商工委員会科学技術振興対策特別委員会連合審査会 第2号
- 発言数
- 92 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/04/05
会議録
○山口委員長 これより商工委員会、科学技術振興対策特別委員会連合審査会を開会いたします。 商工委員長と協議の結果、私が本連合審査会の委員長の職務を行ないますので御了承をお願いいたします。 鉱工業技術研究組合法案及び新技術開発事業団法案の両案を一括して審議を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。田中武夫君。
○田中(武)委員 総理も御承知のことと思いますが、ただいま議案になりました二つの法案、すなわち新技術開発事業団法、これが科学技術振興対策特別委員会にかかっております。一方鉱工業技術研究組合法案が通産省提出で、これが商工委員会にかかっております。この両案は、われわれ考えたところ、両委員会にと申しますか、科学技術庁及び通産省に大きな関係がある。こういうところから、先日連合審査を行なったわけであります。その連合審査の席上で、実は椎名通産大臣と池田国務大臣の所管に対する御見解が若干食い違ったわけであります。そとで総理に来ていただいて、その点について調整を願いたい、こう考えて総理の御出席を願ったわけであります。すなわち、新技術開発事業団法は御承知の通り試験研究の成果で企業化せられていないもの、これを企業的規模になるように企業化するところまで持っていこう。そういうことをやろうとする事業団であります。一方は試験研究の結果を管理し云々というのを目的とする研究組合であります。われわれ常識的に考えておりますことは、科学技術庁とかあるいは経済企画庁とかいう官庁は、一方は経済で、一方は技術におきまして科学技術の総合調整、これを主たる任務とする官庁であろうと考えております。現に科学技術庁設置法の第三条には、「科学技術庁は、科学技術の振興を図り」云々となっておりまして、これらの行政を総合的に推進することを主たる任務とする、こううたってありますし、それから四条の十二号には、科学技術に関する行政の事務の総合調整を行なうのだ。こういうことも響いてあり、第八条の三号のカッコの中には、他の官庁に属する所管のものは除く、こういうようになっておるわけであります。こういう点から考えまして、今問題になっております新技術開発事業団が行なおうとするところは、経済的規模において企業として成り立つところまで持っていくのだ。こういうことはすでに事業の実施を前提としておる。そこでこういうのは通産省で行なうべきじゃないか、こう考える。一方また鉱工業技術研究組合法は、技術の試験研究の結果の管理といったような問題であるから、こんなものこそむしろ技術庁でやるべきじゃないか、こう考えておるわけです。そのことについて両大臣に質問いたしましたところ相当食い違いました。そこで大臣、まず第一に科学技術庁とか経済企画庁とかいうこの官庁の任務と、それに関連する事業を実施するところのそれぞれの官庁との関係、こういうことについてどのように考えておられますか。それから両大臣の所管についての意見の食い違い、これについて総理として、どのように謝整せられますか、その点をお伺いいたします。
○池田(勇)国務大臣 まず両大臣の意見の違いは、実はまだ速記を見ておりませんので、どういう違いかわかりませんが、聞くところによりますと、言葉が少し足らぬ点があったのではないかと思います。従いまして、私はこういうことに不得手でございますが、もし私の答えで御納得いけば、それで御了承願いたいと思います。 まず科学技術庁のできました由来は、やはり科学技術の重要性にかんがみまして、日本の技術庁をもっとより高度にするために、今まで各省でやっておったものの総合調整をするということが、科学技術庁本来の目的でございます。しこうしてある事業にいたしまして、たとえば原子力の問題、あるいは航空機の問題、また金属材料の問題等は事柄が総合的の技術でございますので、そしてまた新しい関係もありまして、その三つの点は特に科学技術庁でやる。しかし本来のものは、やはり各省で持っておりますところの技術の総合調整ということが、本来の目的であると思うのであります。従いましてこういう意味において、今の新技術開発事業団、こういうものは各方面にわたる新技術で企業化していない、これに対しまして政府が資金を融通してやる事業は、これはやはり科学技術庁に置くのが私は本筋だと思います。 それから片一方の鉱工業技術研究組合は、もう相当の技術を持っておる各業者が自分らの技術につきまして他の関係の業者と組合を作ってやる、こういうことにつきましては具体的な問題でございますので、科学技術庁がやるのが本筋である。しかもこの鉱工業の技術研究は、その大部分といっていいくらいのものが通産省所管でございますから、一応主務大臣は通産相にして、また工業のうちでも医薬の関係とか、あるいは造船業、あるいは食品関係というものにつきましては主管の大臣がございますから、そういう他の省の所管に属するものはその農林大臣、厚生大臣、あるいは運輸大臣等がやる、こういう建前でいくのが至当ではないかと私は考えているのであります。
○田中(武)委員 総理は一方は科学技術庁、一方は通産省、こういうことで、すでに法が出ているからそれに合うような答弁をなされたと思うのです。実際はそういうことではなく、この両案がそういう格好で出てきたのは、過去のいきさつすなわち新技術開発事業団の方は理化学研究所の開発部門がやっておったのを独立さしてやろう、理化学研究所は従来科学技術庁の所管であった。一方研究組合――現在任意的なものが二十ばかりあるそうですが、その世話を工業技術院でやっておったから、こういうところからむしろ設置法の理論とかそういうことを離れまして、過去のいきさつと各官庁のいわゆるなわ張り争い、こういうところからそういう格好が出てきたと思う。現にたとえば低開発地域工業開発促進法ですか、これが現在経済企画庁から出てきております。商工委員会に今付託になっておるのですが、これに対しましても、自治省の立場から、あるいはまた建設省の立場から、それぞれ同じような目的を持つ法案が用意されておる。その調整がいまだにつきかねるということを聞いている。従ってそういった過去のいきさつについて、あるいは各官庁のなわ張り争い、こういうことと離れて、現に規定せられておる行政組織法に基づいて行政の一元化のために、その調整をしていかなければならぬ、こう考えるわけですが、さらにお伺いいたしたいのは、そういう過去のいきさつということとは別に、総理のお立場からそういった各省にいろいろ関係のあるものを、どういうように調整していくか、行政一元化についてどのように考えておられるか、お伺いいたします。
○池田(勇)国務大臣 行政の一元化ということももちろん必要でございますけれども、過去の機構その他をぶちこわしてしまうということも、これは行政上いかがなものかと思います。従いまして事情の変更に即応いたしまして、なるべく有機的に能率が上がるようなことでいかなければならぬ。一元化というのは名前はよろしゅうございますけれども、必ずしも能率的によくない場合もあります。やはりこういう行政というのは、過去の機構、人的配置等も考えなければならないので、私は一元化の必要の場合におきましては、それに向かって努力いたしますが、過去の事実、機構も考慮していかなければならぬと思っております。
○田中(武)委員 その過去がかりに誤りであったとして――当時誤りではなかったが、現在ではそれをこちらの方へ入れる方が正しい、こういうのがたくさんあります。そういうのもやはり過去の因縁にとらわれて、そうしてそのまま間違ったあるいは現在の状態にそぐわない、こういう状態をまだそのまま続けていかれる、こういうことをお認めになったような答弁と聞きますが、それでよろしいのですか。
○池田(勇)国務大臣 過去の事実を認めながら事情の変化によって改善していく、こういうことであります。一ぺんに理屈がこうだからというわけにはなかなかいかない。方向はおっしゃる通り一元化で高能率が第一でございます。
○田中(武)委員 そういたしますと、今申し上げている新技術開発事業団でありますが、理化学研究所の開発部の過去の数年間の実績を見ましても、そのやっておる八割以上は鉱工業関係であります。しかもそれは企業化せられていないものを事業化するまで持っていこうというわけです。そこには事業所管の各官庁があるわけです。しかもそれがいく過程においていろいろの行政措置が必要であります。たとえば研究費の交付だとか、あるいはまた融資のあっせんだとか、あるいはまたいろいろなことに対する許可認可という承認の問題等、これは事業所管省にあるわけです。この法律の建前からいえば総理の所管になっておりまして、そうして一括して科学技術庁長官に委任するという格好がとられております。そこで私はむしろそういうことによって、今総理のおっしゃっておるかえって能率を阻害する、各官庁の中においてそれぞれのセクト争いが出てくる。そこでむしろそういうことに委任せられるときに、適当な事業所管の方へ委任する、そういうような方向がいいのではないか、このように考えるのですが、いかがでございましょう。
○池田(勇)国務大臣 御質問の点が私の頭にはっきり入らないのですが、新技術開発事業団、これは理研でやっておったことと思いますが、これを科学技術庁がやっていけないということはないと思います。科学技術庁がやってけっこうだと思います。ただその間におきまして技術が育成し独立するというときに、関係各省との関係が起きて参りますが、それは同じ内閣のことでございますから、その連絡調整は十分つけていくべきだと考えております。
○田中(武)委員 もう少し具体的に申しますと、いわゆる試験研究の結果まだ企業化せられていない、それを経済的規模にまで持っていく。すなわち企業化するための事業をやろうとするのがこの事業団であります。そうしてそれが事業化せられたときには、当然事業所管省に移るわけです。その間にいろいろとそれに付随するところの行政措置が必要であります。そういうことは全部事業所管省がやることになっておる。そういう建前から見て、最初から事業所管省の方へ、技術の研究じゃなく企業化が目的なんですから、の所管省の方へ総理の方から委任するという格好をとる方がスムーズにいくのではないか、こう言っているわけです。
○池田(正)国務大臣 これは私から申し上げた方がいいかと思います。事業団がいわゆる研究の段階から企業の段階までの中間、これを扱う。その間においては行政措置を必要とすることは生じてこないのであります。企業化するという目標ができて、そこで初めてこれをどこの会社でやらす、あるいはどこでやらすということになりますと、そこで初めて行政措置が必要になり、補助金あるいはいろいろの面が出てくる。それをどこの役所で扱うか。それは主として通産省の場合が多いでありましょう。しかし農林省や運輸省、その他各省の場合が出てくるわけであります。それまでの段階を私どもの方でやっていく、こういうことでございます。だから途中で行政措置の必要が生ずるということはあり得ない、これははっきり申し上げておきます。
○田中(武)委員 たとえば試験研究の補助金の交付、試験研究設備の特別償却承認、こういうのは全部科学技術庁でおやりになるのですか。
○池田(正)国務大臣 これは田中委員がどういうふうに御理解になっているか、とにかく一つの研究テーマができ上がって特許ができた、研究過程においては成功した、これを企業化するためには危険があるから事業家はよう手を出さない。そこで国家が、事業団がそれにかわってこれを企業化まで持っていって、これで企業化ができるという段階になればそこで事業団は手を引くのであります。その上で初めて事業家がこれを事業化するのでありますから、その中間においての費用は事業団がこれを負担いたしますから、その段階においては補助金とかそういう問題は出てこない、こういうことでございます。
○田中(武)委員 企業化のための委託を受ける受託者は、それぞれの所管庁で所管せられており、それぞれの所管庁からの行政上の指導監督に服するわけで、その過程において、所管庁の行政措置、たとえば試験研究設備の償却とかいろいろなものがあるでしょう。その承認なんかはどこがやるのかというのです。
○林(修)政府委員 今の御質問でございますが、この新技術開発事業団は、ごらんになりますと、今科学技術庁長官が御答弁になりましたように、企業等に新技術の開発の委託を実施する場合のことにつきましては、三十条で委託する場合には、関係の主務大臣と協議することになっているわけでございます。今の御質問の趣旨は、事業団と直接関係のない、つまり各種の企業に対して補助金を交付するとか、あるいは今の特別償却の認可という問題だと思いますが、これは御承知の通りに、いろいろの法律で補助金は、結局科学技術庁が科学技術関係のものは総合調整しておりますけれども、私はたしか各省で出しているのではないかと思うわけであります。 それからもう一つの減価償却の問題は、企業合理化促進法とか、ああいう特別の法律でそれぞれの主務官庁の承認を受けたものをいわゆる税の特別免除などをする、こういうことになっておるわけであります。
○田中(武)委員 そのように、やはり事業化し、企業化してから先は、その企業において経済ベースで生産を続けるわけなんです。そこまでのことだけをやるのだというけれども、結局は企業化ということは、それを事業としてやるということなんです。その事業としてやるというので受託する。それを委託せられたところの企業は、事業所管庁において所管しておるわけであります。従って一連の行政措置とその関連を考えた場合には、まず科学技術庁長官に総理が委任をして、それから各所管大臣ということであるよりも、それぞれの企業を管理する事業官庁の方へ総理が委託するという方法の方が手数がなくていいのではないか、このように考えるので申し上げているわけなんです。先ほども総理からちょっと御答弁願いましたが、私はそういった行政措置との一体的な関連において、いわゆる行政の一元化という問題と考えあわせて、そういう事業所管官庁と、経済企画庁とかあるいは科学技術庁とかいったような、それの総合調整を主とする官庁との所管を、もう一度はっきりと大臣はどういう方針の上においてやられるかということを言っていただきたい。それと同時に、たとえば本年度の科学技術研究費、これが総額で二百七十六億九千万円と出ております。ところがそれがたくさんの官庁に分かれていっておるわけですね。たとえば二百七十六億九千万円のうち、通産省関係を見ると五十億二千万、そういうように科学研究費がいろいろの官庁に分かれて出ておるという面も出てくるわけです。そういうような点と考えあわせて、こういった総合調整を主とする官庁と、実際的な事業を所管する官庁との関係及びそれらの予算、今申しました科学技術振興費等々のつけ方をどう考えておるか、もう一度お伺いいたします。
○池田(勇)国務大臣 科学技術庁が新技術開発事業団というものを所管するのは、企業になるまでの試験研究をやるのでございまして、私は科学技術庁がやってしかるべしと考えております。なおお話の通り、二百数十億の科学技術研究費というものが出ておりますが、これを一まとめにしようといっても、なかなかこれはむずかしいことでございます。従来から問題になっておりまする通産省の工業技術院と科学技術庁をどうしようかという問題につきましては、自分も所管大臣のときに考えましたが、やはり先ほど来申し上げておりますように、歴史というものもあり、人的構成その他各般の事情がございますので、私は将来はいざ知らず、今のところは科学技術庁が各省の技術の調整をやるという役割をもちまして、各省間の技術の調整または連絡をすることが、今の場合は適当である。しかし有機的にほんとうに個々の能率につきましてのあり方につきましては、研究を続けていきたいと思います。
○田中(武)委員 私が今お伺いしておるのは当面の問題より一歩進めて、各省の所管ということについて行政の一元化、こういう点について大臣の今後の方針を聞きたい、こう申し上げておるわけです。私たちの見るところでは、各省の所管は行政組織法によって定まるのではなくて、過去のいきさつ、その所管を扱っておるところの官僚のなわ張り争い、ないしは閣僚間における心臓の強い大臣と心臓の弱い大臣との間において、結局心臓の強い方が持って帰る、こういうようなおそれがあるように思うから申し上げておるわけです。そこで総理としては、そういうことに対して、どういう方針で今後はっきりと所管をきめていき、そういう各省間のあつれきといいますか、なわ張り争い、あるいは大臣のそれぞれの所管争い、こういうことについての調整、これについての今後の所見を伺います。
○池田(勇)国務大臣 数十年の歴史を持って進んできているものを、縦割り一本でいくか横割りにするかということにつきましては、やはり今まで動いておる機能をとめるというわけにいきません。そういう点よほど考えなければならぬかと思います。それからまた各既設の事業につきましても、事情の変化におきまして所をかえることも考えなければなりますまい。また新設のものにつきましてもなわ張り争いがある、こういうお話でございますが、やはり自分の仕事に熱心なあまりいろいろの論争が行なわれることは、これは事実でございます。しかしそこはやはり閣議できめますので、私が責任を持ちまして、適当な、これが一番いいというところにきめることにいたしておるのであります。
○池田(正)国務大臣 ただいまの問題は非常に大事な問題でございまして、私も就任以来いろいろ検討いたして参りました。今田中委員から仰せられたような複雑な様相も出てきております。これはひとえに日本の産業経済が急送に伸展して複雑化したという面も一つの大きな要因でございます。そこで私がこう見ておりますと、私の狭い見解では、現在の姿がこのまま永久にいっていいかどうかということになりますと、これは疑問だと思います。すなわち研究機関というものは、せっかくその時代の要請によって科学技術庁というものができたのでございますから、そこに統合するのが本筋ではないかという御議論もあります。それからまた、今総理が言われたように、今までの伝統その他もありますので、従来のように通産省あるいは運輸省というところに、それぞれの研究機関をそのまま残す方がいいという議論もあるでありましょう。しかし何と申しましても、たとえばイギリスあたりでやっておりますように、国家の研究機関というものを全部統括いたしまして、一つのデパートメントを作っておるというような形が望ましいのではないか。しかしながら、そこにすぐ一足飛びにいけるかというと、そうはいかない。今総理から言われたように、一足飛びにいきますと、かえってそれが停止したり、停滞したり、摩擦を生じたり、そのためにせっかくのいい案であっても、かえって途中でそういう障害が出てくるということも、実際政治を担当する者としては考えなければなりません。従って、どんないい理想がありましても、そこにすぐ一足飛びにいかなければならぬということではないのでありますけれども、一つの理想としては、日本の現在の研究機関というものはやはり一本の姿にして、一つのデパートメントを作っていくということが望ましいのではないか。これは私個人の意見でありますから、内閣の決定した意見ではございませんが、科学技術庁長官としての意見であります。そういう意味で、そういうふうに考えております。 特に、これは大事なことですから御参考までに申し上げますが、私の実感です。実はこの間、新聞で御承知だと思いますけれども、静岡県の地すべりに、私は各省の最高技術者を帯同いたしまして参りました。あれは林野庁及び建設省、運輸省、各省にまたがっております。それらの最高技術者を私は帯同いたしまして参りました。ところが、地すべりは御承知のように地下水が流れてきたり、あるいはわいてきたり、そういう現象から起こってくる。そこで、私はアイソトープを使ったらどうだと言いましたところが、建設省も鉄道も農林省もアイソトープを使うことを――建設省には土木研究所があり、アイソトープの研究をやっております。農林省も同様であります。にもかかわらず、研究所は研究所で勝手にやっておりますから、行政の中枢部にあり、しかも専門家でありますけれども、アイソトープの知識がないから、これをあえて使おうとしない。なるほどこれではだめだ。やはり一体化したデパートメントを作って総合的にやらなければ、各研究所にそれぞれの研究機関を持たしておっても、有機的に働くことができないのだということを、私は実に痛感したのであります。だからといって、今すぐそれをやるということでは絶対にないので、総理が言われたように、摩擦その他も十分勘案しながら、将来どういう方向に持っていくか。これは御参考までに、私は一つのアイデアとして申し上げておきます。
○田中(武)委員 池田国務大臣が今いろいろとおっしゃいました中に、例をイギリスにとられました。私が質問をしておるのもそうなんです。たとえばこの二つの法案にいたしましても、イギリスの例から見れば全く所管が逆になっておる。だから申し上げておるわけです。 この問題だけやっておっても、総理の時間の関係もありますから、要は総理として、各所管庁の官僚さんたちの縄張り争いというようなものとか過去のいきさつ、こういうことだけにとらわれずに、現時限にあってどうした方がいいのか、ことにそれぞれの官庁に対する設置法、行政組織法がありますから、そういう面から明快に一つ判断を下してやっていただきたい、そういうことを希望いたしておきます。 この際でございますので、ついでに一つ総理にお伺いいたしたいのですが、先ほどもちょっと触れましたが、本年度の科学技術振興費は二百七十六億九千万円、昨年に比べて二二%ですか多くなっております。しかしこれを各国に見ました場合に、これは科学技術庁の調査でございますが、当該年度は一年くらい食い違っているのがあります。しかしそれを一緒にして申し上げますが、国民所得と予算における科学技術研究費、これがアメリカにおきましては三・一%、イギリスが二%、フランスでは二・二%、西ドイツでは一・二%、これに対して日本はまだ一%にも達していない、〇・九%であります。こういう点からごらんになって、今後科学技術振興という点について、ことに日本の現在の企業は外国の技術提携、技術輸入ということで相当な金を外国へ出しております。こういう国際的な、あるいは国際収支の面からいっても、そのために特許料として払う金が、あるいは技術提携のために払っている金が相当な金額になっている。しかも現在では出産に対する何%という特許料の支払い、使用料の支払い、こういうことが企業にも一つの大きな負担になっております。こう考えて参りましたときには科学技術の振興こそ、所得増倍計画を立てておられる池田内閣において、これから大いにやってもらわなければならぬと思うのですが、こういう予算について今後国民総所得との関係において何%ぐらいが望ましいか、各国の例と見比べて一つ御答弁願いたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 科学技術の振興は産業の母でございます。これはぜひとも力を入れなければなりません。その意味において過去数年間、できるだけの努力はいたしてきておるのであります。またこれは予算面ばかりでなしに、一般経済界の各企業体も、これに向かって相当出す機運に向いてきておるのであります。従いまして税法上におましても、これをできるだけ損費算入の方に持っていくように努力いたしております。 将来の問題といたしましては、先ほど申し上げましたごとく科学技術の振興は産業の母でございます。できるだけの努力をいたしたいと思います。ただ国民所得の何%というようなことでなしに、私はできるだけたくさん出したい。しかし御承知の通り社会保障もいろいろな支出も要りますので、最大の努力をこの方面に注ぎたいということで御了承願いたいと思います。
○田中(武)委員 数字に強い総理でございますから、やはり数字でお答え願った方がいいかと思うのですが、今申し上げましたようにアメリカでは国民総所得に対して三%以上、どこも二%程度出しておる。ところが日本はいまだ一%にも達しない。従って所得倍増計画等でなかなか威勢のいいことを言っておられるのですが、国民総所得と科学技術の振興費、これはどういう状態に渇いたらいいのか、たとえば一%とか二%とかはっきりとは言えないですが、諸外国の例から考えてどの程度が正しいか、そういうことは数字に強い総理ですから数字的にお答え願いたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 こういうものは数字の問題ではございません。考え方の問題だと私は思います。過去の事実その他のものについては、実績は数字で表わしていきますが、将来のことは心がまえの問題で、それから何%と申しましても、それは国によってよほど違っておる。こういうものは先進国ほど多いのじゃないかと思います。われわれも先進国になりたい、こういうことで技術方面には、国が栄えると同時にその割合をどんどんふやしていこう、こういう考えであります。
○山口委員長 田中委員に申し上げますが、質疑者も残っておりますので簡潔にお願いいたします。
○田中(武)委員 委員長から今のような御催促がありましたから、まだあとあるのですがこの程度にいたしますが、研究費については考え方の問題だが、今までその考え方が、あまり科学技術に力を入れてなかった、こういうところで日本は相当の損をしておる、こういうように思いますので、数字で何%ということが適当でなければ、その考え方について総理が今後ますます科学技術の振興、しかもこれが先ほど申しました日本が外国技術の導入に対する支払いをやっておる、こういうような点から強く要望いたしておきます。 それからこの際ですから、同じ池田内閣の閣僚間で意見の食い違っておるもう一つの問題について、これも時間の関係で簡単に総理からお答え願いたいと思いますが、実は国民所得倍増計画で経済審議会の答申もなされておりますが、この計画を実施する上においては十七万人の技術者が不足する。こういうように経済審議会の答申にも出ております。この問題に対しまして科学技術庁長官の立場から、池田国務大臣が科学技術庁設置法十一条三項に基づいた勧告を文部大臣になされたことは総理も御承知であろうと思う。この問題をめぐりまして三月十五日の文教委員会、あるいは四月一日ですか、前の土曜日の科学技術特別委員会と文教委員会の連合審査等においてこの問題が取り上げられたわけでございますが、文部大臣と池田科学技術庁長官との間には依然として意見が食い違ったままになっております。そこでこの両大臣の意見の食い違いに対しましても、総理としてどのように調整せられ、どう考えておられるか、これをお伺いしたいのであります。まず十一条三項に基づいて池田国務大臣が文部大臣に勧告をしておられます。このことは総理御承知でしょうか。
○池田(勇)国務大臣 新聞にありましたが、それは閣議にかかっておりませんから……。
○田中(武)委員 との勧告からのいろいろの意見が先ほど申しました委員会における両大臣の答弁の食い違いを簡単に申し上げると、その十七万人の不足の技術者を直ちに作るようにといいますか、できるように今からやれ、こういう池田国務大臣の主張に対しまして、文部大臣は来年からぼつぼつやりましょうというようなこと、文部大臣の言っておるところを見ると、今後大学の理工科関係の卒業者、これをもって考えましても七万人、そうすると十万人不足するわけです。しかもなお進んで議論をしておると、どうやらその七万人というものも怪しくて、先日池田国務大臣は三万か四万だ、こうなるとますます十七万人を確保するためには幅が出てくるわけなんです。この両大臣の論争を今ここで叫び復習しようとは思いませんが、所得倍増計画と経済審議会が答申をしておる十七万人の技術者の不足、これに関連いたしまして総理といたしましてはその確保のために、どのような措置を考えておられるか、なお科学技術庁設置法の十一条の主項によって、先ほど言ったように池田国務大臣は文部大臣に勧告せられた。そうして四項で科学技術庁長官は勧告に基づいた措置を相手方の大臣から受け取ることになっておる。そういう報告を正式に求められたか。五項で総理大臣に、勧告した内容について、特に必要があると認めるときは、内閣総理大臣に対し当該事項について内閣法第六条の規定による措置がとられるよう意見を具申することができる。こういうことになっておる。それに対して、池田長官の方は、総理に対して十一条五項による意見具申をせられるという考え方があるのかどうか、そのことについて、両大臣に、総理大臣、池田国務大臣にお伺いします。
○池田(勇)国務大臣 科学技術会議の決議につきましては、梶井、茅両委員から、私は報告を受けました。技術者が十七万人、技能者が四十数万人ぜひ必要だということであります。御承知の通り、技術者の養成は、これは一朝一夕でできるわけのものではございません。私は科学技術会議の決議を尊重いたしまして、できるだけ早い機会に必要な技術者を養成しようと努力しておるのであります。ただ御承知の通り、所得倍増計画は、何も年次計画はございません。十年間にできるだけ早く技術者養成をやる、しかしこの技術者というものは、施設の関係、また教員の関係その他いろんな点がございますので、今直ちにどうこうということはあれなんで、私はだんだんやっていくよりほかにないと思います。科学技術庁長官が思いでやってくれという勧告をなされたことも、一応当然だと思いまするが、また文部省の方といたしましても、いろんな具体的の問題につきましてもやろうと思いますが、なかなか困難だということもあり得るのでございます。両大臣から、勧告についての報告は、私にはまだございません。
○池田(正)国務大臣 この問題は、しばしば申し上げておるように、私が文部大臣に勧告をいたしたのでありますけれども、文部大臣は善良な人ですから、どうも文部省の事務当局の説明だけを聞いて、それを信じておったらしいのです。それで、私からいろいろ話をいたしまして、このごろやっとわかってきて、若干私に歩み寄りの傾向を見せてきた。これなら話がつく。そこで、これは何もしいて閣議の場にまで持っていかなくても、両者の間において話し合いがついて、それが国家目的に沿うことができれば、それでけっこうなことであります。しかし文部大臣がどうしても聞かぬ、私は、三十六年度の予算に関係なしに、まだこれから数千人、今年からふやせるという確信を持っておる。それを文部大臣は初め聞かなかったのです。わからぬものですから、よう理解できなかった。このごろやっとわかってきたようですから、おそらく私の言うことを聞くだろう、そうすれば、そういう荒っぽいことをせぬでも済むのじゃないか、どうしても聞かなければ、これは最後の何か処置をしなければならぬ、こういうふうに私は決意をいたしております。
○田中(武)委員 池田国務大臣の方はなかなか威勢がよくて言っておられますが、設置法からいえば、四項でとった措置について報告を求めることができるし、それが気に入らなければ、五項で、総理に意見具申ができるわけなんです。そういうことに対して、現存の心境としては、今おっしゃったようなことだと思うのです。しかし問題は、所得倍増計画は、池田内閣の大きな一枚看板であります。その中においてそれを達成するということ、これは、一つの大きな基礎は、やはり十七万人の技術者が要るということ、すなわちそれを取り上げて、経済審議会ですか、これが総理に等申しておるわけなんです。総理はぼつぼつというようなことをおっしゃっておるが、すでに所得倍増計画が大きく打ち出されて、それを軌道に乗せてやるんだ、こう総理は言っておられるわけです。ぽつぽつじゃ十七万人は確保できないと思う。文部大臣は国立大学だけにたよっておられる、私立大学のことは考えておられないように考えるのですが、そういう施設を動員して十七万人を養成するようにする必要がある。総理のぽつぽつということじゃ、どうもわれわれは了解しかねるのですが、少なくとも池田内閣の一枚看板であるこの所得倍増の計画の基礎をなす技術者養成問題でございますので、さらに総理から強い考えを聞かしていただいて、質問はこれで終わりたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 御承知の通り、国立大学につきましても理工科をふやすとか、あるいは新たに高等工業学校を設けるとか、またこういう点につきましては、もう中学校のときくらいから科学技術の素養を入れる必要があると思います。国立大学の方では、できるだけの努力をして、これは末広がりにやっていけると思います。なお民間におきましても、私の知るところでは、新たに私立大学に理工学部を設けようという話も出ております。また私も聞いております。非常にいいことだと思います。それからまた、技術者養成につきまして、民間における、たとえば鉄鋼界なら鉄鋼界、こういうものが別に学校施設と申しますか、技術教養の施設を共同で設けて技術者の養成をやろう、各般にわたって技術者養成の声が起こり、機運が盛り上がってきておるのであります。政府といたしましても、自分でやることはもちろんのこと、こういう民間のものにつきましては、極力助成をしていきたいと考えております。
○田中(武)委員 ちょっと要望だけ。質問は終わったのですが、先ほど来言っておるように、所得倍増計画は池田内閣の大看板です。その基礎は技術者の確保であります。従ってその確保のために総理として十分な措置をとっていただくよう要望しておきます。
○山口委員長 加藤清二君。
○加藤(清)委員 私はただいま審議中の両法案に関連いたしまして、総理にほんの短かい時間、十分ということでございまするから簡単に御質問を試みてみたいと存じます。 まず第一番に、科学技術の振興は、日本経済路展の母であるとおっしゃいましたが、今日のその日本経済の母は、ほとんどよそから導入された、まま母のような気がしてかなわぬのでございます。しかも、よそから導入される結果は重複のむだがございます。高買いの不利がございます。またすでに内地で研究されている、研究の進行中のもの等を買う場合もございます。また業界では、買う先がわからぬので、いずれの国からそれを買うたらいいかという問題について、いろいろ難渋している向きもあるようでございます。先ごろ通産省では、今後は自動車の技術は買わせないという方針を打ち出された向きもあるようでございます。しかし今日なお別な会社ではこれを買おうとして、ただいま外国へその調査研究に行っている向きもあるのでございます。こういうやさきにあたりまして、技術を買う場合の基本的な方針をお示し願いたいと思うのでございます。
○池田(勇)国務大臣 日本の産業の発達に貢献するということが第一でございます。これは日本に技術がありますれば別でございますが、戦争によりまして空白がございました。その場合に、日本の経済復興につきましては、他国の技術を必要な程度買うことはやむを得ないと思います。それによって日本の経済も発達してきたのでございます。ただ問題は、いたずらにやすきにつくということでは日本の将来が思いやられますので、私は技術を買う一方、買った技術を利用して新たな技術を日本で作り出す、こういう熱意を持たす必要があると考えるのであります。個々の産業につきましては、どういう技術を入れていいか入れて悪いか、これは所管大臣が考えることだと思います。
○加藤(清)委員 通産大臣は、自動車技術を将来買うということを禁止されますか、それとも奨励されますか。
○椎名国務大臣 ただばく然と自動車技術と、こう言われましても、非常な複雑なものでございますから、どの部分がどうだということを的確に突きとめて、そしてそれがまだ日本で確立されておらぬという場合には導入せざるを得ないと思います。
○加藤(清)委員 時間の関係上詳細はまた委員会でお尋ねするといたし、まして、うちで作る場合についてお尋ねをいたします。 技術者の養成にいたしましても、あるいは技術の研究にいたしましても、なわ張り争いの問題を先ほど田中委員が御質問いたしましたが、どうもまだ私はすっきりいたしません。そこで池田国務大臣のお答えになりました将来の方針について、総理はどうお考えでございますか。
○池田(勇)国務大臣 なわ張り争いの問題につきましては、先ほど田中委員にお答えした通りでございます。従来の伝統、人的構成もございます。将来の問題を考えてできるだけ高能率でいくように進めていきたいと思います。
○加藤(清)委員 この事業団法と組合法のみをとってみましても、将来実際にこれを企業化するまでの間には、どうも争いが起きるような気がしてなりません。これについて実は具体的にあれしたいのですが、時間がございませんから、総理に基本的な考えだけを、もし起きた場合にどうするかお伺いいたします。
○池田(勇)国務大臣 起きることはないと思いますが、起きた場合には総理大臣が裁断いたします。
○加藤(清)委員 それではうちで作る場合に、技術が足りないから、しかも一千億余の金を払ってまでも買うほど不足しておる折に、これはうちで作る方が一そう国家のためによろしいではないかと思われる。そういう矢先にせっかく国内で研究されました技術なりあるいは発明なりが、三年もかからないと世の中へ日の目を見ないのでございます。特許庁へ出願いたします――大体日本の母とおっしゃいましたが、日本の母は十月十日で包むのが普通のはずでございますけれども、技術の母だけは三年もかからないと生まないのでございます。これを一体総理はどうお考えでございますか。
○池田(勇)国務大臣 この特許申請につきましては、従来からそういうお話がございました。昭和三十三年でございますか、特許料の引き上げと件数の増加によりまして、特許庁の予算が四億程度のときに八、九億入るようになって、昭和三十五年度からこの職員を急にふやすことをやっておるのであります。この職員にいたしましても、一度にまたふやすということはなかなか困難でございます。三十五年度、三十六年度に相当人員をふやしたものと私は考えております。前の通産大臣のとき、三十五年度につきましては百人前後ふやしたと思います。多分今度も相当ふえておると思います。それによって処理を迅速に進めていきたいと思います。
○加藤(清)委員 それでは今後の特許出願から許可に至るまでの期間は一体どのように相なりまするか、通産大臣。
○椎名国務大臣 今総理から答えられましたが、三十六年度におきましては、相当の人員を増加することにしておるのでありますが、やはり相当の専門家を見つけなければ、何の役にも立たないので数は制約されるわけでありまして、その点につきましてはできるだけ工業技術院等に、それぞれ配属されておる技術者の手を借りて、予備審査をして、そして審査等がきわめて短かい期間に達成されるようにしよう、こう考えておるのであります。それで出願の状況を見ますと、三十四年度において十万九千六百件、三十五年度において十万六千件、少し出願は減っておる。それに逆比例して処理件数は三十四年よりも三十五年におきまして一万二、三千件ふえておる、こういう状況でございますが、三十六年度以降だんだん人員を増加して能率を上げることによって、大体三年間くらい一つ御猶予願えれば、今度は繰り延べないで出願件数と処理件数とマッチさせていく、こういうことにしたいと考えております。
○加藤(清)委員 かりに総理のお話の通り人員がふえたといたしましても、その人員がその日から間に合う技術者であればけっこうでございますが、そうでなくして、新しく採用された人は教育をしなければならぬという相手でございますると、人員をふやしたことは、さしあたってしばらくの間はかえって特許審査の能率を下げる原因になると思うのでございます。従いまして通産大臣は三年間にランニング・ストックを解消すると言うていらっしゃるようでございますけれども、おそらく今日の状況から推してみてできないではないか、と申しますのは、この意見はきのうきょう始まった意見ではございません。また商工委員会与党、野党一致した意見でございます。これが長年にわたって唱えられてきておるにもかかわりませず、いまだに解消していないということは、これは今の通産大臣の言を額面通り受け取るには、あまりにも過去の実績がよろしくない、従って信用できない、こう言わざるを得ないのでございます。 そこで一つ総理にお伺いしたいのでございますが、幸いに工業技術院には自分の恋人までも一度に当てるような人工頭脳があるようです。選挙の場合に当選するかしないかというようなことも一度に当たるような人工頭脳があるはずであります。従ってこれを利用なされば、新しく入った養成中の方々を大ぜいわずらわせないでも早く能率化することができるではないか、かように存じますが、この点いかがなものでありましょう。
○池田(勇)国務大臣 私は人工頭脳のことはよく存じませんので、事務当局からお答えいたします。
○後藤政府委員 ただいま御質問の件でございますが、電気試験所におきまして、すでに多数の分献を直ちに引用して、必要な部分を取り出すという装置の試作品を作っております。こういうものを今後もさらに発展させ、特許審査事務にも使っていただきたいと思いまして、特許庁の方にはすでにお話しいたしております。私どもも実際の役に立ちますように、そういう点をさらに研究いたしたいと思います。
○加藤(清)委員 当局としてはこのような考え方のようでございますが、総理としてはどうお考えでございますか。
○池田(勇)国務大臣 人工頭脳のことはよくわかりませんが、使えるものなら何でも有効に使うことはけっこうでございます。
○加藤(清)委員 もう一つお尋ねしたい点は、これほど技術が尊重されているときに、本省としてはほんとうにその科学技術者を尊重しているのかいないのかという疑いを差し挾まれる点があります。民間におきましてもすでに技術畑の重役、技術畑の社長というものがございますが、不幸にして本省には技術畑の局長さんというものを私は見たことがございません。ほんとうに技術者を尊重するというならば、任用登用の点におきましても考慮あってしかるべきだと存じますが、総理はどのようなお考えでございましょうか。
○池田(勇)国務大臣 私は一昨年通産大臣になりまして、その翌日特許庁に参りました。そしてまた数日後技術院の試験所を見まして、各担当の技術者にお会いいたしまして、自分の所見について述べました。私、通産大臣になって、各局の部属は一つも行きませんが、特許庁と技術院には参ったのであります。これは通産省の行政としては技術がもとでございます。私はそれだけやっております。従いまして先ほど申し上げました特許庁の人員をふやすとか、あるいは技術者の俸給を自分で人事院に話をいたしまして引き上げる等、技術者の養成には私は人後に落ちないほどやっております。ただ、各省の局長に技術者をもって充てるべきかという問題になりますと、行政事務につきましては技術者でない方がいい場合がある。またその仕事に技術者を入れていないところがあるのであります。たとえば大蔵省におきまして、主計局長や銀行局長に技術者を入れたらどういうことになりますか、これはなかなかむずかしい問題でございます。だから通産省におきましても大事な技術院というようなところにおきましては、技術者がやっております。また鉱山保安局など技術的なものが入る余地のあるところには技術者を充てる。役職を与えるということでなしに、技術者は技術者としての誇りを持たせていくことが第一でございます。これを局長に使う、使わないは第二の問題だと思います。
○加藤(清)委員 ポストの問題は総理のおっしゃる通りだと思います。これは適材適所でなければなりません。ところが、理科系も文科系も同じように学校を卒業している。ところが本省に入りますと、文科系であれば昇進が早い、技術系でございますと昇進がおそい。こういうことが労働組合の中においては論議の対象になっておるのでございます。私はそこをお尋ねしたい。何も技術畑の人に行政上の最高ポジションを与えなければならぬというふうに考えているのではございません。
○池田(勇)国務大臣 お話のような点になっておりますが、私は初任給その他につきましても技術者の方を上にするように人事院に話してきたと思います。昇給その他につきましても、技術者なるがゆえにおくらすというふうなことはないと考えております。
○加藤(清)委員 特許庁が姥捨山にならぬよう、一つくれぐれも御勘案願いたいと存じます。 最後に、今度は売る場合について一つだけお尋ねしたいと存じます。総理は中国貿易については前向きの姿勢でございますが、足踏みの状態でございますか。今までの委員会でそれぞれ御発表になったところを見ますと、どうも言葉の上だけでは前向きの姿勢のようでございますが、一体ほんとうのところはいかがでございますか。
○池田(勇)国務大臣 施政演説その他両院で申し上げた通り、どこの国とも貿易の増進はしていきたいという考えでございます。
○加藤(清)委員 その際に特に中国関係が日本へよこしますところのオファーの中には、むしろ生活諸物資、労働集約的な製品よりも、建設用基礎物資であるとか、あるいは機械類その他技術の高級なものを要望しておられる点がたくさんございます。これは池田国務大臣の専門部門でございますから、国務大臣もよく御存じの点と存じます。ところがここへせっかくオファーがありながら、輸出が難渋しておるという点がございます。それは特許の関係でございます。技術の関係でございます。向こうには日本の特許権を順守しなければならぬところの義務がないように思います。このことは、やがて日本の特許に関する機械器具を向こうへ売ります。これをそのまままねてしまって鋳物にふいてしまって、新しいものを向こうで作って、これを使用するという向きがたくさんございます。これに対して一体日本の特許を持っておるところの業者なり、あるいはメーカーなりは何ともすることができてないのでございます。これについて総理はどのようにお考えでございましょうか。池田国総大臣にも、一つお伺いしたいのであります。
○山口委員長 加藤君に申し上げますが、質疑はなるべく議題外にわたらないようにお願いします。
○加藤(清)委員 委員長は議題外とおっしゃいますけれども、この法案によれば、研究したものを企業化し、それを企業化した場合は売るという問題がありますから、この場合のことを聞いたのです。
○池田(勇)国務大臣 私は具体的の問題はよく存じませんから、事務当局をして答弁をさせます。
○池田(正)国務大臣 中国問題は実は私はあまりしゃべりたくないのであります。共産圏におきましては、今御指摘のように、外国から機械類を買い入れて、それをまねて特許権が及ばないことを理由にして、勝手にやっている国がある。これを何とか処置したいのですが処置の方法がないので、これは今後の外交折衝に待たなければならぬと思っております。
○椎名国務大臣 工業所有権を侵されるという危険があれば、これはやはり売りたがらないのであります。でありますから、やはりそういう不安のないような状況にならないと、これは流れていかないということになると思います。
○加藤(清)委員 せっかく向こうから注文があるにもかかわらず、こういうところにネックがあるがゆえに、売れるべきものが売れない。向こうでは買いたいものが買えない。これが貿易を阻害する一つのネックになっておる。従ってこれを今池田国務大臣のおっしゃいますように、今後の外交折衝によって解消するとするならば、この点はどうしても政府間協定というところにいかなければならぬと思う。従って前向きの姿勢である、総理はお答えになりましたので、ほんとうに輸出振興の意味からいって、政府間協定を結ぶ別意があるかないか、これについて。
○池田(勇)国務大臣 この問題はたびたびお答えしたように、中共と政府間貿易協定をやる考えは今のところございません。
○加藤(清)委員 それではいかなる方法、手段によって折衝をなさろうとするのか。今池田国務大臣は、これについて努力する旨のお話しがありましたが、一体具体的にはしからばどうなさろうとするのでございますか。
○池田(正)国務大臣 これはなかなか簡単じゃないので、それをやるにはそれだけのいろいろな諸条件が整ってこないと、一部の人がおっしゃっているようにそう簡単に、前向きだからといって、すぐに走っていくというような性格のものじゃないので、そこに外交というものは忍耐と時間を要する。そして大いにわれわれは忍耐をしながら、お互いに相手を尊重しながら前向きに進む、こういう姿勢だと思います。
○加藤(清)委員 まだ質問は序の口でございますが、残余の質問はこの際留保して、委員会へ移すことにします。
○山口委員長 受田新吉君。
○受田委員 総理大臣、私は新技術開発事業団の法案が審議されるにあたりまして、総理大臣としてあなたがどのような角度をもって、この新技術開発に取っ組もうとされておるか、その決意と、それに伴ういろいろな対策についてお尋ねをしてみたいと思います。こうした事業団をお作りになるという御意図に対しては、私衷心敬意を表する一人です。ただ、この新技術を開発して科学技術の振興をはかっていこうとする基本的態度において、内閣の総理として、科学技術に対する考え方がどのようであるかという点は、これはこういうものの成功をさせるかさせないかということにも影響しますので、その根本的な考え方をお尋ねしてみたいのであります。 内閣法の第六条には、内閣総理大臣の行政各部の指揮監督権が規定してございます。また第七条には権限疑義の裁定に関する規定がしてございます。第八条には処分または命令の中止権が与えられておるのです。先ほど池田科学技術庁長官は、科学技術の振興に関して、科学技術庁設置法第十一条の規定に基づいて勧告を文部大臣にいたされました。これはこの法案にも直接つながる大事な技術者養成の問題でございますのでお尋ねしますが、先ほど田中君の質問に答えて、総理は池田長官からは何も聞いておらないし、閣議にかけられた問題でもない。新聞で見ただけだというお答えがありました。しかしながら、池田長官にしてみれば、設置法第十一条の、この自己の持つ権限を発動するということは、よほどの決意をしたものと私は思うのです。あの勧告をなさる前日、私がこの勧告権の行使について池田長官に質問をいたしましたときにも、事務当局の方々は、設置法第三条の規定には大学の研究は除くとなっておって、科学技術の振興面からその面がはずされておるから、その行政の方のその分は除くのだという御説明があったわけです。ところが長官は、一般行政問題としては大丈夫だという、勧告をほのめかす決意を表明されておりました。事務当局の見解としては、この大学の研究を除くという規定を尊重して、文部省とは話し合いでこの問題の解決をはかるべきであって、それはしないで、むしろ話し合いで解決する方が成果があがる、権限を行使する段階ではないという御意思も持っておられたくらいでありますが、池田長官は大所画所から勧告権を行使せられたわけです。そういう、科学技術庁長官として初めての重大な決意をもって勧告したことが、長官からも総理に報告されておらないし、総理も、この勧告権をめぐっての論争、文部省とのいろいろな行きがかりについても一向御存じないということは、内閣各部を統制される総理大臣としては、いささか怠慢と言わざるを得ないのじゃないかと思うのですが、新聞で伺った程度だということでございました。池田長官は、技術庁ができて、すでに五年も六年もたっているこの際、初めて勧告をするという重大な事態になっていることは、たとい閣議にかける問題でなくても、個人的にこれを総理に報告して、その了解を求めるとかという措置がさるべきでなかったか。また総理も、新聞で伺うというのではなくして、こういう問題については所管の大臣をちゃんと――内閣法に規定されたところの行政事務の分担、管理、行政各部の指揮監督といういろいろな規定からも、この問題はどういうことであるかと問いただすというような努力をはかるべきじゃなかったか。総理大臣の御意見及び池田長官の御意見をお伺いしたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 各省大臣が与えられた規定に基づきましていろいろ処置することは、これは私の関するところじゃございません。しかし各省間におきまして問題が起こり、閣議にかかった場合には、これは裁断いたします。
○受田委員 行政各部で重要な問題を提起しているときは、これについて個人的な意見の聴取もすべきでないという考え方ですか。
○池田(勇)国務大臣 私に相談することは、各省大臣が選ぶべき問題だと思います。そうしてそれが閣議を要する場合とかなんとか、その私は相談するかしないかは、各省大臣できめるべき事柄だと思います。
○受田委員 池田科学技術庁長官は、総理に個人的にこれを報告するほどのものでない、かように考えられて報告されなかったのですか。
○池田(正)国務大臣 これは私の権限においてやったことで、今、国会中で総理は非常に忙しいので――私もやり出す以上は、そう無力な閣僚じゃないつもりなんです。やる以上は断じてやってみせる確信を持ってやっておるので、どうぞ私におまかせ下さい。
○受田委員 心強い池田大臣の御所見、総理と対等の立場ぐらいの強い権威を持たれた御発言を伺いまして、有力閣僚の一人であることを裏づけるものとして敬意を表します。しかるところ、この科学技術庁長官の強力な勧告にもかかわらず、文部大臣、文部省は依然として、三十六年度から技術者養成へ踏み切ることをちゅうちょしております。三十七年度から何とかしたい――大学十七万、高校四十四万の目的達成のためにほど遠き数字を文部省は用意をしておりながら、一向手を打っておらぬのですが、長官は三十六年度からでも、大急ぎでやってもらいたいという要望をされておるのです。この要望がかなえられなかった場合は、文部省のかねて主張しておる三十七年度から何とかしたいということが通った場合は、科学技術庁長官はどういう態度をおとりになりますか、有力閣僚としての……。
○山口委員長 受田君に申し上げます。総理が時間がないので、なるべく総理の質問を……。
○池田(正)国務大臣 さっきの御質問にもありましたように、内閣や総理までわずらわさずに、私のところで解決したい。しかし私がとれに乗り切った以上は、当然政治家としての責任を痛感いたしております。従って私の所期の目的ができないときは、私は政治家としてのみずからの決意を持っております。
○受田委員 内閣法第六条の規定による、開議決定に某づく各部の指揮監督権、この内閣総理大臣の権限々を行使される問題が残っておるのです。閣議にかけられる問題は、行政各部から閣議に要求がなければやらないという場合と、総理みずからが閣議にかけられる場合とがあるわけですね、法理論の立場から。お答え願います。
○池田(勇)国務大臣 もちろん両方ございます。
○受田委員 そうしますと、この池田長官の勧告という問題は、勧告したことに対して文部省がまだ肯定しておらぬ、数字も違うという反駁もしている。非常にややこしい問題になっている。科学技術振興には偉大な熱情を持っている池田総理大臣とされまして、この問題が足踏みするようでは、池田長官は今重大な政治家の使命をかけてやるとおっしゃっている。おそらく通らなければ辞職されるかあるいは次の御作権、報告権、閣議要求権を提出されるか、いずれかの強い決意を持っておられるかと思うのでありますが、総理はこういう重大な段階に新技術開発事業団のようなものを作って大いに裏づけしようという段階に、この問題が進捗しないという場合には、総理みずからもこの問題のために閣議にかけて、文部大臣、通産大臣いろいろな面であなたの指揮監督権を発動されるような決意を持っておれるかどうか。科学技術に取っ組む総理の熱情をお示し願いたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 科学技術に取り組む熱情ではないので、内閣における各省大臣間の問題、それがいかなくなった場合においては、これは内閣総理大臣としてやる、閣議へ持ってくるようにする、あるいは両大臣間で話がつけばそれでいい。今つかぬ場合だけをお聞きになって答えるということは早過ぎると思います。
○受田委員 それが熱意のいかんにかかわるのです。やはり池田総理大臣とされては、この時代を背負うという重責をになっておられるあなたとしては、科学技術に対する熱意をうんと持っておられないと、なかなかあなたのもとにある行政各部門は能率を上げませんよ。私学振興などといっても、三十六年度から増員の計画を立ててもやり得るという私立大学の強い意思表示もされておるのでございます。三十七年を待たず三十六年からでも、この技術者養成にできるだけ乗り出すという決意は、あなたも高いところからお持ちになっておらなければならぬと思う。いかがでしょう。
○池田(勇)国務大臣 私学の理工科増設その他の相談と申しますか、意見を聞かれたときには大いにやりなさいと言っております。しかし理工科をふやすということだけではいかない。先生がどういうふうにとれるか、設備がどうなるか、いろいろな点を考えなければなりません。ある大学では敷地は川越にきまったようです。そうして後援者、応援者も有力者、一流の人、これならできると思いますから大いにやりなさい、こう言っております。こういう問題は私はここで議論するよりも、みんなわかっておることでございますから、今科学、文部との間をおいやれ、それどうしたかということよりも、お互いに勉強し、議論し合うことが、科学技術振興のもとを作るものでございます。決して急いではいかぬと思っております。
○受田委員 時間の関係でこれで終わります。総理大臣は今相当熱心な態度をお持ちであることを伺ったし、池田長官と文部大臣との間に話し合いがつかない場合には、また閣議かける場合も考えられるのだというような意味の御答弁がありましたので、あなたのこれに対する御熱意を了といたして、それを具体的に実現されるために御努力を願いたい。 いま一つ最後に、開発事業団の三十九条にこういう規定があるのです。「給与及び退職手当の支給の基準」役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準は内閣総理大臣の承認を得てきめなければならぬと書いてある。総理大臣はこれをどのくらいの基準にしようとしておられるのか、基準を設けないで、こういう法案をお出しになるはずはないのでございますから、一応どの程度、国務大臣クラスに理事長を持っていかれるのかどうか、大よその基準は総理大臣としてもお考えになっておらなければならぬと思います。
○池田(勇)国務大臣 こういう事業団としては、ほかの公団その他との関係もございます。そういうものと権衡をとっていくべきだと思います。
○受田委員 国務大臣よりも高い給料ではないというお考えでしょうか。
○池田(勇)国務大臣 その点は案が出ましてから、私はどの人の給料は幾らにするというようなことは、今ここで申し上げるよりも、やはりその重要性にかんがみ、また他との権衡を考慮してやりたいと思います。
○受田委員 私は総理に、ぜひあなたに一つ希望を申し上げておきたいことは、公団、公庫その他の給料で、あなたと同じ給料、あるいはあなたの二十五万円よりは高い給料の人もある。国務大臣以上の給料を、大蔵省の官僚なとがそれへ転出すると急に二十万、二十五万、またさらに高い給料をもらっておられるのです。私はこのことはやはり給料行政の上に統制を乱すことになると思う。総理大臣、大蔵大臣がきめる場合には、少なくともあなたの部下である国務大臣よりも高い給料を、大蔵省の局長が転出をしてすぐいただけるような給料体制でないように、はっきりした態度をお持ちいただくように要望しておきます。御所見を伺っておきます。
○池田(勇)国務大臣 従来の慣行もありますし、民間と役所との違いもございますので、一がいにはいけぬと思います。
○受田委員 質問は終わります。
○山口委員長 本連合審査会はこれにて散会いたします。 午後零時五十六分散会