地方行政委員会 第14号
- 発言数
- 69 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/03/17
会議録
○濱田委員長 これより会議を開きます。 地方自治に関する件につきまして調査を進めます。 質疑の通告がありますのでこれを許します。二宮武夫君。
○二宮委員 簡単な問題でございますが、問題は非常に他に波及をするおそれがありますし、大事な問題だと思いますので、一応、行政局長がお見えにならないので、政務次官にお尋ねを申し上げたいと思うのであります。 すでに大体いろいろ報道機関等で報ぜられておりますので御承知だと思いますが、山形県の東田川郡櫛引村という村の吏員の採用規程なんですが、これは有名な柏戸の出身の村だそうでございますけれども、そこの村で決定をされました採用規程の中に、私どもが考えますと、地方自治法並びに憲法に違反をすると考えられる条項が議決をされているわけでございます。それは職員の新規採用の規定でございますが、地方自治法並びに憲法等できめられておりますところの、いろいろな、こういう者は採用してはならないという規定はもちろんあるわけでございますけれども、その中に、別個に独特の一つの項目が入っているわけでございます。それは、同一家族の中から二人以上の採用はやらない、こういう項目が一つございます。もちろん採用試験によって新規採用するわけでありますけれども、同一家族の中から二人以上は採用しないという項目が入っていることが一つ。それからもう一つは、男子は五十五才、女子は四十七才、こういう年齢に達しますると退職をしなければならないという規定があるのでございます。これを村議会でもって議決をいたしておるわけでございますが、これは明らかに地方公務員法によって、これこれの者以外は当然採用される権限がある、保障された項目に違反をするであろうというふうに考えまするし、あるいは憲法に規定されておりますところの、第十何条ですか、地方公務員法の第二条と、こういう項目に照らし合わせますと、これは地方公務員法にはっきり示されておりますように、この地方公務員法に違反したところの市町村、県の条例は、この法律の方が優先をする。こういうふうに明確になっておるわけでございまして、このような採用規程というものは、地方公務員法の違反であるし、あるいは憲法の精神を踏みにじっておるものである、このように考えるわけであります。政務次官にもすでにそうした採用規程というものはお手元にあると思うわけでありますが、これに対する一つ行政指導の面から、このような地方公務員法違反あるいは憲法違反と思われるような新規採用規程を、市町村が作っておるというこの事態に対しまして、どのようにお考えになっておるかということを一つ御回答をいただきたい。これはもしこのまま黙認するという姿になりますと、おそらく訴訟そのほかの問題も派生してくるでありましょうし、あるいは他の市町村に対しましても、また再びこういう問題が起こってくるのではないかというふうに考えますし、事ははなはだ重大な問題があろうかと思うわけでございまして、もちろん公。平委員会などというものが作られておらない町村でございますので、やはり自治省として、これに対する行政指導の問題が大へん大事ではないかというように考えるわけでございますので、その点についての。項目は申し上げませんが、今言いましたような。項目、禁治産者あるいは準禁治産者というような、そういう者に対しては採用しないという条項は別にいたしまして、今申し上げました条項についての自治省の行政指導の面からのお考え方というものを一つお知らせをいただきたいと思うわけであります。
○渡海政府委員 実は、ただいま御指摘になりました採用条例が手元にすでにあるのじゃないかというようなお言葉でございましたが、私まだこの条例のできておるというふうなことは、昨日参議院の委員会におきまして初めてお聞きしたような状態でございまして、事実のほどは精密にまだ調査はいたしておりませんが、ただいま御指摘になりました通りの事実であるといたしましたなれば、私も二宮委員と同様の見解でございます。また退職年限を切って退職しなければならないということは、これは退職年金法が法定されなければ、地方としても行なえないことである。かように解しておるのでございまして、さっそくこの事実を調査いたしまして、適切なる行政指導を行なうように、昨日の参議院の委員会もございましたので調査中でございますので、また後刻詳細につきまして事務当局から御報告させていただける機会があろうと思いますが、御了承賜わりたいと存じます。
○二宮委員 これは週刊誌やそのほかでもあるいは報道された問題ではないかと思うのですが、特に男女平等の憲法における保障の原則というものが踏みにじられている。それから結婚をしたらやめなければならない。こういうような実に封建的な時代逆行的な規定が公然と村議会のもとに議決をされておるというような事実は、いかに片いなかの村であろうともこれは許せる問題ではないと思うわけでございます。もちろん附則の中に実施期間その他についてはいろいろ多少のゆとりを持たせるような附則もつけてあるようでございますけれども、訴訟やそのほかの問題になりますというと、これは当然当局側が敗訴になるという見通しは私どもとしては歴然としておる問題でございますので、一つ行政局長その他を通じ益して、このような指導を十分にやっていただきたいわけでございます。
○川村(継)委員 次官に今の問題に関連してちょっと御要望を申し上げておきたいと思いますが、一つお尋ねすることは、この櫛引村というのは一体どれくらいの村の大きさでございますか。あるいは財政状況はどうなっておるか御存じでございましょうか。
○渡海政府委員 ただいま申しましたように、私事実の調査はまだいたしておりませんので存じかねます。後刻これもあわせて調査して御報告させていただきたいと思います。
○川村(継)委員 これはおそらく推測いたしまするところは、この村は財政的にそうゆとりのある村だとは思いませんし、従ってこういうようなとんでもない規程を作ったのではなかろうかとも思うわけでありますね。しかしそれにしてもあまりにもひどい。今二宮委員が指摘いたしましたような条項が並べてありますし、第二条の六項には、採用後結婚した女子の場合は二ヵ年以内にやめろと、こういう規定なんです。これはとんでもない規定だと思いますから、自治省は公務員の給与等につきましては、ずいぶん地方団体が勝手なといいましょうか、自主的にやらないように、国の基準に合わせてやるように、自治省の指導基準に沿うた給与条例等を作るようによく指導しておられます。こういうような規程ができるのを見のがすということは、これは大へんなことだろうと思いますから、早速十分なる指導をして、こういう規程はいち早く改廃をするというように、ぜひ一つ御指導願いたい。特に要望申し上げておきたいと思います。
○渡海政府委員 川村委員並びに二曹委員の御要望ごもっともと存じますので、早速調査の上善処させていただきたい、かように存じます。
○二宮委員 行政局長がお見えでございますから、ついでに行政局長にお尋ねいたしますが、地方自治法の九十二条の二の中に、地方議会の議員はその地方自治団体あるいは委員会等の請負をすることができないという、項目が、請負をするところの支配人とか、あるいは清算人とか、あるいはこれに準ずる者、こういうようないわゆる会社の、実力者が議員を兼ねることができないという規定があるわけでございますが、これがいろいろ地方での問い合わせをやりますと、その事業実績の五割以上をその工事として請負をしない場合には大体許さるべき問題だ、こういうような自治省の回答があったというようなことを聞いておるのでございますが、私はこの九十二条の二で地方自治団体の議員が、その地方自治団体のやっておる仕事の請負をやったり、あるいは品物の売り込みをするというようなことを禁止するという精神は、政治の姿を正すという意味からいいことだというように考えておるのですが、おそらくこの立法の精神はやはりそういうところにあろうかと思うのですけれども、これが事実全国的にどのように活用されておるかという実態について、行政局長御存じですか、お調べになったことがございますか。
○藤井(貞)政府委員 請負禁止の条項に関連をいたしまして、実態について過去−少し古くさかのぼりますか、調査いたしましたことはございます。これにつきましてもし御要求があれば適当な機会にお答えを申し上げたいと思っておりますが、この規定につきましては、実は今御指摘になりました点は、会社等のいわゆる法人関係につきましては、主たる業務を行なうということになっておるのであります。その規定の仕方自身あるいは運用の実際、それを具体的なケースに当てはめる場合についてどういうふうに考えていくかという点については、非常に微妙なむずかしい点があることは事実でございます。ただ主たるということを言っておりますので、私たちといたしましては、大体年間の実績をとりまして、それの中で半分以上の業務量を当該地方団体との請負関係で占めるということになりますれば、やはりその会社自体が非常に重要な比重を持つわけでございますので、そういった場合には、やはりその会社自体について重役等に議員がいるということになりましては、業務運営の面からも、あるいは当該地方団体の行政運営の面からいいましても、いろいろな疑惑が生ずるおそれもありますので、そういうものはやはり禁止をするのが適当であろうという考え方で運用いたしております。事実この点は一般にも相当程度認識されておりますので、この規定があるということによりまして、おのずからそこに相互の牽制なり相互監視というものが行なわれておりまして、全体といたしましては、これに基づいて運営が適正にまず行なわれておるのではあるまいか。ときどき問題は起きますけれども、全体といたしましてはまずまず公正に運営ができておるのではあるまいか、この規定自体の存在理由というものは十分発揮しておるのであるというふうに考えておるのであります。
○二宮委員 その項目の中に、「これらに準ずべき者」という一項があるわけです。あなたの方では、今大へん実績を上げておるというふうなお話でございます。実態は、社長になったり、あるいは支配人になったりするということが法的に禁止をされますと、一応それから、その議員というものは職をやめる。ところが実際の出納そのほかについての実権というものはあくまでこれを握っておる。言いかえますと、これはあなたの方の解釈を一応お聞きして、指摘をしたいのですけれども、「これらに準ずべき者」というのは、あなたの方では一体どのような解釈をなさっていらっしゃるのか。それからこれができたために、実際問題としては大へん姿勢が正しくなったというような把握の仕方をされておるようでございますけれども、「これらに準ずべき者」というものの解釈の仕方、あるいはこれに違反した場合には選挙管理委員会がその議員に対して、その議員をやめさせ得るという罰則があるというように私は聞いておるわけなんですが、非常に微妙な問題が、あなたのおっしゃるように、その中にあるわけですが、「これらに準ずべき者」というのの解釈を一体どのようにお考えになっておりますか。
○藤井(貞)政府委員 これは名目のいかんにかかわらず、九十二条の二で例示いたしておりまするような役員というものに相当するような支配力を持っておる者というふうに抽象的には考えております。具体的にこれをどう解釈すべきかという点につきましては、それぞれ疑問のある向きについて、当該会社なり法人なんかの組織や、あるいはその業務運営の実態なり、役員構成の実情というものを見まして判断をし、御照会があればそれに対してお答えをいたしておるのであります。名前にかかわらず、今のようなふうに解釈いたしておりまして、たとえば会社以外の法人等につきましては、そこにはあげておりませんが、理事とか、監事といった者もこれに当たるのであります。 それからもしこの条項に違反をいたしました際においては、現在実はだれがこれを決定するかという決定機関についての規定を欠いておるのであります。従いまして、この条項に違反をいたしました場合において、当該議員がその役員をやめない、会社の重役等の職にそのままとどまっておるという場合は、法律解釈といたしましては、議員の資格を当然に失う、当然失格というふうに解釈をしてきております。ところが当然失格といいましても、これが、だれがそれを認定して当然失格になるのかということについて規定上は実ははっきりいたしておりません。その点はやはり一般の認定あるいは議会内部における議論、さらには裁判というととが最後にこれを決定するきめ手になるわけでございますけれども、これを直ちに裁判にまで持っていかなければ決定ができないということではいかがかというふうに考えておりまして、最近自治法等におきましども、この点を明確にいたしまするために改正をいたしまして、決定機関はやはりこの場合は議会ということにするのがよいのではないかということで、その点を明確にするために、改正案を実は準備をいたしておる段階でございます。
○二宮委員 これの条項が修正をされ、挿入されましてから後に、ほとんどのそうした立場にある者が支配人あるいは清算人あるいは監査役というようなものを一応辞しておるわけです。ところが、私どもが考えておるのは、そういう地位とかあるいは権力的なものをバックにして当該公共団体に対して請負をやったり、物を売り込んだりするということをやらせないという立法の精神から申しますと、表面的には一応それを抜けておりますけれども、事実はんこは自分で握っておる。出納そのほかの責任については決してそれを他に譲らない。Aという名目はBという名目に名義人が変更されただけであって、実際上の問題としては、はんこは自分で持って、出納の責任の印鑑というものは本人が持っておる。そうして隠れみのを着て、表面だけは一応姿を消しておるけれども、裏に回っては、実力的にその会社の責任ある立場に立って、出納そのほかについての責任は見ておる。こういうようになりますと、おそらくあなたが把握されておるような、この九十二条の二の問題は、実績をあげておるというのは、表面の問題だけをおっしゃっておるのであらうというように私は解釈するのであって、事実は全部名目変更をやって、実質的に握っておるという姿において事実その問題が推進をされておる。こういうようなのが実態ではないかというように私は考えておるわけでございます。従って私どもの把握してるお情勢というのは、九十二条の二というものは、一般地方議会の議員というものに一種のこうした職業的な抑制、規制をするということにはなりますけれども、実質的には何ら実効をあげておらない。もちろん地方議会の議員のバッジをつけた者が入札場に行って入札をするというようなばかげたことは、もう非常に脱法行為が巧みになりまして、やらない。しかし、やはりうしろには目が光っておる。あの会社はあれが持っているのだという事実はだれもが否定をしない。そういうような状況になりますと、この第九十二条の二という問題は、行政局長が把握をしておるような実績ではなくて、表面上だけはそうなっておるが、実質は全く前と何ら変わりがない。こういう状態ではなかろうかと私は考えておるわけですが、事実こういう問題は、この条文が挿入され、改正されまして後に、これに抵触をすることによってこの法が実際的に適用された、こういうような事実がございますか。実際に全国的に見まして、そういう問題が事実ございましたら、一つ実例としてお示しを願いたい。
○藤井(貞)政府委員 この条項ができましたために、大部分の場合におきましては、議員に当選をするということになりますと同時に、会社等の役職は辞するというのが普通でございます。また役職にそのままとどまっておるといたしますれば、請負等には加わらないというのが普通の状況になっておると思います。そういう意味で自制作用というものはおのずから行なわれておる場合が多いと思うのであります。ただ、そう申しますけれども、今御指摘にもなりましたように、形式上、社長というものはやめる、あるいは取締役という地位は退くということになりまして、それは名目だけのことであって、裏面では実力を持って陰でこれをあやつっておるというような事例が、私といたしましもて絶無とは申し上げません。そういう事例はあるだろうと思います。ただその場合に、それをこれに準ずる者ということで法律上の問題として考えて参りますることは、これはなかなかむずかしい事柄ではあるまいかと思うのでありまして、それらの点につきましては、やはり本人の自覚なり、世論の問題なり、あるいは議会の論議を通じて、この是正が行なわれていくということが望ましいのではないかというふうに考えております。先刻申し上げましたように、改正案を用意いたしておりますが、これが幸いにして通過いたしまして、議会がこの関係についての決定機関ということになりますれば、その点、議会において公式にこれらの問題が論議をされる場が提供されることにも相なりますので、その点についてのけじめというものは今までよりも一段とはっきりして参るのではないかと考えておるのでございます。 それからこの条項に該当して現実にやめた事例というのは、今私覚えておりますのは、具体的な名前は承知いたしておりませんが、実例はございます。今までも、はっきりとそのためにやめたというのが二、三件あったように承知いたしております。
○二宮委員 まあこの法律に違反をした者の決定権をだれが持つかということを新しく立法されるということでございますが、これの見通しとしてはどうですか。いつごろにそういう修正案を出して、いつごろを目標としてこれはあなたのおっしゃるような二、三の例ではないのです。これは実際問題としては、中央ではそういうようにお考えになっておられるかしらぬけれども、事実地力の実態というものは、この法律はほとんど空文です。これは空文といっていいくらいで、地方議会の議員の議席を持ちながら、この法に抵触するような方向に行くようなばからしい人は営業をやっておらないのです。そうしてまた良識に待つと申されますけれども、やはり営業というものがずっと続いて参りましたときに、営利というものを捨ててやっていくというような方向にはなかなかならないのです。これはもう少し事実を掘り下げて——昨日政治の積極性と消極性の話がございましたけれども、積極的にこの法律を適用するという問題を考えますならば、もう少し事実を掘り下げて参らないというと、私は甘過ぎるというように考えるわけです。従って地方議会でこれの判定をするというような修正案について、どういう時期を見はからつてこういう立法をし、この法文の修正をやっていく、実質的にそういうものをやっていくという目標を持っておられるのか、一応お伺いをしておきます。
○藤井(貞)政府委員 今回は、地方自治法の関係につきましては、別表の改正を中心といたしまして、その他若干の手直しをいたしたいということで、目下成案を固めております。各省との折衝にも移る段階でございまして、今のところ期限を明示申し上げる段階ではございませんですが、大体急ぎまして今月一ぱいには成案を得て国会に提案の運びに持って参りたい、かように考えておる次第であります。
○二宮委員 最後に御要望申し上げておきますが、今行政局長の把握されたような実態ではなくて、この立法の精神が、ほんとうに順法精神から申し上げまして、本気に守られるという姿になるためには、表面的な姿だけを見ておったのでは私は甘過ぎると思うわけなんで、いま少しくこの立法の精神を生かすような実態的な一つの把握の仕方をされて、そうしてこの法が政治の姿勢を正す方向に前進をしていただくような御努力をお願い申し上げたいと思うわけなんです。全部議員が支配人あるいは清算人あるいは監査役をやめた、あるいはその他の「これらに準ずべき者」というのが理事であり、そのほかの役職というようなそういう考え方ではなく、もう少し実態に即した法律の推進の仕方というものを考えなくては、私はこの法文が、挿入したものが空文になっていくおそれが多分にあるという事実をたくさん知っておるわけなんです。そういう点についてのいま少し、やるならやるように、やらないのならいっそやらないように、法文だけは作ったけれども何も実効も上げておらないという——二、三の例があるとおっしゃるなら、二、三の例を具体的にあげて下さい。そういうばからしい者が今から出てきませんよ。だから、こういう法律を作ったら作ったように、実質的に役立つような方向に行政指導をしていただきたい。そういうことだけを御要望申し上げまして、警察の方もお見えでございますから、質問を譲りたいと思います。 ————◇—————
○濱田委員長 地方自治に関する調査はこの程度でとどめ、これから警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律の一部を改正する法律案起草の件につきまして議事を進めます。 —————————————
○濱田委員長 本件につきましては、かねて各党間において御協議が続けられておりましたが、その案文がまとめられておりますので、この際その趣旨につきまして説明を願うことといたします。田中榮一君。
○田中(榮)委員 お手元にお配りしてあります案文につきましては、先般来自由民主党、日本社会党及び民主社会党の間においてそれぞれ検討を続けておりましたところ、このほど意見の一致を見るに至りましたので、便宜私からその立案の趣旨及び内容の概要を御説明いたします。 本案は、三党の合意による成案でありますので、各位の御賛同を得て、国会法第五十条の二の規定により、本委員会提出の法律案とし、その成立を希望いたす次等であります。 まず、法律案の全文でありますが、これはお手元に配布してあります印刷物によることとし、朗読を省略させていただきます。 次に、この法律案を立案いたしました理由を述べますと、その目的とするところは、水難、山岳における遭難、交通事故その他の変事に際し、みずからの危難を顧みず、職務によらないで人命の救助に当たった者が災害を受けたとき、都道府県がその給付を行なう制度を確立するとともに、災害給付の種類を改善することであります。 御承知のように、警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律は、昭和二十七年、第十三回国会において議員立法として制定され、その後昭和三十四年の第三十一回国会におきましても、自由民主党及び日本社会党の合意に基づく委員会提案の法律案として、その一部改正が行なわれ現在に至っております。 本法により給付の対象となる者は、第一に、職務執行中の警察官に協力援助したため災害を受けた者、及び第二に、警察官がその場にいない場合に職務によらないでみずから殺人傷害等の現行犯人の逮捕または被害者の救助に当たったため災害を受けた者に限られております。ところが、他の法律の場合におきましては、広く犯罪に関係のない火災とか海難等に際して、職務によらないで人命救助に挺身したため災害を受けた場合におきましても、それぞれ法の定めるところにより公的な救済措置が講じられている実情であります。そこで、今回本法におきましても、水難等の変事に際して職務によらないで人命救助に当たり災害を受けた場合に、本人及びその遺族に対し必要と認められる給付を行ない、このような勇敢な行動に対する公的な救済手段を確立しようとする次第であります。この法案が成立することにより、これまでの盲点が克服され、今後はこの種事案の発生について、おおむね全面的に救済手段が講ぜられることになるわけであります。 なお、人命救助に際しての災害につきましては、警察法第二条によりまして、一般的に人命の保護の責務を負っている警察組織を通じて都道府県がその給付を行なうことが最も適当であると考えられますので、右の必要を満たしますために、本法の一部を改正するこの法律案を立案した次第であります。 次に本案の内容について御説明いたします。 その第一は、この法律中地方公共団体とあるのを都道府県に改め、それとともに所要の法文の整備を行なっております。これは現在の警察組織は都道府県単位でありまして、この法律により現実に給付を行なう地方公共団体としては、都道府県のほかはないからであります。 次に、第二条を改正してこれに一項を加え、新たに給付を受ける者について定めております。すなわち、水難、山岳における遭難、交通事故その他の変事により人の生命に危険が及びまたは及ぼうとしている場合に、みずからの危難を顧みず、職務によらないで人命の救助に当たった者が、そのため災害を受けたときには、都道府県が給付の責めに任ずることといたしました。ただし、法令の規定に基づいて救助に当たった者とか、被救助者の家族等とか、みずから救助に当たることが当然であると認められる者につきましては、この法律による給付を行なうことは適当でありませんので、この法律の対象から除外することとし、その除外される人についての細則は政令で定めることとしております。なお、この第二条の改正に関連して、第三条の規定の整備も行なっております。 次に第五条を改正して、この法律による給付の種類のうち、打ち切り給付を廃止いたしました。これは先般、労働者災害補償保険法及び国家公務員災害補償法において打ち切り給付の制度を廃止いたしましたことにかんがみ、この法律においてもこの制度を廃止し、負傷または疾病が続いている限り療養給付等を継続しようとするものであります。 このほか、附則においては、この法律の施行を公布の日からとし、この法律中地方公共団体を都道府県に改めたことに伴い、関係法作の整備をいたしたのであります。 なお、本案施行に要する経費の総額は約三百万円の見込みでありまして、国はその半額に相当する約百五十万円を都道府県警察に対する国の補助金として予算に計上しております。 以上がこの法律案の立案の趣旨及びその内容の概要であります。何とぞ、全会一致御賛同あらんことをお願い申し上げる次第であります。 —————————————
○濱田委員長 この際、本件につきまして発言の申し出があります。これを許します。川村継義君。
○川村(継)委員 警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律の一部を改正する法律案について、ただいま提案の趣旨及び内容の概要をつぶさに承ったのでありますが、これは先ごろから各党でいろいろと検討して参りまして、意見の一致を見て委員長提案という形でその成立を期待いたしておるのでございますが、私たちもその趣旨には全く同感でございます。しかし細部にわたって検討したわけでございませんから、せっかくのこの機会に当局の見解を承っておきたいと存ずるわけであります。 この法律は、申し上げるまでもなく二十七年の国会に成立を見ましてから二十九年、三十四年と改正を重ねられて今日に至っているわけでございます。私がここで当局の見解を承りたいと思います第一点は、今度この改正によります必要分として大体三百万の予定をいたしております。そのうち国庫補助が百五十万程度になっております。これで改正の趣旨を満たしていこうというわけでございますが、なかなかこまかなところをわれわれよくのみ込んでおりませんから当局の方で明らかにしておいてもらいたいと思います。その第一は、三百万でそのうち国庫補助百五十万、これについて私たちは発生件数を一体どのくらいと想定したらいいかということであります。この点は当局の方で十分おわかりでございましょうから、その内訳は死亡件数をどれくらい、重傷者の件数をどれくらい、軽傷者の数をどれくらいと見ていったらいいのか、その辺のところを長官からでも人事課長からでもどなたからでもけっこうでありますから、その見通しをお聞かせいただきたいと思います。
○柏村政府委員 お答え申し上げます。私ども年間の発生見込み件数をどのくらいに見るかということで、過去五ヵ年のこれに該当する死亡、傷病について調査いたしましたところによりますると、昭和三十年度が死亡二、傷病十、三十一年度が死亡八、傷病五、昭和三十二年度が死亡四、傷病十六、昭和三十三年度死亡三、傷病三十、昭和二十四年度死亡七、傷病九、こういうことになっておりまして、合計して死亡二十四、傷病七十、年間平均が死亡五、傷病十四ということに相なるわけでございますので、一応見込みといたしまして、発生の見込み件数を二十件、そのうち死亡五、重傷五、軽傷十というふうに見ますと、これに必要な給付総額が平年度二百九十九万四千円、この半額国庫補助といたしまして百四十九万七千円ということに相なるわけであります。
○川村(継)委員 よくわかりました。そうすると大体大きな狂いはないだろうとは思いますけれども、こういう事件でございますから、あるいはこの経費で大いに不足する場合もあるかもしれない。あるいはこれで十分とんとんといいましょうか、満たされる場合もあり得る、あるいはうんと余る場合もあり得る。こういうことは事件の内容からしてあり得るわけでございますね。いかがでございましょう。
○柏村政府委員 お話しの通りでございます。これより少ないことも考えられますけれども、多くなる場合もあり得る。これは各都道府県に起こるわけでもございません。起こったところについてそういう措置をとっていただくということに相なるわけでございます。
○川村(継)委員 先ほど長官のお話を承りますと、昭和三十三年度でございますか、えらい件数が多かったようでございますが、それはどういう原因であったのでございましょうか。
○柏村政府委員 三十三年度は死亡はむしろ少なくて三でございますが、傷病三十ということで、これはちょっと原因まで私わかりませんが、事故のけがによるものだと思いますが、詳細現在承知いたしておりません。
○川村(継)委員 現行法の第二条の該当件数はどういう状況になっておりましょうか。第二条関係を大きく分けて、おわかりでございましたら知らせておいていただきたい。つまり第二条の前の文は、警察官の協力を求められて職務によらないでやった場合、あとの方は警察官等がいなくても犯人の逮捕等で災害を受けた場合、こういうことになっておると思いますが、それを区別して大体どれくらいの件数が発生しておるかお知らせいただきたいと思います。
○江口政府委員 第二条関係で二つに分けての御質問でございますが、分けた資料を現在持ちませんので必要でございましたら後ほどお答えいたしまするが、現に法律改正をやらないで協力援助した者に対する災害給付をやりました実績の両方合わせたものを申し上げます。これも昭和三十年四月から昭和三十五年三月までの統計でございますが、昭和三十年度におきましては、療養給付をいたしましたのが三十六名、休業給付をいたしましたのが十八名、障害給付が六名、遺族給付、すなわち本人がなくなりましたのが五名、葬祭給付は従いまして五名、昭和三十一年度は、療養給付が二十九名、休業給付が二十名、障害給付が四名、遺族給付が三名、従いまして葬祭給付も三名でございます。昭和三十三年度が、療養給付三十一名、休業給付十四名、障害給付五名、遺族、葬祭給付ともに二名。昭和三十三年度が、療養給付五十四名、休業給付二十名、障害給付一名、遺族給付一名、葬祭給付一名。昭和三十四年度が療養給付七十八名、休業給付三十六名、障害給付三名、遺族給付三名、葬祭給付三名ということに相なりまして、これを五ヵ年の平均をとりますと、療養給付四十六名、休業給付二十二名、障害給付四名、遺族給付、葬祭給付三名というような実績でございます。
○川村(継)委員 そうすると、今の第二条関係の件数の平均と今回予定しております改正に基づく発生件数の予定はそうべらぼうな開きはないようであります。特に遺族給付あるいは葬祭給付というようなものの該当者は大差ないようでございますが、第二条関係で、現在警察の方ではどれくらいの予算を持っておられますか。現行法の第二条関係の予算額はどれくらいありましょう。
○江口政府委員 ただいまのお尋ねの分は、国費の補助金が約三百万でございますので、年間、全部で六百万という予算でございます。
○川村(継)委員 そうしますと、の発生件数というものは、なかなか初めから予測できるものではありませんが、今回改正に伴うお金と、それから現在の二条関係の現行法によるお金というものは、まあ半額と、こういうことでございますが、それはやれるかやれぬか、これは発生があるかないかということで大へん微妙な問題になりますけれども、その辺のところはわれわれも十分検討しておかなければならないのじゃないかと、私今つくづく考えるわけです。 そこで、その次にお尋ねいたしますが、療養給付あるいは障害給付、遺族給付、こういうものの支給内容はどういうように計算をしたらよろしいかということであります。これは、おそらく当局の方では現行法等によりまして一応の計算基準というものをお持ちでございましょうが、たとえば療養給付の場合に、重症者に対してはどういう支給額になるのか、軽症者に対してはどういう支給額になるのか、大体のところを現行法のところで教えておいていただきたい。今度の改正によりますものも、おそらく現行法と同じ計算基準でやられると思いますから、その点聞かせておいていただきたい。
○江口政府委員 仰せのように、現行法に要しまする費用が約六百万、今度法の改正に伴いまして三百万ということになると、半額になるのじゃないかというお話でございますが、その通りでございまして、そういう原因の大部分といいますか、その原因は、死亡者においてはほとんど変わらないという計算でございますけれども、従来の実績が傷病の方が、従来の二条関係が非常に多くて、今度の改正の関係が人数が少ないというような点から、そういう計算になるわけでございます。従いまして、傷病の場合にどういう給付をいたしておるかという事柄でございますが、これは療養に要する実費を支給しておるのでございまして、従来の実績の平均をとりますと、重症というものは大体六十日間の療養を要したことになっておりまして、その一日の平均額が二百四十九円の療養費でございます。だから、重症一件について七万四千七百円の支出をしているという実績でございますから、これを今度の新しく入りまする件数にかけたわけでございます。また、軽症と申しておりますのは、従来の実績から見ますと大体十五日内外ということになっておりまして、療養費はやはり重症の場合と大体同じでございますので、日にちが短くて済むということでございまして、二百四十九円をやはりかけまして、軽症一人について三万七千三百五十円という計算をいたしているのでございます。
○川村(継)委員 二百四十九円というのは、それは療養に要した実績の平均額でございますか。
○江口政府委員 はい。
○川村(継)委員 これは、病人が療養しておるのに平均二百四十九円とおっしゃるのですが、それは妥当な額でございましょうか。われわれの今の持っておる常識的な判断からすると、平均にしましても、何か大へん低いのじゃないかという印象を受けますが、いかがでございますか。
○江口政府委員 お答えいたします。重症の場合をとりますと、平均して大体六十日間でなおっている、その間の療養費は二百四十九円、お医者さんに払う費用でございますが、言い落としましたが、本人に対しましては、その間仕事ができませんので、業を休むことによる損失補償をする意味の休業給付というものをやっておりまして、これが一日五百三十八円の平均になっております。従いまして、重症の場合は、本人の手に入るわけではございませんけれども、要りますのは七万四千七百円の療養費と九万六千八百四十円の本人の収入補てんという両者がございますので、念のために申し上げておきます。
○川村(継)委員 ところが、もう一つ考えなければならぬ問題があるのではないでしょうか。お医者に払うのが二百四十九円とおっしゃるのですが、今度は医療費が上がるのですよ。政府は一〇%といっていますけれども、おそらくそれ以上になるかもしれない。そうなると、この額では持っていけないということが考えられるようでございますが、長官、その点はいかがでございますか。
○柏村政府委員 現在の給付の基礎額というものがこのままでよいかどうかということは、御指摘の通り検討を要する問題だと思います。ただ、今回の改正せられまする趣旨を考えますと、この法律と同じような趣旨の法律がほかにもあるわけでございまして、そういうものとの均衡上、一応従来の基礎額ということにしまして、給付の範囲というものを広げるということが御趣旨のように私もこれを了承いたすわけでございまして、ただいま御指摘のような給付の基礎額ということにつきましては、他の法律とのにらみ合わせ等も考えて、とくと検討をいたしてみたいと考えております。
○川村(継)委員 それではなくなった場合、遺族給付というものは、先ほど長官のお話では、この改正に伴って五人くらい考えておいたらよかろうというお話でありましたが、その遺族給付の支給額というものはどれくらいになって参りましょうか。
○江口政府委員 遺族給付の額は、その人によって違いまするし、また家族の数によっても違いまするけれども、最低三十七万から最高六十万プラスの葬祭料及び家族の数に応じた多少の額であります。
○川村(継)委員 その遺族給付の計算と申しますか、それはいろいろ今おっしゃったように家族構成あるいはその人の月給なら月給というものによって違うのでありましょうが、計算する方法は、やはり国家公務員災害補償法ですか、ああいうものに準じておやりなさると思います。たとえば千倍するとかなんという規定もあったと思いますが、それはどういう計算になって参りますか。
○江口政府委員 ただいま仰せのように、原則として本人の日給と申しますか、一日のかせぎ高かけるの千ということでございまするが、その最低が三十七万、最高が六十万と申しまするのは、一日のかせぎ高の最低を三百七十円で押え、最高を六百円で押えているわけでございます。それに家族は、詳しく申しますというと、細君それから子供でございますが、非常に近いところは一日二十円、それからちょっと離れた家族でありますと十三円というようなことで、これも千日分を加算するわけであります。葬祭料が日給の日額の六十倍というもので計算をしてそれが全額ということになります。
○川村(継)委員 わかりました。その次にお聞きしておきたいと思いますことは、おそらく今のそれらの計算の基礎になって参るだろうと思いますのに、政令に給付基礎額というものが定めてあります。この給付基礎額は三百七十円、こういうことになっております。しかし、ただしがついているわけでありますが、この三百七十円というものは一体どういう計算で出てきたのでございますか。ずいぶん古いんじゃないかと思うのでありますが。
○江口政府委員 お答えいたします。この法律ができました昭和二十七年には、この三百七十円が二百五十円であったと思います。それが昭和三十年に改定されまして三百七十円になっておるわけでございますが、これは聞くところによりますと、当時の警察官の、巡査の階級の平均日額であったようでありまして、三十年に上げましたのも、ベース・アップその他で巡査の平均がそこまで上がっておったということで上げたように聞いているわけでございます。
○川村(継)委員 それでは今日これがこの額でよろしいでしょうか。どうお考えでございましょう。
○江口政府委員 先ほど長官からも答弁されましたように、ほかとの関係もございますので、われわれ一存でどうこうということはございませんが、公務員にしましてもベース・アップ等もございましたし、将来に向かってはやはりこれを上げていくべき筋合いのものじゃないかと考えます。現実の問題といたしましては、この間も東京都内で起こりましたが、最低額ということじゃなしに、ぎりぎりの一日六百円というところまでをなるたけ活用するような方法でやっておるようでございます。
○川村(継)委員 それから政令の今の給付基礎額の三項に、先ほどちょっとお話しになったように、十三円プラスするとか、二十円プラスするとかいうことでありますが、こういう額を私たちはこのままで現在見のがすわけにいかない。「第二号から第五号までの一に該当する者については一人につき十三円(満十八歳未満の子のうち一人については、二十円)を、それぞれ加算して得た額をもって給付基礎額とする。」こういうことはどうも少し時代離れのしたような内容じゃないかと思われてなりません。そこで、私たちも皆さん方と、これからせっかくこの法案を提案するわけでありますから、こういう点を一つよく検討してみたいと思います。今当局の見解も聞きましてそういう点を強く感ずるわけであります。 ここで大蔵省の谷村さんにおいでいただいておるようでございますから、ちょっと皆さん方の見解もお聞かせ願いたい。それは、私が先ほど警察庁の御意見を聞きましたときに、いわゆる療養給付の平均−お医者の療養額ですね、二百四十九円、こういうお医者に支払っておるお金、これも私どもとしては、今日次から次に物の値段が上がり、あるいは医療費が上がったりしていくときには、どうも妥当な額とは思えないし、それから給付基礎額におきましても、何年か前に決定された三百七十円、しかもお話を聞きますと、警察官の日額を一つの基準としておるようでありますけれども、警察官の日額というものはもうすでにベース・アップもあっておりますし、引き上げられておるわけでありますから、これをこのまま据え置いてはどうも困るじゃないか。特にこの法案の趣旨は、の職務に協力した者、職務によらないで協力した者の災害給付処置でございますから、われわれとしては最も大事に考えなければならぬ。そういうことを考えますと、今の給付基礎額であるもの、あるいはその療養給付の計算のもととなっております医者の支払いの金額というようなものは、このままではいけない。こういうことを考えるわけですが、大蔵省としてのこれについての御見解を一つ聞かしておいていただくし、皆さん方はどうお考えになっておられるか、言明をいただきたいと思います。
○谷村政府委員 だんだんいろいろ御意見のほどを拝聴しておりました。私どもといたしましては、三十六年度の予算をいろいろ編成いたします際には、ただいまお話の出ました単位費用、療養費用の問題とか、あるいは給付基礎額という点について、これは一応の積算の根拠としては従来通りのところで見ておったと記憶いたします。ただ、人間の範囲がふえるであろうということは、先ほど警察当局から一応お話がありましたように広げて考えていったと記憶いたします。今お話しの点は、実体法として、たとえば政令の改正をこの際考えたらどうかという問題と、それからそれに相応する予算の問題をどう考えたらいいかという二点あると思いますが、率直に申しまして、私どもの立場からいたしましても、給付基礎額の引き上げの問題はこのままにしておかないで、他の法律の面とも合わせて、この際将来の問題にはなりますが、検討すべきことと思います。それは私もそう思います。 それから第二点の予算の問題になるわけでございますが、これは警察の地方費に対する全体の補助金の中に入っておるわけでございますが、全体として今われわれが積算して積み上げました基礎額が、これによって動くものかどうかという問題が別途あるわけであります。これはまた別の問題にさしていただきたいと思います。
○川村(継)委員 わかりました。私たちがせっかくこうしてこの法案を提出するわけでありますが、実はそういう内容等も十分なものにして成立させたい意欲はあるわけであります。しかし本年度はすでに予算も衆議院を通っておる段階でございますし、予算の総ワクを広げるということも困難なことでございます。またこれは一つの法案でなくていろいろこれに関連のある法案もあるわけでありまして、一挙にというわけにも参らないということは十分われわれも了解できるわけであります。そこで私たちもこの法案の成立は拙速をとうとぶという気持で提案をいたしておるわけでありますから、これは警察当局にも十分一つ御努力をいただくし、われわれも十分これから検討を加えて参りまして、今の給付の内容、給付額等については、なるべく早い機会に他の法案との関連も考えて、十分なる支給ができるようにぜひ一つ御努力願いたい。大蔵出局においてもそういう見解をお持ちでございますから、ぜひ一つ強くお願いをしておきたいと思います。終わります。
○濱田委員長 阪上安太郎君。
○阪上委員 私も川村さんに続きましてちょっと発信してみたいと思います。御承知のようにこの法案は委員長提案であります。そこでわれわれがこの法律を作りまして、これを実施するのは警察庁であります。そこで問題になってくるのは政令の問題なんです。これを確かめておきたいのですが、ただいまのところでは、昭和三十四年の政令第八十九号、これが生きておるものだとわれわれは考えるわけなんです。そこでこの法律案の第二条の給付の対象にならない者が政令できめられておりますが、この在来からの政令を見ますと、どうも憲法違反の疑いのあるような政令になっておるのじゃないか、私はこういうふうに思うのです。それは政令第二条の第三号、四号、五号、六号では、被害者または現行犯人の配偶者、これがやはり給付の対象になっていない。被害者または現行犯人の直系血族、これが給付の対象になっていない。被害者または現行犯人の同居の親族、これが対象になっていない。被害者または現行犯人と同一の世帯に属する者、これも対象になっていない。犯人は非常に兇悪な犯人であっても、配偶者はその犯罪を阻止し、それに対して人命救助の建前から敢然と立ら上がって、そうしてこれを救おうとして災害を受けた。これに対してここでは、私の解釈が間違っておるかもしれませんけれども、この給付の対象となっていない。また同居の親族である場合には、それらの人々が人命を救助するという建前から身を挺して立った場合にも、これまた給付の対象になっていない。こういうように解釈するのですが、私の解釈は間違っているのでしょうか、この点を最初に一つ伺っておきたい。
○柏村政府委員 ただいまのお話は、配偶者以下身近な者についてこれを除外しておるのはどういう理由かというお尋ねのように伺ったわけでありますが、こういう配偶者はもちろん、身近な君につきましては、道義上当然そういう災害にあう者を救う、あるいは自分の夫が人に危害を与えるということを見過ごすべきでない、それは当然のことであるという考え方からいたしまして、そういう身近な者については当然行なう義務があるのじゃないかというふうに考えまして、これは職務によらないで危険を顧みず協力援助したという者に対する給付でございますので、職務上当然やる者と同様に見るべき筋のものというわけで、これを除外しておるわけでございます。
○阪上委員 道義上と言われるのですが、社会通念として、あるいは道義としてそういうことを考えるということも、一つの憲法解釈であるかもしれないけれども、しかし法のもとに平等であるという憲法第十四条の精神からいって、またこれは近代国家の大原則ではなかろうかと私は思うのですが、それを今言われたような解釈だけでこういった者を除外しておくという考え方は、私は行き過ぎじゃないかと思う。憲法の解釈はいろいろむずかしい解釈もございます。悪平等でも絶対平等の扱い方を法のもとでやれということとは私も解釈いたしませんが、しかし、同じ事情のもとにおいては少なくとも平等に扱っていかなければならぬ。そうして人を助けるということはやはり正義の問題だ。この正義というものがやはりこういった法のもとの平等であるかどうかということの基準になってくると思うのです。人を助けるというこの単純なしかもきわめてとうとい行為であっても、同一の血族関係にあるからというだけの理由によってその恩典に浴させないという考え方は、これはやはりどう考えてみても憲法違反の疑いが濃厚だと思う。それともほかに何かこういった実例がございますか。消防関係その他海難救助等においても、人命救助に関してやはりこういう扱い方を受けるということになっているのですか。私はこの法律を、そういった者は適用除外しょうという意思で出そうとはしていない。それが今までのあなた方の法の解釈によると、そういった者はやはり除外していくべきものだという考え方に立っていることはこの政令で明らかだ。これはどうも私は大きな問題じゃないかと思うのです。もう少し納得のいく説明、あるいは例等がありましたならば一つ示していただきたい。これだけ一つ伺っておきます。
○柏村政府委員 非常に徹底した個人主義の立場に立ちますれば、今お話しのようなことに相なるかとも思いまするけれども、たとえば親が、子供があぶないというときにこれを助けないという、助けないことがむしろ非常に不自然なのであって、助けることがもう人情として当然のことであります。私は何も旧来の家族制度を維持尊重しょうという考えはございませんけれども、やはり家族というもの、特に親子、夫婦というような中において、それがこの法律によって保護するというようなことでなしに、当然にそれをやるべきものであるという前提に立つべきものだというふうに考えるわけでございます。他の例というのは私ちょっと今ここで承知をいたしておりませんので、ほかの例にならってこのことをやったというわけではございませんが、私はこういうものについては断然のことと思っておるわけであります。 ただいま聞きますと、海上保安庁関係においても同じような趣旨のものがあるということでございますが、決してそういうものにならって意識的にこういう規定をしたということではなくて、むしろ私はこういうふうに考えるのが当然のことでないかというふうに今でも確信をいたしておるわけであります。
○阪上委員 当然と言われるけれども、なかなか当然のことをしないのが今の世相ではないかと私は思うのです。ほんとうに当然やるべきことをやらないということが、今のいろいろな社会悪の原因を作っているものではないかと思うのです。でありますから、ここに現行犯人がおって、犯人の細君が、その犯人が危害を加えるというのに対して、それはどこで加えるかわからない。その場合に、それを偶然居合わせてこれを救助していくという建前をとることは、親族であればあるほど、配偶者であればあるほど、私は勇気が要る問題ではないかと、そういう人情論とか道徳論になってきますと思うわけです。その場合に、敢然としてそれを救助したというものに対し、当然やるべきものであるからそれは給付の対象にならない。憲法十四条が要求している法のもとの平等というのは、そういうものに対しても差別を加えていこうという性質のものではないと私は思う。具体的な差異は当然認められております。男と女、子供というようなものに対しては当然これは認められておりますけれども、それは保護していくという建前から認められておるのであって、正義に基づいた一つの人命救助という行為をやったということに対して不平等なものを法は認めない、私はそういうふうに解釈します。だから、海上保安庁、海難救助法その他にいろいろ規定がある。偶然同一のことがあるということになりましても、私はそのこと自体が間違っておるのではないかというように解釈するわけなんであります。この点私自身も非常に疑問を持つのですが、何か的確な説明がほしいのです。そうでなければ私はこんなものはやはり給付の対象としてやってほしいという考え方を持つわけなんです。
○柏村政府委員 どうも私頭が悪いので的確なお答え、特に、阪上委員を納得させるような論述はできないのでありますが、当然のことということ、これは道義の非常に高い社会になっていきますれば、もっと広がっていくことであろうと思います。思いますけれども、少なくとも家族関係においてこれを助けないということが非常に非難される性質のものであろう。そういう点からいきましても、そこまでこの公費によって救済していくということは考えるべきじゃないのではないか。前に申しましたのと同じ理屈で、御納得いかないと思いますが、私はそういうふうに考えておるわけであります。
○阪上委員 それでは一つあなた方の解釈として、これはあなた方が出された法案ではございませんけれども、この法は外国人でも適用されるのですかしないのですか、どういう解釈をされるのですか。
○柏村政府委員 日本におります限り、外国人にも当法適用するわけでございます。
○阪上委員 私もはっきりと言い切れないのですけれども、現在憲法が要請している法のもとの平等とか、あるいは憲法第二十四条の両性の平等とかいう考え方が、今長官が言われたような解釈のもとにおける平等であるとは私には考えられない。それとも民法上何か同一親族とかあるいは世帯にある血族に対しては、特別の法的に要請された人間関係の義務というものがあるのですか。
○柏村政府委員 どうも法律にあまり詳しくございませんが、今思いつきます点で、たとえば親子でありますれば、犯人を隠しても犯人蔵匿罪にならないというようなこともあるわけであります。これは一例でございますが、そういうことで法の前に平等といいましても、家族関係というようなことについては、特別の関係としてこれを別扱いにする場合もあることは、私は当然ではないかと思います。しかし憲法論とか法律上の問題としてでありますと、これは私どもも法制局等とよく相談をいたしてみたいと思いますが、考え方としては正しいのではないか。ただ憲法違反というようなことになりますれば、法制局も関与してやったのでありますから、法制局も気がつかなかったということになるのでありますが、私は先ほど来申し上げた考え方を捨てるわけには参らぬのでございます。
○阪上委員 さっきから私は正しい、私は正しくない、こう言っておるので、これでは議論にはなりません。また議論すべき場所ではないと思います。ただわれわれがほんとうにこういった法律を作ることが望ましいと思って、わざわざ委員長提案で出そうとするときに、この法律の解釈が、今論議がありましたように、この法を実施していく側の考え方として、しかも具体的に政令でこういったものの考え方が出てきておる。こういうことになりますと、法そのものに何ら憲法違反の内容を持っておるものではないと思います。そのこと自体は直接には関係はないと思いますが、解釈が非常に問題であります。またこれは、この法律が適用されていくということによって、非常に大きな社会的な警察への協力が要請されるわけであります。たとえばここで配偶者だから当然協力しなければならない、当然協力すべきものが協力したのだから、問題ではないのだ。しかし、人命を救助するということは何も配偶者に限ったところの義務づけじゃなかろうと私は思う。すべての者が人命を救助しなければならぬのじゃないか。消防法等におけるところの解釈というものは、そういう解釈が一部とられているのじゃないかと私は思います。日本国民はだれでもやはり人の命を救っていかなければならない、こういうことであろうかと私は思うのであります。だから、配偶者であるからといって、あるいは同属の世帯に属するから、あるいは同居の親族であるからと、そこまで除外をしてしかるべきものとは私はどうも考えられない。この法案をきょう上げられるかどうかということについては、できるだけ早い方がいいということも私は承知しておりますけれども、この疑点だけは何とかもう少し的確な解釈がほしいのであります。ついては、警察にこれを責めるわけにいきませんから、われわれが出した法案ですから、一つ法制局あたりにもう一ぺんこの点を調べてもらいたい。こう思うのですが、その点一つ委員長において取り計らっていただきたいと思います。
○二宮委員 関連。第二条というのはもうはっきりしておるわけで、これを政令に定める際に、今長官が心配されておる、その主人が殺人をし、奥さんがそれを妨害するために命を捨てるというようなときに、あるいはまた窃盗やそのほかの場合でも、なれ合いになって、そこに犯罪が生まれても、家族であるがためにこうこうだということの心配が多分にあろうと思うのです。おやじがやって、奥さんがなにして給付を受ける、こういうなれ合いになるおそれが多分にあるから、政令でこういうような格好になっておると思うのですが、そこで政令の第八号には排除規定があるわけですね。以上の七号以外に公安委員会がこれではならない、こういう排除をする規定があるわけです。そこで、たとえはおじいさんが大へん酒乱であって、それを孫が殺したというような事件が発生をいたしまして、近くの人がそれを免除してもらう、刑の免除をお願いするというような同情がわいたという場合がありまして、そのために刑が免除されたという実例もわれわれはたくさん知っておるわけです。そこで第二条の規定に基づくところの政令の中に、今阪上委員の言われたような排除規定ではなくて、特に認定の項目を設けて、親族の中で特別に、これはほんとうに都道府県の命によって執行しておるところの警察に援助したと思われるようなものについての——主人、配偶者だとか、非常に近い親族というのは別にしまして、何かそういうような一つのもう少しゆとりのあるような認定の条項を一項に入れるというようなことがあると、今の問題が解決するのじゃないかというふうに私は思うのですが、政令では排除規定はありますけれども、その認定の規定というものがない。これこれではいけないのだときめつけて、今長官が言われたようにぴしっときめつけてしまって、その中にほんとうに社会の人が感動するような事例があったという場合に、それを許容するという項目がないわけなんですが、そういうような排除規定ではなくて、そういうような認定をして、これには一つ法を適用してもいいんじゃないかというような規定を一項目入れることはどうであろうかというように思うのですが、その点はどうですか。民法でははっきり第一条の二に個人は平等であって、それがかちっと確立しておるわけなんで、これでいきますと、家族制度が復活して、親族までが犯罪者の責任を負わなければならぬというような格好に解釈されるおそれがこの政令には多分にあると私は思うのです。だから、そういう点を排除する意味からも、排除規定ではなくて、認定の規定というものをもう一項目入れる。それは社会的にほんとうに納得のできるものであり、皆さんがほんとうに了承できるものであるという場合には、そういう項目を一項入れることができはしないかと思うのですが、その点、長官どうですか。
○柏村政府委員 御趣旨は私はよくわかるように思います。まあ、私どもは排除するものをはっきりと限定して、それ以外は全部やるということで救われるという考え方に立ってこの政令を作っておるわけでありますが、今のお話は、こういう排除した中でも特別なものにはやってもいいのじゃないかという御趣旨のように承ったわけでございますが、これは私どももよく検討をいたしてみたいと思います。今、ここでそれはけっこうでございますと言うことは、私もあまり法律に詳しくございませんので、ここで申し上げかねますけれども御趣旨はよくわかりますので、検討いたしたいと思います。
○濱田委員長 なお、私からもちょっと申したいと思いますが、今二審委員、その前に阪上委員から御質疑のありました点につきまして、申すまでもなく、これは政令に関する問題でもありますし、また率直に申せば、私自身、阪上委員の御意向を承りながらも、こういうような、これまでの政令が必ずしも憲法違反とまで言えるかどうかということを疑問にしながら承っておりましたので、こういう問題について、政府の解釈についても、なお今後疑いがありますれば、これを返答をいたす機会も持ちたいと思います。そういう意味で御了承いただきながら御審議を願いたいと思います。 他に発言はありませんか。——発言がなければ、本案は予算を伴う法律案でありますので、この際に、衆議院規則第四十八条の二の規定に基づき、内閣に対し、本案に関する意見を述べる機会を与えることといたします。安井国務大臣。
○安井国務大臣 御提案の法律案は、水難、山岳における遭難、交通事故その他の変事に際し、みずからの危難を顧みず、職務によらないで人命の救助に当たった者が災害を受けたとき、都道府県がその給付を行なう制度を確立するとともに、災害給付の種類を改善する等のためのものであると承りました。 みずからの危難を顧みず、進んで人命の救助に当たるというような勇敢な行動に出て災害を受けられた人々について、それに報いるためには、このような制度を作ることはぜひとも必要なことであり、これは社会一般の要望するところでもあると存じます。 なお、法律案のような給付を行なうことは財政的にも可能でありまして、その御趣旨には全く同意であります。従いまして、政府といたしましても、その成立を希望するものでございます。 —————————————
○濱田委員長 それではお諮りいたします。 警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律の一部を改正する法律案を本委員会の成案と決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○濱田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 次にお諮りいたします。本案を、国会法第五十条の二の規定により、委員会提出の法律案とするに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○濱田委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。 次会は公報をもってお知らせすることとして、本日はこれにて散会いたします。 午前十一時五十九分散会