P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
38回国会衆議院1961/02/24

地方行政委員会 第7号

発言数
154
登壇者
13
会派数
2
開催日
1961/02/24

会議録

濱田幸雄自由民主党

○濱田委員長 これより会議を開きます。  警察に関する件につきまして調査を進めます。  質疑の通告があります。順次これを許します。宇野宗佑君。

宇野宗佑自由民主党

○宇野委員 今回の嶋中事件につきましては、すでに過般の本会議あるいは連合審査会において、およそその概要をわれわれも知り、警察当局並びに関係御当局の所信のほどを承ったのでございまするが、一応先般問題になっておりました右翼団体の総裁も教唆扇動の疑いによって逮捕され、あるいはこれまた一応その進退が注視されておりました小倉警視総監もここに辞任されることになったというので、この事件に関しましては大体一段落したような格好を見せておるのではございまするけれども、しかしやはりこうして右翼テロが非常に世の中を騒がせたということにつきましては、今なお世間の関心が深いものがあろうかと存じます。  そこで私は、こうした事犯に関しまして、少しく趣を異にした点より、御当局の所信のほどを承りたいと思うのでございます。まず最初に警察庁の保安局長にお尋ねいたしますが、赤尾総裁を逮捕して以来、右翼の間においてはそれに伴うはね上がりがある危険性があるというふうな風聞を耳にいたしております。あるいはまた、いわゆる新興宗教等で教祖がつかまりますと、よくあれは法難だというような工合で、また何かしでかすというふうな気配もあるやに承っております。その点についての、その後の状況をまず承りたいと思います。

木村行藏警視監(警察庁保安局長)

○木村(行)政府委員 右翼関係の情報に関しましては警備局の関係でございますが、庁内でいろいろ密接に連絡をとっておりますので、大体のことは承知いたしておりますが、ただいま宇野委員のおっしゃったことにつきましては非常に考えられることでございますので、十分に警戒していろいろ、手を打っております。

宇野宗佑自由民主党

○宇野委員 昨今そうした問題について注目されておるのは、いわゆる十七才族と申しますか、未成年の少年たちであります。そこで、過般もわれわれの手元に配付されました資料を一覧させていただいたのでございますが、それによりますと十代と二十代では全体の七一・三%の犯罪数を示しておる。特に十四才より十九才のいわゆる少年法の適用あるいは児童福祉法の適用を受けておる年令層の少年の犯罪というものが、二十五才より二十九才の層と同じ高さを示しておるというふうなことを知りまして、われわれも今さらながらあぜんといたしておるのであります。特に最近の指数なんかを見さしていただきましても、皮肉なことには、いわゆる少年法あるいは児童福祉法が制定されあるいは改定されて以来、漸次この少年犯罪が増加の傾向を示しておる、こういうことでございます。これについて一つお尋ねいたしたいのですが、少年のときに罪を犯し、なかおつ成年になって罪を犯すいわゆる再犯の指数はどのようになっておりますか。

木村行藏警視監(警察庁保安局長)

○木村(行)政府委員 お答えいたします。大体再犯関係は逐年増加の傾向にあります。少年犯罪は大体二十六年が一番戦後ピークでございましたけれども、その後三十年近くまでは大体横ばいであります。三十年以後また再び増加しまして、昨年は約二十万くらいになっております。おそらく二十六年のピークよりも五万くらい増加しているという状況であります。それと相関連いたしまして、大体再犯関係は逐年ふえておりまして、三十二年くらいから相当にふえております。その状況を申し上げますと、三十年のときに大体再犯関係の少年は一七・八%でありましたのが、逐年増加しまして、昨年は二一・二%というふうにふえておりますので、逐年数%ずつ再犯関係はふえておるという状況であります。

宇野宗佑自由民主党

○宇野委員 ただいまの指数を伺いましても、私はこういう感じがするのですが、結論といたしましては、少年犯罪の再犯がふえておるということは、つまり成年犯罪は少年犯罪の尾を引いておる、その延長である、こういう感じがするのです。従いまして、少年犯罪の撲滅はつまり再犯の撲滅であり、ひいては犯罪のうちそのピークを示しておる二十五才より二十九才までの成年犯罪の撲滅を期し得られることと思うのでございます。これにつきまして警察当局の発表されておる冊子を見てみますと、結論として、原因論よりもむしろこうした少年犯罪は臨床的にあるいは科学的に調査を進めなければならないということがしるされておるのでございますが、具体的にどういうことでございましょう。

木村行藏警視監(警察庁保安局長)

○木村(行)政府委員 確かに少年犯罪の問題は、少年犯罪の問題だけでなしに、むしろ日本の現状の犯罪においてはその大宗をなしておりますので、成人犯罪の予防というような狭い範囲でなしに、むしろ日本の犯罪全体の問題として最も大きな問題だと思います。その場合におきまして一番問題は、そういう少年が非行に至る場合の原因というものを科学的に追及して、どういう経過でだんだんそういう程度が高まってきたか、また犯罪を犯すことになるかということにつきまして、科学的な研究が非常に必要かと思います。それにつきましては、一昨年の四月から科学警察研究所に防犯少年部を作りまして、そこで心理学、社会学、教育学あるいは精神衛生というような立場から、専門の新進気鋭の研究官を入れましていろいろ研究いたしました。それと同時に、警察が第一線で一番具体的に、しかも早めに、また数多く非行少年と接触する機会が多いのでございますので、そういう場合に、その補導の仕方あるいはいろいろな接触の仕方によっては逆に逆効果を来たすということも考えられますので、そういう街頭における警察官、ことに少年警察官の補導の技術、面接の技術というような事柄について、科学的な研究を今いたしておりまして、それに応じて少年警察の適正というものをだんだん向上して参りたいというふうにいたしております。

宇野宗佑自由民主党

○宇野委員 今お話にありました警察庁の科学研究所でございますが、実は私、先般訪れさせていただいていろいろお話を伺ったのです。そこでも今局長が申されたようなことを言っていらっしゃいましたが、犯罪の予防ということについて全力を注いでおられて、心理学的に原因を解明するとか、科学的に解明するということについては今なお全しとしないというような率直な御意見でございました。それは今後続けていいだろうと思いますが、しかし今申されました通り、わが国犯罪の原因が、いわば濫觴の地が少年犯罪にあるとするならば、少年犯罪を撲滅しなければいけない。そこで問題になりますのは、少年犯罪が何ゆえに起こるか。これはいろいろ世間でいわれておりますが、あらためて御尋ねしたいのです。少年犯罪の発生の原因です。その原因につきまして、警察庁、法務省及び総理府の青少年問題協議会の事務局長おられましたら順次お尋ねしたい。

木村行藏警視監(警察庁保安局長)

○木村(行)政府委員 少年犯罪あるいは少年非行の原因につきましては、非常に多岐にわたりますし、また非常に根の深い問題でございます。しかし、これを大ざっぱに分けまして、結局二つの分野が考えられる。一つは少年自体の性格の問題として、先天的にあるいは後天的に、その性格からそういう原因があって非行に移るというような性格上の問題と、第二には青年をめぐる環境の影響というような、二つが大ざっぱに言えるかと思いますが、性格の問題からいたしますと、おそらくここ二、三十年来あるいはもう少し長い目で見まして、日本の民族あるいは日本の少年というものが、根本的な性格が本質的に変わったというふうには言えないのではないかと私は思うのであります。従いまして大きな原因は、やはり少年をめぐる環境の問題というものが大きな原因ではないかと思います。予ての環境には家庭環境、社会環境、あるいは学校環境、あるいは大きくいって世の中の非常に大きく渦巻いておる社会風潮というものがあるのではないかと思います。  最近非常に暴力に訴える粗暴犯あるいは凶悪犯というものが少年の関係において非常にふえておりますが、これらなどもおそらく大きくいいまして、日本の現在置かれておるいろいろな部面における世相、社会風潮が何かしら人の命を軽んずる。暴力をあるいは意識的に無意識的に肯定しておる、すぐ行動に移るというような行動過剰の社会風潮があると思われる。その社会風潮が大きく動いておる。その社会風潮に渦巻かれて少年がだんだん育っていくうちに、やはり非行に移る影響をだんだん受けてくるのではないかということがある。  それから家庭の環境からいきまして私たちが感じることは、父親と子供の環境、母親と子供の環境、それらの関係についてむしろ宇野先生の方がお詳しいかと思いますが、いろいろ感じさせられる問題が多いと思います。たとえば小森少年の場合におきましても、父親と小森少年との接触が非常に少ない。そういう接触の少ない環境において、子供が社会の渦巻く環境の影響を受けていくと、家庭において父親がそれを防ぐ、防波堤になってやるということは全然ないわけでありまして、そういう意味合いにおいてだんだん家庭から父親が社会に奪われていっておるのではないか。父親がいろいろな組織の中にあって、いわゆる複雑な組織の中に奪われて非常に忙しい、またいろいろな方に気をとられておるというようなことで、子供とじっくり話すことがない。従いまして子供が成長期において、いろいろな問題について父親といろいろ相談するというようなことがないのではないかと思うのであります。そういう意味合いにおいて、家庭環境が非常に変わってきたということが、一つの大きな原因ではないかと私見として申し上げます。  もう一つはマスコミの関係でありますが、最近いろいろ調査した結果によりますと、たとえばその一つの例として、昨年の春に調べた状況によりますと、日本の有名な三つのテレビ放送局がありますが、そのテレビ放送局のある週の七曜、日曜の二日にわたって番組をいろいろ聞いてみました。そうしますと、その中に殺しの場面が七十二回ある。またスリラーものが一週間に二百八十時間、こういうスリラーものなり殺しの場面が、絶えずテレビにのべつまくなしに写されておると極端に言ってもいいと思いますが、そういうような状況においてマスコミの影響というものが少年に与えておるのではないかと思います。  その他あるいは経済の問題もあるかと思いますが、いろいろ原因はありますけれども、環境の影響というものが非常に大きいと私は思います。

宇野宗佑自由民主党

○宇野委員 今いろいろ法務省、あるいは青少年問題協議会事務局長さんのお答えを伺いたいと思いますが、時間の関係もありますので、今の保安局長と同様の御答弁ならばけっこうでありますし、それとはまた違った、こういうことがあるのだというならば、簡単明瞭に一つお答え願いたい。  それでは今社会環境あるいは本人の性格あるいは家庭環境等いろいろ承り、またマスコミの影響ということも世間で通例の原因だとされております。そこで特にこうした青少年の犯罪の中で、たとえば今回の嶋中事件、あるいは浅沼事件等に現われましたごとくに、一応政治的な思想背景を持っておる事件、これにほぼ似たような事件はこの近年なかったのかどうか、その点いかがですか。

木村行藏警視監(警察庁保安局長)

○木村(行)政府委員 嶋中事件以前にはあまりございませんでしたが、嶋中事件以来だいぶそういうものに刺激されまして出ておりますことは、すでに新聞で御案内の通り御承知のことかと思います。たとえば日教組の小林委員長を刺殺しようとして予備の行為についておったという事件がやはり十七才の少年でございました。同じ日教組に対しまして、少女がやはり小林委員長を刺すということを言いながら家出したような事件がある。これは十六才であります。その他愛国党に入党するといって出かけていった少年もあります。これは十五才です。あるいは父親にむしろ右翼的な言動がありまして、これに刺激されて少年が愛国党へ入党するために家出したというような事件が相当出てきておりますので、ある種の社会的な連鎖反応があるように思います。

宇野宗佑自由民主党

○宇野委員 大体現状あるいはその原因等をお聞きしたのですが、少しく少年法についてお尋ねしたいと思います。言うなれば少年法は、そうした少年の犯罪についてこれを保護善導する、あるいは矯正するという目的のもとに制定されたのでございますが、少年法では、いわゆる非行少年を、犯罪と、触法と、虞犯に分けておりますが、最近触法少年に値する十四才未満の少年犯罪が非常に多いわけであります。ところがこの少年法の規定によりますと、触法少年の場合には、都道府県知事または児童相談所長がこれを家庭裁判所に送致しない限り、家庭裁判所は審判にかけることができない。こういうふうな建前になっておりますから、警察当局がたとい非行少年を発見したといたしましても、これはやむなく児童福祉法第二十五条の措置をとらなければならない。ところが第二十五条を見てみますと、「保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認める児童を発見した者は、」云々と、大体少年法第三条と同じようなことになっておりますが、この場合警察が、実際少年犯罪を一日も早く撲滅しよう、あるいはこれを保護しよう、そういう第一線に立っておられるのですから、この少年法の第三条及び児童福祉法第二十五条は非常に何かちぐはぐなような、隔靴掻痒のような感じが私は文面からいたすのでありますが、肝心かなめの警察当局としては、この少年法第三条に書かれておる触法少年及びその取り扱いについての児童福祉法第二十五条による取り扱い、この間の調整ということが実際面において現状のままではどうか。私自身はそう思うのですが、警察当局はいかがなるお気持を持っておられるか、その点をお伺いいたします。

木村行藏警視監(警察庁保安局長)

○木村(行)政府委員 ただいま御指摘のことにつきましては、特に第一線で警察の少年係警察官がいろいろ苦労しております。宇野委員のおっしゃったような点について非常に不便があります。これにつきまして現在厚生省の方におきましても、この児童福祉法の改正について研究しております。われわれもそれについて、この二十五条に関しまして意見を出しております。先生のおっしゃったような点について十分に考えまして、連絡をとっておる最中でございます。

宇野宗佑自由民主党

○宇野委員 同様に虞犯少年についても、私は同じようなことが言えるのじゃないかと思います。たとえば虞犯少年は、旧少年法でございますると、刑法に触れるおそれのある少年と、広義の解釈がなされておりましたが、新少年法では、御承知のように大体四つの要件にしぼられております。そこでこの四つの要件を調べました場合に、たとえば嶋中事件の小森少年であるとか、あるいは浅沼事件の山口少年というものは、この虞犯少年に値しておったのではないか、結果的にその原因あるいは経過等をいろいろなもので読み聞きいたしますと、これは虞犯少年ではなかったかと思うのでございますが、これに対して事前に警察は虞犯少年という烙印を押されておったのであろうか、どうだろうかということについてお尋ねいたします。

木村行藏警視監(警察庁保安局長)

○木村(行)政府委員 山口二矢につきましては、これははっきり虞犯少年だということで、正確には覚えておりませんが、たしか十数回の違法行為をやっておりまして、そのつど第一線の警察署でそれを検挙いたしまして、同時にその扱いについては、重いものについては検察庁を通じ、罰金刑以下に当たるものについては直接家庭裁判所に送致いたしておりますので、その場合に、厳重な保護矯正の措置が必要だとか、また特に保護処分が必要だということで相当きつい意見を付しまして、虞犯少年としての扱いにおいてはむしろ重くやっておりました。  それから小森については、残念なことでありますが、事前にその点が十分キャッチされておりませんし、また虞犯少年としての違法行為もなかったので、虞犯少年としての扱いはいたしておりません。

宇野宗佑自由民主党

○宇野委員 現在まだ相当数の家出右翼少年があるとか、あるいは現に愛国党に所属しておる少年諸君の中にもそういうふうな虞犯少年に値すると思わしき者がおりますかどうですか。

木村行藏警視監(警察庁保安局長)

○木村(行)政府委員 それは十分におることを承知いたしておりまして、第一線では気をつけて扱いをいたすことになっております。

宇野宗佑自由民主党

○宇野委員 少年法第六条によりますと、そうした虞犯少年に関しましては、警察官は「直接これを家庭裁判所に送致し、又は通告するよりも、先づ児童福祉法による措置にゆだねるのが適当であると認めるときは、その少年を直接児童相談所に通告することができる。」こういうふうに示されております。先ほどの場合の、触法少年の場合に判断をせられると同様に、少年法第六条の虞犯少年に対しましても、児童福祉法の措置にゆだねるか、それとも少年法そのものずばりでやるのかということについて警察はいろいろと相当調査をせられなければならぬと思うのでありますが、現在その点について非行危険性判定法というようなものをお使いになっていると承ったのですが、どういうふうな効果が現われておりますか。あるいはその非行危険性判定法だけでは無理だ、何らかの新しい措置がなければ、こうした虞犯少年あるいは触法少年についての取り扱いはむずかしいということについて、警察当局としての御所見を承りたい。

木村行藏警視監(警察庁保安局長)

○木村(行)政府委員 ただいまお話しの非行危険性判定法につきましては、一昨年の十月から全国的に一斉に施行いたしました。それまではテスト・ケースとして一、二県やっておりました。一、二県やりました結果、ある程度の効果が現われましたので、一昨年の十月から全国一斉にいたしました。しかし、従来は大体第一線の警察官が、一種の経験法則、いわばある種の勘というか、あるいは若干の材料を基礎にして判定の結論を出しておりましたけれども、それだけでは不十分でありまして、やはり何らかの意味における客観的な資料に基づいて科学的判断をなすのが正しいということで、この非行危険性判定法を施行いたしたのであります。その後大体一年半くらいになりますけれども、ある程度の効果は現わしているようでありますが、これだけで十分だということは言いかねるのであります。

宇野宗佑自由民主党

○宇野委員 法務省の刑事局長にお尋ねいたします。今警察当局からは、そういうふうな触法あるいは虞犯少年の一般的な少年犯罪の撲滅について、現行法では何かやりにくい点がある、特に少年法あるいは児童福祉法の統一、そういうことについての御所見を伺ったのですが、法務省難局はこれについて、現在として何らかの準備をなされておるかおらぬか、その点についてお伺いいたします。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内政府委員 法務省におきましても、戦後ただいまの少年法が実施されましてから十年余りになるわけでありまして、戦前の少年法の取り扱いとは全く異なった形のものになっております。戦後のいろいろな少年事件を見て参りますと、制度の点において欠陥があるのであるか、現行制度が完全に理想的に運用されないために起こってくる欠陥であるかということについて、数年来内部において研究調査をいたしておるのでございます。まだもちろん現段階におきましてこうすべきであるという結論には達しておりませんが、一応現行少年法のもとにおいて生起されるいろいろな問題はすべて取り上げまして、事務的に検討を加えつつある現状であります。

宇野宗佑自由民主党

○宇野委員 少年に関する犯罪を防止せんがために少年法、あるいは少年の福祉を保護せんがために児童福祉法、そのほかにもいろいろと少年の立場について、学校教育法であるとか、労働基準法であるとか、幾つもの法律がございます。そこで私は、今回のこうした少年犯罪がやかましく言われ、特にそのうちいわゆる右翼少年によるところのテロ行為というものが、言うならば世間の注視を浴びて、今日のような政治不安をかもし出しておる直接の原因である。そういうふうに考えて参りますると、先ほども警察当局にお尋ねいたしたのですが、いわゆる少年犯罪の中の政治的な背景を持つものはどうだろうということについては、今のところ嶋中事件以後しかないというお答えでございました。しかし現在それが連鎖反応を現実に起こしておるわけであります。従いまして、少年法の改正であるとか、あるいは現行制度であるとか、いろいろお考えになっていらっしやるらしいのでございますが、一つのことを私は提案してみたいと思うのでございます。  まず今日の社会不安の原因が政治にからんでおる。少年の殺しがあちこちにあるでしょう。ありましょうけれども、それは新聞の上におきましてもあるいはちっとしか書かれておりませんから、あまり世間の注視を浴びるに至りませんけれども、いわゆる政治につながっておったがために今日の社会不安をかもし出した。現に国会議員すら会館を護衛せられ、あるいは宿舎を警備してもらわなければならないという政治不安をかもし出しておる。むしろ少年の心情というものは、先ほどの木村局長の話ではございませんが、昔も今もあまり変わっておらぬだろう。それは社会環境が悪かった、あるいは家庭の環境が悪かった、いろいろそうやって原因はございましょうけれども、そういう原因だけをここで突きとめてみて、ではどういうふうにいたしましょうかと申し上げても、極言するならば、百年河清を待つにひとしいということが言えるのではないかと思うのです。だから今日の情勢がいわゆる政治にからんで起こっておるというならば、少年と政治という問題について私は考えてみたいと思うのでございます。  現化少年と政治という関係において法的にその関係が明示されておるのは、私もはなはだ寡聞にして知らざる面があるかもしれませんけれども、一応公職選挙法におきまして、未成年者は選挙運動をしてはならない、あるいは未成年者を選挙運動に使ってはならない、こういうことが示されておるわけであります。このことが新しく選挙法に加えられたのは、たしか昭和二十七年の議員立法によりてなされております。その当時われわれはその直接の立法措置には関係いたしておりませんけれども、なぜ少年を選挙運動に使ってはいけない、また使われてはいけないという条項がここに加えられたのであろうかということについて、一応法務省の御見解を承っておきたいと思います。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内政府委員 選挙法になぜ少年を使ってはならないか、少年を利用した選挙運動をしてはならないかということの規定が設けられました理由は、いろいろあると思いますが、今少年問題という観点から見ますると、そういう子供を政治の渦巻の中に巻き込まない方がよろしい、また巻き込むべきではないというお考えだと思います。ただいまのお答えには直接ならないかもしれませんけれども、お言葉の中にありましたが、政治と少年というお言葉でございましたけれども、先ほど木村局長からお答えしましたと私も同じ意見を持っております。環境と少年、少年が環境の中から犯罪性を性格的に高めていくというような見方をしている一人でございますが、この環境の中に政治も一つあると思います。社会の風潮というようなものもあると思います。その風潮の中の一つにあるいはなるかもしれません。そういう意味におきまして政治と少年との関係につきましても、私どもは深い関心を持っております。

宇野宗佑自由民主党

○宇野委員 一応今刑事局長がお答えになられました通り、公職選挙法に未成年を使っちゃいけないということは、当然未成年でございまするから、まだ選挙権も持っておらない、あるいは民法にいうところのすべての権能を有しておらない。そういう思想も固まらない、また責任もない者を政治の紛争に巻き込んじゃいけないという親心から出たものだと思うのでございますが、選挙運動といえは、これは広い意味の一つの政治運動の中の最も中心になるものなんです。その意味において未成年を禁止されておるという条項でございますが、これは当然だと私は思う。しからばもう一歩突き進んで、政治に少年は関与してはならないというふうなことが何らかの措置で今日とられておりますか。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内政府委員 今の公職選挙法以外におきましては、法律的に関与してはならないという規定は、私寡聞でございますが承知いたしておりません。

宇野宗佑自由民主党

○宇野委員 私もないと思うのです。ただ選挙運動に使っちゃいけない、使われてはならないということだけでございます。私は一つ、今回法務省当局もあるいは警察庁のいろいろの御希望も、少年犯罪を未然に防ごう、あるいは今日問題になっておりまするテロなんかが、やはり政治的な思想だとか信条によって行なうというのであるならば、それを今たちまち切る方法としては、未成年者は政治に関与してはならないというぐらいのはっきりした一条、何らかの法的措置をとるべきだと思うのであります。現に政党の規定に対しましても、私たちの見解からいたすのならば、政治資金規正法にしか政党の規定はない。今日政党法はございません。しかし政党というものの規定によりますと「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、若しくはこれに反対し、又は公職の候補者を推薦し、支持し、若しくはこれに反対することを本来の目的とする団体」を政党と称す。同じくその他の協会及び団体についても同様の趣旨がはっきりと政治資金規正法において示されております。言うならば、政治と少年の関係におきましては、公職選挙法において、ただ未成年を使っちゃならないということだけが規制されております。特に選挙運動に使っちゃならないというのならば、政党の規定をいたしておりますけれども、政治資金規正法におきましては、公職の候補者を推薦する行動とかというて、それを一つの政治の大きな目的にいたしておりますので、私はここに未成年を政党に入党さしてはならない、このぐらいの思い切った措置が必要だと思うのでございますが、これについての法務省あるいは警察庁等の御所見を承りたいと思います。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内政府委員 御高見といたしまして十分検討さしていただきたい項目だと思います。しかし問題は、法制的に見ましても、実際の子供の保護補導あるいは教育といったような問題とも関連をいたしまして、単に取り締まるという面だけから判断すべきことでもないように私今考えるのでございまして、十分検討いたしたいと思います。

宇野宗佑自由民主党

○宇野委員 最後に、今まで申し上げました少年法を中心としての各担当官庁の御所見のほどを承ったのでございますが、一応検討しなければならない時期にきておるというととは私も痛感いたしておりまするし、またこうした事件が起こったときを契機といたしまして、やはり何らかの措置をしていかなければならないのは当然だろうと思います。その場合に、われわれが一応少年に関する幾つかの法規をながめさしていただきました場合に、非常にこの年令という上につきましてはそごを来たしている面がたくさんございます。もちろん少年法の第二条におきましては二十才未満を少年という、児童福祉法におきましては十八才未満を児童という、こういうふうに書いておりまするし、あるいは少年法の第五十一条では、少年の刑罰に関しましては、十八才未満に対しまして緩和措置がなされておる。あるいは少年法の第二十条では、検察官への送致は十六才未満はできないとなされておる。いろいろこれに対する理由もあるだろうとは思いますけれども、特に児童福祉法第四条では、少年の定義は、小学校就学の始期から満十八才未満というふうにはっきり法をもってうたっておる。しからば少年法でいう二十才未満を少年というのと、児童福祉法において小学校就学の始期から満十八才未満というのと、それを明らかに第四条で示しておりますが、こうした面においても、肝心の少年を保護しあるいは健全なる育成をせしめんがためにその環境を矯正するという二つの目的を持っておるこうした法律の間に非常なる矛盾があると思うのであります。なおかつ児童福祉法あるいはそれに関連いたします労働基準法一つをながめてみましても、福祉法におきましては、十五才未満の少年子女等を風俗営業等取締法に定められたる場所に立ち入りさしてはいかぬとか、あるいは酒席にはべらしてはいかぬとか書いてありますが、児童福祉法ではそれがすべて十五才夫満になっておる。ところが労働基準法六十三条等を見ますと、そうした行為は十八才未満の子女にさしてはいけないというふうに書いてある。こういうふうに少年に関する幾つかの法律、まだこのほかに調べればたくさんあるだろうと思いますが、非常に年令の法に示されておる面において矛盾があるわけであります。これを一つぜひともやはりこの際に調整していただきたいと思うのでございます。  なお、今日いわゆる少年の犯罪が非常にどんどんふえておる。十八才がいいのか悪いのかという問題もございます。あるいはもっと下げろという問題もあるし、あるいは上げろという問題もございますが、最後に、今日別に確たるお答えをいただかなくてもけっこうでございますけれども、ただいま申しました少年に関する各法規の内容調整をどうするのか、それに対する具体案があるのかどうか、あるいは少年の年令についても、今日少年法に定められておる年令と現在の犯罪よりした場合の年令というものがはたして妥当かどうかということについて、柏村長官並びに刑事局長及び法制局の方に、今後の措置並びに今日の気持のほどを承っておきたいと存じます。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 ただいまお述べになりました少年に関する法規の、特に年令関係の矛盾等について御指摘があったわけでありますが、これらはいろいろ成立の当時から理由があってなされておるものとは思いますけれども、御指摘のようにその後の社会情勢の変化等によりましても、さらに十分検討して参らなければならぬ点が多々あるのではないかと思います。たとえば少年法一つとってみましても、最近犯罪少年の年令が低下傾向をとっておるというような点から、少年法の適用の少年の年令を下げたらどうかという問題も深刻に検討されている状況でございます。さらにこれは訴訟法上の問題でございますが、いずれ竹内局長からもお話があるかと思いますが、検察官先議権というようなものも考えたらどうかというような問題もあると思います。社会防衛の立場からいろいろと検討を要する問題もございますが、さらに、あるいは先ほどお話が出ておるかもしれませんが、少年の問題につきましては、単に法制上の問題のみならず、社会の基盤というもの、家庭の状況、教育のあり方というような点までさかのぼって、総合的に考えていかなければならぬ問題があるように私は考えておるのであります。法律は法律として、もちろん適正に改むべきは改めていかなければならぬと思いまして、私どもも寄り寄り深刻に研究をいたしておるわけでございますが、いまだこの点はこうすべきだという結論には到達いたしていない状況であります。十分にただいまお述べになりましたような御趣旨もそんたくいたしまして、さらに検討を進めて参りたいと思います。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内政府委員 少年の年令を何才に定めるかということは、ただいま御指摘のように非常にむずかしい問題でございます。お述べになりました関係法規の中でそれぞれ年令を異にしておりますのは、その法律の目的とするところに従ってきめられたものと思うのでございますが、それにいたしましても少年々々という言葉を使いながら、あるいは二十才や二十才に満たざる者、あるいは十五才、同じ少年法の中にも十六才とか十八才とか区分しております点等につきましても、考え方は考え方として理解できないこともないと思いますが、それにしてもまちまちになっていることは事実でございます。少年法の年令は刑事責任という観点から、しかも刑事責任のある者の中で犯罪を犯した者について少年としての取り扱いをしようという場合、その少年の年令をいかに定めるかという観点からきめられたものでございまして、これは御承知のように、当初は十八才に満たざる者でございましたが、これを二十才までに引き上げた経過がございます。私どもも、この点につきましては、少年法の改正といいますか、少年法の最も大きな問題点の一つとして研究をいたしておるのでございます。先般参議院でございましたか、国会の御討議の中でやはり年令問題が議論になりまして、学識経験者というような方々が公述人として国会に出られて意見を述べられたわけでございますが、その各意見を聞いておりますと、もちろん人によっていろいろな意見がありますが、大多数の意見は、結局現行のままでよろしいんだという意見であったように私は承知しております。しかしながら、外国におきましての少年法における少年の年令をどう定めるかということは、これまた各国非常にまちまちでございまして、アメリカにおきましては各州によっても年令が違っておりますし、ヨーロッパにおきましても、あるいは十六才としているものもありますし、十八才としているものもあります。大体世界の趨勢は、十八才に満たざる者をもって少年とするということが、現行法の大体の状態のように私は理解しております。少年に対する保護を推進して参りますという大きな理想を目ざしての考え方としては、むしろ年令を引き上げて二十才、さらに二十二才、二十三才というところまでも少年の範囲に入れるべきだという議論も実はあるわけであります。国際連合におきましても、この問題は社会防衛の部局で取り扱っておりますが、国際連合としては、もう一つの考え方を示しておるのでございまして、少年は二十才に満たざるもので少年となっておりますが、これが二十才になったとたんに成年になるというようなことは、保護処分をしていく場合に、あまりに時間的に一分過ぎればもう成年だというような画一的なやり方に問題があるんじゃないかということで、青年層というものを考えてはどうか、少年と成年との間に青年という青年層を一つ考えてみて、その青年層に対しましては具体的な事例に即して、あるいは少年の処遇をする、あるいは成年の方の処遇をするということの道を開くというようなことがサゼストされております。そのサゼストに基づくものか、あるいはそのサゼストの原因になったものかは別といたしまして、ドイツあるいはアメリカの一部の州におきましては、そういう青年裁判所というような制度を設けられてきておる。大体そういうような方向にあるということも私ども研究の一つの資料といたしまして、そういうものを参考にしながら研究いたしておるのでございます。

山内一夫法制局参事官(第一部長)

○山内(一夫)政府委員 宇野委員の方から法制局の意見を述べよというお話がございましたので申し上げますが、法制局というのは、各省の方で立案されたものを憲法に適合するかどうかを検討する、あるいは表現上の適否があるかどうかということを審査するだけが任務でございますから、取り立てて申し上げることはございません。ただ私ども感じるのは、各法律によって少年の年令の範囲がまちまちであるということは痛感いたしておりまして、それと同時に少年に関する規定は一体はたしてどれだけどこにあるかということも、われわれ専門家でも急に頭にすぐ浮かばないというところに、非常に何といいますか、一種の理解しにくいところがあって、世の中の方はなかなか理解しにくいのじゃないかとかねがね考えているわけであります。そこで特に嶋中事件なんか起きまして、少年について一体どれだけの規定があるかということが部内でも話題に上ったことがありまして、何かそこで少年基本法といったようなものがあれば非常に世の中の方もわかりやすいし、われわれもそういった意味で立法の体裁を作ることが必要じゃないかということも個人的な話題の中で出ましたけれども、しかしそういうものとして成立の運びになりますかどうか、これは各省の御態度によることでもございますし、私これはここではっきりしたことを申し上げられません。総理府の青少年問題協議会あたりで考えていただければ一つの考え方が出るだろうと思います。法制局といたしましては、少年というものに関する規定がどうあるかということをPRして、国民に理解を深めていただくという努力はぜひすべきではないかというふうな感想を持っておる程度でございます。

深見吉之助総理府事務官(中央青少年問題協議会事務局長)

○深見政府委員 ただいま御質問の点は、各省からお答えがございましたような意味で中央青少年問題協議会においても御意見がありました。事務局におきましても幹事――幹事と申しますと、各省の局長をもって構成いたしておりますが、幹事会等で再三研究をいたしております。その結果、先ほど来刑事局長の方から御説明があった程度のことでございます。今後ただいま御趣旨の点についてさらに一そう研究していきたい、かように考えております。

濱田幸雄自由民主党

○濱田委員長 それでは次に松井誠君。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 法務省の竹内刑事局長にお尋ねいたします。この前の連合審査で右翼の資金源のことにつきまして一部の発表がございました。そのときに残余の分についても早急に調査か捜査かわかりませんけれども、完了をする見込みだという御答弁がありましたけれども、その後、これは具体的には東京地検が持っておった資料についてでございますけれども、その資料についてその後発表のできるような段階になりましたかどうか、その点を一つ。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内政府委員 ただいまお尋ねの中に、連合審査の際に述べましたのは一部であって、後刻さらに述べる予定だというように私が答弁したようにお話がございましたが、私のつもりといたしましては、そういうふうに申し上げたつもりはないのでございます。当時私どもの報告を受けております限りにおきまして御報告を申し上げたのでございます。そういう今お尋ねのような御発言もあの席であったことは承知いたしておりますが、私の方からは、これが中間発表であって、自後さらに追加して御発表申し上げるというようなことはお約束してないつもりに考えております。私の誤解であるかもしれません。  ところでその後の状況でございまするが、東京地方検察庁からの報告によりますと、先般御説明申し上げた程度を出るものは何もないのでございます。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 そういたしますと、私も今速記録をまだよく見ていないのでありますけれども、私の記憶では、少なくとも大津は、まだ全部の捜査が完了していないから発表できないのだということで当初は渋っておった。ところが再三の追究に、それでは現在まで判明しておりました分について発表いたさせますという、そういうことで発表になったという経緯があったと思いますけれども、局長は、御自分ではそういうことをおっしゃらなかったかもしれませんが、大臣のそういういわば前提のもとで御発表になったと思いますけれども、その点は。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内政府委員 大臣の答弁されましたのはただいまおっしゃる通りでございまして、私もそばにおりましてそのように承りました。大臣が、捜査中であるので今発表できないのだということを言われましたのは、この発表するにつきまして関係機関との間で若干の打ち合わせが残っておりましたので、そのことを捜索中というふうに大臣は言われたのだと思うのでございますが、打ち合わせもできましたので、あの機会に発表さしていただいたわけでございます。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 それではその発表を要求せられた基礎となった昨年の十一月十八日に東京地検の談話として新聞に発表せられたところによりますと、その資金を提供した者の中には現在選挙に関係のある人もあるので云々という部分があったわけですけれども、そのような発表があったこと自体は御承知でございましょうか。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内政府委員 衆議院の法務委員会におきまして、私はるるその間の事情を当時御説明を申し上げたのでございますが、東京地検の発表と称するものは、実は発表ではないのでございまして、担当の検事の雑談をしておったことが、あたかも発表であったかのごとくに報道されたという事情であります。こういう事件の発表につきましては、知っていることは何でも発表できるものではございませんので、一つの制約を受けております。従いまして発表いたします場合には、発表の内容につきましても十分責任ある者が検討いたしまして、そうして発表をするのが常例になっております。あの地検の行動につきましては、全くそういう発表をするという考えのもとに検討したものでもなく、談たまたまそういうことに及んで、雑談のうちに話したことが、あたかも正式の発表であるかのごとくに報道されたのでございまして、あれをもって発表というふうにおとりをいただきますことは、私どもとしては困るのだということをるる説明を申し上げてきたところでございます。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 私は、別に発表という、言葉や形式にこだわるわけではございませんけれども、その中に少なくとも選挙に関係のある人がいるのでという、選挙に関係のある人についての資料を検察庁がその当時持っておったという、そういうことを、あの発表か談話か知りませんけれども、その中に含まれておったということは御存じですか。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内政府委員 当時調査をいたしました結果、あの新聞の記事の通り、新聞にもいろいろな記事がありましたが、新聞の記事の通りのような談話をしたのではないけれども、それに近い、それを肯定したような意見を述べたということは私も承知いたしております。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 そういたしますと、先ほどの刑事局長のお話では、現在のところ地検の手持ちの材料はこれだけであとはないのだというお話でございましたけれども、今言いました、たとえばそういう選挙に関係のある人が云々という点について、その事実の有無というものについて地検にお確かめになりましたか。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内政府委員 その点は確かめております。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 それでそのことも含めまして、この前は法務大臣は一種の中間発表という立場で発表され、その残りの部分については現在発表されないというのは、結局資金の授受がなかったという意味で発表する材料がないと言われるのか、あるいはそれ以外の理由で発表すべきものではないと言われるのか、つまり資金の授受というものが全然ないという意味で発表されないのかどうか。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内政府委員 先般御説明申し上げました内容は、事件の取り調べに際しまして東京地検でわかった事情を御説明申し上げたのでございます。事件以外の関係においてほかにあるかどうかということは、検察官の職務の範囲外でございますので、事件に関します限りはあれが全部であるというふうに私は了承いたしております。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 私も、もちろんあの地検が取り扱った範囲内では事件に関係のある問題だと承知しております。従ってその事件に関係のある範囲内では、この前発表された以外には現実には資金の授受というものは何もなかったと言われるのか、あるいは資金の授受はあったけれども、何かの関係で発表の時期ではないと言われるのか、その点を伺いたい。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内政府委員 御質問の趣旨はわかるのでございますが、私どもの方で報告を受けましたもののすべてでございます。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 私が最初にお尋ねしたのは、ただ消極的に報告を受けただけではなく、国会であれだけ問題になったという発表の内容でございますから、少なくとも新聞に談話や発表という形で報道されて、そのことについてただ消極的に報告を受けるというだけでなくて、その真否について具体的にお確かめになったかどうかということです。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内政府委員 ああいう新聞記事が出ましたので――出なくても資金源を究明することがこの種の暴力を抑圧する一つの有力な方法であるということは前国会におきまして指摘されたところでございます。関係の大臣もそういう御答弁を本会議でされております。私もそういうふうに信じておる一人でございます。従いまして、事件の取り調べを通じて、できるだけ背後関係を洗う一つの方法としまして、背後関係の一部でございますそういう面の捜査を徹底してほしいということを私は要望しておきました。ただその間におきまして、捜査がまだ徹底して調べができなかったために、昨年の十二月当時は御報告ができなかったのでございますが、さらに督促をいたしまして、早く捜査を完了するようにということを申しておいたのでございます。いろいろな事情でおくれてはおりましたけれども、とにかく連合審査のときにようやく間に合って御説明できるようになったわけでございます。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 この前に御発表になった分は、何か具体的に犯罪に関係のあったそういう資金の授受だけでございますか。つまりこの前一応資金の問題について御発表がありましたけれども、それは何か具体的な犯罪に関係があるそういう資金の授受だけの御発表なんですか。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内政府委員 そうではございませんで、取り調べを受けました団体が扱った資金、その出所を捜査可能の範囲におきまして捜査した結果を御説明申し上げたのであります。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 どういう犯罪でその団体をお調べになったか私わかりませんけれども、ともかくお調べになって、そしてその犯罪の捜査の処分の結果は、具体的に起訴になりましたか、不起訴になりましたか。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内政府委員 山口少年につきましては、御承知のように自殺をしましたので、これは打ち切らざるを得なくなったわけでございまするが、この山口少年が属しておりました愛国党、それから脱退後山口少年が一部の者と別の団体を作って活動しておったという団体、あるいはそれの知友の者等につきまして捜査をいたしたのでございまして、その種の団体の捜査の過程において知り得ました資金の点について調べたわけでございますが、出した者がはたして資金として出したかどうかということに若干の疑問が残ったわけでございまして、調べました結果は、この前御説明申し上げましたように、恐喝をされて取られたというのもありますし、あるいは債権の取り立てを頼んで、そのまま使い込まれてしまったというものもありますし、そういうような犯罪は伴わないけれども、いわゆる古い慣習によっておつきあいとして出したというのが多数あったわけでございます。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 簡単に申しますと、あのときに御発表になった資金の授受というものは、犯罪に直接関係のない資金の授受ももちろんそれであるわけですね。――それじゃそれはそれでけっこうでございます。  それから先ほど局長がお述べになりましたように、右翼テロの防止対策としては資金源の問題というものが非常に重要だということをお述べになりました。従ってそういたしますと、資金源の調査というものも犯罪防止の建前からいっても非常に重要になると思いますけれども、その点はどうですか。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内政府委員 犯罪防止の面から言いましても、きわめて重要なことだと私考えております。のみならず、本件の調査は防止のための調査ではなくて、犯罪そのものの捜査であったわけでございます。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 犯罪防止のためにそのような調査が必要であるということはこれはその通りであると思います。そこでさらに調査だけで犯罪防止の役に立つかどうか。もっと言いますと、その調査したことを発表するということが犯罪防止という建前から見てむしろ適当ではないかということを実は考えるわけでございますけれども、その点についてはいかがですか。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内政府委員 資金源を明らかにする仕方といたしまして、発表するということも含まれるわけでございますが、これはやはり防犯に大いに役立つと思うのでございますけれども、警察並びに検察の捜査の面を通じて調べ上げたものが、すべて当然だということで発表し得るものであるかどうかということは、これはまた別の問題として考なければならぬ問題があるわけでございます。従いまして、法規上許されます範囲のことは、そういういい目的にかなうことでございますけれども、できるだけこれを明らかにして防犯の効果をも果たすということがけっこうなことだと私考えます。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 そういたしますと、ほかの条件は別にいたして考えまするならば、発表するということ自体が、防犯の意味からも好ましいことだということは、私もその通りであろうと思います。問題は、その発表することが具体的にどういう障害になるかということ、そういう具体的な障害の点について一つお聞かせを願いたいと思います。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内政府委員 この問題は非常にむずかしい問題でございまして、どの部分までが法の許す範囲であるかどうかということを判断いたしますことは、むずかしい問題を含んでおります。ごく抽象的に私の考え方を申し上げますと、捜査機関である警察並びに検察の仕事を通じて知り得ました資料、この資料を国政の調査権の対象として、この議場で御討議をいただきますことは当然のことでございまして、私どもはその御討議に応ずる義務を感じておるのでございます。しかしながら、一方におきまして、司法は独立でございますし、その独立を担保するために、その資料なるものは一定の制限を受けて、みだりに発表を許さないという建前をとっております。その捜査というのは、裁判資料を集める仕事でございますので、その反射的効果と申しますか、そういうところから司法の完全な運用のためには、これまたみだりに発表してはならないという面もございます。そこで一方において、要求に基づいて明らかにするという義務を持つとともに、他面、法律によって幾多の制約を受けておりまして、秘匿しなければならないという一方において義務を持っておるのでございまして、この間の調整をどういうふうにはかるのがよろしいかということが、私どもの困難な判断になるわけでございます。私はそういうふうに考えております。もちろん、それらの幾つかの法律が、一方において認める、述べなきゃならぬという規定をしておる法律もあるし、他面において発表してはならない、意見を述べてはならない、明らかにしてはならないということを規定しておる法律もあります。そこで、この調和点をどこに求めるかということが、一応ここで論題になると思うのでございます。私どもは、そのときの事情に応じまして、できるだけ国会の審議の対象として申し上げ得る範囲のことは、できるだけ広く申し上げることによって、御審議の円滑を期していくように御協力いたしたいと思っております。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 今、局長が国政調査権の問題に触れられましたので、私もその点についてお伺いをしたいと思います。  今、司法権の独立のいわば反射的な効果として捜査上の問題は言えない場合があるという御意見でございますね。そういう司法権の独立に関連しての問題とは別に、たとえば発表することが思想の自由、あるいは結社の自由を侵すからいけないのだという考え方がございますけれども、その点についてどういうふうに考えておりますか。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内政府委員 もちろんそういう問題もあるわけでございます。捜査権は、任意に捜査する場合もありますが、多くは強制力に基づきまして捜査をするのでございます。従って、そういう権力を用いて捜査して集めた資料、そういうものは個々の人の名誉に関するものも相当多くあるのでございまして、そういうものをみだりに公表しますことは許されない。これは今御指摘の通りでございまして、名誉に限りませず、表現の自由に直接結びつく問題もあるのでありまして、慎重を要する点だと思います。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 問題を整理いたしますと、私の今お伺いしておるのは、右翼団体の資金源の問題についてだけの話です。そうしてその資金源を明らかにする方法としては、具体的な犯罪事件に関連しての捜査もございましょうけれども、しかし捜査よりも一般的ないわゆる調査といいますか、強権を用いないいろいろな事前の調査というものがたくさんあるだろうと思います。そういうような方法によって得た財源、資金源の発表についての問題を私は問題にしておるのでありまして、一般的に捜査の過程で知り得たものがどうであるとか、あるいは資金源の問題にしましても、具体的な犯罪事実に関連しての捜査という、そういう手続で得た資料についてだけお尋ねしておるのではないわけです。そこで右翼の資金源の問題だけに限って、その方法としては、具体的な犯罪がなくとも、防犯の意味でいろいろな調査をされる。そのような捜査あるいは調査に基づいて得た材料を発表することが、結社の自由や思想の自由というものに一体どういう関係があるのか。といいますのは、政治活動の公明化を期するために政治資金規正法というものがございます。従って特に政党に対する資金の関係はむしろガラス張りにしなければならぬという法律上の義務があるわけです。従って、そういう意味でこれを発表するということが、具体的に一体結社の自由をどうして侵すかという論理の筋道が私にはわからないのでありますけれども、そのような御意見が先般ございましたので、それについてはまたあとで別途に伺いますけれども、刑事局長に、そういう御意見もありますが、そのような御意見についてはどういうお考えがございましょうかという質問であります。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内政府委員 私の御説明申しましたのは、もっぱら捜査という観点からの資料のことを申し上げたのでございますが、仰せのように捜査以外のいわゆる行政行為としての調査もございますが、犯罪捜査という以外の方法による調査というものも私はあり得ると思います。たとえば法務省所管の公安調査庁が破壊活動団体の調査をする場合、これは犯罪の捜査じゃございませんけれども、その過程におきまして資金源を調査するということもあり得ると思います。そういう調査を発表するかどうかということは、先ほど来私が述べておりますこととは若干趣が異なるものがあると考えます。しかしながら、かりに発表すべきであるといたしましても、発表することが破壊活動団体を調査する目的を失わしめてしまうことになるような発表でございましたならば、これまたできないことになるのじゃなかろうかと思いますが、その点はもう少し研究をさせていただきましてお答えをさせていただく方がいいと思います。あまり思いつきを申し上げますことはいかがかと思います。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 そうしますと、先ほど司法権独立の反射的な効果としてそういう捜査上の問題は発表できないんだという御説明がありましたけれども、今の調査の結果の発表という問題になりますと、との司法権独立の反射的効果という論拠は一応別になりますですね。そういたしまして、なおかつ発表をすべきかどうかということを、国政調査権との問題でむずかしい問題がおありだというお話がございました。われわれが調査権に基づいて発表を迫るのは、何も国政調査権の範囲について憲法上の論争をすること自体が興味があるということじゃ決してございません。そうじゃなくて、冒頭申し上げましたように資金源を明らかにするということが、右翼テロ対策の非常に重要な役割を果たす。そういたしますと、もし警察庁なり検察庁なりあるいは公安調査庁なりが、ほんとうに右翼テロの防止対策として資金源を真剣に御調査なさっておるのかどうかということを、実はわれわれ国会の立場から具体的にそれを証明させる方法がないわけです、もし発表させることができなければ。そのような調査をしたものは発表をさせられるというそういう具体的な制度的な保証がなければ、一体どの程度調査をしておるのか、どの程度資金源について具体的な資料を持っておられるのか、あるいはまたそのような具体的な資料というものがはっきりしなければ、われわれ自身がかりに右翼テロ対策の問題として資金源をどう法律的に規制するかという立法的措置を講じ上ようとする場合に全く五里霧中になるわけです。そういうことで、これは抽象的な論議ということじゃなくて、現実の右翼テロ対策の問題として現実の必要があるわけです。ですから、そのような現実の重要性と比較をして、今局長が言われたような、破壊活動団体のその後の活動を利するというおそれがあるからという、そういうことでこの国政調査権の発動というものをお断わりになれる、そういうようにお考えになるかどうか。つまり現実のこの課題と、今局長が心配されるそのような影響というものを比較をされて、どうお考えになりますか。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内政府委員 松井委員のお示しになりましたようなもろもろの必要があればこそ国政調査権として国会で御論議の対象になり得る事項だと思うのでございます。しかしながら捜査につきましては、先ほど来申したのでございますが、捜査以外の調査、たとえば破壊活動団体の資金源の調査といったような事項につきましては、私としては、その活動を調査ずる機能が失なわれてしまうことになるような発表は、事柄の性質上意味をなさなくなってくるのじゃないかという意味においてお答えをしたのでございますけれども、なお限界とかなんとかいう点につきまして、もしさらに詰めてこまかく御議論をなさるということでございますならば、公安調査庁の担当の職員をお呼び出し下さいまして御議論をいただくことが適当かと思います。私の感じといたしましては、限界をどこに求めるかということはもう少し研究さしていただきませんとお答えしにくい事項でございます。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 私は、調査をするのが、何も破防法の問題だけで調査をされておるとは思いませんので、今の問題はまだ十分に論議が尽くされたとは思いませんけれども、これは今局長が言われたようにあとにまた検討をさしていただきたいと思います。  警察庁の警備局長おられますか。

濱田幸雄自由民主党

○濱田委員長 予算委員会の方へ今行っております。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 長官に一つお尋ねをいたしたいと思います。長官もこの間お聞きになっておられたと思いますけれども、警察が資金源を調査する必要は警備局長も認められた。しかし調査はしても、具体的な犯罪に関係のないものは発表ができない、政治の結社の自由、思想の自由というものとの関係で発表ができないのだというお答えでございました。私は、かようなことはどうしても筋道がわかりません。なぜ一体それが結社の自由を侵すことになるのか、なぜ一体それが思想の自由を侵すことになるのか、その点についてまずお伺いいたしたいと思います。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 さきに御質問に対しまして三輪警備局長からお答えいたしました趣旨は、右翼と申しましてもそれ自体やはり結社の自由がある。そうすれば、その活動について資金を求める自由もある。そういうものをたまたま警察で知り得たからと申しましても、個人の財政の秘密を警察が知ったといって、これを直ちに発表していいというものでもない。同じく結社の自由を持っている団体が自由な活動をしていく、許された範囲の活動をしていくというようなものについて、その資金を警察官の立場において知り得た個人あるいは団体の秘密というものを、いたずらに発表するということは適当でないということを申し上げたように私は記憶しておるわけであります。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 警察が何かの捜査をされたり調査をされたりする過程で、何か偶然に個人的な秘密を知り得たというようなことを私は発表しろとかなんとか言っておるわけではないのです。そうではなくて、右翼団体の資金という問題に限って初めから申し上げますけれども、そういたしますと、右翼団体というのは、届け出をするかどうかは別として、これはもちろん一つの政党、あるいは政党でなくとも少なくとも正式に政治資金規正法にいう「協会その他の団体」ということになると思います。これは全く私的な団体でも何でもなくて、一応の政治上の主張を持ち、政治上の行動をしようという、そういう団体であるわけです。従ってこれを個人的な、私的な秘密というようなものと同列にお考えになるということ自体が初めから私は間違いではないかと思う。そこで先ほど申し上げましたけれども、正式に規正法で、政治団体というものはむしろ政治資金というものを明瞭にすべきだという建前からいっても、これを発表することがなぜ結社の自由を妨げることになるのか、それも私にはわからない。このような要求をわれわれがしておるのは、結社の自由なり思想の自由というものをむしろ確保しようとするからこそ、こういうことを申し上げておるわけです。ですからそういう論点でものをお答えになるということ自体、私は全く見当違いだと思うのですけれども、思想の自由、結社の自由というものを、右翼の資金源を発表するということが、具体的になぜ阻害をするということになるのか、具体的にその考え方の筋道をお答え願いたいと思います。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 政党が政治資金規正法等によりまして、その会計を明らかにするということは、政治資金規正法の問題として考えるべきだと思うのでありまして、結社の自由ということは、右翼であろうと左翼であろうと、これはやはり尊重すべきものであろうと思います。これがもし存在を許すべからざるものであるというのであれば、破防法の適用等によって規制すべきであるし、現在の破防法では手ぬるいというのであれば、国会の審議においてこれを改正されて、けしからぬと思うものについて解散し得る道を講ずるということも、これは一つの政策であろうと思いますが、そういう法の前に平等な団体について、なぜ右翼の資金だけを発表すべきものであるということになるのか、その点はむしろ私は疑問に思うわけであります。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 問題を横へずらしてしまわれましたけれども、私が今なぜ右翼だけを問題にしておるかということは、何も長官が自分で疑問を提出されなくても十分お分かりだと思う。今現実に問題になっておるのは 右翼団体の資金源という問題なんだ。そうしてそのことを発表するということがなぜ一体結社の自由を妨げるかということを聞いておるわけです。これは何もそれ以外の政治団体について発表をすることをしてはいけない、そういうことを私は言っておるわけではない。政治資金規正法にのっとれば、当然届け出をしなければならないという、そういう建前さえも持っておる。元来公明であるべき政治資金というものを、警察が発表するということがなぜ一体その結社の自由を妨げるということになるのかということをお聞きしたい。と申しますのは、逆に言うならば、そういう資金の入り方が非常に不明朗である、あるいは犯罪に近い、そういうことで発表することは、あるいはそういう右翼団体にとっては好ましくないことでしょう。そういう意味で右翼団体の結社というものが事実上牽制されるということになるかもしれない。しかし、それは一体発表すること自体の責任でございましょうか。私はむしろそういう効果をねらうからこそ発表すべきだということを言っておるのであります。その資金の出入りが、ほんとうに政治資金規正法が期待しておるような公明なものであるならば、発表すること自体は結社の自由に何も関係ないじゃございませんか。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 私が申し上げておりますのは、すべて結社の自由がある以上、法の前に平等の取り扱いをすべきものであろう、われわれ役人の立場としては平等の考え方に立つべきじゃないか、法の前に平等にすべきだということが一つでございます。それから、右翼と申しましてもいろいろあるわけでございまして、テロ直ちに右翼団体の存在と結びつくというふうには即断いたしかねるわけでございます。そういうようなことで、右翼団体であるからその資金は厳重に調べて、これを国民の前に公表せよと言われても、そういうことはいたしかねるということを申し上げたわけでございます。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 それでは根本問題について一つ長官にお尋ねしますけれども、右翼テロ対策の方法として、右翼のそのような資金源を調査をして、そして少なくとも危険な右翼団体の資金はなるべくいかないような措置をとることができるならば――現行法でできるかどうかは別としまして、とることができるならば、それも有力なテロ対策の方法だとはお考えになりませんか。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 右翼に限らず、ある団体が犯罪を計画しあるいはこれを常習的に行なうというようなものにつきまして、いかがわしい資金というものがこれに流れていくというようなことについては、これは当然阻止すべきものであろうと思います。これはある場合にはむしろ発表して、そういうことのないように警告的な措置をとることもありましょうし、あるいは極秘裏にそういうものを察知して、警察としての特殊な警戒措置をとるということもあろうと思います。しかし、右翼一般についてそういうことを考えるべきではないということを私は申し上げております。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 そうしますと、右翼テロの防止の方法として、資金の問題を明らかにするということは、そういうテロを行なう危険のある右翼団体については、そのようなことは有効な方法であるし必要な場合もあるということはお認めになる、そういうことですね。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 そういう趣旨で申し上げたのでございます。ただ先ほど竹内局長からもお話のありましたように、捜査に関係して、捜査継続中のものであるとか、あるいは公訴維持のために秘密を保たなければならぬというような、そういういろいろの制約はもちろんあると思いますけれども、一般論としては、そういう発表をした方がいい場合もあり得るということは言えると思います。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 現在の右翼問題がこのような大きな問題になってきたのは申し上げるまでもございませんけれども、今までのいわゆる限られた行動右翼というものだけではなくて、前回も申し上げましたけれども、いわゆる純正右翼と言われておったものも、あの安保というものを境にして、あれが何か革命がきたのだという危機感にかられて、それがいつ行動を起こすかもしれないという一種の不安な雰囲気というものがある。そういうことが現在の社会不安を起こしておる一つの原因じゃございませんか。そのようにお考えにはなりませんか。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 右翼の中にも、危険な行動に出るおそれがあるものがあるわけでございます。こういうものについては、もちろん厳重に警戒をいたさなければならぬと思います。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 そうしますと、犯罪防止の意味から事前にいろいろ調査をされる――右翼団体というものは、今まで危険な行動右翼であったからという、そういう今までの経過から機械的に分類をしてやるのではなくて、いついわゆる行動を起こすかもしれない、そういう危険のある右翼には全般的にそのような防犯の立場から調査をされることは必要だというととはお認めになるわけですね。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 常に犯罪あるいはその他の危険な行動に出るというようなものばかりでなしに、そういうことがあるかないかというようなことについても、できるだけ注意を払って総合的に観察をしていく必要があると考えます。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 そういたしますと、長官が発表をしてもよろしいと覆われる資金源は、非常に危険な、あるいは過去に危険な実績があった右翼団体の資金源に限るという意味でございましょうか。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 発表していい場合があるということを申し上げたので、やはり具体的にその場合その場合を考えていかなければならぬと思います。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 それでは、そのような警察が調査の結果得た資金源を、国会が国政調査権に基づいて要求した場合に、長官はどのようにされるお考えでありますか。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 国政調査権に基づいての問題につきましては、先ほど竹内局長のお話もありましたように、個々具体の問題について態度をはっきりしていかなければならぬと思います。ここで抽象的にそれをどういたしますということは、ちょっと申し上げかねる次第であります。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 そういたしますと、個々の具体的な問題について判断されると言われますが、一般的に、つまり国政調査権に基づいて原則としてこれは発表すべきものだとお考えになりますか、あるいは先ほど刑事局長がちょっと言われましたように、司法権の独立というものに関連をして、その限りにおいては拒否をされる、そういうことをお考えになっておるか、あるいはこの前三輪警備局長が言われたように、結社の自由、思想の自由という観点からお断わりになることもあり得るというふうにお考えになっておるか、その辺もう少し具体的にお答えを願いたい。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 団体の資金源を調べるにあたりましては、非常な困難を伴うわけでございまして、全貌を把握することは非常に困難でございます。しかも、私ども警察においてそういう情報を入手するにつきましては、直接張り込みとか聞き込みとかいうことによる場合もございまするし、また協力者の援助によって行なう場合もあるわけでございまして、先ほど竹内局長が申し述べましたように、捜査上の問題でどうしても秘密を守らなければならぬという問題のほかに、協力者の協力を継続することについて、非常に将来の警察活動に不便を来たすこともあり得るわけでございます。そういうことで、一般論として、それはお求めがあれば特別のものを除いてはお出しいたしますとか、ごくわずかしか出せませんとかいうことを今ここで私申し上げる段階ではないと思います。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 松井委員の質問に対して関連してお尋ねしたいと思います。  右翼の資金源を公表することは、右翼団体といってもいろいろあるが、正当なといいますか、そういう右翼団体の結社の自由を侵すおそれがあるからはばかる、こういう御答弁のように承りましたが、政治資金規正法で一切の政党あるいは協会その他の団体は政治資金の届け出の義務が課せられておるわけであります。おそらく右翼団体は、政党であるか、あるいはその他の政治結社、協会に該当すると思うわけでありますが、こういった団体は、政治資金規正法の規定で掛け出の義務を負っておるわけでありますから、協会が何らかの方法で個人または団体から寄付を受けた場合は、その寄付はその団体みずからが届け出の義務を負う。またその義務違反に対しては禁固三年以下という非常にきびしい罰則をもって届け出義務が強制されているわけでありますから、個人に対する寄付はともかくとしまして、どういうルートで得たにしろ、協会あるいは団体に対する寄付の届け出の義務が法定されているのでありますから、われわれが右翼テロを根絶するために資金源をどうしても明らかにする必要があるという国政調査の立場からして、その資金源が警察当局から公表されたといたしましても、何らその政党、右翼団体の政治活動の自由を侵すものではない。当然の義務を怠っている。もちろん届けのあるものを公表することは問題ありませんが、届け出がなくても、届け出なければならない寄附を公表することは当然のことであって、何ら政治結社の自由を妨げることにならないと思うのであります。との政治資金規制法における届け出義務と、またただいま長官はそういった資金源を発表することが、右翼団体といっても犯罪団体もあればそうでない団体もある、こう区別されたようでありますが、どういう団体であろうとも、資金源を公表することは何らその団体の活動を妨げるものではないと思います。その点御見解どうですか。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 先ほどから私が申し上げておりますのは、右翼だから特に発表しない、右翼だから特に発表すべきだということでなしに、法の前に平等であるべきだということを申し上げておるわけであります。政治資金規制法は、確かに私も今お述べになりましたような法律であることを承知いたしております。ただ政党すべてについて政治資金規制法違反の問題として、今まであるいは怠慢かもしれませんけれども、各政党についてその適用をはかっていくということは、今までどうもやっておらなかったように思うわけでございまして、これもすべてそういうものについてもっと厳格に考えるべきだという御趣旨であれば、さらに私も検討したいと思います。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 少し問題がそれていっていると思うのであります。政党その他の団体が政治資金規制法を厳格に守らずに届け出を怠っておる。それに対する処置をどうするかということは、これは別個の問題であります。私の質問は、政治資金規制法で政党もこの種の右翼団体も一切の寄付が届け出の義務を課せられているわけでありまして、法律で届け出の義務を課せられているそういった寄付行為を、警察当局の調べの結果公表したからといって、何らその団体に対する不当な侵害行為にはならない。だからわれわれの国政調査権に基づく要求として資金源を追及した場合に、それを警察当局が発表したからといって、これが右翼団体であろうとあるいはその他の政党であろうと、資金源を尋ねられて、他の理由があればともかく、ただその団体の自由に属する、あるいはその団体の秘密事項に属する、あるいは結社の自由を脅かす云々、今後資金の獲得に困難を来たすであろうというような配慮かもしれませんが、政治資金規制法で届け出の義務が課せられておるのだから、こういった寄付を発表したからといって、何らその団体に対する権利を侵害した言いうことにならないと思うのですが、その点の見解を伺っているわけです。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 もちろん国会の調査権が発動された場合におきましては、われわれとして当然それを大いに尊重して考えなければならぬと思います。ただ先ほど来申し上げておりますように、すべての許されたる団体というものは法の前に平等だという原則を貫いていきたいという気持があるのと、それから先ほど竹内局長が言われたように出せない場合もあるわけでございますので、そういう点も個々具体的に十分検討した上で善処いたしたいと思います。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 右翼団体に限らず、すべての団体を平等に扱うことは当然でありますが、今資金源の発表できない理由として、右翼だけを発表することはできない、あるいはそれがその団体の結社の自由を脅かす云々ということを理由にされておるようでありますが、われわれは今問題になっておる個々の右翼団体、右翼団体全部をどうこう言っているわけではない。あるいは今テロ事件が続発しておって、特定の右翼団体、もちろん複数でありますが、そういった団体の資金源を追及しているわけです。それに対して他の理由があって発表できない、捜査の必要云々ということは、前回の特別国会において刑事局長の御答弁にありましたが、右翼だけ差別できないから発表できないということは、論理的に理由にならないと思う。政治資金規制法で届け出され、また公表されるべき性質のものです。ですから警察当局で調べ得た事実で、ほかに発表していけない理由があるなら、それを伺いたい。しかし今伺ったように、区別はできない、発表するならすべての団体の資金源を発表しなければならないということにはならないと思うのです。われわれが尋ねている点だけを発表したらいい。私どもは決して他の政治資金についても発表してはいけないとは言っていない。社会党の政治資金についてもお尋ねがあれば発表してもいいわけです。ですから右翼の資金源を調査した結果、わかっているが発表できない理由としては、ただいまの理由は理由にならないと思いますので、その理由をはずしていただいて、他の理由でもってこれ以上の発表はできないという根拠を示していただきたいと思う。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 私もあなたとほんとうに同じ考えを持っておるわけでございまして、私の申しましたのは、原則論として右翼も平等に扱うべきだと申したので、右翼については資金は一切発表できないということは申しておりません。現に法務省で先般数団体について発表されたことについては、私ども発表されたことについて何ら異議を申しておらないわけでございまして、これが私どもの方に要求された場合には、できる範囲内で発表するということはあり得るわけであります。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 私どもが国政調査権の範囲を問題にしておりますのは、先ほど申し上げましたように、右翼テロ対策の問題として資金源を断てというのは、何もわれわれだけではなくて、そういう声が非常に多いわけです。そうしてそれをほんとうに実効あらしめるためには、われわれはともかく権力を持っておりませんから、実際そういうものを本気に調査しようと思えば、し得る力を持っている、そのような警察なり、検察なり、公安調査庁なりしかないわけです。しかし、そのようなものが調査をされても、国会の要求に応じてそれを発表することができないということになりますと、一体どの程度の調べをされておるのか、一体どの程度真剣になって資金源というものに網をかぶせようとしておられるのか、そういうことを捕捉する方法がないわけであります。ですから、われわれはこの問題を非常に重要だと考えますので、きょうはこれでやめますけれども、国政調査権の範囲に関連いたしまして、竹内刑事局長が司法権の活動の反射的効果として云々と申したのは、具体的な捜査の問題としてなら別ですけれども、一般的な調査に基づく資料までもそのような司法権に基づく問題と関連させることは不可能だと思うのです。しかしこのような問題につきましては、これからあとさらに追及をするということで、きょうはこれで終わりたいと思います。

濱田幸雄自由民主党

○濱田委員長 坪野米男君。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 私は嶋中事件に関連して、主として警察当局、竹内刑事局長にお尋ねしたいと思います。  最初に嶋中事件の犯人の小森少年の捜査に関連して、これは警視庁で捜査されたと思うのでありますが、小森少年は、現在嶋中社長夫人あるいはお手伝いのおばさんを刺殺したという事件に対して悔悟の情を漏らしておるかどうか、この点をお伺いいたします。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 警視庁の方で取り調べをし、地検の方でも取り調べをいたしておったわけでございますが、私今まで聞いておる範囲におきましては、そういう悔悟の情があったとは聞いておりません。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 どういう動機であれ、人を刺殺するという行為について罪の意識が今のところはない、こういうことでございますか。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 私の聞いている範囲におきましては、当初のころ、手伝いの方を刺し殺したことについては意識していなかった、夢中だったと書っておったということを聞いておるわけでございまして、本人が非常に悔悟の情が強いということは聞いていないわけでございます。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 新聞その他で見たのでありまするが、この小森が犯行直後に散髪屋へ行って頭をまるめた、こういうことが出ておりまするが、この小森少年は、こういった大事を敢行した直後に頭をまるめて入道すればそれで罪が許される、こういう意識を持っておるように捜査の結果認められるかどうか、この点をお伺いいたします。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 私も非常に詳しくは存じませんが、やはりああいう凶行を犯したあとは頭をまるめるべきだと思って散髪をした、こういうことを言っておったように記憶いたしておるわけであります。罪を犯したが、あれで罪が償えたんだというふうな意識を持ったとは聞いておりません。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 この小森少年は嶋中社長を刺殺する目的で侵入したと思うのでありまするが、こういった殺人罪を敢行するに際して、自分も、これを刺し殺した後に、死んで罪の償いをするという決意をもって臨んでいったものかどうか。あるいは国のために嶋中社長を刺し殺しても許されるんだ、おれは死ななくてもいいんだ、裁判を受けても死刑にはならないんだ、そういう認識をもって、少なくとも死の覚悟を持たずにテロ行為に及んだのかどうか、そういう点、捜査の結果をお知らせ願います。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 嶋中社長に対して殺意を抱いておったことは事実でございますが、その後自分がやはり自決するという考え方は持っておらなかったように聞いておるわけであります。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 今日右翼団体は非常に多数あるようで、また質的にも、行動右翼あるいは思想右翼あるいは組織右翼、いろいろ分類されているようでありますが、このうちのいわゆるテロを敢行するという行動右翼の犯人どもは、一体人を殺して、みずからは法のさばきによって死刑になってもやむを得ないんだ、あるいは自分の死を覚悟してこういったテロの対象者を刺殺するという決意をもって臨んでおるのが多いのか、あるいはそこまでの決意がなしに、単に国のために国賊を除くというだけで、そして自分の罪は許されるんだという甘い考えをもって臨んでおるのかということについて、お調べになったことがございますか。右翼全般の傾向でございます。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 右翼にもいろいろ考えがあると思います。現に山口二矢のごときは自殺をしておるわけでございます。そういうことで、そこまで考えて、いわゆる一人一殺と申しますか、自分が殺すべき者を殺して、自分は生命を断つんだという考えを持つ者もございましょうし、とにかく国のために正しいことをやったという考え方で、静かに法のさばきを受けるという考えの者もあると思います。その点はまちまちであると思います。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 まちまちではありましょうが、一人一殺主義者は、自分は正しいんだ、許されるんだという甘い考えから、人を殺してもおのれの命は断たなくてもいいという考えを持っているやつの方が多いんじゃないかと私は見ておるのですが、右翼係の警察でいろいろ調査された結果、おのれの命と交換に人を殺すんだというきびしい決意を持った右翼が何匹おるかということを聞きたいのです。

三輪良雄警視監(警察庁警備局長)

○三輪政府委員 一人一殺をほんとうに考えております者が、人の命は断ちましても自分の命は助かるのだと思っている者も、中にはあるかもしれませんけれども、この前の山口少年の例、その他そういった言動等から見ましても、自分は犠牲になるのだということでありまして、自分の命が国法によって断たれることはない、そういうけい感じでそういうことを考えているというふうには通常見られない場合が多いのでございます。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 先ほどの頭をまるめるという、これがむしろ通常の場合ではないか。また現在の法の盲点なり裁判の実例から、人を殺しても、このようなテロ行為で死刑になることは通常ないという甘い考えを持った右翼の方が多いのではないかと思いますが、一人一殺で犠牲になるといいましても、刑務所に十年ほど行けばいいという程度の犠牲であって、自分が殺せば必ず死刑になるというまでの決意をもって臨んでいる右翼というのは、そんなにたくさんあるのかどうかということは、あなた方ずっとお調べになっていてどうでしょうか。

三輪良雄警視監(警察庁警備局長)

○三輪政府委員 これは最後には、ほんとうに個人の心情の問題でございますから、私どもの判断が必ずしもその個々にあたりまして正確とも言えないかもしれませんけれども、何年刑務所に行く、そういうことの利害損得を考えてやるのだというふうなことではなくて、やはりそのときにおいては、多数の国民の犠牲にだれかならなければならない、その犠牲を自分がやるんだということで、その犠牲として通常考えておりますことは、相手を殺すという場合であれば、最後には自分も死ぬんだということを考えているようなことが多いのだというふうにわれわれは判断しております。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 浅沼事件の山口二矢でありますが、あの山口二矢は、最初から死を覚悟して臨んだのか、あるいは犯行後拘置所あるいは少年鑑別所でございますか、そういったところで世論の非常にきびしい追及に圧迫されてといいますか、死に追い詰められたということではないか。最初から死の覚悟で、死の準備をしてああいった犯行に及んだのか、その点、山口二矢に関してでございますが、伺います。

三輪良雄警視監(警察庁警備局長)

○三輪政府委員 山口二矢につきましては、御承知のように、辞世まがいの歌もあらかじめ持っておったことでもございますし、また拘置されましたあとに世論の批判とおっしゃいますけれども、そういう外部の声が彼に直接に入るチャンスはないわけでございまして、そういう意味では取調官を通じて取り調べを受けるわけでございますけれども、おっしゃるように毎日の新聞を見、ラジオを聞く機会は全くないわけでございますから、そういうことによってあとから死ぬということをやむを得ず考えたとは思えないのであります。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 もちろん拘禁されておりますからそうでありますが、しかし取調官を通して自分に甘い世論が、あるいはきびしい世論かということは、これはわかると思うのですが、そうすると、山口の場合は、最初から死ぬ決意で臨んだというように今までの捜査の結果認めておられるわけですね。――その程度にいたします。  次に、この警察の任務の中で犯罪予防あるいは鎮圧といった任務があるようでありますし、また警察の機構の中に警備警察というものがありますが、警備警察の任務を簡単に一つ御説明願いたいと思います。

三輪良雄警視監(警察庁警備局長)

○三輪政府委員 ごく簡単に申しますと、警備情報、それから警備治安出動と申しますか、警察部隊が部隊として出動いたしまして鎮圧をしなければならないような事案の処理、またそういうことを伴います事件のあとの取り調べ、送検というようなことでやるわけでございます。それに至ります幅の広い情報を扱うわけでございますが、なお警備部門の中に、御承知のように広く警備と申しますと外事関係の仕事も入るわけでございますけれども、狭い意味で申しますと、そういうことでございます。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 その警備の中に右翼担当、左翼担当というような分類はあるのですか。

三輪良雄警視監(警察庁警備局長)

○三輪政府委員 一応本庁、各県の本部におきましては、各係を分けまして、右翼関係なり、左翼その他の運動の関係に分かれておるのでございますけれども、御承知のようにほんとうの警察の末端は警察署でございまして、警察署にありましては、ところによって警備係の数もあるいは二、三人のところから二、三十人に及ぶわけでございまして、ごく大きい署以外は特別にそういう係の分担をいたしておりませんで、起こりました事案を一緒にその警備課長の指揮で実施をいたすことになっておるのでございます。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 この右翼担当の警備課の係員ですか、こういうような人は、大体どういう傾向の人を配置しているのでしょうか。右翼団体に非常に理解を持った、あるいは右翼思想に理解を持った人をもって配置してあるのかどうかということです。

三輪良雄警視監(警察庁警備局長)

○三輪政府委員 お尋ねのような趣旨で考えて配置をいたしておるわけではございません。御承知のように情報収集には相手によっていろいろなやり方がございますけれども、従来右翼団体につきましては、面接情報と申しておりますが、会って話を聞くということにたよる部分も相当あったわけでございます。そういう意味で、話を聞き出すのに、世なれたと申しますか、そういった話題の豊富な者というようなことでは選ぶ場合が多いと思うのでございます。またそういう係がそういう者に接しますこちらの心がまえとして、右翼の理論というようなものを勉強いたすわけでございます。そういう意味では、右翼係というものをやっていきます上で、右翼の理論を勉強はいたしますけれども、初めから右翼の思想に共鳴するというような者を右翼係に選ぶというようなことは絶対やっておりません。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 そこでお尋ねしたいのですが、浅沼事件に続いて嶋中事件が続発して警察の責任、特に刑事責任ということが国会でずっと追及されてきたわけでありますが、警察当局としては、警備上に手落ちがなかった、総監その他の警察当局には法的な責任がないという立場で終始しておられるようでありますが、この警察の責任というものは、前に法律上あるいは行政上手落ちがなかったから責任がないということで、結果の発生に対して何人もこれに対する責任をとらないということでは、後々のこういった事案の再発を防ぐための具体的な対策あるいは警察当局の決意というものが十分固まらないと思うのでありますが、こういった社会の秩序、治安を乱すような重大な犯罪が起こった場合に、戦前によくあった行政責任と申しますか、あるいは無過失的な結果責任、そういった責任をとるという考え方は、今日の警察には全くないのであるかどうかという点をお聞きいたします。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 相次ぐ不祥事件につきまして、警察としてももちろん責任を感じておるわけでございます。私も直接運営の衝には当たっておりませんけれども、全国の警察を調整し、ものによっては指揮しておるという立場から、非常に遺憾に思い、責任を痛感しておるわけでございます。ただその責任のとり方というものが職を辞することだけであるかというと、私はそうではない、やはり決意をさらに新たにして、しっかりした警備体制をとらせていくということがほんとうに必要なことではないかというふうに考えておるわけでございまして、国家公安委員会において警視総監の責任なしというふうに伝えられておりますのも、この問題で警視総監が責任をとって辞職する必要はないということを決定したわけでございまして、警察は全く不可抗力で無責任だ、責任はだれもとらないのだというような態度ではございません。またやめないということによって警察の決意が非常に緩慢である、鈍いというようなことは私はないと考えます。  またお話がございましたので、ちょっとちなみに申し上げておきますが、戦前においては無過失責任というものをとってよしておったが、今はそういう考えはないのかというお話でございますが、私の調べました範囲におきましては、明治以来警視庁管内に起こりましたあまたのテロ事件がございますが、そういう際に警視総監がそのことで責任をとってよしたという事実は全然ございません。不敬事件等で内閣が更迭した場合等において、それと運命をともにする立場にある警視総監は当然辞職するということはございましたが、総理大臣なりあるいは要人の暗殺事件というようなことのために警視総監が責任をとってよしたという事実はないのでございます。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 その警察の責任者が、新聞その他でいろいろ談を発表される中に、現行法でもっては十分右翼の犯行を取り締まることができないのだというように、法の不備を嘆いておられるようでありますが、現行の警察法令あるいは刑事法令でもってはたして右翼のこういったテロ犯罪の防止ができないのかどうか、取り締まりが十分にできないのかどうかという点について非常に疑問に思うのでありますが、具体的にどういう点に不備があって十分な取り締まりができないのかという点について二、三御指摘を願いたいと思います。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 警察といたしましては、国会で定められました現行の制度のもとにおいて万全を期していきたいというふうに考えておるわけでございます。むろん、警察活動がしやすいようにいろいろと法制上の御配慮を願うということもわれわれは望んでおるわけでございますけれども、そういうことができたければ、われわれは責任はとれないというような態度は決して持っておりません。今度の国会におきましても、銃砲刀剣類等所持取締法の改正等をお願いすることになろうかと思いますが、そういうようなことができたら、もう絶対にないのだ、それができなければ全く責任が持てないのだというような考え方ではございません。警察も国民の十分な理解と信頼の上に立って、そうして必要な法制上の措置も最小限度お願いしたいという気持はやまやまでございますけれども、そういった制度がなければ、われわれはこんな立場で責任を負うことができないという責任回避をするようなことは毛頭ございませんので、その点は御了承願いたいと思います。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 今度の嶋中事件に関連して赤尾愛国党の総裁が逮捕されたわけでありますが、この赤尾総裁が一月三十日でありますか、中央公論社に押しかけていって、度を越えた抗議から脅迫行為に及び、今度これが暴力行為等処罰ニ関スル法律違反で逮捕の理由になっておるようでありますが、小森を逮捕する、あるいは嶋中事件が起こった後に初めてこういった事件をキャッチされたのか、あるいは一月三十日にこういった暴力事犯を犯しておる直後に、あるいはその場で、こういった事案を警察としては承知をしておったのかどうか、その点一つ。

三輪良雄警視監(警察庁警備局長)

○三輪政府委員 ただいまの一月三十日の抗議につきましては、そのほかの場合も同様でございますけれども、あらかじめ情報を入手をいたしまして、所要の警察官が現場におったのでございます。しからば現行犯でなぜ逮捕しなかったかというお尋ねを受けたこともございますけれども、そういう場所で、さらにその事案が大きくなるという場合に、現行犯で逮捕することがいい場合もございまするし、そのときとしては証拠を保全するにとどめて、なお証拠固めをして、後に逮捕するのがいいという場合もございます。あの場合におきまして、御指摘のように相当に強い言葉で抗議がされておったことはその通りでございますけれども、そういうことを十分関係者から証拠として収集をいたしまして、今回の逮捕の際にこれを使ったのであります。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 私は現行法でも、右翼テロを根絶するという政府に強い決意があり、また警察当局に強い決意があれば、十分取り締まりの実をあげることができると思うのです。根絶するということ、それはもちろん狂信者もございましょう。警察の手の及ばないところで犯行が起こることもあり得ましょう。けれども、警察当局に強い決意があれば、私は相当右翼テロを根絶することが可能だ、現行法で十分可能だと思うのであります。先ほどの一月三十日の中央公論社における暴力事犯、集団的な脅迫行為、これなどは今の警備局長の御答弁では、その場で現行犯を逮捕するかあるいは緊急逮捕するかして、すぐに検挙し、これを二葉のうちに刈り取ってしまうということも考えられるが、あるいはこれを証拠保全に温存しておいて、さらに大きな犯罪が起こった場合の証拠に利用しよう、こういう考えと二通りあると言われましたけれども、右翼を根絶するためには、テロ、殺人行為という以前に、悪質な脅迫行為が非常に積み重なっておるわけであります。こういった言論思想を異にするがゆえに、あるいは当人の言論活動あるいは政治活動のゆえんにその人を刺す、あるいはその人を凶器をもってあるいは暴力を持って脅かす、こういった行為がテロに通ずるわけでありますから、こういう脅迫行為に対して徹底的にこれを検挙する。もちろん犯罪がなければ検挙のしようもありませんが、犯罪が具体的に発生している場合に、あるいは犯罪を予防する立場から、行なわれようとするときに、そういった行為を徹底的にたたくという決意がなければ、私はいつも手おくれになってしまうと思うのであります。もちろん警察当局はちょっとしたごろつきやあるいは右翼の連中の暴行事件あるいは恐喝事件、ちょっとした――もちろんこれは悪質でありまするが、殺人あるいは重い傷害に至らない程度の犯罪事件は大目に見のがしておいて、後日重大事件が発生した場合に、その軽微な事件を理由に逮捕状をとる手段に使う、犯罪捜査の手段に使って、一時温存しておく。こういう悪い習慣が警視庁に限らず全国の警察において行なわれておるようでありますけれども、私は事ここでテロを根絶する、右翼といわず政治テロを根絶するという決意をもって臨むという以上は、こういった悪質な脅迫事犯に対して、そのつどきびしい態度で臨むということでなければ、それこそ警察予算を三倍にふやそうと四倍にふやそうと、テロを根絶することはとうてい不可能だと思うのであります。従来警察が右翼に甘かったという世論の批判もございますが、ここの点にそういったものが現われているのではないか。ですから、今後こういう右翼に対しては現行法をもってしても十分私は取り締まり得ると思うのです。特に刃物の所持取締法を改正する云々とありますが、いかに改正してみても、それだけでテロを根絶できるものではない。テロ根絶の決意を具体的に警察当局は固めるということでなければならぬ。そのために個々の悪質犯が今この嶋中事件後にも随所に起こっております。もちろん出所不明の文書であったり、あるいは名なしの権兵衛の電話による脅迫であったりいやがらせであったりということもありますけれども、そういった脅迫行為あるいは脅迫の行為に至らないかもしれないが、一応の疑いがある行為に対して、警察が徹底的に捜査をする。任意捜査はできるわけであります。ですから、目ぼしい右翼団体に対して、だれか電話をかけたんじゃないか、あるいはだれか手紙を書いたんじゃないかというような任意捜査を徹底的にやってでも、こういった脅迫事犯あるいは従来の警察観念からすれば軽微な暴力事犯に対して、徹底的に取り締まりの態勢を固めるということでなければならぬと思うのでございますが、この右翼事件以後の警察のこの種の犯行に対する取り締まり方針に変更があったかどうか、この点についてお尋ねいたします。

三輪良雄警視監(警察庁警備局長)

○三輪政府委員 お答えいたします前に、私の先ほどのお答えが、言葉が不足であったためでしょうか、誤解を受けておるようでございます。私は、あの種の事件を将来の大きな犯罪の捜査に使うために温存したという趣旨で申したのではないのでありまして、現行犯逮捕でも、これは裁判にかけまして有罪に持っていけるという素材がそろわなければいけないわけでございます。従いまして、ある人がある人に対して非常に強い調子で抗議をいたします場合に、程度を越さないように、その場合に犯罪が行なわれるかもしれない、行なわれる直前だということで、警告制止という警職法に基づく措置をするのがまず第一でございます。それによってなお程度を越す、これは脅迫事件として成り立つという段階になったときに、この現行犯は逮捕するということになるわけでございまして、そこで警察が事件といたしましてこれをやるからには、今の警告制止という段階なら別でございますけれども、犯罪として検挙いたしますのは、これが犯罪として裁判所で立証できるという自信のあるところで踏み切るわけでございます。そういう意味で、その現行犯を逮捕するかあるいはそれを証拠を後に補強をいたしまして、事件として後日令状をとって逮捕するかということにつきましては、そのときどきに判断をいたすという趣旨でお答えを申し上げたわけでございます。御指摘のように、小さな芽のうちに犯罪をつむということが、大きな犯罪を起こさぬ予防に効果があるわけでございます。そういう趣旨では、私どもことにこの右翼のいやがらせと申しますか、ビラ張りとかあるいはいやがらせ程度のことでありましても、びしびしこれをそういった意味で証拠固めのできますものについては現行犯等で検挙いたしております。そういう意味で、何と申しますか、警察が右翼に甘いというようなお言葉でございましたけれども、いわゆる行動右翼団体等からは、警察がいかにも世論の批判におもねって、われわれだけを非常に目のかたきにするではないかというような抗議と申しますか、そういうものも警察に非常に寄せられておる状態でございます。私どもといたしましては、お言葉の通り、小さい段階でこれをたたくということが、将来の大きな事件を起こさぬ予防になるということを常々考えておるわけでございますけれども、特に最近はそういう趣旨で、ささいなことも見のがさないという方針で全国に指導を申しておるところでございます。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 右翼関係の警備に当たっている方々は、この右翼団体、特に行動右翼といわれる人たちが、通常こういった刃物を所持しているというようにあなたの方では見ておられるのですか。あるいは通常はそういった刃物は持たずに行動しておるのか、その点どうでしょう。

三輪良雄警視監(警察庁警備局長)

○三輪政府委員 多くの場合、通常刃物を持って歩くということはないものと考えます。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 先日、国会議員に対するいやがらせ、脅迫等がひんぴんとして行なわれた際にも、警視庁からの情報で、右翼の肥後亨がピストルを持って社会党の某議員をねらっておるというような情報が入ったそうでありますが、そういった情報というものは警察から関係者に通報されるものでしょうか。

三輪良雄警視監(警察庁警備局長)

○三輪政府委員 私はその情報を承知をいたしておりませんけれども、一般的に申しまして、ある方に対してそういう情報がありまするならば、これはその確度をもちろん一般論として確かめるわけでございますけれども、そういう方々に御注意を願います趣旨で、万一のことがあってはということで申し上げる場合も多かろうと思うわけでございます。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 情報ですから、これははっきりしないと思うのですが、警察からそういった確かな情報で注意を与えてもらうということであれば、これはわれわれも注意をしなければいけませんが、ただ、われわれをおどかすために物騒な物を持っているらしいぞというような情報が、警視庁のだれからか知りませんが、関係者に伝わるということは、これも大へん問題だと思うのですが、われわれとしては、そんなピストルその他の凶器を持っているらしいというような情報が入る以上は、その右翼の連中に対する取り締まりというか、あるいは警戒というか、そういった凶器を持っているかどうかということについてもう少し調べる方法がないのかどうか。特にピストルを持っているというようなことは、これはゆゆしい問題で、それ自体が犯罪でありまするから直ちに検挙の対象にもなると思うのでありますが、ただ持っているかもしれないというような情報というのは、一体どうしてわれわれの耳に入るのか。そういった点についてちょっと不審のかどがあるのでお伺いしたい。

三輪良雄警視監(警察庁警備局長)

○三輪政府委員 第一の点で、情報としてある人が拳銃を持っておるかもしれないという場合に、実際に持っているかどうか調べる方法がありはせぬかということでございますけれども、今日の状態におきましては、周囲の事情から考えましてそういう物を持っており、あるいは他に危害を加えると考えられましても、それだけでその者を調べるということがないのでございます。そのために今回銃砲刀剣類等所持取締法につきまして所要の改正を加え、必要最小限度周囲の事情から見てそういう物を持っておると思われ、しかもそれが他に危害を加えると思われるような場合に、刃物もしくは銃砲等を提出させ、調べることができるという規定を入れようということで、近く国会に御審議を願うように今用意をいたしておるところでございます。またそういうことで直ちにそのことが調べられないとしますと、結果から見ておどかしに過ぎないではないかというお尋ねのように承知をいたしましたが、これもきわめてむずかしいところでございまして、確かと申しましても、ほんとうに確かならばこれは逮捕ができるわけでございます。またある場合に事柄が起こりましたときに、ことに最近のように非常に思慮に乏しい十七才というような少年がある刺激によってやったというようなことを考えますると、われわれ常識で考えたよりもはるかに広い範囲で、違う場合にそういったことが行なわれることが多いのが実情でございます。従いまして、これは一〇〇%確からしいということではありませんでも、その方に御警戒を願う意味で、万が一不慮のことが起こりませんようにという意味で、あらかじめ御連絡をいたすことが適当と思われる場合もあろうと思うのでございます。一般論といたしまして、とにかくそういうことが耳に入ったら何でも知らせるという結果、不必要に恐怖感々抱かせることになるということは、これは私は避けなければならないと思うのでございます。こういう際でございますから、平素考えておりまする情報の評価よりもいささか広くその関係者にお伝えをいたすということが現実に行なわれておるとは存じますけれども、私どもの考えておりますことを御了承いただくようにお願いしたいと思うわけでございます。

坪野米男日本社会党

○坪野委員 質問を終わります。

濱田幸雄自由民主党

○濱田委員長 阪上安太郎君。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 大臣がお見えになりましたので簡単に一つだけ質問をいたしたいと思います。小倉警視総監が昨日やめました。これはやめたのですか、やらさせたのですか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 小倉警視総監につきましては、実はかねてから、嶋中事件の起こります以前から、相当期間も長くなるし、激職でもあるので後進に道を譲りたいという意向があるやに若干伺っておったこともあるのでございます。しかし、あの事件が起こりまして、おそらく当時事件を解決することが自分の責務だと考えておったと見えまして、自分からそういった意思表示は、あの事件の最中には何にもありませんし、また国家公安委員会といたしましては、警察の手続上の格別の手落ちがなかったのだから、警視総監の進退を云々すべきものでないという結論が五人の委員の一致をした意見であったわけで、従いまして、今回の辞任申し出に対しまして、外部から何らか作用をしたといったようなことは全然ないのでございます。かねて考えておりましたときがちょうど今の時期だと御本人が考えたというふうに思われるのでございまして、国家公安委員会といたしましては、後進に道を譲りたいという御本人の意思を、それならばこの際尊重すべきものであろうということにこれまた意見が一致しまして、昨日ああいう手はずになったわけでございます。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 警察法の四十九条に、この任免については、総理大臣の承認を得て任免するということになっております。そこでその手続が、国家公安委員と都の公安委員、それから本人と、どういうような手続でああいう結果になったのですか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 本人から委員長あてに辞表が提出されまして、そこで、ちょうど昨日が定例の国家公安委員会であったわけでございまして、お集まりの委員は実は三人であったわけであります。金正氏と高野氏は、所用と病気のために御欠席になっておりましたが、御出席の三人の委員は、今申し上げましたように、御本人の意思を尊重すべきものであろう、こういう結論になりましたので、直ちにこの結果を電話で警察庁長官の方から金正委員及び高野委員にも連絡いたしましたところが、御両氏ともそれに同意だ。こういうことでございまして、都の方の公安委員会へ通知をいたし、さらにこの結果を私から内閣総理大臣にも報告をいたしまして、閣議の了承事項としては、本日の朝の閣議で正式に決定をいたしたわけでございます。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 公安委員会へ申し出があったというその公安委員会は、都の公安委員会ですか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 いいえ、国家公安委員会で、私の手元へ申し出があったわけであります。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 その場合、都の公安委員会からは、何らそれに対する意見等は付しておらなかったのですか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 警視総監の任免権につきましては、国家公安委員会にあるわけでございまして、国家公安委員会が都の同意あるいは承認をとる、了解をとるという手続が国家公安委員会としてあるわけでございまして、これも都の方は、連絡をしました結果、了承ということに相なっております。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 この四十九条によると、第二項に、「部公安委員会は、国家公安委員会に対し、警視総監の懲戒又は罷免に関し必要な勧告をすることができる、」こういった勧告があったのですか。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 そういうものにつきましては、何にもございませんでした。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 過般の連合審査会におきまして、われわれの方からいろいろと責任問題について御質問を申し上げました。これは大臣も御承知の通りであります。その場合、私どもとしましては、警察に責任なしとは言えないと思う、しかしながら警察の中立性維持のためにも、政府の警察に対する干渉等によってそういう責任を無理やりにとるという形のものは好ましくないというような態度でわれわれは質問を続けたわけなんでありましたが、その場合、国家公安委員長の安井さん、それから警察庁長官、小倉警視総監、それぞれ責任のあり方について自分の意見が述べられておりましたが、一貫して流れておりました責任論というものについては、責任はないことはない、いやあるのだ、あるのだけれども、責任のとり方については、やはりこういった事件が起こっておるさ中であるし、できるだけこの事件を解決し、かつ将来こういった事件が起こらないような態勢を整えるというようなことの必要性を痛感しているというような意味で、従ってそういう責任のとり方、つまりやめるという考え方よりも、むしろ残って、さらにこういった右翼テロ等の問題の発生を阻止していこうという努力に実を実らせたい、そのことのためにわれわれは残りたいのだ。こういうふうに私は聞いておったのでありますが、突如として――巷間いろいろとうわさはわれわれもざっくばらんに聞いておりますが、突如としてああいう形でやめてきたということについて、私どもはどうも納得ができない。このことについて、後進に道を譲るというような理由によって国家公安委員会がその辞職を認めたということは、これは過般の連合審査会からの経過にかんがみて非常に矛盾があるのじゃないかと私は思うのですが、そういうふうに矛盾をお感じになりませんか。大臣に一つ所見を承りたい。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 時期的に見まして、阪上委員のお話のような御見解、御批評も出ようかと思うのでありますが、当時、先ほど申し上げましたように、小倉警視総監はかねがね実は嶋中事件の起こる前から、適当な時期に後進に道を譲りたい、こういう意向を漏らしておったようなことは聞いておったこともあるのでございます。しかし、この事件につきましては、国家公安委員会あるいは部の公安委員会としても、警察上の手落ちはないのであって、この事件について進退を云々する必要はないという結論に、それぞれの委員会でなっております。また、本人自身もこの事件に関連して何ら進退をその委員会へあずける、申し出るといったような行動は一切なかったわけでございます。でありますが、たまたまそういうような心境にありましたことと、事件も一段落ついたというようなことから、御本人の発意として、この時期が適当だと考えた様子でございまして、そうならば、その本人の意向を尊重しよう、こういうふうに決定をしたわけでございます。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 それならば、巷間頭を出しておりました政府与党等の圧力でやめたのではない、こういうことですね。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 さようでございます。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 そうすると、依然としてあとを引いております責任論の問題というものは、これによって抹消されたものでないというようにわれわれは解釈するのです。よくわかりました。従って、この問題はまたさらにあとに残したいと思います。

濱田幸雄自由民主党

○濱田委員長 警察に関する件の質疑はこの程度にとどめます。      ――――◇―――――

濱田幸雄自由民主党

○濱田委員長 次に、地方財政に関する件につきまして調査を進めます。  昭和三十六年度地方財政計画について政府より説明を求めます。安井自治大臣。

安井謙自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○安井国務大臣 ただいまお手元に配付いたしました昭和三十六年度地方財政計画につきまして、その概要を御説明申し上げます。  政府は、経済の高度の成長を確保し、国民所得の倍増を達成することを目標として、昭和三十六年度において減税、社会保障及び公共投資等の重要施策を強力に展開することとしているのであります。昭和三十六年度地方財政計画の策定にあたっても、国の財政と同一の基調により、地方財政基盤の充実をはかり、その健全化を一そう推進する方針のもとに、投資的経費の財源を充実して行政水準の向上をはかるとともに、積極的に後進地域の開発を推進していくことを目標としたのであります。  すなわち、計画策定の具体的な方針といたしましては、第一に、地方財政需要の増高に対応して地方財源の確保をはかる反面、国税、地方税を通ずる減税措置の一環として、地方税においても住民負担の軽減合理化の措置を講ずることといたしました。  第二に、産業経済の発達のおくれているいわゆる後進地域の開発を促進するため、開発のための各種公共事業にかかる国庫負担率を段階的に引き上げる措置を講ずるとともに、財政力の貧弱な地方団体の財源を傾斜的に増額して、その行政水準の向上を期することができるようにいたしました。  第三に、産業発展及び国民生活の向上に対応して産業関連施設、文教施設及び環境衛生施設等の計画的な整備拡充をはかるため、投資的経費にかかる財源の充実をはかることといたしました。  第四に、長期にわたって地方財政の健全化をさらに推進するため、前年度に引き続き、国の一般会計所属の直轄事業に伴う地方団体の負担金にかかる交付公債制度を廃止する等の措置を講ずることといたしました。  なお、計画の策定にあたりましては、昭和三十四年度決算に基づいて、地方財政計画の投資的経費等の諸経費につき、その算定方法の合理化をはかることといたしております。  以上のような方針のもとに昭和三十六年度の地方財政計画を策定いたしますと、その歳出規模は一兆九千百二十六億円となり、昭和三十五年度地方財政計画に比して三千七百四十五億円の増加となる見込みであります。  次に、歳出及び歳入のおもな内容について簡単に御説明申し上げます。  第一に、歳出について申し上げます。  その一は給与関係経費であります。給与費につきましては、一、地方公務員の給与改定の平年度化に伴う経費、二、児童、生徒の自然増に伴う義務教育教員の増加、三、交通警察の拡充、暴力団犯罪取り締まり強化等のための警察官の増加、その他法律制度の改正に伴う職員の増加に要する経費を確保するほか、四、昇級に伴う給与費の増、恩給、退職慰労金の増等を見込むとともに、昭和三十四年度決算額に基づいて、既定地方財政計画に計上されていた議員、委員等の給与費について、その算定方法の適正化をはかることとしたのであります。その結果、前年度に比し千二百二十三億円を増加し、総額七千二百二十七億円と見込まれるのであります。  その二は、給与関係経費を除きました一般の行政事務に要する経費、すなわち一般行政経費であります。この一般行政経費のうち、国庫補助負担金を伴う経費は、生活保護費、中小企業近代化促進費等、国庫予算の増加に伴い前年度に比し四百七十七億円を増加し、総額千八百八十八億円と見込まれるのであります。国庫補助負担金を伴わない経費は、所得倍増計画による国民経済の伸長率等の事情を勘案して算定いたしました結果、総額千九百七十一億円となりました。  その三は、公債費であります。公債費につきましては、通常の償還費を計上するとともに、明年度の一般財源の増加等の事情にかんがみ、昭和二十六年度までに発行された公共災害復旧事業債及び昭和二十六、二十七、二十九年度に一般財源の補てんにかえ、特別の措置として発行を許可された地方債について、繰り上げ償還を行なうための所要財源を計上して、将来の地方財政の健全化に資することとしたのであります。その結果、公債費の総額は千六十億円と見込まれるのであります。  その四は、道路、橋梁、河川、その他公共、公用施設の維持補修費であります。これにつきましては、各種公共、公用施設の増加等の事情を考慮して五十五億円の増額を行ないました結果、その総額は五百十四億円となりました。  その五は、投資的経費であります。投資的経費につきましては、新しく樹立されました所得倍増計画達成の見地から、国及び地力を通じた公共投資の大幅な拡充が強く要請されていることにかんがみ、特にその充実に意を用いたところであります。  まず、国の直轄事件に伴う地方公共団体の負拠金は、前年度に比し八十七億円を増額し、二百九十億円を計上いたしました。国の直轄事業にかかる地方負担金の納付方法としての交付公債制度については、昭和三十五年度において国の特別会計に属する直轄事業にかかるものを廃止したのでありますが、明年度からはさらに国の一般会計に属する直轄事業にかかるものについてもこれを廃止することとし、その所要経費をもあわせ計上することとしたのであります。  次に、国庫補助負担金を伴うものにつきましては、新しく策定せられた新道路整備五カ年計画に基づく道路整備事業費を初め、治山治水事業費、港湾整備事業費等の普通建設事業費等の増によって、前年度に比し六百六十一億円の増加となり、総額は三千八百二十億円と見込まれるのであります。また、国庫補助負担金を伴わない地方独自の事業費につきましては、新道路整備五カ年計画との関連における道路の整備、高等学校生徒の急増に対処するための公立高校施設の整備、都市人口の急増に即応した環境衛生施設の整備等に要する経費を中心として、前年度に比し四百億円を増加いたしますとともに、既定地方財政計画に計上せられている単独事業費について、昭和三十四年度決算額に基づき算定方法の適正化を行なう等の措置を講ずることといたしました。これらの結果、昭和三十六年度の規模は二千百三十七億円となったのであります。  なお、以上のごとく投資的経費の増額を行ないますとともに、一、後進地域の開発を積極的に促進するため、これら地域の地方公共団体に開発のための公共事業の受け入れを容易ならしめるような財政制度の確立をはかるため、別途立法措置を講ずることとし、二、また、地方交付税制度を改正して、財政力の貧弱な地方団体に対し財源を傾斜的に増額する措置を講ずることといたしているのであります。  第二は歳入であります。  その一は、地方税収入であります。地方財政需要の増高に対応する地方財源の確保に留意しつつ、国税、地方税を通じた減税措置の一環として、地方税においても、住民負担の軽減合理化の措置を講ずることとし、法人税における同定資産の減価償却の耐用年数の改定等に伴って、住民税、事業税及び同定資産税の減税を行なうとともに、遊興飲食税、電気ガス税等についても大衆負担の軽減を行なうこととする反面、新道路整備五カ年計画の実施に伴い必要となる道路目的財源を確保するため、地方道路税のほか目的税たる軽油引取税の税率、現行一キロリットル当たり二万四百円を二千百円引き上げることとしたのであります。これらの地方税制の改正を考慮して地方税全体の収入は、前年度に比し千三百八十九億円の増加となり、総額は七千六百十九億円と見込まれるのであります。なお、国税の減税措置が自動的に地方税収入の減少を生ぜしめることのないよう地方税制の自主性を強化するための地方税法の改正を同時に予定いたしているのであります。  その二は、地方譲与税であります。前述の軽油引取税と同様、道路目的財源の充実のための地方道路税の税率、現行一キロリットル当たり三千五百円を五百円引き上げることを予定いたしておりますが、この増収を考慮して、地方譲与税全体で前年度に比し百六億円の増加となり、総額は四百二十四億円と見込まれるのであります。  その三は、地方交付税であります。その総額は、臨時地方特別交付金三十七億円を含めて三千七百七十三億円と見込みましたが、このうちには昭和三十五年度国の補正予算で追加となった地方交付税のうち、昭和三十六年度に繰り越されることとなる二百七億円を含んでおります。  その四は、国庫支出金であります。国庫支出金は、義務教育関係国庫負担金において二百四十一億円の増、その他の普通補助負担金三百三十五億円の増、公共事業費補助負担金三百四十四億円の増、その他失業対策事業費補助負担金の増を合わせて、全体で前年度に比し九百四十九億円を増加し、総額は四千九百七十五億円となっております。  その五は、地方債であります。地方債につきましては、前年度に比し五十億円を増額し、その総額は七百七十億円としたのであります。また、明年度における地方債といたしましては、地方財政計画に計上いたしましたもののほか、交通専業、電気襲業、水道事業等にかかる公営企業債を前年度に比し二百億円増額して七百七十五億円、簡易水道、下水道事業等にかかる準公営企業債を前年度に比し百三十五億円増額して三百四十億円、さらに厚生年金還元融資及び国民年金特別融資にかかる地方債百四十億円を予定しております。従って、地方債の総額は二千億円となり、前年度に比し四百四十五億円の増加となっております。その資金別の内訳は、政府資金一千五百五十億円、公募資金四百五十億円であります。  その六は、雑収入であります。雑収入につきましては、使用料及び手数料等の増五十億円を見込むとともに、既出地方財政計画の計上額について、昭和三十四年度決算額に基づいてその算定方法の適正化を行なうことといたしました。その結果、雑収入の総額を一千五百六十五億円と見込んだのであります。  以上が、昭和三十六年度地方財政計画の概要であります。これを通観いたしますと、昭和三十六年度地方財政は、国民経済の伸張に対応して、地方税及び地方交付税に相当額の自然増収が期待されることにより、投資的経費を初め諸経費の充実を行なうとともに、長期にわたる地方財政の安定性を促進するための措置をも講ずることができたのであります。これによって国の諸施策と呼応して地方財政においても現在強く叫ばれている公共投資及び社会保障の拡充の要請にこたえていくことができるものと考えております。  以上でございます。

濱田幸雄自由民主党

○濱田委員長 次に補足説明を求めます。奧野財政局長。

奧野誠亮自治事務官(財政局長)

○奧野政府委員 ここに掲げておりますように、昭和三十六年度の地方財政計画は一兆九千百二十六億円でありますから、昭和三十五年度の当初計画と比べまして二四・三%の伸びということになっておるわけでございます。それぞれの数字の基礎につきましては五枚目に主要な増減経費の調を書いておりますので、それに基づきまして御説明申し上げたいと思います。  第二表増減事由に関する調という表でございます。金額の欄には総額と一般財源と二つの数字を掲げてあります。総額から国庫負掛金等の特定財源を控除いたしましたものが一般財源でございます。  給与関係経費の総額で一千二百二十三億円ふえておるわけでございますが、義務教育職員の国庫負担金を除きますと九百八十二億円の増ということになるわけでございます。  (イ)が人事院勧告に基づく増でございまして、総額で五百八十億円、特別職の関係の部分が別に二十九億円でございます。従いまして、合計いたしますと六百九億円ということになるわけでございます。  (ロ)が義務教育職員の増員でございまして、三十六年度では児童生徒数が、小学校では七十九万八千人の減少になり、中学校の生徒では九十七万八千人の増加になります関係から、九千三百二十人を増加するということになっておるわけでございます。その関係の経費が二十三億円ということになるのでございます。  (ハ)の法律制度の改正等に基づく増員でございますが、警察職員につきましては四千五百人の増員を予定いたしておるわけでございます。これに対応いたしまして事務職員を六百五十四人増員する。さらに火薬類取締法の改正が先般行なわれたわけでございますので、その関係の職員を七十人増員するということに要する経費を見ておるわけでございます。  bの社会教育主事の増員は、三十七年までの間に人口一万人以上の町村と市には社会教育主事を置く、さらにそのほかに市には社会教育主事補を置くという法律改正が先年行なわれたわけでございます。三年計画でこれを充実していくということになっておるその第三年目に当たるわけでございます。従いまして、市について主事補を置き、一万八千人以上の町村に主事を置く、その所要員数の二分の一ずつがここに入っておるわけでございまして、合計いたしますと、六百四十一人ということになっておるのでございます。  cが高等学校産業教育課程の充実のための教職員の増でございます。これは産業教育振興法に基づきまして、施設整備のための補助金が国から交付されておるわけでございます。三十六年度におきまして、機械、電気、工業化学等五十八課程についての補助金が用意されておるわけでございますので、これに対応いたしまして教職員四百四十二人の増加を見込んでおるわけでございます。  dは生活保護基準の引き上げに伴う福祉事務担当職員の増でございます。これは生活保護基準を一八%引き上げようとされておるわけでございます。そのようなことから保護世帯が七万四千余りふえるだろうと予測されておるわけでございます。社会福祉事業法に基づきまして、世帯の数ごとにケース・ワーカー何人を置くという定めがなされておりますので、それに従って計算をいたして参りますと、郡部において四百十七人、市部において五百八十九人、合計千六人の社会福祉主事の増員を要するということになりますので、その関係の経費をここに掲げておるわけでございます。  eは消防法施行令の改正及び消防施設の増強等に伴う人員の増としてまとめてそこに記載をいたしておるわけでございます。今回消防施設整備の補助金におきまして、常設消防を置いている都市につきましても、新規に消防ポンプを増強していくというような計画が持たれておるわけでございまして、それに対応いたしまして、増員を要する部分が四百二十人あるわけでございます。さらに準危険物の取り締まりでありますとか、あるいは興行場等の防火管理に関しますいろいろな仕事が加わってくるというような関係もございまして、全体で三百二十九人の増員を予定いたしておるわけでございます。  そのほか技能検定が進んでいきます関係、あるいは結核予防、精神衛生の仕事が多くなって参ります関係、そういうことの増員もこの中に予定をいたしておるわけでございます。  (ニ)の臨時職員の定数化の問題は、三十五年度の地方財政計画に上がっておりました臨時職員の三万二千九百三十六人、これの七〇%を定数に組み入れるということにいたそうとしておるのであります。国におきましては、補正予算で七%を組み入れ、さらに三十六年度の予算で相当数を組み入れておるわけでございますが、その結果は、三十五年度の臨時職員の七〇%に相当する員数の組み入れになるようでございますので、それに歩調を合わせまして、地方団体の臨時職員の定数組み入れ数を計画に計上したい、かように考えておるわけでございます。  (ホ)の校長管理職手当の改訂は、現在七%でありますのを八%に引き上げようということになっておるのでございます。  昇給及びこれに伴う給与費の増等の問題は、従来と同じように、義務教育関係の職員につきましては三%の昇給財源を見込み、その他の職員につきましては四・二%の昇給財源を見込むということにいたして参っておるのでございます。  その次の議員及び特別職の給与の改訂等の経費でございます。六十四億円のうちの二十九億円が、先ほど申し上げました給与改訂に要する経費でございまして、県の関係の議員その他につきましては四〇%、町村の議員その他のものにつきましては三〇%の増加を見込んでおるわけでございます。残余の三五%は計画が過小にこれらの経費を計上していた、それを実体に合わすために是正をしようとしておる額でございます。  bは義務教育の教職員数の指定統計による是正、これも毎年行なっているわけでございますが、三十五年五月一日現在の指定統計による教職員数と地方財政計画に盛られておる教職員との間に四千十七人の差がございましたので、これを追加計上しようとしておるものでございます。  cの高等学校等の教員数の指定統計による是正、これも毎年行なっておることでございまして、やはり三十五年五月一日現在の指定統計による負数と計画に盛られておりますこの関係の員数との差が二千五百十人でございますので、これを計上しようとしておるものでございます。  それからその他の部分は、退職手当率の是正をはかるに要する経費でございます義務教育関係につきましては千分の二十五を五十にし、一般職員につきましては千分の三十を三十五に引き上げておる関係の経費でございます。  恩給及び退隠料につきましては、組合に入っておるものについては三%、その他のものにつきましては昇給財源の計算と同じように四・二%の増加経費を見込んでおるわけでございます。  その他の一般行政経費、国庫補助負担金を伴うものは生活保護費その他のものがございますが、その裏の一般財源が百四十二億円ということになっておるわけでございます。  国庫補助負担金を伴わないものが二百四億円でございます。これは経済計画の大綱によりますと、経常支出の伸びを一〇・七%というふうに示されておるわけでございます。この率を基礎にして計算をいたしたわけでございます。  公債費二百二十億円の増加額は、一つは定時償還分が六十億円、繰り上げ償還分が百六十億円でございます。大臣から御説明がありましたように、百六十億円のうち地方財政平衡交付金時代に地方の財源が足りない、さしあたり地方団体に地方債を起こさせて処理して参ったわけでございます。この部分につきましては、現在元利償還額の全額を基準財政需要額に算入いたしております。三十七年度以降に残ります額が五十五億円でございます。これはこの際全部繰り上げ償還をしてもらいたいという考えを持っておるのでございます。なお、昭和二十六年度以前の災害復旧事業で、国庫負担を受けて行なったもの、それにかかる地方債の残が三十七年度以降で百五億円ございます。合わせまして百六十億円になるわけでございます。この元利償還額につきましては、九五%まで基準財政需要額に算入しているわけでございます。たまたま退職年金制度の改正が三十七年度からということになったわけでございますので、その実施の予定をしておりました一般財源が百六十億円でございますので、三十七年度に備えましてその財源を留保するという意味において、百六十億円だけ三十七年度以降の財源を軽くしておる。そうして三十七年度以降においては、新たなる財政需要に充てられるように予定していきたい、こういう考え方のもとにこの措置をとろうといたしておるわけでございます。  維持補修費は五十五億円の増加を見込んでおるわけでございます。  投資的経費については直轄事業の負担金で八十七億円の増。それから一般補助事業では国庫補助負担金を伴うものとして2に書いてありますように、一般財源では二百八十八億の増でございます。  普通建設事業では、一般財源で二百七十八億の増、災害復旧事業では四億の減、失業対策事業では十四億の増ということになっておるのでございます。  国庫補助負担金を伴なわないもの、3に書いてある事業でございますが、普通建設事業では新規の増を四百億円と見ておるわけでございます。この地方財政計画に掲げております普通公共建設事業、要するに国庫補助負担金を受けて行ないます公共事業、その増加率が三四・三%に当たっておるわけでございます。同じような伸びを地方の単独事業についても見込みたいということで四百億円を計上したわけでございます。  決算による是正として四百四十八億円計上いたしておるわけでございます。三十四年度の決算を分析して参りますと、財政計画と決算との間に相当な開きがあるわけでございます。いろいろと事情を検討して参りますと、たとえば中小学校の新増築二分の一を国庫負担する。しかし、それだけでは実際問題として学校は建たないわけでございます。土地の購入費が見込まれていない、建築単価が低いというような問題がいろいろあるわけでございまして、そういうふうなものをせんさくいたしました結果、是正を行ないたいということにいたしたわけでございます。  災害復旧事業費は昨年より八十五億円の減になって参るわけでございます。国の予算で見込んでおります現年災の規模と同じように一応三百億円を基礎として計算いたして参っております。  六は、地方交付税の不交付団体における平均水準をこえる必要経費でございます。不交付団体を別に計算をいたしまして、不交付団体でこういうような標準的な計算をしていくと、五十五億円のこれを上回る歳出に充てる余裕が出てくるということでございます。  その次のページは歳入でございます。地方税で千三百八十九億円の増、そのうち現行法による増収見込みが千四百四十八億円でございます。これは当初の数字に対しまして二三%の伸びに当たっているわけであります。普通税で千三百六十二億円、目的税で八十六億円であります。それにつきまして税法改正で九十八億円の減になるわけであります。しかし軽油引取税では一キロリットル一万四百円を一万二千五百円に引き上げることを予定いたしておりまして、全体を合計いたしますと千三百八十九億円の増ということになるわけであります。  地方譲与税では、入場譲与税で二十六億円、地方道路譲与税で七十七億円でありますが、この中には揮発油に対しまする地方道路税の税率を現行三千五百円を四千にするという内容をも含んでおるわけであります。  三の地方交付税の九百八億円の増加の内訳は、三十五年度の地方交付税を三十六年度へ繰り越します額が二百七億円ございます。それから臨時地方特別交付税の増が七億円ございます。その他が六百九十四億円ということになっておるわけであります。  国庫支出金の増が九百四十九億円、その内訳はそこに書いてある通りであります。  地方債で五十億円の増、一般補助事業債で八十億円、災害復旧事業債では五十五億円の減でございます。直轄産業債は動かしておりません。特別地方債のうちの一般会計に属するものが二十五億円程度ありますので、それをここに掲げておるのであります。  雑収入は三百四十三億円の増としておりますが、このうち二百九十三億円は備考欄に書いてありますように計上額是正に当たるものでございます。従いまして二百九十三億円雑収入でふえるかわりに、歳出の関係の部分でそれだけ増額になっておるということでございます。従いまして純増は五十億円ということでございます。  その次のベージに移りまして、三表は歳入歳で構成がどう変わっておるかということでございます。三十五年度と三十六年度との対比を見ていただきますと、五番目の地方債が五%から四%に下がっております反面、地方交付税が一九%から二〇%とふえております。それだけ財源構成が幾らかでも軽減になった、そういうことが言えると考えておるわけであります。右の端に三十五年度から三十六年度への伸び率が書いてあるわけでありまして、合計欄のところで二四・三%、ちょうど国の一般会計の伸びがたしか二四・四%であったかと思いますが、大体似たり寄ったりの伸び率を示しておるということになって参るわけであります。  歳出構成につきましては、これは給与関係経費が三九%から三八%と一%下がり、さらに一般行政経費が二一%から二〇%に下がり、反面五番目の投資的経費が三一%から三三%にふえるわけでございます。これもわずかではございますが、それだけ歳出構成が行政水準引き上げに直接結びついていく傾向を示してきておるということを見ていただけるだろうと思うのであります。  その次のページが地方税につきましての税目別の数字でございます。いずれ税制改正について説明があろうかと思いますので、省略をいたしまして、その次の昭和三十六年度地方債計画の表について若干申し上げておきたいと思います。  三十六年度計画額で一般会計債、一般補助事業、災害復旧事業、義務教育施設整備事業、その次に高等学校整備事業、これは従来は特定の区分は設けていなかったわけでありますが、高等学校整備に乗り出していかなければならない事態に参ってきておりますので、新たにこのワクを設けたわけでございます。三十七年度はさらにこれを一そう増額して、中学校の生徒がふえてくる、いずれ高等学校の生徒もふえてくる、さらに高等学校の内容の改善をやっていかなければならない、工業化への進展をはかっていかなければならないというようなことに備えていきたいと考えておるわけであります。一般単独事業におきまして、清掃事業という項目をこれもまた新たに設けたわけでございます。都市の屎尿消化槽あるいは塵芥処理の施設がかなりおくれているわけでございまして、それらの促進をはかっていきたいという考え方を持っているわけであります。6のオリンピック施設整備再案、これも新たに設けたわけでございまして、オリンピックを控えまして、地方債の面からも関係施設の整備を促進していきたいという配慮を払っているつもりであります。  直轄事業債は、百六十億円をそのまま据え置いているわけでございます。事業は非常にふえておりますが、この地方債は据え置いております。私たちは、事業がふえればふえたものを借金でまかなうのではなしに、一般財源でまかないたい、こう考えているわけでございまして、財源措置をしていないわけではございませんで、一般財源を増額しているわけでございます。従いまして、関係の基準財政需要額は増額されるわけでございますので、それぞれの地方団体にそれだけ一般財源が増額配付になるということになるのでございます。  三が準公営企業債、6の公有林整備事業八億円、今回からこれをはっきりト書きではございますが、地方債計画に計上することにいたしたわけであります。この準公営企業債と公営企業債は大幅に増額をはかっておるわけでございます。一般会計の分は増額を抑制しながらも、これらの面については大幅に増額するということにいたしておるのでございます。  五番目の特別地方債百四十億円、これは注のところに書いてありますように、厚生年金還元融資と国民年金特別融資による地方債でございまして、相当の額になって参りましたので、地方債計画に計上して統一的な運用をはかっていきたいという考えを持っておるわけでございます。  以上でございます。

濱田幸雄自由民主党

○濱田委員長 地方財政計画に関する質疑は後日に譲りまして、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十三分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗