商工委員会 第38号
- 発言数
- 51 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/05/19
会議録
○小川(平)委員長代理 これより会議を開きます。 都合により委員長が不在でございますので、私が委員長の職務を行ないます。 内閣提出の石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案、勝間田清一君外二十八名提出の石炭鉱業安定法案、内閣提出の産炭地域振興臨時措置法案、勝間田清一君外二十八名提出の産炭地域の振興に関する臨時措置法案及び内閣提出の臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案、以上五法案を一括して議題とし、審議を進めます。 本日は特に本五法案審査のため、参考人として全国石炭鉱業労働組合中央執行委員長重枝琢已君、直方鉄工協同組合理事長西尾善恵君、全国鉱業市町村連合会会長坂田九十百君が御出席になっております。 なお国民経済研究協会理事長稲葉秀三君が所用のため十一時ごろ御出席の予定であります。 次にお諮りいたしますが、日本石炭協会会長萩原吉太郎君、日本石炭鉱業連合会会長武内礼蔵君、石炭鉱業合理化事業団理事長工藤昭四郎君、日本炭鉱労働組合中央執行委員長原茂君、以上四名の方々にも参考人として御出席をお願いいたしましたが、やむを得ざる所用のため出席しかねるとの連絡があり、その代理として日本石炭協会専務理事佐久洋君、日本石炭鉱業連合会専務理事長岡孝君、石炭鉱業合理化事業団副理事長田口良明君、日本炭鉱労働組合中央執行副委員長野口一馬君、以上四名の方々が御出席になっております。 この際この四名の方々を参考人とし、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小川(平)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。 この際参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日はきわめて御多忙中にもかかわらず、本委員会の要望をいれて御出席をいただき、まことにありがとうございました。議題となっております各案に対しまして忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。ただ時間の都合もありまするので、御意見をお述べ願います時間はお一人大体十分程度に願い、後刻委員からの質疑もあることと存じまするので、そのとき十分お答え下さるようお願い申し上げます。 それでははなはだ勝手ながら発言の順序は委員長に御一任願うことにいたし、佐久参考人よりお願いいたします。 日本石炭協会専務理事佐久洋君。
○佐久参考人 日本石炭協会専務理事の佐久でございます。 本日は石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案外四件について、われわれの意見をお聞き取り願う機会を与えていただきまして、心からお礼を申し上げる次第でございます。以下この五件についてごく簡単に趣旨だけを申し述べたいと思います。 われわれ石炭業界はさきに政府が決定されました三十八年度までの合理化計画の遂行に全力をあげて努力しているものでございます。すなわち五千五百万トンの生産規模のワク内で、一方において新しい山の開発をし、一方において古い山のスクラップをするという方式を中心とする体質改善をはかりまして、三十八年度までに炭価千二百円引き下げの実現を目標として邁進中であります。この路線がエネルギー使用の流体化と消費者の自由選択を基調とするエネルギー革命の大勢に即応して、石炭鉱業が将来に生きる道であると確信するものであります。 しかしながら欧米諸国のごとく相当長い期間にわたって漸進的に体質改善を進め得る環境にあるのと異なりまして、わが国の場合は急速度で、しかも十分な環境が与えられずに、性急にその体質改善を求められているのではないかと思われることが少なくありません。五千五百万トンのワク内で合理化を進めるにはまず非能率炭鉱のスクラップ化を考える必要があります。能率を引き上げるために過剰となる従業員には他部門への転出を求める必要もあります。また操業途中で終山措置をとるためには、従業員の退職のほかに鉱害の処理も必要となります。そしてこれら一連の措置のために先だって必要なものは整備資金であります。 ところで石炭鉱業は、戦後のいわゆる低炭価政策の影響もありまして、企業の蓄積も乏しく、かつ必要以上に斜陽産業視する銀行窓口の警戒心から、いわば立ち上がりのために必要とする整備資金の円滑な調達にも難渋をしているのが実情でございます。 今般石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正されまして、石炭鉱業の整備資金の確保のために債務保証を行なう制度を設けられんとすることは、この意味において適宜な対策と考える次第でございます。 次に需要構造に目を転じますと、現状では石炭の大半が日本の北と西に偏在する産地から、高額の運賃その他をかけまして、本州中央部の主要消費地すなわち揚地に運ばれております。そこも自由市場でありますので、炭価は揚地と積地で開いておりましても、炭鉱の収入から見れば、どこに売ってもほぼ同一になっております。これに対しまして競合燃料は、遠く海外から輸入されて参りますので、石炭の揚地でも積地でも、その価格はほぼ同額となっております。この結果揚地では競合エネルギーに価格上負ける場合の石炭でも、積地で売る場合には、経済性を保持するということが考えられます。従いまして極力石炭の需要を産炭地に求めることが望ましいのでありますが、それには産炭地の産業の振興がぜひとも実現される必要があります。これはまたさきに述べた炭鉱を離れる雇用人口、さらに炭鉱の沈滞によって重大な影響を受ける関連産業に対し、大きな効果を及ぼし得るもとの考えられるのであります。この見地から産炭地振興に関する法律案は、ぜひとも成立させていただきたいと念願する次第であります。 ただこの場合に、その目標がいたずらに広く、資金的にも膨大に過ぎるとしますと、かえって理論倒れに終わることがあるかと懸念されますので、その具体的措置が現実的であり、かつ最大の効果を期待し得るものに集中されることが望ましいと考える次第であります。この点十分の御検討をお願いする次第でございます。 次に鉱害の処理であります。現行の臨鉱法は十年の時限立法でありましたが、その終期に近い今日、なお既存の鉱害が多量に残っている実情にあります。これに加え今後スクラップ化される炭鉱にまつわる鉱害のことも、この際十分考慮さるべきものと考えるのであります。従いましてこのたびの同法をさらに十年延長することは、ぜひ必要と考える次第でございます。 最後に石炭鉱業が置かれた姿は、労使双方にとってまことに容易ならぬものであることに、一そうの御理解を望むものであります。すでに政府の施策によって幾多の対策が打ち出され、また今日、本国会にも新しい措置の幾つかが審議されており、その点まことに感謝にたえないところであります。 さきにも申し上げました通り、いわゆるエネルギー革命下におきましても、需要と供給の結び方いかんでは十分経済性を持ち得る石炭鉱業であると信じております上に、日本経済の展望において、雇用あるいは国際収支の観点、さらには石炭が国内資源であることなど、国民経済に寄与し得る役割は、単なる価格の差異をこえるものがあるものと信じて疑いません。 しかしながら御承知の通り、本来石炭鉱業は安定性に乏しい特質を持っておりますので、十分の配慮と秩序ある安定的な体質改善を行なうことが、絶対に必要であると考えております。ただ自由経済の機構のもとに置かれていること、従って、国の施策のほかに、業者の創意と責任の尊重並びに消費者の十分なる理解と協力が必要であること及び安定施策の行き過ぎがあって、合理化の停滞を招くようなことのないことなどが、この場合注意されねばならぬと考えますが、所期の目的達成のためには一段と総合的かつ強力な施策が検討されてしかるべきものと考えますので、それらの点についても、われわれ業界として現在研究を進めているところでございます。 以上簡単でございますが、趣旨だけを申し上げまして、御参考に供したいと思います。ありがとうございました。
○小川(平)委員長代理 次に長岡参考人。
○長岡参考人 日本石炭鉱業連合会専務理事の長岡でございます。本日は五つの法案につきましてわれわれの意見を申し述べる機会をお与え下さいましてまことにありがとう存じます。 私ども大手十八社以外の全国の炭鉱で組織をいたしておりまする連合会といたしましては、基本的には、石炭が数少ない国内資源の一つであることから、国としては、単にその経済性のみではなく、広く高い見地から施策を施すべきものである、さように考えております。従いまして、最も基本的には、国においてほかのエネルギーとの間の関係などを総合的に政策立案して、これを強力に推進すべきである、さように考えております。 政府は、三十四年の暮れでございました、三十三年度から三十八年度までの間にまず石炭の値段を千二百円水準を下げてやるべきである。業者もそれに同調いたしてただいま努力の途中でございます。業界としてはこれに対してどういうことを望むかというようなことは、すでに、ほかの説述者の方もおいでのことでございますので、もっぱら私ども比較的小さいあるいは中規模の炭鉱といたしまして六つほどの点を主張いたしておりますことをまずお耳に達したいと存じます。 第一は、石炭の消費の大宗である火力発電用については、もっぱら石炭燃焼の火力の増強をはかって、重油専焼火力の許可は全く特殊の場合に限るようにせられたきものであるという点。 第二は、さような日本の電力用炭の引き取りといいますか、荷渡しといいますか、そういう数量は、申し上げました大手の十八社の部面と中小の部面との、今まで電源の開発などに関係いたしまして両方とも一生懸命炭を納めて参りました比率を尊重するように、政府においてあっせんをしていただかなければいけないと思う、こういう点。 以上二つは炭の流れる先についての私どもの考えでございます。 内輪におきましては、いかにこれを生産していくかという点につきましては、中小炭鉱の設備近代化の資金のワクを特殊金融機関に対して大幅に広げていってもらわなければ困るということと、貸付の基準を改めて、中小炭鉱の機械化の促進をはかるべきであるということ。 同時に生産体制の他の一面といたしましては、われわれの炭鉱の採掘を合理的ならしむるための鉱区の調整について、政府においては今より以上に強力な措置を講ぜらるべきであるということ。 以上四つが炭の流れる道を作りますわれわれの体制についての政府の施策に対する要望点でございます。 第五に、鉄道運賃、電力料金等政府みずから調整することのできるものの値上げについては、石炭鉱業の負担が実質的に増加することのないよう特別の方法を講じていただかなければ困るということ。 もう一点は、先ほども日本石炭協会の専務理事がおっしゃいましたような中小炭鉱の閉山がございますが、これらについては、今までの方策以上に社会問題となることが多いので、労働者で離職する者などの退職金支払いなどについては、特別の措置を講ずるようぜひ考えてもらわなければ困るということ。率直に申しますと、以上六点を、あるいは陳情の形、あるいは方々へ意見を述べる形で述べておる次第でございます。 かような観点からいたしまして、今回政府の方から提案をせられました石炭鉱業合理化臨時措置法の一部改正法律案、臨時石炭鉱害復旧法の一部改正法律案、同じく産炭地域振興臨時措置法案、これらにつきましては、われわれの申し述べておりまする点の一部の実現に十分であると思いますので、政府におかれましては、なるべく早くほかの根本的政策を確立せられるということを希望いたしまして、それらの成立をこいねがっておるわけでございます。 個々の点につきましては、気づきました点を申し述べますれば、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部改正については、保証基金の設定が主でございまするが、これを運用せられます場合に、保証を受ける、あるいは保証を申請する債務者になる炭鉱の基準につきましては、もとより大炭鉱に片寄ることなく、比較的資金の調達力の乏しい中小炭鉱も対象となるようにせられたいという点。なお突っ込みまして、保証の対象になかなかなりにくい炭鉱が多いのでありますが、この閉山には、先ほども申し上げましたように、社会的問題が多いので、閉山に伴う資金対策は、この融資の保証とは異なった別の施策が必要であると思っております点。 それから臨時石炭鉱害復旧法の一部改正法律案につきましては、現行法を延期することと、もう一点応急工事の負担の問題がおもでございますように拝見いたしました。いずれも妥当なことだと思っております。 産炭地域振興臨時措置法案につきましては、むしろ時間的におそかったような気がいたしまするくらいでございますから、この法律をさらに推し進めてなるべく現実に産炭地域の振興が行なわれるように、今後とも推し進めていかれることを希望いたします。 それから産炭地域の振興という点につきましては、本来は石炭鉱業そのものの安定、発展の方が基盤であると考えられるくらいであります。そのためには燃料に対する国の総合施策が先行するのがほんとうだと思うのでありますが、さしあたって石炭を出す地域の需要の安定に役立つ石炭燃焼の火力発電所の建設などは、どしどし行なわれるようにいたしたいものだと思っております。 勝間田先生外御提案の石炭鉱業安定法案、もう一件、産炭地域の振興に関する臨時措置法案、これらにつきましては不勉強ではございますが、いろいろ鉱区の調整あるいは需要の増加のための措置、産炭地域における助成等、新しい見方がたくさん盛られておるように拝見いたしておるのでございますが、いまだ私どもは自由企業の独創性に相当よるという考えを捨てずにおりますので、それらの点につきまして考えを及ぼしまして、このままこれについて賛成をいたすというわけには、ただいま参らぬという考えでございます。しかしながら石炭の問題は、わが国におきます重要な産業でもありまするし、国内資源の開発を行なっておる国の基幹産業でありますことを考えますにつきましては、長期の安定が必要でございますことはいずかたも同じ御意見だと思いますので、今後とも引き続きまして各党の間に議を練られまして、安定の達成せられるようにこいねがう次第でございます。 はなはだ勝手なことを申し述べましたが、以上の通り率直に意見を申し述べた次第でございます。
○小川(平)委員長代理 次に田口参考人。
○田口参考人 私は石炭鉱業合理化事業団の副理事長をいたしております田口良明でございます。 石炭鉱業合理化事業団は、今さら申し上げるまでもなく政府の石炭政策を実施する機関でございます。従いまして合理化事業団の役員の立場におきまして、政府の提案せられました石炭政策につきまして、とかくの意見を申し述べるのもいかがかと考えられまするので、本日は石炭に関し若干の知識経験を有し、かつまた石炭産業の安定と発展を心からこいねがっておりまするものの一人といたしまして、言いかえますると田口個人としての若干の意見を申し上げてみたいと存ずる次第でございます。 今般政府から提案せられました法律案は三件でございまするし、さらに社会党から二件提案されておられまするが、これら案件の内容は多岐多様にわたっておりまして、一々詳細にここで意見を申し述べるのも時間的余裕がないわけであります。従いまして本日はごく大綱につきまして、以下順を追って私の所見を申し上げてみたいと存ずる次第であります。 第一、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案について、その一つ、まず本法律案については、一部から首切り促進法案ではないかというような意見もあるかと思いますが、石炭鉱業が重油などの競争エネルギーに対抗するために、急速な合理化を進めていく過程におきましては、過剰雇用の発生は避けられないところであります。どうしてもある程度の離職者が出ることもまたやむを得ないのでございまするが、問題はこの離職者に対してできるだけ手厚い保護を加えることが必要であり、当事者である企業側としては、協定退職金の完全支払いその他できる限りの手を尽くすべきであることであります。そうしてこの保証制度のねらいも、もしかりにこのまま放置するとすれば、満足に退職金も払えなくなるという企業に対しまして、なんとかそれができるようにさせようと考えられておりまして、本措置は石炭鉱業の整備を促進し、離職者をして一日も早い立ち直りをさせるためにきわめて適切なるものであると存ぜられる次第でございます。 その二、第三十六条の十七によりますると、保証債務について、債務不履行が生じた場合、事業団が銀行に弁済すべき金額は、損害額の五〇%になっておりまするが、この程度の保証で金融の円滑化がはたして十分期待できるかどうか、若干の心配がございます。真に本制度の実効をあげるためには、今後少なくとも七〇%程度に上げる必要があるかと考えられます。 その三、事業団が保証制度を運用していく場合に、保証金額は大きく、また同一業種であるため、ここにたとえて申しますと、信用保証協会の保証のように、一件当たりの金額が少なく、かつまた多種多様の業種にわたって、たくさんの件数を取り扱うために、危険の分散ができるのと異なりまして、場合によっては予期しない事態のために保証基金の額をこえまして弁済の必要が生ずる場合も予想されるのであります。このような事態の発生は、事業団としてはもちろん避けるように、慎重に業務運営を行なうべきでありまするが、不幸発生した場合には、事業団としては一時借入金によって弁済を行なわなければなりません。このような場合には、政府からの低利のつなぎ資金の融資または追加出資などを考慮する必要があるかと存ずるのであります。 第二、産炭地振興法案について。産炭地振興については政府案と社会党案が提案されております。産炭地の振興を目的とする点においては、両案ともほぼ似たものでありまするが、主たる相違点は、社会党案には産炭地域振興公団が規定せられておる点であります。政府におきましても将来は産炭地振興政策の実施機関が必要になることもあり得ると考えておられることと存じまするが、当面は、産炭地域振興審議会において産炭地域の実情を十分に調査審議の上に、産炭地振興のためにはまず何をなすべきかを決定することが先決であり、その上で、要すればこれが実施機関の設立も考える必要があるのでありまして、当面の措置としては政府案程度で必要にしてかつ十分なものと考える次第であります。 第三、臨時石炭鉱害復旧法一部改正案について。本法案は、臨鉱法の十年延長と特定の応急工事は、国及び地方公共団体の費用をもって施行することができることを定めたものでありまして、鉱害復旧の現状にかんがみるときは、いずれもきわめて適切なものと考えます。臨鉱法の根本的改正は、現在検討中の鉱業法の改正と併行して考えられるべきものでありますが、今後の問題として、特に復旧に際し、賠償義務者及び被害者全員の同意を必要とする規定があるために、一部のごく少数の者の不同意により、鉱害の復旧が遅延する傾向にあり、かつ鉱害の総合復旧を著しく困難にしておる点にかんがみまして、当該地区における多数の同意、たとえば三分の二以上の同意がある場合は復旧工事ができるようにすみやかに改正することが、ぜひ必要であると考えます。 第四、石炭鉱業安定法案について。社会党の安定法案は、政府の石炭立法と種々の点において異なるように考えられますが、そのうちで最も著しいものは、石炭販売公団による石炭の一手買い取り、一手販売によって、石炭鉱業の安定を期しておる点であります。個人の創意と工夫を生かし、自由競争によって経済の進歩をはからんとする自由企業体制下にある日本経済の中におきまして、石炭の流通面のみを国営にすることによって、はたして国民経済上能率的な運営が行なわれるかどうか、そしてこの所期の目的が達成できるであろうかどうか疑問があるわけであります。 なるほど公団が石炭生産業者からその生産費を償う価格をもって一定数量を常に買い取るならば、石炭生産業者としては一応安定するでありましょう。しかしながら買い取られた石炭が買い取り価格以上に売却できる保証はどこにもありません。そこに非常な疑問があるわけであります。 石炭産業における当面の急務は何といいましても石炭の生産費の引き下げでございまして、また石炭エネルギーの経済性の回復でございます。それが達成せられてこそ初めて石炭鉱業は安定するのでありまして、消費者または全国民の負担において石炭鉱業を人為的に安定せしめることは、あまり好ましいこととは考えないのであります。 しかしながら石炭は生産及び需要面において、きわめて弾力性に乏しいことは皆さん御承知の通りであります。これがため政府においても長期契約の締結促進、山元発電の建設による安定需要の維持などをはかられており、また民間においても新昭和石炭株式会社などにより需給安定に努めておられるわけでありますが、これらのみで需給安定措置は決して十分とは言い得ないのであります。たとえば新昭和石炭の機能を強化拡大するか、またはこれにかわる一定量の貯炭を保有するような強力な需給調整機構を作りまして、もって石炭の銘柄の統一、流通機構の合理化に資することなどが今後ぜひ必要であると考えられるのであります。社会党案の販売公団方式も、またそこに重要なねらいがあると考えるわけであります。 最後に総合エネルギー政策の確立について一言申し上げたいと思います。今回提案せられております合理化法、臨時鉱害復旧法、産炭地振興法のほかにも、石炭関係法律としては炭鉱離職者援護法、重油ボイラー規制法などがあり、これらはエネルギー革命の波にさらわれ苦しんでいる石炭産業のスクラップ・アンド・ビルドを促進するとともに、その過程において発生する離職者、鉱害、地方経済の衰退などの諸問題の解決を目的としており、それぞれ有効適切なものではありますが、いずれも石炭サイドから提起されたものでありまして、国民経済の中において、また全体のエネルギーの中において、石炭産業の占むべき正しい位置については、必ずしも明白な規定がございません。これがため、従来あるときは炭主油従が唱えられ、次には油主炭従に傾き、エネルギー政策の混迷が生じているやに考えられる次第であります。願わくば、政府において、今後すみやかにエネルギー基本法を立案せられ、石炭、石油、電力、原子力などの諸エネルギーのおのおの及び相互間の基本的なあり方を明白にするとともに、総合エネルギー政策遂行のための行政機構として、強力なる燃料動力省、またはエネルギー庁を創設せられることを希望いたします。 特にこの際一言したいことは、従来石炭政策の実施機関としては、石炭合理化事業団、鉱害復旧事業団、炭鉱離職者援護会などがあります。今後は産炭地振興公団などが考慮せられておりますが、またそのほかに民間機関としては新昭和石炭株式会社、石炭技術研究所などがございます。これら各種の機関は、みなそのときどきの必要性によって生まれたものであり、それぞれの存在理由を持つものであります。けれどもしかしあまり多方面に分散しておりまするために、一貫性と総合性を欠くうらみなしとしないのであります。従いまして石炭についても、エネルギー基本法の一環として石炭三法を制定し、従来の多岐にわたる石炭関係法律を集約一元化するとともに、石炭関係の各種のこれらの政策実施機関または団体などを一元化して、強力にして総合的な力を発揮せしめることが必要ではないかと考える次第であります。 本日はまことに貴重な時間をいただきまして、私どもを参考人としてお呼びいただきましたことに対し、本委員会に対し厚くお礼を申し上げまして終わりといたします。(拍手)
○小川(平)委員長代理 次に野口参考人。
○野口参考人 私は日本炭鉱労働組合の副委員長の野口一馬であります。指名により現在審議中の石炭関係諸法案についての私どもの考え方を申し述べます。 炭労としては、これまでもこの種の機会に幾たびか繰り返し、繰り返し主張して参りましたように、現在の政府並びに石炭経営者の進めておる、進歩性のない炭鉱合理化政策につきまして、反対の立場に立っております。その理由といたしましては、このようなやり方では労働者に対してきわめて苛酷な犠牲を負わせるのみであって、石炭産業の危機は何ら克服されないばかりか、逆に衰退させるということでありました。その後二年間にわたる合理化の経過を見ますと、私どもの見解がいかに正しかったかということが事実として明らかになっております。すなわちこの間、二百に及ぶ炭鉱が休閉山のやむなきに至っております。大手炭鉱を初めほとんどの炭鉱において、相次いで大量の首切りが強行され、石炭産業を追われた労働者の数は、すでに六万三千人に達しております。これらの労働者は、その大部分が失業保険が切れてもなおかつ再就職の機会を見出すことができないまま、飢餓寸前の生活を送っております。炭鉱離職者援護法は何の実効も上げていないといっても過言ではありません。死の町、飢餓の谷といわれた炭鉱地帯の窮状は、何ら打開されていないのであります。一方、残った労働者はどんな状態に置かれておるでありましょうか。人員不足のまま過酷な労働強化による増産体制がとられております。設備の近代化に真剣に取り組もうとしない経営者のもとで、年間五千四百万トンの出炭が六万人余の労働者が減少した現在なお維持されているのであります。一人一カ月当たり出炭高は、十五トンから二十トン以上に飛躍的に上昇いたしました。これはまさに労働強化の結果であります。先般相次いで惹起した豊州、上清、大辻などの各炭鉱における重大災害ほど炭鉱における労働強化、経営者の設備の怠慢を雄弁に物語るものはありません。ここで私どもの最大関心事である災害について特に申し上げますと、炭鉱における災害率は他産業の三倍から四倍という高率にあり、毎日二、三人が死亡し、二百人が負傷するというありさまであります。特に問題なのは、合理下の名のもとで災害が漸次増加の一途をたどっている事実であります。昭和三十四年に五百七十八人であった死亡災害が、三十五年には六百十七人に増加いたしております。炭鉱労働者の絶対数は大幅に減少しているのでありますから、率としてこのことを考えてみますると、いかに災害率が高まっておるかということが明らかであります。 もう一つの問題は、大幅賃下げが次々になされていることであります。三十八年まで千二百円のコスト・ダウンの主要な手段として、残った炭鉱労働者は一人当たり月額五千円から七千円の賃下げを押しつけられております。杵島炭鉱のごときは実は一万円の賃下げを提案、経営の怠慢を隠蔽しようとしております。大手十四社中十社がこのような悪質な手段をとっており、石炭産業では、池田内閣の経済成長を基調とした所得倍増政策に、まさに逆行するムードが横行しつつあるのであります。このことについて特に委員各位の注意を促したいと思うところであります。また第二会社化、租鉱権炭鉱の新設、系列中小鉱の造成など低賃金労働だけを目的とする中小炭鉱が、片方でつぶすそばから次々と作り出されておるわけであります。 以上、申し述べて参りましたように、飢餓、低賃金、労働強化、災害と私たち炭鉱労働者は言うに言われぬ辛惨をなめ続けておるわけであります。最近の相次ぐ合理化についての争議は、このように追い詰められた私どもの必死の抵抗であります。このような犠牲が強要されるならば、私たちは組織の総力をあげて抵抗せざるを得ませんし、絶対反対せざるを得ないわけであります。 では、どのようにして一体石炭産業の危機は克服されたでありましょうか。将来の新しい展望を見出したといえるのでありましょうか。断じてそうではありません。事態は逆であります。石炭産業の矛盾は、一そう積み重ねられたにすぎないといわざるを得ません。首切り、賃下げ、労働強化に狂奔する炭鉱経営者は、技術の近代化に対して全くといってよいほど熱意を持っておりません。私どもの指摘している総合的なエネルギー計画と石炭産業の安定操業計画の樹立、技術の近代化、鉱区の整理統合、離職者の生活保障、競合エネルギー対策、流通機構の整備などの諸施策について見るべき努力は、何ら払われていない状態であります。 以上、炭鉱合理化が何をもたらしたかについて、私どもの考え方を申し述べたわけであります。 では本論に入りまして、本日私に意見を求められております諸法案について、ただいまから見解を述べることといたします。 これら諸法案中、内閣提出にかかわる合理化法の一部改正、産炭地域振興法案、鉱害復旧法の一部改正は、いずれも今の石炭政策の路線に沿って出されているものであり、その限りにおいて私どもといたしましては絶対にこれを容認することができません。 次に、社会党提出にかかわる石炭鉱業安定法案並びに産炭地域振興法案につきましては、私どもの見解並びに要求とほぼ合致する内容を持っておりますので、賛成であるということを、まず冒頭に明らかにしておきたいと思うのであります。 以下、その理由について、これまで申し述べて参りましたことと若干重複いたす面もあるかと存じますが、具体的な問題に触れながら申し上げて参りたいと思います。 第一に、総合エネルギー計画並びに石炭産業の安定操業計画の樹立についてであります。政府、炭鉱経営者は、今後の国内炭生産規模を五千五百万トンに押えるという基本計画を立て、所得倍増計画の中においても、あるいは十年後においても、とにかく何が何でも五千五百万トンに押えるという立場をとっております。そしてエネルギー総需要の伸びは、重油を中心とする輸入燃料に依存してまかなっていこうというのであります。私どもは一国の産業の基礎であるエネルギー源を輸入に待つという政策について、根本的な検討を要求いたします。わが国の石炭は、今日の出炭ペースで進んでも、なお百年以上の確定炭量を埋蔵しておるといわれております。国際収支に弾力性が少ないわが国においては、まず国内資源の完全利用が前提であり、安いからということだけで国外にエネルギー源を求めるということは、根本的な誤りと言わなければなりません。しかも現在石炭需要は旺盛をきわめ、年間六千万トンに達しております。そのため生産が追いつかず、石炭不足の様相を呈しておるのであります。今の縮少もしくは横ばいという政府並びに炭鉱経営者の将来計画は、すでにそごを来たしていることを指摘しなければなりません。また私たちが主張する近代化による拡大生産が可能であり、かつ正しい政策であることも明らかであります。この面からも私どもは、社会党の安定法案が指向しておりますところの国内資源の積極的利用の立場と、石炭の拡大生産を前提とした安定操業計画の樹立を支持するものであります。 第二に、技術の近代化についてでありますが、この点についてはまず政府、炭鉱経営者の熱意のない態度について猛省を促したいと思います。わずかな資金融通による細々とした今の近代化計画では、炭鉱の若返りは不可能でありましょう。特に問題としてあげなければならないのは、現在石炭各社が年間六十億円に近い資金を社外に投資している事実であります。この額は国家資金の投入額を上回っております。せっかく政府が金を注ぎ込んでも、何のことはない、石炭企業をパイプとして、石炭産業以外の部門に流れてしまっているわけであります。私どもは石炭会社が観光事業を始めた、不動産業を始めた、はなはだしきは石油精製事業に乗り出したなどという事実を知っております。また昨年秋の北炭三山の分離に見られたように、設備投資ができないから、第二会社に落とすというようなことが、どんどん行なわれようとしております。設備投資を行なわずしてどうして炭鉱の近代化ができましょうか。技術のおくれた、低賃金のみを武器とする劣悪炭鉱が、当然の炭鉱経営の認識をもって大手を振って横行しようとしております。一体これで石炭産業が合理化されたと言えるでありましょうか。まさに非合理化といわなければなりません。現在の合理化政策はこのようなことを黙認しているばかりか、助長しているとさえ言えるのであります。私どもは安定法にありますように、必要な企業に対しては国家資金を思い切って投入するとともに、これが正しく近代化に使われ、他に流用されることがないように、厳重な監視のもとに抜本的な炭鉱技術の近代化をはかる必要があると考えております。 第三は、鉱区の問題であります。現在の日本の鉱区は大手十二社が全体の八八%を所有しており、そのうち巨大三社が全体の四五%を占めるというように、私企業の独占所有となっております。これがため、たとえば縦坑を一本掘ればいいのに二本掘るとか、優良炭層が取り残されるとか、むだな二重投資が行なわれ、資源の完全利用ができなかったり、いろいろな面からコスト高の原因となっております。コスト引き下げのためには生産体制の集約化、鉱区の総合的、計画的開発がきわめて重要な意義を持っております。従ってその障害となっておる鉱区の私的独占を排除し、整理統合を断行し、炭鉱を適正規模に再編成するとともに、休眠鉱区の解放が緊急な課題であります。フランスの石炭産業も戦後、今日の日本と同じような窮状に追い込まれて参りました。その中で鉱区の独占を排除するとともに、総合的開発によって将来の展望を得ることが可能になったのであります。政府はこの問題について企業間の自主的調整に待つとの方針でありますが、鉱区独占の上にあぐらをかき、うまい汁を吸ってきた石炭大企業にまかせておいたのでは、百年河清を待つようなものであります。法の強制力による以外にこのことは達成不可能であると考えます。この点について私どもは安定法案に盛られた内容を支持するものであります。 第四に、労働不安の除去についてであります。初めに触れましたように、炭鉱を追われた者も残った者も過酷な犠牲をしいられております。私たちはこのようなやり方には人間として生きる権利を守るために抵抗せざるを得ないということを明確にしておきます。特に離職者対策については全く何の保障もないと同然であります。イギリス、フランス、西ドイツ等の西欧諸国におきましては、完全な社会保障が確立されておるということが、合理化審議会中立委員の土屋清、稲葉秀三氏らの帰朝報告によって明らかにされております。いかなる理由があろうとも、人間の生きる権利を踏みにじることは許されません。私どもは完全なる離職者対策の確立をこの際強く要請いたすものであります。 第五に、競合エネルギーに対する対策であります。現在重油等を中心にした政府のとっておるやり方は、全く無計画なもので、容認していること自体に誤りがあります。西ドイツにおきましては高率の関税をかけ、それを炭鉱の近代化と離職者の救済費に充てておるようであります。日本においては関税はきわめて低率であり、しかもそれは特に炭鉱合理化に使われるということにはなっておりません。西ドイツのとっているような一石三鳥ともいうべき施策を参考に、日本でも確固たる競合エネルギー対策を樹立すべきであります。 第六に、流通機構の整備について申し上げます。石炭合理化審議会で私たちは流通機構の一元化を強く主張して参りました。千二百円のコスト・ダウンは流通機構の一元化をはかることにり大半以上引き下げることが可能であるという見解を持っております。また皆さん方も御存じのように、販売関係におきましては、各社が大都市、中都市までほとんど炭価の秘密性の上に立った競争を行なって、そして需要供給の状態を見て故意に炭価をつり上げておる事情等がございます。現在東京で家庭燃料用炭のトン当たりの価格を調査いたして参りますと、委員各位は御存じでありましょうが、実に一万三千円もしておるという事実があります。山元では四千円そこそこの石炭を掘って出しておるのにどうしてこんなに高くなるかということについて、いかに流通機構の中において、炭鉱で働いておる労働者の苦労を認識せずして暴利をむさぼっておるか。複雑多岐にわたる流通機構を十分検討していただきたいと思うのであります。外国においても流通機構の一元化を、フランス中心にして価格の公表制度を持って、そして国民に納得のいく価格で家庭用炭の販売等を中心になってやっておることを認識していただきたいと思うのであります。われわれは今後石炭を安く掘ろうという努力を行なって参ります。その成果が流通機構の中で十分認識されて消化をされない限り、石炭産業に対する国民の認識が誤りの方向をたどるであろうということも明らかであります。こういう観点に立って、新需要の開拓とともに、石炭合理化審議会の審議の過程と現在の状況等を十分参考にされて、本委員会において深く掘り下げていただきたいと思うのであります。 第七に、産炭地の振興についてであります。政府の産炭地振興法は予算の裏づけを持っていません。これから調査をしていくということで、三千万円の調査費のみが計上されております。筑豊地帯を初め産炭地域の窮状は、今に始まったことではありません。社会問題となってからすでに十年間の歳月が流れております。あすではおそ過ぎるということであります。おそくとも、緊急にこの問題に取り組まなければならないときに、私どもは特に政府の怠慢を非難せざるを得ないとともに、現在の政策に心から憤りを感じておるものであります。 また政府は産炭地を考える場合、行政区画を単位として考えるということのようでありますが、経済生活の単位は必ずしもそれと一致しておるものではありません。隣接地域についても何ら考慮されてないことを問題点として指摘したいと思うのであります。また産業地域のすべてが対象でなく、一部特に貧困な地域に限定されていることも問題であります。政府提出の産炭地域振興法は、全く出まかせであると言わざるを得ません。 以上、幾つかの問題点について考え方を述べて参りました。結論的に申し上げますれば、何よりも現在の合理化政策の基本を改めることが先決であります。先ごろILOの石炭委員会におきまして各国代表より、日本のように予算措置はしても、具体的な計画の裏づけのないものでは実質的な効果を上げることはあり得ないということを強く指摘されておるわけであります。私どもも同感であります。それと、現在の政策を考えてみますると、それは政治的ではないと断言せざるを得ません。少なくとも今次国会においては、政府から当面の危機突破対策について、具体的な提案がされるものと期待しておりました。しかしこれまで何ら新しい提案もなく、私どもは全く失望せざるを得ないのであります。私どもといたしましては、今回社会党が提案いたしました安定法案が当面の危機突破並びに将来の石炭産業発展の方向を計画的に示すものとして、ぜひとも今国会において超党派的な立場で、委員各位が成立に努力されんことを強く要請いたすのであります。 なお最後に、炭鉱労働者並びに炭鉱地域の窮状を思うや一刻の猶予も許されない状態にあることを特につけ加えまして、私の公述を終わります。舌足らずの点、その他の点につきましては質疑応答の中でお答えすることにいたしまして、皆様方の長時間の御清聴、ありがとうございました。 以上をもって終わります。(拍手)
○小川(平)委員長代理 参考人各位に重ねてお願い申し上げますが、時間の都合等もございますので、御意見は一人十分程度にお願いできれば幸いでございます。 次に、重枝琢巳君。
○重枝参考人 私は全炭鉱の重枝でございます。本日私に意見を求められております法案は、非常に多岐にわたっておりますが、それは石炭政策全般のことに触れると考えられますので、個々の法案についての私の意見を述べる前に、石炭政策の根本という点について若干述べさせていただきたいと思うわけでございます。 今日石炭産業は体質改善という大きな問題と真剣に取り組んでおるわけであります。政府の施策としても合理化の推進ということが行なわれております。ただ私はこれは三十八年度までに千二百円を下げるということを目標にした、一つの応急的な対策のような気がするわけであります。そしてそういう応急的な施策を進める上においていろいろ各方面にしわ寄せがされてくる、そういう被害の救済ということが、これまたいろいろな方向からなされておる、こういうような形になっておると思うのでありますけれども、こういうような応急的な施策を推進する、それから起こる被害を個々に対症療法として被害を救済していく、こういうことではとても石炭政策全般をうまくやっていくということにはならないと考えるわけであります。 そこでどうしても総合的なエネルギー政策というものを樹立することが必要であります。このことはここ数年来このような機会を得ましたときにしばしば私述べてきたところでございます。日本における産業の発展をささえるエネルギーの供給源が多くあるわけでありますが、その中で日本の国内に産出するところの石炭、それにどのような地位を与えるかという問題であろうかと思います。もちろん技術革新というものが進んで参りまして、固体エネルギーから流体エネルギーへという一つの必然の流れもございます。また安いものを使うという経済性もございます。しかし単にそういう技術革新の進行あるいは目前の経済性の追求ということだけをやっていって、はたしていいものかどうか、日本経済全体との関連において、それにエネルギーを供給する一つの産業として石炭産業の地位を明確に規定して、その役割を十分果たすような施策を総合的に行なうということが、何よりも必要であると考えるわけでございます。 さらにこのことは別の観点から考えてみますならば、日本の石炭をどのように合理的に使っていくかということにもなるかと考えられるのであります。すなわち日本の産業立地という問題の中で、エネルギーの要素を重要視して考えていくということが必要であるかと思うのであります。前の参考人の人たちからも述べられた点でございますが、日本の石炭は九州と北海道に主要な産地を持っております。この九北で八〇%以上の石炭を産出いたしております。これを使っておるところはどうかと申しますと、六〇%が生産地外の京浜、阪神というものを中心にしたところで使っておる、こういうところに日本の産業立地という点と、エネルギー供給源との関係を再検討する必要があるのではないかと考えられるわけであります。単に産炭地が疲弊をしたから、これに対して救済をするのだという立場の政策でなくて、もっと積極的な政策が必要であると考えるのであります。 そういう立場から考えますならば、石炭の産炭地におきましてそれを直接燃料として使う、あるいは原料として使う、そういう産業を興す、あるいは電力に変えてその低廉な電力を使う産業をそこに開発をする、あるいはガス化していく、そういうような意味での総合的な産業開発ということを考えていかなければ、将来の日本の経済というものをささえることにはならないだろうと考えられるのであります。 さらにこれに関連しては、そういう産業開発とともに、都市と農村という関係をも広く考慮するということが、あわせて必要であると思うのであります。 次にもう一つ重要な点は雇用対策でありますが、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドをやって参りますと、そこに離職者が出てくる。ところが離職者はその移動性がなかなかないわけであります。たとえば一つの地区の例でございますが、私たちが今日知っておる一つの例は、福島県の勿来地区について考えますと、そこには相当炭鉱からの失業者もあるわけであります。昨年の四月から今年の三月までに一もちろん炭鉱労働者の失業者だけではございませんが、四百三人の就職あっせんが成立をしております。ところがそれは勿来管内でその六〇%が消化され、あとの四〇%も隣県の茨城県における消化ということになっておるわけでございます。遠く離れて新しい職場を求めるということはなかなか困難であるわけであります。そういう点も考えて石炭政策を根本的に進めていかなければならないと考えます。そのように石炭政策の根本的な点を考えまして、その上に立ってそれぞれの法案についての若干の意見を述べさしていただきたいと思います。 第一に、産炭地振興についてでありますが、これは出されております政府案あるいは社会党案も、先ほど私が述べました総合的なエネルギー政策、そういうような点については少しくまだ欠けるところがあるのではないかと考えておるのであります。消極的であり、あるいは個別的であり、応急的であるというきらいがあります。これをもっと積極性を持った、総合性を持った恒久的なものにするということを根本的に考えていただいて、そういう点からいろいろな点を御検討願いたいと思うわけであります。 具体的な点を一、二申し上げますと、一つはそういう点から産炭地振興の審議会というものが設けられるようになっておりますが、これは通産省のもとに置くというよりも、総合性を持たせるという意味で社会党案のように、少なくも総理府のもとに置くという形で、総合的な検討ができるようにしなければならないと思います。 次に公団の問題でありますが、これは政府も昨年の八月か九月であったと思いますが、石炭鉱業合理化審議会に対して、産炭地振興についての政策の原案を提示されました。そのときにはやはり初年度四十億の予算を持った公団の案を出されたのであります。石炭審議会におきましては、各界の代表もおおむねそれに賛意を表したという経緯がございます。社会党案は大体そういうものを内容にしたものであると考えられますけれども、当然そのような段階まで少なくともそこまではこの産炭地振興について進めなければならないと考えます。ただ公団という問題を、何をどのようにしてやるかということを具体的に十分検討せずに、機構だけを作るというようなことを考えていきますと、従来の経験のように、機構倒れになってしまうという危険が非常に多いわけでありますから、機構だけを作ればいいというようなことでなくて、もっと実質的な検討の上に、それを十分運営するための機構を考えるという立場を、ぜひとっていただきたいと思うわけであります。 次に臨時措置法の一部改正でありますが、債務保証とそのための政府の出資の問題、これは今日の石炭産業の合理化の政策を推進する上にプラスになる問題だと思いますので、けっこうだと考えております。 次に、鉱害復旧法の一部改正の問題でありますが、これを延長し、応急的な工事を緊急にやれるようにするという点については、これまた時宜を得たことであると考えまして、これに対しても賛成でございます。特に応急工事につきましては、先般の田川における豊州炭鉱の例を見ましても、坑外のところかがら火が入って非常に危険であるという場合にも、直ちに対策を立てることがなかなかむずかしかった。われわれ、中央の各関係のところにもいろいろ陳情をいたしまして、非常な努力の結果、応急的な工事をやろうということになりましたけれども、その時期を著しく失したという実例もございますので、この点はきわめてけっこうなことだと考えております。 次に、石炭鉱業安定法の問題でありますが、これについては、社会党の提案になるこの安定法の内容をいろいろ見まして、私が述べましたような点とも関連をして、大いに私が賛意を表したい点が多々ございます。ただ、私は、このような抜本的な問題をほんとうに検討するのは、今日石炭産業では三十八年までの合理化、体質改善というものが進んでおりますから、むしろそういう基礎的なもの、応急的なものをやったあとの三十九年以降、石炭産業の将来をどうするかということと関連をして、こういう点を深く検討するところに、真の意義があろうかと考えるわけであります。その際、私は、社会党にも、あるいは自民党にも民社党にも申し上げたいと思うのでありますけれども、それぞれの過去の考え、行きがかりというものを捨てて、三十八年までの体質改善に真剣に取り組み、その取り組んだ経験と実績の上に立って、最も現実的な正しい石炭政策を樹立するという意味で、そのような将来を決定する政策をきめてもらう、それを推進するところの関係法律を制定してもらう、こういう点を特にお願いいたす次第でございます。 以上基本的な問題とそれぞれの法案についての意見を申し述べましたが、日本の石炭政策の樹立のために、どうかこのような意見も取り入れてやっていただきたいことをお願いいたしまして、私の話を終わります。
○小川(平)委員長代理 次に稲葉参考人。
○稲葉参考人 稲葉でございます。私は、石炭合理化法に基づく石炭鉱業合理化審議会の委員の一人でございますが、先般通産省の委嘱を受けまして、西ヨーロッパを中心にエネルギー事情とエネルギー政策について視察をして参りました。その概要を日本と結びつけて十分間で報告しろというので、ここに参った次第でございます。 私たちは、三十数日の間に、西ドイツ、オーストリア、フランス、ベルギー、ルクセンブルグ、さらに共同体、それからイギリス等を訪れまして、政府関係者、石炭関係者、石油、電力関係者、それに評論界、こういう方々に四十五回お目にかかりましたし、また現地調査を二回実施いたしました。ですけれども、短期間の滞在でございまして、十分真相をとらえ得たというだけの自信はございません。ですけれども、いろいろな事情が非常に進行しているということにつきましては、貴重な参考資料を得てきたと思っております。いずれそれらは会談記録もでき得る限り正確に出して、第三者的に今後正しいエネルギー政策が実行されるための足がかりとしていただきたい、こういうふうに思いますが、ごく簡単に今回の私たちの経験を通じまして、私が現地事情についてどのように総括的に考えるか、また日本の石炭合理化法について、どういう問題があるだろうかということを御指摘いたしたいと思います。 まず第一に、エネルギー革命が世界で進行しているかどうかということでございますが、私たちの調査では、やはりエネルギー革命は予想以上に進行している、こういう結論に達せざるを得ませんでした。簡単に御報告いたしますると、一九五五年までは、ヨーロッパのエネルギーは上昇一途で、何とか先の経済成長を可能ならしめるためにはエネルギーを充実していかなければならぬということで、各国が石炭を増産したり、石油の資源開発を促進したり、さらに将来に備えて原子力の発電を急がねばならぬ、こういったような施策のもとにあったのであります。ところが一九五六年から六〇年までの間は、今度は逆にエネルギー全体の消費がやや横ばいになる、こういった傾向が西ヨーロッパに現われたのであります。しかも、問題の石油でござ・いますが、ヨーロッパ経済協力機構の示すところでは、この間に石炭換算で一億トンから一億五千万トンに、五〇%伸びております。さらに重油に至りましては、この間に、各国によって変化はございますけれども、八五%伸びております。こういったような事情に即応して、つまりエネルギー不足対策といったようなことを実施しておったのではなかなかやりにくいということで、各国ごとに相違はございますけれども、急遽エネルギー政策を転換しなければならない。特に石炭鉱業をどうするかという問題が、ほとんどの各国で共通的に出ております。しかも、その中で一番大きな影響を受けざるを得なかったのが西ドイツとイギリスで、西ドイツは御存じのように一年に一億四千万トンの石炭と九千万トンの褐炭を生産しております。さらにイギリスは二億トンの石炭を生産し使用しておったのであります。しかし、こういう情勢にはやはりどうしても抵抗することができないということで、片一方においては思い切った合理化を推進する、片一方においては石油の進出を直接あるいは間接に食いとめる、こういったような政策を強力に展開をしているわけであります。ところで、そういったような政策によって一時小康状態ということに今はなっておりますけれども、最近の事情から見ると、いつまでもそういったような税制とかその他による保護政策をとるべきではない、こういったような見解で、ちょうど私どもが行っております期間に、ヨーロッパ経済協力機構は、各国に対しまして、今までの政策を全然変更しろとはいわないけれども、やはり消費者の自由選択を生かす方向にエネルギー政策を持っていくべし、こういったような勧告をしております。また共同体六カ国は、その線を具体化して、現実にその六つの国々の石炭政策やエネルギー政策をどう調整しようかということになり、また問題のドイツですら、経済省の技術顧問団が、政策の変更をエアハルト経済大臣とか西ドイツの国会に要請する、こういったような場面で今やエネルギー政策が大きく転換をしている。しかもその過程におきまして、ベルギーが非常に問題でございまして、ベルギーの石炭条件というのは非常に悪かったのでございますけれども、合理化施策については、六カ国の共同市場がこれを助けるとか、またベルギー政府も相当思い切ったお金を出すとか、こういうことにして半分弱の生産規制をしても、残存炭鉱については、いわゆるフリー・マーケットになったときに、西ドイツやフランスの石炭がベルギーに入って、そうしてベルギーの石炭業が壊滅をする、こういうことを防止をしよう、こういったような政策をとっております。 このように考えますと、やはり世界のエネルギー革命というものは進行しているのではなかろうか、こういったような断定に、私たちは到達せざるを得なかったのであります。 ことに社会主義の国のソ連がどうなっているか、また石炭や電力を国有、国営化しているところのフランスやイギリスはどうなっているかと申しますると、これはドイツのように私企業原則でやっている国々ではございませんけれども、やはり同じような問題に直面をしている、そうして思い切った転換というものをせざるを得ない、そのために双方とも相当大きな赤字を出している、こういったような感じを受けざるを得なかったのであります。 さて、このような基本的な事情の変化というものが、西ヨーロッパを中心に進行しておるという事実を、私たちは見学をしてきたのでございますけれども、それでは日本の石炭政策と、西ヨーロッパで私たちが拝見をして参りました石炭政策との間に、全部方向や施策というものが同じかどうかということになりますと、これは国々によって違いはございますけれども、やはり相当違ったような面があるということを、これまた私たちは発見せずにはいられなかったのでございます。 これは私たちの報告が、今後の短期、長期の石炭合理化政策に重要な参考資料ともなろうと思いますので、どのような結論にエネルギー調査団が到達をするかということは、まだ申し上げることはできませんけれども、私個人の意見として、どのような違いがあったかということを申し上げますと、まず第一点として、各国とも相当思い切った合理化をやっております。ことに西ドイツの合理化事情というものを私たちは拝見をしたのでございまするけれども、やはり山の数を減らして、そうしてでき得る限り集中生産をして、つぶす山は完全につぶしてしまう。さらに重油税や軽油税を見合いにして、その間における石炭対策として輸送補給金を出すとか、また労働対策費を支出をするとか、合理化資金を捻出するとか、こういったこともやっております。ですけれども、やはり合理化は各国のほぼ共通した線であり、フランスなんかも南の方の炭田は漸次全部つぶしてしまう、こういう強い態度で臨んでおりますけれども、反面においては、西ヨーロッパは完全雇用の国国で、なかなか他方においては炭鉱夫のなり手もない、またそういう事情のもとにおいては、よそに比べて賃金水準もプラス・アルファにならざるを得ない、こういうことで自然の成り行きにまかしておけば、やはり石炭生産費は高騰せざるを得ない。それを合理化の反面において抑制して、そしてコストが下がり、販売値段が下がるということは望ましいけれども、今の私たちの努力では、この程度の合理化をしてもなかなか石炭の値段というものは下げにくいのだ、こういったようなことを、ほとんど政府の関係者も石炭の関係者もおっしゃる、こういったようなことであります。それを前提として、やはり自分たちは石炭が——これも各国によって違いがございますけれども、大体現状維持もしくは一割減くらいのところでいわゆる安定性を、つまり経済的に持つような操作をしていきたいのだ、こういう考え方が強いように私たちには考えられました。この意味から申しまして、日本の事情その他を御報告して言いますと、千二百円の引き下げというのは、はたして日本でできるかどうか、こういったようなことについて向こうからいろいろ質問を受けた、こういうことが言えます。 それから第二に、つまり他方石炭の合理化をするけれども、先ほど重枝さんがおっしゃいましたように、あくまでこれを総合エネルギー政策として考えていこうといったような配慮が、日本よりもずっと強いように思いました。石炭は、国々によって違いますけれども、一番大きな影響を受けておりますのは家庭用の燃料で、向こうは、ドイツやイギリスでは一億トン以上の石炭を掘るけれども、それの三十数%が家庭用の暖房炭という形になっておる。それを今急激にほかのエネルギー、特に重油に置きかえていく。石炭業者も、何とか石炭を家庭燃料に使用せよとおっしゃるけれども、やはり自分のうちへお帰りになると、ガスや重油で自分のうちの暖房をおとりになる、こういったような形になっております。また汽車その他の燃料も減っていく。しかし他方では、やり方によっては製鉄用とか発電用の石炭というものは伸びていくのだ、また伸びていっても何とかこれを経済的に成り立たしめるということができるのだとか、そういったような線で、今後の石炭政策を考えていこうという観点が強い。ことに西ドイツは、重油発電というものは自分の方は当分やらないのだ、こういったような方針で臨んでおる次第であります。またフランスやイギリスは、重油発電はするけれども、今後の電気の増産分は産炭地発電で強力なものを作って、そこでまかなっていくのだ、またそうしてもそう著しくエネルギー価格というものは変動ないのだ、こういったような考え方で、その点では日本の石炭の場合におきまして、自由化されたり重油ボイラー規制法がなくなりました場合においては、むしろ油を中心にする発電の方へ急激に移行していくといったような状態が感じられるのに対しまして、相当違った状態だというふうに考えざるを得ません。 それから第三に、私たちにとって印象的だったのは、向こうは完全雇用の国で、ほんとうに働く意思があり、転換する意思があるとするなれば、割合石炭鉱業労働者もスムーズに転換ができるはずであります。ところが、やはり合理化をして炭鉱を閉鎖するとかあるいは縮小するとかそういったようなことについては、その地域に与える影響とか、あるいは労働転換といったようなことに相当慎重である、また協力的である、こういったような事実があるのだということを、私たちは割合強く印象的に学んできました。 それから、いろいろ申し上げたいことがありまするけれども、もう一つ私たちに印象的だったことは、ヨーロッパでは他面におきましてそういう事情にはございますけれども、最近はフランスのサハラに有望な油が生産をされまして、現在八百万トンくらいな生産が行なわれるはずであります。さらに四、五年先にはこれが五倍くらいの生産になる。さらにサハラには世界第二の天然ガスの油田が発見されている。さらにオランダにも非常に有望な天然ガスが発見されている。さらに工業中心地に向かいまして、無数のパイプ・ライン計画が、南の地中海の方あるいはオランダの方、あるいは東の方からイタリアのベニスやゼノアあるいはソ連地域から入ってくる、こういうエネルギーの複雑な事情のもとにございます。そこでこれは日本とヨーロッパの特殊性ということになりますけれども、向こうの方々のほぼ共通的な意見としては、つまりヨーロッパにおける地域的な特異性、それから過般のスエズ動乱のときに油が非常に来なくなって、あわや危険な状態に達した、こういったようなこともあるので、ただ安いからというだけで油を使っていくということは、エネルギーの安全保障の面において自分たちはやはり再検討する必要がある。それはただ単に政治性とか国防といったようなことだけを考えるのではなくて、やはり経済性を考慮するけれども、そういったような要素を考えて、そうして今後のエネルギーの増加分は、やはり自然の姿として石油や天然ガスに立たざるを得ないし、将来は原子力というものに期待せざるを得ない。だからといってもう石炭をつぶしてしまう、こういったようなことではないのだ、こういう点を私たちにるる御説明になった、こういうことを私たちは向こうで知って参った次第であります。 もとよりこの西ヨーロッパの経験が、そのままこれからの日本の石炭政策に当てはまるかどうかということは、さらに再検討の要があると私たちは思っております。ですけれども、ここで考えてみなければならぬことは一さきの重枝参考人の御指摘にもございましたように、もはやこういったような情勢のもとでは、石炭を石炭としてどのようにするかという形だけではだめで、やはり総合エネルギーの中において石炭をどのように位置づけるのか、こういったようなことを考えて、そうしてその線に沿って生産の問題とか流通の問題とか、こういったようなことを考えていかねばならぬ。現に自由経済の本家本元でございまする西ドイツの経済省の中には、エネルギー調整局というものが設置されまして、そうしていかに今後の西ドイツのエネルギーを調整していったらよろしいかということを真剣に検討しております。そうして三億円ばかりのお金を出しまして、各学者とか、大学、エネルギー研究所にそれぞれ分担させて、ほんとうにこれからどういう形になるのか、また現状、過去はどうだということを、ほんとうに詳しく調べておられます。またイギリスでは、御存じのように燃料省という特別の省があり、その省の中には鉄鋼も入っておりまして、そうしてやはり総合エネルギーの角度から、これを推進していこうということであります。その点日本は今までのあり方は、石炭の計画はあった。電力の計画はあった。また石油の計画はあった。しかしどうもそれがばらばらであって、相互関連性があまりにもなさ過ぎたのではなかろうか。またその中から、やはりいたずらな摩擦というものが起こっておったのではなかろうか。また計画はあるけれどもポリシイというものが欠如しておったのではなかろうか、こういう印象を私個人としては案外強く現地で受けて参りました。ことに日本の場合においては問題が鋭角的に出まして、石油か石炭かという形に出るわけですけれども、ポリシイの面においては、ともかく経済性が中心でございますけれども、それにやはり社会的の影響の問題とかいろいろなことを考えて、いかに経済性を考慮しつつこの二つを調整していくかということが問題でなければならぬ。そこで私は、事態がもはや国際的に見て、こういう状態であるとするならば、せめて通産省の中に各局をオーバーしたところの燃料調整部あたりをお作りになって、そうして一体今後の日本のエネルギー政策をどうするのか、こういったようなことについて真摯な検討が必要である。また現在の情勢のもとにおいて、一体石油の値段がこれから国際的にどうなるかということにつきましては、実は私どもはいろいろ専門家の御意見も聞きましたけれども、なかなかわからないというのが、向こうの専門家の御意見でございました。必ずしも石油がどんどん下がっていく、ことに重油が下がっていくというふうには考えられない、上がる要素もあるのだ、こういったような御説明でございましたけれども、かりに現在の重油価格というものが横ばいになったといたしましても、三十八年十月に自由化が行なわれ、また重油ボイラー規制法というものがなくなりますと、かりに千二百円の引き下げをいたしましても、石炭産業が安定するかどうかということはわからない。そういたしますると、私の申し上げました線に立って、ドイツではエネルギーのラウメン・プランニングと申しますけれども、それをどのように作っていくかということにつきましては、私は政府あるいは関係産業業界、また各政党がやはりできる限り協力的な立場になられまして、そして今後のエネルギーの位置づけをしていく。そしてその線に沿って長期短期のエネルギーの転換を効果的に進めていく、こういうことをどうしてもしなければならないのではなかろうか。この点を非常に強く感じて参った次第であります。 いろいろ短かい時間の経験ではございましたけれども、現地で経験をいたしましたところにつきましては、ほかの点についても申し上げたいことが多多ございますけれども、すでに与えられました時間も過ぎましたので、大よそ以上のような点について非常に印象的な経験を持ってきたということを、御参考の一つとして申し上げたいと思います。
○小川(平)委員長代理 次に西尾参考人。
○西尾参考人 私は福岡県の直方の機械工業の組合の理事長をしております西尾でございます。産炭地域における中小企業の組合の代表の一人といたしまして意見を開陳する機会を与えていただきましたことを、衷心から感謝を申し上げます。炭鉱地域の振興に関しまして今次国会におきましてようやく法律案が提出せられることになり、今後産炭地域の振興にきわめて明るい見通しを得ましたことは、私ども関連産業といたしまして、大きな期待を持っておるものでございます。 北九州の筑豊炭田の中心都市として発展しました人口六万五千の直方におきまする唯一の産業であります機械工業は、筑豊炭田はもちろんのこと、佐賀、長崎、熊本県の炭鉱とも早くは明治十九年ころから炭鉱機器の製作修理に専念して参りまして、現在におきましては工場総数約百五十、従業員三千名、受注年額約四十億の工場群でございまして、これから考えてみまして、炭鉱と共存共栄的存在の関連中小企業でございます。これらの中小企業が石炭経済価値の後退とエネルギー革命のあらしによりまして、石炭業界の不況によりまして私ども関連産業が甚大な影響をこうむり、今日瀕死の状態に追い込まれておる、こう申し上げても私は過言ではないのではないかと思うのでございます。 組合傘下の工場の受注機種別比率を比べてみますると、昭和二十七年度におきましては炭鉱機械の受注が八八・八%であり、一般産業機器の受注が一一%を示しておりましたものが、三十年度におきましては八一%に減じ、一般産業機器がわずかに伸びまして一三%であります。さらにこれが去年昭和三十五年に至りましては炭鉱機器の受注は五八%に下がり、一般産業機器の受注が三二%を示し、二十七年度と三十五年度を比較してみまするときに、炭鉱機器の受注は四〇%の減少を示しておるということが言い得るのであります。 さらにまた年間の受注金額を考えてみますると、炭鉱の最盛期に比しまして三十五年末におきましては大体二〇%から二五%の減少でございます。さらに今後炭価の引き下げと筑豊炭田におきまする炭鉱の老朽による鉱山の整理あるいは閉山ということは当然予想されるのでございまするが、これを考えますときに、受注見込みの減は昭和三十八年から四十年ごろに至りますならば、四〇%から五〇%の減少が予想されるのでございます。これらの結果から考えまして、私どものいわゆる中小企業の機械工業は大体半数近くの工場が閉鎖、倒産の悲運をたどる運命にあるのではないかということを考えられるのでございます。 日本のあらゆる産業界はかつてない好景気を謳歌しておりまするときに、産炭地域の炭鉱関連産業は不景気の谷間に追い込まれまして、日の目を見ない企業に転落をしつつある現状でございます。 もちろん私ども業者もただこれらの点を手をこまぬいて見ているわけではございません。新しい道の開拓への努力に力を入れておるのでございます。まずそのいかなる点にわれわれは改善すべき点を見出すかということについて考えまして、昭和二十九年には福岡県の診断員の各位によりまして、直方鉄工業界の産地診断を受けまするし、さらに三十五年に至りましては福岡通商産業局並びに県の総合診断を受けまして、この診断の結果私どもに指示されましたところの点は、八百屋的受注から、すなわち多種少量受注態勢から少種多量生産へ移行すべきである、次には老朽施設を取りかえまして、いわゆる設備の近代化をやるべきである、さらに共同施設作業場並びに共同検査場を設置することによる受注の増大と生産の増強、次に既存の機械工業を基盤といたしまして、大企業を誘致し、協力態勢を強化して、企業の系列化をすべきである、専門化すべきである、さらに労働力の確保あるいは大企業と中小企業との格差ということから考えまして、労働力の不足は全国的傾向でございまするが、特に私どものいわゆる中小企業においてははなはだしいのでありますが、これらの点のいわゆる防止策といたしまして福利厚生施設を拡充していくべきである、こういう点を勧告をいただきまして、この勧告に基づきまして私ども直方鉄工業界といたしましては、市当局の御支援を得まして漸次北九州の重工業地帯に進出いたし、その受注も増加しつつある現況でございます。しかしこういう状態に立ち至りまして、さらに直面いたしました問題は新鋭設備の増強、技術の向上、生産の拡大ということを早急にやらなければ、これらの問題が解決できないということを痛感しておるのでございます。 ここにおきまして私どもは機械工業の団地造成というものをやって、一応これらの問題が解決の緒につくのではないかと考えられます。先般来川口市、さらに富山市及び富山市近くの大沢野町の工場団地が進んでおりまする先進工場都市を視察いたしまして、これらの問題を研究準備を進めておりました。現在約私どもの四十工場団地造成の希望を持っておるのでございます。所要坪数約十万坪、候補地には三カ所を大体物色いたしまして着々と準備を進めておる。 かかる状況から産炭地域の産業界は石炭産業の不況によりまして、非常な深刻な打撃を受け、これを幾分なりとも回復し、またみずから立ち直ろうと懸命の努力を続けておるのでございます。しかしこのたび審議されておりまする産炭地域の振興臨時措置法、これは政府提案でありますし、あるいはまた社会党提案の産炭地域の振興に関する臨時措置法、あるいは石炭鉱業安定法、あるいはその他の法案を見せていただきまして私どもが感じますることは、ただいま申し上げました産炭地域におきまする関連産業の窮状から直接関係のありまする点につきまして五点ほど要望ないし希望を申し述べたいと思うのでございます。 第一は団地造成その他の点から考えまして、石炭鉱業合理化事業団が所有されておりますところの土地を、私ども関連産業に利用もしくは払い下げていただくというようなことを法案の中に一応考えていただくことができるように要望するものであります。 第二には、設備の近代化、共同設備の設置というような観点からいたしまして、長期低利資金の融資措置をお考え願いたい。 第三点には税法上の問題でございますが、固定資産税あるいは固定資産に対する減価償却の特別措置等は助成措置が考えられておるようでございますが、地方税のうちの事業税の問題は、やはり中小企業としては相当のウエートを持っておるのでございますから、これらの事業税に対しまする措置を御考慮願いたい。 第四番目は産炭地域振興の法案の目的は、申すまでもなく石炭産業それ自体の振興を目的とし、それと同時に産炭地域におきまする鉱工業の急速なる発展云々ということをうたってあります。ところが私どもの炭鉱関連産業といたしましては瀕死の状態にありまする既存のこれらの産業を、一つすみやかに振興助成の実施問題につきまして特別の御配慮を願いたい。 最後に炭鉱地域振興臨時措置法と中小企業振興資金助成法との関係についてでございますが、直方市のごとく低開発地域工業開発地区としての指定を受けてない地域は、産業界といたしまして中小企業振興資金助成法の適用を受けんといたしましても、現在の状態におきましてはだめなのでございます。この点考えていただきまして、仏作って魂入れぬというような結果にならないように、この法案の関係につきましても御考慮を願いたい。 最後に、直方市におきます、あるいは筑豊地域の、あるいは各産炭地域の中小機械工業というものは、今日まで炭鉱の縁の下の力持ちといたしまして、長い間営々として石炭産業に協力して参りました関連工場の実情は、先刻申し上げた通りでありまするが、ぜひともこの際、産炭地域の振興に関係のありまする各法案の成立を、私どもといたしましては切に念願をしておる次第でございます。 詳細な点につきましては質問の際に申し上げたいと思います。 以上で私の公述を終わりたいと思います。(拍手)
○小川(平)委員長代理 次に坂田参考人。
○坂田参考人 私は全国鉱業市町村連合会の会長で、田川市長坂田九十百でございます。 本日は商工委員会におきまして審議されます産炭地域振興臨時措置法案等関係五法案について、参考人として意見を開陳する機会を与えられましたことに対しまして、厚く感謝申し上げておる次第でございます。 私は法案に対する意見を申し述べまする前に、近年の石炭の大不況が地元市町村及び地元市町村住民にしわ寄せしている惨たんな実情を申し上げて、御参考に供したいと存じます。 この数年の石炭の未曾有の不況が、石炭需給の構造的変化というゆゆしい原因からきたものであることは、今さら申すまでもありませんが、この未曾有の不況が産炭地市町村にしわ寄せしております現実の事態は、離職者の多発、ストの頻発、所得の減少、税収の激減、支出の増大、さては鉱害の累積、災害の頻発等の諸事情が相連鎖し、悪循環しまして、地元市町村の行財政は全く破綻に瀕しておるのであります。特に離職者の実情は、昨今世をあげて所得倍増をうたい、レジャーの喜びにひたる人々の多いときに、倒壊寸前の雨漏りの屋根の下で、その日のパンにも見放されてひしめいており、これに炭鉱下請業者、関連産業の従業員、地元商人等の半失業化を伴って、いわゆる町ぐるみの失業となっており、これらは大きな社会不安を増大しておりまして、過去においては国策に寄与し時代の寵児と、もてはやされてきました産炭地は、今やあまりにも暗たんでありまして、すでに黒い羽根運動以来、ラジオ、テレビ、新聞雑誌、映画によって紹介され、満天下の御同情をそそったことは、周知の通りでございます。 特に長崎県北松地帯、佐賀県一円、福岡県粕屋炭田、筑豊炭田、常磐地帯には特にはなはだしいのでありますが、一例として田川市の状態を申し上げますと、田川市の人口は、昨年十月の国勢調査の結果によりますると、九万五千余人でございまして、この一年間に七千五百人の減となっております。また予算上から見てみますると、当初予算の一般会計九億三千万円のうち社会労働費は実に四億三千二百万円の多額に上り、年度末までにはさらに生活保護費は、人員の増加と補助率の引き上げにより一億円以上の増額が見込まれておるのであります。 この生活保護世帯数でございますが、五月一日現在で二千百六十五世帯、人員にいたしまして七千七百二十五人、人口千人に対して八十人の割となっております。 また失業者の状況を申し上げますと、顕在失業者、これは職安の登録済みのものでありまするが、これは三千九百五十六人、潜在失業者は二千九百四十二人、合わせて六千八百九十八人、顕在失業者の内訳を申しますと、一般失対一千三十八人、緊急就労一千五人、不就労者一千九百十三人、計三千九百五十六人となっておるのでございます。 さらにその他の生活貧困者、零細農家などを多数抱え込んでおりまする市といたしましては、行政面においても財政面においても常非に苦境にあえいでおることは十分御想像願えると存ずるものでございます。 いま一つ申し上げたいことは市の治安問題でございます。このような社会環境を反映して、光のさし込まない暗い谷間で絶望的な日々を送っておる青少年が、虚無的となり、暴力的となり、凶悪犯罪の温床として社会不安を現出しておるのでありまして、関係団体といたしましては、これが防止に非常な苦心を重ねておる次第でございます。 この現われの一つといたしまして、田川警察署には全網が張ってあるのでございます。福岡県下に三十九署ございますからして、おそらく全国で一千数百の警察署があると思いまするけれども、警察署に金網が張ってあるものを見たことはございません。およそ警察官というものは警察署という建物に立てこもって何かを防ぐというものではございません。外に出まして地区住民の生命財産を保護する任務があるのでございまするが、この警察署に金網が張ってあるという状態からいたしまして、いかに治安状態が悪いかというのがわかるのでございます。 もう一つ例を申し上げますと、田川市には精神病院が二つございまするが、いずれも満床でございます。あまりに貧乏がひどくなりますと気違いが非常にたくさんできるということが実証されるのでございます。これは田川市のほんの一、二の例を申し上げましたが、おそらく全国の炭鉱所在市町村の実態はおよそ田川市と大同小異であろうかと考えておるのでございます。 こうした事態は、私どもがいかに考え、いかに対策をめぐらせましても、ただいま申し上げまするような疲弊し切っておりまする市町村の力ではいかんともしがたい大きな問題でございまするので、去る五月九日、私ども三団体、すなわち全国鉱業市町村連合会、全国市議長会石炭産業対策協議会、全国石炭鉱業関係町村議会議長会の三者相はかりまして、産炭地市町村振興対策確立促進全国大会を開催いたしまして、お手元に配付しておりまするスローガンその他にありまするように、産炭地振興対策の確立、産炭地市町村の財政確立、炭鉱離職者対策の強化、石炭産業の長期安定対策の確立、鉱害復旧の促進と炭鉱保安対策の強化など、五つの要望を中心に決議して、これを政府並びに国会に対して要望申し上げたので、ございます。 この大会には、三十数名の衆参両院議員の先生方の御臨席を得、特に椎名通産大臣も御臨席下さいまして、産炭地振興のための積極的施策の実現に努力する旨の御懇切なるごあいさつをいただき、また自由民主党の小川平二先生、社会党の勝間田清一先生、民主社会党伊藤卯四郎先生から、それぞれの党を代表されまして産炭地振興に対する熱意あふれる御発言をいただきまして、関係者一同大いに感激いたした次第でございます。 さらに本月十二、十三両日には、勝間田先生を団長とする社会党視察団、十三、十四両日は小川先生を団長とする自由民主党の諸先生が激務をさかれまして遠路はるばる福岡県の産炭地までおいでいただき、親しく現地の悲惨な実情を御視察いただき、産炭地関係者のなまの声を直接お聞き下さいまして、産炭地の実情に対して十分なる御認識を深めていただきましたことにつきまして、これまたこの席上から厚くお礼を申し上げる次第でございます。 このたび国会において産炭地域振興に関する法案が審議されるに至りましたことは、積極施策の第一着手として私どもの意を強うするものでございまして、政府御提案に賛意を表するものでありますが、この法案の内容及び運用について二、三の点について意見を申し上げたいと思うのでございます。 第一は、この法案に、産炭地域の範囲として、疲弊の著しい産炭地域のほかに、隣接地域中政令で定める密接な関連地域をも規定されておりますが、私どもといたしましては、この法律の恩恵がまず第一に産炭地市町村そのものに及ぶことを期待しておるのでございます。すなわち産炭地域に新たに開発される産業は産炭地そのものの振興に直結するものであることを要望するものであります。従いまして私ども地元市町村が目下その立地条件に基づいて開発し、誘致しようとして鋭意調査しております具体的事業計画につきましては、でき得る限り尊重していただき、振興の実施計画中に織り込んでいただきたいのでございます。 第二に、調査費についてでございます。産炭地振興調査費として三千万円計上されておりますが、本来この調査費は産炭地域振興の根本となる事業の調査の費用でありますので、この際急速に大幅増額していただいて、この調査の完璧を期していただくように要望いたしたいのでございます。 私ども地元市町村は、ただいま各地区ごとに調査をしておるのでございまして、福岡県の産炭地市町村がこの調査の結果をとりまとめましたのが、お手元に差し上げておりまする産炭地振興対策に関する要望書でございます。各地区からもそれぞれ調査の結果が近く出そろうはずでございますので、その節はあらためて差し上げたいと思うのでございます。 第三に、この法案の施行期間等に関連する問題でございますが、施行期間が五カ年になっており、実施計画の策定期限は施行後二年以内となっておりますので、すべての振興計画の策定はできるだけ急いでいただき、疲弊の極に達しておる産炭地市町村を一日も早く振興し得るよう御配慮願いたいのでございます。 第四に、産炭地振興の基本計画及び実施計画を議する中央及び地方の審議会の構成についてでありますが、これらの諸計画は、結局産炭地振興の一つ一つの具体的事業の検討の上、終局的に決定されるものと存じますので、これらの具体的事業を調査し、検討し、提案しました関係市町村の代表の意見が十分反映しますような組織構成にせられまするよう特に御配慮願いたいのでございます。 第五に、産炭地振興計画の進展に合わせましてさらにその実効を確保するため、今後十分調査の上、強力な実施機関を設置せられまするよう御要望申し上げるものでございます。 以上のほか、この法案については国の助成措置についていろいろ御配慮をいただいておりますが、国家財政の許します限り、なお一そうの御配慮を賜わりたいのでございます。 産炭地域の振興については、社会党からも同趣旨の法案が提案されており、これには振興事業を鉱工業に限らず一般産業の均衡ある発展と、諸般の助成措置等が考慮されておるようでございますが、政府におかれましては、かような点につきましても十分御考慮下されまするようお願い申し上げる次第でございます。 次に、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案及び臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案につきまして賛意を表明したいと存じます。特に産炭地市町村は、累積鉱害の復旧促進と事業の改善強化について、終始要望をし続けて参っておるのであります。臨鉱法については、まだまだ御要望申し上げる点が数多くあるのでございまするが、基本法である鉱業法の改正を控えております関係上、この程度の改正にとどめられたように承っておりますが、将来石炭鉱害について抜本的な改正をはかられまするよう、御要望をする次第でございます。 最後に、社会党から石炭鉱業安定法案が御提案になりましたことにつきましては、深甚なる敬意を表する次第でございまするが、私どもも産炭地市町村と石炭鉱業との相互不即不離の関係を認識いたしまして、お手元にお配りしておりまする過般の大会でのスローガン、宣言、決議にもこのことをうたっておる次第でございます。今後この問題につきましても十分御検討をお願い申し上げたいのでございます。 以上をもちまして、関係五法案に対する私の意見を述べさしていただきましたが、せっかくのこの機会でありまするので、あわせて御要望いたしたいと存じます。 それは炭鉱離職者対策の強化と産炭地市町村の財政対策の確立の問題でございます。今般雇用促進事業団法が別途提案せられ、一般労働者の雇用促進が推進されることになっておりますが、緊急就労対策事業及び失業対策事業につきましては、私どもといたしまして実施上まことに困難を感じておるのでございます。いま一そう事業の強化拡大をはかられるとともに、広域職業紹介の促進、特別職業訓練の強化、受け入れ住宅の整備等、この方面の対策の推進について、なお一そうの御配慮をいただきたいと存ずる次第でございます。また産炭地市町村の財政の窮状は、先ほど説明した通りでございまするが、市町村税の減収補てんの措置を講ぜられまするとともに、失業対策事業費、生活保護費、緊急就労事業費、鉱害復旧事業費等、特別財政需要の増高による必要経費の財源措置を確立されまするよう、あわせて御要望申し上げまして、私の公述を終わらしていただきます。(拍手)
○小川(平)委員長代理 以上で参考人の方々の御意見の陳述は終わりました。 委員より質疑の通告がありますので、順次これを許します。なお委員各位に申し上げまするが、佐久参考人は所用のため、できるだけ早く退席なさりたい旨、あらかじめ申し出をいただいておりますので、佐久参考人に対する質疑がありましたならば先にお願いをいたします。 多賀谷真稔君。
○多賀谷委員 実は今までの五法案に対する積極的な意見の開陳をお願いいたしたかったわけですが、労働組合あるいは関係者並びに地元産炭地域関係者並びに稲葉さんからは、かなり積極的な意見が出ましたけれども、経営者また田口副理事長からは、あまり積極的な意見の開陳がなかったことを残念に思い、現在の日本の石炭業界を代表されておる方が、こういう気慨と熱意のない状態のように承って非常に私は遺憾に思いました。日本人はものを言わないくせがついておりますから、あるいは金持ちけんかをせずでおっしゃらないのかもしれませんが、非常にさびしい感じを受けたわけです。 そこで田口さんはエネルギー基本法の提唱をされた、これは非常にいいですけれども、私は現在エネルギー基本法を作れば石炭界がよくなるというような現在の日本の政界並びに財界の状態ではないと思う。そこで単にエネルギー基本法によって炭鉱が救われるというものの考え方は、私は現時点においてはかなり危険性がある、炭鉱が要らないような議論が出てくる可能性がある、こういうように考えるわけです。先ほども稲葉さんがおっしゃいましたけれども、日本の経済界の現状は、石炭の合理化にしてもきわめて鋭角的な方向でいっており、また石炭を使う需要者の協力とその協調性が非常に欠けておる。こういう点から見ると私は非常に残念に思うのですが、その点エネルギー基本法をどういう構想でお考えになっておるのか、田口さんから一つお聞かせ願いたいと思います。
○田口参考人 ただいま多賀谷委員からきょうの私の陳述につきまして、非常に積極性に欠くる陳述であったのをさびしく思うというお話がございましたので、その点につきましてまず第一にお答え申し上げたいと思います。 きょうの陳述におきまして冒頭に申しましたように、私は石炭鉱業合理化事業団の副理事長をしておりまするので、とかく私の陳述がいろいろと誤解されるということがあってはならぬというので、前もって、個人田口として申し上げるということを申し上げたわけであります。私も石炭につきましては多少の経験を持ち、また石炭鉱業がこの際今日の窮境から脱して、安定した石炭鉱業になることを念願するものでございまして、私の陳述が非常に積極性に欠けたというおしかりを承ったことは、私といたしましてもまことに残念に存ずる次第であります。 次にエネルギー基本法の問題に私は触れましたが、私はまだ十分この基本法の性格その他につきまして研究はしておりません。ただ本日述べましたように、今日のエネルギー問題が、とかく政府のそのときどきの事情によりまして右顧左眄する。たとえば炭主油従を唱えられたかと思うと、また油主炭従に変えるような傾向にあるというような状況では、それぞれの産業がお互いにむだな骨折りをして十分な運営ができないことを心配しまして、あくまでもやはり石炭は、石炭産業の進むべき正しい位置をつける、この際これを決定することが絶対に必要でございまして、それには、石炭サイドばかりで議論してもこれは何にもならない。また電力サイドで物事を研究しても、これまた不十分であるという観点から、総合的な施策がこの際絶対必要であるという考えのもとに、エネルギーの総合的な一つの基本法のようなものを作ることが必要ではないか。そういうふうな意味におきまして申し上げたわけであります。この問題につきましてもいろいろと考えておりまするが、現段階におきましては、もとよりなかなか困難である。またただいま御指摘がありましたように、ともすればそういうようなものを作ると、石炭鉱業をさらに危殆に陥れるのではないかというようなお話もございましたが、私はやはりあるべき姿で、しかも長い将来を考えて、エネルギーはそれぞれのエネルギーの分野においてどうあるべきかということを、個々に規定することは絶対に必要である。しかしそれは非常にむずかしい。しかしそれができたからといって、石炭が非常な危殆に陥るとは考えられない。先ほどお話がありましたように、やはり石炭鉱業に関しましては、ヨーロッパでも非常に石油という問題について真剣に考えておるというお話がありましたが、日本の今までの石炭を考えてきた人々は、ヨーロッパの話を待たずして、日本は特に液体燃料を海外に仰いでおる点において非常に顕著であるがゆえに、日本は固体燃料について安全保障関係を十分考えなければいかぬということは、昔から言ってきたのでありまして、むしろ今日においてはそういうふうな意見が薄らいでおる。それを私どもは憂えているものであります。そういうふうなことも考えあわせまして、どうしてもここに総合基本法というようなものを、この際作ることが必要であるということを申し上げたのであります。いずれまたいろいろ研究いたしまして、先生方のお教えを承りたいと思いますが、今日におきましてはその程度で、まことに不十分でございますが答弁を終えさせていただきたいと思います。
○小川(平)委員長代理 多賀谷委員に申し上げます。御質疑中ではありますが、佐久参考人が時間の都合で退席されますので、この際、佐久参考人に対する質疑を許可いたしたいと存じますので、御了承願いたいと存じます。
○多賀谷委員 では佐久参考人にお尋ねいたします。千二百円、昭和三十八年までに引き下げるという問題は、今どの程度に進んでいるのか。現状はどういう状態になっているのか。そうして昭和三十八年度には千二百円下がりますか。さらに最近の物価の値上げによってどういう影響が出るか、さらに千二百円下がった後はどういう保障があるのか、これをお答え願いたい。
○佐久参考人 千二百円引き下げを三十八年度の目標にした合理化計画は、ほぼ順調に進捗いたしております。従いまして大口の消費者に対する販売価格も一昨年、昨年大体二百五十円程度の引き下げを行なった。本年度はまだ大口消費者との炭価交渉は最終妥結に至っておりませんが、ほぼその点のところで妥結されると思います。 それから三十八年度までに千二百円引き下げが完了されるかどうかというお話でありますが、今の進捗で進めばほぼ可能ではないか、あるいはまた可能ではないかというよりは約束した以上はどうしても実現したい、こういうのが大手各社の首脳者の考えであります。ただ、今御指摘がありましたように、物価の値上がりあるいは最近は鉄道運賃の値上がり、そういうものが大きく響いて参りますと、今後千二百円引き下げを実現するためには、相当力を入れた努力を必要とする、かように考えております。
○多賀谷委員 実は火力発電の問題について業界としてはなかなか言いにくいかもしれませんけれども、ボイラー規制法がまだ現存をしておるわけですけれども、かなり重油専焼の建設がなされておる。それが稼働しておる。こういう状態については協会の方ではどういうふうにお考えですか。
○佐久参考人 年々電力の需用が非常に増してくる。それに対応して発電設備も増強しなくてはならぬ、これは当然な話でありますが、その発電設備増強にあたって、重油専焼火力の計画が相当数毎年出てくるわけであります。これに対しては石炭協会として、できるだけ石炭火力の発電所も新しく作るようにということを要請しておりますし、かたがた電力業界とは三十八年度あるいは四十二年度を目標にして、火力発電所用としてどのくらいの石炭を使ってもらえるか、そういう長期の協定をする話も進めております。今両者の話で出ている数字は、三十八年度において千八百五十万トン、四十二年度において二千万トンを電力側で最低引き取るようにしようという話が出ております。石炭業界としては、もう少しふやしてもらいたいという意向も述べておりまして、おそらく今月の末か来月の初めごろに、最終的な話し合いが持たれると思います。
○小川(平)委員長代理 岡田利春君。
○岡田(利)委員 佐久参考人に一、二の問題についてお伺いしたいと思います。 まず第一点は、先ほどから流通構造の合理化の問題が、参考人からも述べられておりますが、私は特に日本の産炭構造から考えてみて、流通構造の合理化というのは非常に大きなウエートを持つと思われるわけです。またそれだけに流通構造の合理化は、非常に至難な面も実際問題としてはあるのではなかろうか。しかしこれを進めるためにはやはり組織的に研究をし結論を出していく、こういう積極的な態度がなければ、流通機構の合理化はできないのではないだろうか、このように私は考えるわけです。特に北海道の場合には、産炭地発電といっても、これを広域的に利用することができない。そうしますと、勢い原料炭もしくは一般炭を本州方面に輸送する。しかし今日銘柄が三千種もある、そういう点でなかなか合理的な輸送ができない。こういう問題があるわけなんですが、この点について当面どのように改善される考えがあるか。今度苫小枚港が完成しますし、北海道の場合にはほぼ石炭を輸送する港を指定することができるのでありますから、石炭協会等の組織的な立場の中で、銘柄の統一あるいは販売、特に大量消費する鉄鋼あるいは電力関係との協定において、現地で一括輸送する、こういう初歩的なものを今すぐ実行に移すべきじゃないか、こういう考えを持っておりますが、この点についての御見解を承りたいと思います。
○佐久参考人 御指摘のように、流通面の合理化、それは販売機構の問題もあり、それから輸送機構をどう合理化するかといういろいろな問題があると思います。なお今お話しのありましたように、炭種そのものをもっと単純化する等、いろいろな点が前々から論ぜられておりますが、遺憾ながらまだ非常に顕著な合理化の実績は上がっておりません。炭種の統一については、一つはJISの決定が技術的に非常に困難なことだそうでありまして、それがおくれている関係で、そう大きな単純化は行なわれていない。工業技術院でもこれはだいぶ研究が進みまして、遠からずJISの決定が行なわれると思います。 それから販売機構の問題であります。先ほどどなたからか御指摘がありましたが、現在大都市においては、各社別々に支店を持っておるのを、もう少し共同機構に変えれば、もっと販売費も安くなるのではないかということも考えられますが、会社相互で統合した機関を作るところには行っておりませんで、会社の中で支店の統合なり、まだそういう程度の合理化にとどまっておるわけです。 輸送関係では、特に港湾の積み込みの問題でありますが、これは北海道、九州十八社全部というわけには行きませんから、数社共同して積み込み設備を新しく作って、積み込みの合理化をはかる、こういうことは現実に行なわれております。
○岡田(利)委員 千二百円の炭価の引き下げの中では、特に流通関係において私の記録では二百四十円程度の引き下げができる、こういうふうになっているのですが、現在の流通関係ではあまり見るべきものがないということで、三十八年度までに千二百円の中に占める流通関係の二百四十円程度の経費は引き下げることが可能ですか。この点、端的にお答え願いたいと思います。
○佐久参考人 今後の流通合理化の進捗がどういうふうになるか、今までのような遅々たるものではなかなかむずかしいと思います。
○岡田(利)委員 もう一点お伺いしたいのですが、実は昭和三十年度の合理化審議会の中での論議でも、坑口開設の許可をめぐる論争の中で、当時租鉱炭鉱というものはきわめて少なかったわけで、従ってあまりに租鉱炭鉱の問題は、審議会の中で取り上げられておらなかったわけでありますが、最近の統計によりますと、年間四百五十万トン程度は大手、中小の租鉱炭鉱より生産されている、こういう数字が出ているわけです。大体今日大手では百二十五の租鉱炭鉱を持っている。中小でもさらに百四十三の租鉱炭鉱を持っている。合わせて二百六十八の租鉱炭鉱が現在しておるわけです。特に北炭のように直接経営を租鉱に落とすということすらも行なわれておるわけなんですが、私は、今日この石炭鉱業の長期的な安定という面から見れば、租鉱炭鉱の問題は、むしろ大部分が逆行する方向ではなかろうか、実はこういう見解を持っておるわけです。従って業界としても、一方においては中小炭鉱を買いつぶして、そして集中生産をはかって合理化を進めていく。ところが他方においてはきわめて鉱量のない、しかもきわめて前時代的な規模で、そういう態勢で租鉱炭鉱の経営が増加されていく、こういう面については、むしろ業界自体が自粛をすべきではなかったか、こういう問題についてはむしろ積極的に解明をしていくべきではなかろうかということを実は考えるわけです。この点の見解と、それから第二の問題は、最近炭鉱会社の社外投資が非常に増大をしておるわけです。先ほど野口参考人の意見でも約六十億の金が持ち出されておる。ところが一方においては設備近代化資金が導入される、あるいはそれ以上の保護政策をとってほしいという要望がなされている。こういう面から考えてみますと、この社外投資についても私は、たとえばカーボン・ブラックとかブリケットとか、あるいはガス化、石炭の輸送あるいは共同火力を起こす、あるいはメタノールの製造、こういう面は直接炭鉱経営と関連いたしますから、この程度までは一応許容できるとしても、それ以外のホテルの経営とか不動産とか、石油販売とか観光事業であるとか、あるいは石油精製、炭鉱機械にあらざる工作機械、建築材あるいは土木建築、こういう方向に多量に投資が行なわれておる。これは国際的に見ても、今日の石炭危機を考え、これからの総合エネルギーの中における石炭産業の位置づけ、これに伴う国の強い施策を要望する場合に、この点も同様に業界自体がもう少しこういう面についての考え方を新たにして、日本の石炭産業を守って、日本の石炭産業の技術的な発展の道を求めていくという真摯な態度がなければならぬのではなかろうか。こういうことがやはり多くの労働者の不信を買って、合理化の問題についても、なかなか労使の中で円満にすなおに理解されないという姿が出て、相互不信を招いておるのではなかろうか、こういう気がするのでありますが、こういう点についての率直な御意見を承りたいと思うのです。質問はこれで終わりますが、私ども率直に申し上げまして、石炭協会は西ドイツの石炭協会等の機能、運営から比べて、どうも日本の場合には弱いような感じが実はしますし、陰ではいろいろ積極的な意見が言われるのですが、対外的には積極的な意見がきわめて少ない、そういう受け取り方を実はしておるのですが、そういう面も含めて、一つ率直な御意見を承りたいと思います。
○佐久参考人 最初の租鉱権の問題でありますが、これは私自身も、何か名案があれば、こういう方法をとらないで行った方がいいんじゃないかと考えております。ただ新しい投資をしても、今後の燃料競争に勝てるだけ安い石炭が出ない。といって、これを一気に廃止する、閉山するということでは、また労働者の雇用の問題から、かえって問題を激化する。炭量は数年間くらいある、これをだんだんいいところだけ掘って終山に近づけていき、ある年限かけて終山するという方法として、どうもやむを得ないという感じで、私は受け取っております。しかし一方において、大手の今後の生産量は、大体合理化計画で目標がきまっていて、増産はできないというそのやさきに、租鉱山という格好で、生産だけは依然として減らないで残っている。全体としては、場合によっては増産も考えられるというようなことが、やはり問題だろうと思います。ちょっと名案がございませんので、やむを得ずそういう方法をとらざるを得ないじゃないかというふうに、私は考えておるわけであります。 それから社外投資の問題でございますが、これは実は、どの会社がどういうふうに社外投資をやっているか、詳しいことを私は存じません。存じませんが、石炭企業である以上、石炭企業以外に一切金を使ってはいかぬということも、少し窮屈なのじゃないか。先ほど、石油に投資をしているのもあるが、けしからぬというお話がありましたが、石炭企業として経営が非常に困難になればなるほど、多角経営というような方面に伸びていくというのも、一つの経営方法じゃないか。たとえばドイツの石炭会社が、石油企業にどんどん投資をしている、株を持っているというようなことがある。日本では、石炭が石油に投資をするのはけしからぬという多数の意見もありますけれども、ドイツあたりは、むしろ逆な行き方をとっておるように聞いております。それからもう一つ、最近はかなり石炭会社で不動産会社というのができておりますけれども、これは銀行から金を借りる場合に、処分のできる、そして金の調達のできる財産は、全部処分しろという強い要請を受けるわけであります。そうしますと、今まで持っておった山林を別にするとか、あるいは建物を別にするとかいうことで、不動産会社という別個の組織を作る。それはそれだけで収益が伴わない。従って観光事業をやるというような形に伸びていく。これは全部が全部ではないかもしれませんが、そういう事例は私は知っておりますので、これも一がいにいけないと言い切れるものではないのじゃないかというふうに思っております。 それから、日本石炭協会がきわめて弱体であるというお話は、これはもう率直にその通り私は承認いたします。 〔小川(平)委員長代理退席、中村 (幸)委員長代理着席〕
○中村(幸)委員長代理 伊藤卯四郎君。
○伊藤(卯)委員 佐久さんばかりに質問して、われわれが佐久さんいじめをしているようですが、お急ぎのようですから、私も一、二点お伺いいたしたいと思います。 三十八年までに千二百円炭価を下げるというものを作った当時と現在では、相当情勢が変わってきておるのじゃないかと思うのです。従って、たとえば輸送、電力、炭鉱必要機材、こういうものが御存じのように相当上がってきておる。そういう点等を総合すると、三十八年度まで年間二百五十円ずつ下げるというこの値下げ案というものは、私は非常に困難じゃないかと思う。従って、対政府との間に、相当これらの点において話し合いをつけられなければならないのじゃないか、こう思うのです。今の物価の進行状態でも、当初の計画というものを成功さすことができるというようなお考えがあるのかどうかという点が一点。 それから能率の問題です。在籍一人当たりの能率を、当初計画された能率程度では、千二百円を下げるということは困難じゃないかということが考えられるが、当初の在籍一人当たりの能率程度で千二百円下げられるのか。いや、それでは下げられぬのだから、さらに一人当たりの出炭量をこれこれふやさなければならぬという、新たなそういうお考えがあるのかどうか。これらの点は相当大きな問題だと思っておるのですが、これらの点について一つお聞かせ願いたい。
○佐久参考人 千二百円引き下げというものを計画したその当時の状況と、いろいろ前提に変わりが出ていることはその通りでございます。たとえば千二百円引き下げの前提の一つとして考えられました重油の価格、これはたしか八千三百円というものが前提にされておると思いますが、現にもう八千三百円というものを割っております。それから物価は横ばいという前提を与えて試算をしておりますが、その後物価も上がっている。そこで先ほど申しましたように、千二百円の引き下げを約束して、今そういういろいろの状況が出たからできませんということは、これはちょっと申しかねる。あくまでやはりその方針で進まなくちゃいけない。そこで、その千二百円引きというものを実施するために、一方においては、たとえば国鉄運賃の値上げは三十八年度まで据え置きにしてほしいというような要請も強くやっておりますが、また一面、資金の面なんかについても、合理化の速度を速める、あるいは三十八年度以降に予定される合理化計画というものを、繰り上げてやるというような方法も考えなくちゃならぬと思います。 私が先ほどの公述の中で最後に申しましたが、今後の問題を検討中だというのは、この千二百円引き下げのための諸条件が変わってきている、それを実施するために具体的にどういう方法を自分らがやり、あるいは政府その他にお願いをしなくちゃならぬか、それから三十八年度でかりに千二百円下がりましても、それは今申しましたように、相当現実よりも高い油を前提にした計算でありますから、三十八年度以降かりに自由化される、あるいは油の値段がもっと下がったという場合に、一体石炭というものをどう考えなくちゃいかぬのか。これは参考人の皆様からるる述べられました、やはりエネルギーの総合対策になろうと思いますけれども、そういう点をもう検討して進めなくちゃならぬ段階ではないかというふうに考えて、事務的な検討を進めている、こういうことを申し上げたわけであります。 それから能率の点は、あるいは数字が間違うかもしれませんが、たしか三十八年度で二六・ニトンというものを目標にしておったと思います。ほかの対策によってその能率を変えなくちゃならぬかどうかということも出てくると思いますが、あるいはこれ以上の能率を上げないと、千二百円下げてしかも企業を維持するということは、できないことになるかもしれません。
○伊藤(卯)委員 当初千二百円三十八年度をもって下げるときめたのだから、無理でもやらなければならぬというお考えのようだが、その無理というのが労働賃金に影響をする、あるいは、能率と労働賃金とが合わないという問題なども出てきやせぬかと思います。先ほど野口参考人から、三十八年度のこの目的を達成すれば、労働賃金が一人五千円下がるというようなことが公述されたようでありますが、そのように、労働組合の方で考えておりますと、従って、三十八年度に目的を達成するほど能率は上げた、しかし、労働賃金の方はそれに伴って上がらないで五千円下がったというようなことになりますと、増産計画に対する協力の意欲というものが起こってこないのは、私は当然だと思うのです。そういう点で、今野口参考人から言われたようなことを佐久さんもお認めになっておられるかどうか。それから、その辺の点をどのように解決されようとしておられるか一やはり労働組合との協力関係が成立しなければ、この三十八年度の目的達成はできない。そこで、先ほどあなたがおっしゃった、計画をしたんだから無理にでもやらなければならぬということになってきますと、労働賃金に影響がありはせぬか。それから、私がさきに諸物価の値上がりの問題を言ったのですが、やはり労働賃金も諸物価とともに上がらなければならぬわけですから、労働賃金に無理をきかすことも私はできない、こう思うのですが、そういう点を総合して、この点も目的達成の上に将来、相当大きな問題だと思うから、お聞かせ願いたい。
○佐久参考人 労働賃金を今後幾らずつ上げるか、あるいは三十八年度で幾らになるかということは、私ちょっとここでお答えいたしかねるのですが、考え方としては、やはり労働組合との協力で合理化を進めなければいかぬということ、従って、能率を上げたらそれに応じて賃金を上げていく、こういう方針はとるべきだと私は思います。 それから、三十八年度になって能率を予定通りやると五千円下がるという点は、ちょっと私は材料がなくてよくわかりませんですが、その点ははっきりした、その通りだとか、そうはなるまいとかいう御返事を申しかねます。
○伊藤(卯)委員 野口参考人にちょっとお聞かせ願いたいと思うのです。先ほどあなたからお聞かせ願った、三十八年度の目的を達成すると五千円下がる。それは能率に賃金をだんだん計算していくと下がるというその計算の仕方、そういうものについて、ぜひお聞かせ願っておきたい、こう思います。
○野口参考人 僕の言ったのは、三十八年度までの合理化の一環として、要するに切り下げが行なわれておる。昨年三井の賃金が、福利厚生面に対する会社側の負担と実質賃金と合わして五千円以上ダウンされております。それから大正鉱業の場合ですが、昨年の九月、賃金が三千五百円基準外を合わせてダウンされて、十一月の段階では二千八百円の賃金のダウンをさらにしておる。貝島の労組の場合は、二千五百円の賃金のダウンを労働者の抵抗の中で行なってきておる。日炭高松の場合は、七千八百円の賃金のダウンが会社側から提案されておる。今月の十六日からは労働者が無期限ストライキを行なって反対をしておる。もう一つ、杵島炭鉱の場合は、坑内外の賃金一万円のダウンを会社が提案してきて、先月十九日から無期限ストライキを行なっているという状態でありまして、佐久さんは、能率増進によって賃金が上がることは当然だと言われているけれども、設備投資を行なうことなくして、低賃金によって再び炭鉱の合理化、要するに、技術革新という全体的な第三次産業の合理化の中で、炭鉱だけは、賃金を抑制し、低賃金と労働強化で炭鉱事業を行なおうとしているのが実態である。現在の炭鉱資本の書き方からすると、一つの山の攻撃が終わりますと、次の山に攻撃をかけてきております。ただ、春闘で全体が三千円のベース・アップをする中で、炭鉱だけは千五百円、これも炭鉱資本にとっては不満であるので、合理化が一そう激しくなるということが予想される。こういうことで、先ほど賃金が五千円から七千円、多いところで一万円のダウンが行なわれた、こういう説明をしたわけであります。
○中村(幸)委員長代理 それでは、他の参考人に対する多賀谷委員の質疑を続けます。なお、委員各位に申し上げます。二時より本会議が開会される予定でありますので、その点御考慮の上御質疑下さいますようお願いいたします。
○多賀谷委員 長岡参考人に経営者を代表してお答え願いたいのですが、これは佐久参考人にも当然聞くべきことでありましたが、時間の関係で退席されましたので、一般的に経営者全体としてお聞かせ願いたいのです。 現在の合理化というのは労働者側にはかなり犠牲をしいているけれども、使用者側お互いの犠牲というのが、ほとんどなされていないではないか。たとえば、日本の合理化の大きな隘路は鉱区の調整だということが言われている。この鉱区の調整というのがこれだけ大きな問題になっているけれども、一向はかどらない。この点が一つ。それから、先ほど流通機構の問題がありましたが、この点も、流通機構の整備ということが大きな懸案として言われているけれども、これがなされていない。次には、何々株式会社というものは、確かに安定政策をとろうとしておる。石炭全体は不合理化の方向に行っても、会社自体の安定がまず第一だという対策が行なわれている。今、岡田委員から指摘がありました租鉱権の問題がその尤なるものである。それは租鉱権に出したからといって合理化になるわけではない。石炭界全体の合理化ではなくして、その会社そのものは、確かに赤字のところを切り捨てるのですから安泰になる、合理化になるでしょう。しかし、世界の石炭合理化の政策を見ておりますと、ほとんどが統合の政策である。ところが、日本の石炭政策は、現実にはむしろ分離の政策になってきている。次には、問題の労賃の問題、こういった合理化がなされておる。これでは合理化は、経営者の犠牲においては全然やらないで、他に犠牲をしいてやっているではないか。経営者側にもみずからの犠牲において合理化をする面があるではないか、こういう点を考えるのですが……。
○長岡参考人 第一の、鉱区の調整の一向に進まぬという多賀谷先生の御指摘はまことにごもっともだと思うのであります。私どもはかなり長い期間——私どもというのは、これは連合会としての話でございます。連合会内においても、協会の方の所属の炭鉱の鉱区等の調整関係におきましても、政府の方並びに日本石炭協会関係のものに話を進めまして、現在の法律の中でまだあまり聞いておりません、申請に対する決定も、もう少し実質的に行なわれるように、それから政府の側から隣接鉱区の譲渡あるいは分割というようなことについての協議の勧告も、積極的に行なわれるようにということをかなり申し入れまして、政府側におかれても、話としては、石炭局長会議を招集した場合に、各通産局の実際の担当者に、今まで滞留しておる以上によくものを聞いて、そういう進め方にしたいものであるということは聞いておるわけであります。日本石炭協会のメンバーの鉱区に対する話にいたしましても、以前ございましたような、ばく然と自分の方の昔からの鉱区であるというようなことでなく、お互いの間あるいは中小との間についても考えるべきものは考えようという話は聞いておるわけであります。そこで審議の機関というようなものについては、連合会としての統一した考えがまとまっておらないのでありますが、何か各地あるいは中央に適当なる第三者の方も入れて話をする場を作り、もって、現在の法律で、実際に聞いておりますと、各通産局長が実際には積極的に働けない形になっておるのを、もう少し働き得るような形になるように期待いたしておる次第でございます。 第二の流通機構の合理化に対する力のかけ方については、これは業界全体としての感じを私も持っておるのでありますが、実質的には、企業体の中では、いわゆる営業部門といいますか、流通部門といいますか、さようなものをかなり簡単化いたしてもおりますし、相当大きな炭鉱においても行なっておるように私は見ております。ただ小さい炭鉱、いわゆる連合会所属の炭鉱の方におきましては、もともと流通機構の方にあまりたくさんの組織、機構を持っておりません。多くは商社に渡してしまいましたり、あるいは簡単な機構でやっております。従ってあまり目に見えた進展はないと思います。けれども、先ほどどなたからか御指摘がございましたような炭種の統一といいますか、そういう点につきましては、これは私の知っております割合に身近な常磐地方のある大手でありますが、そういう方面は炭種を幾つかにするということよりも、むしろ共同火力などを作りましたので、積極的に共同火力用炭をいろいろな方法でこしらえて、その他を中塊とか洗粉にしておる、昔ございましたように、塊、中塊、洗粉、別粉、微粉というようなものを、逆に用途の方を主にした方向で、火力用炭をかなり固めていろいろな原料から作り上げるというようなことをやっておるのを見ておりますから、いろいろな方面で多少は進むかと思っております。 第三に、どうも会社、企業の安定はやっておるようであるが、業界全体の安定についてというお話がございました。これも少しく連合会プロパーからはずれるかもしれませんが、私の考えでは、新しき機構というものはなかなかうまく参らぬのを多く見ておりますので、むしろ会社と会社のつながりというような点で進められた方がいいのではないかと考えております。一、二は大きい炭鉱の中にも、そういう会社と会社のつながりということも行なわれておるようでございます。小さい炭鉱の方におきましては、これも私の割合に身近な知識でございますが、常磐地方などにおきましては、かなり小さい炭鉱は大きな——中小の中でもある系列に大体統一されていくようになりまして、そういうことで全体の力の増すような方向に行っておるのではないだろうかと思っております。
○多賀谷委員 時間がありませんから、最後に一言お聞きしたいのですが、それは政府案の産炭地域振興臨時措置法案について、どなたでもいいですから積極的御意見を承りたい。実は政府案の産炭地域振興法案は、本委員会に同じく出ております低開発地域の法案と内容を同じくするものであります。あるいは低開発地域よりも若干不足しておる部分がありますが、大体同じであります。そこで、低開発地域は過剰労働力で苦しんでおるのではない、新しく出ておる労働力は漸次需要地の方向にはけておるわけです。しかし、これは全体として将来日本において開発しなければならないという状態のものであります。ところが今日過剰労働力によって不況地域を現出しておりますこれらの産炭地域は、緊急にしてしかも積極的な国の政策が要るのであります。これは同一に論ずることはできない。そこで、英国においても工場配置法から地方雇用法へと、あるいはアメリカのような資本主義の国でも過剰労働力の慢性不況地域には特別な対策をと、大統領みずから叫んでおるわけですが、これらの法案で、はたして企業が誘致できるかどうか、田口さんは必要にして十分であるとおっしゃいましたけれども、これは審議会法案ではないのです。御存じのように審議会は通産省の設置法でできておるのですから、この法律がなくても十分運営できる。これは審議会法案ではなくて、内容はすでに実施法案になっておる。ですから、企業がくれば税金を負けてやりますよとか、あるいは農地法の特例をやりますよとか、こういうように書いてあるのです。ところがこの実施法案では、残念ながらこれでは企業は来にくい、ほとんど手当にならない、私はこう考えておるのですが、だれからでもけっこうですから一つ積極的な御意見を承りたい。——では産炭地域の代表として鉱業市町村連合会長が見えておりますから、お願いします。
○坂田参考人 さっき田口参考人から、田口個人の意見として政府提案の産炭地域振興臨時措置法、要するに政府案で十分であるというような御意見が出されましたが、私は、産炭地の市町村の立場から、今回出されております産炭地域振興臨時措置法で、産炭地の振興が完全にできるとは考えておりません。しかし、私のさっきの公述におきましても、政府案に賛意を表しております。これは今交代されておりますけれども、自由民主党の党代表として小川調査団長から、どうしても強力な実施機関を設ける、そうして産炭地の振興をはかるのだという御発言がございました。この大会においてそうした発言がございましたので、私は、この産炭地域振興臨時措置法のみならず、将来は強力な実施機関が設置されるものであるという前提に立って賛意を表しておるのでございます。この法律によって完全な産炭地の振興ができるということは考えておりませんが、政府を持っておられる党の代表としてそうした力強い御発言がございましたので、これを全面的に信頼いたしまして賛意を表しておるのでございます。
○岡田(利)委員 時間がございませんから一、二点お伺いします。 長岡さんにお伺いしたいのですが、現在中小炭鉱の合理化の方向なんですが、先ほど六点にわたっていろいろな要望が出ておるわけです。私はこういう要望点についてはきわめてもっともな要望点であると思うのですが、現在の産炭地構造における中小炭鉱の位置、実態から考えて、合理化の方向というものは中小の場合も、きわめて大手に準ずる中炭鉱、それから中と小の中ごろにある炭鉱、それから小の方、それから零細な炭鉱、千差万別な状態にあると思うのですが、概して一般的に言えることは、合理化の方向、設備の近代化がどうしても思うようにいかない。そうすると単位当たりの能率を上げるために労働密度がどうしても濃くなってくる。あるいはまた直轄従業員では労働賃金の問題が大きな壁になりますから、どうしても常用臨時夫、臨時夫、請負夫の人員が増加して、それによって一応コストを下げていく、こういう傾向が強いのではないかと私は思うのです。最近の統計を見ましても、大体常用臨時夫は大手が三千四十八に対して、その他の炭鉱では七千六十九、あるいは臨時夫の場合に大手が三千二百十九に対して中小は三千七百十八、これも多いわけです。請負夫についても大手は一万七千八百四十八に対して中小は八千百三十三名、大手の半分くらいの請負夫がおるわけです。こういう傾向が非常に強くて、結局そういうところにどんどんしわ寄せされて、その上に立って辛うじてコストを下げているというのが実態ではないか、私は実はこのように考えるわけなんですが、この点について率直な御意見を承りたいと思います。 それから第二点の問題は、今多賀谷委員から述べられました鉱区の調整の問題でございますけれども、今度の豊州炭鉱あるいは上清炭鉱の場合も、すでに鉱区がなくて話し合いがつかないまま、一時無断で一つ掘っておったという傾向もあったわけです。ですから実際中小のある稼働している山の続きの鉱区の問題というのは、トン当たりの売却の値段とかいろいろな面があって非常にむずかしいわけですね。比較的全然離れている鉱区であれば租鉱に回すとか、そういうことで話がつきやすいのだけれども、実際穴のある稼働している炭鉱に続きの鉱区の問題は、なかなか表との間に話がつかないというのが実態だと思うのです。この調整の問題について、当面どういう方法がこれらの調整に役立つと考えられておるか。たとえば今合理化臨時措置法では未開発炭田の開発指定をする、その場合鉱区の競合問題が起きれば、鉱区調整協議会というものを構成して、ここで鉱区の調整をする、こういう条項があるわけです。これをもう一歩進めて、中小炭鉱から特に鉱区の問題で申請があった場合に、そういう鉱区調整委員会で論議をして、これは妥当であるという場合には一応その機関で決定をして勧告をするとか、これは今の合理化臨時措置法を一歩進めれば、鉱業法上からいっても私は別に問題なく実行できる問題と思うのですが、こういう点についてはどういう意見を持っておられるか。この二点をお伺いしたいと思います。
○長岡参考人 前の労働者の方の中に非常に請負が多いのではないだろうかという数字につきましては、私もはなはだ不勉強で、しかとしたことが申し上げられないのでございますが、これに関連いたしまして、ところによりましては、必要な、機械に関係のある人とか、電気に関係のある人とかいうのはむしろ少ないくらいで、いなくなるというか、あまり不況で先にほかの産業に移ってしまう人もありましたりなどいたしまして、ところによっては必要な人の充足もなかなかできないような場合もございます。従ってある部門といいますか、ある対策なり何なりを直接できにくくて、さような請負というか、臨時夫というか、そういう方面にまかすことがあるのではないかと思っております。 第二の鉱区の調整につきましては、先ほども申しましたように、現在の鉱業法の表には調整委員会とかいうものはございません。が、できることならばそういう場を作ってもらいたいということを、かなり強硬に政府の方々には申し出てございますが、その前に現在の法のままでもなお勧告以上に、実際上、法によらないでも、あっせんをするとかなんとかいうことをもっと進めてもらえるようにということを、これも強力に要望いたしております。これは私だけの考えでございまするが、鉱業法によりますと、申請に対する決定をする場合には、大へんきちんとした対価とか、その支払いの時期とか方法とかいうことも明確にきめて決定をし、工事をすると書いてあるように記憶をいたしておるのであります。これは私の常識的な考えなのでございますが、さようやかましくでき上がったものでなければ工事もできない、従って決定にはならないというのでなく、もう少し手前の、値段はともかくとしてどうかね、という方法がないものかというように考えておる次第でございます。
○岡田(利)委員 わが党の産炭地振興法案と関連があるのですが、わが党の産炭地振興法案の中には、いわゆる産業の誘致という言葉を使っておるわけです。これには農業の問題も含んでおるわけなのですが、実際上がり山になって廃山にされた炭鉱地帯において、果樹、園芸、酪農等の農業の問題等も十分考えるべきじゃないか、こういう見解があるのですが、この点坂田さんから何か御意見があればお伺いしたいと思います。
○坂田参考人 炭鉱所在市町村の農村の実情でございますが、今回の産炭地振興臨時措置法案というものは大体通産省で立案されておりまして、農業の問題はこの中に入っておりませんけれども、産炭地振興の中には、どうしても農村振興の問題を取り上げていただきたい。概要を申し上げますと、福岡県になりますが——北海道は若干状態が違いますけれども、大体において福岡県と同様な状態にございますので、福岡県の実情を申し上げて御参考に供したいと思うわけございます。福岡県は大体穀倉地帯といわれまして遠賀平野、筑後平野等がございまして、年々二百万石の移出をいたしておったのでございまするが、石炭鉱業の発展に伴いまして関連産業が出て参りました。そういう関係で現在では逆に二百万石の移入をやっておるという状態でございます。特に炭鉱地帯になりますと鉱害等が頻発いたしまして、現在鉱害の田面は一万二千町歩あるわけでございますが、なおまた現在耕作しておる田面にいたしましても、地下の石炭、これは炭層が多いところは十何層という層がございます。これを次々と採掘いたしておりますが、灌漑期になりますと、どんどん地下の水が脱水してしまうというようなことで、灌漑水にも非常な難儀をいたしておるような状態でございます。炭鉱のなくなったあとの悲惨な状態は視察団の方々が十分御調査いただいたのでございまして、農家経済というものは半分はその炭鉱に依存しておったという状態でございます。炭鉱のなくなりましたあとの農村は、耕作にも経済的にも大へん恵まれざる状態にあるのでございまして、私はこの産炭地振興法案につきましては、どうしても農村問題を取り入れていただきまして、産炭地の振興をはかっていただきたいと思うわけでございます。
○岡田(利)委員 それはわかっているのですが、相当広大な土地において、近くの山などが廃山になるという状態にあるわけです。それを利用して共同施設で鶏を飼うとか牛を飼うとか、あるいはまた果樹園芸をやるとかいう点も考えられるわけですね。そういう点の可能性があると思われるか、あるかないか、簡単でけっこうです。
○坂田参考人 せんだって自民党の調査団の方々と地元のそうした関係者の懇談会の席上におきまして、自民党の先生方から、現地を見た結果、果樹園芸あるいは畜産等に適当な土地もあるので、ぜひこういうものを取り上げたいという御意見もございましたし、また現地には相当そうした適地もございますので、石炭産業が衰微いたしましたならば、その土地としてはやはり果樹園芸あるいは酪農の方面に進出することが必要であろうと考えておるわけでございます。
○中村(幸)委員長代理 他に御質疑はございませんか。——なければ参考人に対する質疑は終了したようでございますので、この際参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。 参考人各位には長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる二十三日火曜日午前十時より理事会、同十五分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。 午後一時五十四分散会