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38回国会衆議院1961/04/04

地方行政委員会 第18号

発言数
127
登壇者
14
会派数
2
開催日
1961/04/04

会議録

濱田幸雄自由民主党

○濱田委員長 これより会議を開きます。  消防組織法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。二宮武夫君。

二宮武夫日本社会党

○二宮委員 初めに消防庁長官にちょっとお尋ねをしておきたいと思うのですが、この前質疑をいたしまして、その後消防庁の方で計数の整理をやって、何か答弁について修正を加えるような点はございませんか。

鈴木琢二消防庁長官

○鈴木(琢)政府委員 前会重ねて御答弁申し上げた通りでございまして、特に修正を要するところはないと存じます。

二宮武夫日本社会党

○二宮委員 この前の質問で私が了解をいたしました点は、要約をいたしますと、大体地方財政法一部改正の法律が三十六年の四月一日から有効になる、税外負担をこの際学校建設を除いて一切排除するという方向に法律が制定をされておる。そういう段階になりますと、市町村における消防費の関係が、従来のような公費をもってまかなう以外の支出というものについては、非常に強い規制を受けるという段階になろうかと思うわけなんです。そこで、あなたのこの前の御答弁は大体において昭和三十三年の計数をもとにしての御答弁であったというように私は理解しておる。そこで、その計数の一人当たり二百九十幾円というもの、地方交付税法におけるところの市町村の消防費の一人当たりの交付単位費用というものと比較をいたしますと、結論的に申し上げて、不足をしないというような印象を受けるわけなんですけれども、私はそういうような実態ではなかろうと思うのです。そういうような交付税の支出において市町村の消防費がまかなわれるというような印象を与えることは、非常に実態とそぐわないところの消防関係ではなかろうかと思うのですが、そのような計数についていま少し消防庁の方で計数を整理して御答弁になる必要があるのじゃないかと思うのですが、どうですか。

鈴木琢二消防庁長官

○鈴木(琢)政府委員 この前御答弁申し上げましたのは、消防整備計画を立てます場合に、昨年審議会に審議していただいてできました消防力の基準に対して、現在数とどのくらい差があるのか、その差に基づいて十年なら十年の整備計画を立てるということをやっておりますので、ごく最近の統計と三十三年あるいは四年の統計ではもちろん幾分違う点はございますけれども、計画の上に大きなそごを来たすような違いはないということを、前会申し上げたのでございます。それからこまかい消防の財政上の数字、これは特に税外負担等も考慮に入れますと、その詳しい資料をわれわれが市町村から県を通じてとるということは非常に日数がかかることでございまして、これは現在の消防制度のあり方からいってある程度やむを得ない点がございますが、正確な計数を集めるのは非常におくれますので、いささか古い感じはいたしますが、三十三年、一部については三十四年の正確な点がわかったものだけを基礎にしまして、それを消防力の基準と照らし合わせて、その差額を充実するための計画を立てる。こういう方式をとっておるということを御説明申し上げたわけでございます。

二宮武夫日本社会党

○二宮委員 あなたの方で出されております資料は、昭和二十四年の四月における大体あるべき市町村の消防の人員数というものを基礎にしてお出しになっておる計数なんです。それでこの前例にあげましたように、中小都市二十都市を例にあげて考えましても、基準と比較いたしまして大体六千人の人員の不足がある。なおあなたの方でお出しになっておるところの機械設備の関係について考えますと、十五年以上もたってとうてい使用に耐えないというような機械数におきましても、九百二十数台というような計数が出ておるわけなんであります。消防に関する限り、機械が幾らあっても意味のないことなんであって、その整備を早期にやらなければならない、人員の不足を補わなければならない。こういう立場に立って、現在税外負担をどのように市町村の公費以外にとっておるかという計数が、たとい市町村から吸い上げることが非常に困難であろうとも、計画としては、機械の更新をはかり、人員の不足を補う、こういう点を考えて参りますと、今のあなたの御答弁のような計数では、私はとうてい地域住民の輿望にこたえるような信頼をされる消防組織にはならないであろうということを心配するのです。何も私がいろいろ質問いたしますから、それに対して対抗的答弁をされるというようなことではなくて、いま少しほんとうの実態に沿うたところの消防組織のあるべき姿というのを考えて、二十四年の四月の基準をもとにして出した計数がこれなんです。しかも三十五年の八月には、すでに消防審議会から新しい基準が示されておる状況なのです。そういう段階において、何カ年計画でやろうとも、初年度の三十六年度において、今あなたの申されましたような費用負担の状況で消防が運営をされる、こういうような答弁の仕方、考え方というものは、私ははなはだ理解に苦しむものであります。そういう点について再度消防庁長官の決意を承りたい。もしそういうことにおいて三十三年度限度でよろしいということの答弁であるならば、私どもは今後出て参る法案については、相当しっかりした決意を持って考えなければならない。私は今ここに大体十二万程度の人口数における消防の実態という計数を、一つだけですけれども具体的に持っておる。これを見ましても、基準財政需要額の中で示されておるところの消防の計数というものは、実態のその予算に盛られた計数とは約一千万の相違があるような計数で公費というものが盛られておる。そういう地方の末端事情というものを千分把握して、消防庁の統率あるいは市町村の指導あるいは県における消火指導を行なうべきだと思いますが、こういうものについて、もう少しあなたのはっきりした御答弁を伺っておきたいと思うのです。

鈴木琢二消防庁長官

○鈴木(琢)政府委員 私の御説明が不十分かも存じませんが、私も私のわかっておる限りのことをそのまま御答弁申し上げておるつもりでございます。それで現在量と計画基準との比較をどこに求めるかということは、いささか古いけれども、確実な計数の集まったものを基礎にして、それと基準とを照らし合わせて計画を立てるということで、私の先ほど申し上げた通りでありますが、ただいまお話のありました消防力の基準は、まことに古い、自治消防始まって間もないころ作りました消防団の基準と常設消防の基準と二つに分かれておりましたのを、昨年消防審議会の答申に基づきまして、新しく現在の状態に応じて消防力の基準というものを作っております。この新しい消防力の基準に基づいてどういう財政計画を立てるか、また交付税との関係はどうしたらよいかということの具体的な問題につきまして、現在財政当局と打ち合わせ中でございます。間もなくその結論が出て地方にお示しすることができると存じておりますが、それは大体において総括的な結論が出るわけでございまして、これは消防施設から申しましても、財政状況から申しましても、一つ一つの町村によっていろいろ違うものですから、現在補助金等の査定にもからみまして、一つ一つの市町村について、この基準に照らし合わせていかなる具体的な計画を立てたらよいかということを目下検討中でございます。そういう意味では、ごく最近までわかっておるなるべく正確な数字をもとにして具体的な計画を立てよう、こういうことで現在作業を進めておる状況でございます。何とぞ御了承願います。

二宮武夫日本社会党

○二宮委員 従って結論的に申し上げますと、やはりその指導性というのは、実態を十分把握をして、それからそれを基礎にして、地方財政の状況も考えるでありましょうけれども、やはりこのような姿でなければならないという基準というものを持ってやるのが指導性だと思うのです。あなたのおっしゃるように、地方の実態を把握した上でなければ指導ができないのだというような考え方は、私は間違っておると思う。従って新しい三十五年の八月に示された消防審議会の結論に基づくところの、消防というものはこのような姿であるべきだという一つの基準に基づいて、そして何年でもよろしいですけれども、現在の設備、人員、それからそれに伴うところの運営の費用、こういうものを考えまして、その間に一つの計数というものを整理して、これが指導性のあるべきものであるということによって、これを県並びに市町村に対してこのような予算措置をお願い申し上げたい。こうやっていくことが指導性であって、それができなくてこの消防組織法に基づくところの法律が十分に行なわれておるというようには私は考えないのです。そのような点を考えて参りますと、三十三年現在における地方の消防の費用の人口一人当たりの計数を見ましても、地方交付税法に基づいて単位費用が引き上げられた現在においても、なおなお私は不十分だと思う。このように私自身は考えておるのであって、この前から問題になっておりますところの出動回数におきましても、予防的に前もってこの家屋は十分注意しなければならぬと思って出動するような形で問題になっておらない。出火直ちに出動、出火における出動というものを一応問題にしておられるような答弁をしておられますから、そういうような経費等も含めていま少し指導的理念というものを十分に打ち立てて、それによって市町村に、一つこのようにお願い申し上げたい、このようにやっていくことが消防庁の姿であろうというふうに私は思います。そういう点についてこの前からの質問を聞いておりますと、言葉が過ぎるかもしれませんけれども、非常に投げやり的な、三十三年度に出ておる計数が、これでもって足りるのだとか、あるいはこれでもってやむを得ないのだとかいうようなことで、指導理念というものが消防庁の方に欠けておるのじゃないか、私はこういう心配をいたしましたので、本日補足して質問したわけであります。ただいまの計数では、三十五年八月に消防審議会で出したところの消防の姿というものに対する計数の整理もできておらないようであります。従って、今の交付税における単位費用というものを比較をして、どれくらい不足なのかということもまだ今答弁できないだろうと思うのですけれども、私は概念的に見て、とても今のような地方交付税法の人口一人当たり二百九十五円幾らという計数では足りないであろう。しかも一方では地方財政法は改正をされまして、公費以外の税外負担は認められない。こういうような状況になっておる現在におきましては、いま少し財源確保というものを指導的な立場に立って消防庁は考えなければいかぬというように要望いたしておきたいと思うのです。それがためには、どうしても何らかの形において別途財源を確保するという方途を研究しなければならぬ段階に来ておるであろう。火事を消してもらうのだから、地方の人は頭を下げて、やむを得ずそれに応ずるのだというような過去の姿を一擲いたしまして、この際別途に一つすっきり筋を通した財政的な収入の面を考える段階に来ておる。こういうことを一つ消防庁の方で十分にお考えいただいて、今後の消防というものについて指導していただきたいというように考えるわけでございます。  もう一つは、地方の消防の実態を見ますと、警察上がりの方が消防の署長を兼ねておって、非常に人事が老朽化しておるという印象を私は受ける。従って、消防庁に勤めておっても他の団体との人事の交流がどんどん行なわれ、もう少し生き生きとした人事のあり方があっていいのではないかというように考えるわけなんです。そこで要望としては、次長を置かれるということでありますけれども、次長についてもそういうような老朽人事でなくて、他の官庁に持っていきましても十分働きのできるような人事にして、そこで人事が詰まったら、仕事が詰まったら、他の官庁にもどしどし出して交流ができる、こういうような方向に一つ人事の刷新をはかっていかなくてはならぬのではないかというように考えるわけでございます。この前から聞いておって、計数の面について、どうも私が納得するような答弁が出て参らないということは、消防庁が少し動脈硬化になっておるのではないかというような印象を受けるような気持もするので、この際人事の刷新と同時にその面についても強く要望しておきたいと思います。

川村継義日本社会党

○川村(継)委員 次官がおいででございますからちょっと御所見を聞いておきたいと思います。この前から消防組織法の一部改正について数点お尋ねして参りましたが、どうしても消防財政の面から考えると非常に問題が多いようであります。特に消防の費用については、原則としては公費で見なければならぬということになっておると思いますが、国庫負担の問題からいたしても、あるいは交付税の中に見られる単位費用のとり方にいたしましても、まだまだ私たちは大きな欠陥を持っておると見ておる。消防庁がせっかく自治省の外局として入ったわけでございますから、自治省としても、その点では非常に大きく前進するであろうとわれわれは期待をしたのでありますけれども、まだやはり以前の消防庁のときのような財政手当しかできていない。こういうことを考えると、非常に残念に思うわけでありますし、今後自治省としては大いに消防庁と一緒になって、消防財政の確立、拡充のためには努力していただかなければならぬと思います。しかし、これもまたなかなかむずかしい現状で、そう一挙にいくことは大へんだろうとは思いますけれども、何とか一つこの辺で、この重大なる消防行政を担当していく上から考えると、消防財政というものは特に強くもっと考えなければならぬ、こう思いますが、それについて一つの問題点として、消防施設税の創設ということが今日まで課題となってきております。これについて自治省の方としては、どういう御見解をお持ちでございますか、お聞かせおき願いたいと思います。

渡海元三郎自由民主党自治政務次官

○渡海政府委員 消防財源の問題につきましては、前回の委員会におきまして、また、ただいまも二宮委員からるる御質問ございました。私たちも、御要望ごもっともである、またこの線に沿って努力せねばならない、かように考えておる次第でございます。  ただいま川村委員より御指摘がございました、この一環といたしましての消防施設税をどう考えておるかということにつきましては、私たちといたしましても、従来消防財源のために、消防と火災保険企業の受益関係に着目いたしまして、これの創設については考慮をいたしておるのでございますが、なお現在損害保険の普及の状況等にかんがみまして、保険をかけておる方だけに還元するような消防施設税のあり方はどうであるかという議論等もございます。また課税団体をどこに持っていくか、またその配賦をどういうふうにするかという点について種々問題点がございまして、まだ検討の域を出ておりませんが、われわれはできるだけこれらの点を解決いたしまして、すみやかに統一をはかり、できればこれを実施に移したい、かような考えで検討を進めておるような段階でございます。

川村継義日本社会党

○川村(継)委員 消防施設税の創設問題につきましては、また地方税を審議するときに十分検討してみたいと思いますが、もちろん消防施設税の創設税の創設についてはいろいろ議論はあると思います。その徴収の仕方あるいは配分の仕方、または保険会社からそういう税金を取って妥当なのかどうなのか、いろいろ議論はあると思いますけれども、これはわれわれの常識からいたしましても、消防団の働きによって、消防の活動によって保険会社がある点大きな利益を受けているということは見のがすことができない事実でございますし、消防活動によって団員が思わない被害を受けるということも事実でございます。そうなると、やはり消防施設税を損保会社等がある点負担するということは、決して理屈の通らぬ話ではないわけであろうと思いますから、十分一つ検討を願いたい。私たちも、地方税の改正問題として提起してみたいと考えておりますので、この際、御検討を方強く要望しておきたいと思います。

濱田幸雄自由民主党

○濱田委員長 他に質疑はありませんか。——別に質疑もないようでありますので、本案に対する質疑はこれにて終了することといたします。     —————————————

濱田幸雄自由民主党

○濱田委員長 これより本案を討論に付する順序でありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  これより採決いたします。消防組織法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

濱田幸雄自由民主党

○濱田委員長 起立総員。よって、本案は全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決しました。  次にお諮りいたします。すなわち、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任を願いたいと存じます。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

濱田幸雄自由民主党

○濱田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————

濱田幸雄自由民主党

○濱田委員長 次に、警察に関する件について調査を進めます。  質疑の通告があります。この際これを許します。阪上安太郎君。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 私はきょうは例の毒入りブドウ酒事件について若干御質問いたしてみたいと思います。  御案内のように、この事件は三月二十八日の夜三重県の名張市でありますか、薦原地区の公民館において発生したようであります。集会は例の生活改善クラブの三奈の会、その役員改選総会の宴席において、ブドウ酒に混入された農薬によって十九名の女子会員が被害をこうむっております。しかもそのうち五名が死亡しておる、十名が重態である、こういうような事件であります。  もちろんきょうは私も警察の専門でもありませんし、同時にまたそういった事件の推理探偵小説家でもありませんので、そういう専門的な捜査の問題について私は伺おうとは思っていないのであります。きょう特に聞きたいのは、あの事件、それからそれ以前にあったいろいろな農薬事故を考えてみましても、どうも農薬の取り扱い方というものが非常に粗雑であるという印象を受けております。しかも農薬の中にはきわめて毒性の強いものもあって、わずかな一グラムないし五グラムくらいでもって五十名も六十名も致死になるというような大きな毒性を持っておりますので、この取り扱いを十二分にいたしませんと、今後ますますこういった事件が発生してくるのじゃなかろうか、こういうように思うのであります。  そこで最初に警察庁長官に伺いたいと思うのでありますけれども、こういった毒物、劇物、特定の毒物というものに対する監督について、警察は全然その権限を持っておらないのかどうか。この点を一つまずお伺いいたしたいのでございます。  時間の関係からもう一点ついでに伺っておきたいのは、今までに起こったところの農薬による事故件数、そういったものについて一つお聞かせを願いたいと思います。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 お答え申し上げます。ただいまお話のございましたように、名張市におきましてああした殺人事件が起こったことは非常に残念なことと思うわけでございますが、ただいま御質問の農薬についての監督権、毒物、劇物等についての監督権ということにつきましては、直接的には厚生省、それから農薬につきましては農林省の方で指導監督をしておられるわけでございますけれども、これが犯罪に関連するというような予防の問題、また特にいわゆる劇物、毒物等の取り扱いについて犯罪が行なわれる場合については、これを当然警察で取り締まっていくという立場にあるわけでございます。  ただいま御質問の今まで起こりました件数でございますが、毒物及び劇物取締法違反といたしまして警察で検挙した状況を申し上げますと、昭和三十一年が百二十一件、百八十七人、二年が百二十一件、百四十四人、三十三年が百六十九件、百九十五人、三十四年が二百五十七件、二百九十四人、三十五年になりまして二百六十六件、三百十七人ということになって、年々増加する傾向にあるわけでございます。このおもな違反形態は、パラチオン、ホリドール等の特定毒物——毒物及び劇物を分けまして、毒性の特に強いものを特定毒物、それから毒性の比較的低いものを毒物、劇物というふうに分けておるわけでございますが、この違反形態は、特定毒物の譲り受け、譲り渡しの違反及び所持違反がおもなものでございます。  なおついでにちょっと申し上げますが、過失によりましてこういう農薬による中性を起こす、あるいは農薬を用いた自殺、あるいは農薬を用いた犯罪というような点を申し上げますと、農家が特定毒物を使用いたしまして、その防護措置が十分に行なわれないということで発生する中毒事件が多いわけでございますが、その中毒事故の発生は、三十三年が六百四十四人、三十四年が三百九十八人ということで、この面におきましては三十四年が三十三年より減っておるわけでございます。また農薬を用いた自殺でございますが、昭和三十三年は千五百十五人、三十四年が千三百七十三人でございまして、これも若干減っておる。それから農薬を用いた犯罪でございますが、この犯罪の被害者の数は、三十二年が三十九人、そのうち死亡が二十一名でございます。三十四年になりまして、被害者が九十八人、そのうち死亡者は二十人ということに相なっております。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 ただいま警察庁長官のお話によりますと、警察としては直接に監督権というものを持っていない、これはその通りであります。そして今発表になりました事故の件数を伺ってみると、殺人であるとかあるいはまた事故死であるとか、あるいはまたその他の自殺というようなものも含めまして、これはきわめて大きな死亡件数に達しておると思うのであります。これだけの犯罪の原因に使われておるところの農薬の取り締まり、これがどうも私は、先ほども言いましたように、大へん粗雑であるという感じが強いのでありますが、その原因はどこにあるかということを私なりに考えてみますと、こういった毒物、劇物、農薬というものに対する扱い方が、どうも不鮮明になっておるのじゃなかろうか、こういうふうな気がいたすのであります。そこで警察にそういう取り締まりの権限がないということでありますならば、農薬の取り締まりの権限は、あるいは監督は、どこが一体所管であるか、こういう点について一つお伺いいたしたいと思いますが、私の考えでは、これはおそらく毒物及び劇物取締法に基づいて厚生省がやはり監督の責任者ではなかろうか、こういうふうに思うのでありますが、牛丸薬務局長がおいでになっておるようでありますので、一つお答え願いたいと思います。

牛丸義留厚生事務官(薬務局長)

○牛丸政府委員 ただいま御指摘のように、農薬のうちで毒物、劇物に該当するものは毒物及び劇物取締法という単独の法律がございまして、その法律によって私どもの方で取り締まりを実施しておるわけでございます。しかし、その法律の内容といたしましては、主として毒物、劇物の製造業と輸入業並びに販売業が主でございまして、もちろん販売業から個々に買う場合には、たとえば毒物、劇物の譲渡は書面で名称及び数量、販売年月日、氏名、職業及び住所の記入が必要でございますし、それから年令は十八才未満ないし精神病者等には譲渡してはならない、並びに表示につきましては医薬用外毒物の表示を行なうというような、管理につきましても相当厳重な規定はございますけれども、しかし法律の主たるねらいは製造業、輸入業並びに販売業の段階におきます取り締まりというものが毒物及び劇物取締法の主たるねらいでございまして、その販売業から譲渡されました個々の農家にいきました毒物、劇物の管理につきましては、特定毒物につきましてはその点がさらに厳重に取り扱い者が規制されておりますので、これは相当の規制がございますけれども、それ以外の毒物、劇物については、ただいま申し上げましたように、製造、販売の段階における取り締まりということが法の構成の内容となっておるわけでございます。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 そこで農林省の石倉植物防疫課長さんに伺いますが、そうしますと、防除者といいますか、これは農薬取締法によってきめられた防除者であって、その防除者に対するところの監督、取り扱い等に対する監督については、これは農林省がやるということになるのですか。この点を一つ伺いたい。

石倉秀次農林技官(振興局植物防疫課長)

○石倉説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。農薬の使用につきましては、ただいま厚生省からお話がありましたように、特定毒物につきましては、毒物及び劇物取締法施行令の中におきまして使用者の制限がございます。しかしそれ以外の農薬につきましては、農薬を使用する者及びその使用方法については、現在のところこれを規制する法規がございません。農薬の使用につきましては、農薬の防除効果を高めるように、農業改良普及制度そのほかの指導組織をもって、農薬の使い方について指導を加えておるのが現状でございます。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 これでだいぶ明らかになってきたのでありますが、厚生省の方では毒物、劇物、特定毒物、これの監督について、特に使用者に対する監督についてはない。厚生省の方では、ただ製造、販売、輸入、こういったものについての監督権を持っている。農林省の方に伺うと、農薬取締法に基づいて、防除者というものに対するところの監督というようなものもこれまたない。そしてあるのは植物に影響を与えるような、害毒を与えるような点におけるところの取り締まりが大体農林省がやっているところの取り締まりである。こういうことになってくると、一番大事な、そして先ほど警察庁長官からも御報告のありましたような事故を起こす原因の直接の取り扱い者に対してはだれもが監督していない、私はこういうことになるのじゃないかと思うのであります。  そこで、この際一つ伺っておきたいと思うのでありますが、今回の殺人を起こしたところの毒物は、毒物であろうと思うのでありますが、これはどういうものであるか、捜査の過程でおわかりになった点を伺いたいと思います。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 ただいまお尋ねの毒物の種類でございますが、事件の起こりました当日、直ちに警察の方から医者を要請しましたし、二十九日になりまして三重医大の舟木助教授の執刀のもとに、最初に死亡した人と最後に死亡した二人について解剖を行なった結果、有機燐性の毒物による中毒死というふうに認定されたわけでございます。その後ブドウ酒につきまして警察の方で鑑定を、これは県警察の鑑識課と県の衛生研究所におきまして鑑定いたしましたところ、やはり毒物は有機燐製剤であるチップであるというふうに確認されておるわけでございます。なお被疑者の供述によりましても、これは市販の商品名ニッカリンと申すチップであるということになっておるわけであります。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 そこで厚生省にお伺いいたしますが、この有機燐製剤であるテップ剤というのは、この毒物及び劇物取締法の別表のどこに該当するものでありますか。もちろん劇物でないと思います。そうすれば毒物である。それば特定毒物であるか、毒物であるか、どこに書いてあるか、お知らせ願いたい。

牛丸義留厚生事務官(薬務局長)

○牛丸政府委員 一般に有機燐製剤は特定毒物でございますが、このチップは一般の毒物でございまして、この別表の第一に該当するわけであります。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 それは別表のどこに書いてありますか。

牛丸義留厚生事務官(薬務局長)

○牛丸政府委員 別表第一の十一の「テトラエチルピロホスフェイト及びこれを含有する製剤」この中に入っております。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 これが有機燐製剤ですか。

牛丸義留厚生事務官(薬務局長)

○牛丸政府委員 そうです、テップでございます。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 そこで、この際もう一つ警察庁長官に伺いたいのですが、このテップ剤の入手経路というものは捜査の過程ではっきりいたしておりますか。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 昨年の八月、名張市新町の黒田薬局から茶消毒用として購入したものでございます。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 厚生省に伺いますが、毒物及び劇物取締法の十八条、これに「当該職員の職務を行なわせるために、国及び都道府県に毒物劇物監視員を置く。」ということになっておりますが、この監視員は、名張市のこの事件に関する限り一体どこに置いてあるのですか。

牛丸義留厚生事務官(薬務局長)

○牛丸政府委員 三重県の衛生部の中に薬事監視員がおるわけでございますので、それが監視の責任に当たっております。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 今回のこの薦原におけるところの監視状況は、この監視員によってどういうふうに平常なされておったか、お聞かせ願いたいと思います。

牛丸義留厚生事務官(薬務局長)

○牛丸政府委員 まだ現状をそこまでは私どもとして調査しておりませんけれども、一般の通常の状態における監視は、そういう製造業なり販売業に立ち入って、随時監視する職権を持っておるわけでございますので、その程度の監視でございますし、特にこの場合の農薬入手についての点とは直接は関連を持っていないんじゃないかというふうに私は推測いたします。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 この監視員は、使用者の側の方へも立ち入り検査することができるようになっていると私は法文を解釈するのです。これはどうでしょう。

牛丸義留厚生事務官(薬務局長)

○牛丸政府委員 法の十七条には、「製造所、営業所、店舗、研究所その他業務上毒物若しくは劇物を取り扱う場所に立ち入り、帳簿その他の物件を検査させ、関係者に質問させ、」云々という規定がございますので、使用者へのただいまの御質問が、この製造業なりあるいは販売業から販売、譲り受けを受けて直接使用するものということになりますと、これはこの法律以外でございますし、業務上の立ち入り権限は農家にまでは及ばないというのが、私どもの解釈でございます。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 そうすると、農林省でも防除者に対するところの立ち入りその他の検査をすることができない、こういうことになっておるのですか、農林省にお尋ねいたします。

石倉秀次農林技官(振興局植物防疫課長)

○石倉説明員 お答え申し上げます。先ほど農薬取締法の中の防除者云々ということに関連して、ただいまの御議論をされておるかと思いますが、この農薬取締法は、全文をお読みになっていただきますとわかりますように、農薬の登録及び販売に関する事項並びに農薬を用いて防除を業とするものを取り締まる法律でございます。農家が自己の圃場に対して防除をやります場合には、これを私どもは防除業者というようには解釈しておりません。従いまして、私が先ほど申しましたように、農家が自己の農作物に対して農薬を便って防除を実施いたしますのは、指導奨励上の面から農薬の本来の目的である使用目的に対しての指導をしておるわけでございます。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 もう一度確かめておきますが、それでは防除者に対し、あるいは個人の使用に対し、農林省も厚生省の方でも全然監督することができない。新聞等に報じておる全く野放しの状態に置かれておるということは事実でありましょうか。それはどういうふうにわれわれ解釈していいのでしょうか。両方の解釈を伺っておきたいと思います。

牛丸義留厚生事務官(薬務局長)

○牛丸政府委員 私どもの方からお答えいたしますが、農薬のただいまの使用——販売業なり製造業から買い受けて使用する、それに対してこの法律の業務上の立ち入り権があるかないかという御質問に対しては、私はないと答えたわけでございますが、しかし農薬が毒物、劇物で非常に危険であるという観点から、私どもはこの取扱いについては非常に強く関心を持っておるわけでございまして、毎年有機燐の製剤の農薬による危害というものを防止するために農林省と共同で有機燐製剤の危害防止運動というものをやっているわけでございます。そういう指導面におきましては、医師会、薬剤師協会、農薬工業会、あるいは農協、農業共済組合、市町村会、放送報道機関というようなものの協力を得まして、危険防止のための運動を毎年定期的に繰り返しておるわけでございますし、特に本年におきましては、世界保健デーというものが四月の七日にあるわけでございますが、国際的視野におきまして、今年は事故とその防止が世界の各国共通のテーマとなっておるようなわけでございますし、特に本年はその点について力を入れて、現在その準備をしているのでございますが、本年に限らず、これは農薬の現状におきまして毎年私どもとしては危害防止の指導というものについては万全の策をとっているわけでございます。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 そこで警察庁長官に伺いますが、捜査の過程において、今回これが入手された経路というものが明らかになってきたのであります。多少捜査上の微妙な点に入ると思うのでありますが、今回の捜査のやり方を新聞等で見ておりますと、人的関係が非常に多く捜査の対象になっておる。そうして県立衛生研究所で、警察の依頼によって、これから有機燐剤であるということがいち早く検出されておりますけれども、その場合に、こういった特殊な、しかもこれはあとから類推することでありますけれども、この奥西勝の家だけしかあの付近では使っていないチップ剤であります。こういうことになっておるのでありまするが、この場合に、今厚生省が言われておるように、使用者には直接には何らの監督もしていない、ただ指導しているだけだ。けれども、販売者は法に基づいて帳簿その他の記載事項というものは厳格に規定されているわけであります。そういった一般毒物であるということでありますので、警察としてはいきなりそこへ頭を持っていかなければならなかったのではないか、こう思うのであります。そうしてこの付近におけるこの種の毒物の使用者はだれか、だれが販売したかということについては、これは手を打たれたと思うのでありますけれども、一体なぜそういったところに端的に捜査の手が伸びなかったのか。伸びなかった理由については、帳簿が明確でなかったとか、何かそこに販売上の法に基づくところの措置がとられていなかったという欠陥があったために、そういう方向へ捜査が進んだのか、これを一つ伺いたいと思います。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 私も逐一報告を受けてだんだん詳しくなってきている程度でございますので、捜査がどういう経過をたどって、今御指摘のような点に手落ちがあったかどうかというような点まで確認するに至っておりません。現在までのところは、もちろん外部の物的証拠、聞き込みその他ももちろんやっておりますが、大きい線として出ておりますのは、奥西勝の自供が非常に有力な容疑のもとになっておるわけでございまして、目下これの裏づけ捜査に力を注いでいるような状況でございます。現地では今御指摘のような欠陥のないように相当注意深くやっておったものと私は考えますけれども、その辺の詳細な点を承知いたしておりませんので、ここでどういう欠陥があったか、こういう点は手落ちだということを申し上げる段階にございませんので、御了承願います。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 毒物及び劇物取締法の三条の二の三号でありますか、特定毒物使用者の登録ということが義務づけられていると思うのですが、この点、牛丸さん、どうですか。

牛丸義留厚生事務官(薬務局長)

○牛丸政府委員 特定毒物につきましては、施行令におきまして詳細な規定がございますし、特定毒物の管理につきましては、単に製造、販売の面だけではなくて、使用者及び用途について政令の十六条に規定がございまして、使用者も、国、地方公正団体、農業協同組合その他の都道府県知事の指定を受けたもの、あるいは用途も農作物の害虫の防除というようなことで規定をされておりますし、特定毒物に関しましては単に販売の段階でなくして、使用並びに用途についても相当厳密な規制がされているのが法の建前でございます。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 そうすると、これは特定毒物ではなかったので、全然そういった配慮、手続、監督等が行なわれていなかった、こういうことになると思うのであります。この問題をいろいろ問題にしておりましてもきりがありませんが、一体どうなんでしょうか。警察も監督権がない、厚生省も監督権がない、農林省も防除者に対して監督権がない。しかも事故があのように多く発生しておる。それの防除の対策として、両省では指導で危険を犯さないようにしよう。ところが一方において自殺とか犯罪とかにこれが使われているわけであります。自殺とか犯罪とかに使われているということでありますならば、ただ単に指導だけやっていたって、これはますます毒性が強いものであるからこれを飲めば死ぬのだ、これを一服盛れば殺せるのだということに自信をつけさせるだけであって、そういった面から考えてみたら、何の役にも立たないのではないか。こんな事件がこれだけ出て、非常に悲惨な事件でありますけれども、そういったふうに全然野放しになっているということについては、国の責任ではないかと思う。一体今後こういう問題についてどういうふうに善処されていくか。きょうも農林省の発表によると、野放しの管理を再検討していかなければならぬということで、農林省では対策協議をした、こういうことになっておりますが、「飲食物に混じって使われたため事故が起きた例もあるので、保管場所には必じカギをかける。」これは毒物、劇物取り扱いの中ではっきりしておるのではないですか。それから「個人使用を止めさせ、形式だけの取り扱い資格者をなくし、共同使用にさせる。」この問題についても、法ではっきりしているのではないかと私は思うのであります。それからまた「買い入れの方法もきびしくし、市町村長に届けさせ、使う時は保健所にも届け、風の強い時にはまくことを禁止したり、まく時は赤い旗を畑にかかげる。」「使い残りについても、農協や県農林当局がキチンとあと始末をつけさせるよう指揮する。」こういうことをうたわれておるのですが、これは毒物及び劇物取締法でも農薬取締法でも、こういうことをやらなければならぬようになっておると思うのですが、これはどうでしょう、農林省から一つお答え願いたい。

石倉秀次農林技官(振興局植物防疫課長)

○石倉説明員 ただいまの点はパラチオン剤等特定毒物に指定されております農薬につきましては、現在でも御指摘のような措置をとっておるわけであります。ただ御承知のように、全国の農家が約六百万戸ございますので、かりに特定毒物に指定されておりません農薬が個々の農家まで流通いたしますと、なかなか現実の問題としまして全部にかぎをかけて保管を命ずるというようなことも困難な点がございます。そのような意味におきまして、端的に申しますと、今回事故のありましたテップ剤というような毒性の強い農薬につきましては、保管ないしは取り扱いの面で厚生省側と協業いたしまして規制を検討しなければならない点が確かにあると存じます。しかしながら、農薬はすべてがそのように毒性が強いものばかりじゃございません。最近はいろいろと有機燐剤の中でも人畜にほとんど毒性がない、と言いますと語弊があるかもしれませんが、まあDDTあるいはそれ以上に安全な農薬も出ておりますので、今後はむしろそのような毒性の低い農薬の利用を指導奨励するというような形に持っていくということが、農林省としては考えていきたい方針でございます。  なお、毒性の強い農薬を使用いたします場合には、個々の農家に農薬を保管させるということは、いろいろな点で支障のある事態を起こしますので、ただいま御指摘の共同防除を徹底すること、共同防除を徹底いたします場合になりますと、農業協同組合あるいは農業共済組合、そのほかの組合あるいは組合の下にあります防除班の単位で保管する形になりますので、農薬が目的外の面に流れるということは防止できるのではないかというように考えております。その過程におきまして、新聞に書きましたように、保管、受け渡しというようなものの確実な実施を極力指導していきたいというふうに考えております。  農林省としまして申し上げたいことは、農薬の使用につきましてあまりに厳重な制限を加えますと、かえって農業生産を萎縮させる面もございますので、将来は、先ほど申しましたように、低毒性の農薬を使わせるということを推進することを主体として、農薬全般に対して厳格なる取扱い上の規制を加えるというようなことはなるべく避けていきたいというように考えております。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 私が言っておるのはそういうことじゃない。さっきからはっきり言っておるように、大体毒物、劇物、特定毒物の扱い方について、販売までの監督権が厚生省にあるんだ、こういうことははっきりしておるのであります。そうして農薬取締法の目的は、明らかに食物を劇物あるいは毒物から守っていこうということである、あわせて人畜等に被害を及ぼすような毒物についての取り扱いについても配慮をしようということははっきりしておるのです。私は何も農薬全部について、毒性も何もないものについて、危険性もないものについて強硬に取り締まれというようなことは言っていない。ただ毒性を持っておる、毒物であると規定されておる、毒物及び劇物取締法によってちゃんときまっておるものについての扱い方は、やはり農林省としても特に防除者の保管とか使用とかについて指導するばかりでなく、もう少し取り扱いを厳重にする必要があるのではなかろうか、こういうことを言っておるのです。全部取り締まりを強化しろなんていうことは言ってないのであります。ところが、今回の事件についてもいわれておることでありますけれども、真相ははっきりいたしませんけれども、このチップ剤の入っておったびんの使い残りは、川へ捨てておるが、これは大へんなことだと私は思うのであります。そのこと自体に別にだれもが関心を持っていないほど農薬の取り扱い方は一般的にルーズになっているのではないか、こう思うのであります。こういうようなものを川に捨てるというような考え方自体が実にルーズであります。またそれがあまり問題にならない。捜査の点からいっても、そのびんを探すことに一生懸命になって、川に捨てたものがさらに他に害毒を及ぼしていくというような配慮がなかなかとられていない。またあなた方が指導しているという中には、新聞が報じているところによると、粉剤のようなものについては焼き捨てる、しかし液状のものについては土の中へ埋めるというようなことを指導されておる。そんなものの考え方で軽率に扱っておられる。これはほんとうにあなた方の方で取り締まらなければならぬ問題だと私は思うのですが、その取り締まり当局の考え方が、法律にないからというので、何か便法的に政令その他でもって、あるいはまた直接に行政指導その他で指導しておられるのだと思うけれども、土の中へ捨てて埋めるというような程度でもってこの問題を解決されては困るのではないか。ことに残液の回収などという面についてはどこも監視、監督していない。その結果、人を疑ってはいけないけれども、そういう廃液、残液というふうなものがまた一ところに集められて、それが再び販売の対象になっておるとまで世間ではいわれている。おそらく今回のこの事件につきましては、捜査の手で販売者というものがはっきりわかってきておるでありましょうが、そういった販売の経路からはずれてしまって、すでに処理されたものとされているところの液が、再び防除者の手に渡っておるというような事実が容易に判断できるのではないかと私は思うのであります。一たん防除者の手に渡ってしまえば、厚生省の方では全然われわれは知らないのだということにこれはなっておるのでありますが、こういった点について厚生省の方で毒物及び劇物取締法を改正して何とかするとか、あるいは農薬取締法については、監督の問題ではなくて指導の問題だからといってそれはそのままにしておいてもいい、そのかわりに一方の厚生省関係法案の中でこの問題を取り上げて、十分に防除者まで監督できるような方向に持っていくのか。こんなことは簡単なことであろうとわれわれも思うし、過去のいろいろな事件にかんがみても、もう措置されていなければならぬはずだと思うけれども、こういったことが措置されていないという。農林省と厚生省の間にいざこざがあって、なわ張り根性からそういうことができないのか、そういう点についてここ二、三年来の経過をこの際一ぺん正直にお話し願えば非常にけっこうだと思うのですが、両方から言って下さい。

牛丸義留厚生事務官(薬務局長)

○牛丸政府委員 毒物、劇物の中で特に特定毒物に対しましては、使用者の段階にまで厳重な規制をやっておるわけでありまして、たまたまチップが普通の毒物でございまして、今度のような不祥な事件はそういうところも原因して起こったかと思いますが、チップにつきましては、これを特定毒物に指定することが必要ではないかという意見が農林省の方にもございますし、私どもの方も、これは早急に検討すべきではないかと思っております。一つは現行の法律におきまして、そういう毒性の特に強いものを最大限の規制の段階に置く特定毒物に指定して、その面で規制をするということも一つの考え方でありますが、しかし、ただいま御指摘のありましたように、毒物及び劇物取締法につきまして私どもは再検討いたしたいという考えを持っております。また農林省との間におきましては、そういう所管争いとかそういうふうなことは一つもございません。緊密な連絡をとりましてやっておるわけでございまして、そういう面からの市政あるいは何か問題が生じたということは、私は絶対にないということは断言できると思います。

石倉秀次農林技官(振興局植物防疫課長)

○石倉説明員 お答え申し上げます。農林百としまして、先ほど来御指摘のように、実際農薬を使って防除をする農家が、毒物に該当するような農薬を使うことを規制するような措置をとってほしいというような御要望でございますが、これは私は考え方としては大へんけっこうなことで、できることならそういうようなところまで持っていきたいと考えております。ただ、先ほど申しましたように、六百万の農家を対象といたしますと、なかなか困難な問題がございます。繰り返すようでございますが、毒性の強いものは共同防除という形で使わせるというようなことが実質的な解決の方法ではないかというように考えております。  それから厚生省と農林省との間のなわ張り云々ということでございますが、これはただいま申された通り全然いざこざはございません。私の方の農薬班、厚生省の薬事課そのほかの課との間に非常に密接な連携をとっておりまして、毒性の観点からどのように取り扱うべきかということにつきましては、厚生省の御指示に全面的に従い、その考え方を実際防除の上にどのように生かしていくかという技術的な態勢をわれわれの方で考えていくというように処置しております。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 今共同防除ということを言われましたが、現行法では共同防除という形のものはないのですか。

石倉秀次農林技官(振興局植物防疫課長)

○石倉説明員 特定毒物につきましては農業協同組合、農業共済組合、市町村あるいは知事の指定する農民の組織する団体が行なう防除という形で表現しております。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 最後に、一つ警察庁長官に伺いたいのですが、この毒物及び劇物取締法の十七条の三項に「第一項の規定は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。」こういうふうに言われておるわけなのであります。そこで、もちろんそうだと思うのでありますが、従って厚生省の販売までの監督権というものが大きくここで取り上げられておって、それが「犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。」というものの考え方は、この種のものに対しては一切あなた方はタッチすることができないというふうに解釈することができるのですか、この点はどうですか。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 この十七条の三項の規定は、いわゆる厚生省の系統、厚生大臣、都道府県知事がこういう立ち入って検査をするということは行政目的上の行き方であって、犯罪捜査、司法手続のものではない、こういう意味だと思います。従いまして、そこに犯罪ありと思量した場合に、警察官が捜査のために令状を持って立ち入るというようなことは、これは当然できるわけです。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 そうすると、厚生省ではやはり販売までのものについては全責任を持って監督しなければならぬ、こういうことになると思うのであります。今回の名張の場合における販売、あれだけの時日を要して、やっと販売店がわかったということになっておりますけれども、これは帳簿上——先ほどもちょっと伺ったのですが、はっきりと法に基づいて監督を受け、また法に基づいた処理もその販売店はやっておったかどうか、この点についてお知りだったら一つ伺います。

牛丸義留厚生事務官(薬務局長)

○牛丸政府委員 ただいまのところまだそこまで存じ上げておりませんが、至急調査して、わかりましたら御報告いたします。

田中榮一自由民主党

○田中(榮)委員 ちょっと関連して。今の名張の毒酒事件につきまして警察庁長官にちょっと御質問したいと思うのですが、きょうの朝日新聞の十一面でございますが、そこに「毒性農薬野放し管理を再検討」という題でこういう記事が出ております。「警察庁の調べによると、農薬による最近の事件は、昨年八月埼玉県南埼玉郡の農村で牛乳にパラチオンを入れて近くの親子三人を殺した。また熊本県では、昨年中にタイミソやツケものにパラチオンを入れた毒殺事件が続いて四件もあり、本年一月には、広島県因島市で「チップ」入り青まんじゅうによる殺人があった。」おそらくチップその他の農薬によるところの犯罪というものが相当ほかにもあるのじゃないかと思うのですが、こういうような事件を通じまして、農薬を利用するところの犯罪というものに対して、警察庁は農林省なり厚生省に対して取り締まりについて注意、警告その他何か連絡をとって注意を喚起するという措置を講じたでしょうか、どうでしょうか。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 ただいま御指摘のように、また先ほど私申し上げましたように、農薬が犯罪に使われているという事例はあるわけでございます。ただ、ただいまお話しのように特にこのことで農林省に対して農薬の取り扱いについて注意を喚起したということは、私は承知いたしておりません。

田中榮一自由民主党

○田中(榮)委員 ただいま警察庁長官の御報告によりますと、三十三年に農薬による中毒事件が六百四十四人あった。それから農薬を利用して自殺した事件が三十四年度においては千五百十五人、三十五年度には若干減って千三百何人、それから農薬利用の犯罪が三十三年には三十九人ある。そのうち死亡が二十一名。それから三十四年にはその倍以上の九十八人もあって、そのうち死亡者が二十名あるという御報告を受けたのでありますが、やはりこうした犯罪の具に農薬というものが利用されて、全国にかような多数の自殺者なり中毒事件なり犯罪が起こっているとすれば、やはり警察当局としても、農薬並びに善性農薬の取り締まりについては、私は相当注意を喚起するとかなんとか、これを取り上げて厚生省もしくは農林省に対して厳重なる警告を発しておいた方がよかったのじゃないか、こういう措置をおとりになっておいた方がよかったのじゃないかと思うのですが、それに対する警察庁長官のお考えをお伺いしたいと思います。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 農薬の中毒事故等につきましては、先ほど農林省の方からお話がございましたように、農林省、厚生省、さらに警察も加わって、いわゆるチップ剤等についての災害防除の運動というものを、毎年農薬を多く用いる五月ごろを中心にして展開しておるわけでございます。そういうことで最近そういう中毒の件数というものはむしろ減っておるという状況でござまいす。今お話しのような点、さらに注意しておればよかったということは確かだと思いますが、私は、農薬についてやはり適正な取り扱いについての配慮というものが、もちろん厚生省、農林省等でなされておるものと思いますが、さらに状況に応じてそういう適正化をはかっていただくということは、これは非常に必要なことだと思います。ただ農薬というものの持つ効用性という点からいって、あまりこれまた厳格にするということでありますと、それによってあるいはこうした犯罪とかなんとか、そんなものを防止する面に役立つ面もございましょうけれども、一面農業振興というようなことにマイナスになる面も出てくる、そういうかね合いが大事ではないかというふうに思います。今後よくまた関係当局とも連絡をして善処していきたいと思います。

田中榮一自由民主党

○田中(榮)委員 最近の農薬の利用状況というものは、各農村におきましてきわめて手広く利用されておるようであります。新聞によりますと、年間生生額は約二百五十億、そのうち特定毒物が三十五億もあって、全国の農村には大量にばらまかれておるというふうに書かれておるのでありますが、今後増産をする上におきましては、私はやはり毒性農薬を利用する範囲も相当広くなるのではないかと考えておりまするが、先ほど農林省の課長のお話によりますると、やはり生産が大事だから毒性農薬の方の取り締まりもそう厳重にやることもいかがかと考えるということでありますが、私は、毒性農薬の利用と取り締まりというものはやはり厳然と区別して、利用すべきものに大いに利用する、取り締まるべきものは大いに取り締まらなければ、これは増産にも役立たないのではないか、かように考えるのです。そこで今回の名張の事件に考えてみますと、奥西勝という者がブドウ酒に入れました農薬というものは、これは奥西という者が防除の責任者になって当然これを持っておりて差しつかえないものであったか、どうでしょうか。その際自宅から竹筒に入れて宴会場に持って行ったというのですが、これは持っておって差しつかえないもの、不当でないものかどうか、これを一つお伺いしたいと思うのです。

石倉秀次農林技官(振興局植物防疫課長)

○石倉説明員 二点お答え申し上げます。  第一点の方は、私、先ほど毒性の強い農薬も農業生産の維持増大のために使うのはやむを得ないのじゃないかというようにおとりになったように拝聴いたしましたが、私申し上げたいことは、先ほど申しましたように、最近ではぼつぼつ毒性の低い安全な農薬が出て参っておるので、現在は一つの過渡的な段階であり、毒性の強い農薬は農林省としては次第に規制を強化して、毒性の低い農薬に切りかえていくというように考えております。その点御了承願いたいと思います。  第二の、奥西勝さんがテップを保持しておることが合法的かどうかという問題でありますが、テップ剤は、先ほど来お話ししておりますように特定毒物ではないのでありまして、これは毒物購入の手続をすればどなたでも買って保持することができるという農薬でございます。

田中榮一自由民主党

○田中(榮)委員 先ほど厚生省の課長のお話によりますと、チップ剤を特定権物に法令を改めてこれを格上げをして、それによって取り締まりを厳重にするということでございますが、私どもしろうとの考えでは、法令を改正して毒物の格上げをしましてやることもけっこうだと思いますが、さらにこれをメーカーなり販売者が下に流して、これを取り扱う者の監視を十分皆さん方の視野の中に入れておかれないと、いかに法令をこまかく改正いたしましても、実際には農家が使うのですから、農家の十分なる理解と協力がないと、私は取り締まりの目的を達成することはできないと思うのです。そこで現在六百万の農家が劇毒物を使って生産増強に努力しているわけですが、こういう農薬を犯罪に使うということは、これは全く異例に属することですが、そうでなくて、中毒事件とかあるいは自殺であるとか、そういうこともあるということを見れば、われわれは農薬の取り扱いというものをもう少し厳重に、あるいは農業協同組合もいろいろ運動をなさっておると思いますけれども、これについてもう少し取り締まりの権限を徹底さしてみたらどうであろうか。たとえば防除班が使った農薬というものは、それはどれだけ使ったか、あとの保管をどうするか、どこにしまってあるか、農家個人々々の手にそれを渡さぬようにして、それを農業協同組合の倉庫にさらにまとめて保管しておくとか、使用後の処置といいますか、管理を厳重にやらせる必要があるのではないか。おそらく私は、奥西がそれをもらって、それでそのあとの残ったものを、協同組合なら協同組合に返すべきものを返さずに、そのまま個人が持っておった。こういうところが、犯罪に使用されたという一つのチャンスを与えたと私は思うのですけれども、その点について、今後取り締まりをどういうふうにしたら徹底できるか。これをまたここまで取り締まりする必要があると私は思うのですが、はたして現在の状態でできるか、どうか、その点をちょっと承っておきたい。

石倉秀次農林技官(振興局植物防疫課長)

○石倉説明員 お答えいたします。ただいまの御趣旨はまことにごもっともだと思います。それで先ほど私申し上げました保管、受け渡しの確認ということでございますが、これを個々の農家の単位までおろしてやるということは、現実の問題として無理ではないかというふうに考えております。毒性の強い農薬につきましては、先ほど来再再申し上げましたように、共同防除を対象にして使わせる。共同防除になりますと、保管の責任者も確定しますし、その人数も制限されて参りますので、たとえば帳簿をつけるとか、あるいは使用後にまた農業協同組合なり何なりに戻して保管をするということができるわけであります。現在では、特定毒物についてはそれが行なわれておりますが、使用量は先ほどパラチオン剤が三十五億というふうにお話しされておりましたが、その使用量に比較しますと、私は事故が少ない方じゃないかと考えております。従いまして、毒性の強い農薬は、特定毒物の範囲を厚生省側において再検討していただきまして、そしてそのワクに載せ、そのワクに載せることによって、ただいま御指摘のような受け渡し、保管あるいは使用後の跡始末というようなものの徹底を期するということが、実質的な対策ではないかというように考えております。

田中榮一自由民主党

○田中(榮)委員 大体よく事情は了承いたしましたが、最近農林省と厚生省で、毒性農薬の野放し管理を再検討して、これを適正な管理に移すという記事がございますが、私は今回の事件が起こったことを、一つ災いを転じて福となすという意味において、早急に——ただいま阪上委員からも、農林省と厚生省に大きなみぞがあるんじゃないかというような御質問があったのでありますが、われわれも何だかそういうように両者の間にいろいろとなわ張りのためにこれができなかったのじゃないか、一般論として、そういう疑惑を持つものでございますから、できるだけ早急に法令を改正すべきものは改正をし、取り扱いについて厳重に農村の方に申し渡しをして、また農民の理解と協力を求める点があったならば、運動をさらに展開して、再びこうしたことのないように、十分一つお取り扱いの点について御注意を願いたい。こういうことを申し上げて私の質問を終わりたいと思います。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 厚生省にお伺いいたしますが、このチップ剤が特定毒物に指定されていない。杯一ぱいで五十人死ぬんでしょう、そうじゃないですか、そういったものがこの特定毒物のワク内に入っていない。この別表第三の八号によりましても、「前各号に掲げる毒物のほか、これらと同等以上の毒性を有する毒物であって政令で定めるもの」ということになっておりますが、政令でも定めてない。一体これはどういうことなんですか、なぜこれがはずされておるのか。

牛丸義留厚生事務官(薬務局長)

○牛丸政府委員 チップは有機燐製剤の一種でございますので、一般的には当然パラチオンと同様に特定毒物に指定すべきものというような考え方もあるわけでございますが、それがパラチオンその他の特毒と違います点は、毒性そのものは強いけれども、残効が非常に弱いわけでございまして、すぐ分解しやすいということがテップの性質のようでございます。従いまして、農薬として使用される限りは事故の発生率は非常に少ないわけであります。そういう観点から、これを悪意で他殺に用いるというような、そういう犯罪に用いることは別としましても、通常の用法において、監督指導の必要がもちろんあるわけでございますが、現在特定毒物に指定されなかったという理由のようでございます。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 何かそこらにわけのわからぬところが出てくるのでありますが、これは農薬として使おうと、何に使おうと、やはり毒性を利用しようということだと思います。その毒性の消えるのが早いから、だからこれは特定毒物には入らない、ここに羅列されてあるそんなものは、そういうものの考え方なんでありますか、たとえば二表に「しきみの実」なんてありますね。しきみの実と同じように、杯一ぱいで五十人も殺すことができるような猛毒性を持っているものとしきみの実と同じような考え方で羅列されておるということになるのじゃないかと思うのです。今言われたように、農薬として使う場合には毒性が早く消えるからこれは特定毒物の中に入れてない、どうもわれわれは納得できないのです。もっと何か科学的な根拠をもってこういう毒物なり、劇物なり、それから特定毒物なりということになってくるのじゃないかと思うのですが、今の御説明では、きわめて非科学的なような感じがするのであります。しかも使う場合は、毒性を高度に利用しようとして使っているのじゃないかと私は思いますけれども、消えるのが早いから、だからこれは特定毒物に指定していないのだ、ほかにこの中でそういうような例があるのでありますか。何か科学的な根拠をもう少し説明してもらいたいと思います。

牛丸義留厚生事務官(薬務局長)

○牛丸政府委員 私も専門家ではございませんので、はっきりわかりませんが、今うちの技官が一緒に来ておりますから、技官から答弁させていただきます。

浦久保五郎厚生技官

○浦久保説明員 失礼ですが、私から御説明申し上げます。特毒と毒物と劇物の指定の基準といたしましては、実験で動物に与えます。その口から入れて、胃の中に入れて、そして動物の死ぬのを観察いたしまして、五〇%致死量と申しますが、動物の半分が死ぬというその量をきめます。その量が動物の体重一キログラム当たりに対し十五ミリグラム以下のものを特毒とし、三十ミリグラム以下のものを毒物、三百ミリ以下のものを劇物、それ以上は普通物として、指定しておりません。そのほかに、今申し上げましたのは急性毒性の動物が死ぬことを観察するやり方でありますが、そのほかに、たとえば皮膚につける、皮膚から中に入っていきやすいかいきにくいか、そういうことを多少勘案してきめます。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 そこで、あなたにお伺いいたしますが、どうもそれではわれわれ納得できないのですが、この別表第三の特定毒物の第七に、何か舌をかむようなものが書いてあります。「オクタメチルピロホスホルアミド及びこれを含有する製剤」というのは、具体的にはどんなものがあるのですか。

浦久保五郎厚生技官

○浦久保説明員 御返事します。そういうふうな言い方をしませんと正確でないのでそう言っております。ペストックス3と言っているのが一般名でございます。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 その3の製剤と、それから今言っているテップ剤ですね、これとの毒性の度合いというのは、先ほどあなたが注射でモルモットが死ぬ速度だとか何とか言っておられたけれども、一体われわれの常識なんですけれども、杯一ぱいで五十名以上殺すことができるような毒物というものが特定毒物に入らないで、一般薄物として一表の毒物として扱われておる。ところが二表の毒物を見るとしきみの実とか何とかありますね。これは昔から毒性があるように言われております。そんなものと同じように扱われている。しかし今聞いていると、何とか3というらしいんですが、それとチップ剤、有機燐製剤というんですか、これとの毒性の比較において、テップ剤の方が劣っているのですか。

浦久保五郎厚生技官

○浦久保説明員 御返事をいたします。しきみの実と申しますのは劇物でございますので、しきみの実と今のチップとの毒性の差は非常に開いておりまして、しきみの実の方がずっと安全なわけです。それからテップとペストックス3は、しきみの実とチップほどは違いませんで、少し違います。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 私は、これはどうももう少し的確な説明をいただかぬと、ただ単に農薬として多く販途を求めて売らんがために、これは大して特定毒物でも何でもないのだ、これは別表の一つの毒物であって、取り扱いその他についても非常に緩和されている。だからこの薬をどんどん使いなさいというようなものの考え方でもって、こういったものが特定毒物に入っていないのじゃないかと私は推測するわけです。先ほどから説明を聞きましても、ちっともはっきりしませんよ。私は、モルモットかネズミがどういうふうに死ぬのかわかりませんけれども、少なくともコップ一ぱいでもって五十名も死ぬのだというような有機燐製剤ですか、これが特定毒物に入らないで、ほかに何かわけのわからぬのが入っておるということになっておりますけれども、こういう厚生省の扱い方それ自体に私はやはり問題があると思う。極端なことを言えば、今度のこういった事件についても、そういったチップ剤なんというものが重要に扱われておらない、特定毒物として扱われていないところに、案外犯罪の隘路があったのじゃないか、私はこんなふうにまで考えなければならぬように、今の説明から聞くとなるわけなんです。先ほどから伺いますと、これは牛丸局長さんですか、今度一つ入れなければならぬだろうと、こう言っておられる。そういうことでございました。そんなたよりないものでもってこの別表を作られておるのですか。これはどうもおかしいと思う。牛丸さんにもう一度お尋ねいたします。

牛丸義留厚生事務官(薬務局長)

○牛丸政府委員 今度の下作があったからという意味ではございませんが、チップ剤が有機燐製剤の一種でございますし、従来から問題があったわけございますが、私が先ほど申し上げたような理由並びに指定の当時はまだ非常に使用量も少なかったということもあるかもしれませんが、しかし今日の段階におきまして、ただいま御指摘がございましたように、別表のこの薬品というものは最近の薬品の進歩の段階に即応しておるかどうかという一般論になりますと、非常に疑問があるわけであります。そういう趣旨で私は毒物、劇物の取締法を改正する必要があるということを申し上げたわけでありまして、そうしますと、当然チップのごときものは特定毒物として一般の有機燐製剤として取り扱うべきじゃないだろうかという意見を申し上げましたので、ただいま先生の御指摘のように、この表の配列なり、あるいは劇性の順列というものに対しましては、今日の段階では早急に検討する必要があるのじゃないかというふうに私は考えておるわけでございます。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 警察庁長官に伺いますが、実は先刻もちょっと申し上げたことなんでありますが、共同防除等によってやれば間違いは比較的ないのだと農省林では言っているのでありますが、聞くところによると、こういった入手経路がやみルートをたどっておるということがいわれておるのであります。現在の農家の倉庫に行けば、こういった劇物、毒物が、どこから入手したのだかわからないのだけれども、とにかく保管されておる。しかもきわめて不完全な状態で保管されておるという状態に置かれております。薬事法その他によって医薬、劇物、毒物等については相当厳重な取締まりがされておるわけであります。一方、農薬だけがきわめてルーズな形で入ってくるということになりますと、そういったところで農薬を犯罪に使うことも出てくるのじゃないか、こういったやみルートに対しては法の違反だというような、警察としてはこれに対して捜査することができるのじゃないかと思うのですが、これはどうでしょうか。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 もちろん毒物及び劇物取締法の手続に違反して流されているものは、これは犯罪になるわけでございますので、それは当然警察として探知し、捜査をすべきものであろうと思っております。ただ、先ほどお話の、共同防除になれば管理も非常に厳密になって、被害も、危険も少ないということ、これは確かでございますが、現在の規定では、単なる毒物についてはそういうふうになっていないで、個人が持つことが自由にできるということでございますので、そういうものについても、毒性の高いものは農林省の指導等によって農業振興に支障のない限り、やはり共同保管というようなことをやっていく、あるいは農村にとっては自発的にそういうやり方をするというような指導をされるというようなこともあり得るのではないかと思います。これは私どもの干渉すべきことではございませんけれども、そういうふうになっていき、先ほど農林省の方からお話のように、毒性の低いものが一般に使われる、毒性の高いものについては共同管理というようなことで厳重になっていくということは、私は原則的には望ましいことだと思います。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 これで終わりたいと思いますが、先ほどから各省の御答弁を聞いておりますると、率直にいって売る側の建前に立っておる厚生省、使う側の建前に立っておる農林省、こういった開きというものを私は感ずるのです。ただ単にいざこざとか、なわ張り争いということじゃなくして、そういった何かウエートの置き方がこの両方見ても違っております。しかも使用者、防除者に対しては両方とも監督することができないような格好になってしまっておる。これは私非常に法の不備でもあり、また各省間でもう少し意見を交換されまして、売る側の建前も必要でありましょうし、使う側の立場に立つことも必要でありましょう。両方の立場に立って、やはりこういった毒物が正しく使用されるような方向というものを早く私は打ち出してもらいたい、こういうふうに思います。どうか一つその点についてできるだけ早く措置されることが望ましいと思うのであります。かつて火薬の爆発が起こったときに、火薬類の取り締まりについて、商工省だろうか、どこだろうというようなことで、やはりこれも監督等の所在が明瞭にならないままに今日まで続いておる。   〔委員長退席、田中(榮)委員長代理着席〕 国会の答弁によりますと、できるだけ早く何とか調整いたしましてということを昔っているけれども、いつまでたっても出てこやしない。今度のケースも、一つ皆さん方で、ほんとうにそういう欠陥がここへ出てきたのでありますから、防除者に対しては野放しになっているということは事実でありますので、できるだけ早く使用者の立場に立って、あるいは販売製造の立場に立って、両方の立場に立って話し合いを進めていただいて、こういった事故が起こらないように法的な措置を講ずる。こういうことで今後努力を願いたい、こういうふうに思います。  これだけを要望いたしまして、質問を終わります。

田中榮一自由民主党

○田中(榮)委員長代理 警察に関する調査はこの程度にとどめます。  午後一時三十分より再開して、地方税法改正案の質疑に入ることとし、これにて休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      ————◇—————    午後一時五十六分開議

濱田幸雄自由民主党

○濱田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑は通告に従いまして順次これを許します。山口鶴男君。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 地方税法の一部を改正する法律案に対しまして、主として基本的な問題に関しまして質問をいたしたいと思います。従いまして主として大臣にお尋ねをいたしますので、大臣から責任ある御答弁をまずお願いいたします。  今回地方税法の一部を改正する法律案が提案をされまして、池田内閣が公約の三本の柱の一つとしてかねがね宣伝して参りましたいわゆる減税、さきには国税の改正が提案をせられまして、今回また地方税の改正が提案をされることになったのでありますが、今回の地方税の改正もそうでありますし、さきに問題となりました国税の改正もそうでありますが、いわゆる池田内閣の重要な柱として非常に宣伝をしたのに比較をいたしますと、きわめてその内容が貧弱であり、お粗末である、かような感をわれわれ抱かずにはいられないわけであります。特に地方税の場合におきましてもそうでございまして、地方財政計画が実に一兆九千百二十六億円に達しておる。そしてまた昭和三十六年度において見込まれるところの自然増収が一千五百億円にも達しておる。こういうようなときに提案された内容を見ますと、本年度において九十八億円、軽油引取税の増税を相殺いたしまするならば実質五十九億円、平年度におきましても実に百八十二億円というきわめてささいな減税しか提案をなされなかったわけでございます。自然増収と実質減税との割合がどのくらいであるか、試みに計算をいたしましたところが、わずかに四・二%であります。国税におきましては、国の予算の自然増収とそれから六百二十一億のいわゆる実質減税の割合が一六%でございました。これも公約の三本の柱の一つとしてはいかにもみすばらしいという批判が全国津々浦々から起こったわけでございまして、それに引きかえまして今回の地方税の減税というものが、自然増収に対してわずか四・二%程度にしかならぬということは、これはどう考えても減税という名に値しないところの減税ではないか。いわゆるスズメの涙とか二階から目薬とかいいますけれども、そういったきわめて減税たる名に位しない減税である、かように私ども考えざるを得ません。  そこで大臣にお尋ねをいたしたいと思うのでありまするが、さきに政府におきましては、中央、地方を通じて一千四百三十億の減税をやると公約をいたしたわけです。国税におきましては、本年度実質六百二十一億円、平年度にいたしましても一千百三十億円でございます。といたしますと、政府が公約をいたしました減税を考えてみましても、平年度三百億の減税をしなければ、一千四百三十億円の計算には相ならぬ、かようなことになると思うのです。この点につきましては、わが党の川村委員が去る予算委員会において質問をいたしまして、その点をただしたことを大臣も覚えておられると思うのでありまするが、そのときのいわゆる中央、地方を通じて一千四百三十億円の減税をするこの公約というものと、すでに行なわれました国税の減税と今回の地方税の減税を計算をいたしまして、その計算が合わないという点については、明らかに政府の公約違反ではないか、かように考えざるを得ないのでありまするが、この点に対して自治大臣としては、そうしてまた池田内閣の閣僚である国務大臣のお一人としましては、一体この点についてどうお考えでございますか、その点をまず冒頭にお尋ねをいたしたいと思います。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 御指摘の全体の減税の問題でございますが、これを地方税の部分に限りますと、お話しの通り、地方税の減税というものは、非常に大幅なものとあるいは大幅でないものも——全体から見て非常に小幅なものであるということは、お話しの通りであろうと存じます。それは一つは、何と申しましても、今日の地方税の持っております税の性格というようなことから、非常に国税に比べて税の伸びが少ないというような性格もございます。また、地方財政における地方の税の占めておる割合から見て、今この際国税と同じような幅での減税はやりにくいというような状況もあるわけでございまして、それこれを勘案して、今度のような地方税の減税案というものを立てたわけであります。千四百億のこの全体の減税に対して、公約違反になるじゃないかというお話につきましては、あのとき大蔵大臣が言っておりますのは、減税面についてはこのくらいな計算にほぼなる、こういうことを言っておると思うのでありまして、これについては、地方税につきましても、減税部分だけを取り出せば、三百一億といったような計算が出ておりますので、この点は千四百億と言った意味からいうと、地方税もそれに該当する額を出しておると言えると思います。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 まあ揮発油税の増税でありまするとか、それから地方税における軽油引取税の増税でありまするとか、そういう都合の悪いような面は差しおきまして、いわゆる減税をやったというものをかれこれ足し合わせまして一千四百三十億になっておる、地方税でも三百一億にはなっている。そう言われれば確かにそういう計算はできるかもしれません。その点は大臣の提案理由の説明にもございまするのでよく承知をいたしておりまするが、しかし通常私どもが減税と言う場合は、これは負担のふえる分、減る分、そういうものを相殺をいたしまして、そうして国民全体の税負担がどれだけ軽くなるのか、こういう点で議論をいたすのが通常の意味における減税であろうと私は思うのです。ですから、そういうところに池田内閣のいわゆる減税という考え方のセンスと、それから国民のいわゆる受け取り方とが、大きく離れておる点があるのではないか、こういう点を私は指摘をいたしたいと思います。地方税についてもそうでございまして、確かに地方税の自然増収の幅というものは、国税に比較をいたしますと少ないということは、これは事実でございましょう。また、国の財政に比べて地方財政が窮屈であるということも、これまた私どもがかねがね指摘をいたしておるところでございます。しかし問題は、自然増収の額と実質減税の額を比較いたしまして、国が十六%、これでも少ないという批判があるときに、地方ではわずかに四・二%、こういうようなものを出してきて、そうして池田内閣の公約の一つの柱だと言われるところに、国民全体として、また地方税を分担するところの地方住民として、非常に割り切れない気持がする。こういうことは私は大臣も御否定はなさらないと思うのです。こういう点については、やはり私どもといたしまして、明らかに減税という名に値しないきわめて貧しい減税である、こういう点を強調をいたしておきたいと思います。  そこでお尋ねをいたしますが、の減税案をお作りになりました根拠ですが、これは税制調査会あるいは地方制度調査会でいろいろ答申をいたしております。その答申をどの税度考慮されて、また、答申通りでないように私ども承知いたしておりまするが、政府としては一体どのようなものを基準にいたしまして、かれこれいろいろ取りまとめましたところの今回の減税案をお作りになったのですか、その点をまずお伺いしたい。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 税制調査会の答申はでき得る限りこれを尊重いたしたつもりでございまして、そのあげられておりまする項目については、主としてそれに方針としては準拠いたしております。個々の数字については相当違いもございましょうが、これは内容的には、大衆関係の遊興飲食税については、その答申以外に実施いたしておるわけであります。なお、個々の数字についてもし必要でございましたら、事務当局から説明させます。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 けっこうです。まあ地方制度調査会でもきわめて大まかな答申を出しており、また税制調査会の答申、こういうものも極力尊重せられてお作りになった、そういう基本的な考え方を承りました。  そこで、内容の点について触れたいと思いまするが、その前に、今日提案せられるに至りましたまでの経過について大臣にまずちょっと聞いておきたいと思うのです。本日は四月四日であります。日が重なると縁起がいいとか悪いとかいろいろお話があるようでございますが、ともかく四月四日であるという時期は、縁起がいい悪いにかかわらず厳粛な事実であろうと存じます。提案されましたのが三月三十一日でございました。三月三十一日といえば、これはもう全部の地方自治団体が、それぞれの昭和三十六年度の予算を審議するところのいわゆる通常会を終了しておる時期に当たっておると私は思います。そのような非常におくれた時期に、昭和三十六年度の地方自治団体の歳入の基本にもなるべきところのこの地方税法の改正がやっと提案をせられた。そうして四月に入りました本日に至ってやっと審議が始まったということについては、これは私非常な問題点があろうと考えるのごでざいます。どういうわけでおくれたかは、私ども新聞等で拝見する以外に察する道はないのでありまするが、新聞等を拝見いたしますと、外人客の宿泊に対するところのいわゆる遊興飲食税の非課税の問題をめぐって閣内において不統一があった。まあ木暮運輸大臣がこの問題についていろいろ発言をなされ、閣議でもいろいろ検討されたり、あるいは党内でもいろいろ議論があった、そういうような関係で提案することがおくれたのだ。こういうように言われております。そういうようなことを私ども聞きますと、同じようなことを繰り返したくありませんけれども、地方財政計画の提案がおくれたことを私どもはあらためて想起せざるを得ません。私は地方財政計画の提案に至る経過について自治大臣にもお尋ねをしたことを覚えておるわけでございますが、あのときも遊興飲食税のいわゆる税率の問題、基礎控除の問題、こういうものをめぐって与党、政府間にいろいろ議論がございまして、地方財政計画の提案がおくれたということは、大臣自身もお認めになり、たしか時期的におそかったことは遺憾だと申されたわけでございます。といたしますと、この遊興飲食税の問題をめぐりまして地方財政計画もおくれた、そうして地方自治団体としては非常な迷惑をこうむった。また衆議院としても、地方財政計画が提案された時期はもう予算委員会もほとんどおしまいの段階であったわけです。そういうときに地方財政計画が提案されたということについても、予算案の審議自体に対しても私どもとしては非常に遺憾の意を表したつもりでございます。そして今回さらにまた追いかけて、この外人客の非課税の問題をめぐって地方税法の一部を改正する法律の提案がおくれたということについては、非常に私ども割り切れない思いがいたすのであります。  そこで私はお伺いをいたしたいと思うのですが、外人客の非課税の対象になる旅館というのは国際観光ホテルとして登録されておる旅館だけでしょう。この国際観光ホテルになっておる旅館は、一体全国に何ぼありますか。これはごく一部だろうと思うのです。旅館の中でもごく一部の国際観光ホテルに登録されておる旅館の圧力によって、地方自治体全体が迷惑をこうむった。それからまた、さきには地方財政計画においてごく一部の業者の方々のいろいろな運動を通じておくれたということになれば、何か与党自民党においては、そういった一部の圧力団体に振り回されて地方自治体に迷惑をかけておる、こういうふうに私ども受け取らざるを得ません。この点について自治大臣としてはどうお考えでありますか。  また国民の間では、何か与党と業界との間にくされ縁でもあるのじゃないかという声もあります。これに対して政府としては一体いかなる釈明を国民にいたすつもりでございますか、この点をまずお伺いいたしたい。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 地方財政計画がおくれまして、さらにまた地方税法の改正案の提出がおくれた点につきましては、理由は別といたしまして、われわれとしてはまことに申しわけないと思って、これは率直に遺憾の意を表したいと存じます。  ただこの前申し上げましたように、地方税というのはなかなか種類が多うございまして、それも非常に各方面と密接な関係がある具体的な問題が多いわけでありますから、これの調節のために全体的に非常にひまをとったというのが実情でございます。さらに特に法案の提出が、大体要綱が出てから提出するまでに非常に時間を食ったということについては、御指摘の通り、外人の登録旅館に対する課税の問題が中心でひまがかかったわけでございます。これは全国で大体三百軒程度のもののようでございますが、これにつきましては、実は要綱といたしまして自治省の方針としては、外人の宿泊客に対しましても、登録旅館に対して当然課税をすべきであるという建前から要綱を作っておったわけでございます。しかし実際にこれを当てはめようと思いましたところが、いろんな関係その他、これは主として政府部内の関係でございますが、実態から申しまして今直ちに実施するということには非常な支障があるのじゃないかという議論も出て参りました。これに対しましてそれぞれ検討いたしました結果、もっともな部分もあります。その理由はいろいろございますが、おもな点は、外国人の旅客は大体半年、一年くらい前からあらかじめ契約をしておるものが多いのだ、そういう意味で、四月一日あるいは五月一日から直ちに実施するということになりますと、一種の不信行為というか、トラブルが起きる危険もある。それから外国でとっております税金の性質というものは、かなり日本でいう遊興飲食税とは性格も違うということから、これを強引に直ちに実施するについては、多少考慮する余地があるのじゃないかというような議論からこれが出ております。これが政府と党との間の調節という問題になっておりまして、最後に政府と党とでこれを一年延期するということがきまったわけでございます。方針は変えたわけじゃございませんが、そういうものの調節にひまがかかったというのが実情でございます。しかし、いずれにしてもおくれて提出したという点につきましては、まことに申しわけないと考えております。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 結局、外人客がパスポートを持っていって泊まればどこでも非課税になるというわけじゃないのですからね。四万もある旅館のうち三百軒だけがそういった特殊な非課税の対象になっておる。そういうところの問題でこれだけの期間おくれたということは、私は非常に解せない気持がいたします。おそらくどこの県でも市町村でもそうだろうと思いますが、大体四月か五月ころ臨時の議会を開きまして、中央の地方税法の改正を待って条例の改正手続を行なってその年度の歳入に備えるというのが通例であると私は記憶をいたしております。それが、とにかくおくれたということは遺憾だと言えばそれで済むかどうか知りませんが、いわば地方自治体全体の歳入見積りが非常に支障を来たしたという事実だけはどうしても消すことができないわけでございますから、この点につきましては、今後こういったごく一部の問題で非常におくれるということのないように、厳重に御注意をいただきたいものと考える次第であります。  最後にお尋ねをした点について大臣のお答えがなかったのでありますが、国民全体とすれば何か与党と政府との間に特別なくされ縁でもあるのじゃないかという疑問が起きると思うのです。現に遊興飲食税関係の業者が政治団体を結成いたしまして、政治資金規正法に基づきまして与党に献金をしておることは事実だと思います。この点については大臣の方でも、当然この政治資金規正法の主管大臣として御存じであろうと思います。そういう点について、どの程度これらの団体から献金がありましたかおわかりでございましたらお答をいただきたい。それから、それと関連いたしまして、国民の疑惑に対してどう答えるかという点について率直なお答えをいただきたいと思うのです。

後藤田正晴自治事務官(税務局長)

○後藤田政府委員 政治資金規正法による金額だけお答え申し上げたいと思います。良民党に千二百万、社会党に二百万、民社党に百万、こういうことになっております。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 最初の、外人の登録旅館に対す非課税廃止の実施がおくれましたことにつきまして、業界からの圧力があったのじゃなかろうか、こういうお問いに対しましては、私どものところには一回もそういった陳情もきておりませんし、また党あるいはその他につきましても、そういう問題はなかったと確信をいたしております。  なお、この遊興飲食税全般につきましては、お話しの通り、それぞれの団体が相当政治的な活動もいたしておることは事実でございます。しかし、そうだからと申しまして、政府あるいは党で立てました方針が最後にゆがめられたというようなことはないし、またやっておりました団体のそれぞれの活動も、それはその分野においては一応合法的なものじゃなかろうか、こう思っております。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 自治大臣のところには行かなかったかどうかは私は知りませんけれども、相当地方税の案が固まります段階において、業界の人たちがいろいろと運動をせられた。それはまた自分の生活を守る意味で運動をなさることは、国民の権利として当然でありますから、その点についてとやかく言うつもりはもちろんございません。しかし問題は、そういうことを特に与党方面に対して行ないました結果、与党内部におきましてもいろいろ議論があって、結果においては地方自治団体に対して非常に迷惑をかけるような形に、地方財政計画の提出がおくれる、あるいは地方税法の改正案の提出がおくれる、こういう結果になったことは、何と申しましてもこれは遺憾なことだ、かように申さざるを得ないと思うのです。大臣といたしましては、今後とも自分の主管の法律案の提出がおくれる、あるいはその計画がおくれることによって、みずからの所管する地方自治団体に対していろいろな障害を与えるということのないように、この点に対しましては十分な御注意をいただくことなお願いいたしたいと思います。  次に、減税の内容の問題についてでございまするが、先ほど大臣は税制調査会の答申や地方制度調査会の答申を尊重せられてお作りになった、こういうお話であります。そこで私、非常に解せない点があるのでありますが、地方制度調査会の税制に対する答申を拝見をいたしましても、いわゆる税の特別措置、非課税の問題に対しては、当然整理、合理化を行なうべきだということを触れておるわけでございます。去る委員会におきまして、わが党の委員の質問に対するお答えによれば、いわゆる国税の特別措置が地方税にそのまま流れ込んでくることによるところのいわば減収が三百五十億円、それから地方税独自の非課税措置が三百五十億円、計七百億円の減税というものが行なわれておるということを回答されたのでありますが、今回の地方税改正の内容を見ますと、この点についてはほとんど手を触れておりません。触れておると思えば、農業協同組合が非課税であったものが、今度は課税の対象になるというところが違ってはおりますけれども、しかし本来の意味における租税特別措置あるいは地方税独自の非課税、こういう問題が議論の対象になりますのは、いわゆる大きな法人、独占資本といいますか、大会社と申しますか、そういうものに対する特別な恩恵が従来批判の種であったことは、これは、大臣も十分御存じの通りであろうと思います。こういう点についてはほとんど手をつけられておりません。この点は、この答申をどうおとりになって、どういう考え方で措置をされましたか、まずお伺いをいたしたいと思います。  ついでにお尋ねをいたしておきますが、そういうことをやって、今度の地方税改正では、法人の耐用年数の改定あるいは配当課税という形で国税が減税になっておりますものは、そのまま地方税の減税に持ち込んでおるでしょう。ところが個人に対しては、国税の減税になったものを遮断しておる。こういう点でもわれわれ非常に疑問に思っておるわけでありますが、なぜ租税特別措置なりあるいは非課税でもって非常な恩典を受けておる法人に対して手をつけることなく、しかも今回の改正にあたっては、個人の事業者、農民や中小企業の方々に対しては国税の減税は遮断するけれども、法人に対しては国税の減税をそのまま持ち込むという差別をするような措置をおとりになりましたのか、この点一つ基本的な考え方をお尋ねいたしたいと思います。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 非課税措置あるいは特別措置の整理につきましては、大体税制調査会の答申の線を守ってやるという方針で当たったわけでございます。それから特に法人関係につきまして国税に準じた扱いをしておるものが大部分でございますが、これは技術的な点で、固定資産税の耐久年限とかその他の問題につきまして、ちょっと国税と切り離すことが不可能であるというような理由から、大体国税に準じた扱いで整理をいたしました。その他根本的な改正というのは、今の全体の税制その他の関係からもやらなかったわけでございます。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 それでは一つ一つ聞きますけれども、とにかく租税特別措置あるいは非課税にはほとんど手はおつけにならなかった。法人に対しては、住民税の注入税制において本年度二十六億円、平年度で五十一億円の減税、法人事業税において本年度十九億、平年度四十九億の減税ですね。減税の全体が九十八億円ですから、その中での二十六億、十九億といえば合計四十五億円で、半分ですよ。これは耐用年数の改定、配当課税の是正によってすっぽりと地方税において減税になっておる。これは大臣よく御存じの通りであります。ところが個人の住民税ではどうですか。勤労者あるいは農民、中小企業の個人の営業者、そういう方の住民税については、地方制度調査会の答申にもあるからそれをおとりになったというのかもしれませんが、三十七年度から国税の減税があっても一切これが遮断されるように、今度オプション2方式に統一されておりますよ。そこで今度は国税が幾ら減税になっても、勤労者あるいは農民その他の人には影響がないようにしてある。また農民や中小企業の個人の営業者の方のいわゆる所得割については、せっかく国税において今度青色申告に対しては十二万、白色申告についても七万という専従者控除を認められました。ところがこれに対して、地方税では今度の改正ではそれを持ち込まないで、白色は全然だめだ、青色についてだけ従来通りの八万円を認めるだけだ、こういうふうにやっているでしょう。明らかに差別があるんじゃないですか。だから国税の減税を持ち込むのなら全部持ち込めば、それなりに一応の筋は通ろうかと思いますけれども、法人についてだけ持ち込んで、個人については持ち込まないという点が、私どもどうしても納得がいかないわけです。この点どういうけじめでもってこういうことをされたのか、一つはっきりお答えをいただきたいと思うのです。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 具体的な数字あるいは技術的な問題につきまして税務局長からも御答弁すると存じますが、大体の方針といたしましては、今申し上げましたように、法人関係につきまして国税の改正と切り離すことが技術的に非常に困難だという問題につきましてはその率を適用したというのが実情でございまして、住民税につきましては、御指摘の通りに国税の影響を断ち切るという方針を今度はとったわけであります。これは住民税の性格が、なるべく広く、浅く、できるだけ負担を分任うてもらうという方がより好もしいであろうという税の性格にもよります。また市町村民税としての占めておる比率から見ましても、これを国税に比例させて常に減額していくということでは、市町村財政も非常に困難になるというような理由から、住民税自身の性格と地方財政の状況から見まして、住民税についてはそういった特別の措置をとっておる。法人につきましても、住民税については控除の拡充はやっておらぬわけでございます。

後藤田正晴自治事務官(税務局長)

○後藤田政府委員 御質問の趣旨は、法人関係では地方税に影響を及ぼして個人関係では遮断をしておる、おかしいじゃないか、こういう御意見であろうと思います。私どもといたしましては、今回の税制改正は地方の税制に安定性を与える、こういう意味合いから、税制上及び徴税技術の面その他の面も考えまして、でき得る限度は、国税の影響を遮断するという考え方で改正案を考えたのでございます。ところが法人関係につきましては、これは税の立場、さらには徴税面等を考えますと、遮断は実際言うべくしてできない面が多いのでございます。たとえば耐用年数というものを一つ取り上げましても、ある一つの機械について、これは現在国税の方で非常に精密な耐用年数のきめ方をいたしておりますが、それと別個のものを地方が扱うということになりましても、実際問題として徴税面で市町村の実態を見た場合には、できないという面もございますし、またそういう際に刑の耐用年数を使うということは税制上もとりにくい、こういうようなことから法人関係につきましては影響を及ぼさざるを得ないということになったわけでございます。ところがその内容は、先ほどの御質疑にもございましたように、大きい影響を及ぼすのは耐用年数と、配当課税の改正、留保金課税の改正、この三つだと思いますが、これらはいずれも大企業、中小企業にかかわらず影響があるわけでございます。その面は減税面でございますが、他面今回の改正でも、法人については特別措置の整理が国税の方では相当できておりますが、それに伴う影響面はやはり地方税にも及ぼして、地方税としては増収に上げるということで、増減ともに影響を及ぼさざるを得なかった、こういうことでございます。  個人の面につきましては、主として専従控除の取り扱いの問題だと思います。個人の住民税等についてどこで遮断するかということになりますと、所得の範囲なり計算の段階で遮断をするというのが一つ、いま一つは所得控除で遮断をする、もう一つは税率で遮断をする、三つあると思います。ただ税制調査会等の議論におきましても、納税者の立場、徴税上の問題、こういうようなことを考えますと、所得控除以下の段階で遮断をすべきであろう、こういうことで遮断をしたわけでございます。それがまた住民税の本質にも合致する、国税と同じであるという必要はないではないか、こういう議論であったわけでございますので、私どもとしてもその立場に立って、個人住民税の場合には遮断をするという改正をいたしたわけでございます。ただ問題は、御質問の中にございます専従控除の取り扱いの問題だと思います。専従控除につきましては、御承知の通りに、社会の慣行の面から見ましても、まだ家族関係の支払いの慣行はほとんどないわけでございます。そういった社会生活上の実態から、国税における税制上の理屈としても、経費として割り切れなかったわけでございます。税制調査会におきましても、専従控除の性格はともかくとしてということで、税制上の性格そのものの割り切りができなかった。いわば経費なのか、負担と考えた特別控除なのかということについては、ボーダー・ラインに属するものだということであります。  そこでそうなって参りますと、地方税の立場といたしまして、負担分任を基調とする税制の理論から見て、これの採否ということは別個の面から考えるべきだ。同時にまた現実問題といたしまして財政上の影響も考えねばならぬ。かりに専従控除を取り上げますと、国税の今回の改正が、個人と法人の負担の面も考えまして専従控除を取り上げる。そういたしますと、給与所得者と事案所得者との負担の問題、均衡の問題、こういうことから扶養控除なり配偶者控除を取り上げて全体のバランスをとっておるわけであります。従って、これをそのまま私たちの方で採用いたしますと、住民税の場合におそらく二百七十億前後の減税になります。オプションのただし書き採用の市町村になりますと、専従控除だけで納税人員が五〇%なくなる、税収で四八%なくなる。そういたしますと住民税の納税者、いなかの町村に行きますとほとんど給与所得者である、こういうアンバランスが生じるわけであります。こういった実際面を考えまして、山口委員の御質問の趣旨は私はわかるのでありますけれども、税制上の立場から、徴税上の問題なり財政上の影響といったあれこれの点を考えまして、今回のような遮断の方法をとったのであります。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 こまかい点についてはあまり触れようとは思いませんが、市町村に行きますと、専従者控除をまるまる認めた場合には、確かに納税者が非常に少なくなってくるとか、あるいは法人の場合に国税とは別個の耐用年数の基準を設定することは著しい困難があるとか、こういう点についてはもちろん私どもわかります。しかし、それだからといって片方を遮断して片方を遮断しないということについては、それで話が通るかというと、そうではないと思います。たとえば耐用年数について特に事業税等の問題でありますが、耐用年数をたとえばこの案を持ち込もうとするならば、所得の段階に従って税率の一面である程度これをあんばいして、そして法人税だけに対して特別な減税が特に片寄り過ぎるというようなことに対して、これを是正するという方法も当然考えられる一つの道ではないかと思います。  それからまた勤労者、特に農村の勤労者のみに対して住民税が非常に重くなるという点について、相対的な面から見て重たくなるように見えるという点については、特に勤労者控除を大幅に認めるという方法をとることによって是正をいたすとか、後にわが党の方から具体的な問題に対して提案をされることがあるかと思いますけれども、いろいろ方法によって、片方を遮断し、片方は遮断しないということによって生ずるアンバランスを是正する方法は幾らもあろうと思うのであります。あえてそういうものをおとりにならないで、今回提案されたということになりますと、いろいろ技術的の問題のお話を伺いましても、何か大法人だけに対して特別な減税をやって、ほかをほとんど顧みないような減税になっておるというそしりは免れがたいと思うのであります。こういう点を大臣としてはどうお考えになるか、やはり今のような疑問は、通常の国民の健全な常識の上に立つ疑問だろうと思います。これをどうお答えになり、今後どうされるかということは、やはりここではっきり聞いておきたいと思います。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 先ほど事務当局も御答弁申し上げましたように、この国税の改正でどうも技術的に切り離すことができない耐久年限とかいうようなことから、事業税あるいは固定資産税の方で、全体から免ればかなり大幅な減税があったということは事実でございましょうが、しかし、これを今度の地方税の改正全部で考えてみました場合に、大衆あるいは個人を対象にしたものとそういったものとの比率をとってみますと、大体大衆に恩恵が浴すると思いますのが三百億のうち百三十億程度のものが出ております。あとそういった事業税あるいは固定資産税等の大口のものからいくものが百六十億程度、そうしますと、税の全体の構成から申しますと、減税の比率はそう片寄ってはおらぬと思います。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 そうすると、百三十億の大衆が恩恵を受けるという減税は具体的に何ですか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 大体電気ガス税におきましては三百円の免税点で二十三億でありますとか、個人の事業税においては二十一億、住民税の勤労者の分が三十二億、それから料理飲食の大衆免税分が四十三億、それにこまかい退職者の所得課税等を整理しまして減らした分が七億、それを合わせまして百三十億、こういうような計算になっております。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 ただいまの百三十億の内訳を拝聴いたしましたが、大衆と一部の富裕階級と申しますか、そういった負担能力を考えまして、金額が片や百六十億程度、片や百三十億だという均衡自体も問題でありましょうが、電気ガス税とかあるいは個人の営業者に対するところの減税でありますとか、いろいろお数えになりましたが、この遊興飲食税の四十三億をまるまる大衆減税だというふうに言うことは、これはそのままそうだというふうにすなおに受け取るかどうかはやはり問題であろうと思います。そういうような点をいろいろ申し上げて議論もしたいと思いますけれども、時間もございましょうから、とにかく大衆減税百三十億の内訳というものについては、これはやはり健全な常識を持つ国民はなかなか納得しない、こういう点の御指摘だけはここで申し上げておきたいと思います。  次に事業税の関係でございますけれども、特に所得倍増計画がよく問題になるわけでありますが、私も所得倍増計画というものを拝見してみました。特に農民の問題は所得倍増計画の中では一番問題になるところだろうと思います。農林水産委員会でも、いろいろと米の統制撤廃等の問題で所得倍増計画とのかね合いが問題になっているようでありますが、特に所得倍増計画におきましても、農産物の流通面を改善しなければならない、流通対策に力を入れなければならぬということが閣議決定の所得倍増計画には書いてございます。これはもちろん当然だろうと思うのです。今農村において流通面の改善をするのに、一体どこが主たる役割をになうかということになれば、私は当然農業協同組合であり、漁村においては水産業協同組合であろう、これはもうどなたも異論はないところだろうと思います。ところが、今回の減税を拝見いたしますると、法人の住民税割及び法人の事業税、この二つの面におきまして農業協同組合及びその連合会、水産業協同組合及びその連合会とか、あるいは労働金庫とか、消費組合とかいったもので、非出資のものであって、完全な非課税になっておるものをはずすとか、あるいは出資の割合が四分の一に満たないものに対して減税があったものに対してこれをはずすとか、非常に農業協同組合に対しまして税負担を重くしておるようでございます。これによるところの税の増徴分が住民税において二億円、それから事業税において二億円と出ておるようでございまするが、所得倍増計画においても特に問題点とされる農村の問題、そして特に流通面の改善はからなければならぬと強調されておるその対象であるこれらの組合に対して、税金の面でこのような不利な取り扱いに今回なぜなされたのか。他の非課税措置を先ほど強調いたしましたが、法人等の非課税整理については手を着けようとなさらぬのに、これらの問題について手を染めるということについては、これまた私ども非常に割り切れないものがあります。この点の理由について所得倍増計画との関連で一つお伺いをいたしたいと思います。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 非課税あるいは減税措置につきましては、今までやっておりました理由についてはそれぞれの根拠や理由があると存じます。今回は大幅な根本的改正と申しますより、今日国税で行なわれておりますものの範疇をはみ出た部分についてそれを若干修正をした、その結果が農業協同組合あるいは商工組合等に一部課税するという結果になったわけでありまして、新しい税を起こすとか、特に増税をするという趣旨でやったわけではないのであります。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 そこで私はおかしいと思うのです。国税の減税を全部持ち込むならわかるけれども、遮断をするものが片方にある、それから打ち込むものがある。そういう中で出てくるから、私は先ほどから割り切れぬ思いがするということを言っているのです。大法人についてはすっと持ってくる。個人については遮断をする。また農業協同組合等については、わざわざことさら国税の非課税からはずしたものを適用していく。こういうところに所得倍増計画、また政府として力を入れていくのだということを堂々と宣伝をしているのですから、そういった国の政策の面からなぜこういうものについて考慮されないのですか。これは重要だ、特に流通対策において主要な役割を果たさなければならぬと強調しているものについて、なぜそういう措置をされるか、こういう点でお伺いしておるわけです。

後藤田正晴自治事務官(税務局長)

○後藤田政府委員 技術的な点に触れますので私からお答えいたしますが、私どもの今回の改正は、法人税に合わせて、つまり法人税の取り扱いより出っぱっておるものを整理するという関係で、農協等の非出資組合等の課税を法人並みにするということであります。そこで法人税の方の遮断をしないという方は、まさに減税の方を遮断をしておりませんが、同時に増税の方も遮断をしないで、租税特別措置の整理による法人事業税なり、あるいは法人住民税、これについての増徴をいたしておるのであります。つまり、すべてそれらは法人と歩調を合わせるという立て方になっているわけです。そこで現実に国税の租税特別措置の整理に伴っての地方税の増税分でございますが、これは平年度で四十五億九千五百万円、初年度で三十八億九百万円、これだけは増徴をいたしておるのでございます。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 法人については国の方でもみんな適用するから、その一環として全部一緒くたにして処理をしたんだ、こういう御説明のようであります。しかし法人といいましても、法人にも現実にいろいろ極数がある。だからこそ従来事業税あるいは住民税において、特に法人の中でも種類を分けて、そしてこれらのものについては非課税にするんだという措置をとっておいでになったと思うのです。そういう経過があるわけでありますから、国税の処理をされるときにも、当然法人の種類というものを判断して区別をする配慮が必要だったと思いますし、また国税それ自体が全部地方税に反映しておるというわけではないのですから、法人という面から見ればそうかもしれませんが、個人と法人というふうに分けてみれば、そうでもない面があると思いますから、おそろえになるならば当然考慮する余地というものはあったはずではないか。特に地方税法で、これこれについては云々と、こうあげておる法人課税ですね。ですからその点については、政府の考え方は、やはり所得倍増計画でこういう点については力を入れるとはいうものの、税金の方では、片方では大いにおだてておるけれども片方では取るということでは、現場の農業協同組合、あるいは労働金庫にしてもそうですが、それらの関係の方々にとっては割り切れぬ思いがするということだけは、私は否定し得ない事実だと思います。こまかい点につきましては、今後さらに質問する機会もあろうかと思いますので、この点についてはこれ以上申しませんが、考え方だけをよく申し上げておきたいと思います。   〔委員長退席、丹羽(喬)委員長代理着席〕  次に固定資産税の問題でありまするが、固定資産税についても課税標準の特例というものがございまして、いろいろな特例をいたしておるようでございます。これらについても整理というものはお考えにならなかったのでございますか。そうして現実にこれらの課税標準の特例に該当しておるもの、その率、それから特例に該当していないものとのアンバランスと申しますか、こういうものについては全く御考慮はせられなかったのか、お伺いをいたしたい。

後藤田正晴自治事務官(税務局長)

○後藤田政府委員 地方税の独自の非課税規定の中で現在金額の大きいものは、御質問の固定資産税と電気ガス、この二つでございます。そこで固定資産税について見ますと、その中でも大きいのが電気事業、発電所等の関係でございます。これと船舶関係。これは電気が九十八億円、船舶が五十二億ということになっております。なお電気、ガスについては、全体で百五十九億ばかりになっております。そこで私、先般の委員会でもお答え申し上げましたように、非課税規定というものは、現在の状況を前提にしました場合には、やや乱に流れている、これは整理すべきであるという基本的な考え方を持っております。ただ非課税規定そのものの価値につきましては、これはまたやっても差しつかえない。しかしながら、どうしても乱に流れるおそれのあるものでございますし、現状を前提にしますと、そういうような傾向が見られる。従って整理すべきものは整理するということでいきたいと考えておるのでございますが、今回の固定資産税の整理の問題といたしまして、私は実は非課税規定としては、固定資産税についても検討いたしたいと思ったのでありますが、御承知の通りに、固定資産税の方は、例の評価問題が結論が出ていなかったわけでございます。そこで、いずれにいたしましても、あの答申がございますれば近く税制の改正ということを考えねばならぬ。そういった際に、固定資産税についてはあわせて大きな問題がございますので、非課税規定を検討して、税制でやるのが適当なものは残してもいいでしょうけれども、他の措置でやるべきものであればそれは整理をするとか、そういったことでやりたかった整理をするというようなことで、非課税規定の整理をすべきであるというように考えておりますが、何分にも将来の問題でございますので、今回の改正では、従来から実は問題になっておりました内航の船舶について外航船舶との均衡問題、あるいは都市ガスについての新規償却資産に対する非課税措置、これだけを追加の形でやったわけでございます。しかし私は、固定資産税については将来どうせ改正しなければなりませんので、その際には基本的な検討をいたしたいというふうに思っております。なお、固定資産税で大きな電気であるとか、あるいは船であるとかいったものは直接的に利益を受けているのは大法人であることは間違いございません。しかしながらこれらについては、やはり電気事業についていえば料金の問題、船であれば輸送機関というようなことで運賃というような面も考えて将来も検討を加えていきたい、こういうように考えているわけであります。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 この非課税の問題については整理を考えておったというお話でございますが、それでは明年にはある程度整理をされるお考えはございますか。

後藤田正晴自治事務官(税務局長)

○後藤田政府委員 固定資産税のこの評価がえによる実施そのものは、準備等で三十九年度になりますが、その前に当然準備のための若干の法制の改正もございます。あるいは評価がえに伴う税負担の調整をしなければなりませんので、そういう面で税制調査会に当然これは付議せねばならぬことになっておりますので、税制調査会等の意見を徴しまして将来検討していきたい、こういうように考えております。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 そこで非課税の内容ですけれども、とにかく外航船舶か六分の一ですか、一番恩恵を受けているわけですね。今度内航船舶についても三分の二だったものを二分の一ですかにいたしたということになれば、漁船などについても当然これは考えられてしかるべきだと思うのですがそういう点に、ついてはお考えがございますか。それからまた普通の土地、二万円以上ですか、家屋三万円以上からびしびし固定資産税がかかるわけでありますが、特に田畑等について特別な特例といいますか、たとえば三分の二なら三分の二、二分の一なら三分の一とかいった特例を設けるつもりはございますか。そういうふうにして、ある程度特別なものの恩恵と、そうでないものとのアンバランスをそういう形で詰めていく、こういう考え方でおやりになるか、そうではなくて、非課税措置を全部撤廃していくという形でアンバランスをきちっとされるお気持か、どちらの考えをとられますか、お聞きをしたいと思います。

後藤田正晴自治事務官(税務局長)

○後藤田政府委員 御質問の漁船の関係は、今回の内航船舶の軽減に合わせて課税標準の特例で軽減をいたすことになっております。なお田畑について三分の二なら三分の二にこの課税標準の特例で考える意思があるのか、こういうお話でございますが、固定資産税につきましては、今回の調査会の答申にもございますように、評価そのものはあるべき正常価額に一ぱい一ぱいに評価をすべし、こういうことになっておるわけでございます。その場合に当然税負担が上がることが考えられますので、その面については税率でまず考えなさい、同時に資産間のアンバランスについては課税標準の特例で考えなさい、なお個々の納税者について非常にはなはだしい負担過重が出てくる場合であれば、例外的にそれらも検討したらどうだ、こういうことになっておりますので、御質問の田畑等につきましても、その画定資産の中の一環として検討をして参りたい、こういうふうに考えております。なお今回のこの評価制度調査会の答申の中にも、課税標準であるべき正常価格、これは売買価格を基礎にするわけでございますが、その場合に農地については、この売買の失態がいわば切り売り、買い足しの形で行なわれるのが常態だ、ところが他方宅地等についてみれば、売買の単位というものが宅地そのもので効用を果たせるような形で売買が行なわれる。農地は、逆に、売買せられる単位というものは、それだけで適正経営の農家の規模となる反別が売買されるわけでなしに、切り売りなりあるいは買い足しという形であります。従ってこれに現われてくる売買価格は、いわば正常といいますか、あるべき売買価格とは違うんじゃないか。そこで農地については、そういった場合には、かりに五反の百姓が一反買い離したということになると、その一反分の値段の中には、従来持っておる五反の収益を高める、つまり労働力なり、あるいは畜力なり機械力の効率が上がるということで、その収益が上がっていくのだ。その値段が一反歩の中に入っているのだから、いわば限界収益の率で現実の売買価格を調整すべきだ、つまり安くすべきだ、こういう考え方になっております。私どもとしては、農地についての評価そのものにはそういう配慮を加えてやっていきたい、こういうように考えております。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 確かに農地の場合には、現在売買される価格というものは相当の額であっても、その収益性ということを考えていた場合には、非常にそれから見て低いというのが実態であるということは、これは疑い得ない事実だと思うのです。そういう点では、田畑についてはやはり特例を設けて措置をしていくということが当然ではないかというふうに思いますので、この点については今後とも十分御検討をいただきたいと思います。  それから同じ固定資産の問題でありますからお伺いしたいのですが、そうしますと、ゴルフ場とか庭園というようなものがありますが、ゴルフ場は、周囲の類似地域いいますか、それに従って固定資産の評価をやり、固定資産税を課しているようでございますし、庭園等についても、通常の宅地と同じ価格でもって評価をなされているようでございますが、これは明らかに実態にそぐわないということはお認めになるだろうと思うのです。芝は固定資産ではないから、これはかけるわけにいかぬという議論はわかります。しかし通常のまわりの山林や、田畑や、そういった隣りの土地と同じ評価でもってゴルフ場を律するということは明らかに誤りであって、芝が固定資産であるないにかかわらず、相当の資本を投下し、整理をしたという事実は、これはもう疑い得ないところですから、こういう点については特別に固定資産税の税率を引き上げるという形で措置をなされるとか、庭園の場合におきましても、普通の宅地とは違うので——私どもの国では三波石という石が出ますが、一個何百万円という石もございます。そういうものを並べた庭園と普通の宅地と同一に律するということは、明らかに問題があるわけでございまして、この点に対しては、どういうふうな措置を将来おとりになるつもりであるか。この点はどうですか。

後藤田正晴自治事務官(税務局長)

○後藤田政府委員 ゴルフ場につきましては、現在の評価の方法が、いわゆる接地比準価格ということになっております。そこで市町村によりまして評価のやり方の実態を調べてみますと、まちまちのようでございます。そこで非常に一ぱい一ぱい評価しているところとそうではない非常に安いというところのアンバランスがございます。そこでゴルフ場につきましては、接地比準価格という場合の、接地の仕方、比準の仕方というところに現実の運営面で弱点があったわけです。従って私どもとしては、昨年の暮れに、これは是正すべきだということで第一線に通達を出しまして、訂正させることにいたしております。つまりゴルフ場の土地の評価にあたっては、これは土地の取得費に工事費といいますか工作費といいますか、そういうものを加えた金額で評価をする。そうしてそれの評価がえは接地の土地の値上がりの比率、これで上げていく。こういうことによりまして、従来第一線でとかく混乱をしておりました評価も適正にやらせる。こういうことにいたしておるのでございます。そこで私どもは、ゴルフ場の土地の評価については、やはり評価面で考えるべきであって、固定資産の税率で考えるということは他への波及その他もございまして、これは差し控えた方がいいだろう、やはり評価で考えていきたい、またその措置はすでにとったつもりでございます。これによって従来非常に低かったところは、すでに三十六年度から固定資産税の負担のふえるところが相当出てくるのではないか、こういう考えを持っておるのでございます。  なお芝につきましては、これは償却資産にしたらどうかという意見もございますが、固定資産の課税の対象は、国税の方の法人税で償却資産にせられているもの、それをとらえて課税しているというような関係もございますし、今の段階では芝生を償却資産にするという考え方も、議論としてはございますが、私自身は、そこまで踏み切るわけにはいかぬのではないか、またそれを土地の価格の中に入れるということになると、現在山林の評価の問題等についても立木は入らない、つまり土地だけという関係になっておりますので、他との関係もあって、芝生を土地の価格に入れるということにはいかぬので、やはり土地の価格に入れる限度は土地、造成費までだ、こういうふうに考えておるのでございます。  なお、庭園についてでございますが、大きな庭園等で事業用に供されておるといったようなもので償却資産の対象になっておるものは、これは償却資産のあれとして評価をして課税をいたしております。ただ個人持ちの小さな庭園等で比較的りっぱだといったようなものは、従来は家屋の評価の際にそれを合わせる。こういうことで、庭園そのものは従って土地に入る、こういう扱いにいたしております。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 ゴルフ場については、その土地の造成費まで入れて、芝については償却資産とは見られぬからこれは入れないという考え方の筋をたどっていけば、当然その税率でもって他の接地の土地がその立木が入っておらぬからといいましても、これとはやはりゴルフ場の場合は性格が違うと思うのです。ですから土地造成費まで入れて芝を入れないという考え方を通すとするならば、それならば税率でもって措置をするんだということにならなければ、これはやはりアンバランスということを考えた場合には、私は埋まっていかないと思うのです。それから庭園についても同様でありまして、これも同じような意味で、ただいまの御説明をお伺いいたしますると、税率でもって処理をするということが妥当ではないかというふうに考えるわけであります、この点については今後ともやはり御検討をわずらわしたい、お願いをいたします。  ついでに、固定資産の評価の問題が出ましたが、ことしは三年に一度の評価がえの年に当たっておるようでございます。各地域ではこれによって五%程度、まあ土地によって、都市あるいは農村等によって違うわけでありまするが、固定資産税が上がります。これとは直接関係はないのでありまするが、聞くところによりますと、地代家賃統制令の撤廃というようなことが問題になっております。それとからみますと、どうしても地代、家賃というものが上がっていく。固定資産税も上がる、それから統制令の方も撤廃だというようなことで、現在問題になっておる値上げムードというものが刺激されるということについては御懸念はございませんか。ゴルフ場については適正に評価をするようにいろいろ指導をされておるというのでありますが、現実に各地へ行ってみますと、なかなか取り扱いがアンバランスです。ところが一律固定資産の評価がえによって上げるというようなことについては、自治団体いずれもずっとよく指導が徹底するわけでございまして、あちらの方はどんどん自治省の指導通り上がっていく。ゴルフ場の方の指導はなかなか十分徹底をしていかない。こういう点も問題でございまするし、さらに今申し上げたような物価上昇のムードといいますか、こういうものを刺激をしてく。こういうことから考えまして、この評価がえの問題については何らか再検討するおつもりが大臣ございますか。この点をお聞かせいただきたいと思います。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 御承知のように、ことしはちょうど三年目に当たりまして、土地あるいは建物の評価がえになっておりますが、特に田畑につきましては非常に低い値上がり率を制定したわけでございます。また建物等につきましては、むしろ逆に評価によって減になるような措置も行政指導をいたしておるような次第でございます。全体にそういうものが値上がりムードを引き起こすことのないように、今後とも十分に注意をしていきたいと思っております。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 ムードを刺激しないようにされるということは、この地代、家賃に限らず、あらゆる物価に対して池田内閣がいろいろ強調せられておるのでありますが、現実にはそういった政府の思惑とは離れて、実際はそういう物価値上げのムードがどんどん醸成されつつある。従って新聞の世論調査などでは、どうも物価がどんどん上がるからというようなことで、内閣の支持率は反対に下がるということになるわけでございますから、これは刺激しないように努力をされるというようなことでは、なかなか年間一・一%の物価上昇でとどまるというわけには参らぬじゃないかと私は懸念いたします。確かに現実の地代やあるいは田畑の売買価格の上昇に比べて、今回の評価がえの率が低いということは、これはもちろん私どもも認めるにやぶさかではありませんけれども、しかし今物価を押えよう押えようと政府が全体として努力をされておるときなんですから、そういう中で考えるとするならば、当然この問題に対しても何らかの御考慮があってしかるべきではなかったか、かように考えるわけでございまして、この点、重ねて恐縮でありますが、はたして大臣の御希望される通りにいくかいかないかは問題でありまするので、一つはっきりした御決意等がありまするならば、この際承っておきたい。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 せんだってやりました評価がえにつきましては、今お話し申し上げましたように、三年目に一回やらなければいかぬという法律にもなっておりますので——しかしそれが非常に、特に農村の田畑、家屋に大きな影響を与えるようなことはいくまいというようなことを顧慮しまして、非常に低い率を制定したわけでございます。それから今の家屋につきましては、むしろ利用効率等を考えて逆に減税になるような行政措置もとったわけでありまして、今後とも、固定資産税全体の評価がえの問題は、今税務局長が申し上げましたように、その答申が出まして、これから全面的にいろんな準備にかかっていくわけでありますが、これはあくまで適正な評価をするという問題で、この固定資産税額そのものをふやすという趣旨のものではなかろうと考えておりまして、御注意の点につきましては、また十分慎重に今後とも考えていきたいと思います。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 今お話しの固定資産だけでとどまればけっこうなのでありますが、今回の地方税改正の一つの大きな柱として軽油引取税が出ておるわけですね。軽油引取税が出て参りました経過は、二兆一千億円のいわゆる道路整備五カ年計画、これを実施するために、四分の一なり三分の一なりのいわゆる地方自治団体の負担分というものがある。この財源補てんの一環して軽油引取税を二〇%引き上げたのだ、こういうお話を承っております。この問題については、トラック業者あるいはバス業者の方々等から非常に反対であるというような御意見も承っておりますし、また私ども懸念をいたしまするところは、これが引き上がることによりまして、当然将来バス代金が引き上がる結果にもなるだろうし、またトラック運賃が引き上がるという結果にもなるだろうし、そういうことを総合して考えますると、やはり今回の地方税改正が、一方では減税の額は大したことはないが、他方においてこの固定資産の評価がえとあわせて、この軽油引取税の問題が大きく物価を刺激していくという要因を持っておる。こういう点を、どうしても指摘しないわけにはいかないわけです。   〔丹羽(喬)委員長代理退席、田中(榮)委員長代理着席〕  そこでお伺いをいたしますが、この大体二兆一千億円の道路整備五カ年計画というものは、国の公共投資優先という一つの柱、国の施策の一つですね。その施策を政府がやろうといたしたわけでありまするから、当然それによってふえるところの地方の負担というものについては、これは当然政府の責任においてこの財政措置をなされるのが至当であって、わざわざこの軽油引取税というものを引き上げ、これによって物価を刺激するというようなことは、やはり筋違いではないか。国の責任でもってやる道路整備五カ年計画なんだから、国でもって交付税の増額その他によって責任ある財政負担をすべきじゃないか、かように考えるものでありますが、この点はなぜそういうことをなさらずに、このような結果を生ずることになりましたのか、この点を一つお聞かせをいただきたいと思います。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 御承知の通りに、軽油引取税は目的税として道路の拡張のための財源に充てるというような建前から、この道路計画が非常に拡大いたしましたについて、二〇%の額を上げたわけでございます。しかし、実際これが自動車の営業部門にどういう程度に影響するかという点は、計算いたしてみますと、年間〇・九%程度のものじゃなかろうか。そうしますと、これは上がらないに越したことはございませんが、道路の目的税としてやっております財源を得る軽油のことでございますし、ここ一、二年間上げないできておるような事情もありまして、今回はこの程度の増額はやむを得ないんじゃないかと心得ております。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 ガソリン税の問題にからめまして、国会でも、このバス運賃あるいは国鉄運賃の引き上げの問題ともからみまして、本会議でもいろいろ議論になった問題です。そこで政府の答弁を聞いておりますと、将来とも絶対に引き上げないということはなかなか申されないわけでございまして、当面値上げは考えておらぬ、あるいは値上げを許可するつもりはない、こういう答弁だけで終わっておるわけです。そういうわけでありますから、ただいま大臣の方から、これが営業部門に影響する比率というものは少ないというようなお話がありましても、かりにそれがそこに働く労働者の低賃金あるいは労働条件の悪化というふうにこれが転嫁されていくことも、これは問題でありますし、それからまた、そうではなくて、現在のところは上げないのだ、将来は上がるという格好で運賃あるいは輸送賃等が引き上がるという形になっていくならば、やはり大衆の負担も増加することになるわけでありますから、どっちにいったところで、これは決して好ましい影響をもたらすことではない。本来国が五カ年計画として取り上げた問題なんですから、筋とすれば、当然国の施策なんですから、国が責任を持って地方に対する財源補てんをする、これが筋ではないですか。この点のお考え方はどうなんですか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 現在地方の道路に関係します財源といたしましては、御承知と存じますが、この軽油引取税及び揮発油の譲与税といったような財源を主として充てておりますが、これの充てております全体の比率は五〇%程度のものであります。あとは交付税なり一般の地方の財源から引き当てるという制度にいたしておりますので、これは全体として増収のある際、今一挙にこの部分だけ国なり何なりの負担へ持っていくのもどうかと存じまして、この程度の軽油の引取税の増額を予定したわけであります。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 軽油引取税、ガソリン税もそうですが、これを上げるときには、将来はもう二度と上げないとかいうようなお話が、揮発油税の場合はあった。私、当時議員ではありませんでしたから、具体的には知りませんが、将来は上げぬように云々というお話があったように聞いております。軽油引取税の場合はどうであったか、私もよく承知いたしておりませんが、この程度ならば営業面にさしたる影響がないという格好で、一回、二回と上がっていけば、なかなかこれはだんだん済まなくなってくるだろうと思う。軽油引取税が、今後道路整備五カ年計画——政府のやる計画というのはよく動く場合があるんですが、そんなことを言っては失礼ですけれども、道路整備五カ年計画は、五カ年計画を当初作り、途中において十カ年計画を作って、その途中において新しく五カ年計画が出たんですから、そうやって国の計画が変わっていくたびに、絶えず軽油引取税がまた上がるというようなことでは、これは問題だろうと思うのです。将来のことはなかなか言いがたいかどうか知りませんが、今のところは営業面にさしたる影響がないという先ほどの御答弁からすれば、将来のこの引き上げについてはどのような態度でお進みになりますか、この点はどうでしょう。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 道路の計画が変わって増額になれば、それに比例して直ちに上げなければいかぬというふうにはものは考えておりません。できるだけ値上げは押えていきたいと思っております。それからまた、ガソリンにいたしましても、軽油にいたしましても、コストもだんだん安くなっておるというような状況から見まして、たとえば〇・九%といったようなものがそのままの値段で響いていくかどうかも、これは将来の状況にもよることであろうと思います。従いまして、上がれば必ず上げていくのだというふうには考えておりません。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 最後に、電気ガス税についてお尋ねをいたします。先ほど非課税の問題に関して税務局長からお答えもありましたが、この点も、非課税の問題は当然検討せられると思いますが、今回は検討されるどころか、たしかかえってふえているわけですね。何ですか、かたかなの文字が並んでおりましたが、私も覚えておりませんですが、整理するどころかふえているということは非常に遺憾に思います。もちろん、新しい産業が興って、しばらくの間、それに対して助成するという意味において暫定的に非課税対象にするということは、これは当然あろうかと思います。しかし、そういう場合は当然古いものをはずしていくというのが筋じゃないですか。片一方の古いものもはずさぬで、新しいものだけをどんどつけ加えていくのでは、これはまさに逆行であろうと思うのです。こういう点についてのお考え方を聞きたい。  その次に、電気もガスもそうですが、特にガスの場合は三百円という免税点がございます。現実に、この三百円をちょっとこえても税金がかかるということになると、ガス料金を徴収する人が一時間早くくれば税金がかからなかったじゃないかということで、徴収のしがたい点があろうと思うのです。徴収面でいろいろトラブルが起きることが予想されます。それで基礎控除ならけっこうでありますが、免税点なんですから、三百円をちょっとこえると急にがくんと税金がかかる。そうすると、少しでも時間がおくれれば、かかったりかからなかったりいたすわけでありますから、この料金徴収面でいろいろ技術的な問題がある。こういう点についてはお考えになりませんでしたか。

後藤田正晴自治事務官(税務局長)

○後藤田政府委員 電気ガス税の産業用の非課税の問題でありますが、政府の税制調査会の答申では、まさに御質問のような趣旨で答申がなされております。つまり、産業用の非課税の規定については現在九十二品目ありますが、その中で整理すべきものは整理する、同時に追加すべきものは追加をし、それとともに新規産業用として非課税にすべきものは一定の年限を付すべきだ。こういう答申になっているので、私どもといたしましては、そういう趣旨で実は原案は作成いたしておりましたが、政府部内の調整がなかなか困難でございまして、税制調査会のその基本的な答申の線はあと一年検討を加える、こういうことで今回の改正案ができたわけでございます。従いまして、今回の税の改正では、新たに十九品目追加せられて、五品目が削除ということになっております。ただこれは、まことにささやかな五品目ではございますけれども、考え方としては一つの大きな非課税規定整理の前進であった。だから、この電気ガス税の産業用非課税の品目については、これはむしろ全部を非課税にすべしという意見の方が強かったのでございます。それに対して私どもは、非課税に乗せるべきものは乗せる、落とすべきものは落とすというのが筋ではないかということで主張をしておったのでございますが、ささやかな五品目ではございますけれども、その主張は一応認められた。こういう形になっておるのでございます。なお、年限を付する問題については、来年度の問題として私どもとしてはぜひ実現をいたしたい、こういうように考えておるのでございます。  それからいま一つの、電気ガス税の免税点制度では徴収に不便ではないか、トラブルを起こすではないか、こういう御質問でございますが、そういう面も考えられると思います。従いまして、今回の改正では、電気ガス税が国税時代にとっておりましたのは、徴収日が予定日より前に行ったというとき、あとに行ったというときに日割り計算をすることになっておったのでありますが、今回は、前に行ったものはそのままで徴収する、おくれて行った場合に日割り計算で軽くする、こういうことでトラブルを生じないように配慮いたしたつもりでございます。  なお、基礎控除がいいのではないかというお話でございますが、これは私は賛成はできません。こういった電気ガス税のごときものは、やはり基礎控除にいたしますと、相当な減収額が出ますが、それだけの減収額が出るのであれば、むしろ免税点制度にして、その財源でもって免税点を高めて、零細者には税をかけないというようにしてあげるのが親切なやり方ではないか。同時に、また税の性格から見ましても、こういった物税に基礎控除というものはとり得ない制度ではないか、私はこういうふうに考えておりますので、将来ともこれについては免税点制度で考えていきたい、こういうように考えております。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 政府部内におきまして、電気ガス税の非課税の整理がいろいろ問題があった。しかし、そういう中でも五品目だけはずすことに成功したというお話でございますが、この点につきましては将来とも、やはり暫定的に非課税にすることはあっても、どんどん古いものから整理をしていくという基本的な考え方は強く貫かれるようにしていくべきではないか。そういう課税をとっていきますことが——特に電気ガス税の減免を大きく受けておるところは比較的都会にありましょうが、山村地域にもたとえば鉱山その他いろいろありますので多いわけです。それからまた特に固定資産税の特例措置にしてもそうでありまして、これは山村の地域にも相当多い。そういたしますと、比較的財政力の弱い地域においてこういうものがやはり充当がなされていくということにもなるわけでありまして、そういう点については後進地域の問題ともからみまして、特に固定資産税の特例の問題等につきましては力を入れて一つ御努力をいただきたいと思います。  時間もおそくなりましたので、最後に一つ聞いておきたいと思うのでありますが、今回の地方税改正は、いろいろ内容をきわめて概括的にお伺いをいたしましたが、結局は国税の改正があったことをそのまま持ち込むとか、あるいはそれに若干の手直しをするとか、従来懸案でありました遊興飲食税等の問題を織り込みますとか、全般的に見ますときわめて小手先の修正でしかないような気がいたすのであります。もちろん地方制度調査会におきましては、中央、地方の事務配分の問題、それにからみまして財源の配分の問題等、大きな問題に取り組んでおるなかでもありまして、現在政府の方としましては、そういった答申を待って全般的な改正をなさりたいというお考え方であろうことは推察をいたします。しかし、こういうような地方税の改正を、そのつどそのつど提出をいたしましても、結局は矛盾を縮小するどころか、かえって問題をはらむ点も起きて参りましょうし、問題の地方財政がきわめて貧困だということを是正することは全く至難であろうと思います。この委員会でしばしば強調される点でありますが、税外負担の解消の問題にいたしましてもなかなかできないし、また国がいろいろ補助金等組みましても、地方財政が貧困なために十分な施策としてそれが行き渡っていかないという点もございましょう。といたしますと、やはり地方財政をほんとうに拡充をいたしましてこれを強化していく、そのために抜本的な地方税の改正をすることは、きわめて緊急な問題であろうと思います。従いまして、政府といたしましては、今申し上げたような問題を当然真剣におやりになるつもりであろうと思うのでありますが、今後どのような時期に、地方、中央を通ずるところの抜本的な税制の改正、特に後進地域等に対しては、非常に貧弱な自治団体が多いわけでございますが、こういうものに対する措置等を含めて、小手先の地方税の改正でない、地方財政をほんとうに充実させる意味において、しかも大法人その他に対してきわめて恩恵的であって大衆に対しては過酷であるというようなそしりを免れないような負担についても、平等な税制というものをお作りになるおつもりがございますのか、一応時期的な点を中心にいたしまして、基本的な考え方をお聞かせをいただきたいと思うのであります。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 お話しの通りに、今回の減税措置というものは非常に幅の狭いものであるということは、御指摘の通りであろうと存じます。これは、最初申し上げましたように、地方財政自体の現状から申しまして、今大幅なものがやりにくかったということでございますが、これはどうしても将来でき得る限り地方財政、地方の税、国の財源との均衡配分といったようなものも考えながら、でき得る限り今後は地方税についても減税をはかるように進めていきたいと思っております。なお、いつごろ見当をつけるかというお話でございますが、大体ことしにはさらに税制調査会からそういった問題も含めた答申もある予定でありますので、それを十分参考にいたし、今後改正も考えていきたいと思います。

田中榮一自由民主党

○田中(榮)委員長代理 次会は来たる六日午前十時より開会し、本案に対する質疑を続行することといたします。  これにて散会いたします。    午後三時三十八分散会

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