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38回国会衆議院1961/04/21

商工委員会 第29号

発言数
97
登壇者
10
会派数
2
開催日
1961/04/21

会議録

中川俊思自由民主党

○中川委員長 これより会議を開きます。  工場立地の調査等に関する法律の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。  質疑を続行いたします。小林ちづ君。

小林ちづ日本社会党

○小林(ち)委員 この委員会では、一昨日いわゆる京葉工業地帯を視察して参ったわけでございますが、現地の実情を見まして感じたことは、埋め立て費用が坪あたり四千五百円と、比較的割安にできるところから、今後全国各地に埋め立てによる工場適地が急速に造成されるのではないかということです。そこでこれら新設工場地は道路、燃料、原材料の入手などのほかに、工業用水の確保ということが重大な問題になってくると考えます。幸い京葉工業地帯は今のところ工業用水は間に合っているそうですが、あのようなテンポで工場建設が進むと、早晩水不足が予想されます。農林省ではこれに備えて印旛沼の干拓を縮小する計画だと伝えられますが、真相はどうなのか、その点をまずお伺いしたいと存じます。

始関伊平自由民主党通商産業政務次官

○始関政府委員 ただいま御指摘のございましたように、さしあたりは地下水と、それから房総半島にございます二、三の川にダム・アップをいたしまして用水が間に合っているのでございますが、将来の問題といたしましては利根水系の水を活用するということが必要でございまして、そのためにただいまお話のございました印旛沼を活用するということが大事な問題になってきました。私どもは前々からそういう主張をいたしておったのでございますが、農林省の方でも最近はだいぶそういう気分になりまして、まだ最終的な結論には到達しておらないと思いますけれども、検討中であるというふうに承知をいたしております。

小林ちづ日本社会党

○小林(ち)委員 川崎製鉄では印旛沼から一日十一万五千トンの水を引く権利を千葉県知事からとっているということですが、その水を現在持ってくる計画があるのかどうか。またかりに今その計画がないとしても、同地区は将来相当多量の水が必要になると思います。大体一日何トンあれば足りるのか、その見通しはいかがでしょうか。

始関伊平自由民主党通商産業政務次官

○始関政府委員 川鉄はお話しのように毎秒一・八トンという水利権をだいぶ前から持っておりまして、これはパイプで印旛沼から取るということで、設計、測量なんかを終わりまして、大体着工にかかったくらいのところだというふうに承知をいたしております。ただ川鉄で使う分よりよけい、まだあそこに供給余力があるわけでございますので、その点が、先ほどお話しございましたように、ただいま検討中だ、こういうふうに御了承願いたいと思います。

小林ちづ日本社会党

○小林(ち)委員 ところで、工業用水法によって指定されている地域は、全国何カ所ありますか。またこれらの地域では地下水による工業用水のくみ上げは規制を受けているわけですが、飲料水としての規制はないのですから、その点工業用水法の抜け穴になるのではないか。たとえば飲料水の名目で工業用水に使用した場合、どうして取り締まることができるでしょうか。

松尾金蔵通商産業事務官(企業局長)

○松尾政府委員 工業用水法によります規制地域は、全国七地区、現在制限を受けております。これらの地区は、いずれも地盤沈下というような事情に対する対策としての制限でございますから、そういう地区で地下水のくみ上げをやります際には、ある深さよりも深いところでしか水が取れないという制限を受けます。つまり、地盤沈下に影響のないような深さのところからしか水が取れないという制約を受けているわけでございますが、今お話しの上水道云々の点でございますけれども、現在指定になっておりますような地区は、いずれも大都市の密集地帯でございまして、そこに、つまり飲料水のために新たに井戸を掘るというような事態は、事実上起こっていないようであります。いずれも上水道がすでに施設としては完備いたしておりまして、新たに費用をかけて、また地下水の井戸を掘るということは、実はあまりないというのが実情でございます。従いまして、安い水をほしいというだけの理由で、工業用水として地下水をあまり多くくみ上げることさえ制限すれば、地盤沈下作用は一応防げるのではないかと思います。

小林ちづ日本社会党

○小林(ち)委員 工業用水法の指定地域には名古屋、四日市地方が含まれていますのでお伺いしますが、元来農業用水の目的で作った愛知用水が、最近東海製鉄の建設を初め、名古屋港南部臨海工業地帯の開発で、その一部を工業用水に分けることになり、現在三十トンのうち一トンは工業用水ということになっているそうですが、こちらもごたぶんに漏れず急ピッチな工業進出で、現在では早くも水不足の声が出ています。これに対し当局はどういうように考えておられますか。

松尾金蔵通商産業事務官(企業局長)

○松尾政府委員 御指摘のように、現在愛知用水から分けてもらう水といたしまして、毎秒一トンの水をとる計画は、すでに工事を施行中でございます。しかし御指摘のように将来の水の要求といたしますと、それではなお足りないわけであります。これをパー・デー・トンに直しますと、大体今御指摘のありました設備で、パー・デー六万トン程度がとれることになっております。しかし現在の実情から申しますと、将来のことを考えますと、さらに二十万トン以上の水が需要としては、あの地区に出てくることが予想されておりますのでこれらの点は現在の計画としては、これは現在は計画段階でございますけれども、三十八、九年度くらいに完成をするくらいの予定をもちまして、今さらに二十何万トンかの水をとる必要があると思います。これは現状でとろうといたしますと、ダムを作りまして、水の利用が比較的少ないときに、その余裕水をダム・アップによって貯水をいたしまして、その余裕のあるときにため込んだ水を、できれば愛知用水計画の中の水路を利用して、塩古屋南部埋め立て地区へ引っぱってくるということが完成いたしますと、これで計算上は二十何万トンの水がとれるということに相なります。合計いたしまして三十五万トン以上の水があの地区に確保されますれば、名古屋の埋め立て地区の水は、それで一応満たせるということに相なっていますが、あとで申しましたような余裕水のダム・アップ利用、貯水利用という点は、これからの計画ということに現在の段階では相なっております。

小林ちづ日本社会党

○小林(ち)委員 愛知用水に関連して、同公団法の一部改正案によって、愛知県の豊川用水事業も同公団に含まれるようですが、これには工業用水はどれだけ見込んでいますか。特に農業用水との関係で、その場合費用の分担方式は農林省との間にどのような話し合いになっておりますか。

松尾金蔵通商産業事務官(企業局長)

○松尾政府委員 今私お答えいたしましたところで訂正させていただきたいと思いますが、二十五万トン以上の水というのは、余裕水の利用は計画中だというように申しましたけれども、実は本年度からすでにある程度工事に着手をいたしております。順調に参りますれば、先ほど申しましたように、三十八年度ごろに完成をいたしまして、合計三十二万トンないし三十五万トンの水が、名古屋の埋め立て地区に供給できますれば、一応あの地区の水の必要量はまかなえるということになっています。  今御指摘の豊川用水からの水云々は、現在はまだ農林省におきましても検討中の段階でありまして、これからどの程度の工業用水を分けてもらえるか、それがきまらないと、分担金アロケーションの問題は討議に入れないわけであります。いずれも今検討中の段階でございます。

小林ちづ日本社会党

○小林(ち)委員 一般論として、農業用水の費用と工業用水の費用はどのくらいですか。今までの例から、実際のコストについてある程度算定できませんか。

松尾金蔵通商産業事務官(企業局長)

○松尾政府委員 工業用水の方は、御承知のように現在四円以下ということを、私ども目標にいたしております。実際には四円ないし五円というくらいのところで供給がされておるわけでありますが、これも地点によりまして、そのコストの計算をいたしますと、必ずしもこれにおさまらない点がしばしば出て参ります。それは御承知のように補助金で補っておるわけであります。農業用水の場合にも、純粋にその農業用水も引いてくるためのコストだけの計算をいたしますと、もちろん地点によっても相当差がありましょうし、かなり高い場合が相当あるわけでありますけれども、これは農村のこれを利用する方の側の需要等に照らしまして、従来私どもが聞いておりますのでは、大体トン当たり一円くらいを目安にしないと、十分使い切れないというのが、従来の実情であるようであります。現在いろいろな計画も、できるだけそういう線で、農林省の方で努力がされておると思います。

小林ちづ日本社会党

○小林(ち)委員 それでは、用水費用について、国並びに地方自治体の助成は、受益者が農民である場合と工場である場合とに分けて考えるときに、どのくらい出せばいいのでしょうか。

松尾金蔵通商産業事務官(企業局長)

○松尾政府委員 今の御質問の趣旨は、そのように工業用水なり農業用水について需要者側からの要請で格差がある、その場合に地元負担というような意味で、どういう負担になっておるかという御質問だと思いますが、これは工業用水、上水道等につきましては、事業として最終的には経営上ペイするということが、一応の建前に相なっております。先ほど申しましたように、工業用水については一部補助金で、それを補っておりますけれども、最終的には設備がある一定期間に償却されて、十分事業としてはペイするという建前が原則になっておりますが、農業用水の場合には、工業用水の場合よりも、さらに事情が変わって参りますので、相当地元負担なり国の費用がつぎ込まれて、農業用水の水路その他が建設されておるというのが実情であります。工業用水につきましても、現在一部地方公共団体がみずから負担しておるという分が若干ございます。いずれも水の利用者の使用し得る限度に合わせて、地元がそれだけの努力をしておるというのが実情であります。小林(ち)委員 次に、三重県の北伊勢工業用水はどの程度の規模で、その予算はどのくらいか。また工期が一期、二期に分かれているのですが、おのおのの完成時期はいつになりますか。

松尾金蔵通商産業事務官(企業局長)

○松尾政府委員 北伊勢の工業用水道の現在やっております第三期計画は、全体としまして二十五万トンの給水能力を前提といたしております。これは三十三年度に着工いたしまして、三十八年度に完成する予定になっておりますけれども、これが完成の時期につきましては、さらに二つに分かれまして、三十六年の十月に十二万五千トンが給水できる、さらに三十九年の四月にあとの二十五万トンが給水できる、こういう完成予定で進んでおるわけであります。

小林ちづ日本社会党

○小林(ち)委員 実は四日市地方の工業用水は、今二本の工業用水道で約十万トン、地下水十万トン、合計二十万トンに海水二十万トンでまかなっていますが、もちろんこれでは間に合わず、北伊勢工業用水が完成しても、最近の各種工場の進出計画で、とても十分ではないと現地では観測しており、昭和五十年までに百万トンの水が必要になろうといわれていますが、そのために当局では今どのような対策を考えておられるか。どのような調査を、どのような個所でしておられますか。またその調査はいつごろ完了するのかを明らかにしていただきたいと思います。

松尾金蔵通商産業事務官(企業局長)

○松尾政府委員 現在の状況で、先ほど申し上げましたけれども、将来の問題として今御指摘になりましたような点は、比較的計画が早く具体化するだろうと思われますのは、長良川に河口堰を作りまして、これで片一方に潮止めをやりながら、多量の水をとりたいというのが、比較的早い具体性がある計画だろうと思います。さらに前から計画としてはあったのでありますが、最近この進行が一応中休みになっておったと思いますが、農業用水から端を発したいわゆる三重用水の計画があるわけであります。私どもの立場から申しますと、従来の三重用水の計画があのままで経済効率がいいというふうには必ずしも思いませんけれども、今後その計画内容をさらに検討して進んで参りますれば、経済的な効率性も十分考えながら、農業用水だけでなくて、三重用水からも工業用水がある程度、あるいは相当程度とれるだろうという期待を持っておりますが、この辺はもう少し検討の必要があると思います。

小林ちづ日本社会党

○小林(ち)委員 長良川河口ダムの建設計画は、建設省に予備調査費も計上されて、かなり具体化しているようですが、これを利用する工業用水道について、通産当局の構想を詳しくお伺いしたいと思います。   〔委員長退席、岡本(茂)委員長代理着席〕

松尾金蔵通商産業事務官(企業局長)

○松尾政府委員 長良川に今お話のございます河口堰によりまして、水をとります際には、おそらくこれは工業用水だけの計画に相なると思います。現在は今お話しのように、河口堰そのものについて調査という段階でございます。けれども、当然ここからとりますれば工業用水だけの計画になると思いますが、その水の工業用水道事業の計画ということになりますと、現在でははまだ詳細に具体的に進んでいるわけではございません。時期的にもまだ若干の余裕があるはずでございますので、今後工業用水道事業の計画を河口堰と結びつけて検討を進めなければならないと思います。

小林ちづ日本社会党

○小林(ち)委員 これについて河川法上あるいは水利権など問題点となるところはありませんか。

松尾金蔵通商産業事務官(企業局長)

○松尾政府委員 御承知のように、河口堰は水をとるための施設でございます。従いまして施設そのものは河川の中に作られるものでありますけれども、河口堰を作ることだけから、いきなり水利権の問題ということにはならないで、河口堰の検討その他が済んで、それからどれくらいの水をとり得るかというときに、当然その問題に入ってくると思いますけれども、御承知のように長良川の河口で水をとるということでありますれば、農業用水その他とのあまり大きな問題はないというふうに私どもは考えております。

小林ちづ日本社会党

○小林(ち)委員 揖斐川から取水する三重用水の構想についてはどうでしょうか。

松尾金蔵通商産業事務官(企業局長)

○松尾政府委員 先ほど申しましたように、三重用水は、当初はむしろ農業用水を中心にしての計画であった。そのまま現在に来たっておると思いますが、それによりましても、これは最終的なことではございませんけれども、十万トン程度の工業用水は、これに期待ができるのではないだろうかということが現在いわれております。しかし先ほど申しましたように、三重用水の計画につきましては、もう少し基本的に問題を再検討する必要があるだろうし、その検討の結果によれば、あるいはもっと水はとれる、工業用水に分けてもらえる期待が持てるんではないかというふうに考えております。

小林ちづ日本社会党

○小林(ち)委員 今まで伺ったところでは、いずれも工場の建設テンポが早いために、工業用水の供給が間に合わないおそれがあり、これではせっかく多額の予算を使ってもその効果が少ない。たとえば、北伊勢工業用水を完成しなければ長良川河口など第二の施設に取りかかれないというようなことではなく、並行して工事をするとか、あるいはもつと積極的に先行投資の形でやれないものか、その点いかがでございますか。松尾政府委員 工業用水の問題だけではなくして、実は水の問題は最近いろいろな機会に論議せられておりますように、日本の実情で非常に水が余っておるようで、実際に使う水は非常にいろいろな場合に困る。その対策はもっと根本的な問題があるんではなかろうかという点は、従来も、また現在でもいろいろな角度から議論されておると思います。従いまして、そのような水の利用について、何かもっと従来の方式以上に総合的に、あるいは非常に速度を早めた開発の必要がないかというので、現在水の利用をする関係者、あるいは河川についての所管をしております建設省、各省それぞれこの問題について意見を持っておりますけれども、現在それにつきましてまだ若干意見の調整が十分できておりません。おりませんが、現在各省の意見が一致しておりますのは、早く水資源の開発に対する基本計画を作って、その基本計画の実施について、従来の方式でできるものはどんどんやっていったらいいだろう、従来の方式で不十分なものは、新しい公団その他の方式を考えたらいいではないか、その辺のところは関係省いずれも意見が一致しておるのでありますが、それではその公団をかりに作るといたしました際に、どういう形の、どういう方式の公団を作るか、その辺のところで現在まだ十分意見の調整が行なわれておりません。しかし、私どもも工業用水の問題だけでなくして、通産省は特に工業用水に重大関心があるわけでありますが、全体の水の問題として水の利用開発という意味からいいますれば、もっと今御指摘のような総合的な、あるいは積極的に開発するような方式がほしい、その実施のために公団というようなものがあれば、一そうこの問題の促進になるだろうということを考えておりますが、その辺は今関係省となお意見の調整中でございます。

小林ちづ日本社会党

○小林(ち)委員 最後に今度の法律改正案で、政府は進出工場に対する勧告権を持つわけですが、この法律そのものは既存の工場地帯よりもむしろ新しい工場立地を建前としているので、そうすると政府の勧告は新しい適地だけにしかできないものか。実際はむしろ既存工業地帯にこそ、勧告の必要が多いのではないかと考えますがその点どうなのか、はっきりしていただきたいと思います。

始関伊平自由民主党通商産業政務次官

○始関政府委員 勧告でございますが、勧告は今小林さんの御指摘になりましたように、たとえば水がそれほどないというところに水だけを非常にたくさん使う、そういう工場だけが相当出てくるというような場合に、それでは困るのではないかということで勧告をするわけでございまして、従いまして勧告をいたします主たるねらいは、既存のと申しますか、今までございます大きな工業地帯、あるいはその周辺の、千葉なんかも入ると思いますが、ああいう工業地帯にむやみやたらと大工場が殺到して参ります。そういう場合に勧告をいたすわけでございまして、従いましてこれからできる工場地帯の方で勧告するということはあまりないというふうに考えております。

岡本茂自由民主党

○岡本(茂)委員長代理 加藤清二君

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 私はこの際、ただいま提案されております工場立地の法案に関しまして二、三の質問をしたいと存じます。  まず第一に、工場立地の要点と申しましょうか、近代工場の母は科学技術だと池田総理は言われました。ただいま小林委員のお話によれば、工業用水は近代工場の血液だとも言われているわけでございまして、通産省としては工業用水の確保、それから土地、機械、人の確保養成、これが今後に課せられた重大な任務だと思うのでございますが、ただいままでの答弁を聞いておりますとはなはだ不十分でございます。これはいずれ他の委員会にかかっております愛知用水公団法ともにらみ合わせて、そちらに質問を移すといたしまして、本日のところは、この科学技術が進歩し、工場が営業を営むことによって次々と現われて参ります工場の害を除去することは、工場の土地を確保する上において今後の死命を制するものだと思うのでございます。工場を営むことによって工場に働く人ないしはその周辺に被害を及ぼすということは、これは当然工場を設営する以前から計画し、除去することを考えてかからなければならぬと思うのでございます。科学技術が発達し、工場の製造工程が近代化することによりましてこの傾向はますますふえると思います。しかもいまだかって経験せざる、思わざる公害が今日次々と発生をしている状態でございます。こういう問題につきまして、工場立地の立場から、一体政府はどのような考え方を持ち、どのような計画を持って臨んでいらっしゃいますのか。まずその点についてお尋ねをいたします。

始関伊平自由民主党通商産業政務次官

○始関政府委員 ただいま公害の問題につきまして指摘がございましたのですが、公害問題、たとえば煙害の問題、それからいわゆる汚濁水の排水の問題等につきましては、それぞれ立法の措置の済んだものもございますし、また煙害なんかにつきましては、きわめて少額でございますが、通産省で予算をとりまして、ただいま通産省所属の試験研究機関で、いろいろと防除対策を検討いたしておるのでございます。今回の工場立地の調査等に関する法律の一部改正案におきまして、役所は勧告等の権限を持つということになっておりますが、この直接のねらいは、一般的な意味での公害防止対策というところにはございませんで、たとえばある非常に精密機械工場などの集約しておる地帯に、そこでは空気がきれいであることが大事だ、そういう地帯に、たとえば煙塵でも非常にたくさん出すような工場が来ては困るのでありまして、そういった場合にはこの勧告権が行使されると思うのでございますが、そうしてある工場地帯の中におきまする工場相互の関係というものを考えまして、今回の改正案ができておるわけでございます。  一般的な意味での公害の問題につきましては、もちろん御指摘のようにきわめて重要でございますので、それぞれ別途に対策を講じて参りたい。法律化しているものもございますし、ただいま技術的に試験研究段階であるものもございますが、お話の趣旨に即しまして別途に対策を進めて参りたい、こういう考え方をいたしております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 地方自治団体はいずれの地方を問わず、その赤字財政を埋めんがために競って工場の誘致をはかっているようでございます。これは日本にはまだ工場を建てる場所が多分にあるという何よりもの証拠でございます。これは工場を増設するにあたり、あるいは近代工場を設営するにあたっては、まことにけっこうなことでございます。しかしそれができることによって、今まで持っておりました先住者の権益が侵害されたりあるいは生活権が侵されたり、あるいはまた健康が害されるということが、次々に行なわれている今日におきましては、政府当局としては当然のことながら、そのような害を包含する、もたらすところの工場が設営されるにあたりましては、その公害の原因を除去するところの計画なり、あるいは設備なりをまず先に行なわれることが、最も肝要なことと思いまするが、政府としてはそういうことに考慮は払われないのでございましょうか。この点をお尋ねいたします。

始関伊平自由民主党通商産業政務次官

○始関政府委員 公害の防止につきましては、一番先決問題は、その公害を防止するための技術的な対策でございます。これは先ほど申し上げましたように、そのうちの煙の害につきましては、二、三年前から千万円内外の少額でございますけれども、技術的にこれを研究いたしまして、煙害を技術的に防止する、こういう研究を進めておるのでございます。その次に必要になりますのは、御指摘のように設備と、設備をするための資金の問題、こうなるわけでございますが、この点につきましては、技術的な研究の進捗と見合いまして、それぞれ手を打って参りたいと存じます。これは公害の一つであると存じますが、いわゆる工場排水の方につきましては、大企業には融資、それから中小企業につきましては、御承知の中小企業設備近代化資金の中に、この汚水防止に対する設備費の貸付の分も含んでおりまして、無利子の貸付をしておる、こういうことになっておるわけでございますので、だんだん御指摘のような方面に力を入れて参りたいと思っておる次第でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 私はこの際具体的な実例を申し上げまして、政府の反省を促すと同時にすみやかにその対策をされまするよう切に要望をするものでございます。  例を近代科学の要請によって必然的に迫られてきておりまする火薬製造にとってみたいと思うのでございます。すでに本件につきましては一般政策の場合に、同僚の片島君と私が政府にそのすみやかなる対策を要望したことでございまするけれども、その後一向に行なわれていない。行なわれていることは、その工場に働く方々、あるいはそれを取り巻く周辺の方々にますます病毒を累加させることと、心配を増加させることだけが行なわれている。一体これでよろしいのか。すでに朝日新聞もこれを大きく取り上げました。いわゆるニトログリセリンを使用しておりました火薬工場が、コストの低廉と増産に追い迫られまして、ここにニトログリコールを使用することになりました。その使用量が逐年増加を見まして、それと並行してこの工場に働く人たちの中に病人が続出をいたして参りました。その病人はついに耐え得ることなく死亡したのが今日まで十一人でございます。このニトログリコールによる公害は、気温が高くなりますことによってますます増加の傾向をたどりまして、ただいま病院に呻吟をしている患者が、私の調査によりましてもなお十六名程度ございます。病魔に冒されつつもなお食わんがためには工場で働かなければならぬ、つまり病気を抱えつつ工場に働いている方は、無慮千人をこすのでございます。軽微なものは、その工場に一度でも接触した者は、みんな軽微なものにかかっているわけです。こういう状態をこのままに放置されるようでは、これは先ほどの政務次官のお言葉とは思えません。一体これはどうするつもりであるか。この点について秋山軽工業局長が来ておられまするので、一つこの問題についての本省の措置の経過を御報告願いたいと存じます。

秋山武夫通商産業事務官(軽工業局長)

○秋山政府委員 火薬工場のニトログリコールが薬害をもたらすというのは、三十四年ころから、当時はまだはっきりこれとつかめませんでしたが、問題が起こりまして、昨年の夏九州の旭化成の工場で初めて死者が出まして、それから急に労働基準局及び労働省でも問題を重視することになったといういきさつがございます。加藤先生御指摘のようにニトログリコールの配合率をだんだん上げてきたということが、今日でははっきり原因であるというふうにわかったわけでございますが、当時は実はその事実がはっきりしていなかったということでございます。問題は大体労働条件の問題でございまして、主として労働省がこの問題の処理にあたりまして、急拠学識経験者等の応援を求めたのでございますが、戦前は大体配合率が二五%ぐらいまでであったようでございます。これは一種の進歩でございますけれども、戦後、ことにここ数年前から徐々に配合率を上げることが一般化して参りました。これはダイナマイトの品質を非常によくするということでございます。必ず原価が安くなるというだけでもない。むしろ質がよくなる。たとえば寒冷地におきまして配合率の低いダイナマイトはすぐ凍ってしまう。非常に危険でございます。それから作業上も、配合率をふやす方が薬がやわらかくなって作業が非常に容易になる、あるいはやや技術的になりますが、予捏和——あらかじめこねるわけでございますが、予捏和の工程を経ないでいきなり成形できるというような関係もございまして、一番高い時期には六〇%ぐらいまで、ニトログリセリンよりもニトログリコールの方をよけい使うというような時期も、一時あったのでございますが、薬害問題がはっきりいたしましてから、これを再び下げるということで現在は基準局の指導によって四〇%以上に上げてはならぬということにいたしているのでございます。ただいまちょっと触れました予捏和工程の問題でございますが、かっては大きなたらいと申しますか、たるといったようなものの中であらかじめ一ぺんこねたものを成形したわけでございます。この際には実は全く上の方は開放された状態の容器の中で、大きなしゃもじのようなもので工員がこねるわけでございますから、非常に危険が多い事実、   〔岡本(茂)委員長代理退席、委員長着席〕 また大正時代から最近までの間、予捏和をやっておりました当時、ダイナマイト工場の事故の相当大きなものがこの過程で起こっておるという事実、同時にこねる際に相当濃厚なガスを発散するわけでございますが、予捏和工程を省くということは危険を防ぐということと同時に、ただいま問題になっております労務者の健康問題から考えましても、これをやめるということは、非常に長所だとわれわれは考えておるのでございます。ただ残念ながら、これはまだ世界的にそこまで技術が発達しておりませんが、ごく最近のニープマン式の自動成形機を使います際には、ある程度以上のやわらかい原料を使いませんと、この機械にかからないということでございます。実は二月の初め、十一日でございますか、延岡の旭化成の工場でニープマンの機械が爆発事故を起こしまして、いろいろ原因は探究いたしました。ほぼ見当はついたわけでございますが、その原因の一つに、ただいま申し上げましたような薬のやわらかさが足りなかったという点が、技術的に指摘されておるのでございます。二月のちょうど寒い盛りでございましたので、どうやら普通の状態よりも、もう少しやわらかさを多くしなければいけなかったようでございますが、その点に気づかずに機械にかけたために、もちろん他にも原因はございましたようですが、爆発事故を起こしたという事実がございました。そんなことで、実は工程、ことに安全という面から見ますと、なるべくニトログリコールの配合率が高いことがむしろ望ましいのでございますが、他方御指摘のような非常に猛毒を持っておりますので、その間の調整をいかにするかということで、労働省ともいろいろ研究をいたしまして、外国の例等も取り寄せまして研究をいたしました結果、やはりあまり配合率をふやすことはよくない。しかし同時に危険を防ぐ意味で四〇%あるいは三〇%前後の混和率が一番手ごろである。ただしこの場合薬害を防ぐために主として通風をよくするということが、絶対に必要であるということが判明いたしましたので、急遽その工事を始めまして、すでに三月の二十日から月末にかけまして、全工場ともほとんど全部完全に通風設備等の薬害対策の施設を完了いたしました。部屋全体の通風をよくして、部屋の中の薬の濃度を下げるということがまず第一点。それから特に包装等で手で作業をする場合もございますが、その場合はエア・ドラフト、すなわち空気を吹きつけるというような装置をいたしまして、作業員にガスが直接いかないようにする。空気をうしろから吹きつけるわけでありますが、吹きつけると同時に、片方ではその薬の蒸気の入った空気をドラフトで引いてしまうというようなこと。さらに立っていろいろ作業をする場合にはエア・マスクを用います。これは防毒面でございますが、外気をパイプで吸い込むようにいたしましたニア・マスクを使う。あるいは皮膚にさわらないように手袋等の防護衣を用いるというようなこと。施設面としては大体そういうことで、各工場ともそれぞれ数千万円ずつすでにかけまして、完了をいたしました。  残りました問題は健康診断等、あるいは現に罹患いたしました患者のあとの処置というようなことでございます。これは全く労働省関係の問題でございまして、私も内容をつまびらかにいたしておりませんが、そういうことで、設備完了後は、実は新規の患者は出ていないようでございます。現に入院しております人たちも、かって設備の不十分であった時代に多少侵されて、それのいわば予後というような状態でございます。なお御質問によってお答えいたします。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 ただいま通産大臣がお見えになったようでございます。私は通産大臣にもこの現状をよく認識、把握していただきまして、至急にこの公害、薬害の除去を実施していただきたい、こう念願するがゆえに、大臣にもとくと聞いていただきたいと思うわけでございます。  ただいま秋山局長がるる述べられました。なるほど、通産省の方もなかなか努力をしておっていただけるようでございまして、その点は感謝のほかございません。しかしながら、そのように通産省が指示ないしは指導をしていただきましても、なお工場におきましては病人が絶え間なく続出しているというこの現状は、決してそのように手当をなさったから、それでよろしいということには相ならないと思うのでございます。すなわち、問題は先ほどお話のございましたように、三十一年以前はニトログリコールは凍結防止剤として混入されておったのでございまして、その当時におきましては、ほとんどこれは無害に近かったのでございます。症状も出なかったのでございます。当時の混入。パーセンテージは一〇%から最高が先ほどお話のございました二五%程度でございます。そのときには、かかる症状も、かかる病人も、かかる死人も出なかったわけでございます。ところが二年、三年と、三十三年ごろには、含有量といいましょうか、混合程度と申しましょうか、ニトログリコールを六〇%程度にふやしてこられたようでございます。その原因について、秋山さんはただいま長所を御強調なさいましたが、おっしゃる通り長所もございます。ところがこれは、第一はグリセリンよりも一キロ当たり百円程度安いのでございます。すなわち、グリセリンが三百五十円程度のものが、グリコールを混入すれば二百五十円程度で済む、つまりコストが安くつくというところに、病人が発生しても、死人が発生しても、なおそれに執着して、経営者側がこれを強行するという原因があるわけなんです。同時にこれは以前は輸入品でございましたが、石油化学の進展により、国内産品として入手が非常に容易になったという点があるわけでございます。工場の進歩は先ほど申し上げました通りやがて公害を生むという問題がここに生じてくるわけです。と同時に、先ほどおっしゃいました長所の、にかは状——膠化が自然にできる、従って作業工程、つまり秋山軽工業局長の言葉をかりていえば、予捏和作業というものが省ける、こういう特徴がございます。この予捏和の作業が省ける、つまり原料が安くなって工程が早くなる、これは業者にとっては魅力なはずでございます。しかし、どのようにもうかるから、あるいは日本の開発が盛んなために爆薬が必要だからというて、病人を押しても、死人を乗り越えても、なおこれを行なうということは、これはほんとうにヒューマニストのとる態度ではない。しかばねを乗り越えてもなお利益を追究するというのが、資本主義の本然の姿であるというならばいざ知らず、それを指導監督するところの政府が黙視するという手は絶対にない。ここに大臣の所信を承わりたい点がございますが、大臣、すべからく病気を起こさない、死人を出さない、そういう程度に混合率を下げさせる。これが一番のポイントではないかと思いますが、先ほどの話によりますれば、なるほど程度は減ったけれども、四〇%程度だ、こうなる。四〇%と申しますと、被害を受けない程度の二倍以上でございます。これでは病人が出るのはあたりまえのことでございます。一体四〇%というのはどこから出てきた数字でございますか。四〇%であるならば絶対に病人は出ないとおっしゃるのでありますか。その点を承りたい。

秋山武夫通商産業事務官(軽工業局長)

○秋山政府委員 お説はまことにごもっともでございまして、先ほども申し上げましたように、これは確かにコスト的に安くなるという点もございますが、実は反面通気その他の施設に非常に大きな費用を投じておるわけでございます。それが一概に業者の利益になるかならないか、問題だと思います。それは別といたしまして、ダイナマイトの製造技術の進歩に伴いまして、ニトログリコールの配合率をだんだんふやすということは世界的な傾向でございます。それだけダイナマイトの品質がよくなる。いろいろの用途に応じた適応性が高まるということでございます。しかし確かに人命を軽視したような形で、配合率をただむやみに上げるということは黙過すべきでないことは、言うまでもないことであります。労働省とも十分連絡をとりまして、作業上支障のない程度に、安全を維持できる程度に、適当な配合率を定めさせるということで、最高四〇%をこえてはならぬという指導をいたしておるわけでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 大臣に所信の表明をお願いいたします。四〇%というこの混合率、つまり政府からメーカーに指示なさったパーセンテージというものは、決して病人を発生させない、死人を出させないという混合率ではないはずです。しかばねを踏み越えてもなお利益を追求することがよろしいとおっしゃるのか、そうでないとするならば、この混合の程度を変えるとおっしゃるのか、大臣に所信を承りたいのでございます。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 科学的に研究いたしまして、四〇%であればどうしても害があるというならば、これは当然やめさせなくちゃいかぬと思います。ただただいまのところでは換気装置、通風等が整備されておれば四〇%までは害がない、こういう科学上の結論だそうでございます。それを信頼して四〇%という線を引いておるわけでありますから、その趣旨におきましては、もしいかに換気装置を完全にしてもやはりだめなんだという結論がはっきり出ますれば、修正しなければならぬと私は考えております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 四〇%混入による、あとは通風その他の除去設備によって、これでよろしいという断定は、どこの何という医者がしたのかは知りませんけれども、それをまず承りたい。  なぜかならば、私は先週工場を視察して参りました。その日はちょうど地元のお祭りでございました。村じゅうの方、町じゅうの方がみんな春祭りを楽しんでおりました。しかしその日になお病床に呻吟している労働者の数多くあることを、この目をもって私は見て参りました。お祭りの日にお宮さんに来てはおるものの、顔色は悪い、酒は飲みたくない、たばこも飲めない、こういう患者が数多く、ただお宮さんにその健康の回復を祈っている姿をこの目で見て参りました。私もともに一緒に氏神様にこれをお祈りいたしました。これが実態です。  なぜたばこや酒が飲めなくなるか、実例を申し上げみましょう。第一は頭痛でございます。旭化成だけで、今日頭痛を訴えている者が、作業中の頭痛が二百九十一人、自宅で頭痛を訴える者が四十四人。目まいを訴える者が、作業中は六十二人、自宅で訴える者が十九人。肩こりを訴える者が、作業中は二百二十九人。自宅に帰りますと、これが必ず減るのでございます。八十二人。吐きけを催す者は作業中は三十七名、自宅ではこれが十七名。胃痛を訴える者、それが作業中は七十六人、自宅で二十九人。胸苦しさ、胸をきゅっと締められる、それが作業中では三十一名、自宅で二十四名。のどが詰まってしまう、呼吸が困難になる、それが作業中では十九名、自宅で八名。次にはもっとひどくなって、胸しぼりというやつがくる。それを訴えている者が作業中では四十八名、自宅においては三十名。なおかつ、これは現われた病状の現象でございますが、趣味が変わる。酒の好きであった人がちっとも酒が飲みたくなくなっちゃう。たばこの好きであった人が、たばこを吸うてみてもちっともうまみがない。これはかぜを引いたときとか熱のあるときにわれわれも体験していることでございますが、それと同じ程度かと聞いてみますと、いやそんなものではないと言う。酒もたばこも何もさっぱりおいしくない。従って年に一度の村祭りを迎えても、何にもおもしろいことがない。まるで曇った天気のようだ。桜の花の咲いた下で、ほかの村人たちが愉快に祭りを楽しんでいる最中に、おれはまるで曇りの天気みたいなものだ。いつ何どきぽっくりいくかわからないという、ぽっくり病なんです。けさ出かけようと思って、玄関でオーバーを妻に着せていただく。そこで倒れてしまう。靴のひもを結ぼうとして、そこで倒れる。玄関をあけて出ようとすると、そこで倒れる。称してぽっくり病という。なぜそうなるか。それは私はお医者さんでないからわかりませんが、原因がニトログリコールにあることだけは事実なんです。そのニトログリコールの混合量がふえたということが原因であることは、動かすことができない。秋山軽工業局長もそれを認めていらっしゃる。日油にいたしましても、旭化成にいたしましても、同じように現在病人が出ている最中でございます。特に私が心配いたしまするのは、作業しております工場内の温度が上がることによって、これは一そう激しくなってくるわけであります。すなわち蒸発度が高くなることによって、部屋の中の毒ガスの含有量がふえるわけでございます。今後は一そうこれがふえると見なければなりません。はたして四〇%でよろしい、絶対に無害であるというお医者さんがありましたならば、その研究資料をここへ御提出願いたいのでございます。

秋山武夫通商産業事務官(軽工業局長)

○秋山政府委員 先ほど私四〇%を最高として、それにとどめるように指導してあると申し上げましたのは、実は四〇%ならば無害、安全というふうに申し上げているのではないのであります。これは労働省でやっておられるわけでございますが、部屋ごとに空気中の毒分の測定を強制的にさせるということで、すなわち配合率のいかんにかかわらず、空気中の毒分の濃度いかんによって、配合率のいかんをきめるというやり方をさせておるわけでございます。もし四〇%では危険だという程度に蒸気が発生しておれば、当然これは是正させるということでやっておるわけでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 労働省から来ておられますか。——労働基準局は、この点につきまして、実はずいぶん前からお骨折りをいただいておるようで、この点につきましては、作業場に働く諸君が大へん感謝をいたしております。ただ、その効果が十分に現われないことを遺憾に思っております。そこで、三十六年三月に、完了をせよと労働基準審議会の決議によって命令を出されたことがございますね。この内容及びその実施状況について承りたいのであります。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 ニトログリコールの薬害の問題につきまして、当委員会におきまして先般も御質問がございまして、私から御説明申し上げたのでありますが、本日また重ねてこの問題について格別の御心配をいただきまして御質問でありますので、私からその後の経過を御報告申し上げたいと思います。  昨年十二月二十八日に労働基準審議会におきまして、衛生、安全両部会の合同会議を開きまして、一応の緊急対策を決定いたしたわけであります。それに先立ちまして、関係の会社、工場に対しまして、何と申しましても根本は排気、換気でございますので、排気、換気の施設を速急に整備する、こういうことで各社数千万円をかけまして、四月までに完了することにいたしたわけであります。その四月完了までの期間における緊急措置というのを昨年の暮れの十二月二十八日に決定になりました。その決定の内容は、先ほど来お話のありましたような、配合率は四〇%以下にとどめる、それから作業工程に応じて必要な防具をつける、それから蒸気中の毒物の濃度を測定すること、それから労働者の健康診断を実施いたしますること、こういった問題を内容といたしました緊急措置が決定になりまして、直ちに各社関係の工場に指示をいたしまして、これは励行させております。四月になりまして、換気、排気の装置が完了いたしましたので、完了いたしました結果、そういう条件のもとで、今度はどういうふうにしてやっていくべきか、これを恒久対策と申しておりますが、現在その恒久対策を同じく基準審議会の衛生部会と安全部会両者で御検討願っております。一昨日もこの会合を開きまして、衛生の専門家、それから爆発の関係がございますので、安全の専門家、それぞれ日本における最高権威者においでを願いまして、この方々の御意向も承って、現在検討いたしております。大体におきましては、一昨日結論を得たいと思っておりましたのですが、なお技術的な点におきまして若干問題点が残っておりますので、近日中にさらに両部会を開きまして、基準審議会の正式の答申をいただきたい、かように思っております。重ねてこの問題について格別の御心配をいただきまして、御質問の趣旨に沿いまして、私ども今後とも早急に努力をいたしたい、かように考えております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 大へんな御努力をいただいております点、ほんとうに感謝いたしております。命にかかわる問題であればこそ、その思いを深くするものでございます。せっかく労働基準局から労働審議会の決議によって御指示をいただきました事柄が、はたして工場々々において完全に実施されているかいないかということについて御調査なさったことがございますか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 昨年来のただいま御報告申し上げましたような措置につきまして、私どもの方で指示いたしましたことについては、各社関係工場において実施いたしております。全般的に申しまして、衛生的にも安全的にも技術的に非常にむずかしい問題でありますので、私どもといたしましても、衛生と安全、両方の専門家にお集まりを願って、専門的な御研究の結果によって各社関係工場に指示をいたしております。なお、それらの点につきまして、不行き届きの点がございますれば、直ちに是正いたすようにいたしたいと思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 しからば、そこできめられました薬温二十五度以下にせよという、これは実施されておりますか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 昨年の暮れに決定になりました緊急対策におきましては、先ほど私が申し上げましたように、配合率を四〇%以下にということを決定されたのであります。今後四月に完成いたしました排気、換気の装置、新しい条件下においてどういうふうに持っていくべきかということを現在検討中であります。今御指摘の問題につきましても、この新施設完了後における恒久対策の中で現在御検討を願っている問題でございますので、ほどなく結論を得ると思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 恕限度は、過去においては〇・五PPMであったようでございます。これは日本が最高のようでございます。先ほど秋山局長は、諸外国においてもこのニトログリコールは使っている、こうおっしゃられましたけれども、恕限度が大体違う。日本においては〇・五PPM以上になっているところがたくさんある。ところが、西独ではその半分の〇・二五PPMである。イタリアではこれが〇・一PPMに相なっておるわけです。この空気中に含まれておる毒薬の含有量を考慮の外に置いて、そうしてパーセンテージだけ云々したって、人の命は助かりません。この点、お宅の四月十四日の基準審議会の衛生部会において決定を見ているはずでございますが、一体どうなっておりますか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 ただいま御指摘のような問題点につきまして、先ほど来申し上げておりますように、新しい条件下においてどういたすべきかということについて、現在御検討を願っておるわけであります。それで、先般も両部会を開きまして、衛生、安全両方面の専門家の御意向も承ったのでありますが、なお若干未決定の点がございますので次回に持ち越しておりますが、早急に結論を得たいと思っております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 私はこの際、審議会の記録を許す範囲内において公開していただきたいと思います。なぜならば、その席上におきまして、経営者側は、その薬害の程度を極度に少なく表現していらっしゃるようでございます。そういう死人が出たとか、病人が出たなんということは気がつかなかった、知らなかったというとぼけぶりのようでございます。自分の工場で働いている人が死んだり病人になって、葬式したり入院したりしているのに知らぬなんということはないはずです。これはいうなればその被害を極度に隠してしまって、なお今日の工場の経営の仕方を続けようという意図のほか何ものでもないはずです。しかもなお私はこの際それを公表されると同時に、調査させております、調査させておりますというお言葉でなくして、ほんとうにこの公害を除去するところの誠意があるならば、この際ぜひ基準局長を初め軽工業局長は工場を視察していただきたいと思います。つい最近さる新聞記者がこれを視察いたしました際に胸しぼりの発作を目の前に見た。ところがその中を視察させることを工場は拒否している実例があるのでございます。これは一体何事でございまするか。国民あげてこのことに心配をいたしております。記者の皆さんも一生懸命になって、一日も早く公害を除去して、安心して働いていただく、その安心して働くところから増産が可能であるという観点に立って、東京からわざわざ——私はあえてこの際場所は言いませんが、遠い遠いところまで出かけていった、その記者に対し調査を拒否しているじゃありませんか。調査を拒否したり、審議会においてそらとぼけておるということは、これは今までの罪を意識するがゆえに、それを故意に隠蔽するか、ないしは今後この状態を続けていこう、あるいはまた政府からの命令なり指示なり制限なりをなるべく少のうしよう、こういう意図以外の何ものでもないと思う。このことが今日の実態なんです。それに比例して病人が続出しているという状態なんです。従って私はあなたたちがやられぬでも、委員長に、この国会が終わりましたならば、必ずこの工場を国政調査すべくこの際要請いたしておきます。もしそれが許されぬでも、私は一人でも行脚いたします。人命にかかわる問題でございます。いかに需要が多いからとて、いかに必要であるからとて、とうとい人の命のしかばねを越えて、なお経営が許されるなどということは、この民主主義の国家統治下において、そういうことがあってよろしいものでございましょうか。この点について私は大臣の所信が聞きたいのでございますけれども、今いらっしゃらない。そこで局長としては一体どうお考えでございますか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 ただいま御指摘の点に関連いたしまして、私が感じます点は二点ございます。一点は衛生的にも安全的にも、技術的、専門的に非常に困難な問題がございますので、私どもとしましては、努めて安全衛生の両面の最高の権威者の意見を聞いて措置いたしたいと思っております。それから第二点は、当該工場における直接の労働者諸君、この方たがただいま御指摘の通り一番切実な利害関係を持っております。この関係の労働者諸君ないし労働組合に一種の不信感と申しますか、あるいは不安感といったものがあっては意味をなさないので、私どもとしましては、できるだけこの関係労働者、労働組合の不安、不信感のなくなりますような措置を講じて参りたい。一方におきまして関係の最高の専門家の科学的な意見に基づいて措置を進めて参りたい。かように考えておるわけでございます。全般通じまして先ほど来御施設の点、私どもも肝に銘じまして、この問題のできるだけすみやかな解決、関係労働者の安全と衛生の保持に努めたいと思います。  なお安全、衛生両部会の審議の模様につきまして、議事録をとっておりませんので、また必要に応じまして私から先生に御報告なり御連絡を申し上げたいと思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 ただいまの加藤委員の質問に関連してお伺いするのですが、加藤委員のお話によるとニトログリコールによる発病者あるいは死亡、これが会社はあるいは知らないと言うかもわからない、こういうような質問がありました。そういたしますとこれによる発病の人は、現在健康保険で治療を受けておるのですか。それとも労災で治療を受けておるのですか。労働基準法七十五条第二項に基づく規則第三十五条によるところの職業病としての指定は、どう考えておられますか、その点についてお尋ねいたします。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 労災保険の適用の問題につきまして、もちろん業務上の傷病につきましては労災保険で措置いたすべきものであります。この点についての認定基準、これが技術的に非常にむずかしい問題でありますので、今年一月早々から、これまた専門家のお医者様のお集まりを願いまして、本問題についての労災適用の認定基準を、早急に作成していただきたいということでお願い申し上げておりまして、おそらく近日中に、その認定基準ができ上がることになると思います。従ってそういうことになりますと、労災保険の適用申請が出て参りますれば、もちろん労災保険の適用があることになるわけでございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 そうしますと今までにぽっくりとなくなった人たちは、労災の適用を受けていないのですね。こういう問題になっておるにかかわらず、その職業と死亡との間の因果関係ということがまだ十分明らかにせられていないのですか。さらに労働基準法四十八条の有害物の使用の禁止、これをもって臨む必要があるのじゃなかろうかとも考えるわけです。先ほど来の話を伺っておりますと、濃度四〇%ですか、そういう線を出しておられる。そうするならば四〇%をこえて混合する場合があって、あるいはしておる事業所において、そういう病気なり死亡者が出た場合はどういうことになりますか。先ほど来の御答弁によって労働基準局としては相当検討はなされているようでございますが、事は急を要すると思うのです。すみやかに基準法七十五条二項による指定といたしまして、規則第三十五条の中に入れるべきでないか、あるいはそれまでは四十八条を適用して一応その使用を禁止する、そういうことが必要ではなかろうかと思うのですが、いかがでございますか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 科学の進歩、技術の改善によって新しい技術、生産手段ないし原材料がどんどん出て参ります場合に、しばしばこれと安全衛生の問題が矛盾することが多いのでありますが、そういった場合私どもといたしましては、基本的な考え方といたしましては技術の進歩、科学の進歩の線に沿いながら、安全衛生上の危害を除去していく、こういう方向において進みたいと思うのであります。このニトログリコールの問題につきましても、基本的には排気、換気装置なのであります。この排気、換気の装置を完備いたしますと同時に、なおその上においても薬害のなくなりますような装置を先ほど来申し上げましたようなことで検討いたしておるわけであります。現在のところ専門家の結論につきましては、各社工場ともその通り実施いたさせておりますので、この専門家の結論が得られますればそれによってまた同じく指示いたして順守させたい、結論は先ほど来申し上げますようにほどなく得られるものと期待いたしております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 こういうニトログリコールによる発病ないし死亡というような事態が起きてから、一体どれほどの期間を経ておりますか。今排気、換気との関係とおっしゃるのですが、排気とか換気については安全衛生規則がありますね。それとにらみ合わせて考えていかなければいけないと思う。現在それの改正はなされていない。一方四十八条によって有害物の使用禁止をさせることができるとある。しかも薬病としての認定がまだなされていない。こういう状態であるならば、加藤委員が強く言われるのは私はもっともだと思うのです。そういう状態に悩まされておる火薬製造工場に働く労働者の心中を思いやって、私が申しましたように、まず規則三十五条の指定をするのかしないのか、排気、換気の関係ならば安全衛生規則の改正を必要とするが、それはいつやるか、あるいは一歩進んで基準法四十八条による禁止措置をとる用意があるか、これだけをお伺いいたします。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 ただいま御指摘のような法的な規制につきまして、必要であればもちろん措置はいたしますが、ただ現在のところ専門家の御検討の結果定められましたことについては実施いたさせております。先ほど来お話が出ておりますように、たとえば配合率を四〇%以下に下げるという問題、この問題にいたしましても、一つは爆発の危険性の問題、もう一つは配合率を下げることによって薬温そのものが上がるという問題——蒸気の中の毒物でございますので、薬温が上がりますと毒物性も多くなる、こういう結果になりまして、技術的に非常に困難な問題で、従ってそのパーセンテージと申しましても、環境、薬温、あるいは危険性、こういったものとの相関において検討しなくちゃならぬ、こういった関係もありますので、私どもといたしましては始終専門家のお集まりを願いまして、その環境との相関関係において御検討願う、その結論については完全に実施する。こういう方針で臨みたいと思っております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 検討するのだがすぐには結論が出ないらしいですね。この種のものは専門家によって科学的にやるとすれば、そう早急に結論が出るものじゃないと思う。そこで先ほど言ったようにとりあえず四十八条による有害物として、そういう基準ができるまでは一時使用を禁止するとか、あるいは基準法五十四条の二項で監督上の行政措置、これは工場についてですが、安全衛生上有害だと認めたらインジャンクション、すなわち差しどめ命令がされることになっていますね。これはあえて工場の建設だけに限ったものではない。この法意たるや、安全衛生に有害であると考えたときには監督上の措置として一時差しとめができるという法意であると解釈するわけです。そういう措置が法律上とられると思うが、あなたはいかが解釈いたしますか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 昨年排気、換気の設備の完備を指示いたしまして、それができるまで一体どうするかということになりまして、その点について昨年の基準審議会の安全衛生両部会において御検討願って、その結果緊急措置といたしまして、配合率は四〇%以下、必要な防具はつける、それから蒸気の濃度測定と健康診断は引き続き実施いたしまして、発病者の発見に努める。それから配置転換という措置をとらせる。こういうふうな緊急措置をいたしました。今回施設の保護が完備いたしましたので、あらためて恒久対策を近く練ることになりまして、こういった措置によって、両先生御心配のような点につきまして、できる限りの措置をいたし得るものと思っております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 そういうことだから緊急措置命令を出したということはわかるのです。ところが、私は実情をよく知らないが、加藤先輩の話では、緊急措置がその事業場において十分行なわれていない、こういうことなんです。しかも外部からの報道機関すらも締め出しを食わした。そういう状態であるならば、なおはっきりとした基準がきまり、そして指定をするまでは、今申しました五十四条二項の法意に基づく差しとめ命令、これをやっていいものだと私は思う。もちろんこれはその建築物に対してになっておる。しかしその法意は安全衛生に対して有害であると認める場合となっておる。あなた方はすでに安全衛生に対して有害であるという観点をとっておられると思うのです。なればこそ基準審議会の安全部会及び衛生両部会において検討してもらっておるというそれならば有害であるということをあなた方は認めておられる。緊急措置をやったが言うことを聞かないということならば、なお一歩進めて差しとめ命令を出すべきじゃなかろうかと考えますが、そういう措置についてはいかがですか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 緊急措置以前に、私どもの方から指示いたしました事項並びに昨年暮れ決定の緊急措置に基づく私どもの方の指示につきましては関係会社、工場において実施いたしております。なお今後決定されるべき恒久対策につきましても、先般来私ども関係各社の責任者に対しまして、専門家の認めるところには完全に従ってもらいたいということを強く要請いたしておりますので、これまた指示に従うものと期待いたしております。

中川俊思自由民主党

○中川委員長 大島政府委員に申し上げますが、質問に対して答弁して下さい。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 なお報道関係の問題については、私詳細に存じませんので、これは調査いたします。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 関連ですからこれで終わりたいと思いますが、私の言っておるのは、緊急措置をきめた、それを命じた、だがそれが十分に行なわれていないところに問題があるというのが、加藤委員の御質問の趣旨ではなかろうかと思う。だから恒久的対策ができるまでは、労働基準法の精神にのっとって、安全衛生上有害であるという観点に立って、しばらく薬品の使用を禁止さす、こういう用意があるかどうかということ。従ってあなた方は緊急措置を命じたら一応行なわれておる、こういう観点をとっておられると思うんだが、実際はそうでない、こう言っておる。だから直ちにこの調査をせられて、そういう措置をとっていないところに対しては差しとめをやる、こういうことを強く要望いたしておきます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 調査をしておりますとか、指示をいたしておりまするとか、こういう御答弁でございまするが、それでは本件は解決しないと思う。そんなことくらいで言うことを聞くような相手ではない。そこで私は具体的に掘り下げて申し上げまするが、基準審議会衛生部会において行なわれましたところの薬温二十五度以下に下げる、恕限度は〇・二五PPMにする、換気設備は完全にする、冷房、暖房、特に冷房でございまするが、それはただいま三十度程度をこえておるところでございまするが、あなたは行かれたから御存じでしょう。入ってみたらすぐわかる。冬でも三十度以上です。それを少なくとも二十五度以下にする。この程度の問題や、先ほど秋山局長が言われましたような個人の防具に関する設備と同時に、栄養に関する問題等々くらいは、これはすでに審議会にも出ている問題でございまするので、早急に行なえることだと思います。それが実施されているかいないかをここで及び腰で論議するよりは、あなたたちが直接行かれた方がはっきりするわけです。つい先般の質問のときにも、あなたたちは行かれたことがありますかと、私は聞いた。行ったことがないという話だ。あれから行かれたのですか。直接秋山さんなりあなたなり行かれましたか。いかがです。あれからもはや一カ月余になっております。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 昨年私どもの方の衛生課長を現場に派遣いたしました。その後ひんぱんに現在まで、私自身は参っておりませんが、安全と衛生の両方面の専門家を現場に派遣いたしまして、ほとんど継続的に検討をさせております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 検討しておるだけではだめなのです。調査官を派遣したくらいじゃ、相手はてこでも動く相手ではないのです。だからそれを先刻見通しだから、局長という名の肩書きをつけた人かないしは国会議員が調査権を持って臨まなければだめであると申し上げておる。そこで、この次委員長に私はお願いしますが、こういう状態ではこれはだめなのです。だめなことをあとで具体的に申し上げまするけれども、この際委員長に要望することは、国会議員が調査権を持ってその実態を調査すると同時に、そのときにはぜひ一つニュース・カメラマンか新聞記者の皆さんが同道で行けるような措置を講じていただきたい。天下に有名な大きな大新聞が行って断わられるのですから、相手はさる者なのです。そこで調査官が調査したけれどもだめであったという実例を申し上げましょう。ここに先ほどお話しのニープマンという機械がございます。北は北海道から南は九州の果てまでこれは使われております。旭化成の延岡で五個、日本火薬で五個、日本油脂で五個、そのうちの一個が延岡でこの間爆発したわけです。ところでこの爆発を調査したところの調査担当官は、原因究明まではこれを禁止してこられたはずなのです。ところがどういう間違いなのか、これがすぐに行なわれているということなのです。まだ延岡の方はある程度防爆壁に安全装置があったればこそ、この爆発は五キロから八キロで終わったわけです。ところがある工場のごときは防爆壁がないところでこれが流れ作業のように、五個並んで行なわれているわけです。ここでもし延岡で行なわれたような爆発が起きたとすれば、まさに二百キロ一面にふっ飛ぶことになってしまう。その場所においては防爆壁が行なわれていない、一斎に禁止されたわけです。それが翌々日からちゃんと稼動しておる、これは一体どういうことなんです。答弁のいかんによってはもっと実例を出してます。これは一体どういうことなんですか。

秋山武夫通商産業事務官(軽工業局長)

○秋山政府委員 爆発問題は私の関係でございますから、私からお答え申し上げます。  延岡で二月初めに爆発いたしました原因がわからないということで、とりあえず他の社についても緊急に作業の停止を命じまして、延岡の原因の調査にかかったのでございます。ただいまお話の防爆壁のない工場、これは確かにございます。ただしこれは延岡と違う製品を作っております。もちろんダイナマイトでございますから危険であることは事実でございますが、実は延岡で作っているのは白梅という非常に食塩を多量に入れる品種のダイナマイトでございます。これは食塩といっても岩塩を使うわけでございます。そこにも実は爆発の原因がありはせぬかということで、さらに今綿密な調査をいたしておりますが、先ほど申し上げましたやわらかさが不足であったことと、それから前回の御質問にたしか申し上げたと思いますが、安全ピンの使用に不注意があったというようなことであります。さらに白梅すなわち岩塩をまぜるダイナマイトが製造されている、大体考えられる原因はその三つに集約されるようでございまして、ただいまの防爆壁がない工場は、実は営業系統からそれを作ってもらいたいという要求があったけれども、技術系統の方が、工場の現場でこれを拒否したという事実がございます。つまり岩塩を入れてニープマンを作るということはどうも危険度を上げるおそれがあるからやめたい、これは現にその工場では手作業でやっております。従って同じダイナマイトではないかと言われるとその通りでございますが、予想される危険度から見まして、非常に品質が違うという意味で危険度が低いと、私ども判断をいたしまして、白梅を作っている機械をとりあえずやめさしておりまして、他の白梅を作っていない、岩塩を含入していない方法の工場については、数日で禁止を解除いたしました。これは非常に在庫が払底をいたしております現在では、各工場を合わせまして五日分ぐらいしかございませんが、同時にいろいろのサイズ、品質等、こまかいスペックから見ますと、もっと足りないものがございまして、長く停止することが許されないという事情から、非常に厳重な注意を与えつつ解除をした次第でございます。なお、防爆壁のなかった工場につきましては、現在防爆壁を作らせるべく設計を進めております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 需要が旺盛であるから品物が売れる、言いかえれば品物が払底しているから危険を冒してでもなお作らせなければならないというならば、これはまさに前時代的な考え方です。そんなことが民主主義国家の統治下において行なわれるなどということは、まさにこれは地獄のさたと言わざるを得ない。こんなことが許されてよろしいですか。特に危険だからというので担当調査官は禁止をしてきた。禁止した調査官はまのあたりその実態を見たからである。それらが数日どころか翌々日ぐらいで、もう解除になっている。一体何事です。これは人命軽視もはなはだしいと言わざるを得ない。その緊急度が需要と供給のバランスからきておるというに至っては、これは資本主義の権化と言わざるを得ない。そんなことを政府みずからが行なわれるというに至っては、これは言語道断と言わなければならない。そこでその防爆壁のない工場に対して、防爆壁を作れとお命じになったとするならば、それは一体いつになったらできるのです。某大新聞社の記者を拒否したのもこの工場なんです。一体これはいつできるのですか。なぜこのことが行なわれたかについては、私はその交渉の現場を見ておりませんから、ほのかに聞くところしか知りませんけれども、名前まであがっているはずです。こういうことが人命を無視して行なわれるということが、今日の実態だということに相なりますと、工場の安全、あるいは先ほど田中委員の言われましたところの安全衛生の問題、これはもう法律無視と言わざるを得ない。これについて私はほんとうは大臣に所見を聞きたいところなんですけれども、労働省としてはどうお考えでございますか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 本問題に限らず、安全上、衛生上の問題につきまして、私どもとしては労働者保護の任に当たる者として、やはり保安とか安全が第一だと考えております。ただもちろん保安上、衛生上の問題として直ちにそれをやめるということではなしに、新しい技術の進歩改善に即応いたしまして、労働者に害の及ばないような措置を講じていく、そういう関係で両者の調和をはかる考えでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 人の子だから危険にさらされても心配はないということなんですよ。もし自分の子供がこういう危険な場所で働いていたら、一体どうなさいますか。そのおりに自分が左右する権限を握っていたとするならどうなさいますか。人の子の命だから問題はないかもわかりませんけれども、この工場に働く人といえども、親もあれば子もある。だからこそ、村祭になって人が愉快に遊んでいても、人の子がきれいなおべべを着て、親子そろって年に一度のお宮参りに行っても、自分たちはもう酒も飲みたくない、たばこも吸いたくない、ただひたすらに自分の健康の回復、工場の安全を祈るだけだ、こう言うのです。私はここに夫をなくした未亡人の実態を幾つか持っております。やがてこれは歴史に残ることでございましょう。これが歴史に残るに当たって、そのときの施策がうまかったかまずかったかということは、事の是非善悪よりも人の恨みを買うことになる。これをよく肝に銘じていただいて、その立場から本問題の解決を早急に、しかも完全にしていただかなければならぬと思うのでございます。先ほど田中委員も申しましたように、すでに行なわれている立法措置によってでき得ることがあるはずでございますから、それを早急に行なうと同時に、審議会において、審議しておるだけじゃだめなんです、決定された事項がすみやかに具体化される、その経過をぜひあなたの目で見て、次のこの委員会ないし社会労働委員会において、あなたの見聞記を一つ承りたいと思うわけでございます。そのことがやがてこれを促進する基である。ほんとうは田中委員の言う通り、ここでストップ命令を出したら、それこそ火薬を使う側の方々までが、本問題に対して一致して研究してくれるだろうと思う。それを審議会においていいかげんな表現と、隠れた氷山の一角だけをながめて審議していらっしゃるものだから、のんびりした答えしか出ないことになる。  次に、一歩掘り下げて、これはけい肺病と同じような傾向だと思う。職業病なんです。国家が四〇%をよろしいと言っているのですからね。一〇%か二〇%ならこんなことにならなかったのに、国家が四〇%でよろしいと言う。この工場にはどうしても入らなければならない。完全に国家が命令するところの職業病なんです。従ってこの職業病に対しては、国家が法的な保護を加えるのが当然の義務であると思う。この点について労働省としてはいかようにお考えでございましょう。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 ニトログリコールの対策の問題につきまして、恒久対策の結論は早急に得たいと思います。なお御趣旨の通り、これが実施につきましては確実に励行させるようにいたします。  なお、職業病の問題については、その他の問題とも関連いたしまして、今後慎重に検討を進めて参りたいと思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 通産大臣も見えたことでございますし、今大事なところをお願いしておるところでございますから、慎重にお願いしたいと思うのですが、問題はそれだけでは解決はできません。かりに労働基準審議会において審議されたことが実施されたとしても、なお今後死人は出ると思います。なぜかならば、例をグリコールの薬害にとってみますると、三〇PPMの濃度に五分間曝露すると一ぺんに倒れる。ところが三PPMの濃度のところに百分間さらされたのでは耐え得るわけなんです。しかし耐え得るけれども、これは御承知の通り皮膚呼吸するわけなんです。体内に薬害が蓄積されていくわけです。この蓄積されたものが外界からの刺激との接触によって、自分の健康度の限界をこえるとぽっくり死ぬわけなんです。体内に蓄積されたところの薬害は除去されていないわけなんです。そうしますとここに考えなければならぬことは、新しく出来する病人や死人以外に、すでに二年三年と体内にその薬害を蓄積してきたところの人間が大ぜいおるわけなんです。けい肺病でいうと、四期は少ないかもしれないけれども一期、二期、三期がたくさんおるということなんです。これに対する対策というものがどうとられているか。蓄積されてもう余力というものがほんのわずかしかない人間が大ぜいおるわけなんです。そのことを私はすでになくなられた人の未亡人の記録に書かれた経過で申し上げると一番ぴんとくると思いますけれども、時間の関係上これは省きまして、いずれ別なものに発表したいと思っておりまするが、こういう問題について一体どうなさるか。これを一つ労働省に……。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 このニトログリコールの薬害によりまして、異常所見が出て参ります点につきまして、御指摘のように医学的になかなかむずかしいのでありまして、単に目まい、頭痛、はき気といった症状だけではなしに、私どもといたしましてはやはり健康診断につきまして、血液検査でありますとか、血圧の測定でありますとか、そういった医学的な健康診断を常時いたしまして、この異常所見の発見あるいは今後起こり得べき異常所見の発見に努めなくてはいかぬと思います。従って緊急措置においても、そういった意味の詳細な健康診断の実施について指示をいたしておりますし、また今後も引き続き恒久対策において健康診断の重視、これによる異常所見の早期発見ということに努めて参りたいと思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 大臣に最後にお願いしたいと思いまするが、今後ますます工業技術は発展することでございましょう。またそうしなければならぬことだと思います。さればこそこの工場立地の調査に関する法律等々が今審議されているわけでございます。ところが工業の技術が進歩するに従いまして、化学が進歩するに従いまして、それに伴って公害なり薬害なりが次々と現われて参ります。そのことは全く過去に例を見なかった病害であり、薬害であり、それがやがてそこに働く人を死に至らしめると同時に、その工場の周辺に住まう方々に危険をもたらす、こういう問題については、とくに御考慮をいただくと同時に、すみやかにその原因が除去されるよう、基本的にこの際はっきりとしておいていただきたいと思うわけでございます。その一例がニトログリセリンにかわるところのニトログリコールの使用の増量であると同時に、オートメ化に伴うところのニープマン包装機の使用からくるところの危険でございます。すでにさきの委員会におきましても、本件につきましては大臣の御所見を承ったわけでございますけれども、その後遅々として対策が進んでいないようでございます。もちろん軽工業局におきましても、労働省におきましても、本日御答弁のありました通り当局のでき得る限りの努力はなさっていらっしゃいます。その点につきましては私は感謝いたしておりますると同時に、私よりももっと感謝しているのは現場に働く方々でございます。その現場に働く人を夫に持ち、父に持ち、兄弟に持つ方々でございます。喜んではおりまするが、残念なことに現場の人が期待するほど進捗していないということを恨みに思うのでございます。なおかつその進捗にあたって工場側が改善を拒否するかのごとき態度に出られたり、調査を拒否するかのごとき態度に出られることは、主客転倒といわざるを得ないわけです。それが今日の実態でございます。この際本件に関する大臣の御所見を承りたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 だんだん公害、薬害の問題について掘り下げた御質問がございました。御指摘の通り将来ますます工業技術の進歩発達に伴いまして、かようなケースが多くなるのでございますが、これらの問題につきましては十分に関係各省とも連絡をとり、またその工業の経営に当たる企業に対しても十分の指導をいたしまして、万全を期するように心がけて参りたい、かように考えます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 この際議事進行として一言、委員長に御提案いたしておきたいと思います。  先ほど来の加藤委員の質問は重要であろうと思います。そこで加藤委員は機会を見て当委員会から当該工場を視察する、調査する、こういう提案をなされました。これもけっこうであろうと思うのですが、先ほど来の話を聞いておると、一筋縄でいかぬようにも考えます。そうであるとするならば、われわれの行政視察を好意的に受けるならばいいけれども、拒否せられた場合には立ち入り検査はできません。そこで参考人に呼ぶとしても、これは向こうが拒否したときには強制力を持ちません。従って当該工場の経営者に対しまして、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律による証人として当委会に召員喚せられるよう望みます。

中川俊思自由民主党

○中川委員長 善処いたします。他に御質疑はございませんか。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 工場立地、まだありますよ。

中川俊思自由民主党

○中川委員長 田中武夫君。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 それでは工場立地の調査法案につきまして質問を続けたいと思います。  まず最初にお伺いいたしますが、本法は三十四年四月に成立いたしました。その後百六十六カ所の調査がございましたが、本法施行の効果調査の結果を簡単に申していただきたいと思います。どれほど工場立地に役立ったか。

松尾金蔵通商産業事務官(企業局長)

○松尾政府委員 前に配付資料として提出いたしたかと思いますが、この調査の結果は御承知のようにファイルされて公開提供されておるわけでございます。その資料を利用された件数が一つの目安になると思いますが、これは三十五年度におきまして、年間千九百七件の調査の利用が行なわれております。これは本省の調査室での案件でありますが、さらに各地方通産局にも同じように資料室が設けられておりますが、これは三十五年の一月から八月までの間に千六百二十件の利用状況であります。そのような利用状況の結果、どの程度企業がそれらの調査の結果に基づいて立地をしたかという点は必ずしもつまびらかではございませんが、それを、かりにいわゆる調査地域に企業が工場建設をしたというところに一つの目安を求めますと、現在、昭和三十五年に立地した主要企業のうち百二十五企業がいわゆる調査地域に工場立地をいたしております。これが一つの目安であろうかと思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 この種のものに、これが効果だと具体的に示せといっても無理かと思いますが、二年の施行の経過を見て、どれほど工場立地に対して貢献したか、こういうことが具体的にわかれば知りたいと思ったわけなんです。そこで、この法案の実施、すなわち調査のための予算は一体幾らあるのですか。現在百六十六カ所指定しており、本年度さらに五十か六十かを指定しようとしておるのですが、予算と、一カ所の指定地域に対する調査費は、一体どの程度になりますか。

松尾金蔵通商産業事務官(企業局長)

○松尾政府委員 本年度約千四百万円の予算がついております。調査は御承知のように委託調査でございますが、一カ地点について十八万を補助いたしまして従来やって参っております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 それで、その十八万円程度でどうなんですか、所期の目的とする調査ができますか。委託をしてやるといっても、その程度でできるんですか。ということは、予算の割にあまり指定地域が多過ぎるんじゃないですか。現在百六十六でしょう。本年度は五十ですか六十ですか追加するのでしょう。そうすると二百何ぼということになるのですね。なるほど全国で工場立地に適するところはたくさんあろうと思いますが、あまりたくさんやると、その指定地の効果というか、それが薄れると思うのです。やはり予算とにらみ合わせて指定をすべきじゃないか。今のお話ですと、十八万円程度なら、調査といってもどの程度の調査ができるのか、こういうことに疑問を持つのですがね。予算と指定区域の数の関係はどうですか。

松尾金蔵通商産業事務官(企業局長)

○松尾政府委員 調査の内容等は、かなり詳細な調査につきましてあるひな形を示してやっておりますが、これは実際でき上がった資料についてごらんになっていただくほかはないと思います。確かに、予算は一カ所十八万円というのは不十分ではないかという点は、私どももそういう感じがいたします。ただ、実際問題といたしましては、各府県におきましては、従来、工場誘致等の関係から、自分自身で相当程度の資料はすでに持ってります。しかし、それには、よくいいますように、企業誘致に熱心な余り、やや客観性に欠けたところが往々ございますので、そういう点を十分補正をして、そういうものもあわせてやって参りますと、不十分ではありますけれども、この程度の予算で現在一応十分なものができておるというふうに考えております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 ほんとうをいえば、これは工場立地調査法ではなくて、工場立地調査補助法ですね。これに基づいて、十八万円でやるのではなしに、それぞれの地元の県なり市なりがやっておる、そこを指定してある程度調査費として金を分けてやる、格好は委託という格好になる、今の答弁を聞いて、私はそういうふうに思うのです。  そこで予算が少な過ぎるのか、あるいは指定区域が多過ぎるのか、これはどちらともわかりませんが、私は、予算に見合うような指定、指定個所に見合うような予算、これが必要だと思うのです。今日ではあまりにも指定区域が多過ぎて、予算が少な過ぎる、こういう感じを持ってております。大臣、政府的に、自後の予算折衝に対して、この立地法についてはどう考えられますか。私は、予算の割に指定地域が多過ぎると考えるのですが、どっちが正しいのですか。指定地域の多いのが正しいのか、予算が少ないのが正しいのか、どっちなんです。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 私も実はこの問題を聞いて、予算があまり少な過ぎるので、ちょっと意外に思っておったが、よく聞いてみると、各府県とも大体下地はあるのです。それをこっちの方の詳細な指導要綱に基づいてまたやり直すこういうことでございましたから、これで一応その地方の水の状況であるとか、あるいはその他交通等いろいろな基本条件が、ははあこういうところかというふうに大体整理されておるようでございますから、まずこの程度でも十分に業界の工場立地の指針になっておるのではないか、かように考えておりますが、これは多いほどけっこうではございます。しかしながら、所得倍増計画に関連して、今度は地方的に工場をいかに分散配置すべきかという、客観的な調査ではなしに、一つの意欲を持った行政が今後行なわれなければならぬ。その際のわれわれの心得るべき一つの指針として、この程度で一応は満足できるのではないか、そうしてむしろ地方工場の開発と申しますか配置と申しますか、そういう行政の意欲的な方面に予算の問題等についても重点を置いて考えたらどうか、こう考えております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 大臣の今の答弁を聞きましても、先ほど言ったように、工場立地法なんという名前はおかしくて、地方自治体の工場立地の調査に関する補助法ですか、事務補助法、こういう法律の名前がほんとうです。予算の割に指定個所が多過ぎる。だから総花的になり、重点的なこの法律のねらいを生かすことができないと思う。そこでこれは大臣なり担当局長の方において方針を立てるべきだと思うのですが、これだけはぜひ必要だという地域が百六十六、プラス本年度のアルファがあるとするならば、それに見合うだけの予算を要求する。もし予算がその通り手に入らないとするならば、予算の範囲内において、十分有効に調査ができるようにその指定場所を整理する、このどちらかが必要だと思うのですが、その点いかがですか。今大臣が言われたようなことなら、先ほど言ったように、地方自治体の工場立地の調査に関する補助法ということになりますが、いかがですか。

松尾金蔵通商産業事務官(企業局長)

○松尾政府委員 今後このような指定の地域を、どのようにどの範囲まで広げていくかという点は、確かに御指摘のように問題であります。従来もただ新しい地点に次々に広げていくというだけではなくして、隔年、つまり、前々年度の調査地点について再調査いたしております。本年度におきましても新規五十カ地点のほかに一昨昭和三十四年に調査した地点について再調査をして、資料の完璧を期したいと思っておりますが、今後におきまして、本年度五十カ地点をやり、さらに無制限にただ広げていくことだけが必要だというふうには考えません。やはり従来の資料をさらに完璧なものにして、むしろそれを十分に活用してもらう方に、今後の重点を考えなけばならぬと思いますが、これも予算要求のときにも十分そういう点は考えて運営して参りたいと思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 局長の答弁は了承いたしましたが、私が申し上げているように、必要な重点地区を設けてそこに集中的にやる。総花的な行き方については、本法運用についてはどうかと思うので、そういう御検討をしていただくよう要望しておきます。  時間の関係もあるし、むやみに委員会を引っぱるのが能じゃない、こう私も思いますので、あとは一ぺんに片づけます。従って答弁も大臣あるいは局長から一ぺんにしてもらってよろしいです。  まず第一点、今度の改正でございますが、これは単なる調査から一歩前進した、こういう改正だと思うのです。すなわち勧告等々が、なされるということになるわけです。この前参考人に来ていただいていて、私質問したときに申し上げておいたのですが、中途半端じゃなかろうか、なお勧告程度でうまくいかない面も起こるのじゃないか、こう思うのです。今日の日本の経済成長、これに伴う設備投資、従って工場のできていく様子等を見ておりますと、単なる勧告じゃいけないのじゃないか。もう一歩進めて、法律の名前も工場配置法というようにして、もっと強い措置がとれるような方向をとるべきではなかろうかと考えますが、この点についてどう考えられるか。  もう一つ、今回の改正の一つの点である「製造業等に係る工場又は事業場の立地に関し事業者の判断の基準となるべき事項を公表する」、こうなっている。その判断の基準となるべきということは、一体具体的にどのようなことを考えられておるか。そうしてそういうことを公表するということは、今までよりか一歩進んだと思いますが、そのことによって今日までの本法の実施の経過から見て、どれほど進歩といいますか、効果が期待されるか。  それから第二の点は、届出にかかる工場がくることによって、従来の事業場、その辺一帯の工場または事業場に著しく悪化するような状態を与える場合、あるいはまた国民経済上きわめて適切なものであると思う場合、ともに勧告ができる。すなわち勧告の内容は積極的勧告と消極的勧告、すなわちこれこれの工場は、おたくの工場はこういう方面へ、ここに行ったのがよかろう、国民経済上その方がいいのではかなろうかという上に立つ積極的勧告、及びおたくの工場はこの地区へくると既存の事業場、工場の立地条件に大きな悪影響があるからおやめなさい、こういう消極的勧告と両方あると思いますが、その通りであるのか。先日堀委員の質問に対しまして、勧告を聞かなかった場合はどうかということで答弁がありましたが、私は、そういった経済的な秩序からくる心理的な影響だけでなく、その勧告自体が生かされるような方法を、積極的行政措置でとるべきではなかろうか、こういうように考えますが、それに対する措置、あるいはこれが立法でなければできないか、政令でできるのか知りませんが、権利を多く侵害することは、憲法の関係で法律でなければできない、行政指導ないし政令ではできないと思いますが、そういった指導理念についてのお考え、これだけをお伺いいたします。  まず大臣から政治的な面を、それから具体的なところを局長からお答えいただきたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 今回の改正は一歩前進ではないか、確かに勧告をするという点は前進といえば前進でありますが、その勧告の根拠となることは、やはり調査表から出てくる勧告であって、調査表以外の行政指導からいろいろな勧告をするということは考えておらないのであります。全国の調査表から見て、どうもこういうふうになってこの点は適当ではないように思われる、まだまだ工場立地の立場からいうと、こういうところもあるぞ、こういうように調査表を根拠とする勧告、こういうふうに考えるのでございます。それ以上配置等について強い指導力を作り上げてはどうか、こういうお話でございましたが、その問題につきましては、別に工場地帯開発促進法というような、これは仮称でございますが、通産省としては案を持っておりまして、この調査表に基づいて、そしてまた他のいろいろな観点から大きく結論を出して、工場地帯の開発促進ということを、別にやって参りたいという考えを持っております。しかし建設省では広域都市建設促進法、自治省では地方基幹都市建設促進法、こういったようなことをそれぞれ考えておられますので、これらの関係省と十分連絡をとって、そしてその間重複のないようにしなければならぬ、また経済企画庁におきましても、非常におくれた地帯の開発ということで、低開発地域工業開発促進法、こういったようなものを提案しておるような状況でございますので、これらとの調整を考えて、調査表の問題についてはこの程度にとどめておくのが適当ではないか、かように考えておるわけであります。  それから工場の進出に対する勧告は、従ってきわめて客観的な判断から勧告を与える、それ以上の指導力を、この調査表に基づいて強化するということは、今のところは適当でない、こう考えております。

松尾金蔵通商産業事務官(企業局長)

○松尾政府委員 ただいま大臣から申し上げましたように、今回の改正は一歩前進ではありますけれども、これで完璧なものであるというわけではもちろんございません。もっと積極的に工場地帯の建設をやり、地方開発をやるということになりますれば、もっと積極的な規制策が必要であると思います。ただ、こういう問題について比較的進んでおります英国におきましても、御承知のようにやはり調査をして資料を公開して、企業がそれを判断して工場立地をやるということからスタートいたしております。そういう段階から、次には届出をしてもらって勧告をする、その段階を経てその次の段階になって初めて、許可ではありませんけれども、ある工場配置の見取図を想定して、それに合うような形に行政指導をやはり認証するというような段階的なやり方をやって参っておりますが、私どもの考え方の基本も、やはりこういうところから漸進的にやって参りたいというのが、私どもの考え方の基本であります。  それから第二点の、判断の基準となるべき事項を公表して云々という点でございますが、これは理想的に申しますれば、全国の工場適正配置計画というような的確なものが完成をして、それが公表されてそれによれというのが、最も徹底した方法であると思いますけれども、現状におきましては、これは私どもの勉強がまだ足りない点もあると思いますが、そこまでのところは当面の問題としてはわれわれも不可能であると思います。もっと調査をやり、もっと検討をする必要があると思いますので、ここでいっております判断の基準となるべき云々は、何といいますか、もっと目の荒い、たとえば全国につきまして、かなり広い地区について工場立地の大まかな判断基準を作って、その公表というところにこの際は踏みとどまらなければならないと思います。その程度のものであっても、企業が大局の判断をするのには十分寄るべきものがあると思います。  それから第三の勧告につきまして、積極的な勧告と申しますか、どこどこに行けという勧告をするのかという質問が中心であったと思いますが、この点は、今回の改正案によります勧告は、そこまでは及び得ないと思います。やはりこの勧告の条項に書いておりますような条件が現われました場合に、そういうところに行ってもらうことは困るという意味の、いわばチェックの勧告にとどまりました。それ以上に、それではどこに行ったらいいのかということを企業の側でいわれますれば、これは現行法にいわゆる助言の規定があります。企業の方から求められた場合にいたしまする助言は、積極的な助言でありますが、勧告の方は、今回の改正では消極的な勧告にとどまらざるを得ない、こういうわけであります。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 最後に要望を申し上げますが、私の申し上げているのは、工場立地調査法の中で、私の言っているような積極的勧告あるいはまた工場の適正配置というところまでは無理だろう、従って工場立地の調査法を強化して、工場配置法というものにするか、あるいはまた別に考えるかは別といたしまして、もうすでにそういう積極政策に乗り出す時期ではなかろうか、こう考えるわけなんです。何となれば、政府のいっている所得倍増計画から見ても、一つの大きな問題は地域格差でございます。あるところへ集中するために地盤沈下を起こすという状態が起きておる。国民経済の平等な発展という点から見ても、ある程度積極的指導に基づく工場配置を考えねばならない。現に大臣も言われたように、経済企画庁からは低開発地域工業開発促進法というのが出てきておる。これとて、税法上の若干の優遇を与えるということによる心理的誘致にすぎない。私は一歩を進める時期ではなかろうか、こう言っておるのであります。しかし現内閣でそこまでいくということは、われわれと若干考えが違うから、無理かもしれませんが、そういう積極的な工場配置の検討を進める時期であるということを、私申し上げておるので、そういう点についても検討していただきたい。それは独立法でもいいし、あるいはまたこの法律の強化という方向でもいい、そういうふうに考えるわけです。

中川俊思自由民主党

○中川委員長 他に御質疑はございませんか。——別にないようでありますので、本案に対する質疑は終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中川俊思自由民主党

○中川委員長 御異議なしと認め、本案に対する質疑は終局いたしました。      ————◇—————

中川俊思自由民主党

○中川委員長 連合審査会開会申し入れに関する件についてお諮りいたします。農林水産委員会で審査いたしております愛知用水公団法の一部を改正する法律案につきまして、農林水産委員会に連合審査会の開会を申し入れることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中川俊思自由民主党

○中川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお開会の日時等に関しましては、農林水産委員長と協議の上決定いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。  本日はこの程度にとどめ、次会は来たる二十五日火曜日午前十時より理事会、同十五分より委員会を開会することといたします。  これにて散会いたします。    午後一時四分散会

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