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38回国会衆議院1961/05/11

社会労働委員会 第31号

発言数
84
登壇者
8
会派数
3
開催日
1961/05/11

会議録

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 これより会議を開きます。  引揚者給付金等支給法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を許します。五島虎雄君。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 参議院から提案になっております引揚者給付金等支給法の一部を改正する法律案について、若干の点について質問をしておきたいと思います。  今回の改正に関連するところの該当地域が、南洋群島その他政令に定める地域ということに表現をされておりますけれども、南洋群島その他政令に定める地域ということについては、どういうところが大体政令に定める地域という該当になるかというようなことについて、ここで明らかにしておきたいと思うのです。その点についての御説明をお願いいたしたい。

加藤武徳自由民主党

○加藤参議院議員 ただいまの五島委員の御質問の点でございますが、この法案には南洋群島のみを掲げまして、その他の地域については政令で規定をする、かような定めにいたしておるのでございますが、ただいま厚生省事務当局と打ち合わせをいたしまして、あらかた予定いたしております地域は、南洋群島のほかにまずフィリピンを予定いたしておるのでございます。フィリピン及び旧蘭領インド諸島、旧英領マレー半島、豪州、カナダ、ペルー、かような地域を一応予定いたしておる次第でございます。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 そうすると、タイやビルマ、それから香港ですか、そういう地域は想定をされないのでしょうか。

加藤武徳自由民主党

○加藤参議院議員 ただいまのタイやビルマは旧蘭領インド諸島及び旧英領マレー半島、その中に当然含まれる、かように解釈をいたしておるわけでございます。なお香港につきましては、その対象に入らないと解釈をいたしておるわけでございまして、御承知の現行法におきましても、イギリス、アメリカ及びインドはその地域に入っておらないわけでございます。今回の改正におきましても、米国、英国、並びにインドは地域からはずしておりますので、香港は対象外である、かように考えておる次第でございます。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 加藤議員の説明でわかりました。その場合適用される人々は、当時日本国政府あるいは軍の命令によって軍属として勤務をした人たち、そういう人たちも当然この対象の中に入るわけですか。

加藤武徳自由民主党

○加藤参議院議員 今回参議院から提出いたしました法案は、四つの点でしぼりをかけておるのでございまして、四つの要件に該当いたしますものはただいま五島委員の御指摘の方々も当然入る、かように考えておる次第でございます。四つのしぼりと申しますのは、ただいま申しました引き揚げの地域でございます。地域は南洋群島その他政令で規定する地域、かように申しておりまするが、その地域は今申し上げた通りでございます。第二番目は居住要件でございます。御承知の現行法におきましても、いずれの地域においても六カ月以上引き続き居住をしたということ、これが条件になっておるわけでございますが、今回政令で規定をいたしまする内容は、各地域によりまして、いつまでに六カ月以上引き続いて居住をしておったか、この点で若干違いがあるのでございます。南洋群島につきましては、昭和十八年十月の一日までに引き続き六カ月以上、フィリピンにおきましては、昭和十八年十二月八日までに引き続き六カ月以上、旧蘭領インド諸島、英領マレー当局その他の地域におきましては、昭和十六年八月一日までに引き続き六カ月以上、かような制限を加えたい考えでおるわけでございます。制約の第三番目は引き揚げの期間でございます。御承知の現行法におきましては、昭和二十年八月十五日以降に引き揚げたもの、かようになっておるのでございますが、今回の改正案におきましては、南洋群島については昭和十八年十月一日から昭和二十年八月十四日以前の期間に引き揚げたもの、フィリピンにおきましては、昭和十九年七月一日から昭和二十年八月十四日までに引き揚げたもの、蘭領インド諸島その他の地域におきましては、昭和十六年八月一日から昭和二十年八月十四日までに引き揚げたもの、かような制約を設けておるわけでございます。なお四番目の制限は事態に関しまする制約でございまして、連合国軍隊の進攻により、または日本政府または連合国官憲の命令によって引き揚げたもの、かように限定いたしておる次第でございまして、この四つの要件に該当いたしまする方はただいま御指摘の方々すべて入る、かように理解いたしておるわけでございます。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 そうすると、ただいま各地域から引き揚げられた方たち、その適用人員は何人くらいになっておりますか、これは政府委員の方にお願いします。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 地域別に申し上げますと、南洋群島が一万八千人でございます。それから先ほど加藤議員から御説明のございました政令で定める地域、蘭領インド諸島、シンガポール等を含めまして約八千人と見積っておりまして、合計いたしまして大体二万六千人と考えております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 そうすると、この一部改正法案が通過したら、この二万六千人に対する支給金額はどのくらいになるのですか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 改正によりますところの所要額は三億八千万程度になると考えます。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 そうすると、この改正案の前の現行法の第二条の第一項第一号、「昭和二十年八月十五日まで引き続き六箇月以上本邦以外の地域に生活の本拠を有していた者(昭和十四年十二月二十二日の閣議決定満州開拓民に関する根本方策に関する件に基く開拓民については、昭和二十年八月十五日まで引き続き外地に生活の本拠を有していた期間が六箇月未満の者を含む。以下第三号において同じ。)」こういうようになっておるわけですが、この外地に居住していた者の子供に対しては支給してこなかったわけでしょう。そうして満州開拓民に対しては六カ月以内であってもこれを適用しておられるわけです。この点については当時の現行法の考え方が、六カ月以上を外地に生活の本拠を有していた者でなければ支給しないという限定をつけ、そして満州開拓民の方々には六カ月以内でもいいのだ、こういうように期間の差をつけられたことについて、私はよくわかりませんから、その差はどういうところからつけられたのか、もう一度政府委員の方から説明をお願いしたい。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 引揚者給付金の要件につきましては、先ほどお話しございましたように、原則として、終戦時までに六カ月以上外地で居住しておるということが要件になっておりますが、満州開拓民につきましては、この期間が六カ月未満でもよろしいということになっておるわけでございます。これは立法の当初からそういうことになっておりますが、満州開拓民は特別の任務を持って向こうに参りましたのと、それから向こうに行くことによって、六カ月未満でも生活の本拠が全部向こうに移っておったということが普通の一般の人たちと違いまして十分に挙証もできますし、そういう関係で開拠民につきましては特例を設けておる、かように考えております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 そうすると私たちがずっと現実に即して考えるに、六カ月以上生活の本拠を外地において有していなければ支給しないのだという制限をつけられる。そこに子供の問題があろうと思うのです。それで六カ月以内に出生した子供については、これは支給されていないということ。われわれが考えるのに、胎児は十カ月で生まれるわけですが、これには子供を支給しないということになるのだろうと思うのですけれども、子供は親とともに生活している。そうして当時も親のふところに抱かれて生活しているわけです。この子供に対するその支給をしないというようなことに現行法もなっておるわけですけれども、当時六カ月以内に出生した子供の数が現行法で何人あるだろうか、それからこの一部改正によって、南洋群島その他政令に定める地域におけるところの当時の六カ月以内に出生した子供の数、その数は一体どのくらいありますか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 現在引揚者給付金の対象になっております者につきまして、終戦前六カ月以内に生まれた子供、これは大へん推定がむずかしいのでございますが、われわれの方でいろいろなデータから推定いたしますと、約三万五千人くらいだと考えます。なお今度改正によって南洋群居その他の地域につきまして、六カ月の子供につきまして、六カ月の居住制限を撤廃した場合の人員につきましては、そう多くないと思われますが、ちょっと数字を計算しておりません。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 引揚者が自分の意思にかかわらず戦争状態によって引き揚げざるを符なかった、そうして生活に苦労した。それを中心としてここに引揚者に対するところの措置が行なわれておるわけです。ところが、そういう困難な時代に生まれた子供をかかえた人々は、困難の度合いもまた非常に多かったのじゃないかと想定されるわけです。そうしてそれらの人たちは、当時は、戦時中は胎児であった。こういうようなことについて、私たちはやはり当時出生した子供についてもこれを適用してやりたい、こういうように考えるわけですけれども、この件についてはどういうような考え方で現行法で制限をされたのか。ただ六カ月の期間の制限を付したから、六カ月以内に出生した子供は、もちろん法の線の中から除外されたのだ、こういうようなことでしょうか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 赤ん坊について、六カ月以上の居住制限の撤廃の問題は、立法当初から問題があったと考えられますが、六カ月の制限につきましては、御承知のようにいろいろ問題がございまして、関係団体等の打ち合わせのときには、三年以上とか、あるいは一年以上というお話もあったのが六カ月に落ちついたように伺っております。そこでその後生まれました子供につきましては、これも検討されたと思いますが、一般の者につきまして一応六カ月の制限が付されておるので、従って赤ん坊にだけこの制限を除外する、例外とするという扱いがとられなかったと、かように考えております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 そうするとさっき局長から説明されたように、現行の該当の推定人員が三万五千人程度、そして新しく改正によるところの子供の該当人員は、これはもちろん若干人だろうと思うのです。そうすると三万五千人として、これに要する費用は規定通りにいけば、十八歳未満ですか、それによって幾ら要るのですか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 三万五千人といたしまして、大体一人七千円でございますので、二億四千五百万円要るかと考えます。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 そうすると二億四千、まあ二億五千万円程度で、もう時期はすでに十五年以上も経過したのですから、それぞれ当時の該当者の苦しみはもう消えているでしょう。消えているでしょうけれども、そういう人々に対するところの苦労に対して、特に当時生まれて非常に苦労の多かったであろうと推定されるこういう親——子供はまだ乳飲み子でしょうから苦労もなかったでしょうけれども、経済的な生活等々について非常に苦労があっただろうと推定される。そうすると、こういう親の胎内にあり、そして終戦を迎えておったこの人たちにも適用することが、非常にあたたかい心じゃないかと私たちは考えるわけです。そこで今回の若干の人員、あるいは今日まで流百億円を想定したこの引き揚げ支給金額、この中から、こういうところにも考慮が要るんじゃないか、こう考えますけれども、加藤議員、このようにお考えになりますか。

加藤武徳自由民主党

○加藤参議院議員 引揚者の方々が終戦後の非常に困難な中で、乳飲み子をかかえまして、本土に引き揚げますために非常な苦労があったことは想像にかたくないわけでございまするし、五島委員の御発言の通りであろうと思うのでございます。そこで参議院側におきましてもいろいろ検討はいたしたのでございますが、現行法が、六カ月以上外地に生活の本拠を有しておったということ、これを大前提にいしました法律でございますので、いかんせん今回はこの原則をくずし得ませず、現地で生まれまして六カ月未満の嬰児に対しましても措置がとれなかったような経緯でございますので、御了承願いたいと思う次第でございます。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 加藤議員の説明はわかります。この点について政府の方はどのように考えられますか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 厚生省といたしましても、従来引揚者給付金につきましてはいろんな問題点がございまして、特に六カ月の制限撤廃の問題もあったわけでございます。しかし、いろいろ検討いたしましたが、立法の当初からそこに問題があったわけでございまして、生活の本拠を築くのには、通常やっぱり六カ月程度の制限は必要であろうということでございます。  そこで問題は、お話しの赤ん坊についてでございますが、これは五島委員のお話しのように、これだけは特別に扱っていくというような方法も考えられないことはないと考えますが、いろいろ一般のものとの関係もございまして、赤ん坊だけについての除外例を設けることは、厚生省としてはどうも踏み切れなかったというような事情でございます。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 そうすると大体五百億円だったと思うのですが、その時限の年数を今回一年間さらに延長されて、そして先日私が質問したところによると、局長は九八%か九九%か、引き揚げ業務はもうすでに完了したと言われたわけですが、あとにどのくらいの費用がありますか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 この前、委員会で御説明いたしましたが、その後の資料によりますと、引揚者給付金の対象は当初三百三十七万八千人ということが予定されまして、それには大体五百億円の金が要るだろうということで出発したわけでございますが、本年の一月末の数を見てみますと、都道府県におきまして書類を受け付けました数字が三百十六万三千人となっておりまして、人数にいたしまして、大体初めに予定いたしました九五%のものが受け付けられているわけでございます。金額に直しますと、大体四百六十六億二千万円くらいになるわけでございます。しかしそれは一月末でございますので、この五月十六日までになお約三ケ月半というものがございます。この間に受け付けられますものと、それからこの受付が都道府県でございますので、市町村に受け付けたものが都道府県に回ってくる期間がございますので、それらを勘案いたしますと、時効の延長をいたさなくとも大体所定の予定数に近いものが受け付けられるのではないか、かように考えております。いわんや、今度この改正案によりまして一年延長になりますと、ここで当初の五百億がどれだけ余るか、あるいは足りなくなるかということにつきましてはちょっと申し上げかねるわけであります。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 それではもう一点明らかにしておきたいと思うのですが、この改正法による該当人員二万六千人に対するところの費用はどのくらい要るのですか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 約三億八千万円だと考えております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 そうすると、一月末調べであとなお三十四、五億円残る。今日までその後の手続がそこまで到達していないものもまだあるだろうけれども、優にこれをまかなうことができる。それから、これはあとで滝井さんからも質問があると思うのですけれども、さいぜん申しました子供の三万五千人に対しても、大してかからない。そうすると、子供を一個の人間として尊重し、そうして胎児当時からの問題は一つの権利の主体であると考えるのならば、第二条の六カ月以上の本拠を有した者というようなことを改正して、子供も、当時六カ月以上の生活の本拠を有していた人の六カ月以内の出生にかかわる本人、それらは当然この該当者に入れるべきだ、こういうふうに私たちは思うのですけれども、法律が通過したら、もちろん厚生省はその通りに実施されるわけですけれども、そういうところの積極的な意思はありませんか。積極、消極、その点について、さらに聞いておきたいと思うのです。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 私の先ほどの説明が外少誤解を招いては困ると思いますので申し上げますと、最初五百億というように予定いたしましたものが本年の一月末で三十数億円余裕があるということを申し上げましたので、その後の受付が考えられますし、なおこの改正によりまして一年間の延長が行なわれました場合には、あるいは五百億で足らなくなるかもしれませんので、余るというようなことは私の説明が不十分であったと思いますので、その点御了承願います。  それから六カ月の居住制限を撤廃したらどうか、赤ん坊については特にどうかということでございますが、これは先ほど御説明いたしましたように、立法当初からいろいろ問題もありましたし、法案が審議される過程にもいろいろ御意見があったと思いますが、先ほど申し上げましたように、この法律ができ上がりますまでに関係団体等ともいろいろお打ち合わせがあったようでございまして、やはり給付傘は相当長く外地におった人に支給すべきであるという意見が最初非常に強かったそうでございまして、それでは居住制限を三年以上としたらどうかという御意見もあり、それじゃ一年に下げてということから、だんだん六カ月になったように伺っておりまして、関係団体の方もそういうことで発足されておるようでございまして、従いまして、私たちもいろいろ検討はいたしましたが、やはり生活の人縁、地縁、生活の本宿を設けるということになりますと、六カ月ぐらいの期限はやはり必要ではないか。もしこれをまた撤廃いたしますと、いろいろそこらの補償の問題につきましても、行政的なことで事務的な問題で支障も来たしますので、厚生省としましては、この六カ月の線は撤廃したくない、かように考えておる次第であります。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 大体わかりました。私は、さいぜん申しましたように、六カ月以内でも現地で出生した子供は該当すべきである、こういうように思います。しかし、いろいろの事情も説明の中からわかります。ですから、以上で質問を終わります。

大原亨日本社会党

○大原委員 ちょっと関連して……。おそらく、一年間期間を延長する問題の一つの理由であると思うのですが、現在手続中の人ですね、査定を終わっていない人、それから今日まで自分は引揚者である、こういうことで手続をとったが却下された人、こういう数がわかっていたら教えていただきたいのです。というのは、いろいろな手続の上で、引揚者であることが確実であっても、手続をとりましても、机の上で処理されまして却下されたという不満を非常に聞くわけです。そういう意味で、一つその点をお尋ねしたい。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 先ほど申し上げましたように、書類を受け付けておりますものは一月末で九五%になります。そのうちで書類を却下したものということでございますが、これは大体今まで差し戻したものが五千件ぐらいと考えておりますが、なおこの中にも書類の内容等につきまして不備な点等がございまして、必ずしも最後的にまだ不適格ではございませんが、書類の手直しその他をさしておるのがございます。  それから、ついででございますが、この給付金の施行につきまして、いろいろ手続書類が非常にやかましくて、大へん御迷惑をかけるというような声も聞くのであります。当初は相当きびしかったのでございますけれども、その後だんだん改善をいたしまして、証拠書類にしましても、外地にいましたところの居住要件につきましては、郵便貯金とかあるいはその証書とか、あるいは子供の出生の書類とか、そういう書類を必要といたすわけでございます。物的な証拠を必要といたしますが、なおそれが不備な場合におきましては、関係会社の証明あるいは場合によりましては隣に住んでいた人の人的な証言等によりましても採用することにいたしております。

大原亨日本社会党

○大原委員 物的証拠について当初あまりにもきびしかったと思うのですね。しかし引き揚げた際、胡蘆島とかあるいは引き揚げの事務をやっているところに全部かからなかった君もあると思うのでありますが、そういう者には人的な証言があれば出してもいいじゃないですか。五千件もあるということは、そのことがまだ徹底していないのじゃないですか。引揚者でそう虚偽のことを言う人はいないと思う。だから人的な証拠があればこれは出す、こういうこともやはり徹底していただいた方がいいのじゃないかと思うのですが、どうですか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 証拠のことにつきましては、大体原則としては書類でやっておりますが、それがない場合には人的な人証によっても採用することに最近はなっております。  それから、そういう関係で却下する書類等もないわけではないのでありますが、中には、われわれのPR不足の関係もありましょうが、引揚者であればみな支給されるのだというような考えで書類を出される方もございますので、そういうようなPR不足から該当しない人の件数もあると思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 その点につきましては、やはり異議不服申し立ての方法は当然行政措置があるのですから、この一年間に徹底するようにしてもらいたいと思う。私がよく知っている人で、たとえば引き揚げるときにここに何か擁護局か胡蘆島の事務所から引き揚げのマークをつけてもらった、その判こがある腕章を持って、一人の証人をつけて出したところが却下されたという例を聞いておるのです。だから、引き揚げた後にあちらこちらさまよったり、不安定であったり、荷物を整理したりして、なかなかないわけですよ。当然あるべきだというふうに役人は考えても、実際はない場合が多いのです。それで現在もそういう状況にある人なんかなかなか手続に迷うわけです。だから、その点については運営上の注意を十分してもらいたい、こういうことであります。  それから六カ月云々の子供の問題がありますが、これは有権者ではないけれども、加藤さんの方でできるだけ努力してもらいたいと思います。これは赤ん坊で選挙権はないけれども、本人は強く発言はしないけれども、当然やるべきだと思うし、万難を排して将来考えるべきだと思うのです。今いろいろ質疑応答を聞いておりましたが、若干理由はあると思うのです。あると思うが、やはり赤ん坊はより以上の犠牲者ですからね。その点は一つ要望をいたしておきますから、将来とも関係者としてよろしくお願いいたします。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 滝井義高君。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 引揚者給付金等支給法の一部を改正する法律案について、少しくおくれてきましたために、質問が重複するかと思いますが、お聞きしますと、この法律ができてやがて四年間経過するわけですが、その間に五百億のワクの中から四百六十六億のお金が出たという五島君に対する答弁があったわけです。そしてそれが三百十九万三千人程度で九五%程度はすでに支払いが終わっている。今度参議院から回って参りましたこの議員立法によって支出をせられる総経費は三億八千万円ですか。そうですね。そうしますと、五百億のワクがあるのですから、四百六十六億としても、まあ四百七十億程度しか要らないわけです。なおあと三十億余るわけですね。そうしますと、これはワクを作ったのですから、お金をそう余らしてもしようがないことですから、この際さいぜんから問題になっておりました引揚者の子であって、終戦前六カ月以内に外地で止まれた者、これは満州の場合は六カ月未満でも、あれは国策で満州の開拓その他に行っておったというようなこともありまして、六カ月未満でも支給することになっております。原爆なんかは胎児も、原爆の医療の手帳を、当時胎児であった者も多分やっておったと記憶しておるのですね。そうしますと、子供の数が何人おるか知りませんが、聞くところによると三万五千人くらいだということでございましたが、三万五千人全部に差し上げても、一人七千円ですから大した額にならぬわけでしょう。満州が六カ月未満もしておるので、さらにさかのぼって、すべての当時六カ月以内の子供にやるということになると、どういうことになりますか。この法律の施行前にさかのぼって子供全部に適用するとすると、どの程度のお金になるのですか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 六カ月の制限を全部撤廃いたしますと、人数にいたしまして、五万一千人、金額にいたしまして約七億円というふうに計算をいたしております。なお滝井議員のお話の中にございました三十億ぐらい余るのじゃないかということにつきましては、先ほど五島委員の御質問に対しまして、私御説明いたしましたが、これは本年三十六年の一月末の数字でございますので、今後受け付ける数が相当ございますので、いわんや時効が一年延長されておるということでございまして、現在一月末で九五%までいっておるという状況にございますので、最後を締めくくってどれだけ金が余るのか、場合によっては足りなくなるかもしれません。かように考えるわけでございまして、その点私の御説明が足りなかったと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 六カ月の制限を撤廃して、五万一千人。これに六カ月の制限の撤廃をするけれども、生活の本拠を有しておる——生活の本拠というのは、たまたま旅行しておったとか、生活の本拠を有しておったかどうかわからないというような者を差し引いて、生活の本拠を有しておったというふうにワクをかけていくと、五万一千はどういうことになりますか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 ただいま申し上げました五万一千人というのは、ワクをかけまして、旅行者でなくて、生活の本拠を持っておったと考えられる者で、しかも六カ月未満の者という数字でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、五万一千人で、これは赤ちゃんも入っておることになるでしょうが、七億くらいならば、この際、さらにこういう人々からまた引揚者の給付金の問題が起こらないように——自分たちもせっかく生活を移したとたんに終戦になった。これは全く当時の日本政府が負けないのだということを言ったために満州に行った人がずいぶんおるのです。内地におってはあぶない、あるいは南洋あたりへ行っておった方がいいのだということで行っておった人が相当おるわけです。そういう政府の全く誤った見通し、負けているくせに勝った勝ったと大本営発表、政府発表をやっておったので、国民は間違えておったのもおるわけですから、生活の本拠を向こうにかまえて、六カ月未満で七億くらいならば、あとでこの運動がまた巻き起こってくるよりか、この際はっきりした方がいいのじゃないかと思うのです。そういう点がわかればけっこうだと思います。そうしますと、この五万一千人というのは、新しく加わる南洋群島その他政令で定める地域のものも加えてですか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 法改正によります新しい地域のものは加わっておりません。従来のものを計算したものであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうすると、それを加えると、新しい地域にはどの程度のものになってきますか。そうしてその金額はどの程度ですか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 それは計算してございませんが、大した数には上らないと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 概数は。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 ちょっとわかりません。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうすると、これはどうですか、一億かそこらくらいで片づきますか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 とても一億の数はないと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 よくわかりました。そうすると、これは参議院で非常にいい道を開いていただいたので、やはり衆議院も参議院にならって相当善政を施す必要があろうかと思うのです。  次は事務費です。引揚者給付金の事務費が市町村に回る額が非常に少ないのです。そしてしかもこの事務というのは、すでに参議院の提案説明でも御指摘になっているように、いろいろと外地に住んでおった証明や、それから資料その他を集めるのになかなか大へんなんですね。従って、この窓口に当たる市町村の事務も非常に複雑になって参りまして、いろいろとかゆいところに手の届くような世話をしないとだめなのです。従って、多分これは一年に三万か五万の事務費を要します。ところが、実際に十万くらいの市になりますと、三人から五人くらいの職員を置いてやっておる。いわば住民のサービスですから、気の毒な人のお世話ですからかまわぬようなものですけれども、やはりこういうところにもこの事務が非常に急速に——あれだけの要望があったにもかかわらず、なお五%程度残っておる人がおるという、こういう周知徹底の方法においてやはり欠けるところが出てきておるのですが、これは今度一年延ばすことによって、事務的な経費その他の措置はどういうことをおやりになるお考えですか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 事務費につきましては、今度の改正によりますところの事務費は実は要求しておらないわけでございまして、従いまして今までの給付金の支給事務が、三十六年度においても事務費がございますので、時効延長につきましては大体それらのものが受け付けられるような事務費が組んでございますので、それでまかなっていく考えでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 実は市町村の事務費が少ないために、市町村でこれを担当しているところから相当の文句があるわけですよ。最後の五%を、一〇〇%に引き上げていくためには周知徹底して、この恩恵にみんな漏れなく浴していただくためには、やはりこの一年間に相当事務費を出してでも、大車輪にやる必要があるのじゃないかと思うのですが、今試みにどの程度市町村に事務費を出していますか。多分私は十万くらいの市では五万かそこらじゃないかと思うのですがね。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 事務費は三十六年度は千七百万円でございまして、これを対象に按分しまして各府県に配付しまして、府県から市町村の方に配付する、こういうふうになっております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 一人当たりの事務費というものは幾らくらい見ておるのですか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 専務費の積算につきましては、一人当たり幾らというような基礎をとっておりませんで、郵便料あるいは立証の調査費ということで組んでおりますので、ちょっと一人当たり幾らという数字がないのでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 郵便料とか立証の調査費のいわばつまみ金みたいなものをやっておるわけです。こういうところにやはり——初めこの法律を作ったときにも私は指摘したのです。その後一年か二年たってから市町村の実態を見てみましたところ、今私の指摘するようにわずかな金しかいっていない。そしてこの事務が複雑なためにやはり三人、四人、五人置かなければとても処理できなかったのです。そこで市町村は一般会計の方から臨時の職員を置いてやったというのが実態です。今後さらにこういう新しい地域に、この法律を拡大をしていくとすれば、当然そういう点の配慮をぜひやっておいていただきたいと思います。  それから「政令で定める地域ごとに政令で定める日まで引き続き六箇月以上生活の本拠を有していた者」こうなって昭和十八年十月の一日ということは南洋群島または政令で定める地域にははっきりしているのですが、実は「政令で定める地域ごとに政令で定める日」という、ここがはっきりしていないわけです。これはもちろん政令で定める地域というのはフィリピンとか蘭領インドとか豪州とかだそうですが、それぞれそれらの地域における連合国軍隊の進攻の時期あるいはその地域において生活するに非常に不安な状態の惹起をした時期と、いろいろ違うと思うのですが、そういう違うことによってこれはお分けになるのではないかと思うのです。その政令で定める日の一体御決定になる基準というものをどういうようにお考えになっているのか、これだけちょっと明らかにしておいていただけばいいと思いますがね。

加藤武徳自由民主党

○加藤参議院議員 ただいま滝井委員の御質問の点は、先ほど五島委員の御質問に対しましてあらましの答弁をいたしたのでございますが、御指摘のように地域によりまして若干違うのでございまして、六カ月以上引き続いて生活の本拠を有しておったということ、これは絶対要件でございますが、地域によりましていつまでにということで制限を設けておるのであります。その理由は太平洋戦争の勃発であるとかあるいは連合国軍の進攻であるとかいろいろございますが、南洋群島につきましては昭和十八年十月十日までに引き続き六カ月以上生活本拠を有しておったという人、フィリピンにおきましては昭和十八年十二月八日、かように切っておりますし、蘭領インド諸島、英領マレー半島その他の地域におきましては昭和十六年八月の一日まで、かように三つの段階に分けたいと考えまして、この点事務当局とも最終的に打ち合わせを終わった次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 日にちはわかるのですが、その日にちを決定をした基準というものは一体何を基準にしてきめたのかということなのです。これは公平な原則にしておかないと、これはこの日にちのきめ方いかんによっては、この恩典に浴する人と浴さない人が出てくるわけです。アンバランスが出るわけです。私がそれを指摘するのは、さいぜん言ったように六カ月以内に外地で出生した者はだめだ、こういうことになっている。ところが赤ちゃんがおなかに入るのはもう十カ月前に入っているわけですからね。そうするとすでに生活の本拠は胎児になったときにはそこにあったわけですよ。そういう理論的な展開からいけば、六カ月の本拠というものは、母とともに本拠をそこに進めておったという理論からいけば、胎児もまた殺せばこれは殺人になるのですから、そういう点で、この線の引き方によって非常に問題が出てくるのです。だからその線の引き方の原則というものは一体どういうことを——連合国軍が上陸した日にするのか、それとも戦争が始まった十二月八日を全部一切するのか、何か一つの線できちっとしておかぬと、政令でこれは簡単にまかせるわけにはいかぬのじゃないか。それならフィリピン、豪州、旧蘭領束インド諸島、それから委任統治領であった南洋群島というように、やはり一つ一つ条件をきちっと同じような条件で合わせる必要がある。簡単に政令でまかして、あとは予算と見合いながら政令で自由自在に締めたりゆるめたりすることは困る、不公平になるもとだ、こういう感じがするのですが、その点は政府の方は何か合理的な線を——政令で定めるのは政府が定めることになるのですが、その前にちょっと、今のように十二月の八日はよくわかるのですが、蘭領インド、豪州は十六年八月一日というように、十月十日のときもあれば八月一日のときもあるし、十二月八日もあるというようにまちまちになるわけです。それならばいっそのこと十二月の八日なら十二月八日の開戦のときというようにやってちっとも差しつかえないと思うのです。その開戦によって外地はすべて不安の状態がきたわけですから、生活の本拠に相当の不安と動揺があったと思うのです。そうすると、一貫して開戦のときとしておけばいいと思うのです。進行しようとしまいと不安であることは変わりないと思うのです。あとはみな引き揚げてきたのですから。何か政令でゆだねるということでなくて、こういう非常に政治的な立法ですから、むしろここで統一した十二月八日なら八日というように一本にしておった方がいいのじゃないかという感じがするのですが、政府の政令ではどうするのですか。

加藤武徳自由民主党

○加藤参議院議員 ただいま滝井委員の御発言のように、期日を一定いたしまして線を引く考え方もあるかと思うのでございますが、御承知の現行法におきましては、ソ連軍が参戦をいたしました昭和二十年八月大日、それから終戦の昭和二十年八月十五日、この二本の線を引きまして、これまでに引き続き六カ月以上生活本拠を持っておった、かように線を引いておるわけでございまして、ただいまの御発言のような、かりに日本が開戦をいたしました昭和十六年十二月八日ということで一本で線を引きますと、今権利を持っておられまする方々と非常な不公平が予想されるのでございまして、従って三つの段階に分けて線を引かざるを得なかったわけでございます。先ほども申しましたように、南洋群島とフィリピンとその他の地域と、かように三つに分けたわけでございまして、南洋群島におきましては、連合国軍が南洋群島に上陸をいたしまする直前に、政府の命令によって閣議の決定に基づき計画配船をいたしておるのでありまして、その直前の昭和十八年十月十日、この日を押えたわけでございます。また南洋群島が陥落いたしまして、連合軍はフィリピンに上陸をいたしたのでありまして、フィリピンにおきましては南洋群島よりも約二カ月おくらせまして昭和十八年十二月八日、かような線を引いたのであります。なお南洋群島及びフィリピン以外の地域におきましては、主として蘭領インド、マレー半島等におきましては、太平洋戦争に入ります前に日本軍の強制退去の命令が出ておるのでありまして、開戦の数カ月前の昭和十六年八月一日、この期日までに六カ月以上居住しておったということ、かように制限を設けた次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 まあいろいろの線の引き方があると思いますが、せっかく参議院のそういう意思統一ができてやられておるので認めざるを得ないと思いますが、加藤さんにお尋ねしますが、満州は六カ月未満という例外ができているわけです。満州は当時満州国政府ができておりましたけれども、関東軍という日本の軍隊がほとんど名実ともに支配をしておった。南洋群島も日本の委任統治領で日本の領土とほとんど同じであったのですが、そうしますと、これは六カ月未満を入れても五万一千人で、七億ちょっとあればいいわけです。われわれの方に参議院の社会党の方から、これはぜひ入れてもらいたいという要望がきているわけですが、これはどういう経緯で入れることにならなかったのか、満州は六カ月未満になっているが、他も入れると五万一千人くらいになって七億くらいの金になるから大へんだということで泣き寝入りをされたのか、それとも衆議院で一つそこらあたりまでやってくれというような余韻を残されたのか、参議院のそこらの経緯をちょっと御説明を願っておきたいと思います。

加藤武徳自由民主党

○加藤参議院議員 御承知のように現行法は幾つかの基本の原則の上にでき上がっているのでございまして、その原則の一つが六カ月以上生活の本拠を有しておったということになっているのでございますが、この現行法第二条におきましては、閣議の決定に基づいて満州に開拓民として渡りました者は、生活の本拠を有するべく固い決意のもとに渡ったというような経緯等もございまして、六カ月以上という制約に対しまして例外の措置は設けておるのでありますが、建前といたしましては、六カ月以上ということが大原則になっているわけでございまするし、それから年令の制限につきましても、御承知のように二十五才という線で一本棒を引いているわけでございまするし、また所得の制限もありますことは御承知の通りでございまして、年間の納税額八万八千二百円という線を引きまして、これ以上の納税額を持っておった方は除外をいたしておる。かような幾つかの原則の上に現行法ができ上がっているわけでございます。そこで参議院側で発議をいたすにあたりましていろいろ検討をいたしたのでございますが、かような原則の一部をくずすかどうかに論議が集中されたのでございまして、その中の一つに、生活の本拠に関しては、現地で生まれた嬰児につきましては六カ月未満でも加えたらどうか、かような意見も強くあったのでございますけれども、金額の点でいろいろ議論をいたしましたのも、もちろんそうでございましたが、その問題もさることながら、現行法の基本原則をくずすことなくして、施行の一カ年延長と、引き揚げた地域について考慮しよう、かような各党会派の一致した意見でございましたので、さような経緯を一つ御了承願いたい、かように思うわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、われわれが少し原則に異議があるのは、やはり胎児というものが母親のおなかに入ってから原則として生まれるのは十カ月かかるわけですから、これは今までの六カ月以内に外地で出生をしたという、五万一千人の中で、こういう赤ん坊だけに限るとどの程度になりますか、これはわかりませんか。外地で出生した赤ん坊、これだけに限れば、このくらいのことを直すのは、三十億の金が余るわけですから、全部片づくわけでしょう。赤ん坊だけに限る——七億ということになると、参議院が三億なんぼしか一致して修正しなかったものを、またこちらが七億というその上の修正をするということはなかなか問題があるし、六カ月の原則をくずすおそれがあります。しかしお母さんのおなかに入って十カ月かからなければ生まれないわけですから、これは六カ月ということを見れば、前に四カ月は入っているわけですから——赤ちゃんだけの調査は何かありませんか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 終戦前六カ月以内に生まれました子供の数は、推定でございますが、大体三万五千人と踏んでおりまして、これに給付金を支出するといたしますれば、二億四千五百万円要るかと考えます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ありがとうございました。これでけっこうです。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 本島百合子君。

本島百合子民主社会党

○本島委員 ただいま適用される基準ということを申されましたが、この基準の中に入っていない方のことでちょっとお尋ねいたしたいと思います。  それは、アメリカにおった人々、特にカナダ、ハワイその他のアメリカ大陸にいた人々が当時強制的に帰されておるという事実があるわけです。その人々は本法の適用を受けていないと思うのですが、これはどういうわけで受けていないのでしょうか。

加藤武徳自由民主党

○加藤参議院議員 ただいまアメリカ、カナダとかおっしゃいましたが、カナダは本法の適用を受けておるのでございまして、本法の適用外の地域はアメリカ、イギリス、インドでございます。そこでかような地域におきましては、終戦後現地にとどまるか日本に引き揚げるかの選択権を与えられておるわけでございます。従ってそのような居住の自由を持っておりましたので、かような地域から引き揚げた方々に対しましては引揚者給付金を支給する必要はないであろう、かような四年前の立法の趣旨であったと考えるわけでございます。従って今回の改正にあたりましても、この法律の基本の原則をくずさないという建前から、さっきあげましたような地域から引き揚げた方には給付金を支給しない、かように現行法の原則を貫いておる次第でございます。

本島百合子民主社会党

○本島委員 そこで、当時こういう方面から帰られたという人はどのくらいあるかという調査はございましょうか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 人数につきましては、ただいま十分な資料を持っておりませんので正確ではございませんが、アメリカには大体十二、三万の日本人がおりまして、そのうち二、三割の方がこちらに引き揚げられたというように考えられます。それからカナダにつきましては、当時の居住者が一万人以下でございまして、そのうちから数千人の方がこちらへ帰られたのではないか、かように考えられます。

本島百合子民主社会党

○本島委員 こういう人々は居住の自由の意思による、こういうようなことであったもので適用さしてない、こうただいま言われたのですが、現実には、現在残っておる人々は生活の根拠はそのままで、相当の生活を営める。ところが聞くところによれば、相当強制的に帰されておるというようないきさつもある。大した人数でもない様子であるから、こういう人を何とか適用してほしいという陳情もあるわけですが、これは今の場合においては全然問題にしない、こういうお考えでいられるのかどうか。

加藤武徳自由民主党

○加藤参議院議員 先ほど申しました居住選択の自由は終戦後のことでございまして、今回の改正によりまして、終戦前に引き揚げた方々につきましては、この原則は適用されてなかったのでございます。従ってたとえばインドの場合を例にとって考えてみますと、ビルマなりあるいはタイ等から引き揚げてこられた方々と状況においては全く同様だ、かように考えざるを得ないのでありまして、かような方々に対しましては本法の適用をすべきであろうと理論的には考えるのでございますが、しかし先ほど来申しておりますような現行法の基本の原則をくずさない、かような建前上やむを得なかった次第でございます。

本島百合子民主社会党

○本島委員 先ほどからの各委員の御質問を聞いておりましたが、この適用を受ける着が大体九五%程度までいっておる、そうすると残された者が五%ということになれば、またここで延期をするということになりますが、結局は周知徹底さが足りない、そういう点でだんだんと残されていくんじゃないか。実は私のうちにけさ飛び込んできた人が、延期になるということを聞いたがということで飛び込んでこられたわけですが、そういう人の事情を聞いてみても、転々として歩いているというような形から残されていったんじゃないかと思うわけであります。そこでこういう点についての施策をどのようにお考えになって——せっかくのこの延期法でありますだけに、われわれはまた全部の人に、その若しさを考えた場合には当然受けさしてやりたいという気持を持っておるわけですが、そういう点については特段の考慮をお払いになるわけでしょうが、何かそういう施策についてございましょうか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 給付金のPRにつきましては、今までもいろいろな手を用いてやっておるわけでございますが、実は厚生省といたしましては、時効の一年延長を考えておらなかったわけでございます。従いましてこの五月十六日で一応この事務は終わるという前提に立っておりましたので、従いましてあとのまだ受け付けていない人に対しては、受け付け漏れ、申告漏れのないようにしなければならないということで、全国課長会議におきましてもいろいろ周知徹底方についてお打ち合わせをいたしまして、もし時効があと一年延長にならなくても落ちこぼれのないようにということで努力してきたわけでございますが、なお今後一年時効が延長になりますので相当余裕ができましたけれども、なおPRについては十分徹底したいと考えております。

本島百合子民主社会党

○本島委員 その点でございますが、ただ役所筋を通じてのポスター程度のものがやられておったわけですね、あるいは引揚者団体というような人々が努力をされてきた、こういうような状態であるのですが、この際思い切って新聞とかラジオとかそういうものを通じてでもしていただけないか、そうすれば万全を期したことになるのではないか、こういう意見も出ておりますが、そういう点はどうでございましょうか。

畠中順一厚生事務官(引揚援護局長)

○畠中政府委員 先ほど申し上げましたように五月十六日に切れるという前提でございましたので、いろいろ県とも打ち合わせまして、従来もラジオとかあるいは新聞等も利用しておりましたが、今後その方面につきましてはなお一そうそういうものを活用してPRに努める考えでおります。

本島百合子民主社会党

○本島委員 そういう点を要望いたしまして、私の質問はこれで終わらせていただきます。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 速記を始めて下さい。  滝井義高君。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 引揚者給付金等支給法の一部を改正する法律の中で、今回参議院の皆さんの非常な御努力で、南洋群島を初めとする引揚者に引揚者給付金の支給ができる法律案ができたわけですが、その場合に引揚者の子であって、終戦前六カ月以内に外地で出生をして終戦後本邦に引き揚げてきた者については適用がないわけです。これはたとえば外地に長期の出張をせよと命ぜられてぽんと外地に行って三カ月おったら終戦になって帰ってきたというような者とは違うわけです。すでに母親の胎内に十カ月あって、そうして生まれて七カ月の人はもらうのですが、ところが今度六カ月ならだめになる、こういう状態があるわけです。これは普通の内地から外地に行ったという者と違って、すでに現実に外地で母親とともにおなかの中で十カ月暮らして生まれた者なんですから、他の者と違う。また他の者にこれが例外として出てくることはないと思う。従って、この法律が五月十六日に期限が切れるわけですから、ここで与党さんの方に懇請をして、実は立ちどころに修正をしていただきたいところですが、立法技術上の問題もあるし、いろいろ問題があると思います。  そこで、政府は現在五百億の大まかなワクの中で、今度の南洋群島その他を入れてもなお三十億程度の金が余るわけです。しかし、これは今後の政府の努力によってあるいは三十億全部使ってなお五百億のワクを突破するという状態になるかもしれません。そういうような場合は、これは一応われわれが四年前にこの法律を作るというときには、政府はここで五百億くらいだというワクを答弁しておりますから、それを四年前にさかのぼってワクを広げるということは申しません。しかし、五百億のワクに余裕ができれば、特にこの六カ月以内に外地で出ました者についても、ただ南洋群島その他ばかりでなくて、満州、シベリア等についてもこれを適用していただく。さいぜん引揚援護局長の御答弁によれば、その数は三万五千人程度で、額としては二億四千五百万円程度しかかからない、こうおっしゃっておる。二億四千五百万円程度を限度として、余裕ができた場合に政府はぜひ一つ善処してもらいたい、こう思うわけですが、これはおそらく参議院の方もそれを希望して折衝したけれども目的を達成しなかった。われわれ衆議院の方で参議院の意のあるところをひそかに憶測して政府に要望したい。政府の見解を表明願いたいと思います。

安藤覺自由民主党厚生政務次官

○安藤(覺)政府委員 お答えいたします。  ただいまの滝井委員の御主張、まことにごもっともな点がございます。もし手続を進めて参りました暁におきまして、さような場合におきましては、政府といたしましても誠意を持って善処していきたいと存じております。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 これにて本案についての質疑は終局いたしました。     —————————————

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 引き続き本案を討論に付するのでありますが、申し出もございませんので、直ちに採決いたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  これより本案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なお本案に関する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  瞬時休憩いたします。    午後零時九分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕

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