商工委員会 第4号
- 発言数
- 92 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/02/14
会議録
○中川委員長 これより会議を開きます。 通商産業の基本施策に関する件、経済総合計画に関する件、私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。質疑の通告があります。順次これを許します。板川正吾君。
○板川委員 私は物価問題について経済企画庁長官、通産大臣、公取委員長、関係者にお伺いしたいと思ったのでありますが、両大臣がおられませんから、次官に一つお聞きをいたしたいと思います。 まず第一に経済企画庁の次官にお伺いしたいのですが、質問事項は消費物価についてであります。池田内閣がこの消費者行政に非常に重点を置いてきたという傾向があるのはけっこうでありますが、この消費者行政を行なう中心はどこかということが第一の質問であります。どのような方法で消費者行政を、これから大いにやっていこうと考えておられるか、この点について一つ経済企画庁次官あるいは通産次官でもけっこうであります。
○江藤政府委員 所得倍増をいたしますについて物価の安定ということが、非常に大切なことでございますことは言うまでもございません。特にその中で消費者の立場に立ちまして、その物価を安定させる、こういうことにつきまして従来以上に今後は十分な配慮をいたして参りたい、こういう趣旨によりまして、来年度の予算におきましては国民生活の向上対策審議会というものをこしらえまして、そうして消費者の立場に立って、その立場を守るという建前で、いろいろな施策を講じて参りたい、こういう考えでいるわけでございます。ただその具体的な方法につきましては、先般来いろいろ考究しているのでございます。しかしこれらにつきましてはまだ成案を得ているわけではございません。いろいろ検討の途次でございますので、そういう面の経過につきましては、調整局長の方から御答弁をさせたいと思います。
○中野政府委員 今政務次官からお話がありましたが、経済企画庁で消費者行政というものを取り上げている第一の点は、消費者物価の問題でございまして、これにつきましては消費者物価の安定ということに重点を置きまして、これは各省の行政は御承知のようにややもしますると業者本位といいますか、その担当しております生産流通部面の業界本位の見方になりがちだというような非難もございますので、経済企画庁が中心になりまして、昨年の九月三十日の閣議了解によりまして、消費者物価対策連絡協議会というものを作りまして、横に常に十分緊密な連絡をとりながら、各省の行政におきまして消費者の立場というものを十分考慮し、これを反映した行政をやっていただくように連絡会議を持ってやっておるわけでございます。また、いろいろの面で消費者物価が上がるということにつきましては、これをできるだけ抑制するような方針でもっていっておるわけでございます。それからもう一つは、国民生活の内容をさらに充実させるということの、先般われわれの方で国民生活白書というものを出しましたが、これなんかを見ましても、相当われわれの国民生活は向上はして参っておりますが、その内容に非常にまだアンバランスがある、不均衡な点がある。また特に個人の生活とこれを取り巻きまする社会的な生活環境、施設というものが、非常に日本の場合はおくれておるということも事実でございますので、そういう点につきましては、これらを総合的な立場から、企画庁は各省と一緒になりまして長期的、総合的な観点からこれを是正していきたい、こういうことで、今度経済企画庁の設置法を変えまして国民生活向上対策審議会というものを設置したいということで、設置法の改正でございますが、近く法案を出したい。その内容といたしましては、審議会は経済企画庁の諮問に応じまして国民生活の実情に関する調査、合理的な生活構造に関する事項、それから生活環境の整備に関する基本的問題、こういうことを各方面のたとえば業界の方面でいいますと、産業界、流通界あるいは金融界等の権威者それから消費者の方の代表あるいは労働代表また学識経験者、こういうふうなその方面の専門の権威のある方々を三十人ほど委員として委嘱をいたしまして、ここでもって十分その道の権威者の意見も聞きまして、対策を講じていきたいと考えておるわけでございます。大体そういう立場から、消費者の立場に立った行政というものを政府全体が行ない得るように常に気をつけていきたいということで、企画庁としては行政をやっておるつもりであります。
○板川委員 国民生活向上対策審議会を中心にして消費者物価の安定といいましょうか、そういう関係で努力しているというのですが、国民生活向上対策審議会と公取との関係はどういうことになるのですか。公正取引委員長でけっこうですが、公正取引委員会は全然別個な立場からやっておりますか。
○佐藤(基)政府委員 審議会の御趣旨は初めて伺っただけで存じません。ただ先ほど政務次官からも御答弁がありましたように、今まで消費者行政を中心に、企画庁においてわれわれの方からも人を出しておる、こういう事実はございます。
○中野政府委員 審議会は先ほど申し上げましたように学識経験者をできるだけ集めるという意味で、委員には関係の行政機関の職員はなるべく入れない方がいいだろう。ただ専門委員として当然公正取引委員会の、どこになるかわかりませんが、関係の職員の方が入られる、こういうことになっております。
○板川委員 その中には消費者代表とか労働者代表が、どういう程度の割合で入りますか。
○中野政府委員 これは委員は三十名以内で組織するということになっておりまして、その割り振り等についてはまだ案を作っておりません。十分各方面の業界あるいは消費者代表、労働者代表あるいは学者関係というふうなバランスをとりまして、委員の構成は考えたいと思っております。
○板川委員 企画庁次官にお伺いいたしますが、昭和三十六年度の消費者物価は一・一%上昇する見込み、こういうふうに言われておりますが、その一・一%の算定の内訳を説明していただきたい。
○中野政府委員 前に板川先生の方から資料要求がございましたので、お手元に資料が配付してあると思いますので、それについて御説明いたしたいと思います。「昭和三十六年度消費者物価上身見込の算定内訳」でございます。ここにありますように、昨年の十二月二十七日に閣議了解で、三十六年度の見通しを立てましたときに、消費者物価につきまして〇・七%の上昇というふうに出したわけなんです。それから卸売の方は大体弱含みの横ばいというふうに出したわけでございますが、その当時は公共料金の値上げ等がまだはっきりいたしておりませんでしたので、昨年の暮れに出しましたものは、公共料金の値上げを含まない数字を一応出しまして、予算編成に関連いたしまして公共料金の値上げが決定されましたので、それを含めまして三十五年度に比べて三十六年度は、消費物価は一・一%上がるというふうに算定をいたしたわけであります。ここにありますように、公共料金以外のものにつきましては、住居費が上がる、雑費、光熱費、こういうものが値上がりをする反面、食料費、被服費については若干の値下がりということで〇・七四という数字を出したわけでございます。 住居費につきましては、前年度に比べまして四・一%程度に見ておりますが、大体住居費というものは毎年少しずつ上昇の傾向にあるわけでございます。どうしてそういうことになるかと申しますと、家賃とか地代の指数は、一定の既存の貸家のようなものについて上がるのではなくて、一定の地域の貸家の家賃とか地代について指数をとりますので、たとえばその中に新しい家屋ができることになりますと、当然それは相当高い家賃になりますので、それの平均ということになります。要するに既存のものの指数でなくて、一定の地域の中の平均の指数をとりますから、大体新しい家が建ってくると、住居費は少しずつ上がってくるということで、住居費につきましては毎年数%ずつ上がっております。その傾向を見込んでおります。 それから雑費でございますが、これは保健衛生費とか修養娯楽費というようなもので、大体世間でいわれておりますいわゆるサービス料金というようなもので、たとえば学校の授業料でありますとか、床屋さんの料金であるとか、ふろ賃であるとか、こういうふうなものが入るわけでございますが、こういうものも大体毎年少しずつ上がっていくということで二・八%の上昇を見込んでおるわけでございます。 それから光熱費でございますが、これも薪炭が木材関係あるいは労賃が上がるというようなことがありまして、やや上がる傾向がございます。 被服費等は大体若干の値下がりと見まして〇・七四と見たわけでございます。 次の公共料金でございますが、これにつきましてはまず第一に国鉄運賃でございますが、旅客運賃の賃率が一四・六%値上げということで、これはまだ法律審議の過程でどうなるかわかりませんが、一応政府の原案は旅客運賃は一四・六%上げる。これに伴って定期の割引率を引き下げたらどうかという案が出ておったわけでありますが、これは通学、通勤等の勤労者あるいは学生等に非常に影響がございますので、定期の割引率は変えないということで、ただ賃率が一四・六%上がりますと、当然定期は上がるわけであります。それの計算をいたしますと〇・一〇という数字が出るわけでございます。 その次の私立大学の授業料でございますが、学校の授業料の消費者物価に占めるウエートが非常に高いわけでございます。その関係で相当影響が出て参りますが、今文部省と相談しておりますが、私立大学校の授業料につきましては届出制度になっておりまして、これを政府で抑制するということも、行政指導は文部省でやっていただいておりますが、なかなかむずかしい。ただ最初の予算を作るときには、御承知のように国立大学の授業料を年間九千円を一万二千円に上げたいということの案であったわけでありますが、これは予算措置をいたしまして、これも消費者物価に響くということで、国立大学の授業料は上げないということになりましたので、その関係で私立大学の方の授業料の値上げの気勢も、幾分そがれたのではないかというふうに考えておりますが、これは各大学、高校、それから中学、幼稚園というふうにありまして、いろいろ各学校の事情も違いますし、値上げの幅も違うようでございます。一応われわれの方が文部省と打ち合わせをしまして、大学、高校につきましては全国平均で九%程度、中学、幼稚園につきましては全国平均で約六%程度の値上げを想定をいたしまして計算をいたしますと、〇・二三%の消費者物価に影響があるということになっております。ただこの私立大学の授業料の値上げは、三十六年度に入学をいたします学生の分から上げる。従って今まで入っておる学生については授業料の値上げは適用はないわけでございます。そういうことからいいますと、〇・二三というものは、実際はそれほどの影響はないわけでございますが、消費物価の統計のとり方が、初年度に入る学生の授業料が上がると全部が上がった計算をするというふうな調査方法になっております。これは総理府の統計局の統計のとり方がそういうふうになっておりまして、従って実際には〇・二三%ほどの影響はないというふうに御了解を願いたいと思います。 それから、次の電灯料金でございますが、これは九州電力の電灯料の値上げ率、これは申請通りに幾ら上がるか、今通産省の方でいろいろやっておられます。これは全体で一七・五五%の申請のうち、電灯料の値上げの申請は一八・一になっております。これでそのまま一応計算をいたしますと、〇・〇二ということでこの影響はこの値上げ率を相当押え得ると思いますので、相当これは余裕があるのじゃないか。 それから郵便料金の値上げでありますが、これは消費物価にははがきだけを取り上げておりまして、はがきは今度は値上げをしないということになっておりますので、影響はゼロということで計算いたしますと、〇・三五%の影響がある。それで公共料金以外のものが〇・七四でございますので、これを足しまして、大体一・一というふうに計算したわけであります。
○板川委員 説明はわかったのですが、どうですか、この説明通り一・一%で来年の消費物価の上昇というものを押えられると思いますか。これは次官から答弁して下さい。
○江藤政府委員 この一・一%というのは、御承知の通り一つの算定基準によります算定の数字でございます。この通りにいくかどうかという御質問でございますが、一応われわれといたしましては数字的にはじきまして、そういう数字が出ておるのでございます。われわれといたしましては、できるだけ消費物価というものは抑えて参りたいという建前でございますので、できるだけこの線に沿うように努力をいたして参りたい。必ず一・一%におさまるかどうかということは、これはまあ経済の問題でございますから申し上げかねますけれども、できるだけその線に沿うように努力すべきものである、またそうありたい、かように考えております。
○田中(武)委員 ただいまの御説明に関連してお伺いをいたしたいのですが、消費者物価上昇見込みの算定内訳の説明を聞いておったのですが、おっしゃるところは大体こういう方向になっておるからこのくらいだろう、そういうようなことでこの資料を作られたというように解釈をしたわけですが、そうなんですね。たとえば電気料金ならこれこれの申請があるからこう取り上げた、こういうように御説明せられたと思うのですが、そういうことですか。
○中野政府委員 電灯料金につきましては、まだ通産省の方でどの程度にこれを抑えるという最終数字が出ておりませんので、われわれの方としては、一応値上げ率そのもので計算するとこういうことになる、しかし実際には、これをできるだけ影響が少ないように押えたいというのが方針でございます。
○田中(武)委員 ただこれは動いておる経済というか流通経済、物価の動き、これをそのままに予想してこういうふうに動いておるからこうだ、これだけで、これに対してどうしようということは全然含まれていないのですね。どういうようにしようか、いわゆる政策的な面といいますか、経済企画庁としての政策というような、あるいはこれに対してこう希望するというようなことは含まれずに、ただ動きをそのまま数字に現わした、そういうことですか。
○江藤政府委員 たびたび申し上げましたように、この消費者の物価指数というのは、できるだけ企画庁といたしましては抑えたいわけでございます。ところが先ほどの説明にもございましたように、今年度の指数の上昇から申しまして、自然に〇・七という数字だけは来年度は上がる、そのほかにいろいろ経済の伸長に伴いまして、どうしてもふやさなければならないという点もございます。そういうものを入れましても経済企画庁といたしましては、できるだけこれを一程度に抑えたいという気持をもっておったのでございます。しかし先ほどの調整局長の説明にもございましたように、公共料金の値上げ、あるいは授業料などもできるだけ抑えたかったのでございますが、私大の授業料の値上げなどというような万やむを得ないものを入れまして、これが一・一%ということになったのでございまして、企画庁といたしましては、やはりできるだけ一程度に押えたい、こういう気持で考えておるわけでございます。
○田中(武)委員 値上げを押えたいとかどうとかいうこと、値上げをしないように物価を安定さす、こういうことは必要なんです。ここでお伺いしたいのは、一体値上げをどの程度に押えるというか、あるいは物価が高いとか安いとか、こういうことをはかるものさしをお持ちなんでしょうか。もっと言うならば消費者物価体系とでもいうようなものをお持ちなのかどうか。たとえば散髪料金が百五十円ならいいのか悪いのか、たとえば一人の人が散髪をするのにどれだけの時間を必要とし、なおどれだけの——それは使うポマードとか石けんによっても違うだろうが、どの程度の必要経費があって、なおかつ一日に何人はできて、それで散髪屋さんの最低生活ができるかできないか、こういうような点を検討せられたかどうか。言われておるところは、特定年度の物価を一〇〇としてそれからの動きを指数によって百十何ぼとか百三十何ぼとかこうおっしゃっておる、そういうことでなく、経済企画庁自体が物価をはかるものさしを一つ持つべきじゃないか、いわゆる物価体系というものを根本的に考える必要があるのではないか、私はこのように考えるのですが、そういうものを現にお持ちなんでしょうか。
○中野政府委員 今の御指摘のたとえば散髪屋さんのようなものにつきましては、これは実は国の環境衛生法というものが、これは厚生省の方の法律でございまして、この法律によりまして適正な料金、最低料金を押える、それによりましてサービスの内容を向上する、同時にそこに従事しておられる方々の労賃なり何なりも適正に形成できるように、そういう配慮を加えておるわけでございます。ただ一般的に今申し上げましたような点につきましては、厚生省の方で環境衛生の適正化基準というものを作りまして、労賃は大体上がってくる、これをどの程度算定するかということは、適正化基準の審議会で各方面の権威者を集めまして十分検討してやっていく。ただ一般的な問題につきましては、これは御承知のような自由経済でございまして、そのコストあるいは需給関係等によって、物価は決定されるわけでございますので、これについて政府は、一々どうこうするということはできないわけであります。もちろん独禁法等に引っかかる問題については、厳重にこれを規制する、あるいは行政指導によってできるものにつきましては、できるだけ便乗的な値上げは抑制する、もう一つ公共料金につきましては、十分政府の方でこれを原価計算、あるいは経理内容等を審査をいたしまして決定をする、こういう建前になっております。
○田中(武)委員 おっしゃるように統制経済じゃない。従って、物価は需給の関係によってきまるのだ、これは資本主義自由経済の原則なんです。それを放置してそのままにまかすのなら、政治はないわけです。たまたま私が理髪料金をあげたので、あなたはそうおっしゃったのですが、なるほど環境衛生法の適用せられておる業種については、環境衛生法によって一応適正な基準がきまっておる。ただ地方適正化基準は上がっていない。にもかかわらず上げておるというのは、独禁法違反なんです。と同時に、私が言っているのは、そういった環境衛生の関係だけじゃない。あらゆる物価に対して、適正であるのかどうか、あるいはどの程度に、たとえば米なら米に対して、どういう物価はどの程度が正しい基準であるのかといったような、何かはかるものさしをお持ちかどうかということを聞いておるわけです。散髪料金についておっしゃるなら、それははっきり、現に上げているのは独禁法違反ですよ。違うというなら、違うとおっしゃってごらんなさい。今やっているのは、全部独禁法違反だ。そうでしょう、公正取引委員長。そうでなくて、私の言っているのは、物価の動きを測定するのに、一つのものさしをお持ちかどうかということなんです。言いかえるならば、物価体系というものを立てる用意があるのかどうか、こういうことなんです。
○中野政府委員 物価体系そのものは、所得倍増計画の過程におきまして、たとえば西欧で見られますように、サービス関係等は、どちらかというと労務費の占める部分が非常に大きい。しかも生産性の向上によりまして、これを吸収するということが非常にむずかしいので、これはやはり徐々に上がっていく傾向をたどるのじゃないか。そういう意味で、物価体系そのものが所得倍増計画の過程におきまして徐々に変わっていくということは言えると思いますが、物価体系そのものを、政府でどうこうするというようなことは考えておりません。それから基準につきましては、一応昭和三十年を基準にいたしました消費者物価指数というものがございますので、これを常にわれわれの方はにらみまして、またその内容につきましても十分注意を払いまして、たとえば食料品等が非常に値上がりをするとかいうようなことのために、国民生活が脅かされるというようなときには、需給関係上の問題からそういう一時的な値上がりが起こりますので、これに対しては適切な施策を講じて食料品等が安定をするようにやっていく。またサービス関係等につきましては、今申し上げましたように、労務費の占める割が大きくて、生産性の向上によってこれを吸収することができないような面がある。こういうものにつきましては、ある程度の値上げというものは、徐々に認めていかざるを得ないのじゃないか。そういう過程におきまして、物価体系というものは変わっていくということは言えるのじゃないかと思います。
○田中(武)委員 特定年度の物価を一〇〇として、それからの指数をはかってやるのだ、こう言う。では、その基本となった年の物価が安定しておったかどうかが問題だと思う。所得倍増の中において変わってくると言うが、最初引いた線の特定年度、それを基準にして所得倍増をやった場合には、格差がますますひどくなるとわれわれは言っておるわけです。だからそういうことじゃなく、所得倍増計画の中における政府の考えている物価体系、これは、もちろん統制経済じゃないから、これこれは何ぼにすべしということはできないとしても、大体はかるものさしを持たなくちゃいかぬと思う。それでは先ほど、所得倍増計画の中において物価体系が変わってくる、こういうようにおっしゃったのですが、所得倍増計画の中における物価体系の変遷について資料を求めます。
○中野政府委員 今お話しの点は、国民所得倍増計画の中で物価体系の問題をどう考えておるか、こういうことでございますか。
○田中(武)委員 いや、あなたは所得倍増計画の中にあって、物価体系も変わってくる、こうおっしゃったのでしょう。だから政府の考えておられる所得倍増計画に合わせて、物価体系がどう変わってくるのかというあなた方の考えを示してほしい、こういうことです。
○中野政府委員 私が申し上げましたのは、サービス関係等の価格というものは徐々に上がってくるのじゃないか。それはまた認めるべきである。ただ一方では、消費財等につきましても下がるものもございまして、また卸売物価はどちらかというと横ばい、あるいはものによっては下がり気味であるというようなことで、物価の形というものは徐々に変わってくるのじゃないかということを申し上げたのであります。
○田中(武)委員 そういう抽象的なことでなく、所得倍増計画に合わせて、どういうように物価が変わっていくかという見通しを、どうお持ちであるかということを示してもらいたい、こう言うのです。経済企画庁というところは、そういうところじゃないですか。将来の経済についてのいろいろな見通しを策定して、そして施策の基本を作っていくというのが、あなた方の仕事じゃないですか。
○中野政府委員 所得倍増計画におきましては、そういう物価が、どういうものがどういうふうになるかというような、長期的な見通しは立てておりません。
○田中(武)委員 そういう長期の見通しがなくて、一方で所得倍増ばかり言ったって何もならぬじゃないですか。生活というものには、物価というものが不可分ですよ。そのことの計画が立たず、そのことの見通しが立たなくて、一方で所得がこうして上がるのだと言っても何もならぬと思う。国民生活の安定と言っても、それはゼロですよ。どうなんです。
○中野政府委員 所得倍増計画は、御承知のように、大体十年間をめどにいたしまして、実質的に国民の所得は倍増するということで計画を立てておるわけでございます。従って、今御指摘のように、ある程度物価が上がるということになりますれば、それに応じて実質的な倍増でなければいけないわけであります。物価の値上がりというものを織り込んだ、実質的にそれが倍増するもので、たとえば三十六年度のわれわれが作りました見通しでは、御承知のように国民総生産は九・八%名目的には上がります。しかし、これは消費者物価の値上がり等もございまして、実質では九・二%という数字を出しておるわけでございます。あくまでも倍増計画そのものは、実質的に所得を倍増させたい。ただ物価の問題につきましては、非常に長期の見通しの問題でございまして、倍増計画では、物価は上がるものもあれば下がるものもあるということで、全体としては、物価はフラットとして一応数字を出しておるわけであります。
○田中(武)委員 おっしゃっている所得倍増計画は、経済の伸長率から見てこうなるのだ、これはわかるのです。しかし個々の生活からいえば、名目的な収入がふえても何もならない。それと生活必需品につながる物価との関係、これにおいてどうなるのか、こういうことが問題になるのです。ところが、一方国民総生産がこうなるのだ、従って所得はこうなるのだと言って、物価のことについては、見通しはわからないということなら、国民生活の上からいって、所得倍増は一体何の役に立つのです。所得倍増計画を持っておられるなら、その年度に合わせた物価の動き、これを出して下さい。
○中野政府委員 物価の問題につきましては、今申し上げましたように、所得倍増の計画では、物価は一応フラットというふうに考えていろいろの数字を出しておるわけであります。ただ実際には、御指摘のように消費者物価等は、過去数年間の例を見ますと、約一%から一%強上がっております。外国の場合には、二%ないし三%上がっております。大体そういうことになっておりまして、卸売物価はあまり上がらない、あるいはものによっては下がり気味であるといたしましても、消費者物価というのは毎年少しずつ上がる傾向があるわけでございます。その点につきましては、毎年の経済の見通しにおきましてその点を参照いたしまして、それを差し引いても実質的に国民の所得はこれだけふえる、消費水準はこれだけ上がるという計画を毎年の計画として作っておるわけでございます。
○田中(武)委員 それじゃ、長期政策といいますか、所得倍増計画は長きにわたっているものを持っている、物価はそのときそのときの、一年、一年を参照しているんだ、こういうことですか。そうなんですか。
○中野政府委員 消費者物価の見通しにつきましては、毎年度の見通しを、経済見通しにおきまして作っておるわけでございます。
○田中(武)委員 そうすると、経済企画庁のやっておられる物価政策というか、それはその日暮らしだといっていいわけですね。一方においては五年なり十年なりの見通しを立てて大きな数字を出して大ぼらを吹いておる。ところが、物価についてはその日その日、その年度その年度がこないとわからない、こういうことなんですね。それを認められるんですね。
○中野政府委員 もちろん消費者物価の問題につきましては、そのときそのときの、その年の情勢に応じましてこれをどの程度に持っていきたいということは、基本の方針として——これは私の方の長官もときどき言っておられますが、消費者物価というものは、大体最高限二%程度ぐらいに、ならしてみれば押えたい。特に御承知のように、三十五年度は食料品の値上がり等を中心にいたしまして相当消費者物価が上がりまして、大体三十五年度は三十四年度に比べまして、三・二%くらいの上がり方になるんじゃないか。そうしますと、三十四、三十五、六とならしてみまして二%程度に押えるべきじゃないか。それでないと、片方で相当収入もふえるといっても、物価の値上がりで相当部分が消されるということになったのでは国民生活を圧迫するということで、企画庁としては、三十六年度はできるだけ一%程度の値上がりで押えたいというような方針でございます。また、過去の数字を見ましても、先ほど申し上げましたように、ここ数年間は一%強程度の値上がりになっておりますので、その程度であれば、片方で毎年消費水準が大体六、七%、収入もそれに応じまして相当ふえて参っておりますので、その程度の消費者物価の値上がりであれば、国民も了解をしてくれるんじゃないかということで、そういう目安をつけておるわけでございます。全然方針がないというわけじゃございません。ただ、物価の問題は、政府の方でいろいろこれを認可し、あるいは許可し、あるいは行政指導等でこれを抑制なり安定をさせ得る範囲というのは限られておるわけでございますので、実際、現実の数字がどの程度になるのかということは言えないわけでございますが、企画庁としてはその程度に目安を置いて、各省にいろいろの政策をお願いしておるわけでございます。
○田中(武)委員 関連質問だから整理をしたいと思うのですが、経済企画庁は、長期経済の見通しなんかを立てるのが大きな役目だと思う。従って、所得倍増計画についても、いろいろ国民総生産量とかなんかで立てておられるわけです。ところが物価ということについては、抽象的なことは言っておられるが、はっきりした見通しは、その年度その年度がこぬとわからぬということ、これもお認めになったんですね。それから物価体系というようなもの、いわゆる物価をはかるようなものさしをお持ちになっておらぬということ、このこともお認めになったんですね。それじゃこの程度にして、あとは大臣に質問いたします。
○板川委員 国鉄の運賃が一五%近く上がる。その国鉄の運賃が上がるために、一般の世帯一軒平均について年間二千円程度、もし国鉄運賃が上がらないと一世帯について年間二千円程度税金を負担してもらうということになる、こういう意味のことをこの間予算委員会で国鉄当局が言われましたが、この点について、国鉄関係に造詣の深い政務次官はどう考えておられますか。国鉄運賃が上がらないと一世帯で二千円近く増徴しないと国鉄がまかなっていけない、こう言っている。その国鉄運賃の値上げが〇・一%という状態ですが、一・一%というのは、そうすると、その割合で言うならば、一世帯について二万二千円、年間十一倍も支出増という形になるわけですが、そういう関係をどう考えますか。
○江藤政府委員 もし国鉄運賃を上げないでそれを各世帯に負担してもらうとすれば、おそらく二千円だという計算を予算委員会でお話しになっただろうと思います。私その計算の基礎は存じませんけれども、今度の運賃改正によりまして増徴する予定がたしか四百八十六億だったと思います。その四百八十六億を世帯で割りますと大体二千円になるではないか、かように考えるわけであります。ところで、ただいまの御質問はCPSとの関係だと思いますが、このCPSの数字の根拠と申しますのは、非常にたくさんの項目の中の一つに汽車運賃というのがございまして、それの消費者全体の消費に要するうちの占める割合という係数が、過去の実績から出ておりまして、それをかけて先ほどの国鉄運賃のCPSに及ぼす影響という数字が出ております。ですから、そこからすぐどういう関係かという説明は、直ちにはちょっといたしかねます。
○板川委員 指数で言うと、一・一%は大したことはない。それから年間二%程度の消費者物価の値上がりは、所得倍増の建前からやむを得ないじゃないか、こういう思想があるわけですが、一体今度の所得倍増の恩恵を受けない人、減税の恩典を受けない人、たとえば農村なんかそうですが、こういう農家が消費支出増大のためにどういうような影響を受けるかということを計算したことがございますか。たとえば、農家の場合は固定資産税が上がるでしょう。それから国民年金の掛金がふえるでしょう。医療費の負担がふえるでしょう。国鉄に乗れば、これは運賃を払わなければならぬし、郵便料金そのほか消費者物価が上がっておったら、所得倍増の恩恵を受けない、減税の恩典を受けない農村は非常に支出が圧迫をされる。ですから、指数でなくて、家計にどういう影響をもたらすかということを計算したことがあるかどうか。
○江藤政府委員 御指摘の通りに、指数というのは全体にならしたものでございまして、個々の消費者に対して一々具体的にどういう影響があるかということは、実はまだ私聞き及んでおりません。ただ、国鉄運賃が生計指数に及ぼす部分の一番大きいのはやはり通勤でございます。これは毎日の問題でございます。従いまして、定期の問題につきましては、割引率が非常に高いからこれをこの際多少是正したいという運輸当局の要望があったのでございますけれども、これはしばらくそのままに置いて、割引率は変えないで置こう、こういうことで据え置きました。なお、直接一番響く定期というものはできるだけ低く押えておきたい、こういう建前でございます。
○板川委員 そうじゃなくて、政府が消費者行政というのを強化していこうというなら、指数でごまかしていくんじゃなくて、指数の裏の内容を——それは所得が一割も二割も総理大臣のようにたくさん上がれば、これは消費者物価が少し上がったって問題じゃないですよ。消費者行政というのは所得の多い人を対象に考えるんじゃなくて、所得の少ない人、低所得者層を中心に消費者行政というものを考えなくちゃいけないと思うのです。だから一・一%の平均で大したことはない、所得は九%、一〇%上がっておる、心配ないじゃないか、差し引きして所得がふえておるから多少の値上がりは文句言うな、こういう考え方なんです。これは平均しての考え方です。たとえば一万円の月給取りが二人おる、十万円の月給取りが一人おる、三人の平均給料は四万円ですよ。そのうち千円の家計費が上がれば、十万円の人にはわずか一%で済むが、一万円の人には一〇%の値上がりになるのです。家計を圧迫するのです。だから消費者行政を政府が大いに向上対策審議会を設けてやろうという、それほどの熱意があるなら、また現在担当は経済企画庁ですから、そういう低所得者に昨年の物価の値上がりの影響がどういうふうにあり、本年度の一・一%の物価値上がりが家計にどういうような影響をもたらすかということを知りたいんですよ。それを調べてあるかどうか。
○江藤政府委員 御質問の御趣旨は全く御同感でございます。従来は、先ほども申し上げましたように、いわゆる指数で全体の平均を出しましたり、あるいは消費者というよりもむしろ生産者の方のいろいろ応援をするような、役所もそういう立場をとっておった点もございますけれども、今度そういう生活向上対策審議会というようなものを作りまして、消費者の立場に立って、一つそういう点をきめこまかにやっていこう、こういうふうに考えましたのも全く御趣旨の通りでありますが、それでとれからそういう面につきまして十分に検討して、御趣旨に沿うように一つやって参りたい。先ほど私がまだ成案を得ておりませんというのは、そういう点はただいま鋭意検討中なんでございまして、そういう点ももう少しはっきりすれば、個々のいわゆるほんとうに苦しい生活の方々の内容にまでずっと立ち入って、いろいろの対策を立てていくようにしなければいけない、かように考えております。ただいまそれじゃ、そういう具体的な案ができておるかと申しましても、これから一つそういうことをやろう、こういう段階にただいまあるわけでございます。
○板川委員 総理府統計局にありませんか。総理府統計局では、階層別の収入と階層別の家計費を調査しておられるはずですが。
○中野政府委員 総理府の統計局におきまして全都市の家計支出の調査をやっておりまして、ただこれは、われわれの方がいただく資料は全都市の平均の数字をもらっておりますので、そうではなしに、今御指摘のような階層別の影響調べというものをもう少しこまかく、企画庁としても総理府と連絡をとりまして調査をしていく、その影響も調べる、そこからまた今後の対策をどういうふうにしたらいいかということをやりたいと思っております。ただ一応われわれの方で、標準世帯あるいは低所得者の世帯というもので知り得る限りの資料によりまして、一応の計算をわれわれはしてみましたのでございますが、これは非常に不完全なものでございまして、もう少し総理府の統計の中身を洗いまして、一々また計算し直さなければなりませんので、ある程度時間もかかると思いますが、そういう調査もやりたいというように考えております。
○板川委員 総理府から統計を取り直して資料を洗ってやり直すのですね。それじゃその資料を早急に一つ出してもらいたいと思います。 ついでに伺いますが、標準家族で、たとえば二十五才で結婚し、二十七才で第一子、二十九才で第二子、三十一才で第三子ですか、そうして四十才になった五人家族の標準家族としますと、この標準家族が一年たった場合には、物価が上がらないものとして、同じ消費内容を維持するためには、子供が大きくなれば消費単位は拡大します。これを今四十才五人家族三万円の月給でおったとしましたら、同じ消費水準を維持するためには、一体年間どのくらい支出がよけいかかると思いますか。
○中野政府委員 今、別にそういう計算をいたしておりませんので、何か関係の資料でもありますれば……。
○板川委員 私はずっと前、似たような計算をしたことがあります。その程度でしたら千二百円くらい上がらないと、同じ生活水準を維持することができないと思います。だから、たとえば収入が五、六%ふえた、こういうことは生活内容が向上するというよりも、消費単位が上がって、家計が膨張するのは当然なのです。同じ消費内容を維持するにしても。だから一方において所得が多少上がったから、物価が二%程度将来も上がっていくのはある程度やむを得ない、こういう考え方はこれは消費行政を進める上において間違いじゃないか、こう思っておるのです。じゃ一つお伺いいたしますが、昨年小売価格が一体どのくらい上がりましたか。小売価格——小売物価にしますか。
○中野政府委員 今言われましたのは消費者物価でございますね。
○板川委員 小売物価——じゃ、昨年卸売物価、小売物価、消費者物価がどういうような割合で上がったか、その全部の計算はできてないかもしれないけれども、大体でわかっておると思いますから。
○中野政府委員 今実はここに一月から十二月までの平均が出ておりませんので、まことにあれでございますが、大体昨年の終わりごろの状況を申し上げますと、まず日銀の卸売物価でございますが、これは大体卸売物価の標準になっておりますが、昭和二十七年を一〇〇にいたしまして、昨年の十月から十二月までの趨勢を見ますと、一〇二・〇、一〇二・三、一〇二・四というように、二十七年から見て大体一〇二%程度のところにございます。前年に比べますと大体横ばい、ちょっと上がりぎみだ。これは経済企画庁の方の週間卸売物価で見ますと十一月、十二月は昨年よりも少し下がっておる。少し下がりぎみであるということになっております。それから日銀の東京の小売物価でございますが、これも昭和二十七年を一〇〇にいたしておりまして、三十五年、昨年末の数字が一〇五・五%くらい、従って、日銀の卸売物価よりも小売物価の方が少しよけい上がっておる。小売物価というのは、御承知のように手間賃とかいろいろ入っておりまして、一度上がりますと、なかなかちょっと下がりにくいということもございまして、小売物価はやや上がりぎみである。ただ、この小売物価には例のサービス料金は入っておりませんので、これにさらにサービス料金を入れたものが、いわゆる消費者物価ということになるわけでありまして、日銀の……。
○板川委員 小売物価の前年比は……。
○中野政府委員 十二月で前年に比べまして一〇二・〇になっております。 それから消費者物価の方は、今度サービス料金等が入るわけでございますが、昨年の終わりが全都市で一〇八・八、これは昭和三十年度を一〇〇にいたしておりますが、大体一〇八%程度のところであります。これは前年度の十二月に比べますと、十一月が二・六、十二月が三・三というふうに、大体昨年より三%程度上がっているという数字になっております。
○板川委員 総理大臣もしばしば言っておるのですが、卸売物価が横ばいしているから、従って小売物価も上がるはずはない、従って消費者物価も大して上がるはずがない、こういう議論をしばしばしておるのです。その議論から言うと、昨年は卸売物価は下がっておって、消費者物価が三・三%上がっておる、もちろん消費者物価の中にはサービス料金の値上がりがあるから、それは多少上がるのもやむを得ないという議論でしょう。しかしそれにしては三・三%の値上がりというのは多過ぎるのじゃないですか。
○中野政府委員 昨年が三%程度上がりましたのは、御承知のように昨年の四月から八月まで消費者物価はずっと上がりっぱなしでございまして、大体十月を境にして反落をして落ちついておりますが、これは主として食料費の値上がりが響いているわけであります。御承知のように食料費が消費者物価で占めますウエートは半分。大体半分は食料費でございますので、食料費がちょっと上がりますと消費者物価には非常に響くわけでございます。これは主として魚、あるいはその当時異常乾燥等の関係で夏野菜が非常に不足したということで、非常に上がった。それから肉類が、御承知のように豚肉等が上がったというようなことで、上がりましたが、その後の様子を見てみますと、野菜は非常に暴落を見ました。最近落ちつきを示しておりますが……。(加藤(清)委員「そんなことはない、魚なんか上がっておるじゃないか。」と呼ぶ)それ以外のものは大体高値で横ばいをしているという状況で、食料費の値上がりが相当響いておる、三%程度響いておるのじゃないかというふうに見ております。
○板川委員 この三・三%上がったのは食料費が大部分である——それはエンゲル係数が四五かその程度でしょう、その中の相当部分が上がったというのですが、どうも三・三%は上がり過ぎているのです。今加藤委員も言っているように、そうならば内容を説明してもらいたいと思うのです。大体総理府統計局で出しておる小売物価にしても、これは大して動かないといっておるけれども、六十六品目の中で四十一品目は値上がりしていますよ。九品目がとんとんで、値下がりしているのはわずか十六品目です。そうすると小売物価も上がって、しかもその卸売物価が上がらないのに、こういうように消費者物価がどんどん上がっていくということは、私は政府の消費者行政に対するほんとうの魂がこもってない証拠だと思うのです。もう一ぺん、消費者物価が三・三%上がった理由を一つ説明してもらいたい。
○中野政府委員 先ほどの私の説明が、ちょっと誤解を招いておるようでございますが、昨年の値上がりは春から夏、秋にかけて食料費が相当上がったことは事実でございますが、これは野菜の値下がり等で、今はある程度落ちついておりますし大体全体で三%程度の値上がりになるといたしますと、食料関係が三・六、住居費が一〇五・五というというように五%程度上がっている。先ほど御説明申し上げましたように、住居費というのは逐年来上がる傾向にあるわけであります。それ以外にサービス関係等の雑費もやはり三%近く上がっている、そういうことで全体として三%というものの値上がりになるのじゃないかと想定しております。
○板川委員 これは次官にお伺いしましょうか。卸売物価が上がらなくて、三・三%も小売物価が上がっている。池田さんの論調で言えば、あるいは経済企画庁長官の論調で言えば、卸が上がらないなら消費小売価格も変動はない。従って消費者物価は、多少サービス料金の値上げ等によって上がるにしても、そう大した値上がりはすまい、これは一貫した政府の考え方ですが、本年の一月は、日銀によると卸売物価が〇・七%上がっていますね。一カ月〇・七%上がっておる状態ですと、これは卸売物価が近い将来上がる可能性があるのじゃないですか。そうすると、卸売物価が変動しないのに消費者物価が上がるのですから、卸売物価が上がってくると、さらに消費者物価が非常に上がる可能性があるんじゃないですか。この点どうお考えですか。
○江藤政府委員 ただいまの御質問で、ことしの一月の卸売物価が〇・七%上がっている、これは先ほど調整局長からもるる御説明いたしましたように、卸売物価の趨勢というのは、多少の変動はありましても、全体的には弱含み、横ばい、こういうふうにわれわれは解釈いたしておるわけであります。それで池田総理が卸売物価は上がらない、だからして小売価格もそれほどの上がりはないだろうと言っておりますのは、卸売物価が動かないということは、インフレ的な要素は今のところ全然ない、こういう御説明の一つの意味合いだろうと私は考えております。そこで、卸売物価があまり動かないのに、消費者物価という方は多少上がり気味であると先ほどから申しておりますところの一番大きな原因は、サービス料金、要するに生産性の向上によって吸収できがたいサービス料金というものは、ある程度上がらざるを得ないのじゃないか。これは欧米の先進国の例を見ましても、そういう趨勢になっておるわけでございます。しかしこれとても一つの限度もございましょうし、われわれといたしましては、先ほど来消費者の立場に立ちまして、押える手段があるならば、できるだけ調和をとりながら、その最低限度に押えていくということは一貫した方針でございますから、ただいまの経済の動きから見まして、それほど変動がはなはだしいものはない、こういうふうにただいまは見通しておるわけでございます。 〔委員長退席、内田委員長代理着 席〕
○板川委員 政府の経済演説なんかの内容を見ますと、消費者物価は卸売物価と異なって、経済の成長、国民所得の増加に伴って逐次上昇するのはやむを得ない、それはサービス料金を含んでおるから、結論としてはこう言っておるのですね。消費者物価が逐次上がっていくのはやむを得ないという思想を持っておるのです。これは逐次所得が倍増していくんだから、逐次経済が成長していくのですから、従って逐次消費者物価が上がるということはやむを得ないという建前なのです。消費者物価がそういうふうに上がるのはある程度やむを得ないというならば、消費者物価が上がることによる国民生活の家計への影響を考えて、その上がるときと公共料金の値上げなんかはタイミングをはずしてやるべきじゃないですか。今はたとえば環境衛生関係の賃金が上がり、環境衛生料金が上がることはやむを得ない、これは消費家計を圧迫することはがまんしてもらいたい、そのかわり政府の方で公共料金、こういうものの値上げ等は少なくとも上げるにしてもタイミングをはずして、消費者家計に思いやりのある政治というものをやるべきがほんとうじゃないですか。この点どうお考えですか。
○江藤政府委員 ただいまの御質問の御趣旨はわれわれも同感でございます。ただ所得倍増によりまして経済が相当急速に伸びる場合におきまして、それの基盤をなしまする輸送でございますとか電力であるとかいうもので、万やむを得ないものを最低限度に押えながら上げざるを得ないので、一部公共料金も上げたわけでございます。しかしただいま御指摘のような御趣旨のもとに公立学校の授業料の値上げというようなものは、実は経済企画庁におきまして、ぜひこの際は見送ってほしい、こういうことを申して見送ったようなわけでございまして、趣旨といたしましては御指摘の通りの考え方でございます。
○板川委員 それでは次に通産次官、それから経済企画庁次官、公取委員長、お三人に質問いたします。 それは昨年、いや昨年ばかりではなく、ここ数年来で考えますが、数年来日本の重要産業というものは非常に生産性が上がっておると思います。それからまた産業の構造を見ますと、大資本が下請に依存する度合いというものが非常に大きくなっておる、拡大しております。一方下請料金の価格、こういうものを見ると、総体的に低くなっておる。さらにこれは通産次官でも当局でもいいのですが、一体昨年度輸入物資、輸入物価は前年に比較して何%くらい下がっておりますか。ちょっとそれを説明して下さい。それと関連しますから……。
○中野政府委員 今ちょっと私の手元に資料がございませんが、御指摘のように輸入物資の価格は、全体としては弱含み、少し下がっておるように承知をいたしております。
○板川委員 通産省の貿易統計月報によると、輸入物価は前年から比較すると六・四%安くなっておると思います。加工工業国と言われるのですから、原料は主として五、六%安くなっていると見てもいいと思いますね。原料は安くなっておる。しかも今度は設備投資が過大に行なわれて、設備がどんどん膨張しておる。生産性は非常に上がっておる。そうして下請にいたしましても下請依存度は高くなって、下請に対する支払いというものは、価格は安くなっておる。こうなると日本の物価全体が、たとえば生産財でも卸売物価でもいいと思いますが、そういうことを考えると、私はこれは昨年下がってもいいんじゃないかと思うのですがね。しかし全体として卸売物価は大して下がっておらないのです。独占物価、こういうものが下がらない原因は、一体どこにあるのでしょうか。公取委員長からでも一つ説明を願えればと思います。
○佐藤(基)政府委員 独占物価というのはどういう意味か、何を言われますのですかよくわかりませんが、私の方といたしましてはものの価格がどうなるかということは、いわゆる自由経済でありまして、生産業者というのは営利機関でありますから、なるべく高く売りたい、できるだけもうけたいというのが当然でありますけれども、私どもの関係におきましては、高くなったのを安くさせるという、いわゆる行政指導ということはできない。その高くなった原因がいわゆるカルテル、共同行為による疑いがある場合に、これを調べまして必要によりまして適切な措置をとる、こういうことになっております。
○板川委員 私常識的にいって、輸入物資が安くなり、生産性が高くなり、大企業の下請に対する依存度が高くなって、下請の条件が安くなっている。だからどうも大企業が中心に物価が引き下げられねばならないが、いわゆる公取の分野で調査したことがありますかというのです。本来ならば、常識的に言うならば、卸売物価はもっと下がってもいいと思います。ところが下がらないのは、私はここにカルテルが行なわれているからじゃないかと思うのです。こういう点公取として、常識的に物価が下がらない、独占物価が下がらないのは一体どこに原因があるかということを調査なすったことがございますか。全般的な問題ですよ。
○佐藤(基)政府委員 お話のカルテルがあるかないか。実はカルテルを大っぴらにやる人はないのでこっそりやっている。それで捜査もむずかしいが、私どもとしてはできるだけ御期待に沿うようにしたいと考えております。
○板川委員 そういうのを監視して、場合によっては調査をしてその実情を公表する。これは公取の任務だと思うのです。実は私は公取は公安委員会ほどでなくてもいいのですが、いまちょっと独立の権限を発揮して、大いに辣腕をふるってもらいたいと思っているのですよ。 そこで私は独占物価にからんで若干質問をしたいのです。それは雪印バターの問題、それから砂糖の問題、ビールの問題、石油の問題、この四つについてお伺いしたいと思うのです。 雪印バターの問題でお伺いいたしますが、これは公取にお伺いします。最近新聞報道によると、バターが百六十円から百七十円に値上げをしたい、これは小売価格ですが、こういうことが報道されておりますが、バターの国内の最大メーカーは雪印乳業で、六割生産をしております。さらに雪印はチーズでは七割ほど生産をしておるのですが、この雪印が昭和三十三年と思いますが、クローバーと合併をしたときに、合併するとこれは独占価格になり、価格のつり上げが行なわれるんじゃないか、当時百円バターがあったのだが、これは多分競争がなくなって、百円バターというものはなくなっていくだろう、値段もつり上がるだろう、こういうふうなことが、合併反対者から言われておるのですが、その後この雪印バターの値上げ状況は、昭和三十三年十二月、三十四年、三十五年とバターが値上がりしております。これは公取はどういうふうにお考えでしょうか。
○佐藤(基)政府委員 雪印乳業の問題につきましては、最近生産価格をポンド当たり十五円値上げしたいということを、農林省に届け出ているようでございます。その理由とするところは原料に使うところのいわゆる原乳の価格が非常に上がったということであります。独占的であるかどうかということはとにかく、原料が上がったというので上げていきたいと言ってきているということを、農林省から聞いております。
○板川委員 クローバーとの合併のときに公取委員長の談話が発表されておりますが、その談話には、今合併による独占の弊害は考えられない、しかし合併後何らかの形で独占の弊害が起こるときは、これを現行法において十分取り締まる、こういう談話が発表されておりますが、公正取引委員長、当然知っておると思うのですが、どうですか。
○佐藤(基)政府委員 独占的な問題になれば独占禁止法によりまして措置しますが、現状におきましては、今申し上げます通り原乳の価格が高くなったんだから製品の価格が高くなる——その限度についてはなお調べる余地があると思いますけれども、そういう事情でありますから、合併のときに問題になった独占の弊とはまだ考えておりません。
○板川委員 もっとも、調べないで、何もかもしなければ、それは独占の弊害があるかないかということもわからぬと思うのです。しかしわれわれが資料を入手してみると、昭和三十二年のバター卸売価格は一ポンドが百七十五円から百八十五円くらいしておる。三十四年十二月が二百三十円から二百三十五円くらい、三十五年十二月が二百六十円から二百七十円くらい——これは一ポンドですから、半ポンドですとその半分でしょう、それに箱代がついて、現在小売価格が百六十円というふうになっておるのですが、この雪印乳業の生産を、資料をとってみますと、この王年間、三十二年合併以来バターの生産というものは少しも伸びておらないのですね、かえって三十三年のときよりも減っておるのですね。それはバターがもうからないから作らないのかもしれないのですが、しかも合併当時は百円バターがあったのです。今度はそれは半ポンド百七十円程度になる。こうなると、合併のときに独占の弊害はないと判断したあなた方公取としては、多少消費者に対して責任があるんじゃないでしょうか。
○坂根政府委員 ただいまのお話でございますが、合併のあとで、私が知っておる限りでは、直ちに一応バターの価格を少し下げて、現在のメーカー価格はその下げたときのメーカー価格だと思います。従ってその三十三年の九月に下げた価格を、今公取委員長から御答弁ございましたように、原料乳の需給の状況で手直ししたいということで、農林省に申し出ておるようでありまして、その間の事情につきましては、私どもの方でもいろいろの事情は調べております。
○板川委員 現在調べておるのですか。
○坂根政府委員 担当の係においていろいろ事情を聴取しておるようであります。
○板川委員 それでは、その事情聴取の結果について次に質問いたしたいと思います。 次に砂糖問題でお伺いしたい。昨年十一月に農林大臣と大蔵大臣と経済企画庁長官の三大臣間で、関税率を引き上げることを条件として砂糖の輸入を自由化する。砂糖の貿易自由化というのはいろいろ問題のあることは、突然問題があったのじゃないのです。前からの問題があるが、しかし三相間でこれを決定したのですね。各次官御存じだと思うのです。ところが二月七日になって、今度は池田総理大臣も入って、自由化を取りやめたというのは、一体どういう事情によるのですか。
○中野政府委員 ちょっと私から事情を御説明申し上げます。 今御指摘のように、砂糖の自由化につきましては、昨年、関税を引き上げて——自由化の時期はまだ未定でございましたが、自由化に踏み切ろうという関係相の相談がきまったのでございます。その後いろいろ検討いたしまして、国内甘味資源、特にブドウ糖等に対する育成対策上、関税をあの程度に引き上げて自由化をしたんでは非常な打撃があるということが、検討の結果だんだんはっきりいたして参りましたので、今回は一応、関税率の引き上げの問題のときに関連いたしまして、関税率の引き上げをしないという方針をきめまして、その関係で自由化は当分見送る。これは経済企画庁の方で御承知のように昨年の六月に、貿易自由化大綱を決定いたしましたが、そのときには、砂糖については十分必要な対策を講じて、自由化については慎重な配慮を払う、こういうことになっております。経済企画庁といたしましては、自由化の大綱の線からいえばはずれてはいないはずでございますが、そういう事情で、関税率は引き上げない、自由化はもう少し検討する、ただ砂糖の値段の安定については、輸入量をふやす、あるいは輸入の時期を適当に調整するということで、価格が上がらないように措置しようということになっております。
○板川委員 砂糖問題と石油問題とビール問題は大臣がいたときに、それから今後の消費者行政についての結論等についても大臣に質問をいたします。 私は最後に公取について、特にこの間報告された年次報告について、公取委員長にお伺いします。三十四年度の年次報告をいただきましたが、三十四年度の年次報告を三十六年に出されるのは、公取の人員不足か、何か業務多忙ということによることか、その辺の事情を一つ説明して下さい。
○佐藤(基)政府委員 前年度の実績を調べ上げるのにだいぶ時間がかかります。それでやはり一年くらいはかかるということになるわけです。
○板川委員 もっと早く出せませんか。前年度のやつを調べ上げてまとめるのに一年間もかかることはないのじゃないですか。
○佐藤(基)政府委員 三十四年度が三十五年の三月で終わって、それで三十五年度になってやりますから、どうしても半年やそこらかかるわけであります。
○板川委員 前に私は注文したと思うのですが、年次報告は、公取としては非常な調査をして実情を公表するという中に、調査活動として重要性を持っておると私は思うのです。ところがこの前の三十三年度から字数が少なくなり、前年度に比較すれば三分の一に減ったのですね。一体この減った原因はどういうんだといったら、資料はそのつど出しますから、こういう約束であったのですが、約束してから今日まで一年間たちますが、一体資料をそのつど出しましたか。われわれ委員としてはいただいておらないのですが、どういう資料を出しましたか。
○佐藤(基)政府委員 前回申し上げました通り、たとえば生産集中度調査、これなんかはでき上がっておりますから、御希望によりまして商工委員の皆さんに差し上げたいと思います。
○板川委員 希望しておるのですから、一つできたら早急に公取の資料は委員会に配付していただきたい、こう思います。 それからこの年次報告の七十ページですが、このうち勧告したものは二件、審判手続を開始したものはなく、不問に付したものは二十件、審判開始はない、こういうのですが、どうも昔は公取は審判判例集等が出て非常に活動しておったのですけれども、この審判開始がほとんどないというのは、どうも私は公取として積極的にその使命を果たすために活動してないような感じがするのですが、もちろん審判を開始する材料がないのだ、みんなカルテルも何もしてない、心配ないのだということなのですか、これはどうなのですか。
○佐藤(基)政府委員 事件が決してないわけではない。事件はあるのですが、事件の調査と申しますか、審査の途中におきまして独禁法違反の事実が消滅する。すなわちカルテルの申し合わせをしておった場合にこちらから行って注意する、善意に知らなかった場合もありますが、独禁法の趣旨に従って、では悪かったから改めましょう、それで改める。そのカルテルを取り消しする。最近の例で申しますと、うどん屋が申し合わせをして値上げをして、それを関係業者に店頭に張らした。ところが公取の方から注意したというので、この申し合わせを破棄して、その店頭に張ったのをよした。しかも公取としてはさらにその後の状況を見ておりまして、まず間違いないというので事件を終わらせる。そういう事件が比較的多いものですから、そこで審判というふうな、同意審決はありますけれども、同意なしに審決したというのは最近ない。こういう事情であります。
○板川委員 昔は大いに審決をした事例なんかも非常に多かったのですけれども、最近はしないところを見ると、扱い方が変わったようですが、これはあとで議論いたしますが、この年次報告の二十九ページから三十ページに、「輸出入取引法に基づく協定等」という事項がございます。これによると、輸出業者の輸出取引に関する協定百三十四件、輸出業者の国内取引に関する協定六件、生産業者または販売業者の国内取引に関する協定の認可三十九件、輸入業者の輸入取引に関する協定二件、こういう協定の認可が通産大臣から協議を受けた。いずれも異議なく協議に応じた。従ってこれを認可をしたと、こういうことになるだろうと思うのですが、合計二百件近く、百八、九十件ありますが、一件も異議のないということでしたね、これは。
○佐藤(基)政府委員 結論的にそういうふうになっておるのであって、事務的には調整についてずいぶん意見を述べまして、そうして向こうの主張を相当調整してできておるというふうに御了解願いたいのであります。
○板川委員 ここが実はほんとうのところを聞きたいのですが、いずれも異議はなく認めておる。多少それは手続上のささいなことはあるにしても、問題は通産省の協議を受けたものは全部異議なく認可しておる。こういうことは御承知の通り、実は昨年、どうしても貿易自由化のために、過当競争を防ぐために輸出入取引法を改正しなくてはならぬ、政府は輸出入取引法の改正案を出した。ところが、それが流れて一年たったその間に貿易の自由化というのは相当に進んだ。しかし輸出入取引法の改正をしなくては国内の経済秩序が混乱して困ると言ったのに、大して困った例はないように思う。しかもこういうふうに異議なく認めておる状態からいうと、輸出入取引法の改正は、今大してやる必要がないじゃないかと思うのですが、その点、公正取引委員長としてはどうです。
○佐藤(基)政府委員 輸出入取引法の改正が必要かどうか、これは通産大臣が判断をすることでありますが、私の方に協議を受けた場合にどうかというのでありますが、この前の案と今度の案とどう違っているか知りませんが、おそらく同じらしい。そうするとその関係におきますと、輸入関係で輸入業者が協定ができるという規定、輸入業者だけじゃ足りない、需要者がほしいという例をあげたのであります。 たとえばニューカレドニアからニッケル鉱を輸入しておりますが、そのニッケル鉱というのは大メーカーでなければ使わない。しかもわずかの数の大メーカーである。でありますから輸入業者がニッケル鉱を扱うのでも、実は輸入業者の経費負担でやるのでなくて、輸入業者は大メーカーから命ぜられてコミッション・マーチャントとしての働きしかないのだ。それならば本質的に考えれば大メーカー、需要者が輸入についての協定を結んだ方がいいのじゃないか。ニューカレドニアは売手が一人のものだから、大メーカーが個々に競争すると不当に値段が上げられる心配がある。そこで共同歩調としてできるだけ安く買いたい。そのためには貿易業者を使ってもいいけれども、貿易業者というものはほとんど形式的な仲立ち機関であって、実際使うわずかな数メーカーだけが話をすればいいので、こういう理由で通産省の方からそういう協議があった。いろいろ事情を調べたところが、その限度ならやむを得ぬ、ただしそのために大メーカーがいわゆる値段をつり上げるというようなことになっては困るから、その点はよく——個々の場合にわれわれの方の同意を得て——こういうことになったのであります。
○板川委員 いや、一年間輸出入取引法を改正しないでやってきて、貿易の自由化が大へん進んだのに、輸出入取引に関する協定等を審議した中で、私は公取の立場からいうと大してないのだろう、こう思ったんですよ。そこでそれはいいです。改正の必要なしということは、あなたとしてはなかなか言えないでしょうけれども、多分大して改正の必要はないと思う。そこで佐藤委員長にお伺いしたいのですが、化繊企業の独占価格について現行法ではその規制が不能であるか、または違法性実証が困難であるという意見を新聞に意見として出されておりますが、今の独禁法では、先ほども盛んに言っておりましたが、積極的にこの独占価格を調査してつぶしていく、させないということはなかなか困難かと思うのですが、そうしますると、独占価格を調査をして、もっと公取として消費者のために独占価格をつり上げないような方法をとるためには現行法を改正した方がいい。たとえばある部分を改正した方がいい、こういうふうにお考えのように思いますが、どうなんですか。独禁法を強化する方向に改正する意思——もちろん四十四条二項によって意見を提出されることはできるのですから、そのために意見を提出する意思があるかどうかということをお伺いしたいのです。
○佐藤(基)政府委員 なかなかむずかしい問題で、私の方としては、いわゆる物価庁ではないから、物価統制ということは、ちょっとわれわれの権限にはない。結局現行法の独占価格というものは、多くの場合カルテルでございますから、あるいは会社の合併その他トラストでありますから、これを調べて不適当なものを押えるということでやっていけると思っております。(田中(武)委員「現行法でいいというわけだな。政府はますますこれを緩和しようとしておるのだ。」と呼ぶ)だから、緩和しようとする意見が一方にありますけれども、われわれの方としては緩和する必要なしというふうに考えておるわけであります。
○板川委員 今のところ消費者の利益を守るというようなところは、国民生活向上対策審議会とか連絡会とかがあったって、実はあれは大した任務、役割を果すものじゃない。あれは国民の批判をごまかすための看板にすぎないのです。私はやはりほんとうに消費者のために働く任務を持っておるのは、日本では公取だと思うのです。だからここで、公安委員会ほど、何も一切国会の意思を無視してもがんばっていくというような、われに責任なしというところまでがんばれなんということを言わぬが、しかし私は、独立した権限を持っておるのですから、通産省や経済企画庁の外局じゃないのですから、一つ大いに権限を発揮して、消費者のためにがんばってもらいたいということを、この際要望します。
○内田(常)委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は明十五日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。 午後零時四十三分散会