商工委員会 第26号
- 発言数
- 59 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/04/14
会議録
○中川委員長 これより会議を開きます。 工場立地の調査等に関する法律の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。 本日は、特に本案審査のため、参考人として一橋大学教授佐藤弘君。加古川市長稲岡貞男君、京葉地帯経済協議会副会長江戸英雄君、尼崎市長薄井一哉君、以上四名の方々が御出席になっております。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は御多忙中のところ、本委員会の要望をおいれいただきまして御出席をいただき、まことにありがとうございました。何とぞ本案に対し忌憚のない御意見をお述べ下さるようお願い申し上げます。 ただ時間の都合もございますので、最初に御意見をお述べいただく時間は大体お一人十五分程度に願い、後刻委員から質疑もあろうかと存じますので、そのときに十分お答え下さるようお願い申し上げます。 それでははなはだ勝手ながら御発言の順序は委員長に御一任願うことといたいまして、まず佐藤参考人より御発言をお願い申し上げます。
○佐藤参考人 工場立地の調査等に関する法律の一部を改正する案が出まして、私それを読んでみましたが、今日の通産省におきまする工場立地は、工場調査に関しまする資料の提供と、工場の要求に対する助言を与えておるのが今日の状態でありますが、それには工場の場所の指定がないので、会社が工場を建てます場合に、どこに工場を作ったらよかろうかということを通産省の方へ申し込んできますと、こういうところにお建てなさいという助言指導を与える程度にとどまっておりまして、従って場所的に忠告を与えておりませんでしたので、過度まではいきませんが、やや集中の傾向を持って参ったのであります。その欠点を除くためにここに届出制度——もし届け出てその届出が不適当な場合には勧告をしよう、届出と勧告を同時にやろうというのが、この法律案の改正の趣旨のようであります。 これは御承知のように、各国でも制限あるいは助言をやっておりまして、むしろ日本といたしましてはややおくれている感がありますので、資本主義の自由企業の程度を破壊しない程度に——こういう制度ですから、破壊しない程度に届出をさして、そして不適当と思うものには勧告を与える、勧告の内容につきましては、ここにいろいろ書いてありますが、届出と勧告をしよう、こういう案で、私ども今日の時勢から判断いたしましてこの法律案は適当である、こういう工合に思っております。 なお詳しいことは後ほど御質問などでお話し申し上げたいと思いますが、この届出制度を行なうことによっての利益や利点は、工場の集中の弊を除くことができるのではなかろうかということ、同時に適当な場所に工場を設立することができること、それから今日の法律では全く自由に工場を作り得るようになっておりますが、そうでなくて、これを全面的に届出にいたしますと、届出に対する内容から調査することができますので、工業の動向、たとえば繊維工業あるいはアルミニウム工業が、どういう動向を持って発展し成長していくだろうかということも見ることができますので、非常に利点が多いということから、私は今度の改正法律案に全面的に賛成をいたすものであります。 簡単でありますが、これでごあいさつといたします。
○中川委員長 次に、稲岡参考人。
○稲岡参考人 今回政府におかれましては、最近のわが国の工業拡大並びに工場の急激な新増設の動向に対しまして、あくまでも適地適産の原則に基づいて工場の合理的立地を推進するために工場立地の調査等に関する法律の一部を改正する法律案を提案されたのであります。 さて、この改正法律案につきまして、その改正の主眼とするところを概括的に推測いたしますと、従来としてもすでに法の示す趣旨に基づきまして、全国にわたる工場適地の調査、必要資料の収集、提示、あるいは企業者に対しての種々の助言等も行なわれて、工場の合理的な適正配置についての努力はされて参ったのでありますが、しかしそれは単に助言、指導等の域にとどまりまして、それ以上の積極的措置には進み得なかったのが実情でございます。 それを今回の改正案によりまして、あるいは調査の範囲を拡大し、あるいは従来の助言の上にさらに加えて事前届出とか勧告、報告等の一連の措置をとることによって、工場立地の適正化実現の方向に、さらに一段の前進をはかられているのでありまして、今日特定の地域に対する工場の過度集中が問題となりましたり、あるいは無計画な工場配置に対して警告がなされつつあるこの情勢に対処するには、まことに時宜を得た適切な措置であろうと存ずるわけであります。 次に、本改正法律案の改正の主要点、二、三に触れて一応の意見を申し述べたいと存じます。 その第一といたしましては、本改正案におきましては、従来の工場適地等の調査の上に、さらに工場立地の動向の調査が新たに加えられました。その調査官が相当細密に行なわれることになっておりますとともに、それが第四条に規定されているところの「工場立地に関し事業者の判断の基準となるべき事項の公表」の資料ともなって、事業者に対する啓発、誘導の道が相当大きく広められることになっておりますし、さらに第五条に規定する「工場立地に関する助言」をさらに一段と意義づけ、力づける契機ともなっているのでありまして、これはまことに適切な措置であると存じております。 私どもの加古川市における例によって申し上げますと、昭和三十五年当初から今日までに約一カ年の間に新しく誘致あるいは増設いたしました大小工場が合わせて二十一に上っておりますが、さらに現在用地折衝中のものが数件ございます。さらにまた希望申し出のものが十数件を数えております。これらの誘致折衝の過程におきまして強く感じましたことは、工場立地に関する適正な調査が非常に不十分であることと、従ってまた事業者の判断の基準が、きわめて不明確であることが多いということであります。たとえば用地確保にあたりまして、用地の価格の高低のみが強く問題視されます割に、その業態に適した要件を具備したところの用地の選択というふうなことに、案外意を用いられないという事例が多く見受けられるのであります。今次の法律の改正によりまして、これが適正に運用される場合は、これらの誤りが著しく是正されることになるのではないかということが期待されるわけでございます。 第二といたしましては、第六条に規定されておる工場設置前における事前届出の点であります。これは申すまでもなく、現下経済機構のもとにおきまして、事業者の設置せんとする工場について、場所の選択あるいは時期の決定、規模の大小等に至るまで、他からこれを規制するがごときことは、当を得た措置ではなくて、できる限り当事者の自主性を尊重すべきは申すまでもありません。しかし中には、現在の工場新設ブームに動かされて、今直ちに新設あるいは拡張の見込みも計画もなくして、ただ一応用地だけを確保しておきたいなど考えるものもないわけではありません。あるいは地価の値上がり等を見越して、必要以上の面積を買収しておきたいと考えるものもあるわけであります。しかしかかることは、立地の適正化を阻害すること人なるものでありまして、このような不当な行為を事前に排除して、適正立地の実現を期するためにも、この事前届出の措置は必要なことと存ずるわけであります。 ただしかし、加古川市の実例をとって申し上げますと、改正法律案に規定されておりますところの、敷地九千平方メートル以上の規模の工場は、現在私どもの方で誘致決定いたしておりますところの二十一件のうち、十四件を占めておるわけであります。すなわち新設工場の大部分がおおむね規定の特定工場の部類に入ることになっておるわけであります。従ってそれらがみな所定の届出を了し、調査を完了するためには、全国的に考慮した場合には相当の時日を要したり、あるいは著しく処理が遅延して、立地上種々の支障を生じはしないかということを憂えておる次第でございます。そのようなことによりまして、有意義な規定が形式化し終わることのないよう、むしろ事前届出によって立地措置が促進されることが望ましいのでありまして、これは運用上十分の留意を願いたいと思う次第でございます。 次に第三といたしましては、第九条に規定しております勧告の点であります。第六条第一項の届出に基づきまして、その事情が著しく適正を欠くと認められた場合は、工場設置の場所に関し必要な事項について勧告することとなっておるのでありまして、この点は改正法律案の最も顕著な一つの改正点でもあるわけであります。すなわち従来の単なる助言や指導の立場を一歩進めて、強い意思表示をすることとなっておるわけでありますが、これについては違反に対する罰則もなく、従って強制力は薄いわけでありますが、現下経済機構下におきまして、各事業体の自由性を考慮した場合は、まずこの程度にとどまることもやむを得ないかとも考えるのであります。ただ一例として、ある新設の工場が立地上必須要件として予定しておる地域に、他の工場との競合関係が生ずるに至ったような場合、これが解決措置は、実際上なかなか容易のことではないのであります。かかる場合の勧告については、相当の強さを必要とするわけであります。従ってこの勧告が常に厳正にして、しかも的確に行なわれて、あくまでも改正法の趣旨を確保するよう念願してやみません。 以上、改正法の要点二、三について一応の愚見を申し述べ、かつその改正法案について一応賛意を表するものでありますが、さらにこの際多少本旨から離れるかとも存じますが、関連的に御考慮を願いたい一、二の事項について申し述べさせていただきます。 今回のこの改正法案は、要するに工場が特定地域に過度集中することを防止することを主眼としたものでありまして、いわば工業地帯開発ということについては、きわめて消極的な立場に立っておるものと思うのであります。私どもの関係しております加古川市を含む播磨地域におきましては、昭和三十二年に工業地帯としての指定を受けまして以来、何とかして計画性の高い節度のある新しい工業地帯としての開発を期して、相携えて努力しているのでありますが、今日においてある程度の目標をつかむことができたかという感がいたしております。しかし真の工業地帯としての実態は、ほとんど今後のことに属しておるのでございます。さような最も苦しい開墾期をようやく通り越して、重要な播種期あるいは発芽期を迎えたこの播磨工業地帯をも、この法律に基づく特定地域への工場集中回避という施策の余波のもとに、今後の発芽成長が中絶のうき目を見るような事態に立ち至らぬよう、くれぐれも御考慮をいただきたいということでございます。ことに工場立地の適正化と申しましても、その関連するところはきわめて広範多岐にわたりまして、道路問題、港湾問題、住宅問題、用水問題、下水排水の問題、学校問題、農地転用問題、あるいは農業者の転業の問題、地帯整備や、都市改造の問題等、あらゆる地域的、社会的、文化的な問題が山積しておりまして、しかも多くは事前にか、あるいはまた立地に並行して処理解決しなければならない実情であります。さらにそれに伴う財政的な苦悩は容易ならぬものがあるのでありまして、現在私どももその苦悩をつぶさになめつつある実情であります。従って今後さらに引き続き工業立地あるいは地帯開発等に関連して制定される法律、政令について、あるいはまた行政措置等に際しまして、さきにあげた幾多の関係事項について関係方面において十分に御調整をはかっていただきまして、しかもでき得る限り総合的な、関連的な姿において一体的に御処理をいただきたい旨をお願い申し上げ、この法案につきましては賛意を表しまして、私の愚見を終わらせていただきたい、かように思います。
○中川委員長 ありがとうございました。 次に江戸さんにお願いいたします。
○江戸参考人 私、京葉地帯経済協議会の副会長の資格におきまして参ったのでございますが、まずもって京葉地帯経済協議会につきまして申し上げたいと思うのであります。 これは千葉県を中心といたしまして、県と市町村、それから千葉県に進出しております企業、有力企業全体で約五十をメンバーといたします、京葉地帯の開発を促進することを目的として作られております会でございます。 そこで本件の問題でございますが、私どもの会といたしましては、結論的に申し上げまして、この法律の改正案に対しまして賛成をいたします。理由はいろいろございますが、大体御承知のように日本は非常に狭い。一人当たり山も谷も全部入れて千坪きりない。千百二十一億でございますが、一人当たり約千百坪、平地はそのうち一八%、一人当たりたんぼも畑も入れて二百坪であります。こういう狭い国土でございます。もちろん平地にしますと一人当たり世界一の人口密度でございますが、この狭い貴重な国土を利用するにつきましては、あくまでこれは合理的に利用しなくちゃいかぬと思うのであります。特に日本の戦後のここ数年の非常な急テンポの経済発展、こういう点を考えまして、どうしても合理的にかつ計画的にこれを利用しなくちゃいかぬ、こういうふうに思うのであります。実情は今加古川市長さんのお話もございましたが、大体四大工業地帯にますます集中の傾向がございます。ごらんの通り東京郊外、大阪郊外ないし東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、北九州にどんどんと新工場用地が造成され、新工場ができているという状況でございます。それにつきましては大体県とか市町村が企業誘致を担当されておりますから、計画性と申しますか、国家的の観点から見ての画一性が少ないのではないか、こういうふうに思われるのでございまして、こういう点も考えまして従来の法律の単なる調査また助言、こういうふうな非常に弱い規制からさらに一歩を進めまして、届出をさせ、また勧告できる、こういうふうなことにする。また工場立地の動向の調査、これをできるようにし、かつまた工場立地に関する判断基準を公表する、こういうふうにすることは、まさにこの日本の経済の現状からいたしまして適当じゃないか、こう思うのでございます。そういう意味におきまして全面的に賛成をいたします。 さらに、これは会の意向ではございませんで、私個人の意見を申し述べることをお許し願いますれば、私は勧告では弱過ぎると思うのであります。英国あたりでは実質上許可制になっております。勧告では弱過ぎはしないか、こういう感じを持っております。 それから、今のは個人の意見でございますが、会といたしまして勧告につきまして、先ほど申し上げました通り企業誘致は従来県とか市町村がやっている。おのおの地元の実情に応じてやっているわけでございまして、勧告につきましては地元の意向を聴取してやる、地元と事前によくお打ち合わせがあって意向を尊重していただきたい、こういうことをお願いしたいと思います。 また同じような意味におきまして、委員会が設置されるそうでございますが、その委員会の中にこの地方の利益を代表するような者も加盟させていく、こういう点をお願いしたいと思うのであります。 それから工場立地に関する判断基準を公表するという規定がございますが、これにつきましてはできるだけ早く、何と申しますか、全国にわたりまして工場立地適地のマスター・プラン、青写真を作ってこれを公表し、一般に周知させていただきたい。これは先ほどの市長さんの御意見にもございましたが、各企業が進出を企てました場合には、まずもって土地の手当をいたします。土地を買えるかどうかということが進出可能かどうかということの前提条件になるので、地元の市町村、県と御相談の上、土地の手当をする、工場用地並びにそれに付随する住宅用地の手当をする、こういう場合にあらかじめそういうようなマスター・プランがございますと、企業として心がまえが出て参ると思います。そういう意味でマスター・プランをできるだけ早く作って公表させる。 それから勧告でございますが、勧告はできるだけ早く出していただきたい。ただいま非常に経済発展のテンポが早ようございますから、できるだけ早くやっていただきたい。こういう点をお願いしたいと思います。 なお、これに関連した問題につきまして、多少私、意見がございますが、後ほどまた御質問に応じ、また時間がございましたら、申し上げたいと思います。
○中川委員長 ありがとうございました。 それでは最後におそれ入りますが、薄井参考人。
○薄井参考人 本法案に対しますお三方の見解は、いずれも御賛成のようでございます。私もこの改正法案については満腔の謝意を表し、賛成する一員でございます。具体的な問題については、お三方からるる申し上げられた通りでございますが、私は尼崎市長としての立場、いわゆる自治体の市長としての立場から、この法案に関係は薄いかもわかりませんが、この際委員の各位にお願いいたしまして、政府としての腹をきめていただきたい、かように考えるのでございます。 この法案によりますると、いろいろ理由もございますが、まず工場の過度集中の排除ということが大きな問題になってくることと存じます。これは非常にけっこうなことでございまして、これがための調査もなし、そしてこれに基づいて勧告をし、事業者に対してあれを与えるというようなことは非常にけっこうなことと存じますが、私をして言わしむれば、これからの適地関係、立地条件等の関係、これからの土地関係もさることながら——尼崎のことを申し上げますと、はなはだ恐縮でございますが、これまでにいわゆる工場立地条件としての実績のあるところに対してのもの、ないしはこれからの適地としての関係において、新たに政府が法律を作ってやられるその反面、裏づけとなるべき経済的、経費的の問題について、一つうんと腰を入れていただきたいと私は考えるのでございます。いろいろございまするが、一、二の例を申し上げれば、工業としての立地条件上必須の問題は、輸送の関係その他ありましょうが、最近の状態から見まして、何としても水の問題、工業用水の問題が最も必要な問題になってくることと考えます。これらに対して、政府においても手をお尽しになってはおりますが、これが裏づけたる経費の問題において、自治体としては非常な犠牲を払わなければならぬという現状でございます。補助額におきましても三分の一程度のもの、いわゆる高額補助についてわれわれは年々政府に陳情いたしておるわけでございますが、結論的には、この裏づけたる既設の工場地帯ないし新しい工場地帯を含めての政府としての経費関係を、大蔵省においてもうんと張り込んでもらって、可及的すみやかにこの問題を解決していただくということが、最も必要だというふうに考えております。私どもでは、この工業用水問題もさることながら、地盤沈下等の関係でいろいろの点もありますが、全国的にもあまりよけいない問題でありますから、後ほど御質問があればお答えはいたしたいと思いますが、私は重ねてお願いいたしたいと思いますのは、既設の工場地帯ないしこれから作られんとする工場地帯に対して、工業用水その他の工業立地条件に対する経費問題を、大幅な国の経費をもってやっていただきたいということをお願いいたしたいと思うのでございます。 愚見もまだございまするが、時間の関係もおありだと思いますので、他の問題は、御質問等があれば、それに対してお答えいたしたいと思います。
○中川委員長 ありがとうございました。以上で参考人の方々の一応の御意見の陳述は終わりました。 委員より質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。田中武夫君。
○田中(武)委員 参考人の皆さんには大へん御苦労様でございます。参考人の皆さんに簡単に御質問いたしたいと思います。 まず最初に佐藤参考人にお伺いいたしたいのですが、先生は先ほどの御意見の中で、この法律の改正につきましては賛意を表されたのであります。われわれといたしましてもこの改正が悪いものであろうとは考えておりませんが、御承知のように、今までの単なる適地誘導策から、具体的適正配置政策に政府が踏み切った、こういうことがこの法案の背景となっておると思います。そこで具体的配置政策にまで踏み切るとするならば、現在の改正の程度ではむしろ弱いのじゃないか、もっと強めるべきじゃないか、このように考えております。そこで、先ほど参考人は、資本主義の点において、企業の支配を破壊しないような限度において云々、こういうことを言われたのです。今日の社会経済機構の上においては、これはもっともだと思うのです。われわれは若干違った考え方を持っておりますが。そこで、こういうような強い配置計画をやるためには、ある程度従来の資本主義的な考え方を修正していく必要がある、こういうようにも考えるわけです。そうでなければ思うような配置ということもできないと思うわけなんです。そこで私は、この法律の題名を、これは仮称でございますが、むしろ工場配置法といったように変える、そうしてもう少し具体的に、強い規定を入れるべきである、そうして最終的には過度の集中を排除する、あるいはまたその工場がくることによって、従来あったところの産業が大きな迷惑を受けるというようなときには、勧告以上のことができるというようなことにまで持っていく必要があるのじゃないかと思います。この点は、こういうある種の統制を加えようとするときに、資本主義経済との頭の中における接点といいますか、どの程度押えてもいいか、ある程度押える必要があると思うのですが、先生が言われました資本主義の制度を破壊しない範囲云々というその限界を、学者としての立場からどのようにお考えですか、お伺いいたします。
○佐藤参考人 ただいま御質問を受けましたが、大へんむずかしい問題でして、資本主義の限界をどこで押えるかということは、私個人としては非常にむずかしい点ですから、ちょっとお答えしにくいのですが、私も実はそうやりたい気持が一部ありまして、やればやってもいいのですが、それから起こる摩擦の方が多いものですから、摩擦を起こさせないで徐々にいこうというのが大体私の考えです。それから先ほどお話しの適正の配置政策、これはまだやっていないのです。この法案は単に助言をごくわずか越えて届け出制度にする程度で、工業の適正配置などは、われわれとうていできないのです。今通産省でもアンケートをとりまして、主要工業だけに対しては適正の配置を計画しつつありまして、たとえば同じ製鉄業だけでも、八幡製鉄所とか日本鋼管が、今工場用地を探しているのですが、場所が非常に多いわけです。そこへもってきて、どこが適正だということはなかなか決定できないのです。一定の幅を設けて適正配置の工場はできないこともないのですが、今やっておりませんですから、いずれこれはよく調査いたしまして、地域の工場の適正配置をやるつもりにいたしております。ですから、この法律案とはちょっと違っておりますが。
○田中(武)委員 この法律の改正案からいえば、先生のおっしゃるようなことなんです。しかし今後そういうところまでいく必要が出てきたと思うのです。そこでこの法律の改正を契機としてといいますか、この機会にもう少し強い改正にする。たとえば勧告だが、勧告をもう一つ上回るところの何らかの措置ができるというような、私はあえて法律によって強制権を持たしたからといって、それでうまくいくとは考えられないのですが、もう少し強い条文に改めていく。そうなりますと、今までのいわゆる調査という観念に立つ法律の名前ではちょっとおかしいので、工場配置法というようなところまでこの法律を持っていくべきではなかろうか。そういうことと、もう一つはむずかしい問題だとおっしゃったのですが、私はある程度そういった計画的な工場配置をやる上においては、従来の資本主義的な考え方を修正し、あるいはそういう面に対して制限を加えていく、こういうことが必要ではなかろうか、こう申し上げておるわけです。
○佐藤参考人 実は資本主義の国では、工場配置に対して禁止条例を設けておるところはないのです。イギリスはよくやっておりますが、せいぜい許可制度をとっておりますので、日本の今日の状態において、あなたのおっしゃるようなことはちょっと時期が早いと申しますか、行き過ぎのような気がいたしますが、いずれは時の問題で、そういうときもくるかと思います。時の問題になりますが、ちょっとタイミングの関係で、どうかと思うのでございます。よくわかります。
○田中(武)委員 イギリス等においては許可制をとっておる。フランス、オランダ、西ドイツ、イタリア等々においても、それぞれの措置をとっておるわけなんです。そこで法律的な強権によるということは下の下だと思うのです。そうするならば、法律による強権を待たずして、もっともっと喜んで政府の思ったところに企業がいくような措置を必要とするのではないか、そういうことも考えるのですが、そういう政策面についてどうですか。
○佐藤参考人 それは実際むずかしいでしょう。国民全体のレベルが弱いですから。フランスのパリのあのシャンゼリゼーにおいて、一定の法律がなくても、赤とか原色の色は使わないで、全部銀色の白い色だけを使っておる。しかも法律の規定が何もなくて、そこまで国民を誘導していくのは、今の日本国民はだめですね。それはよほど先の時代だと思います。
○田中(武)委員 今だめだというのではなくて、そういう方向は理論的に望ましいかどうか、私はそういうときにある程度、従来の資本主義的な考え方を制限し、あるいは統制していくということも必要じゃなかろうか、こう思うわけです。
○佐藤参考人 それはむろん必要です。
○田中(武)委員 それでは稲岡参考人にお伺いしたいと思うのですが、いろいろ市長さんとして御苦労もあろうと思うのですが、まず工場を持ってくるためには、今後日本の産業構造から見まして重化学工業、こういう点が将来大きな希望をかけられると思うのです。工場あるところ必ず水が必要です。重化学工業、ケミカルならば一そう水が必要です。そこで東播地方においては県のダム等も考えられておるようでございますが、将来伸び行く工業地帯としての用水の点について、どのようなお考えを持ち、どのような措置をとっておられますか。またそのことについて中央に対してどのような要望を持っておられるか。及びその計画の上に立って、工業用水がどの程度で、一トン幾らくらいの価格でいけるか、こういう点についてお伺いいたしたいと思います。
○稲岡参考人 お答えいたします。 ただいまの田中先生の御質問の、工業用水に関する件でございますが、私どもの方は昭和三十二年に工業地帯の指定を受けまして、ことに臨海地域に相当広い工場適地を持っております。これに対しまして、いろいろ誘致運動を展開いたしました結果、おかげを持ちまして現在神戸製鋼所の加古川工場、埋め立て地を合わせて約二百万坪近い工場を、銑鋼一貫工場として建設することに相なっておるわけでございます。このために要する工業用水のみを考えましても、将来十五万トンないし二十万トン近くを予想いたしませんと、必要の量をまかなうことは非常に困難である、かように考えておりますが、現在加古川の水量は非常に貧弱でございまして、表流水はだんだん少なくなり、地下水はだんだん下がっていくような状況にありまして、用水の問題を非常に強くわれわれも考えておる次第でございます。とりあえず県営ダムの建設によりまして、現在の計画におきましては一日供給量二十万トン約四十日分といたしまして、渇水期の水量を確保するために八百万トンの用水確保のダムを今用意しておりますが、最初の計画では二千万トンということで出発しておるのでございますが、工場の誘致等の進捗の状況を考慮に入れまして、一応八百万トンということで現在進んでおるわけでございますが、これは将来の増量に備えて設備を改善することもでき得るような計画でございます。この点につきましては、地下水のみにたよっておりますと、いずれは他の地盤沈下地域のごときうき目を見ることも予想されますので、われわれといたしましては、あくまでもダムによる工業用水の確保という問題について十分に考慮していきたい、かように思っておりますが、現在は地下水並びに今申し上げました八百万トンの用水を持ちまして、一応昭和四十二年ごろまでの用水を確保し得るか、こういうことを考えておる次第でございます。今後におきまして、先ほども申し上げましたように、市域内に相当多数の工場を迎えることになっておりますが、これらの工場に対する工業用水の供給等も考えられますので、少なくともやはり三十万トンくらいの供給量を持たなければならぬということは近い将来に起こると思います。これらにつきましても、始終われわれそれらの計画につきまして当事者と打ち合わせをいたしておる次第でございますが、今お話の一トン当たりの単価につきましては、現在の計算では約四円五十銭程度に伺っておるわけでございます。しかし工業用水としては少しでも安くこれを確保できるようにしなければならぬということも考えられますし、また将来の需要の増大につれまして、そういうことも考えられるのでありますが、さらに今後これらの問題につきましては、関係省庁に対しまして、たびたびお願いをしておりますが、この県営ダムの促進につきまして、現在におきましても総額二十九億ほどの予算をもってかかる予定でございますが、まだ本年度におきまして約二億程度でございまして、この進捗が非常にわれわれも心配いたしておる次第でございます。できるだけ早くこれの完成を見るように極力各方面に今後努力いたしたい、かように考えております。
○田中(武)委員 今の参考人の御答弁に関連いたしまして、松尾局長にお伺いいたします。 一昨日も当委員会において工業用水の問題が大きく取り上げられた。今の参考人のお話によると、今計画している県営ダムが予定通りでき上がったとして一トン単価四円五十銭程度である。企業によってもその用水の価格が製品に転嫁せられるのは異なると思いますが、大体工業用水の価格というものは、結局はその生産価格にはね返ってくると思うのです。従って一体どの程度の単価が工場の経営の上から一番望ましいか、そういうような点については、通産省としては大体どの程度の単価に基準を置かれておるか、お伺いいたします。
○松尾政府委員 今お話の中にもございましたように、工業用水が各産業の生産コストの中に占める重さというのは、産業によって非常に違いますけれども、非常に大ざっぱに申しまして電力料の負担に匹敵すると、われわれは一応想定をいたしております。そういう意味から申しますと、工業用水の価格は安ければ安いほどいいということになるのでございますけれども、しかし水の立地条件以外の立地条件と合わせて工場立地が求められるでありましょうから、ところによっては水の条件はやや不利を忍ばなければならぬというようなことが出て参ると思います。そういうような場合におきましても私どもの現在考えておりますところは、普通の工業地帯で一応四円以上の水は非常に使いにくいのではないかというのが、一応の目安でございますが、ほかの立地条件ともあわせて考えてみまして、それよりも不利な条件を忍ばなければならぬというような地域も若干はあると思いますが、四円以下ということを私ども一応の目安にいたしております。
○田中(武)委員 そうしますと今の稲岡参考人の答弁から見ますと四円を少しですが上回る、こういうことになります。そうするなら四円以下に押えるようなやり方が必要ではなかろうか、こう思うわけです。 そこで通産省といたしましては、企業局長としては、用水の価格を原価計算の上に立っての原価方式でやるのが正しいと考えておられるのか、それともいわゆる政策価格というようなことで、ある程度原価は高くつくが、何らかの意味において政府その他がカバーすることによって、ある程度の政策的な原価をきめていくような指導をする、そういう方向もとられると思うのですが、大体電気と同様今日では生産に必要な水となっております。従って現在各省間においてもあるいは与党間においても水資源開発ということで、相当な論議がかわされておるようでございます。そうすると電気同様全国的に一つの基準を設けて、その線の上に立っての適正な価格ということが必要ではなかろうかと思う。従って原価方式ということでなく、政策価格ということも考えていかなければならぬと思うのですが、そういうような点についていかがでしょうか。
○松尾政府委員 御承知のように水の値段と申しますと、これはその水のある場所によりましていわばコストがあるようでもあり、またないようでもあるというような見方もあり得ると思います。水の豊富なところで地下水をくみ上げれば非常に安い水になりますし、従いまして工場が建設されます場合にはほかの条件が許せば、できれば水の安いところに行って立地をされることが当然望ましいわけでありますが、もちろん立地条件は水だけではございませんので、勢い水の高いところにもがまんをして行かなければならぬということになります。そういうような場合には、御承知のように現在工業用水道で水の供給を行ないます際には、あまり高い工業用水で企業の負担に耐えられないということを避けるために、御承知のように補助金でそれを補っておりますけれども、これはあくまで例外的なやむを得ない措置でありまして、御承知のように国の財政負担におきましても、工業用水道に対する国の補助金は年々倍増して参っております。そういうことを考えますと、工業用水の価格を全部政策的な値段というわけには参らぬと思いますけれども、その前提としてはやはり水のなるべく安い立地条件のいいところへ工場が行ってもらうということが前提でありますけれども、それで補い得ないような場合には、やむを得ない措置として、いわば補助的な措置として工業用水に国が補助金を出して、企業が使えるところまで下げる、その分は確かに政策的な配慮に基づく問題であると思いますが、全部を政策的値段というわけには参らないのではないかと思います。
○田中(武)委員 工業用水について原価方式で正しいか、政策原価を定めるかということは、あらためて委員会で論議をすることにいたしまして質問を戻します。 引き続き稲岡参考人にお伺いしたいのですが、これは江戸参考人にも同じことが言えると思うのですが、工場を受け入れる側から見まして、どういう点に一番悩みがあるか、そういうことに対して、中央に対してどのような希望を持っておられるか、そういうことをお伺いいたしたいと思います。これは二人にお伺いいたします。 それから持っていこうとする企業について、一つの問題はやはり敷地の問題だと思う。今日工場がくるとか、指定を受けたとか、こういうことだけで相当土地の値上がりを示しておると思う。現実におきまして東播地区あるいは京葉地区等において、土地の変動はどういうことになっておるか、また受け入れる側、工場を誘致する側として、土地価格の変動に対してどのような措置が望ましいか。もう一つは補償の問題がいつも問題になるわけです。その補償の問題については、これは都心の場合もあろうし、また郊外の場合もあろうし、あるいはまた漁業権等の場合もあろうと思うのですが、そういう点についてどういうような措置が中央に対して望ましいか、それらの点がもし御意見がありましたならば伺いたいと思います。
○稲岡参考人 お答え申し上げます。 御質問の第一点の工場誘致側の悩みでございますが、これはずいぶんいろいろな面にわたってあるわけでございまして、ぜひ優秀な工場に進出してもらいたいという歓迎の気持はやまやまでございますが、さて受け入れる段になりますといろいろな障壁が出てくるわけでございます。ことに大きな問題として財政的にも影響を持って参ります問題は、たとえば誘致条例を制定いたしまして、工場誘致に対して一定の便宜供与、あるいはまた奨励措置を講ずるのが常例でございますが、その奨励措置をやります場合に、実際はその工場が建設されまして、操業して初めてその工場の固定資産税とか、あるいは償却資産等の収入が確保されるわけでございますが、道路を作ったり、その工場を受け入れるための地帯の整備を行なったり、排水路を作ったり、あるいはその地帯の整備というふうな、そういう関連した仕事につきましては、工場が参るまでに手をつけなければならぬ問題がずいぶん出てくるわけであります。そこに市としましても一工場のために相当の額を打ち込んで予算化してこれはやるということは、非常に困難な問題であります。ことにわれわれのごとき一時に多数の工場を迎えなければならぬというふうな事情になりました場合に、ますますこの悩みは大きくなりまして非常に困る問題であります。こういう際に関連した地帯整備、特に用水あるいは道路、橋梁等の問題につきましては、できる限り都市計画の街路事業でありますとか、あるいは公共事業等のそういう一般の予算なり、事業認可の上に、さらにある程度の国なり県のこれらに対する援助的な措置、あるいはその事業費を相当額ふやしてもらう措置を考慮してもらいたいということがわれわれの非常に強い、実際問題から出てくる念願でございますし、悩みでございます。それらの問題につきましても、実情をるる、そのつど中央にも陳情いたしておるような事情でございます。勢い財政的な面に大きく影響いたしますので、工場地帯という指定を受けております以上、一般の事業を認可されましても、とうていそれでまかない切れないというような事情に、やはり追い込まれるわけでございますので、それらの点、やはり相当の考慮を願いたいということが強い念願なのでございます。 今第二点といたしまして敷地問題でございますが、土地の値上がりの問題は非常にわれわれの悩みでございまして、一応一つの工場を誘致いたしまして、何ほどかの時日をおいて、今度はその近くにまた工場が来るというときには、すでにその土地は前よりもずっと値段が上がっておる。その土地への誘致をやりますと、今度は、前の、すでに完了したその誘致の土地の値段で承認した持ち主が承知をしないというような、前の話がむくれ返ってくるというような問題がたびたび重なってくるわけであります。こういう場合、むろん農地でなければ、あるいは特定の公団等の手によりまして、一応土地を、適地を確保しておいて、そうして必要のつど供給するという手もありますが、農地は、現在におきましては、そういう公団に確保することもできないし、農地法の関係もございますので、ことに農地転用の問題は非常にたくさん問題がございまして、今までは、あらかじめ適地を、農地事務局等に御了解を得て、万一これに問題が起こった場合には、農地法の処理を適切にやっていただくということよりほかには方法はございませんで、値上がりの問題は、結局当事者の話し合いということでいくよりほかに仕方がないというのが現状でございます。この点で非常に悩みを持っておる次第でございます。この点につきましては、今のところ悩みを申し上げるよりほかに解決の道をよう見出しておりません。 なほ補償問題につきましては、ずいぶんいろんな形の補償問題がございまして、この補償問題の解決しない限り、やはり工場誘致が円満にいかないということにもなりますが、また補償問題の性格によりましては、工場誘致を非常に阻害するというふうなことも起こりやすいのでございまして、この補償問題の適正ということにつきましても、農地の問題と同様に一つの大きな悩みになっておりますが、これらの措置について、やはり一応の基準的な、あるいはまた処理する何か便法的な措置が講ぜられるならば、われわれとしては非常にありがたいと思うわけでございます。 お答え申し上げることは以上のようなことでございまして、答えにはならぬかもしれませんが、御了承いただきたいと思います。
○江戸参考人 ただいまの御質問、まず土地の問題につきまして申し上げます。 おっしゃいます通り、工場用地がきまりました場合に、その発表と同時に土地が暴騰する、大体土地の値段は、全国的に見まして、全国百四十都市の平均が、この五年間に二割ないし三割五分、年間上がっております。ところが京葉工業地帯でいえば、たとえば五井・市原地区、市原地区は、ああいうふうに工場を作るというふうにきまりますと、数倍に上がっておるのであります。これが非常な悩みでございまして、私はとの対策としまして、これは非常にむずかしいとは思うのでございますが、県なり市町村あたりでもですが、埋立地は別でございますが、工場用地ないし工場付属の住宅用地につきまして、あらかじめ押えておく手を打っておく、工場候補の場所を大体きめて手を打っておく、それに対して国が起債措置を認める、こういうふうなことをやっていただく。これはほかにも実際上幾つか例がございますが、私の茨城県あたりは、公団を作って地元銀行が大幅に融資をして土地を押える、こういうようなことをやっておりますが、やはり大規模にするには国が何か金融措置で助けてやる、こういうふうにしていただけばどうかと思うのであります。 それから農地転換の問題でございますが、これは非常にむずかしい問題でございまして、私この点について、あるいはおしかりを受ける向きがあるかもしれませんが、日本の急テンポな経済発展という立場からしましては、農業と工業というもののあり方について基本的に考えられて、現在すでに食糧事情もまるで変わっておりますから、まず所得倍増ないし日本の産業政策として工業重点主義だ、そういう大きな柱を一本立てまして、その上に立ってこの農地転換の問題とか、あるいは用水の問題とかを考えたらどうか。ただいま農地転換の問題にいたしますと、農地法の関係上、具体的にこの工場が来る、この入がうちを建てる、そういうふうな具体性がなければ農地転換を認めないのであります。従いまして、計画的に工場団地を作るとか住宅団地を作るとかいうような場合には、これは原則として認められない、こういうことになっておるのでありますが、この点日本の実情からしまして、何かそういう基本的な考え方が必要じゃないか。 それから用水の問題にいたしましても、至るところにおきまして、工業用水の問題が、農業用水、たんぼ水利などの問題にぶつかっているのは顕著な事実でございまして、こういう点につきまして何か御考慮なさる必要があるんじゃないか、かように考えております。 それから水の問題でございますが、京葉工業地帯におきましては、私の記憶する限りにおきまして、あるいは間違いかもしれませんが、政府または県の手におきまして淡水工業用水が供給されたという実績はないように思うのであります。ところが、現在御承知のように、どんどん埋め立てが進む、漁業補償も進む、現在川鉄が約百万坪、それから船橋・市川が六、七十万坪、それから五井・市原が約二百万坪、五井南部約四百五十万坪、まさに着工せんとしております。この前申し上げたのは全部でき上がっております。それにつきまして、まだ現実に政府または県の手において供給されておるのはないのであります。非常に日本経済のテンポが速いですから、できるだけ早くこの京葉地帯に対する水の供給は、なるべくは豊富に安く早くこれをやっていただきたい。このことは実は総理にも、それから関係各大臣にも陳情を、われわれの協会でいたしておるのでありますが、この点につきましてこの機会に皆様方にお願いしたいと思うわけであります。 それから漁業補償の問題でございますが、これは非常にむずかしい問題でございまして、補償費がウナギ登りに上っておる。これにつきまして先ほど御発言がございましたが、何か基準となる法律を作られることが望ましいのじゃないか。また一面、これは職業を失う漁民の職業転換の立場からして、何か漁民の側に親切な、ただたくさん金をやるというだけでなく、何か将来の生活を考えてやるというような、そういう立場から、漁民の身にもなって一般的な施策を考えてやるということが必要ではないかと考えております。
○田中(武)委員 薄井参考人にお伺いいたしますが、薄井参考人につきましては堀委員もあとから質問があると思いますので、私はただ一点だけお伺いいたします。当委員会におきましても、先般来新潟等の地盤沈下の問題を大きく憂慮して、委員会の論議となっておるわけです。尼崎市も、やはり地盤沈下に悩まされておると思うのですが、この地盤沈下と工業用水の関係、まだ結論は出ておりませんが、水の吸い上げが結局地盤沈下の原因じゃなかろうかというようにもいわれておるのでございますが、そういうような関係、あるいは地盤沈下について相当現実に因っておられると思うのですが、そういうようなことについて何か御意見があったら、一つ聞かしていただきたいと思います。
○薄井参考人 当尼崎市におきましては仰せの通り、新潟同様地盤沈下の問題について非常な悩みを持っておるわけでございます。関係各省に対しても極力とれが是正方を陳情してておるのでございますけれども、本日ちょっと参考にパンフレットを持って参りましたから、後ほどお配りいたしたいと思いますが、数字の示す通り年々工業が発展するところの度合いと正比例いたしまして、非常な勢いをもって沈下いたしたのでございます。しかしながら最近に至りましては、あらゆる手段を講じました結果、大体年平均でございますが、三ミリか五ミリくらいの程度で押えられておるという現状でございます。しかしながらもと南部の海岸地区方面が主として沈下いたしたのでございますが、最近ではそれが北部方面まで伸びまして、工場の関係もあるのでありますが、市民間においても非常に非難の声も聞いておるような現状でございます。従ってこの地盤沈下と工業用水との関係、これは全国的の問題でございますが、工業用水を完備いたしますれば、地盤沈下が極端にいえば停止するという学者の意見もそのときにあり、また結果も出ておるのでございます。ただ問題は、一日も早くこの工業用水を完備することに一生懸命意を用いておるわけでございますが、先ほどもちょっと申し上げたように、これには相当な経費がかかるわけでございます。尼崎市といたしましては、第一期工事として約六万トン、これは武庫川の地下水をとる計画で現存配水いたしております。第二期工事といたしまして淀川から引水する二十万トンを目途に三十七年度に完成するということでかかっておりますが、私はこれを何とか一つ人力の尽くす限りやって、一日でも早くこの二十万トンの水を、できればことしの暮れあたりに一部でも引き入れたいという努力をいたしておるのでございますが、御承知のようにこの地盤沈下は工場の井戸くみ上げが九分九厘までの原因でございますから、これを抑制するには何としても工業用水をやる、その工業用水を完備するのには経費がうんとかかる、私の市といたしましても、一般の市民福祉関係の経費を相当犠牲にいたしましてこの方へ注入いたしておりますけれども、なお足りないという現状でございますから、補助その他政府においての大幅な助力が願いたい、かように考えております。
○田中(武)委員 稲岡、薄井両参考人にお伺いいたしますが、多分御承知と思いますが、当委員会に、経済企画庁からの提出で、低開発地域工業開発促進法という法律が出ておりまして、近く議題に上るわけでありますが、この法律を見ましても、企業優遇ということで考えられておるのは、特に税金の面だけでございます。皆さん方のところでもやはり市条例等で受け入れた場合の企業優遇等を税金の面で考えられておると思います。この低開発地域工業開発促進法は、市条例によって減税なり免税をした場合には、それを交付金によってカバーしてやろう、こういうような趣旨の法律でございます。そこで皆さん方のところで、そういうような条例に基づいて租税優遇をした場合、それについて税収入との関係において、自治省あるいは中央に対して何か要望があるか、そういう点についてお伺いいたします。 それからもう一つ、これは佐藤先生にお伺いしたらよいかと思うのですが、今中央においても地方においても考えられておることは、企業優遇によって誘致しょう、あるいは配置しようということです。ところが環境整備も考えられるが、それよりも直接的な税金の免除、あるいは軽減、こういうようなことによってやろうとしておるのですが、私はただ税金だけの魅力で企業が来るとか、移るとかということはないと思う。だからもっと適切な措置が必要だ、こう思うのですが、何か先生の立場からこういうことが望ましいのではないかということがあれば聞かしていただきたい。 それから最後に稲岡参考人にお伺いいたしますが、海岸等を埋め立てて土地造成を進めていくときに、隣接の市町村との間の境界の問題が出てくる場合があろうと思うのです。今自治省ではそういうことについての解決の法案を考えておる程度であろうと思うのですが、そういうようなことがもしあった場合には、どういうような解決方法が望ましいか、そんな点について、もし御意見があれば聞かしていただきたい。
○稲岡参考人 今低開発地域に対する開発の問題に関連して、市条例で税金についての措置をし、さらにそれを交付金でカバーするというような低開発地域の開発法案が考慮されておるようでありますが、われわれの地域におきまして工場誘致に関して企業者に対する税の考慮ということは、結局奨励措置に基づきますところの、現在におきましては操業後三カ年にわたって、固定資産に相当する額の二分の一を奨励金として交付する、あるいはまたその範囲内において地帯整備をやる、便宜供与を与える、こういう意味の条例を作っております。これに対しまして交付税の措置は、特別今までわれわれ受けたこともございませんし、またそれについての陳情等も実はいたしたことはございませんわけで、現在財政再建準用の措置を受けております関係で、特別交付税においてその他の負担の多いという意味において多少措置を受けておる程度でございます。 なお、いま一つの問題として、海岸埋め立ての問題でございますが、これに伴う隣接地区との境界線の問題は、実は私のところは全国でもまれな一つのケースを持っておりまして、隣村の阿閇村というのと実は両方にまたがって埋め立て地がございまして、これは境界未設定の土地であります。所属未定の土地でございます。これを解決するために自治省なりあるいは企画庁なり、あらゆる方面にいろいろ御検討を願って、すでに十年近くに及んできておりますけれども、なおこの問題の解決がつかない、そうしてその埋め立ての上に別府化学工業株式会社の工場がありまして、これの固定資産税、償却資産税は、毎年税のみに限って、これの配分率を自治省あるいは県の裁定によって分割しておるという実情で、いまだにこの実情が続いておるのでございます。あちこちつないでおりまして、切ることができないというような因縁に連なっておるような事情にあるために、合併問題も出ましたり、また境界の設定の問題が出たり、いろいろ政治的な折衝は重ねておるわけでありますが、依然としてそういう状態にあるわけであります。ただいま田中先生からお話がありましたように、埋め立てをやりますと、またそれにむずかしい問題を倍加するようなことにも相なってくるわけでございますが、幸いにいたしまして、いろいろ最近では機運も転換して参りまして、さらに合併の問題等について話も出ておるような事情でございますので、できるだけ早くこういう問題を根底的に解決することに努力をいたしたい、かように思っております。おのずからそういう問題も埋め立ての解決の一つになるのじゃないか、かように思っておるのであります。
○薄井参考人 市条例の関係は、私の方といたしましては誘致条例も持っておりまするが、工場に対する問題は実質的には何もやっていないのですが、ただ工場ができますると、その付近の道路その他の諸問題が関連して参りまするから、それを有意義に市の方でやるということの条例なんであります。それを実行いたしております。それから第二の問題の、海岸埋め立ての問題ですけれども、ちょっと言いにくい問題ではありまするけれども、私は信念としてかように考えております。今日御承知でもありましょうが、阪神間の神戸から尼崎までの間を、相当大幅な埋め立てをやるということに相なっておるわけでございまするが、埋め立てもけっこうでございます。ただ、無制限な埋め立てをすることによって、工場としての準備工作も何も施さないで、何十万坪、何百万坪埋め立てて、そうしてたとえば百万坪埋め立てて、そこに大きな工場を無秩序的に持ってくるといったのでは、一番困るのは私は事業家であろうと思うのです。知ってか知らざるか知りませんが、さようなことがあっては、まことに双方とも迷惑しごくでございますが、少なくとも埋め立てをやって工場を誘致するという前提のもとに、工場としての水問題それから道路計画その他輸送関係等を十分完備した後において埋め立てをすることが、最も適当だろうということで考えて参っております。またこの問題に対しては、私も一生懸命やっておるのですが、今自治省においてもお考えになっておるようです。また関連した建設省、通産省においてもお考えになっている三法案もあるようでございますが、これらをあわせ考えて、今申し上げたような工場をかりに誘致するにいたしましても、今加古川の人のおっしゃるような隣接地との関係において、いろいろな面でトラブルも起きる可能性が十分あるのでございます。と申しますことは、たとえば尼崎の二百万坪を今埋め立てたいと思っておりますが、その境界において隣接市との関係が非常にむずかしい問題になる。これはなぜかと申しますと、やはり行政区域が違うためにさような問題が起こり得るわけです。少なくとも私は、阪神六市においては広域的行政の見地から、すべからく共通した問題は同一な機構においてやるべきだという考えを持っておるわけであります。いわゆる広域行政を満度につけてもらって、そうして共通的な問題は、都市計画においてもそれから水資源問題においても、一つの問題として取り上げて検討すべきだというふうに私は考えておるわけであります。
○佐藤参考人 御質問は税金やその他の点で……。
○田中(武)委員 今の政府が考えているのは税金ぐらいのものですよ。企業優遇といっておりますが、税金を何とか考えてやろうという程度しか考えていない。
○佐藤参考人 資本主義ではそれが今は一番いいじゃないですか。大体工場というのはもうかるから行くのです。ところが受け取る側、周囲は所得格差を上げるとか、地域経済の発展のために工場に来てくれというのですが、行く方の側はただ工場の利益が上がるという点で、生産性、経済性の追求だけからいくものですから、そこのところちょっと食い違いが出てくるのです。大体自然とか立地条件は、私ども工場の進入や人間の居住に対しては決してディスターブ、妨げはしないのです。ですからヒマラヤの山の上でも、南極の雪の中でも、自然はいらっしゃいと歓迎しているのです。ただ行くか行かないかです。今日の文明の程度では行くことができるのですが、実際は行けませんが、自然は決して私どもの行動をディスターブしているのではないが、ハンパー、じゃまをしている。そこで工場がいなかに行かないというのは、じゃまをしておりますから、そのじゃまに対して政策でいろいろな優遇条件を設けてやっておるのです。ですから政府がいろいろ誘致政策で税金を免除するとかやっておりますが、せいぜい三年か五年です。それを一生——一生というのはおかしいが、長い間工場に対して補償をやれば工場は行くのですが、自然は永久にじゃまをしますから、南極はただで行けるが、南極ではだめだ。そのために、あなたのおっしゃるように、大企業は誘致条例は問題にしないのです。小さい中小企業ならばそういった誘致条例でいなかへ行くのがあると思います。そういう点で一つ御了承願いたいと思います。
○田中(武)委員 佐藤先生とは企業のあり方あるいは企業の公共性、こういうような点で若干私と見解が違うようでございますが、これはきょうは討論の場所でございませんので、おきたいと思います。 そこで、委員長に最後に要望しておきますが、各参考人から吐かれましたところの意見等はいろいろ重要な示唆を含んでおると思いますので、これは後日当委員会において十分論議したい、このように考えまして、私の参考人に対する質問を終わります。
○中川委員長 堀昌雄君。
○堀委員 最初に佐藤参考人にお伺いをいたします。 ただいまのお話の中で大体先生のお考えはわかるのでありますが、実は私は今の工場立地の問題には非常に基本的な問題があると思います。その基本的な問題と申しますのは、地方自治体が非常に工場を誘致したいのでございますが、現在の税制と関係があるわけでございます。今固定資産税というものが地方自治体にとりましては大きな収入源になっておりますので、その固定資産税を何か大幅に受け取りたいということになりますと、工場を誘致するということがきわめて手っ取り早い手段になりますので、その点で、ややもすると無理な状態でありながらもその財源を求めるという観点から工場の誘致というものが相当いろいろな点で激しく行なわれております。ですから、大体今度自由民主党も経済成長十カ年計画というようなことをお考えになっておる段階でありますが、過去における非常に自由な資本主義の段階、まだ資本主義が高度に発達しておりません段階においては、私は先生のおっしゃる点全く同感でございますが、少なくとも最近のようなスピードで経済が成長して参ります場合には、やはりよほど問題が計画的な処理をされませんと、きわめて徐々に成長するときならば別でありますが、高度の成長を相当続けるときには、いろいろな社会的間接投資というような面から見ましても、バランスがくずれやすい条件が著しくあるのではないか、特に日本の場合には公共投資が非常におくれておりますから、公共投資については非常に大きなものを考えていかなければならぬということになりますと、単なる資本の利潤の追求ということではなくて、そういう社会的な面における協力を得なければ、資本自体ではもう活動ができないというところに、今すでに参っておるのではないか。そういたしますと、私はやはりイギリスがとっておりますように、できるだけすみやかに本来工場については許可制をとる程度にしなければ、国の側においてはとてもそういうもののめんどうが見切れないという段階になる時期が、もう目の前に来ておるのではないか。そうなりますと、実は今尼崎の市長が先ほどから言っておられますけれども、ものの順序が逆になると地盤沈下のようなことが起きてくるのでありまして、順序を正していかなければならないということになりますと、規制力というものが相当強くならなければならないんじゃないか。それからもう一つは工場の規模でございますけれども、私ども最近見ておりますと、新設の工場の規模というのはますます大きなものに、マンモス化してきつつあるわけですね。そうするとそのマンモス化したものが一つできるということによって起こる影響というものは、もう単に工業用水だけではございません。道路もありますし、下水道の関係あるいは住宅から学校から広範な影響を、地方自治体に及ぼしてくるということになって参りますので、私どもは国の施策としてはもう少しコントロールが強くならないと、結局将来にわたって尼崎の地盤沈下のような、ああいうバランスのくずれた問題がどんどん今後また派生をする危険があるんじゃないか、こういうふうに思うのでございますが、さっき先生は、日本の今の状態ではだめだとおっしゃったんですが、だめだとあきらめておったのでは、どうも私ども非常に心配な状態が来るように思うんです。われわれはそういう意味では、もう少し計画的な処理を行なう方向に一歩出るべきではないかと思いますが、いかがでございますか。
○佐藤参考人 先ほどだめだと言ったことは、ちょっと誤解されますから取り消してもいいのですが、実際私どもも、もう少し進めて、大体あれは助言から届出から許可から、制限または禁止、いろいろな段階があるんですね。今日本は助言をちょっと通り越して、届出にきたのですが、あなたのおっしゃるのは許可制にしろとおっしゃるわけですね。私も実はやりたいんですが、やると摩擦が非常に多いんです。摩擦が多いとかえって成長しつつある産業をこわす結果になっちまいますから、これは徐々に、今の届出や勧告からもう少しやって、そうしてもっと徐徐にやったらどうかと思うんです。大体資本主義は結果を直す学問です。ロシヤのような計画やそういうものを初めからやるのではないのです。結果を直すのですから、いろいろな委員会があってやっておりますから、それだけ資本主義というのは弾力性があって魅力があっておもしろいんですがね。その点大局的に見て徐々に——やりたいんですが、徐々にやるつもりではおるんですけれども、なかなかタイミングの問題があるものですから……。それでよろしゅうございますか。
○板川委員 関連して。私も堀君と同じ気持で質問しようかと思ったのですが、制限をすると伸びようとする企業が伸びない結果になるんじゃないか、こうおっしゃるんですが、私は、ちょうど東京都の現状を先生、お考えになっていただくとわかると思うんですね。終戦直後東京都の、この首都を再建するに当たって、十年、二十年、三十年後を考える人があれば、あのときにもっとりっぱな再建の計画を立てて、りっぱな都市ができたと思うんです。ところが復興しようというだけで、従来建っておったところにバラックを建てて、今になっちゃったら道路を広げるというわけにいかないんですね。それと同じようなことが今の各工場地帯にも起こってくるんじゃないか。数年たちますと東京都の交通というのは自動車がはんらんして、歩いた方が早いという状態になってくる。そうするとやはり今のうちに工場も計画性を持ってやることが、当面は、それは建設を阻害するような形になるかもしれませんけれども、私は今のうちから計画性を持たした方が将来いいんじゃないかと思うんです。そういう点どうお考えですか。
○佐藤参考人 私も実はお考えの通り計画性を持たして許可制まで持っていきたいのですが、まだ日本全体の国民の世論がそこまでいっていないものですから、皆さんの努力によってどんどんPRしていただいて、そういう気分になれば、ちょうどマッチしてやりたいと思っておりますから……。東京都でも首都圏の委員で二、三日前会議がありましたが、全部大学を外に持っていくというんですね。しかし口では言えますけれども、各大学の伝統がありますし、なかなか困難ですね。そういう点で要するに政治力が弱いんですね。政治力が足りないようですから、これをどう強くするかという点、したいんですけれども、いろいろな条件が起こって参るものですから、なかなかやりにくいところなんです。
○板川委員 たとえば御承知のように名古屋の場合は、戦災後、計画性を持ってりっぱな都市を再建したんですね。だから東京でもあれをやれば、もっとりっぱな東京都の復興があったと思うんです。先生は、そういうふうに国民の気持が向いてくれば、そうしたいと言うのですが、私らが先生に期待するのは、学識経験者が、そういう企業者やあるいはわれわれが目につかないで、実態の中で埋没しておるときに、そういう実態を遠くから見て、こうしなくちゃいかぬじゃないか、こういう御意見を出す、そういうことを先生に期待しておったのですが、どうも今もう日本人の頭がちっともそういうものを理解していないから当分だめだ、行くところまで行って壁にぶつかったら、変えるほかないだろうというのでは、ちょっと学者の議論として、どうかなという感じが率直に申しまして、しているのですが……。
○佐藤参考人 私どもも普段今日の現状から十歩先のことを考えるのではいかぬ、誇大妄想狂になるからいかぬ。現実から一歩か二歩進んだところを見るという考え方を、ずっとやっております。それもなるべく摩擦の起きないように徐々に徐々にやっておりますから、急進といっちゃおかしいですが、改革論者から見ると、ちょっともの足りないように見えるのですね。けれどもあなたのおっしゃるようにやっておりますから、その点御安心なさって下さい。
○堀委員 もう一点だけ佐藤先生にお伺いしたいのですが、実は所得倍増計画では、はっきりと四大工業地帯における工場の集中は禁止または制限すると述べられているわけです。これは私来週、大蔵委員会に大阪港、堺港に関する外債法案がかかっておりますので、企画庁長官その他を呼びまして、一回この工場集中の問題を取り上げたいと思っておまりすが、事実は私本年度の予算委員会で、この工場立地の問題について質問をいたしましたときにも、先生のおっしゃるように資本主義的原則は、できるだけ大きい利潤を追求するという原則でございますから、そうなると集中する方が資本には有利なのは当然だと思うのでございますね。そういう集中する方が有利だという資本主義的原則を、十カ年計画、所得倍増計画で、ある程度ベルト地帯その他を含めてバランスをとっていこうということになれば、これは本質的にはやはりコントロールしなければできないわけでありますから、そこにはっきり矛盾が生じてくると私は思う。先生は今順次やるのだとおっしゃるけれども、それは今の資本主義社会でありますから、順次やらなければいかぬと思いますが、そういう表現が片方ではもうすでに出ているわけであります。所得倍増計画に禁止または制限という強い言葉が出てくるわけであります。そういう点について先生は、そうすると所得倍増計画のああいうあり方というものは、少し行き過ぎだとお考えになりますか。
○佐藤参考人 実は私はあれを作った一員でして、制限または禁止という言葉があるのです。私はこれは行き過ぎじゃないかと言ったのですが、あれをやっちゃったのです。ところがあれはただ言葉だけであって、どの地域を制限するか、禁止するか、しかもどういう業種を禁止するかということは全然書いていないのです。わからないのですからね。これからやるというのですが、それはやれるかどうか。 それからあなたがおっしゃった、工場が集まれば利益になるのですね。それを押えなければなりませんが、工場には一定の集積の限界がありまして、その限界を押えてこれ以上工場は来てはいけないという規則を設けるのがいいのか、ほっておいて工場が集積すると、地代が高くなり、生産が上がらなくなり、器材が上がりますからひとりでに分散するのですね。御承知のように川口の鋳物工場がありますね。あれは集積して困っている。あれが一番いい例ですが、その際の限界線をどこにひくかということは非常に困難です。今私もやっておりますが、工場集積の限界ですね。なかなか資本主義においては困難です。投げやりになると、それが資本主義だと逃げちまうのですが、逃げないように努力しております。さっきの固定資産税ですが、あれはやはり工場が来るのが一番手っとり早いですから、私はあるところに行ったら、大学や自衛隊が来ても意味がない、市がもうからない。固定資産税が入る工場が来なければいかぬ。それも大きい工場でないと、あまり固定資産税が入らないんです。そうするとまず第一にどうなるかというと、市民の税金が非常に安くなる。一番いい例は延岡です。宮崎県の延岡は旭化成がありまして三百五十億円の生産をあげているのです。市に入る固定資産税が二億五千万円入る。あれは人口によって違うらしいのですが、余分なものは県に入りますから、非常に利益がある。ですから延岡の市民の税金は他の宮崎県に比べて半分なのです。その点は非常に利益になっておりますから、大工場が来れば固定資産税が入りますし、学校事業がよくなりますし、それから土木事業が盛んになりますし、雇用関係が新しい工場が行きますと、大体一割から一割五分は技術の関係で他の県から入りますが、他の八割以上は県民を使います。その他いろいろな点で利益になりますから、地方開発には工場が行くのが手っとり早い。一番いいのですが、さて行くときに場所を選びますから、ちょうど結婚関係と同じです、花嫁さんを選ぶのと。候補地をたくさん作っておいて選びますから、地理的条件というものは、ふだんはここに水があるから、土地があるから工場に来て下さい。ふだん可能性、刺激を与えておりますから、そこに工場が行くと、今度直接、水や空間距離やが生産費の中に入ってきますから、来る前はここに工場が来て下さいと、私ども刺激を与えておりますから、平野と水があるから、それで工場が行くと、永久に生産費の中に水が幾ら、運賃が幾らと入り込んできますから、行く場合にいい場所を非常に探すのです。ですから口で土地があるから来いといってもなかなか行かないのです。そういう関係でよろしゅうございますか。
○堀委員 次に江戸参考人にお伺いをいたします。最近非常にこの地帯は開発をされまして目ざましいものがあるようですが、どうも私が拝見をしておりますところでは、土地の開発の方が少し前へ出過ぎて、その他の本来的な必要な道路とか工業用水であるとかについては、いま一つどうも見通しがはっきりしていないのではないかという感じがいたしておるわけでありますが、こういう本来工場を誘致する場合に、必要な道路あるいはその他下水道等必要なものについては、見通しがおありなのかどうかという点について……。
○江戸参考人 おっしゃる通りでございまして、少し埋め立ての方が進み過ぎているような感じでございます。埋め立て計画ですが、どんどん漁業補償が妥結し、妥結せんとしておりますが、現在は五井、市原に先ほど申し上げました二百万坪、これは実際は約百九十万坪、そこに十一工場、有力工場が参りますのですが、ほとんど全部が着工しまして、うち三工場は煙を吐いております。それに対して水が日常にして約二十二、三万トン要るのでございますが、これは県当局の方は養老川の上の方にダムを作ってやってやるというのでありますが、調査をし、仕事に着手しておりますが、ちょっと足りない。さらに四百五十万坪、ここはいわゆるコンビナート群が数群来ることになっておりますが、これにつきましては水の見通しは今のところないわけです。ないと申しますのは確定的なものはない。そういうこともございまして、できるだけ早く利根川——これは結局利根川の水を使わなければなりませんから、早くやることをお願いしておるのでありますが、非常にこれは不安がございます。そのほかに道路、鉄道、御承知の千葉県は非常に道路が悪いところなんです。鉄道も単線、五井の方は単線でございます。こういう点について公共投資と申しますか、基盤投資、そういうふうな面は非常にわれわれは心配しております。先ほど申し上げました通り水につきましては、極力関係当局に陳情をいたしております。どうぞ当委員会でよろしくお願いいたします。
○堀委員 皆さんの方は経済協議会の方ですからあれですが、私は今のお話を聞いて心配しておることが、実はもうすでに現実に各地で動きつつあると思っているわけです。私は東京地方はあまり詳しくないわけで、今そちらに見えております薄井さんと同じ尼崎市の者であります。大阪及びその周辺につきましては、水利その他の問題は相当こまかく知っておりますけれども、いずこも公共用水の問題は、今後の日本の経済成長の一番大きなネックだと私は思っております。その次は輸送道路、これが二番目のネックになるのではないかというふうないろいろな不安があるわけです。どうも順序が逆になっておる点で、実際今はあの地域の方は工場が建ってけっこうだけっこうだと思っていらっしゃるでしょうが、そのうちに今度は逆な問題が起きて、工場が建って困ったことになったという時期が、早晩私は出てくるのではないか、そういうことがやはり資本主義としての一番欠点なんです。そういう見通しが、ある程度私どもの住んでいる尼崎市のように出ているという実例があれば、やはりこれが正当に評価されていかないと、むだが非常に多くなるのではないか、実は大蔵省に対しても今の工業用水道の問題で申しますと、工業用水道をつけて水を送るということは積極的な面ですが、この財源を始末するために、全体が沈下してきて、そのあとで防潮堤を作り、港湾、下水をいろいろ設備する費用が経済効果としてはるかに大きいにもかかわらず、わずかな工業用水道のための国の費用を節約しようとする。要するに全体としてものを見ようとしないで、きわめて目先の部分的なものを見ているというのが、今の日本の特に官庁の考え方の一部にあると思います。やはりもっと長い将来を見通して、ほんとうに経済効果というものを考えてもらうならば、私は工業用水道の問題なんというものは、地盤沈下地域に対して今三分の一でございますが、三分の二にしたって少しも国は失うところはない。早くやればあとで結局建設省や運輸省の予算は少なくて済むことになるのでありますから、そういう点が(「なわ張り争いだ」と呼ぶ者あり)こちらから出ましたが、セクトの関係で非常に目先に終始している点が遺憾だと思うのであります。通産省も聞いておられることでありましょうから、その点は皆さん方はもう少し強腰で予算の要求を、それは決して通産省の利益のためじゃなくて、日本全体としての公共的の利益のためにやることなんですから、もうちょっとドライで押されてしかるべきだと思います。 次に薄井参考人にお伺いをいたしますけれども、今私は尼崎市に住んでおりまして非常に困っておりますのは、地盤沈下でありますが、今の地盤沈下だけではなくて、地盤沈下が起きてしまっているところでは、下水道という問題が、今度は相当大きな問題になる。というのは、下水道をある程度使わないと水が川に流れない、逆流してくる状態になりますから、ポンプで外に出さなければならぬというようなことで、下水道が非常に重要な問題になってくるのですが、どうも見ておりますと、新潟の場合は非常に有利な条件で、下水道問題が地盤沈下にくっつけてされておるが、尼崎の場合には都市計画法に基づいてされているために補助率が非常に低い。こういうような問題について尼崎としては、単に工業用水に限らず他の面で、当面としては何が一番緊要なのか。
○薄井参考人 お答えいたします。尼崎といたしましては仰せのように悩みの種は地盤沈下でございまして、これに関連いたしまして今仰せの下水道工事はもちろん地盤沈下による問題でございまして、おそらく全国でも、ポンプ・アップする場所が四十カ所近くもあって、全市的にやっておるところはオランダ以外にはおそらくないと考えております。われわれも何とかしてこれを早期解決すべく、政府の方へも猛陳情をいたしておるのでございますが、何分にも先立つものは何としてもやはり経費問題であります。補助関係におきましても新潟市におきましては、御存じかもわかりませんが、地盤沈下の関係におきまして三分の二を今年度も予算化していただいたということを承っております。尼崎市はどうしてもそれについていくことができないという結果になっておるのでございまして、引き続きわれわれも政府に対し、関係省に対しては陳情をいたしておるのでございます。下水道が完成せぬことにはせっかくの地盤沈下工事がむだになってくるというおそれが多分にあるのでございます。技術的な説明は私もよういたしませんけれども、地盤沈下に対する諸問題のうちでも、下水道工事が最近の状態としては一番必要な事業になって参ったのでございます。本年も引き続きこの下水道工事に対して、大幅な地盤沈下対策としての下水道工事だということをお認め願って、高率補助を一つ獲得するように猛陳情をいたしたいと考えますので、先生方もどうか一つこれに御協力をお願いいたしたいと思う次第でございます。
○堀委員 最後にこれは河川の問題に関係いたしますからあれですが、佐藤先生は工場立地調査審議会の会長をしておられるそうでございますので、立地との関係でさらに強い規制が必要ではないかと思いますのは、今工業用水問題を調べてみますと、実は水がないわけじゃないところが非常に多いわけでございます。淀川なんかは実は水はたくさんあるのでございますが、浄化用水にむだに流しておる量がきわめて大きいわけでございます。しかし浄化用水になぜ流さなければならぬかといいますと、今ちょっと私が触れました下水道が不完全であるために、もう下水の水をみなそこらの川へ流している。そうすればこれは川でございますから、当然浄化用水を流して洗い流さなければならぬ。あるいは内陸にあるものについては工場廃液、今水質汚濁防止法とかいろいろありますけれども、これはまた資本主義ですからなかなかうまく取り締まれないということになって、依然として川はますますよごれてきつつある。水があるのにこれが経済の発展のために使えないということになりますので、問題は回り回っておるわけでありますけれども、もっと総合的なコントロールの仕方というものを強化していかないと、せっかくのいろいろな経済の成長に対してブレーキがかかる、こういうふうに思います。そういう工業用水確保のための下水道の問題とか、あるいは工場の汚染水の排出の問題とか、こういう問題を、さらに推進しなければいけないと思いますが、先生はその点について何かお考えがございましたら一つお聞かせいただきたいと思います。
○佐藤参考人 私はあまりそっちの方は専門じゃありませんのでよく存じません。工業用水の専門の方がいらっしゃいますから、そっちの方に譲らしていただいてよろしゅうございますか。
○堀委員 御専門でなくても、やはり工場立地に関しての御専門でしょうから。そうすると工場立地というものは、そういうものの関連から生じてくるわけでございましょうから、それについての先生の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○佐藤参考人 実際あなたのおっしゃる通りなんです。大体日本は降水量が平均して千五百ミリございますから、ヨーロッパはその半分なんです。ヨーロッパは大体八百ミリくらいですから、日本はその倍以上あるのですが、これをやたらに海の中へ流してしまう。水は非常に多いのです。多いが、その運営の仕方と申しますか、さっきおっしゃったような運営の仕方が悪いものですから足りなくなっている。これはやはり何かそういう計画的な基礎調査のための機関を設けてやれば、もっと十分に工業用水に回すことができるのです。水田なんかでもたくさん水を使っておりますが、われわれはあれも倹約できると思うのです。大体日本は水をぜいたくに使っておるものですから、家庭でも水道を引っぱったって、実際ヨーロッパや中国と比べると水をだいぶ使っております。これはあらゆる面で少し経済的にやれば十分間に合うと思いますが、いずれこれは計画的にやることを、あなたのおっしゃる通りやりたいと思っております。
○中川委員長 加藤清二君。
○加藤(清)委員 私はこの際時間の関係もありますから、簡単に工業用水の一点について御質問したいと思います。 江戸さんに、工業用水が今後ますます必要になりまするが、一体工業用水は今後いかほどであったならば工場等の経営がうまくいくか。それから加古川市長さんと尼崎市長さんには、ともに工場誘致をなさろうとしていらっしゃるでございましょうが、その際必要な工業用水の値段は、工場に対してどのくらいの値段で提供したならば、工場誘致がスムーズにいくであろうかということ。それから佐藤先生に対しては、この工場立地の立場からいって、工業用水の価格はどの程度であるならば、諸外国の同じような立場にある工場とコストを競い、その製品が国外の市場において競争でき得るであろうか、こういうことをお尋ねしたいのでございます。なぜかなれば、私の住んでおりまするのは名古屋の周辺でございまするが、やはり先立つものは水でございます。池田首相は先般科学技術は工業の母だと言われましたが、私は工業用水は工業の血液だと思っております。工場立地の一番大事なものは、何と申しましても土と水と機械と人である。ところでこれが過去の工場立地の基本的観念が、ただいま佐藤先生のおっしゃいましたように、水をおろそかにしていた結果は、名古屋も例外なく地盤沈下をいたしました。その結果、それを一般市民は知らずにいたわけでありますが、一たび伊勢湾台風が参りますや、自分たちの住んでいるところは、海の水より低かったということに気がついた。何百というとうとい人命を海に流して初めてそれに気がついた。そこでこのたび、今後工場を作るには、どうしても地盤沈下を防ぐ方法を講じての水を求める求め方でなければならぬ。なおかつ災害を防ぐには、先ほど堀君からも話のありましたように、防潮堤をも築かなければ、工場は安心してその土地に工場を建てることができない。この防潮堤は数千億を要するわけであります。愛知用水は高くかかったと言いつつも三百六十億程度であります。その十倍をも必要とするような防潮堤を築かなければ、工場立地の条件が整わないということに相なってきておるわけでございまして、私は国家が工業用水に投資を惜しむ結果は、やがて数年後にどえらい国家の費用をロスとして使わなければならないということを、まざまざと目の前に見ているわけでございます。そういう立場から、今後の工業用水の水の取り入れ方は、技術者に聞くといたしまして、値段としては一体どの程度ならばよろしいか。聞くところによりますると、大蔵省の方は、特価が上がるんだから、工業用水もどんどん上げていったらいいじゃないか、こういう考え方があり、通産省の中にも、それはやむを得ぬことだから、工業用水の値上がりもいたし方ないであろう、こういう空気があるそうです。そういうやさきにあたって、実際その衝に当たっていらっしゃる皆さんの御意見を承りたいのでございます。名古屋の方の地元の答えをさきに申し上げまするならば、でき得べくんば、工業用水道の法律の趣旨にのっとって、すでに行なわれておりまするところの四円以下、でき得るならば四円以下にしてもらいたい、なろうことならば、平均値の二円程度にしてもらいたい、こういう意見が多いようでございます。東京地区はすべて物価が高こうございますので、あるいは東京、横浜、千葉地方においては、高くてもいいというお考えがあるかもしれない。しかし、そういうことが名古屋の方に影響されることはごめんだ、私はこう思っておるわけでございます。
○江戸参考人 お答え申し上げます。多少違いがあるかもしれませんが、十年後の所要量、日用にいたしまして約三百万トン、うち六十万トンは地下水、それから残り二百四十万トンが河川、そのうち大部分の二百万トンが利根川に依存する、こういうことだそうです。これは当たらずといえども遠からぬと思います。そこで、ただいま非常に急を要しまする分につきましては、印旛沼の干拓工事を根本的に再検討しまして、ここから日用にして約三十万トンの水を供給してもらいたい、こういうことがわれわれの要望でございます。値段は、私ども専門じゃございませんので、よくわかりませんが、最高六円以内と見ております。
○佐藤参考人 大体空気は絶対的な普遍財で、交換価値を持たないから、立地論では問題にならない。水は相対的な普遍財で、どこにもあるのです。もとはただだったのですが、工業が高度に発達してきたのと、さっき堀さんのおっしゃったように、日本人は水の使い方が下手なものですから、そのために水の値段が出てきたのです。その際どの値段が適正かというのは、ちょっと困難なのです。これは業種によって違いますし、それから平均することが、地域によっても水のあるところとないところとあって、非常に困難です。先ほど局長がおっしゃいましたように、四円内外というのが適当じゃないかと思いますが、水の適正な価格を出すのは、ちょっと困難だと思います。大体四円から六円くらいであろう、そのくらいしかお答えできません。
○稲岡参考人 先ほど田中先生の御質問の際に、水の価格についてお答えいを申し上げました。大体それくらいの予想を持っておりますのは、私の方は水を貯水いたします。その方法は、加古川の水の不要期にポンプ・アップいたしまして、そして貯水池に保留したりいたしております。そして渇水期の、大体四十日分を確保しております。つまり日用二十万トン、約八百万トンを確保する、こういう現在の計画で進んでおります。そういう計算からいたしまして、大体四円五十銭ということを見込んでおりますが、そのポンプ・アップあるいは加古川の水量とか、そういう関係で、それよりも安く確保できるのじゃないかという見込みは持っております。さらに工場の数がふえ、需要がどんどんふえることによって、もっと単価を押えることもできるのじゃないか。われわれの承っておりますところでは、四円以下に押えることが理想的じゃないか、こういうことのようであります。
○薄井参考人 工業用水の値段の問題でございますが、これはおそらく全国土地、土地によりまして幾分違うと思います。当尼崎市におきましては、結論的に申し上げますと、現在六万トン確保しており、第二期工事で二十万トンが早晩完成することに相なるわけですけれども、この二十五、六万トンの分に対しては、諸事困難もありましょうが、大体三円五十銭程度で押えたいという考えでございます。引き続き十万トンないし二十万トンはどうしても必要になってきますので、第三期工事を現在計画をしておるのでございますが、それは相当年度がずれますので、物価その他の関係で、少しは見なければならぬじゃないかという考えを今持っております。それにいたしましても、あらゆる困難を克服して、私は四円以内でまかなっていきたいというふうに今考えております。いろいろ事情もありましょうが、これを物価高と並行して値上げすることは、ひとり尼崎市だけではなく、日本全体の経済問題にも影響してくるのですから、値段はできるだけ低率にやっていきたい、こういうふうに考えております。
○中川委員長 他に参考人の方々に対する御質疑はございませんか。——御質疑がないようでありますので、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は御多忙中長時間にわたりまして、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとう存じました。本案の審査に資するところがきわめて大であると考えております。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十八日火曜日午前十時より理事会、同十五分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。 午後零時二十八分散会