社会労働委員会 第21号
- 発言数
- 168 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/03/30
会議録
○山本委員長 これより会議を開きます。 精神衛生法の一部を改正する法律案、結核予防法の一部を改正する法律案及び国民健康保険法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、審査を進めます。 質疑を許します。河野正君。
○河野(正)委員 三法案の審議ということでございますけれども、本日は特に精神衛生法の一部を改正する法律案を中心として若干の質疑を行なって参りたいと考えております。 なお冒頭に委員長に要望いたしておきますが、そもそも法律案そのものは大臣の責任において御提案がされておるわけでございますから、事務的な面あるいはまた技術的な面につきましてはそれぞれ事務当局にお尋ねをするといたしましても、一方政治的な問題につきましては、最終的には大臣に御所信を承りたいと考えておりますので、その点はあらかじめ御承知おきを願って私の質疑に入りたいと考えております。 御承知のように、今度の精神衛生法の一部改正に基づきまして都道府県知事が行ないまする措置患者の入院費に関しましては、完璧でございませんけれども、やや前進をいたしましたことは御案内の通りでございます。しかし、精神障害者の対社会的な問題、あるいはまた受診の問題、さらには治療の問題、予防の問題、そういう問題を解決して参るためには、私はいろいろな方法がなければならぬと考えております。もちろん今度の精神衛生法の一部改正もその一つの方法でございましょうけれども、やはり私は、抜本的に解決しなければならぬ問題が多々あるというふうに考えておるわけでございます。厚生省から、これは昭和二十九年ということでございますから少々古いのでございますが、資料が出されております。その調査によりましても、精神障害者の概数というものは大体百三十万。しかし、実際問題として、この精神障害者の実態を捕捉するということは、なかなか至難のわざでございます。特に、どういう範囲を精神障害者というふうに認定するのかというものの見方、立場によりましては、非常に幅が出てくる問題でございますことは御承知の通りだろうというふうに考えております。いずれにいたしましても、昭和二十九年に調査されております百三十万という数字を大きく上回るであろうということは容易に察知される事柄でございまして、私は結核予防と並んでこの精神衛生という問題がいかに重大であるかということをきわめて強く痛感するものでございます。そこで先ほど申し上げますように、精神衛生法の一部改正もそうでございましょうけれども、単にそういう小手先の対策だけでは、こういう重大な問題を抜本的に解決するということは不可能である。そこでそういう精神障害者に対します抜本的な対策としてどういうことをお考えになっておられますか、この点きわめて重大でございますから、まず第一にお尋ねを申し上げておきたいと考えております。
○尾村政府委員 精神衛生対策として、いわゆる重症の精神病あるいは重度の精薄等、この精神衛生法でいいます精神障害者の中の重症対策だけではだめなのでありまして、もちろん発生予防というところから考えませんと、百三十万人にも達するというようなこと、さらにそれを上回る中等あるいは軽症の者を考えますと非常に多い数でございますので、発生した重症者だけを対象としていたのでは、全くこれは解決がつかぬということでございまして、抜本的な対策としては、これらの収容対策、治療対策にあわせまして、発生予防対策としての家庭あるいは職場その社会環境一般における精神衛生上の指導対策、これが非常に重要なわけでございます。脱衣のところこれに当たっておりますのは府県立の精神衛生相談所それから保健所の精神指導係、これが中心になりまして、その地域の精神衛生に関連のある職場の指導者その他への協力も求めましてやっておるわけでございます。従ってこれらの実際の生活の中における精神衛生の指導、監督あるいはこれらを助長する機関の強化、これが今後の対策の一番大事な点であろうかと考えます。もちろんこのほかに、さらに発生防止の中では遺伝的な関係あるいは母体の胎児時代におけるいろいろな障害の発生に基づきます精神障害というものも相当多数ありますし、さらにあるいは習慣からきます。たとえば長期のアルコール中毒とかあるいは麻薬その他の薬物中毒、これに基づく精神障害も相当発生いたしますので、これらの社会習慣というものもやはり精神衛生の立場から相当規制したり、あるいは精神障害を起こさぬようないろいろな指導が必要である、かように思うわけでございます。もちろん一方現に起こっております精神障害者を重くしないように早期の治療、従ってそれには収容施設の拡大、それから治療を受けるための今般のような医療費保障の強化充実、こういうことはもちろんあわせていかなければならない。なおそのほかに、ただいまのいずれをいたしますにいたしましても、専門的な従事者の確保ということが今非常に不足をきたしておりますので、従って医師を初めこの精神衛生に専門的に従事する者の養成、これらをあわせてやっていって初めて基本的な対策が進む、かように存じておるわけでございます。
○河野(正)委員 方法として、現在発生しておる患者の収容の問題が一つ、それからさらには今御指摘の発生予防対策、これが一つの方法。ところが現時点におきますこの収容の状態、これにつきましても、後ほどいろいろと詳しくお尋ねを申し上げたいと思いまするけれども、非常に満足すべき状態にないということは、これは行政管理庁も勧告いたしておりまするし、これはもう否定することのできない事実でございます。それから発生予防対策の点でございますが、なるほど今お答えがあったように、都道府県の精神衛生相談所さらには保健所を中心としてのいろんな対策というようなお話もございましたけれども、これまた実際に府県の状態、保健所の状態等見て参りますと、内容きわめて貧弱なものでございますし、ほとんど専門家がそれの中に入り込んで行政指導をやる、あるいはまた発生予防上の指導をやるという形がとられておらないわけです。そういう実態の中で、これが精神障害者に対しまする抜本的な解決方策だ、こういうふうなお答えを願っても、これは了承するわけには参らぬと思うのです。要は、今御指摘になったような、たとえば現時点において発生しておる患者に対する収容状況をだんだんよくする、それから第二は都道府県がやっております精神衛生相談所を充実する、こういうような形がとられれば、それはあるいは厚生省が考えておられますような一つの対策として成果を上げ得るかもわかりませんけれども、今のような実情のもとでそれが単に抜本的な施策だとおっしゃっても、私は実効が上がっていかぬと思うのですけれども、要はその内容をどうするかということが私はきわめて重大だと思うのです。たとえば都道府県の精神衛生相談所とおっしゃるけれども、なかなか声を聞きますと、都道府県の精神衛生相談所というのですからりっぱな相談所のごとく考えますけれども、これはもう相談所に専門家が一人おってそれもほとんど非常勤ですね。他に兼職があって、その下に何人かの職員がおる、こういう状態で、私はこういう状態をさして抜本対策ということは聞えないというように思いますが、そういう内容の点についてどのようにお考えになっておりますか、重ねて御所見を承っておきたいと考えます。
○尾村政府委員 御指摘の通り、非常に必要な基本的な対策でありながら、現実には弱体でありまして、人も少ない、これはもう確かでございます。御説の通りであります。そのために、せっかくの今計画しております精神衛生の大きな進展が一向進まぬで、実に残念に思っておるわけでございますので、今の御指摘のような点が過去におきまして全精神衛生相談所の現実でございましたが、昨年来この中で有力な、たとえば神奈川県とかあるいは東京都というようなものが施設も完備いたしまして、それから人も専門の医師以下を充実するという形で、徐々ではございますけれども今の一つの方針を明示いたしまして、近づくようにいたしております。本年も精神衛生相談所の充実につきましては、前年よりも若干の増額を見ておりまして、これを極力強化推進していく。それから収容、治療施設にいたしましても、今般費用がある程度精神病患者につきましては大きな伸展を見ましたが、入れたものについては、常時全国的に見ますと超過収容の状況であります。年々約八千ないし一万ベッドの全国的な増加を見ておりますが、まだ現在の時点ではベッドが非常に足らぬということもございますので、この点につきましても、国費の補助、それから金融措置、ことに医療金融等も昨年度発足いたしておりますので、これらをあわせて従来よりも一そう充実拡充をはかる、こういうことをぜひ努力したい、こういう方針でおるわけでございます。
○河野(正)委員 私が今御指摘を申し上げましたように、いろいろ方針は示されますけれども、内容が伴わない、そこにこの問題の解決をはばむ重大な壁があったというふうにも考えておるわけです。御承知のように、現在におきまする患者の収容にいたしましても、これも昭和三十一年度におきまする政府の調査でありますが、この調査によりましても寛解あるいは軽快、このレミッションあるいは軽快というのも合わせましても大体五〇%以下なんですね。それほど精神障害者は治療を施しましてもなおりにくいということ、言葉を返しますと、精神障害者というものがだんだん蓄積されていくということになるわけですね。と同時に、この発生予防についても政府が強く力を入れていかなければならぬとおっしゃっておりますように、文北の進展とともに精神障害者がだんだんと発生してくる。そこでこの二つの結果が出てくるわけですね。そういう実情でございますので、私はやはりこれは言葉の上の対策でなくて、現実に、なるほど今この精神衛生法に基づきまする補助額の増額あるいは医療金融公庫に対しまする金融措置というようなお話がございましたけれども、実は医療金融公庫の改正が行なわれます本委員会の席上におきましても、こういう実情を訴えて、そうしてこの金融措置については特別の配慮というものが必要ではないか、こういうふうに実は申し上げたのです。これは公衆衛生局長も医務局長も同じ厚生大臣の下の所管の局長でございますけれども、医務局長は必ずしもそういう考え方をこの委員会で披瀝されておらぬですね。さればといって精神病院だけを特別の金融措置をしようという考え方はないと言っておるんですよ。局長は、せっかく医療金融公庫法ができたのだから、精神病院の実態というものがそういう実態であるし、ぜひ金融措置についても一つ大きに配慮したいというような御意図でございましょうけれども、実際にはこれは所管の方では、精神病院だけ特別に扱うわけにいかぬ、こう言っている。他の病院と同列に扱う、こう言っているんですよ。そういたしますと、これは全く答弁のための答弁ということであって、そういうことで私どもは納得するわけに参らぬと思うのです。そこで、これは厚生大臣が、それぞれ公衆衛生局長も医務局長も厚生大臣の下の所管局長でございますから、一つ厚生大臣から適切な御答弁を願っておきたいと考えます。
○古井国務大臣 金融公庫の運用の問題について、特に精神病院の方面に厚くというか、重点を置いてという御趣意のお尋ねのように伺ったのでありますが、全体のワクもワクでありますから、思う通りばかりもいかぬかもしれませんけれども、しかし精神病院の施設の方は、やはりまだ不十分で足らないような現状でもございますので、今お話しの辺は、関係の者ともよく相談をいたしまして、極力その方向で研究してみたいと思います。
○河野(正)委員 これは何も私は、一般医療施設と同条件だという場合に、精神病院だけを優先せよ、こういうことを申し上げておるのではなくて、今いろいろ精神障害者の日本国内におきまする実態というものを御説明申し上げ、さらにはそれに対しまする対策というものがどういう状態に置かれておるか、そういう特殊性の上に立って、やはり精神病院は優先考慮すべきではないか、こういうふうに申し上げたわけでありますから、一つそのように御理解いただいて、御善処をぜひとも願いたいと考えております。 それからさらにこの精神衛生法の立法の精神というものは、精神障害者の医療及び保護を徹底化するにあるということに置かれておりますることは、御案内の通りでございます。ところが実際には、財源上の問題を伴うとも思いますけれども、実際には、この精神衛生法の精神はそうでございましても、法の運用というようなものにはいろいろ抜け穴があって、それがために、そういうことがこの精神障害者の医療及び保護の徹底化を阻害するというような結果になっておる点が多々ございます。これは局長も十分御承知の通りだと思います。その一例でございますけれども、この精神衛生法の第二十九条、これには「都道府県知事は、第二十七条の規定による診察の結果、その診察を受けた者が精神障害者であり、且つ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めたときは、本人及び関係者の同意がなくても、その者を国若しくは都道府県の設置した精神病院又は指定病院に入院させることができる。」私はこれは底抜けの一例だと思うのです。自身及び他人に害を及ぼすということが認定されたならば、当然それは措置入院さすべきだ、それが「させることができる。」ですから、させなくてもいいわけです。そういう立法上の欠陥から、今日の精神衛生対策の非常に大きな欠陥というものが生じてきておる。私は根本的にはこういうところにあるというように考えるわけでございますが、その点はいかがでございますか。
○尾村政府委員 確かに、実際にその行動が非常に認識されるような狂暴その他の該当する行動があった場合には、比較的これは納得されるわけでございますが、問題はここにありますように、おそれがある、このおそれをどこまで解釈して、予防的な意味も含めて、この二十九条の強制措置を執行するかということでございます。また乱用いたしますと、片っ端から将来あばれるであろうということで拘束をしてしまうので、人権問題がここで起こるわけであります。そこでこの二十九条を適正にやるために、一つは二名以上が必ず鑑定して、この条項に当てはまるものでなければいかぬという、条件を付しておるわけでございます。それでもなお不十分でございますので、実際にはこの精神衛生法の二十九条の入院措置取扱要領というものを昭和二十八年以来、これはこの方面の権威者を集めて作成いたしまして、それで最も重点を入れましたのは、この自身を傷つけ、他人に害を及ぼすおそれの認定ということで、これは精神病の種別によりましてみんな違うものでございますので、その種類別に、こういうような症状がつかめたならば将来この自身を傷つけ他を害するということの起こる確率が非常に濃厚であるということで、病気ごとにさような非常に詳細なことをきめまして、これで運用しているわけでございます。確かにこの法律の上では「おそれ」というばく然たる言葉を使ってありますので、心配があるわけでありますが、現在のところはさような二つの方法、鑑定医とこの入院措置基準ということで、全国的に行政的に一つの寸法をきめまして、間違いのないように、またできるだけそういう発生のおそれのある者は早目に予防措置ができる、こういうことでやっておりますが、しかし、これでまだ万全でないのでございますので、精神衛生審議会にこれの方の精神治療の部会と精神病院の経営管理の部会というものを昨年以来作りまして、さらに必要とあらば将来の法律の改正案についても現在審議中でございます。従って万全とは思っておりませんで、欠けておる点は近いうちにまたその答申に基づいて直していく、こういう所存でおるわけでございます。
○河野(正)委員 今の局長の御答弁を承りますると、私は非常に大きな矛盾を発見するわけです。というのは、御承知のように、「自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがある」ということであるので、実際の措置入院については、要領、基準によって実施に移していくというような御説でございましたけれども、ところが第二十九条には、明らかに「第二十七条の規定による診察の結果」とあるんですね。もちろん精神衛生鑑定医になるにつきましては、それぞれその人の技能なり豊富な体験なりというものが十分尊重され、また都道府県において審議され、厚生大臣の指定を受けておるわけですね。そういう精神衛生鑑定医が精神衛生法の規定に基づいて、そうして精神障害者の特徴でございまする衝動行為というものを十分含んで、そういう診察の結果を出すわけです。それですから、私は法律で規定されたことが当然優先しなければならぬと思うのです。もしそういう規定というものを無視して、行政上、要項なり入院措置基準によって勝手に入院させたり入院させなかったりきめるなら、何も精神鑑定医の存在価値というものはないと思うのです。少なくとも精神鑑定医は厚生大臣が指定されるわけです。その指定についても、最近ではいろいろ厳格な基準を作っておるようです。そういう人々が結局法律に基づいてそういう判定を行なう。ところが、それが一方においては事務官の裁量によって左右される。こんなばかなことがありますか。絶対ないと思うんです。単におそれがある、それを基準に照らして措置するということなら、私どもも一応肯定することにはやぶさかではございません。ところが、前段の重要な項目があるわけなんです。それを無視して事務官が勝手に裁量するということは許しがたいと思うのです。これは精神衛生鑑定次の名においても今の御答弁は承服しがたいと思う。
○尾村政府委員 ただいま私が二つの項目につきまして説明の言葉が足りずに、誤解を受けたような形でまことに申しわけありません。私の言いましたのは、今の二十七条に基づく精神衛生鑑定医が鑑定しますのに、全国的にある一つの尺度を持った方が、もちろん個人々々は経験豊かで厚生大臣が任命したわけでございますが、しかし、全国に起こるこういう各種の病人の判定をするのに、一つは、最後には行政行為に対する鑑定になるわけでございますので、そのための寸法ということで、それが主たる目的で、入院措置の取扱要領を作ったわけでございます。もちろんこの二十七条の方の診察をするための参考になるということが一番の目的でありまして、それによって出されたものを二十九条の方で事務的に、さらに別に、基準によりまして鑑定医の診察という医療行為の一番大事なものを否定するということは、ほかの法律からもできないわけです。さような意味は毛頭ないわけであります。その点説明が不十分でございまして、御説の通りに扱っておるわけでございます。
○河野(正)委員 実は私は、局長の御答弁をそのまま受け取って今のような発言をしたわけではなかったのです。実を申しますと、今局長が御答弁されたようなことが、実際の行政面において行なわれているわけです。それだから私は、局長はなるほどそういう御答弁をされたな、正直でよろしいなと思って御指摘を申し上げたわけです。しかし、そういう実情を大体局長は御存じないわけですか。
○尾村政府委員 ただいまの、鑑定医の措置入院を必要とするという事例の鑑定が出ながら、なおかつ事務の都合上あるいはその他の都合上これを行政府の方が否定するというようなことは、私今のところまだ実例をつかんでおらなかったのでございます。またそういうようなことがあってはならぬというので、前に、鑑定医並びに担当者の打ち合わせ会を毎年たんねんに催しておるわけでございます。これでも行政指導ではさようなことはないわけでございます。もしかりにあったとするならば、鑑定医の医学的な鑑定の結果と全然別個のその他の事情、すなわちそれは決して経済的とか行政上の事務ということでなくて、年に数ケース起こっております人権関係の家庭とのトラブルというようなことが例外的にあって、これを保留したりちゅうちょしたということが――これは実際に調べてみないといけませんが、あり得るかとも想像されますが、行政上これを押えるということには一切指導しておらぬのであります。
○河野(正)委員 そういうことを指導されたら大へんなことですよ。指導はされておらぬにいたしましても、そういう厚生省の方針というものが、行政上実際に移されておるかどうかということです。もし実際面において厚生省の指導と異った面があったといたしますならば、これはおそらく指導上非常に大きな手落ちがあったというふうに考えざるを得ないのであります。 それから私ども申し上げたいのは、その場合経済上の問題でそういう処置を行なうような点はないというようなお話でございましたけれども、実際はこれが一番多いわけです。実際は、せっかく第二十七条の結果が出ておるにもかかわりませず、行政上の措置に移さぬという場合の理由としては、経済上の理由が、これは表に出しませんけれども一番多いわけです。県の実態を調べますと。それからもう一つ今の御発言の中でございましたのは人権関係云々ということでございましたけれども、私はこれは科学が優先すべきだと思いますよ。どういう意味の人権関係か知りませんけれども、精神衛生鑑定医が、自己を傷つけまたは他人に審を及ぼすおそれが十分にあるという場合に、そういう科学的な根処を無視して今度は別の方の人権といわれたら、実際に今度他人が傷つけられた場合の人権はどうなるか。そうでしょう。やはり患者の人権も必要かもしれないけれども、社会人の人権というものも当然必要です。それがあるから、鑑定医が専門的立場に立って鑑定するわけです。これは当然自己あるいは他人に害を及ぼすおそれがあるということで、結局処置すべきだという判定を下すわけです。その場合に、今度患者の人権があるからということで措置入院させなければ、患者によって行なわれる危害その他の害という点はどうなるのか。患者の人権さえ尊重すれば、今度害を受けるだろう社会人の人権はどうであってもよろしい、こうなったら大へんだと思うのですよ。おそらくこれはちょっといろいろ思いつきでおっしゃったことかどうか知りませんが、実際にはこういう発言が出てくると、これは私は非常に重大だと思う。患者の人権尊重、人権尊重とおっしゃって、そのために今度社会人の人権はどうあってもよろしいということだったら大へんだと思うのです。この点いかがですか。
○尾村政府委員 実際に今人権の例を申し上げましたが、これは非常に例外な問題でございまして、実は毎年数件私どもの方で人権問題が起こりまして、いろいろなそういう相談をするのでございますが、それは今のお話の通り医学的に本人のからだの症状、あるいは精神の症状が入院を要するということには間違いないのでございまして、決してそれを否定する意味ではなくて、ただ従来のトラブルを見ますと、その後におきまして、これを入院した場合本人と家族との関連で、他のいろいろな事情で非常にむずかしい問題が伴いまして、その結果争いを起こす、こういう例が、年にわずかでございますけれどもあります。その内容を見ますと、鑑定の結果を否定する意味ではなく、これを現実に措置するという場合に、ある程度そういうような問題を解明いたしまして、十分な解決をはかって、それから十分な保護を加えた方がいいというような例が毎年二、三例起こっておるのでございます。その場合にはもちろん鑑定の結果がそういうふうに出ておるのでございますから、他人に障害を及ぼさないといういろいろな客観的な措置をやらなければもちろんこれは大へんでございますから、もちろんそういうような意味で、ただ命令を発して、即時強制で入院をさせるのを保留する、こういう例があるというわけでございまして、実際には先ほどの鑑定の結果が出たのにいつまでも入院しないという背景は、主としてベッドがちょうど県下に足らない、あるいは今御指摘のように、表面はそういうことは一切行政側で言っておらぬかと思いますが、県で組みました措置入院費がちょうど枯渇したというようなことで、追加するまですぐに入れられぬという裏の事情等が主でございます。人権問題は決してそれが主ではなくて、ただ毎年あります二、三の例から、そういうことがあるということを申し上げた程度でございますから、その点御了承をお願いしたいと思います。
○河野(正)委員 今の御答弁によりますと、それは一応即時入院を留保して、そうしてそういう前提になりまする諸条件を解決をして、そうして入院させる、そういうふうな意味の御答弁でございましたから、それならば私どもも了承しますけれども、私が御指摘申し上げたのは、そういう人権問題のために、実際に第二十七条の規定によって措置を行なうべきだというふうな判定が出ておるにもかかわりませず、行政上措置に移さない、そういうことがあっては、患者の人権はあるいは尊重されるかもしれぬけれども、社会人の人権は尊重されぬというようなことで御指摘を申し上げたわけでございますから、さように御理解をいただきたいと考えております。御承知のように、措置患者が年々増加をしつつあるということは、これはまあ喜んでいいのか悲しんでいいのかわかりませんけれども、一応現実に出てきた患者に対する処置としては一つの前進だというふうにも考えるわけです。そこで、従来の二分の一の国庫補助から、本法案が成立いたしますと十分の八に国庫負担が増加するわけでございますが、これによって現在の患者がどのように救済されるか。実はさっき局長は、経済上の問題で措置しないというような例はないようにおっしゃった。局長はそうおっしゃいますけれども、これが二分の一を十分の八に増加させる、そうして措置入院制度の円滑化をはかるというふうに法律でうたわれたこと自身が、やはり今まで経済上の理由である程度締め出されておったということを裏づけるものだと私は思うのです。そこで、私はやはり二分の一が十分の八の国庫負担率に引き上げられますと、おそらくこの措置患者の数というものは全国的にだんだんふえてくるだろうと思う。こういう見通しについていかがでございますか。
○尾村政府委員 この十月からの法律改正に基づきまして、その裏づけの措置患者の予算といたしましては三万七千名を計上しておるわけでございます。しかもこれは名でなくてベッドでございますから、もちろん精神病患者一年以上の方が半数以上でございますので、その短い方の回転というものはそれを上回ることはないと思いますので、おそらく一年平均といたしますと、これだけの実数が出入りするということになると思いますが、現在措置命令でやっておりますのは一万一千余名でございますから、明らかにこの措置対象が三倍以上になるということは間違いないことでございます。先ほども言われましたように、経済的な理由で措置が実際行なわれておらぬというのは、逆に言いますと確かにそうなんでございます。ただ、最初から二十九条、二十七条を発動しないでおりまして、いわゆる同意入院その他の形でやっておりますので、直接結びつかぬというわけで、実質的裏づけは、確かに経済的の問題さえ片づけば、知事としては命令を出して、これで早く収容したいということがあるものですから、今度こういう裏づけになった。しかも国庫補助が八割になりますので、従って結果においては措置該当の者で自他に迷惑を及ぼしておる患者は今までよりもはるかに多く収容を見、適切な治療が行なわれるようになる、こう思っておるわけであります。
○河野(正)委員 そこで、この国庫負担の問題と関連をするわけですが、現在でもベッドの利用率というものは御承知のように非常に高いわけです。行政管理庁の勧告によりましても一五〇%というようなところもあるというようなことです。そうしますと、今度三万七千名の予算が計上されたということでございますと、さっそくこれとベッド数の問題と関連してくると思うわけです。そういう問題はどういうふうに解決しようと考えられておるのか、一つお尋ねしたい。
○尾村政府委員 ただいまのお話のように、もし本年度ベッドがふえるといたしましても、現在この三月末から十月までにふえると予測されますのはおそらく数千ベッドにすぎないというわけでございます。そこで今度のは三万七千のうち一万六千名分というのは、これは生保の現在同意入院で入っておる者の切りかえでございます。といいますのは、同意入院で自己負担がしかもあるものということにとどめまして、いわゆる併給でまるまる生保によって入っておる者は現在保護されておるわけでありますので、これはさしあたり対象にしない、一部負担があるがゆえに、これはほっておけば途中なのに金の負担に耐えずして引き取ってしまう、再び措置入院の対象に明らかになるということが思われるものでございますので、この在院の一万六千名を切りかえるというのが一つと、それからあとの二万一千名分につきましては、これは国保の一部負担のある者、その他の一部負担患者で、もちろん在院中の者で、これも経済が枯渇いたしまして、ほっておけば生保の一部負担同様に出て行ってしまうという者に適用したい。その他を、現在申請いたしておりまして、しかもこの措置に該当するという鑑定に付して今年中入れよう、こういうものを残りに充てる。さしあたりこういうことでございまして、もちろんその間に現在十万人ほど入っております精神病患者の中で、年間やはり退院者が相当に出ているわけでございます。これは寛解その他で出ていきますので、もちろんこのあいだベッドにこういうような保障の裏づけのある、しかも重症者を優先的にあとに入れるという方法によりまして、増床分と回転分によりまして在宅の者は入れる、大体そのくらいのワクの中で考えているわけでございます。
○河野(正)委員 先ほど局長が、経済上の問題で二十九条の鑑定を無視した事例は少ないというようにおっしゃいましたが、実際はここにも出てきておるわけですね。要するに当然都道府県知事が措置入院させなければならぬ、それが財源上の問題で行き詰まるものですから、結局一部負担という形で医療保護をして入院する、こういう形になります。このことも実は経済上の理由で二十九条の――私は実際問題を言うわけですが、実際問題を見て、二十九条の判定というものがこういうふうに阻害されておるわけですね。そういうところにやはり精神衛生対策の欠陥というものがあったと思うのです。おそらくそういう意味でこの医療保護の一部負担、あるいは国保の一部負担、現在収容されておりますそういった患者が今度措置入院に切りかえられるということは、実に大きな福音だと思いますが、私はやはり抜本的にはこの二十九条の問題を将来大きく改善を行なってもらわなければ、今もろもろ御指摘を申し上げましたような諸問題が解決するということにはならぬと考えるわけです。この点についての法律改正でございますが、この点について大臣は将来どのように御善処をいたされようとしておりますか、その間の御所見をこの際承っておきたいと思うわけであります。
○古井国務大臣 今お話しの点を含めて、精神衛生審議会で制度の問題等も検討中でございますので、その結果を待ちまして善処したいと思います。
○河野(正)委員 今申し上げましたのが実情でございます。ほんとうに生きた実情でございますので、一つ十分御考慮に入れられまして、将来改正という方向に御検討を願いたいと考えております。 それからこの法案を改正いたしました理由の第二として、措置患者の医療に関する診療方針及び費用について、その規定を整備するとともに、医療費の支払い事務を円滑に処理を行ない、また社会保険診療報酬支払基金に委託する、こういう意味の理由が申し述べられておるのでございますけれども、この改正によって、なるほど一郎においては前進の面もございますが、逆に一面においてはかえって従前よりも退歩する面というものが出てきておることを私どもは指摘せざるを得ないのでございます。と申し上げますのは、たとえば支払い事務のごときも、現在は医療担当者と都道府県当局とが直接やりますので、割合迅速に処理をされたという経緯がございます。今度は一般の社会保険その他の健康保険と同じように、支払基金事務所を通じて行なわれるということになりますと、その面におきましてはかえって事務が遅延をする結果というものが生まれて参ります。そうしますと、この点はこの法律の改正によってむしろ退歩するという面が出てくると思いますが、この点はいかがですか。
○尾村政府委員 支払基金に今度委託することにいたしましたのは、まあ各種のこういうような、たとえば私どもの方で所管しております結核予防法あるいは社会局の生活保護法その他全部支払基金を通じまして、基金の運用によりまして彼我融通の支払い方法もございますし、便利な点もあるわけでございます。ただ心配になりますのは、御指摘になりましたように、支払基金でございますと翌々月の二十日までに支払われなければならないというとどめはあるわけございますが、現在府県によりましては翌月支払うということを、これだけをやっておる衛生部局でございますから、やり得ているところがあるわけでございます。それが一カ月おくれるという結果になる部面が、退歩のような形になるわけであります。ただ衛生部が直接やっておりますのは、今度の法律改正にもありますように、医療費の規定について特別な契約をしておる。ということは、全国的に見ますと、そういうような県は一般の健康保険あるいは結核予防法等の支払いの額よりも大体一割ないし二割低い額で契約を結んでおる。全国で健康保険の規定より高い県は、精神衛生に関する限り一県もないのであります。非常に不利な形になっておるという形で、それがあるがためにまた従来早いということでカバーした点もあるかと思います。今後は一切結核予防法難と同じ診療報酬でいく、すべて健康保険のあれを用いるということになりましたので、むしろその点では便利になると同時に、内容的にはよくなるわけでございます。その点では同じ立場でいろいろこれを審査したりあるいはめんどうを見ているところに一括してやった方がいいんじゃないか、また合理的であると考えまして、今の一カ月おくれる県が少しでありますが出てきますが、不利はむしろ有利になる点でカバーされる、こういうことで実はやっておるわけでございます。これを県に残しまして、これだけの件数がふえると、年間三万七千件ぐらいの平均にこのままなりましても、出入りを入れますと五万件をこすわけでございますが、これを月々県の衛生部で、しかもその寸法は、県独特のものでなくなって、一般的な健康保険の審査でいいというにかかわらず、さらに別な衛生部というところでやるということになると、これはかえって事務的な面からの遅延が今度逆に起こってきて、今まで一カ月で払えておったものが、結果においては一カ月以上になってしまうということも十分予測されますので、府県当局の実際の事務量も、先般打ち合わせましていろいろ相談いたしました結果、やはり今度の改正案が妥当である、こういう返答を得まして、これをそのまま持っていくことにしたわけでございます。
○河野(正)委員 私は必ずしも今局長から御答弁願ったような方向にはならぬと思うのです。というのは、これは支払基金についてもやはり事務量がふえるわけですから、やはり人員増加するとか、いろいろな面が出てくるだろうと思うのです。なるほど現在都道府県の衛生部でやっておりますが、そういう一つのワク内でこういう作業量のふえたことをやらせれば、それはやはりある程度支払い事務の遅延ということになろうと思うのです。それから先は都道府県のことですから、私は必ずしも局長が今答弁された方向になるというふうには限らぬと思うのです。これは都道府県の職員をふやしてやればできるわけです。それは都道府県の問題ですから、何も厚生省がとやかくおっしゃる問題ではないのですから、私は必ずしもそういうことにはならぬと思うのです。ただそういうことのために、改正されたために、たとえば少ないとおっしゃったけれども、一部の者が非常に不利をこうむるということが私は必ずしも適切じゃない、そういう点から御指摘を申し上げたのですから、そのように御理解をいただきたい。 それから、この診療方針が今度は健康保険並みになるわけですが、そこで私は、きのうの委員会でも問題になりましたように、やはりこの精神科領域における単価の問題、単価と申しまするか、点数の問題と言った方が適切だと思うのですが、これはまた当然関連をしてくるわけですね。なぜ私はこの問題を取り上げたかと申しますると、最近この精神病院のベッド数が非常に不足しておる。そのために精神病院の経営というものが、言葉が適切であるかどうかわかりませんけれども、企業化される。要するに科学技術を尊重するというよりも、営利に走るという傾向が生まれてきているわけですね。たとえば経営者というものが、一般の場合は専門家がそれぞれ医療施設を作るという傾向というのが非常に強いわけですね。外科のお医者さんが外科の病院を作る、婦人科のお医者さんが婦人科の病院を作るというのが常識だ。ところが精神病院の場合は、しろうとが経営する。それはもちろん医師は雇いますけれども、ところがさっきも局長からちょっとお話がありましたように、専門医が非常に不足しておる。そこで実際には専従というよりも、要するにパート・タイムというような形で、実際の経営というものがしろうとに一切まかせられている。そういう意味の企業化という傾向が非常に最近強くなってきている。そのことから、やはり今の精神科領域における技術というものが非常に軽視されておる。これは患者一人診察するにしましても、非常に長い町間がかかるのです。これはやはり何年かそういうような精神医学というものを専攻しなければ、なかなか的確な診断を下すことが非常にむずかしい、そういう実情にあるにもかかわりませず、この領域におきまする技術というものが非常に軽視されているという傾向が私はあると思う。そこでやはり私は、どうもそういうふうな国学、科学というよりも、経済というものが重要視されるという一つの不純な傾向にだんだん移行してきたのじゃないかというように思うのです。やはりこれは人権問題にも関係してきますが、この精神病院の内容というものを充実させていく、経営の水準というものを高くしていく、このために精神科領域における技術というものを重視していかなければならぬと思う。それには今度の措置入院が健康保険に準ずるということになりますると、非常に点数というものが低いのですね、これは大体御承知だと思うのです。この点はいかがお考えになっておりまするか、御所見をお尋ねしておきたいと思います。
○尾村政府委員 現実には先ほど御説明いたしましたように、現在県が契約しておるものは、健康保険の例よりもさらに低い実例でございまして、これは少なくとも今度の改正によりましてそこまで支払いの水準は上げるということでございますが、御指摘の通りに、ことに措置患者の場合には重症あるいはとんでもないいろいろな発作症状を持っている者も相当にいるわけでございますから、これの治療対象が全部健康保険の同意人院、あるいは一般のごく軽い者まで含まれている健康保険の例だけでは不足いたしますので、今回改正して二十九条の二の二項にそれを入れまして、要するにこの健康保険の診療方針、療養に要する費用の算定方法によることができない場合ないしはこれによることを適当としない、すなわち今のような、学問的に見てこういう特殊な例に対しては特別な方針が要るという場合には、精神衛生審議会の意見を聞いて厚生大臣がさらに別に定められるように、今度そこを緩和といいますか、抜け道を作ったわけでございます。これによりまして今後次次と実例が出るかと思いますが、まず今のワク外の問題をできるだけ尊重して、片づけていきたい。それでさらにこういう規定ではまだ不足となって、抜本的な措置が要ればまたそのとき考え直す、こういう思想でいるわけであります。
○河野(正)委員 もちろん措置患者について、そういうふうな審議会等を通じて改善していただく、私これは改善していただきたいと思いますが、抜本的に、措置患者に限らず、自費患者もいましょうし、あるいは健康保険患者もおりましょうし、いろいろな患者が精神病院に収容されておるわけですが、そういうもろもろの精神障害者の治療水準というものを向上させていく、そのためには、たまたま今度の法案の中でそういう方針を打ち出されましたから、私は関連をしてお尋ねをいたすわけでございますけれども、そもそも精神病院の内容を向上させる、そのためにはもっと科学技術というもの、あるいはまた専門的立場というものが重視されなければならぬ、そういう点を軽視するから結局企業化という方向にだんだん移行して、そのために一番迷惑するのはだれかというと患者が一番迷惑するし、患者の人権というものが軽視をされるという結果になってくるわけですね。今日世間でもいろいろ問題が起こっておりますけれども、その原因の大半というものはやはり精神科領域における技術が非常に軽視されておる、軽視されておりますから経済というものがやはり重視される。それだから結局ホテルの経営者が、実際に何も知識がないのに精神病院を経営してみたり、そういうような非常に不純な傾向というものが生まれてきておる。そういう不純な傾向というものを私どもが改善していくために、そういう専門的知識なり専門的立場というものを直視しなければならぬ。そのことと、私は今日問題になっております医療費をどう修正していくか、医療費問題とこれと関連してくると思うのです。これに対する考え方を、一つこれは大臣からお答え願いたいと思います。
○古井国務大臣 関係局長から先にお答え申し上げておきたいと思います。
○森本政府委員 ただいまの御質問は、精神科における技術料が安いというきらいがある、これを考慮しなければいかぬのじゃないかという御質問かと思いますが、この点につきましては精神科といわず、あるいは各科におきましてそういう面があろうと思います。あるいは御指摘のように精神科において特に著しいかもしれません。これらの点につきましては今後各医療行為におきますところの合理的な点数を設定する問題と関連いたしまして検討されると思います。
○古井国務大臣 今の精神科関係の技術料が少し低いんじゃないかという点でありますが、今の点数表でその辺が合理的かどうか、私にも卒然と判断ができないのでありますけれども、あるいは専門的に見てそういうことがあるかもしらぬとも思いますので、これはよく検討したいと思うのであります。点数問題は、やはり純粋に専門的に研究すると、問題の点も若干ある節もあるのではないかと思うのであります。学問上のランキングだという考え方はしばしば強調されるけれども、ほんとうにそうなっているかどうか。たとえば入院料と初診料とだけ上げる、これは学問上のランキングの議論だろうかどうか。医師会は点数は学問上のランキングだとしきりに言っておられます。どうもそこらはよく検討しなければならぬ点もあるので、やはり冷静に学問上というか、専門的に、技術問題は政治論でなしに検討するという問題が、やはり全体論としてあるのかもしらぬと思いますし、これはよく研究する問題にさせてもらいたいと思います。
○河野(正)委員 今私が御指摘申し上げました点は人権問題にかかわりますから――これはお医者さんのな場から言っているのじゃないのですよ。患者の人権という立場から私は非常に重要視をして御指摘申し上げておるわけですから、そういう前提を十分御理解をいただいて、謙虚に聞いていただきたいと思うのです。と申し上げますのは、一般の患者でございましたならば、自分で一つの意思によって行動ができるわけですね。しかし結局精神病院の患者の場合には必ずしもそういかぬわけです。そうしますと、それだけその精神病患者の人権というものはより一そう尊重されなければならぬと思う。その場合に精神病医学における技術が尊重されぬ、軽視されるという立場をとりますと、今申し上げますように利潤追求、このことにばかり重点を置かれる。そこで精神病院というものがとんでもない経営に陥る。世間では精神病院といったら、何か木賃ホテルというふうにいろいろいわれておる面も出てきております。そういう点はやはり精神病領域における技術というものが軽視される、それだから収容して飯を食わせればいいじゃないか、こういう観念から判断されるので、そういういろいろな考え方も生まれてきておると思うのです。ところが私はその内容を将来向上させていく、充実させていく、そのためにはやはりこの精神病領域におきまする技術というものがもっともっと重視されなければならぬというふうに考えますので、保険局長もおられますが、これはぜひとも大臣と御相談いただいて御考慮を願いたいと考えます。 それからこの法案と関連することで、特に行政管理庁が厚生省に対しまして勧告をやりました。この勧告の内容は、この法案の内容と非常に関連をしてくるわけです。そこでこの行政管理庁の勧告を中心として若干御質疑を行なってみたいと考えております。 これは大臣お聞きになったかどうかわかりませんが、行政管理庁の勧告内容というものは、本日審議されております法案と非常に密接な関係があるわけですが、この勧告をお受けになって、これに対してどういうふうな御所見を持っておりまするか。大臣のお時間もあまりないようでございまするから、それに対する御所見をまず承っておきたいと思います。
○古井国務大臣 行政管理庁はとらわれない立場で意見を述べておりますので、これは大いに耳を傾けるべきものだと思いますし、今度の改正も管理庁の意見というものにできるだけ考慮を払って立案をしたつもりでおります。
○河野(正)委員 そこで具体的な事例につきまして若干御質疑を行なって参りたいと思います。 まず第一にお尋ねを申し上げたいと思いまする点は、この管理庁の勧告の第一番目には、入院措置の状況というものがきわめて適切を欠いておる。たとえばベッドの利用率を見て参りましても、昭和三十年は一一一%、三十一年が一〇七、三十二年が一〇三、三十三年が一〇五、三十四年が一〇四というように、官公立だけでも一〇〇%を上回っている。これは事実であろうと思う。ところが管理庁の勧告の中には一五〇%以上に上るものもあるし、それがどうも常態化しておる、固定化しておるというような指摘もあるようでございます。そうしますと、病床の利用率が非常に高いということは、やはり患者にとって手当が行き届かぬということでありますから、これは非常に不幸なことだと思うのです。一般の都道府県の指定病院と、国立、府県立というような公立の精神病院との利用率の関係ですね、これはどういう状況にあるのか、一つお答えを願います。
○尾村政府委員 現在のところ、すべてを入れまして、これは三十六年三月現在でございますが、三十五年の利用率は一〇二・七%で、まだオーバーをしておるわけでございます。ここ数年来では比較的低い方にはなって参っておりますが、そういうふうに平均でもこしておる。県によりましては御指摘の通りに、その県全体としては一五〇というのはございませんが、大阪のように一二〇%というような高いところもございます。もちろん県によりましては八〇%台という比較的余裕のある県もございます。その中での指定病院、これは非営利法人あるいは個人立等でございますが、これと都道府県立と比べますと、やはり公立が相当オーバーをしております。それから指定病院になったような病院は、もちろん比較的いいものを選んでおりますので、これも十分オーバーをして入っております。従って必ずしも指定にもならないような病院の方がむちゃに非常にたくさん入れておるというほどの傾向はそう現われておりません。全般が足らぬものでございますから、それは軽い方の患者はそちらでオーバーをしておる、重い方の患者は比較的にどうしても指定以上のところでオーバーをするということで、今のところそう明白な差はございません。
○河野(正)委員 いずれにしても一〇〇%をオーバーしておるという事実は、もう否定することはできない。そこでこの点も、話は戻りますけれども、やはり病床の増加、施設の拡充さらにさっきの金融処置の問題についても大臣から御答弁いただきましたが、さらに格段の御善処を願わなければならぬ理由の一端はここにあるというふうに私は考えております。 それからさらに勧告の中に、指定する場合には明確な指定基準というものを作って、指定病院の内容の整備充実を推進する必要があるというふうに勧告にあるわけですが、もうすでに指定基準というものは大体お示しになっておるというように私ども考えておりますが、もしお示しになっておりますならば、どういう形の基準であるのか、お答えをいただきたいと思います。
○尾村政府委員 これは一応毎年更新することにいたしまして、年々年度初め少し前に府県知事に通知をもって指定基準を出しております。今年は特に指定ベッドを非常にふやすことになりますので、その大増加は十月からではございますが、先般の衛生部長会議並びに担当者の会議でも、以前よりもさらに改正いたしました基準を実は示しまして、さらにこれを通達をする、こういう処置をとったわけでございます。要するに中身につきましては、その指定されるべき病院が今回の対象患者を入れるに適した、すなわち保護病室があることがまず一番大事なことでございます。そうでありませんと、たといほかがよくても、いざというときにこの保護病室に入れられないということが一番事故のもとになりますので、それを中心にいたしまして全体の医師の定員、従業員の数それから病院の大きさ、これは三十とか四十のあまりに小さい病院でございますと、これらの指定患者を入れるに不適当な場合が多いので、これも一定数以上に線を引きまして、先般県と大体相談いたしまして線を引きましたのは七十ベッド以上ということで、一応本年はこれでいこうということで、ただしこれは十月一日までに大増加する新指定病院が多くなるわけでございますので、若干の例外的な必要性が起こるかと思いますので、幅を持たせてありますが、大体以上のような線を中心にしてこまかな指定基準を出したわけであります。
○河野(正)委員 この指定基準の問題について、従前当委員会におきましても私はいろいろ質疑をかわした経験があるわけですが、大病院必ずしも内容的に充実しておるということではないと私は考えております。また実際問題として保護室その他特殊の施設が要りますから、あまり規模が小さくても、一応経済的な経営というものが軌道に乗らなければならぬわけですから、そういう点も考慮すれば、やはりある程度基準というものは必要じゃなかろうかと考えます。ただ七十ベッドというところに線をお引きになったその根拠がどこであるのか、できれば一つお示し願いたい。
○尾村政府委員 七十ベッドというのは、明確に七十でなければいかぬという正確な根拠は実をいうとないわけでありまして、従来の五百十ほどの専門の精神病院の実際の度数分布を大きさによりまして見てみますと、この程度のところで引けば全体の病院の中の七割くらいまでが対象になるわけであります。その中から選ぶのが適当であろうというような感じでございまして、大小の、今までの経営の実態の――感じというと申しわけないのですが、大体それに近いものだ。従って今申し上げましたように十月までには、幅を持たせまして、しかも七十ベッドが単一の場合にはそうであるが、それでは総合病院の場合には、他のベッドとの総合では何ベッドになるかということになりますので、それも今のところは厳重にはいたしておりません。従ってベッドの大きさの場合は今後十分意見を聞いて、それまでには私どもの一応の想定の寸法というくらいにしておきまして、まだまだ変えるつもり、こういうことにいたしております。
○河野(正)委員 そういたしますと今の指定基準の問題は、一応の原則的な考え方であって、別にそれを機械的に運用していくということではない。要するにその指定するに値する内容を持っておるかどうかということが、むしろ重点であるというように理解をしてけっこうですね。
○尾村政府委員 御意見の通りでございます。
○河野(正)委員 それではそういうふうに理解をいたします。 それからベッド不足と関連をいたしまするし、なおまたこの衛生法の改正の点とも当然関係をするわけでございますが、いわゆる世間には座敷牢に患者を閉じ込めて、人権上非常に問題があるという事例が多々見受けられるわけです。この点も、一つはベッドが足りぬということもございましょう、また私は精神衛生法の欠陥にも起因する点があろうというふうにも考えますが、その点はいかがですか。
○尾村政府委員 これは遺憾ながらベッド不足で、直ちに即時入院を命じられない、こういう事情が一番おもな原因でございまして、もちろんその場合に、比較的家庭においても、まあ待てるというような家庭環境を選びまして、そういうところには保護拘束許容期間である間はがまんしてもらう。その他の環境上何としても置けないというものを比較的優先に、足りないベッドに先に順番をやるというような事情で起こっておることが多いわけでございます。
○河野(正)委員 実はベッドが不足するということも、一つの逃げ道になっておろうと思います。私は必ずしもそうだとばかりは考えないのです。さっきもいろいろ問題になりましたいわゆる措置費の経済的問題もからんでおるというふうに私は実は理解をしておるわけです。そこでこれは保護拘束する場合にもやはり知事の許可が要るわけです。それですから、おそらく措置費の予算というものがあるならば、経済上の条件というものが満たされるならば、これは措置患者として当然措置入院が行なわれておると思うのです。ところがどうも措置費のワクが小さい。しかもその家族の方の希望もあろうしということで、つい保護拘束を行なう。保護拘束という美名のもとに実際には座敷牢に入れるという形がとられる。このことは患者が患者ですから、私は人権上の立場から非常に悲しむべきことだと考えるわけです。そこで私は患者の人権というようなことから考えて、また対社会的な問題もございます。そういう点から考えて参りますと、むしろこの保護拘束という点は不必要じゃないかというふうにも考えるわけでございますが、いかがでございますか。
○尾村政府委員 たしか今のベッド不足あるいは入院のための公的な経済力の今までの不合理といいますか、それらで現実にどうしても家庭に置かざるを得ないという必要で残っておったのであります。ただ今のところでは、先ほどから御説明いたしましたように、急速にこの一、二年でこういうような者が全部家庭にいなくなって、片っ端から全部収容できるというようにはちょっとまだ、努力はいたしますが見通しがちょっとつきませんので、やはりこの条項はせめて置いておいて、ただし人件じゅうりん的なことが起らぬような運用を指導いたしまして、やはり最小限度、家庭から飛び出して、近所に迷惑をかけて、他人が非常な害を受けるということを阻止できるだけの条項は、現在のところ必要であります。理想的には将来こういうものはないようにするのが必要だろう、こう思っております。
○河野(正)委員 そこでやっぱりこの保護拘束の問題は、今私から指摘を申し上げましたように、単に経済上の理由からの抜け道に利用するんじゃなくて、現時点においてその保護拘束ということが必要であるならば、当然都道府県においても適切な指導というものが必要だ。今日の状態では、どうしても保護拘束という問題を現状のまま置いておかなければならぬということになるならば、もう少し監督官庁は適切な指導を行なうべきだ。そうして人権問題が起こって来ぬように努力すべきだというふうに考えるわけですが、今までそういう点について行政指導をやられた経験がございますか、あるいはなければ一つ今後十二分な行政指導をやっていただいて、そして患者の人権が尊重されるように御配慮いただきたいと思いますが、いかがでございますか。
○尾村政府委員 四十五条のこの指導の義務が県知事についておりますので、この仕事につきましては年々やはり喚起はしておるのでございますが、ただお話しの通り、何といいましてもこれに当たる吏員等の、あるいは専門の医師等の不足があったということも一因で、不十分でございますので、これは一そう行政指導を十分にいたしまして、これができるだけうまく指導の行なわれるようにいたしたいと思います。
○河野(正)委員 今まで若干行政管理庁が指摘をいたしました点に対しまする問題に触れてみたわけでございますが、いずれにいたしましても、今月精神病院の経営について改善すべき問題点がたくさんあるということは、これはもう否定することができない事実だと考えております。厚生省でも、昭和三十一年の六月に、精神病院に対する実施指導の強化徹底についてという通達が行なわれておるそうでございますが、その内容はどういう意味の実施指導であるのか、その指導が実際にどのように行なわれたか、こういう点について一つお答えをいただきたいと思います。
○尾村政府委員 三十一年に通達いたしまして指導いたしました精神病院の内容改善というのは、これは精神病院の経営管理そのものは、実は精神衛生法でできなくなっておりまして、これは病院といたしまして医療法に基づいて医療監視等を通じてやることになっておる。そこで医務局長と連名で、また共同いたしまして、――しかし精神衛生対策上も必要なことでございますので、病院の管理運営には関心が深いわけでございますので、患者の処遇、ことに給食その他の処遇につきまして、とかく評判されておる先ほど御指摘のようなことが起こらぬように、それらについて注意、それから運営についての重点的な配慮を喚起した、そういう通牒でございまして、これは府県知事に出て、府県知事が今のような立場でそれぞれと精神病院を指導する、こういうことにいたしたわけでございます。
○河野(正)委員 しかし実際聞くところによりますと、ほとんど実施されなかったというふうにも聞いておるわけです。私の仄聞するところによりますと、調査対象は二十三府県であったけれども、実際にやったのが五府県であった。そういたしますると、なるほど都道府県がやることでございますけれども、その指導は厚生省でおやりになっておるわけでございますから、そういうことでは幾ら厚生省がこの精神病院の改善を行ない、あるいはまた患者の人権を尊重するというふうな御意思でございましても、実際にそれが下部現場の方で運用されぬと、これは全く仏作って魂入れずで、何の効果も上がらぬというふうに思うわけでございますが、そういう実際面における実施の状況がどういう状態であったろうか。二十三府県を調査対象として五府県しかできなかったということでございまするならば、これは全く怠慢だというふうに考えるわけでございますが、いかがでございますか。
○尾村政府委員 これは確かに怠慢というお言葉の通りに、行政管理庁の指摘を受けたのは事実でございまして、やはり五府県しかできなかったということで、それらも考え合わせまして、昨年からあります病院経営管理に関するいろいろな争議その他のトラブルも起こっておるわけでございまして、やはりそういう点、府県を直接にいたしますが、私どものこの精神衛生に関するいろいろな力が足らなかった、これは率直に認めておるわけです。従って、今度のこの法の改正、それから一番ガンになっておりました医療保障費の一部の強化拡大、これをチャンスに指定病院もふえることでございますので、精神衛生法からの監督権限もこの法を通じて非常に強化されるチャンスでございますので、おそまきながら今後非常に重点を入れてやるということでございまして、過去はやはり御指摘の通りで間違いない、申しわけないことと思っております。
○河野(正)委員 せっかく厚生省が精神衛生に対します抜本的な解決をはかろうという御意図でありますならば、実際にそういう方針というものが下部に徹底をし、完全に実行されるという方向で一つ今後とも強力に行政上の指導を果たしていただくということを強く要望をいたします。 今までは、主として大ざっぱに精神障害者ということで、いろいろこの改正法を中心とする御質疑を行なったわけでございますが、さらに私はその中で特に大きな比重を持っております精神薄弱者の問題について、お尋ねを申し上げて参りたいと考えております。 〔委員長退席、柳谷委員長代理着席〕 今日、日本におきます精弱者は、これはまたいろいろ程度の問題等もございますのでどれが的確な数字かということはなかなか問題があろうかと思いますけれども、一応私どもは三百万――これはいろいろ知能指数の問題等で見方はあろうかと思いますけれども、私どもは一応三百万ということで理解をいたしております。従ってその関係いたします家族等を含めますと、精薄を中心といたします悩みというものを五百万以上の人々が味わっておる。そこでやはり精薄対策という問題は、障害者対策等の中でも私はかなり大きな比重を持っておるというふうに考えますが、その精薄に対します根本的な対策がどのように立てられておりますか、一つお伺いを申し上げたいと考えます。
○尾村政府委員 精薄対策は、今精神衛生法の中でもちろん対象になります精神障害者の中に入れておりますけれども、ただしその場合には、主としてこの精神衛生法の中の大きな条項である入院治療、この問題につきましてはごく一部でございまして、ただいま御指摘の三百万というのは、おそらく文部省で推定を下しました、知能指数七五以下の者になるとちょうどそうなる。それから私どもの方の参考資料にお示ししております五十八万というのは知能指数五〇以下、こういうことで限定いたしましたためにその差があるかと思いますが、それにいたしましても重症者が非常に多いわけであります。もちろん現在私どもの方でも、精神病院に入れていいという者は、精神衛生法に基づきまして同意入院、あるいはさらに先ほど言いましたような鑑定医が自他障害で認めた者はむろん入れております。しかしそれだけでは精薄の対策の一番大事な点は片づかぬのでございまして、やはり精薄は、先般法律改正にありましたような精神薄弱者の福祉法に基づくように総合的に、大人とそれから児童福祉法にあります子供の精薄者全般の対策をそれぞれやっていく、これがやはり根本でありまして、あくまで精神病院的な治療というものはごく一部である、こう思うわけで、これらは総合的にやらなければならぬ。さらにその基本につきましては、発生防止ということが非常に大事であろうと思われるわけでございまして、このために私どもの方の国立精神衛生研究所に昨年度から精神薄弱研究部を設けまして、定員をとりまして、専門家による発生対策ということから初めての研究を実は開始したわけでございます。医学的な対策とそれから多い数に対する教育対策、いわゆる社会適応をできるだけさせるための教育対策、それから医学を離れてでも、一生収容して保護を加えてとにかく生活させるという収容施設対策、こういうようなものが全部総合しなければいかぬ、それに今の発生予防である研究対策、こういうふうに思うわけでございまして、その中にはもちろんいわゆる児童相談所、それから精薄の今度の法印による相談所、それから精神衛生法による相談所、それにそれぞれ参りますので、これらの横の連絡による能率化、これら全部そろっていって初めて精薄対策が進むのだろうと思いますので、それぞれの分担に応じましてこれを進めているわけであります。これは厚生省全体の問題であり、他の省との関連もあるわけでありまして、精薄審議会というものが一応それらの問題のいわゆる協議審議機関として法律に基づいて置かれておりますので、これには今申し上げましたような各対策のそれぞれ分担している者がいずれも参加いたしまして、ここで計画が行なわれ、さらに実行が行なわれる、こういう仕組みになっておるわけであります。
○河野(正)委員 精薄者に対して総合対策で臨む、その点については異論はございません。ただ問題は、総合対策の中で、たとえば教育対策というものが実際にどのような形で行なわれておるか、あるいはまた医学的の立場からの対策というものがどのような形で行なわれておるか、あるいはまた収容施設というものがどのような形で行なわれておるか、そういう点が非常に重大な点になってくると思うのです。たとえば教育的立場から見て参りますと、端的にいって養護学校あるいはまた養護施設が非常に少ない、実際にその恩恵に浴した者は三%程度、こういうふうに言われている。なるほど言葉では、総合対策でそういったいろいろな対策が考えられているけれども、個々の事例をながめて参りますと、非常に貧弱で見るべきものがないというような状態でございます。養護施設あるいはまた養護学校、特殊教室、特殊学級、こういう点については、これは所管も違うかと思いますので、また別の機会に譲るといたしますが、精神薄弱者の福祉増進を目的といたします精神薄弱者福祉法、これは昨年成立をいたしたわけですが、この精神薄弱者福祉法に基づいて、そうして先ほど局長からもお答えがあった総合対策の一面である薄弱者の収容の面を解決していこう、こういう計画が最近なされておるようでございますが、その内容と申しますか、その実態というものはどういうものであるのか、一つこの際お聞かせ願えるならばお答え願いたいと考えます。
○尾村政府委員 実はただいまの精神薄弱者福祉法に基づきます全般の問題になりますと、私の方の所管でないため今資料その他持ち合わせませんが、ただたとえば一番重点になります子供の問題にいたしますと、私の方も知っておらなければならぬわけでございますので、分析をいたしておりますが、要するに精神病院に入っておる一番重度の者すなわち自他を傷つけるに近い重度の者、もちろん自発的な同意入院が大部分でございますが、それらが大体精神病院の在院患者の三%を占めておるということでございますので、現在ほぼ十万人でございますが、三千人程度が私どもの方に坑に入っておる、こういうことでございます。それから、それに非常に近い児童福祉法に基づく精薄の施設が、公立が四十八、それから私立が六十四、これは三十四年度末でございます。こういう形で公私を合わせまして六千八百名ほどこの中に入っておる、こういうことでございます。この収容者が大体私どもの方は、精薄は主として子供が多いのでありますが、三千名と合わせますと約九千名以上は一応入っておる。しかし、これは先ほどの五十何万いるというIQ五〇以下から見ても非常に少ないわけであります。その他精薄福祉法に基づきます新設は、法律がまだ新しいものでございますから、これはこれからのことで、できましたのはわずかのように聞いております。以上のような工合でございまして、収容施設の方あるいは通院の部面もあると思いますが、これはまだまだ足らぬ、こういうふうに私どもの方では考えております。
○河野(正)委員 これは薄弱者でも、今局長のお答えがあったように、かなり精神病院に入院しておる者もあるわけです。行政管理庁が厚生省に対して精神病院に対する勧告があった、その中の一部とも関係するわけでございますが、陳旧患者、非常に古い患者がある。そういう陳旧患者に対する対策というものが十分でないというような勧告を行政管理庁が行なったわけです。もちろん陳旧患者の中には精神分裂症なり、なかなかなおらぬという患者もおります。それから精神瀞弱者の場合は一生なおらぬわけですから、当然入ってくるわけです。その一環として、私は精薄者の収容施設の問題が精神薄弱者福祉法によって実施の段階へ発展してきたというふうに考えても異論なかろうかと考えております。陳旧患者の対策の一環としてワーク・コロニーという方式を日本で最初に発表したのは実は私なんです。ワーク・コロニーという言葉も私が最初に使った。それが具体的にはワーク・コロニーという形になりますけれども、考え方としては、陳旧患者をどうするかという一環として、具体的な対策としてワーク・コロニーという提唱をやったわけですが、諸外国では、ワーク・コロニーを作ってかなりの成果を上げておる実例がある。これは一部は論文にして発表いたしましたが、訓練、教育のいかんによっては、溝弱者あるいは陳旧な精神病患者もかなりの生産能力がある。それは具体的にはすでに発表いたしておりますが、そういうことからも、単に収容するということのみでなく、やはり生産に寄与させる、これはもちろん能力のある一般人よりは能率が落ちると思いますけれども、うまくいっておるところでは、一般人の大体七〇%ぐらいの成果を上げておる。これは精薄だけに限らず、陳旧な分裂症もおりますし、その他の患者もおりますが、そういう患者が訓練いかんではかなりの生産に寄与し得るということでございますから、実は結核のアフター・ケアと並列して精神病患者のアフター・ケアということを提唱してずいぶん長い間になるわけですけれども、結核のは幸いにしてアフター・ケアが一応国で認められて、今日非常な成果を上げておる。将来精神病患者に対しても、ことに陳旧患者に対しては、こういう方向というものは当然実施に移されなければならぬ段階がきておるだろうと考えるわけです。今こういう面に対する対策を具体的にお考え願っておるかどうか、一つお伺い申し上げたいと思います。
○尾村政府委員 現在のところはコロニーという形にはまだ形は整っておりませんが、大きな精神病院におきましては、できるだけ作業療法を最近の治療の重要な問題にいたしまして進めておりますので、作業を通じての治療方法というものは今日本で進みつつある。これがいよいよ相当数の精神病患者に各施設で適用を見るということも近いかと思いますが、ただし、これはもちろん公立その他の大きい土地や人員を持つところでないとできませんので、そういうところが主としてやっておりますが、その上でもう一つの問題としては、医療施設としての形のままでのコロニー形態、いわゆる若干でも能率を上げて収入を得て、経営を相当安易にするという形の、医学のほかにそういう経営問題を含めた意味のコロニーということは、現在のいろいろな制度の中では非常に困難でありまして、その場合には医療施設でなくて、精薄につきましては精薄福祉法に基づくいわゆる収容施設、この中に、ただしやり方として医学の専門家を嘱託するというような、二義的にはなりますが、そういう処方に基づいてやるという形で、やはりこれは精薄コロニーという方でいかないと、今のところの制度ではできない。そこで、結核も同じような形で今いっているわけでございますが、日本でこれらの慢性長期のものを、本人の能率を上げて国民経済にも少しでも負担を軽減させ、またそれが同時に生きていくための治療にもなり、また役に立つということにすることは必要なんでございますが、それを今後どういうような分担で、どの法律を改正してやっていくかということは、まだ私どもの方から今直ちにどうあるべきだということを申し上げるわけにはいかぬのでございますが、必要がある、しかも諸外国もそういうような問題を進めておる、これは十分認識しておりますので、必要性を十分に認めておるということをお答え申し上げておきます。
○河野(正)委員 今現実に行なわれておる作業療法というのは、これは実に非組織的な、非近代的なものであることは御承知の通りです。もう今日では、要するにぶらぶらしておってもしようがないから何か仕事をさせるということでなくて――そういう非近代的な形では、実際は大した効果が上がらぬと思うのです。やはり組織的な指導、訓練によりまして、一面においては患者を指導するし、一面においては生産に寄与するという方向がとられなければならぬと思いますし、私は、今公立病院で行なわれております作業療法を一歩進めて、やはりワーク・コロニーの段階まで発展しなければならぬと思う。結核の場合はすでにアフター・ケアからコロニーということに発展しておるわけです。ですから、今の結核と比較すれば、精神病対策の場合は非常におくれておるわけですね。結核のアフター・ケアまでもいっておらぬ。今の結核の場合はアフター・ケアからコロニーまで発展しておるわけですから、少なくとも精神病対策もその方向に発展させていく、そして幾分でも生産に寄与させる、当然精神病対策のために使うべき予算は使わなければならぬが、むだな予算は使わぬ、そういう予算の合理的な配分ということは当然考えていかなければならぬ。そういう意味から、ぜひとも今申し上げました意見は御尊重いただいて、将来一つ何らかの形で具体的に御検討願いたいというふうに考えます。 それからせっかく精薄の問題が出て参りましたから、ここでもう一言申し上げておきたいと思いますが、それは最近世界的な関心を呼んで参りましたトキゾプラズマの問題がございます。と申し上げますのは、日本人の二割以上がこのトキゾプラズマの原虫に侵されておる。しかもそのために精薄者が非常にたくさん出てきておる。これは新しい学問でございますけれども、しかし、今申し上げまするように、このトキゾプラズマが精薄の重要な原因の一つになっておるということでございますならば、当然私はこのトキゾプラズマ対策という問題についても政府においてもお考えになっておらなければならぬと思いますが、その対策を一つお答え願いたいと思います。
○尾村政府委員 これは人畜共通伝染病の一つというようなことになっておりまして、動物から人間に感染する、しかもそれが主として母親がかかった場合には胎児の脳を侵す、胎盤を通じて感染を起こすというようなことをいわれております。従って、日本でも今まで人間から実際に発見した報告が十数例文献に載りましたのがあるわけでございますが、やはり外国の研究によりましても、今のお話のようにいろいろと先天性といわれておった脳疾患の原因になり得るという学説があるために、わが国でも重視いたしまして、予防衛生研究所のこの方面の専門家を中心にいたしまして、各大学の協力を得て、ちょうどまる三年になりますが、研究協議会を編成いたしまして、そこで相当な研究を進めておるわけでございます。今までのところでは、いわゆる免疫反応によりまして、人間のこれに触れたという蔓延状況がある程度つかめておるわけでございますが、はたしてこれがほんとうの意味でからだを侵して、それが確実に子供の将来の障害の原因になっておるかというようなところはまだ分明になっておりませんので、この研究は年々かなり深く突っ込んだ研究が進んでおりますから、これの研究を一そう促進いたしまして、これが原因の一つであるということがある程度明白になるということならば、ぜひ対策を立てなければならぬと思っておるわけであります。現在はそういう状況でございます。
○河野(正)委員 世界的に非常に関心を呼んでおる新しい疾病でございますが、日本の最近の研究によっても、日本人の大体二割がこの原虫の感染を受けておるといわれておる。ところが、実際一般に臨床医では、このトキゾプラズマを知らぬ人も非常に多いようです。そうすると、実際問題としては二割どころでなくて、もっともっと多いんじゃなかろうかというような意見も成り立つわけです。それが精薄の原因になったとするならば、これは非常に重要なことで、これは今予防医学研究所でも鋭意研究しておるということでございますが、これは当然精薄対策の一環としてやはりお考え願っておかなければならぬ重要な問題だと私は思いまするし、また新しい学問上の問題でございますから、ややともいたしますると、政府で早くその対策を立てられぬと、一般にそういうPRが行なわれておらぬために、政府が対策を立てたときはTP反応というものが非常に広く浸透するという危険性も出てくるわけです。これは小児麻痺対策でないけれども、せっかく新しい意見でございまするから、一つ早急にトキゾプラズマ対策に対しましても遺憾なきを期していていただきまするように、この点は特にお願いを申し上げておきたいと考えております。 まだ実は残っておるわけですが、委員長からのお勧めもございますので、自余の問題は一応留保して、本日はこの段階で一応終わっておきたいと思います。
○柳谷委員長代理 午後一時半まで休憩いたします。 午後零時二十五分休憩 ――――◇――――― 午後三時二十一分開議
○山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続けます。中村英男君。
○中村(英)委員 結核の問題で二、三御質問申し上げたいと思います。 提案の理由にもありますように、結核は近年なおる率も非常によくなっておるし、患者も非常に数字の上では少なくなっておりますが、結核の質といいますか、そういうものが変わっておると思う。家庭の中で一番働き手である、一番力になる三十才、四十才、こういうところが結核の罹病率が多いようですし、またそういうことですから国の生産にも非常に影響を及ぼしております。またこの提案の理由の説明を聞いてみても、近来非常に所得の低い階層に結核は集積して、これが感染源になっておる、こういう説明もある通りですが、これはきわめて重大なことだと思うんです。そこでお聞きしたいのは、私の資料では今結核患者として入院しておる数が二十三万七千人、このうちに保険者本人が八万四千人、それから健保の家族が二万五千人、国民保険が三万九千人、生活保護が九万八千人、結核予防法で入院している人が九千人、合わせて二十三万七千人、こういう数字ですが、大体こんなものですか。
○尾村政府委員 ただいまのは結核療養所に主として入っておるもので正確につかまえたものでございまして、そのほかに総合病院の内科病棟に入っておる者は若干でございますが、大体御説の数は間違いありません。
○中村(英)委員 そこで私お聞きしたいのは、今度の改正のねらいといいますか、そういうものがどこにあるか、この提案の説明では一応表面的にはわかるのですけれども、これは私の推測ですが、生活扶助の、生活保護の基準も引き上げる、国民保険の医療費の値上がりはある、国民年金も四月一日から発足するということになれば、低額所得者に近来結核が集約をしておるということになれば、医療費が非常に圧迫を受ける、しかも掛金で困る、こういうことで今度の予防法を作っております。この医療費の中の結核の分をほかへ持っていく、こういう考え方だろうと思うんですが、そういう趣旨を一つ説明していただきたいと思います。
○尾村政府委員 結局は現在自己の経済負担があるために入れない、しかもそれは環境上伝染のおそれがある、自身もむろん重症でございますが、こういうものを対象としているわけでございまするので、ねらいといたしましては、生活保護の中ではさしあたり現在の一部負担がかかっておる、及びいわゆる単給一部負担といっておりますが、すなわちごく低い方でございますと、併給といいまして生活扶助をもらってそれから全額公費で見ておられる。これは現にその意味では困っていないわけです。それから生活扶助はもらっておらぬけれども、医療費のみは全額もらっておる。これも入院に関する限り困っておらないわけでございまして、これは省きまして、一部負担が少なくともかかっておる、そのために途中で退院してしまうというのが非常に多いケースで、これをまず重点的に今度の対象にして、これは全額公費負担ということに当然なると思います。そのほかに国保の一部負担といいますか、半額本人負担、それから国保以外の一般社会健保の家族の負担、これも自己負担がございますので、やはりこれの圧迫のために入れない。こういうものを主としてこれで置きかえる。しかもこれが優先する、こういうことでございますので、健保本人は一応理論的には命令入所の対象になりますが、今度のねらいから見ました自己負担分をカバーして入りやすくしようという趣旨の部面から見ますと、実質的な対象にしておるということでございます。 〔委員長退席、柳谷委員長代理着席〕
○中村(英)委員 そうすると、今度の対象になるのは八万人くらいですが、命令入所の対象外が約二万人ですね。それから日ごろ衣料品ですか日用品をもらっている人が二万人くらいですね。そうすると、十万人のうちで命令入所対象外の二万人を差し引いて八万人。つまり一部負担のある人、三万人ですね。一部負担のない人三万五千四百人、それに日用品をもらっている人二万二千八百人、この程度が、つまり八万人程度が今度の対象になるわけですか。
○尾村政府委員 ただいまのうちの最初に申されました一部負担がある者、すなわちこの三万が、これがまず現在入院中の者としては対象になる、こういうことでございます。
○中村(英)委員 そうすると、生活保護の場合と結核予防法で療養する、診療を受ける場合は状態が違いますね。状態といいますか、生活保護の場合は、これは自立更生ですから、菌が出なくなって、そうして働けるようになるまで、もちろんアフター・ケアによって国が見るわけですね。結核予防法になると、これは予防ですから、感染源が隔離されたら目的を達するわけですね、そういうことになりますか。
○尾村政府委員 お話の通りでございますが、運用といたしましては、しかしこの対象が違うというゆえをもって、予防法で一ぺん入れた生保の患者を途中から、菌が出なくなった日からまた生保に返す、あるいは生保の該当でなければそれ以外に返すということは、実際問題としては非常に気の毒であると同時に、そのために今まで治療したことがまたむだになって、そのまままた一部負担がかかるので、帰ってしまう、そうするとまた再発する、こういうことがございますので、現在のところは生保に関しては、これで発動して入れかえたものは幅を持って運用して、菌がなくなるまでだけで切ってしまうというようなことはしないで、できるだけ入院中再発しない、再びこの法律を最近の機会にもう一ぺん適用しないでも済むというところまでは、ケースごとにはなりますけれども、なるべく幅広く運用したい、こういう予定にいたしております。
○中村(英)委員 それは非常に趣旨もけっこうだし、私もそうなければならぬと思うが、しかし、それはそういうことをするということだけで、やはり入院した患者が安心するような法的なよりどころはないわけですね。それでもこの建前でいくと、菌の出ている人はいいわけですな。これは結核予防法の対象になるから十分安心して療養できますが、しかし、菌が出なくなるというのは、これは入所してしばらく治療すると菌は出なくなるわけです。出なくなると、少なくとも理論上は、建前としては、この予防法の対象外になるわけですね。あなたのところではそれを親切に扱うということになれば別だけれども、予防法の建前としては、感染源がなくなればいいわけですからね。だから菌の出ている場合には今度の改正で安心できると思うのです。問題は、菌が出なくなった場合どうするかということが非常に問題を含んでおると思うのです。今度の予算では何人分くらい見ておられますか。
○尾村政府委員 今度のは半年分五万四千ベッドを予定しておりまして、そのうち三万六千ベッド分は生活保護対象ということに予定いたしております。これは何人分といいますと、出入りができるようになっておりますので、件数でなくて、ベッド数で予算を組んでおります。件数にいたしますと、半年に回転しただけよけいにまた新たに入れますので、それだけの費用を組んでおります。年間にいたしますと約五割増しになるわけでございますが、一応そういうような数で組んでおります。従って生保の一部単給者には非常に重点的に今度の恩恵が及ぶような形にいたしておるわけでございます。
○中村(英)委員 私の不勉強かもわからぬけれども、今四万四千人ほど対象にしなければならぬ人があるわけですが、実際の予算では四万四千人が対象にならぬじゃないですか。新しく入院する人は適用されるんですね。従来入院しておる人は、四万四千人くらいが適用を受けなければならぬのに、予算の面では九千人ぐらいしか受けない。そうすると、入院しておって菌が出なくなった場合、そういう人は大体月に平均九千円くらい払っておるそうです。そうすると三万円くらいみんな滞納しておるそうです。そういうふうな場合に、菌が出ないものですから、結核予防法の対象にならぬじゃないかという心配が残りはしないですか。
○尾村政府委員 ただいま申し上げましたように、この十月の切りかえのときに、生活保護の医療保護で一部でも負担のあるものを、推定で三万四千人と考えておりまして、これは全部切りかえられる、こういう予定にいたしておるわけでございます。本年度については、その後そのうちから出たのに応じて新たに外から入れる、そういう計算を立てておりますので、一応は、一部負担のあるものはこの適用を受け得る、こういう推測でやっておるわけでございます。
○中村(英)委員 どうもいろいろ調べてみると、やはりこの法律で一番心配になる点は、新しく入院する場合はいいですけれども、入院している患者で滞納もたくさんあって、しかも菌が出ない、こういう人が追い出されはせぬかという心配が私は残ると思うのですよ。具体的に厚生省考えておいでになるでしょうが、それらの心配がむだであるという安心を与えるためには、もう少しそういう点を話を煮詰めて、明快にしておかないと、この法律を通す場合に支障を来たすと思うのですが、そこら辺を一つ……。
○尾村政府委員 生活保護患者を中心にして考えますと、今申し上げましたように、この十月一日に各病院、療養所の結核ベッドに入っておる開放性の結核患者、すなわち今度の二十九条の入所命令対象になる条件をそろえておる患者に関しては、ともかく三万四千人という見込み、しかもそれは当然生活保護を受けておりますから、一部負担がある非常な低所得ということであるが、これは切りかえられる。事務的には、実際には現在入っておるわけでございますから、ただ文書で、この法律を適用するために入所命令書を本人に交付して、この費用を使う、こういうことになるわけであります。 それから今のお話のはこういう問題と理解いたすのでありますが、要するに、この二十九条による入所命令の対象にならぬ病状である、すなわち菌は出ておらない、その他の結核――肺結核も含めましてそういう患者が現在一部負担があって苦しいのを今度でどうなるかという問題実はその点は、今度の改正では変更を考えておらぬわけでございまして、将来の問題として考える以外にない、現在通り生活保護の現状維持、こういうことで対象にならぬわけであります。従いまして今度の対象をわかりやすくいいますと、一つは生活保護の一部負担がある患者であって、なおかつ入所命令の対象になるような条件を具備しておる、すなわち開放性であって、家庭に帰れば環境上家庭に感染を起こし得る条件のものを正確に予算に組む、これは十分いける、こういう形でございます。
○中村(英)委員 私が一番心配しておるのはそのことなんですが、今入院しておる患者の中で、そういう条件にかなわぬ人たちがどうなるかという不安が非常に残っておるものですから、これは十分厚生省の方で――これは社会局との関係ですか、十分一つ話し合いをして、今度の、せっかく改正されるいい点があるわけですから、そういう入院しておる人たちが不安を残さぬように一つ相談していただきたい。 もう一つの問題は、これは具体的な問題ですが、国立の療養所を国立総合病院に移管される計画を進めておいでになりますね。これはどこの所管ですか。
○尾村政府委員 医務局ですが、局長は今おりません。
○中村(英)委員 この問題は重要に思いますから、別の機会にやります。
○柳谷委員長代理 小林進君。
○小林(進)委員 精神衛生法の一部改正法案について、二、三の点を御質問いたしたいのでございますが、先般からの厚生省側の御答弁をお伺いいたしておりますと、精神障害者の実態として現在百三十万人でございますか、精神障害者がおられるというふうな御答弁のように聞いておりますけれども、その百三十万人という数字は一体何年にお調べになった数字なのか、それを一つお聞かせを願いたいと思うわけであります。
○尾村政府委員 これは、実際には昭和二十九年に全国の実態調査をいたしました。これも全国民をやったわけではなくて、いわゆる無作為抽出による国勢調査の地区を中心といたしまして、それの一定数の中でこれを詳細に調べ上げまして、全国の最近の人口にその一定の率をかけ合わせた結果がこれだけいる、こういう数でございます。従って、これはあくまでおるであろうという推計数でございまして、この百三十万人は現実にどこのだれがこれに該当するというふうに、数を全部つかんだわけではないのであります。悉皆調査、すなわち全国民をやって判断したという数字ではないわけでございます。ただ、統計的には確実な推計数でございます。
○小林(進)委員 世界の一流国でこういう精神障害者の数字を具体的に調査しているような例がないかどうか、お聞かせを願いたいと思います。
○尾村政府委員 ただいまの御質問の点は、諸外国で相当数のところが、やり方は日本のようなサンプル調査でやったものもございますし、そうでなくて、たとえばある州をやりまして、その似合いの州には比率をかけて、全国にはどれだけいるというような調査をやっているところもございます。調査方法が必ずしも日本と同じでないので困難でございますが、私どもの方で手元に集めておりますものはイギリス、カナダ、フランス、アメリカ合衆国、スエーデン、デンマーク、アイルランド、これだけの国の資料は、時期もそれぞれ調査年に少しズレがありますが、私どもの方で整えております。そのそれぞれの国の比率を、日本のただいま申し上げました二十九年の実態調査と比べてみますと、比率では概して多い国が多いのでございます。しかしこれは、今言いましたように調査方法が違いますので、日本の方が少なくてこういう諸国が多いということは直ちに比較はできませんが、数字的には、たとえば日本は今の比率でいいますと、国民対百三十万人は約一・五%になるのでございますが、これが二・三とか三というような数字を出しているところがございます。これをわれわれの方でも分析したのでございますが、ただ精薄のとり方が、日本ではIQ五〇以下でとっておりますが、この点正確に日本と同じようなとり方であるかどうかということが、それぞれの国によりまして資料の基礎があいまいでございますので、その点で相当な差が出るかとも思いますが、以上のような状況でございます。
○小林(進)委員 私は、今もおっしゃるようなわが日本の調査のやり方は、いささかずさんじゃないかと思うのでございます。サンプル調査とか州の調査というお話が今ございましたが、私はこれをもっと具体的に、科学的に、国民全般の定期健康検査のような形でやれる方法はないかということを考えるのでございます。というのは、委員会に利口そうな顔をしている議員もおられますが、あるいはこの中にも精神障害者がいないとはだれもが保証できないというようなことも言い得るのでありまして、そういうふうに的確にやる調査方法、そういう例が一体世界の先進国にないものかどうか。それといま一つは、出された百三十万という日本の数字が実にずさんな、単なる推計の数字であると同時に、しかもそれが二十九年度の調査という、こういう古い数字に基づいて私どもがわが日本の精神衛生法を論じていかなければならないという点に私ははなはだ不満があるわけでありまして、こういう点について重ねて御答弁をお願いいたしたいと思うのでございます。
○尾村政府委員 全国民を対象の精神衛生上からの健康診断というようなことは、今までのところないように聞いておりまして、これは非常にむずかしいことではないかと思います。日本でも結核に関しましては全国民対象になっておりますが、実は四千万人ほどが現在毎年行なわれている。しかしこれはいろいろな形で、強制というよりも進んでやるということが多いのでありますが、精神障害が全国にあるかないかということの全国対象の悉皆調査は、日本のみならず外国でも非常に困難な問題ではないかと思っておりまして、前例はございません。 それから実態調査年次の問題でございますが、先ほど申し上げました二十九年の調査は、一般の家庭一切をまぜまして無作為抽出で、ある時点にどれだけ患者があるかということをやったのであります。これを完備するために、三十一年に在院患者を全般的に調査いたしました。その在院患者の前歴等から、ある程度二十九年度の調査を推計できるという補正の意味をもちましてやりました。それから本年度、三十五年度に、これは予算も取れまして、今度在宅の登録精神病患者を中心に、これもつかめますから、つかめたものに関してやる。そうすると何家族の中にこれが発生しているということが、それを中心にある程度精密にわかるのでございます。これが今調査を終わりまして資料を編さん中でございます。それから三十六年度は、すでに提出しております精神衛生対策の予算の中に、在宅の動態調査、すなわち一年間に昨年の患者がどう治療を受けるるいは治療を受けないでどうなったかという追及調査を一年にわたってやることになっております。これができますと二十九年度の一斉調査の修正がある程度最近の資料でできる、しかもかなり確実な根拠でできる、こう思っております。さらに三十七年度、これはまだこれから予算を組みまして政府部内できめるわけでございますが、これには、これらの中間の修正調査をやりましたので、再び二十九年度と同じ目的を持った推計調査を、中身はもっと正確度を変えましてやる、こういう予定にいたしております。これは一定のスケジュールでずっときているわけであります。現にすぐに正確なものをつかむのが一番望みでありますが、相手方が隠しやすいものでございますので、いろいろ多方面の形でこれをつかんでいきませんと、ただ一挙に精神健康診断をやるということでは、むしろ大事なものが除かれてしまいまして、上がってきた罹病率が少ないからといって安心できぬということでございますので、さような含みでやっております。
○河野(正)委員 関連して。実は午前中の審議の中でも二十九年の百三十万という数字の根拠についていろいろお尋ねしたかったのですが、ただいまいろいろ小林委員からも御指摘がございましたので、あらためてお伺いしておきますが、午前の際にも御指摘を申し上げておきましたように、実際の実態を把握をし、捕捉するということが非常に困難なことは、これはもう言を待たない事実です。小林委員からも御指摘がございましたように、一斉検診というようなお話もちょっと出て参りましたが、実際問題として、精神病患者の場合には良識がないわけですから、今議員の例をたとえていわれたようですけれども、自分で自覚せぬというところに非常に大きな問題があるわけです。そこで積極的に検診に応ずるということも、専門的に言うと良識がないわけですから、あり得ないわけです。そこで実際の実態というものはなかなか捕捉しがたいわけですが、今局長さんからいろいろお答え願っておりまする、たとえば在院患者の実態あるいはまた在宅登録患者の実態、これは一応過去においてあるいはまた現在において医療の対象になっておる実態なのです。ところが結局良識がないわけですから、全部医療の対象にはならぬ。何らかの機会、何らかの方法で医療の対象になったものだけが今の調査の対象になるわけです。そこで私は実際問題として、これは学者の間でも、外国でも、あるいは日本の国内でも、要するに精神病者の国民の中における比重というものは非常に幅があるわけです。それで日本の場合には一・五%だとか、外国の場合は二・三%とかいうお話もございましたが、一つも科学的根拠がないわけです。ただ医療対象になった者が対象になっただけですから、即それが実態というような考え方は大間違いです。問題は、そういう医療対象になった一つの実態からどのくらいの幅に広げていくか、そういう見通しというものが一応なされるだけであって、ほんとうの実態というのはなかなかむずかしいと思うのです。そこで今のような在院患者、あるいは過去において治療を受けたというような在宅登録患者、それだけをもって精神障害患者の実態というふうにお考えになった場合には、大へんな間違いだと思うのです。そこで今いろいろ実態に対する数の問題が論議されておりますけれども、そういうことでこの問題を処理しようとするならば、将来大きな問題を残すと思いますので、そういう私どもの急見に対してどういう考えでおられますか、あらためて一つお伺いいたしておきたいと思います。
○尾村政府委員 われわれお説の通りと思っておりまして、先ほど言いました中間にやりました在院、在宅を中心にしての、あくまで二十九年にやりましたような、全般の中から、決して医療をやっているものではなく、あのときの調査はほんとうの全般調査でございますが、これらの補正をするという程度の資料に使うということでやりまして、先ほど御説明いたしましたように、いよいよ三十七年度がこのスケジュールによりますと、また一般実態調査をやるわけでございまして、これがやはりほんとうの実態をつかむ一番基礎になるわけでございます。そのときは、前よりももっと一定の人口の中にほんとうの意味で潜在しておる精神障害者を見つけるという方法を講じまして、それでわかるようにしたい、こう思っておるわけでございまして、お説の通りに実行していきたいと思っております。
○河野(正)委員 具体的にその潜在患者を発見するという方法にどういう方法があるか、ございましたら具体的にお示し願いたい。
○尾村政府委員 前の実態調査のサンプル対象は十七万人であったわけでございます。約三千六百戸の国勢調査の基礎単位というのを無作為抽出にあげたわけでございます。そこにおける聞き込み調査から始まりまして、必要なものはもちろん医師が回る、専門家も回る、こういうことでできるだけ裏づけを確実にしたわけでございますが、これではやはり正確を期し得られない点があるわけでございます。今度全部突っ込んだものを精神衛生の専門家がもう一ぺん裏づけの診断をすればいいのでありますが、聞き込みもなくて全然対象にならなかったものについては、どうしても落ちる。そういたしますと、この調査比率よりも潜在患者はもう少しよけいにいるはずになるのであります。そこで今度考えておりますのは、今のような形でやるほかに、十七万というような大数に対して強制的に精神衛生専門家の精神衛生診断を受けろということは、いかに何でも強制は無理と思いますので、たとえば地区で衛生組織を作っているところとか、そういうふうな協力態勢のできておるところ、これを一定の比率に取り上げまして、そういうようなところではほんとうに全員に精神分析を含めました専門家の調査をして、それによりまして一般的な調査との差を見て、そこで修正ができるのではないか。これくらいが実際に実行可能な程度ではないかと思っております。それにはやはり今度三十七年度予算を組みますのにも、従来のような積算では足りなくなるわけでございまして、そういうことも考慮して計画したい、こう思っておるわけであります。
○河野(正)委員 関連でございますから、これでやめたいと思いますが、実際問題として、一つの傾向というものは知り得るけれども、真の実態ということはなかなかつかみにくいというのが率直な結論だろうと私は思うのです。と申し上げますのは、なるほど抽出検診によって、聞き込みその他によって、潜在患者の実態をにぎろうということでございますけれども、実際問題として、社会でも大いに活躍願っておる人の中にも実は精神病患者がおられるわけですね。こんなことを言っては非常に申しわけないのですけれども、世界的大文豪といわれた夏目漱石も実は精神分裂者であった、あるいはまた、かつてこの軍国政治の旗頭といいますか、その東条英機さんはパラノイアであったというようないろいろな意見があるわけです。かつてわが国において国民ひとしく指導者として認めた人々でも、そういうふうに精神的な障害があったというような意見も出ているわけです。そういうことですから、単に聞き込みだけではたして潜在患者の実態がつかめるかどうか、これはなかなか困難なわざだと思う。そこで私は、やはりできるだけ良心的に実態の調査をしていただく、そしてそれにはいろいろな学者その他の意見もありましょうし、そういう意見も十分加えていただく、そしてできるだけ良心的な実態というものを捕捉していただいて、その上に立って精神衛生の対策を立てていくということに大体なろうかと思うのです。そこで、あまりここで局長さんがかちっと実態が捕捉できるというふうに言い切られますと、私どもいろいろ異論が出てくるわけです。そこで、その点は率直に、傾向として捕捉できるのであって、かちっとしたものはなかなかできないのだ、しかし精神衛生対策についてはそういうことで万全を期していくのだ、そういう意味の御発言にしておかぬと、あまり自信があるような御答弁を願いますと、私が一々例をあげて申しますと、私も専門ですから、これはちょっと局長さんお困りになると思うのです。そういう意味で精神衛生法の万全を期していくというふうに御理解いただいた方がけっこうであろう、かように思うわけです。
○尾村政府委員 私の申し上げた趣旨も御意見の通りのことでございまして、そういうような目的を達するような方向でいこう、こういうことでございますから、御了承願います。
○小林(進)委員 私は医者の立場ではございません。私は国民の立場で、だから専門的なことではございません。国民が最も常識的にわかるようなお話を承りたいと思うのでございますが、この精神衛生法の第三条に精神障害者の定義といいましょうか、範囲がきめられているのでございますが、「この法律で精神障害者」とは精神病者、(中毒性精神病者を含む。)精神薄弱者及び精神病質者をいう。」、こういうふうに三つに分かれておるのでございますが、この三つについて、しろうとのわかるようなお話を一つ承りたいと思うのでございます。
○尾村政府委員 極数は非常に多いのでございますが、一番わかりやすく代表的なのを申し上げますと、非常にわかるかと思いますが、その第一である精神病者、これは日本で一番多い代表的なのは、いわゆる精神分裂症、それから躁鬱病、これははしゃいだり、抑鬱になるというので躁鬱病――躁病、鬱病と分かれますが、躁鬱病。それから麻痺性の痴呆症、これは梅毒からくる痴呆症、いわゆる日本人が昔から考えておった典型的な精神病というものがこれに当たるわけでございます。その他、いろいろな少数のものは数限りなくございますが、そういうようなもの、いわゆる精神に異常を来たしたというものに当たるのがこれでございます。 それから精神薄弱者というのは、御承知のように白痴、痴愚、魯鈍とありまして、知能の発育が一定度に停滞して、発育しない、俗にいうばかということで、その程度に非常に差があるという、そのばかという方のものがこの精薄という対象になるわけです。 それから精神病質者というのは、これは要するに、知情意に分けまして、精神の総合的な調和がうまくいっておらない、いわゆる変質、俗に世上で変質者じゃないかというふうにいいますが、そういうようなしろうと的な概念に当たるものでございます。たとえば普通考えられておる常人よりも非常に激発しやすい、しかしそれは決して精神が異常を来たしてしまって、病気としてじゃなくて、元来そういう精神の、性格がそういうふうな激発性であるというふうな、俗にいう変わり者、変質者と俗称しておるもの、こういうものが、ここでいう精神病者、こういうことでございます。 非常に通俗なあれでございますけれども、かいつまんで申し上げますと大体そういうことでございます。その中に今のカッコで入っております中毒性の精神病者、これは麻薬その他アルコール等で長期にわたりますと慢性中毒になり、さらにこれが精神の異常を来たしてくる。そうなりますと、精神中毒症であると同時に中毒性の精神病患者、こういうことになりますので、ここに入っておるわけでございます。
○小林(進)委員 精神薄弱者の場合における知能の指数はどこら辺が上、下になるのでございますか。この法律の中に含まれる知能指数のどこのものを精神薄弱者と見て、この精神衛生法を該当せしめるかということです。
○尾村政府委員 これは、精神衛生法の発動される対象はどこかと言いますと、精神衛生法の中で、たとえば措置命令をするのはどこかとなりますと、いわゆる自分を傷つけ、あるいは他に迷惑を及ぼすというあれに該当するような生滅状況にあったものは、これでいきます。そうなりますと、たとえばIQが非常に低い、二〇とか、そういうようなもの以下になります。それから自発的に入院するというようになりますと、いわゆる統計資料の基礎になりましたIQ五〇以下というようなものは、精神病院にそこらまで入っておる。しかしこれ以上のものは入っていかぬというようなことは、精神衛生法では規制しておりませんし、以下のものも必ず入らなければいかぬということを規制しておらぬわけでございます。この程度はやはり個々の周辺との環境によりまして、どうしてもケースごとにきまる、こういうことでございまして、確固たる線は引いておらぬわけでございます。
○小林(進)委員 俗にいう精神神経症というのは、今の分類の中ではどこに入るのでございますか。 〔柳谷委員長代理退席、委員長着席〕
○尾村政府委員 現在のところは、今一般的に使っております精神神経症、いわゆるノイローゼ、これはそのままではこの「精神障害者」の対象にはいたしておりません。
○小林(進)委員 これは精神衛生法の対象になっていないのでございますか。
○尾村政府委員 全然対象になっておらないわけではないのでありまして、ただノイローゼそのもの、いわゆる精神神経症が全部精神障害の範疇に入るというわけではなくて、その注状がちょうどこれに定めておりますような状態になった場合には、もちろんこの精神衛生法を適用することができるようになっております。
○小林(進)委員 そういたしますと、既存の法律の中では、ノイローゼを何とか国の力で隔離するなり更生せしめる何かの方法が一体他にないものかどうか、お聞かせを願いたいのであります。
○尾村政府委員 これは国の力となりますと、結局一般の疾病者の、たとえば国民健康保険とかその他の医療保障の対象には、他の病気と同様になっておるわけでございますが、特にノイローゼをつかんで、しかもこの精神衛生法にひっかからぬ程度の一般のノイローゼをつかんで特別な保護をするというようなことには、今のところなっておらぬと思います。
○小林(進)委員 これはあとの方でお伺いしようと思ったのですが、精神衛生相談所というものが全国で相当あるようでございますが、その相談所でもノイローゼの方はお取り扱いにならないのでございますか。
○尾村政府委員 精神衛生相談所では、いわゆる他の精神科、一般の診療機関と同様に、こういうようなものは精神科の専門的な治療の対象になるものでありますので、これはできるだけ指導はいたしております。
○小林(進)委員 では、それはまたあとでお伺いすることにいたしまして、次にいろいろ病気の定義、内容をお伺いいたしたいのでございますが、これを大まかに分けた精神障害者の今度は処置の問題でございますが、その処置別にこれを見た場合には、一体どういうふうになるのか。今もおっしゃるように、強制入院せしめる必要のものもございましょうし、あるいはまた通院をせしめて、通わせて医者が指導する必要の程度のものもございましょうし、そういうふうな内容について詳しく一つ承りたいと思います。
○尾村政府委員 お手元に差し上げてあります資料二十七ページにございますが、そこにありますように推計数が種別に出ております。精神障害者の状況として大きく三つに分けてあります。その他というものの大きな部面は精神病質者であります。その中で収容を要する、すなわち精神病院に入れなければいかぬというものが、たとえば精神病については四十五万人とすると二十四万人、それから精薄では精神病院に入れなければならぬのが五十八万人中二%足らずの一万人、その他の精神病質等については二十七万人中十万人、こういうことで、百三十万人というものの中の三十五万人が精神病院の要入院患者、これが必要とする処置の一番の大物でございます。すなわち要収容ということでございます。その精神病院の要収容のほかに、その他の施設というものがございます。これが午前中から問題になっておりました精薄者に対する教育あるいは保護収容施設ですが、これがそこに十二万人と出ております。それから外来治療あるいは自宅におる者に対して、治療までは要らぬが生活指導しなければいかぬというものを含めまして、そういうふうな指導を要するもの、治療を要するもの、一般的に言うと通院治療とも言っておりますが、通院はあまりなくて訪問しないとむずかしいのでございますが、そういう精神病者が二十一万、精神薄弱者が四十五万、その他が十七万、処置の必要な内訳というものは三大別に申しますとかようなことになります。
○小林(進)委員 この要収容の意味は、これは強制的に収容する必要があるというのでありますか、どうでございますか。そういう意味でなくて、やはりどうしても入院加療せしめる方がよろしいという、そういう程度のものか、その点ちょっとお伺いしておきます。
○尾村政府委員 この点は今の後者の方でございまして、二百万人というのは、要するにこれを治療するには病院に入って治療するのがよろしいというのが二十四万でございまして、この中で特に重症等であって、精神衛生法の二十九条による入所命令を出さなければいかぬというような重症者は全体の二十四万の中の約十万、これは精神病についてでございますが、そういうような見込みになっております。
○小林(進)委員 そういたしまするというと、この二十四万人はまだみずからを傷つけたり他人に危害を及ぼすほどのものではないという程度のものであって、今、おっしゃるその中の十万というのは、みずからを傷つけたり他人に危害を加える危険性がある、こういうふうなことでございますか。
○尾村政府委員 御意見の通りであります。
○小林(進)委員 そういたしますと、百三十万のうちの二十四万、そのうちの最も重いものが十万、あとは野放しでもいいということになるのでございましょうか。その区別を御説明願いたいと思います。
○尾村政府委員 これはそういうことにはならないのでございまして、この十万というのはある時限を考えまして、そのとき現在もうすでに入所命令を出さなければならぬほどの重症者があるということであって、やはり精神病は要入院程度の、入院治療をしなければならぬという症状を持っておるものは、これはとまるわけのものでなくて進行いたしますので、やはりこれは今そういう現象が起こっておらぬから強制措置はしないにしても、許す限りいろいろな方法で入院治療をさせる、これがやはり精神病の性格から見まして必要な患者でございます。
○小林(進)委員 そういたしますと、その中で現在治療を受けている人は一体何%くらいいるものでありますか。同時に措置せられている患者の数もついでに承っておきます。
○尾村政府委員 現在治療を受けておりますのは、入院治療が十万人でございます。それから外来の、いわゆる神経科の専門の外来治療を受けておる者は、ある日にちを押えますと、これは一年じゃうかがったり、かからなかったりして始終変わりますけれども、二万人、これが日本全国の精神科の外来治療の対象になっておる者であります。こういうことでございますので、実際的に治療を受けておる者は十二万人になるわけであります。従いまして、三十五万人あるとするならば、その中の約三分の一が、入院もしくは外来の治療を受けておるということで、あとが対象になっていない。もちろんこれは治療を受けなくとも、そのほかにある数は保健所の登録下にありまして、指導を受けておる者もそのほかに若干加わりますが、しかしそう大きい数ではございません。
○小林(進)委員 十二万人とは少ないものでございますね。入院が十万、外来の治療が二万、そのほか保健所の指導されておるというのは入院でも外米でもないのですから、うちにおるわけですね。その在宅しておる保健所の指導というのは、一体どんな工合に指導されておるのですか。
○尾村政府委員 一つは例の法律に基づきまして保護拘束の規定がございます。これはやはり常時約二千人、これが知事の許可を得た在宅保護拘束、これは相当の症状のある者であります。これに対しては、もちろん地元の保健所がときどき観察指導の義務を持っておるわけでございます。府県知事が指導しなければならないということが法律に書いてあります。これを指導するということが一つでございます。ましてこれは二カ月間の保護拘束の許容制限期間が法定されておりますので、やはり病床があき次第これらを優先的に入れるというようなことも、よく見ておりませんと、適切な治療に移行できないわけです。それが一つと、あとはやはり聞き込み調査というのがどうしても主になるのですが、地元の民生委員とかそういうものから聞き込む。しかし、すぐに入院させるとかあるいはすぐ精神科のところで治療を受けるということには至らぬでも、これは監視をいたしましていわゆる諮問指導をする、こういうものが主でございます。あとは退院をしてきた者がなおかつどういうことになるかというわけで、アフター・ケアの意味で保健所がやはり在宅の監視を続ける、こういうようなものがおもな事項になっております。
○小林(進)委員 今の病院の数は幾つございますか。それと病床ですね。それを一つ伺いたい。
○尾村政府委員 全国の病院数は御承知のように五千六百病院でございます。それから病床数は今適切な資料がございませんが、たしか六十万床だったと思っております。その中で精神病の専門の、いわゆる単独精神病院が五百十病院、それから非単独、すなわち総合病院の中で精神病床を持っておるもの、これが約二百ございまして、合わせて約七百でございます。病床数は、先ほど申し上げましたように、ことしの一月一日現在でございますと九万五千床、なお毎年の例から見まして、一年間に約八十ベッドふえますので、その後半期を加えますと、おそらく三十六年度の年度当初には約十万、こういうふうに見込んでおるわけであります。従って全州床の約六分の一が精神病床であるというわけで、結核と比べますと、非常に少ない数になっております。
○小林(進)委員 大体十万床といたしまして、その病院のふさがり率はどのくらいでございますか。満員でございますか。
○尾村政府委員 これは一〇二%、すなわち二%だけ超過満員、こういう状況でございます。
○小林(進)委員 これは精神病院を作った方が一番いいようですな。そのほかに外来患者がいるわけでございますが、これは二万でございますか。
○尾村政府委員 外来のいわゆる全国患者調査を厚生省指定統計でやっておりますが、これで出てきますのでつかめますのか一日二万、こういうことでございます。
○小林(進)委員 先ほどからお聞きをいたしておりますと、これは患者に対して病床の数が非常に少ないという結論を出さざるを得ないのでございまするが、この法律改正で、今年度新しくお入れになる予定数を一体どれくらいに踏んでおられるのか、それもお聞かせ願いたいと思います。
○尾村政府委員 これは実を申し上げますと、三万七千ベッドを今度の法律改正の対象にしているわけでございます。いわゆる八割の措置入院の予算といたしておるのでございますが、これによって新たにこれの適用を受けて外から入ってくるのは、このうちのごく一部なわけでございます。と申しますのは、このうちの約一万六千名は在院中の生保によって入っておって、しかも一部負担が本人にかかっておる、しかもその程度が措置に試当する。これをこれに切りかえる。これがすでにこの一万六千名を含んでおります。そのほかにことしの九月まで大体一万五千名に旧制度による措置命令を出して保護をいたしておりますので、これを十月一日に全部差しとめるわけでございませんので、これがそのまま継続する。これが約一万五千を予定いたしております。そうなりますと、三万七千のうちもうすでに約三万は在院のまま大部分が切りかわる。そのかわりに今までは相当な徴収をかけられたり、それから府県が二分の一を負担しなければならないというために、しょっちゅう不安で、途中で引き取ってしまうといういろんなことはこれで防げるわけでありまして、一番の目的は十分達するわけであります。その計算からいきますと、あとの七千が外から入る者、それから国保その他で、措置命令は受けておりませんが、一部負担のために、まさに重症にかかわらず経済的理由で出ようというような者がありますと、これもこれに引き取ってやろう、こういうことでございますので、新たに入ります者は七千からさらに減る、後半の半年間の新入院患者は減るということでございます。これは大体ベッドの増加がございませんと、入れないわけでございますので、その新たなベッドの増床の数とそれから精神病院における退院していく数と、これらをにらみ合わせて大体満度にいくのではないか、こういう見込みを立てているわけであります。
○小林(進)委員 これを増床をする必要はないと思いますか、今までの既設のベッドで間に合うと思いますか。
○尾村政府委員 増床はますます必要でございまして、三十六年度はまず補助対象にするベッドを予算に組んでありまして、二千百ベッドを補助対象にする。それからその他、例年の例から見ますと、約六千ないし八千ベッドは医療金融公庫、従来ですと中小企業の国民金融とかいろいろなものの融資によりまして、これは精神病院自身がふやしているのでございますが、これから見まして約一万ベッドは三十六年度中に増設を期待する、こういうことでおるわけであります。
○小林(進)委員 三十六年度一年間で一万のベッドがふえるというお話でありますが、患者の趨性はどうでございますか。先ほどの実態調査の問題になりまするけれども、患者もオートメーション化するような進歩とともにだんだんふえていくのではないかと思いますが、願わくはこの精神障害者と病院とあわせた長期計画でもお持がありましたら、一つお聞かせを願いたいと思います。
○尾村政府委員 精神障害者の罹病率が年々ふえているかどうかという点については、適確な資料はないのでございまするが、先ほどのように国全体の実態調査自身が二十九年にやり、今度三十七年にやろうということで、それから病院で取り扱う数は年々ふえております。ただしこれは一方では基盤に人口の増加がございますし、人口の中で、最近は日本では老齢化といいますか、幼若人口が減って、精神病の発病年令である階層が比較的ふえているわけでございます。こういうことがございますが、はたして日本人の精神病の発病率が最近の世の中の変化で悪化しているかどうか、適確な証拠がないので、これは実数をもってお示しすることがなかなか困難でございますが、少なくとも減る因子としては、梅毒による精神病だけは、最近は初荷の治療がだんだんと非常によくなりまして、いわゆる精神病に至るまでの慢性重症化するものは減っておりますので、この部分は減っておりますけれども、その他の点は減少するという因子はあまり考えられませんので、少なくとも減らぬでふえているかもわからぬ、こういうことでございます。従いまして、この精神ベッドの増床問題は、現状より少なくとも多くあっても減らない、積み重なっていく。こういう計画で病床増加はますます考えていかなければならない、こう思っておるわけでございます。
○小林(進)委員 先ほども実態調査の中で、英国、カナダ、フランス、アメリカ、スエーデン、デンマーク、アイルランドというふうに、各国の実態調査をお聞かせ願ったのでございまするが、ただその設備について、そういう国との比較を一つお聞かせ願いたい。何かわが日本では、こういう精神障害者に対する病院は、隔離しておくだけが目的のようで、一般の入院患者の扱いといささか違っておるのではないか、近代的であるのではないかというふうな意見もありまするが、彼我比較いたしまして一つ率直な御意見をお聞かせ願いたいと思うのでございます。
○尾村政府委員 先ほど申し上げました七つの国と比べまして、日本のベッド率というものは非常に低うございまして、大体五分の一ないし三分の一、こういうベッド率でございます。たとえばアメリカにおきましては人口十万対精神病ベッド数が四百三十三、これに対しまして先ほどから申し上げました日本の場合には、約百ということでございますから、四・三分の一というような工合でございます。それからスエーデンもアメリカとほとんど同様な四百三、それからフランスが日本の約倍の二百十七、以上のようなことでございまして、日本はまだ人口に対するベッド率は非常に少ない、こういう状況でございます。
○小林(進)委員 先ほどの御答弁では、その発見方法がいいのかあるいは調査の仕方がうまいのか知りませんが、それも日本よりは大体比率が多い。総人口に対して日本は一・五%程度であるけれども向こうは二ないし二・三あるいは三%にいっているという話がございましたが、これは事実上患者の数に応じて向こうの方が病床数が多いということならば、日本の病床数が少ないことは患者が少ないということでけっこうなことでございますけれども、これが反対にいって、患者の発見もへたであるしその罹病者も多いけれども、いわゆる国の施策そこに至らずしてベッドも少ないのであるし、設備も上等にできていないということならば、やはり責任は政府にある、厚生行政の欠陥にあると言わなければならぬのでございますが、その点は一体どうなのでございますか。日本が各国に比してそのように少ない、五分の一にも足らないということの欠陥は、まだ厚生行政において日本がおくれているということの証左なのか、一体羅病者の患者が少ないという証拠にとってよろしいか、いずれか、一つ御返答を承りたいと思います。
○尾村政府委員 この点は遺憾ながらおくれているという方でございまして、ベッドに関する限りは、今の精神病の患者対収容治療すべきベッドは非常に劣っておる、こういうことでございます。ただしおくれたのが全部――ほっておいたということももちろんございますけれども、要するに日本はここ最近結核には非常に力が入った、それでベッドの点から申します限り、全ベッドの約四割近くの二十六万ベッドという結核ベッドを所有しているわけでございます。外国では結核が減ったせいもございますが、決してそう全部つぶしたわけではない、やはり全ベッドの五%とか一〇%程度はございます。この点は逆に日本が非常に多い。それに反しまして精神は先ほど申し上げましたように二分の一とか四分の一とかいうようなことで、精神対策が比較的国内のこういう公衆衛生対策の中でもおくれており、外国と比べても現におくれている。これは遺憾ではございますが、事実はその通りでございます。
○小林(進)委員 先ほどからお聞きいたしましたが、病院の設備の内容について、外国と比較してどうであるかという点も承っておきたいのでございます。
○尾村政府委員 精神病院につきましても、医療法のいわゆる設備基準の適用がございまして、もちろん精神病の場合には若干精神病の特徴を持ったつけ加えがございますが、一応一般的な病院の最低基準がなければ病院として開設許可にならぬわけでございますからその線には行っているわけでございますが、現実に日本にある五百十の単独精神病院を諸外国と比べたら、平均してどうかということになりますと、これは基準になる国民の生活条件が違うために、日本の精神病院以外の病院もそうでございますけれども、ただ施設、設備それ自体を比べますと劣っていることは間違いございません。それからこれらの国のうちで私自身が見ましたうちでアメリカでは精神病院を多数見ましたが、それから見ましても、設備の点は日本の方がまだ平均しては劣っております。ただこれを扱う職員の問題につきましては、割合と日本の精神病院の職員数は、平均して外国の単独精神病院と比べますと多い方でございまして、たとえばアメリカの一番大きな分野を占めております州立の精神病院、これは大きいせいもございますが、患者百人について総職員二十人というのが大体標準でございます。日本はその場合大体百人に対しまして三十人ないし三十五人という精神病院の方が多いわけでございます。数が多いほどいいとは限りませんが、それだけはむしろまさっておる、こういう状況でございます。
○小林(進)委員 デー・ホスピタルとかナイト・ホスピタルというのはどういうことでございますか、この内容についてお聞かせを願いたいと思います。
○尾村政府委員 これはいわゆる在宅精神病患者に対しまして、昼間だけ精神病院に通ってきて、いわゆる普通の外来通院でございますと、診断して、口で指導したり、処置をして、何分とか一時間ぐらいで帰るわけでございますが、これは診断のほかに一日間そこで昼間御飲を食べさせて生活させる、これによりまして実質的な入院治療の効果を与える、夜は家へ帰る、こういう形のものがデー・ホスピタルであります。従って退院後長期にわたって必要な病院施設を使った治療を継続するのがデー・ホスピタルであります。ナイト・ホスピタルというのは、これと逆でございまして、夜だけ泊まりにこさせるというわけでありまして、昼間は、軽症の者は作業に従事するとか、あるいは職場におる、ただし夜は家へ帰って寝るかわりに精神病院にきて寝かせて、それで指導あるいは処置をやる、こういう意味であります。現に国内でもごくわずか今実験中でございます。
○山本委員長 速記を止めて。 〔速記中止〕
○山本委員長 速記を始めて下さい。
○小林(進)委員 先ほどからお伺いしているように、こういう病気にかかった方は、生活費の問題、入院費の問題に一番困るのだという場合なんですけれども、一体こういう精神障害者が病院に入ったときの一日の入院費は、平均してどれくらいかかるものでございますか。
○尾村政府委員 現在のところ大体一日五百円でございます。
○小林(進)委員 五百円の内容をちょっとお聞かせ願いたい。
○尾村政府委員 基本の入院料は、これは甲、乙表に従いまして御承知の通りきまっているわけであります。その残りが、これも入院でございますから、いわゆる注射料、それから注射以外の処置料、これは電撃療法その他いろいろなものがございますがその処置料、それから投薬、こういうものが内容でございます。今的確な分析した資料を持ち合わせませんので、数字をあげての説明ができないで申しわけありません。
○小林(進)委員 一体精神障害者という者は、入院しましてやはり直るのもあるんでしょうかね。(笑声)そう言っては悪いんですが、「軽快見込」とか「不変又は増悪見込」だとか「不明」だとか、いろいろ厚生省はお分けになっているようでございますが、これは普通の病人とやはり全快というものが少し違っておりますね。これを一つ細部に分けて、パーセンテージでお示しを願いたいと思います。
○尾村政府委員 パーセンテージにいたしますと、「在院精神障害の予後」三十一ページの第五表に出ております通りです。要するに、ある日を押えまして、全国の精神病院に入っておる者をその時限におきまして診断見込みを立てますと、「寛解見込」一五・五%以下そこに出ております通りでございます。右側が退院していく精神障害者で、退院の中は、どういう内訳で出るかというと、これは在院よりは寛解、すなわちこれは治癒の方ですが、これが倍の三八%、軽快が四〇・七%というふうに、退院していく者の八割はよくなっていく、こういうことでございますので、精神病も最近はかなりよく直る対象が非常にふえておる、こういうわけでございます。
○小林(進)委員 この寛解と軽快の区別を一つお聞かせ願いたい。
○尾村政府委員 まあわかりやすく申し上げますと、寛解は、ほかの病気の場合の一応治癒と解しているわけでございます。ただ、精神病の特徴からいいまして、これは波を打って、ある程度を押えて直したけれども、いつまた起こるかもわからぬという、この再発率が非常に高いものでございますから、まあ誤られるわけで、治癒してあるいはその後に同じ病気が起こった場合、これは同一の病気かどうかという点もございますので、精神病の場合には、特別に寛解というのを、治癒退院のかわりに、この方が性質から見て正確でございますから、そういうものを使っておる、こういうふうになっております。
○小林(進)委員 金がかかるもんですね。五百円といたしまして一カ月一万五千円でございますが、これはほんの病院にお払いするお金だけでございますから、そのほかいろいろ要るわけですね。それで、現在一体入院していられる平均日数はどのくらいなものでございますか。
○尾村政府委員 これは実際に病院統計のやり方で、平均入院日数という一つの統一した出し方がございますが、これで見ますと、約一年でございます。最近は平均三百四十日ということでございます。ただし、これはいわゆる在院日数の平均でございますから、長い者はあるグループになっていつまでもいる、それから軽い者はそこでぐるぐる回転して、入っちゃ出、入っちゃ出して直っていく、こういう形になっておるわけでございます。
○小林(進)委員 これは出たり入ったりもございましょうけれども、平均して一年というと、月一万五千円、これは最低でございまして、それ以上もろもろの金もかかろうし、着たりしなければならないでしょう。朝日裁判でございませんが、頭が狂っているからほかに余分に要らないかもしれませんが、相当金も要ると思うんです。一体こういう入院患者の入院料の支払いの内容でございますね、社会保険だとか生活保護法だとか、そういう入院患者が病院に払っているその費用の区分を一つお聞かせ願いたい。
○尾村政府委員 これはお手元にあります資料の二十九ページのまん中の(ロ)というところに、ちょうど御質問の資料を載せております。それがパーセンテージでございますから、それによって御了承願いたいと思います。
○小林(進)委員 措置入院が一四・六%、生保の全額が二四・七%、生保の一部が一九・二%、社会保険が三一・三%、全額自費が八・五%、その他が一・七%、これに一つ現在の数字を合わせて、数字でお示しを願いたいと思うのであります。
○尾村政府委員 今手元にこれのもとになる積算の患者数を資料として持ってきておりませんが、先ほど申し上げましたようにこれはごく最近の比率でございますから、この三月現在先ほど申し上げましたように十万ということになりますので、この十万から計算いたしますと、たとえば措置入院が一四・六すなわち一万四千六百人になる、こういうふうな形で考えていただきますと、誤りは大体ないわけであります。
○小林(進)委員 そういたしますと、この表でいくと全額自費の方が八千五百人いらっしゃるということになりまするが、この八千五百人の自費の方は、内容はどうなんでございましょうかな。やはり生活のゆとりがあって自費で出されておるのか、ほかの費用にはどうしても該当しない、出してくれるところがなくて、まあやむを得ず自費でまかなっていられるのか、内容はどうなんでございましょうか。
○尾村政府委員 精神病の場合にはもちろん、隠しておくというようなこともあって、無理してでも自費で入ろうという者もむろん一部ございましょうが、概して一般的に余裕がある。この全額自費の対象になっております者は、大体余裕があって、経済的に負担ができるという者が多いわけでございます。
○小林(進)委員 今ここでお医者さんにお話を承っておりますと、大体農村のお百姓さんあたりが多い。今までは国保もございませんものでございますから、そういうような関係で、そうして生活保護法あるいは精神衛生法のあれでもない、こういうことで入っているというのですが、今度もやはり措置入院以外は自費患者を救う方法はないですかな。あなたの方で措置入院せしめる以外には処置はないわけですかな。
○尾村政府委員 これは今度少なくとも国保に全部入ってくるわけでございますから、この措置入院の対象にならぬ者でも、少なくとも国保による世帯主七割、その他五割、これはおそらくこの全部がかかってくる、こう思われます。従って皆保険下においてどれかの保護を受ける。保険によって、該当するとなれば、その有効期間の間は少なくともこれに書かれておる、もちろん症状の重い者も措置入にかける。ただしそれは経済的にも工合の悪い者、そういうことになると思います。
○小林(進)委員 もう定められた時間が迫って参りましたので、また不足分は日を改めてお伺いすることにいたしまして、三十四年、三十五年で、これは今の法律改正の前なのですけれども、前には毎年どれくらい措置入院として取り扱いになっておりましたか。これは予算の問題でございますから、一つお聞かせを願いたいと思うのでございます。
○尾村政府委員 これは二十八ページの第二表にございます通りの数字で三十四年まで経過して参りましたが、三十五年度は予算的には約一万三千、しかし実数は先ほど申し上げましたように、年度末では現実には一部徴収を入れまして一四・六%、こういう見込でございます。
○小林(進)委員 この数字には三十五年は入っておりませんね。三十四年が一万七百九十一名のところを三十六年度においては三万七千までふやされるのでございますから、過年度に比較しては画期的な一つの進歩せる法律改正であるとは考えておりますし、しかも金額が多いのでございますから、非常によろしいと思いますが、この精神病者の全般の数から見れば、これははなはだもの足りないと私は思うのでございます。もし十万の患者をことごとく入院をせしめて、しかも国家が今の措置入院と同様に責任を持ちますならば、概算どれくらいの国の予算を必要とするか、この点を一つお聞かせ願いたいと思います。
○尾村政府委員 これは十万人に対しまして年間の所、要経費をかければ出て、答弁はやさしいのでありますが、現実にはやはりこれを実行するためには、入れものがなくてはできぬわけであります。そこでベッドの方をなるべく早くふやす、そのふやすに応じて年間収容できる計数を出しませんと無意味でございます。私どもとしては、さしあたり早く十五万床に達したい、こういう計画で、今ベッドの増加をはかっておるわけであります。十五万床になりますと、措置患者も相当数一そうふやして、より重いものから順番に入れるということで、かなり回転がよくなります。そういうふうな計画でございます。
○小林(進)委員 それでは質問をだいぶふっ飛ばしまして、最後に私は、今おやりになっている精神衛生相談所について、概略を一つお伺いをいたしておきたいと思うのであります。
○尾村政府委員 現在全国に五十一カ所ございます。都道府県並びに大きな市に少し設けられておりますが、実質的にはここに働いておりますものは、たとえば東京の梅ケ丘とか、あるいは神奈川県立というような相談所には相当数の職員、すなわち十人程度おりまして、精神科の医師も二人ないし三人かかえておるというところもございますが、全国的には先ほど河野委員から御指摘がありましたように、精神科の専門の所長さえいなくて、その部面は衛生部で来任して、実際の部門は専門家に嘱託をするとか、あるいは県立病院の併任、こういうことで運営しているところが多いのでございまして、まだ陣容は非常に弱体でございます。それは年々強化しておるわけでございますが、ここで扱っております仕事としては、今の大都会ないしは強化された精神相談所には、お客を断わるくらい最近相談人が非常にふえております。東京の梅ケ丘にいたしましても神奈川でも、大体一人平均一時間くらいかけないとほんとうの意味の精神相談はできぬものでございますから、その能力から見まして非常に窮屈になっておるくらいでございます。この需要に対してもっと強化しなければならぬ、年間を通じまして、五十一カ所の精神衛生相談所の取り扱いました実数は二万六千名になっておる、これは三十四年度であります。三十五年度はまだ集計ができておりません。そういうような工合で、成人がそのうちの二万名ということですが、これは児童相談所が別にありまして、そちらの方に児童は主として行くせいと思いますが、以上のような内容でございます。
○小林(進)委員 これは先ほど河野委員の質問があったといえば、あるいは重複するかもしれませんから簡単に聞きますが、こういう五十一カ所の場所にお作りになっておるのでありますが、その内容としては専門の医者もおいでにならないというようなお話でございます。これはもちろん精神病のお医者さんだけでなくて、やはり心理学なんかの先生も当然必要だと思うのでございますが、正式にその相談所を設けた場合に必要な人員といいますか、内容の配置についてお聞かせを願いたいと思うのであります。
○尾村政府委員 大きいところは別といたしまして、基準に考えておりますのは、精神の専門家のフルタイムの者を一人、それから心理学の専門家一人、それから精神衛生のケース・ワーカー二名、これをいわゆる技術スタッフの標準にいたしておるわけでございます。
○小林(進)委員 それがほとんど満たされていないというような実情であるというふうに承りましたが、今おっしゃいました基準を満たしている場所が五十一カ所の中に何カ所あって、基準に満たないものが何カ所あるかお聞かせを願いたいと思うのであります。
○尾村政府委員 五十一カ所のうちの約三分の一、十八カ所は大体この基準を満たしております。それから残りの三分の二のものは、満たしてはおりますが、先ほど申し上げましたように、精神病院との併任あるいは雇い上げによるパート・タイムという形で一応満たしておるという形でございます。
○小林(進)委員 精神衛生に対する予算的措置でございますが、私はいろいろ外部との比較を承りましたが、予算の面においてはまだ私はお聞かせを願っておりませんので、先ほどの例にあげられた国々の精神衛生に対する予算とわが日本の今日の実情はどういうふうになっているか、お聞かせを願いたいと思うのであります。
○尾村政府委員 日本と比べまして、外国の精神衛生に使用しておる、たとえば行政費としてどういうように使用しておるか、それから実際にベッドも多いわけでございますが、患者数も多いわけでございまして、これの精神衛生のための費用をどれだけ使っておるのかということは資料がございませんので、実際に比較できません。ただ患者数が多いことと、それから精神衛生相談所的な指導施設が外国には非常に多く行き渡っておるということから推計いたしますれば、日本よりもはるかにこの方面に金が使われているということは推測にかたくないわけであります。
○小林(進)委員 ちょうど約束の時間になりましたので、私は精神衛生の問題の質問は一応ここで終わりますが、ただ結核予防法については本日のお約束にはございませんので、午後の五時を期して、これから結核予防法の一部を改正する法律案について質問をいたしたいと思いまするので、医務局長をここへお呼び願いたいと思うのであります。
○山本委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる四月四日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。 午後五時一分散会