地方行政委員会 第29号
- 発言数
- 47 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1961/05/12
会議録
○濱田委員長 これより会議を開きます。 地方交付税法及び地方財政法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案に関する質疑はすでに前会で終了いたしております。 これより本案を討論に付する順序でありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。 これより採決いたします。地方交付税法及び地方財政法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○濱田委員長 起立多数。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。 次にお諮りいたします。すなわち、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○濱田委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。 これにて暫時休憩いたします。 午前十時四十五分休憩 ————◇————— 午後一時五十五分開議
○中島(茂)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。質疑は、通告に従いまして順次これを許します。宇野宗佑君。
○宇野委員 長官にお尋ねいたします。 この法案については一応あとから質問申しますけれども、少しく関連があるように考えられますのでお尋ねいたしておきたいのですが、二、三日前の新聞を拝見いたしますと、江田書記長を殺そうと思ったという七十一才の老人のことが出ていまするし、また神奈川県の少年が首相を刺すと口ばしって送検された。こうした記事があったのでございますが、一応これについて簡単でけっこうでございますから経過を承りたいと思います。
○柏村政府委員 ただいまお尋ねの江田書記長並びに池田首相についての殺人予備の問題でございまするが、池田首相につきましては、これは十九才の少年でございまして、五月六日の六時四十分ごろに首相の私邸付近を徘回しておりました挙動不審の者を取り調べた結果、本人が刃渡り六・六センチメーターのくだものナイフと遺書を持っておりまして、その自供によりますと、池田総理を殺して革命を早く成就させるようにしたいという動機から殺害を考えたということでございます。本人は左翼的な文献を読んでおり、自分もそういう左翼的な思想の持主であるということを自負しておるような状況でございますが、特に背後関係は現在までのところないように考えております。 もう一人の江田書記長に対する殺人予備事件でございますが、これは七十一才でございますかの老人でございまして、五月十日の午後八時十五分ごろ、警視庁の正面玄関におきまして職務質問によって本人の自供があったわけでございますが、これは自分の子供がどうも親にたてつく。よくない。そういうふうになるのは社会党とか共産党が日教組に対して誤った運動方針を指導していることにあるのだ。そういうことで江田書記長に面会して、日教組の運動方針を改めるようにし、もしそれが聞かれない場合には江田書記長を殺して自分も自殺するつもりであったということを言っておるのでございますが、どうも本人の経歴それからその後の取り調べ等によりまして、はたしてどの程度そういう確信を持っておったのか非常にあいまいな点がございます。またもちろん背後関係等は考えられない状況であります。目下留置して取り調べをしておるところでございます。
○宇野委員 それでは少年については精神鑑定をしなければならぬ。老人については多少売名の気配があると報ぜられておるのでございますが、もちろん今調査中ではございましょうけれども、しかし双方を通じてほんとうの意味の殺人予備であったのか、いわゆる殺意があったかどうかということはまだわかりませんですか。
○柏村政府委員 少年につきましては、今までの取り調べではやはり殺意があったと見るべきではないかと思います。老人の方につきましては、どうもあいまいな点がございますので、ただいまお話しのように売名的であるか、あるいは何か特殊な事情によってやったのではないかというふうにも考えられるわけであります。目下そういう点についても調査しておるわけでございます。
○宇野委員 池田総理のことに関しましてわれわれちょっと仄聞したのですが、そのほかにも電話がかかったりあるいは脅迫状が舞い込んで、今から二週間ほど前ですか、あるいは時日の点ははっきりしませんが、警視庁が相当巡査を動員したことがあった。七時にピストルを持ってお命をちょうだいするということがあったということを、報道陣から私たちは聞いておりますが、いかがなものでございましょうか。
○柏村政府委員 いろいろ情報はあるようでございまするけれども、総理自体についてそういうふうな情報があったということは私も聞いていない状況で、あまり信憑性がないのではないかと思います。ほんとうにそういう危険性があるような場合については、おそらく私まで報告してくるものと思いまするし、そういうふうに指導しておるわけでありまして、私、今お話しのような点は耳にいたしておりません。
○宇野委員 今の信憑性の問題ですが、長官が御存じなければそれでけっこうでございます。あえてそれ以上言おうと思いませんが、しかし相当な新聞記者から私は聞いて、事実その場の状況まで聞いたわけです。 それで、そうしたテロであるとか一般暴力犯罪の取り締まりのために、今回直接その行動に使用される凶器の取締法が改正案として出されて、私自身その意図に対しましては了といたしております。先般も本会議でいろいろと御質問申し上げたのですが、その際に私は、こうした警官の権限に関する法律は、一般法であるべき警察官職務執行法において取り扱うのが本来の趣旨ではないかということを御質問申し上げておったのですが、そのとき御出席の安井国家公安委員長は、これに対しまして多少答弁が不十分でございましたので、この際あらためてもう一度お伺いしておきたいと思います。
○安井国務大臣 この種の法律案は、警職法でむしろ直すべきものではないかという御意見、一応私どもごもっともなことだと考えます。ただ私ども、当面します最近の暴力犯罪、凶悪犯罪というものが、主として刃物を中心に起こっておる数が非常に多いわけであります。ことにまた青少年の間では、刃物を持って歩くという風潮も非常に強いものでございますから、一番効果的な点をねらいまして、一応しぼって、この大多数の犯罪の原因になるものをまず防止したいという趣旨で、この法案を出しておるわけでございます。
○宇野委員 そのような意味合いにおけるこのいわゆる刃物取締法案、その中で幾つか改正点がございまするけれども、もちろん私たちは、一部において流布されますがごとくに、この法案が警職法の復活あるいは隠れみのではないということを了承しております。しかし、昨年やられました刃物持ち歩き禁止運動ですか、やはり、大衆の中に浸透して、大衆にこの法律の意図を十二分に知ってもらう必要があると思うのですが、そうした意味合いにおきまして、ここに出されておりまする改正案に沿って、私は多少こまかい点に触れてみたいと思います。 まず第一番目は、新しく刀剣類の定義が第二条第二項においてなされておりまするけれども、ここで言われておりまする刃渡という言葉と二十二条の刃体という言葉の差について、一つ定義を下していただきたいと思います。
○柏村政府委員 この刃渡と申しますのは、刃のついている部分の先端からみねの末端、このナイフについて申しますと、この先端からみねまちのところを直線につないだ線が刃渡りの長さになるわけでございます。それから刃体と申しますのは、このあご下の部分を含めまして、刃先の先端までの直線の長さというものが刃体の長さということでございます。
○宇野委員 今承った通りが大体刀剣に関する一般的な常識であるということは私も了知いたしておりまするが、この法律が改正せられまする前には、第二十二条の「(あいくち類似の刃物の携帯の禁止)」というところで、そのあいくち類似ということにおいて、刃体の長さであるとかあるいは刃渡の長さであるとかということが非常に問題になったらしゅうございますけれども、そうして今長官がお答えになりましたその定義が、実際第一線でそうした刃物を取り調べる個々の巡査の常識として入っておったかどうかというのが私は問題だろうと思うのですが、かってこういう問題について幾つか公判がなされたと思いまするが、その公判結果なんかどうだったでございましょうか。
○柏村政府委員 現行法におきましては、携帯禁止のものとしてあいくち類似の刃物ということになっておったわけであります。それで、あいくち類似ということになりますると、その長さとか形状とかいろいろ勘案いたしまして、あいくち類似というものについての判例が出ておるわけでございますが、たとえば刺身ぼうちょうというようなもので人に傷害を与えたというような場合におきまして、これを新聞紙でさやようのものを作って入れておった。これは警察としてはあいくち類似ということで、携帯禁止に該当するものということで検挙をいたしましたけれども、判例においては、その形状においてはこれは刺身ぼうちょうであって、あいくち類似のものとは認めがたいというような判例もあったわけでございます。従いまして、判例において非常に取り扱いがまちまちになるおそれがありますので、今回はそういう点の概念をはっきりさせるということで、刃体の長さ六センチ以上ということにいたし、特殊な形状その他で危険性の少ないもの、あるいは日常一般的に使われるようなものというようなものにつきまして、政令でこれを指定して規制の対象から除くということにいたし、その他につきましては、はっきりと物理的に判断できるようにしたいというつもりで改正をいたし、今御審議をいただいておるようなわけであります。
○宇野委員 今政令の話が出ましたが、第二十二条におきまして——一応今の刃渡の五・五センチというのは所持の禁止ですが、一般に携帯の禁止の条項の第二十二条で、「総理府令で定めるところにより計った刃体の長さが八センチメートル以下」とこう書いておりまするし、また後段におきましては、「政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。」そこに政令あるいは総理府令、幾つか出てくるわけでございますが、これを一つ出していただかぬことには、われわれもちょっと審議がむずかしいと思うのですが、これは委員会に出していただけますでしょうか。
○柏村政府委員 従来こういう立法について、あらかじめ政令、総理府令というものをお出しした例はあまりないように記憶いたしておるわけでございます。この「総理府令で定めるところにより」というのは、先ほども私申し上げましたように、一般刀剣についての歴史的なはかり方というようなものに基づいてそれを明記しょう、わからない人もあるから明記しょうということで、全く機械的なものでございまするし、このただし書き以下の「政令で定める種類又は形状」というものにつきましては、とりあえず現在考えておりますのは、むしろこの法律に例示的に載せてしまっておるわけでございまして、「刃体の長さが八センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ」というようなものについて、もし特殊なはさみとか、特殊な折りたたみ式ナイフというものがあれば、そういうものはこの政令の種類、形状からはずれる場合もございますが、通常のはさみ、折りたたみ式ナイフというようなものは、八センチ未満であればこれはもう当然政令で規制が除かれる。そのほかにもまだあり得るのじゃないかということで、そういうものは政令の出るときまでにはっきりしたものはそれを載せる。その後またそういう心配ないようなもので出てくればそういうものを載せていくということで、これが政令の全体でございますといってお示しするようなものは、ちょっと事前にお示しするというわけにもいかないのじゃないかと思います。今申し上げたようなことで、決しておそろしいような含みを持っておるわけではございませんで、例示的に、今考えられるものは今ここにとりあえず載せる。その後、世の中の動きによって新しいまた危険性の少ないようなものが出てくれば政令で規制からはずしていこう、こういうことでございます。
○宇野委員 長官の御説明はわからないわけではないのですけれども、やはりこうした刃物を持ってはいけない、また携帯してはいかぬということは、その長さが六センチだとか八センチ以上だとか五センチ五ミリだというものは、お互いに知る者ぞのみ知るということであって、大体一般の方は、今度持ってはいけない、あるいは親が家庭で教育する場合、あるいは小学校で先生が生徒に教育する場合、そういう場合でも、やはり国民の中に浸透して初めてそういう実践が実際行なわれると私は思うのです。だから、この法律を執行する場面にタッチしていらっしゃる方だけが知っているのじゃなくして、やはり広く国民大衆にこれをPRする必要がある。そういうことから考えますると、やはりこれは政令の刃物以外の刃物でいろいろあるだろう、あるだろうけれども、とりあえずこれとこれだというふうなことぐらいは、やはりはっきりしたものをわれわれの手元に出していただきたいし、そしてそうしたことを警察としても大衆の中に浸透していただかなくちゃ、お前持っているのはとにかくこれは法律違反なんだぞ、私は法律を知りません、知らぬと言うけれどもそういう法律があるんだと言われれば、それはしまいですから、そういう意味で私は、こういった総理府令で定めるところによってはかったと言うが、どういうはかり方をするかわかりませんし、刃体だとか刃渡だとかお互いに言っておりましても、それはくろうと間の話であって、しろうと間はどうか。教育的の面におきましても、社会的にこういう問題をPRする際にもこういうものが必要だろう、私はこう思いますので、でき得ましたならば、まとまっておらなくてもよろしゅうございますから、たとえば刃渡の定義あるいは刃体の定義あるいは八センチ以下のはさみだとか、こういう形だというものでもって何か図示していただいて、手元に配っていただけばけっこうだ、こういうふうに申し上げておるのであります。よろしく一つお願いしたいと思います。 その次には、この法律で非常に問題にされておりました憲法との関係でございますが、これは先般総理大臣からもお答えをいただきましたので、あえて重複は避けたいと思います。重複は避けたいと思いまするが、その後新聞なんかを見ておりますと、お読みになったと思いますけれども、ここに私は切り抜きを持っておりますけれども、早稲田大学の教授の有倉遼吉さんというお方ですが、このお方は、右でもなく左でもなく、非常に中立的な方であって、警察というものに対してはむしろ好意的な立場にいらっしゃる方だということを承っておるのですが、その人をして一応いろいろとこの法の解釈を聞いてみますると、乱用、違憲のおそれを含むのじゃなかろうかというふうなことを言っていらっしゃる。もちろん、われわれは過般の総理大臣の御所見によって、十二分にその点はないとは思っておりまするが、やはりこういう学者が違憲のおそれを含むということを一般に公表されますと、これは国民に相当な響きを与えることになりまするから、もう一度この点について、当の責任者である公安委員長の御所見のほどを承っておきたい、こう思うのでございます。 まず最初には、暴力犯罪防止対策懇談会でございますか、その懇談会におきましても問題とされたといいますが、これは学説では非常にむずかしいと思いますけれども、憲法第三十五条のいろいろなことが今回の任意調査権に類推適用されるのじゃなかろうかというふうな点についてであります。すなわち、憲法第三十五条は、司法の捜査手続をきめたものであって、行政上にはそれは類推適用されないというのが従来のお考えであるように承っておりますが、この点に関しまして、くどいようではございますけれども、さらに念を押しておきたいと思いまするので、公安委員長の御所見のほどを承っておきたいと思います。
○安井国務大臣 御説の通り、この三十五条が類推適用される危険はないか、こういう御議論が一部にあることも承知いたしておりますし、また先般、暴力犯罪防止懇談会の際にも、ごく一部でございましたが、そのままこれが抵触するという意味じゃなくて、さらに事態が進展した場合に、そういうものとの区別をどうつけるという点にあいまいなものがありはしまいかといった議論が、一人、二人の方から若干あったことは事実でございます。しかし、大体通説といたしましては、今御指摘の通り、この法案全体が行政上の予防措置でございますし、それはそのままでは抵触する心配はなかろう、こういう御解釈が常識上通用しておると思います。また某新聞に載りましたある学者の記事につきましても、私ども、これをもとにまた若干の他の学者の御意見も求めてみました。これはそういう心配は全く要らないという御意見の方が多いように伺っております。ただ実際問題といたしまして、職務上で質問をいたしたその結果、非常に不穏当なものが現われた場合、これはこのまま放置できないというようなことから、次の行動へ移り得る場合、これは当然あり得ると思いますが、この法律そのものが憲法に違反するというような性格のものにはならないと確信をしております。
○宇野委員 三十五条との関係におきましては、今の公安委員長の御答弁でわれわれも了といたしたいと思います。要はその運営だ。運営でそういう場合が起こりはせぬかという心配が残されておる。だから結局は警察官の良識、そういうものが非常に重要視されるんだということは、私たちも了承しております。で、そのことについて一応お尋ねいたしておきたいのですが、現行警職法の第二条におきましては、結局こいつはくさいぞと思われる人を停止させて質問することができる、あるいは本人に対して不利であり、道路交通の妨害になる場合はどこへでも一どこへでもというわけにはいきませんが、駐在所であろうが、本署であろうが、派出所であろうが、そこへ同行を求めることができる。そして今度は令状がない限りは、刑訴法の手続をとらざる限りは、その人を拘束することもできないし、連行することもできないし、また答弁を強要することもできない。こういうふうに書かれておるのですが、これであっては非常に御不便な例も、ここに配付されております資料のうしろにも、ずいぶんとそのような例が書いてあります。だから私たちは、これでは当然不便だろうと思うのですけれども、しかしこれをさらに今回の刀剣法におきまして、そういうふうな凶器とおぼしきものを開示させる、あるいは提示させる、あるいは保管することができる、この三点にしぼられるのでありますけれども、その場合、警職法において答弁を強要されることはない。こういうことになっておるのですが、実際それによって幾つかの犯罪が現に行なわれてしまったということが問題になっています。しかし、現在は答弁を強要されることはない、あるいは停止にかまわずすたすた歩いて行ったという場合に、現在警職法第二条に触れざる範囲において、警察はそれを停止させたり、あるいはいろいろと聞いてみて答えを得たりしていらっしゃると思うのですが、大体その辺のコツというのはどこら辺で御指導なさっておりますでしょうか。
○柏村政府委員 現在の職務質問の規定の運用についてのお尋ねでございますが、停止させてというのはかなり強い規定でございます。もちろんこれは任意ではございまするけれども、ある程度即時強制的な要素を持っておりまして、たとえば自転車で行く者に荷台に手をかけてとめる、あるいは肩に手をかけてとめるというある程度の物理的な行動も伴って停止させるということまで判例としては認めておって、それは職権乱用ということにはなっておりません。ただ逮補というところまで、いやがる者をがんじがらめにしてとめるというところまでいけば、この停止させてというものからはみ出るということになろうと思いまするが、ある程度の物理的な力を用いて停止させるということは、これは判例も認めておるような状況でございます。それから、質問につきましては、これはやはり警察官の素質あるいは経験というものから自然聞き出すコツというものがあるわけでございまして、これもできるだけ強制にわたらないで上手に聞き出すということの指導をいたしておるわけでありまして、これは法律にもありますように、答弁を強要するということではありませんが、真実を語るように促していって、そして真相を把握するということを警察官はやるように指導いたしておるわけで、強要するということは、停止の場合につきましても、また質問についても、そこまでやるということは絶対しないように指導いたしております。
○宇野委員 現在の警職法においても、そこまでやらざるを得ないと私も思います。判例も見せていただきましたが、決してそれは違法でも何でもないという判決も下されております。そうすると、今度は実際にもう少し焦点をしぼって、刃物を持っているらしい、どうもその刃物で人を傷つけるらしいと思われる人を今度はやるわけですが、中には相当なつわものがいると思うのです。そのつわものがいた場合に、それはもちろん職務質問で停止させて、その次には提示させることができる、開示させることができるということでございますが、その提示させ、開示させるという際に、今の停止させてやっているのとちょっと違ってくると思うのです。このようなことでもしも向こうが絶対おれは持っておらぬと言うて拒否した場合、警官はどういう行動に出て、それでも提示させるのか、開示させるのか。これはしてもらわなくては困りますし、それがちょっと行き過ぎますと人権じゅうりんだとかなんとか、非常にデリケートなところだと思いますが、一応こういう法律が出て、これが成立しました暁にはそういう場面が出てくるわけでありますから、そういう場合には、第一線の警察官が提示させ、開示させ、相手が拒否すると、それに対してどうするか、どの辺のところまで長官としては御指示なさるつもりでしょうか。
○柏村政府委員 提示させ開示させるというのは基本的にはあくまでも任意でございます。相手の意思によって提示させる、それから疑わしい者については開示をさせるということは基本的にはあくまでも任意でございますが、本人をできるだけそういうふうに仕向けて協力させるという努力を警察官はすべきものである。これはできるということでありますから、一つの権利規定のようでございますが、権利であると同時に警察官はそういうものをみすみす見のがしてはならないという責任感を強くさせるという趣旨を含んでおるわけでございます。ただ、先ほど申しましたように、停止させてというときに物理的な力を若干加えることは、これは判例も認めておりまするけれども、これよりはやや弱い。これは観念論的になりますけれども、少なくともこれはあけろといって自分であけることはできない。それから提示させるについても、ふところに手を突っ込んで自分で強制的に提示させるというとまできない。あくまでも任意に、本人の意思をそういうふうに動かしていって提示させ、あるいは開示をさせ、一時保管の場合には提出をさせ、それの占有を一時こちらに移すということまではあくまでも任意でございますが、これは先ほど申しましたように、やはり警察官のそういう責任感と、またどこまでできるかということをはっきりさせる。現在そういうことを全然やれないかというと、全くの任意なら何ら差しつかえないわけであります。しかし警察法の第二条にいう警察の目的を達成するためにどの程度までできるかということをとことんまで法文化するということは非常に困難でございますが、できるだけ明示して、警察官ができる限界、やっていけない限界というものをはっきりさせていくことが、やはり効率的に警察を運営するというために、社会も要望する点ではないかと思いますので、今回そういう面から、基本的にあくまで任意であるけれども、この点できるだけ本人の意思をそういうふうに、向けさせる努力をすべきものという趣旨で今度の改正を考えたわけでございます。
○宇野委員 この資料にも、今申されたような点で今まで痛痒を感じたということを書いております。この少年が現に刃物を持ってきのうけんかをしていたのだから、これは持っていたら必ず人をあやめるということがわかり切っておって、巡査が職務質問をして、ひそかにポケットに触れたら刃物らしきものがあって、出せと言ったら出す必要はありません。こう言うておるわけです。だからみすみすほうっておいたら、それが予想通り犯罪を犯したという事例が幾つも出ておるのです。 たとえば長官が第一線の警察官で、私がそういう疑わしき者であって、ここに現に何かあいくちらしきものがある、飛び出しナイフらしきものがあるというときに、私が法をたてにとって、あなたの調査権は任意でありますから提示することはできません、開示することはできませんと、とことんまでがんばったらどういうふうになりますか、どうされますか。
○柏村政府委員 そういうふうに頑強にとことんまでがんばる者については強制はできない。提示させたり、開示させたり、従って提出させて一時保管するということはできないわけであります。しかし、そういうかたくなな者の気持をだんだんほぐして、やはり任意に出すように仕向ける訓練を警察官にしていくことが一つと、どうしてもきかない、しかしこれはあぶないということになれば、これは大ぜいの中のごくわずかな人間に限られてくるわけでありますから、そういう者についてはまた別個に、たとえば尾行するとか、特に行動に注意するとかいうような方法を別途講ずることが、その事態によって必要になってくるのではないかと思います。あくまでもきかないからといって、これを強制的に取り上げるということはしてはならないという考え方でおります。
○宇野委員 提示させ、開示させるということに関しまして、これがいろいろ運用のいかんによってあるいは憲法第三十五条に触れるおそれがありというようなことですが、今のような御説明を承っておりますと、非常に慎重を期しておられる。むしろ私らから考えるならば、ここまで法文をこしらえても今までの職務質問とあまり交わらないのではないか、実際凶悪犯人なんかの場合に、これで大丈夫だろうかという気もいたしますけれども、いろいろ世の中には批判がありましょうから、ここらの程度でおやりになる——なるべくそういうケースはないに越したことはありませんので、その点に関する限り答弁に対して了とするものであります。 第二番目に保管というものがございますが、保管の場合に、次のような点に対して一つお伺いいたしておきたいと思うのでございます。第二十四条の二の第四項に、「五日以内に一時保管に係る銃砲刀剣類等を本人に返還するものとする。」こうなっております。そこでこの本人に返還する場合というのは、第二十四条の二の二項の「銃砲刀剣類等を携帯し、又は運搬している者」これははっきり所持許可証を持って運搬しておる者が、どうもあぶないのではないかという場合に預かるのでありますか。その点ちょっとお答え願います。
○柏村政府委員 お話しの通りでございます。
○宇野委員 そういたしますと、持っておる人が現にはっきり持っておる。日本刀なんかを堂々ぶら下げておってもいいわけですね。許可証もあるし、正規に持ってもよろしいというものを携帯しておるが、どうもそれが何かやるのではないか、くさいなと思ったときに、預かって五日以内に返さなければならぬのですか。
○柏村政府委員 この一時保管の制度は、あくまでも刃物の危険を防止するという警察活動でございますので、所有権を尊重するという趣旨から、最小限度必要な保管をするという意味におきまして、五日間を限るということにいたしたわけでございます。それで当然その五日以内に本人に返してやる。ただ、本人以外の請求権を有する者が別にあるときは別でございますが、通常の場合は本人に返すということで、あくまでもこの規定はその場における直近の危険、直近と申しますか、最近の機会においてそうした危険が起こるであろうということからこれを防止するための必要な措置でございますので、五日たったら返すということになります。
○宇野委員 そこに多少批判される点があるのじゃなかろうかと思うのであります。もちろん第二項におきまして、現に携帯し運搬している者が、異常な挙動で、周囲の状況から判断してどうしても人の生命、身体に危害を及ぼす危険があると認めた場合でございますから……。しかし、それで取り上げて、五日たったら返してくれる、本人があぶないと思った場合には家族に返していいけれども、本人に返すのが建前であるとするならば、たとい一時あぶないとしても、あいつが刃物を持ってぶらぶら歩いているのはあぶないというので取り上げたものを、五日たって返すといっても、五日の間に、それほど警察からあぶながられた男が普通の社会人になるか、改心してというか、善良な社会人になることができるかどうか。五日間という期限に対して、やるのならもう少し徹底してやられたらどうかと思いますが、五日というのはどういうところから判定したのか。危険であるというので取り上げられた者が、五日たったらけろっとして——酒を飲んで刃物を振り回しているときは取り上げてもいいけれども、普通の状態においても、刃物を五日たったら本人に渡して大丈夫だという判定ができるかどうか。この点ちょっと疑義を抱いておりますが、いかがでしょうか。
○柏村政府委員 先ほど申し上げましたように、取り上げるということは非常手段であります。取り上げるというと語弊がございますが、提出させて保管することは一種の所有権の侵害でございますから、そういうことがないことがまず望ましい。しかし、どうしてもこれは危険があるという場合に警察官が提出させて保管するわけでございますから、できるだけ早く本来の所有権のある者に返していくということが筋だろうと思うのであります。酔っぱらって刃物を振り回すという例を今お話しになりましたが、大体人をあやめるというような精神が少しおかしいわけで、そういうことを常時考えているような者については、銃砲刀剣類の許可の取り消しをすべきであって、また今度の刀剣類等の部分で、そういう所持の許可の制度のないものにつきましては、そこまで規制するわけには参りませんけれども、極端なものについてはそういう規制の方法もある。まあとにかく本人に返し、必要があればやはり状況を見るというようなことはせなければならぬかと思いますが、大体今のお話しのような例の場合にこれが適用されていくということになるわけでございます。もう酔いがさめてみたらあとは普通の人間というような場合に返す、五日もたてば大体そのときの興奮状態はなくなるというふうに考えられるわけであります。だからもう翌日でも二日後でもけっこうです。五日以内、なるべく早く返すということを本筋としておるわけであります。
○宇野委員 そういたしますと、五日たっても本人がまだ酒の酔いがさめておらない、どうもあぶないという場合に——酒というのは一例でございますが、本人に返還するのは危害防止のため不適当と認められる場合には親族またはこれにかわるべき者に返還するものとするといいますが、やはり本人に返すのが適当でないという場合にも、五日以内に返すのでございますか、返さなければならないのでございますか。
○柏村政府委員 本人に返すということが大筋でございますが、特殊な場合において、やはり今御指摘のような、本人に返せばまた酔っぱらってやるかもしれないというような者については、本人以外の者にこれを返す。しかもそれは期限としてはやはり五日内内。とにかく一種の所有権の侵害でございますから、これはできるだけ正確に、できるだけすみやかに返すということにしなければならない、こう思っております。
○宇野委員 今の御答弁によりますと、もちろん所有権の侵害ということについてのいろいろの考慮を払ったがために五日ということが出されたと思いまするが、しかしたとえば、今本人に返すことがどうも不穏当だからその親族に預ける、それも五日以内、そうしなければ所有権の侵害になる、これももっともだろうと思います。もっともだろうと思いますけれども、この改正案には、もう一つ第五条には許可の基準というのがございますが、この許可の基準において、第三項で、同居の親族の中でどうも人の生命もしくは財産あるいは公の安全を害するおそれがあると認められる者がいるときは、これは許可しないということになっておりますね。一応許可をするという場合でございますからこれは当然だろうと思います。しかし、この第五条第三項の同居の親族にそういう危険な者がいるときは、これは許可してはいかぬのだということになりますと、これを読みかえるならば、五日以内とはいえ、その本人が危険な状態にあって他人の生命または身体に危害を及ぼすおそれがあるから、親族には所有権を尊重してお返し申し上げなければならない。こういうふうに言われるのですが、この点矛盾があるように私は考えるのです。もちろん許可の基準、許可するということと所有権をお返し申し上げる、そこには法的に別な問題がありますけれども、思想的に、ものの考え方としては何か矛盾するようなことが考えられるのでございますが、その点に関する御見解いかがなものでしょうか。
○柏村政府委員 第五条の改正案におきまして、同居の親族に不適格者がある場合においては許可しないことができるということをつけ加えさしていただこうとするわけでございますが、これはあくまでも銃砲刀剣についての所持の許可の問題でございます。従って、もし銃砲刀剣で本人から一時保管をする、しかもその性癖は一向に直りそうもない、自分のうちに戻ってくればまたそれを持って犯罪を犯すおそれがあるというような者については、銃砲刀剣でありますれば、これは許可の取り消しをする場合に該当してくるのではないか。ただ所持を一般に認めておって携帯だけを禁止する、あるいは携帯も許すけれども特殊な場合においてこれを一時保管するというようなものにつきましては、そこまで規制をすべきものでないということで、許可制度にもなっていないわけでございますから、やはり最も安全な方法によって所有権を本来あるべきところに移していく、所有権が本来あるところに占有を移していくということが、やはり全体的には必要なことでないかというふうに考えております。
○宇野委員 今の御答弁でございますと、所持の許可を得ておる銃砲刀剣ならば、そして五日以内でも本人がまだまだちょっとくさいという場合には、取り消しをして家族に返さないんだと読みかえていいのでございますか。
○柏村政府委員 返すことは返すわけでございますが、取り消した場合においては、今度は所持ができないという問題になりますから、他人にこれを譲り渡すとかいうような措置を、今度はその所持の許可の取り消しをされた者がしなければならぬという問題が出てくるわけであります。しかし、警察署長としては一時保管したものは五日以内に返す、この原則は変わらないわけでございますけれども、そのほかに、公安委員会で提出させるというものがございます。そして領置するという場合がございますから、そういう事情がまたございますれば、許可の銃砲刀剣について、その法文の適用によって領置するというのは可能な場合もあるかと思いますが、この一時保管そのものについてはやはり返すということになります。
○宇野委員 大体今の御答弁で、まだ少しはっきりしないのでございますが、もちろん許可する人の方と保管する人の方の人格が違いますから、その点について非常にむずかしい点があろうかと思います。 次に今度は、任意調査権というものの判定法でございますが、大体こういうケースがあるからこういう法律が必要だったのだということで、先ほどから申し上げております通り幾つかの例が示されております。しかしこれを見てみますと、いわゆる「異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して他人の生命又は身体に危害を及ぼすおそれがある」と、幾つかそういう言葉が出てくるわけでありますが、それをもう少しはっきり例を見てみますと、ほとんどが前科者である、前科者であるから注意しなければならぬというふうになっておるのでありますが、大体そういう場合には、判定基準というのはいろいろございましょうけれども、前科、札つきということを一つの認定基準にされるのでしょうか。
○柏村政府委員 別に前科者についてこれを全部シラミつぶしに調べていくという趣旨ではございません。やはりそのときの本人の状況というようなことが一番主眼になると思います。それからまた特殊な確実と思われる情報があって、たとえば暴力団の出入りがどこどこでいつごろある、それに近い場所、時におきまして、そういう風体の人間が見つかるというような場合、いわゆる情報に基づくもり、あるいはその場における本人の態度というものが一番中心になると思います。しかし参考上そういう傷害の前科というようなものについては、もちろん注意することも一つの方法かと考えております。
○宇野委員 もちろん今聞いたようなところが非常に問題視されておりますが、それは一応第一線の警察官の勘であり、あるいは常識であろうと思われます。しかし、あってはならないことではございますけれども、もしもこうした法律によって疑わしきものを開示させ、提示させ、先ほどから聞いた通りどうしても私は提示しない、あるいは開示しないと言うておる者も、とにかくさしておるということがあって、それがほんとうに凶悪犯人ならよろしかろうけれども、万が一あやまって善良なる市民にそういうことがなされ、あってはならないことですが、そういういわば人権じゅうりん、あるいは侵害がなされた場合に、従来もそういうことはなきにしもあらずと思いますけれども、警察としては、その警官に対して今までどうい、うふうな処置をおとりになって参ったでございましょうか、あるいは今後どういうふうなことをするのか、その点についてお聞きいたしたいと思います。
○柏村政府委員 警察官の行動が行き過ぎて、あるいは人権じゅうりんに及ぶというようなことは、もちろん極力戒めなければならぬところでございますし、日ごろそういう指導をいたしておるわけでございます。しかし、大ぜいの中に時としてそういうことがないとは保証できないわけでございますが、そういう場合におきましては、もちろん身分上の監督権を持つそれぞれの立場の者によって、必要な処断をするということに相なるわけでございますが、警察官につきましてはそういうことの極力ないように、しかしながら、やるべきことをやらないために、おしかりは受けないけれども、さっぱり警察の能率が上がらないということでは、国民に対して申しわけないことでございますので、やはりやるべきことは積極果敢にやるという気風は、大いに高めていかなければいかぬ。その間に教養を高めて、行き過ぎがなく、いわゆる満ちてあふれないというような態度で臨むような指導をいたしておるわけでございます。これはしかし、なかなか満点ということはむずかしいことでございますが、行き足らないことがなく、行き過ぎることがないということは非常にむずかしいことではございますが、われわれ第一線の警察官に望んでおる心持ちでございまして、今後ともこの点については十分注意して参りたいと考えております。
○宇野委員 今長官の答えられた通り、まことに警察官の権限というものは、私もこの間申し上げました通りに、両刃の剣と申しましょうか、弱過ぎれば犯罪予防の役に立たないし、強過ぎれば人権じゅうりんのおそれあり、その運用の妙にかかっておるということでございますが、結論は、やはりこうした法律が出て、警察はそんなことはやらないのだという民主主義警察に対する国民の信頼があるかないかということで、こうした法律がほんとうにうまく適用されるか適用されないかということにかかってこようと思います。しかし往々にいたしまして、こういう刃物を抜きにいたしまして、ついこの間も、大阪の方面で犯人でもない女の人を長らく警察に引っぱって非常に人権じゅうりんをやったというようなことも新聞に載っておったのでありますが、ああいうようなことがありますと、やはり世間の人は、今度こういう法律ができてまた自分の所持品まで調べるようなことになるのではないかと、警職法のときに宣伝されたようなことを一部においては相当心配する人もなきにもあらずだと私は思います。しかし、あやまちは人間でありますからあることだと思いますが、ああいうあやまちが、報ぜられるごとくほんとうであったという場合には、やはり警官にはそういうあやまちを犯してはいけないという忠告を日ごろしておったにもかかわらず、いろいろ事情があったのか、現にあやまちを犯し現に人権じゅうりんしておることは確かだ、だから警察はこういう処分をいたしましたということをやはり一般社会が知るように、これから明らかにしていく。警察としても責任を持っておりますよ、国民に対して警官には任意調査権がありますが、それに対してはわれわれとしても責任を持っておりますよということをやはり国民に明らかにしていけば、国民も、そこまで責任を持っていらっしゃるのだからという、警察に対する信頼感が高まってこようと私は思いますが、今まで概して、不幸にして警官がいろいろ判定上あやまちを犯したという場面について、いわゆる警察官が間違いをやった、けしからぬじゃないかということだけが新聞に載って、あとでこういう処分がなされたということが少しも載らない。こういう面に対しては、やはり今後こういう幾つかの国民の間に浸透していく警察法規の運用にあたっては十分お考えを願いたいと思うのでありますが、一つその点を今後とも真剣にお考えになって、万一人権じゅうりんがあった場合には、処分すべき巡査は処分していくということをはっきりしていただきたいと思います。そうすれば国民だって安心して、こういう法律を通じて警察を信頼することができると私は思います。 最後に、これは公安委員長に対して将来の希望でありますが、もちろんこうした法律は、私たちから考えるならばない方がよろしいけれども、こうした法律が出ざるを得ないというのが今日の社会的な状況なんです。しかも今日現存する現行法でもってはなかなかむずかしいからこういう法律を出したのだ。これに対しましては、この法案がここに提出されましたところの意図に対しましては、初めから申し上げております通り了といたしております。しかし、われわれから考えるならば、あくまでこの法律は、言うなれば過渡的のものであって、永久無限に続くものではない。日本人の良識が非常に発達して諸外国のごとくに、むしろピストルを持っていてもよろしい、刃物を持ってもよろしい、しかしその取り扱いはこうですよというような良識を持って、むしろ大っぴらに持たしておるという国もたくさんあって、しかもそういう国では犯罪が起こっておらぬというところもたくさんあるわけでありますから、将来はそういう方向に持っていくことが必要だと思います。そういう意味から申しますと、日本の今日のこうした法律は、言うなれば潜在性のある法律である。しかしやはり国民の一部においては、持つべきものを、八センチ以上は持っていけないとか、五センチ五ミリがいかぬとか、何とかかんとかということは、これは一つの自由を拘束しているわけです。自由を拘束していることは間違いございません。本来ならばどんなものを持ってもいいのですから。しかしこういう法律があるならば、これは社会情勢の上から見るならば潜在性を帯びている法律ですが、これは諸外国並みに将来はうんと一つ潜在性の反対の言葉の顕在性と申しますか、顕在性の方向へ持っていくことが必要である。これがためにはこの法律が過渡的であって、しかも非常に信頼されて、同時に効果を上げなければいけない。こういうふうに思うのでございますが、それについても大体この法律を執行し実施したならばこれだけの効果があるんだということについての長官に強いお気持があって、初めてこの法案がここに出されたと思いまするから、一つそれをお答え願いますと同時に、かつ、こういう犯罪が、それはお互いの経済だとかそのほかの部面とはおよそ意味は違いまするけれども、たとえば経済においては所得は十年たてば倍になるのだぞという一つの計画性があると同様に、やはり国警といたしましても、こういう法律を出したならば必ずやこういう犯罪はだんだん減っていくという指数があるだろうと私は思うのです。それに対して一つ公安委員長から、将来のお覚悟なり、これを出された決意をお伺いしておきたいと思います。
○安井国務大臣 お話しの通り、こういう法律案を出さなくても済むような世の中が好ましいことはもう御指摘の通りでございまして、私どももそういう時世を祈念するのでありまするが、先ほども申し上げましたように、今日の状況が何と申しましても刃物を中心にすべての犯行が集約されておるというような状況からやむを得ずやっておるわけであります。警官の行き過ぎというような問題につきましても、非常に数の多い中で今御指摘のようなこともあったかと思います。もしあったとすれば、それに対する必罰といいますか、これはそれぞれの法規に照らして十分今後も気をつけて明確にしていくべきものだろうと思います。全体から申しますと、今のところそういう程度以上に、この刃物等に対する予防措置がまだまだ現在の状況では不十分だというような意味から、こういったものをさらに明確にして、十分予防の目的を果たしたいというつもりでございます。不要になれば、何とかそういう時期がくれば——こういうものは自然消減するというような時期がくることを私どもは期待しておるわけでございます。乱用になりませんように、そうしてしかも実際に警官が自信を持って自分の良識に従って犯罪の予防ができます基礎となることを非常にこいねがっておるわけでございます。
○宇野委員 公安委員長からはそのような御答弁でけっこうだろうと思います。なかなかむずかしい問題ですけれども……。 ここにいただいておる資料を見ますると、刃物の件数は非常にたくさん書いてあります。書いてありましてどんどんふえております。これが三十四年、三十五年といってどんどんふえておるのですが、これが幸いにして成立した場合にはどうでしょうか、必ず減るでしょうか。その点に対する法律、それを減らさんがために法律ができておるのですから、その点減らすということをやっぱり言うてもらわなくちゃ、これはどうかわかりませんということなら、これは要らぬということになりますから、一つその点のお覚悟を承っておきたいと思います。
○柏村政府委員 私も、どうもそういうお尋ねに、責任を持ってどうなるということをお答えするだけの力は持っておりませんが、今お話しのように年年ふえておる。これは単に刃物を持たせておるから起こっておるということだけではないと思います。もちろん人を殺すのに刃物がなければできないわけではなくて、げんこつでも指一本でも、ほんとうに殺すだけの意思と力を持っておればできるわけでございますから、刃物を持たせぬことだけが犯罪の防止になるとは考えませんが、いかにも最近この刃物を使った犯罪というものが多いというところから、少なくともこの程度の改正をしていただいて、これが同時に警察官の権限と責任というものを明確にするという警察自体の法律的な活動ということに役立つという面もございますけれども、同時にこういう法律が出るということによって、世間一般に無用の刃物を持ち歩かないという風潮、これは現に刃物を持たない運動ということを盛んにやっておるわけでございますが、その裏づけともなるわけでございまするし、私はこういう法律ができ、社会風潮もだんだん改まって参り、警察も告発に活動するということを期待しておるわけでございますが、そういうことによって犯罪というもの、少なくとも刃物を用いる犯罪というものは減らしてみようという考えを持っておるわけでございます。例は違いまするけれども、前の国会で道路交通法の改正をお願いいたしまして、これは衆参両院とも満場一致で修正可決をしていただいたわけでございますが、これが出まして相当なやはり効果が上がっておる。事故あるいは死傷者というようなものについても、相当の効果が上がったように思います。最近ややまたゆるみの気分が出ておるのではないかというふうにも考えられますが、累年増加していく増加率というようなものから見ますれば、この三月、四月におきましてもそれほどの増加率は示していないということでございます。またきのうから安全運動もやっておるような事情でございまして、やはりこれは単に法律ができた、警察の機能がどうなったということ、これももちろん大事でございますが、それ以外にやはり社会一般の風潮をそういう方に向けていくという国民運動的なものが盛り上がってくる必要があるのではないかと思うわけでございまして、道交法を御制定いただきましたのと同じように、私も、今度の法律改正ができますれば、警察としてもほんとうに使命に向かって邁進する気魄もさらに高まるものと思いまするし、世間の風潮も逐次そういうふうになっていくのではなかろうか、そういうことによって犯罪も逓減していくということを期待し得るのではないかというふうに思いまするし、私どもとしてはぜひともそうしたいということを考えておるわけでございます。
○中島(茂)委員長代理 次会は来たる十六日開会することとして、本日はこれにて散会いたします。 午後二時五十八分散会