大蔵委員会 第21号
- 発言数
- 299 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/03/25
会議録
○足立委員長 これより会議を開きます。 関税定率法の一部を改正する法律案、関税暫定措置法の一部を改正する法律案、関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。 昨日に引き続き質疑を続行いたします。安井吉典君。
○安井(吉)委員 初めに、ガット協定との関係につきまして、外務省からお見えだそうでございますので、二、三お尋ねをしておきたいと思います。 過去ずっと続いて参りました関税交渉で、現在何品目くらいに譲許の実績がなっているのでしょう、今度の新しい二千二百三十三品目中。その点……。
○高野説明員 現行譲許品目の数は二百七十九になっております。そのうち、内訳を申し上げますと、引き下げているのが百品目、据え置きを約束しているものが百七十八、アップが一つ、そういう内訳になっております。
○安井(吉)委員 その品目の取り方は、つまり今の旧品目じゃなしに、新しくできたタリフのあの品目の中でそういうことになるわけですね。
○高野説明員 旧と申しますか、今御審議願っておる内訳ではなく、現行の九百何品目のうちの二百幾ら、こういうことであります。
○安井(吉)委員 今度大幅な定率法の改正が行なわれるわけでありますが、その中で譲許の問題に持ち込んでいかなければならないものがたくさんあると思うわけであります。その前に、現在の譲許品目の問題につきまして、有効期間だとかなんかの関係はどういうことになっているのでしょうか。
○高野説明員 引き上げないし引き下げの再交渉ないしは新交渉をしない限り、ずっと生きているわけでございます。
○安井(吉)委員 昨年の九月から第五回の関税交渉会議が開かれているわけですね。その中で日本としてどういうふうな問題を持ち出されているわけですか。
○高野説明員 昨年からジュネーブで関税交渉をやっておりまして、現在までのところ大体引き上げの交渉をやっておりますが、日本といたしましては、大きく分けまして、大豆、粉乳、マヨネーズ、ラード、そんなような品目の引き上げ交渉をいたしまして、大体煮詰まってきておる次第でございます。
○安井(吉)委員 それらの代償譲許はどういうことになっているのですか。
○稲益政府委員 ちょっと私から……。ただいまこちらから、譲許の撤回と申しますか、引き上げ、そういう形で申し出ておりますものが、ただいま説明のありました大豆、マヨネーズといった約十四品目になるわけであります。これに対しまして、私ども交渉に当たります前に、昨日お話し申し上げましたように、代償でいろいろこちらとしてこういったものをという予定をしたわけでありますが、交渉の過程でいろいろ向こうから注文が出まして、かなり変わって参っております。ただいま、実は、こういうふうな多角的な協定でございますので、一番大きな相手はアメリカでありますが、そのほかに関連しますのが、たとえば工作機械なんかの場合にドイツなんかもあるわけであります。そういった関係で、最終の妥結を見ますまで、どういう品目をどの程度にこちらが代償として話をしていくかということの発表は差し控えたいと思います。
○安井(吉)委員 それは直接の問題ではありませんので、後にさらにまた触れる問題もありますし、また将来に質問の機会を持ちたいと思うわけでありますが、今回の税率改正の場合に、譲許品目ですね。すでに譲許品目の中に入っております部分で、今回の定率改正あるいはまた暫定法による改正、こういったようなものに関係のあるのはどれくらいあるわけですか。
○稲益政府委員 現在譲許いたしておりますいわゆるガットの協定税率でございますね、これがありますもので今度の全面改正の結果影響がありますものは、ただいま申し上げました十四品目であります。従って、それについて交渉をやっておるわけであります。
○安井(吉)委員 そういたしますと、その十四品目については、最後までの段階で見通しを持っているということですね。
○稲益政府委員 代償の関係でいろいろ難航はいたしましたが、大体、見通しとしましては、十四品目についての交渉は妥結する、かなり交渉の期間は長引きましたが、そういう見通しでございます。
○安井(吉)委員 次に、非譲許品目に関する問題でありますが、非譲許品目についての国定税率の改正について、国際的な制約が全くなしに一方的な意思でできるのですか。
○稲益政府委員 法律的と申しますか、条約的と申しますか、そういった法的な規制の面では、何らございません。従いまして、ガットで譲許いたしております以外のものは、国定税率を国内法で改正することは外国から何らの制約がないわけであります。ただ、いろいろ通商上の問題その他の配慮は必要だと思います。
○安井(吉)委員 一方的な引き下げも、まあ新譲許の設定行為といったようなところに持っていかなければ、貿易を促進していくという上におきましていろいろ支障が起きる、そういったような事情はありませんか。
○稲益政府委員 一方的な引き下げでありますが、今回の改正では、一方的に引き下げたというものが、御指摘の通り、あるわけなんでありますが、これは、御承知のように、今回の改正は、長い間現行税率が据え置かれておりまして、現在の日本の産業構造なりいろいろな観点から不適当であると思われるようなものを若干引き下げたわけであります。これをもちまして新たに諸外国に対して関税の引き下げを要求するといったような意味の、いわゆる新規のガットの交渉をやるというほどのものではないと考えております。
○安井(吉)委員 特に私考えますのは、これからの引き上げ交渉などというような問題が将来出てくることが予想されるわけでありますが、相手国から一定の譲許を取る場合の代償として、何といいますか、一種の財源のような形で引き下げ品目をとっておくというふうな方法もあるのではないかと思いますが、そういうような点はどうなんですか。
○稲益政府委員 はなはだ対外的な問題がございますので、公言ははばかるわけでありまして、非常に抽象論になって恐縮でありますが、そういう配慮も今回の改正の際には十分織り込んだつもりでございます。
○安井(吉)委員 そういたしますと、今回の税率引き下げの中でそういうふうな考慮もガットとの関係で払われていると理解して差しつかえないわけですね。
○稲益政府委員 その通りでございます。
○安井(吉)委員 国際的ないろいろな問題に関係があるわけでございます。深くは今はお尋ねいたしませんけれども、特に貿易の振興といったようなものが至上命令であり、そこへ貿易の自由化の問題がはまり込んでき、IMFの関係やらあるいはガットの中においてもいろいろ複雑な問題の中に今日本も置かれているわけでありますので、そういうような中で一つ誤りのない方向を切り開いていただきたいと思います。 きょうは、あとの問題がたくさんありますので、まだお聞きしたい問題もありますけれども、一応私限りではガットの関係についてはこれで終わりまして、続いて税関検査の問題につきましてお尋ねを進めて参りたいと思います。 今度の定率法改正の中では、税関検査の問題について、特に輸入禁制品の検査制度の改正だけ手がけて、それ以外はそのままというふうな形でございますが、私も、焦点はその問題にしぼらるべきというよりも、きょうの質問の中でそこにしぼっていくつもりでありますが、その前に全体的な検査のあり方につきましてお尋ねをしたい点がございます。 日本の税関に対しまして、処理があまりスピーディでないとか、警察以上のやり方で非常にひどいやり方があるとか、その一方におきまして、この間の三月十一日の読売には、「密輸品羽田を素通り」というような大きな社会面の記事が出たりしておりまして、各方面からのいろいろな立場からの批判があるわけでありますが、これらのものに対してどういうふうに大蔵省はお考えになっており、どういうふうに措置されるお考えであるか、それを伺いたいと思います。
○稲益政府委員 税関検査の実際のやり方というものは、実は非常に微妙な問題があるわけなんでありまして、仰せの通り、一面で密輸の防止ということを厳重に実施するという立場から申し上げますと、たとえば旅具の検査にいたしましても、相当徹底したことをやらざるを得ないという考えが一方にあるわけなのであります。ところが、また一面、国際的な交流が非常にひんぱんになって参りますと、観光客を中心といたしまして、そういった面に対する手続の簡素化、緩和といった要請が非常に国際的になって参っておるわけであります。どちらかと申しますと、日本税関の検査は、ここ数年以前におきましてはかなり厳格にやって参ったということが言えようかと思うのでありますが、ただ、最近になりまして、厳格でないという意味ではないのでありますが、手続面をいろいろ簡素化いたしまして、たとえば航空機で参る方の貨物の検査、携帯品の検査といったようなものにつきましては、一応、申告の手続も、書類による申告を省略いたしまして、口頭申告といった形で行なっておるわけであります。そういった関係もからみまして、場合によりますと、御指摘のような新聞にも報道されましたような密輸事犯が間間起こって参っておるわけであります。私ども取り締まりの責任にある者といたしましては、非常に遺憾に思うわけなんでありますが、いろいろ、こういう面につきましては、あまり手続の複雑さあるいはそういった面での逆行するような形でなしに、一つそういった密輸の防止につきましていろいろ工夫をこらして防止するようにして参りたい、かように考えております。
○安井(吉)委員 一方ではきびし過ぎると言うし、一方では少し手ぬる過ぎると言うし、これは両面からの批判ですから大へんなことだと思うのですが、しかし、そういったような両方の苦情に対しまして十分にこたえられるような方向で進む努力だけは、一つしていただかなくてはいけないと思うわけであります。 行政管理庁の勧告があったとか聞くのですが、それはどういうふうな内容で、それに対してどういうふうに対処しようというお考えをお持ちですか。
○稲益政府委員 先般の行政管理庁の監察は、税関行政全般にわたっておるわけなんでありますが、御指摘の検査の面での勧告としましては、できるだけ全国の各税関の情報その他の取り締まり面での協力体制と申しますか、そういった形をもっと検討すべきではないかという面が、この検査取り締まりについての御指摘の点だったと思います。
○安井(吉)委員 保税地域の税関の取り扱い等も、最近はどういうことなんですか。検挙主義といいますか、何か一応全体的な問題は業者に預けて、あとで検挙をする、そういったような方式に変えられたのですか。
○稲益政府委員 保税地域の取り締まりと申しますか、監督の問題でありますが、現在は、御承知のように、各保税工場、倉庫、上屋、そういったところに、検査員と申しますか、私ども監視取り締まりの人員を実派と申しておりますが、実際に現場に派遣いたしまして取り締まりに当たるという形をとっておるわけなんでありますが、何分にも、最近、保税工場を中心としまして、そういう施設が増加して参るわけであります。一方で、私どもの方の税関の職員の定員に限度がありまして、非常にかけ持ちが多くなっておるわけであります。最近のそういった実態に応じまして、いろいろ人員増加には努力をいたしておるわけなんでありますが、それにもおのずから限界があるということで、もっと何か効果的な、職員の負担を増加させないような形でもっと有効な取り締まり体制ができないであろうかという点をいろいろ部内で検討いたしておるわけなんであります。現在はその検討の過程にありまして、一部こういう方向でやってみたらどうかというような点についての結論を若干今出しつつある段階でありますが、まだ全然実施には移しておりません。大きな考え方としましては、ある程度、保税工場なり倉庫なり、そういった民間の業者の方々の協力もお願いしたいということで、私どもの行政とそこらの調整をうまくはかりつつ、できるだけ人員を食わないで効果的な取り締まりをやって参りたい、基本的な考えはこういうことであります。
○安井(吉)委員 税関における要員の不足というような点に触れられるわけでありますが、今の密輸の問題なんかでも、新聞の記事だけからで、私も正確なことは存じませんけれども、全体的に人が少な過ぎるというような傾向がだいぶおありのようでありますが、以前と現在の段階とで人の配置はどういう、工合になっておるのですか。特に輸入貨物がふえたり貿易額もふえたりしている段階に、それはもう大体バランスされているものかどうか、そういうような点を一つ伺いたい。
○稲益政府委員 貿易額は、最近、年にもよろうかと思いますが、年一割五分から二割といった急激な伸び方であります。従いまして、税関で扱います申告件数もそれに応じて増加して参っております。これに対応します人員でありますが、今的確に端数までの資料を私持っておらないのでありますが、大体、ここ数年、百名ないし二百名程度毎年増加しており、三十六年度におきましては、一応予算上も四百名程度のかなり大幅な増加を一応認められておるといった形でありますが、何分にも事務量の増加の力が急激でありまして、必ずしも事務量の増加の割合に応じて同じ割合で人員をふやさなければならぬものでもないと私ども考えておりますが、私ども税関を預かる者といたしましては、なおまだ人員が不足だという考えで、せっかくこの増加について努力したいと思っております。
○安井(吉)委員 改正法によりましてタリフがずいぶん細分されておりますし、計量分析、そういったような、化学分析のほかに、物理分析だとかなんとか、これはずいぶん要るのじゃないかという気がするわけです、あれを見ますと。ですから、それに伴って労働の質も量も相当程度向上しなければ、これはこなしていくことはできないのじゃないかと思うのです。そういったような点が一体どのように配慮されていますか。
○稲益政府委員 今回の改正では、なるほど品目数は九百四十三から二千二百三十三と非常に分類が細分化されております。でありますが、現実に入って参りますものは、この分類の変更によって変わるわけではないのでありまして、どういう税法の分類に当てはめるかというところの問題になるわけであります。現場の職員で特に技術系統の監査の職員でありますが、私どもの考えとしましては、今回の分類が、何と申しますか、いわゆるブラッセルの関税分類表に準拠いたしておりまして、非常に詳しい解説もついておりまするし、従来の旧税表によりますると、いろいろ実は分類が古いわけでありまして、いろいろな新しい商品が入って参りますつど、その当てはめるべき税表、税番、これを探すのに非常な苦労があったわけで、税関内部でもそのためにいろいろ協議をするとか、時間的にも労力的にも非常に苦慮しておったわけでありますが、今回の分類は、切りかえの際はなるほど職員が頭に入れるまでに若干の苦労が要るかと思うのであります。しかし、一たんこれがすべり出しますと、従来よりもむしろ分類の仕分けなり解釈なりもはっきりいたしておりますので、適用に当たってさほど苦労する、いわゆる職員が労力を使う面が多くなるということは、私ども決してないと思っております。
○安井(吉)委員 北鮮帰還だとかあるいは国際見本市だとか、そういうように集中的に税関検査にウエートがかかるような時期があると思うわけでありますが、そういうような際はどういうふうにされておるわけですか。
○稲益政府委員 北鮮帰還のような場合は、限られた期間の問題でございますので、常勤の職員を増加する、これを配置するといった形でやって参っております。見本市の場合も、お説のように、その期間かなり手数がかかるわけであります。これは毎年東京、大阪で行なわれるわけでありますが、それぞれの税関でできるだけ事務の繁閑を調節しながら、その税関の中で一応現在の程度でありますと処理できております。そういう形で処理をやっておるわけであります。
○安井(吉)委員 いろいろ使うわけでありますが、そういったような臨時要員ばかりが多くて、本式に腰を据えて仕事にかかれる定員が少なくて、仕事のやり方が放漫に流れている、そういうようなことがあるのじゃないのですか。
○稲益政府委員 臨時の職員でやっておりますのは、先ほど申し上げました新潟の北鮮帰還の場合だけでありまして、そのほか全部そういった臨時のあれではございません。従いまして、基本的な定員の増加にせっかく努力をいたしておるわけであります。
○安井(吉)委員 現在、定員どれくらいで、臨時の方はどれくらいですか。
○稲益政府委員 三十五年におきまする定員が全国で六千九十一名であります。それから、先ほど申し上げました新潟の北鮮帰還の関係の臨時の職員が十九名であります。
○安井(吉)委員 臨時というのはその十九名だけですか、六千九十一名に対して。
○稲益政府委員 先ほど、私、新潟の北鮮帰還の関係だけを臨時の職員と申し上げたのでありますが、いわゆる公務員法上の身分上の問題としての臨時職長と申しますか、常勤的職員は約二百名であります。
○安井(吉)委員 常勤的な非常勤だとか、そういったような人たちが定員外にほうり出されているという問題は、これは税関だけじゃなしに全体的な問題ですけれども、これの解決は、定員法だとか、いろいろ問題があると思いますが、同じような仕事をしておりながら、いつまでも一人前の扱いをしてくれないというふうな立場で放置しているということは、非常に問題だと思います。そういうような点の措置を十分に一つつけていただかなくてはいけないと思います。 それから、それよりも、何をいっても全体的な実人員が少ないという事情ですね。これはやはり早急に処理されなくては問題がいろいろ残っていくだろうと思います。それはその面で特段の御配慮を願わなくてはいけない問題だと思いますが、そのほかに、各税関ごとの人員の配置、そういったような点はどうでしょう。うまくいっているのでしょうか。
○稲益政府委員 仕事の繁閑と申しますか、事務量を見ますと、必ずしも各税関同一ではないのでありまして、たとえば神戸でありますとか横浜でありますとか、次いでは東京、名古屋、大阪といったようなところが、貿易の関係から事務量がどうしても多いわけであります。従いまして、定員の配分にあたりましても、大体その事務量を私ども各方面からいろいろ数字的に検討いたしまして、できるだけ一つその仕事の量に適応した形で人員が配置されますように、最近数年毎年定員の増加があるわけなんでありますが、そういう姿で、極力仕事の忙しい面に、また忙しい部門に配置するというように、いろいろ数字的にこまかく検討しつつやっておるような次第であります。
○安井(吉)委員 その場合にも、単に事務量だけのそういう機械的な比較では、公平なように見えますけれども十分ではないんではないかと思うんです。たとえば長崎だとか函館だとか、そういったように離島がたくさんあるところとか、そういったようないろいろな事情というものは、やはり人員の配置について十分考慮されなくてはいけないだろうと思うのですが、そういう点はどうでしょうか。
○稲益政府委員 仰せの通りでありまして、私ども、何もその仕事のたとえば申告の件数だけで人員を配置するというような単純な考えではございません。いろいろ地域の広さなりあるいはそういった特殊な各税関におきます事情といったようなものは、十分現地の事情を織り込みまして配置しておるような次第であります。いろいろ各方向から、たとえば函館なり長崎といったようなところは、業務量から見ると、人員がむしろ、比較の問題でありますが、過剰ではないかというようなことも言われるわけなんであります。そういう場合におきましても、私どもは、やはりそういった地域の各税関での特殊性というものを十分織り込みまして、たとえばそういうところから引き揚げるというようなことはやらないつもりで考えております。
○安井(吉)委員 事務量の配分の関係で、函館の税関を小樽へ移す、そういったような問題があるのですか。
○稲益政府委員 一部にそういう要望も出て参っておるわけなんでありますが、何分にも、いろいろな税関の所在地というものが、地方と申しては何でありますが、その地方では長年のいろいろな関係もございまするし、これはいろいろな方面から慎重に検討すべき問題だということでありまして、まだ早急には結論が出しかねると思っております
○安井(吉)委員 いろいろ問題はありますけれども、もう一つ、下積みで、下からたたき上げてずいぶん苦労している人たち、そういう職員の人たちが税関の幹部にどんどん昇進できるというような道は、従来からいろいろ配慮されていたし、今後ともそういう努力でいかなくてはいけないと思うのですが、そういう面はどうなっていますか。
○稲益政府委員 仰せの通りでありまして、従来もやって参りましたが、十分今後もそういう配慮をやって参りたいと思っております。
○安井(吉)委員 配慮されるとおっしゃるのですけれども、しかし、逆に、何か最近は税関の幹部がどんどんいわゆる学閥コースといいますか、そういうようなコースの人たちで占められていって、逆にそういうポストの余裕というものが幅が狭められつつある、そういうような不平を職員の諸君から聞くのですが、どうでしょう。
○稲益政府委員 そのポストにもよろうかと思うのでありますが、たとえば監査部門などでありますと、御承知のように、監査官、副監査官といった専門職にいたして参っております。そうしますると、あるポストまで参りますると非常に専門的な知識を必要として参るわけなんであります。そういう面で若干学歴といったような点を考慮するという面は出て参っておるかと思うのでありますが、それ以外の点におきましては、従来と何ら考えは変えておりませんで、できるだけ――非常に不適任な人であれば別でありますが、長い経験を積んだ人といったような者を、非常な不適任なそういう要素がない限りは、そういったような幹部のポストにつけることは、何ら考えとしては変えておらないつもりであります。
○安井(吉)委員 今おっしゃることはわかりますけれども、しかし、そういうようなことが口実になって、結局学歴だけですべてのポストの配置がきまってしまうというふうなことになるおそれが多分にあるわけであります。それは理屈は何とでもつくわけです。しかし、そういうことになって、結局下の方から努力の積み上げで長い間苦労をしております人たちが将来への励みがなくなるということは、これは大へんなことだと思うのです。やはり、下積みの職員の人たちの努力で全体的な仕事の円滑化がはかられるわけですから、そういったような点への特段の配慮を一つ要望しておきたいと思います。 きょうはもう時間がないところにたくさんの問題がありますから、一応その問題はそれくらいにいたしまして、次に入りますが、その前に、昨日の加藤委員の毛織物の問題に関する質問を、さらに広い立場から検討をしていただくために、外務省と通産省の方からもおいでいただけているそうでございますので、その関係につきまして、本論に入ります間にちょっとだけ触れておきたいと思います。 私は、きのうの加藤さんみたいな専門家じゃありませんので、内容はよくわからないわけでありますが、毛織物に関する関税のきめ方に関連いたしまして、英国ものとイタリアものと、そういうようなものが日本の毛織物産業の競争相手として一応想定されまして、それとの関連において今度の関税も検討がなされたということを聞くわけでありますが、その辺の事情につきまして一応両当局の方からお話をいただきたいと思います。
○足立委員長 この際委員長からも政府側に一言申し上げますが、昨夜の加藤委員の質問並びに意見につきまして、この際委員会として結末をつけたいと存じます。 つきましては、本日繊維局長、通商局長並びに外務省当局から御出席をいただいておりますが、それぞれ大蔵省から昨夜の加藤委員の質問の要旨はお聞きいただきましたか。――お聞きいただきましたね。 私の記憶している範囲では、繊維局長に対する加藤委員の質問の要旨は、毛製品の輸入関税の大幅引き上げは、わが国が毛織物輸出国としての立場からきわめて不当である、特に、従量税を課することは、比較的に価格の安い、いわば大衆消費のものが過重な税を課せられることとなるのはきわめて不当であるという点が重点であったと記憶します。なお、外務省及び通商局長に対する質問の要点は、ただいま申し上げましたような毛製品に対する輸入関税の大幅引き上げの結果、イギリスからすでにわが国に対して抗議が行なわれておる、このまま推移する場合には、いわゆるスターリング地域よりの報復関税をかけられて、わが国の輸出に重大な影響を与えるおそれなしとしない、そのイギリスとの交渉の見通し等はいかがであるかという点に重点が置かれておったと思いますので、右の点につきまして、ただいまの安井委員の御質問に関連をしてお答えを願い、加藤委員の昨夜の保留されました質問に対する委員会としての結末をつけたいと思いますので、お願いをいたします。
○松村(敬)政府委員 ただいまの点につきまして御説明させていただきます。 毛織物の関税につきまして、従来の従価税に加えまして従量税を三年の期間を限って課する、こういう案でございますが、これは、御承知のように、わが国羊毛工業が最近になりまして次第に発達をいたしたものでございますし、中に非常に零細な工業もあり、また、設備の点につきましても、現在三五%程度の操短を余儀なくされておるというような情勢でございまして、一時に毛織物が自由化に伴って入って参ります場合の工業に対する打撃、そういうことを緩和いたしますために、短期間を限りまして関税を従量税を併課する、こういう趣旨でできておるのでございますが、その関税によって輸入価格が高まって消費者の購入価格も高くなるのではないかということでございます。その点につきましては、従来、毛織物の輸入量がかなり制限されておりまして、そのために、外国品、特に英国品につきましては、非常に高い価格で国内で市販されておるわけでございます。一例をあげますと、たとえばイギリスの梳毛品の一着分の生地だけの値段は、平均いたしまして約五千七百二十円ということになっております。従来の従価税が二割でございますので、それが今の価格に対しまして千百四十四円ということになります。今度の従量税をこの平均的な重さの生地で計算いたしますと、七百三十四円ということになります。従って、全体のコストとしては七千五百九十円、そういう価格でございますのが、現実には英国ものに対する需要が非常に強いために、約二万円程度で市販されておる状態でございます。従いまして、この従量税の賦課によります七百三十四円と申しますのは、現在の市価の二万円というようなことから考えますれば非常に少なく、大体三・七%ぐらいに該当するわけでございまして、私たちといたしましては、この七百三十四円というものは今の市販価格の中にひとりでにマージンの中に吸収されまして、結果的に値段が高くなるというふうには考えておらないのでございます。ただ、この税を課しますことは自由化の前提でございますので、また、現に七千五百九十八円のものが二万円に売られておるということ自体も、現在までの輸入があまりに僅少であるための価格でもございますので、今後、これは、貿易交渉との関連で、相手があることでございますので、若干その交渉をやりながら、ワクをふやしていくということが必要かと思いますが、ともかく、将来の問題といたしましては、自由化に向かいまして着々ワクをふやしまして、量のふえることによって全体の価格の低下ということに持って参りたいと思いますので、そういう意味から申しまして、御質問の、この従量税を課することが国内の外国品の値段を高めるのではないかという点につきましては、そういうことがなく実際上は推移する、そういうふうに見ておる次第でございます。
○足立委員長 なお、今私ちょっと申し上げた通り、加藤君のきのうの質問の中には、高級品については今局長の言われる通りであろうけれども、目方の重いいわゆる値段の安いものに従量税が併課されるので、非常に大衆消費のものが負担増加になって不当であるという意見があったのですが、その点についてはいかがな御見解ですか。
○松村(敬)政府委員 その点につきましては、ちょっと例をあげさせていただきますが、先ほどのは、今委員長の御指摘のように、非常に高い方のもの、主として梳毛のものでございますが、今お話しのようなものはむしろ紡毛のようなことになると思います。この場合も、一着分の平均が大体四千五百七十五円、二〇%で九百十五円、それに従量税が七百三十四円ということになりまして、全体が六千二百二十四円、それが、先ほどの二万円に対しまして一万三千円くらいで市販されております。御指摘のように、これは市価の五・七%くらいになりまして、割合としてはその方が高いのでございますけれども、しかし、現実にはそれも値段に非常に影響するということにはならないのではないかと存じます。ただ、よいものよりも、従量税でございますから、どうしても安いものの方に負担が多くなるわけでございますが、現在の日本の工業の情勢から申しますと、むしろそういう紡毛製品の方に中小企業も多いわけでございまして、そういう意味の保護と申しますか、一時的に三年間自由化に備えて税を課する、その必要はむしろ紡毛の製品の方に多いわけでございまして、そういう意味で、御指摘のようなことにはある程度なりますけれども、この制度としてはその方が本制度の目的にはより沿う形になっておる、こういう次第でございます。
○足立委員長 ただいまの趣旨はわかりますが、きのう加藤委員の発言の中にこういう点を突っ込んで言っておられましたから、私代弁申し上げますが、今紡毛製品についてはやはり重量平均七百何円とおっしゃっていらっしゃるが、これは、目方が重いので、実はこういう安いものにもっと従量税がかかるのだという意見を加藤委員は言っておられたのです。これは平均数字ではどうも答弁にならぬと思いますが、いかがですか。
○堀委員 高いところと安いところと、一番安い目方の重い分と、上限下限と、モードはどこにあるかということを伺わないと、全体を平均したって、要するに平均という問題のかかり方自体がわからないと思います。だから、その点をもう少し詳しく伺いたい。
○松村(敬)政府委員 これは、現実の値段が、外国から入っておりますもので市販されておるものは、それほど安いものはないわけでございます。大体、特に外国から入れる、イタリアものを入れるとかイギリスものを入れるとか、これは日本で買えないようなものを入れる。それに特殊な嗜好が集中しておるような状態でございますので、実際に、今平均と申しましたのですが、この紡毛製品の方では相当安いものでございます。その安いもので特にどうしても国内で得られないからということで輸入いたすものですから、市販のもので外国の生地で売られておりますのは、やはりどうしても一万円以上のものが売られておるわけでございまして、従いまして、そういうものにつきましては、先ほど申し上げますように、今後輸入がだんだん自由化されて参りますと、それに従って全体の価格が落ちて参りますけれども、現在は、そういう形で輸入量が少ないために外国の品が高いわけでございまして、そういう点で非常に安いものというのがあまりないわけでございます。従いまして、そういうものに対する比率ということになりますと、比較的少額になるということでございます。
○堀委員 関連して。 今伺った中でも、私ちょっと理解できないのは、前段の方で市価二万円程度で売られるものは輸入価格が五千七百二十円だとおっしゃいましたね。それで、あと安いものというので、紡毛製品の方で市価一万三千円くらいで売られるものは四千五百七十五円だとおっしゃったわけですから、この間にはわずかに千二百円しか輸入価格として差がないわけです。しかし、実際は、私どもが市場で見ておりましても、もう少し安いものも実はあるわけです。それで、今あなたはここで市価で議論をしておいでになりますが、市価というのは、輸入業者なりそれらの販売業者なりが不当なマージンを取っておることは、あなたが今ここでお触れになった通りです。だから、私どもは、その不当なマージンを取ったあとの値段のことで申し上げているのじゃなくて、輸入価格それ自体の中で――きのう加藤さんが触れられましたのは、要するに、税関部がお出しになったのは全体の平均値でお話しになりましたけれども、従量税の本質的なものというのは、さっき委員長もお触れになりましたように、質の悪いものの方が単位当たりの目方が重いわけですから、総体的に単位当たりの目方として従量税がかかってくるということになれば、安いものに税金がたくさんかかって、高いものに税金がかかりにくいという性格がある。そうすると、今の安いものから高いものへの分布があると私は思うのです。輸入されております価格で、一体最低の価格は幾らなのか、最高の価格は幾らなのか。そうすると、その間に分布があるわけですから、分布のモードの山は一体どこにあるのか、こういうことを理解しない限り、単に平均だけでは、われわれはこの問題はちょっと――本来今のような本質的に逆進性の性格を持っておる関税のようなものならば、高価な良質のものに対して関税が高くかかって、安価で粗末なものは関税が安かろうというのがわれわれの一般的な概念でありますが、その概念と逆なかかり方をしているから問題を提起しているのであって、それを平均して処理されては、われわれはちょっと納得がいかない。こういうことでありますから、今おっしゃった四千五百七十五円という、これも紡毛関係の平均値だと思います。紡毛だって高いものもあると思います。あえて全部が安いわけではありませんが、四千五百七十五円という平均値が出たもとは、ミニマムは幾らで、マキシマムは幾らで、このモードは一体どこにあるのか、ちょっと伺っておきたいと思います。
○松村(敬)政府委員 今の御指摘の点はよくわかったのでございますが、先ほど私お答えいたしましたのは、内地の現在の市価に対してどういう影響があるか、こういうお尋ねに対して主としてお答えいたしたわけであります。御指摘のように、今度は向こうの輸入価格自体に対する割合、それは、安いものについてどういうふうな率でかかるか。現在の二〇%のものが、従量税を付加されますと、従量税自体が大体においては重いものにどうしてもよけいかかりますから、安いものにかかるような形に税の性質上なると存じますが、それで今お尋ねの分布でございますが、先ほどは市価の方で申し上げましたので、これは一着の洋服を作る二・七〇メートルですか、そういうことで申し上げたのです。今度は逆に一平方メートル当たりの値段で申し上げますと、今お尋ねの特に紡毛の織物の単価別の構成でございますが、御指摘のように、非常に安いものから高いものまでございまして、メートル当たりにいたしまして五百円から三千円くらいの分布になっております。その中で一番多いのが大体七百円、八百円、九百円その辺のところでございまして、特に分布を申し上げますれば、七百円が九・五二%、八百円程度が七・七六%、九百円程度が一四・〇六%、千円程度が一三・一二%で、まだいろいろ各百円ごとに刻んだのがございますが、大体その辺におもなものが集中しておるわけでございます。その辺のところで平均をとりますと、この全体の率といたしまして、これは四〇%近くの税になると存じます。つまり現在の二〇%に対しまして、それが合わさりまして約四〇%くらいの税になると存じます。全体で、これも先ほど御指摘ございましたように、加重平均とかいろいろやり方がございますから、この平均というのは必ずしも適当ではないのでございますが、そう加重的な数字を入れませんで、大体の平均をとりまして千五十九円くらいということにいたしますと、大体三六%くらいの税の結果になっておる、こういうことであります。
○堀委員 今安い方を伺ったのですが、今度は梳毛の方の比較的高級な部分、これは平均して五千七百二十円とおっしゃったと思うのですが、こちらの方の状態を一平米あたりで今のようにちょっとお答えいただきたいと思います。
○松村(敬)政府委員 お尋ねの点でございますが、梳毛の方へ参りますと、これは分布が、今のように十何%というふうに集まっておるところはあまりないのでございます。大体固まっております辺が、九百円程度が六・三八%、千円が九・〇七%、千百円が八・九二%、千二百円が九・六九%でございまして、大体その辺が主として固まっておるようなことになっております。それで参りますと、その辺では三四%程度になると存じますが、これをまた先ほど申し上げましたような意味の――これも必ずしも正確なあれではございませんが、平均で申しますと、今のメートル当たりにいたしまして千三百二十四円程度が平均ということになりまして、それに対しましては三二・八%、こういう結果になっております。
○堀委員 昨日の加藤さんの御議論の中で集約的に問題になりましたのは、二百グラムというところに線が引かれておる。実は問題が今のような対外的な問題で考えられるならば、四百グラム――大体梳毛の方は競争力があるけれども、紡毛の方は競争力がないから、これをつけるというのがどうも趣旨のようでありますから、そういう趣旨であるならば、四百グラム以上くらいでもいいのではないか、要するに二百グラムということでは、梳毛の方のものが全部かかってくるということなんじゃないか、こういうふうな話がきのうは出ておったわけなんでありますが、一体グラム数で見ると、四百グラム以上ということになると、梳毛がまだそれでもなお――梳毛でももちろん目方の重いものはあるだろうと思いますが、私は専門家でないからわかりませんが、四百グラムで切って、今輸入されております紡毛、梳毛の状態として、紡毛の方はあまり入っていないかもしれませんが、どのくらい残ってくるか、四百グラムで切った場合どうなるか、ちょっとお答えいただきたい。
○松村(敬)政府委員 今御指摘のそういう四百グラムで切りました数字は今用意しておりませんので、はっきり申せないのでございますが、四百グラムで切りますれば、梳毛の方はほとんどかからない形になると存じます。ただむずかしい点といたしましては、概して申しまして紡毛の方が重いわけでございますが、イタリアものの非常にいい紡毛製品とかはかなり軽いようなものもありますものですから、これは何百グラムが適当か、いろいろな考え方があると存じますが、先ほど御説明申し上げましたような制度の趣旨から申しますと、二百グラム見当で切るのが一番目的を達するのに適当である、そういうことで切りました次第でございまして、今御質問の四百グラムで切ったらどうなるかというあれにつきましては、御要求でありますればまた別な資料を用意いたしたいと思います。
○足立委員長 それでは、先ほど申し上げた加藤委員の質問に対する外務省及び通商局の御答弁を願います。
○今井(善)政府委員 今回の関税引き上げにあたりまして、英国から抗議がきておるのじゃないか、それからまた、この引き上げをそのまま強行すれば、向こうから報復措置を受けるのじゃないかという御質問のようでございますが、今回の毛織物の関税引き上げは、ただいま御議論がございますように、わが国としまして、自由化の政策にのっとりまして、毛織物もいずれ近いうちに自由化しなければならぬ。ところで、自由化するということになりますと、日本の毛織物業界はまだ非常に国際的に競争力が弱いということで、イギリスあるいはイタリアから非常に大量の毛織物が入りまして、その結果日本の産業に非常に大きな影響を及ぼすのではないか。従いまして、わが国として近い将来自由化するためには、どうしても事前にある程度関税の手直しをしまして、しかも永久にということじゃなくて、この毛織物業界が合理化その他によりまして補強される期間、まず三年と見ておるわけでございますが、この三年間暫定的に税率を上げまして、それによりましてわが国の毛織物業界を補強しつつ、自由化に備えてできるだけ早い機会に自由化したい、こういう趣旨で上げるわけでございます。 それに対しまして、イギリスから、過日、今回の関税引き上げは英国の毛織物輸出業者の権利を害するというふうな意味合いで非常に遺憾である、この関税実施の時期をできれば延ばしてほしいというような問題だとか、あるいはできるだけ自由化を促進する時期につきましてのいろいろな意見だとか、やむを得ない場合においては毛織物の輸入をふやしてほしいというふうな趣旨の抗議がございました。私の方といたしましては、自由化をいたす前提といたしまして、どうしても日本としてとらなければならぬやむを得ない措置であるということを説明いたしまして、この実施の時期等につきましてはやはり原案通りでやりたい。ただわが方の気持といたしまして、一刻も早く自由化をしたいという気持でありますので、従って、自由化をするにつきましては、やはり漸次毛織物の輸入のワクをふやしていく必要があるという意味合いでもって、毛織物の輸入のワク等につきましては、近く開かれますところの次年度の交渉につきまして、わが方といたしましてもできるだけ誠意を持って話をしたい、かように考えておるのでございまして、イギリスがわが方の態度というものを必ず納得してくれると思いますので、従いまして、わが方が向こうから報復措置を受けるというふうなことはないものと信じております。
○高野説明員 イギリスとの交渉の観点におきまして御説明申し上げます。今、今井通商局長からお話がありましたように、イギリスから今度の関税の引き上げについて要請がございまして、しかし、日本といたしましては、これを変えるわけにいかぬという趣旨で返事してございます。イギリスとは、御承知のようにほかのいろんな物品アイテムについて相互に話し合っておりますので、これだけについて報復措置をとるということはわれわれとしては考えておりませんし、またそうならないように、今通産省の方から御説明がありましたように、ワクをふやしたりなんか、別途ほかの方法でイギリスと話し合っていきたい。従って、このために報復措置はないとわれわれは思っております。また逆に日本の毛織物の輸出が妨害されるような事態にならない、かように考えておる次第であります。
○堀委員 今外務省の方からお答えになったのは――きのう加藤さんが非常に心配しておられるのは、この問題が出てきましたのは、輸入の関係で出てきたよりも、輸出の関係で大体出てきたわけです。要するにこちら側が輸入を制限するための報復措置として、何らかの形で日本の毛織物の輸出が制限されるということを心配しておられる話でありまして、その点から見ると、今外務省でお答えになったことは、きわめて重大なお答えだと私は思うのです。これは、御承知のように、これまでは二〇%の課税がされておっただけなものを、今ここでともかくも従量税になりまして、三四%程度のものが特に高級品といわれる梳毛の分について出てくるわけですから、関税の中で一四%も一ぺんに上がるということは、あなたのおっしゃるような、そんな簡単のことではないと思います。今私ども今度の関税定率法の改正をずっと調べてみましても、おおむね五%から一〇%の変更をされたものはありますが、一五%以上にわたって動いておるものは幾らもない。そうすると、それを受け取る側として、現在、御承知のように、大体シックスでもセブンでも、どこでも世界的な傾向としては関税を下げようという傾向にある中で、なるほどわが方は自由化がおくれておりますから、そのために今あわててこういう関税定率法の改正をやらなければならぬという問題もありますけれども、突然ここで一五%以上、ものによっては、さっきのお話の平均で見ましても、二〇%も差がつくということは、かなりドラスティックな処置がとられたというふうに受け取られてもやむを得ない要素があるのではないかと私は思います。ですから、今これはなるほど一品目でございますけれども、その一品目が相当輸出の主体をなしておる国としてみると、必ずしもおっしゃるようにこれによって何らかの対抗的な処置はとられないとここで断言をなさるほどに、私は問題は簡単なものではないと思うのです。外務省の方はそうおっしゃるが、それでは通産省の方も、それに対して、そういうことはとられる心配はないとお考えになりますか、その点を通産省の方で……。
○今井(善)政府委員 先ほどお答えいたしましたように、私どもとしてイギリスが報復措置をとることはないというふうに考えておるのでございますが、ただいまの先生のお話でございますと、日本の毛織物の輸入国の方でとりはしないかというふうに受け取れたわけでございます。御承知のように、イギリス本国は、日本が毛織物を輸入しておるほどでございまして、向こうに対しましては日本の毛織物は行っておりません。日本の毛織物の輸出先の過半数というのはアメリカでございます。アメリカはすでにいろいろの問題がございまして、現在アメリカの輸入毛織物の関税は三八%、非常に高率の関税を課しておるわけでございます。従いまして、日本の主要輸出先であるアメリカがこれに対してどうということは全然考えておりませんし、イギリス関係になりますと、英本国に輸出されておらないのみならず、英領植民地――過去において植民地でありましたようなところは、やはり日本の毛織物はほとんど出ておりませんで、イギリス製品を輸入しておるというふうな関係がございますので、かような見地からいたしまして、向こうで報復措置をとるということは、今のところ絶対ないというふうに私ども確信しております。
○堀委員 その点は私も実は了承しております、輸出と輸入の関係が全然違いますから。ですから、私が今申し上げた観点は――昨日の論旨の観点は輸出に関係しておる。ただ私は、今外務省の経済局次長がおっしゃったことにちょっと疑義があるのは、その対抗的処置を毛織物でとられるとは思わないのですが、要するに、いきなり一五%から二〇%も一挙にそういう、主としてイギリスならイギリスの場合、イギリスに対して、相当輸出しているものを一挙に引き上げる。それも自由化をされたあとに発動してくるというのなら向こうも了解するだろうと思うのですが、為替管理をやって割当をやっておいて、さらにその上へかぶせてこれだけのものを上げるということは、もちろんこれはいろいろな交渉の材料としての問題はあるかと思いますが、三十五条を援用しておるような国に、さらにこういう格好をこちらから強く打ち出していくことが、今後のそういう経済交渉にとってプラスかどうかという面については、やはり問題があるのじゃないか。そこへもってきて、今おっしゃったのは、これによって報復されるようなことはないというふうに断言をなすっておりますから、私は、そういうことは相手方のあることであって、こっちが一方的にそういうことはありませんと、こういう公の場所でおっしゃるということについては、いかがかと思うわけであります。だから、それは毛織物についてはないとおっしゃるなら、これは別ですが、私があなたの方でお話しになったのを受けた感触はそうではなくて、報復されるものはない、こういうふうなあれで、ただそこに条件が多少ついて、割当のワクが広がるとかなんとかということで処理をしたいというお話が出ましたが、それは次の問題でありまして、その前に、どうも私の伺った感じでは、報復されるものはないというふうに受け取れますから、それはちょっと言い過ぎではないか、こういうふうに感じたものですから、通産省側の御意見を承ったのです。外務省の方でおっしゃることがあったら……。
○高野説明員 私の申し上げたのは、少し言葉が足りなかったかも存じませんが、要するに、この問題は、日本側から、まだ関税を変えるわけにいかぬということで返事しておりまして、しかし、先ほど来通産省から、それ以上にワクを広げるということにつきまして、それは暫定的である、しかも全部のワクではないということで相手を納得さしていきたい、そういうふうに努力していきたいという趣旨で申し上げたわけでございます。
○有馬(輝)委員 関連して。 今経済局次長の方から、堀委員の質問に対して、ほかの方法でもってそのような事態が起こらないように努力するという御答弁があったわけでありますけれども、そのほかの方法というのはどういうことなんですか。
○高野説明員 一番すぐ考えることは、相手のあることですから、先ほど御指摘のように公開の席上でははばかる面もあるかと存じますが、イギリスは日本に対する輸出を伸ばしたいというのが大きな眼目でございますから、ある程度ワクを広げるということで漸次ワクを広げる、自由化にもこれがあるために早く進むのだということで、相手を納得さしていきたいという意味であります。
○有馬(輝)委員 先ほど堀委員からもいろいろ御意見がありましたし、また、昨日の加藤委員からの質問の中でもおわかりのように、今経済局次長がおっしゃったような安易なものじゃない。少なくともイギリスは非常に強硬な態度で出てきておるので、それをほかの方法で何とかまるめればよいというような情勢ではないと思います。やはりそこら辺について、向こう側の意向の打診といいますか、そういった点についてもう少し積極的に立ち入って話を進めない限り、これを通しておけば、あとは何とか措置すればできるのだというようなものではないと思うのです。その点について、あなたはここでほかの方法をとれば何とかできるのだという自信がおありなのかどうか、それをもう一度聞かしていただきたい。
○高野説明員 相手側のあることでございますから、われわれとしてもできるだけ日本の実情を説明して、納得さして、穏便にこの問題を解決したい、そのために努力を払っていきたいということでございます。しかし、これがためにイギリスがどういう報復措置をとるかということは、われわれとしてはすぐには考えられない。と申しますのは、ほかのいろいろなアイテムでこういう問題につきましては相手からも要請があり、こちらからも要請があるということで、相互にギブ・アンド・テークで妥協しておりますために、このためにイギリスが報復に出るとは思いませんし、また、その前に相互に話し合いをすれば解決できるので、そういう方法でわれわれは進めておるのであります。
○有馬(輝)委員 税関部長にお伺いしたいと思います。私はやはり手続上に問題があるではないかと思うわけです。この法律改正案に対して、今の外務省あるいは通産省からの御答弁でおわかりのように、まだ問題を非常に含んでいるわけです。そういった問題について、一連の改正を行なうから、これもそのまま乗っけておくのだというような態度では――これはただ税率の問題でなくして、外交上その他各般にわたって重大な支障を来たすような場合に、やはり一つの線が出ていない際には、それを除いておくというような態度があって、初めてスムーズな形で進むではなかろうかと思うのでありますが、そういった点について何らの手当がなくして乗っけられたことについて、どうお考えですか。
○稲益政府委員 私どもこの全面改正の機会にこれもといったような気持で取り扱ったものでは絶対にございません。品目も二千二百三十三という膨大な品目でありますが、なかんずくこういう毛織物といったようなものは、私の記憶いたします限りでも、関係各省の間で相当期間もみにもんだわけであります。仰せのように、関税の問題につきまして、これは昨日も御説明申し上げたと思うのでありますが、国内の問題、また関税は特に国際的な関係も非常に深いわけであります。従いまして、私どもとしましては、国内でいろいろ要望のある個々の要請、そういったものと、全般の経済の面と申しますか、貿易なりあるいは経済交渉なり、そういったものを含めましていろいろ検討しました結果、結論を得たわけなんでありまして、たまたまこれが一応案として発表されまして伝わりました結果、非常に関心の深いイギリスでそういう要請が出た、こう言われたということでありまして、これに対しまする対策としましては、私、昨日も申し上げたのでありますが、詳細は、ただいま通産、外務当局から御説明があった通りでありまして、私どももそういう態度で参りたい、かように考えておるわけであります。
○足立委員長 速記をとめて。 〔速記中止〕
○足立委員長 速記を始めて。
○有馬(輝)委員 委員長のお話がございますので、これだけにとどめますが、問題は二つあると思うんですよ。今あなた方がおっしゃるように、自信を持って――私は、御答弁の中から自信があるとは思えないのですけれども、自信を持って処理するということでここでお約束なさるか、それともこういった問題のあるものについては手直しをするか、はずしておくか、この二つのあれしかないと思うのですが、それについて、あなた方は腹をきめていただきたい。私は、これは最後ですから、このことだけを申し上げておきたいと思います。
○武藤委員 やはり加藤委員の質問に関連して、二、三通産当局の方へ伺っておきたいのでありますが、一つは、イギリスとの取りきめをする場合に、取引する場合に、おそらく六カ月前か一年前くらいに商社は契約をしておる。そういうときに急に関税がばんと引き上げられると、その損害は一切日本の問屋が引き受ける、こういう契約条項になっておると聞いておるのであるが、その点は事実はどうなっておるかを、まず第一点としてお聞きしたい。
○今井(善)政府委員 日英の毛織物の輸入のワクというのは協定で大体きまっております。これは三百万ポンド程度ということにきまっておりまして、上期、下期というふうにして割当しておるわけでございます。この下期の割当の分につきまして、日本への輸入が相当長引くのではないかというふうな懸念もありまして、イギリス側が心配したのではないか、かように考えられるわけでありますが、事情をよく調べてみますと、大体、大体と申しますか、全部六月以前に入着するというふうに考えられますので、従いまして今回関税を引き上げるにしましても、それによりまして影響が起こることはないというふうに考えております。
○武藤委員 そうすると、問屋は一銭も損害を受けない。それはもうはっきり確認して間違いないわけですね。 それから、先ほど報復的な措置は何も心配はない、こういうことを申しておりますが、念のためにお尋ねしておきます。毛織物の原料、これは主として英連邦の範囲内の国々から買うのか、それとも全くアメリカ圏の国から買うのか、もし英連邦圏から買うとすればどの程度、輸入量のうちの何%くらいを英連邦から買っておるかという点を、まず最初に伺いたい。
○今井(善)政府委員 毛織物の原料の羊毛は、御承知のように全部輸入でございまして、ほとんど大部分、今そのパーセンテージは正確には申せませんけれども、豪州から買っておりますのは、おそらく八〇%ないし九〇%に及ぶと思います。残余はアルゼンチン等から、南米からわずかに買っておりますが、いわゆるアメリカ・サイドから買うものは一つもない。大部分イギリス連邦から買っておるわけでございます。
○武藤委員 そうだとなると、直接強力な報復手段は受けないにしても、原料面でもって考慮を払われるという心配は全くないかどうか、その点を伺いたい。
○今井(善)政府委員 豪州との関係は、現在非常に円満にいっておりまして、日本が豪州羊毛の買付の第一のお得意さんでございます。もし日本が買わないということになると、豪州の経済は非常に困るということになりますので、さような、豪州方面でもって原料関係で報復されるおそれは全くないというふうに考えております。
○武藤委員 その辺の見通しの問題は、現在は全く円滑にいっておるから心配はないと言われても、日本が関税の引き上げを急に膨張させたという点で、今後かなり感情的な問題が起こると私は判断しておる。その点は見解の相違になると思いますからよろしいとしても、この関税を引き上げることによって輸入毛織の価格が非常に上がる。小売価格が引き上げられる。そうなると、その連鎖反応として、国内の毛織物もかなり価格が高くなることは当然考えられるわけであります。そうなって参りますと、国内の製品まである程度価格が高くなって参りますと、輸出をするよりも国内需要向けに売る方が業者はもうかる、そういう心理的な作用をかなり強く及ぼすと思うのです。そういう関税を引き上げることによってイギリスの製品が高くなって、従って日本製品までも連鎖反応で高くなる、そういう心理的な影響が輸出を難渋させるという悪影響を与えると思うのです。そういう点については通産当局はどういう見通しを立てておりますか。
○松村(敬)政府委員 ただいまの御質問の点でございますが、国内価格に対する影響は、私の方といたしましてはあるとは考えておりません。先ほど申し上げましたように、国内の現在の外国品の価格が、むしろ不当に高いわけでございまして、そのほんの一部分、三・何%あるいは五%そういう程度にしか今度の関税の値上げ分はならないわけでございます。そういう程度のものは現在の中間マージンの中に吸収されると存じますし、また輸入の総量も、日本の全体の生産量から申しましても非常に僅少でございます。そういう点を考えまして、私たち、今度の関税の変更によって国内価格が影響を受け、それによって国内生産者の輸出意欲が弱められるんじゃないか、そういう意味の心配は一切ないと考えております。
○武藤委員 その通産当局あたりでキャッチしておる情報の取り方が、どういう業者を主体にしてキャッチしておるか知らぬけれども、現在の業者のある層の人たちから聞くと、輸出をするよりも国内に売る方が利益が多い。輸出はどっちかといえば出血輸出だけれども、政府が輸出奨励金というような形で非常に業者を保護してくれたから、もうけがなくとも国内で高い値で売って輸出をふやすんだ、こういう出血輸出的性格が非常に強いという意見を聞いておるわけです。そういう点は、全く事実そういうことはないのですか。もしあるとすれば、そういうことはやはり今度の関税引き上げにも相当関連もあるわけです。そういう点もっと広い業者一般の流通部門を検討した上で考えなければならぬと思いますが、その点どうですか。
○松村(敬)政府委員 ただいまの御指摘の点は、羊毛のいわゆるリンク制のありました当時、そのリンクによりまして、その利益をもって国内よりも輸出に安く実際に出たという事実はございまして、これは国内的にも非常に非難をこうむった次第でございます。これは、今度四月一日から自由化をいたすわけでございますが、そういうことがきまりますと同時に、リンクということもなくなったわけでございまして、この一年ないし一年半くらいの間は、そういう点の格差は実際は出ておりません。ただ、今御指摘の点は、これは今度の関税の問題とは直接関係なしに考えられる問題なのでございますが、最近国内で毛織物の需要が非常に強くなりまして、それで国内に割に楽に売れる、そういうことから、わざと非常に苦労をして輸出をする必要もないというような気分が若干出つつあることは、これは確かだと存じます。これは関税の問題とは無関係のことでございまして、ただそれを今後どういうふうに輸出に、より目を向け、力を注ぐようにするか、こういう点については、いろいろと考えて参らなければならない点があると思っております。その点は御指摘の通りでございますが、そういう意味で、この関税との関係ということはないと思っております。
○安井(吉)委員 関税法第六十七条の規定と、関税定率法第二十一条第一項第三号の輸入禁制品の規定と、これとのからみ合いにおきまして、輸入書籍とか、とりわけ映画等につきましての検査が行なわれておりますこの問題は、この委員会でも幾度も違憲論の対象として取り上げられてきたということを聞いております。私もこの委員会に変わりましてまだ日が浅いのですが、しかし、今回の定率法の改正の中で、輸入映画等の検査に関する手続が若干改正をされ、今まで税関の任意機関的なものであった輸入映画等審議会がオーソライズされて、法律の中にはっきりとはめ込まれる、こういうような措置が今回とられているわけであります。従って、幾度も問題が繰り返されているかもしれませんけれども、しかしながら、この問題について現在の段階でわれわれも関心を持たざるを得ないし、この委員会で取り上げるに値する問題だというふうに私も考えるわけであります。そこで、この税関等の検査の焦点は、結局違憲論になるわけでありますが、それに先だちまして、今の検査の仕組みやあるいはまたやり方等の問題について若干お尋ねをしたいと思うわけであります。 〔足立委員長退席、細田(義)委員長代理着席〕 大体この検査はいつごろから税関でおやりになっておるのか、それから一つ伺います。
○稲益政府委員 いつごろという、始まりました時期はちょっとはっきり今あれなんですが、もうずいぶん昔から税関のこういったことに対する検査を行なって参っております。
○安井(吉)委員 占領期間中はどうでした。
○稲益政府委員 ずっとやって参っております。
○安井(吉)委員 戦争期間中も――占領中からずっとかけて……。
○稲益政府委員 はあ、ずっとやって参っております。
○安井(吉)委員 戦争中はそうだったでしょうね。もっとも映画も入らなかっただろうと思うのですが、戦後の占領中と現在とではどうですか。変わりありませんか。
○稲益政府委員 別に取り扱い上には差異はございません。
○安井(吉)委員 どこの税関でおもに検査されているわけですか。その各税関ごとの割合といいますか、特に今の輸入禁制品のうちで問題になっております品目についてでありますが、各税関ごとの、これはこまかな数字でなくてもいいと思いますが、一つお知らせ願いたい。
○稲益政府委員 戦前でありますと、こういう貨物は船で参っておりました関係で、横浜が多かったわけでありますが、戦後は航空機の発達によりましてほとんど羽田に参るわけであります。従いまして、特に商業映画はほとんどが東京と申してもよろしいかと思います。そのほかのものにつきましても、圧倒的な部分が東京税関の所管のところに入っておる、かようになっております。
○安井(吉)委員 そういたしますと東京税関以外でも入ることはあるわけですね。
○稲益政府委員 時たま船で横浜あたりに入るということも間々ございますが、ほとんどないと言ってもよいくらいなものであります。
○安井(吉)委員 最近年度の税関を通った数、そのうちどの程度がひっかかったかということですね。数字的な内容をちょっとお知らせをいただきたいと思います。劇映画だとか、ニュース映画だとか、その内容分類ができれば……。
○稲益政府委員 東京税関で映画フィルム関係で検査をいたしました件数を申し上げますると、三十五年でありますが、長編の劇映画が六百七十七本、短編の劇映画が三百四十一本、ニュースが二千百二十本、テレビ関係が三百六十五本、その他二百三十三本、合計三千七百三十六本が一応検査の対象となっております。そのうち三十五年で輸入映画等、審議会にかかりましたものの本数でありますが、三十五年におきましては、八本が一応輸入映画等審議会に諮問されたものであります。
○安井(吉)委員 その八本の処理でありますが、カットされたとか、積み戻しされたとか、その処理の内容はどうですか。
○稲益政府委員 ただいま申し上げました輸入映画等審議会に諮りましたものの中で一部を積み戻しましたものが二件であります。一部の積み戻しです。それから全部を積み戻しましたものが二件であります。それから、一応検査の対象として審議会に諮りましたが、パスして輸入を許可いたしましたものが二件であります。それから現在留保中のものが一件ございます。それからいま一件が一部を削除いたしたものであります。
○安井(吉)委員 いわゆるカット上映というふうな運びになったのは一部積み戻しと一部削除、この部分ですか。いろいろ問題になって、カットだけしてそれで上映を許したというやつですね。
○稲益政府委員 いわゆるカットと申しますのは、ただいま申し上げた中では一件該当があるだけでございます。一部積み戻しと申しますのは、これは非常に問題が厄介なんでありますが、同じような場面を撮影したものを二本持って参りまして、こちらはどうか、こちらはどうかといったような形ではかって参るわけであります。その場合に、こちらはオーケー、これはちょっと工合が悪いというような意見を出しますると、そのいけないと言われた方は積み戻しておる、そういった意味の積み戻しであります。
○安井(吉)委員 そこで、東京税関が中心だそうでありますが、監視組織といいますか、機構といいますか、税関の監視部ですか、いろいろ検査をお運びになっておりますスタッフの状況、それから輸入映画等審議会の内容、設備、そういったものについて概括知りたいと思うのですが、お話し願いたいと思います。
○稲益政府委員 主としてやっております東京税関の場合で申し上げますと、東京税関の監視部に図書調査課というのがございます。課長以下職員がたしか八名であったと思いますが、もっぱらこの方面の仕事に従事しておるわけでございます。これが税関の検査の機構でありまするが、それから輸人映画等審議会、今任意に設けておりますこの審議会は、委員長以下八名の委員の方を委嘱申し上げておるわけであります。施設と申しましても特別の施設はございませんで、税関の何と申しますか、保税の扱いをいたしております試写場で試写を行なうということでやっております。
○安井(吉)委員 試写室はあるのでしょうけれども、そこにはどの程度の設備があるのですか。たとえば十六ミリや三十五ミリはあるでしょうけれども、画面の大きなフィルムを写す施設、シネマスコープですね、あるいは最近のテレビなんかで使われておるビデオテープといったものはどういうふうにされておりますか。
○稲益政府委員 試写室と申し上げましたが、実は税関が特別に国有のものとして現在試写室を持ってはおりません。実際やります場合には商業映画が主でありますが、商業映画の場合には、輸入業者が国内の配給業者に販売するために試写をやるわけであります。一応商業目的の試写でありますが、その際に便宜保税の扱いで税関が検査をしておる、こういう形でございます。
○安井(吉)委員 ビデオテープなんかもそういうふうにされるわけですか。
○稲益政府委員 ビデオテープとおっしゃる意味はテレビ・ニュースの意味ですか。
○安井(吉)委員 テレビに使うものですね。
○稲益政府委員 これは時間的に非常に迅速に処理しなければならぬ問題がありますのと、ニュースの性質から、それほど内容を厳密に見るということも必要性が薄いわけなんです。従いまして、時間の迅速性をたっとぶという意味におきまして、できるだけその内容の書面審査ということで済ましておりまして、もし問題があるような場合には、それを試写するという形で現実には処理いたしております。
○安井(吉)委員 そこで、検査のやり方でありますが、これは審査基準というものも作りにくいし、なかなかやりにくい問題であろうと思うわけです。この間も資料をいただいておりますけれども、その判断をすることに非常な困難がある場合がずいぶんあるのではないかと思いますが、これはあとでさらにまた問題としてただしたいと思います。 そこで、もう少し検査のやり方について伺いたいのでありますが、入ってきたものを、さっきのお話では去年一年で三千七百三十六本ですか、これを全部試写してごらんになるのですか。
○稲益政府委員 三千何本と申し上げましたが、その中には先ほど申し上げましたようなテレビ・ニュースといったものもあるわけであります。そういうものを除きまして、劇映画関係は全部試写をいたしております。
○安井(吉)委員 実際もっとひどいのが逃げておるというような事情はないのですか。
○稲益政府委員 逃げておるとおっしゃいます意味がちょっとあれなんでありますが、フィルムそのものが貨物として全然税関の目にとまらないで密輸入されたといったようなものは、税関として私どもの手落ちで大へん遺憾なのでありますが、それを除きましてはそういう事例はないと確信いたしております。
○安井(吉)委員 これは映画だけではなしに、書籍、図画その他というふうになっておりますが、映画以外のものについてはどういうふうにされておりますか。
○稲益政府委員 主として問題になりますのは、わいせつ関係の図画と申しますか、写真、そういったたぐいのものであります。一般の書籍ではほとんどこういうことで問題にされたものはございません。もっぱら写真と申しますか、図画の関係のもの、それも主としてわいせつ関係のものであります。こういうものが若干問題にされ、また没収になったものがあります。
○安井(吉)委員 問題にされる、されないではなしに、私が聞いておるのは検査をしておるかどうかであります。
○稲益政府委員 一応二十一条の該当物件でありますので、検査はいたしておるわけなのであります。ただ現在問題になったという事例はほとんど承知しておりません。 それから、写真の関係では比較的問題があるものですから、この関係は現実にかなり何と申しますか、厳重なと申しますか、念入りな検査をしておるということであります。
○安井(吉)委員 ネガティブの形で入ってくるフィルムはどうなのでありますか。
○稲益政府委員 一応保税のところに入れまして、そこでプリントいたしまして、それを試写しておるわけであります。
○安井(吉)委員 プリントも、そのフィルムによっていろいろ特殊な条件が必要なフィルムもあるのではないかと思うのですが、それもみな保税倉庫で一ぺんにやらせるのですか。どんなフィルムもそうですか。
○稲益政府委員 業者がプリントしますその工場を保税倉庫にしまして、それでやっております。
○安井(吉)委員 そこで、いわゆるカットの問題でありますが、そのやり方は、税関が自分でお切りになるのか、どういうふうにやるのですか。一定の映画がありますね、それをカットするやり方について、もう少し詳しくお話し願いたい。
○稲益政府委員 税関が検査をいたしまして、この部分は二十一条の一項三号違反であるという一応の判断をいたしますると、輸入業者にその旨を通知するわけであります。輸入業者の方で自発的に積み戻すなり、あるいは自分の方で切るという措置をとられた場合は、それで済んでおるわけであります。もし、輸入業者の方で、いや自分の方としては税関の判断に不服であるという意味で、自発的にそういう措置はとらぬと言われました場合には、事実上任意に設けております今の輸入映画等審議会に諮りまして、税関の意見はこうでありますが、輸入業者は不服がありますという意味で、御審査願っておるわけでございます。その結果、やはりこの部分は削除すべきであるということになりますと、最初その旨を輸入業者に知らせまして、その後の措置といたしまして、法律上は没収または廃棄、積み戻しという規定があるわけであります。現実にはこういった思想の表現でもございまする関係から、任意に放棄をしてもらう、あるいは積み戻しをしてもらうといった措置を事実上の問題としてとっておるわけでございます。
○安井(吉)委員 劇映画の場合には手続に時間がかかりましても、検査をされる方の立場もある程度許されるかもしれませんけれども、特にニュース映画なんかの場合は、空輸でネガで入ってくるのが大部分でないかと思います。特にテレビ・ニュースの場合、放送までの時間が急がれる。しかし、そこで引っかかって、輸入映画等審議会の方にかけて審議をしなくちゃならないとか、いろいろなことで手間取って困ったというような例はありませんか。
○稲益政府委員 テレビ・ニュースの場合でありますが、先ほど申し上げましたように非常に迅速を要するという貨物の性質を十分尊重いたしまして、できるだけ内容を掲げてあります書面による審査で済ましておるというのが実情でございます。そういう意味で、直接引き取るのに時間がかかって御迷惑をかけたという事例は私まだ聞いておりません。
○安井(吉)委員 今までテレビ・ニュース映画で問題になったのはありませんか。たしかコンゴの動乱でしたか何か過去にありませんでしたか。
○稲益政府委員 ニュース映画関係の一部を削除するといったような問題は現実に起こっておりません。ただ私どもの承知いたしております限りでは、こういう御要望があったわけであります。航空機で夜中に入って参ります関係で、それの現場での監視官と申しますか、羽田でその内容について若干上司の判断を仰ぎたいというようなことで、時間が少し延びそうになる。それで、そういうことは困る、現場限りでああいう場合にも迅速に処理してほしいという意味の要望は伺ったことはあります。そういう点につきましては、今後は現場限りで、責任者を置きまして、できるだけそういうものが処理できるようにはかりたい、かような趣旨で現場の方にもそういうことを申し伝えてあるわけです。
○安井(吉)委員 コンゴといったのは間違いで、キューバ革命裁判とその処刑のときの何かワン・カット、一メートル五十二センチ、それからカルカッタの暴動ですか、これは去年であったと思いますが、これも何かカットされておる。そういった例を聞くわけですが、どうですか。
○稲益政府委員 私どもの方で削除という事例はまだ私聞いておりません。ただ御指摘のキューバの動乱関係のものでありますが、これは一ぺん通関をいたしまして、輸入許可いたしましたあとで、いろいろ逆に税関の方に投書も参って、ああいう残酷な場面のものについて税関の検査が少しおかしいのじゃないかと逆に言ってきたわけであります。従いまして、今後のこともありますので、その旨を自後において注意的にそちらの方に申し上げて、その後その上映を一部だけやめられたというふうに聞いておるわけであります。
○安井(吉)委員 カルカッタの暴動のフィルムはどうなんですか。これは輸入映画等審議会にかけたことはないのですね。それから輸入映画等審議会にはそのニュース映画の関係の人がメンバーに入っているのですか。
○稲益政府委員 まずニュース映画の関係で審議会にかかったかというお話でございますが、これはまだ前例がございません。それから、現在の、審議会の委員の方々には、特にニュース映画関係として委員を委嘱しておることはございません。
○安井(吉)委員 今後もそういった問題がたくさん出てくると思うのです。今度は審議会のメンバーが拡充されるようですが、新しい審議会のメンバーの選定なんかについてどういうふうにお考えですか。
○稲益政府委員 先ほど申し上げましたように、現在は会長以下八名の委員の方々を委嘱申し上げておるわけでありますが、今回法律で十五名以内ということで、私どももできるだけ適当な方を、委員としてお願いいたしたいと思っております。現存の委員の方々も従来ともに非常に御尽力いただいたわけであります。私どもとしましても、また新しい角度からできるだけ公正な判断が出ますように、そういう意味で人選につきまして工夫を重ねたい、また委員の方が御就任いただけなければ無理でありますが、できるだけそういう面からお願いしたいと思っております。
○安井(吉)委員 そうすると、各方面の輸入映画に関係のあるような人を網羅したい、そういうお気持ですね。
○稲益政府委員 映画に直接関係のある方ばかりでありますと、必ずしも法の目的とする運営が正しく行なわれるかという点に問題があろうかと思いますので、第三者的なと申しますか、そういった公正な意見を出していただけるような、俗な言葉で申し上げますれば、世間がその結果について一応だれでも最大公約数として納得ができるといったような判断を下していただけるような方々を中心にしたい。もちろんたとえば映倫の方でありますとか、そういう関係の非常に密接なつながりのあることに携わっておる方々からも委員を委嘱したいと考えております。
○安井(吉)委員 輸入映画等審議会はどれくらいの割合で開かれておるのですか。月に何回くらいとか……。
○稲益政府委員 最近の調べで申し上げますと、たとえば昭和三十四年は三回開かれております。それから三十五年で五回であります。三十六年はまだわずかでありますが、一回だけ開かれております。
○安井(吉)委員 そういたしますと、実際はほとんど税関の検査官の手で行なわれているということですね。そう考えて差しつかえありませんか。
○稲益政府委員 大体税関の方でこの部分はたとえば残虐でありますとかわいせつでありますとか、そういうものに該当するということで、かなり極端な場合でありますので、輸入業者と話し合いと申しますか、その旨を通じまして、輸入業者の方の納得を得て、審議会を開かないで、問題のものが削除されておるということがあるわけであります。それから、検査の対象になりましたものが三千本以上でありますが、数字的に申し上げますと、ほとんど大部分が実際は問題がないということになるわけであります。
○安井(吉)委員 最近の「処女の泉」ですが、その映画のカットの問題が週刊雑誌なんかにあるものですから、私も知っているわけなんですが、その審査は、あれはどこでやられたわけですか。
○稲益政府委員 ただいま御指摘のものにつきましては、私のただいまの記憶では、東京税関からの話では審議会にかけたと承知しております。それにかけた結果一部を削除したものということになっております。
○安井(吉)委員 税関の検査が何か一つの基準によって部分的なことに集中した検査で、全体的な俯瞰の上に立って問題を処理するという点に欠けているというような気がするのですが、その点はどうですか。
○稲益政府委員 削除いたします場合にも、全巻を見ました上でやっておりますので、そういう一部だけを見て削除するといったようなことはやっておりません。
○安井(吉)委員 「処女の泉」という映画を税関部長はごらんになりましたか。
○稲益政府委員 非常に問題になったということでありましたので、私、見に参りました。
○安井(吉)委員 まああの問題のシーンは、私も質問する関係で封切の日に見に行きました。入場料二百三十円です。あの映画を見ていると、悪税入場税撤廃という字幕がぱっと出て参ります。その「処女の泉」での問題点というのは、一部で史上最大の強姦シーン、そういうようなことでこれは問題が出てきた映画だそうでありますが、しかし、あの映画の全体的には中世スェーデンの民話がその主題で、非常に内容は敬虔な宗教映画ですね。そこで、その出てくるけがれのない一人の処女が三人の羊飼いによって強姦をされ、そして殺されてしまう、それによって父親が最後に娘のあだを討って三人の悪人を殺してしまう、そして娘のなきがらにざんげをして、その自分の人殺しの罪の報いとして、そこにりっぱな教会を建てるということを誓う、すると、その娘のなきがらのところからこんこんと泉がわき出てくる、そういったようなことが映画の筋のようであります。ところが、そういうふうな全体的な筋の運びも、結局税関のカットの対象になった強姦の場面があるということで、その場面というものが非常にあくどいからこそ、その他の父親の行為やあるいはまた宗教的な雰囲気をあの映画の場面全体に盛り上げていくという効果が現われてくるわけですね。ですから、強姦の場面というのは、これはもう非常にむごたらしいし、もしそのむごたらしさがなければあの映画はゼロだということになるわけですね。私はどういうふうなところが切られているのかそれはわかりませんけれども、だから、何か全体的な配慮というものがなしにあの場面を切っているのではないか。というのは「週刊新潮」という雑誌がありますが、そこでその「処女の泉」の問題を取り扱っております。そこで片桐税関長の話として、あの場面について、あれではあの強姦の場面はあまり露骨で、まねする人が出たりしますよというふうに言ってる。しかし、私は、あの強姦の場面というのは、全体的なあの雰囲気の中では、見ている人は、まねするどころか、あの場面によってへどをはきたくなる、そういったような思いがする部分ではないかと思われます。だから、税関長が、これはまあ雑誌の記事からのお話でどういうふうな表現をされたかわかりませんが、まねする人が出てくるかもしれませんよというそういう言い方は、これは税関長の全体的な見方というのが、ほんとうの部分的なその一つのシーンだけを中心にしてその映画全体を評価しようとするようなことが、この税関長の一つの言葉からも私は感じ取ることができるような気がするのです。だから、あのシーンというのは、決してこれはエロといったような雰囲気ではないわけです。おそらくそれは問題の個所だけを切り離して何回も何回も見たのでしょう。それだけを切り離して見れば、それは非常にわいせつな、そういったような感じもあるいは出てくるかもしれません。しかし、全体的な雰囲気の中では決してそうではないと思うわけです。わいせつなといったような感じの中にはないと思うわけです。私は、そのような意味から、どうも検査のやり方が部分検査に走り過ぎて、全体的な映画の芸術性だとか、その表現を尊重するとか、そういったような考え方が少し足りないような気がするんですが、その点いかがですか。
○稲益政府委員 仰せのようなやり方をしておるといたしますと、確かに問題があろうかと思います。東京税関長がどういう趣旨で雑誌にそういう発言をしたか、私まだ聞いておらないのでありますが、仰せの通り全体の中で判断すべき問題だと思うのであります。それから、いま一つは、これは大へんむずかしい問題でありますが、人によりましてこういうものに対する判断が非常に微妙に分かれる場合が多かろうと思うのであります。従いまして、そういう意味におきまして、税関で私どもだけがそういうものを見て判断するということでなく、やはりできるだけ立場が若干異なったような方々がいろいろな角度からごらんになって、その結果やはりこうだといったような判断を出していただきたいというふうな趣旨におきまして、今後はますますこの審議会の活用を私どもはかって参りたい、これによりまして公正な判断が出ますように、そういう考えで運営をして参りたい、かように考える次第でございます。
○安井(吉)委員 しかし、私は税関部長のお話は間違いじゃないかと思うのです。輸入映画等審議会はそういう審査権を与えていないじゃないですか。単なる異議の審査機関、それだけにすぎないじゃないですか。だから、年にたった三回か五回しか開かれていないということになるのでしょう。実際は税関がおやりになっておるわけでしょう。
○稲益政府委員 先ほど言い方がちょっと足りなかったかもしれないと存じますが、要するに、審議会の開催回数が非常に少ないのは、実際問題になる映画が少ない。それから、問題になりました場合も、輸入業君の方でも、やはり自分の方でこれは削除しようというふうに、税関の申し出にすぐ応じられた場合には、審議会は開かれないのであります。大体がそういうふうな問題が少ないところへ持って参りまして、そういうふうに自発的に削除することに同意されるという場合も多いわけでありまして、その残りが、輸入されたご本人が削除するのになお不満であるという場合に、私どもの方で審議会にすべて諮っておるわけであります。そうしまして、審議会の方々の御意見の結論に従って私ども処理をいたしておるのが実情でございます。
○安井(吉)委員 そこで、カットという問題について私は今劇映画の一つの例をあげたんですが、そうでなくても、たとえば「わが闘争」なんかも、これはあとで切ったんですか。何か実際はあの上映されたフィルムは切られておるそうですね。ところが、たとえばヒトラーの行なったああいったような残虐行為の場面がカットされるというようなことによって、これはニュース映画の場合にもそうでありますが、さっき申し上げましたキューバやカルカッタの暴動や革命、そういったようなもの、その中に行なわれている残虐行為をカットしていく、それもオーバー・カットといったような形が行なわれる。そういうようなことになりますと、その映画を見に行った人は、ヒトラーというのはひどいやつで、とんでもないことをやっているのだ、しかし、見てみると、非常にひどい場面というものはカットされて、ないのですから、思ったより大したことをやってないじゃないか、そんなようなことから独裁主義に対する同情がそれからすぐ沸いてくるとは言いませんけれども、しかしながら、そういうふうな意味では、残虐場面だけを切ったということは、一つの思想の問題につながってくることになるのではないかと思います。たとえば池田総理という人がもし独裁主義者になったならば、ああいうような映画はおそらく公開しないことにしたでしょう。ですから、税関の方では思想の検査にはわたっていないと言われているけれども、しかしながら、結局間接的には思想検査に内容がわたっているということ、こういう点もわれわれは非常に重大視しなければいけないと思うわけです。今言ったのは、これは一つの例でありますけれども、この私の言い方に対しましてどういうふうにお考えでしょうか。
○稲益政府委員 全般の問題がございますが、ただいま例としておあげになりました「わが闘争」でありますか、この場合におきましても、あの長編の中で削除になりましたものは二十一秒程度の映写時間のものでありまして、非常に極端な残虐な場面、その部分だけを削除いたしておるわけであります。すべり台で死体を壕に落とすという場面の死体が大写しになっておるといった非常に極端な場面であります。そういう部分だけを削除しておるということでありまして、お説のように、その映画の全体の意図するところ、全体の構成といったものをこわすところまで削除するといったようなことは、私ども考えておりません。そういったことから映画の趣旨がそこなわれるというようなことになりますと、これは非常に大きな問題だと思います。私どもとしましては、必要最小限のそういった場面を削除した、かように考えておるような次第であります。今後の運営におきましては、おっしゃいますような全体のそういった映画の意図といったようなものをこわしたり、そういった意図でもって削除するというような考えは毛頭持っておらないということを申し上げておきます。
○安井(吉)委員 強姦をすることはいけないのだ、人殺しをすることはいけないのだという映画には、必ず強姦の場面や人殺しの場面が出てくるし、ヒトラーの独裁主義や、このような暴虐の行為はいけないのだというようなことになれば、そういったような場面は必ず出て参ります。そういうような意味で、主題の方向がこわされることでは重大な問題だと思います。これは、あとから入りますあるべき姿という問題ではなしに、私は今現実に行なわれている問題についていろいろ伺って参ったわけであります。 そこで、今度は法律上のいろいろな問題になるわけでありますが、法律の今度の改正の条文を見てみますと、「公安又は風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品」ですか、この規定そのものにはほとんど加えられていないようであります。 〔細田(義)委員長代理退席、委員長着席〕 全然改正も行なわれていないようでありますが、この表現の中で映画は一体何に入るわけですか。
○稲益政府委員 「その他の物品」の中に入ります。
○安井(吉)委員 これは、立法技術といいますか、法律表現の問題でありますけれども、現実には今一番税関で問題にされているのは映画でしょう。この例示の中に「その他」というのは、これは全体的の輸入禁制品の中の一つの例示でしょう。「公安又は風俗を害すべき」という中の一つの例示でしょう。ところが、実際は映画だけを目のかたきにされている。しかも、あとの条文の中に「輸入映画等審議会」なるものをお持ちになっている。それくらい目のかたきにされている映画という言葉を禁制品の中に一つもお入れになっていないわけですが、この立法表現の問題はどうですか。これは法制局の方ですか、どうですか。
○山内(一夫)政府委員 御承知のように、映画は相当大きな検査の対象になっておるのでありますが、この条文はずっと長くございまして、そして映画も当然対象になってくるのだという解釈をすでに確立しておりますので、この際特にそのためにわざわざ改正する必要もないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○安井(吉)委員 この規定は、明治四十三年ですか四年ですか、あれ以来の古色蒼然たる規定です。それを相変わらず持っている。しかし、今度はきわめて近代的な輸入映画等審議会を法律の中にはっきりお入れになった。こういった際に、もしそんなに目のかたきにされるなら、あくまで映画を中心にして、検査をやるのだというお気持があるならば、この中にそういった言葉を入れるのがほんとんだと思う。それは表現の問題ですが、そこで輸入映画等審議会の「等」という言葉は、これは一体何を意味されますか。
○稲益政府委員 三号で対象としておりますものは、ただいま御指摘のように「書籍、図画、彫刻物その他の物品」ということで、映画だけではないのであります。現実に検査の対象として実際検査しておると申しますのは、先ほど申し上げましたように、映画のほかには写真なんかがあるわけであります。そういう関係で、映画だけではないということで、「映画等」としたようなわけであります。
○安井(吉)委員 そういたしますと、いわゆる三号物品全部が入るわけなんですか。
○稲益政府委員 その通りであります。
○安井(吉)委員 そういたしますと、今私ちょっと小さな問題かもしれませんが申し上げたのですが、三号の規定では「書籍、図画、彫刻物」というのが例示としてあがっていて、そして「その他」、あとの審議会を設ける段階では「等」の方の映画だけが先に出て、あとはみな「その他」です。だから、私は、こういう規定のあり方が表現技術として少しおかしいのじゃないか、そういうような気がするわけです。それはそれとして、この第三号物品で「等」という内容でありますが、実際は映画と写真と、それだけですか。そのほか何がありますか。
○稲益政府委員 法律的に申し上げますと、これは一応三号のものが全部入るということであります。ただ私ども先ほど申し上げましたのは、現実に大体映画が主であって、そのほかに写真といったようなものを税関の方で検査の対象としてやっておりますので、そういうものが主であろうということを申し上げたわけであります。
○安井(吉)委員 この第三号の規定の中で、映画の場合には、先ほど来のお話では風俗を害する、そこに力点を置いて考えておられると言われますが、公安を害するといいますか、これはどういう意味ですか。
○稲益政府委員 一応私どもここで公安を害するということで考えておりますものは、日本国憲法またはそのもとに成立いたしました政府を暴力で破壊することを主張し、または扇動し、その他暴力主義的破壊活動に該当する表現を有するものということでありまして、破防法の四条の関係のもの、そういったものを大体公安を害するものというふうに考えておる次第であります。
○安井(吉)委員 法制局の方に伺います。
○山内(一夫)政府委員 私の方もその通りに考えておりまして、むしろ大体というよりも、それに限定されるものと今は了解しております。
○安井(吉)委員 今までの段階で、これが適用された例はありますか、戦後と戦前に分けて。
○稲益政府委員 ちょっと戦前の記録はここにないのでありますが、戦後では、ございません。
○安井(吉)委員 しかし、将来は出てくるとお考えですか。
○稲益政府委員 私ども、現在のところほとんどこれに該当するようなものが出てくるということはまずまずない、かように考えております。
○安井(吉)委員 まずまずないのなら、一つこの際、改正の際に削ったらいかがですか。
○山内(一夫)政府委員 まずまずないという判断自身が一つの見通しでございますが、理論上におきましては、今の税関部長が申し上げました文書は、これは輸入すべきでないという理論上の根拠に立っておりまするから、将来見通しとしてないということは考えられますけれども、理屈の上からいって、あり得ないことでないと思いますので、このまま存置していきたいと考えます。
○安井(吉)委員 どうもおかしいのです。理屈の上にあり得ないのなら、やはり削るのがほんとうじゃないですか。将来公安検閲をやる気があるから、やる余地を残そう、そういうお気持があるからじゃないですか。
○山内(一夫)政府委員 理論上あり得ないと申し上げたのではなくて、上あり得ると申し上げたわけでございます。
○安井(吉)委員 しかし、私の今の質問は、やれる余地はやはり残しておきたいということでしょう。
○山内(一夫)政府委員 残すべきだというふうに私は思っておるわけであります。
○安井(吉)委員 これはあとの憲法論議の中で非常に重大な問題だと思いますので、あとに残しますが、今度の改善についての手続の改正は、この委員会で前に決議もなさっておられるわけで、それをくんで改善をしたというふうに大臣の趣旨弁明の中にもございます。しかし、それはただ形の上のいわゆる改善措置でしょうが、しかしそれで検査そのものの実態を妥当化するものではないと思います。だから、手続の改善ということと、検査そのものの本質論とは一応別だというふうに私どもには考えられるわけです。だから、あとで問題になって参ります違憲性というその実態を、むしろ改善という名のもとに包んでしまおう、そういうような気がするわけであります。そこで、この問題の違憲性といったようなことについて、もう常に委員会でも、この委員会だけではなしに、参議院でも、あるいはその他の委員会でも論議がかわされ、あるいはまた学者の学説等も否定的なものが非常に多いわけであります。そこで、検閲という意味でありますけれども、これは一体どういうふうに理解すればよろしいわけですか。検閲の方です、検査じゃなしに。
○山内(一夫)政府委員 憲法二十一条の検閲の趣旨でございまするが、一定の思想等を表現したところの文書等を頒布する前に、国家の機関がその内容を審査いたしまして、妥当を欠くと思うものの頒布を禁止する、そういう制度をさしておるものと、かように考えております。
○安井(吉)委員 今の税関検査が憲法に完全に疑儀のない姿で行なわれておるというふうな考え方でやっておられるのか、それとも、違憲の疑いがないのではない、しかしながら今の段階では諸般の事情からやむなくやっているのだ、そのどちらでしょう。どういうふうにお考えでしょう。
○山内(一夫)政府委員 一応形式的には二十一条の問題になり得ると私どもは思っておるわけでございます。しかしながら、輸入という社会現象の特殊性からいたしまして、現行法、またそれを改善いたしました改正法案の検査制度というものは、結論から申し上げれば、合憲であると、こういうふうな理解のもとに改正法案を御提出申し上げた次第でございます。
○安井(吉)委員 いや、もう少しそこをはっきり伺いたいわけでありますが、はっきりどこから見ても合憲的なものか、あるいはまた、ある程度疑いがあるが、今の段階ではいろんな事情から考えてみればやむを得ぬと思っているのか。この二つの私の言い方のどちらにウエートを置いてお考えでしたか。
○山内(一夫)政府委員 はっきり合憲だというふうに思っておるわけでございます。現在置かれた、臨時的と申しますか、一時的な事態のもとに、これはやむを得ないというふうに理解しておるわけではございません。
○安井(吉)委員 そうすると、どこからつついても違憲という判断は出てこないと、そういうふうに考えたということですね。
○山内(一夫)政府委員 先ほど先生が御指摘になったように、有力な学者も、この違憲性を指摘しておる人はあるわけでございます。そういう意味において、これは議論の対象となるということは私どもも考えておりまするが、合憲性そのものについては私どもは確信を持っておると、こういうふうに考えておるわけであります。
○安井(吉)委員 そこで、そのいわゆる違憲論、合憲論の理論的な根拠の問題になるわけでありますが、公共の福祉の規定からこの問題を持ってこられる場合もあるし、いろいろな言い方がされるわけでありますが、法制局の見解はどういうふうなところに基礎を置かれておるわけですか。
○山内(一夫)政府委員 結局におきまして、この税関検査と申しますか、輸入と申しますか、そういった制度なり社会現象の特殊性から御説明せざるを得ないと思うのでございまするが、外国から書籍等が輸入されます場合において、当該の書籍等が公安または風俗を害するものであるという場合におきまして、外国においてそれを製作する場合におきましては、わが国の刑事法規の担保というものが事柄の性質上ないわけでございます。従いまして、関税制を設けて、一定のところで検査をいたさない限り、輸入禁止という実体的な規定自身の実効性がないというふうに私どもは考えざるを得ないわけでございます。そうして、そこで検査をいたしました場合に、検査をしてそれが公安または風俗を害するものである、こういう認定をいたしました場合におきまして、制度としては、この通関を一応輸入者の自由にいたしておいて、それを刑事手続でその責任を追及する方法と、事前に行政処分といたしまして不許可をいたす、こういう方法が理論的には二つ考えられるわけであります。刑事手続をいきなり適用していくというふうな制度にいたしますれば、一応事前検閲の非難を免がれることになるのでありますが、そういたしますると、どうしても刑罰をかけるか、かけないかという、輸入者にとっては非常に危険の多い法的な効果を争わせることになるわけでございまするから、一応そこで不許可処分にして、その適法性を、異議の申し立てなり、その後にきますところの裁判によって争わせて、そして税関の処分が裁判所において敗れました場合には、その不許可処分を取り消して通関させるという制度が最も合理的である、こういう考え方に私どもは立っているわけでございます。
○安井(吉)委員 どうも今の御説明は倫理的にも何か少し矛盾があると思うのですが、それはあとにいたしまして、税関部長はどういうふうにお考えですか。
○稲益政府委員 私どもの法律解釈としましては、法制局とも十分協議をしておりますが、私、お答えいたしますとすれば、全く同じような考え方でございます。
○安井(吉)委員 公共の福祉を中心にして税関部長はだいぶ憲法調査会なんかで御説明されているようですね。きょうはそれを持っておりますけれども、憲法調査会で何か呼ばれてお話しになっておりますね。その報告書によりますと、公共の福祉を中心にした論議で終始されているようです。それから、去年のこの委員会で佐藤大蔵大臣の堀君に対する答弁の中でも、やはり公共の福祉を中心にして論議をされているように思うわけでありますが、公共の福祉のため最小限度の制約はやむを得ない、おそらくそういうふうな論議からこの検査の合憲制を説明されている。その考え方は今でも税関部長はそうなのですか。
○稲益政府委員 その点は、私どもとしては現在でもさように考えております。憲法十二条、十三条の精神でおのずからそこにやはり限度があるという考え方であります。
○安井(吉)委員 法制局の見解はどうなのですか。
○山内(一夫)政府委員 税関部長が憲法調査会でお答えになりましたこと、あるいは佐藤大蔵大臣がお答えになりましたことは、これは法制局と何回も連絡した上であります。従いまして、要約して申し上げますれば、私もそのように考えまするが、さらに付加的に説明いたしまするならば、現行関税法の百九条の規定というのがございます。これは今の関税定率法二十一条の禁止の担保になっているところの罰則でございますが、輸入禁止ということ、それからもう一つはこの罰則のあること、そしてこの禁止を担保するために税関が検査しなければならないということは、これは公共の福祉をもって当然説明できることと、私どもは理解しておるわけでございます。それで、この制度を担保いたします場合におきまする許可制度の問題が今の事前検閲になるかどうかということが、憲法二十一条との関係で問題になるわけでございます。そういうわけでございまするから、公共の福祉をもって説明できるのは、今の定率法の二十一条と関税法の百九条でございます。あとそれを刑事手続で持っていくか、行政処分、不許可処分の当否を裁判で争わせるという制度で扱いまするかは、これは一つの条理の問題として私どもは現行法ないし改正法の内容が正しいものである、こういうふうな考え方でおるわけでございます。
○安井(吉)委員 私も、国内にエロ映画やろくでもないような映画がたくさんあって、それが特に青少年等に悪い影響を与えたり、そういうような事情については、これは人一倍憂えている者です。特に輸入映画でそういうようなものに入ってきてもらいたくありません。そういう立場は同じなんですけれども、しかし、私どもは、今の憲法がある限り、この税関の行政行為そのものには問題が残ると思うのです。表現の自由というのはもちろん憲法二十一条で保障はされているわけでありますけれども、しかし公共の福祉のために利用する責任がある。その責任に違反した行為を許しておくわけにはいかない。これは私も同感です。だから、刑法の百七十五条でしたか、わいせつ文書頒布罪、そういったようなものも、これは合憲とされていると思うのです。そういう責任の規定に違反した行為は許しておくことはできないわけです。しかしながら、違反するかもしれない、そういうような立場からそれを検査することは、いわゆる「検閲は、これをしてはならない。」ということは、これは憲法第二十一条第二項でぴしゃりとはっきり規定しているわけです。だから、これは、違反をしたというその事実に対しては、憲法はちっともそういう保障をする必要はないという立場だと思うのです。しかしながら、「検閲は、これをしてはならない。」というはっきりした言い力は、事前において違反するかしないかを調べる権限まで憲法は行政官に与えてはいないと思うのです。どうでしょう。
○山内(一夫)政府委員 関税定率法の二十一条がありまして、それを担保するところの先ほど申し上げました関税法百九条があるわけでございます。当該物品がそれに該当すれば、関税線を通過したときにすでに違反行為になるわけでございまするから、違反のおそれがあるということでなくて、すでにそれをそのまま通過させれば違反になると確定的になっている事態をとらえておるわけでございます。
○安井(吉)委員 これもずいぶん疑義があると思うのです。関税定率法や関税法の規定から逆に憲法の問題の類推をなさろうとしている。憲法の方が上だと思うのです。憲法が先にあって、あとから法律ができるわけです。それを、先ほどのあなたの論議の中でも、関税定率法なり関税法の中の規定がどうだこうだからというので、憲法の問題をあとから引き出しておられる。これは話の筋道の立て方が私は逆じゃないかと思うのです。そこで、この公共の福祉という論議だけでは、これだけで問題を通していくとすれば、先ほどの税関部長や、あるいはまた私が去年の佐藤大蔵大臣の答弁等を記録の中から読んで感ずるところでは、これは法制局の方と見解を統一されているのかもしれない。しかしながら、あのときの大蔵大臣の話だとか、それから私がこの間の本会議でこの問題を質問したときの水田大蔵大臣の答弁も、公共の福祉だけで問題をぱっと片づけておる。だから、私は、法制局の方のいろいろな見解が大蔵当局の中に――それが完全に意見が一致していなければ、違憲論は向こうがやるのだ、こっちはこっちでやるのだ、こっちはただ仕事さえすればいいのだという考え方ではいけないと思うのです。だから、公共の福祉を守るためには、これはやむを得ないのだというふうな考え方でもしおられるのだとすれば、今エロ映画もずいぶん放任されておりますけれども、しかし、外国からくるものよりも、国内で製造したものの方が多いのじゃないかと思うのです。公共の福祉を守るためには、検閲的な行為もある程度やむを得ないのだとすれば、国内にもどうしてもやらなければいけないということになるじゃないですか。国内のそういったものに対する検閲についての考え方はどうなんですか。
○山内(一夫)政府委員 国内においては検閲制度を立てるべきではありませんし、立てるつもりもございません。輸入の場合は、外国で、わが国の権力の全然及び得ないところで作られるものが、国境線を越えて、関税線を越えて国内に入ってくる。そういうことが、日本の国内において製作され頒布されておる社会的な実態を全く異にしているところから、この制度がどうしてもやむを得ないということを私どもは申し上げておるわけでございます。国内におきますれば、販売のためにひそかに製作して処理するものも、当然、先ほど先生がおっしゃいました刑法百七十五条の規定によりまして、刑事手続が直ちに開始できることになっておりますから、そういう意味におきまして、問題がないわけでございます。しかし、先ほどから繰り返して申し上げますように、外国におきましては、日本国の権力の、刑事捜査権の全然及び得ないその領域で作られたものが、国境なり関税線を越えてくるところに特殊な事態があるということを、私どもは申し上げておるわけでございます。
○堀委員 関連して。 今の法制局の見解は、その角度からいうと、公共の福祉に関する問題よりも、国内のそういう公権力の及び得る範囲の質的な相違によるものだということになると、私はちょっと問題が出てくるのじゃないかと思う。ということは、これは段階的なものでありまして、国内においても、たとえば映画が作られておる。そうすると、現在憲法で正しく映画は検閲がされない。そこで、具体的には映倫という自主的な機関を通して、そこで検討した結果上映をされておる。もしここにわいせつのものがあるとすれば、やはりこれは国内では刑法百七十五条の適用を受けることになる。それで、輸入をされた場合には、これはひそかに持ってきて、ひそかに公開の席上でないところでやるというのならば、取り扱いの問題がちょっと別ですが、税関を正式に通って入ってくることになれば、あなたのおっしゃるように、いつ、どこで、どこへ入るかわからないのではなくて、あらかじめ入ってくる道筋の経緯については、日本で映画が製作される場合と、アメリカでもどこでもよろしいが作成されて、それが正式な手続をもって税関を通ってくる場合と、その点であなたのおっしゃるような相違を大きく見る必要は何らないと思う。なるほど、できてきたものを、それにさかのぼって、その製作者に対して問題を処理するということが問題になるのならば別でありますが、問題は、そうではなくて、公開の問題の関連で、私はこの前の委員会でも触れましたが、表現の自由に関する問題は、製作者側にあると同時に、われわれ国民の側に表現の自由を確保する権利があるわけですから、その権利を確保するという面においては、国内の映画と外国の映画とがそういう意味で差別される必要はないと私は思う。だから、あなたがおっしゃっておる中に、問題をちょっと私が感じたことは、国内でできるものは、公権力でいつでもその製作をしておるところまで突きとめて、いろいろな対処をすることができるから、これはよろしい。しかし、国外でできるものは、外国には公的権力は及ばないから困るのだといっておる。そのこと自体と今の公共の福祉の利害の関係とは別個の角度になると思うのです。公共の福祉を害するという判断が生ずるのは、国民が見る地点で生ずるのであって、製作の過程で生ずるわけではないわけです。見たときに初めて公共の福祉が阻害されるとするならば、その阻害されるものは、刑法の百七十五条の適用を、国内であろうと国外であろうと同一の処理を受けるというのが、あなたの今の立論の趣旨からするならば当然ではないか。私はどうもそこのところははなはだ異議があるのですが、いかがですか。
○山内(一夫)政府委員 お答えしたことが先生のおっしゃったことの全面的な答弁になっているかどうかは知りませんけれども、私の申しますのは、国外から入ってくるときに、関税線をしいて一定の入ってきては困るというものを禁止するという措置が必要であるということが、国内の場合と違うということをまず申し上げたわけでございます。そうして、その次に、禁止されたものを、そこでもって行政処分の問題とするか、刑事手続の問題とするかということの択一の問題としては、これは前検閲の制度を考えるという問題が残りますから、これはまた別途にお答え申し上げなければならないと思いますが、非常に大ざっぱに言うと、関税線を設けるということが、基本的に国内の問題とは違うのじゃないかということをまず申し上げた。その点それで全面的なお答えになっているかどうか知りませんけれども、重ねて御質問があればお答えをいたしたいと思います。
○堀委員 今ちょっと安井君も触れましたけれども、私どもは今ここでしょっちゅう議論しておりますのは、第一に関税定率法第二十一条の規定そのものの中にすでに違憲性があるということを言っているわけです。だから、それに伴って、検査行為が、そういう行政行為が違憲になるだろう、こういうことを言うのであって、この法律自体は違憲ではないのだという前提に立つならば、そういう実体行為だけを取り上げてわれわれが違憲であるという議論をするならば、私は、山内さんの言われるようないろいろの問題は、そのあとならその通りあるだろうと思うのです。私どもが今いろいろ議論をしますのは、角度が違うのです。第二十一条の特に第三号のような規定そのものが、ここですでにもう違憲か違憲でないかという問題なんですからね。だから、それが違憲であるかどうかという議論をしなければならぬときに、これは法律として違憲でない法律がここにあるのだ、それからあとのこれに伴って起こる行政行為が違憲かどうかということになれば、それはあなたのおっしゃるような税関というものがしかれておる、これは禁止しておるのだから、そうすると禁止しておるものについては、今の六十七条で検査をしなければならぬだろう、次に百九条の罰則があるから、そうするとこうなるのだ、こういうことは、それは今の第二十一条第三号というものが生きておる限りは、一連の形としてあると思う。だから、われわれが議論をしておりますのは、この前もそうですけれども、第二十一条第三号そのものが、このような形でここに置かれておることが、違憲ではないかという議論なんです。だから、その面で話を進めていただかないと、話が完全に食い違ってしまうと思いますので、その点を一つ理解しておいていただきたいと思います。
○安井(吉)委員 少し論点を整理しなければいけないと思いますが、結局憲法第十二条、第十三条との関連から言えることは、言論の自由といえども、事後のいろいろな国家権力によるところの制約には従わなくてはいけない。しかし、事前の審査というようなことについては、これは許さるべきではない。この点ははっきりお認めになりますか、どうですか。
○山内(一夫)政府委員 憲法二十一条の解釈としては、今先生のおっしゃった通り認めております。
○安井(吉)委員 そこで、先ほどの部長のお話の中に、外国からの書籍等、外国での製作といったような問題にお触れになったわけでありますが、これは、今堀君の言われましたように、たとえば外国で作られたものであっても、それを国内で上映する、そういったような行為、つまり言論の自由という行為の中には、製作することと、それをいろいろな形で発表するという行為と、そのいずれも憲法の保障する表現の自由の行為に入ると考えるが、それはお認めになるわけですね。
○山内(一夫)政府委員 憲法の表現の自由の方は、表現者だけの自由を保障していると考える人もありますけれども、私は、基本的人権は、その表現の自由に接触し得る者の自由も保障しているのだというふうに了解しておるわけでございます。
○安井(吉)委員 たとえば新聞や雑誌の編集だとか、あるいはまた映画の上映なんというものは、そういうような権利も同時にやはり保障されているということでなければおかしいと思うわけですね。たとえば、雑誌の論文だって、外国人の書いたものも載っけるわけです。しかし、それは書いたのは外国人だからと言うかもしれませんが、その発表するということ、編集をするということ、そこに表現の自由が同時に認められる。このことも一つ大事なことだと思います。 それから、もう一つ、外国で日本人が製作した映画が、やはり税関に入ってくるとき調べられたという事例があるようです。こういうのはどうなんですか。
○山内(一夫)政府委員 先生の今の御質問は、はなはだ恐縮でありますが、ちょっと理解いたしかねましたので、その点をもう一度……。
○安井(吉)委員 日本人が外国で製作してきた映画、それがやはり税関で検査をされて、それによってカットされたという事例もあるようですけれども、そのカットされた、されないよりも、検査された行為、その行為についてはどうなんでしょうか。
○山内(一夫)政府委員 過去の事例があったかどうかは知りませんが、関税定率法の二十一条は、当然そういう場合も適用されるものとしてわれわれは考えておるわけでございます。
○安井(吉)委員 そういうことになりますと、先ほどから表現の自由の保障というものは、事前の検査、事前の検閲、そういったようなものも、現実にいろいろな形において税関が検査をするということは制限をされているということですよ。つまり、外国で日本人が作ってきたものも、そこで発表以前に検査をされる、あるいはまた国内の映画館で上映をされるというようなもの、あるいは国内で出版されるような雑誌、書籍、そういったようなすべてのものが全部検査をされておるわけです。それによって税関において表現の自由の保障を明らかにそこなうような行為をやっているという事実だけは、これも認めなくてはいけないと思うのですが、どうでしょう。
○山内(一夫)政府委員 表現の自由がその限りにおいて制約されているということは認めるわけでございます。ただその制約自体がこの憲法で許されているかどうかが、憲法問題として問題になるわけでございますが、私は、今の禁止自身は当然本来の憲法の保障しております表現の自由の内在的な制約のらち内にある禁止だというふうに理解いたしますから、その制限は合憲である、こういうふうに御説明申し上げておるわけでございます。
○安井(吉)委員 だから、私の言うのは、結局関税定率法の二十一条の禁制品に該当する規定のされ方に問題がある。だから、輸入書籍だとか、それから映画もこれに入るわけでありますけれども、それに問題があると私は言っておるわけですが、あなたの方の論議は、先にそういうようなものがあるのは仕方がない、今禁制品に関する規定、税関検査でこれくらいはしようがない、そういうことを前提にして論議をお立てになっておる。私の方は、憲法論から、逆にそういうようなものがあってはいけないんだ、こっちの方からきておるわけです。そこで論議がどうも行き違ってしまう、こういうような気がするわけであります。 それから、もう一つ、先ほどのお話の中で、刑事手続と行政処分と二つの場合が考えられるが、第一の刑事手続による場合は、その通関行為といいますか、つまり輸入者にいろいろ負担をよけいかけるから、そういうような面を十分に考えてやらなくてはいけない、そういうことですね。その点もう少し御説明いただきたい。
○山内(一夫)政府委員 今の公安、風俗を害する書籍を輸入禁止する、こういう実体規定を立てまして、それを罰則によって担保する、こういう規定自身は各国にはほとんど例外なくある規定であると思います。そして、そのやり方といたしましては、それを通過させておいて、通過自体が違反であるという意味でそれを刑事処分に移す制度と、それを行政処分によって押えるというやり方と、二つあると私は思うのでございますが、一たん通過いたしました場合、刑事手続にそのまま移しますと、輸入者の方で判断を誤った場合におきましては、五年以下の懲役という非常に重い科刑で問題が処理されることになると思います。不許可処分で解決をいたしますれば、それはなるほどそこで一時的な表現の自由の制約は受けますけれども、輸入者は処分を直ちに訴訟手続によって争っていく。正しい主張をしておれば通るわけでございます。それによって不許可処分の撤回ができるわけでございますから、その関係から申し上げますと、輸入者に対してはどちらの制度がいいかといえば、私は、結論はほとんど明らかなんじゃないか、こういうふうに思っておるわけでございます。
○安井(吉)委員 しかし、それは輸入者の利益だけをお考えになっておられる。表現の自由を保障する憲法のその規定が、一方輸入業者のその利益だけを考える、それとバランスされておるというようなこと、これは大へんなことだと思うのですよ。だから、その守るべき法益とでもいいますか、法益という言葉がこの場合当てはまらないかもしれませんけれども、その憲法の大前提、言論の自由の保障というのは、人類の多年の悲願のもとにこれがようやく獲得できたことは御承知の通りです。この二つのものの重さといいますか、その点はどうお考えでしょうか。
○山内(一夫)政府委員 御指摘の通り、まさにそこのところが問題になるわけでございますが、現在の法制と申しますか、そのもとにおきましては、刑事手続に移される場合におきましても、一般として関税線を通過したものは没収すべきものとして刑事手続上押収されるわけでございます。従いまして、刑事手続に移されても、行政処分に移されましても、現実問題として国内に持ち入れることができないということについては、どっちの手続を動かすにいたしましても差異がなく、その限りにおきましては、表現の自由が制約されることはどちらの制度にしても同じだと思うわけでございます。従いまして、行政処分で解決するのが正しいのか、刑事手続によって解決するのが正しいのかというところに、問題の論点はしぼられてくるのではないか、かように思っているわけでございます。
○安井(吉)委員 つまり、私の言いたいのは、表現の自由の保障というのは、たとえば三千何百本か映画が入ってくるわけですが、この検査の規定があるために、それが全部検査されるわけですよ。あなたがおっしゃるのは、その三本の映画を作った人だけの問題をお考えになるのでしょう。しかし全部が調べられるわけですよ。あの関税線を通り抜ける書籍は全部それに当てはまるわけですよ。第三号に定められておるものは、輸入禁制品だけを調べるのじゃないでしょう。全部を調べるのでしょう。だれも調べられたい人はないと思います。その問題ですよ。ごくわずかなひっかかった人だけを助けるためにこの法律ができているような言い方を、今のあなたの御説明の中から受け取るわけですが、どうでしょう。
○山内(一夫)政府委員 具体的に違反の行為をしたものについては、先生のおあげになりました限られた三本なら三本の問題になりますが、そこでもって検査制度にかかるという問題になりますれば、今の先生のおっしゃったように何千本という問題になるわけであります。従いまして、この検査制度を税関行政として欠くことができるかどうかということが、問題の前提として議論されなければならないことは、当然だと私も思っておるわけでございます。従いまして、検査制度の必要性というものは、先ほどから何回も申し上げましたように、わが国の権力の及び得ない外国で製作されたものがいきなりわが国の国内に持ち運ばれる、そういうことを処理するために、どうしても関税線を設けて検査制度をせざるを得ない、その検査制度自体は、公共の福祉の面から見てやむを街ない制度であろう、こういうことを御説明申し上げている次第でございます。
○安井(吉)委員 その点はさっき論議したと思うのです。それは手の及ばないところの外国のものでしょう。しかしながら、それを国内で上映したりする表現の自由というのはあるのですから……。その作った人のことだけをお考えかもしれないが、国内で見る人、あるいはそれを上映するような人、それを出版する人、そういうような人に対する法益をそこでも非常に大きく侵しているわけです。作った人のことだけをお考えでしょう。しかしそうじゃないと思うのですよ。その広いバックにある表現の自由というものを侵している、そういうような気がするわけであります。そこで、この問題は、検閲でひっかかったのは数が少ないし、そしてまたそこでいろいろ話し合いがなされている。しかしながら、輸入業者の立場から反対があったら、裁判手続というものもあるのだし、というふうなこともあなたはさっき言われたわけでありますけれども、現実はどうでしょう。裁判手続をした例があるのですか。
○稲益政府委員 現在まではございません。
○安井(吉)委員 そういう保障はあるのですよ。行政権限によって検査が行なわれた、それに対する保障の道は確かに開かれております。しかしながら、だれもしていなのですよ。ということは、結局税関での検査の際にそこで妥協が行なわれる。つまりここだけ切れば通してやるというふうな妥協、あるいはまた、さっきこれも私は初めて聞いたのですが、二本きて、こっちの方なら通してやる、こっちはだめだというので、持ってきたうちで一本だけ選択的に通っていくというふうなやり方、そういうようなことで、明らかに、言論の自由といいますか、そういうようなすべてのものがそこでひっかかってしまっている、こういうような点であります。しかも、現在の段階では、風俗を害するものといったようなところだけにウエートを置いておられるわけですね。しかし、先ほども、公安を害するといったような規定は現在まで適用した例がないというふうに言われるが、これを今度削るというお気持ちはないということもお聞きしたわけであります。そういうことになれば、この規定があることによって、われわれは、いつの日か、その公安を害するという規定のおかげを受けないとも限らないわけです。だから、われわれは、まずそういうふうな規定の置き方から問題を提起しているわけであります。今ある関税定率法を是認する立場から、それを何とかして合憲的なものと説明しようという御努力ではなしに、私どもは、全く自由な立場から、この再編の自由という大きな法益をどういうふうにして守るか、そのためには今のこの規定は立法技術の上からいって問題があるのではないか、そういう言い方をわれわれはしているわけであります。この検査手続に対する憲法解釈等の問題の進め方についても、憲法の解釈というものは何か弾力性があるような言い方がいつもされるわけです。だから、たとえば憲法第九条と自衛隊との関係だとかいったようなことも、憲法の規定なんというものはあってもなくてもいいような、ただ単に現在実定法としてあるやつを何とか解釈上まるめ込んでいく、そのための一つのよりどころみたいに今なっているような気がするわけです。 というのは、今の関税定率法のこの規定は、新憲法になってからできた規定じゃないわけです。ずっと昔からあったやつをそのままただ引き継いでいるわけです。文章の言葉の書き方も、かたかなで書いてあったのをひらがなに直しただけです。旧憲法時代にあったやつをすっと引き継いできているわけです。新憲法が言論の自由をきわめてかおり高い規定で前文までくっつけて守ろうとしている気持が、私はこの一つの立法のあり方の中にかき消えていくような気がするわけでございます。こういうような問題につきましては、憲法学者のいろいろな学説を調べてみますと、本が重いから抜粋して参りましたけれども、たとえば宮澤俊義教授の法律学全集第四巻「憲法Ⅱ」というやつにも、「関税定率法は、税関長に「公安又は風俗を害すべき書籍、図画」などの輸入を禁止する権限を与えたので、これにもとづいて、税関長は、輸入書籍や、輸入映画の検閲を行っていた。この規定は、検閲を禁止する日本国憲法第二一条に反するから、日本国憲法の施行とともに、その効力を失ったものと見るべきである。しかるに、国会は、そうは解せず、一九五四年のその改正において、この規定を削ることをせず、(中略)現に輸入書籍、輸入図画の検閲を行っている。」と国会の不認識をここで一つなじられております。「検閲を禁ずる趣旨が日本国内において発表される言論を、その発表に先立って、審査することを非とするにある以上、この検閲が憲法第二一条の禁示する検閲に該当することは、明白である。」と宮沢さんは言っている。これは宮沢さんのどの本を調べてみても、みんなそういうふうに表現されております。有斐閣全書のやつも、コンメンタールの「日本国憲法」も、どちらもそういうような書き方をなされております。それから、早稲田の有倉遼吉教授は、これは警察時報の二十四年の六月号に書いておられますけれども、「行政権の場合、その性格から簡易迅速に処理されるし、権力背景での強制であること、行政統制が必然的に事前関与の形となる」こと、この二つの理由をあげて違憲性を指摘しておられます。そうしてまた、「上映」という「そのことが表現の自由である」とも言っておるし、だから「映倫の自主性にゆだねるべきである」と主張されております。 それから、岩波全書の鵜飼信成教授の本には、「憲法は第二十一条第二項に、通信の秘密の保護と結びつけて、「検閲は、これをしてはならない。」といっているが、第一項の保障する表現の一般的手段についても、検閲が許されないことは、論理的にいっても疑いをいれない。この点で問題になるのは、関税定率法第十一条の規定で、」――これはもちろん旧法の引用だろうと思いますが、「十一条の規定で、税関長に「公安又ハ風俗ヲ害スベキ書籍、図画、彫刻其ノ他ノ物品」の輸入を禁示する権限を与えるということは、検閲を許すことになるであろう。税関長のこの権限は、明治憲法の下においてさえ、すでに問題となったもので」――これは末弘厳太郎教授の「嘘の効用」そのほかに引用されております。「その同じ規定が、現行憲法の下で、そのまま効力をもっているとはとうてい考えられない。」と言い切っておりますし、成渓大学の佐藤功教授も「封切前において行政機関が見るのは、どんな理由をつけようと検閲だ。」第一外国映画だけで日本映画を検閲しないのはおかしいじゃないか、こういうふうな言い方をしております。 それから、東大の伊藤正己教授は、この人にはアメリ方法を素材としての「言論、出版の自由」という労作もありますが、最近の雑誌「ジュリスト」の四月一日号に、今度のこの問題を扱って、「税関検閲と憲法二十一条」という表題で、副題は「関税定率法二一条の改正」というようなことで、こういうふうに書いております。「昨今の表現の自由の縮減ムードのなかで、このような検閲制にはっきりした法的評価を下しておくことはとくに必要ではなかろうか。」こういうような問題の出し方をして、「ことを手続面のみからみるときは、改正案は、提案者にとって、反対の理由がないと主張されるだろう。しかし問題はこの改善の背後にあるものである。手続の公正もさることながら、権力的規制の実体が、ことの中核でなければならない。もし実体が憲法に反するものであるときは、規制の形式面である手続をいかに公正にしても、それを合憲化することができないことはとくまでもない。わたくしは、改正案に含まれる改善のうらに、映画の税関検閲そのものの実体の違憲性、あるいは少くとも違憲の疑いを隠蔽する意図がかんぐられてならない。」 これは、私の狭い最近調べた範囲でも、こういったような言い方がされているわけであります。これらの学者の説は、法制局に言わせると、少数学説で、そんなものは意に介する必要はないと言われるかもしれません。しかしながら、これだけ問題が取り上げられているという事実だけは、これは十分にお考えをいただかなくてはならないと思うわけでありますが、これらの問題について御見解を一つ伺いたいと思います。
○山内(一夫)政府委員 この問題は私どもが検討してからすでに二年以上になっておりますし、先生が今おあげになりました論文ないし書籍は、全部私は目を通しました。それは学界における少数説ではなくて、私はむしろ多数説であるというふうに考えておるわけであります。その点は十分頭に入っておりまするけれども、私どもは、それにもかかわらず、これは念慮であるというふうに確信しておるわけであります。それは、実際問題として、ちょうど一年前に堀委員の御質問に対して私御答弁申し上げて、その後政府の見解としては、詳細についてはまだ発表いたしませんけれども、私どもは、今先生がおあげになった諸学者の方の考え方の中に、輸入の特殊性というものと、それからそれを刑事手続によって争うのがいいか、行政処分によって争うのがいいのかということも、はなはだ失礼な言い分でありますけれども、関税行政の技術的な性格をもっと究明していただきたいというふうに思っておるわけでございます。そういう私ども技術的な性格から、どうしてもこの制度は最も合理的であるし、やむを得ないという確信がございまするので、私どもは、非常に僭越な申し分ではなはだ恐縮でございますが、あくまで合憲のものである、かように言わせていただきたいと考えております。
○安井(吉)委員 私はずいぶん長々と今の学者の論説を引用したわけですけれども、これは、現に部長もおっしゃるように、大きな声で小さな裏側の方で言っておる言葉でなくて、りっぱな出版になって言われておることだし、こういう大学の教授の人たちは、学生たちにもやはりこれを教えておると思うのです。そういう広い影響力のある立場で言われておるそれらの問題に、国会が全然耳を傾けずにそのまま通してしまうというのは、おかしいと思うのです。そういうような意味でも、私は特に速記に残すために今申し上げたわけでありますけれども、やはりこれは、これまで問題が激しく出ておる以上、今の検査のあり方には、部長は今いろいろ輸入映画の特殊性ということをおっしゃったのですけれども、私は、もう少し根本的なやり方の改めといいますか、そういうようなことがなさるべきではないかと思います。 もちろん、最近、特に映画等について、テレビとの競争だとか、そういう中から、たとえば画面が非常に大型化していくとか、それと同時に内容的にもエロだとか、殺しだとか、そういったような見るにたえないものが非常にふえてきつつあるということは事実です。そういうようなものに対して、われわれもできる限りそういうものができないような方向に進めていかなければならないという努力は当然払っていかなければならないわけですし、また逆に、昔非常に低俗な映画ができて、それがきっかけになって映画の検閲が始まった。そういったようないきさつからいっても、ほんとうに言論の自由を守り抜くためには、いろんな映画製作者や、あるいはまた出版に携わっておる人たちや、いろんな作家の人たち、そういう人たちも、自分の表現の自由を将来とも守り抜くためには、責任ある行為に出てくることも当然必要なことだと思う。しかしながら、それはそれとしても、それだから今度の輸入映画の検査ということが合憲だとは言えないと思うのです。そこで、私どもは、先ほども堀君も申されましたけれども、映倫の問題や、あるいはまたニュース映画等の場合には、これは放送法による番組基準というものもあるわけです。劇映画につきましては映画倫理規程、それの映倫管理委員会の自主審査があることが一つと、それから放送法によっては番組、審議会、その最も重要な基礎が番組基準、これらのものがはっきりあって、包括的に郵政大臣の監督がある、こういうような仕組みになっておることは御承知の通りです。そういうような仕組みがあるにもかかわらず、さらにまたそれにかぶせて従来通り明治以来の検閲制度をそのまま維持しておるということは、どうしても納得ができないと思うわけであります。だから、私は、この間の本会議の質問のときでも提議して――あの本会議質問というのは、こっちが言いたいことを言って、大臣の答弁も言いたいことだけを言って、言いっぱなしということでありますので、ただ速記録に残っているだけでありますが、私があのとき申し上げたのは、税関における検査というものは、これは必要でしょう。しかしながら、それはあくまで純然たる貨物検査にとどめる。だから、貨物検査というのは、結局申告されたものとそれが同一物であるか、同一の品名のものか、数量は間違いないか、価格は申告の価格に相当したものかどうか、法令に触れる品物でないかどうか、そういったような純然たる貨物検査。この税関の法律の中には、どこにも思想検査だとか、内容検査というものに触れておりません。あくまでそういうような貨物検査にとどめるべきだということでしょう。フィルムにしても関税をかけなければいけないのですから、そのメートルもはかる。そういうようなことが税関検査のやり方であるべきです。そして、次の段階、内容の規制の問題については、これは今ニュース映画については放送法による内部処理、劇映画については映倫の自主的な規制の強化、こういったようなものが当然今よりも強化されたような形でやるべきことを一つ期待していく。そして、その次の段階で、もし誤った処置があった場合には、それは世論でたたかせる。あるいはまた刑法その他による事後規制や処罰で今後の規制措置をしていき、放送法違反といったような問題で処理される場合もあろうかと思います。こういうような措置こそが私は正しい税関検査のあり力でなければならぬと思うわけです。だから、税関だけが乃公出ずんばという気持で、何もかも税関だけが責任を負うというような、そういう世間の言い方も間違いだし、また税関自体もそういうような考えであることは間違いじゃないか。税関は貨物検査だけすればいいんです。われわれはこのような改善措置で言論の自由を守るという方向に進むべきだというふうに私は考えるわけです。これらの考え方に対しまして、法制局、さらにまた大蔵当局の御意見を一つ伺いたいと思います。
○山内(一夫)政府委員 日本国憲法が規定をしておりますところの表現の自由を厳密に守らなければならないのは当然でございまするが、商業映画について今の国内的な映倫というような制度でやるかどうかというのは、これはそれ自体一つの制度としては検討に値するかと思いますが、問題は、映画だけにしぼって考えてみましても、輸入される映画は常に商業映画であるというふうにも限らないわけでございまするし、定率法の二十一条全体の輸入規制の制度としては、二十一条の三号の規定というものは、私はやむを得ないのではないかというふうに思うわけであります。
○稲益政府委員 御指摘の一つの問題は映倫の問題でありますが、御承知のように、映倫は民間の自主的な団体でありますので、その決定その他は何ら法的な強制力は持っておらないのであります。従いまして、私ども二十一条で運用をいたします立場から申しますと、やはり罰則に担保された強制規定ということでありますので、どうしても映倫に全部まかせ切るというわけには参らないと思います。ただ、先ほどもちょっと触れましたが、せっかくああいった自主的な団体機関があるわけでありますので、私どもの検査にあたりましての諮問機関であります輸入映画等審議会におきましては、極力そういった面の方々を委員に御就任いただきまして、そういう意見を反映する、その関係を密接にしていくというように運営して参りたいと思います。いまの一つの問題は、六十七条の検査でありますが、これは、課税評準と申しますか、貨物の先ほどおっしゃったような意味の検査があるわけなのでありますが、この関税法の規定は、単にそういう課税のための規定という性格のみならず、いわゆる通関法としての性格を持っておるわけです。この建前からいきますると、入って参ります貨物が、関税法以外のいろいろな国内の法規でもって、あるいは許可を要するとか、あるいは承認を要するとかいう規定があるわけなんです。そういうものの許可を十分に得ておるかどうかといったようなことを確認するわけであります。一方定率法二十一条で輸入の禁制品というものを規定しておりますので、その関係で禁制品に該当しないかどうかということを検査しておる、こういう建前であります。私の御説明、二十一条が憲法に違反しないという建前で、二十一条の運営という点から考えますると、ただいま申し上げたような結論にならざるを得ないと思います。
○安井(吉)委員 もう二時になりまして、あとほかに質問者もありますので、もう少し問題があるのですけれども、それは端折ることにいたしますが、ただ、禁制品は税関だけがすべて責任を負うということではないでしょう。法律の規定は、警察も、禁制品が流れているのを見つければ、それによって処罰されるのでしょう。税関の監視員だけがあらゆる責任を負わなければというふうに今の部長の発言は受け取れます。税関だけでほかの人はだれもできないならば、税関はそれこそ死にもの狂いでその問題に取り組まなければならない。言論の自由もへったくれもない。しかし、私が先ほど定義した言い方は、税関だけにすべての責任を負わせるのではない。法律はそういうきめをしていない。だから私は私の提案のされ方の方向で問題を解決していただくことが正しいことだと思うのでありますが、水かけ論になりそうな気配がだいぶありますので、きょうはこの問題については一応この程度でやめて、言論の自由の制限にきわめて影響があるような今のやり方について、今度の改正で間に合わなくとも、十分な検討をさらに政府で進めていただかなければならないと思います。そういうことを一つ要望いたしておきます。 そこで、問題はずいぶんたくさんあるので、この定率法は、きのうからやった緊急関税の問題と今の輸入禁止制品の問題と、この二つだけが法制的な問題で、あと関税率の問題がそれこそ二千二百三十三品目あるのであります。この問題を一々審議していくということになりますと、大へんなことになるので、私は今のこの審議のあり方自体に問題があると思うのです。今度の国会で大蔵委員会にかけられた問題の中で一番重要なのは、この関税定率法の改正外二法だというふうにわれわれは思うのですけれども、それに対する時間の配当というものはほんのわずかしかない。私はことさらに審議を引き延ばしたりそういう気持はありませんけれども、こういうような審議のあり方では、昭和二十六年改正以来の大きな改正に対して、われわれの与えられた権限を十分尽くしていないような気がするわけです。そういうような審議のあり方自体にきわめて不満を持つわけでありますが、ただ税率の問題について一言も触れないで終わるということでは困りますので、ただ砂糖の関税の問題だけ若干、これはほんのわずかな時間しかとれそうもありませんし、またあとにずいぶん質問者が控えておりますので、簡単に触れて終わりたいと思います。 大体砂糖の国内消費量、輸入量、国産量、そういった数字をお聞かせいただきたいと思います。
○村田説明員 三十五年度におきます国内の砂糖の消費見込みでございますが、国内でとれますてん菜糖なりカンシャ糖などを含めまして、総需要量を大体百三十八、九万トン見込んでおります。そのうち国内で自給できますものは、北海道のビート糖を初めといたしまして大体それの二割、二十八万トン程度が国内で自給できる数量でございます。従いまして差引百万トンちょっと、百十万トン内外程度のものが年間の輸入量になるわけでございます。
○安井(吉)委員 私どもの聞いているところでは、輸入量の割当がきわめて少ない、そして品がすれというようなことで砂糖価格がつり上げられている、そういうようなことを聞くわけでありますが、その辺の事情はどうでしょう。
○村田説明員 砂糖の輸入計画を立てます際には、砂糖は御承知のように外貨割当をいたしておりますので、年度の当初に関係省と輸入の外貨予算の編成で打ち合わせをいたすわけでございます。従って、輸入につきましては、大体の一定の計画に基づきました計画輸入が行なわれる建前でございます。しかしながら、ただいま御指摘のように、国内で消費されます甘味のほとんど、八割は輸入に依存しておるのでございまして、しかも輸入糖の海外相場は非常に変動の激しいものでございます。また、たまたま昨年のようなキューバの動乱というふうな事態が起こりますと、わが国の輸入が最も大量に依存しておりますのが従来はキューバでございましたから、そういう関係で一時的に需給のバランスがこわれるという事態はこの三十五年度においても見られたのであります。そういった一時的な計画のそごによって、多少糖価が上がるという事態があったことは否定できない事実でございます。
○安井(吉)委員 砂糖の自由化の問題が、去年の六月二十六日の貿易為替自由化計画大綱で一応きめられて、しばらくこれはあと回しといったような決定がされていた。ところが、十一月二十九日の三相会談で今度は早まってしまって、そしてことしの二月七日ですか、五相会議でまた当分見送り、およそ七カ月ぐらいの間にぐらぐらしているわけですね。一体こういう事情はどこからきているのですか。
○村田説明員 御指摘の通り、昨年の六月に、為替貿易自由化促進閣僚会議で、砂糖の貿易自由化はおおむね三年くらい時をかけまして、国内甘味資源に対する慎重な配慮を行ないました上で自由化を実施するという当初方針が立てられたのでございますが、たまたま昨年の秋に、ただいま御審議願っておりまする関税定率法の大幅な改正が論議の俎上に上りまして、その際に農林省の事務当局として考えておりましたのは、三年後とは申しましても、いずれ早晩砂糖の自由化はやらなければならない時期がくるわけでございまするので、その自由化に対処する意味で、今回の関税定率法の大幅改訂の機会に、一定の粗糖関税の引き上げをはかっておきまして、その引き上げによりまして、国内の甘味資源でありまするブドウ糖等が輸入糖に対抗できるように、措置を事前に講じておいて、自由化と同時にこの税率改訂を実施するというのも一案であろうということで、そういう考え方で関係省との折衝を持ったわけでございます。国内甘味資源と申しましても、国内のビート糖に対する対策、ただいま申しましたブドウ糖に対する対策、あるいは西南諸島にありまするカンシャ糖に対しまする対策等いろいろございまして、これらについては、率直に申し上げまして、十二分な事前の措置をとるにつきましてはまだ若干時間を要するという意見もございまして、今回は自由化は見送る、従って同時に関税の引き上げも見送るという措置がとられたと聞いております。
○安井(吉)委員 製糖会社の超過利潤は、大蔵大臣もこれはすごい課税に上るだろうということを言っておりますが、農林省は一体どのくらいだとお考えになっておりますか。
○村田説明員 国会の予算委員会だったと思いますが、かなり以前に、大蔵大臣から、製糖会社の超過利潤について、ある程度具体的な額について御報告があったように聞いておりまするが、あの計算の基礎は、実はわれわれ農林省の方で計算いたしましたものが出たのでございます。これは計算をいたしました事務当局から率直に申し上げますると、あの当時は実際にどの程度の利潤が出ているかという、個々の製糖会社の企業の実績に基づいての積み上げ計算ではなかったわけであります。一定の標準糖価を想定いたしまして、その想定された標準糖価に対して、たまたまその当時の砂糖の市価というもの、卸売価格というものを比較いたしまして、その差額が年間大よそこういうふうに推移するであろうという仮定のもとに計算をした数字でございまして、現在私ども、個々の会社につきまして、はたしてどの程度の利潤があったかにつきましては、実績に基づいた調査をいたしておる段階でございます。従いまして、前回大蔵大臣が申されましたことと、現存私どもの調査中のものとには、あるいは数字上の違いが若干はあるかとも思われまするけれども、いずれにいたしましてもただいま調査中でございます。
○安井(吉)委員 大蔵大臣は幾らでしたか。七十億と言ったのですか。二年間百何億と言ったのですか。どうですか。この前の、つまりあなたの方でお調べになった数字が、大蔵大臣の答弁と一致しているというお話ですが、この前幾らというように御発表になったのですか。
○村田説明員 大蔵大臣は、三十四年度で三十数億、三十五年度で七十数億というふうに言われたように伺っております。
○安井(吉)委員 二年間で百十四億というふうに私は何かで聞いた記憶があるのですが、この間言われたのはそんな数字なんですね。八十億という説もあり、七十億という説もある。これは、普通利潤じゃなしに、超過利潤という形で入っているという点です。ところで、一方、私もきょうこの資料をせっかくいただいたのですが、あまり利用できないで、この砂糖にだけ一つ利用させていただきますが、昨年の三十四年度ですか、関税収入の実績を見ますと、総額は八百八億七千万円、ところが砂糖の関税は三百九十七億六千九百万円、大ざっぱに四百億円――日本の関税の種類は、今審議している種類では二千二百三十三品目ということに今度新しく変わるわけでありますが、その全体のうちの四百億百円、五〇%が砂糖の関税だということです。この税金が四百億円、これは関税だけですよ。このほかに砂糖消費税があるわけです。それから、一方において、農林省だけの数字でも百十何億円二年間に超過利潤があったということ、これらの事実を私どもは組み合わせて問題を考えていかなくてはならないと思うのです。なお、このほかに砂糖消費税があるのですが、一年間の砂糖消費税の総額は幾らくらいでしたか。
○稲益政府委員 ちょっと手元に正確な資料がございませんが、二百八十五億程度だと思います。
○安井(吉)委員 今お伺いいたしますと、砂糖の関税で四百億円、日本の関税総額のうちの五〇%、その上に消費税が三百億円近く、そして一方砂糖会社の超過利潤が百何十億円、それを日本の砂糖の消費者は払っているわけです。これはほかのだれも払っているわけじゃないのです。関税も、砂糖消費税も、この利潤も、全部私ども国民が砂糖を一なめするごとに払っている金額です。こういうおそるべき数字をわれわれ目の前にして、いろいろ深い感慨に打たれざるを得ないわけであります。 そこで、また先ほどの部長の御説明によりますと、澱粉の結晶ブドウ糖あるいはビート糖、そういう国内産のものを守らなければいけないから、これもしょうがないのだというふうな御説明にとれますが、私も農村出身だし、ビートの問題や結晶ブドウ糖の問題にぜひあたたかな処理を政府がしてくれることを望むものでありますけれども、しかしながら、この数字を聞かされて、それから特にまた日本全体の国内消費量が百四十万トンで、そのうち国内糖がただの二十八万トン、この数字をもあわせてお聞かせをいただきますと、まるで農村のささやかな砂糖の生産がだしになって、国の大きな収入や――それならまだがまんできるにいたしましても、製糖会社の大きな超過利潤のだしに使われている。そういうようなところに、私どもはこの問題を大きな問題として提起しなければならないと思うわけであります。今度の関税定率法の規定のされ方につきまして、農林省としては満足されているわけですか。それともまだ不満だというふうなお考えでしょうか。その点いかがです。
○村田説明員 事務当局といたしましては、当初関税の引き上げということを検討いたして、そういう案もある段階では立案をしたのでございまして、この問題につきましては、さらにただいま御指摘のような御意見も一方にはございますが、また一方におきましては、ちょうど今御指摘のございましたビートにいたしましても、ブドウ糖にいたしましても、西南諸島のカンシャ糖にいたしましても、あるいはブドウ糖に関連したイモ澱粉――現在政府も非常にもてあましておるのでございますが、そういうようなイモ澱粉を通じてのイモ作農家対策、かようなこともすべてを総合的に考えまして、今後も慎重なる検討を続けて参りたいと考えております。
○安井(吉)委員 私がお聞きしているのは、今度きめられた関税についての農林省の御批判とでもいいますか、お考え、それを一つお聞きしたいわけです。
○村田説明員 今回は関税率の引き上げは見送った結果に相なりましたが、これにつきましては、先ほど申しますように、重ねて私ども引き続いて慎重に検討をいたすべきだと考えております。
○安井(吉)委員 それじゃ、さらに据え置きになりましたこの関税率について検討をされるというふうな意味の御答弁だと思うのでございますが、私は、時間がかかりますので、手っとり早く結論だけを申し上げれば、国内産の甘味資源保護のためには、農民のための生産対策その他いろいろな方策があると思うのです。そういうような問題を全くしておかないで、すべてを関税や何かに問題をぶっかけてくる、こういう態度はやはり大きな誤りだと思うのです。だから、私ども農民を大切にしなければいけないという立場からすれば、関税は高くしなければいけない。関税を低くするということに賛成する理由がないように一般にとられて、つまりそういうようなことで高関税を維持するという方向に理由づけをしながら、それによって砂糖資本の利潤に奉仕をしている、こういうような姿が今の日本の砂糖の問題に現われていると思います。たとえば砂糖メーカーの株式の配当制限をしたり、超過利潤の国家納入というのを強制していくというふうな英国の方法もあるわけであります。そういうようなわけで、英国の砂糖は日本の小売糖の半分くらいで済んでいる。非常に大きな輸入国でありながら、そういうことで済んでいる。日本の政府のやり方は、農民を守るのだというような隠れみののもとに、砂糖の超過利潤を約束すると同時に、国民に高い小売価格を強制している。日本の国民はもう文明国で世界で一番高い砂糖をなめている、こういうふうな結果が現われていると思います。そういうふうな点について、これは次の段階で十分御検討いただかなくてはならない問題だと思います。財政的な措置で、たとえばビートや砂糖の生産の問題やあるいはまた加工や消費の問題について、まだまだ方法があると思うのです。それを一方的に問題を片寄せてしまうものですから、こういったような結果が現われていると思います。だから、砂糖については、砂糖の外貨割当問題に大へん疑惑があって、国内糖のリンク制でも、また、国内産砂糖の育成のために補助金名目で割り当てられている粗糖の割当量について、この割当の量をふやせとか、あるいはトン当たり二万円ものプレミアムの利権がついて、その七割程度が大手製糖業者や甘味資源界に流れ出ている、そういうような事情があって、これはうそかほんとうか知りませんけれども、そういうような情報も流れているようであります。だから、私どもは、こういうところからやはり問題の解決の糸口を見出していかなければいけない、そういうふうに思うわけであります。なお、これらの国内産砂糖の問題で、北海道のビート工場の新設の問題が、今なお政府部内において結論がつかないままになっているようでありますが、最近の経過と見通しを一つ最後にお伺いしたいと思います。
○村田説明員 北海道におきまするビート工場の申請の許可の問題でございます。御承知の通り昨年来の懸案になっておりまするが、一応農林省といたしましては一つの具体案を申請各社に提示をいたしまして、各社間でそれについての協議をなされました上で、農林省に対して回答のありますことを期待をしておったわけであります。昨年来その提案をいたしまして、今日になりまするけれども、まだ正式には申請各社から一致した回答というものは農林省ではいただいておらない。一方において、農林省といたしましては、その回答を待っておると同時に、せっかく道の方におきましてはビートの長期の生産計画もでき上がったことでございまするし、また、国内の甘味資源の自給度を向上せしめるという意味からも、一定の許される範囲におきまして新設工場を認めていくべきであるという見解に立っておりますので、いずれにしてもできるだけ早い機会にこの問題の結論を出すべく、ただいま検討いたしておるような状況でございます。
○安井(吉)委員 各会社の意向等もいろいろ検討されているというのですが、しかし、一体それは会社が希望すれば許すのですか、それとも農民がビートを作ったら、そこで工場の問題が出てくるのか。生産の問題が先なんですか、会社の事情が先なんですか。どうですか。
○村田説明員 会社の希望は、ある特定の地域に数社競合するというふうに、非常に申請が競合しているような事態もございまして、それをそのまま認めますことは、いろいろな関係でとても不経済な問題が出て参ります。従いまして、会社の設立を認めるということと、北海道におきまするてん菜の生産を増加するということとは、並行して両々相待って処置をなすべき筋合いのものだと考えております。
○安井(吉)委員 早い時期と言われますけれども、大体いつごろを予定されているわけですか。それから、もう一つついでに、年次的に一ぺんに全部おきめになるのか、それとも新しい年度は何社で、その次は何社というきめ方でいかれるのですか。それから、もう一つは、農業団体の自主的な工場と、それから一般会社と、そういうようなものに区別をつけて処理されるおつもりか。その三点を重ねて最後にお尋ねします。
○村田説明員 工場の建設を認めます時期につきましては、工場の建設に相当の時間がかかりまするし、冬季におきましては北海道は地域によりましては建設工事を中止しなければならないような制約もございまするので、できまするならば一日も早いほどいい。雪解けが始まりますのを待ちまして、一日も早い方がいいという考え方に立っております。 それから、認めます会社の数でございますが、先ほども申し上げましたように、北海道におきますビートの生産の増加状況と相見合ったものでなければならないと存じますので、一度に申請全社あるいは相当部分を一ぺんにやるという考え方は持っておりません。逐次道庁の方の立てました生産計画に即応しながら、年次的な計画に従ってやっていく、かように考えております。 第三点の、会社経営組織がよろしいか、農協経営組織がよろしいかということにつきましては、すでに現に北海道におきましては農協経営組織でりっぱな成果を上げておりますので、農協経営でやることも、今後糖価その他に異常な変化がない限り十分やっていけると考えております。
○足立委員長 有馬輝武君。
○有馬(輝)委員 私は、農林省と関税部長と外務省に簡単にお伺いいたしますので、答弁の方も簡単にお願いいたしたいと存じます。 まず第一に、部長にお伺いいたしますが、昭和二十六年度改正で、ほとんどを従量税から従価税にした。その経緯があるにもかかわらず、今回ノリのほかほんのわずかのものだけを逆にまた従量税にした理由についてお伺いしたいと思います。
○稲益政府委員 二十六年の改正の際にほとんどが従価税になりました理由は、当時の貨幣価値の非常に激しい変動の時期におきましては、従量税では関税目的が達せられないわけであります。どこの国でも、そういったインフレと申しますか、貨幣価値の変動の激しいようなときにはどうしても従価税になるということは、関税の性質からきている問題なんであります。今回従量税を若干増加いたしたのでありますが、関税行政と申しますか、関税当局の立場から申し上げますと、私どもとしましては、課税の手続その他の面から見まして、できるだけできるものは従量税に直したいという考えであります。たとえば今回も大きな物資で油の関係で――税率は変えておりません。変えておりませんが、従量税に変えるといったようなことをやったようなわけであります。品目別に見ますと、数としてはそう多くはないわけでありますが、そういうわけで、今回、従量税が採用可能なもの、あるいは採用することが妥当なもの、より適当と考えられる物資につきまして、従量税を採用したわけであります。
○有馬(輝)委員 もちろん従量税、従価税それぞれの特徴があろうかと思いますけれども、しかし、私は、昭和二十六年にああいった改正を行なったときと今一との情勢の変化と申しますか、それはほとんどないと思うのです。それにもかかわらずあえて従量税にされた理由としては、今の御説明では、すぐそのまま、受け取るわけにはいかないのですけれども、そのほかに理由があったのですか。
○稲益政府委員 もう一点補足して申し上げますと、物によってということを申し上げたのでありますが、物の価格の変動がその季節々々によって非常に激しいようなもの、そういうものにつきましては従量税を採用することが適当である、こういう判断をいたしております。
○有馬(輝)委員 今までノリの価格の変動が非常にひどいことがありましたですか。最近の例でお示し願いたいと思います。
○稲益政府委員 ノリについて具体的に申し上げますと、価格の変動も若干あるわけでありますが、それ以上に、鑑定価格と申しますか、価格の鑑定が現場において非常に困難な事例が多いわけであります。従いまして、そういう課税技術上の関係から、今回従量税に改めたわけであります。
○有馬(輝)委員 第一点の価格の変動について……。
○高橋政府委員 価格の変動の問題でございますが、これはまず第一に問題になりますのは、国内産ノリの数量の変動、従いましてそれに伴う価格の変動があるわけでございます。具体的に申しますと、たとえば昨年は国内産のノリの年産が約二十三億枚でございますが、今年はまだノリの生産が継続しておりますので、最終的な結論は得られておりませんが、現在推定するところによりますと二十八億ないし、三十億枚というふうに変動いたしております。従いまして、国内の方の相場も、この生産状況に対応いたしまして、本年度の産地におきます相場は昨年に比べて相当下がっておるわけであります。従いまして、これらの事情を反映いたしましての年間変動ないし御案内のように季節変動も相当あるわけでございます。
○有馬(輝)委員 税関部長が価格の変動があるということを大きな理由に上げられたのだから、それを具体的に、たとえば昭和三十四年度には幾ら幾らあった、昭和三十五年度には幾ら幾らと、その変動の状況を、説明は要らぬですから、数字で示して下さい。
○稲益政府委員 CIF価格で申しますと、三十三年が単位百枚当たりで二百八十八円になります。三十四年になりますと四百四十六円、三十五年では四百七十五円というような変動を示しております。
○有馬(輝)委員 次に、今度の税率改正によりまして、韓国からきますノリは、百枚一組で大体三百円としました場合に、どれだけの差が出て参りますか。一五%を、一枚二円にするというのですが、税の額として円で示して下さい。
○稲益政府委員 従来は一五%でありますので、百枚三百円のものでありますと、関税額四十五円になります。今回従量税は一枚二円でありますから、百枚で計算いたしますと二百円になります。
○有馬(輝)委員 今部長から御説明になりましたように、四十五円だったものが二百円になるわけです。ほかにこういった大幅な税率の引き上げというものはありますか。
○稲益政府委員 ただいま百枚三百円のものというお話でありますが、私ども、今回の関税の設定にあたりまして、百枚当たり五百円のものが輸入の普通のものであるということで計算いたしまして、一枚当たり二円、と申しますことは、結局約四割関税がかかる。従来の従価の一五%を、従量換算にいたしますると四〇%程度に直したという考えであります。
○有馬(輝)委員 今の平均の価格の問題については問題がございますけれども、時間がありませんから、その程度にしておきます。 水産庁にお伺いいたしますが、大体今御説明になりましたように、国内産の場合には消費量は二十八億から三十億と考えられますが、そのうちで韓国から輸入します量は幾らくらいになっておりますか。
○高橋政府委員 一億枚でございます。
○有馬(輝)委員 その一億万枚の輸入ノリの問題でございますけれども、大体これは外国のことでありまするから推定の域を出ないでありましょうけれども、韓国におきましては、漁民の手から一応業者の手に渡りますときには、百枚当たり幾らくらいで渡っておるでしょうか。それから国内産の場合と両方をお示し願いたい。もし韓国の場合はわからなければけっこうです。
○高橋政府委員 韓国の価格についてはただいまわかりません。従ってお答えできません。それから、国内産の場合には、小売価格と産地価格のマージンでございますが、これにはいろいろとございます。保管料その他によりまして、季節によって変動がございまするけれども、平均しておおむね二倍程度であろうというふうに見ております。
○有馬(輝)委員 私があえてこのノリの問題についてお伺いいたしましたのは、私どもも、国内の沿岸漁業、特にノリを産する漁民の人たちの保護を徹底的に考えなければいかぬ、その意味で保護関税についても適当な額を考えなければいかぬと従来から主張して参りましたし、特に一次医業の諸君が取り残されておる現在、相当な手当をしなければならない、こういう主張を持っておるわけであります。ただ、するにしても金融財政あらゆる面でやるべきで、その中で税制の面においても検討すべきでありますが、それにはおのずから限界があろうと思うのであります。保護関税にもおのずから限界があろうと思う。そういう点で、部長にお伺いしたいと思いまするが、こういった今お話しのような率ではたして妥当なものかどうか。また、外務省にお伺いしたいと思いまするけれども、こういった急激な引き上げというものが現在の外交血において支障ないのかどうか、この点について、簡単でけっこうでございますから、お聞かせを願いたいと思います。
○稲益政府委員 かなりな率の引き上げでありますが、私どもの方としましては、価格差から調べますると、私どもが調べました当時は、韓国ノリと日本のノリとの価格差が約六割以上あったわけであります。しかも、今後の国内生産の合理化と申しますか、そういった面を十分織り込みましてすべてを関税で解決するということも無理なんであります。一応四割程度が妥当であろう、かように判断をしたわけであります。
○高野説明員 御承知のように、韓国からいろいろの物資を日本に入れたいということで、ノリもその一つに入っておるわけであります。今回関税が四〇%に上がりまして、ある程度の影響は受けるかもわかりませんが、問題は、それよりもワクをふやした方が、韓国にとっては望ましいのではないかというふうに考えております。
○有馬(輝)委員 私は、このノリの問題につきましては、前からいろいろな問題があることを聞いておりますし、当然私たちは国内のノリ業者に対しまして――ノリ業者というよりも、漁民の人たちに対して相当な保護を加えなければならぬ、それと同時に、やはり韓国の漁民の人たちにも潤いがあるようにならなければいかぬと思うのでありますが、その線をはずれまして、この関税率の引き上げの間におきましても、ただほかの諸君が太るというような事態が起こることを非常におそれるわけです。また、そのゆえに、今外務省からお答えがありましたけれども、両国の関係に支障を来たす。こういうことについても相当考えなければいけませんので、今度のように従価税を従量税に引き直す、こういった大きな変革というものについては、相当慎重であってしかるべきである、このように考えております。この関税定率法の改正自体が、その手続上につきましても、きのうから堀委員あるいは安井委員からもだんだんの指摘がありましたように、これは相当慎重に取り扱わなければならないのに、この膨大なものをわずかな時間の間に論議しなければならないような形になっておりますし、私たちも、委員会の、審議に協力する意味におきまして、ほとんど言うべきことも言わないできておりますが、それだけにやはり大蔵省は慎重な態度をもって臨むべきであるし、現在までの経緯また将来に対する影響というものに対して、ほんとに慎重な態度をもって臨むべきだ、このように考えております。ですから、結論的に申し上げますならば、今回の措置というものが、ほんとうの意味で日本の沿岸の漁民の人たち、ひいては韓国の漁民の人たちに潤いがあるような措置として残るように――今回の措置で私はとうていそれは可能じゃないと思うから、将来においてぜひそういった面から御検討願うことを強く要望いたしまして、私の質問は終わります。
○足立委員長 田原春次君。
○田原委員 主として関税部長にお尋ねしますが、関連して通産省の方にお伺いいたしたいと思います。 第一は、観光のため短期に日本に旅行に入ってくる者が携行する自動車の問題、第二は、外国の文化映画の輸入もしくは交換等の問題であります。 第一の、実例を先に申し上げておきます。数年前に、アメリカのシアトルから、長いこと洗たく屋をやっておって、日本に五十年ぶりに帰ってきた人が、向こうで生まれて自分のせがれ、つまり二世にも自分の母国の日本を見せたいというので、あまり気の進まぬのを、夏休み親子で自動車を持って横浜に着いた。それから東海道を旅行して今度神戸からまたほかの国に行く。こういう日程を立てて、二世は学生ですから、夏休みもきまった日にちにしぶしぶとおやじの言ういまだ見ざる日本を見に来たわけであります。ところが、横浜の税関でその自動車がつかまって、およそ二週間そのまま横浜にとめられてしまった。その間一切の予定が狂ってしまって、横浜のホテルに泊まりながら毎日々々税関に行ったわけであります。最後に、むすこが、お父さんの国はだめじゃないか。非常にきたない言葉ですが、ゴッデム・セッというようなことを言って帰ってしまった。おやじは一生懸命働いて金をため、二世である自分のせがれに日本のよいところを見せようといって来たのに、要するに税関の自動車に関する手続が非常に煩瑣である。これを輸入と認めるのであるとか、そういう形式論で、とうとうその二週間ばかり横浜でむだに過ごしてしまった。非常に悔やんで手紙が来まして、私も当時これをジャパン・タイムスの記者であるアメリカの二世とも話した。こういうばかなことがあるか。外国から日本の観光に来る人は、平均最低千五百ドルくらいは日本で買いものやホテル代に使っておる。特に在外日本人は、郷里に送金するほかに、こうやって子供も連れて帰って日本のよいところを見せてやろう、日本の文化を二世、三世にもしみ込ませようといういい考えで来ているのに、税関の手続が古くさくて官僚的で能率が上がらぬ。そのために、この洗たく屋の親子は、せっかく楽しみにした日本の旅行をめちゃめちゃにしてしまった。自動車を持ってこずに、日本でタクシーを雇ったり汽車に乗れば簡単に行けたのであります。アメリカにおります日本人は、そういう輸入手続の煩瑣なことを知らぬものだから、非常な失望をする。かえって二世には悪感情を持たしておる。こういう事例があります。 そのほか、御承知のように、ことしは京都で本願寺のお祭りがありまして、続々と来ております。特にブラジルあたりからは一船で二百五十人も来た。一生懸命働いた金を日本に来て使うのであります。あらゆる規則を親切に解釈して便宜をはかるべきものであるにもかかわらず、依然としてそういう、たとえば自動車の場合はおそらく第一、輸入品であるという解釈をする。第二は、ごまかしてやみで売るのであろうかという疑いを持つのではないかと思うのです。そういう考えがあれば、これはもう海外におる日本人の母国観光熱を冷やすことにもなります。今私は二世、一世の話をしたのでありますけれども、そのほか北米やヨーロッパから船に乗って来るお客は、ちょうどヨーロッパや北米で自動車を使うような便利な考えを持って来るのですから、規則がこれをはばむということがあってはならぬ。本来きょうは時間があれば運輸省の観光局にでも来てもらっておこうと思いましたが、また必要とあれば呼んでもいい。きょうの決議を延ばして月曜まで引っぱってもいい。いずれにいたしましても、私は最初にそういう実情を申し上げておきます。この実情に基づいて御答弁を願うとともに、対策を考えていただきたい。その意味で、税関部長と、もし通産省の輸入関税と関係があるならば、同時にお答え願いたい。
○稲益政府委員 御指摘の旅行者の携帯して参ります自動車でありますが、税関で直接タッチいたしますもの、税関限りで処理できますものは、いわゆる引っ越し荷物としての自動車なのであります。短期の旅行者が持って参ります場合の自動車につきましては、通産省の許可書が要るわけであります。ただいま御指摘の点、その許可証が取れなかったという問題ではなかろうかと思います。この点につきましては通産省から答弁することにいたします。
○坂田説明員 ただいまの具体的なお話は、私も実は聞いておりませんですけれども、観光客の無為替輸入の車は、二カ月以内に持ち帰るという条件であれば、通常はそのまま認めておるわけです。ただ、私が扱っている範囲では、ここ一年なり一年半の間に観光用として私の方へライセンスを求めてきたという例はほとんどございません。従って、その点は事情がよくわかりませんので、なおよく調べます。
○足立委員長 田原君に申し上げますが、今の問題はだいぶ具体的な問題ですし、この関税定率法には直接今度の改正案には関係ないと思いますから、税制小委員会でこの問題をお取り上げいただきまして、しさいに御検討の上で、具体的な今おっしゃる筋はよくわかりますから、その目的を達するような対策を政府に立てさせるということで、お取り計らい願ったらいかがでしょうか。
○田原委員 そういう扱いでもけっこうでございます。しかし、せっかく御答弁がありましたから、もう一言申し上げておきますが、今の引っ越し用の荷物に限り税関が扱うということも、観光で旅行する者はそういうことを知らずに来るのでありますから、サービスということを考えてもらいたい。あらかじめ、引っ越しだけは税関でやるが、その他は通産省、それで横浜の税関で起こった問題だから、税関が委託をしてそういうことを通産省としてやるが、いずれにいたしましても、旅行に来た人を愉快に帰らすという考えでなくちゃいかぬと思います。 それから、通産省の方の話で、二カ月以内で帰る者には云々ということでありますが、二カ月ときめた根拠がわれわれにははっきりしない。一年おったってかまわない。二年おってもかまわない。たとえば二世が東京の大学等に入りますれば、四年おります。四年間使っても差しつかえないわけであります。これをやみで売ったとか、そういう問題が起こった場合に、具体的に警察やその他で処置をすればいいのでありますから、持ってくるものに対して初めから疑いを持ってはいかぬと思う。だから、二カ月ということを、今後の扱いでは、観光客が日本におる限りは、自分の携帯しておる自動車は、それを持って帰ることを条件とすれば、認めてやっていいと思う。私もあちらこちらに旅行しております。私は旅行は世界を歩いた。この間旅行免状を調べたら二十六冊あった。だから、私は二十六回旅行したことになるのでありますが、たとえばアルゼンチンにおいてのやり方とか、ソ連においてのやり方とか、それぞれ特色があります。しかし、いずれにしても、短期のツーリストに対しては便宜を与えておる。ツーリストは、世界各国の関税規則なんか知らないで、かまわずに行くのでありますから、そこで、ある場合には、その品物に対する請書みたいなものを入国上陸地において受け取って、それで退出地、出発港が上陸地と違えば、その予定日に、上陸地でもって受け取った請書を、先方がついて行って、それと引き合わせて出すということも考える。結局サービスという考えがあればこれはできることでありますから、いずれ税制小委員会でも研究いたしますけれども、この機会に強く申し上げておきます。 そこで、第二点は、外国映画の問題であります。これもおそらく関税部であろうと思いますが、私は、しばしば旅行して、旅行先で映画をもらってきたことがある。映画のことはいっそしろうとであるし、向こうがくれるからもらってきたのでありますが、終戦後だけでも数回旅行しまして、四十七、八巻各国からもらったわけであります。そのもらった映画は、その国の宣伝映画ではなくて、文化映画であります。私はスポーツ関係でありますから、各国の二巻ものぐらいのスポーツの映画、それからある国では、たとえばソビエトからは、レニングラードにはロダンやその他各国の彫刻があるわけでありますが、その彫刻を天然色で写した映画、これほど自分の国は諸外国のどういう名彫刻でも保存しておりますという、まあ宣伝かもしれませんけれども、別に思想上の宣伝ではない。それらを持ってきますと、一律一体に一メートル幾らという、普通の劇映画、商業映画の税をかけられる。それが膨大なものになって私は相当議論いたしましたが、規則がそうある以上は何ともできない。それで、四年間くらい税関に置いておいて、ついに一部廃棄処分にいたしまして、一部は大学に寄付することでようやく入ったのであります。私ども考えるのに、劇映画、西洋チャンバラで、かえって子供に悪影響のあるものが入ってきておりますが、これに対しては税金を取っても、それはそれだけもうけているのでありますからかまわないのでありますが、商業映画にあらざる文化映画、ニュース映画、特に寄贈された場合、それに対して税金をかけるのはおかしいと思う。いろいろな文化、サイエンス、スポーツ、そういったものの映画こそは、もらってきたら、これに税金をかけずに入れていくことも、日本としては研究の意味からいってもかえっていいのではないか。特に御承知のように、商業映画の場合は、全国で六千何百館かあって、それに配給するわけですが、われわれが持ってくる映画は、全国に配給するわけではない。せいぜい自分の家で見るか、あるいは記念祭か何かがあるときに見る程度でありまして、日本中を回すわけではない。従って、言うならば、非商業目的で外国から寄贈を受けた映画の場合、これは無税で通すべきではないか。それがそうなっていない。だから、至急これを変えていくべきものだと思うが、関税部ではどういう見解を持っておるか。これは日本にもらってくるのでありますから、外国に日本のドルが出るわけでも何でもない。その点も明らかにしてもらいたい。
○稲益政府委員 携帯されます場合といなとを問いませず、映画フィルムの輸入につきましては、別途に為替のライセンスが要るわけであります。この点はどういう仕組みでやりますかは、別途為替局から御答弁申し上げることにいたしたいと思います。 税関として所掌いたします関税賦課の問題でありますが、これは御説のような見方もあるいは成り立とうかと存じます。ただ、前半の関税率といたしまして、フィルムにつきましても、大型のもの、小型のもの、フィルムの何ミリということで区別をいたしておるわけでありまして、課税をそれぞれ率を異にしてかけておるわけであります。特に私どもとしまして、ニュース映画といったようなものにつきましては、貨物の性質から見まして、低い税率を課すべきであるようなことは現にやっておるわけであります。これをはたして無税とすべきかどうかにつきましては、いろいろと種々の面から検討を必要とするわけなんでありますが、今後の研究課題といたしたいと思います。
○田原委員 私は、そういう寄贈を受けて持って帰ったものは、無税にすべきものだと思います。それには条件をつけて、商業館で上映せざるということにすればいいと思います。それが無税の扱いができぬ場合には、少なくとも交換する場合は無税にするということも条件がつくと思います。たとえばスポーツ映画、水泳なら水泳、陸上競技なら陸上競技の映画をもらってきた場合、これを上映さして学生が練習に非常に役立つのでありますから、これは無税にするが、しかし、そのかわり、柔道映画二巻なら二巻を先方にやるというようなことになれば、いながらにして世界各国の文化映画、スポーツ映画等が、税金とか輸入手続とかいうめんどうなことをせずに交換ができて、文化の向上になると思います。これも為替局の方でしょうが、時間の関係で議論はやめておきますが、扱い方を大幅に変えていくべきである。ちょうど先ほど同僚の委員が盛んに質問しておりましたような検閲制度と関連があって、スポーツや文化あるいは医学、技術庁の短編ものの映画は、たといそれが十六ミリでなくて普通のサイズであっても、国内上映の場合は別にまた規則があるのだから、国内の商業上映をせざるものは原則として無税で入れる、そうして勉強させるということに持っていくべきだと思います。これは将来の運用について希望しておきたいと思いますが、そういう問題について将来はどうですか。
○稲益政府委員 そういうものに限定いたしまして無税にすることが妥当であるかどうか、慎重に検討いたしたいと思います。
○田原委員 これで終わります。
○足立委員長 これにて各案に対する質疑は終了いたします。 ―――――――――――――
○足立委員長 これより順次討論、採決に入ります。 まず、関税定率法の一部を改正する法律案及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案の両案について討論に入ります。 通告があります。これを許します。堀昌雄君。
○堀委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案になりました関税定率法の一部を改正する法律案及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案について、反対の意見を申し述べるものであります。 昨日来の委員会の審議において明らかになりましたように、今回の緊急関税の規定の問題につきましては、諸外国に例を見ない権限を行政府に委任するような形をとるものでありまして、私ども立法府に携わる者として、憲法八十四条の規定によって法律によって租税を定めるというこの原則が、少なくとも限定されたものについてのみ移譲されるというのであれば了解し得るのでありますけれども、きわめて広範囲な状態におきまして、すなわち国会の開会中においてすらも権限を行政府に委任することを求められておるのでありまして、憲法八十四条の制定の趣旨にかんがみましても、明らかに私どもは憲法の精神を逸脱するところの違憲の行為であると断ぜざるを得ないわけであります。さらに、運用その他の画におきましても、この提案されております法律によってのみ見ますならば、いささか不十分な点が多いのでありまして、これらの点については、委員会において重ねて要望いたしておりますけれども、今後のこれらの法案の提案にあたっては、政令その他の内容を詳しく整備して、さらに審議をつまびらかにする条件を可能にされなければならないと思うのであります。 次に、ただいま安井委員より取り上げられておりました関税定率法第二十一条第三号の規定及びそれに関連するいろいろな問題による検閲の問題でありますけれども、この問題については、本委員会におきましてもあるいは参議院の大蔵委員会におきましても、しばしば論議になっておるところでありまして、学界における定説も、本日つまびらかに述べられましたように、違憲であるとするものが多くなっておるわけであります。私どもは、現存のこの法律が改正される機会に、当然この第二十一条第三号に関する問題は取り除かれるものであると信じていたのでありますが、残念ながら法の改正はただ行政措置でありましたところの輸入映画等審議会等の問題を法制化するということにおいて、本来の違憲であるという問題を巧みにすりかえようとしておる意図すらうかがわれるわけであります。この点におきましても、今回の改正はまことに遺憾であるといわなければなりません。 さらに、これらの定率法の個々の改正の問題の中にも、現在の日本が置かれております自由化との対処において必要であるとのことが述べられておるのでありますが、これを個々に検討いたしますと、必ずしも国民の利益に一致しないものがきわめて多く見受けられるのであります。本日砂糖についても申し述べられておりますけれども、これらの中で減免をされておりますものの大部分は大企業に奉仕するものであって、少なくとも国民の消費につながるものについては高率の関税がさらに高められるというような事実をこのままに放任することは、国民大衆の利益をまず第一と念願するわれわれ日本社会党としては断じて容認することができない次第であります。 われわれは、このような観点から、この二法案について反対の意見を申し述べるものでございます。(拍手)
○足立委員長 井堀繁雄君。
○井堀委員 私は、民主社会党を代表して、ただいま上程されております関税定率法関係法案二案につきまして、わが党の態度を表明いたしたいと思います。 まず、関税定率法の一部を改正する法律案でありますが、わが党はこれには反対であります。ごく簡単にその理由を申し上げたいと思います。 本改正案は、ブラッセル税表の分数による品目整理が行なわれた点と、また最近の産業構造の変化に適応せしめようとするところの保護関税体系を整備しようとしている点につきましては、政府の努力を多とするものであります。今回の改正は、池田内閣の自由化計画を促進しようとするスタートにおいて実施されようとするものでありますが、言うまでもなくこの改正は国民経済に重要な影響を与えるものでありまして、われわれもここに重大な関心を示すのであります。しかるに、本案の改正の実例の一点をあげてみますと、まず農産物特に砂糖、大豆、酪農品に対する定率が、国内の農産物保護とはたして合致するであろうかどうかについて、わが党は非常な疑いを持っておるのであります。ことに政府が農業基本法をもって農業の自由化を促進いたそうとしております際でありますだけに、特にわが党はこの点を重視いたしておるのであります。もしこの農村自由化の意図と今回の定率法の改正の意図とが合致しておるものであるといたしますならば、ここにも問題があるのであります。われわれは、わが国の農業並びに農民の生活保護の立場からいたしまして、ますます多くの疑問を持つものであります。しかるに、こういうような重大な内容を持っておりまする法案が、ごく短時日の間に審議を終わり採決に入ろうとする点について、非常な不満を持つものであります。私どもは、この法案の持つ内容がきわめて広範に、しかも国民経済に重大な影響を持つ法案でありますから、もっと慎重に検討をされて採決に入るべきではないかと思うのであります。 以上、ごく簡単に意見を申し上げたのでありますが、法案の内容について、さらにその審議の方法について遺憾の意を表すると同町に、反対の意思を表明いたしたいと思います。 次に、関税暫定措置法の改正でありますが、これはあくまで暫定措置であると思いまするので、これにつきましては賛成の意を表するものであります。 以上、簡単でありまするが、わが党の態度を表明いたしたいと思います。
○足立委員長 これにて討論は終局いたしました。 続いて採決に入ります。 まず、関税定率法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○足立委員長 起立多数。よって、本案は、原案の通り可決いたしました。 ―――――――――――――
○足立委員長 次に、ただいま可決いたしました関税定率法の一部を改正する法律案に対しまして、藤井勝志君より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。この際提出者の趣旨説明を求めます。藤井勝志君。
○藤井委員 ただいま採決をされました関税定率法の一部を改正する法律案に対しまして、お手元に配ってあるはずだと思いますが、次の附帯決議を附したいと思うのでございます。 附帯決議の案文を読みますと、 政府は、関税定率法第九条の二の規定により緊急関税に関する措置をとったときには、遅滞なく国会に内容を報告すべきである。 理由といたしましては、申し上げるまでもないわけでございますが、今回の改正は、最近におけるわが産業構造の変化と貿易の自由化に対処するために、昭和二十六年以来あまり大した改正のなかった関税定率の改正を行なう、わけても今度日本に初めて緊急関税の制度をとろうとするわけでありまして、この制度の趣旨は、非常に緊急を要する、国内産業の保護のために立法手続をとる余裕がないといったときに、やむを得ずとるといわゆる例外措置であることは、申し上げるまでもないわけであります。これが諸外国の例を見ますと、先日来いろいろ議論が出ておりました憲法八十四条の租税法律主義の精神から考えまして、きわめて慎重に取り扱わなければならないことは多言を要しないわけでございますが、西ドイツにおいては、国会の手続において、きわめて簡素な方法でありますけれども、事前の承認を要することを必要条件といたしておりますし、イギリスやフランスやベルギーにおいては、事後の承認ではあるけれども、少なくとも国会の承認を要するということが前提になっていることも御案内の通りであります。アメリカにおいては、特に関税委員会を作り、利害関係者について公聴会を開いてこれが慎重を期しておる。このような諸外国の例を見ますと、私はこの点について軽率な措置をとるべきではないという考えを持つ一人でございます。しかしながら、私は、ここにわが国のまさに向かわんとする貿易自由化の過渡期における現状に対処する方法において、同時にまた事柄が一刻を争う経済活動において、一々国会の審議会を要しなければならぬというようなことでは、実際論として国民経済全体に及ぼす効果から見て、私は一々理屈に走って現実を失うということになってはいけないと思うのであります。従いまして、一応今申しましたような附帯決議によって、政府にその執行を委任いたすといたしまして、事後すみやかにその正否、事のよしあしを国会が調査できるという立場をとって一応やっていただく。その後また運営において不適当であるといたしますならば、諸外国の例をもう一ぺん参照して、また国会で改正をやればいいわけでありますから、そういう線において、理想あるいは理論に走り過ぎて現実を失わない点において、一応私は附帯決議を付し、国会に報告という条件において了承いたしたい、このように考えるわけでございます。 何とぞ委員各位の満場の御賛成をお願いいたします。(拍手)
○足立委員長 これにて提出者の趣旨説明は終わりました。 お諮りいたします。本附帯決議を付するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○足立委員長 御異議なしと認めます。よって、本附帯決議を付するに決しました。 ―――――――――――――
○足立委員長 次に、関税暫定措置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。 採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○足立委員長 起立多数。よって、本案は原案の通り可決いたしました。 次に、関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。 お諮りいたします。本案は原案の通り可決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○足立委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は原案の通り可決いたしました。 なお、各案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○足立委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。 次回は、来たる二十八日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後三時十三分散会 ――――◇―――――