地方行政委員会 第4号
- 発言数
- 67 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/02/16
会議録
○濱田委員長 これより会議を開きます。 警察に関する件につきまして調査を進めます。 質疑の通告があります。この際これを許します。川村継義君。
○川村(継)委員 昨年浅沼事件が起きてから、もうやがて半歳になろうとしております。あのころ国民はみな、あれらに対する政府の適切なる施策ができることをおそらく待望しておったに違いないのであります。ところが十分な対策がないままに過ぎて参りまして、今月初め嶋中事件というものが起きて、非常な関心と国民の警戒の眼が向けられているわけであります。この嶋中事件について、さきには地方行政と法務の連合審査が一画ほど行なわれ委して、いろいろの問題点について質疑応答が繰り返されたわけであります。これは一時もゆるがせにできない問題でありますけれども、その後、やはり国民は一体どうなっておるのかというような非常な関心を持ってこの国会の成り行き、また当局の諸施策の進行を見守っておるだろうと思います。この際、長官から、最近の治安警備状況等につきまして、御報告かたがた御説明をお願いいたしたいと思います。本日は、まだ当局としても諸施策についていろいろ御研究の段階でもあろうと思いますし、あえてここで各種の問題を蒸し返したり、いろいろと論議を繰り返していこうとは思っておりませんが、長官から、現状における治安警備の問題等について、それを国民の前に明らかにして下さることを要望したいと思うのです。
○柏村政府委員 昨年浅沼委員長の刺殺事件がございまして、警察といたしましても、右翼関係の視察の強化、そのための要員の増強、危険分子の早期発見等に努めて参ったのでございますが、去る二月一日また嶋中事件という不祥事件を惹起いたしまして、はなはだ遺憾に思っておるわけでございます。ただいまの御質問に対しまして、まず嶋中事件後におきまする右翼の動向をかいつまんで申し上げ、現在警察のとっております措置等について御説明を申し上げたいと存じます。 嶋中事件に対しまして右翼の各団体の態度でございますが、全体的に相当の反響を呼び起こしたことは事実でございます。またそれぞれの団体の性格を反映いたしまして、その態度についても一様ではございません。一部の団体におきましては、犯人の行動を是認するものも見られるのでございますが、大部分のものは、言論出版の自由をかさに皇室を侮辱するような記事を載せた中央公論社の態度に問題があるということは言っておりますものの、今回のテロ行為につきましては否定的であります。特に婦女子を殺傷するなどは右翼としては分別のない行為であるということで批判的な態度を示しているのでございます。このため一部団体におきましては、いち早く批判的態度を表明して、傘下にこれを示し、軽挙を戒め、また新聞報道関係者等にその態度を明らかにしたものもあるのであります。さらに、在京右翼の協議体的組織でありますところの全日本愛国者団体会議におきましては、傘下団体の意見を統一いたしまして、犯人が所属していた大日本愛国党に対し、その指導態度の是正を申し入れる等の動きも見られたのであります。現在浅沼事件に見られましたような犯人の救援活動を組織的に行なおうというような動きは現われておりません。 また、この嶋中事件が一部青少年に与えた特殊の影響でございますが、今回の事件は一般に対しましても強い衝撃を与えたわけでありますが、一部の右翼的人物並びに青少年に与えた特異な影響というものは見のがすことができないものがあるのでありまして、その現われの例を若干申し上げますと、その一つとして、右翼的少年によりまする模倣的な不法事件が発生しているということであります。浅沼事件に引き続きまする嶋中事件の発生は、その犯人がいずれも十七才の少年によって敢行されているのでありますが、これらの事件の報道が右翼的な少年を強く刺激いたしておりまして、たとえば二月六日、大阪府の岸和田市におきまして、右翼的思想を持った一高校生が高校教諭に対しまして、左翼的な教育を行ない、天皇を侮辱していると申して、凶器を示して抗議を行なった事案が発生いたしております。また二月六日には、埼玉県東松山市におきまして、同様右翼的思想を持った少年が、小林日教組委員長は教育者としてふさわしくない左傾的な態度であるとして、同氏を暗殺すべく凶器を持って大日本愛国党本部を訪れた事案がございます。これは二月八日、殺人予備罪として検挙しておりますが、このような不法事案が発生いたしておるわけであります。 第二といたしましては、犯罪を犯すおそれのある少年の上京家出事案というものが多く見られておることであります。このことはただいま申し上げましたこととも関連するのでありますが、事件発生に刺激され、大日本愛国党、全アジア反共青少年連盟など、右翼団体への入党を目的として上京する者が多くなっているのであります。これらの者の中には小林日教組委員長の暗殺を漏らす者も数名ありまして、注意を要するものがあると存じます。すでに六名のものが右翼団体を訪れておるのでありますが、警察としては、これらの者についてはあるいは保護者に引き渡し、あるいは養護施設に収容の手続をとり、または警察官が同行の上帰郷せしめるなどの措置を講じているわけであります。なお、現在これらの中で行方不明で捜査を行なっておる者も数名あるのであります。 次に、国会の論議をめぐりまして右翼がどう動いておるかということでございますが、事件後国会の論議が嶋中事件に集中いたしますと、右翼陣営におきましては、国会における議員の方々の右翼に関する発言に対しまして強い反発の態度をとり、抗議を申し込み、あるいは発言を牽制しようとする動きが目立っているのであります。このほか、国会議員の方々、中央公論関係者、学者、文化人に対しましても、右翼からと思われまする電話による抗議あるいは抗議文、脅迫文の郵送などが多く行なわれ、現在までに警視庁管内のみでも約百件に及んでいるのであります。これらがすべて右翼団体による行為であるということは断定できないのでありますが、これらの行為が相手方に相当不安感を与え、治安上ゆるがせにできない問題を含んでおりますので、警察といたしましては、厳重にこれらの取り締まり、警戒を行なっておる次第でございます。しかし、何分にも投書などは、その大部分が差出人不明でございますので、捜査には相当困難を感じておる状況でございます。現在投書の内容等を検討いたしまして、悪質なもの数件につきましては、脅迫容疑として捜査を行なっておるわけでございます。また抗議等につきましても、同様の立場に立ちまして取り締まりを行なっておる次第でございます。 なお、国会におきまする右翼の論議をめぐりまして、右翼団体の特異な動きといたしましては、一部団体におきまして、右翼のみを対象とする治安立法に反対する動きを示しておる。あるいは「風流夢譚」記事を名誉棄損として告訴の手続をとるように関係当局に迫ろうとする動きもあります。このほか、本月二十四日には九段会館で抗議集会を開く計画もございます。 以上申し上げましたように、右翼陣営におきましては、本事件をめぐる世論や国会論議などに強い反発を持っておりまして、現在なおいわゆる興奮状態にあると言えるかと思うのであります。特に本事件の発端となりました「風流夢譚」問題につきましては、根本的な解決がされていないといたしまして、依然強い不満を抱いており、さらに右翼団体がマス・コミに対し左翼偏向しておるとして批判的態度をとっておりますだけに、その動向につきましては十分に留意して視察を行なっているところでございます。 なお、このほか、当面治安上問題を持っておりますものといたしまして、新島におきまする右翼の動向がございます。現在防共挺身隊、大日本独立青年党等二十数名が来島いたしまして、賛成派の支援活動を行ない、反対派と対立しておるのでありますが、これらの右翼は、この闘争が革新陣営の安保体制打破の闘争の一環として行なわれているという見方から、かなり強い態度をとり、反撃の気がまえを示しておるわけであります。一月二十四日以降すでに反対派並びにオルグ団との間に暴力事件が八件ほど発生をいたしておる状況であります。警察といたしましては、厳正公平な立場に立って、両者に対しまして警告、制止などを行ない、事故発生防止を建前といたしまして取り締まりを行なっておるのでありますが、発生した事件に対しましては、きびしい態度で取り締まり、検挙等の必要な措置を行なっておる次第でございます。しかしながら、賛成、反対の両派の対立は、外部からのオルグ団、右翼団体の介入によりまして、最近ますます激化の一途をたどっておりますので、今後の動きにつきましては、十分な警戒を払っていかなければならないと存じておるところでございます。 なお、こういう情勢に対処いたしまして、警察としてはどういう態度をとっておるか、どういう措置をとっておるかという点について若干申し上げたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、昨秋来特に右翼関係者の視察の強化、不法行為に対する予防措置ということのために、要員を相当増強いたしますとともに、不穏分子を早期に発見するということに努めておるわけでございます。また、右翼の攻撃を受けるおそれのあるような方々に対しては、できるだけの方途を講じましてその警戒に任ずる態度をとっておるわけでございます。事件発生以後、右翼が特に対象といたしますおそれのある方々、たとえば政党等の要人あるいは嶋中事件に直接関係があると認められる人々、本事件に関連して論評を行なった人、それから諸般の状況を勘案して、右翼の方で注目していると認められるような人々、こういう方々につきましては、居住地管轄警察署におきまして、警察官を指定して積極的に連絡をとらせるようにいたしております。またそのときの状況あるいは要請によりまして、私宅あるいはその付近に張り込みを行なうとか、あるいは外出等の際に同行する等いたしまして警護に当たっておるわけであります。特に私宅、宿舎等につきましては、近くの派出所勤務員及びパトカーの活動によって重点警らを行なうほか、私宅等に何か変わったことが起こった場合の連絡方法の打ち合わせ、あるいは随時お宅を訪問して異常の有無について連絡を行なう等の措置をいたしまして警戒に当たっておるわけでございます。 また特に議員宿舎につきましては、制服、私服員を常時相当数配置いたしまして、警戒に当たらせておるようなわけでございます。また出版報道機関の責任者の方々に対しましても十分な連絡をとり、遺憾のないように努めておるような次第でございます。 なお、こうした警察当面の警戒措置のほかに、政府といたされましても関係閣僚懇談会等を開いて、とりあえずの措置あるいは立法措置、あるいは恒久的に十分審議を尽くしてやるような問題等について、官房長官を中心に御研究になっているように聞いておる次第でございます。 以上、簡単でございますが御説明さしていただきました。
○川村(継)委員 ただいま右翼のその後の動向あるいは警察の警備状況等を詳しく御説明いただきましたが、申し上げるまでもなく、ずいぶん御苦労のことだと存じます。これらの対策は、どうしても警察だけの警備で万全を期せられるわけではないと思いますし、これは政府に抜本的な政策を立ててもらわねばならぬと考えておるわけでありますが、今の御説明、お話を聞きながら、せっかくでございますから二つだけお聞かせ置き願いたい。右翼の動向というお話の中で、この問題が青少年に与えた影響というものが相当大きいというところで、二つばかりの項目に分けてお話しいただきましたが、その一つで、青少年の中で、いわゆるこういう愛国党であるとか右翼関係の団体に入党を希望して家出をする傾向が強くなったというお話がありましたが、実はこれは、そういう青少年がいわゆる刺激を受けて入党するために東京へ出てくるというようなことであろうか、あるいは何か右翼の団体から地方におります右翼関係の団体に対して東京へ集結を命じたから集まってくるのか、この辺のところを十分きわめておられるかどうか。私どもが聞いておるのでは、地方の右翼団体に東京集結を指示しておると、こういうことを聞いておるわけですが、その辺のところを一つ聞かせておいていただきたいと思います。
○柏村政府委員 この事件の後におきまして、特に上京する者が右翼団体の東京集結の指令に基づいて動いておるというようなことは、私ども今まで承知しておりません。もちろん右翼といたしましては、できれば全国的に組織化していくという考え方は、これは団体によりましては当然持つものがあると思いますけれども、どこの団体でそういう東京に同志を集合させようという動きがあったということは私聞いておりませんし、今度現実に出てきたものについての取り調べ、聞きただし等の状況からいたしましては、そういうことによって出てきたということではないように承知いたしております。
○川村(継)委員 今度の事件をきっかけに、青少年の動きというのは、お話しのように十分注意をしていかなければならぬ問題でありますし、これはやはり家庭あるいは社会教育全般の問題にもなろうかと思うのでありますが、ただこの事件を動機として、地方におります右翼関係の団体の動向というものは、やはり相当注意をしておらねばならぬのじゃないか、こういうふうに思われるわけであります。長官の方でもあるいは御存じかと思いますけれども、議員等に対しては、こういうようなはがきが次から次へと舞い込むわけです。もちろんただ一片のこういう意見を述べるというか、皇室中心の思想を持っておるということについては、われわれはとやかく言う筋合いではない。ところが、こういうような行動が、やがてテロに軟化するおそれがあるということを考えるときに、この地方におります団体の動きにはよほど注意していかなければならない。こういう点について、やはり地方の警察について何か十分な連絡あるいは指導をなさっておられるか、あわせて一つお聞かせをいただきたい。
○柏村政府委員 右翼の相当なものが東京に中心的な力を持っておるということは事実でございますけれども、地方におきましても、やはりその組織の系統が散在をいたしておるわけでございまして、こういう事件から右翼の結束というようなことも、十分注意して参らなければならないと思います。警察庁といたしましては、警視庁ももちろんでございますけれども、浅沼事件以後におきまして、全国の警察にそういう注意を喚起いたし、最近少年が地方から出る場合におきましても、現地で事前にそういう情報を入手いたしまして東京に連絡し、そうしてこれを保護するなり指導するような態勢をとっておるわけでございまして、東京だけいかに努力いたしましても万全を期し得ないので、全国的に私どもは十分な注意をするように指導いたしておるわけでございます。
○川村(継)委員 それからもう一つは、さっき警備状況について詳しく御説明いただきました中で、会館とか議員宿舎とかには十分なる警備態勢がしかれておるようであります。ところが、きょうみんながいろいろ言っております言葉の中に、ちょうど戒厳令がしかれたときの予備演習みたいだというようなことを言っておりましたが、これは実際はあまり好ましい状態ではないと私は思うのです。これについては、おそらく私が推測するには、議長から特に国家公安委員長等を通じて要請があったので、ああいう警備状況をしかれたとは思うのですが、これは議長からの要請でやっておられるのか、あるいは警察御当局がやはりこの際必要であるということでおやりになったのか、その辺のところを一つお聞かせいただくのと同時に、これは一体いつまでこういう状態が続くのだろうか、考えるとちょっと憂うつにならざるを得ない。こういうものをいつまででも続かせるということは、私はいけないと思います。おそらく百名近くの担当の警察官も必要でございましょうし、大へんなことだと思う。会館に勤務しております職員の諸君も、ここ数日で悲鳴を上げるような格好です。こういうことをいつまででもやっておっては大へんなことでありますし、早くこういうことがやらなくてもいいようにならなければならぬと思うのですが、先ほどお尋ねいたしましたように、あの警備状況のしかれたいきさつをちょっと聞かせておいていただきたい。
○柏村政府委員 実は十日の予算委員会の席上でございましたが、社会党の井手委員からたしか議事進行に関連して御発言がございまして、非常に脅迫的な電話とか、抗議とか、面会強要とかが行なわれておる、そういうことで欠席する議員も出てきているような状況だ、こういうことでは国会の審議が万全を期し得ないではないか、委員長においてしかるべく取り計らうようにという御発言がございまして、善処いたしますという趣旨のお話がございました。その日の午後に官房長官から私に連絡がございまして、両院議長から、議員の身辺について、院内は議長の警察権で措置するが、院外については政府の責任でしかるべく措置をとるようにという要請があったからよろしく頼むという御連絡がございました。私、直ちに警視総監にその旨を連絡をいたしたわけでございます。しかし警視庁といたしましては、先ほど申し上げました、数は申し上げませんでしたが、百数名の方につきまして、いわゆるちょっとすると危険が及ぶおそれがあるという方については、警視庁におきましても、私から連絡する以前におきましてそれぞれ警護措置をとる、しかしこれはあくまでも御本人の意思に反するようなことではいけないということで、連絡をとってその方々の御意図に沿って十分警察としての責任を果たし得るような態勢をとるようにいたしておったわけでございます。ところが議員宿舎等につきましても、またその百数名の方々以外につきましても、もしものことがあってはならないということから、一応御連絡をとるような措置を私から連絡を受けた後警視庁でとったようございます。 それから議員宿舎につきましては、もちろん守衛等がおるわけでありまして、平素ならばほんとうに最小限度の警察官あるいは警察官が不要だというような状況もあり得るわけでございますが、警察において責任を持てということであるならば、この程度の配置をする必要があると思うということで、両院の事務局の方に警視庁の方から計画を示して連絡をいたしましたところ、そのやり方でやってもらいたいという御要望がございましたので、これはたしか昨日か一昨日かからでございましたが、その態勢をとるようにいたしておるわけでございます。ただいまお話しのように、こういう状況が長く続くということは非常に遺憾なことでありまするし、警察自体といたしましても、議員宿舎だけで、これは二部交代でございますが百数十名の要員をさいておるようなわけであります。従いまして、これをいつまでも続けるということは、国会といたされましても御迷惑なことでございましょうし、警察としてもなくべくすみやかにこういうことの解消するようにいたしたいと考えておるわけであります。ただ、そういうようないきさつがございましたので、とりあえずここしばらくそういう態勢で臨むことになるかと思いますが、これはまた議員の皆様方の御見識によりまして、もうそんなにする必要はないということでございますれば、私どもあえて今そういう危険が差し迫っているという、非常な危機感からくる判断によっていたしておるわけでなくて、万々一に備えるという趣旨によってやっておるわけでございますので、必ずしも警視庁としていつまでもそういう態勢でいなければ責任が持てないという強い考えとは私も聞いておりませんので、その辺は情勢の推移に従って適宜にまた事務当局、警視庁と連絡をとるようにいたして、できるだけ明るい態勢に復帰いたしたい、こう考えておる次第であります。
○川村(継)委員 きょうは、先ほども申し上げましたように、いろいろ論議をする気持は全然ございません。ほんとうは大臣等来ていただきまして、それらの抜本的な対策を立てるということが先決であろうと私は考えておりますから、そういう点をきょうはいろいろと聞かねばならぬと思いますが、どうせ長官も関係されることでありますから、政府当局が一日でも早くこのテロ防止の対策を樹立して、国民に安心していけるような態勢を作るようにぜひ御努力をお願いしたい。またわれわれもいつか機会を見て、さらにこういう問題についてそれぞれの関係責任者にただしてみたい、このように考えております。とにかく非常に重要な問題でありますから、ただ対策を立てる立てるで、じんぜん日を過ごすようなことがあっては、その間にまた思わざる事態が起こるかもしれませんし、この点を十分一つ御配慮願いたいと思うわけであります。
○濱田委員長 松井誠君。
○松井(誠)委員 ただいまのことに関連をいたしまして、長官にお尋ねをいたしたいと思います。ただいま、その後の警備の状況のことについて、いろいろお伺いをいたしましたが、警備に直接重要な関係のある問題として、右翼団体の資金源の調査ということがあるわけであります。言うまでもございませんけれども、右翼団体が行動を起こすのには何がしかの資金が要る。その資金を情を知りながら供給するということは、いわばその右翼団体の行動なり犯罪なりを直接、間接にこれを幇助し、あるいはまた教唆するという、そういう関係にあるわけであります。従いまして資金源の調査というものは、右翼団体の行動あるいは犯罪の予防ということのためにも、非常に重要な意味を持ってきておると思いますので、その後の右翼団体の資金源の調査について調査をされておられるかどうか、そういうことをまずお伺いいたしておきたいと思います。
○柏村政府委員 一がいに右翼団体と申しましても、これは結社の自由がございますわけで、右翼的な団体だということで直ちにこれが危険性がある、あるいは犯罪を犯すおそれがあるというふうに断定はできないものであろうと思います。警察といたしましては、あくまでも不法行為を取り締まるという建前に立って、これの未然防止と、起こった場合の早期鎮圧ということに重点を指向いたしておるわけであります。従いまして犯罪に直接関連して、それを援助する意味をもって資金を提供するというようなことになれば、それ自体また犯罪を構成することになり得るわけでございまするけれども、一般的に右翼に対して資金を提供するというようなことについては、警察としてこれを調べる権限もございませんし、たまたま何かの事情によって知り得たものでありましても、右翼一般についてその資金を警察として公表するということは適当なことでもなかろうと思います。私どもとしては、そういう意味において、右翼一般の資金の調査ということを特別にいたしてはおりません。
○松井(誠)委員 先般警察庁では危険な団体として二十三団体の指定をされて、厳重な警戒をするようにという指令を発せられたということを新聞紙上で私は拝見いたしましたが、少なくともそれでは二十三団体について資金源の調査というものは、犯罪のおそれがある団体に対する資金源の調査という意味で調査をされておりますか、その点を伺いたい。
○三輪政府委員 ただいまお尋ねの、せんだって一部の新聞に二十三の団体が非常に危険な団体だというふうに考えて警戒の指令を発したというふうに出ていたようでございますけれども、あれは御承知のように連合審査会におきまして資料の要求がございまして、右翼団体とはいかなるものであるかということについてのお尋ねがございましたので、その資料を提出いたしまして、あわせて新聞関係の御要望によってそれをお示しをしたわけでございます。右翼団体というものの範囲は人によって非常に違いますけれども、警察といたしましては、反共思想あるいは民族的な考え方、皇室中心主義、そういう考え方を持つ団体であり、しかもこれが非常に活動的な行動を——これは必ずしも街頭的な意味における行動という意味ではございませんで、思想的な影響を与える上におきましてもきわめて活動的な団体というものを二十三掲げたのでございます。なお新聞に出しますときに、そのうち十四につきましては、いわゆる行動右翼と申しますか、街頭に出ましてデモその他をやりますそういった意味の行動に現わす可能性の強い団体を特に行動右翼という言い方でお話しをいたしましたのがあすこに出た次第でございます。 資金源の問題につきましては、連合留任の際にも再々お尋ねがございまして、私どもそのつどお答えをいたしたのでございますが、今長官が申されましたように、危険の度合いに応じまして団体の活動、組織というものを警察は調査をいたしますけれども、警察が公権を持って捜査をいたしますのは、犯罪を犯した場合並びに犯罪を犯しました行為がその団体の行為であり、それを承知をして資金を提供いたしましたということになりますと、その資金の提供自身が犯罪でございますので、それはもう警察が独自の判断で捜査をし検察庁に送り、これを処置するということにいたすわけでございます。しかしながら、行動的であるという意味で、警察がいわゆる強権によらずして調査をいたしております事柄につきましてこれを公表いたしますということは、先ほど来申しますように、それぞれの団体が憲法におきます思想の自由、結社の自由ということによって保護されておりまする関係から、これを警察が知り得たといたしましても、公表するということは警察として適当でないというふうに考えておるところでございます。
○松井(誠)委員 公表するかどうかということを私は今聞いておるのではございません。それは実はこの次にお尋ねをしようと思っておったのです。私の聞いておりますのは、いわゆる純粋右翼と言われておるものも、安保闘争以来一種の危機感からいつ行動に出るかもわからないという一般的な風潮がある。従って今までのように純粋右翼と行動右翼というものを機械的に分けて、そして純粋右翼は危険ではないという態度では非常にあぶないと思う。従って現在はそういう行動にいつ出るかもわからないという右翼に対してはやはり厳重な監視が必要だと思う。従ってそういう右翼の行動というものを事前にいろいろ調査をするということは、これは現実に犯罪があって強権をもって捜査をするということじゃなくて、まさに犯罪防止のためにいろいろ調査をするということを実際やっておられる。そこでそのような団体について資金源の調査をやっておられるかどうかということをまずお尋ねしたわけです。
○三輪政府委員 そういう意味でございますれば、私どもできる限りの調査をいたしておるということをお答えいたします。
○松井(誠)委員 それで実はこの間から、連合審査会の際も、具体的の犯罪に関係のあるもの以外については、資金源の調査はできないということでございました。それはまたあとでお伺いをいたしますけれども、先般の連合審査会のときに、東京地検が現在調べておる資金源のうち、まだ調査未了のものがあるので、現在調査が完了した分だけについて発表するということで、いわば一種の中間報告がございました。そのときに、その全貌については近い機会に完了する予定だということの御答弁があったと思いますけれども、その後の調査はどうなっておられるか、警察庁でおわかりでしたらお聞かせ願いたい。
○三輪政府委員 法務省が独自の御見解で、地検が調査されたものの一部でございますか全部でございますか発表されたわけでございまして、私どもとしては、先ほど来お答えいたしましたような態度でございますので、ただいまのお尋ねは法務省当局にお尋ねいただくのが適当かと存じます。
○松井(誠)委員 それではそれはいずれ法務省の方にお尋ねするといたしまして、先ほどの公表すべきかどうかという点ですが、これは現実に犯罪に関係がなく、しかも警察がこれは調査の必要があるということで、強権はもちろん使うわけには参りませんけれども、事実上調査をされて、そしてその調査の結果というものを国民に発表ができない。これは非常に妙な理屈じゃないかと思う。御承知のように、右翼団体の資金源、その背後というものをはっきりさせろということが今非常に大きな問題になっております。そしてその資金源を断つということが、実は右翼の今のあのような動きに対する一番大きな牽制になり一番大きな制圧になるということはだれでも言っておることであります。従って、このような資金源の調査をしてそれを発表するということが、実はそのような資金源を提供する者、資金を供給する者に対する牽制になり制圧になり、従って右翼の行動を鈍らせるという現実の効果があるということをお考えにならないのですか。
○三輪政府委員 毎々申します通り、右翼と申しましても、これは思想の自由、結社の自由が憲法上認められておるのでございます。これはいわゆるはたから申しまして左翼と申し、他のいろいろな団体についても同様でございます。そこで警察といたしましては、ある団体が犯罪を犯すおそれがあるとか、あるいは警察の出動するような事態になるようなことがありますならば、その危険の度合いに応じて、あらかじめ公権によらずして調査をいたすことは、これは私どもの仕事かと思うのでございます。ただいまのお話を承っておりますと、右翼というものは元来存在を許すべきでない、そして許すべきでないから資金源を調査し、資金源を断つことによってなくすべきであるという前提にお立ちになって、そこで警察がそういう目的から調査をし、それを公表するのが適当であるというふうなお考えでお尋ねをいただいておるようでございますけれども、そういうふうなお考えをお持ちになることは、これまた思想の自由でございますから御自由でございますけれども、警察といたしましては、そういう立場によって右翼をつぶず目的をもって調査をしたものを公表するということは適当でないと思うのでございます。
○松井(誠)委員 どうも警備局長は私の質問の趣旨を先回りをされたりあるいはよけいな御推測をされておるようですけれども、私は何も右翼全般が全部存在を許さないというような建前でものを申しておるわけじゃ決してございません。先ほど言いましたように、現在、純粋右翼だからといって目を離すわけにはいかないという一般的な空気がある。従って右翼全般についてやはり警戒の目を光らせる必要があるということを申し上げただけであります。そして現実に警察が必要上資金を調査されたことを、われわれが国政調査権の一つとして、その調査の結果を発表することを要求し得ると私は思うのです。それは先ほど申し上げました議論とは別でございますけれども、先ほど申し上げましたのは、そのような調査の結果を発表するということが、私は、右翼が犯罪を犯してから資金源の調査をしたところで、これはいつでも問題をあとから追いかけるだけで何にもならない。従って、あらかじめそういうものを発表することによって、それでもなおかつ危険でない右翼には資金は流れていくでしょう。それはそれでもかまいません。そういうことまで私は抑圧しようと思いませんし、そういうものまで抑圧できるような効果があると思いません。しかし、おのずからそういう危険な団体にだれが金を出しておるかということはわかる。そのこと自体が私は危険な右翼の行動を制圧するという意味で非常に効果があるのではないか。従って、もしあなた方が、ほんとうに犯罪をあとから追いかけるというだけでなしに、未然にそれを防止するということを真剣に考えるならば、やはり資金源の問題について早急にそういうような手配をとるべきではないか。とするならば、調査をされたことを公表するということは犯罪防止上有効だという観点からだけでも、われわれの国政調査権の問題とは別にしまして、その観点からだけ考えても、私はむしろ発表をすぐにやるべきではないかということを申し上げておるわけです。その点について再度御見解を伺いたいと思います。
○三輪政府委員 ある団体が非常に危険なと申しますか、犯罪を犯すようなおそれが直接ございますような非常な危険な団体ということになりますと、その団体自身の存在をどうするかということは、御承知のように破壊活動防止法というのがありまして、その団体自身の存在を許すべきかどうかということについては別個に御判断を願う機関があるわけであります。そこでそういうような機関で、その団体が存在すべきでないと判断されたものにつきましては、もちろんこれはその指定がありましたあと、いかなる名前をもってするとを問わず、その団体のためにする行為は、これは刑に触れるわけでございますから、これは警察としてこれを捜査し、公表するということになるわけでございますけれども、ある団体を警察的に見ましても注意しておかなければならないということは、これはいろんなニュアンスによって段階がございます。しかしながら、ある団体でこれは存在を許さないということが今のように法的な手続に上ってきめられたもの以外は、これは憲法上存在することを許されておるのでございます。従いまして、その団体が将来犯すであろう犯罪というものを予防する意味で警察が発表する。それがお言葉のように、それ以後そういう団体に金を出す者がなくなるであろうというふうな効果を期待をいたしますとか、そういう結果を生み出しますということは、これはどうも現在団体が認められておりまする憲法の建前から申しまして、警察としてそこまでやることは行き過ぎではないかというふうに私は考えるのでございます。しかしながらお話のように、ある団体が犯罪を犯したその犯したあとばかり追いかけていてはだめではないかということは、その通りでございます。しかし、それをやります方法につきましては、いろいろございまするけれども、その資金源を断つというようなことをそういう意味でやることは、私は警察として適当でないというふうにお答え申し上げておるのであります。
○門司委員 ちょっと聞いておきたいのだが、これはそれとは別だが、非常に密接な関係がある。あなたの方から出ている資料を見て不審に感ずることがあるので、一つ伺います。というのは、松葉会というのがありますな、これはかなり右翼団体としては根を張った大きな団体だと私は考えておる。それからここからかなりの資金が方々の右翼の団体にいっているのではないかという疑いもある。これも私は当局も御承知だと思う。ところが、あなたの方から出た資料を見たら、非常に数が少ない。ちょっと奇異に感ずるのだが、これはどうなんですか。かなり広い範囲に私はいっておると思う。 もう一つ、立ったついでに聞いておきたいと思うのは、右翼という一つの結社の姿が公表され、また届け出をされておるもののほかに、これと最も密接なつながりを持つ、特に暴力に関して密接なつながりを持つもので、言葉を悪く言えば、博徒、テキ屋その他という言葉を使うかどうかということですが、何々一家というのがたくさんありますね。こういうものとの関連について、何か警察でお考えになっていることがあればこの機会に聞かせておいてもらいたいと思います。
○三輪政府委員 ただいまのお尋ねの第一点は、松葉会の会員の数が非常に少ないじゃないか。これは私どもとして割合確実な数を出しましたのでございますから、実勢というものがこれを上回っておるということはあり得るかもしれないと思うのでございます。実態がわかりますれば、その資料というものを訂正して参りたいと思っておるのでございます。 それから今お話しの博徒、テキ屋その他の団体というものは、これはまた何千と存するわけでございまして、これは別個に、いわゆる暴力事件を起こします危険のある団体がその中に相当数あるわけでございますから、そういうものにつきましては、これは警察庁といたしましても事前に防犯的な見地から十分視察をいたしまして、その系列等も十分承知をいたしているわけでございます。ただ、これはいわゆる反共的な思想でありますとか、あるいは民族的な思想でありますとか、そういうふうな思想によって固まったというものではございませんので、これは警察内部のことでございまするけれども、刑事部の方でそういうものを取り扱っておるわけでございます。この方面も事前にその動向を視察し、これが表に現われて参ります際に精査し、さらに犯罪が起こりましたときに組織的にこれを追及していくという態勢を常時整えているわけでございます。
○門司委員 あなたの言うことはわかっておるし、つい最近に、あなたの方もよく知っているだろうと思うが、九州管区警察から出された情報もあります。これらを見て私は考えるのですが、人員が少ない。この中には、先ほど申しましたような何々一家、その実態はそういう種類に属するのではないかと考えられるような団体があるわけであります。これとの結びつきであります。資金源その他についてもその辺に何らかの結びつきがあるのではないかという気がする九州管区警察から出された例の九州地方における最近一年の取り締まりの数、それから実態が出ておりますね。これはあなたの方でもあると思いますが、なければ私の方にありますから。こういうものとの結びつきがどう考えてもないとは言えないような気がする。ことに松葉会の数が非常に少ない。巷間伝えられておりますものに、いろいろな方面に松葉会というものが出てきている。この間の安保闘争のときもかなり動員されている。あなたの方は御承知だろうと思う。実態と非常に合わない。届け出の方は非常に微弱なような形をしているが、その実態というものはたくさん各方面に根を張っている。こういうものがありますと、これは非常に危険がある。だから個々の犯罪が、傷害事件が起きている。これらはどう見ても資金源が一役買っているのではないかという気がする。この辺の調べはできていませんか、これとのつながりは。
○三輪政府委員 御指摘のように、右翼団体と申しますものに並べましたものの中には、最近になりましてそういう思想的なものを看板に掲げた団体もあるわけであります。そういう種類の団体で申しますと、お話しように、他のいわゆる暴力事犯を起こすおそれのある団体と見ておりますものとのつながりが非常に濃いものがございます。また組織人員でございますけれども、ある会が動員をした場合、必ずしも純粋にその会の組織ではなくて、応援を求めればほかの同系列のものもたくさん集まってくるということで、その組織的な、純粋にその会に属しておりますものの数よりも動員能力というものははるかに多いということもあるだろうと思うのでございます。ありていに申しますと、そういった団体につきましては、私どもの方でも注意をしておりますし、それからまた先ほど申しました暴力を犯すおそれがある団体を見ておる方でも注目をして見ておりまして、そういう重なり目のところにある団体も、この中には入っておるというふうに申さなければならないと思うのであります。そういう点につきましては、警察部内の関係の係同士が常時連絡をとりまして、そういった動きも見ておるのでございます。
○濱田委員長 警察に関する本日の議事は、この程度にとどめます。 ————◇—————
○濱田委員長 次に地方財政に関する件につきまして調査を進めます。 質疑の通告があります。この際これを許します。阪上安太郎君。
○阪上委員 最近御承知のように、院の内外を通じまして、今予算審議の建前からも、大へん地方財政計画の提出がおくれておることについて論議がかもされております、私、この際お伺いいたしたいのは、第一番に地方財政計画の作成とか、あるいは国会への提出、こういったことについての法的根拠はどこにあるか、私が承知しております範囲では、自治省設置法の四条一項二十五号、あるいは地方交付税法の七条、こういったものに一応根拠が見出されるのではないかと思うのでありますけれども、はたしてそれが地方財政計画そのものをさしておるのかどうか、そういうことについて非常に疑問を持っております。そういった法的根拠が非常にあいまいであるという点に、地方財政計画というものがとかく軽視されて、その結果が今のように非常に遅延するという格好になってきておるのではなかろうか、こういうふうに私は考えるのであります。そこでお伺いしたいのは、実は法的根拠はほかにあるのか、あるいは今申し上げたようなところにしか法的根拠がないのか、こういうことについて政務次官に一つ伺いたいと思います。
○渡海政府委員 阪上さんが今御指摘になりました法的根拠と申しますか、地方財政計画そのものと書いてはございませんが、今仰せられました設置法と交付税法にありますものが、地方財政計画である、私、かように考えております。沿革その他につきましては、局長からお答えさせますが、現在のところ法的根拠と申しますか、そう言われましたらそのものの名前ではございませんが、今御指摘の通りであろうと考えております。
○阪上委員 そこで次に私お伺いしたいと思いますが、そうしますと、地方財政計画というものと国の予算との関係——地方の予算との関係はよくわかりますが、国の予算との関係は一体どうなっておるか、それから地方の予算に対する拘束力は一体どういうふうになっておるか、この点について局長から一つお伺いしたい。
○渡海政府委員 予算との関係、国の予算がきまりますれば、政府の施策がきまるわけでございますが、地方財政計画に盛られます事項は、ここで今御指摘になりました地方交付税法の第七条等に書いてあります通り、おおむね翌年度において考えられるものをできるだけ正確に税収入並びに歳出の計画をここに盛ることと書いてございますが、従いまして国の施策がきまり、国の予算がきまりましたら、これに基づいて計画を組むという次第でございますので、関係があることはもちろんでございます。従いましてこれは年度といいますか、地方の年度と、それから国家の会計年度とを並行することによって、地方財政計画の確定をより以上に早くするというふうな方法は、現在の会計制度その他を合わせて考えなければならぬ問題であろうと思います。国の予算のきめ方と、地方の財政計画のきめ方がずれて参りますのは、これはやむを得ないことでございます。こういった事情もございますので、会計年度を同一にしておくことがよいかどうかということは疑問な点があり、問題がある点であろうと思います。これらの点については、今、会計財務制度の調査会におきまして慎重に御検討を願っておるところでありまして、一つの問題点でなかろうかと思います。
○阪上委員 ちょっと次官と私どもの見解と違うのです。そうしますと、これは予算の資料というようなものではない。むしろ予算がきまってから計画は確定するんだというように今私は聞いたのです。そうしますと、自治省設置法四条一項の二十五によりますと、「内閣が国会に提出する地方公共団体の翌年度の歳入歳出総額の見込額の原案を作成する」というふうになっております。交付税法では、七条に、「毎年度左に掲げる事項を記載した翌年度の地方団体の歳入歳出総額の見込額に関する書類を作成し、これを国会に提出するとともに、一般に公表しなければならない。」こういうふうになっておりますが、むしろその考え方自体に、やはり地方財政計画がおくれていく原因の一つがあるのではなかろうか。たとえば減税の問題その他いろいろな問題がきまってから地方財政計画を出すんだ、しかし地方財政計画の中には法律によって算定できるものもあれば、そうでないものもあるのではないかと思うのであります。たとえば単独事業等につきましては別に法で規制されておるものではないと思う。そういったものを含めて、あるいは起債とか、こういうふうになってくると、自治省としてはだれに気がねもなく独自の立場で、現在の法律で規定されておるものは計上し、そうでないものについては独自の立場で一応見込み額を見積っていっていいのではないか、こういうように私は考える。ところが、今次官がおっしゃるような考え方になると、国の予算がきまってから、交付税法の七条に基づいて四月ごろに一般に公表したりなんかする、こういう格好になる、そのことはそのこととしてあっていいのですが、同時に、事前にそういうことをはっきりとおやりにならなければいけないのではないか、私はこういうように考えるのですが、この点についてはどうでしょうか。
○渡海政府委員 阪上さんのおっしゃるのは、あるべき姿を自治省が地方財政計画というものでかく示すべきものでなかろうか、こういうふうな地方財政計画の筋というものもそうあって当然ではないか、こういうふうに承ったのでございます。もちろん単独事業とかそれらは、私たちが当然あるべき姿として考えなければならないのでありますが、国の予算の中には地方が施行すべきものがたくさんございますので、その確定を待って当然それに見合うべきものを地方財政計画の中に入れておるという現状のために、時間的なズレと申しますか、おくれがある。こういうような点について考慮すべきではないか。これらは当然国の予算がきまらなければ、地方自治体のあるべき姿をこちらが判断して出しましても、そこにおのずから食い違いが出てくるのではなかろうか、かように思いますので、現在あります地方財政計画は、国の予算、国の施策の決定後こちらが考え、それを受けて計算を出すという方法になっておるのではなかろうかと思っております。
○阪上委員 そういう理屈も認められないことはないと思う。けれども、地方財政計画がやはり国の予算を作っていくための一つの要素にならなければならぬという考え方をわれわれは忘れてはいけないのではないか。そういう場合に、現在法できまっている範囲内のものを、この国会の審議を通じて法律ができ、予算が通過し、そしてその後において地方財政が組まれるという考え方ではなくして、やはりそれは事前に提出される必要があるのではないか。自治省設置法の趣旨はそこにあるのではないかと私は思うのですよ。この点で交付税法の七条にあるものと、この自治省設置法の中にあるいろいろな事務としての歳入歳出の見積りというものとは違うのではないか。地方財政計画というものは一体どっちに該当するかということを、この際はっきりあなた方の見解を承っておきたいと思います。
○奥野政府委員 地方交付税法と自治省設置法の規定はうらはらをなしている、こう考えておられるようであります。いずれにいたしましても、地方交付税法の第七条に書いてある資料は、内閣として提出するわけでございますので、閣議を経なければならないわけでございます。閣議に提出いたします原案を自治省が作成するのだ、こういうことを自治省設置法に書いておるわけでございます。もとより国の予算案の編成にあたりましても、あるいはまた地方財政計画の策定にあたりましても、両者はうらはらをなすものでありますので、相互の方向を考えながら検討していかなければならない性格のものだ、こう考えておるわけでございまして、この点は阪上さんのおっしゃっている通りだと思います。ただ地方交付税法第七条の資料を国会に提出いたします場合には、いろいろの整理の問題もございますので、そういうようなことから事実問題として国の予算案がきまり、その後に地方財政計画がきまるという形にならざるを得ない。また事実上そういう格好で今日まで至っておるわけでございます。しかし実態的には、おっしゃいます通り並行的に両者が編成されていくべきものだ、かように考えております。
○阪上委員 まあその議論はなお今後に残しておきたいと思います。もし国の予算が通りまして、それからあとで地方財政計画ができるというようなことでは、地方自治体自体も予算の編成もできないような状態になってしまうという欠陥が私はそこに出てくるのじゃないかと思います。そこでこの問題は、さらに一つ次回の委員会におきましても、われわれの方として検討して、皆さんとともにこれを考えてみたいと思います。 そうしますと、地方財政計画は、昨年も二月の十七日ごろまでかかっておったようでありますが、本年は国の予算が通りましてからお出しになるお考えですか、どうですか。
○渡海政府委員 恐縮に存じます。そのようなことは毛頭考えておりません。
○阪上委員 それでは現在なぜこんなに毎年おくれるのですか。昨年の例は明らかに大蔵省と自治省の間における地方自治体間の財源調整の問題が一つあって、それが予算編成においてなかなか話がつかずに非常におくれてきた、こういうことであったと思うのです。今年も、私の推測するところによると、どうもそういう状態が一つある。しかも遊興飲食税の問題がそれとからんできておる。遊興飲食税だけの問題でなく、財源調整の問題もある。二つがからんでいる、こういうことだと思います。そこでそういったことが原因になって、この地方財政計画というものがいまだに出てこないのじゃないか、こういうように私は考えるのですが、この点どうでしょう。
○渡海政府委員 御指摘の通りの部面もございますが、ただそれだけにとどまりませず、税制におきましても、なお全般にわたり検討中でございますのでおくれております。また他の歳出部面におきましても、今なお地方負担分の計算のあり方等につきまして、少々検討を要する面がございましておくれておりますが、早急にこれらを統一し検討の上、できるだけすみやかに計画を立てたい、かように考えております。
○阪上委員 いろいろな要素が確定しないという言い方でありますが、しかしそれらのものについては、やはりこれは見積もりですから、何もそう確定するのを待ってやらなければならぬという理屈にもならぬと、私は先ほどから言っているのです、その一番大きな要素になっているのは、ざっくばらんに言って、遊興飲食税の問題について自民党の内部で意見が二つに分かれてしまっておる。一つは免税点の引き上げ、おのおの二百円引き上げる。この問題については異論はないのですが、それだけでやっていこうという考え方、いま一つは基礎控除ですが、これは五百円を八百円に上げていきたい、あるいはまた遊興飲食税が一般に高級飲食といわれているものを、税率の一五%を一〇%に引き下げていこうというような強硬な意見があって、その対立でもって遊興飲食税の改正が確定していかない。そういう結果から計算のしようもないということで、それに伴って当然財源調整の問題とからんで、大蔵省あたりでは、大体遊興飲食税なんというものは富裕県が非常に収入が多い。遊興飲食税の四七、八%はおそらく東京、大阪、それから神奈川、愛知というところで占められていると思うのです。そういった財源調整とからみ、かつ遊興飲食税に対して、一部では業者が圧力団体として背後から圧力をかけている。こういうようなムードの中で今自民党は非常に困っておる。それが政府でいろいろと地方財政計画を策定することに非常に支障を来たしておる。私はこういうように考え、また聞きもしている。この点詳しく御説明を願いたいと思います。
○渡海政府委員 ただいま阪上委員の仰せられましたこともございますが、事実の内容といたしましては、遊興飲食税だけの問題ではございません。税制全般につきまして検討中でございます。遊興飲食税の問題は、私も委員の一人として当委員会でたびたび議論もしてきましたし、委員会の従来までの意見も体しまして、大衆負担の軽減という線に沿いまして実施いたしたい、かように考えております。 ただいま業者団体の圧迫というふうなお言葉もございましたのですが、税でございますから、この税に関係のある方々が常に減税を要望されるということは当然でございまして、私たちはそういうふうな要望も盛んにあるということは聞いておりますが、決して圧力というふうには考えておりません。またこの遊興飲食税だけではなくて、他の税もあわせて現在検討中でございます。大へんおくれて申しわけないのでございますが、できるだけすみやかに成案を得まして、提出させていただきたい、かように考えております。 なお、遊興飲食税と関連をいたしまして、財源調整の問題というお言葉がございましたが、そういう意味のものはない、かように考えております。ただ財政計画上の輸出面の算定に当たりまして、まだ地方負担分の数の確定とか、それらの問題、今、まあ見積もりなんだから、できるだけ見積もりで出したらどうかという御意見でございました。もとより見積もりではございますが、でき得る範囲内で正確なものを出したいと思いまして、時期等ともにらみ合わせて検討中でございますが、御了承を賜わりたいと思います。
○阪上委員 御了承を賜わりたいとおっしゃるのですが、それならば、今未確定なら、遊興飲食税を除いたもので、あなたの方で財政計画を樹立するために未確定であるという税種目は一体何ですか。
○渡海政府委員 御承知の通り税は、国の場合の税法は、一つの税金そのものが一つの法律になっておりますが、地方税法は一本でございますので、全般のものにつきましてまだ検討中でございます。たとえば住民税につきましてもそうでございますし、その他電気ガス税の問題、あるいは自動車税の問題というふうな方面につきましてもまだ検討中でございまして、確定には至っていないという段階でございますので、御了承を賜わりたいと思います。
○阪上委員 それはやはり国会の審議を経なければ確定というものは出てこないですよ。われわれが言うている確定というものはそういうものではない。地方財政計画の見積もりを樹立するための方針、そういったことで質問しているのです。従って譲与税関係のもので、それじゃ今方針がきまっていないというものがあるなら一つ出して下さい。それから統一方式については、もうすでに見解は一致されていると私は思うのですが、そうすると、ほかに何があるか聞かせて下さい。目下検討中と言われても、目下検討中のものはどれくらいあるのですか。見積もりを立てるためのものはもうきまっているんじゃないですか。
○渡海政府委員 もちろん確定は、国会の両院を通じて確定するのでございますが、私たちの政府の案として確定に至ってないということを申しておるのでございまして、全般のものにつきまして、また今言われました見積もりをあげる数字として確定していないものに、電気ガス税の非課税分の整理もございます。または自動車税も、政府の税制調査会の答申もございましたので、答申の線に沿いまして合理的に整備したい、かように考えておりますが、これらもまだ見積もりが決定したというところまで政府案はまとまっておりません。住民税も、国税の減税がそのまま地方へはね返らないようにできるだけ遮断したいという方向を政府の税制調査会の答申として得ておるのでございますが、この方向に従って私たちも法文化したい、かように考えておりますが、この遮断の方式をいかにするかということにつきましても、まだ若干検討中でございますので、確定という段階に至っておりません。
○阪上委員 政務次官としてはそういうふうにも答えなければならぬでしょう。しかし、もうほかのものはみんなきまっておるように私は考えていいと思うのです。まあそれはあなたの方で慎重を期して、国会の審議を待って出すということであるならばしょうがないと思いますが、先ほどからの話し合いでは、そういうことではちょっと私も疑義を持ちます。 それで私は、依然としてやはり遊興飲食税が問題の中心となっておると思います。聞くところによると、三役に一任するとかしないとかいうようなことで、自民党さんの方では相当な問題になっておる、こういうふうに私は聞いておるのです。圧力団体と先ほど言いましたけれども、これらのことにつきましても、われわれは言いたいことがございます。選挙にからんで資金を出したとか出さぬとかいうことがございますので、政治資金規正法というものであがっておるかどうかということも一ぺん聞かしてもらいたいと思いますが、きょうはそのことは別といたしまして、いわば遊興飲食税に対する減税措置は、政府としては一体どう考えておるか。政府といいますか、自治省としてはですね。そのことをはっきりこの際おっしゃっていただきたい。それならばそれで見積もりを組んでいけばいいじゃないか、こう私は思うのですが、その点はどうなんでしょう。
○渡海政府委員 自治省といたしましては、先ほど私お答え申しました通り、当委員会でも常に御検討されました大体の御趣旨に沿いますように、大衆負担の軽減という線でこれをやりたい。なお具体的の方法、数字等につきましては目下検討中でありますので、この際発言をしばらくお許しいただきたいと思います。
○阪上委員 大衆課税の軽減ということになれば、おのずから線が出てくるはずなんです。どうしてはっきりおっしゃれないのですか。おっしゃれないところに財政計画が出てこない原因がある。それをおっしゃれないから財政計画が出てこないのですよ。そうして予算審議に支障を来たしておる。こういうことになっておるのですから、そこをはっきりおっしゃればいいんですよ。そうしてそれで見積もられたら私はいいと思いますがどうですか。この点について、奥野さんがそこに来ておられますが、エキスパートですから奥野さんの見解も一つ聞いておきたいと思います。
○奥野政府委員 地方税制の問題につきましては、税務局長が主管しておりますので、そちらの方から御説明をお聞きいただきたいと思います。
○川村(継)委員 ちょっと関連して。大へん財政計画がおくれていることは、さっき阪上君も指摘いたしましたように何か残念に思っておりますが、税務局長にちょっとお聞きしたいと思います。 それは地方税の税収等の中に占める遊興飲食税の率といいますか、そういうものはどうなっておるかということです。私の知っておるところでは、たとえば三十四年度の決算をちょっと見たのですが、地方税が計画よりも相当上回って、前年度よりも六百七十億も多く三十四年度の決算には出ております。それだけよけいとれており、六千百九億というものが地方税の実収になっておるようです。この中に遊興飲食税はどのくらいの額があるのか、その地方税の中に占める率はどれくらいなのかというのが第一点です。 第二点は、三十五年度の地方税収入の財政計画における見込み額は六千二百三十億であったと思うのです。ところがこれは三十四年度よりも八百二十億ばかりよけいとれるような計画になっておりますが、これは決算が出ておりませんからおそらくわからないでしょうが、三十五年度の実収の見込みは一体どうなんですか。 この二点を初めにちょっと聞かせて下さい。
○後藤田政府委員 三十五年度の遊興飲食税の当初の見込みは約二百三十億ばかり出ております。本年度の決算の見込みは、それより三十億ぐらい上回るのではないか、こういうふうに見ております。三十六年度の見込みは現在三百億を予定いたしております。 第二点の三十五年度の税の見込みはどうかという点でございますが、御質問にございましたように、当初の見込みは六千二百億余り、これが決算見込みでは六千九百二十四億を現在見込んでおります。三十六年の見込みは七千六百七十八億円、従って当初対当初の比較では、約一千四百四十八億円の増収を見込んでおります。ただ三十五年度の決算の見込みは、さらに当初より七百億ばかりふえる見込みでございます。従いまして三十五年度の決算の見込み対三十六年度の当初見込みでは、約七百五十四億円の増収の見込みでございます。
○川村(継)委員 今お話しのように、計画それから実際の決算、収入、これは相当大幅にずれて食い違っていくわけです。それは当然だと思います。そこで今地方財政計画の提出のおくれておる理由として、政務次官の方では、地方税関係では各種の税目をまだ検討中であるというお話でありますから、それはそれで了とすることといたしまして、ただ世間伝えられておるのは、阪上氏も指摘いたしましたように、遊興飲食税の問題が非常に大きな問題だ、こういうふうに指摘しております。もしも、やはりそれも一つの大きな要素となって財政計画がおくれたということになると非常に残念だと言わねばなりません。今もお話しのように、計画をお立てになっても、やはり実際の実績というものはずいぶん差異を生ずるわけですから、あまりそういうものにこだわらずに、やはり大衆飲食税の二百円免税点の引き上げなら引き上げという一応の方針を自治省が決定されたら、それに基づいてやはり地方財政計画をお立てになって早急にここにお出しいただくということが必要じゃないか、われわれはそういうやはり受け取り方をするわけです、ことしマイナス減税が幾ら分というようなそろばん勘定だけで、地方財政計画のある点の正確さといいますか、皆さん方の技術上の満足を来たすようなことだけで財政計画の提出がおくれるということは、これはいけないんじゃないかという印象を特に今度は強く受けるわけですね。昨年もだいぶんおくれて、しかも財政計画が出ると同時に各種の法案がメジロ押しに出てきて、法案の審議に何か忙殺されたような格好で、地方財政計画、大事な市町村の財政に一つの目標をつけるこの財政計画の中身が十分審議できないままに、法案審議に追われたということを考えてみると、やはりこの財政計画はできるだけ早く出して、十分ここで当局の意見も聞き、われわれの見解も述べて、そうして財政計画というものはここにことしはこう設定されるのだということを明らかにすることが大事だと思うんです。そういうことを強く考えるのですが、一体いつごろお出しいただける目安なんですか。これは奥野さんからでも次官からでもよろしゅうございますから、一つ聞かせておいていただきたい。
○渡海政府委員 ただいま、どうせ計画と実施は相当の数字的な差異も出てくるのであるから、あらかじめ確定し得る範囲内ですみやかに財政計画を出せばどうかという御意見でございます。御趣旨よく了解するにやぶさかでないのでございますが、従来から政府の大体意思として決定する財政計画でもございますので、現在の可能な範囲におきまして正確を期したいという観念で進めております。おくれましてまことに申しわけないのでございますが、できるだけ来週中には提出いたしたい、かような考えでおりますので、御了承賜わりたいと思います。
○川村(継)委員 もう一つ税務局長にお聞きしておきたいと思うのですが、われわれは数字をまだ公式に聞いていないわけですが、初めの大体自民党の公約、あるいは私たちがこの前の国会に出した、一つの法案の考え方から出しました大衆飲食税、つまり二百円の免税点引き上げということをやれば、減税が平年度で四十二億、初年度で三十八億だと聞いているのですが、これに間違いありませんか。それと同時に、今問題になって内輪でがたがたやっておられるという税率を一〇%に引き下げるというようなこと、あるいは宿泊の基礎控除を八百円に引き上げるというような、あまり大衆飲食とは関係のない方法をとったら、これをいたしましたら、一体どのくらいの減税額が出てくるのか、これをちょっと聞かしておいていただきたい。
○後藤田政府委員 免税点の引き上げによる減収額は、ただいま御質問の通りの金額をはじいております。さらにそのほかに基礎控除を八百円にする、その際に免税点は今いわれております案ではやめる、こういう案のようでございますが、従いまして、基礎控除一本で八百円にする、同時に税率について、高級料理店あるいはキャバレー等について一五%を一〇%に引き下げるというのを合わせますと、大体百一億、遊興飲食税の税収総額の三分の一の減税になる見込みでございます。
○阪上委員 あとでまたこの点についてお尋ねしますが、大体政府の意思を調べてみると——国会の意思は、この遊興飲食税についてはここ数年来の問題だったのですよ。きのう、きょうの問題じゃないですよ。これは今さら政府の意思だなんていうようなことを言われること自体が、どうも私は納得できない。ことに免税点の引き上げということについては、附帯決議でもって何回も出ている問題なんです。国会の意思をそんたくしたら当然出てくる。政府の措置というものはこれはわかり切ったことではないかと思うのです。それを今ごろになって、依然として何かこうもたもたしている。そこに私は不明朗なものがあると思うのです。私たちは、こういうことでもって地方財政計画のおくれる主たる原因があるというなら、われわれは非常な決意をもって臨まなければならぬというふうに考えておる。 そこで一つ税務局長にお伺いしますが、今申された免税点の引き上げの四十億、それから基礎控除と、それから率の引き下げによるもの百一億で、百四十一億、大へんな額じゃないかと私は思う。この免税点引き上げの四十億は、これはおそらく大衆課税の軽減として是認されるべきものだと思う。百一億については断じて納得できない。こういう考え方を私は持つのですが、この遊興飲食税の歴史をたどっていっても、支那事変当時においては、御承知のように、芸者の花代が三〇〇%というようなものを課税されておる。高級飲食については一五〇%というものが課税されておる。これは支那事変当時における軍事費調達の一つの手段として行なわれてきたけれども、その後いろいろな変遷を経て、再三再四変わって参りましたけれども、結局府県の独立税としてあるわけです。ある段階においては、財政調整の一つの手段として用いられておるというくらいの重要なものなんであります。従って、こういった税をいじくるときに、今申し上げましたような、歴史的な経過から考えてみても、それから高級飲食店あるいはまた花代、そうしたものが占めておる遊興飲食税の中における割合等を考えてみても、業者の圧力というようなものによって、依然として決定できないようなことでは、これは先ほど政務次官の言われたような、大衆課税の軽減という意味で今回の減税をやるのだということと、口ではそう言っておられるけれども、そんなものにちゅうちょされているというところに、言われた言葉はほとんど内容性を持っていないのではないか、こういうふうに思うのであります。 そこでこの際税務局長に、あなたは政治的な発言をされぬと思いますので、率直に一つあなたの考え方、方針というものについて、かくあるべしだというところのものを一つ示してもらいたいと思う。
○後藤田政府委員 遊興飲食税の問題につきましては、先ほど渡海政務次官からお答えになった通りでございます。要するに、この税について数年来問題になっておりましたのは、御承知の通り、大衆の飲食と宿泊について負担を軽減する、こういうことが数年来の問題であったと承知をしております。また政務次官の御発言にもございましたように、大衆の負担を軽減するという線で減税の問題を考えていきたい、こういうように私どもも考えておるのでございます。そうだといたしますれば、おのずから結論はおよそこういうことだろうということは出てくる問題であろう、こういうように思っております。税率等につきましては、御承知の通り、いろいろな税に響いて参りますので、たとえば遊興飲食税の一五%の問題を検討するということになりますれば、事はそれのみにとどまらない。たとえば入場税において現在最高が三〇%であります。あるいは娯楽施設利用税は五〇%という税も他にあるわけでございます。従って、それらの点もあれこれ考えて、私どもとしては、でき得る限り合理的な大衆の負担軽減という線で問題を考えていきたい、こういうように存じております。
○阪上委員 今言われたような線、先ほど政務次官からも御意見がございましたが、一つ率直にそういった気持でこの問題を解決され、可及的すみやかに財政計画を提出して下さい。この財政計画提出の遅延の責任というものは、私はあると思うのです。そういう場合に一体どこが責任をとりますか。この点を参考までに聞いておきたいと思う。
○渡海政府委員 もちろん財政計画をすみやかに出さなければならないのは御指摘の通りでありまして、大へんおくれまして申しわけないと存じております。 この責任をどこがとるかという仰せでございますが、どういった責任か知りませんが、私たち自治省がもしこれによって責任をとらねばならないのであれば、自治省が当然負わなければならない、かように考えております。できるだけすみやかに提出するようさらに善処したい、かように考えております。
○阪上委員 最後に、もう一つ伺っておきたいと思いますが、先ほど言を左右にされましてなかなか率直にお答えを願っていないと思うのですが、在来の地方財政計画の遅延の原因の中には、やはり先刻申しましたように、財源調整の問題が非常に横たわっておる。これはいなめない事実だと思う。そこできょうは、私の方の要求不用意で大蔵省から出てもらっておらないので、この問題を解明するわけにいかないと思いますが、できれば自治庁の方からの見解でも承っておきたいと思います。財政調整をやる法的根拠、これは地財法の四条の三あたりにもあると思うのですが、あのごちゃごちゃした法文を読んでおりましても、それは自主的に地方自治体が自分でやるという性格のものじゃなかろうかと思う。一体自治体間の富裕県と弱小府県との間の財源調整をやる法的根拠はどこにあるのでしょうか、これを一つ伺っておきたい。
○奥野政府委員 自治団体の税源を中央政府が意のままに動かしてよろしいのだという地方自治軽視の考え方は、これは慎んだ方がいいと思うのであります。しかし、地方団体間の財源配分を常に適正に考えていく、そしてそれぞれの団体が財政的に自立していけるようにしていかなければならない、そういう制度の整備に当たっていくということは、これまた重要な任務だと思うのであります。ただ、おっしゃっておりますいわゆる財源調整という言葉が、地方団体間の財源を自由自在に、制度を改正してあっちに持っていったり、こっちに持っていったりできるのだという考え方というものは、私たちはなるべく慎まなければならない事柄だろう、かように考えております。
○阪上委員 そういう調整の仕方としては、個々の法律で出てきているのではないか。たとえば義務教育費国庫負担法その他いろんな公共事業に対するところの関係諸法規というもので調整できる性格のものを持っておる。それを総合的に調整する権限とその法的根拠については、私は明らかじゃないと思うのです。そういうものについては当然個々の法律によって調整されていく機能を持っておるのではなかろうか。そうなれば、大蔵省あるいは自治省が総合的に、今言ったような各自治体の不均衡を是正するために財源調整するのだという法的根拠はきわめて不明瞭じゃないかと思う。またそれが地方自治を尊重するところの建前に立っておるのではなかろうか。そうすると、財政調整の問題でああいうような総合的なものの考え方によってこれをやっていくという、そのことによって財政調整問題が起こって、そして年々歳々地方財政計画の提出がおくれていく一つの大きな原因になっている。こういうように考えた場合に、そういう考え方自体が、考え方によれば憲法九十二条の違反であり、地方自治法違反でなかろうか。この点について奥野さん、あなたは専門家ですが、どういうふうにお考えになりますか。
○奥野政府委員 先ほども申し上げましたように、地方団体間の財源配分を適正ならしめていく、そういう税制、財政の制度を絶えず考えていくという事柄は、きわめて必要なことだと思うのであります。同時にまた、地方団体の任務というものもだんだんと変わって参ってきておるのでございまして、今日におきましては、単に自治団体がその行政内容を自分だけの考え方で取捨選択していくのだという点は非常に少なくなってきていると思います。従いまして、そういう意味におきまして、個々の団体において、いろいろと国全体の立場から考えられていきます多くの仕事を取り上げていきます以上は、それそれの団体がそれらの仕事を十分にやっていけるように財源を整えていかなければならない。また、そういう意味で地方交付税制度というものが、これは単なる財政調整の制度ではなくて、今日では個々の団体の財源保障の制度にまで発展してきている。財政調整制度以上の機能を今日では地方交付税制度は持ってきているのだと存じておるのであります。こういうところから、地方自治のあり方というものが財政制度においてかなり違った姿を見せてきているだろう、こう考えておるわけでございます。そういたしましても、本来地方団体が固有の財源と言うと語弊があるかもしれませんが、その税制から得られる税収入を、経済の状況によって、若干多いからこれを削ってこっちに回すとかいうふうに、あたかも国の出先機関視したような地方団体の財政のものの見方、これは慎んでいかなければならないのじゃないか、かように考えておるわけでありまして、この点が、憲法の規定等から見ましても確かに問題のある点ではなかろうか、かように存じておる次第でございます。
○阪上委員 ただいま申し上げましたような点について、私は本質的には、交付税法もあり、地財法もあり、農林あるいは建設、その他いろいろな関係法規によって、当然そこで調整されていく性質のものであろうと考えるのです。それを総括的に、概念的に何か富裕団体と弱小団体の間の財政調整を一挙にやってしまおうというようなものの考え方自体に大きな問題がある。私はこういうふうに考えておりますが、この論議はさらにあとに残しまして、きょうは、ぜひ遊興飲食税の問題を早く解決されまして、そして地方財政計画を早く出してもらいたい。こういうことを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○濱田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十分散会