大蔵委員会 第30号
- 発言数
- 48 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/04/25
会議録
○足立委員長 これより会議を開きます。 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール自治州政府との間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案を議題といたします。
○足立委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。大蔵政務次官大久保武雄君。
○大久保政府委員 ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール自治州政府との間の条約の実施に伴う所得税法の特例に関する法律案について提案の理由を御説明申し上げます。 政府は、今回シンガポール自治州政府との間に所得税及び法人税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための条約を締結し、その批准について承認を求めるため、別途御審議を願っているのでありますが、この条約に規定されている事項のうち、特に法律の規定を要すると認められるものについて所要の立法措置を講ずるため、ここにこの法律案を提案することとした次第であります。 以下、この法律案の内容について簡単に御説明申し上げます。 まず第一に、配当所得に対する所得税の税率の特例を定めることといたしております。すなわち、現行の所得税法では、非居住者または外国法人が日法人から支払いを受ける配当に対する所得税の税率は二〇%になっておりますが、今回の条約によりますと、シンガポールの居住者である個人または法人が支払いを受ける配当で日本国内にある恒久的施設に帰属しないものに対する税率は一般的に一五%をこえることができず、特にシンガポールの法人が日本法人の議決権ある株式の二分の一以上を直接または間接に所有しているときには、一〇%をこえることができないこととなっておりますので、この条約の規定を受けて、この法律案では、これらの場合における所得税の税率を、前者にあっては一五%、後者にあっては一〇%とすることにしているのであります。 第二に、シンガポールの租税の徴収につき必要な事項を定めることといたしております。今回の条約によりますと、租税条約によって認められる軽減その他の特典がこれを受ける権利のない者によって享受されることがないようにするために、日本、シンガポール自治州両政府は相互に相手国の所得税または法人税を徴収することができることになっておりますので、これに基づき、わが国におけるシンガポールの租税の徴収は、シンガポール自治州政府からの嘱託に基づき、国税徴収の例によって行なうこととする等、所要の規定を設けることとしているのでございます。 最後に、今回の条約の実施に関して必要な手続その他の事項は、条約の規定の趣旨に従い、大蔵省令でこれを定めることとしておるのであります。 以上、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール自治州政府との間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案の提案理由及びその内容を申し上げましたが、何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。
○足立委員長 これにて提案理由の説明を終わりました。本案に対する質疑は次会に譲ります。 ————◇—————
○足立委員長 次に、税理士法の一部を改正する法律案を議題といたします。 御質疑はございませんか。——御質疑がないようですから、これにて本案に対する質疑は終了いたします。 —————————————
○足立委員長 なお、本案につきましては討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。 お諮りいたします。 本案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○足立委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は原案の通り可決いたしました。 なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○足立委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 この際、暫時休憩いたします。 午前十一時四十九分休憩 ————◇————— 午後一時十七分開議
○足立委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 大阪港及び堺港並びにその臨港地域の整備のため発行される外貨地方債証券に関する特別措置法案を議題といたします。 質疑の通告があります。これを許します。堀昌雄君。
○堀委員 本日伺いますのは、大阪湾、堺港及び大阪南港の開発をするので、その資金としてドイツからマルク債として約一億マルク借款をしたいということに伴う法案でありますけれども、それの土台となります大阪周辺の開発という問題と日本の今後の経済及び当面したいろいろな設備投資との関連について、少しお伺いをいたします。 まず第一に、企画庁長官に伺いますが、皆さんの方でお出しになった国民所得倍増計画というものと、それから、現在の経済の状態というものとを、今の時点で大体どういうふうに考えておられるか、それを最初にちょっとお伺いしておきたいと思います。
○迫水国務大臣 国民所得倍増計画というのは、国民総生産を十三兆円、これは昭和三十五年の価格に直しますと大体十三兆六千億ということになると思いますが、それを基礎にして計画を立てております。それに対しまして現実の姿というものは、昭和三十五年度の国民総生産は十四兆三千億を若干上回りはしないかと思いますが、少しレベルの高いところからスタートいたしておりまして、その意味から申しますと、国民所得倍増計画の全体の基礎が上がって進行している。従って、そういう意味におきましては、高い立場から出発していくことに考えますと、国民所得倍増計画の七・二%というのではなしに、上がった基礎から考えて、やはり当初三年九%くらいの成長をしていく過程にあるものだと実は判断をいたしております。
○堀委員 そういたしますと、こちらに出されておりますところの最終年度のいろいろな目標がありますが、この目標年次におけるいろいろな金額といいますか、こういったものは、ただ一応書いてあるだけだ。実際には基準年次がこれだけ変わっておるわけですから、この数自体はほとんど全部書き直さなければ意味がないという程度のものに理解をしてよろしいのかどうか。そこを一つお伺いしたいと思います。
○迫水国務大臣 たとえば、昭和四十五年度、二十六兆と書いてありますが、それは昭和三十年度の価格で想定しているわけですから、現実に価格が少し上がったり、上がりつつある状況においては、当然二十六兆以上の数字がそこに出てくるわけでございます。そのほか、先ほど申しましたように、十三兆六千億からスタートするつもりのものが十四兆三千億。これは昭和三十二年度の価格に直したらどのくらいになるか、十三兆七、八千億になるのではないかと思いますが、そういう意味において、書いてあるだけとはずいぶん言葉がどぎついのですが、そういうどぎつい言葉を使われると困るのです。それはおのずから修正して、修正と申しますか、読みかえていくべきものと考えております。
○堀委員 数の問題については、私が書いてあるだけという強い表現をとっておりますのは、大体昨年私は、予算委員会の分科会で、菅野さんにお越しをいただいて経済見通しについて少し議論をいたしました。この経済見通しというのが、まさに私に言わせると書いてあるだけではないかと思われるようなことが、ほとんど毎年起きておるわけなのです。一体何のために経済見通しというものを作っているのか、私実はよくわからないのです。そうすると、一年先のことすらこれほど違うのに、十年先のものを書いたということの意義いかにありやということを私は非常に感ずるのです。その差が一%から五%以内というくらいのことでありますならば、それでも相当大きな差ができますが、まあ十年先の見通しについて書くことも不可能ではないと思います。しかし、一年、二年と最近の状態で、とても五%そこらの誤差ではない。倍くらいの誤差が出てくるようなことになって、十年先の——実際ここに書かれたいろいろな指数、特に本日議題にいたしますところの民間企業の設備投資等を見ましても、すでに伝えられるところによると、十年先の設備投資目標は三兆六千二百六億円ですかになっておりますのが、本年度もうそろそろ三兆六千億にこようじゃないかというようなことで、これはまさに書いてあるだけであって、そうすると一体これは何のためにこういう作業をしたのかということを、どうしても私一回伺ってみたかったのです。大体こういう作業というものは、やはり全体のバランスでものを見るということが土台になっているのではないでしょうか。いろいろある政府投資にしろ、民間投資にしろ、住宅投資にしろ、あるいは貯蓄にしろ、あらゆるもののバランスが実は経済見通しであり、十年計画の最終目標であろうと思うのですが、その点と個々の問題とは一体どういうふうに考えておいでになるのか。
○迫水国務大臣 国民所得倍増計画というものの性質ですが、私たちの認識は、日本の経済においてはなお労働の余力が十分にある、その余った労働力に対してもし働く場所が提供されるならば、そこに生産が起こってくるであろう、そういうような状態があるならば、今後民間人の経済の意欲も相当強いから、おそらく余った労働力を働かせるだけの設備がだんだん拡充されていって、十年たつかたたない間に生産が倍くらいまでにふえてくることは当然予想される、日本の経済にはそういう潜在的な能力がある、こういう判断のもとに、しからば、それを、野放図に何も目標を示さずに各企業のめいめいの手探りと勘でやらせるよりも、一つの目標を掲げて、所得が倍になった場合における各産業間のバランス、あるいは所得が倍になる場合における民間の投資と政府の行政投資とのバランスは一体とういうふうにあるべきか、そういうようなことを想定をいたしまして、一つの道しるべ、目安をつけ、その目安によって政府は計画的にそれを実行していく。民間はその目安をにらんでそれぞれの立場でもって企業の努力をしていく。その道しるべにするつもりで、この所程倍増計画というものができたのであります。従いまして、この数字に特に意義があるのではなしに、その総生産が倍になった暁における各産業間のバランスの問題なんかが非常に重点になるのじゃないかと思います。従いまして、本年度において三兆六千億になるかもしれないと言われておりますが、目標年次における三兆六千億というものとは価格の計算の基礎が違いますから、それとこれとをいきなり比べて、そうして、目標年次におけるものに、もう第一年目で行ってしまうじゃないかという議論は成り立たないのです。それにしても、その過程から言いまして、三兆六千億の設備投資がかりに三十六年度じゅうに行なわれれば、スピードがやや早過ぎるという判定にはなると思います。従って、その書いてあるものだけは、ちゃんと読みかえをしていけば、なかなかこれは貴重な道しるべ、目安になるのじゃないか、こういうことが言えると思います。
○堀委員 価格の問題が出ましたから、私も全部を一つの価格に直すことはできませんから、この目標年次における三兆六千億というものは昭和三十年度価格で一体幾らになるのか、一つ政府の方で答えていただきたい。
○大來政府委員 こちらの倍増計画は、すべて計算の基礎を三十三年度価格にとっておりますので、三十年度価格は、ちょっと時間をいただけば換算いたしますけれども、三十三年度から現在の三十五年度末の価格、この数字で換算すればほぼ比較できることになると思うのであります。これは後ほどでよろしいでしょうか。
○堀委員 あとでいいです。それでは、そのときついでにちょっと計算していただく都合もありましょうから、お願いをいたしたいのですけれども、私の手元に今ございますのは、昭和三十年度価格における実質国民総支出というのを見ておりますから、昭和三十年度価格における設備投資、これは、国民所得の中に出ておりますのは、民間企業と個人住宅とを合わせたものがおそらく設備投資ということでくくられておるのではないかと思いますので、それを一つ。本年度は、皆さんの方ではこれは三兆一千四百億になっていますけれども、これを一応三兆六千億と直して、個人住宅四千百億円を、一つ三十年度価格で、終わりますまでにちょっと教えていただきたいと思うのです。 その問題はちょっとあとに送りまして、もう一つお伺いをしたいのは、工業立地の問題でありますけれども、この計画の中には次のように述べられております。ベルト地域のうち四大工業地帯の密集部への新たな工場集中は「原則として禁止又は制限する代りに、工業用水道、道路交通、住宅、下水道等の諸施設に対して追加投資を行ない、再開発によって生産の能率化と隘路の打開に努める。」こういうふうに述べられておるのでありますけれども、四大工業地帯の集中化に対して工場の集中は原則として禁止または制限すると、きわめて強い言葉で表現がされておるのですが、これの受け取り方は一体どうなのか、承りたいのです。
○迫水国務大臣 受け取り方というのはよくわかりませんけれども、大体この通りに各行政庁が考えてもらうように私たちは思っております。
○堀委員 この通りだというのなら私は非常にけっこうなんですが、そうすると、この通りということを行政庁が今考えるとして、ここで、最近の長官の発言なんですが、設備投資が過剰であるかどうかの議論はまずさておき、もし過剰であるとするならば、長官は、自主的な規制が望ましいのであって、政府におけるそういう規制といいますか、行政指導というものの必要がないということを、最近新聞紙上で承っておりますが、その点はいかがでしょうか。
○迫水国務大臣 過剰というふうには思ってないので、少しスピードが早過ぎるということは私言っておるのです。それで、スピードが早い場合に、一体行政的措置をとるのかどうか。たとえ話をして悪いですけれども、私たちは今要するに、熱が少しあるぞ、微熱が少しあるぞということを言ってはおるのです。その熱があるからといって、その病人を連れていっていきなりふとんに無理に寝かせたり、あるいは頭の上に氷を載っけたりすることが行政指導だ、こういう意味なら、それは私たちはそういうことはしません。熱があるぞといえば、子供でなくて、大人である限りは、まあしばらく安静にしておるというぐらいなことは考えて、それは当然自分で寝るだろうから、そういうことを期待しているというのが私たちの立場なんです。行政指導という言葉の意味ですけれども、頭の上に早く氷を載っけなければいかぬじゃないかということを言ったって、相手は日本の財界の連中であって、やはり良識を持っている人たちですから、シカを追う者山を見ずというような愚かなことはしないであろうことを確信するということを経済演説でも言いましたけれども、従って、熱があるぞ、スピードが少し早や過ぎるんじゃないかという警告は、今度ともちょいちょいするつもりでおりますし、現にしておりますが、それによって民間の人たちにちゃんと自分で処置してもらおう、こういうことを期待しておるという立場です。
○堀委員 今私が別の角度から伺いましたのは、要するに今長官のおっしゃるようなスピードの設備投資を行なうという場合に、所得倍増計画なりあるいは皆さんのお考えになっておるものと資本主義経済の本質的なものとの間は、かなり乖離をしておるのではないかという感じがするわけです。というのは、資本主義は本来的にやはり自由競争が原則でありますから、超過利潤を求めて拡大をする傾向があることは、私が申し上げるまでもありません。超過利潤を求めようとすると、一番地の利のいいところへ工場が集中してくるというのも、これは私は資本主義の原則だと思うのです。そうすると、皆さんの方では四大工業地帯への集中は原則として禁止または制限するという表現をなさったのだから、それはその通りだとおっしゃるなら、何らかの行政指導なりをやらない限り、集中してくるものを避けることはできないのじゃないか。ほっておけば必ず集中する。今おっしゃるように、それは資本家の良識によって日本の長い経済の中のバランスを見てやりましょうなんということは、私はなかなか競争の激しい時期には行ない得ないのじゃないか。そうしてみると、投資の量自体の問題とその動き方の問題と二面ありますけれども、第一面で、ある程度その集中を禁止または制限することになれば、やはり当然スピードにも関係してくると思うのです。ということは、集中されたところならば非常に問題は早く進みますが、おくれたところへ問題を処理しようと思えば、これはスピードがつかないのですね。土地造成をし、それから社会的間接投資でもやらない限り、これはなかなか設備投資として実際には施策が出てこないということになれば、私は、この問題と今の設備投資の関連とは、一体の問題として受けとめるべきだと思うわけです。だから、大臣が今そこで、これはこの通り、この額面通りだということならば、やはりもう少しはっきりした何らかの計画が出されてきて、少なくとも阪神工業地帯あるいは京浜工業地帯については、せめて年度別にはこの程度のスピードでこれ以上の拡大は困るのだというような目安が、ある程度出されてしかるべきじゃないかと思うのですが、事実はそういうふうになっていないというのが現状だと思うのです。たとえば大阪湾を一つとりましても、堺及び大阪南港はこれから埋め立てる地域もかなりあるわけですが、石油工業一つにしても、競願になって、あれをするか、これをするかということですね。これは名古屋においてもそういう状態です。あるいは京浜地帯においても、どんどんと土地造成とともにそういう競争が行なわれておる。ですから、そういうふうな点で、こういうような倍増計画というものをお出しになって、集中を禁止または制限するという意思を明らかにしておるのならば、やはり私は政府側としてある程度のそういうことに対する責任があっていいのじゃないかと思いますけれども、何らかの処置がとられておるかどうか。よそでやる方は皆さん一生懸命何かやっていらっしゃるようだけれども、集中してくるのをとどめる方法として、具体的に企画庁で何か考えておられますか。
○迫水国務大臣 実はただいま参議院の内閣委員会で上げていただいたのですけれども、今度は企画庁で地域経済問題調査会というのを、先般衆議院も通していただきまして、設置をいたしますが、その委員会が一つの基本問題を考えていくことになると思います。具体的にどういう行政措置をとるべきかという問題もそこで審議になるのだと私は思っておりますが、現在どういう制度があるかというと、やっぱり首部圏整備委員会か何かの規制がある程度であります。なお、すぐに禁止または制限するというのではなくて、その方向をとるのですから、これは、建設省でも、通産省でも、あるいは自治省でも、例の広域都市の問題とか、いろいろな産業というものの調査をして——企画庁に総合調査費もつきましたので、そういうような問題で一つこの際調査をして具体的措置をきめていく、こういうことだと思います。現在は、ほんとうを言うと、ちょっと手おくれになっているということは、率直に認めざるを得ないです。
○堀委員 実は、最近の土地造成は、土地造成にかかりましてから工場が完成するまでには四、五年かかるものが多いわけですね。実際は、どういうところで私は点検をしてみますと、工業用水等の見通しについても、必ずしも五年先の見通しの上に立って全部が計画をされておるわけではない。これは、京葉工業地帯ですか、ここらにおいても、私は同様な状態だと思うのでありますけれども、皆さんの方では、所得倍増計画の中では工業用水はこれだけ要るのだということを書いていらっしゃる。しかし、現実には、通産省の方で調べてみましても、あるいは建設費で見ても、今わかっておる工業用水等の見通しについては、私どもの阪神間においても、昭和四十二年までしか実は見通しが立っていない。ところが、土地造成その他に伴うところの工業の方は、昭和四十五年ぐらいになってどんどん生きてくるものに今から手をつけておるという段階になっておるわけですね。ですから、所得倍増計画は、なるほどこれまでの考えで十年というものは非常に長いような感じがしておりますが、現実に今の工業のマンモス化との関連で見ますと、十年というものは必ずしもそう長い期間ではない。そう長い期間でないところで、あなた方がこういうものを出してきていらっしゃるとしますと、そのうちにうしろの方でやると言ったって、実際の効果が出始めてくるころには十年くらい過ぎてしまう。ですから、この点については、今の設備投資が非常に過剰になってくる面とあわせて、これはよほど政府は慎重に検討される必要があるのではないかと私は思うのです。 特に私がちょっとお伺いしたいのは、阪神間に実は防潮堤を作るということが出されていて、二千万円の調査費が本年度組まれておりますね。これは、防潮堤自体は非常にけっこうだ。しかし、防潮堤を作ると、今度は内側を埋めてしまって、さらにここに工業地帯を作りたいというのがその裏側についている。四千億円ぐらいの費用をかけてでもやっていきたい。今のようなことがもし出てくるとするならば、この考えと全然相反するわけですね。そうすると、防潮堤を作ること自体は、この内側にある現状のものをささえるためにも非常に有効だから、その点については私は反対しないわけですが、その防潮堤を作ることイコールせっかく作ったものを内側を埋めようということになると、これは非常に重大な問題になってくるのではないかと思うのですが、企画庁としては、この問題を開発局の方でどの程度の見通しで取り組んでおられるのか。技術的の方から伺って、長官のお考えを伺いたいと思います。
○迫水国務大臣 神戸から堺に至る大きな防潮堤のお話だと思いますが、私は非常に興味を持っておるのですけれども、今度は調査費がつきました。しかし、それを内側に地面を作ったんじゃ、私は水が足りなくなるだろうと思うのです。一体どこでその水を作るつもりなのか。そういうようなことで、淀川の水を今後一体どのくらい使えるのかというのが実は水資源開発の重大なる要点でありますが、そういうことからいって、もうとても水がだめだという計算が出てくれば、埋め立て計画もやめになるのじゃないか。それならば、無理に工場を作ったって、水がないのですから、まあそういうようなことが、ないが意見の総じまいということになるのじゃないか。実にだらしのない話で、もう少し行政的に指導した方がいいと思いますが、行政的にと申しますか、計画的にやった方がいいと思いますけれども、私は必ずしもそこに防潮堤を作ること自身がすぐに埋め立てという問題に結びつくとは今のところ考えておりません。
○堀委員 実は、この話が出てきたのは反対なんですね。要するに、あそこに理立地をほしいから外へ防潮提を作ろうというのが、関西経済同友会諸君の考えのスタートのようです。だから、私は、防潮堤ができることは、あの付近に重大な工業地帯もあることですから非常にけっこうだと思うのですが、そういう関連については、やはり政府があらかじめ少しはっきりした態度を表明する必要があるのじゃないか。特にこの場合問題になるのは、淀川水系には水があるのだということです。琵琶湖があるのだから水は幾らでもあるのだ、ただ使わないだけだという考え方が実は横行いたしておるわけであります。しかし、この間建設省に来てもらっていろいろ調べてみましても、なるほど琵琶湖の開発は今後の問題としては確かに問題があると私は思うのですが、今すぐ、三年、五年あるいは十年のうちに琵琶湖の開発をして、秒何十トンでも水が取れるという条件はおそらくないのじゃないかと私は思います。そうすると、やはり企画庁としては、ある程度の、十年というより、もう現在の段階にくると、やはり二十年ぐらいの長計画期がないと、ことに水の問題についてはそう簡単にいかないだろう。だから、当然ここに禁止されるような表現が出てきたと思うのですが、そういう点で、道しるべとしてももうちょっとはっきりとした道しるべを特に四大工業地帯については出すべきではないかと私は思うのです。それをしないで、片面で制限するの禁止するのと言ってみたところで、私はその点は非常に手ぬるいのではないかと思う。だから、少なくとも、今後における十年、十五年、二十年以後の見通しとしては、この地域における交通量はこれだけだ、輸送はこれだけだ、水はどれだけだという基礎的条件というものだけはある程度明らかにされて、それに伴うところの土地の造成は少なくともこの範囲を越えての土地造成は無理だという、そういう問題を私は企画庁としてもう少しはっきり出していただきたい。そうしなければ、みな希望的観測に基づいて、そうして企業としてはやはりできるだけ有利なところに行きたいという。これは資本主義の原則ですから、その点は今後の問題として特にお考えを願いたい、こういうふうに思うわけです。 そこで、もう一つお伺いしたいのですけれども、ここで経済企画庁からお出しになっている地域別の主要投資計画というものの中で、現在先進工業地帯の投資が全体の七六・六%を占めている、こういうふうに新聞で拝見をしておるわけですけれども、主要投資計画八千五百十二億円ですか、その中で主要な部分が七六・六%、これではまさに所得倍増計画とは相反する動き方が出ていると思います。これは新聞の伝えるところですけれども、企画庁としては一体どうなのか。
○迫水国務大臣 それは、うちの調査局が何社かにアンケートを出しまして希望、計画を聞いた、そのままを集計したものだと思います。それを見ても集中度がひどいので、びっくりして、これは何とかしなければいかぬというような気持になっておる次第であります。
○堀委員 ともかく、その集中の問題について、今工場立地調査等の一部改正とかいろいろ出ておりますから、私はその方向自体は非常にけっこうだと思いますけれども、しかし今の程度ではこの集中を防ぐことはなかなか困難ではないか、もう少しそういう意味での行政指導といいますか、これを一段と強化される必要があるのじゃないかと思うわけです。そこで、私は、実は今ここに出ておりますいろいろな調査で、どうも三兆六千億くらいになるのじゃないかといわれております設備投資の問題ですが、自主調整とそれから金融の引き締めと行政指導と、コントロールの仕方はこの三つしかないと思います。長官は、自主調整が望ましい、こういうことをおっしゃっておるわけですが、一体自主調整ということが設備投資の際に可能かどうかということですね。これは、長官はどういう程度に可能だという判断の上に自主調整が望ましいと言っておられるのかを、ちょっと伺いたいと思います。
○迫水国務大臣 少し露骨な答弁になって言い過ぎるかもしれませんけれども、実は通産省に資金部会というものがございまして、そして鉄なら鉄というものについての本年度の資金の配分をするような——配分をするのじゃないのですけれども、そういう基準を作る一種の行政指導をする機関があるのです。実を言うと、こんなものがあるから、自分の分け前をたくさん持たなくちゃいけないために、必要以上に——必要以上といいますか、出てきているのじゃないか。完全に自由に自分の責任でやりなさい、こういうことをやった場合には自主調整もおのずから可能ですし、それから第二線的には、金融機関がそれを見て、行き過ぎた設備に対しては金融をしない。それは金融機関としては当然自衛的な立場からいってもそうあるべきなんです。この一線、二線で話がついてくるだろうと私は思っております。現在の日本の経済の制度が、完全な自由——ということはありませんけれども、自由主義の部分に対して何か行政指導的なものがあることが、逆に自主的な調整というものを不可能ならしめているのじゃなかろうかと私は今考えておるので、こういう根本問題についても、一つもっと掘り下げて研究をしなければならぬと考えております。
○堀委員 今のお答えの中に、部分的にはやはりそういうものもあり得ると私は思うのですが、鉄鋼のお話が出ましたから、一つ鉄鋼の方で伺っておきたいと思います。今の日本の鉄鋼の設備投資のスピードは、まさに今の設備投資のスピードのトップを走るものじゃないかと私は思うのですが、今までの状態だけで見るならば、大体昭和四十年度に、もう業界がさきにまとめた見通しに対しても三百万トンくらい粗鋼でふえてくる。ともかくこの程度である程度いけば、いろいろなものが今度は操短をしなければならぬような方向になる。そうなることの一つの条件としては、やはりシェアを拡大したいという新興的な部分と、依然として過去のシェアを保持しようというところの八幡なり富士なり大手の問題があるのです。今おっしゃるように完全にフリーにしたらどうなるかということになれば、これは大きい方が一番前に出ちゃって、小さいところはシェアの拡大なんかできなくなっちゃうんです。自然、資本主義の原則として、力の強いものが、何といっても一番資金についての見通しも、あらゆる点に強いのですが、これはもういわゆる大手八社の中でもさらにマンモス的な八幡なり富士がうんと前へ出ちゃって、あとの川崎なり神戸製鋼なり住友なりというものはぐんと下げられてしまうということが本質的に起こると思う。ですから、鉄鋼については、ついに鉄鋼の諸君が、自主調整ができないから、通産省で一つやってくれと言っているのが現状の姿じゃないかということになってきますと、一体皆さんの言われる自主調整を希望するということ自体が現実の問題として可能かどうかということを考えてから問題を見ていただかないと、理想論としてはそれはいろいろあろうかと思うのですが、問題はもう今足元から煙が出かかっているという状態だと思うのです。 さっき微熱の問題をおっしゃったのですが、医者はこっちが本職ですから、その微熱の対策は、今おっしゃるようにただ寝ていたらよろしいなどということでは、やはり問題は解明しないのです。一体この微熱はなぜ起きておるかということをやはり分析をして、原因を突きとめなくてはいけないのです、率直に言ってですね。そうすると、今の実際の微熱の、原因は何か。私はやはり設備投資の増大ということが微熱の一番の原因だというふうに思います。だから、微熱があるということなら、ただともかく熱が下がるかもしれないから寝てなさい、これじゃ医者なんて要らないですよ。これはしろうとのあれです。しろうとなら、まあ熱がちょっとあるようだ、少しからだがだるいから寝てましょうというのもあるでしょう。しかし、中には、この際ともかくやっておれは一もうけしなければならぬというので、熱があったって無理してやるやつだってあるでしょう。そういうことがどう起こるかわからないのですよ。そうすると、今微熱が出ていますよという、熱があるかないかを言ってやるのがやはり医者じゃないかと思うのです。この微熱は何から出ているか。結核ですよ。結核ならば寝ておったらいいんですか。そうじゃない、やはりストレプトマイシンの注射をしましよう、パスを飲みなさい、栄養はこうしなさい、いろいろと当然科学的な判断に基づいた指示があるべきだと私は思いますね。ですから、そういう点で、私は、今率直に言うと、皆さんの態度はしろうと治療の範囲じゃないかと思うのです。微熱があるからまあ寝ていたらいいだろう、頭を氷で冷やせということは、もう昔のへぼ医者のやることである。そんなことは私は言わないのです。現在の科学的な医師というものは、まず微熱の原因の分析をするということから始まって、原因を明らかにしたら、原因に対処する方向をはっきり指示をしなければならない、こういうふうに私は考えますが、その点について、今の自主調整との関係を見て、大臣はどういうふうにお考えになりますか。
○迫水国務大臣 まあ私も全然しろうとのようには考えませんで、現在の熱というのは、結核だとかなんとかいう、ストレプトマイシンを注射するとかパスを飲むとか、そういう飲んだり注射したりしなければならぬようなことから出ている熱じゃない。まあ寝ていればなおるという医者的判断で実は言ったのですけれども、今あなたのお話で、率直に申しまして、自主的調整ということが可能であるか不可能であるかということは、確かに容易ならざる問題で、判断は分かれてくると思います。通産省の調整の助けをかりて弱い者がシェアをさらに拡大していく。そのために通産省の行政の力をかりることがはたしていいのか悪いのか、そういうようなことにもやはり問題は触れてくるのである。しかし、現実の問題としては、現在通産省がそういう設備の調整をしておりますから、鉄は自分の思う通りのことを言ってきたから、四十年に四十五年の分までやっちゃうような傾向が入っているけれども、だれもそれをやれるとは思っていないのだということもみんな言っております。従って、そういう部分については、行政指導によってほどほどにいく、しかし、全般的な原則としては自主的な調整が望ましい、そういうふうに考えておる次第であります。
○堀委員 望ましいということは当然なのです。それはそれが一番望ましい。資本主義社会ですから、何らかの外的な力によってコントロールされるのではなくて、自主的に、自分たちの企業の問題ですから考えるべきだと思うのですが、そうさせないのがまた私は逆に資本主義的な本質だろうと思うのです。そこで、今問題になっておる点で私が非常に問題があると思いますのは、まず設備投資がどうも少し行き過ぎているんじゃないか。ということは、全般的な常識にすでになっております。そうすると、これをコントロールする仕方として、一応日銀が金融引き締めを四月から始めているわけですね。国際収支の問題等がありますが、これは、総理大臣の出席を要求しておりますから、またあらためてやりますけれども、いろいろな徴候を見て、最近の設備投資の皆さんの見通しがいかに誤っているかということは、昨年の経済見通しで見ますと、三十四年度の生産者耐久施設は、三十四年度実績見込みで一兆七千九百億、初めの三十四年度の見通しでは一兆三千五百億だったものが、実績になりますと二兆一千億。最初の一兆三千五百億から結果までの間には約七千億余りの相違がある。五〇%ぐらい三十四年度自体は違うのです。今度は三十五年度でありますけれども、三十五年度は、当初三十五年度見通しとしてお出しになったのは二兆円でありますけれども、今度の実績見込みでお出しになったのは二兆八千五百億円、四〇%違うのですね。私が最初触れましたように、設備投資については毎年五%、一〇%の違いではないというふえ方をとこで急激にしておる反面、日本の国際収支の経常収支はだんだんと悪くなってきて、ついに三十五年度では赤字になっているというところにきているわけです。だから、私はやはり、こういうふうな異常な皆さんの見通しを四〇%も五〇%も上回るようなこと、またことしだっておそらくここに皆さんがお出しになった三兆一千四百億が三兆六千億、これは今そうだと言われておりますけれども、実際は三兆四千億をこえるかもしれない。昨年、一昨年の経過から見ると、現実にはこえるかもしれない。こういうことになりますと、これはやはり何らかのコントロールが必要になるだろう。そのコントロールを今のような日銀の金融引き締めでやらせる。本来なら公定歩合操作をさわらなければならないけれども、政府が低金利政策を一応おろしたところですぐには上げられないから、これを据え置いたままでやろうとすれば、残っているのは窓口で引き締める。窓口で締めたらどういうことになるかというと、弱い方に金がいかなくて、強い方に流れていくことになる。そうでなくても、今の資金配分というものは、上の強いものがたくさん取って、弱いものに流れにくいという状態が、さらにここに勾配がついてくるということになると、やはり経済成長政策としてはアンバランスが起きてくるから、当然先にいって足が引っぱられることになる。一体皆さんがこれを出しておられるのは、要するにバランスをくずさないために一応計画しておられるのだと思うにかかわらず、ここの部分についてだけ猛烈にバランスがくずれるのですね。だから、そういう問題について自主調整でいくのが望ましいということでいけるのかどうか。私はやはり企画庁としても責任があるのじゃないかと思うのですね。これは通産省が現場としての直接の責任者になるのでしょう。一人ずつ呼び出すような格好で申しわけないのですが、通産大臣は通産大臣でまたあらためて来ていただくつもりですけれども、長官としては、見通し側のこれほどの狂いに対して、経済企画庁は少しは何か責任を感じているのかどうか。こんなに違う見通しなら、私は、さっきちょっと触れたように、書いても書かなくても大して変わりはないのだということになりかねないのですが、一体どうでしょう、この見通しの相違は。
○迫水国務大臣 昭和三十四年度及び三十五年度の当初見積もりと実績がうんと違っているということは、まことにだらしのないことでありまして、これは申しわけないと思うのですが、昭和三十六年度に関する限り、そんなにひどいことはないだろうと私は今考えております。三兆六千億という数字は常識化してしまって、前に三兆一千四百億と言っておったのが三兆六千億というふうに常識化しつつあるようですが、三兆六千億までいろいろな指標を洗ってみますと、その可能性はないではないと思います。もっとも計算の仕方ですから、三兆九千億という数字も出ないこともないそうです、いろいろ計算してみますと。しかし、三兆六千億というものになるかならないかという程度ではないかと今思っておりますし、これが生産力化する部分は、このごろの投資の実情からいいまして、相当土地造成など長くかかるものにも入っておりますから、この三兆六千億という数字がそのまま生産力化してくるとも実は言えない。そこで、これも政府が何か統制的な措置をとり、あるいは日本銀行が公定歩合を引き上げ、政府が貿易の統制をする、そういうようなことでもやったら、今度は逆にもっとラッシュがひどくなる。そういう気がまえになってきたら、逆にラッシュがひどくなってきて、収拾すべからざることになる。やはり企業の責任というものは企業体自身が負うものだという立場を堅持して、みんなその自覚のもとにやってもらうのが正しい、こう私は思います。
○堀委員 言われることは正しいのですけれども、正しいことが現実には行なわれるかどうかということですね。さっきお願いした三十年度価格はできたでしょうか。拝見した方が早いですね。——今拝見いたしますと、私がちょっと申し上げた三十六年度の三兆六千億と住宅四千百億は、デフレートしますと三兆九千億になるようですが、昭和三十年を一〇〇として見ましたら、昭和三十年度が設備投資九百二十億円になっておりますから、そうするとこの倍率はおそらく六倍くらいに当時からはふえてくることになるのじゃないかと思います。ほかの個人消費とか、政府の経常支出あるいは政府の投資等の全体の昭和三十年からの伸びは、昭和三十四年においても実はアンバランスが著しくあるわけですね。昭和三十年を一〇〇とした指数を見て、三十四年度が二兆三千六百二十億円ですかということで、設備投資二五六に対して、政府の投資一六九で、個人消費は一二七とか、全体とすると非常にこの伸び方というものにアンバランスがあって、ともかく設備投資だけが一番先頭を切って走っておる。それによって実は国の好況がささえられておるということになっておると思うのですが、結局、これはもう時期的に、これだけのスピードでトップを切っておること自体、やはり何らかのもう少しコントロールが総合的にされる必要がある。だから、私は、企画庁長官がおっしゃるように、自主規制が正しい正しいとおっしゃること自体、そのことはその通りだと思いますが、全銀の今度新しく会長になった方も、金融だけでそういう責任を持たされてはやりきれないということを言っておられますが、実際金融だけでこの処理をするならば、中小企業に対しては大きなしわが今後に及んでくることになるし、ともかくも政府が、あなたは今引き締めたりすることはかえって逆な結果をもたらしはしないかと言われますが、池田さんを初めとして、もう大丈夫だ大丈夫だと言っておること自体も、はたしてそれでいいのかどうか。ともかく国際収支は心配ないと言う。これはまた、総理に御出席をいただいて、こまかい分析でお話をしたいと思いますが、国際収支必ずしもそういうことでないことは、過去の昭和三十三年、三十四年、三十五年の経緯をずっと静かに調べてみれば、これはいい方向に進んでおるわけではない。結局、総合収支のいいのは、これは短期債権の増加が主体であって、昭和三十五年度においては長期的な収入についてはほとんど見るべきものはない。その長期的なものもどちらかというとインパクト・ローンその他のものがささえておるというようなことであるならば、国際収支の面から見ても問題があるし、さらに、機械のいろいろな輸入については、昨年も私は予算委員会のとき機械の輸入は増加するだろうということを相当申し上げたけれども、そう大したことはないというのが菅野さんのお答えでしたが、過去一年の経緯を見ると、今非常に機械の輸入というものが必要になっておる。大体今機械の日本の受注残高はどのぐらいで、今後これがどの程度に消化されるか、ちょっとそこのところだけもう一つ伺っておきたいと思います。
○赤澤説明員 今の機械の受注残高の御質問でございますが、企画庁でとっております統計の百二十七社総合分でございますが、現在までの受注残高は、ことしの一月現在で九千五百十八億でございます。
○堀委員 これは大体どの程度でこなされる量なんですか、今の生産力でいいますと。
○赤澤説明員 あとで数字を申し上げますが、大体十一カ月から十二カ月だと思っております。
○堀委員 全体が消化されるのに約一年くらいかかるようですが、今の設備投資の動向からして、機械輸入はなおしばらくは下がらないという見通しを私は持つのですが、企画庁は一体どうでしょうか。
○迫水国務大臣 断然機械の輸入はふえる傾向と私たちも考えております。
○堀委員 そういうことでおそらく機械の輸入は下がらない。過去においてもそういう方向だと思っておりましたが、やはり設備投資が予想以上に伸びるにつれて機械輸入というものはどんどんふえておって、やはり国内の生産財関係の機械のあれもだんだんふえてはきておりますけれども、なお追いつかないというところで、私はやはり今後の国際収支の中での大きな問題点がこの機械輸入のところにどうも残ってくるのじゃないか。それから、もう一つは、鉄鋼業自体の問題を見ても、最近くず鉄なんか非常に上がってきましたけれども、やはりどうも過当競争があるということのために、こういう問題についても国際収支の面で必ずしも望ましい条件がないのじゃないか。いろいろ見ておりますと、水かけ論になりますし、時間もお急ぎのようですから、あれにいたしますけれども、私はやはり、もう少し企画庁としては、日銀が引き締めているからいいだろうとか、あるいは自主調整を期待するということではなしに、少なくとも昭和三十六年度における設備投資は三兆一千億に固定するのがいいかどうか、これはまた別ですが、あなた方が一応試算された根拠があるのならば、あるような一つ何らかの意見を発表する必要があるのじゃないか。見通しの方を変える気か、経済見通しを変える気なのか、変えないのならばここら辺に行くべきだという意思を発表するか、どちらかの発言をする責任が私はあなた方にあるのじゃないかと思いますが、企画庁の長官、この点は一体どうですか。見通しを変えるのか、変えなければこの線で一つやってくれと言うのか。
○迫水国務大臣 実は、見通しというのは、ことしの四月から来年の三月までの見通しを作ったのでして、まだ第一月目の四月が済まないのです。そこで、しかも三兆六千億になりそうだというようなことは、ことしの上半期におけるいろいろなアンケートを取ったりなんかした結果なんでありまして、それを一年に伸ばしてみて、どうも三兆六千億になりそうだということを言っている人がたくさんおるということなんです。それですから、そこで今われわれが、そうかというので、急に見通しを変えたり、大体三兆六千億になりそうだということを言えるような段階及び時期ではない。もう少し事態が少なくとも第一・四半期ぐらいは経過して、そうしてほぼ現実の、たとえば鉄鋼の方の調整もつき、そういうようなものがある程度具体的になってから、第一・四半期が終わるか、あるいはお盆過ぎごろにもう一ぺんよく検討して、どうしてもこいつは狂っているなということが明らかになれば、それは変える場合もあるでしょうけれども、まだ始まってたった二十日たつかたたないかに変えるかと言われても、それは現在のところは変えませんと答えざるを得ないです。
○堀委員 なるほど始まってから二十日間です。しかし見通しを立てられたのは去年の暮れなんですね。そうでしょう。すでに去年の暮れから今まで四カ月たった。去年の十二月における見通しと現状はずいぶん違うのですね。国際収支一つにしても、おそらく昨年の十二月に今のような経常収支の赤字は予想されておらなかったと思うのですね。これはおそらくここに出ておる皆さんの国際収支の見通しの上になかったと私は判断をします。そういうなかった判断が変わった格好ですでに現実に出てきておる。だから、皆さんの方で見通しと実績見込みと実績と三本お出しになるですね。これはまた三つの間でずいぶん違っているのですね。それが追いかけ追いかけ済んだころに問題になる。それでは私は見通しとか実績見込みというものの価値がないと思うのです。だから、私が申し上げておることは、なるほど今年度は始まって二十日しかたっておりません。しかしこの見込みを立てたのは去年の十二月なんです。十二月から四月までの間に少なくとも一・四半期以上経過しておって、それだけ実態の変化があり、この十二月はほんとうの見通しでしょうね。いろいろな計算からきた見通しでしょう。しかし今の設備投資の三兆六千億は十二月の見通しじゃないですね。これは明らかにいろいろな各省の計画その他の上に立った見通しということになっておる。だから、その点になると、あなた方がまあ第一・四半期が過ぎてからなんということになれば、これはいつもの実績見通しを出すようなことで、あとから追っかけるようになると思うのです。経済企画庁というものがそんな問題のうしろからついて歩くようじゃ、一体何のために政府に経済企画庁が置いてあるかさっぱりわからない。企画庁ですからね。大体実績庁というふうに名前を変えるなら、経済実績庁ならそれでもいい。しかし、企画庁なら企画庁らしく、やはり一歩前を歩いていただかなければ困る。そうなると、あなた方の責任として私が伺いたいのは、われわれの見通しとして三兆一千四百億は少し低きに失したかもしれない。しかし、少なくともそれが三兆三千億を上回る場合においては、これは他とのバランスを失するというような程度の、ある程度のどこかの目安が出されるのが正しいのか、あるいは三兆一千四百億で固定しておかないと他のバランスがくずれてくるから、少なくともこの線くらいの中で自主調整をはかるべきだというような意思が発表されるか、何らかの方向を出されるのでなければ、経済企画庁の存在なんというものは、百害あって一益なしというようなことになりかねないのですね。これは一つ強いことを言いますが、もう少し企画庁らしい御答弁をいただきたい。
○迫水国務大臣 どうも見通しが悪かったことは、三十五年度の、昨年の十二月に、ことしの三月までの三カ月間の見通しを立てるのに、それはひどく狂ってしまっているのです。ことに貿易収支において一億二千万ドルの黒を予想したのが七千万ドルの赤と出てきたのですから、率直に言いまして、これはシャッポを脱がざるを得ないのです。しかし、昭和三十六年度の設備投資の見通しについては、三兆六千億が今正しいのか、三兆一千四百億よりも、ある場合には若干という言葉を使いますし、ある場合には相当程度という言葉を使っておりましたが、上回ってくることになることだけは確実です。確実ですけれども、この限界が三兆六千億なのか、もっといくのか、それがちょっと現在ある資料では判断が実際しかねるのです。そこで、やみくもに大体三兆三千億くらいで押えてやろうかというようなことは、責任のある経済企画庁としてはとてもできません。ただ、いいかげんな見通しを立てるというなら、大体三兆三千億としておいて、狂ったら直せばいいやと、天気予報と同じような工合にいかないのですから、そこのところはもう少し慎重に私たちはやっていきたい。ただ上回ってくることだけは事実ですから、その点はそのことで今鋭意一つ大体的確なところをもう一ぺん見通そうじゃないか。どうも少し狂ってきた。狂ってきたことは自覚しつつ、さらに次のところを見て、それはかりに非常に極端な数字になってきた場合には——私は実際はならないと思うのです。私のほんとうのことをいえば、三兆六千億になるかならないかというところじゃないか。これは私の勘ですから、根拠はないわけですけれども、全然根拠のない勘ではありません。霊感ではないのですけれども、若干の根拠のもとにそう思っているのですけれども、それはなかなか事務当局と議論しても、いろいろ見解もありますから、もう少し事態を見て、そうして企画庁らしい処置をとりたい、こう思っております。
○堀委員 非常に慎重な御答弁でありますけれども、やはり企画庁というものがある以上、見通しというものを、さっき申し上げたように、何となく書いてあるだけということにしたのでは困ると思う。見通しというものは、最初にあなたもおっしゃったように、バランスを考えて出したことになっておるでしょう。だから、バランスを考えるならば、周囲のバランスから見た要素というものは常にあると思うのですよ。見通しの数をどれか一つこえることは全体のバランスがくずれることになるのですから、いろいろな周辺の国際収支なり物価なりのバランスから見たところの限界というものを、あなた方がもう少し勇気を持って出さない限り、率直に言うと、こんなものを毎年出してもらう必要はないと私は思うのです。毎年出しただけで、三兆六千億をこえることはあるまいなんて今ごろ長官が言われても、これは何のために書いてあるのかわからないことになると思う。そうではなくて、三兆六千億でいいのかどうかということが問題なんです。幾らふえるかどうかということは、今の資本主義の状態ではわからないのですが、ふえては困る条件があるかないかというところに問題があるだろうということを、あなた方はもう少し責任を持った立場でおっしゃらなければならぬ。バランスのために書いておるなら、そのバランスが生きるような方向に考えていただく必要があるのじゃないか、私はこういうふうに思います。 時間がありませんから、今の問題は設備投資でありますが、重ねて最後に一つお願いをいたしておきたいことは、今東京湾においても埋め立てをやって外債を入れていきたいということになっていますが、外債を入れることは日本の資本量の足しになりますからけっこうでありますけれども、とにかく力のあるところだけが政府保証で外債を持ってきて土地の造成をやって、そこにさっき申し上げた集中をやるというようなことが次々に起こってくるならば、所得倍増計画というものはまさに何ら守られていかないということになると思いますので、今後の問題として、こういうふうな四大工業地帯への集中等は原則として禁止または制限すると書かれた以上は、その書かれた趣旨を各省との関係で行政的に生かすことによって、経済の円満なる発達を指導するようにお願いをいたしておきたいと思います。
○足立委員長 本案に対する質疑はこれにて終了いたします。 —————————————
○足立委員長 なお、本案につきましては討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。 お諮りいたします。 本案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○足立委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は原案の通り可決いたしました。 なお、本件に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○足立委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次会は追って公報をもって御通知することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後二時二十三分散会 ————◇—————