P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
38回国会衆議院1961/05/31

商工委員会 第45号

発言数
76
登壇者
6
会派数
2
開催日
1961/05/31

会議録

中川俊思自由民主党

○中川委員長 これより会議を開きます。  輸出入取引法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。  前会に引き続き質疑を続行いたします。板川正吾君。

板川正吾日本社会党

○板川委員 輸出入取引法の改正にあたって、まず総括的な観点から質問を申し上げたいと思います。  第一に本年度の輸出目標ですが、これは発表されておるところを見ると、四十五億四千万ドルということになっておりましたが、この輸出目標の達成の見込みというのですか、見通しというのですか、この関係を一つ通産大臣にお伺いいたしたい。  それからもう一つは、最近の新聞にもありますように、国際収支がこの一月以降非常に悪化しておるようでありまして、五月の大体の見通しも出たようでありますが、この国際収支の状況と今後の見通しについて通産大臣に御質問申し上げたい。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 三十六年度の見通しは、金額的にいうとお話の通りでありますが、三十五年度に比較して一〇%増、こういうことになっておりますが、ただいまのところでは、対米輸出がむしろ八〇%余になっておると思います、昨年の同期に比較いたしまして——一〇%に達しておらない。それからそれ以外の土地の伸びは五、六%くらいだと思いますから、これまた予定に達しておらない。これはしかし対米輸出に関しましては、思いのほかアメリカの景気後退の回復が早いようであります。ものによっては三月くらいから上昇カーブをとっておる、こういう状況でございまして、対米輸出は、アメリカの景気の立ち直りに従って、もちろんこれはこちらの方の努力も必要でありますけれども、回復が思いのほか早いのではないか、そう考えております。それから、それ以外の地域に対する輸出も、アメリカの景気回復に好影響を受けて、やはり景気がよくなっていくと思われるのでありますが、それに従って輸出もやりやすくなる、こういう予測が立っておりますので、立ち直りが大体確実ではないか、かように見ております。  それから国際収支の関係は、今申し上げたような、輸出が割合に、思ったほどうまくいかない。一方においては、輸入の関係は在庫補填で——品目別に申しますと、繊維原料及び鉄くず、そういうものの在庫補填のための輸入が相当盛んでありますが、まだ一、二カ月は、在庫補填のために輸入が衰えないだろうと思われます。そういうような関係でその開きが大きくなりまして、国際収支は経常収支において相当の赤字を見ておるのでございます。でございますが、今申し上げたように、輸出の回復、それから輸入の問題についても、在庫補填が一、二カ月の間に大体充足されると思われますから、この輸入の上昇率もにぶって参る。そういったようなことによって、ただいまのような情勢でどこまでも推移するとは考えられない。しかし当初の予定よりも、経常収支においては、三十六年を通じて後退するのではないか。その後退の程度はどれくらいかということは、まだもう少し様子を見ないとわからない。それに資本取引の関係が加わりまして、これは黒字を予想されておりますが、国際収支全体といたしましては、従来の経済政策、対外政策というものの基調をそう変えなければならぬというような程度のものではなかろう、かように推測される次第であります。

板川正吾日本社会党

○板川委員 そうしますとこういうことなんですか。対米輸出は前年度の八 〇%程度で、ちょっと伸び悩んでおる。しかし大体持ち直しをしつつあるだろう。それから米国以外のところもだんだん持ち直しておるだろう、従って輸出は当初予想したよりは、経常収支においては多少赤字になるかもしれぬが、しかし資本取引の黒字があるから、予算編成当時政府が作った国際収支のバランスと大差がないだろう、とにかくあの基調を変える必要はないということで、注意をしなくちゃならぬが、大体において心配ない、結論としてはこういうことなんですか。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 さようでございます。

板川正吾日本社会党

○板川委員 これは総理大臣がおれば総理大臣にお聞きしたがったのですが、池田さんは従来、輸出は輸入をまかなえばいいのだ、こういう議論をしておったのですね。輸入するだけ輸出すればいいのだ、こういうことを再三主張しておられた。理屈としては、十分な輸入をするだけ十分な輸出をすればいいのですから、理屈はわかるのですが、輸出をうんと振興して、そして輸入を確保するという言い方でなくて、輸出は輸入をまかなえばいいのだという消極的な表現をしておった。ですから、たとえば国内の鉄鋼業者あるいはセメント業者が、輸出を一生懸命やるよりも、国内市場で十分高値で売れるのだからあえて輸出する必要はない、こういうような気持になって、これが最近の経済過熱の一つの要因をなしておると思うのですが、輸出政策に対する池田さんの消極的な考え方を改める必要があるのじゃないか。要するに輸出振興にもっと力を入れるべきじゃないか。最近の新聞等では、池田さんも誤解を受けておったとかいって、輸出振興を盛んに言われておりますが、輸出を重視するための輸出振興の具体的な方法として、現在どういうことをお考えになっておるのですか。まさか輸出入取引法を改正すれば輸出振興が十分できる、こういうふうな気持じゃないと思う。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 物により地域によって輸出振興の方策はいろいろに変わってこなければならぬのでありますけれども、これを総括的に申しますと、先進国についてはやはり行儀のいい取引で進んでいく。あとから値くずしをして品質を下げて悪い物を出す、そういったようなことは、絶対に慎まなければならぬということが先進国に対しては共通の方針でなければならぬと考えております。それから後進国地域については、総括して言うと、延べ払いの条件をもっと緩和するとか、なお進んで一次産品の買い付け問題等に関する経済協力、そういったようなことで低開発地域には対処しなければならぬ、さように考えております。

板川正吾日本社会党

○板川委員 ことしの国際収支の見通しで、大臣は予算委員会で二億ドル程度の赤字を来たすのじゃないか、こういう発表をされたようであります。同日の新聞を見ると、池田さんは記者会見で、四億や五億ドルの赤字があっても大して心配ない、こういうことを言っておるのです。この数字的な食い違いもありますが、それは見通しについてのお互いの考え方の差だろうと思うのです。しかし、池田総理もそうですが、従来総合収支に重点を置いて、総合収支で黒字になるからいいじゃないかというのですね。私は本来ならばやはり経常収支でとんとんになるべきが常態ではないかと思うのです。非常に流動しやすい資本の収支で、たまたま調子がよくて幾らか入っておるから安心だというような考え方は、まあしろうとの議論かもしれませんけれども私は危険だと思う。そういう点から見て、輸出の振興について政府はもっと対策を立てるべきではないか。特に今大臣が前段に言われた、先進国には過当競争は絶対に慎むのだという考え方ですが、その過当競争を慎んだ結果、かえって不利になった例があるのじゃないですか。私はこれから一つ通産政策で特にこの輸出規制カルテル、アウトサイダー規制、こういったものについて質問していきたいと思うのですが、先進国に過当競争は絶対に慎むという考え方は、たとえば綿製品のごとき、あるいはトランジスター輸出のごとき、結果的に日本の大きなマイナスになるのじゃないか。その点だけちょっと。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 私が二億程度は引くのじゃないかと言ったのは、経常収支でせいぜいその程度じゃないかということを話したわけであります。池田総理が四、五億くらいは平気だと言われたのは、どういう場合に言われたのか知りませんけれども、これは総理の見解でありますから、私はこれに対して別に言及することは避けたいと考えます。  それから先進国には過当競争は慎むべきであると私は考えておるのでありますが、これは日本の先進国に対しての長い間の経験から言いまして、この点はやはりどうしても自粛自戒して臨むべきである、こう考えております。しかしアメリカに対して、あまり協定に忠実であったためにその留守にいろいろな問題が起こりましたけれども、過当競争を慎んだためにそういう問題が起こったのではなくて、こちらがきわめて忠実にその問題を守って、そしてアメリカは日本との協約を重んじたが、他の方面については少し抜け穴があった、こういうわけでありまして、その抜け穴を今度は作らないようにアメリカに対して強く申し入れる、また日本がその間におくれをとった部分については回復するようにしなければならぬ、こういう点はもちろんございますけれども、過当競争を慎むという根本方針は、やはり貫いていくべきであると考えております。

内田常雄自由民主党

○内田委員 関連して。今の国際収支の問題についてでありますが、板川君からの御説にもありましたように、最近の日本の国際収支は、経常収支においては一月は九千何百万ドルの赤字、二月も同じように九千何百万ドルの赤字、三月も四月も経常収支においては赤字を出しておる。それを資本収支、なかんずく資本の短期受け入れによってカバーして、総合収支においては幸い今のところ、一月も二月も三月も四月も黒字になっておりますから、従って外貨準備高というものは、国際収支が悪化したといわれながらも毎月ふえている、これが実情である。これは板川さんもよくわかっておられるし、政府もよくわかっておられると思う。ところが私は一つわからないことがある。それは経常収支が毎月赤字である、赤字であるといっておるのですが、はたして経常収支は赤字だろうかという問題、それはこういうことです。輸入の際はユーザンスというものがある。貨物が到着して手形を示されましても、その外貨をすぐに支払わないで、三カ月なり四カ月なり外貨の支払いを猶予してももらう制度がすなわちユーザンスでありますが、そのユーザンスの期間、あるいは適用品目というものが最近ずっとふえてきておる、こういうわけであります。ですから現実に輸入が行なわれても外貨は支払われておらないのに、今の皆さんがお作りになる国際収支の建て方では、その手形の支払い猶予期間の分まで、つまり手形の支払い期日がきて現実に外貨を失っていないのに、それを輸入の為替の支払いに建ててしまっておるわけです。だからそういうやり方は税関の通関統計ならそれでよろしい。金が支払われようが、支払われまいが、貨物が入ってきて通関手続を済ましたその額は、今月は四億五千万ドルという場合にはそれでいいが、今われわれが論じているのはこれは為替収支であって、現実に外国人に輸入代金が払われておらないで、ユーザンスで三カ月も四カ月も先にあるのに、今の建て方ではそれを支払われたことにしてあります。だから輸入代金が四億数千万ドルになって、そして経常収支で赤字になっておる。ところがその輸入代金は払われておらぬから外貨準備の方は減らないわけです。払われておらないものを払われたものという統計の立て方をして、同額を短期資本の受け入れの方でユーザンスの残高増加ということで、資本収支の方に建てておるわけです。だから本来は経常収支の方で失われていない外貨を、失ったような統計を無理に作って、つまりマゾヒズムですか、サディズムですか、自己虐待的なそういう数字を作って、失われていない外貨を外国から短期で借り入れたという方式をとって、その結果が総合収支で黒字だけれども、経常収支では赤字になっておる、その赤字はユーザンスの増でまかなう、こういうことになっている、それは事実なんです。そうすると今の板川君の論説のように、国際収支は総合しては黒字でも、経常収支は毎月何千万ドルの赤字を来たしておって、そして一方の資本収支の黒字というものは、いつ引き揚げられるかわからぬで危険じゃないか、こういうことを言われることになるのでありますが、これははなはだ違うので、日本の輸入というものが続く限り、またユーザンスというものが国際貿易から失われない限り、ユーザンスというものは輸入があるたびに必ずあって、日本の経済が伸びて輸入が増加すればするほど、ユーザンスの額というものは多くなりますから、その統計の作り方は、こういうやり方にすれば、これから先は知りませんが、今までのところにおいては経常収支も若干の黒字であって、そして資本収支があんなに黒字にはならない、全体を見ると総合収支も黒字だ、経常収支も若干黒字だ、こういう数字になるわけであります。これを裏返して言いますと、こういうことを言っている。日本の外貨準備というものは今二十億ドルある、しかしその中身というものはみんな短期の外資の受け入れだけであって、ほんとうに日本の身についた外貨準備というものは数億ドルくらいしかない、たとえば今のユーザンスの残高というものが私の見当ですが、おそらく八億ドルはあると思います。(板川委員「十億ドルもある」と呼ぶ)そのほか今の自由円とかあるいはユーロダラーというものがある。自由円やユーロダラーはなるほどいつ引き揚げられるかわからぬものでありますが、輸入のユーザンスというものは当然貿易に伴うものでありますから、これは二十億の外貨準備のうち、ユーザンスの十億ドルというものは危険なものだということは当たらないと思います。これは国内取引でも同じで手形でも一覧払いの手形は必ずサイトがついています。その手形は国内取引においても国際取引においても長くなる一方でありますから、従って輸入ユーザンスというものは決して危険なものではないのだ、経常収支というものは現実にはあんなに赤字じゃないのだ、こう私は言えると思うし、また私の説が間違いでなければ、これは通産当局などむやみに国民を心配させるよりも、そのことが明らかになるような国際収支の建て方というものを示して、国民に安心せしめた方がいいのじゃないかと考えます。ただしこれから先五月、六月以降は私の言うような立て方をしても、経常収支も赤字になり、また資本収支も短期のそれこそユーロダラーや自由円が入ってこないで赤字になって、総合収支が赤字だということが今後あるいは起こるかもしれませんが、しかし私のような建て方をすれば、今後といえども経常収支が大赤字にはならない、こういうように私は考えますので、せっかく通産大臣、政務次官、関係の局長、課長もおられますので、私の考え方、ものの見方というものを、ここで述べて御参考に供したい、こういうことであります。何かそれについてお答えがあれば伺います。

今井善衞通商産業事務官(通商局長)

○今井(善)政府委員 実質的な国際収支につきましては、ただいま内田先生から御指摘がありました。私は大体その通りだと思います。しかし繰り返すようになって恐縮でありますが、今は輸入にりきましてはユーザンスがあります場合におきまして、まだ現実にその支払い期日が到来していないという場合でも全額支払ったことにしまして、そのユーザンスの相当分を資本取引の方で将来受け取るという形にしておるわけでございます。従いまして総合収支じりで見ますとプラスかマイナスかというのは、はっきり同じ結論が出てくるのでございますけれども、現在経常収支だけで見ますと、常に実態よりもむしろ悪いような形の建て方になっておりまして、資本取引につきましてはユーザンスがある限り受け取りが非常にあるというふうな建て方になっておるわけでございます。従いまして今の経常収支で見るよりも総合収支で見た方がかえって実態に合うのではないかというのは、その限りにおいて私どもは正しいのではないかと思います。この輸出入の経常収支についてウエートがあるということは、これはもちろんその通りでございます。今の立て方からくる誤解が一部若干きているのではないかと思います。ただしこの立て方について、それではユーザンスについては経常取引の方に入れて、そうしてもっと実態を現わすようなことにしたらどうかというこういう立て方もあると思います。  それから今のようなやり方と申しますか、非常に堅実過ぎるほどのやり方、これは経常収支について非常に堅実過ぎる結果を、すでに出しておるわけでございますが、これはIMF等におきましても、こういうやり方をやっておりますので、日本も採用しておるわけでございまして、実際問題としてただいま先生の御指摘になったように、経常収支は常に実態よりもむしろ悪く出てくる。堅実過ぎると申しますか、あるいは堅実過ぎる、過ぎると申しますか、とにかく過度の堅実さの結果が出ておるということはその通りだと思います。さりとてこれを直したらどうかということになりますと、これはIMFその他の関係もありまして、直せるかどうかわかりませんが、はその通りだと思います。

内田常雄自由民主党

○内田委員 大体私と意見は同じことですが、そのお言葉の中に、この統計の作り方はIMFの方式に準拠しておるということがあった、それはだれでも——大蔵省の人も言う。しかしほんとうにそうですが。というのはIMFの立て方というものは経常収支と資本収支というものを明らかにしろということだけであって、これは私の想像です。——だけであって、その経常収支の建て方の中においては、まだ支払いもしない輸入代金を支払ったことにして、同額を資本取引の方で擬装して受けた形にするというような建て方をしろ、そこまでは私は入ってないように思う。あなたは研究をしないでそんなことを言っているのではないかと思う。たしか数カ月前にIMF方式というものに国際収支の建て方が変わったけれども、それはユーザンスの建て方についてまでIMFの方式はできていないのじゃないか、今まであった貿易とか貿易外とかいうような建て方を経常収支、資本収支という大ざっぱな建て方にしただけで、せっかく為替ベースの国際収支を作りながら通関統計とあいのこのような建て方をすることがIMFの方式じゃないように私は思う。あなたはこれはIMFの方式だからIMFと相談しなければこの建て方は直らぬと言うなら、私はなるほどと思いますけれども、そうじゃないんじゃないか。だれかの言うことを聞いて、何でもIMF方式だとでたらめを言っているんじゃないかと思うので、御研究を願いたい。もしそこでほんとうだというならほんとうだと言ってほしい。

今井善衞通商産業事務官(通商局長)

○今井(善)政府委員 そういうふうに、ほんとうにそうですかと言われますと、私どもお答えに苦しむわけでございますが、そういうふうに聞いておるわけであります。

内田常雄自由民主党

○内田委員 その通りだと思う。のみならず、通貨金融の建て方は大蔵省や日銀が中心になっておるが、一方の税金のとり方なんかについては、債権が発生すれば、それはみな所得だといって税金を吹っかける。それから借金を背負っても、これは払う金だからといってみても、それを払ったときには損金に見てやるけれども、払わぬ限りは損金に見てやらないという現実主義をとっておる。そういう習慣が今日でも残っておって、国際収支というものは危険なものだから、将来払うことが来るものは、今払わなくても払ったことにして建てておき、経常支払いに建ててしまって、一方で資本収支の借り受けにしておる。これは借り受けじゃないので、日本の貿易が続く限り、今板川君が現在十億のユーザンスがあると言ったけれども、日本の輸入は五年後には七十億になる、そうするとユーザンスの期限が延びなくても、品目が拡大しなくても、今の十億のユーザンスは将来は三十億くらいになるのだから、決して逃げられる金じゃないのだということを頭に置いてほしい。私はこれで終わります。

板川正吾日本社会党

○板川委員 それでは通商局長に。この間からトランジスター・ラジオの日本機械金属検査協会の問題が新聞で再々報道されております。これは輸出規制と関連している問題ですから、十分ばかり触れてみたいと思います。  新聞の報道するところによると、検査協会の経理に不審の点があるということで、協会職員、業者など九人が警視庁に逮捕されておる。そして池田総理大臣、椎名通産大臣あてに輸出の数量規制の全廃の要望書が出ておる。それから検査料の値下げ運動も出ておる。こういうことが要望書で出ておるというのですが、出ておりますか。

今井善衞通商産業事務官(通商局長)

○今井(善)政府委員 日本機械金属検査協会の現在取り調べ中の問題これは非常に遺憾でございますが、この問題とは全然関係なく、別途トランジスターの工業会から、輸出規制について、何とかもっと合理的な方法に改めてほしい、もしそれができなければ今の規制には反対であるという意見書が出ております。

板川正吾日本社会党

○板川委員 電子工業会の岩下文雄会長の話によると、最近検査協会の理事会で行なわれた三十五年度の決算報告で、剰余金が八千万あったということを報告された。そこで、業界から、八千万ももうかっておるのでは、一つ検査料を値下げしてほしい、こういう要求をしようとしたところが、その後になって、剰余金は四千万だった、こういうふうな訂正の報告があった。そしてこれを通産省に業界側が調査を頼んだが、重工業局は、確かにそのような事実があり、調査したところ、検査協会が報告した決算は粗雑なもので、人件費、償却費などを差し引いてなかったためだと説明している。こういう報道がありますが、これは事実なんですか。

今井善衞通商産業事務官(通商局長)

○今井(善)政府委員 それは少し前のことでございますが、二、三カ月前に電子工業会の力から検査料を値下げしてほしいという話がありまして、私の方で検討いたしまして、幾ら値下げをしたか今覚えておりませんが、若干値下げをしております。その電子工業会の所論と申しますのは、トランジスター輸出がきわめてわずかなときに全体をまかなえる程度に検査料を作ったのでありまして、その後輸出量がふえ、検査数量がふえた、従って相当の剰余金が出るはずであるということで値下げをしてほしい、こういうことであります。私の方といたしましては、検査の施設費、これには相当かかるわけでございますが、若干値下げをする余地があるということで値下げをしております。

板川正吾日本社会党

○板川委員 通商局長ですから、重工業局がどういうことを言ったかということはわからないかと思うのですが、どなたかこれに関係した重工業局の方がおりますか。

今井善衞通商産業事務官(通商局長)

○今井(善)政府委員 いや、来ておりません。

板川正吾日本社会党

○板川委員 それではこれはまたあとでやるとして、トランジスターの検査は、輸出検査法によってやっておるのですか。

今井善衞通商産業事務官(通商局長)

○今井(善)政府委員 さようでございます。

板川正吾日本社会党

○板川委員 通商局長はそういう問題があるということは知っておりますね。

今井善衞通商産業事務官(通商局長)

○今井(善)政府委員 十分存じております。

板川正吾日本社会党

○板川委員 輸出検査法の十六条によって、通産大臣は、輸出検査の運営を円滑にやるために、経理能力、計算能力がないと許可しないということになっておりますね。八千万の剰余金があって、人件費や償却費を入れてなかったから四千万になったというのでは、この十六条の基準からいって通産大臣がこれを認めるのはどうもおかしいということになるのです。  それから輸出検査法の二十九条では、指定機関は帳簿を備えて、省令で定める事項を記載しろ、また四十五条では、手数料の基準をはっきり定めろ、こういうふうに書いてありますね。そうすると、指定機関である検査協会は、検査料の剰余金のとり方、使い方、こういったものは通産省の認可を経た方式でやっておると思うのです。そのことでは大して問題は起こらないと思っておったんですが、なぜこういう問題が起こったか、これは間接的かもしれぬけれども、どうお考えですか。

今井善衞通商産業事務官(通商局長)

○今井(善)政府委員 検査料はその法律によりまして政令でもってきめておるわけでございます。従いましてこのきめます場合におきましては、確実にそれだけ入るのか、使途はどういう使途に使われるかということは厳密に検討いたしまして、それで政令できめるわけでございます。従いまして剰余が出るといたしますれば、その剰余をどういう施設に充てるか、そういうふうなことまで検討してきめておるわけでございます。今度遺憾ながら検察庁当局におきまして取り締まりを受けております問題は、その中の経理に関する問題でございまして、私どもその法律に従いまして経理も厳重にやっておったつもりでございますけれども、欠けておったところがあるのじゃないか、かように反省しておる次第でございまして、その点遺憾に思います。

板川正吾日本社会党

○板川委員 これもわれわれ新聞の報道程度しかわかりませんけれども、領収書がはっきりしないとかなんとかいって報道されておりますが、そういう会計の処理をする規定もはっきりしているならば、しかもそれが通産省でその決算報告は承認するということになっていると思うのです。ですからそういう問題は起こるはずがないと思ったのです。これはまた亜工業局に機会があったら聞いてみたいと思いますが、トランジスターの規制は何でやっておったのですか。輸出入取引法ですか、それとも貿管令ですか。

今井善衞通商産業事務官(通商局長)

○今井(善)政府委員 トランジスターにつきましては、生産業者のサイドにつきましては何もやっておりません。輸出業者のサイドにつきましては輸出組合の輸出入取引法による協定とそれから貿管令、両建でやっております。

板川正吾日本社会党

○板川委員 この輸出割当権ですね、これが高値で売買されておる。こういうようなことも問題の発端の一つになっておるのです。なぜ輸出割当権が高値で売買されておるのか。輸入の場合、従来外貨の関係や何かあって原綿の割当なんかやっておったときには、割当権がプレミアムつきで売れたということですが、輸出する場合には、外国に売ることですから、その割当権が高値で売れるというのは、その規制自身にやはり問題があり、実情に沿わない点があったのじゃないでしょうか。この点どうお考えになりますか。

今井善衞通商産業事務官(通商局長)

○今井(善)政府委員 輸出入取引法に基づきます輸出組合におきまする割当方式でございますが、実績を基準にいたしましてやっておりました関係上、たとえばその後において非常にいいものができる、いいものを取り扱うという場合におきまして、自分の実績以上に扱いたいという場合におきまして、他のものからその割当を買うというふうなことが割当権の売買という関係になっておるわけでございまして、そういう関係におきまして、確かに現在さような状態になっておりますので、私どもも、若干不合理な点がある、特にいいものにつきましてはもっと弾力的な割当のやり方があるのじゃないかということで、一部調整保留重みたいなものを取りまして調整しておるのでございます。これは大部分実績割当でございますが、一部は調整保留と申しますか、非常に輸出契約が確実にできて非常にいいものであるというものにつきましては、そのクォーターを別途やるというふうな形でやっておるわけでございまして、またそれだけでは十分でないじゃないかという意味合いで、先ほど申し上げました電子工業会の方から輸出規制についてやり方を改めてほしい、こういう意見が出てきておる次第でございます。

板川正吾日本社会党

○板川委員 規制する方法はどんなにうまくやったって、私は弊害が出てくると思うのです。たとえば大部分は実績に基づいたものでやっておったでしょう。最近は特別ワクも作ったようですが、もし実績主義でいくなら、トランジスターのソニーというのは中小から一躍世界で有名になるほど大きなメーカーになったのですが、過去の実績だけでやったら、やはりそういう機会はなかったと思うのです。最近トランジスターを日本が規制をしたために、日本の品物が安くていいということで全世界に評判をとっておったのが、最近はオランダのフィリップスという会社ですか、ここの会社が日本の輸出量を越えて一位になったということです。従来は日本が一位でしょう。そこらに輸出規制をして、一部分ある地域の過当競争という面を過大に罪悪視して調整をするために、全体の世界の市場から日本が後退するような結果になってきたんじゃないですか。そういう点から、カルテルにはマイナス面とプラス面があるでしょうけれども、どうもわれわれとしてはマイナス面の方が多いんじゃないかと思いますが、このトランジスターの規制問題にからんで、そういう意見についてどうお考えですか。

今井善衞通商産業事務官(通商局長)

○今井(善)政府委員 このトランジスターの規制をやりましたのは、わずか一両年間でもって何十倍と輸出が伸びまして、その結果相手国から、まだ直接抗議の意見は出ておりませんけれども、いろいろ業界が動いた、あまりにも殺到し過ぎたということでもって、日本側の規制をやった次第でございまして、そのやり方としまして、最初にやりますときはどうしても実績以外に頼るべきものがないので、まず実績でもってこの交通整理をやるわけでございますから、それが一両年たちますとまたそれでもって変化して参る、従いまして弾力的に特別ワクをもって運用しなければならぬというのは、確かにその通りじゃないかと思います。われわれの方もそういうふうな態度で今後割当方式を改めて合理化していきたい、かように考えておるのであります。  今欧州方面からのトランジスターの輸入が、アメリカにふえつつあるということは事実のようでございましてもちろん日本の方がまだ圧倒的に多いわけでございますが、会社単位に申しますと、たまたま非常に有力な会社が輸出を次第にふやしておるということは事実のようでございます。これは先ほども申しましたように、わが方であまり実績に固着しますと、さような弊害もできますので、いいものにつきましてはやはり伸ばすような輸出規制をやらなければならぬ、たとえばほかの毛織物にいたしましてもあるいは陶磁器にいたしましても、初めは実績主義でやりますけれども、いいものは仲ばすというふうなやり方で弾力的にやっておるわけでございます。トランジスターにつきましても、もはやさような段階であるとわれわれは考えておる次第でございます。

板川正吾日本社会党

○板川委員 なかなかむずかしいのです。実績主義でやるとそういう弊害があるのです。優秀な会社があとから考案発明されて輸出しようと思っても、優秀な性能を持ったいい製品を出しても、実績主義で押えられますからね。といって、また通産省がそれを適当に調整できるのだというと汚職の原因にもなるのです。ですからどううまくやったところで弊害がある、こういうことを言いたいのです。  大臣が来ましたから、これから大臣に伺います。大臣、一つ伺います。これからが実は私の本論なんですが、そういう気持で一つお聞き取り願いたいと思うのです。  大臣の考えておる通商産業上、貿易上の基本的な考え方、態度——これは私は池田内閣が自由化を進めるという建前をとっておりますし、その自由化はガットの精神に基づいた一つの方向であろうと思うのです。ですから貿易政策に関する基本的な態度というものは、大臣はガットの精神を基本としておる、こういうように考えてよろしいでしょうか。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 結局国際間の貿易取引を自由にし、それを拡大することによってお互いの経済というものを発展させる、こういう考え方が貿易政策の基本でなければならぬと考えております。ガットの精神はやはりこの精神に準拠するものだと考えております。

板川正吾日本社会党

○板川委員 ガットの精神は今大臣がおっしゃられたように、貿易上のいろいろの制限をなるべく取って、そして競争の中で、自由にして、安くていい物を、どこの国の人もそれが十分に手に入り、また輸出もできるという建前になっておることは、大臣の今言っておる通りなんです。それがガットの精神なんです。しかしそれはガットの目標ですから、現在どこの国でも完全な自由な貿易をやっている国はないのですから、その目標にできるだけ近づこうという努力をしているわけです。ガットはガットの条項を押しつけるものじゃありませんから、漸進的にそういう方向へ進んでいくということが、各国の了解の中で行なわれればいいということになっているわけです。そこで、ガットでは最近国際間における競争制限ということをなるべく撤廃して——制限するなら関税以外にはないという建前ですが、競争を制限する今までのやり方を撤廃しようという動きになっておるのですね。これはガットの十三回総会から十八回総会ですか、ここまでの間に競争制限を撤廃するには、各国はどういう取りきめをしたらいいかということを議論をした。結論としては具体的な手段がまだ見つからない。だから競争を制限することによって被害を受けた国が一つ相手国に申し入れて、そしてガットの精神を基調に置いて制限を撤廃するような努力をして、その結果をガットに報告しろという取りきめになっておるのですが、しかしいずれにしろ競争を自由にしよう、競争制限を撤廃しようというガットの動き、大きく各国ともガットの精神が認識されて、そういう方向へ来ているのに、今度の輸取法はその競争制限を撤廃するような方向と逆な方向じゃないでしょうか。この点、なぜこういう逆な方向の改正案を出したかということを伺いたい。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 ガットの競争制限の撤廃は、主として国際カルテルはいかぬ、こういうのであろうと思うのであります。御承知の通り国際的にカルテルを広げまして、そして国際市場において一種の独占価格あるいはこれに類する独占的な、経済的な威力をたくましくするというのが、国際カルテルのねらいでございますが、そういったようなことはあくまで反対である。これはわれわれも非常に賛成でございます。ただ二面においてダンピング競争、その国の労働者の犠牲において安売りをする、あるいはその他の適当、妥当ならちを越えて目先の利益に走る、その結果国際取引というものを著しく撹乱する、こういう問題については、ガットはこれに、反対して、むしろそういうことを防止しようということを主張しておると考えております。

板川正吾日本社会党

○板川委員 ガットの精神は国際カルテル、競争制限を撤廃しようということですけれども、国際カルテルというのは、やはり国内カルテルの上に立っているのです。ですからガットの精神というのは国内でも国際的でも、競争を制限するような措置はとらない、その方向に各国が努力するというのが、ガットに加盟している国の責任だと思うのです。その国際カルテルだけ取り締まって、国内はどうでもいいという、それはガットの適用外かもしれぬけれども、精神は同じだと思うのです。  それから次に伺いたいのは、カルテルに対する大臣の認識というか考え方ですね、これが実は確かめたいのです。カルテルはいいんだという建前をとっておられる通商局長以下の人たちは、あまりそばで言うと大臣がわからなくなってしまう。大臣、いいですか、カルテルをして、安売り防止をすればどういう利益があるのか。それは外貨を高くとって、その限りにおいては国内の外貨が多くなるのですから、輸入もさらによけいできることになりますし、なるほどカルテルは、そういう競争制限をして、高値で売ればもうかる。そういう国民の利益に合うような一つの考え方があるのです。私は、そういう気持からカルテル論者が、カルテル、万能論を唱える理屈はわかるのです。しかしカルテルの弊害をあまり見ないのです。このトランジスターの規制にしましても綿製品の規制にしましても、カルテルを結んで規制をする。なるほど、たとえば少量で高い金が入る。しかし高く売れば自然外国の貿易市場の競争で負けて、少量の輸出しかできなくなる。生産も少なくて間に合う。そうすると大量生産によるコスト・ダウンの利益を国民が受けるわけにいかない。トランジスターの場合なんか、どんどん安くしていい品物で、多少非難があってもどんどん世界各国に進出したからこそ、一万数千円したようなトランジスターが六千円くらいで手に入るようになっている。競争することによってコストが下がって、それを使用する国民も非常に利益を受けるのです。それを最初から、諸外国にないから高く売りつけようということで少量生産をしておったのでは、わが国でもこういうようにトランジスターの産業が発展しないし、国民も安いトランジスターの文化の恩典に浴することもできないし、世界市場の中で日本が圧倒的なトランジスターの市場の開拓ができなかったろうと思うのです。この法案の中にはカルテルをあまり万能祝して、カルテルこそ国民の利益だというお考えがあると思う。これに対してどうお考えですか。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 この協定の問題でございますが、利点もあれば弊害もあるとおっしゃいます。その弊害は、つまり値段をくずさないで販売する、そうすると、その値段に耐える消費者は飛びつくけれども、これはどうしても範囲が限定されるから相対的に見ておのずから限度がある、それはやっぱり弊害ではないかというようなお話がございました。そういう場合があるかもしれませんが、従来日本の対外貿易の経験からいいますと、むしろそうではなくて、安かろう、悪かろうということわざがございますが、お互いに安売りをして、それが非常にたくさんの消費階層に呼びかけるから、結局薄利多売ということになるのだというようなお話は、これは実際問題とは非常に違っておる。たとえば前に大阪地方で模造真珠というのがありました。これはガラス玉に魚鱗をうまくくっつけまして、ほんとうに真珠のような光沢のいいものを作った。これがアメリカの市場に相当売れたのであります。これは一流の店のショーウインドーにも飾られておったのでありますけれども、遺憾ながら乱売競争をやって、あとからあとから値がくずれていく。そうすると、一流の商社はこれを扱わない、日本品は危険だということで、だんだん扱う商店が二流、三流になってくる。それからこっちの方も値くずしをやりますから、同じように品質を維持することができない。どんどん品質を下げていく。そうすると、やっぱり悪かろう、安かろうということで、おしまいには二流、三流の商店でも、もう日本の模造真珠は危険で、とても扱えないということになりまして、しまいには店のショーウインドーから全部姿を消して、そして夜店で腕にかけて、どうだ、安く買わないかといったようなことであわれな姿になりまして、とうとうこれが消滅したような経験もあるのであります。やはりどうしても、カルテルの弊害に陥ってはいかぬけれども、安いからどんどん消費者がふえるのだというような考え方は、われわれの従来の経験からいうと、実際においては当たらないのでありまして、やはり適当な品質を維持し、そして得意をどこまでもつないでいくためには秩序ある取引をしなければならぬということを、われわれは考えるのであります。今トランジスター・ラジオの例をお出しになりましたが、これなんかもだんだん悪かろう、安かろうという限界すれすれにきておる。これを何とかしなければならぬというのが現状ではないか、かように考えておる次第でございます。

板川正吾日本社会党

○板川委員 カルテルを是とするものとカルテルは悪なりとするものとの論争はずいぶんあります。しかし私は自由主義経済を標榜する方々が、カルテルがいいのだという議論はどうも間違っているのじゃないかと思うのです。十年前から見ると、今日日本の輸出は金額にして三倍になっています。数量はもっとふえておるでしょう。今日世界各国から見れば日本の輸出金額、数量というのはまだまだ低いのですけれども、しかしここのところ長足に輸出が伸びておる原因は、日本の品物が安くていいということが、やはり世界市場に進出した大きな原因だと私は思うのです。しかしこれでもまだ日本は、国民一人当たりの輸出というものは、先進諸国から見たら非常に少ないのですから、もっともっとふやさなければいけない。そのためにはやはり競争は確保しておいて、そして安くていい品物を——今のアメリカでのガラス玉の例ですが、ごまかしの品物じゃだめですよ。安くていい品物を作っていくようにすれば、輸出は大いに伸びていくのじゃないか。そういう競争を制限するような方向は、一時は利益を受けるようだけれども、将来長い目で見ると結局不利になるのじゃないか。本来から考えれば、自由民主党の皆さんがそういう主張をせらるべきだと思うのですが、どうもそういう点が攻守ところを変えておると思うのですが、どうですか、私らの方に同調できないですか。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 われわれとしては、やはり公正な自由取引、自由競争によってお互いに切磋琢磨されるものであるという大きな原則はもちろん忘れておりませんけれども、二面において今申し上げたように、相当多数の人々によって行なわれておるというような状況でありますから、そういう場合においては適当な限界内において秩序ある取引というものにみんなが従うことが必要でないだろうか、こういうふうに考える。もちろんそれがもしあまり高じて市場を独占し、独占価格というものにふけるということになりますれば、これは非常な弊害でありますから取り締まらなければならない。市場を独占して経済的な独占力を発揮するというような程度に至るものは別でありますけれども、その程度に至らないものであって秩序を維持できる限界にとどまっておる以上は、カルテルもまたこれは用いるべきものである、こう考えております。

板川正吾日本社会党

○板川委員 大臣、どうも私と食い違いがあるのですが、大臣は秩序という法秩序、経済秩序を考えて、この秩序を保つためにカルテルもいい、こう言っているのです。一方において独占はいかぬと今言っております。しかし大臣、今度の輸取法の改正では独占を強化することになるのですよ。たとえばこの五条の二なり五条の三なりでカルテルを結ぶことができます。そしてそれは特定地域に対して特定の貨物を輸出しておる業者が三分の二以上集まれば、今度は——今でもアウトサイダー規制はできます、今度メーカーのアウトサイダー規制をつけようというのですが、五条の三でカルテルは結ぶことができます。五条の三にしてもいいです。メーカーが国内取引においてカルテルを結ぶことができます。そしてその仕向地がメーカーのカルテルに参加している会社で三分の二以上占めれば、今度は三分の一のものに三分の二に従えというアウトサイダー規制が出せる、こういうふうに変わるのです。これは今度の改正の第一番の問題点ですよ。  ところがたとえばセメントにしますと、セメントの会社は四十七社あります。そのうちの小野田セメント、磐城セメント、日本セメント三社で五〇%生産しております。そのほか三社を入れますと六社で七〇%を占めております。たとえばその六社がある特定地域にセメントを輸出した場合に、六社がカルテルを結んで数量、価格、その他の条件をきめてしまうと、三十五社のほかのセメント業者は六社に従わなくてはならない——実はセメントは違いますよ、セメントは違うカルテルをやっているからこれとは違いますけれども、例をあげればそういうことになります。セメントじゃなくてもいいのです。そういうように敬礼が三分の二以上の輸出をしておれば、あと百社あろうが、百二十社あろうが、三百社あろうが、この三分の二以上の取りきめ条件に従わなくちゃいけないというのが、今度のアウトサイダー規制の命令を追加しようという改正の要点なんです。そこでそのアウトサイダー規制に従わなかったらどうなるのか、今度は二年以下の懲役、三十万円以下の罰金です。今までは一年間の輸出停止をして、輸出停止に従わたかった場合にはそれから二年以下の懲役、三十万円以下の罰金を食らわしたんだけれども、今度はそういうアウトサイダー規制、政府がきめた順守すべき事項に違反した場合は、二年以下の懲役を初っぱなから食わすことになるのです。そういうのが今度の改正案の大きい問題点なんです。  そこで一つお伺いしたいのですが、少数の三分の二が取りきめをした場合には、多数の三一分の一は少数に従わなくちゃいけないという法律の根本的なもとというのですか、憲法何条によるのですか。憲法のどこの精神から少数の大企業の独占が、五社なら五社が三分の二以上を占めていれば、あとどんな多数でもその少数に従わなくちゃならぬというのは、立法の精神、改正の精神は憲法の何条によるのですか。

今井善衞通商産業事務官(通商局長)

○今井(善)政府委員 今引かれました例といたしまして、私どもの考えもしなかった非常に極端な例であるわけでございますが、私ども今回の改正におきましては、この法律の要件といたしましては、インサイダーが全体の三分の二相当部分ということになっておりますけれども、実際問題として少数の、ごく少数の大メーカーの意思を大多数の人に及ぼすというふうなことは、これは適当ではないと思います。従ってアウトサイダー規制命令をかけるか、かけないかという場合におきましては、これは輸出入取引審議会等にかけますけれども、そういう場合は適当ではない、インサイダーといたしまして大企業も入っているし、中小企業も相当数入っておるバランスのとれた場合におきましてインサイダーの生産も大部分であるし、非常にたくさん入っておる、中小企業を含めてたくさん入っておるという場合に当然かけるべきである。それ以外にはたとえば少数の大企業だけがインサイダーになっているような場合におきましては、これはアウトサイダー命令をかけるのは適当ではない、かように考えております。

板川正吾日本社会党

○板川委員 適当でないといっても、法律でそういうことが可能になっているのではないですか。適当ではないといっても、法律で改正をしようという提案をされているのではないですか、そこで適当でないというのはおかしいじゃないですか。

今井善衞通商産業事務官(通商局長)

○今井(善)政府委員 これは認可の要件といたしまして必要最小限度であるべきこととか、あるいは関係中小企業の利益というものは十分尊重しなければならぬこととか、あるいは公正取引委員会にはからなければならぬとか、さらに輸出入取引審議会にはからなければならぬとかいうようなことで、運用は慎重を期さなければならぬ、その運用の態度といたしまして、私どもただいま申しましたような態度でやるべきである、こう考える次第であります。

板川正吾日本社会党

○板川委員 大臣にお伺いしますが、セメントの例は実はそれと違った例ですから、名前がちょうど出てきたから言ったんですが、ほかの例でもいいのですが、輸出業者の場合にはカルテルを十日間なりで五条によって届出でできるわけです。それから二十日間の期限のもありますし、認可を、承認を受けてやるというのもあります。しかし大体においてカルテルは承認されておる。その承認されておるカルテルが少数の大企業が輸出なりという貿易上の名目で、こういう基準で商売をする、こういうことになりますと、私は小さいメーカー、中小企業者なんかは大企業の基準に従えないと思う。同じ品物なら、たとえばトランジスターならトランジスター六石幾ら、こういうふうにきめますと、それは大手のメーカーのやつならば、ある値段で売れるでしょう。   〔委員長退席、中村(幸)委員長代   理着席〕 しかし中小メーカーのやつは、それはある値段では売れないでしょう。だから値くずしをしても、自分に不利な条件を値くずししてもいいから、売っていとうということになる。それでないと商売はやっていけない。ところが値くずししてはいかぬというので、今度アウトサイダー規制をかける、こういうことになるのです。ですからカルテルというのは大企業が中心で、大臣が言った独占資本、大企業が中心で、常に大部分のカルテルというのは大企業の指導のひとに結ばれるのですよ。だからそれに参加している中小企業というのは、実はそのカルテルによって恩恵が少ないのです。だからカルテルというのは、大体そのカルテルに参加した大きい企業体の利益しか守ってくれないのです。これは理研の上からいって建前なんですが、そのカルテルに対して、大臣はカルテルは悪いものなりという考えも毛頭持っておらない、持っておらないから、今度の法律では罰則を強化している。四十二条の改正で、今までそのカルテルに従わなかった場合、あるいは通産大臣が出した順守事項を守らなかった場合、これはいかぬからというので、その業者を一年間に限って輸出停止をすることができる、こういうことになって輸出停止をされたその後でなければ、懲役は食らわなかったのですが、今度はその順守事項を守らなかったら二年以下の懲役を直接食うようになったのですよ。なぜこういうような罰則を強化したのか。これは、カルテルは正しいものだ、カルテルを守らないやつは刑罰を科していいんだ、悪人、罪人だ、こういう思想になるんじゃないですか。どうも私はこの点で行き過ぎがあると思うのですが、大臣にお伺いします。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 カルテルに対する考え方について私の見解を申し上げます。業界の大多数が正当な値段をどこまでも維持していきたい、そうしなければ、その雇用者も一緒に共倒れになって非常に困る人間ができる。だからせっかくの市場をどこまでも守って、そして家業を維持していくためには、正当なこの程度の値段で一ついこうじゃないかというような場合におきまして、その協定というものを横目に見て、そしてとにかくさしあたり自分がこれを売り抜こう、あとは野となれ山となれといったようなことで、その多数の同業者を裏切るようなことは、これは手を出して人の財物を盗みこそしないけれども、少なくともそれに劣らないような非常な悪徳である、私はこう考えるわけです。でございますから、そういったような状況がはっきりした場合には、それは何百人、何千人あるかわからぬけれども、同業者あるいはその労働者の正当な生活権を守る意味においても、相当な処罰をもってこれに臨む必要があるんじゃないか。しかし翻ってすべてのカルテルがそんないいものだ、そういうことは私は考えてない。カルテルによってはかなりその限界をこえて、市場独占的な程度まで、いわゆる恣意をたくましくするような者も出て参りますから、それは監督上その限界は守らせるということにいたしまして、その正当な限界内におけるカルテルというものを裏切るような違反行為をする者があれば、これはもう相当きびしい罰則をもって臨んで、そういうことが再び起こらないようにするということが大切だ、その営業をどこまでも守り、その営業に従事する人たちの生活権を守り、またそれに関連する海外の市場というものをどこまでも維持する、こういう意味においては、これに対する違反行為を排除するために相当きついことをやってもかまわないんじゃないか、私はこういう考え方を持っております。そういう意味において罰則が設けられておるものと考えますが、なお法案の具体的なこまかい点につきましては所管の局長から申し上げることにいたします。

板川正吾日本社会党

○板川委員 百人業者がおって、九十何人が一つのルールに従って輸出をしておった。そのうちの数人がさっきのガラス玉のような不公正な取引をした。との不公正な取引をするととを、私ども罰してはいけないということを言っているのじゃない。これは独禁法にもありますし、この輸取法の一条、二条に書かれている精神は、当然そういうものを取り締まることを考えておるのですから、それはいいのですよ。そういうごまかしの取引をしようというのは……。そうではなくて、今の法律の建前は、特定の貨物を特定の仕向地に輸出しておって、それが数量的に相当の比率、三分の二以上を占めておった場合には頭数には関係ないのです。三分の一以下の他の業者を規制することができるようになっているのですよ。それでいきますと、三人なり五人なりで相当数を占めてしまえば、その多数がそれに従わざるを得ないような法律に現存なっておるのです。さらにその体制を強化しようというのが今度の改正案なんです。だから大多数が一つのルールに従って商取引しているのに、一部けしからぬやつを厳罰にするというのは——これはこれで話はわからぬでもないですよ。だけれども、輸出入取引法はそういう建前に立っておらない。そのおらないものをさらに強化しようというところに問題があるということを言っておるのですが、どうもその点私の言っていることがよくわからないんじゃないかと思うのです。どうも通じないような気がして……。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 大体私考え方を申し上げたのでございますが、これが輸出となると、輸出市場では日本の国内の業界がどういう状況であるかもちろん知りませんし、物そのものによって判定されるわけでありますから、大多数数量的にこれを判断して輸出の規制を加えるということになると思うのであります。しかし、そういう場合に、アウトサイダーを規制するような場合には、先ほど局長から申し上げたようにいろいろな条件がこれにからまっておりまして、その行政監督の上からそういうことの起こらないように十分な配慮をされておる、こういうことになっておるのでございますが、差しつかえないと思います。つまり、ちょっと補足いたしますが、少数の大きな業者の恣意、独断というものによって問題を決することのないように十分に政行的に配慮されておる、こう考えております。

板川正吾日本社会党

○板川委員 法律的にはそうでないが、しかし行政的にはそういう措置をする、そういうことなんでしょう。それら法律的にもそうしておくのが正しいと思うのです。では、これは局長でいいですよ、さっき質問したらあなたは答えなかったのですが、アウトサイダーを規制するという思想ですね。これは憲法からいえば公共の福祉という思想から出ておるのですが、アウトサイダーを多数の人の秩序のために少数の基本的な権利というものを制限されてもやむを得ないという思想は、公共の福祉という憲法の思想から発展しているのですか、そこに根拠があるのですか。

今井善衞通商産業事務官(通商局長)

○今井(善)政府委員 端的に申し上げますと、やはり公共の福祉というところから出ておるわけでございまして、大部分の人がまじめに、あるべき値段でもって売りたいというときに、ごく少数の人がそれを撹乱いたしまして、ある値段をくずすということになりますと、大部分の人はまじめに売ろうといたしても、その努力は無になる。結局は少数の人にがまんしてもらって、大部分の人に協調してもらいたい。これはやはり憲法の公共の福祉に適するということであります。

板川正吾日本社会党

○板川委員 わかりました。そうだろうと私も思っておるのです。しかしそうだとすれば、法律的には輸出入取引法は、公共の福祉というのが少数の大資本、大独占資本、これの利益と結びついているような法制になっているのじゃないですか。その従えという基準は公共の福祉でしょう。その基準を出すのは何といったってこのカルテルに入るのは大きな資本が中心になるのですよ。そうするとその公共の福祉が、実はここでは少数の大資本の利益ということになってしまって、公共の福祉じゃない。三分の一の多数の中小企業者というものは縛られることになる。また違反をすれば懲役を食うのです。そこに矛盾があるのじゃないですか。私どうもそう考えるのです。

今井善衞通商産業事務官(通商局長)

○今井(善)政府委員 アウトサイダー規制命令の仕組みというのは、御承知のように中小企業団体法を初めいろいろの法律にございまして、その場合には数量が相当大部分であるということ、それから人数がやはり相当大部分を占めておるという二つの要件をこの法律で必須の条件としておりますけれども、事外国貿易につきましては、先ほど大臣がお答えになりましたように、相手の国に非常に大部分のものが適正な値段でいっているけれども、ごく少数の部分が非常に撹乱的に作用するということが、一番根本の問題であるということで、輸出組合のアウトサイダー規制その他におきましては、この数量要件だけを必須要件といたしまして、頭割要件というものはそれに加味しておりませんけれども、先ほど申しましたように、運用の問題につきましてわが方としてできるだけそういうことも加味して、ごく少数の大企業の意思を、多数の中小企業に押しつけるようなことは、これは厳にやってはならない、かように考えておる次第であります。

板川正吾日本社会党

○板川委員 しかしそう答弁されても、法律上では必ずしも多数の三分の一の人たちがそうは救済されないと思っているのですが、それはそれでいいです。  きのうもちょっと議論したのですが、対米綿製品の規制ですね、資料によると、昭和三十二年七月に綿製品規制の協定をしたのですね。それでそのときを一〇〇としますると、昭和三十五年一月−七月、前半は日本の輸出が三倍になっております。しかし香港はこの間に十六倍になった。香港からアメリカへ行く綿製品の輸出というものは、日本が自主規制をしておる間に十六倍も伸びたのです。現在では数壁も香港の方が日本の約二倍くらい実績として多い。金額にいたしますと、三十五年一−七月間が日本が二千二百七十八万ドル、香港から入ったのが三千五百九十万ドル、こういうふうになって金額的に見ましても二倍弱一です。それが三十二年の七月十二月のときは、日本が一千四百七十六万ドル、香港から入ったのが四百三十五万ドル、圧倒的に日本の方が三倍以上多かったのですが、今度向こうが日本の五倍以上になってしまった。この自主規制をアメリカから言ってきて政府間で協定をして自主規制をさせた。どうも通産省は自主規制の得意なところで、今まで白下規制をする場合には常に実績主義をとっておるのですが、アメリカと協定をするときに、なぜアメリカに実績主義——たとえば昭和三十二年七月なら、その前後のアメリカに輸入される各国の綿製品の割合は日本に確保してくれ、こういうならば話がそれはそれで一つわかるでしょう。ところが日本だけ自主規制にして、アメリカがほかから買うことを自主規制させない、だからこういうふうに大きなわれわれからいえば国民的経済的な損失を来たしておる。そのときはそれでいいと思っても、やはりカルテルとか規制とかいうものはそういう弊害があるのです。うまくいったと思っても、もう一年、二年たてば弊害の方が出てきてしまうのです。それはそれとして、なぜ当時そういう実績主義をアメリカに要請しなかったのですか。これは当時の関係者じゃないからなんですが、その点は不合理だと思いませんか。

今井善衞通商産業事務官(通商局長)

○今井(善)政府委員 私は当時のことは詳しくは知りませんが、当時におきましてもちろんアメリカ政府と日本政府が非常にかけ合いまして、数量をいかにふやすかということに努力したのでございます。この実績主義とわれわれ言っておりますのは、組合員内部の配分の方法につきまして実績主義と申し上げておるのでございまして、今の総体の量をきめるという問題は、実績も一つの要素でございますし、また将来の伸びというものもいろいろな要素でございますが、たしか一九五六年に協定が結ばれましたときにはアメリカは非常に不況でございまして、五五年当時はその協定の量よりも綿製品はよけいに輸出されていたのでございますが、たまたまこの協定が結ばれましたときにおきましては、アメリカは不況でございまして、綿製品の輸入も当座は非常に落ちておった、そういう関係がございましてそういう数字になったのでございます。この綿製品協定は五年間の協定でございまして、毎年レビューするということになっておりまして、現在向こうと交渉しておりますが、その前に交渉いたしましたのは、五九年の春でございました、ちょうど二年前でございました。五九年にはほかの国が次第に伸びてきつつあるということはおぼろげながらわかっておりましたけれども、まだ数字的にははっきり出ていないわけでございます。この統計をごらんになりますと、第三国のアメリカに対する輸出が伸びましたのは五九年からでございまして、五七、五八年は比較的平穏に、ほかの国もあばれないでおとなしくやっておったのでございますが、五九年、特に六〇年になりましてから、非常に他の第三国からの輸出がふえたということになっておるわけでございまして、五九年当時におきまして、実はおぼろばながらそういう方向にあるんじゃないかというととはわかっておりましたけれども、数字がはっきりつかめなかったということで、わが方の交渉態度につきましても、今のような強い交渉態度は打ち出しておりませんで、当時たしか一割増だとか、その程度の漸進的な交渉態度を打ち出しておったのでございます。私ども、自主規制自体というものは決して悪くなく、それだけの効果はあげておると思います。当時綿製品につきまして非常に安売りがございまして、そのために向こうでもって関税を引き上げるとか、あるいは輸入制限をするとか、いろいろの声があったのでございます。また、片や国内におきましても出血輸出というふうな関係がございましたのが、その結果出血輸出がなくなって、非常に安定した輸出状態になった——輸出すればもうかるんだ、こういう状態になったわけでございます。この五年間でもって第三国が進出し、わが万が足踏みした——非常に遺憾な状態になりましたのは、取引法に基づく自主規制が悪いんじゃなくて、対米交渉でもって数量を厳格に押えられておって、そのために——そういう対米交渉によります数量の押え方がなければ、たとえば第三国からの輸出がふえたということになれば、わが方も、日本限りでもって全体の輸出の数量をふやす。それが、たとえばほかの国が伸びているから日本もたとえば前年の三割ふやそう、五割ふやそうということが機動的、弾力的に行ない得るわけでございますが、悲しいかな、協定で縛られておったためにその自由が奪われておったという関係でございまして、私ども、自主規制が悪いんじゃなくて、そういう両者の合意が実情に沿わなかった、かように考える次第でございます。

板川正吾日本社会党

○板川委員 合意によった自主規制が、結局は国民的な利益を阻害したということになると思います。この資料によって申し上げますと、昭和三十二年七−二月が、日本が一千四百七十六万ドル、香港が四百三十五万ドル、翌年三十三年が、日本が大体倍で三千百十六万ドル、香港が四倍になりまして一千六百三十五万ドル、三十四年は、日本は大体前年と同じで三千六百四十九万ドル、香港はこの間二倍半以上ふえて四千三百七十六万ドル、それから三十五年は、一月−七月の分ですが、おそらく全期間通ずれば香港は七千万ドル近くになり、日本が四千万ドル程度だと、こう思うのです。その期間に実情が変わってきているんですから、在外機関もあることですから、そういう調査をして、実情に沿わなかったら、これこそは日本が——安保条約を結んだって、改定を申し出れば改定するといっているんじゃないですか。だから改定を申し込んだってよかったんじゃないですか。五年間もほっぽっといて、こう少なくなってから、これから強腰だというんじゃ間に合わないと思うんです。このに日本の態度について——アメリカの通商政策委員会というものがあるそうです。米国の実業家が組織しておる通商政策委員会では、米国の繊維産業の救済策についてケネディ大統領に十項目の勧告を行なった、こういっております。これによると、輸入繊維品が米産業に与える打撃は誇張されていると判断する、繊維品の輸入制限は米国の外交政策をみずからそこなうものとなろう、こういうことを勧告しているのですね。米国の通商政策委員会という実業家の集まりが——アメリカでは、なるほど業者は騒ぐでしょう。しかし、関税を上げるとかあるいはその措置をするためには関税委員会に諮らなければならない。関税委員会に諮れば、アメリカは業者の代表ばかりじゃないのですから、消費者の代表が入っていますから、そう業者が騒いだところで、関税委員会で必ずしも日本の関税を引き上げるということはしないかもしれない。したとしても、大統領がさらにそれを選択する権限を持っておる、こういうことになっておるのですが、どうもアメリカの一部の業者の声のみ聞いて、日本の繊維品の安くて品質のいい物——ガラス玉みたいないいかげんなものばかりじゃいけませんけれども、品質のいい物は喜ばれているのじゃありませんか。品質のいい物ならば喜ばれている。だから向こうの通商政策委員会でも反省をしておるのですね。それを一部の業者が騒ぐと、向こうの業者が騒ぐということであまりにこれを過大視するということは、アメリカの民主政治というのを知らないのですね。日本なら、産業界が騒げば、政府は何でも言うことを聞く。アメリカは違うようです。そういう点は、どうもアメリカの実情を知らぬじゃないかな、こう思うのです。これについて御意見があれば……。

今井善衞通商産業事務官(通商局長)

○今井(善)政府委員 これは現状におきましては、繊維品についての向こうの世論というのは、先生がおっしゃったように、貿易業者あるいは消費者を代表する意見もございますし、片やメーカーを代表する意見もございます。ところでこの向こうの世論は、日本の出方と申しますか、日本品が一時に殺到しておるという状況におきましては、世論も非常に強くなるわけであります。たとえば今から五年前に、当時そういうものができました場合におきましては、ワンダラー・ブラウスというふうな非常に安い——当時は粗悪品といわれておったわけでございますが、向こうの生産業者のみならず、輸入業者、取り扱う人も、こう品物がどんどん安くなってはかなわぬ、しかも品物が悪いからということで、世論は非常に悪かったわけでございます。世論の動きは、やはりそのときによりまして非常に殺到する場合と穏やかになっている場合と、アメリカのような国は当然違うわけでございますので、先生のおっしゃいました、アメリカに関税委員会があって、単に生産者だけでなくして、消費者の声も正当に反映する機関がある——これはもうその通りでございます。そういう点もわれわれとしては十分考えていかなければなりませんが、非常に一時に殺到する場合におきましては、世論も非常に排日的といいますか、そういうふうな空気が出てくる、そういう点もわれわれ重々考えていかなければならぬと思います。

板川正吾日本社会党

○板川委員 今数字を並べたように、数量的にいっても香港の方が日本より多いのですから、一時に殺到するというなら、香港の殺到は日本の倍ですよ。それで香港が殺到するときはアメリカは何もしないじゃないですか。日本がちょっと伸びたらそれを押える。それがまた当然だというその考え方は、どうもアメリカに対して、あまり、何でもアメリカさんの言うことならごもっともであって、日本の自主性をもっと主張しなければ困るじゃないですか。

今井善衞通商産業事務官(通商局長)

○今井(善)政府委員 何でもアメリカさんの言うことはごもっともだというわけじゃございませんで、とにかく通商関係におきまして、あくまでもわが方の自主性と申しますか、自主規制自体も、数量がわが方によりまして自主的にきめられるような方式でなければならぬ、かように考えておるわけでございます。従いまして今までございます対米綿製品の両国間の協定については、これは仕組みとしては失敗であったというふうに反省しておる次第でございます。根本的に、向こうの言う通りになりたいというような気持は毫もございません。  香港問題につきましては、これはやはりアメリカの生産業者につきましても、日本に対すると同じような意見でございまして、それが御承知のようにケネディが各国政府に対して、繊維品の輸出国、輸入国で大きな会議を開いて、そこでもって各国がお互いに話し合って新しい仕組みを作っていこうじゃないか、香港にしろ、西欧諸国にしろ、日本を含めましてそういう問題に発展しているわけでありまして、日本だけの問題ではございません。

板川正吾日本社会党

○板川委員 一つ今後はアメリカの言うことばかり聞かないで、大いに強腰でやって下さい。  次に、輸出入取引法という法律は、われわれしろうとから見ると非常にむずかしいのです。実は何回読んでもよくわからないくらいなんです。まず第一に、この用語の意味がよくわからないのです。それで理解する意味で一つ用語の意味を教えて下さい。特定の仕向地に対して特定の貨物というのですが、これはどういう意味なんですか。

今井善衞通商産業事務官(通商局長)

○今井(善)政府委員 これは特定と申しましたら国をあげまして、たとえばアメリカ、カナダ向けの雑貨と申しますか、その雑貨につきましても種類をあげまして言っておるわけでございます。

板川正吾日本社会党

○板川委員 今五条、五条の二、五条の三による輸出のカルテルが結ばれておりますが、国名をあげて特定地というのと、カルテルを認可した全地域というのがずいぶんありますが、どっちが多いのですか。今私が調べたところによると、五条によるカルテルに対して全地域というのが五十五、特定地というのが六十二ある。五条の二では全地域が三、特定地域が四、五条の三、これはメーカーの輸出ですが、これには全地域が二十八、特定地域がわずか六です。どっちが多いかというと、全地域という指定の方が八十六で、特定地域、国別をあげているものが七十二です。特定地域に対して特定貨物を輸出をするのだ、その場合にこれこれの条件にある場合にカルテルを認めるのだといっておる。この三十四年度の公正取引委員会の年次報告を見て下さい。全部計算してみたら、全地域というのがずいぶん多いんじゃないですか。さっき言ったように特定の仕向地というのは、国名なりその地方、たとえばアメリカの東海岸とか西海岸ということもあるでしょうが、少なくとも国名くらいまでは特定するのかと思ったら、全地域というのが大部分じゃないですか。輸出入取引法では、私が聞いているのは、特定仕向地というのは国名をあげている。しかし全地域じゃないです。事実そうやっているんじゃないですか。だからわれわれは法律と実態が全く違っているような感じがしているのです。どうお考えになりますか。

今井善衞通商産業事務官(通商局長)

○今井(善)政府委員 考え方としましては、あくまでも弊害の起こる地域ということでございますが、物によって過当競争が非常に全地域に及ぶという場合におきましては、この地域を積み重ねて、結果においてさような状態になっておるわけでございます。われわれの方といたしましては、何も全地域が原則であるということはごうも考えておるわけではございませんで、結果においてそういうことになっておるわけであります。

板川正吾日本社会党

○板川委員 結果においてそうなっておるのですから、その点は法律を改正する必要はありませんか。

今井善衞通商産業事務官(通商局長)

○今井(善)政府委員 法律を改正するといたしますれば、全地域または一部の地域というふうなことになると思いますが、そういうふうに大っぴらにやりますよりもむしろ原則はやはりこの特定の地域である、やむを得ず必要の場合にはその特定地域が積み重なって全地域に及んだということの方が、運用上もいいのじゃないかと思います。

板川正吾日本社会党

○板川委員 全地域に認めるといったら、これはガットで他国から必ず非難されます。たとえば日本の輸出入関係を外国人が翻訳した場合には、外国といってもそれはガットとかそういう専門の機関でしょうけれども、なるほどごもっとものように書いてあるのですよ。しかし実際は特定の仕向地に特定の貨物と言っていながら実は全地域になっておった。全地域の方が多いのですから、これは全くおかしいと私は思っておるのです。まあこれは実情が一つわかったからいいのですが、五条、五条の二、五条の三に価格、数量、品質、意匠その他の事項をとりきめることができるということがありますが、その他の事項というのはどういう内容を持っておりますか。——時間がないからこっちで言いますが、通産省で三十年の改正のときに輸出入取引法の解説という本を出しました。この六十ページから六十二ページに書いてあります。通産省の解釈は、その他の事項という中に決済条件が入る。一手輸出、これは指定機関を集めてやるのじゃないかと思うのですが、輪番制輸出、価格プール、販路協定、これらがこの解釈によると、その他の事項に含まれておるのですね。価格、数量、品質、意匠その他の事項といえば、意匠までいったのですから意匠より小さい簡単なことかなと思うと、決済条件、一手輸出、輪番制輸出、価格プール、販路協定、こうした一番数字をあげなくては、正確に表現できない項目をその他の事項という中に全部含んでいるのですよ。だからこの輸出入取引法というのは、実にむずかしい法律だというのです。うちにはネコと犬とその他の動物がいますといって、行ってみたらライオンやトラがいたのと同じじゃないか。その他の動物という中にライオンやトラがいるのと同じだ。現在の輸出入取引法が全く実態を正確に表現していないのですよ。どうですか、私の言っておることに間違いがありますか。

今井善衞通商産業事務官(通商局長)

○今井(善)政府委員 解釈上、最大限どの程度までやり得るのかという場合に、この解説書としてはその程度まで書いてございますけれども、現実問題としては、この決済条件等はもちろん相当普遍的に行なわれておりますけれども、一手買付あるいは輪番制買付というふうな例はほとんどございません。(「あるよ」と呼ぶ者あり)

板川正吾日本社会党

○板川委員 まあ、ある、ないは別として、そういうことができるといっておるんでしょう。(「取引は流動的だから」と呼ぶ者あり)ある、ないにかかわらず、また取引は流動的と言っておるけれども、それならそのように書いておったらいいじゃないか。「その他の事項」といって、「意匠」の次にくっつけて、あとは大したことないだろうと思っておったら、そういう内容まで持たしておるというのは、不合理じゃないかということを私は言っているのです。これは「その他の事項」の中で通産省は何でもできる。  もう一つ「その他輸入に係る取引に関する事項」というのが七条の二にありますが、この解釈はどういうのですか。これは解説の百二十八ページにあります。これによると決済条件、これは輸入ですから、一手輸入、輪番制輸入、価格プール、これは今までと同じですが、そのほかに輸入する貨物の国内取引に関する事項まで含まれておる。国内取引に関する事項とは国内の販売価格、国内の数量、意匠、品質その他の事項も入る、この解説書によると、こういうのです。そうするとその他輸入、これも価格、数量、品質、意匠その他輸入に係る取引に関する事項というふうに表現されておる。だからこれも、七条の二ですが、意匠まできたから大したことはあるまいというと、今言ったような条件のほかに国内の販売価格、国内の販売数量、ここまで協定ができることになっているのです。だからこれはカルテルを結ぶということは波打ちぎわの外じゃない、国内の販売数量、販売価格までカルテルが結べるようにできておるのじゃないですか。これは「その他輸入に係る取引に関する事項」の解説百二十八ページに書いてあります。これはその通りですから答弁は要しません。間違ったらあとで言って下さい。  そういうその他の事項とか、その他輸入に係る事項というので大したことはないと思うと、実はそれが一章を設け、十数カ条設けてもいいような内容を持っているというごまかしがあるということを知ってもらいたい。  それから今度の規定で、七条の三で今度新しく改正されたやつで、「購入方法その他の購入に関する事項」これはどういう解釈になりますか。これは解説書にありませんから、そっちがはっきり言って下さい。

今井善衞通商産業事務官(通商局長)

○今井(善)政府委員 「その他の購入に関する事項」とは、購入貨物の品質を規制することとか、あるいは受け渡し条件を規制するとか、そういうふうなことであります。

板川正吾日本社会党

○板川委員 そのほかのことはございませんか。購入方法、この購入方法はここに問題がありませんか。これはシンジケートをさしておりませんか、独禁法の関係からいって購入方法というのは……。

今井善衞通商産業事務官(通商局長)

○今井(善)政府委員 「購入価格、購入数量、購入方法」、この購入方法につきましては、これは一手輸入だとか、輪番制輸入、購入先の指定等、そういうふうなことでございます。

板川正吾日本社会党

○板川委員 あとでここを文書にして、この用語の解説をして下さい。文書にしてよこして下さい。そうでないと間違いますから……。「購入方法その他の購入に関する事項」というのは、どういうことまで含めようとするのか、それをはっきりしておきたい。  それからこれは二十八条にあるのですが、「その他の取引条件」これは何と何が入っておりますか。

今井善衞通商産業事務官(通商局長)

○今井(善)政府委員 船積み条件とか、LC条件、そういったものです。

板川正吾日本社会党

○板川委員 そのほか大したことは入っておりませんか、そのほかのものの中にまたライオンやトラがいるようなことになると困る。

今井善衞通商産業事務官(通商局長)

○今井(善)政府委員 その二つが中心でございます。

板川正吾日本社会党

○板川委員 用語についてわからない点が一応わかりましたから、この輸出入取引法に関する質問はきょうはこれで終わりますが、逐条審議はまた後刻にいたしたいと思います。

中村幸八自由民主党

○中村(幸)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。   午後零時五十七分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕

国会会議録検索システムで原文を見る ↗