P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
38回国会衆議院1961/05/10

社会労働委員会 第30号

発言数
168
登壇者
12
会派数
3
開催日
1961/05/10

会議録

大石武一自由民主党

○大石委員長代理 これより会議を開きます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 議事進行について……。国会対策委員長会談を重ねて、ようやくきのう約二週間にわたる国会の紛争——その紛争も、われわれの側から言わしむれば、農業基本法という当然農民の生活を守る基本法たるべきもの、それの慎重なる審議に応じない、そういうようなことから勃発をいたしまして、この重要法案審議の重大なる時期を約二週間有余、社会労働委員会にいわせればそのほかいわゆる国保の補助金の問題も含めて三週間有余、われわれは審議をストップしてきたのであります。それが国会対策委員長会談に基づいてようやく糸がほぐれて、そしてきのうはわが社会労働委員会においても理事会を開いて、一つ明日から審議の促進をやろうという話し合いをいたしました。あなた方与党の方でも自分たちの至らないところは反省をし、定員に満たないところは定員をそろえて、そして一つ慎重なる審議の態勢を作り上げる。われわれの方も話すべきものは話し、言うべきことは言うて、なるべく共通の話し合いの場を持ちながら、この終末期の国会のみごとな仕上げをやろうではないか、こういう申し合わせをしてわれわれは理事会を終わった。しかも、その終わるときの理事会の内容は、山本委員長はきょう十日は何か急用があるから一日欠席することを一つ了承願いたい。よろしい、明日は一体どうするか、明日は理事会を省いて、そのかわり正午前十時から開会をするようにしよう。そのときに私は十時半ということを申し上げた。十時半から一つ委員会を開こうと言ったときに、与党の諸君は何と言った。十時半ではおそ過ぎるから正十時に委員会を開会しようということで巻き返して、私の主張を押えて十時から開会をするという約束をされて、きのうの理事会は散会をいたしている。しかるに一体きょうの状況は何であるか。私は九時半から国会の自分の控室に入って、正十時からの約束でありますから、十時になったら委員会の招集のマイクの放送があるだろうと待っておったが、ほかの委員会の放送はありますけれども、社会労働委員会の放送はついにない、ないじゃありませんか。きのうあれほどいわゆる国会の理事会を再開して軌道に乗せてやろうという申し合わせをして、そして時間もきめておいた。単なる申し合わせではない。私の十時半という申し出を特に切って、与党の諸君が十時という修正意見を出して、この問題だけでも二、三のやりとりをしてきちっときめた。そのかたい約束がその翌日における再開第一回目の委員会においてすでにそれが実行されないような、そういう委員会のやり方であり、理事会の申し合わせであるならば、われわれは何を話し合ってもむだであります。これは話をもとに戻してもむだでありますから、一体そういうような理事会の申し合わせというものは、常に翌日第一日目の委員会において簡単に約束を破られて支障ないものかどうか、破っても支障ないものとおっしゃるならば、われわれも態度を改めて今後ともそのような行動に移さなければならぬと思うのでありまして、一体理事会の申し合わせというものはかくのごとく軽易に扱ってよろしいものであるかどうか、いま一回一つ直ちにこれから理事会を開いて、この問題の理事会の申し合わせの価値というものはどれほどまで重要なものか重要でないものか、そういう点を含めて私は理事会で御審議をいただきたい。理事会を開いていただかなければ、私は残念ながらこの委員会を開催することに応ずるわけにいきません。どうかさっそく理事会を開いていただきたいと思います。

大石武一自由民主党

○大石委員長代理 今の小林委員の御発言ごもっともであります。これは全く委員長の不徳のいたすところで、このような遅延をしたことを心よりおわび申し上げます。言いわけは申し上げない。確かに私が悪いのであります。(小林(進)委員「理事会を開いて下さい」と呼ぶ)私個人の失策でありますから、ほかの諸君の責任でありませんから……。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 理事会の申し合わせですから、理事会を開いて下さい。私はわが党を代表している理事なんですから、理事会を開いてくれなければ委員会には応じられません。

大石武一自由民主党

○大石委員長代理 わかりました。  それでは委員会を暫時休憩いたしまして、これから理事会を開きます。    午前十時五十二分休憩      ————◇—————    午前十一時三分開議

大石武一自由民主党

○大石委員長代理 これより委員会を再開いたします。  参議院提出の引揚者給付金等支給法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。

大石武一自由民主党

○大石委員長代理 まず発議者より提案理由の説明を聴取いたします。参議院議員高野一夫君。

高野一夫自由民主党

○高野参議院議員 ただいま議題となりました引揚者給付金等支給法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。  昭和三十二年に成立いたしました引揚者給付金等支給法は大略過般の大戦の終結により外地から引き揚げてきた者及び本邦に引き揚げることを余儀なくされるに至った後外地において死亡した者の遺族について、所定の要件に該当する場合にそれぞれ引揚者給付金または遺族給付金を支給することとし、これらの者の生活の再建に資することといたしたものであります。  しかして、本法成立の際参議院において、第一に、終戦日以前に引き揚げてきた者であっても、その実情が同様の状態にあったものに対して適正なる措置を講ずべきこと、第二に、終戦前閣議決定に基づいて強制的に引き揚げを命ぜられたような立場にある者に対しても本法が適用されるよう十分考慮すべきこと、以上の二点からなる附帯決議がなされたのでありますが、これは本法成立の当時より、今次の戦争に関連する緊迫した事態に基づく日本国政府の要請または連合国の官憲の命令により生活の本拠を有していた旧委任統治領であった南洋群島から引き揚げてきた者及びこれと同様の事情にあると認められる者または南洋群島から引き揚げてくる途中において死亡した者の遺族及びこれと同様の事情により死亡した者の遺族につきましては、それらの者が内地において生活再建をはかるに際し経験しました困難は、すでに本法により引揚者給付金または遺族給付金を受けることができることとされている者のそれと全く同様なものであり、従ってこれらの者に対しても本法による引揚者給付金または遺族給付金を支給できる道を開くことが至当である旨の要望ないし意見が関係各方面においてきわめて強いものがあったと申すことができるのでありまして、かつ、これらの要望ないし意見は全く妥当なものと考えられるのであります。また、これらの給付金を受ける権利の消滅時効につきましては、昨年の一部改正により従来の三年を四年に改めたのでありますが、これらの給付金を請求するための在外期間の立証等の書類や資料の収集等の理由により、時効の期間満了までに請求手続をなし得ないものがなお若干あると認められるのであります。従いまして、以上の附帯決議及び関係各方面の要望ないし意見の趣旨にのっとって引揚者給付金の支給対象を南洋群島その他これと同様な事情にある地域から引き揚げた者にまで拡大するとともに、遺族給付金の支給対象をこれらの引揚者の遺族及びこれらの地域にあった者で同様の事情により本邦に引き揚げることを余儀なくされるに至った後引き続き外地にあって昭和二十年八月十四日以前に死亡した者の遺族にまで拡大するとともに消滅時効をさらに一年延長することとし、本法案を提出いたした次第であります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに可決していただきますようお願いする次第であります。

大石武一自由民主党

○大石委員長代理 本法案の質疑につきましては、明日あらためて行なうことといたします。      ————◇—————

大石武一自由民主党

○大石委員長代理 結核予防法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を許します。滝井義高君。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 結核予防法の一部を改正する法律案について概要を先にお尋ねをして、そのあとに逐条的な二、三の重要問題をお尋ねしたいと思うのです。  まず第一にお尋ねしたいのは、厚生省から出ておりますこの資料にもありますように、結核の死亡の数が昭和三十四年には三万二千九百十四人、人口十万に対比三五・四程度に減少してきておる。しかもその死亡順位は三十三年が六位、三十四年が七位とだんだん下がってきたのですが、こういうように結核の死亡の順位が急激に下がりつつあるというのは、これは一体どういうところにこういう状態が出てきたと政府はお考えになっておるのですか。これを日本の結核対策の勝利と見るのか、それとも何か日本人の栄養その他が自然によくなって、結核に対する抵抗力が強くなったためにこういう状態が出てきたと見るのか、この両方相待ってこういうことになったということも言えるかと思いますが、今後における日本の結核対策を立てる上に、ここらあたりの明確な因果関係というものをやはりはっきりさしておくことが必要じゃないかと思うのです。それを一体厚生省当局はどう見ておるのか、これを御説明願いたいと思います。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 ただいまの結核死亡率が相当なスピードで低下しておる原因でございますが、ただいまの御意見の中のやはりこれは今までのところは両方の理由が奏功しておる、こう見ております。と申しますのが、一つは対策の中での化学療法あるいは手術療法等によりまして、従来でございますと一定の進行を見たものは古くからの大気、安静、栄養というだけの一般療法ではなかなかそれ以上積極的に食いとめられない、死の転帰をとるというのが従来の例でございましたが、これが食いとめられるようになりまして、進行をとめるのみならず、相当のものを治癒に向かわせることができるようになった。しかもその普及度が患者数に対しまして逐次拡大されておりますので、これが最も有力な死亡率そのものの低下の最大の要因、こう存じておりますが、もう一つの問題として栄養状況その他の生活環境状況も非常に影響しておる。こう思われますのが、最近やはり低所得で、いわゆる国民の平均の水準から見ますと栄養も不十分である、生活条件も悪いという者の死亡率の低下率が非常に遅々としておりまして、これらの条件がそろっておる対象は、やはりこの平均の低下率以上のスピードで早くいい方に向かっておる、こういうような点から見ますと、やはりこれらの方も相当な影響がある。従って現在までの実績から推定しては、ここ当分は両者ともにやはりこの結核対策には必要であって、一方のみが最大の要因であるからそれだけに力を入れたということでは、日本全体の今後の一そうの結核の低下対策にはやはり不十分である、こういうふうに見ているわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、化学療法の普及なり生活環境の改善という、これが両々相待って結核の死亡が減少した、こうおっしゃるのですが、そうしますとなかなかなぞが解けない部面が出てくるのです。と申しますのは、昭和三十三年の結核実態調査の実績と昭和二十八年の結核実態調査の実績を比較して、あなた方の統計で見ますと、要指導の総数が三十三年は四百五十一万、二十八年は五百五十三万、これは減少しております。しかし要医療は三十三年三百四万、二十八年二百九十二万と、要医療の者は増加しているのですね。そうして、しかも若年層はなるほどBCGその他の普及で結核の減少はあったが、高年令層は増加をしてきているわけです。そうすると、要医療が増加をして、高年令層に結核の対象者が増加をして、しかし一方結核自体は軽症化をしている。昔みたいにごろごろいうような空洞の大きな開放性の結核患者が今の若い層から現われるということは少ないわけです。軽症化しているわけです。こういうなぞがそうすると解けなくなるのですよ。要医療の者が増加をしている。なるほど軽症化している。とにかく結核であるということは間違いない人は増加をしているということになりますと、これは環境とか化学療法だけでなく、何かがこれはひそんでおるのじゃないかという感じがするのですが、ここらの要医療がむしろ増加をしているという、これに対する回答はどういう工合にしますか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 御指摘のように、この要医療の中の重症者、すなわち要入院は百三十数万から八十六万というふうに非常に減りましたので、これを含めた要医療の総数が三百万前後で変わらないとすると御指摘の通りでございまして、要入院を除いた要医療という比較的中等より軽い方の面は確かに増加している、こういうことは言えると思います。ただこれは二十八年の実態調査の発表にもございますが、実は二十八年当時と三十四年の当時との要医療の当時における対象の取り方が若干進歩したわけでございます。従いまして、二十八年当時はこの程度の病状については医療の対象にならない、せいぜい観察するんだ、こういう方に入ったグループが多うございまして、これで要指導が非常に多かったのでございますが、これが三十三年になりますと、その後の結核医療の経験によりまして、この程度のものまでやはり医療を継続しなければいかぬ、ないしは早く事前に開始しなければいかぬ、こういうふうな治験が変わって参ったものでありますから、その方に転換繰り入れられたものが非常に多いということでございまして、それが要指導が非常に減って、中等、軽症の要医療がむしろふえたという一つの大きな要因をなしております。これら両者を合体いたしますと総数において減少しておる、こういうことになるわけでございます。しかしそれだけではなくて、御指摘のように、あくまで高年令層の方では死亡率も減り方が少ない、それから罹病率もごく一部、すなわち七十才程度になりますと前よりもふえておるという部面が現われておりますが、これはやはり私どもの分析では古い結核患者が非常に多い。この部分は、前は死亡ということによりまして、この中の罹病者の数がこの世の中からなくなったという形で、病気それ自体の減少でなくて、生命を断つことによって解決したのが、化学療法で持ちこたえはするが、なおりもしないというような長期療養の者がここへ蓄積をしてきた。しかも五年間で御承知のように年々一年近くの寿命が延びておりますので、従って高年令層の蓄積の仕方は、これは人口の増加も加わりまして一そうふえておるという形でございまして、しかもこの高年令層の長期の者には一そうその生活環境のいろいろの条件というもので、悪条件がありますと、それが家族も持ち、家庭の中の家族の一員としてこれは悪い条件で集積しておる、こういうことでございますので、従いまして、結果からいいますと、こういう連中にふえておりますものは、かねてからのBCGの予防接種等の効果も少しも恩恵にあずかっておらない。発病は終戦直後ぐらいまでの非常に悪条件のときに悪い条件で発病して、それがずっと続いておって、その後化学療法等によりまして生命の延長という恩恵を受けた、これが逆にここに蓄積しておる、こういうふうに見ておるわけであります。従って、先ほど御指摘の、一部は近代の対策の恩恵を受けたけれども、もう一つの問題である栄養その他の生活条件の方の悪影響が比較的続いておる階層であるというようなことで、非常に的確な分析の御返答にはなりませんでしたが、やはりそういうふうな諸要件が重なって中年層以上が割合と結核対策の中では悪い条件で残っておるのではないか、こう見ておるわけでございます。それ以上に、なお現在社会条件と結核の罹病率等の検討をいたしておりまして、一部はこれは中間のものがまとまったのでございますが、やはり今言ったようなものがそれぞれの事項につきましてある程度うかがえるような結果が出ておるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 大体御説明で、結核の死亡は急速に減少しておる、しかし同時に罹病者が軽症化する傾向がある。それからだんだん結核患者というものが高年令層によけいに出てきている。それは若い時代にかかった結核が、生命の延長その他で商年令層に蓄積の傾向がある。しかもその高年全層で特に結核が多いという層は、主として所得の低いところ、あるいはこれは若年層でも所得の低いところなんです。厚生行政の基礎調査を見てみますと、二万円以上の世帯では有病率の減少というものは実に顕著です。ところが一万円以下の世帯では有病率の改善がほとんど見られない。従って結核というものは日本では昔ながら低所得階層に集中をしている、こういうことが今の結論の中から出てくるのです。そうしますと、こういう非常な矛盾とアンバランスを含んだ結核患者の発病の状態を見ますと、こういう中で、予防から治療、後保護までの具体的な対策を厚生省はおやりになろうとするわけですが、今度出てきた、こういう命令入所その他だけではどうにもならぬと思うのです。こんなものは九牛の一毛で、結核対策の大宗、いわゆる本流としてわれわれは見ることはできないと思うのです。こういうような大きな情勢の変化が、結核という国民病あるいは社会的疾患の中に起こってきたというこの現実に立って、厚生省としてはもっと具体的な大胆な政策を打ち出さなければならぬと思うのですが、それが依然として結核予防法の、世帯主に対する七割給付、命令入所、従業禁止というようなことだけでは、私は解決できないのじゃないかと思うのです。これを一体古井さんとしてはどうやって今のような非常に矛盾した状態のある結核を今後撲滅するための対策をお立てになるのか、これを一つ少しく体系的に総合的に御説明を願いたいと思います。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 先に私からお答えさしていただいて、そして総括的に大臣が説明されるということでございますので、御了承願います。  御意見の通りに、今度の予防法の改正をお願いしていることによりまして、全体の結核対策がこれで十分だということでは全然ないつもりでございます。ただ先ほどから申しましたような今盲点の一つになっている部面をとりあえず相当大々的にやるということでございます。従って一挙に何もかもやるということも必要かとも思いますけれども、ただこれはいろいろな能力の問題もございましょうし、その他の事情から、直ちに効果が上がるという点の一番右翼とわれわれが考えておるもの、いわゆる大きな盲点になっているもの、それをことし手をつけた、こういうことでございます。従ってこれは当然ことし半年で開始いたしますけれども、来年は通年でこの倍の分量は当然また対象を拡げることもできる、こういうふうな拡大の改正でもございます。その他のたとえば健康診断等のいわゆる予防措置の徹底、これも現実には取り上げてやっておりますが、御承知のように全国民が受けておるわけではなくて、従って受けない側にある程度まだ残っておる、本人も自覚しないというものもあるわけでございますので、それもことしまた拡大の努力をするようにいろいろな施策を講じておりますが、もちろん将来一そう強化する、これも必要でございまするし、それからさらに今度の命令入所、それから一方保険局で改正をお願いしております世帯主の七割給付、これと類似のいろいろな結核医療保障、これもまだこれで全部を尽くしたわけではないのでありまして、これの方の強化拡大ももちろん将来当然要るわけでございます。それからさらに治療が終わりましてから、あるいは治療とともにやりますアフター・ケアとかあるいはリハビリテーションを適切にやりませんと、せっかく金もかけ本人も長期の苦労をしてある程度までいきながら生活の悪条件のためにまたもとに戻ってしまう、こういうものが従来の実績でも相当な高率あるわけでございますから、それらの方も当然これはやるべきだということで、この予防、医療、後保護、これはやはり将来は一そう並行してそれぞれ強化する、これは結核対策の方針として当然考えるべきである、こう思っておるわけでございます。ただいまのようにいろいろな事情から、やはり順序を若干立てまして計画的に努力している、こういうことで御了承をお願いしたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 予防と治療と後保護に力を入れられることはけっこうですが、私は非常に大きな点が抜けていると思うのです。それはなるほど作文としては予防ということで、あなた方が三十四年から二百十六の保健所の管轄地区ごとに結核対策の推進地区をお作りになった。そうして健康診断と予防接種の徹底、一般住民に対する検診の強化、それから患者管理の徹底による完全受療、完全治癒の促進、濃厚感染源の一掃、国の助成の強化、こういうことを三十四年に政策としてお立てになり、三十五年には四百二十六地区に拡大をし、ことしはさらに命令入所、国民健康保険における精神病、結核の七割世帯主給付というふうに拡大をしておられるわけです。その一連の政策で、まず第一に予防の面の保健所というのが、その機能を発揮する状態にないわけです。結核検診が一番普及徹底しているのは学童だけなんです。一般住民は徹底していない。一般住民の結核の健康診断、予防接種は二割一分です。学童は八割ぐらいいっていますけれども、一般は二割一分です。学童は家庭内部からの、老人結核から学童に感染をするか、あるいは学校の教師自体が開放性の結核でない限りは、そう感染はないわけです。大都会はそうでもないかもしれませんが、大体機会が少ないわけです。そこらあたりを押えればいいのですが、最近はそういうものがあったにしてもBCGとツベルクリンの反応検査で相当防いでいけるわけです。そうすると問題は一般住民その他を対象とする保健所の活動がどうかということ、これはきょうの朝日新聞かなんかにも出ておる通り、とにかく技術者が七割いないのです。東北にいったら二割七、八分の充足率です。給料の条件が悪いために医者が集まらない。衛生技術者になる希望者がいない。医科大学卒業者で衛生技術者の希望者が一つの学校に一人か二人おるかいないかという状態です。だからまず予防という面にぽかっと大きな穴があいてしまっておる。それから今度は治療の面になりますと、これがまた一つの大きな隘路になっておる。というのは、あなた方は結核の問題を結核予防法で解決しようとしていらっしゃる。ところが結核予防法というのは、読んで字のごとく予防なんです。ところがそれに今度は治療面が加わってきておる。この治療法を私はこのまま置いておる限りにおいてはだめだという意見です。この治療をこの際——もうパスだってマイシンだって安いです。パスのごときは一日分十グラムやったところで、普通のお薬代と同じ程度でしょう。一日二・九かそこらでしょう。普通だったら二・八くらいですから、同じですよ。だから私が調べたところでは、今医者は結核患者が来たら、パスを普通の病気としてやっていますよ。そんなものを結核予防法でレントゲンをとったり、あの結核審査協議会なんかに一々かけてやるんでは大へんだというので、みんな普通の投薬でやっていますよ。熱心な医者は、そんなものを出すのはばかばかしい、戸籍謄本まで持ってきて、そうして結核予防法の申請なんかするのはばかくさい、だから平病でやってしまう、こういう状態が出てきているのです。ハスもマイシンも、今ではもはや特殊な薬ではないんです。みんな薬店から、ヒドラジドその他の錠剤を買って、大衆はみんな飲んでいますよ。だから、そういうものを特殊なものとして、何か神がかり的なものとして奉って、結核予防法のワクの中に閉じ込めておくことが問題なんです。こんなものは健康保険へ開放してしまったらいい。もうマイシンの注射だって安くなったんですから、これは神経痛のイルガピリンみたいなもの、あの方が高いくらいですよ。だから、こんなものは全部健康保険や国民健康保険でおやりになったらいい。そうしてそういう結核に払った医療費だけは基金に国からお支払いになったらいい。それを一々あのめんどうくさい手続をやらせるところに一つの隘路があるんです。だから、これは事務の簡素化の一つの大きな前進にもなる。あんなめんどうくさい——私は実は代議士になった一つの目的は、ああいう医療の事務を簡素化するために私は代議士になったのだということをよく天下に公言していますが、ああいうことをやらせることが日本の医療を、こういうようにして医者の心を曲がらした一つの原因ですよ。武見医師会長から算術なんて言われるのは、結局そのためですよ。医者と患者との間に第三者が入ったんだから、この三者だから、これは仁術が算術になったと言われるのはそのためです。こういう事務的なことを医者にやらせているから、事務の勉強によけいに重点がかかって、ほんとうの医学の勉強を怠るという結果が出てくる。そういう制度にしちゃった。だから私はこの際、まあ保険でやるということになれば保険局になって、あなたの方の権限がそれだけ縮小するかもしれぬけれども、やはり日本の結核を撲滅する意味で、尾村さんのところも大乗的な見地にお立ちになって、これをさっとやるべきだと私は思うのです。これを健康保険、国保で普通の医薬と同じ取り扱いをおやりになると、結核はぐっとなくなりますよ。軽いうちにみんなパス、マイシンをやっちゃうんです。やったところで額はかさまないんです。それから日本の製薬企業だって、パスはたくさんできて困るくらいできるんです。一グラムが一円以下でできるんですよ。だから、こんなものは安くして、そうして結核の予防にも飲ましたらいい。坂田さんが厚生大臣のときに、学童に予防的にこれを飲ませるという約束をしたんです、ところが、その後それがどうなったのか何も音さたがないんですが、これがどうなったか尾村さんにも聞かなければいかぬ。そういうように、こういう薬を予防面にも使うし、それから治療面にも普通薬として用いていくという方向に、この際踏み切るべきだというのが私の意見です。そうしますと、治療面というものはぐんと進むのです。後保護の問題は、予防と治療が徹底をしてきますと、後保護は、今の中高年層以上の結核患者の対策になるから、非常に限局されたことになる。それと、再発防止の対策というものは、これは予防面から取り得るわけです。それともう一つは、今厚生省と医師会はけんかばかりしていますけれども、この結核対策に医師会を動員するということです。これはもう私は何回もここで言ったんです。そうしてお医者さんに月に一万円ぐらいやってもいいじゃないか。それをおやりになって、保健所は閑古鳥が鳴いているんですから、保健医は開放性結核患者のおる家を回るだけの人員がないんだから、開業医を動員をして、そうして少ない保健医とその開業医をタイ・アップさせながらやったら、これはわけはないのですよ。どうしてこんなやさしい政策を今まで歴代の厚生大臣が——もう私が何回言ったかしらぬが、なるほどその意見はよろしいとおっしゃるのだが、一向に実行しない。こういう点から、いわゆる予防医学の方向に日本の開業医なり公的医療機関を誘導してくる、こういう政策をおとりになったら、結核なんか撲滅するのはわけないです。それをやらないところに問題があるのです。これは今のあなた方のやられるようなこういう予防法のチャチな改正なんかじゃ、百年待っても結核はなくならないですよ。そういう点を思い切ってどうですか、私は今三つの点を——今の保健所は閑古鳥が鳴いておるんだから、ここに開業医か公的医療機関の医師をできるだけ動員して、そうして月一万円くらいの手当をお出しになったらいい。これはやらしたところで安いものだ。それから、パス、マイシン等の抗生物質を普通薬と同じように取り扱う。それから、学童の陽転者にはすみやかに予防的に飲ませていく。これは実験してみるということを坂田さんが約束した。そういうような方向でもってどうしていけないのかということなんですがね。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 ただいまの結核の、今後の対策の方針は先ほど御説明いたしました通りでございますが、これを実際に身を入れて成績を上げるというには、確かに御指摘のような具体的なことが裏づけがございませんと、その方向が充実しないということで、そのうちの第一点である保健所の機能の充実でございますが、これは確かにもう長年——わずかずつは保健所の医療職員はむしろふえておるのであります。さよう新聞にございましたように、一時はやはり減ったということもございますが、全般的には少しずつは充実しておる。従いまして、この三十六年度も二百七十名の増加をいたして予算もお願いしたわけでございますが、しかしそれではとてもまだまだ足らない、こういうことでございますので、これと関連しての御指摘でございましたその他の保健所以外の医療機関とタイ・アップしてこういうような医療政策をやる、あるいは予防政策をやる、これはもう現在それに乗っておりまして、実際にその方がよい。保健所はあくまでそういうような世話役であり、計画、立案あるいは費用のお世話をするということを第一の目標にして——もちろん保健所でないとそのごく近間、保健所の方が便利なところもございましょうし、それから保健所が横切りにしてその機械、たとえばレントゲン自動車その他もございますが、それらの運転を担当する。ただしその実際の医療従業員はまた、これは医師会の会員なりあるいは地元の指定医療機関の専門家なりに提供していただく。こういうような形が一番適切だと思いまして、そういうような方向でことしもいわゆる非常勤的な嘱託の雇い上げ料というものを非常に増額いたしまして、それから健康診断の経費につきましても、いわゆる委託経費というものを非常にこのパーセンテージをふやして、しかもその単価は賛同が得られるように、別な保健所経費の方の補助が三分の一いっている場合と、それからそういうものと無関係で御委託する場合とでは、当然単価が若干差がある、こういうことでございますので、たとえばその点も差をつけまして、相当量を今度増加したわけであります。従来そういうことを明確にしておらなかった間接撮影を中心とする一般健康診断では、一五%、五千万人の一五%といたしますれば相当な数になります。これは民間のその他の医療機関に委託検診をしていただく。それから、精密検診については、二五%をそういうような指定医療機関等に依頼する、こういうことをはっきりと積算上も明記いたしましてやったわけでございます。これをどしどしとなるべく拡大していく、これはもう必要なことでございます。非常に御指摘の通りで、われわれもその方針で今後やっていきたい、こう思っております。  それから、第二点の三十四条、今度改正いたしませんでしたが、三十四条のいわゆる結核の適正医療普及のために従来やって参りましたパス、マイシンあるいは手術、それから手術前後の入院、こういうものに対する公費負担でございますが、これは、確かに従来は適正医療の普及ということで、審査協議会を通しまして、できるだけ日本全国の関係の指定医療機関に、同じような最低必要な結核医療方法の普及ということで価値もあり、さらにこれによりまして、今までなかなか健康診断の結果ではつかみにくかった患者のいわゆる管理ができる、登録されますので、これをもとにしてかなり広く管理ができる。この二つの大きな目的を果たしてきたわけでございますが、御指摘のように確かに費用的に非常に安くなった部面、パスとか——マイシンはまだ相当高額でありますが、ヒドラジドというようなものはぼちぼち適正医療のワクとか、あるいはそれをはずしましても、別な管理方式の強化というようなのを今度計画しておりますので、そちらで置きかえられるのではないかという気がいたしておりますので、この点は今後再検討いたしまして、一般の方にいった方がかえって普及しやすいということならば、それはもう十分それで目的を達するわけでございますから、そういうふうに検討したい、こう思っております。  それから学童の予防内服でございますが、これはやはり従来の学説としても、相当な実験例が出まして、相当有効であるということになっております。ただし、学童の場合には陽転後の初期予防内服になると思います。現在厚生省でことしから実施いたしましたのは初期予防内服であって、治療後の回復期の予防内服は、健康保険の方である部分予算も取られまして、開始を見るわけでございます。従ってそれとは若干趣を異にいたしますが、やはり予防内服を取り上げることは必要だ、こう私どもの方でも思っておりますけれども、ただこれには問題がございまして、一体医療行為、これは経費的な問題になりますが、医療給付として予防内服というものを取り上げるか、あるいは医師の管理下で、治療の一環である臨床——まだ発病しておらぬが、もう初期治療であるという建前でいく場合と、純粋の、BCGをやるというごとき予防措置の延長としてやるという場合で、衛生行政でやるか保険給付等の保障政策でいくかというので、だいぶやり方、趣が変わってくるわけであります。内服の方法それ自身は同じことでございましょうが。従って今のところは、必要と思いますけれども、試験期が始まった、こう解しておりまして、ことしの保険の実施成績等も見まして、これを学童に及ぼす場合には、学校保険法との関連が直ちに出て参ります。衛生行政でやるのでなくて、結核予防法に基づきましても、検診の義務その他は学校長、結局市町村の教育委員会というところに義務が負わされておりまして、市町村の衛生行政の筋に乗っておりませんので、その点もある程度調整いたしませんと、単純には、そうただいいからといってすぐ手がつくというものでもないということでございますので、今の経費面、責任をどちらでやればよりいいかというところも含めまして十分実施をしよう、やりたいという方向で今後研究を続ける、こういうふうにいたしたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 あとの方から先にいきますが、問題は、今パス等は非常に安くなっておるから、平病、普通薬に切りかえる検討をしたい、マイシンは相当値がというけれども、こんなものは普通薬にしてしまうと、幾らでもできますよ。製造能力はあるのだから。そしてまたそんなものは高く取らなくても、普及していくということになると、今結核予防法というヴェールに包まれて、何かはるかみすを隔てて見るような状態に置いておるからこそ高い感じがするだけであって、取っ払って普通薬にして保険のあれの中に入れるということになってごらんなさい、われ先に作ってみんな使いますよ。健康保険のワクをはめておるから。予防法のワクをはめておるから高貴薬のような感じがするだけなんです。もうそんなものは高貴薬じゃないですよ。だから、これをやりますと肺炎だって盲腸の手術だって何だってずっと楽になって、うんと医療費が減るんですよ。  それから学童の問題も、なるほど学校保険でやるか、公衆衛生でやるか、いろいろ問題があるんです。しかし問題は財政負担をどうするかということですが、これを解決したら、あとの所管くらいは厚生省と文部省とお話し合いになればいい。財政も、国民皆保険ですから、保険証は、学童はみな家族になっているわけですから持っている、それでおやりになったらいい。そうして、どうでしょう、パス一グラムは今原価で幾らぐらいしますか。あなたの方で正確に——今私は一円以下、六、七十銭あるいは五十銭以下でできるんじゃないかと思いますが……。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 原価の点はちょっと私も正確のところよく存じませんけれども、現実にはパスの場合には……。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 一円以下、五、六十銭でしょう。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 大体そんな見当でございます。原価計算はよくわかりません。というのが、今の保険できめておりますものも、それから市価で売っておる価格で見ましても、常識的にはそんなところじゃないか、こう思っております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 大臣、お聞きのようにこんなに安くなっておるんですよ。普通の薬よりか安いんです。それをヴェールをかけるから、これがいかにも高貴薬のような感じがしておるわけです。そうしてそれを結核の審査協議会にかけて、三百グラムとか九百グラムとか許すんですよ、こんなばかなことないですよ。しかも汗牛充棟ただならざる、事務の紙をたくさん持っていくんです。大臣は結核予防法の申請の事務を一ぺんお聞きになっていただきたいと思うのです。実に複雑です。あんなことばかり医者にやらしておるから、厚生省は恨まれるんですよ。で、私はこの際、古井厚生行政が一つの大きな足跡を残すためにこれを一つやってもらいたいと思うのです。これを結核予防法からはずしてしまうんです。それから外科の手術なんというものもはずしてけっこうなんです。何も結核予防法で特殊にやる必要はない。肺臓外科なんか普通の外科とちっとも変わらないんだから……。そうしますと、だんだん外科手術は少なくなっているんですから、パス、マイシンが普及して、これを健康保険の普通のものに入れさえすれば、あなたの方は治療のことはなくなるんですから、今度予防に専心できるんです。そうすると、あなたの方は予防に専心をする、それから保険の方でその治療をやる、こういうことになると、予防のあなた方の方がずっと徹底すれば、保険におけるパス、マイシンなり外科手術というものは、今の古い業者だけが中心になって、新しい業者はできなくなる。今度学童に予防をやるわけですが、これはあなたの方がやるか、文部省の方がやるか知らないけれども、一円以下になっている薬をもったいぶる必要はない。それを原価でやったらいい、そうして保険でやったらいい。そうしてその者については七割とか、八割の給付をやるんですから、学童の負担はもうわずかですよ。これは予防なんですから、何千グラムも飲む必要はないんです。こういう点をもう少し画期的に前進をしていただけば、日本の結核というものは割合簡単に防げ、治療面でも、事務的にも非常に簡素化して大きな進展を見られる。それを予防法という城郭に立てこもっておるところに、日本の結核行政というものが壁にぶち当たる原因がある、こういうことなんですね。大臣どうですか、そういう点を一つすみやかに御検討になっていただきたいと思いますが、大臣の御意見はいかがですか。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 結核の問題については、大体今までの考え方は局長からお話ししたようなことでありますし、これからまた検討したいという点も局長が話しておったようなことでありますが、その中で、保健所と健康保険との関係については、これは私もよほど考えてみなければならぬ点がある、こういう気がいたしておるのであります。その場合に、保険は治療、予防は保健所というように考えていくか、治療の幅はどう変えるかは別といたしまして、そういうふうに考え方を分けるのか、あるいはもう少し予防的な面をも健康保険の方に開拓していくということができないものか、そういう方面にも大いに開業医の方も責任的に活動してもらうというようなことができないものかどうかということが一つの問題としてあると思うのです。これはぜひ詰めて、はたしてそうならばやってみたいという気持で今事務的に検討をさしておる途中でありますが、あわせて、はたしてそれがよいと結論的に考えますれば改善をやってみたいという考えでおるところであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 健康保険が予防的な面に出ていくというのは、主としてこれは財政的な面で出ていったらいいと思うのです。ですから私は、学童にやる分については財政上の問題も健康保険で受け持ったらいい、こういうことなんですね。大臣が言うように、ある程度そこらあたりをお考えになってもらったらいいのじゃないかと思うのです。こういう点は尾村さんのところも行きがかりを捨てて、もう少し思い切って一つやってもらいたいですね。そして予防の本流はあなたの方、治療の方は保険でやる、しかしその予防の財政的な面もある程度保険でにない得る、こういうことにしておけばいい。そうしますと、サントニンその他をこっそりやる必要も何もない。営々とやれることになる。たとえば小児麻痺の予防注射のごときは一回三百四十七川もかかるでしょう。二人も三人も五つか六つの子供を持っている家庭は、とてもこれはできやしませんよ。そういう面も健康保険で見てやりますということになれば、保険経済は財政は余っているのですから、そして同時にそれは今度国庫負担をもっと保険に増大をせしめる一つの理論的な根拠にもなるのですね。そうすればあなたの方の行政も、金のことを心配せずに自由自在に行政がやれるわけなんです。金のことを心配して日本の予防衛生が進まないという、しかもなり手がいないという状態では困ると思うのです。  それとついでに、これは大臣がいないとちょっと工合が悪いのですが、日本の衛生技術官が希望を持っていないということです。それはどうしてかというと、保健所の所長までいったら、あと上はいくところがないのです。あといくところはどこかというと、衛生部長しかない。衛生部長は一人だけです。そこで、これは尾村さんみずからがその道を歩いてこられたのだから私はあえて言うわけですが、現在医療職というものには国家公務員の六級職の試験はありますか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 現在医療職の場合には試験をやっておりません。医師の場合には、医師の国家試験を通ったことで済ませまして、あとは選考採用ということで、いわゆる人事院の施行する試験はないということになっております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、尾村さんが保険局長や次官になることは、今の制度ではほとんどできないのです。今まで厚生省で技術者で次官になった人はいないのです。ここなのですよ。ところが法科を出た人は薬務局長にだって何だってなれるのですよ。こんなばかな制度が今までだまって置かれておるところに問題がある。これはどういうところに問題があるかというと、結局六級職の試験がない。だからあなた方も医療職じゃなくて六級職の試験を受ける形を作るべきなんです。どうせあなた方は行政官なのだから、技官だといっても行政のわからない技官などというものは、これはカッパの丘上がりと同じですよ。だから行政をやるためには六級職の試験を受ける制度を作ったらいい。そうするとあなたも事務次官になれる。それから今度は大臣、こういうことになるわけですね。次官にならずに大臣になるといってもなかなかむずかしい。これは後藤新平かそれ以外にはなれないのですね。こういうことで、結局頭打ちで優秀な人がいかない。このごろ私が偶然調べてみましたところ、われわれのはるか大先輩がみんな保健所の所長さんなんです。私は保健所の所長の地位が悪いとは言わぬです。しかしそれで希望を失ってしまう。マンネリズムに陥る。これが若い技官に非常に希望を持たせないのです。そこでこれは大臣に言わなければならぬことだが、たとえば医務局を見てみますと、医務局に一体技官の課長が幾人おりますか。あなたに聞くのは少し筋違いだが、大臣がおらぬから、あなたから答弁してもらいたい。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 医務局には課長として二名おります。これは国立病院課長、国立療養所課長、あとは参事官として看護と歯科、これはもと課でございまして、現在は参事官ということでおります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 一番大事な、たとえば医師会関係とやるというような点になると、だれもいないのですね。これはやはり日本の技術者というものが、こんなに技術が必要だというときになって、しかも技術をもって立たなければならぬ厚生行政の中でいないということですよ。かつて薬務局長は、薬系の慶松という優秀な人が薬務局長だった。自来絶えて、薬務局は法学士がやっておる。これは法学士でも薬務行政はできるのですから、医学士だって保健行政ができないはずはない。こういう点が日本の厚生行政がだめなところなんです。社会保障が進まない理由でもあるのです。これは今までみんなが黙っておった。われわれはずいぶん言ってきたけれどもだめなんです。ほかの者は六級職の試験があるでしょう。理科系統はみんなあるのです。だから建設省へ行ってごらんなさい。建設省は技術屋さんが次官になるのです。これは一番日本の行政にとって大事なことなんです。——安藤政務次官、こちらの方へ来て下さい。  そこで政務次官に政治責任を持ってお答えを願いたいのは、厚生省の技官というものはほんとうに大望を持っていないのです。特に末端における県の行政、保健所の所長なんかそうです。そこで私は二点について安藤政務次官の言明を得たいのですが、この際医療職についても人事院に言って——何だったら、私は午後人事院に来てもらいますが、六級職の試験と申しますか、国家公務員の試験を受けさせるようにやってもらいたい。これを一つ責任を持ってやれるようにするかどうか。  それから、今後厚生省においても技術官でもなれるように、厚生省の法学出は年次順に全部なってきています。高田さんの次にはなる人はおよそきまっている。高田さんの前の田辺さん、その前の安田さん——そこらあたりはよく知らないが、法科出はそうなってきている。ところが技官出の方はそうなっておらぬ。尾村さんは一体いつ大学を出ましたか。川上局長は一体いつ大学を出ましたか。尾村さんにしても、川上さんにしても、聖成さんにしても、頭打ちで次官になる道はない。だからこの際厚生省の悪いしきたりは打破して、やはり年功順にいくならば、古い技術官もどしどし次官にできるかどうかということです。これができぬということならば、厚生省はこれから社会保障や技術を中心にする役所と言わずに、ほんとうに行政だけの役所にしてしまえばいい。こういうところに問題がある。それから薬務局でも、薬剤師の専門家を当然あそこに置かなければならぬ。こういうところに、もうほんとうの行政ができずに事務だけで、手先だけでものを解決しようとする悪弊が出てきたのです。この悪弊は、今や大きなコケになってたまって、なかなかどけることができない。しかしこの際、明敏な古井、安藤のバッテリーの厚生行政ですから、これを一つぜひ実現をしてもらいたいと思うのですが、どうですか。

安藤覺自由民主党厚生政務次官

○安藤(覺)政府委員 お答えいたします。先ほど来委員席におきまして先生の御意見はことごとく承っておりまして、まことに御見識のある御意見と存じております。私自身も返り咲いて参りまして、直接厚生省に職を与えられて参りまして、全くのしろうとでございますが、しろうとなるがゆえに白紙のようなものでございまして、いろいろと問題がはっきりと映っております。その間ただいま先生のお述べになりましたような感が深く私の心にもしるされております。ただ技術関係の方々が非常に将来がとまっておるということで厚生省の行政がふるわないことのあり得るだろうこともわかっております。ただそれだからといって、それゆえに社会保障が全部ふるわないのだとも考えられないのでございます。ことに今御指摘のありましたような地方の保健所長さんなんかの姿を自分が直接会ってみますと、実に尊い方々がおられます。その方々は、その職業に自覚を持って鋭意努力はしておられますが、さりとてやはり人間でありますから、そこには先の限りなく伸びていく道というものがほしいことは言うまでもありません。これらの点につきましては、御指摘になりました点もよく大臣にもお伝えしますし、私もできるだけ努力いたしまして、そしてこの裏どめになっておる方向を、何とか打開することを研究するようにしていきたいと存じております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 安藤さん努力していただくそうですが、これはもう一ぺん古井さんがここへ来ましたらお尋ねしたいと思うのです。少なくとも当面の日本では医療行政というものが非常に大事だというときに、やはり医療のことをほんとうに身をもってやり、学んだ人をある程度大事にする行政がない、人間的にそういうものがないというところに問題があると思うのです。これはその渦中に入っておるとわからないのですよ。ところがわれわれが客観的に見ていると、そうなんです。だから希望が持てない。ですから自信のあることをここでは言えない。ここで自信のあるようなことを言えば、今度役所に帰ってこづき回される。それから私は率直に申し上げますが、医務局長の下には医務局次長というのがおって、そしてここを通らなければ医務局長のところにいかない。ですから自信のあることを言うと、次官や何かの順序をきめるところは、みな法科出が握っているから、次長は出世ができない、こういうところが、われわれ客観的に見ていると明らかに現われる。ですからそういう点は、私のように心臓の強い者は、そんなものは平気ですが、やはり宮仕えはつらい。ですから、そういう宮仕えのつらいところは、やはり政治家が直して、そういう道を開いてやるということをやらなければいけない。私は、保健所長なんかは、われわれと同じような年輩の人がなっていると思っておったのですが、われわれと同じような年輩の者はまだ課長です。ところがわれわれと同じ年輩の者で法科を出るとどうなっているかというと、みな局長ですよ。昭和十五、六年に大学を出た者は局長です。ところがわれわれと同年輩の者で、高文を通っていないというだけで課長です。昔は天下の秀才だと言われたのが、二十年の風雪を隔ててみると、まだ課長だった、こういう状態です。これでは幾らいい知恵を出して行政をやれといっても、そういう大事な人たちは、もう意欲を失ってしまって、月給どろぼうと言っては語弊がありますが、ほんとうにサラリーをもらうだけです。そして若い、大学を卒業して十年くらいで、高文を通ったというのが来て上に乗っかっておりますから、何も知らないで、出てきたものを適当にただ文章にしたり、事務的なことをやるだけです。ですから、そういうことはいけない。そこらあたりにやはりメスを入れていただかなければいかぬと思うのです。そうして思い切って尾村さんあたりを次官に持っていく、こういうあっというくらいのことをやはりやらなければ、今の厚生行政の渋滞しているのは直らない。この厚生行政が渋滞しているというのは、衆議院の社労委員会のこの渋滞の姿を現わしている。だから、こういう点は大臣にもう一ぺん午後質問しますが、ぜひやってもらいたいと思います。

大石武一自由民主党

○大石委員長代理 それでは午後二時まで休憩いたします。    午後零時七分休憩      ————◇—————    午後二時十四分開議

柳谷清三郎自由民主党

○柳谷委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。八木一男君。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 結核予防法の一部改正案に関連しまして、予防法自体並びに結核問題について厚生大臣に御質問を申し上げたいと思います。  この結核予防法の今度濃厚感染源に対して国庫支出を八割にするという法律、ある程度前進であることを認めるわけでございますが、数年前に出ました社会保障制度審議会の勧告では、このような濃厚感染源に限ったものではなしに、数年前に全額公費負担ということで打ち出されてあります。そこには十割国庫負担の場合と、八割国庫負担であって、残り二割を公費負担という場合の両方選択を許すようなことになっておるわけでございます。ところが、先年幾分このような問題に対処することしのものと似たようなものが出ましたけれども、それがつぶれ、ことしこれが出てきたわけであります。そこで濃厚感染源に限ったということは、結核予防法という字句にとらわれておいでになるかもしれませんけれども、ほんとうに結核というものを、感染源をなくして、予防的な点で全般的に対処するという考え方からしても、それから言葉は予防法であっても、これがあくまでもやはり社会保障の一環の立法であるという観点に立ちましたならば、そういう観点からも、濃厚感染源という一部のものに限るということは非常に不十分であると私は思うわけであります。その点についての厚生大臣の大綱的なお考えを伺いたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 あるいは程度問題というふうな——質の違いじゃなくて程度問題という面もあるかもしれないと思いますが、ただしかし区切りをはっきりして、今の命令入所とかいうようなはっきりした範囲内でともかくここは実行してみよう、こういうことでこの範囲にとどめておるようなわけでございますので、これはこれなりの一つの形としまして、今後の結核対策としてはあるいはもっと広げられるものは広げてよいかどうか次の問題にして、ここはこういうことで一歩前進というふうに考えたのでございます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 将来は広げてよいものかどうかと口を濁しておられましたけれども、厚生大臣は広げるべきであると考えておられるのではないかと思うわけであります。ただし、野党の質問のときにはいろいろ言質をとられることを警戒してその辺で濁しておられると思いますけれども、われわれ実に公明な、からりとした質問をしておりますので、そういう顧慮なしに、広げるべきであるという御意見であれば、はっきり一つおっしゃっておいていただきたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 結核対策はまだ残っておると思うのです。もっと予防面などつまり早期発見、早く治療にとりかかるように、そういうふうな面の問題もありましたり、問題が残っておると思うのであります。それもまた今のような保健所中心の行き方でいくか、あるいは保険の行き方でいくか、いろいろありますので、この辺でもう済んだとは思っておりません。思っておりませんけれども、私どもにも、じゃどの形でいくとか、これを一番先にやるとかという考え方が、問題としては残っておることはわかっておっても、きょうのところしかとしません。ですから、今後残っておる問題をどれからどういうふうにしていくかということを考えたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 言葉じりをとらえるわけじゃございませんけれども、残っておるという程度の考えでは困ると思うのです。私どもの申し上げることを率直に理解していただけば、それは別に言葉じりをどうこう申しませんけれども、やはり非常に重大な問題だと思うのです。結核は今化学療法が進歩をしまして、外科療法も進歩をしまして、両方で若い間に死ぬ人が少なくなりましたので、一応何か結核問題が過ぎたようなばく然とした感じを持っておられる向きもあるわけでございますけれども、そうではやはり断じてないと思うのです。第一に、日本第一の死亡率でありましたのが数段下がりましても、なお日本の死亡率の中の上位を占めていることは明らかであります。政府の方の資料で拝見をいたしましたところによりましても、世界じゅうで結核の死亡率、絶対数でなくて率で、死亡率が、ここの付属文書の統計によれば、日本はしりから八番目であります。この表で四、五十国を例にあげておりまして、その中で八番目です。あらゆるところで相当程度に日本の文明文化は進歩しておる状態にございますのに、こういう状態で、しりから八番目というようなことでは、非常に情けないと思うわけであります。それでここで明らかに南ア連邦の例を三つ分けて表が作ってございまして、南ア連邦の有色人、これはアフリカ人種の人たちをさすことであろうと思いますが、それが死亡率が断然悪いわけであります。その次にまん中辺に南ア連邦のアジア人、これはインド等から植民をされた人であろうと思いますが、これがまん中辺で、これはすでに日本の状態よりいい状態であります。それから南ア連邦の白人がかなりいい方に位置いたしております。そうなりますと、同じ気候、風土というようなところでありながら、白人種とアジアの移民、それから地元の黒人種の間にこれだけ結核の死亡率の差がある。全然同じところでありますから、これだけの死亡率の差があるということは、やはり結局結核というものが経済病であるということを示していると思うのです。ほんとうの医学上の病気ではなしに、経済病であるということを明らかに示しているところで、日本国が残念ながらしりから八番目、上から勘定すると、勘定していただけばわかりますが、何十何番目という状態であります。南アのインドから植民をされた方、人権はどこの人種の人も同じで、みな尊いものでありますが、一般的に経済的に見れば、日本の経済水準より低いと見られているそういう方々よりも、日本の結核死亡率の方が多いわけであります。ということは、社会的なバランスから考えて、日本の結核対策が非常に乏しいということの証拠になろうと思うのです。そのようにお考えになられるのが至当だと思いまするが、それについてのお答えを伺いたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 結核の治療あるいは予防対策のほかに、だんだんお話にも出ておるし、また常識でありますように、低所得層と結核との間の関係、ここが非常な問題点で、中心のように思うのであります。それは医学上の予防、治療だけで済まぬ面が御承知のようにあるわけであります。そういう意味では一番中心であるけれども、われわれの手元だけの政策では済まぬ点もあると思うのであります。大きな広範な政策の結果解決しなければならぬ、そういう面もあると思うのであります。そういう意味で最善の結果を得ますにはどうしたらよいか、広い面から考えてみないと、これは十全の解決にならぬのではないかということを思うのであります。これはむずかしい問題と思いまするけれども、重点をそこに向けて対策を広範にとっていくということに考えるのが最善の道であろうというふうな考え方でおるわけであります。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 こうしたことから考えていただくと濃厚感染源のみのこういうような対処でいいという考え方は、これは考え方ではないと思いますけれども、現状のこのくらいの立法では非常に不十分であるということが明らかに言えると思うのです。それについて一つ厚生大臣のお考えを伺いたい。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 これはぎりぎりの濃厚感染の危険のある人というもので、今度の改正がそこになっておるのでありますけれども、早く発見する、早く治療に手をつけるという、もう一足先の問題もあるし、それ以上にもっと発生しないように、今の栄養の問題から、環境衛生の問題から、要するに個人の生活自体の問題にもくるのでありますから、ずっとさかのぼってみると、奥があるように思うのであります。これだけで済んでおるという気は毛頭ありません。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 熱心に考えようという意欲は示しておられますけれども、そこで故意か故意でないか、妙に大事な点をそらしておられるわけです。濃厚感染源というものをかちっとワクをはめて、それから後の対処は、絶対的な経済状態とか環境とか栄養とかということに分けておられるが、濃厚感染源の前の、一つ手前です。発病はしておるけれども、今濃厚排菌をしていないというようなところ、これはちょっとしたことで濃厚の排菌をするおそれは多分にあります。このような予防法上の、ただ行政上の冷たい考えだけではなしに、その人個人並びにその家族、そういうことから考えれば、そういう人はほんとうにすぐ対処して直さなければ、その人の命がなくなる方向に急速に転落をするわけです。濃厚感染源、あとは一般の栄養とか経済とか貧乏に対する対策であっていいものではないのです。濃厚感染源の一歩こっち側にある、現在発病しておるけれども、厚生省の認定によって濃厚感染源というところに入らない、一歩手前の人が非常に重大なわけです。それについてのお考えを伺いたい。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 ただいまの一歩手前のというか、その段階よりはちょっと低いところの対策でありますけれども、これは結局治療を受けられるか受けられないか、これは医療制度にも関係すると思うのであります。受けられるような医療制度でなければ、わかっておっても策が施せない、こういうことにもなるのでありますから、その辺をもう少し保険などの問題ともからみ合わせて考えて、治療がもう少し保障されるようなことで、何とかいい知恵がないものか、こういうことは大いに考えるべき問題であります。なお技術的、専門的に局長からもお答えをいたしたいと思いますが、考え方はそういうことを思っておるのであります。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 ただいま大臣が申されましたように、十分考えておるわけでございますが、ただこの予防法の今度の高額の国庫補助、それから、ほとんど全部公費負担ということによるものは、こういうことに一応したわけでございまして、別途今度の保険の方も、世帯主だけではございますけれども、七割に増加する、それからこの予防法の中で、従来数年以前からやっております、三十四条による、公費でとにかく所要経費の二の一を見る、これは実際はあらゆる患者が見れることにはなっておりますが、運用といたしましては、ことに比較的経済的に低い方に優先という運営方針をとっております。これでやっておるわけでございまして、ただこれはまだ不十分という声もあります。ただしこれをむしろ結核予防法の三十四条による公費負担の部分をもっと手厚くするか、あるいは午前中滝井委員から御意見のございましたように、むしろ保険の方へ、皆保険下にある部分の化学療法その他は譲って、むしろそちらを充実していく、それから予防法は直接予防とかなり密接な部面にこちらで力を入れる、費用的に見ますと、こういう分担の問題もあるわけで、いずれにいたしましても、総合的には、今大臣が申されましたように、ごく濃厚重症になってからのみやるのは、ちろんこれは意味が少なくなるわけで、その事前の問題、ことに所得の低い方々の非開放のものにまで伸ばすというのは、これはもちろん結核対策のかなり中心の問題でございます。今言いましたように、保障の道をどの道で分担するかということは、これは一番能率の上がるように、またほかの疾病等も考えて、あまり不当でないような方法で、ここは検討を要すると思うのであります。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 厚生大臣にちょっと伺いますが、結核予防法という言葉ですが、この結核予防法が予防衛生上の法律であるとともに、今までの状態、それから今度の改正案の状態においても、医療保障の法律であるということを兼ねた性質を持っておると私どもは理解をいたしております。それについての厚生大臣のお考え、なお局長のお考えも伺わせていただきたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 医療保障の方式は、国庫負担式に医療を保障いたします道と、それから保険という相互保険の格好でやっていきます道とあると思うのであります。必ずしも一方だけでやらなければならぬこともありませんし、どっちにいった方が一番みんながたやすく利用できて、また効果的であるかということを考えて、分担も考えた方がいいと思うのであります。全体としてよくなる方がいいんですから、そういう意味では、公費で全部持っていく式のもの、これも医療保障だと思うのです。思いますが、両方にらみ合わせまして、総合的に考えていきたいものだと思うのであります。これも一つだと思います。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 今大臣のおっしゃった通りでございまして、ただ、しいてこの表題、いわゆる法律の表題がもし誤解されまして、こちらの方は予防以上はやらない、やっているのはむしろ例外であるからというので、力が入らなくなりましたり、またこちらが予防法という名前を冠しているために、保険の方が将来予防給付とか、そういうことは一切手がつかぬのだということがありますれば、これはやはり名前だけの変更ではございますが、考えなければなりませんが、方針としては、決してそんな狭くは考えておりませんで、運用しておるわけでございますので、もし実際問題として、世の中でそういう誤解が相当ひんぱんに起こるというようなことがあれば、当然また名前等も改正を考えなければいかぬ、こう存じております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 違う角度、少し横の角度から言われましたけれども、大臣も局長のお考えも、結核予防法は公衆衛生上の法律であると同時に、医療保障上の法律であるというようなお考えで解釈をし、運営をしておられるものを理解をいたしておきます。先ほどいろいろ、午前中の滝井委員の御質問によっての御答弁もありましたし、私の質問に対しても、それについての関連の御答弁がございました。その問題はその問題として非常に重大な問題でございますので、それをどの法律で扱うかというような問題については、一番いい方法を、一つ野党の意見も入れて御検討になって、前進をしていただきたいと思いますが、要はどちらの制度にいたしましても、この結核の治療のため、また感染を防ぐため、そういうことのために国費をたくさんつぎ込むということに焦点がかかってきておるわけです。これはどちらの法律から出す、どちらのシステムで対応するということと同時に、そういう問題にかかっているわけです。結局大臣も局長もそういう観点から問題をこれから検討していかれると思うのですが、社会保障制度審議会で医療保障勧告というものを数年前に一生懸命何十回という審議を経て出しました中で、明らかに濃厚感染源というような制約をつけないで、結核患者に関する限り全額公費負担で、そのうち選択を許して、全額国庫負担か、あるいは八割国庫負担プラス二割公費だという線でこれに対処すべきだということで、答申をしているわけです。政府の方は、社会保障制度審議会の方の答申、勧告に対して、非常に重視をするということを何回も言明しておられまするし、また法案によっては、積極的に社会保障制度審議会の答申、勧告に従って、こういうものを作り、こういうことを運用しておるのであります、と答弁をしておられまするのにかかわりませず、このことに関しては非常に怠慢であります。怠慢でありますとともに、この精神をまだ完全に理解しておられないように思います。というのは、濃厚感染源という言葉を非常にアクセントをつけて言っておられるからであります。社会保障制度審議会のそういったものは、二つの観点からであります。一つの観点は何かといえば、こういうことであります。結核というのは国民病であって、悩んでおる人が非常に多い。これが経済的に一家の経済を破綻させるもとになるから、そういう問題について全部社会保障的な考え方から、少なくとも結核に関して全額国費でできるように、貧富の差なく、そういう病気からその人並びにその家が立ち上がれるようにすべしという考えが一つと、それからもう一つ、予防衛生上の考え方で、幸いにして化学療法や外科療法が進歩したこの機会に、全部そのような対処をして、経済病である要素の壁を突き破って、医学上の要素は完成しているのですから、結核というものを日本の国土から、日本の民族から完全に追放することによって、将来そのような不幸な目にあう人がなくなる、将来そのような医療保障をする必要もなくなる、将来そういう財政負担もなくなるということから、一挙にこれをやるべしという考え方が入っているわけです。そういう場合に、今までのような厚生行政みたいに階段的にやって、ちょっとやって考えるということではだめなんです。結核菌というものは世の中に、たとえば空気の中に浮んでいるような状態がほとんどなくなる状態になれば、そういうものは完全に解消する。完全に解消させるような方法は、医学的には完全に完成しているわけです。それができないのは、結核が経済病であるからであって、一家の個人負担ではできない人が大部分であるということが社会的に明らかになっている。そのときに国家的に経済の状態を克服して、結核という病気を日本から一掃するという英断がなくてはいかぬと思う。その点で、この濃厚感染源ということはかなり一生懸命考えられておるように見えて、不完全である。こういう問題は、半分すれば半分効果があるというものではない。半分すれば効果は一割か二割しかない。一〇〇%すれば効果は一〇〇%、そういう問題があるわけです。家を半分建てれば半分人が入れるというほかの問題とは違うわけでありますから、もっと思い切ってやるべきだ。そのような勧告を権威ある審議会がされて、この委員会では何回もこの議論がなされている。野党である日本社会党からはかって、今度はしっておりませんけれども、結核医療法案というものが全額国庫負担を志向して出されたこともある。関係の方は十分御存じである。そこで社会保障を取り上げるという池田内閣がそのような看板を掲げて、しかも財政が昨年度は非常によかった、本年度も工合がいいということも相当見通される、あるいは工合がよくならないかもしれないが、少なくとも財政は相当余裕があるということが見通される時期にやらないで、いつやるか。これを十年たってやったら、その間に、濃厚感染源ということでやっている間に、立ち上がれる人が濃厚感染源になって、繁雑な手続をしているうちに排菌をして家族にうつって、その人が不幸になり、一家が不幸になって、しかも予防衛生もうまくいかなくなるということが起こるわけです。いい方法ができたら、即時にちゃんとやらなければ、ぼちぼちやっていたのでは何も役に立たない。そういう点でこれは非常に不十分であると思うわけです。それについての厚生大臣のお考えを承りたい。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 ごもっともな御意見でありまして、結核ということだけ取り上げて考えますと、これに全部をつぎ込んで考えていくということはよいにきまっておるのであります。これも確かに一つの考え方だと思うのであります。ただ同時にやらなければならぬ他の病気の対策にいたしましても山ほどあるのでありまして、この次の段階でということなど考えてみましても、実に山ほどあるのであります。そこで漸進的にいくほかないというのがきょうの歩き方であるのでありまして、その意味では不徹底ということになりましょうが、それではほかのものはみなほっておくかというというと、そうもいきません。できる最大限度で漸進的にというような形で、目標のところには目標としてたどりつくように努力していく、これが実際の道になってしまっておるのであります。お話しの趣旨が間違いだとは思いません。さっきも局長から言いましたように、世帯主だけでありますけれども、七割負担を保険の方でもいたしていることなども一歩前進であります。同じ考えのもとに同じ目標に歩いておる道でありますから、そういう意味で、お考えはごもっとも千万に伺いつつ、実行案として妥当なところにいくようにしたい、こういうふうに思うのであります。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 問題は山ほどあることは私も知っております。その中におのおの緩急の序があると思う。これは申し上げるまでもなく、たとえば今の時代に、もし軍備が必要であるという前提に立っても、役に立たないような兵器に金をかけているというようなことは、むだ中のむだであります。そういう皆様方の考えの中で、最もむだで最もけしからぬ点は十分考えられなければなりませんけれども、そういう特別なものを取り上げなくとも、やはりそのほかにも緩急の序があります。特に、これは結核予防法を今審議をしているのだからよくおわかりと思いますけれども、伝染病というものは根絶をしなければはびこる性質のものであります。しかもこれは非常におそろしい経済病でありますけれども慢性病であります。ですから世の中では予防衛生上のことを考えられない——考えている方は別として、世の中ではやはり自分の命は心配であっても、そんなに急に悪くならないというような医学的な知識のない人がいて、無理をすることがある、そうでなくても経済的に苦しいから無理をすることがあるということで、医学的には完全に直る方向に向かっていても、逆転する場合が非常に多いわけです。そういうことで、伝染病でありますから、野放しにしておけば、伝染によって対処すべきものが広くなるか、もっと狭くなるものが狭くなり方が少ないかということが起こるわけです。これは悪いことを再生産するわけです。そういうものはほかのものと違って即座にシャット・アウトしなければいけない問題であります。と同時に、やはり完全な裏づけをしてやらなければ、カナマイシンができたといって安心しても、ストレプトマイシンの次にカナマイシンの耐性菌ができて、やはり問題が出てくるわけです。科学の進歩はこれを埋めるでありましょうけれども、追いかけごっこをしているのではほんとうの進歩が役に立ちません。耐性菌を排菌しない程度に全部直ってしまうということにならなければ意味がないわけです。だから問題はたくさんありますけれども、ほかの問題とは違って緊急を要するのであります。ところが今までの政府は緊急を要するのは、もうどうにもならなくて、ばたばた人が死んでいるときに緊急を要するというようなことで、それは緊急を要しますけれども、その前に、どうにもこうにもならくてばたばた倒れるということを防ぎ得る——今防がなければそういうことは防ぎにくいというときは、これは別な意味で非常に緊急を要するわけであります。そういう性質のものでありますから、たくさんあるからこれはこの程度というような考え方では困る。特にほかの病気の問題、重要な問題が、ガンの問題にしましても、小児麻痺の問題にしましても、そういう問題が起こるから、そういう問題について十分対処される必要がございますけれども、それかといって、四、五年前には圧倒的に国民病として問題になったものが、やや好転したからといってその問題を軽視するようなことになって、また再び数年前のように非常に重大な問題化したならば、その過程において苦しむ国民を考えたならば、非常に重大な責任を感じられなければならないと思う。ガンの問題を推進しなければならない、小児麻痺の問題を推進しなければならないけれども、非常に大きな問題が解決しかかってきて、力を注げばそれが完全解決の方向に向かうというときに、たくさん問題があるからちょこちょこということではいけません。医療保障の問題は、ガンも小児麻痺も完全にやらなければいけない。厚生省のワク内だけで考えられても——それは考えなければなりませんけれども、ワク内だけで考えられるからこういうことになるわけです。国民の命とか、その大きな問題に関係のある将来の問題であるということになれば、ほかのどこの省でどう言ったって、どこの官庁がどう言ったって、大蔵省のわからず屋がどう言ったって断じて通すというような覚悟でされなければなりません。そうでなければほんとうの国務大臣とはいえないと思う。今までのバランスが間違っている。防衛庁の費用などはばんと切ってこっちに回すということ、防衛庁だけでなく、そんなものはたくさんあります。そういうことで進んでいただかなければなりませんので、そういう御決意で将来進んでいただくという決意を一つ伺わせていただいて、次の質問に移りたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 御趣旨は一つも異論はありません。あなたのおっしゃっていることは私は一つも間違っているとは思っていない。意見が違うとは思っていない。結核をこの辺で手をゆるめたりしてはいかぬ、撲滅するところまでいかなければならぬ、このことはその通りに思うのです。ただし年金をそれではやめてしまえというふうにもいきませんし、国民年金をほっておけともいえませんし、まあいろいろほかにも伸ばさなければならぬ社会保障の諸問題もあることでありますから、これだけはお含みを願っていただいて、結核に限っての御議論であるとすれば、これは趣旨に一つも異存はないのであります。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 そういうふうに言われると、もう一回言わなければならない。国民年金も社会保障、所得保障の一環だ。医療保障も大事だ。所得保障も大事だ。そのほかの省でろくでもないところに金を使っているところがたくさんある。それに負けないで大蔵省を説得して、池田勇人君にわかるようにして、そういうことをどんどん進めるようにしてほしいと言っているのであって、厚生省のワク内でこっちをこっちへとやっていたら、問題が非常にやっかいになってくるわけです。そういうことでがんばっていただく御決意であると理解して先に進めます。  そこで、そういう問題でございますから、今度の予防法の適用について、濃厚感染源というばく然としたことになっておりますが、そこの程度です。濃厚というのは判定の程度ですが、これは濃厚であればうつるけれども、ややそれに近いものはうつらないといわれることもあるかもしれませんけれども、医学的に見てごく濃厚ではなくても、うつす対象者ですね、夫婦の仲であるとか親と子供の仲であれば、それほど濃厚ではなくてもうつる危険性があります。ですからそこの判定がいろいろあるので、それを先ほど大臣が決心を披瀝された、局長もそのような考え方である、そういうことから考えれば、この法律の施行については最大限度に解釈をしてもまだ足らないということになろうと思う。それについて大臣と局長の御意見を伺いたい。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 今おっしゃられました濃厚感染源、これは予算をとるとか、そういうことで通俗的に私ども使っておりまして、実際に今度の法律改正でお願いしておりますのは、従来の二十九条のままでございまして、要するに結核患者がその同居者に結核を伝染させるおそれがある場合、これをさしておるわけでございます。従いましてこの法律そのものでは、同居者に感染させる場合は少なくとも菌が出ていなければ、現在は感染いたしませんが、その場合もおそれでございますから、いつ出てくるかわからぬということで、ある程度運用上の幅がある。それからもう一つは、環境上の問題で、ほんとうに裕福で別室に独立してやっておって、そこには感染のおそれのない人が世話だけすればいいというような状況でございますと、開放患者でありましても同居者に感染のおそれはないということも言えるわけでございますので、そこは決して、通俗にわれわれがいろいろなものに使ってしまいましたが、濃厚というのはガフキー何号以上でなければいかぬとか、そういうことでは考えておりません。医学上、それから生活環境上と組み合わせて、やはりおそれということで十分幅のある運用をしたい。ただし両条件がそろいますこと、金持であっても菌が出ていればというだけでなくて、あくまで先ほどからの考え方のように、生活上の問題と医学上の問題と、この双方の条件を顧慮して二十九条の規定を運用していく、こういうつもりでございます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 半分ほどいい答弁ですが、半分ほどはよくありませんな。先ほど大臣と局長に御質問したことからいえば、この結核予防法というもの自体のやり方でははなはだ不十分であるということを申し上げた、大体その通りなんです。その通りで、大臣も局長も認めておられる。そうなればそれを最大限度に解釈されてもまだ不十分ですから、少なくとも最大限度に解釈をされるという御答弁があってしかるべきだと思う。技術的ないろいろな点はまだありますけれども、おそれという言葉は、いい意味で拡張しようとすれば幾らでも拡張できるわけです。そういう点で、この非常に不十分な不十分さを少しでも緩和するためには、運用面で最大限度にこれを活用して適用者をふやしてやるというふうな考え方でやっていくべきである。それについての大臣と局長の御意見を承りたい。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 最大限の限度を何かで表わすことは必ずしもできませんけれども、これは本年度でいえば予算のワクはきまっておる。それから府県知事の命令でございますから、一種の人権拘束にはなるわけであります。この発動という条件もある。そういうことの条件を考えなければいけませんけれども、この中では、できるだけ実態に合って、今の一番の盲点である結核を感染しながらしかも本人が悪化していく、これの治療を一番能率的に解釈してやっていかなければならぬ。これは当然と思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 少なくとも、これでは少ないのですけれども、排菌のある者は全部対象にする、それから排菌のもとになる空洞のある者は対象にする、空洞のくずれるもとになる結核腫のある者は対象にするというようなことでなければ、これは話にならぬと思いますけれども、それについてはどうですか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 今の二つの条件のうち、医学的な条件の適切な御意見があったわけでございますが、大体医学的の条件から言えばそういうようなことになるか、こう存じております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 それから、ある程度の経済的な要件があると言われます。これはすばらしい金持であれば、松下幸之助さんあたりでしたら、こういうことでなく自分で入ってしまうでありましょうけれども、それにもまた限度があります。経済的な負担能力があるということになると、地方に回すと、往々にして負担能力が非常に乏しい者でも、あるとされて入れないことが多いわけです。家に二つ部屋があるといったって、それが夫婦間であれば、そんなものは完全隔離してその部屋に入らないわけにはいかないし、看護をしておるときにせきをして、そこで偶然息を吸ったならば、その中の菌がいきなり肺部に入って感染することもあるわけです。ですから、部屋が二つあるから感染しないというものではない。それはよっぽど経済の負担能力のある人の場合には、命令入所といっても、ある人はいやがるかもしれない。それは別として、経済能力があるということを大きく解釈しないで、これは命令入所というような形をとっておりますけれども、とにかくある程度の者は先方が希望すればやはりこういうことの対象になれるように一つ行政運用をするように、地方にそういう意味の通達を願いたいと思います。それについてもお考えを伺います。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 大体御趣旨の通りの運用は考えておりますので、そういうふうにどうせ示すことになると思います。ただ、あくまでこれは人数で積算いたしまして、国費をとり、それに応じた二割分の地方の費用がかかるということで、これの交付税の手配もいたしたわけでございます。従いまして、この範囲でことしの出発にあたっては一応地方のそれぞれの責任者が発動するかと思います。従って、このワクということは全然無視するわけにいきませんので、今のような医学的の条件とそのワクに応じた一番気の毒な方から優先しませんと、ワクがありながら、どちらかといえば比較的有利な方から先にやってしまいますと、あとから困るということも起こり得ますので、従いまして、そこはこの法律それ自体には詳しい条件は入れなかったわけでございます。政令以下に譲って、それは今のような諸条件が拡大するに従って動かせるようにいたしております。方針としてはそういうことでいきたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 少し不満ですが、それはできるだけいい方の趣旨を広げてやっていただきたいと思います。  地方の財政負担の問題でありますが、大体計算されたというわけでありますが、往々にしてこういう法律の場合に、地方の財政負担の点で問題が制約されて、法律がいい方に動かないことが多いわけであります。そういうことも積算でやられると、結局現在の時点で何らかの根拠でもちろん積算をされたと思いますけれども、こんなものは移動するものでありますから、特に移動の度合いで、貧困な地方団体であるところに増加度が多く出る、そうなると、貧困なところは財政負担能力がないために、この法律がうまくいかないという点もありますので、そこはやはりワクできちっとされますと、実際同じ症状でこっちの府県に適用になってこっちは適用にならないということが出てくると思うのです。そういうワクの条件を行政運用上一ぺんに取っ払えないでも、極力取っ払うように、特にこのような社会保障上または予防衛生上の法律については、そういうワクを取っ払う方向を実際に作り上げていただきたいと思う。これは大蔵省が何と言っても、人間の考えたワク、積算で人間のすべてのことを規制することができないことは明らかでありますから、そういうことで、社会保障立法が貧困地方においては実際に同じように挙動されていないという例がありますので、こういうところで実際上不適のワクを破っていくということを一つ勇敢に本省もしていただきたいし、地方行政団体も今までの各省のやり方にとらわれずに、ほんとうに法律を生かすために、実態に即して勇敢に誠実にやられるように、そのような指導を一つお願いしたいと思います。それについて一つ伺いたい。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 従来の実績もお話しの通りございまして、地方公共団体の貧富の差によりましていろいろ不公平が起こりますので、一番いいのは国庫補助率でも動かせればでございますが、これは今までそういう例はありませんし、不可能でありますので、せめて国から与える交付税の算定には、従来の法律改正よりは最初から計画的にその点を考慮して、できるだけ困らないようなことを今度は並行してやりましたものですから、一歩進歩であろうかと存じております。御趣旨のような方針でやっていきたいと存じております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 今度は全然正反対の方から伺いますが、命令入所でありますから、先ほども局長が触れられましたように、非常にまずい場合に、ごくまれな例として人権じゅうりんが起こる危険性もあり得ると思うのです。そういうことについてはどういうふうに考えておりますか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 これは従来はほとんどといいますか、結核予防法の命令入所のやり方のそういう例は、今までのところここ近年にはわれわれの方は承知しておらぬので、将来のことであろうと思っておりますが、それにしても法律では強制でございますから可能性がありますので、今の審査会で必ず審査をする、これが今度法定されております。従って、専門家とその地区の関連者をもってする審査会を経なければ知事が命令を出せないということで、まず医学的あるいは環境的な条件を見ているわけです。それからいま一つは、県でこれらの命令をする場合に、保健所ごとの審査会でございますので、これの基準が違っちゃいけませんので、県単位に結核の審査協議会、連絡協議会と申しますか、これをすでに設けてありますが、これによって県内を統一する。それから今度は県と県の間はもちろん私の方で十分詳しく通牒その他で指導いたしております。こういう道がある。  それから、この強制権には罰則がございません。従いまして、これに従わない、それに対しましての強制力はございません。従って、実際問題として、そこまでほかのいろいろな強制権をもって強制したということ、すなわち、いわゆる罰則等をつけて、あるいは即時強制力でやったというようないざこざは普通は考えられないと存じております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 その問題はそういうことでございますから安心をいたしました。  次に、今いろいろなことで入院をしている患者がおられると思うのです。それで、今度のこの結核予防法の改正の点に該当する人が当然あると思います。それは当然該当させるべきだと思いますが、それについて厚生大臣の方から伺いたい。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 この法律の規定に該当します限りは、従来の人でも原則的に適用になることと考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 その通り一つやっていただきたいと思います。非常に何かそういう心配があるようであります。末端の方でただ予防ということだけを考えて、外にいる人を療養所に入れればいいということばかり考えて、今まで同じ条件で入っていた人を法律の補助の対象にしないというようなことがありましたならば、これが予防立法であると同時に社会保障立法であるということになれば、そういう当然の状態にある人が適用にならないということは非常に不公平になると思う。大臣のお言葉で安心はいたしましたけれども、地方末端でそういうふうな命令入所の行政事務が能率的に行なわれるというようなことばかりを考えて、すでにそのほかの条件で入っている人をそういうふうに適用させないということになればゆゆしき問題であると思います。同じ状況のときには必ず適用させるということを伺いまして非常に安心をいたしましたが、それを一つ末端に徹底させるようにしていただきたいと思います。それについてお御答弁をお願いします。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 今大臣の申された通りに運用するつもりでございますしただ、今入院中の者でございますから、ちょうどそれから何カ月か前に入院したときの病状と比べると、その当時は相当重くて、現在は非常に軽くなっている、すなわち医学的に見ればもう排菌をしておらない、病状も、治療という上りもほとんど訓練の期になっておる、そういう者があるわけでございます。従って、原則としてという意味は、そのときにまだ外におるのと同じような条件——これはもしそのときに適用しないで家に帰られてしまえば、翌日入ってくることに当然なるわけでございますから問題ない。従って、病状が非常に軽快してきて、現在はこの条項に当たらぬ者は、厳格にいうと適用にならぬわけでございますが、しかしそうかといって家に帰れば、帰ったときには排菌の状態でない、けれどもまた直ちに近い将来にぶり返すような生活環境にあるという場合でございますと、これはやはり運用上拡大もする。そこに若干差が出てくるかと思います。これはやむを得ぬのじゃないか。しかしその場合にも、あるいは保険の適用者で入っているというような者と生保の一部負担の者とは、これもやはり緩急の差を考えて、拡大の運用も十分実態に合うようにしたい。そういう意味で先ほどの、原則としてということを申し上げたわけであります。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 原則としてということで、そういうことが起こると思うのです。  そこでこの法律は、さっき申し上げましたように、非常に不十分である、最大限度に運用してまだ不十分であるということをお認めいただいたわけですけれども、結局今の病院に入れば、それはいろんな処置もするし、安静にもしているから、少し症状がよくなることは明らかです。けれども、そういうふうに入院して国庫の負担を出して、よくなりかけたときに、完全によくなるまで持っていかないと、その人にとってもその保障が十分に行き渡らないし、予防衛生上も非能率、非効果的なことです。ですから、入ったときに、これと同じような症状であって、それが入ったことによって、現時点において少しそれよりよくなったというところを、やはり同じように解釈してしかるべきではないか。その点については、ぜひそういうふうな解釈でやられるようにしていただきたいとお願いを申し上げたいと思うのですが、それについて、入ったときの症状で、こういうものは八割のものが適用されるような行政運用をぜひしていただきたいという御要請をするわけです。それについて一つ積極的ないい御答弁を願いたい。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 もちろんできるだけそういうふうに運用いたします。ただ先ほど申し上げましたように、これはことしだけの問題でありまして、来年以降はそういうことはないわけであります。このときにおいて、やはり今のワクというものはどうしても考えざるを得ない。今のような方針でやりますが、あまりワクが最初から倍になりそうな運用もできませんので、この方針の中では、一番適用すべきもの、そうした方が能率が上がるというようなものにはむろん適用したい、そういうようなことで運用したいと考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 予防法の関係で、予防という方を非常に重視しておられると思いますけれども、アフター・ケアについては、非常に考え方も政策の推進も鈍いように思いますが、それについてどういうふうなお考えですか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 アフター・ケアの問題は、むろん結核対策の一貫性からいいますと、当然重要な、順を追っての予防から医療、アフター・ケア、これは大事なことで、けさも御意見がございました通りと思っておりますが、ただこれの分担をどうするかという問題が前から厚生省の中で議論がありまして、割り切った、すなわちアフター・ケアの今やっております施設は、これは社会福祉施設としてその方でやる、それから労働的な補導は労働関係で特殊な疾病の回復者の補導としてやるということで、何年か前からそれに基づいて予算もとられ、あるいは補助予算もとられてきているわけであります。それから民間につきましても、さような法人をそういうような筋で作ってきているわけであります。従いまして、この医療の中でやっておりますのは作業療法までということで、一応線を引いてやっているわけであります。これが今まではそう進んできておりますが、将来、制度的にも一体どうしたらいいか、皆保険になりますと、保険との関連でアフター・ケアをどこまで取り入れるかという問題も未解決で残っているわけであります。そういうような意味で、まだ検討はしなければならぬと思いますが、そういう関係もあってとは限りませんが、ほかの今度のような予防法の非常に大きな予算の拡大と比べますと、そちらの方の上昇率は少ないわけであります。しかしこれはぜひ必要であると見ているわけであります。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 ぜひそういう問題を飛躍的に推進されるように要望しておきますが、民間のコロニー施設が山口県や長野県にありますね。そういうところでそういうことを一生懸命やっているようですが、いろいろな運営の資金に非常に困っているようでありますが、福祉事業団等でそういうところに資金を低利で融資するようなことをお考えになっていただきたいと思います。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 それは社会局の所管でやっておりますので、御意見の点を当該局にお伝えいたしまして、要請いたします。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 カナマイシンの件でございますが、これは保険局か何かにも関係がありますが、カナマイシンが今採用されて使われるようになっていますが、これについては十分使われているわけでしょうか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 これは十分といいましても、従来のほかの結核薬と同様に——もちろんこの使用基準というものは、ちゃんと法定というか、規則できまっておりますが、その範囲では押えられるとか、決してそういうことはないはずであります。正規に取り上げられたわけでございますので同じ立場である、こう確信しております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 科学的に確立した薬品や何かを使うことにつきましては、個々の症状その他によって担当医師の方がどのくらい使うというようなことは医学的な見地からやらなければなりませんが、そういうことが保険財政その他で制約をされないような方向に進めていただく必要があると思います。これは保険局の関係かもしれませんが、結核という観点から、局長さんの方から進めていただくように要望したいと思います。  これで一応質問を終わります。

柳谷清三郎自由民主党

○柳谷委員長代理 滝井義高君。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 午前中に、予防と治療と後保護の問題で、予防面における欠陥は、保健所の機能が必ずしも十分に期待できないということを指摘したのです。治療面においては、結核予防法だけではまだだめだ。この際思い切って抗生物質、手術などは普通の治療と同じように事務的な簡素化も考えて、健康保険の請求明細書を用いてやるような工合に切りかえていく必要があるという主張をしたのです。特にこの予防面におきまして、学童の健康診断や予防接種というものは八割以上もありますが、一般住民は二割一分そこそこにしかすぎない。そこでこれは住民の結核に対する認識の問題あるいは衛生思想、保健所の機構の問題あるいはレントゲン間接撮影の設備の問題等が関連をして、こういう結果が出てきているわけです。  そこで結核を重点的に撲滅をしようとするならば、私はやはり健康診断その他についても能率的、重点的にやるべきだと思うのです。一体どこに能率的、重点的な方向を向けていくかというと、零細企業です。低所得階層に結核が依然として若年層にあり、開放性の結核があるのですから、この零細企業の従業員を中心としてやはり健康診断なり予防接種をやるべきだと思うのです。同時に日本の結核というものが若年層から高年令層に移行しているのです。一番それが目立って高くなっているのは、四十五才から五十九才、こういう層です。従って四十才なら四十才以上のところに重点を置いて健康診断をやっていくわけです。それからもう一つ結核が起こるところは、開放性の結核患者のおる家族なんです。この三つに重点を置いてまずやるべきだと思うのです。その重点を置いていくためには、間接撮影をやる。つまりレントゲンの数がやはり問題なんです。これは全国七百九十九の保健所に全部あったとしても、七百九十九しかないわけです。これではとても一挙に大衆的な間接撮影をやって、的確にしかも敏速に、能率的に、処理することはできない。全国でこの保健所以外の間接撮影の数は、何かで読んだのですが、一般医療機関に四千三百八十台あるのです。そうしますと一保健所に一台ずつあるとすれば、たしか保健所の数は七百九十九あるわけですから、これにそのうち半分二千台を動員するにしても、相当の動員ができるわけです。そうして五名以下の中小企業——十人以下でもいいのです。五名以下でも二百七、八十万から三百万くらいしかない。それと四十才以上と、今言った開放性結核患者の家族、こういう三つに重点を置いて間接撮影をぐっとやっていくわけです。そうしてもう陽転をした子供には予防内服をやるというような工合にするし、それからこれはどうも発病のおそれがあるというような者は、開業医にひもをつけて、健康指導いわゆる労働指導その他を家庭に帰ってきちっとやってもらうようにするというような工合にやはり重点を置かないと、今までみたいにまき網をするような工合に、もうざこまでとっていこうというような、そういう大それた考えを持つからだめなんです。もう重点的にいく以外にないと思うのですね。そういう意味で、今後のあなた方の結核対策推進地区においてはそういう三つのものに重点を置いた予防実践をやることが必要じゃないかと思うのですが、その点どうですか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 われわれとしても一応結核予防法では全国民皆検診というような形にはなっておりますけれども、今までの実績から見ましてもやはり緩急の度があって、一番重点的にやるべきものは、御意見のように今の三つの点が一番大事な点だろうと思っております。従いまして大体学童検診、これはむしろ学校保健法もございますし、必ずしも将来は毎年やらなくても、あるいは一年置きということも考えられますので、学童検診については保健所等の手からはずれまして、できるだけそういうような実態に合って必要最小限度のことでやっていく、それだけ手を浮かせたい、こう思っております。現実にもこれは学校長の責任になっておりまして、保健所は他の医療機関と同じように、いわゆる委託を受けて撮影等の仕事を下請している形に、法的にはなっているわけでありますから、そういうふうにいたしたい。その結果、今お話しのような一般の家庭人、町村長の責任でやっております一般の家庭人、ことに地区によりまして一斉に四十才以上がいいか、あるいはもう少し下げねばならぬ地区もあるかと思いますが、そういうようなところに重点を置いてやる。そのためにはレントゲン自動車をどうしてもふやさなければならぬ。現場に行って職場でやるなり、あるいは家庭からごく近くで短時間で受けられる、この方法が必要でございますので、現在保健所の約半数弱がみずからレントゲン車を持っております。それから県の結核予防会が競輪号——競輪の基金によります最新式のレントゲン自動車を、全国で今度で六十台保有することになりました。これらを活用するのが非常に必要であろうと思っております。これ一台ふえますと、大体最低六万人から十万人の検診増加ができますので、これは非常に有効である。  それから零細企業はほんとうは企業者の責任になっておりますが、小さい企業でございますと、企業者は自分のことさえ含めまして検診が受けられないという状況がございますので、私どもの方では市町村長がやる今の一般住民の検診にまぜて、法的にはそうなっておりませんが、これは拡張解釈で一緒にやる、それによって少しでもよけい受けられるように、こう思っております。  それから患者家族につきましては、これは従来必ず間接撮影から始まるようになっておりましたが、この中からの発見者が非常に高率でございますので、むしろ患者家族については全部最初から精密検診を受けられるように今度改正いたしました。これによりまして、何%という高率でございますので、直接撮影の経費を公費で持ちましてこれをやる。これによって非常に受診率も増加する、こう思っております。  今のような点につきましては全く同方針でございますが、一そうその線に沿って拡大したい、こう存じております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 やはりそういうように重点的にやる時期がきておると思うのです。ぜひ重点的にやってもらいたいと思います。  そうすると、今までは重点的にやらなくてもばっとこうやって、開放性の患者なり、菌は出なくても濃厚な陰のある患者を見つけます。そうしますといたずらにその患者に恐怖を与えるだけで、具体的な指導が行なわれないし入院も行なわれないわけですね。結核診査協議会の結核予防法公費負担の合格件数というものが相当あるにしても、これは県がそれだけの予算を組まなければだめなんですから、みんな滞留するわけです。昭和三十年を一〇〇とすると、あなた方の資料によってもこれが三十二年以来ずっと増加をしまして、三十四年は一三三というふうに合格件数は非常にふえている。ところがいよいよよろしいといって具体的に予防法の治療のルートのしに乗るためには、相当の時間がかかってくるわけですね。これは県が予算を組まないというところがあるわけです。従ってこういう問題があってなかなか入院ができない。昭和三十五年以来結核病床というものがずっと増加をしまして、現在二十六万床で頭打ち、最近は三十四年以来今度それが減り始めている。二十六万の病床がずっと減り始めて、三十三年二十六万三千、三十四年二十六万、今年は国立病院の方でいわゆる病院の再編成をおやりになるので、結核療養所というものが今年はおそらくもっと減りつつある。一般病院に切りかえられるという問題も出てきておるわけです。ところが一方医療を受けなければならない患者というものは依然としてあるし、要入院の患者は二十八年に百三十七万人であったものが、三十三年には八十六万と減っております。減っておりますけれども、いずれにしても八十六万人も入院をしなければならぬことは確実である。入院をしなければならぬことは確実であるにもかかわらずその人たちは入院ができず、そのベッドの利用率は七割九分ですよ。七割九分の充足で、とにかく二割以上というものがあいている。それで、あなたは開放性の結核です、入院をしなさい、こう言われても入院ができない。これは結局、生酒保護か健康保険の本人ならば入院ができるけれども、健康保険の家族と国民健康保険では入院ができないというところに問題があるのです。そしてしかも健康保険の家族や国民健康保険がどういうところにあるかというと、結局零細な企業か、経済的に脆弱な農漁民、あるいは中小企業ですね。こういうところの人が入院できないわけです。だから今度健康診断を重点的に零細企業の従事者と高年令層と結核の患者のおる家族をおやりになったら、その中から入院をしなければならぬというものを見つけられたら、今度はこれを入院させる道を考えてやらなければならぬ。ところがその入院をするときの隘路はどこにあるかというと、日雇いもありますが、国保と、健保の家族にあるのですから、何といっても医療の大きな大宗、本流というものは健康保険と国保ですから、この健保の家族と国保を、一体どうして結核で入院せしめるかということをお考えになったらいい。そうすると、結核予防法を健康保険に切りかえていって、健康保険の経済の中に、結核予防法が使っておった治療費を国がぐっと繰り入れてやるということになると、健康保険は今度八割ぐらいの給付でやることができるようになるのです。こういうように一連の政策が、この結核なら結核に対して集中的にやられていないところに問題があるんです。依然としてその空床は空床でほったらかされておる。国保は今度の改正でも依然として四分の一負担をする、健保はやらせないけれども、国保はするのだといって、この苦しい、しかも盲点になっておることは依然盲点として、この前から私が指摘しているように放置しておるところに問題があるわけですよ。だからこういうものをあなた方は一体どうおやりになるか。われわれのところに統計はこうしてきておるのだが、統計は幾ら見たってしようがない。その統計の大きな壁をあなた方はどうして打ち破ろうとするのか。これはもう今のような状態ならば国保の患者が今度七割になったところで、それは本人だけですからね。家族は依然として同じです。そうして三億五千万円ぐらい改善したって結核の総医療費は三十三年では六百五十四億ですから、これは精密に申しますと、七百億をはるかにこえていますよ。その六百億から七百億かかる医療費の中を三億五千万だけを見てやって、これで池田内閣の大きな大黒柱である社会保障は前進しましたというんですから、私に言わしむるならば、これくらい羊頭を掲げて狗肉を売る政策はないですよ。だから、こういうところをもうちょっと金を合理的に、今のワクの中で転換させていって、ロスを切り落として、そうしていい方向の政策に切りかえればこういうものはできるのです。こういう点をどうあなた方はおやりになるのか。これは先の問題じゃない、今の現実の緊急の問題です。どうおやりになりますか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 先ほどの八十六万の要入院というのは推計件数でございまして、大体つかめている、自覚しているもの、人がつかんだり本人もみずから自覚しているというのは半数以下でございますので、あとの問題は、健康診断なりほかの方法で掘り出すことがまず先決ということで、今のそれにいたしましても、自覚し、発見して登録した患者でも、まだまだ入ってこない者がたくさんありすまから、これの盲点になっておりましたのは、今御指摘の通り、国保とそれから健保家族と生保の一部負担のもの、この三つでございます。その中で、今度の約四十億、五十億近い拡大によりまして、そのもののうちの今度の法律に該当する者は一応これで救われるわけで、ある部分が解決するというわけでございます。従って、先ほどからの御意見のように、まだこれに該当しないような、非開放で必ずしも低所得でない、ただし今のような盲点になっている該当者たち、これは解決しないわけです。それが今度は世帯主だけは、国保のものは、五割の負担から比べますと、三割の負担に減って、一部前進する、こういうことでございまして、その他のものも、やはりベッドも利用して、遊床化しないようにするには、やはり自己負担分の解決が必要かと思われますので、これは、ですから、今後また社会保険あるいは国保の保険の中における結核に対してある程度伸ばす。それから、先ほどからも御指摘のように、結核予防法の三十四条の方の無差別にとにかく二分の一の公費負担をする、そのまた二分の一を国庫で見ておるという、この約二十億ばかりの化学療法を中心とする予算というものを、あるいは今のような観点にも動員をして、そういう入院ができないという比較的重症な結核患者の方に応用、転換するということも必要かと思っておりますので、これは次の段階として、本年度の予算編成等にも、省内の関係部局と十分連絡をとりまして、一番いい方法を見つけ出して進めたい、こう存じております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 この結核予防法による入院と外来ですね、これは、われわれがちょっと数字を探したところでは、三十三年は、結核予防法によるもの四千八、入院が一千四百六十一で外来が二千五百四十七になっていますが、三十四年、三十五年の実績はどうなっていますか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 申しわけないですが、先生の今の数字はどういう資料でございましょう。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 この結核予防法によって入院をし、あるいは外来に来るのが四千八となっているのですが、これは厚生白書か何かではなかったかと思いますがね。それとも健康保険組合連合会から出ている年鑑の資料かもしれません。あるいは違っておれば、何かあなたの方で、結核予防法による外来、入院ですね、いわゆる入院——予防法で入院をして外科手術をやった数、それから外来で予防法でパス、マイシン、ヒドラジド等を与えられた数等がわかるはずだと思います。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 私の方で三十五年度のがございますが、実は結核予防法でやっておりますのは、入院は、主体が三十五条による命令入院の部分でございます。これは差し上げてある資料にございますように、三十五年が一万一千件、それから三十四年は八千件、こういうふうになっているわけでございます。従いまして、若干手術の前後だけ一カ月ばかりを限りまして、三十四条の公費負担の入院がある。これは少数でございます。従って、大部分が外来でございまして、それは全国では三十五年度八十六万件ということになっておるわけでございます。従って、今の外来が数千以下というのは、これは結核予防法によるどの保険かの一部をこれによったという、ごく一部の数字じゃないか、こう存じております。従いまして、年々ほぼ十万件の差で増加して参って、三十五年が八十六万件、こういうような外来の数になっておるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、さいぜんの御説明によりますと、要入院というものが八十六万だが、実際には四十万くらいだろう、半分ぐらいだろうということになりますと、予防法で一万一千から八千件くらいの入院では、これは四十年かかってしまうわけですな。これでは結核菌をまく方が早くて、撲滅することの方がおそくなる。実はそういうところにも、やはり問題があるのじゃないかと思うのです。病床の利用率は七割九分だ。病床は三十年以来二十六万までずっと増加してきた。ところが、病床の増加に比べて患者の経済的な、あるいは社会的な、これは入院していくだけの力というものがこれについてこなかった。ついてこないうちに、もう結核は下火になってしまったのだ、死亡率が下がったことだけを見て、下火になったということで、今度はベッドを減らし始めるという、まるっきりほんとうの政策が徹底しない前に、もうその政策の後退が行なわれているのです。私はここでよく言うのです。初めは保険々々と言っておった。そうしたら今度は、いつの間にか年金年金と言って、保険はちっとも徹底しないうちに年金を言い初めておるから保険も徹底しないわけです。初めは結核々々と言っておった。ところがガン、ガンと言い出したものですから、今度は結核というものは下になってガンになっているのです。今度は脳溢血脳溢血というと、ガンがいつの間にか下がってしまうでしょう。あるいは脳隘血が下がってガンかもしれませんが、とにかくそういうように、何か厚生行政というものがそのとき、そのときのムードと流行を追っているのです。大地に足をつけて、ほんとうの大掃除をして、日本国民の体位の向上というか、健康を守るというか、そういうことの徹底した政策というものがちっとも行なわれてないのです。こういうところにもやはり厚生行政の欠陥があるのです。それがいみじくも、この結核問題にも、最近患者はある、病床は利用しない、利用しないから病床を大蔵省から減らされるという形になってきて、不徹底に医療行政が終わってしまう、こういう形になっておる。これはどうも歴代の大臣が非常に早くかわり過ぎることも原因です。六カ月か一年で、もう勝手に自分の抱負、経論を述べたら述べっぱなしで、あとは、あと足で砂をかけて去ってしまう。次の大臣が来て、また続いて勝手なことを言ってやるという工合に、病気は依然として連続をしてきているけれども、政策は、それに伴って連続してこれに向かっていくという政策がないのです。そのとき、そのときの波の間に間に政策の重点が変わってきているというところに問題があると思うのです。こういう点は、今度古井さんはぜひ残ってもらって、やはり池田総理とともに、まあやめるときはやめる、こういう慣例を、内閣を作らなければだめですよ。そうしないと、ほんとうの政党内閣の政策というものは行なわれはしないのです。坂田厚生大臣もうまいことを言っておった。ところがやめたら、もう結核の予防給付の問題はちっともやっていないのです、今聞いてみると。私は一千万円を集めて必ずそれをやりますということを予算委員会の部屋で言ったのですよ。こういう点がどうもいけないのです。  これで総論的なことは終わりまして逐条に入りますが、その前に古井さん、さいぜん安藤政務次官にも言ったのですが、実は保健所の所長なんか希望を持っていないのです。役所の役人が自分の仕事について希望と情熱を失ったとき、その行政は停滞するのです。私はたまたまその保健所長さんの集まるある会合に出た。ところが、驚くなかれその保健研長さんはみんなわれわれの大先輩だったのです。そうしてその所長さんたちが、よわい五十になんなんとしてもう行くところがないのです。上に上がれないのです。衛生技官というのは。そうして、県の衛生部長というのは一人ですから、行くところがない。県の課長をやめてまた保健所に出てきている。こういうことは非常にいけないことだと思うのです。一体どうしてそうなるだろうかということを調べたら、わかってきた。それは、公務員の中で医療職の方は試験がないのです。もう医科大学を出て国家試験を通って厚生省に入ったら、あるいは県に行ったら、それでよいのです。他の技術官は公務員の六級職ですか、試験がある。だから行政もできる。ところが、お医者さんの方はそうはいかない。厚生省では、ごらんになっても、失礼な言い分だけれども、尾村さんは昭和何年の大学卒業ですか。——十年の卒業ですか。十年というと、厚生省の局長の中では一番右翼の方ではないかと思うのです。それから川上さんは、私が県会議員のときもう隆々たる——満州国から福岡県の衛生部長になってきたときは、知事候補か副知事候補といわれるくらいの大した人だった。僕らはまだ若造だった。ところが今度国会にきてみたら、何か東京の地方の医務出張所長から医務局長になってきた。もう五十幾つくらいになるではないかと思うのです。そういうように、もう幾らたっても局長から上がれないのですよ。その人に力がなければ上がらないのは当然です。しかし、力があっても上がる道がないのです。ここなんです。そこで古井さんにお願いしたいのは、まず第一に、人事院に言って、医療職ということで高級公務員の試験を医者もやる、通ったら自由に行政をやらせる。保険局長も児童局長もやればできるのです。その証拠には、牛丸君は、牛丸君のことを言うて気の毒ですけれども、たまたまそこにいるから言うのだが、牛丸君は薬務局長です。法学士で薬務局長ができるのです。昔は慶松とかいった有名な薬務局長がおりましたが、これは薬剤師だったと思います。昔は薬剤師でなければできないと思っておったが、法学士ができる。医学士に保険行政ができないはずはない。あるいは次官になれないはずがない。ところが、医学士で次官になった者はいないのです、厚生省には。昔から三丁目一番地という言葉があった。技術官になったら高等官三等一級でやめです。だから、ばかばかしいから、たまに尾村さんのように優秀な者も行くけれども、優秀なものは行かないのです。だから、今見てごらんなさい。保健所で衛生行政をやろうとする人はいなくなってしまった。これでは厚生省の行政は大へんです。そこで古井さん、第二点として、優秀な技官をどしどし建設省と同じように次官に登用する道を開くべきだと思う。こういうことは何かつまらぬことのようであるけれども、この結核予防法進展にも大いに関係してくるのです。そういう頭の人がやはり行政の中枢にいつもいまないところから、厚生行政が医師会とけんかをして古井さんに迷惑をかけることになる。こういう点もうちょっと心を広くして行政をやらなければいかぬです。幸いに古井さんはきっすいの役人から上がって今度大臣になられた方ですから、よいところも悪いところもみんなかみ分けているはずです。午前中安藤政務次官に言ったら、そういう点は私も痛感しておりますと言ったが、痛感するだけで、実行しなければ痛感とは言われない。そこで古井さんに二点お願いしたいのは、まず第一は、人事院に言って試験をやるようにする。公務員試験、いわゆる六級職というのですか、そして行政にも技官が行けるようにする。それから同時に、思い切って厚生省においても技官が次官になれる道を開く、こういう二点ができるかどうかということです。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 お医者さんの出身だからといって、ほかの仕事をやって悪いわけは一つもありません。背から大政治家だってお医者さんの中から出た例もございますし、知事だってお医者さんから出た者もあるし、なかなかすぐれた政治的、行政的手腕を持った人が出ているのであります。でありますから、何もこれは一般の行政をやる道を閉ざす理由は私もないと思うのです。お医者さんが普通の行政をやる試験が受けられない、これはちょっとおかしいように思う。はたしてそうなっておるとすればおかしいように思います。はっきり、しているかどうか知らないが……。それではあとでなんですが、私は受けられないはずはないように思って、受けられないならおかしなことだ、これは大きに考えてもらいたいことだと思うのであります。それから技術の方の人だから次官になれない、そんなばかなことはありません。これはたった一人しか省におらぬものですから、そうたくさん、十人もおる職じゃないですから、そうざらに出るはずはありませんけれども、技術の方だからなっていけない、こういうことは私はないと思う。優秀な次官に向く人なら、次官の適任者なら技術家出身だって私はちっともかまわぬと思うのです。よいことだくらいに思うのです。適任者でありさえすればいいと思うのです。そう思います。ただそれはそうだけれども、たとえば保健所がどうもとかく活発でないとか機能が十分発揮できないとか、お医者さんの待遇が悪いせいじゃないか、その問題はそれだけじゃ解決つかぬと思うのです。なぜかといえば、何ぼ次官にするといったって一人しかなれないですから、これでは全体の解決にはならぬ。保健所などのお医者さんの待遇の問題はまた別途それとして考えなければならぬ。そうしなければ解決にならぬと思います。同時に保健所で何もかにもかかえ込まぬで、開業医の方に、あれだけ多数の人が各地におるのですから、仕事を回して、保険でやれるものはやるようにするとか、大いにそういう方面の人に活動してもらうような対策も考えなければいかぬというふうに思うのであります。それもこれも事実はごもっともな点、同感の点がありますので、対策は、今の次官にするとかいう点でなしに、広く考えたいものだと思います。  そこでさっきの、どうなっているかわからぬということ、もし知っておりましたら……。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 これは午前中も申し上げましたように、公務員試験を通らなければ医者出身のものが行政職になれないというような規則はないのでございます。なくても、むしろ除外例でなれるようになっておるのです。それから一般の行政職の公務員試験を受けていかぬことにはなってなくて、医科出身でもまれにこれを受けて通って資格をとった人もございます。ただ逆にこれを全部強制いたしますと、とてもそんなむずかしいものをもう一ぺん別に受けかえるというので、希望者が激減してしまうので、先ほどのお話のように、ほんとうに将来そういうふうな面で伸びたいというものも受けられるようになっておりますが、ただ受けて通った場合に、それを採用するかどうかということは、これはそれぞれの地方によって違っておりますが、まあそういう問題は確かに将来また解決してもらわなければいかぬと思います。  それともう一つは、やはり今の登用の道といいますか、ポストも必要でございますが、それより、本来保健所というああいう仕事にきて、それが民間とかあるいはほかの事務系の人と比べまして、ある程度までいきますと待遇がとまってしまうという点が非常に影響しておる。むしろこういうような場合に、専門的な特殊職として、行政の何号というようなものを特別に伸ばす、かなり上まで月給が上がっていく、これが必要だということがいわれておりますので、私どももこういうような行政に携わっておるいろいろな医療職を持っておる各省と今連携いたしまして、そういうような改正についての研究会は持っておるわけでございますが、やはりその面に持っていかぬといけないのじゃないか、こう思っておるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 いわゆる昔の高文ですね、行政官、これは受けられることは知っているんですよ。しかしそれは医学を専攻したものが憲法とか行政法とかいうのを法科出と同じようにやるためにはまた勉強しなければならぬ、大へんです。そうじゃなくて、たとえば医科大学を出たならば、今度は六級職の医科の方の試験をやってくれというのです。これは今はないですよ。そこなんですよ。これをやれば、法科が自分の専門の六級職の公務員の試験を受けるように、当然医科の方は医科の方で六級職の試験を受けたら対等ですよ。ところが今それがないから対等にならぬのです。私が言うのはそこですよ。ほかのところはあるのです。理科やなんかは六級職があるのです。医科はないのです。だから今度は厚生省に行ってもあなた方は次官になれないのです。これは対等だったらなれるのです。昔から今までに厚生省で技官で次官になった人がおるかというとないのですよ。高野六郎とか、勝俣稔という参議院に出ておる有名な人なんかは、普通だったら法科を出ておれば一ぺんで次官ですよ。ところがなれてない。あなたたちだってなれないです。あなたは、保健所の所長は長くおったら給料を上げるようにしてくれといわれるが、それが頭打ちでできないシステムになっておるのです、ポストによってだんだん給料の号俸が上がっていくのですから。あのポストにおって、次官は九万か十三万か知らぬが、そこらまでくれるということになればそれはいいです。それはまたそれで一つの希望が出てくるのです。ところが大学を卒業して、自分よりか高等学校のときはるか後輩であった者が、いつの間にか自分の上になってしまうのです。だから衛生技官の集会に行ってごらんなさい、不平だらだらですよ。そういうところは尾村さん自身が身をもって体験しておるからわかるはずです。ただあなたが言いにくいだろうと思って私はあえて言うのです。言わなければ日本の厚生行政は停滞してしまうですよ。医学をやらずに、人体の構造を知らない人が上にどっかとすわって、何もかも知ったようなふりをしてやる。これは結局あなた方にしても川上さんにしても、診療報酬は今のままでは日本の病院はやっていけないなどと言っても、厚生省の中では常々とそれを主張できないでしょう。主張すれば、それはだれかあなた方を助ける人がおらなければいけない。しかし助けておったら出世しない。なぜならば次官以下はみな法科出が占めておるから、お前要らぬことを言っておると先があぶないぞ、こう言われるとそれまでです。これは極端なことを言うようですが、そういうムードがあるのですよ。みな笑っておるけれども、そういうムードがあるからこそ厚生行政がこういう形になった。根本はみんなが気づかないこういうところにある。厚生省の中の医務局の専門的なポストは全部ほんとうは技官が占めなければならない。ところがさいぜん言ったように国立病院と何か二つくらいでしょう。一番大事な医事課長なんかは占めていやしない。こういうところに問題がある。今度病院指導課というのができるけれども、何か聞くところによるとそういうところはまた法科の人がとる、こういう話をちらちら聞いておるのです。そういうのはわれわれの耳に一体どこから入ってくるか、技官から入ってくるのです。それは不満があるからです。そういう点、あなた方がもう少しふんどしを締めていかぬと、こういう結核予防法というような技術的な問題になった場合に、いたずらに事務的なことばかりの方が先行して、事務だけが多くなって、医療の内容、人間の命を守ることがあとになるのです。私はそれを言うのです。私だって役人になろうと思った、官僚主義を打破しようと思って役人になろうと思ったが、役人になったら技官じゃだめだということを知ったから、政治家でやろうと思って政治家になってきたのですが、そういう点をもう少し——これは法科出の古井さんを前に置いてあえて言うわけですが、しかも裏表みな知って、警保局長までやってこられた古井さんですから、古井さんに言っておけばわかるだろう、こういうことで言うわけです。ぜひ一つ大胆率直に悪いところは悪いと言って、やってもらいたいと思います。  次は逐条に入って三十五条です。この三十五条は今までとは違って、診察とか薬剤または治療材料の支給というように一号から六号まで書きましたですね。そうしてこういう内容の治療を受ける場合は、五号、六号については知事が必要と認めた場合というように、三十五条の旧条文を見てもなかったことをこれはお書きになったわけです。今までは医療の内容を明示しなくてもやっておったものが、特にここでどうしてこういうように明示をすることになったのですか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 これは従来も大体こういうような内容ではやっておりましたが、先ほど御意見もございましたように、県によりまして財政事情その他で、こういう範囲をきめておきませんと非常にしぼるということがあるものでございますので、従いまして、これはその他の一般の患者が受けられる健康保険の例による医療の程度までは保障しなければいかぬということで、むしろさような意味でこれを明示したわけでございます。決してこれは従来より拘束するとかあるいは範囲を狭めるというのではなくて、むしろ保障しよう、こういうような意味でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうすると、これは保障するためにこういう医療内容を書いた。実は健康保険法にも生活保護法にも書いておりますね。幾分これは違うのです。生活保護法では、医学的処置、手術及びその他の治療と、それから施術というのがあるのです。施術というのは、はり、あんま、きゅうみたいなものではないかと思うのですが、健康保険法では施術というのはないのです。だからこれはおそらく健康保険法と生活保護法を持ってきたようなものだと思うのです。医療の内容をよくするためにこういうことをおやりになったと言うが、三十五条の二項になってみますと、これは今までは患者なりまたは保護者が申請をして一部負担または全部の負担をすることができるようになっておるわけです。ところが今度は、この条文では一部負担が先行するのですね。上の方の三十五条の二項では一部負担が先行をして、そのあとに予防法が行く形になっておるのです。形はそういう形で、今までは申請をしなければ全部予防法が見ることになっておる。これは申請によってその全部または一部を負担するのですから。ところが今度は一部負担が先行をしてやることになる。これは条文はそうしか読めません。今までの三十五条の下の方をごらんになると、「当該患者又はその保護者の申請により、その全部又は一部を負担することができる。」こうなっておるのです。ところが今度は申請なんということはなくなってしまったのです。だからこの条文からいけば、これは一方的に認定するわけですよ。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 これは従来よりもむしろ御趣旨に近くなったのでございまして、三十五条にありますように、やはり費用の支出については、「当該患者又はその保護者から申請があったときは、」ということになっておりまして、むしろこの負担が今度先行いたしたわけであります。従来は、もちろん申請はございますけれども、むしろ自己負担が優先いたしまして、それで全部または一部をあとから府県知事が負担することができるとありましたのを、最初から府県知事がその申請によって負担する、負担した中において、民法云々によって負担能力があれば一部を本人にさらに負担させることができる、こういうことにしたわけでございまして、むしろ今度は法律が優先、府県知事の義務優先といたしたわけでございます。申請の点は従来と同様な規定にいたしております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと結核予防法が優先をして、本人が負担の能力があるというときには一部負担をさせる、こういう形にしたわけですね。しかし条文からはどうもそう読めませんね。今までの方が民主的ですよ。旧条文の方は申請によってやるのですから。今度は二項には申請ということがないのですよ。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 今度は三十五条の一項にございます。従来は三十五条は一項だけしか条文がなかったわけでありますが、今度は一項、二項、三項にいたしまして、お手元に資料があるかと思いますが、新条文の方の三十五条の五行目に、「当該患者」——そこに一字ミスプリントがございます。「又はその保護者から申請があったときは、」であります。この三十五条全部が従来通り申請主義を優先させておりまして、二項にないのは、むしろこちらで申請が終わっておりますので、二項にまたもう一ぺん書かなかったわけでございます。かような形でございますので、従来よりも地方公共団体がはるかに先に義務を負う、こういう趣旨を貫いておるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうすると、申請すれば結核予防法が優先をして一部負担がそのあとになってくる。  それから今まで三十八条の三項で「都道府県は、前項の支払に関する事務を、社会保険診療報酬支払基金又は省令で定める者に委託することができる。」こういう簡単なことであったわけですね。ところがそこに三十八条の三項以下にずっと三、四、五、六と入ってきたわけです。これは生活保護法の五十三条と同じですね。そうして三十九条になりますと、「指定医療機関が行う第三十四条及び第三十五条に規定する医療に関する診療報酬は、健康保険の診療報酬の例による」こうなったわけです。それならば、健康保険の例におよりになるならば、ずっと三、四、五、六とこんな生活保護法と同じものを書かなくてもいいのじゃないですか。生活保護は御承知の通り健康保険によらないのですよ。国民健康保険によるのです。国民健康保険の医療は御存じの通り生活保護すれすれの最低の医療ですよ。発足当時農村厚生運動の一環として起こった歴史的な経過をもって、生活保護と同じ医療の水準です。生活保護法の五十二条をごらんになりますと、「指定医療機関の診療方針及び診療報酬は、国民健康保険の診療方針及び診療報酬の例による。」こうなっておる。ところが生活保護と同じような指定医療機関に対するいろいろの審査とか、報酬額の決定とか、審査委員会の意見とかいうようなものを持ってきておるくせに、今度内容は健康保険になっておる。健康保険だからいいわけですけれども、それならば健康保険と同じような形で社会保険診療報酬支払基金または省令で定める者に委託するということになって、こういうむずかしいことをやらなくてもいいのじゃないですか。どうしてこういう三、四、五、六と生活保護法と同じようなものを入れなければならないのか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 お話の通りに診療報酬の基準とかいわゆる事務的な方法、治療指針というようなものは、従来国民健康保険法の例によっておったわけでございまして、健康保険の例にいたしましたのは別に他意はないのでございます。国民健康保険が健康保険の例による、生活保護はさらに国民健康保険の例によるというので、順繰りに孫引きをしておりますので、むしろ一番大もとであるものをやっておいた方が、同じものであるけれども間違いがないであろうというような趣旨で考えたわけでございまして、むしろその方が——国保の場合でございますと、健康保険の例によりながら、場合によっては解釈上ある程度制限を付したいろいろなことをやっておる場合とごっちゃになるおそれがありますので、一番大もとの安全なところにしたということであります。  それから経費の方の支出につきましては、健康保険と国保と違う点は、公費によりまして、八割が国庫、二割が地方費、こういうことでございますから、これと類似のものは生活保護法だけでございまして、あと原爆医療等全額国庫というのがありますが、それらとの見合いがあるわけでございます。これは健康保険と国保と全然違った負担のやり方でございます。従って、これは生活保護と、最も類似のものと合わした。しかも今回の五万四千件の対象のうち三万六千件は生保で適用しておる一部負担のもの、これがそのまま移行するわけでございますので、これらも当然合わしておいた方がすべてに便利である、そういう意味でそこに合わせたわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 指定医療機関の診療内容を随時審査ができるというのは、これは生活保護法ならばまるがかえです。一応国と県が持ってしまうのだから、あるいは市が持つのですから、町村は持ちませんが、八割は国が持ち、二割を県または市が持つわけですから、一部負担があるもの以外は、併給のものはまるがかえですよ。そういう場合にはこれは国がそれだけ見なければならぬから、随時やることができる。しかし命令入院というものだけでなくて、第三十八条の三項になると、指定医療機関の診療の内容及び診療報酬の請求を随時審査するのですから、健康保険における結核予防法の適用も、国民健康保険における結核予防法の適用も、この条文ではみな随時にやれることになるのです。こういう例はないですよ。こういう形が官僚統制の強化だと言われるのです。こういう形を作るから、今までやったことがないのに、またこれで権限強化ですよ。せっかく医療の民主化をやって、制限診療を撤廃しようなんて三役と医師会が約束したって、もう言う口の下からこういう強化をやって、今までよりさらに前進したことをやるというなら、ますます不平が下部から出てくることは当然ですよ。こういう点は生活保護ならばやむを得ぬです。しかもあなた方が独特の立場でやってみたのならいいけれども、調べてみたら三、四、五はみな生活保護法にありますよ。生活保護法の五十三条をごらんになるとずっとあります。同じです。生活保護法の五十三条をごらんになると、医療費の審査及び支払いというところにみなある。だから結核予防法と生活保護法と同じだとお考えになるならば、こんな予防法なんかおやりになる必要はない。生活保護法で命令入所とかこういうものはみんなおやりになったらいい。こういうものをわざわざボーダー・ライン層のためにやるのですから、そういうものを生活保護法と同じにやるなら、患者なり負担する者の側からいえば、二重になるだけめんどうくさい。あるものは生活保護法でやる、あるものは結核予防法でやる、こんなばかなことはやるものじゃない。それなら一括して生活保護法でやったらいい。今までそれで全部済んでいるのですから、二つの法律で同じようなことをやるということは、どうせ同じ国の金なんですから、生活保護法の医療扶助で出すか、結核予防法で出すかといっても、国で出すのは同じなんですから、わざわざこの法律を作るだけ繁文縟礼を多くしているだけですよ。こういうところがどうも法科の人がやることなんですよ、実地をやっていないから。われわれみたいに実地をやった者ならすぐ気づくですよ。こんなばかなことはない。こういうばかなことを平気で、今度は法律の改正をやって、われわれ国会議員の時間のないのに審議させるわけです。これはわれわれ関係のものを全部見なければわからぬわけですからね。これはもうほんとは全部削除だ。みな前の通りでちっとも差しつかえない。これだけ法文を三つ、四つ作るだけ紙は損するし、審議する時間は損する。こんなばかなことをおやりになるから厚生省はだめだというのです。こういう点がどうも私らは納得ができない。これは社会局から公衆衛生局にこの分だけ厚生省で移しただけのことなんですね。それで大前進だというが、ちっとも前進じやない。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 この点は確かに御指摘の通り従来なかった監督的な規定が入った形になりますが、先ほどから申し上げましたように、全国的に今までやっておりました生活保護の一部負担がこの三分の二を占めるものですから、その点を移行した。ただ法文の上では、三十八条の三項の前段の方では三十四条も入るようになっておりまして、これが若干問題があるわけでございますが、われわれの方としては、これは従来やっておる通り命令入所の問題だけというふうにしたい、こう思っておるわけであります。ただこれを分割してやりますと、また別な条文もあげなければいけませんものでありますので、この三十八条の中に羅列してやった。ただ今の三十五条の部分はどうしてもこれは必要であろう、こういうことで載せたわけでありまして、しいて従来以上に監督権を結核予防法に拡大して、一般の入院患者まで厳重にやろうというような考えは毛頭ないのでございます。むしろ数がふえますので、指定医療機関はふやしてもよい、こういうくらいなつもりでおります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それはあなたのときはそれでいいです。しかし時移り星が流れていきますと、やはりこの条文の通りしか読まないのです。そうすると保険医療機関についての審査はこれで随時にできるのです。なぜならば保険医療機関は同時に結核の指定医療機関になるわけです。しかも健康保険で結核予防法を受け持つ、あるいは国民健康保険で受け持つわけですからね。そうしますと随時これでやっていけるわけです。こういう点は一体今までの三十八条の三項、「都道府県は、前項の支払に関する事務を、社会保険診療報酬支払基金又は省令で定める者に委託することができる。」これだけでいいじゃありませんか。どうしてこういうものを権限の拡大のためにやらなければいかぬかということです。これだけ今私的医療機関というか、日本医師会、歯科医師会と厚生省がけんかしなければならぬような状態にあるときに、こういう権限を拡大して、けんかに水をさすならばいいが、けんかをますます燃え立たせるようなものを作っていく。だからできればこれは三、四、五、六を削除してもらいたいと思うのです。今まで通りの三項でけっこうやっていける。これは生活保護にもあるのですからね。大臣どうですか。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 これは規定の解釈というか、立法の技術的な問題に触れてきますからして、私もあまり軽率にも申せませんが、第三項というものは後段にもあるように第一項を受けておるわけです。第一項の規定により請求することができると浮いてありますが、策一項を受けた第三項だと私は思うのです。これがあるがゆえにどれでもこれでも指定医療機関の診療の内容、診療報酬の請求というものを調べてみる、そういうことができる規定とは私は思わぬのでございます。これはいろいろな書き方があるかもしれませんが、そういう書き方じゃないかと思うのです。えらいこれを拡げていく気なら、後段にこんなことを一緒くたに書くのはおかしい、三項の後段に一項のことを書いてあるのがおかしいので、解釈はそうすべきであると私は思います。四項、五項の規定はこういう生活保護法の規定を引用して書くのも一つかもしれぬけれども、こういう実態の規定を設けておく必要が私はあるのであると思うのです。審査委員会の意見を聞くとか、こういう実態的な問題がいけないということはどうも考えられない。やはり聞くべきものに意見を聞いてきめるとか、実態的にこれは必要な規定だと思うのです。さもなければ他の法律を準用するほかはない。ですからこれは、大へん勢いよくおっしゃるけれども、よく読んでみると、これは実際そうえらい心配な規定のようには思えないのであります。  それから三十九条の「健康保険」というのはもとは「国民健康保険」ということになっておったのですが、これはさっき局長が言った通りで、孫引きをやめて大もとを引いたというだけのことで、実質は一つも変わりがない、こういうことだと思いますが、三十八条にしても四項、五項——これは事柄としては五項などことに必要な規定だと私は思うのです。三項はそういう規定だと思う。また当然そういう解釈のもとに運用すべき規定である、こういうふうに思いますから、そこは何かの魂胆があるようにはお考えいただかぬようにお願いしたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 これはお考えをいただかないようにと言ったって、三項は絶対に前の三十四条一項または三十五条だけに限定はできないです、この条文からは。それならば修正をしてもらって——そうなれば、都道府県知事は指定医療機関の診療内容、診療報酬の請求を三十四条なり三十五条に限って随時審査することができる、こう書かなければうそです。これは絶対読めないです。私は法学士ではないけれども、これは読めない。これは第一、生活保護法の条文というものは全部網羅的にやることになっているのですから。それから今まで三十八条の三項でやれてきておったものが、一体公費負担を拡大をしたからといって、何でこういうことをやらなければならぬかということですよ。何でこういう三、四、五、六をつけなければならぬかということです。それならば私は生活保護法でいいじゃないかということです。何も結核予防法でやる必要はない、結核は生活保護法で全部できるのですから。これなら社会局のものをあなたの方へ移しただけでしょう。生活保護法ならば思う存分に五十三条で随時に審査することができるし、保護法の規定がちゃんとあるのです。ところが今度はこれは健康保険と同じ例でいきますぞ、こういうことになっておりますから、健康保険でいいのです。健康保険はこういうことはやらないのですから。そうすると第三十九条に全部「健康保険の診療報酬の例による」というのだから、健康保険と同じ通りにやったらいいのです。健康保険の例にならってやります、こうしていったらいいでしょう。それを今度は、ここには生活保護法のものを持ってくる、あとには健康保険法を持ってくる。分裂しているのですよ。寄せ集めですよ。こういうことでは結核対策をやろうといったってまるっきり腹がまえが——あっちのふんどしを借り、こっちのふんどしを借りて相撲をとることではだめですよ。だから私としてはこういうことではちょっと納得ができかねる。三十八条の旧条文の三でどうしていけないか。三でいけるはずです。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 ただいまの健康保険の例によりますのは、診療報酬の取り扱いを健康保険の例による、その部分は生保も健保も国保も孫引きしておりまして、どれにいたしましても全部一緒なんです。こちらの方の問題は、いわゆる負担者がどれだけ義務を負うかというようなことに基づいている問題でございますから、これは健康保険とは全然違って、健康保険は自分らで出したもの、それから事業主、あるいは国保の場合には国も入る、こういう問題であります。それなら生保と同じなら生保でいいじゃないかと言われますが、生保と違う点は、生保は一部負担を本人に課しておる。その一部負担をも今度の八割、二割のものでほとんど大部分をこれで吸収しようということで、そういう意味でそっちの例によったわけであります。こっちの方はこっちの例によったわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 だからそういうものを何も法律を複雑にして結核予防法の改正なんかやる必要はなくて、生保の改正をやってその一部負担を見ますということにしたらいいのです。どうせ国の金なんだから。こういうことが、結核というものをあっちも見る、こっちも見るからいかぬというのです。私はこっちで見るならば、全部結核を生保からこっちに持ってきた方がいい。どこかに統一しなければ、健保も見る国保も見るというて、あちらこちらやる。そして国保は四分の一負担させる、健保はやりはしないんだ、こういう不徹底なことをやっているでしょう。これは今まで通りならば、都道府県知事は健康保険についても機関委任を受けて事務をやっていますからね。健康保険についても同じことですよ。指定医療機関の診療内容及び診療報酬の請求を随時審査するのですから、診療内容というものは報酬と不可分です。そうすると診療報酬は健康保険の例によっておるから、健康保険の例によって知事にやらしたらいい。そうしたら一行で済んでしまう。健康保険の例によって一切の審査その他をやりますと書けば、こんな生活保護を持ってくる必要はない。ところがこれはおそらく、国が八割出しておるのだから生活保護というものを持ってきておる、そういう概念だろうと思うのです。そうなるといたずらに法文を複雑にするだけで、だから後世のわれわれのあとに続く者は、今度は生活保護法も見なければならぬ、これも見なければならぬということになる。そうすると生活保護法の条文と結核予防法の条文が違う。報酬が片一方は国民健康保険の例によっており、片一方は健康保険の例によっておる。どうしてこうなるのだ、こうなる。ところが国民健康保険で見ると、健康保険と同じにしなさい、こうなっておる。だから三つの条文を見なければそれが一本であるということがわからないのです。こういう複雑な状態を作っておる。たまたま私は知っておるからこういうことが言えるのです。知らなかったらまた見なければならぬ。こういうごまかしというか、複雑な状態を法律で作ったってわれわれ代議士のしろうとを惑わすばかりです。代議士を惑わすことは国民を惑わすことです。厚生省はもう少しこういう点整理しなければだめですよ。  もう一つ、四十二条で、今までは厚生大臣が入っていなかったのです。今度「厚生大臣又は都道府県知事は、第三十四条第一項及び第三十五条第一項に規定する費用の負担を適正ならしめるため必要があると認めるときは、指定医療機関の管理者に対して必要な報告を求め、」云々とある。今までは都道府県知事だったのです。ところが今度厚生大臣が入ってきた。厚生大臣は都道府県知事に機関の委任をしているのです。ところが今度、厚生大臣が、八割金を出すからかどうか知りませんが、また入ってきた。そして監督権をもう一つ厚生大臣が握ることになる。だから事務を簡素化してやろうというのに、また上に一つ出てきたんです。これはどうしてですか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 今までは二分の一ずつの負担ということで府県知事にまかしておったのでございますが、今度八割と二割になって参りましたので、厚生大臣もやはり責任を負う、こういう意味で厚生大臣もできるようにしたわけでございますが、実際問題としてはダブってやるということはあり得ないのでありまして、むしろ厚生大臣が地方長官を指揮し得るような趣旨を主といたしまして、それで入れたわけでございまして、これの運営で本省が直轄でいろいろなことをやるというようなことは実際は考えていないわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 八割をするからそういうことになったのだと思うんです。八割をするということであるならば、結核予防法をこんなに改正せずに、生活保護法で全部やったら同じなんですよ。こういうところがどうも僕は納得がいかない。厚生行政というものは勉強すれば勉強するほどわからなくなる。  それで泣き言を言ったって仕方がない。社会党は政権を持たぬから泣き言を言っても仕方がありませんから、確認をしておきますが、三十八条の三項は第三十四条一項と三十五条一項のこの医療についてのみ随時審査をし、あるいは診療報酬の額を決定できる、こう解釈するのが確定解釈だ、こう解して差しつかえありませんね。大臣にもう一ぺん……。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 これは私からお答えしておく方がいいと思います。さっき申し上げ、また今あなたがおっしゃった通りであります。これは従来他の生活保護法に似たような規定があるそうでありますが、その解釈もそういうふうにいたしております。それから、これは技術的に内閣の法制局などとも検討してきた過程においても別に食い違いがありませんので、今のように御了解願っておきたいと思います。

柳谷清三郎自由民主党

○柳谷委員長代理 小林進君

小林進日本社会党

○小林(進)委員 今局長が用事で行かれましたから、大臣に御質問いたします。  この法律は決して改悪ではないのでございまして、総体的には結核対策としてやや前進の形を続けておりまするから、この点においては、私は、いじ悪い質問をしようとかあるいは大臣を窮地に陥れようとかという心がまえではございません。ただしかし、先ほどからもお話があるように、古井厚生大臣が大臣に就任をせられて、今年度の社会保障は革新的に前進をしたという、その看板ほどには前進をしていない。この点を私は大臣から御認識をいただきまするとともに、先ほどから何回も繰り返されているのでありますが、せめて結核対策くらいは抜本的に方策を前進していただいて、ここで一つ日本から結核の恐怖をなくしてもらいたい、私はこういう気持でいるわけです。また世界的な情勢からながむるならば、わが日本には結核患者は多いです。先ほどからも御説明を聞いておりますると、何か百三十万の要入院患者が八十六万に減ったという、これを非常に売りものにしておいでになりまするが、まだ八十六万人も存在している。しかも一年間に三万二千人ずつの死亡者が出ている。これを一体先進国と比較してみたらどうかという、大臣、この比較対照をお伺いしたいのであります。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 これは私から御説明いたしますよりも専門の局長がよろしいと思いますけれども、多分お手元に差し上げてあります資料の中にも数字あるいは各国との比較が出ておるのでありまして、その数字以上のことは私は申し上げられないので、数字でごらん願いたいと思います。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 それは私も、ここに資料がありますから、そうやって見ることは了承しておりまするけれども、せっかく大臣に見ていただかないと、まだまだほんとうの認識を大臣にしていただくわけにはいきませんから、あえて私は大臣からその数字を承るためにやったのでございます。しかしその中で私が特に言いたいことは、やや結核対策は前進する形を持っておりながら、八十六万の要入院患者に対して病床を三十五年には三千病床も減らしている。今日だってまだ国の病床の中で七九%しか患者を入れない。入れないばかりじゃないです。同じく厚生省のあなたの所管の中で、公衆衛生局の管轄では、結核対策のために自費入院なり強制入院なりをして濃厚感染患者を減らそうとやっておりながら、一方にはそれを受け入れるいわゆる病院、医務局側はどうかといえば、だんだん病床を減らしているじゃありませんか。ここに厚生行政の中に、同じ一人の大臣のもとにばらばらな行政がある。この点が私は非常に気に入らないのです。まことに気に入らない。きょうは医務局長が来ておられませんけれども、来ておられれば、私はこの点をほんとうに声を大にして文句を言いたいところであります。ともかく公衆衛生局長がお見えになりましたら、私はまたこまかい点をお聞きしたいと思いますけれども、せめて大臣、せっかく結核行政というものが軌道に乗ったのですから、あっちを食いつぶしこっちを食いつぶしというヘビのなま殺しのようなことをしないで、あなたが厚生大臣のときに、国民病といわれ、社会病といわれる結核だけは一つ根本的に根絶をして、あなたの名前がわが日本の歴史とともに永遠に輝くような、そういう抜本的な対策をやっていただきたいと思っているのでございまするが、そこに至る結論として大臣に一つお尋ねしたいのは、一年間にわが日本に要する総医療費というものは一体幾らですか、その医療費の中に占める結核病に要する費用、それが一体何百億になっているか、何千億円に対し何百億になっているか、一体そのパーセンテージはどのくらいになっているか、億単位でよろしゅうございますから数字をお聞かせ願いたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 今正確な数字を事務当局から申し上げます。

若松栄一厚生技官(公衆衛生局結核予防課長)

○若松説明員 三十三年の統計では約三千四百億でございまして、結核の医療費が占める部分は約一九%でございます。三十四年におきましても約一八・五%程度になっております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 三十三年度のをおっしゃいまして、非常に統計が古いのが私は残念なのでございますが、私どものざっくばらんな計算でも、大体三十五年度で医療費全部で四千億円から四千二百億円、そのうち結核に要する費用が八百億円前後、二〇%前後というのが当たらずといえども遠からざる数字だと思うのです。これは国家財政の面、国民生活の面から見ても、八百億円というこの費用は大へんな費用ですよ。これをここで少し金をかけていただいて、そして抜本的な対策を講じていただければ、そういう危険なる病気をなくするという方面のみならず、国のこういう多大な費用をなくするという財政支出の面から見ても、国民生活の面から見ても実に重大な問題じゃないかと私は思うのです。厚生行政を担当しながら、国民と国家両方がまちまちで出す八百億円の金をここで節約するというこの事業ですから、これは私は非常に大きな問題だと思うのであります。そのためには、やはり先ほどから言われているように、結核の対策が一本化されないでばらばらになっているという大きな欠陥もございまするが、あわせて、結核患者だけはやはり生活問題と切り離して国が全額を負担をして、そしてその危険度をなくするための完全な処置を講ずることが私は第一でなければならぬと考えているのです。  その問題に関連をして次にお伺いしたいことは、大体一年間三万二千人が結核で倒れていくとおっしゃいますが、その三万二千名の中で病院で死ぬ者が一体何人か、在宅患者で、病院にも入れないでうちで死んでいる患者が大体どのくらいあるか、お聞かせ願いたいと思います。

若松栄一厚生技官(公衆衛生局結核予防課長)

○若松説明員 これも人口動態統計の結果は三十二年までしか出ておりませんが、三十三年で三万六千二百七十四名死亡いたしました中で、一万六千三百三十五人、四五%が病院内で死亡しておりまして、二・九%が診療所の病室で死亡しておりまして、四九・四%が自宅で死亡いたしております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 大臣、これが私は重大問題だと思うのでございますよ。今でも、これはどうも統計が古くてなんですけれども、四九・四%という数字はちょうど半数です。これがまだ入院もできなくて自宅で死んでいるんです。こういうことをやっておきながら、入院患者が少ないからといって病床を減らしているんですよ。あなたの国立療養所だとか、国立の病院だとか、結核療養所というところの病床を減らしているんですよ。一体こういう厚生行政がありますか。御感想はいかがでございますか。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 自宅で、病院にも療養所にも入れないで死亡するというようなことをだんだんなくしたいというわけで、今度の改正もこういうことをいたしておるわけであります。それから病院、診療所を整理するという点が非常に逆行だ、こういうお話でありますが、実際足らないものは整理はいたしません。ただ実情が、他の一般の病院としての需要が非常に地方では多い、また一方診療所としては空床が相当ある、こういう場合、遊ばしておくことはない、一般の病院に活用しようということで、転換をするということは考えますけれども、必要があるのにこれを減らしていくということはいたさない。そういう無理なことはいたしません。その点は実情に即してのことでありますから、御心配をかけないように何とか考えたいと思います。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 大臣が言われるように、何も病院はその地区々々だけに限らないのでございます。いやしくも国家がほんとうに結核を撲滅しようと思いましたら、あるいは北海道の結核病人を東京まで持ってきて病院に入れたって一向差しつかえありません。私ども、新潟県なんか風光もいいし、海岸地帯で非常に地の利を得ている病院がありますけれども、東京から患者を、大臣が連れて参りますれば、喜んで入っていただくようにちゃんと準備をしている。それをだんだん病床をなくして、そして病人が減ったからというような言葉でのがれようと思うところが、私どものどうしても了承し得ないところなんでございます。先ほどからも問題になっております八十六万の要入院患者の中で、一体現在入っている者はどれだけおりますか。何%おりますか。

若松栄一厚生技官(公衆衛生局結核予防課長)

○若松説明員 八十六万の要入院と申しますのは、先刻も局長が説明しましたように、いわゆる実態調査による推計数でございまして、現実に保健所が把握しております者はその半数以下でございます。そしてその中の約半分が入院していることになっております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 だから四分の一ですね。二五%前後の者が入院をしているということになるのですが、今私の質問に対して半分だ、——先ほども滝井君の質問にお答えになりました。推計の数字で、その半分しか実際はつかんでいない。一体そういう答弁でよろしゅうございますか。推計の数字だから当てにならないということは、みずからの数字をみずから否定されるのですよ。それでよろしゅうございますか。それでいいというなら、私はそれでよろしゅうございますがね。先ほどから八十六万に減った減ったと言って、一生懸命宣伝しておきながら、今度八十六万のうち一体何万の人間が入院しているかと言ったら、実は八十六万は推計の数字で、実際はその半分くらいしかないのだというような答弁の仕方であるというならば、実に朝令暮改もはなはだしい。都合のいいように数字を動かしておられるというように——それでよろしゅうございますか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 ただいまの八十六万はいいかげんな数字ではないのでありまして、これはかなり正確な推定の数字、といいますのは、これは全国八十六万人個人々々をつかまえたわけではないという意味でございまして、全国の百分の一のサンプル調査をして、それは確実に一人々々つかまえて、そのパーセンテージを出して、それを全国民の百倍に伸ばした数字でございますから、これは統計的に見まして確実だ。今度入院をさせますにはどこのだれべえというものを、本人もしくは他人がつかまえなければなりません。これは九千万の国民の中で一人々々札がつかなければいかぬわけです。その本人または公の方で札がつけられたものが半数である、こういう意味でありまして、従って数があることは間違いない。ただ入院という具体的な実行ができるのには、札がつかぬとできませんので、その札つきが、四十万、その中で現にベッドを満たしている者が二十万、こういうふうなことでございまして、いいかげんな数字でないことだけ申し上げます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 その八十六万人がいいかげんな数字ではないということだけを伺って、私はそれでけっこうです。私どもはやはりその数字を基礎にして質問させていただかなければならないのでありまして、そのうちで現実につかんでいるのが半数の四十万であるとするならば、やはりその推定の数字をもとにして、あとのつかみ得ない半数を極力つかんでもらわなければならぬのでありまして、そうしてやはりそれに適当な処置を講じていただかなければならない。  局長がおいでになりましたから、ここで一つついでに私はお伺いしておきたいと思うのであります。要医療患者の三百四万人、要観察者の百四十七万人、要入院者の八十六万人、空洞を有する者四十一万人、この四つの階層の区別を御説明願いたいと思うのであります。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 要医療患者と要観察と要入院、それから空洞、こういうふうに分けておりますが、このうちの要医療と要入院と空洞所有というのはダブっているわけであります。といいますのは、これは見方の種目が違っておりまして、従って空洞を持っておって要入院の者と、それから要入院の一部には空洞を持たない者もある、こういう工合でございます。それから要医療というのは、今の要入院も入れまして、今の医学上の効果のある治療の対象になり得るという者、それから要観察と申しますのは、すぐに具体的な医療行為は要らないけれども、健康管理的な管理をしておかなければならぬ者、こういう意味でございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 結核の患者が入院をいたしまして、手術とか特別の手当は別にいたしまして、普通で一体一カ月どのくらいかかるものですか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 入院の場合には、手術料等を除きますと、大体月に一万七千円ほどの平均になっております。従いまして年間にいたしますと二十万強、こういうことになるわけでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 やはりその一カ月一万七千円もかかる病人なんですから、先ほども質問がありましたように、収入の二万円以上の世帯は有病率がだんだん減少してきておりますけれども、一万円以下の世帯は有病率の改善を見ない、こういう結論が出ているのは、結核はやはり社会病であり、国民病であると同時に、これは貧乏病だ。貧乏すればこそこういう結核にさいなまれて、不治の状態に落ちていくということが明らかになっておるわけでございます。従いまして、今そのとらえられておる八十六万が推定の数字であるとするならば、実際につかんでおられる四十三万前後の数字の中にでも、なおかつ二十万近くのものが入院ができないのであります。そのできないものの実態は一体どういうことになりますか。これはやはり、収入は少ない、国家の保護も受けられない、貧乏で、入院したら暮らしが立たないという、ほとんど低所得階層とまず結論を下してもよろしいというふうに考えます。大臣、いかがでございますか。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 精密なことは局長から申し上げますが、大体経済的な理由が大部分だという認識を私は持つのであります。この自分の負担が困難だというところからやはり入院ができないという人が一番多いのだと私は思います。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 大体今の大臣のお話の通りでございまして、私どもの方で、実態調査のときに要医療を指示した者で、その後一年間に医療を受けなかったという者について、具体的に調査した成績がございます。それによりますと、要医療全部でございますと、経済的、社会的理由のためということをはっきりと本人からアンケートを出しましたのは約九%でございまして、そのほかの者は、自分でよいと思ったから、こういうことでアンケートを出しておるのが六〇%でございます。ただ、これが問題でございまして、形の上ではそうでございますが、自分でよいと思ったというのは、自分のふところ工合と比べてよいと思うというのが入っておるわけでありまして、これは今までの実態調査の中ではその区別がつかなかったのであります。それで、このうちの相当部分がやはり経済的、社会的理由であろうということで、今大臣がお答え申し上げましたように、約半数はそういうことであろうと推定しておるわけでございます。その他の残りの部分は、かかっておる医師が医療の必要がないというような理由等が出ておりますので、これは一応無関係だ、こう判定しておるわけでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 それで、だいぶ皆あせっているようでありますから私も大体結論だけ急いでおきますが、今のお話のように、そういう政府の積極的なアンケートに基づく答弁でも、医者がみずから指示して入院をする必要がないというものも何%かあるけれども、あとは九%、その他六〇何%かが経済的理由による、私はその意味においてもやはり結核対策というものはいま一押し、ここで一つ大臣の政治的手腕でこれを押し上げていただかなければならない、かように考えておるわけです。その意味において、八十六万の中の二十六万前後が入院をいたしておるといたしまして、あとの五十万、それを全部入院させるような抜本的な処置をとれということまでは、私は申し上げられませんけれども、少なくとも今確実につかんでおられる四十数万のこの要入院患者、この諸君だけでも、一つ一人でも逃がさないように、抜本的な結核療養対策あるいは予防対策から、アフター・ケアの点まで万全を期するというふうな、そういう方策をいわゆる古井厚生の、どうですか、後世に残こる抜本的な政治としてやっていただけないものかどうか、大臣、一つ確信のあるところをお聞かせ願いたいと思うのであります。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 御趣旨は全く同感でありまして、そのことは先ほども申し上げたようなわけであります。ことに経済的な面が治療のできない大きな原因だと思いますので、その面を解決するということに特に重点を置かなければいかぬという気がいたしておりますが、お話と趣旨は全く同じように私も考えますので、できるだけ最大限度の努力をしたいというふうに強く思っております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 できるだけ一つ努力をするという政治的な御答弁だけでは、われわれはどうも確信できないのでございまして、今も言うように、二十六万の入院患者を少なくとも四十万まで入れる組織を持つ、生活の面のめんどうも見るということになるならば、一体来年度の予算に、概算どれくらいの結核対策の費用を必要とするか、これはこまかい数字は要らぬで、億の単位でよろしゅうございますから、頭のいいところで御答弁願いたいと思います。今年度の予算から推定してもよろしゅうございますよ。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 結核対策全体の経費は、先ほど滝井委員の言われましたように、一切がっさい入れまして、入院だけでなくて、全部で六百五十億、医療保障費でこの程度でございますので、従ってその中で今の入院の部分だけを、今の二十六万ベッド——実数は二十三万人ございます。一般の内科ベッドが三万、これに入っておりますのが二十万、これをもしかりに四十六万にいたしますと、ちょうど入院費の部分が倍になります。従って二十三万人に約二十万円かけることになりますので、この部分だけでも約四百億になりますか、その程度になるわけでございます。これだけはよけいに、この入院部分を通じて二十万人ほどふやすということでのプラスになるわけであります。ただし、それは今ベッドは……。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 設備費は入りますか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 設備費は入れないで、それだけになります。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 大臣、今お聞きの通り、ベッド数をふやすとか設備をふやすとかいう問題は、人件費なんか別でございましょう。いわゆる入院患者に要する費用は、来年度は四百億の金が必要だということになるのでございますが、これを基本に考えるというと、大臣、どうでございましょうかな、六、七百億、全部を含めたら必要ではないかと思うのであります。これは先ほども、局長のいられないときに、ああやって課長を中心に問答しましたように、この結核対策の費用が全医療費の中の二割弱を占めておるのでございますから、それを全部なくして——六百五十億と言われましたが、私ども大体八百億円という数字を先ほど出した。いずれにしても国民の生活の中から、これをなくするためには、一年間で四百億円——六百億円の金を国家の財政からすぱっと出したところで、長い航路から見れば私は安いものだと思う。これくらい安いものはない。毎年毎年こういう不安定な結核対策の費用を出しているよりは、思い切ってこれだけのものを出して、そうして結核をなくして、あなたの名を後世竹帛にとどめて、そうして——それはそうですよ、ちゃんと銅像に祭られる、この方がどれだけよろしいか。私は政治家というものはその方がいいと思うのです。余分になりまするけれども、私ども去年あたり外国に行ってみますと、ああやってムソリーニのムソリーニ・グランドというように戦いに敗れたムソリーニであっても、戦争に導いたムソリーニは残ってないけれども、彼のローマに残したものはムソリーニ・スタジアムとして永遠に残っている。恨みは残っているが、彼の名前はスタジアムに残っております。それからドイツを敗戦に導いたヒトラーよりも、そのヒトラーの作ったハイウエーとかスタジアムがヒトラーの名とともに残っている。政治家はやはりこれでなくてはならぬと思う。つまらないものをガシャガシャやっているよりも、一つ大きな問題をやって名を後世にとどめて、私は古井さんをして、わが日本において結核というこの病気を根絶せしめた救いの神様であるということ、こういう遺跡を私はあなたのために残したい。この意味において一つ心からお願いをいたします。どうせ来年度の予算もそろそろ着手せられる動向と思いまするが、再び来年の一月ごろまたここでお目にかかる。そのときに、あなたが言明せられたように、結核の対策をながめたらまた今年度の結核対策の費用にせいぜい一割か五分を増して、そうしてまた社会保障費がこれだけふえましたなどという、そういうけちな説明をなさらないように、ほんとうに一つぴたっと予算を組み入れて、常々と結核対策を進めてもらいたいということを繰り返し私は大臣にお願いするのです。これに対する大臣の責任ある御答弁を一つお伺いして、その答弁が気に入れば質問をやめます。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 小林さんにほめてもらえるように最大限度努力したいと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 関連。簡単に二点ほど質問いたしますが、大切な点ですから……。  措置入院の際に、今までは二分の一の補助ということだったが、財政上今度は十分の八の国庫負担、こういうことになっておるわけです。そういたしますと、措置入院がいろいろな条件の中でどんどんこの法律案が活用されてふえていった場合には、今回の予算措置で足りない。こういうことが出て参りましたら、たとえば義務支出ということで予備費等から出す。こういうことになりますか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 御趣旨の通りでございまして、命令を出した以上は、出した相手方については義務負担になりますので、もし予算が足りなければ、これはそういうような義務支出をあとからする。こういう建前の法律でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 この点は私大切なところだと思うのです。今の点の御答弁は、これは義務支出であるから、そういう事例が実際の要求においてどんどんふえてきた場合においては、これは厚生大臣も大蔵省の折衝その他で努力をされてワクがふえていく、こういう法律の仕組みになっておる。このことはもう一回ちょっと厚生大臣に確認いたしておきます。御承知ですね。あなたの政治的な責任でありますから、御答弁を願います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 いやしくも命令入所させました以上は法律上は当然国が八割出さなければならぬのですから、足りなければ幾らでも必要なだけ財政措置をする。当然のことであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 この点は法律の具体的な運営で、そしてこの中から具体的に実情に応じたように問題を解決して、将来予算をふやすかふやさぬかという形式的なやりとりでなしに、実質的に法を運営しながらだんだんと法の精神を拡大していく、こういう面において尋ねているのです。  もう一つこれとうらはらの関係になりますけれども、個人の全部または一部の負担ということがございますね。その際に、そういうことを判定する基準はだれがどこできめるのですか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 これは後の方になりますが、政令で国が一定の基準をきめまして、その基準に基づきまして府県知事が決定する、こういうことにいたしております。

大原亨日本社会党

○大原委員 予算は一応実績に応じて割り当てるのですか。知事に対しまして要求に応じてどんどん出してくるのですか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 一応各府県知事の概算要求をとります。事前に自分の県ではどのくらい見込む、そうなりますと府県知事としては過去の該当患者のいろいろなデータに基づきまして、私どもの方もある程度データがありますが、これと参酌いたしましてあらかじめ概算の割当の内示をする。先ほどのように、もちろん知事が自分のところに該当者が多くて命令をたくさん出せばそれを精算する、これは当然でございますので、そういうような形でいたすわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 実績に応じて概算を割り当てておいて、法律の仕組みに従って政令で基準を設けながら都道府県知事が各府県の、国全体として不公平がないように公平にできるように行政の上で出していく。足りない場合においては当然法律の趣旨に従って大蔵省とも話し合って予備費から出すなり、あるいは補正予算を組む、こういう措置で運営する、これで一応説明の筋道が通るわけですが、これは大切な点ですから、厚生大臣御了解いただけますか。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 先ほど来お答えいたしました通りでありまして、あなたが今おっしゃった趣旨と一つも変わった点はありませんから、さように御了承願いたいと思います。

柳谷清三郎自由民主党

○柳谷委員長代理 井堀委員。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 私は民社党を代表して二、三お尋ねをいたしたいと思います。  本法案の改正は、結核予防法の核心に触れようとしている努力は多とするのであります。しかし私は今日結核予防の核心に触れるということであるならば、先ほど来の質疑応答の中でも、また大臣の提案理由の説明の中でも多くの言葉を費やしておりますように、特に結核は個人に及ぼす影響だけではなくて、他の人々すなわち感染する病気の社会性というものが強く取り上げられるということが特徴だと思うのであります。その理由は、いろいろな資料を通じましても、また説明の中にも多く述べられておりますが、この理由の説明をそのまま引用いたしますと、あなたの言葉では発病する患者が相当の数に上っておるという前提で、それは結核患者が比較的所得の低い階層に集積しているということを強調されております。またここに示されております資料もおおむねこれを証明する資料であります。であるといたしますならば、この際結核予防のための措置は当然その核心に触れてくることになれば、その低額所得者の問題をこの際取り上げてくるべきではなかったか。医療費の国庫負担の増額による保護も私は妥当なことだと思うのでありますが、それよりもむしろ貧困家庭に対する措置が並行して行なわれる。たとえば生活保護法の問題も出てくるかとは思うのでありますが、しかし生活保護法をそのままここに結びつけることにはいろいろな問題があるかと思うのでありますが、そういう点に実は改正の要点が求められるべきであったと思うのであります。なぜこの点を避けて——実は私どもから言いますならば隔靴掻痒、靴を境にして足をかくような感じがいたすのであります。この点に対しまして、政府としては何かせんなき事情があったのでありますならば、この機会に伺っておきたいと思います。その点に対する方法があるならば、この機会にその方針などを、今度はできなかったが、次の年度にはこうするといったような抱負があられるならば、この点を伺ってみたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 低所得層の方に該当する人が多い、ここに問題があるわけであります。従って診療費の負担について、本人が負担することがなかなかできない。こういうことのために治療を受けられなかったりというようなことがありますので、そこに問題があると思うのであります。でありますから、公費で十割負担をするというような、こういう今回の政正のごときことをいたしましたり、あるいはまた世帯主だけではありますけれども、健康保険の方、国保などにも結核の方では七割給付、こういうことにいたしましたり、つまり負担を軽くするということにすれば、低所得の人も治療を安んじて受けることができる。そういう点に触れてこのような改正をいたしておるわけであります。程度の問題はございましょう。十分か不十分かという点はありましょうけれども、しかし問題はそこにある、こういう考え方で今回の改正も企てておるような状況であります。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 たしかに医療費の負担を公共団体もしくは国が援助を与えるということも一助になることには間違いないと思います。しかし重要なことは、結核患者の発生する経路なり原因なりというものを私どもはきわめることが大切だと思います。少なくとも予防法である限りにおいては、その根源を断っていくということでなければ、予防法の核心に触れるものでないと思う。療養費を負担するということは、むしろ結核にかかった者のための医療給付でありますから、本法の精神からいうならば、むしろその主体をなすべきものは、その根源を断つということである。でありますから、その病気の発生根源というものが貧困に由来するということが明らかである限りにおいては、その貧困を除去することのための対策が当然この改正の際に取り上げられてくるべきではないか。ことに池田内閣の重要な政策の中に社会保障を強調しておられるということは、一般的な問題とは違いまして、少なくともこういう卑近な例、すなわちそれが感染病であるという点などから判断いたしましても、あらゆるものに優先してこの問題に手を染めてくるということが当然ではないかと思われますので、なお厚生大臣の所見をこの際伺っておきたい。こういう点に対して明確にすることが、私は百万言の宣伝をするよりはきわめて大切なことではないかと思われますので、せっかく厚生省をあずかる大臣の責任ある発言は国民の期待するところであろうかと思いますから、一つ……。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 貧しい家庭におきましては生活環境が悪い。それから栄養も十分でない。あるいは精神的にも苦労があったり、休養の時間も少ないというようなわけで、生活環境、生活状態が劣るものでありますから、そこにやはり結核なども多く発生するという原因があるのだと思うのであります。これは結局この貧困ということが根源だと思うのであります。でありますから、つまり貧困をなくするという問題にぶっからなければ根本的には解決ができぬ。これは一結核対策の問題というわけにはいきません。あらゆる意味において貧困をなくするという努力をしなければならぬのでありまして、大きな政策、政治の目標として考えなければならぬ最重点だ、こういうふうに思うのでございます。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 私もひとり結核予防法の改正だけによってこの問題は全体が解決するということはもちろん期待しておりません。しかし、今日この資料の紹介するところによりますと、少なくともかなり局限されつつあることだけは喜ばしい傾向だと思うのであります。世界に比較しますとまだ結核患者の量において質において、非常に後進国並みだというふうに統計の上で示されることは遺憾ではありますけれども、それにしても、傾向としては加速度的に改められておることは喜ばしいことだと思うのであります。そこで、こういう時期には、私はこういう自然の傾向にまかせるというのでは政策の推進ではないと思う。少なくともここでは、要するに結核の予防を立法措置で、あるいは予算や行政的措置で行なおうというからには、限られた部分においてなし得るのでありますから、全体的な政策の中から優先して行なうということは当然とるべきじゃないか、そういう意味で、この改正というものは、私は本末転倒したとは申しませんけれども、むしろ、中心はその根源を断つということであれば、莫大な経費を必要とするものではないと私は思うのであります。もちろん医療費も相当な額に上りますが、たとえばその過程において、法律を改めなくても、要するにあなたの所管で、当然の責任として、規定してあります生活保護法の一条と八条の条文を理解することだけによって、解決の方法は厚生大臣に委託されていると私は思うのであります。たとえば保護法の八条のごときは、その保護基準をあなたが定めるという権限を法律は委託しておるのであります。でありますから、結核患者、特に入院を要する患者ということになりますと、八十六万人に一応数字は限られておりますから、対策は簡単にできると私は思う。なぜこの点に政策をお進めにならなかったか。この点は、結核予防法改正というからには、ここへ手を染めていくべきではなかったかと私ども思うのでありますが、この点おやりにならなかったのはどういう事情に基づくかということをこの際承知しておきたいと思いますので、一つ伺っておきたい。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 生活水準を上げます点におきましては、生活扶助の基準を引き上げるということが中心になるわけでありますが、しかし、医療の方面では医療扶助が生活保護法の中にも御承知の通りあるわけでございます。医療扶助の関係におきましては、これは十分とは申しませんけれども、しかし従来以上に今回の予算におきましても改善を加えておるのでありますから、国会の論議はおもに生活扶助の分だけが論議になっておりましたけれども、医療扶助は大きに改善を加えておる状況でありますから、その方面もなおざりにしておるわけではない、まあやっておるのであります。しかし、十分か不十分かという問題は残っておるかもしれぬと思います。もうこれでいいというところまで一〇〇%いっておるとは申しませんけれども、今回改善を加えたことは事実でありますので、その点も申し上げておきたいと思います。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 私お尋ねしておりますのは、かなり局限してお尋ねしておるつもりであります。一つは八十六万人の入院患者を対象として政策を立てなければならぬという御趣旨でありますから、その中でたとえば開放性の患者といいますか、私どもしろうとでよくそのことはわかりませんが、伝染の可能性のあるというものはあまり数はないと思いますが、そういう家庭だけはこの法律の二十八条や三十五条の適用を受ける人々であります。そういう人たちの数はずっと減ってきておるようであります。今の資料によりますと、三十四年度は二十八条の関係では百二十四人ですか、それから三十五条関係では六千二百六人になっております。非常に数は限定されておるわけであります。この家庭の生活は私は当然めんどうを見なければ、この法律の改正というものは死文化するのではないかと思われるのであります。なるほど入院費用並びに医療費が公費で負担されることによって救済されるとしても、その家族の生活は依然として救済されないのでありますから、それでは安んじて医療につくということは、それは世帯主であろうと、その家計の重要な部分をになう者であろうと、私はそういう点に対する法の改正というものがこの際行なわれるものと期待しておったわけであります。この点を私、伺っておるのです。それは莫大な費用を要するとかあるいは抜本的な改正をしなければならぬようなものでありますならばとにかく、先ほどあげましたようにわずか百二十四人、六千二百六人の人のための対策がよう講ぜられないようなことでよろしいであろうか。厚生大臣の責任はこういうところにあるのではないかと思われるので、実はあなたはそうしたかったと言われるかもしれませんが、どうしてやらなかったかということです。事情があるならこの際伺っておきたいと思いますので、質問を今までしておるわけであります。この点に対して一つあなたの責任ある見解を伺っておきたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 生活保護の条件に当たろうが当たるまいが、感染度の濃厚の人はこの法律の改正で十割公費負担で処置するわけであります。その中にはむろん生活保護に該当する人も入るわけであります。これは全部公費でやります。この法律に当たらぬ場合におきましても、生活保護に該当する人ならば医療扶助において必要な医療費は見るのであります。それからそういう場合の家族の問題は、生活扶助の問題として、法に定めた程度ではありますけれども生活を見ていく、こういうことになるのでありまして、そこでとにかく一応この建前はこれで立っておると思うのであります。あとはもうその趣旨を満足に実現するように運用をりっぱにやっていく、こういうことになると思うのであります。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 よくわかりましたが、こういう限定された数字でありますから、行政的に手心を加えることによって解決できるという御答弁でありますから、非常にわれわれとしては大きな期待をかけておるわけであります。  そこで次にごく簡単なことでございますが伺っておきたいと思いますのは、この際登録制を強化したといいますか、拡大したといいますか、この点は私どもも趣旨は同感であります。残念なことにはこの改正によりますと、先ほど質問いたしました中で御判断をいただけることと思いますから多くを述べませんが、この登録制と同時に問題になりますのは精密検査、そうして保健所の活用ということになってくると思いますが、現在の保健所をわれわれの知識で判断をいたしますと、この登録制をこの法律の改正に従って行なうということになりますと、自然その機能を強化することにまずなると思うのであります。そのために必要な経費はとにかくとして、人的な増員ということについては私は非常に欠くるところのものがあるのではないかという配慮が必要ではないかと思うのであります。それは一つは、この法律改正によりますと、結核登録の表を備えることになるわけでありますから、これが基礎的なものになって日本の結核患者がどういう状態で、どういう分布にあるということが一目瞭然になることですから、このことは非常に大切なことだと思うのです。しかしその調査及び登録表を作成するための努力というものにはなみなみならぬ努力が必要だと思うのです。あまり功をあせることによりまして——大体結核患者の中で、われわれの知る範囲内においてはいろいろな悪条件の中で生活を戦っておる人人が多いのであります。何と言いますか、社会的には二重、三重の非常な重荷を背負っておる人たちである。そういうものをお役人式に調査に協力させるというやり方は、やり方が悪いと非常な反感を持たれるのみならず、そのために目的のために手段を誤るという結果にもなるのです。そういう点についての配慮が必要だと思いますので、そういう点に対する準備がどういうようになされておるかを実は私知りたかったのです。こういう点については具体的な例をあげてお尋ねしたかったのですが、会議の進行上私の時間の制約があるようですから……。ただ二十四条の改正の中に、大事な部分が省令に譲られておるようであります。でありますから、そういうものに対する御見解を一つこの際伺っておかなければならない義務があると思いますので、一つわかりやすく具体的に御答弁を願いたいと思います。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 確かに御心配の点はあるかと存じます。実は三十四年に全国の四分の一の保健所で今度の改正の実質的な内容を実は実験的にやりました。それから三十五年度では全国の半数の保健所でやりまして、それがお手もとの資料にあるような全国に伸ばすとああいう調査の結果になったわけであります。ことしの十月までに全国は全部これでできるという、こういう実績に基づきまして、むろんこれに必要な事務経費は組んであります。それからなお従来は従来のままの人員でやりましたけれども、今回は先ほど申しましたように二百七十名ほどこのために保健所の職員もふやすことになりましたので、これによりましてできる。それから機械化も考えておりまして、実はいろいろ工夫をしてやって参りましたらできる、こういう建前であります。  それから省令に入れますものも、大体そうむやみに詳しいものではいけませんので、たとえば住所、氏名、病状、この病状もある程度管理に必要なもの、治療状況、家族の状況というような工合で、大体の従来の実績に基づいて必要な項目は整理できましたので、それを省令で規定していく、こういう予定でございます。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 なおこの点いろいろお伺いいたしたいのでありますけれども、時間の都合があるようですから、もう一、二点お伺いをしておきたいと思います。  その場合に保健所の機能を強化するための人員増加とか、予算の問題について用意があるということでありますが、これは私は当然であると思います。そこで私ども心配いたしておりますのは、保健所のお仕事というものはこれが大部分というわけではなく、他の仕事で、むしろこれは付随的な仕事のように理解しておるわけです。いろいろな仕事をやっておられますが、その中で、かなり公衆衛生に関係をいたします認可、許可事項あるいは監督事項というものに強い権限をある程度持たせなければ、この行政の遂行ができないというやむを得ないものもあると思うのです。そういうことをおやりになるお方がこの調査をやらなければならないということもやむを得ないことだ、そういうことになると思いますが、そういう点での使い分けというものはなかなかむずかしいと思うのです。そういう意味におきまして、特別のその職員の養成をやるとか指導をやるとかいうことについての準備がきっとおありになるだろうと思います。何かそういうような指導要綱とかなんとかをお作りになっておると思いますので、それをわれわれにあらかじめお示しいただけるような用意があれば、ここで時間をかけて聞くことが困難であれば文書ででも一つ資料として提示していただきたいと思います。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 これは保健所の付随でなくて、結核が一番主要な業務の一つになっております。業務量それ自身から見ますと二六%を占めておるわけであります。それから今の機構では、相当前から結核のための機構というものは確立しておりまして、保健所で臨時的にやるということでなくて、ちゃんと予防課長以下結核の係、それから保健婦の中でもそういう分担をいたしましてやっております。所長あたりですと権限行使ということになりますが、それらの専門の者の、登録の仕方から訪問の仕方等の講習は、これはもう以前から国の段階と府県の段階、さらに結核予防会を利用しての研修、こういうような段階で継続して参っております。ただ年々内容が進みますので、その部分は新たなる内容をつけ加えて講習内容にしているわけでございますが、これもことしは一そう回数もふやすように準備いたしております。できるだけ遺憾のないようにやっていきたいと思います。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 保健所の仕事は非常に煩雑になってくるだろうと思います。すぐれた結核登録表を備えるということは、先ほどから申し上げておるわけでありますが、いいものを作ろうとする、しかも時間的に急がなければならぬことだろうと思いますので、そういう点に対する無理が患者に悪影響を与えることのないように一つ十分御留意をしていただきたいということをこの際希望しておきたいと思います。  最後に二十八条関係の問題ですが、これはわれわれたびたび経験をするところでありますが、私は大きな事業場は問題がないと思います。御存じのように労働基準法の適用事業場は一人でも雇用しておるところということになっておりまして、もっぱら問題になるのは零細企業——という言葉は適当でないかもしれませんが、小規模の事業場におけるこの種の関係というものは非常に悲惨だと思うのであります。当然申請をすれば保護の受けられる者であっても、他の負担の方がとてもたえられないということで故意に隠葬しようとする傾向がかなりあるのであります。これを掘り出すようなことをすることはまた問題になるだろうと思うのでありまして、これはやはり私が冒頭に質問をいたしましたように生活保護と並行した措置が行なわれるということでなければ、この問題の弊害を改めることはむずかしいと思います。いかにも法律の規定によってそれを促進しようとしておられます意図はこの改正案の中によく出ておるが、そういう法律の力をかりたり、行政力にたよるということにならないことが望ましいと思うわけでありますので、お尋ねをいたすわけであります。やはりこういうものにつきましては、さっきから御答弁がありましたので私は深くお尋ねをいたしませんけれども、この辺は生活保護法の関係と雇用関係の間におきましては私は困難があると思います。一般的なものは生活保護法に対する厚生大臣の配慮で、行政的な力である程度の解決は促進できると思います。基準法の適用事業場におきましては、所管が労働省にもまたがることですので、この辺の関係をどういうように解決なされようとしておるか、またそういう点で経験をお持ちになっておると思いますが、この点に対する何か適切な措置をお考えになっておるのか、ということを伺いたいと思います。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 従業禁止の場合には、医療費そのものは大体外来が中心でございますので、月にせいぜい二千円ぐらいということで、これはこれで保障いたします。ただ問題は、今の生活費の問題でございますが、従業禁止でだめになった場合、健康保険の対象になっておりますものは休業に対する傷病手当金、これがあるわけでございます。問題はむしろ事業場として健康保険に加入しておらない主人並びに従業員、これの間に起こった場合に、今の傷病手当金が出ませんから、その場合には結局生活扶助のやり方によりまして、従業しないために収入の道が絶たれる、そうなれば当然生活扶助の対象になって参ります。今のところはそれの運用でカバーされる、こういうことであります。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 それでは大臣に一つ確認をしていただこうと思うのであります。今私のお尋ねしている趣旨は、零細企業で労働基準法適用事業場における問題で、社会保険の適用を受けるようなところで、しかもそれが円滑に運営されておるところであれば問題は少ないけれども、零細事業場というものは、そういうものについてもいろいろな問題が伏在しておるということを言ったのでありますが、今局長の御答弁によりますと、それは生活保護法のワクの中で、先ほど大臣が答弁されたと同じ趣旨においてめんどうを見るというのでありますが、そういうふうに理解してよろしゅうございますかどうかをお尋ねしておきたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 健康保険の適用がなくて国民健康保険の方に入ってくる零細企業の関係でありますが、これは今も局長が申しましたように、傷病手当という制度が国民健康保険にないのであります。そこに一つ大いに考えなければならぬ点が残っております。生活扶助の問題までいきますれば、その道でともかくも解決することができるのでありますけれども、そこまでいかないところに一つ問題が実はあるのであります。これは今後大いに研究をしなければならぬと思っておる一点であります。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 まだお尋ねをいたしたいのでありまするが、時間もきたようでございますから、ぜひ一つ次のことを要望いたしまして私の質問を打ち切りたいと思うのであります。  それは冒頭にも大臣から御答弁をいただきましたので明瞭になったようでありますが、この際結核予防対策の対象にのぼすべきものは、その根源をなす、すなわち結核の病原体をなす貧困あるいはそれに伴う諸般の問題でありまするから、そういうものを全般的にやるということは、私は他の政策との関連が必要であると思うけれども、先ほどあげられておりまするように、要入院患者、その中でもこの法の二十八条、三十五条に限定された事態というものについては、当然生活保護法なりあるいはそれに匹敵する生活の保護対策というものが抜本的に行なわれるということが、この法案の趣旨を全うする重要な点であるということを実はお尋ねをし、ある程度満足すべき点もありましたし、満足できがたい点もありましたけれども、一応御答弁を得ましたので、さらにそういう点に留意せられまして、予算増の措置などにつきましても格段の御努力を願って、ぜひこの機会にかかる結核の最もおそるべき感染源を絶ち切るために勇断をすべき時期にきておると思いまするので、格段の御努力をお願いいたしますとともに、予算増の措置などについてしかるべき方針を一つお組みいただいて、われわれの協力できる事態を速急に作っていただきたいことを要望いたしまして私の質問を終わることにいたします。

柳谷清三郎自由民主党

○柳谷委員長代理 これにて本案についての質疑は終局いたしました。     —————————————

柳谷清三郎自由民主党

○柳谷委員長代理 引き続き本案を討論に付するのでありますが、申し出もないようでありますので、直ちに採決いたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柳谷清三郎自由民主党

○柳谷委員長代理 御異議なしと認め、そのように決しました。  結核予防法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

柳谷清三郎自由民主党

○柳谷委員長代理 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。(拍手)  なお本案に関する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柳谷清三郎自由民主党

○柳谷委員長代理 御異議なしと認め、そのように決しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十一分散会      ————◇—————

国会会議録検索システムで原文を見る ↗