大蔵委員会 第4号
- 発言数
- 82 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/02/08
会議録
○足立委員長 これより会議を開きます。 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、通行税法の一部を改正する法律案及び有価証券取引税法の一部を改正する法律案の四法律案を一括して議題といたします。 質疑の通告があります。これを許します。堀昌雄君。
○堀委員 税法に関して二、三お伺いをいたしたいと思います。 最初には、青色申告の問題について少し原則的なことをお伺いしたいと思います。その原則的なことを伺うというのは、一番最初に、ちょっと基本的な問題から確認をして参りたいと思うのですが、税の取り扱いを税務署、国税局、国税庁という行政機関が取り扱う場合には、私は、やはり行政機関ですから、税法の定める範囲において当然行なわれるものだと理解をしておるわけですが、この点についてちょっとお答えをいただきたいと思います。
○原政府委員 お話の通りでございます。税務の執行にあたりましては、税法の定める範囲でやるということは、これは当然のことでございます。
○堀委員 そうしますと、その次に、現在とられております納税の制度は申告納税制度ということになっておると思いますが、この申告納税制度がとられておる趣旨というものはどういうことでしょうか。
○原政府委員 申告納税制度の趣旨は、財政目的のために租税が必要である。租税の中で所得税、法人税それから資産税系統の相続税、贈与税というものにつきましては申告によって納税する。これと対照的にあるものとしては、御案内の賦課課税であります。つまり政府の側から課税標準をきめ、税額をきめ賦課して参る。それに対する概念でございますが、この趣旨は、要するに民主社会の国家の財政をささえる歳入、税収入というものについて、国民がそれらの税についてはみずから課税標準を秤量し、それによって税額を算定して進んで納めるという趣旨のものでありまして、国の財政基礎をつちかう税、納税によってこれに寄与するということを自発的な基礎において行なうという趣旨のものであろうと私は解釈しております。
○堀委員 そういたしますと、これはまず考え方の建前としては、納税者を信用するといいますか、ある程度その納税者の自発的な意思に基づいてこの問題が行なわれるということになれば、納税者に対する信頼を欠いては、これはもうこの制度自体として成り立たないと思うので、これはもちろん完全な信頼ということにはなりませんが、まあその信頼の度合いをパーセンテージにしてみるならば、少なくとも半ば以上、相当信頼をしておるということが前提にならなければ、こういう申告納税制度というものは成り立たない、こう思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
○原政府委員 お話の通りでございます。歴史的にただいまの点を若干つけ加えて申し上げますと、申告納税に戦後ごくすみやかになりましたけれども、その時分は、御記憶かと思いますが、非常に申告の状況は悪くて、二十三年はたしか七割ぐらいの更正決定をいたしました。二十四年も五割ぐらいの更正決定をいたしました。その時分、そういうことではいかぬ、つまり申告というのは国民が正しく申告するという前提のものであるのに、納税者の半分以上に対して更正決定をするというようなことではいかぬというふうに考えまして、当時大きく税務行政を転換したという経緯がございます。これはもちろん半面で、納税者の申告度合いと申しますか、申告成績と申しますか、これがよくならなければ理想には到達しないものでありますけれども、心がまえとしては、おっしゃる通り納税者が正しく申告するということに対する信頼がなければ、この制度は成り立たぬと思います。
○堀委員 お話のように私もそう思うのですが、そうすると、その信頼の程度の問題の中で、私は二つの問題があると思うのです。二つの問題というふうに分けていいのかどうかは別ですが、現在申告の取り扱いについては、いわゆる白色申告と青色申告と二つのものがございます。そうすると、白色申告というのは、少なくとも帳簿記載その他があまり定められたものをやっていないとか、またやり得る能力がないとか、いろいろな事情で、比較的、何といいますか、非科学的な申告という要素が入ってくると思います。そういう傾向のもの。青色申告制度というものが作られたのは、私は、やはり納税者を信頼するという建前から、その信頼の仕方が、今のように非科学的なもので信頼していくということでは、これは税務行政上問題があるから、科学的な面をここでつけ加えて信頼をしましょうということが、私はこの青色申告が出てきた理由ではないかと思うのです。そういう意味で、信頼の程度というものは、白色申告をしている方よりも、青色申告をしている方の方をより信頼し得る条件というものがある、こういうふうに私は思いますけれども、その今の信頼の程度の問題と、青色申告という制度ができてきた趣旨とを、ちょっとお答え願いたいと思います。
○原政府委員 最初に基本的に、ただいま堀委員の言われました点、つまり青色申告の方が、信頼の度合いと申しますか、信頼によってつながれる雰囲気がより濃いであろうということは、おっしゃる通りであります。翻って青色申告制度ができてきた経緯を一言申し上げますと、昭和二十四年に、シャウプ調査団の勧告に基づきまして、この新しい制度、その中の一つとして青色申告制度ができたわけでございますが、そのできました経緯は、この調査団の人たちが、日本を見まして、そしてこの所得課税というものが近代的な税制においてはやはり中心になるべきだ、所得課税についてはこの正しい申告ということがもう基本である、これが一体日本の国民はそういうものをやる力があるか、そういう性向がどの程度あるかというようなことを、外国人でありますから、なかなかわからなかったと思いますけれども、一生懸命彼らは調べまして、所得課税中心の税制を勧告するかどうかということについて、ずいぶん考えたようであります。従いまして、それは非常に日本の社会はそういう点に進んでおると圧倒的に考えたとも言えないと思います。やはり迷いはしたと思います。しかし、これはやっていきようでやれるという判断をしたときに、彼らのその気持の一つのささえになったものは、こういう青色申告制度というものを作って、いわば所得の基礎をきちんと記帳させるような風習をつければ、やれる度合いがより強くなろうというふうに考えて、これを勧告したというような経緯であったように記憶いたします。
○堀委員 そこで、青色申告というものは、今の経緯もあり、私はやはり記帳を相当、当初には厳密な帳簿の整備を要求したということから見ましても、少なくともこれは科学的に申告させるというかまえであったと思います。そこで、そういう制度が一つあるわけですが、もう一つちょっとここで伺っておきたいことは、確定申告の取り扱いという問題です。さっき長官は自発的な意思に基づいて申告させるという考えだということをおっしゃったのですが、自発的な意思に基づいて青色申告というものを定められたように承認を受けまして、そしてここにいろいろ記帳をして、自分なりに所得額を算定をして、これを税務署に持って参りまして、提出をいたします。この提出をした場合に、これがどうなるかということなんですが、税法の建前からすれば、納税者が確定申告をすれば、これを税務署は受理するだろうと思いますが、どうでしょうか。
○原政府委員 納税者が確定申告をして参りますれば、受理するのは当然のことでございます。
○堀委員 そうすると、これを受理いたします。そうすると、今度は、税法の定めるところによれば、調査をなさって、その内容が——ここに、税法四十五条を少し読んでみますと、第四十五条「政府は、青色申告書を提出することを認められている個人の青色申告書の提出を認められている年分に係るその提出を認められている所得について前条の更正をなす場合においては、その帳簿書類を調査し、その調査に因り、所得の計算に誤があると認められる場合に限り、これをなすことができる。」要するに、税法四十五条では、明らかに、更正をする場合の限度といいますか、それがはっきり書かれておりますから、おそらく、申告された者の所得額を変更するについては、税法を正しく守るならば、次に行なわれることは更正になるだろうと思いますが、そこはどういうふうでしょうか。
○原政府委員 納税者の申告に対する税務官署側の処分としては、更正ということになって参ると思います。つまり申告についてどうするという面の税務署側の活動としては、更正ということになると思います。ただ、税務署側として、当該納税者について申告を受けて更正するというだけであるかどうかというと、ただいま納税者の相当数について調査をするということをやっておりますから、しかも調査の中には、事後に調査するというのだけでなくて、年度の終わりごろ、あるいは年終了後申告前の時期においても調査をしておりますから、税務官署の行為といたしましては、その申告に対する行為以外に、そういう調査もあるということをつけ加えて申し上げておきたいと思います。
○堀委員 お話のように調査はいつでも行なっておりましょうから、そうすると、青色申告をして、それが受理される。この受理をするということのところに、私はこの申告制度の非常に重要な問題点が含まれておると思う。その受理をする仕方ですね。私が自分で書いて、持っていって申告する。そうすると、これがそのまま黙って受理をされるという場合に、どこからどこまでが受理になるかということです。原則論で言うと、私が黙って税務署へ行って、申告書を持って参りました、お願いしますと出しますね。税務署の方では、はいと言って一応これを見るでしょうね。黙って郵送したって法律上いいのでしょうけれども、手で持っていけば、見るでしょうね。そのとき一体どこからが受理と理解できるのでしょうか。はい、よろしゅうございますと言ったら受理なのか。私が向こうへ渡して、申告いたしましたと言ったところが受理なのか。その受理という瞬間、詰めたことを聞きますが、法律的にはどこが受理なのかをちょっと伺いたいと思います。
○原政府委員 なかなかむずかしい御質問でございますが、最初に書類を机の向こうから渡されたときに、物理的にはそれをこっちは受け取りましょう。それが受理と解するかどうかというような問題が一つになると思います。そのあとどんなことが起こるかと考えますと、一応やはりわざわざ来ていただいたら、その書かれたものをずっと見るでしょうね。見て、たとえば控除の仕方が間違っているというようなことがありましたら、これは間違っていますから、お直しになって下さいということは言うでしょうね。まあそういうようなことが済んで、これでできましたというところで、どうも御苦労さんでございましたと言うて、お帰りいただく。その御苦労さんでございましたと言ってお帰りいただく——言葉はそう言うかどうか知りませんが、そういうようなことでお別れするあたりのところが受理というようなことになるのではなかろうかというふうに思いまするが、一応のお答えでございます。
○堀委員 そうすると、申告の方法をちょっと伺っておきますが、税務署へこれを持って参る必要はないと私は思います。三月十五日までに青色申告の確定申告を配達証明で郵送をした場合にはどうなりましょうか。それの受理の時点というものは……。
○原政府委員 郵送でけっこうでございます。十五日までに着くように郵送していただけばよろしいわけでございます。
○堀委員 そうすると、私実は今の国税庁長官のお答えはちょっと不満なんです。不満だということは、郵送したものは、もしそれが三月十五日にぴしゃっと着くように配達証明で郵送する。そうするとこれは受理するわけですね。税務署としてはもうはっきり受理する。受理した以上、そのあとに法律的に行ない得る所得額の変更については、ルールによれば、私は更正になるのじゃないかと思う。三月十五日以前でしたら、ちょっと済みませんが来て下さいという通知をして、また来ていただいて、あなたここは控除はどうですかということは言い得る可能性がありますが、三月十五日にぴしゃっと着いたら、そこで法律的に受理されたら、あと残されている所得額の変更は、これは更正によらざるを得ないと私は思いますと、持っていく方がどうもかえって問題を複雑にするのじゃないか。そうすると、私が声を大にしてこれから申し上げるいろいろな問題を、税法の建前通りにやろうということになると、青色申告の人はすべからく三月十五日に必着で着くように配達証明で申告書をお出しなさいというようなことになると、これは私はちょっと問題になると思いますが、そこを一つ、これは郵政省が遅配していておくれたりするといけないから問題ですけれども、そこのところで、その取り扱いの問題としては、やはり出された時点で受理だと見るのが私は正しいと思うのですがね。ぱっとこう窓口へ出して、税務署というのは私もちょいちょいよく行きますが、何も係の人に出さなくたって、どこかの窓口へ、確定申告でございます、お願いしますと、ぽっと置いて帰ったって、もうそれでいいのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか、その受理の瞬間は。
○原政府委員 私が、ただいま、一応受け取りましてから拝見して、間違っているところはないかというふうに見るというのは、私としては何も押しつけがましい気持を入れたお答えではないのですし、控除を引き足りない、あるいは引き過ぎているというようなことが、やはり多くの申告の中にはあります。そういうものを一応物理的に受け取ったら受理であるから、あとはもう更正以外にないというようなことを言うのは実際的ではなかろう。すぐ話をすれば、ああ間違いましたと言って、お直しいただけるのじゃなかろうと思うので、それはむしろやった方がいいのじゃなかろうか。郵送の場合は、前におられないから、それができないので、更正をやるとか、あるいは郵送が早くきておれば、期限内ですから、一つ直していただきたいと、電話でお願いするというようなこともできるというような気持で私申し上げておりますので、一つ誤解のないように……。
○堀委員 そうすると、私今のお話を伺って、まあ形式的には、受理というのは、出したときの瞬間に受理されたことになる。ただ、税務署側として、事務取り扱い上好意をもっていろいろと御注意を申し上げて、それによって納税者の便宜をはかるということが今の長官のお話の建前だ、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。——そうしますと、そこまで話がきまりましたから、だいぶわかって参りましたが、実は、私が住んでおります尼崎市で、過般いろいろな業者の方の集まりにちょっと出て、いろんな話を聞きました。御承知のように三月十五日の確定申告を前にして、これらの業者の意見というのは、税金というのは非常に頭の痛いことらしいのです。そこで、最初に伺っておきたいことは、ことしの予算書を見ましても、事業税の所得は、いろいろな経済の状態を見て、大体一〇%伸びるものとして予算額を計上した、こういうふうにに予算の説明の方に出ておるわけです。ですから、主税局として税収をはじき出す場合には、いろいろなそういう経済的な計算をもとにして、大ワクの目安といいますか、税収についてお考えになっておるのだと思うのですが、この昭和三十五年度分のそういう事業税収入については、一体どのくらいの伸びであると現在きょうの時点でお考えになっておるか。これは御答弁は主税局の方でしょうね。主税局としては大体今の予算その他でいろいろ出しておるわけですから、きょう現在における事業所得の全国的な伸びというもの、事業所得というか、個人事業所得は、いろいろと経済見通しの変更その他もありましたりしましたから、当初見通しとはだんだん変わってきたというのが自然増収として現われてくるだろうと思うのですが、これについては一体どうですか。
○村山政府委員 今ちょっと資料を探しまして、明確にお答えいたします。
○堀委員 そこで、青色申告をした場合に、税務署へ行ってお話をしたら、所得額の変更を求められたという人がどうも非常に多いようです。私は、業者が約二千人くらい青色申告をしておるそうですが、この人たちに対して、二月十九日までに実情の調査を今依頼をいたしております。一体あなたは昨年度の青色申告の際にあなたの申告した所得額の変更を税務署に求められたかどうか。変更を求められたことのあるものとないものの比率が相当そこで出てくると思うのですが、その変更を求められた求められ方が、また私は非常に問題があると思うのです。どうも一番多いのは、白で申告をしている店との権衡で、白は大体こうだということになっておるから、あなたのところでも、これに準じて、少なくとも所得金額はこれでなきゃどうもこの案を認めるわけにいきません、こういうようなあれで、いろいろすったかもんだかして、その金額が少し動いたりして、初め十万円くらいという話が、それはそんなことはありませんと言ったら、しまいに、じゃあ五万円でいいことにしましょうということで、所得金額の変更が行なわれる場合がある。あるいは専従者控除が、たしか今八万円まで認められるようですが、この八万円を認めるわけにいかぬから、これを四万円にしなさい、そうすると所得金額が四万円ふえるから、それならばよろしいとか、要するに青色申告の内容の金額の変更が、調査に基づいて具体的に収支がこうなって収入がこうなりますよ、支出はこういうことでしょうというふうな、そういう収支バランスの結果、所得金額の変更を求められるのではなくて、今のような格好で求められておるものか、あるいは借入金その他についての利子支払い等も、そういう借り入れは認められないというようなことで、現実に借り入れている借り入れ先、その利子金額まで明記してあっても、それも認めてもらえないというような場合、その場で聞いた範囲ですから全部どうかわかりませんが、こういう格好で青色申告の所得額の変更を求められておるものが過半に達しておるという話です。これは一体どういうことか、私も全然わからないのですが、そういうような事実があると思われるかどうか、一つお答えを願いたいと思います。
○原政府委員 先ほど申し上げましたように、申告期前の調査もいたしておりますから、調査をいたしますれば、そのお店に参るということになりまするし、ながめて帰るだけでなく、いろいろ伺うということになりますから、その伺っている間に、納税者の方としては、やはり結論は自分の所得が幾らになるということが最初の答えになるわけでありますから、そういうことを頭に置いてお答えがあるであろうし、また税務署の判断というものがどっちに向くだろうというようなことも多分に気になさるだろうと思います。そういうような話で、結論の数字をその際に言うて指導するというようなことはしない建前になっておりますが、話の焦点がそこでありますから、納税者の側でそういうふうに感じられるとか、あるいはばく然とある程度の額を頭の中に結論としてお持ちになるというようなことはあるかもしれないと思いますが、特定の額を示して、お宅のはこれが所得だということを押しつけて参るというようなことはしない建前にいたしております。
○村山政府委員 先般第二次補正で七十億の追加計上を見込みましたその段階で、対前年の伸びを申し上げますと、申告所得税のうち営業につきましては一一五・六%、一五・六%伸びる、こういう計算でございます。申告所得税全体では一一二・四%、それくらいの見通しであります。
○堀委員 今税収入のアウトラインというものを経済的な指標から主税局としてお出しになったと思うのですが、これはあくまで私は一種のガイドポストだと思いますが、主税局長、どうでしょうか。
○村山政府委員 いわゆる実務との関係ではガイドポストにはならぬのだろうと思います。要するに、われわれは、歳入歳出の関係で収入はこれくらいと見積もられる。その範囲内で歳出をまかなう。それだけの話ではないかと思います。
○堀委員 主税局長から非常にいいお答えをいただいたので、これはまさにガイドポストにもならない。ただ予算上一応これは支出の面を押えるために経済指標から持ってきた一種の数字だ、こういうふうになるので、今の最初から伺っているこの申告納税制度の建前からするならば、やはり科学的な調査に基づいたそういう結果自体だけが税金の決定にかかわるものであって、対前年比というものは少なくとも青色申告については考慮をする必要はないというふうに私は思うのですが、その点国税庁長官どうでしょうか。
○原政府委員 私は必ずしも考慮する必要はないとは思いません。やはり前年度に比べて幾ら伸びるかということは、申告を判定します場合の一つの大事なめどであると思います。所得の判定に際しまして、それだけでやるというのはもちろんいけませんけれども、それは全然考慮する必要がないというものではなくて、やはり一つの要素であろう、そう軽くはない要素であろうと思います。
○堀委員 そうすると、今私がこれはほとんどゼロと言ったのは少し言い過ぎかもしれませんが、ウエートが非常に軽いものだと思ったのですが、長官の方ではかなりウエートがあるのだということになると、そのウエートのある、今のあなた方の前年対比の伸びというのは一体何でしょうか。国税庁としてはこれは何になるのでしょうか。
○原政府委員 くれぐれも誤解のないようにお願いいたしたいのは、前年に対して何%伸びなければいかぬということを中心としてやっているわけではございません。調査につきましては、すべて売り上げを正確につかむということから、収入サイドでは、一般の売り上げのほか、副産物的なもの、副収入というようなものもちゃんとつかまなければいかぬし、また反面、経費の面で、どういう仕入れをしているか、あるいは原材料をどの程度使っているかというようなことを正確につかんで参ることが、当該の納税者に関する調査の筋道でございます。しかしながら、それらの数字というものは、納税者自体にも——われわれのうちで家計簿をつけるという段になっても、毎日のことでも、夜寝る前に、家内がきちんとさらさらとつけられるかというと、やはり相当苦心して思い出しております。そういうようなことで間違いというのはどうしてもあり得る。その間違いが、たとえば売り上げが二、三%抜けますと、所得には相当大きく響いてくるわけです。従いまして、そういうふうにした各個の納税者の個別的な調査をいろいろな角度からのサイド・チェックで確かめて参るということは当然必要だろう。そういう際に、その地域のその業種の景況はどうか、前年に対してどうか、またいろいろな、効率と言うておりますが、一人当たりの売り上げなり、あるいは設備の一台当たりの生産なりの傾向はどうかということも頭に持っておって、当該の納税者のそういうふうな価を見て参って、それらからしてどうも結論に疑問があるという場合には、率直にそう申して、納税者にさらにもう一度振り返って見直してもらうというようなこともあろうかと思います。そういう意味で申すので、まずスタートはその納税者の収入、それから経費というものを見ていく、それを各般の角度からサイド・チェックで固めて参るというような行き方が通例と考えております。
○堀委員 それはわかりましたが、国税庁としての前年対比は本年度は一体幾らに見ておられるか。今相当それはウエートがあるとおっしゃったのですから、具体的な数であると思うのですが、その国税庁側のあれをお聞かせ願いたい。
○原政府委員 ただいま私が申しましたのは、国税庁の本庁としてその数字はこういうものだというのがあって、それが全般にわたってウエートを持たしているという意味ではないのであります。第一線の税務官吏が仕事をいたします場合に、彼は当該特定の納税者の収入と経費をよく調べなさいというのがまず調査の第一歩としてある。しかし、その際、彼がすでに他の納税者について調べたもの、あるいは他の担当官が他の同業種の納税者について調べたもの等については、署内において十分その経験をお互いに交換し合っておるはずでありますから、そういうのを見れば、大体どういうような効率になっておるか、どういうような前年との比較になっておるか、景況はどうかというようなことが頭にあるはずである。そういうことが頭にあって調査をするのでなければ、やはり調査担当官としては万全なものはできないという意味で、その担当官の頭にそういうものが相当なくてはならぬと申しておるのであります。本庁としてそういうものを立てて、これだからやりなさいというようなことをすることは原則としてはございません。農業あたりにつきましては、各署で見ましたものを、地域別の偏向というようなものが非常にデリケートなものでありますから、調整をはかると申しますか、それらの統一的なベースにおける位置づけをするために見ることはございますけれども、これもまた下から上がってきて、それが調整されて戻るということでありますから、すべて第一線のなまの実情に基づいたそういう若干の概括的な率と申しますか、見解と申しますか、そういうものが頭にあって仕事をするということでございます。
○堀委員 そうすると、庁としては特にない。局はどうでしょう。直税部長の方に伺いたい。局単位ではあるかどうか。
○白石説明員 局単位におきましても、ただいま長官から庁について申し上げましたと同じような状況でございます。
○堀委員 昭和二十九年当時、これはちょっと古いからあれですが、かえって主税局長なんかの方が二十九年ごろは詳しいかと思うのでありますが、そのころは、局や庁では今申し上げたような前年対比を一応幾らの率に見るかというようなものを持っていたか、持っていなかったか。これは主税局長としてお答えいただくというのではなくて、関係者の中でどなたでもけっこうです。昭和二十九年当時国税局長とかあるいはそういう国税関係の衝におられた方でお答えいただきたい。
○村山政府委員 当時私は国税庁の直税部長をしておりましたが、そういう指数を持っておったこともありませんし、また示したこともございません。
○堀委員 実は、昭和二十九年に、当時医業課税が閣議申し合わせ事項で三〇%の標準課税ということになっておったのです。ところが、たまたま昭和二十九年の確定申告に際して、この閣議申し合わせ事項が撤廃された。収入、支出に応じて取れということになりまして、非常に問題になったことがございます。私は、当時尼崎の医師会にいて、それの税金を担当し、兵庫県医師会の税金を担当し、近畿ブロックの税金の責任者であった。そこで、この問題についていろいろ調査もし、当時春日さんあたりにもずいぶんお願いして、そのあげくの果てに、今日あなた方が悪法だと言うところの特別措置がしかれる経緯になったわけですが、そのときに、私は、ある税務署で、国税庁が出しておった極秘文書を、たまたまテーブルの上にあるところで拝見をいたしました。その中には、事こまかに前年対比の率が極秘文書として出されておったのです。これに基づいて、少なくともそういう収入、支出でやる場合にやるのだという式の非常にこまかいのが、たまたまある税務署の直税課長のテーブルの上にあるところに行ってちょっと見たら、済みません、それは困りますと言われた。しかしもう私はひょっとそれを見てしまった。大阪国税局においては少なくとも昭和二十九年にはあったのですよ、村山さん。そこで、私は、今の御答弁を伺っていても、あったのだ、しかしそれは私はあれだとおっしゃるならば、了承する。私がこの目で見た資料、それが昭和二十九年にははっきりあったということになると、皆さん方はないと思っておるけれども、あるのだという事実、それが極秘という判が押されておるということになると、ますますもって私は今の問題をすなおに受け取れません。 率直に申しますけれども、ほんとうにあるのかないのか。もしそういうものはあってはならないのかどうか。少なくとも局単位についても、率直に言いますと、私自身もそのときを思って今でもあるのだと思っています。おそらく皆さんそう思っているでしょう。そこで、あるいは誤解かもしれません。誤解であれば私は幸いだと思うのですが、しかし、そういうものがあると、やはり人情といいますか、税務行政の末端の人は非常にむずかしい仕事をしておられると思うのです。今私の個人的な立場で、国の行政官の中で一番私同情しているのはだれかといいますと、警察官と税務官吏に同情しているのです。一番むずかしい仕事をやらされて、まともにやっていても非難を受ける。ましてや多少の問題があれば、すごいことをやられるという非常に気の毒な立場にあるので、私は、税務官吏なり警察の職員については、そういう意味で非常にあたたかい目で見ておるわけですが、そういうむずかしいところにいると、きのうの八百屋さんの話ではないが、何かにすがりつきたいものが私はあると思う。そのすがりつきたいものが、局がそういうものを出すと、これへすがるということになってくると私は思う。そのすがるものを出すから、私は、青色申告の確定のあり方について、今のようなルールにないことが行なわれる要素が生まれてくるのじゃないか、こういうふうに思うのです、問題の筋道をたどっていくと。それで、主税局長に伺った営業所得については一五・六%大体伸びを見ておるということになると、こういったものが、もちろんそれは地域のいろいろな実情に応じて多少は違ったにしても、局単位でこれにバリエーションを加えたようなものがあり、あるいは今おっしゃったようにその効率を調べ、基幹調査をやった結果、そういうものについて何らかのものをやはり局としてきめてくるということがもしあるならば、これは青色という問題との関係で非常に問題が残ってくると思いますので、そういうものがあるかないかの議論はここでしませんが、今後はそういうものは局にも用いさせないのだ。要するに、それは署の段階でいろいろ考えられることについては、やはりその町のいろいろな状態を勘案されて起こることがあるでしょう。しかし、それは自主的なものだから、それに自分がそうたよるということよりも——それは調査に基づいて出てくるものなのであって、もたれかかるしろものではなくなるわけですから、それ自体について多少のものが出てくるのは、これは結果としてある一つのトレンドを見ようということの範囲で出てくることであり得ると思うのですが、局単位については持たせないのだというようなかまえで指導ができるかどうか、伺っておきたいのです。
○原政府委員 先ほどから申しておりますことは、そういう率を庁なり局なりが押しつけてやる——昔よく割当課税というようなことがいわれましたが、その時分の割当的な気持に乗った形でのそういうものはいたしておりませんということであります。しかしながら、特定の業種について効率、たとえば機械一台当たりの生産がどうであるかというようなことを各末端で調べましたものを、局で、さらに全国を庁で集計いたしますれば、これはきわめて貴重な所得判定の資料でありますから、それは流しております。同様なことはいわゆる所得標準率というようなものについてもありますし、また調査課所管のようなより大きい所得者についてはもっと深度の深いものが要るというわけでありますから、何々業についてはこういうような事情があるというような業種別の経済的な要件をずっとかなり詳しく並べましたものを流すというようなこともございます。これらは、税務官署が所得なら所得の判定をいたします場合に、当然に持たねばならぬ資料であろうと思っております。要は、それらの資料を受け取ったときに、第一線の係官が、ああこれで八百屋さんのは効率はこうして、所得の伸びは——今所得の伸びを全部についてはやっておりませんが、特定の方の深度の調査をやった場合の伸びなんかは流しておりますが、そういうものを第一線の担当官が見まして、その効率なり標準率なりというものに非常に固定的にとらわれて仕事をするということがあってはいけないということはお話の通りで、これは、そういう率を流す際に、非常にうるさいほど——範囲率という言葉で言っておったかどうか私確実には記憶しませんが、これらはたくさんのケースを集計した平均値であって、現実にはこれらがたとえば二割と出ておる平均値が、具体的には三割の率から一割の率の間に散らばっておるというものであるから、個々の納税者を見る場合に、この二割を金科玉条として振り回すというようなことがあってはいけない、やはり納税者の実情を見て、その散らばりを頭の中に置いて適用しなさいということを、うるさくなるほど言っておるわけであります。お話の点はそういう範囲率としての適用の態度がどの程度行なわれておるかということで、なるほど沿革的にはかつてそういう伸び率あるいは率がかなり固定的なものとして受け取られた時代があったことは事実であります。これは、税務体制におきましても、戦後のあの混乱のときで、昭和二十二年、二十三年には二万ないしこれに近い人々を一度に採用して緊急の必要に充てたということから、訓練も行き届いておりませんし、経験も少ないというようなこと、また御案内のような占領下の事態というようなことから、われわれの行政もそういう点で非常に遺憾の点は多かったと思いまするが、だんだん改善されて、今ではそういうものを無差別に一律の率で押しつけるということは非常に少なくなってきておると私は考えておりますが、なおそういう事情がありますれば、御指摘いただいて、私どもの検討のもとにさせていただきたいと思います。
○堀委員 そうすると、業種別には何かそういう前年対比のものがあるということになりますね。今の長官の御答弁だと、全体としての伸びはないけれども、業種別には効率や標準率を考えられて、前年度に対する伸びがあるというふうに伺ったのですが、どうでしょう。それでいいのでしょうか。
○白石説明員 ただいま長官からお答えいたしましたのは、いわゆる効率、標準率と申します所得を推計するにあたりましての一つの指標みたいなものを作っておるということを申し上げたわけでございまして、業種別にこの業種は何割伸びるというような指標を作りまして、これを指示しておるということはないわけでございます。
○堀委員 わかりました。そうすると、私がさっき申し上げたように、対前年比、今主税局長がお答えになった営業については平均全国で一五・六%というものが一つありますね。これは政府の資料の中である。そうすると、たとえば今の分散の状態で下の方は五%くらいから三〇%くらいの間にばらつく、しかしモードは一五%くらいのところにあるというような、そういう前年対比というものについてでなくて、ある業種についての標準率なり効率だけがあるのだ、こういうふうに理解してよろしいわけですね。
○白石説明員 結論から申し上げますとその通りでございます。つまり、ある業種について所得が全般的に二割伸びておるとか三割伸びておるとか、従ってこの所得については二割増になるように調査をしようということは全然いたしていないわけであります。ただ理髪屋さんなら理髪屋さんにつきまして数店を調べました結果、理髪屋さんの一台当たりの売り上げ収入金額は、ことしはこの程度になりそうだ、去年はそれがこの程度でやったというようなのをいわば効率と申しておりますが、こういったものは、作成いたしまして、そうして一応指示はいたしておるわけであります。しかしながら、これはあくまでも所得を推定するための一つの指標でございまして、ほかによるべき確かな証拠がありますれば、もちろんそれによるわけでございまするが、ほかによるべき証拠が何らない場合に、所得を推定するための一つの参考として用いておるわけでございます。
○堀委員 よくわかりました。そうすると、ここでまた青色申告の問題に戻りますが、効率というものと標準率というものを、ある特定のものを基幹調査をされておやりになる。これは一つのサンプル調査ですからね。私は、今度はそこから科学的なものの言い方をすると問題が出てくると思うのは、一体そういうようなことをなさるときには、その業者に対して何%ぐらいをサンプルで見るのか。それは層化をされておって、層化された中で適当な分布に基づいてやられておるのか。そういうふうな調査をされた時期というものは、年間における状態の中の分布ではどういうふうになるかとか、そういう科学的な検討の裏づけのある調査のもとに、そういう標準率なり効率が出されてくるなら、これは調査統計の原則から見て——それは誤差はもちろんありますが、その誤差は最小限度になるのですが、私が拝見しておる限りでは、どうも必ずしもそういうふうでない調査がサンプルで行なわれておるように思うのです。そこで、非常に片寄ったもののところで、それも多量統計ならば平均値は比較的誤差が少なくなりますが、ごく少数統計で、たしか私が昭和二十九年に問題にしましたときは、大阪国税局のサンプルは、医業についてはたしか三十五、六軒だったような記憶がある。あそこでは診療所軒数は約六千ぐらいあるんです。六千あるものを三十五軒ぐらいのサンプルによって標準率を出したということでは、その該当診療所の全体の中のそういう今申し上げました層化の位置あるいは年間におけるそういうふうな時期の問題、それが時期補正がされておるのか、いろいろの点、補正などされておるようには見受けられぬのですが、そうすると、皆さんの言っておられる標準率、効率というものは、皆さん側としては一応の資料かもしれないけれども、科学的なそういう調査の面から見ますと、私は必ずしも科学的にそれが納得できるものだと思えない点が一つあるわけです。 そこで、一つお願いをしたいのは、国会ではっきり効率表、標準率表というものがあるんだとおっしゃったんですから、一ぺん大阪国税局でいいですが、私その資料を見せていただきたいと思う。そうして一ぺんそれの分析をやらしていただきたい。その業態について、その該当したものは分布ではどの地点になる、時期補正としては大体どういうことで、そこから出てきた——今の散髪屋さんを例にとれば、一台いすがあればそれは大体何人回転するんだというのを一回出していただいて、それを全体の業者の協力を得て私なりに一ぺん実態調査をやって、その分布の位置及び時期補正の状態なり階層の状態なりを一ぺん確認をして、なるほどあなた方の効率なり標準率というものは統計上から見てもあまり大きな誤差がないということなら、私はいいと思うのですが、これが恣意的なピック・アップを——統計学上としてのランダムならけっこうですが、そうでない、恣意的にランダムにやられたもので、それで効率はこうだ、標準率はこうだということで、それを基礎にして、今度は問題の発展の仕方は、青色申告の記帳にこれが影響を与えるということになってくると、一体科学的な根拠がどこに出てくるかということになると私は思う。だから、あなた方の方で効率表、標準率表があるんでしょうから、一つそれを見せていただいて、それを一ぺん科学的に研究をさせていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。それと、科学的にわれわれは大丈夫だという根拠があるかどうか、あわせて一つ……。
○原政府委員 標準率その他の作成につきましては、お話のような科学的な検証にたえ得るものでなければならぬということはだれしも考えることでありますから、私どもも、当然前から考えまして、職員のスタッフとして、大学の数学を出た人を数名採用しております。それらを統計の調理をする要員に入れて、そして、それらの意見を聞いて、長年改善をはかっております。私その初期のころ直税部長をやっておりましたので、標準率については特によく記憶しておりますけれども、サンプルのとり方、それからこの分散の読み方、これをそれぞれ業種別にカーブにして読んだこともあります。そういうようなことをやっておりますので、今具体的にそれがどういうサンプリングをして、どういう検証をしたということは、ここではちょっと申し上げられませんけれども、もちろん人間のやることでありますから、完全ということは申し上げられませんが、かなり良心的にやっておると思います。かつ、そういうものが毎年々々繰り返されますと、たった一年だけの時点においてある値をとったというのと比べますと、その信頼度というものははるかに高くなるわけで、私としては、そういうやり方をしてやってきて積み重なっているものでありますから、これは非常にあぶないものだという気持よりも、かなり確かだと思っております。これらを検証したいとおっしゃるお気持もわからぬでもありませんけれども、しかし、この標準率、効率というものは、実際のそれの働く生理というものがなかなかデリケートなものでありまして、公に出してごらん願うというのは、いささかどうかというふうに私は思うのであります。そういうことは、私も外国に行ったときに、そういうものはないか、ある、一つ参考にくれぬかと言っても、それは出せないというような話をよく聞いたことがありますし、また、そういうものを公に出しますと、やはり人間でありますから、平均値の上位にある人たちと下位にある人たちとの、それに対する身の振り方が、実際問題として違ってくるわけであります。必ずしも思わしい結果になるということは言えないというようなこともあって、この種のものは、何というか、部内のものとしておきたいのだという気持でおりますので、及ぶべくは御了承いただきたい。ただ、それの科学性を深めるということについては、ただいま申しましたような努力を年々重ねておりますので、なおお話がありますれば、あらためてまた検討させるということはいたしたいと思いますし、しょっちゅうそういう気配りは必要だと思っておりますから、どうか御了承願いたいと思います。
○堀委員 ちょっとそのお答えは私納得できないのです。私は、今、そういうものを見せていただいて、それをオープンに公表しましょうとか、そういうことを言っておるわけじゃないのです。ただ、私自身がそれを拝見して、一応その分析をして、はたして、その効率なり標準率なりというものが、統計的に見ても、私としても納得できるというものであるかどうか、ここに私はやはり重要な問題があると思う。たとえば、散髪屋さんでも、それは一般の業者でもそうですが、私は、ここへ当選をするまでは、町の医師として診療所を経営をいたしておりました。そうすると、御承知のように、病気なんというものは、月の初めに多くなるとか月の中ごろに少なくなったりしないのです。病気というものはおおむね平均して発生するというのが原則です。ところが、私どものうちへ来る患者の数が、非常にカーブがあるのです。カーブがあるというのは、健康保険の本人という部分についてみますと、百円金を出せばあとはただで見てもらえるから、カーブはない。平均してみんな来る。そのカーブのあり方は、月間のカーブではなくて、季節的なカーブがあります。夏多く冬少ないという全体カーブはありますが、月間のカーブはない。ところが、健康保険の家族、国民健康保険の人たちは窓口で半分お金を払う。そうすると、これは顕著なるカーブがある。私は初め気がつかなかった。ところが、やっておりますと、大体月の十日過ぎからだんだん家族の患者が減る。というのは、午前中は家族が来る。夜は本人、要するに金の要らない連中が来る。午前中がずっとひまになってくることを繰り返しているものだから、私もふっとそれに気がついて、私のところはこまかく記帳していますから、患者の日計表をずっと調べてみると、そこに月間のカーブが出てくる。その月間のカーブは何かというと、われわれの近辺は主として俸給生活者が多いものだから、月給日との関連で月給日前の十日というのは患者が減る。私は、前が市場なものだから、市場の諸君に、どうですか、私のところはこうだがと言ったら、先生、その通りですよ、表を通る人の数がすでに減るというのです。要するに表を通る人の数が減るというのは、市場も減るし、われわれのところも減るということで、経済現象の関連がある。そうすると、一体標準率をとる調査が何月何日に行なわれておるかということは、月間のカーブとの補正をしなければならぬ問題が一つ出てくるわけですね。カーブの上がったときに見ているのか、下がったときに見ているのか。そのカーブ自体がある形でとられているかどうか。それと同時に、全体の年間の季節的な大きなカーブがあるわけですから、その年間的な季節補正をしておるかどうかという程度のことが実際になされておるのかどうか。統計的に見た実態を把握する標準になるものだから、私は一ぺん見せていただきたいということなんです。 私はオープンに外に公表しますというのじゃない。だから、それには委員会を秘密会にしてもらって、資料の提出を求めて、私はここでそれを分析して、それの質疑をやらしていただいてけっこうだし、今長官のおっしゃった数学の専門家にここへおいで願って、その方たちとの間で論議をしてもけっこうですから、私は地元の近くで一番状況もわかる大阪国税局について、たくさんの種類はいいですから、向こうで相談して代表的業種五つなら五つというものについての効率表と標準率表とを御提出願って、その効率表、標準率表を出された経緯についての統計の作業の全般についての資料を御提出願いたい。そうして、この問題が科学的なものであるかどうかという点を一回調査検討さしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○原政府委員 結論として効率、標準率をどんなふうにやっているか、科学的にやっているということの御説明をさせるということはいたしましょう。ただ具体的に何業は幾らという数値ははずれるような形で、科学的な検証にたえるかどうかという方法論をお聞きいただくということで、一つ御了承をいただきたいと思います。 なお、今のお医者さんのお客さんの話は非常に興味深く伺いましたが、私どもの標準率の調査、効率の調査にあたりましては、所得税の場合ですと、一年という期間をフルにとって、フルに調べた値を調査するということにいたしておりますので、年間という意味で、大体季節的とか月別とかいうのは全部ならされておると申しましょうか、全部調整されておるという形になっておるわけでありますが、これはまた御説明の際にお聞きいただくようにいたします。
○堀委員 納得できません。数で問題を論議するものについて、数を出さないで方法論を論議するなどというのは、最も非科学的な回答だと私は思います。私は原さんを非常に尊敬いたしておりますが、それは、長官が非常に物事の筋道を通しておやりいただいておるので、私はその点で非常に尊敬しておるのですが、今の御答弁は私納得できない。筋道を通す、これがどうかということを判断するのは数なんです。私はこの委員会においてあらゆる質問の中で問題を詰めて論議させていただくのは、やはり具体的な事実に基づかなければ、論議というものは宙に浮くと思っておる。具体的な論議をするためには、その土台になるのはまず数なんです。その数の動き方なり、その変化の中に問題を把握していくということでない限り、方法論だけを論じて、それが科学的であるか非科学的であるかということを抽象的に判定することはできないと思います。そこで、いろいろと皆さんの方に、及ぼす範囲についての配慮があるかもわかりません。しかし、これはそういうふうに隠そうとなさるから国民が疑惑を持つのであって、オープンにここに出せるものでやっていただくならば、だれも文句を言わないと思う。理髪業についての効率は今年度はこうなっています、そしてどこから文句が出てきても、こういう調査をしてこうなって、こう科学的なものだから、これについてはあなた方と対で幾らでもやりましょうというかまえがあるならば、お出しになるということが税務行政をガラス張りにするという建前なんであって、どうしても隠そうとなさるということならば、これはさっきお話しになった、納税者を信頼する行政をやろうという申告納税の基本的なかまえから考え直していかなければならぬのじゃないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
○原政府委員 特定の百なら百のケースについて具体的な値を当たるという作業がまずあるわけであります。そして、その百をあといろんな率に調理して参る。まずスタートは、百という数がよろしいか、それの選び方がよろしいかという問題がありましょう。それから、その後それを調理する仕方のよしあしというのがありましょう。しかしながら、百の実数値が幾らであるということは、そうおこだわりになる必要はないのではないかと思うのですが、いかがでございましょうか。これは統計的な方々に聞いていただけば、大体この種の値を出すのに、どういう頻度でサンプルをとって、どういうふうに集めて、そしてその値をどのように取捨し平均するかということをもって、その値の信頼度は大体出てくるのではないかと思うので、具体的な数値は別段おこだわりにならぬでも、ただいまの科学的な検証ということはおできになるのではないかと思うのであります。そういう数字を部外には出したくないというと、えらい暗いようにお聞きになるかもしれませんが、実際は、世の中は、ある業種の標準率が十五であるというようなことが出ますと、実際には二十、二十五の方があるわけです。そういう方は、よし、おれは十五で出す、こうこられるわけです。そして低い人だけがその主張をされるようなことに、どうしても引力を持ちやすいと思うので、そういうことはしたくないということなんでございますけれども、一つその辺をよくお考えいただいて、科学的な検証という意味でしたら、ただいま私が申しましたような角度でごらんいただくような機会をお持ちいただいたらというふうに思うのでございます。
○堀委員 お出しになりたくないということは私もわからぬでもないが、さっきお話しになったように、それはあくまでも一つのそういう分散しておる中のモードの山になっているのか、全般の平均値なのかわかりませんけれども、そういうものなんだ、それは分散しておるんだということで指導していらっしゃるわけでしょう。そうすると、何らそれが出たからみんながそこに集中するべきものでもないし、ただ一つのそういうもののアウトラインの概念のために出しておられることになるならば、出されてもちっともかまわない。分散の幅はこの幅がある、その中におけるモードの山がここだと出されるのか、この全体の平均値はどうなるかということで出されていいことであって、どうしてもお出しにならぬということになると、私はさらっと聞きにくい何かがあるのじゃないかというふうに、ちょっといやな感じが残るのです。そこで、その取り扱いについては、あなた方の立場も十分考慮いたしましょう。今度はあなた方と私どもの信頼感の問題ですよ。だから、私どもも、あなた方を信頼して、こういう御相談をしているのだから、あなた方も一つわれわれ大蔵委員を信頼していただいて、ありのままを一回見せていただきたい、こういうことです。それは毎年毎年見せるとかなんとか、そんなことじゃない。要するに、どっかの地点を限って、一ぺんそういうものを作られた経緯をこまかく一回分析してみて、誤りがあるならばその誤りを指摘して、そうしてこうしなさいということをサゼスチョンするのが、われわれ国会議員の立場じゃないでしょうか。行政にもし誤りありとするならば、その誤りを調査して、そうしてそれを正しい方向にすることが、行政当局に対する私たちの立場だ。これは決してあなた方をいじめようということじゃない。正しい方向にやってもらうということが、ひいては国民のためになるのだから、そういう点で、決してこれをうしろ向きに考えないで、やはり私は前向きに一つ考えていただかなければならぬ、こういうふうに思うので、ともかく一つ御検討を願います。これについての御回答は次回の委員会でもけっこうですから、一応庁内でも御検討をいただきたい。そうしていただかなければ、ちょっと引き下がれないということです。この件につきましては、それまでにしまして……。
○足立委員長 堀君、委員長としてちょっとあなたに申し上げますが、先ほど来御論議を拝聴いたしておりましたが、出せ、出さぬという議論を幾らやっても水かけ論だと思います。国税庁の方も、あなたの御要求に対して、統計のテクニック等は発表してよろしいと言っておられるのですから、その専門家のやり方等につきまして、一応委員会として事情を聴取いたしまして、その上で今あなたの突っ込んでの御要求をさらに要求されるかどうかという御判断をいただいたらいかがでしょう。
○堀委員 それでもけっこうです。
○足立委員長 一応そういうことにして御議論をお進め願います。
○堀委員 一応そういうことにして、不十分の場合はさらに具体的なものを要求いたします。
○足立委員長 関連質問を許します。春日一幸君。
○春日委員 ただいま、堀委員から、標準率、効率でありますが、それを資料として提出せられたいという要求に対しまして、国税庁長官は提出いたしかねるという意味の御答弁でございました。これは、ただいま委員長のお取りなしはありましたけれども、まことにこれは国会の権威のためにも、こういうことは了承いたしかねると存ずるのでございます。国政調査権は憲法、国会法によって明確に規定されております通り、橋の上のこじきの生態から、最高検察庁の一切の検察業務まで、調査権の及ばざるということはない。わけても、現在論議せられておりまする徴税行政の中において、現在のこの税法というものは、言うならば、現在の制度が申告納税制度である立場から考えまして、税法は国民の保護立法である。法律によらざれば税金を課せられることはない。しかも、その徴税の行政の過程において、そのような効率なるものが、すなわち税務署段階にしろ、局段階にしろ、それが徴税行政の便宜的な手段として設けられた効率、標準率なるものが税法とどういう関係を持つかということを本委員会が調査をすることは当然の事柄であって、このことなくしては徴税行政の国政調査権の完璧は期しがたいと思われるのでございます。そういう意味におきまして、税法に照らしてその標準率というものが公正なものであるか、あるいは時に法律に違反する疑いがありはしないかどうか、これを調査するということは当然の事柄であり、また不可欠の事柄であろうと思うのであります。そういう意味におきまして、本委員会がこれを要求いたしましたからには、これはあなた方も法律に基づいて確信を持ってお作りになっておる標準率、効率でございましょうから、すべからく御提出になるべきものであり、しこうして、御提出になった後において、いろいろ委員会において検討、審議の結果、誤つところがあるならば、国民のために、また法律を守って徴税行政を行なうあなた方の職責の立場にかんがみても、これは直すということが望ましいことであり、それが正しいものであるならば、国民に確信を持ってそれを基準として徴税行政を執行されて差しつかえないものである。今日さまざまな疑義が持たれておるといたしますと、本委員会としては、当然その効率、標準率の合理性あるいは合法性、的確性、こういうものを検討したい。本員は重ねてそういうふうに考えます。しかも堀君の御要求もありますので、ぜひとも一つ御提出を願いたい。その的確率を検証するという意味で、抽出的に大阪のもの数業種に限ってけっこうであろうと思いますので、本員から重ねて御提出を要求いたします。なお、これに応じられないということは、憲法、国会法の建前からわれわれは断じて承認することはできません。このことを重ねて要求いたしておきたいと思います。
○原政府委員 先ほど委員長からのお話がありまして、とにかく一度国税庁がそういうものを作っておるということを聞いてみてはどうかというお話がありました。堀委員はそれでいこうというお話でございました。つけ加えて春日委員からただいまのようなお話があったわけでありますが、先ほどのお話の通り、私どもはこうやっておりますという報告をお聞きいただきたいと思います。その上でなおいろいろお話がありますれば、私どももその際気持を申し上げるということにさせていただいたらいかがかと思います。
○春日委員 それはいけません。とにかくこういうものをくれと言ったら、出すか、あるいは内閣総理大臣に御相談願って、これは職務遂行上断じて秘匿を要する文書であるから出せないということであるならば、出せないように内閣総理大臣から御回答願うべきであって、一国税庁長官の分際で何ですか。国会法に基づいて要求した文書を、まずその前にこういうものを聞いて、それから話がわからなんだらまた追ってという、そういう中間的な御答弁はあり得べきものではありません。委員会における国会議員の言動は綸言汗のごとしであります。出すなら出す、出せないならば、かくかくの次第によって提出することはできない、よって内閣総理大臣に相談する。そうすれば内閣総理大臣あてにそれぞれ所要の要求をいたします。それは当然法律に基づいた要求である限りは、御提出を願うべき筋合いのものである。あらためて国会法、憲法をお読みいただいて、国家公務員としての職責をお考えいただきたい。あえて資料の御提出を求めます。
○足立委員長 先ほど、堀委員に対して、私お聞きの通りの提案をいたしたのでありますが、明朝理事会も予定されておりますので、この取り扱い方につきましては明朝の理事会で協議いたしたいと思います。御了承願いたいと思います。
○堀委員 私がさっき委員長の御提案を了承いたしましたのは、率直に言うと、どうせ私は最終的に見せていただくつもりなんです。そういう中間的なことでわかるはずがないことです。ただ順序がありますから、いやだいやだと言っておられるのに、無理やりにどうしても今出せというのでなく、結局今手続を踏んで、わからなければ出すと言っておられるのですから、そこで私は拝見して、わからないところが出てくれば、やっぱりこれは出していただく以外に手がない。だから、少し時間がかかるが、忍耐と寛容をもって臨もう、こういうことで申し上げておるので、本筋は春日さんの今の御主張と同じであります。そういうふうに御理解いただきたいと思いますので、国税庁側としても、私が変なふうに妥協したのだということでなくて、これは今申し上げたような経緯であるということで、一つ御了承を願っておきたいと思います。 次へ移ります。だいぶ問題が横へそれましたが、時間もありませんから、私ここで少し確認だけさしていただきたいことを申し上げておきます。 まず、いろいろと申し上げた中で、青色申告というものは、その収入、支出について帳簿に記入してあるわけですから、その帳簿の記載事項の変更を求めて、それが調査に基づいて——要するに因果関係がある。要するに、もし売買をしておられる方なら、そのあなた方のやっておられる効率、標準率表から照らしてみて、どうもこの収入については疑わしい部分があるとお考えになれば、これは調査をしていただかなければいかぬと思うのです。そうして、その買っておる買い先といいますか、その全体の関連の中での部分としてこれを把握して、そうして問題を提起していただくということにならない限り、効率、標準率がこうだから、あなたの所得はこうしてもらわないと困るというような問題の取り扱いを青色申告で行なってもらっては困ると思うのです。だから、まず第一点は、そういうことの関係でやっていただくかどうか。これは税法との関係で私は申し上げておるのですから、そこはどうでしょうか。
○原政府委員 青色申告の場合には、帳簿、書類を調査して、その調査によって所得の計算に誤りがあると認められる場合に限って、更正をすることができるということになっております。建前はそういうことでございます。
○堀委員 そうすると、今私が最初に触れましたように、他の業者との権衡等によってその所得額の変更を求めることはしないと、一つお答えを願いたい。
○原政府委員 率直に申してなかなかデリケートなところでございます。先ほどこの青色申告制度の導入されました由来を申し上げましたが、そこでは、日本の納税者が、率直に申して、もう非常に満点に近いというような状態でなくて、かなり乱れておった。それをいい成績に持っていこうというので、この制度ができて、こういう制度がある間は、実はこの制度としては落ちつきがないのです。こういう特典があるから記帳をするんだということではなくて、やはり理想的な状態としては、こういう制度がない状態が理想的な状態だと思いまするが、とにかくその間はやはりだんだんよくしていくという時代である。従って、形式的には青色申告者になっております。しかしながら、その中で成績はどうかということになりますと、満点に近い納税者から、まあ相当あぶない納税者もあるわけですね。そこで、実際に税務官吏が満点に近い納税者にぶつかった場合は、これはもう非常にけっこうについておりますと、大体是認が多いということになりましょう。しかし、点がかなりあぶないというところは、率直に申して、この判定をきちんとやって参れば落第だというものも実はないではないと思います。そういう場合に、われわれとして取り消しの制度がございます。取り消しの制度を非常に強く生かして、取り消しをして、そうして青色の四十五条の拘束をはずして処置をするかどうかということになりますと、先ほど申したように、実はかなりデリケートな問題がある。われわれとしても、青色の人をあまり減らしていくといいますか、文句をつけていくということよりも、育てて参りたいということになりますから、そのあたりのところにいって——そうかといって、そういう納税者は記帳が非常にがっちりついているというのではないわけです。どうもあぶない、はっきり抜けているのがわかる、あるいは別途の売り上げが出るということになればはっきり言えますが、数多い中ではそうもいかない。やっぱり疑わしいという場合に更正をする場合には、この規定が働くと思いまするが、ただいま申しました事前調査等の間に、お宅のはどうもこれは少しいかがですかというようなことを言うことはあると私は思います。あっても、それは、やはりただいま申したような現実の事態からいって、御了承いただかなくてはいかぬのじゃないかというような感じがいたします。
○堀委員 そのお答では私まだ納得できないのです。青色申告というものは、科学的にやるということでできた制度だと思うのです。そうすると、それを科学的に育てていくのでなければ、あなたのおっしゃったように、これはやはりこういう分散をしていて、下の方は青というか白というかわからないのだ、そういうふうに税務署が認めていながら、それを青という範疇でやるために、白の手段でこれを処理するというようなことであれば、一体税法はどうなるのでしょうか。私は、最初プリミティヴなところから問題を起こしてきたのは、きょうの質疑の中で、少なくとも原則を一つ確認をしたいということなんです。白は白、青は青、不適格なものなら不適格で、法律に基づいて承認を取り消していただきたい。青のものは青としてはっきり処理をするということにならないで、一体あなたが最初にお答えになったことと今のことがつながりますか。つながらないと思うのです。だから、筋道で私は申し上げておるので、それが正しい青色申告を育てていく道だ。いいかげんなことをやって、そうして今のように権衡によってこれを動かすとか、あるいは家族専従者を押えつけてこれを減らすとか、それは本来なら白でやることなんでしょう。白なら帳簿がないから、仕方がないからそれはやむを得ないと思いますが、青でそういうことをやるのを是認するというかまえがあるから、そういうことがいつまでも残るのじゃないでしょうか。青色申告というものを育てていく趣旨というものは、やはりある限度で線を引かなければ、私は問題は解決しないと思う。その線の上にいくように指導するためには、やはりきちんとしたものをやりなさいという指導をしなければいけない。だから、私は、今のお話は私としては納得できない。そういう法律の範囲で、やはり前向きでやってもらわなければならない。私はそういうやり方はうしろ向きだと思う。それでは問題は解決しない。もう青色申告の制度ができて十年なんですね。だから、その業者の中には、もうこれはだめだという者もあるでしょう。そういうのがあるならば、その業者、団体の人にちゃんと言われたならいいでしょう。この人は何回やってもだめなんです。だから、この人はあなた方の方で一ぺん考えて、もっときちんとしたことをやりなさい。それでなければ来年度は取り消しになりますよ。はっきりと言われたらいい。ところが、私の聞いている範囲では、ほとんど多数の者に対して、七〇%なり八〇%という多数の者に対して、青色を取り消すかのような感じを与える発言のもとに、そういう修正を、さっき申し上げたような非論理的なやり方でやっておられるのが非常に多い。これは十九日までに調査しますから、この問題を私は引き続き委員会で質問をしまして、調査が集まったら具体的に検討しますけれども、だから、かまえ方としては、青色申告というものの所得額の決定の変更については、更正によると同じような気持でこれをやる。調査に基づいて科学的にやる。そうしてそれは少なくともその帳簿記載の問題の中でやる。それにさっき——この法律の中にありますよ。否認をする場合の条項があります。著しくうそを書いたとかなんとかということを書いた部分がありますが、そういうことであるならば、それは別途の角度から問題を提起すべきであって、そこを一つあいまいにしないいで考えていただかなければ私は困ると思うのですが、どうでしょうか。これで一応本日のあれを私は終わります。
○原政府委員 お話の行き方は、一つの割り切った態度ではあると思います。が、私率直にここで、それじゃそういたしましょうというふうにはお答え申し上げ切れません。非常にむずかしい問題だと思います。もう少し考えさせていただきたいと思います。
○堀委員 それでは私はこれで終わります。
○足立委員長 横山利秋君。
○横山委員 私は質問するのでなくて、あなたの方から答えていただく番でございます。もう一ぺん念のために簡単明瞭に申し上げますが、きのう私が御提案したことは、基幹調査と称して、納税者が疑わしき節も必ずしもないのに深度の深い調査をするということは、税務官庁の一方的な必要によってなされるのであって、納税者に対して不当なしわ寄せを与えるものであるから、もし基幹調査の必要がありとするならば、まずもってこれを納税者に話をして、その許諾を求めるべきである。以上が私の提案でございます。きのうずいぶん論争をいたしましたから、その理由は多く申しません。賢明な政務次官から常識豊かなお返事をいただく番になっております。どうぞ。
○大久保政府委員 昨日横山委員からだんだんのお話がございました。いろいろ検討もいたしたわけであります。横山さんも十分御承知の通り、税務の調査にはいろいろな調査があるわけでございます。そこで、その調査の内容、趣旨、目的等につきまして、あらかじめ——特に基幹調査につきましてのお話でございますが、それを事前に国民に申しまして、その許諾を求めるといいますことは、御案内のように、いろいろな調査があることでもございまするし、適当ではないのではなかろうか、かような判断に到達いたしておるわけでございます。ただし、先般来御指摘のように、その調査のために国民に不当な迷惑をかけるということは、これは大へん国民に対して申しわけのないところもございまするし、従来税務調査にあたりましてはできるだけ国民に迷惑をかけないようにということを指示して参っておったところでございますけれども、御指摘のような点もあるやにも伺いますから、なお一段と、国民に対して不当に迷惑をかけないようにということにつきましては、十分な示達をいたして参りたい、かような点でございまして、あるいははなはだこれは御指摘の常識が行き届かぬ点があるかもしれませんが、どうかさような点で御了承いただきたいと存ずる次第であります。
○横山委員 全然これは了承するわけには参りません。私がこういう点を申し上げておりますのは、もう長年にわたって主張しておる基盤があります。それは、税務行政の中から権力的なものを少しずつチェックすべきだ、それによって一そう合理的な民主的な徴税制度に移行すべきだというかたい私どもの信念、これは何も私が申し上げるまでもなく、与野党にわたって税の執行に関する小委員会の結論でもあったわけであります。今私が提案しておる基幹調査そのものはこの根底から出ておるものであり、同時に、そのこと自身を判断しても、あなたの慎重な検討をなさった結果であるにしては、いささか私は的はずれなお答えだと思うのです。しかし、念のためにお伺いをいたしますが、納税者に迷惑のかからないように今後やるというのは、具体的にはどういうことを意味しておるのか伺いたい。長官でけっこうです。
○原政府委員 納税者に迷惑のかからないようにやるといいますのは、具体的な場合に応じましていろいろと態様は変わると思いますが、この基幹調査というようなものについての問題をめぐって申し上げますれば、この基幹調査はある数の納税者について深度の深い調査をするということでありますので、やはり調査の日数も通常の調査よりも多くなるということになりますから、そういう際には、お店ならばお店の仕事のじゃまをなるべくしないように十分気を配るということが第一でありますし、また、調査をしていきまして、記帳の状況とその他から見て早く結論が出る場合と、なかなか記帳が整理されてなくて時間がかかる場合とがございますが、それぞれ必要な最小限の時間で切り上げるというような配意をすることがあると思います。その他、お客さん方に与える印象といいますか、そういうようなことについても十分気をつけて挙措をとるというようなことは日常言うておることでございますが、およそ基幹調査関係としてはそんなようなことが主たることとして私思いつくことでございます。なおまた十分注意いたしまして、注意すべき点があればつけ加えて注意いたして参りたいと思っております。
○横山委員 始めるにあたって基幹調査であるということを納税者に明示すべきである。それから納税者がそれに対して拒否権を持つべきである。拒否権というのが強い言葉であるならば、少なくとも最低線、納税者の意見を尊重すべきである。この週は困るとか、今月は困るとか、商売に非常に差しさわって困るとかいうような意見を尊重すべきである。私はその限界は拒否権を持つべきであるというのでありますが、その二点についての御意見を伺いたい。
○原政府委員 調査に行きました場合に、お宅は何調査ですよと言うのは私は必ずしも適当とも思われない。基幹調査といいましても、お宅は基幹調査をやりますよと言っても、納税者は百人が百人私はわからぬだろうと思うのです。その種のことをやるのだということになると、これはどうも脱漏が大きいというので、例の特調あるいは精密調査というような言葉も使いますが、行って、お宅は特調ですと言って、頭から何ですかと聞かれると、いや、お宅は怪しいから、うんと抜けていると思うから調べるのだというようなことは、ちょっと言いにくいと思うのです。およそそういうのは、税法の規定に基づいて調べるのに、簡単に調べる場合もあり、深度を深く調べる場合もある。従って今のは基幹調査ですと言うのはどうも不適じゃないか。ただ、今回は少し深く調べさしていただきますから、若干日数がかかりますよというようなごあいさつはすべきだろうと思いますから、それはさせたいと思います。それが第一点のお答えであります。 なお、その場合に、納税者が拒否権などといわれると実は困るのでございますが、ただ納税者が、うちはこういう事情だ——たとえばいろんななにがありましょう。営業上の場合もありましょうし、奥向きの用事の場合もありましょう。そういうような話があった場合に、それを伺って十分尊重するというようなことは、一般の心がまえとしてあってしかるべきだというふうに私は考えております。特調というようなもので、非常に疑わしいというような納税者の場合には、率直に申してある程度現場の証拠となるものを保全さしていただかなければならぬことはありますが、基幹調査で一般的に深度のあるものをやろうというような場合に、そういうような話がありますれば、それは具体的な事情に応じて日を延ばすなり何なりを考えるということはある方が穏当だと思います。ただくれぐれも一つ、拒否権というようなことはおっしゃらぬでいただきたいというふうに思います。
○横山委員 きょうのところは、私は、私の主張に対してあなたが御賛成をなさらずに、まあしかし国税庁として多少わからぬでもないから、これだけのことはやるというふうに言明なさったことを了といたします。そのかわり、それをぜひ一つ徹底さしていただく手段をとってもらいたいと思います。 ただ、私がこの際申し上げておきたいのは、きのうからきょうにかけて原さんの御答弁の端々に、基幹調査であるということを明示する必要はないという意見があります。どうにもこれには私は納得できません。これは徴税の根本に触れる思想の問題だと思うのであります。私が基幹調査を例にとっておりますのは、納税者は疑われるべき筋合いの問題はない、あなたの方もそこの納税者を疑っているのではない、こういう点についてはあなたと私と意見が一致しております。けれども、私の立場とあなたの立場と違うのは、あなたは、納税者というものは白か黒かわからぬからということと、もう一つは、税務署はそういうことをやる権利があり、納税者はそれを拒否する権利はない、こういう感覚であります。この感覚に私はどうしても承知できないものを持っておるのです。きのう申し上げたように、税法はそのままで四千億に余る自然増収があるというのです。これが実現いたしますためには、税務職員は相当の馬力をかけなければならぬということは、私は火を見るよりも明らかだと思う。それは、税務職員としては、お宅はこれだけもうかっているのですから、これだけお出しになるのはあたりまえですというふうになる。けれども、納税者としてはまた別な立場で、そんなにもうかっていません——ことしと去年と四千億の開きがあるのですから、その四千億の開きを国税庁が徴税機構で徴収をいたしますためのトラブルというものは、私は各所にあると思う。いわんや明年度の経済は下半期において悪くなるのでありますから、国税庁の立場としては、去年もうかっておったのですから、ことしも上半期これだけいいのですからという立場がある。出す方としては、今もうかっていないのですよ、これからももうからないのですよと言う。その立場のギャップもまた埋め切れないと私は思う。そうすると、四千億になんなんとする自然増収がいかにして民主的に徴税できるかということは、私は明年度きわめて重大な問題があると思う。 先ほど、委員長から、税に関する質問のきめもなかなかこまかくなったのであるから、この際一つ税の徴収に関する小委員会を作ってどうこうという非公式な御意見がございましたが、私ども賛成でございます。この際その小委員会において議論すべき問題は、いかにして今の徴税機構の権力的な要素を払拭して、より合理的、より民主的にするかということに基盤を置きたいと思う。この点については、国税庁長官としても、一つものの考え方をそこにしっかりと据えて、これがどこまでできるかについては論争の問題はあるとしても、ものの考え方としてはその方向に向けてもらわなければ、私はだめだと思う。もし、そういうやり方によって、きのう私が例を申し上げたように、特定調査方式なり、あるいは重点調査方式なり、基幹調査方式なり、循環調査方式なり、人が足らぬからそういうふうにやらざるを得ないというなら、人をふやすことにお互いに与野党とも重点を置こうではありませんか。そうして当面の税が民主的に公平に取られるように、この際国税庁としてもまた大蔵省としても御協力を願いたいと思う。人が足らぬからどうしても権力的なやり方におもねる、あるいはめんどうくさいから、疑いも十分にないところへ飛び込んでいって、基幹調査とも言わずに深度の深いやつをどんとやるというやり方は、徴税機構の乱用だ、質問検査権の乱用だと私はきのうから言っておるのであります。この小委員会を明日の理事会で御相談することになると思うのでありますが、発足するにあたって、長官として私どもの考え方に御同意を下さるかどうか、お考えを承りたいと思います。
○原政府委員 税務行政を極力権力的なものでないように持っていくということについては全然同感であります。昨日も申し上げましたように、私は私としての、職員に教える三つの柱の一つとして、もう一分でも一厘でも税務署の敷居は低くして納税者に接するようにということを申しております。これは言葉は非常に象徴的な言葉でありますけれども、横山委員の言われる権力的なにおいを極力払拭していくようにということでありますので、その気持においては全然私は同感する次第であります。 なお、各般の調査を限りある職員の数と時間とをもって処理いたしますについて、やはり十分なる調査を納税者の全部について毎年行なうということは一つの理想かもしれませんが、あるいはそれは少し理想でないかもしれぬという面も私は考えております。というのは、毎年々々徹底した調査を行なわれなければ結論が正しく出ないようでは、先ほど堀委員の御質問にもありましたけれども、申告納税制度の基盤いずこにありやということにもなるのであって、私どもは、やはり、なるべく納税者の多くの部分が、私どもが何も申さないでも、正しい申告が出る納税者になっていただきたい。それができた暁に、初めて日本はりっぱな申告納税国家と言えるのであって、ですから、私どもは、むしろこの調査省略のできる納税者がなるべく多くなるようにという要請も一方に含んで持っている。従って、一方で深度の深い調査もいたしますが、その調査は決して納税者を痛めるとかなんとかいう気持でなくて、願わくは納税者がそういう調査をしないでもきちんと申告して下さるようになるようにという気持でやっておりますので、やはりだんだんと毎年の努力の際にいろいろな調査が組み合わさって参るということになろうかと思います。ただ横山先生の言われる権力的なものをなくするようにという意味での配慮を、そういう調査の組み合わせなりやり方なりについてとることは非常に重要なことと思いますので、私どももなお十分工夫いたしたいと思いまするし、また小委員会において、いろいろお尋ねに応じ私どもの工夫なり考えなりを申し上げて参りたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
○横山委員 それでは、私の質問はこれで終わりたいと思いますが、別途一つ御提出を願いたいのは、本委員会が先年いたしました徴収に関する小委員会の中間報告、あれを出しましてから、二、三年になりますが、その中間報告についてどういう措置がその後とられたかという問題について、まず資料をお願いをいたしたいと思います。 それから、業務運営方針書というのは、年のいつごろ出るのでしょうか。もう出ていますか。
○原政府委員 まだでございます。新年度の始まる直前くらいに出すのが通例であります。
○横山委員 それでは、参考のために、去年の分が余っておりましたら配付を願います。
○石村委員 ちょっと関連。 先ほどから税務行政について権力的な点を是正していくというようなお話があって、非常に長官もそのことを認めていらっしゃるようですが、その税務行政の中から権力的な徴税ということをなくする一つの前提は、税務署の方々が責任を負うということだと思います。こう申し上げると、あるいは何のことかわからぬとおっしゃるかもしれませんが、いろいろ実際のことを聞いてみますと、納税者と税務署は、いろいろ帳簿なり何なり、やり方、税金の出し方について、いろいろな相談をしょっちゅうして、やっているわけであります。ところが、係官は一年か二年かでおかわりになる。かわられたあとの係官が何かごきげんを損じると、前の係官が認めた、そんならそういうことでいこう、こうしようというようなことを、全然そんなものは法規ではっきりきまっておることじゃない、そんなものはおれは認めぬぞと言って、三カ年にさかのぼって税金を取るというおどしを事実しきりにやっているのですよ。納税者の方から見れば、何もおれは帳簿をごまかして二重帳簿を作ってこんなことをしたのではない、明らかにこれはこうだ、このときの取り扱いは、どうしようか、こう見ようかと相談をして、それでよろしいと言ってやってこられたことを、あとの係官のきげんが悪くなったら、もう前のそんなことは知ったことじゃない、さかのぼって取る、こういうやり方、こういう前任者と後任者と法律的にどういうなにがあるか知りませんが、いやしくも税務署として一応認めたことは責任を持っていただきたい。それを、あとの者が、法規で、その解釈はどっちでもなることだ、おれはそのように解釈しないのだと言って、さかのぼって取るぞという態度を今日現にとっておられるのです。おそらく長官はそんな非常識なことはないだろうくらいに考えていらっしゃるかもしれませんが、とかく凡夫の常と申しますか、権力を持っておる者は何かといえば振り回したくなるものです。だから、税務署官吏の方々もよほど反省を常にしなければならぬことだと思います。つまり根本的に税務署としての責任を負うのだ、一たん認めたことは、それは二重帳簿を作ってごまかされたというなら全然別です。しかし、ちゃんとした書類を出して、そしてそれはこうだろう、ああだろうと判定してやったことは、あるいは後任者の目から見ればルーズな点があったかもしれない、甘い点があったかもしれないが、一たん税務署としてそれを認めた以上は、責任を負って、将来の問題は将来として話し合いをする、そういう態度に出るということが絶対に必要だと思うのです。これをさかのぼってやってもかまわぬという考えがある以上、いつまでたったって権力的な徴税というものはなくならぬと思う。この点に対する長官としてのお考え、御意見を聞かせていただきたいと思います。
○原政府委員 具体的な場合に若干例外的なことはあると思いますが、概して申しておっしゃる通りだと私は思います。そういうことはないようにするような努力を私はしたいと思います。 ————◇—————
○足立委員長 この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。 今回の雪害についてその被害状況を調査するため、現地に委員を派遣することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○足立委員長 御異議なしと認めます。 なお、その手続等については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○足立委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次会は明九日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時二十三分散会