P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
38回国会衆議院1961/02/22

商工委員会 第7号

発言数
124
登壇者
12
会派数
2
開催日
1961/02/22

会議録

中川俊思自由民主党

○中川委員長 これより会議を開きます。  通商産業の基本施策及び経済総合計画に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がございますので、順次これを許します。片帰港君。

片島港日本社会党

○片島委員 通産当局に最初にお伺いをしたいと思うのでありますが、この三、四年来火薬を製造しておる工場、日本化薬あるいは日本油脂、旭化成、こういったような工場でニトログリコールを使うようになりましてから死者も次々と多数出ております。また重傷あるいは軽傷では——軽い病人というのは数が知れないほど多数発生をいたしておるのでありますが、労働災害に対する補償関係ということになりますなら労働省の問題でありますけれども、ニトログリコールを使うことによって非常に危険な状態が起こる、目まいがする、頭痛がする、あるいはけいれんが起きるとか、視力が衰えるとか、いろいろな障害があるのでありますが、これが単に粉屋に働けば白い粉がつくとか、炭屋に働けば黒い粉がつくとかいった程度の見のがすべきものではないと思うのであります。非常に人命に重大な影響がある場合には、通産当局としてもただこれを一つの労災問題であるとか、あるいは社会保障的なものでみればいいんだというようなことでは、通産省としては責任が済まぬと思うのでありますが、これらの薬害病にかかって参りました者に対して、そういう工場に対して、通産当局としてはどのような対策を、今日まで講じてこられましたか、その点についてまずお伺いをいたしておきたいと思うのです。

秋山武夫通商産業事務官(軽工業局長)

○秋山政府委員 ダイナマイト工場の生産にニトログリコールを使う配合率が最近だいぶふえてきておる、そのためにただいま御質問のような薬害問題が発生しておるということは、実は前々から聞いておったのでございますが、私どもも火薬類取締法関係だけでなく化学工業一般の問題として非常に関心を持っておったのであります。  御承知のようにニトログリコールはもちろん戦前から使われておりましたけれども、戦後特に最近配合率がだいぶ多くなってきておる。この原因に大体二つ考えられると思います。一つは、特に戦後二十七、八年ころから輸入が自由に行なわれておりまして、比較的安い外国製のニトログリコールが入ってくる、従ってこれはコストを下げるということであります。それからもう一つ、技術的に見ますと、実はこのニトログリコールというのは膠質ダイナマイトを作ります場合のやわらかさを保つといいますか、作業が非常にやりやすくなった。ことに予備捏和工程というものが省略できるということから、作業的には非常に有効なものであるということでだんだん使う量がふえてきたというふうに聞いておるのでございます。ことに最後に申し上げました予備捏和という工程は、従来は人間が手でへらを使って練っておったのでございますが、これは実は過去にしばしば事故を起こした工程でございます。それが省略できるということは危険防止の上からも非常に有効なことであるということで、各社ともそういう方式にだんだん移ってきたように思われます。ただしこの場合困ったことに、ただいまお話のようなガスからくる薬害問題というものが起こって参ります。少量であればそれほどひどい薬害はないのでございますが、量がふえて参りますからだんだんガスの発生量が多くなるということで、そういう問題がやかましくなってきたわけでございます。初めのうちは実はそれが原因であることがはっきりしなかったのでございまして、ただ一種の職業病があるということがいわれておったのでございますが、三十四年、ですから一昨年あたりでございますか、どうもニトログリコールの発生するガスに原因があるということがだんだん明らかになって参りました。労働省等でも調査をされました結果、排気の設備を、特に機械のすぐ上に排気設備を設けるとか、あるいはマスクを使用させて、有害なガスを吸わないように遠くから正常な空気を引いてきて吸うというようなことをする、これはそれぞれ実は非常にむずかしい問題でございますから、どちらがいいかというところまではっきり結論が出ておりません。すなわち薬害があっても予備捏和を省略すべきであるか、あるいはそういうある程度の危険を伴う作業をしてでも、予備捏和をしてガス霧を減らすべきであるかということは、なかなか学問的にも議論があるところでございまして、むずかしい問題でございます。私どもとしてはなお現在はっきりした結論というものを持っておりませんので、研究を続けておるという状況でございます。

片島港日本社会党

○片島委員 死亡者が出ましたのは、しかも薬害として大体認められておりますのは、三十二年の六月、日本化薬から始まりまして、今御指摘のように、三十三年、四年ごろからは非常に死亡者も多数、しかも引き続いて出ておるような状態であります。しかも旭化成のごときは混合率を六〇%から三〇%にだいぶ減らした後において、なおまた死人が出ておるような状態であります。これよりほかに重症者というと相当おると私は思うのであります。またそれによって現在加療を受けておる者なども相当ある。この点は労働省に伺いたいのでありますが、この三工場の労働組合でいろいろ調査をした報告書が参っておりますが、これによりますと、工場側はできるだけこの実態を公にしないような風潮が見える。一般労働者はそういう専門家ではありませんかと、どうしてこういうことになるのだろうかということは全然わからない。しかしもうここ数年になるのに、しかもそのニトログリコールが人体に害毒を及ぼすか及ぼさぬかということはわかったのに、それがまだ今検討を続けておるということでは、そこの従業員というのは非常に危険にたえないものである。特にあのガス、蒸気を吸っておれば目まいもとまる、病状が平常に復する。それで調査の結果によりますと、ちょうどその薬が切れるのが四十時間くらいだそうであります。ですから日曜日中一日休んでおりますと、月曜日の朝薬が切れるものでありますからすぐ病状が現われてくる。毎日勤めておれば前の薬が消えないうちに、また次の薬を吸い込む——薬でない、毒でありますが、それを吸い込むものであるから、症状が起こらないという、これはちょうど麻薬みたいな現象が起きておる。こういうようなことは労働災害的な問題の取り扱いでなく、通産省も本腰を入れて、その混合率についても検討を重ね、さらにどうしても除去できないというものであるならば、これを混合しない——前は混合しなかったのですから、ただ安上がりであるからということで、非常に人命に危険のあるようなことを、ただ手放しにしておるということは、私は非常に理解がいかないのでありますが、いま一度軽工業局長の御説明を聞きたい。

秋山武夫通商産業事務官(軽工業局長)

○秋山政府委員 先ほどの私の言葉があるいは足らぬ点があったかと思いますが、ただいま検討いたしております点は、薬害と作業に伴う別の危険——火薬爆発等の危険とのかね合いをどの程度に考えるべきかという点を検討しておると申し上げたわけでございます。と申しますのは、換気はもちろんけっこうでありますが、マスクをするということは、やはり作業上行動を拘束されるわけでありまして、万一の場合の危険ということも考えられるし、それから先ほど申し上げました予備捏和をするということは、その工程自体にもっと危険があるということで、過去にそういう事実がすでにございますから、それをもう一ぺん繰り返すことは避けたいという意味の検討をしておると申し上げたわけであります。私どももこの問題は単なる職業病の問題、労働災害問題とばかりはもちろん考えておらないのでありますが、最近やはりダイナマイトそのものの品質にも非常な進歩を要求せられております。たとえば凍結度——温度の低いところで使っても安全に使える。粗悪なダイナマイトといっては少し語弊がありますが、従来の昔から使っておりましたダイナマイトは、ある温度以下で使いますと非常に爆発が早くなって危険でございます。ニトログリコールを混和するということは、そういう意味にも一つの技術的進歩でありまして、単にコスト引き下げというだけではなくて、ダイナマイトそのものの性能が非常によくなるということで歓迎をせられておる。使用者側からも非常に喜ばれておるというのでございます。それが実は混合率をふやしてきた大きな要素であるとも考えられるのでございます。ですからそういう利点を犠牲にしてでも病害を防ぐ、これは至上の問題でございます。病害を防ぐ手段は他にないとすれば、これはもうやむを得ない、何らか別途の方法を考えざるを符ないのでございます。従来外国等のいろいろの文献等を調べましても、一般的にニトログリコールの配合率はふえてきておる。これは世界的の傾向のようでございます。日本だけではない。ただ薬害問題が日本ほど激しく出ておるというケースは実はあまり聞かないのでございます。そこいらにどうも設備的な不備があるかもしれない。この点はもちろん十分改善をなさなければならぬものと考えております。

片島港日本社会党

○片島委員 ところが爆発の危険とかいったようなことは、必ずしもそういう工程だけに起こるのではなくて、御承知のように二月十一日の午後零時四十五分ごろ、また第一二イプマン工室から突然爆発をいたしました。これは延岡の旭化成の火薬工場でありますが、八名おりましたものが四名が死亡いたしまして、四名が非常な重傷を負っておるような不祥事態が起きたのであります。この原因については調査中といっていつでもそのままになるのでありますが、この原因はどういうことであったか。またそれに対してどういう善後措置を通産当局としては考えておられるのか、その点についてもあわせてお尋ねしておきます。

秋山武夫通商産業事務官(軽工業局長)

○秋山政府委員 先々週の土曜日、ニイプマン工室から事故が起きまして、まことに残念なことでございます。御承知のように一昨年来火薬の事故が非常に頻発いたしました。私どもといたしましても何らかそれに対する対策を根本的に考えざるを得ないということで、前の通常国会におきまして根本的な法律の改正をいたしました。この二月一日から効力を発生、実施いたしております。ところが今回のこのニイプマンの事故は非常に特異性のある事故でございます。と申しますのは、ニイプマンと申しますのはダイナマイトを成型して押し出す、成型と同時に包装をいたします自動的な機械でございます。現に世界の進んだ各国では全部採用されておる最新式の機械でございます。日本にはこれは合計十一台ございます。そのうちの二台が延岡の工場に据え付けられております。その一台が先日爆発したものでございますが、こういういわば最近代的な機械が機械自体として事故を起こしたという例は従来なかったわけであります。いずれも工員のミスであるというようなことで起こった事故が大部分であります。それだけに私どもといたしまして、実はこれは根本的に検討しなければいかぬということで、ただいま東大の火薬学教室の応援を求めまして機械の調査を進めております。爆発いたしました機械を復元いたしまして——まだ復元できておりませんが、厳密な調査をし、技術的な検討をしておる最中でございます。従いまして、確かに調査中ということで断定的な原因をまだ申し上げられる段階ではないわけでございますが、当時の状況、機械の破壊状態等から、どこに事故が起こったかということだけははっきりいたしております。要するにスクリューを二本使いまして、ちょうど肉ひき機械のような構造でございます。練りましたダイナマイトの原料を押し出して成型する、そのスクリュー部分に何らかの異常が起こって爆発事故を起こしたという、この事実だけははっきりいたしております。なぜそういうスクリュー部分に爆発を起こしたかという、その原因が実は問題でございます。ごく概括的に申し上げますと、せっかく最近代的な機械を使いながら、あるいは使っておったからであったかもしれません、それを使用する側の工員の教育といいますか、要するに完全に近代的機械を使いこなすだけの訓練に、やや欠くるところあったのではないかという感じがしておるのでございます。これはつまり安全装置の問題でございます。もちろん中に装入いたしまする薬そのもの、ことにその原料の精製等からずっと系統的に調べてこないと、原因は的確につかむわけには参らぬと思いますが、さしあたり数日間の調査だけで判明いたしました点は、どうやら安全装置の使い方がやや粗略であったかのような感じがいたしております。この機械は日本に入りましてすでに六年余りでございまして、他の九台も何の事故なしに使われてきておったのでございます。この旭化成の二台は約三年、三十三年から何ら故障なしに使われておった機械でございます。御承知のように本年はちょっと冬の気温が違いましたので、例年から見まして温度が低かったということで、暖かいといわれております南九州でも、かなり温度の下がった日もあったようでございますが、それらと関係があるのじゃないか。つまり室温といいますか、薬がある固さ、ある粘度で順調に動いておるときは何ら問題はない。それが温度の変化等で固さが強くなる、その場合には梓通の温度であれば安全装置が完全に働き得るものが、固くなったために安全装置が動かずに事故を起こしたというような想像もあり得るかと思うのであります。いずれもまだこれは推定の原因でございまして、これだと断定して申し上げるわけにはいかないのでございますが、最近代的な機械に事故が起こったということで、私ども実はちょっとショックを受けておるのでございます。徹底的に原因を究明したいと考えております。

片島港日本社会党

○片島委員 通産当局に最後にお伺いしておきますが、さきの話に戻って、ニトログリコールの混入率をだんだん下げていけば爆発の危険が、もっとほかの危険が出てくる。この混入率を増してくれば薬害がある。そうすると火薬工場に勤めておる職員は、爆発の危険にあうか、薬害にあうか、どちらかを受けなければならぬことになるわけでありますが、あなた方は、爆発よりも薬害がいいとか、あるいは薬害よりも爆発の方がいいんだとか、こういうことには私はならぬと思う。あなたの今までの答弁によりますと、どちらかの危険を身に感じなければ、火薬工場には勤められないということになるのじゃないかと思うのですが、これの絶対的な、またどの程度の危険率というか、そういう予防方法というものは考えておられませんか。

秋山武夫通商産業事務官(軽工業局長)

○秋山政府委員 私が申し上げました意味は、絶対にそういう意味ではないのでございます。つまり最も安全に——安全にという意味は、薬害に対しも爆発事故に対しても安全ということでございます。最も安全に作業を続ける方法はどういうやり方であるのかということの探究にあるわけでございまして、マスクをかけつつもある程度配合率を維持するがいいのか、あるいは、たとえば交代時間というか、作業に従事する時間を短くする、交代を早くする、長時間一つところに作業させない——これは労働省の問題になろうかと思います。私からあまりしろうとの議論を申し上げることはどうかと思いますが、というようなことも考えられないでもないのでございます。それからもっと徹底的にはガスそのものを発生させない手段をとる、かりに発生するとしても、これを人の口、鼻に入る前に、人体に入る前に吸い取ってしまうというような設備的な改善方法はないのかということ、これらは十分可能性のある問題だと考えております。現在のようなこそくと言っては少し言い過ぎかもしれませんが、あれが永続的に行なわれるということであってはならない問題であると考えております。ただそれが現在こうすれば両方とも完全に満たされますということを申し上げる的確な方法を発見してない、至急それを研究してまとめて実行に移させたいという趣旨を申し上げたのであります。

片島港日本社会党

○片島委員 それでは労働省にお伺いいたしますが、昨年十月ですか十一月ですかに、基準局長から地方の各機関へ通牒を出されて、いろいろと調査事項を命ぜられておったようであります。それが実は一般の従業員には公開せられないものですからわからなかったのでありますけれども、その結果に基づいて、これはいろいろ区分けはありましょうが、頭痛とか、目まい、胃が痛む、肩こり、嘔吐感がある、悪感、しびれ、胸しぼり、あるいは発作、こういったようないろいろな症状が出てくるわけでありますが、現在でも、また最近における状況でもいいのでありますが、そういう症状別、各工場において、各工場といっても全部はわからなければ、わかっておる範囲でもいいのでありますが、どのくらいどの程度の、軽症なら軽症、重症なら重症、中症、何かあなたの方で区分をして通牒の中に書いておられるようでありますが、その区分別にどのくらいものが薬害に冒されておるという御報告なり、調査がまとまっておりますか、この点がわかっておりますなら御説明を願いたい。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 ただいま御指摘のニトログリコールによる中毒症状の問題、先ほど来通産省から答弁申し上げた通りであります。実は一昨年、ことに昨年来この問題が非常に急速な対策を要する事態にたりましたので、昨年夏ごろから私どもの方で通産省とも連携をとりながら、私どもの方の衛生研究所あるいは労働科学研究所、こういった専門家で調査班を組織いたしまして、工場について急速に調査をいたして参ったのであります。このニトログリコールの関係工場といたしましては、全国で三社四工場になっております。関係いたします労働者が約千三百人くらいだと思っております。さらに昨年の秋から私どもの方の労働基準審議会におきましてもこの問題を取り上げまして、何しろ先刻来お話しの通り非常に専門的にむずかしい問題でございますので、専門家を委嘱いたしまして、専門委員会を作りまして、ここで詳細な検討を願いまして、これの対策を立ててもらったわけです。根本的にはやはり蒸気に有毒物があるわけでございますから、換気装置、排気装置、これが根本的に大事な点なんです。この点につきまして三社四工場につきまして四月までに、三月中にその排気、換気の設備、環境の整備を完了するようにまずお願いする。この環境の整備ができますまで、これはまた放置を許しませんので、これに対する緊急の措置を昨年の暮れに御審議願いまして、方針を立てたわけです。  まず第一に先ほどもお話の出ましたニトログリコールの配合率の問題でございますが、これにつきましては、四〇%をこえないことという基準を定めた。さらに第二には作業工程に応じまして、爆発の危険も考慮しながら必要な衛生保護具をつける。それから蒸気の測定を常時行なう。第四に健康診断を行なう。   〔片島委員「委員長、ちょっと話中ですけれども、私の聞いたことでない答弁をしている。私は調査の結果を聞いている。罹病者の数字を言って下さい」と呼ぶ〕

中川俊思自由民主党

○中川委員長 質問の要旨に答弁して下さい。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 今御質問の重軽症につきましての詳細な資料は現在持ち合わせておりませんが、現在私どもの方で把握をいたしておりますのは、日本化薬におきまして約四十一名の労働者が罹病いたしております。日本油脂におきましては三名の重症者及び数名の軽症者が発見されている。日本油脂の北海道の美唄工場におきましては、現在までのところ罹病者が見当たらない。旭化成におきましては約四名の死亡者が発見されております。

片島港日本社会党

○片島委員 旭化成のものも調べてみたが五名であった。それはあなたの方の対象が違うかもしれませんが、あとにほかの質問者が控えておりますから、先に進みます。  重症患者に対する取り扱いなどが各工場でまちまちになっているのでありますが、たとえば死亡者に対する取り扱いあるいは罹病者に対する取り扱いというのが公傷扱いをするところがあり、準公傷、私傷がある。こういうことは労働省として一定の統一した処遇というか、取り扱いというものを私は示すべきではないかと思いますが、その点はどういうふうに指導しておられますか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 ニトログリコールの中毒によります死亡者ないし罹病者につきましては、これが業務上の災害ということになりますれば御承知の労災保険の適用があるが、まだ現在までのところ労災補償の申請が出ていないのであります。ただ昨年来この問題が非常に大きな問題で、私のところでも、その申請が出てきました場合、業務上の傷害になるか、どこからなるか、どこまでがなるかという具体的な非常に技術的な問題がありますので、現在専門家を委嘱しまして、ニトログリコール中毒につきましての専門的な認定基準を作成中でありまして、近くでき上がりますと、これによって、申請が出てきました場合、これに対する労災補償の取り扱いというものが全国的に規定される、こういうふうになります。

片島港日本社会党

○片島委員 まだ労災の適用が法的にきまっておらないわけでありますけれども、各工場によって取り扱いがまちまちになっておることに対しては、これはその工場の任意にまかしておく、こういうことでございますか。その認定基準がきまって労災の適用を受けるまでは、各工場で公傷扱いをしようと私傷にしようとそれは勝手だと、こういうふうに了承してよろしいですか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 昨年までは各社におきまして、それぞれ労災補償の適用外ということで、各社でそれぞれの措置をいたしておったのであります。先ほど来私御説明申し上げかけましたように、三社四工場で統一的な措置を現在講じつつあるわけですけれども、今後かりにその労災保険の適用がありますまでにおきましても、大体そういう措置はだんだん統一されてくるものと思っております。

片島港日本社会党

○片島委員 まだ労災の申請が出ておらないというお話ですが、私は日本火薬と日本油脂は労災申請をしたということを聞いておりますが、まだ申請を実際しておらないのでありましょうか。また旭化成は従業員が非常に多いのでありますが、ここはどういうふうなことになっておりますか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 私はまだ出ていないと聞いておるのでありますが、ただあるいは地元の基準局なり、監督署と相談中であるかもしれぬと思います。その辺さらに詳細に調べます。いずれにいたしましても、これが出ておりましてもあるいは近く出るにいたしましても、認定基準の方をきめることが先決に必要でございますから、現在それを急がせております。これもほどなくできるものと考えております。

片島港日本社会党

○片島委員 それでは最後にお伺いしておきますが、認定基準を作るのには何か法的な措置が必要でありますか。現在の労災法が、爆発したとかあるいは何かこわれたとか、いろいろな外部的な原因からそれが呼吸器から入ったり、皮膚から入るというような、けい肺法は別に法的な措置は講じてあるのでありますが、この認定基準はどういうふうにして御決定になるのであるか。また、認定基準はいつごろでき上がるか。またすでにほとんどのものが薬害病として認めておる今までに死亡をした者に対しても、その認定基準ができ上がった場合には遡及して適用していただくものであろうかどうであろうか。今までの経験から見ますと、工場の会社の医者などがみな狭心症とか心臓病とかいうようなことで、実は処理をしておるのでありますが、それが遡及されるものであるか。この三点について最後にお伺いをしておきたい。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 先ほど私が御説明しかけましたように、また先生、先ほどお話のありましたように、中毒の症状が非常に複雑でございまして、頭痛、目まい、吐きけというものから血圧障害さらに進んで参りますと、急性の心筋梗塞というようなものもあります。その間の現われ方、それからまた時期によりまして、先ほどもお話のありましたように症状の現われ方が非常に違うわけであります。従って健康診断をいたします方法自体が非常にむずかしいもので、先ほどお話申し上げました措置の中に、健康診断の仕方そのものをやはり統一して、ほんとうに的確な健康診断をする。またそういうことと関連いたしまして、労災補償の認定基準が定まっていくわけなんでありますが、ただそれもかなり日時を要しますことでありますから、さしあたりの認定基準を速急にきめて、労災補償の適用に遺憾のないようにいたしたい。  いつできるかというお尋ねでございますが、この点は昨年募れからことしの初めにかけて始めまして、現在しばしば委員会を持ってやっていただいておりますので、ほどなくでき上がると思います。ちょっと的確な日時を申し上げかねるのでありますが、なるべく早急にいたしたいと思います。  なお、遡及の問題については、それがきまってからあとの患者について適用はあるというわけではないのです。もちろんその以前についても適用があるわけであります。ただ労災法は遡及の期限がありますから、その遡及の期限内ということでございますが、遡及はいたすことはできると思っております。

片島港日本社会党

○片島委員 じゃまたいろいろ資料も私の方で整えまして、労働省の力にも社会労働委員会において詳しく御質問することにいたしまして、きょうは私はこの程度で質問を終わります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 関連して。  私の知っております範囲においてもニトログリコール使用の率がふえて、死者、重症者、軽症者を出している工場がございます。日本油脂の武豊工場でございますが、それにつきまして、すでに労働省におきましては、この事件発生以来非常に研究を進めていらっしゃると承っております。それと、通産省当局はこれと協力していろいろ努力していらっしゃる様子にも聞いております。従って死者、重症者、軽症者が非常にたくさん出ておるにもかかわらず、今まで遠慮をして皆さんに期待して質問をすることをやめておったわけでございまするが、ただいま承っておりますと、死者、患者のデータの問題、あるいは労災申請の問題等々の御答弁によりますと、必ずしもこの調査対策が順調に進んでおるとは思われない。それは多忙ではございましょうけれども、片や毎日々々この患者や重症者は発生を続けているのでございます。増加の一途をたどっているのでございます。  あなたは今、重症、軽症を区別なさいましたが、一体私にはその重症、軽症の区別すらもできないのでございます。なぜかならば、元気できょうは行ってくる、こう言って玄関を出ましたとたんにぽっくりと死ぬのであります。きのうまで元気だった、従ってこの病名を地元の人はぽっくり病といっているのでございます。この工場に通う工員のみならず、その家族や周辺の人までが大へん心配をしておるのでございます。こういう状況下にありまして、ただいまのような調査なり、あるいは結論の出し方でございますと、みすみすここに患者、死者を見送るということに相なるわけでございまして、ここに私はまことに遺憾の意を表したいのでございます。従いまして、さしあたって今秋山局長のおっしゃいましたように、結論をどこへ持っていくかがわからないにしても、発生を防止するところの手段ぐらいは早急に講じていただかなければならぬはずでございます。なるほどニトログリコールを使えば原価コストは安くなるでございましょう。しかし原価コストがいかに安くなって会社がいかにもうかったとしても、そこに働く人たちが次々と患者となり、死んでいくという状態と引き比べてみて、はたしてこれは放置しておいてよろしいでございましょうか。一体いつの日に結論を出される御予定でございますか、もはや今日では社会問題でございます。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 先ほど私が御説明申し上げかけましたように、昨年の十二月二十八日に労働基準審議会におきまして安全と衛生の両課の合同会議を開きまして緊急措置を定めたのであります。緊急措置と申しますのは、先ほど申し上げましたように、四月までに三社四工場において必要な環境整備の装置をする。すなわち排気、換気、ただどこまでも放置を許せませんので緊急措置を定めた。緊急措置の内容は第一に配合率の問題、第二に衛生保護具の使用の問題、第三に蒸気の測定の問題、第四に健康診断、この四つの緊急措置を定めて、これを直ちに三社に通達いたしたのであります。環境整備の方は、現在のところおおむね順調に進んでおりまして、大体三月末までに一応の完了を見るのではないかと思っております。また設備の購入が若干おくれるところがあるかもしれませんが、おおむね三月中に完了できるのではないか。なお配合率の問題につきましては、一方において四〇%をこえないこと、同時に三〇%に低めるように努力するということになっておりますが、一つの問題は、配合率を低めて参りますと薬温を上げなければならない。そうすると温度が上がりますと、蒸発がふえまして、かえって有毒物質がふえる可能性もあるという問題が一つございます。もう一つは、凍結の関係におきまして爆発の危険性、安全の見地からの考慮も必要になってくる。そういう関係で四〇%から三〇%、どの程度に定めますかは技術的に非常にむずかしい問題があるわけでございますが、この辺を通産省と連携をとりまして、必要な指導をして参りたいと思っておりますが、配合率は大体そういう線で参りたいと思います。それから衛生保護具につきましては、昨年審議会できめました通りを実施してもらっております。蒸気の測定、健康診断の結果については、そのつど報告をもらうことになっております。以上であります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 あなたのその措置が完全に遂行されたとして、はたしてこのぽっくり病なりあるいは狭心症なりを完全に防止することができますか。あなたは工場の中へ入られたことがありますか。ちょっとそれを伺いたい。これほど死者や重症者や軽症者が発生しておる。それは過去の問題ではなくして今日なお継続されて次々と累加されつつあるという事態に対して、あなた自身は、実際その悪ガス、毒ガスの発生する工場に入られたことがありますか。まずそれを伺いたい。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 私自身は参っておりません。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 それでは通産省の中でこれをほんとうに体験された人がありますか。体験してごらんなさいよ。今あなたが私とここで話し合っているその瞬間にも工員はその場で働いているのです。まずしろうとの方が入られましたならば二時間とはとても続きません。あなたが一時間だけ入られてそこをぐるぐると回って今度帰ってこられましたら、このような演説はできませんですよ。まるで酒にめいていした上に、なお頭痛を加えたような格好になるのです。これはもう最初の症状なんです。やがてぽっくりといくんです。このことが今なお発生しつつあるんです。従ってあなたがいろいろお答えになりましたが、それはけっこう。しかしそれでもって完全にこのことが防止することができないとするならば、一体どうしますか。三月中に何がしの処置をするとおっしゃる。しかしその後も、おそらくこれだけでは、とうてい私の見た目からは完全ではないと思う。そこでさしあたって研究の結論、救済の結論が出るまでにも、なおこの悪事態は継続していくのでございますから、でき得べくんば、やむにやまれぬ必要悪とするならば、せめてそこに働く人の時間短縮をして、なるべく重症者、ぽっくり病に至らせないような御努力などしていただかぬことには、これは社会問題です。死んでいくんですぞ。よろしゅうございますか。これに対して局長の方からお答え願いたいと思いまするが、一体ほんとうにこの救済の結論はいつごろのめどをもって御研究を進めていらっしゃるのか、ないしはそれがもしできないとするならば、当面の措置としてどのようなことをなさいますのか。それもわからぬというならば、さしあたって一度大臣以下この工場の中へお入りになっていただくことの方が一番近道だと思いまするが、これについていかがでございますか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 このニトログリコール中毒の問題、労働衛生の問題につきまして労働省の所管になっておりますので私からお答え申し上げます。  昨年来私どもの方の労働衛生課長以下専門家を数次にわたって工場に参らせまして、各種の研究と調査をいたさせております。先ほど来申しました緊急対策によりまして、環境の改善が進んでおりますが、それに至りますまでの緊急措置の結果三月まで、もちろん今お話のありましたような健康診断をやっております過程におきまして、症状が現われてきます者については、もちろん職場転換をさせるような措置は講ずるわけでございますが、三月の健康診断の結果によりまして、それから三月末に完了いたします環境整備、排気、換気の装置の整備を待ちまして、さらに本格的な対策を樹立して参るわけでございますが、その三月に至りますまでも、さっき申しましたような緊急の措置でできるだけの措置をやって参りたい、かように考えております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 大臣せっかく来ていらっしゃいまするから、大臣の御所見を承りたいのでございまするが、実は先ほど来、この災薬工場におきましてニトログリコール使用からくるところのあまたの死者、重症者、軽症者等々の対策についてお尋ねしておったわけでございまするが、大臣お聞き及びの通りです。このことは過去の問題ではない。過去にも起きたが、現在もなお起きつつあるという問題、それについて一体大臣としてはどのような御見解を持っていらっしゃるのか、どのような結論を出そうとしていらっしゃるのか、人命にかかわる問題でございまするので、大臣の御所見を承りたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 至急に技術的に可能な対策を講じまして、今後そういう危険の防止に極力努めて参りたい、こう考えております。

中川俊思自由民主党

○中川委員長 田中武夫君。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 先ほど来の質問に関連をいたしまして、ちょっと秋山局長にお伺いいたしたいのですが、先ほど片島委員の質問に対する答弁の中で、この二月十一日に起こりました旭化成の事故については、何か機械を操作しておった労務者の側に十分経験がなかったといいますか、その機械をこなし得るだけの技術がなかったといった意味の答弁があったと思うのですが、その点をもう少し詳細に言ってもらいたいと思います。

秋山武夫通商産業事務官(軽工業局長)

○秋山政府委員 ちょっとまだ断定をしかねますので、内容をぼやかして申し上げたのでありますが、具体的な事実を申し上げますと、安全ピンという名称でありますが、機械の安全装置の一つとして、故障というよりも爆発が起こる可能性があるほど機械にロードがかかると、細い針金、直径二ミリほどのしんちゅうの針金でございますが、平常の状態のときには二本すり合わせのものをさしております。これがすり切れる。シャフトにつながっておるわけですが、これが限度であるということで、それ以上重いものをねじってシャフトに力がかかるとそれが切れるという装置になっております。二本が実は限度でなければならぬということに指定をされておりますが、それが三本ささったという事実が判明した。これは破壊されたままで、三本ささって発見されておりますので、どうもそこいらにも原因があったのじゃないかという想像であります。これは実は労務者というよりもむしろ監督者の側であろうと思いますが、そういう安全装置の操作の訓練ということをもう少し重視して、二本でなければならぬものを特に三本使ったというような軽率なやり方をさせないように訓練をしておくべきである。これはあえて労務者のみならず、社長以下社全体の問題だと考えますので、実は火薬類取締法の中でも、今回の改正はそういう精神的な訓練といいますか、心がまえを非常に強くうたっておるのであります。何分にもそういう点の教育の徹底に欠けておったのじゃないかというふうに想像をしております。ここいらはなお技術的な検討がはっきりいたしました上で、あらためて申し上げたいと思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 安全ピンが二本が限度で三本になると過重になる、そういうことだったら、旭化成の工場内の安全衛生規則とか何かにそういうことをきめておるのじゃないですか、二本以上はいけないとかなんとかいうことは。その点どうなんですか。

秋山武夫通商産業事務官(軽工業局長)

○秋山政府委員 規則としては実はきまっておるのであります。どういうことであったか、その際は三本ささっておったという事実です。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 労働基準法の四十九条によりますと、危険な業務の就業制限という規定がございます。特に危険なものについては特別な訓練を受けた者でなければいかぬ。こういうのは就業させてはいかぬというような趣旨のことになるのですが、今の秋山局長のお話のように二本で限度のものが三本さきっておったというのが、どういうところからか、まだはっきりわからぬとしても、従業員の側に機械を扱うことについて十分な経験なり技術を持っていなかったというようなことがあるとすれば、四十九条との関係が出てくると思うのですが、現に操作しておった従業員は経験どれくらいであって、あるいは安全訓練等についてばどのような訓練を受けておったのか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 労働基準法には今御指摘のような規定がございますが、その詳細につきましては、火薬関係につきましては火薬類取締法の規定によるわけでございます。従って労働基準法からは直ちに具体的な規定は出て参らない、詳細は火薬類取締法から出て参ると思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 四十九条の危険作業の就業制限の規定は火薬工場には適用がない、こういうことですか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 適用がないというわけじゃないのでありまして、この就業制限なり、労働者に対する教育の問題、そういう問題については具体的な火薬作業の工程によってきまるものでございますから、そこから出てくると思います。

秋山武夫通商産業事務官(軽工業局長)

○秋山政府委員 労働教育の問題と火薬類取締法による特殊の教育というか、技術訓練の問題とは実は重複した関係であります。むしろ労働教育は一般的な教育で、もちろん危険作業については、そういう危険の内容に応じての高度の教育はあるはずでございますが、特に火薬につきましては、瞬間的に事故が起こるわけでございますから、そういう意味での特殊の教育を要求しております。今回の火薬類取締法改正の中におきましても、教育面というものを非常に重く見て、あらかじめ計画をして認可を受けて、それを実施して報告をするというような手続にきめております。また一々教育基準をきめております。同時に保安責任者というものを、従来は全体の一工場、延岡なら延岡工場というものに一人というような、やや形式的といいますか、そういう内容になっておりますのを、副主任者というものを、原則は大体工員五十名について一人でございますが、今後はいわばいろいろな作業場ごとに主任者を置く、これが指揮の全責任を負うというような改正に直しておるのでございます。今のような安全教育について、しかも規則のあるにかかわらずこれが守られていなかったということは、やはり全体の教育の浸透度の問題に疑問があるというふうにわれわれにも感ぜられます。従ってこれは単に法文の問題としてではなく、会社内部における従業員全体に対する指揮の問題として、私はもう一ぺん会社に厳重な警告をし、反省を求め、改善をさせる手段をとるつもりでございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 具体的に、事故が起きたときに機械を操作しておった者は、どういう経験年数があるのですか。

秋山武夫通商産業事務官(軽工業局長)

○秋山政府委員 実は機械のそばにおりました者、ことに直接機械を操作しておったと思われます者が即死しておりますので、だれがそういう指揮をしたかというような事実がはっきりしていなのでございます。経験年数で見ますと、六年七カ月という人が一番長いのであります。少なくとも会社に入りまして以後ずっと経験をしておる。一人は六年七カ月、一人は二年五カ月というような経験年数の人でございます。ニトロそのものについての理解というものも十分あったはずだと思います。ただわかっております点は、今の安全ピンの保管とか、管理が必ずしもわれわれが期待しておった、あるいは他の礼でやっておったような厳重な管理をしていなかったようでございます。その辺に問題が伏在しておるように思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 火薬とか、たとえば鉱山災害といったような特殊な災害につきまして、ちょっと盲点があるんじゃないかと私は思うのです。実はちょうど一年前ですが、北海道夕張の爆発原因調査に私も北海道に行ったのですが、そのときもそういう感じを受けたのですが、きょうのこの質問を聞いておりましても、火薬なら通産省の軽工業局ですね。通産省と労働省との間の十分なあれがないというのですか。あるところは重なり合って二重、三重の監督なり何がある。ところがどこか一つ抜けているのではないか。たとえば火薬でいうならば、改正によって警察官も立ち入り検査できるようになったのですね。それから安全衛生の立場から基準局がやる。それから火薬法の立場からあなたの方が直接監督をする。そういう面からならば三重にもなっておると思う。ところが今現に加藤委員の質問のときにも、労働省と通産省とがごっちゃになったような、どうもそこに十分なところがないと思うのです。それで火薬の設備とかそういうものについては、火薬類取締法によって通産省の方で通産大臣が許可しているわけです。それに対する安全操業の問題についてはどっちが責任を持っているのですか。

秋山武夫通商産業事務官(軽工業局長)

○秋山政府委員 火薬工場におきまする、ことに火薬の爆発事故による責任は、全部私どもの方で持っております。と申しますのは何といっても専門の知識あるいは技能というものを要求されますので、労働省が所管しておられる一般的な労働教育という程度では足りない、むしろ火薬一般でも足りないというものでございますので、そのうちの特殊の火薬、ダイナマイトならダイナマイト、そのうちのまた捏和なら捏和工程という、その部門特有の専門教育といいますか、そういうものまでは労働省に要求することはちょっと無理でございます。一般教育のほかに特に加重してそれを私どもの方の火薬類取締法による教育計画の内容の一部ということで要求しておるわけでございます。これは責任は全部私どもの方で負うわけでございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 火薬工場に対して労働基準監督署は一体どの程度の安全上の監督権があるのですか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 労働災害の防止、労働安全全般につきまして、鉱山保安の問題を除きまして労働省が所管いたしております。ただ火薬関係につきましては技術的にも非常に高度であり、複雑でありますし、生産工程と非常に密接な関係があるという関係で、現在のところ火薬類取締法に規定されておりますところによって措置いたしております。もちろん私どもの方といたしましては、全般的に安全管理の組織でありますとか、あるいは労働者の安全意識についての教育でありますとか、そういう点については極力やっておるつもりでありますし、また今後もやって参りたいと考えております。そういう関係で労働災害全般の問題として私どもの方もお世話いたす。従って火薬の問題についても、もちろん私の方でも努力いたしたいと思っております。問題は、今御指摘のように重複する場合はまだいいわけです。かりに盲点があるといたしますと、その点が一番心配なので、その点今後とも私どもの方でも通産省と緊密な連携をとって努力して参りたい、かように考えております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 鉱山災害を除くほか一般についてということは、これは労働基準法に書いてある通りで、その通りなんです。ところが今あなたが言われた一般的な安全衛生の問題について、こういうことが書いてある。そうすると火薬工場の中の一般的な安全衛生についてはあなた方の方でやる、特殊なことは通産省の方で監督する、そういうことになる。たとえば火薬工場の安全衛生規則はどっちが認可するのですか。

秋山武夫通商産業事務官(軽工業局長)

○秋山政府委員 この点は重複いたしておりまして、安全衛生規則の認可は労働省系統の責任、任務でございまして、それから火薬類取締法の中に、さらに特殊の教育を要求いたしております。その方のやり方の監督は私の方がしております。つまり一般的な取り締まりとその上に加重した専門教育の義務と二段がまえになっております。ちょうど先刻から御質問が出ておりましたようなニトログリコールによる薬害の問題、これは実は爆発と直接には関係ないわけでございますが、これは労働省所管の問題でございます。火薬類取締法というのはいわば爆発予防、爆発に直接関連のある問題あるいは教育、訓練というようなことは、全部私どもの責任でございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 そうすると設備の定期検査なんかは通産省でやるわけですか。

秋山武夫通商産業事務官(軽工業局長)

○秋山政府委員 私どもの方で全部やっております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 そうすると火薬製造工場には、安全衛生規則、これは労働基準監督署で認可を受けたやつのほかに、あなたのおっしゃるいわゆる特殊な規則があるわけですね。そうするとたとえば今おっしゃった安全ピンの二本が限度だとか云々ということはおそらく安全規則というか、特別規則というか何かにあったと思うのですが、そういうことの規定の入っておる工場の規則は、どっちが認可しているのですか。

秋山武夫通商産業事務官(軽工業局長)

○秋山政府委員 規則という場合は、これは工員に一本で教え込む必要がございますから、統合されて一本の規則として労働省系統の認可を受けるということになりますが、その内容は二つの部分にわかれておる。法律的な議論でございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 だから火薬製造工場の安全衛生規則は労働基準監督署が認可するのでしょう。その中にたとえば今例になっている安全ピンの問題等も入っているわけなんですね。そうなんでしょう。それから労働基準法に基づいて使用者が十分な安全教育をしなければならぬという規定、これの基礎となる安全教育はやはり労働省の所管になる、そうでしょう。そうしたら安全について特殊な指導とか何とかいうことに通産省が残るのは、具体的にどういうことなんですか。

秋山武夫通商産業事務官(軽工業局長)

○秋山政府委員 実はこの火薬類取締法が施行されましたのが、今月二月一日からでございまして、従ってただいまの御疑問はごもっともでございます。従来の法体系で申しますと、安全衛生規則、すなわち労働省系統の中での一部をなしておる。しかしこれは二重にするか、あるいはそちらから抜いて当方の系統に移すか、これからの問題だと思いますが、いずれにしても今後はそういう特殊な安全教育等につきましては、当方の教育計画を認可を受ける際に、その内容としてできるだけ正確なものにしたいと存じております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 関連ですからこれでおきますが、大臣もお聞きのように、火薬とかあるいは鉱山災害というようなものは、どうも通産省と労働省の二重になっておる。そこにまた消防だとか、あるいは警察というようなものが入ってきて三重にも四重にもなっている。そうかと思うと何かどっか盲点があるんじゃないか、どこだというと法律上ぴったりとここだともはっきりしないが、何かあるような気がする。そういう災害が起こったときにいつも感ずるのです。  そこで大臣に申し上げるのですが、改正いたしました火薬類取締法は二月一日から実施になっておるということで、まだ十分その機能を発揮していないと思うのですが、そういったような労働省と通産省の間に災害等について重複するような点、あるいはまた十分に調査をしていただいて、盲点となっているような点ははっきりして、どっちに責任があるか、あるいは工場に対しての監督権その他の点もはっきりしていただきたい、このように考えるわけです。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 御指摘の点はごもっともでございまして、今後ともこの点につきましては両省の間であるいは特別の協議会なり、あるいは調査会なりその機構を考えなければならぬかもしれませんが、緊密な連絡をとって盲点の生じないように気をつけて参りたいと思っております。

中川俊思自由民主党

○中川委員長 岡田利春君。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 私はエネルギーの総合政策の若干の問題点について、いろいろお尋ねいたしたいと思うわけです。  エネルギーの問題を取り上げる場合には、だれしもがエネルギー政策は産業の基盤をなすものである、このように言うのであります。しかし私が戦後のわが国のエネルギー政策を検討いたして参りますと、エネルギー政策というものについて確固たるものがなかったのではなかろうか、このように考えざるを得ないわけです。最近五カ年計画が立案せられましたけれども、これも机上の空論としてものの用に立たない計画に終わってしまった。こういう傾向を実はたどっておるわけです。しかし今回池田内閣の国民所得倍増計画に基づくエネルギーの供給計画が立案をされておるわけでありますが、やはり従来にないわが国の総合的なエネルギー政策である、このように私は理解をいたしておるわけです。特にこの所得倍増計画に基づくエネルギーの供給計画によりますと、目標年次である昭和四十五年には、石炭換算で二億八千三百万トンのエネルギーを供給をする、しかもこれは昭和三十四年に比べますと実に二・三倍になりますし、輸入エネルギーが実に五九%近く占める。しかもその総額は、目標年次の輸入総額の二割に達する、こういう非常に、従来にやられなかったエネルギーの構造面からいってもあるいは長期の展望からいっても、私は、画期的なものではないか、このように考えるわけです。しかしこの計画がもし大幅に変更される、あるいはそごを来たすということになりますと、各産業に与える影響もそうでありますし、なかんづくわが国のエネルギー産業に与える影響は非常に重大だと思うのです。そういう意味で、これから実施していく通産大臣として、この計画に基づいて、これからの十年間のエネルギー供給計画、エネルギー政策について確信があるかどうか、まず初めにお伺いしたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 御指摘のように、エネルギーの今後十年間における需要というのは、全く圧倒的な数字であります。この相当に速度が早くそして非常な量に及ぶこのエネルギー関係の建設開発というものについて、根本的には何といってもこれは産業の基礎をなすものでありますから、これが国民経済の隘路になるというようなことになりますと、全部がストップするという状況になるのでございまして、何としても需要に応ずる供給力の確保をはかるということがまず第一点であると思うのであります。  続いて、この開発建設にあたりましては、やはり内外の経済情勢というものに照らして、十分に各産業が競争力にたえ得るようなエネルギーの合理的な低廉な供給体制を確立するということが、その次に問題になる点だと思うのでございます。さような気持を持って、このエネルギー問題に対処して参りたいと考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 政府の所得倍増計画の中に出ておるエネルギーの供給計画を見ますと、これはきわめて結論だけが載せられておるわけです。この基礎は、経済審議会で設けましたエネルギー小委員会の結論、報告に基づいて作成されたものと考えるわけなんですが、この点間違いありませんか。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 お説の通りでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 エネルギー小委員会の報告をずっと読みますと、これはいわゆるOEECのハートレー・エネルギー委員会あるいはロビンソン報告の日本版の焼き面しではなかろうか、もちろんロビンソン報告は、これは欧州のエネルギー政策に大きな影響を与えておるわけですから、そういう意味では、もちろんわが国においてもこの影響を、一応将来の傾向として受けることは間違いがないと思います。ただしかしヨーロッパ諸国におけるエネルギー政策とわが国のエネルギー政策を考えてみますと、相当大幅に違いがあると思います。たとえば石炭政策一つ取り上げてみましても、戦後におけるヨーロッパの諸国の石炭政策とわが国の石炭政策を比較してみますと、わが国の石炭産業は今日依然として非常に後進的な地位にある。こういう面からいって相当ヨーロッパの場合とは違いがあると思うのです。そういう点で、当然わが国のエネルギー政策というものは、従来のエネルギー政策の欠陥に基づいて、それを克服していくというわが国独自のエネルギー政策でなければならないと私は思うのですが、ヨーロッパと日本のエネルギー政策の違いという点について、どういうお考えを持っておるか、お聞きしたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 どういう点に違いがあるかというお問いがありましても、非常にむずかしい問題でありまして、やはり小委員会といたしましては、日本の現状に照らして、たとえば石炭産業なら石炭産業の実情を全然無視して作られたものとは私どもは考えておりませんし、またそうであってはならぬ。電力の問題にいたしましても、日本の置かれておる地勢その他の自然的条件というものを十分に考慮して、エネルギー政策というものを立てたものと私は確信しておるのでありまして、おのずから他の国のエネルギー政策と、その実体において現実に即応したものでございますから、その限りにおいては違いがあると私は考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 そういたしますと、もちろん現在のエネルギー構造の変化というのは、固形エネルギーからエネルギーの流体化の方向、あるいはまたエネルギー需要者の選択の自由、こういう二つの柱が強くいわれておるわけであります。しかし、これまでの日本の、特にわが国でその主流をなしております石炭政策をずっと検討して参りますと、今そういう傾向があるからといって、そういう波に乗って産業転換をはかる、エネルギーの構造改革をして構造を急激に変えていく、こういうことになりますと、これは相当大きな混乱が起きてくるわけなんです。もちろんそういうエネルギー産業の転換というのは一つの趨勢ではありますけれども、その産業の転換をはかると同時に、従来のエネルギー政策というものを改めて、エネルギー政策をまず転換をさしていく、こういうことが産業転換にあたって強く意識され、そういう配慮を強くなされていかなければならないのじゃなかろうか。特にわが国の雇用面から考えても、石炭産業の及ぼす影響から考えても、そういう政策の転換ということが強く考えられなければならないのではないか、このように考えるのですが、こういう点の見解はいかがですか。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 従来石炭産業が日本のエネルギーの中心をなしておったのでございますが、だんだん世界の石油埋蔵量に対する発見と申しますか、調査が非常に進んで、世界全体のエネルギー需要というものをどんどん追いつき、あるいは追い越すような程度まで新しく石油資源が発見されて参りまして、これは画期的で、もう世界一様に従来のエネルギー産業の構造というものが、そのために変わりつつあるものと私は考えるでありまして、ある程度はその情勢に順応して考えていかなければ、日本の産業というものを維持して参るわけにはいかぬのではないか。しかしながら、御指摘の通り、あまり急激な変化を来たす、まあはやりに乗ると申しますか、そういったような考え方でこの問題に対処いたしますと、あるいは従来の国内の産業秩序、構造というものに対して急激な変化を与える、それがいろいろな波紋を生む。ことに雇用問題等について大きな問題を包蔵しておるのでございますから、大体の大勢は構造の変化を避けることはできないということは考えていかなければなりませんけれども、この方向をきめて進むにいたしましても、慎重にこれに対処しなければならぬというふうに考えておる次第であります。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 そういたしますと、もちろんエネルギー問題ですから慎重に扱わなければならぬわけなんですが、ただヨーロッパの場合と日本の場合の石炭産業の地位、あるいは石炭産業の近代化といいますか、近代性といいますか、そういう点についてはもう相当隔たりがあるということは明らかな事実だと思うのです。従ってそういうエネルギーの傾向を私は否定するものではないのですが、石炭産業の危機の度合いというものは、やはりヨーロッパの場合と日本の場合を比較するずいぶん違いがあるし、この危機に対する石炭産業政策を検討してみますと、これまたヨーロッパの場合と日本の場合には大きな違いがあると思うのです。日本の場合には極端に申し上げますと、防貧的な、貧乏、失業を少しでも防ごうという意味、あるいは放置しておくと治安問題になるというよう々面から、そういう面の対策というものに重点が欄かれておって、積極的な国内エネルギー政策という面は非常に消極的になっておるのじゃないか。今年度の予算を見ましても、石炭産業のみならず、石油資源開発の問題、天然ガスの開発の問題もそうだろうと思うのです。そういう面から考えてみますと、こういう石炭産業が置かれておる実態というものは、やはり長期的に今まで日本の政府はエネルギー政策というものを持たなかったという点、あるいはまた炭鉱においては炭鉱の経営者が古い生産機構に甘んじていて、安い労働力だけにたよって石炭の生産を上げてきたというところに、私は今日の原因があるのじゃないかという工合に考えるのですが、こういう点についての見解をお伺いします。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 何といいましても日本の経済、産業が近代化した歴史を振り返ってみますと、ヨーロッパ等と比較するとまだまだ年数がたっておらない、若い。しかもその短かい間に非常な躍進を続けて参ったのでありますから、石炭産業なんかに見ましても、設備あるいはいわゆる近代化の点についてはかなり進んだところもありますけれども、中小炭鉱の多くはまだ非常な後進性を脱却し得ない段階にある。石炭業界を見てもそこに二重構造というものが看取されるのではないか、従ってこの石炭産業に対するいろいろな政策にいたしましても、そう簡単ではないということを痛感いたしておる次第であります。   〔委員長退席、内田委員長代理着   席〕

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 もちろんこれからの石炭産業も、険しい道を歩んでいかなければならぬわけであります。しかし日本の石炭産業を技術面からずっと検討してみましても、従来は非常に石炭が必要であるという場合には、人をどんどん入れて石炭の増産をはかる、今度石炭が要らなくなってくると前に雇用した人を解雇する、こういうことによって石炭の需要に対する調節を行なってきたと思うのです。そういうことが非常に石炭採掘の面についての機械化、近代化というものがおくれた大きな原因ではなかろうか、こういうふうに判断をするわけなんですが、この点はどうでしょう。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 御措置の通りただ安い賃金にたよって、そしていわゆる人海戦術と申しますか、そういう旧態依然たる経営をしておる炭鉱が、中小において非常に多い。しかしながら二面においては石炭鉱区の若返りでありますとか、その他坑内、坑外にわたるいろいろな近代的な施設をやってきておるところもある。一がいに日本の石炭鉱業というものはただ旧態依然たるありさまで、安い労働力というものに依存してきたとばかりも私は断定できない、相当に近代化した山もある、こういうふうに考えておりますが、しかし多くの中小炭鉱においては、御指摘のような状態であるということは認めざるを得ないと思うのです。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 そういたしますと、今度の長期的なエネルギー供給計画に基づく石炭産業の規模は大体五千五百万トンに押えられておる。しかし近代化して能率をどんどん上げていく、こうなりますと炭鉱労働者は昭和三十八年度にはどのくらいの数になりますか。さらに昭和四十五年度にはどの程度の人員になりますか。さらに小委員会で示している昭和五十五年度には大体どの程度の炭鉱労働者の数になりますか、お伺いしたいと思うのです。

今井博通商産業事務官(石炭局長)

○今井(博)政府委員 昭和三十八年度は十七万六千人を予定いたしております。それからそれ以後の計画につきましては、まだはっきりした計画が立っておりません。しかし三十八年度までで過剰の労務の縮小というものはおおむね完了する。それ以降はやはり自然減耗を中心とした減少率が見られるというふうに推定いたしております。その場合に労務者が何人くらいが適当であるかという点につきましては、今検討中でございまして、はっきりした計画を現在持ち合わせておりません。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 これはエネルギー小委員会の答申案から検討してみますと、私の計算では——これは確数ではないのですが、現在三十四年十月で二十四万八千人の炭鉱労働者があるが、三十八年では十七万五千人程度になるのじゃなかろうか、従って三十八年度までにはさらに七万三千人の炭鉱労務者が減る。それから昭和四十五年度には大体十万六千五百人前後、そういたしますと現在から比較すると十四万一千五百人くらいの人が減る。昭和五十五年度には炭鉱労働者は七万二千人前後ではなかろうか、そういたしますとこれは十七万六千人炭鉱労働者が減る、こういうことになるわけです。これはどういう点からこういう数を見たかというと、まずエネルギー小委員会で答申されている出炭規模と、将来にわたる能率ですね、これは具体的に出ておるわけです。これからいくと当然人員というものは推定されると私は思うのですが、いかがでしょうか。

今井博通商産業事務官(石炭局長)

○今井(博)政府委員 おっしゃいますように、一応算術計算ではじきますといろいろな数字が出て参ると思います。われわれの方でも、確定した数字ではございませんが、どのくらいになるかということを想定した数字はございます。その数字は、現在の実績人員は約二十五万といたしますと、これに対して十三万人程度の減少が見込まれるのじゃないかという一応の想定を持っております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 最近の石炭事情は、非常な渇水による電力需用の増大、産業活動の旺盛、さらに寒波による暖房用炭の不足、こういうような面で非常に石炭の需要が活発なわけです。しかも今日の業者貯炭状況は百六十九万トン程度で非常に貯炭量も低いし、特に中部あたりでは石炭の需要の問題については融通をしなければならない、こういうような点で非常に逼迫をしておるわけですが、こういう面からいって、今年度の出炭を見ますと、大体私は十、十一、十二、この傾向というのは五千五百万トンのベースを出炭しておると思うわけです。従って今年度の見込みはおそらく五千五百万トン程度になるのじゃないかと私は思うのですが、そういう面からいって、来年度の出炭見込みはどういう数量を見込まれておるか、お伺いしたいわけです。

今井博通商産業事務官(石炭局長)

○今井(博)政府委員 先生がおっしゃいましたような傾向が出ております。来年度は一応われわれのところでは約五千五百万トン程度、それより若干欠けるかもしれませんが、正確に申しますと五千四百八十万トン程度、一応そういう計画で進みたい、こう考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 今後のエネルギー供給の中で、目標年次における輸入炭の総量は二千五百六十四万トンが見込まれておるわけです。これはもちろん鉄鋼のきわめて大幅な増産、これに見合う原料炭の輸入でありますけれども、これに要する外貨は大体四億三千万ドルに達するのではなかろうか、このように考えられるわけです。そういたしますと、このように膨大な原料炭が輸入される外貨を節約するという面で、わが国の原料炭地域の積極的開発ということが、私は当然考えられてこなければならぬ問題ではないかと思うわけです。大体原料炭は今日一千百万トン程度の出炭規模でありますけれども、これを五割ないし将来は倍近くの増産を、集中的に原料炭の炭田を開発していくということが、政府としても真剣に取り上げられなければならぬ問題だと思うのです。ところが今年度予算を見ますと、わずか北海道の空知の北部の継続と南部のボーリング助成の予算が計上されておるわけですが、こういう点に対しても、大蔵省では、ボーリング一本か二本おろしたから、次はこれの採掘にかからなければボーリングの助成ということは考え直さなければいかぬ、こういう見解を今回の場合にも示しておるわけなんです。しかしこれは炭鉱を知らない非常に非常識な話であると私は思うわけです。いずれにしましても、そういう目標年次では二千五百六十四万トンの外国炭を輸入するわけですから、この開発については積極的、具体的なプランがなければならぬという工合に考えるわけですが、この点いかがでしょう。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 御指摘の通り、極力国内の原料炭の開発に努めなければならぬと思います。ただいまの状況では、北海道と有明湾の開発というのに望みを嘱しておるわけでありますが、この新炭田開発助成につきましても、極力大蔵省と折衝して参っておるわけでありますが、微力にして十分にわれわれの要求を達成するに至っておりません。今後はこの面に十分に力を入れまして、そして原料炭の開発に努めたいと考えております。   〔内田委員長代理退席、委員長着   席〕

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 これは石炭局長にお尋ねした方がいいんじゃないかと思うのですが、目標年次における五千五百万トンに押えた場合、しかも原料炭開発に相当力を入れていくという計画が少しでも実行されていく場合に、原料炭はどの程度見込まれますか。

今井博通商産業事務官(石炭局長)

○今井(博)政府委員 昭和三十八年度を考えますと、原料炭は千三百六十八万トン、一般炭は三千九百四十九万トン、こういう数字を今考えております。三十四年度と比較いたしますと、三十四年度が原料炭約一千万トンで、一般炭が三千五百万程度でございますので、この辺の区割は原料炭の増加率の方が高い率になっておりますが、原料炭、一般炭ともに増加いたしておりますが、これを四十五年度はどうなるかということで比較いたしますると、原料炭は全国で千六百九十万トン、約千七百万トンの計画を持っております。これに対しまして一般炭は三千八百六十五万トン、三十八年度よりは若干下回る。原料炭の方は約四百万トンくらいふえる、こういう計画になっております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 わが国では原料炭の需要に対して供給が非常に少ないわけなんです。しかし私の聞くところによりますと、たとえば問題になった三井三池炭鉱は画期的な増産をする、将来は三池だけで大体五百万トンを優にこえるという計画を持っておるように聞くわけです。しかし三池の炭は、御存じの通り硫黄分が若干高いために、そのまま原料炭に使うということは少し困難なわけです。しかしこれを水洗をする、あるいはまた外国炭との混炭設備をもって混炭をすることによって、大幅に原料炭に向けることが可能なわけです。これは三池のみならず、それ以外にも若干あると私は思うわけです。そういたしますと、わが国の石炭をそういう処理方法によって原料炭に振り向けていくということになりますと、原料炭の輸入の点についても節約できますし、ひいては外貨の節約にもなるわけですが、こういう点については通産省としては積極的にそういうことを奨励していく考えかどうか。いろいろ問題もまだあるでしょうが、見解を承りたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 きわめてりっぱな御見解でございまして、われわれもぜひそういうふうにして参りたいと考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 今年度の予算の中にも、一般炭のガス化、コークス化の予算が一千三百万円程度計上されておるわけです。これは大体試験炉の段階では合格の結論が出ておる、このように私どもは聞いておりますし、外国ではベルギーがすでに企業化しておるわけですが、そういう意味で今年度予算を計上しておるわけですが、この一般炭のコークス化の企業化への見通しはどうか。これがもし企業化されるということになりますと、石炭事情にも与える影響は相当大きいし、長期の展望に立てば、エネルギーの供給計画にも相当関連してくるのではなかろうか、そういう点についての見解をお開きしたいと思うのです。

今井博通商産業事務官(石炭局長)

○今井(博)政府委員 今御指摘になりました一般炭のコークス化あるいはガス化、この問題は現在の石炭の需要拡大という面から見ますと、非常に重要な、しかも非常に決定的な問題でございますが、これにつきましては従来からもいろいろな形で研究はされておりましたけれども、まだ十分成果が上がっておるように思いません。まことにおそまきながら来年度以降一つこの問題に本格的に取り組みたい。この問題が成功いたしますれば、私は石炭問題について非常に明かるい見通しが得られるのではないかという希望を持っておりました。ただ残念ながらこれを企業化する点につきましては、特にこの一般炭のコークス化につきましては、まだ現在までそういう十分な見通しを持っておりません。ただいま先生が御指摘になりましたベルギー方式の一般炭のガス化の問題、これはかつて常磐炭田におきまして、この方式を利用して東京ガスに送ることを計画いたしました。相当交渉を重ねたのでございますが、まだやはり供給の安定に十分なる自信がないということで、一応さたやみになっておりますけれども、こういう問題等はわれわれとしては御指摘を待つまでもなく非常に重点を置かなければならぬと考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 先ほどの、これからの石炭産業の長期見通しから考え、さらにまたいわゆる輸入炭が年々非常に増大をしていく、こういう面から考えても、単にこの石炭対策というのは出た失業者をどうするかという問題ではないと私は思うのです。エネルギー政策というのはそうではなくて、わが国の資源をいかに積極的に活用するかというところに私はあると思うんです。そういたしますと今年度の石炭産業に対する予算を検討いたしますと、積極的なエネルギー政策の面はきわめて微々たるものですね。今日石炭産業の置かれておる実態から考えますと寒心にたえない予算であると言わなければならぬと思います。今のこういう二、三点のお話もお伺いしたのですが、通産大臣としてこういう点についてどういう考えを持っておられるか、これから一体どういうめどで——石炭対策ということは大臣の説明の中にも方針の中にもずいぶん示されておるんですが、言うこととその裏付が天と地の違いがあるという工合に私は言わざるを得ないと思うのですが、いかがでしょう。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 お説の通り、どうも前向きの予算が少ないというお話でございますが、全くその観があります。ただ従来からやってきております炭鉱の積極的な近代化につきましては、従来とも連携したのでありますけれども、これではもう足りない。やはり一般炭の活用というものをもっと高い、広い見地から打開できないものかということは、私ども考えておるわけでありますが、今後において石炭業というものに課せられておる大きな問題でもございますので、今後は積極的にその面に力を入れたいと考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 先ほども質問いたしました石炭産業の生産機構の近代化という問題を取り上げる場合に、それ以前の問題としていかに日本の石炭資源を経済的に、合理的に採掘をするか、そのことによって千二百円はおろか、それ以上のコストの引き下げもできるような措置を講ずることがきわめて大事だと思いますし、特にわが国で不足している原料炭部門の開発の促進ということは、今の鉱区の所有の実態の中では、実際問題として非常に困難ではないか、これを総合的に開発しようとしても鉱区問題にぶつかって、総合的に開発ができない、こういう点が空知炭田なんかの場合にははっきり見ることができるわけです。そういたしますと、石炭政策というものはやはり近代化の問題以前の問題として、鉱区の統合整理という問題がまず優先的に取り上げられなければ、石炭産業の開発というものは期待できないんではなかろうか、あるいはまたコスト引き下げについても総合的な開発計画が足りないという点では非常に問題ですし、稼動している中小炭鉱においてもせっかくの設備をむだにしてしまう、こういう傾向が実は出てくるわけです。従ってこの問題の解決がない限り私は何か仏作って魂入れずということになってしまうのではなかろうか、このような見解を持つわけですが、この点についてどういう考えを持っておられるか。もちろん合理化法によってもある程度の調整はできるのですけれども、実際問題は、これは民間の話し合いにまかしているということであるし、非常に調整はむずかしいというのが現実の問題でありますので、この点に対する積極的な大臣の見解をお伺いしたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 全く鉱区が複雑過ぎる状況でありまして、この点は従来からも弊害が認められており、できるだけこの問題の是正に努めて参ったのでありますけれども、何分これを強制するというような手段を持ち得ない限りは、なかなか効果が上がらないという現状でございます。しかし新しい炭田の開発につきましては、再びかような不合理な鉱区の錯綜を来たさないように、十分にこの点を心がけて鉱区の設定等につきましては、万全の措置を講じて参るつもりでおります。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 これは今までの懸案事項でありまして、いつの場合でも取り上げられる問題であるわけですが、しかもいつ取り上げてもいつの答弁も全く同じわけです。それ以上現実の問題としては進歩していないというのが過去の実態だと思います。しかし石炭問題が今日こういう状態にあって社会問題化しているときに、これらの問題を解決する、しかも飛躍的にエネルギーの需要が高まっているときに、これを大胆に解決するということでなければ、いつの日か解決されるかということを非常に懸念するわけで、特にこの点については積極的な態度を望んでおきたいと思うわけです。  そこで次にお伺いしたいのは、今度のエネルギーの供給計画をずっと見て参りますと、生産関係の指標の問題ですが、大体答申案の中では新しい開発の部門、それから現在さらに増強していく部門、さらに次には一応現在の状態を維持していく部門、さらに若干の年数がたてば消滅をしていくもの、四つの部門に分けてこの指標を立案しているわけですが、この指標は各社のそれぞれの報告に基づいて求めた指標であるか、それとも一応現在の石炭事情というものを検討の上で、企画庁か通産省か知りませんが、分析をして、一応このように設計をされたものか、この点についてお伺いしたい。

今井博通商産業事務官(石炭局長)

○今井(博)政府委員 御指摘になりました全体の生産構造の計画は、三十八年度までの計画を一応立てております。これは主として大手の各社から三十八年度までの計画を出してきたものをもとにいたしまして、千二百円のコストを引き下げる場合にどの程度の生産構造が最も適当であるかということを基準にいたしまして、われわれの方で若干手を加えまして作り上げた計画であります。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 そういたしますと、生産関係指標というものは、相当現実性があるというふうに理解できると思うのですが、そうすると地域的な生産関係の指数はどの程度になるのでしょうか。いわゆる産炭地の北海道、常盤、山口、九州の地域的な指数も当然出てこなければならないと思いますが、この点はいかがでしょうか。

今井博通商産業事務官(石炭局長)

○今井(博)政府委員 これは地域別に出ましたものを、さらに集大成したものであります。もとは地域別の計画のものでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 地域別の指数は、あとでけっこうなんですが、基礎になった資料をいただけますか。

今井博通商産業事務官(石炭局長)

○今井(博)政府委員 資料はあとで作りまして提出いたします。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 これからの日本の国内で生産される石炭の長期の引き取りの見通しなんですが、これは今石炭関係会社と、それから電力あるいは鉄鋼を中心にして、七炭の長期引き取りの交渉が続けられておることは御存じの通りだと思うわけです。この石炭会社との話し合いの内容を見ますと、この供給計画と若干変わってくるのではなかろうか、こういう気が私はするわけなんです。その理由は、石炭会社としては鉄鋼に対して昭和四十五年度には原料炭千三百万トン供給できる。電力会社については三千万トン一般炭の供給をする、こういう点で話し合いが進められておるのですが、鉄鋼、電力会社の方では、この数字は若干大き過ぎるのではないかということで、さらに経団連の植村さんの私案を作って話し合いをする、こういうことが伝えられておるわけです。しかし私は今日の石炭政策からいって、これらの問題はむしろ通産省が長期の見通しに立って指導すべきではないか、こういう考え方を持つのですが、この点についてはどういう見解を持っておられるか。将来どのように指導されていくのか見解を承りたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 これは結局は通産省が入って指導しなければならぬと思っておりますが、その方法といたしましては、ただいま民間の人を入れずにエネルギー協議会というものを省内に作っておりますが、民間の案を十分参酌いたしまして、その協議会が最後にこの問題に入って、そうして指導する、こういう考え方でございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 私は、このエネルギーの供給計画を見ますと、やはり机上で作ったという点でずいぶん問題点があると思うのです。これは小さな問題点でありますけれども、一般炭の需要見通しの問題ですね。これはいわゆるガスをたく、あるいはプロパンがどんどん進出をする、電気の暖房をとるとか、こういう点でその方向に気をとられ過ぎて、国民福祉と石炭の問題、こういう点については若干忘れられておるのではなかろうか、こういう気がするわけです。たとえば現在北海道だけで約百二十万戸の世帯数があるわけですし、さらに東北関係でも石炭をたかなければ冬を過ごすことができないというのが現状なわけです。しかし今日東北、北海道は、薪炭の消費が、北海道だけでまきは百万トンも消費しておるというのが実情であります。ところが木材が非常に高くなってきた。いわゆるまきは全部チップに回っていくということになりますと、当然これからの国民福祉の面から考えた石炭の需要増加ということが、私は相当見込まれなければならぬのではないか。たとえば北海道で一世帯一トンよけいたくと百二十万トンになるわけです。二トンもしたくとすれば、東北を含めると実に三百万トンをこえるわけですね。こういう点が全然私は検討されていないと思うんですが、こういう検討はなされておるか、そういう点について見解はどうか、お伺いしたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 だんだん北海道、東北等におきましても所得倍増計画というものが進むに従って所得がふえて参る。従ってまきが高くなる、安い石炭による、こういうような情勢にだんだんなるのではないか。そういう意味からいたしましても、将来暖房用として石炭が相当需要されるのではないかというような予想をわれわれは持っておるわけでありますが、科学的にこれを研究して分析して結論を出したわけではございません。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 次に石炭化学の問題、石炭対策の問題で、これはだれしもが口にすることなんです。政府としても石炭化学という問題を将来真剣に考えなければならぬということを言っておるわけなんですが、しかしこれは現在北炭が石炭化学研究所を設けてやっておるという程度のものであって、こういうかけ声の割合に見るべきものがないといわざるを得ないと思う。  さらに、石炭化学と同時に、石炭ガスの利用の問題につきましても、これもきわめて副業的に、部分的に行なわれているという程度であって、必ず石炭ガスがあるということは、石炭採掘をしていればわかっておるわけなんですね。そういう点についての石炭ガスの利用という問題についても、あまり積極的ではないように考えるわけです。しかし石炭ガスは、どちらかといえば九州の場合には非常にメタンガスが少ないし、北海道の場合には、供給の問題が実は大量の場合には出て参るわけなんです。外国ではLPGに対してLMGの研究が相当進んでおるということを私は聞いておるわけなんですが、石炭ガスの問題、さらに石炭ガスの液化の問題、こういう点については検討されたことがあるかどうか。ことに石炭化学の問題については、政府として石炭化学の研究所を作ってこれをやっていく、民間も協力さしていく、こういうような積極的な政策がなければならぬではないか、このように考えるのですが、この点についてはいかがでしょうか。

今井博通商産業事務官(石炭局長)

○今井(博)政府委員 石炭化学の問題につきましては、役所の機関としましては、通産省にございます資源技術試験所におきましていろいろ基礎的な研究をやっております。さらに三十五年度からは石炭技術研究所というものを民間の団体として作りまして、これもいろんな研究をやっております。これは水力採炭とか、一般炭のコークス化とか、そういう一般問題をやっております。技術的な基礎的な問題は、先ほど申しました資源技術試験所においてやっております。その他は、今先生が御指摘になりましたように、いろいろ会社でやっておるという程度でございます。御指摘の通り石炭化学につきましては、まだほんとうに十分なる成果が上がってないし、十分の研究もまだできていないというふうに感じます。この石炭化学につきましては、やはりまだ非常に未開拓の分野が多いし、まだどこの国でもそう成功している例がございませんので、確かに石炭の需要拡大という面から見まして、この石炭化学というものについてはもっと力を入れるべきである、そう考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 石炭化学の問題はわかったのですが、石炭ガスの利用の問題、たとえば周辺で石炭ガスを利用できても、公益事業法等があって、都市ガスとの関係があって非常に利用という問題が行なわれてない。たとえば空知炭田からパイプを通せば札幌のガスは十分供給でるきだけの量があるわけです。こういう点についてどう考えておるか。それからメタンガスの液化、LMGの問題については、外国では相当研究を進めておる。こういう報告を私は聞いておるわけです。わが国の場合については民間でも政府でもこの問題については取り上げられてないと思うのですが、この点についての見解をお聞きしたい。

今井博通商産業事務官(石炭局長)

○今井(博)政府委員 石炭の坑内ガスの利用につきましては、現在九州あるいは北海道においてその一部が利用されておるという程度でございます。これは今後さらに相当活用され得る見込みがあるのじゃないかと思っておりますが、この点につきましては、残念ながら、これをつっ込んでどうするという点につきましては、まだ十分の研究を積んでないように考えております。確かに今後の非常に未開拓の分野であると思います。それからメタンガスの問題につきましても、残念ながら非常な成果がまだ上がっておりません。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 関連質問をさしていただきます。例の炭層ガスの問題は数年前から国会で取り上げられておったようでありますが、これは根本的に鉱業法に欠陥があるので、石炭と天然ガスは同種鉱物に取り扱っておらない。従って常磐炭田のごときは、石炭鉱区の上に石油鉱区を申請すると、石炭鉱区を許可していかなければならないという不合理性があったために、その炭層ガスをどう取り扱うかという困った問題が起きて、これは石炭層上下百メートルを限って賦存する天然ガスは石炭ガスだ、こういう便法を今とっているはずであります。従いまして、こういう根本的な問題を解決して参りませんと、炭層に賦存しておるところの天然ガス全部の開発ということを統一的にできないのじゃないかと私は考えておりますが、その後石炭局ではこういう問題を、一体どう取り扱われたか、経過を一つお聞きしたいと思います。

今井博通商産業事務官(石炭局長)

○今井(博)政府委員 はなはだどうも不勉強でございまして、その問題について詳しい資料をまだ持ち合わしておりませんので、もう少し調べましてお答えいたします。

伊藤繁樹通商産業事務官(鉱山局長)

○伊藤政府委員 ただいまの問題は鉱業法上の同種鉱物であるか異種鉱物であるかという問題でございまして、これらの問題につきましては、現在鉱業法改正調査委員会が設けられまして、そちらで全般的問題の一環として審議する予定になっております。この委員会の結論は大体本年度中に出ることになっておりますので、今先生の御指摘の問題も含めて結論が出ることと思います。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 私は石炭合理化の一つの方法として、炭層に賦存しておる天然ガスを徹底的に埋蔵調査をやって、これを石炭開発と同時に利用する道を講ずることが必要ではないか、そういうふうに考えておるのでありますが、予算を見ますと、工業技術院地質調査所に特別研究費として炭層ガスに関する予算がわずか六百万円ついている程度であったと記憶しておりますが、将来こういう点に通産行政の一部門としてあの予算をつけられて、炭層地帯の天然ガスの賦存状況を徹底的に調査せられることを希望しておく次第であります。  この際、もう一つお聞きしておきたいことは、私はあまり石炭のことをよく知らぬのでありますけれども、洗炭泥水の中に含まれておる微粉炭を回収すれば、これだけでも年間三百万トン回収することができる。これはその道の人々の話を聞きますと、この洗炭泥水の回収及びその泥水の浄化をやると、大げさに言うと、遠賀川にアユが住むようにきれいになるのじゃないかとまで言われておる。もう技術が完成しておると言われておりますが、微粉炭の回収についてはどういう処置を講じておりますか、念のために伺っておきたいと思います。

今井博通商産業事務官(石炭局長)

○今井(博)政府委員 微粉炭の回収問題は、先生の御指摘になりましたように、これは相当な利用価値があるものと考えまして、現在若松に電源開発会社が低品位炭の火力を作っております。さしむきは低品位炭火力でございますが、微粉炭の回収もあわせ考えましてこれを活用したいということで、電発と炭鉱とで共同研究をしている格好で進んでおります。  それから遠賀川の汚水処理、さらに微粉炭を取ってそれを活用するという一石二鳥の計画が従来からございまして、これは昨年度の予算で遠賀川全体についてのそういう調査をいたしました。それの一応の活用計画というものも持っておりまして、今後この遠賀川の汚水処理、工業用水利用、さらに微粉炭回収、そういった問題はあわせ考えて何とかこれを計画化したい。来年度の予算としましては産炭振興対策費という中に相当な調査費をいただいておりますので、今まで調査しました基礎的な調査から、さらにこれを企業化し得るような調査にまで持っていく、遠賀川についてはそういう計画を持っております。  ただ微粉炭の処理につきましては、一番問題になりますのは、これをかりに発電所に使う場合に、これをかわかす場合の問題がまだ十分でないように聞いております。この点は現在給田という三菱鉱業の発電所で一部やっておりますが、まだ十分でないようであります。先ほど申し上げましたように電発の低品位炭火力におきまして——それはフランスあたりでは相当やっておる例等もございます。これも電発で調査しておりますが、ある程度大きな火力発電に利用できるのじゃないか、そういう見通しを持っております。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 その微粉炭の回収ですが、私の知っておる範囲内におきましては、財団法人ですか石炭総合研究所というものがあって、ここですでにパテントも確立し超音波による微粉炭回収、汚水処環の実施ができておる。これはもうある程度世間でも認められておる。私もその超音波による微粉炭回収の実験を見ましたが、今微粉炭が乾燥不十分で使えない。乾燥問題がとても——セントリフェーガルから出てくるのですから微粉炭は全部乾燥されて出てくる。ですからその微粉炭問題及び汚水処理に対しましては、日本にはそういうりっぱな技術があるのでありますから、当局におかれましてはそういう点に着目をされて、三百万トンも泥水の中に入れて流してその汚水のために非常に困っておるというような点を早期に解決せられる意図を一つ持っていただきたいと思うのであります。これは大臣もそういう点に十分御留意下さいまして、そういう問題に早急な処置を一つ講じられるようにお願いしておきたいと思います。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 一がいに石炭というわけなんですが、石炭とは何か、辞書を引けば、有機可燃性の岩石にして経済的に加工し得るものが石炭であるということで、最近五千カロリー以下のものは出炭に含まないという山もあるし、含めている山もあるわけです。今のような微粉炭については、これを売った場合には営業外収入として入ってきて、出炭とは全然関係がない。ボタ山から選び出した三千八百カロリー程度の石炭も出炭には入ってなくて、雑炭が今日四百五十万トンから五百万トンをこえて、実際は数字がつかみづらいというのが実態ではないかと思うのですが、通産行政から見た石炭というのは、今日経済情勢から見て大体何カロリー程度までを石炭というか、この点についての見解はいかがですか。

今井博通商産業事務官(石炭局長)

○今井(博)政府委員 現在われわれの方で統計をとっておりますのは、各社がやはり石炭として出産した数字の報告を集計いたしておりますので、それをさらに六千二百に換算いたしまして何千万トンというふうにいたしております。従って出てくる数字は、御承知のように常磐炭鉱では、一般の市場炭として三千五百から四千くらいのものを石炭として扱われております。北海道においては、もっとカロリーの高いものが基準になっております。九州あたりにおきましても、現在低品位炭として利用しております三千五百、四千というのは、雑炭として処理されまして、統計の中へ上がってこない、実はこういう問題がございます。従来は低品位炭利用というものがあまり行なわれませんので、ある程度そういうところでいいのじゃないかと思っておりましたが、御指摘のように、低品位炭の活用というものが非常に進んで参りますと、雑炭ということで従来これを一括して統計に載せないということでは、私はいかぬのじゃないかと思います。従って今後も、全体の生産ベースが幾らかというときに、雑炭で大きな数字が逃げておるということは、やはり全体の生産の調整をやる場合におきましても、あるいは需給の調整をやる場合におきましても、私は不十分と考えます。やはりできればトン・カロリーの数字でもって、今後の石炭のいろいろな計画を立てたいと実は思っておりますが、なかなか雑炭の数字を各社が出してこないので、われわれもつかみにくい点がございますので、やはりもう少しこの辺の雑炭の調査をよくしてから、できればトン・カロリーというところへ入りたい、こう考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 石炭産業の生産関係の近代化、特に雇用が他の産業に比べて非常に多いわけでありますが、そういう意味で、雇用の長期の安定をはかるという面からいって、最近急激にふえつつある租鉱炭鉱という問題は、従来の方針でいいのかどうか。もちろん現在の合理化法の中も、坑口は認可制になっておりわけなんですが、しかし、今申請すると大体認可になるわけです。そういうわけで、租鉱山がどんどんふえてきているわけです。私は租鉱の許可について、非常に疑問に思う点があるわけです。たとえば今回北炭が、万字、美留渡、赤間の三山、直接自分で経営しておった三山を、租鉱に落としてしまうということは、従来にない例としてとられたわけです。しかし鉱業法の七十七条の三項を見ますと、認可する場合には、「残鉱の掘採その他鉱区の一部における鉱物の経済的開発を行うため必要があると認めるときでなければ、第一項の規定による申請を認可してはならない。」という明確な定めがあるわけです。私は今回の北炭の三山の租鉱認可は、この七十七条違反ではないかという工合に判断せざるを得ないのであって、どう読んでみても、北炭の万字、美留渡、赤間はうまく経営しておって、特にこれは経済的に残鉱であって、掘採ができないという状況ではないと思う。こういうことがどんどんとられるとすれば、炭鉱における二重構造というものはさらに拡大されていくだろうし、しかも不安定な炭鉱経営が行なわれ、雇用もそれに伴って非常に不安定な状態に置かれる、こういうことになると思うのです。この点について今一つの例をあげたのですが、それ以外にもずいぶんありますけれども、特に天下に名にし負う大会社が、自分の直接経営の山を租鉱に落として認可を受けたということは、これは近来にない一つの例でございまして、この点の見解をお聞きしたいと思うわけです。

今井博通商産業事務官(石炭局長)

○今井(博)政府委員 現在の鉱業法七十七条の第三項に、「残鉱の掘採その他鉱区の一部における鉱物の経済的開発を行うため必要があると認めるとき」こういう言葉がございまして、御指摘になりました北炭の鉱区につきましては、これは残鉱の掘採ということ、それから鉱物の経済的開発ということ、そういう両面から見まして、札幌の通産局においてこれを認可いたしました。なるほど御指摘のように、まだ残量が相当あるのじゃないかという大きな山も一部ございましたけれども、炭層が非常に重なり合っている、あるいは普通の炭層状態がこういうふうになっておりまして、実際にそれを分割することが非常に困難であるという技術的な山の状態等もございまして、これを一括して認可をいたした、こういう次第でございまして、われわれといたしましても、鉱山局とこの点についていろいろ打ち合わせました結果、やはり鉱業法の七十七条第三項によってこれを認可してさしつかえない、こういうふうな見解に到達したわけでございます。  ただ一般的に租鉱権にどんどん出す、これはわれわれとしましては、今後租鉱権に出して保安的に非常に問題があるとか、こういうふうな場合が従来ございまして、それに鉱害等の問題もございますので、租鉱権の認可につきましては、各通産局長に一応まかせておりますが、やはりこれについては、今後の石炭産業のあり方等も考えまして、十分慎重にやっていきたいと思います。ここ二、三年は、租鉱権の認可は、件数としては実はだいぶ減って参っておる次第でございますが、今後とも租鉱権の認可に当たっては、十分慎重にやりたい、こう考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 今答弁をいただいたわけですが、私は万字、美留渡それから赤間については、坑内にも入っておりますし、どう考えても七十七条の三項に該当するとは判断できないわけです。これはもちろん具体的な資料でお話もしなければならぬと思うのですが、しかし今度の事実は、これは非常に一般化した一つの常識になったという工合に理解するわけです。たとえば三井鉱山における美唄炭鉱、これを今度は北炭方式で租鉱に切りかえる、あるいはまた三菱であれば三菱の、そう長くない鉱命のところを、どんどん租鉱に落とすことが可能である、技術的に若干問題があれば、これも租鉱に落とすことが可能である、こういう見解が、今石炭界で常識化されつつあるという工合に私は指摘せざるを得ないと思うのです。しかし租鉱の期限というものは、これは定めにあるように、五年を越えることができないわけです。そういたしますと、残鉱の掘採というのは、その当時の出炭計画ももちろんありますけれども、どの程度の期間採掘できれば残鉱、たとえば三年以内とか、五年以内とか、七年以内とか、十年以内とか、どの程度を残鉱というのか。この点をはっきりしなければ、これからもこういうケースが非常に出てくるのですから、私はきわめて問題だと思います。この点についての見解はどうでしょうか。

今井博通商産業事務官(石炭局長)

○今井(博)政府委員 従来の認可方針は、それを堅持するつもりでございます。さらに今後、御指摘になりましたような租鉱権による開発というケースが、相当ふえるのじゃないかということも予想いたしまして、先ほど御指摘になりました、稼行年度が租鉱存続期間五年を著しく越えるというものについては、これは認可をしない、こういう点とか、あるいは分割譲渡が十分可能であるという場合におきましては、これは事業譲渡という方式によりまして、租鉱権としてはこれを認可しない、こういう点について、今後認可方針をさらに現地に徹底さしていきたい。そういう指令も出しておりますが、一応二つの点を従来の方針にさらにつけ加えて、租鉱権の認可については十分慎重にやりたいと思っております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 租鉱の問題は、さらに具体的にあらためて私は見解をただしていきたいと思うわけです。従って、租鉱権の認可については、これは相当慎重に検討してもらわなければ石炭産業の安定というものは期すことができないし、いつまでたっても不安定な雇用者の問題も解決することができないと私は思います。そういう意味で、特にこの問題は慎重に取り扱われるよう希望いたしておきたいと思います。  時間がなくなってきたので一、二点だけできょうはとどめたいと思うのですが、昭和三十八年度までに炭価を大体一トン当たり千二百円の値下げする、こういう方針で努力をされておるのですが、現在大体三百六十円程度の炭価の引き下げの状態ではなかろうかという工合に考えるわけです。そういう点から考えて、三十八年度までの千二百円の値下げということが一体可能かどうか。特に今度鉄道運賃が上がって、大体送出炭一トン当たり五十円の鉄道運賃の値上がり、これも折衝したけれども、どうも押し切られそうであるという情報が最近伝えられておるわけです。さらに坑木費というものが——鉄化も進んでおりますけれども、坑木費の値上がりが原価に非常にはね返ってくることも間違いのない事実だと思うのです。この千二百円というのは、大体諸物価が値上がりをしないという前提に立って、一トン千二百円コストの引き下げということが組まれたという工合に私は理解をいたしておるわけです。そういう面から見まして、この千二百円の値下げは三十八年度までに可能と思われるかどうか、その見通しについてお聞きしたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 運賃の引き上げを含んでおりません。従って、今回の鉄道運賃の値上げについては、できるだけ一定の期間、引き上げ率を適用しないようにただいま交渉中でございますが、まだ成否のほどはもちろん不明でありますが、極力努力中でございます。それから、坑木はトン士五円くらいだそうでありますが、一般の木材の価格引き下げ措置が今講ぜられておりますので、この点についても、現状よりも低くなる可能性があるということだけを申し上げておきます。そして千二百円の引き下げは可能である、努力してぜひそこまで持っていくという決意を打っております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 先ほど答弁の中にもあったんですが、通産省の中に、石炭、鉱山、公益の各局長、それから官房、原子力の両参事官を含めて、総エネルギー対策といいますか、研究会といいますか、こういう機構が持たれて、この調整に当たっておるということは従来に見られないことであると思うわけです。この総エネルギー対策について民間を含める、こういう構想があるように私は聞いておるんですが、この点については、そういう構想をお持ちであるかどうかお開きしたいと思います。  それと同時に、今日の石炭対策を見ますと、首を切られて出た者は労働省、それからさらに時期がたてば厚生省の方の救済関係になる、あるいは産炭地振興の法案が今度上程されるわけですが、これについては建設省、通産省、それぞれの省が関係しますし、農地の問題があれば農林省も関係がある。しかしながら、ヨーロッパでもこの石炭対策については非常に真剣に取り組まれておるという現状から見て、この総エネルギー研究会のほかに、さらに石炭対策についてそういう各省を網羅した組織といいますか、検討会といいますか、こういうものを持って当面の石炭対策を検討する考えがあるかどうか、この二つについてお伺いしたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 石炭問題の解決は、もちろん所管省一省で片づく問題ではございませんので、各省にまたがっておる。また、民間の企業体も存在するのでありますから、これらの問題については十分に連絡をとり、また民間の意見も取り入れて対策を立てて参るというわけでありますが、ただいま石炭に関する審議会があります。それは民間の人ももちろん入っておる。そこで、随時関係があれば各省の人に来てもらって意見を聞き、また、ただし、あるいは述べてもらうということになっておるのであります。今省内にあるエネルギー協議会、これをふくらまして民間あるいは各省を入れるというようなことはまだ考えておりませんが、もちろん必要があればいろいろの形をもって各省との連絡、民間の意見を聴取するということについて遺憾なきを期して参るつもりではございますが、機構的にはただいまのところ考えておりません。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 ただいまのところ考えていなければ次に考えるか、とあげ足取りのようになりますが、石炭対策は緊急の問題であると思います。従って、当面この問題について十分検討をしていただきたいと思うわけですが、なおあらためて機会を見てこの問題について御見解を承りたいと思います。  最後に、エネルギーの問題について。これから自由貿易主義をエネルギーの面で徹底させていく、こういう方針については変わりがないようでありますけれども、ただ私が一番心配するのは、目先の経済主義だけで石炭、石油、ガス資源の開発を考えていくと、これらの産業は壊滅してしまうではないか、こういうことです。そういうことになりますと、これは一国として取り返しがつかない。経済上あるいは社会上のロスではないか、このように私は心配しておるわけです。そういう面から考えて、エネルギーの貿易自由化、大体一〇%を占めているという大臣の答弁でありましたが、これは特に慎重に扱わなければならぬ問題だと思いますが、大臣としてエネルギーの貿易自由化という問題について、どのように考えておられるか。特に昭和四十五年度までの長期計画に基づいて、エネルギーの貿易自由化についてはどう考えておるか、御見解を聞かしてもらいたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党通商産業大臣

○椎名国務大臣 昨年の六月ですか、貿易自由化の大綱を定めまして世間にこれを発表いたしまして、その後大体このラインに沿うて逐次自由化を実行して参っておるのでありますが、最後に通産省所管の物資として石炭、石油の自由化をどうするか、大体三年間に八〇%くらいの自由化をする、そして、この石炭、石油を入れるということになると九〇%になる、その方法、時期等をどうするかということについてはまだはっきりした計画は実は立っておりません。いろいろな考え方がありまして、石炭に対する需要というものがはっきり確立し、また約束されるというような情勢であれば、必ずしもそう伸ばす必要はないのではないかというような見解もあります。ありますが、今お話しの通り、この問題をただそれだけで自由化することは、はたして適当であるかどうかということにつきましては、なおこれは慎重に研究しなければならぬ問題だと思いますので、この点は今後とも慎重に扱って参りたいと考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 原子力の問題、きょう役所の関係で質問してくれということなんで、時間がありませんから簡単に一、二点質問いたしたいと思うのです。  今回原子力の長期計画が発表されたわけなんですが、これは大体原子力発電に関する限りは、エネルギー小委員会で答申した通りであるといっていいんではないかと思うわけです。もちろん具体的な内容になると若干違う面があるわけですが、ただいわゆる昭和四十六年度以降の経済ベースに乗せるという意味で、二円四十銭から三円程度の発電コストを考えておるわけなんですが、私は今の日本の原子力発電所の研究過程から見ますと、ちょっとこれは甘いんではないか、こういう判断をするわけです。特にヨーロッパにおけるイギリスの場合を除いて、OEEC関係の原子力発冠計画を見ましても非常に再検討され、なかなか前途も楽観を許さない、こういう状況に私はあると思うわけです。そういう点からいって私は、この昭和四十六年度以降の重油専焼に見合う大体三円程度の発電コストということは、何か一つの机上の計画、目標のような気がするわけです。もちろんコストを出す以上資本費の問題もあるでしょうし、あるいは建設上のいろいろな問題、また池田大臣の言葉を借りると、神代の時代だそうですから、安全性確保の問題、その他敷地の問題、あるいは将来のコスト軽減について研究過程と見合った問題、あるいはまた原子力発電所そのものの耐用年数の問題もあるでしょうし、あるいは高負荷操業に関する問題も、まだまだ解決がされていないのでありまして、非常に多くの問題があると思うのです。まして投資が当初非常に過大になるわけですから、これに伴う財政上の措置あるいは税制上の措置、いわゆる金利の問題、こういう問題も見のがすことのできない大きなファクターではないか、このように思いますし、さらに発電用の原子炉がわが国で生産される時期、見通し、こういう点からいってもどうも、私の知識が乏しいのですけれども、一応私の判断では非常に甘いんではないか、こういう判断をするわけでありますが、今回発表された原子力発電の計画について、特にこの面を中心にしてお話を聞きたいと思うのです。

杠文吉総理府事務官(科学技術庁原子力局長)

○杠政府委員 ただいまの御意見は、確かにやはり考えさせられるところの問題はいろいろ含んでおろうかと思うのでございますが、私たちが長期計画を策定するにあたりましては、やはり御指摘になりましたOEECの原価計算というようなものも十分に考慮に入れておりますし、また安全性というような問題もコストの中に十分に考慮して、そしてほぼ御指摘の通りに二円四十銭あるいは三円くらいになるのではなかろうかというような推定をいたしておるわけでございます。従いましてその推定の資料としては、ただいま申し上げました通りにいろいろの要素を取り入れておりますが、御指摘の通りにまだ原子力は発達の過程にございまして、おそらくはわれわれの見通しとしましては、今後急速に進んでいくのではなかろうか。ただいまスロー・ダウンをしているというようなことを言われますのは、やはり一時の現象ではなかろうかというふうに見ているわけでございます。その一時スロー・ダウンしておるといわれておる間に、研究が十分に積まれていきますならば、そのあとは非常に早いスピードでもって発達していくのではないか。従いましてコストの中に占める建設費の割合も相当下がっていくのではなかろうか。高くなっていくというよりも、逆に下がっていくのではなかろうかというふうに、われわれは推定しておるわけでございます。従いまして、そういうコストの計算を一応立てておる限りにおきましては、今後十年間において大いに研究の方に力を入れまして、コスト・ダウンの方へ向かうような努力をいたしていきたいというふうに考えています。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 私は、長期にわが国の科学技術あるいは原子力開発の面からいって、足をひっぱるというような考えで質問しておるわけではないのですが、しかし具体的に発電コストまで一応出されておるわけなので、そういたしますと、この発電コストというのは単なる目標といいますか、その程度しか意味を持たないのではないか。今度の発表を見ますと、これは間違いなく実現の可能性はある、遠からず近からずして。そういう印象が非常に強いわけなのですが、そういう意味で、やはり長期のエネルギー政策というものは長期の展望に立つわけでありますから、原子力が十年後の経済ベースに合うかどうかという問題は、やはり今から検討しなければならぬ問題だと思う。その面から考えて参りますと、今言われた諸点については、まだまだこれは推定の域を脱しない。大体ヨーロッパあたりではまだまだ研究的な規模であって、経済的な規模に入ったというような、一般的な情勢としてはそういう状態ではなくして、まだまだ研究段階である、このようにいわれておるわけです。イギリスの場合を除けば、特にそういう点が、原子炉の建設もふえておりますけれども、今指摘した点については一向明確な解明がない。しかも、相当な投資を伴う問題ですし、膨大な研究費を必要とするわけなのですから、あまり誇大に宣伝し過ぎてしまって、その方に重点が向けられていく。その反面、わが国の水力発電あるいは石炭、石油資源あるいはガスの方が、どうも政策が積極性を欠いてくる。こういうバランスの面から見て非常に憂うる点があるわけなのです。そういう点で今御質問申し上げたわけなのですが、時間がありませんので、技術的な面またあらためてゆっくり御質問することにしまして、この程度で終わりたいと思います。  なお、総合エネルギーの問題ですから、石油の問題さらに電力の問題に全然入らないで、石炭だけで終わってしまったのですが、質問を保留して、あらためて後日やることにいたしまして終わりたいと思います。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 今の原子力発電所及びその他の原子力関係につきましては、私も関連質問を、委員長保留させていただきます。  それから委員長にお願いいたしたいのは、きょうの新聞には貿易収支逆転のきざしという、輸出環境の悪化を報道した記事が大々的に出ておりますので、これは一つ通産省と経済企画庁にお願いして——これはどうもわれわれ読んでも専門語を使っておってなかなかわからぬから、これをわかるように一つ資料を作って配付をしていただきたい。これを委員長にお願いをいたします。

中川俊思自由民主党

○中川委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる二十四日金曜日午前十時より開会することとして、散会いたします。    午後一時九分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗