社会労働委員会 第33号
- 発言数
- 391 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1961/05/17
会議録
○山本委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の社会福祉施設職員退職手当共済法案を議題とし、審査を進めます。 提案理由の説明を聴取いたします。
○山本委員長 古井厚生大臣。
○古井国務大臣 ただいま議題となりました社会福祉施設職員退職手当共済法案について、その提案の理由並びにその要旨を御説明申し上げます。 御承知のように民間の社会福祉施設は、国または地方公共団体の経営する社会福祉施設とともに、社会福祉事業の一翼をになっているのでありまして、政府といたしましては、かねてこれら職員の待遇改善について努力して参ったのでありますが、給与につきましては、昭和三十五年度補正予算並びに昭和三十六年度予算におきまして、約二十%のベース・アップを行なったのであります。さらに退職手当につきましても、これら職員に対する待遇改善の一環といたしましてこれを支給する制度を設け、これによってこれら職員の身分の安定をはかり、もって社会福祉事業の振興に寄与いたしたいと存じまして、この法律案を提出した次第であります。 次に、この法律案の内容についてその概要を御説明申し上げます。 第一に、この制度の実施主体である社会福祉事業振興会と退職手当共済契約を締結できる経営者の範囲を、都道府県知事または市町村長から援護、育成または更生の措置の委託を受ける生活保護施設、児童福祉施設、身体障害者更生援護施設、精神薄弱者援護施設その他これらに準ずる施設を経営する社会福祉法人等といたしております。なお、退職手当共済契約の締結につきましては任意といたしております。 第二に、退職手当金は、退職手当共済契約を締結している社会福祉施設の経営者に使用される職員が、その施設に一年以上在職して退職したときに、振興会が直接退職した職員に対し支給することといたしております。 第三に、退職手当金の額は、退職した職員の勤務年数及び退職理由に応じて定めることといたしおります。 第四に、この制度運営の費用についてでありますが、退職手当金の支給に要する費用につきましては、経営者は掛金を振興会に納付し、国と都道府県は振興会に対して高率の補助を行なうことといたしております。なお、振興会の事務に要する費用につきましては、国が補助することといたしております。 第五に、この制度の実施主体につきましては、制度の永続性、退職手当金の確実な支給を保障するため、特殊法人である社会福祉事業振興会に行なわせることとし、社会福祉事業振興会法つき所要の改正を行なうことといたしております。 第六に、施行期日でありますが、昭和三十六年十月一日から施行することといたしております。 以上がこの法律案の提案理由並びにその概要でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○山本委員長 本案についての質疑は後日に譲ります。 ————◇—————
○山本委員長 次に国民健康保険法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑を許します。河野正君。
○河野(正)委員 社会保障制度の拡充が、池田内閣の三本の柱の一つでございますことは御承知の通りでございます。その社会保障の中でも、医療保障の占めます分野というものは非常に大きいわけでございまして、そういう意味から三十五年度で一応国民皆保険制度が、形式的には達成されるということになったことは、私どもも同慶の至りでございます。しかし、ここまでくるに際しましては、いろいろな紆余曲折があったようでございます。それにはいろいろな理由があると思います。たとえば厚生省で発表されております二月一日現在での資料によりますと、すでに一〇〇%組織化が達成された地域もかなり多いようでございますけれども、なお鹿児島の二十五町村、それから愛知の十六、大阪の十四、京都の十二、これは二月一日現在でございますから、今日の時点ではどのようなことになっておるのか、後ほど御報告を願いたいと思いますが、そういったような未実施地域が残っておるという状況でございます。なお、これは組織問題でございませんけれども、たとえば京都市のごときは、国保の組織はできましたけれども、保険医の方が総辞退をして、そうしてなお今日給付問題をめぐりましての紛争が続いておる。だからこれは完全な達成ではないわけです。こういったような今日までの紆余曲折をたどって、一応形式的には達成されたということになっておるのでございますが、今日の時点でどういう状況であるのか。なるほど皆保険は達成したことになっておりますけれども、今申しますように、京都のごときは、総辞退というような非常に困った状況も生じておる。これは今後の国保の円滑なる運営を期していくために、非常に重要な要素となりますので、そういう今日の時点におきます国保組織の実態というものについて、一応御所見を承っておきたいと思います。
○森本政府委員 ただいま国保の普及状況についての御質問がございました。御指摘になりました資料は、実は私の方から配付した資料でございますが、提出いたしました時期が早うございまして、二月一日の資料でございます。二月一日現在ではその通りでございますが、四月一日現在の状況で申し上げます。実は先般の委員会でもちょっと申し上げたのでございますが、繰り返し申し上げたいと思います。 全国の市町村の総数が、四月一日現在で三千五百十四ございます。それで実施をしておりますのが三千五百九でございます。差引五カ村が実施をしておらぬということになっております。五カ村と申しますのは、これは奄美大島の島嶼部の五カ村でございます。これは実情といたしましては、医療機関がどうしても設置できない。それから近くの医療機関の利用も非常に困難であるという状況でございまして、当該市町村長から延期をしたいという承認の申請が大臣に参りまして、いろいろ調べましたところ、これは諸般の事情からいたしまして、実施を延期せざるを得ないだろうということで申請の承認を与えましたのでございます。それからなお奄美大島の一方村につきましては、全区域を実施できずに、一部の地域については未実施でございます。これも無医地でございますので、やむを得ぬと思っております。これは知事の方において承認を与えております。かような状況でございまして、この四月一日までにはいろいろな困難がございましたが、現状といたしましては、全国三千五百十四の市町村のうち五つの村を除きまして組織化ができた、こういう状況でございます。 それからもう一点でございますが、京都市におきまして、国民健康保険医の辞退をいたしたという事実が、本年二月か三月ごろございました。その後の様子でございますが、四月一日、京都市におきましても国保を実施することになりました。それで国保の健康保険医の辞退ということと、京都市の実施ということがございますので、これは何とかして早く調整をしなければならぬという事態になっております。四月一ぱい京都市の方で市の医師会等とも折衝されまして、数日前でございましたか、京都市の助役が見えてのお話でございますが、医師会の方とも話がつきまして、五月中には大体辞退をされた方も再申請をされまして、軌道に乗る見込みが立ったから、こういうお話でございました。近く御心配のような点も解消するのではないかと考えております。
○河野(正)委員 なるほど統計の上からは、五カ町村が未実施だということでございますけれども、しかしここに到達いたします間におきましては、非常に紆余曲折、非常に困難な道を歩いてきたと思うのです。それからさらには、今御説明がございました京都市におきましても、組織化は達成されたけれども、その内容の大きな比重を持っておりまする保険医の構成については、なお紛争状態である。そういういろんな問題点がたくさん内蔵されたまま、形式的に達成された。そこで私は、そういう紆余曲折の経緯をたどらなければならなかった点について、いろんな理由があったろうと思う。たとえば給付内容と保険財政との関係、あるいは保険税と保険財政との関係、こういうようないろんな理由があっただろうと私は思うのです。そこで私は、こういう皆保険達成に至るまでに、いろいろ紆余曲折の道をたどらなければならなかったという真の原因、その点を私どもがよく理解をしておかぬと、国民皆保険の円満な発達を期するということが不可能だ、こういうように考えるわけです。せっかく達成されたわけですから、少なくともこれを内容的にも十分に発展させなければならぬ。そういう立場から、いろいろ紆余曲折の方向をたどってきたその原因というものが、一体どこにあるのか。これに対する厚生省の御所見を承って、そうして私どももせっかく生まれた皆保険制度でございまするから、その円満な発達のために、発展のために、さらに努力を続けていかなければならぬ。そういう意味で、今日までの経緯の中でいろいろ困難があった原因というものが、一体どこにあったか、どういうように御判断になっておるのか、その辺の事情を一つ承っておきたいと考えます。
○森本政府委員 御指摘のように、皆保険に達するにはいろいろな困難がございました。やっと固まったようでございます。全国一手五百の市町村でございますので、それぞれ特殊な事情がございますが、一般的に申し上げます。 第一は、何と申しましても、保険財政がうまく立っていくかどうかという見通しの問題のようでございます。すなわち国保を始めますと、まず保険料を徴収しなければならぬ。その徴収が全国平均いたしますと、一世帯年間三千五百円から四千円程度の保険料となります。国保を実施しておらぬところはこれから始めなければならぬ。かような保険料の徴収がはたしてうまくいくかどうかということが非常な心配でございます。かりにその徴収ができたといたしましても、保険の収支が見合うようになるかどうか、収入が予定通りありましても、赤字が出る心配がないかどうかという点、これが市町村当局が踏み切る際に決心しかれる最も大きな原因のようでございます。その他特殊な事情といたしましては、あるいは医療機関が十分ないところもございます。それから、主として大都市に多いわけでございますが、医師会の協力を円滑に求めたい、それにはどうしたらいいかというような、いろいろな折衝がございました。そういうような点がそれぞれの地区においてあったようでございます。根本の問題は、やはり保険料の徴収の問題、それから実施後における保険財政がうまくいくかどうかという心配が第一であるというふうに考えております。
○滝井委員 委員長、こういう委員の出席の状態ではやれませんから、ストップを。無効ですよ。
○山本委員長 速記をとめて。 〔速記中止〕
○山本委員長 速記を始めて。 河野正君。
○河野(正)委員 今御説明がございましたように、今日まで皆保険制度が達成される間において、いろいろと困難の道を歩いてきた。その原因を要約すると、第一には財政上の問題、第二には医療機関の問題、第三には医師会との協力関係等の問題、こういう御説明であったわけです。とりわけ大きな比重を持っておったのは、やはり財政上の問題だろうというふうに考える点においては、これは全く同一だと考えます。御承知のように、医療保障というものが形式的に達成されましても、問題はそれが円滑に運営され、そうしてほんとうに住民の福祉に役立つかどうか、この辺が私一番重大な点だと思うのです。単に皆保険制度が形式的に達成された。しかしながら内容的には非常に欠陥だらけで、住民福祉のためには、ないよりはあった方がいいでしょうけれども、そう大きなプラスにならぬ。むしろ過重なる保険税だけを徴収されて、その負担増のために非常に住民が苦しめられるというようなことでは、皆保険制度の精神にも反するという結果が生まれてくるであろう、かように考えざるを得ないのです。そこで、今日まで、全国の市町村側は、その円滑なる運営をしていくためには、今日国保に対しまする二割の国庫補助率を五分引き上げて二割五分にしてもらいたい、さらには将来国保の運営にあたって不安がございまするので、その引き上げの時期についても早急に解決してもらいたい、こういう強い要望がございます点も御承知の通りです。 そこで私どもも、せっかく医療保障が達成されるということでございますから、その円満なる運営ないしは内容の充実というものを考えていかなければならぬので、今日までしばしば実は国保に対しまする補助率の引き上げということを強く要望して戻りましたことも御承知の通りです。しかもそのために、実は今日までしばしば当委員会の審議がストップするという経緯もございました。そこで委員会審議を正常化する、そういう意味で、実は四月の二十日、自民党と社会党の両党の国会対策委員長と池田総理との間に、いわゆるトップ会談が行なわれて、そうして池田総理からすみやかに善処するというふうな確約が行なわれて、またこの委員会の審議が開始されたというように私どもは仄聞をいたしておるわけです。しかし実際問題として、この国保法の審議を担当いたしまする委員会は、当委員会の権限でございまするから、当然その経緯については、大臣からもすみやかにこの委員会において御報告される義務があるであろうというようにわれわれ考えるわけです。われわれは、少なくとも委員会の責任において、国保の内容の充実、向上発展ということに対して御協力を申し上げるという立場をとっておりまするけれども、実はそういう運営については案外つんぼさじきに置かれておる。こういう経緯がありましたことは、私どもも当委員会の一員としてまことに遺憾に考えております。そこで私は、当委員会としても、一つ大臣からその間の経緯をお聞きする義務があると思います。その間の事情を一つ明らかにしていただきたいと思います。
○古井国務大臣 お話のように、一応国民皆保険の体制はできたわけでありますけれども、内容に至りましては今後に残っておるものが相当たくさんあるのであります。これを改善充実して、内容を向上させるということは、おっしゃるまでもなしに、次の段階としては当然考えなければならぬ問題であります。ことに、ほかのいろいろな保険と比べて、国保は内容が低いのですから、均衡をとる意味においても内容の改善充実が大事であります。給付率の問題もありますし、それから国庫負担の率の引き上げの問題もあります。この点は総理も、お話を申し上げた今のような経過でありますが、私どもとしては、むしろこっちが先に立って国庫負担の改善の点も大きに努力をしたいという考えを持っております。前にもこのことは申し上げたかとも思いますけれども、重ねてそのことを申し上げておきたいと思います。
○河野(正)委員 実は四月の二十日、両党の国会対策委員長と池田総理との間で、この国保補助率の引き上げの問題がいろいろと話をされ、その後においては、実は私ども新聞その他で仄聞するという程度で、当委員会においても全くその間の経緯が明らかにされておらぬという状況であります。それと、当委員会の審議というものが非常に軽視される。むしろ池田総理よりも厚生大臣みずからが積極的に国保を育成するという建前から、その補助政策についても積極的な方針をとりたいというお説もございましたが、私は委員会の審議を重要視するという建前からも、今後積極的にそういう方針をとって臨んでいただく。委員会中心ですね。もちろんそれは非常に困難な問題ですから、両党の間で話し合いをされることは非常にけっこうでありますけれども、そういう事情があったならば、すみやかに委員会においても、その間の事情というものを明確にお示し願って、審議の対象として、どこまでも国会審議という建前からこういう問題の解決に当たっていただく、こういう方向でぜひお願いを申し上げたい、かように考えます。 今大臣からも御説明がございましたが、今回の国民健康保険法の改正にあたりましても、なるほど一部におきましては、精神と結核でございますけれども、向上をいたす、こういう点につきましては私どもも賛意を表するわけでございます。しかしながらいずれ近々医療費の引き上げが実施されるだろうということは既定の事実でございます。ところがそのことは国保財政及び被保険者、特に大臣からお話がございましたように国保の場合には低所得者が非常に多い、そういう被保険者の負担増です。こういう点については今度の三十六年度予算では考慮されておらない。単に今度の改正法によって結核ないしは精神障害者の負担軽減、五割から三割負担になったわけですが、これだけで解決するなまやさしい問題ではないと思うのです。特に国保の場合にはさっき申し上げまするように低所得者層が非常に大きな比重を占めておるわけですから、そういう被保険者さらに保険者の負担増に対しまする考慮というものが、実は今度の予算で考えられておらぬ。しかも今日の達成まで国保が困難な道を歩いてきた一番大きな原因は、財政上の問題もあった。ところが、すべてではございませんけれども、一部でございまする負担増に対する考慮が払われておらぬ、せっかく皆保険達成に対する批判が行なわれながら、その批判に対する善処が行なわれておらぬということを、私ども非常に残念に思っておるわけでございます。そういう点に対してはどういうふうにお考え願っておるのか、一つこの点も御所見を承っておきたいと思います。
○古井国務大臣 ただいまのお尋ねの点は、これも前の機会に御説明申し上げたかもしれぬと思いまするが、今度の予算に組みました医療費の引き上げ一〇%に伴う国保財政の問題でありますが、この点は今の制度のもとで当然国が持つべき部分、それから今のままでは国保団体が持つべき部分と分かれてくるわけであります。国保財政では、今の制度では持つべき部分が、今度の引き上げに伴って二十四億と計算したのであります。それに対して、ほっておけば国保団体が負担することになるのでありますが、今回国保財政のなかなか苦しいという実情をよく考えまして、任意的ではありますけれども十五億補助金、そのほかの財政措置で五億くらいの手当をする、つまり二十四億に対して約二十億という手当をいたしたのでありまして、決してほうっておいたのじゃないのであります。これは制度からいえば当然国保団体の負担すべき部分であったのでありますが、そういう措置も講じたわけであります。なお一方患者負担の分の問題は残ります。これはしょせん給付率の問題になってくるわけであります。五割患者負担ということになっておりますけれども、五割が増す範囲では患者が負担しなければならぬことになるのであります。この問題の解決は給付率の引き上げという道をとる以外には手がないのであります。その問題は今の建前をさらに改めて、給付率を今後引き上げるという問題として解決しなければ道がありませんので、ここを今後の問題として、さっきも申し上げたように給付率引き上げ改善の問題として基本を改める努力をしていこう、こういう考え方を持っております。
○河野(正)委員 医療費引き上げの問題と同時に、実は今度の保険医総辞退の紛争に際して、いろいろ自民党と医師会、歯科医師会との間に取りきめが行なわれておる。十三日の医師会、歯科医師会の大会においても、自民党の三役の方が御出席になってさらに再確認されたようでございますが、いずれにいたしましても取りきめが行なわれた。その中で直接国保に影響してくる——まあたくさんありますけれども、具体的に問題があるわけです。それはどの問題かと申しますと入院料、往診料、歯科補綴についてはすみやかに処置を行なう。これは非常に具体的な例だと思うのです。そのほか単価の問題その他ありますけれども、具体的な点はこれが一番具体的な点です。すみやかに措置されぬというと、これが勢いまた保険財政に影響を持ってくるわけです。しかもそれが紛争解決の、すべてではございませんけれども、一因になっておるということになりますと、この点も私は具体的にきわめて重要な問題になってくると思いますが、それではその入院料、往診料、歯科補綴をすみやかに解決するということはどういうことを意味しておるのか。具体的に幾ら上げるということもありましょうし、あるいはまたいつから実施するという時期の問題もありましょう。そういう点についてはどういうふうにお考えになっておる。これも結局国保財政に影響を及ぼして参ります。そういう意味から、一つこの点もお伺い申し上げておきたいと思います。
○古井国務大臣 入院料、往診料、歯科補綴料の引き上げ、このことのために今日までの既定の予算以上にいわゆる医療費の引き上げを行なうということになりますれば、さらに補正予算等の財政措置でいくわけになるので、そういうふうにいたしますならば、それに対応してまたさらに幅を引き上げるといたしますれば、補正予算、これに伴って国保財政の負担の問題も起こってくるわけです。 〔委員長退席、大石委員長代理着席〕 これに対しても、その機会には私は当然、国保財政に対してさらに加わる部分ありとすれば、それに対する国保財政措置、これを考えなければならぬ、そういうふうに思うのです。そこの部分は上げっぱなしで見ないというわけには国保財政の状況から見てもいかぬ、見なければならぬと私は思っております。
○河野(正)委員 それでは、考え方としては今の御説明で了解がいくわけですが、具体的にその時期については、補正予算等の問題もあると思いますが、いつごろをお考えになっておるか。
○古井国務大臣 これはもともとのあの申し合わせも、すみやかにということでありまして、これは新しい財源を要する問題であれば、補正予算というふうな措置を講じなければならぬのですから、その問題になってくるのでありますから、私だけでこれはいつやりますとかいうことを申し上げることは困難でありますが、しかしあの趣旨も、できるだけすみやかに、こういうことでありますから、いつまでもおいておこうという意味ではむろんありませんが、これは補出予算と関連いたしますので、いつとここで私だけで申し上げるのは、ちょっと困難かと思うのであります。
○河野(正)委員 そうすると、すみやかにですから、次期補正予算の段階でというふうに理解してけっこうですか。
○古井国務大臣 これはすみやかにといっておる意味の趣旨の問題でありましょうから、できるだけ早く、こういうことでありますから、来年まで待つと必ずしも言っているわけでもありますまいし、そこはお互いが意味をとる、理解をとるということであろうかと思うのであります。
○河野(正)委員 すみやかにという言葉の理解の仕方でありますが、少なくとも良識あるすみやかにということで、一つこれは早急に善処していただくというふうにお願いをしておきたいと思います。 さらに、ただいまもこの国保財政に対して国がどういう助成政策をとるべきかという意味の一、二の例をあげての質疑を行なったわけですが、今日国民一人当たり年間どれくらいの補助、助成というものが行なわれておるかということを私は調査いたしましたところが、最も裕福な組合管掌保険、これが一人当たり百九十六円、それから黒字であると言われております船員保険では八十三円、それから給付内容が非常に劣悪で問題になっております日雇い健保、これではわずか百十六円、それから過半数が低所得階層であります国保、国民保険、これがわずかに六十八円、私が調査いたしました範囲ではそういう実情になっておるようです。ところが、今までいろいろと大臣からも御所見を承りましたように、国保が財政的にも一番問題がある、こういうふうに言われておる。ところがそれに対しましては、国の補助額というものが、わずかに六十八円ということで一番低いわけですね。私が今申し述べた中では一番低い。そういたしますと、せっかく国保の実態について御理解をいただいておるようでありますけれども、実はその実が伴わないというふうな結果が生まれてきておるのが今日の実情のようでございますが、そういう点に対してはどういうふうにお考えになっておりますか、一つ明らかにしていただきたいと思います。
○森本政府委員 ただいまの各保険に対しますところの国庫負担の額についての数字をあげてのお話がございましたが、これはいろいろ計算方法等もあると思うのでございますが、ちょっと私の方で調べました数字と相違いたしておる点がございますので、この数字につきましてはそのまま承っていいのかどうか、あるいはまた私の手元の数字が間違っておるかもしれませんが、少しそごを来たしております。その点を申し上げておきます。 ただ数字に触れずに申し上げますと、一番高い医療給付費でございますが、医療給付費につきましての国庫負担額の一番多いのが、やはり日雇い健康保険です。それからその次が国保でございます。それ以外の政府管掌、あるいは組合健康保険、船員保険、共済組合というのは、総額にいたしましても一億足らずでございますから、給付費につきましてはほとんど少ない数字でございます。やはり一番大きいのが日雇い健康保険、その次に多いのが国民健康保険、その他の保険につきましては、給付費についてはほとんどネグレクトしてもいいくらいな数字ではないかというような感じがいたします。数字のつき合わせはあとにいたしますが、そのまま数字をちょっと受け取りがたいという感じがいたしますから申し上げておきます。
○河野(正)委員 数字については、私の述べたところと今厚生省から示されたところについては若干の相違があるというようなことでございますけれども、しかしながら、国民健康保険の被保険者、この被保険者の所得が月一万五千円以下、こういう階層が大体六割以上存在しておる。しかもその階層の中には主として農民、中小企業、こういう低所得者階層というものが大きな比重を占めておる。しかも先ほどちょっとお話がございましたように、一世帯当たり三千五百円から四千円近い保険料というようなものを支払わなければならぬ。しかもことしの四月一日から拠出年金も開始される、こういうふうになりますと、低所得者階層でございますにもかかわりませず、保険料その他の負担費というものが大きくおおいかぶさってきておる。そこで今の補助率についてはいろいろ数字の相違もございましたが、しかし実態は今申し上げますような実態でございますから、たとい今度の改正によって結核ないし精神病が七割の負担というふうに向上されたといたしましても、今申し上げますような実態でございますので、たとい補助額の数字に相違があっても、この実態の上では、今日の助成政策だけでは十分でないということはもう明らかな事実だと考えるわけです。そこで、私は大臣もそういう実態は十分御承知だと思うのでありますけれども、そういう実態に立って今後どういうふうに対処されようといたしておりますか、もう少し突っ込んで一つ御答弁をお願い申し上げたいと考えます。
○古井国務大臣 これはさっき以来申し上げますように、つまり患者負担の分が国保では五割でありますから、一般的に申しますれば五割給付でございますから、その患者負担を減らすためには五割の給付率というものをもっと引き上げる。そうすれば患者負担が減るわけでありますから、そういう道しかないのであります。それからまた、引き上げますとそれだけ保険経済の負担が大きくなるわけであります。ほっておけば保険料の引き上げをしなければならぬわけでありますが、そこでそれに対して今度は国の負担割合を引き上げるという問題になってくるわけであります。国の負担の二割と、それから五分の調整金と、二割五分でありますが、その負担をもっと引き上げる、これ以外には保険料引き上げを押える道はないのですから、回ってきて結局国の負担割合をもっと引き上げるという問題になってくるわけであります。その問題が国の負担をどうするかというさっき来の問題になってくるわけです。この問題は、さもなくても国保財政が窮屈なんですから、これは大きに今後引き上げの問題を考えなければならぬと申し上げておるのは、そこなんであります。そういう考え方を持っておるつもりであります。
○河野(正)委員 少なくともそういう実態にあるという認識に立って、さらに格段の御努力をお願い申し上げたい。 御承知のように、先ほどから申し上げますように、一応形式的には全国で全地域にわたって国保が組織化をされて、そして皆保険制度が達成をされたということに相なったわけです。ところが今日までの状況を振り返ってみますと、皆保険計画というものが、特に普及に重点を指向する、法律の規定もございますから、とにかく一〇〇%の組織化を達成していく、そういうことに私は指導上の重点というものが向けられたというふうに実は理解をしておるわけです。そのために事業内容あるいは保険財政、医療制度、そういうものにおきましてはそれぞれの市区町村によって内容的に優劣が生ずるという結果も私は生まれてきたと思うのです。まずその一〇〇%組織化、多少問題はあっても、ということで、そういう方向に重点が指向されてきたので、今申し上げるように内容的には若干問題を残してきている。そういたしますと、そのことは医療保障の機会均等という立場から見ますと、非常に問題があると思うのです。一応組織化について一〇〇%達成されたが、内容には市区町村によってそれぞれ優劣があるということになりますと、社会保障の精神でございます機会均等という立場からながめますと問題があると思う。そこで、もし組織的な面が一〇〇%達成されたといたしますならば、今日はむしろそういった内容的な面、あるいは内容的な不合理、そういうものの改善にさらに一そうの努力をはかっていかなければならぬ、そのために国も大きく御助力願わなければならぬ。もし不幸にしてそういう矛盾や不合理というものをそのままに放置して、この皆保険制度を前進させるといたしますならば、ひいては国保がどこかで行き詰まる、どこかで崩壊の危機をたどらなければならぬ、そういう危険性が生まれてくると思うのです。従いまして、そういう内容的な面を皆保険制度に即応するように、私は一つの大きな改革をはかるための努力を行なうべきじゃないかと考えるわけですが、そういう点に対して大臣いかがでございますか。
○古井国務大臣 今後の国保の前進の問題は内容の改善、充実、向上であるということは、さっき来申し上げておることでありまして、体制は一応できたけれども、今度は内容の向上であるということは、お説の通りにそう申し上げておるわけでございます。そこでその次の、そのための改革、むろん改善、充実していくための改革になるわけであります。改善するためには当然改革しなければならぬと思いますから、その通りに思っております。
○河野(正)委員 そこで、そういう方向については御了承いただいたわけですが、たとえば給付率、今京都で保険医が総辞退しておる実態も給付率をめぐっての紛争でございますが、この給付率が各市区町村でそれぞれ違う。五割のところもございますし、七割のところもある。そこでそれの頭をそろえる、と同時に、その頭をさらに八割、九割、十割という方向に向上させていく、そのためには国保の国庫負担率、今二割ということでございますが、これを三割、四割に上げてもらう、それから調整交付金、今五分ですけれども、これを一割に改善を加えていく、こういうことが今大臣の御説の方向からしても非常に望ましいと思う。ところがそれには財政上の問題が伴う。といって、それを行き当たりばったりにやってもらえばなかなか前進できぬと思うのです。 そこで、せっかく生まれた国民皆保険でございますから、それを円滑に発展、向上させる、それにはここで一つの年次計画というものを作成して、逐次段階的に改善していくことが当然必要ではなかろうか。そういうことになりますと、実際保険団体でございます市区町村においても、それに対応してだんだん体質の改善をはかっていくということになろうかと思うのです。そういう意味で内容を充実させる、内容を向上させるのが今後の問題であるとするならば、そのために年次計画を策定していくことが当面の問題として急務ではなかろうかと考えるわけですが、その点は大臣いかがでございますか。
○古井国務大臣 医療保障全体を今後前進させます上には、ただいまの国保の内容を早く他の保険と同じところに到達するように引き上げていくことも一つの重要な点であります。そのほかにもたくさんあります。たとえば保険の中における診療内容というものを一体今のようなままに制限を加えておくかどうかというふうな、つまり診療の自由という問題とどういうふうに調和させるかという問題も共通的にあります。そのほかの問題もまだあります。医療保障全体をどういうふうによくしていくかということを総合的に考えなければいかぬのではないか、その一環として国保も大事な問題であります。ひっくるめてこれから段階的にどう持っていくかということを考えていきたいと思っております。これはしかし医療保障のみならず、社会保障全体についても、全体としての今後の段階的な進め方を考えていきたい。たとえば長期計画の問題もありますが、他の社会保障の諸制度をまた総合的に考えてみなければならない、基本的にそういう考え方を持っているのであります。そういうふうな調査準備もだんだん今進めておる中途でありまして、なるべく早い時期に結末をつけるようにいたしたい。次の予算時期には、一つのある全体的な長期の計画をもとにして予算化をはかっていくということにしたいという目安で今せっかく努力をしておる中途であります。
○河野(正)委員 医療保障の機会均等という建前からも、そういうふうな内容的にいろいろ優劣があるということは、私はまことに不合理だというふうに考えるわけです。そういう意味から一つすみやかにこの年次計画を策定されて、そうして医療保障の機会均等という建前から、すみやかなる改善をはかっていただきますことをお願いいたしておきたいと考えます。 今申し上げまする医療保障の機会均等という建割からもう一つ重大なことは、医療機関の適正配置という問題がございます。もちろん今日までも、国保の医療機関の設立については若干の国の援助がございますことも承知はいたしておりますけれども、しかしながら、そういう僻地におきまする医療機関の経営と申しますか、運営というものは非常に困難な状態に置かれておるということは今さら論議する必要もないと思います。そこで住民の福祉、医療保障の機会均等という建前から、僻地におきまする国保診療施設の問題を検討しなければならぬと同時に、その運営に対しては、やっぱり何らかの処置というものがなければ、これまた施設だけ作っても内容が伴わぬ、あるいは運営が行き詰まるということで、所期の目的を達成することができない。そのことはすなわち住民の福祉、医療保障の機会均等に反するという結果にも相なってくるだろうと思うのです。そこでお尋ねを申し上げておきたいと思いまする点は、そういう医療機関に対します運営に対しましては、今後どういう助成政策をお持ちになろうといたしておられますか、それについて大臣あるいはまた医務局長も御出席でございまするから、医務局長の方からも一つお伺い申し上げておきたいと考えます。
○古井国務大臣 医療機関が欠けておりましては、医療の機会均等は得られないわけでありますから、従来とても無医地区の解消という政策のもとに漸次無医地区の解消をやってきておるのであります。しかしまだ全部は進んでおらぬところがあります。それから特別な地区では、今年度のごときも、巡回診療車や巡回診療船などを考えたりいたしまして、無医地区の解消を一つの大事な方面としてやってきておるところであります。なお、公的な医療機関の出張診療、巡回診療などももっと強化しなければならぬかとも思います。なおざりにしておるわけではありません。既定の方針に従って、これをもっと前進させたいと思っておるところであります。
○川上政府委員 私どもが無医地区と一応考えておりますところはたくさんあるわけでありますが、その中で自立自営できないところが、三十三年の調査では六百五十六を数えておるわけです。その中で国として助成しなければ地元の町村としてはなかなか困難だというところが二百三十七あります。そして三十一年から年次的にだんだんそこに診療所を作る施策を講じておるわけでございますが、一応現在まで百六十カ所できております。従ってなお七十七カ所を残しておるわけでありますが、本年はその中で三十八カ所をやることにいたしております。特に三十六年度におきましては、予算としては運営費の補助を従来より二割ふやしております。特にそれは医師とか看護婦の給与をよくすることに当てるつもりです。従いまして、大体本年度は地元で出しております給与に対する二分の一を補助の対象とすることができるように考えております。そういうことで従来よりも助成の面を強化いたしたわけでございます。なお保険局の方でも国保の直営診療所をなるべく無医地区に重点を置いて作っていますので、無医地区とか医師の非常に少ない地区に急いで診療所を置いていくことができると思います。また診療所を作るまでもないというようなところにおきましては、先ほど大臣がおっしゃいましたような巡回診療車や診療船を県で置いて利用する場合におきまして、それに対する補助をいたすことにいたしたわけであります。
○河野(正)委員 医療保障の機会均等という立場から、僻地における国保の診療施設、そういう点に対して検討する必要がある、しかし実際そういう施設を作ってもらっても、運営上なかなか経営困難という面にも遭遇いたしますので、そういう点に対しまする助成策をどう考えておられるかというような意味でお尋ねをいたしたわけですが、今医務局長のお説によりますると、無医地区に対しても、さらには勤務医師、看護婦、助産婦に対しても若干の補助を行なっておるというふうなお話のようでございましたが、そのように理解してけっこうでしょうか。 〔大石委員長代理退席、委員長着席〕
○川上政府委員 無医地区に診療所を作る場合、そして地元の財政の悪いような場合におきましては、その診療所を作ります場合の建設費、それから初度設備、医師の住宅が特に必要な場所にはその医師の住宅の建設費、こういうものに対しまして一応半額を補助いたしております。それから運営費につきましては、その赤字の半額を補助するという建前でございまして、その運営費が先ほど申しましたように、従来よりも二割方、三十五年度に比べまして三十六年度は増額をいたしております。従ってたとえば人件費の予算について見ますと、人件費の予算の単価では三十五年度は医師については四万二百円を組んでおりましたのが、三十六年度におきましては五万一千六百六十五円というように一応単価を上げておりますが、先ほども申しましたように、たとえば地元でそれ以上出しておるというような場合におきましては、予算の許す限り実際支給しておる給与の半額を補助の対象とするようにいたしております。看護婦についても、額は違いますけれども同様なやり方をいたしております。
○河野(正)委員 実際使った経費の、たとえば人件費でいっても半分というふうに理解していいのでございましょうか。
○川上政府委員 幾ら使っても赤字の半分ということではないので、やはり予算の範囲でございますから、そこまで補助することができない場合もむろんあるわけでございます。しかし最近では、経営費全体につきましての赤字の半分というところまでいきませんけれども、人件費につきましては今申しましたように地元が出している半額を出すというような趣旨で、予算の範囲で努力をいたしているのであります。昨年度も、そういう趣旨で努力しましたけれども、本三十六年度は、今申しましたように単価も上がっておりますので、そういう点では従来よりも補助をよくすることができると思っております。
○河野(正)委員 まあけっこうなお話を承りましたので、十分今後とも一つさらに格段の御善処をお願い申し上げたいというふうに考えます。 せっかく医療保障の機会均等の問題が出て参りましたから、この際具体的な例でございますけれども、一つお伺いしておきたいと思いますが、厚生年金積立金は被保険者及び事業主が拠出いたしました零細な保険料の集積でございますことは御承知の通りでございます。従ってそういう貴重な金でございますから、被保険着及びその家族の福祉の向上に役立つように使うということは、これは当然のことだと考えるわけです。もちろん厚生年金の還元融資の場合もそういう趣旨でなければならぬと考えます。では一体その還元融資というものが、私が今申し上げましたような方向で正当に行使されているかどうか、後ほど私は具体的な例についてお伺いを申し上げたいと思いますが、そういう点に対して一つ保険局長からお答えを願っておきたいと考えます。
○森本政府委員 ただいま厚生年金積立金の還元融資についての御質問でございましたが、この積立金は、還元融資をする場合には被保険者の福祉のために還元して使わせる、こういう趣旨でなければならぬということでございますが、まさにその通りでございます。そのやり方としましては、すでに御存じのように、毎年どういう対象に対して、どういう施設について融資をするか、それから融資をした施設の経営についてはどういう方針でやるということをここ数年来検討しまして、固まった方針がございまして、その方針によって対象の選定、それから施設の選定、それから事後におきますところの運営の監督指導、こういう点を留意いたしましてやっておるつもりでございまして、ただいまのところ特別このやり方について間違っておる、困ったという話も聞いておらないようでございまして、大体適正にこの還元融資は行なわれておる、かように考えております。
○河野(正)委員 今局長が御答弁されましたように、厚生年金の性格から申し上げましても、その還元融資というものは、常に被保険者ないしはその家族の福祉向上のために行使されなければならぬということは当然の事柄だというふうに考えるわけです。ところが具体的な例で恐縮でございますけれども、福岡県の中間市に前年度四千三百万円の還元融資を受けて大正鉱業が病院を経営をするということで、実は病院の設立を二カ年計画で実施をしたようです。ところが仄聞するところによりますと、環元融資で従業員の福祉のために設立しながら、その施設を一方的に一法人に委託経営をさせる、こういう具体的な事実が出て参っておるわけです。なるほど医療法人も、利潤を追求せぬという法の建前ではございますけれども、実質上は税法上の建前からも利潤を追求するという形をとっておるわけです。せっかく被保険者及び事業主の拠出した零細な保険料の集積である還元融資、それが被保険者及びその家族のために行使されるのではなくて、一法人の営利のために行使されるということは、私どもの全く承知することのできない重大な問題だというふうに考えるわけです。こういう点が出てきておるわけですが、こういう点に対してどういうふうにお考えでありまするか、一つ明らかにしていただきたいと思います。
○森本政府委員 ただいま福岡県の大正鉱業と申されましたが、これはたしか事業主病院だと思いますが、これの経営につきまして適当でない点がある、還元融資の目的に沿わぬ事実があるやに聞いておるというお話でございます。実は私ただいま承っただけでございまして、この点どうかということはよく承知いたしませんので、事実につきましては、なお詳細取り調べましてお答え申し上げたいと思います。ただ申し上げられますことは、還元融資を受けまして事業主病院の設置をするといいます場合は、直接の経営のやり方をして従業員に利用させる、こういう建前でございまして、委託経営でやるとか他に肩がわりするという、そういう行為はたしか補助の条件かあるいは実施要領か、どちらかにおきまして、これを認めておらぬはずでございます。かりに私の記憶の通りでありまして、またそういう事実がございましたならば、是正の道をとりたいと考えます。ただいまのところ具体例につきましては詳細存じておりませんので、十分調査いたしまして、事実がありますならば是正の措置を講じたいと思います。
○河野(正)委員 この際一つ、今の厚生年金というきわめて私どもが重要視しております案件でございますから、重ねて意見を申し上げて善処を願いたいと思います点は、今申し上げましたように還元融資の精神に沿う形でこの医療機関の運営が行なわれないという一つの事態が出てきておる。と同時に、四千三百万円の還元融資が他に流用されたという奇怪な憶測が行なわれておる。医務局長もおられますけれども、これは七十五床、建坪三百五十坪だそうですが、これが古材を持ってきて病院を建設した。どこから見ても、良識的に判断して四千三百万円かかるというふうには考えられぬ。私はもっと具体的な事実を聞いておりますけれども、一応調査の段階でございますからここでは明らかにいたしませんが、いずれにしましても、この厚生年金の資金が流用された形跡がある。それから、先ほど局長からも御答弁ございましたように、厚生年金の還元融資で建設される医療機関でございますから、一応地方団体が借り受けて、そして事業主病院で経営するという建前でございますけれども、形式的にはそういう形式をとって、実際には営利を追求するところの一法人が経営するという形をとる。そこには形式的に非常に無理がある。そこでその無理を押し通すために、いろいろ奇怪な風聞がございます。いずれ機会がありますならば、その間の醜聞についても取り上げてけっこうでございますけれども、そういうことになりますと、これは犠牲者が出てこないとも限らぬ。そういう奇怪な事実が出ておりますし、しかもそれが先ほど申しますように非常に貴重な資金である厚生年金の還元融資ですから、私どもはこの問題を黙過できぬわけです。一つ厳重に御調査されて、もし私が御指摘申し上げましたような事態であるならば、即刻に善処をされぬと重大な事態が生まれるということを十分お聞き取り願っておきたいと考えます。これに対してどういうようにお考えになるか、一つこの際はっきり聞いておきたいと思います。
○森本政府委員 先ほど申し上げましたように、詳細に事実を取り調べまして、かりに間違ったことがございますならば是正をすみやかにいたしたいと思います。
○河野(正)委員 それでは、今申し上げましたことに対して即刻調査を願い、その結果についてはすみやかに一つ御報告を願いたい。 それから、これも基本的な点にわたると思いまするけれども、先ごろ日本学術会議が数点にわたって問題点を取りまとめて医療制度に対する勧告を行なったということを、新聞でも承りましたし、いろいろと仄聞をいたしております。大体中身は、制限診療の撤廃、療養費払いの範囲の拡大、差額徴収の範囲の拡大、一部負担の範囲の拡大、初診料格差、病院格差の設定その他であります。これらの点は、基本的な問題でございまするけれども、国保財政にも非常に重大な影響を及ぼして参りまする案件でございます。そこで、実は一々詳しくお尋ねするべく準備はいたして参りましたけれども、時間もございませんから本日は省きたいと思います、いずれ機会を見つけてゆっくり質問の時間を与ていただきたいと思いますが、本日は時間もございませんので、そういう諸点について一つ御所見を承っておきたいと思います。
○古井国務大臣 日本学術会議が医療制度について勧告をいたしたわけでございますが、これは権威のある学術会議のことでありますから、この意見は十分敬意を表して、とるべきものあれば実行するようにいたしたいと思っております。ことに代表の方がわざわざ私どものところまでおいでになって、例の制限診療の改革案の一つとして、療養費払い方式と現在の現物給付方式の併用をやったらどうかと非常に熱心に言ってお帰りになりました。含めまして大いに敬意を表して、実行すべきものは実行するようにいたしたいと思いまして、私どもも、次の段階における問題として大いに検討しておるところであります。次の段階と申しますのは、診療報酬引き上げ問題ということがとりあえず当面の問題でありますけれども、基本的に医療制度を改善していく問題の中のモメントとして、現にもう研究、検討を続けておるところでありまして、結論を出したいと思っております。
○河野(正)委員 先ほど申し上げましたように、時間がありませんから個々については一つ省きたいと思いますが、その中で特に重要な点は、現行の医療保障制度を改めて療養費払い方式を併用すべきだという勧告です。この点は非常に重要な要素を持っておると思うのです。これは考えようによりますと医療保障の非常に大きな退歩になる。高額所得者にとっては利益が大きいけれども、低所得者にとっては非常にマイナスも出てくる。また、だんだんと患者負担の増大となって医療保障というものが後退する結果を招来する危険性もあるわけです。そういうことで、勧告の内容については非常に考えなければならぬ点もございます。そこでこの際突っ込んで聞きたいと思いますけれども、省略いたしまして、一つ慎重に御検討を願いたいということで本日はとどめておきたいと思います。 それから、保険医療等に関する問題で最後に取り上げておきたいと思いまする点は、指導監査の問題があるわけでございます。まことに残念でございますけれども、今日まで指導監査によって数多くの医師が犠牲となったという例も多々あったわけです。ところが去る昭和二十九年厚生省監査の結果、戒告処分を受けた栃木市の中本医師、この中本医師がこの戒告処分を不当として提訴をいたしました。そうしてえんえん七カ年に及ぶ行政訴訟を行なったわけですが、その結果去る三月十四日東京高裁で戒告処分の決定を取り消すという判決を受けたわけです。私は、このことは今日の監査のあり方に一つの大きな問題を投げかけたというふうに判断をするわけですが、今月の監査のあり方に対してどのようにお考えでございまするか、大臣から一応御所見を承って、後ほどまたいろいろと若干の質疑を行なってみたいと思います。
○古井国務大臣 監査の実際問題も含まれておりまするので、保険面長からお答えを申し上げたいと思います。
○森本政府委員 この保険医療の指導監査につきましては、なかなかやり方についてむずかしい点がございますので、問題を起こします。昨年早々でございましたか、関係団体とも打ち合わせをいたしまして、指導監査のやり方について従来の点に改善を加えて、新しい方法に上って目下実施をしておるわけであります。ただいまのところ新しい監査方法、指導方法につきましては、今のところ問題がないのでございますが、しかし検討いたしますれば今後改善を要するところもあろうと思います。一応昨年の初めに関係団体とも申し合わせて意見を聴取をいたしました方法によって現在やっておるわけでございます。
○河野(正)委員 実は昨年話し合った結果、その後問題はあまりないというような御答弁でございましたけれども、非常に問題があるわけです。そこでその点について若干触れたいと思いますが、今私が御指摘を申し上げました栃木市の例は、社会保険の診療方針に違反をして、過失により診療報酬の不当請求をした、これが戒告の理由になっておるわけです。ところがそれを調査いたしましたところが、どうも官僚のでっち上げによる不当監査というふうな結論になって、東京高裁に提訴をするという経緯になったようでございます。そうしてその結果は、その処分は不当であるという判決が出てきたわけです。そこで昨年の関係者との話し合いで、その後は円滑にいっておるというようなお話でございましたけれども、今私が御指摘申し上げまするような実情というものが、今日も依然として引き続き行なわれておる。これはもう今申し上げました高裁におきまする中本医師の場合の一例でございますけれども、証人から判こをもらって、そうして勝手に判こを押して虚偽の事実の調書を作成する。そういう事実があったわけですが、私はこういう行き方というものは、明らかに監査の行き過ぎだと思うわけでございますが、それと同じような例が昨年、これは全国であろうと思いますけれども、私は福岡県の例を持ってきておりますが、行なわれておる。これは福岡県の民生部長名で保険医の指導監査の出頭命令が出されておるわけですが、それによりますると、一部負担金の出納簿を持参せよということが実は明記されておるわけです。もちろん診療録あるいはレントゲン写真、各種検査結果、こういう点は一応指導する意味においてもまあまあ問題がないとしても、この出納簿を持参して出頭せよ、それからさらには印鑑を持って出頭せよ、こういうことが民生部長名で通告されておるわけですね。局長から先ほど、昨年の関係者との話し合いによって、その後は非常に円滑にいっておるということでございますけれども、こういう事実が今日依然として行なわれておる。こういう事実を一体どういうふうにお考えになっておるのか、一つお伺いしておきたいと思います。
○森本政府委員 まず最初の点でございますが、中本医師の戒告関係の事件でございます。これは御存じのように第一審におきましては戒告処分は妥当であるという判決、第二審におきましては前の処分は適当でないという判決、それから、目下これは知事におきまして上告をいたしております。従いましてこれは目下裁判中の事件でございますので、その内容について、むしろ事実の認定の問題でありますが、いろいろ論評を加えるのはどうかと思いますので、これは判決の結果を待つことにいたしたい、こういう気持でおります。 それから福岡県の民生部長から保険医に対して、資料としてこういうものを持ってこいという通知が出ておるというお話でございますが、ただいまのお話のように、カルテでありますとか、あるいは検査結果であるとか、こういうものは審査の点から当然必要だと思います。御指摘の一部負担金の出納簿というのが、現在の取り扱いにおきまして、法律上書類の提出を命ずることができるという規定がございますが、それに該当しておるかどうか、ちょっと具体的にただいま判断いたしかねます。結局そういう審査、監査をする場合に、法律で書類の提出をするということになっております。それに含まれるかどうかという認定の問題があります。ちょっとただいまのところ、これが含まれるか含まれないかはデリケートな法律問題だと思いますので、この点はなお検討させていただきたいと思います。かりにそれが含まれないという法律解釈であれば、これは少し行き過ぎだと思います。監査、審査のために必要だとなれば、これはまた提出を命じられるものと考えます。その結論はちょっときょうは保留さしていただきたいと思います。
○河野(正)委員 その結論は保留ということでございますけれども、今日国民皆保険制度でございますから、この一部負担金の出納簿というものはすべての出納簿に通ずるというふうに私は理解をするわけです。そういたしますると、いやしくも昨年の関係者との話し合いでは、指導監査だというようなことで話し合いがついておるということは私ども仄聞をいたしておるわけですが、にもかかわりませず、出納簿を持参せよということは、もうすでに監査というものは、前提として、世間でいわれておりまするように被疑者扱いでこの監査が行なわれるというように判断されてもいたし方ないと思うのです。もしどうしてもそういうふうな必要に迫られたならば、またそのときでもいい。最初から出納簿を持参せよ、どうもお前のところは不正があるらしい、そういう考え方に立ってやるというところに私は今日までの監査に行き過ぎがあったと理解するわけです。もしその必要があったとしても、これは一応やって、その後にその必要性があっておやりになるならまあまあでございまするけれども、冒頭からこういう要求をすることは人権侵害にも相当すると私は考えるわけです。それから、この段階では留保するという話があったけれども、もちろん行き過ぎだとはっきりおっしゃっていただきたいと思うのです。この点いかがですか。
○森本政府委員 先ほども申し上げましたように、提出を命ずる時期なり段階なりにもよろうと思います。それからただいまの、通牒とおっしゃいましたか、通知であるか通牒かどうか知りませんが、そういう点にも関連いたしまして、なお的確なる回答はその辺をもう少し調べてからいたしたいと思いますが、今ちょっと考えまして、最初から一部負担金の出納簿を持ってこいという一般的な言い方は、本省では考えておりません。最初の段階におきまして、そういう書類までも持ってこいと提出させる必要があるとは考えておりません。ただ、いろいろ調べております段階のうちに、そういう点も少し調べなければならぬという点が出てくれば、これは個々のケースにおいてそういうこともあり得るかと思います。最初から借りる、重要なものとして提出させるということまでは考えておりません。それからなおその通牒なり通知なり、どういうケースであったかということを検討しませんと、やはり問題があると思います。一般的に申しますとそういうことであります。
○河野(正)委員 そうしますと、出納簿を持参せよ、冒頭からそういう通告をすることは行き過ぎであったというふうに理解してけっこうですね。
○森本政府委員 先ほど申しましたように、それぞれの段階でいろいろ違ってくると思いますが、最初から一般的にそういう書類を出させることは必要ないだろうと思います。
○河野(正)委員 同時に印鑑も持参せよということなんです。ところが中本医師の裁判にもございますように、実は印鑑を白紙に捺印させて、そうしてあと適当に調書を作っておる。これは証人調査の段階でそういうことが、明らかになっておるわけです。それで私は、もし本人の供述書のために必要であるならばサインでもけっこうであると思っておる。そういうところに私は今日までの監査に対する行き過ぎがあった、少なくとも行き過ぎと考えられる一つの傾向があったと考えるわけです。局長もいろいろ周囲の事情から非常に慎重なお答えのようでございますけれども、どこから見ても、少なくとも今日までのやり方は行き過ぎだと思うのです、今まで局長との論議をお聞きになってどういうふうに御判断になりましたか、最終段階でございますから、一つ大臣の御答弁をお願い申し上げて私の質疑を終わりたいと思います。
○古井国務大臣 監査は適当によく考えて実行しませんと、いろいろな弊害も起こることでありますから、気をつけて従来もやっているのだとは思いますけれども、不必要に限界を越したり度を越したりしないように、適正な監査を実行していくということを考えなければなりません。今承っておった話で、実際問題で度を越したかもしれぬと思われるのもありますので、度を越さぬようにやっていく方針をとっていきたいと思います。
○山本委員長 滝井義高君。
○滝井委員 国民健康保険法の一部を改正する法律案について少し聞かしていただきたいと思うのです。 国民健康保険は昭和三十二年に四カ年計画を立てて、ことしがちょうどその最終年になるわけです。この四カ年計画の樹立以来非常に順調に進んで参りました。問題は、今後おそらく厚生省としては第二の長期計画を作るんじゃないかと思うのですが、そういう三十二年から今日までの四カ年計画に見合ったような国保の、さいぜん大臣も、今後は内容の充実が大事だと言われたんだが、その内容の充実を中心とした、第二期ですか第三期ですか知りませんが、また四カ年計画、五カ年計画をお立てになって、そして国保の充実改善をはかる御意思があるかどうか。もしその意思があるならば、その具体的な構想というものは一体どういうものなのか、お示し願いたい。
○古井国務大臣 今後第二期と申しますか、皆保険の態勢ができたあと、どういうふうに改善充実していくかという問題は当然やらなければならぬことでありますから、これも一年だけで解決がつく問題と思いませんので、やはり年次的に漸進さして、そして目標のところに持っていくようにするほかないと思いますから、そういう意味で、国保だけでもございませんけれども、将来の目標も考えて、段階的に実現していく計画を立てたいという考え方を持っておるのであります。きょうはまだ申し上げるまでの結論には達しておりません。そういうことにしたいものだという考えで検討をしておる中途であります。
○滝井委員 新聞その他にはいろいろ構想みたいなものがちらほら出ているわけですが、大臣ここへ出てくると、今河野君の質問に対するいろいろの答えを見ても、ほとんど検討中で、成案らしきものが何もないんですね。もう日本の社会保障の一番の柱というのは医療保障であるといわれてきているわけですよ。いつも私は言うのですが、医療保障だといっているうちに、今度は所得保障が出てくる。結核だ結核だといっているうちに、今度はガンだというと、結核は中途半端でおっぽり出されて、今度はガンに移っておる。ガンが少しよくなると今度はおそらく脳溢血じゃということになるんじゃないかと思うのですが、それではいかぬと思うのです。やはり四カ年計画が終わったならば、所得倍増十カ年計画をお立てになったのですから、それに見合う国保の内容充実を中心とした具体的なものを当然この国会ぐらいには出してこなければならぬ。ところが医療費問題みたいなものに頭を突っ込んで、何も厚生行政は進まぬ、こういうことでは怠慢のそしりを免れないと思うのです。どうも今のような答弁では大臣としての資格を疑わなければならぬ。この四カ年計画というもので大体全国都道府県は事業の実施が相当進んできたわけですが、今われわれの手元に政府から出していただきました国民健康保険法の一部を改正する法律の参考資料の中の普及の状況、三十五年十二月三十一日の状態を見てみますと、大都市というものが一〇〇%でないのですね。これから相当に進んでおると思いますけれども、大阪七二・五%の普及率、それから京都七二・七%の普及率というように七割台、鹿児島のごときは六七・三%、いわば文化水準の非常におくれておる医療を必要とする地区と、それから大都市でいわゆる零細階層が集中しているところ、こういう両極がこの統計で見ると医療がおくれているのですね。現在この皆保険が完成をした——三月三十一日までにするということなんですから、離島その他はやむを得ないとしても三千五百五十八カ町村の中で、三十六年三月三十一日現在でどの程度の人数が包含されて、そして町村でいえばどの程度の町村が国保の実施が完了したのか、それをちょっと説明していただきたい。
○森本政府委員 先ほど河野委員の御質問に対してお答えしたわけでございますが、繰り返して申し上げます。市町村の総数三千五百十四でございます。その後町村合併がありましてこの数字が狂ってきておりますが、四月一日現在では三千五百十四でございます。それから実施しております町村三千五百九、差し引き実施をしておらない町村五でございます。この五と申しますのは、鹿児島県の奄美大島の諸島でございます。それからこのほかに国保組合というのがございますが、これが百六十二でございます。これらをひっくるめまして被保険者の総数は約四千九百万人、これはわが国の人口の五二%に当たります。
○滝井委員 そうしますと現在は四千九百万加入をしておる、こういうことなんですね。三十六年度の予算の説明書を見ていただきますと、国民健康保険については三十六年度中の平均の被保険者の数は四千八百六万七千人になっておるわけですね。これは移動があるから、平均ですから、四千八百六万でかまわないと思うのです。と申しますのは、年度の初めでは四千九百一万九千人になっておるわけです。ところが、これが年度末になると、四千七百十一万六千人になるわけですね。二百万違うわけです。これは一体どうしてこういうことになるのでしょう。
○森本政府委員 ごもっともな御質問でございますが、四月一日におきましては、これは保険に全部入りますと四千九百万になります。ところが最近の傾向を見ておりますと、自営業者と申しますか農村と申しますか、そういうものがだんだん被用者といいますか、使われる方に入るわけでございます。従いましてそういうものは国保を離れまして他の被用者保険に入って参っております。そういう傾向が出て参っております。こういう傾向をここ数年来の数字を伸ばして参りますと、三十六年度におきましては、年度初めの四千九百万が年度末には一年間に二百万人減るという一応の見込みがございますので、予算の積算におきましてはその数字を用いたわけでございます。
○滝井委員 そうしますと、これは主として政府管掌なり組合管掌、国家公務員等に入っていくのですが、その方が今度は二百万プラス・アルファ増加していなければならぬ、こういうことになるわけですね。これは中小企業、農民だけの雇用じゃないわけですから、これだけから雇用労働者になるわけじゃないから、雇用労働者自身の子供も雇用労働者の中に入っていくし、あるいは国家公務員の中からも雇用労働省に入っていくわけですから。そうすると政府管掌の健康保険等を見ても、多分増加は百万くらいです。つじつまが合わないのですよ。私はどうして国保を指摘したかというと、今の基金の理事長になっている久下さんのときに、あなたの方は健康保険で百万以上の誤算を来たしたのですよ。当時巨万から百五、六十万くらい被保険者の総数が増加するだろうと見ておったのだが、増加しなかったのですね。そしてそれが同時に健康保険の赤字の大きな原因になった。それだけ収入がふえるだろうと思っておったところがふえなかったのですよ。われわれはやはりこういう数字、被保険者の数を見る場合、もう皆保険ですから、森本さんのところに国家公務員の共済組合を除いては全保険ががっちり握られておるわけです。従ってこの国民健康保険の二百万の減少というものは、年度初めの四千九百万が四千七百万と、二百万減るということは、その減ったものがどこかの保険にいっていなければならぬことになる、皆保険ですから。あるいは他の保険に移動するまでの一、二カ月の間は、それは空のものがある。しかし年度の終わりになったときには、十万か二十万の差はともかくとして、やはりすべての保険の増減というものが大体バランスがとれているという姿でなくちゃならぬと思うのです。やっぱりそこまで数字を詰めておかないと、これは国民健康保険の財政に大きな影響を及ぼしてくるのです。二百万違いますと、これはあとで私触れていきますが、国保の総医療費が千三百億になるか千四百億になるかというくらいの違いが出てくるのですよ。そうしますと総医療費の二割計上するには、千三百億と千四百億だったら莫大な違いになる。百億の二割違ってくるのですから二十億違う。二十億国保の会計によけい入るか入らぬかは、これはあとで出てきますが、地方財政の一般会計から入れる額にほとんどひとしい。三十四億ですから、ほとんどひとしい額が入るか入らぬかの問題です。これは国保の問題にとっては大問題です。だからここらあたりの数字の詰め方というものはよほどしっかりしておかぬと問題になる。こういうところの数字の詰め方というものをよほどしっかりふんどしを締めてやっておかぬと、これは大蔵省とやるときあなた方の負けになる。だからこの二百万の行方というものは、あなた方は雇用労働者の方向にいくのだ、こうおっしゃるならば、一体どういうところにその二百万がつじつまが合っていくことになるのですか。これはあなた方保険を全部掌握しておるからおわかりのはずだ。
○森本政府委員 御指摘のような調べはいたしております。いろいろ数字がございますが、被用者保険について申し上げますと、昭和三十五年の四月一日、これが被扶養者も入れまして四千三百三十一万ほどでございます。これが三十六年四月一日、一年後におきましては四千六百七万、こういうようにふえることになっております。なお、このほかに生活保護とか児童福祉等の関係がございますが、これは大した数字の変わりはございません。生活保護で十万くらいな増加の程度でございます。これで勘定が合うようになっておるわけでございます。
○滝井委員 そうしますと、被用者保険の四千三百三十一万から四千六百七万にふえることによって二百七十万ですね。そうすると二百万の国保の被保険者がこの被用者保険の被保険者に、あるいはその家族になっていく。そうするとあとは七十万ということになりますと、この七十万の中には扶養家族が入っておるわけですから、もし一人当たり三人としますと二十万しかないことになる。こんなばかな計算はないですよ。農民と中小企業者というものが、一応この計算でいくと日本の国民の半分方を占めておるわけですが、あとの半分の被保険者の増加が二十万かそこらというばかなことはない。やっぱり同じように二百万くらい増加するはずなんです。これは家族が入っておるから、被保険者の数からいえば、まあ二百万まではいかないにしても、二十万ということはないわけです。これはあとの雇用促進事業団のときに労働の移動の問題と重要な関係がある。十カ年閥に農村から移動するのが二百四十三万しかいないのですからね。一年に二・三十万しかやってないのですから……。谷村さん、ちょっとお尋ねするのですが、あなたの方から出ている三十六年度の予算の説明で、これの十一ページをごらんいただきますと、非常に懇切丁寧な御説明が書かれてあるわけです。「国民健康保険については、三十六年度中の平均被保険者数を四千八百六万七千人(年度首四千九百一万九千人、年度末四千七百十一万六千人)と見込み、受診率の上昇、診療報酬の引上げ等を織り込んで療養給付費補助(療養給付費の二割相当額)として二百七十六億一千三百万円を、」云々と書いてあります。そこでこの四千八百六万七千人というのは、二百七十六億一千三百万の基礎なんですよ。これがこの二割の国庫補助の基礎になるわけです。そうしてその二割の国庫補助の基礎になる四千七百十一万の数がどう動くかによって、いわゆる受診率の上昇にも関係するし、診療費の一割引き上げの問題にも関連をしてくるわけです。そこでここの数を国保がどう押えるかということが非常に重大なんです。そのことは同時に二百万だけ国保から他のどこかにいくということです。どこかにいくということは、他の被用者保険にいくということですね。そうしますと、これでは今被用者保険には二百七十万しか増加をしていないんですよ。その二百万は、これは国保からいったことはわかる。家族と世帯主がいっておるのです。そうすると、少なくとも国民の五割二分しか国保に入ってないのですから、あとの四割八分の国民の中からたった七十万しか被保険者とか家族が増加をしないかということなんです。これは論理に合わぬじゃないかというわけなんです。国民皆保険ですから全部のものがどんどん入れられてくるわけです。それで移動します。今は生活保護の医療扶助はふえてない、いわゆる対象はふえてない。あなたの方の統計によっては下がってきておる。額は上がっておるけれども、人数は下がっておる。そうしますと、生活保護の対象者は減ってきているというならば、その部分は国保以外の被用者保険にふえてくるはずですよ。それが七十万だ。これを被保険者の本人にしてみれば二十万かそこらしかふえてないということになる。そんなばかなことはないですよ。それから国保からの移動が現在所得倍増計画で——農村からの移動というのは、これは私あとで質問するつもりでありますが、十カ年間で二百四十三万くらいしかない。一年に三十万から、昨年は四十万しか農村から移動していない。そうすると、あと中小企業はそれほど農村以上にはいっていません。そうすると、この計算の基礎が間違うと、今私が御指摘を申し上げました二割のところが間違うことになる。それは一人当たりの医療費の二千何ぼというものをかけるのですからね。それに対する二割の国庫負担でいくわけですから、違ってくるわけです。だから、ここらの計算をやはりもう少し科学的にやってもらわなければいかぬのじゃないか。これは、この問題だけでなくて、将来日雇いとか何かの国庫負担を増加する場合には、全部影響してくる問題ですから、今後これらの社会保険における被保険者の数の把握というものをもう少し統計的に科学的に正確にやってもらわなければいかぬ。私はどうしてこれを指摘するかというと、これは久下さんのときに非常な間違いを犯した。百万以上被保険者の見積もりが違ったのです。ここでも私は、二百万国保が移動するということは、ちょっと過大ではないかという感じがするのです。今四千九百万四月一日にあると、こうおっしゃったのですから、私は、いろいろ入れかえはあるかもしれないけれども、国保というのは、やはり四千九百万台を保っていくのじゃないかという感じがするのです。ここらあたりどうですか森本さん、あなたがこれで間違いないと言うならば、私はこれで下がっておいて、どうせ十月かそこらになれば、もう一ぺん被保険者の数を調べてみればいいのですからね。事実は小説よりも奇なりで、そのときになったらちゃんと証明してくれるわけだから……。
○森本政府委員 ただいま申し上げた数字で、国保の方で二百万人ほど減る、それが被用者保険の方へ大部分いくだろうという話です。それで七十万というのはちょっと少な過ぎるのじゃないかという御指摘がございましたが、それともう一つほかに生活保護の数字としまして、これがやはり一年後においては十万人ぐらいふえるという勘定をいたしております。それから総人口の件でございますが、これもやはり百万人ぐらいふえるだろうというような計算がございます。これらをいろいろ勘案してやったわけでございまして、御指摘のように、国保から該当者が生保に移ったりあるいはその他の施設に入るべきもの、被用者保険に入るべきものというこの見積もりの数字でございますが、これは非常に困難でございまして、この通りぴったりいくかどうかとなりますと、これはこの通りいきますとは申し上げかねますが、従来の傾向から見まして、およそ間違いない数字であろうということだけを申し上げたいと思います。絶対にこれが動かぬかと申しますと、これはとても今の段階では申し上げられません。一応調査の結果ではそういう数字が出ております。
○滝井委員 こういう数字は、大蔵省は予算の査定をするときには、厚生省の数字をまるのみにすることはないですね。あなたの方の主計官は、きちっとこういう数字を当たっていると思うのですが、これはどうですか。今のことはそういうことでまるのみされていますか。
○谷村政府委員 私もその査定のときに少し勉強したつもりだったのでございますが、実ははっきり記憶いたしておりませんが、私どもの方は、厚生省の方の数字を拝見いたしまして、それがそういうふうに見ていいものかどういうものか、必ずいろいろな角度から検討しているはずでございます。それが少ないと見るか多いと見るか、それぞれの立場がございますので、私今ちょっとその内容については何とも申し上げられませんが、必ずしもいつもまるのみであるということではなくて、常に検討は加えておるはずでございます。
○滝井委員 これは私もなお少し検討をしてみます。それで、厚生省も少し検討してみていただきたいと思うのです。これは実は全然国民健康保険に関係のない議員が、この予算書をすらすらと読んで、これはおかしい、二百万も国民健康保険で人が動くということは考えられぬということを指摘をされたのです。私も考えてみると、なるほどこれは問題だという感じがしておる。今まで、予算の組み方でこんなに二百万も大きな差を持ったことはないでしょう。ことし初めてでしょう。おそらく、ことし初めてですよ。これを一つ検討してみて下さい。このことが医療費に非常に大きな——二百万違ったら相当の違いですよ。被保険者二百万ということですからね、これは相当の違いですよ。 それから保険給付の問題ですが、これは永山委員も少し尋ねておりましたが、現在往診と入院の際の給食と寝具の設備と歯科の補綴ですね。この四つが給付の制限になっているところが相当多いわけですね。新法ができてから、できるだけ健康保険の診療内容に近づけなさい、こういうことになっておるわけです。ところが、私もそこらの法律上のこまかい根拠規定をちょっと研究する時間がなかったのでやっておりませんが、漏れ聞くところによりますと、末端の市町村においては旧法のままで診療内容をいくか、それとも新しい、いわゆる新法にのっとって健康保険と同じ診療内容、すなわちこういうものを全部保険診療の中に取り入れるかどうか、それを一つきめてくれということが各市町村長から療養取り扱い機関の方の代表に来ておるのですが、そこらの指導は、現在ちょうど過渡期ですが、どうなっておるのですか。
○森本政府委員 現行の国保法によりますと、療養給付の範囲は健康保険と同一ということが原則でございます。ところが従来の実情を見ますと、往診、給食、寝具、歯科補綴というのは国保法において行なっておらぬところが相当ございます。それで新しい法律におきましては、原則としてはそれらの給付も必ずやるという建前をとりまして、経過的に当分の間は条例の定めるところによって、今申した四つの事項については給付をしなくてもよろしいという規定があるわけであります。それで、従来の指導といたしましては、大体目標を皆保険実施の四月一日に置きまして、それまでにこの制限を廃止するようにせいという指導をして参りました。その指導によりまして、大体各市町村、保険者とも、この方向に向かっておるようでございます。それで四月一日、最近の状況につきましては、目下給付制限の撤廃の状況を集めておりますが、断片的に府県の状況を聞きますと、給付範囲の制限を撤廃したところが多いようでございます。詳細な数字は調査がまとまり次第申し上げたいと思いますが、方向としましては、大部分が撤廃の方向段階に達しておるという状況でございます。
○滝井委員 実は当分の間条例でということで、一体当分とはどのくらいだという問い合わせが僕のところに来ておるのです。理事者側から、今言った四つのものについては当分制限をしていきたい、これは当分というのは一体どのくらい待ったらいいんだ、こう言ってきているのですよ。やはりあの法律をきめるときにあれだけごたごたして、そしておきめになったのですから、それを今度自治体に当分の間やってもよろしいということになれば、これは自治体は一般会計から金を相当入れておるわけです。三十四億入れておる。これはやみの金ですよ。自治省の地方財政計画に載っていない。そのやみの金を入れておるわけですから、従って、これは当分の間といったら、農地法で、かつて鉱業用地等の保有を許す場合、当分の間というときには、まあ三年から五年ぐらいを当分の間というらしいですよ。そうするとこれから五年ということになりますと、こういう大事な歯科の補綴とか入院、往診というような大事な点、今後の医療の一番大事な点で制限があることになると、これは大きな支障になると思うのです。現在制限している保険者の数はどのくらいあるのですか。
○森本政府委員 先ほど申し上げましたように、法律では当分の間今申したように四つの事項については制限をしてよろしいとなっておりますが、その法律が作られましたのが昭和三十一年でありますから、三十一年から当分の間ということでございまして、それからだいぶ日時を経過しておるわけでございます。それで、気持といたしましては皆保険達成の時期までに片づけたいと思っておりましたが、なかなか困難な事情もございまして、四月一日までに全部片づくというわけに参っておりません。先ほど申しましたように断片的に聞きますと、大部分の府県におきましてはほとんどこれらの給付制限を撤廃しておると聞いておりますが、的確な数字については目下資料を集めておりますので、これは先ほど申しましたように、後ほど御報告申し上げたいと思います。大体といたしましてはおおむね給付制限を撤廃しておるというような状況でございます。
○滝井委員 われわれのところにも、模範の市町村といわれるところからそういうことを言うてきておるのですよ。そうして当分の間といったらどのくらいだろうか、私ら、二、三年ぐらいだと思っておったのですが、今あなたの言うように三十一、三十二、三十三、三十四、三十五、三十六と、われわれが常識で、農地法等で論議した二、三年とか五年というのをはるかに越えて六年になっておる。そしてなおまだこれから当分の間だとみな言っているのですよ。ここらは日本医師会と党三役との間の二項の中にもやはり、入院料と往診料と歯科の補綴というものをすみやかに措置すること——これは国保とは別ですよ。そういうものが議題になるくらいに重要な問題なんですよ。いわば竜を描いて眼を入れるか入れぬかというところにきておる、その眼に当たるところですよ。その眼に当たるところを、国保を七割給付にしようかという段階になって、まだそういう一番大事な入院料、往診料のところもやっておらぬのだというようなことでは、これはちょっと国民皆保険が泣き出すのじゃないですか。やはり私はこういうところにもうちょっと国が積極的におやりになる必要があるのじゃないかという感じがするのですがね。こういうことがもしできないのだとするならば、市町村が国民健康保険の運営の主体になっておるということ自体にすでに問題があるということでしょう。一番大事な入院とか往診とか、今後の近代医学を受けさせようとするならば入院させる以外にない、しかも厚生省というものは近代的な病院を作って、そこではやはり高度の医療をやらなければいかぬ、診療所と区別しなければいかぬのだということを何か風の間に間に話されておる、その一番大事な入院というものについて、保険制度の中に取り入れていないところがなお現在相当あるのだということでは、これは大へんなことだと思うのです。あなたの方は相当のものがやっているというけれども、私ちょっと今残念ながらその資料をどこかに入れておったと思うのだが見つからないのですがね。大臣どうですか。こういう問題を当分の間ということでそのまま放置していかれる所存なのか。それとも、たとえば一年なら一年に限って、今年だけはやむを得ない、しかし来年度からは全部やってもらうということでやるのか。そうでないと、これは財政の豊かなところは国の補助もよけいに受けられて、うまくいくけれども、貧弱な市町村というものはいかないという、いわゆる所得再配分の原則が逆配分になっていくという、今の国民保険をそのまま地にいく制度を残すことになるんですよ。だからこれは当分の間なんというけちなことを言わずに、今後法律であっても、あなた方が、これは何と申しますか、行政指導でできることなんですよ。まあことしはやむを得ない。三十七年度からこの四つの制約については解除してもらう、そのことについては、国が特に予算措置その他に格段の努力をするということになれば、これはうまくいくと思うんですよ。こういうことをもう少し積極的にやってもらわなければいかぬと思うのですが、これは年度を切っておやりになる意思はありませんか。
○古井国務大臣 さっき来の話のように、できるだけ早く給付制限ということはやめてしまいたいというのが方針でありますので、いつまで買いとけと、逆に置いとく期間をきめる必要もない、できるだけ早くやめさせる。それについて、町村の事情でどうにもならぬというところがあるいはあるのかもしれぬ。よくよくの場所があるかもしれぬ。財政的にどうこう調整をとってもやっていけぬということもあるいはなきにしもあらず、そういうところはやむを得ませんけれども、そうでなければ早くやめさせるという方針でいけば、それ以上のことはないのだと私は思います。
○滝井委員 わかりました。資料があったのですが、三十五年五月末での給付範囲に利限なきものは市町村の数で七百三十七です。二割二分ですよ。七割八分というものはこれは制限がある。しかも四種の給付について制限しているものは二百六十五、八・一%ですよ、こういう実態ですよ。だから全部やっている方が少ないんですよ。健康保険と同じでやっているのが少なくて、制限している方が多いのですから……。実は国民健康保険を審議するときも、今の大臣と同じように、こういう給付の制限は早く撤廃したいということは言ったんですよ。言ったけれども、あれからもう二年くらいたつのですが、またやっぱりすみやかにと、こうおっしゃるんですよ。だからこういうものはやはり国会で御答弁をされたら年次計画をお立てになってやらないと、こういうものはほっておけば、市町村というものはやりたいのだけれども、背に腹はかえられぬわけですから、先へ先へと延ばすんです。森本さん、ことしの三月三十一日現在で給付範囲に制限のないものはどのくらいか、わかっておりませんか。
○森本政府委員 その点は、先ほど申し上げました通り目下調査中でございますので、後刻報告したいと思っておりますが、仄聞するところによりますと、個々の府県から聞きますと、大部分撤廃したというような報告も聞いておりますので、大部分のところが撤廃したという報告があるのじゃないかという予想をしております。ことしの三月末で大部分の市町村においては給付範囲の制限を撤廃したというような見通しを持っております。 それからただいま御指摘になりました数字は逆でございまして、制限しておるのが二百六十五でございまして、全部給付しているのが七百三十五という逆の読み方でございますから、念のため申し上げおきます。それからこれは昨年の五月、一年前のことでございます。それから先ほど来お話の中で、入院が給付制限になっておるということでございますが、入院じゃなくて、入院のうちの一部であります給食と寝具だけでありますから、ちょっと申し上げておきたいと思います。
○滝井委員 入院の際の給食です。こういうのをほとんど全部撤廃したと言われるが、私の知っておるところでは、模範的なある市でも今そういう申し入れをしてきているのですから、そういう模範的な市がそうだから、いわんやその付近にある郡というものは、郡の貧弱な町村というものはなおやっていないんですよ。これは相当てこ入れをしてもらわなければいかぬと思うんです。 それからもう一つは、そういう給付の制限があるほかに、一人当たりの医療費というものが健康保険の医療費に比べて三分の一くらいなんですね。これは一体どうしてこういう実態になるのですか。
○森本政府委員 これも健保と国保を比べますと給付費が違いますが、原因はこれはいろいろあろうと思います。一般的なことを申し上げますと、医療機関の利用の便宜の問題、都会地等でございますと非常に利用しやすい、いなかの方だとしにくいというような医療機関の便宜の問題、それからこれは衛生思想の普及と申しますか、早く診断を受けて早くなおすというような考え方があるかないかというような問題等が一般的に考えられます。それから最も大きな原因として考えられますのは、国保におきますところの一部負担の制度がありますから、一部負担が五割あるいは四割、三割ございます。これが非常に受診率、受診の機会をチェックしておる一番大きな原因だと思います。なお国保と同じような立場にありますところの政府管掌の家族あるいは組合管掌の家族等を見ますと、これは非常なそう大きな差はないのでございまして、これは三十五年の一応の見込みでございますが、国保におきましては千二百十三円、それから政管におきましては千七百八十二円、組合の家族におきましては二千円というのでございまして、本人におけるほどの差はございません。これはいずれも五割給付ということが大きな原因だろうと考えます。
○滝井委員 国民健康保険の千二百十三円と政府管掌の家族の千七百八十二円、約五百五、六十円程度の差ですね。五百五、六十円というと、およそ一件当たりの金額にあたるわけですよ。一件当たり国保でも九百円くらいになっていますがね。大体五、六百円程度というのは、ここ四、五年くらいはそういう状態だったのです。一件当たりの金額に相当するもので、同じ千円台だから大したことでないようだが、これは相当なものです。一回医者に行くかどうかということは、第一、二回か三回しか行かないのですから、これが一回分に当たるというのは相当なものです。こういう点が健康保険の本人に比べたら、その三分の一だということで、その原因が医療機関の分布がうまくいっていないし、衛生思想が普及していないし、一部負担がある、一般論的に言うとそういうことだ、こういうことになれば、その対策というものがすぐ立てられなければいかぬと思うのですよ。原因はわかっておるのだから……。原因がわかっておって、それがわかったままで、国会で説明するだけで、その隘路をそのままほっておったのでは、やはり問題だと思う。医療機関の分布の問題、それから衛生思想の問題というのは、これはなかなか簡単にはいかぬかもしれぬけれども、一部負担の問題は、これはある程度政府が熱意を持ちさえすれば私はいく問題じゃないかという考え方があるわけです。すでに財政の豊かなところは七割給付をやっているのですからね。これは本人については七割給付をやっているのですよ。特に画期的なものは、京都においては家族も六割給付をやったのです。本人と家族六割給付なんです、京都は。そうすると、そういうものをやろとするときには、一体どこが一番ブレーキになっておるかというと、保険局がブレーキなんですよ。保険局が奨励しない。お前のところが七割をやると、それは他のところと均衡が破れるから、こういう形になるわけですね。だからこれはむしろ保険局が奨励すべきなんですよ。やりなさい、やれば私たちはその分については予算を大いにとってあげますよ、こう言わなければいかぬ。ところがみんな理事者側が来てわれわれに陳情するときは何て言うかというと、先生、まず厚生省に行って一つ了承をとって下さい、そうすればわれわれはやります。それからもう一つ困ったことは、私たちの市だけがやると、私たちと同じような力のあるその他の市にこれが及んでいくのだといって、どうも県の保険課がきげんが悪いのです。そうすると調整交付金その他で江戸のかたきを長崎で討たれちゃ困りますから、ここらあたりを何とか……。こういうことになってしまうのです。一切の責任がそうではないと思うのだが、理事者側から聞くと、保険局がそのブレーキをかける張本人であるような感じがするのです。だからこれは、もし理事者がやるならおやりなさい、それで財政が苦しくなっても、私たちが腕をしぼって大蔵省と交渉してどんどん出すようにしますよ、こうなると燎原の火のごとく進んでいくのですよ。それをやっていない。むしろ春秋の筆法をもってすれば、七割給付にブレーキをかけているのは厚生省保険局それ自体である、こういうことになるんですよ。だからこういう点については今御指摘になったように——もうあなた方が指摘して私に教えてくれたのですから、一部負担と病院の配置の問題が大きな隘路になっておるということになれば、今一番暗いのはこの負担をどうするかということ、それはあなたの方が予算を組みさえすればいいのですから。これについては昨年の終わりであったと記憶します。国会の解散前に、当時森本さんじゃなくて保険局次長がかわりに来ておったのです。そうして私に答弁をした。私が厚生省は一部負担を軽減すると言っておるのだが、一体どうやるつもりだと言ったら、これから五カ年計画で軽減をやります、そうしてまず第一年度には裕福なやりたいという市町村からやって参ります、従って来年度におきましては——昨年ですからことしのことです。来年度におきましてはまず裕福な希望する町村の二分の一からやっていきます。その予算は幾らかかるか、これは三十六、三十七、三十八、三十九、四十年の五カ年計画ですから、四十年になったときには大体八百億くらいかかるでしょうという答弁までしたのです。そういう答弁をしたから、私はそれが選挙のときに公約として載るだろうと期待をしておった。ところが、調べてみたところが、あにはからんや載らないんですね。羊頭を掲げて狗肉を売るというのはこのことだと言って私は選挙のときに演説したのですが、国民健康保険においては世帯主に限って精神と結核について七割給付をするというこの法案が出てきた。今度は大臣に聞いてみると、その当時事務当局が堂々と国会で説明したのだが、今の古井さんの答弁を聞くと、長期の四カ年計画その他まだ検討中で、まだ海のものとも山のものともわからぬ、かすみがかかっているという状態ですよ。これは事務当局の方が先に国会で言っておった、その上にどっかり乗った大臣の方がかすみのかかった答弁をするのでは——これは答弁をしたのです。速記を私は今持っておる。私はその当時のことを今書いてある。これは選挙が終わって新しく古井さん任命されたのですから、選挙前のことは御破算だといえばそれまでですけれども、今当面やらなければならぬものが給付率の改善だというならば、古井さんが、事務当局が説明したくらいの内容をもう一ぺんここで言えなければならぬはずだと思うのです。これは今中小企業金融公庫の総裁になっている森永君が主計局長のときもやはり同じ答弁をした。私たちとしてはこれは年次計画でやりたいということを言った。森永君が、私はたぶん予算委員会だったと記憶しておりますが、言った。ところが森永君はいつの間にか次官になって、大蔵省をやめてしばら浪人をしておったが、洋行をして帰って、今中小企業金融公庫の総裁になった、こういう形になっているのですね。そしてまた新しく来た大臣は、雲かかすみかわからぬような答弁をするというのでは、われわれが貴重な時間をさいてここで何回言ったって、国会の権威というものは地に落ちて、ないのですよ。古井さん、国会の権威を上げるために給付率の問題は一体どうおやりになるか、実行のできることで、ここで一つはっきり言ってもらいたいと思うのです。
○古井国務大臣 財政の裏づけなしに話をしておったってだめなのであって、それだから私が言っているのは、がっちりした財政の裏づけを持った計画を立てていかなければならぬ。それは本年度はもうとにかく予算もきまったのですから、問題は、一番早い段階といえば来年度からの問題である。長期計画をもとにして、来年度の予算を第一歩としてやる、こういうことで裏づけをしつつやっていきたいというのだから、その時期までには考えたいと私は言っているのであります。雲でもかすみでもないのであります。かすみのようなことを言いたくないから、きょうは言わない。財政の裏づけをもってやらなければだめなんだ。 それからなお昨年のお話がございましたけれども、なるほど保険局が七割給付を押えておるというような言い方もできるかもしれませんが、これはよほど考えてみなければいかぬ。地方財政でまかなえるところはどんどん足していけ、それでけっこうだという言い方をしておりますと、国費の方では見ないで地方財政の方で見られるところだけ見させるような方向へ、保険に対する国の処置、負担というものが、大局的にながめてみて後退しても困るのであります。そっちでやったらいいじゃないか、そういうことになると、地方によって力のないところはとり残しになっても仕方がないという結果にもなってくる。ですからこれは今のようなことがかりにあるとしましても、やはりそれなりの考え方も、理由のある点もあるので、そこらは行き方は深く考えませんと、思いつきみたいなふうにやっておってもいかぬと私は思う。そこでやはりがっちりした基礎のもとに財政的な裏づけを一面にしながら、やはり年次的に進めていくという道をとるのがいいと思いますから、そういう考え方で来年度から第一歩として臨んでいきたいというふうに私は思うのです。
○滝井委員 まず財政的な裏づけのない計画は立ててもだめだ、私もその通りだと思うのです。財政的な計画を立てるためには、まず確実な計画を立てて、それに財政の裏づけをする必要がある。だから私は議員になってこの委員会に所属して以来、厚生省に長期計画を立てなさいと言ってきたのです。そして私の質問に答えて歴代の大臣が、あなたと同じように答えたのです。いつも言うように、長期計画を来年から立てます、こう言ったのです。あなたの前の渡邊厚生大臣も言ったのです。去年の八月までには必ずやりますと、同じようにこうして予算を審議し、法案を審議するときにおっしゃった。ところが八月が過ぎてあなたになってみたら何も立てていない。予算委員会で言ったけれどもわからないし、この前のごときは所得倍増計画に載っておるやつだって大臣以下みなお知りにならなかった。だからこれは今古井さんが来年からやるなら、三十七年からですよ。それならば私は黙って下がります。そうすると昭和三十七年から七割なら七割、六割なら六割でけっこうです。給付率改善のための長期計画を立てて、それにのっとる財政の裏づけをもっておやりになる、こう理解して差しつかえございませんか。
○古井国務大臣 私が今まで国保にかかわらず長期計画と言っておるのは、つまり来年度予算からこの計画にのっとった第一歩を踏み出したいという意味で言っているわけです。ですから国保だって同じ問題で同じことを言っているのであります。それでなければ予算とにらみ合わせて第一歩を踏み出せない、そういう意味で言っておるのでありますから、御了承願いたいと思います。
○滝井委員 三十七年から国保に限らず、医療保障全般について長期の計画を立て、それにのっとって財政的裏づけをしながら給付率の改善をやる。谷村さんよくお聞きになっておいていただきたいと思うのです。きょうは大蔵省の谷村主計局次長がおいでになって、やがて谷村さんも出世して局長にそのころなっているかもしれませんけれども、よく一つ覚えておいていただきたいと思います。森本さんも覚えておいて下さい。私もきょう、三十六年五月十七日一時五十分を記念として銘記しておきますから……。こういうことはやはりお互いに与野党ではっきりしていかなければならぬ。社会保障審議会とか社会保険審議会とかにかけなければならぬということではない。ここが国権の最高機関なんですから、ここで与野党がやり取りしたものは与党は必ず政府を通じて実行させるという形をとらなければ国会の意義はない、与野党の話し合いの政治じゃない、寛容と忍耐の政治ではない。だから、私たちは忍耐強く、七年も八年も前に言われたこととまた同じことをここで繰り返しておるのですから。大臣は今は工合が悪い、もう予算が終わったからというから、三十七年でけっこうです。来年を待ちましょう、こういうことになって、徳川家康の気持で言っておるのですから、来年といってもすぐきますから……。それで了承します。 次は保険財政の問題です。保険財政は保険料と現在の療養給付費の二割と、それから財政調整交付金の五%と事務費の補助と都道府県の補助金と、それから市町村の一般会計からの繰入金という、この六つでまかなわれておるのですよ。これを一々やっておると大へんですから、その中から、時間の関係がありますから、重要な点だけ言って、あとは省略させていただきますが、最近ずっと国民健康保険の一世帯当たりの保険料というものが増加してきているわけですね。昨年は三千七百二十九円くらいなのが、先日の説明では本年は四千百二十八円だったと思うのです。大体四、五百円程度の上昇ですよ。問題は、この四、五百円程度の医療費の上昇がずっと出てきておるのですが、あなた方は、この上昇のカーブは一体どの程度までいけば停滞する、いわゆるプラトーになっていくと見るのか。国民健康保険の医療費はどの程度にいったらプラトーになるか。現在国民健康保険と対をなす健康保険における本人の医療費は大体プラトーです。これは七千円ぐらいで上昇傾向をやめているわけです。医療費の上昇がプラトーになるということと、保険料の徴収が一つの山からいわゆる頂上につくということは大体同じでなければならぬわけです。それはある程度並行的な関係になるわけです。そうすると、あなた方は将来の見通しとしては、いろいろ医療制限を撤廃した後における一世帯当たりの保険料の限界というものを一体どの程度見ておれば、日本の医療というものを国民健康保険では大体まかなっていけると見るのかということです。私はどうしてそういうことを質問するかというと、ここらあたりがやはり医療保障の予算を組む場合に非常に重要になってくる。特に古井さんが来年度からおやりになろうとする基本的な長期計画をお立てになる場合に、これがやはり予算の基礎になる。計画の基礎になる。健康保険の本人ならば、今のような数字でその被保険者の数をかけておれば、総医療費というものは大体狂いはない。ところが健康保険の家族についてはちょっと違うのです。これはやはり国保と幾分類似したところがある。そこで健康保険の家族の問題をわれわれが最終的にきめようとするならば、その前にもっと不安定な、動揺性のある国保の保険料と医療費の問題をある程度見きわめをつけておけば、健康保険の家族についての見きわめはそれ以下の負担で済むことになると思う。だから、まず国保の医療費の伸びと申しますか保険料の負担能力、その限界、こういうものを、来年度から長期計画をお立てになるについての今までの長い経験と勘をお持ちですから、どうごらんになるか。これは当然今後の予算編成の基礎になるわけです。
○森本政府委員 非常にむずかしい問題でございますが、ただいまお話しのような勘と申しますか、その程度の域を出ぬと思いますが、大体の見当だけを申し上げておきます。 給付の点から見ますと、一応のめどになりますのが、政府管掌の健保の家族の給付が大体五割でございますが、これが一つの最高限のめどになると思います。それでただいま国保と違っております点は、少なくとも三十五年度におきましては、国保においては給付制限が若干残っておりますので、それを撤廃されるということ、それから今後医療機関がもう少し普及してくるであろうと思います。そういう要素、この二点が医療費の増高の原因として残ると思います。それで最後に落ちつきます先は政管の家族、これが最高限でありまして、それ以下のどの辺にとどまりますか、ちょっと申し上げかねますが、それよりも低い線で医療給付がとどまるのではないか。従いまして、それに見合いますところの保険料というものがおのずと算定されるのであります。大体の勘なり見当なりは今申し上げた通りであります。
○滝井委員 そうしますと、政府管掌の家族が千七百八十二円ですね、千七百八十二円が一人当たりの医療費でしょう。このくらいが限界だということですね。あと一人当たりについて五百円、そうすると一世帯について国保の世帯はどの程度と見ますか、三・六くらい見ますか、三人と見て千五百円ですね、医療費は千五百円増加する。そうすると保険料でいけば医療費の千五百円の中で三割と見て四百五十円ですね、四百五十円程度の増加でいいですか。そうすると今年の四千百二十八円に四百五十円、五百円と見て四千六、七百円程度が大体国保の一世帯当たりの保険料の限界である、こう見ていいかどうか。これは私が独断でやってみたのですけれども、あなたの方でやればどういうことになりますか。
○森本政府委員 数字になりますと正確なことはちょっとお答えいたしかねますが、先ほど申しましたように、健保の家族のものが最高限でございまして、それ以下の数字が出て参ると思います。それに対して四分の一相当額のものが大体保険料でまかなう分でございます。数字につきましてはちょっと正確なことを申し上げかねますが、およその見当としては今申し上げたようなことであると思います。 保険料につきましては、今申した給付制限の撤廃でありますとか医療機関の普及というようなことが受診率を上げる原因と考えるのでありますが、なおそのほかに、一般的な医療内容の向上に伴うところの医療費の増高、そういうものもパーセントは別として若干あると思います。正確な数字につきましては、これは不確実なことを申し上げてもいけませんので、大体の考え方だけを申し上げておきます。
○山本委員長 暫時休憩いたします。 午後二時一分休憩 ————◇————— 午後四時十四分開議
○山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続けます。滝井義高君。
○滝井委員 午前中に引き続いて質問を続けますが、健康保険財政の中で重要な関連を持つものは、歳入面としては保険料と、療養給付費の二割の国庫負担と、財政交付金の五%と、事務費の補助と、都道府県の補助金と、一般会計からの繰入金。その中で、保険料については少しお尋ねをしましたが、一般会計からの繰り入れの問題です。 ここ数年の状態を見てみると、市町村は国保の特別会計に総和で三十三億ないし四億を繰り入れておるわけです。これが、さいぜん指摘いたしましたように、地方財政計画に載っていないわけです。地方財政計画に載らないということは、いわばこれは、別の言葉で言えば、やみの金を入れておるわけです。これを地方財政計画に堂々と載せて、そうして国民健康保険の進展に寄与せしめるような方向をやはりとらなければならぬと思うのです。私は、むしろこういう三十三、四億の金を入れているものは交付税交付金の対象にすべきであるとさえ主張したことがあるのです。ところがそれもやられていない。従ってこれはいわば市町村が自主的に、国民健康保険の進展のために熱意のある市町村長が入れておるという形です。どうかした市町村はがんとして入れない。これについて、少なくとも地方財政計画に載せるような姿を、厚生省としては自治省と話し合ってとる必要があると思うのですが、こういう点を厚生大臣はどうお考えになっておるか。
○古井国務大臣 これは私の方の一存だけでもいきませんが、この点は相当深く考えておかなければならぬと思うのであります。つまり、地方財政で出せるなら出しなさいという行き方をしますと、国の財政の方は、いわば地方財政に持ってもらえ持ってもらえということで、国費の方の負担をだんだん引き上げていくという問題の速度が鈍っても困るのであります。そういう地方で持つ気になりますと、財政力のあるところはうまくいきますけれども、財政力のないところはいかないということで、非常に不均衡を起こす。これは均等の医療を国として与えたいという考え方からいうと好ましくない結果にならぬとも限らぬ。そういうこともありますので、地方財政が持てるところは持てという式に、やみを表に出していくがいいか、そうではなくて国で持つべきものは国で持つ、あげるものはあげるというふうにいった方がいいか、ここはやはりよほど考えていかぬと、長い時間の間にまずい結果があってはいかぬと思いますので、これはよく検討した上でないと、さっそくけっこうでありますと言いかねるように私は思います。
○滝井委員 どうも私の質問するやつは全部検討することになって、一向に明白な答えが出てこないわけですが、この問題も今日始まった問題ではなくて、すでに国保の発足とともにこの問題は論議をされている。大臣の今の論点は、地方財政にそういうものをだんだんおっかぶせていっていると医療の均等が妨げられ、国費の支出がやはりある程度鈍る、こうおっしゃるならば、問題は運営主体の問題になってくるのです。現在すでに、たとえば北海道のごときは一世帯保険料が五千円をこえている。ところがあるところへいくと二千円くらいでやっているところがある。保険料についてもこのくらいの不均衡がある。そうしますと、現在の不均衡をお認めになったままで、給付についても、入院料の給食、往診あるいは抗性物質、歯科の補綴まで健保と一緒にやっているところとそうでないところがある。こういうアンバランスがあるわけでありますから、従って、医療の均等ということ、そうして国費を潤沢に出していくということを中心にものをお考えになるならば、運営の主体は、市町村中心から少なくとも政府管掌と同じように国がやるか、あるいは都道府県段階に引き上げると、これは四十六都道府県の問題になって、今のような三千有余の市町村の問題から、ずっと問題が簡素化されてくるわけです。これは運営主体の問題に直接関連してくる議論になるのですよ。そういう議論の立て方になりますと。そうしますと、今の不均衡を是正して均衡化の方向に持っていこうとするならば、運営主体を国かあるいは少なくとも県段階まで引き上げなければならぬという、こういう議論に発展して参りますが、そういう点どうお考えになるのですか。
○古井国務大臣 すぐさまそこまで飛んでいくか、また中間の段階があるか、これも検討を要する。それで、保険料の不均衡が起こっておるということですが、これは自分たちの保険であるからと、そこで理解してたくさん出そうという町村もあるかもしれぬ、それからそうでないところもあるかもしれぬ、これは必ずしも財政力だけできまっているというのも私は少し足らないと思う。自主的に考えておるところもあるかもしれない、また熱意のある、ないということもあるいは場合によるとあるかもしれない。必ずしも、財政力だけから差が起こっているかどうかは問題であります。もし財政力の差があるなら、これは国として調整の方法をさらに充実し向上するという道もあるのであって、すぐさま府県段階に引き上げろという議論にはならない。国として調整する道もある。ただし、別の問題として、小さい市町村の段階で国保をやった方がいいか、もう少し大きな範囲で危険負担をやった方がいいかということはあると思います。ただし、さっきの点からだけでこれは論ずるわけにいかないというふうに思うのであります。
○滝井委員 まあ、自分たちの保険である、こういう観点から保険料のアンバランスもやむを得ないということになりますと、これは市町村というものはいわば自治体ですから、従って市町村が運営の主体になって国保を運営しておるなら、その保険は自分たちの保険なんです。自分たちの保険ですから、住民が出した税金の中から、一般会計の中から住民のための国保の特別会計に金をつぎ込むことはちっとも差しつかえない。これは金持ちのところがよけいに出す、貧乏のところが少なく出すのは、これは今の保険料が、貧乏人が少なく出し、金持ちがよけい出して、そのよけい出した金持ちの方がよりよき医療を受けるのと、これは論理は同じなんです。これは古井さんと議論するつもりじゃないけれども、今のあなたの論理でいくと、結局自治体の一般会計から国保の特別会計に入れても差しつかえない。現実にこれは国保の発足以来戦後ずっと入れられてきているのですから、それが一つの慣行となって、レールを敷かれた既成の事実となっているとするならば、これはやみでなくて地方財政計画に載せてやるのが親切なやり方だと思うのです。 そこで大蔵省にお尋ねしますが、こういう問題を地方財政の中でやみからやみに三十数億の金を葬っていくことはいけないと思う。しかも、かつて市町村財政の赤字の四割五、六分というものは一般会計から国保の会計につぎ込んだ、その金が赤字の四割五、六分を占めておった。その報告がかつての自治庁からあったわけです。だから、こういう点から考えても、その地方自治体の赤字の少なくとも約半ばを占めるものが国保の特別会計に繰り込んだためだということになりますと、これはやみからやみに葬るわけにいかない。地方財政計画に堂々と載せると、これははっきりしてくるわけですが、こういう点、当然予算編成にあたって大蔵省の主計局としては考えなければならぬ大問題だと思います。こういうものを、地方自治体がやみからやみに出しておることを黙って、慣行だからといって許しておることもおかしい。こういう点は主計局としてはどうお考えになりますか。
○谷村政府委員 問題は地方財政と国家財政との関係のことでございまして、私の直接の所管でないので、ここで責任のあるお答えをいたしかねるわけでございますが、私、主計局におりましてこの問題を考えますときに、ただ仰せになりましたようにやみからやみというように問題であるかどうかは、私必ずしも同意をしかねるのでございます。地方財政計画に載せて国と地方との間の財政の調整と申しますか、やりとりの問題として表に出すか、それとも地方財政におけるみずからの問題として処理される問題であるか。確かにこれは制度の問題として基本的にいろ、いろ問題はあると存じます。その問題を提起されておるので、いろいろ検討しなければならない点があると思いますが、私ども地方財政の見方として考えますならば、今直ちにこれを国家の補助の問題として一般的に取り入れるかどうか、私としてはちょっとそこまで申し上げかねる次第であります。
○滝井委員 私は国家の補助としてという意味ではないのです。地方財政からこれを堂々と出すためには、地方財政計画に載せておかなければならぬのです。それが建前です。国の建前からいえば、地方財政計画に三十四億の金を年々出しておるにもかかわらず、それを載せていない、こういうことはけしからぬというのです。そこで、自治省はそれぞれの自治体に対して、そんなものは今度から出してはいかぬという通達を出しているのですからね。特に再建法十二条適用の赤字団体にそれをきつく言ったのですよ。そのくせ、やはり出さなければどうにもならないものだから、現実はそれを認めている。それならば、出してはいかぬといっても現実に出しているのをお認めになるならば、やはり地方財政計画にそれを堂々と載せさせれば、地方自治体は基準財政需要額、基準財政収入額というものできちっとそれを財政面においてはっきりさせることができるのです。そうすれば、そういう点が地方自治体の交付税交付金あるいは特別交付税交付金に自然に影響が及んでくることになるのです。だから、こういう点は私は当然はっきりしなければならぬと思うのです。これはかつてわれわれは何回も指摘したことがあるのですが、保険局当局はこういう点を今後どう処理し、推進していくつもりですか。
○森本政府委員 ただいま国保会計に対する一般会計の繰り入れの問題がございましたが、お話の通り現に繰り入れをやっております。この傾向を見てみますと、たとえば被保険者一人当たりにいたしますと、昭和三十年ごろには百二十七円ぐらいが繰り入れになっております。三十四年度になりますとそれが八十円程度に下がってくる、だんだん一般会計の繰り入れの額というものが減って参っておりまして、三十四年度におきましては総収入の約五%程度であります。それで当時厚生省の指導といたしましては、この保険財政が特別会計を作ってやっております関係上、保険料、国庫負担金、一部負担金というように、保険プロパーでまかなうべき財源はきまっておるわけでございます。従いまして、原則といたしまして今申した保険料、国庫負担金、一部負担金というようにはっきりした収入の源がございますために、できるだけそれによって処理すべきように指導して参っております。今後もやはりこの特別会計という建前を原則として、財源というものが明らかにされております関係上、そういう方向で進んで参りたいと思っておりますが、また従来もそういう方向で指導して参ってきて先ほどの結果になっておるわけでございます。しかしながら、これを一挙に一般会計の繰り入れというものはすべきでないということを言っても、これも適当でございませんので、漸次国保財政自体の充実をはかっていき、これが完全に一人立ちできるまでは、やはり実際問題といたしてましては一般会計の繰り入れも考慮願いたい、しかし方向といたしてましてはやはり自前の会計でやるのが適当ではなかろうか、こういう気持でやっておるわけであります。その辺の考え方につきましては、地方財政計画に一般会計の繰り入れが明示されておらぬじゃないかという点の御指摘もございましたが、自治省におきましても、実際の扱いにおきましては厚生省の扱いと同じような気持で御指導になっているように考えております。
○滝井委員 気持は同じでも、やはり地方財政計画に載っていないことは事実ですから、それならば、そういうように徐々に減らしていくといわれるならば、徐々にでも三十四億あるのですから——ここに二、三年来三十三億から三十四億台をいっている。三十三、三十四、三十五、三十六と、ずっとそうでしょう。被保険者はふえているけれども額は変わっていないのです。被保険者はふえておるといったって、地方自治体の出した額は変わっていない。なるほど地方財政の総和は国の予算がふくらむようにふくらむから、あなたの言われるように比率は少なくなっているけれども、三十三、四億を出しているというこの現実は厳としてあるということです。それならば三十四億の計画をお立てになったらいい。認めたらいいのですよ。だからそういう点もう少し、やはりお金なんですから、きりっとした、えりを正した出し方を、今後自治省とお話し合いになって——あなたの方にも一半の責任があるのです。国保というのはあなたの方の監督下にあるのですから。ところが地方財政は自治省が監督している。だから両々話し合って、ぜひ一つこれは何とかはっきりして下さい。お願いしておきます。 次は、国保連合会に昨年は一億、ことし一億三千万円の補助金がいったわけです。これは永山委員も問題にしておったのですが、私もこれはぜひ問題にしなければならぬ、こう考えておった。永山さんのときにはどうもぴしっとした、私ども納得のいくような答弁をしてなかったので、もう一回尋ねるのです。この連合会に出ておる一億三千万円というお金は療養の給付費ですか、事務費ですか、どちらですか。
○森本政府委員 これは他の国庫負担におきましては、療養給付費の国庫負担あるいは事務費の国庫負担というものがございます。これはもうその通りの性質のものでございます。これは国保団体連合会に対する補助金ということでございまして、それが療養給付費に対するものであるか、あるいは事務費に対するものであるか、そういう色分けはいたしておらぬわけでございます。
○滝井委員 そうしますと、これは国保連合会の何に使うのですか。
○森本政府委員 これは御存じのように、連合会におきまして保険者の委託を受けて、連合会で診療報酬請求書の審査事務をやっております。それに対しまして所要の人件費、物件費等に対して国庫補助をしておるわけでございます。
○滝井委員 わかりました。そうしますと、診療報酬支払基金における審査の事務費はだれが出しているのですか。
○森本政府委員 支払基金におきますところの審査の事務費は各保険者から出しておるわけでございます。
○滝井委員 保険者は給付費から出しているのですか、ほかのところから出しているのですか。
○森本政府委員 これは基金ができました当時よりの扱いでございますが、たしか給付費の方から出しておると思います。
○滝井委員 その通りです。一件当たり十一円給付費から出している。そうしますと、国民健康保険は健康保険に全部なぞらえることになっている。これは基金に委託することが原則。しかし国保の連合会に加入する人が三分の二ですか、になったら、それは全部連合会で審査をしてもいいことになっている。多分法律はそうなっていると思う。そうしますと、これは健康保険になぞらえるから給付費です。これをもし単なる補助金だというならば、補助を出す法律上の根拠、国民健康保険法の何条にそういうものがあるか。法律ではないです。事務費で出すという条項と医療給付費の補助金はあります。しかしこういう補助はないです。そうするとこれは療養給付費じゃないですか。基金のものと、連合会の審査の経費が補助金が違うというならば、今度から健康保険の基金の方にも補助金を出してもらわなければならぬことになる。これは大蔵省はどういう見解で一億三千万のお金を出しましたか。どういう法律上の根拠で……。
○岩尾説明員 ただいま国保連合会の補助金の性格についての御意見でございますが、今お話のございましたように、審査を行なう方法といたしましては、保険者が自己審査する場合と、それから社会保険診療支払基金に委託する場合と、それから国保の連合会に委託する場合と、三つあるわけでございます。今先生のおっしゃいましたように、ある数の連合会の加入がありますと、自然に連合会が審査をやるということになりますし、またある数が減りますと自然とそれがなくなってくるわけであります。従って連合会といたしましては好むと好まざるとにかかわらず、ある一定の加入がありますと審査の手数を行なわなくてはならないという段階になるわけであります。従ってそういう状況に応じて、連合会に対しまして今十円の、審査に対する手数料を各保険が払っているわけでありますが、その負担が各保険者に加重されていくのではないだろうか。従ってその保険者に加重されていく負担というものを減らすために、連合会の方に定額の補助を行ないまして、これは法文の根拠ではなくて予算上の補助として行ないまして、それによって各保険者の増加していく負担を軽減していこう、こういう趣旨で計上されたのでございます。従いまして給付費であるかあるいは事務費であるかという議論でございますが、いろいろと過去の実績等を見ますと、たとえば留守援、生活保護その他におきましては、これはむしろ給付という形で出ておりますが、しかし保険の中では船員保険あるいは健康保険等におきましても、これは給付としては見ておりませんし、それからこれは給付であるということになりますと、従来国民健康保険に対して補助しておりました国保の負担の中には入れておりませんでしたから、従いましてそういうことから申しましても、これを給付費と見るわけにいかないので、従ってあくまでも審査というのは、連合会がやる場合にはそれによって保険者の負担が加重されるのであるから、その分を連合会の方に定額の補助を行なって、保険者の負担を軽減していこう、保険者は給付費の中でそういった審査の手数料として十円の歩割り、あるいは十一円五十銭の社会保険診療基金に対する審査手数料を払う、こういう建前にしております。
○滝井委員 なかなか説明がむずかしくて簡単にわかりにくいのですね。だからこういうお金は、四千九百万、国民の五割二分に対する社会保障の金なんですから、これはあっさり事務費なら事務費と割り切ったらいいと思うのです。そして事務費の中に各保険者に対して一人当たり十円なら十円上げます、その中の一円は連合会に納めなさい、こういう形できちっとする方がいいと思うのです。連合会というのは各都道府県の保険者の集まりなんですから、やはりきちっと財政上の基礎その他は体系的なものにしておいた方がいいと思う。何かわからぬような金を出すと、そのときの政治勢力のまにまにゆれて、連合会の基礎がはっきり確立しないのです。だからこういう点は、やはり一件について、ことしの百十円の事務費の中からは一割の十一円だけは各保険者は必ず一人ずつお出しなさい、こういうふうにきちっとおきめになって、そのかわりあなたの方で、あとで触れますが、事務費なら事務費できちっと交付する形をとらないと、ことしは一億だった、来年は一億三千万だ、もう少し通勤したらもう少し取られるのだというので、運動をいつもしなければならぬ、その運動の経費もかかる、そういう陳情政治の余地を残すことはいけない。やっぱり事務費であるならばきちっと事務費の形をお作りにならなければいけないと思う。また連合会がこういう重要な審査という役割を演ずれば演ずるほど、ますます財政上の基礎をきちっとしなければいかぬと思うのです。人間も、来年は一億三千万来ぬかもしれぬということになると、その人間を連合会は今度は減らさなければならぬのです。だからそういう工合にきちっとしていただきたい。連合会については私はたくさん調べて言うことが多いのですけれども、一番大事なこれだけでやめますが、そういう点ぜひ大蔵省の主計局と厚生省の保険局で十分お話し合いになって、こういうものはだれでも簡単な説明でもはっきりわかるようにしていただきたいと思います。 次は医療費の問題です。私、これは蒸し返したくないのですけれども、十三日に全国の医師大会があって、自民党の総務会長である保利さんと政務調査会長である福田さんが出て、われわれがかつて見たことのないきわめて大胆率直な演説をおやりになった。私たちは、今までは、まあ最高首脳部がどこかで両医師会会長と口頭のお約束をしたことは陰のことだと思って、ここで何回か言いましたけれども、それほどまでに重大だとは思っておりませんでした。しかし今度は与野党のとにかくこういうものに関心を持っている人がおる中で、しかも一万の大衆を前にして、常々と青空でお読み上げになって演説をされたわけです。そこで私としては、当然そういうことは行政のルートに乗せなければならぬと考えるわけですから、厚生行政の最高の責任者である古井さんの見解をお尋ねをして、そうして国民健康保険に対するわれわれの最後の締めくくりの態度にしたいと思うのです。 ことしの予算は、何回もここで申し上げたように、大体医療費の一割を七月一日から引き上げるということで予算が組まれておるわけです。そうしてその一割の引き上げの総額は予算面では七十四億、国民健康保険では十九億余り、それから特別の措置として十五億組まれておるわけです。ところが十三日に福田政調会長は、これが自分が両医師会会長と約束したことであると高々と読み上げられた。それは、七月から単価で一円を大幅に引き上げます、こうやったわけです。単価で一円を大幅に引き上げるということを読み上げまして、これは憲法ともいうべきものである。この憲法ともいうべき約束に抵触する法案があるならば、それは直します、と言明をされたわけです。政調会長というのは、政策立案に当たる与党の最高首脳部です。われわれの成田政審会長と同じです。その首脳部が天下にそれだけのことを、しかもわれわれ野党を前にして言われたのです。一体七十四億の中で社会医療に関係するものは四十六億ですが、四十六億で、単価で引き直した場合には幾ら上がることになるでしょうか。一円大幅に引き上げるためには四十六億ではできぬと思いますが、まず四十六億で一体幾らになるのかを一つ教えていただきたいと思うのです。
○森本政府委員 四十六億というのは国庫負担金でございます。これは用いるわけには参らぬと思います。問題は一〇%の医療費を引き上げる、こういう意味だと思いますが、これは目下いろいろな計算をいたしております。なお最後的なことは今回申し上げるわけにはいきませんが、問題はこの医療費の中に含まれておりますところの薬品費、衛生材料費というものをこまかく計算いたしまして、それが何ぼに当たるかという数字が出て参りませんと、究極の数字ができ上がって参らぬわけでございます。大体大見当と申しますと、従来から言われておりますように、医療費の中の二〇%ないし三〇%程度がいわゆる薬品費あるいは衛生材料費だといわれております。大体その間の数字になると思いますが、目下その辺の数字をやっております。それがわかりますと、この一〇%というものが正確に何円何銭に当たるかという数字が出るかと思うのであります。その辺なお検討中でございますので、大体の考えだけを申し上げておきます。
○滝井委員 検討中とおっしゃるけれども、あなた方が医療費体系をお作りになったときに、それは全部おわかりになっておるでしょう。検討する必要はないでしょう。それはどうしてかというと、ものというものは原価で入っておるわけです。ものは原価だからすぐわかるはずです。診療行為別に原価を入れておる。わからなければ、館林医療課長を呼んで下さい。
○森本政府委員 お話しのように医療課で作業しておるのであります。作業の状況も逐一聞いておりますが、医療課長が参りましても、私の御答弁以上のことは数字として申し上げられないと思います。それで先生がお話しになりましたように、薬品費、衛生材料費というものはきまってしまったじゃないかというお話でありますが、実はそうは参らないのでありまして、同じ医療行為におきましても、五年前、十年前と今とを比べますと、薬品費の占める割合は非常に変わって参っております。それで私の方としましては各医療行為別に、最近の実態としてどういうような技術料と薬品費、衛生材料費の割合になっておるか、最近の資料を今整理しておるわけでございます。これは固定したものでなくして、年がたちますと必ず変わって参ります。大づかみの見当としては、大体二割か三割だろうと見当しておりますが、これはやはり数字の問題でございますので、今最後の締めくくりの整理をしておる段階でございますから、御了承願います。
○滝井委員 私は変化したものを尋ねておるのではないのです。今の点数の中に一体どういう形で入っておるかはおわかりになっておるはずです。それはあなた方がお作りになって知らぬはずはないですよ。あなたの前の局長は、必ず基本原価で入れますということを説明しておるのです。乙種の薬は一律に二・九点でしょう。あなた方の方がきちっと内容を示しておるじゃないですか。きまっておらぬですか。二・九点のうちのものは変わっておるといっても、今一・九で医療が行なわれておるのです。私は今のことを言っておるのです。二・九の中におけるものはきまっておるでしょう。きまっておらぬのですか。
○森本政府委員 二・九はどの点数か知りませんが、これはやはり薬価の変動等がございまして、それから使う量も今と五年前、十年前と比べますれば、これはやはり技術料に対する比率というものは一定したものでなくして、変わっております。前回における、あるいは今から五年前の時点における医療費の比率はあったと思いますが、現在における比率というものは、やはり最近の資料によって調査をしなければ正確なものは出てこないわけです。
○滝井委員 最近のものは出てこないにしても、今医療で乙種の点数は一律二・九点でしょう。これは現実に行なわれておるのですよ。そしてその二・九点の中に薬は幾らかということはさまっておるんですよ。これは保険局長がそんなことを知らぬでは情けないですな。きまっておるんですよ。だからこれは医療課長をちょっと呼んでもらわぬと、そういうことを隠されたのでは処置ないですよ。四十六億しかワクはないのだから。——それじゃもう一ぺん説明しましょう。一日の保険の乙種の一番低い十五円以下の薬代というものは二・九点、二十九円です。二十九円の中にどういうように入っておるかというと、二十九円を分析しますと、一・七はこれは処方料です。〇・六は調剤技術料です。〇・六が薬代です。そうなっておるのです。それが今度は十五円、三十円と段階で〇・六が変わっていくだけです。そうしますと、今森本保険局長の説明によれば、その〇・六に当たるお薬代の分が二割ないし三割入っておるのだ、こうおっしゃるのです。一割上げた医療費の中には、総医療費から言えば薬の二割ないし三割分が入っておる、だからそれは幾ら入っておるかを今検討中だ、こうおっしゃるわけです。そうしますと検討中ならば、たとえば指のひょう疽の場合における甲表と乙表では、甲表は三百円とすれば乙表は六十円です。この六十円の乙表の中に一体衛生材料費が幾ら入っておるのか、それから甲表の三百円の中には衛生材料費が幾ら入っておるのかということをやらなければならぬ。そうして医療行為の点数表というものは七百くらいあるのだから、その七百くらいある中の一々の衛生材料費なり薬代がどのくらいかということを一つ一つ検討していかなければならぬ。ところがその検討は医療費体系の甲表、乙表を作ったときにできておるはずなんです。それはどういうことかというと、薬が十五円以下は〇・九と〇・六と分かれておるのです。それがわかっておる限りにおいて初めて二・九ができたのです。ひょう疽の手術だって盲腸の手術だって、衛生材料費が甲表には幾ら入っておるかということはわかるわけです。だから一割上げたときには今の一日の薬代二・九でいってみれば三・一九になる。ところが三・一九の中に〇・六の薬代も一割上げておる。あなた方の説明では、これは上げませんと言っておるのです。だから薬の単価を上げずに一割を上げたら三一・三点、三十一円三十銭になるわけです。そうすると個々の医療行為について全部そうやって計算して集めたものが、四十六億の中に一円を上回わる額がそこから出てくるわけです。それは大体幾らですか、こういうのです。あなたたちの言う通りにしてわれわれは一円上げるときは二・九にかけ算をして——点数を動かせとは三役は言っていない、単価でやるのだ、こう言っているのです。これは憲法だそうです。そうしますと、これをもし十一円に上げるならば、今の点数の二・九のままにかけたらいいのです。しかしその場合には〇・六も一割上げることになるのです。しかしもし局長の言うようにこの〇・六を動かすとするならば、全点数にわたって動かさなければならぬ、こういう矛盾が出てくるのです。それは明らかに三役との公約違反になる。ここなんです。だから私はきょうお尋ねをしたいのは、三役と両医師会長との約束が憲法にひとしいものであるというならば、とにかく一円大幅に上げるのだから、まず予算を組んでおる一割から議論をしてみたらいい。だから四十六億ですから、それを単価に直した場合には幾らになるか。社会医療七十四億のうち二十八億が生活保護法関係その他ですから、残りが四十六億円です。その四十六億を単価に全部直したら幾らになるかということを聞いておるのです。これは二つあるわけです。私の言うようにそっくりそのまま上げてやった場合には、一割というものはおそらく一円です。ところが今森本さんの言うようにお薬代が二割ないし三割あるのだから、単価は上げないというのだから、一体そのものは幾らになりますかと聞いておるのです。これがわかっていなければ——約束は七月一日です。七月一日から実施するのですから、もうあと一カ月しかありません。これから医療協議会を改組をして、委員を任命して議論をしていくというのではとてもできないから、国会としては秩序を保つために、日本の医療を順調に遂行していくためには、今からそういうことをはっきりしておかなければならぬ。これは国民健康保険なり日雇い健康保険なり健康保険を審議するときにやらなければ、われわれとしてはやる場所がない。国会は二十四日で終わってしまうのです。だから国憲の最高機関としては、七月一日を前にしてこれを明らかにする以外にない。これがまた厚生行政を担当しておられる古井さんの政治責任でもあるわけです。そういう数字のことは大臣はめんどうくさいでしょうから、保険局長は、大臣を補佐する責任として当然これを明らかにしておかなければならぬ点だと思う。これは保険局がわからなければ大蔵省に聞いてもいい。大蔵省は、四十六億で単価にしたら一体幾ら上げることになるのですか。
○森本政府委員 先ほども申しましたように、総医療費の中で薬品費、衛生材料費がどういうふうにあるかという検討を続けております。それで大体の従来の実績等から見ますと、これは二割、また最高三割ということになっておりまして、かりに二割という数字が調査した結果出るといたしますならば、単価に直しますと一円二十五銭という数字でございます。それから上限と申しますか、三割というような数字が出て参りますと、これを単価に直しますと一円四十一銭何がしという数字でございます。その数字が何割になるかという、二割と三割の間で何ぼかという数字を詰めておるわけでございます。
○滝井委員 詰める必要はない。その資料はあるはずです。なかったら盲腸の手術がたとえば三百点なら三百点というものが出てくるはずがない。それはどうしてかというと、衛生材料は原価で見ておるのですから、そのときに原価を幾ら見たかということをそこからどけさえすればいいのですから。森本さん、今になってそれはありませんとは言わせません。当時の資料はパスもマイシンもみんなあるはずです。あなたが答弁できなければ館林君さえ呼んでくれれば、当時全部作っているはずです。もしそれがないならば、盲腸なら盲腸の点数というものは架空のものだったということになる。甲表だって何らの合理性のないものだったということになる。だからそれははっきりしておるはずですから、おもなものだけを読み上げてもらいたいと思うのです。たとえば一番人口に膾表しておる壊疽、それから虫様突起の切除の手術、それから肺の切除というようなおもなもの、それから尿の検査、喀たんの検査、こういうような典型的なものの中に材料が幾ら入っている、材料の原価が幾らだということを一つ……。これはわかっているはずです。もしこれをわかっていないというならば、甲表というものはでたらめだということを天下に声明してもらわなければ困る。それはわからないはずはないはずです。とにかく技術料を評価して、ものは原価でいったわけですから……。
○森本政府委員 具体的の個々の行為について今一、二例をあげられましたが、それの価格の構成といいますか、内容につきましては後ほどお答えいたします。
○滝井委員 この法案はきょう採決するそうですが、平均薬価でいっていますから投薬と注射はわかっておるのです。他の医療行為がわからないわけです。今言ったように薬なんかもみんなわかっている。二・九のときには〇・六しか入っていないのですから……。それは採決するまでにぜひはっきりしておいてもらわなければならぬです。 そうしますと、今の森本さんの説明ではっきりしてきたのです。四十六億のワクの中であるならば、二割しか入っていないというと、一円二十五銭ないし一円四十一銭です。これから古井厚生大臣に尋ねることになりますが、古井厚生大臣は予算を組んで国会で予算を通したわけですから、七月から単価を上げることはもう確実です。その七月に予算に組んでいらっしゃる医療費一割引き上げを実施する手順ですね、これをどういう手順で七月一日から実施されますか、その手順を一つ御説明願いたいと思います。
○古井国務大臣 これは手続上のことをおっしゃったのだろうと思いますが、これは健康保険法でも、またそれに準じた国民健康保険法でも、医療協議会というものに諮問をしなければならぬ、諮問をしてその上で決定をする、こういうことが法の要求しておるところでありますので、そういう手順を踏んで決定をする以外には、法に基づいた要件は満たされませんので、そういうふうにいたしたいと思っております。
○滝井委員 そうしますと、医療協議会の質問はいずれ機会をあらためてさせていただきますが、国会は二十四日までです。医療協議会は今の情勢では二十四日までの国会に、延長されておりませんから——まだ内閣委員会で審議も始まっていないのです。これを衆参両院を通すことは、客観情勢は会期を大幅延長せざる限りほとんど不可能ですが、この事態をどうされますか、医療協議会が今通らない、そうしますともとの医療協議会になるわけです。もとの医療協議会は生きてますから。ところがもとの医療協議会はどうにもならぬ厚い壁に突き当たった、だから医療協議会を改組する、改組する医療協議会は国会を通らない、こういう情勢があるわけです。そうしますとこの段階で、たよりにしておった諮問機関というものがいよいよ機能を停止してしまったということから——そういう場合があり得るわけです。客観情勢はもう仮定の問題じゃないのです。刻々にそういう情勢がはっきりしてきておる。これは一体どう処理なされますか。この段階で予算の通った問題をどういう工合に処理されようとするのか。これはこういう場合あり得るわけです。
○古井国務大臣 医療協議会の改組の法案を御審議願っておるわけでありますが、私どもとしてはぜひこの法律案の成立を期したいと考えております。そして法案の成立を見て、医療協議会は新しいものとして発足するわけでありますから、それによって今の手続を踏む、ぜひそうしたい、こういう考えでおるのであります。
○滝井委員 それは希望です。現実はまだ通っていないのですから。だからやはり現実をもって議論せざるを得ないのです。あなたいつも現実を立場にしてとよくおっしゃるのだが、現実を立場にせざるを得ないのです。行政はやはり現実でしか動かないわけですから、法律が通ったあとで初めて動く。よし法律が通ったにしても、この前の大会を古井さんお聞きになったろうと思うのです。あるいは新聞でごらんになったろうと思うのですが、関係団体はあの案では入らないと言っているのです。これはある一面から見ればわがままかもしれません。しかしわがままであろうと何であろうと、相手の団体が、医師会、歯科医師会が入らないと言っている。入らないとすれば、これは作ったところで今の医療協議会と同じです。現実に生きている医療協議会と同じですね。そうすると、法律さえ通したならばうまくいくとお考えになっているけれども、それもまた現実はだめです。通る情勢は今のところない、通っても団体が入らない、これでは一体どうするのです。これは仮定の問題じゃない。もう入らないと天下に声明したのです。公約を実行しない限り入らないのだ、こうおっしゃっている。しかもあの医療協議会法というのは公約に違反をしている、それで入らない、こう言っているのです。そうしますと、古井さんはこれを政治責任でお出しになったのだから、あれをどんでん返しを受けることは古井さんは忍びがたいところだと思うのです。しかし現実はどうにもならぬ。そうすると今の医療協議会と同じじゃないですか。私はだからきょうは政治的責任の答弁を一つ求めようとしておるわけです。そういう仮定論で言っておりますけれども、きわめてこれは現実的です。ところが幾らあれを通したらうまくいくと思ったって、通したってあれじゃ入らぬと片一方では言っているのだから、それなら入るようにしなければならない。入るようにするには古井さんとしては一体どうされるつもりなのか、こういう議論が出てくるわけです。医療担当者の団体を入れるためには、一体古井厚生大臣としてはこの際政治的にどうしたらうまくいくのか、これは大内先生の方から出してきたあの答申の中に、もう混乱させちゃいかぬと書いてありますね。あんな混乱はもうやめなさいという意味のことを一番最後に書いてある。そうすると混乱を防止するためには、国会でやはりあなたの所信をはっきりしておいてもらわなければいかぬ。単価の引き上げは七月一日からですからね。
○古井国務大臣 まず第一に、協議会を改組する改正案は、私どもとしてはぜひこの国会で通したいと思っております。それ以外は考えておりませんから、その点はまず極力われわれも努力をし、理解を得、そして通したい、それ以外はこの法案の問題は考えておりません。できたあとの問題のお話でございますけれども、これはおもに医療協議会の改組案の内容について十分理解を得ることがまず必要だと思うのです。その点は、あの法案の審議にあたっても十分御理解を得るように努力したいと思っております。でありますから、この機会に、あの法案がこういうふうに変わってこういうわけだからということをくどくど申し上げるのは少し場合が悪いかと思いますけれども、しかし従前の医療協議会と、改組しようという新しい医療協議会の構成は非常に違っておると私は思っております。これは何が考慮されているか、審議の節に十分理解を得られるものと私は思うのであります。でありますから、法案が成立したあと、あの協議会の円満な発足ということには極力理解を得、納得を得、そして円満を期して発足するように努力をしていく考えでありますので、これはその段階において実際問題として最善を期していく考えでおるのであります。
○滝井委員 あの法案を通したい、その後は審議の過程で十分あの法案の精神を理解してもらう努力をする、従前の協議会とは構成が大いに異なっておる、表面的に見たら確かにそうだと思います。しかしそれにもかかわらず、やはり公約違反だといって、入らぬと言っておるのですね。これは相手方も専門家ですから、もう混乱がわかっておって、政治家というものがそれを手をこまねいて見るわけにはいかぬです。これはやっぱり政治だと思うんです。それならば、これを打開をする道を考えてお通しになった方がいいですね。これが政治ですよ。これが寛容と忍耐ですよ。これが話し合いの政治だと思うんです。むりやりに通して、あとで混乱が起こることがわかっておるものを、何も飛んで火に入る夏の虫になる必要はないと思うのです。これは古井さんがいつも言われる筋論からもそうなんです。それならば、やはり事前に納得をさせる、法案審議の過程を何ぞ待たんやです。むしろ最上の方法は、出す前に納得をさしたら一番いい。しかしそれができなければ、出してから通す前に納得をさしたらいい。でき得べくんば、国会の終わらぬ、二十四日の前の段階が一番いいです。そういう意味で私は言っておるわけです。だから私は先を予言をして言っておるわけで、古井さんに、できるだけ一つうまい厚生行政をやっていただきたい、できるだけ日本の医療の進展のために行政が順当にいくようにこいねがうがゆえにこそ言っておるわけです。そういう点はどうも今のような御答弁では事態の解決にはならないです。もう少し思い切ってこの際、あなたが外で言われるような——新聞の談は、真実ああいうことを言っておられるかどうか知らぬが、言われるようなくらいのことは、ここでずばりお言いになる方がいいんですよ。われわれは何もあなたの足を引っぱろうとは考えていないのです。できるだけあなたの行政がうまくいくように御協力を申し上げたいと思って、質問もし、意見も申し述べておるわけです。——まあいいでしょう。 医療協議会が通った。通って、事務的にいうならば、今の次官の高田氏のときは、一カ月間の余裕が要ると言っておりました。こういう作業その他をやって、告示をする時間をとらなければならぬから一カ月間要るとよく言っておりました。森本さん、あなたの堪能な事務的な能力から見て、医療協議会が通って、委員の任命をやって、そういう作業が完了をするためにはどのくらい時間があったらいいんでしょうか、七月一日から実施するのについて。
○森本政府委員 これはいろいろやり方もございますが、今回の場合におきましては七月一日という一応のめどがあるわけであります。それに間に合うようにしなければならぬというのが一つの大きな鉄則になろうと思います。その場合に考えなければいけませんのは、あとから言いますと、告示の所要期間というのがございます。通常でありますと一月前くらいに告示をしてもらわなければならぬというのが関係者の要望でございますが、今回のような特別の場合におきましては、この期間も通常考えられているような一月も考える必要はなかろう、ごく短縮してもよかろうと思います。それからあとは審議会の審議の段階でありますが、これも審議の要領でございますが、一日か二日であげるか、あるいは一週間も要るか、その辺も、一つこれは何とも申し上げかねますが、これも固定したものではない。一月必ず要る、二月要るというものではございません。お互いに七月一日実施を目標に審議を進めていくという気持がありますれば、これも案外簡単にいくだろう。それから法律が通ったあとの準備の問題でございますが、これは気持といたしましては、法律が通りましたならば直ちにこの協議会の構成は完了するというくらいな気持でやりたいと思います。どこに何日どこに何日かかるということは申し上げるわけにはいきませんが、七月一日実施ができるような方向におきましてあらゆる手続、方法を急いでとって参りたい、従来のようにひまをかけない、こういう措置を講じて参らなければならぬと思います。
○滝井委員 事務的には七月一日にあらゆる方法を講じて実施のできる態勢を作る、こういうことになったわけです。そうしますと、大臣にお尋ねしますが、特に天変地異と申しますか、天変地異のない限りは七月一日実施は間違いないでしょうね。額その他は問題があるにしても、七月一日実施は天変地異のない限りこんりんざい狂わぬ、こう言明できるでしょうね。
○古井国務大臣 だれしも早く上げたいのですから、医療費の予算もあれだけは一応きまってしまっておりますし、そういう意味で、なるべく早く——各方面もお考え下さることとも思います。私どもの自由にならぬ手続もあります。たとえば国会の御審議などは、これは国会が十分御審議されなければならないのですから、こちらが尽くすべきものは尽くすといたしましても、これはどれだけの時間というわけにはいくものではない。それから医療協議会にいたしましても、何日間の審議ということも、われわれは誠意を尽くしますけれども、われわれだけの勝手にも参らない。われわれのやるべき部門については夜を徹してでも最小限度に時間を短縮して、そうしてみんなが七月一日の引き上げを待っているのですから、それに間に合わせるように、われわれの受け持つ部門では最善を尽くしてそういうふうにしたいと考えているわけであります。
○滝井委員 国会の審議という、国会に一つ責任を負わしたようでございますけれども、あの法案を通す通さないは国会の自由です。従って、これは国会があの法案を通さなくても、今の医療協議会は生きておりますからおやりになれるわけでしょう。その点はどうですか。これはそういういろいろな条件をつけられると、夜を徹して最善を尽くすといったって、国会であの法案が通らなかったからやらないのだと言われたら迷惑な話です。あの法案が通らなくても、今までの医療協議会はあって、これは生きておりますから、カナマイシンはこれでおやりになったんですから、このまま通らなくても、これはおやりになれる。そこをはっきり言っておいて下さい。あれが通らなければやれぬというものではない。私はそういうふうに理解しているのです。法治国家ですから、あの法律は死んでなくて生きているのですから、あの法案が通らなくてもあれでおやりになれるでしょう。やれないのですか。
○古井国務大臣 あなたは話をまた外へ持っていかれますけれども、さっきお話したように、私どもとしては、今度の改組案が円滑にあの協議会を運営する上に必要だと思うので、ぜひこの国会で成立を期する、これ以外のことを考えないのですから、この法律の成立を期して、そうして改組したもので医療協議会を運営していくという方法をただ一つ考えておるのですから、もうそれ以外のことはわれわれは考えていないのであります。必ず成立をさせたい、こういうふうな考え方で、それ以外は何も考えていないのであります。
○滝井委員 それはあなたが考えていないのであって、国会はあなた一人で動かすわけにはいかぬのですから、多数の人が、あなたもひっくるめて四百六十七名の国会議員が動かしておるわけですから、これはやはり通らぬことがあり得るわけです。そうすると、通る場合と通らぬ場合と二つあるわけです。そうでしょう。一つのことを、通すことを望んで、それでやりたいと望んでおったが、できなかった場合には、今の医療協議会でもやり得るかということを私は言っているのです。これは当然やり得るのでしょう。法治国家の大臣ですから、やれないとは言えないんじゃないかと思います。法律は死んでいないのですから、あれでやり得るかどうかということを尋ねているのです。どうですか。
○古井国務大臣 私の方は、通る場合と通らぬ場合と両方考えてはおりません。ぜひこれを成立させたい、つまり成立する場合だけを今考えておるから、あなたのように通る場合、通らぬ場合という、両方に考えるということではありません。
○滝井委員 そうしますと、これははっきりしてきました。それが通らなかった場合には七月一日からやらないということですか。
○古井国務大臣 われわれはぜひ成立させたいし、通る場合だけを考えておるのですから、通らないという場合は考えてないんです。そういうことはそのときの問題で、要は成立をぜひさせる、成立したものでやる、これ一点張りで、それだけを考えておるわけであります。
○滝井委員 それ一点張りで考えている、あなたがそう考えるのは御自由です。考えるのは御自由だけれども、あの今かかっている法律はまだ仮定の法律です。厳然としてもう一つ社会保険審議会及び社会保険医療協議会法という法律は生きているのです。あなたがいかにこれを通そうと思っても、これが生きていることは間違いないでしょう。法治国家の大臣がこの法律を守らぬというのならば、われわれは何をか言わんやだ。こんなものはやめたらいい。片一方はこれが通らない場合はどうしますかと言っているのに、大臣が答えられないならば国民保険の問題はやめておきます。きょうは雇用促進を先にやります。あなたは通る場合一つしかないと言ったって、そんなばかなことがありますか。そんなことは無理なんですよ。通らない場合だってあるんじゃないですか。内閣提出の法律だって幾らでも通らない場合がある。通る場合と通らない場合と二つあるのですよ。そのときに考えるというなら、これを待って通ってからやりましょう。あなたの方がそういうふうに横に寝たような答弁をするならば、こっちだって少数党の野党の政治はこれ以外にないのだから、それでいかざるを得ない。古井さんががんこなら、こっちもがんこ、古井さんがすなおなら、こっちもすなおです。あなたがはっきりしておるように、私だってはっきりしているのです。そういうばかげた答弁をこっちにするものじゃないですよ。私は勉強してまじめにやっておるのですから、あなたの方もまじめにやってもらわなければ、通る一点張りじゃないでしょう。通らぬ場合だってあるでしょう。通らぬ場合はどうしますか。生きているのですから、これでやらざるを得ないでしょう。だから、そのときにはこれでやらざるを得ないということをどうして言えないのですか。言えないことはないでしょう。それをもし言えないならば、七月一日から上げないのだ、私から言わせればこういうことになる。だからそこらあたりをもう少しはっきりして下さいよ。これはあなたががんこなら、こっちもとことんまでがんこで参ります。僕は一人で何と言われようとかんと言われようと、がんとあなたが横に寝るなら、こっちだって横に寝ます。だからこの問題は、あなたも所管大臣だし、僕もこれで生きてきている男です。この医療制度をよくするために代議士になってきているのです。だからこういう問題について、誠意を持ってお互いに質問しておるのに、あなたが誠意を持ってくれないような、横になるような弾力のない答弁をするのなら、こっちだって弾力をなくしていかざるを得ない。会期は二十四日までしかないのです。政治は生きものですから、見てごらんなさい。あなたの方の議員が韓国に行って、韓国の政権は安定しておると言って帰ったとたんに、ひっくり返ったじゃないですか。こういう場合があるのだから、従って間違う場合もある。そういう場合については一体どうするのかということをお互いにやらざるを得ない。だから、くどいようであるけれども、一番大事なところですよ。通らなくていいとは言ってない。あなたの気持はわかる。われわれもあなたの出しておる法律については通す努力をしますよ。努力しますけれども、会期は二十四日までですよ。これを衆参で通すということになりますと相当の努力が要るんですよ。今のような人数の状態ではなかなか通らない。そうすると通らないときには、やはり今の協議会でもやって、この七月一日からやりますかどうかということを尋ねておる。それはあなたがやりませんと言うなら、やりませんでいいですよ。今のものが通らない限りはやらないと言うならば、私はそうでございますかと言って引き下がる。私の要求はちっとも無理じゃないですよ。古井さんが御答弁ができなければ答弁ができるまであと回しにして、労働省を呼んでもらって雇用促進事業団法をやりますよ。今の場合だって、そういうわれわれも二度も三度もごまかされるわけにはいかないですよ。しっかりして下さい。どうですか、これは通らない場合もあり得るのだから……。
○古井国務大臣 いやしくも改正が必要だ、よいことだと思って法律を提案した以上は、この法律はできてもよい、できぬでもよいというような無責任なことでは法律というものは提案できないのであります。ぜひ成立を期する、こういう考え方で提案しておるのでありますから、私としてはこの法律は何としても成立させたい。どうでもよいというような無責任なことでは出せませんよ。この法律はどうでもよいということじゃなくて、ぜひ成立させたいという考え方でありますから、成立を期していきたい、これをこいねがうのはあたりまえだと思います。万が一ということをおっしゃるならば、それはまたそのときのことでありまして、私としては何としても成立させたい。それだけの必要があると思って出しておるのでありますから、今おっしゃるような場合があれば、そのときに考える問題で、そのときにはあなたは七月に上げないのだとおきめになっておいでになるが、そんなことは言ってない。そのときにどういう扱いをするかということについては、私どもは成立させたい、成立すると信じておりますが、そのときに成立しないというようなことが万が一あれば、それはそのときに考えることでありまして、取り扱い方はそういうことになると思います。
○滝井委員 それならば法律論でいきましょう。法律論ならばちっとも差しつかえない。大臣が答えなくともよろしい。森本さんでけっこうです。そうしますと、法律的に言いますと、この法案がだめになったとしますと、今機能は停止しておるけれども、点数と単価を変えようとする場合には、診療報酬を変えようとする場合には、あなたの方は医療協議会にかけなければならないということですが、これは当然現にある医療協議会法によって医療協議会にかけざるを得ない、法律的にはその通りでしょう。
○森本政府委員 現行法の解釈としてはその通りでございます。
○滝井委員 それでわかりました。森木さんは、当然法律的には今のものでやれます、こういうことになるわけですね。 次にお尋ねしますが、この前カナマイシンをおやりになるときには、療養担当者団体は入らずにおやりになった。森本さん、そうしますと法律的には、今度の法案が通らなかったときには、当然今の法律による医療協議会には療養担当者団体は入らないわけですから、これを改組して入れようとしたが、それでも入らないと言っておるのだから、通らなかったときには、今の法律でやるか。今度はカナマイシンをやったような方法で、入らなくても七月一日から法律的にはやり得ますね。カナマイシンをやったような方法で、持ち回りで七月一日からの医療費の改定もやり得ますね。法律的に。
○森本政府委員 私が申し上げましたのは、現行法におきましては、これこれのことは中央医療協議会に諮問すべしと書いてございます。その通りでございますと申し上げたわけでございます。それから今だんだん話が進みまして、医師会が入るか入らぬかわからぬがといういろいろな仮定のお話がございました。それはそのときの様子になってみませんと、どういうことになるのか、お入りになるのか入らないのか、いろいろ仮定の問題でございますので、その点までは今何とも申し上げられません。ただ法律的にはさように書いてございますということを申し上げたわけでございます。
○滝井委員 仮定の問題ではない。法律的な問題を尋ねているのですよ。法律論をやっているのです。政治論なら大臣に言うのだけれども、あなたは今の大臣みたいな政治的な答弁をしなくてもいいのです。カナマイシンは持ち回りでおやりになった。特に十五名の委員の中で三名を欠いておった。在名の公益委員を任命して、十五名で持ち回りでおやりになった。ああいう形で医療費もおやりになれますね、法律的にそれは有効ですねと言っている。それを尋ねておる。
○森本政府委員 委員の定足数と申しますか、そういう問題でございますが、所要の委員数がございますれば、これはそれぞれの協議会の運営の議事方法というものに従って収拾していくものと考えます。
○滝井委員 医療費の改定のような重大な問題もやれますねと言っておる、カナマイシンをやったから。それを法律的に尋ねておる。
○森本政府委員 法律的には、諮問すべき事項を諮問する場合でございますれば同じことでございます。ただしかし政治的な判断は、それはまた別でございます。
○滝井委員 わかりました。それだけわかればいいのです、法律論をやっているのですから。通る、通らぬは生きものだからわかりやしない。大臣がいかに通したいと思ったって、七転八倒したって通らぬときは通らぬ。通るときは、通してくれと言わなくても自然に通っていく。それだけがはっきりすれば、今度の医療協議会が通らなくても、現在の医療協議会で十分点数と単価の問題、診療報酬の問題がやり得るという結論が出た。しかも医師会、歯科医師会の代表が入らなくても、法律的には持ち回りその他でできる、こういうことがはっきりしてきた。それをはっきりしておけばいいのです。それを聞いているのですから。それをやってくれなんということは一つも言っておらぬ。 そこで今の答弁ではっきりしてきたのは、一円二十五銭とか一円四十一銭とかはっきりしてきた。これは三役の約束の一円を大幅に上回るもの、こう理解をするのですかどうですか。四十六億のワクの中ならば、上限は一円四十一銭、下限は一円二十五銭ですね。だから相当上回る額と大臣はこれを理解するかどうかということです。場合によっては、僕らここに福田政調会長を証人に喚問しなければならぬのです。これは日本の医療の根本をゆるがす大問題ですよ。みんな簡単に思っておるけれども、そんな簡単なものじゃないですよ。三役が天下に声明をした相当上回るもの、これは正確にやっておかなければならぬ。さしあたりの措置として、七月から単価一円を相当上回る額を引き上げる、こうなっておるのです。相当上回る額というのは、四十六億の予算の上限と下限が、今説明しましたが、下限が十一円二十五銭、上限が十一円四十一銭、この十一円四十一銭が政調会長が天下に公表をした一円を相当上回る額、こう大臣は理解をしておるのかどうですか。これは理解をしておる、いないだけでけっこうです。
○古井国務大臣 この一円を相当上回る額という、ごく抽象的な文句でありますが、この意味ですね。相当上回るというのは一体どれくらいの金額か、その意味の点は、これは直接には三役と医師会とがお話し合いになったときの経過もあろうと思いますが、三役との関係では、具体的に一体何ぼならば相当上回るという金額になるか、これはまだ詰めておりませんので、言葉の解釈問題もありましょうし、当時の経緯もありましょうが、これは三役と今後詰めるならば詰める問題で、今のところは相当上回る額というだけのところでまだ詰めておらぬ、今後の問題です。
○滝井委員 いつお詰めになるのですか、七月一日から実施ですよ。七月一日から実施になるものですから、医療協議会に白紙でかけるわけには参りませんね。今まではいつも厚生省は試案というか、案を出していますね。みんな出してきているのです。今まではお出しになっているのです。この国会はもう二十四日で終わるのですから、国権の最高機関で一国の予算の編成の根本をゆるがす問題をほおかぶりして通すというわけにはいかぬですよ。だから一円を相当に上回る額が詰めていないならば、これは詰めてもらわざるを得ないのです。幾らになるのか、これは聞いておかなければいかぬ。われわれは福田さんの演説を聞いたのですから。これはどうもこうなると国民健康保険は、詰めてもらって、あしたまで待たざるを得ない。これはわれわれは誠意をもってあす通しますから、誠意をもってそのあたりははっきりして下さい。あしたまで詰めて下さい。そうしないと予算に関係します。社会党は今補正予算を審議して、予算の修正案を出していますから、その一円を上回る額が一円四十一銭までならば、今の通りでいいのです。今の通りで、社会党の修正案は否決されてもやむを得ない。ところがそれがもし一円五十銭だとか二円だとかいうことになると、これは大へんなことですから、七月からですから、予算が足らないのですからやってもらわなければならぬ。ですからこれは委員長、まだ詰めていないそうですから、あしたまで待たしていただきましょう。それから今の資料もありますし、ほかの人も質問があるそうですから、これはもうちょっと心を詰めなければならぬですから。これは約束ですけれどもやむを得ぬですよ。こういう一番大事なところですから、会期が終わるんだし、このままほおかぶりされていったのでは、あと迷惑をこうむるのです。
○山本委員長 井堀繁雄君。
○井堀委員 私は民社党を代表いたしまして、ただいま問題になっております国民健康保険法の一部を改正する法律案について五点ほど、ごく時間を詰めてお尋ねをいたしたいと思います。 申すまでもなく、この法案は今大きな改正を迫られておる法案の一つであると思うのであります。政府もしばしば公約の中に強調いたしておりますように、社会保障制度を推進するための皆保険、すなわち医療保険の最も有用な役割を持つ制度であることは何人も認めるところであろうと思うのであります。しかるに、今回の改正を要約してみますると、わずかに結核と精神病の長期医療を要する、しかもそれは世帯主に限って療養費を増額しようということが今回の改正のすべてであるようにしか考えられないのであります。しかし、今大きな社会問題になっておりまするように、医療費の値上げを初め、物価の加速度的な騰貴を見ておる際に、この保険制度を少なくとも改善という形をとろうとする場合においては、私は改正の目標を少々誤っておるのではないかと思われるのであります。今まで質疑応答の中でも何回も繰り返して明らかになっておるのでありますが、少なくとも今日国民保険が当面しておりまする問題は、ここで躍進の機会を得るか、あるいは鼻を打つような停滞の危機にさらされるかという大切な時期に国民健康保険はあると思うのであります。それは他の保険制度と比較してみるまでもないのでありますが、医療保険の中核をなしておりまする健康保険も、かつては財政的危機が伝えられて、政府管掌の健康保険については非常な非難を受けながら改悪の道をたどらなければならなかった歴史もあったくらいです。その当時われわれも政府に強く警告はいたしまして、反省を促したのでありますが、その当時われわれの見通しは確かに誤っていなかったと思います。政府の施策はまんまと失敗したといえると私は思うのであります。その轍をこの際また踏むようなことになるのではないか。今回の場合は、健康保険のように充実した基盤の上に、長い経験と、そうしてりっぱな組織を持っておりまするものに比較いたしましては、国民健康保険は全国的に普及されたとはいえ、まだきわめて脆弱な基盤の上にようやくこれから成長を遂げようとする非常に大切な時期にある制度だと思うのであります。こういう意味からいたしまして、今回の改正の目標は、そういう点に立脚して行なわれるべきではなかったか。しかるに、先ほど申し上げまするように、わずかに精神病者、結核の患者の一部の人に対する負担を増額するという程度においてこの問題を糊塗しようとする態度は、私はいかにも社会保障制度に対する政府の理解の足りない、熱意の足りないことを思うのでありますが、その担当大臣である厚生大臣のこの時期における改正について、もっと積極的な方針があったのではないか。もし他の事情でできなかったとするならば、この際そういう事情を伺って、われわれもこの審議の上に何らかの意見を加えていきたいと思うのであります。非常に抽象的ではありまするが、きわめて大切な時期に行なわれまする改正でありまするから、そういうものに対する大臣の所見を伺って、順次具体的なものをお尋ねいたして参りたいと思います。
○古井国務大臣 先ほども話が出ましたように、今までは国民健康保険を全国に普及して、いわゆる皆保険体制を整備するということが中心でありましたので、それが整った上でなるべく早く漸次内容を改善、向上していく、こういうふうに順序をとって行く足どりをしておったのであります。全国的に普及しますためにも、各保険団体の内部における負担のみならず、事務費、あるいは国の二割の負担というのも、普及につれてそれだけふえてくるわけであります。そういう事情もありますし、第一段はまず全国的に皆保険の姿勢を整え、これに重点を置いておったわけです。でありますから、これからがつまり内容の改善、充実、向上ということになるのでありますから、これでもうすべてストップしてしまって、内容はほっておくというのじゃないので、これからその段階に漸次入っていく、こういうことに考えておるのであります。
○井堀委員 それでは具体的にお尋ねをいたしたいと思いますが、確かに今国民保険にとりましては活を入れる非常に重要な時期だ。全国的な普及をはかると同時に、その普及をはかる裏づけはどこにあるかという点に問題が集約されるのではないかと思います。私どもの見まするのは、他の健康保険やその他の社会保険、医療保険と今後統合もしくは歩調を合わせて成長を遂げさせるという医療保険行政というものから考えましても、非常なおくれをいたしておると思います。まあいろいろな歴史的な事情もありましょうし、関係もあることはもちろんでありますが、特に今日国民保険の被保険者の医療費の一部負担——一部負担とは申せ医療費の約半額を被保険者が負担するというような保険制度は、全国的に普及するという前に、その問題の要するに改善をはかっていくということでなければならぬと私は思うのであります。もちろん結核患者やあるいは精神病者のごときものを優先していくということについては異論はありません。しかし、むしろもうそういう段階ではなくて、この患者負担をぐっと引き下げていくという財政的な改善がはかられなければならぬと思うのであります。あながち国庫負担を増額するばかりが私はすべてであるとは思いません。思いませんが、少なくとも今日置かれておりまする保険管理者、すなわち市町村や組合などの立場を判断してみますと、自力によってその問題を改善するということは、まだ多くの障害があると思うのであります。でありますから、国の全体の関係からいきますならば、少なくとも社会保障に前進を与えるという熱意なり具体的な意図が現われるとするならば、患者の負担の軽減をはかるべきではないかと思うのであります。ところが、今回医療費の値上げその他物価の値上げ等によりまして、むしろ患者の負担増というのは、おそるべき負担になるのではないか。これに対する何らの対策を講じられていないということは、私は、ただ一部の改正とはいいながら、先ほど来お尋ねをしております本質をそれた改正ではないか、こう思うのでありまして、資料を拝見いたしますると、厚生省の見るところでは一〇%程度の医療費の値上げによって患者負担が国民保険だけでも四十六億八千六百万円だと報告をいたしております。これはそっくり患者の負担になってくるということになりますと、私はもう明らかに国民保険というものは一つの暗礁に乗り上げる大きな障害だと思うのであります。この問題を改善する政府の措置を講じなかったということは、国民保険法の改正をやる際における核心に触れなかった最も顕著な姿だと思うのであります。これに対して厚生大臣の御見解を一つ承っておきたい。
○古井国務大臣 国保の患者負担が原則的に五割、こういうことになっておる点は、今後、あなたもおっしゃったように、患者負担を減して、いわゆる給付率の引き上げを漸次やっていきたい、今のままに置いておいてはよくない、こういう考え方を持つのであります。今回の問題としましては、今お話しの結核と精神病の関係、世帯主だけでありますけれども、七割給付に引きとげて、そこだけの給付率の点は改善でありますけれども、これでおしまいという意味では一つもない。漸次この点も引き上げていきたい。それは一方で給付率を引き上げると国保財政が自まかないがなかなかできませんから、給付率を上げるとそれだけ負担がふえるのですから、それだけ保険料を上げられるかというと、なかなかこれもそう無制限に上げられるものではない。やはり国庫負担の負担率というものも考えなければならない。それと関連してくるのだ。それと関連して考えて給付率の引き上げということをやっていきたいというのがこれからの考え方の方向であり、方針であります。
○井堀委員 国の負担を増額するという方法がわれわれも一応考えられるので、その点は全く一致した見解であります。しかしこれからやろうというのでありますが、今やるべきではないかということが私の質問の要旨なんです。 そこで具体的にお尋ねをして参りますが、国の負掛の法律で規定されておりますものの中で、事務の執行に要する費用の問題にいたしましても、また調整交付金あるいは療養費の支給に要する費用は申すまでもありませんが、その他の負担が規定されておるようでありまするが、たとえば事務執行に要する費用の例をとりましても、相当物価高、医療費の引き上げなどは直接間接にかなり保険者にとっては費用の増額がこれは予定されてくるわけでありまして、これは政府の予算を拝見をいたしておるのでありますが、あの予算でこういう諸情勢を十分まかなっていけるという建前であろうと思うのであります。しかし、私どもの判断からいたしますならば、結果において、政府は自分のそういう予算の過小評価を、市町村もしくは保険組合に対して圧力をかけて、その負担をしぼるような傾向があるという一般の訴えは今後激しくなってくるのではないか。限られた予算しか持っていない。ところが事実は、執行に要する費用というものは、これは必然的に今厚生省が予定しているものよりははるかにわれわれは上回ってくるという数字的な根拠を一応持っておるのでありますが、時間が許しませんからこちらの数字を申し上げませんけれども、とにかく私は今回三十六年度の予算に見込んでおりまするこの費用だけでも、かなり市町村から要求されまするものに対して無理な調整を行なうような結果になるのではないかと思うのですが、そういうことがないという何も言明を取りつけようと思いませんけれども、ここに一つの問題が起こるのであります。 それから第二の医療費の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、患者負担の増加はもちろんでありますが、ここに国庫の負担を見込んでおりまする予算額と相当ずれが出てくるであろうという一番危険を感じますものは、今日医療費の引き上げが、医療機関を代表する日本医師会、歯科医師会との間については最後的な話し合いがまだついていないということは、今までの協議の模様を見ても明らかだと思うのであります。しかもまたそれを決定する機関はこれから法律を審議していこうとしておるわけでありますから、ここに私は非常に危険があると思うのであります。こういう点について具体的に一つお尋ねをしようと思うのであります。 そこで、今限られた予算の中でこれをやろうとすることが困難だとすれば、結局補正を組むということに従来の慣行からいってなるように思うのであります。補正を組むにいたしましても、私どもが予算の審議の際に政府に警告を強く発しましたように、今回の公労協関係の仲裁裁定の補正を組む原資などを見ましてもかなり無理をしておる。たとえば歳入の一番多く見込める税の自然増などについても、私は今度は政府はかなり無理な見込みを立てておられるように思われるのであります。そういう関係は、結局次のこういう問題を解決する補正を組むときに大きな障害になってくると思うのでありますが、これは大蔵省の責任もあるでしょうけれども、私はその点に対して従来の厚生省と大蔵省の折衝の問題となってくると思うのであります。要するに、厚生大臣の政治力にかかってくると思うのであります。こういう点に対するあなたの所信を私はこの際聞いておくことは決して無意味じゃないと思うのであります。もうこれは単なる仮定ではありません。事実上政府の組んでおりまする予算では間に合わぬということは明らかになったのであります。結局補正ということ、その場合に、あなたはこの困難な事業を担当されるわけでありますので、非常な決意が私は必要だと思うのであります。この機会に、国民の前に厚生大臣のこの問題の解決のための決意を表明されるよい機会だと思いますので、あなたのこれに対する所信のほどを明らかにしていただきたいと思います。
○古井国務大臣 まず事務費の問題でありますが、これは各市町村でそれぞれの事情もありますので、きょうの事務費が必ずしもどの市町村にもぴったり実情に合って、そうして十分だとは言えないかもしれないと思います。しかしそういう辺ももう少し研究しまして、ことしは被保険者一人当たりの単価を前年度よりも引き上げたのであります。考えられるだけのことは考えてやったのであります。今後はやはり実情に応じてまたさらにこれをもう一ぺん考えなければということならば、これも今後とも考えていきたいと思います。ことしはとにかく前年に比べて単価をぐっと引き上げたのであります。そういう実情であります。 それから医療費引き上げに関連しての問題でありますが、予算に今きまっておる医療費一〇%引き上げということ以上に、もし医療費がさらに引き上げられるというふうなことが起こるとすれば、それに対応してやはり国保財政に対しては考えることは考えなければならぬ。さもないと国保はやっていけないと思うのであります。このことは先ほどもはっきりそういうふうにぜひ努力をしていって適切な解決をしなければならぬということは申し上げたのでありますが、重ねてそのことも申し上げておきたいと思います。
○井堀委員 事務当局にちょっと数字のことで伺っておきたいと思います。この調整交付金の関係ですが、法律では十分の五を予定し、政令では特別と普通によって比率が百分の二十に百分の八十ですか、というように規定されておるようであります。これは予算の中で、一体、特別の場合はこれは規定通りだろうと思いますが、今回のような場合に、多少そういう方面の調整をする点に弾力性を持たせることのできるものであるか、政令に規定しておりますように、あの事項以外には特別交付制度は採用できぬものであるかどうか、その点と金額の両方の点について、ちょっと伺っておきたいと思います。
○森本政府委員 調整交付金は医療費予算の額の五%を充てるということになっております。それから御指摘の通り、この八割は普通交付金、それから二割は特別の調整交付金であります。これは一応政令できめておりますが、従来から特別調整交付金を出す対象といいますか、出す場合につきましては、必要のありますつど所要の改正を加えております。ただいまの対象が絶対的なものではありませんので、検討しました結果、必要なものがありますならば、新しく対象に加える、さような措置もいたして参りたいと考えます。
○井堀委員 十分の五ですね。予算は十分の五でとっておるのですか。それから普通と特別の場合は、割合はどういう工合に予算に組んでおるのですか。
○森本政府委員 調整交付金は医療費予算の五%を総領といたします。その総額のうちの八割が普通調整交付金、それから二割が特別交付金、こういうわけでございます。
○井堀委員 そうすると、その八割と二割の関係というのは、何ですか、これは固く縛られておるのですか、多少そういうものの融通性は厚生大臣にまかされておるのですか。
○森本政府委員 これは従来からとって参りました比率でございまして、過去の実績から見ますと、この総額の八割と二割の比率でございますが、これは計算いたしましたり、支出する場合におきまして、結果的に見ますれば、厳重にぴったり八割、ぴったり二割というものじゃございません。計算しました結果、若干その間に出入りはございます。しかし原則としましては、従来の例から見ましても、原則としてはこの八割、二割程度が適当じゃないだろうかということであります。実際におきましては、その通りぴったりは参りません。
○井堀委員 前に申し上げるとよかったのですが、私がなぜそういうことを聞くかということは、私は今度の国民保険の行政的な責任者としてはかなり苦しい立場に追い込まれておると思うのです。一方医師会の要求、これも私はやはり社会的な背景があると思う。しかしそれによって起こる、国民保険はもちろんでありまするが、一般の医療保険に与える財政的な影響はかなり大きなものになると思います。そういう場合に、一方では予算で拘束を受け、他方では実際支出の上でやむを得ざる要求が熾烈に起こってくる。そういう場合にどこかへ余力をみつけて、何とか苦境を打開しようとする努力が当然行なわれると思うのです。そういう場合に問題になってくるのは、こういうようにやや弾力性のあると思われるようなところへもちろん乗り込んでくると思うのです。そういうやり方が悪かったら、私はむしろ保険に対してぬぐうことのできない大きな傷を残すことになると思われるのであります。でありますから、むしろこの際、そういうものに対する厚生大臣の裁量というものが法律によってある程度自由裁量の幅のあるものだということを明らかにしておけば、またそういう問題に対する解決もおのずから出てくるのではないだろうか。しかしそれがにっちもさっちもいかぬものだというふうに理解しております場合には、どうしても予算の問題で努力してもらわなければならぬ。われわれもまたそういう心組みで法案の審議に取り組まなければいけないと思うのです。そういう意味で実はお尋ねをしておるのです。明らかにしておく必要があると思うのですが、もっと具体的にはっきり一つおっしゃって下さい。
○森本政府委員 この財政調整交付金制度自体が、保険料の収入と医療費の支出と、これによって受ける影響はそれぞれ違いますが、そういうアンバランスといいますか、負担の重いところを軽くするという制度でございますから、その目的のために、この総額の中の、平衡交付金の中の八割を上げておるわけでございます。その制度自体が今御指摘になりましたような財政上の負担の不均衡を是正する作用を営んでおるわけであります。従いましてこの制度がお話のような目的を達しておるというふうに考えております。ただその財政需要あるいは医療費の需要の面と、保険料の徴収の面と、これの算定の計算方法でありますとか、そういうものには検討を加える必要があろうかと思いますので、そういう点につきまして今後とも研究して参りたいと思いますが、制度自体としては、これが今御指摘のような財政の不均衡というものを是正する制度であるというように考えております。
○井堀委員 そこで、もっと数字の点でお尋ねを進めていきたいと思いますが、この資料によりますと、財政の不健全だと思われる保険者が、三十四年度でもまだ百三十四の多きに達しておるようであります。漸次減少しつつあるということは非常にいい傾向だと私は思っておりますが、今回この医療費の値上げ、物価高その他の影響によって、せっかく健全化しつつありまする保険が、私は財政的に非常な危機に当面してくると思うのでありますが、こういう点に対するお見通しはいかがでしょう。一つ伺っておきたい。
○森本政府委員 国保の財政は現在困難でございますが、実情を見て参りますと、この赤字保険者は、最近数年間におきましても、ここに表が出ておりますように、だんだんと減じておる。また赤字の額も減って参っております。非常に困難な経営ではございますけれども、だんだん健全化しておるのでございます。しかし御指摘のように、経営の困難なのが百三十保険者あるわけであります。保険者の総数は、現在におきまして約三千五百以上あるわけでございますので、その割合から見ますと、ここにもございますように、三%余であります。そこで、今回のこの医療費の値上げについての影響でございますが、これは先ほど来お話のございましたように、一〇%引き上げに伴いますところの財政措置は、一応二割五分の国庫負担金と、それから十五億の予算上の財政補助というのでいたしたいと思います。それでこの保険財政という面から見ますと、この二つの手当によりまして、保険者の財政としてはそう大した苦痛はなかろうと思います。ただ問題点として残りますのは、保険財政そのものに関係のないところの、患者が自分の金で払いますところのいわゆる一部負担金、これが患者の負担として重くなるのでありますが、市町村の保険者の財政としては、今申したような措置によりまして、そんなに苦しくなるということは考えられないと思います。
○井堀委員 問題は、私は、医療費の一部負担、すなわち患者負担の分が、要するにこう加速度的に増加いたしますと、今のところは一部負担をとらなければ医療をやってやらないというようなことは事実上できないのじゃないか。そうすると自然一部負担の納入の成績は悪くなる。あるいは保険料収入などについても、公租公課同様に強制徴収ができるといたしましても、市町村の自主的な運営の上からいきますと、そういう過酷なことはやはり好ましくないということで、現在資料と拝見いたしましても、まだ保険料の未納があるようでありまして、だんだんよくなっているとは言いながら、やはり八一%から九三%くらいの成績しか上がっておらぬですから、非常によくなってきた今日においても、また七%から八%の滞納は余儀ない。また実際ほんとうにあるのです。もう少しあるだろうと思うのでありますが、市町村それ自身でも非常な苦心をして、この保険を育てようとしておる努力は涙ぐましいものがあると思うのです。そういう点から、今回の医療費の値上げによる患者負担の増額、それから保険団体のやりくりが非常に方々で行き詰まって手詰まりになっておる。そういう点はかなり深刻なものになって影響してくるというのが私どもの資料に基づく判断です。厚生省の提供しているものから判断しても、そういうことが言えると思うのです。先ほど来厚生大臣の所信を伺ってきたのでありますが、そういうものに対するよほどの熱意がありましても、私は今回のような改正案の提出の仕方では非常にむずかしいのじゃないかと不安を持っておるわけでございます。ひとり私が持つのみならず、これは保険に関心を持っておりまする人のすべてではないかと思うのであります。そういうものにやはりある程度安心感を与えられるような改正がこの際望ましいのではないか、そういう点が一向に見られません。 そこでもう一つ、これと関係してくるのでありますが、私は社会保障制度の中でも、医療保険の問題はもう卒業期に来ていなければ、他の社会保障などというものは前進できるものではないと思うのであります。そこで医療費の問題が出てきましたから、ついでにお尋をいたすのでありますが、国民保険、健康保険あるいは健康保険の中で政府管掌と組合管掌とで多少の相違がありましょうが、そういうものの負担増というものが総額で幾らくらいお見込みでございますか。この機会に数字をもう一ぺん明らかにしておきたいと思います。
○森本政府委員 今回の一〇%医療費引き上げに伴いますところの各制度に対する影響でございますが、一括して申し上げますと、医療費の額で幾ら引き上げになるかと申しますと、総領におきまして二百五十四億でございます。それから患者負担といたしまして約七十五億でございます。それから国庫負担の額としまして七十四億、これが保険及びその他の制度を通じますところの総額でございます。
○井堀委員 ついでにもう少し、国民保険、健康保険の中でも政府管掌と組合管掌保険と日雇い健康保険、船員保険、それから生保の関係、それと共済組合の関係、それを分類したものがありましたら、一ぺん数字をこの際記録に残しておきたいと思います。
○森本政府委員 それではただいまの数字をもう少しこまかく申し上げます。 まず国民健康保険でございますが、増額が九十五億、患者負担額が四十六億五千万、国庫負担分が三十九億、それから次に政府管掌の健康保険が引き上げの総額六十九億五千万、患者の負担分が十億万千万、国庫負担分が三億、それから健保組合でありますが、増額の総額が四十四億、患者負担分が六億、国庫負担分が一億五千万、それから日雇い健保でございますが、増額の総額が六億、患者負担分が一億、国庫負担分の増額が二億、それから船員保険でありますが、引き上げの総額一億五千万、患者負担分五千万、国庫負担分が五千万でございます。これが保険関係でございます。 〔委員長退席、永山委員長代理着 席〕 それから、それ以外の制度がございます。たとえば生活保護、結核予防、精神衛生等がございますが、これらを一括して申し上げますと、それの医療費引き上げによる増加額が三十七億、患者負担分が十一億三千万、それから国庫補助額の増額分が二十八億という数字でございます。 それから今申しました各保険の数値が合いませんが、患者負担と国庫負担以外のものは、これは保険の負担になっておるわけでございます。以上でございます。
○井堀委員 そこでもう一つ、ついででありますから、ちょっと数字をお尋ねしますが、その保険の負担の金額をずっとあげてみて下さい。
○森本政府委員 国民保険以下全部保険者負担でございますが、九億五千万、それから政府管掌の保険が五十六億、健康保険の保険者負担分三十六億五千万、日雇い健康保険の保険負担三億、船員保険の保険負担分一億五千万、それからその他の制度におきますものにつきましては、地方費の負担というのが九億ございます。 それから共済組合の資料は、これは厚生省の方でまとめておりませんので、正確なことを申し上げかねます。
○井堀委員 今厚生大臣お聞きのように、医療費の値上げ問題は、一〇%と見ての数字でありますが、医師会と自民党の三役との間の協定は、この前精神衛生法の審議の際明らかに私いたしておきました。これは公文書でわが党が自民党に対して二つの医師会と協定を結んだ内容を明らかにいたしてもらったわけであります。それによりますと、とうてい一〇%ではまかなえないということがきわめて明確なものになっておるわけでありますが、この点については厚生大臣も、政党内閣の立場上、三役と医師会との約束を当然守らなければならぬような羽目に一方ではなり、他方ではすでに法律案、予算案は一応三十六年度のものも確定的なものになろうとしておるわけであります。この辺の関係は非常に私は政治問題としては重大な段階に当面したと思うのであります。この点については、私どももいたくこの問題の解決に苦労いたしておるところでありますが、どうしてもこの問題の解決の見通しだけはこの際つけておかないと、この法案を審議する議員といたしましての最小限度の責任としても明確にしなければならぬことになったと思うのであります。といいますのは、今数字の上で明らかになりましたように、保険者側の負担というものは国民保険の場合、あるいは日雇い健康保険のような、要するにまだ基盤の脆弱な医療保険にとりましては、自己的にその負担をするということはもちろん至難なことだと思います。特に今健康保険法の改正の審議にあたっているわけでありますが、われわれのところへ日にち毎日連続的に各市町村すなわち保険者側から、政令による二〇%の国庫負担金を少なくとも三五%程度には引き上げてもらいたいという電報による陳情、要請が来ているようなわけであります。これは言うまでもなく今の数字で察せられますところでありまして、赤字であります団体はもちろんのこと、その他の団体においても非常な打撃であるからであろうと思うのであります。この辺の解決ぐらいは厚生省としては臨機な処置をお考えにならなければならぬはずのものであると思うのであります。その点に対する一つ責任ある厚生大臣の見解をこの際漏らしていただきたい。
○古井国務大臣 この国民健康保険のみならずでありますけれども、国民健康保険についてみましても、だんだん利用度が上がってきているのであります。これは一面では非常に慶賀すべきことであります。利用が多くなったということは喜ぶべきことである。しかし反面それだけ医療費に対する保険団体の負担というものはふえてくるわけであります。そういうわけで、医療費を引き上げませんでも、保険団体の負担する金額は利用度がふえるにつれて大きくなっておるのであります。そのために貧弱な国保団体などは国保経済に相当苦労をしているのであります。さらばといって保険料を増徴できるかというと、なかなむずかしい、だから経済が苦しい、こういうことになってきているのであります。この事情はよく知っております。いわんや医療費を引き上げますと、それだけまた保険団体の負担もふえてくる、こういうわけでありますから、もともとがそういう状況にあるところへ引き上げると、そういう結果が起こります。でありますから医療費の引き上げの問題は、受け取る側の方からいえば上げる方がいいということになるかもしれないけれども、負担する方の団体側に対する手当が十分つきませんと破産してしまう。そこを一方考えないといけませんので、医療費の引き上げは結論を出し得ないのであります。手当がつくかつかぬかというように、この引き上げの問題は両面から考えなければならぬ、もともとそういうものであります。一方だけ話をしてきまるものではないのでありまして、予算にきまっている金額以上にもし医療費を引き上げるというならば、保険団体の立ち行くかどうかという点についての見通しも立て、手当もするということを同時に考えなければならない、そうして結論を出さなければならぬ。こういうことでありますから、そっちはどうなってもいいという考え方は持たぬのであります。そっちの方の手当のめどがつかなければだめであります。そういうふうに考えていることはさっきも申し上げた通りでありますからして、その辺は十分え考えていきたいと思うのであります。
○井堀委員 しつこいようでありますが、今国保と日雇い健康保険だけあげてみたのです。これは一〇%で、私は不確定なものをこの際取り上げて議論しようという考えはございませんけれども、実際的には医師会との協定がどうあろうと全体の物価の上昇、所得の増加に伴って医療費を上げてくることが必然の傾向で、それがどの程度できまるかということだけの問題である。上昇するということは必至だ。 そこでもう一つお尋ねをいたしてみたいと思いますのは、昭和二十年以降被保険者一人当たりの医療給付費が一〇〇であったものが、三十四年度は三七五に上昇してきているわけであります。だからこういうように一人当たりの療養給付費というものが加速度的に高額なものになってきているのであります。このことはある意味においては従来貧困その他のゆえによって医療を受けることをちゅうちょしていた者がどんどん医療を受けられることになったこともあると思います。それから医療内容が充実し、あるいは多くの高貴薬などが使用されることなどによって当然その処置料や医薬用品の使用料が増加するといった医療内容がよくなってくるという部分もあると思うのであります。いずれにいたしましても昭和二十年の一〇〇を三十四年三七五に、毎年統計を見ますとずっと順調なカーブが上ってきておる。ここでガクッと今度は医療費の値上げを大幅に行なわれるのでありますから、急カーブを切るわけであります。その辺が実は一向にないということはまことに危険だと思うのであります。厚生大臣の今の御答弁によると、国保と日雇い保険についての例だけでもしかるべき用意ができない際に、医療費の値上げはうかつにできないという意味のようにもとれますが、これとてやはり抵抗するには限度が生まれてきているというよりも、政治問題としてすでに厚生省は苦境に立っているということをわれわれは率直に認めておるのであります。でありますから、この辺の切りかえをどうするかということは厚生大臣の手腕にかかっておる、厚生行政の私は岐路に立っていると思う。何かそれに対する措置をお考えになっておらなければならぬはずだと思うのであります。私の今述べていることは何も私の意見ではありません。わが党の見解を披瀝しているわけでもありません。今明らかになりました数字の上から判断してきての具体的な事柄になってきているのでありますから、これはわれわれも共同の責任があるのであります。厚生省は特にその衝にありますから、この点をどうなさるかということはどうしても明らかにしなければならぬと思う。もう一回厚生大臣のこの点に対する御見解を伺っておきたい。
○古井国務大臣 繰り返して同じことを申し上げて恐縮でありますが、今日のこの予算にきまった一〇%引き上げということに伴っての措置は一応講じたのであります。しかし国保財政等が苦しいのは、引き上げだけではなしに、さっきも申しましたように一回かかっておった者が二度かかる、こういうことになればそれだけ国保団体が負担する金額もふえるのですから、そういうことで国保財政などが苦しくなっている面もあるのでありまして、これは引き上げと直接関係はないわけであります。引き上げがなくても起こる問題であります。それは保険料をとれないから苦しいのですから、国がめんどうを見るほかないのであります。国がめんどうを見る、つまり国の負担する部分を引き上げるという問題に結局帰着してくるのであります。この問題は医療費の引き上げと関係のない一般的な事情に対しては、これは引き上げなくても事情は事情ですから、すみやかにこの点をよく考えて措置をやっていきたいということが先ごろ来の問題であります。先刻来の国の負担を引き上げるという方向で努力したい。医療費の引き上げがさらに起こるというときなら、それに関連するものは必ず並行的に考えなければならぬ。これは繰り返してくどく申し上げておる。手当をしなければならぬ、こういうことですから、お考えと同じことをいわば考えておるのであります。
○井堀委員 小さなことのようですけれども、ほかのことと関連しますから、ちょっとお尋ねしておきます。国保の事務執行に要する費用の中で、一般の給与の引き上げによる増加が、人件費などについては大体どのくらいの値上がりを見込んで予算を組まれたか、ちょっと聞いておきたいと思います。
○森本政府委員 人件費の値上げでございますが、国保で直接扱いますのは事務費でございます。これは先ほども申し上げましたように、昨年度からベース・アップに伴いまして公務員並みのスライド・アップをして今年度の単価をきめたわけであります。 〔永山委員長代理退席、委員長復席〕 それから医療費につきましては、これはまた別問題であります。事務費につきましては地方公務員並みと同様の人件費相当分をスライド・アップをして本年度の単価をきめたわけであります。
○井堀委員 地方公務員並みというと、ベース・アップの率は幾ら見込んでありますか。
○森本政府委員 昨年度百円でございましたのが、本年度百十円になったわけでございます。一割でございますが、この事務費の中には物件費相当分と、それから人件費相当分がございますので、人件費相当分につきましては地方公務員並みの一一・四%というものを見込んでおるわけでございます。物件費については別でございます。この十円の中の物件費相当分は別でございますが、人件費相当分については一一・四%のアップを見たわけであります。
○井堀委員 これはほかの場合にいろいろ関越が起こってくると思いますが、事務費は国庫が負担することになっているわけですけれども、今後こういう社会保障に従事する人々の待遇の問題は、やはりこの制度を躍進さしていくために改善を必要とする時期に来ておると思うのでありまして、この国会でも公務員法の問題に政府が手を染めようとしておるおりから、関係が生じてくると思います。これは一一・四%の上界を見込んで予算は組んでおると言いますが、その範囲内では職員の要求に応じて引き上げることができるわけです。もしそれ以上の要求が起こった場合には、これは個々の場合は厚生省が責任を持つわけでしょう。どういう扱い方になるでしょうか、ちょっと伺っておきたいと思います。
○森本政府委員 国が補助費として出します場合には、標準的な事務費を出されるわけでございます。従いまして、個々の市町村について見ますと、非常に高い給与のところがございます。あるいは低いところがございます。一応標準的な市町村を想定いたしまして、それに対する公務員、これはいずれも職員は大部分は地方公務員でございますから、その標準的な市町村におけるところの公務員のベース・アップというものを想定して上げるわけであります。従いまして、むちゃくちゃにたくさん上げるというところにおきましては、この基準的な事務費ではまかない切れないものがございますので、これはむしろそれぞれの市町村におきますところの自前の財源でやっていく、こういうことであります。
○井堀委員 それからもう一つ、こまかい手続のことを伺うのですが、これは厚生省の方であらかじめ割り振りをして渡すものでありますか。あるいは市町村との間に折衝することによってある程度変更するというようなことのできる内容のものでありましょうか、ちょっと伺っておきます。
○森本政府委員 この事務費の交付の方式でございますが、これは被保険者数五千、一万あるいは五万というように一つの型を作っております。ここにおきますところの被保険者一人当たりの基準が何ぼかという標準を作りまして、それによって公平に基準的なものを交付されるわけであります。従いまして、各市町村と厚生省の折衝は、そういうことはないように思います。
○井堀委員 保険料のことについてちょっとお尋ねしてみたいと思います。保険料の納入成績がだんだんよくなってきておりまして、まことに慶賀にたえぬところでありますけれども、統計の上でわれわれに政府が資料として出されておるものと実際との上に——われわれが二、三の組合に当っての経験でありますが、市町村ではかなりこの保険料の徴収に苦心しておることは間違いない。そして今日の状態では、全国必ずしも同じ情勢で成長しておるとはいえない。非常に順調のところがあるかと思うと、はなはだしくおくれているところがある。こういう点で、実は資料は全国一つの平均を示したものでありますが、そのアンバランス、そういうようなものに対しては一体調整交付金などでかげんをするのであるか、あるいはそういうでこぼこなどについては、一体どういうような方法でコントロールされるのであるか、この機会にちょっと伺っておきたい。
○森本政府委員 保険料の徴収でございますが、全国平均にすれば九二%という率でございまして、他の社会保険に比べますとやや低い、税金等の徴収率と比べますと若干低いという状況でございますが、逐次向上いたしております。それから各市町村ごとの徴収率は、それぞれ御指摘のように差異がございます。この点は、徴収率の悪いところはどうするかという措置は具体的にやっておりません。結局標準財政需要と財政力という標準的なものによって調整交付金を交付いたしますので、その際に徴収率ということは現在のところは特に勘定に入れておりません。
○井堀委員 最後に一つ厚生大臣に質問いたしまして、私の質問を終わろうと思います。先ほど来だんだん明らかになって参りましたように、ただいまのところでは国民保険の一番困難な時期に当面したということだと思うのです。この際抜本的な対策はとにかくとして、当面の危機を乗り切るための処置が望ましいと思ってお尋ねをしたのでありますが、それに対する準備もまだ十分でないというふうに私は受け取ったのであります。ぜひ一つこの機会に強くわれわれ要請をいたしておきたいと思います。それは、せっかく国民保険が全国的に普及をされて、これから伸びるか萎縮するかという一番大切な時期に私はあると思うのであります。ものにたとえれば、ちょうどやわらかな芽が出てきたところでありますから、非常にいたわってあげなければならぬ時期だと思う。そのときに、非常な不幸なことでありますけれども、物価高やあるいはその他の所得増加に伴う医療費の値上げが大きな嵐となって、今やわらかい、伸びかけている保険に対する大きな障害に取り組むわけであります。これを保険の自力だけにまかせるということは、あまりにも乱暴だと思うのであります。そういう意味で実はいろいろと各方面からもお伺いしたのでありますけれども、残念ながら私の質問に対する当局の御答弁では、どうもますます不安を感ずる結果となったので、はなはだ遺憾であります。しかし、ただ単にそうであるかということで見過せるものではないと思うのであります。一段と厚生当局も勇気をふるい起こしてもらって、一つには保険の場合における被保険者の医療費の負担増というものについては、最も近い機会にその負担増が伴わないようにするということは、保険の成長を助ける厚生省の行政的の最小限度の義務であると思うのであります。でありますから、数字の上では約七十三億以上の負担を被保険者である患者にかけることになるわけでありますが、この問題の解決を一つすみやかにやるような措置を、できるならば暫定的にも国庫の負担、要するに厚生大臣も述べておりますように、保険自身がこれを捻出する力がまだないという実情でありますから、やはり今の場合国庫が肩がわりする以外にないと思います。よいか悪いかという議論はいろいろあるにいたしましても、今日の場合、国庫に依存する以外にないのでありますから、ぜひ一つ補正予算なりあるいはそれにかわるべき国庫の負担増によって、この危機を突破するように工夫をこらしていただきたいと思っております。 それからもう一つは、先ほども申し上げましたように、行政当局と保険者の間のいろいろな折衝などがまだ今後ひんぱんに起こるだろうと思います。そういう場合にも、先ほどお尋ねいたしましたように、今日の市町村はまだこういう社会保険を育成するだけの経済能力というものはもちろんありません。非常に赤字を続けておる地方自治体が多い実情でありますから、そういうものに過重な負担をかけないように、しかるべき保険者に対する保護政策というものがとられるべきだと思うのであります。 最後に、医師会との折衝が今後残されておるようでありますが、こういう保険団体、ことに被保険者、最も苦しい立場にありまする被保険者の中でも患者に相当する人々の立場というものを十分保護のできるような措置をとるべきことを実は強く要請いたす次第であります。今日までの答弁では満足するものではありませんでしたけれども、一応このことについて要望いたしますとともに、厚生大臣のこの要望に対する御見解を伺って私の質問を終わろうと思うのであります。
○古井国務大臣 お話の点などを十分考えまして、御趣旨にはきわめて同感でありますから、最善を期したいと考えます。
○山本委員長 暫時休憩いたします。 午後六時四十四分休憩 ————◇————— 午後七時二十五分開議
○山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続けます。滝井義高君。
○滝井委員 さいぜんいろいろと一円を相当上回る額の問題について質問をいたしましたが、政府の方としては、医薬品、衛生材料等が、どの程度一割引き上げた社会医療の四十六億の予算の中に入っておるか等の点について、なお政府で検討をしておるそうでございます。これは資料で後ほど出していただくことで、ぜひ政府の方の誠意を示していただきたいと思います。 もう一つ、最後に簡単にお尋ねをしておきたいのは、今回の医療費の一割の引き上げにつれまして、国民健康保険に十五億の特別療養給付費の補助金をお出しになっているわけです。これは御説明によりますと、予算補助、こういうことになっておったわけです。森本さんは予算補助だという御答弁を永山委員にはされたんですが、これは療養給付費の補助なんでしょう。
○森本政府委員 療養給付費に対する予算補助でございます。
○滝井委員 そうしますと、ここに一つ疑問が出てくるのです。法律で養療給付費の二割というものを書いているわけですね。そのほかに予算で療養給付費の補助が自由自在にできるということになれば、法律で二割と、五分の調整交付金なんか書く必要はないのです。これは、私は会計検査上、あるいは国の大事な国民の税金を、国のお金を出す上においてやはり疑義があると思うのですが、これは、大蔵省が来ておりますから、大蔵省の方にもお尋ねをしたいのですが、大蔵省は一体こういうようなふしだらな——言葉をかえて言えばふしだらですが、こういうふうな出し方でいいとお思いになるのですか。
○岩尾説明員 十五億の特別療養給付金は、これは予算補助でございまして、本来国民健康保険につきましては二割の給付補助になっておりまして、これは本則でございます。今回の特別療養給付費補助と申しますのは、医療費の増高等によりまして負担のふえる保険者に対しまして、初年度でございますから、大体その六割程度を見ようということで特別に出す補助金でございます。従いまして、本来保険者に対して国が負担すべき二割という原則のものではなくて、本年たまたま医療費が上がるので、その分に対する負担をまかなう意味において国の方において出すというわけで、特に予算補助を出しておるわけであります。
○滝井委員 医療費が上がるのは、一割の総医療費の引き上げをやるというのは、ことしだけではないわけです。これが一割引き上げられたならば、来年も再来年もそのまま上がっていくわけです。そうしますと、来年度以降については、これは二割の中に組み入れていく大蔵省としては方針なのか、それともまた来年もつまみ金のようなものをこうして出す方針なのか、そこらの方針はどうですか。
○岩尾説明員 本年の七月から医療費が一割上がることになっておりますが、その影響がはたして各保険者に対してどういうふうな影響を及ぼすかということは、本年上がってみなければわからないわけです。従いまして、来年の予算を算定する際に、そういった関係を見まして、どうしてもまた負担が過重であるために見なくちゃならぬということであるならば、おそらく乗せることもございましょうし、あるいは現在の保険者の負担の中でまかなえるものならば、それを落していくということも考えられるわけです。それは今後の実際の状況を見た上で判断をいたしたい、かように考えております。
○滝井委員 どうも少し議論するとやかましくなってくるわけですが、そういう答弁はちょっと納得がいかないのです。いいですか、客観情勢は、さいぜんあなたもお聞きになっておるように、とにかく保険料の負担というものが、ここ数年来三百円から四百円と、ずっと上がっていっているわけです。国民健康保険の医療費は上昇過程にあるわけです。その上昇過程にあるときに、一割医療費を上げたのですから、その上げた分に対する十五億円というものは医療給付費に対する補助金だ、こうおっしゃるわけです。そうしてこれは来年も上がるという情勢はほとんど確実です。そうしますと、当然これは毎年出すか、二割の給付率の改善をやるか、いずれか二つしか方法がない。これは来年下がるという客観情勢は今のところないと思うのです。そうしますと、これは一体どういうことになるのですか。
○古井国務大臣 大蔵省の立場としては、さっき答弁いたしたよりほかはないわけでありますから、それはそうでございますが、しかしお話のように、それでは来年になったら楽になるという情勢とは思いません。ですから、同じ格好で出すか、あるいは負担率を引き上げるという格好に焼き直すか、どっちにしても、これは情勢が逆の方に変わってこない以上は、見なければならぬことだと私は思うのであります。これは立場でああいうふうに大蔵省は言うほかはないのでありますから、その辺は何といっても、必要は必要ですから、そういう意味に御了解願ったらどうかと思います。
○滝井委員 初めて古井さんと私と意見が一致を見た。慶賀の至りです。もう一つ一番大事な逐条の解釈で、たった一点だけ、眼になるところですから聞きたいのです。それはこの法案の七十条です。これは法律技術上からいっても大事なところですから、お尋ねしておきたいのです。それは七十条に、まず第一に「政令の定めるところにより、」こうあるのです。この「政令の定めるところにより、」というのは、どういうことを政令で定めるのか、これが私にははっきりしないのです。それから七十条の一項の一号をごらんになると、「療養の給付及び療養費の支給に要する費用の額から次号に掲げる額を控除した額の十分の二」ですから、従ってここで療養の給付費というのは、たとえば百円かかれば、百円の二割をくれるということです。療養給付費の二割をまず出します。それから療養費の支給に要する費用というのは、百円の半分の五十円ですね。これが一号です。その足した額から次に掲げる額を控除した額の二割、こうなるのです。次に掲げる額はどうなるかというと、今度は精神病と結核については療養の給付に要する額の二割ですね。ところがその次は、「療養費の支給についての療養に要する費用の額」ですから、従ってこれはいわば療養の給付費と同じということなんです。これはやはり二割くれるのです。そうすると、一号では療養費の方は半分になっておるわけです。ところが精神と結核については、これは療養費の支給についての療養に要する費用ですから、全額の二割、こうなっておるのです。違うわけです。これは一体どうして、精神病と結核については全額の二割になるが、しかし医療費全体の場合になったときには、療養費については、半額の二割になるのかということです。どうしてこういう理論が出てくるか。この二点です。
○森本政府委員 まず最初の第七十条の政令とは何であるかということでございますが、これは現行法におきましても、下にございますように、政令の定めるところにより国が負担するとあります。その政令は出ております。国民健康保険の国庫負担金等の算定に関する政令というのが出ておりまして、それで負担金の額の算定方法、それから当然市町村が確保すべき収入を得ないというような場合には減額するという負担金減額の場合の手続的な規定がございます。これは現行法で出ております。 それから第二点でございますが、七十条はともかく療養の給付費については二割の国庫負担をするという趣旨の規定でございます。それでむしろ二号からお読み願ったらいいと思いますが、二号の方は、世帯主の結核、精神につきましては、これに要した給付の費用、それからこれと同等の性格を持っております療養費の費用でございますね、それについて五割から七割の給付をいたしますから、二割上がります、すなわち給付率が十分の二上がります。その分についてはまるまる見るぞというのが二号でございます。それから一号の方は総医療費と申しますか、総医療費に対して二割を見ますぞということであります。これが従来の二割でございます。それから二号の方は、結核、精神について二割給付率を引き上げたものをまるまる国で見てやる、こういう意味でございます。それから一号の方におきましては、すでに世帯主の結核、精神については給付率の上がった二割分を見ておりますので、次号に掲げる額というのは、すなわち世帯主の結核、精神について給付率の上がった二割分をすでに見ておりますから、それを差し引きまして二重に同じ費用に対して国庫負担にならぬようにという配慮でございます。従いまして、二号の方は結核、精神についての給付率の引き上げの二割分をまるまる国で見る。それから一号の方は、従来通り総医療費の二割見ますという規定でございます。ただし二割を見ます場合に結核、精神の世帯主の者については、すでに見たものについてはその分だけは差し引きます、こういう読み方でございます。
○滝井委員 それはわかるのです。その読み方はわかるのです。で、今私は療養の給付と療養費の両方を一緒に言ったから、ちょっと森本さんは理解しにくかったと思いますが、療養費の方ばかりをごらんになる。療養費というのは療養費払いのことなのです。「療養の給付及び療養費の支給」こう書いてあるが、上の「療養の給付」というのは現物給付なのです。ところがその下の「療養の給付」というのは、療養費払いのことなのです。だから、療養費払いというのは国民保険ではどうなるかというと、原則的には五割ですね。百円かかれば五十円しか払わぬわけです。その五十円と、それから療養費の方は百円をそのまま足したものの二割を今までは国が補助してくれるのです。ところが、今度精神と結核の方を見ますと、療養費の方については、療養費だけならば五十円になるのですが、療養費の支給についての療養に要する費用ですから百円になるわけですよ。こっちでは百円で見てくれるが、前はどうして五十円になるのか、理論が通らぬじゃないか、こういうことを言っておるのです。
○森本政府委員 第二号の方は、趣旨といたしまして、給付率の引き上げに伴ってふえたものは全部見る、こういう趣旨でございますから、十分の二をまるまる見る。二割を見なければならぬわけでございます。それから一号の方は、これは下の現行の方にもございますように、療養の給付の費用、これは総医療費が百円であれば百円について二割見る、それから療養費の支給でございますから、五割の場合においては五十円に対する二割、これが現行の建前であります。その建前を今度の改正案においても同様に取り入れ、残してきた、こういうことでございます。根本のものといたしましては、療養費の支給に対しては、療養の給付と同様な見方をしなければならぬという見方があろうと思います。これはやはり今回に限らず、従来からの国保の制度の立て方の問題に入ってくると思うのであります。今後この療養費の支給というものに対する補助の仕方、負担の仕方をどうするかという問題が、他の給付率の引き上げその他の問題とからみまして、やはり残っておる検討すべき問題であると考えております。
○滝井委員 二号の「療養費の支給についての療養に要する費用」これは非常にややこしい書き方をしておるけれども、結局これは療養給付と同じなんですよ。ただその人が現金で払って、そしてあとで領収書を持っていって保険者に払って下さい、こういう場合の違いだけなんです。精神と結核についてはそれを同じ待遇にしておって、そうして今度は総医療費になった場合には五割しか認めないというのは、理論的に筋が通らないのです。ただ今度の法案においては、結核と精神については前進したからいいと思うのですが、たまたま被保険者が、その地区に眼科の専門医がいなかった。だからやむを得ず隣の県に行って見てもらった。ところが隣りの県は、あれは各県単位に保険をやるのですから、見てもらって現金を払ってきた。その領収書をもらってくると、保険者はその領収書を見て、保険の点数に直して半額を支払う、これが療養費払いであります。従って、その患者にしてみれば、百円なら百円を全部払っておるのでありますから、払ったことについては精神、結核と同じです。これは一つ今後考えていただきたい。患者の身になってみれば、払ったことは事実なんですからね。しかもそれは被保険者でありますから、半額しか保険はどうせ払わないのでありますから、半額は患者が払ってきている。それを総医療費の中に見るべきだと言うのです。それを見ればどういう結果が出るかというと、二割の国庫負担がふえてくる、保険経済はそれだけ楽になるのであります。国民健康保険というものはこういう小さいところが、大事なところがどうも抜けているのです。そういうものを寄せ集めると五億、十億はすぐ出てくる。五億、十億出てくれば、精神、結核は七割を家族まで広げることができる。こういう点がありますから、(「賛成」と呼ぶ者あり)賛成の声がありますから、その賛成の声にのっとって次回には直すように御努力を願います。これで終わります。
○山本委員長 これにて本案についての質疑は終局いたしました。 —————————————
○山本委員長 引き続き本案を討論に付するのでありますが、申し出もありませんので、直ちに採決いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 これより本案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山本委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。(拍手) なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 ————◇—————
○山本委員長 雇用促進事業団法案を議題とし、審査を進めます。 質疑を許します。大原亨君。
○大原委員 雇用促進事業団法案に関しまして質問をいたしたいと思います。 雇用促進事業団法案は、今回政府が、雇用政策といたしまして、最も重点的な施策の一つとして提出された案であります。しかしこれは、今までの既存の事業団やあるいは施策を若干寄せ集めてこられたのでありますが、まず最初にこの問題で一番論議しなければならぬ点は、雇用促進事業団の構想や施策で、これだけで現在の当面いたしておりまする雇用問題の解決はできない、こういうふうに思うのであります。だから、雇用促進事業団を進めて参ります際には、他の政府の施策を総合的に進めていかなければならない。雇用促進事業団自体についても抜本的な検討を要することはもちろんであります。そういう点で、まず最初に労働大臣の方から今までの質問者に対しましていろいろと御答弁もあったのでありまするけれども、雇用促進事業団を進めていく上において欠陥となるべき、将来政府のやる雇用政策の中で抜本的に改正しなければならぬそういう全体の構想について、私はそういう欠陥の面を主といたしまして、大臣にお考えの点があれば一つ最初に御答弁をいただきたいと思います。
○石田国務大臣 現在の雇用情勢というものはよく御承知の通りでございますが、全体として好転はいたしておりますものの、その中に特定地域における失業、離職の集団的発生、それから中高年令層の就職難、技能者の不足というようなものが強く、まことにむずかしい問題として出ているわけであります。特にこの地域的な集中性、逆に申しますと地域的なアンバランスの是正は、単に雇用政策あるいは労働の流動性を促進するということだけでは解決つかないのでありまして、これはやはり産炭地振興法とかあるいは特定不況地域振興の施策とか、つまりそういう地域に対して産業条件の整備、新しい企業の融資というものを行なっていかなければならない問題であると思っておる次第であります。 それから今日の労働力の需要は明らかに偏在しているのでありまして、これまたこのままでは雇用のアンバランスの是正は困難であります。従ってこれは他の面におきましては後進地域の開発という意味も含めまして、やはり工場その他の地方分散の計画を実施する必要があると思っておるわけであります。これは雇用促進事業団の仕事だけでは処理できない問題でございます。 それから中高年令層の就職難という問題は、これはその背景に、あるいはわが国の終身雇用制あるいは年功序列型賃金というようなものもあるのでございまして、この問題の解決もまたこの雇用促進事業団が現在計画しておるのだけではとうてい処理できないと思っておるわけでありまして、さらに一段と積極的な施策が必要であると考えておる次第であります。 それから技能労働者、技術者の著しい不足、これはやはり学校教育その他と協力して参らなければならないと思っておるわけであります。 この促進事業団は、先ほどお話にありましたように、現在までやっております事業をここに集中いたしましたほかに、今までやって参りました諸計画を積極的にやっていこうといたしているものでございまして、今日の段階では、職業訓練の面におきましても、あるいは広域職業紹介の面におきましても不十分な点がたくさんありますので、この法律の成立いたしました暁におきましては、その初年度の経験を土台といたしまして、さらに大きな発展を期して参りたいと思っております。
○大原委員 全数項目あげて石田労働大臣の御見解を明らかにされたわけですが、石田労働大臣は本会議の席上やあるいは当委員会の席上等においてしばしばお話しになったのですが、日本の労働者の賃金は実質的には必ずしも低くない、こういう非常に巧妙な答弁をされた。しかし私は日本で雇われている人がどういう賃金あるいは雇用条件で雇われておるか、こういう問題を総合的に判断しなければならぬと思うのです。その中でもやはり一番大きな問題は、たとえば公務員でも一番下の賃金と上の賃金は十一倍くらいあるわけです。こんな賃金の開きというものは外国におきましてはないわけです。それから大企業の賃金を一〇〇といたしますと、中小企業は五〇以下というふうな、そういう賃金の開きも、これは他の国にはないわけです。先進資本主義国におきましては、ほとんど七、八〇%には達しておるわけであります。だから平均賃金を基礎にいたしまして、国際的な購買力をよく労働大臣は例に出して巧妙な答弁をなさるわけですけれども、私は同じ企業内においても、あるいは違った企業間、違った産業間におきましても、賃金格差が非常に開いている。そういうことで、働いても食えない賃金労働者が日々雇用その他の非常に不安定な雇用条件の中でたくさんいるのです。たとえば八千円以下の人々が四百万人以上いるということ、そういう日本の労働者の、いわゆる権利というか労働条件、それから賃金の格差、こういうことは非常に無視できない大きな問題であります。 私はこういう中で、政府施策の中で根本的に再検討を要する問題は、その一つは失対事業であろうと思うのです。政府の雇用政策の中で、これは失業対策の面でありますが、問題は失対事業が地方自治体においても、あるいは社会問題といたしましても、戦後十数年たちました今日、非常に大きな問題になっておるのであります。それゆえこの失対事業の問題について、私は根本的に政府の施策といたしまして、この際頭を切りかえて再検討をするときではないか、こういうふうに思うのです。その点について労働大臣の現状認識と、もしお考えがあれば、将来における抜本的改善の方向、そういう問題について御見解を承りたいと思います。
○石田国務大臣 わが国の製造工業におきまする賃金、それと諸外国の例とを比較いたしまして御説明を申し上げたことは事実でございますが、しかし私はその説明をいたした際にも常に申しておるのでありますが、それにもかかわらず日本の低賃金属の問題というものが無視されないものであり、きわめて重要であるということは、これは忘れてはならないことだと思います。その低賃金属の問題の大きな重点は、一つは日雇いの問題、それから臨時工、社外工というような者の存在、それから規模別賃金格差の問題というようなことを一切ひっくるめた、いわゆる潜在失業者の存在、不完全就業者の存在、この問題の処理を行なわないならば、労働条件の向上、本質的な国際比較はできないのだということは、私は常にそのうらはらとして申しておるのであります。 そこで御指摘のその中で最も低い層にある失対事業の現状について、私どもは満足しておりません。戦後きわめて長い期間にわたって、いわば惰性的に続いて参りましたので、従ってその対象者の平均年令というものはかなり高くなってきているわけであります。そこで、私はまず第一に考えたいことは、ここに定着するという現状を何とかしてなくしたい。幸いにして雇用情勢も好転しておるわけでありますから、新しい希望の持てる安定した職種につき得られるような施策を、年令層の若い人たちに対して講じますとともに、あらゆる機会に失対賃金等の上昇をはかって参りたいと思っておるわけであります。他面地方財政との関連も考えまして、この失業対策事業は全般にわたって本格的な再検討を行なうべき時期にきたと私は考えておる次第であります。
○大原委員 今失対事業に対する根本的な改正を検討するときにきている。これは地方自治体の現状その他を見まして、そのときにきているということについては原則的に御了承になったわけですが、一体どういうふうなお考えでこれを改正しようとするのか、大体そういう構想につきまして一つ御見解を明らかにしていただきたい。
○石田国務大臣 私は、こういう問題はやはり雇用審議会等、専門の方々の御協議を待って、そうして立案をいたしたいと考えておるわけでありまして、私が先に具体的な問題を出しますことは、往々にしてこの種の審議会その他が政府の原案に非常に影響されるという非難のまた一つの原因ともなりますので、なるべくは差し控えたいと思うわけであります。やはり大方、専門家の御意見を尊重いたしましてやりたいと思っておりますが、根本的には年令層の高い人々には現在の条件を低下されることなく、あらゆる機会に上昇をはかっていきます。しかし若い人々、働ける人々には、新しい安定した雇用の状態につけるように諸般の施策を講じ、この失業対策事業の中で定着していくということを避けていきたい。他に転職その他が困難なあるいは不可能な人々に対しては、その状態のもとにおいて条件の向上をはかりますとともに、可能な人々に対してはあらゆる方法を検討いたしまして、これを安定した雇用条件のところへ移り得るようにするということが、根本的な私どもの考え方でございます。
○大原委員 労働大臣は、自民党の中におきましては最高の労働政策通であるといわれておるのであります。自他ともに許しておられる。非常に積極的な、あらゆる問題について御見解や意見を発表されるわけでありますが、しかしこの失業対策事業の問題につきましては非常に抽象的な御意見であります。これは現実の問題といたしまして、だれに聞いてみましても、与野党を問わず、中央地方を問わず聞いてみましても、この問題はこのままでは放置できない。雇用審議会におかけになるということになりましても、やはり政府の施策なりその他の問題が要るわけであります。で、私はこの問題について端的にお尋ねするのですが、日雇いの賃金、失対労働者の賃金が五十一円ほど上がりました。それで日額は三百八十六円。これは寒冷地手当も一円入っておると思うのですが三百八十六円でありまするが、これを就業日数、失業保険等をかけまして月額どのくらいの収入であるか、こういう点について一つどこかの平均的な例を出してお答え願いたい。
○堀政府委員 ただいまのお話のごとく、全国平均いたしまして三百八十六円という基準になっておるわけでございます。それから就労日数は二十一・五日を確保する、こういう考え方で進んでおるわけでございます。しかしこれらにつきましては、御承知のように各地域によりまして地域差がございます。また同じ地域におきましても、現在失対労務者の従事しておるところの作業によりまして格差があるわけでございます。そこで実際どの程度の収入を得ておるであろうかということにつきまして、これは労働省で毎年失対労務者の実情調査を行なっておるわけでございますが、昭和三十五年の末におきまして調べましたところの調査が最近まとまりました。それによりますと、これは六大都市を平均いたしまして、世帯収入が一万八千三百円ということになっております。そのうち本人の勤労収入が一万九百円というような収入状況になっておるわけでございます。これは、ただし昨年のことでございます。これに対しまして、ただいまお話のありましたように全国平均して五十二円、結局今までの一五・六%程度の失業保険の増加があるわけでございます。新年度におきましては、これよりも収入が増加しておることになるわけでございます。
○大原委員 六大都市について一万九百円という賃金収入ですが、他の方は内職その他の収入ということになりますね。そこでこの失対の賃金をきめるきめ方は、PWがいつも問題になるわけでありますが、そのきめ方ですね。これは大蔵省見えておるわけだけれども、どういう方式で今日までやられたかということを概括的に一つ簡単に話して下さい。
○堀政府委員 失対就労者の賃金につきましては、これは御承知のように緊急失対法に基づきまして、同一地域において同一職種に従事する労働者に通常支払われる賃金の額より低く定めるということになっておるわけであります。その施行規則によりまして、八割から九割というところになっておるわけでございます。そこで労働省におきましては、毎年統計調査部において屋外労務者の職種別賃金調査を実施しております。これに基づきまして、各いろいろな職種につきまして賃金を調べ、そうしてそれと同じような職種を選びまして、その八割から九割のところに基準を置きまして賃金を決定してきたようなわけでございますが、昨年の屋外労務者賃金調査の結果に基づいてPWを計算いたしました。このPWの中で重軽作業の比率がございますが、これは現状におきまして、なるべく最近の状況にかんがみまして、失対労務者に有利にするように重作業の比率というものを高く置き、それから低賃金率につきましては従来八七・五%でありましたものを九〇%という最高限まで引き上げるというようなことを考慮しつつ、今回の失対労務者の労務費の計算をしたわけでございます。
○大原委員 失対でありましたら、土工人夫の賃金の大体八割から九割の間を五段階くらいにわけて賃金をきめる、こういうことだと思うのであります。大体そういうことになっておるのですけれども、去年のPWの平均は幾らなんですか。
○大島政府委員 PWにつきましては、大原先生よく御承知の通り、十数種の職種につきまして、各府県別の賃金額を、先ほど安定局長から申し上げましたように統計調査に基づきまして算定いたしておりますので、全般の平均を出しますことは無意味でもありますし、私どもの方では全体の平均と申しますか、そういう数字は出してございませんが、全般的に申しまして大体九%程度から一七・八%程度まで各種の一年間の上界率を示しております。
○大原委員 ことしの賃金の参考になりました昨年のPWの平均賃金は出ていないですか。
○大島政府委員 今申し上げましたように、各職種につきまして各府県別の数字を出しておりますのがPWでございますので、その平均というものは出しておりません。
○大原委員 私の手元には、昭和三十二年四月に出しましたPWの平均賃金が四百十四円、こういうことになっておる。その調査は、三十一年の九月に調査をしたのが出ている。大体十カ月くらいおくれて出ているわけですね。十カ月くらいおくれた数字が出ているわけですよ。だから本年の、たとえば六大都市でありましたら六大都市のが出ておるはずですよ。六大都市のPW、土工人夫につきまして賃金が出ていたら、それを一つ御説明願いたい。
○大島政府委員 今申しますように、各府県別の数字は具体的にPWとして官報で公示をいたしておるのでありますが、その平均は出しておりませんので、ただいま具体的な数字を調べまして、後ほど御説明申し上げます。
○大原委員 私はこの問題を時間をかけて質疑応答したいのですが、時間もあまりありませんので——私が申し上げるのはこういう趣旨です、労働大臣。PWは十カ月くらい前の現状に基づいて四月に出すわけです。四月から五月、六月と、そういうふうにいたしまして、それによりまして、その八割ないし九割を失対の賃金ときめるわけなんです。そういうきめ方について、失業者の賃金政策として本質的に問題があることは私が指摘するまでもない。これは労働基準法からいいましても、何条でありましたか、基準法自体について疑問があるわけです。幾ら失業対策といいましても、政府が日々雇用の形で責務を持って雇う労働者について、同一労働に同一の賃金を支給しないで、そして八割、九割を出すということに一つ大きな問題がある。そこで大体失業対策の賃金は、つまり一般的には土工人夫といわれておる、これは政府の公共事業に直接間接に雇用される人間が非常に多いわけです。大体五割から、あるいは間接的な政府の予算関係その他から出るものは七割くらいはあるだろうといわれている。しかし最近はだんだんと建築その他の事業がふえて参りまして、その比率は最近どうなっておるかわからぬけれども、とにかくその公共事業には、やはりPWによりまして——これは御承知のように政府に対する不正手段による支払請求の防止等に関する法律できまっておるわけですね。その公共事業に雇われる労働者の賃金がPWで規制を受けた上に、さらに日雇いの労働者は八割、九割で引き下げられる。こういう規制を受けまして、またその現状が、その年の夏ごろの実態に基づいて、一般民間の職種別賃金の実態が出てくる、こういうことであります。そしてその土工人夫あるいは失対労働者のいわゆる雇用条件というか、これがすべて日々雇用の関係のように非常に無権利状態である。日本の法律は、最低賃金とか、その他雇用について最低の状況をきめていない。そういう底が抜けておる点からも無権利状態である。そして政策的な賃金をきめられて、同一労働、同一賃金の原則に反するそういう日々雇用の形が十数年間も政府の施策の中にある。こういう施策の中からは、私は、労働大臣が言われましたけれども、今のような賃金格差、低賃金、無権利状態、非常に不安定な社会問題を解決することはできないのじゃないかと思う。ここに明らかに社会問題としての失対問題や、失業対策事業の労働者の問題や、日々雇用や、公共事業その他非常にふえている建設事業の日々雇用の関係における無権利状況のたくさんの不安定な労働者の問題がある。もちろん農村その他で、農繁期等は働いて、あとはそういうふうにして日雇いをやるということもありますけれども、そういうことは理論的に考えても政策的に考えてみても、今日の政府の施策として雇用問題の中でまず政府がやること自体において——これはいろいろな制度がある。臨時工とか、最低賃金制とか、その他雇用形態の問題がございますけれども、こういう賃金のきめ方、こういうものに本質的に一つ問題があるのではないか、こういうふうに思うのですが、労働大臣いかがですか。
○石田国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、わが国における低賃金層存在の問題、低賃金属のまたその中にある雇用関係におけるきわめて不安定な状況というものの改善は、やはり非常に重要な労働政策の柱としてこれから実施しなければならぬ問題だと思っております。 そこでただいまのPWの問題でありますが、私はPWそれ自体の問題、それからPWに基づいて失業対策事業の賃金をきめる低賃金の原則の問題と、問題が二つあると思います。前段の問題、現在のPWの調査の仕方及びそのPWが調査の結果現われる、調査した時期と、それが表に出される時期との時間的のズレの問題、そのために現われたときの実質賃金との間に差が出ているという問題、つまりPW決定にからむ諸問題があると思います。このPW決定にからむ諸問題は、単に失業対策事業の問題としてだけでなく、たとえば政府の公共事業を行ないます場合の予算単価の決定その他にも関連をいたしまして検討をいたさなければならない問題だ、これはもう私もそう思っております。これはやはりこれ自体として研究を要する問題だと存じている次第であります。 そこでその次は低賃金原則、それから重軽作業量の決定、こういうことについては、私は今回の予算編成、予算折衝にあたって最大限に考慮をいたしたものでありまして、ただいま御質問の中に現われておりましたように、地域によって七割、八割、九割というようなことはいたしておりません。やはり最高限の九割で計算をいたしております。失業対策事業のPWの決定それ自身にも問題があり、そこにいろいろ検討しなければならぬこともありますけれども、失業対策事業の本質からした低賃金原則という問題については、これまた別な問題、第二点の問題であります。そこで最高限にこれを計算し、そうしてそのもとであるPWの決定方式というものについて検討を加えると同時に、失業対策事業に定着しないように諸般の施策を講じていかなければならず、それに対する検討はいたしたいと思いますけれども、その失業対策事業というものの性格から考えた問題、これはやはりある程度、ただいままで行なっているようなことがこの方法のままでいいかどうかは別問題といたしまして、何かやはりこの事業の性格から規制されるものが必要であろう、こう考えているわけであります。
○大原委員 この問題は、PWというのは一般職種別の民間の賃金でありますから、それは十幾つかに分けましてそういう賃金実態を政府が把握することはいいわけですが、これをいろいろな日本の雇用条件、そういうものの実態に即して、どういうふうに政府の政策として使うか。労働大臣が後段に言われた問題ですね。こういう問題を中心としてやはり日本の現状で、労働大臣が先ほど実態を認められたけれども、格差の問題とか低賃金の問題を認められたけれども、その問題を解決しようと思うと、政府の施策自体を改めなければならぬのじゃないか、こう私が問題点を申し上げた点につきましては御答弁がないのです。 そこで私は時間の関係もありまするので、質問を進めて参りまするが、六大都市、これは一番いい方でありますが、一カ月に一万九百円、そういたしますると、全国的に見て、あるいは六大都市を中心として見まして、家族構成、この実態はどうなっているのですか。
○石田国務大臣 今のあとの詳細な数字は事務当局からお答えいたしますが、低賃金問題の解決のために政府の施策を考えていかなければならない、それの解消のための政府の施策自身もそれにあわせて考えなければならぬということは、私はお答え申し上げたはずであります。というのは、たとえばPWの決定が十カ月ずれることによっての実際の差が出てくる。そういうような問題を十カ月前のPWをそのままやることは正しいかどうかというようなことについての問題、あるいは公共事業の予算編成にあたっての単価の問題、そういうこともあわせて研究しておかなければならぬとお答え申し上げた次第であります。 それから六大都市の平均のあれが一万九百円というのは、今度五十二円を上げない前の値段でありまして、五十二円を上げますとかれこれ一五%くらい上がっていると思います。そうすると千五百円ぐらい上がるわけですから、一万二千五百円くらいになると思います。
○堀政府委員 家族構成は大体平均いたしまして三・五人程度であろうと考えております。
○大原委員 実際に六大都市が一番ランクがいいわけですが、それで三・五人の平均家族を持っていまして、たとえば家賃なんかどんどん上がるわけですね。これは社会問題といたしまして、私が申し上げたいのは、政府の施策の中において社会問題を解決するということを含まない政策というものは、これは建設的な具体的な問題を解決する政策ではない、こういう観点から申し上げているのです。いろいろな政策、イデオロギーというものはあるでしょう。あるでしょうけれども、社会問題を解決しなければ、たとえば韓国のような状況でしたら、幾ら政権が変わったって政局は安定しないのです。民生安定です。それは毎日安心して働けるということと、それから賃金を中心とする条件が、周囲を見渡して、人間として、自分としては自分の働きにおいて適正であるかどうか、こういう点について、そういう基本的な社会問題を解決しないならば、私は雇用問題の解決はない。特に政府の施策の中で今大問題となっているそういう失対問題についても、この際根本的にそのことを中心に考えるべきじゃないか。三・五人の家族で一万二千四、五百円で、とてもじゃない、家賃を払って食べていけないことは事実です。もちろん副収入その他の道もあるわけですけれども、内職その他の方法もあるでしょうけれども、これは爪に火をともすようにきついものです。その問題を解決することが必要ある。特に失対の実情等を見てみますると、四年、五年、十年とずっと日々雇用の形で、不安定の形で年末年始を迎えて、そうしてその赤字や生活苦が累積しておるという実情が現実にあるわけです。そういう問題から考えてみまして、日々雇用という失業対策事業で数年間も停滞するというふうな、特に中高年令層の雇用条件の悪い現実において、この問題はどうしても解決しなければならぬ。もちろん自治体その他の差し迫った非常に困った立場の要求もありますけれども、この問題を総合的に解決することが日本の社会問題を解決する一つの大きな道である。特に先ほど申し上げたように土工人夫というふうなそういう働く人々にとりましては、この建設事業、土木事業等は日々雇用の形が非常に多いわけです。しかも無権利状況が非常に多い。だから不安定であるということであります。そういうことから日本の雇用問題、賃金問題の非常に特殊な二重構造の現実が、政府の施策の中から出ておる。基準法の問題にいたしましても、PWをそのような政策で使うということは、ぐるぐる回って悪循環をそういう種類におきましてはいたしまして、いわゆる最低賃金ではなしに最高賃金という政策になってくる。そういうことで、やはり社会問題を解決されていない。そういう点で、特に基準法の上からいいましても、今日では九〇%というふうに適用されまして賃金の是正を考えられたということは一つの進歩ではありまするけれども、そういう点から考えてみまして非常に大きな問題があるのじゃないか。そこでそういうふうになって参りますると、失業対策は生活保護と並びまして非常に大きな社会保障であります。だから私はそういう観点ではなくして、国の経済成長全般のこともございまするけれども、最低の賃金、国が責任を持って施策をする賃金はどうあるべきなんだ、こういう現実の生活の実態に即した賃金のきめ方をすることが必要じゃないか。生活保護の関係その他も考えてみまして、その均衡上の問題を考えてみまして、そのことが必要じゃないか、その施策を改めるべきじゃないか、こういう点について一つの意見を申し上げたいのですが、労働大臣、いかがですか。
○石田国務大臣 これは冒頭にも申し上げた通りでありまして、申すまでもなく政治の根本的な目標は、国民の生活の安定と向上への希望を与えることであります。従ってその施策は一番低い層、円の当たらない層に重点を向けられるべきものと考えておりまするし、私どもの労働行政の面から見ますと、そういう意味において失業対策事業の対象の登録労働者の問題というものを、合理的に、しかもその対象人員、本人一人々々の生活が向上していくように考えるべきことは申すまでもないのでありまして、諸般の問題にわたって再検討を加えたいと考えておる次第であります。
○大原委員 登録人員が最近減った、あるいはふえている、こういう問題もあるでしょうが、私はそういうやりとりは端折って参りまするが、失対に対して設定いたしております適格基準の問題が一つあると思う。その適格基準の問題で、一世帯について一人、主たる家計の担当者、こういう制限があるわけです。これは局長の方から最初はお答えいただいてけっこうでありまするが、そういう一つの原則があるわけです。適格基準につきましては、おそらく各県においてそれぞれ基準を設けておると思うのであります。各県各市におけるそういう基準の設定の仕方、そういう仕方は大体同じような条件なんですか。
○堀政府委員 失対事業に紹介いたします適格者は、ただいまお話しのように、労働省において適格基準をきめておるわけでございます。これは緊急失対法で御承知のように、失対事業は労働大臣が樹立する計画手続に従いまして実施し、それからそれに従事する労働者は、その労働大臣のきめる手続に従いまして紹介をする、こういうことになっております。そこで最も緊要度の高い人に失対事業に就労してもらうという観点から、失業者である、それから家計の主たる担当者であるという条件を具備したものを失対の労務者として紹介するように通達をしておるわけでございます。それがさらに各府県に参りますと、その各府県それぞれのいろいろな地域的な特殊性もございますので、今の失業者であるとはどういうことであるかというような問題につきまして、さらにそれを具体化いたしまして、各都道府県で基準をきめておるわけでございます。認定基準と申しておりますが、きめておるわけでございます。これに基づきまして、この要件を具備する人を失対事業にお世話をして参る、こういう形でやっておるわけでございます。その他の人々につきましては、民間事業あるいは他の公共事業等を選びましてそれを御紹介し、あっせんする、こういう手続をとっておるわけであります。
○大原委員 各県のその認定基準は、私はいろいろな地方の実情によって違うと思うのです。うなずいておられるわけでありますが、その認定基準は、後ほど資料としてお出しいただけますか。私参考に研究したいと思っておりますから……。
○堀政府委員 府県または各地域におきましてそれぞれ異なった基準をきめておる場合も多いのでございまして、みんなお出しすることは非常に無理でございますが、後ほど、労働省で出しております基準の通達等につきましての資料は差し上げたいと思います。
○大原委員 認定基準は労働省がおそらく認可になっていると思います。従ってこれはその資料をお出しいただきたいのですが、私は一つ当面ぜひ運営上も考えていただきたい点は、主たる家計の担当者というその解釈です。三・五人というのは夫婦と子供ということになるでしょう。まあ親もいるでしょうが、とにかくそういう人で、私は各県の認定基準やあるいは実際上行なわれていることについて一々は申し上げませんけれども、そういう点について私は若干——若干でなしに非常に適格基準に無理があるのじゃないか。三・五人というふうに平均家族をかかえておるということは、四人も五人も家族をかかえている人がおるわけであります。一人の独身者の場合もあるわけです。それを平均いたしまして三・五人でありまするから、四人も五人もあるわけです。そういう場合には、何名以上については、その同一世帯においても一人だけじゃなしに、若干プラスする、そうして適格条件に適合させて登録させる、こういう法律の運営の仕方というのは、失対事業から考えてみても、私は当然ではないかと思うのです。そういう点について、日々雇用の関係で腰かけである、こういう原則で失対事業はなされておりますけれども、今日の実態から考えて、その点を運営上是正すべきではないか。法律について抜本的な改正をやるということになればもちろんですけれども、できない場合といえども、法の運営において是正をすべきではないか、こういうふうに思います。これはこまかい数字の問題ではありませんが、労働大臣いかがでしょうか。
○石田国務大臣 研究すべき問題だと思っております。ただその場合、一般民間の就労に政府は先に紹介して、そうしてその仕事口がないという場合に考慮すべき問題だと思います。
○大原委員 たとえば福岡やその他の炭鉱地帯におきましても、緊急失対事業その他の条件などから考えてみまして、失対事業の方がやっぱり非常に希望者が多いし、実際上それに就労を希望するという賃金条件その他が、稼働日数その池から考えてみましてあるわけです。やはり失対の問題は最低限でありますから、そういう問題で大臣から、問題としては理解できた、だから研究すべき問題であるという御答弁でありまするけれども、その点につきましては、実際中年層、高年層は、あるいは雇用促進事業団ができまして——これから話して参りますが、総合訓練を受けようとも、その際に失対の賃金を出すあるいは失業保険を出す、こういいましても、年をとって家族をかかえておる人は次の就職場所の保障がないのです。そのことが私はこの雇用促進事業団のやはり一つの大きな不安であり、運営上の欠陥であると思うのです。だから私は最低の政府の施策の中からは、そういう点に対する合理的な——無理なことは長く続きませんから、合理的なそういうことをやることが、失対事業から自分の力で立ち上がる、そういう力を養うということだ。失対事業で、それでもうほんとうに困ったら今度は生活保護をやればいいじゃないかということになると、とことんまで落ちなければ——所得の制限、財産規制等がありますから、落ちなければこれは手を差し伸べないということになっちまいますから、これはやっぱり悪循環です。だから現在この失対卒業の中から立ち上がる、こういうことからいいましたならば、そのこと自体の持っておる不合理はそのこと自体で解決する、こういう点で私はこの適格基準の問題につきましても、合理的な解決策について一つ御検討をいただきたい。これは一つの具体的な要望であります。 それから就労日数とかいろんな問題がございますが、私は思うのですが、この有給休暇という制度は、失業保険その他の関係でむずかしいと思うのです。しかし具体的に一つでもいいから解決するという観点からすると、やはり今の年末とかあるいは盆とかその他におきましては、いろんな慣習があるわけです。だから労働基準法からいいましても、日々雇用の関係であっても相当数の実績が——条文は今手に持っておりませんから、条文については具体的に指摘をいたしませんが——あれば、これは基準法を適用することになっておるわけです。そういう観点からいたしましても、私は有給休暇の問題等も、これはこんなに長くやっておるわけでありますので、この問題についても、当面のでき得る問題として考うべきではないか、こう思います。もちろん全面的に有給休暇ということになりまするといろいろ問題があるでしょうが、まあ差し迫ったそういう年末とかあるいはお盆とかその他の場合等におきまして、考うべき余地はないだろうか、こう思いますがいかがでしょう。
○堀政府委員 失対事業の就労者につきましては、その性格が日々紹介という形をとって、日々紹介されました労務者について雇用関係がそのつど成立するということになるわけでございます。基準法上の有給休暇は認めることは非常にむずかしいのではないか、このように解釈しております。また休祝日を有給休暇として不就労にもかかわらず賃金を支払うことは、補助金の適正な使用という観点からも問題がございまするので、これを認めることは非常に困難であると考えるわけでございます。ただ、今お話しの年末等におきまして、いろいろ賃金増給のための措置をとるというようなことは、前に国会におけるところの御決議の趣旨もありましたので、現在実施しておるところでございます。今後におきましても、この問題は一つの問題点として検討はするつもりでございますが、ただいまのような解釈をとっております。
○大原委員 具体的にこの雇用促進事業団の法案の中から一つ申し上げたいと思います。雇用促進事業団を全体的にうまく運営をしていくために、先般の委員会において吉村委員からも御質問になったのですけれども、私からも重ねて申し上げたいと思うのです。雇用促進事業団全体の運営の中におきまして、運営を民主的にやる、その一つといたしましては、たとえば理事なんかも民主的にやるために、ドイツじゃないけれども、やはり労働者の代表なんか入れてはどうですか。そういう立場を代表する人を入れて総合的な運営をしてはいかがですか。
○石田国務大臣 まだ法律も通っていませんので、だれをどういうふうにするというようなことは現実的に考えておりませんが、法律の中にございますように、「理事は、理事長が労働大臣の認可を受けて任命する。」という規定になっておりまして、できました暁においては、でき得る限り本事業団の運営に適する人を御相談に応じていきたいと思っております。ただそういうふうにワクをはっきりきめられましても、理事の定員に限りがございまして、その中で労働界全体の代表をどうするかということになりますと、また他の社会からも出て参りますから、そういう意味で、できるだけ中立的なこの会の運営に適当な人を選ぶように心がけたいと思います。御趣旨は十分体して参りたいと思います。
○大原委員 制度的には理事の選任その他につきましては、そういう保証はないわけです。しかし私どもの希望といたしましては、経営者側、資本家側、使用者側を代表するような人々もやはり雇用問題については、これは必要であろう。しかし労働者の立場を代表する人も必要ではないか。それらを中心として学識経験者等を入れて総合的にやるのがいいのじゃないか。少なくとも、私は端的に言えば、法律を改正願いたいのでありますけれども、でないにいたしましても、今までいろいろな例がございます。この理事長の諮問機関といたしまして運営協議会等を設けて、そしてその運営協議会を、やはり形式だけでなしに、実質的に民主的に運営することによって、この雇用促進事業団の結果についても、将来の方向につきましても、運営上あるいは改善の方向においてもやるべきじゃないか。運営協議会を設けるというそういう案に対しまして、もう一度お答えをいただきたいと思います。
○石田国務大臣 御趣旨の通り実行いたすつもりであります。
○大原委員 運営協議会を設置されるとすれば、法律ではないが、おそらく政令とか省の措置でやられるということになると思うのでありますが、有名無実の運営協議会でなしに、その際にはやはり各界の関係の団体代表ということで、それは当然あることでありますが、労働代表等も加えていく、こういうふうにしていただきたいと思いますが、その点についても御了承いただけますか。
○石田国務大臣 さよういたすつもりであります。その通りいたします。
○大原委員 それから職業訓練所の関係につきましては、具体的な問題は最後にまとめてするといたしまして、第二十七条を見てみますと、交付金のところでありますが、「政府は、予算の範囲内において、事業団に対し、第十九条第一項に規程する業務に要する費用の一部に相当する金額を交付することができる」。今回は幾らの予算措置をいたしておりますか。
○堀政府委員 今回は失業保険の特別会計からの出資によります金額、これは一般会計、炭鉱離職者援護特別会計以外のものでございますが、二十九億六千万円、それから一般会計の交付金、これが一億円であります。それからそのほかに炭鉱離職者援護の特別対策といたしまして十三億五千万円、こういうような金額にいたしております。
○大原委員 業務に要する費用というのは、全体といたしましては、本年度どのくらい要るのですか。
○堀政府委員 ただいまの業務という意味がちょっとはっきりいたしませんが……。
○大原委員 第二十七条に「第十九条第一項に規定する業務に要する費用」と書いてある。
○堀政府委員 要するに、この十九条第一項に規定する事業団の行ないます業務のために、初年度におきましてはいろいろなものを合計いたしまして四十四億二千万円を予定しております。
○大原委員 先ほど、前の質問で言われましたのと、今の業務に要する費用の総額との差額、これは私予算書を見てないで質問をするのは悪いのですが、それはどこから入れるのですか、どこから収入をとるのですか。
○堀政府委員 一般会計以外のものにつきましては、失業保険の特別会計からの出資金及び交付金でございます。
○大原委員 このあとで具体的な問題に関連をしてやりますけれども、業務に要する費用に相当する金額は政府として交付しなければならぬというふうに、政府としての財政義務というものを法律上明確にしておくということが私は必要ではないかと思うのです、一部ができるということでなしに。そういう雇用促進事業団を運営していく、そういう業務上の費用については政府が責任を持つということを法律上明確にすることが、私は将来事業団を大きくしていくゆえんではないか、こう思いますけれども、いかがでしょう。
○堀政府委員 このように書きましたのは、大体今までの公団、事業団等につきましての例文によるものであります。しかし趣旨といたしましては失業保険の特別会計及び一般会計からこの事業団の業務に要する費用は交付しなければならない、こういう考え方で当然進む考えでございます。
○大原委員 同僚からあとそれぞれ質問があると思うのですが、順次小さい問題で私の方から質問申し上げますが、たとえば職業訓練所の問題につきまして、地方の訓練所なんか回りましたらよくあるわけです。どういう要望があるかといいますと、非常に教材費がないというわけです。技術者とか人的なそういう施設が非常に不備だということもあるのですけれども、教材費が非常にないというのですよ。せっかく訓練所に入れましても訓練ができないというのです。教育的なそういう訓練ができないというわけです。教材費は年間大体どのくらい使っておりますか。
○有馬説明員 これは訓練所の種類によって単価が違いますが、一般訓練所の場合は訓練生一人当たり一万五千二百二円、総合訓練所の場合は一万九千二百八円、それから身体障害者の場合は二万六千九百三十九円になっております。
○大原委員 この教材費は政府が予算で支出いたしておるのですか。それとも、実情を聞きますと、自分でもうけて教材費を出しておる、もうける方が主になっている、もうける方を主にしないと、とてもじゃないが訓練所の経営がうまくいかぬ、こういう、訓練ではなしに、仕事をあさったりもうける方へ力が注がれて主客転倒する、そういう実情である、こういう声を聞くわけです。そこで私がお答えいただきたい点は、そのような教材費の調達は、一人あて単価でなくてもいいが、総合的に見てみまして、幾らくらいかかって幾らくらいを自分でもうけてやっておるのか、訓練所で自活してやっておるのか、その点を一つお答えいただきたい。
○有馬説明員 ただいま申し上げました教材費の財源は、国からの補助金と、それから地方の一般訓練所におきましては府県の財源と、これが財源になっておるわけでございますが、今御指摘の実習収益のその中に占める割合を大ざっぱに申し上げますと、約六割程度が実習収益でございます。これは職種によっていろいろ違いますが、収益をあげるために訓練が邪道に入るというようなことのないように、私どもとしましてはいろいろ過去の実績も検討いたしまして十分指導をして参っておるわけでございます。ただ、ここで教材費だけを申しますと非常に率が高いのでございますが、教材費そのものが、人件費を含めました全訓練事業費の中に占める比率を申し上げますと、一般訓練所が約二六%、総合訓練所が二五%、身体障害者が二〇%というように、二〇%から二五%の間の比率でございます。その中での実習収入の比率でございますので、全体の所要経費との比較におきましては非常に小さな比率を占めることになるわけでございます。
○大原委員 その点は、やはり教材費を合理的に調達するためには、教材費は幾ら幾ら要る。実習上から出てくるものは別途の収入にいたしまして——教材費の中で自給自足することになると、そういう運営の仕方だとやはり教育上弊害が出てくるんじゃないですか。その運営の仕方、予算の組み方というものについて改正すべきじゃないですか、いかがですか。
○有馬説明員 予算を極力配慮いたしまして、実習収入の占める比率を漸次少なくして参りたいという考えでやっております。事実訓練期間の短い、半年以下の転職者に対する訓練の場合には、全額国庫ないし地方財政で負担をいたしまして、実習収益を見返り財源に考えておらないのでございます。
○大原委員 それでは、人的な面なんですけれども、職業訓練をする教師の方ですが、それの定員の充足状況の実態を御発表いただきたい。
○有馬説明員 指導員の定数は、御承知のように、労働省令の基準できまっております。三十人から四十人の間の訓練定数に対しまして三人というのが標準でございます。ただ、現実の問題といたしましては、適材がいないために若干の欠員を生じておるというようなことはございますが、定数上は、今申しました基準に基づきまして、定数を確保しておる次第でございます。
○大原委員 非常に政治的な答弁で、よくわからなかったが、相当欠員があるのじゃないか、こう言ったのです。
○有馬説明員 定数はあるのでございますが、適格者がいないために若干欠員はございます。
○大原委員 だから、待遇が非常に悪いというのですよ。職業訓練の制度はいいけれども、やっぱり予算が不足しているという点と、施設の問題もあるけれども、入っている人の待遇がよくないということです。このことについて改善をする必要や、あるいは努力をする、そういう目標については確認なさっておらぬのですか。
○有馬説明員 指導員の処遇の問題ですが、経験年数その他から考えまして、現在の指導員の給与ベースは、ほかの同種の公務員の給与ベースと比較しまして、必ずしも低くない、かように考えております。ことしから指導員に対しましては、七%の実習手当を支給いたしております。また、将来の問題といたしましては、教員と同じような特別俸給表を考慮すべきではないかというふうな見地から検討もいたしております。
○大原委員 それから、この雇用促進事業団は、炭鉱離職者の援護会とか、あるいは職業訓練所の関係とかその他が寄り合い世帯になるわけです。でありまするが、この賃金は、おそらく公務員に準じてなされると思うのですね。その中において、基準の具体的な運営においてアンバランスがあるのじゃないか。そういう問題は全体のスムーズな運営上考えるべきことでありまするが、その点についてはこまかな配慮をして是正をさるべきであると思うが、いかがですか。
○堀政府委員 炭鉱離職者援護会関係の職員につきましては、この炭鉱離職者援護会が臨時措置法に基ずく時限的な機関であるというようなこともありまして、若干一般の事業団もしくは会等に比べまして高くなっておるような面もあるわけでございます。このような問題につきましては、やはりその業務の性質に基づきまして若干の格差があることはいたし方ないと思いまするけれども、今後統合の後における全体としてのバランスというものを考えるということについては、労務管理上の面から今後も十分検討して参りたいと考えております。
○大原委員 もう一つ、この問題は小さな問題ですが、やはり大切な問題で、私が聞いた中では、ぜひ是正すべきだと思うのですが、厚生年金の適用ですね、いわゆる公務員より既存の事業団に移った者に対して恩給の通算の特例があるわけですね。ただし昭和三十二年七月一日現在の恩給法による公務員に限られておるわけですね。その後昭和三十四年十月年金法が改正されて、その当時恩給法によらぬ公務員も全面的に適用になっておる。そこで、昭和三十二年七月一日、昭和三十四年十月までの事業団に移った恩給法によらぬ公務員は適用されないのではないか。たとえば雇員とかそういう任官をしていない人々については、そういう通算の適用がないのじゃないか、こういう問題ですが、それなんかはぜひ改めるべきであると思いまするが、いかがですか。
○堀政府委員 国家公務員共済組合法の別途改正等によりまして、適切な措置を講ずる予定にしております。
○大原委員 適切な措置を講ずるということですね。よろしいですね。
○堀政府委員 さようでございます。
○大原委員 それで、一応また同僚の質問もありまするから、私の方から一わたり質問をいたしましたが、職業訓練が六カ月で一人前の技術者にして、そうして社会に出て完全に受け入れられる態勢をとろうと思いますると、社会全体の施策がよくなければならぬということもある。特に中高年令層の場合には非常に困難があるし、特にその六カ月間においては、政府は責任を持って技術訓練をするようにしなければいけない。そうしないと、せっかく職業訓練所に入ろうと思いましても、そういう問題が次から次へと発生いたしますると、まあ最低が六カ月でありまするが、そういう職業訓練所の運営もできないのじゃないか。こういう面におきまして、たくさんの制度上の欠陥があると思いまするが、これらの問題につきましても鋭意克服されまして、そして先ほど申し上げましたように政府全体として雇用問題の施策をやるということが一つ、そして具体的な問題等につきましても、この質疑を待たないで、逐次労働者側の意見等を反映するようなそういうシステムを作っていただいて、民主的な運営をされるように希望いたしまして、私の質問を終わります。
○石田国務大臣 御趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。
○山本委員長 多賀谷真稔君。
○多賀谷委員 昭和三十五年十月十二日の雇用審議会から総理大臣あての答申の各項について、次に質問いたしますことについてどういう措置を政府はとられたか、御見解を承りたい。 第一点は、炭鉱離職者の登録制の採用という点でありますが、これはどういうような立法化をされたのであるか、お聞かせ願いたい。
○堀政府委員 雇用審議会の御答申の中にあります登録制の採用の問題につきましては、各第一線の職安に連絡をいたしまして、炭鉱の離職者の職安に職を求めに来られました方々につきましては特別の求職表を作成いたしまして、他の一般の求職者と別途区分いたしまして保管をするようにいたしました。これに基づきまして、第一線の職業安定所におきましては、炭鉱離職者の方々については他の一般の求職者と区分いたしまして特別の取り扱いをするように措置をしておるところでございます。
○多賀谷委員 そうしますと、一応産炭地域から移住資金をもらって産炭地域外に出た者が、再び産炭地域に舞い戻っておりますけれども、この把握ができておるかどうか、これをお聞かせ願います。
○堀政府委員 これは最近の状況を調査いたしておりますが、まだ最近の状況が出ておりません。昭和三十四年度につきまして、すなわち炭鉱離職者臨時措置法が施行されましてから昨年の主月末に至りますまでの広域紹介によりまして移動をされました離職者につきましての調査があるわけでございますが、大体全体の広域紹介の対象者の中の約三%強が転換いたしました職種から離れまして、また産炭地に戻っておる、こういう調査が出ております。
○多賀谷委員 今三%という数字ですが、それはごく最近の短期的な移動ですから、たとえばかつて労働省の方でいろいろ骨を折られた伊豆の災害以降の問題は、その数字には把握されていないと私は思う、現実はかなりやはり産炭地に残念ながら帰っておる。ですから、動向を把握するということは、単に一回就職すればそれで事終われりということでなくて、一応かなりの期間その炭鉱離職者の動向を把握してもらいたい。そうしませんと、一時的な状態だけを把握しておきますと、われわれが十分審議をする上において不便でございますので、その点を一つ考えおいていただきたい。
○堀政府委員 御趣旨のように措置することが最も望まいことと考えておりますので、目下いろいろ職安の第一線の取扱者等とも連絡をいたしまして、今後さらにこれを改善いたしますように手続の改善について相談をいたしております。なるべく御趣旨に沿うように今後取り計らいたいと思います。
○多賀谷委員 第二点は雇用機会の確保の問題です。答申によりますと「職業訓練終了者の受入れを可能ならしめるよう一定の雇用義務を課し、事業ごとに契約条項にこれを明示せしめ、その履行確保について強力な措置を講ずること。」これはどういうように政策に現われておるか。
○堀政府委員 この点につきましては、内閣に関係各省をもって構成するところの炭鉱離職者雇用対策本部を設置いたしまして、これは労働者だけの問題でございませんので、関係各省集まりましていろいろ検討をしておるわけでございます。このような御答申がありましたので、たとえば道路公団等におきまして産炭地区付近の道路の計画をいたしますような際におきまして、一定率以上の炭鉱離職者を採用してもらうというような措置を講じたいと考えまして、建設省当局におきましてもその点は異存がなく道路公団にも連絡した、こういう例がございます。なおそのほかの問題について、契約条項にこれを明示するというようなところにはまだ参っておりませんけれども、ただいま事実上の問題としてそのような措置をとったわけであります。今後におきましてさらにこの契約条項に明示する、あるいはそのほかの履行確保について強力な措置を講ずるというような点につきましては、ただいまこの対策本部におきましていろいろ検討中でございます。いろいろ関係各省の問題もありまして困難な点もありますが、私どもといたしましてはなるべくこのような審議会の答申の趣旨に沿った措置が実現できますように、今後とも努力をいたす所存でございます。
○多賀谷委員 「財政投融資を受ける民間企業についても、同様」に「一定の雇用義務を課する方策を検討する」これはどうですか。
○堀政府委員 財政投融資を受ける民間企業についても方策を検討するという御答申がありました。雇用審議会に私も常時出席いたしまして御意見を聞いておりましたが、なかなかこれはむずかしい問題であるというような議論が内部でもなされたことを記憶しております。しかしとにかく積極的な意図を出す意味において方策を検討すべきである、こういう議論が多数を占めましてこのようになったというふうに考えております。私どもはこの推進本部におきましてこの問題を出しまして各省で検討してもらっておりますが、この財政投融資を受ける民間企業についての雇用義務を課するという点はまだ実現しておりません。今後におきまして、これは一つの宿題になっておりますので、さらに推進本部において検討をする考えであります。
○多賀谷委員 この雇用機会の確保の問題は、結局道路公団に連絡をしたとかあるいは内閣に設けられた対策委員会で協議をしたという程度にとどまって、実現をしていないわけですね、率直に言うと。またなかなか実現が困難な状態にあるわけでね。それはどこに原因があるのか、これをまず私は問題にする必要があると思う。大臣が席を立たれましたので、この問題はあと大臣が見えてからかかります。 次に、炭鉱離職者の生活の確保という条項で、失業手当制度の創設というのがあります。現在の失業保険のほかに「単なる貧困救済のための扶助制度とは異る基礎の上に立った失業手当又は待期手当ともいうべき新たな制度の創設が必要である」。これは御存じのように西ドイツでやっておる制度ですね。失業保険を受けた後に、政府として、その失業者に対して次の就職までを待期期間として手当を出すことになっておる。この制度の検討はどうなっているか、まずお尋ねいたしたい。
○堀政府委員 この点につきましてはいろいろ困難な問題があるわけでございます。その点はこの雇用審議会の席上においても申し述べたところでございますが、このような新しい制度の創設について検討に着手すべきであるというような御答申がありましたので、現在労働省に置かれております職業安定審議会に対しまして、このような問題について御意見を伺うように目下おかけをしておる段階でございます。
○多賀谷委員 かけておるのですか。
○堀政府委員 ええ。まだ結論は得ておりませんが、職業安定審議会に、この問題点をお配りいたしまして、御検討をお願いしております。
○多賀谷委員 今度の雇用促進事業団の事業の内容は、炭鉱離職者援護会がやっておりました業務と福祉事業団がやっておりました業務のうち職業訓練に属する業務、これを合わせただけですね。ただ炭鉱離職者だけでなくて他の離職者にも及ぶという点は、これは拡大ですけれども、内容はそれだけですね。
○堀政府委員 職業訓練につきましては、労働福祉事業団が従来やっておりました職業訓練に関する業務を、この雇用促進事業団において承継するわけでございます。炭鉱離職者援護会におきましては、御承知のように現在移住資金の支給であるとか、あるいは職業訓練手当の支給であるとかいうような、そういうような業務を行なっておるのでありますが、昨年以来、私どもその業務の方法を管理しておりまして痛切に感ぜられますることは、やはり離職者用の住宅の建設が不十分であるということでございます。従いまして、今度の雇用促進事業団におきましては、この離職者のための住宅の設置、運営という点に主眼を置きまして、これを重要な業務の一つといたしまして実施するようにいたしたいと考えておるわけでございます。それから、そのほかにたとえば職安の紹介によって再就職をする場合におきまして、求職者に対しまして必要な資金を貸し付ける、あるいは身元保証を行なうというような問題も新しくつけ加えた問題でございます。それと、ただいま御指摘のありました炭鉱離職者だけではなしに、駐留軍の離職者等の離職にも範囲を拡大いたしたい、こういう点が今までの援護会との主要な相違点でございます。
○多賀谷委員 わかりました。結局住宅の問題と必要なる資金の貸付及び身元保証をするという点と、それから範囲の拡大と、まあこういう点だと思います。そこで、私は雇用促進事業団を作らなければ住宅が建たないという意味がわからない。なぜ雇用促進事業団を作らなければ住宅が建てられないのか。現実に援護会も建てておるでしょう。これはどういうわけですか。
○堀政府委員 住宅が建たないというわけではございません。しかし、われわれがこの炭鉱離職者の援護会の業務の一年間の実施の経験等を通じて痛感いたしておりますことは、離職者の諸君が今の地域を離れて他地域に配置転換をしていただくような場合におきまして、とりあえずの住宅がない。そのために、せっかく求人がありましても、世帯を持った離職者の方々が円滑に移動ができない、こういう点が最も大きな隘路になっておったことでございます。従いまして私どもは、これはただいま御指摘の通りに一般の住宅対策、それからさらに一般の住宅対策の中でも低所得者用の住宅、それから勤労者用の住宅、これに重点を置きまして、建設省等において住宅計画を立てまして、これを推進していかれるわけでございます。労働省といたしましても、これがさらに積極的に行なわれますように常時注文をつけておるわけでございます。しかしそれだけを待っておりましては、ただいま現実の、この一時の炭鉱離職者が配置転換をいたします際に落ちつく先もない、そのため求人と結びつかないという点を痛感したわけでございます。従いまして、広域職業紹介を行ないます際の裏づけといたしまして、雇用促進事業団におきまして一時的にこの離職者を収容するための宿舎を一定数はやはり建設して、そうして広域職業紹介とうらはらの関係において運営をしていくことが必要である、このように感じたわけでございます。これらの住宅に落ちつきました後に、さらに恒久的な定着をされるためには、一般の住宅政策をさらに今後勤労者向けあるいは低所得者向けの点に重点を置いて、建設省当局においてやってもらうことが必要であります。この点は法案の中にもその連絡を密にする旨を書いておきましたけれども、そういうような精神でやっていく。しかし今のような観点からいたしまして、一時離職者を収容するための住宅をみずから設置運営することは、広域職業紹介を行ないますためにやはり必要欠くべからざるものである、このように感じまして、雇用促進裏業団において、一つの事業としてこれを行なうことといたしたわけございます。
○多賀谷委員 私は職業紹介をし、または広域職業あっせんをする場合に、住宅という問題が最も大きい問題であるということは、よく承知しております。ところが今局長の答弁では、私が質問をしたことが全然納得できない。それは住宅の必要性はわかっておる。ことに昭和の初めから五、六年に至る間相当の失業者が炭鉱地帯に出たのですけれども、失業問題はその地域全体として、現在のような慢性不況地域のような状態を呈しなかった。学校の子供の数も減り、人口も減ったけれども、そこには停滞をしないで、全国各地に職を求めて行った事実も知っている。ですから住宅問題が炭鉱離職者の対策としては最も大きい問題であるということはよく承知している。しかし私は、事業団ができなければ家が建たないという、この仕組みがわからぬ。現に援護会でも家を建てておるでしょう。それで、それだけ失業保険で流用する金があるならば、援護会を通じても流用できるわけですね。機構を作らなければできないという、そのものの考え方が私には納得できない、どうですか。
○堀政府委員 援護会におきまして、昨年度末にそのようなことを痛感いたしまして、とりあえずテスト・ケース的な試みといたしまして、剰余金がございましたので、これを一年度限りの措置といたしまして、名古屋等の各地に住宅を建設するというようなことに着手したわけでございます。しかし、ただいまお話しのように、この炭鉱離職者臨時措置法に基づくところの援護会の現行法制のもとにおいては、これを永続的に行なっていくことは困難である、どうしてもこれを改正することが最小限度必要であるわけでございます。 それからその点に関連しまして、これは先日の委員会でも問題になったことでございますが、労働福祉事業団において、御承知のように現在労災病院と職業訓練をやっておる。それから援護会というものは炭鉱離職者の援護だけをやっておる。こういう状況よりも、むしろ最近の実情にかんがみまして、労災病院の経営は労働福祉事業団において専管するということにいたしますと同時に、今の職業訓練と離職者の流動性を促進することの対策をあわせまして、新しい事業団でこれを始めたらどうか、こういう考え方で進めた次第でございます。従いまして、新しく援護会のほかに、さらに事業団を作ったわけではございませんで、現在まで二つありました団体を再編成いたしまして一つの団体に、業務の能率が最も発揮できまするように再編成をしたというところに今回のねらいがあるわけでございます。
○多賀谷委員 私は、援護会でも業務の範囲という条項を一条入れればできるのであって、別に機構を作って、そうしてその仕事が機構を作らなければやれない性質のものではないと思うのです。どうもこういうところに官僚的なにおいをわれわれは感ずる。私はこの法案に反対をしておりませんけれども、何か住宅を作るのだから雇用促進事業団が必要だというようなものの考え方が、どうも私は非常なセクト主義だと思う。そうしてそのやる技術がきわめて官僚的である、オープンでない、こういう感じを受ける。この点について大庭はどういうようにお考えですか。
○石田国務大臣 運営その他について官僚的という御批判を受けないように十分注意していきたいと思っておりますが、その仕組みの問題ですが、家を作るために雇用促進事業団をというわけではないのでありまして、炭鉱離職者援護会でも、先ほど答弁をいたさせましたように、移動用の住宅を作っております。しかし移動用の住宅が必要なのは炭鉱離職者だけに限らないということと、それからもう一つは、その移動用の住宅は住宅公団その他で作っております産業労働住宅その他とは違いまして、これは労働者が移動をして定着の家屋を見つけるまでの家であります。従ってそれは広域職業紹介というものと密接に結びついて運営される必要があるのであります。そういう意味において、この雇用促進事業団という炭鉱離職者以外のものをも対象とする拡大されたものが必要であろうと考えたのでありまして、これがなければ家ができないというのではない、広域職業紹介事業と結びついた住宅を作るところに労働力の流動性をはかろうとする意図があることを御了解願いたいと思います。
○多賀谷委員 炭鉱離職者臨時措置法もやはり労働力の流動性をはかるために住宅を作ったのですから、これはそのシステムは全然同じなんです。ただ失業保険の金を使うのに、やはり雇用促進事業団というのを作って労働省に置いた方がより便利だ、私はあなた方の熱意を疑うわけではないのですけれども、こういった機構のいじり方というものがどうも官僚的だ、こういうふうに感ずる。そこで私は根本は、先ほど大臣が席を立たれたので質問できなかったのですが、公共投資による雇用の拡大をはかる場合には雇用義務を課する、あるいは財政投融資を受ける民間企業についても同様にやる、この答申がいまだ日の目を見ていない。私どももなかなか日の目を見にくいのではないかと率直に思う。そとで、この雇用促進事業団に私たちが期待いたしました最も大きな問題は、この雇用促進事業団というのは、訓練をやりながら、しかもその訓練者をみずから雇用促進事業団が雇用して、一方において生活の保障をしながら訓練をやる、ここに雇用促進事業団の妙味があり、われわれの期待したものがある。しかし今日出されてきたものは、今まであったものを寄せ集めたものにすぎない。そこで私はむしろ、今大原さんが、現在の日雇い失業者の事業を再検討する必要があると言われたのと関連をして、新しく出る失業者、そうしてこの失業者は必ずしも年令的には若い労働力ではありませんけれども、かなり労働意欲に燃えた失業者が出てくる。その場合に、これをほんとうに定着し、就職をさすためには、この雇用促進事業団で一応雇用して、そうして訓練をしながらさらに実地をやる。たとえばこの雇用促進事業団が、ある訓練期間を終えた者についてはみずからこの労働者をかかえて、道路公団あるいは住宅公団の下請をある部分雇用促進事業団でやったらどうか、そうしないと、道路公団にしてもあるいは住宅公団にしても、これはいわば独立採算制で、そして労務費の補助というものは考えられない。ところが雇用促進事業団でやりますと、私は労務費の補助というものが考えられて、そこに訓練手当というものが支給できる。そこで若干の生活保護の一部を行ないながら、さらにそれの下請をして、ほんとうの一人前の技能を持った労働者を作り得ることができるのではないか、こう考えるのですが、これらに対する大臣の所見を承りたい。
○石田国務大臣 この事業団が直接雇用して、そして訓練をするという問題、それから政府関係機関のやります事業の下請をするという問題、これは他の民間企業との関連も考えなければなりませんし、問題点が非常に数が多いと思います。ただ実際問題といたしまして、たとえばすでにあらかじめどこかの企業に雇用をあっせんをいたしまして、そしてそこから訓練所に通わせる、あるいはまた産業の進歩や経済の発展に従って雇用の変動が予想される場合には、前の仕事に従事して、前のというか、現在の仕事に従事していながら新しい仕事に移る訓練を受けるというような制度上の検討、こういうことはいたしたいと思っております。
○多賀谷委員 私は今ただ下請のお話だけをしたので、若干誤解があったかもしれませんが、みずから干拓事業なら干拓事業をやってもいいと思う。そして干拓事業をやる場合には、あるいは農民、漁民との関係もありますけれども、雇用促進事業団でやった干拓事業の農地の造成については、これはその雇用促進事業団に働いた者がその農地をもらう、こういうシステムもできるのではないかと思うのです。そういたしませんと、私は単に職業訓練をして、それをどんどん社会にほうり出すだけでは問題が解決していない。現実に最近における筑豊の各所において、職業訓練所が定員に満たない事実がある、これは一体どういうようにお考えですか。
○石田国務大臣 決して訓練をして社会にそのままほうり出すというのではなくて、やはり当然就職のあっせんというものを目ざしておるわけでありまして、現在の成績は九七%程度に上っております。それから筑豊だけでなくて、各地域において定員に満たない科目がある。あるということは事実であります。これにはいろいろな原因があげられると思います。それは訓練を受けなくても就職の機会が割にある場合もありますし、また年令が高い人たちは若い人たちと一緒の組で働くのは困るというような問題もございます。そのほか現実に訓練期間中に失業保険の給付期間が延長になることとか、あるいは訓練手当が支給せられるというようなことを知らない人々もあります。あるいは訓練所の位置が遠隔の場所にあるというように、いろいろの原因が考えられると思います。 それから前段お話しの点は今にわかにお返事を申し上げかねる問題でありますので、研究をさしていただきたいと思います。
○多賀谷委員 私は雇用促進事業団が新しい訓練の場として、また再就職を確保する意味においても、このことは十分考える必要があると思います。そうしないと画龍点睛を欠くどころか、やはり大きな柱が一本どうも雇用促進事業団にはないような気がしてなりません。ですから、訓練が短い関係もありますので、ぜひ一つこの点は考慮を願いたい、かように思う次第でございます。 次に、現実の扱い方について二、三お尋ねをいたしますが、炭鉱離職者臨時措置法の中で二十三条の七号「独立して事業を行おうとする炭鉱離職者に対して生業資金の借入のあっせんを行うこと。」とありますが、一体この七号を実行したことがあるかどうか、その成果はどういう状態になっておるのか御承知でありますならばお伺いいたしたい。
○堀政府委員 この点は先般、先ほども申し上げました通りに、内閣に設置いたしました炭鉱離職者雇用対策本部におきまして関係各省と打ち合わせをいたしまして、炭鉱離職者の方々が国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫その他の金融機関から借り入れを希望いたします際におきまして、この炭鉱離職者援護会が相談相手となりまして、それに対していろいろ助言等もいたします。これならば見込みがあると思われるような事業につきましては、推薦状等をつけまして申請をするということにいたしております。そうしてそういうものにつきましては、金融機関におきまして好悪的な取り扱いをする、こういうことでやっております。 それから同時にまた一番問題になりました、離職者が自営業のために借り入れを行ないます際に利率が高過ぎる、一般の利率ではなかなか借りることが困難であるというような問題につきましては、福岡、熊本の両県の当局にもお話しをいたしまして、利子補給等の制度も実施していただいておるわけでございます。 それから炭鉱離職者援護会は御相談に応じていろいろな助言をいたしまして、推薦状を付して金融機関に申請をする、それについては積極的に扱う、こういう取り扱いをしております。これに基づいて現在いろいろな相談業務がございますが、この中の見込みのあるようなものにつきまして事実上積極的な援助を行なうことにいたしたいと思っております。これは雇用促進事業団に発展いたしましたならば、この間の業務はさらに今後は積極的に発展さしていきたいと考えております。
○多賀谷委員 どうも人のふんどしで相撲をとったような答弁ですが、あっせんをして——離職をさしたのは県です、県が独自でおやりになったのだから。援護会がやったわけでもないし、労働省がやったわけでもない。
○堀政府委員 ちょっと誤解があるようでございますが、あっせんをいたしたわけでございます。これは前段の御答弁に申し上げましたように、内容をいろいろ御相談に応じまして、この点はこうしたらどうだというような助言等もいたしまして推薦をする、こういうようなことをやることにいたしたい、これがまさにあっせんであります。 それからそのついでに、利子が高過ぎるから何とかしてもらいたいという一般の御要望があります。これは一朝一夕にはなかなかいかない問題でございますから、とりあえず県の当局にも御相談をいたしまして、好意的な協力をいただいておるということを申し上げたのでございます。
○多賀谷委員 そういたしますと、今度の雇用促進事業団にはこの条項はなくて、さらに今のお話では積極的にやるのだということですが、積極的にやるというのが業務の範囲の中にないのですか。
○堀政府委員 この点につきましては、事業団法の附則第九条の付帯業務として一般離職者に対しては行ないたいと思っておりますが、炭鉱離職者の方々については今までの実績もありまするし、本法の附則のたしか第三十六条におきまして、ただいま御指摘のような業務に引き続きこの雇用促進事業団で行なうということにいたしました。従いましてそのまま生きてくることになります。
○多賀谷委員 それはやはりあっせんしかやらないのですか。
○堀政府委員 さようでございます。
○多賀谷委員 積極的にやるということですが、少なくとも業務の内容の中に、あるいは附則でもけっこうですけれども、やはり生業資金について何らかのもう少し前進をした法文の書き方があったと思うのです。この点どうですか。
○堀政府委員 問題は、これをさらに積極的にいたしますとすれば、みずから資金の貸付等の金融業務を行なうということが一番積極的な前進になると思います。しかしこれはただいまの金融系統の問題と関連いたしまして今回は実現をしなかったわけでございます。従いましてそうなりますと、やはりごあっせんをするということにならざるを得ない。私の申し上げましたのは雇用促進事業団に発展をいたし、内容も整理するわけでございますから、このあっせんするという条項をさらに積極的に運営するようにして参りたい、こういう考えで申し上げたのでございます。
○多賀谷委員 就職者には必要な資金の貸付という条項があるということですが、実際高年令者というのはなかなか再就職がむずかしいということはしばしば言われておる通りです。ですからその点、十九条八号のような規定がむしろ自立経営をする人にもほしかったと思うのです。この点どうですか。
○堀政府委員 この点につきましてはいろいろ議論はあったのでございますが、今回は実現をいたしませんでした。そこで今後の問題といたしまして、ただいまのような希望は私ども現実に伺っておるわけでございます。運営協議会等におきまして今後十分またこれらの点は大きな問題点として御検討いただきまして、その結論を待って、さらに大臣も申し上げましたように、今後の事業団の業物を発展させる際に、今後の宿題といたしまして十分検討努力をいたしたい考えでございます。
○多賀谷委員 私は具体的な事例を二、三聞きたい。三池の離職者の問題がどういうようにその後なったでしょうか、これを伺います。
○石田国務大臣 これは詳細を安定局長よりお答えいたします。
○堀政府委員 三池の離職者の問題につきましては、先ほど申し上げました内閣の離職者対策推進本部を中心にいろいろ案を練りまして、特に問題となります九・九退職者一千百六十二名の方々につきましていろいろなお世話を特に申し上げたわけでございまするが、まず第一に現地においてこの一月から毎月現地相談を行なっております。その結果、この四回の相談を通じまして大体延べ千五百人程度の相談があったわけでございます。そうしてそれに基づきまして廃域職業紹介によりまして他府県にお世話をいたしまして、決定をいたしました者が百三十三名でございます。そのほかに失業保険の移管手続をとりまして他府県に転出されました方が百三十六名でございます。合わせまして約二百七十名の方々はすでに他府県に転出をしておられるわけでございます。そのほか子弟につきましては、約百人程度の就職のあっせんを他府県に対していたしました。それから職業訓練所には荒尾の職業訓練所を中心に二百三名の方々をすでに入所させております。それからさらに訓練所に入所を希望しております方々が二百四十一人に及んでおるわけでございます。従いまして、私どもといたしましては、今後は訓練所の修了生につきまして就職を確保するということが最も大事なことであると考えまして、目下努力をしておるわけでございます。その他の自営業希望の方々につきましてはいろいろなお世話をいたしまして、たとえば福岡においてタクシー業を営みたいというような申請がありました方々についてはすでに認可がおりまして、全部が間近に迫っておるわけでございます。以上のようなことになっております。
○多賀谷委員 私は労働省が非常な熱意で三池の離職者の就職あっせんについて努力されたことはよく承知し、感謝しております。ところが、それにもかかわらず現実はなかなかきびしくてうまくいかない。たとえば荒尾の訓練所の建物はなかなかりっぱでありますけれども、その自動車のコースが第一間違っておるという、試験に合格しないようなコースを設けてやっているということは、これはまことにナンセンスだ。一体どういうことでああいう状態になったのですか。
○堀政府委員 荒尾の訓練所の自動車コースにつきましては、建設にかかりましたのが新道路交通法の出る前でございます。その間における連絡等が不十分な点もありまして、新道路交通法に即さないようなコースができたわけでございます。そこで現地警察当局等と連絡をとりまして最小限度の手直しをいたしました。そうして県の警察当局の方では、このコースでよろしいということになりました。 それからなお多少先回りをした御答弁をするようですが、一括して申し上げますと、それにつきましては要するに免許の試験の問題でございますが、現地でそのコースに、訓練所に出張をしてくれまして、そうして試験を行なうということになりました。従いまして、そのコースを使って試験を受けられる道が開けたわけでございまするが、ただいまその免許の促進を心がけておる次第であります。
○多賀谷委員 コースは直したわけですね。コースは少し直した。しかもそれはどこにも通用するコースでないのです。熊本の警察署からそこへ来て特別試験をしてみようという、ところがその試験が、トラックの方は合格したのですが、自動車の方は全部落ちている。十七名のうちゼロですね。合格者なし。こういう状態ですね。そこでよく調べてみると、その訓練しておった自動車はボロ自動車だ。そこへ試験に来た自動車はきわめて新しい自動車だったものですから、まるきりやり方が違って、全員不合格になった。こういう状態であります。(「議員会館でやってくれ」と呼ぶ者あり)委員会においてやる必要ないじゃないかとは、何を言うか。六月の五日か六日まで会期を延長するというのに、きょうこんな時間に上げる必要はない。僕は割合簡単に要点だけを話をしておる。しかも雇用問題についてはなかなか大きな問題で、議員会館でやれというような無礼なことがあるか。しかも前労働次官がそんなことを言うなんて、君、退席したまえ。 そこで私は、この教材というものが非常に費用も少ないし、実際親切でないですね。修理をする整備工の連中に新しい自動車やブルドーザーを持っていっても、これは整備をする連中はむしろ古い方がいいですよ。どうもやっていることが必ずしも現在の訓練生に適応していないところに問題があるじゃないか。ことに非常に遺憾に思いましたのは教材費ですね。わずかな教材費を節約をして、熔接工あたりでも間着棒ですか、これが一日四本程度しか使用できない。ですからほとんど遊んでおるという形です。ですから、期間が短いのですから、教材を多く与えて充実した訓練をやるべきではないか。最もPRした荒尾の訓練所がその通りですから、全国をあげて私はおしなべて推察することができるわけです。この点についてどういうふうにお考えですか、伺いたい。
○堀政府委員 荒尾訓練所の自動車の関係につきましては、御指摘のような面もあるわけでございます。ただ、これはいろいろな御意見もありましたので、現地に労働省から担当課長も派遣いたしまして詳細に調査をいたし、今後の対策も立てて参ったわけでございます。一時は試験に受からなかった方も相当あったわけでございますが、その後毎週試験を実施してもらいまして、現在まで二十八名の方がすでに免許を取得されまして、さらに九名の方は近く免許をとられる予定になっておるわけでございます。 それから試験を受けまする際に、ただいまお話しの、古い自動車を使っておったために新しい車で試験されて工合が悪かったということは、福岡へ参られた方のことであったと思いますが、荒尾において試験をいたしました際には、その古い車で試験を受けたのであります。そんなような事情もありまして、なおその間連絡の不十分、それから開設早々のことでもありましていろいろな行き違いもあったと思いますが、これは現地において担当課長が十分視察をいたしまして、今後における改善についても十分検討して参りましたので、だんだんと御趣旨に沿えるようになると考えております。
○多賀谷委員 私はこの教材費の問題、あるいはなぜ訓練所に入所する者が少ないかという問題を十分検討する必要があると思う。今労働省では訓練所の定員が満たないというのはどういう点に隘路があるというようにお考えですか。これは局長でけっこうです。
○堀政府委員 これにつきましては、要するに、職種によりまして希望者が殺到するというものもありますし、それから職種によってPR等が不十分であるために満たないというような職種もあるわけでございます。全体としてならしてみますと、これは最近調査が出て参りましたが、昭和三十五年度を通じまして炭鉱離職者の専門の訓練所における募集人員が四千六百名程度でありまして、それに対しまして応募者が四千九百名ということになっておりますので、全体として見ますれば応募者が上回っておるわけでございます。従って応募されても入れない方もあるということになります。ただ、職種にならしてみますとそういうような点が出てくる、これが一つの問題であろうと思います。それからもう一つは夜間訓練等につきまして、やはり通勤するのが非常に不便なためにあまり希望者がない、こういうようなことも問題であろうと思います。今後におきまして、私どもはただいまの職種をならしていく。そしてPR等も十分にいたしまして、訓練を希望する方々に対する指導、相談を十分にいたしまして、ほんとうに需要のあるような職種に多くの方に来ていただくということに十分努めると同時に、夜間訓練等のやり方にいたしましても十分に改善、検討を加えることが必要であろうと考えております。
○多賀谷委員 総合して四千六百に対して四千九百の応募があった、こういうことですが、私はここに問題があると思うのですね。それでなお足らない職種があるというところにむしろ問題がある。それで最初はかなりいくわけですが、そのうちに長続きがしない者がかなりあるわけです。そこで問題は、私は失業保険と訓練手当の関係ではないかと思う。訓練手当は失業保険受給者には全然おやりにならないのかどうか、それをお聞かせ願いたい。
○堀政府委員 御承知のように、当初は訓練中の方々に対しましては失業保険の支給をいたさなかったわけでございます。そこで職業訓練手当というものを炭鉱離職者臨時措置法に基づきまして支給できるようにいたしたわけでございます。その後におきまして失業保険法の改正がありまして、訓練を受けている方々に対しましても失業保険を支給する道が開けたわけでございます。そういう関係でございまして、失業保険を受けておられる方々に対してダブって職業訓練手当は支給しない、こういうことにしております。ただし失業保険が職業訓練手当の額に満たないような方々に対しましては、もとより差額は支給するという措置を講じておるわけでございます。
○多賀谷委員 その失業保険がかなりの額に達している労働者はいいのですけれども、これがみな平均賃金の六割という形になっている。ところが最近の炭鉱地帯の平均賃金というのが、小山においては緊急就労よりも低いという現実がある。これが現状です。そこで今炭鉱地帯では、ある部分では、中小炭鉱においては募集をしておる。というのは、賃金が低い、災害が多いものですから、鉱夫はだれも行かない。そういったところで失業する人は、その六割ですから、これはとてもやっていけないのですね。それは訓練手当以下のものは訓練手当までいくという話はありますけれども、それにしても、やはり何か若干補助をしてやらなければいけないのじゃないか。訓練手当まるまるということは無理でしょうけれども、訓練手当の一部の支給というのがどうしても必要ではないか、こう考えるのですが、これをお答え願いたい。
○堀政府委員 先ほど御答弁いたしましたような筋、建前からいたしまして、現在併給するということは非常に困難でございます。職業訓練手当につきましては、昨年が二百三十円でございました。これを三百円に増額する措置を講じたところでございます。なおさらに不十分というような御要望もありますので、検討はいたしたいと思っておりますが、現状では困難でございます。しかし検討はいたします。
○多賀谷委員 このたび産炭地域振興法案が出て、やはり単に広域職業紹介だけでは停滞をする失業者の吸収ができない、こういうところで法神楽が出たのですが、新しい産業が吸収をする労働者と、炭鉱から出ていく労働者の質が必ずしも合わない。こういう点が、今後産炭地域振興法案が実施をされ、かなり成果を見ても、非常に起こるだろうと思うのです。そこで長い間炭鉱におった者はやはり炭鉱の仕事が一番適していることは申すまでもない。そこで一番ネックになっているのは鉱区問題であります。これは通産大臣に言うことですけれども、国務大臣としての労働大臣に一つ考えてもらいたいのですけれども、鉱区が眠っておる。その鉱区は、その当該会社からいうならばそれほどやる必要はない。他に多くの鉱区を持ち、現在開発しておりあるいは操業しておりますから、その必要はないのでしょうけれども、しかし地域住民またはその失業者にとっては、その鉱区の開発をしてもらえばずいぶん助かるというのが各地において見られるわけです。この点一つ何らかの形で、そういったことも雇用の吸収という面から考えていただきたい。これは単に商業ベースでものを考えれば、今からこんな金の寝る企業を高い利子の金を借りてやろうとする人はないだろうけれども、しかし雇用面から見ると、一人の失業者を一年間養うには相当の金が要るでしょう。二十五日稼働と考えて緊急就労と考えましても、一日千円から一千五十円ですから、その三百日でざっと三十万円要るわけです。それだけ緊急就労をして、そして糊塗をするならば、もう少し私は国の政策があるのではないか、こういうように考える。これを最後にお答えを願いたい。
○石田国務大臣 石炭の鉱区の問題については、これは私は所管でもございませんし知識もございませんので、私からその問題について直接にお答えすることは差し控えたいと思います。ただ失業保険で支払っている金額が非常に多いことにかんがみ、さらにまた石炭関係、特に石炭関係の離職者の地域的な定着性ということにも関連いたしまして、やはり同じ失業保険金を使うにいたしましても、また同じ失業対策事業をいたすにいたしましても、もっと有効な、集約的な使用の方法を考究しなければならない、こう考えておる次第であります。
○山本委員長 よろしいですか。——滝井義高君。
○滝井委員 雇用促進事業団に関連をして少し基本的な問題を尋ねたいと思ったのですが、時間がございませんので要点のところだけお尋ねしますから、要領よくお答え願いたいと思うのです。 まず第一に、私たちが雇用の問題を考えるときには、やはり日本の経済という背景を無視して雇用問題を論ずることはできないと思うのです。今度のこの法案を見てみますと、雇用促進事業団と、「促進」ということが入っているけれども、この内容は職業訓練をして、移動をうまくするために住宅を建てるくらいしかないのです。こういうことでは、所得倍増計画における一番大事な問題は人の問題ですが、この人の問題を解決できないじゃないか。従ってこの法案は今後の雇用問題を解決する一里塚である、こういう認識に私は立ったわけです。そこでこの一里塚をさらに推進をしていくためには、この一里塚の基盤というか背景というか、それをもう少しはっきりしたお互いの、政府、与党、野党が共通の認識の上に立って推進をしていく以外にない。従ってこの足場に立ちながら、少し雇用の基本問題について政府の見解をただすことが必要だろうと思うのです。 そこでその背景を考えてみますと、まず日本の人口の増加が非常に低下をし始めておるということです。これはわれわれが雇用の問題を考える場合に一つの大きな無視することのできない第一の問題点です。それから第二の問題点は、一部に労働力の不足が現われ始めたということです。これはやはり見のがすことのできない雇用問題の第二の点です。そうして第三の点は、そういう中で経済がぐんぐん伸びておる。九%の経済の伸びをこれから三カ年間続けていくんだとおっしゃるのだから、これはそう世界にざらにある例じゃないわけですね。そういう中で、もっと詳しく言ってみれば、しかし設備投資も昭和四十五年のものがもうすでに三十六年度で達成されるという状態です。 〔委員長退席、柳谷委員長代理着席〕 国際収支は赤字になりつつありますけれども、とにかく設備投資はそういう状態です。同時にもう一つ、経済の伸びておる中で輸出が停滞をして、輸入は、設備投資がふえたのだから、これは当然増加しなければならぬ形が出てきている。物価は上がっておる。卸売物価は上がらぬといっておったけれども、卸売物価の中でも一番大事な鉄とか、あるいは木材なんという、こういう基礎的な資材の値上がりが卸売物価でも始まっておる。もう一つ米が万年的な豊作の状態だ。やはり米の問題はすぐ労働者の賃金の問題に関連してくるのです。まあ経済が伸びて、豊作で、そうして労働力の不足が現われて、人口の増加が停滞したという、こういう条件は、やはり私たちが雇用問題を論議する場合に見落としてならぬ一番の問題点じゃないかと思うのです。 そこで私は政府にお尋ねをしたいのは、労働力の不足というものが、今まで、二、三年前までは日本は過剰人口だ、こう言っておったのです。ところが突如として去年くらいから、所得倍増計画が論議をせられるころから、労働力の不足の問題が非常に宣伝されてきた、強く言われてきたのですが、労働力の不足の原因というのは一体どこにあるのですか。
○石田国務大臣 一つには経済の急速な発展であろうと思います。もう一つには、やはり新規労働人口の伸びがこの数年ずっととまってきた。ちょうど太平洋戦争の末期に出生した、出生率の非常に低かったときの人々が今新規労働人口になって現われてきた。その両方の作用であろうと思います。それからもう一つには、やはり賃金問題あるいは技術革新に対する即応の速度の問題その他から、どうしても若年労働に雇用が集中し出したというようなことが、新規労働人口に対する労働力不足の問題であろうと存じます。
○滝井委員 経済が発展をして、新しい労働力の増加が減ってきておる。それから出生率の減少、賃金の問題なんかもあるようですが、その問題は経済が発展をしていくとどういうことが起こるかというと、結局みんな学校によけいにいくわけですね。進学率が高くなるということは、これは結局、中学校を卒業してすぐに高等学校にいくのが多くなれば、それだけ中学を卒業した就業が減ることになるのですが、これは経済がよくなったということにもなるのだろうと思います。そういう中に含まれるだろうと思います。そうしますと、そういうように経済がよくなって、新しく生まれてくる子供が少なくなる、そうして新規の労働力が不足したというけれども、日本の生産年令人口というやつは、これは前古未曽有の状態でふえつつあるわけです。生産年令人口という働き手はふえつつあるわけです。とにかく新しく高等学校を出る人は、これは今は少ないかもしれぬが、もうしばらくすると、ピークになってくるのですから、多くなってくるのです。そうすると、十五才から五十九才までの生産年令人口というものは非常にふえてくることになるのです。こういう中で労働力が不足なんですから、そうすると、これは何かどこかに間違いがなければ、二、三年前までは余っとる余っとるといっておったものが、経済がふくれて、生産年令人口というものは、しかし一方においては未曽有の増加を示しておるという中で、不足という現象が出てきておる。だから私は人間は不足していないと思うのです。働き手は不足していない。不足しているものは一体何なのか。結局、産業に見合うその質を備えた労働力が不足をしておるのじゃないのですか。この点はどうですか。
○石田国務大臣 ですから、不足をいたしておりますのは、先ほども申しましたように、新規労働人口、年少労働者、それから技能労働者、そういう意味では要求する産業に見合う労働力ということも言えると思います。それは技能の面では確かにそうです。それから年少者を求めるというのは、これはやはり一つには技術革新に即応しやすいということも一つの条件でしょうけれども、もう一つは、やはり新しい労働力は安い。しかもいろいろな技術、機械等の発達によりまして、今までのような熟練と勘というようなものにたよる度合いが非常に少なくなったということが言えると思います。余っている面はやはりほかにたくさんあるわけですから、私は、不足という現象はむしろ技能労働者と年少労働者の不足といった方が正しいと思います。
○滝井委員 まさにその通りだと思います。新規労働力の減少、技能労働者の不足。そうすると新しい労働力が減少をしておるということ、これを今すぐにふやすわけにはいかぬわけです。これはもう何せ働く人間になるためには、おぎゃあと生まれた赤ちゃん、十五年かかるわけですから、これはいかに天才が現われても、これをすぐにふやすということはできない。ということになりますと、結局新規の労働力に見合うものをどこからか作ってこなければならぬということが一つです。それから技能労働者が不足をしておるならば、これは何かわれわれ人間の創意と工夫によって技能労働者というものを作ることができるのです。そうしますと、一体新規の労働力に代替するもの、技能労働者を作るという、この二つの問題が出てくるわけです。これを一体どこに求めるか、その代替をする人間は一体どこにいるかと、こういうことなんです。この代替する人間がどこかにおって、それを今度は若年労働に置きかえる、技術労働に置きかえる政策というものがここに出てこなければならぬと思うのです。それは一体政府はどこに重点を置こうとするのか、ということです。
○石田国務大臣 それは結局は中年——中年というと語弊がありますが、いわゆる新規労働力でない層、その層を訓練し、あるいは労働力の配置の面において、中年高年層で十分充足し得るものにつきましては、これは中高年層を使ってもらうようにするというふうに行なっていくことが必要であろうと思っております。
○滝井委員 これで大体問題点がはっきり浮き彫りされてきたわけです。われわれが望むものは新しい労働力と、そして技術を持っておる労働力、しかしそれは今急速にすぐに作ることはできない、これをどこかから持ってこなければならぬ、それは中高年令層だ、中高年令層をそれにかえるためには、職業訓練をやって技術を身につけさせる、同時に、従ってこれは配置がえをやらなければならぬと、こういうことになるわけです。これだけ問題点がはっきりしてきますと、これから先は、技術士のテクニックの問題になってくると思うのですが、そこで、政府としては一体こういう形のものを理想的な形態に持っていこうとするならば、現在の日本の雇用の構造というものを一体どこからどういう工合に変える方針なのかということです。これは経済企画庁の大來さんの方かと思いますが、これを一つ変えてもらいましょうか、どういう工合に変えるか、ですね。
○大來政府委員 雇用構造の変化につきましては、一つは産業別の労働人口の構成の変化、つまり第一次、第二次、第三次産業に従事いたします労働力の分布を変える、大部分は変わるということが正しいかと思うのでございますが、その面でより生産性の低い仕事からより生産性の高い仕事に移動していくということが起こるだろうと予想されるわけでございまして、その低生産性の部分の一つといたしましては、第一次産業がございます。また、第二次、第三次産業の中にも生産性の低い仕事がございますので、この両方からだんだんと高い生産性の方に労働力が移動して参る、そのこと自体が経済成長に役立つわけでございますし、同時に所得が高まってくるというふうに予想いたしております。その結果、産業別の労働力の分布も、第一次産業が現在四〇%近くありますのが、大体十年後には二五%程度に低下する、その分が第二次、第三次で増大するというような見通しを一応立てておるわけでございます。
○滝井委員 結局、そうしますと、四割程度の第一次産業から二割五分程度の第一次産業に減っていくことになるわけですね。大体一割五分程度の農林漁業人口、原始産業が減ってくることになるわけです。 そうしますと、もう一つの問題点は、雇用の近代化をやるためには、こういうような第一次から第二次、第三次産業への民族移動が始まらなければならぬですが、そのほかにもう一つ、雇用の近代化のためには自営業——自営業といったら、第一次だけでなく、中小企業も入ってくるわけですが、自営業と、それから家族従事者、これらのものが近代的な雇用労働者になってこなければならぬわけです。その関係は一体どういう形になりますか。これは結局第一次、第二次、第三次の関係とうらはらの関係になってくると思うのですが……。
○大來政府委員 ただいま滝井先生の御指摘のように、雇用構造の近代化の一つの指標と考えられますのは、雇用者比率、全就業者の中における雇用者の比率が上昇して参ることでありまして、この点も倍増計画の中で、基準年次には就業者を一〇〇といたしまして、その中で雇用者の占めるいわゆる雇用者比率は四六%程度でございますが、ただいま申しました産業間の移動、それから同じ産業の中でも雇用者に変化していくということを含めまして、目標年次、昭和四十五年度には雇用者比率が六六・四%まで上昇するということを見込んでおるわけでございます。
○滝井委員 そうしますと、これで大体一番減少していくのは農業からということがわかってきたわけです。すなわち、新しい労働力あるいは技術を持った労働力を補充するところというのは、第一次産業から補充をされてくる。これははっきりしてきたわけです。そうしますと、今後の雇用を促進する重点というものは、当然これは駐留軍とか、あるいは炭鉱等の、世にいわれておる斜陽産業というのですか、斜陽部門、こういうところからのものと、それから何といってもその大宗というものは農村、こういう形になるわけです。これはいろいろ池田さんが切り捨てるとか、切り捨てないとかいう論がある。社会党は切り捨てるといっておるけれども、国民所得の倍増計画の中を読んでみますと、とりわけ農家人口の大規模な移動を促進し、農工間の所得不均衡を是正する上において云々ということがあるわけです。だから、とにかく農家人口の大規模の移動を促進しなければならぬ。とにかく一割五分行くということになると、これはどのくらいになるかしれませんが、おそらく十カ年間では第一次産業から五百万くらい移動しますね。農業でなくて、第一次産業全般から見ると、五百万くらい減少するのではないですか。
○石田国務大臣 計数上のあれは、私が間違っておれば、あとで大來君から御訂正願いたいと思いますが、所得倍増計画では、三十五年度における第一次産業の就業人口を大ざっぱに千六百万、それが目標年次、昭和四十五年には千百五十万、その差四百五十万、しかしその中で大ざっぱに三百五十万程度は離退や死亡、百五十万程度が新規学校卒業者として第一次の産業へ参加、差引二百三、四十万、出発の年次が三十五年度でありますから、十一年間ですから、年間にいたしますと二十二、三万、こういうものが二次産業、三次産業へ移動する。われわれはそれに見合った計画を立てておるわけであります。
○滝井委員 そうすると、千六百万程度のものが四十五年に千百五十万ということになりますと、死亡したり何したものがあっても、四百五十万のものが一応農地から離れるということです。農家の戸数が必ずしもその通り減るとは限りませんが、農業から離れる。そうしますと、やはり雇用問題というものは農業から二百三、四十万のものを出す。そうして出てきた人は同時に、これは今の状態を率直に見てみますと、所得の低い農業から所得の高いであろう都市に移動をしてきたけれども、現実は大して農家におったときと変わらぬように都市の低所得階層を構成しておるのです。これが東京あたりでは国民健康保険の掌握に一番障害になっている。移動が激しくて掌握できない。いわゆる都市の低所得階層に農村から出てきた人が転落してきておる。都市の立場から転落しておる。農業からいえば、それは所得が幾分いいか同じくらいで都市に沈着する。実態を調べてみれば、こういう形をたどって都市の貧困大衆を作っている。そういう形がありますが、これはやはり農村から出てきた人のいわゆる所得を上げなければ、雇用の状態をよくしたとは言えないし、また貧富の格差を縮小したとも言えない。だからこの面が一つ。それから、出てきたことによって残った農村の所得が上がる姿ができてこなければならぬという両面があるわけです。 そこでまず第一に、出てきた側のものを一体どういう形で受け入れようとするかということです。出てきた者を臨時工か社外工か、都市のいわゆるルンペン的な状態に陥れているというのが今日の状態です。これは技術を持たない。だからこれを技術を持った形にするためには、農村から都市に来る前の段階で、その農村自体の中でやっぱり職業訓練というものが行なわれなければならないわけです。こういう政策というものが一体具体的にどうとられるかということが一つの問題点として出てくるのです。 それから同時にもう一つの問題は、残った農村、千百万になるであろう農村の問題を一体どうしていくか。これは農林省の大口農政課長さんに今度は答えてもらわなければいかぬ。実はわれわれは農業基本法で連合審査を申し入れたのだけれども、やってくれない。この一番大事な、日本のいわゆる労働力を補てんしなければならぬ部面、その残った部面が何が何やらわからぬでは話にならぬ。個々の所得が上がる政策というものを、あんな農業基本法のような抽象的なことではなく、現実に今日この日出してこなければならぬ。従ってこの部面も一体どう具体的にしていくのか。この二点を一つお答え願いたいと思います。
○石田国務大臣 後段の問題は農林省が答えるのが適当だろうと思います。前段は、先ほどお答え申しましたように、大体二十万から二十二、三万というのが平均した年間の一次産業から二次産業への移動であります。現在まででも公共職業訓練所で約六万人、それから事業内訓練所におきまして約七万人訓練をいたしておりまして、それぞれの約半分が各年次における一次産業出身者であります。しかし公共訓練所の位置、これは大体地方におきましても、地方の都市部に設けられております。そこで、それだけではなお不十分でございますので、昨年度からより農村に近いところに農家の子弟のための訓練所を——子弟と申しましても、若い者のみを対象にいたしておるわけではございませんが、設置を始めました。昨年度十四カ所、本年度は十八カ所新設の予算措置をとっておる次第であります。二次産業、三次産業へ移る数が二十二、三万と申しましても、三次産業では運輸、通信関係を除きまして、いわゆる職業訓練、技術訓練というものをそう直接的に必要といたしませんので、現在の計画ではもちろんまだ不十分でありますが、特にこれからは、より農村に近いところに訓練所を増設をしていくということ、それからその教科課程におきまして、年令層が違うために訓練を受けがたいような状態を排除していくというようなことを通じまして、技術を持って二次産業、三次産業へ移る。技術がよしんば必要でないといたしました場合におきましては、職業安定所等を通じまして、新しい職場における雇用の安定の度合いを高めていくというようなことに重点を置いていきたいと思っておる次第であります。
○大口説明員 ただいま国会に御審議を願っております農業基本法案の基本的な考え方といたしましては、最近の傾向といたしまして、農業の就業人口が国民経済の急速な発展に伴いまして、農業から逐次他の産業に移動しておる傾向が見られるのでございますけれども、農業の就業人口が減少いたしましても、従来と同様またそれ以上の農業所得を上げることによりまして、結果的には残った農業就業者の一人当たりの所得を向上していく。この目的を達成いたしますためには、農業経営の構造の改善あるいは機械化その他によりまして農業の近代化をはかりまして、農業所得全般の向上をはかって参るということを、今後の農業政策の基本的な方向といたしておるのでございます。
○滝井委員 農業の構造の改革と近代化を、そういう抽象的なごまかしではだめなんです、僕も農業問題を勉強していますからね。農業経済はずっと学生のときからやっておりますから、もう少し雇用問題の具体的なときは具体的に言わなければならぬ。じゃ私は具体的に尋ねる。それならば千百万人に農民がなったときに、現在五百五十万戸、六百万町歩の農地がありますから、この農地は一体どういう形になりますか。残った農業の構造が近代化されて、そうして経営が近代化されていく。こういうためには、農地を近代化していかなければだめです。それは一体千百万人の人口にどういう工合に農地が再編成されていきますか。そのときの農地の再編成……。
○大口説明員 就業人口が逐次減って参りまして、先ほど農業の近代化ということを抽象的に申し上げたわけでございますけれども、将来の農業の姿といたしましては、日本の農業の根本的な宿命的な問題でありますところの零細な日本農業の経営規模というものが逐次拡大をいたし、また協業の促進によりまして、経営規模の拡大と同様な効果をねらいまして、逐次農業経営の生産性の向上をはかって参ることに考えておるのでございます。
○滝井委員 協業をやったり需要の多い農産物を選択して、そうして収入を多くしていくということはその通りだと思うのです。具体的にこれは所得倍増計画の中を見ても、あるいは今度の農業基本法のいろいろの説明を見てみましても、問題はやはり農業に従事する人も、これは一個の労働者なんですから、従って雇用促進をしていくということは、一方においては不足する日本の産業労働者を出すが、残った者がやはりそれ以上の生活水準を保っていくという状態がきちっと出てこないと話にならないわけです。だから雇用の促進の問題は、うらはらとして今度農業の問題というものが必然的に出てくるのだから、これは大來さんが説明した通り、第一次産業以外には今のところ補うところはないのです。そうしますと、その第一次産業から補ったら、出ていく人は、協業するとかあるいは土地を農協に信託するといったって、その信託した土地の運命というものがどうなるのだということを教えてもらわなければ出ていかれぬですよ。これを出ていく人にはっきりしてもらわなければ出ていかない。うしろ髪を引かれる。だからこれは大事なんです。ただこれは雇用の問題だから、農業のそんなものは言う必要がないと言うかもしれないけれども、出ていく人が安心して出ていく姿を作らなければだめです。この前の日本の軍国主義が、勝ってくるぞと勇ましく出ていって、あとは心配するなといったって、みな心配する状態と同じです。少なくとも日本産業を、池田さんの言うように九%の経済成長をやるためのいわゆる日本の産業全体として出ていくためには、あとに残った親兄弟が安心して農業を営める姿を作ってもらわなければいかぬ。そうすると農協に信託するときには、それは一体幾らの信託料をわれわれに払うのか、そうしてその土地の運命は、臨時工でもう飯が食えなくなったら、帰ってまた農業をやることができるのかどうか、こういうことがはっきりしないと、これは出ていけませんよ。だからそこらあたりははっきり雇用問題と無関係ではない、大いに関係があるのです。
○大口説明員 ただいまのお尋ねの信託の問題でございますが、現在国会に提案をいたしております農業協同組合法の一部改正によりまして、農地の信託制度を新たに設けることにいたしておりますが、その農地の信託の内容といたしましては、農地を売却するための信託あるいは農地を貸し付けるための信託、二通りに分れるわけでございますけれども、農地を売却いたします場合の信託の売却の価格は、農地の価格であり、貸付の場合の信託は、現在の小作料統制のもとにおきますところの統制小作料によって貸し付けるということを考えておるのであります。
○滝井委員 問題は二つ出てきたのですが、農地の売却と貸付、売却は現在の農地の時価ということになりますと、これは十五万とか三十万するですよ。そうしますと、その金だけでも、あなたの方のこういう計画でいきますと、約四日玉十万の人がとにかく農業を離れることになるのですが、そうすると、百五十万ヘクタールくらいの農地が移動しなければならぬことになってしまうのです。一ヘクタール二十万円と見ても三千億円ですよ。こういう三千億円の金を、こんな雇用促進事業団に政府はたった一億円しか金を出さぬのですよ。あとはみんな失業保険の金やら、それから援護会からもらってくる金やらでやってしまう。一般会計から出す金は一億円です。あとは労働者の積んでおる失業保険の金から持ってくるんだ。だからそういうけちなことをやっている政府だから——農地の信託に三千億円の金を出しますか。
○大口説明員 ただいまの滝井先生の御質問の、今後の具体的な農村から離れていく人口の数に基づいて、一定の地域の、一定の面積の農地を今後毎年どういうふうに移動を考えていくかという具体的な計画を現在持ち合わせているわけではないのでありまして、目下国会で御審議を願っております農業基本法が成立をいたしました後におきまして、農地の信託制度を充実し、今後の農地の移動の実態に応じまして、農地の移動並びに経営規模の拡大が円滑に参るような施策を講じて参りたい、かように農林省として考えておるのであります。
○滝井委員 そうしますと、御存じの通り昭和三十五年度は多分四十万出ておりますね。その前は三十万くらいです。これは平均したら二十何万になるわけです。ここ一、二年は相当多いですよ。そうしますと、私、現在福岡県ですが、福岡県でどういう形が起こっておるかというと、一町二、三反、八反、こういう中堅の農家がみんな分解しつつあります。そうして三反か五反になる。一方二町くらいがふえている。両極がふえて、中堅農家がなくなりつつある。それはみんな売って出ていっています。そういう形なんです。従って新しく今度政府の政策としてお取り上げになるのには、そういうものがはっきりしないとこれは大へんです。 もう一つやはり同じ問題があるんです。さいぜんは農業所得よりか、出ていった労働者の所得が高くなければならぬと言った。これも最低賃金制度がないから、臨時工とか社外工で、これはその日暮らしの形で、必ずしも安定していない。農村におったときと同じような不安定な状態です。これは直接的にはあなたの方の問題よりか、石田さんの方の問題です。しかしあなたの方の問題に関連をする問題は、農林省としては、今度は農家から近代的な都市の労働者になってもらうんですから、そのためにはやはり住宅というものを農林省ももっと積極的に考えなければいかぬです。そうしますと、大体十カ年間の所要住宅というものは一千万戸です。農家から昨年は四十万くらい出ておりますが、二十万か三十万平均して出ていくものとしても、ちょうど移民をやる場合に練習農場で世話をするように、やはり出ていく人についても、農林省は労働省と提携しながら、住宅の世話ぐらいはしなければいかぬと思うのです。それはどうしてかというと、自分の持っている土地を信託したり、あるいは信託を通じて売却をしたりしていくんですから、だからやはり出ていくからには、住宅くらいは一つ自分の方から労働省にいって、世話しましょう、こういう形が出てこないとうそなんです。そうしますと、大体十カ年で、所要住宅は千万戸ぐらい要りますが、十カ年間で、公団住宅、公庫住宅でできるのは百十万戸です。一割ちょっとです。百十万戸建てるためには、一兆三千億の金がかかる。ところが、農業投資は十カ年間で一兆三千億でしょう。そうすると、あなたの方の農業所得の中から幾分かでも——結局その土地の売買その他にもいろいろやるでしょう。あるいは農地の改修工事その他にも持っていくのでしょうが、やはりそういう金が、何か農民に身について、住宅の問題その他の敷金になったり、あるいは住まう自分の家を持つための、少なくとも宅地の買収費に充てられるぐらいのものが、何とか農林省でも幾分めんどうを見るという形が作られなければならぬと思う。たとえば今こういう雇用促進事業団ができたり、援護会ができて移住資金というものを出しておるでしょう。ああいう制度を農林省はやはりとらなければならぬと思う。今後農民に出てもらうというならば、そういう具体的なものが出てこなければ、農民は行ったって住宅がない。今言ったように、これから十カ年間に千万戸の住宅が日本では必要だ。ところが建設は百十万戸しかない。そしてその百十万戸に殺到していくおもなものはだれかというと農民だ。そうすると農民には何にも裏づけがなくて、無一物の者が都会に出ていったってだれも住宅を貸してくれない。それならば雇用促進事業団が建ててくれる合宿におられるかというと、そうはいかぬというところが出てくる。一家をかまえて農村でりっぱに土地を持って生産をしておったその農民が、都会に出てきて合宿住まいというわけにはいかぬと思う。こういう政策が今後やはりはっきりしてこなければいかぬと思うのですが、そういう点はあなた方の方はどうお考えになっておるのですか。
○大口説明員 私どもが農業から他産業に就業人口が移動する形と申しますのは、必ずしも全部が農村地帯から都市付近に移住をする状態で離農が行なわれていくとは考えておらないのでありまして、やはり農業の就業構造の改善を最終的にはかりますためには、あるいは近代産業の工場を地方に分散をするとかいうような政策と相待ちまして、離農が円滑に行なわれるのではないかという状態を予想いたしておるのであります。従いまして、ただいまの滝井先生のお話のように、離農する人間がすべて新しい住宅を必要とするという事態は、必ずしも将来の姿としてはわれわれは考えておらないのでございますけれども、しかし御質問の御趣旨のように、農林省といたしましても、他の産業に就職をするために都市に出かけていく者等についての施策というものは、やはり関係各省と十分連携をとりまして、安んじて他の産業に就職できるような政策を逐次とって参る必要があると考えておるのであります。
○滝井委員 あまり農業のことをやっておると時間がなくなるからやめますが、だんだんと農業人口が減少をすれば、残った農民の所得が増加をするという、この道筋がどうも実ははっきりしないのです。そこで、やはりそこらあたりをもう少しはっきりしてもらわぬといかぬと思うのです。農業基本法じゃないからこれ以上言いませんが、すみやかにもう少しはっきりしていただいて、日本の農民に安心をさせてもらいたいと思うのです。これで農林省はけっこうです。 次は、さいぜん大來さんから御説明いただいたような雇用構造、産業構造が変わっていった場合における日本の有業率というものは高くなりますか、低くなりますか。
○大來政府委員 有業率は一応倍増計画の場合には現状よりやや低下すると見ております。これは非農業の面では一部有業率は高まる可能性があります。特に婦人労働力等について、だんだんと余裕が出てくる。そういう婦人労働力が有業人口化するという可能性はあるわけでございますが、ここ当分の間は、日本の場合は非常に婦人の有業率の高い農業の人口が総体的に減少して参りますものですから、この農業及び水産業における家族従業者の減少が予想されます過程におきましては、ある程度全体の人口としては有業率の低下が起こるだろうというふうに予想をいたしておるわけであります。
○滝井委員 そうしますと、日本の有業率は結局現在よりか下がってくる、こういうことになりまして、ヒトラーじゃないけれども、婦人は家庭に帰れ、こういう形が出てくる。一方においては若い層は所得が増加をしてきて、みんな勉強をするようになって学校その他に行く、進学をする、こういう形がはっきりしてきたわけです。そうして見ますと問題はだいぶしぼられてきたのです。結局さいぜん石田さんから御説明していただいたように、重点は新規労働力と技能労働力の問題にしぼられてくる。そしてそれを充填するものとしての中高年令層を一体どういう工合に再訓練をしていくかという、こういう問題です。 そこでそれに入る前に、もう一つちょっと心配なことがあるのです。それは最近における日本の地域的な人口の偏在の問題です。昭和三十年の国勢調査から五年後における昭和三十五年の国勢調査、これの状態を見ると、四十六都道府県の中で二十六県については人口が減少している、そして特に市町村の中で四分の三は人口が減少している。そして人口が増加したのは二十万以上の都市に人口が増加している。特に太平洋ベルト地帯の中でも四大工業地帯のうちの北九州工業地帯はあまり増加していない。関東それから名古屋、大阪、京浜、阪神、こういうところにしか増加をしていない。それから地方的な特殊なところに幾分増加をしている。そうしますと、問題はここにある。この雇用促進事業団が重点を入れて住宅その他を作るところはどこかというと、今までの状態を見ると、みんなこの太平洋ベルト地帯の特に三大工業地帯に作っておる。ところが一方政府は、こういう地帯に人口が過大にふくれるということは大へんだ、こういうことをいっておる。そしてこれをどこかへ分散をさせなければならぬというので、低開発地の開発とか、あるいは都市の分散政策をとり始めているのです。もう東京というものは千万をこえたら大へんだ、なるほどこの前も僕はここでちょっと言ったのですが、それは大へんですよ。とにかく東京で三代目になったら、もう生存競争には勝てません。東京に、この空気の悪いところに三代も住んでごらんなさい。女の人は足がこんなに細くなり腰がこんなに小さくなって、子供を生む能力がなくなる。それで三代目になると、戦災その他がありましたけれども、祖先の墓をお守りをする人がいないようになる。結局われわれみたいないなかから出てきたやつが東京でのしてくる。そしてわれわれの三代目がまた生存競争に負けるという、売家と唐様で書く三代目という言葉がありますけれども、結局都市というものは、その環境が人間の住む状態にない、だから緑地帯を作るとか、もう少し東京の首都としての役割を——富士山の山麓に移さなければならぬというような議論も出てきているのです。こういう矛盾した政策をとろうとしている。一方では分散をする政策をとるけれども、一方ではいなかの空気のいい農業から、人生の墓場であるという——総理の言葉ではないけれども、人生の苗しろから人生の墓場へと移動させる状態をたどるのです。こういう政策というものは、愚の骨頂の政策ではないかという感じがするのです。そうするならば、こういう日本の過去の五ケ年間の人口の移動の状態というものは、これは全く政府の政策と逆行する方向に自然に人の流れというものがきている。これを今の経済の力、政治の力で何か別な方向にやろうとする、これが低開発地の開発という形になってきておるんじゃないか。そうするとこの低開発地の開発の問題と雇用促進の問題とを一体今後どうマッチさしていくのかということです。これがわれわれが今度は農業から出す問題と密接に関連をしてくるのです。そうしてこれが同時に住宅政策にも関連をしてくるのです。この土地の高い東京のまん中に住宅を建てるなんということは、家を建てるよりも土地を買うだけで莫大な金が要るのです。そうするとわれわれの税金をもっと合理的に使うためには、政府は何か思い切った地方への分散の政策というものをとらなければならない。そうして産炭地の振興計画のようなものを作って、産炭地で現実に失業者のおるところで仕事を行なおうという反省が起こってきておる。それならば農業についても同じようにそれを結びつけなければならぬと思う。こういう人口の過去五カ年間の移動の関係、都市の過大、そうしてそれに対する分散の政策、これと雇用との関連というものを、一体どういう強力な政策を打とうとするのか。今労働省のやっている政策は、政府が今までわれわれに言った政策とはみんな逆のことをやってきている。空気のいい北九州の炭鉱地帯から空気の悪い大阪とかなんとかに持ってこなければ雇用がないのですからね。だから人生の墓地にみんな追いやってきている。これを一体どうしてもとのところで食わせるような政策を、雇用促進事業団なり経済企画庁というものが高度の長期の計画のもとにおやりになろうとするのか、これは相当積極的な政策をやってもらわなければならぬと思うのですが、どちらからでもけっこうですから御答弁を願いたい。
○石田国務大臣 人口の都市集中が過度であって、それが政策全体として好ましくない状態であることは御指摘の通りであります。一つには地方と中央との経済差、文化差というものをなくすためにも、また労働力の移動、配置にむだをなくすためにも、私どもは後進地域の開発あるいは労働力が現在ある産炭地、その他特定不況地域の開発というものを集約的に行なっていかなければならないと思います。これについては政府はただいま国会に関係法案を提出いたしまして御審議を願っているところであります。ただその開発が進行いたしまして、都市への過度の集中が漸次鈍化をいたしまして、そうして地方がまたそれぞれの発展を示すことが望ましいのでありますが、それに対する産業立地条件の整備、その他の振興をいたして参ります過程に、現に特定工業地帯における労働力の著しい不足が見られます。その充足はやっぱりしていかなければなりません。不足なところへ充足するということだけではなくて、同時に片一方に余っておる労働力、職のない人々に職を、現実にきょうから、あすから与えなければなりませんので、そういう現実の要求に即応するための訓練なりあるいは住宅の建設なりを、この雇用促進事業団がやって参ろうと思っております。国全体の方向としては御指摘の通り地方の産業立地条件の整備、そうして地方の開発ということ、特に特定地域、産炭地等についての集約的な強力な施策の実行がぜひ必要であると考えておる次第であります。 [柳谷委員長代理退席、委員長着席]
○滝井委員 政策の必要性が具体的に予算その他に一向に現われてこないということです。今から三千万円くらいの金を出して、産炭地の振興の調査をやる、それが二年間かかって、それからやる、こういうことなんですから、その間に炭鉱はみなつぶれてしまう。二年間かかれば三十八年ですから、三十八年になったときには、千二百円の炭価を引き下げておかなければならぬわけですから……。それで、やはり緊急を要するのだから、非常の事態には非常措置というものがとられなければならぬと思うのです。それがとられないために、結局駐留軍の労務者にしても炭鉱労務者にしても、そうして、これはやがて日本の毎年二十三万ずつ移動するであろう農民にも同じ運命の種がまかれつつあるわけですよ。資本主義というものはそういう弱肉強食、勇者が勝って弱者が負けるような仕組みかもしれませんけれども、しかしそれではあまりにも哀れと言わなければならぬし、また政治がないと言わなければならぬのです。それで、もう少しそういう点については明確な政策を打ち出して、どしどし国家的な資金を投じていただかなければ、幾ら雇用促進事業団を作ったところで、これは話にならぬということになってくるわけです。喜び勇んでいなかの産炭地から都会にやってきた。しかし三年したらまた今度はいなかに追い帰される。政府の政策で、今度は人口の地方分散、低開発地に行けといって追い帰されることになるんじゃ大へんなんです。もう炭鉱をやめて、今度行くときにはこれ一回で、一つ次は安住の地を求めたいということを、農民にしてもあるいは炭鉱から出てくる労働者にしても、みんなそれを願って出てくるわけですから、来たところが、また三年したらもとのどこかいなかに行かなければいかぬということでは困るのです。そういうことのないように、一つぜひお願いをいたします。 次は、今度はいよいよ技術の問題になってくるわけです。今農民の問題と地域の問題をちょっと触れたのですが、今度は技術の問題をちょっとお尋ねいたします。これから文部省と科学技術庁になるわけですが、今までわれわれの日本におきましては、あり余った労働力を、どうして一体雇用の機会を作るかというのが私たちの問題だったのです。しかし今の中心的な課題は、各産業や企業に有能な技術を持っている働き手をどういう工合に供給していくかということが、今の問題になってきた。今までとは全く違うのです。しかも今度は量の制約が現われてきた。人口が減って、老人人口がふえてきているのですから、量の制約が現われてきている。そうしてその壁の制約の中から、同時に質の制約が現われてきている。いわゆる熟練工がいないのですから、技術者がいないのですから、量の制約と質の制約とが同時に現われてきているのです。この対策というものがとられなければならない。そのとられるものとして、中高年層が登場してくるわけですが、問題は質の問題です。質の問題では、所得倍増計画その他を見ても、工業高校程度の技能者の卒業不足が四十五年になれば四十四万、それから今度は、技能の訓練によって充足されなければならぬ者が百六十万、再訓練をすべき者が百八十万、こういうように所得倍増には出ておりますね。そこで、工業高校程度の技術者が四十四万不足しておるのだが、これを一体文部省は十カ年間にどういう計画で充足をしていく方針なのか、こういうことなんです。
○岩間説明員 ただいま滝井先生の御指摘の通り、四十五年までに約四十四万人の中堅技術者の不足がございますので、文部省はとりあえず、本年度から工業高等学校の生徒を一万人増加する計画を立てておりますが、今後逐年一万人ないし二万人の増加を計画いたしまして、七年間におきまして約八万五千人を養成いたしまして、四十五年度までに約四十万人程度の技術者の不足を補う、そういう年次計画を立てておるような次第でございます。
○滝井委員 今文部省は、これは予算委員会で一応尋ねたことで、それでいいと思うのですが、四十五年までに四十万人程度していただく。そうすると、四万人そこそこの不足になるのですが、ところが、これは四十四万では足らなくなるのです。と申しますのは、設備投資が、昭和四十五年のものを三十六年に達成しちゃうのです。ここなんですよ。すでに四十五年のこの計画の三兆六千億あるいは三兆八千億を、三十六年度に達成してしまうのですから、そうしますと、生産は拡大するから、この四十四万というものは狂ってこなければならぬ。これは一体どういう計算になるのです。これは大來さんの方で、所得倍増計画をやりかえるということが最近出ておりますから、やりかえると、まず第一に、この四十四万の中堅技術者がとにかくやりかえられなければならぬと思うのです。
○大來政府委員 実はやりかえるかどうかはまだはっきりいたしませんで、総合部会で、現状と倍増計画の想定いたしました経済構造との比較をやっておるわけでございます。それが、現状が長期的な趨勢から見てやや変わっておるのか、あるいは長期的な趨勢がここで一段変化をしたのかという見きわめはまだはっきりつかないのでありますが、倍増計画は一応この十年間の姿を描きまして、これが、まあ三兆六千億というのはそのままずっと投資が上がっていくかどうか、かなり私どもは疑問に思っておるわけでございますが、いずれにせよ、条件がよければ十年倍増というのが九年間、あるいはもう少し条件がよければ八年ぐらいで、その目標が達せられるという可能性は考えられるわけでございます。この人の訓練計画につきましては、一応第二次産業等の伸びを基準にいたしまして、それからリプレイスその他の関係を考えまして、基準をはじいておるわけでございますから、経済の成長が幾分早まれば、その労働力の需要もある程度促進されるというふうに考えられるわけでありますけれども、ただ、現状だけの勢いをそのまま引き伸ばすというわけにはいかないのじゃなかろうか。長期的な趨勢というのは、やはりある程度急速に伸びるときも比較的伸びのゆるいときもございますので、ならしてみれば、この倍増計画でいっているところより幾分早めになるにいたしましても、根本的な見積もりが大きく違ってくるか、またそれに関連して、いろいろはじきました十年先の数字が大きく動いてくるかどうか、これは私ども目下検討中でございますけれども、今の情勢をそのまま伸ばす、そうして大きく狂ってくるというふうには、ちょっと判断いたし得ないというふうに思っておるわけでございます。
○滝井委員 四十五年に達成する目標が四十三年とか四十四年と、一年か三年か繰り上がって早く達成されるということは、どういうことを意味するかというと、第一年度、第二年度、第三年度における技術者の数がよけいに早く要ることを意味するわけです。よけいに早く要るということは、すなわち学校の計画というものがこれについていけないのである。経済成長に日本の技術者の養成がついていけないことを意味する。これは同時に、今度はどういう作用になってくるかというと、結局経済成長が人間の面からいわゆるチェックされる、抑制されるという、こういう問題が逆に出てくるわけですね。そこで、今のは工業高校ですが、今度は大学の問題は一体どうなるかというと、いわゆる理工科系の高級技術者が十七万不足です。大体大学の卒業者は、ここ一、二年は十八万くらい卒業します。そしてこれが三十九年、四十年くらいになると、二十万台、二十一、二万台にずっとなっていくのです。御存じの通り日本は文科系統が多いのですから、理工科系はせいぜい三割くらいでしょう。そうすると五、六万くらいずつしか出ていかないのです。これではとても十七万を充足することはできないのです。そうすると、今後の雇用を拡大して日本の生産力を上げていこうとするならば、やはり高度の技術者がおって、そして重化学工業における設備その他を総合的な見地から指導をしていく高級の技術者と、そしてその下で働く中堅の技術者と、その下で働く技能労働者というものが必要になってくるわけです。そしてもうほかの者は大して要らないのです。これは発電所を見てもあるいは重化学工業の状態を見てもあるいは道路の状態を見ても、今まで何百人という日雇い労働者の諸君が働いておったのが、今日ブルドーザーを三台も持ってきたら何百人分というものを一ぺんにやってしまう。従ってこういう状態を考えると、そういうピラミッド型の技術系統というものは、ずっと一貫して体系的に職場の中で構成されていなければならぬわけです。そうすると一番上の大脳に当たるこの十七万の技術者の充足というものができないと、大來さんの方の経済の計画というものが、資金と物の計画が立っておっても、人間の計画が立たないと話にならなくなる。この十七万の計画はどうですか。四十万の方は、所得倍増計画の進行が早いとそごを来たす、この問題だけははっきりしてきた。そうすると大学の問題は、どういう形で十七万の理工科系統の不足の充足をやるのですか。
○犬丸説明員 高等教育卒業程度の技術者の不足は、ただいま御指摘がございました通りに、一応の推定でございますが、今後所得倍増期間中の不足は十七万と推定しております。これに対しまして文部省におきましては、理工系の大学短期大学の募集人員を一万六千人増募する、こういう計画を立てております。この増募をかりに所得倍増期間中に平均的な速度で進めて参るといたしますれば、この倍増期間中の累計の数と申しますのは約七万というようなことになりまして、十七万よりは、半数以下というようなことになります。これは一つには大学の定員の規模の拡大というものが、特にその教員の確保という点で非常にむずかしい点がございますので、その実際の可能性を考えまして、最小限度必要な量を満たすということで、その一万六千人計画、十年間には七万人を満たすという計画を立てたものであります。もちろんそれではまだ十七万人全部を満たすことはできないわけでございますけれども、ただこれはただいま御指摘がありました、設備投資が非常に早く行なわれておるというようなこともありますが、できるだけ早くこの一万六千人の増募を達成することによりまして、この累計の数字は十七万に近づけていくことができるわけであります。それで文部省といたしましては、この一万六千人の増募計画を可能な限り早く追い込んで達成していくということに努めていきたいと思っております。(「質疑終了」と呼ぶ者あり)
○滝井委員 法案を上げること急にして、真実の政治の道が歩めぬということは困ることですから、少しは夜がふけますけれども、九千万の国民の職業の問題であり、食糧の問題であり、運命の問題でありますから、しばらくがまんを願いたいと思います。 今の文部省の御説明で、大体大学は七万、相当無理をしても十万だ、そこでこういう状態なものですから、設備投資等をよけいにやった日経連を中心とする資本家陣営も、近ごろ非常なあせりを感じ始めた。そしてあせり始めた結果どういうことになったかというと、まず第一に鉄鋼業界がこの技術不足に業を煮やして、学校教育法による短期大学を作るという計画を打ち出したのですね。これは鉄鋼だけではないのです。鉄鋼連盟できめた開設計画によると、学科では機械科二百十人、電気科百四十人、冶金科七十人の三科で、合計六クラス四百二十人の定員、そして修業年限を二年にする、そうしてこれは主として八幡製鉄とか富士鉄とか日本鋼管等の、大小六十三社の従業員の中から、高等学校出を選抜してこれに入れる。ところがそういう形の学校形態はないのですね。だから文部省は難色を示している。一般から募集しなければいかぬのじゃないか、こういう形が出ておる。これは結局何を意味するかというと、日本の教育制度が経済成長の路線からもはずれておるという具体的な現われです。日本の教育制度に対する不信感が財界から起こってきておる。だからそれにこたえるためにどろなわ式に、きょうもめて通った、ゆうべあなた方が徹夜したといわれるいわゆる五年制高専というような、こういう無理をやらなければならぬことになってきた。これは単に鉄鋼連盟だけじゃないのです。厚生省に関係のある食品関係でも、東洋食品が工業短期大学を定員五十名で作って、これもやはり業界だけから入れようとしたんだが、文部省がそれはまかりならぬというので一般募集をやっておる。ところがこんなものは、一般募集をやるような形はとるけれども、業界からとってしまうのです。こういうふうに石田さんの職業訓練ではもはや役に立つ人間ができてこない。文部省の学校教育にたよっておったのではいつ人間ができるかわからぬ。だから金のある日経連はみずからこれをやろうと乗り出してきたのです。いわばこれは石田さんの職業訓練行政に対する不信、文部省の学校教育制度に対する不信、これは結局言えば池田内閣の文教政策と労働政策に対する一つの不信感としてこういう形が現われてきている。昔星一さんが星薬科大学を作ったときとは違うのです。それは同じ一つの業界が作ったものだけれども、今作ろうとするこれはまさに業を煮やして作ったものなのです。科学技術庁来てますか——だから結局科学技術庁が出なければならぬことになるのです。文部省ももうたよりにならぬ、石田さんの方の技能者養成のあれではもう役に立たない。そうすると技術革新という見地から、科学技術庁一つものを言ってくれという形が、池田正之輔さんがああいうことを言わなければならぬことになるのです。一体科学技術庁としては、この段階でこういう技術者の不足を前にして、具体的にどういうふうにやろうとするのか。ほんとうは大臣に来てもらわなければいかぬところなんだけれども、十一時になるからお気の毒ですが、これを一体どうするか、遠慮なく答えていただきたい。
○高橋説明員 この問題につきましては、先ほどからお話しのように、十七万人の不足を生ずる。これに対しまして、ただいま文部省の御計画によりますと、七万というような数字をお出しになりました。その間につきまして長官からも勧告が出たことにつきましては、すでに御承知の通りであります。さらに三十六年度におきましても、入学定員の設定をいたしました後も、約十一大学につきましてさらに定員増募というような話もございました。その点などにつきまして、文部省におきましてただいま御調査なさっておるそうであります。そのような傾向をよく見定めまして、さらに当庁といたしまして対策を練る、こういうような考えでございます。
○滝井委員 今後における産業の技術革新というものがどういう方向に向くかということは、文部省ではわからないのです。文部省は教育をやっておる。現在工業学校の卒業生が現場に使われたときに役に立たぬという意見が出てきておることは、科学技術庁は御承知だと思うのです。たしか池田さんもそういう発言をしておったと思う。私も何かでそういうことを再三読んでおるのです。そうしますと、企業における技術革新というものが、一体どういう形の技術者、技能者を必要としておるかということは、やはり技術の専門家の集まりであるあなたの方が一番よく知っておると思うのです。だから、あなたの方はこの際思い切って、こういう形の技術のものを大幅に増加をする必要がある、そのためにはこれだけの金をつぎ込みなさいということを、やはり第三者の立場で、高いところから日本の工業の趨勢、鉱工業の発展の趨勢を見て言う必要がある。高等工業一校作るのに、少し設備をよくすると五億円もかかるのです。これから四十四万人不定の者を充足していこうとするならば、少なくとも各都道府県に三つ、四つは高等工業を作らなければ、とても充足ができない。そうすると、これは今の日本の状態では、とてもこんなところに金を出さぬですよ。口で言うだけです。必要だ必要だと口で言うだけです。そうして農民を引き上げてきて、安く使っていって、労働力のダンピングでガット三十五条のおしかりを受けるくらいが関の山なんですよ。だからこういう点については、もう少し技術者がおるところが、技術者の養成については、きちんとした政策と方針とそうして予算の裏づけのあるものを、やはりどしどし勧告して出すことが必要だと私は思うのです。何かそれが文部大臣と池田さんのけんかみたいになっておりますけれども、これを積極的に仲裁するがごとくせざるがごとき状態でその場を濁しておることは、これはけしからぬと思います。そういう点をしっかり池田科学技術庁長官に言っていただきたいと思います。きょうはほんとうは来てもらわなければいかぬと思うのです。 そこで、これは石田さんにお尋ねするわけですが、石田さんが労働大臣に就任したとき、自分の労働政策というものは今までとは違うのだ、今までは、経済の計画の中においては、物と金というものが中心になって経済の計画が組まれていた、しかし自分が労働大臣になったからには、今度は人間が中心の経済計画を作っていくのだと言われた。私は労働大臣になられた若いはつらつたる石田さんがその発言をしたときに、日本の保守党の中にも、輝く労働大臣を見つけたと思ったのです。ところが自来もう私は三度くらいここで言うのだけれども、一向に人間中心の経済の長期計画が立たない。まさか石田さん玉みがかざれば光発せずで、曇ったわけではないと思うのですが、これはやはり雇用促進事業団を契機として、もはや質と量の両面から、日本の人間の問題というものが大きく制約されて、重要な問題になってきたのですから、やはり労働大臣が内閣における副総理くらいの立場で、日本の経済政策の中心的な発言力を持たなければいかぬと思うのですよ。そういう点について、だんだん最後になるようですが、石田さんの考えを一つはっきりしていただきたいと思うのです。
○石田国務大臣 政治の目標は、要はいかなることをやるにも、結局国民の生活の安定と向上を期することにあるわけでありますから、やはり人の問題を常に考えていかなければならぬと思います。それから経済の興隆をはかっていくにいたしましても、たといそれが設備があり、資材があり、原料がありましても、人がこれに力を加えなければ経済的価値を生じないのでありますから、やはりこの面から見ても、人を中心に考えていかなければならぬと思っておりまするし、そういう考え方に立った労政をやっておるつもりでありますし、経済政策全般の推進に当たりましても、常に人の問題を先行せしめるように発言をいたしておるつもりであります。現下の経済情勢の中で、ただいま雇用促進事業団法を提案して御審議を願っておりますのも、やはり人の問題を優先的に考えようとする一つの現われでございますので、一つなるべく早く御可決あらんことを希望しておきたいと思います。
○滝井委員 経済企画庁、文部省、科学技術庁はけっこうです。どうもありがとうございました。 そこで、あとは石田さんのところに参りますが、そうしますと、あとは結局中高年令層を、今度は新規若年労働と技能者に置きかえる問題になってきます。で、中高年令層をそういう形で置きかえていくためには、これはちっとやそっとの努力ではできない。当然そこに長期の基本的な計画が立てられなければならぬと思うのです。これは十カ年間における所得倍増計画の中の問題ですが、同時にこれは一番大事な問題ですから、中高年令層の対策というものは——今後日本の人口というものは、老人人口がふえていくのですから、そこでその対策として、この前石田さんは三点あげられた。まず第一に定年制を延長する。それから中高年令層の適職——適当な職種ですか、職種を開拓していく。それから職業訓練の便宜をできるだけはかる。この三つが中高年令層の対策だ、こういうことだったと思うのです。そこでこれは、こういうことが対策だというだけではだめなんで、これがこの対策であるということがわかったら、これを実践してもらわなければならぬことになるわけです。 そこでまず第一に定年制の問題は、官庁その他においては、三年くらいは定年制が延長されたというけれども、現在各都道府県においては、もう五十五になると肩たたきが行なわれておる。ところが昔から四十、五十ははなたれ盛りというように、日本では五十五年で定年にされたらどうにもならないですよ。諸外国では、石田さんも御指摘になったように、ヨーロッパ諸国では七十才から定年ですよ。そうしますと、まず定年の問題については、石田さんとしては、具体的に政策としてどう一体やられるつもりか。もうこれは今の問題ですから……。この定年の問題というものは、現在五十五で定年というのは常識ですよ。これを五年ぐらい延ばす政策というものを、具体的にどう推進していくつもりなのか。
○石田国務大臣 現在の段階におきましては、政府関係機関に対して私どもはその呼びかけをいたしております。それから民間企業においても、事実問題として、この制度が検討されつつありまして、非常な改善を見られつつあるわけであります。ただこれを法制的措置としてどう行なうべきか、あるいは行なうのが適当であるかどうか、これは検討を要する問題であると思っております。しかし現実に生命がみんな延びておるわけでありまして、特に新規労働力がなかなかつかめないというような状態におきまして、たとえば五十五才で一たん定年になっておるところでも、それが今度は新しい別の条件のもとに、やはり同じような雇用関係を続けて働いてもらっておるというところも非常にふえてきております。 それから第二の適職の問題でありますが、これはすでに調査を終わりまして、約百二十種指定をいたしております。これも行政指導によって、あるいは各方面で何と申しますか、ムードを作ることによって、自発的にやっていただくように今努力をしておりますが、しかしこれはなかなかそれだけでは成果が上がりませんので、職業安定所等のあっせんの際に、やはりそれらの職種に対しましては中高年令層をあっせんして、若年層を振り向けるようなことはしないというようなところまで将来は考えなければならぬと思っております。 それから訓練所に相当の年令層の人も喜んで入れるようにいたしますためには、やはり今の訓練所の科目の編成等につきまして検討を加えていく必要があると思います。たとえば現在の職業に勤めている人が、その雇用の変動を予想されるような場合、夜間訓練を受けられるように、あるいは年令の高い層と低い層との組を分けるように、いろいろの検討を至急やりたいと思っておる次第であります。
○滝井委員 私はやはり、この定年制の問題を延期してもらうにしても、適職を中高年令層に与えるためにも、あるいは職業訓練をやるためにも、年次的な計画をお立てにならなければだめじゃないかと思うのです。そうして年次的な計画の裏づけとしてきちっとした予算をおつけになって、そして第一年度においては一体どの程度のものを中高年令層を必ず収容していくか、一方においては、定年制は必ず二年なら二年をまず暫定的に延長するのだというようにすると、二年だけは中高年令層が失業からストップすることができるのですから、そうすると、今農村その他炭鉱、駐留軍等から出てくる中高年令層の問題等が、この二年間延長すれば解決できていく。こういう計画的なものを何をきちっとお立てにならないと、こういうことが対策だというだけでは実践に移っていけない。効果も現われないと思うのです。ぜひ一つそういう長期の計画をお立てになって、そして人の問題を中心に進めていただきたいと思うのです。適職その他の、職業安地所で若年層が行く必要がないようなところに若年層が行くような場合は中高年令層、こうさいぜん言われたけれども、現在私の炭鉱地帯には、京阪神その他からわんさわんさと四月になりますと人がやってくるのです。何ごとならんと見てみますと、みんなどんどん学校を回っておるのです。そしてこれは縁故募集です。職業安定所なんか通ずるのはないのです。そうして全部学校を回って、縁故募集で二十人、三十人連れていってしまうのです。そして今度は、京都のある私の友人から頼まれまして、正直に京都の職業安定所を通じて、それは福岡の職業安定所に申し出なさい、こういうことになって、そこで正直に京都の職業安定所からある業種の人が福岡の職業安定所に来たわけです。そうすると、もうそんなものは引っぱりだこで、正直に職安の窓口を通じて来た者はいないのです。そういう形です。しからば職業安定所の現状はどうか。私はこの職業安定所の状態は質問をしませんが、しかし、職業安定所の悲惨な叫びを聞いて下さい。これは青森県の職業安定所の職責の一青年ですが、その人が石田労働大臣に手紙の形で書いております。「石田労働大臣殿。大飯は地方の職安の現状を知っていられるだろうか。どれほど予算難と人員不足と過労に悩まされているかを。そのため、どれほどゆがんだ業務取り扱いがなされているかを知っていられるだろうか。庁舎はガラスがこわれ、天井は雨もりし、壁は落ち、実際に働いた分の何割かの残業手当をもらい、電話は一日十回以上使用禁止の札をぶらさげられる。西洋紙はペンで書くと穴のあくボソボソのセンカ紙を使い、複写用のカーボン紙が使いすぎて字が出なくなると焼きノリみたいに火にあぶって使うことを覚え、それに使うセロハン紙は紡績会社のネーム入りだ。バイクが配分されたと思ったらガソリン代、修理代は職員に負担させられた。 どこにこれほどの貧乏役所があるだろうか。こんな状態の中で求人難である。中小企業の求人者は安定所のあっせんがもどかしくて募集違反が続出、現地に乗りこんで労務者の獲得に歩いている。それを取り締まれば「こんなに人がいるのに安定所はなぜあっせんしてくれないのか」といわれ、全く答える言葉もない。冬季になると季節労務者が帰ってくるので異常なまでの失業者群がおしかけ、毎日千人ぐらいの失業者がせまい待合室にあふれる。十人たらずの職員が就職相談をし失業認定をし保険金を支給する。朝から午後五時ごろまで待たされたりするので、毎日のように失業者とケンカだ。このころの三カ月間は、他の失業者がやってきても庁舎にはいれずに帰ってしまう。仕事もやむなく形式的になり、失保不正受領もでてくる。 私たちは苦しくても職場を放棄することだけはしたくない。また楽な仕事をしたいからいうのでもない。今の状態では、失業者に仕事があっても与えられないのが残念なのである。」これが石田労働大臣に対するところの、青森県のある職業安定所の公務員の方からの手紙ですよ。これが実態です。これでは、雇用促進事業団ができても、第一線の職安の窓口がこの状態ではどうにもならぬということです。さいぜん職業訓練の実態について大原委員その他がいろいろ言っておりますから私も言うのをやめますが、私もいろいろ資料を持っておりますけれども、これでは、一将功成って万骨枯るという状態が労働行政に出てくるのですね。石田さんははなばなしく三池の仲裁をやり、公労協の仲裁をやり、功は成るかもしれないけれども、石田さんのもとで働いている職安行政というものは、雨が漏るところでノリを焼くようにしてカーボン紙を使わなければならぬという状態である。こういう涙ぐましい姿というものは、これはやはり一掃しなければならぬと思う。こういう実態が労働行政にあるということは、日本の労働行政がいかに貧困であり貧弱であるかということを示しでいると思うのです。こういう点でやはり私は、人間中心、人を大事にするということが第一だと思う。昔から日本では人間を大事にしていない。死は鴻毛よりも軽いといった、こういう形の因襲と申しますか、そういう底流というものが依然として労働行政の中にも知らず知らずのうちに流れているということですね。だからやはりこういう点はもう少し直さなければいかぬ。こういう点が最も具体的に現われているのは、失業者の一番どん底の状態である日雇い労働者の諸君のたまり場その他である。あの状態を見てごらんなさい。金殿玉楼のような官庁ができるけれども、日本の大事な一番低い労働者のためのたまり場というものは、トタンで屋根をふいて、バラック建てで、そうして雪が降れば雪が漏り、風が吹いてくれば風が吹き込んでいくという、こういうところに置いておるのが、一番低い労働条件で、生活保護すれすれのところで働いている日本の日雇い労働者の職場のたまり場なんです。こういう点はやはりできるだけ、なけなしの金を払ってでも優先的に直していかなければならぬと思うのです。労働省の建物が金殿玉楼のようにでき上がっても、そういうところにまずい姿があるというならば、労働行政というものは全きを得ていないということは、これは仁徳天皇の言葉を借りるまでもないと思うのです。こういう点はこれ以上言いたくございませんけれども、一つ十分考えていただきたいと思うのです。 そこで、最後になりますが、今度雇用促進事業団というものになったのですね。これは今後いろいろと私たちは仕事をある場合には起こしていかなければならぬと思うのです。そうすると、こういうものに二十億、三十億の金を失業保険その他から持ってきてお使いになるならば、どうして思い切って、収益事業もやるし、それから公団債も発行できるような雇用促進公団というようなものにしないのかということなんです。事業団というものは何もできない。家を建てるか何かする以外、収益事業さえできない。公団償を発行することもできない。みずから思ったところに就職をさせるために事業をやるということはできないでしょう。
○石田国務大臣 公団という構想もあったのでありますが、元来自由主義経済のもとにおきましては、やはり就職の機会というものは民間企業に雇用をする、あるいは収益事業というものは元来そういうふうな形において雇用の促進をはかっていくのが建前でございますから、この事業団自体としてはやらない方が適当だろうと考えた次第であります。
○滝井委員 そうおっしゃいますと、ちょっと言っておかなければならぬのです。日本職業訓練協会というのができています。これは日経連の中の企業内の訓練委員会の下部機関としてできているのです。ところがこの日本職業訓練協会というのは、質問するとこれだけで一時間にもなりますからやめますけれども、この雇用促進事業団あるいは労働福祉事業団、こういうものとこれは密接に関係ができているものなんです。今度これができれば関係があるのです。ところが、現在の日本職業訓練協会というのから職業訓練所は結局お金を借りる形になるわけでしょう、物をいろいろ借りるわけですから。そして借りたそのお金は、利子と振興会の職員の給料までかせいで返すことになるわけです。それだったら、これを公団にして事業をやればいい。職業訓練所を、何かこういう日経連の下請機関みたいような工合にすることは困るのです。
○石田国務大臣 今のお話は私が理解しておりますのと違いますので、職業訓練部長から説明をさせます。
○有馬説明員 滝井先生が御指摘になったのは日本職業訓練協会でなくて、日本職業訓練振興会のお話だと思います。これは訓練生の福利事業と資材購入、製品の販売というような、訓練に関連する事業を営むために設けられた財団法人でありますが、昨年一年間の実績を検討してみました結果、資材の購入、製品の販売という面をこの振興会にやらせることについては、能率その他の点で欠点もございますので、本年度からは御指摘のようにこの振興会にやらせることを改めまして、本来の事業団に訓練事業と付随する事業もやらせることに改めますので、御了解願いたいと思います。
○滝井委員 わかりました。私もちょっと間違っておりました。職業訓練振興会です。いずれ機会をあらためて、職業訓練協会その他と雇用促進事業団その他との関係を聞きたいと思います。 法案の大事な業務のところを聞くのに時間がございませんけれども、これはまた機会をあらためてやることにして、一番大事な業務内容を聞かずにこの法案の質問を終わることは残念ですが、あと井堀さんがおりますから、これで終わらしていただきます。
○山本委員長 井堀繁雄君。
○井堀委員 大へん時間も詰まっておりますので、ごく簡潔にお尋ねをいたしたいと思います。 わが党は、本法案の意図するものについて重大な関心を持っておるのでありますが、またそれがためにいろいろな疑問をも持っておるのであります。でありますから、その疑問を何とか明らかにして、この事業団の将来について希望もあり、また意見もございますので、時間をごく短く、質問と意見を織りまぜてお尋ねをいたしていきたいと思うのであります。 この法案に対するわれわれの期待は、言うまでもなく、日本の雇用政策が、あらゆる政策に優先して取り上げられなければならない諸情勢の中にあると思うのであります。しかしこの法案全体を検討してみますると、単に従来からありました労働者の福祉事業団あるいは鉱山離職者の臨時措置法による援護会の仕事を受け継ぐという、きわめて限られた範囲のものになっておるようにも受け取れるのであります。しかしまたこの法案の目的とするところ、すなわち事業団の目的とするところ、あるいは事業内容などを拝見してみますると、必ずしもその限定して考えられない節があるのであります。このことは本法案に対してわれわれが重大なる関心を持ちます一つの理由であります。 そこでごく簡単に順序を追ってお尋ねして参りますが、第一に事業団の範囲についてお尋ねをいたしてみたいと思うのであります。十九条にあげられております十項目に業務の範囲並びに内容が列挙され、またそれに対する簡単な説明書もついておるようではありますが、その条文なり説明を拝見いたし、また提案理由などを総合して判断をいたしてみますと、たとえば一項、二項、三項、四項は、明らかにこれは職業訓練法に基づく事項と職業安定法にかかる問題とが同時に取り上げられておるようであります。そこでこの事業団は一条の目的を達するために、たとえば総合訓練所及び中央職業訓練所の設置及び運営を委託しておるようであります。そしてその次に、事業所内の職業訓練の援助を行なうというきわめて重大な事柄が同時に並べられておるのでありますが、この設置及び運営については私どもわかるのであります。しかし中央訓練所はすでにあるのでありますけれども、総合訓練所などの設置を行ないます場合には、その位置とか規模とか内容などについては、ただ単に機械的にそういう設備を設けるということでなくて、少なくとも雇用政策全体に対する相当の政策的な判断なり企画なりというものが前提にならなければ、その設置の問題は定まってこないのではないか。さらに事業所内の職業訓練を援助するというのでありますが、この団体がもし民間の事業所内における職業訓練の援助を与えるというならば、どういう内容のものかは政令に譲られるのかどうかわかりませんが、業務方法書も明らかにされておりませんので、この点はぜひこの機会に明瞭にしてもらわなければならぬと思うのであります。時間がありませんから、ついでに並べていきますから、続けて御答弁を願います。 第二の問題もきわめて私たちにとって多くの疑問を持つのでありますが、それは職業安定所の指示に従って職業訓練を受ける人々に手当を支給するという簡単な書き方であり、また説明もごく簡単にしておるのでありますが、この手当を支給するということは、ただ単に機械的な銀行の窓口のような業務をやるというのでありますならば理解ができるのであります。しかしこの条文なり説明から判断をいたしますると、必ずしもそういう機械的な金銭事務を扱うのではないようにとられます。それは一体どういう内容のものであるか。 第三は宿泊所の設置及び通常でありますが、この宿泊所の設置というのは、公共職業訓練を受ける者の付属的な施設だけを考えておるのであるか、あるいは、将来雇用政策全体の中から見て、ある程度の企画なり、またその企画に基づいてそういう者の施設を、事業団独自の業務方法書のごとき制限は受けるでありましょうが、そういう範囲で規定をしておるものであるかどうか。 第四の移転就職者に対する宿舎の設置及び運営ということは、機械的に文字の上だけで判断すると格別問題はありませんけれども、広い地域における職業紹介の活動というものは、提案理由で説明されておりますように、今日の労働力の移動に対する大きな役割をここに期待しておるものと判断するのでありますが、そうであるといたしますならば、その宿泊所の設置とは、先ほどの関係であります非常に総合的な雇用政策と結びつかないでこういうものが計画されるものではないと思うのですが、その辺の見解はどうか。 それから五番目の簡易宿泊所、託児所、給食施設の問題は、説明によりますると日雇い労働者に限定しているかにとれますが、あるいは日雇い労働者を中心とするものであるが、一般にもこれを拡大できるというふうに判断すべきものであるかどうか。この点が明らかでありませんから、この点を明らかにしてもらいたい。 六番目の移転就職者の移転に要する費用を支給するという言葉でありますが、支給という言葉だけではわれわれは納得できないのでありまして、これも政策的な意図と結びついて費用の支弁が行なわれるということになりまするならば、そのあとに出てきまする事業計画その他を事業団が作るが、これは労働大臣の認可、許可を受ける手続をとるようになっております。そういうことになりまするとこの費用の内容についての裁量は政策と結びついてくるものではないか。結びつかなければ意味をなさぬのではないか。全く機械的な取り扱いをするというのであれば、銀行でも、その他の適当な機関がたくさんあるはずであるが、少なくとも事業団にこれを委託するというからには政策との兼ね合わせが必ずあるに違いないと思いまして、この辺の関係を明らかにしてもらいたい。 第七番目はもっと重要な意義を持つものと思うのであります。これは再就職しようとする者に対する必要な知識、技能を修得させるというのでありますから再訓練であります。だからこういう関係というものは、この法案の持つ重大な意義をつかさどる仕事の一つだと私は思うのであります。この一項だけを取り上げてみましても、私は十分な説明を伺わなければにわかに賛否を決することのできない内容のものであるとも判断できるのであります。 第八の問題は、これまた問題があると思うのであります。必要な資金の貸付を職業安定所の紹介によって行なうのでありますが、この資金の貸付も前々項六項と同じように機械的な資金の取次をやるというのでないことは説明でも明らかになっております。ここにも政策があります。次に新しいことでありますが、身元の保証をするということになっておる。この身元の保証は事業団が法人として身元保証するということが可能であろうかどうか。でないとするならば理事長とか理事とかいうような人々が保証するのであろうかというようなことについては、保証を受けようとする方からいいますならばかなりいろいろな要求が盛り込まれるに違いない。その要求を満たすことなくしては保証の意義をなさぬのであります。そういう意味からいきますならば、法人が保証をするということは意味をなさぬのではないか、意味をなすとするならば、もっと高い広い責任を事業団がとるという結果になるのではないか。もしも理事長がその団体の代表者という形で保証をする場合においては、法律的ないろいろな問題が生じてくると思うのであります。そういうものの規定がこの中には現われておりません。 第九の適応性その他職業の安定に関する調査研究でありますが、またその資料の整備を行なうというので、こういう事業をやらなければならない、またやらせたいというわれわれの希望もありますが、そういたしますならば、これに必要なる経費なり事業団の構成なりというものについては、相当多くの人的な整備やあるいは予算的な裏打ちが必要になってくるのではないか。しかしこれは将来のものであるとするならば、将来そういう意図であるならば、どういう内容でどのくらいの期間にこういうものをやろうとするのであるか。これは政府の雇用政策に対する一つの見通しを知る上に非常に重要だと思いますので、これらの点についてお答えをいただきたいと思うのであります。 あとまた次に続けたいと思いますが、時間の都合上簡単にお尋ねをいたします。
○堀政府委員 お答えいたします。 第一の職業訓練所の設置運営につきましては、労働省に新設されます職業訓練局におきまして、全体的な総合的な職業訓練計画に基づきまして管理監督をいたします。 それから事業内職業訓練の援助につきましては、訓練施設の利用、職業訓練指導員の派遣、教材の提供等の便益を提供することにいたしております。 訓練手当につきましては、職安が訓練を受けるように指示すると同時に、その裏づけの生活援護保障といたしまして、手当を支給するわけでございまして、両々一体となって仕事を進めて参るのであります。 職業訓練を受ける者のための宿泊施設につきましては、これは訓練生だけの施設として考えておりますけれども、もとよりこれは全体の職業訓練計画の一環といたしまして、それに適した場所に設置するようにいたしたいと思っております。 それから就職者のための宿泊所の設置、運営でございまするけれども、この場所、それから設置、運営等につきましては、労働大臣に業務方法書等の認可を求めてもらいたい。労働大臣としてはお話のような総合的な観点から認可をいたしたいと考えております。 それから次の簡易宿泊施設等につきましては、日雇い労働者が現在まで中心になっておりますが、日雇いのみに限らず、他の方面へ行けない層の労働者のためにも施設の利用をさせたいと考えております。 移転就職者に対しまする移転費の支給も、同様に、広域職業紹介を支持するとともにその裏づけとして移転費を支給するという形で、総合的な計画の一環として行なって参りたい。 それから職業講習につきましては、これは職業訓練までいきません短期の職業講習を考えております。 それから必要な資金の貸付でございますが、これは身体障害者、遺家族、日雇い労務者というようなハンディキャップのある労務者を対象としたい。 身許保証につきましては法人としての事業団がその身元保証をいたします。これは業務方法書等の認可を得てやります。 それから調査研究資料の整備につきましては、さしあたり中央訓練所等に調査研究部を設けます。それと同時に、本部におきましてもこのような調査活動を活発に行ないたいと思います。これはお話のように漸を追うて拡大していきたいと考えております。
○井堀委員 きわめて重大な御答弁をいただいたわけでありまして、これについては詳細な点をお伺いしませんと、われわれにわかにこの法案に対して態度を決することができがたいのであります。しかしお約束もあることでありますから、それを補充する意味でぜひ一つ、この法案にも規定してありますように労働大臣の許可、認可ももちろんそうでありますが、業務方法によって一応の規定が作られるようになるのでありますから、業務方法の内容を、方法書に規定さるべき内容を、この際文書によって一つ御提出を願いたいと思うのであります。都合によりましては、またそういうものに対する要望をいれられる余地を一つ留保いたしておきたいと思っております。 それから労働大臣にこの機会に、今御答弁がありましたことと関連をしてでありますが、われわれが非常に重大に思っておりますのは、最近事業団、公団、公庫などのいわゆる行政が、いろいろに形を変えて分離されつつあるというこの行き方は、ひとり内閣や政党の政策だけにまかせるわけにはいかぬのではないか。私は以前に文書によりまして、内閣の公団及び公庫、事業団に対する公式質問をいたしたのでありますが、これにも多くの疑問があります。この際これを明らかにすることによって賛否を決するのがわれわれの当然の任務だと思いましたが、いろいろな事情がありまして、このことについても十分お尋ねすべき時間がありませんことを、私はまことに遺憾に思うのであります。今後かかる無理な審議をなされないように、一つ与党の諸君にも希望しておきます。 労働大臣に、この機会に一つ明確に御答弁をいただきたいのは、この事業団を運営いたしまする役員、すなわち理事長、理事、さらに職員の問題については多くの問題がございます。その中で一番大きな問題ともなるべきものは——かかる政策の中でも、単に労働政策、雇用政策に限定されるのでなくて、その成否は、日本の経済全体に及ぼす、あるいは社会労働問題に及ぼす影響がきわめて甚大であります。でありますから、この事業団の将来というものは、私はかかる意味において決して軽視できないと思うのであります。でありますから、この点に対する労働大臣の明確な御意見を一つ伺っておきたいことは、かかる行政、ことに三公社のように企業体としてその行政の分野を受け持たせるのと異なりまして、多くの政策を遂行していく一つの母体としてこれが発展成長する性質が明らかであります。でありますだけに、こういうものを作って、あとがどのように成長発展を逐げるかということについては、非常に大きな関係をもたらしますので、この際労働大臣の御答弁をわずらわしたい。もし答弁で満足ができぬようでありましたならば、私どもは賛否の意見を保留して、党の態度を別にいたしたいと考えるほどの重要な問題でありますから、一つできるだけ了解できるように御答弁いただきたい。
○石田国務大臣 この事業団の理事長以下の人事の人選にあたりましては、この事業団の目的及びその任務の重大性にかんがみまして、慎重にかつみずからの良心に顧みて恥じないようなりっぱな人を人選いたす決意であります。
○井堀委員 最後に一点お尋ねしておきます。この職員の問題でありまするが、職員については、この法律の規定はごく簡単にしかいたしておりません。しかしこの職員は、その身分は公務員でないことは明らかであります。公務員に準ずるという程度の規定にほかならぬのでありまして、質問書にも、政府が答弁しておりますように、たとえば労働法規はどの法規が適用されるかということに対しては、一般の労働三法が適用される職員であるということが明らかになっている。そういたしますと、この職員の労働条件などにつきましては、理事長との間に身分関係が雇用、被雇用の形をとるのであります。ところがこの法律によりますと、労働大臣の許可、認可の限界というものは、その労働条件を束縛する基本的な認可、許可権を握っておるのであります。この点は将来私は重大な問題になると思いますので、この点に対する政府の見解をただしておきたいと思います。
○石田国務大臣 職員に対する労使関係は、一般の公団、事業団等と同様に取り扱って参るのでありますが、しかしその精神においては労使間の正常なものを阻害しないようにする決意であります。
○山本委員長 これにて質疑は終局いたしました。 —————————————
○山本委員長 引き続き本案を討論に付するのでございますが、申し出もありませんので、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 御異議なしと認め、そのように決します。 雇用促進事業団法案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○山本委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。(拍手) —————————————
○山本委員長 この際、灘谷直藏君、小林進君及び井堀繁雄君より、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、その趣旨の説明を求めます。澁谷直藏君。 雇用促進事業団法案に対する附帯決議 一、経済の成長発展に伴う産業構造、就業構造の急激な変化に対処し、完全雇用に関する総合的、基本的政策を樹立するため、政府はすみやかに雇用基本法の制定に努めること。 二、雇用促進事業団に、その業務運営の円滑適正を期する目的をもつて、主要事項につき協議するため、労使を含む関係者等をもつて構成する通常協議会を設置すること。 三、政府は、雇用促進事業団に対し、第十九条第一項の業務に相当な金額を一般会計より支出することを目途としてその交付金を増額することに努めること。 四、政府は、産炭地その他失業者多発地域においては、離職者等の営業の自立をはかるため、生業資金の貸付その他金融措置の万全を期すること。
○澁谷委員 雇用促進事業団法案に対し附帯決議を付するの動議を提出いたします。 附帯決議案の内容は、お手元に配りましたものによってごらんいただきたいと思います。すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○山本委員長 本動議について採決いたします。本動議の通り決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 御異議なしと認めます。よって本案は、澁谷直藏君外二名提出の動議のごとく附帯決議を付するに決しました。 この際、労働大臣より発言を求められておりますので、これを許します。石田労働大臣。
○石田国務大臣 附帯決議の趣旨につきましては、これを完全に尊重いたしまして努力をいたしたいと存じます。 —————————————
○山本委員長 お諮りいたします。本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 御異議なしと認め、そのように決します。 次会は明十八日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後十一時五十七分散会 ————◇—————