社会労働委員会 第24号
- 発言数
- 86 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/04/06
会議録
○山本委員長 これより会議を開きます。 去る一日付託になりました八木一男君外十一名提出の日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
○山本委員長 提出者より提案理由の説明を聴取いたします。八木一男君。
○八木(一)議員 私は日本社会党を代表してただいま議題と相なりましたわが党提出、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案につき、その提案の理由、趣旨内容の大綱につき御説明申し上げるものでございます。 日雇労働者健康保険法は、昭和二十七年健康保険制度の適用を受けておらない日雇い形態の労働者諸君の熱心な制定運動、充実した内容を持った日本社会党案の提案によって制定の機運が醸成されたわけでありますが、それにこたえて提出された政府策はきわめて不十分なものであったのであります。昭和二十八年通常国会並びに解散後の特別国会において、両案が審議をされ、政府案の大きな欠点が明らかにされたわけでございますが、与党の多数の力でそれが成立し、昭和二十九年二月より実際に適用が始まったわけであります。その後数回の改正が行なわれましたが、その改善スピードはきわめて遅々としたものであり、その急速な内容改善の必要性は、およそ社会保障を幾分でも知る者のまず第一に指摘するところであります。 政府が、今回このことを直視し、ある程度の内容改善に踏み切るため改正案を提出したことについては、その努力を幾分認めるのにやぶさかではございませんが、その給付改善内容は、まだはなはだ不徹底であります。しかも数次の社会保障制度審議会の答申を尊重し、当然国庫負担増額のみをもって給付の改善をはかるべきであるのにかかわらず、国庫負担増額はきわめて少額にとどめ、大幅な保険料引き上げを財源としていることは、全く不当であります。以上の観点からわが党は正しい方向により、完全な内容改善をはかるため、本法案を提出したわけであります。 以下、内容の御説明に入ります前に、本法案作成の基本的な理念について申し上げます。 第一に、私どもは医療保障制度が完全な状態、すなわち、全国民に本人負担が一切なく、制限の全くない医療が行なわれ、十分な現金給付が行なわれるところまで急速に前進されなければならないと考えております。 第二に、その完成までの間において、労働者は生産手段を持っていないという事実を重視し、労働者であるものは事業所の大小、雇用形態、労働形態のいかんを問わず、労働者の医療保障制度を全員適用すべきものであり、国庫負担と雇用主の負担の増額によってその給付内容の向上をはかるべきものと考えております。 第三に、労働者の健康保険制度は一本であるべきであって、現在のごとく多くの制度に分離されていることはきわめて不合理なことであり、急速に統合への道が進められなければならないと信じます。制度統合が即時できないならば、その給付だけは即時同一にすべきであり、そのための費用は、国庫から全額支給すべきものであると考えます。元来社会保障的に考えれば、もし給付の差があるとするならば、貧困な労働者の給付の方が上回るのが至当でありまするのに、貧困な労働者の給付がある程度の生活を確保されている労働者よりはるかに低い給付しか受けられないというようなことは、全く話になりません。即時他の労働者の制度と同一の給付まで前進すべきであり、対象者が低賃金労働者であることにかんがみ、断じて国庫支出増加のみでこれ左実現すべきであると考えます。 以上のような考え方に立って、本法案を作ったわけでありまして、以下具体的な内容について御説明申し上げます。 改正の第一点は、医療給付期間の三年への延長であります。 政府改正案は二年でありまするが、健保、国保等の給付から考えて三年に延長することが適切であることについては、委員各位がすべて賛意を表されるだろうと信じます。 第二点は、傷病手当金の給付期間延長であります。現在の給付期間は十四日であり問題にならないほどの短期間であります。政府改正案で大幅延長がはかられることを関係者一同期待をしておったわけでありまするが、わずか七日間の延長という内容で各方面から失望をされている現状であります。わが党案は低賃金労働者にとって、特に傷病手当金が重大な意義を持つものであることを直視し、健保並みにこれを百八十日といたしたわけであります。 第三は、出産手当金の期間延長であります。政府改正案は、これに全く触れておりませんが、わが党案は、労働基準法の精神に従って、産前産後おのおの四十二日間すなわち八十四日間にしようとするものであります。 第四は、傷病手当金及び出産手当金の日額の引き上げであります。すなわち現在一級日二額二百円を三百十円とし、二級日額百四十円を二百四十円にいたすわけであります。賃金、生活水準、物価等の上昇から考えて当然のことと存じます。政府改正案も類似した考え方で日額の引き上げをいたそうとしておりますが、三級百七十円という制度を残していることは、ボーダー・ラインの生活引き上げ、特にたくわえのない貧困者の病気の際の生活保障としては低額に過ぎ、二級に統合すべきものと考えます。 第五は、分べん費二千円を六千円に、家族分べん費一千円を三千円に引き上げることであります。政府改正案は引き上げ額を四千円、二千円といたしておりまするが、健康保険法の改正案では六千円、三千円となくております。このことから考えて、わが党案の妥当なことを御理解いただけると信じます。 第六は、家族療養費のうち結核性疾病もしくは、精神障害またはこれによって発生した疾病もしくは負傷にかかわる療養については、現行五割の給付率を七割にしようとすることであります。右の疾病傷害について、政府は国保被保険者中生計の中心となるものについて七割の提案をいたしております。政府の認めているごとく、かかる長期間の保険事故については最低七割の給付がなければ極貧層の転落が防ぎ得ないことから考えて、われわれは当然給付率七割を国保の全被保険者、健保制度の全家族に及ぼすべきであり、特に日雇い健保の家族の場合即刻実施しなければならないと考えるものであります。 第七は、特別療養費制度の創設であります。これは現行制度では、保険制度の適用を受けてから二カ月間経過しないと保険給付が受けられないという欠陥がありますので、その弊害をなくそうとするものであり、政府案にも類似の改正点がございます。政府案では、この期間国保並みの本人家族とも五割の給付をしようとするわけでございまするが、本案は二カ月経過した場合と同じく本人十割、家族五制、結核精神の場合は七割の給付をいたすわけであります。健康保険適用者が制度適用と同時に完全な給付を受けられることから考えて、この考え方が妥当であることを御理解いただけると存じます。 第八は、認可による被保険者の特例を設けることであります。これは同じく日雇い形態の労働者でありながら本法の自動的な適用が受けられず、擬制適用を受け、あるいはまだ擬制適用も受けていない日雇い労働者に対して法的な円滑な適用の道を開こうとするものであります。国民皆保険、しかも労働者は労働者の健康保険が必要であるという正しい方向を具体化するために考えたものでありまして、事務処理、その他合理的な条文がすべて規定されていることを御理解いただきたく存じます。 第九は、国庫負担の増率であります。現行法は三割であり、政府改正案は三割五分でございまするが、本法案は五割の国庫負担とし、給付改善について保険料は引き上げない方針をとっております。政府改正案は給付改善については非常に不十分でありまするが、その努力については前にも申し述べましたごとく、ある程度認めるにやぶさかではございませんが、保険料の引き上げによって原資を作ろうとしていることは大きな間違いであり、われわれの断じて承服しがたいところであります。特に一級保険料について一躍五割を引き上げをするなどということは、いまだかつて前例を見ない冷酷な態度であり出す。 日雇い健保会計が苦しいからという理由をつけるでありましょうが、貧困な労働者のみで健保制度を作れば会計の苦しいのがあたりまえで、しかも貧困な労働者にこそ十分な給付を確保しなければならないことを考えるとき、大幅な国庫負担増加のみをもって給付改善をすることが当然の帰結であります。本制度に五割の国庫負担を実施したといたしましても、全労働者にならして国庫負担率を計算すれば、ほとんど国庫負担というに値しないほどの低い率になるわけであり、国民健康保険に比較して極端にバランスがとれていないわけでありますから、国庫負担の出し過ぎということには断じてならないわけでございまして、むしろ五割でも少ないと言うべきでありましょう。 このような観点から、社会保障制度審議会等では何回にもわたって、国庫負担増額により日雇健康保険法の給付改善をはかるべき旨の答申をしているわけでありまして、わが党案は忠実に審議会の答申を尊重していることを御理解いただきたく存じます。 以上で御説明を終わるわけでございますが、何とぞ社会保障推進の熱心な委員各位には多数の国民の熱心な要望を顧みられ、政党政派を越えた立場で、本法案について十分な御審議を賜わり、すみやかに満場一致御可決下さいますことを心から要望して御説明を終わる次第でございます。
○山本委員長 本案についての質疑は後日に譲ることといたします。 この際、午後二時まで休憩いたします。 午前十一時五十九分休憩 ————◇————— 午後二時三十二分開議
○山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 結核予防法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑を許します。河野正君。
○河野(正)委員 最近では結核患者が比較的低所得者階層にだんだんと累積しつつある。こういう現象が生まれてきておるわけですが、従っていわゆる低所得者階層が感染源となって、これが結核対策の進展を大いに阻害しつつある。従ってそういう感染源対策が今度提案されましたが、改正案によって講ぜられる、このことはやはり一つの進歩であるというふうに私は考えます。しかし結核問題が非常に幅が広くしかも非常に複雑な要素を持っているだけ、単に本法の財源上の改正、改善、そのことだけで結核予防対策の万全が期せられるというふうには考えるわけには参らぬ。そこで厚生省としては、抜本的にそういった結核の予防対策をどういう方針で解決していくというふうにお考えになっておりますか、まずそういうふうな基本的な点について御所見を承りたいと思います。
○尾村政府委員 結核の対策の抜本的なものは総合的にやらぬといかぬわけでありまして、大分けにいたしまして三つあるわけでございます。一つは結核患者の国民の中からの発見、いわゆる健康診断中心でございます。それから発見した患者以外の、まだ未感染者に対するBCGの予防接種等を中心とする予防対策、これが一つの分類。それから発見した患者につきましては、これをよく管理する、すなわち治療がぜひ必要な者は適正な治療を指導、またそれを与えるということ、なおすぐに治療は必要でないけれども、生活の指導その他によりまして重症化を防ぐという意味の生活環境を含めましての患者の管理、把握、指導、これが第三の分類の大きな対策になります。三番目が、治療が要る者がその必要とする治療が完全に行なわれるようにいわゆる治療保障、この三つが総合的に行なわれまして初めて完全にいくわけでございますが、このうちの第一分類の患者発見と予防方法につきましては、現行の法律で全国民を対象にいたしましてこれを受ける義務を現在の法律は課しておるわけでございます。ただ遺憾ながらこれが九千三百万人の国民のうち最近の年々の実績は約四千万人といういわゆる健康診断でございます。従ってその中から必要なBCGの予防接種等が行なわれておるわけでございます。従いまして集団検診で発見される数は非常に少ないわけでございまして、四千万人を毎年やりましてせいぜい十数万人の要治療患者を発見する、こういうことでございまして、従っていわゆる健康診断を毎年末実施の約五千万人の方の側に相当濃厚に患者が含まれているわけでございますので、一つは健康診断の実施をもっと徹底しなければならぬということがまず第一分類の対策として必要でございます。そのためにより多数が受けられるような方法をとる、たとえば今レントゲンの移動自動車等、年々かなりな数を増加いたしまして、府県が持ちまして活動をしておるというような形でこれらの施策を今増加いたしておりますが、これが一つ。 第二番目の管理、検診は今度の法律改正の中にも入っております。すなわち登録された患者につきまして必要な精密な検診を保健所長が命じてやらすようにすることが今度の法律改正の一つでございます。あるいは登録を正確にいたしまして、その後の指導なりあるいは観察を便利にするというようなのが法律改正の一つでございます。管理、検診を増強するということが第二の必要事項。 第三番目のいよいよ治療が必要となった者を治療保障をする。これが何といいましても今非常に不備でございますので、その一端といたしまして、ことに重症であり、しかも他に感染のおそれのあるような者が次々の感染の原因にもなるわけでございますから、そこを今度ある部分非常に拡大をしたわけでございます。これも今言いましたように制限された対象でございますので、将来はこの保障を拡大していくことがやはり必要だと思います。今度のやり方だけではまだ万全でない、こう思われるわけでございます。
○河野(正)委員 結核の予防対策と申しますか、さらには幅広く申し上げますならば撲滅対策ということになると思いますが、それには大体今御説明があったように、患者の早期発見あるいはまた患者の管理、指導あるいはまた治療保障というような三つの柱が示されたわけですが、最近は国民の結核に対します認識というものも非常に向上して参りましたから、三つの柱を達成することは比較的容易になったと思います。しかしなお国の施策の重点の持ち方いかんによって、私はやはり三つの柱が完全にこなされる、消化されるということにはならぬと思うのでございます。そこで私はそういう一つの欠陥の幾らかを取り上げて御所見を承り、さらには善処願って、さらに一そう結核の対策の万全を期していただきたい、かような意味で二、三所見を承って参りたいと考えております。 その第一は、現在保健所その他で把握されておりまする感染性の患者、その中の約五六・九%、すなわち数にして申し上げますと十三万六千人、こういった患者は現在のところ在宅のままで、家族その他に感染させる、こういった危険性を持っておるというふうにいわれておるわけです。そこで私は、今度の法律改正に基づいて若干財政上の問題等が前進して参りましたが、そういうことだけでこういうふうな実態というものが実際に解決されるかどうか。解決されれば非常にけっこうでございますけれども、そういう点に対して、今も申し上げましたようないわゆる感染源対策、これに対しまする御所見をさらに承っておきたいと考えます。
○尾村政府委員 ただいまのお話にございました通り、在宅の感染性の患者約十三万強というものは推計から認められるわけでございます。ただしこれは昨年全国につきまして、約半分の地域で管理をやりました結果を二倍いたしまして、すなわち全国に延ばして把握した数でございますので、実を言いますと、この三月現在で、確実にどこのだれがこれであるかということを把握したものはこの半分であります。それで今度の対策によりまして、十月までに残りの保健所につきましてもくまなく同じことをやりまして、在宅感染性の人の名前まで把握しよう。これによりましてこの十月までに十三万人が把握される、こういう推定でございます。この十三万人の感染性のうち、私どもの今までのこの調査、全国半分やりました調査の結果によりますと、その基礎になります世帯の中のこれらの感染性の患者の在宅しておる率というものが非常に差がございます。たとえばこれを所得階層別に見ますと、六千円から二千円までの収入の世帯、これはちょうど生活保護階層の中に含まれるわけでございますが、全国平均の八・六という指数に対しまして、この階層では二五、約三倍——これは指数でありますので、パーセンテージではございません。それに対しまして、いわゆる中産階級である二万円以上の階層でありますと、いずれも六以下である。こういうような非常な大きな差がある。これで見ましても、同じ感染性の患者が多数ございますが、特に三倍ないし五倍の濃厚度をもってこの低所得の中にある。そういたしますと、そういうような患者の環境を見ますと、たとえば五人世帯の一人当たりの畳の数が、こういう濃厚な階層は二畳以下、こうなりますと、もちろん患者とその他の家族とは別部屋はおろか、ふとんも一緒というような状況がそこに非常に発見されるわけです。上の方の階層になりますと、こういう患者数も少ないと同時に、環境上かなり隔たったような、同じ在宅でも比較的危険性の少ない、また治療も受けておるという状況でございます。そういうことにかんがみまして、感染性の患者は一切家庭に置かないというのが理想ではありますが、現実に次々と子供にうつしておるというような現実から見まして、今回のようにさしあたり五万四千人分、ただしこれはベッドでとっておりますので、これを通年にいたしますと出入りがございますので、これよりずっとかかえられるわけであります。これによりまして、今一番の被害を受けておる階層をとりあえずやろう、こういうことによりまして、これは相当現実の欠陥は大きく埋められるのじゃないか。さらにそれによりまして、拡大は次々とする必要があると思いますが、いろいろな可能性から見まして、一応こういうようなことでお願いしたわけでございます。
○河野(正)委員 そこで、これはきのうの精神衛生法の改正の中でも保健所の能力ということが問題になったわけですが、実は今局長から御説明がありましたように、感染性患者の概数というものは、全国の半分の調査で十三万六千である、実患者というものは実際それの半分程度というふうな御説明がございましたが、これが額面通りであれば非常にけっこうな話ですけれども、むしろ、この保健所あたりの能力というものがどうも非常に弱体で、そのために実患者というものの把握が不十分になっておる。そのために概数は十三万六千という数字が出てきたが、実患者の数というものは半分だ、こういう結果が出たとするならば、これは大へんなことであって、そういうふうな保健所その他の能力が非常に弱体な結果によってそういう実患者の数が出てきたのではなかろうか、そういう心配をするわけです。もしそうだとするならば、ほんとうの実患者というものはもっと多いわけですから、これは大へんなことになると思うのです。そのような実情が一体どうであるのか。具体的に申し上げますならば、今言われた実患者の実態にほんとうに確信が持てるのかどうか、その辺の事情を一つお聞かせ願いたいと思います。
○尾村政府委員 ただいま申し上げました十三万の半数という意味は、全国の半分の保健地区でやりましたのが六万五千ほどで、これは正確につかんだわけでございます。それを全国に延ばしますと十三万になる、こういうことであります。しからば、その全国の半分の地区でやった在宅の感染性患者六万五千が内輪過ぎないか、実際のあるべき姿はどうか、これは実は一昨年から心がけまして、特別推進地区という、いろいろな諸条件をそろえさせまして、従って全国の半分だけ、優秀な保健所、まず上位のものを選んで先にやりましたので、かなり自信のある数字でございます。ただしこれは保健所のみでなくて、むろん地区の相当な結核の指定医療機関の協力を得まして、すでに届け出られた患者で、その届け出のときに、正確な資料に基づいて届けられたものはその医療機関の診断内容も尊重いたしましてこれをつかんでおりますので、必ずしもこれが全部保健所の人手でやった数ではございません。これは保健所で自分または指定医療機関の助けを得ましてさらに再確認したものでございますが、かなり数につきましては正確であろうと思われます。ただし、これはあくまで登録患者から引き出した数でございます。すなわち、現在全国で毎年約五十万人の新規登録がございます。これが蓄積しておりまして、二百五十五万人が一応全国で登録患者として集まっておる。ただしその中には、過去五、六年の間に死亡いたしましたり、あるいは全く治癒した者もある、こういうのを今のような半地区でやりましたもので整理をいたしました計数によりますと、百五十五万人になる、すなわち百万人はもうすでに転帰をしておったということになるわけであります。この百五十五万人という登録患者の中で、現実に入院しておる者が約二十万人、在宅が十三万人、こういうふうなつかみ方でございますので、今の入院中の患者が現実に病院に入っておる患者数と保健所で推定しておる数字とよく合っておりますので、従ってこの正確度をもって、在宅患者の感染性患者の数もそう誤りはなかろう、こう推定しておるわけです。ただ全然本人が健康診断にもかつて応じない、もちろん医師にもかかっていないというので、今まで登録に全然触れるチャンスのなかった者は強制的に何かの聞き込みで、とにかくいろいろな手で検診しない限りこれは把握できぬわけでございます。従ってこれがどの程度乗っていってくれるかということになりますと、先ほど申し上げました九千三百万の中で、健康診断の法律によって行なわれているものが約四千万、その残りの者を網をかけて何とか検診させるという以外に、このこぼれはちょっと今のところどの経度あるかということはつかめないわけです。これは非常に遺憾なことでございますが、これに対しましては、レントゲン自動車がもっと部落のすみずみまで入って、とにかく自発的に受けさせるということを推進しませんと、このこぼれがいつまでも残ってしまう、こういうことでございます。これはちょうど精神衛生の患者と似ておりまして、ひた隠して人に触れないというのがどうしても残ってしまう、こういうことでございます。
○河野(正)委員 実はこの九千三百万の中から一つ網を打って実態を捕捉するということがなかなか困難だということは私どもも了承するのにやぶさかでないわけです。ただ問題は行政指導の中でいろいろ欠陥があって、そういうことに基因してこの結核予防というものの対策が阻害されておるのではないかというような危惧がございますから、実はいろいろとお尋ねを申し上げたわけです。 そこで、さらに今のことと関連をしてお尋ねをしてみたいと思いますことは、結核病床数、これは五八年までは増加の傾向を示して参りました。ところが五九年は約三千床減少しておる。今二十六万百二十四床というようなことでございます。これは結局ベッド数でございます。それからそのベットを利用する率ですが、これはさらにだんだん低下してきまして八〇%を割っておる。七九・四%というふうに、利用率というものがだんだん低下してきたということのようであります。それは一面においては結核対策というものがだんだん進んでいった、その成果だと言われると何でもないようでございますけれども、ところが社会保障の年間統計を見て参りますと、要入院患者で入院しなかった者についての調査がある、これによりますと、経済的、社会的理由によって実際には入院しなければならぬその患者が入院しなかった例が三二・一%であった、実はこういう統計があるわけです。そういたしますと、結核病床数はだんだんと減少という方向をたどってくる。また利用率も八〇%を割ってきた。ところが今申し上げますように、ある統計によりますと、実際には入院しなければならぬ、それが経済的な理由で入院していないというのが、これはある統計ですからその対象が若干問題でございましょうけれども、三二・一%もあった。そういたしますと、どうもこれは政府の方針と実態とがすれ違いというような結果が生まれてきておるようでございますが、こういう実情に対してどういうふうに判断なさっておりますのか、御所見を承っておきたいと考えます。
○尾村政府委員 昭和二十八年と三十三年の全国的な実態調査の比較をいたしますと、要入院患者は、最初のときには全国推計約百三十万人に対しましてその五年後には八十六万という推計になりまして、これは確かに要入院患者が国民の中で減ったことは間違いないのでございます。ただそれにいたしましても、今のような絶対数が推計される、それにもかかわらず入っておる者は二十万ないし二十四万人程度ということでございますから、入院しておらない者が相当見込まれる。その理由といたしましていろいろな理由がございますが、今御指摘の通り、ある幾つかの地区でやりました詳細な調査でございますが、経済的社会的理由で三分の一、三二%も入院できない。従ってベッドは最近は余裕もあるということでありながら入れないというようなことがあるわけであります。これはこういうような理由による者が逐次ふえておるとも思いませんが、依然として残っておるということは、非常にまずいのであります。それが先ほど申し上げましたように、低所得者の世帯階層に三倍も四倍も感染性の患者が在宅医療で多くいる、これとつながっている現象であろうかと思います。そこでやはり経済的社会的理由という中には、もちろん医病費を見ただけではまだ困る、その人間が自営業等を病気のまま続けて幾分でも収入を得ているというような場合ですと、医病費を見ただけでは、御飯代は、一人分は入院の方で見られるけれどもそれだけで、まだほかの者の所得に困るというような理由ももちろんこの中に入っております。となりますと、所得補償の問題も並行しないと万全ではありませんが、少なくとも入院する場合の自己負担が月に何千円以上とかかるわけで、ことに国保の場合あたりですとかかる、それらを解消するのがまず第一に必要であるということで今度は一定の所得以下で感染性の在宅患者はこの対策によりまして公費で本人の負担なしに入院して治療をさせよう、こういう線を第一にとったわけでございます。これをかなり徹底して今後やっていく、これがまず第一に必要であります。それと並行いたしまして、やはり事情に応じましては、今のところは生活扶助、これは併給ができるわけでございますから、家庭の方に対しましては生活扶助も併給される。それから医療の方は、今度の対策によりまして少しも一部負担なしに全額医療費は見られる、こういうことで相当済むかと思いますが、万全ではない。これによりましてその後の患者が、あいているベッドでこの方式によりましてできるだけ入れるわけでございますから、その上でさらに改善すべきものは将来改善の要がある、こう思っておるわけであります。
○河野(正)委員 今私が御指摘を申し上げ、かつ御答弁いただきましたように、実際問題としてはなかなかむずかしい問題がたくさんあろうかと考えております。今の話にもありましたように、ベッドはあきますけれども、実際入院をする患者がなかなか入れない。それについては医療費の問題に限らず、いろいろな複雑な要素があって、結局はそれがために結核対策の推進がはばまれるというこことになっておるわけであります。これは単に局長さんの所管ということだけでなくて、他の局、特に社会局と非常に関係が深いと思いますが、そういう局とも十分関連を持ちつつ、万全を期していただきたいと考えます。突つ込んで申し上げますといろいろございますけれども、一応そういうことで強く要望いたします。 それから、結核は精神病と違って、結核医療の進歩によって完全に治癒するわけで、そういう人が非常にふえてくることは非常に喜ばしい現象だと思います。そこでこの結核の根本対策には三つの柱が立てられましたが、その一環として回復患者の社会復帰についても将来大きな力が注かれなければならぬ。治癒患者がふえればふえるだけ、そういう回復患者に対する対策が強く推進されなければならぬと考えるわけです。これは多少社会局と関係するわけですが、一応局長からお答え願っておきたいと思います。
○尾村政府委員 化学療法その他の医学的治療を終わり、さらに社会復帰するまでの広い意味の後保護も、これは再発させないというために非常に必要なことでございまして、結核対策の一環としてはやはり必要物でございます。諸外国でも大体進んできますとそういうのが完備してくる、こういうことでございます。わが国でももちろんこれは行なわれてはおります。現在公立すなわち府県立あるいは法人立等のアフター・ケア施設がいろいろ全国にございます。もちろん公立のものについては数年前から一定の補助予算を組みまして、公立の結核保護施設の設立に予算を与えておるわけであります。ただ数からいいますと、日本では今二十六万ベッド、患者にして常時二十万人入っている。これが昔のように半分以上死ぬというのと違いまして、最近は治療が成功する。そうなりますと、当然これは社会復帰で生活に戻ることが多くなってくるわけでございますから、この後保護施設の収容力を一そう増大しなければならぬ。現在のところはまだ非常に少ないのであります。これは私の方では所管しておりませんけれども、やはり全般として後保護施設が相当に拡大されていくということは、ぜひ望ましいことでございます。そういう意味では、結核対策の一環として、十分連絡をとって希望を表明しておるわけであります。
○河野(正)委員 後保護施設に関しまする問題は、所管そのものが社会局でございますから、むしろ社会局長にお尋ねした方が適当と思いますけれども、しかし先ほど申し上げましたように、結核患者というものが化学療法あるいはまた外科手術等によってどんどん治癒回復していくということになれば、将来の大きな課題はもちろん後保護対策にある。実際に結核患者というものがだんだん減っていくわけですから、減るということは同時に回復患者がふえていくということですから、従ってもし将来結核予防対策というものが大きく進歩をし、大きく成果を上げていくということでありますと、私は将来の比重としては後保護対策に大きな比重がかけられなければならぬというふうに考えるわけです。この後保護施設を作る際に、実は私どももいろいろお願いをし発足をさせていただいたわけですが、このアフター・ケアのその後の状況は非常に大きな成果を上げておるようです。私が知っております範囲におきましても非常に大きな成果を上げております。最近の実情を見て参りますと、卒業生は全く引っぱりだこでうれしい悲鳴をあげておる。ところが実態を見て参りますと、後保護施設を作るには作ったが、どうも当局側の熱の入れ方が足らぬ。今申し上げますように、職業の補導を受けますとその卒業生は引っぱりだこだというような状況でございますから、どんどん入所志望者が出てくる。そういう志望者がアフター・ケアの施設に入所するわけですが、ところが作るには作ったが、作りっぱなしであまり熱意を示しません。あるところでは廊下に収容しておる。それから、後保護施設でございますから保健上の対策というものは特に慎重でなければならね。結局健康管理をやっておるわけですから、特に保健上の問題は慎重を期していかなければならぬ。ところが実態を見て参りますと、給食施設あたりは旧態依然としておるというような実情が非常に多い。将来結核対策の比重というものが後保護対策に向けられるとするならば、私はやはり後保護施設に対して政府がさらに強い大きな熱意を示していかなければならぬというふうに考えるわけですが、今の実態は、まことに残念ながら熱意が非常に乏しい。局長は直接所管でございませんけれども、しかし結核予防については局長が事務的には最高の責任者でございますので、そういう点に対して心がまえをぜひ改めて、そして熱意を示し、所期の方針の達成のために邁進をしていただかなければならぬと思いまするが、この際一つ熱意のほどを承っておきたいと思います。
○尾村政府委員 今、この後保護施設につきましては社会福祉施設としてやるという分担を実はきめましてやっておるわけで、御説の通り今社会局系統におきましても同様な指導をやっておるわけであります。三十五年現在で全国に都道府県立が二十一カ所、民間のはっきりした、法人のものが三カ所、合計いたしまして、二十四カ所、一カ所平均六十名程度の収容人員ですから、約千六百名の収容力を持って、入れかわり立ちかわり入りまして、そして出ました者の七〇%まではりっぱに復職をしておる、目的を達しておるわけでございますが、ただ社会福祉あるいは職業補導施設でございますけれども、病人上がりのことでございますから、健康管理は必要なんでございます。従ってこれの発足するときから、もよりの国立、県立の療養所なり、あるいはそういう適当なところがないところは、その他の医療の方々の健康管理に関する嘱託制度、こういうことは全部とっておるわけでございますが、最近の進んだ結核医療と結び合った健康指導をしていかなければいかぬわけでありますから、この点私どもの方の医療とか、あるいは健康管理に関する責任もございますので、もしそういうような実態が方々にありますれば、一そうその福祉施設に協力して健康管理が十分いくように、ぜひ私の方も関心を持って協力いたしたい、こう存じております。 なお、今のお話にございましたが、府県立では廊上までというこにはおそらくないと想像しておりますが、民間の施設でございますと、これがやはり資力等の関係もあって、たとえば私が世話いたしまして十年ほど前に発足させました横須賀の湘南アフター・ケア施設、これなどはほんとうになけ無しの施設で、いわゆる療養所の回復者、卒業生が寄り集まって作ったということで、私ども、できるだけ公ないしはプライベートにずいぶん援助したのでございますが、最初はお話の通り、昼間使った作業場で、夜は払い下げを受けたベッドを敷いて寝るというようなことでございますから、相当な期間は非常に気の毒な状態でございました。しかし健康管理はかなり十分にその間にやっておりました。そういうようなことがあったのではないかと思いますが、しかしやはりこれは結核の回復者でございますから、あまりひどい施設でございますと、その環境からまた再発のおそれも出るという可能性もありますから、この健康管理については十分関心を持って今後協力したい、こう思っております。
○河野(正)委員 残念でございますけれども、そういう認識に対して御忠告申し上げようということで実はお尋ねをしたわけです。と申し上げますのは、県立の後保護施設にそういう実態があるわけですね。局長は、少なくとも公立の中にはそういうものはないということですが、それは零細な回復患者がそれぞれ資金を出し合ってやっておる実例もございます。実は福岡県の後保護施設も、私が地方議員の当時にいろいろお願いして作らした経緯もあるわけですが、公立のアフター・ケアの中にもそういう実態がある。私はそういう実情というものを十分把握をして、今後大いに熱意を示していただくということならばけっこうでございますけれども、そういう甘い認識のもとに熱意を示していただいても、あまり好意で迎えられないというように考えるわけです。どうか一つそういう実態ということに認識を改めていただきたいと思うのです。 それから同時に、これはもちろん回復患者でございますから、職業補導をやるにいたしましても、健康管理、これに慎重でなければならぬことは当然のことです。せっかく回復をしてまたを再発するということになれば、これは大へんな損失でございとますから、健康管理に慎重を期さなければならぬということは当然のことです。健康管理についても、実は保健所あたりが随時回ってきて健康管理をやるというようなことですから、実際の医師がおりませんから、非常に不十分なことだ。それから施設の面においても、たとえば給食場あたりも、当初いろいろ厚生省の基準を示してやっておりますけれども、科学というものが日進月歩で、いろいろな給食なんかも内容がだんだん進歩してきますね。たとえば今まで手で洗たくしておったものが、洗たく機が入ってくるし、これは一例でございますけれども、いろいろ内容の改善というものが行なわれなければならぬ。これは当然そうだと思うのです。ところが、作るには作ったが、作りっぱなしで、一つも内容の改善が行なわれないというようなことで、健康管理に非常に重点を指向しなければならぬというふうに考えられ、言われながら、実態というものは全くそれに逆行するような実態に置かれておる。 そこで、厚生大臣おくれておいでになりましたけれども、医療が進歩して参りますと、当然結核患者は減るわけですから、従って当然後保護施設の改善あるいは拡充、今の局長の御答弁によりますと、全国二十四カ所で、六十名平均収容して千四、五百名、これでは今のだんだんふえつつある結核の回復患者の対策としては、あまりにも貧弱過ぎるというようにも考えますので、そういうような拡充の問題、それからさらに、さっきいろいろ申し上げました内容の改善の問題、これについては、当然局長の方が科学者ですから、科学者の方からぜひ一つ社会局長を叱咤督励をして、今のような方針に万全を期していただくような努力を願いたい。 それから、だんだん説明して参りましたから、大臣もお聞きとり願ったと思いますけれども、要するに医療というものが進んで参りますと、今の結核患者がだんだん減ってきますね。そこで将来の方針なり課題としては、そういうふうななおった患者の対策をどうするかということが当然将来大きな課題にならなければならぬということは、常識的にも御理解いただけると思うのです。ところが今私がいろいろ申し上げましたように、実際にはそれらに対しては何ら熱意が示されておらないというのが現在の状況なんです。そこで将来そういう方向に対してぜひとも熱意をいただかなければならぬと思いますが、この点は大臣から一つ御所見のほどを承っておきたいと思います。
○古井国務大臣 結核対策のこれからの問題の大事なところだろうと思います。よく専門家の意見も聞き、相談をいたしまして、今後の問題としてやるべきことはやっていきたいと思います。 〔「そのくらいなら言わなくてもわかっている」と呼ぶ者あり〕
○河野(正)委員 他の委員からも御発言がございましたように、そのくらいの熱意では足りない。他の委員からも御指摘でございますから、さらに格段の熱意を示していただきたいと考えます。 それから今度の法律と直接関係がございますが、検診の問題について若干お尋ねを申し上げておきたいと考えます。 政府の方針としては国民皆検診、みんな検診する。さっきの局長の言葉ではございませんが、九千三百万に網をかぶせる、そういうような方針がとられて参っておるのでございます。ところが、五十五年以来そうでございますが、その実情を振り返っみますると、一時は受診者数が増加をしてきた。ところが五十九年になりますと、若干数が下回ってきた。数字を申し上げますると、五十八年は三千七百千万、それから五千九年は三千五百七十一万、そういたしますと、政府はなるほど国民皆検診ということを目標としてやっておられますけれども、実態は、今申し上げまするように、ふえてきておったのが、今度は逆に下回ってきた。そうすると、どうも実際は政府の方針と逆行するような数字が出て参っておりまするが、この点はいかがでございまするか、お伺いを申し上げておきます。
○尾村政府委員 実際の総数から申し上げますると、今御指摘の通り、三十三年と三十四年を比べますと、約百五十万人程度の減少を見たということでございます。ただ、言いわけにはなりますけれども、中身から申し上げますと、私どもの方では九千三百万に近づけるのが必要でございますが、ただ総数三千七百万であったものを、もう五百万ふやしたというのでは、最近の結核検診のねらいに合わない。むしろ百パーセント近く行なわれておりますのは、いわゆる義務教育の学童でありまして、これが大体このうちの二千万近くを占めておるのでございまして、これからの発見率はわずかで、患者が非常に少ないのでございます。こういうようなやりやすい団体を簡単に何百万ふやしても、肝心の蓄積している集団である主婦とか、あるいは個人々々の患者の家庭の家族というふうなところに、一番の大事な点がありますので、実は中身を逐次変えておるわけでございます。そこで、総数は減ったようでございますけれども、このうちの町村が施行いたします一般家庭人の対象等は、逐次ふえておるわけであります。そしてむしろ一般の大企業体とか、結核が相当減りましたところは、あまり重点を置かないという形で、一年おきになったところもございますが、そういうようなところを補うためのせいもありまして、総数は百五十万ほど減っておりますが、現実につかんでやりました間接撮影は、逆に二千九百十二万人が二千九百六十七万人という工合に、五十万人も確実にやったものはふえておるということとか、あるいは精密検診の数は、百二十万四千人が百二十万五千人と、一千人ではございますが、この両年でまた増加した。こういうふうに、中身につきましては、相当に内容変更をいたしまして、重点的に進めておるわけでございます。従って発見患者数も、三十三年の三千七百万やったときには、十二万七千しか発見できなかったものが、三十四年の三千五百七十万やったときには、むしろふえて十三万二千人を発見した、こういうような成績になっておりまして、質的には非常な成績の上がるような方向に変えた。もちろん質的な重点主義とともに、総数も上がることが望ましことはもとよりでございますので、できるだけレントゲン車を、年々四十台ないし六十台ずくもふやしておるわけでございます。これによって総数実績も一そう上げていきたい、こう思っているわけでございます。
○河野(正)委員 非常にけっこうな御答弁でございましたが、しかし私どもが聞き及ぶところによりますと、その総数の減った理由の一つには、対象の大部分であった学童数が減って参ったということがある。これは対象の学童数が減ったわけなので、別に行政上の手落ちじゃございませんから、これは了承することはやぶさかでございません。ところが第二の減った理由ですが、これが私は非常に問題だと思うのです。それは患者の管理事業です。これは先ほど抜本的対策の中でも、患者の管理ということがございましたが、この管理事業というものが五九年から発足した。そこで、今まで検診に非常に努力を払われておった、その精力というものが管理事業の力に回った。それだから一の力がそがれたわけです。そういうために、この検診総数というものが減ったんじゃないかというふうな論拠もあるわけです。その第一の場合は問題がございませんけれども、後段の、労力というものが他の新しい事業の方に向けられたそのために、とにかくそういうふうに検診の成果が上がらなかったということになりますと、これは私は行政上の大きな責任だと考えるわけです。今、局長から答弁がありましたように、総数は減ったけれども、内容においては非常に好成績を上げておるのだ。そうかもしれませんけれども、今、私が申し上げたような見方もあるわけです。そうだとするならば、これは実際行政上の責任でございますから、当然厚生省が責任を負わなければならぬということになると思いますが、その辺はどういうふうにお考えですか、御所見を承っておきたいと思います。
○尾村政府委員 ただいまの御意見の、いわゆる登録管理上に関する仕事で、なまけるといいますか、手を抜いたんじゃないか、このおそれは、実は私どもも三十三年、三十四年の資料で感じたわけでございます。先ほど言った内容は、分析して善意には解しておったのでございますが、そうあっていかぬというので、三十九年度に、管理事業をやる場合に、一方従来やっておりました専業が落ちたらいかぬということで、非常な注意を促しました。それで三十五年一カ年分の資料をごく最近手に入れましたが、その結果は、杞憂したことが解消いたしました。大体注意を促したせいもあるかと思いますが、三十四年の総数三千五百七十万人が、三十五年は三千七百八十九万人に増加して、三十四年を上回る数になりました。ことに市町村長のやります。いわゆる重点的な、家庭の主婦等に対するものは、三十四年の一千万人に対して、三十五年は三制も多い一千三百万人が実施され、ことに患者家族が、三十四年は四十五万七千人であったものが、五十万人に達して実施されたというようなことでございまして、幸いにして、管理方式を非常に強化したことに対し、三十五年になりまして警告いたしたことが、その通り受け取られまして、今後はこの点あまり心配ないし、また今後もこういうようなことで持続して、御心配のようなことが起らぬようにしたい、こう思っておるわけであります。
○河野(正)委員 私が御指摘申し上げたようなことにお気づきになって、さらに良好な成績を上げるよう御努力願うということでありますから、その点はそれとして、次に、そのことをやはり関連いたしますが、先ほど申し上げますように、国民皆検診ということが標榜されておりながら、大体最近の実数では、国民の三七・六%、四〇%弱だけしか実施されていない。しかもその四〇%弱のうちの大部分、大体八割程度でありますが、これは保健所で実施されている。しかも今の保健所の実態を見て参りますと、今直ちに保健所の検診能力を飛躍的に増強せしめるということは非常に困難であろうということは想像にかたからざるところでございます。保健所の検診能力が飛躍的に向上するということでございますると国民皆検診の実というものがある程度上がってくるだろう。ところがそれは今非常に疑問がある。国民皆検診一〇〇%達成には一体どういうことをやればいいのか、どういうことをやれば一〇〇%の実績を上げられるというふうにお考えになっておるか。その辺のお考えを一つお聞きしておきたいと思います。
○尾村政府委員 これは今の保健所が直接みずから検診をするという方を拡大強化して達成しようということは不可能でありますし適当でない、こう思っております。むしろ最近のように健康保険組合なり、その他大企業等は他の法律によりましても一般の健康診断とともに規制されているわけでございまして、これは職業人としての職場の管理の意味も十分含めましてあるので、そういうようなところはむしろどちらかというと保健所にどうも便宜主義であまりにたより過ぎている。それから学校は学校保健法という法律が二、三年前にできまして、全般的に学童の健康は結核だけという意味でなくて総合的にやるようなことにもなりましたので、私どもとしてはむしろこれらのやりやすくできておる、管理のしやすい集団については、保健所が企画立案は十分お世話する、しかしその実施につきましては結核予防の指定医療機関なり、あるいはそれぞれの団体の嘱託しておるりっぱな医療機関を直轄しているところさえ多数あるわけでございますから、これらの方で十分実施をしてもらって、その結果をこの予防法に基づきまして報告、登録その他はもちろんしていただきませんと全国的につかめません。そういうことにいたしまして保健所がやるべきものを厳選して、そこには保健所が十分手を伸ばす、こういうふうにしていけば今の皆検診の実も逐次上がるのではないか、こういうふうに存じておりますので、今度の結核対策予算の中でも極力検診を委託するというような形をかなりふやして盛り込んでおるわけであります。そういう方が一番適切だろうと考えておるわけでございす。
○河野(正)委員 保健所の検診能力には期待すべきでない、それはそれでけっこうだと思いますけれども、しかし現状は三七・六%、四〇%弱でございますが、その中の八割は保健所が現在検診をして実績を上げておる。それですから保健所の検診能力に期待すべきじゃないということですが、現段階においては非常に大きな貢献をしておるわけです。それを無視して、いきなり他の医療機関その他によって検診の実が上げられるというふうに考えるわけに参らぬと私は思うのです。それですからやはり他の医療機関——とにかく皆検診といわれながら四〇%弱ですから、これは保健所に限らず他の医療機関も全力をあげてあと六〇%達成しなければならぬわけですから、これは大へんな努力だと思うのです。それでも保健所の方はたよらぬでもいいというようなことでは、私は一〇〇%実を上げることはとうてい不可能だと思う。保健所の方もフルにその検診能力を高めていく、そしてさらに他の医療機関の協力も得ていく、そういうことにならぬと一〇〇%実を上げるということはなかなか並み大ていのことじゃなかろう、皆検診といいながら現在では四〇%弱ですから……。そこで私は今の局長の御答弁は必ずしも納得するわけには参らぬ。現在八割やっているわけですから、保健所の方で検診能力を高めていくような指導をやっていただき、他の方は他の方でそういう指導をやっていく、こういうような両面作戦というものがとられなければ、とても現段階においてはその実を上げることは不可能ではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、いかがでございますか。
○尾村政府委員 御意見の通り保健所がやるのが最も適当な部面について一そう強化して分担していく、これはもちろんであります。それから保健所自身が便利主義で使われていますけれども、むしろ他にまかした方がもっと実施されるという方面はそういうような方途も講ずるということで、御説の通り両面作戦ということでございますので、さように存じております。
○河野(正)委員 それからその実を上げていく、これは私どもの力が厚生省に大いに協力するわけですが、上げていくためには、やはり検診の能率化というものを考えていくべきではなかろううか、これは現段階でいきなり四〇%弱から一〇〇%にするということはなかなか困難なことですから、可及的すみやかにとにかく一〇〇%に近づけていく、そういう努力を行なっていく課程の中では、やはり重点検診、能率的な検診というようなことが必要ではなかろうかと考えるわけです。たとえば非常に結核患者が停滞しておりまする零細企業——大企業あたりはいろいろな施設が進歩しておりますし、それから検診なんか非常にスムーズに行なわれておりますから、零細企業、こういうところ、あるいは弱齢者の方では学童とか、学校あたりは学校保健法等の問題もあって比較的綱にかかりやすいわけです。ところが高年者、これは衛生思想の問題もあります。それからなかなか細にかけるチャンスというものが少ないと思う。こういった方面に重点的に何らかの方法で検診を行なわしめるような方針というものをとるべきではなかろうか、そういうことを講ずるならば、重点的な検診の方針をとるならば、私は一〇〇%達成ということは時間がかかるとしても、少なくとも濃厚地帯においては割合早く網が打てるのではなかろうかというふうにも考えるわけですが、こういう重点検診といいますか、能率的な検診ということに対してどういうふうにお考えでございますか、伺っておきたいと考えます。
○尾村政府委員 確かに一番患者がありそうな、また指導を要しそうなグループというものはやはりあるのでございまして、そういうところが一番従来のままで放置されやすい。従って逆にそういうところに今後重点的な検診の手を伸ばす、これが非常に必要だろうと思います。御指摘のように零細企業の場合には、法律では労働基準法の規定するところに従いまして、事業所の事業主がその従業員については定期検診をしなければならぬことになっておりますが、実際問題として少数の従業員をかかえたところではなかなかできないというわけで、ここにどうしても停滞しがちでございます。こういうところに対しては、法律ではそうなっておりますが、私どもの方では町をやる場合の、保健所が手を伸ばしてやる一般住民の検診にあわせて、これらが参加できるような解釈で、極力これらが受けられるように最近は進めております。従来むしろ盲点になっておったところを、まあそういう方法をもって講じてきておる。それから、高年者に結核が高率になりましたのは御承知の通りでありますが、とかく両年者が検診に出にくいというのは、これはいろいろな事情もあり、また人情のせいもあります。そこで最近は、府県がついでに高血圧の検査をする。四十才以上の者が集まれば、血圧の検査もついでにやってやりますということによりまして、従来結核だけで集まれというのと比較いたしまして、非常に高率な検診率を持っておる実績が多いのであります。そういうような方法、これも成人病対策としても同時に必要なことでございますから、そういうような方法を講じてやることと、それからもう一つは、非常に遠方のところへ日にちをきめて必ず来なければしてやらぬというのは、家庭人には非常に不自由でございますので、今大体年に、公式に国が世話したりあるいは補助を出しておりますレントゲン自動車が六十台ずつは確実にふえておるわけでありますが、この一台が平均いたしまして六万人ないも七万人の検診力を発揮しておりますから、これをどんどん続けて増配して、これが部落まで入っていって、非常に気やすく、小単位で、短時間で受けられる、しかも、着物の上から透視ができるように最近は改造いたしておりますから、さような技術的の方面も今度はこまかく徹底する、こういうような方策も必要であろう、こう思います。さらに、それらのほかにもう一つ必要なことは、今までとかく検診をきらって出ないというような、こういう階層が、多いわけでございますので、地区の衛生組織というものが今いろいろな方法で発達して参りまして、全国で、カとハエの地区衛生組織を中心に、これが五、六万団体あるわけであります。この地区衛生組織に地区内住民の検診奨励活動をして回ってもらう。それで、保健所や、そういうような通知のほかに、こういう地区団体でかり出していただく、PRしてもらう、これがやはり非常に有効でありますので、今度の予算対策の中にも、こういうのを利用するような予算も若干増加しておりますので、こういうような総合方式でやっていきたい、こう思っておるわけでございます。
○河野(正)委員 今まで申し上げました保健所の検診能力とも関係いたしますが、一般医療機関が保有しておりますエックス線間接装置、これはもう保健所が保有いたしますものよりもはるかに上回っておるというようにいわれておるわけです。従って、今までいろいろ論議を繰り返しましたように、一般医療機関の方がそういう検診をやる装置に恵まれておるわけです。そこで、一般医療機関の協力を得て国民皆検診の方向に進んでいくということは当然のことですけれども、そういう実態を見てみると、逆に、実際に責任を直接持たなければならぬ保健所初め当局側の方が、どうも一般医療機関の方に寄りかかってしまって、一体結核撲滅の責任がどっちにあるのか。協力を寄るということはけっこうですけれども、間接装置を見てみましても、保健所より一般医療機関の方がよけい持っておる。実際これはもう並列してやりますと、そっちの方が能率を上げると思うのです。そうすると、逆に、当局側が結核撲滅の責任を持つというよりも、一般医療機関の方が責任を持つというような結果が実績の上から生まれてくるような気もするわけです。さっきも局長が言われたように、保健所の検診能力にあまり期待すべきでないというお話がありましたけれども、そういう思想でいきますと、どうも結核予防対策の責任の所在というものが不明確になるような気がするのです。局長は、あまり保健所の検診能力に寄りかかってはいかぬとおっしゃいますけれども、あまりそういうことにこだわると、結核撲滅の責任の所在というものがどうも不明確になって、何か一般まかせのような感じを今の答弁から受けるような気がするのですが、そういう点に対していかがですか。
○尾村政府委員 これはあくまでも結核対策の責任は県保健所——国が続いておりますが、これが中心になるわけであります。従って保健所管轄の、十万ないし十数万の住民を持っておるわけでございますが、これの結核の検診事業から始まりまして、最後の医療保障の関係までは、これが責任の中心でございます。ただそれに対する責任、すなわち計画、立案、指導をする場合、具体的にその方法として健康診断をやりましたり、あるいは治療行為をやる、そういうような実行の部分というものは、必ずしも保健所が全部を扱う必要はない、こういう意味でございまして、従って、より優秀な能力と機械を持っておるところで、管内のそういう医療機関が検診というこのプランに従ってやっていただけば、それはむしろ推奨して、そこで発見した患者は正確に届け出てもらう、それから、治療する場合には審査会に通したもので補助も出す、こういうような管理、指翼のセンターといったものはあくまでも保健所が責任を負うべきであります。今のような実行方法としてはできるだけその管内の医療能力というものを活用していく。決して責任を負わすという意味ではなく、そういうような手足の部分はより多数の手足を借りる、こういうふうな意味でございまして、決して責任を薄くする意味ではないので、そういうような方向で指導はしていきたい、こう存じておるわけであります。
○河野(正)委員 実は、作業と行政指導、これを二分してお考えのようですけれども、私は、現在の実態を見ておりますと、必ずしもきちっとそういうふうな作業と指導というものが二分できるかどうか。そういうことをきちっとうまくいければいいですけれでも……。そうすると、作業の方に力を抜くということは、やはり一般医療機関にたよることになる。これはたよったってもちろんけっこうです。それだけの間接装置もあるわけですから、それを十二分に活用することもけっこうです。ですけれども、あまりそういうところにたよると、行政指導の面にも欠けてくる面が出てきはしないか。現在の、それを言っては悪いけれども、保健所の実態をながめて参りますと、やはり寒心を覚えますね。それから私は、やはり強力な行政指導をやるためには、ある程度能力、施設、そういうことにさらに努力が願えればけっこうですけれども、その努力を省くとしても、やはり熱意というものは向けておかぬと、勢い行政上の指導力というものが欠除してくると思うのです。私はそれを非常におそれるわけですね。現在の保健所の実態を見ておりますと、どうも最近の実態というものはそういう傾向が非常に強い。いろいろな監督行政という面は非常に強く出てきた。その反面、指導行政という面は非常に弱まっています。少なくとも、戦後改組された保健所の使命というものは、監督行政というよりもむしろ指導行政ということが本来の姿でなければならぬ。ところが、力がないものですから、勢いよけい監督行政ということに重点が向けられる。そして、指導力というものが欠除していく。そこに、最近の保健所の非常な大きな欠陥が生まれてきていると私は思うのです。私は、そういう意味で取り上げまして御所見を承っておるわけでございますから、この点は一つ大臣からお答えをいただきたいと思います。
○古井国務大臣 保健所の任務が非常に大きくなってきておるということは、その通りだと思うのであります。それに対応してそれだけの働きができておるかどうか、また実力があるかという問題が残っておるわけでありますが、お話しのような点もありはしないかと私も思うのです。ですから、局長もさっき以来申し上げておるのでありますけれども、どうして充実して機能を発揮させるかという具体案をよく局長のところでも研究すると思いますから、その方向でやっていきたいものだと思うのであります。
○河野(正)委員 大臣からそういうけっこうな御答弁がございましたから、ぜひ局長とお話し合いの上、保健所の充実ということについては一つ御善処を願いたいと思います。 さらに、この結核予防法第三十四条によりまする公費負担、この合格件数というものがだんだん増加しつつございます。これはある面においては金が要りますけれども、けっこうなことだと考えております。そこでそういう合格件数の中におきまする医療内容を振り返ってみますると、化学療法が大体九四・二%、外科手術療法が四・二%ということで、化学療法が非常に多いわけですね。これは実態もそうだと思うんです。ところがもともと、今化学療法が九〇%こしておりまするのに、それに反して外科手術療法というものは四%、非常に手術療法というものは少ない。その少ない方の手術療法というものがなお漸次減少の傾向をたどっておるということでございます。これはまあいろいろ見方はございますけれども、私どもには私どもの見方がございますので、一応そういうふうに外科手術療法というものが漸次減少しておる。そういう減少の原因がどこにあるのか、当局側がどういうふうに御判断に相なっておりまするのか、一つ承りたいと考えます。
○尾村政府委員 これはこの背景になりますのは、たとえば二十八年と三十三年の実態調査のときのいわゆる外科療法の適応患者率というものを詳細に専門家によりまして率を出したのでありますが、非常な減少であったわけでございます。今の要入院患者は五割減になっている。要入院患者はほぼ同数であったにもかかわらず、外科の要手術患者というものが十六万人から四万人に減少したというようなこと、それは患者の方の病状が軽くなったというよりも、その後の化学療法の進歩によりまして、これが従来簡単に、すぐにもうこれは外科療法をやらなければいけなかったというような者が、ある程度最近の進歩しました組み合わせにより、あるいはさらに新薬等によりまして、従来の外科適応者が化学療法である程度なおる、こういう率がふえたのが一番原因ではないかと思われますのと、それから外科療法をやるからには肺を中心としてやれば、かなりよく治療の効果の上がる徹底したものをやる。それから従来のように中途半端な、たとえば胸郭成形術だけとかいうふうなものも従来は外科療法の中に相当入っておったわけでありますが、そういうものはむしろそれ以上に化学療法の方が効果があるという形で置きかえられましてやる、こういう意味で、全体の治療別の比率の中では手術療法が五%台から四%台に逐次下がってきた、こういうふうに考えられるわけでございます。従って正しい全体の数、すなわち治療をやっております数は決して減っておらぬのでございまして、適応治療の総件数というものは、年々これはふえておる。従ってこの外科手術をやった実数というものは、パーセンテージが減りましても、決してそれは減っておらぬわけであります。従って外科病院における遂行手術件数というものは決して減らない、まあこういうことでございます。
○河野(正)委員 おそらくそういう御答弁があろうというふうに実は予期しておったわけです。もしそういうふうに化学療法というものが非常に進歩してきたので外科の対象患者のパーセンテージが減ってきた。実数は別として減ってきたということであれば、まあそれはそれでけっこうでございます。ところがどうも実態を見ておりまするというと、たとえば外科手術を行ないまする療養所には非常に患者が押しかけていく。外科手術をやらぬ療養所ではあきベッドがふえていく、こういう傾向が現実に出てきております。そこでそういう現象がどうして出てきたか、これはいろいろな見方があると思いまするけれども、私どもが一面から見て参りますると、やはり患者の中には外科手術を欲求するのがかなりおるのではなかろうか。ところが実際に肺切除あたりはかなり高度の手術ですが、そういう専門の技術者が非常に少ない。おっても、これはあとで大臣にお聞きしたいと思うのですけれども、処遇の関係があってなかなか行きたがらぬ。そういうためにもし外科手術患者というものが減少してきたということであるならば、これは一つの問題だと思います。そこで今局長からも御答弁があったように、化学療法というものが非常に進歩してきた。そのために対象患者というものが減ってきたということであるならばけっこうですけれども、そういうこともあろうと思いますが、私はどうもそれだけで解決するということは、少し見方が甘いのじゃないかというふうな感じもするのですが、その辺はいかですか。
○尾村政府委員 確かに外科手術適用術をいよいよやる必要があると診定されますと、やるならば高度の能力のある療養所に集中する。これは確かに事実であろうかと思います。しかしそれと、年々やるべき外科手術患者が必要だけ行なわれないで、それが原因になってこの外科手術のパーセンテージが減ったということはない。こう思いますけれども、確かに今のように能力のあるところが各地にできるだけ多く分配されまして、比較的近いところの外科センターというようなところに行って受けられるということは、これは結核の治療上望ましいことでございます。それにはどうしても療養所のはっきりした機能分類というものが、ごく少数でなくて、相当数をそろえておくことが必要だと思われるわけでございます。これは医務局でも国立療養所の関係、あるいは一般の医療機関の指導関係では、逐次そういうような方向で進めていただいておるように存じますけれども、やはりその点は確かに必要であろうと思います。しかし今のところまだ全部が全部完備しておらぬから、年々三十四条に基づく外科手術比率が減っているということはないと思います。というのは、先ほども申し上げましたように実数そのものは滅っておりません。むしろ若干ずつふえておるくらいであります。しかも平均支払い点数、これはふえておるわけであります。それだけ手術内容が高度化しておる、こう思われますので、その点はさようなふうに存じております。
○河野(正)委員 結果は別として、どうも私はそういう認識の仕方には反対なんです。というのは非常に局長が雲の上におられますから、その実態について十分御認識ないのかどうかわかりませんが、実際の実態を見て参りますると、高度の技術を持った技術者というのは非常に少ないわけです。おりましても正面にいって、今のような官公立病院の給与ではなかなか行かぬ。これは私のことを言うて非常に失礼ですが、私の義弟が肺切除の専門なんです。ところが、県立病院の外科医長で、肺切除専門に大学から派遣されていったところが、二万何千円しか月給をもらえぬのです。ところが、ほかの病院へ行きますと、月給で十万円以上もらえるのです。だから、大学で派遣されるから行くけれども、実際は本人は希望して行かぬ、そういう実態です。これは具体的な例をあげたら大臣も一番おわかり願えると思うので申し上げますが、そういう実態ですから、これは言うて悪いけれども、結局診療意欲というものが非常に低下するのです。そこで、やはり私は、その対象患者がおっても、外科療法というものが——これはすべてとは申しません。すべてとは申しませんけれども、その診療意欲の低下によって、当然対象患者なんだが、実際には手術を受けることができぬというような患者も、実はそういう現状を見てくると出てくるのじゃないか。実は福岡県の場合は、そういうことで県庁に勤務するお医者さんがストライキをやった。全員が辞表を提出する——これは川上医務局長も中にお入りになって、解決のためにいろいろ御尽力願った。これもやはり、今言ったように、専門技術者の処遇というものが非常に冷淡だった。これは冷淡というか、いろいろ一般公務員との均衡もあると思います。そういうために、もし一部でもそういう原因によって当然手術を受けなければならぬ対象患者が手術を受けられぬ——最近では肺切除をやりましても、公務員の場合、現場復帰が非常に簡単なんです。審査を受けても、結局もう患部がないわけですから、全部フリーで現場復帰ができるのですよ。今までは化学療法をしましてから審査会にかかって、どうじゃこうじゃということで、なかなか現場復帰が困難な面があったが、最近では、公務員は進んで手術したがる。それで、公務員のごときは現場復帰が容易でございますから、手術の希望者というのは非常に多い。ところが、今の専門技術者のスタッフではなかなか消化することが困難だというような声を私どもは現場において聞いておる。そういう実態というものを十分御理解いただいて、そして結核予防対策について、いろいろ万全の対策を講じていただく、それなら私はけっこうだと思うのです。ところが、そういう実態というものを十分認識せずにやっておる。万全を期すように努力をしているのだということでは私は困ると思うのですよ。その意味で、そういう実態というものを十分御理解いただいてやっていただきたいと思います。 そこで、大臣、そういう特殊技術者の処遇について当然私は考えていただかなければならぬと思うのです。ところが、これはなかなか人事院との関係があって、今までやってきましたけれども、困難な問題があって解決せぬ。そこで、だんだんいろいろな不合理というものが累積をしていく。悪循環みたいなものである。それでは非常に困るので、技術者の処遇については、大臣は実力者でございまするから、一つ大臣の在職中に、ある程度片をつけていただきたいと思うのです。その点いかがでしょう。
○古井国務大臣 専門の技術者の待遇問題は、お医者さんの問題のみならずあるだろうと思います。専門技術者を尊重するという考え方は必要なことだと私ども思います。ただ、今のようにお医者さんだけの問題でないものだから、それもこれもになってなかなかむずかしい点があるかもしれませんが、確かにこれは一つの問題だと私ども思います。ただ、結核の手術が減っているという点が、お話しのように待遇が悪いというところとつながっているかどうか、これは私にはよくわかりません。待遇の問題はまことにごもっともなところがあると私どもは思います。
○河野(正)委員 さらに、これも厚生省の予算と関係があることでございますし、今の技術者と関係することでございますから、もう一言触れてみたいと思いますが、結核に一番関係のございますエックス線技師の問題、これは結核対策と非常に関係がございますので、この点についても触れたいと思います。 〔委員長退席、柳谷委員長代理着席〕 このことは今度の予算の中にも盛り込まれておるわけですが、国際放射線防護協会で放射線防護に関する基準が実は非常にきびしくなった。それに対する予算が新年度で納まれている。これは医務局関係ですね。このことは、エックス線技術者にいろいろと障害をもたらす、危険性が強いということを意味しておりまして、その対策のために予算が計上されている、実はこういうように理解をするわけです。ところが、それほど国際的にも認められておりますエックス線技術者の処遇、これがまた非常に悪い。これも具体的に例をあげた方が大臣もおわかり願えてけっこうだと思いますので例をあげますと、看護婦のもう一つ下の准看護婦、これが初任給八千五百円、エックス線の技術者が九千三百円。最初は准看護婦とエックス線技術者とは若干差があるわけです。ところが、これが五年しますとどういう結果になるかと申しますと、准看護婦の場合は一万四千七百円、レントゲン技師は一万三千八百円というふうに、レントゲン技術者の方が下がる。こういう全くずさんな給与体系というものが仕組まれている。国際的にもレントゲン技術者は危険性もあって非常に重要な職種であるというふうに勧告されておりながら、その処遇に対しましては、今申し上げましたように全くお粗末な、不合理な処遇が行なわれている。こういう点に対しては、一般との均衡があるというようなことでじんぜん日をかせぐのでなくして、やはり不合理なものは不合理を一つずつ解決される努力がなされなければならぬと思うのですが、その点はいかがですか。
○古井国務大臣 なぜそういうことになっているのか、私もそうなっていることがよくわからないのでありますが、現在一応そうなっておるというわけを医務局の方からお答えさせます。
○黒木説明員 河野先生の御指摘のように、確かにレントゲン技師の処遇には問題があるのでございますが、看護婦と比べまして、資格要件につきまして、その修業年限等に差がございまして結局そういうことになったのでございますが、最近ではエックス線以外にいろいろ放射線の種類も多様になって参りまして、そういう問題をも含めて、こういう人たちの資格なり身分なり処遇の問題を再検討しなくてはならぬというようなことで、いろいろ私の方で案を作っておるのでございます。現在医療制度調査会のこういう医療関係の技術者の身分を取り扱う部会におきましてせっかく御審議を願っておるのでございます。おそらく六月ごろにはある程度のめどを得たいと思っているのでございますが、確かに問題があるということは私の方で自覚をいたしております。
○河野(正)委員 しかもこれは生命にも及ぼすような重大な職種なんです。そこで私は、鋭意医務局の方でも審議会を通じて結論を出すための努力はされておるということについては敬意を表します。しかし、もちろん今日そういうことがやっと結論か出されるということはおそきに失すと思うのです。そこで、これは他の一般職との関係もあって、人事院交渉等であるいはいろいろ問題があるかと思いますけれども、一つそういう実態というものを——おそらく審議会でもそういう結論を出されると思いますけれども、十分お含み願って、実力者である古井厚生大臣の在任中にこういう問題は一つ一つ御解決を願いたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○古井国務大臣 さっき医務局の次長から申しましたように、研究してもらっておるわけですから、結論が出ますれば、これは尊重して実現をはかっていきたいと思います。
○河野(正)委員 一つその点はぜひお願いしたいし、医務局の方でも早く結論が出るように鋭意促進を願いたいと思います。もしその結論が出ましたら、さっそく大臣と御相談いただいて、そして解決のための最後の努力を願いたいと思います。 それから、この予防対策についてさらに発展をしていきたいと思います。御案内のように政府管掌保険では、三十五年度から新しく保険施策の一部門として、肺結核の回復者に対して再発予防のための投薬が行なわれるということに相なっておるわけです。このことは、私はさっきも後保護の問題を申し上げましたが、そういう面とあわせ考えましても、私は結核撲滅対策の一つの大きな前進だというふうに考えるのです。ただ私どもが残念に思いますのは、国民皆保険政策というものが今日実施をせられておるわけですから、そういう結核撲滅のための前進である方策であるならば、私はすべてにやはりそういう方針というものがとらるべきだというふうに思うわけですが、そういう点はいかがでございますか。
○小池説明員 三十五年度から政府管掌の保険におきましては御指摘のような方策をとっておるわけでございますが、国民健康保険におきましては、御承知のようにこの四月一日をもちましてようやく全国に皆保険を達成するというところまでこぎつけ得たような状況でございまして、給付の内容等におきましても、実態といたしましては、まだ健康保険等の社会保険との間には何がしかの差がある。また給付率におきましてもまだ劣位にあるというような状況でございますので、まずそういうような面から改善をしていくというふうな順序で充実をして参りたいというふうに考えております。
○河野(正)委員 保険局長から答弁をいただくとけっこうだったのですが、どうも政府が唱えられておる国民皆保険、それが今申し上げまするように、政府管掌では再発予防投薬が行なわれる、ところがその他には行なわれぬということになりますると、どうも国民皆保険という言葉に、何といいますか、ごまかしがあるような気がするわけです。結核再発予防投薬というものは当然すべての回復患者に適用されなければならぬ、それが本筋だというふうに考えるわけですが、この点は大臣いかがですか。
○古井国務大臣 さっきも課長が申しましたように、国保の方は何かとまだ内容がおくれておるのであります。これをレベル・アップして、ほかのもっと充実しておる保険につり合いがとれるように持っていくのが今後の方向だと思いますので、ただいまのお話の点のみならず、国保には大きく問題が残っておると思うのであります。これを含めて均衡をとるところを目標にして大いに努力していきたいと考えております。
○小林(進)委員 これは関連じゃないかしれませんけれども、ちょっと国保の名前が出ましたので、これは大臣にお伺いしておきたいのでございまするが、これは実際問題として、今方々で私どもが苦情を持ち込まれてくる問題なのでございまするが、国保は御承知のように市町村別で管理せられるようになっておりますから、大体今のところは東京におりまして国民健康保険に加入しております者が、病気になると郷里へ帰って、そうして郷里の市町村で国保で結核の療養をする。そうすると、小さな市町村はその患者をかかえて保険財政がいたい打撃を受けるわけです。ところがまた、各町村によっては、そういう保険証を持って罹病者になると帰ってくるような者は、その町村において三カ月とか二カ月とか在住の実績のない者は、いわゆるその町村における被保険者として取り扱わない、こういうような規定があったりいたしまして、この点は非常に全国的に統一ができ上がっていないわけです。被保険者としての保険料はもらわないけれども、病気のときだけ受け持たされておる、そうしてめんどうを見なければならないという保険者、団体、特に市町村の方では悲鳴をあげまして、これを何とか厚生省で全国的に統制してもらえないかというような悲鳴がくるのでございまするが、こういう問題について、大臣どうでございましょうか、大臣のところへも私は話がいっておるんじゃないかと思いますが、何か今まででもそういう話があって、これに対して何か具体的に考えられたことでもありましたらお聞かせを願いたいと思います。
○古井国務大臣 ぴたっとあなたがおっしゃるようなケースについてまでは聞いたことがございませんけれども、やや似たような実際話も聞いたことはなきにしもあらずであります。しょせん国保が市町村単位に仕組まれておるというところに根本があるだろうと思うのでありますけれども、それにしても、市町村単位になっておっても、是正できる面もあるかもしれません。けれども根本はどうもそこにあるような気がするのであります。そういう根本があるためにいろいろな問題がありはしないかと思いますが、なるべく実際の必要に応ずるように改善ができれば大へんけっこうなことだ、私もそう思います。いろいろな問題があるんじゃないかと思うのでありますが、改善ができる範囲のものは、市町村単位のものであっても改善するということはよいことだと思います。
○小林(進)委員 大臣、これはそう大して金の要る問題ではございませんので、各市町村ごとの連絡を密にいたしまして——どうせ私だって病気になったときは、保険料は東京で払っておるのですけれども、郷里に帰って治療をするのです。そういうときに、ばかに損をする町村ともうける町村が出て参ります。それは一つの例ですけれども、そういうこともあわせて、これは金のかかることではございませんし、皆保険のしかれた今日ですから、一つ早急に手直しをされるように、大臣の方で事務局の方へ御指示願いたいと思います。これはお願いしておきまして、今大臣の御承諾を得ておきますれば、今度事務局をぐんぐん押しまして早急に私はやりたいと思いますから、どうぞ御了承願いたいと思います。
○河野(正)委員 この再発予防投薬の問題は、政府が少なくとも国民皆保険ということを旗じるしにされております以上は、政府の責任においてぜひ実施するように今後御善処を願いたい。そうすれば、政府の責任においてやるわけですから、さっき課長から御答弁があったように、別に国保の財政を圧迫することもないと思うのです。そういうことで今後ともさらに御善処を願いたいと考えます。 いろいろ突っ込んでやりますと時間がございませんから、それに関連をしてさらに保健施設の点について触れてみたいと思います。 健康保険におきまする保健施設は、健康保険法第二十三条の「保険者ハ」「被保険者及被扶養者ノ健康ノ保持増進ノ為必要ナル施設ヲ為シ又ハ之ニ必要ナル費用ノ支出ヲ為スコトヲ得」、この規定によって行なわれておるわけでございますが、この保健施設の目的とするところは、被保険者及び被扶養者の福祉の増進をはかることが目的でなければならぬと思うのです。ところが実際にその二十三条の精神によって行なわれております実態を見てみますと、すべてこの被保険者及び被扶養者の福祉の増進をはかることに貢献しておるかどうかということについて、私は若干問題のある点が多いんじゃないかと思うのです。そこで、せっかく健康保険法に規定されておるわけですから、それだけの成果を上げていただかなければならぬ、そういう意味で一、二触れてみたいと思いますが、たとえば施設の一部として保養所等が設置をされておりますことは御承知の通りです。ところがその保養所の現状を見ておりますと、あるいは料理屋的であってみたり、あるいはまた旅館的であってみたり、そういうことで一般の被保険者あるいは被扶養者が利用する機会が非常に少なくて、一部の者のための施設というような傾向があるのではないかという感じを私は持つわけです。そうすると、そのことはすなわち健康保険法第二十三条の精神とは必ずしも一致せぬわけです。少なくとも被保険者の負担においてなされるわけでございますから、私は、健康保険法第二十三条の精神に一致するような施設でなければならぬというふうに考えますが、その辺をどういうふうに把握しておられますか、この際、承っておきたいと考えます。
○小池説明員 ただいま担当の課長を呼びに参っておりますので、しばらくお待ちを願いたいと思います。
○河野(正)委員 所管の課長がおいでになりましたらあらためてお伺いいたしたいと思いますが、これは公衆衛生局としてはそういう実態をどういうふうに理解なされておりますか、保険局から来られる前に承っておきたいと思います。
○尾村政府委員 政府管掌健康保険の保健施設につきましては、私どもの方では、保健施設の中でいろいろな疾病の予防活動その他については極力そちらの方でも協力していただいて、健康増進対策全体について総合的にやっていただくということで要望しておりますが、今の保養所という具体的な施設については、今のところ実態をよく承知いたしておりませんので、今ここで意見は申し上げかねるわけであります。
○河野(正)委員 それでは今の問題は保険局からおいでになるまで一応留保いたしまして、他の質問に移りたいと考えます。
○小林(進)委員 関連して。今度の改正で予定せられております命令入所の患者は八万四千人でございますか、その八万四千人の命令入所の患者の全国の分布、同時にそれとあわせて要入院患者でなくてもっと広く要医療患者というか、その全国的な分布を一つお聞かせ願いたいと思うのでございます。
○尾村政府委員 これは今度の予算につきまして、各府県ごとに府県知事が実施の中心になるわけで、一部政令市ということになるわけでございますが、これに対しましてはもちろん後年度予算で交付税を算定する必要もありますし、また補助金の府県別の割当もきめなければなりませんし、それに従ってそれぞれの府県等の議会が議決するわけで、われわれとしては今までの全国二分の一でやりました実態調査、というよりも管理、検診等をやりまして、本日御説明申し上げましたような府県ごとの数も把握しておりまして、それに基づきまして十月までに全県がつかめる数というものも推定し、それと按分比例いたしまして、五万四千の今度実施する補助ともにらみ合わせまして、一応の原案を作っておるわけでございます。それに基づいて先般府県の担当課長を集めまして打ち合わせ会もやったわけでございますので、これは数字を申し上げれば非常にこまかい数字になりますが、そういうものはあります。従ってむしろ御参考になるのはそれの一般傾向だろうと思いますが、どちらかというと、やはり六大都市的な大都会、それから最近は四国、九州、いわゆる日本では西の方、それから東北のいわゆる後進県とされております一部、これらが従来も、死亡率も全般には減りながら比較的取り残されて高い、従ってこういう感染発病者も比較的多いという傾向がございまして、こういうようなデータに応じて割当数も増加させておる、こういうことになっております。もちろん御必要とあれば一応そういう推定いたしました割当数の表をいつでも差し上げられるように用意してあります。
○小林(進)委員 要入院患者の推定数字が八十六万とおっしゃいましたか、要医療患者の推定数字が三百余万とおっしゃいましたか、どちらでもいいですが、やはり私どもはそういう結核病者の全国的な発生の濃度を知りたいと思うのです。どこが濃くて、どこが薄いかという趨勢を見たいですから、もしそういう統計の何か数字がありましたら、全国的な表を作って一つ資料でお見せを願いたいと思います。 次に五万四千の命令入所の方は、今までの実績に基づいて、その比率によって各府県に義務づけられるわけでございますか、いま一回お聞かせ願いたいと思います。
○尾村政府委員 いやその比率ではございませんで、傾向が大体同傾向にあるということは実態でございますけれども、現実に五万四千を割当てますのは、昨年現実に登録患者を二カ所に一カ所の保健所が三十四年、三十五年かけまして具体的に実態把握をしたわけでございます。それで見つけられた今回の対策適用患者というものをつかんでおるわけでございますが、それを二倍いたしましてさしあたりの数として、残りはあとの半年かかりまして具体的にどこのだれという実態をつかむわけでございます。もっともそのうちの約三分の二は現実に入院しておる生活保護の一部負担患者、これを十月二百には切りかえるわけでございますから、これはもうすでにつかめておるわけでございます。それを合わせまして残りの在宅の部分はこの十月までにまだ管理を終えてない部分、これを四月以降非常に努力いたしまして、具体的にだれということはつかめますが、数といたしましては昨年までやりました実績に基づきまして割り当てる、こういうことをしておるわけでございます。
○河野(正)委員 大臣が五時までということでございますので、今いろいろな立場で問題になっておりますILOと結核の問題について若干質疑を行ないます。特にILOの場合でも条約百二号、社会保障の最低基準に関する条約が問題になるわけです。ことにILOが今論議の焦点でございますので、一つ大臣としての御所見を承っておきたいと思います。 近代医学の領域というものが、今までは大体治療という方向に重点が指向されておりましたが、それが今日はだんだんと予防の方に推移してまた、これは御承知の通りです。従って医療保障の施策におきましても、今申し上げましたような結核というものが治療から予防という方向に推移してきたわけですから、医療保障の施策の中においてもやはりそういう方向が指向されなければならぬというふうに私は考えるわけです。そこでILO条約百二号と結核対策というものをどういうふうにお考えになっておりますか、これは一つ大臣からお答えを願いたいと思います。
○古井国務大臣 ILO百二号と結核対策のことは、これは局長からまず御説明した方がいいと思いますが、専門家の話では、結核対策というのは日本では他のおくれたものに比べると比較的早くやってきたような事情もあるようでありまして、その点は百二号を批准しようがしまいが、結核の方はそれとは別に進んでいるだろうと思いますが、条約の問題は局長の方からお答え申し上げます。
○尾村政府委員 ただいま大臣からお答えがありましたように、昭和二十六年に現行結核予防法ができまして、当時から国ないし地方公共団体等が全面的に結核の予防対策については相当力を入れてやるように法律ができておりまして、先ほども御質問のありましたように、国民皆検診という法的な基礎とか、BCGの予防接種、その他登録管理、それから現行やっております医療保障というふうに、かなり結核に対しては予防法によりまして、政府なりあるいは地方公共団体がやるということで、その用意をして、これによって従来ほかの面よりは進んでいる、こういうふうに存じておりますので、やはり結核に関しては今ここまできたわけでありますから、ここでどしどしと一そう強化していく、こういうふうに存じております。
○河野(正)委員 実態を見て参りますと、日本の結核対策というものは、今まで主として治療に重点が置かれ、そうして予防というものは非常に付加的な傾向があった。方針は別として、実態はそうだと思うのです。しかし御承知のようにILO条約百二号、社会保障の最低基準に関する条約、第七条には「被保護者の状態が予防的又は治療的性質の医療を要する場合には、その者に対して給付の支給を確保しなければならない」かように規定しておるわけです。このことは結局、予防第一義ということを私は意味しておると思うのです。ところがいろいろ大臣からも局長からもお答えがありましたが、いずれにいたしましても、日本の現状の結核対策というものは、特に健康保険の場合はそうですが、最近やっと施設の一部として予防投薬が行なわれるというようなことで、健康保険が主になる、特に皆保険ですから。ところが、この皆保険といわれる日本の医療の実態の中では、治療を第一目的としておるわけですね。これは何と言われようと治療を第一目的としておる。それでさっき私がちょっと申し上げまして話が中途半端になりましたけれども、この保健施設というものは健康保険の場合は付加的なものになっている。しかも日本は皆保険ということになりますと、結核予防法等はありますけれども、実態というものは日本の皆保険の実態でございますから、その中では治療が第一義、保健施設は第二義ということになりますと、ILO百二号では予防というものを第一義、こういうふうにその精神が示されておるわけですから、少なくとも皆保険という実態の中にございまする日本の結核対策というものはILO百二号の精神に反するということになると思うのです。これは結核予防法は別として、一応皆保険という実態の中ではなると思うのです。大臣いかがでございますか。
○古井国務大臣 重点が治療から予防に移っていくのが方向だろうと思うのでありますけれども、治療も十分できないでおって予防というわけにもいかない。つまり進歩して治療から予防というところに重点が移るという意味だと思うのであります。でありますから、治療をおろそかにしておくというわけにはいかぬのでありまして、これを大体必要な程度までやれる、こういうことにし、そしてまた予防というところに今度はほんとうに力を入れるというふうに進むべきものだろうと私は思うのであります。そこまで保険の方が行っておらぬという現状があるのでありますから、そこまで行けるように早く方向をとっていきたいものだというふうに思うわけであります。
○河野(正)委員 今大臣からもお答えがございましたように、ILOの精神というものは、予防給付こそが疾病治療に先行すべきだ、これがILO百二号の精神です。ところが日本の皆保険の中では治療第一義、現状はそこまで来ていないのですから、それを無視して予防へいくことはなかなか困難だというお話です。しかしそれほどおくれているということは事実です。ILOの精神は、もう予防第一義の段階まで来ておるべきだという考え方で百二号が公布されているわけですから、従ってこれは、だれが何と言おうとも、日本の結核対策の実態というものは、ILOの精神から申しますと、非常におくれておる。そこでやはり私はおくれておることはおくれておるとして、これを進歩させなければならぬということだと思うのです。そこでわが国の医療保護制度についても当然改善が加えられなければならぬ。とにかくILO精神のように、予防第一義に行けぬというのが今日の実態です。しかし世界の趨勢としてはやはり予防第一義というところまで到達しておるわけですから、そこへ何とかして持っていかなければならぬ。ところが、日本の実態というものは治療という方向にまだ足を奪われておるというような格好ですから、私はどうしても、日本の医療保障制度の将来のあり方について、改善すべきだという方向で一応再検討を行なうべきじゃないか、どうすれば予防第一義の段階に到達するかという方向で再検討を加えるべきではないかというように考えるわけですが、その点大臣いかがですか。
○古井国務大臣 ただいまの点は、再検討というよりも、そこまで行きたいという理想というか、目標をそこに置くべきだということになってくるのだろうと思うのであります。そこまで行きますれば、今度は自然治療の方も減るのですから、そうすれば保険の経済も楽になるということにも大きく言えばなるのでありますから、そこまで行きたいものであって、そこに目標を置いて早く到達するように努力をする、こういう考え方で行くべきものだと私は思うのであります。ですからこれは、日本の保険の行き方を変えるとかいう問題じゃなくて、早く充実してそこに行けるようにする、こういうふうな問題になるだろうと思うのであります。これが理想であり、進むべき方向で、努力すべきわれわれの道だと考えます。
○河野(正)委員 今大臣からもお答えがありましたように、ILOの方向というものが理想であり正しいということを御確認願ったわけでございまするから、ぜひそういう方向で一つお考え願わなければならぬ。と同時に、これは国際的にも、そういう建前からやはりILO百二号批准の声が非常に一局まっておるというのが現状なんです。日本としてはやはりそういう方向が理想であるわけですから、その理想を達成するためには、日本もILO百二号批准を行なうべきではないか、行なうことによって、よりすみやかに理想を達成することになるのじゃないかというように考えるわけですが、これは世界的な機運だそうです。ですから、それに対しまする大臣の所感を一応承わっておきたいと思います。
○古井国務大臣 国際的な体面からいっても、早く批准をしてしまいたいものだと思うのであります。ただ実態を整えていくことが大事な問題でありますから、実態を整えて、それに応じて批准ができるというふうな行き方が正しいのだろうと私は思うのであります。実態をほって置いて、ただ批准だと言っても仕方がないと思うのであります。ただ、今の日本の社会保障制度も、医療保障につきましても、ILO百二号に書いたものよりも進んでいる面もだんだんあるようでありまして、日本の実情も無視できない。日本の実情に合うようにこれを内容を充実していって、そして行くところに行く。考え方としてはやはり実態を整えていくことが一番よいだろう、必要だろうと思う。しかし早いこと検討することを念願して努力したいものだと思うのであります。
○河野(正)委員 ILO百二号批准については、今言ったように完全に実態を整えて批准するという一つの考え方もあると思います。それから、そういう理想に一刻もすみやかに到達するというために、一応先に批准するという一つの行き方もあると思う。目標が立っておるわけですから、早くその目標に到達するように努力をしなければいかぬわけです。努力を促進する意味において、すみやかに批准するという考え方もあると思うのです。いずれにしてもILO百二号の方向というのは、少なくともこの医療に関しましては正しいわけですから、ぜひ一つ御考慮をいただきたい。 それからその他の点については保険局長もおられませんし、大臣の都合もありますから一応私の質問は留保しておいて、小林委員にお譲りいたします。
○柳谷委員長代理 小林進君。
○小林(進)委員 先ほどから私は医務局長に来ていただくようにお願いしておいたのですよ。せっかく来ていただいておるならば、呼んでおいて質問しないでお帰しするのも失礼ですから、医務局長と大臣だけに、ちょっと河野委員の質問時間をさいていただいて、十分ばかり質問をいたしたいと思います。局長お見えになっておるでしょうね。
○柳谷委員長代理 ちょっと速記をやめて。 〔速記中止〕
○柳谷委員長代理 速記を始めて。
○小林(進)委員 私は今の委員長のお話には了解することができませんので、次の委員会であらためて局長からじかに諸般の事情を伺いまして、それによって私も態度をきめたいと思いますが、せっかく次長が来られたのでございまするから、次長には次長らしい質問をして、終わりたいと思います。 大体結核の医療費が公費負担、保険者負担、それから自費負担も含めて概算年間七百億円近くいっておりますか、そのほかに厚生省を中心にして政府みずからがお出しになる結核の対策費が二百三十億、合わせて八百五十億円内外、九百億円近くの金が結核に費やされておるわけでございます。それほどの膨大な金を使いながら、その成果は現われてきているんですが、それにしたところで、先ほどからの受け答えを聞いておりますと、まだ要入院患者が八十六万名から九十万名近くいる。それに対して入院をしている実在の患者というものは二十六万七千名内外、三三%程度です。まだ六、七十万人の要入院患者が野放しになっているというのが今日のわが日本の実情です。国立病院だとか国立療養所というか、直接厚生省の医務局が監督していられる中に一体結核の病床が幾らございますか、それを承っておきたい。
○黒木説明員 国立結核療養所の現在のベッド数は六万三千八百三十四でございます。
○小林(進)委員 六万三千内外の病床があるのでございますね。その中で先ほども説明のように、結核の病床が去年あたりから減ってきている。これは公衆衛生局長にお聞きしたいのですが、三千病床ばかり減っておるのでございますか、ちょっとお聞かせ願いたい。これは国立関係ではなくて、一般も全部合わせて病床がどれくらい減っておるか。
○尾村政府委員 お話の通り約三千減っております。
○小林(進)委員 国立関係では結核病床はどれくらい……。ふえておりましょうな。
○黒木説明員 ただいま申しましたのが現在の定床でございます。ところが現実に患者は三十三年以来毎年三千人から二千人ずつ減って参りまして、三十四年の一日平均の思考数は五万五千十一名でございます。三十五年現在では五万三千百三十九人でございまして、大体最近では患者数が二千ずつ減っておる、こういう現状でございます。
○小林(進)委員 私はここに問題があると思うのです。これが私が今医務局の局長にも通じ、大臣にもお伺いしたい根本なんだ。国費を八百億円も九百億円も使い、あらゆる努力をしながらようやくここまでせり上げて参りまして、百三十万人からのいわゆる要入院患者を八十六万名まで狭めてきて、いま一息というところなんです。その一息というところで一生懸命努めておるのに、その中心としてこの問題の対策に任じなければならない医務局、国立の病院なり療養所なりの対策の中心が、患者が年々三千名減ってきた、三千名減ってきたということで、その病床を減らしていくところに、私はあなた方の結核対策に対する熱意と誠意を疑わざるを得ないのです。実際患者がなくなって減っていくならいいですよ。病床が六万に対して患者が五万五千人しかいなければ、二千ずつ減らしていくということでもいい。現実に推定では八十六万人いるんだ、そのうち二十六万七千人しかまだ入院していない。あとは野放しになっておる。現実あるのに、国立療養所の結核が減っていきます。減っていきますということで、減っていくことを看板にしてやられたのでは、私は結核をなくするという根本対策の中心である医務局として実に矛盾した答弁だと思う。そんな考え方だからだめなんだ。政府は何をやっておるか、大臣、どうですか。
○黒木説明員 確かに御指摘の点もわかるのでありますが、ただ国立結核療養所の配置計画が、御承知のような沿革で成立しましたために、非常に無計画でございます。この数年来、結核患者がだんだん減る、下降の傾向にある療養所、それから変わらざる療養所、それから上向傾向にある療養所というようなことで、各施設でその地域々々の結核患者の推移によりまして非常に変化があるわけでございます。問題は先ほど申しましたように、地域によりまして、無計画に作りました施設においては結核患者がどうしても十分に入院をしない。ただ大都市等におきまして、あるいは四国とか九州とか、先ほど公衆衛生局長からお話がありましたよな地域におきましては満床に近いところもあるのでございます。
○小林(進)委員 私は地域の問題を理由にして病床を減らしたり、あるいは患者数の減ったことを当然かのごとく理由づけられているその考え方自体が間違いだと思っているのです。実際患者は、今も言うように、国がいま少し親切に扱って、今の入所命令のように全額国で持ってくれるということならば、何も自分の本籍地のそばにある国立療養所に入らなければならぬということではありませんし、何も自分の現住所のそばの国立の病院に入らなければならないという理由はない。そこで言われるように、やはり経済的な、あるいはいろいろの事情で入れないのでありますから、あなたたちがいま少し親切にしてくれればどこにでも行きますよ。九州の療養所へ入りなさいと言えば喜んで北海道から飛んでいきます。そういうわけでありますから、医務局としてはそこら辺をいま少し方針を変えてもらわなくちゃいけない。一体結核対策に費やされている金が二百三十億でございましょう。二百三十億の金をお使いになって、そしてこれから仕上げをしようという最後のどたんばにきて、病床を減らしていくなんていう考え方は、実に時代に逆行するものである。現実に私は行きましたよ。それは一つの例ですけれども、新潟の国立療養所へ行って参りました。一体あの近辺に在宅の感染患者はいないか。いますよ。たくさんいる。いるけれども、金がなく、政府がめんどうを見てくれない。だから在宅して、そしてせきをしながら、伝染の危険を冒しながら寝ているという状況です。それをあなた方が親切に扱わないで、病院のベッドが減るからといって、実際においてはだんだん縮小せられるような対策を講ぜられているではありませんか。 〔柳谷委員長代理退席、委員長着席〕
○黒木説明員 先生の御質問にはいささか誤解もおありだと思いますが、実は医務局として、国立療養所のベッド数を、意識して千も二千も減らす、患者が二千減ったから減らすということは毛頭考えていないのでございます。先ほど申しましたように、地域的に結核の医療需要の関係でベッドをふやさなくちゃならぬところがある。ところが一方においては減らさなくちゃならぬところがある。その辺の調整をしなくちゃならぬということで、実は今調整の段階にあるわけでございます。従って特に結核療養所のベッドの配置につきましては、昭和三十四年の初め以来今まで調整をいたしておりませんものですから、この機会にその調整をしようということでございます。たまたま新潟療養所が問題になりましたから申し上げますと、確かに新潟療養所の定床は七百でございましたが、最近いろいろな事情で患者が減りまして、昭和三十四年では四百九十三になり、三十五年の十二月帆布では四百五に減っておるというようなことであります。これについてはいろいろ原因がございますが、今回の結核の新対策で国立療養所で大体四%程度患者がふえるということで、そういうことを勘案しまして、一応四百二十五くらいに患者が昭和三十六年にはふえるのではなかろうかということを考慮したのであります。さらに新潟療養所ではいろいろ病院の紛争等がございまして、そういうことで患者が減ったというようないきさつもございます。そこでやはり患者がこれからふえる可能性があるということで、本来ならば四百二十五ベッドで一応予定をしてしかるべきなのでありますが、いろいろな事情を勘案して、新潟療養所は三十六年度におきましては五百床、五百程度の患者になるであろうということで計画を立てておるような次第でございます。
○小林(進)委員 もう約束の時間が経過いたしましたから、この問題を含めて一切はまた来週の厚生問題のときに質問を繰り返したいと思いまするが、いずれにいたしましても八十六万名という——これは厚生省の数字なのです。要入院患者がいるところに、ようやく五万四千名の命令入所、しかも実在の入院患者が二十六万七千名。これは大臣に一つ申し上げておきますよ、現在でも年間三万二千名の結核の死亡者がいるわけです。この三万二千名の死亡者が全部病院で息を引き取ってくれたというならば私は了承いたします。これはまた来週私はお伺いしますけれども、何万名が一体入院もできないで在宅のままに死んでいったかということです。ここにまだ幾つも問題が残っているのです。そういう問題を一つも解決をしないでおいて、国立療養所のベッドだけを減らしていく、これは実に大きな間違いです。しかもそれは調整をする、調整などというものは患者に対してベッドが余った、八十六万名の入院患者に対してベッドが百万もあるから、それだから調整をしようというならばわかるけれども、足りないところで調整をしようという考え方は私は大きな間違いだと思います。了承をいたしません。私はこの問題はまた医務局長と大臣と一緒に徹底的に一つ解明さしてもらいたい。 次長に対しては、大体質問はこの程度に終わりたいと思います。
○山本委員長 次会は来たる十一日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時八分散会