって固くならないで、率直に意見を交換しておきたいことは、今まで部内のことをよく知っている人、過去も知っておる、業務の内容も知っておる、だから常任監事としては監査能力を十分に発揮し得る一面があると同時に、一面また、かねてよく過去を知っておるがゆえに言いたいことも言えない、遠慮する、こういうことになって、結局常任監事制度があっても、不十分になってくる、こういうことはないかどうか。 そこで私は、これはやがて法の改正をするような場合に宿題として提供したいことは、これを経営委員会の直属に移すような制度にした方が万全ではないだろうか。そうしないと、今言ったように、制度としてあっても、結局は有名無実じゃないが、まあ人によっては、盲腸的存在じゃないか、また、あるのになぜそういう制度を活用しないのかという非難を受けるのです。だから、実際問題として歯に衣を着せないで言う場合に、これは経営委員会に直属させるような方向に持っていくという方が、あなた方NHK当局としても、郵政当局としても、その方が無難であり、効果を上げるのじゃないか、こういうふうに思います。法で経営委員会に報告しなければならぬという義務はおありでありますけれども、あっさりとこれを直属せしめた方がいいのじゃないかと思いますが、御見解があれば参考に承って、われわれももっと一皮むいて検討してみたい、こう思いますが、いかがですか。
○溝上参考人 ただいま仰せの直属という意味がよくわからないのですけれども、現在、監事は、経営委員会から会長と同じように任命される。従いまして、そういう意味からしますと、経営委員会に直属という形になります。事実経営委員会には必ず出席いたしまして、意見を述べておるわけであります。
○森山政府委員 直属という言葉の意味でございますが、ただいまNHKから話しがありました通り、監事は経営委員会によって任命されておりますし、また、監査の結果を経営委員会に報告するという建前になっております。もし直属がそういう意味であるといたしますならば、現行法ではそういう建前をとっておると思います。
○上林山委員 直属という意味は、私の言う意味は、もちろん法の上においてもそうでなければならないのだが、どうも経営委員会は、規則においてはそうなっているけれども、運営の面において他人のようなおつき合いである。ところが、理事、正副会長は、これは制度の上においては他人であるけれども、実際問題としては親類のようである。そこに矛盾があるから、法を改正する場合には、そういう点をもう少し明確にしておいた方がいいんじゃないか、こういう意味です。だから、そこにせっかく制度はあっても、運営がうまくいっていないところに、この制度の十分に活用できない点がある。これは私はよく知っています。たとえば郵政省の電気通信監理官ですか、電電公社と郵政省の間の橋渡しみたいなことをしております。制度上は、これは郵政大臣の直属です。部下です。けれども、実際の運営は、見ていると、郵政省の意見も電電公社に伝えなければならぬし、電電公社の意見もしんしゃくして、これまた郵政大臣その他にいろいろ言わなければならぬ。まあどっちつかずのやり方であって、彼は彼としての一つの方針は持っていない。また、実際問題として持ってはいけない。これがやはり盲腸的存在だというふうにいわれるようになるのです。答弁しなくてもよろしいが、こういう点を一つの研究課題として申し上げておきますので、やがて放送法の改正もあるだろうと思いますので、そういう点を含んで、一つ検討しておいてもらいたいと思います。 これで私はやめますから、森本委員、質問を続けて下さい。
○森本委員 最後に、大臣に対する質問がありますが、大臣はまだ見えないですか。
○山手委員長 今連絡しておりますから、すぐ参ると思います。
○森本委員 それでは大臣の見えるまで、ほかのことを質問いたします。 この前、私が質問しかけてやめました例の集金制度についてであります。これが全国平均七千五百件が五千二百件に今度なる、こういうことでありましたが、まず、私が具体的な点で聞いておきたいのは、この特別委託集金と普通委託集金、これがどうしてもわかりにくいのですが、要するに、特別委託集金というのは、具体的に、この付近で地理的に言うと、どういうところになりますか。
○首藤参考人 東京付近で申しますと、一番近いところで武蔵野、三鷹地区、西の方になりますと、大体そういう見当から先になります。
○森本委員 そうすると、普通委託集金は。
○首藤参考人 ずっと離れまして、東京付近で申しますと、たとえば一番近いところで府中、これは例外でございまして、三多摩地区の郵政委託の不可能な地域、たとえば青梅とかいうようなところでございます。
○森本委員 その普通委託集金で、郵政委託集金が不可能というのはどういう点ですか。
○首藤参考人 いわゆる特定郵便局ではございませんで、普通局の所在地でございます。
○森本委員 そうすると、普通委託集金というのは、特定郵便局でなしに、普通郵便局のところであって、市街地周辺と違う、こういうところですか。
○首藤参考人 大体においてさようでございます。周辺と申しますよりも、むしろ遠隔の飛び地というようにお考えいただいた方がよろしいかと思います。
○森本委員 もう一ぺん念を押しますが、特定郵便局でなくて、普通郵便局の集配区内であって、いなかのところが普通委託集金、こういうことですか。
○首藤参考人 そのようにお考えいただいてけっこうでございます。
○森本委員 このうちで特別委託集金、普通委託集金というように言葉を分けているのは、集金の手数料の関係ですか。
○首藤参考人 それは委託の形式が多少変わっておりまして、普通委託集金におきましては、特定の個人にその地域を――これは地域を主としておりまして、地域を主にして委託しております。従いまして、たとえば地域によりましては非常に受信者の数が少ないところがございますし、多少多いところもあるというふうな形になりますので、これは地域を主にしております。それから特別委託の方は、市街地周辺ということが主になっております関係上、大体において、これも一定した数は職員のように持たせるわけにはいきかねますけれども、一人ででき得る能力というものを考えまして、受け持ち区というものを設定するということになっております。
○森本委員 そうすると、特別委託集金と普通委託集金と委託契約が違うというのは、どこが違うのですか。簡単に説明して下さい。
○首藤参考人 違うところは、第一に、手数料単価が違うという点でございます。それから第二に、監理方式と申しますか、普通委託集金におきましては、まとめた一つの監理というものをいたしまして、いわゆる本局に参りまして、いろいろな監査を受けたり報告をするという期間が、非常に長いわけでございます。特別委託集金の場合には、それを週に一回とか二回というふうに、大体職員のような程度において監査をしているというところが、違う点でございます。
○森本委員 そういう説明を受けても、契約方式が違うというのは、どういうところですか。あくまでも何件やるということをその集金人と契約するのでしょう。その契約は、特別委託集金でも普通委託集金でも一緒でしょう。
○首藤参考人 大体において同じでございます。
○森本委員 大体において一緒というが、違うなら、契約の方式のどこが具体的に違うのですか。
○首藤参考人 大体と申しますのは、今申しましたように手数料単価の違うということと、それから受け持ちの範囲というものが、先ほど申したように性質が違っておるという点でございます。従って、特別委託の場合には、たとえは集金人――職員にありますように、受信者の移動とかあるいは増減とかによりまして、今度はこうしよう、今度はこうしようということで始終集金区を調整しておりますが、普通委託の場合は、地域を固定しまして、何々村というものを一括してやっておるわけです。
○森本委員 そうすると、普通委託集金は、森本部落なら森本部落というふうに契約をする。それから特別委託集金は、どういうふうに契約するのですか。
○首藤参考人 原則といたしまして、受信者の数によってやりますけれども、それに付帯いたしまして、その数のもとはこれこれの範囲内だよというふうに……。
○森本委員 それなら同じことじゃないですか。ですから、僕は、特別委託、普通委託とわかりにくいようにしておりますから、それの違うのは手数料だけか、こう聞いているのです。
○首藤参考人 その監理の実務上、先ほど申したような点が多少違うわけなんでございますけれども、今おっしゃったような趣旨になりますと、形式上は今おっしゃったような御趣旨になると思います。
○森本委員 いよいよそれはわからぬ答弁ですが、時間がないから、この集金問題は次に譲って、次の決算のときにもう一ぺん突っ込んで詳しく聞きたいと思うので、あなたの答弁も、おそらくここにおる委員の方は、あなの答弁ではどういう集金かわからぬだろうと思うのですが、わかりやすい答弁をするようにお願いしたいと思います。そこで、一番問題になるのは、この手数料の点その他もありますけれども、個人に委託契約した場合に、保証金とかその他あるのですか。
○首藤参考人 委託いたします場合には、まず第一に保証人を立てることにいたしまして、そうして原則として保証金、こういうことでございます。
○森本委員 原則として保証金というのは、保証人を立てない、それから保証金も入れないというのがあるのですか。
○首藤参考人 原則として申しますのは、たとえば、すぐには保証金が納められないというような者がございます。しかしながら、保証人もりっぱな人がおりまして、危険がないと思われる人につきましては、だんだんに手数料を払うに従いまして、本人と相談いたしまして、その一部を積み立てさせることによって、ある期間はそういう現象が起こりますけれども、原則といたしましては保証人と保証金ということを実行いたしております。
○山手委員長 暫時休憩をいたします。 午後三時二十七分休憩 ――――◇――――― 午後三時三十分開議
○山手委員長 それでは休憩前に引き続き、質疑を続行いたします。森本靖君。
○森本委員 先ほど来首藤業務局長にこの集金の問題について質疑応答をやっておったのが、途中で切れましたけれども、時間がありませんので私の方から省略をいたしますが、ただ、私は特にあなたの方に要望しておきたいのは、この特別委託集金、郵政委託集金、普通委託集金についても、まだいろいろ問題が残っておりますけれども、直接今回の職員集金については、三カ月集金が二カ月集金に変わっておりますから、この点については、どういうふうな答弁をせられましても、現実の問題としては労働力の問題が変わってくることは事実であります。そういう点については、一つ従業員側と話し合いをして、その結論を得て実行段階に移すように、その辺をゆめゆめ忘れずに、しんぼう強く話し合いをして、十分にやっていただきたいということを、特に私はあなたの方に意見を言っておいて、あえてこの答弁を求めませんが、もし不測の事態が起きて、次の委員会に私から質問を受けるというようなことのないように、くれぐれもあなたに最後に集金問題を言っておきたい、こう思うわけであります。 そこで大臣に、最後に私は重要な問題を聞いておきますが、この予算案を審議する際に、一番最初に私が申し上げましたように、この予算総則の第二条の問題でありますけれども、この前納割引制度というものをもし合法的に法律上やるとするならば、やはり何といたしましても、この第二条のただし書きとして、予算総則に入れるのが至当である、こう考えるわけであります。これは衆議院の法制局の見解を聞いてみたところが、衆議院の法制局の見解としても、やはりそういう方向が妥当であろうということを言っておるわけであります。しかし、そうは申しましても、おそらくこれは修正するということになりましたら、与野党一致でそういう間違いについては修正するということになるであろうと思いますけれども、これもまた予算の承認条項が前から論議をせられておりますように、承認するか、修正するかという点でもめておるわけであります。あえてこの本予算案というものを早く通過をさすということになるならば、この問題をここでそういうふうに明確にするということになりますと、修正するかどうかという点まで明確にしていかなければならぬ、そういうことになるわけでありますので、この点については私はあえておきますけれども、法律上としては、やはり何といたしましても、この第二条にこれをうたわなかったということについては誤りである、こういうふうに見ておるわけであります。そうなって参りますと、本年度のこの予算案における措置というものは、考えていかなければならぬ、こうなるわけでありますけれども、もうここまできた場合においては、そういうふうな修正措置がとりたいということになりますと、来年度以降の予算総則については、こういう割引制度というものを作り、料金制度に改定をするということになると、やはり予算総則に明らかに載せるべきである、こう考えるわけでありますので、最後にこの第二条に関連をいたしまして、本年のやり方については明らかに私は一つの誤りであるというふうに感じますし、来年度以降についてはこういうやり方はやらないということを、一つ大臣から明確にしておいてもらいたい、こう思うわけでございます。
○小金国務大臣 大へん含蓄のある御発言でありまして、私どももこの点は徴収方法の一環としての報奨的措置と考えましたので、事業計画において、国会の御承認が得られれば支障ないじゃないかと一応考えました。しかし、御指摘のような疑問も確かにございますので、来年度からは予算総則において、受信料の減額として、割引額を明示して、この点について疑いのないように、御説の通りいたしたいと思います。
○山手委員長 ほかに質疑もないようでありますから、本件に対する質疑はこれにて終了いたしました。 ―――――――――――――
○山手委員長 これより討論に入ります。討論の通告がありますから、順次これを許します。秋田大助君。
○秋田委員 ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基つき、国会の承認を求めるの件に対し、私は自由民主党を代表して、これに承認を与うるに賛成の意を表するものであります。 以下、賛成の理由の概略を申し述べます。 本議案の内容をなす日本放送協会昭和三十六年度の事業計画を見まするに、その全体を貫く指針ともいうべきものは、放送を全国に普及すること、国民に豊かで、かつ、よい放送番組を提供して、わが国文化水準の向上に寄与することの二つでありまして、この二つは、すなわち日本放送協会が放送法によって付与せられた最大の使命にほかならないのであります。NHKがこの使命を果さんがためには、建設計画の面においても、事業運営計画の面におきましても、種々の方策が考えられるのでありますが、昭和三十六年度事業計画において特に重点を置いた事項といたしましては、一、ラジオ、テレビジョンを通じて、相当大規模の建設計画を立てて全国放送網の早期完成を目ざしていること、二、放送番組の刷新向上をはかり、特にテレビジョンの教育、教養番組の充実、報道番組の取材網の整備に努めていること、三、国際放送の充実、四、受信者に対する放送普及の方策として、有線放送による受信者、盲人並びに貧困な身体障害者を対象として、ラジオ受信料の免除範囲を大幅に拡大するほか、受信料の集金方法についても種々の改善を行なっていること、等が注目を引くのでありまして、これらはいずれもNHK放送事業の現段階において必要、かつ、適切な計画と認められるのであります。次に、収支予算は、この事業計画を実行するための金額の配分を定めるものでありますが、昭和三十六年度の予算規模は、前年度に比して八十三億円余を増して、総額四百五十億円をこゆるに至りましたことは、NHKの事業の幅が急角度に伸展していることを端的に表わしているものでありまして、わが国放送文化のため、まことに喜ぶべき現象と言わなければなりません。また、事業運営計画を実施するための経費の配分も、おおむね当を得ているものと考えます。しかしながら、ここにきわめて注目すべきは、昭和三十四年度以降、ラジオの受信契約が急激に減少していることでありまして、来年度の収支予算におきましても、受信料収入は前年度対比七十三億円を増しておりまするけれども、これはテレビの受信契約の急速な伸びによるものでありまして、ラジオ収入においては、逆に二十四億円を減じており、このままの情勢が持続いたしますれば、NHKのラジオ事業は、近い将来に収入欠陥よりする重大な危機に当面するおそれがありますので、政府並びにNHK当局としては、そのよってきたるところを慎重に検討し、すみやかに適当な対策を樹立されんことを要望するものであります。 また、受信料収入から九億三千万円を建設費に充当したことは、来年度予算における一つの特色というべきものでありまして、これが適否については、受信料の額とも関連をいたしまして、いろいろと議論の存するところでありますけれども、建設計画の積極的推進と経営の健全化の見地よりいたしますれば、まことにけっこうな措置として、われわれは賛意を表するにやぶさかではございません。 昭和三十三年度を起点とする放送事業五カ年計画は、おおむね順調に進捗しておりますが、近来とみに急速な伸展ぶりを見せておるわが国社会経済全般の成長から見れば、放送事業は、今後ますます各種施策を積極的に推進して、文化水準向上のさきがけたらんことを期することが必要であります。 三十六年度は、五カ年計画の第四年度として、その成否を決すべき重要な一年でありますが、私は、この議案が国会によって承認を与えられました暁において、NHK当局が、あくまで国民のための放送たる使命に徹して、昭和三十六年度事業計画及び収支予算の実施に万遺憾なきを期せられんことを希望いたしまして、私の賛成討論を終わる次第でございます。(拍手)
○山手委員長 森本靖君。
○森本委員 私は、日本社会党を代表して、議題の案件に対し、承認を与えることに賛成の意を表するものでございます。 この議案の内容をなすものは、日本放送協会の昭和三十六年度収支予算、事業計画及び資金計画でありまするが、これらの収支予算等は、昭和三十三年度を初年度とするNHK放送事業五カ年計画の一環として、その早期達成をはかることを目標として策定され、当年度の事業運営については、ラジオ放送における難聴地域の解消、混信の防遏、設備の改善、テレビジョン放送における総合、教育両放送網の早急整備、ラジオ、テレビを通じての放送番組の刷新、充実、受信者対策の積極化、国際放送の拡充、研究部門の強化等を重点的に行なおうとしているものであります。事業の各般にわたるこれらの重点的諸施策は、全国民に基本的放送を保障すべき協会の使命に照らして適当なるものと思われ、わが党は、計画の大綱を是認すると同時に、その成果に大いに期待をかけるものであります。しかしながら、この収支予算等については、その内容の一部、またはその取り扱いの上において、若干の疑義と危惧とを感ぜざるを得ないものがございます。 以下、これらの諸点を指摘するとともに、わが党の見解を明らかにし、関係方面の関心を喚起したいと存ずる次第であります。 まず、その第一は、本案の国会提出遅延をめぐる問題でございます。当年度収支予算等の編成に関しては、かねてからNHKと政府、与党との間の折衝が難航しておると伝えられておりましたが、はたせるかな、本案の国会提出ははなはだしく遅延し、三月九日に至ってようやく提案されるという異常な始末となったのであります。かかる提案の遅延は、国会審議の上からきわ止めて不都合であるばかりでなく、その延引の事情について重大な疑惑を招くものでございます。NHK当局は、この間の事情について、政府当局との事務的な意見調整のためであると説明しておりまするが、今回のごとき異常な遅延は、かかる理由をもってはとうてい首肯し得ないのでありまして、前述の新聞報道等より見て、事務的以上の折衝が行なわれたと見られてもいたし方のないところであろうと思うのでございます。御承知の通り、現行放送法には、収支予算編成に関する協会の自主性を確保するための格段の定めがあり、NHKの立場をささえる重要な柱の一つとなっているのでありまするが、このたびの予算案策定の経過をめぐって伝えられた消息は、その内情のいかんを問わず、外部に報道された限りにおいては、放送法の立法精神を無視ないしは軽視した、不当な権力的容喙が行なわれたと見られる節が多く、言論機関としてのNHKのあり方に対して暗影を投げかけたことは、いなみ得ない事実であろうと思われます。かかる事態が今後にわたって再三繰り返されていくときは、NHK放送に対する国民の信頼と親近感とは、次第に失われていくおそれがあり、大いに戒心を要するところでございます。NHK当局は、かかる点に思いをいたし、経営の主体性護持については格段の考慮を払われたいのであり、また郵政省当局は、放送法施行の管理者として、NHKの主体性擁護について不断の配慮を続けられるよう、強く希望する次第であります。同時に、将来における重波放送のあり方、特に中波放送、FM放送の分野、さらにテレビにおけるUHF帯の使用等について、さらには微電力の配置等、根本的な放送政策の早期樹立を政府に強く要望しておくものであります。 次に申し述べたいことは、議案の内容に関する二、三の疑点でございます。 まず、その第一は、今回数たに開設せられようとする受信料前納者に対する割引制度についてであります。この制度について、NHKは、前納割引は受信料徴収手段の問題として、受信規約の改正によってこれを実施しようとしておりますが、割引額は、一般の受信料に対する例外を設定するものと見るほかはなく、受信料は、毎年度国会の承認によって定められるものでありますから、収支予算の総則中にこれを明示すべきが当然であります。従って、次年度以降においては正当な方法をとられるよう、この際特に要望いたしておきたいと思う次第であります。 次に申し上げたいのは、本案審議の過程において、わが党より指摘いたしましたように、研究費、特に技術関係研究費が少な過ぎるという点であります。申すまでもなく、NHKの研究機関は、わが国における放送関係研究のトップ・レベルとしての期待をになうとともに、基幹放送としてのNHKの地位よりして、民放を含めた放送界全般に寄与すべき責任を有するのでありまして、その研究の成果は、わが国放送の水準に直結するばかりでなく、日本産業の花形である電子工業の発展にも影響を与えるものであります。しかるに、その研究費の現状は、一民間事業社のそれに比してもなお劣るという状態であり、寒心にたえないところであります。三年後に開催の東京オリンピックに際しましては、全世界放送陣による放送オリンピックの出現も予想されるおりから、研究の飛躍的充実が望まれるものでありまして、この点、NHKの適切な措置が期待をされるとともに、政府当局も放送法第三十四条、第三十五条を空文にせず、活用すべきものであると考えるのであります。 次に申し述べたいことは、この収支予算において新例を開かれた受信料収入の一部建設費充当についてであります。事業収入の建設費繰り入れば、電電公社においてはかねてから相当大幅に行なわれてきたところでありますが、拡張施設が直ちに加入者の利便増大につながる電気通信事業と異なり、施設の拡充が必ずしも受信者の利益に直結をしていない放送事業においては、現在の受信者に将来の施設のための経費を負担させることは、若干の疑義があり、また、視点を変えれば、この建設費充当は、受信料収入に余剰があるとの見方もでき、むしろ、この額だけ受信者の負担を軽減すべきであるという議論も成り立ち得ると見られるのであります。かかる諸点よりいたしまして、受信料の構成要素としての建設費充当の是非、その許容限度等につきましては、なお、詳細な検討の余地があると認められるところであります。 最後に、この収支予算に付せられた郵政大臣の意見書では、放送受信料に関し、昭和三十七年度実施を目標として、安定的な料金体系の確立につき、根本的検討を行なう必要がある旨の意見が述べられており、事実、最近におけるラジオ受信契約者数の激減は、NHKのラジオ事業の将来に大きな問題を投げかけておる問題であり、協会としては、テレビジョンの伸長とラジオ受信契約の減少との新情勢に対応した新しい受信料制度の確立の必要に迫られておるものと考えるのであります。わが党も、本件については、新年喪中に真剣に検討し、結論を得て当委員会を通じて発表したいと考えておりますが、政府及びNHK当局が、この問題を慎重に検討し、おそくとも来年度までには確固たる方策を樹立されんことを、特に要望しておきたいと考えるわけであります。 さらに、本年度予算において、従業員の待遇改善について若干の向上が認められるものの、現在の物価情勢、さらに、職員の労働力の密度とその強化等を考え、予算案実行上、できる限り従業員の待遇改善等には、協会は全努力を傾注すべきであると考えるのであります。 最後に、協会の新職員制度その他における従業員の身分上の問題等については、協会と労働組合側がしんぼう強く話し合いを進め、円満な労務行政が遂行され、公共放送としての使命に遺憾なきを期せられんことを特に希望いたしまして、私の賛成討論を終わります。
○山手委員長 受田新吉君。
○受田委員 私は、民主社会党を代表して、この提案に賛成の意思を表明したいと思います。 ただ、ここで一点だけつけ加え、これを条件に付します点は、今回提案されている予算案をながめてみましても、特に今まで難聴地域であった点に重点的施策が立てられておりますし、また受信料等につきましても、これを公平に、かつ、末端にまで浸透させるような御努力が払われているのでございますけれども、実際の取り扱いにあたっては、少なくともNHKが、その放送の公共性、放送の自由性、放送の中立性というものを重んじて、民間放送と異なった角度から、一般の聴取者に便益を与えるような方針のもとに、経費の節減、そしてまた、一方においては社会政策的な事業の遂行という、この二つの問題点を、その関連においてりっぱに果たすことができるように御努力を願いたい。私は、特に公共放送の重要な使命というものから、国民の末端まで、島にも山にも、どのようなところにも、住民の一人として、この公共放送の恩恵から漏れることのないように、そういうところにNHKが重点的に施策を今後も進めていただきたい。そして国際的に見て、日本の公共放送が決して国際間の水準よりも落ちることがないように、文化国家という重要な使命を持って立っている日本の立場をりっぱに果たしてくれるように、御努力を願うことを条件にいたしまして、この提案に賛成をするものでございます。(拍手)
○山手委員長 谷口善太郎君。
○谷口委員 私は、日本共産党を代表いたしまして、本件に関して国会がこれに承認を与えることに反対いたします。 以下、簡単にその理由の概要を申し上げます。 反対理由の第一点は、現在のNHKが、憲法、放送法、公職選挙法等の規定と精神に反して、みずから公平の原則を放棄し、その中立性を失い、アメリカと日本の反動の抑圧に屈して、反共、反民主主義、反人民的な性格と運営に堕していることであります。一般的に番組その他をしさいに検討して、その放送の内容がいかに反動的であるかを明らかにするのは、別の機会に譲ることにいたしますが、すでに本委員会で審議されました審議の過程でも明らかになった点は、たとえば昨年の選挙におけるテレビ放送で、共産党を除外し、毎週の国会放送討論会に共産党を参加させていない、こういう態度、方針が今後もなお堅持されることが放送協会当局の方々によって明らかにされました以上、ただこのことをとってみましても、NHKの公平の原則がじゅうりんされていることは明らかであります。こういう点で、私どもは、まずNHKが本来の立場に立ち返る、そのことが絶対に必要でありまして、こういういびつな状態で運営されている、またそういう内容を持っている、このNHKの予算計画、事業計画、資金計画等には賛成できないのであります。 第二の点は、聴視者に対するサービスと称しながら、実は集金度数と集金機構を拡大強化いたしまして、未契約者の摘発と契約の強制、料金徴収を苛酷にする方針を強化しました。ラジオ、テレビ受信料の問題は、民間放送の発達とともに、日本放送協会の独占たることにすでに疑義を生じ、また放送法第三十二条によっても、料金徴収の根拠はないのだと、大新聞でさえ指摘している現状であります。これらの法律論は後日に譲るといたしましても、このような疑義の上に、テレビ発達の現状からして、少なくともラジオ料金の全廃が国民の世論となっているとき、ことさらに人民収奪を強化した本年度の予算及び事業計画は、われわれとしては認めることができないのであります。ことに旧会員と称する一万二千名の者に対して、依然として料金全免の特権を与えていることを改めないで、契約者大衆に多大の損害を与えている一方、NHKの運営に反動的な影響を与える特権層の温存を継続されております。これは直ちに改めなければならないと思うのであります。 第三点といたしまして、新年度計画の中での、いわゆる新職員制度は、言語道断なものであります。すなわち、予算総則第七条によれば、職員の能率向上による企業経営の改善によって、収入が予算額に比し増加し、または経費を予定より節減したときは、その一部を職員に対する特別の給与の支給に充てる云々とあります。また、事業運営計画の第五項では、そのための職員に対する教育訓練を強化すると規定しております。この内容はどういうものであるか。その第一は、考課制度を設定して全職員に対する支配と監察を厳にし、労働強化と職員間の反目と対立を助成して、労働組合を弱体に追い込むことを目ざしていること、第二に、資格指数制度の根拠として、全職員に一定の教育訓練を義づけ、これによって労働者の自由意思を抑圧するとともに、公平の原則と中立性を失ったNHKの現方針に忠実な従業員を作り上げようとしていること、第三に、これらと関連して、時代に逆行する賃金制度の能率給的方向をより強め、もって全職員に対する搾取と収奪を強化したことであります。なるほど、予算には、若干の定員をふやし、また賃金アップ一二%を計上しているが、しかし、定員の問題は、事業拡大に見合ってさえまだ不十分なものであり、賃金一二%アップは、NHKに根強い低賃金を根本的には何ら解決するものではなく、現在の物価上昇にすら追いついていないものであります。反対に、新予算は、これによって従業員に若干譲歩したかに見せて、実は新職員制度による、以上申し上げました労務管理制度のおそるべき改悪をごまかそうとするものであって、とうていわれわれの賛成し得ないものであります。 最後に、すでに私どもあらかじめ知っております通りに、自由民主党、社会党及び民主社会党共同によって附帯決議が上程されるようであります。この附帯決議に対しましては、私は、その精神において必ずしも反対するものではありません。しかし、このような附帯決議は、以上申し述べたNHKの反動的な性格、反労働者的、反人民的運営を改善させることは不可能でありましょう。 こういう意味から、私は、三党の附帯決議が出た場合には、これに反対するのではありませんけれども、この決議案にもかかわらず、あえてこれを乗り越えて、原案それ自体に根本的に反対する立場をここに明らかにした次第であります。
○山手委員長 これにて討論は終局いたしました。 これより採決を行ないます。放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会の承認を求めるの件に承認を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山手委員長 起立多数。よって、本件は承認を与うべきものと決しました。 ―――――――――――――
○山手委員長 この際、大上司君より発言を求められております。これを許します。大上君。
○大上委員 私は、自民、社会、民社三党を代表して、ただいま議決されました、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会の承認を求めるの件に対し、次の附帯決議を付する動議を提出し、その趣旨を御説明したいと存じます。 まず、案文を朗読いたします。 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会の承認を求めるの件に対する附帯決議 政府並びに日本放送協会当局は、次に掲げる事項の達成に努むべきである。 一、最近におけるテレビジョン並びにラジオ受信契約数の変動にかんがみ、速やかに、現行受信料制度及び受信料の額につき再検討を遂げ、来年度以降、適正な受信料制度の確立を期すること。 二、速やかに、テレビジョン及びラジオの難視難聴地域の解消を図り、公共放送全国普及の実を挙げること。 三、経営の改善、経費の節減を図り、協会従業員の待遇の刷新に努めること。 右決議する これが提案の理由につきましては、すでに議決を見ました議案の当委員会における審議の経過、並びにこれに対する本日の与野党の討論に徴して明らかなところでありますが、きわめて簡単にその趣旨を申し述べますれば、一、最近におけるNHKのテレビジョン及びラジオの受信契約者数の情勢を見まするに、テレビジョンにおいてはきわめて順調な伸びを示しておるのに反して、ラジオにおいては、昭和三十四年度以降にわかに減少傾向に転じて、年間二百万内外の契約が減じ、これに伴って世帯当たりの普及率も、三十三年度末の八一・三%から現在では六九・一%に低下し、契約面だけから見ますと、あたかもNHKのラジオの全国普及の理想は、完全にはばまれたような状況を呈しております。また、受信料収入を見ましても、三十六年度予算におきましては、ラジオ収入は、前年度に比し二十四億七千万円に及ぶ減収が見込まれ、NHKのラジオ事業は、収入欠陥よりする重大な脅威を受けておるのであります。 そこで、そもそもこのラジオ受信契約数の激減ということは、どこに原因があるのか、契約の減は聴取の実態を示すものであるのか、テレビジョンの普及に伴ってラジオはいかなる地位に立つべきか、これに伴って相互の受信料の関係をいかに調整すべきか等、現行受信料制度の全般にわたって根本的に再検討し、すみやかに今日の情勢に適合した新受信料制度を確立することが、喫緊の急務であると考えるものでありまして、附帯決議案の第一項は、この趣旨を鮮明にしたものにほかなりません。 附帯決議案の第二項は、最近におけるわが国の経済社会各般の急速な成長速度にかんがみまして、NHKの放送事業も、これに応じた積極的拡充をはかって、全般的水準に立ちおくれをとらぬように努めなければならないのでありますが、なかんずく、NHKの第一使命ともいうべき放送の全国普及に対しては、きわめて強力にこれが推進をはかる必要があると認められ、これが早期達成につき、あらためて政府並びに協会当局の努力を要望するの趣旨でございます。 第三項は、ほとんど毎年のごとく附帯決議によって要望される事項でありますが、公共放送の担当者として重大な職責をになっているNHK従業員の待遇は、協会当局の累次の努力にもかかわらず、現在地の類似事業に比していまだ十分とは申せませんので経営の改善、経費の節減によって、さらにこれが向上をはかるよう、協会当局の関心を喚起するの趣旨でございます。 これをもって附帯決議案の趣旨弁明を終わります。 何とぞ全会一致、御賛成あらんことを希望いたします。
○山手委員長 ただいまの大上君提出の動議の通り、本件に附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山手委員長 起立総員。よって、本件に附帯決議を付することと決しました。 この際、小金郵政大臣並びに阿部日本放送協会会長より発言を求められております。これを許します。小金郵政大臣。
○小金国務大臣 ただいま放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会の承認を求める昭和三十六年度の日本放送協会の諸計画につきまして、承認すべきものと御決定をいただきまして、まことにありがとうございました。委員から御指摘のように、提案が少しおくれたにもかかわりませず、きょうの放送記念日を期して衆議院の委員会をお通し下さいましたことは、まことに感謝にたえません。ありがとうございました。
○山手委員長 阿部日本放送協会会長。
○阿部参考人 ただいま、日本放送協会昭和三十六年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、御承認をいただき、ありがたく御礼を申し上げます。 この予算の御審議の途上において承りました御意見や御注意、あるいは御希望につきましては、これを深く銘記いたしまして、新年度からの予算の執行に反映いたし、公共放送として国民の皆様の御期待に沿うよう努める所存でございます。 特に本日、附帯決議として御決定になりました適正な受信料制度の確立につきましては、今年四月以降、できるだけ早い機会に受信料に関する審議会を設けまして、慎重に検討を加え、受信者の実態に即応し、受信者全体の負担の公平化を期し、合理的な料金を確立いたしたいと考えております。 また、放送の全国普及につきましては、従来からの協会の基本的使命としてこれを進めておりましたが、放送の全国的普及の重要性を銘記いたしまして、今後テレビジョン及びラジオの難視難聴地域の解消につき、一そうの努力を傾ける所存でございます。 さらに、経営の改善、経費の節減をはかり、協会従業員の待遇刷新を行なうことにつきましては、平素心をこれにいたして経営に当たって参ったのでありますが、今後さらに細心の注意を払い、御趣旨に沿うよう、協会事業の伸展に資する覚悟でおります。 協会予算の御承認に際し、協会を代表いたしまして、ここに重ねて深甚なる御礼を申し上げます。(拍手)
○山手委員長 本件に関する委員会報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山手委員長 御異議なしと認め、さように決しました。 本日は、この程度にとどめ、次会は、明二十三日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、これにて散会いたします。 午後四時九分散会