地方行政委員会 第32号
- 発言数
- 91 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/05/19
会議録
○濱田委員長 これより会議を開きます。 地方議会議員互助年金法案起草の件につきまして議事を進めます。 本件につきましては、かねて各党の間で、また理事会において協議が続けられておりましたが、その案文がまとめられておりますので、この際その趣旨について説明を求めることといたします。前田義雄君。 —————————————
○前田(義)委員 お手元にお配りしてあります案文は、先般来自由民主党、日本社会党及び民主社会党の間においてそれぞれ検討を続けておりましたところ、このほど意見の一致を見るに至ったものであります。本案は三党の合意による成案でありますので、国会法第五十条の二の規正により本委員会提出の法律案とし、その成立を希望いたす次第であります。 その立案の趣旨及び内容の概要につきまして、便宜私から御説明いたします。 まず法律案の全文でございますが、これはお手元に配付してあります印刷物によることとし、朗読を省略させていただきます。 次にこの法律案を立案した理由を述べますと、その目的とするところは、地方公共団体の議会の任務の重要性にかんがみ、これを組織する議員及びその遺族の生活の安定に資するため、互助の精神にのっとり、議員の退職、公務傷病及び死亡について年金を給する制度を設けようとするものであります。すなわち年金給付を行なうため、地方公共団体の議会の議員が互助会を設け、その互助会がこの法律及び規約の定めるところに従い年金を給するというのが、この制度の基本的な考え方でありまして、年金の種類、年金の年額、互助会の設置、その他若干の付随的な事項を規定しようというのであります。 次に本案の内容について御説明いたします。 その第一は、互助会についてであります。地方議会議員は、都道府県、市(特別区を含む。)、町村の区分により、それぞれ全国組織で地方議会議員互助会を設けることができるものといたしております。しかしこれは強制ではなく、任意としておりまして、互助会を設立するには会員となるべき十人以上の者が発起人となり、規約を定め、自治大臣の認可を受けなければならないものとしております。また、この場合におきましては、都道府県議会議員互助会は千人以上、市議会議員互助会は五千人以上、町村議会議員互助会は二万人以上の会員数になることを設立の要件としております。互助会は、政令で定めるところによりまして登記することによって成立するわけでありますが、この互助会には、役員として会長、副会長、理事及び監事を置くほか、代議員を置き、規約の変更、事業計画書の作成及び規約で定める重要な変更その他互助会の業務に関する重要事項等を代議員会で議決することにいたしております。 次に第二は、互助会の行なう互助年金の給付についてであります。互助会が結する年金は、退職年金、公務傷病年金及び遺族年金でありますが、これら互助年金の給付は、それぞれ国会議賞互助年金の普通退職年金、公務傷病年金及び遺族年金に準ずるものといたしております。ただし、退職年金給付の最短在職年限は、国会議員の場合は十年でありますが、地方議会議員の場合は十二年といたしております。 第三は、掛金についてであります。互助会の会員である地方議会議員は、規約で定めるところにより掛金を納めるものとし、その額は、その者の標準報酬月額に百分の五を乗じて得た額以上の額とするものといたしております。 その他互助年金の基礎となるべき在職期間の計算、互助年金の停止、互助年金の改定、時効、非保税等について規定しております。 以上のほか経過措置として、昭和二十二年四月三十日からこの法律の施行の日の前日までの間における地方議会議員としての在職期間は、この制度に基づく給付の対象とするようにいたしております。また、将来新たに地方公務員の統一的な退職年金制度に関する法律が制定される際には、この制度もこれに統合することといたしております。 以上がこの法律案の立案の趣旨及びその内容の概要であります。何とぞ全会一致御賛同あらんことをお願い申し上げます。
○濱田委員長 以上をもちまして、趣旨説明は終わりました。 —————————————
○濱田委員長 本件につきまして発言があればこれを許します。——別に発言もないようでありますので、直ちに採決いたします。 地方議会議員互助年金法案を本委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案とするに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○濱田委員長 起立総員。よって、本案は全会一致をもって本委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案とするに決しました。 ————◇—————
○濱田委員長 次に、酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律案を議題といたします。 質疑を継続いたします。阪上安太郎君。
○阪上委員 酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律、この法律の目的を検討いたしまするに、私は在来の警察官職務執行法等の目的と非常に異なって、この法律がきわめて進歩的な法律であるということを認めまして、私は提案者の皆さん方にこういった法案を出されたことについて心から敬意を表するものであります。そこでこの法律の目的に、最後に「公共の福祉に寄与する」、こういうことをうたわれておるのでございますが、在来の警察官職務執行法等によりますると、こういった言葉よりはむしろ公安の維持というような考え方に立っておるわけであります。公安の維持ということは、申し上げるまでもなく公共の安全と秩序の維持、こういう意味でありまして、これは古い憲法が常に用いておりましたところの字句であります。そうして、これはどちらかというと治安の維持というものの考え方に立脚いたしておりますので、ここにうたわれているような「公共の福祉に寄与する」という一歩前進、前向きの形のものではなかったわけでありまするが、この法案が今回ここに「公共の福祉に寄与する」ということをうたっております。それだけに私はこの法律に大きな期待を実は寄せるわけでありまして、非常に前向きな法案である、こういうふうに考えるわけであります。ところがこの内容を検討して参りますると、どうも「公共の福祉に寄与する」という前向きの、前進的な姿というものがあまり強く出ていないという感じがいたすのであります。 そこで、この際警察庁長官に伺っておきたいと思いますのは、この第六条でありますけれども、「警察官は、酩酊者がその者の住居内で同居の親族等に暴行をしようとする等当該親族等の生命、身体又は財産に危害を加えようとしている場合において、諸般の状況から判断して必要があると認めるときは、警察官職務執行法第六条第一項の規定に基づき、当核住居内に立ち入ることができる。」こういうふうに法は打ち出しておるのでありますけれども、在来の、現行の警察官職務執行法において、これは酩酊者でなくて泥酔者という言葉を使っておりますが、泥酔者がこの六条に該当するような行為をしたことによって、住居内に立ち入って適当な措置を講じたという実例はどの程度にあるのか、一つこの点をお教え願いたいと思う。
○柏村政府委員 従来の警職法の第六条第一項に基づいて住居内に警察官が入っていって必要な措置をとるというような事例は、私は今まであったことを聞いておりません。
○阪上委員 そういう事例がなかったということは、そういう事案がなかったということでありましょうか。
○柏村政府委員 私が聞いておらぬのでありまして、あるいはどこかいなかの辺で、警察官が住居内に入って暴行等を制止するということがあったかもしれませんが、それほど大きい問題として私どもの耳に入った事例がないという趣旨で申し上げたわけでございます。これに該当するようなことで世間一般に時に起こるということは私はあろうかと思いますけれども、大体家庭内のことでありますので、警察官の出てくるのを好まないというような状況がむしろ一般ではないか。たまにはなぐられて若干のけがをしたというくらいで、まあ主人の方も悪かったと思い、お互いにそのあと固まるということになればそれでけっこうなことなのでありまして、これは念のために警職法でもいっておるのだから、この法律において立ち入りの規定を整備する、ここにそのまま規定をしておいて、念のために、そういう場合にはやはり警察官が入れるのだということを一般にも知っておいてもらうというような趣旨だと思いますので、これがあることによって、今までは遠慮しておったが、今度はどんどん行くということでなくて、やはりそのときの状況によって、ほんとうに家庭の者だけにまかせておけないような状況だというふうな場合においては、警察官がやはり行かなければならぬ、行くべきだというような意味で規定をされたのだと思いますので、今までなかったということも私断言できませんし、おそらくそれに相当するような事例はあったのでありましょうけれども、家庭内の自主的な立場で解決されていたのが大部分であるというふうに私は思うわけであります。今後もみだりに警察官が家庭内に入るということについてはやはり相当慎しんでいくべきではないかというふうに考えておるわけであります。
○阪上委員 冒頭申し上げましたように、この法律が在来の治安維持の建前ばかりではなく、もちろん基礎は治安維持でありますけれども、それを基礎にして一歩前進して公共の福祉に寄与しようというところの前向きの姿を持っておる法律である。こういう観点に立って見、私はこの六条について警察庁長官からも事例についてお伺いしたのでありますけれども、どうも、そうすると、この条項があったといたしましても、特に貧しい家庭等でアルコール中毒者がおりまして、しょっちゅう家の中であばれ回っている、そのために家庭の悲劇が絶えない。こういった問題を処理していこうという提案者の趣旨が、このままではどうにも十二分に生かしていくことができないんじゃないかというふうに私考えるわけでありますが、今長官の後段の説明によりますると、ただしかし、このことによって世間もそういうことに対しては警察官が入ってきていいんだという理解というものが持たれる、また警察官としても六条第一項に基づいて当然行なうべき職務を行なう勇気を持つことができるんだ、その程度にとどまるのじゃないかと、こういうわけでありますが、実際問題として親告罪でもなかろうと思うのでありますが、親告してこない場合に、これはどうにもならぬということじゃないかと思うのです。そういう場合に、逆に今度は、そういう正しい理念に基づいて警察官が諸般の状況から判断してそういうことにいけるというふうなことならいいけれども、逆にこれを悪用される場合をわれわれは考えなくちゃならぬと思うのであります。そういう場合に、しょっちゅう家をのぞき回っているというふうなことをやらなければこの問題を処理することができぬということになると、これはそこまで押して警察がやろうという非常識なことを私は考えませんので、そうなると、結局これはやはりだめじゃないかという感じがするわけなのであります。何かこの際ほかにもっと適当な方法がないだろうかということを日ごろ、この法案が提出された当時から私考えておったのでありますけれども、この場合一つ提案者にお伺いいたしますが、何かこう警察官職務執行法ないし軽犯罪法に基づいて、それを根拠とした取り締まり法規じゃなくして、先刻も申し上げましたように、目的がはっきりとうたわれておるこの公共の福祉増進のためのきわめて進歩的な法律であるという見地に立って、皆さん方でいろいろな関係から、ここまでこれは涙をのんでしぼられたのではないかと思うのだけれども、何かもう少しあなた方の提案者の意図というものをはっきりお出しになった方がよかったじゃないか。目的はりっぱであるけれども、法案をながめてみるとざる法になるおそれが十二分にあるというようなことでは、これはやはり非常に提案者としても残念ではなかろうか、こういうふうに思うのでありますが、何かその間の経緯がございましたならば、一つこの場合お聞かせ願いたい、かように思います。
○紅露参議院議員 大へん御理解のある御質問で、私ども立案者といたしましては、今御指摘のようなことを繰り返し繰り返しこれは協議したわけでございます。しかしやはりここに落ちついたのでございまして、たといこれがざる法でございましょうとも、今までこういうような警職法の六条に規定があるからといいましても、今警察庁長官が言われましたように、現在これが実行されておるかもしれないけれどもというような程度にしか認識されておらぬ。いわんや、国民一般の間におきましては、警職法というものがどんなことをきめておるのか、この酩酊者に対する規制なんというものがおそらく知られておらないのではなかろうかと思うのでございます。ですから、この悪癖のある飲酒家によって苦しめられている家族はもう救われる道はないのだというふうに考えておったと思うのでございます。そうした訴えをしばしば私ども婦人議員団としては受けたのでございまして、これから推しても、そのように一般には受け取られておった、こう思うわけでございます。それであえてこの骨抜きになったと思われる六条をここに提出いたしましたのは、やはりあらためて認識をしていただく、そうして飲酒家にこれを反省してもらう、こういうことのねらいで置いたのでございますが、さらに一歩進めて、今お尋ねのように、何かほかにもう少しざるでない行き方がありはしないか、こういうお言葉につきましては、私どももほんとうにそのように考えております。しかし、家庭内のことであるということだけでも、ここへ警察権が介入するということは好ましくないのだという大きな前提がございますし、また従って、ほかに法律的に持っていくところはこれ以外にはないように思うのでございます。警職法で本法のこの条文以外にはないように思うのでございます。しからば、私ども一番考えられることは何かと申しますと、生活の指導を常にすることになっておりまする民生委員という存在がありまするので、この人たちは区域を区切って受け持っておるのでございまするから、およそその受け持ち区域内にはどんな悪癖のある飲酒家があるというようなことは見当がつくと思うのでございまして、これは厚生省からの行政指導をいただいて、民生委員のお仕事は大へんに多いものですから、これを兼ねることはできないので、この上負担のかかるということは非常に気の毒に思いますけれども、その点はあらためて考えるといたしまして、そういう受け持ち区内においてここに該当しやすいような悪癖の飲酒家がある場合は、常にこれに注意を向けて、そうして家族の者ともときには相談をしてもらいまして、そうしてこれはしかるべく治療の道を求めるとか、そういうところに持っていくようにいたしたい、かように考えるわけでございます。
○阪上委員 ただいま御答弁いただきまして、提案者の御趣旨がその辺にあったということについて私は非常に満足いたすものであります。少なくとも警察官職務執行法六条に基づいて当然やれることも警察官としてもなかなかやりづらかったということ、これは問題でありますので、従って、そういった警職法に基づくところの規制、取り締まりをやるよりは、むしろ保護観察的な観点から常にこれを見守っていくという形のものにすれば、とかく職権乱用と、これは長官も言っておられるように背中合わせになっておるようなこういったことによって規制を加えることよりもはるかにりっぱな法であると思うのであります。ただ、わが国の立法例から申しましても、それをどういうふうに処理していくかということはなかなか大へんなことだと思います。従って、諸外国の例、たとえばアメリカのウィスコンシン州あたりの例を考えてみましても、この場合有権者ないし成年者三名以上の申告によって裁判所に訴えることによってその者に対して保証を加えておる、その加える場合には警察官がこれに立ち入っていく、こういうような形に作られておるのであります。わが国の良俗からいいましても、直ちに親族の者が訴えるということもなかなかむずかしいことであります。しかしながら、わが国の民主主義の程度がもっと発展しておりますれば、公正な第三者の手によってそういった者を常に観察しつつ、これはどうしてもこれ以上放置できないということになれば、このウィスコンシン州あたりの州の法律にあるようなやり方をわが国でもやれないことはないんじゃなかろうか、こういうふうに考えるわけです。その場合、直ちに警察官が中へ入って参りまするけれども、直ちにそれが豚箱へほうり込んでいくという形のものでなくして、この法律がほんとうにねらっておるのは八条以下だと私は思うのでありますけれども、そういったいわゆる恒久的な保護施設へすぐつながって持っていく、こういう形で、その問に警察官が立ち入りして、それがスムーズに円滑にできるような方向に持っていくというような制度にでもなれば、この法律の目的にうたってある通りの法律になるのではなかろうか、私はこういうように思うわけであります。しかしながら、先ほど御説明もありましたように、ただいまのところ本法の立法例からいいましても、なかなか調整が困難であろうということであります。あるいはまた一方において、その受け入れ態勢である保護施設が何ら予算措置もとられていないし、十二分にそれが満たされていないという状況もあるということであります。私はこの際、この法案には賛成でございますが、ただいま申し上げましたような点については、実際この法を生かしていくための措置としてはまだ十分ではなかろう、かように考えるわけでございますので、将来こういった問題についてさらにわれわれとしては十二分な配慮をして、とりあえずこの法律が出て参りましても、直ちに、また提案者として責任を感じられて、今申し上げましたような方向へ持っていくための努力を今後とも続けられることが必要ではなかろうか、こういうように思うわけであります。これだけのことを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
○濱田委員長 次に、松井誠君。
○松井(誠)委員 最初に提案者に簡単にお伺いをしたいと思います。この第三条におきまして、本人の救護をする条件として、公共の場所や乗りものという条件と、それから粗野または乱暴な言動をしておるという条件、そういうものが必要だということになっておりますけれども、こういう公共の場所や乗りものあるいはこういう言動がない場合にも救護の必要があるという場合もありうると思います。 元来救護を必要とする条件と、本人の行為を規制することが必要である条件とは、ほんとうならば全く違うものであるべきであったと思うのですけれども、この法律ではそれが二つとも同じである。公共の場所、乗りもの、それから粗野、乱暴な言動という二つとも同じ条件を必要としておるわけです。これは第三条の立法の過程で、たとえばこの本人の保護というのを、何か見せしめのためというか、懲罰の意味で連れていくのだ、そういう最初の立法の意図が、その後ほんとうに純粋に本人の救護というように変わってきたというような立法経過があるのかもしれませんが、本人の救護ということを純粋に考えるならば、公共の場所とか乗りものあるいはこのような言動というような条件は必要ではなかったのじゃないだろうかという疑問があるわけです。どういうわけでこういうことをつけられたのかという点について、提案者にちょっとお伺いしたいと思います。
○紅露参議院議員 この保護の場合でございますが、お尋ねの点は、本人を保証するという目的ならば、何も公共の場所、乗りものというふうに限定しなくてもいいのではないかということであると思いますが、私どもも初めそんなふうに思いました。やはりそうした公共の場所、あるいは、乗りものの中であれば他人に迷惑をかけるという点が多いのであろうから、迷惑をかけられる者を保護すべきではないかという考えを持ったこともありますが、この場合保護される人はあくまでも酩酊者でありますし、その他の人は正常な判断をなし得る人たちと一応考えられます。やはりそのまま置きますれば、他人に迷惑を及ぼすというようなことにもなりまして、犯罪を犯すというようなことをも予想されると存じますし、またその行動によりましては、みずから身体等にあぶないこともあろうと考えられる点もあります。そこでいろいろな面からやはり本人を、泥酔者である人を保護するということで差しつかえないのだと存じます。現行警職法の三条一項一号で、これは保護できることになっているわけでございます。
○松井(誠)委員 今の御説明ですと、参議院あたりでも心配されておるように、この三条の保護というのが四条、五条のいわば前ぶれになるのではないかという懸念が逆に出てくるわけであります。そういうことではなくて、一応考えられることは、公共の場所とか乗りもの、そういうところで酔っぱらっておるということは、本人の生命、身体に対する危険の度合いが大きい。あるいは粗野、乱暴な言動を本人がしておるときには、逆にそのためにまた本人が被害を受けるという度合いが大きい。そういうことが理由でこういう条件を入れたというならばあるいはわかるのです。しかし、そうではなくして公衆に迷惑をかけるからだということになりますと、それでは規制するために救護するのではないかということをいわれる。ですからこういう条件を入れたのは、特にそういう危険の度合いが大きいからという御説明ならばわかるのですが、ただしかし、それにしてもそういう度合いの大きいのは、たとえば公共の場所や乗りものでないところで、粗野乱暴な言動をしていない。たとえば非常に酔っぱらって乱暴な言動さえもできないほど酔っぱらっておる。しかも公共の場所ではない。それだけに保護する人がいない。そういう意味ではかえって救護をしてやらなければいかぬという場合もあろう。そういうものを除いて、特にこういうことの条件をつけたのは、小澤委員が言っておりましたけれども、本人の名誉というか、人格というか、そういうもののために、やはりこういう条件をつけたというように考えれば一番理想的ではないか。提案者の御意思を聞くということは、そのあとの警察の取り扱いにも関係すると思いますので、保証をするのですけれども、やはりそういうことに考えないと、特にこの条件を入れたということがよく理解できないのではないかと思いますが、その点いかがですか。
○紅露参議院議員 前段にお話しになられました、やはり他人に迷惑をかけるような酩酊の状態のときには、迷惑といいますか、身体、命、財産に危害を加えられる危険をもやはり想像しているわけでありまして、現にそこらに酔って寝ておった。そうすると看護をしてあげるようなことを言って、カバンを持ち去られたとか、あるいは紙入れを抜き取られたとか、そういうことはしばしばあることでありまして、これはそういう酩酊の状態のときには、やはり本人のためをまず思って守る、こういうことであろうと思います。 それから泥酔の場合でありますが、人がおらないところで泥酔しておるというような状態があれば、なおさら今申し上げました危険が迫っておるわけでございますので、やはり周囲の状況等から判断をいたしまして、これが救護を要するということに判断をいたしました場合には、あくまでも本人のためにと、こういうことでございます。私ども立案者としては本人を守るということがほんとうのねらいでございまして、懲罰を加えるというようなことは法の精神ではないわけでございます。しかし、これが野放しになるということではいけませんので、一応ここに罰則を盛りましたけれども、それはあくまでも酩酊者を保護するという精神で貫いていきたいと思っておるわけでございます。
○松井(誠)委員 こういう条件のときには、本人の生命、身体の危険の度合いが大きいという、その理由は一応それでわかりますけれども、先ほど申し上げましたように、さらに言いますと、こういう条件のない場合に、かえって本人を救護する必要の場合もあり得るわけですね。それを除いた理由は、この立法の経過は別としまして、この条文をすなおに読めば、やはりこれは本人の生命、身体、財産の保護が特に必要な場合というよりも、繰り返しますけれども、きのうの小澤委員の発言のように、本人の人格というか名誉というか、そういうものを特に保護する必要があるとでも解釈しなければ、合理的な解釈ができないのじゃないだろうかということをお尋ねするわけです。
○紅露参議院議員 この法案を立案いたしましたのは、この三条に関する限りはお言葉の通り警職法がございまして、あれで保護できないものをここに補充したというような形でございます。従って泥酔者と警職法では申しておりますが、酩酊の度合いの大きい者が今のような保護を要する状態にあるときには警職法の三条でこれが保護できるのでございますから、特にここに明記しなかったわけでございます。ここから泥酔者を除いたわけではございませんで、泥酔者に関する限りは警職法でいくという建前でございます。
○松井(誠)委員 この第五条につきまして、法律運用の面から一つ警察庁当局にお尋ねをしたいのすが、第五条二項の「警察官の制止を受けた者が、その制止に従わないで前条第一項の罪を犯し、公衆に著しい迷惑をかけた」ということなんですが、そうしますと、制止を受けた者が制止に従わないで前条第一項の罪を犯しただけの場合には、これは四条一項に該当するわけですね。
○木村(行)政府委員 これはやはり四条一項の軽犯罪に該当します。
○松井(誠)委員 そうしますと、制止に従わないで著しく粗野または乱暴な言動をした。それが公衆に等しい迷惑をかけた場合には一万円以下の罰金。そこまでには至らなくて公衆に迷惑をかけるような言動をしたときには拘留または科料、繰り返しますけれどもそういうことになるわけですね。
○木村(行)政府委員 さようでございます。
○松井(誠)委員 理屈としては一応それでわかるわけですが、元来迷惑という骨梁が非常にあいまいでありますので、従って公衆に迷惑をかけるような行為であるのか、公衆に迷惑をかけた行為であるのか、その限界は非常にむずかしいと思いますけれども、その点はいかがですか。
○木村(行)政府委員 その限界は確かに非常にむずかしいと思います。ただ第五条の迷惑をかけたというのは、著しく粗野または乱暴な言動によって、そういう事実行為によって、結果において迷惑をかけたという事実でありますから、事実認定の問題であります。それから「公衆に迷惑をかけるような」というのは、これはむしろ第四条でしぼりをかけたという感じでありまして、たとえば公衆でなく、だれもいなくてたった一人の場合、これは公衆に迷惑をかけるような場合でないということでありまして、むしろ著しく粗野または乱暴な言動の種類、ワクを一つそこではめたような形になっておるわけであります。
○松井(誠)委員 その「公衆に迷惑をかけるような」ということの今の説明として、公衆がおらなくて、たとえば一人の場合というように言われましたけれども、かように公衆はいないけれども、もし公衆がおったら迷惑がかかったであろうという、そういう場合だけに限定するならば、この二つの限界は割合はっきりすると思う。しかし、公衆がいて現実に迷惑をかけた場合と、迷惑をかけるような場合というのは、現実に区別できるでしょうか。
○木村(行)政府委員 その迷惑をかけたという結果の認定というものは、なかなかむずかしいと思います。従いまして、これは現場における警察官が、その周囲の状況から、いわゆる合理的、客観的に判断していかざるを得ないと思います。しかしそれは一万円以下の罰金刑になる相当重い罪でありますので、場合によっては、その臨検をする場合、目撃者あるいはそれを傍証する証人といいますか、そういうものもはっきり確保していないと、客観性というものはくずれるおそれがありますので、松井委員の御指摘のように現実においてはなかなかむずかしいと思います。
○松井(誠)委員 これは提案者にちょっとお尋ねしたいのですが、軽犯罪法と異なって、わざわざ「公衆に迷惑をかけるような」という表現の仕方をされたのは、やはり公衆に迷惑をかけたということでは不十分だという御意図が特におありだったのですか。
○紅露参議院議員 軽犯罪法の方は、御承知の通りこれは酩酊者に限っておらないわけでございます。その場合でございますが、比較的にこれは通常の場合で、判定はやすいでしょうが、一応酩酊者になっておりますので、その判定というものはやはり軽犯罪法よりはむずかしかろう、こういうことは想像されるのでございますが、ここに特に私どもが酩酊者というものを引っぱり出したところに特質があるわけでございます。
○松井(誠)委員 警察庁の当局にお尋ねしたいのですが、特に公衆に迷惑をかけない前に処罰する必要があるという、そういう特段の意図ではなくて、相手がめいてい者であるので、迷惑をかけたか、かけるのかという何か判定がむずかしいからだというような、今の提案者の御趣旨に伺ったのですが、最初の、そういう意図があったとしますると、その第五条が参議院で修正された結果、やはり迷惑をかけたか、迷惑をかけるようなという、そういう二つの区別がまた新しく出てきたわけです。 そこで、これは提案者にお伺いをしたいのですけれども、「公衆に迷惑をかけるような」という意味を、先ほどあなたが言われたように、そういう特定の公衆がいない場合に、公衆がおったならば迷惑をかけるであろうという、そういう場合なんだというように限定した解釈というわけには参りませんでしょうか。もしそれならばややはっきりすると思いますが……。
○紅露参議院議員 「公衆に迷惑をかけるような」というところから、ほんとうに微妙な気持でございますが、たとえば道路等で公衆がそこにおらなかったということを考えましても、あるいは公共の場所、乗りもの等でございますれば、これはいつ人が、公衆が現われるかわからない、こういうふうに考えるわけでございます。ですから、これをすべて拘留、科料というわけにはもちろんいかないと思いますが、これを続けていれば人が、公衆が現われる、そうするとこれは拘留、科料になるのだからという場合には、当然ここに警告というものも想定されるわけでございまして、それは軽犯罪法の方には御承知の通りそういった文句が入っておるわけでございます。ですから、いきなり、公衆はいないけれども、公衆がいたら迷惑をかけるであろうと思われるような行為をしているから、すぐにこれを拘留、科料に処する、こういうような考えでは立案者はございません。今申し上げたように、いつ人が現われるかもわからない、そういうときに迷惑をかけるであろうから、そういう場合はその前にまず警告を発する、これは軽犯罪法によってできる、かように考えております。
○木村(行)政府委員 大体、今提案者の御説明とほぼ同じかと思いますが、ただ、第三条の場合とちょっと比較して申し上げますと、第三条の場合は「公衆に迷惑をかけるような」というしぼりがないわけでありますね。従いまして、たとえばどこかの公園で、だれもいない、一人もいない場合にも、粗野または乱暴な言動をしておりますと、応急の救護を要する場合には救護をしなければならぬということになりますけれども、第四条の場合は「公衆に迷惑をかけるような」ということでありますので、やはり客観的に見て何らかの形で公衆に迷惑をかけるような数の「著しく粗野又は乱暴な言動」でなくてはいけないと思うのです。従いまして、あるいはその場合にたった一人しかいないという場合でも、その不特定多数の概念に入ってくる場合には、公衆というふうにいえる場合があるかもしれません。しかし、今提案者が御説明になりましたように、それはこの法の立法としては必ずしもそのものずばりとして考えている問題じゃなしに、やはり何人かおって、その場合に著しく粗野、乱暴な言動をして、二、三人に迷惑をかけるような種類の言動である。こういうふうな場合をおそらく想定されたのじゃないかと思います。
○松井(誠)委員 実は、私はこの二つを区別するということが実際に非常にむずかしいという点から、第四条の方も第五条の修正と同じように修正をしたらどうかという意見を持っておるのですけれども、その前に、もしこの二つがはっきり区別できれば必ずしもその必要もないかと思います。そこでお伺いするわけですけれども、今言われた客観的に公衆に迷惑をかけるような行為というものと、客観的に公衆に迷惑をかけるような行為であってしかも公衆に迷惑をかけない行為というものは、理論的にこれはあり得ないのじゃないかと思うが、どうですか。
○木村(行)政府委員 客観的に見ますと、大体著しく粗野または乱暴な言動をした場合は、ほとんど現実に公衆に迷惑をかけている場合がおおむね大部分だろうと思います。従いまして、やはり公衆に迷惑をかけるような知のものに入るので、ほぼ範疇は重なってくるのじゃないかと思います。
○松井(誠)委員 ほぼ範疇が重なるどころではなくて、今言われたように、もし公衆がいたならばあるいは公衆が出てきたならば迷惑をかけるであろうという、そういう点にしぼって限定して考えないと、客観的に公衆に迷惑をかけるような行為であってしかも公衆に迷惑をかけない行為というものは全然あり得ないので、従ってその意味ではほぼではなくて、全く範疇が一致するのじゃないですか。
○木村(行)政府委員 確かに、松井委員のおっしゃった点まことにごもっともかと思いますけれども、迷惑をかけたということと単に著しく粗野または乱暴な言動をしたということとは、その結果であるところの事実というものについて、その概念が若干違うと思うのです。ただ、その場合に「公衆に迷惑をかけるような」というしぼりがありますので、従いまして私はやはり九分九厘まではダブってくると思いますけれども、ダブってない点が全然ないとは言えないのじゃないかというふうに思います。片方は迷惑罪で片一方の方は言動罪で、その点は若干違うのじゃないかと思います。
○松井(誠)委員 四条の方は言動罪、五条の方は迷惑罪と言われましたが、迷惑をかけたというのは確かに一つの具体的な事実であるわけです。しかし迷惑をかけるような言動というものも一つの具体的な事実であるわけです。そして迷惑をかけるような言動というものを現実にもう少しこまかく分析すれば、迷惑をかけた言動以外に迷惑をかけるような言動というものはあり得ないのじゃないですか。
○木村(行)政府委員 迷惑をかけたかどうかということは、客観的な問題でありますけれども、やはりその公衆の側の主観的な条件も反映してくると思うのです。従いまして、かりに公衆に迷惑をかけるような言動をしている者が即全部迷惑をかけたということにはならぬので、やはり概念は違うのじゃないかと思います。たとえば非常にわいせつな歌を公衆の前で放歌高吟をしているという場合には、それはまあ非常に乱暴な言動ですが、それが非常に著しいという程度であって、それで迷惑がかかったかどうかということは、やはり相手方にもよることでございまして、非常に神経の太い、その方がむしろおもしろいんだというような者があるかもしれませんけれども、そうではない場合は迷惑がかかる場合もあるので、それはほんのレア・ケースですけれども、若干食い違いがあるのじゃないかと私は思います。むしろ提案者の方のお気持を……。
○松井(誠)委員 そうしますと、一応通常の場合ならば、客観的に考えて、つまりそのときの特定の公衆の質なり雰囲気なりそういうものを一応捨象して、そうして通常の場合には迷惑をかけるであろう行為で、しかも現実には迷惑をかけなかったという場合に、「迷惑をかけるような」という、そういうことになるということなんですか。
○木村(行)政府委員 そうでございます。
○松井(誠)委員 そうしますと、これは実は提案者にお伺いしたいのですが、理屈の上では一応わかりますけれども、迷惑という言葉自体が非常にあいまいな言葉であり、今あげたように、取り締まりの運用の面に当たる人の御説明でも、迷惑をかける行為というものと迷惑をかけた行為というものとの現実の相違というものが非常にむずかしいということを伺いますと、この五条の二項に「公衆に著しい迷惑をかけた」という新しい条件をお入れになったときに、やはり四条の方にも「公衆に迷惑をかけるような」というのを、やはり軽犯罪法と同じように「迷惑をかけた」というように統一をして修正をされたらどうかと私は思ったのですけれども、御意見はいかがですか。
○紅露参議院議員 御意見も私ども一応意味があると思うのでございます。軽犯罪法と同じようにしたらということでございますが、やはりここは軽犯罪法よりは一般と酩酊者でございますので扱いに微妙な点がございます。ですから、先ほども申し上げましたように、迷惑をかけるような行為が始まったらそのときに警告を発して、そして未然に防ぐ。そういう段階もここにございまするので、軽犯罪法の方は一般法であり、これは酩酊者の特別法でございまするので、少々このような表現に微妙な点があっても酔っぱらいを規制するのにはふさわしいのではないか、かように考える次第でございます。
○松井(誠)委員 この四条と五条の刑が違うのは、当初は制止をきかなかったという、そういう新しい条件が加わった場合に罰金にするという、制止をきかなかったというそういう条件だけを考えておられたわけですね。ところが、その後の修正でもう一つの新しい条件が加わってきたわけですけれども、著しい迷惑をかけたか、かけるような言動であったかという区別が非常にむずかしい。そのむずかしい区別によって、一方は罰金になり、一方は拘留、科料になるということになりますと、実際上はほとんど利益のない、何というか、混乱というか、取り締まりなり裁判の過程でそういうものが起きてくると思うのです。ですから、これはやはり五条と歩調を合わせて規定された方が、迷惑をかけるとか、かけたとかいう言葉が表わしておるほど実際上の相違というものはほとんど私はないと思うので、それならば言葉の上でも統一をされたらどうだろうかと思うのです。重ねてお聞きをいたします。
○紅露参議院議員 その点、私どももこの「迷惑をかけるような」という言葉を使いますについては相当に協議をいたしたのでございますが、やはりこれはこのように落ちついたわけでございまするし、それから五条二項に当たりましてのこの罰金のところでございますが、私どもはやはり罰金に処するというようなことは望んでおらないのでございます。ただしかし、こういうものを設けることによって酔っぱらいが無軌道にならぬように、あちらでもこちらでも申し上げておるように、これは反省の材料に、それから一般国民もこれは一万円の罰金に値するのだというように理解を深めていただくという目的でここに入れてあるのでございまして、どうしてもこれは罰しなければならないのだというような考えは持っておらないのでございます。どうかそれ以前に反省してほしいというのが法の精神でございまするので、この一万円というところにあまりこだわっていただきたくないというのが立案者の気持でございますので御了承いただきたいと思います。
○太田委員 関連して一つ二つお尋ねしたいのですが、まあわかったような気がするんです。大ざっぱにいえば、あまり酒を飲んでみんなに迷惑をかけちゃ困るからそういうことをやめてちょうだいということだと思うのです。しごく簡単なんですよ。そういうふうに理解をしていきたいと思うのです。 そこで、この条文を離れていきますが、最近ビヤホールあたりには女性のビール愛飲者がふえてきました。男性の方が引っぱられて飲まされるような形なんです。そこで未成年者の飲酒と関連をしますけれども、この風潮というものはどうすべきか。私は男女同権だから、女の方は酒を飲んじゃいけないと言うのじゃないのです。実は女の方が男よりもさてとなれば強いのです。だから、女性なるがゆえにビヤホールや飲み屋やなわのれんをくぐっちゃいけないということをここの中できめておるのじゃない。とかく未成年者の飲酒の風潮を生むということになるので、この点この法案を立案されるについては何か考えてやられたのか。そんなことなんかどうでもいいのだ、悪質な者だけを取り上げてあるのだということなんでしょうか。それとも未成年の人たちはなるべく飲まないように、飲まなければならないせっぱ詰まった人以外は、国民の多くの方は酒の場に近づかないようにという倫理があったのかどうか、これをお尋ねしておきたいと思います。
○紅露参議院議員 前段でございまするが、婦人の中にもなかなか飲酒熱が盛んでございまして、保護される人も相当あるということでございます。この面に関する限り男女平等だという話をこの間聞いたわけでございます。 それから後段の未成年者でございますが、これは未成年者飲酒禁止法が制定されてからもうだいぶになります。大正十一年制定と記憶しておりますが、それで実情もだいぶズレがございまして、法があってもなきがごとき現状でございますることは周知の事実でございまするので、この機会にこれも取り入れたい、取り入れていくべきだというような意見もあったのでございまするが、それじゃ法がすでに制定されておるのでございまするから、これはぜひ一つこの面を行政指導によってというばくとした意向を附帯決議にいたしたわけでございます。具体的にどのようにしたらということは附帯決議につけるのにはあまりにも冗漫になりますので省略いたしましたけれども、この点は立案者一同が非常に心配しておることでございまして、今後の問題としてこれは十分厳重に見守っていき、行政面でしっかりと啓蒙してもらいましょうと、かように申し合わせておる次第でございます。
○太田委員 木村局長どうですか。今の未成年者の飲酒の取り締まりですね。これは本案に入っていない。私は、議論されたら入っておってもよかったじゃないかと思うのですよ。それが入ってないのだから非常に残念に思うのですが、この附帯決議で、本法に盛ったくらいな効果を発揮するような何か見通しがありますか。
○木村(行)政府委員 確かに未成年者の飲酒が原因でいろいろな非行問題、犯罪問題が起こり、また本人自体が被害を受ける場合がたくさんあるのでありまして、非常に大きな問題だと思います。ただいま紅露さんからもお話がありましたように、未成年者飲酒禁止法は大正十一年、それから未成年者喫煙禁止法は明治三十三年、それぞれ五十年ないし四十年にわたって、ほとんど改正らしい改正もしておりませんので、現在の社会状態とマッチしない点がたくさんあります。そういう意味において、この両法律については改正すべき点があるように私たちも思いまして、検討はいたしております。その検討の結果はまだ出ておりませんけれども、あるいは一つの方法論として、この法案の中に入れるという方法も全然成り立たないわけではありませんけれども、しかし入れるにしましても、まだその点は私たちとしても結論ができ上がっておりませんので、その点は自信がありませんが、何らかの形において未成年者飲酒禁止法に違反するような行為について——実はおとなの側の無関心あるいは営業者の側の非常な無関心がありまして、社会全体としていかがわしい風潮がありますので、これを警告する意味において、何らかの形の手をお打ちいただくということは非常に大切なことではないかと思います。
○太田委員 そういうことならば早く意見をまとめて、短い法案だからこの中のどこかに入れておくと、もっとほんとうは大事な点が入れば効果があったのではないかと思うのですが、これは参議院においても附帯決議があるのだから、大いにこれを活用して、未成年者の飲酒とそれによる弊害から未成年者を救うと同時に、社会の進歩というものに貢献してほしいと思うのです。 そこで、そういうことになると、この法案というのは、昨日からの議論で、非常に焦点が限定されておるような気がしたのです。それで、たとえば夜なんかにありますけれども、男の人が女の人に盛んに酒を飲まして、ぐでんぐでんに酔っぱらわして、自動車に乗せていくというのは取り締まりの対象にならないのですか。藤原先生どうでしょう。
○藤原参議院議員 御指名でございますので……。非常にむずかしいと思いますが、これは幇助罪ということになりはしないかと思います。とにかく私たち婦人議員が、何とかして飲酒の悪癖をなくしたいという、そういう念願からここまでこぎつけたわけでございまして、多々足りない点はございましょうが、皆様の御意見を尊重いたしながら、将来よりよき方向へ改正していきたいつもりであります。このごろ、今先生御指摘のような被害がたくさんございますので、それらについてはさらに検討させていただきたいと思います。
○太田委員 私も、四条のことじゃないかと思うのですが、木村局長、そういうのはある程度四条か何かに該当するのですか。それとも「乗物」といったって、白ナンバーならこの「乗物」じゃない。しかし黄色のナンバーなら、タクシーなら「乗物」になるのだから、二の四条によって、「公共の場所又は乗物」というところに該当し、だから、第三項によってそういうものも取り締まるのだ、そういうことになるような気がするのですが、これはどうですか、木村局長。
○藤原参議院議員 ちょっとさっきの答弁の訂正をいたします。幇助罪にはむずかしいようでございます。そこで、しいてひっかけるとすれば、軽犯罪法の第一条二十八号の「他人の進路に立ちふさがって、若しくはその身辺に群がって立ち退こうとせず、又は不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとった者」これでも無理にひっかければひっかるのではないかと思いますが、さらに御指摘のような欠陥がございますので、十分検討させていただきたいと思います。
○太田委員 そういうところにひっかけるか、あるいは全然他の刑法上の犯罪か何かにひっかけていかなければならない。特にこの未成年の青少年諸君の今やっておることは、そういうことが多いでしょう。今まで飲んだこともないような若い女性に無理に酒を飲ませて、ぐでんぐでんにさせて、それを自動車に乗せてどっかに持っていく。こういうことはどこにも取り締まるものがないのじゃなくして、これは事がちょっと違う。これは犯罪にひとしいような気がするのです。これはどっかではっきり取り締まらなければならぬと思うのですが、まあこれは本案には関係ないでしょう。 それで、私は、酒を売る方の倫理ということをちょっとお尋ねしますが、酒を売る側については紅露さんいかがですか。この法案の中には、未成年者が飲むと言ったら売っちゃいけない、未成年者が酒に酔って、もっと続けて飲みたいから酒を下さいと言っても売っちゃいけない、売った場合にははっきりどっかにひっかかりますよという精神が入っているでしょうね。
○紅露参議院議員 未成年者飲酒禁止法には、ただいま御指摘のようなことがあるわけでございます。規定があります。それは親権者が未成年者に油を飲ました場合、それから今お話の、未成年者が飲むと知って酒を売ったその業者、これは両方とも責任を問われることになっておりますが、本法は、これは未成年者に関する限りは、未成年者飲酒禁止法があるからというところで、全部未成年者飲酒禁止法に譲ったわけでございます。この未成年者の問題はここに取り込んでおりません。
○太田委員 それは未成年者の取締法の飲酒禁止法の方でやっていいと思うのですけれども、未成年者と成年者の区別がつかない場合が間々あるのですよ。だから、売る方の倫理というものをはっきり出さないと、私は二十才だと言ったら、どこで二十才というものを区別するかという議論をやったってしょうがないし、おやじさんに買ってきてくれと言われて子供がお使いに行く場合もあるでしょう。だから、この場合は、相手がおとなの場合でも、かりに飲ましたら弊害があると思う場合は、売っちゃいけないということがどこからか出てこなければならぬ。これはどこから出てくるのですか、それともここには関係がないのですか。
○紅露参議院議員 多分フランスであったかと存じますが、外国の立法例には、酒を飲んでおる者に対してさらに酒を売った場合は、業者がその責任を追及されるということがございますが、まだわが国におきましては、この酔っぱらいを規制するということ自体が画期的なことでございまするので、そこまで参りまするということは——お話しのような点が立案の途上にも出ました。しかし、これは業者にも影響する問題でございまして、職業の自由なんかという点も出て参りましょうか、非常に影響するところが広いと存じましたので、これは後日、この法案はいつまでもこのままでいいのだということではなかろうと存じまするので、そうした機会に一つそういうことも取り入れていきたい、こういうわけで一応これをまとめたわけでございます。
○太田委員 まあこれは一つの大網が決定したのだから、そういう点はないとしても、別に私はとやかく言うわけじゃありませんが、未成年者飲酒禁止法の中に書いてあるから向こうに譲っておくということでなくて、ここにこれを入れていけば、成年者に対しても酒を売ったら、第四条か第三条か第五条にひっかかる罪を犯すことになることがあるということで、売ってはいけないということもこの中に入れておいてもよかったと思うのですが、その辺のところは、ばかに国税庁に対しまして何か遠慮しているようで、非常に気の毒のような気がするのです。お酒屋さんに言わせれば、売らんかなでございますから、別にはっきりととめられていなければ、お金がもうかるのならどんどん売りますよ。こういう悪習があるのだから、先ほどのビヤホールの例もあわせて、むやみに売るということをどっかでチェックする必要があるのじゃないかと思うのです。これは運用上の問題で、警察の方でお考えになる問題だと思いますが……。 それからもう一つは、これはどうなんでしょう。演劇あるいは広告物とかいうようなものによりまして、世間に酒の美しさというものを賛美するものがありますね。酔っぱらいを非常に賛美するものは、これは出すわけにいきませんか。それとも別に差しつかえないですか。
○紅露参議院議員 酒を節度を守って飲んでもらうという点から考えますると、今のようなむやみに賛美するということでなしに、賛美したらすぐそこに節度を守るようにというような何ものかを加えたら、これは大へんいいと存じまするけれども、今の場合は、賛美をするなというと、これは営業の自由にもかかわって参りましょうし、先ほどおっしゃった財源の点もございまするし、なかなか大きな問題になってきて、とても始末におえない状態になりやしないかと思いまするので、やはり一応これくらいなワクで押えていただいて、今後これをよりよいものにして参りたい、かように考えております。
○太田委員 それでいいですね。それしか仕方がありませんけれども、今さら映画、演劇、広告あるいは小説というような文芸的なものの表現にわれわれが立ち入って、とかくそういうものを公衆の面前でアッピールしてもらっては困るなんということは言えたものではない。それは言っちゃいけないので、それはそれでいいと思うのです。けれども、最初何かしら全体が倫理規定だとおっしゃったから、倫理規定が発するところ、酔っぱらいのばっこは困るだろうと思うのです。 それでもう一つ大ざっぱに承りたいことがあるのですが、酒に酔った酩酊者ということですね、昨日のお話の中に顔色で見分けをするというお話があったが、顔色というのは非科学的だと思うのです。そこで酩酊者というようなものの判断の仕方については、相当幅広くやっていただかないと、酒を楽しんでいらっしゃる方というものに不必要に警戒心や恐怖心を起こさせることになる。紅露さんは、この間テレビで老人を思いやるですか、何か深くお年寄りの方たちをいたわっていらっしゃる対談か何かやっていて、あなたが出ていらっしゃった。お年寄りは何をやるか。盆栽か晩酌の楽しみくらいしかない。酒を飲んで足がもつれたりすること、これはすぐに酩酊者であるなんということになって参りますると、全くもって楽しみを奪うことにもなりかねない。ですから、正常に酒を飲み、普通にしごく常識的に酔っぱらっておる人をこれの取り締まりの対象にするということは万々ないということを、きつくではなくてゆるやかなように言っておりますが、万々ないということだと私は思うのですが、それはそれでいいのですね。
○紅露参議院議員 それはその通りでございます。大へんいい気持に酔っていらっしゃるのはけっこうなことでございまして、そうしてそういういい気持になられたときには、お年寄りなんかは特にそうでございますが、あぶなくもありますし、なるべく家庭内に入っていていただきたい、かように考えております。
○太田委員 家庭内に入っていらっしゃるのもいいのですが、ちょっとした外の空気もよろしいからといって外で飲んじゃならぬという禁止規定じゃないと私は理解するのです。 そこでもう一つお聞きしたいことは、先ほどから松井さんの御質問に皆さんがお答えなさる場合に、公共の場所、乗りもの、この中に何か除外されておる対象がたくさんあるように感じられたのですが、公共の場所、乗りものというようなこの対象になる場所で、治外法権のところというのがたくさんあるのですか。今日本の国の中で、これに該当せず、そこならば裸で飲もうが大きな声で歌おうがいいというところがあるのですか。どことどこでございますか。
○紅露参議院議員 これは私ども非常に常識的に考えておるわけでございますが、家庭内ならもちろん問題はないと思いますし、その他飲食店、そういうものに集まって、あるいは一人で飲むといたしましても、部屋を仕切って不特定の人が出入りしないという状態であれば、そうしてそれが公衆の目にさらされるということでなければ、それがどんな状態でもかまわないということはいかがかと存じますけれども、公衆に迷惑を及ぼさないという状態のもとでは、私は自由でよろしいのではなかろうかと存じます。部屋を仕切っておる、公衆に見えない、そこまでも立ち入るということはちょっと行き過ぎではないかと思うのでありまして、それを限界に考えております。
○太田委員 木村局長さんどうですか。この「その他の公共の場所」というのはどういうものですか。「警察官は、酩酊者が、道路、公園 駅、興行場、飲食店その他の公共の場所」となっているが、この公共の場所というのは、たとえば旅館のように部屋が仕切ってあるということになると入らないのですね。旅館はこれには入らないことになるのですね。だから、そういうふうに具体的によく飲ませるところでこれからはずされているところがあるのですか。
○木村(行)政府委員 先ほど紅露さんからお話がありましたように、不特定または多数の者が自由に出入りしたり利用する場所が公共の場所であるわけでありますけれども、その例としては、たとえばここに注文には例示しておりませんけれども、ダンスホールとか、あるいは遊技場とか、公会堂とか、そういう例のようなところは不特定多数の者が自由に入れるわけでありますので、これは当然入ります。 ただいま問題になりました料理屋ですが、料理屋で、座敷が十畳なり二十畳でも広さには関係はありませんが、そこでふすまを立てて区画しているという場合に、そこで飲んでいる場合は、やはりその場所を予約して契約して飲んでいる人だけが大体出入りに自由なのであって、不特定多数が勝手に入るということはちょっと考えられませんので、料理屋で区画された部屋あるいは料理屋の廊下などは入らぬと思うのです。ただしかし、料理屋の玄関先あたりは入るかもしれません。そこらはやはり社会通念から考えて、公共の場所でない場所が若干あるというふうに考えます。
○太田委員 まあ、そんな程度でしょう。しかし木村さん、これはいかがでしょう。今の酒屋さんの店先とか普通のお店屋さんなどに酔っぱらってきて、買いものをするというような形で入ってきて、そこの中でがちゃがちゃ商品にさわってさわってしょうがないという場合、こういうものはこの場合に入らなければしょうがないと思いますね。
○木村(行)政府委員 物を売っている店先、そこではやはり不特定多数の者が自由に入って品物を見たり、あるいはいろいろ値踏みをしたり、折衝するわけで、自由に入れるところでありますので、そういう場所は公共の場所に入ると私は思います。
○太田委員 それでは安気いたしました。 それではもう一つ、立ち入りのところでお伺いをしますが、会社や学校などの宿直室というようなところ、事務所の宿直室のごときところ、寮と申しますか、宿直室と申しますか、そういうところはこの立ち入りという概念の中には入らないのですね。
○木村(行)政府委員 寮の形態にもよりますし、それからその内容によって一がいに言えませんので、ケース・バイ・ケースだろうと思いますが、およそ、その酩酊者が自分の住居として、生活の根拠としてそれをやっておる、住まっておるというような形態であれば入ると思います。一がいにはいかないと思います。
○太田委員 一がいにいかぬと言われますが、この六条を見ると、「酩酊者がその者の住居内で同居の親族等に」云々となっておりますが、学校の宿直室で先住が酔っぱらって飲んでいるときに——そんなことはまあまあないことでしょうけれども、あるいは事業場の事務所などでは、同僚がちょっと寄って飲むなんてことはちょいちょいあるのですが、うちの外にほっぽり出さぬ限りはこの公共の場所というようなことに該当しないから、そういうふうにお願いすることはできなくなってくるのですかね。この表現からいってそういう心配があるのです。学校の宿直室、会社の事業場の宿直室が入らないというのは無理じゃないかと思いますが、いかがですか。
○木村(行)政府委員 学校の宿直室などは、あるいはこの法案の第六条の「その者の住居内」という概念からははずれるかもしれませんけれども、警職法の第三条の第一項では、場所の制限をいたしておりませんので、もしそれがぐでんぐでんに酔っぱらって、泥酔者であり、本人または他人の生命に危害を及ぼすおそれがあるという要件がかなっておれば、警職法の規定で保護いたすということはできると思います。
○太田委員 そのものではできないから、警職法でやる、こうおっしゃるわけですね。だから警職法をここに持ってきたんだから、同じようなことを表現をしてもいいと思いますが、もう一つ心配になるのは、きのうも具体的な話が宇野先生からありましたが、駅などに行きますと、柱のそばや壁のそばでかがんでいらっしゃる方がたくさんあるのです、静かに。これはどうなんですか。今度はどうかということになるのですか、なりませんか。そこにかがんでいる分においては……。
○木村(行)政府委員 かがんでいるだけでは、「粗野又は乱暴な言動」という中に入りませんので、この要件からはからんできませんが、警職法の場合に、かがんでおっても、その状態が生命に非常に危険があるというような状態であり、あるいはそのかいわいにはチンピラや何かがおって、いろんな場合に物を盗んだり、あるいは危害を加えるというようなおそれのある場合には、警職法の保証でいける場合があると思いますけれども、これでは……。
○太田委員 そうすると、将来この法律を一般の方たちにPRするためには、第三条なら三条のそばに、警職法の三条一項とかいうものをあわせ併記して、両方にひっかかるところがあるからこれだけ読んではいけませんよ、こちらにもありますよ、この中のこれがこうなったというふうに併記をして、一般に知らせられることになるのですね。そうしないと、これが不完全なことになってしまいまして、これだけ読んでおる人が非常に困ると思う。その点を心配するわけです。 それから最後にもう一つ、アルコール中毒者というところでお尋ねをしますが、これはアルコール中毒者も、そのものでは別に治療の対象にならないけれども、元来アルコール中毒の強度の人というのは、乱暴なことをしたり、家人に危害を加えたから、それからどうするということでなしに、その中に立ち入って云々するのじゃなくて、常時わかっているんだけれども、あそこのうちは飲んでくると、おやじさんは調子が悪い、あるいはあそこの子供さんは非常にたちが悪い、だから何とか直さなければならぬということがわかっていたら、平常の状態の際に、一度その治療を受けさせ、そして二度と繰り返さないようにすべきだと思うのです。そういうことをすべきだと思うのですが、ただ単に手がふるえておる程度の人たちを、アルコール中毒だから一ぺん呼び出してもらおうじゃないかということにはならぬが、常習者というものは、何かやらなければ呼び出しの対象にならぬというのはいかがですか。これを見ますると、第六条の「立入り」というところでは、非常に何回かやった常習者が、最後にひどいことをやったときに立ち入りができるということになっておりますが、もう一つ前の段階において、予防してしまいさえすれば、それは要らぬのだから、その方に力を入れなければならぬのじゃないかと思いますが、それはこの中に考えておりますか。
○紅露参議院議員 その点は、私どもも大へんに議論をしたところでございます。何か早いうちに手を打とうということを考えたのでございますが、やはりそれは、こういうことにひっかかった場合に押えるのが一番的確に押えられる。こういう結論に達したわけでございまして、お話しのように、その酔っておりまするときに、これが中毒患者であるとか何んとかいうことで、医者を紹介するとか、治療を勧めるとかいうことではございませんで、そのときに見た様子を書きとめておきまして、酔いがさめましてから、家族等の話も聞きましたり、本人がそれを希望するかどうかも確かめましたり、そういう上で治療にとりかかるわけでございますから、やはりその中毒患者をつかまえるということの機会には、これは一つの機縁になる、一番的確につかまえられる。このように考えて、ここにこうしたわけでございます。
○太田委員 それはそれでいいのです。いいけれども、中毒者というのは世の中にたくさんいる。その中毒患者をどうするかという基本的な対策は一これは厚生省の段階かもしれませんが、もちろん今日は科学と技術の時代ですから、酒に酔っぱらって中毒になっている人を正常な状態に戻せないような、薬がないとは思えない。治療の方法がないとは思えないから、そういう積極的な対策を講じて、世の中のアルコール中毒者をアルコールの害から救ってやるということができるようにしたいものだと思います。これはたまたま第三条によるところの保護を受けたらこうしてあげましょうというのですが、保護を受ける前に中毒患者を直すという科学的、医学的な設備というのは——それは単なる丸薬でもいいんですよ。あなたが中毒になったら、中毒の方は警察の方におまかせ下さい、民生委員におまかせ下さい、サービス機関の窓口に丸薬がありますよ、その丸薬を三粒飲みますれば立ちどころに直りますというふうに積極的に手をお打ちになることがこの犯罪を少なくすることになろうと思いますが、これは次の段階だと思いますが、そういうことをこの際お考えいただきたいと思います。 以上でございます。
○濱田委員長 本島百合子君。
○本島委員 昨日からこの法案に対します皆様方の御質疑の中で、私ども一番心配になりますことは、今太田委員から申されたように、治療の点であると思います。そこでこの法案の七条で保健所長に通報しなければならない、通報を受けた保健所長は、八条におきまして「治療又は保健指導に適当な他の医療施設を紹介することができる。」こううたってあるわけです。この点につきまして、厚生省からおいでになっておると思いますが、現在の段階において、この法律が通過した場合、どういう措置をとっていただけるのか、その点をお伺いいたします。
○尾村政府委員 この第八条で保健所長に通報が出ます。そうしますと、ここにありますように「必要があると認めるときは、」というのは、先ほどお話がありましたように、たった一回そのときに重い酩酊状況や何かがあってというのではなくて、あくまでも慢性中心またはその疑いでございますから、この回だけでなしに、また同じような飲み方をすると同じようなことを起こすということで、そういうような平素の継続性とかいうもの、それからそれが胃腸とか肝臓、そういうような身体的または精神的な健康を有するとか、あるいは出するおそれがあるというようなことがございますと、これはやはり精神と身体の健康保持という衛生上の問題の対象となるわけでございますから、そういうものに適した指導機関があるいは治療施設を紹介する、こういうことになるわけでございます。ただその場合に、現在これだけの専用の治療施設がどこにあるかということになりますが、この専門は、精神障害を起こしておりますと、精神病院に相当の専門家がおりまして、現在全国にも常時数百名入院しておりますが、それは除くことになっております。従って、これは一般の内科の外来とか、そういうところで現在はある程度行なわれておる。こういうことでございますので、将来は先ほどお話しのように、酒をきらいになる薬とか、少しありますが、そういうようなもの、あるいは特別な治療方法、こういうようなものをむしろだんだん熱心に進めまして、それの適切の治療ができるところを逐次拡大していく。こういうことになるかと思いますが、現在直ちに日本全国で各所要の地に、この範疇に入る方が、あそこに行けば必ずなおるというような施設を、今すぐ明記するほど、そこまでいっておらないわけであります。今後努力すべき問題だと思っております。
○本島委員 これは私は社会労働委員会でも申し上げたわけでありますが、御承知の通り日本はお酒から税金を取っておりまして、本年度でも二千七百四十二億四千八百万円ばかり入るわけです。こういう税金を取っておるし、昨日の御質問の中にも、好況になればどんどん酒を飲んでいく人も出てくるのではないか、そして安いお酒は税金を安くしよう、こういうような話も出ているから、飲めや歌えという、こういう時世も出てくるのではないか、こういうお説も出たわけでございます。そうしますと、これだけの税収を見込んでおりながら、これの還元として、それを飲んだ結果として中毒患者になり、また精神分裂の一歩手前まできておる——分裂症になり精神病になればこれは治療してくれるのだけれども、その一歩手前のところでなおしたいというような気持を持っておる人たちが、どこでも治療を受けることができない。こういうような状態で、ただいまの御答弁によりましても、やはり一般の町医者なりあるいは病院なりの内科等で、こう一言われておるのですが、これではとても二十四万人と推定されるこうした保護の対象になるのではなかろうかといわれているこの人々をどうすることもできない、こういう結論が生まれるわけです。 それからいま一つは、この大酒飲みの子孫というものは、大体劣性遺伝をするとさえいわれておるわけだし、またそういうことにおける夫婦間の問題を見ましても円満にいかない。こういう実例がたくさんあるわけです。ですから、こういう機会に一つ何らかの方法で治療センターを作るというようなことを、この法案を契機といたしましてなさる御意思があるかどうか、こういう点を承りたいと思います。
○黒木説明員 慢性のアルコール中毒患者のうちの精神障害者は、先ほど局長が申し上げましたように、精神衛生法で強制入院が可能だし、また入院質の公費負担も可能でございます。この場合に、一般の精神病院から独立した特殊な精神病院を作ることも私は考え得ると思うのでございますが、ただ本法案の対象になっております中毒患者につきましては、本法案によりますと入院の強制措置ができない。先ほど御説明のありましたように、保健所長が医師の診察を勧めたりあるいは適当な医療機関を紹介するという程度でございます。そうなりますと、結局入院は本人の自発的の意思に待つ以外にない。入院費の負担というものも社会保険等の対象にはなっていない現在、治療というものが一般的にまだ確立をしていない。一部の精神病の専門医は精神療法をやったり、あるいは先ほど局長が申されましたような酒がいやになる薬を試みておるという程度でございます。従って費用の点あるいは本人の自発的な意思というような問題から、独立の専門病院を作りましても、はたして患者さんが入ってくれるかどうか、あるいはその費用が負担できないとなると、特に民間では経営がむずかしいというようなことになるのでございます。 そこでそれでは独立の病院というものが考えられないかということでございますが、いろいろ条件によっては方法があるのではなかろうか、一つは、先ほど申しましたが、この中毒患者のうちの精神障害者を、特殊の精神病院で、専門の精神病院で保護をする、治療に当たるというようなことも、外国ではございますから、これは考えられることでございますが、その場合に、その付属施設なり、あるいは病棟を一病棟付置いたしまして、そこで本人の自発的な意思で、特殊な精神病院経営の一つとして見ていくというようなことも、患者が確実に入ってくれるというようなことなら考え得るのではなかろうか。もう一つは、何らか入院に強制的というと少し行き過ぎるかもしれませんが、何らか自発的な意思にプラス何かがあって、患者が入りやすい、あるいはある程度何らかの強制的な面が加わるというような法案というものが将来できるならば、これは私はまた可能性も出てくるのではなかろうか。ただし、これは厚生省系統がやったらいいのか、あるいは警察的なところでやったらいいのか、これは所属は問題になると思いますが、そこで現在の段階では、先ほど局長も申されましたように、適当な医者、これは主として精神療法ができる医者であろうと思いますが、そういう病院で治療に当たる、相談に当たるというようなことがまず考えられますから、民間病院はもちろんでありますが、国立病院なり、国立精神療養所にそういうような専門医がおりますから、そこでお引き受けをして、治療なりあるいは指導に当たる。大体患者がたくさん相談にくるあるいは入院をしたいというようなことになりましたら、その精神病床なりあるいは病院の一病棟というものをそれに充てるようなことにしていく。もちろん先ほど申しましたような一般的な治療法というものがだんだん確立して参りまして、社会保険なりあるいは医療扶助の対象になるように措置をしなくちゃなりませんけれども、だんだんそういうことで患者がふえるようになって措置ができるようになりましたら、そのときにはまた独立の専門機関というものが考えられるというようなことで、今のところはそういうことで段階的にいく以外にないのではなかろうかというように考えます。
○本島委員 ただいまの御答弁によりましても、治療ということが困難な状態にあるかもしれませんが、しかしそういうセンターがないということで、精神病院で見ていただくということになると、せっかく意思があってもそこに行かないのです。ということは、その子供さんたちが結婚適齢期になれば、あれは精神病の子だということになって、とても行くことができない。こういうことになりますので、やはり独立したどこか全国的——全県に置けるということは無理なことでしょうが、どこかに特殊なセンターを置くというようなことを、来年度あたりでも考えたらというようなことを一つ要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○濱田委員長 本案に関する質疑はこれにて終局いたします。 —————————————
○濱田委員長 これより本案を討論に付する順序でありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。 これより採決いたします。 酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○濱田委員長 起立総員。よって、本案は全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決しました。 —————————————
○濱田委員長 本案に関し、自由民主党、日本社会党及び民主社会党三派共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 まず本動議の趣旨説明を求めます。小澤太郎君。
○小澤(太)委員 本法の施行にあたりまして、国民の権利の不当な侵害にわたらないように十分に注意をすべきは当然のことでありますが、日本の現下の社会風習等の現状にかんがみまして、本法の持つ意議を十分に考慮して、その実効が上がるよう格段の努力を払うべきであります。 この意味におきまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党の共同提案により、次のような附帯決議を付したいと存じます。 ただいまから附帯決議の案文を朗読いたします。 酒に酔つて公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律案に対する附帯決議 政府は本法の施行に当って、法の濫用、人権の侵害にわたらないよう慎重を期するとともに、その実効をあげるよう努め、とくに左の点に留意すべきである。 一、酩酊者の保護、収容、治療等の施設を拡充、完備するため、できうる限りすみやかに予算措置を講ずること。 一、未成年者の禁酒については、とくに青少年補導の一環としてその啓蒙に努めるとともに、その取締まりの厳正を期すること。 右決議する。 何とぞ御賛同いただきますようにお願いいたします。
○濱田委員長 以上をもちまして趣旨説明は終わりました。 本動議に関し発言があればこれを許します。——別に発言もないようでありますので、これより採決いたします。 三派共同提案にかかる木附帯決議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○濱田委員長 起立総員。よって本案は附帯決議を付することに決しました。 —————————————
○濱田委員長 次にお諮りいたします。すなわちただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○濱田委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。 次回は来たる二十三日開会することとして、本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十二分散会