商工委員会 第2号
- 発言数
- 87 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/02/08
会議録
○中川委員長 これより会議を開きます。 通商産業の基本施策に関する件、経済総合計画に関する件、私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がございますので、順次これを許します。松平忠久君。
○松平委員 私はきのうの通産大臣の所信の表明について若干質問をしたいと思います。 きのうの所信の表明の中で、先般閣議で決定されたいわゆる所得倍増計画、これを中心にいろいろな施策をする、こういう内容があったのでありますが、三十六年度の経済において、国民総生産を実質九・二%に引き上げる、こういう構想でこの計画完成時における貿易は、きのうの説明によると二・二倍に当たる。たとえば輸出は九十二億ドル、輸入もほぼこれとバランスをとっておる、こういう表明をしたわけであります。ところが、この計画を立てたのは、実は事務的には去年のことであって、その当時アメリカのドル危機が今日のように深刻であるということは想像しなかったときであります。また同時に国内の物価が公共料金を初めとしまして軒並みに騰貴する、こういうような状況もなかったときに、この計画ができておるわけであります。従って今日は国外からの影響と国内の原因、こういうものが二つ直なって、これが予見されておることでありますが、当時これが予見されなかった。物価についてはあとで同僚の議員が質問をする予定になっておりますので、主として私は国外からの影響というものにしぼりまして質問をしたいと思います。 報告によると、所信表明の中でありましたが、昨年度の国際収支の受け取り増加分は六億ドル、その中で経常収支の受け取り増が一億二千万ドル、ほかの大部分は短期資金を中心とした、いわゆる借入金である、これが主要部分である、こういうことに承知をいたしておるわけであります。そこでお伺いしたいのは、この一億二千万ドルでございますが、この貿易勘定というものは、昨年は上よりも下の力にかなり伸びがとまってきておる、こういうふうに私は思うのでありますが、政府はこういう趨勢のもとにおいて、三十六年度の輸出目標というものは一体何ドルくらいに置いているのですか。その伸びとともに、ここで明示していただきたいと思うのです。
○今井説明員 三十五年度の輸出につきましては、前半と後半と非常に色合いが違うのでございまして、前半におきましてはアメリカ、欧州市場に対する輸出が非常に伸びておったのであります。ところが後半になりますと、アメリカの例のドル防衛等の関係もございますし、それから向こうの景気後退という関係がございまして、アメリカがむしろある程度落ちて参りました。そのかわりに東南アジアの方が伸びて参った。全体といたしまして、三十四年度に比べて暦年でもって一七・三%、年度として一四・九%の輸出増ということになったわけでございます。来年度におきましては、私どもとして今年度輸出実積のおおむね一割、九・四%と称しておりますが、大体その程度の輸出目標を立てて努力をいたしたい、かように考えておるわけであります。
○松平委員 三十五年度の当初においては、国際収支の経常の受け取りは一億五千万ドルという計画になっておったのじゃないですか。それがことしは経常の受け取り増が一億二千万、そうすると、暦年で比べて当初と実際の実積とはそこに食い違いがあると思うのだけれども、三十五年度の計画と比べて数字的にはどういうふうになっていますか。
○今井説明員 私、勉強不十分のために三十五年度の当初計画がどうなっておったかということを十分承知していないのでありますけれども、ただこの実積におきましては、輸出については三十五年度として、この一−三の予想を入れて通関ベースで四十一億五千万ドル、為替ベースで三十九億五千万ドルということになったわけでございます。先生のおっしゃるように、当初二億五千万ドルあるいは通常ベースでもって黒字を見込んでいたのかもしれませんが、ただ非常に異なりますことは、輸入の支払いベース、為替ベースは、本年度におきましては通関ベ−スで四十五億七千万ドル、為替ベースで三十八億ドルということになっております。例の綿毛におきましてユーザンスを大幅に取り入れるということによりまして、むしろ逆に為替ベースでは支払いがおくれて、短期資本取引で受け取り増加になった。従って全体としてユーザンスの関係で相当違って参ったのではないかというふうに考えております。
○松平委員 私の手元に三十五年度の経済計画があるわけでありますが、これによりますと、国際収支については、三十五年度は三十四年度に比べて予想以上の伸びを示すということの想定のもとに、輸出に約二億五千万ドルの黒字を予想しておる、こういうことでありますが、しからば本年度は、輸出のベースにおいて大体当初、昨年三十五年の一月ですが、当初予定した輸出の伸びと、昨年末までの輸出実積とを比べて、どういうふうに違うかということを私は聞いておる。
○今井説明員 三十五年度の当初の輸出目標は、通関ベースで四十億ドルということに相なっておりまして、それが現状の見通しにおきましては、実積といたしまして四十一億五千万ドルになるであろう、従いましてとにかくそれだけ輸出は目標よりもふえておるという格好になっておると思います。当初の黒字予想が現実に一億二千万ドルというふうになりましたのは、輸入の力の関係がある、かように考えております。
○松平委員 そこのところの数字を、もう少しはっきりしてもらわぬと……。今のは暦年ですか、あるいは会計年度ですか。四十一億五千万ドルというのは、会計年度によってやるのじゃないですか。
○中野政府委員 今申し上げました三十五年度の見込みにつきましては、これは会計年度でございますが、当初、昨年の一月でございますが、そのときの見通しは四十億ドル、それが通関ベースで四十億ドルと見たものが四十一億五千万ドルになった。それからちょっとはっきり記憶しておりませんが、今先生のおっしゃいました二億五千万ドルの黒字と見たのは、確かに資本取引を含めました総合収支で見ましたのが二億五千万ドルの黒字、それから経常収支で見ましたのが、はっきり記憶しておりませんが九千万ドル程度の黒字というふうに記憶しております。
○松平委員 そうじゃないのです。資本取引その他を入れたら昨年度の計画は四億五千万ドル、こういうことになっているのですが、その資料はありませんか。
○中野政府委員 それはすぐ資料を取り寄せて……。
○松平委員 それではお伺いいたしますが、昨年度の輸入と実積との食い違いというものは、どの程度になっていますか。
○中野政府委員 これも今数字を取り寄せて、はっきりお答え申し上げたいと思いますが、輸入通関につきましては大体三十五年度の一月の見通しとそう狂いはございません。少しふえておる程度だと思います。
○松平委員 どっちがふえているのですか。
○中野政府委員 輸入がです。
○松平委員 何と比べて……。
○中野政府委員 昨年一月の見通しとほぼ変わらない。この数字は通関が四十五億七千万ドルというのが、現在のところでこの一月の三十日に閣議決定をいたしました三十五年度実績見込み通関輸入四十五億七千万ドルというものはあまり変わっておりません。
○松平委員 それではあとで資料を取り寄せてから、昨年度の一月のときの計画と実績との数字的な開きを資料によって説明してもらいたいと思います。 それでは三十六年度の輸出入は、大体どういうような計画目標になっていますか。
○中野政府委員 三十六年度につきましては、通関で申しまして四十五億四千万ドル、これは輸出でございますが、三十五年度に比べまして先ほど通商局長からお話がございましたように九・四%の増加、それから輸入の方は、これも通関で入っておりますが、五十一億ドルと見まして、前年に比べて一一・六%ふえるのじゃないかというふうに見ております。
○松平委員 アメリカのドル防衛は、政府の発表によると、日本では特需関係、ICA関係で一億二千万ドル程度の減少だけでとどまる、こういうことを言っているのですが、あなた方のお見込みはどうです。
○中野政府委員 私の方で一応関係各省と相談してはじいた数字でお答え申し上げますが、昨年の末にアイク声明が出まして、ドル防衛政策が打ち出されました当時、関係省で相談いたしました数字は、ICAの輸出の方で三十六年度は、三十五年に比べて六千万ドルくらい減るのじゃないか、それから円セールといっておりますが、これは例の軍人であるとか軍人の家族等の個人消費あるいはPX等で物を買う、こういうものでございますが、この円セールが、軍人の家族が引き揚げますので、相当影響があると見まして、四千万ドルと見ております。それからそれ以外に例の車両特需といっておりますが、東南アジア方面へ軍の方で車両を調達いたしまして持っていく、あるいは日本に駐留しておりまする米軍機関が軍需品を調達するという項目、これは軍預金振り込みという言葉で申しておりますが、これはあまり影響がなくて、それでも二千万ドルくらいはあるだろう。だから円セールで二千万ドル、それ以外の特需で二千万ドル、それからICAで六千万ドルというふうに見ておったのですが、その後アイク政府のときに、軍人家族の引き揚げということはどうも実際困るのじゃないかということで、これは幾分緩和されるというふうなことになっております。特に今度の御承知のケネディ新政権になりまして、軍人の家族は引き揚げない、ただ別途の方法で軍の支出の節約をするということになっておりますので、その方面の影響は幾分減るのではないかということが言われております。 それからICA輸出につきましては六千万ドルと相当の減少を見込んだのでございますが、これは最近韓国に対するICA資金による肥料の入札がございまして、まだ結果はわかっておりませんが、三千万ドルほど昨年の終わりにICA資金による貸付が発表されまして、その四割は民間貿易でやるということになっておりますので、これは相当部分が国際入札で日本に落ちてくるのではないか、それからあとの残りの六割につきましては、入札の結果によりまして米灘品を優先させるということになっておりますので、これはどの程度影響があるかわかりませんが、これも一応国際入札ということになっておりまして、日本も参加しておりますので、その結果等を見れば一番大きな項目でありまする肥料等のICA資金による貸付、肥料の輸出というものの影響がわかってくるのではないか、しかし一応向こうの言っておることを見ますと、域外調達につきましても非常に厳重な基準でなくて、ある程度弾力性のある態度をとるものというふうに見ておりますが、しかしまだこれは具体的な結果がわかっておりませんので、目下のところでは一億二千万ドル程度の減少という影響については、関係省の間では数字の変更をする必要はないのじゃないか、しかし今見通されるところでは、一応一億二千万ドルよりも影響は少ないのではないかというふうに、事務的には計算をしておるわけでございます。
○松平委員 そういう影響のほかに、貿易関係の影響というものは全然ないというお見込みなんですか。最近ひんぴんと日本からの輸入品の削減運動というものがアメリカに起っているわけです。こういうものはドル防御とは関係ないのですか。
○今井説明員 今のICA資金並びにいわゆる特需の減少は、ある程度はっきりつかめるわけでございますが、あとケネディの教書によりますと、いかなる影響があるか、これは推測の域を出ないわけございますが、一つはアメリカが輸出ドライブに本気になって乗り出したという関係もございまして、あるいは東南アジア等におきまして、機械の輸出等について相当競争が激化するのではないかということが予想されます。これは私どもといたしましても十分そういうことを予測して対処しなければならぬと思います。 それからもう一つは、アメリカがドル資金の豊富な西欧諸国に、経済援助を従来アメリカが行なっていたその一部を肩がわりさせたいということになりますと、勢い肩がわりをいたしました西欧諸国といたしましては、経済協力の形でもって東南アジアに進出するおそれもある。そういう面からやはりその方面における輸出競争の激化という現象は現われるのではないか、われわれはそういうつもりで今後対策を立てなければならぬと思います。 今先生のおっしゃいましたアメリカ市場はどうかという問題でございますが、これは今度の声明におきましても、アメリカといたしましては輸入制限等によりまして国内産業の保護はとるべきではない。むしろお互いに貿易の自由を拡大し合って、貿易量の増大を期したいという形でございますし、きょうの新聞等によりましても、朝海大使が向こうの責任者に会いまして、その輸入制限の問題を確かめたところ、アメリカとしては法的にはさようなことはとらないというようなことを言っておる関係もございまして、おそらくアメリカとしては自己の手によりまして輸入制限措置はとらないのじゃないか、かように考えております。
○松平委員 政府は、今年度対米貿易をどういうふうに予想しておるのですか。輸出が幾らか、輸入が幾らか、昨年に比べてどの程度の伸びとか、縮むとかいう見込みですか。
○今井説明員 三十五年度の輸出見通しといたしましては大体十一億一千万ドル程度になるのじゃないか、かように考えております。それから三十六年度はそれより大体五%伸びるだろうということで、十一億七千万ドル、かように想定しております。 輸入につきましては、三十五年度の見通しは大体十四億程度と考えております。三十六年度につきましてはただいま数字を持っておりません。
○松平委員 三十六年度は十七億じゃないか。
○中野政府委員 輸入につきましては、地域別の試算というのは、実は出しておりません。ただ、今通商局長からお話がありましたように、本年度十四億程度とすれば、それより相当ふえるということになるのじゃないかと思います。
○松平委員 そういう地域別じゃなくて、輸入の見通しというのは品目別として検討しておるのですか。
○中野政府委員 輸入の見通しにつきましては、たとえば原燃料等につきましては、鉱工業生産の伸びというものと、従来の輸入に必要な原材料、燃料でございますね、そういうものの関連がございますので、そういうことからはじく、機械等につきましては外割を前にやりました、そういう外割の確認分というようなものから一応推定をする、食糧等につきましてはまた別個の計算方法で、そういうふうに、これは通産省と私どもの経済企画庁の方で積み上げをいたしまして、各品目ごとに必要量をはじいて算定しておるわけでございます。
○松平委員 対米貿易は、大体今まで片貿易だった。そこで輸出を増強しなければならぬ、バランスをとる、こういうことが、従来国会でもしばしば言われてきたところなんです。そこで、一昨年、昨年あたりはやや成績がよかった、こういうふうに思います。ところが本年度は逆に、アメリカのドル防衛の対策によって、かなり日本は逆調となってくる、こういう懸念をいずれも持っておるわけであります。貿易全体からいえば、グローバル・システムで大体のバランスをとるということで差しつかえないと思いますけれども、しかしその中で一番大きなウエートを占める対米貿易については、やはりその地域内におけるバランスというものを考えなくてはいかぬのじゃないかと思う。そこで輸出については十一億何千万ドルという一応の計画目標というものを立てておるけれども、輸入についてはノー・ズロースだ、先ほどの話ではこういう答弁だ、そういうことですか。そうではなくて、実際はまだ試算ができてないということなのか。輸入の目標というものを今日お立てになっていないという理由はどういうわけなんですか。
○今井説明員 これは実際輸入について立てていないと思います。品目別に、たとえば綿花はアメリカから幾ら買うか、それからメキシコから幾ら買うかということは、机上でもって数字を立てましても、実際に、たとえばメキシコ綿花が下がってきますと、これは自由に輸入することになっておりますから、従ってアメリカが減り、メキシコが非常にふえるというふうな格好になるのでございまして、たとえば三十四年度は、アメリカ貿易はむしろ逆に黒字になったのでございます。これは綿花は買付先がメキシコに移りまして、アメリカは非常に減ったわけでございます。従いまして、輸入につきまして、ある程度の予測はつきますけれども、実績はそれと著しく離れる。特に輸入の自由化というのは、安い地域から民間をして自由に買わしめようということでございますので、従いまして、ある程度の見当はつきますけれども、実際に計画性を持つことがむずかしいというような状況でございます。
○松平委員 それは私は輸出についても同じだと思うのですよ。聞く買ってくれるところに売るんだから、その点については輸入について目標を立てがたいと一緒に輸出についても目標を立てがたいはずなんだ。ところが、そういう原則的なことをいいますと、十四億何千万ドルという数字を立てたという根拠も非常に薄弱になるわけだと思う。およその見当はつけなければ、やはり各国別に一応のバランスを立てなければ、輸入全体、貿易全体のバランスは立てにくいと思うのです。その辺のところの考え方は、大臣どうですか。今までそういうものなのですか。僕はそうじゃないように思うのだがね。いつも大体の目標は立てているんじゃないかね。一方は地域別に出ておって、片一方は地域別に出てない、そういうことじゃ片ちんばでうまく計算が立たぬと思うがね。
○椎名国務大臣 輸出の問題につきましては、これは相手方のある問題であって、こっちが売るといっても向こうが買うかどうか。しかし、やはり努力目標は立てるべきであるという意味におきまして、従来の実績を考慮しながら新しく迎える年の努力目標を作っておる。これは私はいえると思います。輸入の問題につきましては、為替自由化なんというようなことを控えておりまして、そこが少し従来よりも変わってきているんじゃないか。それからまた、自由化する以前の状況におきましても、為替の割当を地域別にしないで物資別にしておる、そういう関係で、その物がアメリカにもあればメキシコにもある、あるいはインドにもあるというようなことになりますと、そこの間が多少動いていく、こういうこと。それから四月には綿花、原毛の自由化というようなこともございまして、輸入については、少し輸出ほどつかまえにくい事情があるのではないか、かように考えております。しかしながら全然無計画に、何ら目標なしにやるというものではありませんので、その点は、できるだけ努力目標を作りたいと思います。
○松平委員 ちょっと努力目標で聞くのですが、輸出の努力目標はわかるのですが、輸入の努力目標はどういうところに基準を置いて目標を立てるのですか。
○今井説明員 輸入につきましては、御承知のように外貨予算によりまして、物資別に需給関係を主体にしてはじいておるわけであります。しかも、その輸入方法につきまして、昔は、たとえばドル地域とか、またポンド地域とか、オープン・アカウント地域とかこまかく細分されておりましたけれども、現在は大部分グローバル・クオータということで、どの地域からどういう通貨でもって買ってもよろしいという建前になっておるわけでございます。従いまして、輸入につきまして、たとえばどういう地域の物が値段が安くて消費者が好むということの予想は立て得ますけれども、厳重に縛るわけにはいかぬ。特に外貨予算で実施する場合におきましては、全然地域を縛りませんで業界に自由に選択さして買わしておるということでございます。
○松平委員 その点はわかります、輸入については。しかしながらやはり政府としてはおおよその計画なり目標というものがなければならぬと思う。そうでなければアメリカに対してお前日本品をもっと買ってくれとかなんとかいうことは言えないじゃありませんか。お前のところからこのくらいは輸入するのだ、こういうように言うから、もっと買えということを言えるのであって、そういうものが全然、お前の国から幾ら買うかわからぬというような考え方では、輸出を伸ばすということもできないのじゃないかと思う。だからある程度のワクというか、何というか、およその見当というものはつけなければいけないのじゃないかと私は思うのだが、そういう考えじゃないのですか。
○今井説明員 これはたとえばアメリカに対しましては、今年度におきまして輸入が十四億ドルであって、輸出が十一億ドル、三億ドルの逆調ということになりますれば、それをもちまして向こうと話し合いするわけでございます。その場合実は綿花をこれだけ買うからとかなんとかいうことは、口約束はしないという建前になっておるわけでございます。ただ相手方、特に中近東地域等貿易が日本の一方的な出超で、向こうが割高だけれども何とか買ってくれというような、国によりまして貿易のアン・バランスの場合におきまして、それじゃ日本はこれだけ輸入をするから、お前の方としてあまり輸入制限をしないで日本製品を買ってくれというような交渉をするわけでございまして、そういう場合におきましてはある程度割高物資でも買わなければならぬという要素が出ますから、日本としてその地域から幾ら買いたいという具体数字が出て参りますけれども、大部分の国に対しましては、過去の実積をもちまして貿易バランスというものを判断して、それによりまして向こうと交渉するということになると思います。
○松平委員 ドル防衛の影響は、アメリカと日本との貿易の競争ということのほかに、かなりアメリカが欧州その他に積極的に貿易の積極策をとる、こういう方針であるので、日本とほかの国との間の競争というものが非常に激化するであろうというふうに思うのです。そこでたとえば、少し前に新聞にありましたが、カナダの洋食器百二十万ダースを四十万ダースに減らすなんということを、業界か何かが提案してきておるということがあるわけだけれども、こういうようなことも、考えようによってはあるいはドル防衛の間接的な一つの影響ではなかろうか、こういうふうに思われるわけだけれどもも、ああいうような問題についてはどういう判断をしておりますか、またどういう対策を今日講じようとしておるか。
○今井説明員 ただいまお話がありましたような、カナダなりアメリカなり、たとえば以前から日本製品について輸出数量を制限してほしい、これはアメリカにおきましては綿布その他の雑貨等につきましてこちらといたしまして個別的に輸出制限をいたしております。それからカナダにつきましても繊維品を初め洋食器その他の雑貨についてやはりこちらが自主的な輸出制限をしておりますが、これはドル防衛の問題が起こる以前からの問題でございまして、アメリカなりカナダなりの国際収支が逆調に転じたということじゃなくて、それぞれ日本の製品によりまして脅威を受けます相手国産業の国内保護という見地から、いろいろ問題が出ていることと思います。ドル防衛の問題が起こりましても、その点は私は変わっていないと思います。ドル防衛全体として、向こうがドルの節約のために、向こうの手によって輸入制限をするかどうかという問題は、これは全く別個の問題でありまして、今のところこの声明にもはっきりありますように、輸入制限はしないという建前をとっておると思います。
○松平委員 雑貨類については、このドル防衛の政策が行なわれる前に、すでにいろいろな削減運動が起こったということは、今お話の通りであります。しかしドル防衛の政策が打ち出されてきてから、そういうものが積極化してくるということは当然だと思う。それに対して先般のケネディの特別教書によって見ると、法的な削減、制限措置はとらないということもいっておるわけだけれども、しかし今私が聞いておるのは、アメリカじゃなくてカナダの問題なんです。カナダについてはアメリカのケネディの言うことが行なわれるわけじゃないのだから、彼らはドル防衛の間接の影響を受けて、そして日本の製品を制限してくるということをやり得るでしょう。また洋食器の場合は、今おっしゃる通りにドル防衛政策前の問題であったかもしれないが、しかしドル防衛が出てきたために、それが加速度的に進展してくるということは考えられることなんです。そこで今私がお伺いしておるのは、ああいうことはドル防衛政策によってその加速度が加わってきたのではないか、こういうふうに私は見ておるわけだが、あなたはそれは関係ないということを今おっしゃっておるわけだ。そこでこういう問題、たとえばカナダの問題は一たんきまった百二十万ダースを四十万ダースに切ってくる、こういうことなんだが、これはしからばどういう措置をとっています。
○今井説明員 このカナダの問題は実はアメリカの問題とは違っておりまして、カナダ自体は直接輸入制限をする国内法的な根拠は全然ないわけでございます。そのかわりに日カ通商協定等にございますように評価権という制度がありまして、カナダ製品よりも著しく安い品物が入って参ります場合におきましては、それをカナダ政府で評価して、禁止的な関税をかけるという制度だけが唯一の制限になっておりまして、他に輸入制限措置というふうなことはとれない。カナダ側のいうのは、たとえば洋食器につきましては従来の百二十万ダースを四十万ダースに、日本として自主的に輸出を規制しない限り、向こうとしては任意、評価権という制度を発動する、こういう問題になっておるわけでございます。私どもといたしましては、もしさようなことになりますれば、非常に影響が重大でございますので、カナダ政府と目下交渉中でございます。
○松平委員 新聞の報道によると、百二十万ダースそのものが、一応日本の業者がいってきまった数字である、その後さらに四十万ダースに減らしてきたということは、その当時相互信頼の上に立ってきめたことを破るものだといって業者はおこっておるというが、そういう事実があったのですか、そうじゃなくてその辺のところははっきりきまったわけではなかったのか、その辺の真相は今お調べになっていますか。
○今井説明員 これは私は詳しくは知らないわけで、百二十万ダースというのは昨年度の輸出目標、それを今年度四十万ダースに減らすということだろうと思います。そのほか繊維等につきましても同様の問題がありまして、これは要するに向こうの国際収支全体の問題、ドルが不足するというふうな問題ではなくて、それぞれの業界が騒いで政府に働きかけておるという問題でございます。
○松平委員 その問題は小さいからもうこの辺でやめておきまして、本格的な次の問題に移っていきたいと思うのです。国際収支の特別教書によりますと、いろいろな努力目標というものをアメリカは掲げてきております。その中で日本に特に影響のあるものは第六項の、農産物の輸出にあるのだろうと思う。それはアメリカの農務長官に対して、アメリカの農産物の輸出増大のために可能かつ国際的にも望ましいあらゆる手段を報告して、そうしてこの目的を達成するように指令する、こう言っているわけであります。同時に、その輸出保証の問題その他におきまして、やはり農産物というものをアメリカはもてあまして困っておる。これを処分したいというのがアメリカの一番大きな悩みだろうと思うのです。今日世界の食糧のストックを見ると、そのストックの中の九〇%はアメリカ品なんです。たとえば雑穀その他におきましても、現在アメリカのストックしておるのは、昨年九月の世界農業会議に発表された数字によると、六千七百万トンの過剰農産物というものを持って困っておる。これは世界の過剰農産物の九〇%に当たります。これを始末しなくちゃならぬ、こういうことにあるわけなんです。ところが日本は去年の六月の自由化の閣議決定によって、およそ九割のものは三年以内、あと一割のものはその後、こういうことに決定しておって、そうしてその一〇%の中のものはほとんど農産物なんです。ところが大豆等はその前にやる、こういうふうになっておるわけなんです。そこでお伺いしたいのは、通産省の考え方は、大豆は一体どうするのですか。農林省の考え方もあるでしょうが、今出ている方針というものは、私ども聞いているところによると、四月に自由化をするという案と、それからたしかその前に、七月に自由化をするという案とあったと思う。そこで今政府自体としては、この大豆の自由化についてはどういうふうな考えを持っておるか、これをお伺いしたい。
○椎名国務大臣 三年間に自由化する目標としては大体八〇%、それで燃料関係もそれに加えますと、つまり石炭、石油を自由化するということになりますと、それが九〇%程度になる。それで石油、石炭をいつ自由化するかということにつきましては、まだ決定しておらない状況であります。お説のごとく、あとの一〇%は主として農産物で、農産物については閣議の方針といたしましても、これは各国とも非常な保護政策をとっており、またとらざるを得ない性質のものでもあるので、これについては十分準備ができた後においてということになって、はっきりしためどはまだ立っておらぬが、ただ大豆の問題については、すでに方針が決定しております。農林省においてもおそらくそのつもりで準備をしておるものと考えておりますが、まだ詳細のことは私存じません。当初の予定は四月かそこらだったと思います。
○松平委員 初め聞いたところによると、二つ案が出ているように思うのです。七月案と四月案が出ておって、そうして大体四月案の方にウェートを置かれておったように思うけれども、最近はだいぶ大豆生産業者が反対運動をしておるというようなこともあって、七月というふうな説も出てきているが、四月とか七月ということは閣議ではまだきめてないのですか。あれは事務当局の間の話し合いでそういうものは話題になっているのかどうか、あわせて御答弁願いたい。
○椎名国務大臣 四月にやるか七月にやるか、そういうどっちにやるかというふうな話は、私は聞いておりません。大体去年の六月に自由化の大綱を決定した際に、大豆はその大綱の計画の中で、今年の半ば過ぎということになっておったと思いますが、それを特別に取り立てて、大豆の問題について最近閣議の決定をしたことはございません。
○松平委員 その次に伺いたいのは、これは通産大臣も関与しておったように思うのですが、砂糖の問題であります。砂糖は昨年の十一月に——これは農林委員会でやるべき問題でなくて、通産大臣の関与している限りにおいてお伺いしたいのですが、昨年の十一月に関税を上げてこれを自由化にする、こういう考え方で関税を上げることになった。その後反対がだいぶ出てきて、そして関税を上げることは取りやめにして、現行制度据え置き、こういうことに大臣も加わって四人の大臣がきめた、こういうのですが、事実そうですが。
○椎名国務大臣 砂糖輸入の問題に多少問題がからんで参りますので、それで通商局を持っておる通産大臣として加わってくれということであったろうと思いますが、私はこれには終始ことごとくその相談に乗っているわけでもありません。かぜを引きまして、ちょっと数日休んでおりましたから、その間何かあったかもしれませんが、とにかく結論といたしましては、てん菜糖の保護のためにある程度の関税を引き上げて、そして自由化するという話であったのが、ブドウ糖の国内需給政策は別に講ずることとして、関税引き上げもやめ、自由化も当初の通り、そう急がないということになっている状況であります。
○松平委員 ブドウ糖と今のてん菜糖、これを保護することはわれわれ社会党も同じだし、最近は自民党もそういう傾向になってきたと思う。これはけっこうです。ところが同じ関税定率の引き上げの中に酪農製品は引き上げる方にいったというのはどういうわけですか。これは、牛後に適当なときに自由化をやるのだ、こういうふうに酪農はなっておったわけなんです。ところが今度の関税定率では、当初砂糖と同町にこの関税を引き上げることになった。そのことは酪農製品の自由化を早める布石なんだというふうに世間ではとっているわけなんです。これは早めるのだ、三年以内に酪農製品の自由化をやるのだ、こういうふうに多くのものは勘ぐっております。この点はどういうふうにお考えですか。
○椎名国務大臣 これは所管外でございますから、責任を持ってお答えすることはできませんが、私は酪農の自由化問題については、ほとんどにおいもかいだことはない。でありますから、関税を引き上げたことも実は存じませんでしたが、もしそうだとしても、おそらく自由化を急ぐということは私はないと承知しております。なおよく調べてみます。
○松平委員 それはその程度にしておきまして、その次に伺いたいのは、所得倍増の計画によって輸出を相当伸ばす、九〇%伸ばす、ところがそのほかに外の原因と内の原因というものがある、そういう原因によってかなり影響を受けるかもわからぬというのが、われわれの心配になっているわけです。そこでお伺いしたいのは、現存の貿易の総額で、いわゆる自由諸国と共産圏の諸国との間に貿易額の金額と比率を、ちょっとここでお示し願いたい。
○今井説明員 ただいまそれに該当する的確な資料を持ち合わせておりませんが、ただ何と申しましても、共産圏で一番大きなのはソ連関係でございます。ソ連関係に対しましては、わが方の見積りですと、六十年の輸出が六千五百万ドル、それから輸入が六下万ドル。それから六十一年の見積りといたしましては、輸出八千万ドル、輸入七千万ドル。それからあとは中共関係でございますが、中共は御承知のような状態でございまして、輸出入非常に微々たるものでございます。それからそのほかの地域につきましては、ほとんど言うに足らないような貿易状態でございます。
○松平委員 大体の数字はそんなものだろうと思いますが、日本の輸出入現存額が、かりに約八十億ドルという大まかな数字といたしまして、共産圏との貿易は、輸出入とも加えて一億数千万ドル、こういう状態になっておる。非常なアンバランスと言わざるを得ないと思う。中共は御承知のような格好でストップしておる。最近ぼつぼつ始めた、こういう程度なんです。この数字も言うに足らぬと思います。そこで政府は資料をお持ちであるかどうか——昨年度の中共におけるイギリスの輸出貿易は幾ら、西独の輸出貿易は幾らになっていますか。
○今井説明員 ただいま持ち合わしておりません。
○松平委員 わからなければ私の方手元の資料を披露してもいいと思うのですが、大体において輸出は三億五千万ドル程度じゃなかろうかと思います。少し伸びてきておりまして、最近はアメリカのドル防衛の影響で、イギリスその他の国が外へ発展しなければならぬというので、かなり努力をしておるようであります。 そこでこの問題について少しく大臣にお伺いしたいと思います。政府は先般強制バーター地域というものを手続上、運営上緩和するという方針を立てられた、これはまことにけっこうであります。中共側の方はいわゆる三原則というものを持って参って、政府間協定をしてくれ、こういうことを言っている。政府はそれはできぬ、こういうことを言っている。しかし政府間協定はしなくても、ある程度の貿易は一つできるだけやってもいいという考えも一面にあるわけであります。 そこで、お伺いしたいのは、政府間協定をやらないでどの程度この貿易額が伸びる見込みがあるのか、あるいは政府は中共貿易というものを、今後どの程度伸ばしていきたい、何万ドルくらい、あるいは何億ドルくらい伸ばしていきたい、こういうことをお考えになっていますか。前の通商局長は、早く一億ドルに伸ばせという指令を受けておるということを私に話したことがあります。早く一億ドルくらいまで伸ばすのだ、こういうことを言っておった。一億ドルに伸ばしたら、そのときには強制バーター地域というものははずしてもいいのだこういうことを言われておったが、今の大臣は何かそういう努力目標を持っておられるかどうか。
○椎名国務大臣 中絶する前は輸出が六千万ドル余り、輸入が八千万ドル余り、そこまでいったのです。それで急激に落ちたことは御承知の通り。このときの民間と向こうとの協定では、片道一億ドルまでいこうという目標のもとに協定されておったことは御承知の通りであります。もう少したてばそこまであるいはいったかと思いますが、不幸にしてああいう状態になりました。今はまたやり直しておりますが、ことし三十六年度はだんだん積み上げ方式で参りまして、三千万ドル程度までは片道いくのではないか。急激にこれを伸ばすということは、こっちは民間貿易ですからやれと言っても民間がやらなければどうにもならない。中共とちょっとそこは違うところでありますが、できるだけこれを以前の状態に一つ持っていきたいという考えは持っております。
○松平委員 今の大臣のやれと言ったってということですが、やれと言えばいいのです。それを言わないのだ。政府の方はむしろチェックするようなことを今までやってきたし、やれと言わぬからいかぬ。やれと言う場合には、やって都合のいいようにしていかなければならない、私はこういうふうに思うのです。そこで今のお話によると、ことしの目標は、一応の試算によると三千万ドルというようなことを言われたけれども、それはどういうような基礎で過去の実績等を勘案して、そういう数字を一応お答えになったのですか。
○今井説明員 これは過去の実績はまだ微々たるものでございます。それは昨年度の実績はほとんど音無にひとしい、現在ぼつぼつ契約が始まっていますし、それが最初においては大したテンポにならなくても、いろいろなれるに従いましてふえるであろうという程度の、ほんとうの腰だめの数字でございます。
○松平委員 大臣、これは政府間協定をしなくても伸ばす方法は私はあると思うのです。その方法をお考えになっていただきたいと思うのだが、それは二つあると思うのです。一つは、今のは目標も何もなくてバランスが全然とれない。バランスがとれないというところに非常に難点があるわけです。もう一つは、やはり強制バーター地域というものをはずしていくことが一つの方法ではないか。これをはずしたら伸びる。それでポンド決済にする、こういうことなんです。ところがポンド決済にすればこれはロンドン決済になりますから不便が多い。そこで結局銀行間のコルレス契約を結ばせるほかにないと思うのです。この二つをやれば私はかなり伸びると思います。そういうお考えはございませんか。
○椎名国務大臣 ただいまは強制バーター地域という指定からはずしておりませんが、しかしながら通産大臣が特にこれを認めた場合には、片道でやれるという便法を講じておるわけであります。しかしそれでは足りない。根本的に強制バーターの地域からこれをはずしてしまえという重大な御発言がございましたから、その点について所見を申し上げてみたいと思うのでありますが、向こうが日本品を無制限に入れるという態勢になっておるということをわれわれが確認することができますれば、必ずしも政府間協定の段階に至りませんでも、この地域からはずすということは考え得るのでございますけれども、今のところその確認と申しますか、信頼度と申しますか、そこがまだ十分でないという段階でございますから、根本的にはずすわけにはいかない、こういうわけであります。
○松平委員 日本の品物を大体買ってくれる信頼感というものがあるならばというお話だったのですが、そうすると、そこにアンバランスの問題が出てくるのではなかろうかと思います。そこで向こうも、しからば向こうの品物を日本が買ってくれるかという信頼感、どっちどっちだと思う。ところが日本では、たしかブルガリアだとかあるいはルーマニア、あの辺の国あるいは東独ですか、東独は強制バーター地域になっていると思うが、そのほかの国について、強制バーター地域をはずしておる国があると思うのだが、これは非常にアンバランスなのです。日本の品物は行くけれども、向こうは一つも来ない。こういう国でありながら、強制バーター地域をはずしておる、こういう国があるのだが、それと同じではないか。やってできないことはない。
○今井説明員 ルーマニアのお話が出ましたが、ルーマニアにつきましては先般通商協定をやりましたので、両方でもって自由な体制をとるということでございますのではずしたわけでございまして、東独等につきましては依然として強制バーター地域に指定しておるわけであります。
○松平委員 大臣は、西ドイツと東ドイツの間に貿易協定のようなものが結ばれているという事実は御存じでしょうね。
○椎名国務大臣 存じません。
○松平委員 それでは、北ベトナムとの間に現在通商協定、貿易協定を結んでいる国は何カ国ありますか。——知らなければ私が教えてやってもいい。今北ベトナムを承認しておる国は当然結んでおります。インドとかインドネシアあるいはイラク等は貿易協定を結んでいるわけです。ところが北ベトナムを全然承認してない国、フランス、アラブ連合、カンボジア、キューバ、この四カ国は政府間の貿易協定を結んでおります。この問題はあとに譲るといたしまして、ドイツのただいま大臣が知らないと言った問題は、これは支払い決済の協定を結んでおるわけであります。だから、先ほど申しましたように、決済の協定、これは銀行間でいいと思うのですが、いわゆるコルレス契約というものを結ばなければだめだ、こういうふうに思うのですが、その点についての通産省の考え方を伺いたいと思います。
○今井説明員 今まで私研究したことございませんけれども、確かに一つの考え方でございまして、十分研究したいと思います。
○松平委員 これは所管は大蔵省の問題だろうと思うのです。大蔵省の問題だろうと思うけれども、しかし通産省は貿易を伸展させるという立場からいうならば、やはり支払い協定というものを結んで、かりに中国銀行とそれから日本でいえば東京銀行ですか、為替銀行の中のどこか一銀行とこの契約を結んで、ロンドン決済にしなくてもいいようにする必要があるのではなかろうか。ドイツでは現在東ドイツには内外貿易省というものがあります。それと西ドイツの信託銀行がこのコルレス契約を結んでいるわけです。それで西ドイツ、東ドイツとおのおの分かれて、むろん承認していない国でありながら、貿易を伸展するという意味で、そういう支払い協定を結んでいることは、日本としては非常に参考になるのではないかと思う。そういうことも一つ推進する決意を伺いたい。
○椎名国務大臣 よく研究いたしまして……。
○松平委員 研究は研究でけっこうだけれども、研究した結果について今大臣から聞くわけにもいかぬけれども、しかしながらそういうことをした方が貿易の伸びる余地があるのですよ。だから私は言っているわけです。しかもこれは政府間の国家承認にはならない。あなた方もきらっている国家の承認にはならないで、なおかつ貿易を伸展させる手続がある。そういうことは大臣、やはり念頭に入れてこれを推進させるという考え方で研究しなくてはいかぬと思う。そこでその決意を私は伺っているわけです。
○椎名国務大臣 政府間の協定に至らない段階において、できるだけ両国の貿易が増進するように積極的に進めたいと考えております。従って研究の結果、これがよろしいということになればやらざるを得ないと思います。
○松平委員 私はぜひそういうことをやっていただきたい。今言うコルレス契約と、それから強制バーター地域をはずすという二つが貿易を伸展さしていく一番の障害になっているので、その点の解決をお願いしたいと思う。 もう一つ伺いたいのは、最近通産省は日中輸出入貿易に対していろいろ改組だとか、あるいは手を入れている、こういうふうな報道があるが、どの程度のことを今おやりになっているのですか。
○椎名国務大臣 日中輸出入組合の理事長の南郷三郎氏が先般やめられまして、従って今理事長なしでやっておる状況でございます。やめた事情はつまびらかにいたしませんが、いずれにしても日中貿易の再建ということがうたわれておる今日の状況におきまして、理事長なしにいつまでも放置するということは適当でないと考えまして、しかしあれは別に政府の認可とか任命とかいうものではございません。民間が適材を選ぶという建前になっております。でありますけれども、民間の方でも何かいい人があればという気持もあり、こちらもあった方がいいというような考えから、副理事長の諸君に対しまして、できるだけ適任者を選ぶようにという政府の方の気持も伝えてあるような事情でございます。それ以上は今のところ付ら特別の動きはないと考えております。
○松平委員 日中輸出入貿易組合におきましては、過去の実積もあり、その評価をしている一人でありますけれども、しかしとかくのうわさもあった組合であります。ですからこの指導については私は相当慎重にやっていただきたい、こういうことを要望しておきます。 それから、先ほど大臣が言われましたが、私も一番困ることは、向こうが一体日本の品物をどの程度受け入れてくれるのか、こっちはどれくらい買ったらいいかという目安がないということなんです。従って信頼というものをどこにも求めることができない。こっちの判断、向こうの判断だけでもって許可をしている、こういうような実際の状況であろうと思うのです。従ってどうしても大体の数量と金額と品物くらいは、年間を通じてたとえば一億ドルなら一億ドル、品物は何と何だ、いわゆる甲乙丙なんという強制バーター的な考えは抜きにして、総合バーターというか、そういうものにして、品目と金額くらいは、両方の政府が信頼を増す意味において、信頼の一つの基準となるべきものとして、その程度のものは協定してもいいんじゃないか、私はそういうふうに思っているのです。こんなことは別に池…さんが気に病むほどのことではない。現に北ベトナムとフランスがそういう政府間の協定をしている。あるいはアラブ連合がやっている、こういう実情なんです。あるいは西独と東独がそういった協定もやっておるというようなことから考えますと、これは私は別に苦にしなくてもできるのじゃないかと思うのですけれども、その点はどうですか。
○椎名国務大臣 事柄が外交問題に触れるので、私はあまりこの問題については責任ある御答弁はいたしかねるのでございますが、相手方が国交正常化というものにからまして、この政府間協定というものを考えておるというか、そういうような行動に出そうだというようなことで、とにかく政府間協定はこの際は非常に慎重にすべきであるというのが、今日の日本の外交当局のとっておる方針であると考えます。従ってそれに触れないで、今お説のような点についての目的を達成するというか、それに近づいていくという意味において、どういう方法があるかと申しますれば、やはり日中輸出入組合といったようなものをもう少し再建と申しますか、組織を確立いたしまして、こういうのが主体になって、今お話のような点に触れた折衝をするということであれば、これは可能であると私どもも考えております。
○松平委員 池田総理は、岸内閣のあの貿易をストップする前の状態にまで早く返したい、こういう気持であるようなことを国会で答弁しておりますが、そうすると、さっき大臣が沈み上げたように一億四、五千万ドル、そういったような民間貿易協定というか、通商代表というようなことも出てくるわけであります。そこでこの貿易をやっていく上において政府間協定ということを、すぐ承認になることは困るという政府の考えである。私の考えではすぐ承認にならないような協定もあるという立場をとっているのですが、政府の考え方として、どうすれば一体貿易が伸びていくかということを、一つここで御答弁願いたいと思うのです。 その一つは、今大臣が言われました通りに、日中輸出入組合等を育てていって、政府はこういうものとの間に民間協定を作らしたいという意図のように見えるのです。そういうお考えであるのか、あるいはもっとほかにあの点この点と直していって、そうして貿易をもう少しやっていきたい——大体の試算によりますと、先ほど私が西独、イギリスの貿易額を申しましたけれども、日中輸出入組合にしてもあるいは国際貿促などにしても、そういうような機関の計算したところによると、大体のところ片道二億五千万ドル程度の貿易は可能であるということを言っておるわけであります。そこで一体どういう具体的なプログラムというか方法をもってこれを振興させていきたいという気持があるのか、それを伺って私の質問を終わります。
○椎名国務大臣 どうすればということになりますが、結局は向こうは国家貿易でありますが、こちらは民間が貿易の衝に当たるわけであります。民間が十分に信頼して中共貿易というものに精進をするという空気が出てくることが何といっても根本であります。この前の鉄鋼協定が、不幸にしてもはや協定が実現してこれからいよいよ実施するという段階に、突如としてあれがこわれた、特殊サイズのものを用意しておった、それがふいになったというようなことで非常なショックを受けたわけでありますが、もちろんああいったようなことはそうたびたび起こる問題ではないと思いますけれども、とにかく中共貿易を安心してやれるのだという考え方にならぬと、これはどうも幾ら政府がらっぱを吹いてもそうやれるものではない。でありますからあらゆる方法によってだんだんそういう信頼感を回復し、空気を作り上げて参る、そしてだんだん具体的に貿易を伸展させるという方法以外にないと思うのです。それにはどういう方法があるか、これはどうもたった一つで全部きくという方法は私はないと思うのであります。たんねんにいろいろな機会においてあらゆる努力をするということ以外にはないと思うのでありますが、先般日本の国際貿促の主催で、日本の相当信頼される中堅の経済人が向こうに出かけたようであります。そういったようなことは一つのこれを促進する大きな要素、要因になると考えます。なお本年度の予算等におきましても、中共貿易の空気に乗って向こうで見本市をやるという可能性がもし出てくればいつでもやれる、こういうことでジェトロの方でその準備はしておる。予算においても五千五百万ですか、それも計上して待機しておるというような状況であります。いろいろな方法によって、なるべくすみやかに中断以前の状況あるいはそれ以上のものにしてやっていきたいと思います。
○松平委員 その程度しかお答えになれないかと思うのですけれども、要はやっぱり信頼が置けないという大臣のお言葉の通りなんで、その信頼を確保するどういうような制度、どういうような仕組みというものを考えるかということにあると思うのです。そこでその仕組みの一番必要なものは協定だろうと思うのですけれども、その協定について、国交回復というようなことにからんでくるからだめなんだ、こういうお話なんです。そこで今私が申し上げたように、北ベトナムとフランス、アラブ連合、あるいは西ドイツと東ドイツの間の協定、こういったものを一つ御研究になっていただきたいと思う。このことはかなり事務的に参考になるのじゃないか、私はそういうふうに見ておるわけでありまして、通産省は貿易伸展という立場からいって、こういうものは研究もし、正々堂々と意見を述べる立場にあると思うのです。外交問題に直接かかわってないのだからこそ、しかも立場が貿易振興という立場にあるのだから、やっていける推進力となり得るのじゃないか、私はこういうふうに思っておりますので、一つ勇気を出してそういうものを研究して、意見を出していただきたい、こういうことを要望しまして終わります。
○西村(力)委員 一点だけお尋ねしますが、きのうの新聞を見ますと、経済企画庁長官が貿易自由化の計画を再検討する、こういう指示を出したと出ておりまするが、この再検討の指示の趣旨、これはどういうことであるか。一つ考えられることは、ケネディの、ドル防衛に伴う一つの方針が現われてきましたので、それに対応する、こういうことも考えられるし、また一面、砂糖の自由化はああいう処理になったので、そういうことからくる再検討ということも考えられる。町検討の方向なり内容について、どういう趣旨の指示があったのですか、それを伺います。
○中野政府委員 今御質問の点でございますが、実は私の方の大臣がきのうからかぜを引かれまして休んでおりますので、新聞では私も見ましたが、まだ実は具体的にどういうふうにしろということは指示を受けておりません。ただ御承知のように、昨年の六月に貿易自由化大綱がきまって、貿易血、為替面、両方とも着々と自由化の線に沿いまして実施をして参っておりますが、ただこの大綱には、御承知と思いますが、内外情勢の推移に対応した弾力的な運用を期する、できるだけ自由化の実施時期、またこれを実施するにあたっての国内、国外的ないろいろな措置が必要なわけでございますが、そういうものは関係各省と十分相談をいたしまして、所要の対策と相持って計画的な実施をはかる、しかし同時に、今申し上げましたように、内外情勢の推移に対応して、弾力的な運用をはかるということが書いてございますので、こういう線に沿いまして、そのときの情勢にかんがみまして自由化を促進して参りたい。それで、御承知のように昨年のIMFの勧告におきましても、日本の自由化大綱というものはよくわかるが、もうちょっと時期も早められるのじゃないだろうか、早めても、国際収支なりあるいは日本の経済というものに、非常な打撃を与えることはないじゃないかというような意味合いのことが勧告に書いてございまして、また近くIMFからも担当者が参りまして、コンサルテーションをやることになっております。また、先ほどもお触れになった、アメリカの新政権の成立に伴いまして、自由化促進に対する外の方の情勢も少し変わってくるのじゃないかというようなこともございますので、長官としては、もう一度この自由化大綱というものをよく見直して、そして関係省とも十分相談をして実施をするようにというような意味合いのことを、どっちかというと、新聞記者から質問がありましたので、そういうふうに申されたのじゃないか。それから、一つは、今も通産大臣からお話のありましたような、砂糖の自由化につきまして、一度閣議ベースというか、閣僚ベースではきまったようなことになって、関税も上げるというようなことになっておったのを、その後の閣僚会議でもって、それを一時見送るというようなことになったので、そういう点もあわせて、もう少し事務的にも検討してみたらどうか、こういう意味合いのことを言われたのじゃないかと思っております。
○西村(力)委員 あなたがおわかりにならないとすれば、指示を与えられた企画庁のポストの人はどなたですか。
○中野政府委員 私は調整局の方が担当でございますが、具体的には、実は指示はまだ受けておりません。
○西村(力)委員 一つ資料をお願いしたいと思うのですが、ことしの消費者物価の値上がりは一・一%、こういうお話でありますが、それをはじいた基礎資料を提出してもらいたい、こう思うのです。これは無理ですか。
○中野政府委員 今の一・一%の消費者物価値上がりというのは、三十六年度でございまして、三十五年度は三・二%程度になるのじゃないかというふうに見ております。今御説明いたしてもよろしゅうございますが、あるいは資料で……。
○西村(力)委員 資料で出して下さい。
○中野政府委員 それでは、あとから資料で出します。
○中川委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十日、金曜日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。 午後零時七分散会