大蔵委員会 第22号
- 発言数
- 52 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/03/28
会議録
○足立委員長 これより会議を開きます。 理事辞任の件についてお諮りいたします。 理事辻原弘市君及び横山利秋君よりそれぞれ理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○足立委員長 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。 続いて、理事の補欠選任につきましては、先例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○足立委員長 御異議なしと認めます。 それでは、委員長において、有馬輝武君及び堀昌雄君を理事に指名いたします。 ————◇—————
○足立委員長 国民年金特別会計法案(内閣提出第九五号)、国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の三法律案を一括して議題といたします。 質疑の通告があります。これを許します。平岡忠次郎君。
○平岡委員 二月の二十八日の各朝刊に硫安合理化のための税制改正という見出しで記事が全面的に出ました。それによりますと、政府は、硫安工業の合理化対策の一つとして、硫安の輸出による過去の赤字を損金として落とし、これに見合う過去の納め過ぎの税額を将来納める法人税から差し引くことにきめた、こういうことが出ているわけであります。私ども国民の気持を体して大いに議論しているところは、租税特別措置それ自身は例外的なもので、むしろ消極的な事案として逐次これをやめなければならぬという立場をとっておることは、皆さんも御承知の通りであります。そういう中で新しくこうした租税特別措置を設けていくということに対しましては、これは厳重にその必要性ありやいなやをたださなければならぬ、こういう建前にあることは当然であります。そうした点から、この特別措置をあえて出さなければならなかった経過につきまして、政府当局から説明を願いたいと思います。
○泉説明員 お答えいたします。 御承知のように、日本の硫安の値段は国際価格に比べまして割高であります。そのため合理化をしてコスト・ダウンをすることが必要とされて参ったわけでございます。そのコスト・ダウンをいたしますには、やはり設備を新しくすることによって合理化をはかるという方法がとられまして、増産になった部分については、これを国外に輸出するという政策がとられたわけでございます。そのために、昭和二十九年に日本硫安輸出株式会社というものが設けられまして、国外へ輸出する硫安につきましては、すべてこの輸出会社を通じて販売するということになったわけでございます。そして、日本硫安輸出会社が硫安製造業者から買い入れる値段につきましては、国内の消費者でありまする農民に販売する場合との価格の開きができては、いわば外国へ安く売って、その赤字を国内の農民に転嫁するということでは困るということからいたしまして、国内消費者に売る値段と同じ値段で日本硫安輸出株式会社に売る、そうして日本硫安輸出株式会社は外国と競争しながらこれを輸出していくという方法がとられたわけでございます。国際競争品でありますだけに、ドイツその他の安い商品と競争いたしまして、日本硫安輸出株式会社が買い入れた値段よりも安い値段でしか売れない場合が多かったのでございます。そのことによりまして、日本硫安輸出株式会社の欠損となっております金額が、昭和三十四年肥料年度、つまり三十五年の七月末におきまして百十四億一千六百万円に上っておるわけでございます。これが三十五肥料年度、つまり本年の七月末まで同じ政策がとられておるわけでございまして、本年七月末におきましては、それが百六十億ないし百六十五億程度に赤字が累積するだろうということが予想されておるわけでございます。これは、いわば日本のそういう硫安に対する価格並びに輸出政策がとられましたことに伴いまして、硫安製造業者にしてみますれば、一種の売掛債権にはなっておりますけれども、不良債権でございまして、回収の見込みがないということになるわけでございます。で、いつまでもこういう状態を続けておくわけにはいかないということが問題になりまして、これをどういうふうに解決すべきかいろいろ論議されたわけでございます。これにつきましては、平岡委員御承知の通り、補助金によって解消する手段と、それ以外の方法とあるわけでございまして、結局補助金によらずして、いわば不良債権になっているものを、いずれのときにかは不良債権を解消しなければいかぬのだから、税法においてそれを不良債権として処理するということに取り扱って、税の面で片づける。政策的にきまっておって、本年七月末までに生ずる赤字というのはいわば確定したものでございますので、それは税の面で片づけるという政策がとられることになりまして、今回、租税特別措置法の六十六条の八という条文におきまして、そのような特別措置を規定するということをお願いしておるわけでございます。お話のように、租税特別措置につきましては、昭和三十一年以来整理合理化の方針をとって参っております。新設するにつきましては、その理由等につきまして十分慎重に考慮しておるわけでございますが、今申し上げましたような事情からいたしまして、いずれのときにかは過去のそういう不良債権を貸し倒れとして処理する必要があるというものでございますので、今回それを、普通ならば会社が欠損に落としたときに貸し倒れとして認めるということになるわけでございますが 今後の硫安の合理化のために、法律をもって貸し倒れとして認めるということに取り扱うことにお願いしておるわけでございます。
○平岡委員 結局国際的に競争力が弱かった。そのために何らかのてこ入れが国家財政においてされなければならぬ。ただし、もしそういう処理が妥当としても、その妥当の根拠は、将来に向かってはコスト・ダウンができる、それから海外競争力が十分見込まれるということがないと、何のためにこの企業をそうした国家財政において補助していくようなことをしなければならぬかという議論が起こるわけです。現状では、国際競争力との関係で、日本の現在の硫安工業のコストはどういうことになっていますか。
○泉説明員 これは実は通産省の方からお答え願った方がよろしいかと思いますが、私どもの知っておる範囲で申し上げますと、現在の状態におきましては 製造コストに諸種のマージンを加えますと、トン五十五ドルかかるわけでございます。これが国際商品であります関係上、大体四十四ドルないし二ドルの範囲で取引が行なわれるわけでございまして、その間十一ドルないし十三ドル程度の赤字になるわけでございます。そこで、合理化によってコスト・ダウンを行なうということで、だんだんとコスト・ダウンが行なわれてきております。しかしながら、それでもなおまだ三十五肥料年度末におきまして若干赤字が出る見込みでございます。三十六肥料年度以降においても、従来のままの価格政策をとっていきますならば、なお赤字が出るということが予想されますので、現在その価格をどうするかということが、肥料審議会において問題になっておる段階でございます。
○平岡委員 事の結末をつけるというのは、将来に向かってはとんとんでいくとか、そういうことが見通されたとき既往のものをどうするというのなら話はわかりますけれども、将来もまだ不安定だというときに、中途半端なときにこうした処理をするということは、ちょっと理解できませんが、どうお考えでしょう。
○泉説明員 価格政策の方は、実は通産省と農林省の方で担当いたしておりまして、私どもの聞き及んでおるところでは、三十六肥料年度からはそういう赤字が生じないように処理するから、三十五年度末までの赤字について対策をとってくれというふうになって、われわれの方でその対策をとることになったのでございまして、三十六肥料年度以降の硫安の価格政策並びにその合理化対策につきましては、まだ私どもの方では実は承知いたしておらないのであります。
○平岡委員 今の質疑応答で明らかになった点は、一応三十六年度以降も怪しいのだけれども、まあ何とかいくという前提に立って、そこで税法において既往のものを何とか処理していこう、こういういきさつらしいですね。そういたしますと、もう一回通産省とか農林省の担当当局の意向を聞く必要があると思うのです。それでないと、この問題の進め方が、どうもものさしがきまらぬでいろいろなことを応答してみても、大した意味がないと思うのです。一つ農林、通産の担当者を呼んでいただきたい。それまで休憩ですね。
○足立委員長 委員会開会前に平岡委員にお諮りしたのですが、通産省をお呼びした方がいいと思ったのですが、本日のところ呼ぶ必要がないということだったものですから、手配をいたしませんでした。ただいまの質疑で通産省及び農林省当局の出席を必要といたしますので、ただいま直ちに手配をいたしております。 他に関連の御質問がございますれば、この際御発言を願いたいと思います。
○広瀬(秀)委員 関連して一つだけお伺いしますが、三十五肥料年度末で赤字が百六十億ないし百六十五億ということですが、それを損金処理にして、その結果、税の減収分としてはどのくらいになると見ておりますか。数字を示していただきたいと思います。
○泉説明員 ただいま申し上げましたように、損金の額が現在確定いたしておりますのは、三十四肥料年度末の百四十億でございまして、これが七月末に幾らの損金になるかということは、今の価格政策と、生産並びに輸出の見込み数量から出た推定でございまして、百六十億ないし百六十五億という非常にぼんやりしたことを申しておるわけでございますが、それが今回の措置によりまして損金に落としまして、一年間は法人税の規定によりまして税の繰り戻しができる。それから、それの繰り戻しができない部分につきましては、十年間繰り越しを認めることになるわけでございます。で、今後の価格政策によりまして、損金に落としまする百六十億円程度のものが、はたして全部繰り越しで解消してしまうかどうかという点については、今後の価格政策の動向によるわけでございまして、はっきり解消するかどうかの見通しが実は立たないのでございます。しかしながら、一応百六十億円の損金といたしまして推定いたしてみますと、前一年に繰り戻すことによりまする還付の税金が十五億円、そのほか欠損を繰り越すことによって税の減収となる分が四十億円、合計法人税額におきまして五十五億円になる見込みでございます。それから、それに伴いまして、地方税の方で事業税と住民税が影響を受けます。もっとも地方税の方におきましては繰り戻しの制度がございませんので、繰り越し損金になった分についてだけ事業税と住民税に影響するわけでございます。その分が一応二十四億円程度見込まれるのでございます。合計いたしまして七十八億円ないし九億円程度と推定されるわけでございます。
○広瀬(秀)委員 それだけの減収になるということになりまして、予算との関係はどういうことになりますか。すでにもう第一次の租税特別措置法の減収額ということも、これは法律も通っているわけで、大よそそういうことになっていると思いますが、それは全部予算の中でこの分も盛り込み済みになっておるのですか。それとも、将来歳入の面における補正等を必要とする結果になりますか。予算との関係をちょっとお伺いしたい。
○泉説明員 予算の関係におきましては、今申し上げました国税の方の五十五億円というものは一時に損金になるわけでございませんので、先ほど申し上げましたように繰り戻しによって生ずる還付金の十五億円というのは、本年度の還付税額の六十五億円の中に入っておるわけでありますが、そのほかの欠損処理をされて繰り越される部分につきましては、これは法人税の全体の収入見込みの中に入っておりまして、特定をして幾らということは入っておりませんけれども、法人税の今後の一年間の収入見込みの中にそういう部分が入って計算されておるということになるわけであります。予算上特にこのために補正の必要を生ずるということはない見込みでございます。
○武藤委員 ただいまの答弁は、予算の関係の中には、本年は十五億円しか該当しないから当然収入見込み額の中に勘案してある、こういうことですが、もしそうだとしたら、これは予算編成当時からこういう措置法を提出するのだということはさまっておったわけですね。きまっておったとすれば、なぜ十七日の本会議で議決された特別措置法の一部改正案の中にこれを出してこなかったのか。今になって、同じ国会中にもかかわらず、わずかの期間のズレをもってこういうものを出してくるという処理の仕方ですよ、問題は。このおくれてきた理由は一体何ですか。この前の特別措置法と一緒に出せなかった最大の理由を一つ伺いたい。
○泉説明員 硫安のこの赤字処理の問題は、すでに予算編成当時に生じておったわけでありますが、それに対しまして、もし税の面で片づけるといたしますならば、先ほど申し上げましたように、いずれのときにか不良債権として貸し倒れに落とさなければならないものであるから、できるだけ現行制度の上に沿った貸し倒れを認めようということで考えておったわけであります。ところが、関係官庁の間におきましては、現行制度のように欠損の繰り戻しを一年に限っておったのでは困るから、その欠損の繰り戻しを五年程度までさかのぼって認めてくれ、こういう要望がありましたけれども、第一次の租税特別措置法改正の際には両者の意見が合致しませんでしたので、第一次の改正案に盛ることができなかったのでございます。その後折衝いたしました結果、それでは繰り戻しの方は一年で仕方がないということになりましたものですから、第二次の方に載せることができるようになったわけでございます。そういうような各省間の見解の一致がおくれたためであります。
○足立委員長 先ほど、平岡委員より御要求のありました通産省、農林省は間もなく出席をいたしますので、しばらくそのままお待ちを願いたいと存じます。 ちょっと速記をやめて。 〔速記中止〕
○足立委員長 速記を始めて下さい。 平岡忠次郎君。
○平岡委員 通産省の担当局長がおいでですから、お伺いいたします。 今までの大蔵省との質疑の内容は、今度硫安の合理化対策の一つとして、租税特別措置によって既往の不良売掛金を整理しようという案件が、租税特別措置法の一部改正案という形でここに出てきたわけですが、だんだん事情を聞いてみますと、国内の農民に売る肥料の価格、硫安の価格と海外に出す価格は一応マル公として同じ値段とする、従って、海外競争の場での競争相手国と日本の硫安との差額の問題につきましては、日本硫安輸出株式会社にしょわしてというのです。そういう形でやっているということはともかくとして、問題は、いかにこの既往の赤字分というものに対しまして決着をつけようとも、将来に向かって日本の硫安が国際価格と競争し得るという前提がないと、既往のものを処置してやるという名分も立たぬわけですね。そこで、三十六年度、以降において日本の硫安の競争力というものは国際的に十分太刀打ちができるのかどうか、このことを一つお伺いしなければならぬのです。今までの経過はそういうことなんで、あなたからお答えをいただきたい。
○秋山政府委員 御承知のように、現行肥料二法というのがあるわけでございますが、昭和二十九年に施行されまして昭和三十八年まで有効という限時法でございます。この肥料二法が施行せられるに至りましたいきさつ等は、長くなりますから省略させていただきますけれども、要するに、一方には硫安工業の合理化を進めて、できだけ原価の引き下げをはかるということが大きな柱であります。もう一方には、それまでの過渡期において日本の農民が不当に不利益を受けないようにということで、その保護をはかるという趣旨の立法でございます。お尋ねの硫安工業の合理化につきましては、自来第一次、第二次と二回にわたりまして合理化計画が立てられておりまして、第一次の当時は、大体原価六十五ドル前後しておりましたのを五十ドルまで引き下げようということで、実行に移ったわけでございます。これは三十四肥料年度が最終年度ということになっておりまして、硫安メーカーの側における合理化の結果といたしましては、大体目標の通り約十五ドル原価を引き下げることができたのでございますが、その間に実は原材料関係——当時は、今と違いまして、石炭が逆に値上がりをしたというような事情がございましたし、それから電力費が上がったとか、あるいはベース・アップによって労賃が大幅に上がったというような、いわば必ずしも企業努力の不足とばかりいえない事情から、約十ドル程度のところで結果的にはとまった、十五ドルのうちの五ドルくらいは他の要素によって実は逆に値上がりをしたということで、十五ドル目標が実際は結果として十ドルくらいにとどまってしまったのであります。この当時の合理化計画は、いわば量産をして単価を下げるという方向に向いておった。また、当時は確かに肥料不足でございまして、不足なればこそまた二法ができたわけであります。設備の拡張を盛んにいたしまして、それによって大体のコストの引き下げを行なったという状況でございます。ところが、その後——その後と申しますか、その終期において、昭和三十二年度の終わり、三十三年度の初めころから、海外における輸出価格、市場価格が非常に急激に下がって参った。これはやはり世界的な生産過剰の結果であったと思います。そういうことで、二法立法当時において考えておりましたメーカーの採算なり、あるいは硫安輸出会社の経理の事情というものが、当初の予想とは大幅に狂ってきたという事情が起こったわけであります。 ついでに、合理化計画のことを先に申し上げますと、現在までは第二次合理化計画というものを実行中でございますが、これは三十八年を最終年度とする五カ年間の目標……。
○平岡委員 五カ年計画で二十九年から三十四年が第一次でしょう。第二次は何年からですか。
○秋山政府委員 第二次が、三十四年がダブってておりますが、三十八年に至る五カ年間でございます。これは実はまだはっきり最終的に目標価格というものが現在のところきまっておりません。一応当初に予定いたしましたのは四十七ドル目標、第一次で、五十ドル、実際は五十五ドルくらいでとまったわけですが、それを四十七ドルまで引き下げるということで——これは当時一応の国際競争力を持ち得る水準と考えられておりますが、それを目標にして合理化を進めるということで、この方は全くの質的な合理化でございます。数量をふやさないで、もっぱら生産工程の近代化によってコストを下げる。その最も代表的なものは原料ガスの製造方法の転換、従来節一次までは、すべてが石炭を原料といたしまして、一応コークスを作るような段階を経て水素を作っておったのでありますが、これではとうていこれ以上の引き下げはむずかしいということで、これを流体原料すなわち主として石油系統、それから天然ガス、それからごく最近におきましては製鉄会社のコークス炉ガス、それから石油会社の廃ガスを一部使いますが、化学工業の近代化に伴って出て参りますいろいろの安いガス源をできるだけ取り入れまして、もう一段単価の引き下げをしようということに現在これはまだ努力を続けておるわけでございます。その後にさらに昨年から実は第二次改訂計画というものを作っておりまして、四十七ドルをさらにできれば五ドル引き下げたい、あるいはできればそれ以上というようなことで努力いたしておるわけでございますが、これは現在検討中でございまして、まだ最終的に具体的計画はまとまっておりません。こういうことで、合理化計画は国際水準を常に目標といたしまして、それと競争力を持ち得るということを最大の眼目に進めておるわけでございます。 その間に、先ほどちょっと申し上げました輸出会社の方の経理の事情には、これは主として海外の市場価格の問題からでございますが、急激な赤字が累積するという状態を起こしたのでございます。三十四肥料年度末でございますが、昨年の七月末で一応締め切りました数字が百十五億円の買掛金、実質的には焦げつきで赤字でございますが、百十五億円と考えております。この百十五億円のうちの九十億円前後というものは、三十三肥料年度及び三十四肥料年度、この最後の二カ年間に実は赤字がたまってしまったということでございます。それまではそう大した赤字は実は起こしていないのでありまして、肥料ことに輸出の赤字問題が急激にやかましくなりましたのも実はそういう事情で、ここ二、三年間に急速に海外市場の市価が下がったということが主たる原因でございます。 そこで、お尋ねの将来に向かってのわれわれの考え方でございますが、先刻来申し上げましたようなことで、できるだけこれは国際競争力を早くつけさして、できればなるべく早い機会に輸入の自由化を行なうということによって、正常な姿における競争ということを願っておるわけでございます。われわれの目から見まして少なくとも二年ないし三年くらいやはり合理化速度がおくれておりますから、これをできるだけ繰り上げるということを徹底的に行なうという二点に、われわれとしては現に努めておるところでございます。 国内価格の関係は、実は御承知のように肥料二法というものがございまして、かなり窮屈な制約があるわけでございます。今回の税制による措置は、過去における赤字を完全に補い得るものでは実はないのでございまして、むしろ本来は、メーカー側から申しますと、取れそうもない債権が輸出会社に累積されておった。しかしそれは一応所得として算入された結果、本来それが表面に欠損として出ておれば払わなくて済んだであろう税金を払っておった。これは一種の制度の罪だと思いますが、そのことから生じた一種の過誤納税、これを還付するということが主たる考え方でございます。実際の赤字問題というのは実はこれから考えなければならない問題だと思いまして、昨年来いろいろ努力はいたしておりますが、現在のところまだその具体的方策が実現していないという状態でございます。いずれ三十六年度価格をきめなければならぬ段階になりますので、ここ一、二カ月うちにはぜひとも全体的に基本対策をまとめなければならぬということで、審議会委員の意見も聞きつつ検討を進めておるわけでございます。
○平岡委員 第二次計画としまして三十四年度から三十八年度を予定し、その目標は四十七ドルに置いておる、こういうお話でした。ただし三十五年度、去年からなおこれの改訂計画として、もう少しコスト・ダウンするように計画されておる。具体的な数字をおっしゃいませんでしたが、改訂では何ドルにしようというのですか。
○秋山政府委員 ちょっと公式に何ドルにする予定ですということを申し上げる段階に現在まだきていないのでございます。つまり合理化計画そのものが、当初の第二次までは四十七ドルまでのところはこれは公式計画でございますが、改訂計画というのは実は現にまだ策定中の計画でございまして、大体五ドルくらい下げたいというわれわれとしての希望といいますか、努力目標を持っておるということでございます。
○平岡委員 四十二ドルくらいにしたいというわけですね。
○秋山政府委員 できればもっと下げたいということでございます。ちょっと公式に何ドルを目標といたしておりますということを申し上げる段階では、ただいまない状況でございます。
○平岡委員 海外市場の価格は現在幾らですか。
○秋山政府委員 国によってかなり開きがございます。また外国では日本のようにいろいろの数字が公表されませんので、的確なところをつかむことは困難でございますが、われわれがいろいろな要素、あらゆる資料から推定をいたしますと、たとえば西ドイツあたりでの生産費がやはり四十ドルから四十二ドルくらいではないかというふうに推察をいたしております。従ってその程度まで下げれば大体競争力を持ち得る。ことに御承知のような東南アジア市場を考えます限り、運賃の開き等もございますから、かなり競争できるかと思っております。
○平岡委員 過去におきましてあなた方が合理化計画を立案された当初は、六十五ドルを当時のおそらく国際市場価格であるところの五十ドルくらいに持っていこうということで努力された。結論としては十ドルだけ下げることができて、五十五ドルにとどまったということであろうと思うのです。そういう過去のいきさつを考えてみますと、日本の努力目標というものは、いつもあとからあとから、しりを追っかけていくという格好になりまして、何ら国際市場における対等な競争力が出てこないのではないか、こう思うのです。あなたは私にいろいろ数字でお答えになっているのですけれども、きっと腹の中にはなかなかむずかしいのだという気持があるのじゃないですか。問題はそこなんです。いつまでもそういうことであるとするならば、硫安製造それ自身が、国際的に見て、日本政府が財政資金まで投じて、あるいは租税特別措置というような恩恵を与えてまで培養するに値しない産業ではないということになりはせぬですか。要するに、近い将来において国際競争に十分たえ得る態勢ができ得るのだという見通しがあるなら、既往の不良債権、そいつはここのところで打ち切って、何とか処理しておいてやれということも理屈になるのですが、どうやらあなたのお話を聞いていましても、何か根本的な問題、特別措置を適用する以前の大前提それ自身がきわめて怪しいのじゃないかという気がするのです。その点はどういうお見通しを立てておられるか、率直にお伺いしたいのです。
○秋山政府委員 ごもっともな御質問でございますが、戦後十数年の間の経済事情の移り変わり、ことに事硫安についてのいろいろの変遷等を振り返ってみますと、私ども四十二ドルまで下げられれば十分競争できるという確信を持っております。その理由を今これから申し上げるわけでありますが、御承知のように、海外でも肥料は当時不足であった。それが経済の落ちつきとともにだんだん増産をされてきて、それが国際競争というところに反映してきたわけでございます。アメリカは、やや事情の違う点はございますが、鉄鋼業が非常に盛んでございますから、いわゆる副産硫安、日本で申しますと、ガス会社等で作っておる質が落ちるもの、これは二級品でありますから、少し別の議論になると思いますが、日本で作っておりますいわゆる合成硫安というものに関しましては、大体ヨーロッパの諸国との競争と考えられるわけでございます。ヨーロッパは確かに炭鉱地帯のすぐ上に工場ができておる。そういう意味で合理化が当初から実は進んでおるという事実がございますけれども、石炭を原料に使って硫安を作り、アンモニアを作る限り、とうてい国際的に成り立たないということは、やはりこれは各国共通でございます。従って、現在はやはりほとんどが流体原料を使っておる。この点は、現在の第二次計画に入った今日におきましては、日本といえどもヨーロッパに絶対負けるものではないと確信いたしております。 それから、もう一つ技術的な点でございますが、これは残念ながらガスの分解技術とか精製とかいうような技術は、大都分外国の技術を特許料を払って買ってきて据えつけておる装置がほとんど全部でございます。ただそのこと自体は確かにごく一部コストには影響いたしますけれども、特許料のかます当たりの分担というものはほとんど問題にならないわけでございます。そういう意味で申しますと、技術の内容自体はヨーロッパ諸国も日本も実は変わりがないわけであります。なぜ今日すぐ競争ができないかというのは、要するにそういう新しい技術を取り入れてきた時期が二、三年おくれておった、流体化する時期がおくれておったということであります。確かに現状ではお説の通り追いかけつつあるわけでございますが、その最終目標としてわれわれが考えております技術の内容自体は、ごく最近の技術でございますから、時間さえかせば、これは絶対にその点で負ける心配はないと考えておるわけでございます。それと、地理的な有利性、たとえば台湾、韓国その他東南アジアというような日本の周辺、あるいはうまくいけば中共というような大きな市場を考えます場合には、ヨーロッパから運んでくるものと、日本は現在は少しおくれておりますが、ここ二、三年後の原価というものは、競争にならぬとはわれわれは絶対に考えられないわけであります。
○平岡委員 なかなか希望的観測の方が多いようで、客観的にはずいぶんむずかしいように判断されます。それでは、具体的に活路が開かれるとするならば、中共貿易なんてことになれば、輸送距離と運賃、そういう点でうんと有利になると思います。 そこで、これはちょっとわき道にそれるようですけれども、中共での硫安の需要というものは相当多いのですか。もし中共の市場が開かれた場合において、日本の硫安が相当そこに行き得るのかどうか、その辺を、ちょっとわき道のようですけれども、お教えいただきたい。
○秋山政府委員 私ども、それには、数年先の問題かもしれませんが、相当大きな希望を持っております。かつて、二十何年ごろでしたか、ちょっとはっきり記憶がございませんが、たしか二十六年ごろかと思いますが、最高二十三、四万トンまで……。(平岡委員「日本の総生産の何%か」と呼ぶ)日本の総生産で申しますと、当時では一割五分くらいに当たっておったかと思いますが、輸出した実績がございます。しかし、これは、御承知のようなきわめて政治的な事情から一挙に中断されたということで、数年間とだえているわけでございます。実は、今年に入りましてからも、昨年から少し気配はあったわけでありまして、引き合いが参りまして、ある程度の商談に入ったのでありますが、価格の点で折り合いがつかなかったということから、今回は——今回と申しますのは一−三月分でございますが、見送ったという事情でございます。これは公式に申し上げるわけにはいかぬかもしれませんが、私どもとしては、うまくいけば今年中くらいには少なくとも糸口が開けてくるのではないかというふうに想像いたしております。かつては中共に五十万トン売るという——二十数万トンの倍でございまするが、見込みをたてたことがあったのでございますが、これは政治事情から全く画餅に帰したのでございますけれども、もし出るとすれば、あれだけ膨大な人口をかかえ、また聞くところによりますと最近食糧事情もよくなったというようなことでございますから、向こう側としては相当希望を持っているのじゃないだろうかという想像をいたしております。
○平岡委員 要するに、日本の硫安の国際競争力が現状においては弱いし、将来はなかなか困難だというように私は考えます。あなたの話から判断する限り、そう容易なものじゃないと考える。そこで、日本の硫安の海外進出に対して何か局面打開があるとすれば、中共市場が開かれるというようなことになろうと思います。それとても、やはり海外競争力はちゃんとしたことになっていませんと、中共の市場は何も日本の独占市場じゃないのですから、その点でもそう楽観的なことばかりにはならぬと思うけれども、少なくともそういう新しい市場開拓ができるというようなことにでもならぬと、日本の硫安工業の発展それ自身がむずかしいのじゃないかというふうに思われます。いずれにしても、そういう希望的な観測を含んでも容易な事情にはないように思われるので、そこで、租税特別措置によって既往の赤字を何とか払拭してくれればという、このことを取り上げるには時期でないように思うのですね。既往の赤字が企業を非常に圧迫しているということで動きがつかなくなっているというならば、その荷を軽くしてやることによって本来の能力を発揮させる、本来の力を発揮させる、そういうことも十分考えられるのですけれども、今の現状と見通しにおいて、しかもお門違いともいうべき税法上の恩恵措置を特に硫安工業に与える理由は私はないと思うのです。大体減税それ自体を産業政策なんかに使うのはあまりよくないことなので、むしろ租税の正しいあり方というのは社会的な犠牲が少ないかどうかというような点に求められるべきである。日本の今の政府が行なっているもろもろの租税特別措置というものは、むしろ邪道中の邪道なわけです。そこへもってきて肥料工業の将来を考えても、国際競争力の点で劣勢を続けなければならぬような企業と考えられ、これに対して特別措置を講ずるということは、どうも妥当ではないというような気がするわです。泉さん、いかがですか。
○泉説明員 御意見はいろいろおありになるかと存じますが、先ほども申し上げましたように、現在日本硫安輸出会社の赤字になっております硫安製造業者の売掛金は、不良債権でございまして、回収の見込みがございませんので、先ほど秋山局長からも申し上げましたように、本来ならばそれを貸し倒れとして認めて、それについて税金を取らないという措置を講ずるのは、いわば当然の措置とも言い得るわけでございます。ただ今回租税特別措置に規定いたしましたのは、いいかげんに会社で貸し倒れとして落とすということでなしに、一斉に一定の期日を限って落とす、そしてその処理を画一的に行なうというために法律の規定を設けたわけでございまして、本来貸し倒れとして落とそうと思えば、会社で落とせる性質のものではございます。そこを考えますと、やはり今後の硫安会社のコスト・ダウンにつきまして、なお努力しなければならぬ余地はあると思いますけれども、現在すでに不良債権であって、貸し倒れに落とすべきものがあるという事実につきましては、そこを何とか解決してやるという必要はあろうと思うのでございます。その点からいたしまして、ただいま申し上げましたような画一的な処理をして、会社の任意な措置によらないことにするために、こういう特別措置という形になっておるのでございます。内容的に見ますと、それほど多くの恩恵を与えるという意味はあまりないわけでございます。
○平岡委員 大きな恩恵かどうか知らぬですけれども、先ほどの御答弁では、地方税まで入れて七十九億円くらいになるそうですね。
○泉説明員 これは、一般の会社でも、売り上げが貸し倒れで落ちますれば、それによって税金が減るのは当然でございます。そういう意味からいたしますと、その不良債権を生じさせた原因につきましては、いろいろ問題があろうかと思いますけれども、不良債権になったという状態におきましては、これに対してあくまでも売り上げであるといって税を取るのはいかがかと考えられるわけでございます。なるほど金額的には、赤字見込みが百六十億円をこすというような大きな金額でございますために、国税、地方税合わせますと七十八億ないし九億円の減収見込みでございますけれども、これはそういう不良売掛金でございますので、それを貸し倒れとして処理するというために税金が減るというのでございます。金額が小さい場合にはそれぞれの会社においてよく起こる事柄でございます。
○武藤委員 関連して。 ただいまの御答弁の中で、輸出会社の赤字は不良債権なんだ、それから貸し倒れ金ができれば当然損金に算入できるのだから妥当なんだ、こういうような論拠で答弁しておりますが、僕は、どうも、こういう問題を検討してみるのに、おかしな点が幾つもあると思うんですよ。というのは、日本の農民に売り渡す硫安の価格と、輸出会社に売り渡すメーカーから出る価格と、同じ価格で出す。そのときにもうすでに国際価格よりも高い値段であるということはわかっておるわけですね。メーカーから輸出会社に出るときには、もうすでに国際価格はこれよりも安くなければ売れないのだということはわかっておるわけだ。初めからもう不良債権になり貸し倒れ金になるということはわかっておるわけです。現在の国際情勢から見て、市場価格と比較してわかっておるものを、初めからもうメーカーが出しておるのですから、それは普通の商売上の全然予見し得ない貸し倒れ金という性質とは違うのですね。相手が詐欺にひっかかったとか、相手が倒産したとか、そういう意味の貸し倒れ金というのが本来的な貸し倒れ金の概念ですよ。ところが、この硫安輸出の場合には、初めからもう予定されてわかっておるんですよ。そういうものを、輸出会社が承知してメーカーから買い受けて輸出をして、さあこれだけの差額が国内価格よりも安い値段で売れたのだからやむを得ないのだという形で、これを租税特別措置法で何とか免除していこうという形はおかしいと思います。だとするならば、別の形で、もっと国家的経済の見地からそういうものを考慮に入れて、正々堂々とやるべきだと思います。それを、公平の原則やいろいろな原則に縛られておる租税というもので、こういうものを解消しようという考え方がどうも理解ができない。そういう点で、この貸し倒れ金や不良債権というものの規定の仕方などを、あなた方はどう考えておるかをもう少し説明してもらいたいと思います。
○秋山政府委員 主税局からも御答弁があるかと思いますが、当時御説のような形でなぜやったかという事情を、先に私から御説明を申し上げます。 肥料二法律が二十八年の国会で作られまして二十九年から施行せられたのでありますが、その当時の提案理由の説明、あるいはその後の質疑応答等から、われわれ現に担当しております者が持っております感じはこういうことです。つまり法律は農林水産委員会で審議された法律でありますが、われわれももちろん片棒をかつぎ、法律の立案に当たったわけでありますけれども、国際事情が、先刻申し上げましたように、ごく最近数年非常に急激に下がったという事情は、当時としては予見されておらなかったわけです。これはやはり各国とも肥料が不足で、そう激しい輸出競争が起こるということは当時としては予想し得なかったということで、硫安輸出会社という法律上の根拠を持ったまま、政府出資がございません一種の法律上の特殊会社的のものを作らせまして、そこで今の売掛債権をある期間ためておく、一方合理化をどんどん進めていって十ドルなり十数ドルなり原価が下がれば、それだけメーカーには利益も出て、従って、もし国際価格がそれほど急激に下がらないとすれば、今度は逆に黒字を生んでくる。従って、ある期間たまった赤字も、その後の数年間の合理化による効果によって消し得るというように考えて、立案されたわけであります。そのことは当時の質疑応答にはっきり載っておることでございます。従って、本来いえば、硫安輸出会社というのは、もともとは赤字を生ずべき会社ではなかったはずだということで作られたものであったわけであります。お尋ねの点は税金に触れたことでありますから主税局の問題かもしれませんが、私どもは、そういう意味で、現に輸出会社が持っておるいわゆる赤字と、それから今回の措置法によっていわば還付されまする税金の関係とは別の問題と思います。今回の税金を返したからといって、それで赤字が埋まったということにはならないのだというふうに考えておるわけであります。これは、あくまで取ってはいけなかったはずのものが、そういういろいろないきさつから、国としては一種の債権である、資産であるという扱いを一貫して、われわれも税務当局も同様な扱いをしてきたということから課税をされた。しかし、振り返ってみれば、実は結果としてこれは取るべかりしものではなかったということがはっきりしたので、これはこの際損金として落として、同時に過去に一取った税金は返そう、こういう態勢をとってくれたわけでございます。まあ、やや望蜀のことかと思いますが、税務署が、更正決定とか、あるいはかつてのほんとうの事務的な手違いというようなことで、かりに取ってはいかぬ税金が取られたということであれば、利子がつくわけであります。われわれとしてはそこまで言うわけにいきませんが、しかし、やはり当時としては国の方針としてこういう制度をとり、ある価格を強制した。しかも、一方不可抗力的に海外の市場価格が急激に下がったということであれば、これを全部メーカーにしわ寄せするということは、かえって税の公平に反しやしないかということを私どもの立場としては考えておるのであります。
○泉説明員 お話のように、最初日本硫安輸出株式会社ができる当初におきましては、ただいま秋山局長が申されたごとく、赤字はあるけれども、将来のコスト・ダウンによってそれが解消するという見通しで出されております。それが、その後の国際価格の急激な下落によって、現在におきましては、日本硫安輸出株式会社が買い入れるときに、当然その価格では海外には売れないという予想が立ちますので、普通の貸し倒れというものにしては、初めから貸し倒れということが明らかになっている点はお話の通りでございます。そういう意味では、一般の貸し倒れとは若干性格が違っておるという点も見受けられますけれども、しかし、やはりそれが回収見込みがないという点においては同じわけでございますので、これを損金として落とすということもやむを得ない措置であろうと思うのでございます。もちろん、この赤字を処理するために、いろいろな財政政策は当初申し上げましたようにあるわけでございます。補助金をもって解決するのも一つの方法でございましょうし、また、今申し上げましたように、売掛が不良債権であるということを考慮いたしまして税法上措置するのも、一つのやり方であろうと思うわけでございます。そのやり方の是非につきましては、いろいろ御意見はあろうかと思いますが、まあ、私どもといたしましては、売掛債権が貸し倒れになるという事情を考慮いたしまして、税法上当然取るべき税金でなかった税金は還付しますとともに、それから将来取るべきでない税金は繰り越して損金に認めるという措置をとるのを適当と認めた次第であります。
○武藤委員 理屈はよくわかりますが、輸出会社が買うときに、すでにその価格で売れないということがわかっていて、それを買ったというのは責任があると思うのです。資本主義経済の取引は自由に契約をしてその価格で返済をするという原則でやるわけですから、それが初めからわかっておって、わかっておったものを今になって租税特別措置法で引くという愚劣なやり方をせぬでも、私は別な方法が考えられたと思う。そこで、あなたの方は見解の相違だと言うかもしれませんから、参考に聞いておきたいのですが、これは、十七のメーカーがそれぞれ輸出価格によって損をした分は負担をすればいいと思うのです。それを、輸出会社というものを作ってそこに一つプールして、そこで何か適当な保護で損しないようにやろうというからくりをやるから、こういう無理が出てくるわけです。海外に持っていった場合に、国内で売れるほどのいい値で売れなかった場合には、自由競争の社会なんですから、当然十七のメーカーがその責任を負うべきだと思うのです。それが国家的な見地からまずいというのだったら、税金などでやらずに、国家の補助で、国家がある程度資本を投下して、公団みたいな半官半民みたいな形でやるべきなんです。そういう資本主義の原則というものを、独占資本の利益になるような形でいつもてこ入れをしてやって、うんともうかるときには自由放任しておくという、そういうやり方自体に私は問題があると思うのです。 そこで、お尋ねするのですが、十七の肥料メーカーの三十四、三十五肥料年度の利益金というものは、一体どれくらい出ておりますか。それから配当はどのくらい出しておりますか。これが第一点。もう一つは、輸出会社がこれだけの損失を受けておって、この場合の会社の社長、重役の人事の問題と十七のメーカーとの陣容というものは全く無関係であるかどうか。社長とか専務取締役とか、そういうものと十七のメーカーの関係とを、わかっておる範囲内において教えてもらいたい。
○秋山政府委員 ちょっと御質問の前の方の部分に対するお答えでございますが、初めから赤字とわかっておるものをなぜ買ったかという問題でございますが、実は、これは法律そのものには書いてないのでございますけれども、これまた、二法を通しますときのいろいろな質疑応答の中では、国内と同じ、すなわちマル公でメーカーから輸出会社には売り渡すのだということが、政府の責任において答弁され、定められておるのでございます。これは主として日本の農民関係への顧慮からであったと思います。厳密に理論的にそれが正しいかどうかは、ただいまから見れば確かに議論があり、われわれも疑問にいたしておるところもございますけれども、当時としてはマル公以下の価格で輸出会社に売り渡すということは、二法の基本精神である赤字を国内農民に転嫁させないという原則に触れるのじゃないかという心配があったやに見られるのであります。この点は質疑応答の中でかなり時間をかけて議論をされておりまして、結局、これは国内と同じ価格で輸出会社に買わせるから、農民に転嫁したことにはなりませんという説明できておるわけでございます。この点も、いわば責任云々ということになれば、やはり政府の責任であるといわざるを得ないかと思います。今日から見ればいろいろ議論があることは、われわれも認めざるを得ないと思います。また、できるだけそれの改善措置もとりたいと考えております。 それから、十七社、現在は十六社でございますが、経理内容も、こまかい数字が実はございますけれども、いわゆる兼業会社と専業会社——専業会社と申しましても、最高が七割五分前後が肥料ということで、しかもその肥料の中で硫安は一部でございます。資料として御提出してもよろしゅうございますけれども、一々ここがこう、ここがこうということを申し上げることは、ただいまのところはちょっと困難かと思います。
○武藤委員 こまかい数字はあとで資料要求で出していただきたい。 それから、大ざっぱに言って、この硫安を製造しておる十六社のメーカーは、輸出があるために経営内容が非常に悪い、あまり利益がないために配当も出せないでおるのか。その程度の答えでいいから、大ざっぱに言って、通常の判断でいった場合に非常に経営が困る、そういう状態なのだ、あるいは配当はこのくらいやっておるのだ、その程度でけっこうだから、ここで知らせてほしい。
○秋山政府委員 現在は実は十六社——一社もうすでに硫安製造をやめておりますので、十六社でございますが、この十六社のうちで専業と兼業が七社と九社。これは肥料六割以上のものを専業と言い、それ以下のものを兼業と言っておりますが、兼業会社は全部配当をいたしております。それから、専業会社の方は、前期無配が四社、一割配当が一社、四分の配当一社、五分の配当一社というような状態でございます。
○武藤委員 先ほどの質問の中で、輸出会社の方の重役陣ですが、これが十六社の重役を同一人がやっておるものがあるかどうか、輸出会社の方の重役の名前を教えてもらいたい。
○秋山政府委員 硫安輸出会社の社長以下の役員はすべてメーカーの社長でございまして、兼任の形でございます。社長は安西口夫——昭和電工の社長で同時に硫安工業会の会長でございます。専務は一人、これは専従の専務取締役でございますが、あと役員はすべて各社の社長でございます。
○平岡委員 答弁にはございませんが、あなたのおっしゃる兼業のグループでしょうから、大体一割二分から一割は配当をしておりますね。そうなると、これはなまじ輸出会社というものを置いたらかえって工合が悪いと思うのです。将来これを廃止するというお考えはないのですか。
○秋山政府委員 確かに、将来の問題としては、これの存廃を検討すべき余地が多分にあると私ども考えております。ただこれはいわゆる肥料二法の中に一緒に規定された制度でございまして、法律の根拠を持った会社でございますので、法律自体の改正なり廃止なりという問題に触れて参るもので、私ども事務的にのみ議論するわけにも参りません。そういう議論も世上にも確かに行なわれております。一つの意見として私ども聞いております。
○平岡委員 要するに、何らてこ入れせぬでもほんとうの国際競争力を持つのが筋なんです。ですから、十六社を一緒くたにしておきますと、輸送船団が一番低ノットに合わせて航行しなければならぬような理屈なんですから、むしろ解体して、国際的にも太刀打ちできるのがやっていけばいいはずです。輸送船団は、十五キロとか十キロとか八キロとか、それぞれの船の能力があるにもかかわらず、やはり一番下の八キロで走らなければならぬ。日本硫安輸出株式会社は八キロと指令する船団長です。国民の血税をそういう弱体事業につぎ込むわけにはいかぬでしょう。現状で言いますれば、国民の税金が肥料十六社の愚劣な経営を助けているということになります。しかもその愚劣さは将来も続きそうだと判断されるわけです。ですから、この租税特別措置は、そうした根本的な問題をもう少し吟味してから出してきても、ちっともおそくない問題だと思うのです。われわれとしますれば、この法案は早急にきょうあすに上げて云々という問題じゃないと思うのです。もうちょっとこれは参考人を招致するとか、そういう手だてを尽くして、この法案の検討に万全を期したい。その向きで一つお取り計らいをいただきたい。
○足立委員長 法案の取り扱いについてはこの席上で直ちにきめるわけに参りませんので、明朝の理事会でさらに御相談申し上げたいと思います。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○足立委員長 速記を始めて。 次回は、明二十九日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十五分散会