大蔵委員会 第14号
- 発言数
- 149 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/03/14
会議録
○足立委員長 これより会議を開きます。 関税定率法の一部を改正する法律案、関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。 本日は東京銀行頭取堀江薫雄君より御意見を聴取することといたします。 参考人には御多用中のところ御出席いただきまして、ありがとうございます。 では、まず参考人より御意見を述べていただき、その後に質疑を行なうことといたします。 堀江参考人。
○堀江参考人 ただいま御紹介いただきました堀江でございます。 御承知の通り、関税には通常二つの目的があるといわれております。一つは財政収入であり、他の一つは国内産業保護であります。しかしながら、最近の傾向といたしまして、今日先進諸国の関税はおおむね産業保護を主たる目的とするに至っておるようであります。そこで、近年世界的に進展しておりまする貿易自由化のもとにおいて、わが国産業をどのように関税面で保護していくか、これが今日の重要な問題であり、この問題はまたわが国の産業構造政策とも密接に関係して参ると思うのであります。従いまして、ここでは、貿易自由化の要請と、それに基づく産業構造政策の観点から、わが国今後の関税のあり方について簡単に意見を申し述べたいと思うのであります。 まず、わが国が貿易の自由化推進を必要とするのは、次の二つの事情があるからだと思うのであります。 その第一は、自由な世界貿易の拡大に対する世界的な共通の要請であります。これは一種の国際世論ともいうべきものであろうかと思います。一九五八年に御承知の通り、西ヨーロッパ諸国が通貨の交換性を回復いたしまして以来、世界における貿易の自由化はとうとうとして進行しております。御承知の通り、最近に至りましては、西ヨーロッパ九カ国とペルー、この十カ国が国際通貨基金のいわゆる十四条国から八条国に移行いたしました。これで在来八条国でありましたアメリカ、カナダ、そういった国々その他と合わせまして、今では主要な先進国中十四条国にとどまっておるのはわが国一国のみという状態に立ち至っております。もともと、自由化を進めることによりまして、世界貿易の相互拡大をはかり、各国の国民生活の向上と経済の繁栄とをはかることが、国際通貨基金やガットの根本理念でありまして、それらの国際機構に正式に加入しておりまするわが国といたしましても、できる限りその理念の達成に協力していく必要があると思うのであります。 貿易自由化を必要とする理由の第二としましては、わが国経済自体に内在する自由化の必然性ともいうべきものであろうかと考えます、わが国の経済は、御承知の通り、戦後目ざましい成長を遂げつつありますが、これは貿易の飛躍的な拡大に負うところが大きいことは万々御存じの通りであります。そうして、こうしたわが国の貿易の好調は、国際的にはいわゆる貿易条件の有利さ、また国内的には生産条件の良好による国際競争力の強さに由来するものと考えるのであります。従いまして、この際こうした条件を有利な態勢とをさらに推し進めて、自由化による貿易の一そうの拡大をはかることこそ、わが国国民経済発展の道であると思います。世間ではしばしば外圧による自由化といいましたが、実はわが国自身が自主的に自由化を進めるべきであるということを、特に指摘しておきたいと思うのであります。もちろん、個々の産業の立場から見たり、あるいは短期的な、また局部的な観点から見ますならば、多少の問題や多少の困難はありましょうが、長期的また総体的には、今申した通りであろうかと私は考えるのであります。 そこで、わが国におきましても、年来各方面において貿易・為替の自由化が論議せられ、昨年六月には政府の自由化計画大綱も決定しまして、その推進がはかられておるのが現状であります。しかしながら、自由化が一方で国内経済に至大の影響を与えますことも事実なのであります。無準備、無計画でこれを推進することはできません。この意味において、自由化は自主的に十分準備をした上で逐次実行していくのが一番いい行き方と考えるのでありますが、他面、世界の自由化の大勢におくれをとることも得策ではありません。私見を申し上げますならば、内外の情勢から見まして、これからの自由化の推進はいま少しくテンポを早めざるを得ないかと思うのであります。 皆様方万々御承知の通り、貿易の自由化が進んで参りますと、輸入制限等の直接管理は廃止されていき、関税がこれにかわって重要性を帯びて参ります。その意味で確かに関税は自由化に直結した当面の具体策として有効なものであります。しかし、同時に、その産業保護機能は限定されたものであることを、ここで明らかにしておきたいのであります。と申しますのは、関税は、産業政策という見地からはどうしても間接的であり、また補完的作用を営むにとどまるものだからであります。従いまして、真に日本経済の安定的発展をはかり、国際競争力を強化するためには、まず合理化や体質改善を達成する必要があり、それぞれの産業の企業努力、国家の賢明巧妙な経済政策や金融政策が最も重要になってくるのは当然であります。関税は、これらの経済政策、金融政策、また企業側の努力があって、初めてその補完的機能を果たすことができるものと思います。このように関税の機能にはおのずから限界がありますから、ある程度は輸入制限にとってかわるものとは申しましても、輸入の量的制限が直接に国内産業保護のために果たしていたのと同じ機能、同じ程度に関税に期待することは無理があり、この意味で、関税の役割は大きいことは事実といたしましても、これに過度の期待をかけるべきではないと思うのであります。実際上わが国経済発展の面から見ましても、輸出振興を第一義に考えて参らねばなりませんし、国内産業保護に偏して過度の高率関税を課することは、産業合理化や企業の体質改善を妨げ、また、輸入依存度の高い原材料につきましては、これが輸出品の競争力にはね返ってくる面も少なくありません。また、場合によりましては外国の報復を招くこともあり得るわけでありまして、国民経済発展の上に種々の困難を招くおそれが感じられるのであります。 さて、こういった産業保護の見地に立って見ますと、わが国産業は、第一に、すでに十分対外競争力を備えているもの、それから第二に、今度の産業構造政策から見て育成すべきではありましても、現状ではまだ人為的保護を必要とするもの、また第三には、漸次縮小ないし転換すべきもの、こういった三つに分けることができると考えるのであります。従いまして、関税の税目や税率はこういった産業上の配慮に立って定めらるべきこと申すまでもありません。さらに、保護育成を要する産業や転換をはかるべき産業に対しましては、育成や転換に要する期間につきましては、自由化の衝撃を緩和する方策がとらるべきこと、これまた当然でありまして、自由化計画の策定や財政経済政策の立案にあたり、この配慮を織り込むとともに、関税面においても暫定的に保護するよう考慮するのが至当と考えるわけであります。 次に、関税制度の問題といたしましては、内外経済の急変といったような事情から、国際価格の大幅な変動の影響を除いたり、特定商品の過度の輸入による損害を防ぐために、弾力的な関税制度を採用してもらいたいという要望が産業界には強いのであります。この点並びに今申し上げました育成産業に対する暫定的保護につきましては、関税率審議会におきましても十分に審議されたのでありまするが、今回は結局暫定増税と緊急関税及びタリフ・クォータなどの形でその趣旨が採用されておるのであります。御承知の通り、弾力関税一本を広く制度として採用するにつきましては、法的疑義があるようでありまするが、その中で緊急関税制度はガット十九条に認められておるところでありまして、国内産業に対する悪影響防止のためには必要な処置であると考えます。それから、緊急関税と同様、新制度として採用されまするタリフ・クォータは、実質的には現在の外貨割当と同一の効果を持つものでありまするが、アメリカ等でも採用、実行していることでもあり、産業の政策上その配慮を加えまして、最小限度にタリフ・クオータを実施することはやむを得ないと考えております。 次に、このような関税制度の運用にあたりましては、時宜に応じてある程度機動的に運用されることが望ましい。そのためには、アメリカ、カナダ等において設けられておりまする強力なタリフ・コミティのような機構を設置して、そこで関税全般にわたる総合的、弾力的な活用をはかるべきだと考えております。 以上によりまして、関税改正にあたり主として自由化の観点から配慮すべき諸点を申し述べましたが、今回の改正案につきましては、もちろん若干の問題やその他多少の難点というものもありましょうが、総体的にこれを申しますると、現状では一応これらの配慮も十分織り込まれておりまして、まずまず妥当なものと認められるのであります。この上は、今後の経済情勢に即して、実際的でかつ適切な制度の活用が望まれる次第であります。一応これで終わります。 —————————————
○足立委員長 続いて質疑を行ないます。 通告があります。これを許します。安井吉典君。
○安井(吉)委員 関税定率法改正法案その他の法案に関しまして、きわめて関心を持って今日まで関税率審議会の中等で御活躍いただいておりました堀江さんのお話を今お聞かせいただいたわけでありますが、これに関連いたしまして、二、三お尋ねを申し上げ、御意見をお聞かせいただきたいと思うわけであります。もっとも、これらの法案について、立法技術だとか、そういう点について私もだいぶ疑問を持っているわけでありますが、そういったような問題は、たしか来週委員会の審査が進んでいく段階に入るそうでございますので、その際に譲りまして、きょうは一、二大まかな点をお伺いいたしたいと思うわけでございます。 初めに、今貿易の自由化の促進といったようなことについても、ずいぶんお話があったわけでございますが、今の自由化の進度というものについて、どういうふうにお考えになっておられますか、それから一つ伺いたいと思います。
○堀江参考人 御質問の関税改正の前提をなす自由化の問題、特にその進度でありますが、御承知の通り、一九五七年までは、世界的に申しましても、ドル不足という大きな懸案がありまして、かけ声は大きかったのでありますが、一九五七年までは自由化というものは進まなかったのであります。ドル不足がようやく解消する、むしろ最近はドル過剰となっておるという背景を持ちまして、一九五八年にヨーロッパの諸通貨が一斉に交換性を回復して以来、単に為替面だけでなしに、貿易面にまで非常な勢いで進行いたしたわけであります。特に先進工業国間では、一方に地域化の傾向といったものもありますと同時に、地域内以外に対しても輸入自由化というものは非常に進行いたしまして、六カ国共同市場の六カ国は、域内まで入れますと、大体九七、八彩の輸入自由化が実現いたしておりますし、それ以外のヨーロッパ、いわゆるアウター・セブンの諸国も大体九〇%近く輸入自由化が進んでおります。それに加えるに、たとえばマラヤとかあるいは日本と密接な関係にありますオーストラリア、中南米諸国、これらにつきましても自由化がこの二年間に非常な勢いで推進されて参りました。先ほど申しましたように、IMF第十四条国から貿易為替管理をしないという第八条国への移行が最近でも十カ国に及んだというようなことであって、日本はまだそれがなっていない。今後の状態から申しますと、一方で地域化傾向というのがあり、地域内に多少暫定的な排他性が残りましても、これらが世界全体特に工業国全体の自由化に対する一歩の前進というふうに解釈をされ、実際に実績がそうなっておるという点から申しまして、全体の規模としても非常な進行を見せておる。ごく最近になりまして、昨年来アメリカのドル不安、アメリカの国際収支が危機になってきたというようなことから、アメリカ側の要請もあって、各国がそれにピッチを上げていったようなことになり、今後もいわば仕上げの意味で非常に進行するのではないか、私はこんなふうに考えております。実は、さる新聞に頼まれまして、私先週一つ論文を書きまして、きのうの新聞に出たのであります。自由化の進行対策から申しますと、大体一九玉七年までが、ゴルフの例をもってしますと、いわゆるバック・スイング、準備期間、また相当時間がかかる。それから五八年、五九年、六〇年というのがダウン・スイング、これから六一年以降が比較的早くフォロー・スルーの期間であろうというふうに思います。
○安井(吉)委員 そういたしますと、IMF八条国移行の時期は、日本にとっていつごろが適当だというようなお考えでおられますか。
○堀江参考人 これはIMF、ガットといった国際機関からの希望要請、これが一つの要素であります。また、日本経済自体、日本側からの配慮が一つであって、この二つの配慮の調整ということに相なるかと思います。この六月に十四条国が毎年必ず受けなければならないIMFのコンサルテーションがあることになっております。最近の日本のいろいろな経済あるいは為替、国際収支の状態を、お互いに意見を交換して調べるということに相なっております。これの意見がさっき申しました外的要因の一つの大きな材料であろうかと思います。IMFとしましては、そのコンサルテーションの結果に基づきまして、九月の——今度はウイーンで開かれまするが、国際通貨基金及び世界銀行の総会直前にIMFの理事会があって、そこで決定が行なわれるということに相なるわけであります。これが第一の外的な要請、これに対して、国内の事情といいますのは、幸いに御承知の通り日本の経済も非常に強化、改善あるいは国際競争力ができてきた。ただ、個々の産業につきましては、いろいろ中小企業の問題あるいは農林物資の問題、それぞれございまするけれども、全体としては相当産業自体にもしっかりした地盤ができた。それに加えるに、いろいろ内外の情勢に幸いされて日本の国際収支も非常に順調になって、最近は多少懸念も伝えられておりますけれども、御承知の通り外貨準備も二十億ドル前後たくおえたということになりますと、日本の年間貿易額が大体輸入だけで四十数億ドルとしますと、約半分近く外貨がたまっておるということになりましたら、将来の多少の国際収支の波、変動というのがございましても、ある程度そういうものをまかない得る情勢になったように思うのであります。もちろん可能な範囲で最大限の国内態勢の準備はやらなければなりませんけれども、外的要請からする——また九月以降今年中か来年か、まず来年中には八条国移行が決定し、事実として出てくるというようなことになるのが予想されるところでもありまするし、ある程度適当ではないかと考えます。もっとも、今申しましたIMFの今度のコンサルテーションで、八条国移行の勧告決定ということが確実だと申す意味ではございませんで、この可能性が非常に強い。また、同時に、私の意見としましては、国内態勢もそれが可能な状態になってきておるように観察するのであります。
○安井(吉)委員 今最近の日本の国際収支の問題についても若干お触れになったわけでありますが、ケネディがどう出るかわかりませんが、つまりアメリカのドル防衛、あるいはもっとそれの背後の景気後退、あるいはヨーロッパでもむしろ停滞ぎみであるし、それがいわゆる低開発国においてもドル不足というような形で現われている、そういったような要素がこれからの日本の国際収支の上にもだいぶ現われてくるのではないかということも心配されるわけです。今この間のやつは大したことはないというようなことでありますが、そういったような諸般の情勢をからみ合わせまして、ほんとうに心配なく今後いけるものかどうか、もう一度一つ伺いたいと思います。
○堀江参考人 国際収支の現状並びに先行きにつきまして安井さんから御指摘の点、確かにごもっともだと思います。問題がないわけじゃなくて、いろいろと問題があると思うのでありますが、しかし、その問題が、日本の自由化促進をとめなければならぬ、足踏みせなければならぬほど大きいものかということが問題になってくるかと思います。国際収支自体につきましては、御指摘の通りいろいろ問題もあり、またこれをめぐっていろいろの見方があるようでありますし、大きく分けて楽観論、悲観論といったようなものもあるようでございますが、私見を申し上げますことをお許し下さるならば、国際収支のごとき問題は、やはり大きな基本的、長期的な見方と、それからさしあたりの短期的な期間の動向、それに対する対策といったような二つの面から区別して考えるべきだと思うのであります。 長期的、基本的な見方としましては、日本の国際収支の型、パターンがどういうものになってきたか、またその傾向とかその内容がどういう性格のもので、どういう継続性があるかというようなことが第一であろうかと思います。この点から申しますと、私は、日本の国際収支の根本をなす経済の競争力というものは非常に強化された。これは、日本自身が強くなっただけでなしに、国際的に、先進工業国では、労働不足とか非常な労賃の高騰といった面から、どうしても制約される。そこへ持ってきまして、その上にいわゆる交易条件が、日本やイギリスのように原材料を大部分海外から仰ぎ、そうしてその原材料を船で持ってくる、そして国内で加工製造して、製造品を輸出する、その製造品の生産コストの中にもちろん労銀が大きく入ってくるといったような国柄から申しますと、原材料物資につきましては、御承知の通り生産制限もできない、価格支持も国際的にはできないということで、引き続きおおむね割安であります。引き続いて来年、来々年につきましても、原材料物資が品不足になって高くなるといった傾向はないわけであります。それに加うるに、輸入コストの中へ入って参りますところの船賃は、これまた御案内の通り非常に安い傾向が続くであろう。それから生産品の問題であります。これは相対的な問題でありまして、日本も消費物資とかあるいはサービス料金、これは最近明らかに届くなっておりますけれども、同時に生産設備が非常に拡充されて、国内ではむしろ生産過剰だという傾向さえ見えるおけであります。それが輸出プレッシャーにどうしてもなりやすい。そういう点から言いますと、日本の生産条件は他の国に比べていわば有利である、競争力が強いというような点、いわゆる交易条件が日本のような産業構造の国では非常に有利に働いていく傾向はなお今後続くというようなことがいえると思います。 それから、もう一つ、国際収支の中の貿易収支以外の資本収支につきましても、短期資本、長期資本——長期資本については、これは日本へ大量にそう簡単に入ってくるとは思われませんけれども、長期資本の前ぶれともいうべき短期資金につきましては、日本へは入りやすい要因がまだ残っておると思うのであります。ドルが幸いにして回復しかかっておりますから、回復しまして、アメリカからヨーロッパへ流れた短期資金は今多少足踏みになり、あるいは将来イギリスあたりからはアメリカに還流するということがありましても、日本に対しましては、アメリカあたりから過去において大したものが流入していない。ことに長期資本がきていないと、その前ぶれとしての短期資本は入りやすいし、御承知の通り、景気を反映する金利の問題にしましても、日本の金利は、いろいろの事情がありますけれども、西ヨーロッパに比べてもはるかに高水準というようなことになりますと、それを魅力とする短期資金、これはある程度ことしも入ってくるのじゃないかというようなことを考えますと、その他にもいろいろ要因がございますけれども、貿易収支ならびに経常収入並びに資本収支をあわせて、基調あるいは基本の問題としてはそんなに心配する必要はないんじゃないか、私はそんなに考えております。ただ輸出が停滞する時期あるいは輸入が大いに伸びる時期、いわば貿易シーズン、それから、何と申しましても輸出については相手方があることでありますし、相手国の購買力、景気の反映というようなものがありまして、短期的に見ますと、やはりここ数カ月、長ければ六月あたりまでは貿易収支もそんなによくはならないんじゃないか。しかし、一巡いたしますと、アメリカのドル防衛策の内容も見なければなりませんが、現状程度で推移するなら、この七、八月ごろからまた再び立ち直ってくるというようなことで、これらを通観いたしまして、国際収支の基調としては大した変わりはない。日本は戦前の国際収支のパターンなんかと違って非常に強くなっておるというような現実である。ただ短期的にはいろいろと考えなければなりませんし、特に輸出については、百般の輸出ドライブをかけなければならないと思うのでございます。かれこれ通観いたしまして、先ほど申し上げましたような結論になったわけであります。
○安井(吉)委員 前途楽観して差しつかえなしというふうな、大へんありがたいお話を伺ったわけでありますが、全体的には、貿易の自由化はもうぐずぐずしているな、どんどんやれというふうな調子のお話のように伺うわけであります。この問題ばかりで終始しますと、肝心の関税の方がおくれてしまいますので、本論の方に入りたいと思いますが、ただ一つだけ一番心配なのは、貿易自由化といっても、それに関する国内的な事前態勢というものが十分できているかどうかということだろうと思うのです。特に中小企業だとかあるいは農林水産だとか、つまり弱い基礎に立っている関係の人たちから常にそれが持ち出されるわけです。全体的には楽観的なお話でございますが、どうでしょう。今の政府がやっております貿易の自由化を前提としての諸対策は満足なものでしょうか。どういうふうにお考えでしょうか。
○堀江参考人 今の御発言、あるいは誤解を与えたかと思います。国際収支の問題について私が楽観論者であるとお片づけになられるのは少し不服でありまして、こういった非常に変化しやすい問題につきましては、基調としては悲観すべきでない、楽観でいい。しかし楽観と悲観の間にその中間があるかと思うのでありまして、御指摘のような点は、いろいろと悲観材料として取り上げ、これに対処していくという態度が必要でありましょう。どっちかといえば私は楽観論と御了解いただいてけっこうなんです。しかし野放しの楽観論ではないということを釈明しておきたい。 それから、安井さんの御指摘になりました国内態勢の整備ですが、これまただいぶおくれております。その意味で私は全然同感であるわけであります。特に中小企業の問題、それから地域的な産業の問題、特に農林物資の問題、そういったことは、私も最初のお話で御説明申し上げましたように、これは自主的にむしろ事前に諸準備、諸態勢を整えて自由化に入っていくのが一番賢明であり、そうすべきであるというふうに考えるのは全然同感であります。ただそのタイミングとなりますと、貿易あるいは国際収支につきましては、純国内問題と違いまして相手のあることだし、それから一種の国際世論があることでもありますので、あまりにちゅうちょする結果、たとえば——これはたとえばでありまして、一例として取り上げると、日本が自由化を進めないために、相手国が日本に対してそれを口実に輸入の制限をする、あるいは御承知のガット三十五条を適用するのをしいて押えるといったようなマイナスの要因も出はしないか。ことに先進諸国が多く八条国になってしまって、日本は世界貿易の中でも大きな比重を占めておる有力国でありながら、依然としてわが道を行った場合に、わが道を行くこと自体に問題はないにしましても、いずれ国際世論から世界的な一種の措置をとられるということは時期の問題である。その意味であまりおくれることは賢明でない、あるいは有利でないということだろうと思います。
○安井(吉)委員 あまり楽観論でありますと、ただでさえ何もしたくない政府の方ではますますサボってきますので、その点心配しておりましたが、楽観と悲観の中間で、どっちかといえば楽観寄りという御発言であります。しかし、何と申しましても、国外的な要因ももちろん無視することはできませんけれども、やはり国内的な対策というものが先行しなければいけないことだと思います。そういうような意味で、そういう方向にさらに一そう政府に外からのお働きかけをお願いいたしたいと思うのであります。 関税定率法の改正の問題でありますが、明治四十年来のあの古い仕組みが昭和二十六年に一応の中身の改正は行なわれましたが、しかし全体的なしかけというのは旧態依然たるもので今日まできておった。それが今度新しく生まれ変わらせるのだということで、今度の改正は大きな意義があると思うのでありますが、ただ、私ども、全体的に改正法案を見まして、当時政府から関税率審議会に対して諮問が行なわれたあの中で、自由化の要請からくるところの改正、それから産業構造の変化に対応する改正、この二つのものを押し出してきたということを、先ほどの御説明の中でも伺ったわけでありますが、一体その二つのうちどっちの方を審議会の方は重点としてお考えになってお進めになったのでしょうか。
○堀江参考人 御質問の問題につきましては、私も実は関税率審議会の委員であり、また調査部会の委員であったわけでございますけれども、これは責任者はいわば大蔵大臣が会長であるのでありますから、正確な立場でお答えするのは大蔵大臣でありまして、私はその一メンバーとしての私見に相なるかと思うのでありますが、当初会長である大蔵大臣からの御諮問は、おっしゃる通りの二つの点をほとんど並行的な意味で御諮問になったように記憶いたしております。しかしながら、実際問題としましては、先ほど安井さんから御質問のありましたように、自由化の要請というものが非常な意味で急を要するというようなことが当時予想もされておりましたので、むしろ貿易・為替の自由化の主なる目的、趣旨、制約というようなことから考えて、同時に産業構造政策というようなことは——戦後現在まで変わってきた産業構造の変化、これは既定事実であります。その上にそれを考えながら、なおかつ自由化の要請を入れた今後の産業構造の変化というものを、日本にとってより賢明であり、より有利な配慮で結び合わせて、新しい関税率についての研究が行なわれたように、私は了解いたしております。
○安井(吉)委員 貿易・為替の自由化という問題が目先にきている、それ関税にまず手をつけなければといったような要請の方が先に立ってしまって、本来産業構造の変化に対応する政策は、お話のように関税だけで万事オーケーというものでは決してないと思います。しかしながら、関税のプライス・メカニズムといいますか、そういったようなものが産業構造政策の中に非常に大きな影響を持つことは事実です。そういうような立場から、私は、もっと時間をかけて、今の産業構造の変化対応といったようなことを強く掲げるなら、慎重な検討がなされた方がよかったのじゃないかというふうな気が実はするわけであります。それはもちろん数カ月にわたりまして慎重な御検討をなされたことはよくわかるのですけれども、そういったような点二つ並んで、自由化の方ばかり先にいって、そればかりに引きずられて答えを出してしまった、そういうような若干の心配があるわけでございますが、今もお話の中でそういったような点をうかがうことができるわけで、これは今後の宿題になると思うのであります。 そこで、税率の水準の置き方でありますが、日本の現状において、今度答申されましたあのような水準で大体よいというふうな御結論になったと思うのですが、その背景についてもう少しお話しいただきたいと思います。
○堀江参考人 関税政策は御指摘の通りでありまするし、私も、最初の御説明でちょっと触れましたように、最近では産業保護という立場から考えるわけでございますので、どうしても日本の国内産業の生産コストを中心にした日本の国際競争力ということが中心に相なるわけでございます。ただ、それに加えるに、何と申しましても国民経済全般の問題でございまするから、やはり消費者の利益ということも考えなければならない、その他いろいろ配慮する諸要素が渾然となって一つの税率がきまらなければならない、ということであろうかと思うのであります。その中では、何と申しましても、貿易上国際競争力がある、従って海外からより低廉な同一物資が入ってくることによって国内の産業が侵害されない、ということが配慮の中心に相なると思いますので、国内の生産費を中心に、国内物価、それと国際比価との観点が一つの要素と相なると思います。それに、先進工業国との比較において、日本の関税率ははたして高いか安いかといったことが検討されたわけであります。日本の関税税率は、全般の輸入物資の中における関税率、その比率から申しますと、比較的先進工業国でも安い方であるわけであります。しかしながら、輸入品の物資の中の徴税額に比較して、個々の関税は比較的高いというようなことに相なっておるわけでありまして、日本の場合はどうしてもやむを得ない原材料物資について輸入無税のものが非常に多いというようなことから、それ以外のものは比較的高いという事実があって、その上に立って他の競合国から多少報復的な措置をとられないかという限界もあるかと思うわけであります。国内要因とそういった対外要因を検討し、主として関税率審議会では幹事会でその数字の検討がされて報告をされる。それに対して、調査部会では、いろんな各業者の人や学識経験者もありまして、そういう立場から幹事会のそういうデータないし数字の決定が妥当かどうかということを、半ば素朴に、また半ば材料を科学的に検討した結果が、ああいう結果になっております。率直に申しますと、あの関税税率でもなかなか困難で、結論に至らなかったものがずいぶんあるわけであります。また結果としてどうも納得しがたいように思われるものもないわけではなかったのであります。何分半年にわたって、しかも一回が少なくとも半日というような長時間の数字的検討でございましたので、率直に申しますと少し論議疲れというものもあり、それから、国内の経済諸要因の複雑さから、なかなか簡単に絶対多数というような決定にも至り得なくて、多少政治的な結論に至ったものもあるわけでありますが、全般についてはまずまずというぐらいではないかと考えております。
○安井(吉)委員 審議会の方で一応御答申をされましてから、あとで政府で最後的な決定をされて法案に作られる場合に、だいぶ手直しをしている面があるようですが、その点について審議会の方はどういうようにお考えですか。
○堀江参考人 私は、審議会が一応一段落しまして以後あまり詳しく関係しておりませんので、詳しい事情は存じませんのであります。ただ、審議会の末期の過程におきましては、もともと問題の多い物資について論議も多岐に分かれて、なかなか結論に至らなかったというようなことで、多少弾力的にと申しますか、条件付で最終決定を延ばしたようなものもありますので、あるいはそういうものについて御指摘のようなことがあったのかと想像する程度であります。
○安井(吉)委員 この審議に関連いたしまして、関税率を上げたり下げたりするわけですから、各方面の利害関係が相反するという場合もずいぶんあったと思うのです。たとえば消費者の立場からすれば下げてもらいたい。それから、単なる純粋の消費者じゃなしに、生産的な消費の場合でも当然原材料の関税率は下げてもらいたい。しかし一方それに関連する生産者の方は上げてもらいたい。こういうふうなことで、大へん利害関係が輻湊する場合がずいぶんあったと思うわけであります。その段階において業界からの圧力なんというものもあったかもしれませんが、それは別として、そういうふうな調整の作業は審議会でどういうふうにおやりになったのですか。
○堀江参考人 この問題もまた私が引き受けてお答えする性質のものではないわけでございますが、せっかくの御質問でございますから、私の多少見聞したことを申し上げますと、御指摘のことも多少あったと思います。また、率直に申しまして、私ごときにも——私は別に業界出身ではないつもりで、学識経験者の立場だったと思うのですが、私のところなんかにもそういうような陳情や材料提供その他がございました。しかし、これはもちろん委員が純理の立場で委員となっておるわけでございますから、影響される委員は大してあるはずはないし、また陳情といいましても、一企業ないし一業界だけのむくつけき露骨な陳情は比較的少なうございました。どちらかと申しますと、経団連とかあるいは商工会議所とかあるいは貿易会というような財界団体を通じての要望でございました。それはまた、それらの団体の中でいろいろ論議をされて、濾過されてくるというようなものが非常に多かったように思います。また、御質問の消費者側とそれから生産者側、またものによりますと、消費者も、御指摘のように中間消費者というようなものもありまするし、それに日本から海外へ投資しておる特殊のもの、三つどもえの利害の不一致というようなこともありまして、長時間をかけたのもありますが、それはもっぱらある程度材料は幹事会からいただきながら、関税率審議会調査部会としては、もっぱら話し合いである程度濾過させた上で、まあ一種のいい意味の妥協を経た上で決定するというようなことになったかと思います。
○安井(吉)委員 私は、その利害関係の人たちからずいぶん発言があるのはまあ当然だし、それは差しつかえないことだと思うのです。ただそれが個々に、私の方の関税は困るから少し下げてくれとか、そういう個々の話し合いではなしに、公聴会というか、そういうオープンな形で問題が論議されるような性格ではないか。特に利害関係がずいぶん相反する場合が幾度もあると思います。そういうようなことを考えるわけでありますが、公聴会とかそういうような運びはなかったわけですか。
○堀江参考人 お答え申し上げます。 おっしゃるような公聴会も実は持ったわけであります。例をあげてはどうかと思いまするが、例のパルプの輸入関税につきましては、問題が非常に錯綜対立いたしました結果、それぞれの利害関係者の立場を審議会で十分に聞いて、しかしまた質問もして、論議は別途にやったというような例もございます。また、業界の対立だけでなしに、率直に申しますと、お役所同士の考え方の相違というようなものもございまして、その点につきましては、業界をある程度監督調整されておる農林省のお話を伺って、また通産省のお話を伺って、また税の立場の大蔵省のお話も、公聴会ではございませんけれども、伺った上で、みんな参考にいたしたということもございます。
○安井(吉)委員 業界の対立だけではなしに、日本の役所と役所の対立は業界の対立よりもっと激しいことがあるそうですからこれはまあ大へんなことだったと思うのです。いずれにしても、純粋に利害関係の調整、そしてまた大きな産業経済観点からの見方、そういったようなものも総合的な大勢の中から結論が生まれてくるということであろうと思うのであります。 そこで、弾力関税の問題です。今度は緊急関税制度を設けられたわけでありますが、緊急関税よりも、もっと一そう弾力性の強い弾力関税を設けるべきだ、というふうな意見もおそらく出たのではないかと思うわけであります。そしてまた、現在でも報復関税や不当廉売関税ですか、そういったような制度は現にあるわけであります。ありますけれども、現在の関税定率法の中のそれらが、いまだに一度も実行に移されないままに今日にきているわけです。そういうような中で、今の広い意味の弾力関税の制度を、今言ったような過去の実績の背景のもとでどういうふうに論ぜられたか。それを一つお聞かせいただきたいと思います。
○堀江参考人 お答え申し上げます。 弾力関税につきましては、御指摘の通り、この審議会の今度の発足、昨年の四、五月ごろ以後、当初期間においては非常な要請があったわけであります。もちろん委員の中にもそういう御意見の方が相当おられたし、それから、たとえば経団連あたりの要望も、これは新聞にもだいぶ出ましたが、そういった要請が強かったわけであります。ところが、実際には、これまた御指摘の通り、緊急関税、またタリフ・クオータ程度が今度は採用されるという原案になりまして、弾力関税一般を広く制度として採用するということには相ならなかった。これは、一つは審議を進めて参りまする過程におきまして、従価税、従軍税を併用するとか、あるいは暫定増税をするとか、あるいは緊急事態については緊急関税を実行に移すかというような準備を積み重ねていきますうちに、弾力関税全般を、そういった立法府を離れて行政府の手で広くやるということについて、その必要性が相当緩和軽減したという事実が一つあります。それから、同じく関税審議会で、これは委員はいわゆる法律的専門家が少ないわけでございましたので、たびたび法制局の御意見も伺うというようなことで、法的疑義があってある程度の限界制約があるというようなこともわかりました。主としてその二つの事情から、弾力関税全般については、当初の論議のときに比べ、末期の審議会の意見としましては、だんだんと弾力関税の要請が消えていったというのが事実であったかと思うのであります。しかし、御指摘の通り、過去においてもそれを補足するいろんな制度、これがその割に利用されておらない。しかし、今後におきましては、今度採用されるはずになっております緊急関税、タリフ・クォ−タ、臨時増税、あるいは従価税、従量税の併用、これらは相当機動的に弾力的に運用面で活用される必要があるのではないか、そういうふうに考えた次第であります。
○安井(吉)委員 これらの問題はもう少し具体的に論議しなければならないのですが、これは一つ次の審議の機会に譲ることにいたしますが、なお税関でのいろんな検査だとか、そういうような手続的な問題については論議されなかったのですか。
○堀江参考人 これまた論議されましたし、主として委員側から非常な要望がございました。現在の税関のやり方について非常に手数がかかるとか、レッド・テープが多いというような御意見もありまして、こういう要望が出されたのも事実であります。これに関連して、これは御質問外かと思うのでありますが、保税倉庫の活用といったような問題について、これまた税関手続の簡素化ということでも意味があると思いますが、これまた非常に要望されたことは事実であります。
○安井(吉)委員 それじゃ、最後に、先ほどの御説明の中に、関税委員会のようなものがほしいというようなお話が、たしか最後にあったと思うのですが、アメリカやオーストラリアですか、そういうふうなタリフ・コミティとか、タリフ・ボードとかいうようなものが実はないわけであります。現に日本には関税率審議会なるものが今度りっぱな業績をお残しになったわけでありますが、おっしゃった意味は、その審議会がもっと行政機関的な評価をされて、そういうふうな委員会の仕組みになればいい、そういうふうなお気持で御発言になったのかと思うんですが、いかがですか。
○堀江参考人 お答え申し上げます。 ただいまの問題につきましては、二つ三つの私の気持があるのでありまして、おっしゃる通り、現在の関税率審議会はすでに二十六年のときからある程度の活動をされましたし、また今度も大へんな仕事をしたわけであります。その審議の過程で、この審議会は関税率の審議をすることが主目的になっております。たとえば関税制度をどうするか、あるいはその制度をどう運用するかということは、必ずしもはっきりしていないような印象を受けましたようなわけであります。その意味から申しますと、御指摘の通りアメリカ、カナダ、オーストラリアあたりで実行しているように、経済情勢あるいは貿易情勢の変化その他に即応して、それに早急に対応できるような措置がとれるような意味で、関税率の審議以外に制度あるいは制度の運用、これを含めた関税審議会のようなものの方がベターじゃないかという印象を私は持ったのであります。ただ、この問題は、御案内の通り、もともと税率決定はおそらく立法府の権限内のことであるわけであります。その権限が行政府にある程度委譲されるような格好に少なくともなるというようなことで、この点からも法的制約があるのではないか、われわれしろうとも簡単に意見が出せる問題ではないという印象も持ったわけであります。それから、第二に、この問題につきましては、今回緊急関税あるいはタリフ・クォータといったような、現実に最初に申し上げましたようなことを責任を持ってやる行政事務ができてくるわけであります。これは、単に行政の立場からのみ行なわれますと、おそらくはいろいろと法的な背反になる危険もあるかと思いまするし、それかといって、一々立法府の審議を待っていては、時期おくれといったような事態がございまするので、緊急関税あるいはタリフ・クオータについて公正な立場からこれを運営するについての何らかが必要ではないかというふうな印象を受けたわけでございます。この二つでございます。
○安井(吉)委員 それでは、これで一応私の質問を終わります。 最後に、ちょっと資料の要求、関税率の国際的な比較で、関税収入の輸入総額に対する比率だとか、有税品の輸入総額に対する比率だとか、まあそういったような資料、これはずいぶんたくさんいただいておりますが、その中にもしなければ、これを一つお作りいただきたいことと、それから、今度新しく法案として出されました比率と従来の比率との平均差、これもあったかもしれませんが、お願いしたいと思います。それから、暫定法による減免税制度でずいぶん長く残っているものがあるんですが、一番長いのはどれくらいで、その次がどれくらいか、一目でわかるような一覧表を一つ作っていただきたい。それから、税関における輸入映画等の検査の基準というか、検査要綱というか、何かあるんじゃないかと思うんですが、そういうようなものがありましたら、それをお示しいただきたいと思います。それから、もう一つ緊急関税の外国の立法例、これもずいぶん大きな資料になると思いますが、まあわれわれしろうとでもわかりそうなものを一つお出しいただきたいと思います。以上で終わります。
○足立委員長 ただいまの資料要求について、大蔵省側から、準備ができるかどうかお答え願いたいと思います。
○稻益政府委員 ただいまのお話の資料は大体できると思いますので、に差し上げたいと思います。
○足立委員長 関連質問を許します。平岡忠次郎君。
○平岡委員 戦後自由国家群の首脳がブレトン・ウッズに会しまして、第二次世界大戦が各国がアウタルキーに偏した政策をとってきたことからきていることを反省し、将来に向かっては国際的な分業を進めていく。つまり自由交易というものを主として、世界経済を確立していくという方向が確定しまして、そこから世界銀行が発足し、IMFが発足し、これと対応するところのガット機構もできたわけであります。それが、戦後経営の特殊事情から、そうしたプリンシプルが全面的に押し出されることが制約されておりましたが、十五年たちましていよいよその方針が世界的にプリヴェールされてきたわけであります。そうした背景から考えまして、日本の国が好むと好まざるとを問わず、そうした一連の立場をとらなければならぬことはよくわかります。 さて、貿易・為替自由化の問題は、一昨年の東京のガット総会を契機としまして、急にわが国の現実の政治日程に上って参りました。では、現段階はどういうことかと申しますと、まず昨年六月二十四日、自由化促進閣僚会議で貿易・為替自由化計画大綱が決定されまして、これに基づいて、先ほどもお話があったかと思いますが、早期に自由化するもの、第二に、近い将来に自由化するもの、第三に、所要の時日をかして自由化するもの、第四に、自由化は相当期間困難なものの四つのグループに分けまして、それぞれの品目について貿易自由化計画が立てられたわけであります。この大綱発表後、七月には原皮が対ドル自由化されたほか、無水フタル酸など三十五品目の自由化、電気冷蔵庫など三十八品目の自動割当品目化が行なわれた。十月には銑鉄の対ドル自由化のほか、ココア豆など二百三十六品目の自由化、電気機関車など二百三十一品目の自動割当品目化が行なわれた。現在では自由化率も約四四%に達しておるわけであります。さらに、今年四月を期しまして、すでに発表後久しく業界の準備態勢も整ったと思われておりまする原綿、原毛を初めとして、早期に自由化するもののグループに入っている品目の大部分が自由化されるものと期待され、従って四月には自由化率は六五%に達するものと思われます。今後の見通しといたしましては、自由化のテンポは国内の条件と対外的な環境から制約されることは言うまでもございませんが、昨年七月に行なわれたIMFの対日コンサルテーション、また十月に開催されたガットの日本に対する輸入制限協議会における差別待遇廃止に関する対日勧告や、さらに十一月十七日に発表されたアメリカのアイゼンハワー大統領の国際収支に関する指令書、すなわちドル防衛政策に見られる貿易自由化の要請等から、ことしは一そうにこうした要請が強まり、決定的な山は本年予想されるIMFの為替制限撤廃勧告と観測せられておるわけであります。おそらく勧告されるであろうということは、たとえば年間の輸入規模に対する外貨保有高の比率を見ますと、西独の場合においては一九五七年に勧告を受けまして、この際は七〇%に近かったのでありますが、しかし、一九六〇年六月フランスに対する勧告は、同国が約三五%という準備率のところで行なわれておるのでありまして、これと比べますと、日本の場合は五十一億ドルの輸入に対する二十億ドル程度というのが三十五年末の大体の比率となりそうなので、外貨保有率はフランスの場合より五%増して四〇%となるわけであります。そういうことからIMF勧告必至という観測を強めておるわけですが、まずこの必至という観測を堀江さんはどういうようにお考えになりますか。必ずあるとお考えですか。
○堀江参考人 お答え申し上げます。 現在までに至るいろいろな経過につきましては今の御説明の通りでありまして、その上に乗っかって今後の予想はどうかということであろうかと思うのであります。今御指摘の通りのような事情から申しますと、大体六、七月ごろになりますIMFのコンサルテーションは、おっしゃったように、為替制限撤廃、八条国移行ということが勧告される可能性は相当大きいと私も考えております。ただ、昨年の例などから見ますと、日本の場合は他の西欧諾国にない特殊事情もあるというようなことで、これが延びたというようにも承知いたしておりますので、絶対に勧告必至というほどに考えることはないかと思うのであります。ただ、私は、何かに最近発表しましたように、むしろわれわれ日本側の態勢や準備を極力整え、できるだけ余裕期間を置いて、自主的に日本の方で自発的にこの問題を決定していく方がむしろ賢明な態度じゃないか、そんなに考えるわけです。そういたしますと、六月のコンサルテーションに引き続いて九月のIMF理事会、そこらあたり以後、先方から具体的な勧告があろうとなかろうと、日本はみずから自主的にそういうことができる準備をし、またみずから自発的にそれをやる方が賢明であろうというふうに考えております。従いまして、時期につきましてはあまり遠くない、本年か来年、こういったことに入っていく事態になるのじゃないか、そんな予想を持っております。
○平岡委員 勧告が行なわれるか行なわれないかは別としまして、日本のかまえとしては、行わるべしという、そうした想定に立ってのかまえをする必要があると、私も思うのであります。ところで、何でもしり馬に乗って自由化が至上命令だという、そうした追随的な立場をとるよりも、むしろ、政府としては、IMFにしましても、ガットにしましても、例外規定がございますから、対外的には抵抗を徹底的に示す、他方、国内的には自由化対応の万全を期するという立場をとるべきだと思っております。従来もそうでなければならぬはずでありますが、こうした勧告がなされた後におきましても、この基本的立場をとり、対外的には抵抗すべきだと私は考えております。というのは、ドイツとかイタリア等の例を見ましても、やはり自由化に、他律的に、何といいますか、しり馬に乗せられていったというような傾向はないのでありまして、徹底的な抵抗を示しておるということがよくわかるわけであります。 まず、西独の場合におきましては、一九五七年六月IMFの勧告を受けた後、同年十月のガットの第十二回総会においては、五八年以降に若干の品目の自由化を行なう意向を示したにとどまり、輸入制限の全面的撤廃は不可能ということで終わっておるのであります。その後五八年十月の総会に自由化計画を提示しましたが、関係国の満足するところとならず、翌五九年五月の総会で、ようやく自由化計画表の一応の決定を見たわけであります。ただし、若干の品目については関係国との協議も残しており、六〇年五月の総会まで持ち越しておるのであります。前後三年間ねばっております。それから、イタリアの場合におきましては、五九年の五月にIMFの判定を受けたわけでありますが、すぐそのあとの十一月のガット総会においては、次の総会に自由化計画を提示することを言明して了承を得ていたところが、次の総会に当たる六〇年五月の総会においては、国内事情で自由化の提示が不可能になったとし、自由化品目の拡大と非自由化品目についての関係国との協議を約束して終わっております。しかし、その後六〇年秋におきましては、すでに非自由化品目について関係国と協議に入っておるわけでありますが、このイタリアの場合も、目鼻がつくまでには二カ年という日をかせいでおるわけであります。ですから、企業家のかまえはすぐにでも自由化態勢をとるようにする必要があると思いますが、政府自体はむしろ対外的に抵抗の限りを尽すべきだと私は考えておるのであります。こういう点につきまして、堀江さんの今までの御論述でありますと、これはおくれるとかえって手おくれになるぞというお話もありました。それはそうだとは存じますけれども、政治をする立場、政府の立場としては、私が今申し上げたような行き方の方がとるべき態度じゃないかと思うのですが、いかがでございましょう。
○堀江参考人 お答え申し上げます。 平岡さんのただいまの御質問あるいは御説明、国としての基本的態度は便乗主義であってはいけないし、追随主義ではいけない、またこれは日本の国内の諸要因を考えて自主的に決定し、また要すれば抵抗すべしという御意見については、私も大いに敬意を持ってその通りであろうかと思います。ただ、さらに私の意見を申し上げさせていただくことを許していただくならば、二つばかり申し上げたいと思います。 それは、御指摘のドイツの場合、またその後のイタリアの場合に比べまして、国際経済環境がずいぶんと変わっておるということでありまして、ドイツが三年抵抗できた、またイタリアが二年抵抗できたというときは、世界の先進工業国も、従来のアメリカ、カナダを除いて、すべて自由化をしていなかった。ところが、最近のこの一年間に多くの先進国が自由化をし、またそのための輸入割当を撤廃した、為替の自由化もしておるということになりますと、貿易の問題につきましては、これは商売の問題であり、相手のある経済問題であるという点から申しまして、根本の考え方は、業界や財界人はもちろんでありますが、政府の経済政策としても、どちらの方がより賢明であるか、またどちらの方がより日本の経済に有利であるかというような観点をぜひお考えいただきたいと思うわけでありまして、政治の問題あるいは倫理の問題としましては、御意見はいつのときにも十分真理であるわけでありますけれども、いやしくも貿易の問題となりますと、経済環境というものが変わってき、日本ががんばった結果、かえって日本により不利な輸入割当あるいは輸入制限ということが相手方でとられる。これは一例であります。そういうことになると、かえって不利になる。そこらは、ごく下世話に申しますならば、より賢明、より有利といったようなそろばん的な感触も、国の政策には必要であろうというふうなことを考えるわけでありまして、私も基本態度について全然同感でありますけれども、今申すような点は、今後の八条国移行については十分考えてみたいというふうに考えております。
○平岡委員 私がかようなことを申しますのは、日本の農業の立場が自由化によって非常に影響されるわけなんです。ですから、全般的な工業生産の交流とか、国際分業を推進すべしということはそれでいいと思いますが、農業それ自体、現実の日本の農業というものの困難性を考えた場合において、一体これを無条件に何でもかんでも自由化していいかどうかが問題になるわけです。そこで、いろいろ私も考えてみましたが、結局、自由化推進とか、為替・貿易の自由化ということは、レッセフェールの思想に遠因しているわけです。資本主義の一連の立場なんです。そこで、資本主義の優勝劣敗の戦いの中における優者というものは、資本の回転の早いものが優者になることはきまっておるのです。ところが、農業でわれわれが抵抗を示さなければならぬということは、農業それ自体が、一年に少なくとも一品目に対して一回きり回転しないわけです。米の二毛作はありますけれども、大体一年に一回の資本回転率しか持たない農業というものは、本来レッセフェールの立場と違うのではないかという疑問が出てきます。それは、現実に、アメリカにおいても、ドイツにおきましても、農業の問題は徹底的にがんばっているわけです。日本でも、瞬間タッチ方式の大豆とか、いろいろな工夫をしておるようですが、考えてみますと、農業それ自体はレッセフェールの一連の立場の自由化政策のらち外に置くべしということがむしろ原則ではないか、私はさようにすら考えておるわけであります。そういうことで、農業それ自体というものをそのらち外に置くというととは、ガットそれ自身の中において公に論議するならば、これは日本が宥恕を請うというような消極的な立場ではなしに、そうした特殊なものは、ガットそれ自身としても、むしろ原則の一つとして認めていくという、そうした方向が打ち出せるのではないかとすら考えているわけです。これは自由化政策のチャンピオンであるアメリカでも、南米諸国は農産物には制限しております。これは、ドイツでも、農産物に関しては三カ年がんばって、国内法としての農産物安定法がガット制約に優先するということを取りつけて、初めて自由化に踏み切っております。ですから、その辺を区別すれば、堀江さんのおっしゃるバスに乗りおくれるなということも一応生かしながら、なおかつ日本の農業をめぐる自由化の一つの悪影響というようなものが、発展的な高次な立場で解決されるのじゃないか、かように考えますが、いかがでございましょうか。
○堀江参考人 お答え申し上げます。 農業の問題につきましては、全く平岡さんのおっしゃるところが現状であり、将来にわたっても長くこの問題は解決がむずかしい問題であろうかという意味で、ごく一般的に平岡さんの御発言は私も異議がございません。アメリカも現実にその政策をとっておりますし、またガットにおいても、農業については一種のエスケープ・クローズがあるわけであります。日本におきましても、おそらく私などは全然のしろうとでございますが、日本の農業をどういうふうにするかということは国の最大の問題であって、そのためにたくさんの農業関係の雇用を圧迫するということはできないわけでありますから、現実に審議会におきましても、農業問題については、ほとんどの委員が一種の特殊なジェネラスな態度でこの問題は扱っていたと思う。また農業を代表する農林省の御意見をたびたび伺ったわけであります。ただ、それらのお話によりますと、日本の農業も現状ではいけない、だから、相当手数をかけることを前提にして、また準備はきめこまかく長くやることを前提にして、日本の農業の近代化、あるいは国際分業の役割を考慮するようなことが考えらるべきだ、というようなことも伺ったわけでございます。現実にこの関税税率をきめる場合は、農業の問題は重大な配慮が必要だということは、全然同感であります。ただ、現状がいつまでも維持されるということは、これまた、国民経済全般の上からいって、必ずしも賢明でないという点も事実であろうかと思います。先進工業国のバスに乗りおくれないということが第一原則ではございませんで、私はもし日本にとってそれがより賢明であるなら、乗りおくれても差しつかえないということも考えますけれども、いろいろなむずかしい諸要素がございますから、おのずからこれは自由化促進の配慮になっておる。御指摘の従来自由化率四四%、これが四月以降六五%になる。ここまでは非常にやさしいわけであります。これから先が農業を初め非常にむずかしい諸輸入物資に相なって参りますので、六十五までは楽にきたが、これも七十五ぐらいまでは割合に楽にいく。また影響が比較的少ない物資であります。しかし、率が上になるほどむずかしくなると同時に、おっしゃるような類似の考慮や配慮や政策は十分考えながら進めていく必要があろう。その意味で、私最初にちょっと申しましたけれども、ゴルフの例にたとえれば、一九五八年までがバック・スイングで、六〇年までがダウン・スイング、それからフォロー・スルーというわけです。フォロー・スルーはそんなにむずかしくはないわけですけれども、自由化の問題については、これからがかえって率が、効果が上がらないで、むずかしいというふうに考えております。
○足立委員長 この際委員長より一言ごあいさつを申し上げます。 堀江参考人には、御多用中のところ、わざわざ本委員会に御出席をいただきまして、御意見をお述べいただきまして、本委員会の審査に寄与されましたこと、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。どうぞお引き取り願います。 ————◇—————
○足立委員長 証券取引に関する件について調査を進めます。 質疑の通告があります。これを許します。春日一幸君。
○春日委員 私は、公正取引委員会が三十四年十二月一日これに認可を与えております野村証券外四証券会社が、それぞれ当時新たに設立をいたしました証券投資信託委託会社の株式、これを一〇%をこえて取得することを認可した理由につきまして、これはどう考えても裁量権の乱用、もしくは誤用した違法の認可と疑われるのでございます。本日は、この点について問題点を明らかにいたしたいと思いますが、その前に、せっかくの機会でありますから、この際証券業界、証券売買の中において行なわれておる一般的な独禁法違反の取引行為の疑いのある問題について、公取の意見をただしたいと任ずるのでございます。 なお、冒頭に申し上げておきますが、本員は、ここに国政調査を行なうのでありますが、同時に、私の、要求は、独禁法第四十五条に基づいて、 〔委員長退席、鴨田委員長代理済席〕 何人も、この法律の規定に違反する事実がありと思量したときは、公取に対して、その事実を述べて適当な措置をとれと要求することができる、こんな要求があったときには、公取は必要な調査をせなければならぬ、こういう規定があるのでございまして、私はその調査要求の意味をも兼ねておるのでありまするから、そのような御理解において、私の質問に御答弁願い、かつお取り扱いを願いたいと存ずるのでございます。 さて、昨今、投信への大衆参加が激増いたしたことにかんがみまして、大衆利益を保護するためには、公取は、今や証券取引業、これについて当然十分なる監視を行ないまして、独禁法に定められたる必要なる措置をとることが、国民から公取に負託されておる至上の義務であろうと思うのでございます。そこで、公取は、独禁法第二条第七項によりますると、公正な競争を阻害するおそれがあるものを指定することができることになっておるのでありますが、証券取引、証券売買、これについて、この事項に基づいて何らかの特殊指定を本日まで行なわれたことがあるかどうか。あるならば、その指定の内容についてお示しを願いたいと思うのでございます。
○佐藤(基)政府委員 株式の所有、すなわち証券会社が、その証券会社から事実上分かれた投資信託委託会社の関係でありますが、委託会社の株を所有するということは、独占禁止法十一条によりまして、銀行その他金融業を行なう会社は他の会社の株を一割をこえて持ち得ないという制度になっております。そこで、それをこえる場合には、公正取引委員会の認可が必要である。今の問題は、公正取引委員会の認可によって、五年間一〇〇%持つということになっておるわけであります。そこで、公正取引委員会はいかなる見地からこの例外的な認可を与えたかという問題であります。
○春日委員 僕はそんなことは聞いておりはしません。そのことはあとで聞くことになっておりまして、そのことはあとで聞くが、最初に一般論として、独禁法第二条第七項に基づいて必要なる一般指定を行なったことがあるかどうか。冒頭にそれを伺っておるのでありまして、その問題はあとで聞くと初めから言っておるのであるから、私の聞いたことに答えてもらわなければ困ります。あなたは天皇の認証を受けられた重大な責任を持たれておる方でありますから、私も敬意を持って質問いたしておりまするから、私の質問に対して、ピントはずれの答弁やあるいは先回りした答弁は必要ではありません。もっと私の質問に対して答える態度をもって御答弁を願わなければ、時間のむだ使いであります。
○佐藤(基)政府委員 ただいま不公正取引としての指定はいたしておりません。
○春日委員 では伺いますが、独禁法上の何らかの措置をとったことがありますか。あれば、それについて例示を願います。
○佐藤(基)政府委員 証券関係におきましてはありません。
○春日委員 ないといたしますると、公取は、証券業界では、独禁法第二条第七項に列挙せられた六つの不公正取引の基準、これに該当する取引が行なわれていないという見解にお立ちになっているものであるかどうか。この点公取の見解をお示し願いたいと思います。
○佐藤(基)政府委員 ただいまのところにおきましては、二条の七項に該当する行為はない。認めておりません。 〔鴨田委員長代理退席、毛利委員 長代理着席〕
○春日委員 疑わしき問題について調査をされたことがありますか。あるいはまた調査をされたことはありませんか。この点について伺います。
○佐藤(基)政府委員 ただいまのところありません。
○春日委員 それでは、私は、第四十五条に基づいて、疑わしい問題について二、三例示して、公取の措置を求め、同時にこの場所において委員長の御見解を伺いたいと思うのであります。 証券業におきましては、いろいろな業務兼業が許されており、このことが、本委員会はもとよりのこと、学者、あるいはまた学識経験者、あるいは業界の中においても大きな問題になっておることは、御承知の通りであろうと存ずるのでございます。たとえば、現在証券業者は、引受業、ディーラー業、ブローカー業務などをすべてあわせて行なっておるのであります。このことは、ブローカー業務としてはもっぱら顧客の利益を考えて行動すべきでありまするが、ディーラー業務としては、もっぱら自己の利益のために自己の商品を有利に売りつけることが、これまた当然の行為であるとされておるのであります。従って、ブローカー業務とディーラー業務とをあわせて同一人格で行なっております場合には、往々にして顧客の利益に反して自己の商品を有利に売りつけることが行なわれやすいのでありまして、ここに顧客の立場と自己の立場との相剋する矛盾が調整できない面を生じてくることは、これまた明らかでございます。 かくのごとく観じますると、独禁法第二条第七項第五段、ここに示されておりまする「自己の取引上の地位を不当に利用して相手方と取引すること。」これに該当するの疑いがあると思うのでありまするが、この点に対する委員長の御見解はいかがでありまするか。
○佐藤(基)政府委員 その点はまだ調べておりませんから、お話の通り十分調べまして見解を述べたいと思います。
○春日委員 重ねて調査を要求いたします。 次は、バイカイ取引なるものでありまするが、これまた独禁法違反の疑いありと思量されるのでございます。すなわち、現在東京証券取引所の売買高の五〇%以上がバイカイ取引によって占められておること、これは計数によって明らかであります。このことは、実際的に価格形成に参与しておりまする需要供給が実際の出来高の半分になっておることを示すものでありまして、これでは東京証券取引所の適正な価格形成、これがバイカイ取引によって妨げられておるのではないかと疑われるのであります。 その問題はしばらくおくといたしましても、ここにこのバイカイ取引を一番現実に利用いたしておりまするものは四大証券であります。大証券であります。すなわち、大証券の注目株販売というのは、この前の本委員会においても私が指摘したところでありまするが、それは、大証券があらかじめ特定の銘柄の株式を自分の資金で買い付けておいて、その買付によって株価の値上がりを起こさせ、その株式の取得を本支店を通じて一斉に顧客に勧める。この推奨によって生じた多量の注文を、さきに買い付けておいた自分の手持ちの株式に対当させるために、市場取引においてこのバイカイ取引を利用しておるのでありますが、これは明らかに独占禁止法第二条第七項第二段、ここに示されておりまする「不当な対価をもって取引すること。」に該当するの疑いがあると思うのでございます。すなわち、バイカイ取引という仕法がなかったら、このような価格操作はできないからであるのであります。従って、このバイカイ取引については、ただいま申し上げましたように、第二条第七項第二段の、その不当な対価をもって、すなわちみずから作為によってつり上げた対価をもって取引することに該当するの疑いがある。このについて御調査の結果はいかがでありますか、お伺いをいたします。
○佐藤(基)政府委員 不当な対価かどうかということは検討の余地がある問題でありまして、直ちに不当な対価とお答えすることはちょっと差し控えたいと思いますが、私の方では現在これらの問題についてはあまり調査しておりません。
○春日委員 まさに職務怠慢であります。あなたの方は、独禁法第四十五条に基づいて、公正取引委員会が、この法律の規定に違反する事実がありと思量するときは、職権をもって適当な措置をとらなければならぬ。義務づけてはおりませんけれども、積極的なこのような規定があるのでございます。従いまして、こういうような問題は国会において本日に始まったのではない。昭和二十四年、三十四年、三十五年と継続的に本委員会において論じられておりますことを、あなた方は本日まで何らそれについて調査していないということは、怠慢のそしりを免れない。よろしく私の今の要求に基づいて、たちまち行動を開始されたい。 次に、私は食い合い制度について伺いますが、これまた証券取引所の公正なる業務範囲を逸脱した取引行為ではないかと疑いが持たれるのでございます。すなわち、食い合い制度というものは、信用供与の結果といたしまして、信用取引によって取得した株式売却代金を証券会社または証券金融会社が担保として保有し、これを、顧客との間の担保使用許諾の契約に基づいて、新たな別個の顧客に対する融資、貸株に充てる制度でありますが、その結果、極端にいいますと、ある銘柄についての信用売りと信用買いが対当いたしまする限り、証券会社または証券金融会社は、実際には現金及び実株がなくても、信用の供与、貸株を行なうことができ、有利になる仕組みになります。この制度が作為的に操作されますと非常な弊害を生じて参りまして、現に東洋精糖の株の買い占め事件等にも起きましたように、すなわち相手方が信用買いを累積して売り方の信用売りを誘発する。しこうして、この信用売りが頂点に達したところで、買い方が融資を返済して現株を引き取ることといたしますと、売り方は貸株返済が不能となって、そこで不当な逆日歩を取られて圧迫されて、ついに屈服のやむなきに至る。こういうようなことは、独占禁止法第二条第七項第四段、ここに「相手方の事業活動を不当に拘束する条件をもって取引すること。」これに該当するの疑いなしとはしない。公取はこれに対してどのような調査をされておりますか。調査されておりませんか。また私が申し述べた範囲内において公取委員長の見解は何でありますか。御答弁願いたい。
○佐藤(基)政府委員 ただいまのところ今の問題は調査しておりません。
○春日委員 何にもあなた方はやっていない。一体この大蔵委員会の速記録というものを全然読んでないのですか。国会の論議がどのような論点について論じられておるかということを、もう少し熱意を持って事に当たっていただくのでなければ困ると思う。われわれがここに論じておりますことは、関係機関でありまする公取委にも当然速記録を通じて十分承知してもらっておることと思っておる。しばしばここで論じておりながら、本日まで何らそういうような問題について調査していないということは、最も怠慢のはなはだしいものである。今後の大蔵委員会の論議については、速記録にあまねく目を通して、どのような点についていかに論じられておるか、もう少し責任感を持ってお答えされたいと思います。 それでは本論に入ります。独占禁止法第十一条の行為と、それから今答弁されんとした投信分離の問題について質問をするのでありますが、第十一条の第一項は、金融機関、証券会社が他会社の総株の一割をこえて保有してはならないと規定し、ただしあらかじめ公取の認可を受けた場合は例外とすると規定をいたしておるのであります。すなわち、本条第一項は、金融機関の資本による事業会社支配の阻止を主眼目といたしまして、同時に金融機関及び証券会社相互間の支配従属関係を阻止することをあわせて目的といたしておると思います。これは企業支配及び企業結合をできるだけ排除しようとする、すなわち独占禁止法の基本精神、第一条の規定、さらにはまた資本主義経済の頂点に立っておりまする金融資本並びに証券業者にこの精神を徹底せしめんとする法理でありますから、この法理は独禁法の運用にあたって最も厳格に貫徹されなければならない事柄であると思いますが、公取の見解はいかがでありますか。この基本的な法理論について委員長の所信を伺います。
○佐藤(基)政府委員 十一条の行為につきましては、ただいま仰せになった通りと私も考えております。
○春日委員 従いまして、本条第一項の原則的禁止規定とそのただし書きの例外的認可規定、これをいかに解釈し、いかに運用するかは、独禁法の基本精神に触れる重大問題であろうと存ずるのであります。ところで、いかなる場合に公正取引委員会は認可を与えるべきか。この問題については法文上、明文上の規定はございません。ございませんけれども、いかに運用すべきかというその関頭に立ちまするならば、その選択の方向は、当然本法の合目的解釈から認可の可否を検討すべきものであろうと思うのであります。すなわちそれは、本条の目的が、金融機関や証券業者が事業会社を支配すること、及びその相互間の支配服従関係の成立によってその集中の可能性が存する場合には、認可が与えらるべきでないことは、本法の合目的な解釈からいうならば、これは厳然たる事柄でなければならぬと思うが、委員長の見解はこの基本問題についていかがでありますか。
○佐藤(基)政府委員 十一条の精神につきましては全く同感であります。
○春日委員 そういたしますると、本来この法律解釈論というものは、例外規定は厳格に解釈さるべきものであるとされております。きびしく取り扱わなければならない。すなわち、本条の精神というものが最高度に生かされて、例外によって特別の措置をとろうとする場合においては、これを最も手きびしく措置しなければならぬ。これが一般的な法律解釈論とされておると思うのでありますが、独占禁止法第十一条のただし書きの場合においても、独禁法の本来の精神というものは別個にあるのでありますから、一般的な法律解釈論に加えてその独禁法の精神の上に徹するならば、ただし書きによる認容については厳格にされなければならぬというならば、禁止の方向に向かって精査を受けなければならぬ、私はかくのごとくに思うのでございます。従って、もしそれ公取が独禁法の運用を誤り、あるいは乱用して、その認可申請を取り扱うにあたって、他の第二次的な考慮を差しはさんだり、あるいは便宜的な俗論に屈したり、あるいはまた政治的な圧力に屈服したり、容易に妥協するようなことがあったといたしますならば、それは、独占禁止法の番人でありまする公取自身が、独禁法そのものをじゅうりんし、これを破壊することになると思うが、この原則論について公取委員会の確信は何でありますか、伺います。
○佐藤(基)政府委員 ただいま仰せになりましたような外部の圧力に屈して独禁法の精神をそこなうということがあれば、これは重大問題であります。そのために、この委員会は委員長、委員いずれも強度の身分保障がありまして、そういうことが起こらぬようになっております。われわれといたしましては、独禁法の精神に照らしまして、公正に判断してやっていくつもりであります。
○春日委員 今その外部の圧力に屈するという点がありますが、私は外部の圧力に屈するようなことは当然許されることではないと思うが、第十一条の本条とそのただし書きとの解釈の仕方、運用の仕方、これについて公取委員長の心がまえ、公取としての心がまえを尋ねておるのであります。その中には、今答弁をされた外部の圧力に屈するということだけではないのであって、第二義的な要素を考慮に差しはさんではならない。第一義的なものは何であるか。それは独禁法の精神である。だから第三義的な問題を考慮に差しはさんではならない。便宜的な俗論によって基本的な論理というものを乱してはならない。これがその基本的な、また堅持せなければならない一つの態度である、こういうふうに考えておるが、この基本的な論理に対してあなたの見解はどうでありますか。外部の圧力ばかりではない。第二義的な問題あるいは世俗的な俗論、そういうものに流れてはならない。この心がまえについてあなたの考えはどうでありますか。あわせて御答弁を願います。
○佐藤(基)政府委員 第十一条に本文がありまして、しかしてただし書きがあるんだから、全然本文通りやるんならただし書きが必要でない。ただし書きがあるということは、ある種の例外を認めることが必要であるという前提でできておるのであります。しかして、その解釈につきましては、どこまでも、独禁法でありますから、そして十一条の規定でありますから、その精神をなるべく生かして、特別な事情がある場合に例外を設ける、こういうことにしております。
○春日委員 そこで、私はお伺いをいたしまするが、公取が野村証券、山一証券、日興証券及び大和証券の四大証券、これが、それぞれ新たに設立をいたしました証券投資信託委託会社の株式を、独占禁止法第十一条の本文の禁止にもかかわらず、それぞれ一〇%をこえて取得することを、ことさらにただし書きの規定に基づいて昭和三十四年十二月一日に許可した。その理由は何であるか、この際明らかにお示しを願いたいと思います。
○佐藤(基)政府委員 証券会社から投資信託の委託会社が分離したのであります。そこで分離することがいいか悪いか、これはいろいろ見方があると思いますが、分離することがいいという前提で分離したと思います。そこで、分離した以上は、その分離した会社が十分成り立つことはもちろんのこと、関係者、ことに受益者のことを考えなきゃならぬのであります。そこで、受益者は、親会社たる証券会社の信用、これを信頼して受益証券を買っておるのでありますからして、その受益者の利益を尊重するということは、独禁法の消費者利益を考えるというその精神に合致するのでありまして、受益者の信頼を傷つけないように、しかしてその範囲で例外を設けることはやむを得ない、という立場に立っておるのであります。
○春日委員 理由はそれだけではないと思います。全部述べて下さい。特に認可をされた理由については、あなたの方で明示されております理由があります。ただ受益者の利益というばかりでなしに、幾つかの理由があると思いますから、それをこの際全部述べていただきたい。
○佐藤(基)政府委員 受益者の点がおもな点でありますが、われわれの方といたしましては、投資信託の分離に際して受益者の立場を考慮するということと、それから投資信託の分離を円滑かつ迅速に進めるということ、委託会社が四社のそれぞれの分身であるということを重点に置きまして、証券会社の所管省である大蔵省とも十分協議の上やったのであります。
○春日委員 先ほど私は資料として公取の認可した理由を書面によって求めたのでありまするが、それによりますると、今お述べになりました通り、認可した理由は、受益者の立場を考慮したとある。第二には円滑かつ迅速なる分離の推進とある。第三には委託会社が分離前の証券会社の分身であること、この三点をあげられて、同時に投信のユニットの償還期間が五カ年であるから、従って、五カ年間は、その経過措置として、法定の一〇%の限度をとえて取得することを協議の上認可したと承っておるのであります。しかしながら、この理由に、肝心の企業支配またば企業集中の事実に対する公取としての判断について何ら言及していないということは、これは不当ではないかと思うのでございます。本条は、申し上げるまでもなく、企業支配の関係あるいは過度の企業集中を排除することのためにあるわけなんです。本文の禁止規定にもかかわらず、ただし書きによってそれの認可を行なおうとする場合においては、当然この認可を行なうことによって企業支配または企業集中の事実に関する事実関係がどのような形になってくるかということを言及されないということは不当である。たとえば、受益者の信頼関係を温存せしめるために、また円滑なる分離を推進せしめるためには、独禁法というものは、この二点が完全に行なわれれば、有名無実に運営されてもやむを得ないというふうに思われる。一体どの点に重点を置いておられるのであるか、この点を一つ明確にされたい。
○佐藤(基)政府委員 企業支配ということを非常に強く解釈すれば、何を好んで分離するのかわからぬのであります。分離することが必要であるというからして分離するので、しかしながら、分離する場合には、いろいろな事情があるからして、その円滑剤としてある程度の例外を設けるのはやむを得ない、こういうふうに考えておるのであります。
○春日委員 趣旨が徹底いたしません。それではこの際明らかにいたしたいと思いますが、公取は、その申請を処理されるにあたって、当然深く検討されなければならない事柄であったと思うのでありますが、それは、公取はこの投信分離の意義とその本質をどのように弁識されておるのであるか。この問題は本委員会においてしばしば論じられ、また世論もきついところでございます。従いまして、何がゆえに投信は分離せなければならないのであるか、その弁識されておるところ、これを一つ明らかにお示しを願いたい。
○佐藤(基)政府委員 投信の分離の問題については、いろいろ御議論がありますけれども、これは公取自身の問題というより、むしろ証券会社の所管省である大蔵省の問題でありまして、大蔵省から聞いておる程度でありますから、その点は大蔵省の所管であるので、私どもがお答えするのは必ずしも適当と考えておりません。
○春日委員 それはおかしいではありませんか。あなたの方は、国内における私的独占の禁止、不当な取引制限、不公正な取引方法を禁止する、こういう経済憲章としての全般的な普遍的な立場に立っておられるわけであります。その義務を持っておられるわけであります。そうでありまするから、現にあなた方は、しょうゆ業における特定の不公正な取引方法、みそ業における、海運業における、ソース業、カレー粉、ゴムはき物、新聞、マーガリン、教科書、そういうようなものについては、その取引方法の細部にわたって、この商品における取引はかくあるべしと、すべてこれを特殊指定によって、わが国の経済憲章が民主的に確保されるように措置されなければならないという義務を負っておるのですよ。従いまして、証券取引法に基づいて、そしてまたその業務運営の必要に基づいてこの分離をせなければならないが、分離のやり方について、あなたの方に独禁法の制限排除の申請というものがなされてきた以上は、他の業界においてその取引の細部にわたってかくのごとく検討されておるのであるから、証券が何のために分離しなければならないのか、その理由について十分把握するところがなければならぬ。そのことは大蔵省に聞いたのだから私は知らぬというようなことで、どうして分離に踏み切ったり、あるいはその方式についていろいろな条件を出したりすることができますか。大蔵省まかせではありませんよ。独占禁止法というものは——あなたは、天皇陛下の認証を受けられて、国家、国民の前に最高の責任をになっておられる。大蔵省が言うたから、それでそういう方向へ行っておるのでしょう、わしは知らぬ。ほんとうにそんなでたらめなものですか。あらためて御答弁を願います。
○佐藤(基)政府委員 私の言い方が少し悪かったかもしれませんが、これは証券業の所管庁である大蔵省との関係において起こったものであり、大蔵省が双方代理のようなものを分離することが適当であるという意見を出されたわけであります。もしこれを非常に法律的に厳格に言うならば、法律をもってかくのごとき兼業を禁止するのが適当でありますが、諸般の事情でまだそこまでは行っておりませんので、大体そういうふうに向かっていくことが、理論上また実際の取引上必要であるということを聞きまして、それを了承してこの問題は判断したのであります。
○春日委員 あなたの方は、とにかく経済憲章の番人として、証券取引の問題についても、その取引の実態、それから国会において論議され、また社会においてさまざま批判されておる問題について、あなたの方は十分調査義務を発揮して、そうして不公正な取引のないように、また国民経済の民主的な発展が阻害されることがないように、それをやっていかなければならぬ。そのためには、何のために投信を分離しなければならないかというこんな大きな問題については、みずから取り組んで、公取自体として独自の見解というものがなければならぬはずなんだ。今、大蔵省の方が双方代理禁止の原則が云々ということを言っておったから、そうだろうと思うというようななまはんかなことで、この大きな重責が果たされると思いますか。 私は、この際、論旨を進めるにあたって、この点の定説を明らかにしておかなければならぬと思いまするが、公取の委員長も公取の諸君も、あらためて耳をほじくって聞いておいてもらいたいと思う。 投信分離を必要ならしめた真の目的は、証券会社による投信の兼営が、形式的にはともあれ、実質的には民法第百八条に規定する双方代理禁止の原則に抵触し、かかる利益相反行為は受益者の利益を害するおそれが多分にあるから、このようなおそれが絶対に起こらないよう証券会社と委託会社を分離し、よってもって制度的に受益者の利益を保障しようとした、ここに投信分離に踏み切ったところの真の理由があるのであります。だから、この真の理由というものを的確に把握することなくして、このような十一条ただし書きの特免事項のようなものは扱い得るものではない。私の今申し上げたことが、それは多少これに加えるものもあるし、あるいはオーバーするものもあるかもしれないが——大蔵省の責任者、だれか出ておられますか。この真の理由について違っておるところがあったら、一つ述べられたい。
○吉岡説明員 投信を分離する方向に進みました理由につきましては、大体春日先生のおっしゃったと同じことをわれわれとしても考えております。法律的には違法でないにいたしましても、実質的に疑いを生ずるようなことは避けたいということから、投信分離の方向に踏み切ったわけであります。
○春日委員 私の申し上げた通りであります。本委員会において論じてきた問題点はそこにある。そこで、かくのごとくに経過もあり、またこのように一般的に見られておるといたしまするならば、今特に認可された理由の中の第一項目に、信頼関係というようなことを言っておられる。信頼関係なんかを持ち出して、受益者の立場を考慮する必要があるなどとここにうたっておられるけれども、こんなことはまさに一片の遁辞にすぎない。また、新委託会社が四社のそれぞれの分身であるなどと言っておられるが、分身であること自体がけしからぬのであって、そういうような状態ではいけないのである。このようなことは全くナンセンスである。またその円滑迅速な分離の推進という理由も、こんなことはすでに長い懸案であったのだから、そうして投信、それから公社債に対する投信、こういうようなものを、ばあっと激化膨張しておる現在において、五カ年間というような長期を経過措置で認めるというようなことも、これもまた十分な有力な理由にはならぬ。そういうような立場から、いま少し国民もまたわれわれ専門家もほんとうに納得できるような御説明を願わなければ、これは国政調査が進みません。もう少しわかるように御説明を願いたい。今投信を分離に踏み切った真の理由は、私が述べ、大蔵省がこれをコンファームされたところである。そのような大きな目的の中にこれが出発しておるとするならば、いわゆる大衆の証券会社に対する信頼感だとか、そういうようなムード的な、いわば属性的なものを基本にして、大衆の利益という本来のものを見失っておるということは、本末転倒もはなはだしいものである。許さるべきではないと思う。もっとわかるように説明して下さい。
○佐藤(基)政府委員 ただいま説明いたしました通り、受益者の立場を考えるということは、公取が独占禁止法におきまして消費者の立場を考えるという、消費者利益の確保ということがありますが、それに類似したことでありまして、受益者を保護するということは、また投信分離を円滑に行なうということにも関連するのでありまして、われわれの判断は必ずしも不当と考えておらないのであります。
○春日委員 これは私はおかしいと思う。今、投信分離の真の理由は、私が一つの定説を申し述べて、大蔵省自体もこれをコンファームされたところである。それはなぜか。それはそもそも投信の兼営が受益者の利益を保障するものではないから、そういう心配が少なくとも存するから、従ってこれに踏み切ったものである。そういう事実関係の上に立ちまするならば、ここに信頼関係なんかを引っぱり出してきて、受益者は当該証券会社を信頼して受益証券を買ったことは事実ではあるけれども、その前に考えなければならぬことは、独禁法の基本的精神というものは、すなわち大衆の最終的利益ということにあるのでありまして、信頼感とか中間的に存在するそういうような感情を保護するという使命をになったものではありません。私どもは、七、八年前でありましたか、本委員会において保全経済会の問題を取り扱ったことがございます。その当時、大衆は、今あなたの言われた通りに、伊藤斗福を信頼したのです。そして、商法の匿名組合の条項を利用したのか悪用したのか知りませんけれども、とにかく大衆は伊藤斗福という者を信頼して、そしてあのような殖産方式によって利益を得ようと金銭預託したのだ。結果はどうなったか。あのような結果になって破局に至った。そこで、さらにあれの被害が大きくならざらんことをわれわれは念願して、ここで論じ、これを処断した。よろしいか。だから信頼感というものを重視するということであるならば、その当時、伊藤斗福に対する何万人かの大衆の信頼感というものも、その基底に置いて重視しなければならぬが、 〔毛利委員長代理退席、鴨田委員 長代理着席〕 もしかりに重視してあのような事柄をさらに継続せしめておいたならば、国民に対する被害はあの限界でとどめ得たかどうか。これは常識をもって容易に判断し得るところである。私は、こういうような意味合いにおいて、信頼感というようなものは、すなわち投信の兼営というものが受益者の利益を保障するものではないから、それを分離に踏み切ったというこの至上命令から判断するならば、信頼関係がいかがなろうとも、そのような大衆の利益を守る要素の一つになるようなものは、大衆の利益そのものの本体からこれを比較検討いたしまするならば、いずれを従にし、いずれを主にするかということは、当然明らかなことだと思う。この点はいかがでありますか。
○佐藤(基)政府委員 受益者の信頼感と申しましたのは、受益者を保護するという大きな目的の内容として申し上げたのであって、受益者がたとえばユニットでいうならば五年の契約をしておる、その途中におきまして委託者がかわるということは、受益者保護の上において非常に考えなければならぬことだと思う。そういう見地で、受益者保護という立場から十一条の例外を認めたのであって、投信分離がいい悪いということは、一定の期間だけある程度十一条で例外を認めたけれども、投信分離をこわすことにはならないので、投信分離はやっていく、しかし、それをやっていくについて、関係受益者というものの保護ということを十分考える必要がある、そこで例外的に五年間というものを証券会社が株を持つことを認めた、こういう事情であります。
○春日委員 そのようなことは何と言ったって本末転倒なんです。最終的には、受益者の利益というものは——現在の証券部と信託部とが同一人格によって運営されておるというこの現実は、これは民法百八条によって双方代理禁止の原則にも抵触している。すなわち大衆の利益というものが阻害されるのおそれなしとはしないから、このようなやり方は、民法の精神から照らしても、実質的にこれは違反する行為である。また、現実的に一たんパニックや恐慌があったときには、おそるべき事態が予測されるので、この際早期にこれを踏み切るべきである。こういうことで大蔵省は決断をして、結局分離の方向へ指導したのですね。だから、分離の方向へ指導された以上は、それを管掌するのは独禁法の精神、第一条であり第十一条である。その法意、法の基本精神というものが保たれなければ、ただ信頼感というものを重要視して、大衆の最終的利益に対する見通しの判断を誤るということは、これは裁量のあやまちあるいはあなた方の職権の乱用、こういう裁量権の乱用ということになって、これは違法によった認可行為である、こういうふうにわれわれは断ぜさるを得ない。その問題は論議があるところでありますから、さらに検討を加えながら後ほど論ずることにいたしまして、次に四社の分身論について申し述べたいと思うのであります。 投信を分離せよということは至上命令なのです。分離せなければならない。分身であるとか、従属関係であるとか、支配関係にあるということは、金融機関並びに証券業者としては厳に排除せなければならぬ。分身関係が存在すること自体が悪である。こういう工合に独禁法は規定している。だといたしますと、ここに分身関係だから五カ年間一〇〇%の全株保有を認めるというようなことは、論理が合わぬじゃないですか。委託会社と証券会社との関係は全然別個の独立のものでなければならぬとして、分離に踏み切り、分離せしめるべしという世論があり、本委員会においてそのように論ぜられてきて、格別の反論もなかった。佐藤大蔵大臣は、その趣旨に基づいてこれに踏み切って、そして大蔵省は指導したのである。全然別個の人格であるということを想定して、そのことでなければならぬと断定されてこの方式がとられておる。現にアメリカにおいてもその方式がとられておる。それであるのに、ここに分身であるというこのあり方を暫定的にも暗に容認するような公取のあり方は、私は理論的にも政策的にも、また証券取引、公取法的にも違法の行為である。そういうようなことを理由としてこれを許可の条件としたということ、認可の条件としたということは、これはその裁量権を誤ったものである。違法の認可である。私はあなたの責任は重いと思うが、この点はどうか。
○佐藤(基)政府委員 投信分離につきまして、われわれは投信分離を否認しておるわけじゃなくて、投信分離は投信分離で行なわれる。しかしながら、大衆と申しますか、受益者ということも考えなければならぬので、経過的措置として、一定期間だけ株の所有を認めたのであって、その期間が切れれば、本来の純粋の独立になるのもやむを得ないと思います。
○春日委員 私が批判をいたしておりますのは、あなたの方が明らかにされた認可基準の中に、ここで第三項に、新委託会社は四社のそれぞれの分身だから、認可して差しつかえない、こういうような理由があげられておるのですね。これは理由とはならないということなんです。すなわち分離を必要とするその理由というものは、分身であってはならない。全然別個の人格でなければならない。従属関係、支配関係、集中関係というものがあってはならない。さればこそ分離した。その過程において、あなたの方が、元をただせば分身だから、全株保有を五カ年間認めておくことも差しつかえないということは、それは誤った裁量である。誤てる判断である。私はこの際申し上げるが、そういうようなことが、指導的な関係の立場から判断して必要がかりにあるといたしましても、その全株保有というようなそんなむちゃなやり方でなくて、いろいろなやり方があるのです。あなたの方の公取として独占禁止法の精神に抵触しないような分離の方法あるいは資本構成の方法というものは、他に絶無ではないと思う。たとえて言うならば、親会社の株主に新会社の株を割り当てて持ってもらうというふうな方法もあるでしょう。あるいはまた、暫定措置として、最初は七〇%に押え、一年ごとにこれを五〇%、三〇%、やがて五年後にはこれを独禁法十一条に規定するところの一〇%以下に圧縮していくという、そのような条件を付することだってできるじゃありませんか。経過措置の中においてそれはできるじゃありませんか。そういうような親会社に株を割り当てて持たせるような、すなわち独占禁止法十一条に直接抵触しないような方法だってとれるし、あるいは、五カ年間において、漸減方式によって、それを独占禁止法十一条の禁止事項に縮めていく、そういうような条件を付することだってできるし、あなたが忠実なこの独禁法の番人であるならば、当然、善良なる職務執行にあたっては、その程度の配慮がなければならぬと思う。そのこともなさないで、まるっきり全株一〇〇%、しかも五カ年間の長期にわたって認めるということは了解できません。この点はいかがでございますか。
○佐藤(基)政府委員 親会社の株主に新会社の株を持たせるということは、われわれも考えたのであります。しかしながら、新会社の経営がどうなるかということは、ある程度の不安もあるので、新株を持たせるということが困難であるといういきさつがあったのでありまして、その結果こういうふうなことになったのであります。
○春日委員 その問題は、私の言うことをあなたが良心で判断すれば、間違ったことを申し上げてはいない。だから、あなたの良心に照らして、私の言うことは正しく、間違ったところの裁量によって法律に違反した認可を与えたと、今あなたの答弁にはしみじみとした苛責の念がわき上がっていると思われるが、しかし今限られた時間でこの問題を論断することはむずかしい。ですから、話を進めまして、問題を後日に残しますが、そこで、私は、さらに、五カ年間の経過措置について、私の非難事項を申し上げたいのでありまするが、ユニットの償還期間は五カ年であることはその通り。そのときに新規に設定した分については、そういう信頼関係の温存また保障というような意味合いにおいては、そのことも理解されないことはありませんけれども、当時既設定のものについては、すでに償還期限が近づいたものがかなりある。次々に償還期限がフォローしてくるわけです。だから、新委託会社がりっぱなものでありまする限り、五カ年を待たなくても、その経過において引き継ぎをすることを認めても、これは決して変ではないのです。合理的ですよ。どうしてそういう、ユニットの償還期限が五カ年であるから、五カ年の暫定にするなんというようなばかげたことが許されたのか、まるきり了解がつきません。一体これはどういうわけでこういうことをやったのですか。この点についても見解を一応示しておいて下さい。
○佐藤(基)政府委員 五カ年というのは、その分離当時における最長のものでありまして、もちろんそれより短いものもありますけれども、その短いものの何%が何年、何%が何年というようなことをしなくても、一番長いものを基準にしていけばやっていける、こう考えたのであります。
○春日委員 もう一ぺん言って下さい。
○佐藤(基)政府委員 お話のように、ユニットの期間というものが最長五年でありまして。もっと短いのもあり得るけれども、株の保有につきましては五年というのを押えるのが一番適当である、これをこま切れにすることは困難である、こういう意味であります。
○春日委員 何といったところで、第一項には迅速かつ円滑——迅速に分離を推進したいといっておる。そうして第三項附帯書で五年間といっておる。五年間というのは長い期間です。実際問題としてわれわれが投資信託の問題を論じたのは昭和の三十四年、そのときにはダウ相場が八百円、そして投資信託の株の設定額がかれこれ三千四、五百億だったと思うのです。わずか二カ年間に六千数百億になりダウ相場は千五円を突破してきておる。二年間にこんなおそるべき現象が現われてきているのですね。だからこの先五年間を認めるというようなことが迅速と言えますか。迅速ということは一年とか二年とか半年とかいうことが迅速で、五年間というのは、原子科学の時代に、しかも経済活動がこのようなものすごい高度の発展を遂げておるときに、五年間というような暫定期間をここで認めて、なおかつこれを第二項で迅速な分離の推進をはかるなどということは、これは論理が合わないじゃないですか。みずから矛盾撞着をしておるじゃありませんか。私は疑わしい。ほんとうにこの一、二、三だけの理由によって許可をされたのか。もう少し内在するものがありはしないかと私は思うのだが、何かわれわれにお知らせを願うことはありませんか。
○佐藤(基)政府委員 迅速というのは、分離を早く安心してできるように、やりやすくするという意味でありまして、なおこのほかに理由があるかとおっしゃいますけれども、われわれの方ではこれだけの理由でやったのであります。
○春日委員 ここにとにかく一〇〇%の全額保有を認めておられるのですね。あなたの方としてはほかに方法がなかったか。たとえば一年ごとにその保有額を漸減していく、そうして五年後には一〇%以下にこれを圧縮していく、こういうような問題について考慮を払われなかったか、経過について御説明願いたい。
○佐藤(基)政府委員 結局新会社がどういうふうになっていくかという見通しの問題であります。先ほどダウが八百円から千五百円まで上がったということでありますが、これから先もそういうふうにいくものかいかないものか、ちょっと私には判断がつかないので、とにかく新会社がきちんとした存在になるという見通しを考え、かつ投資信託ユニットが五年ということを考え、受益者の利益ということを考え、保護ということを考えて、こういうふうな結論を出したのであります。
○春日委員 かつての親会社の全額保有の必要性と、それからまたその弊害というものを、あなたの方で比較検討されていないのではないか。私はこの点が独禁法の精神に照らしてはなはだ不安にたえない。あなたの方は、裁量にあたっては、この比較均衡性というものを十分に把握し、そしゃくして、その上に立って認可をするのでなければ、これはあなた方が裁量をもって認可する場合における比例の原則、これに私は違反すると思う。そういうようなことに違反をして、すなわち、十分に把握することなくしてこのような重大な認可行為をなすということになると、これは裁量権の乱用あるいは裁量権の誤用、こういう意味において法律違反の行為ということになりますよ。無効行為になりますよ。あなたは責任をとらなければなりませんよ。今質問によって明らかになったところでは、全額保有の必要性というものと、全額保有によってもたらされるところの弊害というものの比較均衡性、これを十分にそしゃく把握することなくして、どうして踏み切れますか。どうしてそういう裁量ができますか。十一条のただし書きは、どういうような場合に認可することができるという、そういう認可の基準というようなものが示されておりませんから、従ってあなたの方に対しては大幅な裁量権がゆだねられている。けれども、法律上裁量権の中身というものは何だと言ったところで、前に論じましたように、第一条の精神、それから独禁法全体を通ずるところの法律の目的、こういうような観点の上に立って、利益の場合、マイナスの場合、そういうようなものの比較均衡性をはかって、これを十分に把握した後において、すなわちそこにおける比例の原則、このはかりにかけて、しかる後に実行に踏み切らなければならぬ筋合いのものだと思う。それについてあなたの方では何らの把握されておるところがない。私はこれはおそるべき事柄であると思う。あらためて御答弁を願います。
○佐藤(基)政府委員 われわれといたしましては、十一条の精神及び投信分離の目的ということを中心にしまして、しかして、たびたび繰り返すように、消費大衆に当たるような受益者の保護ということを念頭に置きつつ、若干の経過的措置を認めたのであります。その期間が過ぎれば完全な投信分離が実現する、こう考えております。
○春日委員 ますますわからない。それでは私は別の毎度から伺ってみたいと思う。この問題について大蔵省と合議をされたと言われているのだが、合議の内容は何であるか、その内容を明確にお答え願いたい。
○佐藤(基)政府委員 協議の内容は、先ほど申しました通り、新委託会社が四社の分身である、分離に際して現在の受益者の立場を考慮する必要があること、また分離を円滑かつ迅速に進めていくことが望ましいことなどを考えれば、暫定措置として五カ年間だけ全額持たせることは差しつかえないものと思うということで、大蔵省と協議したのであります。
○春日委員 それは協議の結果得られたところの合致した結論を言われておるのですね。私の言っておるのは、なまの合議、そういうものをフランクリーに聞きたいということなんです。私のさらに聞かんとしておるところは、大蔵省は証券行政の立場から、あなたは独占禁止法の精神の立場から、この問題を認可すべきか認可すべからざるか合議されたと思うのです。そのときにおいて、お互いにいろいろななまの条項があると思う。そのときに、一体その合議の途中において、意見のそごがあったり、食い違いがあったり、合議ととのわざるものがあったりしはしなかったか、この点を聞きたいのです。御答弁願いたい。
○佐藤(基)政府委員 私の方といたしましては、なるべく十一条のただし書きを使いたくない、使うにしても最小限度に使いたいという希望を持っておる。そこで、先ほど申しました通り、新会社の株を旧会社——親会社の株主に持たせるというようなこと、あるいはまた漸減方式というような点を相談したのでありますが、結論はこういうことになったのであります。
○春日委員 そこで問題なんですね。たとえば、公正取引委員会というものは、独占禁止法の番人として、その良心に基づいて、すなわちこのような例外規定、ただし書き規定による認可を与うべきではない。これがあなた方の一つの基本的な考え方であった。原案であった。そこで、あなたの方は、親会社の株主にこれを割り当てて引き受けさせる方法ではどうだ、あるいは五カ年間に漸減方式によってやっていって、やがて五年後においては一〇%以下にこれが圧縮できるような方途がとられることがしかるべきだ、と考えた。そうしてこれを原案として大蔵省と合議に臨んだ。ところが、大蔵省の方の案は、そんなむずかしいこと言うな、あんなものは一〇〇%全部でいいじゃないか、親会社が全部持っておって差しつかえないじゃないか、まあ納得しろ納得しろ、こういうようなことで、これこそ政治的な圧力に屈服したのではないか。そうではないか。その点の事実関係を国民の前に明らかにされたい。
○佐藤(基)政府委員 そういう点は、大蔵省の主張は主張、こちらの主張は主張でありますが、何が一番投信分離を実現するのにいいかという観点から、意見の交換をしたのであります。
○春日委員 投信分離という問題は、証券取引法四十七条並びに百二十九条の「呑行為の禁止」の精神と同時に、民法第百八条の自己契約及び双方代理の禁止の原則、この二つに抵触する疑いがある、そういう意味から、これは分離に踏み切っておる要素が二つある。大蔵省の言い分は、この証券取引法の四十七条と百二十九条の「呑行為の禁止」の精神と現在の投信の兼営の取引の実態とがあたかも酷似しておるので、従って証券取引法の精神に照らして、これは早期にやめなければならぬという、証券取引行政上の見地からも一つの理由がある。ところが、あなたの方のウエートは、より多くどこにあるかというと、独禁法である。しかも、独禁法と民法百八条の双方代理禁止の原則、これは双方対等の立場で論じなければならぬ。だから、私は、このような問題を特認するにあたっては、大蔵省の証券行政の立場、並びに民法上さらには独占禁止法上の立場を、対等の立場で責任を持ってこれは論じ合わなければならぬと思う。そういうときに、独禁法第十一条、このような規定がされておるからには、あなたの方は断固としてこれを譲るべきではない。譲るべきではなかったにもかかわらず、大蔵省のそういう立場から、みずからの信条を曲げて、このような独禁法違反の認可を行なったということについては、とにかくこれは驚くべき事柄である。少なくともあなた方の方は、一行政機関ではあるけれども、同時にまた司法機関の権限をも備えた、人を懲役にすることでもできる。このような大きな権限を持っているあなたが、しかも天皇陛下から認証を受けた最高の責任者になっておるあなたが、大蔵省の言い方がこうだから、わしはこういうふうに考えたんだけれども、所論を撤回して大蔵省の言い分によってこういう方針をきめた。このような驚くべき事柄が許されると思うか。責任をとってやめなさい。あるいはあれを取り消しなさい。いかがですか。
○佐藤(基)政府委員 ただいまのお話でありますが、何もこちらが大蔵省の言い分をまるのみにしたわけではない。どうすれば一番投信分離がうまくいくか、しかして独禁法が守られるか、そういう見地から言ったのでありまして、ただいまお話しの通り、大蔵省になめられたということは私はないと思っております。
○春日委員 なめられたかなめられぬかは結果が厳然と証明いたしておる。あなたの方の所論は通らずして、大蔵省の要求が通って、結果としてはあなたの方の認可理由の中に現われている。そのようなことは詭弁であって、何人も納得することができないところである。重大な問題でありまするから、今後は後ほど国会全体の問題としてあなたと応待することにいたしたいと思う。 次に、私は、役員兼任の問題を……。
○足立委員長 速記をとめて。 〔速記中止〕
○足立委員長 速記を始めて。
○春日委員 五分で結論を出せといっても、言うだけ言いっぱなしでは何もなりません。われわれは良識をもってこの問題の解決に当たりたいと思う。国政調査というものの責任を果たしたいと思う。経済憲章が有名無実にされ、それ自体も破壊されようとしている重大事態にかんがみて、私は五分間でこの問題を言いっぱなしで、それを聞いてそれでちょんということでは、私の良心が許さない。そういう意味から、大蔵委員会においてはたくさんの問題が残されておりますから、私は今後継続の審議をお願いするものではありません。委員長において、うしみつ時でもけっこうですから、何とかお差し繰りの時間を不肖にお与えいただいて、この問題についてさらに問題の本質を明らかにする、よってもってわが国の独占禁止の精神を生かしていかなければならない。そういう意味において、私はまだ二、三点入っただけでありますから、適当な機会にあらためて公取委員長を迎えられて、本件調査をさらに推進されたい。このことを重ねて要望いたします。
○山中(貞)委員 議事進行。 今の問題は非常に重大な問題ですから、証券並びに金融に関する小委員会に引き続き下ろしていただいて、本委員会としてもその経過並びに結論を随時御報告を願って、この問題の解明並びに今後の行政措置の運用に誤りなきを期していく方が正しいかと思いますが、そういうお取り扱いはいかがですか。
○春日委員 山中君のやや親切な配慮ではありますけれども、この問題はベースを変えては何となく呼吸が合って参りません。従いまして、こいねがわくは、時間を多少ずらしても、すなわち法案審議に差しつかえない時点でけっこうでありますから、本委員会で、これは取り扱いは小委員会でもかまいませんけれども、できることなら本委員会で重ねて継続的に……。
○足立委員長 春日委員の御希望につきましては、御希望の趣旨を生かしながら、かつまた山中委員の発言も参酌しつつ、できるだけ委員長において善処いたします。 この際暫時休憩し、本会議散会後直ちに再開いたします。 午後零時五十九分休憩 ————◇————— 午後三時七分開議
○足立委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 森林火災保険特別会計法の一部を改正する法律案及び国立病院特別会計法の一部を改正する法律案の二法律案を一括して議題といたします。 質疑の通告があります。これを許します。藤原豊次郎君
○藤原(豊)委員 私が聞きたいのは、質問というよりむしろ御説明が願いたいので、そのつもりでお答えを願いたい。 一つは、森林火災の対象になっている森林の大体の面積はどのくらいなのかということ、それから今どれくらい保険の方に加入しているかということ、同時に加入者の分類をしてほしいのです。人工造林の人たちの件数それから面積、それから分収造林の人の件数と面積、官行造林の方もあるいは入っておるかもしれませんが、それも大体教えてほしい。 それから、もう一つは、特別会計法の事業の中に、火災保険以外に、ほかの何かもう一つの事業、たとえば予防方面の事業もやっておられるのか、そういうことをお聞きしたいのであります。
○山崎政府委員 保険の対象となるのは人工造林地なのでありまして、民有林におきましては現在人工造林地が約五百万町歩でありまして、保険に加入しております面積は、三十四年度末におきまして約百五十万町歩ということに相なっております。この人工造林の面積に対しまして比較的加入率が低い現状にあるのでありますが、その一番大きい原因といたしましては、従来におきましては火災だけがこの保険の対象になったのでありまして、火災による造林地の災害というものは幼齢林において非常に危険率が高い。壮齢林になれば火災による危険率はやや少ないという関係もありまして、二十年生未満というようなものが、先ほど申し上げました約百五十万町歩の造林地の中の九〇%強を占めるというふうな現状にあるところに、加入率が低いという原因があったように思うのであります。これが気象災害が加わるということに相なりますと、この壮齢林の方にやはり保険としての効果が非常に大きいというふうな問題もありまして、今後そういう面にも十分PRして、加入をふやしていくということを考えなければならないと思います。それから、官行造林等につきましては、これは国が実施いたしておりますので、もちろん保険に入っていないのでありますが、分収造林等は保険に加入しておるという現状にありまして、若い、最近植えられました造林地につきましては、約九〇%程度が保険に加入するというふうな現状になっておるのであります。それから、お話のありましたいわゆる予防的な仕事でありますが、火災保険特別会計の負担におきまして、かなり加入面積の大きいようなところに、いわゆる火災消防のための望楼を作るとか、見張りを作るとか、そういうふうなこともいたしまして、火災の警備と申しますか、そういう面に努力しておるという現状であります。
○藤原(豊)委員 それから、もう一つお伺いしたいのですが、この火災保険に政府の方ではどれくらい負担をしておられるのですか。
○山崎政府委員 この火災保険特別会計に対します政府の一般会計からの経費負担という点につきましては、昭和十二年からこの保険が始まりまして、それから毎年一般会計の繰り入れを行ないまして、昭和二十一年度まで一定額の繰り入れを行なったのでありますが、自来この保険に加入する面積も増加したというふうな関係もありまして、その後は一般会計からの繰り入れを行なっていないという状況であります。
○藤原(豊)委員 そうしますと、今この特別会計によって約十億くらいの余剰金が出ていますね。出てきた結果は、これは掛金ばかりですか。
○山崎政府委員 この会計におきまして、三十四年度末でお話の通り九億余の剰余金が出て参りました。これは、お説の通り、掛金と火災の発生に伴ういわゆる損害のてん補というふうなものとの差額が、そういう形で累積したということに相なっておるのであります。
○藤原(豊)委員 もう一つお聞きしておきたいのは、火災保険のものと、それから今度の気象災というのと、この二つのものは非常に性格が違うのです。たとえば、火災保険ですと、火災にもいろいろな原因がありましょうけれども、各種のいろいろな注意やあるいはその他予防的処置によってある程度まで防げると思うのです。そういう性格のものと、それから気象現象に対しては、われわれの力では防げないものが非常に多い。この二つのものを一緒に一つの保険に入れるのに、性格が全く違っているので、そこに何かほかのお考えがありませんか、それを承っておきたいのです。
○山崎政府委員 森林の火災におきます事故率というものは年々減少して参っておりまして、そういう面からしまして、火災保険というものが国営という形で今後ほんとうにやらるべきかどうかという点にも、問題があるように考えております。ただ、風水害等の保険に対しましては、御承知の通り諸外国にもそう例のない性格のものでありまして、これは、お説の通り、本人の注意によってこれを防ぐというか、少なくするというふうな性格のものではないのでありまして、火災と気象災というものはほんとうに異質のものであるというふうに考えられるのでありますが、また特に造林地等について考えてみますと、それぞれ分離した形におきまして保険するというようなことには、非常に困難な面もあるわけでありまして、特に気象災等は、年によって偏差と申しますか、伊勢湾台風のような場合とそういう台風のない場合とでは、非常に大きな偏差を持っているという関係もありますので、やはり両者を一体にして保険制度というものを考えていかなければ、なかなか保険設計というものは事実上困難だというような面もありまして、林野当局としましては、両者を一にした保険という考え方で進んで参りたいというふうに考えております。
○藤原(豊)委員 実は三十四年度約九億、三十五年度はおそらく十億くらいあるだろうと思いますが、これは火災保険で残っていた金ですね。そうすると、むしろ火災保険の立場からいいますと、それだけの余裕金があるのですから、火災保険の率を下げて、気象災のものは別にせられた方がいいのではないかという考えが一つ出て参ります。もう一つは、気象災をどうしても入れられるとすれば、ちょうど農業災害補償のように、気象災に対する何かの災害補償をやってほしいというふうに感ずるのです。たとえば農業災害補償の場合のように、掛金の二分の一を国が負担しておるというふうな立場のものがとれないかということです。と申しますのは、もし伊勢湾台風のような大きなものが起こりますと、おそらく今積んである十億の金では足りないのではないか、そういう場合は政府は一体どういうふうに考えておられるのか。
○山崎政府委員 お説の通り、火災だけを対象にして考えて参りますと、事故率も減少しているというような点から、いわゆるこの部分が負担すべき保険料率というものは、その実態に即してだんだん引き下げていくということは、われわれも当然考えていきたいというふうに考えておりますが、気象災につきましては、お話のありましたように、伊勢湾台風というようなものの実態を見ましても、造林地ということを対象にしまして考えて参りました場合、その年の収入の保険料よりも相当多額のものを支払わなければいけない、こういうふうな事態にはもちろんなるように思うのであります。ただ、そういう伊勢湾台風というような大きな災害のない、平常の年度においては、ある程度の剰余も出るのではないかというふうに考えております。それらの点も昭和二十九年度から三十四年度までの実績をそれぞれ造林地につきまして十分に調査しまして、それをもとにしてどういうふうな事故率になるのか、年によって大きい偏差はありましても、大体保険設計という形で国の保険の対象になるのじゃなかろうかというふうな考え方で検討の結果、国営保険というような形で出発するということに相なったのでございまして、今あります十億に近い剰余金というものも、伊勢湾台風のような大きい災害がありますれば、これのうちから相当のものを支払わなきゃいかぬ。しかし、それが一時減りましても、平常の年度ではまたそれがある程度カバーされていくというふうなことになるように予想いたしておるのであります。ただ、それが、伊勢湾台風のような大きいものが年によって相接続して続くというふうな事態に相なりますと、今お話のありましたような国からの経費の補助の問題とか、そういう問題も検討しなきゃならないということに相なるかとも考えておるのであります。
○藤原(豊)委員 もう一つお伺いしたいのですが、農業災害補償法によりますと、共済組合の掛金は半分くらい政府が負担しておるわけですね。そうすると、同じ林業ですけれども、林業も、今後の森林は国の産業の一つの大きな資源ですから、そういうものに対しても農業と同じようにして、こういう気象災を入れる場合には、掛金の二分の一くらい政府が出すとか、そういうふうなことはお考えになっておらないのですか。
○山崎政府委員 先ほどお話ししました通り、過去六、七年の実績というものを十分に検討していきました場合には、現状のいわゆる火災だけを対象にいたしました保険料率より一割程度増額すれば、大体気象災も含めた保険が成立するのではないかという観点に立って、この保険を考えたのでありまして、お話の通り、当初から農業等との関連を考えまして、いわゆる人件費その他につきまして国が補助するということを考えなかったのでありますが、今後の気象災等の発生の状況等の面から考えまして、そういうことを考えなきゃいかぬという場合も今後あり得るかというふうにも考えておるのであります。また、御存じの通り、従来森林の火災保険等におきましても、天然林あるいは壮齢林等の大所有者につきましては、民間のいわゆる損害保険というようなものの対象に相なっておるものも、保険契約金額にして二百億円近いものが存在するというふうな実態にもあるわけでありまして、国の面で人件費、事務費等をかなり補助するというふうないき方に今直ちに進むということには、非常に困難があるというふうに考えまして、こういうようないき方をしたいと考えておるわけであります。
○藤原(豊)委員 私が申し上げたいことは、農業災害のときには、共済組合に対するいろいろな国の負担があるのですが、どうして林業にはそういうことができないのかというのが問題なわけです。 それから、もう一つ聞きしたいのは、火災保険にも剰余金ができたのですが、そうすると、この火災保険に加入しておる——加入しておる人たちの団体がありましょうから、そういうものは自分たちが積んだ金ですから、その金をどんどん気象災にも入れていくということにもなりますから、そして一〇%以上ふやすわけですから、今まで火災保険だけを目標にしておった人たちは、この案に対してどういうふうな考えを持っておられるか。そういうふうなものをお聞きになっていたら……。
○山崎政府委員 私たちといたしましては、今後におきましては、火災と気象災と一緒に区分しないで保険に入っていただくということを、原則として考えておるわけでありますが、ただ、その場合に、その経過措置として考えておりますのは、御本人が火災だけにしてもらいたいというふうな希望がありますものを、無理に気象災まで入れなければいかぬというふうなことはやるべきではないというふうに考えております。一般的に考えましては、従来保険に加入しておられる方は、その今まで支払いました保険料のままで、火災も気象災も一緒に保険するということを原則にして進めて参りたいというふうに考えておるわけであります。
○藤原(豊)委員 そうしますと、今まで火災に入っておった人たちには、こういうふうな気象災も入れるということを何か諮問せられたことがあるのですか。
○山崎政府委員 その点につきましては、この法律の成立に伴いまして、個個の加入の方々の御意見を伺って、それぞれ仕分けして参りたいというふうに考えておるわけであります。
○足立委員長 堀昌雄君。
○堀委員 国立病院の特別会計にガン・センターを包含したいという法案が提案されております。これに関連して、二、三お伺いいたしたいと思います。 どうも私最近いろいろな施設の状態を見ておりますと、とかく東京に各種のものが集中するという傾向が非常に著しくて——もちろんそれは東京にあることが便利であるということも、私は一つの条件としてあり得ると思うのでありますが、各種機関が東京に集中する傾向が著し過ぎるように思うのであります。今回のこの問題は、旧海軍医学校の施設を転用してガン・センターをお作りになるということで、その施設があるからそこへ作るんだというふうに理解されるわけであります。これはガン・センターということになっておりますが、現在国の機関として、ガンに対する研究機関あるいは特別な治療機関というものが、厚生省所管としてはどういうふうな形であるのか、一つ承っておきたい。
○川上政府委員 ただいまお尋ねの、東京にこうした機関が集中するというきらいがあるという御指摘でございますが、私どもも東京に一つこのガン・センターがあればよいというような考え方を実はいたしておりませんので、日本のような南北に長い国におきましては、その地理的な関係がありまして、やはり地方的にガンの特色もあることでありますから、将来は各ブロックに一つぐらいのガン病院が必要であろう、こういう工合に考えておるわけでありますけれども、しかし、やはり全国の最も中枢になるようなものを東京にまず最初一つ作ろうということで、東京にガン・センターを作ることにいたしたわけであります。それから、厚生省が所管いたしておりますところの病院は、これはまあ国立病院でありますけれども、現在これは全国に約十二のきわめて小さい規模の、ガン・センターと称してはおりますけれども、そういう施設を持っておるような状態でございます。そのほか、御承知のように、癌研の病院、あるいは最近では地方におきましても、新潟県立のガン・センターを作るとか、あるいはまた兵庫県でもガン・センターを作るという計画がありますけれども、そういうものが最近できておるような状態でございます。
○堀委員 今お話しになりましたように、全国に十二ぐらいの小さなものがある。私は、どうも医療機関のいろいろな問題を見ておりますと、各省庁といいますか、いろいろなところでいろいろな格好で問題が出てくるように感ずるわけであります。第一、癌研究所でございますが、東京にすでに大きな研究所があり病院がある。そうすると、これは国がやっているのではないから、今度国も一つここへガン・センターを作ろう、私は、もし本来の予算が適正に施行される——国民の資金でありますから、これを適正に運営されるためには、そういうような、一つ国は国で持たなければならないというようなことではなくて、既存のものをできるだけ利用拡大するような処置がとられる方が望ましいのではないか。ところが、現実に見ておりますと、厚生省も一つ大いにガン対策をやりますから、国立のものを東京に作り各地方に作りたい、そうすると、また地方々々では、今もお話が出ましたように、県立病院のようなものを土台として、地方地方にガンのセンターを作りたい。そうすると、その他大きな病院が、やはり今ガンというものが相当注視の的になっておりますし、これはいろいろな付属設備機関というような格好でまたいろいろやる。どうも見ておりますと、医療行政は今社会保険等その他の問題でいろいろと複雑になっておりますが、そういう面だけでなくて、そういう制度的な問題でも、やや私は、資金の配分といいますか、より能率的な問題の処理はできないのかという点が、非常に——私できることに反対ではありませんが、その作り方の中に私は今後少し考えていただかなければならぬ問題があるのではないか。ですから、ともかく国立でやるとなると、国立病院にくっつけなければならぬとか、そういうことではなくて、同じ費用を厚生省が予算化する場合に、どこかに最も適当なものがあれば、それを一つ育成していきましょうというふうに今後考えられるのか。依然として、国は国としての一つのきまったシステムの中で別にガン・センターを作る、今おっしゃった各ブロックに一つずつ作るのだとか、こういうような既定方針通りに推進をされようとするのか、その点をちょっと伺っておきたいと思います。
○川上政府委員 さっき申し上げました各ブロックに一つそれぞれガン病院を作りたいという構想は、これは、やはり今御指摘のように、地方のそういう計画とにらみ合わして、つまり地方でぜひやりたいということでありますればそれを育成していこう、あるいは、たまたまそこにそういうような計画がございませんで、どうしてもその地方の事情から国がやらなければならぬというような場合は国が考えていこうということで、そういうところにやはりむだのないようにいたしたいというように考えております。
○堀委員 このガンの問題は、もちろんガン・センターも必要だと思いますが、今各種の大学病院その他においても相当実はこの点に比重をかけて問題が処理されておるわけであります。こういう各大学のそういう研究機関等とこの国立のガン・センターとの関係、率直に申しますと、各大学病院はこれは文部省所管になっておる。これは今度厚生省所管になる。われわれ外から見ておりますと、どうも所管別に流れて、その横のつながりというものはややもすると円滑を欠くような感じがするわけであります。見ておりますと、大学の古い先生方が大学を停年になられると、今はどうも国立病院にいらっしゃる方が非常に多い。そうすると、この先生方が国立病院にいらっしゃると、今度は大学に負けないように大いにやろうじゃないかということで——大いにやっていただくのはけっこうですが、ややもすると競合の面があって、私どもに言わせると競合ではなくて、相足らざる分を補う格好でやっていただくと非常にいいと思うのですが、見ておりますと、やや競合するような感じが多く見られるわけであります。それは、どうも、そういう所管別の、片や文部省、片や厚生省という一つのセクト的な現われが、われわれ感じられる面があるのでありますが、今後国立のガン・センターというものは、他のそういうガンの研究機関、たとえば癌研であるとか、あるいは東京にあります各種大学のガンの研究をしておられる部分とは、どういう関係になるのか、そこを一つ承りたい。
○川上政府委員 今度作りたいと思っておりますガン・センターは、要するに、わが国のほんとうのガンの治療なり研究の中心にしたいという考えを持っておりますので、従いまして、癌学会の方とも十分連絡をとって、つまり癌学会に、ガン・センターを中心に、一つ研究の面でも診療の面でもやってもらいたいというような考えをいたしておりまして、それで、人事その他につきましても、現在癌学会の方とよく連絡いたしておるわけであります。そういうことで、みんなが、ガンの臨床家、研究家というものがほんとうにガン・センターをセンターとして利用していただけるように、共同研究の推進をやっていきますとか、あるいは国の内外の情報の交換をやっていきますとか、あるいは流動研究員の制度を設けていきたい、そういうふうに考えておりまして、文部省とも十分連絡をとって参りたいと思っております。
○堀委員 現在あります癌研との関係は、そうすると、今後どういうふうになりますのでしょうか。
○川上政府委員 癌研は癌研として従来の通りにやっていただくことにいたしておりますが、今度作りますものは、癌研とは一応別に作る考えでおりますけれども、人間の交流なんかは一つ考えていきたい、こういうように思っております。御承知のように、非常に患者さんが多くて、癌研の病院に入るだけでももう何カ月も待たなければならぬという状態にございますし、これからの研究はどうしても相当の金をかけなければならぬ、いい施設あるいは人を集める場合におきましても、こうしたものを国が作らなければならぬというように考えて、今申しましたように、一応国として作るということにいたしておるわけでございます。
○堀委員 私は、これはできることに反対ではありませんが、実は現在の大学の各教室における研究費の予算がきわめて少ないわけです。例をとりますと、私は出身が大阪大学医学部でありますが、大体戦前におきます一講座当たりの使用できた費用は、いろいろな電気代とかその他の消耗費は除きましても、一教室約一万円あったというのが戦前の実情であります。そうすると、現在の通貨で換算すれば、少なくとも三百万円ないし四百万円ぐらいの価値があったわけでありますが、現在では、いろいろとそういうふうな操作をされて、残るのはおおむね一講座百万円程度しかないというのが実情でございます。これを、今度は、お宅に関係ございませんが、文部省としては大体倍額くらいの要求をされたけれども、大蔵省でやはりすっぱりと落とされて、依然として研究費はふえないというのが実情でありまして、そのために、実は、各大学においても非常にガンの研究というものは行なわれておりますけれども、予算の面の制約が非常にあるために、依然としてなかなか十分な仕事ができない、こういう実情が一つあるわけです。そうすると、今度は、ガン・センターができる。そうすると、今局長は、ガン・センターには非常にお金をかけて、一つ十分な研究をやってもらうのだ、こういうふうにお話が出ておりますが、将来に対する研究費の見通しというものは、そういう研究者が希望する程度に予算化し得るという見通しがあるのでしょうか。建物はりっぱに建てても、またそれに研究費が伴わないようでは、私はそこへ持っていく費用をやめて、現在ある研究機関に研究費として回す方が、国の経済の面から見れば国民のためにプラスになるのじゃないか。要するに、問題は、建物や施設だけではなくて、研究するための各種の費用があるかないかが、今後の研究の発展になるかどうかの問題でもありますし、片面、臨床的な面においては、病院施設がなければどうにもなりませんけれども、研究面においては、私は研究費の問題というものが十分裏づけされてなければ、ガン・センターを作っても、作ったということに終わるのではないかと思うのですが、その点の見通しは厚生省としてはどうなんでしょうか。
○川上政府委員 御意見の通りだと思います。しかし、今度のガン・センターの構想は、ガンの権威者などに集まってもらいまして、準備委員会を作りまして、そこで非常に新しい構想を打ち出したわけであります。ガン病院、ガンの研究所のほかに、運営部というものを設けまして、そうしてかつてないような構想のもとに予算を要求したわけでございます。その構想を大蔵省の方でほとんどのんでいただきまして、私どもも、りっぱな国際的なガン・センターができるというような、かなり明るい見通しを持っておるわけでございます。従いまして、今申されましたような研究費の問題でも、ぜひ十分な研究費を取りたい。また、今まで文部省なりその他から研究費が出ておりますけれども、そういう方面もできるだけ応援をいたしまして、日本におきますところの大学その他の研究費の方も潤おうように、努力をいたしたいというふうに考えておるわけであります。
○堀委員 きょう主計局の上の方の人は呼んでございませんが、法規課長が見えておりますから、ここで重ねて伺っておきたいのですが、今日日進月歩の科学の発達の中で、われわれ日本人の才能というものは、私決して世界的に見てひけをとらないと思っておるのですが、残念ながらそのひけをとらなければならぬような状態にあるのは、私はやはり科学研究費というものがどうも乏しいということにあると思うのです。幸い大学教授の諸君は——私、文教委員会におりましたときも、たびたび給与の引き上げをお願いしておりましたが、最近ようやくその点についてはやや改善されて参りましたけれども、依然として研究費が少なくて、結局わずか上げていただいた給料の中から本を買わなければ、研究費の中で本が買えないというので、私と同じクラスの者で大学教授をしております連中は、何とか研究費がふえないものだろうかということで、非常に頭を痛めておる現状なんです。主計局ではこういう問題を一体どういう角度で論議をされておるか。あなた個人の法規課長ということでなくて、主計局の空気をちょっと承っておきたいと思います。
○上林政府委員 研究費の問題は、確かに御指摘の通り非常に重要であると考えております。十分御要望に沿わない点もあるかと思いますけれども、予算の編成におきまして各省ともよく御相談をいたしましてやっているわけであります。今御指摘のありました国立ガン・センターにつきましては、最もこれから研究を進めて参らなければなりません部門でございますので、ガン・センターにおきましては、診療部門のほかに特に研究部門を設けまして、それにつきましては研究部門だけの予算といたしまして二千五百万円を計上いたしました。その中には、人件費のほかに物件費、ことに研究費といたしまして千八百万円ほどの予算を計上いたしておるわけであります。
○堀委員 ちょっとあわせて承っておきますが、これが特別会計になると、ここへ入ってきた病院収入はどうなりますか。一度国庫に入れなくて、そのままこっちへ持ってきて研究事項に使えるのですか、そこはどうなりますか。
○上林政府委員 特別会計も国の経理でございますので、一般会計と同じく総予算主義をとっておりますので、歳入は全部特別会計の歳入といたしまして、歳出は、特別会計から、国会で議決を経ました範囲で出すわけでございます。本件のガン・センターにつきましては、事柄からいいまして自前で全部やっていくわけには参りませんものでございますから、三十六年度予算におきまして診療収入が四千三百万円ほどございますが、これに要しまする歳出は九億五千四百万円を計上いたしておりまして、従いまして九億一千万円ほどの金を一般会計から補てんをいたしておるというわけでございます。
○堀委員 そこで、もう一つこれに関連して申し上げておきたいと思うのですが、このガン・センターの病院というのは、センターだからおそらく各地からお医者さんが少し勉強したいといって出てくるのじゃないか。この医療の勉強について非常に問題になるのは、この前もたしか滝井さんがどこかで伺ったと思うのですが、大学病院で多数の医師が自分の経験を積みたいということで無給で働いておる。おそらくこれについては、大蔵当局としては、来年度から少し何とか考えて、何らかの形で給与を出したいという答弁があったというふうに聞いておるわけですか、ガン・センターについても、そういう無給の医師というものが出てきはしないかと思います。これは今後の問題でありますが、見通しはどうでしょうか。
○川上政府委員 ガン・センターでは、御意見のように研修をやりたいと思っております。研修をやる場合、それは比較的短期間なものになると思いますが、そのほか今お話しのような研究者といいますか、そういうふうなかなり長期間にわたって勉強したいという方も相当出てくるように思うわけです。現在、国立病院におきましても、主要なものにつきましては、研究員でなく、研究生と申しますか、そういう名前で見えておる人が約三百人くらいいるわけでございますけれども、その中には、一週間に一度か二度しか見えない——履歴を飾るといいますか、そういうような方もありますし、あるいはアルバイトに見えておるような方もある。ほんとうにもっぱら勉強に見えておるというような方もありますけれども、後者の方は少ないわけでございます。そういう方々に一々給料を差し上げるということは、御承知の通りいたしておらないわけでございまして、長く研究生としてやりたいというような方につきましては、私どもレジデントの制度を設けたいということで、ことしもそういう予算は編成してみたわけでございますけれども、まだ実現いたしませんが、今後そういうふうに持っていきたい、こういうふうに考えます。
○堀委員 今レジデントの制度を設けたいとおっしゃるのですけれども、私は、今、一週間に一日や二日来て、国立病院に出たということを何か広告宣伝に利用するといいますか、そういう方についてこの問題を言っているわけじゃなくて、やはりガン・センターのようなものができれば、そこでしっかり勉強しようという医師が出てくるのじゃないかと思うのです。だから、この際、そういう人は勉強するのだから、昔の徒弟奉公と一緒で、お前ただで働けばいいじゃないかというわけにはもう参らない時代だと私は思う。ましてやこういうガン・センターというものができるとなれば、今の国立病院において行なわれておるよりは、そういう方は出てくるのではないか。だんだんと今の問題についても専門的な才能を要求される段階にきておりますから、そういうことを含んでこの問題を考えておいていただかないと、やはり私は国立病院なり国の施設が人間をただで使うなどということは穏当を欠くと思うのです。あわせて一つ主計局の方にも伺っておきたいのですが、あなた方もおそらく国の機関に人が勤めて正当なる労力のサービスをしておって、しかしまあ金は払わなくてもいいんだということではないと理解をしますが、主計局としてはどう考えておるか、ちょっとそれを承っておきたいのです。
○上林政府委員 ただいまの問題は、インターンの人たちなどが国立病院で勉強なさっておるというふうに、私ども実は理解をいたしておるわけでございますが、そういうお話もありまするので、まだ実はどういう制度になっておるのかよく勉強もいたしておりませんし、率直に申しまして、予算要求もございませんでした関係もありまして、なお実態がわかりますれば、よく研究をいたしてみたいと考えております。
○堀委員 まあこの問題は、今後ガン・センターができてみなければ、どういうふうになるかわからないことでありますが、少なくともガン・センターを含めて今の国立病院における——インターンは別でございますが、すでに一人前の医師として、そうしてほんとうに終日働いて勤務しておられて、まあそれは御本人のやはり経験をふやすという意味で御本人にもプラスでありましょうけれども、しかし当然その労働に対する対価は国の機関として私は払う責任があると思いますので、その点は、一つ厚生省は各国立病院についてすみやかに調査をされて、その実態については来年度予算において必ず予算要求をされて、大蔵省と折衝をして、国の機関が人間をただで働かせるなどということのないように、厚生省側としても一つ御配慮願いたいと思います。 ガン・センターができます中でもう一つだけ私要望を申し上げて質問を終わりますけれども、ともかく医者の世界というものは、医者の中にも相当にセクトがある。学閥であるとか、その他いろいろのセクトがあると思うが、このような国の機関においては、そのような特殊のセクトある特定の流れの中でだけで問題が処理されないで、幅広く、ほんとうの医学の進歩のために、そういうセクトを越えて指導されるように一つ要望いたしまして、私の質問を終わります。
○足立委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○足立委員長 なお、両案につきましては討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。 採決いたします。 両案を原、案の通り決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○足立委員長 御異議なしと認めます。よって、両案はいずれも原案の通り可決いたしました。 なお、両案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○足立委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次会は明十五日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十四分散会 ————◇—————