逓信委員会 第10号
- 発言数
- 178 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/03/14
会議録
○山手委員長 これより会議を開きます。 まず、去る十日本委員会に付託になりました公衆電気通信法の一部を改正する法律案を議題として、提案理由の説明を聴取することといたします。森山郵政政務次官。
○森山政府委員 ただいま議題となりました公衆電気通信法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。 最近の電話需要の伸びはまことに著しいものがありますが、同時に、都市の発展及び町村の合併に伴い、加入区域を広げてほしいという声が強くなっております。しかしながら、現在の料金体系のままで加入区域を広げますと、その境界付近において通話料に著しい格差を生ずることになります。また、電話の接続の即時化の進展に伴いまして、市外通話についても全国的に自動即時化を進めなければなりませんが、料金のかけ方を現在の方式のままにしておいてこれを実施することは、技術的に困難であります。このような事情から、市内市外両通話料金の融合をはかって、社会生活圏の拡大に合理的に対処し、あわせて自動即時化に適合する料金課金方式を採用するため、電話料金体系を調整するとともに、これに関連する制度等について規定の整備をはかろうとして、今回この法律案を提出するものであります。 次に、この法律案のおもな内容について御説明申し上げます。 改正の第一は、電話料金の調整に関する事項でございます。その一といたしまして、従来、市外通話はすべて三分ごとに料金がかかっておりましたが、この法案におきましては、これを自動即時通話の場合は、市内度数料と同額の七円を単位とし、七円でかけられる時間を、ある距離においては何秒間というように定め、遠距離になるにつれてこれを短くしていくいわゆる距離別時間差法に改めようとしております。またこれに対応して、手動通話の場合には、最初の三分までは現行の通りの料金のかけ方でありますが、三分をこえると、あとは一分ごとに料金がかかるいわゆる三分・一分制に改めることにいたそうとしております。以上のような料金のかけ方にしようとするのに伴いまして、市外通話料金の算定基準となる距離のはかり方につきましても、現在個々の電話局相互間の距離によっておりますが、この法律案では、これを一郡ないし数郡をまとめた程度のグループの中心となる局の相互間の直線距離によることにしようとしております。 料金調整に関する事項のその二は、一定のグループ内の通話を現在の市内通話と市外通話の中間的なものとして取り扱おうとするものでありまして、新たに準市内通話制度を設け、その料金は、距離と無関係に一分間七円にいたそうとするものであります。この準市内通話の実施に伴いまして、電話取扱局の種類、すなわち、その級局別をきめる基礎となる電話加入数の算定方法についても改正を行なおうとしております。なお、改正料金表の作成にあたりましては、現在の料金収入になるべく変動を生じないように定めようとしております。 以上のほか、料金に関する事項といたしましては、公衆電話の料金についてもほぼ同様の調整をすること、夜間の市外通話料及び加入区域外の公衆電話料は日本電信電話公社が郵政大臣の認可を受けて定めるようにすること、電話加入数が急増している実情にかんがみ、新しい級局を設けるようにすること等の改正をいたそうとしております。 改正の第二は、料金以外の諸制度に関する事項でございまして、電話の自動化に伴ってすべての電話局に度数料金制が実施できるようにすること、電話をより便利に使えるよう付属電話機について他人使用を認めるようにすること、災害地の公衆電話料、医療無線電報料を無料にするための根拠規定を置くこと、日本電信電話公社は、加入者等から、その建物内または敷地内の既設線路の使用の請求があったときは、これに応ずることができるようにすること等の改正をいたそうとしております。 この法律案によるおもな内容は以上の通りでありますが、施行期日は、いろいろ準備の都合もありますので、昭和三十七年九月一日から同年十一月三十日までの間において政令で定める日といたそうとしております。ただし、今回の改正による新制度の一部については、試験的実施を改正法律施行前においても行なうことができるようにしようとしております。 何とぞ十分御、審議下さいまして、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
○山手委員長 これにて提案理由の説明聴取は終わりました。 本案に対する質疑は後日に行なうこといたします。 ――――◇―――――
○山手委員長 次に、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会の承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。谷口善太郎君。
○谷口委員 質問に入る前にちょっと申し上げておきたいことがあるのです。それは、委員会の委員の出席が非常に少ない点と、定刻がいつもおくれること、これは少しよろしくないのじゃないかと思う。委員長からぜひ一つ厳重に督促をお願いしたい。
○山手委員長 速記をやめて。 〔速記中止〕
○山手委員長 速記を始めて。
○谷口委員 放送の問題につきまして、いろいろ私どもの持っている資料でお尋ねしたい大事な問題があるのでありますが、それはぼつぼつやらしていただくとして、きょうは一般的な、常識的なことを二、三お尋ねしようと思います。 ラジオ受信者の総数といいますか、実数は実際に捕捉されておりますか。ここに出ております資料によりますと、三十五年度の初め、六年度の初め、それから六年度末のラジオ、テレビ両方の概数が出ておりますが、世間では、テレビもそうだろうが、ラジオに至っては捕捉の倍くらいあるのじゃなかろうか、つまり、放送法の三十二条に規定しておりますNHKの放送を受信する設備を持っておる者はもっと多いのじゃないかといわれておりますが、その点はどうでしょうか。
○小野参考人 ラジオを実際に聴取しております数につきましては、私どもの方で今出しておりますのには、三十五年度末で、三十六年度の初めにその件数があがるわけでございますが、千百十五万、自後三十六年度中に二百三十万の減を来たしまして、三十六年度末には八百八十万件余であるというような見通しを立てておりますが、この数字とは完全に一致しないと思います。御質問のごとく、ほんとうにラジオを聞いておられる向きは、この数よりもはるかに多いと考えるわけでありますが、NHKといたしましては、収入の基礎はあげて受信料収入でまかなっておるわけでございます。その意味からいきまして、放送法三十二条の規定によりまして、日本放送協会の放送を聴取し得る受信の設備を備えた者は契約をしなければならない。契約によって、お認めを願った受信料月額の聴取料をいただいておるようなわけでありまして、その意味合いから、ただいまNHKと契約をいただいております数を予算書には掲げてあるわけでございます。そういうところで、実際のラジオを聞いておる実数とはこれは一致しないと思いますが、その実数が把握されておるかどうかという点につきましては、これはなかなか正確には考え及ばない。今日のようにラジオと放送網が非常に普及いたしております限りにおきましては、放送を受信しておられる向きは非常に多い数に上るものと考えております。
○谷口委員 そういたしますと、契約ができておる数がここに出ておって、実際に聴取しておる者はもっと多いということに、大体皆さんも認めていらっしゃるわけですね。
○小野参考人 さようでございます。特に契約の面につきましても、世帯でいっております。一世帯に何個ありましても、それは一つしか受信料をいただいておりません。そこに、聴取しておられます数からいいますと、この数よりはるかに多いものと思います。
○谷口委員 私はきょうは皆さんに卒直にお聞きするのでありますが、ラジオの受信料を全廃するという考えはありませんでしょうか。少なくともラジオ受信料だけで九十億くらいの収入があるわけでありますが、近い将来にこれを全廃するというような計画はありませんか。
○小野参考人 御意見なり御要望といたしましては、そのような面もあると思いますが、事業をやっております以上、これを全廃することにつきましては、かなりの問題があろうかと考えております。特にラジオの関係につきましては、契約の件数は漸次減少をいたしつつはございますけれども、反面に、難聴地域の解消等によりまして、経費を投じなければならない部面が逐年増加をいたして参っております。そのような面から申しますと、原価的に申しましても、現在八十五円料金を相当に上回った原価を要しておるわけでございます。そのような意味合いから申しましても、また、さらにラジオ、テレビの受信者の一つの納得できる受信料体系の線から申しましても、ラジオ受信料を全然徴収しないということについてはかなりの疑義があろうと思います。特に三十六年度の予算におきましては、ラジオの受信料が約九十九億近い額に上るわけでありますが、財政的に見ましても、それを全然除外いたしまして、テレビ料金のみで考えますと、二百七十億の収入しかございません。この額は昭和三十五年度の実際の運営経費をはるかに下回った数でございまして、そのような面からも、とうてい実行不可能である、このように考えております。
○谷口委員 私もテレビにしましても、ラジオにしましても、放送文化の上での大きなサービスですから、これはサービスに対する対価といいますか、こういうものを徴収し、また払うのは当然だと思うのです。ただ今おっしゃった通り、ラジオの方はどんどん減っていく。減っていく中には、今度の計画の中にもございますが、免除する範囲を広げていくというやり方、あるいは一年分を前納した場合には、この前も問題になりましたが、一カ月負けてやるという規定もされております。だから聴取料を全廃するという考え方は、サービスの対価を支払わせる、支払ってもらうという考え方からいえば、これは無理かもしれませんが、しかし社会政策的な立場からいえば、皆さんもすでに推進されていらっしゃる通りに、貧困者だとか、その他に免除という態度をとっておられる。こういう考え方をもっと進めていけば、ラジオの料金を全廃するという言い方であっては誤解を生みますけれども、そこに何らかの形態で、少なくともラジオの収入のある程度ぐらいのものを国民に返還する、そういうような政策が考えられるのではないか、また、そういう時期にきているのではないかと考えるのですが、そういう点はどうでしょうか。
○小野参考人 社会政策的な意味、あるいはその他の文化政策的の意味合いから申すますれば、在来から、ある種のものにつきましては受信料の免除をいたしております。三十六年度予算におきましても、予算書の中に上がっております通り、身体障害者あるいは有線放送のスピーカー受信者、そういったような向きに対しまして全免の措置をとっておるわけでございますが、現在のところ、そういった受信料を全然いただかないというような対象といたしましては、あれこれいろいろ検討いたしまして、三十六年度でさらに七十一万件が全廃の対象になるわけでありますが、これでどうやらもう全免措置といたしましては、現在考え得る面を全部カバーしておるように考えております。自余の問題につきまして、何かそこにある種の政策的考慮によってなおこれを検討する余地がないか、こういう御質問でございます。八十五円料金がはたしていいかどうかという問題につきましては、検討の余地があろうかと思いますが、料金を全然徴収しないということになって参りますと、これは現在のところ非常な困難もございますし、また事柄自体につきましても、料金体系の本質的な問題に相当疑義があるように考えておる次第でございます。
○谷口委員 今度の事業計画ですね、まあ社会政策的といえば言えるのじゃないかと思うのですが、貧困者、生活保護者に減免するとか、あるいはその他の面での、減免政策が、先ほど申しましたように拡大されていっているわけです。そういう考え方で、少なくともラジオの料金の程度くらいを聴取者に還付――還付という言葉が悪いのであるなら別の言葉でもよい、そういう政策、考え方をもっと徹底させる方向はやれるのじゃないか、そういうふうに私は思うのです。事業内容を見ましても、私はそれが可能の状況にあるのじゃないかというように考えるわけであります。これはしろうとの私が申し上げるまでもございませんけれども、ちょっとしろうと流に計算をしてみましても、ラジオ、テレビの受信料から減価償却約三十億ほどことしは積み立てるようにしていらっしやる、去年よりは四億よけいになっております。先ほどあなた方の方の方がお見えになりまして、ちょっとお話を聞いたのですが、減価償却をやらなければならない資本投下された総額、つまり資産ですね。それは一体幾らくらいあるものか、それによってこの三十億という減価償却費積み立てが、非常に重いかどうかがきまるわけでありますが、かりに三百億の減価償却をしなければならない対象があるとすれば、年間三十億では償却期間が十年ということになって、ずいぶん虫のいいやり方であります。そういう点で若干問題がありますが、しかし、それは今これ以上触れないにしましても、とにかく減価償却の三十億を聴取料の中から出していくことになっている。それから建設費やその他の資本支出といいますか、これが資本収入の中から全部まかなわれていない、非常に多額の部分が聴取料金から出されることになっている。調べてみますと五十一億ぐらいあるようであります。それが主として聴取料金から出されておるわけです。これらは――資本投下される、つまり設備投資をされる、事業を拡大したり新設したり建設したりするという面は、これはNHKとしては設備の投資でありますから、従って聴取者の聴取料金から出していくという点は、普通の事業会社であっても、一定の限界のあるべきことでありますが、まして公共放送として放送文化の上に貢献することを任務とするNHKの性格から申しましては、普通の経済観念で割り切っては、国民がなかなか納得ができないような事情が当然生まれるのじゃないか。そういう点から考えまして、さっきおっしゃったような社会政策的な意味から考えても、放送文化を大衆化するという意味から申しましても、相当の部分、料金をとらない、あるいは料金をとらないということが悪いならば、料金を免除するというケースがもっと拡大されていいのじゃないかというように考えているわけです。そういう点ではどうでしょうか。
○小野参考人 いろいろ考え方もあろうかと思いますが、NHKといたしまして、現在における財政状況、さらに将来の進行等とも考え合わせまして、現段階におきましては、三十六年度予算におきまして全免の範囲を拡大いたしましたその辺のところが、最大の努力をいたした限界であろうというように考えております。
○谷口委員 それでは、その拡大されました点でお尋ねしたいことがあります。生活困窮者を五万人から五万一千人にふやされております。千世帯拡大されておるわけですけれども、この五万ないしは五万一千という数字の根拠はどこから出たのでしょう。
○小野参考人 ただいま申されました五万の数につきましては、これは生活保護法の適用を受けておる者全員を対象にいたしておるわけでございます。もちろん、これは世帯単位になっておりますと同時に、ラジオ受信機を備えておられる向きを計算いたしまして、現在五万何がしになっておるわけでございますが、観念といたしましては、生活保護法の適用を受ける方は、漏れなくその対象に入っているということに相なっておるわけであります。
○谷口委員 生活保護世帯数を調べてみますと、厚生省の厚生白書では、世帯数にしまして六十万三千、人員にしまして百六十六万四千人いるわけです。それから生活保護を受けていないけれども、それに準ずるような、いわゆるボーダ一・ラインにある人たちは概算一千万といわれているわけです。今あなたのお答えでは補助を受けている人でラジオを持っておる数、そうしますと、約六十万世帯の五万人しか持っておらないということなんですか。
○小野参考人 受信機を持っておられる、つまり最初に御質問のありましたそれにお答え申し上げましたことと関連するわけでございますが、NHKでただいま受信の契約をしていただいておる、その向きで生活扶助法の適用を受けておられる方が五万余りということになっておりまして、これは全部受信料の免除をいたしておるということに相なっておるわけであります。
○谷口委員 契約してないというよりも――これは私郵政大臣がいらっしゃったら特に要請もし、お聞きもしようと思っておったのですが、幸い政務次官がお見えになっておりますから、ぜひここで申し上げておきたいのですが、生活保護を受けている人たちに対しまして保護の基準を決定する場合に、ラジオを持っておるというようなことはぜいたくであって受信契約をしている人に対しても、ラジオを現金に換算いたしまして、これを差し引いて保護金を出しておる。あるいはそれを売り飛ばせる、あるいはそれを持っておることによって保護を打ち切るという政策を政府がとっているのです。このことを御承知ですか。
○森山政府委員 私どもの承知している範囲では、現在そういうことはないというふうに聞いております。
○谷口委員 それはちとおかしい。もっとも、これは郵政の大臣や政務次官にお尋ねするのは少し無理があると私も実は思います。この通達を出しましたのは大蔵省です。これはもう数年前に多分次官通達として出しております。これは秘密に出しております。それによって生活保護者に対して、たんす、げた箱なんかに至るまで、もちろんラジオ・テレビは申すまでもなく、そういうものを全部現金に評価をして、そういうものを買える状態であるならば、生活保護の補助を打ち切るという態度で指導しているわけです。これはあなたは御承知ないとしますと問題でありますけれども、少なくとも大蔵省はそうやっている。こういうことは放送文化政策の上から申しまして許されることかどうか、こういうことについての郵政省のお考えをお聞きしたい。
○森山政府委員 厚生省や大蔵省の方針については、率直にいって、そういう運用をやっておるかどうかについてつまびらかにいたしておりませんので、事情をもう少し調査いたしましてからお返事いたしたいと思います。
○谷口委員 つまり、ここで今NHKの方々がおっしゃったように、五万一千世帯というものが生活保護を受けている人の中で受信契約をしている数だ、あとの人は持ってない、少なくとも契約はしてない。契約をするというような、そういう状態に政府の施策が置いてないという問題があるわけなんです。これは非常に重大なことでありまして、従ってこの五万一千世帯という数字は、政府が生活保護をする義務のある生活困窮者に対して、その生活保護をやる場合、えげつない弾圧、あるいは非常な迫害を加えております状態の逆な現われ方であります。つまりあとの人々は、実はラジオはこのごろ安いですからね、生活保護をもらっている人でも、ちゃんと契約をして聴取するぐらいのことはあるのですが、しかし、それをやりますと、こういうふうに迫害されるので、黙っている。そう側面の現われであるわけであります。これは放送文化の上でわれわれ関係者の無視できない人道問題ではないか、こういう事態を捨てておいて、五万一千世帯が契約をしているから負けてやるが、あとはわしは知らぬのだという態度でいいかどうか。特にNHKとして非常に重大な国民文化に寄与する仕事をやっておるわけでありますから、そういう見地からいって、こういう政府――大蔵省の態度に対して、やっぱり何らかの抗議の措置を講ずる必要が絶対にあると思います。どうですか。
○小野参考人 現在契約の対象にはなりながら、その契約には入ってない層というものにつきましては、現実に受信機を持っておられない、こういう事実に即しますものと、他面受信機を持っておられる、契約をしなければならないけれども、まだ契約の手続をやっておられない、こういう両面に分かれようと思いますが、いずれにいたしましても、これは契約に相なりましても料金は全然徴収をしない、こういうことになるわけでありまして、実質的、政策的な意味合いから申しますと、そういった生活保護の適用を受ける全員に対しましては受信料をいただいておらない、こういうような建前になっておるわけであります。現在ラジオ受信機を持っておるから扶助法の恩典を受け得ないというようには、われわれ調べましたところでは、考えておりません。テレビジョンにつきましてはあるようでございますが、ラジオにつきましては、別段それがために生活扶助の恩典が剥奪あるいは減殺されるということはないように考えております。
○谷口委員 そうしますと、昭和三十年かと思うが、そのころ出ました大蔵省の次官通達は撤回されたわけですか。そういうふうに皆さん了解していらっしゃるわけですか。またそういうふうに私ども了解していいのですか。
○小野参考人 なお、正確にはよくその辺の事情を調べまして、後日お答え申し上げたいと思います。
○谷口委員 では、その点はそういうふうにしていただきます。生活保護者で五万一千世帯以外の人々は、つまり三十二条の受信契約はしてない人々だから、NHKで捕捉できないのは当然でありますが、もしこれが法律に基づく契約をするというような場合、すべて生活保護世帯に対しては全免するのだということをここで御確認なさいますか。五万一千という予定の数だけでなくて、そういう意味で生活保護者に対しては全部負けてやるのだということをここで御確認なさいますか。
○小野参考人 御指摘の通りでございまして、生活保護法の適用を受ける方に対しましては、例外なく免除しようということで参っております。その契約の数が現在五万一千という偶然の事柄になっておりますが、お説のように、これは全面的に将来契約の数に入りましても、生活保護の法律の適用を受けておられる向きに対しましては全免措置をとりますことは、全然これは変わりはございません。
○谷口委員 けっこうです。ぜひそうしていただきたい。従って生活保護者で現在やみで聞いている人も、公然と料金を払わないで聞けるのだという点をここで再確認いたします。そういう態度をここではっきりさせていただくことは、生活保護者の人々が、少なくともラジオに関する限り、今後苦しい状況で、契約しないで聞くというようなことから解放されることでありまして、非常に愉快になるだろうと思う。 そこで、きょうはもう一つ踏み込んで要求を申したいのですが、生活保護の対象者でなくて、いわゆるボーダー・ラインにいられる相当の貧困者、これはわかっておりますし、何かの基準はもちろん必要だと思いますが、その基準を考え出すことによって、こういう人たちにまで減免措置を及ぼすという態度を今後持っていただけるかどうか、この点をもう一点伺っておきたい。
○小野参考人 ただいまの生活保護法の適用者につきましては、これは対象が非常に明確でございます。これはもちろん全免の扱いをいたしておりますが、さらにそれに非常に準ずるようなボーダー・ラインにある者をどのようにするか、ここにやはりNHKといたしましても非常な考慮を払わなければならない点があろうと思います。そういうような意味合いから、今回の予算編成にあたりまして、身体障害者福祉法の適用を受ける方、これは三十五万でございますが、これとか、あるいは盲人の方、こういった方面をボーダー・ラインの中の問題といたしまして、全免に扱おうということの提案を申し上げておるわけでございます。
○谷口委員 この問題であまり長く時間をとっては悪いけれども、もう一つだけお聞きしておきたいと思うことがあります。この減免対象の中に旧会員というのがありますね。ここに一万二千二百四十名と出ておりますが、この旧会員というのは一体何ですか。
○春日参考人 お答え申し上げます。現在の日本放送協会は、昭和二十五年の放送法ができましたことによって法的性格を取得したものでございますが、日本で初めて放送事業を営みましたときには、民法の社団法人の規定によりまして、公益事業をやろう、それから何も報酬を求めないということで篤志の方々が当時のお金で一口二百円、後に五百円にもなりましたが、それを拠出いたしまして、これによって社団法人日本放送協会というものができたわけでございます。その設立の際に社員になっていただいた方が、昭和二十五年放送法ができましたことによって法的性格が変わった際に、非常な物価の変動なんかもございましたので、旧会員で拠出した二百円という金額は、戦前の拠出された当時と昭和二十五年では全然比較にもならない。かつまた、その初期において放送事業というもの、しかもそれから何らの報酬を求めないで、そういう国民のためになる社会事業をやろうということで拠出下さった方々は、日本の放送事業の設立の功労者でもございます。生存されている限り、その方々はラジオについては受信料をいただかないということを、当時国会の御審議を経ましてきめましたのであります。従いまして、旧会員は年々死亡によって減って参るわけであります。しかもこれはテレビジョンには全然関係ございません。そういった性質のものでございます。
○谷口委員 ちょっと納得いかないわけですがね。そうしますと、あなたは旧会員が減るとおっしゃるけれども、これはふえているんじゃないですか。その点はどうでしょうか。
○春日参考人 先生のごらんになっておられます表がございますですね。そこで旧会員というところが一万二千人でございますですね。その隣にあります一万二千二百四十というのは金額でございます。でございますから、この旧会員は私今申し上げましたように、減っていきこそすれふえることはないわけでございます。
○谷口委員 この二百円を出した一万二千人ばかりの人々、これがそういう意味で当時二百円出して、新しい放送法に切りかえられたときに性格が変わった。まあNHK創立の功労者だというので、ずっと免除するとおっしゃるのですが、これはどういう人々です。どういう方面の方々があるのですか。一般的な大衆ですか、それとも……。
○春日参考人 いろいろな方々がございます。その中には、設立当初でございますから、たとえば新聞社として何口か社員権を一口二百円でお出しになった方もありますし、また民間の篤志者で、自分はそういう仕事は国民のためにした方がいいから喜んでお金を出そうというふうな方々もございまして、特定のどういう方ということは申し上げられませんが、当時のそういう社団法人日本放送協会というものを作って放送事業をすることに、興味とそれから関心と、さらにそれがいいことだというふうに御認識下すった方々がそれに該当するわけであります。
○谷口委員 そうですが。私は前の国会できまったというその国会のことを知らないが、これはずいぶん大きな問題だと思う。一口二百円出した人に対し年間一千円以上の受信料を免除する、それが死ぬまでだということになりますと、これはずいぶん問題だと思う。そうじゃないですか。しかも、新聞社であったり、それから放送事業に理解を持って金を出そうという人だったりするとすれば、それらの人々は、いわば社会の中では、文化的にも、あるいは知識人としても、あるいは事業家としても、相当の上層の人だと思う。こういう人たちが、二百円出したおかげで死ぬまで毎年受信料を免除されるというような制度は、これは国民は納得できませんね。これは何か特別にこういうことによって、これらの人人が会合を持ったり何かするというようなことがありますか。
○春日参考人 二百円と現在の受信料との御比較では、そういうふうな御印象が若干あろうかと思いますが、大正十四年当時の一口二百円という金額は相当大きな金額だと思います。しかも、その時代に、放送事業というものが今日のように国民全体に大きな分布をするかどうかということもなかなか見通しのつかなかった時代に、何ら報酬を求めずにそういういい文化事業をやろう――民法の社団法人の規定でございますから、配当とかそういうものは一切ございません。社会事業をやろうと思って拠出して下さった方々でございます。もちろんその方々は年々減って参ります。しかも、昭和二十五年に新しい放送法ができましたときに、いろいろと検討いたしましたのですが、日本の放送事業創立の功労を持った方々でございますし、またその方一代でございますので、こういう特例を認めさせていただくことにいたしたのでございます。金額の御比較でございますと、千円と二百円でございますが、その当時の、何もそれから利子を生まない一口二百円というお金は、相当の額だったと御判断願えると思います。
○谷口委員 そういうふうにおっしゃると、また別の論点を出さねばなりません。これは私、過日政府から資料をいただいたのでありますが、昭和二十年以前の簡易生命保険や、郵便貯金は、これは当時の貨幣価値で預けております。ところが、この貯金や簡易保険の払込金はすべて翌年の昭和二十一年のあの貯金封鎖、新円切りかえ、その後の急速に発展しましたインフレーション、つまり貨幣価値が全くゼロにひとしくなるようなインフレーション、その中でも、政府は決して戦前の貨幣価値を新しいインフレーションの時期における貨幣価値にスライドしなかった。一方にそういうことがある。ところが、NHKだけがこの二百円という会費――出資をインフレ後の貨幣価値にスライドするというような考え方に立って後々の対策を立てられた。――理念としては、今あなたのおっしゃったのは、そういう考え方だと、思うのですが、そういう考え方に立って、その当時の人々に終生その利益を保障するという態度は、これは特別な態度だと思うのですが、その点どうですか。
○春日参考人 私はスライドするということを申し上げているのじゃございませんで、申し上げておりますることは、放送事業が海のものとも山のものともわからない時代、しかも今例を引かれました簡易保険とかそういうものは、積み立てて御自分に返ってくるものでございますが、民法の社団法人の規定では、公益的な仕事をするために拠出する、そして社員になる、しかし、それから何ら果実を期待しないというていの拠出でございますので、例は若干当たらないんじゃないかと思うのでございますが、私の申し上げておりますのは、放送事業の誕生のときに、非常にいい仕事をするために一定の金額を拠出して下さいまして、それがもとになりまして放送事業というものが発達したわけでございますので、新たに放送法が昭和二十五年に制定されて、旧社団法人というものがこの特殊法人に変わった際に、そういう措置をとらしていただいたという事実の経過を申し上げておるわけなんです。
○谷口委員 なるほどスライドするというようなことをおっしゃっているわけじゃないのです。それはそうです。だけれども、当時の二百円の貨幣価値は現在どうなっているかということを前提にしてあなた方は考えている。阿部先生どうです。私はあなたにお聞きしたい。貯金だとか、生命保険だとか、簡易保険だとかいうものは、いわば大衆の貯金です。これが全体で――これは内閣統計局の統計を見ましても、昭和二十年の十二月現在で、当時の金で約四百億くらいあるようであります。それだけあるのです。ところが、この四百億というものを、インフレーションになった貨幣価値にスライドして政府は支払いしなかったのです。一方にそういうことが行なわれている。ところが、NHKの場合は、創立にあたって社員として金を出してくれた人々に対しては、そのお金を新しい貨幣価値に換算した考え方の上に立ってその人たちに特典を与えるというやり方をしている。これを許されるでしょうか。国民として納得できるでしょうか。こういう不公平な考え方、やり方ということについて、先生のお考えはどうです。
○阿部参考人 私は当時の模様をよく知らないので、はっきりしたお答えはできませんが、社団法人より前にできた放送会社が日本放送協会に統一されたと記憶しております。それは、この放送を統一したのは当時の軍部の要請だったろうと思うのです。それで、私の記憶しているところでは、無理に取り上げられたという形があると思う。そういうふうないろいろな関係がありまして、ただ単に二百円出したから、その代償として差し上げるというふうなものじゃなしに、非常に込み入った事情がある。特に今、春日局長が言われたように、当時の放送事業というものは、はなはだどうも損がいくような不安定な情勢で、そのとき、あえてこの事業に出資したということなんでありまして、普通の聴取者と比較して公平だとか不公平だというふうな筋合いのものじゃなさそうに私は考えております。なお、私はよく当時の事情はわかりませんが、多分そういうふうなことで、こういうふうなことになったのだろうと私は考えております。
○谷口委員 これはどうも阿部先生のお答えとも思えません。先生は進歩的な自由主義者としてわれわれの尊敬しておる人だけに今のお答えははなはだ残念です。なるほど内容が違いますから比較して論ずることはできない。しかし同じ戦前の金に対して、一方では無価値の状態のまま捨てておき、他方ではこれを大きく評価する。こういうことは許されますか。この点でNHKの考え方は全く違うわけです。なるほど創立当時に非常に功労があったので、その功労、功績を云々と言われるとすれば、それもあるかもしれない。しかし、そういう言い方をすれば、他の問題――今申しました郵便貯金や簡易保険の問題でもあるわけです。たとえば郵便貯金をしていた人たちの、その郵便貯金というものが、預金部資金として日本の産業なり、教育なり、つまり国家の財政投融資資金として大いに役立った、そういう点では、やはり大きな功績があったわけでしょう。そういう言い方をすると、もうこれは、先生の言葉じりをとらえるわけじゃありませんが、軍部の強制によってこういう会員制度ができ、あるいは金を出してくれた人だというふうにおっしゃるとしますと、これは、戦争前及び戦争中のNHKが、軍国主義に対して、日本の帝国主義的なあの戦争に対して、どんなに協力したかということの証明で、むしろ先生御承知の通り功績があるどころか、逆のことではありませんか。NHKに金を出した人たちは、そういう人たちには気の毒な言い方かも知れませんが、そういう役割りを果したのだ、そういう論理も成り立つわけであります。私が申し上げたいのは、もしその二百円というものを出してくれたということ、あるいはそのときにNHKの創立に対していろいろ功績があったというなら、やはり政府が貯金その他でやったと同じように、もとのままの二百円を今の金で返したらどうですか。これはわずかで済みますよ。貯金その他では政府はそういうやり方をしたわけです。貯金もそうです。簡易生命保険の払込金でもそうです。そうやって大衆に犠牲を転嫁した。NHKでもそうやってそういう縁を断ったらどうですか。そうしませんと、こういう態度で特別な人々が何かNHKの基盤になるような組織を持っておることは、これは言ってみれば、一つの官僚主義を生むことになりますし、またいろいろNHKに対して、こういう人々がどういう発言権を持っておるか私は知りませんけれども、そういう一つの組織的なものになっておるとすると、一つの反人民的な圧力となるおそれもある。ここいらのところはやはりはっきりさして、こういう考え方でもってこういう施策をとることは正しくないと知るべきです。この点は強く申上げておきます。 第二点の問題に入ります。NHKの労務管理の面で若干のことを伺いたいと思う。 今度人員を若干ふやされるようであります。定員をふやされるようであります。それから特に集金人の面でも若干ふやされるようでありますが、これはどうなんでしょうか。主として集金人の面その他が中心になりますか。もっと全機構にわたっての人員、定員のふやし方のことになるでしょうか。その点どうなんでしょうか。
○小野参考人 現在NHK事業計画をごらんいただきまして御了解いただけると思いますが、特にテレビの部門につきましては、NHKは非常に置局を推進をいたしております。その他難視聴地域の解消の関係から小局等もずいぶんできつつあります。そういう方面を運用いたします関係につきまして、番組要員、技術関係の要員、こういったものが増員の主体でございます。それに関連をいたしまして、いろいろ内部事務関係についても事務が非常に増加をいたしておりますので、それに応分の増があるわけでありますが、特に加入関係につきましては、契約の増によりまして、当然にそれを処理いたしますための算出上の所要人員を増加いたしておるわけでございます。現在の総人員を申し上げますと、大体三十六年度におきましては総体で一万三千百三十五名、これが定員の全部でございますが、この中で放送関係に携わります者が四千八十八名、技術関係が三千百八名、加入関係の方面で二千六百六十八名、さらにこの中には、加入の内勤事務と集金の外勤事務に当たるものがございますが、これは内勤で千百五十名、外勤で千五百十八名、その他調査研究で五百六十七名、管理関係で千八百九十九名、国際要員が二百十一名、こういうような状況になっておりまして、必ずしも加入のみが重点で増員の全部となっておるわけじゃございませんで、放送の番組の関係、技術関係、その他の関係、すべて事務量の増加に応じまして必要と算定されましたものが増加の内訳になっております。
○谷口委員 加入関係というのは集金が中心ですか。
○小野参考人 契約の仕事と、その契約に基づいて入って参ります受信料の集金、整理をいたすところでございます。
○谷口委員 この件につきまして、この前の委員会で社会党の大柴さんがお尋ねになって、若干のお答えを皆さんなさっていらっしゃった。私も聞いていたのですが、委託制度、これは特別委託と普通委託の二つがあるようですが、実はこの間伺っただけではその内容がちょっとわからないのです。もう少し詳しく、どういう人たちが特別委託になっており、どういう人々が普通委託になっておるか、あるいはどういう機関になっているか、そこらの特徴的なところを具体的にお知らせ願いたい。
○小野参考人 直集の方は、これは職員をもちまして集金をしておるものでございます。そのほか直接職員の集金でなしに、外部の職員外の人に委託をして集金をやってもらっておるというものがあるわけでございます。仕事の内容はいずれも金を集める、こういう仕事でございまして、同じ仕事でございますが、都会地におきまして、住宅の密集いたしております地域を、一人の人体の負担の標準と考えられます件数と地域にわたりまして、必要な直集人員をかかえております。その一人当たりの労働負担量の区画をいたしますと、そこにやはりいろいろぴたっと合わない、標準の能率によって算定した件数、地域に合わないものが出てきます。そういうところを、特別委託で、外部の人に一件の集金について幾ら幾らの金を支払いまして集金をしていただいておるというものでございます。これが特別委託の関係でございます。 地方の方の特に農村関係につきましては、大体におきまして郵政省に委託をいたしまして、郵便貯金、保険、この関係の集金事務、配達の関係に合わせて仕事を委託をしております。この関係におきましても、やはりいろいろ地域的な条件その他によって郵政省の職員で果たし得ないような面が出て参ります。あるいはカバーすることが適当でないようなところも出てくるわけでありまして、そういうところを、外部の、郵政省の職員でもなく、またNHKの職員でもない外部の人に委託をいたしまして集金をしてもらっておるわけでございますが、これを普通委託と称しております。
○谷口委員 そうすると、特別委託というのは、都市周辺で、しかも一人の集金人が集め得る標準に足りなかったり、余ったりする場所、こういうところでは特別委託の人を特に指定して恒常的に委託している、こういうことですか。
○小野参考人 そういうことであります。
○谷口委員 そうすると、この給与計算はどういうことになっておりますか。一応固定給があって、その上は仕事の内容、能率その他によって歩合ということになっておりますか。
○小野参考人 別段に固定給はございません。一件当たりの集金に対しまして手数料何がしということで払っておるわけであります。 〔「何がしというのは幾らだ」と呼ぶ者あり〕
○谷口委員 そうすると、今森本さんがおっしゃったのですが、幾らくらいの手数料になっておりますか。
○首藤参考人 ただいま御説明申し上げましたように、市街地の密集地域の集金は、御承知のように受信者の出入りがございまして、転居しましたり、いろいろ複雑な要素があるわけであります。そこでそのつど実は集金人の受け持ち件数が変わってくるわけであります。反面、職員の集金人、これはやはり収入の確保と申しますか、そういう点もございますし、また職員としての立場もございまして、やはり一定数の固定したものを受け持つ、これが仕事の上においても能率がいいわけでありますし、また職員としての収入も確保される、こういうわけなんでございます。そこで、そういう面から見まして、市街地の密集地域、こういうところはやはり職員をもって当てるということを第一原則としておるわけでございます。それから今度その周辺の方へ参りますと、やや人口がまばらになっておる。そういうところになりますと――たとえは職員の場合には、標準的な受け持ち件数を何件というふうに比率をとりまして、それが同時に収入の基礎の一部になっておるわけであります。ところが、そういう地域になりますと、土地が非常に広くなります反面に、受信者の数が少ないということにだんだんなって参るのでございます。そうしますと、一人の集金人が集金します、歩き回る能率というものはきまっておるわけでございますので、市街地のように一日何時間歩くというように、きまった時間歩くわけにはいかない。ずっと能率が落ちてくるわけであります。そういう面もありますので、市街地周辺の地域は、特定の個人に委託するわけであります。その個人は身元の確実なものでございまして、保証人もちゃんとつけ、かつこれに十分な訓練をいたしまして、そうしてこれに集金をさせる。これを特別委託という取り扱いにしておるわけでございます。趣旨は、今申しましたように、たとえば職員としてきまった能率がなかなかそこに確保できない、あるいは場合によっては、同じ地域でございましても、たとえば五千なら五千と申しましても、地域の広いところ、狭いところ、いろいろあるわけでありますので、きまった取り扱いができないというものにそれを当てるわけでございます。 それから先ほど出ました普通委託と申しますのは、これはずっと飛んだところでございます。たとえば汽車に乗って一時間とか二時間とか行かなければならないというようなところであります。しかもそこには特定郵便局がございませんで、郵便局にお願いすることができない地域、そういうところは、今申しました特別委託でも、あるいは職員の集金ということになると、なおさら非常に非能率になって参ります。従ってそういう地域では、その土地におられる方で信用のある方、そういう方に個人としまして集金を委託しておるというわけでございます。従って普通委託の方は、専業と申しますよりは、ほかに仕事を持っておられる方が非常に多うございます。例外がございまして、場所によりましては非常に受信者の数が多いために専業でやっておる人もございますけれども、大体の傾向としましては、その土地に密着された、その土地の信用のある方で半ば副業にやっておるという方もございます。そういう事情になっておるわけであります。 それで職員の方は固定給、これが大部分の収入になっております。固定給のほかに集金手当、一件集めますと幾らというのがついております。収入の大部分は固定給になっておるわけであります。特別委託、普通委託、これはもう一件集めたら幾らという手当だけであるという制度になっておるわけであります。
○谷口委員 手数料は幾らですか。
○首藤参考人 手当ては職員の場合は、一件集めますと一円となっております。一円ではございますけれども、そのほかにやや固定給に相当する手当というものもやはりございますし、従って総収入はこれからは出て参りませんけれども、建前としましては一円、それから特別委託は一件につきまして七円、普通委託は一件について十二円、これが一応の建前になっておるわけなんでございます。
○谷口委員 私がなぜこういうことを聞くかと申しますと、この予算総則の第七条の第二項で、職員の能率向上による企業経営の改善ということが書いてある。ここでは「事業量の増加等により、収入が予算額に比し増加するときは、増加額は、経営委員会の議決を経て、その一部または全部を事業のため直接必要とする経費の支出、借入金の返還、または設備の改善に充てることができる。」と同時に、その次に、職員の給料の問題に関係するということが書いてあります。この「能率向上による企業経営の改善」という、この問題の内容をお聞きしないとわかりませんけれども、そこらに請負制のような形態、あるいは仕事を、ちょうどこの特別委託の人たちあるいは普通の委託の人たちがやっていると同じように、固定給がなくて、仕事をやってくる件数によって収入を得るという形態でもってこれが使用されているわけでありますが、これは労働者としての、使用人としての関係ではなくて、事業を委託しているという形態をとっているという言いわけがあるのだろうと思うのですけれども、実際はこれは労働者だ、集金人です。こういう形態でやっていることが全放送事業、テレビの方にも、ラジオの方にも、全部の方向へこういうシステム――つまり能率給のやり方が拡大されるんじゃないか、もしそうだとすると、これはゆゆしい問題だと思うからです。そういうことと関連があるのじゃないかと思うので、聞いたのであります。 それで今申しました七条第一項、第二項に書いてある、特に第二項の方の「職員の能率向上による企業経営の改善」というその内容は、どういう新たな措置をとろうしているか、そこのところをもう少し具体的にお知らせ願いたいと思います。
○小野参考人 予算総則七条二項に、職員の能率向上によって云々とございますが、これはすべてそういった努力の結果、収入が予算に比しましてふえる、あるいは予定いたしました経費がそれよりも少なく済む、節約になるというようなことになって現われて参るわけでございまして、そういう場合におきましては、これは職員の努力に報いるために、この総則によりまして経営委員会の御承認を得た上で、その一部を職員の給与に直接充てることに相なるというような規定の建前になっております。
○谷口委員 それはここに書いてございますから、今あなたにあらためておっしゃっていただかなくてもわかるのですが、その内容ですよ。たとえば前の集金人のシステムの実情でいえば、職員である人は固定給が若干ある。それに一件につき一円という手数料がある。それから特別委託者は固定給なしで一件につき七円、普通委託はそれが十二円という手数料になっている。ということは、要するにこれは出来高払いだ。能率給だ。こういうやり方は、賃金制度としましては時代に逆行するやり方なんです。八時間労働制という問題に関連しましても、それから今の労働基準法に規定しております労働者を保護するという思想や政策、これは今日までずっと民主主義の発展の中で労働者階級が獲得したことでありますが、これに逆行する方向です。こういう出来高払いの古い制度は普通の生産工場でも、小さな工場ではこれをやっているのですが、一生懸命に働けばよけいになるのだという意味で、いいように見えますけれども、実際は労働政策の上では逆行する政策なのだ。NHKともあろうものが、そういう時代逆行のシステムを集金などの面で今なお持っておるわけでありますが、これを今度は、NHK全体に、放送事業の重要な面にまでそういう方針を広げるのじゃないか。そのおそれを私どもは持っている。だから、ここに書いてあることじゃなく、ほんとうに具体的にどうなさるか、例で言えば一番わかりやすいから、私は集金制度の問題を出したのです。この点どうでしょうか。
○首藤参考人 今の委託制度は、これは決して今先生おっしゃったような方針でやっておるのではございません。これはほかの仕事と違いまして、集金という仕事だけは実は特殊のものでございまして、これだけに限っているのでございます。そうしてほかのこの種の企業体、たとえばガス、水道その他にいたしましても、ほとんど同じ方法をとっております。それと申しますのは、実は私ども取り扱い上こうせざるを得ないのは受信者の移動、変動というのが非常にあるわけなのでございます。そうしますと、職員としましてこれを一定地に固定いたしますと、今度はよその地域に受信者がふえる、片一方のところは減るというような現象が始終起こっておりますが、そういうときに、今度はそちらの方に職員をふやし、こっちの方を減らすということは、特に職員の場合は非常に困難なことが多いのでございます。そういうことを考えまして、特別委託者というものを決しておろそかに考えるわけではございませんけれども、そこに一つの弾力性と申しますか、そういうものを考えました場合には、この方が協会としても能率的でありますし、また被委託者にとりましても、この方が便利だろうということでやっているわけでございますので、決して先生おっしゃったような趣旨でやっておるわけではございません。ほかの企業体もそれは考えざるを得ないという事情から、ほとんど同じような方法をとっている実情でございますので、御了承を願いたいと思います。
○谷口委員 そのお考え自体非常に問題があるので、ここにある能率の向上によって企業の改善をやるという、そのことの具体的な内容を知りたいのですよ。
○春日参考人 七条の一項、二項の規定そのものは、先ほど小野専務から申し上げましたように、この予算に比して増収があった場合それをどう使うかというのは、経営委員会の議決を経て使うのだという条文でございますが、特に二項におきましては、最後の、「その一部を職員に対する特別の給与の支給に充てることができる。」ということが重点でございます。それで、それじゃ、それを出すために過重な労働をしいるのかというふうな御意見のようでございますが、私どもが考えております職員の能率向上という問題は、具体的に申しますと、たとえばテレビジョンの場合には、職員の非常な努力によって一定の経費でより聴視率を上げるような番組を作った、そのことによって受信契約者が増した。さらに、たとえばこの予算では真空管の耐用年数はどれくらいと考えておりますものが、職員の創意工夫によりまして耐用年数を著しく延ばすことができたために、真空管の経費が節減できた。あるいは今の集金と直接つながっている問題として、新しい受信契約者の獲得が非常に順調に、予定以上に進んだといったふうな場合をさして言ったわけでありまして、集金人に、昨年持たした件数よりも本年持たす件数をよりしいることによって、節減をはかるという考えではないのであります。
○谷口委員 それじゃ、同じことですよ。集金人に仕事の件数をよけいこなせば、よけい金を出すということと同じことですよ、それでは。今おっしゃったように、たとえばテレビの場合、経費を節減し、いいテレビ放送の番組を作った、だから受信者がふえてくるというような状況になったから、それでもうかるのだから、そういう意味で特別給与をやろうというのでしょう。そうでしょう。同じことです。これが私は問題だというのです。第一、特別給与とは、もうかったから特別給与をやるというやり方でしょう。もちろんNHKは公務員じゃありませんが、公務員に準ずる性格がある。ところが、公務員にはそんな制度はありませんよ。君たちは一生懸命やってもうけてくれた。そこでその連中だけには特別給与を出す。一生懸命集金をやった、よけい集めた。よくやったと特別給与を出すというやり方ですね。NHKは全体としていろいろな仕事をなさっていらっしゃる方があると思います。集金に似たような、ほんとうに肉体的な労務をやっている方まで含めまして、いろいろな頭脳的な仕事をやっている方等、ずいぶんいろいろあると思います。全体を通じてこういうシステムにしてやっていったならば、それが能率向上になる、それをやったら特別給与を出すというやり方をやったらどうなりますか。これは働いた者にはよけい出すというやり方だからいいと皆さんおっしゃるかもしれませんけれども、これはそうじゃありませんよ。ここのところの考え方に非常に問題があると私は思う。というのは、こういうことをやりますと、私はNHKの仕事の上での組織のことはよくわかりませんが、ある放送を計画している一つの集団がある。他のものもある。そういう状態の中で、こういうやり方をすれば、従業員の中にどういう感情が起こり、あるいは起こさせられるか。早い話が、一生懸命やればよけい出すということになりますと、これは従業員の中に競争と反目を起こすことになります。
○春日参考人 御指摘の点は、若干誤解があるのじゃないかと思うのです。「その一部を職員に対する特別の給与」と申しましたが、能率向上や節約によってこの予算に計上いたしました以上の収益を生んだ場合には、それはいろいろな仕事に使うが、その一部分は全職員に均霑してやることもできるというふうに規定をしておりまして、先生の御指摘のように、一部の職員に報奨金を出してけつをたたくというふうな規定ではないのであります。
○谷口委員 その点で、ある甲の班、乙の班というふうなそういう格差はしない、そういうことはしないんだとおっしゃれば、そこは了解します。しかし同じことですよ。一生懸命能率を上げろ、そうすれば特別給与を出す。しりをたたくことじゃありませんか。――第一、特別給与というのは一体何ですか。そういう考え方なり給与体系というものは公務員の場合にはありませんね。
○春日参考人 先日の委員会で御説明申し上げましたように、この予算書には、来年度の職員の全体の給与の改善の原資というものを盛っているわけでございます。その中で職員の待遇改善をいたすわけでございますが、現実には、たとえば公社を一例にとりましても、NHKの場合でも、給与全体につきましては職員の労働組合と協議をいたしまして決定するわけであります。従って配分の問題につきましては、予算に一応組んでいることと並行しまして、職員といわゆる交渉妥結をしなければいかぬ。たとえば半期ごとのボーナスにいたしましても、業績手当的なものにいたしましても、組合要求に対して経営者が十分こたえるだけの原資がない。しかし本予算書から比較しまして、受信者が伸びた、企業成績が上がったというときには、それによって得た若干の金を労働組合員である職員と協議した結果、ボーナスを零点幾つよけい出すとか、業績手当をよけい出すとか、これはどこの企業体にもある形態でございますので、そういうようなことをし得る規定を、この予算書を御承認願うときに、お認め願うという趣旨でございます。
○谷口委員 特別給与というのは普通のボーナスの内容ですか。
○春日参考人 予算書にいいますのは、本給幾ら、たとえば私どもの方の仕事でいいますと、プログラムを作るとかいう関係で勤務時間が伸びることがあります。そういうときの時間外手当は幾ら、年間を通じてボーナスは幾ら、そういうものを算定してこういう予算を組んだわけであります。しかしながら、やっぱり働く人の立場では、常によりたくさんほしいという要求には変わりなかろうと思う。私どもといたしましても、業績が上がって増収があった場合でも、一銭も組合員の要求にこたえられないということはいいことではございませんので、そうなった場合には、この予算総則の七条二項をお認め願っておいて、それによって、予算以上の収入があった場合には、その一部分を全職員に均霑して、予算以上に業績手当なり、給与なり、ボーナスを出し得る道を開いておこうという趣旨の規定でございます。
○谷口委員 同じことでありまして、つまりボーナスを予算以上に出したい、あるいは計画以上に給与をよくしたいということは私はいいと思うのです。しかし、それで事業を能率化し、職員の労働を強化するような方向を打ち出して、その上に立って、それによって従業員のしりをたたき、もうかったらよけい出すという考え方がよろしくないというのです。たとえば集金の職員のことですが、一人三千七百軒回るそうですね。三千七百軒といわれたら大へんだと思いますけれども、それが三カ月に一回が二カ月に一回になる。集金に歩く場合、三カ月に一回づつ回って三千七百軒、それが二カ月になりますと、回数のふえることは明らかです。人員が若干ふえることになるようですけれども、決して労働は軽くならない。そのときに、こういう方針を出して、お前ら一生懸命働け、能率が上がってもうけが多くなった場合には特別手当を出すというやり方でやれば、一体労働者はどうなりますか、そこのところを私は言っている。
○小野参考人 先生の御心配になっておりますのはよくわかるわけでありまして、かりに予算に予定いたしました能率自体も、従業員といたしましては、非常な努力をしなければ、なかなか到達できない、そういうような目標を予算で一つの基本に置きまして、それに対しまして給与といたしましては、さらに最大限の努力を、もう少し努力をして能率を上げ、収入を生まなければ適当の給与がもらえないというようなことになるとすれば、これはまことに過酷なことでありまして、これは非常にいけない。しかし、そのような態度をとっておりませんで、予算の要求いたします能率は、通常人が通常の状態においてやり得る程度の能率を期待をいたしております。しかも、それに対しましては、別段このような予定外の増収を当てにいたしませんでも、食っていけるに妥当な給料を約束をいたし、さらにその上に能率を向上されて増収がありました場合には、それを全職員に均霑をさせようということでございまして、少なくともそのような能率の算定が、何人にも無理でない、通常人が通常の状態でやり得る能率を期待しております以上、どのような企業におきましても、より一そうの能率を上げまして、事業面における経営の改善をはかっていかなければならないことは御承認をいただけると思います。 NHKの予算におきましても、そのような意味合いにおきまして、予算自体におきましては労働者も通常の状態の労働を期待をいたし、それに対しまして、それだけでけっこう生活を営み得る程度の給与を出し、その上にさらに能率を上げました場合にそれを均霑させようというものでございますので、先生の御心配をいただいておりますような事柄には該当しないのでございます。また労働基準法等の精神にも決して違反しないというように考えております。
○谷口委員 それではこの点はもう一回だけ聞いて次に移りますが、集金の場合で言いますと、さっき私ちょっとお尋ねしたのでありますが、一人三カ月に現在の負担戸数七千五百軒というのはどうなのです。それだけ回る、大体標準になっているように聞きましたが、それはどうなんですか。
○首藤参考人 三カ月で七千五百軒というのを標準にしております。これは一軒訪問しまして、面接しまして、そしてお金を受け取る、あるいはつり銭を出すとかいうところを実は年間的にずっと平均いたしまして、積み上げたものでございます。従いまして七千五百軒とここにいうのは、三カ月でございますので、一月にいたしますと二千五百軒、一月二十五日働くといたしますと一日百、大体この辺が妥当なところだということで、現にそれで行なわれている事情でございます。
○谷口委員 今度の集金の場合だと若干職員がふえるわけですね。二カ月に一回になりますと、これは度数がふえるわけですね。その点はどうですか。
○首藤参考人 従いまして、二カ月になりました場合には、今の七千五百を下げるわけでございます。つまり三カ月が二カ月になりますから、従って機械的にいいますと三分の二、その辺のことは、また新しい事情を考えまして、また新たにきめるわけなんでございます。人間は当然ふえるわけなんであります。
○谷口委員 つまり回数は三分の一ふえるわけですね。料金を二カ月分を一回にしてとってくるのと、三カ月分を一回にしてとってくるのと……。そうでしょう。
○首藤参考人 ただいま七千五百軒を三カ月間計画的に回っているのです。従って一月、二月、三月ずっと回っているのであります。平均しますと、今申しましたように月に二千五百軒になるわけであります。二カ月になりましても、一月目と二月目に回る数は大体同じなんでございます。従って受け持ち数が今度は総体的に減るのでございまして、回る軒数は同じことなのでございます。
○谷口委員 それは、しかしどういうことです。ここにいっている七千五百軒というのは、料金三カ月分を一回に集めてくるそのときの戸数じゃないですか。そうしますと、三カ月分ずつを集めてくるということになれば、集金は一軒の家に年四回行けばいいわけです。そうなりませんか。ですから、もし二カ月づつ集めてくるとすると一人に対して年六回行かなければならぬ。だから訪問の度が多くなる。
○首藤参考人 その通りでございます。その通りでございますけれども、現在は七千五百を三カ月で回ればいいよということでございますね。今度は機械的に三分の二としますと、五千を二カ月で回ればいいわけですから、本質的には同じことなんでございます。
○谷口委員 それは算術いたしますと、そうかもしれません。しかし一人の契約者に年間四回行くのと六回行くのとでは、契約者総数において変わりがなければ、二カ月集金の年六回システムでは度数が多くなる。しかも、その上、集金は一回きりで集まりますか。私は七千五百というのは何回も何回も行かなければならないということも含まれておると思うのですよ。だから、皆さんはサービスの向上ということで、三カ月分を一回にとるのを二カ月分を一回にとるというふうにするとおっしゃっていますけれども、これはむしろ集金人員をふやしても、この方は労働者のしりをたたき、契約者からは、出しよい二カ月分の金額にいたしまして――三カ月分より二カ月分は出しいいですから……。そして根こそぎ金をとってくる、そういう計画なのでしょう。私冒頭に聞きましたが、ラジオ受信機を持っておる、あるいはテレビ受信機を持っておるけれども、契約を正規にでき得ないでいる貧乏な人たちがたくさんいるということをおっしゃった。これをどんどん摘発するという態度が今度の計画でしょう。そうでないですか。つまり、そうしますと、国民の側からいえば――そうです。あの三十二条にも金をとる根拠としては大いに疑問がありまして、この間大柴さんも言われたが、朝日にも金をとる根拠があの三十二条ではないんだということが書いてあった。そういう問題のあるところですから、今度の場合、さっき皆さんもお認めになった通り相当契約をしていない人がある。これを摘発しようというのが今度の基本的方針でしょう。私そういうふうに思うのですが、どうですか。
○首藤参考人 前段でおっしゃいました点は、つまり訪れる回数は二カ月にしましても、先ほど申しておりますような理由で同じなんでございます。従って、それだけ逆に今度は集金に当たる人間がふえるわけであります。ですから、同じことだということが言えるわけでございます。それで今度は二カ月にいたしますと、お払いになる方の方が払いやすい点が一つありますし、それからもう一つは、ややこれは専門的になりますけれども、七千五百と申しますとかなり範囲が広いわけでございます。五千軒にしますと範囲がぐっと縮小されるわけでございます。従って綿密に受信者の方を回ることができる、またいろいろ訪れることもできるという点が利便があるわけです。集金に従事します人間の労働量はちっとも変わらない、こういうことになるわけなんでございます。
○谷口委員 私、NHKの合理化の問題全体について、今度もう少し根本的に質問する機会を得たいと思いますので、一応これは終わりまして第三点に入ります。 国際放送について簡単にお尋ねします。第一に、この国際放送の実態はどうなっておるかを実は知りたいわけです。何か二十二カ国語、十七方向で放送するということになってるそうでございますが、それはどうなんですか。特に、特定地域に対して具体的な内容をもって流されているということでありますが、それらの概略をお聞きできないでしょうか。
○松井参考人 お答えいたします。国際放送の全貌については、いろいろな資料がお届けしてあると思います。概括的に申し上げれば、現在全世界に大体十七方向、来年度から一方向ふやしたいと思っておりますが、十八の方向――方向といいますのは、大体短波放送をやっておる関係で、一つのアンテナの指向性を持っておる方向をさしておるわけなんでございます。そうして大体この十七方向で地球上の全世界がカバーされておる。こう申していいと思います。それに使っておる言葉は、大体毎日定例的に使っておる言葉が約二十カ国語ぐらい、そのほかに臨時的に使う言葉が数カ国語ございます。それから毎日各方向向けに組んでいる時間数は、現在のところ合計して二十九時間、そうして来年度からはこれを三十二時間にしたい、かように考えております。
○谷口委員 その辺のことは、きょういただいた資料に一応書いてあるようで、私まだ見てなかったもんだから、概況なんか聞きまして失礼しました。 私が知りたいのは、たとえばこの資料に出ております「英語ニュース」とか「週間の動き」とか、あるいは「童謡」とか「日本素描」、「日本語ニュース」とか、いろいろ番組がございますが、これの番組の内容を知らしていただくことはできますか。私がこれを聞きますのは、国際関係が非常に微妙でございまして、いろいろと考慮しなければならないような状況にあるときに、どういう放送がなされておるか、どういう内容を持っておるかを具体的に知りませんと、ニュース一つのことにしましても、それからここに書いてあります童謡とか童話とか、そういう劇的なものにしましても、これは内容によりましては、日本と他の国との関係にずいぶん大きな影響を及ぼすことでありまして、これを私どもが知らないということは許されないことに思います。それで番組内容を、少なくとも一週間くらいのものはすべて残しておありになるだろうと思うが、これを国会へ提出していただきたい。それはできますね。
○松井参考人 現在短波の関係では、中波ほどはっきりとしてはおりませんが、お聞きになろうと思われますれば、大体東京でも簡単に聞き得られます。それから、いろいろ残しておるかというお尋ねでございますが、これは一週間に大体千本に近い番組を組んでおりますので、そのものを全部いつまでもとっておくというわけには参りません。ただ放送法で定められております通り、時事問題に関係したようなものについては、最低三週間はその資料を保存しておるという状況でございます。
○谷口委員 いや、だから私はその一週間分の内容を現物をここへ持ってきてもらいたい。少なくともそれだけの番組を外国語で放送された原語と日本語に翻訳されたもの、これを資料として御提出願えますか。
○松井参考人 放送は非常に膨大なものでございますから、何か特にこういう番組のうちで、こういうものとこういうものということが国会の方から正式に御要求がございますれば、私の方で保存されておるものについては、もちろん参考としてお見せすることは差しつかえないと思います。
○谷口委員 それでは、これは委員長にお願いするのですけれども、もちろん、なるほど何千本と一週間でもあるとしますと、これは全部ということはいかないと思いますが、しかし、今申しました趣旨から、放送によって外国へ直接日本の思想なり日本の考え方なりが伝わるわけであります。だから、国際関係に大へんな影響を持ちます。従ってどういう放送がNHKによって行なわれているかということを私どもが知らぬということはいかぬ。今おっしゃったように、なるほど聞こうと思えば国内でも聞けるわけですが、何十カ国語の外国語でやっているものを、NHKの諸君がそれを聞けといったって実際聞けますか。NHKの諸君は外国語にたんのうだから、すべてわかるかしりませんが、一般にはできることじゃない。だから、一つ資料として番組を出していただくように、しかるべくお取り計らい願えますか。
○山手委員長 よく相談してやります。
○谷口委員 それじゃ最後に、私、NHKの中立性の問題について、特にこれは共産党の方で直接被害を受けた関係もありますので、お聞きしておきたいと思うのです。 これはまあこう申せばすぐに皆さん御了解の通り、昨年の選挙のときにテレビで三党首座談会をやりました。このときに共産党がオミットされたわけです。あれはどういう根拠で共産党を除外されたのですか。この点をまずお聞きしたい。
○島浦参考人 お答え申し上げます。あの三党首のテレビ討論会は、御承知のように三党の方で御企画になりまして、それをNHK及び民放テレビ会社へ、こういう企画があるが、テレビで取り上げて放送しないかという申し入れがあったのが、話のきっかけでございます。私どもの方があれをそのままいただきまして、放送するにあたりましては、技術的に各民放の会社とも相談いたしまして、私の方が代表者と申しますか、私の方のスタジオで討論会を実施していただきまして、司会者も私の方でお願いしました唐島さんにお願いしてというふうに、実際の放送にあたりましては種々相談にあずかりまして、こちらの希望を申し上げてでき上がったわけでございますが、取り上げましたときには、選挙の関係もございますし、この三党の御企画をそのままいただきまして、放送することによって国民の政治への関心を高めることに非常に効果があるというふうに判断をいたしまして、あの御企画を放送に取り入れさしていただいたのが実情でございます。
○谷口委員 そうすると、三党で企画したものだから、この三党の企画では共産党を除外してあったから、それをそのまま受け入れた、こういうことですか。
○島浦参考人 実情は今おっしゃる通りでございます。ただ、今も申し上げました通り、これを放送に取り上げますときには、NHKとしてこれを取り上げることが政治関心を高める上に効果があると考えましたもので、取り上げさしていただいたわけであります。
○谷口委員 それはそうだと思うのですけれども、しかし私がここでお聞きしたいのは、ああいうふうに選挙の時期でもありますし、特に中立問題なんかについて三党が集まって党首がそれについての意見を討論されたが、もう一つ政党が、共産党がある。これは当然選挙法の建前から申しましても、それからNHKの運営の原則から申しましても、それから放送法のいろいろな規定からいたしましても――特に番組基準を規定した放送法第四十四条第三項の「政治的に公平であること。」の立前から申しましても、当然共産党をも参加さるべきではなかったですか。そういう立場を厳守されるのが正しいんじゃないか。なるほど三党が企画したことであろう。企画はそういうことになったかもしれません。しかし、これをNHKが取り上げる場合には、NHKの原則的な立場を貫くことがやはり必要じゃないか。その点で私はNHKが放送法違反をやっていると思うが、その点どうです。政治的の公平ということはやはり踏みにじっておられることになると思うのですけれども、その点どうですか。
○島浦参考人 NHKがその後に企画をいたしまして選挙直前にいたしました政策討論会という討論会には、谷口先生の方の党からも出ていただきまして、四党で政策を戦わし、そうして選挙民の方々に聞いていただくということをNHKとしては自主的に企画をいたしたものがございます。あの場合は三党の方で御企画になったもので、これに私の方からもっと他の政党も入れてくれということを申し上げる立場ではなくて、それをそのまま取り上げるか、取り上げないかということが私の方としては判断の基準であったと考えまして、あの場合に私どもとしてはあれで正しかったのではないかと考えております。
○谷口委員 そこのところが私は非常に問題だと思う。三党が計画した、それを取り上げるか、取り上げないかということはNHKの判断による。――取り上げる場合に、やはり番組基準に書いてあります通りの政治的の公平という立場を貫くといたしますと、三党だけではだめであって、もう一つ有力な政党である共産党というものを加えて、そこで初めてNHKの立場が貫かれる。NHKは何も三党が言ったから、あるいは政府が言ったからといって、それに従わなければならないということはないのであって、もっと自主的に判断し、自主的に行動し得るという自主性を持っているわけでしょう。放送法によってそれが保証されているのだ。そういう立場からいって、三党が企画したものだから、取り上げるか、取り上げないかということをおきめになる、その取り上げるかどうかという場合にこれが問題になるはずですが、それを三党だけでいい、共産党は入らなくていいということにお考えになったのはどういうわけですか。
○島浦参考人 おっしゃる通りでありまして、三党が企画したものだから、言葉はよくありませんが、そのままNHKが押しつけられてやらなければならぬという立場では決してないと私どもも考えております。従って、取り上げましたのは、NHKとしましてNHKの考え方があって取り上げたわけであります。その考え方が、いわゆる放送法あるいはNHKの放送基準に規定いたしました公平の原則に反しないかという御質問でございますが、私どもといたしましては、あの企画そのものに最初から入っていなかったので、先ほど申し上げました通り、これは御了解いただけると思うのですが、あの企画そのままでいただきまして、それはあの時期における選挙に関する、あるいは政治的関心を高める放送として効果があるという意味で取り上げたのでありまして、あの一つの放送だけを取り上げて、それが政治的に公平であるかないかということを論じます前に、私どもの放送全体を通じまして公平の原則は貫かれておるかどうかということを御批判いただきたいというのが、根本的な態度でございます。
○谷口委員 言葉じりをとられるようでありますけれども、事実はそうじゃないのじゃないか。だって事実として各日曜ごとにやっております国会討論会にも共産党は出ておりません。これは前には出ておりましたが、ここ何年間か不当に排除されておる。それからなるほど選挙中の放送につきましては場を与えていただいたということは事実です。だけれども、テレビ討論会というのは、第一回のときは三党が企画したのかもしれぬが、選挙における中心問題、中立問題がテーマでありまして、これから共産党を除くことは、それ自体選挙妨害にほかならない。それを皆さん、よかろうということで共産党を排除しておやりになった。大問題じゃないですか。どこに公平の原則があります。公平の原則を貫くなら、三党だけでやるべきじゃないということであって、共産党は国会の勢力は小さいですけれども、現在の政局では一番問題になっておる政党です。その政党を抜きにすることは、中立性からいっても、放送基準からいっても、正しくないのであって、こういう態度をNHKがお持ちになることは許されないんじゃないか。しかし、そうおやりにならなかったのには何か理由があると思うのです。そこのところをどういう理由でやったか。三党の会談をテレビでやることが大きな意味を持つというだけじゃなくて、それが意味を持つなら、それだけ一そうその場合には、政治的な中立性を保ち、公平の原則を保つという立場に立つべきではないか。共産党を入れるという態度、これがこの場合の民主主義の原則ではないか。その態度にお立ちにならなかったのは一体どういうわけですか。
○島浦参考人 先ほどから申し上げている通りでございまして、あの企画そのものに対しましては、私どもの方としては、さらにその他の政党を加えるべきであるとか、あるいは参加者の中から減らすべきであるとかいう意見を申し上げる立場になかったと私どもは判断いたしたわけでございます。今先生のおっしゃるように、NHKが公平の原則を貫かなければならぬということは、私どもその通りに考えておりまして、先ほど申し上げました通り、NHKの企画でほんとうに政策を選挙民の方々に浸透するという意味の座談会には、谷口先生の方の党にも出ていただきまして、その政策の討論をしていただきましたというこの事実からも、私どもの態度は御理解をいただけるのではないかと考えております。
○谷口委員 第一回のときでも今申しましたような問題がありますが、第二回のときには共産党は参加を申し込んでいます。当然もう一回各政党の対談をおやりになるなら共産党も参加させるべきである。それが必要かつ正しいやり方だということを申し入れておりますが、そのときにもやはり排除なすっている。これはやはり共産党を排除するという考え方があるのじゃないですか。あるならあると、はっきりおっしゃっていただきたい。また共産党を排除していいのだという何か理由があるなら、それをはっきり言われたらどうです。そうしませんと、政治的に公平にやるというその原則を踏みにじっていられることになる。何といってもこれは弁解の余地はないと思う。これは阿部先生に伺いたいと思うのです。阿部先生は、戦争中に自由主義者として日本の民主主義、自由主義の発展のために大きな功績を残されて、軍ににらまれた方です。私たちは先生を大いに尊敬してやってきた。ところがNHKがこういう態度でやっていくということは、NHKの原則からいいましても、放送の原則からいいましても、正しくないのだということをはっきりしていただきませんと――戦争中に共産党を弾圧し、労働者人民を弾圧し、反民主主義的、反共の立場に立つことが正しいようにいってやってきたことそれ自身が、ああいう悲惨な、国を焼野原とする結果になっております。政治的に公平な立場を持ち、中立の立場を持つというNHKの性格は、この長い戦いの悲惨な経験の結果得たものだと思うのですが、それを当事者みずからが破壊するようなことをやり出したとすれば、これは驚くべきことであり、将来非常に危険をもたらすものと思う。そういう点はどうなんですか。私は先生に伺いたい。
○阿部参考人 私は当時直接関係していないので、詳しいことは存じませんが、三党首会談に関するそれだけでは、公平の原則を破ったとは理解しておりません。やはり放送全体を通じてNHKは公平の原則を貫くべきもので、一つ一つを取り上げて、これが抜けたから、あれが抜けたからということだけでは、公平の原則が破れたというものとは思っておりません。むろん共産党は常に排除すべしなどということは考えておりません。必要な場合には共産党の方々の御意見も十分お伺いする機会はむろんあるだろうと思います。それがないからといって、一々不公平だという一つ一つの番組についての御批判は、少しどうも当たらないように考えられます。
○谷口委員 これはまことに意外な御答弁をいただきまして残念だと思うのです。共産党は議会の勢力は小さいから、すべてのことに出る必要はないのであって、全体を見てくれというふうに先生はおっしゃるだろうと思うのですけれども、しかし選挙を目ざして、最も中心的な課題になっている中立問題に対する各党の意見を国民に知らしめるということは非常に重要です。他のときには、年間五十回の国会討論会がありますが、その全部に共産党を出させろなどということは言いません。だけれども、最も大事なとき、各党の意見が国民によって批判されなければならないという機会、そういうとき、そういうテーマのときに共産党を排除するというやり方は、根本的に公平の立場を傷つけるやり方ではないですか。これは先生の長い経歴から申しましても、やはりあれは正しくなかったと――われわれの必要な場合には共産党も参加させるとおっしゃるけれども、そういう一般的な言い方でなくて、ああいう重要なときにこそ、各党を回答に取り扱うべきであり、その態度こそ、大切であるという態度を貫いていただきたい。共産党に対して特別な考えがないとおっしゃるなら、特にああいうときには、共産党も加えた各党の政策なり考え方なりを国民に知らしめることがNHKの任務であるという立場を堅持していただきたい。そうしていただきませんと、全部見てもらえば共産党も出たときがあるんじゃないか、また出すつもりがあるんだという言い方で一般化されますと、この問題の本質には触れることができないと私は思います。いかがです。 ここで私は特に強調しておきます。今後あれに類するようなことがあるときには、やはり共産党は参加させることが建前だ、原則だということを確認しておいていただきたい。この点を一つ伺っておきます。
○島浦参考人 先ほどから申し上げます通り、あの場合の討論会だけを問題にいたしますならば、NHKとして私どもが感じました問題は、あれをそのまま取り上げるかどうかということだけでございまして、今先生のおっしゃるような御意見は、実は私の方として申し上げれば、かりに四党のテレビ討論会をやるから、お前の方でテレビに取り上げろ、そういう形でおっしゃっていただくならば、それはそれでまた私どもの方としても十分にこれを取り上げるかどうかということを考える、それが私どもの方の立場だと考えます。
○谷口委員 もうこれでやめます。そういうおっしゃり方をすることに、私は非常にNHKの運営に不安を感ずる。三党が言ってきたんだから、これを取り上げるかどうかということだけを考えたのであって、三党を四党にするとか、その内容をどうするかということについては意見は持たなかったとおっしゃる。また持つべきでなかったとおっしゃるのですが、それがよろしくないと言っているんです。放送法違反だと言っているのです。企画自体はNHKが責任を持ってやらなければならない。NHKの立場で、それを実際に放送に乗せるためには、これがどうあるべきかということを判断される基準があるわけです。そうでしょう。その基準に基づいて、どこが企画しようが、だれが企画しようが、NHKが判断するという態度をとりませんと、こういう片手落ちのことになって、NHKの中立性を疑わしめるような結果になる。そこのところを今後ははっきり間違わないようにやってほしい。何と言われましても、どう抗弁されようとも、あのときの三党首会談に共産党が参加しなかったということについては、あらゆる民主主義を擁護する人なり、そういう立場に立っておる人々、あるいは国民大衆は非常な不信を抱いています。なぜ共産党を参加させなかった、NHKはなぜこういう態度をとるんだろう、これはNHKに対する信頼をみんなが強く持っておればおるほど、そういう疑問を持ったのは当然だと私は思う。やはり放送法及びその他の法規に規定しております通りのNHKの性格を、また任務を考え、いかなるところの意見であろうと、いかなるところの迫害や圧迫がありましても、あくまでも断乎として排除する態度をとっていただきたい。NHKの本来の性格を厳守する立場を堅持してもらいたい。それがほんとうのNHKの任務であるし、またそうでなかったら再び戦争中のあの誤りを繰り返すことになると思う。この点は一つ原則の問題として最後にお願いして、私の質問を終わります。
○山手委員長 受田新吉君。
○受田委員 今、谷口委員から放送法の性格についてお尋ねがあり、またこれに対する運用についての疑義をただされたのでございますが、私は放送法そのもの、二十五年にこの法律が成り立ったときにこの法案を担当した一人として、当時立法の精神がどうであったかということをよく承知しておりますので、その点から一言お尋ねしたいことがあるのです。 この公共放送の公益性、それから放送の自由性、中立性、いろいろな角度から見て、NHKの、放送法制定以来過去十年余にわたる歩みというものは、私自身としては大体その放送法の目的にかなった方向を歩んできたと確認をします。ただ最近、一般事業放送、民間放送が頭をもたげてきたので、これと競争意欲が手伝って、いささか不偏不党の線を逸脱するようなおそれなきにしもあらずという心配もあるのでございますが、阿部先生、なおその他の先生方のお考えは、公共放送と民間放送の競争という点について、何か多少意欲を沸き立たせるようなことが現実にありますかいなか、不偏不党の精神から民間放送のあり方にはおかまいなしに、NHKはNHK独自のお考え方で進むということに完全に割り切れて進めておるか、多少民間放送の動きも見て、それに対抗意識を沸かしておるのか、そこを一つ伺いたいと思います。
○阿部参考人 私は公共放送と民間放送とは性格が違うのですから、そういう意味じゃ競争意識は毛頭ないつもりでおります。しかしながら、番組のよきことを競うということの意味では、競争があった方がいいと思います。あなたがおっしゃるように、何か競争すると、そのために逸脱する場合があるような御心配があるようですが、そうなっちゃ困る。そうならない限りにおいて、よき番組を一般の聴取者に提供するということは、競争があった方がいいと思うのです。しかしながら、むろん性格が違うのですから、そういう意味では競争はあり得るはずがない、競争すべきものじゃないと思います。
○受田委員 その番組編成等についての、よきものをNHKが持ちたいという意欲を沸かすという意味の競争意欲はある、ただそれを不偏不党の精神を逸脱しないような方法でやっておる、こういうことですね。 ところがもう一つ問題は、政府が政府の所信を国民に訴えるために、これは行政府の責任者としてNHKを利用するという場合、ある重大な政治的な意見の対立した問題などが、一方的に政府与党の強引な通過によって法律となったり、予算化されたりしたというときに、問題になったような法案、予算案とかいうものを、政府の執行の立場からの宣伝のために、これをお使いになるというときには、よほど考えないと、そこに不偏不党性というものがこわされるおそれがあると思います。そういう場合に対する対処策は、どういう精神でやっておられるか、お伺いしたいのです。
○阿部参考人 私は政府の強要によって政府の政策その他を宣伝しようなんで考えておりません。しかしながらNHK独自の立場において、この政策は一般国民に知っていただかなければならぬことである、そういう意味では、政府の立場及びこれに反対する人の立場を公平に放送するのは当然だと思う。ある一部の強要によってはいかなる場合といえども私は動くべきものではない、また過去においても動いていることはないと思いますが、将来においても動くつもりはありません。その点はどうぞ御安心なさって下さい。
○受田委員 政府といえども一方的な強制は断固これを拒否するという腹を持っている、かように強い信念をお示しになっておられる。それからまた一つの問題について非常に対立した意見、結論が出たという場合には、反対意見も取り入れて公平にこれを放送する、こういう考えで放送の自由性、公平性というようなものも十分これを順守してやっているのだ、かように了解をしてよろしゅうございますね。
○阿部参考人 よろしゅうございます。
○受田委員 その観点から、今後NHKが一そう今申しました点をりっぱに行なってくれることを前提にして、質問を続けさせてもらいます。 大体NHKの収入の主たるものは、これを利用する人々の納める聴取料です。そういうところから聴取料については今まで何回か議論がありまして、会長さんも政府にある程度の文句を申し入れたこともあるわけです。このラジオとテレビの受信者が負担する金額は適当であると思っておられますか。これはまだ安いと思っておられますか。それをNHKの責任者として御答弁願いたい。
○阿部参考人 私は必ずしも安いとは思っておりませんが、しかしながらNHKの性格として、収入が増して余裕ができたらば、これは聴取者にお返しするのが当然である、ただしお返しするということの意味は、料金を負けるということばかりではなしに、番組をよくしてお返しする場合もあるし、あるいはその他のサービスをよくしてお返しする場合もあり、それはそのときそのときの情勢によって判断すべきであると考えております。
○受田委員 ラジオ八十五円、テレビ三百円というこの額は、現在においては適当であるとお考えですか。
○阿部参考人 現在のところは適当だと考えております。
○受田委員 大体ラジオやテレビを利用する人々というものは、そうした聴取料を少々上げ下げしていったくらいのことでは問題にならないという人もあるし、またそれによって非常に影響を受ける人もあるわけなんで、そういう意味から政策的に見ても、NHKは独立採算制ではありましても、それを利用する人の側から見て、それぞれの立場において適当な方法をとっていく、こういう行き方が、私はNHKの公益性の立場からいって適当であると思います。だからこそ、今度、事業計画書を拝見しますと、だいぶその点、社会政策的なものを御採用になっておられる。それはもちろん、放送法の第一条第一項の規定で「国民に最大限に普及されて、」云々とある。このことをもとにされていると思いますが、山間僻地、島、それからテレビにしましても受像の非常に困難な地域等、こういうようなところに心を配って、国民の中に公共的なラジオ、テレビの利用のできない者がないようにすること、これをとにかく行き届くところまでやるというところに現在のNHKの大きな任務があるだろうと思います。都市とか交通の便利のいいところの人々は、あらゆる角度で文化の恩恵に浴している。ところが、そういうことのしばしば欠除している今申し上げたような地域の人々に、別の角度からNHKが貢献して、国民に文化生活を満ち足らすわけにいかぬけれども、補ってやる、こういうところに基本的な方針をお打ち立てになっていることは私共鳴を感ずるわけですが、それをもっと徹底をさせる方法はどうか。たとえば山間僻地、島、そういうところに今いろいろな施設とか、受信料、聴取料の免除とか、特別の設備を置くとかいうことはありますけれども、それよりもほかに、ラジオの巡回的な指導――交通の不便なところにNHKの巡回講演会、巡回演奏会というものが出て、ラジオ、テレビで皆さん御承知のこういうものをここで公開をしますとか、もっと角度を変えた方面から、NHKがそういう不幸な立場の聴取者に益するような事業をおやりになる計画はありませんか、一つ伺いたい。
○小野参考人 お尋ねの、文化にあまり恵まれないところに重点を置きまして、その方面にいろいろな施設を計画すべきだと言われる点につきましては、在来といえども、放送法によってNHKの使命となっております、全国にあまねく放送の文化が行き届くように努めなければなりませんので、そのような面は、聴取条件の改善の面につきましてはもちろんのこと、あるいは受信機関係の巡回相談班、あるいはNHKの番組に対して非常な親しみを持っていただきます意味におきまして、番組を全国に計画的に回すとかいうようなことは在来とっているわけでございますが、三十六年度の予算におきましては、そのような面には、従来に変わらず、あるいはむしろこれを強化いたして計画をいたしておるわけでございます。
○受田委員 山間僻地などへ演奏会などを開いてやるというようなことなどは、その地域の人に大へんな歓迎をされることになるのですが、ラジオで聞く演奏でなくて、現実にNHKの放送楽団がこの村へ来て演奏するのだというような計画も、私は進めてもらいたいと言うのです。
○小野参考人 映画等につきましては、非常に山間僻地の方面にまでもこれを派遣をいたしまして、地方の方々からは非常な感謝の意を述べられておるような状況でございます。その他いろいろ、NHKといたしましてもあとう限りの、ただいまの御趣旨に沿うような計画は樹立いたし、これを執行して参りたいというふうに考えております。
○受田委員 一時から本会議で、その期間中を休むそうでありますから、もう一つだけ。 だんだんと計画を進めておられる模様ですが、これを一つ本腰でやっていただいて、今のテレビ――テレビの普及度とラジオの普及度との間にアンバランスもあるわけで、農村、山間僻地にテレビが普及するということは、まだなかなか前途遼遠だと思うのです。従って現実に、むしろ問題は、そういう交通に恵まれない、文化の恩恵に浴しがたいところへ重点的に御計画をお進め願いたい。そこでちょっとテレビとラジオの普及度について伺いたいのです。だんだんラジオの方の聴取者が減って、テレビの受信者がふえている表を見せていただいているのですが、大体この傾向は、今後五年の後には一体どういうふうになると目ざしておられますか。テレビの普及度とラジオの減少度、こういうものがどのところまでいくのだというNHKの五カ年計画、三十六年から始まって四十年度に至るその歩みを一つ伺いたい。
○春日参考人 今の御質問の点は、私どもが当初立てました五カ年計画と若干比べてみて思いますことは、今、先生のおっしゃいましたように、テレビジョンの第二次チャンネル・プランができますと、全国の相当小さな市まで、百二十カ所ぐらいの地点にテレビのサテライト局を建てなければならぬという計画になるわけです。これを三年ぐらいで完成するというふうに考えますと、テレビジョンは、われわれ当初予定いたしましたよりも相当伸びて参るだろうという推測がつくわけであります。現在考えておりますのは、お手元の予算書にございますように、テレビジョンについては、三十六年度末は八百三十万世帯ぐらい、三十七年度が九百九十万世帯ぐらい、四十年度に参りまして一千二、三百万世帯ぐらいな数になるんじゃなかろうかというふうな見通しを立てております。 一方、ラジオにつきましては、今度相当多数の免除をいたしますので、有料受信者の数を考えて参りますと、三十六年度は八百八十四万、三十七年度が七百二十四万世帯ぐらいになる。四十年度の末には五百万台ぐらいになるのではなかろうか、これは契約者の数の展望でございます。一応そういう見通しを立てております。
○受田委員 そのときはラジオの受信機というものは、本物が大幅に減ってくるという意味の場合と、それから今の減免措置をされるものがふえるという場合と、二通りあると思うのですが、五百万世帯になったときには、ラジオは実際五百万近くまで減ってきますか。もちろん減免措置のものを除いてですね。
○春日参考人 ラジオを実際受信しておる、利用している人というものは、私どもは相当多いんじゃないかという推測は持っておりますし、ラジオ・プロパーの機能というものはなかなか減らないだろうということも考えられるわけでございますが、ただ申し上げられる点は、相当の所得の低い層にテレビジョンが伸びていくことと、それからテレビジョンの放送が今のラジオと同じように朝から晩まで、いわゆる全時間放送になりますと、現実にラジオを置かずに、テレビジョンで現在のラジオとテレビジョンの両方の役割を果たさせる受信者というものも相当ふえて参る。そうなって参りますと、ラジオ・プロパーのいわゆる受信契約世帯というものが減って参るということは見通されるわけであります。
○受田委員 ベルが鳴るようですからこれでおきますが、ラジオの方は携帯ラジオ、トランジスター、こういうものがますます普及して、どこへでも自由に持ち運びができるように利用されてくると思うのです。この方は聴取料は要らぬわけでしょう。自由に持っていけるという場合には、所在をつかむことが困難になると思うのですが、どうですか。
○春日参考人 現在私どもの方の受信契約は世帯単位でございますから、ラジオとテレビジョンが同一世帯に何台あっても契約は一つでございます。ですから、今、先生のおっしゃいますように、自分のうちにラジオがあって、そのほかにトランジスターその他がたくさんあっても、私どもの方は契約としては一世帯でございますから……。本体がそのトランジスターそのものであって、厳密な意味ではやはり一世帯一つということになれば、契約の対象になり得るわけであります。実際上それは捕捉しがたいだろうという推測は私どもの方も若干持っております。
○受田委員 これで一応質問はおきます。
○山手委員長 この際本会議終了後まで暫時休憩をいたします。 午後一時二分休憩 ――――◇――――― 午後三時十二分開議
○山手委員長 それではこれより再開いたします。 休憩前に引き続き質疑を続行いたします。 受田新吉君。
○受田委員 先ほどお尋ねしていた問題点で、まだ解決を見ていない点をお伺いします。 五カ年計画の聴取者、受信者の推移について伺ったのでありますが、大体昭和四十年にテレビジョンの受信者が一千二百万世帯、ラジオが五百万世帯という見通しを持っておられるようであります。ところが、このラジオの方に例をとりますと、五百万世帯ということになるときに、今私が申し上げた携帯用のラジオを持っているような家庭を含む場合に、はたしてそれだけに減少するのかどうか。聴取料のとれない家庭が多量にふえて、五百万世帯くらいしか聴取料を調達できないということになると、収入面でまた問題が将来相当起こると思うのですけれども、いかがですか。今のような携帯用のラジオなどを入れると、大体現在を下らない程度に聴取者がおるのじゃないですか、聴取料のとれる対象となる……。つまり、今のような減免措置のとれる対象がふえる、このことは別ですが、一般にラジオの利用者というものは、テレビがいかに進んだとしても、一方ににおいてはテレビで用を果たし得ない面があるわけですから、利用者の側から見たときに、両方を用いるという結果に、事実上携帯用などを含めて、なるのじゃないですか。
○小野参考人 けさほど御質問に答えまして、大方の将来の見通しにつきましてお答えを申し上げたわけでございますが、もちろんラジオにつきましてはトランジスターのラジオが非常に普及しつつございます。そういった面で非常に把握しにくいのじゃないか。政策的な意味合いにおける免除の関係は別として、実際は把握しようと思っても、そのようなものが非常に主体になって、現在見通しております五百万もはたして維持できるかどうか。できないとすれば、財政上相当そごを来たすではないかというお話でございますが、もちろんテレビの普及につれましてラジオが減少しつつありますのが現在の状況でございます。これは将来もずっと続くだろうと思います。そういう面を考え、またトランジスター・ラジオの普及の関係等も考えましていろいろ推定いたしました結果が、テレビ一千二百万台のころにはラジオがざっと五百万、あるいはちょっとそれを欠けるくらいになる、こういう見通しで現在作業いたしておるわけでございます。現実にはそのような歩みをしないことがありはしまいかという点につきましては、実際は歩んでみないとわからないところでございますけれども、現在の予想では、そういうことに落ちつくであろうというように見通しておる次第でございます。
○受田委員 トランジスター・ラジオの普及ということはテレビの普及と並行して一そう強化されてくると思うのです。そういう際に、ラジオの方の利用者がだんだん減少してくるという見通しを立てて、トランジスターの利用者を計算に入れないでいると、聴取料の上に非常に打撃を受けはしないかと思う。これから文化生活が徹底してきますと、むしろいつも行動に随伴して歩くトランジスターというものも徴収をするというようなことにならないと、NHKとしてはとても採算がとれなくなってくる、独立採算の基礎がくずれる心配はないか。今五百万くらいで成り立つという計算をしておられるようでありますが、この問題は、よほどそうしたトランジスター・ラジオの普及度というものを計算に入れて、それの聴取料をとるかどうかということもぴちっと計算に入れて今後対策をお立てにならないと、逃げ道の方は大目に見ておる、聴取料は高くしていかなければならぬということになってくると、これは問題になると思いますので、聴取料をそのままにしておくと同時に、もぐりで聞く人をなくする、こういう対策をNHKとしてはおとりになるべきじゃないかと思うのですがね。
○小野参考人 御指摘の通りでございまして、トランジスターであるがゆえに投げてかかるというようなことはいたしておりません。これは世帯主義で、トランジスターのみしか持たない世帯につきましては、どこまでもラジオ料金を徴収すべきでございます。そのような努力をいたして参りたいと存じます。
○受田委員 大ていのところは、テレビができましてもラジオはそのままになっておりますし、ラジオを売りさばくわけにもいかないから、そのまま旧式なものが残っております。しかしラジオが残っておっても、それは聞かないのだ、聞いていないで、ただ置いてあるだけだという説明になってくると別ですけれども、実情はどうなっていますか。テレビをつけた家でラジオをそのまま廃棄処分にして使ってないという申告がされるのですか。
○小野参考人 テレビをつけたからラジオは聞かない、あるいはそういういろいろな理由で廃棄をするのだ、こういうのが今起きつつある現象でございます。その中には、もう受信機を処分してしまった、あるいは受信機が故障でしまい込んでしまって実用にならないのだ、こういう申し出が大部分でございます。
○受田委員 聴取者の厳重な調査ということもやはりやらなければならないと思うし、テレビが取りつけられないで古い旧式なラジオを大事に使っている貧困なる家庭と、テレビも備え、豊かな暮らしをしておる家庭とを同列に見ることはできないわけなのです。テレビを備えつけたにしても、ラジオは依然として別の角度から用いておるという場合には、両方から料金をとらなければならないのですから、そういうところはやはりきちっとしていただかないと、比較的安定した生活をする家庭と、しからざる家庭とが、ある意味における不公平な政策の犠牲になってくるということになりますから、そこも一つ十分お含みを願いたいと思う。今計算されている昭和四十年にラジオの聴取者が五百万以下に減るであろうという見通しについては、トランジスター・ラジオの普及徹底という問題を別に考えられて、大ていトランジスター・ラジオくらい持たない家庭はないわけですから、テレビが普及するそれくらいトランジスター・ラジオを持つと思う。千二百万世帯くらいテレビをつけるとすれば、千二百万くらいは別の意味で、ラジオの利用者というものがあると思うのですが、どうなんでしょうか。テレビを持っている家庭でトランジスターを持たない家庭はあまりないくらいじゃないかと思うのですがね。
○小野参考人 実態は御指摘の通りだと思います。現在でもラジオはいろいろな理由で契約は廃止になっておりますが、これを全然聞いていないということはないと思います。そこに非常な問題がございまして、将来の問題としましては、ラジオ、テレビ両方のそれを別の料金にしておることにそのような事態が生ずるわけでありますので、もうすでにテレビ料金とはいわず、放送料金として両方を合一したような料金を設定すべきだということが、問題を根本的に解決する一つの方途であろうと思います。そのような面はただいま非常に慎重に検討いたしつつあるわけでございます。
○受田委員 専務さんは、その実態が私が指摘した通りでありそうだということを一応想定しておられるわけです。しかし実態を把握するのが困難だというので、将来料金を統一したいという御意思をお持ちのようでございます。私はこの点NHKとしては、独立採算という立場からも、料金を値上げするよりも、そうした実態を明確に把握して、聴取者に不公平な待遇をさせないように努力をせられたい、それが一つ。 もう一つ、独立採算の本質的なもの、入るをはかって出るを制するという建前からいうならば、NHKが現に協力していただいておる社会政策的な事業、つまり聴取料を納め得ない貧困なる家庭に対するもの、あるいは身体障害者等に対する特例、あるいは特別の地域に対する特別措置、こういうようなものは大体政府の社会政策の仕事のはずなんですから、一般会計の方でこれは当然担当しなければならない、本質的にいったならばNHKがこれをやるべきものでないと思うのですが、いかがですか。
○西崎政府委員 NHKの受信料の性格という問題に連なる御質問だと思いますけれども、そういった点につきましては、先ほど御指摘のトランジスター・ラジオの普及の問題等もありまして、われわれの方でも今後いろいろ研究して参りたい、こういうふうに思っております。
○受田委員 社会政策的見地における出費というものは、本質的には政府自身がやるべき性質のものではないか、これをNHKにやらしておることは筋違いではないかという本質論を私は今申し上げておるのです。
○西崎政府委員 少し言葉が足りなくて失礼いたしました。NHKの受信料の性格の中には、対価的な考え方あるいは効用負担、あるいはまた税金的な性格といったようなものも入っておると思いますので、今御指摘の、社会政策的な面は一般会計で負担すべきではないかという御意見でございますが、現状におきましてはNHKの受信料において負担せざるを得ないようになっておるわけであります。受信料全般の問題として今後そういった点も考えて参りたい、こういうふうに存ずる次第であります。
○受田委員 これはNHK側から御答弁願いたいのですが、当然NHKがやるべきだ、それはもちろん放送法第一条第一号の規定の中に「放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。」を前提とした目的があるわけですけれども、その目的を果たすためには、NHKが独立採算の立場からいかなる犠牲も払わなければならないということが本質的なものか。あるいはそうした一般社会事業、社会政策的なものについては、これは国鉄にも、ほかのいろいろな組織にも、そういうのはあるわけですけれども、NHKはどういう考えを持ってやらなければならぬのかということについて、私はNHK側の御意見があると思うのです。
○小野参考人 現行法で参りますと、そのような道は開けておりません。政府といたしましては、国際放送あるいは放送関係の発展に資する調査研究を命ずる場合には、これが必要な経費を交付する、こうなっておりまして、ただいまの減免関係が、社会政策的な意味合いでありましょうとも、これを政府が経費を交付するというようなことはございません。ただ立法論から申しますと、いろいろ問題があろうかと思いますが、法案の主管庁であります郵政省を差しおいて、NHKの方でそのような意見、こうすべきだということは非常につらいのであります。ただその辺には、そういった運営の経費を政府からいただけば、その限度におきましていろいろ監査の対象にはなろうと思います。このことはもちろん番組自体ではなくて、運営の経費でありますが、その経費自体において、やはりそのような関係にありますことは、NHKの本然の姿として不偏不党、政府といえどもどこからも干渉を受けないで、厳正中立に運営しろ、こういう自主性の関係について、多少の危惧が抱かれるのではないかというようなこともありまして、現在の法体系といたしましては、そういった社会政策的な、本来国家がやるべき社会政策的なものを、NHKがやる場合におきましても、受信料の総体のワク内において操作をいたして運営をするということになっておるわけであります。立法論といたしましては、いろいろ先生の御指摘のような議論も出ようかと思いますが、この辺は法案の立案の当事者でございませんので、この辺のところでごかんべんを願いたいと思います。
○受田委員 小野専務もかつては政府の最高級のお役人でいらしたわけですから、その間の調節をおとりになるには、はなはだいいお立場の方だと思います。だから、これは、放送法の法理解釈というものが、一体そうした社会事業的なものまでも放送局にやらせるように考えていたのかどうか。私も法律を作るときにそこまで実は深く掘り下げて検討をしていなかったのです。しかし今の段階になってくると、たとえば病院などにテレビを備えつけて、不幸な患者にこれを見せる、こういうような仕事をNHKが一体やるべきか、あるいは厚生省がやるべきか、地方公共団体がやるべきかというような問題にこれからぶち当たることがしばしばあると思います。そうしたときに、ここに事業計画にお示しのような免除範囲をどんどん拡大していきたい、そしてまた特別の便宜措置を与えるように考えていきたい、こういうことになりますと、その限界が非常にむずかしくなってくると思います。非常に不幸な集団、不幸な地域、こういうものに対してNHKがサービスすることと、国がそういうところの文化の普及に関して協力することと、限界をどこに置くかという問題が起こると思います。両方が野放図にずっとやっていくことにおいて、国の責任というものがゆるがせにされて、放送に関する将来の施設関係あるいは聴取料、受信料の減免措置、こういうものをすべてNHKが負担しなければならないというようなところに、ずるずると発展していくことになると、NHKの経営がはたして可能なりやいなやという問題にぶつかると思いますが、それは将来の問題としても大事なことだと思いますので、官房長、政務次官がおいでにならないところお気の毒でありますけれども、郵政省、政府側の態度として、今私が申し上げた点をどうお考えになるか。 それからNHKもこういうことをどんどん範囲を拡大されていくと、最後には行き詰まりはしないかと考えるわけです。非常にいいことですから、これは両方が競争してやっていただけば、ますますいいことでございますけれども、将来の政策の競合点、限界点というものをはっきりしてお進めを願えたらと思いますので、お尋ねするわけです。
○西崎政府委員 今、受田先生からお話のように、この受信料の免除範囲の拡大その他社会政策的な負担というものをどこが負担すべきであるか。先ほど申し上げましたように、現在はNHKの受信料の中でこれをまかなっておるという状態でございますが、先ほど小野専務からもお話がありましたように、これにつきまして政府が負担するということになりますと、いわゆる公共放送としてのNHKの中立性といった問題にも影響がないとはいえないことも予想されますので、政府としましては、従来NHKの受信料負担でやって参ったわけであります。 この放送法あるいはまた電波法の問題につきましては、これが施行されましてから十年の歳月が流れておりまして、その間放送事業も非常な発展を遂げて参りました。NHK、民放通しまして、これを規律しておる、こういった現行法というものを今後もう一回再検討してみる必要がだんだんと起こって参っておる、こういうふうに感じておるわけでありまして、そういった機会に、今先生からお話の点も十分考慮に入れまして再検討させていただきたい、こういうふうに存ずる次第でございます。
○受田委員 テレビジョンの難視地域というところに対し、共同施設の一環としての助成を考えておるということも御計画で伺ったわけです。それから学校放送に対するテキストの無料配付、こういうようなことになると限界がばく然としてくると思うのです。事実、今病院などに対し、あるいはテレビジョンの難視地域においては、その地域の人が金を出し合って無理して設けているところがある。それから学校放送でも家庭の方からテキストを共同購入しているところもある。PTAなどが……。そういうところは、地元が金を出し合わなくても、NHKがやってくれるのだからということになってきますと、NHKのそうした対策待ちということで、あまりにも大きな負担をNHKが引き受けなければならぬような心配もある。だから資格審査ということも大事ではありますけれども、対策そのものの根本的な問題が一つあると思う。テキストの無料配付、非常にけっこうなことです。教科書を全国の子供に全部無償で出しても、百億ばかりで済むという計算も出ておるようでありますが、そういう政策でやるのであれば、国が本質的にはこれをやるべきで、NHK自身の手でなさるべき事業としては、これはやがて負担過重になって最敬礼をする時期がきやしないか、こう思うのですが、その限界、資格審査、こういうものに対してのNHKの考え方、無制限にこれをずっと将来広げるという第一段階として、今申し上げたような事業を計画されておるのか、その計画は、あるところまでいったら、やめるような計画になっているのか、その内容を御答弁願いたい。
○小野参考人 ただいま受信料の減免の問題、その他受信料それ自体には関係はありませんけれども、いろいろな事業計画を通じまして、文化政策、社会政策的な意味合いの仕事をやっておりますが、もちろんNHKといたしましては、受信料の収入のワク内においてこれをやっておりますので、現在並びに将来にわたる見通しの上に立ちまして、無理のない、財政状況を危殆に陥れない範囲において計画をいたしておるわけでございます。そのようなわけで、一面から申しますと、そういった政策はいいことだから積極的にどんどんやれというようなお話もございますが、この点につきましては、受信料収入でまかなってやっていきます関係上、一定のワクがあろうと思います。そのワクは現在まだ破っておらない、破らないような建前で施策をいたしておりますし、その問題も、今日現状においてだけでなく、将来のテレビ、ラジオの件数の推移に関連した財政規模からいって、この程度は将来とも累を及ぼさないというような見通しをつけて計画をいたしておるような次第でございます。
○受田委員 その計画に充当する予算はそれぞれの立場からどのくらいであるかを御説明願いたいのです。
○春日参考人 受田先生の先ほどのお話もございました具体的なテキストの無料配付の問題でございますが、これは無制限にやるのではなくて、NHKのラジオとテレビジョンの教育放送を利用しております学校のうち、いわゆるほかの教材がほとんど行き渡らないような僻地校という指定を受けました学校と、それから私どもの方が教育番組を組む上の非常に有力な参考となります定期的な調査を依頼しておりますいわゆる学校放送の研究委嘱校というものがございます。これを限度としてテキストの無料頒布をいたすわけでございまして、この予算の中では、そのために投じます金額は三千四百万円くらいの予定を立てているようなわけでございます。 それからもう一つ、テレビジョンの共同受信施設に対する助成でございますが、やはり予算を立てまして――ただこの方はその助成を促進いたしますと受信者の伸びが非常に早まるわけでございます。そういった意味から、受信者の早期獲得と安定という大きな効果がございますので、これも平均一カ所百万円くらいの予算でございまして、すでにあります施設に年間九十カ所くらい、それから、これからできます施設に対して三十五年度は百二十カ所くらい予算を組みましたが、三十六年度はそれにさらに六十カ所くらいを増して百八十カ所程度の場所というふうな一応のめどをつけておりますが、これはその各共同受信施設にぶら下がります受信者の数によりまして一定の比率を設けて――平均百万円でございますが、旧施設の改善の場合の助成施設で、百世帯つながっておる場合と、三百世帯つながっておる場合とはどうだというような、それぞれの基準を設けて助成をしていくわけでございます。
○受田委員 そうした共同受信施設に対して相当な――九十カ所と百八十カ所で二百七十カ所、百万円平均ということになる。そうしますと、その予算が大体三億円近いものが考えられるわけですが、共同施設に対する助成金の総額として、予算をどの程度に見ておられるのですか。
○春日参考人 この予算におきましては、約二億一千万見ているわけでございます。
○受田委員 相当積極的に大衆普及化というところへ熱意を持っておられることはよくわかります。ただそのねらいが、僻地の中小学校だけに限定をしておられる。へき地教育振興法というのがありまして、へき地教育振興法にはそうした文化施設その他の面についてもちゃんと国が特別の措置をしなければならないような規定があるわけですが、このラジオの施設だけは別だというようなことに実際問題としてなるわけです。そういうようなことはやはり文部省などと御相談されて、文部省がやっておる中でNHKに協力願いたいのはどこだということを向こうさんの意見をお聞きになって、その大事なポイントをはずさないで御決定になったかどうか、お尋ねしたいのです。
○春日参考人 NHKの学校放送、ラジオでもテレビジョンでもそうでありますが、そのもの自体のプログラムの作り方から利用の指導、そういうものの一切につきまして、文部省を初め、ラジオ、テレビジョンを使う視聴覚教育の研究団体、そういう民間の諸団体とも十分の折衝連絡をとりながら、この施策を進めていっているわけでございます。今御指摘のように、たとえば僻地指定校の場合には、文部省が年間計画でラジオなりテレビジョンなりを施設していく。私どもはそれは学校の施設でございますから、受信料はいただかない。いただかない上に、さらに積極的に利用していただき、それからいろいろなレポートを出していただく関係から、そこで使う教材、教具になるテキストは無料にする。関係団体と連絡をとりながらその施策を進めているわけでございまして、競争しているわけではないのであります。
○受田委員 そうしますと、文部省側の意向もテキストの無料配付にぜひ御協力願いたい、こういうことがあったか。あるいは学校放送の研究指定校だけに応援をされるようでございまするが、学校放送の研究指定校というものは一つの問題がある。それは、指定されたところは放送教育を非常に研究しているとしましても、むしろそういうところでないところで、これから大いに放送教育を真剣にやらなければいかぬところがあるわけですから、熱心なところよりも、これから育てなければならぬというところを対象にしなければならぬ面があると思うのですが、こういうこともちゃんと御相談の結果、教育的見地からも妥当であるという結論から断行をされたのかどうか、伺いたいのです。
○春日参考人 今、先生が最初に言われましたように、僻地校だけテキストをただにしろとか、指定校だけただにしてくれということを文部省から言われてやっているわけではないことは、お断わり申し上げなければならぬと思います。 それから指定校につきましては、先生も御承知のように必ずフィックスしているわけではございませんで、やはと私のところは研究指定校の指定を受けたらいろいろな研究レポートを出すから、指定をしてくれ、というような希望もございますし、毎年指定校そのものは変わっているわけです。考え方からいけば、NHKのラジオ、テレビジョシの教育放送を計画的に積極的に利用していただくために、われわれはいろいろな手を打たなければならぬと思いますが、これは先ほど小野専務から申しましたように、財政の許す範囲において、目的を限定いたしまして、三十六年度はそういう方向でやってみたいという計画でございまして、将来さらに別の面で、どの向きにテキストの無料配付を考えるべきか、あるいは現在やっているものをさらに検討して直す必要があるかどうかというふうなことは、それぞれの時点で考えさしていただきたい。ただ、今申し上げておりますのは、三十六年度予算ではそういう計画を織り込んでございますということで御了承願いたいと思います。
○受田委員 文化政策とか、あるいは社会政策というようなものは、やはり国全体の政策を考えながらNHKがこれに手をお出しになる。――手をお出しになるというと用語が悪いかもしれませんが、NHKの思いつきでなくして、NHKがなすべき社会政策、文化政策はどんなものがあるかということを、国全体の政策の立場から考えて文部省とか厚生省とかと相談をしていく。たとえば共同受信施設のような場合に、そうした非常な難視地域のみならず、難視ではなくても、その地域の貧困さがすばらしいところであって、テレビ受信施設のある家庭というものがまことにりょうりょうとしているというようなところがありますから、そういうところは難視地域以上に貧乏なんです。難視地域でも案外豊かな地域もあるわけです。そういう場合には、共同施設を設定するのにどちらに重点を置くかということが一つあると思うのです。この意味では、NHKは一つの国策会社でもある形を一面とっておりますので、そういう面において、国策としていずれをとるべきかという場合に、テレビを受信する能力のない貧困地域というようなところも御検討を願って御結論を出さるべきではないか、こういうふうに考えております。高等政策でございますから、賢明な皆さんで種々御検討の結果御決定になったと思います。経営委員会というのもあって、そこで最高のスタッフが知恵をしぼられておると思いますけれども、NHKの果たされるお仕事というものは、今申し上げたような高い立場で、ポイントを誤らないように手をお出しになることを私はお勧め申し上げておきたいのです。 次に、職員の問題がここに出ておるわけです。新職員採用のいろいろな規定とか、あるいは給与の改善、退職手当の問題などがここに出ておるのでございます。NHKの職員は、今まであそこの組合の皆さんもいろいろ要望されたことがありますが、ほかのところに比べてあまりよろしくなかったという声もあったわけです。昭和三十五年度の給与ベース比較表を拝見しますと、まだあまりかんばしい方ではなかった。しかし三十六年には、相当のところに上がっておるという結論が出ておるようです。そこで、NHKの新規卒業生の初任給は、国家公務員の場合と比較して相当高い基準に置かれているわけでございまするが、三万円ベースの新制大学卒業者の初任給はどれだけになっておりましょうか。技術者といろいろ違いましょうが、一般的なものです。
○春日参考人 お手元の資料にございますように、基準賃金二万六千二百円の場合の大学出の初任給は、本給で一万三千円でございます。
○受田委員 そうしますと、三十六年には本給で一万五千円近いものになっていくわけですね。
○春日参考人 本給で約一万五千円ちょっと上回るくらいになると思います。
○受田委員 これは国家公務員と比較して多少色がついておるということは、われわれとしても認めざるを得ないところがあるわけですけれども、ただ職員には退職年金制というものがないわけですね。退職金制度はここで考慮しよう、退職手当制度はここで新積み立てを計画されて実施するということになっておりますけれども、やめて後の退職年金というようなものの制度はNHKにはないわけですね。
○春日参考人 退職金を一時金で出しますほかに、定年退職いたしまして、五年間は若干の年金を出す制度を三十二年あたりから発足させまして――これは一定の金額に達しませんうちには、まるまるそれがわれわれの考え通りに施行できませんから、現在のところ、年金制度の過程的な措置は、一時的な退職金のほかに、若干いたしております。
○受田委員 若干ですね。そうしますと、退職手当と退職年金との制度については、NHKとして本質的なものを研究してみたいという御意思があるわけですか。
○春日参考人 退職手当制につきましては、これはすでに倍率もきめておりまして、その通り適用いたしておりますから、いわゆるベース・アップその他で賃金が上がれば、それに応じて倍率は同じでございましても、退職金は増していくわけでございます。それから退職年金制度につきましては、毎年々々今のところ積み立てていきまして、将来その基金がわれわれの予定通りに達しましたあとの人たちは、完全な形で退職後五カ年間適用を受けるわけですが、現在それに近づくための進行中におきましては、各職員がかけました掛金のどれくらいというふうな基準の経過措置を設けまして、現在定年退職していく人たちには、その経過措置を適用しながら年金を出しております。これは将来の目標を立てて目下それに近づきつつある段階である、かように御了承願いたいと思います。
○受田委員 退職手当及び退職年金制度というものは、退職手当を減らすようになれば、今度は退職年金の方をふやすとかいうふうにして、因果関係があるわけで、退職後の生活保障ですから、考えれば両方を一本で検討しなければならないと思うのです。これは最近民間におきましても、退職一時金だけでなくして、年金制度を完備している民間会社がたくさん出始めたわけです。国家公務員の場合は共済組合法、恩給法というようなものの適用で、それぞれ道が開けておるということになりますので、老後の保障、退職後の保障という点においては、NHKなどは一つ模範的なものを御研究願って、その職員に退職後における安定した生活を、希望を与えてやらなければいかぬ、その点について一つ御研究を願いたいと思います。 そこで、時間をとりません。皆さんお疲れのようですし、すぐ質問を終わることにしましょう。 私、この予算上の問題で最後にお尋ねしておきたいことがあるのです。放送債券という債務負担行為をやって当面の資金計画をまかなっておられるこの放送債券の四十億を設定された根拠、それからこの放送債券の利率及びその売り出し価格等におけるこれから先の一般公社債の発行条件との関連における今後の態度、こういうものを一つ御答弁願います。
○春日参考人 放送法ができました当時は、放送債券は放送法の条文の中で三十億円まで発行できるという条文がございました。でございますから一応の限度はあったわけでございます。三十四年度に改正をいたしましたときから、NHKの最近の決算を受けた純資産額の三倍まで出すことができるというふうに条文が改まったわけであります。でございますから、三十四年度の決算はまだ国会の御承認を得ておりませんが、三十四年度の決算で純資産額を考え、それの三倍を考えますと、二百五億くらいの債券が発行できるようになっております。これが一応の限度でございます。 それでお尋ねの四十億という線につきましては、私どもの三十三年を起点として立てましたラジオ、テレビジョンの全国網の置局の五カ年計画を進める上において、いわる自己資金でございます減価償却費その他と見合いまして、どの程度にその年度において外部資金を導入したら建設計画が予定通りやれるかということを計算いたしまして、外部資金五十三億くらいのうち放送債券四十億それから長期借入金をその残りというふうな資金計画を立てたわけでございます。 それから債券の発行条件は七年の償還でございまして、百円の債券を九十八円で発行いたしております。利率は年利七分五厘でございます。しかし今申しますように二円引いて売るわけでございますから、応募者利回りは七分九厘八毛くらいになるわけでございます。当然現在の金利引き下げというふうなものと見合いまして、三十六年度の中途において若干債券の発行条件も変わるのではなかろうかという推測をいたしておりますが、現時点におきましては、これまで出し続けました市場の一流債券と申しますか、それと同じ条件でこの予算書には予算を組んでおるわけであります。
○受田委員 長期借入金の借入先及び借り入れの利率とかいうようなもの、償還の方法とか、こういうことについてもお伺いを申し上げておきたい。
○春日参考人 長期借入金につきましては、特例といたしましては、まだ放送法が改正になりません三十三年で、ラジオの受信料を値上げをしていただきたかったのが諸般の事情でできませんときに、三十五億の借入金を簡易保険からいたしました。これは簡易保険の長期の金利通りに借りておるわけでございます。その他の長期借入金の場合はほとんど市中銀行でございます。その銀行は放送協会の設立当初からのつき合いといたしまして、勧業銀行、第一銀行を初めといたします一流市中銀行でございます。借ります利率は日歩一銭九厘ということでございますので、一番低い利率で借りておるわけであります。大がい話し合いでございますが、二カ年くらいで償還する形に資金計画としては考えておるわけでございます。
○受田委員 堅実な借金の道を講じておられるということについては――NHKは信用度においては一流会社の超々一流以上の信用があるわけですから、一銭九厘でも銀行としては定期預金よりはまだ高い利子なので、多少でももうかるわけです。経営方針、それからこれに伴う資金の調達方式、大体堅実であると一応認めましょう。多少でも予算外の収入の道が開けたら、今度は給与改定に持っていこうという考え方についても、一応肯定をさせてもらうことにします。 もう一応対外的な問題として国際放送、この国際放送は松井局長さん先ほど御説明になったんでございますが、この国際放送について政府から一億三千万の交付金をもらっておるわけです。実際はその数倍の金を使っておる。これは国際放送の公共性、公益性、対外信用度の問題等を考えて、国際放送に政府から一億三千万もらっておることの可否、この金額の可否と、制度そのものの可否というものについて、これは国際局長の御答弁でけっこうですが、いかがお考えですか、国際放送については少なくともNHKとしては国策に沿うてお手伝いしておるのだから、これに要する費用は大体政府から一応全額もらった方がいいというふうにお考えか、まあこの程度でけっこうだ、あるいは将来は支障なく独立採算でやれるのだというようなお考えか、御答弁を願います。
○松井参考人 お答えいたします。 この問題は従来から幾度も議論された点だろうと思います。御承知のように放送法では、国際放送というのは一応NHK自身が自分の責任においてもやらなければならぬ仕事として規定されておるわけであります。その限度においては、NHKが自主的にこれをやっていくということは当然義務となっております。また他方の条文で、政府がある方法とか時間とかをきめて命令することができる、命令した場合においてはこれが必要な経費を払う、こういう二本建に現在法律上もなっておるわけでございます。そこで二本建をどの限度において相互に分担するかという問題になりますと、これはなかなかいろいろな見方もあろうと思いますが、御承知のように国の予算というものも、急に予算の建前を変えない限りは大体従来のやり方を踏襲していくという過去のしきたりもございまして、そこでここの限度までは政府が持つべきである、ここはNHKが持つべきであるという限界というものは、しかくはっきりとしておらないのでございます。しかし、これは従来の二本のやり方というか、現実においてはある程度こういうやり方もやむを得ないのではないかと私ども思っております。NHKとしては国際放送の拡充のために、でき得るならばさらに政府から多額のお金をちょうだいすることはもとより拒む理由もないと存じます。
○受田委員 拒む理由がないという消極的な御意見が最後に出たようですが、大体その程度ですかね。 これはまた、きょう谷口君のお尋ねの問題のあったところなんで、これを拝見すると、ずいぶん膨大な番組が組んであるわけです。これも全部実態を調べるということはできない相談ですが、これをある特別の限られた番組で実情を聞かしてもらうということは、これは作業も大したことではないと思います。そのような形で何かございましたら、こちらから妙味のあるものを触れますから、御調査願いたいと思います。 ここで一つの問題は、外国へNHKが放送記者を派遣しておられる。その放送記者がながめた国際放送の効果、それから国際放送が国際人の間にどのように受けているかという効果、この二つの面から国際放送の効果を御説明願いたいと思います。
○松井参考人 効果とおっしゃる点については、質的な問題と量的な問題と両方あろうと思います。まずどなたも一等疑問を持たれるのは、一体国際放送というのは聞かれているのか、聞かれていないのかということだと思います。私も国際放送の仕事を引き受けるようになってから、まっ先に抱いた疑問はそれであったし、また今日といえども絶えずそういうことに対しては大きな関心を持っております。ただ御承知のように外国を相手にやっておる関係上、国内と違いまして、ああいう形の調査というような厳密な意味のことはしょせんできません。そこで世界各国どの国の国際放送も最も大きな基準として考えておるのは、海外の聴取者から来るたより、手紙です。これはやはり国際放送の聴取者を調べるという量的な面の考え方としては、最も有力なるデータになります。現在私どものところへは全世界から一年に二万通以上も、聴取者が自分の負担で、頼まれもしないのに高い航空郵便料金を払って手紙が参っております。それを私どもの方では一々チェックをし、またその人たちの希望その他に対する返事を出しておりますが、そういう実情をずっと見ておりますと、これは私たちが頭で考える以上にたくさん聞かれておるという点が一つと、それから聞く人たちの聞く態度と申しますか、それはとても内地でラジオを聞かれるようなことの比ではない。非常な無理をし、非常に真剣になって、文字通りラジオにかじりついて聞いておる。来る手紙なんか読んでおりますと、全く涙ぐましいような聞き方をしていらっしゃる。アマゾンの奥地において、もう再び日本へ帰れないような海外の在留邦人の方々が、ただ一つ東京とのつなぎはこれだというので、祖先を祭る仏壇とオールウェーヴだけを最も新しくみがき立てて毎日の生活をしておる。そして朝働きに行く前には、まずラジオ・ジャパンのニュースを聞いてから出かけるのです。こういう聞き方の意味から見まして、国際放送の効果というものは、普通私たちが頭で考える以上に、量的にも質的にも深い意味がある、私はかように確信しております。 それから先ほどおっしゃったどの程度ということの見方なのです。これは厳密な意味において申し上げることは非常にむずかしい問題でありますが、一例を今私が知っておる限度において申し上げますと、三年目に一度ずつ世界の短波の聴取者たちが、一体どこの国の国際放送が一等おもしろいか、君たちはそれを好んで聞くかという人気投票というものをロンドンでやっております。一昨年の人気投票では――世界で今国際放送をやっている国は約六十をこえております、そのうちでラジオ・ジャパンの人気投票はたしか八位であったと思いますが、そういう通報を受けました。こういう点から見ましても、また最近の私たちのところへ来ておる投書の数その他を見ましても、これは確かに最近においては全世界にわたって聞かれておるという確信を持っておる次第であります。
○受田委員 以上で私の質問の重要な点について御答弁をいただいたので終わらしてもらいますが、いま一つ最後に、これはすべて今まで申し上げたことに関連するのですけれども、NHKの取材関係で放送記者が活動をしておるわけです。その取材のために要する経費及びその取材のために超過勤務をしておるというものに対する超過勤務手当の支払い、こういうものは国内国外を通じての問題になると思うのですけれども、どういう対策がされておるでしょうか。
○春日参考人 放送記者のような勤務につきましては、外を飛んで歩くわけでございますので、定額の、つまり時間外勤務の手当というものを話し合いできめまして、それを月間六十時間という計算で、定額で支払っております。
○受田委員 そのために車を使ったり、その他何か不時に必要な経費が要るというような場合は別に計算するわけですね。
○春日参考人 それはその通りでございます。
○受田委員 以上をもって私の質問を終わりますが、NHKは放送法の第一条及び日本放送協会の目的を十分自覚してがんばっておられると思うのですけれども、今後やはり放送の公共性と自由性、中立性というものを十分生かして大いに活動されんことを希望しておきます。 少数の委員さんしかおられませんが、どうも御苦労さんでした。お疲れさまでした。
○山手委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明十五日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、これにて散会をいたします。 午後四時十分散会