社会労働委員会 第34号
- 発言数
- 313 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/05/18
会議録
○山本委員長 これより会議を開きます。 母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案及び児童福祉法の一部を改正する法律案、以上両案を一括議題とし審査を進めます。質疑に入ります。八木一男君。
○八木(一)委員 母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案に対しまして、ごく簡単に御質問申し上げます。同僚各位の御質問もありまするので、二、三点をお伺いいたしたいと思います。 厚生大臣どうなんですか。
○山本委員長 今すぐ参ります。官房長が……。
○八木(一)委員 厚生大臣が来なければ、それまで待ちます。
○山本委員長 八木一男君。
○八木(一)委員 厚生大臣がおいでにならなかったので少しお待ちをいたしておりました。まあごく短時間ですから、生理的要求か何かたったと思いますけれども、そう考えてみてもいいのですけれども、社会労働委員会において、与野党ともに法案の審議が難航していることを心配をして、きのうは十二時一分前まで、これは労働と兼ねてですけれども審査したような状態です。予算委員会があるそうですけれども、伺ったところによると、春日君の質問通告の時間は十一時半だそうです。参議院があるそうですけれども、重要な法案はまだこちらに残っておる。大臣、政務次官ほか用事がなければここにお待ちになるような状態にしていただきませんと、審議が一こうに進みませんから、そういうことをこれから心得ていただきたいと思います。これについて一言大臣の……。
○古井国務大臣 こちらの方では重要な法案がわれわれの関係でたくさんありますので、極力こっちの方に出たいと思っております。ちょっと予算委員会で、開会する当初とにかく一ぺん顔を出せ、こういうことでやかましかったもので、そっちに行っておりましたので、こっちの方におもに出席したいと思っております。
○八木(一)委員 けっこうなようですけれども、今それ以上は文句は申しませんけれども、全体に予算委員会にまだ質問通告の順番が回ってこないのに顔を出す、こちらではやることにきまっておるのにこっちがあとになるというのでは困ると思う。厚生大臣は、あくまでも社会労働委員会を主体にして考えていただきたい。予算委員会というところが必要以上に重視をされている方向は、社会労働委員会の全体としても考えなければならないし、厚生大臣としては、社会労働委員会を重視して考えていかなければならないと思います。ちょっと顔を出せといっても、ほんとうにこっちの審査に答弁をされるのとどっちが大事かということを考えられて、社会労働委員会が開会されようとしているから行けないとお断わりになればいいと思う。ぜひとも必要ならば向こうからもらい下げにくると思いますから、そのときは行けばいい。 母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案について御質問を申し上げます。同僚各位の御質問がございますので、二、三点にしぼって御質問を申し上げたいと思います。 この法律は、非常に乏しいものでございますが、それ自体としてはいい法律であり、また今度の改正点も乏しい改正点でございますが、それ自体としてはそう悪くはございません。それは認めるのでございますが、改正案が毎年出るのが至当でありまするが、往々にしてそれが怠慢であって、毎年この問題を進めるような改正案が出ておらないような状況であります。でありまするから、改正案を出すときには、改正すべき点すべてについて検討して、積極的に出さないと物事がおくれると思うのです。その意味で今度の改正点はまだ乏しいと考えますが、どういう点が乏しいか、これについて厚生大臣はどうお考えになっておられるか、御意見を伺いたいと思います。
○古井国務大臣 母子福祉資金の問題につきましても、いろいろ金額の問題とか貸付条件の問題とか、問題はたくさんあると思っております。一挙に理想のところまで解決したいのは山々でありますけれども、実際事情として段階的に漸を追って改善をしていくということにいたしておりますので、今申し上げた諸問題は今後の問題としてあるものだと思っております。
○八木(一)委員 前半のお答えがちょっとはっきりしなかった。何々などがまだ足りないというのが聞こえませんでしたので、もう一回はっきりおっしゃって下さい。
○古井国務大臣 問題はまことに多いと思いますが、金額の問題とか貸付条件の問題とか、いろいろ問題があるということを申し上げたのであります。
○八木(一)委員 金額と貸付条件の問題と言われましたが、金額は本人の受ける貸付金額であろうと思います。条件は保証人その他のことであろうと思います。そのほかにもう一つ、おっしゃらないのでお気づきになっておられないかもしれませんので申し上げますけれども、結局国庫の予算の支出の予定をしておきながら、それを全部消化し切れない府県があるわけです。ところが一方で見れば、申し込みがありながらそれだけ全部貸し付けておらない状況がある。今の事態で貸付希望者は、この法案で現在貸付をしておられるよりもはるかに多い。ところが予算が余る、こういう点、どういう欠点があるとお考えですか。
○古井国務大臣 いろいろ試験のようにお尋ねでございますが、これは地方費の方の処置も国の措置に伴ってできませんとこなせない、消化ができないのでありまして、今までの事情はやはり府県の、地方費の方の手当が十分つかなかったためにこなせなかったところが原因のように思っておるのであります。
○八木(一)委員 それならば、そういう欠点はどう直したらいいとお考えでございますか。
○古井国務大臣 これは独立の立場で知事がやっていることではありますけれども、しかし、この制度を生かすために極力こちらとしては指導をいたしまして、そうして十分こなしてしまうようにぜひしなければならぬというふうに思っております。
○八木(一)委員 地方の行政団体を指導して母子福祉対策を進めるということは必要でありますが、指導については今までもしておられたのじゃないかと思う。しておられないとしたら非常に厚生省の怠慢であります。指導してもそれがうまくいかない点、それはやはり十分におわかりでございますから、それに対処することをお考えにならなければいけないと思う。たとえば国庫負担がこの金について三分の二、地方負担が三分の一である。地方の負担を地方行政団体が出さない場合は国庫負担が使えないということになる、そういうことではいけないと思う。地方の行政団体に非常に貧富の格差があることは御承知の通りであります。そのような財政状態の悪いような府県に限って、特に母子家庭の困難な状態が多いわけです。一般にそこの府県民の生活が困難な状態が多い、母子貸付を受けるべき条件が多いわけです。貸付を受けたい人が多いところでそれが実行されないというようなことであっては、法律が半分死んでいるわけです。ですからその処置としては、このような社会保障に関するものについては千編一律の、昔のように地方に扱わせるものは地方で金を出さなければいかぬというような形式論ではなしに、少なくとも社会保障の問題については、金に関する限りは、国が全部持つという考え方に割り切れば、扱いだけを県にやらせればその点はそれで進むわけです。ところが役所の方では、府県に全然そういう負担をさせなければ国の金ばかり使ってどんどんやり過ぎるだろうというようなことを言う、とんでもない連中がいて、それがブレーキになっておる。それならばそれでやり方がある。三分の二じゃなくて九割を国で持つとか、そういうやり方がある。ところがそのようなとんでもない時代錯誤の考え方に押されて、三分の二をいつまでもくぎづけにしておいたら、問題が難展しないわけです。母子家庭にこのような資金を貸し付けてその自立更生を助けるためならば、そしてそのような人がよくなるためならば、幾分——一万人に一人ぐらい貸し付け過ぎる点があったり、そういうことがあっても、多くの必要な人にそういうことをスムーズにやるという決心をすれば、思い切って十割国庫負担にすればいい。もしどうしても行政官庁のやり方で心配でたまらぬというならば、九割五分を国が持って五分を地方にすれば、その点の欠点は是正されるでありましょう。三分の二でとどめることによって、毎年々々予算を組みながら余っている。そういう欠点があるのがわかり切っておりながら行政指導でやるというくらいなことでは手ぬるい。行政指導は今までもやらなければならない、今までやっておったのに、それができておらない。ですから、そういう点で国庫負担率を上げるという配慮がなければいけない。もちろん貸付の金額をふやす、償還の期限を延ばす、これは最も必要なことであります。しかしその必要なことがほんとうに生きてくるためには、必要なあらゆる母子家庭にそういう貸付の機会が回ってき、貸付が順調に行なわれるということでなければいけないと思う。そういう点についての厚生大臣の御見解を伺いたい。
○古井国務大臣 国庫負担の点は御承知のように初めは二分の一国庫負担で半々持ちであったわけであります。昭和三十二年度から国が三分の二を持ち三分の一を地方に持たせるということに国の負担を引き上げたわけであります。この負担割合をもっと引き上げるという手もなきにしもあらず、その方面も検討しなければなりませんが、しかし問題の焦点は、財源が地方にないから財源不足のためにこなせないのか、この程度の財源が地方で都合がつかぬのか、それともこっちの方に熱意がないというのか、十分な理解がないというのか、そういうことのために消化ができないのか、よく検討してみなければいかぬと思います。私は財源の点とばかりも思わぬのであります。それだから、指導をより強化してこなせるようにするという道をまず考えてみることが大事だと思うのであります。負担割合を引き上げる問題を否定する意味ではございませんけれども、まだその辺がある。指導をやっているじゃないか、やっておっても程度があると思います。より効果的に強化するということもあるのでありますから、そういうことも大いにやりたい、こういうふうに申し上げておるのであります。
○赤松委員 関連して。あなたは地方行政に長くおって、地方自治体の現状というものは、おそらくだれよりも知っておると思うのです。それでなぜ地方自治体で貸し付ける金が余るのか。もちろん三分の二国庫補助をしておっても、あとの三分の一の金がなかなか出せない。おそらく地方の財源の問題じゃないというようなことを大臣は言っているけれども、それはあなたは一番よく知っているはずです。決算委員会でこの間厚生省の決算について、実は社会党の委員の中で問題になった。この点で大臣から昭和三十四年度の決算について一つ十分聞こうじゃないかということになっておったけれども、あなたが忙しかったので遠慮しておいたのだが、しかしこの委員会では今法案を扱っているわけですね。それで、なるほどこの問題だけに限って言えば、地方自治体で富裕府県もあるし、貧乏県もあるけれども、総じて僕はこの程度のものは出されぬはずはないと思うのです。しかし問題は、地方自治体へいろいろなものがしわ寄せされて、地方自治体の財政が極度に逼迫しているということは、あなたは一番よく知っているはずです。この問題だけに限って言えば、あるいは負担できるかもわからないけれども、総合的な見地から言いまして、今日地方自治体はできる限りそういう負担からのがれよう、のがれようとして、そして意識的に無意識的に貸付をしぶっておるというのが実情なんです。従ってあなたは地方行政委員を長くやっておって一番よく知っていると思うし、幸い厚生大臣の職にあるのだから、今度は思い切って——大した財源は要らないと思う、これは三分の二を政府は負担しようというような言い方でなしに、こういう方面にこそ思い切って全額国庫負担というところまで踏み切っていかなければならぬのじゃなかろうか。しかもこの金がほしい人は未亡人なんです。未亡人というのはそう資本家のように貪欲じゃないと思うのですよ。借り倒してやろうなんという人はほとんどいないのです。非常に正直なんです。若干の貸し倒れがあったとしても、これは国民に対する一種の社会保障的なものであるから、そこは十分考えて、今のような言い方でなしに、厚生大臣としての立場から一つ根本的に考え直してほしい、こう思います。わからなければ、今度は決算委員会へあなたを呼び出してやりますよ。
○古井国務大臣 地方財政全体として見ますと、今もお話しのように、あれやこれやが積み重なって、それで窮屈な点が起こるのであります。それは財政全体としての問題であるし、そこに大いに問題があることはおっしゃる通りだと思っております。そこでこの問題の成果を上げる道として考えますときに、国の方が三分の二として、あと三分の一、半分として一億五千万、これが地方費の財源でこなせないとは私には思えないのです。でありますから、その点も積み重なっての問題としては大きな問題であるし、またさっきも申し上げるように、負担の割合をより引き上げるという問題を否定するわけではありませんが、引き上げましたところで、全額というところまでいかないで、多少でも持つということになっても、同じことになって、効果が上がらぬ。やはり一つにはそういう方面が大事だ、そういうことに対する府県知事等の認識、熱意というものを喚起することがまた大事な点である。その気になったら、いかに貧弱な自治体といえどもこれはこなせないはずはないと私には思えてならないのであります。そういう意味でそういう方面も申し上げておるのでありますから、今の問題は否定する意味ではないことは一つ御了承願っておきたいと思います。
○八木(一)委員 赤松先生も言われましたように、地方財政は、国家の方が完全な手当をしないので、非常にしわ寄せを食っておる。そこで国の方でやることを全部消化し切れないことが多いわけであります。消化し切れないことが多いときに——結局こういう問題も消化し切れてないわけでございますが、ほかの問題より以上に大事な、こういう気の毒な人たちの問題が、富裕な、それからこういう意味で行政的に非常に熱心な府県の人は貸付を受けられる、そうじゃないところは受けられないということであってはならないと思う。特に社会保障関係は、これはほんとうに気の毒な人が立ち上がるためのものでありますから、そういう問題については、全国同じように立ち上がる機会を、立ち上がる手段を持ち得るようにしなければいけないと思う。それがほかのすべての問題にしわ寄せをされ、国の思う通り動いていないけれども、この問題に関する限り、特に全国的に動かさなければいけない問題であります。それを動かすには、たとえば予算にしたら三分の二は国が出しているから、あと三分の一出せば全額国庫負担になるわけです。ここで三十六年度の数字が出ておりませんので、ほかの書類を持ってきておりませんけれども、その金額はわずか二億足らずであろうと思う。そのくらいのことはしようと思ったらできることである。それをなさらないのは厚生大臣としての熱心の程度が足らないと思う。また考えておられるならば、ことしはできなかったけれども、来年はやるつもりだくらいの積極的な御発言があると期待して、先ほどどういう点が足りないと思いますか、とわざわざ自発的に厚生大臣が言われる機会を私は作って差し上げたわけです。ところがそれを何か警戒するような態度で、そういうことをおっしゃらない。積極的におっしゃらなければ、こちらからその怠慢をなじって、どうしても動かすようにしなければならないということになるわけです。そういうことでありますから、行政指導というような場のがれ的なことを言われないで、行政指導は今までもやっておったんです。大臣は非常に有能であられると思いますし、またそれを期待をいたしまするけれども、今までの大臣だって無能な人ばかりではなかった。やはり行政指導はやられた、そうして原局の方は同じようなスタッフがいるわけです。そのようなスタッフがやって、怠慢な点はどんどん指摘をして、もっと厳重にやってもらわなければなりませんけれども、しかしながら今までも行政指導をやりながら、そういうふうに十分いかなかったという事情が都道府県にあるということを考えられるならば、行政指導を強化せられるとともに、国庫負担を全額にするような道を進められなければならない。そういう点について積極的な、少なくとも来年からはそういう方向に進むような御返事をいただければ、それ以上申し上げませんけれども、それをいただかないようでありましたならば、まだ考え方の足りない点について理論的に指摘しておかなければならないと思います。
○古井国務大臣 まず本年度この予算が組まれ、法律案が成立いたしますならば、本年度まず成果を上げることを考えるのが第一でありますので、それにはとにかく予算もきまっておるわけでありますし、さっき申し上げるように、指導をさらに徹底をして、これに重点を置いて、今年度の成果を上げたいと思うのであります。来年度以降の問題につきましては、お説まことにごもっともに傾聴いたしましたが、さらによく検討して、来年度予算を編成いたします時期もあることでありますから、努力をして改善に向かいたい、こういうふうに思うのであります。
○八木(一)委員 大臣の今の御発言で、完全ではありませんが、大体満足をして、来年完全に満足できるようにお願いいたします。 もう一点だけ伺いますが、今度は条件の点であります。この貸付金は保証人が要ることになっておるようであります。実際にこのような母子福祉資金の貸付を受けなければならないような家庭は、それほど財政的に余裕のある保証人がない場合が多いわけであります。そういう必要な者に貸付条件をつけてやるのでは、この問題は困まります。保証をしてくれるような親戚、知己、そういう人がある人は、ない人よりもいいわけですが、そういう保証人のない人こそ母子福祉資金の貸付が必要であります。ところが保証人というようなつまらない考えで、ほかと並べた考え方でチェックしていくというのでは、その点では半身不随になります。この保証人という制度を撤廃する改正を進められる必要があると思いますが、これについての御見解を伺いたいと思います。
○古井国務大臣 なるほどこういうふうな家庭の場合を考えてみますと、保証人が得られないので苦労するようなことも相当多いかもしれぬと思うのであります。その辺からいうと、保証人というものがなくなれば、大へんスムーズにいくようにも思うのであります。一方公の資金の貸付の問題でございますから、そこに矛盾というか、めんどうなところがありまして、やはり手放しというわけにもいかぬというのが今までの制度だと思うのであります。でありますから、全般的にこういう種類のものははずしてしまうというような考え方でも確立いたしますればやりますけれども、おおむね同じような式の行き方をしておるのでありますが、とりあえずの問題としては、保証人というものにやかましい資格をつけたりしますと、せっかくのものが実際行き詰まってしまう。その辺を、寛大というか、楽に考えまして、ゆるやかに考えて、そして通路の上ではそう困難の起こらぬようにやっていく、こういうふうにすれば大きな距離はなくなるかもしらぬ、保証人にあまりやかましいことを、あれだ、これだと言わないことにいたしますれば——そういう運用の方法をして、どうしても追っつかぬときは、それはまた全般的にそういうことはできるかできぬかという問題に立ち戻るのでありますけれども、まずもってそういうことでよい結果を得るようにしていきたいものだと思うのであります。
○八木(一)委員 そうすると、その保証人については、保証人の資産の条件その他一切つけないで運用されるわけですね。
○古井国務大臣 その辺はやかましく言わぬことにいたしたいと思います。資産とかなんとかやかましい条件はつけないで運用していくということにしたいのであります。
○八木(一)委員 それでけっこうのようですけれども、完全にけっこうではないのです。 結局、何といいますか、保証人は、資産や何かなくていいというやり方はいいと思います。しかし、その場合に、その母子家庭に親しい人が、母子家庭が自立するために貸付金を借りたい、保証人がなければ借りられないので保証人になって下さいと言われて、隣人愛からそういう人が保証人に立つ。それはその人個人としても美しいことで、いいことだと思います。またそういう人がない場合に、地方公共団体の中で、あたたかい心を持っている長、市長みずからが、あるいは県知事みずからが保証人に個人的に立つ、そういうことになってそれをやられることも時たまあることでございまして、それも非常にいいことだと思いますが、そのように、保証という観点から言えば、その人たちの美しい心に依存して、そういうことをスムーズに展開しようというのは一つのよいことでありますが、それを踏み切りましたならば、日本の全国民がその人に対して保証人になってあげるという意味で、保証というものを撤廃するということがより完全な道であって、そこに一万分の一ほど起こり得るいろいろの困ったことを起こさないで、それでこれが完全にいけると思うのです。その意味で保証人撤廃の方がはるかに徹底した方向であり、そしてなんといいますか、そこに善意の人が万分の一でも迷惑をこうむるということでなしに、またそういうことをするために、片方の保証人を頼む人が、非常に卑屈になるとか、自分の体面を捨てて涙ながらに頼まなければならぬというようなことをなくするためには、保証人制度を撤廃した方が、はるかに徹底した方向であろうと思う。現状そのような運営をされることはけっこうであります。けっこうでありまするけれども、一歩それを踏み越えて、保証人撤廃の方向を実行すべきである、その点でまたこれも前進的に御検討を願いたいと思いまするが、厚生大臣のお考えを伺いたいと思います。
○古井国務大臣 先ほど申したように運用をやって、実績もよく見てみまして、それでもほんとうに制度を殺してしまうようなことになるようなら、これは困ったことでありますから、今のような実際に合う運用をやってみまして、実績によってさらに次の問題を検討したいと思うのであります。
○八木(一)委員 希望といたしまして、その実績を検討してということだけでなしに、今からすぐ保証人撤廃を検討していただきたいと思います。明敏な厚生大臣でありますから、お考えになれば、今この改正案には載っていないけれども、私の申し上げたことを、一事で万事を知る厚生大臣でありますから、保証人撤廃の方がその趣旨において徹底しているということはおわかりだろうと思う。ですから、実績を見てからでなしに、今のことは今のこととして、そういう弾力的な非常にいいやり方でやられる、そして次の改正のときにはそういうことを出すことを積極的に前進的に検討するというような立場で一ついていただきたいと思います。これについて一つお考えを伺いたい。
○古井国務大臣 大いに積極的に検討いたしたいと思います。
○八木(一)委員 それでは、他の委員の方もお待ちでございますからあれでございますが、金額の点につきましても、償還期限の点につきましても、少しは前進しておりまするけれども、まだ十分とは決して言えないわけでございます。母子家庭が、おもなる収入のある人がいないで苦闘している姿、子供と一緒に生活を建て直そうとする姿を見るときに、これでは十分であるとは言えない。予算全体として、ほかのつまらないところに膨大な金を使っていることを考えれば、これは倍にしても十倍にしても多過ぎるということにはならないわけです。しかも大体非常にまじめな母子家庭で、償還金もほとんど完全な形で返ってくる、このようなまじめな人で、金は返ってくる。そしてそれに上ってその人たちが自立できるというようなことについては、思い切ってもっと貸付の金額をふやす、償還期間を延ばす、諸条件をよくするということを積極的に進めていただきたいと思います。今度の改正は一歩前進でありますが、来年度の改正は百歩くらい前進の改正案を出していただくことを期待をいたしまして質問を終わります。
○小林(進)委員 関連で一言申し上げますが、この厚生省からいただいている参考資料の中を見ましても、こういう母子家庭の非常にお気の毒な方々が、こういうおきめになった生業資金、支度資金その他の種目に基づいて貸付の申し入れをするわけです。その申し入れの状況によりますると、これは二十八年度ですか、ずっと三十四年度まで出ておりまするけれども、申し込みの希望に対してその決定の比率が七一・九%までいっておる。金額にしては六三・八%というふうに、どうしても希望者の要求を満たしておいでにならないわけです。ここに、私は、赤松先生、八木先生の言われている問題点があると思うのでございまして、私どもは、こういう気の毒な家庭には、申し込みに対しては百パーセント一つ要望を満たしていただくように御努力を願わなければならないと思うのでありまするが、しかし申し込みに対して百パーセント満たすということは、困難な事情はいろいろございましょう。「貸付不承認理由別調」という調べは、ここにもありますが、その中に、要求に応じられない理由が載っております。その理由の中に、法に規定する資格に欠けるもの、こういう条項があります。これは、私はやはり法律というものがありましょう以上は、その法に基づく適格な資格を欠いている点において、残念ながらお貸しできないというその理由はわかるのでありますが、その第二番目に、貸付金財源の不足によるものという、こういう条項がある。それは申し込みの要求書は満足にでき上がっていて、資格もあるけれども、残念ながら厚生大臣のおやりになる資金が足りない。財源が足りなくてその要求を満たされないという比率が四三・三%。これは、何といっても私どもは、先ほどの両氏のお言葉を裏づけする厚生当局の行政能力といいますか、まだ熱意が足りないというふうに私は判断する以外にはない。もちろん国家財政でありますから、それは厚生省だけで資金を全部に満たすわけにはいかないでしょうけれども、こういう資料をお出しになっているからには、いま一段大臣が力を入れていただいて、少なくともこういう母子家庭のお気の毒な方々が要求を出してきたというならば、その申し込みの資格において欠くところがないならば、必ずその要求は満たされるというところまで努力していただかなければならない。特にこの貸付の申し込みの中でやはり一番パーセンテージの落ちているものは生業資金です。その次には修学資金、この修学資金の申し入れに対して、高校生の要求が今わずか八割強、女の腕一つで自分の晩年を託す子供の教育の要求を掲げて大学に進学させたいといういたいけな母親の要求に対して満たされている率はわずかに七七%、二二%の母親はお願いをしながら冷たい行政のわなに引っかかって、そして自分の子供を大学に進学せしめたいというそのはかない希望が打ち切られているのでありますから、こういう数字をお出しになっている限りは、こういうことのないようにいま一段大臣からもっと力を入れてもらいたい。われわれのように親子そろっている子供はいいです。夫のない未亡人などというものは、子供の成長に自分の生涯をかけている。そういう人たちの修学資金までが希望通りにいかない。しかもその至らない理由の四〇何%というものがすなわち財源の不足に原因しているということならば、私はこの点を大いに改良していただかなければならないと思います。大臣、この点をいま一度明確に御返答をお願いいたしたいと思います。 〔委員長退席、齋藤(邦)委員長代理着席〕
○古井国務大臣 今の御指摘のように、金額が足らないということも希望を満たせない大きな原因の一つでありますから、この点はこの実情から見ても考えなければならぬと思います。今までの実績からいうと、漸次財源不足というものは減ってきておるそうではありますけれども、しかしまだこういう状況でありますから、これは考えなければならぬと思います。とりわけこの修学資金のことでお話がありましたが、これはごもっとも千万に思うのであります。むしろ修学資金などは貸せるというようなことでなしに補助する方法を、これは文部省の関係になると思いますが、強化するのが私はほんとうのように思うのであります。教育の保障ということ、すなわち父兄の負担をだんだん減らしてなくしていって、みんなが教育を受けられるようにするというのも一つのいわば社会保障の進んだ一面のようにさえ思うのでありまして、こっちも考えなければなりませんけれども、そういう方面も今後横からでも推進したいものだというふうに強く思うのであります。
○齋藤(邦)委員長代理 滝井義高君。
○滝井委員 簡単に、母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案ですけれども、今度住宅補修資金、事業継続資金、事業開始資金、これらの点について非常に前進が見られましたことは御同慶の至りです。しかしやはり母子福祉の対策というのは、政策が総合的に出てこないとかゆいところに手の届くような工合にいかないものだという感じがいたします。そこで少し基本的な考え方をお尋ねをして総合的な政策の立て方について意見を伺いたいと思います。 厚生省の全国母子世帯調査等から見て、母子世帯が百十五万世帯くらいある。ところがそのうち四十二万世帯が十八才未満の児童からなる母子世帯ということになっているようです。しかしずっと見てきますと、戦後の混乱の時代には母子福祉政策というものは戦争未亡人を中心とする母子政策がその重点であったと思うのです。しかし最近における男女同権あるいは婦人の職場進出など生活能力が非常に強化をしたというような面から、生別母子世帯と申しますか、こういう母子世帯が新しく母子世帯における重要な、われわれの見落としてはならない対象として浮かび上がっておると思います。そこで、夫と死別した母子家庭の数と、夫と生別した母子家庭の数は、現状では一体どういう工合になっておりますか。
○大山政府委員 昭和三十一年に行ないました全国の母子世帯調査の結果によりますと、死別母子世帯の割合が七七・九%、従ってそれ以外の二二・一%は生別その他ということになっております。
○滝井委員 三十一年のその統計は実は私も見てわかっておるのです。ところがこれはまた用意しないと古井厚生大臣が池田総理から怒られる場面になる、こんな古い統計を持ってきて厚生省何をしておる、こうやられますよ。所得倍増計画という大きな変転きわまりなき政策を、お出しになっておるのですから、従って三十一年からの日本経済の情勢というものは非常に変わってきている。三十年に国勢調査をやって五年の後の人口の状態というものは非常に違ってきているでしょう。従って今後われわれが母子政策を立てる場合、生別母子なりに年金を差し上げようという場合に、やはりここらの数字がはっきりしてないと計画が立たない。私はこういうところがやはり厚生行政が幾分欠けておるところだと思う。私はいろいろの省の統計を集めておりますが、厚生省の統計調査部の統計というものが一番確実です。内閣調査室その他の調査よりも一番確実ですよ。しかし悲しいかな、十年一昔というのにその半分も過ぎた三十一年の母子問題に関する統計を今新しい計画を立てる場合に持ってくるのは困る。そういうのは私はわかっているので、最近のものがわからないからお尋ねを申し上げているのですが、最近局地的な調査もおやりになったことはないのですか。
○大山政府委員 確かに御指摘のようにこの調査につきましては期間もたっておりますので、このまま現在に当てはめるわけにいかない点があろうかと思います。昨年部分的な調査といたしまして母子寮についてだけ生別、死別の割合を調査いたしましたところ、おおむね半々、五〇%ずつというような結果が出ております。ただ母子寮は、御承知のように都会地に多いとかあるいは特殊な状態の母子が入るというような点で、これを全部に押し及ぼすということには参らないかと思いますが、先ほど申し上げましたように七七・九対二二・一よりはむしろ割合が同じ方向に近づきつつあるのではないかというような判断をいたしております。 〔齋藤(邦)委員長代理退席、柳谷委員長代理着席〕 なお、今度成立いたしました本年度の予算におきまして、この母子世帯調査をあらためて行なうことにいたしております。これはちょうど前回行ないました三十一年から五年目になりますので、本年度におきましてまたおおむね同じような調査をやりまして、そこら辺の比率を明らかにつかみたい、かように考えております。
○滝井委員 私もおそらく今のような傾向だと思っておるのです。そうしますと、今までやはり夫と別れた母子世帯を中心にいろいろの政策が立てられておったけれども、今後の日本における母子世帯の対策というものは、別れの母子世帯についても相当力を入れなければならぬという政策上の問題点が出てくると思うのです。そうしますと、そういう七七と二二くらいの割合が五と五の情勢にだんだん接近しつつある。こういうことになりますと、問題は二つの面が出てくると思うのです。一つは、そういう生き別れのものと死に別れのものとの就業の状態は一体どうなっておるのだろうか、稼働の状態はどうなっておるのだろうか。
○大山政府委員 母子世帯におきます収入でありますとか就業の状況等を調べたものは若干ございますが、それを特に生別、死別に分けて調べたというものはございませんので、申しわけありませんが、ただいまの御質問に的確にお答えする資料がございません。
○滝井委員 それでは、母子世帯全体百十五万ですか、この百十五万ばかりの母子世帯の稼働状態はどうですか。
○大山政府委員 昭和三十一年の調査によりますと、業態別の世帯主の分布状況を見ますと、農業の専業が一四・八%、農業の兼業が七・一%、事業主が一一・五%、常用勤労者が二五・九%、日雇い労働者が二二・四%、家内労働者が四・二%、内職が七%、その他が八%、無業が八・一%、こういうような状況になっております。
○滝井委員 そうしますと、これで大体母子家庭の職業の実態というのがはっきりしてきたのですが、これは雇用労働者と申しますか、いわば日雇いと常用とをひっくるめたものが約四割程度おるということですね。従って、この傾向は三十一年の調査で、その後の情勢から見ると、これはふえていると私は思うのです。雇用情勢は増加している。そうしますと、こういう雇用が約四割程度を占めておるという中で、生活保護を受けている母子家庭というものはどの程度ありますか。
○大山政府委員 同じ調査によりますと、生活保護を受けている母子世帯のパーセンテージは一〇・六%となっております。
○滝井委員 そうすると約十万世帯ですね。私の記憶に間違いがなければ、生活保護世帯というものは多分六十万をちょっとこえているぐらいだと思っておったので、その六分の一程度が母子家庭だということになると、十万世帯ですね。そこで、問題は、生活保護基準の引き上げその他の情勢から見てくると、この母子家庭における生活保護の対象者というものは増加の傾向にあるのじゃないかと思うのですが、そこらの傾向はどう見ておりますか。
○大山政府委員 これは本年五年目の調査をやりませんとはっきりしたことは申し上げかねるわけであります。
○滝井委員 ちょっと統計が古いものですから政策を立てる上に非常に問題があるのですが、そこで経済が成長をして高度化していくとどういう傾向が出てくるかというと、昨夜やったように有業率というものがずっと減ってくるのですね。経済がよくなると家庭でよけいに働く必要はなくなってくるわけです。従って、日本は今までは景気がよくなると貧乏人の家ほどよけいに家族がみな労働に出て、一家で働く人が多くなってきたのです。ところが最近の、いわゆる十カ年後の日本経済の姿というものは有業率がずっと減ってくるのです。その減ってくるところは、昨日の答弁にもあったように、農業における婦人労働が減ってくるのです。ところがわが母子家庭においてはこれは逆です。やはり働く姿をとらぬと今後健全な母子家庭の建設ができないわけですね。だから経済が成長するに従って母子家庭は逆な姿をとらなければならぬことになるのです。それだけに、経済成長下における母子家庭のいわゆる新しく就労する機会というものは締め出されてくる傾向が出てくる。今ここに農業とか兼業とか事業主、日雇い、家内労働、内職とこうありますが、この締め出されてくる母子家庭をこれは農業に持っていくわけにはいかぬ、自民党のお立てになった農業基本法というものは、現在の日本の農業労働というものが御老人と嫁、こういう脆弱な労働力によってささえられているところに、日本の農業の行き詰まりの一つの原因があるのですから、従ってこれを高度の生産性を持った新しい、強い労働力に再編成していくのが、やはりこの農業基本法の基本的な、人間の面からする考え方であります。そうしますと、今の農業の専業が一四・八%、兼業が七・一%というものは、よほどしっかりした息子があとで出てこない限りにおいては、転落する農家に入るわけです。そうしますと、母子福祉政策の重点というものは、事業主と雇用労働者に置かれていかなければならぬことになる。これは私の独断かもしれぬが、日本経済の傾向その他から分析していくとそういう結論が出てくるわけです。こうなりますと、今言ったように、客観情勢は経済成長というものが母子家庭の就労の機会を締め出す傾向にある。ここです。そうなりますと、政府としてはこの経済的に志まれない母子家庭対策として、そのような経済的な背景の中で一体どういうような総合的な政策を打ち出そうとするのか、こういうことになるのです。これは断片的に住宅の補修資金をふやしてやるとかなんとかいうことも大事です。しかし、それが総合的な政策の一環として生きてくるところにこの政策の価値があるのですから、有機的な関連もなくしてばらばらと金を出したのでは、その金というものは死ぬ可能性があるのです。だからこれを生かして母子政策に使おうとするならば、ここに、古井厚生行政というものは最近非常に児童福祉の問題あるいは母子家庭に関する問題について新しい政策を打ち出そうとする意欲が見えている、きょうの新聞なんかにも、閣議で児童に手当を出すように御報告したということが出ておりますから、そういう点から考えて、母子家庭の対策についてどういうような総合的な政策で前進せしめようとしておるのか、構想があれば、一つ承りたいと思います。
○古井国務大臣 問題の重要性は十分わかるのであります。そこで今後の経済成長の見通しはどうか、それが母子家庭等に対してどういうふうな結果をもたらすか、この辺の見通しも立てていかなければならぬと思います。またそれに対して、総合的に考えて、どういうふうな考え方を立てたら一番よいかは、各方面の御意見を十分聞いて策を立てたいと思うでありまして、きょうの段階でこういうふうにときめてかかっておるものは持ち合わせないのでありますが、衆知を集めてよい総合的な対策を立てたい、きょうはこういうところでありますので、各方面の御意見も十分伺いたいと思っておるところであります。
○滝井委員 実は母子福祉の対策というのは、第一線における福祉事務所なり、地方自治体でやることになるわけです。ところがそれらの政策を行なう連関が非常に欠けておるのです。やはりこれは厚生省の児童局が社会局と十分連絡をとりながら、何か総合的なものをきちっとまとめて行政指導をやる必要があるのではないかいう感じがするのです。これは今から一つ一つ指摘すると時間がかかりますから、まず第一に母子福祉年金の支給の問題があるわけですね。ところが、これはさいぜん申し上げましたように、生別世帯と死別世帯とは、今度これは政策が前進をしますけれども、やはり区別かあるわけです。だからこういう支給制限を緩和する、額を引き上げるというような問題についても、これは生活保護の関係を十分見ながらやってもらわなければならぬということが一つの政策としてやはり出てくるわけです。そうすると、それにつれて今度は年金をやるだけでは食っていけないので、母子福祉資金の貸付の問題が出てくるのです。ところが最近の傾向で、事業主になるか、雇用労働者になるか以外にない。ところが事業主になろうとすると、最近の傾向を見ると、事業の開始資金の占める割合は非常に減少傾向にあるのです。それはどういうところにあるかというと、さっきちょっと小林さんも指摘しておりましたが、これは私もだいぶ関係したことがあるのですが、たとえば小林さんがさいぜん読みました資料の三十五ページの、母子福祉貸付金の貸付不承認理由別調の中の(3)の事業計画または使途等が不適当であるものというのが二六・二%を占めておるわけです。財源不足か四八・六%あります。この事業計画その他をこの母子家庭の婦人に立てろといってもなかなかむずかしいのです。これは綿密周到な事業計画が要るのです。むしろ政府が、たとえばたばこ屋さんというようなものは、これは少なくとも小売を許可するときには、こういう職業は筋骨隆々たる人がやるべきものではない、専売事業ですから、むしろ母子家庭優先にやるとか、たとえば盲人に対してあんま業を何とか専業にしてもらいたいというのと同じ程度に、母子家庭である間は優先的にそこのたばこの売り場所とその小さなハウスを国有にしておっていいと思うのです。そうして私の子供が育つまでは、滝井義高の未亡人については何県何郡何町のこのたばこのポストというものはあなたに貸しましょう、これくらいの政策をやはりおとりになるといいと思うのです。そういうものを全国に、たとえば千個所なら千個所、専売局と話し合って厚生省できちっと確保しておく、そうすると、それを貸しておけば、あれは御婦人が売っても月に一万二千円くらいはけっこう上がるのです。それくらいの政策をとらないと、とてもこの母子政策というものに一々国が金を出すということでは、自立精神というものが欠けることになる。母親がそういう生業を持たないということになると、今度はあとに出てくる児童福祉法関係の非行少年の問題、いわゆる虞犯少年というような問題が出てくるのです。だから私は先行する政策としては、その母子家庭がやはり食っていける政策を確立する必要があると思うのです。ここにいろいろその職種がたくさん出ております。和洋裁編物とか、物品販売とか、たばこ小売とか、諸教授とか、美容理髪とか、いろいろあるのですけれども、こういう中でたとえばたばこ小売業なんというものは、一回金を十万なら十万貸してやれば、その家だけを厚生省が、全国どこか千や二千は厚生省が少し頭を働かして専売局と話し合えばできると思うのです。何かこういう新しい目先の変わった、しかも確実にその生活の根拠を与える政策をやるべきだと思う。これは専売事業ですから、そういう点であまり金が要らなくてできるのです。それからたとえば私鉄その他の切符の売場、こういうようなものを何かやはり思い切ってやるべきだと思うのです。そういう点が一つ、それから母子の相談、これはもう全く地方自治体に母子相談の相談員がいないのです。これが欠けておる。どうでしょうか。三十五年の七月までに八百九十五人でしょう。百十五万世帯、これは三人をかけても三百万をこえる母子世帯所属の人口がおるのに、八百九十五人くらいでは、母子家庭のいろいろな身の上相談をやり、今言ったような事業の計画までの相談をやろうとするのには不足しておる。これは人の問題ですから、なかなか一挙にふやすことはできないと思うのですが、それならば、何かこういう相談に応ずる他の方法をやはり福祉事務所その他で考えてみる。それからもう一つは、さいぜん言ったように、自営業を奨励しなければいかぬのですから、それの政策を、さいぜん申し上げた点で、何か積極的に考えてみる必要があるのじゃないかという感じがするのです。少し児童局の方で頭を働かしてみたらどうですか。各省はみな事業団をお作りになっておる。悲しいかな児童局には事業団が何もないです。この際あなたの方で、古井厚生大臣の政治力で、何か事業団でも一つ作ってみて、そして専従で一つ母子の総合政策をやってみる。行政がそこまではいかないのだから、仕事をやらなければならぬですからね。その事業団で全国の切符売場を掌握する、あるいはたばこを売るボックスを作ってみるというような、何か一つ新しいことをやって、自営業を奨励してみる。そしてそこで同時に母子家庭専門の雇用を促進してみる。労働省の雇用促進事業団はとても母子家庭の雇用促進まではやれないという感じがする。行政がそういうふうに分かれることはいけないことだけれども、当面やむを得ないことだと思う。その成果を上げたら、雇用促進事業団と合併していくということも一つの方法じゃないかと思うのです。それから最近できたニュー・フェースの母子福祉センターの設置運営の問題、これはなかなか人気があるそうですけれども、やはり職業訓練まではなかなか手が回らないのです。ところがこの母子福祉センターをおやりになったならば、内職くらいでは、今食っていけないのです。日本の現状では。そうすると、どうしてもこれは母子家庭の御婦人を専門にした職業訓練というようなものをやはりここで、大々的にとはいわなくとも、相当力を入れてやれるところの——初め母子福祉センターは大体そういうことまでやれることになっていたのですね。ただ身の上相談だけでは意味がないのです。それぞれの郡に一カ所ずつお作りになったならば、内職のほかにそこまでいく必要があると思う。そうしますと御婦人方は子供を託児所に預けて、そこに行けばいいのです。そしてそこに行っている間は、ちょうど訓練所に訓練手当を出すように、ここで訓練手当を出す。それくらいの積極的な政策をやらないと、これはどうにもならぬのじゃないかと思うのです。それからこの母子寮への入所の処置が、今度は高等学校へでも行くような子供が十八才になると、そこを出なければならぬという問題が出てくるのです。そうするとすぐ住宅を探さなければならぬ、せっかく母子寮で生活の根拠を見つけたけれども子供が十八才以上になったら出なければならぬ。多分十八才だったと思いますが、こういう問題が出てくる。これはやはりあとの政策が欠けているのです。それではあとの政策は何を持ってくるかというと、公営住宅の入居措置です。ところがこれだって安田さんが多分社会局長のときに低家賃住宅政策だというのでちょっと打ち出したことがあるのです。母子家庭のあたりを中心とした低所得階層の住宅でも作ってみろといったら、建設省が反対してできなかったのです。それじゃ建設省が五百円くらいの家賃の住宅を大量に作ってくれるかというと、作ってくれない。そうすると今度は今言ったような事業団で住宅を作る、事業団はみんな住宅を作っておるのですから……。幸い厚生省は、あなたのお隣のところに今度年金福祉事業団を持つのですから、一つこれからでも融通して下さい、それであなたの方はその事業団で世話をするとか、こういうのが出てくると思うのです。それからもう一つそういう政策をとると、今度は当然課税の問題の措置、免税措置をやってもらわなければならぬ。何かこういうものを一貫した道行きで総合的な政策をお作りになって、積極的な母子の雇用あるいは自営業政策というものをとらないと、これは経済の成長の中で取り残されるという感じがどうも私はしてならないのです。そこで取り残されるのでやむを得ず当面をごまかすために、まあ母子福祉年金でもやろうか、児童手当でもやろうか、これは消極政策です。社会保障というものはやはり不公平な分配を再分配するだけの限界しかない。これをもっとよりよき生活への大きな前進をはかるということは私は不可能だと思います。母子家庭だってやはり人間ですから希望もあり意欲もあり、アンビシャスを持っていると思うのです。ボーイズ・ビー・アンビシァスといいますが、何もボーイだけではないと思うのです。母子家庭の婦人だってアンビシァスを持っているのです。だからその婦人のアンビシァスを、次代の子供に植えつけてやらなければならぬ、そのアンビシァスがなくなるときは非行少年を作ることになるのです。だからそういう点でぜひ一つ、今私はあなたの方の木なんかに書いてあるやつを集めて考えてみたのですが、やはりこれくらいの政策をきちっと打ち出して、そうして来年は、自由民主党の政策にしてもらってもけっこうですが、内閣の大きな母子対策の看板として一つ出してもらいたいと思うのです。そうすると全国の母子家庭がやはり古井先生はいい足跡を残していただいた、こういうことになると思うのです。なかなか医療問題その他むずかしいところが多いのですけれども、こういうところはあまりけんかもなく、全面的に古井さんに御協力ができてやっていただける問題で、これは全面的に意見の一致を見る問題だと思うのです。(拍手)ぜひ一つこういうものをやってもらいたいと思うのですが、最後に古井さんの御意見をお伺いします。
○古井国務大臣 いろいろ御研究の結果の御意見も伺ったわけでありますが、総合的にいろいろな問題に対しての御意見は大いにわれわれもこれに耳を傾けたわけでありまして、十分この問題を今後検討していきたいと思います。
○滝井委員 この程度でやめておきます。
○柳谷委員長代理 次は井堀繁雄君。
○井堀委員 ごくかいつまんでお尋ねをいたしたいと思います。 わが民社党はこの法案の改正についても、もっと大幅の改正を要求いたしておるのでありますが、その立場から二、三お尋ねをいたしてみたいと思うのであります。 申すまでもなく、民主革命、すなわち民主社会になりましてから、日本のあらゆる面において改善を急がれております中で、人格尊重の基調の上からいきまして、日本の家族制度が大きく改変をいたしまして、そのために母子に対する特別措置はあらゆるものに優先して積極的な保護政策をとらなければならぬ過渡期にあると思います。そういう点から、この際改正をいたしますならば、もっと核心に触れて行なうべきではないかと思うのであります。ただいま審議をいたしておりまする法案の改正の内容を見ますると、住宅資金の一部を改善する、あるいは事業継続資金や開始のための資金の償還期を、多少引き延ばすといったような、ごく小乗的な改正にとどまっておるのであります。いわばほんの申しわけの改正でありまして、これでは社会保障を口にする政府としては、まことに不徹底きわまるものであると思うのであります。そこでまず母子福祉法の第十二条の改正に私はぜひ言及していきたいと思うのでありますが、厚生大臣は一体、この法案の目的といたしますところは、言うまでもなく資金面において、すなわち経済的自立とその助成をはかり、生活の意欲を助長していこうというのでありますから、それに値する内容の法律に改めていかなければならぬと思うのであります。そのためにはまず第一に、何をおいても十二条の改正をはかるべきではないかと思うのであります。すなわち今日の特別会計が、全く地方の都道府県の意図にまかせて、それをただ政府から資金の補助を与えるというやり方は、本法案の本末を転倒しておるものと思うのであります。この法律の責任は言うまでもなく法律に明記してありますように、政府、当面は厚生大臣の責任であります。その資金の貸付の最も大切な原資をまかなうところの、特別会計に対するその積立金額の二倍を貸付けるといったような責任を一番積極的に負わなければならぬものをかかる状態に置いておくということは、私は本法の最も大きな欠陥であると申さなければならぬと思うのであります。なぜこの点の改正をいたさなかったのであるか、本末を転倒しておるのではないかと思うのであります。この点に対する厚生大臣の見解を承っておきたいと思います。
○古井国務大臣 従来、法の建前は、府県が第一線としてこの仕事をやる。そうしてこれに対して国が一緒になって財政的な援助をやり指導をやる、こういう建前であったことは御承知の通りでありまして、このやり方というもの自体に非常に大きな問題があるかどうかは、これはまだ検討を要するのであって、その運用の上で実績、成果を上げるということ、この点は残っておると思います。けれども府県がまず第一線としてやるということ、その場合に特別会計というものを設けてやるということ、こういう点自体には——今どういう意味でこれを御指摘になったかわかりませんけれども、内容を充実するとか改善するとかいう問題は、それはあります。ありますけれども、十二条の建前自身については、これは御意見も伺ってみて考えなければならぬと思うのでありまして、さらにどういう意味で、この十二条をどうした方がよいという御意見か、お考えか、またどういう考え方が立つか、これを伺ってまたお答えをいたしたいと思います。
○井堀委員 この法律の目的は申し上げるまでもなく「その経済的自立の助成と生活意欲の助長を図り、あわせてその扶養している児童の福祉を増進するとともに父母のない児童に対し、資金の貸付を行うことにより、その独立自活の促進を図ることを目的とする。」というふうに、きわめて明確にこの法律の精神が出ておるのであります。でありますからこの法律の精神は、簡単に言えば資金の貸付を行なうことによってその目的を達しようというのでありますから、その資金の貸付をする責任の地位につくのは、当然この法律で規定しておりますように、国でなければならぬと思うのであります。ところがその第十二条で、都道府県がこの法律の貸付を行なうにあたって特別会計を設ける、でありますから仕事は地方団体がやる、こういう本法のきわめて重要な部分に盲点があると私は思うのでありまして、やはり資金はあくまで国がそのもとをなす、もっとも私は地方自治体の負担を必要としないという議論ではないのであります。この点も本末を転倒しておるのではないかというのであります。もう一度この点について厚生大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○古井国務大臣 ただいまの御質問で御趣旨がわかったように思うのでありますが、国がこういうふうな政策を行なうといたしまして、その場合にどういう機構をどう用いてこれを実行するかということは、どういう仕事が一番実際的で成果が上がるかという点できまると思うのです。 〔柳谷委員長代理退席、委員長着席〕 全国の都道府県、各地方すみずみまでこういう仕事をやっていきます上には、地方中心の——政策は国で立てるといたしましても、第一線の実行機関として府県というものをこれに当てますことは、必ずしも悪いと言えないと私は思うのです。他にどういう方法があるかということになるかと思います。このために国が別に機関を設けてやるか、全国相手の仕事をやるという場合に、各地方に機構を持たせなければならぬ、そういう点からいいますと、府県を第一線機構としていること自体に何か問題があるとは私は思わない、責任は国にありましても、第一線機関に府県を用いることは一つも差しつかえない、府県というのはまたそういう一面も持つのでありますから、この点はこの建前で成果を上げるようにやったらよかろうと、ただいまのところは思っておるのであります。
○井堀委員 議論をしようと思わないのでありますが、言うまでもなく地方の自治体がこの仕事に積極的で、しかも第一線の窓口を引き受けることについては異論はないのです。しかしこの法律全体からくる建前は、少なくともその資金は国が責任を持って、地方団体はこれを助力するという、いわば側面の立場に立つべきではないか、というのは現実に問題になっておるのであります。具体的な問題を先にお尋ねすれば明らかになると思いますが、先ほど来質疑の中でも明らかになっておりますように、この制度の運営の面において改善を要すべき二、三の点を私は指摘いたしたいと思うのであります。 第一は、申すまでもなくこの貸付の金額が適当でないと私ども思うのです。というのは、画一的にあまり刻み過ぎておるのではないかと思うのであります。それは、母子が生活困窮者というふうに限ることは間違いじゃないか。すなわち配偶者が健在な場合には比較的正常な経済生活が営めても、その配偶者を失ったことによって急速に転落をしていくのであります。私は転落した者を救うということよりは、転落の危機にある者を救済していくということが非常に重要ではないかと思うのであります。そういう点ではこの法案は役に立ちません。 それからいま一つの問題は、貸付の方法でありますけれども、これは厚生省の行政的指導に属することでありますが、借り入れの手続その他が、御存じのように第一にはこれが普及されていないといううらみがあります。それからほんとうに貸したいところが実はまだ申請が行なわれていない、こういう点の普及徹底については、地方自治体の協力を待たなければならぬものと思うのでありますが、それを私は故意かあるいは無意識か知りませんが、あるいは故意にそういう傾向が出ておるのではないかということは、この政府から出されております資料の中にも明らかであります。先ほども指摘がありましたように、貸付金の申請に対する貸付決定の実情を見てもわかりますように、だんだん改善されておるようでありますが、二十八年当時はほとんど半分しか貸し付けられていなかった。それが三十四年には大へん成績がよくなって、七四%というふうに資料は報告しておるのでありますが、その内容は先ほどもどなたか質問がありましたように、その申請の不成立に終わりました一番大きなものは、四八・六%の貸付財源の不足をあげておるのであります。申請をされたもののうちの四八・六%というのでありますから、結局半ばに近いものが、貸付不承認になる原因は財源にあるということになっておるのであります。これは言うまでもなく地方自治体の赤字財政の中からくる一つの連鎖反応だとわれわれは見ておるのであります。要するに今日まだ自治行政が財政的に確立ができない、すなわち赤字の中に苦しんでおるような地方財政を、この場合も本法の施行の中核に持ってくるということが、いかに私は本末を転倒しておるかということをよく証明するものであると思うのであります。今の厚生大臣の御答弁では、この点について矛盾を感じていないようであります。もっとはっきりこの点を伺っておきたい。事実は、今申し上げるように経済的な援助を与える、資金を貸し付けることが本法の精神を遂行するのにまっ先に出てくる問題でありますから、その点ではやはりその施行の責任の地位におる厚生省、政府が、名実ともにその責任の地位につくということになれば、資金をまず国が出す、あるいはこれに対して自治体がどれだけ負担の協力をするかというような割合をきめるということが私は正しいと思う。こういう点が明らかになっていませんので、しつこいようでありますが、はっきりさせておく必要があると思いますから、お尋ねをいたします。
○古井国務大臣 先ほど来もお話がありましたように、希望に対して必ずしも十分に応ずることができないという点は、この資金ワクに大きな原因があるかと思うのであります。資金面全体として足らないという点に大きな原因があると思います。その点は、例外的には府県が自分で三分の一出すべきものを出し得ない、あるいは出せないためにということが起こっておるかもしれませんけれども、その点だけとは言えないのでありまして、全体的に国の方としても考えなければならぬ点もあるかもしらぬと思うのであります。資金ワク全体として三分の二は国で考えるのでありますから、そのワク自体を国としてももっと考えなくちゃならぬというところに問題があるかもしらぬと思うのであります。この点は今後の問題としてよく考えなければならぬと思っておりますが、ただしこの問題と地方財政の状態というものと直接関係があると見るのが正しいかどうか、私はまだ議論の余地があると思っております。地方財政の現状というものは非常に変わってきたのであります。昭和二十九年がどん底で、自来どういうふうに変化しており、どういう状態にあるかはあなたのお説の通りであります。赤字のためにこれがこういうふうになっているという見方は地方財政の見方が誤まっておるかもしれぬと思うのであります。むしろ問題点は国の方の資金ワクをさらに今後とも考えていくことと、それからやはりこういう問題の重要性に対する国民の認識を強化していくことを努力いたしますれば、今の建前でも成果を上げ得るのではないかというふうに私は思うのでございまして、この建前自体の問題とは別個だろうというふうに私は今は思っておりますが、しかしなお今申しますように今後多々充実強化していくべき面があると思います。運用の上でも改善に努力すべき面もあると思います。そういう辺はよく考えていきたいものだと思っております。
○井堀委員 もちろん私も地方財政の赤字のみがそれを困難にしているという主張ではありません。一つの大きな理由として取り上げたのであって、先ほど来だんだんと質問をいたしておりまするように、この法律の精神なり意図するものが、やはり民主社会におけるでこぼこを至急に是正する役割を持つ法律として全国的に画一的な方針で推し進められなければならぬという建前で、あまり重要な責任を地方自治体に負わすべきでないという点に問題がある。しかしこの問題については結論を下さなければならぬというほど強い要請をするものではありませんが、こういう法案の立て方自身に問題があると思うのでお聞きしたのであります。そこでこういう問題を除いて、ここに改正を意図されております事柄については、もちろんわれわれは賛成であります。しかし不徹底であるという主張の一つを今述べたのでありますが、いま一つこの機会に、行政的な指導について改めてほしい点を二、三お尋ねして、私の質問を終わろうと思います。 それは一つは貸付の方法と申しますか、それと原資の関係と不可分の関係にあると思うので、なるべく豊かな原資を持つことが一つ。いま一つはこの法律の盲点でもありますが、その貸付から上がってくる利息の中から経費を出そうとするやり方はあまりにもみみっちいと思います。この法の精神からいきますならば、そういう事務費は当然国庫なり、地方自治体が経常費の中からめんどうを見て、そしてその利息はむしろ原資にプラスさして、この事業を育成していくという建前をとるべき性質のものであると思います。もちろんささいなものでありますが、こういうところに本法の持つ精神にもまだ多くの封建的な残滓があると思う。だからそういうものを克服するためには、行政的指導はそういうものをはっきり認識して乗り越えて、やはり行政上の手心や、運営の面で改める必要があるのではないか。それは結果におきましては福祉事務所その他の窓口を使うことになっておるようでありまするが、そういうことにもわれわれは多くの不満を聞くのであります。一つは原資が限られておりまするから、できるだけ申請手続をとった者が不承認になるようなことにならぬようにしたいというのは当然事務を扱う者としての気持だろうと思うのであります。そういう点、母子の申請をしております者のうちに窓口で断わられておるかなり多くの者があるのであります。もちろん、いろいろな資料の提出の仕方や、あるいは係の人に対する説明が不十分であるというようなものもかなりあるようであります。私は俗にお役所仕事というものはそういうところに多くの欠陥を積み上げてきていると思うのであります。こういう点に十分指導をなされる必要があると思うのであります。それからさっきも質問がありましたが、六条の保証人の制度でありますけれども、実際はそうやかましくいわぬでいいとわれわれは思っておるのでありますが、事実はなかなか厳しいようであります。こういうようなものも、扱う人によってかなりの幅が出てくるようでありますので、こういう点はもう少し統一した指導が望ましいと思う。もちろん原資が豊かになればそういうような点が今後もっとゆるくなるということになるでありましょう。しかし行政的手心としては大事な点ではないかと思うのであります。さらにこの法律の七条の精神でありますけれども、これも私はかなり自由裁量というものによって変化があるものと思うのでありまして、こういう点に対する十分な改正の意思として、そういうところにもっと意を用いるかどうかによって、この改正の内容が格段の成果を遂げるかあるいは単なるみみっちい申しわけ的な改正に終わるかということになるのではないかと思うのであります。こういう点に十分の御注意を一つ喚起いたしておきたいと思うのであります。時間も大へん過ぎたようでありますから、この点に対する御当局の見解を伺って私の質問をこの辺で終わりたいと思います。
○古井国務大臣 母子家庭は、とにかく弱い立場の人でありますから、行政の扱いも格別その辺に心を用いてあたたかい思いやりのもとにやらなければいかぬと思うのであります。そういう点からいうと、格別この運用に一そう気をつけていかなければならぬと思うのであります。なおお話にありました数々の点、一応先ほど来も大体触れたように思いますが、それぞれ実情に応じて改善に努力していきたいというふうに考えておるところであります。
○山本委員長 これにて母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案についての質疑は終局いたしました。
○山本委員長 引き続き本案を討論に付するのでありますが、申し出もございませんので直ちに採決いたしたいと存じますが御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行ないます。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山本委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。(拍手) 本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 御異議なしと認めそのように決しました。
○山本委員長 次に児童福祉法の一部を改正する法律案についての質疑を行ないます。河野正君。 〔委員長退席、柳谷委員長代理着席〕
○河野(正)委員 ただいまから本委員会に提案に相なっております児童福祉法の一部を改正する法律案につきまして、若干の質疑を行ない、当局の御所見を承って参りたいと考えます。 まず本論に入ります前に、児童福祉法の基本的な考え方に対しまする御所見を承りたいと考えます。児童福祉法の第三早総則の第一条には、児童福祉の理念についての考え方が明記されておりますことは御承知の通りであります。「すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない。」これが理念の第一でございます。理念の第二といたしましては「すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない。」これが理念の第二の点でございます。しかもその第二条におきましては、国及び地方公共団体が児童を心身ともにすこやかに育成する責任を負う旨が明記されておりますることは御承知の通りでございます。なるほど今回の提案によりまする一部改正の中には、三才の幼児に対しまする健康診査、あるいは新生児の保健指導、さらには結核児童に対しまする療養給付、また情緒障害児の短期治療施設の設置、さらには児童相談所の機能の強化、こういうふうな今までの福祉法よりもさらに一歩前進した改善、あるいは新しい施策、こういうものが実施されるわけでございまするから、もちろん児童福祉の向上という上からもまあ喜ばしい点ではございまするけれども、しかしながら私が冒頭において御指摘を申し上げましたように、第一章総則の第一条あるいは第二条、こういう精神から申し上げますと、私はむしろ今あげました五つの改善事項、このこと自身も非常に矛盾があるやに理解をするわけです。 そこで私はまず第一にお伺いを申し上げておきたいと思いまする点は、一体この児童福祉法の法の精神にのっとって、どういうふうな基本的な考え方を持って今後福祉法に示されておりまする児童の心身に関しまする育成あるいは生活の保障という問題をお考えになっておりまするか。この点はきわめて重要でございまするので、そういう基本的な態度についての御所見をまず承っておきたいと考えます。
○古井国務大臣 児童に対する国の態度、政策という点は、ただいまお読み上げになりましたこの福祉法の冒頭の諸規定できわめて明らかだと思います。従来実行いたしておりますことが、この目的に百パーセント満足を与えておるかどうか、これはいろいろまだ検討すべきものがある、それはあります。しかしながらこの法律にも従来から掲げ、かつ実行しておりますように、とにもかくにもこの法律以来児童政策というものがぐっと進んできておりますし、今回は若干の手直しとあるいはおっしゃるかもしれませんけれども、これ自体それぞれとってみて、相当重要な項目であります。さらにこの児童の問題については、今後の問題、基本的な問題もあるように思います。これはまた次の段階において一そう改善をする努力をしていきたいと思っておるところであります。
○河野(正)委員 なるほど、現状の施策からながめて、今回の改正法が一歩前進であり、改善であるということについて、私どももちろん賛意を表するわけでございまするけれども、しかし問題は、今日施行されておりまする児童福祉法の精神、その中に明記されておりまする理念あるいはまた国ないしは地方団体の責任、義務、そういう点から見ますると、なるほど今回の改正法によりまして五点の改正が行なわれまするけれども、そういうことではなかなか手放しで喜ぶというわけには参らぬし、むしろそのこと自身私は児童福祉法の基本的な精神に矛盾するのではないかというふうに実は考えておるわけでございます。問題は、そういう理解の上に立っていただかぬと、今後——今大臣からも逐次万全を期していきたいというようなお話がございましたけれども、そういう一つのテンポというものが非常にゆるやかになっていくと思うのです。逐次改善されるということでございまするけれども、その逐次改善という一つのテンポ、そのテンポも、今私が指摘申し上げましたような児童福祉法に対しまする基本的な考え方、認識、そういうものが私は今後の改善に非常に大きな影響を及ぼすのではなかろうか、こういうふうに実は考えて大臣の御所見を承ったのでございまするが、そういう児童福祉法に対しまする基本的な認識の仕方、これに対しまして大臣はどうお考えになっておりまするか。これは後ほど私がいろいろ取り上げまする事項とも関連いたしますので、もう少し突っ込んで御答弁をお願い申し上げておきたいと考えます。
○古井国務大臣 御質問の心持はわかるように思いまするけれども、きわめて抽象的でありまして、実は御答弁申し上げるのに当惑いたしておりますので、端的に、こういうふうに考えるのか考えないのかとかお尋ねいただけば、はっきりお答えしたいと思うのでございます。
○河野(正)委員 そこで申し上げます。今申し上げましたように、児童福祉法では、すべての児童が生活が保障され、そうして心身ともにすこやかに育成されることが、実はこの児童福祉法の中では明らかに保障されておるわけです。そういったようにすべての児童が生活を保障され、健康も保障されるということでございまするが、たとえば今度の改正法の一部をながめて参りますると、その一例でございまするけれども、満三才から四才未満の児童に対しまする健康診査というものが今度初めて義務づけられておる。この福祉法ではその定義の中で、児童とは満十八才に満たない者をいうということになっておるわけでございます。そうだといたしまするならば、当然十八才までの子供たちに対しましては、全面的にその健康に対しまする保障が与えられなければならぬ。少なくともこの児童福祉法の法の建前はそういうことになっておると思う。ところが今申し上げましたように、この法律自体は三才の幼児の健康診査というものを今度初めて義務づけられた。今までやっておらぬわけでございますから今度やるわけで、そういう現状をながめますると、若干の進歩ではございましょう。ところがもともと児童福祉法では十八才までの子供に対しまする健康の保障が与えられておるわけです。そういう点で私は基本的な児童福祉法に対しまする考え方のずれがあるのではなかろうかというようなことを実は具体的に考えるわけです。そういう意味でお尋ねしたわけでございますので、そういう立場から一つ御答弁を願いたいと考えます。
○古井国務大臣 ただいまのお尋ねで御趣旨がわかってきましたが、そこで三才児に対して健康診査を行なう、これは三才ごろの時期が非常に健康管理の土で大事な年令になっておるので、この時期に行なうことにいたしたのであります。また新生児に対する訪問指導ということも、これも新生児の間に病気になりましたりなくなったりいたしますので、大事な時期でありますのでこういう時期を選んでおるのであります。なおまた小学校に行くようになりますと、小学校で健康診査などは学校としていたすということになるのでありまして、そういう辺を考えますと、きょうの段階としてはこれはまず適切な措置をとったものだ、こういうふうに考えておるわけでございます。
○河野(正)委員 大臣はそういうような御答弁をされますけれども、この厚生省が提出されておりまする資料を伺って参りますると、幼児の死亡率がわが国の場合には諸外国のそれに比べて非常に高いという御発表があるわけです。ところが児童福祉法の定義によりますと、乳児が満一才以下、それから幼児が満一才から小学校の就学始期まで、それから少年が小学校から十八才未満、こういうことになっておるわけです。そこで三才の幼児が最も健康管理上問題があるというふうなお話がございました。ところが今申し上げますように、日本の統計を諸外国の統計と比較いたしました場合に、幼児の死亡率というものが非常に高い。たとえば厚生省の発表によりましても、これは男子の幼児の場合でございますが、日本では一才から四才までが四・一、それからアメリカは一・一、イギリスが一・〇、西ドイツが一・八、オランダが一・四、それから五才から九才になりますと若干減っておりますけれども、日本で一・四、アメリカが〇・六、イギリスが〇・五、西ドイツが〇・七、オランダが〇・七、女子の場合も大体男子の例と同様のようでございますので、それは省略いたします。このように一才から九才までの統計を見て参りましても、非常に、諸外国の死亡率に比べますと、日本の死亡率は高い、こういう統計が発表されておるわけであります。そういたしますと、こういう統計から見ましても、私が冒頭に取り上げました児童福祉法の十八才未満ということが一歩下がったといたしましても、一才から九才までの死亡率というものが諸外国のそれに比べて非常に高いということでございますならば、当然九才まで健康診査の義務づけを行なうべきではないか、こういう論になるわけでございますが、その点はいかがでございますか。
○古井国務大臣 従来はこの三才児に対する健康診費をやっていなかったのでありますし、それから生まれたばかりの乳児に対する指導なども不徹底でありましたことなどが非常に大きな原因だと思うのであります。それで全部済んでしまうとまでは思っておりませんけれども、これで非常に大事な時期の健康指導ができるというように思っておるのであります。それから先の問題、学校に入るまでの今度は問題が起こるのであります。学校に入ればあの通り健康診査はやるのでありますから、これは今のこの改正の制度をやってみましても、なおまたもっとやらなければならぬかどうかは、実績を見てよく考えなければならないと思うのでありますが、相当効果を上げると思って考えておるわけであります。
○河野(正)委員 なるほど今大臣がお答えになりましたように、やらぬよりやった方が効果がある、よりベターであるということは、これは私どもも十分理解ができるわけであります。しかし少なくとも九才までの統計を厚生省が示されて、しかも日本の場合は一・四の死亡率である、アメリカ、イギリス、西ドイツ、オランダでは大体〇・五から〇・七、約倍の死亡率があるわけですね。そういう具体的な事実と科学的な資料とが伴いながら、なぜこういうところまでに拡大しないのか、しかも児童福祉法の中には、すべての児童の健康が保障されるというふうになっておるわけでございますから、そういう児童福祉法の精神からも、さらには厚生省が発表されております非常に高い死亡率からも、当然私は拡大さるべきだというふうに考えるわけでございますが、それはもちろん経費の関係その他もあると思うのです。しかし私は今の三才の幼児にとどめるということだけでは必ずしも適切な改善ではないというように考えるわけですが、一つこの点は局長の方から専門的に、どういう判断でそういうようにおやりになったのか、この辺の事情をお答え願いたい。
○大山政府委員 お答え申し上げます。 ただいま大臣からもお答え申し上げましたように、また御指摘にありますように、乳幼児の死亡率がわが国では非常に高いのでございまして、これに対しまして、現在までやっておりますのは、乳幼児に対する保健所並びに市町村においての保健上の指導を行なっているわけでございます。しかし実際問題といたしましては、乳児に対しましてある程度行なわれているという状態で、幼児につきましてはほとんど行なわれておらないといっても過言でないような状況でございます。幼児、すなわち小学校の学齢に至るまでの間で一番大事な時期といたしまして、私ども三才の時期が最も健康診査に適するのではあるまいか、つまりある程度知能が発達しまして、いろいろな健康診査を受けるような年令になりますし、また三才ぐらいのときの心身の発達の状況というものが将来大きくなっての心身の発達に非常に影響があるということも考えられますので、そういう点を勘案いたしまして、とりあえず三才児につきまして一斉健康診査を行ない、いろいろ問題があります児童につきましては早期に手当をするという対策をまず立てることといたしたのでございまして、お話しのように、今後さらにこの施策を徹底する必要があるかと思われますので、逐次私どもといたしましてはこれを拡張して参りたい、かように考えておるのであります。
○柳谷委員長代理 暫時休憩します。 午後一時十一分休憩 ————◇————— 午後三時二十四分開議
○山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 休憩前の質疑を続けます。河野正君。
○河野(正)委員 先ほど来児童局長の御答弁を願ったわけですが、今日の日本の児童福祉対策の非常に大きな問題点というのは、児童福祉法によりますと非常に前進した基本方針が示されておる、ところが、今までるる申し述べて参りましたように、一方具体的な施策については非常におくれておる。大臣からも御答弁ございましたように、この児童福祉対策の万全を期していくためには、先ほど申し上げますような基本方針と具体的施策というものが完全に一致する、そのことがきわめて望ましい児童福祉対策の態度でなければならぬというふうに私は考えるわけです。ところが先ほどの局長の答弁によりますと、この三才児の健康診査の一条をとって参りましても、三才児を取り上げることがきわめて適当であったというふうなお説のようでございました。私どもは、そういうものの考え方については全く了承することができない。いろいろ問題があるけれども、現在の機構なりあるいは財政上の問題なり、そういう点から万やむを得ず三才児の検診のみを義務づけした、こういう御答弁でございますならば、私どもも一歩下がって了承することにやぶさかではございませんけれども、何か三才児を取り上げることが非常に適当であるという意味の御答弁では、私どもは納得するわけに参らぬ。少なくとも児童福祉法によりますと、十八才までの子供たちの健康というものは完全に保障されるということでございますから、万やむを得ず三才児をとったんだということであるならば、私どもも了承することにやぶさかではないけれども、三才児を取り上げることが適当であるという御答弁では納得するわけに参りません。その点についてどうお考えになりますか、一つ局長にお伺い申し上げたいと考えます。
○大山政府委員 先ほど申し上げましたように、幼児の保健指導対策が現在のところはなはだ不十分である。従いまして、お説のように幼児全部について保健指導ができれば最も望ましいことでございますが、お説にもありましたように、実際問題といたしまして直ちに全幼児につきまして厳密な健康診査を行なうという態勢にまでまだ至りませんので、やむを得ずどれかの年令児をつかまえましてまず始めたい、それには三才が適当だというような考え方で、まず三才児の健康診査を始めることにしたい、こういう考え方でございます。
○河野(正)委員 表現はいろいろございまするけれども、少なくとも今のような認識の上に立って今後改善をはかっていただかぬと、三才児を取り上げることが非常に適当なことであるというような理解のもとで今後の児童福祉対策を進められますると、非常に大きな問題を残す。そういう意味から、今申し上げまするように御答弁をあらためてお願い申し上げたわけでございまするから、少なくとも、今御答弁ございましたように、児童福祉法の精神に示されまする諸対策を進めていくべきであるけれども、現時点においてはそういうことになった、こういう理解で一つ今後お考えを願っておきたいと考えます。 先ほど申し述べましたように、一例でございましたけれども、幼児の死亡率が日本の場合には非常に高い。そのことがどういう原因によって招来されたか、それにはいろいろな考え方がございましょうが、一つには私は日本の児童福祉対策というものが、非常に諸外国に比べておくれておる。そういうことも私は大きな要素ではなかろうか、こういうように考えるわけです。これはいろいろな文献によりましてもそういうことが書いてあるのであります。一九五一年、国際連合において児童権利宣言が採択をされたことは御承知の通りだと思います。この児童権利宣言が国際連合において採択をされて以来、世界各国におきましては、さらに一そう児童の福祉対策の強化刷新ということが断行されてきたというように私ども仄聞をいたしておるわけです。先ほどの、幼児の死亡率が諸外国に比べて非常に高いというのは一例でございましたが、いずれにしても、どうも日本の福祉対策というものはおくれておる。そういう実態の中で、今申し上げました国際連合におきまするところの児童権利宣言、これをどういうふうにお考えになりまするか、一つ児童権利宣言に対しまする御所見もあわせてこの際承っておきたいと考えます。
○大山政府委員 一昨年の秋に、国際連合におきまして全会一致で児童の権利宣言が採択されまして、わが国の国会におきましても、この宣言の趣旨に沿って児童福祉対策を進めるべきであるという決議がなされたのでございます。厚生省といたしましては、昨年の一月以来中央児童福祉審議会に、この趣旨に沿って当面とるべき施策につきまして諮問をいたしました。昨年の八月にその答申がございまして、私ども事務当局といたしましても、本年度の新予算を組みます際に、その答申をもとにしまして、当面日本として児童福祉のためにとるべき施策ということで予算の編成に努力したのでございます。私ども考えました通りにすべて予算化されたわけではございませんけれども、その答申のおもな点につきましては、大体その趣旨の実現を本年度の予算で新たに認められたというように考えておる次第でございます。わが国におきましては児童憲章がございます。それからただいまの児童権利宣言、いずれも趣旨におきましては異ならないと思いますので、この二つを大きな柱といたしまして、今後とも私どもは児童福祉のために進めて参りたい、かように考えます。
○赤松委員 ちょっと関連して厚生大臣にお尋ねします。いわゆる児童憲章の立場から質問しますけれども、実は愛知県におきましては、青少年補導のための条例を作ったわけですが、その条例を作る際に附帯決議を付した。その附帯決議は、地方だけでその目的を達成しようとしてもなかなか困難だ、従って、映画・演劇、テレビ、ラジオその他については中央政府とよく相談をして、そうしてこれを漸次いい方向に持っていくようにしようという附帯条件をつけて決議をしておるわけであります。実は本日愛知県議会を代表して民生委員長が厚生省に行ったのであります。ところが児童局長は法案審議のために本委員会に出席をして会えなかったのでありますけれども、この報道関係については、一つ誤れば言論抑圧のおそれなしとしない。しかしながら野放図に放任しておいていいというわけのものではないと思います。この点はその行政指導の面において非常に微妙な点があると思うのでありますけれども、もしも地方県議会が満場一致でもって、厚生大臣あるいは文部大臣あるいは郵政大臣等に陳情を行なった場合、それぞれ当該大臣、関係閣僚が集まって、この陳情を正しく生かすための方途を講ずる用意があるのかどうか、この際厚生大臣からお伺いしておきたい。
○古井国務大臣 青少年問題の一つの大事な面は、マスコミ、ことに映画、テレビなどの方面が相当に深い関係がある。こういうところにもあるように思うのであります。この点は、今もお話しのように、権力的な措置を講ずるということはよほど慎重に考えないというと、その反面がまた生ずるのでありますから、業界の自戒自粛というような線がまずよいところだろうと私は思うのであります。どうしてもやむを得ぬというときでないと、法的な強制的な措置はしない方がいい、基本的にそういうふうに思うのであります。しかし、すでに問題になっておることでありまするし、愛知県議会でもそうであったそうでありますが、今のような、特に地方の代表の方が意見を携えておいでになるというならば、大いにまたその御意見も伺って、そうしてそれに対応して考えるべきことは考えるということはよいことだと思うのであります。むずかしい問題でありまして、度を越すというと裏が出ます。むずかしい問題でありますけれども、問題としては非常に大事だと思うのであります。
○赤松委員 確かにむずかしい問題なんだ。そこで私は、そのむずかしい問題をむずかしくないようにさばいていく方法として申し上げたいが、現に全国の婦人団体で問題になっておる番組がある。これなどは郵政大臣の所管に属することであると思うけれども、郵政、文部、厚生の三大臣がよく御相談を願って、特に民放連で一つ話し合いをしてもらいたい。これを押えるとかなんとかいうことでなしに、スポンサーに対してもぜひ勧告などもしていただきたい。それを具体的に申し上げますと、フジテレビが毎週日曜に夜の十時五十分から十一時五分まで放送する。それから愛知県の場合は、これも婦人団体などで非常に問題になっておるのでありますけれども、十一時四十五分から十二時まで。これは子供が寝ているからということが理由のようでありますけれども、御承知のように中学、高校は試験がありましてずいぶんおそくまで起きているわけでありまして、その影響がきわめて大きいので、婦人団体においては真剣にこの問題を取り上げて非常に苦慮しているわけであります。それはピンク・ムード・ショーというのがあるのですね。これがやはり非常に問題になっているので、これなども愛知県において青少年条例のできる一つの原因であったわけであります。(笑声)この連中は笑っておりますけれども、母親の立場から言いますれば、いわゆる思春期の児童にとりましては非常に真剣な問題である。僕もこの間のフジテレビの一つを見たけれども、実にセクシーですね。最初足が写って、男女の足が触れ合っている。それからおしりなどをクローズ・アップして、実に扇情的だ。浅草的なもの以上なんですね。こういうものはやはり、私は何も抑圧せよと言うのではないが、民放連の良識ある経営者の諸君、あるいはこの編成に当たっている諸君、あるいはスポンサーの諸君とよく話し合ってもらって、ぜひこういうことは是正するように努力してもらいたい。のみならず、児童憲章の立場に立って一つ話し合いをして、マスコミに対する話し合いの政治を進めていってもらいたいということを一言希望しておきます。重ねて厚生大臣の所見を伺っておきます。
○古井国務大臣 私も、まことにごもっともに話を伺うのであります。さっきも申しましたように、度を越したことをやるわけにはいきませんけれども、理解、納得、協力を得ることはよいことだと思いますから、そういう考え方を基本に置いて、この問題にも対処いたしたいものと思う次第でございます。
○河野(正)委員 先ほどから、児童福祉対策としては、国際連合における権利宣言あるいはまたわが国におけるところの児童憲章、これを二つの柱として具体的に方策の推進に当たっておるというような御説でございました。もちろん基本的にはその通りだと思いますけれども、問題は、そういう国際連合におきますところの権利宣言あるいはまた国内の児童憲章、それを具体的に施策の中にどう生かしていくかということが、私はきわめて重大な問題だというふうに考えるわけです。 そこで、多少具体的な例につきまして論議を進めて参りたいと思いますが、今日まで主として児童福祉対策といたしましては、要保護児童対策に重点が置かれたことが私は一つの傾向だったと思うのです。しかし実際問題としては、将来年少人口の減少というものが考えられておる。従ってそういう現象に対処する施策というものを当然考えてもらわなければならないというふうに考えるわけです。もう少し砕いて申し上げますると、年少の人口の減少、すなわち限られた人口の中で、その質及び能力の向上を考えていかなければならぬ。従いまして、そういう意味からも、今申し上げましたように、今日までとられて参りました一つの傾向であるところの要保護児童対策、こういう方針からさらに一歩進んで、今度は一般家庭児童に対しまする対策というものを重点的に推進する必要があるのじゃないか。要するに今までの方針を今後も続けていくこともけっこうですけれども、しかし新しい事態には新しい一つの方向というものを当然見詰めつつ施策を進めていくことが、具体的には当然必要になってくるのではなかろうか。そういうことを考えるわけですが、そういう今日の新しい事態に対して、どういうふうにお考えになっておりますのか、この際一つ承っておきたいと考えます。
○大山政府委員 お話にありましたように、今後わが国の年少人口はだんだん減少する傾向にあるのでございまして、十八才未満の児童数をとってみますと、十年先には現在より約五百万減少するであろうというふうに推定されているのであります。この意味も含めまして、また児童の新しい本来の立場からも、児童の資質向上のために尽くさなければならない。その意味におきまして、母子衛生の面と、もう一つ、ただいまお話のありました非行防止あるいは健全育成という面を今後推進していく必要がある、かように私どもも考えております。 わが国が今まで重点を注いで参りました要保護児童対策、これもまだはなはだ不十分でございまして、要保護児童に対する適当な保護施設が十分でない施設におきまする児童の処遇、あるいは職員の待遇、あるいは施設の数、施設の建物の内容といったようなものにも問題がございますので、要保護児童対策をさらに進めなければならないわけでございますが、それだけにとどまらずに、一般の家庭の児童に対する健全育成対策という新しい面をさらに開拓していかなければならない、かように考えております。 現在までにこの対策として一応考えられておりますのは、一つは地域組織と申しますか、児童福祉のための地域の組織活動でございまして、たとえば子供会あるいは母親クラブ、あるいはそういう子供を指導する青少年の福祉班といったような地域活動がございます。これは行政当局としてどの程度に取り上げるかという問題はございますが、指導者の養成その他の仕事を進めていく必要があろうかと考えております。 次に、児童館あるいは児童遊園といったような、子供がその家庭の周囲におきまして健全な遊びが得られるというような施設をさらに拡充する必要があろうと考えております。 さらにもう一つの問題は、先ほどお話のございました文化財の問題がございます。この文化財について厚生省としては、厚生大臣の諮問機関である中央児童福祉審議会において優良な文化財を推薦するということをやっておりまして、これをさらに続けて参るわけでございますが、さらに悪いものに対しても勧告をするという権限がございますが、現在までのところ、先ほど来御議論のあったような点もございまして、勧告権の発動という例はございません。しかし今後問題によっては、そのような手段もとる必要があるのではないかということも考えられますので、今後福祉審議会においてさらにこの点を検討することになっております。 以上、簡単でございますが、児童の健全な育成について今まで考えられました問題点について御説明いたしたわけであります。
○河野(正)委員 母子衛生あるいはまた非行少年に対する対策、その健全な育成というような問題に対して、地域組織の活動ということもけっこうな方法でございましょう。あるいはまた児童の環境のための施設の拡張もけっこうでございましょう。いろいろ述べられたこともけっこうでございますが、しかし、そういう対策の中心というものは、今御説明になりましたような地域組織の活動とか、あるいはまた子供たちの環境施設の拡充改善とか、そういうことが中心的な役割を果たすのではなくて、やはり現在の時点では、行政機関が結局児童福祉に対する中枢的な役割を果たすという重大なかぎを握っておると思うのです。そこでそういう立場から一、二御指摘を申し上げて御所見を承っておきたいと思います。 その一つとして取り上げなければならない問題は、私は児童相談所の問題があると思います。何と申しましても今日の時点では、この児童相談所というものは、児童福祉行政における一つの大きな中枢的な役割を果たしつつあるものというふうに私どもは理解をいたしております。なるほど今回提案になっております福祉法の一部改正によりまして、児童相談所の若干の機能の強化というものが加えられておりますことは御承知の通りでございます。しかし、さればといっても、もともと、もとになる児童相談所の現在の機構ないし能力というものが非常に弱小であります。今度の改正法で若干強化するようにうたわれておりますけれども、もともと児童相談所の機構ないし能力というものが非常に劣悪な状態に置かれておる。たとえば、今申し上げますように、児童福祉行政の中枢的な役割を果たすといわれながら、実際には全国で児童相談所というものは百二十三カ所しかない。しかもその規模も先ほど申し上げますように非常に劣悪で、私どもが仄聞するところによりますと、職員の数が四名のものがその中の三分の一、すなわち百二十三カ所の三分の一でございますから、約四十カ所は職員数が四名足らず、しかもそういうふうな、規模からいっても内容からいっても非常に劣悪な児童相談所である。しかもそういう児童相談所が一つの県に対しまして一カ所、これが全国をながめて参りますと十三県に及んでおる。全く驚き入るような状況でございます。これで、政府が幾ら、児童福祉対策に熱意を持っておるという先ほど局長の答弁でございましたけれども、国際連合における権利宣言ないし日本の児童憲章に即して対策を進めておるのだ、こういうように言われておりますけれども、今申し上げますように、福祉行政の中枢的存在である児童相談所の実態というものがそういう実態で、はたして児童憲章に即応し、国際連合における権利宣言に即応したところの児童福祉対策というものが進められるかどうか、私どもはまことに残念でございますけれども、額面通りいただくわけには参りません。大臣、いかがでございますか。こういう実態で、真に児童福祉対策というものが推進されるというふうにお考えになりますかどうか。これは具体的な一例でございますけれども、こういう実例をお聞き取り願って、どうお考えになりますか。この点は一つ大臣から率直に御意見をお漏らしいただきたいと考えます。
○古井国務大臣 児童相談所ももう少し充実したり普及したりすることは必要だと思います。同時に、児童福祉対策はいわゆる児童相談所だけにたよるものではありませんで、児童相談所の役割はそれとしてありますけれども、これは広範な対策でなければならぬわけでありまして、全国の府県、市町村等を全部動員しての活動でなければなりませんから、両方これは考えて推進していくのがよいかと存じております。
○河野(正)委員 児童福祉対策の進め方には、具体的にはいろいろな方法があると思うのです。しかし、要はその中枢的な役割を果たす機関が児童相談所であるということになりますと、この問題は非常に重大な要素を持っておると私は思うのです。これは児童相談所の役割というものが他の具体的な方法と同じ比重の存在であれば、これはもう今大臣から御答弁願いましたように、ある程度了解することにやぶさかでございませんけれども、しかし私が申し上げますように、この児童相談所というものは福祉行政の上で非常に大きな役割を果たしておる、中心になるものがそういう実態でいいかどうか、こういうことを実は大臣に申し上げたわけです。それで、いろいろ具体的な政策があると思いますが、この児童相談所に関しては、他の具体的な政策と同等に考えていただくわけにいかぬ、これは中枢的な役割を果たしておるわけですから。これは政府のいろいろな発表の中にも書いてある。児童相談所が児童福祉対策の中枢的な役割を果たすということを厚生省では書いておるのです。そういうことを書いておきながら、今のような実態でいいかどうか、こういうことを実は大臣に申し上げたわけです。これは十分御理解いただかないと、今後の対策上にいろいろな問題を残していくと思うのです。そういう意味でお尋ねしたのですから、大臣から率直なお答えを願いたいと思います。
○古井国務大臣 児童相談所の拡充、機能の向上ということは大事なことだと思います。これは私もその通りに思います。同時に、普通の家庭の乳児、幼児、少年対策等全体を考えるときに、それは大事であるけれども、同時に広範に考えていかぬと児童対策は円満にいかぬ、完全にいかない、こういう意味で両方ということを申しておるのでありまして、児童相談所も大事なことですから改善をはかっていきたいと考えます。
○河野(正)委員 児童相談所も必要でなくて、児童相談所は将来非常に重点を置いて拡充をはかっていきたい、こういうふうにお考えを直していただきたいというふうに考えます。 時間の制約がしばしば言われておりますので、できるだけ端折っていきたいと思いますから、そのつもりでお答えも願いたいと思います。 まあいろいろ大臣がこの児童福祉対策を進めていくについては方策があると言われておりますので、そのいろいろな中のもう一つ具体的な例を取り上げて御所見を承って参りたいと考えます。それは今度の改正法の中にも示されておりますように、情緒障害児の治療施設、これを福祉施設の一つとして今度は加えるということが今度の改正法の中にうたわれておるわけです。これだけは後ほどもう少しお伺いをいたしたいと思いますが、そういう施設を設けられたことはもちろんけっこうだと思います。ところがもともと福祉施設というものが非常に貧弱であり、またそういう福祉施設というものが非常に僅少であるというのが今日の実情でございます。そこで私どもが調査いたしました例を簡単に申し上げますと、ぜひ収容しなければならぬ肢体不自由児、これが八万人に対しまして三千人の収容施設、それからぜひ収容しなければならぬ精神薄弱児、これが四万人に対しまして七千人の収容施設、これが今日の現況でございます。そこで情緒障害児の治療施設を作っていただくことももちろん今申し上げるようにけっこうでございますけれども、もともとそういった基本でございます福祉施設というものが、内容的にもまた数の上からも非常に劣悪な状態に置かれておる。そこで、こういう点に対しましてもすみやかに大きく改善をはかってもらわぬということ、先ほどの権利宣言ないし児童憲章に即した対策ということは私はあり得ぬというふうに考えるわけです。これも具体的にいろいろ事例をあげてお伺いしたわけでございまするが、こういう状況に対してどういうふうにお考えになりまするか、一つ承っておきたいと考えます。
○大山政府委員 要保護児童対策といたしまして、特に肢体不自由児あるいは精神薄弱児等に対する児童福祉施設がはなはだ不十分であるということは、確かにお話しの通りでございまして、肢体不自由児につきましては、ただいまお述べになりました中に三千ベッドというお話がございましたが、昭和三十五年度末をもちまして大体四千ベッドくらいになる見込みでございまして、現在まで都道府県で一カ所もないというようなところもございましたが、昭和三十五年度末をもちまして少なくとも各都道府県に一カ所はあるというところまでこぎつけて参ったような次第でございます。しかし、いずれにしましてもまだまだ足りませんので、今後ともこれらの施設の整備について努力して参りたい。本年度成立いたしました予算の中におきましても、この施設整備に対する補助予算は前年度に比しまして若干でございますが増額になっておりまして、特に精神薄弱児あるいは肢体不自由児施設に重点を置きまして予算を編成しておるような次第でございます。
○河野(正)委員 いずれにしても、数字の訂正もございましたけれども、三千ベッドを四千ベッドにしたいといたしましても、要収容肢体不自由児というものが八万というような膨大な数字でございますから、たとい数字を千御訂正になりましても、これは一割にも達せぬという状況でございまするから、私は大した御答弁にはならぬというふうに言わざるを得ないのでございます。いずれにしても、これは予算等の問題も伴いまするから、私もそういう実態を十分お聞き取り願って、そしてすみやかにその拡充のために格段の努力をされるように希望いたします。 今たまたま出て参りましたからこの際承っておきたいと思いまするが、今度の改正によりまして、福祉施設の一つとして情緒障害児短期治療施設を設けるということでございまするが、その情緒障害児短期治療施設の性格、内容等はいかなるものであるか、一つこの際明らかにしていただきたいと考えます。 〔委員長退席、齋藤(邦)委員長代理着席〕
○大山政府委員 情緒障害児と申しますのは、御承知のように、家庭の環境その他いろいろな原因によりまして、子供が心理的ひがみを持つ、そういうひがみからいたしましていろいろな、たとえば盗みをするとか、あるいは反抗するとかいうようないろいろな現象ができて参りまして、それからだんだん非行に陥っていくというようなことが非常に多いのでございまして、非行対策といたしましては、ぜひともそういう非行に陥りやすい情緒障害を起こしている児童を早く発見いたしまして、早く治療するということが必要である、かように考えまして、今回新たに情緒障害児の短期治療施設というものを設けることといたしたのございます。この施設におきましては、法律にもございますように、十二才未満の児童を対象にいたしております。これを十二才未満に限りましたのは、大体諸外国等の例から見ましても、この程度の年令のものが心理学的な治療方法によって治療可能である、それ以上の年令になりますと、なかなかこういう施設だけではなおりにくいというような意味もございまして十二才未満に限ったのでございます。それからこの施設におきましては、短期間、原則として平均一カ月くらいと考えておりますが、心理学的な治療方法によりましてそういう心理的なゆがみをなくするということを目的にした施設でございます。従いまして、この施設の職員といたしましては、精神医学あるいは心理学といったような専門家の方が所長になっていただきまして、その下に医師あるいはセラピスト、あるいは指導員、保母、看護婦といったような職員を置きましてそういう児童との直接の接触によりましてこれらの治療に当たるというような施設にしたい、かように考えております。
○河野(正)委員 基本的に私はこの情緒障害児治療施設ができることには反対するものではございません。しかし、われわれがよく考えてみなければならぬのは、要するに、この非行少年になるに際しましては、環境の支配、社会教育の欠陥、家庭教育の欠陥等々あろうかと考えます。そういうふうな環境の支配によって一つの非行少年というものに陥っていくという場合もあることは私どもは否定はいたしません。しかし、私どもよく考えなければならぬのは、この非行少年と精薄——精薄というのは学問的にいろいろ程度がございますけれども、そういう精薄との関係、あるいはまた性格異常、こういういろいろな要素がこの非行少年の中には内蔵されるだろうというふうに理解をするわけです。そういたしますと、この情緒障害児の治療ということについてはいろいろな立場から考えなければならぬ。そうすると、施設を作られることについては異論ございませんが、しかしその運営の万全を期していくということはなみなみならぬものがあるんじゃなかろうかというふうに考えるわけです。特に今度の治療施設には短期という名称がつけられて、今説明がございましたように、大体原則的には三カ月で治療を終わるということでございますけれども、性格異常による非行、あるいはまた精薄というような要因に基づきまする一つの非行ということになりますと、私は今のような内容と性格では完全な成果を上げることができぬのじゃないかというように考えるわけです。それですから、着想としてはなかなかけっこうでございますけれども、今のようななまやさしい構想のもとに発足いたしましても、なかなか十分なその成果というものは上げられぬのじゃないか、むしろ根本的な対策を検討実施すべきではなかろうかというふうに考えるわけですが、その点いかがでございましょうか。
○大山政府委員 情緒障害の原因といたしましては、お話のように、単に環境によるものだけでなしに、器質的と申しますか、機能障害によるものがございます。あるいは精神薄弱あるいは性格異常あるいは病質的なものもあると存ずるのでありますが、ただ、それらの病的なもの、あるいは重度のものにつきましては、やはり精神病院でありますとか、あるいは教護院あるいは精神薄弱児施設といったような別のところでこれを処理せざるを得ないと考えるのでありまして、今回提案しております情緒障害児施設はあくまで心理的な療法によることを目的とした施設でございますので、環境によって生じました情緒障害に対する一つの対策ということで考えたわけでございます。もちろんお話のように、非行対策としましては一つの施策で全部をおおうわけには参りませんので、いろいろの面の問題に対しましていろいろな施策を講じていくという必要があろうか考えるのでありまして、今回の治療施設は環境による情緒障害児に対する一つの施策ということでモデル的にやってみたい、こういうことでございます。
○河野(正)委員 時間がございませんからあまり深追いするわけには参りませんけれども、重度、軽度という表現を使われますが、ただ非行の程度が重度であったり軽度であったから、そこで環境の支配が強いとか弱いとかいうことにはならぬと思うのです。また性格異常にいたしましても、非行の程度が重いから、非行の程度が軽いから、そこで性格異常が重いか軽いかという一つの判断にはならぬと思うのです。非常にむずかしいのです。しかも環境の支配によって非行状態というものが起こってくる、そういうものを特に取り上げて治療されるんだとおっしゃいますけれども、この環境の支配ということが実際どの程度に影響を与えておるのか、私はその辺の判断というものが非常にむずかしいのではないかというふうに考えるわけです。そういうこそくな手段よりも、文部省も御出席のようでございますが、養護学校あるいは特殊学級というものをむしろ国としては取り上ぐべきではないか。なるほど今まで養護学校あるいは特殊学級もございますけれども、これをもう一歩進んで必置制にして、そしてそういうもろもろのケースはその中で救い上げていく、そういう積極政策というものをむしろとるべきではないか。あまり小手先の手段に幻惑されて、そういう積極政策というものがぼやけてしまうということになると非常に困るので、そういう施設もけっこうでございますけれども、そういう施設に幻惑されて、基本的な大きな問題を見落としてはならぬということを特に私は強調いたしたいと考えるわけです。この点に対しては一つ大臣からも御所見を承りたいと思いますし、また文部省も御出席でございますから、文部省の方からも御答弁をいただきたい考えます。 〔齋藤(邦)委員長代理退席、委員長着席〕
○古井国務大臣 今回の情緒障害児の治療施設というものも一つやってみたらどうかと思うのです。よいことだと私は思うのです。ただしこれだけですべてほかはやらないという考えじゃない。これはこれでやって、できるだけ成果を上げてみよう。同時に、なるほど児童福祉法の問題じゃなくとも、他の施設も御承知のようにやっておるものもありますし、両々相待ってやっていきたい、こういうふうに思うのであります。これだけでやっていこうというわけでもないのでありますから、それもあれもよいものはやっていく、少しでもいいものならやってみるということの方がいいということでやってみたいと思うのであります。 なお文部省の方からも御答弁があると思います。
○辻村説明員 ただいまの問題につきまして、養護学校及び特殊単級の設置を促進いたしまして、これをいわゆる義務制にすると申しますか、その設置の義務を都道府県なり市町村なりに負わせるという方向に持っていく、これは文部省といたしましても実は内部でほぼ方針がきまっております。ただ現状は、何と申しましてもまだ数が圧倒的に足りません。そこでさしあたって養護学校につきましては、これは養護学校と一口に申しましても、肢体不自由児、精神薄弱児、あるいは病弱虚弱児の養護学校といろいろございますので、さしあたり肢体不自由児の対策といたしましては、養護学校を全県設置するという方向で、予算的にも五カ年計画を立てまして、その第二年度に入っておる現状でございます。それからなお精神薄弱児対策といたしましては、その数が非常に多いものですから、特殊学級の設置を市町村に将来義務づけたいという気持をもちまして、さしあたって人口三万以上の市町村に人口五万につき一学級、精神薄弱児の特殊学級を作っていく、これも五カ年計画を立てまして、その第一年度として本年度発足したような次第であります。そういうわけで養護学校、特殊学級の設置義務化への努力は今いたしておるわけでございますが、ただ、ただいま問題になっておりますいわゆる情緒障害児と申しますか、平たい言葉で申せば、いろいろ問題行為のある子供、これにつきましてはもちろん一般義務教育の内部でできるだけやって参るべきものと私どもも考えております。しかしながら、御承知のように現在の小、中学校の一学級はその児童生徒数は五十人ということが標準になっておりまして、実はその標準まで何とか下げたい、現状はつまりそれより上回っておる、かような状況でございますので、いわゆるすし詰め解消法という法律を御制定いただきまして、一学級の人数をしぼる方へ努力いたしておるようなわけです。従いまして、一学級五十人という義務教育の内部で、いわゆる情緒障害を持っておる、ないしは問題行為を持っておる、いろいろの子供を指導し矯正していくということにはおのずから限度があるわけでございます。従いまして、できるだけのことは手を尽くすけれども、どうしても一般義務教育の内部でお預かりできないお子さんについては、これは従来とも児童福祉法の教護院の方にお願いする、こういう立場をとって参ったわけでございますが、今般のいわゆる短期治療施設は、いわば教護院までいかないで済む子供さんについて専門的な、精神医学的な、心理学的な治療をする場所でございまして、かようなものができまして、その効果が上がって参りまして、これがなおれば再び学校の方にお迎えできるというわけで、いわば精神的な面での短期の病院のようなものにしばらくお預かりいただく道が講じられることは、私どもといたしましても大へんけっこうなことだろうと思います。もちろんかようなものができましたからといって、すべてそちらに差し向けてしまう、学校教育の方ではそういう情緒障害児なり問題行為の子供は一向かまわないというものでは決してございません。今後ともできるだけの手は尽くす所存でございます。教護院、短期治療施設との関係につきましてはさように私ども考えておる次第でございます。
○河野(正)委員 今御説明がありましたように、肢体不自由児あるいは精薄児等の対策が漸次進められてきたということは、私どもも心から喜ぶものです。しかもなお教育保護の体系というものが不十分であることも率直に指摘せざるを得ないと考えます。まだいろいろお尋ねしてみたいと思いますけれども、時間がございませんので、この点は非常に残念でございますが、このくらいにしておきます。 いずれにしても、現在そういう養護せられなければならぬ児童がいろいろな施設の恩恵に浴しているのは大体三%程度といわれておるくらいですから、さらに格段の御努力をお願いしたいということで今日は私の質問を終わりたいと思います。 そこで最後にもう一言だけお尋ねを申し上げておきたいと考えます。この要保護児童対策の一つとしてこの法律では、保育にかける児童の対策としては保育所入所の規定があるわけです。この保育所は昭和二十二年十二月、児童福祉法が制定されますと同時に、児童福祉施設の一つとして規定が行なわれたわけです。しかも児童を心身ともにすこやかに育てるにつきましては、両親のみならず地域社会、さらには国が大きく責任を持たなければならぬことは当然のことだと考えます。従ってこの児童を保育所に入所せしめることが法律で規定されておるわけですから、義務づけられておるわけですから、従ってたとえば保育料の問題あるいは保育所の職員の処遇の問題、施設の問題等々については当然児童福祉法の精神にのっとってすべて国が負担を負うべきだというふうに私どもは考えるわけです。一部については現行では責任を持っています。ところが私はこの児童福祉法の建前から申し上げまするというと、全面的に国が負担すべきだというふうに考えるわけですが、その点はいかがでございまするか、お伺いしたいのです。一つ大山さん、あなたから先にお話しして下さい。
○大山政府委員 児童福祉施設に入所をいたしました場合の費用負担につきましては、児童福祉法の五十六条に原則がございまして、本人またはその扶養義務者から費用は徴収するということが原則になっておりまして、ただ本人または扶養義務者が負担できない場合に、それに対して国、都道府県または市町村がかわって負担をするということになっておるのでございます。すべて国または地方公共団体が全部負担するという建前にはなっておらないのでございまして、保護者も当然に負担すべきものは負担する、負担できない部分につきましては国または公共団体が負担する、こういう原則になっておるわけでございます。従いまして保育所につきましては、低所得階層につきましては月額定額の徴収料をきめまして、それによって徴収し、それ以外の部分につきましては国が八割、県が一割、市町村が一割負担する、こういうことになっておるのでございまして、全部を国、公共団体で負担する建前ではございません。
○河野(正)委員 そういう理解だからいかぬというのです。今いろいろ説明されたことは全部私は知っておるのですよ。ですから、法としては保護者の労働または疾病のために保育にかける場合には児童保育所に入所せしめなければならないということが市町村に対して義務づけられておる。そこでこの保護者に負担能力があろうがなかろうが、ない場合には国が持つ、県が持つ、市町村が持つ、八、一、一ということになっておるわけですけれども、しかしこの法の精神としては、たとえば夫婦共かせぎで、一日中家をあけて子供のめんどうを見ることができない。そういう場合もございましょう。特に私はこれはほんとうをいえば僻地の保育所あたりについても御質問を申し上げたかったのでございますけれども、時間がございませんから申し上げませんが、そういうふうにいろいろなケースがあるわけです。 そこで今の法律論議では、今、局長のおっしゃった通りでございますけれども、しかし建前としては全面的に国が保障すべきだという法の建前になっておるわけですから、少なくともそういう方向で今後改善が行なわれていかなければならぬ、こういうことを申し上げておるわけです。そういう御意思があるかどうかということをお尋ね申し上げておるのです。何も今の規定をお尋ねしておるわけではない。そういうことはわれわれ十分知っておる。知っておるけれども、それが不合理であるから今後どうですかというお尋ねをしておるわけですから、一つ適切な答弁を大臣からお願い申し上げて、もし適切な御答弁がございますればこれで私の質疑は終わりたいと思います。
○古井国務大臣 保育所の入所費の父兄の負担はなかなか重いと思うのであります。常識論としても重いと思うのであります。これは他の席でも申し上げたかもしれませんけれども、この負担をできることならだんだん軽くする方向に持っていきたいという考えを持つのであります。今後の行き方の問題としてそういうふうな考え方を持っております。
○山本委員長 滝井義高君。
○滝井委員 次代の日本を背負う大事な子供の問題でございますから、これを無視して簡単に通すというわけにはいかないわけです。 そこで第一点の問題ですが、三才の幼児を対象として全国的に健康診断を行なうということですが、これもやはり母子衛生対策、母子福祉対策、そういうものの広い意味の子供の問題の一環をなすもので、これは非常に古井厚生行政の新しい足跡を残こす一面を現わすと思います。これは約百三十四万人を対象として、そうして一般の健康診断はもちろん歯科の健康診断まで行なうことになるわけです。現在の日本の保健所の機能だけではとてもやり得る情勢にないわけです。問題は具体的に、この第一の点というものをどういうようにやろうとするのか、これが一つ。 それから第二点は、新生児に対して保健指導をやるわけです。私は知っておることは全部言いますが、この新生児は予算説明のときに聞いたところによると、生後四週間以内ですね。従って毎年百五、六十万人現実に生まれておりますから百五、六十万人を大体対象としておるわけです。そうするとこれだけで約二百七、八十万人から三百万人の子供を対象にする健康診断が行なわれることになるわけです。私はこれは非常に進歩的な政策で大賛成ですが、これを受ける日本の保健所の機能が、一体これを受け入れ得る態勢にあるかどうかということです。
○大山政府委員 今回の三才児の健康診査並びに新生児の家庭訪問につきましては、保健所を主体として行なうわけでございますが、ただいまお話がありましたように、保健所の現在の職員だけをもってしてはとうてい十分これをまかなうことはできないのでございまして、私どもはこの点につきまして、三才児の健康審査につきましては、公私の医療機関の専門医師、主として小児科の先生になると思いますが、そういう開業の医師、また新生児につきましては開業の助産婦、こういう関係の方々を保健所に委嘱いたしまして、実際の健康診査並びに訪問指導に当たっていただく方法でやって参りたい、かように考えております。
○滝井委員 そうしますと新生児の対象が七十五万二千九百八十八人ですから、大体半分程度しか計上してないわけです。それから三才児の方は百三十四万人ですから、大体これは二十万かそこらが落ちているくらいで、ほとんで全部計上しておるわけです。この予算の総額を見ると、母子保健の指導費補助は六千五百二十六万八千円です。約三百万になんなんとする経産婦の集団指導というのが別にありますから、三百万以上の人間を健康診断、歯科診断までやって六千五百二十八万ですか、これは一体報酬はどの程度出すつもりですか。公私の医療機関を動員しなければとてもこういう専門的な——ここから問題児を発見してくるわけですから、いわば精神的羊膜の時代とでもいいますか、精神力動学的に言うならば、この時期に問題児というものをとらえなければならぬことになると思うのです。そうしますと、よほどの専門家が見て早期発見をやることが必要になってくるわけです。一体こういう相当の専門家を動員して専門的な見地から診査するわけですから相当の報酬を出さないと、これは時間がかかるのです。簡単に、学校の体格検査みたいにちょっと前とうしろだけ見て、目をひっくり返して口をああんとあけさせてそれで終わりというわけにいかぬと思うのです。これはおそらく生物学的な、あるいは心理学的な問題について、情緒の不安定な状態もこの時代から見きわめていかなければならぬことになるのですから、そういうものを幾らくらいの報酬を出して見てもらうことになるわけですか。
○大山政府委員 三才児の健康診査につきましては、予算上の積算の単価は一件当たり二十円ということになっておりますが、その積算の基礎といたしましては、お願いします医師一人一日五百円という計算になっております。それから新生児の訪問指導については、予算の単価は四十三円ということになっておりますが、助産婦を委嘱しまして回っていただきます場合には、一件当たり五十円という積算の基礎にいたしております。
○滝井委員 非常に専門的な診断をやるのに一件二十円、それから新生児の方はその家庭まで行って一件五十円、これではとても地についた政策はできないと思うのです。私はやはりこういうところにほんとうの厚生行政というものが——非常にいい法律はできるのですね。これも私たち大賛成です。とにかく日本民族の質を優秀にしようということですから。だんだん生まれる子供も少なくなってきたのですし、その生まれた子供の初っぱなから十分に肉体的精神的状態を見て、健全に育てるために三才くらいでもう一ぺん見る、そして学校にあがる前の六才くらいでもう一ぺん見る、そしてあがったらずっと学校で見ていくというように、そのときそのときに折り目正しく専門家が見ていくということになると、ずいぶん日本人の体質は改善されてくるのです。ところがこれが一件二十円とか、家庭まで行って新生児を助産婦さんに見てもらって五十円だということになったのでは、はなはだ失礼な言い分ですけれども、見る方は簡単に見てしまう。そんなに時間をかけて精密に検査をして、尿くらい持って帰って調べようかという意欲は起こらなくなってしまう。私は、こういうところに、こんないい法律を作って実施しようとする意欲が欠けてくるのじゃないかと思うのですよ。だから、そういう点はもう少しお考えにならないと、依然として新生児の死亡が乳幼児の死亡の六割を占めるというこのことの改善は私はできないと思う。それはおざなりに事務的に見るだけですよ、そうなりますと。四週間と申しますと、まあ十一日までくらいは産婆さんは沐浴に参りますから、そこまでは自分の範囲内ですからいいですけれども、それから先になりますと、これは、どうですか坊や、うまくお乳飲みますか、嬢ちゃんはかわいらしく育っていますかというくらいで終わる可能性があるのです。だから、そういう点についてはもう一段の努力をしていただいて、さあっと一ぺんまず荒ごなしは公私の医療機関で簡単に見て、そしてその中から問題がありそうなものはピックアップして、今度はほんとうの専門家が見ていく、その場合には相当の金を出すのだ、こういうふうに二段階制をとって、最後には相当の金を出して問題児を見つけてくるというくらいの熱意がないと、これはどうもいかぬ感じがするのです。しかも予算は、この三才児の方が、この前の会計課長の説明ではたしか二千四百万円くらいだったのですよ。その百三十四、五万のものを見るのに二千四百万円くらいで専門的に見てもらうといったって、これはなかなかなんですね。そういう点、ぜひもう一歩の御努力をお願いしたいと思うのです。 次に骨の関節結核の問題、これはみちのくみどり学園の問題以来ずいぶん私は問題にしてきた。ところが、ようやくこの骨関節結核にかかっている児童のほかに拡大をされてきた、その他の結核についてもやっていただくことになったのですが、この場合において、これらの結核児を収容する施設の問題です。これはやはり保護の施設というものに教育が伴わないと十分に結核児の対策というものは立たないと思います。これはすでに私たちがあの岩手県のみちのくみどり学園の状態を見て、ああいう施設を日本に相当作らなければいかぬ、われわれ選挙区とは関係ないけれども、しかしあれはやはり伸ばす施設だというので、ずいぶん児童局長さんの方には御無理を申しました。しかしそれが一つの契機になったかどうか知りませんけれども、さらにその他の結核にもこれが拡大をせられるとするならば、そこに教育的な施設もやらないと、これは問題だと思うのですよ。これは文部省の御協力を得なければならないと思いますが、こういう拡大をやった後における教育上の問題との関連はどうお考えになりますか。
○大山政府委員 従来カリエスについてやっておりました医療の給付と学習品費の給付、この制度を今回新たに一般結核にまで及ぼし、さらに、医療、学習品のほかに日常諸費につきましても給付を行なうことにいたしたわけでございますが、その場合、どのような結核児童についてこの給付を行なうかと申しますと、ただいまお話にありましたように、療養と学習と生活指導、この三位一体の指導ができている施設につきまして、指定して給付を行なう、こういうことにするわけでございまして、国立療養所その他このような療養機関について、あるいは養護学校を設けあるいは特殊学級を設けあるいは教員の派遣をお願いいたしまして、療養と同時に学習のできるような体制をだんだん広げて参りまして、そういう体制のできているところを指定して給付を行なって参りたい、かように考えております。
○滝井委員 ことしの予算を見ますと、そういう一般的な結核の児童療育費の補助として十分の八、二面ベッドを作ることになっておるようでございます。これは私は今までの日本にない新しい行き方だと思うのです。小児結核の専門のものはありましたけれども、こうして国がみずから積極的にやるのは多分今度が初めてだと思う。これは一体どういうところにお建てになってやるのですか。この前の会計課長の説明では、これはモデル的なものだ、こういうお話があったのです。そうすると、東京なら東京にどこかお作りになると思うのですが、そこで学習、療養、治療、そういうものができるような形のものをきちっとしてモデル的にお作りになって、そしてやはり全国的に拡大をしていく必要があると思うのですが、これはどういう運営をやられるのですか。
○大山政府委員 今回のこの制度は施設を新設するという予算ではございませんで、国立療養所なりあるいは国立病院、少年結核保養所といったようなところで療養しながらベッド・スクールでやっておるというところに対しまして、従来そういう子供が費用が足りないために学業途中で退院するというような場合もございますので、カリエスの場合と同様に、そういう一般結核児童につきましても、療養学習費、生活指導に要する費用の給付を行なう、こういうことにするわけでございまして、新たに施設を作るという予算ではございませんので、その点は御了承いただきたいと思います。 それで、二百ベッド分をとりあえず本年度の予算として計上いたしましたので、お手元に差し上げました参考資料の最後の四十八ページ、四十九ページに、現在カリエスのために指定してあります施設の数、ベッド数がございますが、これについて一般結核のベッドがございますので、これも指定の範囲に入ると思います。そのほかに四十九ページにありますように、まだ指定はされておりませんが、指定の資格を持った施設もございますので、これらを対象にいたしまして、適当なもの二百ベッドを指定する、こういう考え方になるわけでございます。
○滝井委員 ちょっと私、勘違いをしておりました。そうだとすると、これは非常に散発的に、各病院に——子供が入院をしているのはおとなほど多くありませんから、それではモデル的なものにはならぬわけです。それならばむしろ国立の、こういう学習もでき、療養もできるようなものを一カ所どこかにお作りになって——これは多分二百ベッドは千五百万円くらいの予算があったと思うのです。そういう説明を私記憶しておるのです。そうすると、千五百万円あればちょっとした子供の療養所ができますよ。もう少し金を足して教育施設もやってごらんになるという方がいいんじゃないかと思うのです。そういうものが今日本の子供には欠けているんですね。だからそういう点で私はみちのくみどり学園ですか、あれを指摘したわけです。あれはあそこで教育をやっていますからね。ただ国の助成が少ないために非常に四苦八苦しておる。しかし私はああいう施設こそ国がやるべきだと思う。これは私の勘違いでございましたが、むしろ私はそういう方向にこれを持っていくべきじゃないか、こういう感じがするのです。それならばこれは大して前進ではないのです。子供のベッドに幾ら幾らという補助金を幾分出すだけなら、進歩ではあるけれども、どうも集大成をした政策の前進にはならぬ感じがするのです。 時間がありませんから急ぎますが、第四番目に、児童福祉施設の一つとして情緒障害児短期治療施設、これについては河野さんからも御質問がありましたから、私は重複しないところをいくのですが、最近における非行の増加、特にハイティーンじゃなくてローティーンの非行の増加というものは非常に目立っておる。非行の目立っておるのは十四才未満の少年で、刑法に規定をする罪を犯した少年、触法少年の罪と申しますか、そういうものがふえておる。一方は改正をされた道路交通取締法の違反、これはもう双壁ですよ。この低年令の少年の非行が増加をしてきた。こういうことから新しい情緒障害児短期治療施設というようなものができることになったのじゃないかと推定をするわけですが、情緒障害というのは何ぞや。ちょっとこういうむずかしい言葉を近ごろ初めて聞くものですから、よくわからぬですが、何か児童の精神機能の各分野の情緒の発育の平衡を失ったりあるいは未熟であったり、傷ついていたりする状態を情緒障害と言うのだそうです。そうすると、こういう精神機能の各分野の情緒の発育が平衡を失ったり、未熟であったり、傷ついておるということが初めて社会的に問題になってくる時期は、いわゆるローティーンの時代、十一か十二の時代です。従ってその前の段階としての、精神力動学的に言えば五つか六つのときというものが非常に重要な段階だ。こういうことが心理学的にもあるいは刑法上の問題から見ても大事なことになってくるように思うのです。こういう五、六才の時代にこういう可能性があるということを早く把握できる方法があれば、これは一番いいわけですね。そういう問題の子供というのは、生物学的な原因と心理学的な原因というものがある。心理学的な原因が多いのですよ。こういうときの対策として新生児の診断、三才児の健康診断がある。そこで学校に行く前の四つ、五つの段階で、もう一ぺん今度は精神的機能を見る施策が必要になってくるのじゃないかと思うのです。これを一つ見つけると、学校に行き始めれば大体教師が絶えず監視をして教導していきますから、割合問題児というものはあがってきやすいのです。従って十二才ぐらいになると、ぐっとこれが出てくるのです。その学校に行く前の五つ前後の段階というものを一体児童局はどういう工合にお考えになっておるのか。
○大山政府委員 三才児の一斉健康診査におきましても、ある程度の精神薄弱という点は検査いたしたいと存じますけれども、その後の四才、五才のときも確かにお話しのように非常に大事な時期でございまして、家庭における親の教育その他によりまして、将来の非行の原因になるようなものがその時期に発生するということも考えられるわけでございますので、今後さらに対策を充実するという面で検討して参りたい、かように考えます。
○滝井委員 ローティーンになっていろいろ問題を起こしてからこれをとらえていくということになると、やはりなかなかむずかしい。その前に相当力を入れるべきだと思うのです。 今非行という言葉が出たのですが、この非行ということくらいむずかしい言葉はないと思うのです。非行とは一体何ぞやということを、ここにもちょっと書いたのがあるのですが、これを私もいろいろ考えてみたのですけれども、なかなかむずかしいのですね。まず非行の定義づけと申しますか、こういうことを考えてみると、何か犯罪行為をやる、これも一つの非行、それから触法行為、それから虞犯行為、こういうものは一括されたら非行になっているのです。ところがこれは、言葉は犯罪行為、触法行為、虞犯行為といわれておるように、どうも全部違うらしいのですね。少年法ができてから非行という言葉がいわれ始めたのですけれども、この定義が非常にむずかしいために、ある場合にはその非行をやった子供は警察に行っています。ある場合には児童相談所に行っているのです。ある場合には簡易裁判所に行っているのです。ある場合には警察にも相談所にもどこへも行かずに学校の先生がお目玉を食らわしておるというように、非行というものが非常にはっきりしないために指導のポイントがはっきりしない。それだけこれは非常にむずかしいのです。だから子供の問題というのを私も経験があるのですが、寄るときにはどういうところで子供の問題をやっておるかというと、PTAです。それから民生委員です。それから警察です。それから社会福祉協議会というようなところまで出てきます。それから学校の教師が出てきます。こういうようにみんな出てくるけれども、議論が沸騰して、どこかが責任を持ってこういうものはやっていくというところがないのです。そうしてそれらのものの間の連携も非常にうまくいってない。一体非行少年はどこから一番あがってくるかというと、警察からしかあがってこない。日本人というものは自分の子供さえよければ他人の子供はという気持がある。非常に利己的なところがある。ところが、自分の子供だけはいいと思っておったらあにはからんやその自分の子供が一番悪い子供だったという例が多い。うちの子はそんなことはいたしませんといっておったが、そのうちの子が先頭に立って悪いことをして一番先に逃げておった、こういうことなんですね。こういう点がやっぱりここの情緒障害の問題で私は一番大きな問題になってくるのじゃないかと思うのです。非行という場合にあなたの方で扱う非行はどういうところで扱うのですか。
○大山政府委員 非行の定義はお話しのように犯罪少年あるいは虞犯少年あるいは触法少年、さらにそれ以外に社会的にいろいろ不適応な児童、あるいはそういう行為を非行というように広く呼んでいると考えます。で、こういう非行の問題につきましての現在の行政の体系といたしましては、大きく分けて二つに分かれると存じます。一つは厚生省関係の児童相談所の系統、一つは法務省、最高裁関係の家庭裁判所の系統というように考えられるのであります。厚生省の児童相談所の関係といたしましては、十四才未満の児童の問題はすべて児童福祉法が優先して取り扱うということになっておるのであります。十四才未満の触法少年並びに虞犯少年その他の問題児童、これはすべて厚生省あるいは児童相談所の系統、それから十四才をこえますと刑事責任がありますので、犯罪少年につきましては家庭裁判所の系統になり、重い者は少年刑務所に行くということになるわけでございます。十四才をこえる虞犯少年につきましては実は両方の系統が競合しておるような形でございまして、重い者は家庭裁判所に行き、軽い者は児童相談所に行く。それぞれの窓口で扱いまして、ほかの方が適当であるという場合にはそちらへ回すというような体系になっておるわけであります。もう一度言い直しますと、十四才未満についてはすべて児童相談所の系統、十四才以上十八才未満につきましては、軽いものについては児童相談所、そして学校あるいは警察その他と連絡をとりながらこの問題を処理していく、こういう体制になっております。
○滝井委員 そうしますと、十四才未満が相当多数だ。ローティーンの問題というのはやはり十二才から十三才、このあたりが多いわけですから、児童相談所が一番問題になってくるわけです。そうするとその場合に一体非行の原因というものを見ると、非常に多様性、複合性があるのですね。今ちょっと見て驚いたのですが、十一あるんですね。これを見ますと母親の就労している者、欠損家庭説というのがある。低知能説というのがある。リクリエーション設備不足説、それから不良交友説、遺伝学説、体質学説、精神異常説、それから内分泌異常説、非行地域説、これはスラム街みたいなところでしょう。それから無技能説、結局子供は社会的な適応の技能がない、こういうことらしいです。それで十一あるのです。これだけのものがあるのですが、この児童相談所というものが一体どういうようにこれらのものを受け入れて相談をする能力を持っておるかということです。現在各都道府県における児童相談所の所長さんをごらんになると、これ全部普通の職員ですね。心理学をやった人はないのです。そうすると、今の原因を見ると十一あるのです。一つ一つ読んでみるとなるほどと思う。どれかに当てはまるんですね。それでやはり私は一つの問題として保健所を指摘をしました。いい政策ができる。しかしそこに受け入れ態勢がない。それから今度は、このローティーンなりハイティーンの問題をやっていく場合に、やはり児童相談所というものに軽いやつが殺到してくる。十四才以下の重い者も殺到してくる。そうするとこれはやはり取捨選択をしながら適時適切に指導をしていく態勢というものができてこないとどうにもならない。ところが今の児童相談所の実態は、おいでになってみるとわかるのです。私児童相談所をずっと勉強したことがある、経験があるのです。県の中央の児童相談所には大学教授クラスの人が一人おります。しかし末端の児童相談所に行くと、とてもこういう、むずかしい情緒障害の子供をさばき得る態勢にはないです。従っていいかげんといっては語弊がございますけれども、適当にそこに置いておく、こういう形になってしまうのです。こういう点に対する施策ですが、これも結局人間の問題になってくる。人間の問題はある程度予算を持って、その技能を持っておる人を配置することになってくると思うのです。しかしまあいろいろ冗費があるのですから、国鉄にしても、あとで電電の問題も出てきますが、莫大な予算がきまったのに、どこかから出してくる情勢があるわけです。だから厚生省でも何かむだがあるかもしれぬから、そういうのがありましたら、一つこういう児童相談所に、心理学、医学、こういうものを兼ね備えるくらいの優秀な何人かを、各府県には厚生省直属ででもやはり配置する必要があるのではないかという感じがするのです。そうしないと全部これはおまわりさんのところで処置してしまうのです。何回も、児童相談所からちょっとどこかに行って、出てくるとまたやる、またおまわりさんにつかまってまた行くということになるのですからね。これは何かいい対策がありますか。
○大山政府委員 お話しのように、非行問題を中心といたしまして、児童相談所の機構並びにその質の充実ということがきわめて大切であると私どもも考えておるような次第でございます。まず数が足りませんために、第一線でいろいろ問題の児童を把握するという面に欠けるところがあります。そのために、実際問題としてはやはり警察関係あるいは本人、家族、親戚あるいは学校といったようなところからの通告によって活動するという場合が非常に多いわけでございます。 なお児童相談所に協力する機関といたしまして、社会福祉事務所あるいは児童委員という制度もございまして、そういう方面からの連絡等もあるわけでございます。 それから職員の質につきましては、児童相談所の所長につきましてももちろん一定の資格がございまして、そういう方面の事業に経験のある者でなくてはならないことになっておるわけでございます。そのほか心理学者あるいは精神医学者、小児科の先生、その他保健婦、看護婦等を児童相談所に配置することに現になっております。中にはきわめて優秀な、りっぱな方がおられまして、非常に活動していただいておりますが、お話しのように十分そういう方が行き渡っているという現況ではございませんので、これらの点についてさらに努力して参りたい、かように考えます。
○滝井委員 この短期治療施設の整備費として千九百九十一万九千円を計上しておる。これは三カ所お作りになるわけですね。東京、大阪、名古屋という説明があったわけです。これはやっぱり情緒障害の子供がこういう大都市に集中的にいるわけですから、当然作るべきだと思います。その場合に、さいぜん何か機能その他をいろいろお聞きになっておったようですが、これと教護院との関係は一体どうなるのか、同時に、ここの人的構成というものは一体どのようになるのか。
○大山政府委員 予算編成のときにおきまして、一応三カ所の場所を東京、大阪、名古屋というようにいたしておるわけでございますが、これは府県に対する補助になりますので、現実にそういう申請のありましたところから選びまして、適当なものを三カ所きめるということにいたす考えでございます。 それから教護院との関係でございますが、教護院は相当重い程度の非行児童を収容いたしまして、現在では家庭寮といったような形でその更生をはかることにいたしておるわけでございます。こちらの短期治療施設の方は、そういう重い程度に至らない、非行のきわめて初期あるいはまだ非行にも至らない程度の情緒障害児、そういう者を早く収容いたしまして、早くなおしてしまうという考え方でございます。 それから職員の構成といたしましては、先ほどちょっと申し上げましたが、所長は心理学者あるいは精神医学者を考えておるのでございます。そのほか医師、セラピスト、指導員、保母、看護婦その他事務の職員というもので構成する、こういう考え方でございます。
○滝井委員 そうしますと、これは結局県で作らせて二分の一の補助金を出すということですね。こういうものを結局だんだん県におまかせしてしまって、二分の一はお前のところが出せ——そうすると人件費は県持ちですから、補助金を出すだけで、人件費は全部県が出すわけでしょう。そうでしょう。国が人件費を持ってくれるのですか。
○大山政府委員 措置費でございますから、八割出します。
○滝井委員 わかりました。そうしますと、これはむしろモデル的に三カ所くらい国がお作りになった方がいいのではないか。こういう非常に高度の、学問的な、しかも技術を要し、日本民族の将来に関係するような問題ですから、それを非常に視野の小さい、県に、一番初めにこういうものを作るときにまかせてしまう、そうして八割やるというならば、もう二分の一の金を足したならば、千九百九十一万ですから、国で二、三カ所お作りになる方がいいのですよ。それをモデル地区にして、それから今度全国に作ってごらんなさい。こういうことの方がいいのです。児童行政はどこか背骨がないのです。みな大事なところは、政策は立てているが、下にまかせてしまう。こういうことです。だから民族の次代を背負うものですから、国ががっと背骨だけは作るようにしていく。あとは地方自治体にまかせておってもいい。そういう政策をおとりになることが非常に必要ではないかと思います。厚生行政全体が予防という面について欠けている。同時に行政においても、子供の行政においては欠くるところがある、こういう欠陥があります。どうか一つそういう点も注意をしていただきたいと思うのであります。法案を上げることに急にして法案の内容をおろそかにするという国会であってはならぬと思います。それと同じです。やはり厚生行政も予防というものを前進せしめていくと同時に、児童の問題というものにも少し力を入れてもらう、こういう形をぜひ政府当局もとっていただきたいと思います。
○山本委員長 井堀繁雄君。
○井堀委員 質問の時間が得られませんので討論を行なうものでございますが、その前に、この法案の中にある新しい情緒障害児という言葉の意味についてお尋ね申し上げたいと思います。情緒障害児という言葉が用いられておりますが、この際明確に記録に残しておきたいと思います。もし他の法案にこういう言葉を用いられておりまするならば、この際それにおいて明らかにしていただきたいと思います。
○大山政府委員 情緒障害児の定義につきましては、先ほど滝井先生の御説明があったのでございますが、私どもの方は、言葉は違いますが、内容は同じことと存じます。一応心理学上の定義といたしまして、情緒障害とは、強度のコンプレックスにより、または精神障害により、正常な感情生活に支障を来たし、不安定になっている症候をいうというように考えております。この言葉を使いました法律というものは、私の承知しているところでは今までないというように考えます。
○山本委員長 これにて本案についての質疑は終局いたしました。 引き続き本案を討論に付します。通告がありますので、これを許します。井堀繁雄君。
○井堀委員 私は質問の時間をちょうだいする時間がございませんので、この機会に民社党を代表いたしまして、本案に対する賛成の討論を行なわんとするものであります。 本案の内容を検討いたしてみますると、本法律の持ちまする精神を十分補足するものでないことは申すまでもございません。きわめてこそく的な、一時を糊塗する不徹底な修正に終わっていると判断されるのであります。元来児童福祉の問題は、法律にも明文化されておりまするように、福祉国家の基本的な問題であるのでありまして、児童福祉事業を推進するということは、福祉国家にとりましては、国家はもちろん国民のすべての責任であると規定されておるのであります。わが党は、その意味におきまして、児童の心身がすこやかに成長できますあらゆる措置をこの際整うべきであるという、きわめて喫緊な政策の充実をはかるべき時期であると痛感いたしておるのであります。この意味におきまして、本案の改正があまりに微温的である点を遺憾に思うのであります。 一、二事例をあげてみますならば、たとえば乳幼児の死亡率あるいは妊産婦の死亡率は、はなはだ遺憾でありますが、諸外国に比較いたしましてかなりの高率を示しておるのであります。この一事をもっていたしましても、福祉国家を指向してすでに日本はかなりの年月を費やしておるのであります。また経済その他の事情もはるかに好転をいたしておるにもかかわらず、この基本的な施策に投ずる予算や具体的な政策、施策というものは、はなはだしく乏しいと思うのであります。この点におきまして、政府は一段とこの法案の修正とともにさらにこの辺に意を用いられまして、積極的な具体的な施策を行なわれるように強く要望をいたします。 第二の問題は、最近青少年の犯罪が非常に増加しておるのであります。しかもその質が、暴力もしくは性的な犯罪関係というものは目をおおうものがあります。さらに集団的な犯罪の傾向が現われてきておるということは、まことに国家のために憂うべきことでありまして、これらの悪質な犯罪を絶滅することができなくては、少なくとも児童福祉法を持っておるとは申せないと思うのであります。こういう点に対する徹底した施策を断行されることを強く要求をいたします。 第三は、児童少年の交通事故のひんぱんに起こっておるこの顕著な事実であります。これはもちろんこの法案のみに依存すべきではありませんけれども、少なくともこの法律が宣言をいたしておりますように、各般の少年保護に関する規則がこの法律の推進によって徹底をせられるように規定いたしておるのでありますから、この際政府はこれらの問題についても積極的な意図を盛り込んだ改正を行なうべきであったと思うのであります。こういう点に言及されておりませんことも、立法がいかに不徹底なものであるかを示すものでございます。 最後に児童福祉行政でございますが、法律の命じております福祉行政と現在厚生省のとっております行政の実態とを比較してみますと、かなりおくれをいたしておると、遺憾ながら申さなければなりません。その具体的な幾つかの事実があるのでありますが、時間の関係がありますから厚生省の反省を求める意味で申し上げておきます。特に児童及び母子の養護、保護に対する政策というものは、法律の命ずるものから見ますならば、かなり行政庁の措置というものはなまぬるい、きわめて糊塗的なものであると申さなければなりません。私どもはこういう施設を、すなわち児童のための福祉施設を徹底的に改善をはかり、あるいは増設すべきものは思い切ってこの際実行に移すべき努力を政府に強く要望いたしまして、簡単でありますけれども本案に対する賛成の討論をいたすものであります。(拍手)
○山本委員長 児童福祉法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山本委員長 起立総員。よって本案は、原案の通り可決すべきものと決しました。 なお、本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 御異議ないと認め、そのように決しました。 ————◇—————
○山本委員長 労働関係の基本施策に関する件、特に電電公社、日本国有鉄道及び郵政事業における労働問題について調査を進めます。 質疑を許します。島本虎三君。
○島本委員 労働基本権に関する問題につきまして、特に過日行なわれましたところの電電公社関係の処分が、解雇十六名、停職八十四名を含めた約八千名に及ぶ、かつてないような処分を施行したのであります。こういうようなことにつきましては、まことに労使双方ともに十分な反省の上に立って、今後の運動を進めなければならないことは申すまでもございませんが、ことにこの処分を発しましたところの電電公社等におきましては、なかなか……。 〔「委員長、定足数をそろえなければいかぬ」と呼び、その他発言する者多し〕
○山本委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○山本委員長 速記を始めて。島本虎三君。
○島本委員 公社では今回解雇十六名と停職八十四名を含んだ約八千名に及ぶ大量の処分をなしたことは、総裁初め皆様十分御存じの通りです。ところが今回のこの処分に対しては、参議院、衆議院ともに逓信委員会では十分論議をしながら、あくまでもその焦点が公社側とまたは質問者の間に一致点を見られておらない。ことに今回のこの大きい問題につきましては、労働基本権に関する重大な問題でありますので、この社労の委員会におきましても十分この問題に対しては徹底的に調査し、審議しなければならないという重大な段階にあるわけでございます。以上のような状態ですので、これから逐次私がお尋ねすることに虚心たんかいに御答弁を総裁以下各説明員並びに政府委員にお願いをしておきたいと思う。 まず第一番にお尋ねをしたいのは、郵政大臣が去る四月二十七日にこれははっきり申しておりますが、職場放棄や職務の場所を去ったりする違法な状態が生じた場合には、管理者といえども法に照らして処分をするということをはっきり申しておるわけでございます。今まで私どもが調べておりますところによりますと、組合側の処分のみが決定しておりますが、郵政大臣がせっかくこのように考えておられることを公社当局がどのように今まで調査し、これを実践してきたか、三月二十五日以来現在までのこの問題に対しての経過並びにいろいろな大臣の皆さんに対する要請、この問題について詳しくまず説明を願いたいと思う。
○大橋説明員 ただいまお示しになりました郵政大臣の談話なるものは私はよく見ておりません。直ちにその談話の通りであるかどうかということは、ここでお答えをいたすわけには参りません。
○島本委員 では申し上げます。昭和三十六年四月二十七日参議院で、これは逓信委員会においての小林孝平委員の質問に対する答弁でございます。これを総裁が知らないということはあり得ないことだと私は思いますが、いかがでございますか。
○大橋説明員 その席上には私たしかおりませんで、承っておりません。
○島本委員 その議事録はここにございますから、これを十分見ていただきたいと思いますが、まず第一番に、そういうような場合にこの重大な発言に対して——これは郵政大臣が公社当局にこのようなことをするということを明確に言っているわけですが、総裁以下これを知らないということはあり得ないと私は思うのです。郵政大臣のこういうような重大な発言に対して当局は知らないということに対しましては、どのようなわけなのですか。これはやはり私としては重大な問題だと思いますので、総裁にこの点をお伺いします。
○本多説明員 お答え申し上げます。 〔「総裁々々」と呼び、その他発言する者あり〕
○大橋説明員 私はただいま申し上げました通り、その席におりませんのと、その後さような答弁のあったことの報告に接しておりませんので、私は存じないということを申し上げたわけであります。
○島本委員 ここに郵政政務次官もおられますし、ことに総裁も、今私が言った通りでございますから、あとでこれを見ていただきます。 ただいまの大臣の答弁に対する総裁のはっきりした見解を伺いたいと思いますが、あわせて政務次官には、このようなことがあっても総裁が知らないということはあり得ないことだと私は思うのですけれども、こういうようなことはどういうふうなわけで通知されておらなかったのか、この点政務次官としていかように考えておりますか。あわせて御両者に質問を申し上げたいと思います。
○森山政府委員 ちょっと席を立っておりまして、一番最初のところをお聞きしておりませんので、ちょっと拝見いたしましてお答えいたしたいと思います。
○大橋説明員 もう一度……。
○山本委員長 島本君、もう一度おっしゃって下さい。
○島本委員 それじゃ総裁に総裁の見解を伺います。その他のことについては、直接小林委員の方から議事録についての必要部分を読み上げていただくそうですから、この点お聞き願いたいと思います。 これは職務放棄、職務の場所を去ったりする違法な状態が生じた場合には、もし管理者側に、管理者としての違法状態が生じたならば、法に照らして法規上の処分をいたします。これは郵政大臣が参議院の逓信委員会で小林孝平委員に対して昭和三十六年四月二十七日に答弁されたものである。これははっきりしたことで、疑義をはさむ余地は全然ない。こういうようなことに対して総裁としてはどのように考えますか。所感を伺います。
○大橋説明員 そのお話の内容については、私も同様の見解を持っております。
○島本委員 もう一回伺いますが、組合の方の処分はどのような根拠によって処分したものであるか。そのあとでなおこの議事録の点はもう一回入りますから、この点だけはよく考えておいていただきたいと思います。どのような根拠によって処分をなさいましたか。
○大橋説明員 私の方ではその内容のいかんによりまして、公社法によって処分する場合もあります。また公労法によって処分する場合と両方の場合がございます。おそらくただいま御指摘の点は、法によって処分された者は公社法によって処分されたことと存じます。
○島本委員 公社法によりますと、三十三条によって処分されたものであり、公労法によりますと十七条によって、解雇の場合には十八条によったものである、こういうように考えますが、その通りですか。
○本多説明員 その通りでございます。
○島本委員 もしその通りだといたしますと、ここに私として具体的な問題で聞いておかなければならないことがあるわけです。それは、今回の場合に信越方面で処分の方針としては、職場大会に参加した者、ピケに参加した者、またはこれを指導した役員——指導した役員の場合には参加、不参加は全然問わないものである。あわせて執行委員であるならば、当然これは阻止する責任があるから、阻止しない場合にも同様に処断する、このような理由によって処断してありますが、この方針には変わりないのか。
○本多説明員 お答え申し上げます。 職場大会は、無断の職場大会でございます。私ども再三警告いたしましたにかかわらず、これに参加した者は無断欠勤者といたしまして、就労の意思ある者は管理者のもとに集まるようにというふうに私どもは再三注意いたしておりますが、これに従わずに無断で欠勤をいたした者は、職場大会に参加するといなとにかかわらず、これは私ども当日時間内職場大会を行なうということが明らかでございますので、参加者とみなして処分いたしております。それからピケに参加いたしました者は、これによって管理者なりあるいは当日出勤者の出勤を阻止する態勢を整えておりますので、これも処分いたしました。それからまた分会の役員等におきましては、分会といたしましての機関上の責任といたしましてこれは処分いたしております。なお分会の役員等におきましては実行行為という面も考えて処分いたしております。
○島本委員 そういたしますと、もし執行委員として分会役員であるならばあるだけで、何もしなくてもこれは処分されるものである、こういうようになると、この処分に該当するような法令は何条になるのですか。これも具体的に……。
○本多説明員 お答えいたします。 私ども分会は、一つの組合の組織といたしまして分会内、すなわち大体におきましては局内の組織活動を推進する機関として執行委員会を持っていると考えておりますが、こういう執行委員会におきまして、本部等の指令で今回のような違法な組合活動を行ないました場合におきましては、たとい本部からの指令というような状況にありましても、組合員といたしましては違法な行為に携わる義務はないと思います。また組合の役員といたしましては、分会の役員といたしましては、そういう違法な行為についてはこれを阻止する義務がある、かように考えておるわけでございます。従いまして公労法におきましては十七条に該当するものと考えますし、公社法におきましては三十三条に基づく私どもの方の就業規則五十九条に該当する、かように考えております。
○島本委員 三十三条に基づく就業規則五十九条によってこれを処断したものである、これには間違いございませんね。 それともう一つは、公労法による場合には十七条である。そういたしますと、まず公労法の場合には、「職員及びその組合は、同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。又職員は、このような禁止された行為を共謀し、そそのかし、若しくはあおってはならない。」こういうふうにある。こういう条項に当てはまるのじゃないかと思うのです。何にもしないでおった者が役員であるからといって処断される理由は一つもないじゃありませんか。何条のどこにあるのですか。
○本多説明員 お答え申し上げます。 先ほどお話し申し上げましたように、組合の役員といたしまして、あるいは組合員といたしましても、違法な行為については、私ども公共企業体の職員といたしましては、公共企業体労働関係法のもとに規律されるのであります。違法な組合活動につきましては、これを阻止するなり、これに従わないという義務があると思います。従いまして、この十七条というものは、積極的にそそのかし、あおり、あるいは正常な業務を取り扱わないというふうにだけ解するべきものではないと考えまして、私どもはそういうことを阻止することをしないことによって、職員をそういうふうな行動に陥らしめた、かように考えております。
○島本委員 これはまことに、われわれはその点はどうしても理解できない。皆さんの方では、民主的な組合の運営等については、おそらくは労働省初め、それをいろいろと指導してまでも育成し、健全なる成長を望んでおるはずなんです。ところが電電公社だけは、そういうようなものであるならば、いつの間に組合の管理権が移ったのかわかりませんけれども、組合員がそれを阻止しなければ、善良なる公社員ではないんだという考え方で、阻止しなかった者をみんなこういうふうに十七条にあてて罰則を加える、こういうようなことであるならば、組合員の自主性というのはどこにあるのですか。組合員の自主性を、公社でははっきり管理権として持っているのですか。公社の組合というのはそういうものなんですか。組合の民主的な通常というのはどの点までを民主的な運営と考えるのですか。この点をはっきりあなたの見解を承ります。
○本多説明員 お答え申し上げます。 組合の正常な労働運動あるいは組合活動というものにつきまして、私ども干渉する意図はございません。しかしながら公共企業体の労働関係から申しますると、公共企業体の職員というものは争議行為を禁止されております。こういうような違法な争議行為を行なった場合におきましては、あるいは行なう場合におきましては、私どもそういうような違法な争議行為に対して注意を喚起する、必要な措置をとるということはいたします。(「その通り」と呼ぶ者あり)
○島本委員 全然その通りではないのです。全然知らないで、役員でありながら新婚旅行に行っておる役員があり、断然その場所を離れて、母の死によって喪に服しておる人もあり、出張中の人もあり、そこが全然わからないでいながら、おそらくは極刑これに過ぎるものはないと思われるほど、役員であるからといって処罰されておる。一体これはどういうことなのですか。それでもはっきりした根拠があって、これはどうしても出てきて阻止しなければならないとするならば、どういうような明文によって、それをあなたは義務づけるのです。これをはっきりして下さい。
○本多説明員 お答え申し上げます。 これは逓信委員会でも具体的にお話がございました。忌引になっておる、あるいは結婚旅行中である、そのようなお話でございましたが、忌引になっている者は争議が行なわれる当日の前日には局に出て参っております。十四日には忌引を終えて、新たに年次休暇をとりに参っております。それからなお結婚休暇をおとりになった方は、結婚休暇は争議の当日から三日間というふうに私は記憶しております。これは今回の争議につきましては、すでにもう中央執行委員会において拠点闘争、それから完全に業務をストップさせる闘争をやるということは明らかになっております。それからまた拠点についてはなるほど明確でございませんが、これはすでに十日の日には準備指令が出ておりますし、十四日になっては、その拠点というものは一県大体三局でございますが、こういう点ははっきりしております。そういうふうな重要な段階でございますし、すでに三月十六日の争議の前日に年休をもらいに来ておる者もございます。あるいは十五日から結婚休暇に入った者もございますが、その前にはこれはこういうような闘争についてわかっておるはずでございます。少なくともいやしくも分会のその局の組合員に対して組合として指導力を持っている方というものは、結婚とかあるいは忌引と申しましても、やはりこれもその組合指導上の重大な事件であろうと思います。従いまして、そういうような問題につきまして、私ども、それを知る機会がなかったというようなことはあり得ないと、そういうふうに解釈しております。
○島本委員 これはまた私としては全然理解に苦しむような答弁なんです。そうすると、執行委員であるならば準備ができただろう、前日の問題で、おそらくはその前日に予測できたから、それを阻止しないのが違法行為であるから、これを罰するのだ、こうだとすると、総裁、あなたに伺いますが、長岡の電報電話局で、これも当然管理者側の方でその前日以前にわかっておって、対策を講じたはずですが、あそこの電話の回線に弾器板の絶縁体を入れて、全部を不通にしたような事件があり、若干残してありましたけれども、それがまたむちゃくちゃであって、重大であると思われるようなものを切ってあったり、ことに国会議員である人の電話が切られてあったり、料亭やその他、ここはつけなくてもいいと思われるようなところへつけてあったり、ことにわれわれとしては理解に苦しむような、こういうようなことがすでになされておる。これももうすでに前日以前に管理者側の方でわかっておった問題である。一方組合の方にそのような厳罰処分を加え、管理者の方でわかった者に対しては、郵政大臣自身が参議院で答弁されておることを、あなたは知らないとおっしゃっておる。こういうようなことに対して公平なる措置だということが言えるかどうか、総裁に伺います。
○大橋説明員 ただいま御指摘の点についてお答え申し上げますが、今回の争議というものは、電電関係の争議としては実は今までなかったきびしい争議といいますか、指令が出ておるのでございます。従来の争議でありますと、職場大会をやる、あるいは一時間なり二時間なり時間内に食い込んだ職場大会をやるという場合にも、相当の人数の保留人員もしくは保安人員を残して職場大会をやれという指令が出ております。ところがこのたびの争議におきましては、保安要員、保留要員を一人も残さないで全部参加しろ、かような、私どもから言えば異例なほど非常にきびしい争議の指令が出ておるのであります。従いまして私どもとしてこのまま捨ておくわけには参りませんので、できるだけ早くあらかじめそれに手当をして、少なくとも管理者層、あるいは近傍の局の管理者層までも動員して、少なくとも保安の人員はぜひそこへつけたい、かように手配をいたし、それでもなお保安に差しつかえる場合には、非常事態としてある程度の電話の差しとめといいますか、切断をなさざるを得ない、かような準備をしたことは御説の通りであります。
○島本委員 執行委員として分会役員であるならば、いてもおらなくてもこれは阻止する権利があるから、積極的に阻止しないということは罪に該当するのだ。その具体的説明は今職員局長が言ったように、前日にわかっておるはずなのに、やらない者に対してはこのような罰則を加えるのだ。そうすると、同じような状態でもうすでに前日以前にわかっている管理者側、あなたの部下に対しては同じような違法行為と思われるような措置を、たとえば弾器板に絶縁体を入れて回線を不通にしてしまった。残すものだけは残したけれども、とんちんかんな残し方をして、いわゆる皆さんの方でやっている別表十による規則で規制しているそのものに相反するような切り方をした。このようなことに対してはあえて目をつぶるのかつぶらないのか。公平に扱うならば、前者も前者ならば後者も後者じゃないですか。あとの管理者側の方をそのままにしておくならば、知らないでいた人、そういうようなところまで及ぼさないで、考えてやったらいいじゃないか、これがおそらく愛情ある措置じゃなかろうか、これは当然じゃないか、私はそう思って聞いている。その公社側のそのときの局長の説明だけを求めているのじゃない。そういうようなこともあるから、おそらくは出張中に処分された人なんかもある。そういうような問題に対しては十分調査の上で措置いたしますということを郵政大臣は参議院で答弁なすっておるのです。こういうような状態であるから、公社の方ではその後十分調査され、このような問題に対しては適正なる一つの措置をしたのじゃなかろうか、管理者側に対して、こういうふうに思って今聞いたのです。今までこういうようなものに対しては十分調べ、措置したことがないのですか、あるのですか、これからどうするのですか。
○大橋説明員 御質問の点は二つの点が問題だと思うのです。前段の問題は、前から指令を出したそのことに関する公社の組合の役員の責任あるいはそれを阻止しなかったことの責任ということ、それから当日大体ストライキと見るべきもの、時間内の職場大会をやるという指令を出したことに対して、あとの仕事のかまえを準備したということ、この二つのことが形において——いかにもあらかじめ何か事をやったことが同じようなことに見えますけれども、私どもから見ますれば、このたびの組合の指令はストライキの指令であって、私どもは、これは違法な指令と考えております。違法な行為と考えております。(「ストライキじゃないだろう」と呼ぶ者あり)それは言葉はストライキという言葉は使いませんけれども、実質的にはストライキと同様なことをやっておる。従ってこの指令をあらかじめ出したこと、またその指令を阻止しなかったということの責任と、これによって公益的の電話の仕事が全くストップしてしまった、あるいは保安上にも支障を及ぼすというような事柄に対する手当をあらかじめ講じたということ、これは何ら違法のことではないのでありますから、合法的の行為をやったもので、二つ同様に取り扱うことは私はできません。
○島本委員 では、積極的に阻止しなかったという行為が悪いというならば、それは郵政大臣の考えですか、総裁の考えですか、職員局長の考えですか、労働者から出された統一見解ですか、このいずれに該当しますか。 〔委員長退席、齋藤(邦)委員長代理着席〕
○本多説明員 私どももさように考えておりますし、これは判例もございます。従いまして、労働省なりほかにおきましても同じ見解であろうと考えております。
○島本委員 その判例なるものを読み上げてはっきり示していただきます。
○本多説明員 たとえばこれは品川白煉瓦不当労働行為棄却命令取消請求控訴事件というものがございまして、これは昭和三十一年九月二十九日の東京高裁の判決文であります。それはなお最高裁におきましても、三十五年六月二十四日にこれを支持する判決が出ております。その中の要点だけを申し上げますと、「本件争議についても、反証のない限り闘争委員において企画し、指揮し、あるいは実行したものと認むべきところ、この地位にある闘争委員は争議にあたり、組合員の組合活動が許された正当の限度をこえることのないように万全の注意をなすとともに、いやしくも違法な争議行為がなされていることを知り得たときはこれを放置することなく直ちに阻止するにつき、有効適切な処置をとることを要するものというべく、闘争委員がみずから違法な争議行為を企画し、指揮し、実行する場合はもちろん、違法な争議が実行されていることを知りながら、これを阻止し得るにかかわらず、放置して制止しなかった場合にもその責任を負うことを要するものというべきである。」かような内容でございます。
○赤松委員 関連して……。その争議の経過は調べればすぐわかるのだけれども、おそらく何らかの刑事事件が相伴って発生したと思われる。しかもその判例を出す場合には、前段の裁判所の見解というものがそこに示されておる。君らは都合のいいところだけばっと抜萃して、そこだけ読んでおるわけだ。さっそくわれわれは判例を調べるけれども、それにはちゃんと前段の裁判所の見解というものが出ておるはずです。しかもここで考えなければならないことは、品川白煉瓦でやったストライキ、これは憲法二十八条によって行なわれたストライキなんだ。ストライキそのものが犯罪になるということはあり得ない、そうでしょう。ストライキをやったから犯罪になるということはない。これは合法的なストライキなんだ。ただ今度の場合は、さっそく大橋総裁はストライキだ、争議だということを言っておるけれども、勝手にストライキという指令を出したことがあるか。しかも公労法を作るときには、澁谷君がおるけれども、これはGHQの指令で作られた。そのときにGHQに行っていろいろ折衝した。そのときのGHQの見解は、前段の争議行為を行なってはならない、あとのいわゆるそそのかし、扇動してはならないという条項を作るときに、われわれは司令部の意向を聞いた。ところがそのときに司令部が言ったのは、これは内部の問題ではなしに、外部の共産党の扇動を押えるために作るのであって、内部の労働組合の正常なる活動を阻害するのではない。それを罰する考えは全然ないのだ。従ってそこには行政罰だけで、刑事罰というものは抜いた、そういう経過がある。それを今日では、そそのかし、扇動するというのは、これを全部内部の正常な組合活動の上に当てはめて、憲法二十八条が許しておる団体行動権を否認しているではないか、あるいは労働組合法の団結権を否認しているではないか、そういう傾向は最近顕著に現われている。ILOの国際労働憲章を読んでみろ、憲法二十八条をもう一ぺん読んでみなさい。どう書いてある。従ってその職場大会が公社の規則に違反するとかしないとか、そんなところから問題を考えていくのではなしに、憲法二十八条の立場から団体行動権をどのように見るか、そういう見方をしなければならぬ。そうしなければ労働運動というものを正常に理解することはできぬのです。君のように公社に規則がある、だからその規則に従わないから首を切ったのだ、そんな解釈で労働運動というものを律することができるか。そこで、これはこの委員会で公労法ができてから何度も東大を初め各方面の学者を呼んで労働基本権の問題をいやというほどやった。そのとき学者の一致した意見は、指令権の中にいわゆる一般的な取り締まりの刑法的な要素を入れてはいけない、指令権というものは尊重されなければならぬ、しかも公労法というものは指令権には及ばないのだ、それが大体学界の一致した意見なんだ。君の方は指令権を否定するばかりでなしに、その指令に従って執行機関でもって決定したこと自身が違法行為だ、というようなことを言うのは、これは大へんな間違いだと思う。当然上部から指令がくれば労働運動だから、労働組合なんだから、その上部の指令に従って機関決定をすることは当然じゃないか。しかも先ほど君の発言の中にピケが何か違法行為であるようなことを言っておる。ピケッティングというものが違法行為であるという議論は僕は初めて聞いた。ただそれが暴力を伴ったピケであるとかないとかいう場合は問題だ。しかしながらピケというものは説得行為なんだ。合法的に許されておる。この委員会でピケは違法行為であるという決定をしたことがかつてありますか。自民党の諸君だってそういうような見解を持つ者はない。ピケが違法行為だなんということはとんでもないことだ。ピケは正常な労働運動の団体行動権の一種だ。基本的人権の一つだ。そのカテゴリーの中に入る権利の一つなんだ。一体ピケがどうして違法行為なんだ。それを明らかにしたまえ。
○本多説明員 前段のお話にございました団体行動権につきましては憲法二十八条に団体行動権ということがございますが、この憲法で認める権利も私は公共の福祉、そういうような点から行使すべきものである、これが憲法の精神だと考えております。これについてはいろいろ御意見はございましょうが、私はさように考えております。従いまして公共企業体におきまして争議権というものはこれを禁止しておるのは御承知の通りだろうと思います。それで、民間におきましては争議権というものがございます。従いましてそのピケというもの、平和的な説得という意味におけるピケは認められておることだと思いますが、公共企業体におきましては争議行為自身が禁止されておるのでございますので、従ってこれを有効的に行なうためのピケというものは違法行為である、かように考えております。
○大原委員 関連質問……。私、今途中から聞いたのですけれども、今のあなたの御答弁は労働者の基本的な権利の問題と公共の福祉の問題についてであったと思います。私、聞き間違っておってはいけないからもう一回ちょっと聞いておきたいのですが、いわゆる公共の福祉に違反をする、そういう行為について処罰をすることは当然だ、こういうことを今言ったのですね。
○本多説明員 私が申しましたのは、憲法の諸権利というものは、これは公共の福祉という観点から行使さるべきものであるというふうに憲法にある、かように解釈しているということであります。ただ、私どもの公共企業体の労働運動といたしましては、公労法の十七条で争議行為が禁止されておると考えるわけであります。
○大原委員 あなた、言葉をもてあそんではいけないですよ。日本においては戦前はそうであった。アメリカやイギリス、その他におきましても十八世紀まではそうであった。労働運動、ストライキは犯罪の対象であった。あなたのはそのときの考えです。そういう中から基本的人権としてそういうものが認められるようになった。新しい日本の憲法は一九四六年にできた。一九四四年に労働憲章ができておる。それに基づいて労働基本権に関する諸条約が次から次へと締結されておるのです。八十七号条約は日本がそれを国際的に批准する場面にきているわけです。批准しなければいけなくなってきておる。それだけでなしに当然日本が再加盟を許されて採択された百五号条約は、もう採択されてから十八カ月過ぎておる。そういう思想が一貫しておるのです。公共企業体であればあるほど、そういう憲法とか近代法の精神に従ってやらなければならない。あなたの見解みたように、労働基本権と公共の福祉とを対峙したような解釈をすることは憲法に違反しますよ。憲法のどこの条文にどうあるかということについてのあなたの見解を条文に即して言ってもらいたい。 〔齋藤(邦)委員長代理退席、委員長着席〕 多説明員 憲法の十二条と思いましたが、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責を負ふ。」かようになっております。
○大原委員 それがどこに労働基本権の問題に関連しておるのですか。労働基本権の問題と関連しておるとどこに書いてあるのですか。
○本多説明員 「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、」ということでございますから、かように解釈されるものと思います。
○大原委員 しかし、その前には、労働基本権は侵すべからざる権利であると書いてある。だから公共の福祉の中にこういう労働者の基本的な人権を認めるということ自体が、個人的な自由権から社会的な自由権へと、私がさっき質問のときに言ったように、準展した中において確立されて参りましたのが百五号条約である。あなたがそれをこじつけて、公共の福祉と労働基本権とを対峙しておることに基本的に誤りがあると思うのです。 〔「見解の相違だ」と呼ぶ者あり〕 見解の相違ではない。ちゃんときちっと憲法論ではっきりしておるのですよ。あなたのそんなこじつけの答弁によって、しかもこれから当然引続いて批准しなければならない百五号条約に違反してそういう事実を積み上げるということが労使関係を混乱させるもとである。だから処分と実力行動の悪循環をかもし出しておる。当然認めるべきものは認めなければならない。でなければ筋は立たない。これが社会的基本的な人権の思想です。これを無視して公共の福祉というものはない。権利とか賃金とか生活というものは一体なんです。私は関連質問ですから深入りはしませんけれども、あなたの考え方はまるっきりさか立ちしておるようなものです。
○島本委員 ただいまのような考えに立って処分された。こういうことに対してまことに重大だと思っておるのです。しかし、この中には出張や婚礼や忌引中の者もあるということは初め言った通りで、これは皆さんも認められておる通りなんです。そうすると今いろいろ申しましたように、役員であるならばどうしてもこれを阻止しなければならない義務があるのだというこの考え方から、当然出張、婚礼、忌引中の者までも処分されるということ、これは総裁も大臣も、あなた自身の考えでこれは何でもやったらいいという問題ではないわけです。今判例があるかと言ったら、とんでもない争議の判例を出してきて、民間の争議の一つのデータをあなたはお示しになったのですが、しかしながら私が、労働省としての見解、こういうものに対してはっきりした指導の立場に立った通牒、通達、こういうふうな見解の統一されたものがあるか、これに対しては、過日、今月の十日でございましたか、いわゆる逓信委員会で皆さんが質問に答えられた中で、あなた自身も、職員局長自身も言及されたはずです。労働省見解の第三八二一号、これはもうすでにあなたのところで検討されておるはずです。こういうふうなものに対して、今、有給休暇をもらって休んでおる者またその他その場で当然な仕事をしておって——出張中ということでその場所にいない者、または夜勤であって昼は休みますから、当然これは休んでも勤務に全然実害のない者、こういうような者まで処罰の対象になるということは、労働基本権上重大な問題なんです。労働省が出している第三八二一号、これに対してあなたが考えておる見解をはっきり申し述べていただきたい。
○本多説明員 この前逓信委員会で委員の方から三八二一号のお話がございまして、私研究させていただきました。これは年次有給休暇を与えることを使用者が承認した後においても労働者がその日に行なわれた争議行為に参加した場合には、使用者はその日を年次有給休暇として取り扱わなくても違法でないという労働省通達であるというふうに考えております。従いましてこれは使用者側がその賃金支払い日に、そういう争議行為に参加した場合に年次休暇を取り消して、その日は賃金カットしてもよろしい、かようなものであると考えております。それでこういうふうな年次休暇を取り消して賃金カットしてよろしいということと、争議行為の処分ということは、これは別問題だというふうに私どもは考えております。なるほど民間におきましては争議権はございますが、私どもの方は公共企業体の職員及び労働組合におきましては、御承知のように公労法十七条によりまして一切の争議行為が禁止されているわけでございまして、そういう勤務時間中に職場を放棄して集会を行なうという、いわゆる時間内職場大会というようなものも、これは業務の正常な運営を阻害するという意味におきまして、これは違法な行為でございますし、また私どもの就業規則に違反する行為でございます。今回の場合におきましても、公社は職員に対して違法な争議行為、違法な時間内職場大会というものに参加しないように、事前に十分、再三これは警告を発しておりましたが、こういうような違法行為に参加した者に対しまして、年次休暇をとってそういう時間内職場大会に参加したというような場合におきましては、あとでわかれば、その年次休暇を取り消すということは、これはこの精神からできますし、賃金カットということもできます。そういう意味のこれは規定でございます。そういうような状態におきましては、時間内職場大会に参加したということは違法な行為である、そういうふうなものを取り消した場合におきましては、違法な争議行為である、さように考えております。
○島本委員 今あなたが言った、争議に参加した場合には使用者はその日を年次有給休暇として取り扱わなくても違法ではない。しかしこれは争議ではない。従ってこういうような場合には違法ではないということは、処罰の対象になるということではなくて、労働省に本日確かめた私の見解によると、それは賃金をカットしてもしなくてもよろしいということであって、それ以上の処分はここにうたってないのだ。あなたはこれも、賃金カットしたほかに当然これは処分の対象になるというところまで拡大して解釈されておる。こういうようなことに対しては、まことにこの三八二一号に対する重大な考え方の違いではないか、こういうように思うわけです。
○赤松委員 議事進行。今島本君の意見と当局の意見と食い違っております。これは労働者を呼ばなければ——労働省の見解について両者の意見が違っておるのであるから、労働省の労政局長の出席を求める。それまで暫時休憩を願います。
○山本委員長 ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○山本委員長 速記を始めて下さい。島本虎三君。
○島本委員 今質問をしておりましたことはすべて郵政大臣にも関係のあることばかりでありまして、公社の問題でも、それをはっきり指導しなければならない責任を持っている大臣です。ことに大臣の場合には、四月二十七日の参議院の逓信委員会等におきましても、管理者側に管理者としての違法状態が生じたならば法に照らして法規上の処分をするのだ、こういうようなことまではっきり大臣は言っておる。ただ公社の方ではこのような組合員の処分のみははっきり出ましたけれども、依然として今大臣がおっしゃったような管理者側のものは出ておりません。公社の方の意向を聞いても、調べておらないかのように聞こえるわけです。そうすると、せっかく親心をもって大臣がこのように答弁されたことを公社自身が実施されないということになると、重大な綱紀粛正の問題にもなるのじゃなかろうかというふうに思っているわけです。私としては、大臣がせっかくそこまで考えてこの問題に対して労使対等の立場から今のような発言をなさっておるわけでございますけれども、大臣がこのように言っていることを公社総裁が知らない、全然聞いてもおらないというようなこと、つまり大臣が責任を持って答弁されたことを公社総裁その他公社機関に知らせなくてもいいものであるかどうか。せっかく大臣が小林委員を納得させ逓信委員を納得させたこのような発言を、公社総裁は全然知らない、さようなことは聞いてもおらないというような答弁が先ほどあって、われわれとしてはまことに危惧の念を持ったわけです。こういうことはどうなんです。こういう問題は、大臣自身の言いっぱなしということはあり得ないはずです。大臣は、せっかくあなたのおっしゃったことを公社が知らないということに対して、どのようにお考えでございましょう。
○小金国務大臣 ただいま御指摘になりましたような点は当然でありまして、管理者は管理者としての責任と義務があり、労務者は労務者としての責任と務めがございますから、双方とも違法状態が生じたものについては、それぞれ事実を調べて事実に即応した処置がとらるべきであるということを私が申しましたので、それは電電公社の方にも通じておるはずであります。これは電電公社の副総裁あるいは職員局長が同席のもとに申しておるのでありまして、もしそれが通じておらなかったとすれば、私としてはまことに申しわけないことだと思います。
○島本委員 これは今のように職員局長が聞いておる、また同時にこの問題は副総裁も聞いておる。それでいながら、こういう大事な問題についてなぜ総裁に知らせないで、こういうような場所で私は全然知りませんでしたというようなことを言わせるのです。こういうようなこと自身があなたの責任じゃないですか。こういう問題に対しては、当然何はさておいてもまず総裁に知らせておくのが総裁のもとに仕えるあなたの当然の務めじゃないかと思うのです。あえてこういう場所に来てまでも総裁を知らないような状態にしておいて、あなたと副総裁の手元だけでこういうような問題を処理しておる。すべての業務の点も同じような状態なのですかどうですか。大臣の前であなたにはっきり言っていただきます。
○本多説明員 この問題につきまして私が総裁にお話し申し上げなかったことはまことに申しわけなく存じておりますが、私といたしましては、地方の通信局長に聞いておりまして、これをお答え申し上げますると、これもほかの委員会の席上で総裁からお答えをいたしたと思いますが、十六日前後のいろいろの団交それから十七日の争議状態というようなことで、管理者も年令の高い者も相当おりますので、あるいは血圧が高いとか非常に疲労状態にあるというようなことで、それから引き続いてすぐに局に出なかった者もございますが、これは通信局がみな所在ははっきりいたしております。そして通信局がいろいろ執務上の連絡はいたしておりますので、いわゆる職場放棄というようなことはないと思います。また、病気でない、そういう過労というようなことでない場合におきましても、あとの処分撤回闘争等におきまして、集団的な交渉あるいはうちまで組合の者がやってくるというようなこともございまして、その後の管理者の執務ということを考えまして、出局いたさないでほかのところにいた、それは通信局も承知しているというようなことがあったことは事実でございます。
○島本委員 これは特に大臣に聞いておいていただかなければならない。今回のこの処分が出たということにつきましては、だれが考えてもこれは不当なるものであろう、こう考えて、それぞれの立場でこの不当性の除去のために行動をされておることは御存じの通りなんです。ただ、私どもが今の大臣のようなたんかいな気持で言うならば、一歩下がって、総裁が知らないような状態に置いてはいけないはずのものである。あなたと副総裁だけでこういうような問題はやるのだということは、公社のいろいろだ職責上あってはならないはずです。こういうような問題は、私どもとしては一つの怠慢に類するのじゃないかとさえも思うのです。これが処分に該当するかどうかは今後郵政大臣によってきめなければなりませんが、ことに十五日の異常なる行為と申しますか、このような処分が出る以前、おそらくは徹夜で本部と交渉されておった副総裁が、私どもが聞いたところによりますと、突然席を立って団交を拒否するような行動があった。そういうことがあったとすると、こういうような行為を招いたのは、すべて副総裁と皆さん方に責任があるのじゃないかとさえも思うのです。どうして団交を拒否してまでも、平和的な話し合いを拒否してまでもこういうような事態になったのか、どうして席まで立ってこういうような事態を招かしめたのか、大臣、これは十分考えておかなければならないはずの問題なんです。ところが、大臣が言った、いわゆる管理者側、こういうような方面に対してはまだ調べておらないかのようで、一つもそれに類するような行為があがっておりません。しかし私どもの方では、この長岡で起きたあのような行動については、たとえばここにおられる小林進委員も長岡に家があって電話を有し、東京におってこういうような状態について一番心配した一人ですが、突然電話を切られてしまって全然通じないような状態があったわけです。そしてそれを切った際に、これは当然別表十によってこれを切ったと言いながらも、料亭が残っておったり、そしてそこは行きつけのところであると逓信委員会ではっきり答弁されるにおいては、やはりわれわれとしても釈然としないものがあるわけです。それと同時にこういうような問題をもう少し突っ込んで調べてみましたところが、当然別表十にあるところの気象通報機関であるとかまたはガス関係の供給関係であるとか、こういうようなのは優先一順位、二順位にあるのですが、そういうようなところさえも切られてしまったのです。それが管理者側に責任がない、すべてこういうような行為は労務君側の責任であって、——労務者とあなたは言ったが、われわれは普通労働組合員と言っておりますが、こういうような組合員の方は、幹部であるならば黙っていて、当然自分がどうにもできないものを、新婚旅行であるとか忌引であるとか出張中であるとか、そういうような人であっても当然知っているはずであるから、阻止する行動を積極的にとらないのが罪に該当するんだというので処分されておる。こういうようなことはどのように拡大解釈をしてもこれは不当だと言わざるを得ない。一方においては当然やる義務を果たしていない、それがまた組合員の方からは団交をかけられるとかいろいろなことをおもんぱかって姿を現わさないし、所在がわかっておるのだ。そう言っておきながら、今度こういうような問題について意見があるならば上司に言ったらいいだろうと言っておる。上司とはだれか、局長だと言う。局長がいないのに不当なる処分の救済を何によって求めるのか、苦情処理機関では取り上げないと言っておる。あなたがせっかく考えてくれたことを、下部の方ではこれを実施しないということが現実の面で起きているわけです。大臣、こういうようなことがあっていいものですか。もう一回はっきりした御答弁を伺いたいと思います。
○小金国務大臣 ただいま申し上げましたように、私は管理者たると労務者たるとを問わず、違法であった、あるいはまた勤務規定に違反したような場合は、処罰、処分は別として、それぞれの責任の所在を明らかにすべきものである。従いましてただいま御指摘のようなことについては、電電公社は直ちに各通信局長にそのことを命じて、事実がまさしくあり、またはっきりした者についてはしかるべき処置をとれというふうな処置をしたということは、私は副総裁から聞いておりますので、なおまた遺憾の点があればこの際あらためて電電公社としてとるべき措置をとってもらおうと思っております。
○島本委員 大臣もう一つ。そういうような形が考えられておりますことは、われわれとしても十分理解ができるのです。当然そういうふうにしてこういうような事態を早く昔のような状態に復帰させなければならないし、これは電電公社自身がもうすでに五百億をこえるところの企業利潤を生んでいる。これは総裁の能力によるところもあるだろうし、監督機関であるところの大臣の指導よろしきを得ているところにもよるでしょう。しかしながらその中で働いておる職員自身の汗の固まりであるということも考えないといけないと思うわけです。この職員に対しては今言ったような仮借なきまでにこれを追って、今度はそれでおさまってこれを収拾する段階であろうかと思ったら、検察庁と話し合いの上かどのようなことか知りませんが、告発をしているのです。告発しているのが現地の通信局長です。大臣、せっかくあなたが収拾しようと思っていることが、下部末端の方に参りますと、責任者の名において今度は火に油を注ぐように、現在告発事件が起きているということを御存じですか。こういうような問題に対して、あくまでもこれで妥当だというふうに大臣はお考えでしょうか。この点等についてもっと慎重に考えた上で対処しなければならないはずですが、大臣はこういうような問題について御存じでございましょうか。
○小金国務大臣 詳細なことは、私自身としてはまだ報告を受けておりませんけれども、労働者の争議に関連して起きたことが刑事事件になるようなことはきわめて不幸なことでございますので、なるべくそういうことがないように私は希望いたしますけれども、しかし現実の個々の事例につきましては、どういうことが起こりましたか、私まだつまびらかにはしておりません。しかしなるべく島本さんのおっしゃったように、早く労使関係が穏やかな状態に返って、ただいま島本さんのお言葉にもありましたように、国民へのサービスを精進していただきたい、こういう考え方を持っております。総裁以下電電公社の幹部もおられますので、私の気持は十分わかっていただけると思います。個々の問題については私まだ詳しいことは承知いたしておりませんけれども、総括的に申し上げればこのような考えを持っております。
○山本委員長 田邊君。
○田邊(誠)委員 今回、ただいま質問いたしておりますところの電電公社と相並んで、郵政職員に対しても大量の処分が出されました。郵政ばかりでなく、その他の公社職員あるいは国家公務員に属する職員に対しても大量の処分がなされましたけれども、これらの処分を総体的に見ますと、二十七年から昨年、三十五年までの間に出されました処分の全体の数と匹敵をするほどの大量の処分であります。その中でも特に郵政職員に対してなされた処分は、解雇者五名、懲戒免職十三名を含むところの、約一万名になんなんとするところの処分をいたされておるのであります。これはきわめて重要なことでありまして、おそらくこの処分によって池田内閣が主張をし、声明をいたしておりますところの正しい労使関係による民主的な政治を行なうという基本方針は、根底からくずれていると私どもは判断せざるを得ないのであります。 そこで今監督の立場にある電電公社に対して、郵政大臣はいろいろと御意見がありましたけれども、今度はみずからが所管をいたしておるところの郵政省の職員に対してなされたとの処分に対して、当然の考え方があろうと思いますけれども、今回の処分は一体どういうような考え方で、どういう根拠に基づき、どのような方針でもってこれをされたのか、大臣の所見を承りたいと思います。
○小金国務大臣 ことしの早春から相当大きな職場大会あるいは半日ストライキをやるというふうなことを聞きましたので、これは大へんなことである、ことに郵便の遅配は慢性化しておる、郵便事業の危機だとまでいわれておりましたので、私は労働組合の命令もさることながら、まず個々の組合員であると同時に、日本人であり、官業に従事しておるサービス・マンであるという自覚に基づいて行動してくれということは、申し入れ、警告数回に及んでおります。そしてことに今回の下市、上市を中心にしたあのときの郵便局における時間内職場大会というのは、非常な郵便遅配の国民的非難のただ中でありましたので、お互いにこれは管理者も労務者も注意したいという立場から、再三注意も警告もいたしました。そしてこれは決して好んで処分するものでもない、お互いに冷静に行動して、その場合において法律上の違反問題等が起こったときには、厳罰主義をもって臨んではいけない、冷静に、違反事実が起こったならば、その事実に適応するところの法律なりあるいは命令なりの処分をするのである、しかしながら個人としてもこの際よく考えてくれということを申し伝えておきました。そういうようなことにもかかわらず、相当な数に上る時間内職場大会が行なわれて、職務がある程度放擲されて国民に大へんな迷惑をかけた。これは私はひとり労務者だけを責める気にはなりません。私自身の不徳のいたすところであると、深く自分自身も自戒して、そしてこれはやむを得ない、世間で考えられるような、また一部の人が言われるような気持で処分したんじゃない。私の直接の部下であります。それにどうしてただいいかげんなことをしろと管理者である自分の部下に命令することができましょうか。これは再三自分自身も考え、そのために数回の申し入れもいたしました。しかしこうしてお互いに自戒自粛して、郵政事業の国民的信頼を回復しない限りには、これは悪循環になるというような心境でやりましたので、私は数が幾らになるかとか、どういう被処分者が出るというようなことは予想もしておらないし、なるべく少ないことを私自身は念願いたしましたが、不幸にしてこういうような多数な被処分者を出したことは、私自身が非常に恐縮をいたしておる次第でございます。 なお事実の間違った点もそれぞれ申し出があったようであります。たとえばもうすでに組合支部の役員等をやめておられたのに届出がなかったのでその機関責任を問うたというような申しわけのないこともありましたので、これらはわかり次第即刻五件ほどか取り消したそうでございます。そういう状態でございます。
○田邊(誠)委員 今大臣がお話しになりましたけれども、あなたは重い処分を出そうという考え方でなく、そしてまた組合に対しても再三にわたって申し入れをしたというふうに言っておりまするけれども、実際今あなたの御答弁になりました気持が真意であるといたしまするならば、その真意と具体的に現われた結果とは全く相離れているのであります。今までの組合がやって参りましたところのいわゆる組合の正常な活動としての戦術の面から言っても、戦後長い組合の活動の中でもって決して特異的な戦術を今年春に行使したのではないのであります。にもかかわらず内容はきわめて過酷にして大量な処分がなされた、こういう状態であります。しかも今大臣のお言葉の通り、その中には全く実は法に照らしてみても誤りであり、全然関知せざるところの人々が処分をされておるという事実も、あなた自身が今発見をされておる状態であります。いかにこの処分の内容がでたらめであり、無方針であり、ただ単に労働者の弾圧をすれば業務の正常な運行ができると考える、きわめて誤った封建性を持った考え方がこの中に貫かれていることを私ども見抜かざるを得ないのであります。今大臣がそういうふうにおっしゃいましたけれども、実はこの処分の直接的な対象となる問題は、いわゆる電通合理化にからんで郵政省の職員がこれからどんどんと電通の公社に吸収をされる、その労働条件がきわめて将来にわたって不安定である、こういう状態からくるところの労働者の正しい抵抗でありますけれども、この電通合理化の計画に対して、あなたはせんだって私が逓信委員会で質問をいたしましたところが、公社あるいは組合と十分話し合いをしてこの問題は解決をはかりたいとおっしゃいましたけれども、事実今までの状態の中では組合との正常な十分な話し合いがなされておらないからこそ、こういう事態が起こったのであります。従って今大臣の言われた言葉をさらに演繹をすれば、あなたの現在の心境から言うならば、この電通合理化にからむところの問題に対して、あなたが公社なりあるいは組合に対してなり十分な話し合いをされておらなかったことから一つの要因が起こってきたということを、あなた自身がお認めになると思いますけれども、いかがでしょうか。
○小金国務大臣 三月十八日の下市、上市を中心にあの時間内職場大会を開かれる前には、話し合いの機会はなかったと私は記憶いたしております。その後実は電電公社に移りたいのだけれども移るなということで取り消したというような立場の人もあったようでして、そのために電電公社へも移れないというような人もおられるようであります。そういうことの処置につきましては、出先の通信局と申しますか、それから私の方の郵政局とで話し合いをし、東京におきましては、私、人事部長に、電電公社の方に話してできるだけ希望なり次善策なりを講じて話し合いを進めていくように伝えて、よく命令いたしております。
○田邊(誠)委員 三月十八日の上市、下市の問題が起こる前は話し合いがなかった、こういうのであります。一体その話し合いができなかった状態の中でもって、なぜ一日を争う問題でないはずの上市、下市のこの合理化計画を強行しなければならなかったか、この強行が組合をしてさらに運動を展開しなければならない羽目に陥れ、いわば落とし穴に陥れた、こういう状態です。あなたのお言葉を聞けば、この要因を作ったのは郵政省当局、大臣もみずからお認めの通りでありまして、なぜそれならばこういった電通合理化の問題を今あなたが反省されておるのに、三月十八日以前において十分な話し合いができなかったのか。できなかったとすれば、なぜそれをあえて強行して、こういった処分をあなた自身の手によってなさなければならなかったのか、その点はまことに不可解だ。私どもはやはり将来の郵政事業の円滑な運営を助長する意味からいっても、今のあなたの言葉をさらに演繹をして、こういった不届き千万な状態を作り上げた郵政当局の考え方に対しては、どうしても納得ができないのでありますけれども、大臣のこれに対する所見を再び承りたいと思います。
○小金国務大臣 三月十八日を前にして、幾日間か人事部長と全逓の方の幹部と話し合いをして、遂にその話し合いがつかないで十八日に突入したという記憶が私はございますので、できればこういうことは話し合いでまとまればけっこうなのでありますが、不幸にして今までの事態におきましてはその話し合いがまとまらなかったということで、今後はできるだけ話し合いをまとめますように、まず私の方と電電公社との間において近代化計画あるいは自動化計画についてよく双方とも知って、これを労働組合に私の方の手を通じて了解してもらって、話し合いをなるべくつけていくという方針でございます。
○田邊(誠)委員 大臣のこれから先のいろいろな気持というものは、私は率直に受け取りたいと思うのです。しかし十八日の事態の前に、やはりあなたが出て事態を収拾し、混乱に陥れない責任があったにもかかわらず、人事部長以下にこれをまかせておって、最終的な解決点を見出すことのないままに、このような事態に陥った、こういう状態である。従って私は、今あなたがそういう反省をされておるといたしますならば、これは当然三月十八日以前の状態に立ち戻って問題を考え直さなければならぬ。あなたが今将来に向っていろいろと言われましたけれども、実際にはこういった郵政当局の不備、これが職場から十八人の労働者を追い払うという、こういう悲惨な状態をかもし出しておることを私どもは今否定するわけにはいかないのであります。従ってあなたがそういうふうに反省をされておるといたしますならば、先ほど最初の御答弁にありましたように、この内容については当然いろいろな間違いもあり、当然な行き過ぎがあったのでありますから、この処分の内容自身もただいまから考え直して再検討し、そしてまた事態を白紙に戻して、その上に立って将来の話し合いをするというのでなければ、これは問題の解決にならぬのではないか、そういった考え方がおありであるかどうか、お伺いしたいと思います。
○小金国務大臣 三月十八日の事件につきましては、私もまとまればと思って、夜も寝ないで待っておりましたけれども、ついに事前協議という言葉その他が内容かと存じますが、どうしても私が出てもまとまらないということでありましたので、私はついに出なかったのであります。なおそれじゃ三月十八日の事件を白紙に戻すかというお話でありますが、これはすでに百十幾つですか、あるいは二百十幾つかの職場において、その事実が起こって法律を適用しておるのでありまして、これを全然白紙に戻すということは私は考えておりません。ただ事実の誤認等がありました際には、これはもうすみやかに直すのに決してやぶさかであってはならないというふうに考えております。
○田邊(誠)委員 大臣は、今後は業務の正常の運行をやりたいというふうにお話しになりました。しかし一つの事実が起こり、それによって大量の処分がなされた現在の状態の中で、将来におけるところの業務の正常の運行をしたいというのはあまりにも虫がよ過ぎる話ではないですか。しかも今の御答弁の通り、まだまだ話し合いの余地は十分残っており、大臣自身もその団交の場に出る機会というものが当然あったにもかかわらず、そういった十分な手だてをしないまま、この十八日を迎えた、こういう状態であれば第三次、第四次の合理化計画はまだ実は明らかでない、こういうきわめて将来の不安定な未定な状態にあるところの電通合理化にからむところの上市、下市、の他の電通合理化という問題をあえて強行しなければならぬという理由はごうもない、こういうふうに私どもは考えるのであります。今、業務の正常の運行を今後は期したいと言っておりますけれども、どうですか大臣、この処分を発令した、処分をその局員に渡した局長、処分をしたために敷居が高くて局内に入れないということをある局長は言っておる。これは新聞にも出ておりますよ。種子島の局長がやはり敷居が高くて局舎内に入れないということを新聞は報道しておる。大臣、こういうような下部の管理者というものはきわめて困った状態にある。正常な運行ができないということでもって苦慮しておる。この状態を考えてみた場合においては、あなたのまだまだ十分な責任を果たせなかったこの事態の中で起こった問題に対して、率直に反省をされるならば、この問題に対しても当然十分な再考慮が払われてしかるべきである、こういうふうに考えますので、ただいままでの答弁は、まことに——私は将来の問題としては、大臣の誠意を疑うものではありませんので、大臣の誠意を信ずるがゆえに、この事態をさらに円滑に解決する方途を大臣自身の手によって生み出されることがやはり正常な運行をする一番大きな要因であろうと考えるのでありまして、そのお考え方があるかどうか、この点は一つ明確に御答弁をいただきたいと思います。あなたの今までの本委員会におけるところの答弁は私は率直に認め、あなたの誠意を信ずるがゆえに、この問題に対するところのあなたの赤裸々な真情を一つ吐露してもらいたいと考えるのであります。
○小金国務大臣 事実が発生いたしまして、それが法律違反である以上は、これを全面的に撤回するとか白紙に戻すということは私はできない。その事実をなくするというわけには参りませんので、その点は私は遺憾でありますけれども、白紙に戻すというような処置はとれないと思います。
○田邊(誠)委員 やはり業務の正常な運行は正しい労使関係から出てくることは当然でありまして、あなたの一方的な誠意の押しつけというのは、これは現在の労使関係の中では通用しないのであります。やはり正すべきものは正し、改むべきものは改めて、その上に立って、やはり郵政当局の誤りというものがあった上に立って、起こったこの種の問題に対して、当然将来の正しい労使関係を確立することがあくまでも必要であるわけであります。しかしあなたは今そういったことでもって何かしら言葉の上の誠意は示されたごとく見えまするけれども、実際には処分を撤回しない、こういうお話でありまするけれども、これはきわめて遺憾であります。それならばお伺いをいたしますけれども、一体今回の処分はいろいろ内容が区々にわたっておりまするが、その理由がきわめて不明確であります。きわめて内容が明らかでありません。特に一番重い処分をいたしました、何といっても首を切られたという事態はこれは他の処分と比較をいたしましてまことに容易ならざるところの問題でありますけれども、この首を切った法的な根拠として、いわゆる解雇者五名、懲戒免職者十三名というように郵便当局は発表いたしておりまするけれども、その通りで間違いございませんか。
○長田説明員 ただいま仰せの通りでございます。
○田邊(誠)委員 そういたしますると、解雇というのは一体いかなる法律の根拠に基づくのですか。懲戒免職というのは一体いかなる法律に基づくものですか。
○長田説明員 解雇の五名は公労法十七条に違反したということで、公労法十八条によってした措置でございます。それから懲戒免職の方は公務員法八十二条でいたした措置でございます。
○田邊(誠)委員 そういたしますると、三月の十八日を中心とした電通合理化の運動に対して行なったところの処分、その中においても、特に職場から追い出すという、これ以上過酷な措置はないこの首切りという問題が、二つの法律の適用を受けているのであります。一体それならば公労法十八条によるところの解雇は、これはどういう場面でもって起こったのか。それから公務員法八十二条によるところの懲戒免職というのは一体どうなのか。一体この違いはどこにありますかお伺いいたします。
○長田説明員 解雇の五名は、実は三月十八日のケースではございませんで、三月十日を中心といたしまして、新潟県の岩室郵便局でやはり電通合理化の実力阻止の闘争に関連して起こったのでございます。岩室郵便局におきまして、新潟地区それから西蒲原支部の役員の指導のもとに十割休暇が実施されまして、局員が前夜来宿直からそのまま勤務をいたしました一人を除きまして、残り全員が朝からずっと勤務を欠いた、そういうことに対する指導責任を負ってもらったわけであります。主としてその間五十九坪ばかりの局舎に百人余りの人たちがずっと詰めて、管理者が全然局内に入れなかったとか、いろいろな行動がございましたが、当時十割休暇を実施させたということに主眼を置きまして、主として公労法十七条違反の方を重く見て、同法十八条でやったわけでございます。
○田邊(誠)委員 その他の懲戒免職というのは、これは同じ首を切ったのですね、これの十三名については国家公務員法八十二条というようなわけでありますけれども、これは今の五名の解雇とどこが違うのですか。
○長田説明員 残りの十三名につきましても、全員が三月十八日のではございませんので、うち二人は神田郵便局等の関係、四人は京都地方貯金局の関係で、残り七人が三月十八日の職場大会あるいは上市、下市の現地での闘争、そういうものに関して処分をしたのでございますけれども、その大部分は、単に職場大会を実行させただけとかいうことではなしに、管理者に対する暴力行為といいますか、そういう——それだけではございませんで、局舎への不法侵入、不退去あるいは業務妨害、そういうようなものがこんがらがっているのが多い状況でございましたので、それらに対しましては、公務員法八十二条を適用するのが妥当であるというふうに考えてやった次第であります。
○田邊(誠)委員 そうしますと、その起こった事態が内容が違うということですか。もちろんこれはどちらも首を切ったには間違いないのですけれども、この首を切った内容においても重い軽いがあるのですか。同じような労働組合の運動に対して、一方は公労法、一方は国家公務員法を適用しなければならぬ、この違いは一体どこにあるかということを聞いているのです。
○長田説明員 実質的にそれぞれ十八人の人の行動を見まして、公労法十八条でもやり得る、あるいは公務員法八十二条にも該当するというような判断はできますが、主として暴力的な行動とかあるいは不退去、不法侵入とか業務妨害などの行為がまざるものにつきましては、特に暴力的な要素などのまざったりするものにつきましては、公務員法の方を適用すべきだ、した方がいいという考え方でやったわけでございます。
○田邊(誠)委員 一体暴力行為というのは、これがなされた場合に、公務員法の八十二条なりその他の条項でもって、どこに懲戒免職に該当するところのあれがあるのですか。行政処分としてそういったことがなされるところのいわゆる国家公務員法上の根拠というものは、一体どこにありますか。
○長田説明員 公務員法八十二条の第一号「この法律又は人事院規則に違反した場合」あるいは第三号の「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合」等に反すると考えたわけでございます。なお第二号に「職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合」というのがありますが、処分されました者のうち、場合によりましては、この条項を適用した者もございますが、主として免職者につきましては、一号、三号でやったわけであります。
○田邊(誠)委員 そういたしますると、これは具体的な一つ一つの事実を、あなた方はこのすべての処分に当てはあて、確認をして、これでもってその実行行為に対して処分をしたということは、これは間違いないですか。
○長田説明員 職場を去らせる、いわばやめてもらうという面につきましては、公務員法の方と公労法の方と二つの場合がございますが、公労法の場合には解雇以外のあれが規定してございません。やめてもらうまでに至らない者につきましては、公務員の八十二条の方で停職以下の処分にしておるわけであります。
○田邊(誠)委員 そういたしますると、公労法の十八条を適用して解雇をした、実はこの合理化の反対の労働運動の場面の中でもって、解雇者以外にこの問題に関連をして処分をした者はございませんね。
○長田説明員 ございます。やはり新潟地区西蒲原支部の役員あるいはその他現場に行っていろいろ行動をした者について若干名処分をした者がございます。
○田邊(誠)委員 今の公労法の適用を受けたということは、これは一つの労働組合の運動としてあなた方が認め、それを十七条違反として十八条を適用した、こういう状態だ。これと同じ場面の中でもっていわゆる運動を展開しておった者に対して、これは公労法にないからといって、一転をして国家公務員法の適用を与えるということが、論理的に矛盾をするというようにあなたは考えませんか。これは当然違った場において違った行動をしたのならば別ですよ。しかしおそらく一連の運動をやはり組織的にしたに違いない、こういうふうに思うのでありますけれども、この点に対するところの矛盾はないかどうか。
○長田説明員 岩室関係の闘争で起こりました、私どもから見ますと非違行為などにつきましても、責任をとらせる場合におきまして、先ほど申し上げましたように、公労法については解雇以外の処分が規定してないわけでございます。その実質は公労法違反にもなり、あるいは公務員法違反にもなるというふうに考えられました場合に、解雇まではしない方がいいというふうに考えました者につきましては、当然公務員法の停職以下の処分に付した次第でございます。
○田邊(誠)委員 大臣にお伺いをいたしまするけれども、郵政職員が構成をしておるところの労働組合は、これは当然公共企業体等労働関係法の適用を受ける労働組合である。従ってこの労働組合がいわゆる労働運動として、労働組合運動としていろいろな運動をする、こういった場合におけるところの、刑事的な場合は別ですが、それ以外に行政上の処分を与える根拠というものは、これはやはり一応公労法にあるというのが当然の話だと思うのですが、その点大臣はどうお考えですか。
○小金国務大臣 二つの法律に該当する行為があった場合に、どちらを適用するかという問題になると思いますが、私は今人事部長が申したような考え方で処置をしたということでございます。
○田邊(誠)委員 そういたしますると、これは両刃の刀でもって、どっちでも適用できるといったような、こういったきわめてあやふやな、きわめて実は便宜主義的な都合のいいような、こういう解釈が成り立つわけでありますけれども、これはおそらく私は基本的には誤まりだろうと思います。一つ大臣がおる前でもって、労政局長から、労働組合運動としてやった行為に対して適用さるべきものは、一体法的にはどこの法律を適用するのか、この点に対して労政局長の御答弁を求めます。
○冨樫政府委員 一般的に申しまして、一つの行為が二つの法律の条項の適用条件をそれぞれ備えておる場合には、双方の適用のあることは、一般的に認められているところでございます。われわれの分野におきましては、公労法の分野だけを取り扱っておるので、公務員法の適用要件につきましては、とやかく申し上げる立場にございませんが、しかしながら、ただ言葉づら労働運動という名において、他の法律の適用がないということは言えないと存じます。
○田邊(誠)委員 当然話のあるのは、同じ労働運動をやって、一方は公労法の適用を受け、一方は、いわゆるその会社なり企業体なりの、その法律なり就業規則等なら問題は別でありましょう。しかしこれは行政上の処分あるいは刑事上の処罰を受ける、こういう場面はもちろんありましょうけれども、しかし一つの運動をやって、同じようなケースの中で、一方において公労法の適用を受け、一方において国家公務員法の適用を受ける、これは、あなたの言われた二つ以上の法律の適用を受けるというような、こういう範囲とは違うと思うのであります。従って、あなたの言われた真意というのは、当然違ういろいろのケースが当てはまることで、一方の同じケースの中では、一つは公労法の適用で解雇されている。こういう状態があるのでありますから、同じようなケースの、実は一連の運動の中で起こったことが——いわゆる飛び離れた行動を特別やれば別ですよ。組織的に同じような行動をやられたとするならば、やはり公労法の適用を受けるのが、建前としては当然の話じゃないですか。こういうふうに認識すべきだと思いますが、その通りですね。
○冨樫政府委員 繰り返して申し上げるようでございますが、法律の解釈適用につきましては、先ほど申し上げた通りでございます。一つの行為が二つの法律の適用要件を相かね備えているときに、それをいかに適用するかは、当局の当不当の裁量の問題に帰するかと存じます。
○田邊(誠)委員 そういう身勝手な解釈というものが成り立つならば、続いてお伺いします。今度の処分の中で、具体的に現場に参画しない、現場の職場大会なりに参加をしない者が処分をされていることは、先ほど島本委員の指摘した通りです。これは電電公社ばかりでなくて、郵政の職員の処分の中にも数多く含まれておるのであります。私は大臣がお急ぎのようでありますから、あとで詳細に当局にこの事実の内容をお聞きいたしますけれども、この現場に遭遇してない職員を処分いたしましたのは、一体どういう法律に基づくものですか。どういう根拠に基づくものですか。この点を一つお伺いしたいと思います。
○長田説明員 三月十八日の職場大会は全国の特定局約二百九十局について行なわれたわけであります。特定局関係の組合の組織は、全逓では県単位に地区がございまして、数局、十数局、あるいは大きいところになりますと数十局集まったものが、県単位の地区の下に支部を結成しております。支部の下に直接個々の局が分会なり班として結びつく場合と、あるいは途中にさらに一段階、分会などを経由して個々の局の班に結びつく場合といろいろあるわけでございますが、全逓本部の規約で非常にはっきりしておりますのは支部まででございまして、あとはそれぞれの分会内の班なり当該局の行なったものがそれに結びつくわけでございます。支部の区域の中で、上部の指令を受けてある局に職場大会を実施させるということにつきまして、私どもはその支部の三役等は相当重大な責任を負っているというふうに考えた次第でございます。
○田邊(誠)委員 今人事部長が答弁をしました、中間機関の役員というものが非常に関与をしたという話でありますけれども、これはこまかくお伺いしたいのでありますが、この中間機関の役員に対するところのいろいろな処分が出ておりますけれども、あなたがさっきおっしゃった中に、事実と違った者については撤回するというようなことがありましたが、現場主義で——先ほど大臣も言われたし、事実を調査せられたところが間違いだ。事実の根拠になるところの職場大会その他に参画をしていない者に対してこれを適用したじゃないですか。これは大臣、処分をした責任者だから、一体どこの法律に基づいてこれをやられたのか。中間機関の責任を問う、こういうお話でありますけれども、これは一体どこの法律に基づいてこれを処分したのか、この点は大臣も当然その根拠を御存じのはずでございますから、一つ明確に御答弁いただきたいのであります。
○小金国務大臣 公労法または国家公務員法に基づいて処分をした、ただ事実が今ない者に対して処分した例は、たとえば責任者の地位をすでに去ったのにかかわらず、届出がなかったので、それを誤ったというようなことがありますから、それは取り消す、こういうことであります。
○赤松委員 関連して。これはさっきの電電公社の問題と同じだと思う。あのときの職員局長の答弁は、たとえば新婚旅行に行っているのをなぜ処罰したか、それはああいう指令が来て、そうして闘争するということを関知しておったから処分した、つまり阻止をしなかったから処分したんだ。そこで判例があるかと言ったら、判例がある。その判例はどの判例だと言ったら、品川白煉瓦事件の高裁及び最高裁の判決だと言う。そのときは暴行事件が伴なっている。いわゆる刑事事件がからまっているじゃないかということを言った。そこで今判例を取り寄せた。ここにこう書いてある。これは小谷裁判官外三名なんだが、「組合員やその他外部団体員の暴力行為の発生が上告人等の統制の責任を全く免れしめる意味において不可抗力であったとは解されないのみならず、暴力行為当日における情勢激化に至るまでの経過においてこれを統制することは不可能ではなかったものと認められるのであるから、使用者側が上告人等の統制の責任を問い懲戒解雇の措置に出たものであるとする原審の認定をもって、経験則違背ということはできない。」こういう判例だ。従ってここでは暴力事件があったからこそこれは問題になったのであって、電電公社の場合は何も暴力事件がない。正常なる労働運動じゃないか。その正常なる労働運動に対し、上部から指令が来た、その指令を関知しながら阻止しなかったということでもって処分するということは、明らかに不当労働行為じゃないか。それからもし電電公社の方で主張するような類似の判例があるかというならば、私は高裁の判例を示してもいい。たとえばこういう事件に対して、最高裁は、昭和二十四年に判決を下している。「組合が争議権を行使して罷業を実施中、所属組合員の一部が罷業から脱退して生産業務に従事した場合においては、組合は、かかる就業者に対し口頭又は文書による平和的説得の方法で就業中止を要求し得ることはいうまでもないが、」これはピケですよ、ピケを違法行為だといっている。ここでは、最高裁の判決は平和的説得行為については、これは問題ではない。「これらの者に対して暴行、脅迫もしくは威力をもって就業を中止させることは一般的には違法であると解すべきである。」ところが電電公社にはこういう事実がない。「しかし、このような就業を中止させる行為が違法と認められるかどうかは、正当な同盟罷業その他の争議行為が実施されるに際しては特に諸般の情況を考慮して慎重に判断されなければならない。」これは労働運動と一般の市民法のそれとの違うところなんだ。「被告人は、組合が劣悪な労働条件のもとに待遇改善を要求して、組合大会を開いた結果罷業に入ったところ経営者側に縁故のある一部組合員が就業を開始したことを罷業目的を阻害するものと考えて極度に憤慨していたこと、すでに多数組合員がガソリン車の前方に立ち塞がり或いは横臥もしくは坐り込んでその進行を阻止しているところへ参加して線路上に赴き、他の組合員とともに、怒号したにすぎないこと等の経過から考えると、被告人の右所為はいわば、組合内部の出来事であり、しかもすでに多数組合員が炭車運転行為を阻止している際、あとからこれに参加して炭車の前方線路上に赴き怒号し、その運転を妨害したというに止まるのであるから、かかる情況のもとに行われた被告人の右所為は、いまだ違法に刑法二三四条にいう威力を用いて人の業務を妨害したものというに足りない。」従って検事側から上告した本件上告を棄却する。こう言っている。最高裁の判決はその場合に、ガソリン車の前に横臥してそれを妨害したにもかかわらず、これを労働行為の一種として認めておる。これを違法行為として問題にするに足らぬというので検事上告を棄却している。これほど一般市民事件と労働運動を明確に区別して扱っている。諸般の状況を考慮して慎重に判断されなければならぬ。電電公社は何だ。新婚旅行に当日行っている、全然職場大会にも参加しておらないその者を、事情を知っているということだけで、阻止しなかったということだけで首を切るということは何事だ。これは不当労働行為と言えないか。労働省はどう考えますか。職場大会に参加してないのだ。
○冨樫政府委員 この際は先ほどもお話がありましたように、われわれの分野におきましては、公労法の十七条で業務の正常なる運営を妨げたかどうかということと、実際の事実問題とのからみ合わせで、おそらく今のはこの条文の適用でなく、国家公務員法上の通用関係かと存じます。そうではないのですか。そうであればさらにこまかいことは郵政当局から……。
○赤松委員 そうでなしに、私は不当労働行為であるかどうかということの労働省の見解を聞いているわけだ。先ほど職員局長は、当時の職場大会に参加してない、つまり公労法でいうところの争議行為だと僕ら思わぬ。あの大衆行動には参加してない。当日は新婚旅行で旅行しておったのだ。それを職場大会をとめなかったという理由でもって、役員だからという理由でもって処分した。あるいはちゃんと休暇をとってそこへ参加した。それも同じように処分している。あとのことは別として、その新婚旅行の件はどうなんですか。労働省、不当労働行為と思わないですか。
○冨樫政府委員 ただいま仰せられた事情の者で他にいわれがなければそれは誤りであると思います。
○田邊(誠)委員 今労政局長が答弁をされました通りで明らかな通りであります。中間機関の役員に対して処分をすることが、明らかにこれは不当労働行為であり、処分の理由にならぬ、これは明らかになった通りであります。先ほど大臣は、これらの中間機関の役員に対する責任を追及した根拠は、公労法か国家公務員法、こういうふうにおっしゃるけれども、それでは公労法の一体何条ですか。
○小金国務大臣 中間責任については、中労委の命令と判例がございます。それに従って、処置をしたということであります。
○田邊(誠)委員 従って公労法の何条によってこの中間機関の役員の処分をしたのですか。
○小金国務大臣 法律の適用でありますから人事部長から一つ……。
○長田説明員 公労法十七条違反あるいは国家公務員法八十二条違反の行為につきまして、組織上の責任者として実質的に責任があるという見地から処分したわけでございます。従いまして実質的にその指令を受け、自分の支部内で実施させたということについて、実質的に何ら責任がないと認められる者につきましては考え直すことにしているわけでございます。
○田邊(誠)委員 国家公務員法の違反だと誓いますけれども、機関責任ということを追及する場合に、国家公務員法の一体どこに——これは組合の組織ですから、特に公労法の適用を受ける労働組合の職場大会の現場に行っていない中間機関の役員に対して、責任を追及して処分をした、こういう者は一体国家公務員法のどこを適用するのですか。
○長田説明員 時間内職場大会を行ないますこと、あるいはそれを指令したりいたしますことは、私どもは国家公務員法八十二条にも違反するものだというふうに考えておりますので、その指令あるいは実行について実質上責任があると考えられる者については、その責任を追及したわけでございます。
○田邊(誠)委員 さっき大臣も何か公労法と国家公務員法の両方の適用をしたというようなことを言っておりますけれども、今人事部長の答弁を聞きますと、これは明らかに機関責任を追及している。労働組合のいろいろな機関だということをさっき教えていただきましたけれども、この中間機関である地区本部とか支部とか分会の役員で、職場大会という現場に出てない役員に対して責任を追及して処分をしたというのであります。一体公労法の適用を受ける全逓なり全電通という労働組合の中間機関の役員に対して、労働組合運動の一環としてのこの役員の責任を追及する、こういう法的根拠は国家公務員法の一体どこにありますか、いわゆる職員の個々の職務の行為に対する問題ではなくて、労働組合運動の中における機関責任を追及しているのですから、こういうものが一体国家公務員法のどこを適用するのですか。公労法の適用を受ける労働組合員に対してその機関責任を追及した法律根拠は国家公務員法のどこにあるのですか。
○長田説明員 公労法あるいは公務員法に違反する行為を組合として実施した、あるいは職員がそれを実行したという点につきましては、私どもはその何条であるからということでなしに、現在の組合の組織、その実態からしまして指令を受け、自分の区域内で実施させた地区本部あるいは支部等の重要な役員は当然責任を負うべきものというふうに考えているわけでございます。
○田邊(誠)委員 法律にあるとかないとかいう、こういうことになって人をみだりに処分できますか。いいですか、しかも公労法の適用を受ける労働組合の個々の組合に対して、さっきあなたは国家公務員法の八十二条の適用を受けてやった、こう言っている。それすらも労政局長は不当労働行為だと言っている。ところが現場におらない中間的な役員に対して処分をしているのです。とするならば、これは八十二条のいずれにも該当するところの懲戒処分ではなくて、これは当然労働組合という公労法の適用を受ける組織に対して、いわゆる指令権の問題から発して実は組織上その中間機関の役員というものが、たとい職場大会に実際に参加しなくてもいわゆる労働組合運動というものが違法行為である、こういう立場に立っている。こういう認識であるとするならば、これはあくまでも公共企業体等労働関係法という労働関係の法律の適用に基づいて、それが違法行為である、こういう認識であればこれはまたいろいろと論点がありましょうけれども、国家公務員法という労働関係と関係ない、いわゆる公務員の規律なりあるいは職場の状態というものを規定をした法律にその根拠を求めることは、先ほどの不当労働行為であると同時に、いわゆる法的な根拠のない処分をしたことは明らかであります。従って国家公務員法の一体どこに、具体的にこの中間機関の職場大会に参画をしなかった役員の責任を追及するところの根拠があるか、これを聞いている。あなたが法的根拠をさっき言ったけれども、そうですが、その通りですか。それならそれでよろしゅうございますよ。
○長田説明員 公務員法の中に組織の各段階に応じてそれぞれ負うべき責任というものを定めた規定は、私ただいま記憶しておりませんし、あるいはないのではないかというふうにも考えられますが、支部におきまして、その支部内のある局に時間内職場大会を実施させたということについては、支部の役員はそれぞれ相当の責任があるというふうに私は考えているわけでございます。
○田邊(誠)委員 人間の将来まで律するような重大な行為をあなた方はしたのですから、しかも先ほど大臣の言われる通り、二月十八日以前に十分に話し合いをしなかったという反省を大臣もされておるとするならば、よほどの根拠がなければこれは処分できないはずであります。従って私どもは、これら職場大会に参画をしたという話についてはまたあとでもって論及いたしますけれども、職場大会に参画しなかった職員は一体この八十二条のどこに該当するのですか、どこに違反をするのですか。
○長田説明員 支部の役員でそういう職場大会の指令を受け自分の支部の中でこれを実施させたということについての責任もあり得ると思います。職場大会に現実に参加する、あるいは現地へ行って指導するという責任ももちろんございますけれども、自分の支部で実施させるという責任もあるというふうに考えております。
○田邊(誠)委員 そうしますと、労働組合の運動をするためのいわゆる中間的な機関、これの役員の行動をあなた方はとがめ、退職させた、これは間違いないですね。労働組合の役員としての責任をあなた方は追及した、この点は間違いないですね。
○長田説明員 支部等の重要な役員は当然実質的にもそういう責任があるというふうに考えてやったわけでございます。先ほど大臣がお答え申し上げましたように、実質的に責任がないということが非常にはっきりしている者につきましては、十分考え直すつもりでございます。
○田邊(誠)委員 そうしますと、労働組合の機関の役員として責任を負わなければならぬというならば、この役員でもって構成している労働組合が運動する場合における法律の根拠は一体何という法律ですか、教えて下さいよ。
○長田説明員 たとえば公務員法の八十二条に違反をする、あるいは組合なり何なりとして行動があった場合にその責任をどういうふうに配分していくかというようなことについては、私はいろいろな法律でもそう個々に詳しく規定してはおらないのじゃないかというふうに考えます。それは組合の中でどういう組織をしているか、どういうふうな権限なりを配分しているか、そういうことに従って責任を配分されるものじゃないかというふうに考えております。
○田邊(誠)委員 私の聞いておることに正確にあなたは答弁して下さい。 労働組合の機関の責任をあなたはとったと言うんですよ。そうするならば、その労働組合の成り立っておる法的根拠は一体何かということを聞いている。一人々々が具体的に職場大会に参加した。ピケに参加した、こういう話についてはこれすらも実は労政局長が答弁しておるようないろいろな事例がありますが、職場大会に参画してないただ単に機関の責任をあなた方は追及した。その機関の構成しておる労働組合の成り立ちというのは、一体どこに根拠を求めておるのですか。
○長田説明員 実は組合の規約を見ましても全逓の規約を見ましても、支部は決議機関であると同時に執行機関でもあるようであります。支部の中で時間内職場大会が行なおれるということにつきましては、支部の役員は責任があるというふうに考えます。
○田邊(誠)委員 全逓あるいは全電通の方なんか、公社の方にもあとで聞きますが、労働組合が成り立っておる。その労働組合としての活動する法的根拠は、現在のところ公共企業体等労働関係法ですが、それ以外に何かありますか。
○長田説明員 公共企業体等労働関係法もございますが、私は、違法行為をする責任の分担につきましては、やはり公務員法等も関係があるというように考えております。
○田邊(誠)委員 ですからさっきから言っておるが、公務員が何か個々の違法行為を犯した、こういう問題は私はまた別に置いておる。今のところ私の極限された質問は、あくまでも職場大会に具体的に参加しないで、組合の役員であった、分会の役員であった、そのときに電通ばかりでない郵政の方でも、結婚して新婚旅行に行っておったところが、その間に処分されたというのは滋賀県にある、茨城県にもある。これは中間機関の役員であるということだけである。従って中間機関の役員としての責任を追及する以上は、労働組合運動の活動の一環というあなた方の認識である。そうするならば、この労働組合の成り立ちというものは、公共企業体等労働関係法によりほかにないじゃないですか。くどいようだけれども、労働組合の活動するところの法的根拠は、公労法以外にないでしょう。国家公務員法のどこにありますか。
○長田説明員 先ほど私は、支部の役員等につきまして処分しましたのは、主として減給とか戒告とか場合によって停職ということでございましたが、直接公務員法八十二条というお答えを申し上げたわけでございますが、公労法も同時に適用があるということも先ほど申し上げた通りでありまして、公労法十七条によって争議行為あるいは怠業行動をあおり、そそのかしたというような条項にも違反しておるわけでありまして、その条項に違反する行為をするという問題は、やはり公務員法八十二条の方にも該当してくるわけでございます。
○田邊(誠)委員 公労法には解雇しかないから、それ以外の処分の段階というものがないから、やむなく国家公務員法八十二条というものを持ってきたのでしょう。持ってきたところがこれは職員の一人々々の規律の問題を規定している。全逓なり全電通なりという組合は公労法の適用を受ける組合である。その機関の役員の責任を追及するというあなた方の立場であれば、公労法を適用する以外にないということは明らかなことでしょう。
○冨樫政府委員 公労法から申しますると、公労法の十七条に書いてありますように、正当な業務を阻害してはいけない、そしてその行為を共謀し、あおり、そそのかしてはいけない。従って新婚旅行中には、あおり、そそのかし、共謀したということは常識上ない。その前後にやったかどうか、そういうことは……。(笑声)
○田邊(誠)委員 従ってここで明らかになったことは、労政局長の明快な答弁のごとく、休暇をとっておったり、新婚旅行中という者が、機関責任を追及されたといたしますならば、公労法第十七条以外にないということは労政局長がはっきり言っておる。そうなってくれば、いわゆる機関責任を、職場大会に参画しないにもかかわらず追及したというところの法的根拠はどこにもないということになりますな。これははっきりして下さいよ、そうでしょう。労政局長がそう言っているのだ。
○長田説明員 先ほど申し上げましたように、処分の直接根拠になります条文は、公務員法八十二条でございますが、その実体は、公労法十七条違反ということが公務員法八十二条に該当する、そういうような認識でおります。
○田邊(誠)委員 公労法十七条違反をやった者が国家公務員法の八十二条の適用を受けるというのは一体どこにあるのですか。公労法十七条に違反した職員の身分というのは、十八条でもって規定しているんでしょう、そうでしょう。一体十七条に、その他の法律の適用をするというように書いてありますか。いいですか、十七条に、争議行為をやった者の、その云々されるところの状態というものは、他の関連法律の適用を受けるということは公労法のどこに書いてありますか。書いてないでしょう。
○長田説明員 十七条違反の行為につきまして、あるいはその者につきまして、十八条が適用になることは仰せの通りでございますが、同時に公務員法の八十二条の適用もあるというふうに私どもは解しております。
○田邊(誠)委員 さっきから労働省が明快なる答弁をしておるように、われわれは二つに分けて言っておるのですよ。職場大会に参画した者あるいは職場大会に実際に行った者と、職場大会に行かなかったけれども機関責任を追及された者との区別をしている。今私が言っているのは、機関責任だけを追及されている者の処分をした法的根拠は一体どこにあるんです。これは労働省がさっきから言っている通り、新婚旅行中であれば、あおり、そそのかすようなことはないだろうと冨樫さんは言っているが、これはあたりまえの話だ。ところがそれをさらに飛び越して、公労法のどこを探してもないものを、一転して国家公務員法の適用を受けさせようという、こういう一つの判例なり、あるいは法的な根拠があったら一つこの際明確に示して下さい。
○長田説明員 公労法十七条違反の行為が、公務員法八十二条第三号の、「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合」というものに該当するというふうに考えているわけであります。
○田邊(誠)委員 労働組合の運動は、さっきから憲法論を盛んに言っているけれども、当然他の法律に優先をして団結権が認められたことは御存じの通りです。しかもそれに基づいて、いわゆる適用をされる組合にはいろいろな制限がある。実はこの中の四条三項なんというのは、ILOが批准になれば、吹っ飛ぶ法律ですけれども、いろいろと制限がある。一応現行法は悪法であると認めたにいたしましても、公労法の適用を受けているところの職員が、組合運動をやり、その内部的な一つの体制として、内部的な組織の状態の上からいって責任を問われたということになれば、これは公労法の適用以外にないでしょう。さっき労政局長が言った通りだ。あなたの方でもって国家公務員法の適用を受けると言っても、一体国民全体の奉仕者としてふさわしくないということを言うけれども、組合の機関の役員が、職場大会にも参画しないという状態の中でもって、一体、全体の奉仕者としてふさわしくない行為というのは具体的には何ですか。一体どこにあるのですか。
○長田説明員 職場大会を実施するようにという指令を受け、自分の支部で実行した、そういう責任があるというふうに考えております。
○大原委員 関連して。われわれはこういうことを言っておるのです。つまり労働運動というものは、全逓という組合は、御承知のようにそれぞれの決議機関があって、その決議機関で意思決定をして、それぞれ権限に基づいて執行部は指令、指示を出しておるわけです。そういう一連の系列の中において、その指示を伝達したことだけに対して、それが違法行為に問われるのだったら、意思決定の自由とか、役員選出の自由とか、それらの問題を含んだ団結権の侵害になる。個々具体的の問題について刑事罰でひっかかるとか、そういう問題があれば、それは論争になるだろう。しかしながら、労政局長がはっきり言っておるように、その現場にもおらなかった、アリバイもちゃんとある、結婚などで行っておるという場合、たまたまそういうようにみんなから選ばれたということによって、一種の執行機関のルールに従ってやったことに対して、その責任を他の法律で追及するということは、一体どういうことだ。団結権の問題については公労法でやることになっておる。労使関係は憲法に基づいて公労法でやることになっておるが、その団結権や労働基本権を侵害することになる。明らかにそれは不当労働行為ですよ。私の言ったことに対してあなたの見解で論駁してごらんなさい。私は幾らでも言ってやるから……。
○長田説明員 私は反駁するというような能力はとうてい持っておりません。 〔「やったんだからやれ、首を切ったじゃないか」と呼び、その他発言する者あり〕
○山本委員長 静粛に願います。
○長田説明員 先ほどお答え申し上げましたように、組合の組織の重要な地位を占めております。たとえば支部の三役とかそういう者が、時間内職場大会の指令を上部から受けて、自分の支部で実施させるようなことをいたしました場合には、特に実質上責任がないということが非常にはっきりしておる場合は別といたしまして、通常の場合、支部の三役など重要な地位におります者は、やはり公労法十七条違反の行為があったというふうに考えます。その十七条違反の行為があったということは、公務員法の八十二条に該当するというふうに考えておるのであります。
○大原委員 国家公務員法は特別の権力関係の法秩序を作っており、また公労法は労使関係を規定づけておるものですよ。組合が団結権を認められて、多数決の原理に従って意思決定をして、そういうルールに従って、全部の労働者の意思に基づいて、それを執行部が指令として集中した場合において、その指令を伝達しなかったから、それは団結権を否認することになるのだ。個々の行動について問題があれば別です。その点について刑事問題があったら、いろいろ問題になるでしょうが、しかし、そういう問題について個人責任をそこで追及するということは、団結権の侵害になる。私の言ったことは、ずっと議事録としてとってあるのだから、そのことについてあなたがへまな答えをしたら、公労法が特別法としてできており、労働関係については、こうやるのだということでできておるその特別法としての法体系というものを、みずから否認することになる。それはもう一歩さかのぼれば憲法論になる。憲法は基本的な人権を保障しておるのだ。そうして公労法で団結権を保障して、罷業権を制限しておる問題については、国際的な論争があるんですが、私はきょうはその問題には触れない。しかし、これを側面から見て、公務員法でやるということは、不当労働行為であり、職権乱用である。その点について、あなたは明確なる答弁をしなさい。あなたは、私の言ったことに対して理論的に対抗できる答弁をしなさい。答弁がもしできなかったら、ここは社会労働委員会なんだから、公労法はここで作ったのだし、実際にこれを解釈するところなんだから、そんななまはんかな答弁では許しませんよ。答弁してごらんなさい。
○長田説明員 その問題につきましては、政府内部の関係のところもさような考え方を持っておるというふうに存じます。
○大原委員 あなたは法解釈とかそういうことについて照会する責任がないんだったら、そう言いなさい。あなたは経営者です。政府の一員といたしまして、ないのだったらそう言いなさい。今のような答弁は答弁にならぬじゃないか。処分をした責任者が政府の見解でございますと言って逃げられるのだったら、こんな国会の論議なんか要らないよ。あなたがもしその解釈について責任ある言明ができなかったら、大臣に聞きますよ。そんなインチキなことでは許せませんよ。誤ったら、誤ったことについては是認しますと郵政大臣も初めから答弁しているのだよ。だから、国会において理論闘争をいたしまして、あなたの方で答弁が明らかに食い違っているじゃないか。そういう問題について誤っておりましたら、そんなインチキな答弁をしないで、責任回避の答弁をしないで、きちんと私に答えなさい。あなたは直接の当事者なんだから。
○長田説明員 先ほど申し上げましたように、私どもはこの処分に関係する者として、先ほど申し上げましたような解釈が正しいというふうに考えてやったわけでございます。
○大原委員 私が貴重な時間をかけて理論的にあなたに対して弁駁したのだ。私の意見を申し述べてあなたに質問したのだよ。質問に対して答えなさいよ。前にどうでございますというようなことを言わぬで、私が論駁したことに対して答えてごらんなさい。もしなんだったら、もう一回言おうか。
○長田説明員 時間内職場大会を実行いたしますことが公労法十七条に違反するという考え方を私どもは持っております。その中のあおる、そそのかすとか、いろいろ条項の中にあれがございますけれども、要するにそういう公労法十七条が、たとえば先ほど申し上げましたような支部の重要な役員についても適用があるというふうに考えているわけであります。その公労法十七条に違反します行為は、先ほどのお説のように公労法十八条にも該当します。同時に国家公務員法の八十二条にも該当する、そういう解釈をとっております。
○大原委員 また私の質問を繰り返すのか。私は理由をただして言っておるのです。冷静に言っておる。いわゆる組合運動の中心は団結権なんですよ。八十七号条約でも認めている。あなたが、首を切られた職員は役員として認めないと言ったことは、明らかに国際常識に反しているのですよ。団結権の侵害だ。 そのことは一つおいて、公労法は憲法に基づく労働者保護の立法なんですよ。基本的人権保護の立法なんだよ。基本的な人権を公労法で保護しているのですよ。だから一般法であった場合に、労働運動については公労法でやるということになったら、労使関係については公労法が適用になるのですよ。だからそれを、おりもしない人間、新婚旅行している人間、これが団結権に基づいて選出されたという立場であったということにおいて、それに対して労働者保護の団結権を侵害するような処罰の仕方をすることは、労政局長が言ったように不当労働行為じゃないか、こう私は言ったのだ。そのことに対してあなたは答弁していないじゃないですか。きちっと言っていないじゃないか。答弁してごらんなさい。誤っていたら、根拠がありませんでしたら、ありません、こう言いなさい。郵政大臣、あなたは私がさっきから見ているときわめて冷静に御答弁になっているようだが、私はこれは重大な問題だと思う。労働運動で労働者保護の立法がないということになったら、どんなことをしてもいいということになる。大体公労法というものを、法律をじゅうりんしたのは、仲裁裁定その他を今日まで履行しなかったのは——団結権に基づいてやったところの結果については、労働協約と同じ、法律と同じような効果を持っているのだ。今日までずっと経過的にそれを実施しなかったこと、それが今日まで損害を及ぼしているという事実、それがストライキ権を返せ、そういう根拠になっているのです。これが基本権なんです。基本権の不可侵ということはそういうことなんだ。そういう問題から出ている労働運動、労使間の関係について、しかも事実が的確にあるにもかかわらず、それに反するような、事実を無視したような、一方的な、切り捨て御免的な処分を次から次へ国家公務員法でするということは、決して労使の慣行を立てるものじゃない。この議事録は全世界に行って、日本の労働運動に対する政府の施策がどうかということがだれに聞かしてもわかるんだ。基本的な人権、団結権を保障するという立場からこの問題については厳格にしなければいけない。これは赤松さんが言われた通りなんだ。今までの経過について言われた通りなんだ。GHQとの経過について言われたけれども、国際常識なんだ。それについて人事部長は納得できるような答弁をしないで、政府の見解であるの、あるいは単に根拠なしに国家公務員法を適用するということを言っている。これは、労政局長も公労委におったし、法律常識で公労法を知っているはずなんだ。団結権は労働保護の立法なんだ。それに対して答弁ができない。私はくどいようだけれども、この点非常に本質的な問題であるから、労使の慣行に関する問題であるから、郵政大臣がもしこの点について御説明できるならばしていただく。できないならば、この点について事実を究明することと一緒に、事実ははっきりしているんだから、この問題については取り消す、こういう言明をしていただくことが、日本の郵政事業における労使関係を正常化するゆえんである、こう思いますから、私は郵政大臣の冷静な御見解をお聞きいたしたいと思います。
○小金国務大臣 労働組合の地方の支部の役員が責任をとるという建前は、私は必ずしも団結権を侵害するやり方ではないと思います。と申しますのは、労働組合の本部からの指令にいたしましても、それが違法なりや適法なりやという判断の自由は支部の幹部にもあるはずでありまして、現に職場大会その他の指令を返却して受け取らない支部もあったのでありますから、だから私は、われわれの方からはっきりこの大会は違法であるということを示せば、それはやはり拒否してもらった方がいいと思う。拒否しなかった場合の責任はやはり問われてもいいのじゃないか、こういうように考えております。私は法律上の専門家ではないのですが、そういう了解をいたしておるのであります。
○大原委員 郵政大臣、こうなんですよ。あなたが言われたこと自体も大きな問題があるのです。私が仲裁裁定の問題から、公労法全体から、憲法論から、先ほどからずっと言っている通りなんです。重大な問題があるのです。あるのですけれども、公務員法で労使関係の問題について処分する、こういうことはどういう論拠、見解に基づいてやったんですかと言っている。それは不当労働行為じゃないか、こういう問題を言っているのです。それに対して答えて下さい。それだけでいいですよ。
○小金国務大臣 私は公務員たる資格がある以上は、公務員法が適用になってもいいと思います。
○大原委員 おかしいじゃないですか。私が大切な問題について言っているのにふらふら答えているから怒るのです。私は大切な問題ですから冷静に言っているのです。私が言っているのは、憲法の問題から労働基本権の問題から団結権の問題についてずっと言ったわけです。あなたは組合が合法的に民主的に過半数が意思決定したそういう指令や指示に対して、当然返上すべきだという見解を示した。違法かどうかということの判断を国家公務員法でいっているから問題になっている。だからこれは団結権を侵害する不当労働行為じゃないかと言っている。労政局長ははっきり言っているのです。事実に基づかないようなことについて皆さん方の主観的な判断で法律が運用できるのだったらこれは民主主義じゃない。基本的な人権というのじゃない。だからあなたが言うことはおかしいと言っているのです。答弁して下さい。
○小金国務大臣 私は、律法だとわれわれが認定した、また一般常識的にそう考えられる、今度なんかの場合は一応禁止されているストライキを半日やるということを表向き言っていられることは、私は明らかに違法をかざしているのだと思います。そういうような前提のもとに出された職場大会の指令等については、現にこれを返上した組合もある。だから返上する自由があるのだと思っております。それからなお公労法の違反の問題について、公務員法の適用の除外の規定がありますが、八十二条は適用の除外の規定に入っておらないから、八十二条の適用があってしかるべきだ、こう考えておるのでございます。
○大原委員 郵政大臣、僕はこう言ったのです。いわゆる団結権に基づく指令、指示、意思決定、そういうものに基づいて自主的に選ばれた組合の役員が行動した際に、現場にもいなかった、そういう者に対しまして、公務員の特別権力関係、これは公務員法の適用があるのです。しかし労働問題については、団結権保障の憲法の基本的人権に基づいて公労法ができている。だからそういう公労法に保障された団結権、そういうものを無視するような、そうして国家公務員法で労働運動を処罰するようなことは、公労法の立法の精神でもないし憲法の精神でもない、こういうことを言っているのです。労働関係についての特別法というのは、つまり公労法というのは、他の一般法に優先して適用されるのです。あちらからこちらからというものではないのです。それは法律論として明確なんです。だからそれをくつがえすような御説明はできませんか。できなかったら労政局長も言っているのだから撤回されたらいかがですか、私はこう言っているのです。もう言いませんよ。
○小金国務大臣 私はただいま申し上げましたような考えを持っておりまして撤回する意思はございません。ただいまのところ解釈の相違になるのではないかと思うので、これ以上私が説明しても御納得いただけなければ、今までの解釈の通りでいきたいと思います。
○滝井委員 関連してちょっとお尋ねします。そうすると大臣としては監督官庁ですから、どういう場合には公労法の十八条を適用し、どういう場合に国家公務員法の八十二条を適用するのか、これはやはりはっきりしなければいかぬ。これは自由自在に乱用されたんじゃ困るのです。これを一つはっきりしてもらえば、いろいろその行為については大臣、公社の方がこういう場合は公労法違反だからやるのだ、こういう場合には国家公務員法の違反だからやるのだ、これは議論の余地のあるところです。しかしどういう場合に国家公務員法を適用し、どういう場合に公労法を適用するかということは、はっきりしておいてもらわなければいかぬです。これを一つはっきりしてもらいたい。
○小金国務大臣 一つの行為が、二つ以上の法律が適用されるような場合においてはどれを適用されるかということはその事情、行為に応じてきめていいものだと思います。裁量が私はまかされておるのではないかと思います。これは労働省のさっきの見解もそのようだったと私は思います。
○田邊(誠)委員 今までの答弁を聞いておりまして、今大臣のお言葉がありましたけれども、法律の適用というのは、公労法十七条の違反というものの行為が公労法十八条の適用を受ける。国家公務員法八十二条のいわゆる「左の各号」という三つばかりの号がありますけれども、これに違反した者については八十二条の前段によって、いわゆる「免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。」こういうのであります。従って先ほどのいわゆる機関責任を追及したということは、公労法十七条、この違反行為についての処罰は、翻って、これを一転していわゆる国家公務員法八十二条の適用を受けることは、どう考えてもこれは関係のない法律である。先ほど人事部長は八十二条の違反、いわゆる三つの号の違反であるから、八十二条の前段でもって処罰されるというなら別だけれども、機関責任を追及したのは公労法十七条の違反である。従って十七条違反については十八条の適用はあるけれども、国家公務員法八十二条の適用もあるという、こういう新説を出しておるのである。八十二条前段の適用というものは、いわゆる「左の各号の一に該当する場合においては」というのです。おいてはこれは懲戒処分をすることができる、こういうふうに国家公務員法八十二条は書いておるのでありまして、いわゆる公労法上の禁止規定に違反をした、こういうことは何ら法律的な関係はないのであります。 そこで大臣にお伺いをいたしますけれども、今私が申し上げたことは、これは先ほど来の労働省の見解と照らしてみても、長田人事部長の答弁をそのまま私が信用いたしましてもその通りである。私どもがそのままのみ込んでもその通りなんです。しかも機関責任を追及したというのであります。労働組合の、いわゆる全逓であれば、地区本部あるいは支部、分会、全電通であれば県支部、分会、こういうところの役員なるがゆえに、職場大会に参画をしなくともこれに対して処罰の対象にした、こういうのであります。これは単一労働組合の実は組織の内部に介入する問題であります。地区本部の役員、支部の役員というものは、いわゆる単一組合の中央本部から流れてくる指令を中間で中止させたり、変更させたりするところの責任も権限もないのは御存じの通りであります。これは指令を一つの技術的に下部に伝達をする機関であります。主体的な意思を持っておるところの機関でありません。こういう状態の中でもってあなた方は処分をしたのであります。これは明らかに誤りである。誤りであると同時に、先ほど人事部長は、いわゆる労働組合の中の機構についていろいろと説明をされた。さっき電電公社の職員局長も同じようなことを言われた。しからばこの機関責任を追及したというけれども、三月十八日前後の組合の運動をやる際に、全逓であれば支部、分会の役員はその執行権を停止をして、地区本部以上に役員としての権限を委譲した、組合の中でこういう決定をしております。そういたしますならば、この支部、分会の役員は当然執行権がないのであります。あなた方の言われることを信用いたしましても執行権がないのであります。執行権がない、役員としての権限がその時点でもって停止をされている者もこれは一括して処分をしている、こういう状態であります。これはもう明らかに誤りであることは、私の今の発言を通じてみてもおわかりのところだろうと思う。従ってそういった内容をよく検討いたしますならば、十七条違反によって、いわゆる組合の組織上の問題として処分をしたという、先ほど来の人事部長なり大臣の答弁となれば、これは十八条によるところの解雇、これ以外にないのであります。労働組合運動の中でもってみだりに処罰すべきものでないという先ほどの大原委員の見解はもちろん正しいのでありますけれども、そういった中でもって、もし最悪の場合に処分をするとすれば、これはオール・オア・ナッシングでありますけれども、十八条以外に処分というものはないのであります。組合機関の責任を追及するという立場からいってもそれ以外には法の適用はない、これは明らかであります。従って十七条違反の行為については十八条以外にない。八十二条の、左の各号に該当する者について八十二条の前段の懲戒処分をする、これはあたりまえの話である。それ以外に拡大解釈ができますか、それ以外に法的解釈はできますか。どういうふうにできますか。一つその御見解を明確に大臣から承りたいと思います。
○小金国務大臣 私は、支部の労働組合の幹部が責任を問われたということについては、やはり公務員たる資格を持っておりますから、公労法十七条に違反すれば、公務員たる資格において八十二条の適用を除外いたしておりませんから、その責任を問われることもこれはやむを得ないと思っております。従いまして、その点は法律の解釈の相違、見解の相違ということになると思いますが、私はそういうふうに考えております。
○田邊(誠)委員 先ほど私は二つに分けて懇切丁寧に説明をしたが、職場大会には参加しないで、その職場大会のときには新婚旅行に行っておったり、あるいはちゃんと年次休暇をもらってほかの場所に旅行に行っておったりした者の責任を追及するというものは一体法的に何かと言ったら、人事部長は公労法十七条であると言った。職場大会に参加した者のことは一応おいているのですよ。参加しなかった場合におけるところの処分の法的根拠は十七条である、従ってこの十七条の法的根拠でよれば十八条によるところの解雇以外には処分はない、こういうことでしょう。大臣と人事部長の答弁は違っているんじゃないですか。そんなことでもって郵政では一万名以上の処分をし、またそれに匹敵するところのあなたの監督する電電公社の職員に対する処分をしたということは、これは明らかに日本のいかなる国内法にも該当しない形の懲戒処分である。先ほど来の当局の答弁を総合してはっきりとお答えをいただきたいと思います。先ほどはちゃんと十七条違反、これが十八条も適用される、国家公務員法八十二条も適用されるのだという誤った解釈をして労働省からおしかりを受けるようなことになった。今の大臣の答弁は何か八十二条の各号に該当するようなことを言っておる。こういうあやふやな答弁であります。一つ統一見解をやって下さい。統一見解をしてからこれはもう一度処分をする、こういうことに一つお願いしたいと思いますが、大臣どうですか。
○小金国務大臣 公労法の十七条に違反する行為があった場合に、公労法十八条の処分を受ける場合ももちろんありますけれども、国家公務員法八十二条の処分も受けるというわれわれの建前は、労働省もその見解は否定していない。同じ考え方であります。それから今田邊さんが特に指摘されたのは、新婚旅行に行っておった支部の幹部というようなことでありますが、それは労政局長も言っておりますが、その前後に影響力を持つような行為があったということであれば、やはり処分の対象になります。全然責任がない、そういうことは事実上ないということがわかった者については、これはすみやかに取り消すべきものであるというふうに考えております。
○島本委員 関連して。郵政大臣、これははっきりお伺いしますが、こういうような不当処分が出されたり、その適用条項があるいは公務員法であったりまた公労法の十八条だったり、いろいろそれぞれありますが、それの原因そのもの——電電公社の場合には、あなたの指導監督する部下であるところの公社側の人が、副総裁ですか、それが団体交渉の席上から退去してしまった、話し合いをしようというのに話し合いに応じないで出て行ってしまった、そのことが直接の原因であった場合には、当然あなたは解雇またはそれに類するような処分をしなければならぬことになるが、あなたはどう考えますか。
○小金国務大臣 それは事情をまだ私よく承知しておりませんけれども、副総裁ともあろう者がそういうことをするとは考えておりません。どういう理由で退席されたか、私それは承知しておりません。
○田邊(誠)委員 大臣、今あなたは組合の機関の責任を追及されるという話であります。ところが私はせんだって、処分の対象になりました横浜地方貯金局の所属でありました大須賀昇君という人間が今度懲戒免職になっておりますので、この現地調査をいたして参りました。そしてその所属しておりますところの横浜地方貯金局に行きまして、ちょうど局長は留守でありましたが次長と管理課長がおりまして、いろいろとその事情をお聞きしましたところ、懲戒免職の処分については何ら知らない、こう言うのであります。なぜ知らないかと言ったら、これは普通の場合においては大臣の委任を受けて辞令を出すという格好になるのだけれども、今回の処分については所属長は実は委任行為を受けてない、大臣の責任でこれはやられた、こういう話であります。私は少なくともその間の事情を所属長が知らないということはないだろうといろいろ問い詰めましたけれども、処分の内容も発令するまで全然知らなかった、所属長はただこれを伝達したにすぎない、こう言うのであります。地方貯金局長は、処分は大臣の命令であるからこれはただ単に本人に伝達したにすぎないと言う。しかしそうは言っても、あなたは自分の息子が首切られるのだから、大臣に対してこれは少しひど過ぎるじゃないか、こういう話は幾らか出たのじゃないかと言ったところが、いや、そういうふうになっておりません、私の方は郵政省一方の機構でありますから、大臣から命令をされれば、ただ単にその辞令を本人に手渡すだけが私の役目であります、こういうふうに横浜地方貯金局の次長は私に答弁をしたのであります。大臣、郵政省の機構の中で、普通ならば委任をされておるところの権限を持っておる地方貯金局長も、この処分については大臣の命令を変更することも、それに対して口添えをすることも、あるいは上に対していろいろと注文をつけることも何もできないのだ。労働組合の機関は役所の機構、行政官庁の機構とは違うのであります。これを法人の組織であるところの労働組合に当てはめることはもちろん誤りである。しかし一たび私どもが譲りまして、官庁機構とやや類似して考えてみましても、処分を発令する際に、普通ならば、委任行為として権限を持っておる職場の長というものは、それに対して何らの口添えも何らの注文もできないというのです。そういうことをあなた方が言っておきながら、今度は労働組合の内部に立ち至って、地区本部なり、支部なり、分会なりの役員は、本部からの指令に対して、これを阻止したり変更したりするという、こういう立場にあるではないか。これはあまりにも矛盾した話ではないですか。どうですか。あなたの権限でもってやったということと同じように、労働組合の組織も、単一組合である労働組合の中間機関の役員は、先ほど申し上げましたように、これは当然上部の指令を下へ流す以外には権限がないのであります。官庁の機構よりもさらにその組織に対するところの一本化の統制というのは明確なのであります。これは労働組合の自主的に判断するところであります。そういたしますならば、あなたが中間機関の役員の責任を問うということは、私は今具体的に申し上げた官側の機構から見ましても、きわめておかしいのでありまして、今島本委員からも指摘された通り、いわゆるあなた方の管理者の立場にある者に対しては責任を追及しない。みんな大臣の言う通りにしなさい、こういう形をしておりながら、労働組合の中に立ち至って、中間機関の役員に対してその責任を追及することはきわめて相矛盾した考え方ではないか、こういうふうに私は考えるけれども、今の具体的な私の指摘をいたしました事実に相照らしてみて、あなた方が労働組合の中に介入することはきわめて不当労働行為である、こういうふうにあなた方もお考えだろうと思いますが、いかがですか。
○小金国務大臣 ただいま御指摘になりました事例は、神奈川県地区の副委員長でございまして、専従者であります。そしてこれは免職だったと思いますが、免職処分をするのは本省でございますから、大臣処分でありますから、これは私の方でやって局長に伝達さした、こういういきさつでございます。
○田邊(誠)委員 組合の方も中央本部の指令であります。同じように組合の方も単一組合の中央本部の指令であります。それを守るのは中間幹部の役員の当然の義務でしょう。あなたの方の所属長であるところの横浜地方貯金局長が、あなたの辞令をそのままうのみにして、自分の子供に対してこれを手渡したということ、これと何ら変わりがないでしょう。なぜ中間機関の役員の責任を追及しなければならないのですか。
○小金国務大臣 ただいまお示しになった事例の人の行為は非常に内容が明瞭でございまして、これは本省で直ちに取り上げてやった。そして今申し上げた通りに免職であるし、また専従者でありますから、これは本省で取り上げた、こういうことで、中間の局長の意見を求める必要はないという例であります。
○田邊(誠)委員 大臣、私の言っているのは、組合の機構というものは、ちゃんと中央本部から流れてくる指令は下部は守る、こういうことは自主的に、民主的にきまっておることであります。しかもいわゆる中間機関の役員の中には、その執行権を停止をして上部機関に委譲しているという役員もあるのであります。こういう組合の内部的な組織を、さっき人事部長が言われましたけれども、これにのっとって処分をいたしておるのでありますから、単一組合をお認めの上は、中間機関の、指令をただ単に順法しなければならない立場にあるところの役員を処罰するということは、公労法からいっても、あなたの官庁機構の立場からいっても、これは当然誤りではないか。従って、先ほどの公労法十七条の違反行為に対しては、十八条しか適用できないという、だれが考えても間違いのない法的解釈を折り曲げて国家公務員法八十二条の適用を与えた、こういう誤りと、もう一つの、組合の内部に干渉いたしまして、いわゆる指令権を途中で返上したり変更したり、こういうことが許されるがごとき、こういうことをしいるがごとき組合干渉をいたしたのであります。この二つの誤りを私は指摘しておるのでありまして、この後段の私の指摘に対して、あくまでも組合の自主的な運営については組合にまかせる、こういう立場をあなたはおそらく尊重されると考えますので、その内部にあえて立ち至ってこれを干渉して、その組織上の問題に対して云々することはない、これは当然のお話だと思いますけれども、この点を明確にしていただきたい、こういうように思います。
○小金国務大臣 組合の中に入ってその組合のいろいろなことに干渉するという考えは毛頭持っておりません。ただいま問題になっておりますのは、違法の指令でありますから、その違法の指令の取り扱いについて私どもは責任をただしたのでありまして、今の神奈川地区の副委員長の処分については、おのずから官庁機構でもあるし、また専従者であるから本省で取り扱った、こういうことであります。労働組合に干渉するというような考えから出たものではございません。
○山本委員長 大臣お帰り下さい。(「ちょっと待て」と呼び、その他発言する者、離席する者多し)お帰り下さい。用事があればまた呼びます。
○田邊(誠)委員 今大臣のお言葉を聞いていましても、組合の内部に干渉をやろうとは思っていない、これは当然の話であります。従って組合がたとえば中央本部の指令を中間機関でもっていろいろな変更をしたり、あるいはそれを縮小したり、こういうことができるような労働組合であれば、これは大臣も言われる通りです。しかし全逓なり全電通なりというものは単一組織でありまして、中央本部の指令はそのまま下部へ流れる。もしそれが違法行為であるかないかは組合の中でもって判定をすべきものでしょう。組合の中でもって、中間の役員なり、下部の組合員は、違法行為である、やらないこういう認識をすれば別であります。もしそれが外部的に見て違法行為であるとするならば、それはその中央本部の役員なる者は、これは違法行為であるかどうかの責任を問われる立場にある。これは当然であります。組合の全体の機関として、大会でもってこれは令法であるかどうかということについては当然責任を負うのであります。何もその中の一つ一つの機関、一つ一つの機構についてあなた方が立ち入って、中間機関は中央の指令を拒否するようなことができる、こういう解釈をし、この解釈に基づいて処分する、こういうことは明らかに組合の運動に対するところの介入であり、不当労働行為である。こういうことは明らかだと思いまするけれども、大臣どうですか。
○小金国務大臣 私は組合の方の指令は全部適法だというつもりで支部がこれを尊重するということは、これは私はおかしなことであると思います。個人も組合員として、また個人として、また国家公務員あるいは公社の従業員としてやはり判断すべき自由があると思います。だから本部の単一組合の最高幹部の指令だからということでこれを順奉しなければならぬという解釈は私はとれないと思います。
○山本委員長 郵政大臣、お帰り下さい。
○田邊(誠)委員 今大臣のお話を聞いてみても、先ほどの人事部長の答弁を聞いてみても、その間においても非常に不統一であります。しかも組合機関の責任を追及するという形であっても、その法的根拠も非常に不明確であるし、しかも組合内部の機関責任を追及するということは、明らかに組合の中への干渉である、こういうことは当然の話であります。そういう点に対するところの明確な答弁が、統一的な見解がないのはわれわれとしてはどうにも納得できない。こういう状態を——先ほど来のお約束でありまするから、大臣は先にお帰りいただきますけれども、あらためて、この問題に対しては、本日だけではどうにも納得できない。こういう立場でもって後日郵政大臣にさらに直接私はお伺いしたいと考えます。あらかじめ一つお含みいただきたいと思います。どうぞ……。 人事部長は先ほど組合の中間機関の役員の責任を公労法十七条によって追及した、こういう話であります。ところが先ほどちょっと触れましたけれども、大臣が実はよくのみ込んでおらないと見えて答弁をされなかったのでありますけれども、実は全逓の場合に中間機関の役員がこの三月十八日を前後とするところの電通合理化のいわゆる組合運動に対しては、中間機関の役員は組合執行権を組合の自主的な決定によって停止をして、上部にその権限を委任しておる。こういう状態であります。組合の中の機構に対して立ち入らない、介入をしないという、こういうあなた方の考え方から言えば、組合の自主的な判断と決定によって、いわゆる中間機関の役員が執行権を停止をしている、こういう状態であるとするならば、この役員は当然役員としての責任を追及されるところの立場にない。これはおわかりの通りだと思う。こういった役員に対して、あなた方が処分の対象にしたということは、これは明らかに組合の中にあなた方が介入した、こういうふうに考えざるを得ないのですけれども、これに対するところの解釈はどうですか。
○長田説明員 ただいまお話のような執行権の吸い上げとか、停止とかということは、まだ実は私ども聞いておりませんでしたし、ただいまのお話のような点は、三月三十一日の実力行使について何か組合内部で問題になったということは聞いておりましたけれども、三月十八日についてそういうことが問題になったようには、寡聞にしてまだ聞いておりません。
○田邊(誠)委員 人事部長は聞いておらないと言うが、これは今までもそういったことはしばしば全体の組合が自主的に実はやってきたことであります。これは御存じないというはずはありません。具体的に三月十八日の事態の中でも、三月十七日に、私は局名を申し上げてもよろしいけれども、申し上げないでおきまするけれども、いわゆる執行権を地区本部に委任をした支部と分会の役員が、その地区のいわゆる責任あるところの局長、指定同というのでしょう、その局長に対して交渉代表者というのでしょうか、この局長に対して執行権を地区に委任をしたということを連絡をいたしましたところが、その局長が三月十七日、十八日の前の日にそういった執行権を地区に委任するということに対しては認めないというところの連絡があった、こういう事実があった。これはどうですか。
○長田説明員 ただいまのお話のような点につきましては、さらに私どもよく調べてみたいと思います。
○田邊(誠)委員 これは前からそういった事実があったことは人事部長も知らないはずはないと思う。もしこれを知らなかったとするならば、これは知らないままに組合の内部にあなた方の一方的な判断でもって介入して、あなた方のいわゆるきわめて押しつけがましいところの解釈でもって介入して処分をした、こういう事実とこれはうらはらの関係にあります。従って三月十八日のこの事態の中でもって支部や分会の役員が執行権を組合の自由的な判断によって停止をし、いわゆる役員としての権限を上部機関に委任をした、こういう事実が明らかになった場合には、これはあなた方も当然支部なり分会の役員の権限はこの運動に対してはないということをお認めになると思いますので、これに対するところの処分がなされたとするならば、当然これは撤回をされる、こういうふうに認識してよろしゅうございますか。
○長田説明員 先ほども申し上げましたように、三月三十一日の場合について何か今お話しのようなことはちょっと聞いたことがございますが、十八日の問題についてそういうようなことは全然聞いておりませんでした。なおよく調査をすることにいたします。その実態がほんとうに執行権をあれしたのか、実力行使の処分等に関連してあれしたのか、あるいはそれが適法といいますか、内部の正当な手続でされているかどうかをよく調べてみたいと思います。
○田邊(誠)委員 こういう重大な事実をあなた方は知らないでおって、勝手に組合の各級機関の役員であるがゆえに、機関責任を追及するということでもって処分したということは、まことに不届きではありませんか。十八日の事実の中でもって、今私が申し上げたような事実が判明いたしましたならば、当然あなた方の考え方は変更しなければなりません。こういう事態になると思いますけれども、これでは私は私の質問に対する明確な答弁を求めることは困難だと思います。一つこの次の社会労働委員会までに——こんなことを知らないで処分したなんということになればとんでもない間違いであります。これはずっと前から全逓の組合、全電通の組合がやっておることでありまするから、知らないはずはないのでありまするけれども、知らないという答弁を盛んに強調いたしまするから、その事実を調べて次回の社会労働委員会までに持ってきて下さい。それまで私の質問を保留いたします。
○山本委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後八時四十一分散会 ————◇—————