P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
38回国会衆議院1961/06/06

社会労働委員会 第43号

発言数
288
登壇者
20
会派数
3
開催日
1961/06/06

会議録

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 これより会議を開きます。  内閣提出の通算年金通則法案、通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案、年金福祉事業団法案、八木一男君外十四名提出の国民年金法の施行及び国民年金と他の年金との調整等に関する法律案、国民年金の積立金の運用に関する法律案、内閣提出の、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法等の一部を改正する法律案、以上六案を一括して議題とし、審査を進めます。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 内閣提出の、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法等の一部を改正する法律案につき、提案理由の説明を聴取いたします。古井厚生大臣。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 ただいま議題となりましたあん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。  現在、あんま、はり、きゅう及び柔道整復以外の医業類似行為につきましては、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法により、何人もこれを業としてはならないことになっておりますが、昭和二十二年十二月二十日の同法公布の際、引き続き三カ月以上あんま、はり、きゅう及び柔道整復以外の医業類似行為を業としていた者で同法施行の日から三カ月以内に一定の事項を届け出たもの等については、なお昭和三十六年十二月三十一日までこれを業とすることができることとなっております。  今回の改正は、これらの業者に対する経過措置が本年末をもって終了することになりますので、これら業者がその業務を行なうことができる期間及びこれらの行が特例のあんま師試験を受ける期限を三年間延長して昭和三十九年十二月三十一日までとすることとしたことであります。  以上がこの法律案の提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。     —————————————

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 ただいま議題となっております六案について質疑を行ないます。受田新吉君。

受田新吉民主社会党

○受田委員 この政府みずからが提案された今回のあんま師等の法律の改正案につきまして、問題点の幾つかを取り上げてお尋ねを申し上げます。  大体このあんま師、はり師、柔道整復師という、こういう関係の法律が、今まで一部改正々々々々で、特にいわゆる医業類似行為の業者に対して、最初八年、次いで三年、三年、また三年と、こうして延長を続けて参ってくることは、結局医業類似行為者に対して、その業務の無害性というものを容認をし、その業をその人に終生やらせてもいいという、そういう考え方に立たざるを得ないと思うのでございますが、これは、少なくとも、その仕事をしておる人にとっては、八年に九年と延長されて、十七年間もやってくるということになると、これは当然その人の生命をかけた生活の根拠としての業務として、憲法に保障されたところの職業としてこれを取り守る立場に立たざるを得ないと思うのです。そういう意味からは、この三年延長というものは、厚生大臣、少なくともこれらの業者に対して、あんま師に転化し得ない立場にある人々に対して、一応その業務の無害性を容認し、その将来の生活権を擁護するという含みがあるものであると了解していいかどうか、お答えを願います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 この問題は、御承知のように長い間の問題でありまして、ただいまのこの法律の建前と、それからおっしゃるような現実の問題、この二つの間をどう調和していくかというむずかしい問題であります。そこで何年間かの猶予期間のうちに試験を受けてもらう、また将来認めるものは認める、整理するものは整理するというふうにしたらどうかという御意見もありましたり、その辺、議がいろいろございまして、結果的なことまでこない、さればといって期限が切れては困る、こういうことで、これはさらに三年間という法律でございますが、やはり三年間の間にもうちょっと詰めまして、永久的に延ばすものなら延ばす、あるいは型にはめるものならはめる、こういうことにこの期限の間に検討をして、そして結末をつけるようにするほかないと思いますので、お話のような意味はそれまでの結末の問題として、よく研究して結論を出したいと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 あなたのかつての前任者である神田厚生大臣も、昭和三十年にこの法律の三年延長案が提案されたときに、国会の意思として、この昭和二十二年法律第二百十七号の十九条一項の規定によって届出をしておる既存の業者であって、この法律で認められない者については、猶余期間中に十分な指導を行ない、国民保健上弊害のない者については、その業務の継続ができるよう適切な措置をすみやかに講ずべきであるという附帯決議が付されたのに関して、この附帯決議の趣旨に即応するようにできるだけすみやかに結論を出したいという発言をしておられるわけです。そういう意味で、結局指圧等であんま師に転換し狩る種目もありますけれども、それに転換し得ない立場の人々、老齢等で試験等も受けることのできないまじめな業者というものを救済するためにこの法律が延長されてきておるわけなんです。また、あんま師の試験を受ける期間がこれに含まれておるわけでありますが、原則的にはやはりこの法律で許されている医業類似行為者の業務期間を延長するというのがこの改正案の第一義的な趣旨であると私は思っているのです。そういう人々に対して、三年間のうちにあんま師の試験を受けてこちらへ転換しなければならないという、そういう第二義的なものでなく、第一義的なものが政府として、特に政治的な見地から責任を持っておられる行政長官である厚生大臣として、はっきりしたものをお持ちになっていなければならないと私は思うのです。だから、無害であってまじめに業をやっていこうという人々に対して、三年、三年、三年と延長するということは、結局その人の一代はやってもいいという前提が当然考えられるという含みがあると私は思うのですが、いかがでしょう。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 個人々々から申しますと、その生活の問題ということとこれはもう不可分の問題ですから、私なども大きにそういう方向に気持が傾くのであります。しかしこれは正式の医学の立場からいろいろ議論もあります。そこの辺もありますので、そこはさらにもうちょっと詰めて、しかし、さればといってむごい考え方などは持たないで、今後対処していきたいと私は思っております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 御存じのように最高裁判所の判決は、この療術に対しまして昭和三十五年一月二十七日に、無害な行為はだれでも業とすることができるという新判例を示してくれたわけです。従って昭和二十二年法律第二百十七号の中に含まれている医業類似行為者というものは、最高裁の判決をそのまま容認されるとするならば、これはだれがやってもいい、医業類似行為名でなくてもやってもいい、こういう解釈もできると思うのであります。厚生省としてはこの最高裁の判決を容認されるのか異論があるのか、御答弁を願います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 最高裁の判決は判決でありますから大いに尊重しなければならない。そこで問題は医学上から見て無害かどうかというふうな議論になるかもしれませんから、そこの判定がつかぬという問題になるかもしれません。しかし私は、どういう治療行為であろうが、健康がよくなればいいのですからというくらいに思うのですけれども、そこはよく考えて、それからまた医業方面の方の考え方もございますから、うまいあんばいに善処していくという気持を持ちながら詰めてみたいと思うのであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 この法律の第十二条に、「何人も、第一条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならない。」という規定がありますが、この規定と最高裁の判決との関係はどういうことになりますか。局長でけっこうです。

川上六馬厚生技官(医務局長)

○川上政府委員 最高裁の判決は届出医業類似行為行についていっておるわけでありまして、無届の医業類似行為者につきましては、その行なう医業類似行為が、人の健康をそこなうおそれがないということがはっきりいたしました場合に、これを処判の対象にしないというふうに私ども解釈しております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 この最高裁の判決は、二十二年の法律のいわゆる医業類似行為者の届出をした者だけに対するもので、それ以外は差しつかえないという意味の判決ですか。

川上六馬厚生技官(医務局長)

○川上政府委員 十二条で鐵灸、あんま、柔道整復、そういうものは広い意味の医業類似をやってもいいが、そのほかのものはやってはいかぬということになっておりまして、従来は一条にきめましたもの以外のものは医業類似行為を何人もやってはいけないという解釈で、すべて十二条で取り締まりをやっておったわけでございますけれども、最高裁におきましては、ただそれだけでもって処罰をすることの理由は薄弱だということでありまして、そのやっておる行為自体が人の健康をそこなうおそれがある、あるいは害があるということで初めて取り締まりの対象にすることができるということでありますから、人の健康をそこなうおそれのないそうした行為は、今後は取り締まりの対象にしないということでございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 そうしますと、この法律の十九条の二に特別に認められた立場の人々というものだけが対象でなくして、一般的な立場からの無害な療術をするものを対象にしてされた判決である、そういうことになるじゃありませんか。

川上六馬厚生技官(医務局長)

○川上政府委員 さようでございます。先ほど私の申し上げましたことは、それに対する誤解があったと思いますので訂正いたします。

受田新吉民主社会党

○受田委員 そうしますと、また別な角度から解釈するならば、医業類似行為という十九条二の特に認められた人々だけでなくて、だれでも無害な療術行為をやってもいいという判決が下った、それを厚生省が認める、こういうことになりますと、だれでもこの法律に関係なく無害な療術行為をやってもいいという新しい道がこの判決によって開かれたと了解してよろしゅうございますか。

川上六馬厚生技官(医務局長)

○川上政府委員 先ほども言いましたように、十二条は依然としてあるわけでございます。それから人の健康に害があるかどうかはっきりしないというものは一応取り締まりの対象になるわけでございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 無害であるということであれば、だれが療術行為をやってもいいということになるわけですね。それはいいですか。そこをお答えをはっきりして下さい。

川上六馬厚生技官(医務局長)

○川上政府委員 無害であるということがはっきりいたします場合は、それは取り締まりの対象にならないということでございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 そうしますと、この法律は別になくても、無害な業をやる療術行為者は自由に仕事をやることができる、こう解釈していいわけですね。

黒木利克厚生事務官(医務局次長)

○黒木説明員 お答えいたします。  必ずしもそうとは限らないと思います。有害か無害かということは、やってみた上で判定をされることでありますが、思考の症状その他によりまして有害のこともあり得るわけでございますから、その場合には処罰をされるということでございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 有害でなければだれが療術行為をやってもいいかという原則を厚生省はお認めになるということですね。それだけはっきりさしておいていただきたい。

黒木利克厚生事務官(医務局次長)

○黒木説明員 人体に有害でないということが確実ならば、処罰の対象にはならないのでございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 そうすると十九条の二の届出された既存業者というものは、有害であってもこの業者は差しつかえない、こういうことですか。

黒木利克厚生事務官(医務局次長)

○黒木説明員 お答えいたします。  有害であればやはり処罰の対象になるのでありますが、ただ無届のものはいつそういうような処罰とかいうような取り締まりの対象になるかわからないという不安があるわけでございます。しかし届出をしておる業者は、現実に有害であったということがあった場合に問題になるのでございますが、無届のものは絶えずそういうような取り締まりの対象にされ得るというような心理的に不利な状況にあるわけでございます。それが従来の既得権者と無届の業者の今度の最高裁の判決による違いだと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 心理的な問題だけで、ゆうゆうと自信満々とやれば、有害ということがはっきりするまでは自由にやれるわけです。平然とやれるわけです。心理的な問題でなくして、大幅にだれでもやってもいい。今までのもぐり業者でなくても、だれでもやってもいいんだ、こういうことを判決によって厚生省は容認したということに原則的になると私は思う。だれでも、日本じゅうでどこでも療術行為をやってもいい、心理的に影響を受けるという人もあるし、ゆうゆうとやる人もあるんだから、別にこの法律に規定されたものでなくても、だれでも自由にやれるのです。自信を持ってやれる人ならばこの法律があってもなくてもいいんだ、こういうことになるじゃありませんか。

黒木利克厚生事務官(医務局次長)

○黒木説明員 有害か無害かはいろいろ医学的な見地によって判断をされますから、本人が無害だと思いましても、客観的に見て有害の場合にはやはり処罰の対象になるわけでございますから、無届のものはそういう点ではいつでも処罰の対象にされ得るというような、不安があるわけでございますが、既得権行につきましてはそういうような不安はないのでございます。その違いがあるというふうに判断いたしております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 もう一つここでお尋ねしたいのは、無届の療術行為をする業者は、どのような名称を用いて看板をかけてやってもいい、こういうことになりますか。

黒木利克厚生事務官(医務局次長)

○黒木説明員 医師法なり医療法の規定に違反しない限りは、それは自由でございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 医師法等の法規に違反しなければどのような名称を用いて無届の業者が療術行為を行なってもいい、かように了解してよろしゅうございますね。

黒木利克厚生事務官(医務局次長)

○黒木説明員 名称の問題はともかくとして、無届の医業類似行為をやりました場合に、人体に危害を与えた場合には処罰されるということには違いはないわけであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 三年前の法案の審査のときと違って、最高裁の判決が出て以後における厚生省のきわめて寛大な療術業者に関する御見解を伺ったわけです。これは著しい前進ですね。そう了解してよろしうございますね。

黒木利克厚生事務官(医務局次長)

○黒木説明員 最高裁の判決で厚生省として最も心配いたしましたのは、この判決にいう医業類似行為というものが、あんまとか、はりとか、きゅうまで含んでおるかどうかということでございます。医業類似行為には御承知のように広い意味と狭い意味と二義あるのでありますが、最高裁の判決は、免許制度に触れるものではない、いわゆる届出の医業類似行為に関連する判決であって、あんま、はり、きゅうのように免許を必要とするものには関係がない判決だということで、一応私の方は無免許のあんま、はり、きゅうの人人の取り締まりがこれによって困難になるのではないかという懸念をしておったのですが、その懸念は解消したわけでございます。ただ無届の医業類似行為業者にとりましては、既得権の意味が薄れはしないかという懸念がございまして、私の方もそういう点ではいろいろ検討したのでございますが、ただ処罰の場合には、確かに人体に危害があったという実証がなければならないというようなことでございますから、従来のように既得権者についてはこれは何ら影響がないわけですが、ただ無届のものにつきましていささか取り締まりがゆるやかになるのではないかというような懸念は確かにあるわけでございます。ただこれを解決する方法といたしましては、各県におきまして、はたしてこういうような医業類似行為は無害なりや有害なりやということを一々事前に検討した上でなければこの法律の担保ができないというような懸念はございますが、県の単位で有害か無害かという判定が事前にできるかどうかという問題はこれから残された問題でございますが、現在のところでは有害な行為あるいはそのおそれのある行為につきましては、保健所あるいは警察等におきまして絶えず事前に調査するなりして事前防止をしなければならぬと思っておりますが、そういう点では従来の方針とは大して変わりはないわけでございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 従来の方針は、届出をしていなければ業ができないという立場で、無届業者はいないかという、無届そのものを調査の対象にしておったわけです。今度は無届の方は問題にしないで、有害か無害かの方だけを対象にしたというのは、大きな相違がありはしませんか。

黒木利克厚生事務官(医務局次長)

○黒木説明員 有害な場合に取り締まりの対象にするということには変わりはないわけでございますが、ただ従来医業類似行為につきましての厚生省の態度といたしまして、既得の医業類似行為の権者につきまして、この法律によりまして猶予期間中にできるだけ他の職業に転換をしていただくというような方針で、医業類似行為者というものはだんだんなくしていくのだという方向でございます。むしろ衛生教育とかその他そういう方面の制度によりまして、そういうものをだんだんなくするような方向も同時にやらなければならぬ、つまり衛生教育と並行いたしましてこういう問題の解決をしていこうということでございまして、特に取り立ててこういうものにつきまして厳重に処するというような方針では従来ともなかったわけでございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 無届の業者が、今までは無届であるという理由で盛んに取り締まりを受けてきたわけです。その無届でやっても有害でなければいいという判決が出ている以上は、今後の取り締まりは今までと違ってきているわけですね。それはきわめてはっきりしているわけです。それでこの法律は三年の期限をつけられておるけれども、最高裁の判決でどのような人が医業類似行為をやっても無害であればいいということになれば、別に三年の期限のうちにあんまの試験を受けて転身しなくても、自由の業務として最高裁の判決通りの道も開けるわけですから、今までのように強制的に試験を受けて転身するという立場で、それを希望しない人人に無理押しをしなくてもいい、そういう含みが一つ出てきますね。

黒木利克厚生事務官(医務局次長)

○黒木説明員 法律の建前は、いわゆる医業類似行為というものはだんだんなくしていこう、ただ既得権者につきましては、届出をした者に限りこれを保護していこう、しかし法律で猶予期間を認める間にだんだん転業を勧めていこうという方針でございます。従って、いわゆる医業類似行為についてはだんだんなくしていくというような方針で、これは変わりはないわけでございます。しかしこれは衛生教育とやはり並行した問題でございますので、こういうものを法的な強制によって厳重に取り締まるという方向よりも、むしろ衛生教育というようなものの方法によってだんだんなくしていこうというような行政方針をとっているわけであります。最高裁の今度の判決も、その趣旨とするところは、法律的な強制によってこれを厳重に取り締まっていくということよりも、むしろ衛生教育の方向においてだんだん問題の解決をはかっていく、こういう方針でございまして、そういう方針は従来厚生省もとっているところであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 ほかの法案の関係がありますから急いでやりますが、この法律案は非常に大事な問題点がたくさんころがっておるのです。実際に三年の間にあんま師の試験を受けて転換させようとしたって、現実に過去の試験の結果をあなたの方から出された資料を見ましても、二十三年当時の届出業者が約一万九千、その中であんま師への切りかえをしたのは二千二百人しかないじゃないですか。ほんのわずかです。五、六年の間にそのくらいしかない。しかも切りかえをした人の中には死亡者などというものはこれから差し引かれてないのでありますから、ほんのわずかしか転身していないということを見ますと、今までの医業類似行為業者というものは、あんま師試験を受けて転身することを希望しないで、今までの業を続けていくということがはっきりしたものがあるのに、無理に試験を受けさせて転身させるということは、非常に無理押しをしているのじゃないかということになる。しかも最高裁の判決があったように、自由にその業ができるということになれば、こういう手きびしい法律の規定のことをあまり考えないで自由にやらせるようにして、その人一代限り自由にやらせるという立法措置をとるとか、あるいは将来あんま師、はり師を含めた大きな意味の理療師法を考えてもらいたいというあんま師の組合、はり師の組合、療術師の組合の総合的なまとまった意見も出ておるわけです。そういう方向に持っていって、医師法に対立するところの、医師までの立場でなくとも理療師の立場で大きな線でこれを守っていってやる方法もあるのじゃないですか。こういうところを政府としてある程度考えておく必要がある。手きびしい現実を直視して、無理な工作をしないように一つお考え願いたいと思います。

川上六馬厚生技官(医務局長)

○川上政府委員 確かにお話のように、あんまに転業した者が二千二百人ほどしかございません。これはやはり自分の今までやっておったところの医業類似行為というものに生活の基盤を求めておるわけでございますから、自分の独特な施術のように考えてなかなか転向しない面があるわけでございます。しかし今申しましたように医業類似行為というものはわれわれの方でもいろいろ研究をいたしましたけれども、非常にたくさんの極数のものがございまして、そうしてその病気あるいはその症状の種類によりましていろいろ効果がまちまちでございまして、ある種の医業類似療術行為は無害有効であるというようなことまでなかなか断定しかねるような状態にあるのでありますから、三年間を限ってさらにもう一度検討しよう、今おっしゃたように将来これをどう持っていくかということも、その間において十分検討いたしたいと思っております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 厚生大臣、局長も、今私が指摘しましたような三年の間に実際に療術行為をやっている人はあんま師の試験をなかなか受けていない。また免許も受けていない。こういう現実を見たときに、現在やっている人々の仕事が永久にできるようにするとか、あるいは理療師法とかすべての人々を包含した立場で大きな立法措置を考えるとか、そういう方向に厚生省としても検討を進めていくということを、厚生大臣あなた御自身お考えですか。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 これは他の委員会、他の機会にもその論はなかなか御熱心な開陳がありました。いつまでもあいまいにほおっておくことはよくない。事柄はなかなかむずかしいからこうなっておるのでありますけれども、らちをあけようじゃないか、こういう考え方で、その方向で極力努力していきたいと思っております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 今のように既存の業者がその業務を続けていくという実情が数字の上に出ているということ及びあんま師、はり師、きゅう師等を含めた総合的な理療師体系を考えるとかいう方向を自分としても十分考えていきたいという御答弁であると了解してよろしゅうございますね。もう一ぺんはっきりしていただきたい。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 おっしゃる御趣旨に沿うておるものだと考えております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 ほかに御質問の人もあるかもしれませんが、私急いでこれを取りまとめて、最後にもう一、二点だけ質問をするのでありますが、問題がそこまで進んでおれば、私はあまりこまかい議論をしなくてもいいと思うわけですが、しかし念のために、今次長さんのおっしゃったような既存の業者、届出しない業者と届出した業者とは心理的な影響とか何かの差異があるという意味から、二十二年の法律施行の際に引揚者でまだそのとき戻ってなかったとか、三カ月しか猶予期間がなかったのでPRが不足して届出ができなかったという立場の人々、こういう人人がそのときに業をやっておったというのはどこから見てもはっきりしておる人がおるのですから、そういう人々を何らかの形で救う道があれば、心理的な部分でも相当助かると思うのですが、何かそれに対する対策がありますか。昭和二十五年時分に、久下医務局次長ははっきりとこの問題を適当な機会に総合的に処理したいと答弁して問題の解決を持ち越しているわけですが、たとえば何らかの講習を受けてそういう人々に適切な指導を行なって十九条の二の業者としての取り扱いをするとか、特殊の事情で実際に業をやっておりながらそのときに届出ができなかった立場の人々を救済する措置を考えることができるかどうか。そういうことは考えなくてももう自由にできるからいいじゃないかという御意見であるかどうか、そのいずれかの御結論をお伺いしたいと思います。

黒木利克厚生事務官(医務局次長)

○黒木説明員 昭和二十二年当時の届出漏れの人々に対する処置でございますが、やはり立法事項でございますから国会の御決定に従わざるを得ないわけでございますが、ただ先ほど来申しておりますように、立法の当時のときには、こういうような医業類似行為業者というものは経過的に既得権というものは認めるけれども、だんだんなくしていこうといり趣旨でございましたから、従来の立法の経過なり精神から申しますと、非常に技術的に無理じゃないかという感じはいたしますが、いずれにしても立法事項でございますから国会の御決定に従うということでございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 厚生大臣、あなたは法律を出される責任者でありますから、こういう問題をどうするか、今医務局次長は、こういう既存の業者をなるべく整理したいということだった。しかし整理しようとしても実際は三年、三年、三年、前は八年とずっと続けてきていることは、整理しようという無理押しがとても現実にはきかない。しかも国民が療術行為に非常に国民保健上プラスになるといって、事実これを利用して繁栄しておるということがこの現実であることを考えたときに、この現実を無視してなるべく整理しようという医務局次長などの考えとはかわった方向で今法律は延長されておると思うのです。どうか一つ大臣、あなたの御意思は、今事務当局は過去の考えを言うておられるようですが、これからの問題点としては、先ほどあなたが答弁された方向でこの問題が発展するという形であなたの御所見をもう一度伺っておきたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 よくその辺は、とらわれないで検討していきたいと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 厚生大臣のはっきりした、事務当局の御見解は御見解として、だが実際の現実を直視して、とらわれないで先ほどの御意見に進んでいきたいという御趣旨でございますから、立法措置等についても何らかの御処置があるものと私は期待しておるわけです。今の二十二年の当時の人々を救済する道も、適当な機会に何らかの方法で救う道をお考えいただける、こう了解してよろしゅうございましょうか。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 これは総合立法の問題として、含めて検討をしていきたいものだと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 以上申し上げた諸点をもとにして問題になるのは、もぐり業者と、それからもぐりでない業者の問題であんまの問題が一つあるわけです。あんまの目の見えない人々を職業優先の立場で十分保障してあげるという立場をとらなければならないにもかかわらず、高級官僚の方々、会社の重役の方々が熱海や箱根などへ行かれて、目のあいたあんまさんが高い料金で、講習も受けないでもぐりあんまが横行しておる、こういう人々は、盲人としての不自由を感じる方々に非常な犠牲を与えておるわけです。こういう方々をはっきりと取り締まられて、身体の不自由を冒して精励恪勤しているこれらの業名を完全に守るという態勢——大臣の方々や高級官僚の方々、会社の方々で、もぐりあんまと承知しながら高い料金であんまをしてもらっておる人はおりませんか。こういうときは、君は免許を持っているかどうかということをはっきりつかんで、あなた方御自身がお手本を示しても、もぐり業者を箱根や熱海から駆逐する勇気をお持ちにならなければ、このもぐりあんま対策は完全に行なわれぬと思いますが、大臣の御所見を伺って私の質問を終わります。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 これは受田さん、もぐりはいけません、どう考えてもこれはいかぬと思います。それから盲人の人はほんとうに職業が狭いのでありますから、こういう方に優先的にと思うのでありますが、さればといって他の職業の自由を剥奪するということは、これはなかなか憲法上もむずかしい問題でありますから、そこにはなかなか御議論もありますが、少なくとももぐりは、これはいかぬことですから、大いに取り締まっていかなければならぬ、これははっきりそう思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 今の答弁でまた一つ問題が出た。私は盲人の方だけにあんまをやってくれという意味ではなかったので、優先的に盲人の方々に便宜を与えるような対策を立ててくれ、職業の自由があるからだれがあんまをやってもいいけれども、原則的に、優先的に盲人の方々を処遇する方法を考えるべきであるということでありますから、誤解をされないように、対策もそういう意味で、もぐりあんまをあなた方がわれわれのグループもみんな一緒に駆逐していくという方向でいこうという提案をしたことを十分御了解願って、質問を終わります。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 湯山勇君に発言を許します。湯山勇君。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 最初大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  それは今回また三年間この措置を延期された理由、特に三年間という期限をつけたのはどういう理由によるのか、先ほども御答弁があったと思いますけれども、重ねてお伺いをいたしたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 きょうまでの実情を見まして、よいものはよい、悪いものは悪いということで整理して簡単に片つける、結末をつける段階に来ておりませんので、やはりこれはいましばらく同様な姿勢でいくほかないのではないか、こういうわけであります。三年間ということには大きな理由はございませんけれども、三年間もあればそのうちに総合立法といいますか、相当の態勢を、よいものはよい、悪いものは悪いという、暫定的ではなしに、そういうような立法も検討して結論が出せるのではなかろうか、そういうことで、今回はとりあえず三年間、こういうわけであります。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 今日までたびたび延長されて参りまして、その間厚生省の方でもいろいろ御指示もなさったと思いますし、あるいは委員会でもいろいろな決議もなされて参りました。しかし実態は先ほどのお話にもございましたように、実はこういう法律が延長されると、かえって順法精神が阻害される、実施されないようなことが法律で残っていく、そういうことによって弊害の方が多くなって、実際はこういう法律はあるのもないのも同じであるというようなことが実態ではないでしょうか。と申しますのは、ある県では二百名ぐらいの該当者がありまして、結局期間中に講習をやり、試験をしたのですけれども、受けた者は四十名、五分の一にすぎません。それから、申し上げればお気づきと思いますけれども、ある県では講習は全然やらない、ただ特別の試験だけやって、そして免許を与えておる例もあります。それでもなお受ける人は非常に少ない。これだと一体何のために法律を延長するのかわからないのです。そこで、この三年間延ばすというのは、三年間に新たに方策を立てるとおっしゃいますけれども、実はその三年間が今のような実態から見て問題じゃないかというように思いますので、それならば一体三年間にどういうことをお考えになってどういうふうになさっていくか、その構想がおありになればお聞かせ願いたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 そのことがむずかしいので、実はきょうまで延ばし延ばししてきたわけであります。つまり一方からいうと、これはピリオドを打ってしまった方がいいのではないか、こうも言えますけれども、反面においては、しかし実際有害でない、また効果のあるような治療方法も中にはあるかもしれぬということもありましたし、また一方、ともかく今までこれで生活を立ててきた、こういう人もあるという一面もあるのでありますから、それでよいものはよい、悪いものは悪いという振り分けをして、恒久的なものを立てていくのがよいと思いますけれども、いろいろなのがあると思いますので、それを悪いと言ってしまえばよいかというと、そうも言ってしまえない、またそれでよいと言ってしまえばよいかというと、そうも言ってしまえないという面もありまして、それでそこら辺がなかなかむずかしいので、きょうまできたのだと思います。しかしそういっておっても切りがない話でありますから、三年も延ばしていただけば、その間に何か恒久的な総合立法をもって解決するということを、何か結論を出すように努力しようじゃないか、今こういうところであるわけであります。ですから、御承知のようになかなかむずかしいものですから、そういうことからなるべく早く慎重に結論を出したいという考えでおるわけであります。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 私は今までと今回とは若干条件が違っておると思います。と申しますのは、今質問いたしましたように、最高裁のああいう判決がありましたので、この問題と取り組む厚生省の態度も従来とは違ったものでなければならないと思います。それだけにむずかしい要素もふえるかと思いますけれども、ただ単に従来と同じように、何とかその三年間に対策を立てようということだけで期間延長をするということではならないと思うわけですが、その点について何か具体的なものをお待ちになっておれば、局長の方からもお答え願いたいと思います。三年間にどういうふうにしていこうというのか、個々の問題は別としても、こういう点、こういう点はこうしていきたいという大ざっぱなお考えでもあればお示し願いたい。そうでなければ、ただとにかくこの際一時切り抜けておいて、三年間に何とかなるだろうからやってみて、いかなければ延長するのだ、これでは私はいけない段階だと思いますので、お伺いいたしたいと思います。

黒木利克厚生事務官(医務局次長)

○黒木説明員 お答えいたします。  いろいろ事務的には検討いたしておりますが、従来の方法によりますと、たとえば指圧の取り扱いのように、指圧を免許制度にしましたように、医業類似行為の中で適当なものを免許制度にするなり、あるいは最近理療師といいますか、光線、レントゲンあるいはベータトロン、放射線系統のいろいろな治療の方法がございますが、そういう人たちの時分、法規をどうするかという問題がございます。それと関連して、医業類似行為の業者の中で光線療法をやっております人たちのうちでこれと同じように考えられるものがあるならば、理療師法との関連においていろいろ検討するというような方法も一つ考えられると思いますが、そういうことで先ほど問題の出ました医療補助者の身分、法規の検討を今医療制度調査会で御審議を願っておりますから、そういう問題にからんでいろいろ事務的には検討いたしておる次第でございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 大臣にお尋ねいたしますが、この問題は今の点については何ら具体的なものもないし、これからどうするという確固たるものもお持ちになっていないようです。だから、ここではっきりさせておきたいことは、この三カ年間に今の療術関係、こういう人たちの生活を介めて抜本的な対策を立てて、さらに延長することがないようにお約束ができるものかどうか。これは従来と違って今の判決が出たという新たな条件のもとでは、この機会にやらなければ私は永久に解決の道はないと思いますので、再延長しないということで、しかも療術師の人もあんま、はり、きゅうの人たちも、とにかく安心して生活できるような方策を立てるという確約が願えるかどうか、一つ明確にしていただきたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 私もしろうとでありますから乱暴なことは申せませんが、お話のような趣旨も十分傾聴いたしまして結末をつけるように最善の努力をしたいと思っております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 厚生大臣は大へんまじめな方ですから、そういう御答弁は、私は必ずそういうふうになさるということの御確約だと了解いたします。  次に私がお尋ねいたしたいことは、盲人についての対策です。今のような状態で参っておりますと、実は盲人の唯一の職業のようであった特にあんま業ですけれども、こういう面へ目のあいた方の進出が非常に大きい。このことを禁止する規定はないわけですから、そういう以上は認めなければならないと思いますけれども、実態はあまりにも進出が大き過ぎるのではないかと思うわけです。これは事務当局から数字の御説明を願いたいと思うのですが、三十五年度あたりで一体免許者の数がどんな割合になっておりますか。特にあんまの場合です。

川上六馬厚生技官(医務局長)

○川上政府委員 あんま師の中の晴眼者の数が二万七千五百六十六名、それから盲人の方が三万百八十名という数字になっております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 総数じゃなくて、新たに受けた数ですね。

川上六馬厚生技官(医務局長)

○川上政府委員 新たな免許は、私今ちょっと数字を持ち合わせませんけれども、学校の方で申しますと、文部省の認定の学校、これは盲人でございますが、それが八百七十六名、厚生省の大臣の免許、これは晴眼者の方が多いわけでありますが、千五百四十名、厚生省の大臣の認定の学校の中でも盲人が百八十名ほど入っておりまして、そういう計算になりますと、晴眼の方が六割、盲人の方が四割ぐらいになっております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 大臣今お聞きの通り、実際はあんまの免許を受ける者の数は次第に盲人の方が少なくなって参りまして、現在は晴眼者の方が六割、盲人は四割、これは私はもっと開いておると思います。単位からいいましても、最近は一方は千単位、一方は百単位になっておると思う。そういう点から見ていくと、この法律とは別に、目の見えない人に対する対策というものは、この際新たに考え直さなければならない段階がきているのではないかということを考えるわけですけれども、これについてただ法律の期間を延長するとかなんとかいう問題じゃなくて、この際抜本的な盲人の対策を立てるための御方策を何かお持ちでしょうか、あるいは立てなければならないとお考えになっておるだけの段階でしょうか、それについて伺いたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 盲人の方に優先的にこういうふうな職業はさせてあげるようにしたいものだという趣旨は、私もまことにその通りに思います。一方、さらばほかの人には禁止することができるかというと、これはできない、どうするかという問題でございます。そうすれば、結局盲人にこういうふうな訓練、教育をやる施策を講じて、そして免許がたくさん受けられるように、その職業ができるようにするというところに道が残っているのではないかと思うのであります。従来も学校の関係は、晴眼者の方の関係を運用の上で制限してきておるわけでありますけれども、なお積極的に盲人の方にこういうふうな職業的な教育を与える施策を進めていく、こういう考え方で努力していくべきではないか、そういうふうに私は今思っておるところであります。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 非常に抽象的な御答弁で、私はちょっと納得しかねるのですけれども、今六割、四割と言われたのは、盲学校等で文部省の機関で養成される者を含めてのことでございまして、厚生省がやっておられる学校、施設を出て試験を受ける者の数は、大体晴眼者、目の見える人が千五百四十名に対して、目の見えない人が今の御答弁で百八十程度、一割強というような状態だということですが、こういう状態を放置しておっていいかどうか。大臣がおっしゃったように、そうかといって入ってくる者をとめるということはできない、これはごもっともな御答弁だと思います。そうだとすれば、目の見えない人に対する対策というものはもっと別な面から、ただなるべくこういう施設へ入れるというようなことだけじゃなくて、もっと別な面から、幅の広い検討が必要じゃないかと思うわけですが、そういう点についてはどういうことをお考えでしょうか。

黒木利克厚生事務官(医務局次長)

○黒木説明員 数字を訂正いたしますが、昭和三十六年度の盲人のあんまの養成施設の卒業生が千五十六名、晴眼者が千三百六十名でございます。先ほど八百七十六名と申し上げましたのに厚生省関係で百八十名がプラスになりまして、厚生省関係の千五百四十名から百八十名を差っ引いた数でございます。  なお、先ほど御質問にございました盲人の処遇の問題につきまして、医療法規におきましては晴眼者と特別に差をつけるということは立法的にはなかなか困難でございますが、福祉立法等につきましては相当そういうような余地はあるものと存じております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 私は一つずつお尋ねしたいと思ったのですけれども、その問題については一括して、こういうようなことはどうなんだろうということをお尋ねいたしたいと思います。  それは身体障害者の雇用、これをこの問題の中で今どう処理していくかという問題。あるいは現在任意設置となっている市等の福祉事務所の身体障害者の福祉司、これを必置にするというようなことによって身体障害者の人の福祉をはかっていく。あるいは更生資金の資本金の増額、あるいは国立の点字出版所を設立して、いい書物をたくさん安く出すようにする。あるいは最近のテープ・ライブラリー、これらを利用できるようにさらに拡大していく。あるいは福祉年金の金額を増額する、あるいは受給範囲を改めていく。あるいは障害者の福祉年金の停止所得を今の十三万円ですか、これを引き上げていく。あるいは扶養義務者の所得に関する制限規定を廃止する。こういうことは直接国への要望として、多分大臣のもとへも参っておると思うのです。これらのことは、今のような実態でだんだん盲人の職場が狭められていく、圧迫を受けている、こういう中では、国としては最優先的に、不幸な人にしあわせな生活を送らすという見地から、優先的に取り上げていかなければならない問題だと思うのであります。一つ一つについてお聞きしたいのですけれども、時間がありませんから、そういう要望について大臣としてはどのようにお考えなのか、一括してお答えいただいてもけっこうですから、お願いいたしたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 身体障害者につきまして、今おっしゃったような施設あるいは年金制度、広範にわたってもっと施策を強化していくという点につきましては、私どももこの場の言いのがれでなくて、御趣旨ごもっとも千万だと思っておるのであります。今日でも御承知のようにやっておることもございますけれども、足らぬところもあります。これは大いに力を入れていかなければならぬと思っておるわけでありまして、一々のことまでは申し上げませんけれども、考え方を申し上げておきたいと思います。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 それでは、今のような個個の問題につきましては、いずれ厚生省の方で予算編成の時期がおありになると思います。そういう時期にお願いに上がりたいと思いますから、一つぜひ真剣に取り上げていただきたいと思います。  最後に、今のようにして盲人の人たちに、あんま、はり、きゅう、そういうことを進めていかれるときに問題になりますことは、先ほど問題になったもぐり業者との関係が出てくると思います。これを放置して、幾ら施設へどんどん入らせて免許を与えましても、その方のことが底抜けになっていたのでは何のことかわからなくなってくると思います。これにつきましては、今受田委員からいろいろ御質問がありましたが、私はこれについても、これは単にそういう面だけからの解決ということもありますけれども、そういう人たちがもっと正常なといいますか、そういう仕事につく機会を作るということが優先しなければならないと思うのです。いろいろ聞いてみますと、決して好きこのんでやっておるというのじゃなくて、やむを得ずそういう仕事についておるという人も相当あることを私は聞いておりますので、これについては取り締まりの方法がなくなったから野放しにするというのじゃなくて、取り締まりの立場でなくて、むしろ指導的な立場を強化しなければならないし、指導的な立場を強化するということは、これはただ単に口先の指導だけじゃなくて、そのための人を各県に置くなり、あるいは厚生省にもそういうことを担当する人を置くというようなこと、さらにそれを労働省とも連絡をとって進めていく、そういうことがなければ、今のような最高裁の判決が出てきたら大っぴらにやれるのだということになれば、手のつけようがなくなるのではないでしょうか。そういうところからこの対策を進めていこうとするところに、今日までの誤りがあったと私は思います。そこでぜひこういうもぐり業者に対する対策は、取り締まり行政よりもむしろ指導行政へという立場に方向を変えて、そういう人のなくなるような施策を講じていただいて、問題の残らないようにしていただく、これはさっそくに、口先や今の機構だけでなくて、予算を伴った機構を持ってやっていただく、こういうことについて一つ厚生大臣のお約束が願いたいのですが、いかがでしょうか。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 予算の関係などもあるかと思いますが、お話の趣旨をよく伺っておいて十分検討していきたいと思います。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 小林進君に発言を許します。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 厚生大臣も医療協の問題等で相当の抵抗を示されて御多忙中と存じますけれども、その問題はその問題として、いささか本法案についても一つ確信ある御答弁をお願いいたしたいのであります。  昭和三十五年の法律第百二十三号で身体障害者雇用促進法という法律が制定をせられまして、その第二条にあんま師を盲人の特定職種に指定をされまして、あんま師の七〇%は盲人を優先的に充てなければならないという規定がせられまして、あんま師は盲人の優先業務であることが法律で確認をせられておるのでございますが、この法律が制定をせられて以来今日まで、このパーセンテージが正しく法律通りに施行せられているかどうか、私は厚生大臣にお伺いいたしたいと思うのであります。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 面接の数字は労働省の方にあるのでありまして、すぐここに手持ちがございませんので、よく労働省の方と連絡して調べて御返事したいと思います。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 われわれの調査によりますと、昭和二十三年には盲人のあんま師が二万九千人、総数の七二%でございまして、晴眼がこれに対して二八%、こういう状態でございましたものが、この法律が制定をせられました昭和三十五年には、盲人のあんま師が三万人で六二%、晴眼が三八%、こういうような比率になっておりまして、いわゆる盲人の方が七二%から六二%に低下をしている。反対に晴眼の方が二八%から三八%にふえているという状況でございまして、これを言いかえれば、せっかく身体障害者雇用促進法で優先的に認められたあんまの特定職種としての指定が、現実の面においては、だんだんこの職場が晴眼者のために侵されているという数字が現われてきているわけであります。なおこれを現在の学校の卒業者を含めた数字をもって類推をいたして参りますと、五年先であります昭和四十年になりますと、盲人のあんま師が四万一千人、その比率が五九%、晴眼が二万八千人で四一%というように、盲人者の比率がさらに低下をしていくという、こういう数字が現われておるのでございまして、これは私どもはせっかく身体雇用促進法を作って、その中の盲人を特に優先的に保護しなければならないという法の精神が、逆に全く失われている形が現われているのでありますから、その意味においても、今にして私は厚生当局から一つ抜本的な何らかの処置を講じてもらわなければならないと思うのでありますが、たまたまここにお出しになりました法律は、単に期限を三年間延長するという、何らこういうことに対するあたたかい手が打たれていないことは、まことに残念にたえない次第でございまして、この点一つ大臣の御所見を承っておきたいと思うのであります。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 抜本的な対策を考えろという御趣旨であると思います。足らぬ点も少なくないと思うのでありますが、この法律の扱いでも、ごらんの通りにきっぱりしたところまで十分に行き得ないでおる点も多いかと思うのであります。今後の問題点も残っておると思いますので、十分勉強さしていただきたいと思います。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 身体障害者雇用促進法によりますと、あんまの施術所に雇用する場合のあんま師の比率は、十人いるところは盲人七人、百人のところは七十人、五人のところは三人雇わなければならない、こういうことになつておりますが、事実このあんま業というものは、御承知の通り雇用関係よりは自営業が多いのでありますから、自営関係で晴眼者、目あきの人たちがこの商売をおやりになることを制限する何らの規定がない、ここに盲点があって、盲人に許されているたった一つの優先的な業種が、だんだんかくのごとく侵害をせられておるのでありますから、この法律の盲点を何とか一つ制限をして、自営業者にも、この盲人にのみ許されている業種を侵害することのできないような、何らかの法的規制を行なっていただかなければならない、こう思うのであります。この問題についてわれわれが前例とするところは、これは大臣も御承知と思いますが、旧内務省令、このときには大臣はあるいは警保局長か内務次官か何かおやりになって、事実これを御施行になっていたのでありますけれども、当時はめくら判でございましたから、その内容までも御存じなかったかもしれませんが、事実大臣はこれを実施された経験をお持ちになっている。その旧内務省令時代には、やはり特別の法規定がありまして、晴眼者はあんま業の資格をとるためには四年の修業を必要とする。けれども、盲人は二年をもってこの資格を得るような特例を設けられておったのでございますし、こういう規制の方法が——私はこの規制の方法がいいか悪いかまで意見を述べません。これは大いに研究を要するところでございまして、あるいはこれを下手に持っていきますと、看護婦と准看護婦といいますか、同じ業種の中に差別が生じて参りますから、この点大いに研究していただかなければなりませんが、そういう一つの規制の方法があったということ、それから最近の例といたしましては、これは日本ではございませんけれども、台湾であります。台湾にはあんま管理規則という規定がございまして、一九五七年にこういう規則ができておりました。このあんま業というものは、盲学校を卒業した者に限り、あんま師の免許を与える、こういう規制が行なわれている。こういうふうな形で、あんまの業務を優先的に認めていくという方法がある。ただ、この問題が出ました場合には、憲法二十二条のいわゆる職業選択の自由という憲法の規定が問題になってくると思いますけれども、これは大臣も参議院のこの法案の審議の際に、るる研究されてきたのでありますから、十分了承せられておることと思いますが、私は憲法二十二条の制限に触れないという見解の上に立っておりますが、この問題についていま少し確信のある御所見を、大臣でできないならば事務当局から伺っておきたいと思うのであります。

川上六馬厚生技官(医務局長)

○川上政府委員 ただいまお話がございました、台湾では盲人だけに許しておる、あるいは昔は日本においても、盲人の資格というものは修業期間を二年にして、晴眼者は四年にしていたというようなことで、盲人の専業とか優先とかいうことをやっておったという御意見でございました。そういう点につきましてもいろいろ検討いたしたわけでありますが、先ほどもお話がありましたように、憲法の二十二条あるいは法のもとに平等であるべきだというような意見がございまして、盲人だけにあんまを専業さす、あるいは免許で優先するというようなことは、現在のところなかなかむずかしいという見解を持っておるわけであります。ただ、しかし先ほどの御要望もありましたが、晴眼の学校をふやさないようにする、晴眼の学校の数とか、あるいは定員というものをふやさぬようにして、盲人の職業を守っていきたいという考え方を持っておる。なおまた身体障害名雇用促進法などの趣旨によりまして、たとえば病院などにはできるだけ盲人を使っていくというようなことは、今後努力をいたしたいと思います。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 川上局長の御答弁はまことに要領がいいのでありまして、聞こえたるがごとく聞こえざるがごとく、やるがごとくやらざるがごとき御答弁でありまして、私はあなたのお話を承ってなかなか理解に苦しむのであります。非常に御答弁がお上手でいらっしゃいますが、そういうことではわれわれはどうも納得がいかないのであります。時間々々とあとからうるさく時間を詰められておりますので、私は長い質問を繰り返すことを省略をいたしたいと思いまするが、ともかく現在三年の延長の期間中に療術師いわゆる医業類似行為——先ほどこういったものに対しても身分関係があってなかなか困難である、そういう抜本的な措置ができないというお話がありましたが、身分の関係も相当ありますけれども、医業類似行為は、いま少し資格というものをきちっときめて、医師会等とも緊密な連絡をとって、そしてもっと権威あるものにしてこれを存続していく、こういう措置を講じていただいて、その措置と同時にこの身分を守っていく。しかしその措置と同時に、私が今お尋ねしているあんまの盲人の問題であります。この盲人関係だけは私はどうしても三年の間に抜本的な、特定の職種を盲人のために優先的にこれを認めるということだけはやっていただかなくちゃならぬ。三年後になっても依然としてこういうような気の毒な方々に職業に対する一つの安定したものを与えないということでは、私は厚生行政は生きているとは言えない。そういう意味におきまして、どうしても三年以内にはこの身体障害者雇用促進法に盛られた精神、盲人だけを特定の業種にしてこれを守るというこの精神を自営業者にも及ぼして、盲人のあんま業という職種を他の目あきが侵さないような、もっときっぱりした法改正を行なう確信があるという、大臣の信念に満ちた確約を一つ与えていただきたいと思います。確約を下されて私がなるほどと思えばこれで質問を終わりにいたしますが、納得ができなければ何回でも私は質問を繰り返していきたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 盲人の方にあんま業の職業を優先的にというお考えは、方法があれば私はやってみたいと思います、よい方法があれば。これがむずかしい。さっきあなたがお話しの旧内務省令とか台湾のことにしても、これはいろいろ理屈の上の難点がありはしないかと思うわけであります。しかしもっと研究して、理屈が通ことるならやってみたいと思うのでありますけれども、そういうことが実行できるものであるのかないのかということ。一方問題は、盲人の方にできだけ今のあんま業のごとき職業的な養成をやって、これを多数の人が希望するならば、養成をしてこの仕事ができるようにするという、全体の中のパーセンテージがどうあろうとも、盲人の方の側においてやろうという人が百パーセント近くこの仕事ができるようになったら、それでよいのだと思うのであります。そこには考え方の道があるのではないかと思うのであります。しかし法的の他の面もあわせてそういう方向で研究したい、こう思うのであります。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 これ一問で終わります。  私は大臣の答弁を了承をいたしました。もちろん大臣だけに責任を持っていただくつもりではなく、私どもも大いに研究いたしまして、いい案ができましたらまたそれをもってお伺いいたします。両々相待ちまして、少なくともこの三年の期間のうちに再びこういう議論が繰り返されないように一つ御措置下さることをお願いいたしたいと思うのであります。  これにつけ加えて、現在光明寮というものが厚生省の管轄下にございます。社会局長がおいでになっておりまするならば、私は社会局長からお伺いいたしたいと思ったのでありますが、おいでにならぬので、大臣から御答弁いただかなければならぬのでありますが、これは主としてあんまの養成所であります。けれども私はこの光明寮の業務をあんまだけの養成所に限定しておくのは、非常に遺憾じゃないか。ねがわくは視覚障害者更生指導所ぐらいの形と内容にいたしまして、この盲人の更生指導あるいは更生相談あるいは更生医療あるいは職業指導、こういうふうな多角的な方面にまでこれを伸ばして、そうして盲人に適当なる職業と将来の明るい見通しや希望を与えるような形にこれを改組していただけないものか、この点について御答弁をちょうだいしておきたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 私は光明寮の問題についてはまだ実情に暗い点がありますので、よく実情をきわめまして、そうして改善したり、充実したりいたす面ありとすれば、極力そういたしたいと思います。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 これで終わります。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 河野正君。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 本案が非常にむずかしい点は憲法二十二条の職業選択の自由と、さらには生活権、所得権の擁護というからみ合わせの点にあろうかというふうに考えるわけであります。そこでやはりこの問題を解決するためには、今までに論議がございましたような、現実を十分直視しつつ、しかもその上に立って合理的にこの問題を処理するということがきわめて適切な点ではなかろうかというふうに考えるわけです。そういう意味から若干の点についてお尋ねを申し上げてみたいと思います。   〔委員長退席、柳谷委員長代理着  その第一は、今まで各委員からいろいろと問題点が指摘されておりまするように、まず私どもが第一に考えなければならぬ問題は、やはりこの身体障害者、特に盲人でございますが、盲人の生活権と申しますか、そういう問題に対しましてどういうふうに対処していくかということが、まず第一に重視しなければならぬ問題点ではなかろうか。身体障害者雇用促進法が制定されて今日まで約一年でございますが、その間の事情については、手元に資料がないということで御発表願えなかったようでございますが、それでは一体そういう視覚障害者、盲人というような障害者の方々に対してどういう対策を重点的にとって参られたか、こういう基本的な問題でまず厚生大臣の御説を承っておきたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 盲人の方のみならずでありますけれども、身体障害者の方には、それぞれの特性もありますが、更生施設等を設けましたり、考え得るだけのことは、程度が十分か不十分かは別にいたしまして、方法の問題といたしましては、考えるだけのことは極力やってきておるつもりでありますが、程度の問題はまだいささか問題が残っておるかと思っております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 今私が御指摘を申し上げましたように、盲人を初めといたします身体障害者というものは、先ほども申し上げました憲法二十二条に規定されております職業選択の自由というものが、おのずから制限を受けるわけです。従って、そういう制限を受けるという一つの悪条件の上に立っておるわけでございまするから、そういう盲人を初めといたしまする障害者に対しましては、特別の処置というものが国の責任において行なわれなければならぬということは当然のことであろうと考えるわけです。もちろんそのためには盲人の福祉施設等によりますところの職業補導というような問題も行なわれておるわけでございまするが、そういう具体的な指導がどういう形で行なわれておるか。これはただ観念的に重点を指向するのだということだけでは解決できぬと思うのです。やはり具体的に、どういう施設を設置して、しかもその施設の中でどういう職業を補導して、そうして生活権を守っていく、こういう強力な施策というものが遂行されなければ、この問題を根本的に解決することは困難だろうと思う。そこで、そういう具体的な点について見るべきものがございますならば、一つ、この際お示しを願いたい。

黒木利克厚生事務官(医務局次長)

○黒木説明員 御承知のように、視覚障害者につきましては、身体障害者福祉法という立法が十年前に制定されまして、ここで一般の身体障害者と同じように特別の援護の措置を講じておるわけでございます。都道府県におきまして更生指導、相談所というものがございまして、視覚障害者その他の身体障害者に対しまする職業の相談、身上相談等をやっておるわけであります。また厚生省としては、直接国立光明寮というものを全国三カ所に設置いたしまして、主としてあんま、はり、きゅうの職業指導に従事さしております。なお、その他の職業につきましても、いろいろな改革をいたしておるわけでございます。また盲人の点字図書館というような制度を全国に普及するということで、中央に厚生省委託の点字図書館がございまして、そこから盲人の研究の図書のいろいろなあっせんをしておるわけでございます。また、あんま、はり、きゅうの免許を持っておる盲人につきましては、これは民間の団体でございますが、社会福祉法人で一種のセンターみたいなもの、これは全国に十三カ所ございますが、ここにおきまして晴眼者に対抗できるように、いろいろな職業上の保護をいたしておるような次第でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 今の次長の答弁の中で、盲人施設としては全国三カ所、こういう施設の中、あるいは福祉法に基ついて更生指導所、相談所で扱うというようなお答えがいろいろございました。私どもが強く要望を申し上げなければならぬ点は、今日までの職業指導にいたしましても、補導にいたしましても、そういう実情を振り返って参りますると、ややもすると、視覚障害者に対しましては、あんまの育成に重点を置いたという傾向があったというふうに私は考えるわけです。しかし御承知のように、この社会の情勢というものも、科学あるいは文化の進展とともに非常に進歩をいたして参ります。社会は文化的にも経済的にもそれぞれ進歩をする。ところが指導そのものは、依然として旧態依然たる指導が行なわれておるということでは、私は省の盲人その他の障害者に対しまする対策というふうには理解することができない。従って、今も全国十三カ所のセンターの中でいろいろと指導育成をはかっておるという話でございましたが、要は、そういう総合センターをたくさん作るということも必要でございましょうし、さらには、そういう施設の中でどういう合理的な、近代的な指導を行なうか、その内容というものも、私はきわめて重要な要素を持って参る、こういうふうに理解をするわけであります。ところが、まことに残念でございまするけれども、今私が御指摘を申し上げましたように、今日までの指導というものは、ややもすると旧態依然たる、今の社会の進展に即応しないような指導が行なわれた傾向がありはしなかったか、そういうふうな点を私は強く感ずるわけです。そこで私は将来は、今私が御指摘を申し上げましたように、社会の進展に即応するような、社会の進展に視覚障害者その他の障害者というものがおくれることのないような指導が具体的に行なわれなければならぬ、こういうふうに考えるわけでございまするが、そういう点に対してどういうふうなお考えを持っておられまするか、この点は基本的な方針でございまするので、一つ大臣から御説を承っておきたいと考えます。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 御趣旨はまことにごもっともだと思います。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 趣旨については全面的に御賛同を願ったわけでございまするから、あとは具体的に、積極的に、早急に推進していただくようにお願いをいたしておきたいと考えます。  なおまた私は、この盲人あるいは障害者の指導にあたっては近代化が行なわれなければならぬということを御指摘申し上げましたので、そのことと関連して申し上げたいと思いまするが、今問題になっておりまする法律案というものは、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法等の一部改正ということでございます。ところが、日本もそうでございまするけれども、科学というものが非常に進歩いたして参りました。ところが、この法律の次第を見て参りましても、あんま師という名前——はり、きゅうは、これははりときゅうでございまするから別といたしまして、あんま師あるいは柔道整復師というふうな、全く非近代的な、前時代的な名称が用いられておる。私は、少なくとも行政指導、施策の指導の上で近代化、合理化をはかるということになりますると、そういう幕末的な観念においても、当然改善を加えるべき必要がありはせぬか。そういう基本的な観念の改善というものを基本として、内容の改善をはかっていく必要というものが大きくありはせぬかというふうなことを考えるわけでございまするが、そういう点に対しまする御所見をこの際承っておきたいと考えます。

黒木利克厚生事務官(医務局次長)

○黒木説明員 お答えいたします。  先ほどお答え申しましたように、名称も含めまして、医療補助行の身分をどうするか、医療制度調査会で、せっかく御審議を願っておるところでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 せっかく御審議を願っておりまするし、なおまた、私が主張して参りましたように、当然そういういろいろな指導の改善をはかるについては、まず基本的には観念の改善をはかるべきだ、そういう立場で一つ審議会の答申等も十分尊重されて、早急にこの問題に対しまする善処をお願い申し上げておきたいと考えます。  それから、あまり時間もございませんので、だんだん結論に移りたいと考えまするが、先ほど来問題となっておりました医業類似行為という問題の中で一番問題になって参ります点は、先ほど来いろいろと論議されましたように、人体に弊害をもたらすかどうかということが一番大きな問題点だろうというふうに理解をいたすわけであります。そこで、これはやはり憲法第二十二条との関連もございますし、既得権の擁護という問題もございますし、生活権の擁護という問題もございます。そこで盲人、視覚障害者、あるいは身体障害者、そういう方々の生活権を擁護するということも当然考えられなければならぬ。と同時にこの既得権の擁護と申しますか、憲法第二十二条の精神と申しますか、そういうものも私は無視してはならぬと考えます。  そこで問題点は、人体に弊害をもたらすかどうかということが、医業類似行為を行なう場合には問題となるわけでございますから、私はやはりこの際はっきり、そういう医業類似行為については一つの資格を与えて、それに対しましては内容的にもいろいろ規制を加えるものは規制を加えてけっこうでございますけれども、やはりそういう医業類似行為を行なわれる以上は、ある程度の基礎知識と申しますか、基本的な問題を備えさせる。先ほどからいろいろ答弁を聞いておりますと、私ども医療に携わる者からも多少疑点を生じましたのは、人体に弊害があった場合には処罰する、それではおそいわけですね。医療の建前から言うと、弊害を起こして処罰するということではなくて、そういう弊害が起こらないように、要するに人類の生活権の向上に寄与するということが人道的立場からも当然建前とならなければならぬわけでありますから、やはりそういう弊害が起こらないための施策というものを当然確立しなければならぬというふうに考えるわけです。受田委員からもそのために理療師法の制定等についても御指摘があったのでございますが、私はやはりそういう点はそういう点として、きちっと整理をし、解決する、そうして憲法二十二条の精神にも違反しないように、さらには今の既得権を侵害しないように、こういう建前から、それぞれ解決の施策を推進すべきだというふうに考えるわけでございますが、この点はいかがでございますか。

川上六馬厚生技官(医務局長)

○川上政府委員 ただいまお話がございましたような方向で、この三年間に鋭意検討いたすつもりであります。   〔柳谷委員長代理退席、委員長着席〕

河野正日本社会党

○河野(正)委員 そういたしますと、今回の法改正に基づきます三カ年間の延長というものは、そういう内応のために三カ年間延長された、こういうふうに理解してけっこうでございますか。

川上六馬厚生技官(医務局長)

○川上政府委員 御承知のように、医業類似行為には何百種類もありまして、昭和二十四年から二十八年の間、大学の先生その他にお願いして、いろいろ研究していただいたわけであります。しかし、現在のところ、この種のものはこの程度の人に許していこうというような結論にまだ達しておりません。これを認めて、資格を免許制にするとかいうところに踏み切っていないのであります。そういうことも、理療師の関係団体の方から理療師法の制定の希望もございますので、そういう点も含めて検討するということでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 方向としては、今私が御指摘を申し上げましたような方向で解決をはかっていきたい、こういうふうに理解してけっこうでございますか。

川上六馬厚生技官(医務局長)

○川上政府委員 方向としてはそういう方向で検討してみたいと思っております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 今申し上げますように、本案が一番大きな問題となりました点は、再三再四、各委員からも御指摘がありましたように、憲法二十二条の職業選択の自由の問題と生活権擁護、既得権擁護、そういう問題のからみ合わせの点がきわめて論争の焦点でもございますので、一つ、そういう点を十分基本的に尊重していただいて、盲人、視覚障害者あるいは身体障害者、そういう方々の生活権を確実に擁護していただくということ、それから第二には、後段に私が御指摘を申し上げましたように、理療師法の制定によって医業類似行為に対しましては、きちっと整理していただく、そうして今回改正されました趣旨の方向をきわめて有意義なものに——今のように漫然と三年々々ということでなく、今回の三年については有意義な解決をはかるための三年間の延長だということで善処していただきますことを最後に要望を申し上げて終わりたいと考えます。

川上六馬厚生技官(医務局長)

○川上政府委員 ただいまの御要望の趣旨に沿いまして努力いたしたいと思います。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 八木一男君。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 社会局長と職安局長の出席を要求しておりますが、来ておりますか。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 職安局長、社会局長は間もなく到着いたしますので、どうぞ御発言をお続け願います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 委員会の審議が十分促進されることを要求されるときに、このような局長の不在で審議が中断することはけしからぬ。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 委員長がしかと承知しております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 委員長は政府に対して厳重に戒告なさることが必要だろうと思いますが、委員長の答弁は……。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 了承しております。御発言を継続願います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 厚生大臣に御質問を申し上げます。労働省関係はいませんので、国務大臣として、労働省の関係のことはわからぬというようなことを言わずに御答弁願いたいと思います。社会局長がいないけれども、厚生大臣は責任者ですから、全責任を持って御答弁願いたいと思います。  まず第一に、ただいま議題になりました法律案について(発言する者あり)委員長、こちらがまじめに質問しておるときに、質問に対して、非常に不当な非難をするような雑音があります。そういうものを制止していただかなければ審議は続けられません。委員長はそれについてどう考えますか。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 八木一男君の仰せの通りです。御発言を御継続願います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 厚生大臣に本法案について御質問を申し上げますが、労働省関係のことについても御答弁願いたいと思います。  本法案について、三年間で、盲人以外の人がいろいろのことをやることについて、かような条文がついておるわけであります。この問題で、いろいろの施術について分けて考える必要があると思う。光線とかあるいは電気というような療法については、これはそのように考えてもけっこうだと思いまするけれども、少なくともあんまという施術に関しては、盲人優先という立場で考えなければならないと思いまするが、厚生大臣のお考え方を伺いたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 先ほども申しましたように、御趣旨には異存は私どもありません、同感に思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 この視覚の障害を受けた、特に両眼とも見えないという方々は、生活面はもちろんでございまするが、すべての面で非常に不自由な、気の毒な生涯を送られなければならないという点があるわけであります。そこで、世の中の制度が許す限りにおいて、この方々の人権が確実に尊重されるよに最大限度の努力を払ってもらわなければならないと思いまするが、それについても厚生大臣の御意見を伺いたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 全く同感に思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 現在このような身体障害者全般に及びますが、特に視覚障害者の方々の所得保障については、福祉年金並びに拠出年金で将来そのことが保障されるようになっておるわけであります。しかしながら福祉年金の方の金額は御承知の通り、年に一万八千、月千五百円というような、一人の生活をささえ得るものでもないような非常に僅少な額でございます。こういう点について、そのような所得能力を喪失された方の所得保障を十分に考える必要があり、それを急速に進めていただかなければならない思いまするが、それと同時にその年金額がたとえば一人に月三万円なり五万なり、現在の貨幣価値でそのくらいが保障されるならともかく、たといそれが月に五千円なり七千円を保障されましても、それでは十分ではないわけであります。特に老齢者でありませんし、若い人も、あるわけであります。自分自体が結婚をして、あるいは子供を持って妻子を養わなければならない立場にあるそのような両眼の視覚の喪失者がいるわけであります。そうなれば五千円なり七千円なり一万円の所得保障が行なわれましても、ほんとうの人間らしい生活を送ることは、それだけでは、無理であります。それとともにその職業をできる限り確保して、そうしてその方々の努力と所得保障と相待って、生活が人間らしいものに近づくようにしていく必要があろうと思う。その意味でこの盲人の職業については、特に積極的に厚生省もまた労働省も考えていかなければならないと思います。石田君がおられないことは非常に残念に思いますが、どうか国務大臣として石田君にもかわって答弁を願いたいと思いますが、この両面で政府は最大の努力を払われるお気持がおありになろうと思いますが、それについてのお考えを伺っておきたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 これは厚生省だ労働省だといわずに、今お話のような趣旨に向かって努力をすべきものだと私は思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 これにつきましては、議題になっておりまする本法案に関連して、少なくともあんま業に関しては、盲人優先が確立されるような方向で施策を進めていただくことが絶対に必要であると思いまするが、これについて再度厚生大臣の御決心のほどを伺いたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 先ほど来もうすでにお話が他の委員から出ましたように、優先的に考えるという考え方はけっこうだと私は思うのでありますが、どういう不都合があるということでございますが、憲法などからいっても筋道が通って成り立つ道があるかというとろに今後の研究すべき点があると思うわけでございます。私は他の晴眼者の人を制限することにはいろいろ問題があるので、むしろ盲人の方などには積極的に職業的な教育訓練をして、そうして希望する人がみな職業を身につけて、そうしてできたら希望者の百パーセントがそういう職場に働けるということになれば一番よいのではないか。いろいろ理屈上の問題でもないし、そういう方向で考えていくのが一番穏当ではないかというふうに今のところ一応思っておりまするけれども、他の点も含めて、先ほどの方向で研究したいものだと思うのであります。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 厚生大臣の御答弁の精神は非常にけっこうであります。私も賛成であります。しかしながらほかの点で最大の努力をして新しい職業の分野を開拓する、訓練をするということは必要でありまするけれども、なかなか困難な状況にありますから、その一番本命であるあんま業について優先的なことを至急に確立するということがまず第一になされなければならないことだと思います。そのことを迅速にやられるお気持が強くおありになるかどうか、強くおありにならなければならないと思いますが、それについての御意見を伺いたい。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 先ほど申したのも、主としてあんま業というものに対して、特に考えなければいかぬ、こういう意味で申し上げたわけでありまして、お話のように食い違いはないことと私は思っております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 次に、厚生大臣が今おっしゃったこと、私は大賛成でありまするが、先ほどもほかの委員の方が触れたと思いますが、盲人の方の厚生省の施設でございます。ほかの身体障害、たとえば手足であるとか、それから耳や口、そういうものについては、そういうような更生指導所というものが確立しておる。ところが盲人関係では光明寮というものが日本には三つしかないような状態である。その光明寮というものは、ただあんまの技術を教えるだけであって、ほかのところでやっておるように、職業訓練とか更生指導とか、あるいはまた更生医療というようなこと、すべての面について問題が解決するような多面的なことをやっておられないということは非常に片手落ちであると思う。光明寮という、このような名前からして非常に古くさい。ほんとうに視覚障害者の更生指導所という名前に統一したらいいと思いますが、内応はこのように職業訓練と更正指導、更正医療と、各面にわたった内容になるように至急にされる必要があると思いますが、これは断固として至急に本年度からなさるというような御意図を一つ御表明願いたいと思う。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 先ほど小林さんからもお話が出ておりました。私も実情に暗い点もありますけれども、実情をよく調べて、おっしゃるような改善を加えることに努力をしたいと思うのであります。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 こういう職業については、私もどういう職業がいいか、自分ではすぐには目につきませんですが、たとえば視覚を失っておる人たちは聴覚なり触覚なりが非常に発達しておられるわけであります。たとえばピアノの調律であるとか、あるいは放送局でアナウンサーになるとか、そういうようなことは十分にその職業訓練をしたならば能力を発揮せられるのであろうと思います。またそのような仕事は相当に収入を得る仕事でございますから、十分にそういう人が努力をされたならば、人間らしい生活を得る機会が多くなるのではないかと思います。私が思いついたのは今二つでございますが、厚生省の役所の力を動員して、知恵を動員されたならば、そのような職業はたくさん出て参ると思う。そういうようなことを労働省とも協力されまして開拓をされる御意思をぜひ示していただきたいと思いますし、今あげた例以外に、大臣の方でこういうこともよかろうというような御見識がございましたら教えていただければ非常に幸いだと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 私は八木さんにお教えするほどの知識はありませんので、よく御指導、お教えを請いして、新しまい面にどういうのがあるか、これはみなで考えていたいものだと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 厚生省の方で、特に年金関係などでいろいろなカードをたくさん使わなければならない、パンチを入れるという仕事がたくさん出るわけです。パンチャーに対して肩をもむというようなことが実際に必要になってくるわけです。そういうようなことについて、これは小さな部面であるかもしれないですけれども、やはり厚生省自体で盲人の優先雇用を考えられるというようなことも具体的に考えていただきたいと思いますが、これについて御答弁を願ます。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 よく研究したいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 研究されて、ぜひ実施を早くやっていただきたいと思いますが、もう一回、簡単でけっこうでございますから……。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 研究しまして、これは適当だと思えば必ずやりたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 これは労働省関係でございますが、身体障害者の雇用法の方で、あんま業について、そこに雇用されているうちの七〇%は盲人でやらなければならないという条文があるわけでございます。それがなかなか守られないようなところがあるわけでございまして、これについて厳重に労働省で行政指導をして、このような気の毒な人の職業を確保する法規が完全に守られるように、ぜひ国務大臣としての厚生大臣から前向きの御答弁を承りたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 すでにお話しのように、直接労働省の仕事でありますけれども、あの法の趣旨は大いに尊重しなければなりませんから、ごもっとも千万だと思っております。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 これにてあん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法等の一部を改正する法律案についての質疑は終局いたしました。     —————————————

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 引き続き本案を討論に付するのでありますが、申し出もございませんので、直ちに採決をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法等の一部改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。     —————————————

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 この際、柳谷清三郎君、滝井義高君及び受田新吉君より、本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、その趣旨の説明を求めます。柳谷清三郎君。

柳谷清三郎自由民主党

○柳谷委員 自由民主党、日本社会党及び民主社会党三派共同提出にかかわるあん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議について、まずその案文を読み上げます。   あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議   医業類似行為業者の将来を考え又職業選択の範囲が制限されている視力障害者の生活実態にかんがみ、政府はすみやかに左証の措置を講ずべきである。     記  一、第十九条により規制されている医業類似行為業者(療術業者)の既得権を尊重して、その業務が継続してできるような適切なる措置を講ずること。  二、法律公布当時(昭和二十二年)この法律の施行を知らずして届出をしなかった者に対しても講習等の適切なる指導を行い、何等かの救済措置を講ずること。  三、視力障害者であるあん摩師の職業優先確保のためすみやかに法内措置の検討をなすこと。  四、無免許あん摩その他これに致する者に対する取締りを強化すること。  趣旨の説明を省略いたしますが、何とぞすみやかに御可決あらんことを望みます。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 本動議について採決いたします。  本動議の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 起立総員。よって、本案には、柳谷清三郎君外二名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しましました。  この際、厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。古井厚生大臣。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 ただいまの附帯決議の御趣旨を尊重しまして、善処いたしたいと存じます。     —————————————

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  午後二時まで休憩いたします。    午後一時五分休憩      ————◇—————    午後二時三十七分開議

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  引き続き通算年金通則法案外四案について質疑を行ないます。八木一男君。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 ただいま議題になりました諸法案について質問をいたしたいと思います。  その前に、総理大臣と労働大臣と大蔵大臣を要求しているのにかかわらず、いまだ到着をしないのは、委員長の猛烈な怠慢であるか、この三大臣の国会を無視する態度であるか、どちらの原因でそうなっているか、委員長の御答弁を願います。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 八木委員の御要請は尊重いたしまして、ただいま各省にその旨を通達いたしております。やがて各大臣御出席をするものと考えますので、どうか御発言を御継続願います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 委員長が怠慢でないことはわかりましたけれども、総理大臣と労働大臣と大蔵大臣が国会を無視して、実にけしからぬ態度であることがはっきりいたしました。委員長としては厳重に抗議をいたして、この三大臣をしかりつけることを即刻実行されることを要求いたします。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 お答えいたしますが、まだ大臣が来ないとおきめになっているわけじゃありませんので、どうぞ御発言を御継続願います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 来なければ、そのような叱責をなさる義務を果たされるやいなや……。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 そのときの情勢になりまして委員長は適切な処置を講じたいと存じます。どうぞ御発言を願います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 適切な処置をしなければ、委員長不信任案を提出する用意があることを通告をいたしておきます。  通算年金通算法案及び通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案について、まず厚生大臣に御質問をいたします。  この通算制度が非常に必要なことが年金制度の年の字を知っておる人の常識になりまして、国民年金制度が創設されてから特にこの問題が各方面で討議をされたわけであります。しかしながら、非常にむずかしい問題であって、結局厚生省においては内ばき二重方式というようなインチキな方式を考えておられましたが、それでは問題が解決できないことがわかりました。どうにもしようがなくなって社会保障制度審議会に諮問をせられたわけであります。一昨々年の九月の諮問に対して社会保障制度審議会においていかなる論議が行なわれたか、いかなる答申が行なわれたか、厚生大臣の御答弁を伺いたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 詳しいことは事務当局からお答えいたしますが、これはお答えする前に、八木さんは社会保障制度審議会における有力メンバーとして御活躍になったことでありますから、実は釈迦に説法で要らぬことと思いますが、せっかくの仰せでありますから簡単に御説明いたします。

岡本和夫厚生事務官(年金局参事官)

○岡本説明員 社会保障制度審議会からの答申でございますが、これは昭和三十三年の十月六日に答申がございました。その内容は、いわゆるじゅずつなぎ方式という方式でございまして、現在八つほど各種の公的年金制度がございますが、それぞれの制度に加入していた期間に応じて通算年金を出す、こういうような形でやるべきだという答申がございました。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 大体そういうことですけれども、答申の案通りでありません。答申案にはじゅずつなぎ方式という言葉はなかったはずでありますが、これは言葉のことでありますからけっこうです。答申案では凍結方式という言葉で呼んでおったと思います。それをあとで厚生省でじゅずつなぎ方式という名前に変名をせられたわけです。  ところで、その答申は今説明になったところでは通り一ぺんのものでありますが、その中でかわされた論議が非常に大男なのであります。それについて今度の通則法案並びに通算手金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案がその趣旨通りになっておりません。例によってこの前の中央医療協などの問題で三月一日に答申を出した、次に四月の七日に法律案を作って諮問せられた、その答えが出た、だから四月の七日そのままでいいのだというような態度を一時おとりになっていたようでございますが、そういうことをとらえてはいけないと思う。社会保障制度審議会の運営をごらんになると、最初の答申を出したときに最も必要なことを完璧に論議されて答申並びに勧告が出るわけです。それは結局はっきり言いますと、この問題について先生の生徒に対する教えであります。ところが政府が答案を出してくる、それは百点でなくて八十点であり、七十点であり、ときには五十一点であっても、及第点であればおおむね了承するということで、いろいろなものをつけ加えて、その第二段の答案の方をまけてもらって及第点になったものを答申だと思ったら、これは大間違いであります。その前の先生の講義の方がほんとうの答申であります。講義を重んずる方法をとらないと、まずい答案に対して最後にお情けで及第点を与えてもらったものを、それを答申だからいい、すべて審議会の答申通りやったというような態度をとられると、これだけのりっぱな学者が一生懸命やったことが無意味になるわけであります。さっき関連して申し上げた二法案の問題は、きようの問題でありませんから別にいたしますけれども、この年金の通則に関しても、先ほど申し上げましたように、この当時出されました答申は完璧な先生の講義であります。ところが政府が次にこれを出したときに——前段において制度審議会に二、三回出された、中間報告もされた、これは政府の、五十点とは言いませんけれども、七十五点くらいの答案に対して、今の状態であれば政府の能力でこのくらいで及第点をやらなければならない、おおむね了承するというような答申が出ているわけであります。それではいけないのであって、先生の講義の通りにやらなければいけない。ところが、その前の講義の通りにはなっておらない。なっておらないことをやはりなるように努力されなければいけないと思いますが、厚生大臣の御答弁を伺いたい。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 社会保障制度審議会には、学識経験が豊富で高い見識を持った非常に有力な方がおいでになるのでありますから、非常に高い理想が揚げられる場合もあるのであります。先生の講義としては満点で非常によいものでありますから、なるべくこれを実現しなければならぬのであります。ところで実際問題でこれを実現いたしますときには、いろんな現実的な制約があるために、先生のおっしゃる通りの高い理想よりは実際的になってくる場合がある。これを低いという見方もあるし、これが現実的で、できないことは架空だという見方もあるかもしれないけれども、実際の場合には若干の食い違いが起こることもあるのであります。これは現実政治の問題でありますから、理想は高く手は低く、つまり実行と理想と両方のよいところを歩く、しかし極力理想に近いところを目ざしながら歩くということでありますから、今後の法案もそういう意味で実行可能な極限まで勉強して案を作ったものでありますが、八木先生の方からごらんになると、ちょっと物足らぬとか不十分だという点はあると思います。今後ともお教えを請わなければならぬと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 私みたいな若造にそう敬意を払っていただく必要はないのですが、社会保障制度審議会でかなりこの問題に熱心な学者が一生懸命討議された結果でありますから、できるだけ尊重願いたいと思います。この尊重は、今言ったような先生のほんとうの講義の方を尊重していただいて、あとで、状況に応じて仕方がない、やむを得ずおおむね了承するというような方を振りかざして、これが社会保障制度審議会の承認したものであるというようなことをなさらないようにしていただきたいと思います。  その次に、理想と現実ということをおっしゃいました。確かに一般論としてあるでしょうけれども、その現実という問題は、現実がそうであるからそうしなければならないという問題ではなしに、政府がそれに対して必要な国費を十分に支出する決心がなかったり、あるいは被保険者のためにいいことを役所の方が事務的にめんどうくさいからほったらかしたり、そういうような面でブレーキがかかることが多いのであります。そういうような点についてはやはりいろいろと検討せられまして、政府がほんとうに決心すれば、あるいは事務局がほんとうにやろうという熱意を示せばできることは、講義に近いようにできるだけ早くなさる必要があろうと思います。それについて厚生大臣の御所見を伺いたい。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 全く同感に思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 制度審議会のこの時点における論議の内容を、厚生大臣はこのとき、りっぱな政治家でおいでになりましたけれども、厚生大臣であられませんでしたし、それから小山君は来ておられたと思いますが、ほかの政府委員の方は来ておられたかどうかわかりませんので、ちょっと御説明したいと思います。御説明をしておきませんと、この通算通則法並びに関係法がの制度審議会のほんとうの意味の答申に合っていない点があるという点を御理解していただくのに時間がかかると思いますので、それを御説明申し上げたいと思います。  まず第一に、この前厚生省においては内ばき二重方式という通算方式を考えておられた。内ばき二重方式というのは、国民年金をベースに置いて、ほかのあらゆる年金との間を考えよう、ほかの年金の柱になるのは民間の労働者の年金制度である厚生年金保険、厚生年金に入った人は同時に国民年金に入ったとして考える、そしてそれを通算しようというわけのわからない方式でありまして、国民年金と厚生年金だけの通算であれば、これはかろうじて計算は可能であります。ところが、公共企業体の共済年金と厚生年金と国民年金の三つの制度に入った場合は計算不能になる方式外でありまして、それが厚生省で最初考えておられた、ある有名な学名が指示された案でありますが、これは非常に論理的でなく、間違った方式であります。その次に考えられたのは外ばき二重加入方式。外ばき二重加入方式というのは、国民年金制度に全国民入れる、その上に各労働者の年金制度を置く、これは通算は簡単であります。国民年金は完全に全部入っている。ところがこれについては、私どもこれであれば賛成してもよいと思いましたけれども、それにつきましては政府の方が承知をなさらない。厚生年金に国庫負担を出しておる、国民年金に国庫負担を出しておる、二重になってしまうというようなことで、大へん財政的にけちな政府の方は、この案が一番スムーズでありますのに考えようとなさらない。従って政府案について賛成される委員も少なかった。そこで考えられたのは——これは人名を申しますと、齋藤さんという日経連出身の有力な委員であります。第一生命の重役をしておられまして非常に経理に明るい、今故人になられましたが、齋藤さんという方がこういう方式を出された。今の脱退一時金を、他の制度に移るときにその原資を持って他の制度へ移るという、持ち分移管方式を主張されたのであります。それからいろんな委員会に出て有名である今井一男君は、この脱退一時金分に幾分のプラス・アルファをつけてそのようにしようという御意見でした。労働組合の代表である塩谷委員と私は、似ているけれども違う意見を出した。それは完全な持ち分移管方式という、システムとしては齋藤委員あるいは今井委員と似ておりますけれども、内容が違うわけであります。そこで論議になったのです。完全な持ち分移管方式というのはどういうことかと言いますと、今の脱退一時金という制度が非常に間違っているということから始まっているわけであります。たとえば厚生年金保険で二十年の要件に達しますと、ある程度の退職年金を受け取る資格ができるわけです。ところが十九年でやめました場合一時金しかもらえません。この一時金の計算は非常に不都合な計算が行なわれております。と申しますのは、年金の方は本人の払った保険料並びに使用者の払う保険料並びに国庫負担、これを全部財源にいたしまして、そして二十年のときの時点の退職年金を計算しているわけであります。ところが脱退一時金というのは本人の払った保険料のみ、それに五分五厘の年金複利計算をし、その金額に——正確に申し上げますれば同じ範疇にある人の中で、不幸にして早く障害を受けた人に障害年金を出す。あるいは不幸にして早くなくなった人の遺族に対して遺族年金を出す。そういうことで減少をしたものを引いて、その残りを脱退一時金にしているわけであります。この論議を簡単に言いますと、同じ範疇にある障害年金を受けた人に対する、ほかの人たちのこれを負担しなければならない割当分、あるいはまた遺族の年金に対する同様の分、この問題は共通の問題でございますけれども、論議は複雑になりますからさけておきまして、とにかく本人の保険料に年金計算をしたものが原資になっているわけであります。片方は使用主の保険料も加えて、国庫負担も加えて原資になるという点に大きな開きがある。ところで、十九年で職場をやめなければならない人と、それから二十年勤め得る人とどちらがしあわせであるか、原因はいろいろあるでしょう。あるいは二十年まじめに働いたからそこまでいく、十九年の人はやや不都合があったからやめたという事例はあるかもしれませんけれども、どういう事例があろうと、生活の面から見れば十九年でやめた人の方がはるかに気の毒だ。そこで自分の意思に反してまじめに働いているのに首を切られた人もあるでありましょう。またそういう事情でなくて、たとえば遠いところの親が死んで家業を継がなければならないときに、なれた職業をやめなければならないこともあるでしょうし、いろんなからだの都合でみずからやめなければならないこともあるでしょう。そのように先に職業を転換するということは非常に不幸なことであります。新しい職場の仕事はなれないし、気苦労もある、もちろん給与の条件はよくなることよりも悪くなることの方が多いわけであります。そういうような人たちが、しあわせに勤め上げた人たちよりもがぐんと下がってしまうのであります。二十分の十九になるなら——われわれは反対しておりますけれども、今のシステムとしてはやや社会保険主義をとられておりますから、やむを得ないと思いますけれども、二十分の十九じゃなしに、がくんと二十分の六か七になってしまう。そういうシステムでできているのですが、そういうことは非常な間違いであります。この厚生年金保険というのは政府の作った法律でありまして、強制適用ということであります。そういう制度ではいやだ、自分は十八年くらいたったらからだがだめになってやめなければならぬかもしれぬという予感を持っておる人でも、いやおうなしに入らなければならぬ。保険料はいやおうなしに徴収されるわけであります。そういうような強制保険でありながら、途中でやめる人は不当に利益が侵害されておる。これは間違いである。そういう人は当然二十に対する十九くらいの原資を持たなければならぬ。その原資は、少なくとも十九年間の使用主の保険料分は途中で脱退した者のものである。また国庫負担は支払いのときにつくかもしれないけれども、その期特権はあくまでその人にあるという立場で考えて、途中の職業転換や制度転換の人が一切損のないような原資計算をして、その完全なる持ち分を持っていかなる制度にも転換をしていく。そのときその持ち分が多ければ、たとえば厚生年金保険から国民年金保険に入ったときに——いろいろの関係で金額は違いますが、厚生年金の五年でやめた人の原資を持って国民年金に行った場合、今のような使用主や国庫負担の期待分を含めましたならば、おそらく国民年金においては十二、三年分から十四、五年分になるでありましょう。そこに転換して十四、五年すでに国民年金に加入したとして計算して、それから国民年金を計算をする、そのようなことが至当であるということを主張したのが塩谷委員と不当私であります。その議論は、一般的に非常に問題が多くて問題にならない内ばき二重加入方式を主張して自説を固執した学者の先生と、日経連の代表である斎藤委員のほかは、原則的に全部の委員の方がそういう方法でやるべきだということを承知されたわけであります。ところで今井一男君の場合は、その意味でプラス・アルファであります。そうは言っても、政府はけちであるからそこまでなかなかし切れぬであろう、だからプラス・アルファで何分の外のものをくっつけたらいいじゃないかというのが今井君の意見です。かなりあのように使用主側に近い、かなり物事の明るい人でありますけれども、使用主に近い立場に立つ人ですら相当分をつけなければならぬという主張であります。ほかの委員の方は、たとえば近藤委員、使用者側である宮尾委員は全面的に塩谷委員並びに私の意見に賛成であったのであります。しかしながら満場一致方式をとっておりますので、このむずかしい問題について前後七時間半くらいにわたって論議がありました。そして最終的に論議がまとまりませんので、そこで宮尾委員からそれに対する取りまとめのための新しい基準を持った案が出されたのであります。それがいわゆる今のじゅずつなぎと言われる方式であり、凍結方式と言われる方式であります。宮尾委員は各年金制度でそのような原資を置いておいて、そこに凍結して冷蔵庫に入れておく、そして年金支払いの時期に達したときにそれを被保険者に渡す。それぞれ制度でいろいろ要件が違いますけれども、被保険者の財布でこれは通算されるではないかということであります。そういう方式を申されました。そういうシステムに対して、非常にありがたい、助かったというような気持を厚生省の出ておる人は持った、というのは、事務的な扱いが非常に楽だからであります。事務的な扱いは楽であるけれども、被保険者にとっては楽ではないのであります。一つにまとまった年金勘定にして、原資をそこに全部持っていって通算してくれるならば、何才から幾らもらえるということが確実に想定ができて、確実に老後の設計ができるわけあでります。それを制度の違う六十才開始と六十五才開始とごたごたにして財布で通算せよということであれば、経理などに関係なしに、安心して世の中を送ろうという人にとってははなはだ迷惑な制度である。役所は助かるかもしれない。そういうような、今の厚生省の事務局が非常に少ない、あるいは怠慢な風潮を見越して、そのくらいしかできぬだろう、厚生省がはっきり言えばなめられたわけであります。それで、なめられたそういうような凍結方式という方式が出ました。そこで私どもの考え方では、その方式より以上にやはり通算された方が工合がいいということはありまするが、より以上に金額の点の方がはるかに重要な度を持っておる。そこで、提案者の宮尾委員に対して——この宮尾委員は経営者の代表でしょうが、非常に社会保障に熱心な方でありますが、この人に対して、先ほど論議がかわされた完全な持ち分、あるいはプラス・アルファをした持ち分、あるいは脱退一時金という問題については、提案をした人の意見はどうなのであるかということに対して、もちろん完全なる持ち分移管の考え方をもって、すなわち脱退一時金だけでなしに、使用主分も国庫負担の期待分も含んだものをもってそこの原資を考え、そこで凍結して、財布の中で最後に通算する、その意見である、そのような提案者からのはっきりとした趣旨の説明があって、それであれば、一番肝心な金額の問題について私どもに意見が一致をしている、ただ通算の方式だけである、厚生省もなまけた点もあるけれども、事務的にも大へんであろう、将来においては、通算のほんとうの事務的に考えられるときは、すぐはむずかしいであろうから、そこは百歩大乗的に譲って、金額の方がそのように確保されるのならば譲って賛成をしようということになった。最終的にその方式に対して完全に意見の一致を見て、厚生省に答申をしたわけであります。でありまするから、凍結方式、後に厚生省が変名をしてじゅずつなぎ方式といった方式、この方式は認めますけれども、将来においてはこの方式が非常に計算に便利になるように改められなければならないし、また金額については完全に途中脱退者の利益が侵害されないような原資計算にならなければならないと思うわけであります。ところが、今回出て参りましたこの両法案は、完全な持ち分の尊重が、厚生年金と国民年金においてはやや認められた形でありまするが、他の年金についてはこれが認められた形にはなっておらない。その点において社会保障制度審議会の満場一致の熱心な討議の結果に違反をしておられる点がはなはだ遺憾なのであります。その点についての厚生大臣の御意見を伺いたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 八木さんのいつも変わらぬ御専門のお話をるる伺いまして、まことに今後のためにも益するところがあったと思います。そこで、大体この退職年金というものは、全部といきませんが、一本にすれば八木さんの理想には一番近いだろうと思うのであります。しかしいろいろな沿革がありましたりして、ブロックになっておる。こいつをつなぎ合わせるという問題になってくると、いろいろな沿革があったり、実情がありますもので、なかなかあなたのおっしゃる理想通りにいっときにいかぬところもあるだろうと思うのであります。また支払いの金額につきましても、そろばんが立つか立たぬかというようなことも精細に検討してみぬと結論が出ないという場合もあるんじゃないかと思うのであります。そこで、今の共済組合との関係などは、特にこれはああいうふうに違っておって、いい悪いは別にして、内容等も事実違っておって、いっときに合理的な形でつなぎ合わせるということはむずかしかったかとも思うのであります。そういう点は、いずれ遠い先かもしれませんけれども、退職年金というものの一元化については理想としてあるはずでありますから、そっち側の方向に少しでも近づいていくように、またそういう点は直していくように努力していかなければならぬと思いますけれども、現実の問題としては非常にばらばらにできておるものをつなぎ合わせるという、木と竹をつなぎ合わせるようなわけですから、いっときにはきれいにいかぬかもしれません。ですから、あなたのような専門家から見られると、これは不十分だとおっしゃる点はややあるだろうと思われます。なきにしもあらずだと思いますけれども、漸次これは直していくほかはないと思います。本年初めてつなぐのですから、まだこれでおしまいにするわけじゃないですから、あなたの御意見などをまた社会保障制度審議会で、それからまたここでも十分一つ聞かしていただいて今後に資したいというふうに思っております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 各年金制度の一元化についてお触れになりました。一元化は非常によいことでありますが、これは厚生大臣が言われましたように、なかなか容易なことでありません。それを容易にする方法はただ一つございます。というのは、この年金の一番高い水準を、それでも十分とは言えませんが、それを漸進的に、一番高い水準はゆっくりでけっこうですから漸進的に高める、低いものを急速に高めて、それに追いつくという方法だったらスムーズに参ります。それを一本にしてごちゃごちゃということであれば、非常に大きな既得権の侵害をされることになります。既得権及び期待権は完全に尊重されなければなりません。ですから、これを一本化するにはく今の高い制度を、それでも十分じゃありませんからもっと高めていく努力をし、それより低い制度は急速に高めてそれに追いつく努力をするということが、一番のスムーズな年金一本化の方向であるというふうに私ども信じておるわけであります。それについて厚生大臣の御意見をお伺いしたい。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 今の退職年金の制度は沿革がありますので、公務員の退職年金の問題などは、社会保障という考え方でできているのか、過去の勤労に対する恩典のような意味でできているのか、これは吟味してみなければいかぬと思うのであります。そこで、これから大きな方向として社会保障的な意味の退職年金というものを整備していくという点から申しますと、おっしゃるように過去の勤労に対するという式のものに社会保障の観点からそろえていけるだろうか、検討を要することだろうと思うのであります。これは社会保障的な見地からどの辺のところに持っていくかということは検討する必要があるのではないか。しかし、低いものがあることは間違いありません。これはあまりにも低いものがある。それを引き上げるべきだという点は、その点においてはまことにその通りと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 共済組合の問題について、社会保障の問題だけであるかどうかはわからぬと言われましたけれども、少なくとも社会保障のほんとうの目で見れば、これが社会保障として考えた場合に万全なものではありません。まだ十分に伸展をしなければならない問題であります。その本人の分自体もそうでございますが、たとえば家族に対する老齢年金というようなものが考えられておらないこともあります。たとえば健康保険の部分で家族に対して一〇〇%給付をしておらないというような点で、こんなものはまだ不十分なのであります。社会保障的に考えて、不十分である。であるから、ほかの分が入っているというふうに想定すれば、めちゃくちゃに社会保障の部分は不十分だということになる。そうじゃなしに、社会保障だけで考えても、各共済組合の年金、今入れと言われている年金は非常に乏しいものであるという観点に立たないと、社会保障が進まないわけであります。厚生大臣は社会保障に熱心にお取り組みの偉大な政治家であられまするから、このような貧弱な考え方ではなしに、今のやや高いと言われている共済年金が社会保障的に見てまことにまだ不十分である、従ってそれ以下のものはほとんど問題にならぬという立場で社会保障を伸展していかなければならないと思います。既得権というものは断じて守らなければならないという観点でやっていただけると思いまするけれども、それについての厚生大臣の、簡単でけっこうですが、前向きの御返事をお願いいたします。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 八木さんの御教訓はよく一つ伺って、今後の参考にしたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 一本化の問題に入りましたけれども、通算の問題はその前の問題でございまして、一本化が行なわれていないときに、途中で制度が変わるときに困るので、通算問題があるわけであります。通算問題の一つの事務的な問題は、さっき申し上げましたように、各人の被保険者の財布の中で通算するということでは不十分であります。今そういう方式でなっておりますけれども、それを被保険者にとって便利であるように、安心できるように、その方向の制度の検討を至急に込めていただきたいと思いますが、それについての厚生大臣の御意見を伺いたい。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 極力研究したいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 次に、一番肝心な問題でございまして、これは通算の問題の最中に論議されたわけでございますが、途中制度転換者の利益が保護されていないという問題は最も重大な問題であります。先ほども申し上げたように、強側保険へ入れておいて、その中の最も不幸な人の利益が非常に侵害をされているということは問題であります。今の共済組合の制度や何かを作ったときに間違った組み立てがされたわけであります。はっきり申しますと、二十年以上の要件を達した人に対して十九年以下の不幸な人の分が少し回っているわけであります。しかしながら二十年以上の人は、明らかにそういう制度でありますから、これは期待権を持っているわけであります。二十年たてば幾ら幾らもらえる——もちろん厚生年金でありまして、長い目のものでありますから、貨幣価値の変動があったなら、それに適用してこちらは幾らもらえるというような、すべての期待を持っているわけであります。この期待権は断じていじくってはいけません。さらに期待権が実質的になるように、貨幣価値の変動とか経済成長の度合いによってその金額がますます高められなければならないものでありますが、十九年以下の人がそれほど押し詰められたことは政府の立案のときの責任でありますので、この人たちの利益が侵害されないように、やはり国庫その他で調整資金をもってこの埋め合わせをする必要があろうと思うのであります。即刻できないにしても、そういうことを猛烈に御研究になって、埋め合わせて、その非常に気の毒な人たちの利益が補てんをされるという方向を進めていただきたいと思いますが、それについての御意見を伺いたい。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 十九年間の人の通算の点に御議論の点があると思うのでありますが、通算に十分いかなければ、そのブロックに原資が残ってしまうわけであります。各ブロックに残るわけであります。本人についていかない分は結局他の被保険者の方に活用されることになってしまうと思います。それはそれぞれのブロックに残ってしまうわけです。そういうふうに残るものが各ブロックにあるのですから、その基礎の上に金額がどれだけはじき出せるか、足らなければどうするかという問題もあろうかと思うのであります。その辺は計算の問題もありますし、かたがたあわせて検討すべき問題だろうと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 厚生大臣は聡明な大臣でいらっしゃるから、すぐ私どもの希望をすっかり御理解になっておられると思います。そこで二十年以上の人の問題は長年それを期待して皆さんが入っておられる。それは固着した金額ではありません。経済成長あるいはまた物価の変動によってこれは変わるべきもの、それも期待権に入っているわけです。それはどんどん上げていただかなければなりません。ところが、十九年以下にそういう不利な取り扱いをしたのは、政府が法案を作ったときにそういうあやまちを犯したわけです。最も不幸な人たちの利益を侵害されているわけです。このようなことは別の調整的な国庫支出をなす、そのくらいのことは今の経済成長からいけば易々たるものだ。そういうことで、既得権は形式的でなく実質的に完全に高める点までいかなければ実質的な擁護になりません。実質的に擁護して、そして今の不当に自分の利益が侵害されているものには、国庫の調整資金をもってその人たちの利益を擁護するという方向で進めていただく必要があろうと思いますが、それについてもう一回、簡単でけっこうでありますが、方向についてのお考えを伺いたい。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 経済の成長に伴って、どの年金ももっと格上げしていかなければならない、これはもう基本としてはそう思うのであります。青写真の問題とは別で、私はそういうものだと思うのであります。ところで十九年米満、二十年末満の人の問題もそれに対応して考えていく必要があろうと思います。あわせてやっていかなければならぬと思います。技術的なことは私にはあまりわかりませんが、考え方としてはそのように考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 政府委員に実例でお伺いしたいと思います。公共企業体共済組合の二十年経過をせられた方は、賃金はいろいろあると思いますが、平均的な賃金で年金額がただいま幾らになっておるか。次に公共企業体の共済組合の年限十九年で、厚生年金に一年入って、十九年プラス一年で二十年の通算になった人の年金額。また国民年金は残念ながら二十五年にならないと通算になりませんので、公共企業体共済組合年金十九年と国民年金六年、通算二十五年の場合の年金額。標準の賃金、標準の状態で、もしおわかりでありましたらお知らせ願いたいと思います。

坂中善治厚生事務官(年金局企画数理室長)

○坂中説明員 ただいまの例に直接お答えできないと思いますが、たとえば公共企業体の最終の報酬が二万円の人を例にとりまして、二十年おりますと年額九万六千円、かりに厚生年金に五年おりまして共済組合に十九年おった場合を例にとりますと、厚生年金におきまして、全期間平均賃金になりますので、これを一応二万五千円と仮定いたしますと五万一千円になります。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 私の申し上げた例と違いますけれども、大体これで問題がはっきりいたしておると思います。平均賃金二万円という一番低い方をとられましたので、金額の差は、実額は少なくなりますけれども、同じになるのであります。公共企業体二十年の二万円の賃金の人が九万六千円の年金、同じ人が公共企業体十五年でそれから厚生年金に五年間入って、両方通算した人は五万一千円というような状況であります。ただし、御説明があったように厚生年金のは平均賃金でありますから最終俸給でありません。その点で幾分違いますが、九万六千円対五万一千円、約半額になっております。ちょっと数字を忘れましたので伺いましたが、先日調べましたのは、少し数字が違うかもしれませんが、さっき申しました公共企業体の二十年の人がたしか十六万幾らの金額であります。十何万でしたか忘れましたが、一応かりに十六万としておきます。ところが公共企業体十九年、厚生年金一年の場合はたったの六万三千円であります。それから公共企業体十九年と国民年金六年で二十五年間経過した場合は六万八千円であります。ただしこの最終俸給は高い方でありまして、三万円くらいだと思いますが、私の調べた実例であります。そのように半額とか半額以下とか、非常にがたんと下がる。先ほど原理について申し上げましたけれども、現実にこのくらい差があるということになりますと、いろいろ問題が起こります。ほんとうに十九年でやめた人は気の毒になる。逆に、その人がからだが悪くて勤務に耐えなくて、気の毒だから、無理やりにもう一年働かして年金をもらわしてやろうという親心がある場合もあると思いますが、また親心に甘えて、やはりそういうことだから出ていかなければならないということで、自分の利益のためにも、この親心のためにも、無理をしてからだをこわすこともあるでしょう。このようにがくんと差があることによって非常に不利益をこうむる人が、いろいろな点で無理をしなければならないということが実際の現象として起こるわけであります。このような格差をなくするように努力されませんと、非常に困ると思うわけであります。公共企業体の例を申し上げましたけれども、国家公務員の共済年金でも同じであります。ほかの点でも同じようなことが起こると思いますので、この点について、どうかしっかり御研究になりまして、その解決の道は、一に国家の調整資金をできるだけ放出することによってこれを埋めるという一途に尽きると思います。そういうことを中心として、御検討になって、この問題の解決を促進されることを期待するものでございまするが、厚生大臣の御意見を伺いたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 実例をもって解説をしていただきまして、実情はよくわかりました。国家の調整金以外には道がないものかもしれません。あるいは他にまだ知恵があるものかもしれません。その辺は私にはすぐわかりませんが、よく研究いたしたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 ほかの熱心な同僚委員がお待ちですから、通算のことはまだございますが、後ほど時間がありましたら、また続けてやらしていただくことにして、通算のことは一応おいて、あとちょっとだけほかのことを伺いたいと思います。  年金福祉事業団法案が出ておりますが、この法律の内容については、非常にベテランであり、精通していられる熱心な委員の方が続々待っておられるので、その具体的な内容については、私はそういう方の驥尾に付して後ほどいたしますが、その前にちょっと申し上げたいことがあるわけであります。  社会党の国民年金の積立金の運用に関する法律案という法律案が議題になっております。遺憾ながら与党の方からは一言半句の御質問も受けておらないわけであります。御質問がないところを見ますると、これに完璧に賛成であられて、おそらく採決のときには、この国民年金の積立金の運用に関する法律案に全員が賛成されるものと私思っておるわけでございまするが、やはりこの内容をもう少し明らかにして賛成していただいたり、賛成して通過したときに、運用せられる厚生大臣によくわかっておいていただかなければならないと思うわけでございます。それでこの国民年金の積立金の運用に関する法律案について、厚生大臣がどのようにお考えであるか、一つ伺わせていただきたいと思うのであります。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 八木さんの御提案は非常にレベルが高いのですから、また解説をしていただかぬと、考え違いをしておる点があるかもしれませんから、また教えていただいたあとで、所見を申し上げたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 具体的な点はあまり申し上げませんが、理念について申し上げたいと思います。  積立金という問題は、私どもの積立金に関する法律案では、これはあくまでも実質的に被保険者のものであるという立場に立っているわけであります。この考え方は、どう考えても、私ども能力が少ないのかもしれませんが、朝から晩まで考えても、どうしてもこれ以外の結論が出ないというところに到達をしたわけでございまするが、古井先生のお考えではどういうことに相なられますか、一つ伺いたいと思います。政府委員の御答弁はけっこうです。古井先生のお考えを……。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 積立金の本質の問題でありますけれども、一番重要な点は、政治的に考えて、おっしゃるような、出した者のものである、こういうふうに私も思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 従ってその運用については、被保険者の意思に沿うた、被保険者の福祉に役に立つように、その大部分が、ほんとうは全部といいたいわけでございまするが、その大部分が、予定利率を確保しなければなりませんから少しはいたし方ないとしても、そのほとんど圧倒的な大部分が被保険者の意思に沿うた、その利益のために運用されなければならないといううふに確信するものでございまするが、それについての厚生大臣の御意見を伺いたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 その通りに思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 その通りにせられなければならないと思います。そのやられる方法、運用の方法も、完全に被保険者の恩恵に沿うように、ほかにひん曲がらないように、そういう方法で、できれば直接に被保険者に、被保険者の民主的な団体に、そういう方向に、ごしゃごしゃ言われないで、簡単に融資が行なわれるというような方法がとられなければならないと思うのでありますが、それについての厚生大臣のお考えを承りたい。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 具体的な方式、方法論はいろいろあるかもしれませんけれども、考え方の方向としては、御説の通りに思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 それについて、勘定を別にするということは、当然そういうことで必要であろうと思いまするが、それについて厚生大臣の御意見を伺いたい。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 それは他の機会にも申し上げましたが、形式上、勘定を別にするかせぬかはともかくとして、実質的にはどうしても、これはきっかり他と区分のついたものとして置いておかなければいかぬと思います。そういう意味で、ことしも積立金の運用については、それはそれとして、ほかのものと区分して運用計画も立てておるのでありますけれども、私もまだ足らぬと思うのであります。形式の上もかっきりできないものか、何年も何年もこれから先があることでありますから、出す側の身にもなってみて、この金の行方がどうなるかというような心配を持たせないように、きっかり形式の上もしておく方が万全だ、こういうふうに私も思うのであります。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 厚生大臣の御答弁に満足いたします。それで、徹底的にそれが実現するように、厚生大臣ががんばっていただくように期待をいたします。一応私の質問を中止いたして、後ほど時間がございましたら、またやらしていただきたいと思います。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 五島虎雄君に発言を許します。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 私は年金福祉事業団法案について若干の質問をいたします。その他同僚諸君がたくさん質問されますから、私はきわめて単刀直入に質問いたしますから、大臣も明快に御答弁願いたいと思います。  まず、年金福祉事業団法が制定される曲にあたって、国民年金の発足、厚生年金、船員保険の還元融資の問題が非常に世論を騒がせたわけです。そうして社会保障制度審議会とか国民年金審議会とか、あるいはその他の審議会あたりの答申が出たわけですけれども、その結論として、厚生年金、船員保険、国民年金の積立金の還元融資を資金運用部資金の中から二五%、これを還元するのだ。従来の一五%を一〇%増大して二五%になったことの一〇%だけはいい部面だと思う。ところが厚生省関係がどういうような考え方を持って今後これに臨まれるか、この点をこの際大臣に明らかに聞いておきたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 お話しの二五%と、こういうことにこの年度はいたしておるのでありますが、その他の七五%にいたしましても、国民生活に関係がある方面でないと運用しない。つまり、道路とか通信施設とか地方開発とか、あるいは国土保全とか、そういう方面でないと七五%も使わない。輸出産業とか基幹産業とかいう方面には一文も使わないと、こうワクをきめておる。二五%というのは直接に拠出者の福利に関係した方面ということでありますから、全部がいわば直接間接に拠出者の福利、生活に関係した方面に使うということでありますから、ここは程度の違いかもしれません。事柄とか、いろいろな施設の実情を見まして、二五%というものではどうも直接の分が足らぬならふやしたい、それもあります。ことしはまずこの辺がよいところだということで二五%といたしておるのであります。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 私たちは将来国民に対するところの社会保障制度を拡充し、そうして国民の死活の安定を保障していかなければならぬ政府の機構としては、厚生省を一歩拡大して社会保障省というようなものを構想しておるわけです。そこでこの還元融資が年々累増いたしますけれども、ここでその社会保障省あるいは現在の厚生省で、こういうような還元融資を自主的に国民のために直接還元する、農民にも労働者にもあるいは中小企業者にも一般国民にもこれを還元していく。これを大蔵省の見解なしに還元していきたい、こう考える。従来は大蔵省にそのワクを握られてしまって、そうして厚生省が使おうとするとき、厚生省から一生懸命大蔵省に対してこれこれだというような相談をしなければ、その融資のワクを増大することができない。こういうことは社会保障制度の建前上、そうして国民の拠出になったところの金額を直接還元するのに対しては不合理だとかねてわれわれは考えておる。しかも百%厚生省がこれを使っていくというようなことではなしに、その幾分かはやはり財政投融資の方にも、資金運用部資金の方にも今度は自主的に厚生省の方から大蔵省の方に融資するのだ、こういうような考え方を持っておるのですけれども、将来の展望に対して大臣の考え方はどうでしょう。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 自主運用か統一運用かという問題になってくるのであります。自主運用がよいという理由は今五島さんが言われた通りであります。しかし一方から申すと、有利にも運用したい点があるのであります。そうして有利に運用すると、それだけ国民年金の会計としては年令もたくさん出せる。有利運用という一面もありますので、そこで必ずしも独立運用という一本に切らないで、できたら特別勘定にもはっきりし、区分をしておいて、そうして特別勘定から一般勘定の方に預託する、こういうことにすれば両面が大へんよいではないか、そういうところがまずよい形じゃないかと私どもは思っておるのであります。ことしも実質的にはそういうことになっておりますけれども、さっき申したように、形式的に特別勘定というプールが制度的にできておらぬという点であります。これは残った問題であります。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 大臣が今言われた特別基金制度は、総理、大蔵、厚生の三者の意思の相談の結果、各種審議会の答申の中には、特別基金制度を作るようにという要望があったわけですけれども、これについては次の国会に譲るのだ。次の国会は来年になるわけでしょうけれども、来年度は明らかにこの特別基金制度というものを設定される気持があるのですか。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 特別勘定の問題だと思いますけれども、今年はもう予算の方が先にあって、そうして予算書がちゃんとできてしまっておるという形であります。そこで来年度はきっかりした形にしたい。私は来年度は極力その方向で実現をはかりたいと考えております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 それで厚生省としては、各種審議会の答申を十分尊重されますか。その答申によると、この積立金はたとえば零細なる国民の税金に相当するのだ、こういうようなことを指摘しておるのであります。そこでこれを還元するにあたりまして、できるだけ資金のワクを今後増大していくようにというような答申の内容があったと思いますけれども、この点について将来大臣の努力の決意をお伺いしておきたいと思うのです。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 今の年金の積立金をまずもってどういうふうに運用するかということを厚生省の方で原案を立てる。そうして年金審議会の方の意見も聞いて合法的な結論をそこで出す、それを大蔵省に持っていって、そうして一般勘定の方に振り向けていく分は振り向ける、さような形。原案はこっちで考えるというようなことにすれば一番よいではないか、何とかそういうことをきっぱりしたいものだというように考えている次第であります。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 それでは直接この事業団の点について質問に入っていきたいと思うのです。  まず、厚生年金保険加入七は、この資料を見ますと大体千三百が人のようです。このうち従業員が五百人未満のものは大体七五%相当の被保険者が加入しているわけです。ところが従来この審議会の中にもいろいろありますし、それから資金運用部資金審議会の、池田総理が会長であるところのその答申の中にも、その配分が、国民の零細な者への還元が非常に薄いという国民の意見もある、こういうように池田総理自身が会長であるところの審議会から答申が出ているわけですけれども、従来どうもこの還元融資の点については大企業編重という声がある。そこで直接被保険者である労働者の諸君が、この積立金が、われわれが一生懸命汗と油で積み立てた厚生年金を大企業やその他の、われわれと関係のない方向に使用されるということは非常にけしからぬことであるというような世論があるということは、すでに大臣も御承知の通りである、そこでこの中小企業と大企業に対するところのウエートはどういうくらいのウェートになっているのか、そうしてまた今後はこういう中小零細企業に対していかなる施策をしていくか、この点について伺っておきたいと思う。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 お答えいたします。この被保険者の数でございますが、ただいま御指摘のように、中小企業被保険者数は約七割でございます。約三割が大企業の被保険名数ということでございます。  それから保険料収入という面から見ますと、大体五割々々くらいずつだと思います。人数の側にいたしまして大企業の方が保険料収入が多いということであります。約半々という見当であります。  それから従来還元融資をいたしました対象でございますが、正確に統計はとっておりませんが、一応の推定をいたしておりますところによりますと、大体最近におきましては、三十三年度ごろが還元融資額の一〇%程度、それから三十五年度ごろになりますと二〇%程度になります。こういうような実績でございまして、中小企業の方は財政の面で借りにくいという面もございましょうし、それから加入者のための機構が十分組織されておらないということでございます。大体従来の中小企業向けの還元融資は地方債という形でやっております。これが非常な支障を来たしておりまして、中小企業に直貸しができないというような貸出機構の組織の面の障害が最も多かったのであります。その障害を除きますために、やはり中小企業に貸すことを中心といいますか、十分貸し得られる組織といたしまして、今回事業団という構想を考えておりますし、考え方といたしましては、保険料の拠出の額に応じて、また被保険者の数に応じまして、大企業と中小企業にそれぞれふさわしい相当した還元融資を出すのが適当ではないかと思っております。その仕組みといたしまして、この事業団の仕事というものが最も逃した仕事ではなかろうか、かように考えております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 ところが厚生年金の従来の還元融資の中に住宅融資があると思う。ところが住宅融資の面で各県に流れて、県を通じて転貸しされるわけでしょうけれども、住宅などは、その金は一体どういうところの企業にこれがいっておるでしょうか。五百人未満の従業員を持っておるところ、いわゆるこれを中小企業というのかどうかわかりませんが、こういうようなところと大企業に対するところの住宅融資の状況はどうでしょうか。そういうようなことが、大企業を偏重するあまりに、中小零細企業の労働者から不公平だという声が非常に高く上がってくる理由になると思うのです。私の知る限りにおいては、中小零細企業に住宅融資があまりいっていないじゃないか、こういうふうに思うわけですが、どうでしょうか。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 先ほども申しましたように、住宅につきましては地方債という形で貸しまして、それを一つの方式としましては府県公共団体から事業主へ貸しておるわけであります。この事業主に貸しますのは概して大きな事業主であります。それからもう一つは、地方公共団体が起債をいたして自分で住宅を作って、これを中小企業の従業員に居住させる、直貸しをする、こういうケースでございます。これが直貸しであります。昭和三十五年度の実績を見ますと、地方公共団体から事業主に貸しました額が住宅分の約八割、それから地方公共団体がみずから設置しまして、中小企業の従業員に居住させたもの、その額が住宅分の額の約二割ということでございまして、実績としましてはやはり大企業の従業員が八割、それから中小企業が約二割というのが最近の状況でございます。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 そうすると、今局長が言われたように大企業に八割の融資が行なわれ、中小企業には二〇%程度の融資が行なわれている。しかもさいぜん説明を聞くと、大企業と比べた中小企業の従業員の数は、私が申し上げたのでも七四%ある。しかも保険料収入は五〇%、フィフティ・フィフティということになると、八対一では中小零細企業の従業員にいかにその金が希薄に回っているかということを物語る。もちろん賃金の額によって積立金の額もそれぞれ違うでしょうけれども、ほんとうに住宅の問題等々は、賃金の低い、生活の比較的低い方向にこれを流していくことを、すみやかにこういうような厚生年金とかあるいは社会保障の国民年金とかいう積み立ての還元に対して十分これを意図しなければならない問題じゃないかと思うわけです。従って今後は八対二とかなんとかいうことではなくて、十分当局としてはこういう問題に意を用いられたいということを強く要望しておきたいと思います。  次に、今度の積立金の還元融資の方法として、直営事業に対する融資と地方公共団体が起債したものを転貸しする場合、さらに今度は年金福祉群業団を通じて融資する場合の三通りが考えられます。このうち地方公共団体が起債してこれを事業主に転貸しする場合に予想せられる問題として、一、二点の問題があります。  その一つは、地方公共団体の起債となりますと、地方公共団体の財政状態が問題となりましょう。富裕県と赤字財政県があります。そこで厚生年金保険の還元融資を受けにくい結果となるわけですね、赤字財政である都道府県はなかなか融資を受けられない。もしも融資を受けた場合は、今度は脆弱な事業場の方にはこれをなかなか回さない。たとえば納付の度合いの比較的堅実なところに貸してしまう。こういうよらな現象が現われる。そうすると、厚生省が中小零細企業の従業員の方により回そうと考えても、県の段階になっていけば、それが大企業へ大企業へ、健全なる企業の方向に回っていく、金の問題ですから、当該事業場の堅実性はある点必要とするだろうと思います。しかしこういうような問題で、さっき申しましたように大企業、健全企業の方面にこれらの金が融資されるということ、そして今度の年金福祉事業団法の制定を機会に、地方公共団体が起債し、それをさらに事業主に転貸しする方法は、これを年金福祉事業団の直接の仕事としたいという声が国民の中にあるわけですけれども、やはり転貸しの方法は将来も続けていかれますか。あるいは都道府県の財政状態が非常に裕福になって、今後厚生省の考えられるようなほんとうに国民諸階層にこれが円滑に回っていくような状態になるのならば、いろいろの方法もよかろうと思う。まあしかし、ある具にはたくさんの融資が行なわれ、ある県には融資が行なわれないというような状況はなかろうとは思いますけれども、現実に各都道府県所在の事業場の大企業偏重という問題は、国民の全般に対してどうであろうかと考えられます。こういう問題で、専業団そのものの仕事にこれを吸収する考えはないか。これをお聞きいたします。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 御質問の点は二点に分かれておるのであります。第一は、地方債からの転貸しはやめることは考えないのかということが第一点、それから第二点は、地方債というのをやめて、全部事業団にしてしまったらどうかという問題、この二点があるのでございます。  第一の転貸しの問題でございますが、大部分の施設に対しますところの転貸しというのは今度の事業団ではやめることにいたしましたが、ただ住宅につきましては、関係各行との話し合いが進まないものでありますから、ペンディングになっておりまして、住宅についてのみ転貸しが残っております。しかしこれもなるべくすみやかな機会に転貸しということはやめたい、直接事業主なり被保険者が借りるというようにいたしたいと思っております。  それから第二に、地方債という形をとらずに、すぐに事業主なり被保険者なりに貸す方式はどうかという点があろうと思います。これは今直ちに割り切るのはどうかという感じを持っております。と申しますのは、沿革的に、厚生年金については地方公共団体に貸す方式と、それから事業主に貸す方式と、この二つを併用して参ったわけでございます。急激にこれを切りかえてしまうのもどうかと思います。それからまた施設によりまして、たとえば厚生施設であるますとか、病院とかいうような施設、こういうようなものになりますと、むしろ個々の事業生あるいは被保険者というものが設置するよりも、公共団体の名前で設置した方がいいじゃないかという声も若干あるのであります。そういう点から、一切やめるのもどうかと考えております。  それからもう一点、国民年金につきましては、これは被保険者の団体として確実につかみ得るのが非常に少ないのであります。たとえば農協とか漁業組合というのは適当でございますが、それ以外にはございませんので、むしろ国民年金につきましては、町村というのが適当であるので、地方債方式もなお残しておく必要があるのじゃないかと思います。大体の考え方としましては、拠出した者に直接還元して貸すというのが建前でございますが、実情からいたしまして、一挙に割り切るのもどうかと思いますので、方向としては御指摘の通りだと思いますが、なお検討いたしたいと思います。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 ずっとこの法律案の各条文を見てみますと、政令委譲の場面が非常に多いと思う。年金福祉事業団の融資条件は、これも全部政令に委任するようになっております。そこで貸付の金利は、償還の年限は一体何年くらいでやるのか、それから建物の坪当たり単価などは、参考資料の中で見ますと、七万円とか八万円とかいうようなのがあるわけですけれども、これは土地の購入の場合、一体どのくらいで購入されるわけですか。東京あたりは坪当たり評価額が四千五年百円で、それから大阪や神戸などは三千三百円の評価額だそうですが、実際この評価額で入手できるのかどうかというような疑問が出るわけですけれども、この点についてどういうようになりますか。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 この融資の条件等につきましては、法律が制定後、業務方法書、さらに事業計画、資金計画、こういうものを精細に積み上げまして、その結果きまるのでございまするが、一応の見当として考えておりますところを申し上げますと、利率につきましては六分五厘というつもりでございます。それからこの中で老人ホームでありますとか、母子ホームあるいは託児所というように、営利的な色彩の非常に乏しいもの、収入の困難なものにつきましては、この六分五厘をもう少し下げて貸す必要があるのじゃないかと思います。それから建物でございますとか、敷地の単価でございますが、これは大体住宅金融公庫、あるいは医療金融公庫等におきまして一つの標準がございます。これが一般的な標準になりますが、この還元融資の場合におきましては、これらの条件よりも、単価におきましても、あるいは償還期限におきましてもより有利なことにしたい。たとえば償還期限でも、住宅金融公庫でございますと、木造十八年というような基準がございますが、こちらにおきましては二十年、あるいは建物の建築費も、住宅金融公庫は三万六千円というのがこちらは五万一千円というように、ともかくほかの資金と違って、還元融資というもののよさが出ますように、融資条件をきめて参りたいと考えております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 厚生年金積立金の還元融資にあたって、その加入名の意思を反映させるために、また年金福祉事業団の運営を正常化する意味で、社会保険審議会に、中小企業者の代表を加える考えはないか。今までは大企業及び労組、学識経験者でこの審議会が構成されております。そこで今後中小企業の近代化、中小企業に従業するところの労働者の生活の安定向上、そして今後社会保障制度の重点を、さいぜんから述べておりますように、中小企業の労働者、あるいは低所得の国民に向けていかなければなりません。そこでその審議会の委員に、これを若干加える気持はございませんか。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 この社会保険審議会の構成は、御存じのように保険料を出します事業主の代表と、それからもう一つの被保険者の代表と、公益の代表の三者でございますが、法律上事業主代表は、大企業の代表であるとかあるいは中小企業の代表であるとか、そういう表現は何もないのでございます。関係団体の意見を聞いてやっているわけであります。この社会保険審議会は、還元融資の問題だけでなしに、年金保険制度全般の問題について検討する機関でございます。たまたま御指摘の年金福祉事業団におきましてもそういう問題がございますが、どういう人を選考するか、特に中小企業の代表を入れるかどうかという点につきましては、またどういう割合でどうするかということは、なお検討いたしたいと思います。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 ここでどれをどうするかというようなことを聞こうとは思いません。改選は大体今年の九月だそうでありますが、その時期を議会に、十分配慮をお願いしたいと思うのです。  それから第二章の役員及び職員の項の中に、それぞれ役員の権限、任命、任期、欠格条項、それから解任、無職の禁止、代表権の制限等々が規定されているわけですけれども、再び返りますが、社会保障制度審議会でしたか、その答申によれば、国民の零細な積み立てが集まったその重要な金が、国民の社会保障の面に使われるように、従って事業方法書とか資金計画とか、それらがいろいろ検討されなければならぬから、従って、この組織自体を民主的な運営を行なわせるために審議会を作るようにという答申が行なわれております。ところがこの法律の中には、審議会あるいはその他の機構が全然見当たらない。この点について、一体審議会の答申はどうなったのでしょうか。そしてまたこれらの民主的な、厚生大臣の諮問機関というような問題について、これを設けられる意思があるかないか。現在の法律案の中にはないのですけれども、どういうような考え方でこの機構がなくなったのか、最初からこんなものはじゃまになるのだとでも思っておられるのかどうか、この点について……。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 事業団の運営もむろん民主的でなければなりませんが、より以上大事なことは国民年金積立金全体の運用が拠出者の意思に沿うように民主的でなければならぬということでありまして、事業団は資金の運用のごく一部分を受け持つわけであります。資金全体が問題であります。ことしでも三百億国民年金の積立金を運用するわけであります。それについては答申などにもありましたように、国民年金審議会というのを作っておるのであります。これに諮ってこの運用のこともきめるのでありまして、その中の一部分が事業団にいく、こういうわけでありますから、より大事ななのは資金全体の運用の問題であるし、これには審議会をすでに作っておる、こういう関係になっておるのであります。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 では事業団の方の中にこういうような審議会等々を作る気持はないとおっしゃるのですか。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 ただいま大臣からお答えの通りでございますが、なお五島委員の御指摘のように社会保障制度審議議会、社会保険審議会等におきましては、事業団の運営の適切を期するために運営審議会のごときものを設ける必要があると思っておる、たしかそういう表現だと思うのでございますが、そういう答申がございます。それでいろいろ考えてみたのでございます。検討しましたところ、事業団、公共団、公庫等におきましてこういうものを法律上設けた例は実はないわけでございまして、ただ一つ古い法律でございますが、国民金融公庫、これにたしか一つ国民金融審議会というのがございます。それ以外の公団、事業団には法律上の組織はございません。実際そういう必要があろうかと思うのでございますが、その点につきましては、厚生年金におきましては社会保険審議会というのがございまして、その中に特に厚年部会——厚生年金部会というものがございます。それから国民年金につきましては国民年金審議会というのがございまして、大筋の大きな問題、事業団の根本的なことはおそらくそこで議題になることと思うのでございます。今後の運営としましては、これらの審議会の運営の一環としまして事業団の運営につきましても御研究を願いたいと思っております。なおその他、答申の趣旨にございますように運営審議会のごときものを設けるというのでございますが、事実上適当な方法もわれわれは考えていきたいと思います。一応現在のところは二つの審議会の機能を十分発揮してやって参りたい、かように考えております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 この問題については滝井さんがまた質問をされるでしょう。私は次にいきます。  十七条の業務の範囲に、その十七条の二号ですか、「老人福祉施設、療養施設その他の施設で政令で定めるものの設置」とありますが、「その他の施設」の中に住宅を入れてくれ、こういう要望が非常に多い。われわれもやはりこの国民に対する住宅施設というのは、現在の社会情勢の中で、住宅が非常に国民の渇望するところである、しかも材木は高い、なかなか自分の力では家なんか建てることはできない、従ってこういうようなものを住宅の方還元していく。その他の方法もいろいろあるでしょう、さっきも言いましたように転貸しするところの、厚生年金積み立ての還元融資としての住宅融資などもありますけれども、事業団の中にこの住宅の問題を一つ作って、そして住宅をこの業務の中に入れるということについてはどういうように考えられますか。私たちはぜひこれを入れていきたい、こういうように考えるわけです。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 御指摘の通り還元融資で希望が一番多いのは住宅でございます。そしてまた手の行き渡っておらないのは中小企業関係の住宅でございます。それでこの事業団におきまして住宅の仕事も扱っていくようにいたしたいということで進んだのでございますが、いろいろ準備の関係、あるいは政府部内の関係方面との折衝の関係におきまして意見がまとまらないために、本年におきましてはやむを得ず見送ったのでございますが、来年度以降すみやかにこれを事業団の仕事にさせるようにしていきたいと考えております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 今の局長の言葉で了解します。準備の都合で間に合わなかったら入れないのだ、従って来年からは入れるように努力するということは、そのまま私はそれを了承します。  そこでハの「被保険者等である者で組織された農業協同組合その他の法人又はこれらの法人の連合体である法人で政令で定めるもの」これもまた政令にゆだねておられるわけですけれども、「その他の法人」とは中小企業団体とか、生活協同組合はもちろん入るのでしょうね。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 配付いたしております資料の六十一ページに例示をいたしておりますが、御指摘のような消費生活協同組合、同連合会、こういうものは融資の相手方にする予定でございます。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 そうすると、この参考資料を読むと、なるほど「消費生活協同組合および同連合会 右に準ずる協同組合組織その他の被保険者で組織する法人」ということになっております。従って私は今の質問に対して、消費生活協同組合も入るのだということは参考資料ではわかりますが、これを法文上明らかにすることがいいんじゃなかろうか、それとともにさいぜん言いましたように、中小企業団体なども、中小企業協同組合とか何とかも入るのですね。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 ただいま御指摘の中小企業協同組合、消費生活協同組合、これは予定いたしております。それから法文に書くかどうかという問題でございますが、今後いろいろの問題が予想されますので、ただ一つ例として農協をあげただけでございますから、政令に書きます場合には、事実上はこれは政令の段階で農協をもう二度書くという性質のものでございますので、もっぱら技術上の問題でございます。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 もう一つ。十八条の業務の委託のことですが、この業務委託について金融機関を設定されるわけですが、「業務の一部を委託することができる。」二号には厚生大臣が認可する場合、第三号には「第一項の規定により業務の委託を受けた金融機関の役員または職員であって」この業務を委託を受けた金融機関は受託金融機関である。これは市中銀行、地方銀行、あるいは信用金庫とか労働金庫なども当然入るものだと考えますが、どうでしょうか。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 他の一般の金融を扱います公庫、事業団の例がございますが、それにおきましては都市銀行、地方銀行等一つの例がございます。大体それによってやりたいと思うのであります。一々名前をあげますのは、この場で申し上げるのは避けたいと思います。大体一般の金融を扱います公庫でありますとか、事業団で業務を委託しているところの金融機関は同様に指定するのが適当であろうと考えております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 そうすると、ここでは避けたいと思うという言葉はなかなか意味深長な言葉のようにも聞きますが、私が言ったのは、すべて受託金融機関となるのですか。もうそれだけでいいですから。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 指定いたしますときは、これは個々の銀行を指定するわけでございます。A銀行、B銀行、こういう固有名詞の銀行を指定するわけでございまして、その名前をここで申し上げるのは不適当だと思うわけでございます。一般の公布それから事業団等で業務委託しているところを同様に委託するわけでございます。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 やはりお困りのようですが、参考資料の中の学、託金融機関の対象はどういうものであるかということを読んでみます。そうすると、健全なるもの、非常に利用価値の高いもの等々があげられておるわけです。従って、都市銀行、地方銀行あるいはその他の信用金庫等々はそれぞれ健全なる事業内容であるか、そうしてそれを受託金融機関として委託しても間違いがないかというようなことは調べられるでしょう。しかし、予算委員会の席上においてわが滝井委員からこの問題について十分質問をされて、大蔵大臣は、労働金庫も受託金融機関の中に入れます。こういうようなことを答弁された。厚生省もそういうように説明されました。私は執拗に聞こうとは思いませんが、このような健全なるものについては受託金融機関として指定されますか、さらに質問します。これで終わります。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 参考資料に書いておりますような条件がございますが、これは他の公庫、事業団等の方で用いておりますのが原則でございます。その条件に合致するものであって、必要なものにつきましては指定することにいたしております。この際A銀行、B銀行、何々と一々申し上げるのはいかがと思いますので、一般的なことで御容赦願います。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 滝井義高君。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 通算年金通則法案と通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案、この両案から先に質問をさしていただきます。  実はこのような年金の通算方式というのは、いわば世界で例を見ない画期的な方式だと思います。しかし国民年金制度と通算制度とは、原因と結果の関係でなくて、やはりむしろ相並んだ施策だと思うのです。いずれもその意味では国民皆年金制度実現のための一つの大きな政策であろうと思います。ところが、この制度ができたからといって、この前、安心ならぬということを御指摘申し上げたわけですが、この通算の問題を考えるにあたってもう一つやはり見落としてはならぬ問題があるわけです。それは、一応原則として二十年の被保険者期間——国民年金は二十五年ですが、二十年の被保険者の要件というものがあるわけです。そして一そういう二十年の被保険者の期間があるけれども、同じ二十年でも、給付の内応を見ると非常に違っておるわけです。もう一つは、同一の職場で働いておっても、その地位が異なることによって別個の制度が今まで行なわれてきた。たとえば雇用人ならば共済組合、正規の職員ならば恩給というような状態が今まであったわけです。最近は変わってきましたけれども。それから、民間だけをとってみても、ずっと民間の職場を転々とする。そうすると、今厚生年金で通算してくれるわけです。ところが今度国民年金ができたために、厚生年金の二十年の資格期間を満たさない者も通算制度ができることになるが、それができる前に、すでに民間のAの職場からBの職場、Bの職場からCの職場にかわっても、厚生年金の内部で通算した形が出きているわけですね。この二十年の資格期間を満たす者は一体どの程度おるのかということです。二十年のいわゆる厚生年金の被保険者として恩典を受ける人はどの程度おるか。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 実績によりますと、男子につきましては六割、女が一割であります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 大臣、今お聞きの通り、男性は六割、女性は一割です。これは現実に、実質的な通算ではないけれども、終身雇用の形態をとっている日本の職場の状態から考えると、やはり一つの厚生年金の内部におけるAからBへの職場転換、そうして年金を同一に見ているということは、一つの通算の変形だと思うのです。その中で、二十年の資格期間で恩典を受ける者は六割です。女性は一割。女性に至っては暁の星のようなものです。こういう状態ですから、これが今度は年金が多数に並列をしたものの間の通算ということになると、これは老後を安定せしめる、老後を保障する年金としての役割というものが非常に少なくなってくるわけです。特に日本においては、官から民にいくことはあるけれども、民から官にいくことは、今までの公務員試験の制度その他の歴史から考えて少ないのです。そうすると、民間だけの厚生年金の状態を見ても六割とか一割しかないのですから、この制度ができても、老後が安定する程度の恩典を受ける者は非常に少ないという結論が出てくるのです。今までの、ないよりかよいという点については、古井さんはおそらくそういう答弁をするだろうから、その前に、ないよりよいことだけは認めます。こういう点から考えても、年金制度全体についてやはり統合一元化をしていくということは——先日は別の面から、日本の経済における構造改革の面から一応やはり統合一元化が必要だという面を見ましたが、通算の面から考えても必要になってくる。これは大臣、こういう面から考えてもやる必要がやはり速急に出てくると思うのですが、どうですか。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 厚生年金のワク内で甲から乙にという場合は、通算というよりも一つの年金制度のワク内の問題でありますから、こういうふうに一つの制度に全部が入った年金制度を確立するように、通算の基礎も何もない一つのものになる、これが一番徹底すると思います。これが理想というか、将来めざすところとしてはそうありたいものだとたれしも考えるところだと思います。ただ、そこまでいきますにはなかなか段階があると思うのです。第一、公務員の恩給、旧恩給だとしますと、さっきも申しましたように社会保障という考えでできておったものやら、過去の勤労に対する恩賞みたいなものでできているかわからぬ。そういうわけで非常に違いますので、統合一元化というのは、理想はそうですけれども、現実から見て、やはりのろいようだけれども段階を踏んで、無理のない歩き方をするほか実際問題としてはないと思うのであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 漸次そういう方向にこれはぜひ持っていっていただかなければならぬと思うのです。ゆっくり急いでやってもらいたいと思います。  そこで次は、今度政府のとったこの制度は、じゅずつなぎ方式なんですが、各制度に加入した期間に比例して年金を支給する。この場合に、AからB、BからCと二つ、三つ移動していきますね。その場合の年金の支払いの機関というものはどこになるのですか。国民年金、厚生年金、共済組合と、二つも三つも、わずかばかりの年金をもらい歩くことは繁雑で大へんです。当然ここに何か一元的な支払いの機関を作らなければならぬのですが、そういうものの形態が、どうも法案の中にはっきりしていない感じがするわけです。これは一体どういう方式でおやりになるか。

岡本和夫厚生事務官(年金局参事官)

○岡本説明員 これは、さしあたりましては、それぞれの制度が個々別々に払うような建前になっております。と申しますのは、さしあたってここ一、二年におきまして出ます通算年金は、せいぜい一つ、二つの制度を渡り歩いたものだけの間の通算年金でございます。ところが数年いたしますと、三つも四つも制度をくぐりまして退職する。こういう方が出てくることが予想されるわけでございます。そういう場合におきましては、それぞれの制度が別々に年金を支払うということになりますと、非常にそういう方々の御迷惑になるわけでございます。そこでこの通算年金通則法の第十三条でございますが、支払いの規定を設けまして、特別の一元機関を指定いたしまして、これは政令で指定することになりますが、政令で規定いたしまして、一元的な機関に支払いを行なわせる、こういうことができるような道を開きまして、将来におきましてはこれに行なわせることを予想しておるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 私はそれを聞きたいのです。通則法にお書きになっている特別の一元的な機関というのは、一体どういう構想を持ったものでおやりになろうとするのかという構想の片りんくらいは——この法律を出して実施をするわけですから、一、二年すれば確かに出てくる、早いのは六ケ月で出てくるわけですね。四月一日から実施ということになれば、ことしの終わりには出てくるわけでしょう。だから国会が閉会中に出てくる可能性もあるので、何かそこらあたりはっきりしておく必要がある。これはそうむずかしいことではないと思うのですが、少しお知恵をおしぼりになれば、そういう機関はきちっとできるのじゃないですか。古井厚生大臣、まだ構想は全然ありませんか。なければ、臨時国会が早くなるそうですから、臨時国会まで待ってもよろしいですが……。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 きょうのところはまだきまっておりませんので、これから研究いたします。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 なかなか正直でけっこうです。ぜひ一つすみやかに研究してもらって、そして支払いを受ける人が安心できるように、二つも三つも渡り鳥のように渡り歩かずにお金がもらえるようにしてもらわぬと困るのです。わずかの金をあちこち回ってもらっておると、交通費で年金がなくなってしまうのです。  次は、今度こういうじゅずつなぎ方式の通算ができることになるのですが、この財源については、一体どうされるつもりなのかということです。年金の期間を満たさずしてやめる人には、退職一時金とか、そういうものが支払われてしまうわけですね。そうしますと、あとには通算の財源は残らない、こういうことになるのです。法案を読んでみると、そういう退職一時金のものの一部をとっておいて財源にするような感じがするのです。それでは非常に額が少なくなるし、退職金をもらう、一時金を相当もらうから、失業保険と合わせて失業しておる間は、しばらくの間何とかしょうと思っておったのが、それが今度は通算年金にとらわれていく、こういう形になるような感じがするのです。  その場合にもう一つ考えられることは、退職金、退職一時金を受け取ってしまっていいのか、それとも預けて年金をもらうようにする選択の自由があるのかどうか、こういう問題が出てくると思うのです。そこらの考え方は、財源の問題、選択の問題、そういうところはどういう工合ですか。

岡本和夫厚生事務官(年金局参事官)

○岡本説明員 通算年金の財源の問題でございますが、これは厚生年金、船員保険、それから国民年金におきますやり方と共済組合におきますやり方とは若干違っておるわけでございます。厚地年金、船員保険におきましては、従来退職いたしますと、厚生年金、船員保険は、男子につきましては五十五才に支給することになっております。脱退手当金をこの際全部通算年金の原資に振りかえる形をとるわけであります。これで通算年金を出すわけであります。それから共済組合におきましては、退職の際にすべて退職一時年金を出しておったわけでございますが、今度この法律によりまして、退職いたしましたときに、従来もらっておりました退職時町金を全額を支給せずに、その一部分、すなわち厚生年金にもしそのままおりましたと仮定いたしますならば厚生年金から支給される通算老齢年金相当額、これを支給するための原資の相当額を差し引きまして残りを支給する、こういう形にしております。すなわちそれだけの部分が従来の退職一時年金の額から減らされるわけであります。大体その額が、年齢とか本人の基準になりますところの賃金等によりまして異なって参りますが、平均いたしまして大体五割が残るわけでございます。それが凍結される、こういう形になりまして、六十才になりましたときにこの通算年金が支給される、こういう形になっております。  なお選択の自由というお話がございましたが、これは先ほども八木先生からお話もございましたように、二十年でやめました者と十九年でやめた者と、額がその結果非常に差が出て参ります。そういう問題もございますが、さしあたって、従来そういうふうに退職一時金、脱退手当金を出しておりました各制度につきましては、男子については三年間、女子につきましては五年間だけ従来の一時金の額あるいは脱退手当金の額をそのまま選択によってもらうことができる。希望しない者はそれをもらわないで通算年金の方に加えて参るこのいずれもが選択できるような規定を附則で設けておるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 通算年金をもらえなかったものは、一つの場合としては、死亡一時金をもらえますね。それから一つの場合は返還一時金というのがありましたね。この関係はどうなっておりますか。いわゆる通算年金をもらえない、達しない者ですね。

岡本和夫厚生事務官(年金局参事官)

○岡本説明員 通算年金は、これからは大体国民がいずれかの年令制度に属することになりますので、保険組織としてもらえないことは非常に少ないわけでございますが、そういうふうにしまして、やめましたときに退職一時金のうちから通算年金用の原資を凍結する、そういうふうにされました者が途中で死ぬということになりますと、通算年金は出ないわけでございます。その際には、その凍結いたしましたものにその期間の利子を加算しまして死亡者の遺族に支給する、これが死亡の場合の一時金でございます。それからもう一つの場合といたしましても全部通算いたしまして二十年なり二十五年、国民年金が入りますと二十五年になりますが、その期間を満たせないような場合が出て参りますと、そういうふうなものにつきましては、もう通算年金が出ないというふうになりましたときに、一時金を支給する、こういう規定になっております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それから期間の計算ですが、船員保険の場合は三分の四倍にしますね。その場合に坑内夫もやはり三分の四倍にして計算をしますか。

岡本和夫厚生事務官(年金局参事官)

○岡本説明員 今お話しの通り、坑内夫も三分の四倍いたします。法文では「被保険者期間」という言葉が書いてございますし、被保険打期間は当然厚生年金保険法の規定によりまして三分の四倍されることになっておりますので、被保険者期間という言葉を使います限り当然それが加算される、こういう形になります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 次はちょっと実例で御説明願いたいと思います。厚生年金十年、それから国民年金十五年になりますと、ちょうど二十五年になるわけですね。その場合に、各年金の会計から年金を支払うことになっておるわけですから、厚生年金は六十才から年金をもらえるわけです。国民年金は六十五才です。そうすると、厚生年金の十年分については六十才から、国民年金の十五年分については六十五才から、こういう形になるのですね。おそらくそういう形になるのだろうと思うのですが、これは通算をするのだから、どうして有利な方の六十才一本にしてやらないのかということなんです。もし六十才にするならば、おそらく減額になって六十になるんじゃないかと思うのですが、そこらあたりがどうもちょっと技術的に見ると——せっかくこういういい制度を作るのですから、そうして通算をしてあげるのですから、思い切ってそこらあたりを何か手当をして、六十才と六十五才に分けずに、早い方の六十才から一挙に上げる、そうしてあまり減額をしないでやれるような方法をどうして考えなかったのかという感じがするのです。多分そうしてやるのだろうと思うのですが、そうでしょう。

岡本和夫厚生事務官(年金局参事官)

○岡本説明員 今度御審議をいただきました国民年金法の一部改正の規定によりまして、国民年金につきましても、原則としては六十五才から支給開始されるわけでございますが、本人の選択によりまして、六十才以後支給を開始することができる規定が設けられるわけでございます。通算年金につきましても、その規定によりまして、減額はされますが、六十才から本人の希望によって支給を開始することができることになっております。これはどこまでもやはり六十五才から年金を支給するというのが国民年金の建前でございまして、通算年金につきましても、その原則に従いまして、国民年金から出す分につきましては六十五才から支給する、ただし、やはり減額をして、希望によって六十才から支給開始できるという形にしておる、こういうことでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 私はここにも厚生年金と国民年金との大きな一つの差が出てくると思うのです。通算年金をもらう場合に、厚生年金でもらうときには六十才からになり、国民年金は六十五才からになった。しかもそれが別の機関でばらばらにもらわなければならない、こういう矛盾が出てきた。これを今度もう一つ労働者の妻で考えると、その矛盾がもっと顕著になってくるわけです。ここに一人の御婦人があって、その御婦人が農村で働いておった、そうして今度はサラリーマンの奥さんになった、こういう場合、それからもう一つは、農村におったけれども会社に勤めておった、そうして今度はサラリーマンの奥さんになった、こういう場合には、その厚生年金の被保険者の妻になることによって、今度は任意加入になるわけですから、そうしますと、農村で十カ年かけておって、労働者の奥さんになったその女性は六十五才から年金をもらう、会社員であった女性は六十才から労働者の奥さんになっても年金をもらう、こういう形が出てくるわけですね。同じ労働者の奥さんになったのです。ところが、たまたま発足が国民年金であったか、厚生年金であったかによって、最後になったら、もらう金額ももちろん違うし、もらう時期もずれてくる。こういうところを、せっかく通算をおやりになるのですから、額は少なくても、まず第一歩として、支給の期間だけはみんな六十なら六十に頭をそろえていく、何かこういうことをおやりになったら、一歩でも二歩でも前進をする。社会党の構造改革のような政策をやはり保守党でもおとりになることが必要じゃないかと思うのですよ、せっかくこういうことをおやりになるのですからね。この通算というのは勉強すればするほどむずかしくてわからぬ。こういういろいろの例をシェーマティッシにモデル的に書いてみますと、非常に複雑です。これが三つ、四つ、五つ重なったら何が何だかわからぬ。そうして今言ったように、支払いの機関が五カ所あったら、できるまでは五カ所もらって回らなければならぬ。だからここらあたりを何かお考えにならぬと、一人が厚生年金、国民年金、共済組合と歩いたら、わずかばかりの金を、一方は六十才からもらう、一方は六十五才からもらうという工合で、もらう額がちぐはぐになってしまって、老後を保障する年金が、通算はできたけれどもいつの間にか子供の小づかいになって消えてしまったということになりかねないのです。こういう点はもう少し—— 今度はだめでしょう、けれども、われわれも構造改革をやろうとしておるのですから、保守党も構造改革をおやりになって、そういう点を考えていただく必要があると思ふうのですが、どうですか。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 基本の御趣旨はまことにごもっともに思います。もとが違うものですからこういうふうにめんどうなことになるのもやむを得ぬと思います。滝井さんのような専門家に、しかも科学者としての綿密な頭でよくまずい点を指摘していただいて、将来直すべき点は直すように努力したいと思っております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 時間の関係がありますから、次には年金福祉事業団の方に入りますが、まず第一に、年金福祉事業団法に関連をして、昭和三十六年度の財政融資計画を見てみますと、国民年金の積立金の額は三百億になっておるわけです。ところが、今度はもう一方予算書を見てみますと、国民年金の積立金の額は三百五十六億になっておるわけです。五十六億どこかへ行方不明になっておる。これはどうしてか、一つ御説明願いたい。

高木玄厚生事務官(年金局国民年金課長)

○高木説明員 三百億と申しますのは、本年度内つまり三月三十一日までに確実に資金運用部に預託される積立金でありまして、先生御指摘のように、余った分は過年度の歳入として入ってくるわけであります。これは国民年金の一月から三月までの保険料の納期限が四月末日になっておりますから、過年度分として入ってくる分がそこに計上されておるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうすると、五十六億も過年度になるということになると、一体その計算の基礎はどういう工合になるかということを今度は尋ねなければならぬことになる。実は厚生年金だって三十六億くらいしか差がない。厚生年金を分析してみますと、三十六億くらいしか差がない。ところが、この国民年金は五十六億ということになると、相当程度これは延納のものが出てくることになるわけです。そうすると、ここに延滞利子の問題それから印紙の売りさばきにおける市町村の財政の問題等が関連をして出てくることになるんですね。そこでこの二百二十三億という印紙の納付をお見積りになるからには、それだけの基礎がなければならぬことになる。これは五十六億も翌年度にしか入ってこないということになると、実際に検認をする印紙の額というものは、予算額よりは、その年度内ではぐっと下がることになる。たとえば一〇〇%ではなくて、六割とか八割とかしか国民年金手帳には印紙を張ってスタンプをもらう人はいない、こういう形になってくるわけですね。ずっと減ってくるわけです。そういうものが減ると同じに、市町村における手数料も今度は減ってくる。すべてに連鎖反応的な影響を及ぼしてくることになるのですが、そこらの分析は一体どういうようになっておるのか。

高木玄厚生事務官(年金局国民年金課長)

○高木説明員 先生仰せの通り、本年度は印紙売りさばき収入として二百二十三億予定しておりますが、三百億をこえる部分のうち、三分の一は国庫負担でございますので、先生の言われるような大きな額ではございません。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 この前の小山君の御説明では、印紙の納付は約二百二十三億と、それから前納分が八億程度、これで二百三十一億、そしてその二分の一にあたる国庫負担が約百十五億でしょう。そうしますと、予算書を見ると、運用収入九億というのがあるのですけれども、一体この運用収入というのは何かということです。

高木玄厚生事務官(年金局国民年金課長)

○高木説明員 印紙が売りさばかれまして、国民年金の特別勘定にその歳入が上がってくるわけです。それを検認の報告を受けました、実績に基づきまして国庫負担をつけまして、資金運用部に預託をしていくわけです。そしてその運用利子収入と申しますのは、年度内に、たとえば七月なら七月に預託した積立金に利子がつくわけであります。短期のものですが、利子がつきますので、その利子を見込んでこのような額を出したのであります。つまり。目に資金運用部に預託される積立金の本年度分の利子でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、前納の保険料が八億円、この八億円というのは前もって納めるのですからね。従って、二千二百万の強制加入と二百五十九万の任意加入がある、これらの諸君の中で一体どの程度の前納者を見ておるかということです。

高木玄厚生事務官(年金局国民年金課長)

○高木説明員 強制加入被保険者につきましては三%でございます。任意加入被保険者につきましては五%の前納率を見込んでおります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、片っ方では、二千二百万の三%というと六十六万ですが、六十六万では計算が合わぬでしょう。どうも合わぬ感じがします。これはどうもそこらの予算のやりくりが、片っ方は三百億で三百五十六億、ちょっとそこらあたりのやりくりが予算書を調べてみてもなかなかわかりかねるのですが、これはあとで詳しく御説明してもらいましょう。  それからこの積立金の三百億の中から特別還元融資を二割五分するわけです。そうすると七十五億ですね。一体この七十五億の配分というものは、施設別でいうとどういう工合になるか、これをずっと概要だけ御説明願います。

高木玄厚生事務官(年金局国民年金課長)

○高木説明員 七十五億の内訳を申しますと、医療金融公庫に八億、それから特別地方債として地方公共団体に還元融資される分が四十五億、年金福祉華美団に十億、一般地方債といたしまして簡易水道、下水道の終末処理場十二億、合計七十五億、なお特別地方債として地方公共団体に還元融資されます四十五億は、住宅十億、病院十五億、厚生福祉施設二十億。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 その場合に、融資をする基本的な条件と申しますか、これは市町村と事業主その他は違うと思うのです。それをちょっとわかりやすく説明をしてくれませんか。と申しますのは、いろいろあなた方の書いたものを読んでみますと、たとえば市町村に貸し付ける条件というものは、被保険者のその当該市町村における国民年金への加入率、そういうものが基礎になっておるようですね。そこらの基準、たとえば年金の三原則を出しましたね。いわゆる被保険者の福祉に還元しなければならぬとかいうような原則をお出しになりましたですね。何かそういうものがあると思うんです。そういう貸付の基本的な原則と、それが今度市町村になった場合には一体どういうことになるのか。

高木玄厚生事務官(年金局国民年金課長)

○高木説明員 これは特別地方債という形で還元融資されますので、この条件につきましては、一般地方債につけられている地方債の起債の適格性ということは当然考えなければならぬと同時に、これは国民年金の保険料の還元でございますので、やはり国民年金の加入状況のいい市町村、あるいは保険料の収納成績のいい市町村が優先的に配分を受ける、かようなことになるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そういうように今度は市町村に対して被保険者の加入率、適用率を基礎にして貸すことになるわけですね。そうすると、たとえば大都市においては、国民健康保険の被保険者と厚生年金の被保険者とが相半ばすることになるわけです。そうしますと、大きな市、たとえば人口二十万以上の市あるいは工業県、太平洋ベルト地帯に散在する県、こういうところは厚生年金からの還元融資も借りられるし、特別融資も借りられる。病院を建てるときには還元融資、体育館を建てるときには、今度は国民年金の特別融資で借りる、こういう二またができることになる。これは何かチェックする基準でもお作りになったのでしょうか、それとも多々ますます弁ずで、裕福なところにはどしどしと貸していくことになるのですか。

高木玄厚生事務官(年金局国民年金課長)

○高木説明員 病院につきましては、厚生年金の方は、従来からつけておりますように、当該病院の利用圏内、利用圏内と申しますのは、外来患者として通常利用し得る地域、その利用圏内に厚生年金保険の被保険者及びその家族が三割以上いることがこの還元の条件になっております。従いまして、そういう条件を満たし得ないところは国民年金の還元融資の対象になるのでありまして、そういった工合に還元融資のいきまする市村町について両者の区分をいたしております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 今の説明だけでは全部を網羅していないことになるのです。従って、あとでけっこうですから、厚生年金の還元融資と国民年金の特別融資、これの貸す振り分けは一体どうするかということをはっきりしておかないと、問題になってくるのです。  もう一つ、ここに今度は借りる側から問題が出てくる。どういう問題が出てくるかというと、まず第一には、この業務の場合に考えてみると、事業主または船舶所有者というものが一つあるわけです。従って、まず滝井義高という実業家が事業主の形態で一つ借りるわけです。住宅なら住宅を還元融資で借りる。そして今度はその滝井義高という実業家が入っている事業協同組合で、今度は自分の別な施設を、体育館なら体育館を借りる、こういう二またができるわけです。借りる側からいっても、貸す側からいっても二つできるわけです。こういうところは両面があるわけです。これを組み合わせますと、これは幾通りにも借りれることになるわけです。一方は事業主個人として借りるが、一方は共同体として借りるけれども、実質的には自分の方にその金がくる、こういう形があり得るわけです。それからもう一つの方は、今度自治体を通じて借りるわけです。こういう方法が出てくるのです。だから病院を建てるときには自分でやるが、今度は体育館を建てるときには共同体、それから今度は老人ホームでもしようというときには市町村を通ずる、こういう形が出てくるわけです。財政力の豊かな事業主は、これは幾らでも借りればいいのですから、長期低利のものなんですから幾らでも借りて、そうしてはなはだしいのは、その金を家が建つまでの間はどこかで回転をすることもできるわけです。だから幾らでも抜け道ができてきた。私はなぜそういうことを主張するかというと、こういうお金をこういうようにあらゆる機関を通じて貸しておると、対象は一つなんですから、この金を納めているのは事業主と労働者以外には納めていないのです。あるいは農民と中小企業が国民年金を納める、納める側は二人しかいないのです。厚生年金でしたら、事業生とそれから被保険者です。ところが直接借りる力のあるのは事業主と事業主の団体か、あるいは被保険者で作った何か団体でしょう。そうすると被保険者で作った団体というものは日本の現状からは少ないので、事業主か事業主の作った団体が多いわけです。そうすると手をかえ品をかえて借りることができる。こういう場合にだんだん細分化されればされるほど、貸付の機関がよけいにできればできるほど、大きな企業というものがいろいろな借りる金のルートができることを意味するわけです。このことは結局大企業に非常に大きな利益を与えて、零細な企業というものはどこからも借りられないという結果が出てくるということです。特に国民年金と厚生年金の金が画一的に運用されなければならないというそのことが、ますます大企業に優先的にいくということが結果として出てこざるを得ないのです。そしてそのかぶるベールは、いわゆる労働者の福祉という名目のもとに使われてくるわけです。そういうベールをかぶって借りられる、こういう結果が出てくるわけです。この点が私が非常に心配をしている点です。これはいわば年金福祉事業団そのものは非常にいいけれども、これがいろいろと細分化されて、あるものは医療金融公庫にいき、あるものは福祉事業団にいき、あるものは地方起債にいく。その名前は特別地方債と、違っておるけれども、こういう形をおそれるわけです。この点については、ぜひここらあたりで大臣の御登場を願って、そういう二重、三重の金が一つの事業主にいかないようなきちっとした、やはりまんべんなく、この金が画一なところにいかないような方策を講じておいていただかなければいかぬという点なんですがね。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 ただいまの点は、前々から滝井さんに御心配をかけまして、なるほど分析してみると、そういうふうなこともあり得るように思いますけれども、対象になる施設をにらんでみますと、施設の所在地、どこに作るかという辺を見てみると、大がいこれは運用に気をつければ運用がつくと思うのでありますから、御心配をかけぬように、そこはちゃんと見て運用をしたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 これは相手方が非常に強大な企業でありますと、全国至るところに事務所を持っておるわけです。それでやはりいろいろの形でくると思うのです。それはきても、必要なものは貸しても差しつかえないと私は思いますけれども、こういうように貸す機関が細分化されてくると、やはりいろいろと問題が出てくるということをぜひ御注意願いたい。  それから逐条的に、これは大事な法案ですから、小さな点を三つ、四つ私尋ねたいと思うのです。  それはまず第一条です。第一条に、「年金福祉事業団は、厚生年金保険、船員保険及び国民年金の福祉施設の設置及び運営を適切かつ能率的に行なうとともに、」と、前段では「設置及び運営」となっておる。今度は後段を見ますと、「これらの制度」となっているわけです。「これらの制度の被保険肴、被保険者であった者及び受給権者の福祉の増進に必要な施設の設置」ここまではいい。「又は整備を促進するための措置を講ずることを目的とする。」こうなっておる。一方は投資及び運営を適切にやるといい、一方今度は制度の被保険者あるいは被保険者であった者になって参りますと、「設置又は整備」になっておる。これはどういう工合に違うのか。この第一条から読んでも読んでもわからない。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 前段の各保険の福祉施設の設置及び連帯を行なうという点でございますが、これはそれぞれ各保険の法律におきまして、被保険者あるいは受給携行のための福祉施設を設けることができるという規定がございます。その規定に基づきまして、その施設を設置し、運営を行なう、こういうことでございます。  それから後段の点につきましては、これは読み方でございますが、「必要な施設の設置又は整備を促進するための措置」というふうに読んでいただきたいと思います。これは別に国がやるわけではなくて、被保険者のための施設というものを市町村がやったり、あるいは事業主がやったり、被保険者の団体がやったり、そういうものが主体を問わずして、そういうものが設置することを促進するためにやる。具体的に申せば金融措置をとるということでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、前段は厚生年金及び船員保険とか、国民年金自体がこういうことをやるということではなくて、この制度の被保険者のための福祉の施設の設置と、それから運営をやるのだ。それからあとの方は被保険者や被保険者であった者のために事業主やら被保険者の団体がやるのだ、こういうことなんですか。そうすると、これはいずれに重点を置くことになるのですか。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 これは二つ並べて書いてございますから、両方ともやるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 どうも頭が悪いのかどうか知りませんが、条文にはなかなかむずかしいところがある。  この事業団の役員についてでございますが、理事長一、理事三、監事一ですね。それで当然 この運営協議会の問題がさいぜん五島さんから出ておりましたが、この理事のうちの一名は、やはり私は労働界から出す必要があると思うのです。何か聞くところによると、大蔵省とか厚生省とかなんとかいろいろ出るようなことも言われておるように聞いたのですが、やはり労働者の金なんですから、一名は労働界の優秀な者をこの中に入れる必要があるのじゃないかと思うのです。これが一点、  それからもう一つは、この八条と十四条を見ますと、理事長が事故あるときには、私は理事が代表権を有するのかと思ったら、これは監事が代表権を有することになっている。事業団法は全部大体そういう形態になっております。監事が代表権を有することになっております。これはどういう法律上の理論からこういうことになるのですか、この三点をお教え願いたいと思うのです。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 事業団の理事でございますが、これはやはり先ほど申しました事業には二つございますが、その事業を運営するのに最も適当な人を選ばなければならないわけでございます。特にどういう方面の人がいいかどうかということをこの際今の段階において特定することは適当でないと思うのでございます。やはり最も適任者を選ぶということで御了解を願いたいと思います。  それから理事長に事故ある場合の代表権の問題でございますが、実は明確なお答えができないのでございます。従来からこの立法例におきましてそういうふうになっております。一つの私見的な考え方を持っておりますが、これはちょっと十分に詰めておりませんので、なお研究させていただきたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 実は私もそれをずっと調べてみましたけれども、普通ならば、理事長に事故があると筆頭の理事が代行するというのが原則です。ところがこの事業団になりますと、監事になっておるのですよ。これは、法律はほとんどみなそうなっておる。あとでけっこうですからその点について教えていただきたいと思うのです。  それから十七条の業務の範囲を見てみますと、十七条の一項一号にも二号にもずっと「政令で定めるもの」というのが多いのです。それで、これを「政令で定めるもの」は何か、一度プリントに刷ったものでけっこうです。書類で出してもらいたい。  それからもう一つ、二号の二に「イからハまで揚げるもののほか、被保険者等の福祉の増進に必要な業務を行なう法人で政令で定めるもの」とあるわけです。そこで最近における私学、特に私立学校における付属病院、こういうものを建てるのに今私学振興会は金を貸しております。ところが医療金融公庫はこういう方面にも貸さない。それから中小企業金融公庫その他もなかなかこれは学校ですから難点がある。そうしますと、被保険者等の福祉増進に必要な業務を行なっておるものに学校法人、特に私立大学の病院を作るというような病院の建設もこの中に入るか入らないかということなんです。これを一つ御説明願いたいと思うのです。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 政令の内容でございますが、融資の相手方、それから融資の対象になる施設でございますが、これは情勢によって減ったりふえたりするものでございます。従いまして、むしろこれは政令に譲ったらよかろうと思って政令にしたのであります。これは政令案がまとまりましたならば提出いたしたいと思っております。  それから第二の、私立学校等で設けますところに病院は対象になるかどうかという御質問でございましたが、これは一応こういう考え方でございます。私立学校の病院につきましては、原則としまして、現在の制度では、医療金融公庫あるいは私学振興会、ここから融資の道が開けておりますが、現実の状況を見ますと、非常に不十分であるようでございます。それからまた一面、これらの病院におきましては、年金の被保険者あるいは受給権者が非常に利用しておるという面もあるようでございます。従いまして、そういうような国民年金それから厚生年金被保険者の利用が非常に多い、あるいは医療上必要であるというところにつきましては、ただいま御指摘の条文によりまして貸付の対象にする必要があのじゃなかろうか、むしろ積極的な気持で考えたと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 初めてこれは名答弁でございます。ぜひ一つそうしてもらいたいと思うのです。  二十五条を見ていただきますと、繰り越しの欠損金がもし相当出た、こういうことになった場合には一体どうするのか、これは一般会計からでもその欠損金を補てんすることができるかということが一つ。  それから二十六条がなかなか問題の条文なんですが、長期の借入金、短期の借入金があるわけです。それから年金の福祉債券の発行があるわけです。この場合における長期の借入金は一体どこから金を借りるのか、資金運用部からでもお借りになるのかどうか。それから短期のものは、普通ならば国庫余裕金か何かで泳いでいくことになるでしょうが、国庫余裕金から借りることになるのか。  それから年金の福祉債券の発行の限度ですね。年金福祉事業団はどの程度まで債券を発行することができることになるのか。そのか発行する場合には一体どういう条件とどういう場合にこれを発行することになるのか。実は私たちの常識では、年金福祉事業団というときには、それは公団とどこが違うかというと、公団はみずから収益事業を行なう、そして公団債を発行することができるんだ。事業団というときには収益事業がやれなくて、事業団債が発行できないというように理解をしておった。ところがここには年金福祉債券みたようなものを発行することができるようになっている。年金福祉事業団というものは今までの事業団とはちょっとニュアンスの違ったものが出てきておるわけです。初め厚生省はいわゆる公団的なものを要望されておった。ところが実際には年金福祉事業団ということで、借入金も長期、短期が相当でき、しかも債券が発行できるということになれば、これは相当のものをやれる機関になってきておるわけです。従ってそこらの御説明をしていただきたい。  それからもう一つは二十七条の交付金、この交付金は「政府は、予算の範囲内において、事業団に対し、その業務に要する費用の一部に相当する金額を交付することができる」。こうなっておる。政府が少なくとも事務費を交付することになるわけです。この交付金は、いわゆる事務費の赤字が出たときには繰り越し欠損金一と一緒にしてもいいのかどうか、こういう経理上の疑問が出てくるわけです。そこらを一括して御答弁願います。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 第二十五条でございますが、事業団としては赤字が出ないように計算上はなっております。しかし赤字が出ることもございましようから、その際の処理としては、それぞれ特会における福祉施設費、あるいは特会における積立金、こういうもので処理することになると思います。そういうことは予測はいたしておりませんが、そういう事態があれば今申した方法で処理することになると思います。  それから第二十六条の長期借入金もしくは短期借入金でありますが、これは資金運用部から借りることになっております。そういう規定は第二項以下に明記してございます。  それから年金福祉債券でありますが、これは普通の公庫でございますと、こういう債券は発行しないのでございますが、事業団でございますので発行し得ることになっております。なお、これを発行する場合の方法その他につきましては、第九項にございますように政令をもって定めるこになっておりますので、その必要があります場合には所要の政令で規定をいたしたいと思っております。  それから第二十七条の交付金でございますが、この金の性質は、それぞれの特会におきまするところの福祉施設費で充てる予定でございます。一般会計ではございません。むしろこの事業団の経営自体、あるいは関連事業というものが、それぞれの年金事業の一環である、こういう気持で運営いたしておるのでございます。従いましてこの交付金というのは、それぞれの特会おきまするところの福祉施設費というような意味で出すわけでございます。  それから交付金の内容でございますが、これは大部分は事務費でございます。それからなお先ほど申しましたように一部六分五厘よりも低い利率で貸すものがございます。たとえば老人ホームでございますとか、母子ホームというのがございますが、それに対しますところの利子の補てん分でございます。安く貸しただけの利子の補てん分、この二つがその内容でございます。

田中正巳自由民主党

○田中(正)委員 これにて質疑を打ち切られんことを望みます。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 田中正巳君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 起立多数。よって、五案についての質疑は終局いたしました。     —————————————

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 ただいま委員長の手元に澁谷直藏君及び井堀繁雄君より、内閣提出の通算年金通則法案及び通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案について、修正案がそれぞれ提出されております。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 両修正案の趣旨の説明を聴取いたします。澁谷直藏君。

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員 私は自由民主党及び民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました通算年金通則法案及び通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨を御説明申し上げます。  政府提案のこの両法律案の内容は、各公的年金制度相互間の通産制度を、拠出制国民年金の発足日である昭和三十六年四月一日を契機として実施する、こういうことになっておりますので、両法律案の規定を本年四月一日までさかのぼって適用することといたしまして、所期の目的通り、国民皆年金の道を開くに遺憾のないようにいたそうというのであります。  以上が修正の内容でございますが、何とぞ各位の御賛成をいただきたいと存ずる次第であります。     —————————————

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 八木一男君外十四名提出の、国民年金の積立金の運用に関する法律案は、国会法第五十七条の三の規定に該当するものでありますので、内閣の意見があればお述べ願います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 ただいまの法律案についてでありますが、現段階においては実施困難と認められますので、賛同いたしかねます。     —————————————

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 これより討論に入ります。  内閣提出の通産年金通則法律案及びこれに対する修正案、通産年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案、年金福祉事業団法案、八木一男君外十四名提出の、国民年金法の施工及び国民年金と外の年金との調整等に関する法律案、国民年金の積立金の運用に関する法律案を一括して討論に付します。  討論の通告がありますので、これを許します。井掘繁雄君。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 私は民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております年金福祉事業団法案並びに通算年金通則法案、通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案、社会党から提案になっておりまする各法案について討論を行なわんとするものであります。  わが党はこの法案、ことに社会党提案になりまする案件については、いろいろと質疑をかわしたいと質問の通告をいたしておいたのでありまするが、打ち切りの動機で、わが党の発言の機会を奪われましたことをまことに遺憾とするところでございます。従いまして討論に譲って内容を多少詳しく申し述べ、わが党の態度を明らかにしたいと思うのでございます。  まず政府提案になりまする三法案のうち年金福祉事業団法案でありまするが、この法案については、わが党は幾多の疑問を持ちますとともに、この法案に不満を感ずるものであります。また幾つかの不安すら感ずる次第でございます。でありますけれども、将来を期待いたしまして本案に次の意見を述べて賛成しようとするものであります。  すなわち、事業団方式によりまして、厚生年金並びに国民年金の将来かなり長期にわたりましての年金制度の運用の中に、きわめて重要な役割を演ずる機関として誕生いたすのであります。申すまでもなく年金制度は、その発足当時において十分検討を遂げなければならないのでありますが、さきに国民年金法改正の際にわが党の意見を明らかにいたしておきましたから、この際重複を避けるのでありますが、とにかく長期にわたりまして被保険行のために年金の保障をいたすのであります。ことに現下の日本の国民生活、国民経済を一べついたしますと、多額の年金保険料を納め得る所得者というものは、ある限られた限界にあると見受けられるのであります。すなわち、低額所得者、ことにその低額所得者の数が非常に多いということ、それが国民年金被保険者の対象になるということも問題であるのでありまして、これらの低額所得者の生活の実態は、統計を説明するまでもありません。最低の生活を維持することの限界を割るような低額所得者が非常に多いのであります。でありますから、この人々の年金の掛金というものは、その生計費に食い込む結果になるのでありますから、これらの負担を適当に緩和する措置がとられない現段階においての保険でありますから、これを言いかえますならば、血のにじむような、生命を削るような負担によって年金制度が発足した次第であります。こういう年金が、将来それだけの犠牲に見合うような反対給付が与えられるということでなければ、その償いをなすことはできないのであります。私どもはその意味において、政府の年金制度というものを今日直ちにああいう原案で実施するということは時期尚早である、適当な時期までたな上げすべきであるという態度を明らかにしたのであります。しかし自民党並びに政府は、これを押し切って修正を一部いたしたわけでありますが、その年金制度の一番重要な役割を担当する年金福祉事業団でありますから、その事業団については十二分に検討を加えなければならない次第であります。ところが政府原案によりますと、まず第一、私どもはこういう事業をこういう制度にまかすべきであるかどうかが問題になってくると思うのであります。現在これと類似する団体が幾つかございます。たとえば公庫、公団、公社、また事業団などがありますが、その公庫、公団、公社並びに事業団それぞれの性格について、いまだ十分な検討が遂げられていないのであります。特にこの種の事業を、はたして公団方式がいいのであるか、あるいはまた公社方式に譲るべきであるか、あるいは公庫のようなものにすべきであるか、あるいはここに事業団の方式を出しておるのでありまするが、いずれがよいかというような問題についても議論があるのみならず、これらのいわば行政の一部を担当し、あるいはその大部分を代行するような機関については、よほど慎重でなければならぬと思うのであります。ことに年金制度のように、その保険者は政府であり、その政府の事業のきわめて重要な、具体的にいいますならば、積立金の運用に一部の責任を分かつわけでありますが、今日年金の原資の大部分が資金運用部に管理されておるのでありますが、この資金運用部の管理についても、われわれ幾多の疑問を待ち、また改善を要すべき主張をいたしておるのであります。その運用部資金から資金を、そしてまた貸付の窓口を担当するわけでありますが、この制度は申すまでもなく、その資金を高率に運用しなければならぬ使命があるのであります。安全であると同時に、その資金の運営は、資金運用部の資金の中にもいろいろな種類のものが一括管理されておりまするが、とりわけ国民年金の積立金、厚生年金の積立金などは最も安全で、しかも確実で、効率的な運営をはかるべきであります。ところが従来の運営方式をみてみますと、全くその意図とは反する低利で、その運用の面に、またその貸付先において多くの問題があることは御承知の通りであります。われわれはこういう制度の改善をはからなければならぬときに、このような事業団方式をもってそれを代行せしめようということは、いかにも軽卒であると言わざるを得ないのであります。ことに指摘をしなければなりませんことは、この事業団法を見ますると、その運営は、理事長以下理事、いわゆる厚生大臣の任免する役員によって一切が運営されるのであります。しかもその責任は、厚生大臣が国会を通じて間接的に責任をとるという制度になっておるのでありまして、このことは私は非常に危険な制度であると思うのであります。少なくとも、こういう制度というものは直接国民に政府が責任を負うべき事業でありまして、その事業の重要部分を担当する事業団でありますから、国会の直接のコントロールを受くべき制度に置くべきものであると言わなければなりません。次に、この運営が理事だけによってまかされるということが、そういう意味において危険であるのみならず、より重要なことは、保険でありますから、少なくとも被保険、者あるいは保険者、すなわち保険関係者の意見が十分反映して、その運営が民主的に行なわれるという制度でなければならぬことは、私は最低の条件であると思うのであります。この条件がいれられていないということは、この種の事業団に対する致命的な欠陥であると言わざるを得ないのであります。こういうように述べて参りますると、事業団については数々の疑問点があるのでありまして、われわれはこれを明らかにいたす議論があったのでありまするが、質疑が打ち切られましたので、こういう点に対して、次の時期を私どもは期待いたしまして、残念でありまするが、次の問題に移りたいと思うのであります。  次の問題は、資金運用部の金をできるだけこの事業団が大幅に活用するということは望ましいのでありますが、さきに述べたように、この裏業団の持つ欠陥もあるようでありまするから、この運用部資金の中に、郵便貯金でありますとか簡易保険であるとかいったような和知の資金と、厚生年金あるいは国民年金というものを一括預託、管理させるというやり方は、もともと間違ったやり方であります。これを分離いたしまして、当然保険財源をつちかうために、保険制度を育成するために、この資金が活用されてこなければならぬことは、社会保障制度審議会、社会保険審議会等がたびたび政府に勧告するところでも明らかであります。こういう制度を活用していくことなくして今日の年金測度を発足させるということは、冒頭に申し上げたように、一方においては過酷な負担を強要し、他方においては将来はたしてその犠牲に報いるような反対給付が行なえるかどうかを疑われる今日の制度でありまするから、せめて今まで積み立てた金、今後積み立てる資金というものが、この制度を育成するために十二分に活用されるということが最低の条件でなければならぬと私は思うのであります。その条件が今回の法案の中にはいずれも無視されておるということは、まことに遺憾にたえぬ次第であります。  さらにこういう資金の活用のできまするはずのこの事業団が、きわめて少額な資金の貸付しか受けていない、こういうやり方については私どもはどうしても納得のできないところであります。  さらにこういう資金の積立金の原則の一、二に私は触れてみたいと思うのであります。その一つは、厚生年金の積立金、国民年金の積立金を一本にここに扱おうとしている点であります。もともと本質的に大きな違いがあるのであります。言ううまでもなく、国民年金は一般の国民に適用されるものでありまするが、厚生年金はいわゆる雇用関係に置かれている人々のための年金制度であります。従いましてその中には、たとえば掛金の性質を見ましても、これは雇い主の負担になるし、労働行の負担は、御存じのように、賃金に見合う報酬額と比例して徴収されるものでありまして、学説によりますると、賞金の一部であることは間違いないのであります。でありますから、こういう賃金の性質、賃金の積み立てといったような性質を待つものと国民年金の積立金とをどういうふうに今後処理運営していくかということは、この事業団においてはこなしかねるものではないか、そういうものをこなし得るような制度に少なくともするべきではなかったか、こういう点にも私は非常に欠くる点があると思うのであります。こういうようにあげてきますと、この事業団についてはわれわれは非常な危険を感ずるのであります。  いま一つ本質的な問題についてわが党の見解を述べておこうと思うのでありますが、少なくともこういう事業団のような仕事をさせようとするならば、二つのやり方があると思うのであります。一つは、この保険が全く政府の責任において管理経営されるのでありますから、これはその線に乗せてこういう専業団のようなものを組織すべきではなかったか。しかしその点は役人仕事でという欠陥もあるでしょうから、それを補おうとすれば、最近公社や公庫などの欠陥が指摘されておるようなものを十分是正できるような制度を考えるべきではないか。そういう点に対する配慮が足りない。  いま一つのわれわれの問題は、被保険者や保険者、すなわち保険関係者を加えた保険の実質を備える民主的な組織に置きかえるという理想の姿に持っていくべきではないか。たとえば西ドイツの例は全く逆なコースをとっておるのであります。労働組合と生活協同組合の共同出資になる生命保険あるいは火災保険、災害保険などの経営に成功いたし、その基礎の上に今日社会保障の年金制度が育成されてきておるという例をわれわれは学ぶべきだと思うのであります。でありますから、保険というからには、保険関係者の参加を求めて運営されていく制度でなければならぬはずであります。でありますから、こういう事業団方式をとる場合においては、その基礎の上にこういう制度が組み立てられてくるならば、将来必ず成長発展の可能性があると思うのでありますが、この制度は、その意味においてもまことに大きな欠陥を持っておるのであります。  次に、通算法並びにこれに関する法案でありますが、これにも私は立案者が非常に苦心を払われた点につきましては、その労を多とするものでありますが、もともとむずかしい仕事であると思うのであります。その点をこの制度の中でなぜもっと明確に打ち出してこなかったか、私は質疑の中でこれを明確にいたしたかったのであります。すなわちこの通算通則を必要とする制度が、この法律では八つあげられておるようであります。国民年金、厚生年金、船員保険その他公的な年令制度の老齢並びに退職年金の通算通則を、かなり無理をしてまでやろうとしておる努力については敬意を表するのであります。私どもは将来こういうものが統合統一発展していくということを念願するものでありますが、しかしそれだけにその最初が大切であると思うのであります。その点について私どもの見解を述べておきたいと思うのであります。  それは、少なくとも原則的なものについて明らかにされておりません。前にも述べましたように、厚生年金保険でありますとか船員保険、これらは言うまでもなく、これは賃金の積立方式による労務管理も一部加味した年金制度であります。また国家公務員あるいは市町村の職員共済組合などにつきましては、これは公共団体の一つの労働条件として規律されたものであります。まあしかし公務員や厚生年金などとの関係においては、統合するには一つの共通した思想があると思うのでありますが、それにしてもその調整をするためには、これこれの原則を満たさなければならぬということを明らかにしてかからなければいけないのではないか、そういう点がまことにあいまいになっておると思うのであります。こういう点についても、もっとこういう制度を考える場合には関係者の意見が反映するような制度というものを並行して考えていくべきではなかったか。何も立法するときに諮問するというような委員会じゃなくても、こういうよりな制度を漸次成長さしていくためには、関係者の意見が民主的に反映できるようなものが並行して考えられるべきではなかったか。いま一つの問題は、国民年金あるいは恩給のようなものについては、これはもっと社会保障の根幹を貫くような大乗的な思想に結びつけて、将来これらの年金制度がどう統合されるかというような問題については、役人のみの立案やあるいは限られた機関に諮問するというのでなしに、広く意見を求めて行なわれるべきものであったと思うのであります。こういう点については、限られた人の立案といたしましてはかなり苦心を払って、よく勉強されておる点については敬意を払うのでありますけれども、いかに少数の人間がすぐれておりましても、昔から三人寄れば文殊の知恵という言葉がありますように、今日できるだけ各方面の意見を反映せしめるということが、こういう制度を発足させるときに非常に大切なことであったと思うのであります。その点を踏みはずしておるところに、今度の制度が、将来よほど警戒をしないと角をためて牛を殺すような結果になりはしないかと思うのであります。  以上のような次第でありまして、この法案それ自身は、国民の将来の福祉と、しかも社会保障制度の根幹を貫く重要な制度を打ち立てるものでありますから、そのこと自体にはわれわれは双手を上げて賛成をいたすものでありますが、それだけに、その発足については国民の声を十分聞くという点にはなはだしく欠けておる、というよりは全くそういう点に対して配慮がなかったというふうに感ぜられます点を指摘いたしまして、附帯決議はわが党の意見を入れたかったのでありますが、少数党のため、わずかではありますが与党の良心的な点を買いまして、共同修正に賛意を表する次第であります。  社会党案については、いずれまた機会をあらためて意見を述べたいと思います。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 以上で討論は終局いたしました。  これより各案について採決に入ります。  まず内閣提出の通算年金通則法案に対する修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて、原案について採決をいたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 起立多数。よって内閣提出の通算年金通則法案は、澁谷対外一名提出の修正案の通り修正議決すべきものと決しました。  次に、通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案に対する修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて、原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 起立多数。よって通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案は、澁谷君外一名提出の修正案の通り修正議決すべきものと決しました。  次に、年金福祉事業団法案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 起立多数。よって本案は、原案の通り可決すべきものと決しました。  ただいままでの議決の結果、八木一男君外十四名提出の、国民年金法の施行及び国民年金と他の年金との調整等に関する法律案及び国民年金の積立金の運用に関する法律案の両案は、いずれも議決を要しないものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 起立多数。よって、両案はいずれも議決を要しないものと決しました。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 この際、藏内修治君、滝井義高君及び井堀繁雄君より、年金福祉事業団法案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、その趣旨の説明を求めます。藏内修治君。

藏内修治自由民主党

○藏内委員 私は自民、社会、民社三党を代表いたしまして、年金福祉事業団法案に対する附帯決議を提出いたしたいと思います。  趣旨は一読して明瞭でございますので、趣旨説明を省略いたしまして、案文を朗読いたします。    年金福祉事業団法案に対する附帯決議  一、政府は、年金福祉事業団の資金枠を明年度以降において、大巾に増額するよう措置すべきである。  二 政府は、年金福祉事業団の融資対象施設の範囲を拡げ、住宅その他被保険者の福祉増進に資する施設をも、その融資対象とするよう措置すべきである。  三 政府は、年金福祉事業団の業務運営の円滑をはかるため、関係者を以て組織する運営協議会のごときものを設置するよう措置すべきである。  四 年金積立金については、その特殊性に即した運用をはかるため、政府は明年度以降資金運用部資金に、他の資金と区別して年金特別勘定を設けるよう努めるべきである。  何とぞ各位の御賛同をお願い申し上げます。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 本動議について採決いたします。  本動議の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 起立総員。よって、本案には藏内修治君外二名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、古井厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。古井厚生大臣。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を尊重して、善処いたしたいと思います。     —————————————

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 ただいま議決いたしました五案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  本日はこの程度にとどめます。明日は午前十時理事会、午前十時半委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。  午後五時四十一分散会      ————◇—————

国会会議録検索システムで原文を見る ↗