社会労働委員会 第42号
- 発言数
- 82 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/06/02
会議録
○山本委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の国民年金法の一部を改正する法律案、児童扶養手当法案、八木一男君外十四名提出の国民年金法案、以上三案を一括して議題とし、審査を進めます。 質疑を許します。滝井義高君。
○滝井委員 なかなか大臣がいらっしゃれぬものですから、大臣の方がきょうはハン・ストをされたかと思ったが……。 議題になりました年金二法、国民年金法と児童扶養手当法について質問したいと思いますが、まず第一は、現在労働省の統計によりますと、十五才以上の日本の人口は三十六年一月現在で六千五百九十九万です。その中で就業人口が四千五百四十二万でございますが、この十五才以上の六千五百九十九万の中に、二十才から五十五才までで年金の対象になる者は六割程度と見ればいいですか。およそどの程度と見ておりますか。その各種年金の対象となる人員ですね。時間を省く上で私の方から申し上げてみますならば、約千五百万ぐらいは他の公的年金や何かに入っておるのじゃないですか。そうすると、残りが国民年金の対象になるのだろうと思うのだが、実質国民年金の対象となる数というのはどの程度あるのか、ちょっとお示し願いたと思います。
○小山(進)政府委員 先生仰せの通り、国民年金の対象になる者は先生がおっしゃった数、大体六割程度でございます。残りがほかの年金の対象者、こういうことになっております。
○滝井委員 年金の対象はおよそ三千万……。
○小山(進)政府委員 年金の対象は三千万ではございません。昨日も申し上げましたように、二十才から五十才までの間の者は二千百万でございます。
○滝井委員 日本の総人口の中のいわゆる国民年金の対象になる二十才から五十才までが二千百万ですか。そうすると、この二千百万の中には任意加入は入っていないわけでしょう。任意加入の対象数は幾らですか。
○小山(進)政府委員 任意加入の対象は大体八百万から九百万ぐらいと推定されます。これは公的年金加入者の配偶者でございます。
○滝井委員 そうしますと大体三千万ですね。三十五年七月の全国市町村強制適用対象者の数、これを見ますと、二千二百四万九千三百五人になっていまね。それから任意加入の意思表示が二百五十九万四千五百三十一人になっているわけですね。そして三十五年三月末の被用者年金の適用者が千五百八十八万、こうなっておりますが、今小山さんが言われた二千百万と、三十五年七月に調査をした二千二百四万九千三百五人と比較しますと百万違うわけですが、百万違うとずいぶん予算が違ってくるのです。それから厚生省が、予算の説明のときには、一人当たり九十円の事務費を業務勘定に組むときには二千三百七十五万五千人に対象人員を組んでいるわけです。この二千三百七十五万五千人というのは、おそらく任意加入も加わっておると思うのですが、この前も国民健康保険の一年間の移動の状態で予算書で狂いのある点、どうもはっきりしない点を御指摘申し上げたのですけれども、ここらあたりの年金の対象者の数字がいろいろ違っているのです。従ってまず強制対象になる者をあなた方がどの程度把握し、任意加入の者を今年度としてはどの程度見込んでいるか、これをはっきりしておいていただきたいと思います。
○小山(進)政府委員 先ほどおっしゃいました昨年の七月の強制適用の対象で二千二百四万というのは、当時の事情において各市町村が仕事を実施する前提として集計したものの総計でございます。この中には当時の事情として一部推計が入ってございます。しかしその後実際にさらに固めてみますと、調査のときに自分が強制適用できないということを知らないで、強制適用だというふうな記入をしたものがあるというような事情からいたしまして、昨日小林先生に申し上げた数字がその後、総合面で積み上げた数字の一応最終のもの、こういうことになります。両者の食い違いはさようなことであります。 それから次に言われました今年度の予算との関係でございますが、今年度の予算の計算の基礎としましては、二千百五十万程度の数でありますが、このものを本年度中に全部届け出を済ますようにする費用を考えたのであります。それから任意適用の希望を申し出た者を全部適用対象に加えるというのと、それからことし一年の間に、一年間だけさらに人員が増加するのであります。これは制度発足のときにおいては五十才までというのを強制適用にしておりますが、逐次一年ずつふやして参りまして、十年間たつうちに完全に二十才から五十九才までの者を適用対象にする、そういうような関係から、先ほどおあげになったような数字が今年度の予算の基礎になっておるということでございます。
○滝井委員 どうも説明がわかりかねるのですが、強制適用を受ける者が二千五十万ですね。そうすると今年の予算は二千三百七十五万五千人ですから、もし強制適用が二千五十万だとすると、三百二十万ばかりの任意加入があるということになるが、そんなに多くはないと思うのです。任意加入の意思表示をしたのは二百五十九万しかなかったのですが、そこらの数字、これは一人当たり九十円に二千三百七十五万五千人をかけたものが事務の交付費として二十一億三千七百九十五万円になるわけです。だからここらの数字がはっきりしないと、この予算の基礎がうそになってしまうわけです。
○小山(進)政府委員 数字で申し上げます。 強制加入の被保険者二千百四十一万人、それから任意加入の被保険者二百五十九万人、合わせて二千四百一万であります。それから昭和三十六年度において新たに資格を取得いたします者が百九十万人、同じく昭和三十六年度において資格を喪失いたします者が五十九万人、従いまして昭和三十六年度の末の推計被保険者は二千五百三十二万人になります。これは切り上げ切り下げの関係で三十三万ともいえるわけでありますが、とにかく二千五百三十二万人、これは年度最終の状況でございますので、予算の基礎といたしましては、各月の末を推計いたしまして、それを平均いたしましたので、先ほどいわれました二千三百七十五万、こういう数字になったのであります。
○滝井委員 ようやくわかりました。なかなかこれは複雑な計算で、どうもちょっと疑わしいところがありますけれども、このくらいにしておきます。 次は、この年金の給付額が、各年金間で非常に格差があるわけです。三十四年の社会保障年鑑で見ましても、厚生年金で老齢年金は一人当たり四万一千百二十六円です。老齢年金で最高は、私立学校の教職員共済だと思うのです。これが九万七千百十円です。それから障害年金で一番多いのは恩給で、十三万一千二百八十七円です。それから遺族年金では、やはり私学の共済で四万八千百七十円ですが、ここらあたりが最高です。そうすると、国民年金に比べて、これは標準が二十五年になるわけですが、あまり差が多過ぎるのです。ここらあたりの将来の調整の見通しというものを、一体厚生省としてはどういうようにやって、この格差を縮めていこうとするのかということです。日本経済の成長によって所得の格差を縮めるというのが池田内閣の非常に大きな政策になっておるわけです。ところがすでに政府が実施をする年金なり、恩給なり、あるいは政府が相当その成立を助成しておるこれらの年金と国民年金を比べた場合に、あまりにも格差がひど過ぎるのです。国民の格差を是正するために社会保障というものが必要なのにもかかわらず、その社会保障がますます格差を助長するという結果が出ておるのです。一体政府はこの格差是正の方針を将来どういうことでとろうとするのか。
○小山(進)政府委員 これは昨日のお話にも出た問題でございますが、先生おっしゃるように、現在の日本の年金制度には明らかに大きく三つのグループがあるわけでございます。それで一番高いグループのうちのまた一番高いのが、私立学校教職員のものとしておあげになったものであります。それでこれを将来どうするかということは、すでにたびたび話に出ておりますように、社会保障制度審議会で、今総合調整の問題として取り上げて論議をしておられるわけでありますが、これはそういう関係から具体的な結論が出れば、政府としてはそれに基づいて施策を進めるということになるわけですが、だれが考えても、大まかな考え方といたしまして、いろいろの議論はありますけれども、第一のグループに属するもの、つまり国家公務員共済なりあるいは恩給の系統に属するようなグループの年金制度は、日本の場合、まず仕組みその他の点についての今後の改正はたくさん残っておりますけれども、給付内容の改善という点については、特に意識的な施策を必要とするというふうな事情にはなっていない、こう考えていいと思います。 それから第二のグループの厚生年金の年金額というものは、端的に申し上げて非常に低いと言わざるを得ないのであります。同じ労働者の年金でありながら、一方は、たまたま国家公務員系統の年金制度の適用を受ける企業体類似のものに勤めておれば世界の相当高い水準の年金制度に近いところの給付内容で守られる、一般の勤労者は非常に低い年金で守られておるというのが実情でありますから、これは何とか縮めていくことを考えなければならない。この場合の議論になるのは、滝井先生御自身がかねがね言っておられますように、なぜこれはこういうふうになっているかというと、結局厚生年金が対象としております従業員の勤めている企業の間に、非常に大きな格差がある。従って労働者個人の負担の面においても、企業負担の面においても、これを国家公務員系統の年金制度におけるような保険料率まで引き上げることが、なかなか困難だという事情があるわけでございます。公平に見まして、保険料率そのものからいえば、現在の国家公務員共済系統の保険料率は、世界の水準から見て、決して高いものではございません。ごく普通の料率でございます。望ましいことは、この程度の拠出にたえられるように企業なり、あるいは労働者の所得がふえていくということでありますから、これは結局帰するところ、そういった基本的な条件の改善と相待って、これはやや意欲的に引き上げをしていかなければならぬ、こういうことになるわけであります。国民年金においては、すでにお話のように、これまたこういうようなものと、やや格差のある程度の状態に置かれている。これもそういった基本的な状態の改善と相待って、一番意欲的にそれに近づけるように持っていかなくちゃいかぬ。ただ最終の姿として、国民年金の給付内容というものを、厚生年金系統の給付内容と全く同じにするということを目標にするかどうかということは、いろいろ議論があり得ると思いますので、それは十分各方面から御論議を願って、調整をしていかなくちゃいかぬ。いずれにしても、大まかにそういったようなことは、皆さん考えておられますので、そういう方向に従って具体的な調整を考えていただける。こういうふうになっているわけであります。
○滝井委員 結局その年金給付額の格差があるのは、今の小山さんの御説明を要約すると、日本経済の二重構造に由来をしておるということに、結論的にはなるわけです。そうしますと、日本経済の二重構造、大企業と中小企業、都市と農村との所得の格差を直すために社会保障をやるんだ、こういうことなんですよ。ところが、その社会保障をやるという社会保障が、またその格差を拡大する形になっている。こういう自己矛盾を拡大をしておるわけです。この点は、今の御説明では、第一グループ、第二グループ——第二グループは、企業の負担や労働者の負担力にそれぞれ格差があるから、こういう形になってくる。第一グループの国家公務員や恩給まではなかなか行けない。そうすると、わが国民年金は一体どこに行ったらいいのだ。まず第一段階としては、第二グループの厚生年金くらいにやはり上げなければならぬけれども、厚生年金と同様にするかどうかについても問題がある。こういうことになりますと、これは全く迷路に入ってしまって、どうしていいかわからぬということになるわけです。そこで、これは何とかしなければならぬことになるのですが、私はあとでまた指摘しますが、この所得格差を縮小するために作った社会保障が、さらに所得格差を拡大する。この悪循環を一体どこでどう自民党政府としては断ち切ろうとするかということです。今、小山さんの答弁では、それが出てこないのです。今、厚生年金と同様にするかどうかということについて問題がある、こうおっしゃった。しかし結論は、結局こういうことになっているのは日本経済の二重構造のためなんだ。その投影としてこういう形になっているのです。そうするとその投影としてこうなったものをそのまま持っていけば、ますます所得の格差は拡大するばかりですから、どこかでこれを断ち切ってやらないと、低所得階層、きのうの小山さんの言葉で言えば、落ち穂になったところの人を上げることはできないと思います。これを全部雇用の近代化をはかって、イギリスや西ドイツみたようにずっと雇用労働者になっていってしまえば、それは別です。しかしそれも所得倍増計画の十カ年の後を見ても、相当程度の雇用の近代化はできても、なお現実に農民も中小企業の皆さんも健在をすることになることは変わらないのです。健在かどうか、気息えんえんたる状態で残るかもしれませんが、とにかく日本に残ることは変わらないという形になりますと、どこか断ち切る方法を一つ御明示願わなければならぬのですが、厚生大臣どうですか。
○小山(進)政府委員 私の説明が不十分でありましたので、それを最初に補わしていただきます。厚生年金について申し上げたのは、今滝井先生の分類に従って申し上げたわけであります。厚生年金の中には、申し上げるまでもなく非常な大企業もあり零細企業もある。従ってそれ自体で相当大きい格差の是正をしているわけであります。ただしかし是正をされた姿というものが、先生のおっしゃるように、第一グループと比べるとまだ格段と低いところになっている。それを詰めていくためには、何といっても企業負担というものをしていけるような状態を逐次作りながら上げていく。もちろん本人負担もふえるわけでありますが……。それがなければ、結局あと国庫でということになりますが、日本の国民の大部分を包摂しているこの年金の給付内容を国庫負担で上げていくということは、いわば実質的には一種の循環になるわけでありますから、むしろこの中で解決する仕組みが今できているわけでありますから、これでする仕組みを考えていく。その場合には、どうしてもこれは基本的には全般的にもう少し格差が縮まってこないと、しょせん言ってみることが議論倒れになるのであります。このきざしは、すでに先生御存じの通り、日本でも大企業と中企業との格差が実はまだあまり縮まっておりませんけれども、中企業と小企業との格差はじりじりと縮まり出すという格好で是正をされつつある。もちろんそれで問題は片づいたと申し上げるつもりは毛頭ございませんけれども、少なくとも迷路に入っているとおっしゃるのは、どうもやはり少し言われ方が強過ぎるわけなので、これはもう明らかに明るい方向に進んでいるということだけは言えると思います。残る問題は、先生おっしゃる通り、お前の国民年金は取り残されるじゃないか、こういうことでありますけれども、これは取り残されないようにするためには、ぜひ全体として給付内容を上げていくことに務めなければならぬ。その場合に国民年金の特殊事情として確実に主張できると思いますことは、国民年金の対象の中には、国民の中の低所得層というものがいわば全部まかされている。だからこの低所得層の解決というのはどうしても国民全体に受け持ってもらうという気持でいかなければいかぬ。そこで国庫負担は、この分としては別に考えてもらうという筋が出てくる。これは昨日来先生方が総理なり厚生大臣を相手にいろいろ御議論をなさったああいう方向が、まず格差是正の第一の着手になり得ると思います。 それから第二の問題は、やはり将来国の財政力の増大を待って、現在でもすでに国民年金はほかの制度より多い国庫負担を受けておりますけれども、この負担率というものをやはり時期を見て上げてもらうということを考えなくてはいけない、そういうような方法で、ややスピードは先生が御期待になるほど早くはないにしても、格差を詰める方向には進んでいく、決して格差を固定したり、あるいは拡大する方向にはいかぬということだけは、申し上げても一間違いないと思うのであります。
○滝井委員 だいぶんわれわれ社会党の考えと同じようになってきた。結局厚生年金については大企業と中小企業の格差は縮まりつつある。それはその通りです。しかしその縮まりつつある針路が、所得倍増計画で昭和四十五年にいってもおそらく——今大企業と中小企業の賃金を比較すると、中小企業は大企業の三割前後だと思うが、これが四割五分くらいにしかならないでしょう。四割五分だったと記憶しておりますが、おそらくそのくらいにしかならないですね。まだ半分以上にはならないです。この厚生年金の改善についても非常にむずかしいところがある。第二点には、わが国民年金には低所得層がよけいに入っている。そこでこれをやるためには、事業主がおるわけじゃないのだから、結局国民全部が持つということになると、国庫負担の拡大以外にない。結論はここです。こういう結論がはっきりしてくれば、これから先は年金をよくしようとすれば、結局国民所得の増大につれて一体国庫負担をどうこれにつぎ込んでくるか。これで所得再分配ができることになるわけです。私もその意見ですから、担当の小山局長と意見の一致を見ている。これはおそらく大臣もそれ以外の方法はないと思います。あとでこの問題はもう一ぺん出てきますが……。 次に問題になるのは、老齢年金の支給開始の年令というのが、繰り上げだったら六十才、普通は六十五才です。ヨーロッパ諸国ではもっと早くやったりこの辺のところですが、これと日本における定年制との関係ですね。この前石田労働大臣に、平均寿命も延びたのだから定年制を少し延ばす必要があるんじゃないかという主張をしたら、いや、最近は官公庁におきましては二つか三つくらいは年令的に定年が延びております。こう言いましたが、現実にもう四十四、五才で肩たたきが行なわれているわけです。大体五十五才です。国鉄なんかは四十才を越えたらもうやめてもらおう、こういう形が出ているのですがね。そこでこの五十五才の定年と、年金を六十才とか六十五才でくれるとすると、この五年ないし十年のギャップをどう埋めていくかということですよ。これは国民年金そのものには直接の関係はないけれども、通算その他の問題とやはり関連が出てくるわけです。早くやめるとか、定年が早ければ早いほど通算の機会がよけいになってくるわけです。それはどうしてかと言うと、二十年に満たないうちにやめてくるわけですからね。そこでこの関係をやはりわれわれは考えなければならぬ。最近における技術革新によって年功序列の賃金体系というものがこわれ始めてきますと、中高年令の人たちが職場から去る機会がますます多くなってくるわけです。これはヨーロッパ諸国でも同じです。もう自分の職場が悪かったらもっといいところに自由に回るということがヨーロッパ諸国ではあります。終身雇用の形態というものが少ないのです。日本でもその終身雇用の形態というものはくずれ始めている。そうすると、この関係と年金の関係、その間のギャップというものを一体埋め得るものは何か。失業保険は一時的なものです。退職一時金も一時的なものです。退職手当金についてはあとでもう一ぺん質問しますが……。この間のギャップを一体何によって政府は埋めようとするのかということですよ。厚生年金でいえば、年金をもらうのは坑内夫は五十五才です。普通は六十才ですが……。だからこの年老いた、五十五才でようやく子供が大学へでも行こうという年令の人たちのこのギャップを埋める方法をお考えになっているかということなんです。
○小山(進)政府委員 どうもあまりに全体的な問題で、むずかしいというより、私どもが申し上げても実はあまり意味のないことなのでありまして、そういうことも含めて社会保障制度審議会で御検討願っているわけでありますから、そういう法案が出ましてからそれに沿って施策を進めていく、こういうふうなことになると思います。 〔委員長退席、大石委員長代理着席〕
○滝井委員 どうもこれは他人のそらごとみたいな工合になっているのですが、それならもう少し突っ込んでみましょうか。そういう形を一体民間企業はどういう形で補っているかということですよ。民間企業のそれを補う形として出てきたのが、曲がりなりにもこの前労働省が出した中小企業退職金共済法です。これは民間の企業というものは非常に移動が多い、賃金も少ない。だから国が幾分でも補助金を出してやって、そしてやめたあと幾分の生活の安定をはかろう、あるいは皆さんの方の社会福祉施設の職員の共済関係、そういうものが出てきたわけです。民間の企業はそれを一体何でやろうとしておるかというと、退職金制度または退職年金制度で、厚生年金は少ない。厚生年金ではどうも食っていけない。と同時に五十五で定年になるのだから、その間五年ないし十年のギャップがある。そうするとこれは埋めるものとして結局民間では退職年金制度なり退職一時金制度というものがだんだん拡大せられていっているわけです。それでその退職一時金制度というものは、厚生年令をもらうまでの間のギャップを埋める、厚生年金が不足するから、それを一つもう一ふんばり企業の方で補てんをしてやろう、こういう形が出てきておるわけでしょう。そうしますと、このことは一体何を意味するかというと、これは小山さん、私が言うまでもなく退職年金制度ができているのは大企業です。今ちょっと統計的に見ると、五百人以上の従業員のおるところでは大体九六・九%、約九七%程度できています。しかしこれが三十人から九十九人くらい、こういうところは日本の企業からいえば、日本の生産のにない手ですよ。これになりますと五六・四%、五割六分程度で、約半分しかない。そうして三十人以下になりますと、これはこの前ここで中小企業の退職金共済制度を審議したように、りょうりょうたるものです。そうしますと、ここでまた格差がつけられてくる。大企業は、厚生年金の中で、大企業と中小企業の格差を縮めたけれども、またこの退職金制度によってさらに格差を拡大をするのです。ちょっと調べてみましたが、大学卒業で退職年金を実施しておるところでは、一年を平均して多分二万九千くらいだったと思います。それから中卒で二万四千くらいだったと思います。そうしますと、これでまた拡大してくるのです。だからあるところとないところでは、厚生年金に退職年金制度があるところは四万一千百二十六円に二万九千がつくわけです。あるいは二万四千がつくわけです。そうするとこれは六、七万のものになってくるわけです。ますますこれは拡大をするのです。だから日本の社会保障というものは逆ピラミッドの形、逆分配の形をますます拡大しつつあるのです。そしてあなたの言われる一般国民から集まった税金をこれらの年金に入れて、そしてその所得の格差を縮めようとする努力がきわめて保守党の政権のもとでは少ないのです。だから従ってその国の負担をふやすよりか、企業のそういう自主的な退職年金の伸びの方が早いのです。最近における大企業の所得の増大傾向はますますこれに拍車をかけていますよ。だから格差はますます拡大するのです。それでこれをどう防ぐかということは、もう緊急の事態にきていると思うのです。従ってこういう点との関連を一体厚生大臣としてはどうお考えになっておるか。制度審議会が答申をするまで保守党の政権というものは何もやらないというならば、それはまたそれでいいです。そういう御答弁があればそれでいいです。他人のふんどしで相撲をとろう、天下の政権を握っておられる、馬上天下をとっておられる自由民主党としては、所得格差の拡大というものはよその方からいい案が出るまでは一つ手をこまねいて見ておりましょうというのです。これは小山さんの答弁としてはそれでいいです。しかしこれは大臣の答弁としては受け取れぬわけです。
○古井国務大臣 社会保障がかえって所得格差を増大さしておる、これは少しそうとばかりは考えられません。今日の一時点だけを考えてみますと、そうでありまして、そういう御意見も立つかもしれぬけれども、少し長目に考えますと、国民年金にしたって、なかったときと、できた後とどうなんだ。ない方に比べたらできた方が格差を増大さしたのか、これはもう議論の余地がないのであります。ですから社会保障がまだ十分完成しておらぬということだけは事実でありますけれども、今日単に社会保障の結果、格差を増大さしておるというのは、ちょっと私どもには受けとれません。しかし今後問題がたくさん残っておる。またそれはことに力の弱い対象である国民年金などの方面では、国庫負担という面も重要に考えなければならぬ。こういう点ではまことにどうも御説ごもっとも千万に思のであります。そうでもしないというと、格差を減していく努力が十分に効果を発揮することができないのでありますから、その点はごもっともだというわけでありますが、これは今後の長い問題だと思います。
○滝井委員 大臣、あまり悠長にできない事態が起こりつつあるわけです。なるほど国民年金ができた方ができなかったよりいいことは、これは認めます。しかしそれができても他のものの伸びるのが早いから、依然として格差が縮まらないという意味です。もちろんより拡大することは、その分だけは押えた、二千円分だけは防いだ、こういうことにはなる。しかし現実の状態を見ると、日本では御老人方で六十五才以上で働いておる人たちが半分以上おるのです。それでは、外国に比べて日本人は非常に勤勉で、そうして労働力が不足のためにみんなが働いておるのかというと、そういうわけではない。結局家計補助的な、何ぼかでもとってこなければ、そうむすこの低賃金ばかりにたよってはおれない、こういうことで働いてきておるんです。低賃金で結局社会保障がないから働いておる。ところが最近は定年も早くなってきて、御老人方はもう困る、こういう形が出てきておるから、従って早く何とかしてもらわなければならぬというわけです。これは老人の就業率がだんだん上がってきておるということが、その急務であることを私たちに示唆しておると思うのです。こういう点はいろいろ議論になりますけれども、大臣としてもおそらく同じお考えだと思いますから、ぜひ一つ努力してもらいたいと思います。 それからこれは技術的なことを少し先にお尋ねしますが、この予算書を見ますと、保険料の収入が二百三十一億六千九百二十一万六千円になっておる。ところが保険料の収入が二百三十一億であるが、今度は印紙の売りさばきの収入は二百二十三億になっておる。この保険料収入と印紙の売りさばきの違いはどうして出るのですか。
○小山(進)政府委員 これは保険料を収納します方法として、印紙による収入のほかに現金による収入があるのであります。前納が長い期間になりますと、現金で納めるということになっておりますので、それによるものが先生がおあげになった差額に当たるわけでございます。
○滝井委員 現金による収入というのですが、全部スタンプ・システムで印紙でやることになるのでしょう。それは前納の分についてはあとでお尋ねしよと思っておったんですが、そこらにもちょっと問題があると思うのです。私もそうではないかなと思っておったんですが、ちょっとそれはおいでおいで次の問題に入ります。 その場合に、印紙の売りさばきを地方自治体でやります。そうすると、印紙というものは国の財産ですから、国の財産を地方自治体にやるわけです。そうすると地方自治体は、たとえば二百万円なら二百万円のもらった国の印紙を一体歳入予算の中に入れるのかどうするのか、宙ぶらりんにおいておくのですか、地方自治体としては。——委員長、緊急代議士会がありますから、ちょっと……。
○大石委員長代理 暫時休憩いたします。 午後零時三十一分休憩 ————◇————— 午後二時五十九分開議
○山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 休憩前の質疑を継続いたします。滝井義高君
○滝井委員 午前中に引き続いて国民年金並びに児童扶養手当、両法案について質問を続行いたします。 印紙の売りさばきでございますが、国の財産である印紙を市町村が受け入れたときには、一体予算としては市町村はどういう計上をすることになるのか、このことでございます。
○小山(進)政府委員 印紙は、国の所有に属する物品の売払代金の納付に関する法律によりまして、国から市町村が買い取るのであります。市町村がそれを買い取る場合に、予算に計上したもので買い取るというやり方と、歳入歳出外現金をもって買い取る場合と、二つございます。いずれにしましても買い取りました印紙は市町村の所有になるわけでございます。
○滝井委員 そうしますと、この建前は一回分だけを買い取ることになるわけですね。一回分といっても、これは三カ月を一回にするわけですから、四、五、六を七月に決済をするかどうか、せざるを得ないと思いますが、とにかく前現金で三カ月分を買い取ることになるわけですね。
○小山(進)政府委員 どれだけの量の印紙を買い取るかは市町村の自由でございます。また代金も前金で払う方法とあと金で払う方法と二つございます。
○滝井委員 そうしますと、市町村は歳出予算の中に国民年金印紙買取費というような名目か何か知りませんが、そういう費目を立てて予算を計上しておくわけですか。
○小山(進)政府委員 今先生がおっしゃった方法と、それから歳入歳出外現金をもって買い取る方法と二つございます。これは自治省といろいろ協議いたしました結果、どちらでもよろしいが、自治省としてはあとの取り扱いを希望するというので、そういうふうなやり方の方がやや多いようでありますが、予算に計上して取り扱っておるのも半数近くある、こういう実情でございます。
○滝井委員 ちょっと私会計法上のあれを忘れたのですが、歳入歳出外現金というと、それは予算には計上されてないのでしょう。市町村の金庫の中にある現金で買うわけでしょう。そうしますと、これはいわば帳簿に載らない、歳入歳出予算に計上されない現金になってしまうわけですね。従って、その係員がいわゆる予算に計上しない現金を動かすことになりますから、ここに汚職が起こる可能性が出てくるわけです。これでは私は大へんなことになると思う。住民は納めたと言い、市町村は受け取らないと言う、こういう形が起こってくる場合がある。だからさいぜん御説明になったように、前納の場合は現金——スタンプならば年金手帳にスタンプを押してくれておるから、私は確かに支払いました、市町村の判を押してあるじゃないか、こうなる。ところが前納の場合には現金をとってしまうわけですから、印紙は収支の方に出てこないわけですね。しかもそれが歳入歳出外の現金である、こういうことになると、その現金は宙に浮いてしまうのです。従って、国の財産である印紙も動いていない、手帳にも印紙は張られていないわけですから。それは事務的にどうするかわかりません。しかし前払いをした、そして前払いしたものは一体市町村のどういうところの歳入部面に入っていくのかというと、これは宙に浮く形になる。はっきりしないのです。われわれしろとが考えた場合にそういう疑問が出てくるのです。そういう問題が一つ。 そかれら未納になった場合には、普通の保険料は延滞利息をとるが、これは一体延滞利息というものをとるのかとらないのか、こういう場合が出てくるわけです。これは強制加入ですから免除を申請したらいいのだが、免除を申請しないやつは不心得者だというのが今までの答弁ですから、不心得者は延滞利息は一体とるのかとらないのか、こういう問題が出てくるわけです。とにかくその二点を先にちょっと伺います。
○小山(進)政府委員 前段の問題は、一つの前提を除きますと非常に正しい推理をしておられるわけでありまして、そうならざるを得ないわけでありますが、ただ一つ前提が違いまして、現金はすべて直接国が収納する、こういうことになっておりますので、御心配のような事例は起きないのであります。 それから後段の問題につきましては、御説のような工合になっておりますが、ただしそういった手続が進行するまでにはだいぶ段階がございまして、九十六条に督促の規定がございますけれども、正式に督促するということがありましてから、おっしゃるような延滞金の問題が出て参るわけであります。従来申し上げておきましたように、この督促までいく段階において、まず第一段階として市町村において極力印紙を張って検認を受けるように勧奨してもらう、市町村でどうしてもケリがつかぬ場合に初めて社会保険出張所からこれに督促を試みる、こういう運びになるわけでありまして、おそらく実際上この督促の段階が進みますのは一年半ぐらいたってからということになると思います。
○滝井委員 前段の現金の分については直接国が納入するとおっしゃるけれども、まず市町村の吏員が受け取ることになるわけでしょう。社会保険出張所に納めに行くのですか、そうしますとこれは大へんなことですよ。社会保険出張所というのは、皆さん御存じの通り、とにかく数郡に一つぐらいしかないのですからね。そうするとはるばる汽車に乗って社会保険出張所京で納めに行くというのも大へんなことです。そういう形になれば、一括何年分かを納入するという前納方式というものは実際に行なわれないことになる。 それからあとの問題で、一体延納の利息は市町村の会計のどういう収入に入ってくるかというと、これは国の金だと思うのです。そうするとこの金も市町村は金庫の中に現金として納めることになるわけで、これはまた利子ですから、ますますインチキをしやすくなるのです。私は第一線の機関の職員はみんな神のような方だからインチキするとは思わないけれども、しかしそういう余地を与えておくことはいけない。やはり見えざる手に導かれてどういうことをやらないとも限らないのですから、そういう余地の残らないようにする必要がある。そうすると、延納の延滞利子を納めた、納めたけれども、その帳面の期日までに納めたように書きかえてやれば、延滞利子は着服可能になってくるわけです。こういう点は、この印紙の売りさばきに関連する問題を少し検討してみると、どうも私、わからぬ点が多いのです。 それからもう一つは、手数料を、前納の分については三%、あと払いの分については一・五%の手数料を市町村にやるわけでしょう。そうすると、市町村は前納したものについての三%あるいは後納分の一・五%は予算に計上することになるのじゃないかと思うのです。その点だけは、どうも僕はしろうと考えで考えると、常識的にはっきりしている。しかし他のものを追及していけばいくほどわからなくなる。これは国の財産で、しかも二百億をこえる印紙の移動があるのですから、莫大な金が動くわけです。そしてその手数料だって二十億をこえるものが動くでしょう。そうすると、ここらあたりの経理をよほどうまくしておかないと、これは私は門違いが起るもとだと思うのです。最近における社会保障関係の汚職というものは、警察庁がこのごろ発表したのだが、大へんなものですね。特に事務的にややこしくて、しかも相手方が日雇い労務者、こういうところに一番汚職が多いでしょう。この問題は零細な中小企業、農民を相手にしておるだけに、厚生大臣はよほど注意しておられる必要があると思うのです。私今ちょっと事務的にこの法案を読みながらいろいろ検討してみたけれども、私自身がわからぬところが実に多いのです。今の質疑応答をお聞きになっても、なるほどちょっと問題があるなとお考えになるでしょう。よほど問題があるところを、二百億の金が動くのですし、手数料だって事務費だって何十億と動くのですから、この点は大臣、ぜひ一つ御注意を願いたいと思うのですが、どうですか。
○古井国務大臣 今のような収支の関係は、なるほど歳入歳出の予算といたしましては、その年のほんとうの歳入にプラスになるものが歳入に載り、ほんとうのマイナスになるものが歳出に載るのでありまして、そのワクの中の出たり入ったりという、たとえば一時借入金の問題にいたしましても、予算には載らないのであります。しかしながらそれは予算の問題であって、日計簿とか出納簿とか、毎日の金の出入り、そういう帳簿を市町村にはちゃんと備えなければならぬことになっておるのでありまして、出入りはごまかしがきかぬようになっておるのであります。そこで問題は、それにもかかわらず悪いことをするかとか、悪いことをしておっても監督が行き届かぬのかという問題はあります。第一線の連中は正しく事務を行なっているのだという、そこのところは滝井さんのお説そのままといたしまして、あとは監督の問題になるので、これは帳面を調べさせればわかるのであります。私も調べた経験くらいあります。これは調べさえすればわかるので、検査をよく励行して、ぜひ間違いが起こらぬようにしたいと思うのでございます。
○滝井委員 私の政治的感覚では、やはりこの印紙の売りさばきは将来非常に問題の起こりやすいにおいがする。だから、ころばぬ先のつえで、一つ前もって御注意申し上げます。 それからもう一つ大事な点は、今度死亡一時金を作ったわけです。その死亡一時金によって約三百億の財政支出が必要となるという御答弁があった。これは間違いありませんか。
○小山(進)政府委員 三百億と申し上げましたのは、死亡一時金の支出を税価に直すと三百億程度の規模になるという意味であります。そういう意味において御せの通りであります。
○滝井委員 そうしますと、この現価三百億をやはりどこかで財源補てんをしなければならぬわけです。その計算が今までやられていなかったわけです。今新しくこの三百億の財源をどこから捻出してこなければ、三百億のうちの一割くらいのところで年間出ていくかどうか知りませんけれども、五分にしても十五億は出ていく。これだけの財源をどこからかまかなってこなければならぬということになるわけです。この財源のまかないようは、古井厚生大臣としてはどうおやりになりますか。
○小山(進)政府委員 仰せの通り、これはなかなか調達に苦慮した問題でございまして、そういうためもありまして、私立金の運用利回りというものを引き上げるのに非常な努力をしたのであります。その結果、従来七年もので六分でありましたのを実質六分五厘まで引き上げることができるということになったわけであります。それで計算の上では五分五厘で計算しておりますので、今後約二十年間程度六分と六分五厘との間の差額の五厘だけをそれに充当することを考えれば大体解決がつく、あとの五厘は、どうしてもいろいろな事情がありますので、ゆとりとして残していきたい、そういうような財政上の見通しをつけたわけであります。
○滝井委員 今度の改正案は、この死亡一時金だけではなくて相当多くの改正をやるわけです。それだけに長い目で見れば莫大な財源を必要とする。そうすると、その五分くらいでは非常にむずかしくなってくるのではないかという感じがするのです。時間がありませんからあまり多くは言いませんが、そういう点でなお後日死亡一時金その他現価で増加する総和が今度の改正に伴って一体幾らになるのか、そうしてその財源を補てんする財政上の計画は一体どういうことから補てんがつくのか、この計算を一応われわれに示してもらわないと、当初の計画では、現在の段階では、実施可能な項目を取り入れて改正したものだ、ぎりぎりのものだ、こういうお話があったのでありますが、その財源の手配を教えてもらわないと、ただ六分の七年ものが六分五厘になった五厘だけで解決するかどうか、非常に疑問だと思います。これは後ほどでよろしいですから、そういう資料を一応出してもらいたいと思います。 それから児童扶養手当の問題でございます。この前、児童扶養手当の問題は河野議員から質問がありましたが、現在この児童扶養手当は、他の公的年金との併給を許さないわけです。そうしますと、一番典型的なものは、児童扶養手当とは直接の関係はございませんが、一つの問題点として、労災にかかります。そうして業務上の災害で、たとえば死亡いたしますと、今度はその被保険者が死亡すると、厚生年金は、当然これは遺族年金を出すわけです。ところが、この厚生年金の遺族年金というものは、労災を受けますと、労災でその死亡の一時金をもらいますと、六年間は停止されることになるわけです。おそらくこの児童手当も労災との関連を考えているわけですが、これは全然その目的と経理の違う労災の恩恵を受けたからといって、この年金を停止することについてはよろしいかどうかということが問題になってくると思う。これが公的年金ならばある程度理論的な根拠があると思うが……。今厚生省は、この年金と恩給の併給という問題については、同じ公的年金のもとに入れておりますからそれはだめですという議論を展開されている。ところが労災は、事業主が業務上の負傷について支払うものでしょう。年金というものは、自分が掛金を出しておって、老後なり廃疾なり死亡のときに、自己の家族なり老後を安定せしめようという政策で、全然これは異なった会計で、異なった制度です。ところが、この併給を禁止するというのはどういうことですか。
○大山政府委員 児童扶養手当につきましては、主として生別の母子世帯、つまり父母が離婚した場合が主たる対象になっているわけでありますが、死別の場合におきましては、非常に例外的な場合といたしまして、国民年金法による母子福祉年金等が出ない場合がございますので、たとえて申しますれば、母が二十歳未満であるというような場合には母子福祉年金が出ませんので、そういうような例外的な場合にはこちらで児童扶養手当を支給するということにいたしているわけであります。言いかえれば、他の公的年金給付あるいはこれに類するような給付が出ます場合にはそちらで参りますが、それらの給付のない場合をこの制度で救おうという趣旨でございますので、御質問の労災あるいは厚生年金等で出ます場合には、こちらの制度では特にその点に触れないということにいたしておるわけでございます。
○滝井委員 全然制度の立て方が違うわけです。片一方は事業主から出る金なんです。事業主がメリット・システムによって積み立てたお金です。厚生年金にしても国民年金にしても、自分が掛金をかけてもらう金なんです。片一方は全然違うところから出てくる金なんですからね。公的年金という範疇のものならば通算その他があるし、いろいろこれは関係があるからだめだといってよろしいと思うのです。ところが労災との関連はどうしてつけなければならないかということです。年金が、たとえば典型的なものは、厚生年金は六年きちっとやらないのですね。それは労災のたとえば千日分というのが、六割の給付で計算するとちょうど千日になる、こういう理論になっているのですよ。これは同じ大臣の所管ですからおかしいじゃないかというのです。これは、今炭鉱災害でなくなった豊州とか上清炭鉱とか大辻炭鉱の遺族がみなこれを問題にして大臣にも要請したわけです。何とかこれを改正して下さい。これは当然併給ではないんですね。併給という部類にならないのですよ。同じ年金じゃないのですから。これはあなた方理論的にどうやるつもりなのか。
○小山(進)政府委員 ただいまの問題は、従来の年金制度では、先生すでに御承知の通りの考えに基づいてこういうふうにしているのでありますけれども、先生がおっしゃるように、これがはたして絶対的なものかということについては、われわとしても十分論議をする余地があると思います。かりにもしあの補償金が六カ年間に分割されないで一時金で出た場合のことを考えますと、おそらく感じとしてはだいぶ姿の違ったものになる可能性はあり得ると思います。しかしこれについては、もう御承知の通り長い沿革を持っているものでございますので、たびたび申し上げて恐縮ですが、社会保障制度審議会の総合調整の場においてこういった問題を一回とことんまで論議をしてもらう、その結果これと年金類等を調整することは適当でないということになれば、私はこれは当然改めるべきものだと思います。そうなれば児童扶養手当の問題も当然同じように扱うべきものだ。今のところはほかの制度が全部そういう仕組みになっておりますので、そういう扱いにする、こういうことになったわけでございます。
○滝井委員 ぜひそうしてもらわなければならぬと思う。と申しますのは、もしその理論な展開をしていって、労災と年金との併給がいかたい、こういうことになりますと、たとえば企業で退職一時金を出す、あるいは退職年金を持っているところは併給まかりならぬという理論が出てくるのですよ。これは事業主がやるのです。あるいは事業主と労働者が折半か何か、とにかく割合をもって自主的に作っているものでしょう。だからそういう理論がありますから、これは一つすみやかに御検討になってもらいたいと思います。これは現実にもう起こっているのです。これは豊州、上清炭鉱とか大辻炭鉱で起こって、その遺族はぜひこれをしてもらわなければわれわれは安定しておられませんと言っているのですからね。 それから法律について一ぺんに質問しますから書いておいて下さい。四条の一項の五号「各号に準ずる状態」というのはどういう状態か。それから「政令で定めるもの」とは一体どういうことか。それから二十一条の事務費の交付は一人一体幾らか。それから三十二条と三十四条の手当の支払いについてちょっと説明して下さい。
○大山政府委員 最初のお尋ねの第四条の一項の第五号でございますが、「その他前各号に準ずる状態にある児童で政令で定めるもの」ということで考えられますのは、一号から四号までは父という表現になっておりますので、法律上で父という場合に限るわけでございます。一つ五号に考えられますのは、そういう法律上の父ではないが、事実上の婚姻関係で父である者というものをこの政令で指定する必要があるかと思います。もう一つの場合は、父に遺棄されている児童でございます。それから父が長期間拘禁されている、つまり刑務所に入っているといったような場合も一つ検討すべき問題であろうかと存じます。なおもう一つ特に検討を要すると考えますのは、いわゆる未婚の母と申しますか、婚姻関係によらないで母子世帯でおる児童、こういう状態につきまして、やはり同様に政令で救済すべきであるかどうかという問題があるわけでございます。 次に事務費につきましては、市町村に対しまして一件当たり五十五円の事務費を予算で組んでおります。 三十二条でございますが、三十二条の手当の支払いに関する事務は、郵便局の窓口で行なうことにいたしておりますので、県で認定いたしまして、その書類を本人に渡し、本人はその書類を郵便局に持って参りまして、それで現金の支給を受ける、そういうことに相なっております。
○浦野委員 ただいま議題となっておりまする三案については、質疑を終局されんことを望みます。 〔「反対」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 浦野君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔「賛成」「反対」と呼ぶ者あり〕 〔賛成者起立〕
○山本委員長 起立多数。よって、三案についての質疑は終局いたしました。 —————————————
○山本委員長 ただいま委員長の手元に、伊藤宗一郎君より、内閣提出の国民年金法の一部を改正する法律案に対する修正案が、また松山千惠子君より、児童扶養手当法案に対する修正案がそれぞれ提出されております。
○山本委員長 両修正案の趣旨の説明をそれぞれ聴取いたします。伊藤宗一郎君。
○伊藤(宗)委員 ただいま議題となりました国民年金法の一部を改正する法律案に対する修正案について、私は自由民主党を代表して、その提案の理由を御説明申し上げます。 今国会に政府から提出された国民年金法の一部を改正する法律案の内容は、わが党の公約に従い、国民各層から寄せられている要望をできるだけ取り入れたものとして賛意を表するものでありますが、本委員会で討議された諸成果を取り入れ、また社会保障制度審議会がこの改正法案について述べた要望の線に従い、この際さらに内容改善について一歩を進め、現段階において可能な限度ぎりぎりまでの改善を行なうよう政府案を修正しようとするものであります。 第一は、障害年金、母子年金、準母子年金、遺児年金につきまして、その最短受給資格期間として、新たに、事故発生前の引き続く一年間の保険料納付済み期間を加えようとするものであります。政府提案の改正法案においても、障害年金などの最短受給資格期間三年を、制度発足時の経過措置として一年以上三年未満までに短縮しようとしているのでありますが、この短縮措置を単に経過的なものとするにとどめず、恒常的なものとして、受給資格期間の緩和をはかろうとするものであります。従って、政府提案の改正法案における経過的短縮措置及び年金額の減額規定を削除し、新たに、保険料納付済み期間一年の受給資格要件を加えようとするものであります。 第二は、遺児年金の額の引き上げであります。国民年金における年金の額は、今後ともその引き上げに努めなければならない性質のものでありますが、さしあたり遺児年金の額を大幅に引き上げようとするものであります。すなわち現行遺児年金の額は、老齢年金の額の四分の一相当額を基本とし、最低保障額として保険料納付済み期間三十年未満の場合、七千二百円が支給されるのでありますが、これを老齢年金額の二分の一相半額とし、最低保障額を保険料納付済み期間二十六年未満の場合年一万二千円にまで引き上げるものであります。これによって母子年金、準母子年金、寡婦年金とともに、遺族に対する年金は老齢年金額の二分の一という保障が行なわれることになるわけであります。 第三は、福祉年金につきまして、その本人についての所得制限を緩和しようとするものであります。現行制度におきましては、福祉年金の受給権者が義務教育終了前の子、孫、弟妹の生計を維持する場合におきましては、所得制限額十三万円にその子ら一人につきまして一万五千円が加算されるわけでありますが、この加算額一万五千円を三万円に引き上げ、もって所得制度の緩和をはかろうとするものであります。 以上三点が修正案の内容であります。 何とぞ、すみやかに御可決あらんことを望みます。
○山本委員長 松山千惠子君。
○松山委員 私は自由民主党を代表して、ただいま議題となりました児童扶養手当法案に対する修正について、その提案の理由を申し上げます。 先ほど母子福祉年金の受給資格について、本人の所得制限の修正案が出されましたのに伴いまして、児童扶養についても、母その他の受給資格者の所得制限を同様に緩和しようとするものであります。 何とぞ、すみやかに御可決あらんことを望みます。
○山本委員長 以上修正案について、国会法第五十七条の三により、内閣の意見があればお述べ願います。古井厚生大臣。
○古井国務大臣 ただいまの修正案につきましては、やむを得ないものと考えます。 —————————————
○山本委員長 次に、八木一男君外十四名提出の国民年金法案は、国会法第五十七条の三の規定に該当するものでありますので、内閣の意見があれば、お述べ願います。古井厚生大臣。
○古井国務大臣 ただいまの提案につきましては、現段階においては実施困難と認めて、賛同いたしかねるのであります。 —————————————
○山本委員長 次に討論に入ります。 内閣提出の国民年金法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案、児童扶養手当法案及びこれに対する修正案、八木一男君外十四名提出の国民年金法案、以上を一括して討論に付します。 通告がありますのでこれを許します。小沢辰男君。
○小沢(辰)委員 御承知のごとく、わが党は昨年の総選挙におきまして新政策を公表し、その中で、社会保障制度の拡充、発展を一つの大きな柱といたしたのでございます。しかも、その社会保障制度の拡充、発展政策の中で、国民年金制度の改善を国民に約束して戦って参ったのであります。ところが、一方、社会党におきましては、この国民年金制度を批判し、攻撃し、実施を延期せしめるまでの、現実を国民に訴えて参ったのであります。従いまして、国民年金制度とその改善の政策につきましては、今次の総選挙の際のわが党並びに社会党両党の大きな争いの一つであったのであります。しかるに、御承知の通りわが党におきましては三百名に近い当選という空前の圧倒的勝利を得たのであります。 〔「そんな大きなことを言っていいのか」「関係ないこと言うな」と呼び、その他発言する者多し〕
○山本委員長 御静粛に願います。
○小沢(辰)委員 ただいま議題となっております国民年金法の一部改正案につきましては、昨年の総選挙の際、わが党が天下に公約をいたしましたいわゆる掛け捨てをなくするための死亡一時金制度の創設あるいは老齢年金の六十歳からの繰り上げ支給等々、数多くの改善内容を持つものでありまして、すでに、これが賛否につきましては総選挙を通じまして国民の審判が下されているものと思うのでございます。ただいまあるいは従来の委員会の審議におきまして、社会党の方々が政府案につきましていろいろ論議をかわされたのでありますけれども、ただ反対をされないで、こうした国民の審判の前にむしろ謙虚に社会党の方でも御反省下さいまして、国民皆年金の実施に協力されるべきが至当であると私は思うのであります。 〔「国民をみんなごまかしておいて何だ」と呼び、その他発言する者あり〕
○山本委員長 私語を禁じます。
○小沢(辰)委員 なおこの委員会におきまして、社会党の八木委員あるいはその他の方々がいろいろと質疑をされました。またその間に社会党の国民年金に対する考え方をお述べになったのでございますが、私は、この社会党の国民年金制度についての考え方につきましては多くを批判申し上げることを避けますが、ただ一点、私はこの前も申し上げましたように、社会党の案は政府案の給付が非常に低いことだけを攻撃されまして、自分の方は三倍もの給付をする考えだというようなことを言ったのでございます。しかしながら、われわれの計算によりますと、すでに委員会でもいろいろと御指摘を申し上げましたように、社会党の案ではすでに当初から八百億程度の赤字を生ずる、あるいはまた拠出年金の分についてだけを見ましても、十年後には積立金を全く食いつぶして、なお赤字が生ずるというような結果になるのでありまして、どうも社会党のお考えになっておられます国民年金制度というものは、出発の当初から崩壊することが明らかであるような案でございました。今日社会党が高い年金額を約束されましても、一片のから手形にすぎないと言わざるを得ないのであります。かかるがゆえに、私はこの種国民年金のような制度は、やはり小さく生んで大きく育てるという考えで、とにかく国民の所得の向上あるいは財政力等を考えまして、逐次改正するのが最も現実的な、妥当な考え方であると思うのでございます。 なお詳しく申し上げることは差し控えますが、すでに拠出年金につきましても、実に一千八百万人の加入者が数えられるほどになったのでありまして、この一事をもっていたしましても、国民がいかにこの国民皆年金というものを待望しておるかがわかるのであります。この意味において、私はわが党公約の内容を数多く盛り込みまして、またさらに、本日のわが党から数点の修正案をつけました前進したこの国民年金法の一部改正につきまして、全面的に賛意を表するものであります。 なお児童扶養手当法案につきましても、死別母子世帯と同様に、非常に気の毒な生別母子世帯の福祉が飛躍的に増進せられると思うのでありまして、政府の原案はもちろん、わが党がそれを修正をいたしました修正案につきましても、同様に満腔の賛意を表する次第でございます。 以上、自由民主党を代表いたしまして両案に賛成の討論を終わります。(拍手)
○山本委員長 八木一男君。
○八木(一)委員 私はただいま議題になりましたこの三案について、日本社会党提出の国民年金法案に絶対に賛成、政府提出の国民年金法の一部を改正する法律案並びに児童扶養手当法案に対して反対の討論を行なわんとするものであります。 政府の現行国民年金法ができましてから、昨年からその内容が非常に乏しいのみでなくて、大衆にとって不利なものであることをよく確認した大勢の大衆が、これに対して抜本的な改正を要求し、それまではこのような組み立ての間違った拠出年金をやるべからずとするほうはいたる世論が高まったわけであります。そのようなほんとうに年金について真剣に考えた国民の世論を反映して改正案が出されたのなら考えるべき余地があるわけでございまするが、その点については全然本質的なものを変えようという態度をとらないで、このような政府の改正案が提出されてきたわけであります。 ただいま自民党の討論者である小沢君は、選挙においてこのような公約を訴えて絶対多数をとったのであるから、この法案が国民の意思であるというようなことを言われました。これは実に現状を知る政治家としては無責任な言葉であります。その選挙において法網をくぐって巨億の資金が流れたことは明らかであります。従って選挙は公明に行なわれていないということは——選挙は公明に行なわれていないということは周知の事実であります。そのようなことで、選挙の絶対多数をもって法案の一々の当否をきめることば控えるべきであります。しかも、このような選挙が公明に行なわれたと仮定をいたしましても、あらゆる法案について演説会において訴えられたわけではないのでありまして、ほかの法案について賛成をしても、ほかの政府の態度についてしぶしぶ承知をしても、国民年金の態度について賛成をしたと認定することは間違いである。そのようなことで一括的に、選挙に多数を占めたから政府のひん曲がった不十分な国民年金がよいなんという論法は、断じて国民は許しておらないと思うのであります。 次に、このような立場に立ってよく皆さん方にお考えをいただきたいことは、国民年金法が審議をされたときに、現行法の欠点が余すところなく暴露されたわけであります。このときの政府の責任者は、拠出年金が始まるまでにその根本的な欠点を直すということをもって反対する与党の人々を承服させ、われわれの反対を押し切ってこれを通したわけであります。従って自民党政府としては、その根本的な欠点を直して提出する責任があるわけであります。しかも国民がこれをよく理解して、このようなことではいけないというあれだけ熱心な批判運動が起こっているにかかわらず、それに対して十分な配慮が行なわれないというようなことは、実に政府の怠慢な態度である。たとい百分の一歩でも前進する法案を出される、ほんとうに国民年金を推進する態度であるとは断じて言えないわけであります。 現に現行法と改正案を比べましても、根本的に不十分な、その組み立てが不合理である点は直っておりません。年金額においてどうか。四十年間保険料を納めて、四十五年後にもらえるものが月三千五百円、昨年の生活保護基準を一・五%ずつ増大させて四十年後に三千五百円になるのに、それを五年延ばして、五年後にそのようなものを支給する。それで国民皆年金なんてちゃんちゃらおかしい内容であります。しかも六十五才から開始。日本の大衆が、政府の政策が悪いために貧困な生活を押しつけられて非常に苦労しておる。老衰が早い。残念ながらそれまでの間になくなられる方が大衆の中には多いということを考えましたならば、六十五才開始などは、現時点において断じて許さるべきことではありません。しかも将来においてあらゆる産業のオートメーション化を考えましたならば、労働力の新陳代謝をスムーズにするために、将来においても六十才で開始をするというような態度でなければならないのであります。両面から見てもそのような状態でありますのに、そのようなことを数回にわたって指摘をして教えてあげたにかかわらず、これを理解しようとせず、年金法を変える意思を持たないでこれを下げようという意思を示されたのであります。このようなことは断じて年金制度に熱意を持つものとは言えないのであります。 次に現行法の最もけしからぬことは、社会保険主義に堕していて、社会保障に徹底をしていない点であります。保険料は定額保険料であって、大衆にとって非常に負担しにくい保険料である。その大衆が負担をし得ないときにはもらえる年金額が減る。一定限度以下であれば年金がもらえない。それに対して免除をしていると言っておられるけれども、その免除は年金額増大の要件にはほとんどなっておらない。すなわち年金が最も必要な人に年金がいかないようになっている。このようなものは断じて社会保障ではないのであります。このようなことを根本的に変えるために、日本社会党は六十才から月七千円、年八万四千円を保険料支払いの有無に関係せず、あらゆる人に、いやだと言っても無理やりにでも受け取らせる法律を作っているわけであります。そのように、大きく社会保障をほんとうに完成しようという態度と、いいかげんでごまかしておこうという態度には、天地雲泥の相違があるわであります。 無拠出年金にしてもしかりであります。社会党は六十から開始をして、今の苦労をしてきたお年寄りに差し上げよう、年金額は六十からは年一万二千円、六十五から二万四千円、七十から三万六千円を差し上げよう。母子年金にしても、政府案が一万二千円にとどまっているのを、基本額三万六千円にしよう。加算は三倍である。障害年金にしても、政府は一級障害に年に一万八千円しか出さないが、それを四万八千円、二級障害三万六千円、三級障害二万四千円、しかも内科障害にもこれを支給しようというのが社会党の内容であります。これも非常なる相違であります。所得制限において、障害、母子において、日本社会党のが所得制限が実に緩和されておるのに対して、政府の方はきびしい状態であります。 このような案を検討し、われわれはこれを実現するために財政的の完全な配慮をしていることは明らかであります。これを理解しないのは財政を理解し得ない人の考えであります。初年度二千百二十四億円、ほんとうに社会保障をやる気なら断じてできる金額であります。ピーク時において四十年後に九千億、経済成長四%として押えて財政額は十八兆になる。国民全部に一人も漏れなく年金が入るような制度に九千億のような金は何でもありません。そのようなことは何でもない。それでも少ないという世論が出てくる情勢をわきまえないで、財政的にこれがいけないという、そのような愚昧な議論は政治ではありません。 このような立場に立って日本社会党は、改正案を政府が出されたことは千百分の一の進歩であることは認めます。また与党の社会保障に熱心な方が、与党の非常に間違った、国会が開いてから内容を変更し得ないような間違った党内規律のもとで努力をされて、それにさらに百分の一ほどのプラスをつけ加えられた誠意は認めるものでありますけれども、国民の立場に立って、このような一時の改正では、もとの社会保険主義が直っておらない。そして根本的に所得保障をし得る内容でないという劣悪な現行法につながっておるものである限りは、断じて賛成ができないのであります。日本社会党のこの完璧な国民年金法案を今実施してこそ、国民大衆は憲法二十五条の精神がほんとうに実現されることを期待し、安心をするでありましょう、それが生産意欲を振興する。そしてその所得再配分によって生産を刺激し、産業の振興を見、雇用の増大、安定を見、あらゆる面において日本にいい結果をもたらすわけであります。このようなことを踏み切れないようなことは、長い目の政治を知らない者であって、目先の財政の収支、そのような三文形式のような政治家であります。政治を知る者は、断固として、勇気を持ってよいことをやらなければなりません。 児童扶養手当法案が出たことは、ないよりはずっとましであります。しかしながらこの児童手当法案は、生別母子世帯に対する母子福祉年金の支出を要望する声にこたえて、それを制度的に検討されて、児童ということをもとに出された法律であります。日本社会党の法律案においては、生別母子世帯に三千円を支給する内容を含んでおります。この児童扶養手当法案は生別母子世帯に、現行法の月千円までしかくれない金額をもとにして配分をしてあります。そのような三分の一ぐらいの内容では、たとい一歩前進であっても、われわれは法案の関連性からもってして、これに賛成することができないわけであります。児童扶養手当ということにとどまらず、家族手当に発展をするような内容を持ち、金額がよければ、賛成するにやぶさかではないのでありますけれども、このような内容では、ただいまの時点においては賛成することができません。 以上のような理由をもって、私は日本社会党の国民年金法案に全面的に賛成し、政府提案の国民年金法の改正案、また児童扶養手当法案、また自由民主党提出の修正案に反対するものでございます。 私の非常に大きな声で気持を害されたかもしれませんけれども、国民のために懸命に申し上げたことを御理解いただいて、自由民主党の方々も、断じて日本社会党案に御賛成下さることを心から期待をいたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
○山本委員長 井堀繁雄君。
○井堀委員 私は、ただいま議題になっておりまする政府提出の国民年金法の改正案並びに自民党の修正案に対しまして、反対の意思を表明いたしたいと思います。さらに児童扶養手当法並びに自民党の修正案に対しましては賛成の意思を表明いたしたいと思います。 以下簡単にその理由を説明をいたしたいと思います。 すなわち、国民年金法の改正についてでありますが、この機会を政府並びに自民党が逸しましたことを、国民のため、非常に遺憾に思うのであります。年金法の改正には最もよき機会に恵まれておったと思うのであります。それは、せっかく池田内閣が所得倍増計画を中心にする長期財政経済計画を拝見いたしますと、当然この制度については、抜本的な改正が行なわれてくるものであると信じておったからであります。 この政府案がいかに国民の間から不人気であるかということは、私が喋々するまでもありません。先ほど来質疑応答の中でも明らかになっておりまするように、年金制度を始めまする場合には、いろいろな考え方があると思うのでありますが、先ほどの自民党の小沢委員のお言葉を拝借いたしますると、小さく生んで大きく育てるという御説でありますが、私は、そのことについては必ずしも反対ではありません。最初は小さくて将来大きく成長することが、この制度に望ましいことは当然であります。しかしながら、その生まれ出た児童が健康な幼児でなければ、成長いたしません。日本のように幼児の死亡率の高い、それと拮抗するように一この制度の将来は高く評価されなければならぬものであるけれども、その出発にあやまちをいたしますと、虚弱児童というような結果に相なるのでありまして、まさにこの法案はその時期に当面しておると言わなければなりません。 簡単に、国民が批判をいたしておりまする一点をあげますと、先ほどもお話がありましたように、四十年の長い期間に、しかもこの掛金は、貧富の差のはなはだしい、特に低所得者の多い日本の勤労者、特に農村やあるいは五人未満の事業場にある低賃金、あるいは零細企業の低所得者を多く包容しなければならぬ年金制度であることを考慮いたします場合に、一律百円ないし百五十円の毎月の掛金というものは——これらの人々の所得階層を個々に分析するまでもありません、その所得は最低の生活を維持すると言うよりは、動物的生命を維持するに足りない低所得者が多数あるということを見落としてはならないのであります。でありますから、こういう低所得者に対する百円ないし百五十円の負担というものは、言いかえまするならば三度の食事に手をつけるような過酷な負担になるということを見落としてはならぬのであります。まずこの低所得者の負担能力を引き上げる措置が講ぜられ、それをまた引き上げるために年金制度というものが有効な役割を演じてこそ、小さく生まれても大きく育つ可能性が生まれてくるのであります。この点に政府案というものはこの際抜本的な改正をして、すなわちある程度の国庫の負担、あるいは貧富の差に応ずる掛金などを配慮いたしまして、応能掛金の原則を貫いて、この際思い切って低所得者の生活の安定をつちかうような年金制度に置きかえてこそ、所得の倍増も行なえ、国民の将来の福祉をつちかうような基礎が成り立つのであります。年金制度はいたずらにやせた地によい種をまいても、はえるものではありません。私は日本の国民経済の基礎が、この制度を育てるにはあまりに脆弱であるし、多くの欠陥を持っているという点に対して、政府の配慮が足りなかったということをまず指摘したいのであります。この点にてこ入れをして年金制度を育てなければ、小さく生んで大きく育てるわけに参らぬのでありまして、この点は致命的な欠陥であると思うのであります。 次に申し上げなければなりませんことは、この制度の中でスライド制、すなわち調整の制度でありますが、五年ごとに調整をするということは当然であります。私はこの制度の中に、先ほど申し上げたような客観的な情勢を取り入れた措置が講じられてこそ、スライド制の価値があると思うのでありますが、それに対する何らの内容を持っていないということは、まことにこれは例が悪いのでありますが、華をまねて実をとっていないところにあると思うのであります。 また積立金の運用にいたしましても、以上申し上げたような日本の客観的な悪い条件を補強していくために運営されるような措置がとられてこそ、芽がだんだん成長し、ふえてくるのであります。こういう点におきまして、政府案というものは多くの欠陥と言うよりは致命的な弱点を持っているのであります。 私は先日池田総理に、この点に対するよき御答弁を伺いたいと思いまして、わずかな時間でありましたが、試みた質問に対しまして、全く失望いたしました。すなわち年金制度というものを消極的に理解しているけれども、積極的な意義を感じていないというところに、私はこの政府並びに自民党の人々の社会保障制度に対する認識のほどを理解できるような感じをいたしました。まことに遺憾にたえぬところであります。 次に児童扶養手当法でありますが、三点ほど私は問題があると思うのであります。 その一つは、この案の要するに骨子をなすものは、一体この法案は何をねらっておるかということについてであります。私はこの点については、少なくとも名称の上から気がつきますように、児童の扶養手当を児童の手当法とすべきであると思うのであります。すなわち児童に対する国民の義務、国の義務、そして国際的な機関である国連における児童憲章などに明らかになっておりますように、文明国における人間としての当然の義務である児童に対する責任のほどを明らかにしなければならない、社会保障を語る者の第一に処置をとるべき手段であったと思うのであります。それがどう判断をいたしましても、この法案は年金保険の中にあります扶助、母子年金に対する何かつりあいを考えたといったようなこそく的な考え方の上に発足しておるとしか判断できないのであります。この点において政府の考え方はもう少し大胆に、そうしてほんとうに児童を保護するという抜本的な立場から判断して立案すべきではなかったか、この点について私は非常な手落ちがあることを遺憾に思うのであります。 次にあげなければなりませんのは、児童福祉の問題と関連をいたしてであります。その手当の金額でありますが、金額がいかに低いかということを問題にすると同時に、私はその対象が問題であると思うのであります。原案によりますと、父母の死亡ないし疾病に関する場合のことだけを規定しておるのでありますが、児童の場合は、今日この保護を受けなければならぬ状態というものは、そうではないのであります。その原因はおおむね貧困に基づくものであります。でありますから、そういう点につきましては、もう少し角度を広げて考うべきものではなかったか。 要するに、多くの欠陥があるのでありますけれども、わが党がこれにあえて賛成をいたしましたのは、この事柄は、要するに日本の国民の意思のみではなく、国際的な大きな舞台に日本が進出しようとする場合に、この制度を持ち得ないようなことでありましては、国際社会に正々堂々の発言はできないと私は思うのであります。そういう意味で、とにもかくにもこういう制度を立法したということだけでも、せめてわれわれの任務を国際的に公表いたしたいという立場から賛成をいたしておるのであります。従いまして、その改正の急がなければならぬ点については、幾多の用意があるのでありますが、本日は簡単にわが党の立場を述べ、そして児童福祉のために完璧を期するような保護政策というものをまずワクを作り上げ、漸次内容を充実していくという方向へこの法案を作りかえられる時期の一日も早からんことを念願して、私は本案に賛成をするものであります。 第二に、社会党案でありますが、社会党案につきましては、せめてあのくらいの法案が自民党によって賛成をされ、多少の修正ぐらいでこの国会で成立をいたすべきものであることを心から願っておりました。私どもは社会党案に必ずしも満足するものではありませんが、せめてという感じを持ちまして、この案が通ることにひそかに賛意を表しておる次第であります。 以上簡単でありますが、意見の一端を述べた次第であります。
○山本委員長 以上で討論は終局いたしました。これより各案について採決に入ります。 まず、内閣提出の国民年金法の一部を改正する法律案に対する修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山本委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。 次に、ただいまの修正部分を除いて原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山本委員長 起立多数。よって、内閣提出の国民年金法の一部を改正する法律案は、伊藤宗一郎君提出の修正案の通り修正議決すべきものと決しました。 次に児童扶養手当法案に対する修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山本委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。 次に、ただいまの修正部分を除いて原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山本委員長 起立多数。よって、内閣提出の児童扶養手当法案は、松山千惠子君提出の修正案の通り修正議決すべきものと決しました。 ただいまの議決の結果、八木一男君外十四名提出の国民年金法案は、議決を要しないものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山本委員長 起立多数。よって、本案は議決を要しないものと決しました。 —————————————
○山本委員長 この際、伊藤宗一郎君、小林進君、及び井堀繁雄君より、内閣提出の国民年金法の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付すべしとの動議が、また松山千惠子君、小林進君及び井堀繁雄君より、児童扶養手当法案に対し附帯決議を付すべしとの動議が、それぞれ提出されておりますので、その趣旨の説明を求めます。伊藤宗一郎君。
○伊藤(宗)委員 私は、自民、社会、民社を代表いたしまして、国民年金法の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。 案文を朗読いたします。 国民年金法の一部を改正する法律案(内閣提出)に対する附帯決議 政府は国民年金制度の重要性にかんがみ左記事項につきすみやかに検討すべきである。 記 一、左の大綱に従って改善を行なうこと。 1 各年金の年金額を大巾に引き上げること。 2 老令年金、老令福祉年金の支給開始年令を引き下げること。 3 福祉年金の給付制限を緩和すること。 4 保険料、年金額、給付要件、受給対象等すべての面において社会保障の精神に従つて改善すること。 5 右の実現のため大巾な国庫支出を行なうこと。 二、特に左の事項については可及的すみやかに適切な措置を講ずること。 1 保険料の免除を受けた場合にも、少なくとも納付した場合と同様の国庫負担を付することとし、保険料免除を受けたものの年金額を引き上げ全期間免除のものにも年金を給付すること。 2 年金受給要件に達しない者の実納保険料がその被保険者のものとして確保されるようにすること。 3老令福祉年金、母子福祉年金、準母子福祉年金、障害福祉年金、児童扶養手当等の本人所得制限額十三万円を十五万円以上に引き上げること。 4 内科疾患に基づく障害に対しても障害年金、障害福祉年金を支給すること。 5 年金加入前の身体障害については、広く社会福祉施策の全体系のうちでその保障を確保する途を考究すること。 6 老令福祉年金における配偶者所得制限を緩和又は廃止すること。 以上でございます。
○山本委員長 松山千惠子君。
○松山委員 私は、自民、社会、民社三党を代表いたしまして、児童扶養手当法案につき、附帯決議をつけることの動議を提出したいと思います。 案文を朗読いたします。 児童扶養手当法案に対する附帯決議 一、政府は、本制度の実施にあたっては、その原因のいかんを問わず、父と生計を同じくしていないすべての児童を対象として、児童扶養手当を支給するよう措置すること。 二、政府は、児童手当又は家族手当につき、世界の諸状勢を研究しながら将来これが実現につき努力すること。 説明は省略いたしますが、各位の御賛同をお願いいたします。
○山本委員長 まず、内閣提出の国民年金法の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付すべしとの動議について採決いたします。 本動議の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山本委員長 起立総員。よって、本案には、伊藤君外二名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。 次に、児童扶養手当法案に対し附帯決議を付すべしとの動議について採決いたします。 本動議の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山本委員長 起立総員。よって本案には松山君外二名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。 この際、厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。古井厚生大臣。
○古井国務大臣 ただいまの決議の御趣旨を尊重して善処いたしたいと考えます。(拍手) —————————————
○山本委員長 ただいま議決されました三案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 暫時休憩いたします。 午後四時十一分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕 ————◇—————