大蔵委員会 第5号
- 発言数
- 141 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/02/09
会議録
○足立委員長 これより会議を開きます。 小委員会設置の件についてお諮りいたします。 税制及びその執行に関する調査のため、小委員十三名よりなる税制及び税の執行に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○足立委員長 御異議なしと認めます。よって、設置するに決しました。 なお、小委員及び小委員長の選任並びにその辞任、補欠選任につきましても、この際委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○足立委員長 御異議なしと認めます。 それでは、後刻委員長において小委員及び小委員長を指名し、公報をもって御通知いたします。 ————◇—————
○足立委員長 昨八日本委員会に付託されました港湾整備特別会計法案、厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案及び地方公共団体の負担金の納付の特例に関する法律を廃止する法律案の三案を一括して議題といたします。
○足立委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。大蔵政務次官大久保武雄君。
○大久保政府委員 ただいま議題となりました港湾整備特別会計法案、厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案及び地方公共団体の負担金の納付の特例に関する法律を廃止する法律案について、提案の理由を御説明申し上げます。 まず、港湾整備特別会計法案について申し上げます。 政府におきましては、港湾整備専業の促進をはかるため、港湾整備五カ年計画を樹立いたしまして事業の緊急かつ計画的な実施に努めることとし、別途今国会に港湾整備緊急措置法案を提案して御審議をお願いいたしております。この方針に伴いまして、港湾整備事業に関する収入支出並びにその事業の成果を明らかにするためには、その事業に関する経理を一般会計と区分することが適当であると認められますので、ここにこの法律案を提案いたしました次第であります。 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。 第一に、この特別会計においては、国が施行する港湾整備事業に関する経理を行なうことを主たる目的とし、あわせて、これに関連のある受託工事の施行並びに港湾管理者の行なう港湾整備事業に対する国の負担金または補助金の交付等に関する経理を行なうことといたしております。 第二に、この会計は運輸大臣が管理することとし、港湾整備勘定と特定港湾施設工事勘定に区分して経理することとしております。 港湾整備勘定は、特定港湾施設工事等以外の直轄港湾整備事業及びこれに関連のある受託工事並びに港湾整備事業費に対する国の負担金または補助金の交付等に関する経理を行なうものでありまして、この直轄事業費または国の負担金もしくは補助金等の財源に充てるための一般会計からの繰入金及び直轄事業費に対する港湾管理者の負担金並びに受託工事納付金等をその歳入とし、直轄港湾整備事業及びこれに関連のある受託工事に関する費用並びに国の負担金または補助金等をその歳出とすることとしております。 特定港湾施設工事勘定は、特定港湾施設工事及びこれと関連して施行する特定の直轄港湾工事並びにこれらの工事に関連のある受託工事に関する経理を行なうものでありまして、特定港湾施設工事等に充てるための一般会計からの繰入金、港湾管理者の負担金及び特定の事業者からの受益者負担金並びに受託工事納付金等をその歳入とし、特定港湾施設工事等及び受託工事に関する費用をその歳出とすることとし、これらの歳入及び歳出並びに資産及び負債を工事別等の区分に従って経理することといたしております。 以上のほか、この法律案におきましては、この会計の予算及び決算等に関して必要な事項を定めることとしております。 なお、本特別会計の新設に伴って、特定港湾施設工事特別会計法を廃止することといたしております。 次に、厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案について申し上げます。 政府は、第二十二回国会において、政府管掌健康保険の給付費及び船員保険特別会計の療養給付の部門における給付費の異常な増高等に伴いまして、厚生保険特別会計の健康勘定及び船員保険特別会計の療養給付の部門におきまして財源に不足を生じましたので、これが措置として、厚生保険特別会計にあっては、昭和三十年度以降七カ年度間、毎年度一般会計から十億円を限度としてこの会計の健康勘定へ繰り入れることができる措置を、また、船員保険特別会計にあっては、昭和三十年度以降六カ年度間、毎年度一般会計から二千五百万円を限度として船員保険特別会計へ繰り入れることができる措置を講じたのであります。その後、諸般の情勢にかんがみ、昭和三十一年度以降昭和三十三年度まで毎年度法的措置を講じ、一般会計からの繰り入れを昭和三十四年度以降に繰り延べたのであります。今回、これらの勘定または会計の財政状況等から、この一般会計からの繰り入れを、さらに、昭和三十七年度以降に繰り延べることとしようとするため、この法律案を提出いたしました次第であります。 なお、昭和三十四年度及び昭和三十五年度におきましては、この一般会計からの繰り入れを昭和三十六年度以降に繰り延べるための法律案を第三十一回国会及び第三十四回国会に提出いたしましたのでありますが、諸般の事情によりまして審議未了となったものであります。 最後に、地方公共団体の負担金の納付の特例に関する法律を廃止する法律案について申し上げます。 政府は、国が直轄で行なう事業にかかわる地方公共団体の負担金につきまして、昭和二十八年、当時の地方財政の状況にかんがみ、現金納付にかえ、地方債証券による納付を行なうことができるよう、地方公共団体の負担金の納付の特例に関する法律により措置を講じたのであります。 しかしながら、地方財政の状況もその後好転しておりますので、今後の地方財政運営の健全化をはかるため、地方債証券による納付の制度を廃止し、本来の現金納付の原則によることが適当とされるに、至りました。このため、昭和三十五年度におきましては、国有林野事業、特定港湾施設工事、道路整備及び治水の各特別会計で施行する事業にかかわる地方公共団体の負担金について、地方債証券による納付の制度を取りやめて、現金納付とし、その所要資金の一部については資金運用部資金よりの起債の道を講じたのでありますが、昭和三十六年度におきましては、さらに、一般会計に属する国の直轄事業にかかわる地方公共団体の負担金につきましても、同じく措置を講ずることにいたしておりますので、今後、国の直轄事業にかかわる地方公共団体の負担金については、すべて地方債証券による納付の特例措置を廃止することにいたしたいと存じます。 以上が港湾整備特別会計法案外二法律案の提案の理由及びその概要であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げる次第でございます。
○足立委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 各案に対する質疑は次会に譲ります。 ————◇—————
○足立委員長 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、通行税法の一部を改正する法律案及び有価証券取引税法の一部を改正する法律案の四案を一括して議題といたします。 質疑の通告があります。これを許します。有馬輝武君。
○有馬(輝)委員 私は諸般について暗いですが、ことに税制についてはまるきりしろうとでありますから、質問で的をはずれておる点がありましたら、政務次官や主税局長の方で焦点を合わせていただきまして、叱正すべきところは叱正しながら、お教えをいただきたいと思うわけです。なお、そういった意味から前もってお話し申し上げておきたいと思いますが、前置きが長くなって恐縮ですけれども、私は、税法について、特に農業に関連して御質問申し上げたいと思っております。 大蔵大臣、また総理も、この地域間、産業間の所得の格差を是正するという点を施政方針演説の中で特に強調されたのであります。しかし、私農林関係の予算を拝見しましてすぐ感じましたことは、確かに総額といたしましては千八百七十億円にも達しまして、前年度に比べますと四二%もふえております。この限りにおいては、農林関係を重視したと、数字の上では簡単に受け取られるかもしれませんけれども、しかし、その内容を見て参りますと、急変する情勢に対応し得るような形で、いわば新農政の芽といいますか、そういったものが出ておるといって、そう簡単に喜ぶわけには参らないような感じがいたします。それはなぜかといいますと、たとえば増額になりました額は五百五十億円でございますけれども、そのうちの二百七十八億円につきましては食糧管理勘定への繰り入れであります。これは大蔵省あたりでは赤字とおっしゃっておりますが、この点についてはこの前私佐藤さんにいろいろお伺いいたしました。また農業基盤整備のための費用が七十五億円も組まれております。こうなって参りますと、増額された分のうちでも、すでにこの二つだけでも三分の二に達するような状況であります。ですから、もとより大蔵大臣が強調されましたような農業近代化助成金あるいは肉や乳価の安定資金、いろいろ芽は出ておりますけれども、しかし、それでもってこの危機に瀕した農業の体質を改善するその第一歩を踏み出し得るものだというふうには、とても受け取られないわけであります。にもかかわらず、総理は、先ほど言いましたように、その施政方針演説の中で「農業と非農業間、大企業と中小企業圏及び地域相互間に存在する所得格差を是正し、もってわが国経済の底辺を引き上げ、その構造と体質の改善をはかろうとするものであります。」と大だんびらを振りかざしていらっしゃるわけです。非常に抽象的でありますけれども、それを一歩進めた論議といたしましては、農業の近代化のために諸般の施策を推進する。「農政、財政、金融、労働、産業教育、工場の地方分散その他各般の施策を展開することが、農業者に他産業従事者に劣らない社会的、経済的地位を確保する道であると信じ」ておるということを強調していらっしゃるわけですが、やはりこういった意味での各産業の施策というものが確かに必要であると存じます。それが具体的な予算の裏づけなり一つの方向というものが示されて、初めて池田さんのおっしゃるところのこの格差の是正、近代化の方向というものが打ち出されて参ると思うのでありますが、こういった諸般の施策の中で、本日は税法に関連してどのような具体的な施策でこの総理あるいは大蔵大臣の趣旨に沿おうとしていらっしゃるのか。大蔵省の説明書を見ましても、これにふさわしいものが打ち出されておるとはちょっと受け取られそうもありませんので、まず最初に政務次官の方から、この総理、大蔵大臣あるいは経済企画庁長官の施政方針演説に沿うために、税法としては特に農業者を保護するためにこういう点を考えておる、その線を、簡単でけっこうでございますから、お聞かせいただきたいと思うわけであります。
○大久保政府委員 ただいま有馬さんの御質問の点につきまして、政府の今回の減税に対する方針といたしましては、御指摘のように所得格差の低い階層につきまして十分配慮いたしていきたい、かような観点から施策を講じて参っておる次第でございますので、家族従事者の非常に多い農家に対しまして専従者控除をいたします等、諸般の税制対策も講じておりますことは、御承知いただきたいと思っておる次第であります。
○有馬(輝)委員 それでは、そういった具体的な問題について二、三お伺いをいたしたいと思います。 まず第一に、専従者控除の拡充であります。これについて、所得税について国税の方ではある程度考慮されておりますが、地方税の場合には、地方財政の健全性ということをうたわれまして、これを抜かしていらっしゃる。その理由について主税局長の方からお聞かせ願いたいと思います。
○村山政府委員 御案内のように、白色についての専従者控除の創設という問題は、年来税制上やかましい論議の対象となっておるものでありまして、政府の税制調査会におきましても、この点はいつも大きな一つの問題点として論ぜられたところでございます。国税におきまして白色につきまして踏み切りましたのは、二つばかり考え方があるわけであります。一つは、そもそも今業主に対して家族が労働力を提供しているということは、一緒に手伝って仕事をやっている。これを一体どう見るのか。それはやはり他人労働と同じように一つの契約を結んで、一方に労働を提供するかわりに、その対価として、いわば契約法的に給与を受け取るか、あるいはそうではなくて、手伝うということは扶養親族の一員として助け合いの形として提供している。従って、今度は生計費の方もその父親なりから扶養義務の遂行として受けているかどうかという、身分法的な問題として解釈するかどうか。ここが大きな論点の分かれるところであります。従来の所得税法では、その点は大体日本の社会においては身分法的なものであろうということで、特にその労働の対価を経費として引かない、そのかわりに扶養親族として控除を認める、こういう考え方にあったわけであります。しかし、実際問題といたしまして、特に終戦後親族法の建前も変わり、家族という観念もだんだん解消しつつある。これは地域によって違いますが、漸次その世帯におきましていわば個人主義的な方向に進みつつあるのではないか。別の意味で申しますと、家計と企業の分離というものが漸次行なわれておるのではなかろうか、そういう傾向が見受けられる。しかしそれは地域によって非常に違うということであります。もう一つは、結果において、もし家族労働に対する報酬を認めないということにいたしますと、法人と個人、法人でも特に同族法人でありますが、同族法人との負担のバランスの問題が非常に大きな問題になって参ります。日本におきましては約四十万余りの法人があるわけでありますが、そのうちの九十何%というものが同族法人であり、しかもその実態において家族労働を中心とする小さな法人が大部分を占めている。この形は全く外国では見られないところでございまして、日本における法人、個人のバランスの問題として独自な問題があるわけでございます。そこで、同族法人でございますと、給与についてこれを経費に見ておるわけでございます。個人であると認めないということになりますと、その理屈はともあれ、結果において負担のバランスを失するという問題があるわけです。こういったことを考えまして、国税におきましては、家計と企業の分離といいましても、まだはっきり踏み切れるものではございませんけれども、方向としてどうかということになりますと、全国一律に律します国税におきましては、この際、年来の懸案を解決する意味で、専従者控除の創設に踏み切るべきである、こういう答えが出たわけでございます。 地方税におきましては、ただいま申しましたように、その地域によりまして家計と企業の分離の度合いは全く違っておる。これを地方税法で一律に割り切っていいかどうかということについて、なお相当問題がある。かたがた、もしそういうことをいたしますと、結果的に住民税において非常な減収を来たしてくる。しかも、やるといたしますと、おそらく八十億ぐらいの減収を見ざるを得ない。その減収の起こる地域は、農村を主体とするところの課税方式でいいますと、第二課税方式ただし書きという課税方式をとっております。地方において、その大部分の減収、八十億のうち、大体われわれの計算では、六十八億程度はその地方に起きると見られるわけでございます。その点があります。それから、もう一つ、今度は住民税におきまして別途の改正をやったことは御案内の通りでございまして、国税改正の影響が自動的に及ばないようにという、かなり思い切った改正をやっておる際でありますから、この際踏み切るということについては、地方税についてはなお慎重に考究する必要がある。かような点が政府の調査会におきましてもしばしば論議の結果、国税におきましては踏み切るけれども、地方税については今回は踏み切らないという結論が出た次第でございます。
○有馬(輝)委員 今主税局長がおっしゃった家族労働のあり方についての微妙なニュアンスについては、わからないでもないわけであります。しかしながら、その所得税の特に農家に占める地位といいますか、そういったものと地方税の割合とをお考え願えれば、少なくとも、私は、控除、税率いずれに重点を置くかというようなことは抜きにいたしましても、税制としていわゆる均衡のとれた方向というものを国が考えていくべきじゃないか。一方ではこういうことをやっておいて、一方ではこうだというのでは、私たちはちょっと理解できないわけです。もとより、おっしゃるように、それは日本の農業それ自体が、山間地あるいは平野、あるいは東北、関東、九州、中国、もういろいろ、その経営規模におきましても、作付におきましても、また慣習におきましても、いろんな分野で千差万別であることは了解できますけれども、しかし、税法としては、やはり均衡のとれた措置というものが必要じゃなかろうかと思うのです。その点について、いま少し御説明いただきたいと思います。
○村山政府委員 国税と地方税の均衡の問題でございますが、先ほども申しましたように、地方税法について中身を考えてみますと、それぞれ東京のような大都会もあります。そういうところの市町村民税もあるわけでございます。また山間のところの住民税もあるわけでございます。それらの地域を異にする場所に所在する今の家族労働の形態のあり方は、地域によって違うのではないかという点でございます。少し誇張して申しますと、農村とかいなかの方では、まだ身分法的な関係がやはり相互の関係を律しているのではないか。それから、都会の方になりますと、かなり契約法的な考えが出てきておる。地方によって非常に違うものを、地方税法一本できめることはいかがであろうかということなんです。税制の理論としては、国税としてはこれはもちろん国全般にわたって一律に律する必要がある。どちらに踏み切るか、こういう問題として、専従者控除の方向に踏み切ったわけでございますが、地方税につきましては、ただいま言ったような実情の差というものと、それと税制上の考え方、並びに財政に及ぼす問題、これらのことを考えまして、今回は踏み切れなかったというのが実情でございます。
○有馬(輝)委員 今の点につきましてはまだ議論の存するところでありますが、次に青色以外の申告者七万円の控除を認めることになっておりますが、少なくとも私は同様に九万円、十二万円にするという方向が筋じゃなかろうかと思うのであります。その点について、そこまで踏み切れなかった大蔵省としての考え方をお教えいただきたいと思います。
○村山政府委員 七万円でございますが、これはいろいろな角度から計算したわけでございます。一つは、農村におきまする他人労働の手間があります。その手間賃で一体年間平均どれくらい働くものか。一応二百日くらい働くものとして、それでどれくらいになるかという計算をしますと、七万円よりちょっと低いところが出るわけであります。一方、農家における実際の稼働日数の調査をとりまして、それはもちろん耕作反別の規模によって違いますが、一町五反から二町あたりのところを平均とってみますと、全国平均では年間で大体百五十一日くらい、こんな答えが出ております。その辺でその場合の基準になっております単価をかけましても、なお七万円より低くなっておる。近いところではありますが、その辺をにらみまして、七万円ならばそんなに少なくないじゃないか、こんな感じがいたします。 ただ、青色申告につきまして、なぜ現行八万円のものを九万円とか十二万円にするか、こういう問題でございますが、これは、青色と白色は、やはり生計とそれから企業の分離という点におきましてかなり違っておる。青色は、いわば文化の程度からいいまして、法人と個人のちょうど中間にあるわけであります。さようなことを考えまして、同族法人の家族給与を幾ら出しておるであろうか、この辺のバランスを見ていった。そういたしますと、大体年令差はありますが、今度きめられたようなところが税制上妥当ではないか、こういう感じがいたします。なぜかと申しますと、やはり文化の程度がかなり違っておるので、その点差を設ける必要があるのではないか、かようなことでございます。
○有馬(輝)委員 次に、私は、冒頭に申し上げましたいわゆる農業の実態といいますか、農業者の生活改善の一番じかにつながる問題といたしまして、農業協同組合の問題があろうと思うのです。それで、農業協同組合の過半数に近いもの、あるいはもう大体の農協が不振だという原因については、これは農協中央会あたりでもいろいろとその体質改善について論議がされておることでありますが、そういった御努力を願うと同時に、やはり国としてこの助成については相当の考慮が払われなければいかぬと思うのであります。そういった意味で、御承知のように戦前産業組合に対しては非課税になっておりましたけれども、私は、やはり金融その他のルートを通じてと同様に、こういった課税の面でも農協に対する育成の措置がとられなきゃいかぬと思うのでありますが、その点について主税局長としてのお考えをお伺いしたいと思います。
○村山政府委員 お話の通り、税法におきましても、それぞれの法人の実態に即応しまして、それぞれの負担力に対応する税制を盛るべきでありましょうし、また政策的にある方向を進める必要がありますれば、税制においても、公平の原則を大きく破壊しない限度におきまして、その政策方向を盛るということは当然であろうかと思うわけであります。その意味で現行法を考えてみましても、例を農協にとりますと、農業協同組合につきましては、やはり税率は普通の税率、よりは安い。十ばかりやすい。税率は普通三十八に対して二十八です。また、所得計算におきましても、いわゆる特別配当というものは損金に算入してということで、それぞれその実態に適したようなことになっております。政策的な課税の方としましては、租税特別措置で、御案内の通り再建整備法の整備計画が終了するまでは、その留保金額が出資金額の四分の一に達するまでは、その留保部分に対しては法人税を課税しない、こういうことを特に農協等の再建整備計画に合わせましてやっておるわけであります。この点はほかの事業協同組合についてもやっておりますが、特に農業協同組合につきましては、その連合会がもし再建整備計画の実施中であれば、その単位組合である単協について、そのものが再建整備計画実施中でなくとも、同様に出資金額の四分の一に達するまでの留保分について課税しないという特例を持っておるわけであります。この辺は農林省方面におきます農協の再建整備という計画に全く合わせまして、特段の措置を講じておるということを申せるかと思います。
○有馬(輝)委員 よくあなた方は均衡論と、それから今後段にお話しになりました、たとえば再建整備法に基づくところの特例をもって、もうこれでやっておるじゃないかというようなものの言い方をなさるのですけれども、私がお尋ねしておるのは、そういうことじゃなくて、基本的に戦前の実態というものと比べ合わせて一歩前向きの姿勢をとらなきゃ、今おっしゃったような点では身動きができないような情勢にあるのじゃないか、こういう角度からお尋ねをいたしておるわけなんです。こういう視野で、政務次官、この問題についてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○大久保政府委員 有馬さんの御指摘の農協に対する課税につきましては、農協の再建整備その他と考え合わせまして、将来できるだけ御趣旨に沿うような方向に考慮していきたいと考えております。
○有馬(輝)委員 再建整備の問題と切り離して、この際特段の努力を払うべきではないか。私は冒頭で今みたいな答弁をなさるのじゃないかと思って、池田総理なりあるいは大蔵大臣の施政方針演説をわざわざ回りくどく読まさせていただいたわけです。とにかく、生産費の問題なり、金融の問題なり、あるいは生産基盤の強化の問題なり、これは現在の農業については、各般の施策が、しかも早急な施策というものが要求されておるわけでありますが、その中でやはり税法でも積極的な手が打たれていかなければどうともならないのです。ただ作文は、各般の政策を講じてと、それは簡単に書けるかもしれませんけれども、実態はそういったなまやさしいものではないことは、大先輩の政務次官も十分御承知のところでありまして、そういう点についていま少し意欲的な御答弁をいただきたいと思うわけです。
○村山政府委員 われわれ農林省と絶えず連絡をとっているわけでありますが、もしおっしゃる点が戦前と同じように非課税にしたらどうかというお話でありますと、これはなかなかむずかしいのじゃないか。現在では、御案内のように公益法人といえども、現在事業を営んでいる限り、その分の収益に対しては課税している状況でございます。営利法人を頂点として、一方公益法人もあります。その間、協同組合的なものとして、今の農業協同組合、森林協同組合、その他事業協同組合あるいは消費生活協同組合、いろいろございまして、これはこれなりに、その実態に対応して、普通の法人には見られない特別配当を損金に算入するとか、あるいは税率もその程度に応じて引き下げるというような措置を講じているわけであります。従いまして、税体系全般としてこの際農協だけ非課税にするのはどうかということになりますと、いかがなものであろうかと考えられるわけであります。もし、おっしゃる点が、われわれの最近聞いております——農業協同組合の基盤強化のために従来の再建整備を一歩進めて、さらに農協等の合併を促進することによって既成基盤を強化する必要があるというようなことをほのかに承っておるわけでありますが、もしそういうことを国策として主務官庁の方で推進することが必要だということになりますれば、またわれわれも、その際におけるいろいろな課税問題を考えまして、必要な措置はとりたいというふうに考えておりますが、何分にもまだ計画内容その他確かにはさまっておりませんので、われわれは今そういう問題を部内において検討の段階だということを申し上げておきます。
○有馬(輝)委員 村山さんも時たまうれしいことをおっしゃるのですけれども、戦前みたいに非課税にするなら別でありますがと冒頭でおっしゃった。私は言葉じりをつまかえるわけではないんですけれども、いろいろ検討していらっしゃるとすれば、法定準備金が出資総額の二分の一に達するまでの留保金領に対して、一歩前進させる考えはないかどうか。とにかく私は冒頭で申し上げたんですけれども、あなたのように、他のものとの均衡論でものをおっしゃっていては、これは現在の日本の農業というものはどうともならないんです。これは御承知でしょう。もう重傷どころの騒ぎではないんです。瀕死の状態にあるのに、同じ定木でもって均衡論を振りかざしていらっしゃるから、ますますジリ貧に陥っていくということで、しかも、財政的には、わが党の中澤茂一君が本会議の質問の中でも指摘いたしましたように、投資の面においては全体で十六兆円出すのに、農業に対しては十年間に一兆円、六%ちょっとしか出さない。税法の方でも均衡をとれ、企業が成り立つように創意工夫を重ねなければいかぬ、そうしてそのために政府は各般の施策をやっていくんだとおっしゃるんですけれども、その内容たるや、今あなたがおっしゃるような均衡論に終始する。これじゃ私たちは池田内閣の真意がどこにあるかわからないのでありまして、あなた方の方で池田総理や大蔵大臣の真意をゆがめてはいかぬ。やはりそれに沿うように一歩前進した形というものを私たちが出しているわけですから、それに対して具体的なお答えをいただきたいと思っているわけであります。
○村山政府委員 農業の方の今後の育成あるいはその基盤の基礎を強固にするという問題は、私はなはだ個人的なことを申し上げてなんでございますが、まず第一に、農家そのものの問題、その辺から考えていかなくちゃいかぬのじゃないか。あるいはその指導機関としての、あるいは特に流通機構を大きく持つものとしての農業協同組合、これも考えなければいかぬと思いますが、その単位をなす個人につきましては、御案内のように、今度改正いたしますと、おそらく兼業農家を入れますと全国で六百万世帯といわれるもののうち、十三万くらいしか納税者が残らない、こういう実情になると思います。われわれは特に農業のためあるいは特に営業のためということではありませんが、家族従事者の多い低所得者を中心にして減税を行なう結果は、さようなことになっておる。もちろん実態といたしましてその辺を十分ねらっているわけでございますが、その辺がやはり一番大きな問題ではないかと思います。それらの農家の共同機関である農協につきましては、これはまたそれなりに、その必要性に応じてそれぞれ手を打つということではないかと思います、ただ、非課税にしろ、こうおっしゃるか、あるいは今言った二分の一までは課税しないようにしたらどうかという問題でございますが、これはやはり、全体の税体系の中で、ある程度のバランスはとらざるを得ないのではないか。各種の協同組合、いろいろございますが、現在協同組合に対する課税の特例を見ておりますと、先ほど申しましたように、農林漁業組合に対する課税の特例は、やはり特段の措置が講ぜられておるということは申して差しつかえないのではないかと思います。先ほど申しましたように、さらに今後合併等の問題が出て参りますれば、またそれはその必要に応じて所要の措置を講じていくべきで、それは農村の振興あるいは所得格差という一つの政策方向と、資本金の二分の一までは非課税という問題は、直ちには結びついてこないのではないか、かような感じがするわけでございます。
○有馬(輝)委員 同じことを繰り返していらっしゃるのですけれども、村山さんが同じことを繰り返されるので、私は、少し関係はないかもしれませんけれども、それを申し上げて、政務次官のお考えを伺いたいと思います。 御承知のように、アメリカでも、今べンソン農政に対していろいろな批判が出ておるようでありますが、その批判が出ておるアメリカにおいてさえ、たとえばバレイショやトウモロコシの作付面積を減らさせるために、まあこれは国柄が違いますし、国民の総生産も違いますから、ただ額では申し上げられませんけれども、一兆円も毎年出しておるような実態、あるいはイギリスにおきましても、御承知のように、非常に農業者は少ないけれども、それに対する特別の保護がなされておる。あるいは、私は、ただかつて通っただけで、その実態はつかんでいないかもしれませんけれども、デンマーク等においても、金融だけでなくて、税制の面においても御承知のように特別の措置が講じられておって、それでやっと何とかやっておる。しかも、みんなこれらの国々が、それじゃ農業が企業として十二分に成り立ち得るかというと、ほとんどもうすれすれのところにきておるのであります。そういったことをやってさえもそういった状態なのに、日本においては、そういった手だてを何もやらないで、そうしてその所得格差を是正するのだとおっしゃっても、てんでわからないのですが、税法に対して政務次官としては今どういう手を打とうとされておるのか、一つお聞かせをいただきたいと思います。
○大久保政府委員 有馬さん御指摘の、農業従事者に対する租税上の特別の考慮を払っていけとおっしゃいますることは、われわれといたしましても同感でございまして、農業従事者に対しましては、できるだけの負担の軽減をはかって差し上げたいと考えておるわけでございます。そこで、先ほど局長も申し上げましたように、ただいま十三万人余の課税対象といったような、だんだん軽減に向っておりますような次第でございまして、ただいまの農協等に関しましても、ただいま申し上げますような趣旨に沿いまして、今後とも努力をしていきたいと考えておる次第でございます。
○佐藤(觀)委員 関連して。 村山さんにお伺いしますが、農協の課税は三十七、八億でしょう。生協のやつは一億円くらいじゃないですか。それをその点でちょっと伺っておきたいのですがね。
○村山政府委員 後刻調べまして……。
○佐藤(觀)委員 後刻じゃない。簡単なことじゃないですか。三十七、八億ですよ。
○村山政府委員 この前の国会で作った資料がたしかあると思います。私の記憶では、非常に少なかったように覚えておりますが——農協は、これは三十三年二月一日から三十四年一月三十一日までに終了した分をとっておりまして、ちょうど一年間でございますが、法人数は一万五千五百十五でございまして、その所得金額は、これは欠損の出た分は別にしまして、所得の出たものだけでございますが、二十三億五千六百万円。ただ、これは今の措置法の関係で非課税の分がございますので、その二十三億にかりに課税しますと、先ほど申しますように二八%でございますが、かりに三割としましても、六億ぐらいでございましょうが、そのうち相当部分は租税特別措置法によって非課税になっているんじゃないか、かように思われるわけであります。
○佐藤(觀)委員 生活協同組合は……。
○村山政府委員 後ほど協同組合に関する課税資料をできるだけ取りそろえまして、お示ししたいと思っております。
○佐藤(觀)委員 その数字が私の考えているものとは違っておりますが、そういうわずかなものであればこそ、やはりきのうもわが党の淡谷君が、予算委員会で、農業所得の十年の間の伸びが少ないということを言って、いろいろ問題になったのですが、特に今の農業の現段階では、そういうようなものを非課税にしなければやっていけない。これは周東農林大臣に質問しても、農業は今日だめだという現状で、これは今度の国会はいわゆる農政国会といわれているほど、農業が非常に困っているわけなんです。政務次官にお尋ねしますが、農協の非課税の点についてどう考えるか考えないかというのではなくて、実行する御意思があるかないか、この点だけはっきり一つ言ってもらいたい。
○大久保政府委員 佐藤さん、有馬さんからの御指摘の御趣旨は、われわれもまことに同感をいたしておるわけでございまして、御趣旨の線に沿いまして、今後とも一つ一歩々々努力を積み重ねていきたい、かような誠意を持っておりますので、どうか一つこの点をおくみ取りをいただきたいとお願い申し上げます。
○有馬(輝)委員 政務次官のお人柄でそれ以上言えなくなってしまうのでありますが、村山さんがいわゆる国税の農家に対する負担というのは割と少ないのだということをおっしゃるのですけれども、その意味で私はお尋ねしたいと思うのです。先ほどから申し上げます産業間、地域間の格差の問題でありますが、一昨日でしたか、わが党の堀君から指摘されましたように、そうして山中君や私が肩をすぼめておりましたように、鹿児島県なんかでは、確かに所得税の話を農家の人たちにしたってぴんとこない実態にあることは、私も十分知っております。それだけ貧しくて所得税の対象にはならない。が、しかし、そのかわりに、住民税の負担というものが非常に大きくのしかかってきておるわけです。もちろん、税制調査会におきましては、直接税と間接税のあり方、国税と地方税のあり方については、今後の検討の問題として残していらっしゃいます。が、しかし、私は、特に農業のこの危機を打開するためにも、税法の面では、シャウプ勧告以来の国税、地方税の体系全般について再検討すべき時期にきておるんじゃないか、こう思うわけです。ここら辺について大蔵省として検討されておるかどうか。もし検討されておるとするならば、その方向について若干、おっしゃられる範囲内でけっこうでございますから、お教えいただきたいと思います。
○村山政府委員 ただいま御指摘のありましたように、わが国の今の税制は、大体昭和二十五年のシャウプ勧告を基礎にした税制ができ上がっておりまして、それがなかなかいろいろの問題を含んでおるということでありますので、政府におきましては、一昨年の三十四年の五月に税制調再会を設けまして、三年間の長期にわたって体系的な問題を検討しようということになっておりまして、本年は、この第一次答申に基づきまして改正案を提出している次第でございます。なお、体系の多くの問題は今後に残されていると申して差しつかえないと思います。そこには、ひとり直接税、間接税という問題だけでなくて、国税と地方税のあり方、それからその実体としての税源をどういうふうに配分していくかという問題まで含んで、今後に問題が残されているということでございまして、そこで中心になります問題は、もちろんそれぞれ国民あるいは住民間における負担のバランスという問題と、国、地方における財政問題、この両方にらみ合わせながら今後検討を続けて参る、かような考えであります。
○有馬(輝)委員 簡単に伺います。すべて税制調査会待ちということですか。
○村山政府委員 もちろん、事務当局におきましても、そのためにいろいろ研究は進めているわけでございますが、税制調査会において検討するということになっておりますので、そこで十分な審議を尽くした上でもって成案を得て提出したい、かように思っているわけであります。
○有馬(輝)委員 大蔵省の方々は、都合の悪いことは政府の陰に隠れちゃって、水田さんや大久保さんの陰に隠れちゃって、そして時たま、何というか、ロケットみたいなやつを打ち出されるわけです。たとえば、去年の選挙の前だったですが、これは新聞で拝見したので、この際あらためてお伺いしたいと思うのですが、これは税制とは関係ありませんけれども、主要食糧の買い入について、米についても時期別格差をなくそう、あるいは予約減税をなくそう、こういうことを大蔵省としては考えておるということが新聞に伝えられておったのですが、そういった考え方はございましたのですか。
○村山政府委員 時期別格差を廃止するかどうかという問題は、われわれの方は、私は存じませんでしたが、予約米減税につきましては、今度のような改正を機会に廃止の方向に持っていくべきではないかということは問題になりましたし、税制調査会においても、そのような答申が出ていたわけでございます。ただ、この問題につきましては、政府におきまして、三十六年産米の米価決定と緊密な関係があるので、そのときにおける結論と相待って措置するということになっております。
○有馬(輝)委員 そのときに云々とおっしゃるんですけれども、ちゃんと構想を持っていて、それを押しつけてくる。これは大蔵省の通弊なんですよ。その点どうなんですか。白紙で臨まれるのですか。
○村山政府委員 白紙で臨まれるかと申されましても、政府の決定は、その際まで検討を待つということになっております。われわれといたしましては、税制調査会の答申が出ておりますので、それは税制の論理として一つの結論は出ておるということでございますが、さらに高度な政策的見地からその点が米価決定まで留保になっておるということでございます。われわれといたしましては、ですから、この際問題にすることもありませんので、そのときまで事態を待ちたい、かような考えであります。
○有馬(輝)委員 事態を待ちたいとおっしゃるのですが、今も申し上げますように、あなた方はこういう点については非常に執拗にして強固なる意思を持っていらっしゃるわけなんです。そうして機会あらばそれを押しつけてくる。この前私は、佐藤さんに、食管特別会計のあり方について、これは赤字と称すべきものではなくて、むしろ行政費的な性格のものである、そうじゃないかというお話をいたしまして、政務次官からも御理解ある御答弁をいただき、また佐藤さんも、近ごろ頭がやわらかくなっておりますので安心して下さいというふうに受け取れるような発言をなさったわけなんですが、一方ではやはりこういった形で、予約減税を廃止したり、時期別格差をなくしたりというようなことで、政府の掲げておりますところの大方針とは違った方向へ一歩々々持っていって、所得倍増どころか、所持の格差はますます拡大するような方向に農民を追い込んでいく、そういった行政をやっていらっしゃるわけです。そういった考え方を堅持していらっしゃる。こういう点については、これはもうここでは議論が分かれてしまうかと思いますが、私は要望として申し上げておきますので、ぜひこういった柔軟な考え方を持っていただいて、たとえば生産費に対する佐藤さんの御答弁のように、やはり頭をやわらかくしていただかなければ、ただ均衡論なりあるいは法律論なり一本で片づけておっては、繰り返して申し上げますように、なかなかこの窮状というものは打開できない。この点を十分お含み置きをいただきたいと思うのですが、今関連質問が武藤君からありますので、あとでまたお伺いします。
○武藤委員 関連して。 ただいま有馬先輩の質問をめぐって一、二点関連をしてお尋ねいたしたいのですが、農家の所得税を納めておる数が十三万戸程度になってきたということで、あなた方は減ったと思っているのかもしれませんけれども、昭和九年、昭和十年ごろの農業者で所得税を納めておる計数というのは一体どのくらいありますか、それを最初に伺いたい。
○村山政府委員 人数の点は詳細にはわかりませんが、あります所得のパーセンテージからいって非常に少なかっただろうと思います。そのころ税務署長をやっておりました私の記憶では、村で大体二人ないし三人くらいというふうに覚えております。
○武藤委員 そこで問題になるのは、昭和九年、十年を基準にして、日本の経済がこれこれこれだけ伸びた、あるいは生活水準がこれだけ伸びた、そういう比較をなされておる今日、農民の課税対象になっておる件数が十三万になったから減ったなどという考え方がもしあるとすれば、これは大きな間違いで、もしこれを昔一村で二人か三人しか所得税を納めていなかったという当時のように課税対象が少なくなるためには、どの程度の減税をしなければならないか。そういう点を——農業所得というのは他の産業と比較して伸びが少ないですから、そういう納税者の数をも一つ十分参考にして検討しなければならぬと思うのです。今局長は昔は二人か三人だったと言うけれども、私も昔税務署におったんで、そういう関係で、私は徴収係におって、村を取り歩くのに三軒か四軒で済んだわけです。ところが、最近、この間横山先生が指摘したように、徴税が一番ばかを見て因る。徴税の連中が一番ぼやいておるというのは、非常に低い所得者にまで課税をしておるから、対象が非常に多い。そういうことも徴税がばかを見るという一つの原因になっておると思うのですよ。そういう点で、特にこれからの減税案を考える場合に、農業所得の伸び率と納税者の伸びと、そういうものを千分参考にして減税案というものを作って、所得倍増計画にマッチできるような農業にするにはどうしたらいいかということを、もっと大きな政治的な見地から、局長なども考える必要があると思うのです。局長は単なる行政官でなくて、もっと大きな政治性を持った立場だということも認識して、減税の積極的な案を作るべきだ、私はそういう考えですが、その点あなたの御見解はどうですか。
○村山政府委員 もちろん戦前のことも十分いろいろ参考にしてやっておりますが、やはり一番大事なことは、所得の水準なり分布の状況が全く違っておるということでございます。従いまして、これは日本に限らず、そのときどきの税法は、そのときどきにおける所得分布をにらみまして、それに適応した所得税体系を作っていく、それが結果として、戦前に比べて多くなる場合もありましょうし、あるいは少なくなる場合もあるということでございます。特に、昭和九−十一年を標準にされましたが、税制の面でいいますと、これはなかなか取りがたい時でございまして、当時はもちろん公債の発行があったわけでございますが、所得税だけについていいますと、現在の貨幣価値に直して五百万以上の所得者の数というものは全体の二%だ、ところがその人たちの納めておる所得税の税額では実に五五%に及んでおった、従って九八%の人員は残りの四五%をそれぞれ分担すれば済んでおった、こういう事態であるわけでございます。今日全く所得分布が変わりまして、同じような比率でとりますと、五百万以上の者は〇・二%くらいのものでございましょう。その人たちの納めている税額は今日一〇%そこそこにしかいっていない、こういう実情でございますので、そういう所得分布を一つ考えていかなくちゃならぬ。かつてわれわれこういう試算をやったこともあるわけでございます。当時の租税体系、法人税なり所得税なり、それぞれが全体の収入の中に占めているウエートをとりまして、そのウエートでもし今日の租税収入総額をまかなうとすれば、一体現行見積もっている税収に比べてどんな変化が出てくるか。そうすると、前と同じ構成でいいということになれば、その増減割合が、あるものは減税していいし、あるものは増税していいという結論になるだろうと思います。そういうふうに取りますと、法人税はそれなら五〇%近く減税せよ、そうでないとバランスがとれないという答えも出てくるわけでございまして、この辺は、それぞれ所得分布が変わり、あるいは企業と家計のあり方も違って参りますので、その辺をだんだんに見て参りたい。しかし、農業につきまして、いろんな政策方向があることはわれわれもわかっておりますので、その大きな方向に向かってそれぞれの主務官庁と十分な連絡をとって、必要な税制上の措置を打つことにはやぶさかでないつもりでございます。
○足立委員長 武藤君に申し上げますが、関連質問でございますから、なるべく簡潔に願います。
○武藤委員 所得分布が違ったり、あるいは企業の内容や家計の構造というものが変わったことはわかります。そこで、所得分布が違ったり、家計や企業の内容が違ったと認識されるならば、農業の特殊性というものはやはり認めなければいかぬと思う。たとえば、肥料の価格にしても、農機具の価格にしても、あるいは家計そのものに見ても、昔とは全く違った形で、農民の所得の割合に高いということは明らかなんです。それを青色申告すればいいではないかとおそらく行政官はおっしゃる。ところが、農民が青色申告をしようとすれば、ジャガイモ一貫目残っても記帳しておきなさい、サツマイモをすぐりどりしておいても、つけておかなければ青色申告を認めませんと言われるのですよ。そうすると、青色申告を実際上やって特典を受けたいと思っても、できないのが農家なんです。そういう農業の特殊性、実態というものを認識すれば、やはりほかの法人とか企業との比較の上でバランスをとろうとする考えは、私は間違いだと思う。そういう観点から、農業に対する減税はこの際思い切ってやらなければ、所得倍増、経済成長論も、農民などは全く恩恵を受けないと考えるのです。そこで、減税をする場合に、局長としては、そういう点特段の配慮をやってみたい、そういう回答を受けたいのですが、その点いかがでしょうか。
○村山政府委員 言葉は違うかもしれませんが、考えの方向としては全く同じことを考えておるわけでございます。おっしゃるように、農家については手数の関係から青色申告はとれない、こういう事態がございますので、先ほど申し述べましたように、国税におきましては、少なくとも白色の申告者について新たに専従者控除を認める。それが主たる対象が農家であるということは、われわれ十分承知しているわけであります。課税最低限の引き上げという問題も、農業等は国税でございますので、そのことはうたってはおりませんが、課税最低限の引き上げということは、やはり零細なあるいは小さな所得者に対してそれだけ減税の割合も大きいし、あるものは失格していく、そこをねらっているわけであり
○有馬(輝)委員 最後に一つお伺いしたいと思うのですが、これもまた農業に関連して、実は前、渡辺さんが国税庁長官のときに、私は再三再四にわたって砂糖消費税の第一種甲類の減税について御相談を申し上げたのですが、そのときも、なかなか均衡論でもって頭をやわらかくしていただけなかったわけです。農民が換金作物として必死になってやって、労働力の対価に見合わないようなものでありながらも、やむを得ずとにかく現金を求めるためにやっている。それについて均衡論を振りかざしてこられて、なかなか第一種については優遇してあるではないかというようなことで一歩も前進していただけなかったのですが、特に農政国会といわれ、農業者を優遇しなければならない段階において、これを再検討していただく余地があるかどうか、主税局長としての御意見を伺いたいと思います。
○村山政府委員 お言葉でありますので、十分検討してみたいと思います。ただ一方におまして、御案内のように、砂糖消費税の問題は、ブドウ糖とかあるいはその原料を作っている問題、澱粉等との関連があり、あるいはビート糖との関係等、同じ農村相互間に問題がありますので、その辺のことも頭に入れまして十分検討してみたいと考えております。
○有馬(輝)委員 額といたしましては、今年度の見込みでも三億三千万くらいであります。その全体の税収から見れば非常に少ない額でありますが、先ほど私が申し上げましたような状態でありますので、それが農業者に及ぼす影響というものは、これははかり知れないものがあるわけです。そういった面で、ぜひ今のお話の趣旨に沿って検討していただきたいと存じます。これをお願いしておきます。 本日の私の質問はこれで終わります。
○細田(義)委員 関連して。 私は今まで論議されました問題に関連をいたしまして政府にお願いするわけでありますが、農協は農民の拠点をなしている。相談の場所でもあるし、またお互いに啓発をし合っていく場所でもあるというような役割を農村においてはしている。しかし、農協自体を回顧いたしますと、私も七年ばかり農協組合長をやった経験を持っておりますが、二色あるのです。特に最近の都市近郊の農協というものは、一見市街地信用組合というような形において、金融面において非常に活発に動いておる。七億、十億の預金を持っておる。こういうのはそうめんどうを見る必要もなかろうと思いますが、何か弱小国というのがあるそうですが、弱小の組合、これが町村の合併によってさらに組合も合併の方向をたどるべきであるということの方向は一致しておりますが、なかなか利害の関係がありまして、そういかない。私は、町村の合併を全からしめるには、やはり経済団体も一本になって力を養っていかなければならない。これにはやはり呼び水を差し上げて寄らせるというような、合併をするまでにおいて課税の面からも特段の奨励の方策をとってもらいたい。これはもう幾らでもないです。それから、いわゆる預金等を持たない組合は、肥料その他の購買の関係におきましてのサービスで手一ぱいで、配当なんかありはしない。所得なんかない。従って課税という問題は起こらないわけでありますが、この農協それ自体の内容に従いまして、私は二つに分けてものを考えてもいいと思うのです。農協という看板は掲げておるけれども、その組合員はもはや百姓はしない。東京都下の実情などはまさにその通りです。町村で金を借りる場合でも、五千万でも一億でも金を貸す。一種の銀行の代役をやっているというのが、大阪なり東京なり土地が非常に動くところの農村の看板を掲げておる農協であります。こういうのと、ほんとうに食うや食わずで寄り合って力を持ち合ってやっているという組合、これらにつきましては、先ほど来お話を伺っておりますといろいろ御説明がありましたが、全部弱いものはめんどうを見て補助金をくれて、片方で税金を取るのですから、これでは大した意味はないのでありますから、私は、思い切って、所得がこれくらい以下はもう課税はしないのだというくらいの方向で、日本の農業を、他の面からも、課税等の面からもめんどうを見るということを大いに一つやってもらいたい。これは意見でありまするが、私は特に合併町村等に関連をしての協同組合の合併、これは農林省の指導もさることながら、課税の面からも政府は特段の意を用いて奨励して参る、こういう措置についてはいかがな見解をお持ちであるか、この際伺っておきたいのであります。
○村山政府委員 おっしゃるように、確かに農協と申しましても、いわば市街地信用組合というようなものがあり、他方農村における単位農協のようなものと、いろいろあるということで、われわれもそういう問題を十分区別して参りたい。またおっしゃいました市町村の合併を契機にして農協の基盤を拡充するための合併、それに関連する課税問題が将来出て参る。そこでは赤字の引き継ぎの問題が認められるかどうか。現行法では普通の法人では認められませんが、その問題が出てくる。その場合に出てくる清算所得に課税するかどうか。これも黙っておりますれば当然課税になってくるわけであります。この点に焦点を合わして今後必要に応じて立法措置で考えて参りたい、かように思っておるわけであります。
○足立委員長 安井吉典君。
○安井(吉)委員 私、税制調査会の今回の答申に基づく国税並びに地方税を通ずる税制改正にあたりまして、その答申の内容にもよるわけでありますけれども、いささか場当たりな、単に手直し的な暫定的な、そういったような措置で当面を糊塗しておる、そういったような問題からいろいろ御質問を申し上げたいと考えておりましたが、時間がないので、いろいろの問題点はあと回しにして次回に譲ることにいたしまして、先ほども有馬委員から農協課税の問題についての御質問がありましたのに続きまして、その問題に一つ集中をしてお尋ねをしていきたいと思います。 その前にちょっとこの点だけお尋ねしておきたいわけでありますが、税制調査会での作業の中で、あるいはまた政府の御当局のこれまでの税制改正の考え方の中で、地域的な問題を減税という姿に現わしていく。たとえば、特に寒冷地に対する減税、そういった地帯に対する特別な控除を認めていくとか、それらの問題について今日までいろいろ御検討が済んだことがあるかどうか、その点を一つ伺いたいと思います。
○村山政府委員 この点も税制調査会では慎重に検討いたしまして、従来から石炭手当、寒冷地手当あるいは薪炭手当、地方別に出される手当のようなものについて、特に控除することが国税において妥当であるかどうかという問題でございます。この点いろいろ考えてみましたが、結論としては、国税としては地域差を入れることは無理であろうということでございます。と申しますのは、地域によりましてそれぞれ物価が違っておるわけであります。その問題を入れますと、基礎控除を地方ごとに全部変えなければならぬ、こういうことにもなりますので、この点は結局そういうことではなくて、それは全体の基礎控除を幾らに上げて自動的にその問題々解消するとか、あるいは扶養控除の引き上げをどうするとか、そういう一般的な立法措置によって自然解消すべきであって、地域的な問題を国税体系の中に持ち込むと、これは収拾がつかぬということでございます。なお、各国の立法例でも、こういったことはわれわれの承知しておる限りなかなか国税の体系では入っていないというのも、同じような事情に基づくのであろうと思われるのであります。
○安井(吉)委員 たとえば法人所得あるいは事業所得等の経費部分として、そういったようなものは現実に入っていないでしょうか。
○村山政府委員 それは、何といいますか、そういう立法措置を講じなくても、おのずから経済の事情が違う。それによって違ってくる分はおのずから現われる面はあるわけでございます。たとえば、同じ企業にいたしましても、給与水準の高いところで人を雇っておれば、それだけ経費は少なくなる。たとえば雪国で非常に雪おろしの費用がかさむとかいうことになれば、おのずからその点は経費に出て参る。あるいは耐用年数といいますか、修繕費の問題にいたしましても、修繕費がよけいかかるということになれば、おのずからそういうことも出て参る。最後に命脈が尽きて早く全部損壊するあるいは倒壊する、こういうような経済的に現われてくる範囲では、おのずからその地方の実情を反映するということにはなると思います。しかし、それを税制の上で明確に、それぞれ基礎控除の額を変えるとか、あるいは特殊の手当を所得からはずすとかいうことになりますと、これは国税体系としてはなかなかむずかしい問題だということでございます。
○安井(吉)委員 まあ、今のお話によると、結局北海道などにある会社なんか、ずいぶん燃料もよけい使うわけです。そういったものが一応経費という形で控除されていくという形がやはり現実に現われているとすれば、石炭手当というような、給料生活者が石炭を買うためにくれたその手当から税金が引かれてくる。そういうものについても同様な配慮があっていいと思うのですが、その点どうでしょう。
○村山政府委員 それは、税法の立て方が、たとえば法人税においては純益課税という立て方をとっているわけです。従って、現われてくる所得税の方では、大体所得というものを置きまして、それから基礎控除とかいろいろな控除を引いてやっていくというやり方しかとれないわけでございます。そういうことのためにそういう点が入ってこない。ただ全般的に考える場合には、そういうシリアスな問題を緩和する意味で、全体的に基礎控除を幾らに上げるべきかというような、やはり全国一本の形ではありますが、地方的に見ればそういう問題が解消し得る方向で税法の改正を考えていく、こういうことしかできないのではないかと思われます。
○安井(吉)委員 基礎控除という姿でなくても、何か寒冷控除か適当な控除の方向というもので——だから、法人なんかは現実に現われていても、いわゆる給与所得その他の場合においてそれが現われていないということで、そこでちょっと不均衡がありはしませんですか。その点どうです。
○村山政府委員 そういう意味のものをもし不均衡といいますと、それはおそらく不均衡と言い得るでしょう。生活費がそれぞれ違うのにもかかわらず、一律の基礎控除を持っておる。あるいはたとえば扶養費がそれぞれ地方によりまして違っております。それを一律の扶養控除の額で、たとえば奥さんは九万円だとか第一人目は五万円であるとか、そういうふうに一律にきめているところに、どうしてもその問題は残るわけでございますが、国税の体系としてはやむを得ないのではないだろうか、こういうことでございます。
○安井(吉)委員 北海道知事あたりから、強くこういった問題について要請はありませんか。
○村山政府委員 歴代の北海道の長官からはお話を承りまして、そのたびに今申し上げたようなことを御説明いたしまして、実は御了承を得さしてもらっているわけでございます。
○安井(吉)委員 そこで申し上げるわけなのですが、今の知事が選挙になぜ勝ったかというと、北海道減税をやるのだ、中央直結で電話一本でお話がついて、それができるのだというので、北海道の人はみんな票を入れて今の知事は当選したわけです。だから、これは、今何らかの解決の方策が見つからなければ、北海道では非常な大きな政治問題になると思うのです。政務次官いかがですか。
○大久保政府委員 寒冷地帯でいろいろ御生活のお困りの点は十分お察しがつくわけでございますが、こういう点につきましては今後政府部内におきましても十分一つ研究さしていただきたいと思います。
○安井(吉)委員 そういうことであととんでもないことになるかもしれませんから、一つ十分に御検討おきいただきたいと思います。この問題はまた別な機会に譲ることにいたします。 農業課税の問題でありますが、現在の農業課税の状況につきまして、一つ数字的な御説明を初めにいただきたいと思います。納税人員がどれくらいで、全農業者のどれくらいのパーセンテージになっているか。納税額はどれくらいか。そして今度行なわれようとする減税措置でどれくらいの減税額が見込まれるか。それから、もう一つは、住民税へその減税措置がどういうふうなはね返りをするか。一つ数字的に御説明をいただきたいと思います。
○村山政府委員 農業の三十五年度の補正予算ベースでの課税状況をまず申し上げますと、現在の納税者数は約四十万三千人と見ております。それを今度は現行法で三十六年ベースで見ますと、三十七万七千人くらいに落ちるであろう。これは米作をことしのでなくて前三カ年の平均で見ておるので、これくらい落ちるわけであります。改正法によりますと、その人員が十三万九千人台に落ちてくるということでございまして、税額にいたしますと、現行法で三十六年ベースでございますが、二十六億五千六百万程度と見込まれるものが、改正法によりまして六億三千六百万円、改正による減税額が二十億二千万円程度に上る見込みでございます。その結果有業人口に対してどれくらいの比率になるかと申しますと、農業センサスから推定したところの農家数に対しまして、有資格者の数は三十六年度三・二%程度、三十五年度が九・五%くらいだと見込んでおります。
○安井(吉)委員 住民税のはね返りは……。
○後藤田政府委員 今回の地方税の改正の問題は、まだ政府としての案は最終的には固まっておりませんが、事務当局として私どもが考えておる段階でお答え申し上げますと、今回の住民税の改正におきましては、国税の自動的な影響をできるだけ断ち切った地方税らしい住民税に改める、こういう考え方に立っておりますので、所得税の改正がはね返ってくるという考え方には立っておりません。従いまして、考え方といたしましては、現行の所得税に乗っかっております住民税の負担そのままが移行する、こういう感じの改正を考えております。
○安井(吉)委員 そういたしますと、今の住民税のはね返りはゼロという、そういうふうなお見込みでいられますか、金額にして。
○後藤田政府委員 その通りでございます。
○安井(吉)委員 専従者控除がいわゆる白色申告にも拡大されたという考え方そのものは、これはわれわれの従来からの主張が一応通ったという形でありますけれども、しかしながら、その内容をいろいろ検討してみますと、まことに矛盾の多い形で結果が出ているというふうな気がするわけです。所得税法によりますと、白色申告の場合の専従者控除は、経費という形で落ちるんじゃないんですね。所得の一部なんですか、その点一つはっきり……。
○村山政府委員 これはやはり専従者控除という形で落としておりますが、純粋に経費というところまで割り切っておりません。先ほど申しましたいろいろな法人、個人のバランスという傾向をにらんでやっておりますが、これが完全に契約法的な関係において労働を提供し、その対価を受け取っておるものというふうに、税法の上では割り切っていない。ただ、負担関係については、先ほど申したような実態から見ましてその分は引く。結果は同じことでありますが、税法の方ではっきり給与とは見ていない。従って、もし専従者の側で他の所得があります場合には、その控除された金額にプラスして専従者の税額がきまってくるわけであります。その点では給与所得とみなす、こういう法案にしているわけでございます。
○安井(吉)委員 どうもその点はおかしいと思うんです。青色の場合は、これははっきり給与とみなして経費で落としておいて、しかし、白色の場合は、専従者控除は認めるけれども、それは経費ではないのだ、そういうあまりはっきりした割り切り方というのが、どうも私は理解しかねるのですが、大体家族経営であろうと、どのような経営であろうとも、一つ経営がある以上は、そこに労賃というものが必ず発生してきているはずです。働く者がある限り、必ず労賃という部分があるはずだと思います。しかし、それが青色申告の場合は、これは記帳があるからというふうにお答えになるのだろうと思うのですが、しかし、そういう単なる形式だけですべて物事を律しようという考え方は、どうも不可解に思うわけです。ですから、普通の個人事業の中での労賃というものを否定し、少なくも税法上では否定をした差別的な扱いだというふうに思うのですが、もう少しその辺の事情をお答えいただきたいと思います。
○村山政府委員 実態で申しますと、やはりその青色の方は、かなり帳簿もはっきり家計とそれから事業に関する分は分離して計算がされているわけでございます。従って、その最高限度こそありますが、その給与額は一律ではないということです。ところが、記帳ができにくいということは、実態でいいますと、家計と企業がそれほど分化してないもの、これについては、現行のままでいきますと、非常に負担が重くなるという青色とのバランスの問題もありますし、特に法人とのバランスがありますものですから、結果において控除を認めよう。しかし、青色のようにその能力に応じて金額をきめるというようなことには考えていないわけでございまして、そういたしますと、これはまた非常にむずかしい。事実上家計と企業の分離をその面から強制するという結果にもなります。そういうことはできませんので、大体一律控除ということにしているわけでございます。給与の概念からいいますと、当然その人の能力に応じて給与を出すべきである。もう一つの条件は、企業と家計は完全に分離しなければいかぬ、その実態としてはやはり契約法的な結びつきでなければならぬ、こういうことになろうと思いますが、全部が今白色申告者についてそうであるということは言い切れないと思うのであります。そういう環境にあるものですから、実際のこれは納税者、税務官庁双方の便も考えまして、労働の程度その他を言わず、一律に七万円、こう切っているところにも、それを純粋に給与と割り切れない面があるわけでございます。ただ、その払う方の側からいいますれば、結局七万円を、経費とはいいませんが、控除する、こう書いてありますから、負担関係は同じになってくるわけでございます。
○安井(吉)委員 この問題は、家族経営の中において、自家労賃を税法上否定しているという、その矛盾の解決という形から出てきたと思うのです。つまり農業の一家一法人ですか、そういったような非常に矛盾した形まで出てきている、そういうような姿に対する一つの対策として生まれてきたと思うのです。ところが、一応控除はする、しかしながら自家労賃とははっきり認めかねますということでは、税法上の否定という矛盾は全く解決されてないと思うのです。話を裏返しにしていいますと、経営と生計とが分離されてないと言われるが、しかし、そういうような非常に不確かなものに、専従者控除ということで、特に専従者という名前をつけて控除することそのこと自体が非常におかしいじゃないですか。どうやって人を区分されるわけですか。
○村山政府委員 こういうことでございます。今度のことは、農家で家族専従者に月給を払うという事実がなくとも、七万円引きましょう、こう申しておるわけであります。月給を払わなければ引かないということになりますと、おそらく、今の農村の慣行では、家族に月給を払っているということはないだろうと思うのであります。そこが、経費と見るかどうか、給与と見切れるかどうかということの問題でございます。今度の改正は、そういう実態が、そういう慣行が行なわれていないことを十分承知しつつ、しかし法人との負担のバランスの問題もございますというところで、その労働力をいわば税法で一律的に評価いたしまして、それで七万円を控除いたします、こういうことを申し上げたわけであります。従いまして、給与の支払いの有無にかかわらず認めるものでございますので、どうしてもその法制の面では給与といって断定するわけには参らないということでございます。
○安井(吉)委員 今言いましたように、専従者は、それじゃどういうことで専従者と非専従者と区別されるわけですか。
○村山政府委員 これは、現行の、大体青色についての考え方において、専従かどうかというようなことを実務上やっておりますが、その辺を参考にしながら、きめて参りたいと思っております。おおよその考えとしましては、やはり一年のうち半年以上ぐらいは従事するということが必要ではなかろうか。やはり専従ということでございますので、実際の形としては、他に特定の主たる職業を持っているようなものが専従することもないだろうと思いますし、また昼間の学校に通っておるものが専従するということもないだろうと思います。夜間学生であれば、それは昼間の仕事に従事することができると思いますが、そういうところをねらいまして、政令でその細目をきめていきたいという考えでおります。
○安井(吉)委員 やはり農家の中には自分の子供たちに月給を払っている、そういうような近代的な家族形態を保とうとして努力している人もないわけではないと思います。そうあっさり否定されないで、そういうような人もあるし、むしろそういうような形で、農家の経営といいますか、家庭生活の中の比較的封建的な姿をこういう税法の面からも一つ改善していくという、そういう意欲もお示しになって差しつかえないと思います。たとえば配偶者控除の問題なんかも、われわれの前からの主張でしたが、これなんかも、むしろ税法という立場から妻の座を家庭の中で少し高めた、そういうような効果もこれは生んでいると思います。そういうような意味でも、これはもう少しやはり今の専従者、白色申告の専従者控除の場合も、もっとそういうような面からも考え直されていいのではないかと思うわけです。さらに、これは、次の住民税の中に入ってきますと、その段階で非常に大きく矛盾の原因を作っていくわけです。そこで、住民税の前に、その白色申告の控除額を七万円とされたことについて、先ほど有馬委員との質疑の中で、農村の日雇い賃金を基礎にして計算したというふうに言われておるわけでありますが、しかし、青色申告の場合、農家の人でもこれは青色申告をしている人もいるわけです。それから、白色申告は、これは農家の人だけでなくして、零細の企業者も白色申告をしている場合もある。だから、どうしても農村の日雇い賃金の基礎で計算されなくてはならないという理由はないと思いますが、その点どうですか。
○村山政府委員 現行青色につきましては八万円の控除をしております。それに対して、白色については何らの控除も認められていないが、今度七万円、それから青色につきましては原則として九万円、その差は二万円になるわけであります。二十五才以上の者につきましては十二万円に引き上げますので、その差は五万円ということになりまして、現在に比べてその格差は相当縮まってくるということになると思いますが、青色につきましては、先ほど申しましたように、同族法人とのバランスから見ているわけでございます。白色につきましては、やはり主として農村地帯でございますので、農村における他人労働の賃金をとるべきではなかろうか。もちろん青色とのバランスも一方においてにらみながら考えておるわけでございます。そういたしますと、大体われわれの計算では、男子で二百日働くといたしますと、男子の場合七万程度、女子ですともう少し低い金額が出てくるということでございます。なお、農家経済調査のいろいろな報告がございますが、その場合でも家族労働報酬の計算の基礎もございますので、その点も十分勘案してやっておるわけでございます。先ほども申しましたように、一町五反から二町で計算いたしましても六万何千円くらいというところになりますし、二町以上耕す者でも大体七万円ちょうどくらいの数字が出て参っておりますので、これらの計数をにらみ合わせ、一方において青色のバランスを考え、その経営の実態の差にも着目いたしまして、今回はこの程度が適当ではないかというふうに考えた次第でございます。
○安井(吉)委員 農村の日雇い賃金のお話が、いわゆる控除の問題で出てきたわけでありますが、しかし、米価の算定で一体を何を基礎にして算定が行なわれているかということは御承知ですね。
○村山政府委員 これは普通の一般の労働賃金を基礎にして行なわれていることと承知いたしております。
○安井(吉)委員 その額は幾らですか。
○村山政府委員 今手元に計数は持ち合わせておりませんが、後刻調べて御報告いたします。
○安井(吉)委員 つまり米価は、農家の所得の場合、収入の面に現われてくるわけです、収入の基礎になっておりますところの米価の中では、都市の製造工業労賃が基礎にしてとられていて、経費の算定の場合に、つまり控除算定の場合においては農村の日雇い賃金でいくんだ。これはどうなんですか。これは筋が通りますか。
○村山政府委員 それは米価決定の要素として都市労銀をとっておりますから、現実に米価といたしましてそれだけ入るわけでございます。一方その経費を見る場合には、税法は御案内の通り現実的な基礎を非常に重視しておるわけでございまして、必ずしも、米価算定上都市の労働賃金をとられたからといって、こちらの方で都市労銀を基礎にしなくちゃならぬということではないだろうと思います。やはりその地域における一般的賃金水準を考慮してきめることで差しつかえないのではないか、むしろ税法としてはその方が現実的ではなかろうかというふうに考える次第でございます。
○安井(吉)委員 農林省も大蔵省も、これは日本の政府なんですよ。おそらくこれは米価決定のときも同じ資料でしょう。大蔵省の主計局の中でいろいろな計算の後に、これが正しいと思ってとられたと思うのです。だから、これは同じ人の所得を計算するその中で基礎が違うということは、農家の人だって、いかに青色もなかなかできないような立場にある人だって、この数字的だ矛盾というのはよくわかると思うのです。これはやはりそういうような点からいって統一をおとりになれば、さっきおっしゃったように、青色申告の場合は全産業の平均貸金だとすれば、白色と重なってくると思うのです。もしもその労賃を基礎にしてこの七万円なり十二万円なりというものが計算されたとすれば、私はそういう理屈になってきやしないかと思うのです。どうでしょうか。
○村山政府委員 先ほども申しましたように、税の立場におきましては、収入は現実の収入をとるわけであります。今度認めようとする、創設いたそうとする控除は、給与の支払いのいかんにかかわらず、納税者の便宜それから税務官庁の便宜を考えまして一律にきめよう、この点が青色申告と違う点でございまして、それを幾らにするのが妥当か、こういう問題だろうと思います。幾らくらいの経費と見積るべきであろうか、こういう問題でございます。価格決定をやっておるわけでもございませんし、どれくらいの経費がかかると考えるべきであろうか、農村を対象にする場合には、やはり農村における実際の賃金が基礎になるべきではないかということは言えることじゃないかと思っております。 青色とのバランスの問題でございますが、青色と白色はやはり経営の基礎が相当違っておるのだということでございます。先ほど申しました企業と家計の分離の程度、あるいは相互の事業主と家族との間の関係が青と白ではやはり違っておるのだ、それがいよいよ発展して参りますと法人形態になっていくという差別は、やはり認めざるを得ないじゃないだろうか。それであればこそ、青色につきましては、相当厳格な帳簿書類の要件も、また原始記録の保存も税法上要請されておるわけであります。ですから、必ずその点は一致しなければならないということではないだろうと思います。ただ、青色につきましては、従来いろいろな関係から八万円という限度に置きましたが、これも今回いろいろ検討いたしまして、同族法人において一体幾らの給与が認められるだろうか、どれくらいの給与を普通出しているのだろうかという点を参酌いたしまして、今度年令の区分によりまして十二万円、九万円程度が適当ではなかろうか。これも、青色の方からいえば、法人から見たら非常に少ないじゃないか、もっと多くしろ、あるいは無制限にしろという問題はもちろんあり得るだろうと思う。そこはやはり、法人形態まで分離していないものについて、その辺まではなかなかいけないという相互の一つのバランスがあるわけでございまして、今回はさようなふうにしたわけであります。
○安井(吉)委員 単にバランスで適当に、法人はこれくらい、青色はこれくらい、だから白色はこの程度が適当だろうという目勘定でやられたというなら、それで話が通るわけじゃありませんけれども、まだ何かなるほどそんなところかなという気がするわけですが、ことさらに農村の賃金と全産業平均賃金をそのような区分をされるものですから、われわれ一そうその点に疑惑を持たざるを得ないわけであります。しかも、これは農村日雇い賃金と単に言われますけれども、たしか中小商工業者の方々でも白色でやっておる人が二割か幾らかおるんです。そういうようなところからいっても、どうも筋が通らないような気がするんですが、これは問題点として残しておくわけであります。今青色の場合に二十五才を境にして上下をきめておるわけですが、どういう根拠でやっているのですか。
○村山政府委員 これも、先ほど申し上げましたように、同族会社とのバランスが特に問題になるわけでございます。同族会社の給与の支給状況を見ますと、これは年令では統計上出ておりませんが、その専従している親族に配偶者があるかないかという点が、非常に決定的な要素になっているように思われます。配偶者のある親族につきましては相当多く出ております。われわれの調べた統計によりますと、平均して約十四万五千円ぐらい出ております。ところが、配偶者のないむすこ、あるいは親戚というようなものになりますと、いずれも十万円を相当下がっておるわけです。十万よりもちょっと下がって、八万五千から九万円のあたりでございます。この辺を見ていきますと、やはり配偶者があるかないかということが大きな要素ではないかというふうに考えられます。配偶者があるかないかということになりますと、年令が一つの問題でございまして、二十才では無理であろう。やはり二十五才——二十三才、二十四才という中間論もございますが、その辺が一つの考え方である。それから、年令別の賃金統計をずっと見ておりますと、五才刻みでずっといきまして、一番格差のつくところが、平均貸金でございますが、二十才から二十五才までと、二十五才から三十才までの間です。そこの間の格差が一番ついておる。やはり何といいますか、おそらく働く能力、あるいは今の配偶者のあるなしの考慮が払われているのかもしれませんが、全体の賃金の構成がそこに一つの大きな屈折点ができておる。その辺をにらみまして、二十五才が適当ではないかと考えた次第であります。
○安井(吉)委員 どうも大へんおもしろい議論を伺ったわけであります。配偶者も、たとえばむすこがいて、お嫁さんをもらう。その配偶者もやはり同様に専従者控除をもらえるわけでしょう、働いておれば。
○村山政府委員 それは税法上そういうことになっております。
○安井(吉)委員 そういうことにしますと、お嫁さんをもらったから、もらわないからで、人間の働きをそう区分されるということになりますと、これは一つの大きな社会問題になりはしないかと思います。特に農家なんかもらうのが非常に早いのです。これは、お嫁さんをもらったら、青色申告で一つ上の段をつける、そういうふうにおきめになったらどうですか。これは意味がないのじゃないでしょうか、そういうことだけでは。普通の法律では、やはり大ていの場合は二十才が成人だというふうに、特別な場合は別として、なっているわけです。ですから、青色申告の二十才から上ではずされた人たちが、決起大会を開いて、このような不合理をわれわれの結集した力でぜひ直さなければいけないというようなことで、私どものところにも決議文がきておりました。どうでしょう。
○村山政府委員 原則としては九万円でございます。ただ年令二十五才以上のものについて十二万円。なぜ二十五才できめたかというお尋ねでございます。先ほど申し上げておりますのは、税制面で特に考慮しなければならないのは、同族会社とのバランスであるということでございます。それで、同族会社の給与の支給の現在の実情がけしからぬかどうか、それはわれわれはちょっとわかりませんが、この実態を見てみると、大体二十五才以上と思われるところに給与をよけい出しておるという事実でございます。それから、賃金体系を見ましても、そのよしあしは別でございますが、二十五才の点を境にして大きく屈折しておるという事実が統計上認められる。しかも、われわれは原則は九万円と考えておりますが、諸般の要請で、特にその点で八万円を一万円上げて九万円というのはひどいじゃないかということは、当然青色申告の方から言って参るわけでございますので、その辺をにらみ合わせまして、二十五才以上のものについては三万円ぐらいを加算して十二万円がいかがでございましょう、こういう提案をいたしておるわけでございます。
○安井(吉)委員 どうもお話を伺っておりますと、さっきの白色申告の場合も、それは労賃の基礎がこうなんだというふうなことを言われるし、今の二十五才でも、お嫁さんをもらったらどうかというようなことをいろいろ言われるわけでありますが、何か最後は結局バランス、バランスで最後的な決定をされておいて、あとで何かそういうふうな理屈をおつけになったのじゃないかというような気がするわけであります。さらにこれもまた後の問題として残しておきたいと思います。 そこで、次は、住民税との関連の問題であります。地方税法の改正の案がたしかまだできていないというふうに聞いておるわけでありますが、自治省の方で、今問題になっている点に限定をして、市町村民税の改正の方向でありますが、おわかりになります範囲で、お話しいただきたいと思います。
○後藤田政府委員 現行の住民税につきましては、御承知の通りに、課税標準等が国税のそれに依存をしておる面が非常に多いわけでございます。従いまして、国税の改正がございますたびに地方税の変動がある。そこで、地方税としては、いわば安定性といいますか、あるいは自主性といいますか、そういう面が非常に欠けておる。こういうところが、地方の財政問題とも関連して、御承知の通りしばしば過去においても問題になっておったところでございます。他方、地方税の場合には、何と申しましても狭い地域社会に具体的にうまく適用せられるような税制でなければならぬ、こういう面から考えまして、できる限り、住民税等につきましては、広い範囲に薄く負担を求める、いわば、税の性格といたしまして、負担の分任あるいは応益性とい面が強く要請せられる税でございます。そういう面から見ましても、国税の影響を自動的に受けるということについては、住民税のあり方としていかがなものだろうか、こういう批判があったわけでございます。従いまして、そういう点を考えて、また同時に、小さな市町村等に対する財政面の影響、こういう面も考えて、今回の住民税の改正におきましては、でき得る限り国税の所得税の自動的な影響を遮断をするという方向で改正をしたらどうであろうか。その際にいろいろな考え方があると思います。一つは税率の段階で影響を切るという考え方もございましょう。あるいは所得控除の段階で切る、こういう考え方もございましょう。やはり所得課税でございます以上は、所得の範囲なりあるいは計算なりという面、この面で切るという考え方もございますが、この面は、納税者の納税感情という面を考えました場合には、原則としてはやはりこれは国税に合わす必要があるだろう。その場合に、従って所得の範囲及び計算は原則として国税に乗っかっていく。そこまでの段階からは、地方税は地方税としてふさわしいようなやり方にしたらどうであろうか、こういう考え方に立ちまして、現在の五つの課税方式を、一つは簡素合理化する。その際に、ただいま申しましたような点を考慮して地方税制を改善をする。現在の五つのうら、第一課税方式は、御承知の通り所得税額を課税標準にしておる。第三課税方式は、課税総所得金額から所得税額を控除した金額を課税標準にしておる。従って、所得税が減税になりました場合には、今の税制では、第一課税方式の場合には減税になる。第三課税方式の場合には逆に増税になる。こういうのが現状でございます。従って、この第一と第三の課税方式は廃止をする、そうして第二課税方式、つまり総所得金額を課税標準とする第二課税方式に統一をする、こういうやり方で住民税の改正をしていきたい、このように考えておるのでございます。
○安井(吉)委員 そういたしますと、現在課税されておりますその姿が、第二課税方式本文ただし書きに集中されてくると思うわけですが、まず市町村民税の場合で、本文とただ書きとどちらがどれくらいの割合で最後的に集約されるから、その見込みを一つ伺いたい。
○後藤田政府委員 現在第一課税方式採用市町村は全体の一四%でございます。第二課税ただし書き採用市町村が七九%、あと七%がその他の課税方式、こういうことに採用市町村別に申しますれば相なっております。税額で申しますと、大体五一%が第一課税方式、四五%程度が第二課税方式ただし書き採用市町村。納税者で申しますと、第一課税方式採用市町村に属する納税者が四八%、第二ただし書き採用市町村の納税者数が四五%程度、こういう状況に相なっております。
○安井(吉)委員 現状から判断いたしますと、第一課税方式がなくなった場合には、おそらくこれに一番近い性格を持っております第二課税方式本文方式に、大体一四%ですか、市町村別にいいますとそれがおそらく移ってくるに違いない。第二課税方式ただし書きの現にやっておるものは、おそらくそこで固定するだろう。こういうふうな見方ができるだろうと思うわけです。ところが、大体におきまして今度の本文方式に移行するであろうと思われる第一課税方式は大体都市に集中しているし、農村、漁村等は一番税金が上がる第二課税方式ただし書きの方式に集中している、こういったような姿であるわけです。 そこで、今度の所得税に関する、特に専従者控除に関する問題が、第二課税方式ただし書き、この方式に大部分が移行するところに問題があると思います。非常にややこしい言い方になりましたが、ここで私考えてみますと、結局今度農家の方の税金が安くなる、そういう措置を講じたと政務次官もおっしゃったし、それから主税局長もその点を先ほど来強調されるわけであります。そしてまた、今日の池田内閣の所得倍増政策の中でも、農村の問題にも力を入れるのだというふうに言われている。そういうような中から、今の所得税、住民税を通じての計算の中に現われてくる農家課税の姿というのは、先ほど来のお話とはだいぶ姿が変わった形で現われているような気がするわけです。で、青色申告の場合は、配偶者控除の問題も、それから扶養控除の引き上げの問題も、専従者控除が拡大された問題も、これは所得税の中で減税という姿で明らかに出てくると思います。しかし、住民税の場合にいきますと、大都市の場合は本文方式でいけば、これは全部そのままの姿で現われてくる。しかし、ただし書き方式でいきますと、扶養控除というような問題は消えてしまって、しかしそれでも専従者控除の拡大というものだけはやはり減税という姿で浮かんでくるわけです。ところが、白色申告の場合において、先ほどのようにこれが経費として算入されないということが明らかになった場合には、所得税の場合でありますと、配偶者控除の問題あるいは扶養控除の引き上げの問題、それからとにもかくにもでき上がるであろうと考えられる専従者控除の問題、これは確かに減税という姿で現われるでありましょう。しかし、現われたにしても、全農家の数からいえばほんの微々たる数字でしかないわけです。一番最初に農家の納税人員その他の数字をお聞きいたしましたけれども、あれとにらみ合わせて考えますと、全国富農の、しかもほんのわずかがこの恩恵を受ける、そういうことにしかすぎないのではないか。ところが、これが住民税の方へいきますと、本文方式でやるところでは、配偶者控除と扶養控除の面は減税になるだろうが、しかし白色の専従者控除の問題は減税という姿で現われてこないわけです。特にただし書き方式の場合においては、全然減税なしというふうな姿で結論が出てしまうということであろうと思います。先ほどの数字でいいますと、現在の日本全体の農民のうち九六、七%くらいの人は、実際上は全く減税にならないという姿になってくるのではないかと思います。減税を受けるのはほんの富農、しかもそれの一部だけ——富農の一部という言い方は悪いかもしれませんが、とにかく富農層は受けるでしょう。しかし、それは全農民のうちの五%か六%くらいにしかすぎない。残りの九割幾らという数の農家は、所得税を負けてやるというけれども、実際はもうそれだけの所得がないのですから、ちっとも減税という恩恵は受けない。住民税も何も減らない。結局そういう姿で今度の所得税、住民税を通ずる減税の方向というものは出てきてしまうのではないかと思うのです。そういうようなことを考えますと、税金というのは、これは国税でこれは地方税でというふうに、払う人のおあしは区別しておるわけではない。払う人の立場からすれば、どれもこれも払わなければならない税金に違いないわけです。税金は、払うというのではなくて、取られるというんです。それくらいの性格を持っておるものでありますだけに、国税、地方税全体を通じて全く恩恵を受けない人たちにもつと恩恵が行き渡るような、そういったような考え方がどうしてとれなかったのでしょうか、どうしてそういう配慮がなかったのでしょうか、一つ伺いたいと思います。
○後藤田政府委員 御質問の中にもございましたように、現在の農家に対する負担の軽減ということになりますれば、一部の富農の方については国税で減税をせられたわけでありまして、それ以上国税でどうするということは、国税としてはできないことだと思います。従いまして、農家に対する減税をやるということになれば、私ともの責任に属する住民税、これをどうするか、こういう問題に相なってくるわけでございます。ただ、そこで、私どもも、事が多数の農家に関係することでございまするし、従いまして税制調査会等においてもあらゆる角度から御検討を願い、私どもも真剣に検討をいたしたのでございます。しかしながら、現在の都市と農村の間における経済力の格差、市町村の財政の実態、こういう面を考えました場合に、まことに申しわけないことだとは思いますけれども、ことしの改正では住民税について減税をするということが実はできなかったのでございます。ただ、住民税につきましても、従来からとかく給与者について負担が重いというような非難もございまするので、そういう面について若干の配慮をするというにとどまりまして、事業者あるいは農家等については、まことに残念ではございましたけれども、われわれとして手をつけることができなかったというのが実情でございます。この点御了承を願いたい、かように思います。
○安井(吉)委員 それでは、先ほども有馬委員から一番最初にだいぶ池田さんの演説等を引用されましたけれども、一体農業についての税の問題の配慮というものはゼロだったといっても差しつかえないと思うのです。何か白色申告についても専従者控除をしてやったということを、これは農業に対する施策だというふうに大きく宣伝されるかもしれません。しかしながら、現実は、日本全体の農家のうちでほんの三%くらいの人たちだけが恩恵を受けるだけで、全体的な姿の中では全く恩恵を受けないということです。全体的にどれもみんながストッフしているならばいいですが、ほかの人はみんな恩恵を受ける。法人も受ける。一般事業者も受ける。給与所得者も受ける。その中で農民だけが取り残されていくというような姿であるわけです。だから、これは、もう白色申告に対する専従者控除をやってやったということを宣伝される値打なんか全くないものだと思わざるを得ないわけです。 そこで、問題は、私はすべての問題を地方財政の中にしわ寄せして解決せよという、そういうような立場で申し上げているわけではないのです。これはぜひほんとうに農村にも減税の恩恵を与えるという、そういうような御意思がもし政府におありなら、これはぜひ国がもう少し地方財政にめんどうを見てやって、農村などは財政が非常に苦しいから、今のようなただし書き方式でやっているのでしょう。だから、もう少し傾斜配分ができるような地方交付税方式を考え、地方交付税の総ワクをふやしていく、そういうような配慮こそが何よりも先行すべき問題でなかったかというふうに思うのです。そういうような点について、つまり国、地方を通ずる財政全体の立場から問題を解決しようというお考えや御意図はなかったのですか。
○村山政府委員 前段の御質問に対してお答え申し上げます。 先ほどもお答えしましたように、三十五年度における農家の所得税の納税者の税負担に対する割合は九%、今度は三・何%になりますが、これは、考えてみますと、二十五年以来相次いで減税をやって参った結果が九%になっておる。かつては、昭和二十四年におきましては、農家の七〇%以上の者が所得税を納めておった。それが相次ぐ減税の結果九%になっておりますので、所得税の面で広く一般に中小の所得者を対象にして減税しましたが、今度はもとが小さくなっておるものですから、三%程度にすぎなかったということでございまして、住民税はどうかと申しますと、先ほど後藤田局長からるる申し上げたような事情で、今回は見送らざるを得なかったということであります。広く国、地方を通ずる一つの財政問題、その一環としての税制問題としてどう考えるかという問題でございますが、この点につきましては、先刻申し上げましたように、国、地方の税源配分をどうするかという問題が大きく控えております。この大きな問題につきましては、さらに税制調査会を中心にいたしまして、検討を重ねて配分の成案を得たい、かように思っておる次第であります。
○安井(吉)委員 今のお話では、現在の段階におきましては、だれも納得できないと思うのです。それは、農家は大体において九%しか所得税を納めていないじゃないか、だからこれ以上減らすといったって、もうなくなってしまうじゃないか、それを三・一%まで下げたからいいじゃないか、そういうような気持もあることはわかる。それはごもっともだと思います。しかし、先ほど主税局長があらゆる場合にお持ち出しになっておりますバランス論、そのバランス論を持ち出しますと、現実の農村の中においての今の国税、地方税全体を通ずる問題は、内部的なバランスがくずれていることで問題があるわけです。つまり法人成りをしている商工業者もあるし、白色でやっている商工業者もあるし、農家も白色があり青色がある、そういったような白色と青色と法人というものがまちまちであって、そこで住民税という中で非常にバランスがくずれているわけです。そこに問題があることで、今度の白色申告に対する専従者控除の問題も出てきたと思うのです。ところが、せっかくお作りになったけれども、それは今のバランスを直すということには何ら役に立たなかったということです。それどころか、法人税の方についてもいろいろお答えになっておるから、法人税の方は下がるでしょう。給与の方も幾らか下がるでしょう。それは給与所得に対する住民税の内部的なバランスでずいぶん問題があります。それは私もよくわかっておりますけれども、一応そういったものが全部下がるわけです。ところが、農家の分だけが、特に白色申告の農家の分だけが取り残された姿で、最後的に終わってしまう。先ほどもおっしゃったバランス論からいえば、これは逆な方向に行ってしまいはしないかということを私どもおそれるわけです。そうして、問題は将来に解決すると言われるけれども、しかし問題は今起きているわけです。この間の選挙で、自民党の方は農民切り捨てだというふうなことで、ずいぶん票が減ったといわれるけれども、しかしここでもまた同じようなことを繰り返すことになっていはしないかと私は思うわけです。 もう少し突っ込んで、地方財政の問題と国税の問題に関して、いろいろ政府側の御見解も伺いたいのですが、ずいぶん時間も経過いたしておりますので、これでやめたいと思います。今度の農村課税という面から、この国税、地方税を通ずる税制改正の問題をながめてみますと、企業利潤に対する政府の配慮というものは非常にこまやかに、たとえば配当課税の引き下げだとか、あるいはまた租税特別措置法の整理の問題も、まだ法案は出ておりませんけれども、聞くところによりますと、非常に寛大な整理の仕方しかお考えになっていないようにも聞きます。ですから、社会保障と減税と公共投資、この三本の柱が今度の予算編成やこれからの池田内閣の施政の方向だというふうに言われるわけですが、その中でも単に公共投資だけが一番優先順位を与えられてしまって、そういうようなものが今度の税制改正の中にも現われていると思うのです。つまり、高度の経済成長をはかるというような政策、そのためには利潤をどんどん増大してやるような方向をとっている。それによって投資意欲をかきたてていく。ですから、経済成長のための役割の多いものには大幅な減税を与えていく。しかしながら、農業の経済成長なんというものは、これはもう、きのうも予算委員会の中でやりとりがあったように、決して倍増どころではない。十年もかかって三割くらいしか上がらない。つまり、経済成長への農業というものの役割が少ないということは、政府は先刻御承知です。だから、農民に対する減税なんかは要らないだろう、そんなものはあと回しでいい、そういったような考え方が今のこの税制全体の中にはっきり現われていると思うのです。ちょうど農民を取り残して今度の減税列車が今出発をしようとしている、そういうようなことになっているのではないかと思います。つまり、今度の減税列車には、法人は全部乗せてもらっている。それから青色申告者も、きわめて不十分な姿でも乗せてもらっている。しかしながら、農民の中のたった三%の人だけが乗せてもらって、九七%の農民はプラットホームに残されたまま、この減税列車は今出ていくんじゃないでしょうか。まだ発車までだいぶ時間があるわけですから、一つ十分に、われわれも意見を申し上げたいし、政府の方でももっといろいろな角度から検討のし直しをやってもらわなければいけないと思うのです。政務次官、だいぶさっきから考えておられますが、いかがですか。
○大久保政府委員 まことにごもっともな御意見でございまして、減税列車には会員お乗りを願いたいわけでございます、逐次、一歩々々御趣旨のように、日本の経済成長に伴いまして、御意向の点を実現していきたい、かように存ずる次第でございますので、この点を御了承いただきたいと思います。
○足立委員長 この際、午後二時まで休憩いたします。 午後一時三分休憩 ————◇————— 午後二時十二分開議
○足立委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 参考人出席、要求の件についてお諮りいたします。 金融に関する諸問題について参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○足立委員長 御異議なしと認めます。 なお、参考人の人選並びに出席の日時等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○足立委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○足立委員長 質疑を続行いたします。広瀬秀吉君。
○広瀬(秀)委員 通行税の関係についてちょっとお伺いしたいのです。今度の改正案によりまして、二等の寝台が無税ということになりまして、二等関係は旅客運賃あるいは急行料金その他全部無税になって、大へんけっこうなことだと思うわけでありますが、その通行税というのはどういう経過から設けられたものであるか、その点をまずお伺いいたしたいと思います。
○村山政府委員 たしか私の記憶に間違いなければ、これは昭和十三年のシナ事変特別税法のときに通行税法が創設されまして、その当時はキロ数によりまして階級定額制を設けておった。ですから、もちろん一等、二等、三等の区分には応じておりますが、料金にスライドするものではなくて、キロ数による階級定額としての課税でスタートいたしまして、それが昭和十六年か七年、たしかそのころだと思いますが、料金に対するスライド制になった。最初は一等、二等、三等で、それぞれ一割、二割、三割くらいのものが、だんだんその差がついていきまして、最後の段階では、一等と三等では税込みで七対一くらいの料金の開きになったということでございまして、その後、戦後逐次縮小を行なって参りまして今日に至っておる、かような経過でございます。
○広瀬(秀)委員 通行税の歴史をちょっと調べたのですが、私が調べたところによりましても、昭和十三年、シナ事変の当時に、戦費調達を主たる目的として作られた、その前は、ずっとかなりの期間なくて、明治三十八年の日露戦争時代に、日露戦争の戦費調達を目的として、やはり通行税が設けられて、大正十五年までたしか続いた、かように記憶しているわけでありますが、そういう工合にしますと、いつも通行税というのは戦費調達という観点から設けられる、これが主たる理由になっているように思うのですが、その点どうですか。
○村山政府委員 ただいまのお話のように、それぞれ創設されたのがそういう時期だという点は確かにそうだろうと思いますが、なぜ今日残っているかということになりますと、また問題は別かと思います。しかし、創設のいきさつはそんなところにあったと思います。
○広瀬(秀)委員 そうしますと、明治三十八年、日露戦争の戦費調達を目的としてとられた通行税というのは、大正十五年に全廃をされまして、その間二十年程度、十八、九年だと思うのです。今度の場合も、昭和十三年に作られてから、その歴史は、太平洋戦争といいますか、第二次世界大戦、こういう大戦の時代を過ぎてからだけでももう十三年以上にもなる。創設されたときから見ると二十数年になっている。こういうことでありますから、やはり戦費調達という観点から戦時税として設けられたものは、もはや戦後ではないということは至るところでいわれておるし、今日日本の経済の情勢ももはや完全に戦時ではない。戦費調達に一役買ったものが、その後も戦争からの痛手を回復する財政的な裏づけとしてそういう情勢が続いおりますけれども、そういうことでもうそろそろ全廃をすべき段階に達しておる、そういう事情にあるではないか、こう私ども思うのですが、そういう点いかがですか。
○村山政府委員 その点につきましては、現行の課税では一等の運賃、急行料金、それから寝台料金、これだけになっておる。これを創設のいきさつがそうであるから直ちに廃止すべきかどうかは、各種の間接税の体系を考えて慎重に検討すべきではないかと思うのでございます。現在一等乗客がどれくらいあるか。これは昭和三十三年の実績でございますが、国鉄でいいますと、約十六億人の乗客に対しまして、一等の乗客は千八百万人、一%ちょっとのところでございます。料金で申しましても、今度の国鉄の改正案によりますと、税抜き普通の運賃で大体一・六倍くらいという格差になる。ですから、乗客総数の一%くらいの人しか乗らないそういう等級について、なお他の間接税との税率の振り合いも考えてこの程度残しておくのはどうか、こういう問題であろうと思います。いずれにしても、従来の経緯から直ちに廃止というのは、慎重に検討を要すると思うわけであります。
○広瀬(秀)委員 そうしますと、今の主税局長のお話によりますと、今度の改正でもなお残る通行税というものは、これは奢侈的なものに課するという考え方でございましょうか。
○村山政府委員 言葉として、その奢侈という言葉が適当かどうかわかりませんが、一等乗客は二等乗客に比べて明らかに担税力は多い。そのかわり旅行も快適かもしれませんが、多少の負担はごしんぼう願いたいということでございます。
○広瀬(秀)委員 言葉では奢侈という言葉は使わないけれども、やはりそういった思想に基づいて残されておると思うのです。そうしますと、現在通行税を課せられておるものは国鉄が大部分であって、あと船関係が若干あるわけでありますが、今日の交通の事情というものからすれば、かなりデラックスなバス旅行というようなものがどんどん行なわれる段階になってきておりますし、また、私鉄関係なんかでも、たとえば卑近な例で、これは東武がどうこうというわけではありませんが、東武の鬼怒川方面に行くあのデラックスなロマンスカーと称するやつは、これは国鉄の一等車あたりよりはかなりりっぱな車両で、いいサービスが提供されておるわけであります。そういったものは、賃率の面ではあくまで二等という形をとられておるために、全然課税の対象になってないということになって、そういう面で、交通政策全般の上からいって、やはりおかしな現象になるのじゃないか。さらにまた、航空機の場合は税率が一〇%になっておりますが、これはおそらく到達すべき時間の節約というような面からも、それから中の設備その他からいいましても、国鉄の一等あたりに比べては超デラックスであるはずだと思うのです。そういったものに対して、これは一〇%だ。税率の問題はあとでやりますけれども、そういうように均衡というものがとれていないのじゃないか、こういうように思うのですが、それらの点、いかがでしょうか。
○村山政府委員 担税力があるかどうかということを、たとえば一定のキロ当たり支出する金額で見るか、あるいは同じ路線について格差のついている料金について見るかという問題があるかと思うのです。おっしゃるように、私も一々こまかい計算をやっておりませんが、バス、電車——バスの料金あたりは路線ごとにきめておると思いますが、その会社の原価を見て、それにおそらく適正利潤を見て料金をきめておるであろうと思うのです。従って、国鉄についても大体原価を主にしておそらく計算しておると思いますので、そこで原価の安い方が料金が一般的に低くなる。これはそういうことになると思います。ただわれわれが一等に課税しておるというのは、同じ国鉄の中で一等と二等というものがあって、相当の格差がある。しかも一等に乗っておる人間が非常に少ない。そこに着目しているわけでございます。一方のバスでいいますと、なるほど料金はあるいは割高かもしれませんが、等級に間差はない。いなかのおばさんも都会の紳士もみんな一緒に乗るんだ。こういうところに、どうも特別の担税力というものを捕捉し得ないということでございます。 それから、御質問にありました飛行機に関しましては、これは別の観点で軽減税率をもってやっているわけでございまして、御案内のように、飛行会社は、大体全日本空輸はなお赤字でございます。しかもこれは法人税法で認められておる定率償却でなくて、定額償却をやってしかも赤字だということでございまして、これは料金が安いからそうだということになれば別でございますが、そういう点を考えましてやっているわけでございます。それから、日本航空も、国内線は黒字でございますが、国外線は赤字ということで、これも定率で計算をいたしますと、なお全般として赤字になるであろう、そういった考慮、将来において航空が伸張するということを考えまして、そのかわり、ただし厳重な期限をつけまして一〇%程度に軽減した、こういう次第でございます。
○広瀬(秀)委員 どうもその説明は納得できないのであって、バス会社なんかの場合においても、やはり現実の上では等級がついていると同じ結果が出ているのです。それというのは、古い型のバスの場合には貸し切り料金はうんと安いし、それからまた最新式の超デラックスのバスなんというのは、団体貸し切りの場合でも、やはり五割ぐらい高い例は幾らでもあるわけです。しかも、かなりの長距離——百キロ、二百キロというように最近はバスの足も伸びておりますので、そういう場合に、たとえば一方のバスを一日泊まりで貸し切るというような場合に、二万五千円といえば、少くとも一万円ぐらい高い三万五千円ぐらい超デラックスの方は取る、こういうようなことにもなっているわけであります。そうしますと、それに乗る人は担税力があると見なきゃいかぬと思うのです。そういうことにやはりなろうと思うのです。それから、飛行機に乗る人だって、やはり担税力の問題を問題とするならば、飛行機に乗る人は、むしろ国鉄の一等あたりに乗る人よりも担税力もあると見なければならぬと思うわけです。それで、航空機会社が赤字だというならば、通行税そのものが非常に政策的なものだということで、これは担税力の問題とは別な観念になってくるだろうと思います。そういった点で論理が非常にぼけてきているんじゃないかと思うのです、たとえば国鉄の一等に二割を課しているのは。やはりそういった現実の面では非常に接近をしておる事情にある担税力をどこでつかむかという場合でも、これはそう選ぶところはないじゃないか、このように思うわけですが、いかがですか。
○村山政府委員 おっしゃる点は、まことに微細にいけばその通りだろうと思います。ただいまのバスの貸し切りにつきましても、いい車体の最新型と古いものでは、おそらく違うだろうと思います。ですから、通行税の思想をこまかく発展さして、そういうものまでとらえようということになりますれば、おそらくそういう論理になるだろうと思います。かつて乗合自動車につきまして、戦時中実際上課税になっておった例が確かにあると思います。これは三等まで課税した時代に、しかもそれはスライド制でとっておりまして、高い料金なら高い値段だったわけであります。その後、先ほどお話しの戦時税ということじゃございませんが、だんだん時代も変わりまして、等級の格差のないものについてははずしたらどうか。かなり大ざっぱな論でございますが、大きな線で整理した関係でそういうものが起きた。しかし、おっしゃるようなことは、理論としてはまさにそうだろうと思います。さらにまた実情をよく調査いたしたいと思います。 それから、航空会社につきましては、これは通行税法の中に規定してなくて、租税特別措置法の中で規定してあることから見ましても、明らかに政策的なものでございます。これは一般に新規事業、物品税でもそうでございますが、新規事業の方でこれと同じ税率でいきますと、どうしてもその新規事業が早期の間に伸びないという関係があるわけでございます。この航空機による輸送事業についての税率が特に軽減されているというのも、戦後非常に幼い事業であるというところを見まして、同じような思想から軽減しておるということでございます。
○広瀬(秀)委員 税金は担税力のあるところから取るというのは原則だと思いますが、それならば、やはり通行税がなかった時代にはどうだったのか。戦時課税として設けられたやつが、大正十五年から昭和十三年までの間は、なるほどその当時も一等、二等、三等があった。一等に乗る人からも、二等に乗る人からも、当時全然取ってなかったのですね。これは担税力が確かにあったのです。それじゃそのときに、しからば所得税なり何なりで、一元的に強度の累進か何かで、担税力のあるところに対して取るという方向がそれほどとられておったのかどうか。もしやはり担税力のあるところから取るというならば、もう少し所得税の——これはできるだけ税体系というようなものを複雑なたくさんなものにして、あの手この手で取るということじゃなしに、所得税一本で非常な強度の累進でもやるというような方向にでも持っていって、税制という問題をもっと整理した、すっきりした姿にするというようなことを考えていけばいいんじゃないか。しかも通行の場合は強度な必要性によって乗っておるわけでありますから、国鉄の運賃値上げというような問題とも関連いたしまして、これは通行税というような問題をも含めて、国民の感情としては国鉄の運賃が高い。今運賃値上げの問題について国民の怨嗟の声が国鉄に集まっている。そういう中から今度の二等寝台だけははずれたということもあるでしょうけれども、もちろん遊興飲食税の宿泊料の問題などとも関連があってはずれたのでしょうけれども、そういうようなお考えはないかどうか。すなわち担税力があるところから取るというのを、物品税で取ってみたり、あるいは通行税というような戦時課税の色の濃いもの、そういうふうなものを残しておいてややこしくしながら取るか、こういうような根本的な問題についてお考えを二つ聞かしてもらいたいと思うのです。物品税等の問題も関連のある問題だと思う。
○村山政府委員 戦時中に発足した税だからということを申し上げましたが、現在においてどういうことで残すかという問題は、私はまたおのずから別にあるんではないかと思います。物品税も、実はこれはたしか北支事変特別税法で物品税が起こされまして、それがだんだん内容が改正されまして今日にきております。これは間接税の中のものとしてはかなり重要な部分を占めているということであります。おっしゃるようにこれはものの見方でいろいろございまして、通行税の一等について現在程度の負担を求めることが全体の租税体系の中で無理であるかどうかという問題は、それ自体として慎重に今検討しなくちゃならぬ問題だと思いますが、一般に今おっしゃるように間接税というものはすべて廃止して、すっきりした所得税一本というのはどうかということでございますが、これも税体系としてなかなかむずかしいんじゃなかろうか。やはりその純益に対する課税というものの及ぼす影響と心理的な影響、あるいは実際の企業面に及ぼす影響、それから資産に対する課税の影響、あるいは消費に対する課税の影響、それぞれ違います。各国ともそれぞれ考えておりましょうが、かなり歴史的な沿革によってきまってきておる。従いまして、直間の比率等も国によってそれぞれ違っておるので、なかなかにわかによその国の例をもってわが国にいいとも言えませんし、やはり要は現段階においてその国の実情に適するかどうかということを見ざるを得ないと思うわけであります。この点が今後の税制調査会における大きな検討の題目として残っておるわけでございます。特に先般大臣からも申し上げましたように、間接税に対する検討並びにその結論は来年度に持ち越されておるというような次第でございますので、今後慎重に検討して参りたい、かように考えております。
○広瀬(秀)委員 今ここにある資料で、実は国鉄の今の一等、当時の二等でありますが、それの利用する人数を見てみたのですが、大体二十七年、二十八年ころは一千百万ないし一千二百万乗っておった。これが、通行税が二十九年に——二十八年ですか、外ワク勘定になったということで、一等利用の乗客ががたんと減っておるわけです。約二百万落ちておる、こういう数字があるわけであります。今でも一・六七倍、今度の運賃値上げに伴って、一部の調整ということで一・六七倍に基本料金はなったわけですが、当時は二・何倍ということだったと思うのです。そういうことで、一等を利用する人員というのは、どんどんどんどん国鉄の場合に利用する人間が減っておるわけです。それでうんと担税力のある人は大体航空機に逃げてしまう。それから、それほど担税力のない人はバスに逃げるというような形で、同じようなサービスを受けるのには何も税金を負担してまで乗る必要はないということで、どんどんどんどん減って、昭和二十八年の一千百四十八万三千人から、三十四年度では七百八十八万一千人というように、この間に約四百万人も乗車人員が減っておるという数字が、国鉄の方から統計で出されておるわけです。こういうような現状にあるということは、基本賃率が一・六七とか二倍とかいう形で高いということはもちろんありましょうが、その上にさらに通行税を課しておるというようなことによって、これが減少しておるのではないかと思うのです。国民の担税能力のある人がこういう形で国鉄から逃げる。しかも、鉄道車両の方は、一等の車両はこの間に一〇%程度ふえておる。そうすると、国鉄としてはむだな車をよけい動かすようになる、乗車人員は減っておる、こういう形が出ておるわけです。従って、一等だけの原価計算というようなものをかりにやってみるとすれば、この分だけ見れば、かなりの赤字が出ておるはずだと思う。そうしますと、航空機との問題で非常に均衡を失する面があるのではないかと思うのです。これらについて航空機の方は相当赤字があるからだということだとすれば、やはり鉄道のそういう事情というものは主税当局としてもお考えになる余地はないかどうか。そういう点をはっきり一つ答えてもらいたいと思うわけです。
○村山政府委員 これは、同じ赤字の問題でありましても、なかなか料金と密接な関連がある問題だろうと思うわけでございます。料金は、公共政策というような点を別にいたしまして、原価計算からいって、普通幾らの料金が妥当なのかというところあたりを見て、それできめるべき問題ではなかろうかと思います。それでもなお赤字であるかどうかという問題だろうと思うのでございます。ただ発足後まだ日にちの経過の浅い事業につきましては、間接税一般にどうしてもハンディキャップになってくるという点は、これは免れないだろうと思います。ですから、その辺を見合いましてやるべきではないか。一等乗客につきましても、今ちょっと古いやつはありませんが、われわれの持っておりますのは三十年以降でございますが、大体同じくらい、少し伸びておるというような資料でございます。
○広瀬(秀)委員 今若干の数字を申し上げたわけですが、ともかく一等で国鉄は損して二等でもうける。これは俗にそんなことをわれわれ聞くわけであります。従って、一等が走っておるのは、なるほどそこに乗っておる人は、かなり裕福な人、担税力のある人が乗っておるかもしれないけれども、ローカル列車などになりますと、一等などほとんどがらすきだというような状態で運行されておる光景をしょっちゅう見るわけであります。そういうようなことになりますと、もう大体取っていいようなところは航空機に逃げてしまっておるのですから、国鉄の一等に乗る人が割高のものを払っても、それほど担税力があるからというだけでは言い切れないものがあるだろうと思うし、また現実に国鉄が非常に乗車効率の悪い一等車を運行しておる。しかも国鉄は公表している。これに一等をつけるというようなことを言っておりますから、もうからないからつけぬということにはいかない。国鉄の公共性の一つとして、やはりそれは公表しておるわけですから、それをつけなければならぬ。ところが、乗る人が非常に少ない。そういう面で非常に損をしておる。その乗らない原因の一つに、やはり通行税というものがかなりの重荷になっておる。ばからしいというような観念なんかもその中には入るかもしれません。そういうような形でいるという現状を、やはりもうこの段階にきては、非常に今二等が至るところで混雑しておるわけですから、ちょっとでも余裕のある人だったら、あるいはまた老人や病人やからだの弱い人、こういうような人たちなんかは、やはりそっちに乗る場合も相当多いわけです。そういったものですから、一がいに担税力のある人が乗るのだということは言い切れない面もかなりあるだろうと思うのです。そういった面から見れば、やはりこの問題というものはなお残っておると思うのです。 あと横山さんからも関連質問があるようでありまするので、この辺で終わりたいと思いますけれども、戦時税として、戦費調達という条件の中で生まれたものであるということ、それから、非常に事情が変化をして、税体系としてもかなり矛盾をはらんできている。この問題について、これはやはり撤廃の方向を目ざしながら、少なくとも航空機並み程度の税率引き下げというようなことは、ごく近い将来において——ことしとは言いませんけれども、ごく近い将来において、来年なら来年というような形で、この税率引き下げというようなことを——物品税の問題はまた別にやりたいと思いますが、そういう問題の整理、それから免税点なんかの制限がありますが、ああいうものを引き上げていくというような問題ともからんで、そういう方向にいく気があるかどうか、この点を一つ結論的に率直にお聞かせいただきたい。
○村山政府委員 先ほどのは、なるほど今対前年比を見ますと、一等の方がここ数年二等に比べまして伸び工合が悪い。ただし三十五年の三月−九月の六カ月の実績しかわかりませんが、これはまた一等の方が著しく伸びておる。大体一五%ぐらい人員が伸びております。
○広瀬(秀)委員 これは一等と二等と整理したという関係があるのでしょう。
○村山政府委員 旧二等を一等でやっておるわけであります。三等の方の伸びは七%ぐらいであるということになっております。この税率の問題はさらに慎重に検討しろというお話、ごもっともでございますけれども、われわれも御意見があるところを十分伺いまして、今後慎重に検討したいと思っております。
○広瀬(秀)委員 どうも慎重に検討されるだけでは困るので、やはり今私が申し上げ、またいろいろな実情——バスとの関係、あるいは航空機との関係、そういう実態というもの、あるいは私鉄におけるロマンスカーのたぐい、こういったものとの均衡の問題から見ましても、それから税体系をやはり整理をされるというような立場からいっても、これは、もう少し考え方というものを少なくとも航空機程度にまで——これは全廃とまでは今申し上げませんけれども、将来そういう方向にいくことが正しいと思いますけれども、少なくとも航空機が一〇%であって、国鉄の一等が二〇%だ。それについて、国鉄はそのことによって運賃が高いと、それは税金を含めて絶えずやはり言われている、言葉だと思うのです。そういうものを是正する措置について、真剣に取り組んで、近い将来に実現をいたしたい、そういうお答えを一ついただきたいと思います。
○村山政府委員 どうも実現をお約束できないのは、はなはだ遺憾でございますが、おっしゃるように、だんだんの点からこれは検討に値する問題だと思います。特に今の赤字問題等につきましては、この料金をどの程度にするのが妥当なのかという先決問題が、実はこの問題の中にあると思うのであります。もう一つ、御指摘になりました私鉄のバス等の問題、今度のわれわれのあれでは、汽車でございますと、一・五倍以上のものをねらっておるわけでございますが、そういった料金格差があるかないか、その辺の実情についても十分検討したいと思っております。
○足立委員長 関連質問を許します。横山利秋君。
○横山委員 話を聞いてみまして、私も、昔の職掌柄、どうしても一言言わずにおれぬ気になったのです。今のお話を聞いておりまして、あなたも大体話はわかっていらっしゃる。わかっていらっしゃるけれども、その後いろいろ検討しますからと言っておられるのですが、実は通行税は今検討しておるのですから、私どもの意見にもっともな点があるならば、あとからとは言わず、今やはりやってほしい。一番問題になります点は、私は二つだと思うのです。一つは通行税そのものに存立の意味があるかどうかということです。もちろん国家収入上必要があるということではあるでしょうけれども、しかし、われわれが真摯に今日の税法を論じておる中に、通行税というものは何だということをもう一度考える必要がありはせぬか。日本国じゅうどこへ行こうとも税金がかかるのは、実際問題としておかしいのです。だから、今どうしても通行税というものがなければならぬ理論的根拠というもの、積極的要件というものは何かということが、第一に納得のできない問題です。第二番目は、今広瀬委員がいろいろ言っておりますが、要するに他との均衡がとれぬのじゃないかということ、たとえば、私もここに資料をもらったのですが、東京から大阪へ飛行機と国鉄の一等寝台の下段を使用いたしますと、飛行機では五百七十二円しか税金がかからぬのに、国鉄は九百九十円税金がかかる、こういうのです。これは一等寝台だから今も同じですが、だから税金では、飛行機に乗った方が税金が安いという事実です。それから、宿泊で見ますと、八百円の宿泊をすれば、これは税金はかからぬけれども、二等寝台の下段は、今までの税率でいけば百六十円の税金がかかる。だから泊まった方が得だ。夜行で寝台に乗った方が損だ。宿屋へ泊まっておれば楽だけれども、汽車の夜行なんというものは、あれは横になったって楽じゃない。十分な睡眠はとれない、汽車の夜行を使う人と宿屋に泊まる人との比較均衡をどういうふうに考えるか。これも納得ができない点である。もっと高いところへ行って、じゃ二千三百円の宿泊をしたとすれば、その場合に一等寝台の下段で例をとりますと、二千三百円の宿屋に泊まっても税金はたった百八十円である。ところが汽車の方は四百六十円の税金がかかる。つまりこれらを比較してみますと、飛行機で行くよりも汽車で行った方が税金が高く、そして豪勢な宿屋とはいわぬけれども、二千三百円の宿屋といえばまあまあいいですね。そこへ泊まるよりも汽車の夜行で行った方が損だ、税金が高くかかるということは、何としても筋が通らぬことではなかろうか。この他との均衡論が今日納得ができない。あなたは、飛行機については、これは政策減税だからやむを得ない、こう言っておるけれども、じゃこの通行税をまけただけで飛行機の赤字が救われるかどうか。飛行機会社なり何なりには至れり尽くせりで、もう滑走路から建物から国家が財政投融資をいやというほどつぎ込み、補助金を出され、ガソリン税が免税になり、そしてまた通行税も免税にしているほど、それほど税の面でも考えなければならぬのか。しかも租税特別措置法の適用をまた別な角度から受ける。しかりとするならば、せめて通行税の問題についてはオーソドックスに均衡をはかることが必要ではないか。私は他との均衡論についてあなたの今の御説明が納得ができない。しかし、一番根本の問題は、文明開化の時代、日本国じゅうどこへ行っても、戦争中ならいざ知らず、通行するのに税金をかけるという非近代的な問題をいつまで存置しようとするのか。この二点についてはどうにも説得力のないお話だ、こう思うのですよ。ですから、あなたも、先ほどから広瀬君の質問に対しましては、これは検討を要する点もあって将来検討すると言うのだけれども、しかし、検討が済んで今ここへきており、しかも本委員会としては今日検討しておるのですから、あなたもその胸奥にある矛盾を多少なりともお考えであるならば、真摯にわれわれと相談をなさる態度であってほしい。
○村山政府委員 近代国家で通行税がどうだ、こういう第一のお話でございますが、やはりさっき言ったような一等にこの程度の負担を求めるのはどうかということだろうと思うのです。近代国家でも、アメリカ、西独、フランス、その辺はすべて通行税に相当するものをこれまた等級の差別なく課税しております。ほかの国が課税しているからわが国はいいということにはちっともなりません。なりませんが、やはり全体のバランスを見ていかざるを得ない。おっしゃるように今の宿泊代金とのバランスの問題もございましょう。またもっと広い角度でいいますと、入場税とのバランスはどうであるか、物品税とはどうであるか、やはり間接税全般として一定の資質を持つその意味、あるいはそれからくみ取られる担税力、そういうものを見ながらきめていく必要があるのではないか。先ほど私は冒頭に申し上げたと思いますが、今度間接税につきましては、原則として根本的検討は来年ということにいたしまして、さしあたりどうしてもやらなければならないと思われる分だけにとどめてあるわけでございまして、根本的検討は最後だと思います。 それから、先ほどの航空会社とのバランスの問題でございますが、これはほんとうに根本にさかのぼってなお時間をかけて考えてみる必要があるだろうと思います。おっしゃるようなことは確かに助成をしていることになりましょう。もしかけたとして一割を二割にする。乗客が今の乗客でもこういう赤字状態です。お客の数はそれによって減ることはあってもふえることはないと思うのです。そういたしますと、しかも今償却は定期償却でやっておる。それは私企業のことだから、ほうっておいたらどうだというような御意見もあろうかと思いますが、全体の国の経済から見まして、伸ばすべきものはやむを得ず租税政策的に考えていくというのも、やはりこれも一つの立場であると思います。政策と申しましても、これは、一律に、ある角度からの政策というわけにはなかなか参らないわけでございますものですから、それを考えてきているのが現在の状況になっております。しかし、現在の状況が必ずしもこれで万全だなどということを申し上げているわけではございませんが、いろいろな問題を含んでおりますので、時間をかけさせていただいて、慎重に検討させていただきたいと思います。
○田原委員 通行税に対しては、私は角度を変えたところからお尋ねをしたいと思います。それは日本交通公社との関係であります。数年前新聞種になったのは、日本交通公社は通行税もあわせて一緒に市民に切符を売っているわけです。その金額は何十億かになっていながら、これを滞納して、当然納めるべきものを納めずに、市中にやみ貸しをしている。これは取次ですから、たとえば一月末にかりに二十億納税すべきものを、二カ月くらいおくらかして、銀行に、いわゆるやみ金融に使っておる。こういうことが新聞に出ておるのです。それで、今お尋ねしたいのは、日本交通公社の、できれば昨年一ぱいか、とにかく一年間の、当然取り次いで納税すべき金額はどれくらいであったか、また納付をおくらかしている期間等についても当然出てくると思われますが、それを早急に発表してもらいたいと思うのです。
○村山政府委員 これはあるいは国税庁の方のあれかと思いますが、もし御要求がありますれば、私の方で国税庁の方に連絡をとりまして、ただいまお述べになりました資料を取りそろえて御報告申し上げたいと思います。
○足立委員長 次会は追って公報をもって御通知することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後二時五十五分散会