商工委員会 第1号
- 発言数
- 16 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1961/02/07
会議録
○中川委員長 これより会議を開きます。 まず国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。 今国会におきましても従来通り通商産業の基本施策に関する件等につきまして調査を進めて参りたいと存じます。つきましては議長の承認を得なければなりませんので、調査の事項といたしまして、 一、通商産業の基本施策に関する事項 二、経済総合計画に関する事項 三、公益事業に関する事項 四、鉱工業に関する事項 五、商業に関する事項 六、通商に関する事項 七、中小企業に関する事項 八、特許に関する事項 九、私的独占の禁止及び公正取引に関する事項 十、工業と一般公益との調整等に関する事項以上の十項目。 調査の目的といたしましては、一、日本経済の総合的基本施策の樹立並びに総合調整のため。二、通商産業行政の実情を調査し、その合理化並びに振興に関する対策樹立のためとし、調査の方法といたしましては、小委員会の設置、関係各方面より説明聴取及び資料の要求等といたしまして、承認要求をいたすことにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中川委員長 御異議なしと認め、そのように決定いたします。 ————◇—————
○中川委員長 この際、第三十八回国会の初めにあたりまして、まず経済企画庁長官より、経済総合計画に関する構想等について、その所信を承ることにいたします。経済企画庁長官迫水久常君。
○迫水国務大臣 私は経済企画庁長官といたしまして、今国会におきましても、引き続き皆様方のお世話に相なることになりました。何とぞよろしくお願い申し上げます。 私といたしましては経済企画庁は、長期経済計画の策定及び推進、経済運営の基本方針及び毎年度の経済見通しの策定、その他経済に関する基本的総合的な政策の調整あるいは内外経済動向の調査分析等経済に関する総合企画官庁としてきわめて重要な任務を帯びておりますので、誠心誠意事に当たり、その責務を全うしたいと思っておりますが、皆様方におかれましても、何とぞよろしく御指導御協力下さるようお願い申し上げる次第であります。 つきましては、この機会に経済企画庁の所掌事務につきまして若干私の考えておりますところを申し述べさせていただき、皆様方の御理解に資したいと存じます。 まず、わが国経済の今後の見通しでありますが、わが国経済がここ数年来まことに目覚ましい成長を遂げつつあることは御承知の通りでありまして、政府といたしましては、昭和三十六年度においてもこの趨勢は続き、安定した基調の上に経済は依然として順調な拡大を続け、実質九・二%の成長は可能であると考えているのであります。 従って、経済企画庁としましては、このような見通しに立って、これを実現するための総合官庁としての役目を十分に果たしたいと考えているのでありますが、以下、その主要なものについて申し上げたいと思います。 その第一は、国民生活の充実、向上であります。政府はさきに、経済審議会の答申に基づきまして、国民所得倍増計画を決定いたしましたが、その目的とするところも、究極的には、国民生活の充実、向上ということにあるのであります。現在の状況を見まして、これがためまず考えねばならぬことは、卒直に申しまして、物価の安定ということであろうと思います。この点については、先日の経済演説においても申し上げたところでありますので、詳しくは申し上げませんが、私としては何としても、値上げムードとも称すべき安易な物価値上げの風潮からくる便乗的値上げは、これを抑制しなければならぬと考えているのであります。経済企画庁としましては、昨年から消費者物価対策連絡協議会を設置いたし、物価の安定に努めているのでありますが、今後ともこれを一そう活用し、関係各省との緊密な連絡協調のもとに、独禁法を初めとする現行の制度及び各省の行政指導能力をフルに活用することに努め、遺憾なきを期して参りたいと考えているのであります。 それと同時に、国民生活の充実向上をはかるためには、現在の国民の消費生活内容のアンバランスと生活環境施設整備の必要性等にかんがみ、消費者の側に立った総合的な行政を展開する必要もきわめて大きいのであります。このため、経済企画庁としては、今回新たに国民生活向上対策審議会を設置いたし、国民生活向上のための重要政策を調査審議し、消費者の立場よりする行政を総合的に推進しようとしているのであります。 第二は、わが国経済に内在する二重構造の解消、特に地域間の所得格差の是正であります。この点につきましては、全国的な観点に立って、総合的に施策を推進する必要がありますので、経済企画庁としては、特定地域の開発、離島の振興、低開発地域の開発を引き続き促進するとともに、全国総合開発計画をできるだけ早く策定したいと考え、現在国土総合開発審議会の全国開発部会において検討中であります。さらに、この全国総合開発計画を今後ますます完全なものとするとともに、この計画の実施を促進するためには、地域経済開発に関する基本理念を産業立地及び地域的格差是正等あらゆる見地から検討して明らかにするとともに、これが実施に関する有効な方策を研究し確立する必要があるのであります。このため、経済企画庁としては、特に地域経済問題調査会を設置し、これらの問題に関する重要事項を調査審議することにしているのであります。 また、低開発地域の開発を促進するためには、地方団体に対する補助率の引き上げ、低開発地域に工場を設けようとする企業に対する税制上の特例等の優遇措置も必要でありますので、これが具体化をはかりたいと考えているのであります。 なお、地域経済開発にあたって一つの重要な問題となる水の確保につきましては、水資源の総合的な開発とこれが有効な利用に資するため、水資源開発基本計画等を策定するのに必要な措置を検討いたしているのであります。 第三は、輸出の振興と海外経済協力の促進であります。最近の海外経済の動向を見ますと、各国の輸出競争は今後ますます激化するものと予想されますと同時に、世界経済交流を促進するための貿易為替の自由化の趨勢も一段と強まるものと思われます。また米国のいわゆるドル防衛措置の影響もありますので、輸出振興には今後一そうの努力を払う必要があり、このためには、あらゆる面から対策の強化をはかる必要がありますが、将来の貿易の伸長にとって特に重要な問題は海外経済協力の促進であろうと思います。これがため、先般の国会において海外経済協力基金法の制定を見たのでありますが、経済企画庁としては、この基金を増額し、今後これを積極的に活用して参りたいと考えているのであります。 第四は、人間能力の向上についてであります。経済の安定的成長を維持しつつ、国民所得倍増計画の目標を実現するためには、科学技術の振興、産業の高度化が要請されるのでありますが、このためには、人間能力の向上が重要な問題となるのであります。特に、今後のわが国経済の成長過程においては、産業間、地域間の労働力の円滑な移動が要請される事情を考えますと、その必要性が強いのであります。このような事情にかんがみ、経済企画庁といたしましては、今後特に経済成長のための人間能力の開発育成のための長期の方針を検討し、今後における経済成長の円滑な達成に資したいと考えているのであります。 わが国経済が政府の企図しておりますような高度の成長を達成するためには、国民全体の創意と努力に負うところが大きいのでありますが、政府の使命もまたきわめて重大であることを痛感している次第であります。つきましては、今後とも一そうの御協力をお願いする次第でございます。 ————◇—————
○中川委員長 次に、通商産業大臣より通商産業の基本施策について所信を承りたいと存じます。通商産業大臣椎名悦三郎君。
○椎名国務大臣 ここに第三十八回国会の休会明けにあたり、通商産業政策の重点について御説明申し上げたいと存じます。 本年度のわが国経済は、前年度に引き続き、きわめて安定した拡大基調をたどり、消費の堅調な上昇、設備投資の増加、輸出の順調な伸びにささえられ、年度間の経済成長率は実質で一一%に及ぶものと見込まれ、鉱工業生産も前年度に比し二二・六%の上昇を見るものと思われるのであります。しかもこの間、国際収支は順調に推移いたしておりまして、年度間の国際収支は、経常収支のみでも一億二千万ドル程度の黒字が見込まれ、資本取引をも含めた総合収支では六億ドル程度の黒字となり、年度末の外貨保有高は二十億ドルに達するものと見込まれております。他方物価につきましても、一部食料品及びサービス料金について若干の値上がりを見たのでありますが、卸売物価はほぼ横ばいとなっており、全体として安定した状況のうちに推移いたしております。 昭和三十六年度の経済につきましても引き続き順調な発展を続けるものと見られ、さきに閣議決定をいたしました経済計画におきましては、国民総生産は実質で約九%増加し、鉱工業生産は約一五%上昇するものと見込み、また国際収支に関しては輸出の増加を九%と見込んで経常収支はほぼ均衡し、資本収支の黒字により、全般として黒字基調には変化がないものといたしておるのでありますが、かかる計画の達成は、日本経済のたくましい成長力からいたしまして、十分可能であると存じます。 このようにわが国の経済は、ここ数年まことにめざましい発展を遂げているのでありますが、その水準は欧米の先進諸国と比較いたしますと、いまだはるかに及ばないのでありまして、この際さらに一段と国民経済の高度成長を実現することが必要であることは申すまでもありません。先般政府におきまして、国民所得倍増計画を決定し、今後十年間国民総生産を倍増せしめることを目標として、所要の施策を強力に推進することといたしましたのも、この趣旨にほかなりません。 かかる所得倍増を先導するものは、申し上げるまでもなく、重化学工業を中心とする鉱工業部門であります。所得倍増計画におきましても、鉱工業生産は、目標年次である昭和四十五年度には、基準年次である昭和三十一年度から三十三年度の平均の四・三倍(本年度推定の二・六倍)に達するものと計画し、特に機械工業については七・七倍(本年度推定の三・三倍)の成長を期待いたしておるのであります。また、同計画におきましては、経済成長に伴って拡大する輸入需要をまかなうため、目標年次においてはわが国の輸出を本年度の二・二倍に当たる九十三億ドルの規模に拡大することを計画し、特にその伸長の中心を重化学工業品中心の方向に向いつつある世界の貿易市場の大勢に即応して機械類の輸出の伸長に求め、この部門により本年度の三・五倍に相当する三十九億ドルの外貨を獲得することを期待いたしております。 このように、所得倍増計画達成のかぎは、機械工業等の重化学工業を中心とする鉱工業部門の生産上昇と輸出の伸長にあると申すことができるのでございますが、これら部門の成長発展と貿易の振興をはかることを任務とする通商産業省といたしましては、倍増計画達成のため、十分の力をいたす所存でございます。 わが国経済が現在当面いたしております貿易自由化の推進の問題も、わが国経済の高度成長を実現するための重要なステップであると存じます。貿易自由化は、世界の自由経済体制の進展に即応して、わが国の貿易を今後一層拡大するために不可欠な前提であるとともに、企業の合理化意欲を刺戟してその体質改善を促がし、今後の経済発展の基礎固めをなすものであります。 政府といたしましては、かかる見地に立ちまして、貿易自由化の円滑な推進をはかるべく、昨年六月貿易為替自由化計画大綱を決定いたし、着々自由化品目の追加などの措置を進めておる次第でございますが、今後とも自由化計画大綱の線に沿い、内外の諸情勢の推移に十分考慮を払いながら、自由化に伴って生ずべき諸問題に対処するため、わが国産業の国際競争力充実のための施策を講ずるほか、関税率及び関税制度の改正を行なうとともに、輸出入取引法の改正により後進諸国との輸出入調整と過当競争防止のための措置を講ずるなど、万全の対策の確立と相待って、手順よく自由化の推進をはかって参りたいと存じます。 なお、最近物価問題について若干議論があるようでありますが、これについては、私は次のように考えております。卸売物価は、昨年来ほぼ安定しており、特に基礎物資については、今後も技術革新、合理化の進展による生産性の向上により、十分吸収し得るので、大体弱含み横ばいで推移するものと思われます。 消費者物価につきましては、経済の発展に伴い労務費等の上昇は避けがたいので、サービス料金等人件費のウエートの高い分野において、ある程度の値上がりを見ることは、やむを得ぬことと存じております。また、公共料金のように従来相当長く据え置かれたため、一般の物価水準より低位にあるものについては、ある程度手直しをすることが必要かと考えております。 もちろん通商産業省といたしましては、今後とも企業の合理化を援助促進することにより、価格の引き下げを期待するとともに、便乗的な値上げは極力抑制に努め、消費者の福祉の確保をはかる所存でございます。 本年は、所得倍増計画推進の第一年度でありますとともに、貿易自由化を本格的に推進する年でもあります。通商産業省といたしましては、貿易自由化を円滑に推進しつつ、経済の高度成長を実現する、という日本経済の当面の課題達成に施策の重点を置き、所要の対策を強力に推進して参る所存であります。 今国会において御審議いただく明三十六年度の予算案の編成にあたりましても、ただいま申し上げた観点から、中小企業振興対策の強化充実、貿易の振興と経済協力の推進、産業構造の高度化及び産業基盤の強化、鉱工業技術の振興、石炭対策の推進等に重点を置き、必要な予算の計上を行ないました。この結果、通商産業省の、一般会計予算につきましては、本年度の約百七十九億円に対しまして、約五十五億円、比率にいたしまして三割強増の約二百三十四億円を計上いたしますとともに、通商産業省関係の財政投融資計画につきましても、総額一千九百四十四億円を計画し、本年度当初計画に比べまして、三百三十二億円、二割の増額を行ないました。 また予算案の決定とあわせて決定いたしました明年度の税制改正大綱におきましても、中小企業の租税負担の軽減と、わが国産業の体質改善の観点から、耐用年数の短縮等を中心として産業関係租税について、大幅な減税を実施することといたしました。 これらの措置によりまして、今後通商産業施策の一層積極的な推進を期することができるものと考えておる次第でございますが、以下重点項目ごとに施策の概要について御説明申し上げます。 施策の重点の第一は、中小企業の振興であります。 所得格差の是正は、経済成長と並んで経済政策の基本的な目標であります。わが国の中小企業は、生産、輸出、雇用等の諸般の面においてきわめて重要な地位を占めておるのでありますが、大企業に比して生産性や賃金等その水準が著しく低いのが現状であります。 このため、これが近代化合理化を一そう強力に推進し、貿易自由化の進展に伴って激化する国際競争に打ち勝つ実力を培養いたすとともに、進んでわが国経済の高度成長の過程において、中小企業の地位を向上せしめ、大企業との間の格差是正をはかることが必要であり、この際中小企業振興のための施策については、従来に倍する規模をもって強力に推進いたしたいと存じます。 かかる見地から、明年度の一般会計予算におきましては、中小企業対策費を約四十四億円計上し、本年度予算に比べて約二十億円の増、比率にいたしまして約八割増という画期的な増額をはかりました。この中心をなしますものは、設備近代化補助等の中小企業近代化促進費でございまして、本年度の二倍以上に当たる約三十億円を計上いたしますとともに、その運用につきましても中小企業団地の造成のための対策を講ずるなどの新たな施策を打ち出すことといたしました。この構想は、中小企業の中には、立地的な制約からその発展と合理化が阻害されている面もありますので、集団的に新しい工場適地に移転するものに対して積極的にこれを助成せんとするものでありまして、中小企業の生産性の向上と体質の改善に寄与するところ大なるものがあると期待いたしております。このほか、本年度より実施いたしております商工会等を通ずる小規模商工業者のための経営改善普及事業に対する助成のための小規模事業対策費につきましても、本年度の二倍をこえる八億二千万円を計上し、その充実をはかることといたしました。 一方、財政投融資計画におきましても、中小企業金融の円滑化を期するため、中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工組合中央金庫に対する財政融資を本年度当初計画に比し二百五億円増にあたる八百四十億円計上いたしました。御承知の通り、三金融機関の金利引き下げは本年年初来実施されておりまして、これと相待って低利資金の潤沢な供給が可能となるものと存じます。中小企業金融に関しましては、このほか、零細企業金融に重要な役割を果たしております信用保証協会に対する融資基金として、中小企業信用保険公庫に対し、政府出資二十億円を行なうことといたしております。 中小企業振興のための施策といたしましては、このほか、税制面からも専従者控除の拡充、同族会社の留保所得課税の軽減、特別償却制度の拡充等平年度百二十億円をこえる減税措置を講ずることといたしておりまして、これら各般の施策を通じて中小企業振興のための施策は著しく強化されたものと存じておる次第でございます。 重点の第二は、輸出の振興と経済協力の推進であります。 御承知の通り、わが国の国際収支はここ数年順調に黒字基調をたどっておりますが、経済の高度成長を実現するためには、先ほども御説明申し上げました通り、さらに大幅な輸出の伸長を実現することが不可欠の前提であり、今後とも輸出振興のための努力を傾注する必要があることは申すまでもありません。特に、世界各国の貿易競争はますます激化する大勢にあり、加えて昨年末発表された米国のドル防衛措置により、わが国としては直接特需収入及びICA資金による輸出の減少の影響を受けるとともに、米国の輸出努力の強化に伴ってわが国の輸出との競合が激しくなることは避けられない状況にあるのでありまして、この際かかる新情勢に対処いたしまして、輸出の振興、経済協力の推進のための施策を一そう拡充強化する必要があるのであります。 このため、明年度の一般会計予算におきましては、貿易振興及び経済協力費を三十一億円計上いたし、貿易振興のため、日本貿易振興会の事業活動に対する助成を拡大する等の措置を講じますとともに、見本市専用船の建造に対して別途の助成措置をとる方針を決定する等一段とその施策を充実することといたしました。また経済協力施策に関しましては、低開発国に対する経済協力の強化についての要請がきわめて強い状況にかんがみ、海外経済協力基金に対して五十億円の出資の増額をはかるほか、今回新たな予算上の措置として、低開発国の一次産品の買付促進のための現地調査、品質改善の施設の設置等の助成を行なうとともに、これら諸国における中小企業の設立に対する技術の援助を行なうため、日本プラント協会の行なう中小企業の設立、運営に関する技術供与の事業を補助する等経済協力施策に万全を期しつつある次第でございます。 さらに、財政投融資計画におきましても、日本輸出入銀行に対して出資百二十億円、融資四百五十億円を投入することとして、その貸付規模を九百七十億円に拡大し、プラント輸出の促進と経済協力の推進に遺憾なきを期することといたしました。 重点の第三は産業構造の高度化でございます。 わが国経済の高度成長を達成するためには、企業の体質を改善し、激化する国際競争に打ちかちうるよう産業の国際競争力を強化、培養することが必要でありますが、特に、世界の貿易構造が重化学工業品を中心とする体制に移りつつある情勢にかんがみまして、機械工業を中心とする重化学工業を急速に育成して、わが国の産業構造をこの方向に誘導することが必要であります。しかしながら、将来その大きな成長を期待される機械工業等の部門は、概していまだ国際競争力に乏しいのが現状でありまして、この際、これらの産業について、多種少量生産の体制を打破するとともに、老朽設備を急速に更新して国際競争力の強化培養をはかり、これらの産業の成長発展を中核として産業構造の高度化を推進することはまさに急務と申さなければなりません。 このため、今国会において、本年六月で期限切れとなる機械工業振興臨時措置法につき、その延長と拡充強化を行なうとともに、さらにその財政的裏づけとなります特定機械向けの財政資金につきまして、日本開発銀行の貸付ワクを本年度の二十五億円から七十億円に大幅な増加を行なうほか、新たに中小企業金融公庫に三十億円程度の融資を期待し、合計百億円の財政資金を確保することといたしました。このほか、米国輸出入銀行よりの借款が明年度において五十億円余供与されることが期待されますので、約百五十億円の資金が特定機械を中心とする機械工業の合理化、近代化に投入されることとなり、その国際競争力の充実に資するところ大なるものがあると確信いたしております。 またこれと相待って明年度予算におきましては、新たに二億円を出資して機械類賦払信用保険制度を創設いたし、機械工業の需要拡大による量産体制の確立と中小企業の設備の近代化に資する所存であります。 重点の第四は産業基盤の強化であります。 わが国経済の高度成長を実現するためには、産業の発展し得るための条件を整備し充実することが必要であることは申すまでもありません。このため、政府におきましては産業基盤の強化充実をはかるため、道路、港湾、工業用水等の産業関連施設に対する公共投資を積極的に行なう方針をとった次第でございますが、通商産業省関係の予算及び財政投融資計画におきましても、かかる見地から、経済規模の拡大に伴って大幅な需要増加が見込まれる工業用水及び電力の確保に重点を置き、工業用水道事業費を本年度の十三億円から二十五億円と約倍額に増額することといたしましたほか、電源開発株式会社向け財政融資四百十億円、九電力等向けの日本開発銀行貸付ワク二百五億円を計上いたしました。 産業基盤の強化にあたって重視すべきことは、低開発地域の開発を促進して地域格差の是正をはかることであります。御承知の通りわが国における地域間の格差は著しいものがあり、企業間の格差とともに、経済成長実現の過程において、これが是正をはからなければなりません。政府といたしましては、これがため、財政投融資計画におきまして、北海道東北開発公庫に対する財政投融資を百四十億円といたし、その貸付規模を本年度に比して三十億円増の百九十億円といたしますとともに、日本開発銀行の低開発地域振興のための貸付ワクを本年度の七十億円から百七十億円に増額いたすほか、税制面でも特別優遇策を講ずることとし、さらに必要に応じ低開発地域の開発の促進のための立法措置を講ずるなど、各般の施策を進める方針であります。 これとともに産業基盤の整備強化を背景として経済の画期的発展を期するためには、各地域の立地条件に即して産業の適正な配置をはかることが必要であります。通商産業省といたしましてはかかる見地に立って長期にわたる工業立地の目標を策定するとともに、工業立地の誘導を一層積極化するよう立法措置を検討中であります。 重点の第五は鉱工業技術の振興であります。 わが国産業の国際競争力を強化するためには、先進諸国に比して著しく立ちおくれている鉱工業技術の水準を飛躍的に上昇させる必要があることは申すまでもありません。特に今日世界的な技術革新の趨勢の中にあって、先進諸国の技術の進歩は目ざましいものがあるのでありまして、民間の研究投資を積極化することと並んで、政府のこの面に対する施策も強力に推進しなければならないのであります。 このため、通商産業省といたしましては、明年度予算におきまして、総額五十八億円の鉱工業技術振興費を計上し、本年度に比し十億円の増額をいたしました。これによりまして国立試験研究所の重要研究等を強化充実するとともに、民間の鉱工業技術研究の助成の拡充、工業標準化事業の促進、特許の審査審判の促進等従来の施策を強化いたす所存でございますが、特に民間の鉱工業技術研究の促進につきましては今回新たに共同体制による技術開発を積極的に推進するため、予算上の助成措置を講ずるほか、税制面の優遇措置を講ずることとし、所要の法律案を準備しておる次第であります。 最後に石炭対策でありますが、石炭鉱業につきましては、エネルギー消費構造の変革に伴う不況の現状を急速に打開する必要がありますので、総合的なエネルギー対策の一環として、その合理化を強力に推進いたしますとともに、鉱害復旧対策の推進、産炭地域の振興等各般の施策の円滑な実施に努めることとし、明年度予算におきましては、三十二億円の石炭対策費を計上いたしました。 この中心となりますものは、炭鉱の合理化を促進するための石炭鉱業合理化事業団への出資金約二十二億円でございますが、このほか今回新たに炭鉱整備に必要な長期運転資金の借り入れ保証に必要な基金として三億円の出資を行なうことといたしますとともに、産炭地域振興のための特別の施策を講ずることといたしました。石炭不況による産炭地周辺の疲弊を救うためには、これを多角的な鉱工業地帯として発展せしめることが必要であり、今後工業用地、工業用水の開発、工場誘致などの施策を進めるとともに、汚水処理、ボタ山の管理、利用等産業公害の処理にも資する事業をおこして参る所存でございますが、さしあたり明年度はその第一歩として筑豊を初めとする全国産炭地域を総合的に調査するとともに、特に緊急を要する事業については具体的な事業調査を行なうことといたしました。 以上によりまして、今後における通商産業政策の重点事項に関しまして、基本的考え方と具体的施策の概要を申し述べたのでありますが、私といたしましては、これらの方策を中心にわが国の経済発展のため全力を傾注する覚悟でございますので、今後とも一そうの御協力をお願いいたす次第でございます。 ————◇—————
○中川委員長 次に公正取引委員会委員長より公正取引委員会の業務の概要について御説明を承りたいと存じます。公正取引委員会委員長佐藤基君。
○佐藤(基)政府委員 昭和三十五年中の公正取引委員会の業務につきましては、お手元にお届けいたしました資料にその概要が記載してありますが、そのうちおもな点について概略を申し上げます。 まず、総括的な業務といたしましては、私的独占禁止法に関係を有する繊維工業設備臨時措置法、航空法、輸出入取引法の各一部を改正する法律案につきまして、関係官庁から協議を受け、それぞれ調整を行ないました。なお機械工業振興法案と行政事件訴訟法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案につきましては、現在鋭意調整中であります。経済実態の調査につきましては、昭和三十三年度の主要産業における生産集中度の調査を行ないました。 次に、私的独占禁止法の施行に関する業務について申し上げますと、まず、不公正な取引方法の指定に関する業務といたしましては、昨年夏以来問題となっておりますいわゆる牛カン問題につきまして、レッテルと中身の違うような行為を不公正な取引方法として指定するため、畜肉、鯨肉等のカン詰業における特定の不公正な取引方法の指定案を作成いたしまして、公聴会を昨年十二月二十日に開催、本年二月一日付官報をもって告示いたしました。 次に、昨年中における企業の合併、営業譲り受け等はそれぞれ四百二十五件、百四十四件となっており、一昨年と比較いたしますと、若干の増加を見ております。また金融機関の株式保有につきましては、九件について認可いたしました。 次に、不況に対処するための共同行為として、新たに認可したものは、合成染料の販売数量の制限にかかる共同行為の一件でありまして、その他の不況に対処するための共同行為及び企業合理化のための共同行為には目立った動きはなく、三十四年から引き続いて実施されている各三品目の実施期間延長について認可いたしました。 次に私的独占禁止法違反被疑事件としては、熊本魚株式会社に対する件、全日本教図出版販売組合及び同佐賀県支部等に対する件の二件について勧告審決を行ないました。 次に、下請代金支払遅延等防止法の施行に関する業務につきましては、下請代金の支払い状況を中心に、約千社の親事業者を調査し、そのうち百三社に対しましてはさらに精密検査を行なうなど、下請代金の支払い改善につきまして、必要なる措置を講じました。 次に、私的独占禁止法の適用除外法に関する業務のうち、おもなものについて申し上げますと、まず輸出入取引法の規定に基づく共同行為に関するものの処理件数は百七十五件であり、また中小企業団体の組織に関する法律の規定に基づく共同行為等に関するものの処理件数は、同意九十七件、協議八百六十五件の計九百六十二件に上りました。このほか環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律の規定に基づく業務につきましては、美容業及び興行場営業の適正化基準の設定について厚生大臣から協議がありましたが、慎重調査の上、、異議ない旨回答いたしました。 以上簡単でありますが、昭和三十五年における公正取引委員会の業務のあらましを申し上げました。 次に昭和三十六年度予算でありますが、当委員会といたしまして、今国会の御審議をお願いいたします予算は、総額一億四千四百七十七万七千円で、昭和三十五年度の一億二千八百三十一万五千円よりも千六百四十六万二千円増となっております。同予算のうち注目すべき点は、公正取引課の新設を計画する点であります。これは昨年夏以来問題となっております、いわゆる牛カン問題に見られるような、欺瞞的取引等を厳重に規制するために計画されたもので、今後独禁法の運用にあたりまして、従来にも増して多事と予想されるのでありますが、委員各位の御支援を得て、重責を果たしたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 以上簡単でありますが、あいさつといたします。
○中川委員長 次に土地調整委員会委員長より、土地調整委員会の業務の概略等について御説明を承ることにいたします。土地調整委員長大池眞君。
○大池政府委員 土地調整委員会は、皆様御承知のように、鉱業と一般公益または農業、林業その他の産業との調整をはかるために設けられたものでありますが、土地に関する調整上のことならば、何でもタッチするというわけには参りませんので、当委員会の設置法の第三条で、その取り扱うべき事務といたしまして、四項目が定められております。 その一つは、鉱区禁止地域の指定であります。その二つは、鉱業権または採石権の設定に関する異議の裁定であります。その三つは、鉱業または採石業のための土地使用、収用その他の利用に関する異議の裁定であります。最後の第四は、核原料物質の探鉱のための土地の使用、収用に関する裁定でございます。 そこで、昨年一年間に取り扱いました事件は、ただいま申し上げた第一の鉱区禁止指定が一番多うございまして、二十件ございました。第二の鉱業権設定の異議裁定が一件、第三番目の鉱業のための土地使用の異議裁定が一件ございます。第四の核原料物質に関するものはありませんでした。 三十五年度に当委員会が処理いたしました各事件の内容は、ただいまお手元に差し上げてございます処理事件一覧に列記をしてございますが、以上のほかに、土地収用法に基づきまして、建設大臣に訴願がございましたために、これに対し当委員会の意見を申し上げたものが二件ございます。以上二十件の詳細及び処理状況は、すでにお手元にお届けになっておると思いますが、年次報告の十四ページ以下に相当詳しく記載してございますから、それによって御了承願いたいと存じますが、今そのきわめて概要だけを申し上げます。 まず第一の鉱区禁止指定の請求二十件の中で、最も多いのはダム関係でございまして、九件ございます。そのうちの六件は、建設大臣からの請求によるものでございまして、岐阜県の横山ダム、栃木県の川俣ダム、群馬県の矢木沢ダム及び薗原ダム、大分県、熊本県にまたがる松原・下筌ダム、群馬県、埼玉県にわたっております下久保ダム、以上六件がそれでございます。他の三件は、県知事から請求いたされたものでありまして、岡山県知事からの河本ダム、石川県知事からの犀川ダム、福岡県知事からの八木山川ダムでございます。以上はすべて多目的ダムの建設でございまして、あるいは総合開発事業の一環であり、洪水調節や災害防止または農業用水、灌漑用水、工業用水等の確保や、時に上水道あるいは用水の補給、あるいは発電事業を目的とした重要なダム建設のための鉱区禁止でございます。 次に鉱区禁止請求の多かったものは、国立公園関係のものでございまして、これは五件ございまして、すべて厚生大臣より請求されたものでございます。 一つは、日光の国立公園の三池田代地区、同じく奥日光の地区、それから雲仙天草国立公園の雲仙の山稜地区及び眉山地区、同じく諏訪池地区、以上の五件でございます。これはみな自然、景観の保持を目的としたものでございます。 次に貯水池建造関係のものが三件ございまして、これは農林大臣より請求されました。すなわち、愛知用水関係の松野池、東郷池、三好池の三つの貯水池でございまして、洪水防止、旱魃防止、農業用水補給を目的とした愛知用水の調整池建造のためでございます。そのほかに、鳥取県知事から請求されました三朝温泉地区と、東郷、浅津温泉地区の温泉保護関係のものが二件、愛知県知事から請求を受けました牧野池緑地関係のものが一件、以上二十件でございます。 そのうち、すでに鉱区禁止を指定いたしましたものが十二件でございまして、未決のものが八件ございます。これはすべて鉱業権と一般公益との調整に関するものでございまして、請求を受けてから指定の範囲を決定いたしますまでの手続等につきましては、きわめて複雑な経緯がございますが、これは年次報告によってごらんを願いたいと存じます。 第二の、鉱業関係の異議裁定の二件についてごく概要を申し上げますれば、その一つは東京都板橋区の吉田長蔵外二名から、東京通産局長に試掘権の出願をいたしましたところ、経済的の価値がないという理由で不許可となってしまったために、これに不服で裁定申請を当委員会に持ってきたのでありますが、当人等は、当初通産大臣に異議の申し立てをすればよいものと思って、その手続をとってしまったために、当委員会に裁定を申し込まねばならない三十日間の期限を越えてしまって、そのあとで当委員会に申請をしてきたものでございます。これは何といたしましても、設置法の第二十五条の正当な理由による遅延とは認められませんので、却下処分にいたしたものでございます。 その二は、高知市の岡村威章外一名の所有土地を、日本セメント株式会社が原料用石灰石を同社の土佐工場に運搬しておる索道用地のために過去二十数年間使用していたのでございますが、契約期間が完了いたしたためにこれを更改しようといたしましたところ、どうしても話し合がつかない。そこで、四国の通産局長にその土地の使用許可を申請いたしましたところ、これが許されましたために、岡村外一名からこれを不服といたしまして当委員会に取り消し裁定を求めて参ったものでございます。これにつきましては、過去二十数年間使用をしていた土地でありましても、はたして索道以外のトラック輸送等にたえ得る状態にあるかどうか、また、その土地を使用されることによって岡村氏等の生活上いかなる程度の被害を及ぼすものであるか等、十分な調査を必要といたしましたので、申請を受けまして以来一年有余にわたりまして慎重なる審理を行ないまして、その間現地調査も、あるいは索道下を踏査いたしまして、公開審理等も三回にわたって精査をいたしましたところ、昨年十月に至りまして、岡村氏の不服の理由はどうも採用いたしがたいと認めまして裁定申請を棄却いたしました。 最後に、土地収用委員会の裁決に対しまして建設大臣に訴願がなされましたために、同大臣から当委員会の意見を求められたものが二件ございます。その一つは、小金井市の鎌原昭三からの訴願でございまして、武蔵小金井の電車区施設が新設いたされますために鎌原氏の所有の土地が収容ということに決定をされましたので、これに不服の訴願でございましたが、これは、その不服理由が一つも認められませんので、その旨、意見を申し立てて建設大臣に答申をいたしました。他の一つは、電源開発株式会社が奈良県の十津川に芦廼瀬発電所を設けるために取水ダムの用地といたしまして必要な土地立木を、収用委員会の裁決で収用いたしましたところ、その所有主を土地の登録簿の上の名義人の相続人のものといたしまして決定をいたしたのでございますが、実際の所有者がほかにございまして、中保惠という人が、それは間違いであるということで建設大臣に訴願があったのでございまして、建設大臣から当委員会に意見を求められたものでございますが、当委員会といたしましては、収用委員会の審理の最中に、すでに中氏が実際の所有者であることが判明しておったのでございますために、その収用手続というものは承継されるべきものではないのでございますから、訴願は容認すべきものと認めまして、奈良県の収用委員会の裁決は取り消すべきものとの意見を回答いたしたのでございます。以上二件の訴願等につきましては、訴願人や収用委員会側の言い分は、年次報告の八十八ページ以下に詳しく載せておきましたから、これによって御判断を願いたいと思います。 以上が昨年中に当委員会の処理をいたしました事件の概要でございます。どうぞ今後とも皆様の御支援をお願いいたしたいと思います。以上をもって御報告を終わります。
○中川委員長 以上で経済企画庁長官、通商産業大臣、公正取引委員会委員長、土地調整委員会委員長より産業経済施策の大綱並びに公正取引委員会及び土地調整委員会の業務内容について、それぞれ説明を聴取いたしたのでありますが、これに対する質疑は次回より行なうことといたします。 ————◇—————
○中川委員長 次に、昭和三十六年度通商産業省関係予算について説明を求めます。大臣官房長樋詰誠明君。
○樋詰政府委員 お手元に横刷りにいたしました「昭和三十六年度一般会計予算要求重要事項表」というのをお配りしてございますので、これにつきまして概略を申し上げます。 大体大きな点は先ほど大臣の所信表明の中で相当詳しく触れていただきましたのでおわかりいただいたと思いますが、総ワクは、一番最後のページにございますように、三十五年度の百七十九億四千万円に対しまして、五十四億八千万円増の二百三十四億二千四百万円ということになっております。予算の立て方といたしましては、先ほどの重点施策の項目と同じでございますが、産業高度化と産業基盤の強化というのが一つになっておりますために、予算項目としては貿易振興、経済協力費、第二番目に中小企業対策費、第三番目が鉱工業の技術振興費、第四番目が産業高度化と産業基盤の強化費、それから最後に石炭対策費そのほか一般の行政施策費というふうな分け方になっております。 まず、第1の貿易振興及び経済協力費でございますが、これはこの第1番目にございますように三十一億一千七百九十八万三千円で、昨年よりも三億三千百万円ばかりふえております。このうちの1の日本貿易振興会、ジェトロでございますが、この関係につきましては、海外の活動関係を従来に比しまして拡充強化するというほかに、特に備考の2にございます国内貿易相談所というものにつきまして、三十六年度から新しく予算をつけることにいたしました。さらに、ジェトロは御承知のように中小企業関係の製品の輸出振興ということに特段の力をいたしておるわけでございますが、従来はまず海外に日本商品を売り込むという方面に力を注いできたわけでございまして、だいぶそちらの方は充実して参りましたので、この二月からまずとりあえず十一カ所、さらに三十六年度には七カ所ばかり国内に貿易相談所を作りまして、そうして海外における中小企業の輸出品に対するいろいろな情報といったようなものを迅速に伝えることによりまして、国内の業者が海外事情を熟知しながら今後輸出振興に邁進できる態勢を作る、これが一番大きな点でございます。 2の輸出雑貨センター、これも3にございます専用機械の試作というのが新しい項目でございまして、たとえば万年筆のペン先の先を割る機械でありますとか、あるいは鉛筆の自動包装機といったようなもの、そういう専用機械を考えますと非常に能率が上がり品質がよくなると思われる点がございますので、ぼつぼつとそういう特定のものの専用機械の試作をやっていきたいということで必要な経費を計上してございます。 あと各項目は大体昨年と同じようでございますが、4の生糸絹織物の輸出振興費関係では、フランスあるいはイタリアあたりの絹織物製品が非常に高く売れているというのに比べて、日本品は値段等において安いという扱いを受けておりますので、2にございますように、海外から見本を集めるというようなことをしながら、どこが一体悪いのかというようなことにつきましても、少し科学的に比較検討をしたいということで、輸出繊維品の技術改善費を新たに五百七十万円計上いたしました。アジ研は昨年に引き続いて一億円の出費を増加いたしまして、基礎的、総合的な調査を進めていきたいと考えております。 三ページに移りまして上から二番目に海外中小企業技術協力費補助金というのがございます。これは一口で申しますと、結局海外の後進国の技術協力あるいは経済協力をすると同時に、日本商品、特にプラントの輸出振興をいたしますためには、何と申しましても、現地にまずモデル工場を作り動かして見せる、いかにすぐれたものであるかということを見せる。いわゆる百聞は一見にしかず式のやり方が一番効果があると思われますので、海外経済協力基金、昨年度五十億、三十六年度さらに五十億ということでお願いすることになっておりますので、その海外経済協力基金等を活用いたします際の一つの大きな柱といたしまして、中小企業を現地に作ってやって、そうしてそれを動かして見せるという必要があると思いますので、そのためのまず中小規模の工場を企画し、設計し、そして建設し、さらにそれを運営してやるということについての技術協力の必要な経費をとりあえず一千万円計上いたしました。これはさしあたり第一年度でございますので、まず一カ国二工場くらいをことし企画調査し、そしてこれは調査費でございまして、百億の協力費を使って工場を建てるわけでございます。その前提になります調査企画費として一千万円を計上したわけでございます。これは新しい項目として、今後の輸出振興、経済協力に非常に大きな将来の芽ばえではないかと考えております。それから十番目の低開発国一次産品買付促進費、これはたとえばタイの塩を買っておりますが、塩の取り入れ口の施設が悪いために塩の品質が悪いとか、あるいはタイ、カンボジア等のトウモロコシというものは乾燥が不十分である、あるいは選別が不十分であるということのために、いい値段で買えないということのために、経済的なベースに乗ってこないという点がございます。そこでそういうところの品物の栽培技術、あるいは生産技術を指導し、あるいは乾燥施設、あるいは保存施設といったものを作るに際して日本側が援助してやることによって、それらの国の商品が、もう少し商品価値を持つようにしてやろうということをいたしまして、できるだけそういう低開発国の一次産品が経済性を持つように指導してやろうというもので、これもことしは二千四百万円でございまして、まだ微々たるものでございますが、将来これらの国からの買付を促進する非常に大きな芽であるというふうに考えております。それからあとは三ページ、四ページみんな従来とほとんど同じでございます。ただ若干ずつそれぞれ拡充強化いたしております。 それから五ページに参りまして、中小企業設備の近代化、これはここにございますように、いわゆる設備の近代化と共同施設の補助、それから鉱工業の汚水処理施設といったようなものを全部ひっくるめまして十四億七千五百万、これは三十五年度についてでありますが、三十六年度はこの倍をやや上回ります三十億ばかり計上したわけでございまして、特に三十六年度は先ほど大臣の所信表明にもございましたように、従来設備だけに限られておりました近代化資金というものをさらに広めまして、土地あるいは建物というものも、場合によってはこの近代化資金の対象になり得るという道を開くことにいたしました。いわゆる中小企業の団地を新しく創設しようというのがそれでございまして、町の中にありますためにこれ以上発展したくてもできない、あるいは音がやかましいとか、ガスを出す、あるいは振動を与える、汚水を流すということで、まわりからの苦情も出まして、それから新しい設備をやろうとしても地域がないといって非常に困っておるところ、それをむしろ新しいところに計画的に移すことによって、中小企業自体を近代的に再編成いたしますと、非常に生産性が向上できるといったような例等もございますので、さしあたり最もその必要の切実に感ぜられるもの若干を選びまして、そしてそっくり中小企業を五十なり百なり集団的に移すということを考え、そして将来これを拡充していくということにいたしたいと思いまして、とりあえずこの二十八億の中に団地関係が三億含まれてございます。それからなお、こういうふうに設備近代化費用を倍増いたしましたが、これらの費用の使い方のより適正を期するために、(4)にございますように、貸付対象工場はあらかじめいろいろ診断いたしまして、そしてこういう国家資金等を投じて、ほんとうに助成するに値するだけの内容を持っているかどうかということにつきましても十分調査して、せっかくの資金の効率的運用をはかりたいと思っております。 それから昨年いろいろ御審議いただきまして、御決定いただきました、小規模事業対策費等につきましても、ここにございますように、約倍増するということで、この零細企業の振興をはかっていきたいと考えております。これに伴いまして、できるだけいい指導員を集めたいということから、従来二万円でございました指導員の手当を都市におきましては二万三千円、その他の地方におきましては二万一千円に引き上げるということにいたしております。 それから、なお六ページの下から三番目にございます中小企業施策の公報費、これは役所といたしましても中小企業関係の施策についていろいろ努力しておるわけでございますが、何をやっていいのか、どこに行けばいいのかということにつきましてまだ必ずしも十分徹底いたしておりませんので、そういう政府関係の施策の周知徹底をはかり、中小企業の一般の振興をはかるためのラジオ等を通じてのPRということにつきましても新しく始めたいと考えております。 それから七ページの鉱工業技術振興費は、これはほとんど従来のものを拡充するということで、特段の御説明は省略させていただきます。八ページに北海道開発試験所というものがございますが、昨年の五千万から一億八千万、これは三カ年計画で始めまして来年度完成する。第二年度ということで土地、建物等を今年度中に整備する。来年度中に入る機械その他完成したいというものでございます。この鉱工業技術関係につきましては、ちょうどまん中ごろの備考にございます三番目に共同研究の強化促進のための助成金というものが一億五千万円、これは単独の企業ではなかなか手がつけられない、非常に長期を要するもの、あるいは基礎的なもの、あるいは大規模な研究ということで、業界があげてその知識と設備とを提供し合って、国全体でやるのが必要であるというようなものにつきましては、一つ研究組合というものでも作って、そうして共同研究をさせるべきであると考えまして、これは別途今国会にそういう研究組合法の新設立を含みます法案の御審議を願うつもりでありますが、そういう共同研究をするものに対して、助成金を新しく設けたいということで一億五千万円計上してございます。 あとは九ページの産業構造高度化でございますが、産業構造調査費、これは農林省に御承知のように農林漁業基本問題調査会というものが三十四年に設けられまして、農林漁業の今後のあり方というものの検討がなされたわけでございますが、通産省関係におきましても自由化というものが必至になって参りましたことにかんがみまして、もう一度ここで日本産業の構造のあり方を検討してみるということから、大体農林漁業基本問題調査会と同規模の経費をもちまして、基本的な分析調査をやりたいと考えたわけでございます。 それから工業用水道事業費は新設七カ所、これは十ページにございますが、継続十五カ所、それからこの新設七カ所を入れて昨年の約倍額の規模になりましたが、これは工業の発展につれて今後ますますふえていくものと考えております。それから十ページの一番下に機械類賦払信用保険特別会計基金、これは先ほど大臣の所信表明にもございましたが、機械類、特に工作機械、鍛圧機械あるいは建設機械といいましたような基礎中の基礎になるような機械というもの、これを近代化することが一番焦眉の急でございますので、これらの機械をできるだけ専門生産の態勢に持っていく。そのためには作ったものが必ず売れるという、売りやすい格好にすると同時に、また中小企業あたりにとりましては金がないために新機械が買えないということになっておりますので、中小企業と金回りの悪いところが買いやすいようにするという機械の月賦売買をさせて、そうして最終的に、もし機械の月賦売りをした人が代金がとれなくて困るといったような場合には、この半分程度は政府の方でめんどうを見てやるといったような保険の道を講ずることによって安心して作らせる。また買う方は比較的少ない手金をもって買えるという制度を作るために、回転する基金といたしまして、ここに二億円。これは非常にわずかでございますが、さしあたりはこの程度で出発させたいというふうに考えております。 それからあと十一ページは従来と同じようなことで、特に御説明は要らないと思いますが、十二ページに石炭の四番目、炭鉱整備保証基金出資金というようなのがございます。これは石炭鉱業合理化事業団に対する出資金でございますが、非能率炭鉱の買い上げ、あるいは高能率炭鉱の造成というようなことでやっておりました事業のほかに、炭鉱がやむを得ず人員整理をするといったような際に退職金が要るわけでございますが、なかなか退職金が借りられない。そのためにいつまでも人員が過剰でありながら整理がつかないというようなことで、お互いに困っているといったような面等もございます。そこで政府の方から三億円事業団に出資いたしまして、この出資金を引き当てにいたしまして金融機関から退職金を借り出させるということによって、退職のやむを得ない方々に対する退職金の支給を円滑ならしめようというものでございます。 それから2の産炭地振興対策費、これは昨年いろいろここで御審議いただきまして、離職者対策の法律も作っていただき、離職のやむなきに至りました炭鉱労務者を地方に分散させるというようなことでやってきたわけでございます。また今後もできるだけ各方面に吸収していただくということは今後もとり続けるつもりでございますが、分散と申しましてもなかなか簡単にいかないということが非常に痛感されますので、そういう従来の方策に加えまして、今後はやはりできるだけ山元でそれらの人々を吸収するということについて、もっと本格的な検討並びに具体的な処置をすべきであるという見地から、三十六年度につきましてとりあえず各産炭地ごとに、その産炭地の周辺で、どういうことをやれば一体ほんとうにどれだけの事業が起こり得る土地があるのか、可能性があるのかということを検討いたしたいと思いまして、今年度はとりあえず三千万円の調査費で調査をいたしまして、そしてその各産炭地ごとに審議会等を設けまして、どうやるかということを御検討いただきたいということを考えております。なお築豊のようなところにつきましては、先ほど大臣も申し上げましたように苅田あるいは門司といったような比較的産炭地に近い市に特別起債を認めまして、あわせて土地造成を促進させることによって工場を誘致し、産炭地からの離職者を吸収するという具体的な措置も講ずる準備をいたしてございます。あとは大体昨年通りでございます。 以上、はなはだ概括的でございますが、三十六年度の通産省の一般会計予算の御説明を終わらせていただきます。 ————◇—————
○中川委員長 次に、昭和三十六年度経済企画庁関係予算について説明を求めます。経済企画庁会計課長川村鈴次君。
○川村政府委員 それでは昭和三十六年度経済企画庁予算について御説明を申し上げたいと思います。 歳出予算の要求総額は五十九億四百八十四万九千円になっておりまして、これを前年度に比較いたしますと十二億六千百九十六万円の増となっております。 この増額となりましたおもな理由と申しますのは、離島振興事業費が八億六千五百三十九万五千円の増額となりましたのと、国土総合開発事業調整費におきまして一億八千万円増額になったためであります。 次に経費の内訳を申し上げます。これは項目別に申し上げます。 第一に経済企画庁の項でありますが、要求額は四億五千二十万六千円でありまして、前年度に比較いたしますと六千九百七十九万五千円の増額になっております。この要求経費の内容をさらに御説明申し上げますと、そのうちの人件費が二億七千四百三万九千円でありまして、その他事務費が一億七千六百十六万七千円となっております。この事務費は一般庁費の運営経費と、また次に申し上げるような内容のものからなっております。まず第一は、先ほど大臣から御説明ありました経済の高度成長を維持しますためには、地域的にも均衡のとれた経済の発展を実現することが必要になって参りました。それで産業及び人口の適正な配置、地域間格差の……(「そんなこまかいことは要らない。」と呼ぶ者あり) それでは、お手元に差し上げました三十六年度予算事項別内訳表に準じて簡単に御説明申し上げます。 ここに番号順に載っております五番、六番、七番、あと大体前年通りでありますが、先ほど申しました七番の地域経済開発調査が新しくできた五百万円でございます。それから国民生活審議会、国民生活の向上を期するための経費といたしまして、十一、二番に国民生活審議会費と国民生活充実対策費を約一千百万円要求しております。その他は大体前年通りでございます。 次は第一ページの終わりの方にあります国土総合開発の項について申し上げます。これも大体前年度と同様でありますが、中国開発及び北陸開発の所要経費が新しく増額になっております。三十五番、三十六番、三十七番が来年度新しく要求する経費でありまして、三十五番の総合開発費用振分基準調査というのは、多目的ダムなどの総合費用に使いました総合開発の費用をどういうふうに振り分けるか、その基準を調査するための経費であります。三十六番の低開発地域工業開発調査は、低開発地域の工業を振興するために要する経費を新しく要求したわけでございます。それから水資源開発費は二百万円載っておりますが、最近におきます産業の発展と、都市人口の増加に伴う水需要の増大に伴いまして、水資源を確保するために、いろいろな調査及び計画を樹立するための経費であります。 次に経済研究所の項について申し上げます。要求総額は六千百八十四万二千円でありますが、前年度に比較しまして一千八百九万円の増額となっております。この増額のおもなものは、御承知の通り国富調査は昭和三十年度に本格的なものをやりましたが、次の本格的な調査は四十年度を予定しております。来年度はちょうど両年度の中間にあたりますので、簡単な中間調査をいたす、その経費でございます。 その次は第三といたしまして土地調査費の項であります。要求額は二億六千八百七十九万七千円でありますが、前年度に比較いたしますと、七千八百六十七万九千円の増額になっております。増額の内訳は、国土調査法に基づきまして、地方公共団体、土地改良地区等が地籍調査を行ないますときの補助金といたしまして、二億三千六百八十四万九千円を要求することとなりましたための増額であります。 第四の項目といたしまして国土総合開発事業調整費があります。これは九億五千万円を要求しております。これは御承知の通り国土総合開発法に基づきます開発事業は、各省各庁によってそれぞれ所管を異にしておりますのでその相互の不均衡を調整するための経費でございます。 第五の項目といたしまして、地域経済計画調査調整費の項があります。これは五千万円新しく要求しております。その経費は各省各庁の地域経済計画を立てます際の調査調整をはかりまして、総合的に行なおうとするための経費であります。 第六の項目といたしましては、離島振興事業費の項と揮発油税等の財源による離島道路事業費の項を合わせまして、要求額は四十一億二千四百万四千円になっております。これは前年度に比較いたしますと八億六千五百三十九万五千円の増額となっております。この経費は離島振興法に基づきまして、離島において国家が行ないますところの治山治水、道路整備、港湾、漁港、食糧増産等の公共事業費に必要な経費と、地方公共団体等が行ないますところの公共事業、農山漁村電気導入事業、簡易水道事業に必要な事業費を補助する費用でございます。この費用は経済企画庁に一括して計上いたしておりますが、実施にあたりましては、各省に移しがえて使うようになっております。はなはだ簡単でございますが、以上で終わります。
○中川委員長 以上で説明は終わりました。 次会は明日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時二分散会