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38回国会衆議院1961/05/23

社会労働委員会 第36号

発言数
329
登壇者
26
会派数
3
開催日
1961/05/23

会議録

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 これより会議を開きます。  戦傷病軒戦没者遺族等援度法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑に入ります。永山忠則君。

永山忠則自由民主党

○永山委員 今回提案になりました戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正法律案提出の理由はどこにありますか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 今回提案されました遺族等援護法の一部を改正する法律案の改正の要点を御説明申し上げますと三点ございまして、第一点は、国家総動員法による被徴用者でありまして非戦地勤務の有給軍属でございますが、これらのものを援護法上の準軍属として取り扱いたい。これらの人々は従来は、旧令による共済組合等からの年金の受給者のための特別措置法によりまして処遇されておったわけでございますが、この法律は援護法と近いまして遺族に対する年金の支給要件等が異なりますので、これらの被徴用者がこの特別措置法では年金を受けられない場合があるわけでございます。たとえて申しますと、戦没者が長男であった場合にはその父母等は年金を受けられますが、次、三男がなくなったときには支給要件が違いますので、つまりその名によって生計を維持していたという要件が共済組合の方は要りますので、そのためにこれらの者が死亡した場合に年金を受けられないのでございますが、そういった共済組合等からの年金が受けられなかった場合に、そういう人々を援護法で救済していこうというのが第一点でございます。これは内規におきまして、民間の工場に徴用されておる者につきましては援護法が適用になっておりますが、たとえば軍の海軍工廠等に徴用された者等につきましては、ただいま申し上げたように援護法の対象でなく共済組合等からの援護を受けておったのでありますが、この法律の要件が違います関係で共済組合等から受けられないものを援護法で拾っていこうということでございます。  第二点は、旧民法にいわゆる入夫婚姻をした者でありますが、これらの者の妻の父母に対しまして援護法によって遺族年金あるいは遺族給与金を支給しようというのでございまして、入夫婚姻した者と妻の父母との関係は法律上の親子関係がなかったわけでありますので今日まで取り上げなかったわけでありますが、これは婿養子の緑組みと大体同じような関係にあるという観点から、法律上の親子関係ではございませんが、ここに新しく援護法の対象に取り入れようという考えでございます。  第三番目は、恩給法によりまして傷病者の恩給等が四項症以下このたび増額になりましたので、それに伴いまして援護法におきましても同じように障害年金を増額しよう、この三点でございます。

永山忠則自由民主党

○永山委員 この法案が提出されました根本理由は、恩給法等の一部改正並びに昭和二十三年六月三十日以前に給付事由の生じた国家公務員共済組合法等の規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案は関連一体をなしていて、長年待望いたした戦地加算の復権も認められ、不均衡の最大なるものが是正されたことを喜ばしく感じているのでありますが、要するに残されたる処遇の不均衡改善ということに重点があると考えるのですが、どういうようにお考えでございますか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 今回の援護法の改正と恩給法の改正との関係でございますが、直接に関係を持ってきますのは、ただいま御説明しました第三点の傷病恩給の増額に伴う障害年金等の増額でございまして、他の徴用によりますところの戦地勤務の有給軍属とかあるいは入夫婚姻の場合は、直接には恩給法の改正とは関係がないと思いますが、しかしただいまお話のございましたように、この際に恩給法の改正とは別に、今までこの援護法で未処遇になっておりました人々に対して、ここでこの範囲を広めていこうということには違いはないと考えております。

永山忠則自由民主党

○永山委員 この今回提案になりました中心をなすものは、あるいは基因をなすものは、昭和三十三年に恩給法等の一部改正等が出まして、その際なお不均衡が残されておるというので、当時の福永内閣委員長から八項目にわたりまして、政府へその残された不均衡に対してどうする考えであるかということを質問をいたしたのであります。時間の関係がありますので、一問一答を避けて申し上げますが、その際に、第一に遺家族の公務扶助料の倍率及び支給条件等の是正、第二が傷病恩給の間差、等差及び他の恩給との不均衡是正、三が仮定俸給抑制措置の是正、四が文官恩給に内在する不均衡の是正、五が旧軍人等恩給失権者に対する加算制度の実施、六が旧海軍特務士官の仮定俸給基準の是正、七が元満州国等外国政府職員の通算実施、八が金鵄勲章年金受給旧軍人に対する処遇の改善等、この項目にわたって政府に質問をいたしましたが、これに対して当時の今松総理府総務長官から、御指摘の点については、いずれも検討すべき問題を包蔵しておるので、政府としては十分検討した上で善処するということから、政府が検討の上にこの不均衡の是正を目ざしてなされたのでございます。が、私は今回提案のもののみにては、なお現在これらの処遇に関して不均衡の是正が十分なし得ていないというように考えるのでございます。従ってこれは恩給局長に、関連しておりますから特にお尋ねしたいのでありますが、現在の公務員の給与ベースに比較してどういうようなベースに今恩給関係がなっておりますか、その不均衡に対しては是正をせねばならぬとお考えになっておるかどうか。すなわち旧恩給の関係のベース・アップ等は考えるべきではないかという点に関する意見を伺いたいのであります。

八巻淳之輔総理府事務官(恩給局長)

○八巻政府委員 恩給法の上での基本といたしまして、退職公務員の恩給の給与ベースというものはどうなっておるかということでございますが、これは昭和三十三年の法律百二十四号というものによりまして、それまで二万二千円くらいであった人がそのままになっているということでございましたが、この法律によりまして一万五千円ベースに引き上げるという措置をいたしたわけでございます。従ってその限りにおきましては、昭和二十九年一月一日以降にやめた人とそれ以前にやめた人とのバランスがとれるようになったわけでございます。しかしながらその際、相当なる財政需要にもなるわけでございますので、この一万五千円ベースの引き上げということにつきましては、下級者に厚く上級者に薄く、こういう精神でもって勅任官、すなわち軍人で申しますと将官クラスにつきましては一万二千円ベース据え置き、それから判任官クラスにつきましては全面的に一万五千円ベースにする、中間の高等官クラスにおきましては二万二千円ベースから一万五千円ベースの増額分につきまして一割減とか二割減とか、ある程度の抑制を加える、こういうふうな操作をいたしたわけでございます。  御質問の点は、その後一万五千円ベース以後におきましても公務員の給与ベースが上がった、それとの関連において恩給のベースも一万五千円ベースからさらに上昇せしめるべきではなかろうか、こういう御質問かと思いますが、恩給のベースと申しますのは、必ずしも公務員の給与ベースの上がりに伴ってリンクして上げなければならぬ、こういうことにはなっておりませんけれども、退職公務員の生活実態というものを考えまして、それぞれそのとき、その時代における生活水準というものに見合って検討していくということは、従来取り来たった手法でございます。さきに恩給法を御審議願った際に総理府総務長官からも御答弁がございましたが、この問題につきましては、今後の生活水準なりまた物価の見通し、そして財政需要がどうなるかというふうなことといろいろにらみ合わせまして十分検討していきたい、こういうような御答弁をしております。

永山忠則自由民主党

○永山委員 昭和三十三年に一万二千円が一万五千円のベースに上がっただけでありまして、その後国家公務員あるいは地方公務員は毎年ベース・アップができておるのでございますから、しかも経済の成長によって国家財政は安定の域に達しようとしているような現在においては、すみやかにベース・アップをやるべきである、われわれはこの法案の際に当然ベース・アップが盛られておるべきであるとさえも考えておるのでありますが、このベース・アップが取り残されておる点は遺憾でございますから、すみやかにベース・アップの処置を講じられるよう期待をするものであります。その場合において特定恩給の抑制措置は当然に是正されなければならぬと考えておるのでございまして、恩給の本質から見まして、頭打ちをするということは本質でないのであります。ただ当時は経済的な事由が国家財政の点から非常に制約を受けておりまして、三カ年間三百億という引き上げのワク内で操作するというような状態でございましたので、経済の関係においてやむを得ず頭打ちをいたしたのであるとわれわれは解釈しておるのであります。経済がよくなった今日としては、これはすみやかに是正をされなければならぬというように考えておるのでありますが、恩給局長の御答弁を承りたいと思います。

八巻淳之輔総理府事務官(恩給局長)

○八巻政府委員 先ほど申しましたように、二万二千円ベースから一万五千円ベースにいたしますときに、上級者についてある程度の抑制をしたということを申し上げたわけでございますが、この抑制を解除するということをやるべきではないかという御意見でございまして、この点はさきに法律百二十四号が通りますときも、内閣委員長からの、先ほどおあげになりましたが、要望事項の一点としてあげられておるわけでございます。もちろんこのベースを抑制するということは、財政的な立場からもございましたし、また全体的な体系として上薄下厚というような思想も盛り込まれておるような結果でございまして、これらの抑制措置というものをいつ解除するかということにつきましては、全般的な問題とからんで適当な機会に検討していかなければならぬ、こういうように考えております。

永山忠則自由民主党

○永山委員 抑制措置に対しましては、われわれは思想的にこれを押えていくというような考え方は少しも内在していないと思うのです。単なる経済的理由だというように感じておりますので、すみやかにこれが是正を要望いたすものであります。さらに恩給法並びに援護法の関係は、どこまでも不均衡の是正というところに重点が置かれなければならぬのであります。従ってベース・アップを要求いたしますのも、現在の公務員との不均衡是正という点でベース・アップをわれわれは要求いたしておるのであります。  次に不均衡の是正を考えられることは何であるかといえば、今回の処置をとられましてもなお文官と軍人と傷病軍人との不均衡が残されておるように考えるのであります。すなわち終戦時を一といたしますと、旧文官は——現在の公務員ははるかに上回っておるのでありますが、いわゆる恩給関係の文官は百九十八倍でございます。軍人恩給は百七十三倍でございます。傷病軍人の方は百十倍でございます。もちろんこの数字に対しましてはその取り方等いろいろありまして、決定的な数字ではございませんが、およそ開きがあり不均衡が残されているということだけは考えられますので、これらの不均衡は是正されねばならぬというように考えるのであります。こういう不均衡が残されている原因は、まず遺族の関係で申し上げますれば、どこに基因しておるかといえば、三十三年恩給法改正の審議の際に、当時の内閣委員長指摘になっております第一項目にありますごとく、遺家族公務扶助料の倍率及び支給条件の是正という問題がございます。すなわちその倍率が四十割になるべきものを三十五・五倍に押えたからであります。この四十割の倍率でこれを計算いたしますと、大体均衡がとれる状態にいくのではないかと考えるのでありますが、当時やはり倍率は押えられまして三五・五倍になったのであります。これは文官が四十割でございましたので、文官との均衡をとれ、そして四十割にすべしということを主張したのでありますが、政府は逆に文官の四十割をベース・アップによって埋没主義をとって三五・五に押えて均衡をとったとであります。そして均衡化されたのでありますが、当然上がるべきベース・アップの利益を受けずに埋没主義をとられて実質的に不利益な処分を低所得者にするというような消極的な政策をとるべきではないのでありまして、当然に文官四十割の線へ遺家族の倍率もスライドすべきであったのであります。しかし何しろ多数の犠牲者でございますので、非常なる金額に上昇するというような点と、とりあえず文官との均衡というような点に重きを置かれたので、そういう消極的な政策に終わったのであります。この点われわれは強く政府に反省を求めておるのでありますから、すみやかに遺家族の関係においては倍率を引き上げる。さらにまた未亡人となって子女の教育並びに家庭の関係において苦難を続けております者の金額が五万二千三百円でございまして、全く生活保護よりは悪い部分もあるような状態でございます。国家財政が今日のごとく伸びておるこのときに至っても、なお顧みないというようなことをわれわれは容認するわけにはいかないのでございまして、倍率の是正と同時にベースを引き上げ、かつ未亡人の特別加給等の問題についても、政府は十分考慮すべきである。さらにまた公的年金と社会福祉年金との併給関係に対しては、総理はぜひこれを実現するということを声明されておるのでございますし、厚生当局もこれらについて十分検討をしておるものだと考えておりますが、こういう倍率引き上げ、ベース・アップ、未亡人加給、福祉年金併給等の諸点において、遺家族の今日の取り残された不均衡な待遇を是正していただきたいと考えておるのでございます。  時間がございませんから、引き続いて傷病恩給の不均衡に対しましても、これが是正を政府は勇敢に実行することを、われわれは要望をいたさなければならぬのであります。最も不均衡の線に置かれておる原因は、ここの三十三年恩給法一部改正の内閣委員会審議の際において指摘いたしましたように、傷病恩給の等差等、他の恩給との不均衡の是正という言葉で指摘いたしておりますが、傷痍軍人の算定基準が普通公務の基準になっておるのであります。もちろん戦闘公務、普通公務というような関係は考えられずに、昭和二十八年度において、恩給法を復活する際につまみ金で計算をされたのでありまして、その際例の一項症を月一万円というようなほんとうの観念の数字で基礎を作られたのでございますが、やはりそういうことが今日の不均衡の一番大きな原因になっておるのでございまして、われわれ遺家族におきまして、倍率の四十割引き上げ等々を要望いたしますと同時に、傷痍軍人に対しましても、戦闘公務基準を中心に基準金額を是正していくべきであると思うのであります。そうすると第一項症の兵の階級の増加恩給は年額二十万一千円になるのでございまして、現在の十七万円ではとうてい不均衡の是正はされないのでございます。こうしてまず算定基準を戦闘公務の基準に置きかえ、さらに間差を旧法の間差に是正をするというようにいたして、家族加給はやはり一人に対して今二千四百円でございますが、これを四千八百円の額へ引き上げて、傷病年金受給者に対しても、文官と同様家族加給を支給する、非戦闘地域の職務関連傷病の特例を認めるというようになって初めて均衡がとれるのでございます。傷病年金受給者に対する家族加給は、今回の是正にも全然触れておりませんが、政府当局はこの点は、文官の方はベース・アップの際に埋没主義をとって、家族加給をなくしつつあるから近く均衡になるというような考え方でございますが、この埋没主義という低所得者に対してベース・アップを押えて家族加給を吸収するというような、全く血も涙もないような施策をおとりになるというようなことによって、そうして文官と傷痍軍人との均衡をはかろうという考え方に対して、われわれはむしろ憤激をいたしておるのでありまして、不均衡の是正は率直に認められて、傷病年金の受給者に対する文官と同様な家族加給も考慮せられなければならぬ、こういうようにされまして、初めて均衡がとれるのでございます。また金鵄勲章受給者の処遇措置も不均衡是正の一環としてぜひこの場合解決すべきである。また昭和二十三年六月三十日以前に給付事由の生じたる公務員のベースの是正に対しましても、この頭打ちの是正を見ないときにおいては、十分なる均衡の是正をとることはできないのでございますから、これらの不均衡の是正は、政府は必ず次のベース・アップと相ともになさねばならぬことであると考えておるのでございますが、政府の御意見を伺いたいのであります。

八巻淳之輔総理府事務官(恩給局長)

○八巻政府委員 御質問の点は非常に広範に分かれておりまして、逐一申し上げて参りますと時間がかかりますが、重点的に傷病恩給のことにつきまして申し上げたいと思います。傷病恩給が文官恩給に比べて非常に冷遇されておる。戦前との比較において、戦後の処遇として傷病恩給が文官恩給と比べてみると冷遇されているじゃないかというふうなことを、数字をあげて御質問になったのでございますが、これは見方の問題でございまして、全般的な総体観察として見ますと、財政支出の面で昭和十八年と昭和三十五年というものを比べて参りまして、一人当たりの財政支出がどのくらいの規模にふくれておるかということを見ますと、文官恩給では大体百二十九倍ぐらい、傷病恩給では百八十五倍ぐらいになっているわけです。これはまあ平均ですから、いろいろございますけれども、総体観察としては、文官恩給百二十九倍に対して、傷病恩給の受給者に対しては戦前に対して百八十五倍の処遇をしておるということで、全般的な大量観察としては傷病恩給の方に相当手厚く財政的には保護しておる、こういうことが言えると思うわけです。ただ、たとえば文官恩給の中でも同じ百二十九倍といっても、上の方の勅任官クラスと判任官クラスというものが同じ率ではございませんで、上の方が戦前に対して九十倍ならば、下の方の判任官クラスは百八十倍にもなっておるというふうな上下の開きはございます。このことは、傷病恩給につきましても、重症者には厚くし、軽症者には軽くしていこう、こういう精神が盛られておりますから、今申し上げました戦前に対して金額的には一人当たり百八十五倍になっておりますが、軽症者にはそれほどいかぬ、もっと低い、重症者についてはもっと高い、こういうふうなことになると思います。ですから、軽症者あるいは判任官クラスの恩給というものだけを比べると、いかにもそうしたアンバランスというものが起こり得ると思いますが、それは標準のとり方でございまして、全般的な観察としては、国家財政の上で傷病恩給に相当手厚くやっておるということを御了解願いたいと思います。  なお、昭和三十三年の法律百二十四号で、傷病恩給につきましてのいろいろな御注文がございまして、傷病恩給の間差、等差等につきましての是正をさらに求めるというお話がございまして、その翌年におきましては、傷病恩給の等差、すなわち第一項症から下は第四款症まで、傷病の状態の中で十一通りに分かれております。その中身で内部疾患関係のものについての基準がはっきりしておらないということと同時に、非常に今まで辛目であるというふうな御批判がございましたので、これにつきましてのはっきりした内部疾患に関する査定基準を設けるというような改正を翌年にしております。それからまた、今回はさらに傷病恩給の間差——間差と申しますると、第一項症を一〇〇といたしまして、一番下の方の第四款症は幾らというふうな年金額のきざみでございます。これをさらに下の方を縮めていくという操作をいたしておるわけであります。従いまして、百二十四号で大筋のことをやりましたけれども、なおあとの仕上げというふうな意味の手直しを今回やったようなわけでございます。この第一項症の額というものが、全体の傷病恩給の各年金の体系におきまして、結局第一項症の額を一〇〇として幾らというふうになっておりますから、第一項症の額をどうきめるかということが重要な問題になってくるわけであります。そこで第一項症の額を、戦闘公務は幾らであったから何円にする、普通公務は何円であったから何円にするというふうなとり方もございましょうけれども、昭和二十八年に軍人恩給が再出発いたしましたときに、戦闘公務だ、普通公務だというような公務の原因別というようなものを廃止しまして、現存する障害の程度というものに重点を置くということになったわけでございます。その際、先ほど永山委員からも御指摘の通り、そのときの恩給法特例審議会におきまして、第一項症の額というものを大体そのときのベースにおいて、月一万円くらい、すなわち年額といたしましては十一万七千円になったわけでございますが、そういうことできまったわけでございまして、これをその後は踏襲して、百二十四号におきましても、ベース・アップに応じて、ベース・アップをして参ったわけであります。従いまして、第一項症の額というものを、戦闘公務である、普通公務であるというものとのリンクにおいては考えておらない、こういうことを申し上げておかなければならぬと思います。  また家族加給の問題でございますけれども、現在増加恩給の受給者については、退職後子女に対しても家族加給をつけておる。これは全体の災害補償の体系が、年金体系の上で、保険事故の発生後において生じた条件の変化というものに対して給付の条件を左右しないということが鉄則でございますけれども、増加恩給の受給者につきましては、特に退職後、子女につきましても加給を設ける、こういう制度を百二十四号で作ったわけであります。従いまして、こうした例外的なものでございまするから、四千八百円という年額の加給に対しまして、これは二千四百円というふうに半分にいたしておるわけであります。これを四千八百円にせよという要望がございますけれども、やはり私は原則からはずれた例外的措置であるということで、そこに色彩の違いをつけておく必要があるのじゃないかと考えております。  また傷病年金の受給者につきましても、その家族に対して加給をつけようという御要望がございますけれども、この傷病年金という形の症状の程度につきましては、一般の災害補償等によりましては、一時金で打ち切られているというような例もございまして、百五十五号の当初案におきましても、これは一時金の給付の精神を年金に切りかえたという筋でございますので、こうした軽症者にまで家族加給というものをつけることはいかがであろうかということで、今回も見送っておるわけであります。  そういうふうなわけでございまして、もちろん傷病恩給の実質あるいは遺族扶助料に対する実質につきましては、国力の充実なり生活水準の上昇に伴いまして、いろいろ見直して検討していくことが必要であろうと思いまするけれども、そうしたいろいろな数字の点ではなかなか御要望の点通りには参らぬ点もございますので、今後とも検討さしていただきたいと思っております。   〔委員長退席、 柳谷委員長代理着席〕

永山忠則自由民主党

○永山委員 時間の関係もありますから、議論は避けたいのでありますが、結局は恩給局長の所見には遺憾ながら賛成しがたいのでございますが、文官との均衡の問題につきましても、傷病恩給の方は一項症の方だけを戦前に比較的近いものにしておいて、他の方をうんと薄く押えているというような関係におきまして、この高い基準を中心に計数を出した魔術でありまして、基準のとり方によっていろいろ数字が出ているのでありますが、実質的に全体から見まして傷病軍人の処遇が一番低い、不均衡であるということは何人も否定できない事実でありますので、この点は再び時期を見て御懇談なり政府の反省を求めるつもりでございますが、家族加給の点についても全然所見を異にしている点もございますが、これらは別の機会に譲ります。  また等差の関係におきましても、内部疾患だけが是正されたので、さらに不均衡が一そう明らかになりましたので、恩給法の別表の第一号表及び二号、三号の改正までしなければ、均衡にならないというように感じておるのであります。  さらにまた、恩給法上の附則の第二十二条による資金受給者の事後重症の請求権も認めなければ、事後重症で今日恵まれなくて悩んでいる者が多数ある現状をわれわれは黙視できぬのであります。  これを要するに、援護局長に御質問申し上げたいことは、遺家族にいたしましてもあるいは傷病軍人にいたしましても、恩給法上、援護法上の点の不均衡是正、処遇改善をすることはもちろんでありますが、これだけでこれを処遇改善しようということだけでなしに、別に傷病者の方から申しますと、単独法を制定されまして、そうしてみずからが団体の力でもって、組織の力で更生ができる積極的な方途を講ぜられる時期がきているのであります。すなわち傷病者の団体並びに遺家族の団体が福祉法人を組織いたしまして、職業の訓練、あっせんあるいは更生医療等、あるいは子女の教育というようなみずから立ち上がってやがて更生ができる方途について、一段と積極的な政策を推し進めていく、すなわち遺族並びに傷病軍人の各団体の活動強化に向かいまして指導助長するというように一段と積極的な施策をめぐらす必要があると思うのであります。この点に関する御意見を伺いたいのであります。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 ただいまの傷痍軍人等につきまして、団体で職業訓練とかあるいは更生医療の問題を解決していくことについてのお話であったかと思いますが、御承知のように援護局の所管でないようなこともございますので、責任のある御答弁はできませんが、ただこういった人々の置かれております特殊事情にかんがみまして、今後これらの人ができるだけ団体の機関も利用しまして、こういった職業の訓練とか、更生医療の問題とか、とにかく団体として協力して立ち上がれるという問題につきましても、私の所管の問題だけではございませんが、今後いろいろ検討して参りたい、そのように考えております。

永山忠則自由民主党

○永山委員 中小企業におきましても、農業関係におきましても、各団体の強い指導力が自分の生活権と地位を守っておるわけでありますので、どうしてもこの場合遺族の団体、あるいは傷痍軍人の団体の単独法を制定されまして、積極的にこれが助長指導するという方途を進めまして、抜本的に処遇の改善がみずからの力によっても強く批准できるような状態をお作りになることを要望するものであります。  この場合大蔵当局に質問をいたしたいのでございますが、遺族関係の未処遇関係で、今回提案されたのはわずかでございます。年齢制限撤廃、支給条件の改善、戸籍上の不備による失権等々、まだ未処遇関係で残されたものが多々あるのでございますが、これらの点については一々例を申し上げることは差し控えたいのでございますが、多々あるということを申し上げて当局に——未処遇でありますから、今なお自分の子供が死んでおっても、それに対して何らの国家の思想を受けていない、遺族扶助を受けていないというような悲惨なる状態が残されておるのであります。いわゆる失権者でございます。この失権回復ということが今回の法案の中心になっておるにもかかわらず、なお失権者が残っておるというような点は最も遺憾でございますが、その例として大蔵省に関係ある点の一つを申し上げるのでございます。これは大蔵省関係でありますが、この旧陸海軍の共済組合が戦時災害で死亡したとき、陸軍関係では大東亜戦争中の全期間を通じてその遺族に殉職年金を出しているが、海軍関係では昭和二十年四月一日以降、終戦までの期間内に死亡した組合員の遺族のみを対象にしているこの不均衡を改めるべきであるということはもうきわめて明瞭なるのであります。陸軍と海軍と完全に不均衡が存在しておるのであります。この推定人員はわずか三百名となっておりますけれども、こういう不均衡が是正されねばならぬというので、わが党は党議としてこれを政府に強く満場一致で要望しておるにかかわらず、本法案からこれは除外されておる。すなわち、そういう結果になるということは、大蔵省所管でございますが、積極的にやる意図はもちろんないのでありますが、こういうのを作意的に出さずにおいて、できる限り恩給是正の足を引きずっていこうというような考え方が内在するのではないかというように非常に不満を持っておるのでございます。こういうように不均衡が今なお残されておるという事例の一つを申し上げたのでありますが、この点に関する大蔵省の意見を伺いたい。

岩尾一大蔵事務官(主計官)

○岩尾説明員 旧令共済の問題でありますが、大蔵省で担当しておりますのは給与課でありまして、私の所管ではございませんが、旧令共済につきましては、大蔵省といたしましては従来の確定いたしました権利義務を承継するという立場で、この財産その他を受け継いでおるわけでございます。従いまして、新しく権利を設定するという点につきましては、特に考えることはいたしておりません。また現在の陸海軍の不均衡につきまして、今申されました大東亜戦争期間内のことだけを調整いたしますと、さらに内部的には陸海軍同士におきまして、たとえば女子工員の所遇等さらに不均衡の問題もございますので、そういった問題もありますから、調整するとすれば、さらに全面的な立場に立って再検討する必要があります。現状におきましては、私たちとしては確定いたしました権利を承継するということでこの問題はやっておるわけであります。

永山忠則自由民主党

○永山委員 この恩給法関係等の不均衡は、一つを直せば他に影響するからということで足踏みするのではなくて、合理的な、また必要なものはこの場合必ず是正をされて不均衡をなからしめるということがやはり本法案の提出目的でございますので、残された問題も多々ございますから、さらに検討の上、これが是正を期待するものであります。  同時に、いま一つ残された問題の例を申しますと、元南満鉄道株式会社職員で特殊の業務に従事して、それに起因して死亡し、または負傷したる者に対して、軍属として戦病者戦没者遺族援護法の適用を受けるようにすべきではないか。これは南満鉄道というものは株式会社は形式的でありまして、実質は国家機関であったのでありまして、株式の半数は国家が持って、役員はすべて政府が任免して、経営の基本方針は政府監督であったのであります。さらに船舶運営会の船員が軍属として適用されておるというような点から見ましても、この不均衡は当然に是正をされなければならぬと考えるのでございますが、この点に関する政府の所見を承りたいのであります。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 御質問は、満鉄職員の特殊の事業等に関しまして、これを援護法に適用したらどうだというような御質問かと思いますが、現在満鉄の職員につきましても、個々に戦闘に参加した者につきましては、戦闘参加者として援護法の適用になっております。それからなお、終戦後向こうに抑留された者につきましても、特別未帰還者として援護法の対象になっておりますし、あるいは中に戦犯等になりました者も対象にしておるわけでございまして、個々にケース・バイ・ケースにそういう者につきましては援護法の対象にしておるわけでございます。そこで、そういう個々の事件に関係なしに全体について対象にするという問題につきましては、これは現在一般の戦災者等との関係もございますので、これを全体的に取り上げることにつきましては問題があると思いますが、そういう個々のケースにおきまして援護法に取り上げるべきものは取り上げるということで考えております。

永山忠則自由民主党

○永山委員 満鉄関係の犠牲者はほんの一部だけが援護法が適用されておるのでありますから、全面的に恩給並びに援護法の適用を受けられるように政府は十分検討をされねばならぬというように考えます。  時間がございませんから、最後にもう一点だけお尋ねしておきますが、昭和三十三年五月の関連法律の改正で、大戦中国家総動員法または軍の要請に基づいて出動して、不幸にもその犠牲となって果てた動員学徒、国民義勇隊についての国家補償の関係でございます。ことに私は広島の関係でございますが、原爆関係によりまして動員学徒が多大なる犠牲を払っておるのでございます。この点に関しまして、法律は障害給与金の支給が五カ年間となり、また遺族給付金の支給は軍人、軍属の半額で、しかも五カ年で打ち切られており、かつ支給条件が制約されているのであります。これを五カ年で打ち切ってしまうというようなことは、当時議論をいたしまして、われわれとしては絶対にこれは年金として終身にして、かつ支給条件は緩和すべきであるということを政府に要望をいたして、これが改定を迫っておるのでございますが、この期限は昭和三十八年には切れますので、ぜひこの点に関して五カ年間の打ち切りとせず、年金にすること、支給条件を是正することを強く政府に要望し、政府の所見を承りたいのでございます。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 動員学徒等のいわゆる援護法におきますところの準軍属につきましては、先ほどお話しございましたように、軍人あるいは軍属とはその処遇を異にしておりまして、御説明ございましたように、軍人、軍属につきましては年金が支給されております。それに反しまして、動員学徒等いわゆる準軍属につきましては、金額が軍人、軍属の半額でございます。なお期限は五年間ということになっておるわけでございます。ここに軍人、軍属と準軍属とに相違がございます。先ほど御要望の点は、準軍属の処遇を軍人、軍属と同等にして年金を支給するようにというような御趣旨だと存じます。この問題につきましては、最初援護法ができましたときには動員学徒と準軍属については弔慰金だけでございまして、その後、三十一年ですか、できました軍人恩給等調査会等がございまして、いろいろ不均衡その他要望事項を検討しました結果、この動員学徒等の準軍属に対する処遇について答申が行なわれております。その答申を受けて法を改正いたしまして、今の給与金と障害年金が準軍属に支給されることになったわけでございますが、その答申によりましても、準軍属と軍人、軍属とは国家とのつながりにおいて身分的の関係がないものとあるものという点が相違をいたしますので、これと同じような処遇をすることは適当でない、しかしながら国家総動員法によって強制されたものであるので、そこに何らかの処置はしなければいけない、その処置といたしましては、一時金を分割するというような意味において期限を限って、そしてその金額等も考慮いたしまして何らか特別の措置を講じたらいい、こういうような御答申になっておりまして、それを受けてこの準軍属に対する処遇が援護法の中に取り上げられたわけでございます。従いまして私たちはやはり国家と身分関係がある軍人、軍属と動員学徒等について、そこに相違があることは社会通念上しかるべきかと思われますが、なお現状にかんがみまして、また御質問の御趣旨もございますので、今後十分その点については検討したいと考えております。

永山忠則自由民主党

○永山委員 それではこれで終わりますが、今局長が言われました軍人恩給等調査会の答申の件でありますが、この答申に対しましては、わが党を代表して私も出たのでございますけれども、その際において答申が経済的な理由だけを中心にいたしてきわめて不当なものであるという観点において、われわれは席をけって立ちまして、この答申に対しては反対の意見を出しておるのでございます。従ってまた国家総動員法または軍の要請で出動した動員学徒等に対してはやはり軍属と同じような処置へ持ってくることが妥当であろうというように考えて、わが党においても強く政府にこれを要望しておるのであります。ただ期限が三十八年までございますので、今回この案を出すことが取り入れられなかったのでありますが、すでに期限も切れますので、すみやかにこれを年金に改めて、軍属と同じような金額に引き上げ、支給条件も緩和するということを政府に要望いたします。これを要するに、戦争犠牲者処遇は今なお幾多の不均衡が残されておりますから、これを是正するとともに処遇を改善することを強く要望し、時間の関係がありますので、大臣に大いに言いたいのですが、他は留保いたしまして、一応他の人にお譲りをしたいと思います。

柳谷清三郎自由民主党

○柳谷委員長代理 大原亨君。

大原亨日本社会党

○大原委員 最初に、この法律に基づきまして今日までなされました援護の実態といいますか、件数と、それから予算額につきまして、給付項目別に一つお答えいただきます。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 遺族等援護法の施行状況でございますが、対象別に分けまして、軍人につきましては当初二百万八千二百名の対象でございましたが、今日裁定しておりますものが九八・七%であります。軍属につきましては十四万五千百人のうちで九七・九%、それから準軍属につきましては法律の施行が三十四年でございましたので現在七二・七%終了しておりまして、全体を通じて考えますと、今日まで九七・四%の裁定が終わっている、かように考えます。  そうして全額を申し上げますと、三十六年度におきますところの遺族年金、障害年金の給付に要します費用が八十三億八千三百万五千円でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 いろいろ御質問したいことがあるのですけれども、できるだけ問題点を集中的に質問したいと思います。準軍属の裁定状況が七二・七%と非常に低いわけですね。それでこの書類その他、申請に対しての裁定ですね、これの実際の裁定になりました件数を、今の遺族年金、遺族給与金あるいは障害一時金、大体こういう二つの区別でお答えいただきたいと思うのであります。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 準軍属の七二%と申しますのは、法律の施行が昭和三十四年でございますが、軍人、軍属につきましては昭和二十七年でございます。そこで施行がおくれておりますので七二%しかいっておりませんが、それはそういう事情でございます。  なおどれくらい受け付けたか、裁定数はわかっておりますが、受付数は今数字を持っておりまんので、後ほど御提出いたしたいと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 今の点は明らかにしていただきたい。私も資料をいただきたいのですが、きょうお答えできなければ、あとでよろしいから資料をいただきたいです。というのは、障害一時金や遺族給与金、これを申請をいたしまして援護局の方で裁定をするわけですが、申請されたもので却下されることが非常に多い。これは各条目による問題の解釈ももちろんございます。それから特に準軍属の中で動員学徒などは原爆症の関係が多いわけです。特に内科的疾患、ケロイドその他の問題につきまして、この社会労働委員会あるいは厚生省の公衆衛生局関係の医療法等におきましてもずいぶん今日まで審議が進んで、立法につきましても、原爆症の考え方等についても相当進んだ考え方を持っておるわけです。しかしながら援護局はその点が非常にきびしいのではないか、こういう意見が出ておるわけであります。原爆の放射能を受けると非常にからだの抵抗力が減退をしている。そして原爆症自体についても相当研究が進んでおりまするけれども、しかし原爆医療法によりますると、いわゆる認定破爆者という範囲と、そして放射能を受けていろいろな疾病を発生する可能性が強くて健康管理を要するし、国が医療費を支給するという特別被爆者は七、八万人にも達しますけれども、そういう問題等の諸制度が進んでおるわけであります。特にケロイド等によりまして、内科的な疾患と相伴うて、娘さんにいたしましても結婚ができないで一生を棒に振っておる人がたくさんあるわけであります。そういう人たちは、今永山委員も触れられましたけれども、軍人や軍属以上に、動員学徒その他命令によって出ていったので一生を棒に振るわけであります。これは生きて死ぬる以上に苦しい場合があるわけであります。障害一時金という場合でありますけれども……。私は基本的にはこの法律の考え方が了承できないけれども、とにかく私が申し上げる点は現行法の裁定状況、そういう問題につきまして、もう少しそういう申請者の立場で実態に即してやっていただきたい、こういうふうに思うわけです。申請いたしましてからほとんどが却下されていて、ほとんど裁定になってない、こういうふうに非常にたくさんの意見が出ております。もしこの点について御見解があればお伺いいたしまして、資料は後ほど出していただく、こういうふうにお願いをいたしたいと思うのであります。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 数字は、動員学徒だけではございませんが、大体準軍属といたしまして十一、二万対象を予定いたしましたが、八万のものは裁定しております。八万裁定いたしまして、却下したものが準軍属で三千五百件くらいになっております。それでそうきびしくやっておるわけではございません。御質問の点のいわゆる原爆ケロイドにつきましては、日本では初めての問題でございます。これに該当しております者が大体千百五十人から二百人ございます。原爆によって顔面その他に醜状を残しておるという人に対してどういう障害年金を支給するかという問題でございますが、こういうことが初めてでございますので、これらの原爆ケロイドにつきましてはいろいろ検討をいたしました。その期間が長くかかりましたので御迷惑をかけたと思いますが、最近結論が出まして、大体申請の半数につきましては裁定済みになっておりますので、その御不満はなくなるかと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 とにかく資料を出していただきます。それからもう一つ基本的な問題ですが、今永山委員からもありましたが、軍人、軍属と動員学徒や徴用工や義勇隊等のいわゆる総動員法による命令動員、こういう人々の処遇上の差別をするということの根拠はどこなんですか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 先ほど永山委員の御質問に対しまして御答弁いたしましたように、これは結局戦没者でありましても、そこに軍人、軍属と動員学徒のような準軍属と、処遇をどうするかという問題でございますが、調査会の御答申にもございましたように、そこには、事情はよくわかりますが、やっぱり国と身分関係、雇用関係があって専心それに従事していた者と、それから徴用令、総動員法によりまして徴用された者との間には区別をするのがまあ普通の措置ではないだろうかというような御答申もございましたので、事情はよくわかりますが、やっぱりそこに処遇において差をつけたわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 臨時恩給等調査会の答申については、私どもは了承できない点がたくさんあるのですけれども、しかしその中でもどの程度差をつけるかという問題等を含めまして、大体半額にするという根拠はどこなんですか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 調査会の審議の経過におきましてもいろいろの意見があったようでございますが、結論的には準軍属に対しましては、他の戦争犠牲者との均衡あるいは国民感情にかんがみまして、これらの者の遺族に対する処遇問題の解決は、国民年金制度とも関連さして、次のようにした方がいいということになっておりまして、それにつきましては一時金の分割払いの趣旨によって一定期間を限ってやった方がいい、金額につきましては六割ないし七割とか、金額についても差をつける方がいいというような御意見も書かれておるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 軍人軍属と準軍属の遺族に対する給付あるいは障害者に対する給付で、どういう率でやったんですか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 準軍属につきましては、軍人、軍属の半額といたしました。

大原亨日本社会党

○大原委員 あなたは先ほど答弁なすった中で、六割とか七割とか言われたんですが……。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 調査会の報告には、金額についても差をつけることにした方がいい、そのときの例にあるいは六割とか七割とかいうような数字も見えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 そういうふうに答申にはあったけれども、実際にはあなたの方は五割にした、こういう御答弁であります。そういたしますと、あなたの方は臨時恩給等調査会の答申を根拠といたしまして、準軍属と軍属の差別扱いをされておるわけです。しかしながらその答申の結果にもよらない、こういうことになっておる。それよりもさらに五割給付ということで準軍属を冷遇されている。私はこういうことは不当であると思うのです。職業軍人よりも、徴兵によりまして出された下級の下士官や兵隊等が、一家をなげうって、自分の生業をなげうって出ておるのですから、これは戦争の跡始末といたしましては、社会保障的な意味におきましてもこれを厚遇すべきである。あるいは戦争によりまして被害を受ける、残った家族も困る、こういう場合に、軍人、軍属よりも準軍属を差別をして処遇しなければならぬという理由は全然ないのじゃないか。特に障害者等においても、長い一生を棒に振る、あるいは総動員法の命令動員によりまして、そしてつえとも柱とも頼むそういう人々を失う、こういう人々の遺族の立場というものは、私は全然変わるべきではなくして、むしろそういう立場の人々については、十分なる理解と配慮をもってなすべきことが、このいわゆる戦争の跡始末といたしましてあるいは社会保障制度を均衡をとって全般的に前進させる、あるいは今回改正されましたけれども不均衡是正、こういう趣旨からいいましても、そういう点の不均衡を是正すべきが、私は正しい意味における、特に厚生省の援護局でやるべき点ではないか、こう思うのであります。大臣いかがですか。

古井喜實自由民主党

○古井国務大臣 社会保障的に考えますと、どういう身分でどういう立場、地位におった人にかかわらず、戦争の被害をこうむって生活に困難を起こすとかというふうな事態になれば、これに対して考えるというのが徹底しておる考え方かと思うのであります。そういうふうになれば国との関係があろうがなかろうかということに、徹底して考えればなるかもしれぬのであります。ところがきょうまでの立て方は、国と何らかの関係があるというところをもとにしておるわけであります。その考え方をもとにしますならば、国との関係の程度、性格の違いによってまた差をつけるということも起こってくるのであります。その国との関係というようなところに線を引くならば、そういう行き方、立て方でありますから、純粋の軍人、軍属というものと、そういう身分を持たない人とはやっぱり差がついてくるという今度は結果が起こってくるのだろうと思うのであります。立て方がそういう国との関係、こういうことになれば、関係のいかんということにもなってくる、そこらがこういうふうになってきておるおそらくはきょうまでの内容だろうと思うのであります。でありますから、これを今の社会保障的にすっきり見てちょっと割り切れぬところが起こってくると思うのであります。それならば、市民で戦争の被害をこうむって生活が立っていかなくなったという人は考えなくてもいいということにもならぬことは当然であります。そこで、考え方の立て方に問題があってこういうことになっているのが、おそらくは従来のこの制度だろうと思うのであります。でありますから、立て方自体を根本的に考えるという問題にも触れてくるかと思いますし、しますから、すぐ即答いたしかねますが、今のような割り切れぬ辺も残るのでありますから、それは立て方、考え方の問題としてさらに検討を加えるべきであろうと私は思うのであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 私は具体的に質疑応答の中でやりましたが、この調査会の答申によりますると、やや一等を減じてやる、六、七割というのだが、政府がやりましたのは五割なんですよ、厚生大臣。だから、この国との関係が厚い薄いの問題について、動員学徒とか徴用とか義勇隊とかというのが薄いというのじゃありませんよ。国の命令によって、命令は総合的に考えてみてそれぞれの政策上やったんでありまして、やっぱり国との関係ということになれば、国の命令によってやったということにおいて変わりはないわけですよ。これはもう総力戦争といって盛んに宣伝したのでありますから……。だから私はそういう点から考えても、政府が今日までおやりになっておる点についてはなお十分考慮する余地があるのじゃないか。政府のそういう調査会やあるいは全般の戦争の跡始末の施策の上に立って考えても、不均衡を是正するという意味においては考慮すべき数々の点があるのではないか、こういう原則的な点について御質問いたしておるのでありますから、この点を含んでもう一度厚生大臣の方から御答弁を願いたい。

古井喜實自由民主党

○古井国務大臣 そういう辺は、程度の問題のことにも触れてきます。六割とか七割とか半額とかという、そういうことにも触れてきますし、なお皆さんの御意見なり各方面御意見を伺って今度よく検討していきたいと思うのであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 それでは具体的な点を御質問いたしますが、準軍属に対する障害年金を軍人や軍属に引き上げるように一つ増額してもらいたい、こういう点があるのです。それから時間の関係で、死亡者の遺族に、遺族年金と同額の終身遺族給与を出してもらいたい。同額並びに同額に近づけるように私はやっぱり努力すべきであると思うのですが、二つの重要問題につきまして私の方から具体的に問題を出しまして、一つ御見解を重ねてお伺いいたしたいと思います。

古井喜實自由民主党

○古井国務大臣 御意見をよく伺っておきまして研究したいと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 傷害年金の認定にあたりまして、たとえば特にこれは動員学徒ですが、原爆に起因する内臓疾患及び原爆ケロイドをよく研究をしていただきまして、公衆衛生局の専門家とも研究を総合的にしていただきまして、そしてこの問題については、先ほど申し上げましたが、よく実態に即するようにこの法律を運営してもらいたいと思います。これは援護局長から御答弁いただきたいと思います。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 原爆に起因します内臓疾患あるいは原爆ケロイドの問題につきましては、先ほど申し上げましたように、大へん日本といたしましては新しい問題でございまして、その検討に当たって参りましたが、現在までは恩給の例にいたしましても、こういう原爆ケロイドの例がございませんで、今までは顔面の醜形、醜状というようなものは、航空機あるいは船舶の油で焼けまして非常な惨害を受けたとき等に限られていたわけでございます。しかし今回の広島等におきます原爆につきましては、顔面醜状、醜形の人たちもございますので、十分検討をこちらで重ねまして、そうして相当有利な結論を得まして、大体百五十件から二百件の申請をお預かりしておりましたが、その半数は最近裁定をいたしたような状況でございます。今後もできるだけ早く裁定したいと考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 遺族の給与金は御承知のように準軍属に出すわけであります。その遺族の給与金の中には「六十歳以上であって、その者を扶養することができる直系血族がないこと、」、この場合に適用できるということでありまして、なかなか認定がきびしいのであります。一方軍人、軍属に対する遺族年金の方は、六十歳以上の者であれば、扶養することができる直系血族の有無にかかわらず無条件に支給されることになっておるわけであります。なおかつ六十歳未満の者でも無配偶であれば支給されることになっていることは御承知の通りであります。そこで遺族給与金に対しましても、いわゆる準軍属に対しましてもやはりこういう点について近づけるようにやっていただくことが、個々の実際上の場合を見て適当であると思います。そしてできるだけこの恩典に浴する範囲を拡大をしていただきたい、こういうふうに要望いたすわけですが、いかがですか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 遺族給与金の支給に関しましては、先ほどお話がございましたように、軍人、軍属の遺族年金とは父母の支給要件等において違ったのがございます。たとえば六十歳以上で今お話のございましたような点がございますが、これは先ほどから問題になっておりました軍人、軍属と準軍属というものをどういうふうに扱うかというような点に根本的な原因があるのでございまして、なおそういった準軍属に対します支給要件は、これは内地の軍属あるいはその他一般の社会保障制度の支給要件にならったわけでございますが、そこに軍人、軍属とは差があるわけでございまして、これらも先ほどの根本問題に起因をいたしますが、今後十分検討したいと考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 法律上祖父または祖母も遺族給与金を受給することができることになっておることは、これは法文上示す通りであります。しかし支給条件がそういうふうな軍人、軍属と同じようになっておりましても、今日までいろいろな実態を調査いたしてみますと、裁定されました例によると、異なった扱いを受けておりまして、準軍属の場合は、祖父や祖母が生存直系血族があった場合には遺族給与金が支給されぬ、こういうことで、今の問題に関係しますが、そういうことになっております。そういう点は運営上改善することができませんか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 父母の支給要件の軍人、軍属と違う点につきましては、法律に第二十五条に明示されておりますので、これを運用によってどうこうするということはできないと考えます。

大原亨日本社会党

○大原委員 これは前に質問いたしました問題と一緒に総合的に御検討いただきたいと思うのであります。  障害年金のいわゆる重度障害の判定であります。これは調査会の答申にも出ておりまするけれども、六項症以上の重度の障害者となっておるわけであります。その点につきましても、先ほどから申し上げておるように動員学徒——動員学徒の中でほとんど七、八割は広島、長崎の原爆による問題だと思うのであります。義勇隊、徴用工にいたしましてもそうですが、特に原爆障害者につきましては、その障害の認定につきまして原爆症の特殊事情を考えていただきたい、こういう点を強く要望いたしておきますが、局長から一つ答弁していただきたい。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 障害年金につきまして、重度の障害者に、つまり項症以上のものに徴用工は支給されることになっておりまして、款症の人々に支給されていないという点でございますが、これは先ほどの調査会の答申によりましても、重度の身体障害者に対してはということになっておりまして、やはり先ほどの軍人、軍属との関係、なお一般戦災者との均衡の関係等もあると考えますが、なお検討いたしたいと存じます。

大原亨日本社会党

○大原委員 軍人、軍属の身体障害者に対しましては、やはり国鉄の無賃乗車券が配付されまして、そして無賃乗車のそういう実態に応じまして、国が国鉄に対して補償する仕組みになっております。私は準軍属に対してもそのことは当然及ぼすべきであると考えますが、これも御研究いただきまして、前進する方向で努力していただきたい。ある範囲でもよろしゅうございますけれども、そういう足跡を残していただきまして、実際に準軍属でもそういう動員命令を受けてやったために一生を棒に振る、あるいは一家が困る、そういう人々があるのであります。そういう点につきまして簡単に御所見を伺いたいと思います。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 ただいまの点につきましても、善処したいと考えます。

大原亨日本社会党

○大原委員 戦時災害によるというきびしい制限があることは御承知の通りであります。準軍属の罹傷または罹病の原因につきまして、しかし軍人、軍属の場合には関連してということで、原爆医療法等でもいろいろ議論いたしましたけれども、関連してという広範な規定になっておる。やはり動員学徒が、動員業務の過労から病気になったりあるいはいろいろな災害事故を起こしたり生命に危険を及ぼす、こういうことは事実上人間としては同じでありますから、あり得るわけであります。だからそういう点においては、できるだけその差別や不均衡をなくしていくという方針で努力をするという大臣の御答弁でもございましたが、こういう点につきましても、私はでき得るならば改正に最善の努力をしていただきたいと思うのでありますが、これも一つ局長の方から御答弁いただきたいと思います。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 準軍属につきましては、先ほどお話しございましたように、戦時災害ということが要件になっております。これは一般的に、たとえば広島で申しますれば、学徒動員されたもののほかの方々も原爆でなくなっておるわけでありまして、そこで動員の方々については援護法に適用いたしましたが、その他の人々との関連もございまして、戦時災害に限ったわけでございます。しかし運用上は戦時災害につきましては非常に広範に解釈をいたしておりまして、いわゆる純然たる戦時災害、つまり原爆とかあるいは空襲によってなくなっただけでなくて、業務上の障害につきましても、当時の事情で非常に激務であったとか、あるいはふなれな学徒を動員したためにそこに事故が起きたというときには戦時災害というようにみなしまして、相当広範に採用しておる状況でございます。なお根本的な問題につきましては今後検討したいと考えます。

大原亨日本社会党

○大原委員 だんだんと最後になりましたが、弔慰金の意味を簡単に御説明いただきたい。軍人、軍属は五万円、準軍属は三万円、こういうことになっておりますが、この法の趣旨を簡単にお話し願いたい。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 弔慰金は軍人、軍属あるいは動員学徒等におきましても、この戦争によりまして国家権力によって仕事をしておってなくなったという方々の遺族に対するお見舞の金であると思います。なおそこに軍人、軍属との金額の差につきましては、先ほどから問題になっておりましたような根本的な問題であろうと考えます。

大原亨日本社会党

○大原委員 この弔慰金の給付の是正についても、死んだ人にそういうことで差別があるべきではない、私はこういうふうに存じます。弔慰金につきましては、私はそういう差別があるべきではないと思う。ことになくなった場合には同じことです。  もう一つ、最後に質問いたしますが、厚生大臣、これは予算委員会の分科会、社労委員会でもしばしば言ったわけですが、これは質問を端折るために簡単に申し上げるのですが、この援護法は、軍人恩給が昭和三十三年ですかにできてからは、ほとんどが軍属と準軍属を中心にしたものになってしまったわけですね。実態がそういうふうになっているわけです。そこで私はこういう戦争の犠牲者に対しましては、国としてやはり施策をきめこまかにやるべきであると思う。その中で国との特別権力関係云々に限定をしておりますが、原爆医療法を援護法にしてもらいたい、こういうことが今までいろいろ議論になってきたわけであります。医療法はだんだんと前進いたしまして、昭和三十三年の認定被爆者に対する医療給付から、昨年のいわゆる特別被爆者に対する医療給付、この医療給付は、法律の体系、特別法、一般法等との問題におきまして、たくさんの問題点がございますが、特殊事情によって審議しないで過ぎてきたのであります。昨年の改正は審議しなかった。しかしながら、原爆を受けて抵抗力が少なくなって病気の発生率が多い者については、国の責任からも人道上からも、当然国が補償するという観点で原爆医療法ができたわけであります。私どもは今日まで申し上げておりますし、ここで藤山外務大臣も来て答弁いたしましたけれども、とにかく原爆の投下というのは、個人が好んで原爆にぶつかったわけではないのであります。純粋に国際法に違反する、ハーグの陸戦法規その他に違反いたしますアメリカの戦闘行為によって起きたのであります。世界で唯一の被爆国は日本であります。その被爆の深刻さというものが今日までまだわかっていません。これはほうっておけないということは、池田総理大臣も広島に参りましてからしばしば言っておられる。あそこにおられます中山前厚生大臣も現地に行かれまして、これはこのままではいけないということを言っておられる。古井厚生大臣も、七月には内閣改造がありますけれども、それまでにぜひ行っていただきたいだけでなしに、私どもといたしましては、やはり厚生大臣が存続されるなり、そのことを引き継がれて、ぜひともその実態についてごらんいただきまして、跡始末をつけていただきたい。これはほんとうに真剣な問題ですから……。その際に、サンフランシスコ条約で日本の国が損害賠償をいろいろな問題と一緒に放棄したわけであります。そのことによって、被爆者に対する補償問題がないがしろにされる、無視される。だから、当時の戦争の本質から、その他政府の政策からいいましてもそうですが、特にそういう特殊な事情もございますから、戦争の跡始末の援護法といたしましては、社会保障一般の問題とは先がけて、この実態を政府が科学的にも究明する、研究する措置をいたしまして、それだけでなしに、たとえば昭和三十二年以降におきまして、白血病、白内障その他の原爆症でなくなったことはっきりしておられる方があるわけであります。そういう人々に対しましては、たとえば弔慰金の制度等もさしあたって直ちに適用する、そういう方向で努力することが、原爆医療法が前進いたしました過程から考えてみましても、国の責任という点からいいましても、戦争の跡始末という点からいたしましても当然ではないかと思うわけであります。援護法を特別立法にするかどうかは別といたしまして、この問題については国といたしまして——政府の責任者もしばしば言明いたしておるのでありますから、私は、厚生大臣は将来ともいつまでも厚生大臣を続けていただきたいと思いますが、そういう点について与党の皆さん方にも熱望いたしておきますけれども、とにかくこの問題については援護法の問題として結論をつける。たとえば弔慰金の問題、そういう問題等も含めまして、これは葬式料もないということであります。そういう現状は無視できない問題であると私は思います。従って、特別法かあるいはこの援護法かは別にいたしまして、そういう立法について御労力をいただきたい、こういう点につきまして厚生大臣の御答弁をお伺いします。

古井喜實自由民主党

○古井国務大臣 原爆の被害また非人道的なことのためのああいう悲惨な結果、起こった問題についていろいろお話しございましたが、これは何も大原さんが向こうの方だからおっしゃっておる話とばかり思いません。大きに事情もっともなことが多いと思いますので、できるだけの努力を払っていきたいと思います。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 関連して。今までそれぞれの委員から、援護法適用に関しての不合理あるいはまた不均衡等についての質疑が繰り返されたわけですが、私は、時間がございませんから、その点に関連して一つお伺いして、御所見を承っておきたいと考えます。  それは、援護法の適用にあたって、戦時災害による補償または疾病の範囲については通牒が出されておるわけです。これによりますると、マラリア、猩紅熱あるいは腸チフス、こういうような十六種の伝染病が指定されておりまして、そういう伝染病に基づきますところの障害に対しましては援護法適用が行なわれる。ところがマラリアあるいはまたデング熱、こういうようないわゆる風土病に対しましては、私は戦地においての罹病が適用として規定されていることについては異論ございませんが、しかしこれらにつきましても、腸チフスにつきましてもパラチフスにつきましても赤痢につきましても、こういった疾病は内地でもかなり流行のございます疾病でございますし、そういった風土病を除くもろもろの伝染病につきましては、内地において罹患いたしましても、当然対象の範囲内に入るべきだというように私ども理解するわけでございますが、その点はいかがでございますか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 公務となる疾病の問題でございますが、御質問のマラリア、デング熱につきましては、戦地においては法定伝染病として取り上げております。ただ内地につきましては一々取り上げておりませんが、隊内で多発しておるという場合には公務の傷病の原因に取り上げておるわけでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 実はマラリア、デング熱というような風土病が取り上げられるということは当然のことであるけれども、さればといって、その他の内地にございます腸チフスあるいはまたパラチフス、ペスト、こいう疾患が内地で発病した場合に適用外に置かれておるということは不合理ではないか、こういう意味の御質問を申し上げたわけでございますので、そういうふうに御理解になって御答弁をいただきたいと思います。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 内地におきましては、いわゆる公務というように考えますときは、たとえば、連隊におきましてそういう病気が多発したという場合には、それを公務というように考えておりますが、そうでない場合には、先ほど申しましたように、公務と考えておらないのがいわゆる援護法の公務の問題でございます。しかしその後特別法というのができまして、公務でなくても、原則として営内居住の下士官以下の者につきましては、大東亜戦争中の事項につきましては業務関連ということで、援護法を適用するということでとっております。従いましていわゆる公務ではないが、ただいまのような場合は業務関連として援護法で採用するということになっております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 そうしますと、戦時中では営内居住ではなくて、実質的には営外が営内と同様に取り扱われるというようなケースが非常に多かったと思う。実は私も召集されて参りましたが、営内が一ぱいでございましたので、営外で軍務に携わったという実例もございます。そういたしますと、そういう場合には当然業務関連というふうに適用されるのかどうか、そういうふうに理解してよろしいものかどうか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 先ほど申し上げましたのは、単にいわゆる営内だけではございませんで、その他のところでもけっこうでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 時間もございませんからこれで終わりたいと思いますが、それは今申し上げますように、内地で多発をし、さらには流行したもろもろの伝染病についても、業務関連ということで適用を受けられる。そこで私が最後にお尋ねをしておきたいと思います点は、目下非常に流行いたしまして、最近医学界でも問題になっております急性脊髄前角炎の問題、この点は実は日本におきますところの医学の究明が非常におくれて、戦時中におきましては大した問題でございませんでしたが、その後科学が非常に進歩して参りまして、今までは急性脊髄前角炎だというふうに理解されておらなくても、今日ではそうであるというようなケースが非常に多くなって、実は小児麻痺の問題が国会におきましてもいろいろ論議されているというように、医学、科学というものが非常に進展をいたして参りました。そこで私がお尋ねしておきたいと思いますことは、そういうように今日の時点において学術的に究明された伝染病、特に今度の国会でも予防接種法の一部改正という法律によりまして小児麻痺も届出伝染病として認める、そのために予防接種が義務づけられる、こういう事態に進展してきたわけです。そういたしますと、そういう問題も当然将来拡大をして適用されなければならぬというように、学術的立場から私どもは理解するわけでありますが、そういう点に対してはどうであるか。そういうようなもろもろの援護法適用に関します不合理あるいは不均衡という問題が、今後科学の発展なり医学の発展なり、そういうことによって次々と解明されて起こってくる可能性があると思う。そういう問題ともからみ合わせて、そういう不合理なり不均衡が起こらないように、さらに改善のために格段の努力をやっていただかなければならぬというふうに理解するわけでありますが、この点は大臣から御所見を承りたいと思います。

古井喜實自由民主党

○古井国務大臣 ごもっとも千万であります。科学、医学の進歩に伴って生ずる不均衡な点は改善すべく大きに努力いたします。

柳谷清三郎自由民主党

○柳谷委員長代理 受田新吉君。

受田新吉民主社会党

○受田委員 私は大事な点だけを、援護法と恩給法との関係について、大臣、両局長、及び法制局次長に法制的見地からの御答弁を願いたいと思います。  最初に、この援護法の各所に見受けられる戦地、特に援護法第四条第五項の規定では「第二項に規定する戦地の区域及びその区域が戦地であった期間は、政令で定める。」とあります。恩給法上の戦地と援護法上の戦地と同じものであるかどうか、まず御答弁願いたい。

八巻淳之輔総理府事務官(恩給局長)

○八巻政府委員 恩給法では戦地という言葉を使っておりませんので、戦務加算の行なわれるような地域がすなわち戦地だ、こういうよなことになっておるかと思います。恩給法そのものは戦地という言葉を使っておりません。すなわち専務加算をつけるのはこういう地域でございますといって、告示で地域を示しております。それを受けて援護法の方では戦地というものを、つまり恩給法の方で戦務加算が実施せられておった地域、それを押えて、それをそのまま借用して戦地、こうやった、こういうように思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 恩給法上のいわゆる戦地加算の基礎になる危険区域、危険地域と、今の私が指摘しておる援護法の戦地とは同じものであると了解してよろしゅうございますか。

八巻淳之輔総理府事務官(恩給局長)

○八巻政府委員 その辺、正確に同じだということは言えないと思います。やはり旧恩給法の三十二条の戦務加算の地域即援護法の戦地ではございません。

受田新吉民主社会党

○受田委員 厚生省の見解はいかがですか。厚生省が解釈されている戦地の定義というものは、恩給法の戦務加算の基礎になっているいわゆる恩給法上の戦地ですか。それと同じものだという前提で政令が出されておりますか、どうですか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 恩給で加算がつく地域、あるいは加算をつけるであろうと考えておった地域が含まれております。言いかえますと、恩給の方でまだ告示していない地域が範囲がちょっと広く入っておるということであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 そうすると、恩給法上に幾つもの階段された戦務加島地域の基礎となっておるものがあるのですが、それそのものを総括したもの以外のものが入るということになると、どういうところが入るのですか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 二十年八月九日以降の満州とか、十九年十月十日以降の沖繩というところがあります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 そうすると、事変地というのはどういうところになりますか。

八巻淳之輔総理府事務官(恩給局長)

○八巻政府委員 事変地というのは、支那事変という時代の地域としては事変地、こういうものを戦地とはいわないで事変地といっております。ただ、今申し上げました三十二条のいわゆる戦務加算のつくところ、それは場所によって二カ月のところがございますし、三カ月もございますけれども、そのおよそつくところは、援護法の戦地と指定したその戦地に勤務して、そこでもって災害を受けた者は公務として扱おうじゃないかと、こういうことになるわけです。先ほど申し上げましたように、多少戦務の地域がずれておるというのは、満州のソ連参戦以後のわずかの期間、それから沖繩における空襲が激しくなってから終戦までの期間、こういうものは、実は恩給法の戦務地域の指定としては、恩給法の上では、終戦直前でございましたから、そういうものについての勅裁を仰いで、そうして内閣告示を出すというような段取りになっておらなかったわけです。そのくらいのことはもちろんその当時としては陸、海軍省において研究されておったと思うのですけれども、結局法律的効果としては出ておらなかったわけです。戦後厚生省の援護局の方で、戦地というものの幅をお考えになるときに、それをも入れて考える、そして戦地という幅をお作りになった、こういうことでございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 今回、厚生省から提案理由の御説明をされた。改正の第一点に、最も重要な改正点として、「もとの陸海軍の有給軍属として戦地または事変地以外の地域で勤務している間に」云々というお言葉がある。厚生省自身が戦地と事変地とまっ先に取り上げた、その対象になる地域を御認識されないということは、この法案に対する御勉強が不足だということを物語る。これは非常に大事なことであって、恩給法で指摘するいわゆる戦地、純粋な意味でいえば戦務加算地域、これには階段がある。ところが援護法には階段がない、一本にしてある。戦地または事変地としてある。この二つを一本にしたものが恩給法上で指摘された戦務加算地域と同じものであるなら、私はバランスがとれたと了解をするのでございますが、恩給法で指摘する地域よりはみ出たものがある、こういうことであるならば、はみ出た部分を恩給法でもやはり政令をもってその戦務加算地域になるものを援護法と同等にしないとおかしい。同じ軍人軍属として同じ条件で死んでいった人、恩給法の適用を当然受けるべきものであるけれども、条件が足りないというので援護法へ回った軍人軍属がある。そういうことからいえば、両方のバランスがとれていなければならないと思うけれども、法律的措置の上においてそういうばらばらになっておるということは、法制局次長、大体国家の義務を果たす上において適当であるかどうか、法制的見地から御答弁願います。

高辻正巳法制局次長

○高辻政府委員 恩給法との関係における本法の戦地に関連してのお話でございまして、一応同じ条件でありますならばそれは同じように取り扱うのが至当だと思いますが、事は戦務加算の問題でございまして、公務傷病等による国のいろいろな年金の支給等と同じようにものを考えることはないのではないかと思います。受田委員が仰せになりますように、同じ事柄につきましては同じ種類の地域をつかんでものを処理するのが適当であろうということは言えるかと思いますが、事が別のことでありますので、その別のことに着目いたしまして、地域を別にすることはやはりそれは合理性があると考えて差しつかえないと思われます。従ってそういう区別を設けてあるわけでございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 大東亜戦争の様相は、これは従来の恩給法の、昔の日清、日露のような特定の地域を戦務加算地域として指定することと変わって、国内でも戦地、沖繩でも、指摘されたようにそういうことがたくさん起こっておるし、また沖繩においても東京においても広島においても、戦地以上に危険地域が国内にあったわけです。戦地の方が安全であったところがある。そういうことをいうと戦地、事変地ということと、そうして大東亜戦争の末期の様相というものは法律的な解釈において、あなたが固執される場合は別として、政令その他法律によって新しい立場でこれを整理して援護法と恩給法のバランスをとるべきじゃないですか。大東亜戦争の様相が旧感覚による戦地と著しく趣を異にして、戦地以上に国内において危険をもたらされた地域があるのです。今厚生省から追加された沖繩のごときはそうなんです。そういうことを考えると、全体をにらんで援護法と恩給法の対象になる戦地というものを整理して新しい基準で大東亜戦争の様相にマッチするような形で法律をお出しになるべきじゃなかったですか。

高辻正巳法制局次長

○高辻政府委員 一般論といたしまして近ごろの戦争の形態と申しますか、近ごろと申しますと語弊がございますが、大東亜戦争の末期の現象というものをとらえられましてその現象を比較して参りました場合には、受田委員の仰せになりましたような事態が皆無であるというふうには決して思いません。思いませんが、しかし、先ほど申し上げましたように、一方の戦地と申しますのはいわゆる加算に関連しての問題でございますし、ただいまの援護法上の問題は給与金なりあるいは年金の支給なり、そのことについての戦地を考えておるわけでございますので、その間には多少の相違があることも、またそこにはいわれがないわけではないと思います。しかし一般論といたしまして、仰せになりました点は、これは私はわからないわけではございません。ただいまの二つの法律を比較してみました場合の御説明として申し上げるところは、ただいま申し上げた通りでございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 今この法律ができるのですからね戦争中にできる法律ではないのですから、今の時点で法律を作るということになるならば、大東亜戦争の末期の様相が、著しい危険が国内にもあった。沖繩にもあったというときに、恩給法からそれが除外されておる、あるいは援護法から除外されておるということでは、これは筋が通らない。ひとしく国家の公務に従って尊い命を捧げたり傷ついたりした人々、その遺族というものに公平の原則から立法措置をとるべきであると私は思うのです。今の時点において日清、日露の基準を用いるような、そういう措置がされるということが、私は旧時代的な感覚を政府御自身が持っておられると思うのです。この点はどうお考えですか。

高辻正巳法制局次長

○高辻政府委員 戦争の様相といたしまして、ただいま仰せの通り大東亜戦争の末期の様相というようなことだけに着目して言います場合には、戦地といいあるいは内地といい、その間の個別の現象といたしまして同じような現象があったということを否定するわけには参らぬと思います。参らぬと思いますが、やはり法律を制定する場合にはその法律の趣旨、目的というものがおのずからあるわけでございますので、その趣旨、目的に即した対象の地域をどうとらえるかという問題は、やはりその観点から別個に考えるべきだと思います。その別個に考えました理由は、御納得が得られないかもしれませんが、さっき申し上げたような考え方でございます。しかし一般論といたしまして、先ほど来お話しになりましたような事態につきまして、法律上それを区別する理由がないような場合につきましては、仰せになりましたことは十分に配慮して措置をしなければならぬと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 私は恩給局長が非常に苦心をされて現在の恩給法をある程度社会保障の線にマッチするように努力されておることは深く敬意を表しておる一人です。この苦心の作が現在の恩給法の改正になっておる。驚くほど社会保障の線が入っておる。ところが今度の改正の点におきましても、援護法と比較するのですが、抑留期間というものが計算に入れてない。これが戦地加算の計算に入れてない。この今度の援護法の改正の基礎である旧法律の適用においては、未復員の状態にある限り軍人軍属と同じと見なすと書いてある。従って軍人軍属と同じに見なすということになれば、軍人軍属に与える加算が抑留期間中——戦務加算の地域になったところに本人の意思に反して抑留せられておるときには当然未復員状態でも軍人軍属と見なされて加算措置がとられてしかるべきであると思いますが、こういうところは法制局次長、どう思いますか。戦務加算地域に長く抑留されておる人々に、この援護法の軍人軍属と見なすという未復員状態を同等と見ておる限り、加算措置をも同等の措置をすべきではないですか、立法技術の上からいって相違があってはならないと思うのですが、いかがですか。

高辻正巳法制局次長

○高辻政府委員 ただいまのお話でございますが、加算につきまして戦地等の用語が出て参るわけですが、援護法上はそういう加算というような観点からのものの考え方というものがございませんので、従って今仰せになりましたような点も、援護法に関しては問題になることはないのだというふうに考えております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 未復員の状態にある限り軍人軍属と見なす。陸海軍は廃止されても、未復員状態は軍人軍属と見なすということであれば、恩給法に認められたと同じような状態をここにももたらすべきではないか、あなた方の同じ政府が出される法律の中に、こういう解釈を異にして措置をされるということは私は適当でないと思うのです。

高辻正巳法制局次長

○高辻政府委員 どうもただいまの御答弁を繰り返すことになってはなはだ恐縮でございますけれども、申し上げたいことは、ただいま仰せになりました点につきましては、恩給法上も援護法上も実は変わりないのでありまして、いわゆる加算ということにつきまして、この抑留中あるいは抑留外で戦地にありました場合というような区別の問題が出てくるかと思いますが、そういう加算という問題が援護法上はございませんので、どうもその間の調整といいますか、そういう問題をわれわれは考えるに至らなかったわけでございます。その点は御了承願いたいと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 時間がかかりますので、この論争については私、きょうはおきますけれども、援護法と恩給法というものは同じ国家の公務に従事した軍人軍属なんですよ。その同じ立場の人が援護法にいく場合もあれば、恩給法にいく場合もある。ところが、恩給法にいくと非常に手きびしい、あるいはまた手やわらかい。たとえば年令においても、恩給法においては子供は二十才まで扶養の義務がある。公務扶助料をもらっておる。援護法は十八才で打ち切られておる。二年の相違がある。この問題が解決してない。どっちにつくかわからない。法律の規定でどちらへでもつけられる立場にある。同じ条件で国家の公務で死亡し、傷ついたものに差があるではないか。これは政府の態度としてどうですか、年令の問題、六十才以上の者と六十才未満と分けられているような問題、こういうことを援護法と恩給法とを一応整理されて同じ条件でお出しになるべきではないか。目的が援護法であろうと恩給法という特定の権限であろうと、同じような立場で取り扱いは同じようにさるべきではないかと思うのですがね。

高辻正巳法制局次長

○高辻政府委員 いろいろ国民の悲惨な事態あるいは苦痛がある事態、こういうものに対して国がいろいろな援護措置を講じ、広くいえば社会保障の問題になりますが、それはおのおのやはりそれの置かれた状況といいますか、その人の置かれた条件、そういうものとの見合いにおいてそれぞれの条件を設定しておるのが、これが法の建前でもありますし、一般の考え方であろうと思います。  そこで恩給法と援護法とを比較してのお話でございますが、援護法上には恩給法上よりも相当程度やはり社会保障的な関連という見地からいえばよけいな幅を持っておる。その幅をどうするかということになりますので、条件が若干違って参るということも出て参るわけであります。もしそうでなければ、これを恩給法と援護法というものは別々にしないで一体にしてもいいというようなことになるかもしれませんが、やはりそこには区別がある。その区別にふさわしい条件が整っておる。そういう考えでやっておるわけでございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 この法律の改正においてなおなし得なかったことに、援護法による遺族年金と恩給法による公務扶助料の額に相違があるのです。昭和三十二年の改正のときまでは、兵の公務扶助料とそれから援護法の遺族年金とは同額でありました。三万五千二百円。ところがこれが改正されたときに、公務扶助料の方が五万三千二百円になって、援秘法の遺族年金は五万一千円という低いところに置かれたわけなんです。それまで同額であった公務扶助料と遺族年金を、三十二年以来なぜ援護法の年金を下げたか、そしてそれをなぜ今回の法案改正で修正しておられないのか、お答えを願います。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 公務扶助料と遺族年金の額の問題でございますが、おっしゃいますように、兵の公務扶助料は五万三千二百円、そして遺族年金は五万一千円になっております。これはどういう因子で五万一千円をきめたかと申しますと、援護法の該当者は兵、いわゆる軍人だけではございませんで、いわゆる援護法の軍属というものがございます。そういうわけで、兵隊の仮定俸給からはじきました五万三千二百円でなくて、兵隊と同等の俸給を持っておりましたところの軍属の公務扶助料を計算いたしますと、四万三千九百八十円ということに、実績補償でそうなるわけでございます。そこで五万三千二百円と文官の四万三千九百八十円の中間をとるところでございますが、それよりやや兵の方に近づけまして、五万一千円ということになったわけでございます。援護法が、恩給、兵の公務扶助料と違いまして、軍属が相当たくさんおったという点で、金額に差ができたというのが立法の経緯であります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 その軍属が大ぜいおったというのは、そのときに始まったことじゃないのです。その前からおったわけなんです。だから三十二年の改正のとき、なぜ引き下げたかということと、それを今なぜ直さないかということです。軍人軍属で恩給法の方へいったら、扶助料で五万三千二百円、援護法にいった場合にはそれより二千二百円低いという人が大ぜいいるわけです。その点においては、扶助料と援護法とは同額で進めていくべきじゃないですか。たった二千二百円の差であっても、差別待遇を受けたことは、援護法を適用される人々に非常な不満を与えておるから、この際改むべきじゃないですか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 御承知のように、援護法は、当初恩給法がストップになっておりましたとき、昭和二十七年にできたわけでございますが、その後恩給が復活いたしまして、ほとんど軍人は恩給の方に去っていったという事情があるわけでございます。さような関係もあって、年金を算定するときにやや差が設けられたということでございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 やや差が設けられるというような措置をおとりになることは賢明でないわけです。だれが見たって、今までも一緒だから、それを急に差をつけるということは間違いである。それからよく考えてみれば、国家の公務で軍属で死んでいっても、恩給法上の適用を受けない。軍属が死んでいっても、五万三千二百円の公務扶助料と同額を給すべきじゃないですか。国家の公務という意味では同じものですから、同じものに差をつけることは、公平の原則に反します。これは根本的な問題であります。ここで今一緒に修正して下さい、自民党が御賛成されれば。中山先生、いかがでしょう。あなた方は援護法に差をつけているのです。恩給法の特例で兵隊に六割という率ができておる。そういう特例がある。それから動員学徒などにも半額という措置がされている、こういうようなことも問題がたくさんあるのでございまするが、せめて扶助料と年金は同じ額という原則だけはこわしたくなかった。厚生大臣、今にして思えばはなはだ残念である。この機会にここで一緒にこの部分だけを修正するくらいの熱意があるかどうか、御答弁を願いたい。

古井喜實自由民主党

○古井国務大臣 差が起こりました経緯は、先ほど御答弁申し上げたのでありますが、私も差が起こった理屈は十分まだわからないのでありますけれども、しかしはたして理屈がないとこの席できめてしまうのも不十分な点がありますので、理屈がなければ、これは後日是正しなければいけませんし、あるかないかよく研究してみたいと思うのであります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 厚生大臣の御答弁で、厚生省として省議をもってこれを次の機会に修正をするところまで譲歩してもいい。その研究期間が、きょう採決することになっておるそうでありますから、余裕がないということで、自民党が今賛成していただければ、三派共同提案で修正案を出してもいいんです。その点一つお願いしておきます。  もう一つ、今度の改正点の中で、準軍属の処遇をされた人々の範囲拡大、そうして例のいわゆる旧令共済の関係に漏れた人々を今度救うことになっておる。死亡当時、死亡してから軍属にせられた人はみなこれに入るかどうか。勤務中は軍属ではなかったけれども、死亡と同時に軍属という名前を与えていただいた人が、今度の改正の中にみな入るかどうか、御答弁願います。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 死亡のときに軍属になっておりましたならば、それは入ると考えます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 それは国家総動員法による徴用工、動員学徒でなくとも、死亡当時当局から軍属という名前を与えていただいたすべての人々、同時に勲何等というものをみなもらったわけでありますが、死亡の当時軍属になりさえすれば、今申し上げたような形ですべて対象になると了解してよろしゅうございますね。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 今回の改正は、被徴用者でございますので、徴用者ということがないといけないと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 そうすると、徴用者でないで、旧令共済の方で漏れておったというような場合、しかしながら軍工場その他に勤務して、たとえば動員学徒で勤務しておったが、卒業して、動員学徒令の身分はなくなったけれども、引き続き勤務しておった場合、いや応なしに勤務させられたような人が、死亡当時軍属として処遇された場合に入るか入らぬか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 被徴用者あるいは動員されたという事実がないところの普通の軍属は、これには入って参りません。

受田新吉民主社会党

○受田委員 普通の軍属は入ってない。軍属という身分は持っておっても、入ってないというんですか。動員学徒で出て、卒業した、しかし情勢上無理やりそのまま勤務しなければならない。卒業前ならば動員学徒で対象になるけれども、卒業してしまえば、平の工員ということで、国家の公務に従事する点は同じであるけれども、それは抜くということですか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 今回の改正は、あくまで被徴用者等でございまして、徴用を受けてない普通の軍属につきましては、今までのように共済組合法の適用があるわけでございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 旧令共済の対象にならない人がありますか。全部入っておれば、文句を言いません。旧令共済に全部入っておるかどうか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 旧令共済に全部入っております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 今の発言で私は一応安心します。そういう立場の人は全部入っている。もし漏れた者があれば、共済に入っている者としての取り扱いをしていただくという了解があると思いますので、この問題は一応おきます。  そこでもう一つ、最近動員学徒、徴用工その他の皆さん、同じ条件で国家の公務に従った立場の人でありますけれども、そこに今大原君から指摘されたような一つの制約があった。いわゆる扶養者の所得制限とか年令制限とかあるいは戦時災害とかいう非常にきびしい制約があったので、どれかがはずれるとその適用から漏れておる、こういう場合に国家総動員法の関係業務に従った肴はもっと手広くこれを広げて解釈するという措置がとれないかどうか、御答弁願います。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 その問題に関しましては、先ほど大臣からも御答弁がございましたが、軍人軍属と準軍属との処遇を同一にするかどうかという問題だと考えますので、先ほど大臣から御答弁ございましたように、今後十分検討したいと考えます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 その検討の資料として一つ聞きたいのですが、今例の準軍属で、該当者が何人おるか、それから三十四年一月実施されて以後において、現に遺族給与金その他の支給を受ける者が何人おるか、現在進行中の事務取り扱いが何人おるか、その三つに分けて御答弁願います。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 準軍属の対象は大体十一万人と考えております。そのうちで裁定を受けました者が八万人でございまして、七二・七%でございます。従ってなお残っております者が二万九千人でございますが、この法律が三十四年にできましたので、そういう裁定状況でございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 今の十一万という中には、年令制限その他の例の戦時災害とかいう条件のある者はみんな除いて、一応扶養の義務があると認められたというような条件にちゃんとワクをはめた数が十一万ですか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 現在の援護法の適用者と考えられる数でございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 そういう援護法の対象となる以外に、今私が指摘したようなものを、範囲を広げればどのくらいの数字になるわけですか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 遺族の要件等が広がりますけれども、どの程度の数になるか、ただいま資料を持ち合わせておりません。

受田新吉民主社会党

○受田委員 私は太平洋戦争の様相から見て、赤紙で出た人も、国家総動員法の関係法規によって出た人も、少なくとも国の責任でその最後を締めくくってやるべき人々であると思っているのですから、その点についてはできるだけ漏れることのないように、今回の法案改正においても、改正の趣旨説明の中に、「なお若干の不均衡もあるように考えられますので、」と書いてある。その若干の不均衡がまだ残っておると考える。このたびの措置で若干の不均衡は、太平洋戦争の様相からも、今度の措置で残されたものはないという前提に立ちますか。なお若干残るものが出る、それは次の機会に考えるという前提のもとの改正なんですか、いずれでしょうか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 本日いろいろ御質問がございますように、相当残されておる点もあると考えますので、今後検討したいと考えます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 皆さんお時間をお待ちのようですから、私三十分ほど質問さしていただきましたのでこれでおきますが、次に残された問題の中で一つだけ拾いましょう。残された問題の中に、援護法ができたときに、経済上その他の理由でやむを得ず、結婚したものがそのときにはもう自分の里へ帰って、英霊の子供を守っておるというような方がある、そういうものは援護法からも恩給法からもはずされておる。こういう人々には戦後ちょっとの間結婚して、すぐもとへ戻って英霊の家族として、英霊を守っておるというような人人は、援護法の精神からいったら当然入れるべき人たちです。それが漏れておる。こんな人々こそ一番先に入れるべきだと思う。未亡人として子供を抱えて、全く公務扶助料をもらう条件と同じ条件で、苦労しておる人々がはずれておる。これは援護法の精神からいえば当然入れるべきだと思います。今回なぜそれを入れなかったのか、いち早く拾うべきものが漏れておるというのはなぜでしょうか伺いたい。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 ただいまの点につきましても、今後十分検討したいと考えております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 私の質問を終わります。

柳谷清三郎自由民主党

○柳谷委員長代理 これにて本案についての質疑は終局いたしました。

柳谷清三郎自由民主党

○柳谷委員長代理 引き続き本案を討論に付するのでありますが、申し出もございませんので、直ちに採決いたしたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柳谷清三郎自由民主党

○柳谷委員長代理 御異議なしと認め、そのように決しました。  戦傷病者戦残者遺族等援護法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

柳谷清三郎自由民主党

○柳谷委員長代理 起立総員。よって、本案は原案通り可決すべきものと決しました。  なお本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柳谷清三郎自由民主党

○柳谷委員長代理 御異議なしと認め、そのように決しました。  本会議散会後まで休憩いたします。    午後一時三十六分休憩      ————◇—————    午後五時二十分開議

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  労働関係の基本施策に関する件、特に電信電話公社、日本国有鉄道及び郵政事業における労働問題について調査を進めます。  質疑を許します。島本虎三君。

島本虎三日本社会党

○島本委員 まず質問する前に、前会に引き続きここで同じような状態で質問しなければならないわけでございますけれども、本日のこの政府委員の出席を見まして、前会と同じような状態でないことはまことに遺憾に私は思います。こういうような状態では、前会にこれは全部やらなければならないはずのものであり、こういうような状態で議事を進めることは、理事がそれぞれ話し合いの結果でございますから了解はいたしますけれども、これは断じて本来の約束された姿ではない、こういうようなことだけは私は断定して、前会に引き続いて残されている部分の質問を展開して参りたいと思います。  大体処分の問題で、今回の処分は、総裁も政務次官も——政務次官はもちろんよく御存じだろうとは思いますけれども、かつてないような一つのケースをもってここに処分された結果をわれわれが知ったわけでございます。それではっきり申し上げまして、休みをもらっている者、または休みをもらわないでも、夜勤のために勤務の時間外に自分らが職場大会に参加したということだけで処罰を受けなければならないということは、それぞれの主観によってこれを決定して発令されたようですけれども、社会通念上はっきりした労働慣行と申しますか、通達と申しますか、こういうようなものがいかような形で周知されておるものであるか。われわれが今まで知ったところでは、労働省から出た第三八二一号、これと閣議了承事項のみであるわけですが、閣議了承事項は一般の慣例というふうには受け取れません。この第三八二一号による結果、これはいわゆる職場大会に休みをもらって出席した者でも処罰を受けなければならないという理由はどこにもないですよ。これは単に賃金カットをしてもよろしい、またしなくてもよろしいというだけのものであって、それ以上の処分はここにはあえて言っていないし、すべきじゃない、こういうように思われるはずのものなのです。それにもかかわらずはっきりこれを処分したという根拠は、公労法と就業規則によってと今まで言っておりますが、通念上これは認めるわけには参りません。われわれとしては、この労働省から出されている第三八二一号によってどういう処分しなければならないような理由を皆さん自身がお持ちになったのか、これをはっきり第三八二一号に準拠して御答弁を願いたいと思います。

本多元吉日本電信電話公社職員局長

○本多説明員 お答え申し上げます。  三八二一号では、御承知のように、年次有給休暇を与えることを使用者が承認した後においても、労働者がその日に行なわれた争議行為に参加した場合には、使用者はその日を年次有給休暇として取り扱わなくても違法ではない、かような通達でございます。御主張のごとく、これはその日の賃金支払義務を免れる意味の通達でございますので、賃金カットをしても差しつかえない、かようなことでございますが、これと違法な争議行為に参加した場合の懲戒処分ということは別個のことであるというふうに私どもは考えております。民間におきましては争議権がございますので、争議行為に参加したということだけで、これはもちろん賃金カットをしても処分の対象にならない、かように理解されるものと考えまするが、私ども公共企業体の職員及び労働組合におきましては、御承知のように、公労法十七条で一切の争議行為ということが禁止されておりまして、職員が権限ある上司の許可がないのに職務時間中に職場を放棄して勤務時間内職場大会を行なう、こういうようなことはやはり業務の正常な運営を阻害する行為でありまして、このような行為に参加することは就業規則に違反する行為である、かように考えております。それで私どもの方といたしましては、今回の争議行為におきましては、職員に対し時間内職場大会が違法なものであるからこれに参加しないように再三事前に十分警告を発しております。従いましてこのような違法行為に参加した者につきましては、先ほどの通達のように、年次有給休暇を取り消しまして、そして賃金カットをすることができることはもちろんでございますが、同時に、年次有給休暇を取り消すということによりまして、そのような状態においては、これは出勤予定者でございますので、これが職場大会に参加したというようなことはやはり違法行為に参加したことになるのでございまして、処分の対象になると考えております。ただ私どもの方といたしましては、前に逓信委員会等において申し上げたと思いますが、職場大会に参加する前に、そういう職場大会に参加するということについては、先ほど申し上げましたように、再三警告を発しておりまして、就労の意思のある者には管理者も一定の場所に集合するようにということを申しております。その場合に、私ども出勤予定者について、これは就労の意思を持ってそこに来ることを確認しておるわけでございまして、もしそういう予定者においてそこに来ない者は、これは職場大会に参加したものとみなして処置をいたしました。すなわちそれは無断で職場放棄をした、こういう意味で私どもは処分をいたしたわけでございます。従いまして前にあらかじめ所属長の年次有給休暇の承認を得ていた者は、これは出勤予定者というようなことの中に入っていないわけでございます。さような御了解を願います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 職場大会に参加したということは処分の対象になる、こういうような見解ですが、何も知らない人は職場放棄なんていうことを言うが、夜勤めていい人は昼そこに行ってもいいのです。こういうような人が職場大会に行っても、職場放棄なんという非常識なことを言う人は一人もないので現地の組合では、こういうような者が処分されるからおかしいといっているのです。もうすでに皆さんは組合員に対して、そういうような集会はだめなんだ、こういうようなことをはっきり認定しようとしております。もう認定しております。これはあなた自身、公社自身、不当労働行為をここに構成するおそれが絶対にないというふうにお考えですか、それをはっきりこの際示しておいてもらいたい。

本多元吉日本電信電話公社職員局長

○本多説明員 その日が非番であるというような方につきましては、これは私ども出勤予定者として考えておりません。ただ非番の方あるいは許可をもらっている方でありましても、ピケに参加したということにつきましては、これはピケが私どもの企業の労働関係から申しまして明らかに違法行為でございますので、ピケにつきましてはこれを処分しております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 まことに私としては、新しく公社の理事者によって労働慣行がここに実施されようとする、ほんとうに奇々怪々と思われるような発言がちょいちょいと出される。職場大会に出ることが処分の対象になったり、ピケ自身が争議行為であると言ってみたり、おそらくこういうような考え方をもって皆さんが処断されようとすると、あえて私はお伺いしますが、公労法と労働組合法、この関係は、相反するようなことを皆さんがしても差しつかえないものですか。この点はっきり、その考えを申し述べていただきたい。と申しますのは、公労法の中で、はっきりしていないものは全部労働組合法をそのまま適用することになっております。その範囲においていろいろ物事を考えて行なうようになっております。この組合法の中では第五条の二項の五号、六号、九号によって、もうすでに組合の自主的な活動が全部法的に認められておるのです。こういうような決定によってやったものが違法であると皆さんが断定する、こういうようなことがあるとすると、組合法の中にはもうこれははっきり、今ここで答弁していただきますけれども、あなたがおっしゃったように、違法な指令については組合ないしは地方機関は——この前の答弁によってはっきりしておりますが、従うべきでない、こういうようなことをしている。そして不当な集会に参加したり、ピケというような行動をした者は処罰に値する、こういうようにはっきりあなたはおっしゃっておる。しかしながらこの中には組合の本部からのはっきりした決定に準拠して、その通り行動している下部組合員、こういうような人もはっきりと、あなたの言うのが正しいし、処罰に該当するんだ、こういうのならば、組合活動の自由、民主化というものは一体何をさして言うのであるか、この組合法の第七条の一項、二項、三項、ここをはっきり読んでいただきたい。この中には「組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもって、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱をすること」ができないというように保障されておる。また同時にこの二項の方では、「使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと」ができないことになっておる。第三項においても皆さん知っているように、「労働者が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること、又は労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えること」こういうようなことは不当労働行為だということになっておる。組合の大会の決定に対して、今あなたのようなことを明確におっしゃって、それによって処断したとすると、組合法第七条第三項に明確に該当する不当労働行為、こういうようなことになるはずではございませんか。公労法とこれとは一致する見解です。これと迷う見解はないはずです。これに対して、どういうような考え方でこれを行なったのですか。

本多元吉日本電信電話公社職員局長

○本多説明員 公共企業体の労働組合といたしまして、あるいは職員といたしましては、御承知のように公労法第十七条で争議行為は禁止されております。そういうような違法な行為につきましては、これは私ども処分をするなり何なりいたしましても、不当労働行為であるとは考えておりません。正当な労働組合の活動につきましては、私どもは組合に対して干渉する気持はございませんし、従来もそういうことはしているつもりはございません。

島本虎三日本社会党

○島本委員 それならば、今度もう一つ例を具体的に申し上げてみたい。この公共企業体等労働関係法第一条の「目的及び関係者の義務」この中の第二項、この中には「国家の経済と国民の福祉に対する公共企業体及び国の経営する企業の重要性にかんがみ、この法律で定める手続に関与する関係者は、経済的紛争をできるだけ防止し、且つ、主張の不一致を友好的に調整するために、最大限の努力を尽さなければならない。」これは原文の通り、はっきり一条によってきめられてある。この団体交渉の席上で、朝までかかってもこの問題を解決しようとする組合の意向によって、全員が参加してこれをやっておるのに、途中からもう決裂を宣告して立ったのは公社の副総裁である。その結果こういうような事態になったとすると、公社自身がこの公共企業体等労働関係法第一条の目的とその義務に反する結果を起こしたのじゃないか、こういうように考えられるのです。これについて、総裁、あなたはどのように考えますか。

大橋八郎日本電信電話公社総裁

○大橋説明員 ただいまのお話は、三月十六日の団交は、いかにも副総裁がすべて団交をしないことで決裂させたというように聞こえますが、私が承っておるところでは、事実はさようではないように聞いております。なるほど一時は、そのとき話のやりとりで、話は物別れになったのであります。その後さらに話し合いが戻って、団交を続けておる。団交を続けておるうちに、翌日の八時過ぎになって、組合の方で団交中にもかかわらず、前の指令通りに違法な職場大会をやることに突入した、こういうことが事実の真相と私は考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 これは議事録にはっきり残っておりますから、どちらが正しかったかどうかははっきりいたす問題でありますが、私はその場所へ行って見ておりませんから、今総裁が言ったことに対して、具体的にこれはそうじゃない、どちらがどういうような行動であって正しかったんだというような判定は私自身いたしません。しかしながらここにはっきりしておきたいのは、やはり一条の精神によって、もっとがんばりながら朝まで徹夜でもやろうとする意図の前には、もっと円満に解決する方法もあったはずです。一方的に公社側がそういうような態度をとった、そういうような時点においては、これはやはり激発させる一つの原因を公社側が作った、こういうように見られてもいたし方がないと思う。それと同時に、今度直接はっきり法に基づいてやるといたしますならば、同じ公共企業体等労働関係法の第八条によってきめられた事項によって、こういうような処分を受けた人との団体交渉をなぜ拒否なさるのですか、この法的な明確な根拠をお示し願いたい。

本多元吉日本電信電話公社職員局長

○本多説明員 この懲戒につきましては、これは私ども人事権の発動と考えておりますので、これにつきましてはあくまでもやはり私ども公社側の管理権でございますので、これについて交渉する考えはございません。

島本虎三日本社会党

○島本委員 この第八条には、はっきり「管理及び運営に関する事項は、団体交渉の対象とすることができない。」けれども、対象とすることができるのは四項目に分けてはっきりここに規定してございます。「一 賃金その他の給与、労働時間、休憩、休日及び休暇に関する事項 二 昇職、降職、転職、免職、休職、先任権及び懲戒の基準に関する事項三 労働に関する安全、衛生及び災害補償に関する事項四 前各号に掲げるもののほか、労働条件に関する事項」こういうようにしてはっきりうたわれております。八条の第二号、これには明確に基準の問題を含めて具体的に示してあるじゃございませんか。もしこれが基準によってだめだとしたら、同じ第十二条にきめられてある苦情処理をなぜ皆さんの方で拒否なさるのか、あわせて第八条と十二条、これを拒否されているはっきりした理由をお知らせ願いたい。

本多元吉日本電信電話公社職員局長

○本多説明員 お答え申し上げます。  第八条につきましては、これは懲戒基準に関する事項なのでありまして、私ども懲戒そのものというふうには解釈しておりません。こういう個々の懲戒は人事権でございまして、私どもこれは団交事項である、かようには考えておりません。  それから苦情処理の問題につきましては、この処分の当、不当の問題につきまして団交等の席上で労働組合側と意見が全然対立いたしております。私どもは正当な処分をやった、かように考えております。組合側は処分は不当なものであるというふうな考えで、私どもと全然意見が対立いたしております。こういうような根本的な観念のもとに、苦情処理というふうなことについて、労使双方が出てこれを取り扱うということは、苦情処理の機構といたしまして適当なものであるとは私ども考えておりません。かようなわけで苦情処理の条項に当てはめてやらなかったわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 はっきり出された苦情の処理、これを拒否する理由は、十二条によってもう少し具体的に、なぜだめなんだということを聞いているのです。あなたがそういうふうに考えておりませんとか考えておりますとか、そういうことではないのです。ここにはっきり第八条に基づいて、苦情の処理は十二条によって行なうのでしょう、出された以上これはやらなければならないのじゃないですか。こういうようなことさえも拒否しておいて、はたしてどういうふうな方法によって皆さん自身が法に掲げられているような精神を実施しようとするのです。これははっきり言ってみて下さい。

本多元吉日本電信電話公社職員局長

○本多説明員 お答え申し上げます。  苦情処理につきましては、私どもの苦情処理の中の取り扱いにつきましても、たとえば苦情処理の却下事項といたしまして、団交事項であるとかあるいは管理運営事項であるとか、あるいはその他苦情処理を取り扱うに適当としない事項、かようなふうに却下事項がございます。私どもはその規定の関係から見ましても、これは苦情処理で取り扱うのは適当でない、かように考えております。  それからまた、逓信委員会等におきましても、御承知の通り当、不当という問題の前提となった事実の存否の問題について、誤認等もあってはいけないから、再調査というような、かようなお話がございました。その際私どもが申し上げましたように、本人が必要な資料を添えて私どもの方に申し出て参りますれば、それについては調査をするにやぶさかではございません、かようにお答え申し上げているのでありまして、そういうような精神で、この処分におきましても、今後におきましても対処して参りたい、かように考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そうするとこれははっきり第八条、第十二条、これは明確にあるけれども、それによらない別な方法によって公社はそういうような苦情処理を解決していくのである、この八条や十二条はあってもこれは利用しないのだ、こういうような意味に解釈されますが、私はまことにわかりかねます。それと同時に、組合の中央指令によってあなたが今のようにして職場大会に出るのが悪いのであるとか、またはピケを張るのが悪いのであるとか、違法な行為に対しては処分するのが当然であるとか、こういうようなことを言っておりますが、この労働組合法との関係で、これは公共企業体等労働関係法の第三条によって労働組合法との関係が明記されてあります。これはもうすでにここにないようなもの、それは労働組合法に準拠してすべて行なう、こういうようなことになっておるのですが、中央からの指令、その行動にはっきり従わなくてもよろしい。あなたの考えておるように、違法なる行為に対しては阻止する義務があるのだ、何もしないこと自身も、分会並びに下部の役員であるならば、何もしないでいることはすでに処罰に該当するのだ、こういうような考え方であるとすると、組合の指令をそのまま受けて実際に行動することは、これは完全に違法行為であるということをあなたが断定するのと同じ結果になる。これは組合法を無視するものであり、完全に団結権の否認である。あなた自身、これに対してどういうふうに考えて行動したのか。

本多元吉日本電信電話公社職員局長

○本多説明員 お答え申しあげます。  繰り返し申し上げるようでございますが、公共企業体の労働組合並びに職員といたしましては、争議行為というのは禁止されております。こういうような違法な指令が中央本部等から下部の方に流される場合におきまして、下部におきましてそれを伝達するにいたしましても、そういうような違法な行為を下部の職員に対して伝達するということによって、これはやはりそういう争議行為を鼓舞し、あるいはこれを慫慂するということになると、組合の機関上の関連から申しまして、そういうふうに私は解釈いたします。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 関連して。今島本君から、労働組合法に準拠して行なうべきであるという意見が出されております。それで今答弁を聞いていると、相も変わらずこの間と同じような考え方なんで、それでお前さんのような近代労働法に対する知識を持たない無理解な人には、私はここで一つ判決を紹介して、そうして今の裁判所が公企体の労働者の権利についてどういう考えを持っているかということを教えて上げようと思う。この間、君の方から出してきたのは民間の労組の品川白煉瓦の例、あれは暴行事件を伴っておる。これは暴行事件も何も伴っていない。公共企業体労組の争議行為に刑事免責が適用されておる。これは国鉄の摩周丸事件、札幌高裁判決なんです。この判決は昭和三十六年二月二十一日に行なわれておる。ちょっと判決文を——私は君のように都合のよいところだけ読まない。問題に関係のあるところを、少し長いが引用して、その蒙を開いておきたいと思う。  「検察官の所論はまず、原判決が公共企業体等の職員の争議行為についてその正当なものについては労働組合法第一条第二項によって刑事免責が認められると判示し、原裁判所が被告人等の所為は右正当性の限界を超えたにすぎないものとして量刑した点につき、公共企業体等の職員の争議行為は公共企業体等労働関係法第十七条の規定によっていかなる場合にも刑事免責を受ける余地はないから、これと異る法律解釈の下になされた原判決の量刑は不当であると」こう検察官は「主張する。」今度は裁判所の考えです。「よってこの点について考えてみるに、そもそも勤労者の団結権、団体交渉権、争議権のいわゆる労働三権は、世界各国において長期間に亘って労働運動が展開されてきた結果労働尊重の精神から次第に認められるに至った基本的権利であって、その正当な行使が処罰や私法上の損害賠償責任から解放され、また労働契約上の不利益な取扱から救済されることは、わが国においては日本国憲法の下における労組法によってはじめて確立されたものではあるけれども、右の如き歴史的沿革は特に重要視しなければならないことはいうまでもないところである。そして右労働三権も一定の者に対しては制限乃至禁止されることがあることは国民大衆を基盤とする公共の福祉との関係上当然であるけれども、右労働三権が右の如き歴史的沿革に基く基本権であることを重視するならば、これに対する刑罰的制限禁止は成定法上極めて明確でなければならないと解すべきである。  そこで公労法の規定について調べてみるに、同法第一八条は同法第一七条に違反して同盟罷業、怠業等を実施し又はこれを共謀し、そそのかし若しくはあおった職員は解雇される旨を規定し、また同法第三条は正当な争議行為の民事免責規定たる労組法第八条の規定の適用を排除することを明定しているけれども、一方罰則については何らの直接的規定がなく、国家公務員及び地方公務員等の公務員に対する場合と異なり同盟罷業、怠業等を企て又はその遂行を共謀し、そそのかし若しくはあおった行為を処罰する国家公務員法第二〇条第一項第一七号、地方公務員法第六一条四号のような罰則規定を置いていないのみならず、却って第三条において、公共企業体等の職員に対しては刑事上の免責規定たる労組法第一条第二項を含む労働組合法の適用もあるものとしているのである。  もっとも、右労組法第一条第二項は労働組合の正当な行為についてのみ刑事上の免責を認めているのであって、暴力を含む正当でない団体交渉又は争議行為が処罰の対象となることは勿論であるけれども、その然らざる場合においても、公労法はその第一七条において全面的に争議行為を禁止している点で国家公務員法九八条第五項及び地方公務員法第三七条第一項と同様であるから、労働組合法の適用のある公共企業体等の職員についても、労働組合法の適用のない国家公務員及び地方公務員と同じく正当な争議行為というものはあり得ず、従って争議行為については右労組法第一条第二項の免責が認められないと解する論もあり、検察官の所論は右見解に従うものと考えられ、また立法者もかく解すべきことを意図していたものと推察されないではない。  しかし公労法が公共企業体等の職員に対し、労働組合法の適用あることを明示しながら、特に争議行為については右労組法第一条第二項の適用を排除することを明確に規定していないし、他にこの点に関連し、争議行為について直接の罰則規定を設けていない以上、たとい同法第一七条が全面的な争議行為の禁止を規定していても、その違反の効果は同法第一八条による解雇に止まるものと解すべきであって、公共企業体等の職員の行った争議行為の処罰については、労組法第一条第二項の適用によって、一般私企業の従業員と同様、犯罪の構成要件に該当すると共に、争議の目的、時期、手段、方法等の点において労働組合法所定の正当性の限界を超えるものに限られるものと解するのが相当である」こう言って、最後に「検察官の所論は採用し得ない。」ときめつけて、そして検察官の上告を却下している事実がある。この判決は労働省も知っていますね。従って島本君から今言われましたように、労働組合法に準拠して行なわれる、すなわち学者の一般的な意見としては、労働組合の指令権にまで問題は及ばないということが定説であって、たまたま公共企業体であるということで争議行為が禁止をされておる、あるいは制限をされておるといっても、そこには明確に憲法第二十八条によって保障されているところの団結権、団体交渉権あるいは団体行動権というものが存在しているのであります。従って今正当な団体交渉を拒否するということは、明らかに不当労働行為といわなければならぬ。  しかもこの間君が言ったように、新婚旅行中に職場大会にも参加していないのに分会の役員であるという理由をもってこれを処罰することは、著しい不当労働行為であるといわなければならぬ。そういうような考え方では、電電公社という近代的な企業を背負って労務管理をやるのにふさわしくない。もう一ぺん君の見解を問う。

本多元吉日本電信電話公社職員局長

○本多説明員 お答え申し上げます。ただいまの判決の点につきましては、私ども研究はいたしておりません。あるいは刑事罰の点を主に説いておられるのではないかというふうに考えられます。  公共企業体につきまして十七条がございます以上、争議行為というものは禁止されておる。これに対して懲戒処分を行なう。私どもはかような立場から今回の措置をとったわけであります。

冨樫総一労働事務官(労政局長)

○冨樫政府委員 ただいまの裁判判決はわれわれも承知しております。それにつきましては、ただいま電電からお話のありましたように刑事事件であります。それから第二点として、検事当局は上告しておると承っております。  われわれの行政解釈といたしましては、現在のところ依然として十七条違反は、それ自体としては十八条の効果をもたらす。従ってほかの効果がすぐそこから出てこない。しかしながら法律で禁止されている業務が組合法第二条二項を通過する際に、それが正当なる組合活動とは考えられない。こういう立場でございます。

赤松勇日本社会党

○赤松委員 これはタラップの例の刑事事件だけでなしに、争議行為に伴う解雇の問題も含まれておるのではないか、そうでしょう。だから判決は特にこの点を強調しておるじゃありませんか。

冨樫総一労働事務官(労政局長)

○冨樫政府委員 事件そのものとしては刑事事件というふうに解釈いたします。

島本虎三日本社会党

○島本委員 以前からいろいろと出されておる中で、総裁にも、労働省からも来ておりますから、なおこの際に明らかにしておいたらいいと思いますが、参議院でもはっきり答弁されておりますから、その議事録によってもう一回的確な答弁を承りたい。  少しくどいようですが、中央から来た組合の指令であろうとも、それが不当である場合には、返上をしなかったから処分をした。こういうようなことをあなたは明確に言っておられる。しかしながら組合の運動に対してこれが不当であるとか、または不当なる職場大会であるとか、違法なる職場大会であるとか、不当、あるいは違法なる指令であるとか、こういうようなことを組合に押しつけて、それをやらなければ完全に処罰に該当するのであるというようなことをあなたが強行すること自身、団結権の否認であり、不当労働行為である。このことは組合法によって、今まで私が言ったように明確な事実によって指摘した通りです。もしそういう点を百歩も二百歩も譲っていいとすると、今後の一つの事態としてあなたはこういうような点をどのように考えますか。今度は交渉中で中央で話をまとめなければならないような段階に、公社当局が思わしいような結論が出ない場合には、組織の中に不当に手を伸ばして中央機関と地方機関及び末端機関と分断する。こういうような措置も今のあなたの見解では十分とり得るような解釈になるわけです。こういうことが行なわれたら、公労法の違反であることはもちろん、労働者の基本的な人権を、団結権を含めて、完全に否定する結果になるではございませんか。そういうことを罰するのだというあなたのはっきりした考え方は、今まで何回聞いてもわからない。わかるのはこういうおそればかりなんです。こういうことは絶対ないことだとあなたが断言するならば、あえて総裁からこの見解について、ないというふうなはっきりした見解を聞かしてもらいたいし、労働省の方でせっかく来ておるのですから——今のように中央からの指令を返上しなければ処罰に該当するのだとはっきり言っておりますが、こういうことで将来の組合の運営が円満にできるというふうにあなたたちは考えましょうか。またはこれが不当労働行為に該当するものである、こういうように考えますかどうか、これもはっきり両方から意見を承ります。

冨樫総一労働事務官(労政局長)

○冨樫政府委員 個々の事態についての事実認定、状況、価値判断は、われわれとしてどうというわけではありませんが、一般的に言いまして、組合の団結権に縁由するところの組合員に対する統制権限、またその統制に服すべき筋合いは、正当なる指令、正当なる指示でありまして、違法なるものは及ばざるものと考えます。しこうして指令を返上と申しまするか、中間の役員たる者がこれをさらに下部に伝達することも、組合運動として正当なるなにではないと認めます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 もう一回最後のところを……。なにではわからないから、もう少しはっきりした用語を使って言って下さい。

冨樫総一労働事務官(労政局長)

○冨樫政府委員 そのことは違法なる、正当ならざる争議行為が、正当なる業務の阻害を……(「組合の指令のことを聞いておるのだよ」と呼ぶ者あり)その指令の内容が、法律で禁止されておることを内容とするもの、そういうものは正当なる組合の統制権のワク内でないから、それをさらに中間機関が流すということは、正常なる業務を阻害する行為をあおる、そそのかすことになると思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 これは私の方では、明確に議事録によって答弁された通りのことを言っておるのです。これは抽象的に言っておるのじゃないです。もうすでに決定された中央本部の指示に対して指令を返上する、それから職場大会に臨まない、こういう態度をとることを慫慂するのです。公社はそうでないから罰したというのです。それも出したのは中間機関でも何でもない、中央本部が、もうすでに法的にもはっきりとした手続をとって認められておる労働組合が、正当なる指令を、正当なる機関から出しているのです。そうでなかったならば、今あなたが正当でないというならば、今全電通がやったもの並びに方法が正当でないという理由をはっきり言ってもらいたいのです。今法的に慰められている方法によって、明確に正当な指令を出しているのです。こういうようなことが下部の方へいけば、これは判断によって指令を返上しなさい、職場大会に参加しなさるな、したならば罰するぞ、こういうようなことを現にしているのです。これははっきり言っておきますが、昭和三十六年四月二十七日の木曜日の参議院の議事録に載っている。小林孝平委員、森中守義委員、この二人からの質問に対して、これは副総裁並びに職員局長から答弁されていることなんです。具体的な例によって、こういうようなことはもうすでに不当労働行為に翻するようなことになるのじやないか。これで将来、もうすでに不当介入が——現在私が言ったようにして、中央本部で解決しなければならないようなことを、暗礁に乗り上げると、すぐこういうような手をもって分断支配をやられるようなおそれが当然ある。こういうようなことは、正常なる運営と言えないのじゃないか、そういうようなおそれがあるのじゃないか。そういうことに対して、今まで公社が言っていることが正しいのか、今私の言っていることは、当然こういうようなことを気をつけなければならない重大な点であるのか、ここを聞いておるのです。不当であるとかなんとかいうことで、中間の機関から出せばとか、そんなことを言っているのじゃない。具体的なことを言っているのです。これに対してもう一回はっきりした答弁を願いたい。

冨樫総一労働事務官(労政局長)

○冨樫政府委員 私が先ほど申し上げたのは、おそらくは指令の内容まで、合法的なものにまで介入したものとは考えられません。おそらく家郷的に明瞭に指令の内容が法違反の内容についてであろうと確信して申し上げたのであります。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 関連して。ただいまの労政局長の答弁の趣旨は、公労法の十七条によって争議行為が禁止をされておる。従って禁止をされておるような行為を指令する場合には、公労法の保証を受けない、こういうような意味の答弁だと思うのです。だといたしますると、この際労政局長に見解をお尋ねしておきたいのですが、公労法の十七条には「職員及びその組合は、同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。又職員は、このような禁止された行為を共謀し、そそのかし、若しくはあおってはならない。」こういうように伴いてあります。書いてありますけれども、公労法に規制をされるところの労働組合というものは、御承知のように団体交渉権を与えられておるわけです。団体交渉権というのは、話をするだけのものではないわけです。これは労働省もおわかりのように、当然団体交渉をするのにあたっては、その準備としてのいろいろな行為というものが許されなければならぬと思うのです。そういうものと関連をして、この十七条の規定というものの適用を受ける、公労法の規制を受ける組合というものは、どういう範囲のことをやっていいのか。その範囲を一体どういうようにあなた方は考えておるのか。ここをまず明確にしてもらいたいと思うのです。

冨樫総一労働事務官(労政局長)

○冨樫政府委員 御質問の趣旨に対する答弁がちょっと足りなかったらまたあとから補足いたしますが、私の承った質問に対するお答えといたしましては、公労法上の労働組合は、法定事項について堂々と団体交渉をする権限を持っております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 だから団体交渉権は、公労法上当然与えられておるわけです。団体交渉権が与えられておるということは、当然団体行動権なり団結権なりというものが認められた上においての結果としての行為なんです。そうでしょう。だとすれば、この十七条の規定というものを、表面上そのまま解釈をするとすれば、公労法の適用を受ける労働組合というものがやり得る大衆行動、団体行動というものは、一体どのくらいの範囲を考えておるかということです。これが違法だ、あれが進法だということを言うならば、どの程度までは違法じゃないという限界がなくちゃならないのです。その点を明確にしなければ、今の議論というものは解決がつかないはずだから、その点について労働省はどういうふうに考えておるかということを聞いておるのです。

冨樫総一労働事務官(労政局長)

○冨樫政府委員 一つ一つ具体例を客観的に全部網羅することはちょっとむずかしいと思いまするが、通常考えられることは、時間外の大会なり、あるいは非番の人が正当なるデモ行為をする、正常なる業務を阻害しない範囲内において自由になし得ると思うのです。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 労政局長、非常に抽象的な表現なんです。正常な業務を阻害しない行為ということになるならばということですが、正常な業務というものを非常にあなたは正常な見方をされておる。たとえば、私が今あなたに具体的な質問をしますが、国鉄あるいは電電公社、いろいろな公社の内規があるわけです。公社自体の法規がある。この公社の法規を守っておった場合には、実際にほんとうの意味での正常な業務の運営ができないという事例がたくさんあるわけです。これは安全関係の問題なんかは強行法規になるわけですから、これは優先的に守らなければならない、そういう法規数がたくさんある。たとえば国鉄なんかに例をとれば、構内の運転作業に従下するにあたって、走ればけがをする、走ればまずい仕事をするような結果になれば、走ってはいけないということがびしっと書いてある。そういうような法規類をきちっと守っていくということが、正常な業務を運営することになると思うのです。それをやっておったのでは、非常に忙しいために、実際に列車の連行というものが阻害をされる、列車の運行が正常にやれないという問題もあるわけです。そういう問題にぶつかってくると、一体正常な業務の運営という範囲はどこなのかという問題が出るのです。これは今までのいろいろな紛争の中でさんざん議論をされているはずだから、あなたの方でも承知をされていると思うのですが、実は十七条のこの規定というものは、こういう表現をとっておるために、実際どこからどこまでが公労法によって規制をされる組合に許された団体行動の範囲であるのかということが不明確である。今あなたの答弁では、正常な業務を阻害する行為は十七条に違反をするのだ、こういうことでありますけれども、その点が明確でないところに問題があるわけなんです。従って私は、その公労法の管理をするところの労働省としては、いわゆる正常な業務に支障を来たすということは、一体どこからどこまでの範囲をいうのかということを明確にしておかないと、不必要の紛争というものが起こってくる、こういうふうに考えているので、その点を労政局長の方から明確に答弁をしてもらいたいというふうに言っておるわけですから、抽象的にでなく、紛争をできるだけ将来防止する、こういう立場に立って、もっとはっきりした答弁をいただきたいと思うわけです。

冨樫総一労働事務官(労政局長)

○冨樫政府委員 御説の趣旨はわかります。ただ、先ほどからも申し上げておるのでありますが、具体的になりますと、今回なされた七千件の処分を一つ一つ審査するわれわれの立場でございません。そういうことで、個々について争いが起こり得る場合はある程度私もあると思います。その場合に、それが一方組合運動弾圧の目的を持ってやっていると認められる場合には、公労委に不当労働行為でなにされたらよろしかろうし、郵政であればあるいは不利益処分の救済を人事院に求められてもよかろうし、あるいは法廷で争われてもよろしゅうございましょう、そういうふうに申し上げるのがわれわれの労政の立場の見解でございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 これは私はあとでもう少し質問をするつもりでおりますけれども、ここで申し上げておきたいのは、公労法という法律は二十四年に施行せられて以来今日まで一回しか改正になっておりません。その大綱的なものは、ずっと精神は一貫しておる。僕たちが疑問に思っておることは、今から七、八年前に行なわれた一つの行為とい、こういう状態であったのにもかかわらず、それから時間がたつに従って、今度は同一の行為が公労法の違反だというふうにいわれるようになっておる。こういうところに、非常に権力によって労働運動を断圧しようとする意図があるのではないか。私はあると考えますけれども、そういうような気持を一般の人たちに与えているわけです。一つの行為に対しては、時間の経緯があろうとなかろうと、法律の内容が同じである場合には、当然同一の規制が行なわれなければならないと私は思うのです。そういう点について労働省としては、今までいろいろ公労法の中では問題があった、問題があったからこそ、今から七、八年前の公労法の運用の状態と現在の運用の状態、こういうものについて相違が出ているというふうに考えますか。それとも考えませんか。この点を一つ聞いておきたいと思います。

冨樫総一労働事務官(労政局長)

○冨樫政府委員 法規の適用につきまして、あるいは懲戒処分の運用につきまして、時に寛厳があり得るということは考えられます。過去において一たん処分に該当した事項でも、何らかの事由によって宥恕したものを、その後他の事情によって厳正に適用するという場合もあり得る。また現実にあるだろうと思います。ただ一つつけ加えておいた方がいいとわれわれも思いまするのは、従来の扱いとある程度取り扱いが異なるであろうような場合には、あらかじめ相手方に警告をするというような親心のある態度をとるようなことが望ましいというふうに考えます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 労働省が来ておりますからなお重ねて聞きますが、今言ったように、これははっきり二つに区切ります。組合運動の中でそれはもう違法と認めようが正当と認めようが、認める方は認め、組合の方では正しいとしてやっておりますから、まずそういうようなことは論議の外にしておいて、相手側が、組合の指令を受けてやっている組合員に対して、指令を返上しなさい、職場大会に出席するなというようなことを言うことは、これは運営に介入することになると考えますか、ならないと考えますか。

冨樫総一労働事務官(労政局長)

○冨樫政府委員 形式上、内容上正当なる指令の場合にそのようなことをすれば介入になる。

島本虎三日本社会党

○島本委員 従ってこれは、議事録にも今まで明確になっているように、今言ったように、これは第七条の三項の第二行目の事項にあるように、これは「労働者が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること、」 は不当労働行為であるということは明確なんだ。公労法もこれを適用するのだ。今、職場大会に参加しちゃいけないとか、また指令を返上しなさい、返上しないから罰する、こういうような行為は不当労働行為に該当する行為である、こういうふうに思われてもしょうがないじゃないか。労働省の方でも、こういうような二つの事例をもっては、もうはっきりそういうふうに断定している。これは将来に至っては分断支配のおそれさえ十分感ぜられるということは、今までの答弁でもうすでにはっきりしているわけで、今までの公社側の答弁は、この処分については、まことに重大な危険きわまりない答弁をなさっております。こういうふうなことに対しては、総裁、あなたはどのように考えますか。労働省も今のような答弁をはっきりしておりますし、公社側でも、議事録によっても明確なんです。総裁、あなたは、こういうようなことに対して、今後もこういうようなことをはっきりやっていった方が、正しいというふうに考えますか。それとも労働省の言うように、これは気をつけなければならないというふうに考えますか。いずれですか。

冨樫総一労働事務官(労政局長)

○冨樫政府委員 誤解があってはいけませんから重ねて申し上げますが、指令が形式的にも内容的にも正当なものである場合に、その実行をはばむようなことを使用者側がしては不当労働行為になるということを申し上げておきます。

大橋八郎日本電信電話公社総裁

○大橋説明員 公労法の第十七条の脱走によって禁止されているような行為は、これは違法な行為と私どもは考えます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 今労働省の方で言った見解については、社会労働委員としての私どもの見解の点と若干食い違ったものがありますが、この点については私は保留しておきたいと思います。この点に私はあとでゆっくりあなたと争いたいと思います。  なお、前回の続きになりますが、この際ですから総裁から明確にしておいてもらいたいと思いますが、郵政大臣が管理者側に対して、職務を放棄し、または職務の場所を去ったり、管理者としての違法状態がもし生じたならば、法に照らして法規上の処分をする、こういうふうなことを総裁は知らないとおっしゃった。知っている知らないというようなことで前回いろいろもめましたが、しかし、現在あれから三日もたっておりますから、この点等については総裁は十分知っておられると思うのです。組合の方の処分は、なすべきじゃないという範囲を越えての処分がなされたことはわれわれは十分わかる。今後もこういうよう問題に対してはおそらくは尾を引くものであり、社会労働委員としても、このやり方等については毎回この場所で討議をされるような状態になるのじゃなかろうかとも思われます。しかし、経営者に対しても、管理者側に対しても、こういうふうな違法行為があったならば処分をするというふうに言われてあるのですが、この問題に対してはっきり調査されましたのは今まで何件ございますか。これをはっきりしていただきたいと思います。

大橋八郎日本電信電話公社総裁

○大橋説明員 ただいま御指摘の、管理者側においてもし違法な行為があれば、むろん処罰いたします。目下そういう問題を指摘されて問題があるとすれば、おそらく調査していると思います。その点は具体的の問題でありますから、局長からお答えいたさせます。

本多元吉日本電信電話公社職員局長

○本多説明員 前回におきましても島本先生からお話がございましたが、そのときにもお答え申し上げておきましたように、私どももすでにその前からそういうお話もございましたので、地方に聞いてみましたが、その際の通信局のお話によりますと、その事件の前後におきまして、御承知のように管理者も非常な心労でございました。ことに管理者は年令の非常に高い者でございまして、健康のすぐれない者等ございましたので、これが局所において執務をしないでほかのところに行く、これは通信局においてちゃんとその場所もわかって、通信局の命ずる執務をいたしております。あるいは処分撤回闘争等で集団的に組合側が大挙して押し寄せる、あるいは自宅まで来られる、そして奥さんや子供に対していろいろ話を強要されるというような一例もございました。そういうようなことも考えまして、局舎あるいはその居所から離れて、ほかのところで通信局等その上部機関と連絡して勤務させるというような事例もございます。そのほかの点につきましては、そういうことはございません。前に申した通りであります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 具体的に全然ないということですか。

本多元吉日本電信電話公社職員局長

○本多説明員 そうでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 全然ないというようなことであるとすると、私どもの方では少し解しかねるのです。ただ具体的に、長岡で行なったあの行為の中で、はっきりしたデータはあるのですが、ああいうような行為、並びに別表十によってこれを処置したと言いますが、その別表十にももとるような処置をされてあるのです。管理者側に対しても同様に同じような態度で臨む、こういうようなことを言っておるのです。そして同時にこれを前日に知っている組合に対しては、あなたの方では、それを措置しないのが悪いのだ、全然措置しない行動が罰則に値するのだといって処分している。経営者の方でも一日前にわかって同じような措置をしながら、そういうようにはっきり別表十にもとるようなそういう行為をしたのも具体的にある。別表十の中で、これは私の方で暗記しておりますからはっきり言いますけれども、あの第一基準に属する問題、第二基準に属する問題、この第一基準、第二基準の中で、それぞれガス事業に携わっているような電話、これは第二基準でしょう。こういうようなものもあえて切ってしまってある事実がある。第一基準の方に属するようなものでも、重要なものも切られている例もあるのです。こういうようなことをしても、これは当然差しつかえないものであって、組合の方は罰してもいいが、経営者の方には何ら手を触れない、調べてみてもそれは正当な行為なんだ、こういうことですか。これははっきり総裁の方にも聞いた方がいいと思う。

山下武日本電信電話公社理事(運用局長)

○山下説明員 ただいま御指摘の別表十の適用上の問題につきまして、私の方も羊詳細に調査いたしましたが、御指摘の部分につきましては、私どもはさように思っておらないのでございます。具体的にガス事業は切ったとおっしゃいますが、調査いたしましたところ、長岡の電話の三十一番と四千七百十八番は北陸瓦斯会社の電話でございまして、これは生かしております。そのほかの部分につきましても、具体的にあの局で生かした電話につきまして調査いたしましたところ、それぞれ理由があるわけでございますので、別段そう不当であったとは存じておりません。

島本虎三日本社会党

○島本委員 気象機関の電話が漏れておりますが、全然漏れたのはありませんか。

山下武日本電信電話公社理事(運用局長)

○山下説明員 御指摘のように気象機関の分は生かしたうちに入っておりませんが、長岡にあります気象機関としましては、気象通信所というのがございます。これは運輸省の設置法によって設けられた機関ではございません。その任務とするところは、ロボット雨量計の資料を受信し、中央気象台へ中継する、あるいはロボット雨量計の見回りをするとか、中央気象台から天気予報の資料をもらって伝達するというようなことが、この気象通報所の任務になっているようでございます。そして所長一名と所員一名、二名だけの機関でございますから、広い意味におきましては、気象機関と言えるでしょうけれども、正式の機関といいますか、運輸省設置法による気象機関というものに入っておりませんし、ただいまのやっておる任務から申しまして、実は別表第十の意図しておりますものは、ほんとうに天災事変その他非常時における場合の気象関係の通信を確保しようという趣旨でございますので、別表十に違反したというふうに私どもは理解をしておらぬわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 その問題はこれ以上やりません。では、別表十はその通り実施したものである。経営者側、管理者側に何ら手落ちのないものである、こういうような断言として、これはとっておいていいわけですね。

山下武日本電信電話公社理事(運用局長)

○山下説明員 私どもとしましては、別表十を適正に適用しておるのであって、その中に違法とか間違いがあったというような事実を知らないわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 その点等については、うちの方でもはっきりしたデータを持っておりますから、その点であなたが言ったことは議事録に残っておりますから、それと突き合わせた上でこれを明確にいたしましょう。  なお公社総裁に最後に申し上げておきますが、労使双方の間で有効かつ平和的な論議をはかるように団体交渉の慣行、手続を確立することによって、公共企業体及び国の経営する企業の正常なる運営を最大限に確保し、もって公共の福祉を増進し、擁護するのを目的として立てられているこの第一条が、現在のような公社の考え方で労働問題を扱っていく場合においては、第三条、第一項、第二項にもとるようなこういう結果は、私どもとしては大いに案じられるわけです。公社当局としても、公社法によって事業を運営する以上、やはり一番その基低をなすのは労働肴ですから、この労働者をただ今のような一方的な考えで、経営者のやっていることはいかにミスがあっても、これは正しいものであり、労働者の方に対しては、おそらくは中央の指令を返上せよとか、職場大会に参加するな、した者は罰するとか、しないのが、正しいとか、こういうようなことを盛んに言って、労使の間に水をさすようなことをしていることは、この公労法の策一条に完全にもとり、なおかつ今後の公社の運営にも相当危惧されるような心配の面が大いにある。こういうようなことで、十分今後気をつけなければならない問題が多々ございますから、こういうような点等については、総裁初め、運営上今後は重大なる決意を持って対処してもらいたい、また考えてもらいたい。私の質問は、若干時間は超過いたしましたが、きょうはこれで終わっておきまして、またなお来週この続きについてはやっていくことを宣言いたします。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 小林進君。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 総裁、幸いにしてこの次国鉄の不当労働行為をやることになりまして、七時過ぎまでで私は発言を封ぜられておりますので、これはあなたにとって非常に幸運だと思うのです。私、実はきょうは四時間ばかりやらしてもらうつもりで楽しみにしておりましたけれども、きょうはできないそうでありますから、時間の足りない分はまた来週ということにいたしまして、来週やらしてもらいまするが、私はやっぱり繰り返されていた問題の中でどうしても了解できない問題があるのです。それは私が被害者の立場でありまするから、なおさらその問題は痛切であるわけです。今も島本委員が言われた電話の架設、電話の切断の問題なんですが、たしか公社には電話を架設するときには電話架設の優先順位があるはずであります。たしかわれわれ国会議員は、いわゆる最重要路線としてその電話架設のときには扱われているはずであります。でありまするから、私も当選したときにあなた方はわれわれに優先的に電話を入れてくれた。その架設するときには最重要路線として扱われている電話が、今度百四十二条別表に基づいて、そのときにはわれわれのいわゆる重要度は低下している。何でもないようにすぱっと切られている。料理屋よりもそば屋よりも染物屋よりも簡単にわれわれは切られている。一体架設のときの優先順位と非常の場合における重要度と、どうしてこういう食い違いがあるのか。食い違いがあるじゃないか。その点をはっきりしておいてもらいたい。

山下武日本電信電話公社理事(運用局長)

○山下説明員 ただいま御指摘のように、当選時の架設いたします場合と非常災害復旧の場合との基準の差異がございます。それでその点誤解ないように御説明いたしたいと思いますが、実は天災事変が起きまして非常な災害を受けたような場合に、私どもといたしましては何としても天災事変に対する応急措置をしなければならない。その応急措置をしなければならない機関といたしまして気象機関とか水防、消防機関、災害救助機関とか……。    〔小林(進)委員「今度の場合を聞いている。天災事変の場合じゃないんだ。」と呼ぶ〕

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 小林君、答弁中であります。

山下武日本電信電話公社理事(運用局長)

○山下説明員 内容は同じでございまして、別表十というのは天災事変でありましても、その他やむを得ない場合であっても、同じように適用されるようになっております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 さっきも言っているように、時間がないと私は断わっている。われわれの電話を架設するときには、君たちは最重要路線でございますといって架設してくれて、このたびの長岡の場合は、天災でもない、事変でもない、君たちがしばしば言明しているように、ただやむを得ない場合と無理に法を解釈して、そして組合が大会をやったり、保安要員を置かなかったということを理由にして、天災でもないんだ、不変でもないんだ、そういういわば政治的な、組合の問題でありまするから、広い意味における政治問題のために電話路線を切った。その切るときになったら、われわれの電話はもはや最重要路線ではない。最重要架線ではないといって、紺屋、そば屋、染物屋よりも簡単に扱われている。その理由を私は聞いているんだ。今の別表十には事変も天災も入っているけれども、今聞いているのは天災事変のことを聞いているんじゃない。今言っているのは、政治的な考慮によって切った、われわれの優先順位はそば屋よりも低落している、その理由は一体どこにあるか、それを聞いている。

山下武日本電信電話公社理事(運用局長)

○山下説明員 そば屋とかいろいろおっしゃいますが、時間がないとおっしゃられると説明ができないわけでありまするけれども、そば屋だから生かしたという例はないのでございまして、少し詳しく申し上げますると、総合機関の一端でございまして、長岡におきましてはかねがね非常の事態において、火事その他の場合があったら非常に困るからといって、消防署から二十三の電話につきまして消防の連絡機関として指定されておるわけであります。その二十三のうちからそこへ連絡しますと周辺の消防団員に連絡をして消防に当たるという組織になっております。私どもが生かしましたものは、その消防機関としてかねがね消防署から非常の場合のものとして残してくれと頼まれているものであります。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 今消防から頼まれたというが、二十三か何かの電話を言ったが、組合のために電話を切りますといって全市の五千何ぼの電話を切って、その中で重要架線を三百五十二残した。二十三じゃない。その中に三百五十二残している。その三百五十二残している中にいわゆるそば屋があるのじゃないか、染物屋があるじゃないか、紺屋があるじゃないか、菓子屋があるじゃないか、料理屋があるじゃないか。しかもその料理屋に対してわれわれが聞いたときに、通信局長と通信部長はこういう説明をした。いいですか、それはあなたの言うように消防署が残せといって残したんだと言わなかった。常盤とかそういう料理屋を非常時の場合はわれわれの本拠にして、経営者側の本拠にして、そこへ立てこもる、そしてそれを対策の本部にする予定でございましたが、まだそこを本部にしてわれわれが入らないだけで、電話を残しておくのはあたりまえでございますと言っている。君の説明と違う。それが料理屋での通信局長、通信部長の説明だった。なるほど電話局があるから、組合がストライキをやるときにはこれ幸いと直ちに市内の一流料理屋へ入って、それを本部にしてまあ飲み食いしたかどうかは知りませんけれども、そういうふうにして料理屋を利用したということは、それで了解できた。了解できたからこの質問は答弁要らない。要らないけれども紺屋が残ったのは何だ。紺屋も菓子屋も入っているじゃないか、消防署のその二十三のほかに。とにかく三百五十二は架設残している。切らないで残した。国会議員のところは、ここに七名か八名かいるが一つも残していない。参議院議員も衆議院議員も一つも残してない。それを君たちは正しいと思っているのか。架設するときは最重要であるといってわれわれの電話をつけておきながら、そういう政治的なストライキのときに切っておいて、それであくまでも正しいと君は言い張るのかどうか。その問題は理屈をつべこべ言うな。総裁、それが一体市電公社のあくまでも正しいあり方と信じているかどうか、それを聞いておる。

大橋八郎日本電信電話公社総裁

○大橋説明員 個々の電話を生かしたとか、つながなかった電話、切った電話、この差別につきましては、個々の事情は十分に調査して決定せられたようであります。その個々の内容については私が一々検査しておるわけでありません。ただいま運用局長が申しましたのは、運用局長は十分それについて調べた結果手落ちがないということを申したものですから、詳しいことは運用局長に答弁いたさせます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 総裁にお聞きしているんですよ。総裁、いやしくもあなたの方で架設をするときに、国会議員の電話は最重要度でございますといって最優先的につけている。いいですか。つけておいて、同じ電電公社が今度は、こういうストライキをやりますとか組合との折衝問題でやむを得ず電話を切らなければならないときには、料理屋はこの通りにしてわれわれの本部にする必要があります。紺屋は紺屋でこういう組合のストライキのときは使わしてもらいます。そういう理屈をつけたりして、そういう電話を含めて三百五十二を残しておきながら、われわれの電話はむざんに切断をした。あなたは一体総裁としてそのあり方が正しいとお考えになっておるかどうか、あなたの気持を聞いている。個々の電話がいいかどうかということを聞いているのではない。このあり方が、一般論として公社のあり方として正しいとお考えになっておるかどうかということをお聞きしている。

大橋八郎日本電信電話公社総裁

○大橋説明員 電話を新たに架設する場合の標準と、それから何か非常災害その他の非常時において必要な電話として存置する電話と、おのずからその間に適用する場合が違うのであります。(「料理屋はどうだ」)料理屋のことはもし必要ならば運用局長からお答えいたします。

山下武日本電信電話公社理事(運用局長)

○山下説明員 ちょっと今の問題に対して説明させていただきませんと、どうも誤解があるようでございますから簡単に申し上げますが、先ほどから申しておりますように、料理屋とかそば屋という理由によって生かしたのではございませんで、そういう消防機関たる性格を持っておったり、あるいは簡易公衆電話とか委託電話というような公の性格を持っておりますがゆえに生かしたのでございまして、そのことを一つ御理解願いたいと思います。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 そういう詭弁を弄するから私は了承できない。私は質問するからにはこれを見ているのですよ。三百五十二の中には、ちゃんと委託電話をつけておる。簡易利用の電話もつけておる。その中には呉服屋もあるしパン屋もある。けれどもそれは簡易電話であり委託電話でありますから、パン屋云々、呉服屋云々ということは質問しておりません。委託でも簡易利用でもない、しかも消防でもないというものを聞いている。

山下武日本電信電話公社理事(運用局長)

○山下説明員 生かした電話の記録は全部ここに持っておりますから、説明する時間がありましたら御説明いたしますが、それぞれ理由のあるものばかりでございますので、御了解願いたいと思います。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 私はどろぼうにも三分の理があると言っておる。だから今も言う通り、料理屋だってその通りだ。聞いてみたら、あなた方、そこへ立てこもって組合のピケ破りをするのに必要だから料理屋を残した。それも理屈だ。しかしそういう理屈のために、われわれ国会議員の、架設をするときには最重要だといって架設をした電話を切ったことが、一体総裁の判断によって正しいかどうかを聞いているのです。総裁、いま一回答弁して下さい。

大橋八郎日本電信電話公社総裁

○大橋説明員 先ほど運用局長から申し上げました通り、非常災害その他非常時において災害防止に必要なことが最も重要なことでありますから、その場合適合したような基準を適用する、かように考えております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 その料理屋だけではございませんが、ここには簡易電話もなければ、いわゆる委託の電話もない。山竹などという料理屋が残っております。これも確かに必要なんですね。じゃその常盤という料理屋。これも、私が聞いたときに、立てこもるために必要だという答弁は、新潟へ行って通信部の方からご説明を聞いてきました。じゃ一つだけ聞くが、山竹という料理屋は一体どうして必要なんですか、お答え願いたい。

山下武日本電信電話公社理事(運用局長)

○山下説明員 何番の電話でございましょうか。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 何番と言わなければわからないじゃないか。そういうずさんな答弁なんか聞く必要はない。電話番号を知らなければ料理屋か何か知らないじゃないか。それだからだめだと言うんだ。

山下武日本電信電話公社理事(運用局長)

○山下説明員 電話は番号によって処理しておりますので、何番の電話とおっしゃっていただかなければ、どうもよくわからないわけでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 それじゃ番号を三百五十二全部読み上げましょうか。あなたが方が驚いて卒倒するようなものがこの中に入っておる。今の総裁の言葉は重大ですよ。こんな答弁で私どもが引っ込むとお考えになりましたら、あなたは大へんであります。それはわれわれに対するいんぎん無礼な証拠じゃありませんか。架設するときには、先生方、よろしゅうございます。一生懸命、何をおいても架設いたします。公債も要りませんと、うまいこと言って喜ばしておいて、そしてこういう組合のときになったら、天災でございます、事変でございます——天災でもない、事変でもないんだ。そういう政治問答で人をぺてんにかけるようなことを言っていて、それで国民に奉仕できるといえますか。時間がありませんから、この問題はあと回しにして次にお伺いいたしますが、これはまたやります。  次を言いますが、あなた方は、国会に来て答弁をされるときに、サービス機関だから、ああいうピケを張られたんで、国民に対するサービスを守るために、私どもはやむを得ずこれをやりました、あれをやりました、こういうことを盛んに言われる。それほど経営者側や職制にある人たちは、非常に国民大衆にサービスをするということを金科玉条のようにして説明している。非常にけっこうであります。その精神が名実ともに備わっているなら私も感謝いたしましょう。あなた方はすでに三月の十一日から電話を切る準備をされていた。現実に切られたのは十六日の午前七時でありますが、切る準備はすでに五日前の十一日からせられていた。そうして十四日には、ちゃんと中に入って、弾器板の中にプラスチックか何か差し込んで、三百五十二だけは切らないようにすっかり作業せられた。それくらい懇切丁寧に準備をせられたら、その間に、電話を切るが、大衆にこういうことで迷惑をおかけするかもしれないということをあらかじめ通告する時間の余裕はあったでしょう。それこそ天災事変で、瞬時に原爆が落ちたり、津波が起こったり、たつまきが起こったりというならば、前もって電話を切るということは言えぬのでありますけれども、五日も前から準備して、国民大衆に迷惑をかけることがわかっているのに、どういう理由で、どういうサービス精神でやりましたか。

大橋八郎日本電信電話公社総裁

○大橋説明員 これは小林先生もご承知の通り、組合としては相当前から拠点を大体予定して、その拠点のうちの最後の決定は、おそらく前日あたりに言ってきただろうと思います。一県に三つなり四つなりというものを、およそこの範囲内において拠点に利用する、拠点にいよいよきまったときにはこうするという指令が出ております。そうしてその指令の中では、従来と異なって保安要員も置かず、保留要員も置かないで、全員引き揚げて、一時間なり二時間あるいはそれ以上の職場大会あるいは職場外の大会をやるというとこで、もしその通り実行せられた暁には、保安要員もいないし、通信もできない、電話の交換もできないという事態に立ち至りますので、さようなことになった暁には、あらかじめ相当の準備をしないと不慮の災害、たとえば火事が起きないとかあるいは機械が焼けないというようなことも保しがたいのであります。従いまして、万一そういう場合のために相当前から準備をするのは、これはどうもやむを得ないことだと思います。しこうしていよいよ最後に決定したのは、おそらく十六日の前の晩もしくは十六日の朝ではないかと思いますが、はっきりこれが拠点局に指定されたということがわかったのでありまして、あらかじめこれを準価することをお責めいただいても、私の方としては、これは当然のことと考えております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 これくらい懇切丁寧に、こんなにおとなしくわかりやすく私が質問しているにもかかわらず、総裁は答弁にならない。準備をしたのがどこが悪いと私は言いましたか。準備をしたのは悪いとは一言も聞いていないですよ。十一日から準備をされているのだから、それくらい公社がサービス精神に富んでおって、市民大衆に対するサービス精神に徹しておりますというなら、それくらい準備期間があるのだから、その間に、こういうふうなことで市民大衆に電話を切って不便をおかけすることがあるかもしれないから、その節は一つあらかじめよろしくという予告をしたり通知をしたりして、不意に切られて市民大衆がろうばいするようなことを事前に防ぐというようなことは当然やっていいのではないか。なぜそういうことをやらなかったのか。口と腹と行なうことは全くでたらめではないか。  それからいま一つ、あなたの証言の中に、重要な証言がありました。これはこの前も私は逓信委員会に行ったときに、組合側の決定は、ほんとうに最後に長岡を拠点地区にして争議をやるということは前日までにきまっていなかったではないか、まだ組合は話し合いの態勢に入ろう入ろうと言っているときに、もう公社側の方はすっかり計画をして、むしろけんかを売りかけたのはあなた方の方じゃないかと言ったら、そんなことはございません、組合も前からちゃんと意思決定して、十六日にはストライキをやる準備をしていたということを繰り返しさっきから答弁しておる。ところがはからずも先ほどの答弁の中に、組合の意思決定は十五日ですか、それまでには組合は決定していなかったと言われた。今までの答弁とは全部違って、これは実に市大なる発言だが、それはあと回しにいたしまして、第一番目の、なぜ一体十一日から準備をしていたにもかかわらず、市民大衆にこういう不便をかけるかもしれないという予告をなさらなかったか、なぜサービスをされなかったか。それを聞かしていただきたい。

大橋八郎日本電信電話公社総裁

○大橋説明員 いよいよそういう事態が生じた場合には電話を切ることがあるということで外部に対する周知をやるべしということは、私どもの方からあらかじめ通達はいっているはずであります。かような通達が電話局の方に参っております。事前に闘争拠点局を察知し、その局管内の電話利用者に次の方法によってPRを行なって徹底をはかる、こういうことを指令しております。今回の全電通労働組合の不法な実力行使による電報、電話の遅延または業務の遅延がやむを得ざるに至ったことと、この時間内に電報、電話の利用をできるだけ御遠慮をお願いする旨の印刷物を前日もしくは当日、早朝の新聞紙に折り込んで周知をはかる、かようなことをあらかじめ指令してございますから、多分相当の措置をとったことと私どもは考えております。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 小林委員に申し上げますが、お約束の国鉄関係の方が入っておりますから、電電公社関係は結論にお入り願います。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 結論を急ぎますが、答弁がまずいからやむを得ず時間を延ばしているんですが、答弁を要領よくやっていただけば、質問は短くします。  その問題は、当日はあなた方は七時に切られた。その切り方も、あなた方の公社の内部の職制が、今の時限までは電話業務は正常に行なわれているという、こういう証言をしながら、切ったのでありますが、市民に告知するところの通知はいつおやりになりましたか。

山下武日本電信電話公社理事(運用局長)

○山下説明員 当日は七時からとおっしゃいましたが、実は当日前日から宿直しておる交換手が二十名でございまして、当日朝出てくると予定されている人が三十名でございます。この五十名によって早朝の業務をやることになっておりましたけれども、ピケその他の関係でどうしても入れませんので、やむを得ず七時半から特に重要と思われるものを確保にやったわけでございます。そして七時四十五分までにやったようなわけでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 告知はいつやったか、市民に対するサービスはいつやったか答弁をしないから時間を食うんだ。それほどサービス精神に富んでいるというならば、電話を切りますという告知をいつやったかというのです。一般大衆が被害を受けないようにその告知をいつおやりになりましたかというのです。

山下武日本電信電話公社理事(運用局長)

○山下説明員 実は先ほど総裁が申し上げましたように、どこでいつどのようにやるということは、まぎわまでわからなかったわけでございます。そのためにいろいろな方法で、市民、利用者の方にこの事態をわかって、いろいろ御協力願うことにしたわけでございますが、そのようにいよいよまぎわでないとわかりませんでしたので、そういう印刷物その他による周知に、それほど平常のように計画的にいかなかった点もあるかと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、そういうことについて一般の市民の方、利用者の方にもできるだけ周知をして御理解を願うようにするというふうにいたしたわけでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 あなた方はそのときどきの答弁で全部うそを言っておりますよ。前々会から質問しておるときに、前からちゃんと計画的にやって、交渉の余地なんかはないんだと言っておりながら、今の答弁になると、今の今まで組合はストライキを決定してやるということがわからなかった。総裁の話によれば、前日までそれはわからなかった、こういう答弁をしておるじゃないですか。前々から計画をして、もはや数日前から交渉の余地がなかったという今までの答弁はどうなんですか。

本多元吉日本電信電話公社職員局長

○本多説明員 これは全般的に、今度の全電通の闘争は拠点局をきめて、しかもピケを張って人為的に業務をストップさせる、こういう大方針は二月の何日ですか中央委員会できまっております。そういうことを流しております。それから十日に準備指令を出しております。そうして十四日には、総裁がおっしゃいましたよう各支部、各県傘下三局の拠点局をきめております。そういうわけでございますから、いやしくも全電通の組合各支部、分会といたしましては、拠点局になれば違法な争議行為を行なうということはわかり切っておるはずであります。私どもの方といたしましては、どういう局がどういう事態になるか、これは組合内部の指令でございますからわかりかねますが、そのために業務上の確保をするための準備というものは、利用者の関係もございますから、これは拠点が具体的に明確になったときにいろいろな措置をとらざるを得ない、かように考えております。さようなことで、先ほど運用局長が申しましたようなPR等につきまして十分計画的にいかなかった、かようなことは申せるのではないかと考えております。

田邊誠日本社会党

○田邊(誠)委員 関連。今小林委員の質問しておりまするいわゆる天災その他やむを得ざる場合において加入電話を切断をするという、こういう措置は営業規則によってやられておるわけであります。そしてその営業規則の根拠になるのは、公衆電気通信法第六条の「重要な通信を確保するため必要があるときは、郵政大臣の認可を受けて」別表十によってこれを確保することができる。逆に言えば、公衆電話なり一般の電話を一部停止することができる、こういうことなのだ。しかしその別表十の加入電話を切断するという精神は、そもそも電話を架設する際の別表九と相反するものではないはずであります。その精神は同じ流れの中でもって行なわれておるものであることは当然のことだろうと思います。しかも別表九によって優先基準によって加入を認める、こういう別表九の第一順位の中に、小林進衆議院議員を初めとする国会議母があることは当局が御存じの通りであります。そして別表九というのは、これは法三十条の二項によって「公共の利益のため必要な加入電話に係る加入電話加入申込を優先的に承諾しなければならない。」こういうふうになっているのであります。従って公共の福祉ということが、何といっても公社の仕事の建前からいってこれはまずもって考えらるべきである。公共の福祉のために全部の加入を認めることはできないから優先順位を定めて、これをもって認めておる。その第一番目の順位にある国会議員の電話が、天災その他のやむを得ざる場合における確保すべき電話の中においても重要な順位を占めることは当然のことであります。しかし別表九と別表十とは同一でないことはわれわれも承知しておるのであります。いわゆる架設する場合の優先順位の中にある範囲がそのまま別表十の天災その他の場合に当てはまるとは言っていない。しかし小林委員の質問は、最優先順位として架設を承認しなければならない立場にあるところの国会議員の電話を切っておいて、公共福祉という名のもとに営業することを最も本旨とするところの公社が、ただ単にいわゆる自分たちの勝手に篭城するための料理屋の電話は切断しなかったということは、これは公衆噴気通信法、営業規則にその精神は相反するのではないか、こういうことを質問しているのでありまして、これはだれが聞いても常識的に判断ができることであります。ただ単にいわゆる公社の営業上の身勝手な判断でもってつけたり切ったりできようはずがないのでありまして、これは当然公共の福祉の建前から架設を定め、その精神にのっとって天災の場合においてやむを得ざる場合におけるところのいわゆる切断を一部しなければならない、こういう立場につながってくるわけであります。その精神が実は今のお話のように全然相反するような状態でもって切られる、また身勝手につながれておる、こういう状態を指摘するわけでありまして、この公衆電気通信法のあなた方の言っておる法の建前から言っても、今のあなたの答弁は全然なっていない、そういうふうに指摘しておるわけでありまして、そういう点は総裁も今の私の話を聞けば明確におわかりだろうと思うのであります。あなたが公衆の福祉を守るための最高責任者として、料理屋を切らないで国会議員の電話を切ったということは、はたして法の精神に沿っているのか、相反しているのか、こういうことの答弁を明確にしていただきたい、こういうことでありますから、一つはっきりした答弁をお願いしたいと思います。

大橋八郎日本電信電話公社総裁

○大橋説明員 ただいまの御指摘の料理屋に電話を存置して、国会議員の電話を切った、こういうことの不権衡といいますか、不適当なことを御指摘になったので、それで料理屋であるがゆえにこの電話を存置したのではなくて、料理屋というものを、営業は料理屋であるかもしれませんけれども、その料理屋を他の目的のために使われておった、(田邊(誠)委員「公衆の福祉のために使われておりましたか」と呼ぶ)それは公衆の福祉のために必要な仕事をやる事務所に使われておったという場合のことであります。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 ちょっと御注意申し上げますが、お約束の時間が過ぎましたから……。社会党さんの御都合の御約束の時間です。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 わかりました。それでは総裁はやはりそういうストライキやピケで電話を切られるときは、いわゆる公社法にきめられた公共の福祉に国会議員の電話は該当しないというふうに判断されたわけでありますね。

大橋八郎日本電信電話公社総裁

○大橋説明員 これは私が急に判断したわけじゃないので、従来から今の別表というものはきまっておるのでありますから、それに基づいて適用したわけであります。それは問題は、将来それではこの現在の内規といいますか、別表というものは全部正しいかどうかということになりますと、それはいろいろ批判があるかもしれません。従いまして今後さらにこれを検討して、あるいはその内容について不適当な点を改めるということでありますれば、それはわれわれはさらに研究してよろしゅうございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 それでは不適当とお認めになったのですな。お慰めになりますか。

大橋八郎日本電信電話公社総裁

○大橋説明員 これを不適当と認めるかどうかということを研究してよろしいということを申し上げているわけであります。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 そういうような答弁では満足できませんから、この問題は留保いたしまして、最初にまた戻ります。  職員局長、あなたはさっき言ったような十四日には三拠点地区に指定をされたから、だから公社側でも十四日にはちゃんと切断の準備をした、こう言われたね。しかし組合側に言わせれば、まだやるかやらぬかわからぬけれども、十六日にいよいよストに突入するといって、その場ですぐあれほど大きな組合が即決できるわけではない。やるにしても準備をするのがあたりまえだ。あたりまえだからそれに対抗するためにあなた方も十一日からちゃんと準備された。準備されたそのことのいい悪いをわれわれは言っているのじゃない。しかしあなた方も準備をしたが、ほんとうに切断するかしないかはわからない。組合の方もわからない。にもかかわらず、あなた方はその組合がまだ実際に行動に移るかどうかわからないために万全の準備をされておったのだから、その準備の過程の中に、あなた方が一番重要と考えている市民各位に対し、あるいはこういうように切断するかもしれませんという、こういう公示をするという行為が、その中になぜ入らなかった、一片のサービス精神があなたの言われる通りあったならば、なぜそのときやらなかったかということを私は言っているのです。その話を聞きましょう。それを聞いているのです。それで手落ちがありませんか。

山下武日本電信電話公社理事(運用局長)

○山下説明員 当日の状況を申し上げますると、十六日の朝まで本社段階で団交中であったのでありまして、別段そのときに七時過ぎとか八時から必ず全員が職場から離脱するときまっておったわけでもございません。そのためいろいろな準備を私の方がしておったわけでございますけれども、どうしても、業務の運営ができなくなったときにそういう措置を講じたわけでございまして、そういう事情は御了承願いたいと思います。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 今もちゃんと与党の代議士も私語しておられる、あるいは十六日に切るかもしれないというくらいの指令はなぜ出せなかったのかとちゃんと言っている。それは一般論です。けれどもそれをやらなかった、やらないその理由を、まだあなた方は牽強付会して理屈をつけようとする。しかも今あなたが言われているように、十六日になるまではまだほんとうにストライキに突入するかしないかわからない状況だった、あなたのその答弁が正しいならば、もはや十四日にその指令が出たが、もうやるものとして、あなたは、全部万全の措置をして、居残りもした、全部やるという準備のもとにやってきたと言う。十四日の拠点がきまったときに、それは動かしがたいものだというあなたの答弁は全部食い違っている。その食い違いはどうなっているのか。

本多元吉日本電信電話公社職員局長

○本多説明員 長岡局におきましては、すでに前日の七時半から局舎の外にピケも張られたし、中にも入ってピケをやっております。十五日の夕刻でございます。私どもは十六日の業務を確保するために、そういう事態でございますので、私どもの中で仕事を確保するために管理者が中に入るように前日からそういう措置をとりました。これは業務を確保するために私どもはその行動をとったわけでございます。すでにもうピケはそのときに張られておりました。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 私は十五日の話を聞いているじゃないのです。十四日にあなた方は万全の策をちゃんともうして、切る準備を全部されているじゃないか。そのときにちゃんと、十六日に切るかもしれないという、そういう市民に対するサービス精神がなぜ一ぺんも出せなかったかと私は聞いている。ところがこっちの方は十六日の朝になるまで組合はストライキをやるかどうかわからないから、十四日か十五日に市民に告示するようなことはできなかったと言っている。話が違う。何べん言ったって水かけ論だから、これはまだ時間がたくさんあるときにあらためてやることにして、この問題は了承できないから留保しておきます。  もう時間がないからすぐやめますが、次の問題で私は聞きたいのですけれどもすべて法律の建前は、これは犯罪でも不当労働行為でも、行為を罰するのが建前です。しかしあなた方のこのたびの行政処分においては、行為がない。何も行為がない。ただ組合の役員であったという役員の肩書きがあったということだけでこれを処分している。一体役員であるその人たちが——先ほどから論議されているのはいわゆる指令権の問題だ。指令が出たから、指令を正しく行なったことを不法行為であるということは論議し尽くされたから、その問題はしばらくおくといたしまして、もう一方の法律論争としては、何もしない、行為は一つもない、この人が一体不当労働行為の適用がある——ピケを張る、あるいは保安要員を引き揚げるというような、そういう行為を直接指令したかしないかわらない、休んでいるのでありますから……。郷里の自分の母親の葬式に行っているのだから何も行為そのものはないが、ただ組合の役員であったということだけで罰して、その人が不当労働行為をあるいは指令をしたか論議をしたか、賛成をしたかという、そういう実証が一つもないものを罰しているのでありますから、全く不作為、なさざることに対して罰則を加えている。こういうような罪の課し方は、少なくとも私は全く新しいケースだと思います。これは労政局長、あなたに聞くのですよ。行政処分であろうと刑事罰であろうと、罰するには行為がなくてはならぬ、行為が一つもないものを罰するという法律の根拠がどこにある。

冨樫総一労働事務官(労政局長)

○冨樫政府委員 具体的なことは一つも見えませんが、一般的に申しまして、いわゆる作為義務がある場合に、その作為をしなかったという場合には処罰の対象になり得る場合があり得る。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 私どもしろうとじゃないんだ。それはあるいは子供がそういうところにはっておって、黙っていれば子供が橋から下に落ちる。落ちれば死んでしまう。助ければいいのだけれども、その子は憎いから黙って落ちるのを見ていて、そしてそれを放任しておいた、こういうのがあなたの言う不作為の作為であって、それは作為の義務がある者は行動に移さなかったという点で罰せられるだろうけれども、そういう不作為の義務を罰するためには、厳密な例示というものがなければならぬ。組合の役員たる者が当日もいない、その日もいない、前の日もいない者を罰するという、そういう明確な例示規定、法律規定が一体どこにありますか。

冨樫総一労働事務官(労政局長)

○冨樫政府委員 前回も同じ趣旨で申し上げ、今回も同じ趣旨で申し上げたのでありますが、作為義務があるということにつきまして、新婚旅行中に旅行をやめてまで帰ってきて何かするというのが、社会通念上そういう作為義務まではなかろうというふうに前回も申し上げ、ただいまもそういう感じであります。問題はその前後に何かあればある、こういうことであります。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 ともかく今のこの問題、組合の役員であるという肩書きだけで罰せられるというこの問題は、それは小林孝平君も参議院で言っているが、時間的に一体どの範囲まで、たとえば一カ月前なら罰しないけれども、ストライキをやった二日前なら罰するというような、そういう時間的な問題もあるだろうし、あるいはその量的な問題もある。量的な問題もありますが、これは巨大な問題でありますから、私は電電公社やあなた方が責任をとらない限りは、この問題は何回でも解明してやります。しかし時間がないから今は私は論じません。論じませんが、これは法律の基本に関する重大問題でありますから、あなた方のうっちゃらかしのような答弁で私どもは納得するわけにはいかない。これはしかし私はまたあとでやるのです。いいですか、研究しておいて下さい。  第三番目の問題に移りますが、時間もありませんから、委員長、協力しますから、第三番目の問題として申し上げますけれども、あなた方は、電電公社がピケを破るときに、七十名の人たちが前日から勢ぞろいをされておって、そして当日は午前の——時間の差はあるかもしれませんが、見ているひまもありませんけれども、約三回にわたって集団をなして、そうしてピケ破りをしておられる。それは何と言われたところで、ここにちゃんと写真がある。こうやってあなた方は隊をなしてピケに突入している。これは全部そうです。この中にはあなた方の重要な人の名前はみんなあります。顔もはっきりしています。高野労務課長、通信局の労務調正員、小泉通信局労務課長、この小泉労務課長が先頭に立って、そしてこういうような——これはだれが言ったところで、これは突撃態勢です。態勢を整えておやりになっておる。一体経営者が七十名も集団をなして、そして労働組合のピケ隊の中に突入をしていく。その理由は業務再開のためにやむを得ないとこの前も言われた。市民のサービス機関を守るために、やむを得ざる行為であるという答弁がありましたが、総裁、理由はいかがであろうとも、経営者が隊をなして実力を持ってそういうピケを破るというふうなことは、一体指令をお出しになったかどうか。そういう法律根拠は一体どこにあるか、それを私はお伺いいたしたい。労働組合には行き過ぎがあっても——それは行き過ぎはありますよ。けれども、経営者の集団的実力行使を裏づけする法律的根拠はどこにありますか。

大橋八郎日本電信電話公社総裁

○大橋説明員 ただいまのお話の中にもありましたように、われわれの業務を守るために、適当な業務要員が必要でありますので、その業務要員の職場に入らんがために、ピケを張ったものを排除しながら入ろうと試みた、こういうことでございます。特に闘争を指令しておるわけではむろんございません。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 小林君、国鉄の方へ食い込んでもよろしゅうございますか。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 おすわり下さい。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 お約束は社会党の方から出たんですよ。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 しかしながら、答弁がなっていないものですから、私はどうしてもできないのですが、いま一つあなたのところの伝田次長などというような人がおられて、水の中に飛び込んで、そして電信柱にしがみついて、特攻隊よりも、勇敢なる行動をせられた。国民は管理者や経営者に川の中に飛び込んで、実力行為でそういう措置をするなどということは要求もしておりません。願ってもおりません。管理者には管理者の職責があるはずだ。経営者には経営者の職責があるはずだ。経営者や管理者の業務の中にそういう特攻隊精神を発揮して、軍隊でいえば一等兵か二等兵がやるような行為をあなたはやれといって指令をお出しになっておるかどうか。これに対して、しかも副総裁は、実に勇敢にして実にりっぱな行動であるというふうに賞揚されておるが、あなたは一体そういう管理者や経営者に実力をもって集団を組んでピケ破りをやらせたり、特攻隊のように川の中に飛び込んでそして電信柱にしがみつくような行動を勇敢であり、正しい行為であるとしてやらせることが正当であって、将来もやらせるというようなことをお考えになっておるかどうか。

大橋八郎日本電信電話公社総裁

○大橋説明員 ただいま御指摘のような事実を私よく存じませんので、もしその行動に対する説明をお求めになるのでありますれば、局長から御返事を申し上げます。

本多元吉日本電信電話公社職員局長

○本多説明員 長岡につきましては、そういうようなことは聞いておりません。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 長岡のことを言っておるのじゃない。伝田次長の行動を聞いておるのです。

本多元吉日本電信電話公社職員局長

○本多説明員 水の中でどうのこうのということは私はまだ聞いておりません。それから副総裁の、そういうことを勇敢な行動だというようなことは、委員会の席上で御答弁になったように私は聞いておりませんが、ただ伝田君の人柄について温厚篤実な人だということはお話しになったと思っております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 その通りだ。勇敢という言葉は具体的に使わなかった。それはあなたの言う通りです。温厚篤実という言葉を使われて暗々裏にその人の行為を正当化するような答弁をされたことは事実だ。しかし私は管理者や経営者がそういうばかげたことをやって、それを温厚篤実でございますというような言葉で答弁する副総裁の良識を疑う。そんな副総裁がいるから電々公社の業務がうまくいかない。国家の公社、公共企業体が正しく守られない。おれならそんなことは処分する。そういうような行為をやらしておるから、正当な管理者としての職責の業務がちっともうまくいかない。業務を捨ててそういうばかげたことに能力を使っているから組合も心服しないし敬服もしない。労使関係がだんだん悪くなっていって、そして問題が起きてくる。そういうことを経営者が反省しなければだめです。そこは郵政大臣はさすがに大局をながめておるから、郵政大臣はもし、経営者管理者の中での行き過ぎがあれば同等に処分をいたしますと言ったが、あなた方はわれわれ国民の代表ならば、そういうばかげたことをやる者をまず首切って、そして神に誓うような神聖な気持で証言に立ってもらわなければいけない。それをいいことのようにやるから、そこにいる職員局長なんかがだんだんのぼせ上がって、そして本来の業務を忘れ首切りばかり専門にやって、首切り浅右衙門のようなことをやる。それで能事終われり——能事終われりと言うかどうかわからぬけれども、そういうことに精励して本来の業務をおろそかにしていることは了承できない。この問題もあらためて私は来週にいま少し掘り下げて伺わなければならぬ。  それでいま一つ、これは……。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 一問だけ……。お約束の時間が経過しております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 それでは一問ですが、あまりあなたがせかれるので質問を忘れてしまったが、いま一つは、あなた方はまだその行為をやって告発もされておる。これほどの行政処分をやって、あなたの公社を構成している重大な要素——私どもは職責に差があるといえども、いわゆる職員も管理者も、国家公共の福祉を守り、電々公社の栄誉ある財産を守るためには責任の軽重はないと思っているが、何か話を聞いていると、あなた方だけが公社の利益を守るものであって、職員や労働組合は公社の利益なんか土足でけって顧みない悪人か悪党のような、そういう前提のもとと思われるくらい、実に偏狭なる答弁をせられておるのでございますが、今後まだその処分を計画をしておるやに聞いている。まだこれで足りない。憎しみは果てなしというか、まだ果てないで、この次にさらに春闘や長岡の問題に関連をして処分をするという考えでいられるということでありますがほんとうに処分をおやりになるのかどうか。まだ国会がうるさい、あなた方が計画している電話料金の値上げも通らないから、それまでは低姿勢でいて、時期を見てすぱっと一つやろうという考えでいられるか、ほんとうにまだやる気でいるかどうか。この問題は答弁がなければ、委員長にあと一点と言われたけれども、私は再質問しなければならぬ。  それから第二番目には、何回もここで聞いているが、郵政大臣がここでわれわれに確約せられることが総裁の耳にちっとも通じていない。また総裁がわれわれに言われることが副総裁に一つも通じていない。監督官庁の最高の責任者である郵政大臣と総裁と副総裁の間は全部ばらばらだ。あなた方は郵政大臣の命令を軽視せられておるか、あるいは電電公社の内部に不一致の点があるか、何としても経営者の経営形態が非常にまずい。巷間伝うるところによれば、総裁と副総裁はどうも仲が悪いとかいがみ合っているとも言われます。それは世俗の言葉でありますから私どもまともに信ずるわけではありませんけれども、いやしくも国家の財産、国民公共の財産を預かっているならば、この連絡はもっと密でなければならぬ。今までの経過はちっとも密でない。すべてがばらばらだ。この一点だけでも、私どもは最高責任者として皆さんに責任をとってもらわなければならぬと思うが、この問題はどうだ。このばらばらの統一のない、いわゆる無統一の状態、これに対するあなたの責任ある答弁、それから第一番目のなお処分を追加するのかどうかという問題、この二点を一つ答弁をしてもらいたい。

大橋八郎日本電信電話公社総裁

○大橋説明員 今後なお処分をやるかということであります。現在まだ調査不十分で、調査が全部完了していない部分がありますから、その調査が完了した暁には多少まだ出るかもしれません。  それから第三点の連絡不十分、これは個々の問題については、過去の実例においてあるいは大臣の答弁を私が聞知しないでおったということもございましょう。またわれわれの答弁を副総裁に伝えることを怠ったこともあったかもしれません。しかし今後十分注意してさようなことのないように努めるつもりでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 私はこれで終わります。終わりますが、今までのあなたの答弁の中に、私が四項目あげて質問したことに一つも私どもの納得する答弁はございませんでしたから、残念ながらこの問題であなた方の責任を追及する私のほこをおさめるわけには参りません。こんなことでおさめたら国民大衆に対してわれわれは申しわけない。国会議員のわれわれに投票して、正常なる公共体の運営を管理監督してくれるように依頼された国民大衆に対して相済みませんから、これでほこをおさめるわけには参りません。まして最後のあなたの答弁における、これくらい国会であなた方の間違った処分の仕方の責任を追及せられているにもかかわらず、なおのうのうとして、いわゆる処分の、全貌をつかんでいないから、なおかつこれを行なうなどということは、もはやあなた方公社だけの内部の問題じゃなくて、われわれに対する挑戦である、国民の国会議員に対する挑戦であるとわれわれは判断せざるを得ないのであります。それほどわれわれに対して、われわれに質問されることがお気に召さないでけんかを売ろうとおっしゃるならば、残念ながら買わさるを得ないのであります。われわれも了承いたしません。それから今も言うように、あなた方の不一致の点についての言葉は重大な発言だ。首を切られた者や処分を受けた者の今後の問題をどう処置していくか、国家の公共企業体の運営をどうするかという基本的な問題をここで論議している。あなた方も用事があるでしょう、副総裁も用事があるでしょうけれども、すべての用事の中で、ここで論議せられているほど重要な用事はないと思うのです。その重大なる用事を、あるいは話を通じない場合もあったかもしれない、あるいは聞かない場合もあったかもしれませんが、それは今後一つ気をつけますということで、責任一つとりますという言葉はない。部下の行き過ぎや職員の行き過ぎはどんどん首を切っておきながら、自分たちの至らざるところは将来気をつけますという、そういう儀礼的な言葉でほおかぶるということは、ますますもってわれわれは了承することはできません。今後いま一度私はあなたの良心ある答弁が出てくるまでは断じてほこをおさめないことを申し上げまして、私は私の質問をきょうの場合は終ろうと思います。     —————————————

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 国鉄関係、どうぞお願いいたします。吉村吉雄君。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 公共企業体等労働関係法という法律が二十四年から施行されて十二年たっておるわけですけれども、この間に労使の間に非常に紛争が絶えない。それは何かしら多くの問題点がひそんでおるはずだというふうに私は考えるわけです。   〔委員長退席、永山委員長代理着席〕  それで国会の場でそういう問題点を明らかにして、そうして将来不必要な紛争というものをできるだけ少なくしていく、こういうことが非常に大切なことではないかというふうな立場に立って、これから問題点になるようなところについて質問をしていきたいと思っておりますから、別に事を荒立てたりなんだりするという気持はない。問題はやはり労使の関係というものを明らかにしておくということが非常に大切だという立場に立って質問をしようと思っていますから、国有鉄道並びに労働省においても、そういう私の気持をくんでいただいて、真摯な態度で答弁に当たってもらうということをまず冒頭にお願いしておきたいと思います。  それで労政局長にまずお伺いしておきたいのですけれども、公共企業体等労働関係法が施行せられましてから十二年余の年月が過ぎたわけです。この法律の目的とするところは、第一条に「この法律は、公共企業体及び国の経営する企業の職員の労働条件に関する苦情又は紛争の友好的且つ平和的調整を図るように団体交渉の慣行と手続とを確立することによって、公共企業体及び国の経営する企業の正常な運営を最大限に確保し、もって公共の福祉を増進し、擁護することを目的とする。」こういうふうにうたってありますけれども、この法律を管理する立場に立つところの労働省としては、十年以上過ぎた今日において、この目的に沿ったような状態が生まれているというふうに考えているかどうか、このことを労政局長並びに国有鉄道の方からそれぞれお伺いをしておきたいと思います。

冨樫総一労働事務官(労政局長)

○冨樫政府委員 遺憾ながら今日までの現状におきまして、公労法の第一条の目的が、円満に、完全に達しておられるというふうには私どもも認めるわけにはいかない。われわれとしてもなお一段の努力が必要であると考えます。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○吾孫子説明員 ただいま労政局長からお答えがございましたが、私どももこの法律の規律のもとにおいて、できるだけ紛争などを起こさないようにいたしたいと絶えず努力いたしておるのでございますけれども、まあ努力によりまして、だんだんと改善されてきたと思われる面も私はあるのではないかと思いますけれども、まだ紛争が絶えないということにつきましては、残念に存じております。しかし、これは労使双方の努力によって、できるだけこの法の精神というものを生かしていかなければならない、そのように努力いたすつもりでおります。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 それでは労政局長は、この公労法の目的というものを十分に達するような状態に至っていない、こういうお話でありまするし、国有鉄道もまたそれと大体似たような答弁でありますが、その原因は一体何と考えられているか、それをお聞きします。

冨樫総一労働事務官(労政局長)

○冨樫政府委員 基本的に申しますれば、公労法において期待されておる紛争議をなくして円満なる労使関係が展開されていくというルートは、労使の団体交渉によりまして自主的に話をつける、それができない場合には、公正なる公労委のあっせん、調停、仲裁によって円満に解決するというのがルートであり、そのルートによって円満に解決することが期待されておるわけであります。遺憾ながら現実におきましては、まず第一段階の自主団交が円満に妥結するところにいかない、この点につきまして労使間の団交の前提となる十分なる信頼関係が築き上げられておらない。その場合に第三者機関に持ってくればいいのを、第三者機関に対する十分なる信頼がないと申しますか、あるいはせっかちと申しますか、ということで実力行為に訴えていく、これはどっちがいいとか悪いとかいうことでなく、事実としてそういうことが見受けられるということが中心的な問題だというふうに考えております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 公労法全般にわたって、私はきょうは時間がないようですから、いずれ機会を見てやるつもりでおりますけれども、ただいまの労政局長の答弁によりますと、自主団交が不十分である、それから第三者機関の活用が不十分である、あるいは第三者機関に対するところの信頼度が不十分であるというようなことが主要な原因であるかのような答弁がありました。ことに公労協、この場合公労法に規制されるものを公労協と言った方が便利だと思いますからそう申し上げますが、公労協の闘争の歴史を振り返ってみますと、なぜ一体こういう状態になってきているかという最大原因は、公労法が施行せられて初めて行なわれましたところの仲裁裁定の問題についてこれを実施しない、これが何回となく続いてきたいというところに、労働組合が労働者の基本的な権利として与えられるところの争議権にかわるものとしての第三者機関、この第三者機関が出したところの裁定について政府並びに当局が実施をしないというところから、これでは約束が違う、こういうことで労働組合の運動というものがだんだんと変わってきたというふうに言わざるを得ないと私は考えるわけですけれども、そういう点について一つ労政局長の見解を承っておきたいと思います。

冨樫総一労働事務官(労政局長)

○冨樫政府委員 確かに事実として仲裁裁定の完全実施がその当初において若干欠くるところあったということは事実であります。しかし、それは国会の議決を経てそういうふうになったものであります。私どもとしてはとやかく申すことはございませんが、組合としてそういう感じを持った原因、事実はそういうところにあると思われるのであります。しかしながら、労政の立場から見て、幸いなことに、御承知のように昭和三十二年以来政治的慣行といたしまして完全実施が行なわれてきているということをやはり組合側におきましてもすなおにこれを認めていただきまして、公労委の活用に一つ御配慮をいただきたいというふうに考えております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 先ほど申し上げましたように、公労法全般の問題についての議論は後刻に譲らしてもらうことにしまして、とにかく今のような、あなた方が言う好ましくないような労使関係になった出発の原因というものは、争議権にかかわるものとしての仲裁制度というものがその当初から実施されない。それはなるほど公労法の定めによって国会の議決云々というものがありますけれども、しかし公労法立法当時の過程、その国会における議論というようなものを考えてみますと、そういうものは例外規定であって、この前もこの委員会で労働大臣が答弁しておりましたけれども、原則的にはそれは全部実施しなければならないものである、その原則を守っていないというところに労使関係が不安定になってきた最大原因があるというふうに私は考えざるを得ないわけです。  このことについてはしばらくおくとして、次にお伺いしておきたいのは、公労法の第三条に労働組合法との関係ということで「公企共業体等の職員に関する労働組合(以下組合という。)並びに労働関係及びその調整については、」こういうふうに書いてありますが、この第三条に使われている労働関係という字句と、日鉄法第三十五条に書いてありますところの「日本国有鉄道の職員の労働関係に関しては、」というこの労働関係という字句の解決について、どのように考えられているか、同一の意味を持っているかどうか、まず労働省の見解を承っておきたいと思います。

冨樫総一労働事務官(労政局長)

○冨樫政府委員 同意義に解釈しております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 それではこの第三条に書いてありますところの労働関係、こういうものによって国鉄関係あるいはその他公社関係の労働関係というものは規制されるごとに相なるわけでありますが、日鉄法の第三十五条には、先ほど申し上げましたように、国有鉄道の労働関係に関しては公労法の定めによると書いてありますから、そうしますと、この労働関係というものがどういう範囲を意味するのかによって、今起こっておるところのいろんな紛争はある程度解消するのじゃないかと私は考えるわけです。  それで労政局長にお伺いしますけれども、一般的にいうところの労働関係というのは、労政局長としては大体どういうふうに考えられておりますか。たとえば公社と組合との間に賃金問題についての紛争が起きて、中央段階なり地方段階でいろんな紛争状態が起こるわけでありますけれども、そういうようなものを客観的にながめて、それらが公労法上にいう、日鉄法上にいう——公労法上と同じだということでありますが、そういうような状況が労働関係というふうに解していいかどうか。

冨樫総一労働事務官(労政局長)

○冨樫政府委員 お説の通り労働条件、特に賃金問題を中心とする問題が労働関係の中心問題になるかと考えます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 国鉄の方にお尋ねをいたしますけれども、公労法が施行せられて以来今回まで、公労法十八条によるところの処分、これは一体何名くらいになっておるか、それから日鉄法上にいうところの懲戒処分、これは大体どのくらいになっておるか、このことをお尋ねしておきます。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○吾孫子説明員 正確な人数はただいま手元に持っておりませんので、後ほど調べて申し上げたいと思いますが、公労法の適用を受けて処分された人の数というのは、もちろん日鉄法の規定の適用を受けて処分をされた人とは比較にならないほど少なうございます。しかしその詳細については後ほど申し上げたいと思います。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 私は前もってそういう問題について質問をするということを言うてあるはずですから、答弁資料がないということははなはだ残念でありますけれども、それでは公労法によるところの解雇の総数と日鉄法上によるところの懲戒免職、この数は一体どういうふうになっておるか、そこだけでは一つお答えを願いたい。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○吾孫子説明員 実は今回の春闘の関係での処分者の数はどれくらいかということについてお尋ねがあるかと思っておりましたので、その数字ならばわかっておりますのですけれども、法律適用後全体の数というのは、そういうのはなかったように承っておりましたので、あるいは間違っておったかもしれません。もし春闘関係のことだけでよろしければ申し上げます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 それだけでは少し私としては困るわけなんですけれども、わからないとすればやむを得ませんが、今回の一般にいうところの春闘、それについて公労法の適用何名、それから懲戒免職何名、その他の懲戒処分何名という工合にしていただきたいと思うのです。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○吾孫子説明員 今回の春闘で処分を受けた人の数は、免職された者は二十六名でございます。そのうちの二名は日本国有鉄道法による免職でございます。それから停職が、これはこまかく分けますと十二カ月から一カ月までございますが、全部一緒にしまして七十八名、減給処分を受けた者は、これもまた額がいろいろございますが、総体で百三十六名、それから戒告処分を受けた者は五百二十八名、全部で七百六十八名ということになっております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 そこでお尋ねしたいところは、国鉄なりその他公社もそうだと思うのですけれども、先日来郵政当局あるいは電電公社当局の処分に対する考え方というものをいろいろ聞いてきたわけです。国鉄の方でもきっと傍聴されて聞いておったと思うのですが、公労法上にいうところの解雇というものと、それから日鉄法上にいうところの免職、この差というものは一体どういう考え方で国鉄当局としては差をつけられたのか、この基準、それから停職以下減給、こういうものについてもそれぞれの基準なり何なりあるのかどうか、あったならばその基準の概要についてお伺いしたいと思います。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○吾孫子説明員 ただいまのお尋ねでございますが、公共企業体等労働関係法の方で処分をいたしておりますものは、これは大体公労法十七条違反の行為があったものを十八条で法律通り処分をいたしておるわけでございますけれども、その際に、多くの場合その処分を受けるような人たちの行動というものが公労法の十七条にも触れるし、また国鉄部内の就業規則等に定められておるいろいろな定めに違反をし、あるいは常軌を逸したような行動があったというような人もございますので、大体の今までの処分の方針といたしましては、個人の行動の点において非常に常軌を逸したような行為があると認められたような場合には、日本国有鉄道法による懲戒の免職ということにいたしております。そうでない広い意味の労使関係の組織上の責任とでも申しましょうか、公労法で禁止されたような行動に参画した責任者というものを十八条で処分をいたしております。  それらの懲戒をどんな基準でやるかというお尋ねでございまするが、この点につきましては、私どもの方は懲戒の基準という問題につきまして組合との間で協約を結んでおります。この懲戒の基準に関する協約というものがありまして、それで懲戒の基準というものは大体明らかにされておるわけでございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 懲戒に関する基準というものは、今の副総裁の答弁によりますと、それは労働組合との間に協約を結んであるといいますが、それは実際の活用の場面というのは、それを適用する場合に、一たん処分が発令通告になって、それに対する正式な発令をするかどうかという段階において行なわれているということであって、実際に通告以前には——これは一方的に当局の方で行なっているというのが、今の国鉄の懲戒の基準に関する協約の運用のあり方だと思うのです。私は、今の副総裁の答弁からしますと、処分をするのにあたって組合と協議の上でというような印象を受けやすい答弁だと思いますから、その点は明確に事実を明らかにしておきたいと思うのです。なるほど正式な発令の段階においてはそういう手続がなされる、しかし一たん通告をされて以降これが変わるという例はほとんどといってもいいくらいないわけですかな、組合と協議の上で云々という、そういう答弁の仕方はだいぶ誤解を与えると思いますので、その点は一つ誤解を与えないようにしてもらいたいと思うのです。  そこで公労法によるところの適用者というのは、いわば組合という機関の責任追及ということを重点に置いて考えておる、こういう御答弁でありますけれども、そうしますと、組合の機関の責任者の範囲というのは大体どの辺までを考えておるのか。私の知る限りでは、今までは大体地方本部の役員の段階あるいは本部の役員の段階については公労法の適用があったわけでありますけれども、近時これが拡大をされて、支部段階の役員あるいは分会段階の役員にまで公労法によるところの十八条適用が行なわれておる、こういうふうに聞いております。そういたしますと、先ほど副総裁が答弁をいたしましたところの組合の機関の責任追及という答弁は、大体どの範囲をあなた方としては責任者として追及をしようとしておるのか、ここらを明らかにしておかないと非常に問題を混乱させると思いますから、その点についてはどういうふうにお考えになっておるか。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○吾孫子説明員 まず最初のお尋ねでございました懲戒の基準に関する協約のことでございますが、これは御質問にございましたように、懲戒処分をする場合にどういう手順でやるかということが書いでございますが、それと同時に、それだけでなしに、どういうことをやれば懲戒されるのかということが、たしか一から十七まで書いてあったと思います。規定に反した場合は何とか、あるいは責務を尽くさず業務に支障を生じた場合はどうとか、そういうような場合が十七項目書いてございます。そしてそれに対する処分としては免職処分、減給処分、戒告処分というようなものがあるということが書いてあるわけでございます。これは大体内容を申しますと、国鉄の当局側がきめております処分の懲戒に関する規定でありますとか、あるいは服務に関する規程でありますとかいうようなものと同じような中身が協約の中にうたってございますので、大体これはどういうようなことをやれば処罰されるのかということを組合員の皆さんにも、この協約がありますので、よくわかっていただけるというふうに思っておるわけでございます。  それからこの組織上の責任というものをどの程度に考えておるのかというお尋ねでございますが、これはやはりそのときどきの行動の中身と、その行動によって生じた結果の大小ということもあわせて責任を追及いたします際には考えなければなりませんので、一がいに定義づけて申し上げるのはなかなかむずかしいかと思うのでございますが、申し上げるまでもなく、組合には本部、地方木部、支部、分会というような段階的な組織ができておりまして、それぞれの組織にみな委員長、副委員長、書記長あるいは執行委員、特に労働争議等が行なわれます場合には闘争本部というようなものが作られまして、闘争委員であるとか戦術委員であるとか、いろいろ闘争のための組織というものが通常明らかになっております。そういうような闘争組織の中の三役でありますとか、あるいは戦術委員でありますとかというような方々は、いわゆる一般の平組合員と申しては適当でないかもしれませんけれども、平の組合員よりは、当然その闘争行為等が行なわれる際に指揮命令をする、あるいは指等をする立場にあるわけでございますから、そういう立場の人の責任が組織の上の責任であるというふうに考えております。ただ、それじゃ実際にどこまで公労法によって処分をするのかということになりますと、これはそのときの起こった事態の内容、結果によることでございますが、厳格に申しますれば、この十七条では職員も組合も違法な争議行為をやってはならぬ、正常な業務の運営を阻害するような行為をやってはならない、こう書いてあるわけでございますから、この公労法十七条の責任というものは、いやしくもそのような行為があれば全部に適用があるものである、そういうのがほんとうだというように考えております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 この懲戒の基準に関する協約の問題につきましてはあとでまたなにしますけれども、それはあくまでも事業内の秩序を維持するというために、各職員なり個人が守らなければならないところの法規、通達、そういうものに違反をした場合にこれを適用するという了解のもとで組合としてはこれを結んでいるはずであって、それらは先ほど言うたような全般の労働関係の問題について適用されるという筋合いのものではない、このように私は考えます。  それで、先ほど来私が申し上げているのは、たとえばその懲戒基準に関する協約の運用にあたりましても、先ほどのあなたの答弁では、組合と当局との間において、だれをどういうふうに処分をするかというようなことを協議の上で、一定の基準に基づいて発令をするのだというようなふうに誤解をされる、そうい内容のように考えられましたから、それは実質的には発令の場合までにはそういう手続がとられる、そのことは認めますけれども、通告をして異議申請がされない限りは、あるいは異議申請があったとしても、これが協議の段階において修正されたという例はほとんどないわけでありますから、その点において、組合と事前に協議した上で行成処分なり何なりが行なわれるのだというような印象を与える答弁については、私としては誤解を受けるから、それは一つそうでないということを明確にしておきたい、こういうふうに言うておるわけです。  それから第二の公労法の十八条を適用する場合の範囲については、そのときそのときの事情に応じてという話でありますし、特に十七条においては職員あるいは組合全般が禁止された行為というものがあるわけなので、それを実施をした場合に十八条を適用するのだ。従って、その限りにおいては全職員にわたってこれを適用していいのだという趣旨の答弁でありまするけれども、しかし先ほどの答弁では、十八条を適用する場合には組合の機関の責任の追求という形をとっておるのだ、こういうお話でありますから、それでは一体どこからどこかまでの範囲を機関責任者として考えておるのか、こういうふうに私としては質問しておるわけです。御承知のように、労働組合というのは、あなた方が認めておる労働組合として団体交渉なり何なりを行なっておるわけです。その労働組合がいろいろな指令なり指示なりを出す、その出すまでに至る経緯というものは、それは役員がきめる問題じゃないのです。それは全組合員の総意に基づいて代議員が選ばれ、その代議員の討議に基づいて方針が決定をし、そうしてその方針に基づいて役員が指令をする、こういう形になっておるわけですから、その限りにおいては、かりにあなた方が責任を追及するのだということであるならば、その責任は、単一労働組合の場合には中央における役員に限定されなければならないと思うのです。そういうような考え方が以前あなた方は強かったからこそ、公労法の適用について中央における役員についてのみその責任を追及する、こういう方向をとっておると思うのです。ところが、このごろになりますとそれがだんだんと拡大をして、そうして分会の役員でも、支部の段階の役員でも公労法の適用をする、こういうような形になってきておると思うのです。これはあなた方が勝手に組合員に対するところの指令なり指示なり、あるいは組合の組織形態というものを無視して、そうして脅威感というものを一般組合員の中に与えようとする、こういうような政策的な意図というものがきわめて強いのではないかというふうに考えざるを得ないわけです。そういう点について、その機関の責任追及ということは、私の見解では、単一労働組合にあっては中央役員に限定をされなければならない、このように考えるけれども、その点、国鉄の考え方というものをもう少し明らかにしてもらいたいと同時に、先ほど私が聞きたかったのは、二十四年以来今日までの公労法十八条による処分の内容というものがどのくらいあったかということを聞きたかった。それは今までの歴史の中であなた方の考え方の移り変わりというものが明確になるはずだと思ったから私は聞きたかったわけです。しかしそれが明確でないので、私の知り得る範囲で申し上げますと、当初の段階においては中央における役員についてのみ公労法の処分を行なっておった。ところがここ三、四年くらいになりますと、それがだんだん拡大をして、それが支部段階、分会段階のところまでこれを適用するという状態になってきたということは、とりもなおさず労働組合に対するところの組織の実体というものを無視して——そうして指令に従わなければならないのは組合員としてあたりまえであるわけです。   〔永山委員長代理退席、委員長着席〕  そういうものを無視して、そうして処分によって労働組合の力を弱めようとする意図があるというふうに思われてもやむを得ないじゃないかというふうに考えるわけです。これは歴史がそういうことを示しておるんじゃないかというふうに考えますけれども、その点一体どのように考えますか。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○吾孫子説明員 まず協約のことについて重ねてお尋ねがございましたので、その点申し上げますけれども、私どもはだれをどの程度処分するかというようなことについて組合と相談をするというようなことは絶対ございません。そういうとんでもないことはやったこともありませんし、考えてもおりませんが……。   〔発言する者あり〕

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 御静粛に願います。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○吾孫子説明員 ただ、どういう場合に処分をされるのかということが協約に書いてあるという意味で申し上げたわけでございます。  ところで、組織上の責任の問題でございますが、公労法の十七条には、御承知の通り、組合員に対しても、職員に対してもここに書かれたような「業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。」こうきめておりますので、こういう行動のあった個々の職員の人たちには、それぞれその事柄の軽重に応じて責任を明らかにしていただくという意味で処分をしておるわけでございますが、同時に、組合としても、そのような違法な指令を出して、違法な行為を行なわせたという責任が組合にあるわけでございますから、その組合に対しても責任を問う。しかし組合は法律的に申しますと——その法律的な解釈のことは労政局長さんからでも御説明願った方がいいと思いますけれども、とにかく一種の社団みたいなものでありまして、やはりその代表の人というのは、はっきりしております。いわゆる三役とか役員とかというような人が、組合の代表の責任を取るべき人であるというふうに考えまして、既往におきましても、組合のいわゆる幹部を公労法の十八条で解雇処分にしておったわけでありますが、しかしこれは何も組合本部の役員のみにそういう責任があるというわけではないのでありまして、実際には、たとえば国鉄労働組合に例をとって申し上げますならば、全国に地方本部の組織があり、その下にまた支部があり、分会があるわけでございますが、中央の闘争指令が出ましても、日本全国の地方本部があげて違法な争議行為のようなものに入るというわけではないのでありまして、やはり個々のある地方本部に属する組合、あるいはその下のある支部の組合というものが一つの単位となって、違法な争議行為に参加するわけでございます。そういう場合に、その組合のやはり代表の立場にある三役でありますとか、あるいは委員長でありますとかという人たちには、その集団の代表者としての責任をとっていただくべき筋合いであるというふうに考えておりますので、たまたま今回の春闘処分では、確かに御指摘のように、組合の組織の上では下部の組織の代表者の処分が多うございましたが、組合の本部の責任者の地位にある方々が、遺憾ながらほとんど大部分すでに解雇された方々でありまして、それを重ねて解雇するということもできませんし、組合の責任を明らかにしていただくという意味におきましては、下部組織で職員としての身分を持っておられる方々を対象に処分する以外に、組織上の責任を明らかにするという適当な方法がございませんので、やむを得ず、好ましいことではございませんでしたけれども、処分をいたしたようなわけでございます。今後やはり組合としての責任をとっていただくという場合に、その役員の地位にあられる方々が職員の身分をすでに失っておられる場合、あるいはそういうことはまずないかと思いますが、外部の、職員でない人が役員になっておるような場合、そういうような場合にはやはり役員の身分を持った人で組合を代表するような立場にある方を、組合を代表した意味で責任をとっていただくということも、やむを得ないことではないかというふうに考えております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 そういうような吾孫子さんの考え方だから、今回の公労法の十七条の問題については、これを改悪するための第二項を作らなければならないという思想が、吾孫子さんから生まれたということになると思うのです。私は公労法の十七条に書いてあることを機械的に、事務的に考えていくとすれば、それは今あなたがおっしゃいましたけれども、ある集団が一つの行為をするという場合には、その集団全体にその法律が適用される、集団を構成した個々の全体にこれが適用される、こういう形にならなければならないのであって、あなたがおっしゃるように、責任追及という形であるとするならば、それは単一労働組合の場合には上部段階、これ以外には処分の対象というものはあり得ないはずだというふうに言わざるを得ないのです。それをあえてあなた方が、できるだけ下部段階に落としてきたり、あるいはその対象の中でも、従来まで労働運動にきわめて熱心な人たちをねらい撃ちにする、こういうような傾向がきわめて強い、こういうところに今この公労協の労使関係というものの紛争を非常に拡大している大きな原因があるというふうに思うのです。もちろん、この前の本委員会におきますところの郵政省あるいは電電公社のような、ああいう答弁よりは、さすがに国鉄はその点なれておるので、個人の責任追及云々というふうに言っておりますけれども、しかしながら、この点につきましては、どうしても合点がいかないのは、日鉄法にはちゃんと労働関係というものについては、公労法の定めによるのだというふうに書いてある。その公労法に定められておる労働関係というものは、具体的にどういうことかという質問に対して、労政局長は、たとえば組合が賃金要求をして、そうしてその賃金要求がまとまらないで、それで中央段階、地方段階でいろいろな紛争が起きる。その紛争というものは労働関係の中に入る、こういうふうな答弁であるところを見ますと、その限りにおきましては、日鉄法によるところの処分というものはでき得ないはずだというふうに考えるわけです。それをあえて日鉄法によって処分をしたり、あるいは公労法によって今のように下部段階の組合の役員あるいは組合を処分をしたり、こういうことをやっているというところに実は問題がある。私は今申し上げましたような趣旨からしますならば、あなた方が公労法という法律によって規制をしようというならば、もし十七条違反行為というものが行なわれておるということであるならば、当然それは日鉄法によるところの行政処分というものはでき得ないはずだというふうに考えざるを得ないのですけれども、その点は一体どう考えますか。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○吾孫子説明員 お言葉の通り、労働関係の紛争というものは、これはもう公労法に従って処置すべきであるわけでございます。そういうふうにしておるつもりでございますが、労働関係の紛争がもとになりまして、その紛争を解決する手段としてやってはならない行動というものが十七条できめられておるわけでございます。従いまして、紛争解決には紛争解決のちゃんと手続、手順というものがきまっておりますのに、十七条違反のような行動を行なったという事実があれば、公労法十八条で処分をする、こういうことになるわけでございますが、そのような紛争解決のためにとられた行動というものが、多くの場合、公労法の十七条違反になることはもちろんでございますけれども、同時に就業規則その他できめられておりますような事柄に対する違反、職務上の責任を乱したというような事実が、たいていの場合同時に伴いますので、そういうような行動をした人に対しては、公労法で解雇処分にしてもよろしいというか、むしろ解雇処分にすべきものであるかもしれませんけれども、まあ事柄の内容、軽重に応じまして、組合との間で懲戒の基準に関する協約というようなものもありますし、それらの事情を勘案しまして、その事態の程度に応じた処分をするという意味で、日本国有鉄道法の定めに基づいた処分をしておるわけであります。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 そういう処分の仕方が法の適用の間違いであるということを申し上げているわけなんです。  労政局長にちょっとお伺いしますけれども、民間の労働組合は十七条のような規定がない。この場合にそういうような民間の会社、工場では一般に、工場内、会社内の職場規律というものを維持するために就業規則の中にいろいろなものを書いてある。一般の労働組合は一般組合法の適用を受けますから、そういういわゆる争議というものは禁止されておらない。しかしながら、その職場内の秩序維持のためには就業規則というものがある。だから一般の民間労働組合が労働紛争が起こった場合にどういうふうになるかといいますと、これは当然与えられている、保障されている権利でありますから、争議は当然行なわれる。しかし、行なわれておりますけれども、公社、この場合には日鉄法の懲戒規則、いわゆる公社内の秩序維持のために設けられているところの三十一条の規定、こういうものと並列されて考えていいと思われる民間の就業規則で、やってはならないことについていろいろああだこうだと書いてあります。こういうものと大体同じような、会社なり工場なりの秩序維持の規則として認められていると思うのです。では民間の工場なり会社が争議をやったからといってそういうものを適用するかといったら、これはできるわけもないのです。この点から考えてみますると、私は職場内の秩序維持のための規定、これは日鉄法がその通り定めておると思う。そういうもめを労働運動、労使間の紛争をもとにして起こったところの個々の職員の行為について適用するということは、少し——少しどころか非常に間違いではないか、こういうふうに考えるわけです。この民間におけるところの就業規則に定めた職場規律の問題と、それから公社内に定めたところの職場規律上のいろいろな規制、こういうものは並列して、対置されて考えていい問題じゃないかというふうに思いますけれども、労政局長はどう考えますか。

冨樫総一労働事務官(労政局長)

○冨樫政府委員 常識的に考えまして、公労法が、特に十七条が守られておりますれば、公社法に基づく懲戒処分というものは、そういうことに一般的にはならない。ただ遺憾ながら事実問題として十七条違反が現実に相当ある。その場合、一般の法律論から考えまして、公社法が積極的にかりに期待しない場合におきましても、一つの行為がたまたま二つの法規違反のそれぞれの要件に該当する場合にはそれぞれの適用があり得る。その場合にどっちを適用するかは、不当、妥当の問題はありましても、やはり人事権者の権限のうちに属する、こういうふうに考えます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 それはあくまでも一般論だと思うのですよ。この場合には公共企業体等労働関係法は、国鉄なりあるいは電電公社なりの労働関係についてはこの法律によるんだということを明確に規定しているわけです。しかもこれは特別法なんです。特別法である限りにおいては、しかもちゃんと明文化されているという場合においては、当然にそれは労使の紛争を中心として起こったところの問題については公労法が適用されなければならない、適用するのが妥当じゃないかというふうに考えるからこちらは申し上げているのであって、あなたは、一般的に一つの行為が二つの法律に触れる場合にはどちらを適用するかということは、それは裁量によるんだと言うのは、それは一般論だと思うのです。こういうように明確に書いてある場合には、それはその書いた通りに適用していく、これが当然の法の運用じゃないか、こういうように考えるわけです。そういう点について、何かどちらも適用していいんだという考え方に立って、公労法を適用してみたり、あるいは日鉄法を適用してみたり、この前の、委員会においては公務員法を適用してみたり、いろいろなことをやっているということに対して、この公労法の規制を受けるところの労働者がどういうふうに考えているかといいますと、どうも政府のやることは、自分勝手に適当にそのときどきの事情に応じてやっておる、こういうような印象しか受けないわけです。これでは法律に対するところの信頼感というものはなくなるわけです。公労法というものは、公社関係と公社の労使間の紛争、あるいはいろいろな問題についての関係を規制するために生まれた法律なんです。しかも労働関係については公労法によるんだということを明確に書いてある。そういうような特別法なんですから、十七条に違反した場合には十八条が適用されるんだ、これ以外に方法がないはずだと思うのです。それを自由自在にやっておるというところに今の公労協関係の労使間の紛争がますます拡大していく原因がある、こういうふうに考えますけれども、お二方は一体どう考えますか。

冨樫総一労働事務官(労政局長)

○冨樫政府委員 たとえば組合法と公労法との関係は、常識上一般法と特別法の関係になる。公労法と公社法あるいは公務員法というものはそれぞれ法目的を異にしておる。従って一つの行為が労働関係の観点から見た場合には、それは公労法の適用があるし、また一つの行為が身分法的関係といったような観点から見ますれば、公社法、公労法、公務員法の適用がある。その観点においては二つの法律は別の法目的を持っておるから、双方の要件を兼ね傭えておれば双方の適用がある、こういうことであります。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 日鉄法の三十一条の、こういう懲戒の定めをしておくというのはどういうことを意味するかといえば、結局その公社なら、この場合国有鉄道ですけれども、その公社の企業を正常に運営をしていくためにこういうような規律が必要である、こういうことを定めて、それに違反をした場合にはこういうような処分をしてもいいんだということで、これは一方的に企業の正常な運営を維持するために与えられた公社に対する権限だと思うのです。ところが、労働関係というものはそういうものじゃない。労働関係というのは、労使対等の立場に立って議論をし、そして労使対等の立場に立っていろいろな問題をきめていく、こういうようなものが労使関係であるはずです。そういう点から考えてみますと、この労使の紛争を中心にして起きたところの職員の個々の行動というものが、公社の企業を正当に維持するために設けられた公社法、こういうものによって処分をされるということは、労働組合、労働運動そのものを否定をしたところの考え方につながると思うのです。これではいつまでたっても問題の本質が解決をされない、こういうふうに私としては言わざるを得ないのです。この点吾孫子副総裁はどういうふうに考えますか。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○吾孫子説明員 法律の御解釈につきましては、先ほど労政局長から御答弁のありました通りであると思っておりますが、あるいは厳格に申すならば、この労使の紛争がもとになって、そうして十七条違反のような行為が行なわれた場合には、全部十八条によって解雇すべきものであるかもしれません。そういうふうにも考えられますけれども、それでは実際問題としてあまりに酷に過ぎる。といって、責任を明らかにしないということも許されないというようなことを考えまして、程度の軽いと思われる事態に対しては解雇処分、免職処分というようなことでない、それより一段あるいは二段落とした処分をするということが実情に一番合っているのではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。   〔発言する者あり〕

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 御静粛に願います。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 処分をして、その処分が実情に沿っておるという今の言い方は、非常に問題が大きいと思うのです。今副総裁の答弁をしておる内容を聞いておりますと、本来ならば十七条違反行為については十八条を適用するのが本筋であるかもしれぬけれども、それでは酷だからというような表現をいたしました。私は別に言葉じりをつかもうという気持はないけれども、しかし法律の運用にあたって最も大切なことは、正しく法を適用することによって初めてそれが法律に対するところの信頼感を持つと思うのです。あなたの今言われていることは、いわば公労法が解雇以外を認めていないから、そういう不備な法律であるからということを裏書きした言い方をしておると思うのです。あなた方は現在のところ——私は公労法は悪法だと思っておりますけれども、そういうような不備な法律だとするならば、不備でないように改正をするという行き方だって、あなた方の力によってできるはずだと思うのです。そういう不備な法律があるからといって、適用してならないところの、適用上問題があるような公社法を適用する、そういうところに非常に問題が大きくなっていく原因があると思うのです。従って私はあくまでもこの公労法の発足の状況、そういうものから考え、あるいは今までのあなた方の公労法の適用の状況、これを歴史的に考えてみるならば、日鉄法によるところの処分というものはやはり便法的にあなた方が考えておるところの不法な行為である、こういうふうに言わざるを得ない。もちろん公労法によるところの解雇処分がそれで妥当性を持つという意味ではありませんけれども、どちらかというならば一般的に言って、その労働関係の問題については公労法を適用するのだ、それがあなたも筋だというふうに言われるならば、その通りやっていかなければならない、それ以外の処分はできないはずなんです。それをやろうとするところに混乱を大きくしている原因がある、こういうふうに言わざるを得ないと思うのです。その点一体どうですか。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○吾孫子説明員 公労法の解釈ということになりますと、これは労働大臣の御所管でございますので、私どもは先ほど労政局長から御説明のございました通りの御解釈に従っておるのでございますが、ただいま先生がおっしゃいましたような御意見もいろいろあることは私どもも存じておる次第でございます。今はっきり記憶はいたしておりませんけれども、先住の御所見とは少しあるいは違っておったかと思いますが、過去において私どもが免職処分をいたしました職員につきまして訴訟になっておるものもございますし、またその訴訟ですでに結論も出たものもあったかと覚えておりますが、その中で裁判所の方でも、私の記憶いたしております範囲では、国鉄がある場合に公労法を適用し、ある場合に日鉄法を適用するということが違法であるというような判決はなかったように思っております。しかしまあこの法律の御解釈は労政局長から言われた通りで、私どももそれに従っておる次第でございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 私は冒頭に言いましたけれども、公労法という法律ができて、本来であるならば労使関係は安定をし、業務もまた正常の運営ができるということを期待をして作られた法律のはずなんです。それが十二年も過ぎた今日、かえって紛争が拡大をしていく。これは一体どういうわけなのかというふうに考えてみると、労働省なりあるいは国鉄なりその他電電公社なりの公労法を適用する側が、これを正当に運用していない、そうして労働組合運動に対して弾圧をするような方向に使ってくる、こういうようなところに今のような波乱の最大原因があるのだ。その中で特に問題になると思われるのは、公社法によって労働組合運動から発したところのいろいろな職員の行為を処分をする、こういうことが非常に問題を大きくしている。おそらく今日まで国鉄当局が行政処分をした数というのは十万どころじゃないと思うのです。こういうようなことで処分をするということは——本来その職場の規律を維持したりあるいは正常な業務の運営をはかっていったり、そういうことを目的として、きちっと規律を確立をしたいというねらいを持っているはずだと思う。それがひとたびその法律の適用を誤っていくと、かえってそれが紛争を拡大していく原因になってくる、このように言わざるを得ないと思う。私はそういう考えのもとにおきましては、今日まで国鉄が日鉄法なりなんなりによって処分をしてきたということが、非常に問題を拡大をする原因になっていると思う。本来、労働関係の問題については、適用をさるべき筋合いのものじゃない、こういうふうに申し上げておきたいと思うのですけれども、その点で一番先に聞きましたように、労働関係というものはこれこれだということについては、具体的に私は例を上げて聞いた。その例についても、労政局長はそれは労働慣行の中に入るというようなお話でもあるわけなんですから、従って公労法が解雇以外の処分を認めていないからといって、それでそれを補うために、運用してならないところの日鉄法による処分というものはきわめてこれは間違った行為である、こういうふうに言わざるを得ないと思うのです。先ほど来このことについていろいろ話をしておるわけですが、特に吾孫子副総裁が先ほどの答弁の中で、公労法の適用にあたって組合の下部段階の役員の責任追及をしたというようなことについては、私はかえってこのことが問題になって将来紛争を拡大する材料になるのではないか、こういうふうに考えざるを得ないわけなんです。なぜならば労働組合というのは、それは役員がきめるものでも何でもないんです。すべての行為なりあるいは指令というものは、全組合員の意思によってきめられた行為なんですから、それを公労法に違反をするということで適用するとするならば、それは当然に最南責任者の範囲にとどめなければならないはずだと思うのです。それ以外にやろうとすると、これは全職員にこれをやらなければつじつまが合わない。全職員というよりも、先ほどの副総裁の答弁によると一集団々々々、ある一地域なら一地域、こういう場合があるとするならばその地域全体、その行為に参加した者全体に適用しない限り正しい意味での法の適用にはならない、こういうふうに言わざるを得ないと思うのです。こういう点についてもう少しあなた方の方として責任ある回答を得たいというふうに思うわけです。

吾孫子豊日本国有鉄道副総裁

○吾孫子説明員 私どももしばしばこういうような処分を繰り返さなければならないような事態が繰り返されることは、まことに遺憾しごくであると思っておりますが、私ども自身としても大いに反省をしなければならないと考えております。将来こういうような大量の処分というようなことをやらねばならないような事態を回避いたしますために、今後一そう努力をいたしたいと、かように考えております。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 吉村さんに申し上げますが、吾孫子副総裁は何かお熱があるそうでございますので、どうか一つ簡潔に願います。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 わかりました。私も国鉄の出身でありますし、時間もだいぶせっぱ詰まっておるようでありますから、また後日に譲りたいと思いますが、実は私はきょう、今回の春闘の問題の中で事実誤認の問題があるように考えましたので、個々の具体的な問題、特に労働基準法に違反をする行為等の問題、こういうものが国有鉄道の中にある、しかもこれらについては労働省がこれを知っておりながら、何らの措置もとらないでいるというような例もある、こういうようなことについて労働省当局の考え方というものを明らかにしたがったし、それから個々の処分の内容等についても、もう少し国鉄当局の見解をただしておきたいところでありますけれども、また日をあらためてやるということでありますから、きょうは一応これで終わりにして、いろいろな基本的な問題、個々の問題等については明日また質問を続行することにいたしまして、本日は終わりにしたいと思います。      ————◇—————

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 厚生関係及び労働関係の基本施策に関する件、特に医療機関における労働争議に関する問題について調査を進めます。  この際お諮りいたします。これより本問題について、十仁病院長梅沢文雄君及び十仁病院労働組合執行委員長野尻昭代君の両君から、参考人として意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  参考人の方々には、御多忙中のところ御出席いただきまして、ありがとうございます。本委員会におきましては、近時相次いで発生しております医療機関における労働争議に関する問題について多大の関心を有し、先般来政府に質疑を行なうなど、調査をいたしておるのでありますが、本日は特に参考人の御出席をいただき、本問題について忌憚のない御意見を承り、もって本委員会の調査の参考に資したいと存じております。  なお、議事の整理上、最初御意見を約十分程度に要約してお述べをいただき、その後委員の質疑にお答え願いたいと存じます。  なお、参考人に申し上げますが、御発言の場合には委員長とお声をおかけいただきまして、それから私の方で参考人のお名前を申し上げました場合に、御発言をお始めになりますようにお願いをいたします。  それではまず梅沢参考人にお願いします。

梅沢文雄十仁病院長

○梅沢参考人 何の御意見でしょう。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 十仁病院で労働争議がお起きになっているわけですね。その経過をお述べをいただたきたい。

梅沢文雄十仁病院長

○梅沢参考人 では、ただいまから委員長の御指名によりまして、十仁病院争議における経過を簡略に申し述べます。  組合結成が、昭和三十五年十一月二十八日になされまして、組合の要求は、三十五年十二月一日に次のように出されたのであります。一は、年末一時金は、基本給プラス物価手当の三カ月プラス二万円一律で要求する。二は、労働三法を守れ。その(イ)は、配置転拠は経営者と組合と話合って行なう。(ロ)、手紙及び電話の人権無視は絶対行なわないこと。(ハ)、始業、終業時間を確定し、八時間以外は時間外とする。(ニ)、時間外は組合の許しを必要とし、賃金は百分の百八十二とせよ。(ホ)、食堂を改良し、平等な食事を与えよ。(ヘ)、寄宿舎の民主化、厚生福祉施設を要求する。(ト)、組合事務所及び専用電話について。(チ)、人員の増員を要求する。(リ)、一週労働時間を四十四時間とする。  次に賃金改定要求。(イ)が現行賃金中の物価手当を基本給に組み入れること。(ロ)、(イ)の上に立って基本給を八千円一律に引き上げること。(ハ)、最低基本給を一万円保障すること。  この要求に対する病院の回答は、年末一時金については十二月二十一日二カ月分支給の回答を書面で出しました。それから十二月三十日に二・三カ月を回答したのであります。さらに一月に至って争議の経過が非常に苛烈をきわめましたので、いろいろと相談の結果、一応は白紙に戻すと回答したのでありますが、実際においては現在交渉中であり、非組合員と同様二倍になることと思いますが、これはその後における経過としてなお交渉中であります。二の労働三法を守れということについては団体交渉中でありますが、労働三法は国家の法律であり、国民として守らなければならない義務がありまするので、病院当局としては当然国民としてこれを守るべく努力するということをお誓い申し上げた程度にとどまっています。三の賃金改定については、つまりベース・アップでございますが、四月五日に書面にて医師を除く従業員の所定労働時間基準内賃金は、国家公務員法に準じて平均二千三百円を引き上げるということを回答し、さらに交渉中であります。団体交渉の経過については大体二十回行なわれました。それは三十五年の十二月二日から三十六年の五月十二日の間でございます。予備交渉が八回行なわれたのでありますが、つまり団体交渉を行なうについてお互いに円滑に交渉が行なわれるべく、手術の際の準備工作としていろいろとなされることと同様に、八回行なわれたのでありますが、この約三、四回というものは、初めの十仁病院のみの組合によって交渉するという約束に基づいて行なわれたのですが、途中から上部その他約束に反した人員が加わったので、三、四回だけはむだな回数を重ねたような工合で、その問いろいろと事情があってこういったような回数が行なわれたわけです。それから団体交渉は全部で十二回行なわれております。昭和三十五年の十二月二十六日から三十六年の五月十二日までの間であります。  次に争議経過でありますが、三十五年十二月一日に組合側の要求が以上のように提出されまして、五日後の三十五年十二月五日に団体交渉が一度も行なわれないうちにスト予告が行なわれたのであります。予告期間中まず無断集会、地下室及び屋上その他諸所において就業中に無断集会が行なわれたことが数回ございます。就業時間ではないこともあります。それからビラ張りもいろいろと院内及び院外に行なわれました。そのほかリボン闘争、腕章とリボンをつけたようなことも行なわれました。それから三十五年十二月十七日、第一波ストライキが前夜より病院の地下室において、約二時ごろまでに、患者も入院しておったのでありますが、盛んに不法占拠して争議が非常に騒がしく行なわれたのです。それから三十六年五月十八日まで四十九波、一日スト、半日スト、部分ストというふうに行なわれたのでございます。  その他種々違法不当行為を重ねること数十回に近く及んでおるのであります。それらを申しますと、要求態度が強く、一歩も譲歩されないという状態で、年末一時金に対しても一歩たりとも譲歩されない。しかし過去においては査察問題があり、病院経理の状態からいうとまことにさびしいものがございまして、去年一年における不動産売却が三千万円に及んでいる状況でございまして、この点は従業員も経理を十分に聞いていただけば、その点はわかってもらえるものと思いましたが、会計士を呼んだり、数回にわたって説明に及んだのでありますが、理解されなかったことは、私としてまことに遺憾の点と考えるのであります。  その次に病院、寮に無断宿泊者、上部団体と称する方々の男性が、十仁病院の中にはもちろん、宿舎、寮において無断宿泊され、監督責任者としての私としてまことに遺憾に思ったのでございますし、何らかの手をもってこれを何とか善処したいと、あらゆる角度から今日まで努力して参りましたが、いかんせんいまだに不法占拠が行なわれておる状況にありまして、その継続を見ているのであります。  また職場放棄、非組合員の就労を妨げたり、就業時間中の集会及び組合活動があったり、ビラ張りが特に手術室、私の家などに行なわれた。申し上げるまでもなく手術室におけるビラ張りは、患者の心理も大きく影響することはもちろんでありますし、ドイツ医学的の場合は、白タイルを張ったものであるが、今日ではむしろ緑色のくすんだ色さえ用いて、患者の心理に少しでも好影響を及ぼすように努力が払われておるのでありまするが、この手術の部屋の壁のみならず、上にも張り、心理的にもまた衛生的にもあまりおもしろくないことが四回にわたって行なわれたのであります。  その他、消毒材料を投棄したり、ごみために捨てたり、いろいろケッテルの中のガーゼが、組合執行部の一員によって消滅して、私用に用いられたりしました。またピケが非常に強硬に行なわれ、今日もここに持ってきたのを撮影してごらんになれば、その程度がおわかりになると思いまするが、まことに行き過ぎの程度は、言語に絶するものがございますし、私が病院に朝九時前に参りましても、入れないことは相当の回数でありますし、従業員はもちろん患者も入れないという状況で、いろいろな角度から患者の診療に支障を来たさないように努力して参りましたが、その結果今日こういうふうな呼び出しを受けなければならないような状況にあることは、私の不徳のいたすところでありまするが、自分も及ばずながら、最大限度に私としては努力は払ってきたつもりでございます。  傷害事件としては、私の家内及び長男が外傷をこうむっておりまするし、その他木村、木幡等の方が傷害を受けております。さらに暴行問題でございまするが、これも新聞紙上では、一方的に十仁病院の従業員が暴行を加えられたように書かれておりますが、事実は十仁病院がむしろ暴行されているような現状で、むしろいかにしたら患者を安全に診療できるか、またいかにしたら私ども医療益世が遂行できるかということに苦心して、この数カ月参ったような現状でございます。その他脅迫だとか、第一回のスト前夜のごときは、非組合員が交換台はもちろんのこと、従業員があすはストライキであるという関係から、前日から泊り込んでいるものを、屋上から一貫目近くの石をもってどかどかやってみたり、窓から脅迫的に脅かしてみたり、いろいろ行なわれたのでございます。その他いろいろと団交の際、不法監禁に近いようなことが行なわれたり、諸種の行動がとられたのですが、いずれもまことに私ども医療に携わる者にとっては、苦難を味わってきたのであります。  ことに十仁病院では暴力団を雇っているというような宣伝が行なわれておりまするが、たとえば木幡組というような通称で呼ばれている暴力団、と称するのでございまするが、木幡工務店は十仁病院の営繕関係を担当しており、十仁病院では日ごろ病院の改築及び医療上に都合よき状態を営繕するすべてを、たとえばガス、水道にまでいろいろと改繕を加え、診療上善処する目的で営繕方面を担当している請負業者であり、ふだんまじめにきわめて穏やかな人種がそろっているのでございまするが、そういう方も見方によっては暴力団ということになりますが、事実はそういうことがほとんど行なわれていないのであります。  以上をもって大体組合が結成され、今度の問題に波及した概略を簡単に説明したつもりでありますが、どうぞよろしくお願いします。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 次に野尻参考人にお願いいたします。

野尻昭代十仁病院労働組合執行委員長

○野尻参考人 私たちは港区芝新橋一ノ十四、通称十仁病院の従業員でございます。私どもは共産党員でもなければ、社会党員でもありません。ただ日常日雇い同様その日その日働いて生活する非常に平凡な、国のために働いている看護婦であります。  私たちのこのような争議が起きるまでの経過といたしましては、非常に人権無視がはなはだしく、電話の盗聴、私信の開封、それから食事の差別待遇、あるいは平均賃金が低賃金で六千二百十三円、最低の者が三千五百円という基本給でございます。従ってこのようなことは賃金以前の問題としまして、人権無視もはなはだしく、私どもはこの人権闘争は初めから思想上のもので始まったものじゃなく、私どもの人権を無視する十仁病院経営者の、先ほど申し上げました私どもの手紙の開封や電話の盗聴、あるいは私どもの寝室に立ち入って私物の検査をする、これは旧軍隊の内務規則以上の厳重なものでありました。それに反対して立ち上がったのであります。  私たちはまじめに働きさえすれば、経営者もよくなり、私どももよくなる、そう信じまして、ただその圧迫にもがまんし、十四年という長い年月を十仁病院の経営者の迫害のまま過ごしてきたのであります。いずれ経営者が経営の運営もよくなり、豊かになれば、私たちの待遇も改善され、横暴さもなくなると思いまして奉仕してきたのであります。  国民及び諸先生方も新聞紙上でお読みになったと思いますが、私たち働く者の育成によって——昭和三十一年ころの十仁病院の脱税は、国税調査では六千八百万をもって十仁病院の財産を差し押えましたが、実際上の脱税額は二億以上のものでありました。先生方も御存じのように、昭和二十四、五年ごろは、十仁病院は百五十坪そこらの建物でありましたが、きょう現在は一千坪以上にも大きくなりまして、本院のほかに台東区御徒町の回春堂医院、及び寮としましては、新橋の赤沢寮、それから聖仁寮、大森の大森寮、御徒町の寮、それから原宿にも寮がございます。その他小田原あるいは青山南町の寮等計五十億前後に上りますが、これは私たち従業員によって築かれ、膨大な富を達成したのであります。  しかも一般通常国民は御存じないかもしれませんが、十仁病院の整形外科のごときは、大よそすべての諸経費は、一千五百円ぐらいの原価のものが最低十万円以上の利益を上げております。日本国民のすべては私どもの賃金について御存じないかもしれませんが、きょうここにおいて私たちの実情を皆さんに聞いていただける機会が得られましたので、御参考までにぜひお聞き、願いたいと思います。  私たちの年令は、十七才より七十才前後、平均年令三十四・五才ぐらいでございまして、平均ベースがわずか六千二百十三円であります。私どもはこの十年間という長い月日の間に、賞与として今まで支給されましたのは、毎年これだけの利益が上がっているにもかかわらず、月給額の半額以上支給されたことはございません。  なお、経営がうまくなりまして、経済が豊かになれば、金力の前ではすべてのものが属するとは申しましても、警察は私たち国民の公僕であり、その絶対厳正中立であるはずの愛宕警察署の前の署長さん、現在警視庁本庁勤務になられておりますが、それと公安係長町田警部補さんほか多数の警察官が、きょう現在もなお十仁経営側個人の警察活動を続けているように思われます。その証拠には、四月十七日に、もございますけれども、私ども十年前あるいはそれ以前におきましても、現在に至っても寮として使用しておりましたところを、突然十仁病院経営者側が暴力団を雇い、田島外数十名の人が来まして、私どもの私室の荷物を全部二階から階下のトラックに投げ込みまして、経営者及び暴力団側は、十仁病院梅沢院長指揮のもとに、あらかじめ用意してありましたハンマーやそれから角材、それからスパナ、そういうものを持ちまして、私たち女性どもをなぐりつけましたり、あるいはハンマーで頭をなぐって一時失神する女性等も出ました。八人の従業員は一週間から一カ月の負傷を負いました。これらの証拠は芝診療所の医師のもとにも診断書がございますし、あるいはその当時行なわれました証拠写真もございます。従って、私どもは年がら年じゅう脅かされたりなぐられたり、あるいは気絶したり、いつも意識不明にさせられるので、身の危険を感じまして、愛宕警察に訴えましても取り上げてくれませんし、方法がないので、せめて命だけは何とか守ろうと考えまして、経営者側の電話は使用させてもらえませんので、外部との連絡をとる必要上、四月二十七日に、銀座の電話局の臨時仮設電話を野尻個人名義で加入料金及び臨時電話使用料を払いまして電話を開通させましたところ、今度は私どもに暴力だけでは物足りなく、銀座電話局員及び局長ほか多数を脅かしまして、私どもの寝室より、従業員及び電話局員を梅沢院長夫人及び多数の暴力団が屋外に連れ出しまして、個人財産の私の加入電話を切断しました。新橋一の十四番地路上の大衆、そのとき三、四百名が集まっておりましたが、面前に投げ捨てられまして、しかも愛宕警察の公安係長町田警部補は経営者側にやれやれと言っているようなありさまでした。十数人の私服の警備員を連れてきて電話を切断し、投げ捨てる協力を一緒にしているように思われました。そのとき私ども従業員は、町田警部補を公衆の面前に連れ出しまして、ちょうどそのとき社会党の国会議員の大柴滋夫先生ほか数人の先生がいらしておりましたので、その方の面前で、どうしてこのような暴力をふるうのか、暴力団なのかと尋ねましたところ、私は愛宕署の公安係長だと答えましたので、それならなぜ個人のものをこわしたり、破損するものをこのまま見ているのですかと私たち、質問しましたところ、今から経営者側を至急逮捕し処罰すると、はっきりと路上に集まっていた大衆及び先生方に言明して、町田警部補は帰ったのであります。それからすぐ彼は経営者十仁病院側と、この問題は代議士諸先生方が現場を見て帰ったから、いずれ国会で問題になるといけないので、至急証拠を作ろうということで、その日からずっと——十仁病院の経営者及び暴力団の親方、元警察官木幡義男と愛宕警察の遠藤刑事は、五月九日に、同日も暴力さたがあった日でありますが、世論も騒しくなりますし、われわれも対策を講じなければならぬからというので、町田警部補の命令で、他の警視庁の公安二課員らしい者三人と一緒に進れ立って、芝新橋の西口に通称烏森というところがありますが、そこのニュー鮒忠という料理屋の二階へ来て、料理を食べながら、遠藤刑事は、愛宕署の上層部及び町田警部補の命令を忠実に履行したのであると言っております。  その後なお経営者側は、暴力団の団長田島外五十数名を雇って、五月十九日より、野尻外五名の者を解雇したと称しながら、今度はまだ十仁病院側は十数人の刑事を院内に入れまして、野尻外五名が就労しようとしましたところ、手足をつかまえて路上に投げ出し、警察は暴力団の暴力に加勢しているようにしか思われません。四月十七日、警察及び経営者暴力団によって追い出された日から、愛宕警察は、警備だと称して、常時暴力団と一緒に十数人が約半月ほど、追い出されました寮の中の私どもの部屋の下で寝泊まりをともにしておりました。なお、いつも私どもがなぐられているときに、現場で制服警官は見ているのでありますが、あなた方が証人になってくれと私たち従業員が頼みますと、前愛宕警察署長は、命令ですぐ警官の配置転換を行ないまして、他に配転をさせてしまいました。常時三十六人やそこらの組合員に警官が百人前後介入するので、私どもは女でありますから、強くても限界がございます。それにどうしても限界線がございますので、その警官に証人になってくれと頼みますけれども、私たちは上層部の命令だからそういう証人にはなれない、それからいつ首になるかわからないと言って、私たちのところには来てくれません。私たちは宮仕えの身だからと言って断わられました。このようなわけで、経営者側はむろんのこと、警察及び暴力団が世にこのまま真昼からはびこっていますということは、暗黒の世界であるように思われます。法律の施行は全く無力化したも同然だ。どうか立法府であります衆参両院及び諸先生方におかれましては、この許すことのできない経営者の暴力行為と警察権力の介入とを天下に公表して下さい。暴力団及び経営者個人の私兵に化している警察官であります。どうか国会におきまして、われわれの身を保護するために、いずれかの司法機関に身の安全を保障してくれるよう交渉をお願いする次第であります。  私どもにとって、今は給料の問題よりも、どうにか暴力団及び警察官の迫害のない安住地を探し、日常当てもなく不安にかられながら過ごしておりますことを強く訴えます。  私は、昨年の十一月二十八日より賃金はむろんのこと、賞与等もまだ一銭もいただいておりませんし、解雇の理由は見当たりませんし、またそのような連絡を受けたこともございません。このようなわけで、五月二十日に、私たちは自分の職場へ仕事をしに、病院の正面玄関より、午前九時より平常通り行きましたところ、愛宕警察署の町田警部補の指揮のもとに、刑事十数人と暴力団四、五十人で野尻外数名を取り押え、足をひっぱってなぐり倒しました。なお警官もそれを見て見ぬふりをしております。なお四月十七日に、経営者側の一方的暴力行為による寮追い出し事件後、寮に居住する看護婦七、八名は出入口をふさがれまして、出入りは全く自由にできませんし、二階へ上るにもなわばしごを使いまして、登山家のような格好で自分たちの部屋へ出入りしなければなりません。このように部屋に出入りするたびに、愛宕警察署の公安係長の町田警部補の指揮下の五、六名及び暴力団木幡義男、旧警察官指揮下の十数人等によって、恥ずかしい思いですが、じろじろ見られましたり、あるいはひやかされたりして、いやな行為を受けます。愛宕警察署員は四月十七日より、今国会でこれを審問するという決定がされる前日まで、寮の中に暴力団とともに寝起きしておりました。なおきょう現在も、院内並びに寮の中に暴力団四、五十人と私服警察官がときどき出入りして俳回しております。どうか諸先生方もぜひこの状態を御視察願いたいと思います。  私の陳述は以上で終わります。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 以上で意見の開陳は終わりました。  次に両参考人に対する質疑を許します。田中織之進君。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 お二人の御意見の開陳を伺っておりますと、著しく食い違うのであります。現に争議が進行中でありますから、御主張の隔たりのあることは理解できますけれども、事実関係にあまりにも食い違いがあるので実は驚いておるわけであります。  まず野尻参考人に伺いますが、先ほど梅沢院長からの御発言によりますと、昨年の十二月に争議が発生して以来、二十数回にわたって団体交渉が持たれたように述べられたと思うのでございますが、それらのことについては、あなたは全然お触れにならなかったのであります。まず組合側からいった争議の経過、団体交渉等の関係、それから経営者との間の折衝の経過等について、簡単に組合側の言い分をお聞かせ願いたいと思います。

野尻昭代十仁病院労働組合執行委員長

○野尻参考人 御質問でございますが、梅沢院長は二十回にわたる団体交渉を行なったと申しておりますけれども、事実上の団体交渉は十三回しかしておりません。あとは事務折衝といいまして、人数の制限だとか、あるいは場所を制限したり、時間を制限したり、そのような、実際上基本的な問題を解決するための交渉というものはなされませんで、本質的な問題に触れた交渉といいますのは大体十三回ほどです。  それから要求提出を一番初めにしましたのは昨年の十二月一日で、年末一時金三カ月プラス一律二万円、これは基本給プラス物価手当ということになっております。この点につきましては、しさいに申し上げないと非常にわかりにくいと思いますが、現在は省きます。そのような年末一時金を要求いたしまして、第二項目は、先ほど梅沢院長が申しましたように、労働三法を守れというもので、九項目にわたって要求いたしておりました。  第一波のストライキは十二月十七日に都庁に通告いたしまして、十日間の予告期間をもちまして第一波に入りました。そのときの経過ですが、私たちはなるべく交渉を行なってストライキに突入することを避けようというように努力いたしまして、実はストの発効がなされますのは十六日ではございますが、さらにその日一日を団体交渉ができるよう待ち望みましたけれども、ついに団体交渉ができ得ずして、十七日にストライキに突入しました。今年に入りまして、一月二十日に不当労働行為でもって、非常に組合員の切りくずしが激しく行なわれまして、当時六十三名が四十数名に減らされましたので、東京都の労働委員会に切りくずしの点で不当労働行為を訴えました。そのときには、組合員の家族及び家庭に院長夫人の名義で手紙あるいは電報などを打ちまして、組合員切りくずしをはかりました。そういうことが現在も不当労働行為で審議中ですが、あと一、二回をもちまして明らかにこれは不当労働行為であるという、現在のところ公益委員からもそのような言葉を受けております。  その後一律八千円の賃上げを要求しましたが、八千円賃上げをいたしましても、東京医療労働者の平均賃金一万四千円、こまかい数字は忘れましたが、大体その程度にやっと追いつくという賃上げの要求なわけです。その点につきまして、先ほど梅沢院長から文書で四月五日に平均二千三百円という回答がございましたが、交渉を持たれずして、一方的に文書でもって配布してくる。このようなことは、労使関係の中ではやはり話し合って、一つ一つ積み重なっていっての上でなされていくべきであると私は解釈いたします。  それから四月十七日の暴力事件が起きましたときに、直ちに私たちの寮の部屋につきまして、占有権及び暴力排除の仮処分申請を東京地方裁判所に行ないました。三回ほどの審問で直ちに組合員の生活しております私室全部の決定をいただきまして、路上に迷わなくて済むような決定はいただきましたけれども、後日、執行吏が来まして、畳を入れてもらいたい、あるいは割れたガラス窓を入れてもらいたいということを申し上げまして、経営側に申し込みましたけれども、そういうことは全然わからない。たたかれたまりは必ずはね返る、われわれは実力でやるのみだ、こういう団体交渉の席上での院長の暴言がございました。そのときには団体交渉が持たれましたが、そのような暴言のもとで交渉は決裂してしまいました。従って現在もそのような団体交渉のいつも決裂していくような状態の中で、院長が実力には実力をもってやる、このような暴言の中で決裂していくようでは、団体交渉は実のあるものとして成立をしていかないのではないかというふうに思いますし、組合員も、なるべく交渉によって院長が誠意ある回答を示してもらいたい、このように思っております。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 労使双方の争議の経過についての事情を承ったのでありますが、病院スト全体の問題についてはここで私の意見を述べることを差し控えますけれども、すでに日赤も争議自体は解決をして、残っておるのは東邦大学と十仁病院、顕著な事例としてはこの二つのように見受けるのであります。先ほどから梅沢院長の言われるように、長い期間でありますけれども、二十回内外の団体交渉が持たれておって、争議の本質の労働条件改善の問題についての話し合いについて、具体的に話に入らないということについては、私ども実は奇異の念を抱いておるのであります。  後ほどこの点については労政当局なりあるいは厚生省の医療行政の立場から私ども委員会としての質問を続けるわけでありますが、梅沢院長にお伺いをいたしますが、あなたも組合から要求が出ました、たとえば信書の秘密等を侵さないでもらいたいという、一種の人権を守ってもらいたいという要求が出されたということは認められたのでありますが、その点については、今組合側から盗聴であるとか、あるいは寮における看護婦さんたちの私物の検査というようなものを経営者側がやるというような、労働争議以前の人権問題が今までにあったように私伺ったのでありますが、その点の事実関係は病院側としてお認めになるのでしょうか。その点はいかがですか。

梅沢文雄十仁病院長

○梅沢参考人 ただいま御質問あったように、基本人権である労働三法を守れ、こういう点は十分国民の義務として自分は守る考えであります。しかし先ほどお話のあった野尻君の話はうそ八百が並んでおる事実は、私はどうにもならない。とにかく私とすれば、たとえば盗聴であるとか開封だとかいろいろ申し述べられましたが、それはそのつどにおいて、私は絶対そういうことはないということを断言できます。  それから暴力問題ですが、実質的に私は暴力は絶対にやらないようにしてもらいたいと言ったのですが、結果においては、私は直接見ておりませんからはっきりは申し上げられませんけれども、私の聞いている範囲では暴力は一切行なわれておらないということを聞いております。またさらに角材並びに金づちをもって頭部を打ったとすれば、あんな擦過傷、ガラスで割ったような傷口じゃ私はなかろうと思うし、それはガラス窓を割るために自分があわててやった関係でガラスで切った傷を、あたかも大工さんあるいはその部面に入った人のように言われておりますが、事実は違いまするし、ここにある写真でもそうです。窓をふさぐようにしたということは、外部からいろいろとヤジウマが入ってくるのを避けただけで、そのために窓をくぎづけしたことは事実でございまするが、その窓からの侵入を避けただけの話であって、看護婦に対して金づちで打ったり——くぎを打ったことは事実ですが、そのくぎを打つ場合にそれを引っ張るために、それを避けようとして大工さんがやったということを聞いておりまするし、十仁病院の宿舎に住んでいるたとえば私どもの暴力行為が行なわれたと称する部分は、第一ホテルのすぐ横でありまするし、まず宿舎として一時日本美容科学から好意的に借りた部分であり、十仁病院が数回にわたってストライキを行なわれていますと、どうしても前の日に手術をした患者なんかを病院に入れて診療することができないので、やむを得ず私どもでは診療をしなければならないので、すぐ聖仁寮の一角に診療所を設け、その代償として美容科学の方に明けなければならないという理由があったことも一つです。  それから女の方のいるところへ男の方が入って三角関係が生まれ、しかもブロバリン百二十錠も飲んで、事実上胃洗滌して、生命はとりとめたものの、その辺に毎日のように廊下に泊ったり、自由自在にうちの中がじゅうりんされておりますと、やむを得ず私としてはやっぱり責任上何らかの手を打ってそれを排除していかなければならぬと考えたし、しかも従業員で組合をやめたと称するが、実質においてはやめた人員は、あまりに病院従業員たる程度を逸脱しておる行為に出たので、むしろ恐怖感を感じて、現在組合員にはなっておるものの、何らかその不安に襲われるということは、むしろやり過ぎ、行き過ぎというような行動を不安に思っているためか、そのためにむしろやめている人が多い。その結果、十畳間に一人ぼっち女を置くということがよくないからこっちの方へ寄って、十畳間に二人なり三人なりいてもらわなければ困るというふうに申し上げたのであって、あの銀座の近くの第一ホテルの真横である部分が坪どのくらいの価値があるかおわかりになるでようし、その部屋に一人の女の子が寝て、そして男の外部の方が出入りしておるということはあまりおもしろくないことはわかると思うのですが、いずれにしてもそういった状況のもとに行なわれたので、先ほどよりいろいろ聞いておりますと実に口先はあれだけれども、ここにおられる方はその詭弁には乗ぜられないことと確信しますが、事実は非常に違うので、その点をはっきり申し上げて御参考にしたいと思います。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 参考人には質問をした範囲内でお答えを願うように委員長から御注意をいただきたいと思う。私も実はこの争議の状況については、おそらくこの委員会の各委員の皆さんのうちで、一番事情をよく承知しておると思う。その意味で両参考人が述べられた点については私は私なりの判断をしておるわけですから、端的に機微に触れる点に質問がいくかもわかりませんけれども、そのことについて率直にお答えいただきたいと思う。  暴力事件については院長も御承知のように、現にあなたの方からも告訴が出ている。業務妨害の告訴が出ておる。従業員の方からは傷害暴力行為の問題で告訴が出て、この問題を今警察が取り扱っている。いずれその問題については明らかになる問題でありまするから、私多くをここで伺おうとは思わないのでありますが、今第一ホテルの向かいにある寮の明け渡しというか間仕切りというか、そういう問題に関連しての四月十七日の紛争の問題に触れられたのでありますが、現在もなおなわばしごで、そこに宿泊をしておるあなたの方の従業員が出入りをしておるのですかどうですか。またあなたがおっしゃるように外部との連絡を切断するんだからということで、あなたの所有なりあるいは管理のものに属するかもしれませんけれども、私どもいただいておる陳述書によりますると、何年か前からあなたの病院の従業員の寄宿舎として、住んでおる女の子たちの関係について、今なお二階からなわばしごで出入りをしなければならないというような状態は、これはだれが考えても少なくとも正常な状態ではないと思うのでありますが、この点については院長はどうお考えになるか。  それからこの点は先ほど野尻参考人の陳述によりますると、今月の十日過ぎでありまか、東京の地裁から従業員の申し立てた仮処分が出されておるということでありますが、その関係の事実についてお認めになるかどうか。  それから、先ほどの争議の経過の点でお述べにならなかったのでありますが、最近になって六名を解雇したというようなことがいわれておるのでありますが、あなたはその点については先ほど触れられなかったのでありますが、いつどういう理由で解雇されたのか、この三点についてお答えをいただきたいと思います。

梅沢文雄十仁病院長

○梅沢参考人 ただいま御質問がございましたので、その御回答を申し上げます。  第一のなわばしごの件でありまするが、宿舎に居住しておられる看護婦諸氏は自由に出入りができるようになっております。ただなわばしごは、組合員の上部の男の方がひそんで夜中にあるいは登るのに便利なためにそういうものをかけてあるだけであって、病院はなわばしごを取ったこともございませんし、私どもで宿舎を管理しておるという関係から、いたずらに事故が起きても困る関係から、ただ外部の者を排除するように、やたらに入れないようにしているだけでございます。  それから第二の問題の仮処分の問題ですが、仮処分はおそらく緊急を要するものと認められてかりに処分されたものと思いまするし、当然これに対して本裁判を私の方が起こして、正当なる根拠をつかんでいきたいと私は考えています。  それからもう一つ、解雇した事実はございます。この理由については、あまり多過ぎるので、ちょっと今申し上げられませんが、先ほど申し上げたように、病院の患者も入れることはできないし、経営者の私ももちろんのこと、医員の方、従業員の方も入れることができないということは、私が病院をやっておる以上は、とにもかくにも絶対これは——私としては、正常に医療を遂行していく意味において、どうしてもこれは行なわれるようにしていかなければならない義務が医者としてあると考えるので、あらゆる方面から、違法行為を行なわない範囲においてこれを排除していかなければならないと感じてそういう処置をとったわけでございますが、これとても、三カ月もいろいろと協議した上で、自分としては慎重に行なったつもりでございまするし、一説によると、院長は精神病をやったからどうだとかいうように感情的に考えられているのですが、この書類をこしらえるだけでも相当期日を要していますし、十六ミリその他いろんな角度から、これはできるだけ病院として実証できるように、今日までがまんにがまんを続けて——スト以来数回にわたって実に困惑をきわめて、がまんしてきたのでありまして、これも私が病院運営を円滑にするためにやむを得ずとった処置であって、決していたずらに従業員を困らせるとかいう気持ではございません。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 約六カ月にわたる争議で、今月の二十日まで、従業員との対立はありましても、あなたは処分をなさらなかった。ところが二十日になって突然、従業員側に言わせれば全く理由が明確でないままに首切りの処分に出たということは——私案は最後に伺いたいと思っておるのでありますが、組合員の方がだいぶ感情的になっておられるということですが、先ほどの陳述を承っておりますると、あなたも相当感情的になっておられると思う。病院として、労使一体になって今日まで来られた者としていささか、経営者の立場がまる出しに出されることは人間として当然のことかもしれませんけれども、この争議を収拾しようというような考え方が、今までの陳述の中からはにじみ出てきておらないように思うのであります。この争議は今度の国会でもこういう形で問題として取り上げられるようなことになったわけなんですけれども、これは決してあなたの病院にとって名誉なことでも何でもなかろうと私は思うのでありますが、今後のこの争議の収拾について、経営者側として考えておられる点がおありなのですかどうですか、その点をお伺いいたします。

梅沢文雄十仁病院長

○梅沢参考人 ただいまの御質問ですが、当然私も一経営者でございまするし、従業員あっての経営者であり、従業員を無視したやり方では決して経営は成り立たないと考えるのであります。少なくとも二十数年経営して参りましたし、ただいまでは医師も七、八名に減っておりますが、三十四、五角の医師があり、百二、三十名の従業員を擁して、患者も相当数に及んだ結果、一時は査察問題に触れて、その結果三年も四年もかかってやれやれと思うころに今日を災いしたのですから、自分もかつては多少なりとも苦学に近いことを行なって参りましたし、従業員をかわいがらぬ、人権を無視したようなことはいかぬから、最初からきわめて低姿勢でもって従業員に接したつもりです。ただ、ともすれば——話は少し横道に入りますが……。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 参考人に申し上げますが、実は十時までという与野党の話し合いでやっておりますので、質問にお答えいただき、要点だけにおとどめをいただきます。

梅沢文雄十仁病院長

○梅沢参考人 そういう気持でおりますから、どうぞよろしく。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 最後にもう二点伺いますが、率直にお答えいただきたいと思います。  二十日に組合長外六名の活動家を解雇した、処分に付したそうですが、あなたはそのことを愛宕署に通報されたのかどうか。二十日に解雇されたといわれる諸君が就労しようとするのに対して、愛宕署があなたの病院に出動したというようなことがいわれておるのであります。今の野尻君の陳述のみならず、そういうことが私らの下部組織からもあがってきておりますので、警察にそういう連絡をとられた事実があるかどうか。  それから四月の二十七日でありましたか、四月十七日の事件の問題でいつ何どき生命の危険を感ずるような事態が起こるかもしれないということで臨時電話を引きたいということで、私も銀座の電話局に行って、この種の争議に臨時電話を引くというような前例はないけれども、事態は緊急を要するからということで、電話局長に私も口添えをしたことは事実でございますが、その電話が一たん架設された後にあなたの方の関係君によって切断をされて、あなたの病院の外の路上へ捨てられているのを私なり同僚の数名の者が確認をいたしておるのでありますが、あなたは、その電話の架設されたものを切断したことについての事実を御承知だろうと思うのでありますが、そのことは正しいことだとあなたは現在お考えになっているかどうか、この点の二点についてお答えをいただきたいと思います。

梅沢文雄十仁病院長

○梅沢参考人 愛宕署に連絡したかしないか、そこまで詳しいことはわかりませんが、先ほど玄関に就労しようとして参ったときに、暴力団が警察と共同して引っぱり出して投げ倒したということは事実無根でございます。ただ玄関口に来て就労させろというときに、患者が出たり入ったりのすきに乗じて足を一本少し入れたのを、うちの木幡工務店の従業員が、これは好意的にその点病院のため尽くしているのですが、むしろ病院は守る態勢であり、これはそれを突き出したのでなく押し出したという程度であって、引っぱって投げ倒したなんていうことは毛頭ございません。  それから第二の問題の電話の件ですが、病院のすぐ前に赤沢寮というのがございますが、この赤沢寮に電話を架設するということを風のたよりで聞いたので、私どもでは、また電話を架設するということになるといろいろ問題が起きはしないか、すでに赤沢寮の下のペンキ材料を置いてあるところが台所に利用されておりまするし、現在も非組合員及び組合員の脱衣室に寝泊まりしている関係から、そういうことをしている状況にあるので、私どもで内容証明で交換局の方に、電話を無断で引かれては困るという拒否の手紙を実は出したことの記憶があります。その結果、知らない間に私のうちの部屋の中に、これは窓からなら別問題ですが、従業員、組合員である者の部屋の中にはとにかくとして、私の赤沢寮の方の廊下の中に壁を通して電話線を引っぱった、それをはずしただけにすぎなくて、まあ切ったと同じことですが取り出したのです。それをまた盗難云々ということがあっても困るので置かしたということを聞いておりますが、私は聞いておる程度で、その事件がある当時、実はごたごたしておったので、そこへ寄ったときに、ちょうど何か下の方で騒いでおったのを耳にしておる程度で、大体は知っておりますが、詳しいことはよく存じ上げないので、その点だけ申し上げます。

大柴滋夫日本社会党

○大柴委員 関連して質問をいたします。  梅沢さんにお尋ねいたしますが、ちょうど電話をはずされた日に私も参りました。私たまたま逓信委員をやっておりましたので、だれか逓信委員会の関係の方が来てくれ、こういうことで行ったのでありますが、いずれにいたしましてもはずせといって、だれに命令したか知らぬけれども、命令したのはあなたですね。

梅沢文雄十仁病院長

○梅沢参考人 私ではございません。

大柴滋夫日本社会党

○大柴委員 だれです。

梅沢文雄十仁病院長

○梅沢参考人 私の家内がはずしたらしいです。

大柴滋夫日本社会党

○大柴委員 らしいのですか、あなたの奥さんが命令したわけですか。

梅沢文雄十仁病院長

○梅沢参考人 それは私は存じておりません。

大柴滋夫日本社会党

○大柴委員 それじゃ一体だれがはずさしたのですか。あなたは先ほど説明して、やれお勝手に使っているとかあるいは壁の中から引っぱったとかなんとかいう説明はあるけれども、はずしなさいと言ったのはあなたですか、それとも奥さんなんですか。

梅沢文雄十仁病院長

○梅沢参考人 少なくも私ではございません。

大柴滋夫日本社会党

○大柴委員 それではなぜあなたは、やれペンキ屋のお勝手に使っておるからはずした方がよかろうとか、あるいは壁を通っているからはずした方がよかろうという意思を明瞭にしたわけですか。

梅沢文雄十仁病院長

○梅沢参考人 ただ私は内容証明で、私の建物に電話を引いては困るということをはっきり申し上げておった関係から、私は無断で私のうちに引かれることは拒んでいきたいと考えてはいますけれども、その際たまたま私が病院におらなかったものですから、帰ってきて初めてその結果を知ったような状態です。

大柴滋夫日本社会党

○大柴委員 そのときあなたは、先ほど、そういう意思を持っておって、私の家内ですとおっしゃいましたね。私どもあそこへ行ったときに、現場に居合わした者にどうしたのだと言ったら、奥さんに命ぜられた、こう言ったのですが、これは私ども逓信関係の委員として、奥さんがはずさした、こう思ってよろしいわけですね。あなたも先ほど言うし、すべての面において……。

梅沢文雄十仁病院長

○梅沢参考人 私が家内だと思っただけのことを申し上げたので、それははっきりは言えないけれども、その命令したのも私は見ていませんから、はっきりそれは申し上げかねます。

大柴滋夫日本社会党

○大柴委員 大体よくわかりましたから、あとはいずれ警察と一緒によく調べることになるだろうと思います。  次に質問をいたしますが、この五月の十七日だと思いますが、愛宕警察署は、あなたが雇ったこの木幡義男さん、これは木幡工務店であるか何かということは別にいたしまして、これを住居侵入並びに傷害暴行で東京地検に書類送検しているわけです。この木幡義男さん外八名だと思いましたけれども、八名とも全部あなたが一人々々月給を出して雇っておるわけでありますか。

梅沢文雄十仁病院長

○梅沢参考人 私は月給を出して雇っている人は一人もおりません。木幡工務店は私から手間下請をしている公務店でございます。その他三名ばかりは、たまたま私が下谷の回春堂での病院関係で好意的に一時応援してもらったような方であって、この方は全然上の方の部屋には上がっていかないということを耳にしています。

大柴滋夫日本社会党

○大柴委員 その愛宕警察署もよっぽどそこつなものと見えて、上の方に上がっていかぬような人を傷害暴行とか住居侵入としておるわけでありますが、これは今までもあなたのところにいるわけですか。

梅沢文雄十仁病院長

○梅沢参考人 木幡工務店の従業員は、ふだんは病院の、たとえばドアがこわれたとか、排水が詰まったとか、いろいろなことに働いております。しかし、人数の必要な場合には、たとえば外部団体が入り込んできたとかなにかという場合には、すぐできるだけ集まれるような態勢を整えて、現在行なわれておりますが、それも全部手間請負で行なわれております。

大柴滋夫日本社会党

○大柴委員 その木幡工務店はすぐ集まれるというようにあなたはおっしゃるけれども、一体どこにおって、何か手間請でやっておる、何か私どもは今までの関係では、組合の方はあれは暴力団だとおっしゃる。あなたの方は単なる手間請だとおっしゃる。しかし、実際はこれが四月十七日に大へんなことをしておるわけです。何か、下谷の回春堂とかあなたが言っておるところから連れてくるというのですが、実際はあなたが全部金を払って雇っておるのか、それとも木幡さんに一括まかして、何かあるときには木幡組はすぐ飛んでこい、こうなっておるのか、どっちですか。あなたのところのシステムはどういうような装置になっておるのですか。

梅沢文雄十仁病院長

○梅沢参考人 先ほどより御説明したつもりですが、ふだんは十仁病院の営繕を担当して、部屋の塗りかえとかをやっております。その手間は木幡工務店で下請をしておるようなわけです。しかし、三名ほどは私の知っておる人で、その際好意的に木幡工務店に手伝ってもらうような結果になったわけで、その前に木幡工務店に紹介したことは事実です。

大柴滋夫日本社会党

○大柴委員 四月十七日ですか、組合の方に大へんな写真があるわけです。部屋をくぎで打ちつける、土足のまま畳の上に上がって女の子をつかまえる、これは写真の事実です。女の子の方にいろいろ説明を聞くと、やれ四針縫ったとか、五針縫ったとか、頭をたたかれたとか、こういうのでありますが、ああいう一切の設備をして、とにかくあの部屋は締めつけろ、こうおっしゃったのは、先ほどの説明によれば、一人で八畳の間で女の子が寝ていて、下から男の子が来ると風紀上好ましくないから、あなたがしたということになりますが、指令はあなたがしたのですか。木幡組を使って……。これはどうなんです。

梅沢文雄十仁病院長

○梅沢参考人 ただいまの御質問ですが、そういうふうに風紀問題だとか、いろんな事情のために、病院の運営上あそこにおる看護婦さんは大森寮の方に、痴漢が入るからといって、バラ線を用意したり、畳を取りかえてきれいにしたりして用意して万遺憾のないようにして、向こうへ移ってくれということを数回に及んで頼むようにしたり、書類をもって本人に手交したりしておったのですが、どうしても美容科学の方に迫られるので、やむを得ず、急ぐという関係もございましたので、行なったわけです。移すようにしたわけです。それは私が移すようにしてくれということは言いましたが、暴力は絶対行なわないようにということは、はっきり何べんも言いました。

大柴滋夫日本社会党

○大柴委員 私の聞いている限りにおいては、あなたの意を受けた総務部長が来て、木幡組を使って、それかかれ、こういう命令をしたということを聞いておりますが、その間の、なぜ十七日にああいう事件が起きたか、どういうようなことが起こったかということを、一つ野尻参考人から要領よくまとめて御説明を願いたいと思います。

野尻昭代十仁病院労働組合執行委員長

○野尻参考人 御質問に答えますが、四月十七日以前に、先ほど梅沢院長から再三日木美容科学という言葉が出ておりますが、これは東京地方裁判所の決定に出ております通りに、日本美容科学は院長の夫人であります梅沢磯江、つまり十仁病院も日本美容科学も同じ穴のむじなで、同じ考えを持ってやっているということでありますから、私たちは十仁病院、美容科学、これを別の会社で独立したものだとは解釈しておりませんし、裁判所でも明らかにそれは私たちの解釈通りに同じであるというふうに決定を出しております。従って日本美容科学に移すためだとか、迫られたとか院長は言いますが、その張り札を出してありますが、その写真もございますけれども、暴力事件が起きました翌々日の四月十九日に、日本美容科学に移したんだ、こういうことになっておりまして、言いますのは、それ以前のように言っておりますけれども、私どもといたしましては、この寮は昔から看護婦の寮として使用しておりますし、現在でも何ら移る必要もございませんし、そのような関係で、私どもとしては、今この住みなれた部屋が一番いい、こういう考えを持っております。しかし四月十七日の朝十時ごろ、突然木幡組、木幡義男外七、八名、あとは私どももよく名前も知りませんが、新橋のかいわいにいますチンピラ風の青年が七、八名そのうしろに続きまして、突然部屋の中に土足のまま、写真がございますが、くつをはいたまま部屋の中に入り込んできて、しかも寝ている病人を畳をそのままはがしてひっくり返すようにして、部屋を出て行け、しかも荷物は有無を言わさず窓ガラスをあけて下にとまっておりましたトラックの中に投げ入れまして、いずこへか持ち去ったわけです。そのようなことが十七日の日には一方的に行なわれました。しかもその後、私どもは事務折衝しよう、こういうことは一方的に行なうべきではない、話し合おうということで、再三午後二時ごろから申し入れましたが、経営側は一向にその回答に応ぜず、夜の十時になりまして、やっと事務折衝するというような段階に入りましたが、そのときも、こちら側もそれから経営側も弁護士が加わりまして、こういうことを一方的暴力的に行なうことはよくないではないでしょうか、従って立ちのきなら立ちのきという法的措置もございますし、ほかに方法もあったでしょう、そういう方法をとるなり、寮なら寮を院長が必要ならば立ちのきという方法もございましょうからいかがなものでございましょう、こういう話をしましたところ、経営側の弁護士は、私は法的には何らきょうは答える必要はない、院長の言葉の通りであるから何も知らない、このような答弁がございまして、全く私たちとしましては、それでは暴力で行なわれてたたき出されてしまって、たたき出された方が損なのか、そういう感じしか受け取れません。従ってそのようなことではいけないのではないか、もっとやり方もあったでしょうという事務折衝を行なったわけですが、僕たちは裁判所も国会議員も地労委員もちっともこわくない、そんなものは何だ、こういう暴言を院長が吐きまして席を立って決裂し、事務折衝ができなかったというような状態が四月十七日の大まかな経過でございます。

大柴滋夫日本社会党

○大柴委員 そこで私は警察の方に伺いたいのですが、あのくらいの写真の証拠がそろって、しかも雇っているものは、事実上梅沢院長が雇っているのか、あるいは木幡組の請負であるかわからぬような状況において、なぜ警察は四月十七日から五月十七日まで、事実これがこの組合に入って天下のまん中で騒動を起こしておるわけですが、これを逃亡のおそれがあるとかなんとかいうことで逮捕というものを考えなかったのでありますか。聞くところによりますと、愛宕署の署長がわが党の国会議員に対して、それは逮捕しなければならないというようなことを漏らしたそうでありますが、あなたはそのことを愛宕署の署長に聞いたか、あるいはまた上の監督の係官としてどういうようなことを思っておるかということをちょっとお尋ねいたします。

三輪良雄警視監(警察庁警備局長)

○三輪政府委員 十七日の事件につきましては、今双方のお話がだいぶ違うようでございますが、木幡工務店の木幡氏外七名の者が、先ほど院長からちょっと触れられましたが、他の四名の、これは台東区の酒場の従業員のようでありますが、それの応援を得て、それが下でピケを張っておったようであります。その八名が上に上がって、それぞれの部屋から看護婦の手をとったりして表に出したということは事実のようでございます。そこで、そのときに看護婦の中でけがをされた方が相当あるということでございまして、当日出動した警察の者も、その手当を警察の手で病院に運ぶというようなことを考えたようですけれども、それぞれ御自身で芝診療所でありますか、そこの診療を受けたということでございます。事件が起こりますと、御承知のように被害者からその被害の状態を調べる。そして被害者がどういう人間にその被害を受けたということを聞くのがまず先決でございます。そういう意味でありますけれども、当日そこに居合わせました木幡工務店の五名を警察署に任意出頭を求めてまず調べたのでございます。次いで組合側からその被害の状態をお聞きをするということであったわけですけれども、全くその被害の状態については述べていただくことができません。これはその後個々の看護婦の方にも事実を述べていただくように連絡をいたしておりますけれども、いずれも組織の命令であって、自分でそういう証言をするわけにいかないというようなことで、全く被害の調べの協力を受けておりません。これは実は先ほど来お話の四月二十七日に大柴先生、田中先生等のおいでをいただいて、私の聞いておりますところでは、そのお口添えがあったやに聞いておりますが、五月六日になって初めてその被害状態の調査に応じてもらったのであります。そういうことで、さらに五月十日前後木幡工務店の従業員等について捜査をいたしまして、十六日工務店の店主以下八名を住居侵入並びに暴力行為取締法違反の容疑をもちまして書類送致をいたしたわけでございます。

大柴滋夫日本社会党

○大柴委員 私ども大へん残念に思うのは、今の警察がかかることをしておる人に対しては非常に手ぬるいということなんです。しかも労働組合が何かすると、これは写真に写っただけですぐ逮捕するわけです。ここにも書いてあるように、何か何とか警部が行ってお酒を飲んだ、そんなことはほんとうかうそかわからぬとしても、警察官たるもの李下に冠を正さず、もう少し身を処することをはっきりしてもらいたいと同時に、そういうように労働組合員を逮捕するならば、同じくやはり暴力団も逮捕する厳然たる立場をとってもらわなければ困る。そのことを一つ警察の方に要求すると同時に、梅沢さんにお尋ねしておきますが、あなたはこの木幡組とかあるいは酒場の何か使用人とかいうものをこのままずっとお雇いになって、あそこでストライキをやっている間じゅうああいう騒動をやっているつもりですかどうか。それとも、もうすでに書類送検にもなっているし、困るから、これは一つやめてもらって、何か他の方法でというような考えをお持ちなんですか。どっちなんですか。やはり木幡組は今日あなたの病院にとって絶対必要なものなんですか。

梅沢文雄十仁病院長

○梅沢参考人 木幡工務店に対しては、もし暴力を行なったという事実があれば、十分自分も考慮して改善していきたいと思いまするが、やはり十仁病院の運行を円滑にするためにはどうしても必要なために実は請負わさせておったのでございまして、特に暴力行為でもない限りは従来通りお願いして、十仁病院の運行に支障を来たさないように、まあ守っていかなければならぬと考えます。なお残余の三人に対しては、自分もできるだけあまり特別な——好意的にやってもらった関係ですから、将来お願いしようとは考えておりません。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 ちょっと関連して。私実は両参考人に対する質疑に限定をして、あと警察当局にはあらためて伺うつもりでおったのですが、今たまたま大柴委員からの質問に対する三輸局長の答弁で、私重大な問題が落ちていると思うのです。十七日の日からおそらく連休の直前まで、いわゆる木幡組と組合側との間に紛争が起こってはならないということで、愛宕署から十名内外の警備の者が問題の寮に夜昼なしに二週間余にわたって寝泊まりしているんです。そういう事実は——これは今度は日赤の問題も片づいてからあとで、あなたたちは組合長などを逮捕いたしておりますけれども、一体十仁病院というけれども、もちろん整形外科には違いないでしょう。しかしそれ以外に社会保険の関係の患者の診察をやっているようにも私どもは聞いておらないです。そういう特殊な病院ですよ。そこに対して特に警察が、愛宕署がこの争議に当初から介入している。現に、私先ほども院長にも伺いましたけれども、二十日の日に六名に解雇通知をやったということを通知を受けて、みんなが就労するというときに、愛宕署から公安の者が十数名病院へいくという事態が——これはもう、大体警察としてのそういう事件に対する警備というようなものを私は逸脱していると思うのです。この点については愛宕署長の間瀬君と私は二回にわたって、そういうことではいけないということで、しかも木幡組の関係者は、院長の御答弁にもありましたように、住所の明確でない者もあります。従って私はこれは緊急逮捕してやるべきだ。少なくとも事態が深刻であるからこそ、あなたの方の傘下の警視庁の、愛宕警察から十数名の者が夜昼となしに、ちょうど二階に看護婦さんたちが寝泊まりして、木幡組が下におる、その中間のところで、木幡組とあたかも一緒になるような形で警察官が半月余にわたって寝泊まりしているという事実をあなたは全然触れてない。治安維持の立場だということになれば、少なくとも私は緊迫した事態であったと思うのです。確かに被害関係のことについては、私が間瀬署長に会うてから、組合側に対しても、警察は中立的な立場で告訴問題を取り上げるということになっているからということで、組合側にも出頭してもらって、調査がおくれたことは事実でしょう。しかし、少なくともあなたたちの傘下の十数名の者が出ていかなければならぬような緊迫した事態にあったことに対して、警察として、しかも今おっしゃられるように、暴力行為等処罰の法律に基づいて八名というものをあなたたちが送検するということであれば、警察としてこれを検挙するということは当然やるべきことで、それをやっておらないと思うのです。その点についてあなたは、大柴委員の質問にもお答えにならないのですが、そういう点から見て、私はやはり十仁病院の問題には、警視庁の愛宕警察が、もう普通の争議には考えられないような干渉をしていると私は思うのです。その点はどういうように処置されるのですか。

三輪良雄警視監(警察庁警備局長)

○三輪政府委員 十七日になぜ逮捕しなかったかということでございますけれども、これは十七日にかけつけてみまして、それぞれ両側といいますか、両方の関係者の話をそこで聞いたわけでございますけれども、先ほど来金づちで頭を打たれて非常なけががあったということでございましたが、そういう事態を、先ほど申したように、そこでは確認いたしませんし、また芝診療所の診断書でも、そういう重傷があるとは私は聞いておりません。また、その場合に関係者の、何といいますか、そういう事態の最中に行ったということでございますれば、あるいは現行犯逮捕ということがあるわけでございましょうけれども、署が参りましたときには、事態は一応そういうところを脱した状態であったわけでございます。従いまして、先ほど申しましたように、そこにおりました木幡工務店の五名を直ちに署に引致いたしまして、任意同行を求めまして調べたということを申し上げたわけでございます。  そこで、逮捕すべきであったかどうかということは、その後捜査をいたしました事態によれば、逮捕をした方がなお適当であったという判断もできるかと思いますが、当日そこに行った状態といたしましては、逮捕するということに材料が乏しかったというふうに考えたのでございます。  また、それで十分なお答えではないかもしれませんが、なお大柴委員のお尋ねの中で、李下に冠を正さずというようなお話で、関係の警察官が病院の関係者あるいは木幡氏と酒を飲んでおったというようなことでございます。これは非常に疑いを受けるおそれがあると思いますので、明らかにしておきたいと思います。五月の十二日に、ここにおられる委員長から警察署長に抗議があったようでございまして、その事実は、前日五月十一日の午後十時ごろですか、鮒忠というところで遠藤警部補と木幡という人が酒を飲んでおった。そのときには、どういうふうにして写したものか知りませんけれども、その現場の証拠写真を持っておると言われたそうでございます。そこで、そういう事実について急遽調査をいたしましたけれども、遠藤警部補というものは公安係長でありますが、これは当日宿直で全然外へ出ておりません。また、当日鮒忠に木幡氏は行っておりますけれども、たまたま神奈川から来ました——これは名前もわかっておりますけれどもここで言うことははばかりますが、関係の者と二人で酒を飲んでおった事実はあったようでございます。しかしながら、警察との関係は全くないのでございます。なお、そこで遠藤警部補が酒を飲んでおったという証拠写真があるならば、これは署長の要求通り出していただけば、事態はきわめて明らかになると思うのでございますけれども、それは拒絶をされて、見ておりません。  なお、同様な問題でございますが、その後署長に対してじかに、やはりここにおられる組合の委員長から電話がございまして、銀座の大日本興業というもののある幹部と酒を飲んでおったのはけしからぬ、そういうことで公正な取り締まりができるかという抗議があったそうでございます。これは全く意外な抗議でありましたので、そういうことを確認をしたというものがあったら出してくれということを非常に強く言ったのでございます。それに対して、そういうことなら仕方がないというようなお話で電話は切れたということでございます。  なお先ほど来田中委員のお話の中にも、十数日にわたって十何人の警察官が寝泊まりをしておったということでございますが、これは全く私ども考えられないことでございます。木幡という人は昭和二十四年まで警視庁の警察官をやっておった前歴があるそうでございますが、しかしながらその関係の人は始終そこで大工仕事などをやっておるわけでございますから、顔もわかっておると思うのでございますけれども、そういう者の一部があるいは警察官と間違われたものか、警察官が木幡工務店の者と一緒になって病院を守るというようなことをいたしたということはないのでございます。そういう点で私ども、御注意にもありましたように、李下に冠を正さずという態度は厳に持していかなければなりませんけれども、争いの中の当事者で無理のない点もあるかと思いますけれども、何か全く警察が病院側に立って不公正な態度の取り締まりをやっているようなお話でございますけれども、これはいささかお考えが過ぎようかと思いますので、お答えをいたしておきたいと思います。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 ちょっと田中君にお願いしておきますが、十時というお約束が十時半を経過いたしております。参考人も初めてのこういう御経験のように思われますので大へんお疲れのようにもお見受けをいたしますから、あと一問だけで結論にお入りいただきますように御協力を願いたい。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 本件についての警察関係の問題あるいは労働省としての問題等については、やはり労働争議全般の問題とも関連して取り上げていただくということで、委員長の今のお取りなしには私も賛成いたします。ただし、ただいま三輪局長が述べられた四月十七日の事件以後二週間余にわたって警官が寝泊まりした事実がないということは、あなた何をもって言われるのですか。愛宕署の間瀬署長は、現に私にその事実を認められていますよ。しかしそれは、外部の支援団体の関係もあるから木幡組との間にトラブルを起こしてはいかぬのだ、そういうことでいわば便宜上なにしたのだ。しかしそのことの事実がないとあなたはきっぱり言われますけれども、所轄の愛宕署長が認められている事実はどうするのですか。  それから先ほど院長に私はお伺いをした四月二十二日の電話の問題でありますが、この問題についても、もちろん院長から、自分の管理に関する施設に電話をつけてもらいたくないということについての内容証明は、私も銀座局長から見せてもらいました。しかし銀座局長としても申請の理由が理由ですから、上部機関に相談をしました結果、それは建物を損傷しないということであれば架設して差しつかえない、やはり銀座の電話局長はそれだけの手順を追うて、そのことも病院側へ通告をした上で架設をした。従ってその架設したものを撤去した、はずしたのだ、道路へ明らかに捨てられておる。これはもう電話工事ということは、その意味から見ればあなたたちが行動するのと同じ公務執行妨害なんです。ある意味から見れば、明らかに器物毀棄なんです。そういうような現場に愛宕署の警備の諸君がおっても、それをこの人間がはずしたのだということを、自分が院長の奥さんから言いつけられてやったんだということを認める人間がおるときにも、愛宕署はそれを少なくとも連行するというような処置をとっておらないのです。しかも私が最後に申し上げたように、二十日に解雇通知を警察が受けたとたんに、十九日の解雇通知を何者かからそれは通達をされたのか知りませんけれども、のこのこと公安が病院に出かけていくというその事実は、無根だということには私はならないと思うのです。そういうような点で、先ほども警察本庁ではあるいは事情がわからぬかもしれぬから、私は所轄の署長に出ていただきたいということをお願いをしたわけなんです。その点についてはあなたは報告を受けていないというのなら理解もできますけれども、はっきりと、とにかく私が夢実無根のことをあなたに質問しているような形にとられたら、僕は心外です。

三輪良雄警視監(警察庁警備局長)

○三輪政府委員 第一点でございますが、お話のように、速記録を調べていただきますと、言葉は足りなかったわけでございますが、私には考えられないということを申し上げたわけでございます。  それから第二点でございますが、そのいずれ側かがピケを張って、そこに入ろうといたします場合におきましても、その現場の争いというものはしばしば避けられないものであります。そういう意味で、実態に応じ必要に応じ現場に行くということは、労働組合がピケを張っておってそこに経営者側が入ろうとする場合、また逆の場合も同様にあり得ることであります。そういう意味で地元警察が出たということは、これはあろうかと思うのであります。  それから第三点の電話でございますが、これはよく報告を聞いております。そのときに御視察の委員の方は、これは窃盗だから逮捕せよというその場のお言葉であったように聞いております。しかしながら、御承知のようにその電話機をネジのところではずして、電話機そのものをこわしたわけではありません、またその電話機を領得をするという意思があったわけでもございません。従って窃盗罪というわけには参らないのでございます。そこで事情を調査をするというお約束をしたというふうに聞いておるのであります。問題は、電気通信法違反になるやいなやという問題、また器物毀棄になるやいなやという問題でございます。これは法的に検討いたしておりますが、器物毀棄ということでございますと、御承知のように告訴を要するわけでございますが、この架設電話につきましては所有権、運営権とも電電公社にあるわけでございまして、公社は告訴の意思がないように聞いておりますので、その意味ではこれは事件として立てるには不足かと思うのであります。なお電気通信法違反の文言につきましては、これは機能を害するということに当たるかどうかということが争点と存ずるのであります。なお一つは、すぐその場では経営者側、病院側は了解をしなかったようでございますけれども、一番被害の少ない方法で電話は架設をすぐ後刻いたされまして、それは原状のままある状態でございます。従いまして被害法益等もきわめて少ないということで、これを事件にするかどうかということは、非常に疑問があるのでございます。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 参考人各位にごあいさつを申し上げます。  御多忙中当委員会に御出席をいただき、かつ長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきましたことに対しまして、厚くお礼を申し上げます。まことに御苦労さまでございました。  本日はこの程度にとどめます。次会は明二十四日午前十時理事会、午前十時三十分より委員会を開会することといたし、本日はこれにて散会いたします。    午後十時三十八分散会      ————◇—————

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