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38回国会衆議院1961/04/05

社会労働委員会 第23号

発言数
238
登壇者
13
会派数
3
開催日
1961/04/05

会議録

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 これより会議を開きます。  精神衛生法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を許します。大原亨君

大原亨日本社会党

○大原委員 きょうは精神衛生の全般的な問題につきまして、厚生大臣それから行政管理庁長官、行政管理庁からは、先般二月二十五日に精神衛生行政監察というのが出ておりますので、その問題に関連をいたしまして、お二人の大臣を中心といたしまして質問を続けたいと思います。  行政管理庁の方でお急ぎになる方があるというので、若干質問の順序は変えますけれども、きょうは慎重審議したいと思いますので、十分かまえて一つ御答弁をいただきたい。  私は、行政管理庁が最近いろいろな監察結果について御発表になっておるのは、全部にわたっては見ておらぬのでありますが、行政管理庁が昭和三十五年中に監察された、その結果について報告された問題は、どういうのがあるんですか。本年に入りまして、どんな問題を取り上げて報告をされましたか、最初にお聞かせをいただきたいと思います。

小澤佐重喜自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○小澤国務大臣 新市町村建設促進行政監察結果に基づく勧告、地域別公共事業監察、中小企業金融対策関係業務監察、日本電信電話公社に対する監察行政監察、国土調査事業行政監察、酪農振興行政監察、道路整備事業重要路線別運営監察、民有林造林事業行政監察、大学科学技術行政監察、環境衛生行政に関する監察、海外移住行政監察、土地改良事業運営監察、台風災害対策総合監察、税関業務運営監察、航空行政監察、農業災害補償行政監察、海津保全関係公共事業運営監察、精神衛生行政監察、学校給食行政監察等の問題であります。

大原亨日本社会党

○大原委員 精神衛生の行政監察に関連してお聞きするのですが、そういう問題の取り上げ方というのは、やっぱり計画的におやりになるのですか、それとも思いついたものをおやりになるのですか、その点はどうなんですか。

原田正総理府事務官(行政管理庁行政監察局長)

○原田(正)政府委員 監察業務の取り上げ方につきましては、毎年度当初におきまして、どういうふうな方針に基づいて監察業務を取り上げるか、そういうふうな方針につきまして審議をいたしまして、大体その方針に基づきまして各担当の者が各庁の行政につきまして、従来ありました監察項目等とも照らし合わせまして、しかも当初の策定方針に即応し、また政府の政策、方針等にも即応いたしまして、監察会議等におきまして審議をしまして、そうして計画を立てまして監察を実施する、こういうことになっております。

大原亨日本社会党

○大原委員 機構なんですが、定員は大体何名くらいなんですか。それから一件の監察の期間というのは大体どのくらいなんですか、ちょっとお聞きしたい。

原田正総理府事務官(行政管理庁行政監察局長)

○原田(正)政府委員 行政監察局の定員は約千五百名でございます。そして取り上げまする監察項目につきましては、項目によりまして多少の長い、短いはございますが、おおむね現地につきまして調査をする期間を三カ月、一・四半期というふうに計画いたしております。その各管区地方局から参りました報告に基づきまして、中央の監察局におきましてさらに各省庁につきまして調査をして取りまとめを実施をする、こういう事情でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 精神衛生行政について監察されたことは戦後何回ございますか。

原田正総理府事務官(行政管理庁行政監察局長)

○原田(正)政府委員 これまでに正式に監察項目として取り上げましたことはございません。これが初めてでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 監察の結果について、行政管理庁は法律の権限で勧告をされると思うのですが、勧告のしっぱなしではないと思うのですけれども、どういうふうに措置されるのですか。

原田正総理府事務官(行政管理庁行政監察局長)

○原田(正)政府委員 監察いたしました結果に基づきまして勧告をいたす次第でございます。勧告に対しましては、各省庁から、その勧告に基づきましてとりました措置であるとか、あるいはその勧告に対しまする見解でありますとか、そういうふうなものの回答をとることにいたしております。そして、その回答に基づきまして、さらにわれわれとしまして検討いたしまして、必要のあるものにつきましては回答を受けてから大体六カ月ないし九カ月ぐらいを経たときにおきまして、さらにその後の改善等の実施状況の報告を求める、こういうふうな措置をとっております。

大原亨日本社会党

○大原委員 私この際資料を要求いたしておきますが、最近この一、二年来、行政管理庁が厚生省に対しまして、いろいろ監察されました結果の勧告と、それに対する厚生省側の処理の仕方、答弁、そういう問題につきまして、一つ資料を御提出いただきたいと思います。これはあとでお願いいたします。よろしいですね。

原田正総理府事務官(行政管理庁行政監察局長)

○原田(正)政府委員 承知いたしました。

大原亨日本社会党

○大原委員 精神衛生の行政監察の結果をずっと見てみますと、この精神衛生法というのは概括的に、守られておらぬというような気がするのです。精神衛生法という法律があっても、これは守られておりはせぬ。端的な私の結論です。精神衛生法は守られていない、これが監察の結果であると思うのです。これは私といたしましてはさらに監察してもらいたい点がたくさんあるのですけれども……。私はそういう感じを持っておりまするが、この精神衛生法の実施状況について、総括的な御所見を一つ管理庁の方からお伺いしたい。

原田正総理府事務官(行政管理庁行政監察局長)

○原田(正)政府委員 精神衛生行政の監察結果に基づきました勧告事項につきましては、精神衛生法というものについて、実施状況につきまして、いろいろ不備、欠陥等がある、相当改善を要するものがあるというふうな諸点を指摘しておるわけでございます。私どもの勧告といたしましては、その実施状況を調査しまして、改善を要する諸点を個々にあげて改善を求めるわけでございます。従いまして、勧告の表面を見ますと、すべてが改善を要する、非常に不備、欠陥が多い感じを受けますが、全体として見ますれば、今申しました通り、適正に、しかも法の趣旨に沿って運営されておる面ももちろんあるのでありますが、それには勧告としては触れておらない。しかしながら精神衛生法の行政運営全般を通じてみた感じといたしましては、他の行政に比較いたしまして、何と申しますか、法ができましてから間もないことでもあるし、また最近の情勢からいたしまして、精補病患者等が相当増加しておる、こういうふうな実情に対応いたしましての予算なり設備なりの状況は必ずしも十分でないものがある、今後大いにその増強をはかり、あるいは改善をはかっていく面が多い、こういう感じは持っておる次第でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 一般的にいいまして法律上の欠陥なんですか、それとも法律が、守るのに無理なようにできているんですか、それとも予算措置等が伴わぬために守られてないんですか。

原田正総理府事務官(行政管理庁行政監察局長)

○原田(正)政府委員 私どもの感じといたしましては、法そのものが無理であるとか、そういうことではなしにむしろこれは国の財政面も関係ありますし、特に府県財政との関係がありまして、予算面あるいは人的面等におきまして不十分な点があるという感じを強くいたしておる次第でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 それから、この調査対象の中に都道府県は二十三県とありますが、他の府県についてはこれは監察しないのか、あるいはまたどのようにして二十三県をあげたのか、こういう点についてお伺いしておきたい。

原田正総理府事務官(行政管理庁行政監察局長)

○原田(正)政府委員 実は私ども監察を実施するにつきまして、できる限り広い範囲にわたりまして実施をいたしたいわけであります。精神衛生行政につきましても、全国全県下にわたりまして監察を実施することが理想的ではございますが、限られた人員でなるべくいろいろな項目について監察を実施したいということになって参りますと、自然実施します対象も数を限定して、たとえば一項目実施するよりか二項目やりたい、そういう感じをを持ちまして、できる限りの必要な限度にとどめるというふうな考えを持っておるわけであります。この精神衛生行政の監察につきましても、そういう意味におきまして、全国の大体半分近くの二十三都道府県を選んだわけでございます。この実施につきましては、私どもがほかの項目につきまして監察を実施するそれらの項目との関連も考えまして、実施県を選んだ次第でございます。  そこで、こういうふうな二十三都道府県を監察することによって得られました結果というものは、その結果に基づいて厚生省に勧告をする、制度運営の基本的な問題について厚生省に改善を求め、さらに厚生省の都道府県等に対するところの指導監督を徹底させていただく、こういう結果になりますので、二十三都道府県につきまして実施をいたしましても、その結果というものは制定運営の基本的な面の改善並びに厚生省を通ずる全国各都道府県に対します指導監督の強化徹底ということに相なるのでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 ここでちょっと厚生省に御質問いたしますが、厚生省はこの行政監察を受けまして勧告が出たわけですが、これに対しましてどのような措置をとられるのか、その準備の状況、あるいはいつごろどういうふうに回答をされるのか、こういう見通し、時期的な問題について伺いたい。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 二月二十四日付でちょうだいしたのでございますが、この前から行政管理庁の方ではいろいろな監察結果につきましてそれぞれ私の方に御連絡下さいまして、これを待たずしてできることについて私どもの方でもいろいろ計画をいたしました。それから勧告をちょうだいいたしましてから、総合的に全部の是正できるものをさっそく措置するというような計画を立てたのでありますが、このうちの大部分が、先ほど管理庁の方から御説明ございましたように、法律の不備というよりも、需要が現在の施設あるいは人員その他を上回るような部面が非常に多いので、法難事項に入るもの、それから予算を要するものが重要な項目を占めております。従いまして、今度お願いしております精神衛生法の改正でこの勧告の中のある部分が相当大きく解決する面がございますので、今度の法律改正によって、結果において一つの大きな問題が解決いたします。その他の問題も、概して今度の三十六年度の予算に盛り込まれておりますことを実施することによって、ある程度是正される面が多いものでございますので、従って、適切な措置を相当程度とって、その結果を回答する、こういうことで、今時期をもう少し見ておるところでございます。実質的にはさような意味で非常に進めておるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 ただいまの御答弁には必ずしも納得できない点もあるのですが、たとえばけさの新聞に、これは朝日新聞ですが、熱湯をかけて少女を刺す、映画館でも傷害が、というので出ておりますが、これは四日の午後二時十五分ごろ、阿倍野中学二年生の女の子に対しまして、近くの家から飛び出した男がカン詰のあきカンに入にた熱湯をぶっかけた、さらに逃げる富美子さんを追っかけて、持っていた刺身ほうちょうで背中を一刺しした、ちょうど道の向かい側にいた阿倍野署員がかけつけて、男を殺人未遂現行犯で逮捕した、冨美子さんは右ほおのやけどや背中に二週間のきず、その男は二年前に精神分裂症で堺市の堺脳病院に入っていたが、翌年七月無断で帰宅した云云と書いてあります。その他、この人の関係の傷害事件であるようなものがずらりと並べてある。七月に無断で帰宅した、こういうふうなことが出ておるのですが、これは、法律を見て一々検討すると時間がかかりますけれども、出る場合には、そういうふうに無断で出るのですか。私が問いたい点はそこなんです。一つの点を私は申し上げるのですが、自傷他害のおそれのある精神病者が一たん入院しておって、出る場合には無断で出ることがあるのですか、いかがですか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 措置入院を命じた者につきましては、知事の許可がなければ出ないわけであります。それから同意入院で入っておった者につきましては、これも当該の精神病院長が退院していいという形で出るわけでありまして、いわゆる無断でという場合に、脱走といいますか、普通かぎをかけておりますが、脱走した場合には、精神病院長がまだ退院に適しないという場合には、直ちに連絡いたしまして、連れ戻す等の処置をするわけであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 この事件が措置入院かどうかということもあるでしょうが、実際には私は今の精神病院の実情をよく表わしておると思うのです。この監察にも第二項で鑑定の実施、入院措置について、ずっと一連の監察結果をやっておりますが、鑑定医というのは全国で大体どのくらいおって、どういう基準で選んで、鑑定医に対してはどれだけの報酬を出しているのか、こういう点を、二、三点ですが、時間を急ぎますから一括質問いたします。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 鑑定医は府県知事のもとに置かれるものでございまして、今の措置患者としての症状があるかどうかを鑑定するのが一番の任務で、現在全国でほぼ三千名任命しております。それから大体任命する資格要件といたしましては、精神衛生の臨床方面に少なくとも三年以上専門経験があるということを一応の水準にいたしまして、これを府県からの申請に基づきまして審査して任命する、こういう形になっております。手当は、常勤でなくて、鑑定ごとに任命された鑑定医に鑑定件数を付するわけでありまして、大体一回の件数につきまして、これは府県の条例である幅を持ってきめるようにいたしておりますが、五百円ないし千円、こういう一回の鑑定嘱託という形で手当を給するというふうになっておるわけであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 千二百名というのですが、この鑑定の実施についてという監察事項の中に、鑑定に当たって当該吏員の立合いのないもの等鑑定の実施に不適正なものがあるので、是正方を指導する要がある。なお鑑定医二名以上要する場合鑑定書が別々に作製されず、連署しているもの、鑑定をそのつど行なわずに、相当の鑑定件数が生じた後、これを一括取りまとめて鑑定しているものが認められるが、かかる処理は法の趣旨に反した取り扱いと考えられるので、鑑定書の個別作製、鑑定の早期実施を指導する必要がある。こういうことは現在のそういう条件でできるのですか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 この鑑定の実施に関する御勧告の内容のことが確かにありまして、そうしてこれは不適当な処置でございますので、勧告の通りにやるべきでありまして、この点はできると推定いたしますし、またしなければいかぬ、こう思いますので、本年の二月二十五日、ちょうどこの勧告をいただいた日でございますが、私の方で全国都道府県の主管課長会議を招集し、そこに鑑定に関する詳細な指示をいたしまして、文書をもっても、この指示のやり方の基準を与えまして、内容は全くこの勧告の通りの改正ということで、従来もこういう指導方針であったのでございますが、やはり勧告にありますように、地方によりましては不適当な扱いがありましたので、その是正方を強く要望いたしましたので、今後はこういう線で行なわれる、こう思われます。

大原亨日本社会党

○大原委員 厚生省にはあとでまとめて質問いたしますが、行政管理庁に御質問したい点は、私は大体今日までの質疑応答や実情を見てみますと、精神病院についての問題はどういう点かといえば、確かに精神病の治療の技術の評価も非常に低くて、なかなか精神病院が充実していない。そういう医師や技術面からも充実していないと思うのですが、とにかく精神病院へ入れましたら、入れる方も大体これは迷惑扱いにしておる。患者につきましては、いろいろな点から考えてみまして、何とか一つこれを自分の家族や身辺から出しておけばよろしい。治療等ということについては、やはり愛情や熱意を持つことは変わりはないと思うのですが、現実にはそう期待できないような病院の状況があるのじゃないか。受け入れる方も、精神病院のことをよく精神病患者の下宿屋とか、あるいは木賃宿とかいう人がありますけれども、とにかく漫然と入れておる、そうして治療もあまり良心的にはしない。こういうことが実情として私は多いと思うのです。これは全部がそうじゃありませんが、いろいろな原因があるのだが、そういう点が多いと思うのです。私は一つ監察報告の中に出ていない点でお聞きしたい点は、精神衛生法には県立病院を作れというふうにあるわけです。それは厚生大臣の指導が悪いかどうか知りません。あるいは各府県知事が怠慢であるかどうかも知りません。いろいろな原因があるのかもしれませんが、それも作っていない県が相当数あるのじゃないか。だから少なくとも私は精神病院については、公立病院もある、指定病院もきちっとしている、基準以下の病院は許さない、こういう観点から入院患者についてはほんとうに人権を尊重して、名実ともに治療できて快癒できるような、そういうことについて十分な熱意と研究の成果というものを結集すべきである。であるのに、実際上見てみますと、精神衛生法には原則として公立病院、こういうふうに県立病院ということがあるにもかかわらず——これは第四条にあるますけれども、これは原則です。それが設置されていない。一体県立病院が設置されていない都道府県はどのくらいあって、それらの問題はどういうところに原因があるのか、こういう点について、私は監察の上におきましては非常に手抜かりをしておると思うのであります。抜かっておる点があります。この法のそういう建前からいいまして、私は法の建前はよくできておると思うけれども、監察の結果について、監察がそこをおろそかにしておる。そういう点について、どういうふうに行政管理庁はこの実態を見、かつ判断をされているか、こういう点を御質問いたします。

原田正総理府事務官(行政管理庁行政監察局長)

○原田(正)政府委員 このたび監察を実施しました二十三道府県につきましては、そのうち県立病院を設置しておられないのが八県あります。

大原亨日本社会党

○大原委員 その県名を言って下さい。

原田正総理府事務官(行政管理庁行政監察局長)

○原田(正)政府委員 秋田、岐阜、石川、広島、鳥取、香川、徳島、大分、その八県であるという結果を得ておるわけでございます。それでこういうふうな県の措置に対しましては、私どもとしては直接勧告するというふうな権限がないのでございまして、厚生省を通じて指導し、あるいは改善方を指示していただく、そういう方針をとっておるわけでございます。従いまして、今度の私どもの勧告に基づきまして、厚生省としましてはそれらに対する適切なる指導なり措置なりをとられるものと考えておる次第でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 特に項目を取り上げて、精神衛生法第四条にある県立病院の問題については勧告をしておらぬけれども、しかしこれは実態を報告して厚生省を通じてやるのだ、こういうことなんですが、あなたの方の行政管理庁は、都道府県知事の委任をされました事務ですね、法律上委任を受けておる監督権その他の問題、そういうものの実施状況については勧告しないのですか。

原田正総理府事務官(行政管理庁行政監察局長)

○原田(正)政府委員 私どもは国の行政を監察することに関連をいたしまして、府県の国から委任を受けております行政についての調査を行なうという法の建前になっておるわけでございます。従いまして、ただいま申しました通り、各都道府県の行政の実施状況を調査いたしました。しかし勧告というものは、面接は厚生省に勧告いたしまして、厚生省を通じまして指導の徹底なり改善なりをはかっていただく方針をとっておるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 もう一回申し上げますが、第四条による、原則として都道府県が設立するという精神病院の趣旨が十分実施されていない。そういたしましたら、公衆衛生局長がただいま御答弁になりました通り、少々の予算を計上したって実施がアンバランスになってしまったり、いろいろな問題が起こってくる。建築費その他たくさんの問題がある。だから精神衛生をうまくやろうと思ってせっかく改正をいたしましても、法律は実施できはしない。これはそんなに簡単に局長さんがお話しになるようなことではないと思うのです。そういう監察の結果に基づいて勧告をされなければならぬと思うのですけれども、これは抜けておる。いかがですか。

原田正総理府事務官(行政管理庁行政監察局長)

○原田(正)政府委員 私どもの監察結果に基づく勧告と申しますものは、その中から特に重要と認められる事項等を取り上げまして勧告いたします。しかしただ単にこの勧告事項だけが勧告ではございませんので、その勧告にはほかの調査結果と報告書というのをつけまして、その報告書を十分参照して勧告等の趣旨を実現していただきたい、こういうことにいたしております。従いまして、勧告の中に、表面に出ておらぬことでございましても、報告書の中におきまして指摘しましたいろいろな事項につきましては、厚生省としてそれを取り上げて改善をはかっていかれるものと考えておる次第でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 厚生大臣、それに対しまして御所見があればお伺いさしていただきたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 全体論としましては、びしびし厳重に監察をしてもらって、勧告をしてもらった方がよいことだと私は思うのであります。そして考えるべき点は考えなければならぬ。そうして改善ができるのでありますが、問題の県立の精神病院の点は、これは原則は原則でありますけれども、今もお話しの通り、そうたやすい問題でもないのでありますし、管理庁の方もこれにはいろいろな判断が要ることだから表には出しておいでにならぬのだろうと思いますけれども、おっしゃるように勧告を受けるまでもなしに原則は原則として、法は厳固としてあるのですから、私どもの方ではそれはその方向に従って、言われようが言われまいが考えておかなければならぬ問題だと思うのであります。実際問題はいろいろあると思います。広島のことだって御承知のようにいろいろ事情があるから簡単ではない。考え方はそういうことであると思うのであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 これはあとで厚生省に関連いたしまして御質問いたしますが、この行政監察をされまして、総括的な数字で、今までの質問とダブっておりますが、精神病患者のいわゆる対象者が何人あって、国立病院、公立病院、県立病院等に収容しておる人が何人あって、いわゆる指定病院措置入院患者が何名あって、それからそういう指定病院でもない一般の精神病院へ入院している人が大体何人いる、その点についてあらましの数字を御答弁願いたい。行政管理庁の監察された方で言って下さい。

原田正総理府事務官(行政管理庁行政監察局長)

○原田(正)政府委員 われわれの監察の結果といたしまして、今御質問のような指定病院、一般病院等の収容の状況につきまして集計しました数字は実は持っておりません。

大原亨日本社会党

○大原委員 持っていない——それではちょっと公衆衛生局長から……。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 お答え申し上げます。  総数のうち国立の精神病棟に入っているもの、これが四千五百二十八、これは今の分類別の資料としてはごく最近のはございませんのでちょっと古うございますが、それから都道府県立に入っているもの、これが一万一千百三十七、それから市町村立に入っているもの、これが二千六百三十二、それから日赤とかの公的医療機関である精神病棟に入っているものが八百九十五、それからその他の非営利法人立に入っているもの、これか四万五千三百九十、それから学校法人立、これが八百五十、それから個人立が二万二千八百五十九、それからその他のもの、これはわずかでございますが、今の分類の所属に不適当なものが七つほどございますが、それが二百四十八名、以上合計いたしまして、この分類が分けましたものが合計九万二千九百七十二名、これは三十四年の十月一日現在、これはおととしになりますが、この分類でやりましたのは九万二千九百七十二、こういうことになっております。

大原亨日本社会党

○大原委員 措置入院はこの中で何名ですか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 その当日の措置入院ではなく、現在ここにある資料は少しずれますが、ちょうど一万名でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 これはちょっと念のために聞くのですが、今度の予算措置としてはどのくらいですか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 この十月一日から三万七千ベッド分の措置患者、こういうことです。

大原亨日本社会党

○大原委員 対象となるべき、当然入院等の措置、治療措置をしなければならない人は何名ですか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 これはこの前の実態調査からの推計数でございますが、措置入院を要する症状を持っておるものは推定十万、こう推定しておるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 この前の質問とダブりますが、治療いたしまして精神病院でなおる可能性ですね、今までの実績に基づいて資料があれば一つ御答弁いただきたい。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 なおる実績というと非常にむずかしいのですか、要するに早期に入りますと、発病後一年以内に入りますと寛解、いわゆる治癒に近いものですが、その寛解と軽快と合わせまして大体六〇%がこの状況で出ていく。それから発病後一年以上経過いたしまして、非常に慢性になって入ったものは非常に治癒率が悪うございまして、大体二年以上のものは、そのうちの半数以上が不変の程度で残ってしまう。残りのものが、今の寛解もしくは軽快で出ていく。ただしそれは長期にわたってから出ていく、こういう状況でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 それからついでに実態を知りたいのですが、病院には医療法上の定員があると思うのですが、現状ではその定員をどのくらいオーバーしておりますか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 これは昨年の十二月末日現在でございますが、三・六%オーバーいたしております。すなわち一〇〇の定床数に対して一〇三・六人患者が入っておる、こういう状況でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 大体の実態は約十万の対象者がおる。そして十分入るべき人が病院には入っておらないけれども、病院に入っておる定数は大体三・六%くらいオーバーしておる、こういう実情だと思うのです。それでこの実態に基づいていろいろとなされておりまして、そこでいろんな問題が出てくると思うのですが、行政管理庁関係だけを一つ早く終わるために質問を二、三続けますけれども、この行政管理庁の勧告の中で、精神衛生法においては一般の健康保険の取り扱いが、いわゆる特別法として取り扱われておる、つまり特別法優先の原則で、精神衛生法の方は措置入院を適用されますと、健康保険の適用がない、結核との取り扱いにおいて矛盾をするのじゃないか、こういうふうに行政管理庁の方は報告しておられると思うのですが、ちょっと今見つからないから質問するのですが、そうなんですか。精神衛生の措置入院と結核の措置入院の健康保険の取り扱いの関係が違うのはおかしいじゃないか、こういうのがどこかにあったと思うが、その点について……。

原田正総理府事務官(行政管理庁行政監察局長)

○原田(正)政府委員 勧告いたしております。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 その点は勧告を受けた通りにこのときはなっております。

大原亨日本社会党

○大原委員 それで今度は小澤長官に総括的に御質問なり御要望いたしておきますけれども、ずっと勧告いたしましたことを一つずつ取り上げますと、時間が幾らあっても足りないですから……。この行政監察の結果の処理についてはおざなりのことであってはならぬと思うのです。もちろん監察の経過において厚生省当局と、その実態をはずれない監察をするために連絡をとられることはいいと思うのですが、なれ合い監察になったのでは、これは何にも値打はない。従ってその点は厚生大臣の所見の発表もありましたけれども、その点については一つ今後とも監察の結果が実行できるようにきちんと処理していただきたい。そういう点につきまして管理庁といたしましての将来の考え方なり基本的な態度について、最後にあなたの所信を述べてもらいたい。

小澤佐重喜自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○小澤国務大臣 監察は何もなれ合い監察とか何とかいうことは絶対ないのでありますけれども、財源を非常に要する場合に、たとえば地方病院というような場合には、かりにすぐ財源がないにしても、少しでも早い時期にそれをさせようという含みの勧告もあるのです。ですからおいおいに勧告することによって実績が上がるような勧告をやっていきたいと思うのであります。今再三おし話のように、同じ内閣であるからなれ合いでやるというようなことは絶対にございませんで、どこまでも監察の目的に向ってよく監察をやっていくつもりであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 それから各県の措置入院の実態がここに報告してあるのですが、これを見てみますと非常にバランスがとれていない。これは私は一つの大きな問題じゃないかと思うのです。税金の使い方が非常に片寄っているという結果になると思うのです。これは行政管理庁からもらった資料ですが、たとえば京都の場合でしたら十四ベッドしかない、それから多いところは四十七とかあるいは二十六とか、少ないところは六ベッド、こういうところがありますね。これは一定の基準や指導方針を設けてやっておるのじゃないのですか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 ただいまのは多分指定病院の方の病床数だけと思いますが、原則は国立、それから府県立の直轄精神病院、これはみずからのものでございますから一々指定しません。それのベッドが優先するわけで、これと両方通じまして措置患者が入るわけです。今御指摘になりました京都の場合、十四とか申されましたが、現実には京都の府立が二カ所あるわけで、これは百六十あるわけです。これと合わせまして措置患者が百七十何名入る、こういうことになります。従って私どもの方では毎年措置入院患者の予算がきまりますと、これをその府県の人口、それからもちろん精神病患者の毎年の実績もある程度勘案しませんと、著しく急にやりましても府県が予算を組めないということがあると困りますので、逐次是正はいたしますが、一定の比率で割当をいたします。そういう形にいたしますので、大体は県のバランスを失しないように措置患者の数は割り当てているつもりでございますが、結果においてはその通り予算を組まれないで、国費で割り当てた部分がむしろ消化されないで、他の県に回さざるを得ないというような県も全然なきにしもあらずだった、これを今行政指導でそういうことのないように是正をしているところでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 これにはやはり建築費その他の問題もあるでしょうし、精神病患者の数もあるでしょうし、あるいは措置費だけに対する国庫補助をやったのでは足らぬと思うのです。そういうアンバランスを克服できないと思うのですが、いかがですか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 これは前年度も、それから三十六年度も千五百ベッドの府県立を中心とする、二分の一の国庫補助をもってする建設費を実は組んでおるわけでございます。これによりまして府県立がないところは極力新設をする、従来あるものは府県立のベッドを増加する、こういうのを非常に重視して補助予算を組んで進めておるわけでございますが、ただ先ほどお話がありましたように、九カ所の県がまだ併設の精神病院あるいは専門の単独の府県立病院を持っておらないということで、これをまず先に重点的に解消するように進めておるのですが、なかなか県側がその通りに乗ってこない。いろいろな事情がありますが、急速に九府県が解消できない。もっともこのうちの二県は国立のベッドが非常にたくさんある県でございます。佐賀、千葉というところ、これは不要でございますので、従って実質的にはあと七府県ということになりますが、それが進まぬで実は困っておるわけでございます。今後も強力に府県立を持つように進めたい、こう思っております。

大原亨日本社会党

○大原委員 それからもう一つの大きな項目は措置費なのですが、措置費の単価は幾らになっておりますか、ちょっと私聞いておりませんが……。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 今度三十六年度にいよいよ実行にかかるものは、一ベッド当たり年額の単価は約二十万円でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 法第三十一条には「都道府県知事は、第二十九条の規定により入院させた精神障害者又はその扶養義務者が入院に要する費用を負担することができると認めたときは、その費用の全部又は一部を徴収することができる。」とあるが、その徴収をする基準があるのですか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 現在までは、年額にいたしまして、措置費の支出しましたものに対して約一〇%の実は徴収をするという歳入予算を組んだ予算になっておったのでございます。従って全体の約一割でございますので、基準を引く場合に、全体の患者が中から徴収できる上の方の者約一割を見越しまして徴収する、こういう大まかな基準で従来来たのでございますが、実際には実績は五%でございまして、いつも組んだ予算だけはとれない、こういうことでございます。そこで今度のこの勧告にもございましたし、それから新しい法律改正によりまして、これは命令入所措置をした場合には原則としてとらない。ごくまれに、相当な資力があって、なおかつ強制した場合にとるという形で、今度はごくわずかしかこれの徴収の予算を組んでおりません。従って、たとえば所得税を納めない者は原則的に公費でいくというような基準を、実はこの法律が通りましたら直ちに政令あるいはその他で基準をきめようということで、大体そういうような標準で今考えておるわけでございます。従って徴収は、今度のこのやり方では、原則としては適用者についてはほとんどない、こういうつもりでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 所得税を納めている人からはとる、納めない人からはとらない、こういうことですか。そんなことだったら人数は多いですよ。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 こういうことでございます。所得税を納めておらない者は、措置命令を知事が出した場合は原則としてとらない。それから上の者についてはとる。たとえば全体の費用の何パーセントとか何割とかといういろいろな引き方がありますが、とる場合にそこから上の者を対象にして考えるということでございまして、所得税を納めておる者からは全額とるという意味ではございません。

大原亨日本社会党

○大原委員 入院させましたら食費、いろいろな雑費、見舞費その他がたくさんかかりまして、大体精神病患者一人出たら財産を倒してしまうというようなこともあるわけです。だから所得税を納める、納めないを基準にしてとるということや、その他いろいろな判断でまちまちになるということでは、法の運営上非常に問題じゃないか。だから全部が全部、自費が十分あるところはそれは出してもいいと思うけれども、その基準はうんと上げておかないと、貧乏をなくする政策にならぬと思うのです。結核とか精神病というのが家族に出ただけでも大へんな負担になってしまって、家の財産が傾くのですから、所得税云々という基準では、もうおきめになっているのかどうか知らぬけれども、私はこれは妥当ではないというような気がする。その点はもうおきめになっているんですか。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 今の所得税を納めておる者は全額をとる、こういう方針ではないわけでございまして、納めておる者から上はとることあるべしであって、どの程度とるかということも考える、こういう線を引いておるわけで、内容のきめ方と運用のやり方いかんで、適当な結果になるかならぬかがきまるのではないかと思うのでありますが、しかしうまくいくかいかないか、妥当な結果になるかならぬかはよく検討して、行き方について最後的な結論を出したらよかろうと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 法の趣旨からいえば自傷他害であって、みずからを傷つけ、他に傷害を及ぼすという意味でしょうが、やはり予算措置がないためにそういうのが自宅療養をして、社会的な問題を起こすわけです。その点に関しては、入院措置に要する費用は第三十条に、政令で定めるところに従うとあります。政令には、厚生大臣が内閣総理大臣及び大蔵大臣と協議して算定基準をきめる、こういうふうにあるのです。その算定基準は今の厚生大臣の御答弁ではまだきまっておらないらしいのですが、そういう点については、おそらく予算の形態としては三万数千人を対象としておりますけれども、私は義務支出の形じゃないかと思う。必要な条件の者がおれば当然にやはり予算を出していく、こういうものじゃないですか。それとももうワクはきまっていて、それをはみ出たものは、自傷他書のおそれがあろうが、あるいは社会的に考えていろいろな問題があろうが、これはほっておく、こういうことなんですか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 府県知事が命令を出した以上は、それに対しては国は義務支出でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 だから結局はその費用の負担ということになります。費用の負担が多いと、やはり病院に出すのがおっくうになってきて、自分の家でやるということになる。そういうのがだんだんとたくさん出てきますと、社会的な問題になる、あるいは自分の家からおっぽり出して放任する、こういうことになってくるわけです。措置入院しましても、見舞とかその他いろいろ足りないものがあるでしょうから、やはり費用の負担が実際には家族にもかかってくるわけです。だからその点については、私は所得税云々という言葉にこだわるわけではないが、そういう条件でなしに、原則として、知事が必要があると認めた者については、これは法を運営していって、措置入院、命令入院させていく、国は一定の目安は立っておるけれども、予算は予備費等もあるから義務支出させていく、こういうふうにすることは、私はやはり社会の犯罪を少なくするし、精神病患者とすれすれの人はまことに多いわけですが、とにかく社会悪をなくしていくことになると思う。とにかく法律がそういう仕組みになっておるのですから、義務支出ということにして、知事が判定を下す基準というものは合理的にして、そうして実情に合うようにしてもらいたい。そうすることが刑務所の数を少なくしたりおまわりさんの数を少なくすることになるのですから、その点は私は思い切ってやってもらいたいと思うのですが、厚生大臣いかがですか。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 それは、措置入院として命令を出す必要がある者は遺漏なく出すように運用するのがよいことだと思います。怪しげな者を入れてしまったら大へんですけれども、必要がある者は命令を出す。出せば今度は全部足らぬ予算は補うのですから、問題は命令を出すか出さぬかというところできまると思うのでありますが、予算のことは大して心配はないと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 都道府県知事と指定病院の契約では、一日の入院費用をどれくらい見ておりますか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 現在までは、全国的に平均いたしまして、健康保険の一日平均のものよりも約二割程度、精神病の措置入院については低うございまして、現在までの実績は約五百円でございます。これは健康保険の例によりますと大体六百円になるはずのものでございますが、これが従来は低かった。そこで今度は社会保険の例によるということで、これを生活保護その他社会保険の例によってやっております精神治療と同額に実質的には改善をする、これを今度の法律に盛っておるわけであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 その二割低いという理由はどういうことなんですか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 これは今の府県がそれぞれ相手方の病院と契約を結ぶということで、やはりこれは予算節約の意味もあるかと思いますが、さような意味で、従来はそういうしきたりで——もちろんこれは全国を平均いたしてでございまして、それ以上に低いところもございますし、社会保険とほとんど同額のところもあります。平均してそれくらいの契約で、つける方もそれに応じて従来契約をしている、こういうことであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 その契約ですが、契約は自由でもいいんですが、しかし低くなりましたら、偉い治療でいいということになって、やはり患者の人権が尊重されないのじゃないですかね。そこで実際に精神病院を回ってみますと、半ば元気な人もいますし、時間的に調子のいい人もいる。そういう人は無理に働かせたりして、収入なんかやらずによその方へネコババしたりする、そういう弊害が出てくるのじゃないのですか。治療するために働かせるということはあると思う。しかし経営を何とかするために働かせるということになるとやっぱり問題になってくる。二割低いというのは、精神病患者の人権を二割だけ下げたことにならぬですか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 今申し上げましたように、他の精神病の治療を社会保険で一般にやっておるものと比べて二割低いのでございますから、この措置入院患者の費用はいろいろな事情で低く契約しておったということで、弊害が起こりやすいというふうにわれわれも感じております。従って、こういう低い契約ができぬように、一般の精神病治療と全く同一になるようにということで、今度の法律改正をお願いしておるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 健康保険では、乙地で、精神病院の入院料は何点で、その他処置料を入れた場合、幾らくらいになりますか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 今ちょっと手元にその内訳を分解した資料がございませんが、概数を申し上げますと、たとえば寝具その他も入れまして、入院料の方が約四十点、それから施術、処置、その他一切のものの平均値でございますが、これが二十点くらい、合わせて六十点、六百円というのが一般の平均であろうかと存じます。これに対して、今言いましたように、精神病院の場合には、処置料も入れて一日五百円というふうな契約のところが多いわけでございまして、いわゆるつかみ契約的な考え方で、今までかなり長いしきたりできております。これでは全く工合が悪いので、正規に、入院料は入院料、それから、やりました治療行為に対して、それぞれ点数で請求するのは正当にする、こういうことで組んでおるわけであります。従って、その結果としては、従来の一般の精神病の社会保険の平均値である六百円に当然なる、こういう見方でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 精神病院の従業員の医師、看護婦その他の待遇は、資格要件によっても違うと思いますが、一般的に他の病院よりも低いというふうにいわれている。この従業員の待遇が低いということになりますと、やはり患者を尊重することにならぬわけです。これは予算の問題もあると思いますし、単価その他の問題もあると思いますが、それは低いですか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 この精神病院の職員の単価を私の局で直接調べてつかんだことがないので遺憾なんでございますが、ただ昨年、私立精神病院長の協議会がありまして、その方々といろんなことでしばしば協議したり、あるいは陳情を受けたときに、そういうことがあるのではないかといって聞いたところが、私立精神病院長の方々の話では、特に低くはないというお話でございました。ただし職員数が一般の病院よりははるかに少ないということでありまして、だから人件費の単価とそれから患者を扱う場合の業務量とを比べますと、そういう意味ではあるいは低いのかもしれませんが、現実の給与の平均は低くない、こういう話でございました。現在のところ、資料的に精神病院とその他の病院と平均値を比べたものは全然用意しておりませんので、ちょっとお答えいたしかねます。

大原亨日本社会党

○大原委員 今の御答弁では、こういう御答弁があったと思うのですが、精神病院は、単価についてはよくわからぬし、大体水準だと思うが、しかし定員は非常に低い、こういうお話です。これはやはり十分な治療をしておらぬ証拠だと思います。それが下宿屋といわれるゆえんだ。そういうことでは、せっかく精神衛生の行政をうまく進めようとしてもできない。それはそのことを認められたわけですが、医療法に定員が規定してあるのだと思います。そうですね。定員の配置の仕方はどれくらい低いですか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 これは医療法で例外規定で認めておりまして、医療法の施行規則でございますが、たとえば患者対医師の場合には、入院患者の換算にいたしまして、わかりやすく言いますと、一般病院の場合には十六ベッドに一人の医師ということになる。外来の場合には、外来の患者数を二・五で割る、眼科と耳鼻科は五で削る、こういうふうに換算いたしまして、そういうことになる。精神病と結核につきましては、これは医務局から通牒が出ておりまして、施行規則の除外例に基づきまして、たしか精神病と結核については、医師は、今の十六人のかわりに三十七人に一人以上ですか、そういうふうな緩和規定になっております。看護婦につきましては、以前は、私の承知するところでは、一方で四人に一人のところを七人に一人という指導になっておったわけでございますが、現在基準看護になりましてからは、今の看護婦それから補助員の比率が変わりましたので、的確にそれがどういうふうに変わったか申し上げられませんが、比率の中身は、正看護婦、それから准看、それ以外の補助員の比率で今の点を操作したというふうになっているわけであります。その点では、今の有資格者の患者に対する比率は非常に少なくなっている、こういうことであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 これは是正するような措置はとれないわけですか。水準に引き上げるような措置はとれないわけですか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 これは医療法の運営と社会保険の支払いの基準になるものでございますから、私からは、全くこれは所管の対象外でありまして、ちょっとお答えいたしかねます。

大原亨日本社会党

○大原委員 先刻管理庁に質問いたしましたが、結核の場合には社会保険が優先する、精神病の場合、措置入院の場合には、精神病の特別の方が優先する、こういうことは法律をやる建前から言いましたら、ちょっと理屈に合わぬと思うのですが、この点は是正されるのですか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 従来がそうなっておりましたので、今回の結核と精神病の改正法によりまして、精神のやり方、すなわち社会保険にこの公衆衛生法の方が優先するという形で統一をいたしました。従って結核も精神と全く同じ扱いに今度でなるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 それではいよいよ最後の質問に入りますが、これはあとで行政管理庁の方にも質問いたします。先般も私しばしばここで質問いたしました広島県の安芸郡府中町の社会福祉法人設立による静養院という精神病院がある。広島県におきましては、今までいろいろ議論いたして参りましたが、県立病院がないわけです。なぜ県立病院がないかといえば、いろいろな政治的な特殊事情があるわけです。県会の有力者がしばしば入れかわり立ちかわりその静養院という社会福祉法人の経営主体になりまして、厚生大臣がしばしば改善命令を出しております。社会福祉法人に対する改善命令を出しておる。私は公立病院、県立病院等で全部を占める必要はないと思うのですけれども、やはり法の趣旨に従って、県立病院は、今の御答弁のように置くべきだ、特に広島県のような大県は置くべきだ、これは当然であります。特に広島では原爆その他を受けて、ノイローゼとはいわぬけれども、そういう精神障害者が多いというふうに学者も一部では言っている。これは統計上そうです。だからそういう点から考えてみましても、当然に公立病院、県立病院を置いて、そしてやはりちゃんと国や県としてもそういう精神異常者の人権を尊重して、治癒のために一つのモデルになる中心地にする、こういうことはきわめて大切だ。しかしながらそういうものを作ること自体が社会福祉法人、今言った精神病院のそういう利害と一致しない、こういう点もありまして、今日まで社会問題を起こしている。今はなくなりましたが、井上武一という人が、まだ裁判中であるけれどもなくなったから、あとに残った関係者だけだと思うのですが、いわゆる金の延べ棒なんか持ったり、精神病者を働かして悪いことを一ぱいやっている。刑事問題まで起こしている。その名誉職であるところの役員が自動車を乗り回したり自家用車を乗り回したりしておる。働かないで六万円の高給をとっておる。こういうでたらめなことをたくさんやっているわけであります。つまりそういう社会福祉法人という制度を、税金上その他の制度があるものだから、この社会福祉法人というのを脱税の手段に使っている。私物化してそういうふうに着服しておる。こういうことでは、こんな法律を作ったってなかなか精神衛生の行政が進むわけはないと思うのです。これにはいろいろな県会の情勢その他の事情があると思いまするけれども、しかしながら厚生大臣は、社会福祉法人についても精神衛生についてもやはり指導上の責任があるはずであります。私はこの問題につきまして、厚生大臣の方に今日まで、本委員会におきまして申し上げました。これは党派ということでなしに、自民党の諸君の中にもこれについてはけしからぬという人がたくさんあるわけであります。これは党派の問題じゃない。そういう点につきまして、前回も私はこまごまと資料をあげまして御質問申し上げましたし、厚生大臣は原則的にこれを了解されたと思うのですが、今日までどのような措置をとってこられたか、こういう点につきまして経過と現段階に対する認識をお聞かせいただきたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 静養院の問題は、お話しのように困った問題でありまして、とりあえずは現在入院しておる患者のために支障が起こってはなりませんから、最小限度はこれを考えておるわけでありまして、この点は現在のところともにかくにも支障はなしという状況できておるようであります。正月になってから県の医務課が監査に行ったり、また三月になってからも保健所から監査に行ったり、実情については支障が起こらぬように県の方の側でも気を配っておるわけでございますけれども、根本の問題が御承知のようになかなか簡単に解決しない。訴訟も十一か何か起こっておるというふうなことで、まことにこじれてしまった問題でありますので、これは根本的に考えるという前々の問題があるわけでございます。県の当局の方も、いろいろ知事も考えてみてくれているようでありますが、この知事の考えもはっきりしてくれば、かたがたもって考え方を合わせて根本的にどうするかという結論を出したいものだと思っているのであります。しかし問題はこの患者をどうするか、従業員をどうするかという大きな問題もありますので、どうもこれは因ったものだから、簡単に片をつけてしまえというわけにはいきませんですから、問題がめんどうでございますが、よく県の知事の方と考えを調整して最後的な結論を出したい、今その中途で、まだ最後的なものは出しておりません。そういう状況であります。  なお、詳しいことにつきまして局長から説明申し上げた方がいいと思いますけれども……。

大原亨日本社会党

○大原委員 大臣がお答えになっておるその気持はわかるのですけれども、具体的に、じゃどうしたらいいか。とにかくこういうふうな精神衛生の行政上の全般の欠陥によりまして、訴訟問題が十一起きておるというのだけれども、労使間の問題が問題となって、実は三つとも仮処分となってきまっておるわけです。あとはお互いに相手がこう言えばこっちがこう言うという立場でやっておるにすぎない。これはこの問題の解決を待っておるわけにはいかない。これは単なる労使間の問題ではなしに、このままでほっておいて、もし入院患者等において人道上の問題が起きる、いろんな問題が起きる、こういう際に管理者も明確でないというようなことがある。経営者の方もそういう管理上の責任を回避している。こういうことです。そういうことでもし問題が起きたならば、この実態については本院においても審議いたしておるのですから、私は厚生大臣の責任は免れることはできぬ、こういうふうに思っておる。私はこういう実情について先般もこまごまと申し上げたのですから、その問題については、厚生大臣としてはいろんな方向があると私は思うけれども、そういう方向については、もう今日の段階ではお考えになってしかるべく手が打たれることが、単に労使間の問題ではなしに、人道上の問題として大きな問題である、こういうふうに思うわけです。もう少し詳細にその実につきまして、この方針やお考えを一つお聞かせいただきたい。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 この問題はなおざりにしておるわけではないのでありまして、いろいろ検討いたしておりますけれども、問題が問題でありますから、最後の結論はまだ出しておりませんが、ほっておるわけではありません。それからなお詳しいことは局長からいま少し御説明申し上げたいと思います。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 要するにこれは社会福祉法人という法人としての管理運営と、それからこの法人が事業としてやっております医療機関の開設以下、この医療法に基づく問題と、それからその中における労使間の問題と、この三つがそれぞれ法的にもまた扱いといたしましてもあるわけでございます。そのうちの、今の福祉法人が公益法人として認可を得ているのが適当かどうか、従ってこれの設立を認可したものを是正さしたりあるいは解散するということは社会局の主管でございまして、この前も社会局長からその点について理事会の様子その他御説明申し上げた通りでございまして、その問題は今後適当に処理されますと、あるいは解散命令等も出し得るわけでございます。しかしその場合に、その専業としてやっておりますものが、直ちに解散になって、その経営体がなくなっても差しつかえないものであるといいのでございますが、医療法に基づいて開設認可を得て運営しておる病院が今度残ってしまうということでございますので、その母体がもし不適当として経営体がなくなった場合にも、患者というものはそれと契約に基づいて入っておるわけであります。もちろん措置患者は昨年からもう指定をいたしておりませんので、措置患者は入っておりませんが、同意入院にいたしましても、いわゆる入院の求めに応じて入っておるものを、経営体がなくなったからといって直ちにそれは無責任であるということにはならないということでございますので、問題は今の経営体の処理がもし適正についた場合に、残った患者の医療上の措置をどうするかというのは、今度別途に考えていく、それが適切に行なえませんと非常な混乱と社会問題になってしまう、こういうことでございますので、ただいま大臣から御説明になりましたように、私どもその点を心配いたしまして、適時医療上の問題については監視をしてもらって、一月、三月と最近はやっておりまして、患者がどういうふうになっておるか、それから職員がどう扱っておるかということは見ております。一応今のところ医療面から直ちに病院閉鎖をしなければいかぬというような、医療の非常な不適正はないわけであります。不適当ではありますが、全くどうにもならぬということはないので、医療上の問題でもう少し様子を見る。従って団体として不適当な場合の処置と合わせまして、この患者の処理は、たとえば病院の経営体を別なところへ移すとか、あるいは売却するとか、いろいろな方法がそのときに考えられると思いますが、それに応じて患者だけは、とにかく二百名をこす患者は急激によそへ移せませんので、このまま何とか治療継続ができるような方法を講ずべきであるということで、私ども検討いたしまして幾つかの案は持っておりますが、先行いたします問題は法人としての問題でありますので、それを待っているわけであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 行監局長は急いでおられるようですが、広島県の行政監察をされたときにこの問題について調査になりましたか。あるいはどういう考えか、まとまっておれば、それを一つお答えいただきたい。

原田正総理府事務官(行政管理庁行政監察局長)

○原田(正)政府委員 私どもの今回の監察におきましてはそういうものを調査の対象に選ばなかったので、実施したという報告はきておりません。

大原亨日本社会党

○大原委員 その静養院の社会福祉法人の定款によりますと、社会福祉法人というものは社団法人やあるいは財団法人とは違いまして、財産処理を法人で勝手にできないんです。そこが社会福祉法人です。だからそれに対しては税法上、赤い羽根とかその他のいわゆる資金上のいろいろな特典があるわかです。最後には財産を自由に処理するというような局長の御答弁ですけれども、それはあなた所管が違うから、所管違いで答弁違いでありますが、どういうふうになっているかといえば、その定款によると財産は他の社会福祉法人に引き継ぐことになっている。それはみずからきめておる定款です。経営上こまかな点について一つ一つ御質問いたしますときりがないのですけれども、たとえば病院長というふうな者、管理者が完全にいない病院が現に存在しておる。これは局長が言われるように決してノーマルな状態ではない。だから私は、他の福祉法人が引き継ぐか、あるいは広島県にないのだから、県立の病院に移管するか、そういうことを思い切って措置すべきだ。従業員の諸君といろいろ私は議論いたしました。しかし、今のような状況で精神病院を経営することは、従業員の良心においてできない。だから、そういう点をこの際一つすっぱりしてもらいたい。これは与党の自民党の中にもそういう意見を持っておる人があるわけです。それを妨害しておる人が現在の経営者の中にあるわけですから、そういう点については、一つ大臣が大所高所から総括的に——医療法が何の、社会福祉法が何の、精神衛生法が何のというようなことでなしに、大所高所から判断すべきである。他の指定病院に入れようとしますと、全国的な情勢、特に広島県においてはそういうことですが、ベッドが足りない。一割もそれ以上も病院にたくさんかかえている。だから、現在の設備があるのですから、新しく精神病院を設立するということになれば、いろいろな社会問題もあるのですから、そういうことはぴしぴしとやって、精神衛生行政の建前に沿うたような措置をやるべきじゃないか、その点について厚生大臣の決断があってしかるべきときじゃないか、こういうふうに私は思うのですが、これはいろいろな人道上の問題がある。精神病のことでありますから、なかなか相手が文句を言わない。言わないからほっておくというようなことは、精神衛生行政上許せぬことじゃないか、こういうふうに考えるのであります。私は二つの具体的な問題について提案をいたしましたけれども、厚生大臣の御所見があればお聞かせいただきたい。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 どういうふうに処理するかということについてのあなたの御意見はよくわかります。それも一つの考え方だと思うのです。いずれにいたしましても、今のままではいかぬ一面があるのですから、これは私どもだけというよりも、やっぱり知事とも考えをぴったり合わせまして、そうして最後的にどうするかという結論を出す方が穏当ですから、これは県の知事も考えておるところで、もう少し考えたいという状況のようでもありますので、よく考え方を統一して最後的な結論を出したい、こう思っております。問題が問題ですから、そう一口には言ってしまえぬのですが、十分あらゆる面から考えて、総合的に結論を出さなければならぬのですから、そういう状況で今おるところであります。ほっておくわけではないのであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 大臣いかがですか、大体の見通しですね。これは精神衛生について一つの前進をしようとしている意図はわかる。予算は少ないけれども、あるいはいろいろな条件については貧弱であるけれども、わかる。その点は意味のあることでございます。そのこと自体について、われわれは反対ではないし、賛成であります。しかし、精神衛生の問題を取り上げていく場合には、やっぱりたくさんの社会問題があるのですから、私はそれを一つ一つ具体的に厚生大臣が解決されるということによって、その指導性を発揮される、こういうことがきわめて必要じゃないかと思う。私は前回も申し上げたところが、厚生大臣は、この問題については意のあるところは十分わかるから何とかしたいということで、私はまさか政治的な問題がからまってこの解決をおくらせるというようなことはないと思うのですが、そういうことを含めまして——そういうことがもしあれば、これはけしからぬことである。もしそういうことでこのことが渋滞しておるというようなことがあれば大へんなことであるけれども、厚生大臣はそういうことありませんね。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 そういうことは全然ありません。政治的な問題がからまっておるためにということはありません。そういうことじゃありません。

大原亨日本社会党

○大原委員 それでは最後に質問いたしますが、この問題は一つのテスト・ケースです。精神病患者に対する人権尊重のテスト・ケースです。厚生大臣は勧告をしておるのです。そのことが発端になって中をガラス張りにして民主化しよう、そうして精神病患者の人権を守ろうということが発端になっているわけです。その中からいろいろな問題が出てきておるわけです。だからそういう点について、現実に生きた精神病患者や従業員がおるからなかなかむずかしいということで逃げるのじゃなしに、前向きの形で、精神衛生行政が前進するような決断を、今日の段階において、なされてしかるべきである、こういうふうに考えますが、重ねて厚生大臣の決意をお伺いしたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 さっき来繰り返してお話しいたしておりますように、なおざりにほっておく気はありません。いろいろな角度からだんだん検討をしておりますので、それで、結論を最後的に出したいと思って検討をしておる状況でありますから、ほっておくというつもりじゃありません。きょう、こうするのだという結論を出す段階にまだきておりませんから申すわけにいかぬのですけれども、なおさらに、さっきも申しましたように、地元の方との関係もよく考えて最善の結論を出したい、こういう気でおります。

大原亨日本社会党

○大原委員 もう一つ具体的な、できる提案をしたいと思うのですが、私は広島の現地で関係者の声も県会議員の毒も聞きましたし、あるいは民生労働部長の意見も聞きましたし、あるいは労使の双方の意見も聞きました。とにかくやはり現地を、厚生大臣が遠くの方で見ておるのでなしに、やはり現地の実情を調査してもらいたい、こういう希望が各方面からあるようです。その調査が発端となって問題の解決ができれば私はいいんじゃないかと思う。こういう現在では一つの、これは根本的な解決じゃありませんが、意見を持っておるわけです。やはり現地へ行かれて、各方面から、行政監察ということではなしに、法律上のそういう監督権があるし、責任があるわけですから、この問題は長引いているわけですから、こういう問題は放置できない、こういう観点からこの実態調査をしてもらいたい。これは私は厚生大臣の決断でできると思うのです。いかがですか。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 実情を現地に行って実際見て判断することが必要だ、こういうことにこっちで考えますれば、それもいたしてよろしいと思うのであります。その辺も、今のあなたのお考えもよく参酌して、そうしてこの問題の処理に当たっていきたいと思います。よく研究したいと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 それはこういう意味ですね、やはり私の申し上げた趣旨について御了解いただいて、一つ現地へ担当者をやって調査させる、こういう問題について善処する、そういう方向で検討するのだ、こういうふうにお答えになったというように解してよろしいですね。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 あなたの今お話しの趣旨は、おっしゃることはよくわかる。それで私どもも考えてみて、なるほどそうした方がいい、こういうふうに考えればそうもいたしましょう。お聞きしたところですから、それがなるほどそうだ、こういうことになれば、その通りにもいたしたい、こういうことであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 あなたは最近医療問題以来非常に答弁があちらに向かい、こちらに向かいして、非常に御苦心のほどはわかりますが、何をおっしゃっているかよくわからない。お気持はわかるけれども、非常に政治的な答弁です。厚生大臣は監督権をあらゆる面において持っておるわけです。だから現地にそれを連絡した上で実態を調査されるということは、私は、今のようなこういう段階にきたら当然じゃないか、そしてそれに基づいてやはり大臣が主体性を持って、監督権があるのですから、知事との間においても十分なる意思の疎通をはかられて、解決点を出していく、こういうことがしかるべきじゃないですか。私はその点はそう慎重になられる必要はないと思いますが、これは最後ですから、一つ厚生大臣の方からお答えをいただきたい。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 あなたのお話、これを問題にして、そして検討して、なるほど必要だ、こう考えれば現地を見に参りましょう。問題にするというのです。あなたのおっしゃることを。しかしその通りやると、ここで言えるわけのものでないことは、あたりまえのことであります。よく検討して、なるほどということになれば、その通りに実行いたしましょう、これ以上はどうもここで申し上げることはできないのであります。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 午後一時半まで休憩いたします。     午後零時四十五分休憩      ————◇—————     午後二時三十九分開議

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。島本虎三君。

島本虎三日本社会党

○島本委員 精神衛生法の一部を改正する法律案について、私がまず質問したいと思いますのは、今度の改正理由の中に明確に載せております「精神衛生対策の推進を図るため、精神障害者の入院措置に要する費用についての国の負担率を引き上げる等、その実施を円滑にする措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」こうはっきりと載せておるわけでございますが、この中で、まず精神障害者と明確にいっておりますこの精神障害者の範囲を、きわめて具体的に、ここからこれまでというふうに明確にしてもらいたいことと、この中に「国の負担率を引き上げる等、」ということがありますが、この等はどの辺まで含めた等であるのか、これも一つ具体的に御説明を願います。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 ここに申しております精神障害者は、精神衛生法に規定しております精神病者、これは中毒性精神病者を含む精神病者、精神薄弱者及び精神病質者をさしておりまして、さらにそれらをこまかく具体的ないわゆる病名までいいますと、これはたくさんあるわけでございますが、従来の解釈で、この精神衛生法の三つの大分類の中は従来も一応きめておりますけれども、しかし具体的には、今のこの精神衛生法を適用するかしないかは、症状の重さによりまして、病類によってはこれも適用にしたり、しなかったり、そういう部分はございます。ただ大まかにいいまして今の三分類、こういうことでございます。  それから第二の、国庫負担率を引き上げる等としておりますけれども、実際には今の国庫負担率を、二分の一から十分の八に措置入院患者に対しての負担率を引き上げるというのが主でありまして、そのほかの等というのは、これらの措置患者に対する診療方針とかあるいは医療費の算定方法その他こういうふうなこれに伴う改善をするという部分を含めまして、等というふうに言ったわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そういたしますと、精神障害者と明確に言っているのは、精神病者と精神薄弱者と精神病質者である、こういうようなことになると思うわけですが、この法律によって今度適用させようとするのは、このうちのどの部分であるのか、これを少しはっきり教えていただきたいと思います。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 これはこの三者ともにかかるのでございまして、ただかかるのは、先ほど申し上げましたように症状による、すなわち自分を傷つけあるいは他人を害するというふうに認められまして、強制措置が要るような状態を持った者は、この三種類ともに起こり得るわけでございます。しかし実際にはこの精神病者の中に最も多くて、それから精神病質者、それから精神薄弱者、この中にはそういう症状に至る者、すなわち措置をしなければならぬ者の発生パーセンテージは非常に低い、こういうことでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 しかし精神障害者のうちの精神病質者ということになると、性格異常者を当然含むわけで、性格異常者になりますと、今あなたがおっしゃったように、自己を傷つけ他人を害するようなおそれが突発的に起こる可能性の方が逆に強くなるわけではございませんか。むしろこの方面に対して適用が少ないということはどういう意味でございますか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 これは性格異常者になりますと、きりがないわけでございます。性格正常者という定義がなかなかないものでございますが、他のいわゆる精神病者というものと比べまして、自分を傷つけ他人を害するという程度に至る者は、やはりその基礎になっております精神病質者の基礎数から見ますと、これは少ないのでございまして、さような意味でこのパーセンテージが非常に少ない、こういうことでございます。従って措置命令を出す場合の必要な状態というのは、ただ自分をそこなうといいまして、いわゆる肉体に傷を与えるとか、あるいは自殺を企図するとか、あるいは食事をしなくて飢餓状態にみずから陥るというふうな相当の程度をいっておるのでございまして、いわゆる性格異常者で自分で何となしに工合が悪いというようなものは、普通措置の対象にしておらない。それから他人を害する場合にも、著しく他人に非常な害を与える、たとえば精神病者の場合には、しばしば傷をつけるとか、いわゆる傷害を与えるとか、いろいろな問題がございますが、さような意味で、ただ感情的に他人を不愉快にするとか、非常な迷惑を与えるというようなものは、一応措置入院の対象にしておりません。

島本虎三日本社会党

○島本委員 それで、今度は私も今の答弁にすべて準拠してもう少し詳しく聞いてみたいと思います。私の方は労働の方面は、長年の経験がございますが、医の方面は、まあ医者にかかることも少ないような状態で、よくわかりませんから、懇切丁寧にお願いしますが、まず自分を傷つけ他人を害するという、このことです。こういうふうなおそれのある人を措置するためのこういうような一部を改正する法律案であるということですが、この解釈について具体的にお示し願いたいわけです。これは少なくとも今申しましたように、この精神病者といわれるような人たちの中に、あなたは大体順位をつけて言っておられますけれども、私が考えるのに、どこからどこまでがその憂いがあるのか、おそれがあるのかという、このばく然としたような状態でこれをやるということは、私は法律を制定する建前としては不親切なことが結果的に招来されるものであろうという考えなんです。そういうようなことから、もし他人を傷つけ自分をも害するというような、この点をばく然としておいてはいけないから、こういうような解釈について、具体的にここまでがそうなんだ、ここまでがおそれなんだ、これまでが具体的なんだということを一つ率直に言って下さい。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 まず総論といたしまして具体的に申し上げますと、自身を傷つけという場合は、主として自己の生命身体を害する行為、これをさしているわけであります。それから他人に害を及ぼすという方は、他人の生命、身体、自由、貞操、名誉、財産、これらに具体的に害を及ぼす、こういうことでございます。これが今の自身を傷つけ他人を害するということを総括的に言ったわけであります。ただしこれは、これをさらに個々に分解をいたしませんと解釈できないのでございます。  それを具体的に言いますと、たとえば抑うつ状態というはっきりした精神病の症状の場合に、この自他を傷つけるとはどういうものか、それから躁状態、これは躁うつ病でよくくる、あのはしゃぐ方でございます。躁状態ではどの程度かというふうに、これは一々精神病の症状別に自他に及ぼすという解釈、基準を、実は精神衛生審議会の答申に基づきまして定めてありまして、この基準といたしまして、取扱要領として実は全国に指導を流してあるわけであります。これに一つ一つ照らしまして、鑑定医が判定するわけでございます。短い言葉で言いますと先ほどのようになりますが、これは症状別にそういうのが全部詳しく出ております。  具体的に一、二の例を参考のために申し上げますと、たとえば抑うつ状態の場合の自身を傷つけ他人を害するという場合は、不快感情、不安、苦悶、思考及び運動制止の症状が主であって、抑うつ的内容の錯覚、幻覚、妄想を伴う状態があり、特に不安性興奮の傾向があるとき、こういうふうな症状がそろいますと自殺、それから自分を傷つける自傷、一家心中、または子供殺し等の念慮が起こってくる。このため殺人、傷害、放火または突発的な泰行をする危険が非常に多い。こういうふうにしておりますので、今のような症状がありますと、いわゆる抑うつ状態の症状を持つ者ではこの措置対象になる、こういうふうにしてあるわけでございます。  以下、先ほども申し上げましたように躁状態、妄想を主とする症状、興奮及び昏迷の状態を主とする症状、譫妄、錯乱、もうろう状態の症状の場合、それから精神薄弱及び痴呆状態の場合の自他を傷つける程度、以下非常にたくさんあるのでございますが、心因性反応の場合、それから性格の病的状態の場合にはどの程度までかというような基準を詳しくきめてあるわけでございます。非常に長くなりますので、その点は一応この経度にとどめておきますが、以下詳しくございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 なるほど以下詳しくあるというならば、その資料を、余部があるでしょうから、それをちょうだいしたいと思います。概してこの資料関係の方になると労働省関係では、われわれ議員の審議の便に供するために資料を自由に出すのですが、皆さんの方は出し惜しんで、われわれの手に届く種類や量が少ない傾向がありますから、現に衛生六法だとか保険関係のああいう法規でさえも、その他の方は全部やっているんですが、あなたの方だけは、これはまことに、停滞しているのかさばっているのか、まだ手にも届いておりませんから、そういうふうなものもすみやかに一切届けるようにして下さい。  そうすると、私の方で今聞きたいのは、この精神障害者のうちの、今言われたように一、二、三に分ける、すなわち精神病者、薄弱者、病質者、こういうような人が今言ったような状態で、ばく然としたような状態ではなく、きわめてはっきりした状態でこれを規制することができるし、解釈することもできるように私の方では伺ったわけですが、しろうとなりに私の方が、今の説明を聞いてなおさらわからなくなる。というのは、この法律を施行するためにも、医者の立場で——もっともわからなくなる点は同じじゃないかと思うのですが、最も心配な精神病者、病質者のうちの特定な者、こういうような人が、いつそういうようになるのか、いつからいつまでなっているのか、その内容がはたしてどうなのかという具体的なことは、今報告があったようなことによってはっきり医者がわかるのですか、わからぬのですか。おそらくわかるからこそこういうふうにやっているのですが、今言ったような状態なのは、普通の人については当てはまるが特にそういうような人は、いつ勃発するかどうなのかわからぬでしょう。私がもし変なときには、すぐ飛んでいって、今頭を下げているのをこんとやるかもしれないが、今は常態だから私はそんなことをしないので、これがまさに憂慮されるような状態にあるときは、その期限だとかその内容だとか、それによって今のような解釈を、いつからどうなんだということを当てはめることが、きわめて簡単にできるのですか、できないのですか。これもまた一つ懇切丁寧にお教え願いたい。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 これはただいま申し上げましたような具体的な症状が一回でも起こっておりますとつかまえやすいのでございまして、いわゆるおそれという場合でございまして、これも今の基準の中に示しておるのでございますが、これには、種類によって、おそれの解釈、取り扱いが違っておるのであります。   〔委員長退席、柳谷委員長代理着   席〕 たとえば、殺人、傷害、あるいは暴行、それから自殺、自傷、放火というような非常に重大な自他を傷つける行動のおそれでございますが、この三つにつきましては、抑うつ状態あるいは精神分裂病からも起こりますし、てんかん性の精神発作等からも起こる、こういうわけでございますが、現在の症状から、そういうことが今までは起こっていないけれども今後起こるおそれがあるという場合には、この三つの重要なもののおそれに対して精神科の医者が判断した場合には、これは入院措置をやって参る。それから、器物損壊あるいは窃盗、侮辱、強盗——強盗は少し重いのですが、恐喝、無銭飲食、徘回、家宅侵入、性的異常、風俗犯的行動、これもやっぱり自他を傷つける、これも既遂——すでに一回でもあった場合は判断しやすいのですが、今まではなくて、ただその人間の持っておる精神病の種類とその現在の状況から近くおそれがあるというような場合に、直ちにそれだけの判断ですべて措置できるかといいますと、これは前に申し上げました三つと違って、これだけでは措置はできない。従ってこの場合には、実際の非常に近い行為、もうまさにそれに近いような行為がある程度つかめた場合にのみ入院措置することが適当である、こういう今までの基準になっておるわけであります。従って、今の非常に重大なことの可能性と、それからそうでない場合の将来の憂いに対しては、区別して入院措置をかける。しかもその場合に、なおかつ、扱った精神科のお医者さんがかけたほかに、鑑定医が二名以上判定して、さらにこれを詳しく判断する、こういうことになっているわけであります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 なるほど、聞いているとはっきりわかるような気がします。気がするのは私の方で、しかし、もう一回、くどいようですが、今のようなおそれがあるということに対しては、今はっきりおっしゃいましたところの精神障害者、この精神障害者のうちのどれをとっても、そのおそれは十分にあるわけなんですね。すなわち、こういうおそれがある場合の判定は、主として医者がやる。医者がやるからいいけれども、医者としてはその点は慎重だとはもちろん思いますけれども、この憂いがあるということになれば、こういうような人ならばいつでも、どこにおいても、いかなる状態においても、その憂いだけはないというふうな断言をこそ、私はできないような気がするのですが、その憂いがあるならば、これはもうほとんどすべてが医者の判定によるということなんだろうと思うのです。医者が間違って判定することはないと思いますが、この憂いということとあわせて、こういうような判定の場合の慎重な取り扱いなんかははっきりしたものがあると思うのですが、それも一つ説明願いたい。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 これはただいま申し上げましたように、まず医師が申請をする。あくまでも強制的に入院する場合に限りますが、今の憂いがありましても、家族がぜひ入れてくれという同意入院というのがございます。この場合は保護者が同意して入れるわけでございますから、これはもう自由というとおかしゅうございますが、入れ得る。それから本人並びに家族が同意をしないのを、社会の治安上、本人の生命保護上強制する場合が、いわゆる対立してこれを強制するわけでございますから、これが慎重を要する。その場合には、今申し上げましたように二名の知事の任命する鑑定医が必ず鑑定をしなければいかぬ。その鑑定の場合には、先ほどのような基準を参考にして、さらに鑑定をする場合にはかなり詳しい、そろえるべき鑑定書作成上のやるべきことが網羅して示してあります。これに基づきまして記載もいたしますし、その記載の前提になる環境の調査、それから、むろん身体と精神上の調査、こういうことをいたしまして、二人の鑑定医の意見が一致してやる。こういうことに具体的にしておりますので、万全は期せられて、人権保護は相当十分期せられていると思いますが、年に何件か、あとで措置入院に対して不服のトラブルが起こるわけでございますが、それは主として鑑定士の問題よりも、ほかのいろいろな家庭上の事情その他で起こることが多いのでございます。鑑定上の問題といたしましては、今のところかなり正確に行なわれておる、こう思われます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 それで、今その鑑定上の問題でいろいろやっておりますが、厚生大臣の指定する特定の医師が、同じような状態にそれを認め合ったときに、それが正式な鑑定として実施される。その厚生大臣が任命する鑑定に要する医者は各部署、各末端の力に完全に配置されておりますか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 これは名府県に実際には所属しておりません。任命は厚生大臣でございますが、先ほども午前中に申し上げましたように、約三千名現在鑑定医が任命されている。これは各府県におりまして、現実におる場所はそれぞれの病院長さんであったり、精神科のお医者さんであったり、そういうふうにみな任命をしておりますので、鑑定を要するケースがありますと、県の吏員が一緒に行って、それの立ち会いで鑑定をする、こういうことになっておりますので、数からいいますと比較的——全国的には若干の偏在はございます。ごくいなかの僻地にはこういう専門家がいない場合がありまして、旅費を使ってわざわざ出向くという場合もございますが、三千人おられますので、大体人口十二、三万のところに四人平均はおるわけでございますから、全国八百保健所の医師が一保健所あたり平均して二人ないし三人というところから見ますと、この嘱託されておる鑑定医の数は相当なものでございますから、そう不自由はない、こう存じております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 私の今開こうとするところも、午前中にすでに聞いてしまっておるかのようにも受け取れます。しかし、私としては国民に選ばれた一人として、納得するまでこれを聞かなければならない義務があるわけでございますから、その点では一つよろしくお答え願いたいと思うのです。(「よく勉強するのだよ」と呼ぶ者あり)勉強は十分にしてございますから、一つ親切、丁寧に願いたいと思います。  そういたしますと、私の方では鑑定はきわめて厳重に、かつ公正に行なわれているから心配ないようにと今承ったのですが、行政管理庁の方から、この鑑定の実施について、皆さんの方では以前に勧告を受けておって、その措置については不適正であるというふうにはっきり言われておった。これは、私は皆さんの方から出たデータによって承知しておるわけですが、今の答弁だと、これはきわめて適正に行なわれているという答弁なんですが、適正に行なわれているのに行政管理庁の方でこのような不見識な監察をしたというならば、これはきわめて重大なことじゃないかと思うのです。今の答弁によりますとこれは完全なんですが、完全なものに対して不適当だと言ったのだから、あなた、ここではっきりさせて下さい。あなたの答弁によれば適正だ、管理庁の方からは不適当だと指摘されている。これは私はどっちの方をとっていいかわかりませんから、偶然にもここに両方ともそろっておりますから、その黒白をここではっきりさせて下さい。そうでないと、私はこのあと質問ができません。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 今の、これは私の言葉が足りなかったのでありまして、結果において、今の鑑定の結果、鑑定の内容が悪くて、措置入院すべきでない者を不法にも措置入院をさせた、すなわち人権じゅうりん的な、そういうような結果を生じた例はまずまずないということで、ただそれに至ります。先ほどからの二名以上が必ず意見一致して鑑定しなければならないという方法、それからそういうような場合の手段、方法についての経路について、必ずしも従来のきめられた通りに行なわれておらない、こういう行政管理庁の勧告でございまして、確かに、この点は私どもの方でもある程度、県によりまして、こういう事務取り扱いのやり方が成規のやり方でなかったところのあったことは認めております。昨年もこの点で非常な注意を喚起いたしまして、鑑定医の総会も二昨年からやっておるわけでございますが、三十五年度におきましても続けてやりまして、鑑定医の鑑定取り扱いについては、行政管理庁の勧告にありますような、まだ直ってないところもあるというゆえんをもちまして、これは正確を期するように勧めたわけでございますから、この点万全であったというわけでなくて、ただそういうふうな指導は厳重にいたしておりますが、その鑑定の結果が、そういうような取り扱いが悪かったための不法行為は、結果としては今まで幸いにして起こらなかったということでございますので、この点は訂正いたしておきます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 何だ、おかしいじゃないですか。私、今まで質問していたのは、おそらくは、行政管理庁の方からこのような勧告が出されておくても、実際上扱う、いわゆる精神障害者といわれる人は、それぞれ鑑定に苦しい、むずかしい点もあるので、そういうようなこととあわせて、手続その他において厚生省自身がほんとうに一生懸命やっておってもできない点があったのだということを、むしろ同情的に聞いていった。ところが、あなたが自信を持って、鑑定においてそういうようなことは何ら心配するところはありません、こう言うから、私が今のような質問をしたのです。そうしたら、すぐ訂正をした。それならば、今後やる場合一々聞いても、それをあとからだれかが念を押して、そのときそれをあなたの方ですぐ訂正をされてしまったんでは、それは委員会を侮辱するものである、こう私は言わざるを得ないことになるわけであります。これは私としてはまことに残念なんでありますが、この鑑定に対しては二名以上要するのに一名だけしか立ち会いのないものがあって、こういうようなやり方は不適正である、この勧告は、各県によりましてはこういうふうなところも少なくはないということなんですよ。そういうようなことが、やられておるのです。少なくないのだったら多いのでしょう。そうだった場合には、今言った通りまことにあなたの答弁はおかしくなくてくると思うんですが、訂正されましたから、私の方としてはこれ以上その問題に対しては追及していきません。行政管理庁の方では、この問題に対して鑑定医二名以上要するのに、一名だけしか立ち会いがないのがあって不適正であると言っておりますが、この事実は間違いございませんでしょうかどうか。そのデータによって御答弁願いたいと思います。

稲木進総理府事務官(監察審議官)

○稲木説明員 先ほど私どもの方が調査いたしましたのは、昨年の四月から六月にかけての期間でございますが、各県の事情を調べました。その当時におきましては、勧告に書いてありますように、二名以上の鑑定医が鑑定をすべきところを一名しかやっていないというような事例があります。もちろんこれは全部そうなっているというのじゃなくて、そういうような取り扱いの間違っているのがあちこち若干見られる。ですからそういうものは早く直して、成規の鑑定をするように、こういうふうに勧告として申し上げたのであります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 まあ大体今の答弁でわかりましたが、局長もそういうような事情だそうですから、これは今後十分注意されるだろうと思います。私の方でも、おそらく鑑定の実施の末端までいったら相当むずかしい点もあるだろうし、全部配置するということに対しても、これは困難な点もあるだろう、こういうふうに思いますけれども、今後においてはそのおそれもないかのようにも思われますから、その点では万全の措置をはかるべきであり、今後注意してもらいたいと思います。こういうふうに思っております。  そこで私がまたお伺いいたしたいことは、おそれのあるというこの解釈の問題で、やはり現に扱っている医者がいろいろ厚生省の方から——今パンフレットで、私の手元へはきておりませんが、大体解釈が統一されているかのようですが、それで不自由な点がなくて、解釈に疑義を持って措置上不便を感ずる点がないのがあるのか、この点について一つ御答弁願いたいと思います。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 実はこれは昭和二十八年に作成いたしまして、もう時期がたっておりますので、最近にやはり解釈上あるいは取り扱い上非常に疑義の点もございますし、不便な点が出て参りましたので、現在精神衛生審議会に実はこれを協議を願っておるわけでございまして、さらに改良をする。今までの非常な疑問点をさらに精細に基準を作ってということで、今進行中でございます。私の方ではだいぶ時期もたちますので、近くその改良案ができ上がりまして、答申を受けられると思っておりますが、それによりまして改善をしていきたい、これを改めたい、こう存じておるわけで、ことに社会的に危険のおそれがあるから入院措置の要があるとか、それから環境がどういう工合であるから措置入院の要がないとかいうような社会的な観点からある程度判断する部面があるのでございますが、これらが非常にむずかしいところでございます。それらを入れまして、今足らざるを補うような改良案を進行中でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 おそらくは二十八年ころの——それじゃ現実の面においては相当医師間においてもその後の社会的な状態の推移と申しますか、これではもうすぐ当てはまらなくて困っている点が相当あったのじゃないかと思うんです。正直に、二十八年のもので現在すぐ改良すると言いますから、その点はすぐ改良していって、間違いのないような指導を一つ施してやるように、この点は私の方からも強く要請さしていただきます。そうして少なくとも解釈についてばく然として医師自身の判断によらなければならないような部分をなるべく少なくしてやるようにこれは留意してやってもらいたいし、そうすべきじゃなかろうかと思いますから、一つその点等も配慮しておくべきじゃなかろうか、こういうふうに思います。  次に、私はこの精神障害者のうちの精神病者の種別のうちで、割合に皆さんが軽く考えておられるノイローゼ、この問題なんですが、このノイローゼ等の問題、これはもう大したことではないのだと、おそらく文明の推移でこういうようなものが多くなったり、少なくなったりするものであって、あまり精神障害者には関係のないものである、こういうように考えておられるようでございます。このノイローゼについて、おそらく文明の進むに従って今後は相当配意しなければならないような様相を呈するのじゃないかと思うのですが、現在のノイローゼに対する考え方について率直にお教え願いたいと思います。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 ノイローゼの精神衛生法に関しての取り扱いでございますが、御承知のようにノイローゼは、ほかの精神病質一般がそうでございますけれども、知能的な方面にはもちろん欠陥はない。むしろ感情方面に主たる欠陥がある。さらにそれの一種の発動についていろいろな抑制状態その他があるわけで、そういうのを総称してノイローゼと俗称しておりますけれども、これも非常に強くなりますと、先ほど申し上げましたように自他を傷つけるというような具体的なものもなきにしもあらずで、そういう場合には当然むろん措置の適用もいたします。それから精神病院へ同意入院その他でもちろん入院することもこの精神衛生法で当然でございますし、許されております。ただノイローゼという病気の診断された者全部を精神衛生法によりまして何らか特別な措置をするというふうには今のところはまだ必要もない、また考えておらぬわけでございます。あくまで今のような措置の場合には相当程度な自他を傷つける状態があった、それからその精神病の専門家の治療が必要で、しかも精神科の入院治療が必要な場合には、これは同意入院で現実に多数行なっておりますので、これを精神衛生法から除外する必要もございません。これはもうむしろどしどしと専門家による治療は進めていく、こういうような今の状況でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 それとともに、これに関係しますが、精神衛生法の一部を改正する法律案のこれには直接関係しません。アメリカあたりではノイローゼの一極として重役病というものがあって、そこにいったりそういうような仕事をしたりする人は、そういうような病気の症状を呈するものであって、やはり病気の一種として特別の療法を用い、たとえば農村または電燈のないようなところへ行って勤労に携わさせれば、一定の期間を経た者は快癒して帰ってくるというふうなものもあって、それもノイローゼの一種だというふうに言われているのですが、こういうふうなものはまず文明病の一つじゃなかろうかと思います。日本にはそういうような関係は今のところ一切ないのですか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 これは私ふだん精神科の臨床を扱っているわけでありませんのでよく存じませんが、最近広い意味の職業病の一種としてマネージャー病というのが盛んに唱えられまして、分類されて、その対策が必要じゃないかと言われております。重役病というのはその一種だろうと思いますが、やはりそういうのは文明が進んで生活条件が複雑化して、しかも他から強制されるような条件がありますと、あるのであろうと思いますし、日本も当然あるだろうと思いますけれども、これは一般的な精神衛生の健全化というような対策で考えておりまして、直接この精神衛生法で考えておる精神障害者の治療対策というほどには考えておらぬわけであります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 よくその点はわかりましたが、私の考えとしては、そういうような点も、これと直接関係ございませんが、やはり考えるべき問題ではなかろうかと思ったので聞いてみました。  また、他人を傷つけまたは自己をも損するというようなこの中で、自分を傷つける中にはやはり自殺のおそれがあるような者、こういうようなものも当然含まれているのじゃないかと思うのですが、こういうものも当然含んでおって、その保護対策等も十分考えておりますかどうか、この点についてお伺いします。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 これは自殺自傷——死ぬつもりまでなくても自分を傷つける、この両方とも対象になっておるわけであります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 ことに自殺のおそれがあるような者は、相当十分に監視しまた指導するのでなければ、これはおそれがあるだけではなしに、いつどうなるかわかりませんので、こういうような点等に対する措置、考え方なんか十分だということであるならば、私の疑問とするところは氷解するわけですが、自殺のおそれのある者、こういうようなことについては十分保護してやっていくような施設に現在なっておりますか、その点等についても伺います。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 要するに、精神障害者として自殺を遂行するおそれのある者、それから日本で年間二万幾らか自殺者がありますけれども、この全部が精神障害者として起こすわけでなくて、大多数はそれ以外のいろいろな原因と思いますが、少なくとも精神障害者としてわかっておりまして、それで先ほどの自発的に家族が同意して、あぶないので入れる同意入院、それからどうしても家族その他の保護の道がなくて、あるいはがえんじなくて強制するというような場合には、先ほど申し上げましたように、殺人のおそれとか自殺とかいうのは、重要な危険行為として、自他を傷つける大きなものとして、そのおそれについては十分考える、こういう建前になっておるわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 この際ですから、私も明確に聞いておきたいのですが、精神障害者としての医療の対象になっている者、この数をつかむのはなかなかむずかしいと思いますが、割合にひどいものとふまえている者が全国でどれほどおって、入院を必要とする数がどれほどなのか、その概数でも、つかんでおるものの発表を願いたい。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 これはお手元に差し上げてあります法律案参考資料の二十七ページに、ほぼそれに該当する表を第一表として差し上げてございますが、そこにありますように、全国の病人の推計数は、精神病が四十五万、精神薄弱が五千八万、その他二十七万、このその他には今の病質者等が含まれてございますが、その中で精神病院への収容を要する者が、精神病で二十四万、精薄で一万、その他十万、こういうことでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 精神病院に収容を要する者でございますが、それだけの数の者は現在の施設の中で十分それを保護し療養させることが可能ですか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 これで要精神病入院で合計いたしますと三千万万になるわけでございますが、これに対しまして現在約十万床でございますから、三・五分の一しか収容しておらぬ、こういうことで、あとの二十五万人は収容しておらぬ。ただしこの三十五万人というのは、すべて一部の実態調査から推計した、国内にあるであろうという推計数でございまして、実はこの三十五万人全部を、どこのだれが、どういうふうだという登録はつかんでいない。従って、これも本人も気づいていないかもしれぬし、家族も気づいておらぬものが相当数ある。つかんだものは、年々新たに申請がありまして、出入りして入ってくるわけでございますが、それにしても、ベッドに対して三・六%も過剰収容しているくらいでございますから、つかめたものでも現在のベッドのままではまだ収容ができない、こういう状況でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 従って、ここに行政管理庁の方から精神病院についての改善検討の要ありとして指摘されている中に、病床も不足であるし、過剰収容が行なわれて常態化しているので、これはすぐ拡充の措置をとれということを指摘されている。これに対して、もう十分に予算を組んでこういうような改善に対しての要請にこたえる準備をしてありますか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 三十六年度におきましては、いわゆる国庫負担のついた予算、これは二千百ベッド、それからその他の、国庫補助はいたしておりませんが、医療金融その他の自己資金ないしはそういう融資資金によりましてふえるものほぼ八千ベッドということを期待いたしまして、年間一万ベッドはふえる。これは過去の年々の実績から見て、その程度は大丈夫であろうということで、従って、足りない実況に対してこれで一挙に解決するかというと、そういうわけには参りません。まだまだとても足らぬので、毎年こういうふうにふやしていく必要がある。国庫補助の予算を一挙にできればいいのでございますが、これは補助対象側の事情もございましょうし、ことにこれは公立中心でございますので、そういうような形で、不十分でありますけれども、とりあえずこの現状を認めて増床を続ける、こういうことでやっておるわけであります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 それで、現在あるものでも不足なようです。そして現在の収容状態も過剰収容である。しかし、その状態を克服していいだけではなかろうと思うのです。この指定された病院の中で不適格と認められるものがあるならば、それをまた直していかなければならない、こういう義務も当然厚生省にあるのではないかと思いますが、不適格な病院があるという指摘があったかのように思いますけれども、行政管理庁の方、この点いかがでございますか。

稲木進総理府事務官(監察審議官)

○稲木説明員 指定病床病院の中で設備その他が不十分だという事例は、私どもの調査の中にも若干は現われてきております。これにつきましては、医療監視、医療法に基づいて各都道府県が主として各病院について医療監視をやっておられるのでありますが、その結果から見ましても、設備その他が適当じゃないということでいろいろ注意をされている事例もあるかと思います。それらに基づいて、それが指摘された不適正な設備等につきましては、そのつど是正の措置をとられておるように見ておるわけです。しかし、私どもの調査しました結果は、先ほど申し上げたように、若干そういうようなものがありますので、これらについては、なるべく早く適正な基準に上げるようにということを厚生省から指導していただきたい、こういうふうに申し上げたのであります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 精神衛生法の一部改正法枠案を通しても、現実に通したあとの実態として、今言ったような点をまたこれをいろいろと直した上でやるのでなければ完全な医療行政の実施ができないということになっては、ほんとうに困るのです。そういうような点からして、なおこの行政管理庁の方では、あわせてこの収容施設である病院等に対して、おそらくは建物や設備やそのほか治療の器具、こういうようなものに対しても指示があったかのようにも聞いておるのです。それから医師等についても、これらの基準に達していないものもあるような指示もされたように聞いているのです。これじゃ幾らこういうようなものをもってやっても、これを通しても、それ自体が実施できないようでは困るんじゃないかと思うのです。それで聞いているわけなんですが、行政管理庁の方で、今私がばく然と言っておりますが、この医師の配置水準に達していないような病院がどれほどございましたか、建物等において、これはまだまだ不適格であると思われたような点の指摘がございましたかどうか、この点あわせて御説明願いたいと思います。

稲木進総理府事務官(監察審議官)

○稲木説明員 施設につきましては、私どもの方で調査しました結果によりますと、これは医療監視の結果、四つの県、十四の病院につきまして調べたのでありますが、その結果によりますと、不十分だという指摘があったもののうち、その後の結果を見ますと大体半分ぐらいは改善されている。ところが、残りのものはまだ改善の成果が十分に上がってない、もう少しやる必要があるんだというような結果になっております。この改善につきましても、問題はやはり経費の問題等、ある程度時間をかけなければならぬ面もあろうかと思いますが、大体そういうような状況になっております。それから医者の関係の問題でありますが、医者の配置につきましては厚生省でお作りになりました基準がございますので、この基準に比べて現在おられる医者の数というものを対比して考えてみますと、私どもの調べました病院四十一の中で二十八病院が医者の数が足りないというふうな結果になっております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 時間もだいぶたったようですね。それを意識していますから大丈夫です。ほんとうはまだまだあるのです。行政管理庁の皆さんの方に一つ一つ聞いていかなければならない点が多いわけですけれども、今答弁に立たれております局長も誠心誠意これの改善に当たる意思がありと見えますので、おそらくはこの管理庁の指摘されましたいろいろな勧告の点は、私があえて今の説明と関連してあなたに指摘するまでもなく十分御存じだろうと思いますから、この指摘された点等は、この法律の改正法律案を通してすぐに必要になる点であろうと思いますから、これはすぐ改善の方途だけは講じて、再び私をしてこういうような質問をさせないようにしてもらいたいことを心から要請しておきたいと思います。委員長のいろいろな再々にわたっての要請もございますから、私の質問はこれでこのまま終わりますが、一つ将来とも一そう奮励努力を心からお願いしておきます。

柳谷清三郎自由民主党

○柳谷委員長代理 井堀繁雄君。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 三点ほどお尋ねをいたしておきたいと思います。一つは、この法案に関係いたしまして予算の点にちょっと理解できかねる点がございますので、その関係を一、二伺っておきたいと思います。次は、診療方針について、三は、施行期日を十月にいたしました点などについて順次お尋ねをいたしていきたいと思っております。精神衛生法の改正については、われわれ多年要望をいたしておるところでありまして、このことは政府の提案理由にも明らかになっておりまするように、精神障害者が、本人はもちろんのこと、家族、ひいては一般社会に与える弊害などから考えまするならば、当然福祉国家という以上は、かかる問題はもっとすっきりした、徹底した措置が一般に望まれておるわけであります。それに近づこうとする努力は歴然としておりまして、この点にはわれわれは敬意を表するわけであります。しかし、ここまで踏み切ったのであれば、なぜもう一歩前進しないのであろうかという点について非常に遺憾に思うのでありまして、この点を二つ明らかにしてもらいたいと思うので、今三点ほどあげた角度からお尋ねをするわけであります。そういう次第でありますから、そのおつもりで御答弁をいただきたいと思います。  そこで第一の問題は、入院に要する費用を国庫がこの際、二分の一であったものを十分の八に引き上げようというのでありますから、この点はまことにけっこうであります。しかし、これをやる場合に、いろいろな諸般の問題をあげればはっきりするかと思いますけれども、多く論ずる時間がありませんので遺憾に思いますが、この際私は、こういう特殊のケース、限られた人々についての国庫の負担というものは、予算全体の中から判断いたしまして、これは百パーセント国庫が負担することが当然ではないかという気がいたしておるわけであります。そこで数字を先に一、二伺いますが、二分の一の国庫負担を十分の八にふやした場合に、予算委員会におけるいろいろな質問をいたしました際にある程度明らかになっておりますが、正確を期するわけにはいかぬだろうと思いますけれども、一応対象になる人員を二万二千百二十七人から一万三千七百八十というような数字——これは私の違いかもしれませんが、そういったような数字が出たりしておりますが、ただ、私どもがここでぜひお尋ねをしておかなければなりません点は、その数字が明らかになってからお尋ねをすればいいのでありますが、時間の関係で次に進んでもう一つ申し上げます。私が伺おうとするのは、この費用の国庫負担がひとりここだけでとどまらないで、国民保険その他の点にも関係があるようでありますし、ましてや最近政府と自民党の三役とが医療費問題についていろいろお骨折りを願っておるようでありまして、その解決が今後に求められておるわけであります。これとの関係がここにも出てくるのであります。そういう点で、あと二法案も同じことでありますが、この機会にこの点だけは明らかにいたしたいと思いますから、まず十分の八に引き上げることについて、厚生省は幾らの金額を見込み、あるいは対象人員についてどういうふうにお考えになっておるか、まず伺いたい。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 まず予算の問題でございます。ただいまお話のございました十分の八を十分の十にということでございましたが、これはあくまで本人との関連でなくて、本人に対しては、原則として命令をした者には公費で、ごくわずか一部徴収がありますが、一〇〇%に近く見よう、残りは県と国の間で、二分の一であったのを八対二にしよう、それを十対ゼロにしろというお話でございますが、私どもの方では、最低のいろいろな保護をする法律である生活保護でも現在八対二でございますので、従来二分の一だったこれを、さらに躍進する際、せめて府県との負担率はその程度ということで十分の八の国庫負担にしたわけでございます。これは患者には面接影響はございません。ただ貧弱県がもしその二割の負担が足りなくて、政府と同じ意味でございますが、予算を組まないと工合が悪いという点は残りますが、これは従来よりはるかに有利になるということで指導したい、こういうことでございます。  それから件数は、今度の改正案の措置入院患者、精神病でございますが、これは前年度一万二千百二十七件でありましたのを、三十六年度の上半期におきましては一万三千七百八十件に、約一割五分ほどまず増加いたしました。それから後半期十月一日の施行になりますと、約三倍の三万七千百八十三件になる、こういうふうな予算を組んでございますので、従って上半期と下半期とで今の補助率も違って参りますから、国の負担分がその件数通りにはいかないのでございますが、この全額を申し上げますと、三十六年のこの部分の予算が、前年度の予算約九億に対しまして三十七億に増加いたします。従ってその差額二十八億がこの措置のための純粋な増加になるわけであります。これは国庫でございます。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 だいぶ明らかになりましたが、私が伺っております全額負担をこの際国庫でやったらどうかということは地方財政の関係がありますので、この説明をして伺えばよくわかったと思いますが、私は承知して伺っておるわけであります。というのは、今日の地方財政と国の関係のあり方の中で、私はこの種類のものは国庫が全額持つといったような方向が、社会保障制度を指向する上において望ましいという意味で実は質問しておるわけであります。というのは、地方財政の場合は二つの弊害があると私は思う。  それは、今あなたのおっしゃられましたように富裕県と貧弱県の関係、それを今のようなああいう交付金制度のようなものがいいかどうかということも非常に問題のあるところであります。そういうおりからでありますから、こういうように画一的に社会保障を推進していこうという建前からするならば、私はこういうものから踏み切って一〇%をやっていくということが、社会保障制度への一番徹底した行き方ではないかと思う。そうして今伺ってみますと、金額面については今日の二兆円に近い国の財政の中から、さほど大きな影響のある金額でないではないか。こういうところから、要するにまず隗より始めようということでありますので、それを伺ったのであります。ほんとうは政策上の問題でありますから大臣にお答えいただくべきでありますが、お尋ねをいたしておきたいと思ったわけであります。  そこで、今のようなお説でありますが、次に私の触れておきたいと思いますことは、医療費の問題について、予算全体の中では大体一〇%を総医療費の中に見込んだということを、予算委員会あるいはここの委員会でも厚生省は答えておいでになります。ところが最近になりまして私どもは、両医師会と自民党三役の間にどのような話し合いが行なわれたかということについて、新聞紙上だけでは正確を欠くうらみがあると思いましたので、直接党から党へ公開質問状を出しましたところ、問答を得ました。新聞に発表されたものとあまり変わらないのでありますが、しかし正確を期したわけであります。これによりますと、まだ今後に残されたものがかなり多いようであります。しかしそういう点については、これは幅をどこでどうするということはいろいろあるようでありまして、このことはこういう問題を審議する上に非常に大きく影響いたしますから、はっきりお答えいただこうと思うのであります。この問答の中で一円を相当上回る額という単価の引き上げを約束しているようであります。政府の予算に現われておりますのは総医療費の一〇%、これは向こうの答弁の中にも、どういう方法で医療費を理解するかということについては後日に残されておるようでありますけれども、いずれにいたしましても明らかになっておりますのは、単価を一円を相当上回る額で具体的な数字を後にきめようというのであります。これは個人的な話し合いでありますからこの席ではいかがかと思いますが、責任ある人のお話し合いによりますと、三円の医師会の要求に対して二円程度におりた。そして一円以上ということになると、一円から二円の間でということに判断することが確実になってきた。これがはたして実行されるかどうか、これは医師会と党三役の間のとりきめでありますから、相当確実な約束であると見るべきだと思う。ことに政党政治でありますから、政党の三役がこういう団体との約束をした以上は、当然実行に移されると思う。するとこの金額がこういう場合に相当大きく響いてくる。もちろんそこで、いつから実施するかということは、十月からとなっておるが、これによりますと七月一日を期待している。大体こういうことでありますが、この点について事務当局は、こういうものに対するそろばんをいろいろ入れておいでになると思いますから、そこら辺に対する正確な御答弁を伺っておきたいと思います。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 ただいま党の三役の方と関係団体の話し合いの内容あるいは民社党から自民党に対しましての質問状に対する回答についてのお話がありましたが、後者につきましては私はよく承知いたしておりませんが、前者につきましても新聞の報道程度のことは承知しておるのであります。具体的に一円を上回るというのはどのくらいの数字かと御質問でありますが、これは私はまだどういう数字かよく検討いたしておりませんが、ただ予算におきまして医療費総額の一〇%を計上いたしておりますので、その範囲でどういう数字になりますか検討すべきことだと考えております。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 意地悪く言うわけでありませんけれども、こういう種類の提案の仕方というものは国会に対する態度としては不都合なことで、あなた方に申し上げたところで何でしょうから、ほんとうはこの点は大臣にはっきり御答弁を聞かなければならぬのであります。しかし他の機会もありましょうし、まだ時間も残っておりますからその節にいたいと思います。  そこで今あなたの御答弁は、何か総医療費の一〇%の中で万事解決がつくようにおっしゃっておりますが、それがつきますかどうか。あなた方としてこういう医師会と三役とのことについて知らなければ別ですけれども、あなたは今承知しているようですが、回答のことについては御存じですか。自民党から民社党へ回答したのをちょっと読んでみましょう。われわれの質問の方は略しますけれども、回答書は三月三十一日付の自民党から民社党あてのものであります。「医療費問題に関し我党三役と日本医師会、日本歯科医師会代表との間の協議について御質問がありましたので左の通り回答いたします。記、一、交渉の経過内容及び結果についてはその都度報道機関を通じて詳細発表してありますので更めて公表する事項はありません。二、三十六年度医療費関係予算は総医療費の一割程度の引上げを前提としておりますので此の枠内で七月一日から改訂しようとするものであります。其の後は更に引続き検討を加えることになっておりますが此の検討の結果予算の不足を生ずるような改訂を行うことになれば当然補正を必要とすることになりますし又その際は患者負担をどうするかという問題を生じてくる訳ですがそれは検討の結果にかかっており今日明示することはできません。」ここまではけっこうですが、「三、一円を相当上廻る額ということであり額は具体的な数字をきめてありません。四、現在の規定が他との振合い上適当でないと考えられますので速かに是正の措置を講ずるようにするのでありますが是正の内容は尚具体化してはおりません。五、地域差の撤廃制限診療の緩和等についても検討を加え明年度予算において必ず解決したい考えであります。」こういうふうに要領よく答弁はいたしておるのであります。   〔柳谷委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、今これだけ読んだのではわからぬと思いますが、あとは御存じのように、四は入院料、往診料、歯科補綴についてということであります。こういうように答弁はかなり苦労して書かれておるようでありますけれども、あなた方は専門家ですから説明を要しないと思います。とにかく補正予算を必要とするようなことになるかもしれぬし、ならぬかもしれぬということになるのですけれども、全体から見れば、なるだろうということでしょう。そうなれば、あなた方の責任は別なものになるかもしれません。そこで問題は十月の一日からこの改正案を施行されようとしておりますが、これは何か含みがあるのでございましょうか。この点先に伺っておきたい。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 この十月一日からやりますのは、半年間諸準備を、他のいろいろ予算を組んでありますが、準備期間を十分にして、十月一日から非常に増額されるこの大きな執行を能率的にやろう、こういう意味で、結核もそうでございますが、合わして十月一日にしたわけでございます。医療費の引き上げ等とは一切関係ございません。もちろん予算には、七月からもしあればということで予算は組んでありますが、これとは無関係でございます。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 そうしますと、準備期間は十分にとったというわけですが、医療費の今のような協定が実施されるということは、政党政治の場合ですから、私はあるだろうと思います。そういう場合に、この提案されておりまする案件とは全然関係がないというふうにとってよろしゅうございましょうか。あるとすれば、どういうふうに持ってくるかということをちょっと念のために聞いておきます。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 直接関係はございませんが、予算は、この十月一日以降の下半期分にも、従来の平均一件当たりの医療費に一割を用意して、この予算に組んであります。それから前半期の半年分についても、七月からの値上がりがあってもいいように、これはほかの国保その他と同様に、この精神衛生は精神衛生なりに一割を一応予定して組んであります。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 この問題は多分に政策や、あるいは党の関係と閣僚や内閣との関係があるようでありますから、これはまた他日に留保いたしまして、その節伺う機会があると思います。  そこでもう一つ伺っておきたいと思いますが、この法案の中で私どもが非常に強い関心を示しておりますのは、診療方法——専門的にはどういうことになるかわかりませんが、しろうと考えで、診療方法という、法律の中に書いてある文句でいくべきだろうと思いますが、平たくいいますと、この精神病患者は他の患者と違いまして、当人はそれほど苦痛を感じていないかもしれませんが、第三者から見ますと、一般の病人とは異なって、自由はもちろん拘束する必要があるであろうと思います。治療などについても、他の患者と違って、いろいろな訴えその他が、ある程度みずからそういう正常な精神を喪失しておる患者でありますから、それだけにひとしおやはりこういう法律を施行される厚生省としては特段の配慮が払われなければならぬ。率直に私どもの感じを言いますと、かなりむごいと思うのです。私は外国のものを一、二しか見ておりませんけれども、財政が許せばということになるかもしれませんが、先ごろのまあ二兆円の予算の中で、しかも社会保障を指向するという池田内閣の性格からしますと、もっとこういう精神病患者に対しては行き届いた保護が行なわるべきではないかと思う。当のそういう問題を直接扱っております。日本で一番重要な地位についております局長の見解があるだろうと思います。一体従来通りでしんぼうせいというのであるか、いや、もっと許すならば、こうしたい、ああしたいという意見があるだろうと思うので、この点について一つ専門家の意向を局長に伺っておきます。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 今度の改正案にございますこの診療方針、それから費用算定という部分の御指摘と思いますが、これは社会保険の中における精神病の治療と同じようにしようという意味でございまして、決して精神病の治療とその他の疾病と合わせろという意味ではなくて、これは今まででも社会保険の中で十分多数がやられておるわけで、その例による、こういうことであります。しかもなお入院措置患者でございまするから、その者に対しては、それによれないような非常に特有な症状も起こり得ますので、それを今度の新設の二十九条の二の二号で、それによりがたい場合には、精神衛生審議会の意見を聞いて、厚生大臣がさらに別個な定めもできる、こういうような今の御意見の点をおもんばかりまして、さらにこういう条項を設けたわけでございます。大体御意見に従って目的を達せるのではないか、こう存じております。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 そこで私どもは専門的なことの知識はありませんから、どう伺っていいか戸惑っておるわけですけれども、一見いたしまして、非常にこの患者は気の毒だ。外国にもいろいろな施設があるようでありますけれども、一見して非常に病人らしい優遇をして、いろいろな点が行き届いておる。私は国内のものを二、三この審議をするために自分で見に行きまして、あれはひどいと、すぐそういう感じがいたします。その点について、一体厚生省のそういう関係を取り扱っておる人としては、ああいう状態でしんぼうしてもらうというのか、あるいはこうしたいという御意見があるならば、今後ほかの予算を審議する際に心しなければならぬと思いますので、一つ伺っておきたいと思います。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 これはおそらく、先ほどからも御意見がございましたように、精神病院に専門家の職員がなかなか得にくいとか、それから設備がかなり古い面がございまして、木造のままで非常に設備が改善されておらない、そういうような関係から、そこにたくさん入っておるものでございますから、いわゆる病院の所遇が、他の余裕のある病院にゆっくり入っておる場合と異なりまして、非常に悲惨な感じを受ける場合もあります。今のところ治療問題そのものについては、特別に何をしてはいかぬというような制限はそれほどないわけでございまして、むしろ治療問題よりも入院環境、これを逐次施設人員等を改善する必要がある、こういうふうに思っておるので、これを十分指導していかねばいかぬ、こう思っております。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 私、わずかな時間をちょうだいいたしまして質問いたしたわけでありますが、ぜひ一つ精神病患者については特段の御配慮をして、しかも限られた人のためにやることでありますから、予算措置などについても、国会におきましても、われわれは大いに努力をいたす所存であります。ぜひ一つ徹底した保護が行なわれるよう当局に十分な留意を願いたい。そういう意味で、われわれはこういう改善については積極的な賛意を表しながら、まだ幾多の不満を感じておるわけであります。どうぞよろしくこういう問題について前進を続けてもらいたい。またいずれ、他の案件とも関連があるようでありますから、伺います。  以上をもちまして私の質問を終わりたいと思います。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 滝井義高君。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 多くの同僚の皆さん方から精神衛生法の一部を改正する法律案についていろいろ御質問になったのですが、重複しないように二、三の点について質問をしたい。  先般来ここでいろいろと御説明があったところによりますと、全国の精神障害者が百三十万であるというのですが、その百三十万をいかにして把握するかということについては、河野委員からも指摘されておりましたが、なかなかその出た根拠その他については疑義があると思うのです。しかし現在その百三十万の中で収容を要するという者が四十七万ある。これはここに出てきておる統計ではっきりしております。ところが、現在実際に在院している患者の数は八万三千五百七十二人、従って在院が八万三千ということは、病床が七万九千七百八十四ですから、明らかに潜在的な入院をしなければならない精神病の患者というものが非常に多いことをこれは具体的に示しておると思うのです。従ってそれらの者をできるだけ早く入院させて治癒をはかろうという意味で、国民健康保険においても七割の世帯主の給付をやろうとしたのだろうし、あるいは精神衛生法で都道府県の負担が今まで二分の一であったものを八割国がみましょうということに前進したのだと思うのです。しかし、何せこれは七万九千しか病床がないのですから、いかにがんばったところで、一定の限界があることは明らかです。まず潜在的な精神病患者を病院に収容する政策としては、病床の数をふやさなければならぬと思うのです。最近われわれが、多分岡君なんかと一緒に私的な精神病院についても三分の一の補助をつける法律を作った。まず現在そういう法人以外のものにも三分の一の補助を出す政策が行なわれておるかどうかということが一つと、それから医療機関の整備計画の中における精神病床の増加の構想というものは一体どうなっておるのか、この二点を御説明願いたい。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 補助の方では三十五年度、六年度、いずれも公的医療機関である法人に対する補助予算を組んでおります。これは三分の一補助。それから公立の精神病院に対する補助は二分の一の補助、これも組んでおります。純粋の私的な法人に対するものは三十五年度以降一応組んでおりません。これは三十五年度から医療金融公庫によってこれの方の融資の道があるということで、医療金融公庫の創設に従いまして、一応この方はやめにしたわけでございます。  それから全体の医療整備計画、これは医務局が中心になりまして、総合的な長期計画をいろいろ立案中でございます。この中で、精神病のベッドは実に多いほどいいのでございますが、さしあたり五年後に十三万ベッドというのを、ごく最近の目安としては必要じゃないか、この五年計画というのは三十五年度からでございますので、三十五、三十六、三十七、三十八、三十九年度までには一応十三万ベッドをさしあたりの目標にして、これはぜひ実現しようという最小限度の目標を今私の方の局では一応めどとして出したという形で、その他の全体の厚生省としての確立した総合計画という公式のものには、まだそれ以上の確定数は出しておりません。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 まず第一に、三十五年度以降、結局私的な法人に対する補助を中止しておるわけです。私はこういうところにやはり公的医療機関優先だと疑われる節が出てくるのじゃないかと思うのですよ。私的な法人といえば相当大きなものになるわけですが、私的な法人でもあるいは公立でも、精神病院を建ててほんとうに熱心に精神病の撲滅、治療に当たろうとする人々は、やはり一視同仁に扱わなければいかぬと思うのです。資本主義政党の自由民主党が私企業、いわゆる私的な資本を基礎にして経済の発展をはかろうという政策をお立てになっておるのに、病院行政だけがそういう点に欠けておるというところに、現在の自由民主党の医療政策というものが官僚独善的な傾向に陥っておるんだという疑いをかけられる一つの具体的な要素があると思うのです。あれは議員立法であるにもかかわらず、われわれに何らの相談もなく、こういうものを自然にやめてしまうということは、私はけしからぬと思うのですよ。これがそもそも大臣に来てもらわなければならぬところですが、こういうものが来年度から復活できるかどうかということです。今年からでも補正予算を組んでやらなければならぬ。医療金融公庫で出す、これは補助金じゃない。医療金融公庫よりは年金福祉事業団というものはもっと利率が安くなる。私的医療機関と公的医療機関の二本立でやるとおっしゃっておられながら、私的医療機関にこういうものがやられないということは非常に問題だと思うのです。こういう点が目を離しておるとすぐ停滞してしまう。これは作ってから三年か四年しか動いていないのですよ。これはあとで大臣が来たらお尋ねしますが、局長としては責任を持って、ことしはできなくても来年度から出す意向はありますか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 これは医療金融をとるときに、今の日赤その他の方の公的の方は、厚生年金その他ございまして、そちらで十分な融資の道をとるというので、一応ばらばらじゃ工合が悪いという考え方でこういうふうにしたわけでございますが、これはまた適当な私的医療機関で、しかもその県には公立その他もなかなか拡充が困難なところは、それにかわる全体の精神病床増加に必要だという場合もあるかと思いまして、私としては将来そういう方面にも補助予算の拡大をはかりたいという意思でございました。これを通すときから大体そういう話し合いで、必要に応じてはそういう面も含める、こういうような形で予算はきておるわけでございます。従って必要ならば今後そういう方面も要求する、こういうつもりでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 まあ必要ならば、では工合が悪いのであって、これは当然現在の日本の医療政策をやる上において重点を一体どこに置かなければならぬかというと潜在的に入院希望が非常に多い精神病院であるということは既定の事実ですよ。だからこそ国民健康保険においても七割の本人に対する給付という前進が行なわれたわけです。そのものについて、今まで議員立法で補助金をつけるようにしたものを昨年度から削るということはおかしいと思うのです。それで医療金融公庫ができたから削ったというならば、公的医療機関には今後還元融資はやらないのかということです。それをやらないといわれるならば筋が通ります。公的医療機関には還元融資をこれからはやりませんといっておっても、しかしやはり公的医療機関なり公立には三分の一とか二分の一の補助金を出しておるのです。  大臣もお聞きになったと思うのですが、実は精神病院の設立についてはわれわれ議員立法で三分の一以内の補助金をつけることになって、そうしてこれによって相当私的医療機関が一生懸命に、この精神病のベッドがなかなかふえないので、ふえるように努力をしてきたわけです。三分の一以内の補助金といったって、多分四分の一くらいしかつかなかった。あとの四分の三は高利のお金を借りてやってきたわけです。それでどうにか病舎が建ってきたのですよ。これはあとでも触れていきますが、公的なものはみんな古いのです。とにかく国立なんかの、この前焼けた久留米の精神病院なんかトタンぶきなんですよ。哀れな存在であった。そういうことではいかぬというので、今後はそれをカバーするものとしてわれわれが三分の一以内の補助金をつけるという議員立法を出してやった。ところがそれを去年からおやめになっているのです。それを、ことしといっても無理でしょうから、来年から復活してもらえるかどうか、法律は生きているのですから。だからこの精神病に対する政策というものは、四十七万人も入院しなければならぬ者がおるのだ。ところが現実にベッドは七万九千のベッドしかないのだ。だから七万九千のベッドで、精神病院のはやるといいますか、非常にいい医者がおってどんどんはやっているところは、廊下にまでみんな入れていますよ。だから行政監察が、これはけしからぬ、こういう入れ方はけしからぬといって指摘しているのです。そうなれば当然こういうものに補助を打ち切らずに、補助を出してどんどん建てさせるべきなんですよ、入院したい人が四十七万もおるのですから。ところがその需要に応じ得るのは八万しかない。しかも五%もよけい過剰入院させて、行政監察からけしからぬと指摘をされているのですからね。まずこの点は、病院の整備計画の方はこの次に伺いますが、どうですか、復活できますか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 さしあたり私から……。あくまで当時医療金融の方の新しい制度がとられるのに、ということで、むしろこういうような非営利法人に対する補助のような抜け道があっては差しつかえるだろうということと、それから当時日本精神病院協会から、向こうの方の融資を大額にしてもらいたいので、両方の場合には、こちらの方を遠慮するというように内意をわれわれ予算を組む前にある程度伺いまして、一方に力を入れるということで、当時そういう事情で切りかえたわけで、基本的に非営利法人にはもう必要ないのだというような基本的な線から三十五年度予算から切りかえたわけではございません。従って今のほかとのつり合いで総合的に精神ベッドの増加にダブったりなんかしないようにうまくさばきがつきまして、法律に規定しておりますような非営利法人に対する補助をまたもとのようにする必要がある、した方がいい、こういうことになりますれば、これはぜひその方にまで拡大してベッドの増加を促進することに努めてもいいのではないか、こう思っております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 拡大した方がよければ、ということではなくして、現在公的医療機関なり公立のものには三分の一と二分の一を補助しておるのですよ。そうすると二十九年以来そういう私的な法人の精神病院についても補助をするという立法ができたのですから、その立法を何ものの許可も得ずして、国会の許可も得ずして勝手にやれということはけしからぬということです。これは国会の意思を無視しておる。われわれ立法した国会に一言の相談もなくして勝手に行政がおやりになるのだったら法治国家というものは成り立たない。行政というのは立法した法律を忠実に実行していくのが行政です。法律は生きておるのですから。そうして私的医療機関は必要はないのだ、医療金融公庫ができたから必要はないのだ。そうなれば公的医療機関なり公立になぜ二分の一なり三分の一をおやりになるのか。しかも還元融資はいっていないのかというと、いっておるのですから、理屈は通らぬですよ。だから私はすみやかに復活をしてもらって、そうしてこの四十七万の要収容患者をすみやかに収用する体制を作らなければならぬと思うのです。私の言うことは間違っていないと思っておる。私は筋の通ったことしか言っていない。古井厚生大臣は就任間もなくて、そういうことは知らないでしょうから見落しておったのではないかと思う。これは尾村局長の補佐よろしきを得ないと言わざるを得ない。これは古井さんには文句を言う筋合いはないと思う。こういうこまかいところまでなかなか古井さんは気づかないと思います。しかし今年はやむを得ません。だからあやまちを改むるにはばかってはいけないのですから、来年度からはぜひ、この法律は生きておるのですから、やってもらわなければならないと思うのですが、それはできるでしょうか。   〔委員長退席、柳谷委員長代理着席〕

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 実はこの非営利法人に入ります患者は、予算面ではこの通りにしてありまして、ただ使う内訳の規定といたしまして、大蔵省との話し合いで非営利法人の中の、いわゆる医療法の条例で規定する公的医療機関という非営利法人にだけ今度組んだという形になっておるわけでございます。従って法的には今度の予算において、この法律にあります通り、公的医療機関と指定されない非営利法人にも使えるわけであります。ただ組みました趣旨がさようなことでございますので、優先的には日赤、済生会のような公的医療機関が先に選択することになろうかと思いますが、実際には使えますので、ことしの三十六年度予算におきましても、これは十分考慮しても大丈夫だ、こう思いますし、なお三十七年度以降の予算につきましては、公立の補助とそれから非営利法人の補助、それも今のような公的医療機関であるものと公的でないものと両方含めまして要求したい、またその必要がある、こういうふうに存じております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ぜひ来年度からは明確に区分をしていただきたいと思うのです。今年もなお予算の弾力的な運用で、非常に必要だという私的な非営利法人に対しては、何とか工夫すれば出せるようにできるという今の御答弁ですから、出せるようにしていただきたい、こういうことでけっこうだと思います。  次に、三十五年度を初年度として五カ年の間に十三万ベッドということになるのですが、この十三万ベッドというのは、私的なものと公的なもの、これを分けたらどういう比率になっていくのですか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 現在いわゆる国公立が全体の中の二割を占めておるわけです。実を言いますと、先ほどからの措置入院患者等は、できればこの法律が規定しておりますように、府県みずからのものに入れるというのが建前でございますので、この比率をふやしたい。従いまして二千百ベッドの補助予算のうち千五百ベッドは実は公立で組んでおります。公立のパーセンテージをふやしたいところなんですが、しかし全体といたしまして毎年八千ないし一万ベッドふえていく、この中でひもつきの千五百をふやしましても、全体の二〇%の比率は上がらぬわけでございます。下がりこそすれ上がらぬ可能性がございます。従って将来の比率が、十三万になった場合も約二割の二万七、八千ベッドというものが公立で、その他は公立以外、こういう比率で一応予定しているわけでございます。これは実行可能な線ということも考えて計画しているわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、五カ年間で現在約八方のものが十三万になるわけですから、五万ふえるわけですね。五万増加する中の二万七千程度を公的なものにして、二万三千が私的なもの、こういう形になるのですか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 そうではなくて、でき上がりました十三万の中で公的なものが約二割、それ以外のものが約八割で現在の比率とほとんど変わらぬ、こういうことでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 こういう現実に立つと、ますます私的なものに対する三分の一以内の補助というものが必要になってくるのです。これは私、文部行政でもこの前行って少しやったのですけれども、とにかく現在精神病患者の八割程度というものは私的なものによってまかなわれておるとするならば、ますますそれに対する改善の政策というものをとってやらなければいかぬですよ。そういうところではやはり欠けておるところがあるのです。従って公立をふやして私的なものをそのままに野放しにする、ただ医療金融公庫の金を貸せばそれで済むというわけにはいかぬと思うのです。だからこれはやはり公平な、一視同仁的な行政を両者に対して行なっていただきたいと思うのです。しかしどうしてもこの地区には精神病院を作らなければならぬ、そういう申請がないというような地区についてもどしどし公的なものをお建てになること、これはもうわれわれは大歓迎です。  次は、調べてみますと、発病から入院までの間が非常に長いのです。結核においては早期診断、早期治療というのが結核治療の要諦であるように、やはり精神病でも同じです。精神病の発病なら入院までの状態を調べてみると、半分は一年以上で入院しています。そうすると一年以上たって入院する人はなかなか寛解するにもしにくいということがあり得るわけです。これは一体どういうところに原因があるかということです。昔ながらの、精神病というものを一家から出すと祖先に申しわけないというようなことで隠しておるために、こういうことになるのか。それとも、精神病と貧乏というのは普通一般の病気よりかもっと密接な関係がありますが、そういう関係で経済的な理由からこういう形になっているのか。そこらの発病から入院までの期間が他の疾患に比べて長い、これに対する対策を一体どう考えておるか、その原因はどこにあるか、それについて御説明いただきたい。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 要するにからだの疾患と違いまして、これを専門家による精神障害としての正確な診断に——本人はもとよりございますけれども、本人は精神障害の常で自発的にという自覚症状はないわけでございますから、保護者がその正確な診断に持ち込むまでに非常な時間的なおくれがある、これが第一でございます。さらに、そういうふうにこれは精神科の診断上受けなければいかぬと思いましても、ただいま御指摘のように秘匿したい、自分の家族から精神病患者が出たと断定されるのをおそれるということと、それからもしそうなった場合の将来の経済的な負担、家族へのいろいろな負担、こういうことが合わさりましておくれているわけであります。従って精神病のある程度以上の者を早く専門家の目に触れさせて、治療の必要のある精神障害者であるということを定めるのが第一の必要な要件であろうかと思います。これがいろいろな事情で、専門家の少ないこと、今いいました家族側の背後の理由からなかなか進まない、こういうことであろうかと存じます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 今いろいろ御指摘になりましたが、発病から入院までの期間が非常に長いことは事実です。従ってこれをすみやかに発見をして入院をせしめるためには、特に私はこの措置入院という点から考えてみると、福祉事務所の活動というのが非常に重要になってくるわけです。これは行政監察の方にお尋ねするわけですが、この精神衛生関係における福祉事務所の行政活動というものは一体どういう実態になっておりますか。

稲木進総理府事務官(監察審議官)

○稲木説明員 福祉事務所の方には精神衛生行政はあまり直接の関連性はないと思いますが、この生活保護の適用を受ける患者につきましては、最初に一度福祉事務所の方に参りまして、福祉事務所の方で精神衛生法の適用を受けさせるべきだというふうに考えた者を、保健所でありますとか県の方に通報手続をとる、こういうふうになっております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 私が言いたいのは、措置入院というのは結局入院まで一年前後経過した者が多いということですね。五割以上の者は発病以来一年以上経過しているのです。従ってそれまでには相当あれこれとお医者さんを迷って回っているのです。そしてもういよいよ経済的にどうにもならぬ、だからこれは福祉事務所だ、こういうことになるのです。だから福祉事務所が一番の窓口になるのです。いわゆるボーダー・ライン層における精神病把握の窓口は福祉事務所になってくるのです。そうしてその福祉事務所にはこういう精神衛生等を扱うケース・ワーカーというのがおるのです。ケース・ワーカーの資格は心理学をやっておるとかなんとかいろいろありますけれども、そういう専門の人たちがある程度おって、そして勘を働かせながら適宜適切の措置を保健所なり、精神衛生相談所にとるというところが問題なんです。現在日本の第一線の福祉事務所はそういうことが欠けているのです。だからこれがなかなかすぐにいかないのです。それは隠していることもありますよ。ありますけれども、民生委員なりケース・ワーカーというのは部落を回っておるのです。そして生活保護の家庭を一々回ってミーンズ・テストをやりながらやっておりますから、これはすぐわかるのです。わかるけれども、精神病というものは一たび入院の決定をするならば一万八千とか一万六千の金が月にかかるし、生活保護法でやれば二割の負担をしなければならぬのですから、その負担が大へんだということになるので、これはやはりなかなか行政の軌道に乗らないのです。だからこれは長引くのです。私の体験によればそうなのです。だからわれわれのところに来て相談をするときには、私が内科に属すれば、一体どうしたら入院できますかという入院の方法の相談ですよ。そうしてうしろにおる河野君が精神科なら、それじゃ粕屋の河野病院に一つおれが紹介を書いてやろうということで、書いてやるわけです。そうすると河野君の方で、君の方はこうやってこうやってすれば、これは生活保護がかかって入院できるんだ。こうなると、今度はそれを河野君の方から教えられて福祉事務所に行く、こういうふうに今逆になっているのです。福祉事務所が見つけて医者にやって入院せしめるというのじゃないのです。もちろんそれぞれ内科なり医者がそういうことをやるのも一つの役割です。役割ですけれども、それは患者が来てから初めてそういうことが行なわれる。来る前にやはりそれぞれのボーダー・ライン層の実態を知っているケース・ワーカーとか民生委員というものが、もう少しこういう点について働かなければいかぬのじゃないか。そうするとこれは一年たたなくても半年かそこらのうちにずっと入院ができる可能性ができてくるのです。そういう点に私はやはり行政の方で欠けておるところがあると思うのです。  もう一つ、行政監察の方でそれぞれの精神病院の実態の調査をおやりになったことはありますか。

稲木進総理府事務官(監察審議官)

○稲木説明員 精神病院の実態調査といったようなものはやっておりませんです。ただ今度、昨年やりました監察に関連しまして、この報告書なりに上がっておりますように、精神病院の特に指定病院とか公立病院につきましては若干の病院を選びまして、その措置患者の取り扱いの状況といったようなことを調査したことはあります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 一つ精神病院そのものの実態調査をおやりになってみるといいのです。現在日本の精神病院は収容隔離を目的とした古いものが多いのです。そして近代における精神病学の進歩に適応した医療とか作業療法をやるのに不適当なものが多いのです。私はやはりこういう点についての改善というものに相当金をつぎ込んでやらなければならぬ段階にきておると思うのです。だんだん文明が進めば精神病が多くなってきているのですから、この実態は尾村さんの方は何か改善計画——これは八割が私的なもので、二割が公的なものですから、あなた方が手をつけるのは二割の公的なものから先だと思うのです。こういうものに対する進歩した医療あるいは作業療法を行ない得る体制を一体どういう計画でおやりになるような方法を持っておるのか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 現在経済的の裏づけがある部分と、経済的裏づけをしなくても指導でできる場合と、両方ありますが、裏づけの方に対しましてはこの三十六年度から公立の府県立等には、今度の補助をいたします整備費の中で一部作業療法施設、これは作業に当たる部屋でございますが、そういうようなものをも内訳として今度は明白にとりまして、補助予算をとっておるわけで、今後もやはり時期がきました増床のみならず改築的な設備改善等につきましても、これは補助対象全体についても考えていかなければいかぬ、こう思っておりまして、逐年そういうような内容を入れまして整備費を計上していきたい、こう思っております。  それからもう一つは、一般の病院とつながる問題でございますが、精神病院の経営管理、それから診療等の内容向上につきましては、これは精神病の特有な点もございますので、精神衛生審議会の中に、昨年来病院の設備に関する部会と病院の経営等に関する部会と、このほかに法律改正に関する総括的なものもございますが、とりあえずそれを設けまして、今この部会をかなりひんぱんに開催して精神病院の改善につきましての案を練っておるわけであります。これが出ますれば、法律に基づいた精神衛生審議会というようなことでございますので、この総会の議決も得て答申ももらい、これに基づいて全般的な精神病院の指導に資したい、こういうふうな計画にいたしております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ことしの予算では一億九千七百三十六万四千円、二億以下の金しか整備費が出ていないのですね。これで病床の増加、それから今言った整備というようなことをやるとすれば、これはその改善をされるよりか古くなっていく速度の方が早くて、とても満足した精神病対策というのはできてこないですよ。この精神病というのが、ちょっと見た目は、すぐに命をとらないものだから、まあまあというところで放置されているという傾向が強いのです。むしろこういう政策というものはやはり相当金を入れていく必要があると思うのです。  そこで、これからが一番問題点なのですが、施設もそういう工合によくないが、精神病患者の医療費の支払いの方法、これはこの前からあなた方から出していただいた在院精神障害者治療費支払方法別調べという資料の中にもありますが、この状態をごらんになっても、とにかく自費で入っているのは八・五%しかないわけです。そこで私が問題にしたいのは、措置入院と生活保護というものは、これは大して問題ないわけです。問題は社会保険の三一・三という、この中に一体国民健康保険と健康保険と分けたらどういう割合になるのかということです。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 ちょうどこの表にありますものの、国保とその他各種の保険別の内訳の資料を今手元に用意しておりませんのでまことに遺憾でございますが、ただこの中で国保について言いますと非常に少ないということは今でも申し上げられます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 問題はここにあるのです。これは多分河野さんも言っておったと思いますが、実は精神病でなかなかなおりにくいというのは農家が多いのです。もちろんわれわれの筑豊炭田では炭鉱の労働者諸君も相当精神病がありますよ。しかし農家が多いのです。案外農家が多い。そうするとこれは国民健康保険の対象なのです。そうすると国保と健保というと、三一・三%の中で私はおそらく国保というのは一一%あるかないかだろうと思うのです。結核が大体そのくらいですから、三分の一だろうと思うのです。三分の一以下かもしれません。これは一体どうしてそういう状態になるのかということになりますが、ここでお尋ねしたいのは、治療を受けた場合に、社会保険と精神衛生法と二つあるわけですね。その場合には一体どちらが優先するのですか。精神衛生法が優先しますか、国保なり健保が優先するのですか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 今回の改正によりまして入院措置、いわゆる措置患者に関する限りこの精神衛生法が優先いたします。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、これは大臣にお尋ねすることになりますが、その場合に国保はあとの残りを適用してくれますか。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 精神衛生法の点でございますが、国保におきましては国保の法律の五十六条によりまして、他の法令の規定によりまして給付をいたしました場合におきましては、原則として国保の方は給付を行なわない。ただし患者負担が国保の一部負担よりも多いときはその差額を支給する、こういう原則がございます。従いまして他の法令において四割の給付しかない、それから国保におきましては五割の給付をしておるというような場合におきましては、その差額を一割だけ見ます。それから今回の精神衛生の措置入院でございますが、国が全額持つ、あるいは八割持つという場合には、多くの場合国保の一部負担の割合よりも多うございますから、それはそれで見るわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと結核予防法の方はどういうことになるのですか。結核予防法が優先をいたしますか、健康保険が優先をいたしますか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 今回の改正によりまして結核予防法も命令入所——従来命令でない方の三十四条は予防法が優先しておりましたが、今度の三十五条の命令入所も、精神と同様に予防法が優先いたすことにいたしております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうするとあとの残りは国保で見てくれますか。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 結核予防法におきまして優先的に費用を負担いたします。国保におきましては、その残りの分を療養の給付の総額とみなしまして、それに対して療養の給付その他をいたします。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 全部見ますか。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 療養の給付としては全部でございます。ただし国保におきましては一部負担というのがございます。それぞれの市町村によって違いますが、その一部負担は患者負担になるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 大臣、今お聞きになった説明わかりますか。わからぬでしょう。なかなかこれはむずかしいのですよ。これくらい複雑なんです。いいですか、今国保でいったが、それならば今度は健保でいきますよ。まず精神衛生法で八割を国と県で見てくれた——県が一つも予算を組んでなかったら、八割というものはあるいは国だけになるかもしれませんが、とにかく総額の八割を国と県で見てもらって、あと二割を健康保険で見てくれますね、健康保険の家族である場合は。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 この点、今の国の八割といいますのは公費で、今度の入所命令は本人に対しては公費で見るわけでございまして、その中を県と国が八割、二割、こういうことでございますので、本人の負担は、精神病でかかった場合と、それから結核の場合に自己負担があって、最初から援護率をかけて五%だけ公費以外に本人が負担するという、その本人の部分について保険との関連が起こるということでございます。公費は、原則として命令入所した場合には全額を見て、ごく一部本人の負担がある場合にそれに応じてとる、こういう建前で、二割、八割の線は出て参りません。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 二割、八割の線は出てこないといっても、理論的には出てくる場合もあり得るわけです。たとえば本人が金を幾分出し得るのだということになったときには、あなたは二割を持ちなさいとなるわけですから、ボーダー・ライン層で二割を持ち得る資力があるというときには、そしてその者が健康保険の家族であるという場合にはあり得るわけでしょう。これは多いですよ。そうしますと、健康保険はあとの残りの二割を見てくれますか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 私の方で御質問の内容を受け取り違いいたしました。  要するに自己負担がかりに二割かかった場合、八割が公費で見た場合にその二割をどうするかということ、これは今度の法律の方で規定しておりますが、一般の社会保険の場合、被保険者自体の場合には、原則として第一今年は入所命令を出さないという扱いです。従って自己負担力のある被扶養者の場合には見てもらえるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうすると、精神衛生法について見てもらえるなら、結核予防法についても当然見てもらえますね。  大臣、今質問した通り健康保険の家族については五割の負担があるわけです。ところがこれは精神衛生法、結核予防法が優先しますから、これがまず先に見てくれるわけです。そうすると残りで患者の負担する部分があれば、健康保険は家族ならば見てくれるのですから、二割あろうと三割あろうと全部見てくれるので、何も問題はないわけです。ところが国保にいきますとどういうことになるかというと、精神衛生なり結核が優先をした、けれども、五十六条で見てくれないのです。だから、保険証を持っておりながら自分が現金を払わなければならぬ。これは一体どういうことなんです。一体どうしてこれを直さないのかというのです。   〔柳谷委員長代理退席、委員長着   席〕  健康保険よりかもっと貧しい中小企業と農民の皆さん、いわゆる被保険者の六割以上の諸君が一万五千円以下の階層だ。これをやらないのです。これは私は数年前からあなた方に指摘しているのだけれども、こういうときにまだ直してないのです。これは当然理論的に直さなければいかぬ。これは、国民健康保険法の改正案を今度お出しになるでしょう。その国民健康保険法の五十六条で、一たび他の法律が優先して適用されたら、あとはもうだめなんです。一体なぜこんな条項を入れなければならぬか。健康保険は残りを見てくれるのです。ところがこれは見てくれない。これは私は直ちに直してもらわなければならぬと思いますが、大臣、直していただけますか。

森本潔厚生事務官(保険局長)

○森本政府委員 ただいま御指摘のように国保におきましては、他の法令で療養の給付をした場合には国保では見ない、ただしその患者負担が一部負担より多い場合にはその差額を見る、こういうことでございます。これは今御指摘のようにいろいろ御議論があると思いますが、大体の立法の趣旨を考えてみますと、各種の保険の中で、医療保障の中で、国保が特に低い。医療保障において最低と申しますのは大体五割給付という意味で、低いわけであります。従って、少なくとも五割というものは国保で見ることになっております。少なくともそこまでは必ず見よう、それ以上につきましては、結核といわず精神といわず、見られない場合がある、こういう趣旨でございます。従って、精神といわず結核といわず、一般の疾病につきましても同様のことがございます。たとえば児童福祉にいたしましても生活保護にいたしましても、その他各種の社会医療がございますが、それらの法律におきましても同様の趣旨をとっておりまして、どこかの制度によりまして最低の五割を保障しよう、こういう考え方が根底にございまして、しかも国保というものはいわば社会医療の中での一番低いものでございますが、その医療を保障して、こういう建前でございます。そういう建前からいたしまして、言葉をかえて逆に言いますと、少なくとも五割は保障をいたしますという気持で立法されておると思うのでございます。その点、今後いろいろ問題があろうと思いますが、今後の問題といたしましては、社会保険あるいは広く保障制度の総合調整というような問題の一環といたしまして、検討しなければならぬと考えております。ただいままでの立法趣旨というものにはやはりそれなりの理由があったものと考えます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 少なくとも森本さんの今の説明ではおそらく大臣、納得いかぬと思うのです。僕も納得いかぬのです。国保は最低だから、五割保障したらあとは見ないでもいいというわけにはいかない。精神衛生法なり結核予防法が優先して見てあげようといっておるのですから、優先するものは優先してもらったらいい。五割見てもずっと少なくなっておるのですから、保険料もかけておるのですから、あとは見てあげましょうというのが親切です。健康保険はそうやっておるのだから。結核予防法も同じですよ。結核予防法は八割見る。あと二割残る。一応二割残るとして、国保は二割の中の一割を見るのですよ。そして一割を患者に負担させる。ところが、健康保険はその残りの二割を全部見てやる。こういう不公平を、皆保険政策をおやりになろうとするときに残しておくことはいかぬと言うのです。私はこれは何回も指摘した。一回は予算委員会で指摘した。その前に個人的にも指摘したのです。これは言葉でこう言うのはやさしいのですが、今度は法律的にそれがどういう組み立てになっておるから、今私が言ったようなことになるのか、これはおそらくここで説明できぬですよ。何条にどういう条項があるからこうなるのだということを一ぺん御説明できればやってもらいたいと思うのです。結核予防法の何条でどういう条項があるからこうなる。健康保険のどこと国民保険のどこが違うからそういう結果が出てくるのだということの御説明をみんなにわかるようにやってもらいたい。これはなかなかできませんよ。これは私に説明をしてくれなくてもいいから、一ぺん大臣によくわかるように説明をして下さい。大臣にこれを聞いてもらっておく必要がある。こんなばかなことはないですよ。健康保険と精神衛生がコンビネーションになった、組み合わせになった場合は何にも出さなくていい。ところが国保だけは金を払わなければならぬ。場合によっては国保は全然保険証が使えぬのだ、こんなばかなことはないですよ。ところが、ここで幾ら述べたって、へ理屈になっちゃう。現実はそういうことは許されないのです。(「財政の関係だよ」と呼ぶ者あり)財政の関係だと言っておるけれども、財政の関係ならますます個人の財政は悪いのですから、これは見なければいかぬですよ。これは大臣、今私が御指摘したことでおわかりになったと思うのですが、すみやかにこれを改善をしてもらわなければならぬと思います。こう言いますと、いや社会保障制度審議会が総合調整をやるから、それを待たなければならぬとか何とか言いますけれども、こんなものは社会保障制度審議会にかけなくたってわかり切ったことです。当然やらなければならぬ。それを幾ら言ったっておやりにならないのですから、古井先生に期待をしてやってもらいたいと思うのですが、どうでしょうか。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 ただいまの点もあるかもしれませんし、保険それぞれでばらばらになっておって内容が非常に不均衡であるという前々の問題があります。内容はできるだけ均衡をとるようにやっていくということになれば、国保の内容を改善するというところに焦点がどうしてもくるように思うのです。そこでこの問題は、全体としてぜひ詰めてみなければならぬ。こういうわけで、お話しのように社会保障制度審議会でも全体の調整問題を検討してもらっておりますけれども、厚生省の中でもやはり積極的にある程度自分たちの手元でこれを検討してみたい、そしてあまり時期をはずれないうちに結論を出してみたいというわけで、医療保障の総合審議室でもこの問題は検討することにいたしておりますので、保障樹皮審議会だけを待っているつもりもありませんから、あわせてその点のみならず、おそくならぬ時期に何らかの結論を出してみたい、こういう考えでおるところであります。一々が実現できるかどうかわかりませんけれども、予算時期と食い違っていろいろな答申が出たりしますとおもしろくないものですから、これとにらみ合わせてわれわれの方は検討してみようじゃないかという行き方を今しておりますので、しばらく研究させてもらいたいと思っております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 あまり同じことを何回も指摘させないように、すみやかに検討してもらいたいと思うのです。  それから、今まで結核予防法では社会保険優先の原則だったわけですが、今度は結核予防優先の原則になったでしょう。ところが精神衛生はどちらが優先か書いていないですね。これはまず、どうして社会保険優先であったものを結核予防法優先にしたのかということ、それから精神衛生法には、同じような措置入にそれをどうして何も書かないのか、同じようにこれは国保においては七割に前進する、同じように今度は国が八割を見ましょう、こういう全く行き方が同じ立法の中で、どうして片方には優先を書いて、片方には書かないのか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 精神衛生法は昭和二十五年に今の法律が議員立法によってできたのでありますが、そのときに社会保険各法との問題を顧慮せずに、措置命令を出した場合には、とにかく公費で見るという形ででき上がったものでございます。当然のこととして優先的に解釈もされ、またこれは法的にもそれでいいと思いますが、そういうことできております。結核は昭和二十六年、さらにその後改正がありましたが、これが最初立法のときから社会保険各法との調整が入っておりまして、三十四条、すなわち一般の医療費負担の方については、結核予防法が優先、それから三十五条の命令入所については社会保険が優先という建前で法律が作られておったものでございますから、それを今度精神衛生法と同様に合わせる。これは行政管理庁からの同じように合わせろという勧告もむろん参考にいたしたわけであります。それによりまして精神と同じようにこれを直しまして、三十四条、三十五条ともに予防法を優先ということを、従来法規があったものでありますから、その条項をそういうふうに改めた、こういうことでございまして、精神衛生については従来そういうふうに何もないゆえに、これを優先しておるから、わざわざその調整規定を起こすまでもない、こういう解釈でそのままにしてあるわけです。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ところが現実は、県によっては、行政監察も指摘してきておるように、先に保険を精神衛生に適用するのでしょう。そうしてあとの残りだけを措置でやるのですよ。こんなことはざらです。そうでしょう。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 それは勧告の点はわれわれこういうように解釈しておるのであります。当然最初から鑑定に付してその人間を措置を命ずるべきものを、その鑑定の経路を経ないで、先ほどもお話のありましたように、普通に医療扶助でいく、あるいは社会保険の普通の精神病の同意入院と同じように扱われる、それで扱っておる途中に、今度必要を生じて鑑定をいたしまして、それから今度切りかえていくというのは相当数あると思いますが、費用的に半分は先に生保なり他の社会保険が見ておいて、残りの部分を入所命令を出してその残りの部分だけを公費で補うというようなことはもちろん指導もしておりませんし、これはあってはならぬということで、われわれの方ではキャッチしておらぬわけです。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 行政監察の方は……。

稲木進総理府事務官(監察審議官)

○稲木説明員 私どもの方で調査いたしました結果で、今お話しのように措置につきまして社会保険の方に請求しておるという事例が一、二出ております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 一体それはどこに原因があるかということです。ところが府県の負担分についても、結核予防法についても精神衛生法についても義務ではないのです。義務的に予算を組めということがないのです。ここなんです。だから従って知事が結核予防行政に非常に熱心な知事ならば、保健所で審査をして、そうしてきたものを全部どんどん組んでいくでしょう。あるいは精神衛生だって同じです。ところが貧乏県とか熱意のない知事になりますと、今まで県は公費四分の一ですが、四分の一組まないわけです。組まないから前進しない。だから幾ら結核審査会ですが、ここがいったってやりはしない。それと同じです。だからこういう立法をおやりになるならば、国が八割見ますけれども、しかし都道府県の支弁する分については都道府県は必ず義務費として予算は組まなければなりませんよということを入れないところに底技けがある。どうしてこれをお入れにならないのかと思う。これはずいぶんわれわれこの委員会で再三にわたって指摘している。そうしますと、県は見ざるを得ない。国もまた今度は八割は見るのですから、あとの二割は県が支弁をしたらいい。ところが、行政監察の方で指摘しているように、この精神衛生法の施行令の三条「法第三十条第一項の規定による都道府県の負担は、厚生大臣が自治大臣及び大蔵大臣と協議して定める算定基準に従って行うものとする。」この算定基準が自治大臣や大蔵大臣と厚生大臣が協議してきめられておるかどうかということです。これはきめられていない。だから、県は負担の基準がないから、私がさいぜん指摘するように、それは君自費でやれ、こうなる。自費じゃできません、じゃ措置はあとだ、先に健康保険でやれ、こうならざるを得ない。特に国保なんかそうやらざるを得ない。四十六条があるからです。一たび精神衛生が先にいったら、本人から金をとるよりほかにない、国保が働かないのですから。やるべきところをやってない。こういう無情な行政が行なわれている。だから、都道府県の負担するところを義務的な経費にもせずに、厚生大臣、大蔵大臣、自治大臣が基準も決定せずに、都道府県に負担せよと言ったって、それは底抜けです。その負担はどこにいくかというと本人にいく。だから私が知っておるところでは、ある県立病院に奥さんが入院をして、だんだん入院料がたまってきた。病院からよくなったから奥さんを迎えに来いという通知がきたので行ったのです。ところが六カ月分の入院料の君の負担分がたまっている、だから君それを持ってきたろうな、こういうわけで、いや、私は実は炭鉱に働いておって、とても入院費用を払うだけの金はありません、勘定も今ありませんから、もう十日待って下さいと言ったら、そうか、じゃ君の奥さんはもう一カ月かかるよ、こう言って奥さんを人質にとられて、私のところに泣き込んできた人がある。そうならざるを得ない。病院だって、金を持ってこないのに奥さんを帰しちゃったら、あとの金がとれないのですから。だからこれは人質にとられたわけじゃないけれども、家内を帰してもらえないと泣きついてきた例があるのですよ。こういう点はそのしり抜けを、やはり都道府県にきちっと義務的なものにして、そしてその負担の基準をお作りになって、その分については交付税の交付金で見る、こういうようにきちっと国が立法上の措置をしてやらぬ、ととてもこれはだめです。わずかな金でもちりも積もれば山となるのですから、今後精神衛生行政を推進していこうとすれば、当然そこを見てやらぬといかぬです。その通りでしょう。その通りならその通りと言っておいて下さい。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 御意見の通りでございまして、今度は基準につきましても、前の政令を法律に書き上げるというふうな改正をいたしております。それから義務の問題も、命令を出した以上は今度は義務費にするということで、命令それ自身は判断でございますから義務というわけにいきませんが、命令を出しますれば、義務費の扱い、府県が出したものに対して国はまた義務費、こういう形に今度は改めております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 その通りとお認めになれば、ぜひ一つ政令その他についてもきちんと基準を定めて、そしてできるようにして下さい。それから都道府県の支弁する分についても、今度まだ義務費にはなっておらぬでしょう。「支弁とする。」と書いてあるけれど、都道府県が予算を組まなければ、それまででしょう。第一額がわからないんだから。そういう点行政上ちょっとわからぬけれども、今まではしり抜けになっていることは確実です。今度のこの三十条でそういうことが全部防げるというのならば、これはまた話はだいぶ違ってきますがね。都道府県が支弁する分については義務的に予算に計上するということに読めますか。それから今までは都道府県の支弁する分については政令で定めることになっておったわけです。ところが今度は「都道府県の支弁とする。」こう三十条でやりまして、その二項で、政令の定むるところによって十分の八を負担するということになっておる。政令があとになってきておるのですよ。僕はこの立法上の技術問題はよくわかりませんけれども、これによって今申しましたように都道府県が義務的に経費を予算に計上しなければならぬことになったのだということになれば、これはまたそれで今後の前進は見られると思うのですが、そう読めるのですか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 これは法制局とも立法のときに相談いたしまして、命令を出した者に対して府県が支弁するのは義務費、こういうことで、従って精算が必要になれば精算もワク外に出たものはする、国についても同様、こういうような趣旨で、これは義務費として提出しておるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そういうことに読めれば、ぜひ一つそういうきちっとした指導をしていただいて、基準その他についてもお定め願いたいと思います。  それからもう一つ、もうこれでやめますが、この入院料が健康保険以下に組まれているんですね。これは行政監察の方も指摘しておるのです。たとえばことしの公衆衛生局の方の予算を見ても、四百八十二円が四百九十六円になっていますね。そしてこれは公費負担が九割だから、一割はどこかが負担することになるわけですよ。それからもう一つ、次の方の下半期になりますと、単価が五百三十六円になっておるのです。ところが精神病なんか、ちょっとすると五百八十円とか六百円ざらですよ。これは河野さん専門で、そこにおりますけれども。これで五百三十六円の九割五分を公費で負担するのですから、結局これはへまをすると、この入院料が健保以下になるのですよ。従って入院料が健保以下になるというのは、治療費が今度制限を受けることになるのです。従って近代的な治療というものが精神衛生法そのものではなかなかやれぬという状態になる可能性がある。それならば生活保護にしてもらった方がいい、こういうことになる。だから精神衛生法と生保とが競合するようなボーダー・ライン層では、生保でいった方が得なんです。そして一切の一部負担その他を解除してもらうということの方が、患者は安心していけるのです。へまに精神衛生法に乗っちゃって、これは九割だ、あと一割は君が持てとか言われた日には大へんだ、こういう問題が出てくるのです。これは健康保険以下の予算しか組まれていないのです。むしろこれは健康保険か健康保険以上の予算を組んでいないと問題になってくるわけです。ここらあたりをもう少し——これは予算ですから、その運用によって何とかなっていくのだが、しかし過去における行政監察の実績は、そういうことが明らかに指摘されているのです。そして、健康保険以下の入院料で、しかも治療を制限している連中があるということは、行政監察の報告の中にも出ております。私が知っている予算の範囲でもそういう形で出てきているわけです。こういう点は指摘をされておるのですから、せっかく命令をして措置入院をさせようというならば、やはり十分にその医療機関に迷惑をかけず、患者にも迷惑をかけないような状態を作っておくことが必要じゃないかと思うのです。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 従来は診療方針並びに報酬額を県と直接当該指定病院と契約しておりましたので、結果において低かったのでございますが、今度は全部法律によりまして健康保険の例によるといたしましたので、これは決して差はできない、必要な精神病治療は、健康保険、同意入院等と同様に行なえるわけでございます。また予算の方もそのつもりで事業予算として組んでおるわけでございまして、そのうち国費分として八掛を組み、そのほかにさらに一割の値上げを予定してそれも組んでおる、こういうふうな予算の立て方でございますから、もし健康保険の例によって、足りなくなればそれは当然先ほど言いましたように精算して追加すべき問題で、従来の精神衛生法の運用でも赤字は追加をしておるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、もう一つの問題は、今度下半期になりますと、その生保の患者なり国保の患者を精神衛生優先の原則で組みかえてくるわけですね。移しかえをするわけです。その場合に生保の方は——これはいずれにしても一部負担がある場合にはちょっと問題が出てくるのです。いわゆる併給の場合は問題ないと思います。医療扶助と生活扶助とが併給されておるときは問題ないのです。親方日の丸ですから、全部見てくれるのです。ところが一万五千九百五十二人の移しかえの中で単給のものが出てくるわけです。すなわち、あなた方が出している生保の関係で、入院している者の一九・二%、約二割というものは一部負担があるわけです。そうすると、一万五千九百五十二人のこの移しかえの中に、生保を今まで受けておったのに精神衛生に変わる者がこの中でどの程度占めておるかということです。一万五千九百五十二人の中に一部負担の者はどの程度いますかということです。それが一つと、それから七千四百五十一の、これは国保等と書いてあるから健康保険もあるのかもしれないが、この関係です。国保で措置入院を命ぜられるくらいの人ならば、むしろ精神衛生にやってもらうよりか生活保護でやってもらった方がありがたいという人が出てくる。さいぜん私の指摘した、国保を持っておるがためにあとのものは自分で現金を払わなければならないことになるわけですから、ここにむしろ選択権を与えてもらって、もう私は精神衛生には行きません、福祉事務所さん一つ生保にして下さい。これは生保の方は補足の原則ですから、それはまかりならぬ、お前は精神に行けということは福祉事務所は言えるわけです。言えるわけですけれども、第一線の福祉事務所にしてみれば、私は金がありません、だからどうしても生保にやらせてくれ、こうなると、やはり人情がわいて、生保にやらざるを得ないという形になると、この国保等への移しかえという七千四百五十一が減って、一万五千九百五十二の生保からの移しかえというものも減る可能性があるわけです。それはもう生保の方がいい。併給の者以外は保険証をみんな持っているわけです。そうすると上には単給のものもあるわけです。だからこういう微妙な問題がからまってくるのです。私はいろいろこれをやってみたのです。ところが、行政の第一線の人が国保と健保と生保の法律に精通していれば、これは自由自在、行政に有利な方に切りかえていくことができるのです。なるべくうまい組み方で市町村に負担をかけないように有利に有利にとやることができるのです。これはいろいろな例がありますが、めんどくさいから言いませんけれども、たまたまこういう法律を研究していなければできないが、少し熱心に研究してみればできるわけです。こういう微妙なものは、私はこれはもう最後ですから大臣にお願いないんですが、一つの病気をなおすのに、二つも三つも四つも法律が作用しなければ、精神病とか結核がなおらぬということがおかしいのです。精神衛生法とか結核予防法というものは治療までやることはいかぬ、治療面は全部国民保険とか健康保険でやります。結核も精神も病気のときにはこの一本の健康保険でいきましょう、そして精神の分については七割とか八割をできれば国がやったらいいのです。皆保険で、みんな保険証を持っておるのですから。それをわざわざ二本立、三本立にしていくところに問題がある。精神衛生法と結核予防法の一部負担と国民健康保険、三本立でいって、法律のどこかで国保は適用しないのだというようなむずかしいことは、国民はさっぱりわからぬですよ。こういう病気のことですから、法律を国民にわかりやすくするためには一本にするのに限る。だから結核予防法における治療面と精神衛生法における治療面は全部国民健康保険に移してしまう。この精神と結核の支出した保険費については国が七割見ます。八割見ます。こうやったらいい。そういうふうに単純化しなければとてもわかりにくくてだめです。これは大臣同感でしょう、どうですか。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 まことにどうもややこしい規定になっておるように思いますが、専門家のあなたでさえそうおっしゃるのだから、ややこしいに相違ないのでございます。いろいろ立法の沿革や技術上の問題もあるかもしれませんけれども、よく研究して、おっしゃるようにできるか、私もすぐわかりませんけれども、研究して結論を出したいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 これは非常にわかりにくいのです。あそこにいらっしゃる厚生省のあなたの方の事務官の専門家とずいぶんやり合ったのです。やり合ったけれどもなかなかわからぬのです。法制局にいってやってもなかなかわからぬのです。私は実はこれを修正しようとしたのです。ところがあまり複雑で修正案が作れないのです。だからきょう僕は悲しいかな修案正を作れないのです。法制局でも作れぬくらいわからぬのです。白状いたしますが、これはきょう修正案が作れないくらい複雑なので、手を上げて質問をすることにしたのですから、ぜひ一つ大臣、御検討になっていただきたいと思います。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 河野正君。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 時間もないようでありますから圧縮してやりますので、答弁の方もよろしく御協力を願います。法律そのものずばり関係することを二、三取り上げまして、締めくくりとして御所見を承りたいと考えます。  まず第一に、午前中の質疑の中にもどうも釈然とせぬところがございますので、一点お尋ねをいたしたいと思います。それはこの精神衛生法では他の施設と違って、第四条の中に「都道府県は、精神病院を設置しなければならない。」こういう方針が示されておるわけです。対照でございます結核予防法の中では、必要があるならば都道府県、市、地方団体は精神病院を設置し、さらには拡充せよ。必要があるならばということなんです。そこでまずお伺いをいたしたいと思います点は、他の施設にない強い要望というものがこの法律に示されておるわけです。この本質的なねらいは一体どこにあるのか。まずこの点をお伺いいたしたい。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 これは精神衛生法の運用の中心を、ほとんど全面的に府県知事の強い権限と判断にまかせて運用するようになっております。しかもその中には医療そのもののほかに人間を拘束する、治療をするのにもかぎをかけて拘束する、非常に強い強制措置が並行してありますので、そういう建前から、府県みずから経営する責任を持った直接の精神病院をまず用意してこの法の運用に遺憾のないようにする、こういう建前がこの四条の都道府県立精神病院設置の趣旨であろう、こういうふうに解釈しておるわけでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 私、午前中の質疑の中で釈然としなかったのは、今の答弁のニュアンスから、お伺いするところによりますと、措置入院を中心として考えるから今のような法の規定があるということであるならばわれわれ了承するにやぶさかでない。ところが単に言葉のまま伺いますと医療国営——医療公営という言葉が正しいと思いますが、医療公営に通ずるような印象を受けるわけであります。そこで実はその本質的なねらいがどこにあるかというふうにお尋ね申し上げたゆえんはそこにあったわけです。この措置入院を中心として考えるからそういう方針が示されておる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 その通りでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 それから時間がございませんが、次には、これも午前中の質疑の中で若干出て参りましたけれども、釈然といたしませんので、ちょっとこの際お伺いを申し上げたいと思います。それは、行政管理庁からもおいででございますが、その勧告の一節の中に、精神病院の職員の配置が基準より下回るものが非常に多い。これは具体的にはいろいろ数字も述べられておるようでありまするが、その原因が一体どこにあるのか、この点も一つこの際お伺いいたしたいと思います。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 これはやはり精神関係の専門従事者がわが国において根本的にまず少ない、これは養成にもつながる問題でありますが、これが一番の原因であると思われます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 専門家が少ないということだけであるのか、あるいはまたは、たとえばこれは一例でございますけれども、ある公立の精神病院においては、院長はいますけれども精神科医長という者がおらない、こういう実例があるわけです。具体的に申し上げますと、福岡県の筑紫保養院という県立病院がありますが、ここには院長はおりますけれども精神科の医長はおらぬ。精神科を専門的に標榜しておりまする公立病院の中で医長がおらぬというふうな、きわめて不可思議な現象が生まれてきておるわけです。これはその専門的な職員の絶対量が少ないということも一因でございましょうが、一つには、そういう専門家に対しまする処遇、これは精神病院に限らず、一般の官公立病院の職員の給与が非常に低いということで、一般病院の場合にも敬遠されるという傾向があるわけです。これは大臣に御検討願わなければならぬと思うのは、精神病院に限らず、官公立病院のそういう専門的な職員の処遇の問題は、ぜひ一つ将来御善処を願わなければならぬというふうに思います。  それからもう一つ御検討いただきたいと思いまするのは、これは単に医師のみならず、精神病院という施設は特殊な施設でございます。この中には医師がおりますると同時に、看護員と言ったり看護人と言ったり、いろいろな名称がございますけれども、いわゆる医療に従事する男の職員がおるわけですね。ところが法律の中では保健婦助産婦看護婦法というのがあるわけです。それと同等な資格を持ち、また同様な試験、検定を受けながら、実際には保健婦助産婦看護婦法の中の看護婦に準じてそういう専門職務に従事をしておるという特異な例があるわけです。ところがこれは男なんです。それに準じますると、看護婦に準ずるわけですから、女の方に準ずるわけです。だからそういう点も、職員が精神病院の中で基準配置を下回る私は非常に大きな原因になっておるのではないかというふうに考えるわけですが、この点はやはり法律を改正していただいて——たとえば町の散髪屋さんは理容師法と言い、パーマネント屋さんは美容師法というふうに、それぞれの特殊技術というものを尊重して、単独法が設定されておるわけです。ところが精神病院で特にそういうふうな重要な役割を演じておる職員の処遇というものが、法律ではっきり明示されておらぬというところに、私は非常に大きな欠陥があると思うんです。こういう点に対して将来大胆がどのような善処をしていただけるか、この際一つ御所見を承っておきたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 まず人員が足らぬという問題があります。その原因が何であるか、いろいろ見方はあるかもしれませんが、待遇の問題も確かに大きな関係があると思うのです。これは給料などの待遇、それからまた今の精神的に影響のあるような扱いの上の待遇、そういう点もあるかもしれぬと思います。それだけかどうかわかりませんけれども、これは法を手入れする必要があるならば大いに研究しなければならぬと思います。今の女に準じておるのがばかげておるかどうか、それはわかりませんけれども、一つの研究ものだと思いますから、これはよく研究いたしましょう。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 これは他の業種も関連して参って、非常に不適当な処遇でもございますので、ぜひこれは善処、御検討をいただきたいと考えております。  それから時間がございませんから、さらに端折っていきたいと思いますが、今日新しい言葉でございますけれども、成人病という言葉が使われて参りましたし、この成人病の予防週間というようなものが設定され、非常に成人病対策というものが重要視されてきました。もちろん精神障害者が成人病ずばりではございませんけれども、ある程度の関連性はあると考えております。そこでいろいろお聞きしたいと思いますけれども、時間もございませんから、取りまとめて私が申し上げますので、それに対しまする御所見を承りたいと思います。この成人病の特徴は精神病の特徴とよく似ているわけですが、疾病に対しまする原因というものがはっきりしないということは、成人病も精神病も大体一致いたしております。精神障害者の場合には、中にはそのものずばりの治療法もございますけれども、大部分の患者は対症療法ということで、そのものずばりのきめ手になるような治療法がなかなか見出せない。そういう点も私はやはり精神病と似ておると思うのです。成人病と精神障害者というのはそういったきわめて密接な関連がございます。わが国の医学というものは、すでに局長も十分御承知だと思いますけれども、個々の研究、そのもの一つ一つの研究は世界的な高い水準にあるというように私は確信をいたしております。個々の研究に対しましては高いレベルでございますけれども、それらに対しまする総合的な研究、たとえば、わかりやすく申し上げますと、基礎医学、臨床医学、こういうものがてんでんばらばら、最近新しい傾向としては、これを総合的に研究をやっていこうという機運が非常に強くなって参りましたけれども、日本医学の一つの欠陥としては、そういうように個々のものは非常に高いレベルでございますけれども、総合いたしますと非常にてんでんばらばらな形で行なわれておる。そういうところに私は一つの大きな障害があったと考えております。そういう意味で、これはもちろん大学あたりの教育機関でもそうでございますけれども、国の厚生行政としてもやはり今の日本の医学の特徴というものを十分考え合わせて、そうして厚生行政としてもやはり医学の体質改善というものを行なうべきでないか。そういう形によって精神病対策もある程度成果を上げ得る、それから成人病予防対策にいたしましても大きな成果を上げ得るというように私は考えるわけであります。ところがこれはやはり高い行政指導の立場に立って厚生大臣がそういう方針を示されぬと、示されぬと、セクト主義というものがあってなかなか思うようにいかぬと思うのです。将来厚生行政のあり方としてはそういう方針でぜひ臨んでいただきたいと思いまするが、そういう点に対しまする御所見を承っておきたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 お話しの点は相当専門的な面もあることでありますから、専門家の意見も聞きましたり、私もしろうととして気のつかぬ点もありますので、その点も聞きましたりして研究をしたいと思います。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 ぜひそういう点についてもあらゆる角度からお取りまとめ願って、今申し上げまするような万全の対策を講じていただきたいと思います。  時間がございませんから、最後に取りまとめて総括的に大臣の御所見を承って参りたいと考えます。  もちろん今度の精神衛生法の改正によりまして精神病の対策に対して一つの成果を上げ得るということは、私どもも確信をいたしております。しかし私は単に国の負担率を上げるということだけで一もちろんそのことによって多少でも解決すると思いますけれども、すべてが解決することには相ならぬと考えております。やはりこの精神病予防の根本的な対策としては、精神障害者の特殊性を十分考慮に入れなければならぬ。そのために先般の委員会におきましても私は所見を述べておきましたように、精神衛生法の第二十九条というものに対してある程度考慮をめぐらさなければならぬのじゃないかと思う。と申し上げますのは、法二十七条に基づいて結論が出て参りましても、この二十九条によりますると必ずしも都道府県知事は入院措置をしなければならぬということになっておらぬわけです。「入院させることができる。」ここに大きな欠陥があると私は考えております。いやしくも法二十七条の規定によって当然措置入院させなければならぬという結論が出たならば、二十九条もそれに即応して入院させなければならぬというふうな法の規定に改正をしなければならぬ、これが一つの方法だと考えております。それから第二は、保護拘束の問題がございますが、この保護拘束の問題に対しましても私は将来大きな検討を加えなければならぬと思う。それから第三には、精神障害者の場合は再発率が非常に高いわけでございますから、これは寛解状態に入りました患者に対しまする後保護対策を強力に推進しなければならぬ。二十九条の改正、保護拘束の問題、それからさらには後保護対策、この三つが総合的に実施されて初めて私は精神障害者の根本的な対策というものが達成されるというふうに考えるのでありますが、そういう点に対しまする取りまとめての大臣の御所見を承って私の質疑を終わりたいと考えておるのであります。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 この二十九条の措置入院の点、これは規定がこうありましても、やはり当然そうしなければならぬという運用をするのが精神に合うのだと私は思います。ですから今の規定もおっしゃられる通りに運営できる、またしなければならぬと思いますが、法の体裁の問題は若干あるかもしれません。研究の残る問題があるかもしれません。今は保護拘束の措置をとらなければならぬという、一応強制的な形にはなっておりますが、足らぬところがあるかないかも検討してみて、もっと万全を期する道があればこれも一つの問題だと思います。最後の後保護の問題でありますが、これは今後も大いに整備しなければならぬ面として、残っていると思います。今後の問題だと思いますので、よくこれは考えてみたいと思います。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 二十九条の法文改正は体裁の問題じゃないんですよ。実際にそういう抜け道があって、そういう抜ける方法が行なわれておるので、私はかちっとすべきだ、こういうことを申し上げておるわけですから、ただ体裁の問題というふうに解決されると非常に困るわけです。実はこれでやめるはずだったけれども、そういう答弁をされたので、そういう点において一つぜひ体裁の問題でなくて実質上そういうことが行なわれているんですから、当然これは考慮する、そのようにお考えを願いたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 おっしゃるような意味にこれは運用もしていかなければならぬと申し上げておるわけで、そういう運用は今でも、直す前でも運用していきたい、運用するのがよいことだと思いますので、体裁の問題だけでなしに、実質上もさっそくにもおっしゃるように運用していきたい、こういう考えですから御了承を願いたいと思います。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 これにて本案についての質疑は終局いたしました。     —————————————

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 引き続き本案を討論に付すのでありますが、申し出もないようでございますから、直ちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  これより精神衛生法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なお本案に関する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 御異議なしと認め、さように決しました。  次会は明六日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十八分散会      ————◇—————

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