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38回国会衆議院1961/03/22

社会労働委員会 第16号

発言数
57
登壇者
7
会派数
3
開催日
1961/03/22

会議録

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 これより会議を開きます。  中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を議題とし、その審査を進めます。  質疑を許します。井堀繁雄君。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 時間の制約もあるようでありますから、ごくしぼってお尋ねをいたしたいと思います。  本法案は、立法精神にも明らかでありまするように、中小零細企業のもとに働く労働者のための退職金の積み立て制度でありますことはきわめて明確でありますが、本法の今回の改正案を検討いたしますと、二、三了解しがたい点がありまするので、お尋ねをいたしたいと思うのであります。大体五つくらいにしぼってお尋ねをいたしたいと思っております。  一つは、改正案の中心をなしておりまする適用範囲の拡大と、国庫の補助金の一部を拡大された点でありまして、その趣旨には全く賛成であります。ただ本法の目的とするところの中小零細企業の労働者に対するこの制度の運営といたしましては、この改正は不徹底であるのみならず、矛盾を感じまするので、この点を明らかにいたしてもらいたいと考えます。第二にお尋ねいたしたいと思いますのは、予備金の運営についてであります。第三は事業団の性格並びに運営について二、三お尋ねをいたしたい。四番目には審議会の運営についてお尋ねをいたしたい。そして最後にこの制度と労働省の中小零細企業に対する基本的な方針等をお尋ねいたしたいと思うのであります。  まず本法の精神に立脚いたしまして、この法案の改正が段階的に行なわれますることは、立法当初にあらかじめ約束されたことであると思うのであります。その約束に基づいて漸次改善が行なわれていくということは、われわれの最も歓迎するととろでありますが、具体的に検討を試みますと、百人から二百人に適用範囲を拡大した点であります。ことにサービス業や商業などに対する三十人を五十人に引き上げた、この点はいずれも日本の中小零細企業の実情を十分把握しておるものであるかどうかという点に疑いを持つくらいであります。事実につきまして正確な統計を得ることは困難であるといたしましても、概観することはできると思うのであります。たとえば就業構造基本調査に現われておる数字だけをここに引用いたしましても、非農林関係の雇用労働者一千九百六十五万と発表いたしておりますが、そのうち百人未満、すなわち一人から九十九人までのものが九百十八万をとえておるのです。百人以上の事業場はわずかに六百万ちょっとであります。そのほかに官公庁関係のものが四百二十万、こういうデータですが、かなり信憑力のあるものと思うのであります。こういう実数から見てみますと、百人未満、特に九人未満三百六十万、十人から二十九人までが二百九十六万、すなわち三十人未満の零細企業がいかに多いか。そしてこの人々が、この立法精神にもありますように、独力で退職金制度を持ち得ないという事実にかんがみて、その保護政策として発足したことは事えない事実であります。でありますから、本来の精神を貫きまするならば、適用範囲を拡大するということについては二の段階、三の段階において考えらるべきものであって、まずこの三十人未満の、社会的、経済的あるいは政治的に及ぼすこういう客観的な諸情勢から判断いたしましても、労働行政としてはこの部門に主力を注ぐべきではないか。もし改正を行なうならば、そういうふうになすべきではなかったか。特に今度の改正の第二の眼目でありまする国庫の補助金を見ましても、きわめて零細な金額でしかあり得ないのであります。これも増額をするというのでありますから、傾向としては私は好ましい傾向であると思うのであります。しかし個々にはいろいろ意見の相違はあるといたしましても、ごく少額な金額の補助金をふやそうというのでありますから、いずれに重点を置いて行なうべきかというととは、法改正の場合のきわめて大切な労働省の態度でなければならぬと思うのであります。こういう点から考えてみましても、三年半までの掛金は、いずれもこれを二年に引き上げるというのでありますから、この点も漸進的ではあるが、一つの進歩的な姿としてわれわれは好感を持てるのであります。しかしこの際も、先ほど引例をいたしましたように、中小零細企業の実態を正確に把握しておくならばこういうことにならなかったのではないか。それは、これもデータを一つ参考にしてみるべきだと思いますが、適当な資料がございませんから、労働省が立法当初において強調されました昭和二十九年の臨時調査に基づくデータがこの際比較的役に立つと思うのでありますが、それを規模別に見ていきますと、勤続年数がはなはだしく相違してきております。たとえば十人から二十九人、三十人未満のつかみ得るデータだけを見ましても、平均いたしまして全産業が六・三年になっておるのに対して三・八年弱であります。それが漸次規模が大きくなる、すなわち百人以上になるとぐっと成績が高くなってくる。また定着率なんかを見ましても非常に大きな開きがあるのでありまして、こういう雇用の定着率などから判断をいたしましても、零細企業の労働者がいかに不安定な雇用の状態に置かれておるかということが一見明瞭であります。でありますならば、その実情に沿うべく法改正が行なわれていくことが、きわめて少額なしかも貴重な国庫の補助金を分布する場合に、重要な考慮を払うべき点ではなかったか。こういう点が全く無視され、軽視されておるということは、本法の立法精神にそむくとまではいかなくても、十分理解をした態度ではないのではないか。この辺に対して、われわれはどうしてもこの改正について重点をはずした感じが強いのでありますが、これは全体にも影響を持つことでありますから、一つ労働省のこれに対する見解を明らかにしてもらい、あるいは将来この点に対してどのような方針を持っておいでになるかも伺っておきたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 詳しくは労政局長からお答えをいたしますけれども、人数を拡大いたしましたのは、拡大した人数の範囲までの企業もやはり独立で完全ないい退職金制度をまだ作り得ない状態にあることが多いという点から、人数を拡大いたした次第であります。  それから零細者に対する措置に欠けるところがないか、むしろ零細者にもっと手厚くすべきではないかというお話でありますが、零細企業に働いておる人々の勤続年限が短いものでありますから、そういう人々を救済するという趣旨で三年半を二年に縮めたような次第でございます。  詳しくは労政局長からお答えいたします。

冨樫總一労働事務官(労政局長)

○冨樫政府委員 ただいま大臣からも申し上げましたように、趣旨といたしましては井堀先生のお話の通りのことをわれわれも考えておるわけであります。本法の趣旨が、自前で退職金制度を作れないものに加入していただくという基本方針でございますから、いたずらに範囲を拡大するということは本旨でございません。ただ今回百人を二百人に上げましたのは、先生も退職共済審議会の委員であられたのでよく御承知のことと存じますが、審議会の経過の中におきましては、三百人までという御意見もあったようでございますが、そこまでは少し行き過ぎだ、統計から見ましても、現在自前で半分の制度がないというところで、二百人まで門戸を開放することがまずまずいいところではなかろうか、こういうことで、この答申を尊重してこのような原案を提案したわけであります。特にわれわれの力を入れておりますのは、制度的にも、実際の運用面におきましても、先生の仰せられましたように、小、零細企業に重点を置いておることは申すまでもございません。現に加入されております事業所の割合から申しましても、現在二十任未満で七九%の事業所が加入しておるというふうに、われわれの力が十分でないにいたしましてもその方に力を入れておる今度の改正におきましても、大体短期勤続者に対する給付の改善、そうしてこの短期勤続者というものは、小、零細企業に多いというところに眼目を置きまして、十分とは申せませんけれども、できるだけ審議会の答申を尊重して成案いたしたような次第でございます。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 審議会の意見を尊重してとおっしゃいますが、私は必ずしも審議会の意思をはなはだしく軽視したとか、そういう意味のことを言ってはおらぬのであります。私どもも審議会で意見をまとめる際には、一応諮問の趣旨に沿ってでありますから、決して建議をいたしたのではありません。この中における私の意見はひとり私だけの主張ではなくて、これについての諮問の趣旨もあったことでございますから、かなり多くの人の同意を得られた趣旨であって、おおむね私の今お尋ねした趣旨については同感の意を表されておる人々も多いことでありますから、この点誤解のないようにいたしておきたいと思います。  そこで私がなぜこのような質問をしたかというと、少なくとも今回の改正はこの制度がすくすくと育っていくようにという願いがあるからでありまして、こういう適用範囲の拡大という場合において一番重要なことは、百人から二言人までの人が加入してくるということは、共済制度を急速に拡大していくためには大きな役割をすることは私どもも認めるのであります。しかし、その利益よりは失われるものの方が大きいと思われるからお尋ねをしたのであります。それは何かと申しますと、先ほどデータをあげて説明いたしましたように、この部分の人々が一番恩典をたくさん受けることになって、一番急いで保護を加えなければならない三十人未満の零細企業が割損をするという、この事実はいなめないのであります。こういうふうな主客転倒の実施結果が現われてくるならば、本法の立法精神にそむくと思いますから、その趣旨のことを一応お尋ねしたわけでありまして、これは将来のこともありますから記録にとどめたいと思いますので、一つ大臣から明確な御発言を願っておきたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 本法制定の趣旨が、わが国に特に多いいわゆる零細企業の労働者諸君の保護にあることは、井堀さんおっしゃる通りであります。今回の改正もその趣旨に沿って行なったつもりでございますけれども、しかし百人から二百人までの企業を加えました結果において、水増しと申しますか割損と申しますか、零細企業の勤労者が割損になるという懸念が生ずることも私はわからぬわけではございません。従って現在におきましては、その運営にあたって井堀さん御指摘のようなことのないように十分注意をいたしますとともに、将来におきまして補助金の増額その他、零細企業の労働者諸君がこの法の恩典をよりよく効果的に受けられるように検討を加えたいと存じます。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 次に、この法案で最も重要な役割を今後演ずるであろうと思われますものは、積立金の運用だと思います。この制度は、これに類するいろいろなものがありますけれども、私は近い将来に相当大きな金額に上ることは明らかだと思うのであります。そこでその運用が重要な役割を持つと私は思うのであります。それは立法当初において他の委員から政府の所見を迫っておりますものの中にも、積立金の運用について、その積立者の中小、零細企業者のために還元したらどうか、それももっぱらその中に働く労働者の福祉のために使えということを強調しておったようであります。政府もそういたしたいという趣旨のことを明らかにしておるのでありまして、これは当然だと思うのであります。  そこで具体的の点をお尋ねいたしたいのは、立法当初においては、まだ政令に譲るということで、大蔵省の資金運用部資金に導入する規定が明らかでなかったようでありまして、できるだけ資金運用部資金に入れることを避けるようにという趣旨の質問が行なわれておりましたが、それに対して全く同感の意を表して、そういたすということを言明しておりました。ところがその後この法律が施行され、政令、手続が進むにつれて、そういうお約束とは逆行して、かなり巨額のものがこの資金運用部資金に導入されることに——法律には五十三条の三項に明文化されておる規定でありますが、私どもはこの前段の質問者の意思がどこにあったか存じませんが、この種の零細企業者が積み立てる金額の原資というものは、今日の金融事情の中におきましては、かなり高利の金を使っておる部類に属するのであります。しかもその高利の金は正当な金融機関を通じては借り得ない実情にありまして、最も高率な、まるで高利貸しといわれる人々から融資を受けた金を拠出しておるわけであります。その金が、しかも低利で国の力で運用部資金に導入されるということは、この実情に対してあまりにも矛盾したことになると私は思うのであります。でありますから、審議会においても、この点に対しては強い要望が付せられた。それから、はからずも国会でも、しかも保守党の議員からこの種の点に対して強い要望が行なわれ、同感の意を表された。これは政府全体の行政の上であったと思いますが、少なくとも労働行政を担当する国務大臣としては相当抵抗されたとは思いますが、この種の問題は私は軽視できないのじゃないかと思う。すなわち、こういうことを途中に置いておくから、労働行政というものが羊頭を掲げて狗肉を売る疑いを持たれるのじゃないか。これはわずかに政府の補助金があるだけであって、あとは零細企業の労働者のために退職金をやる。そうしてその積み立てる人は零細企業者であるということは何ら疑う余地がないのであります。でありますならば、それを一〇〇%労働者のために効率的に運用していくということが本来の建前でなければならぬ。それをただ安全だということだけをもって今日多額の金が運用部資金の中に導入されるという措置は、私は本制度を冒涜するものではないかとすら思うのでありますが、これはいみじくも保守党議員から指摘されたにもかかわらず、また政府がこれに同意を表されたにもかかわらず、今日その運用を誤っており、将来その傾向がだんだん強くなるのではないか。これは立法の中にも他の項で、還元融資についてはこれこれという規定があるようでありますが、この点は非常に重大なことだと思いますので、これも一つ労働行政をあずかる閣僚としての所見を伺っておきたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 零細企業者が特に高利の金を使っておるという実情、それから、この退職金事業団の余裕金をその拠出しておる零細企業者が使用しやすいような、いわゆる還元融資とでも申しますか、そういうしやすいような運営をすべきであるという御主張、これは全く同感でありまして、これが的確に還元融資をされるということが実際上効果的に行なわれますると、私は、この制度の普及のためにも非常に役に立つものと考えておりますし、また、この法律ができます前に自主的にできておりました各地におきまする制度が、やはり政府の補助金があるにかかわらず、すぐにこれに入ってこない理由も、この還元融資と関連いたしておると存じます。従って、この余裕金はでき得る限り中小企業の人々が運用してもらうようにすべきであると考えておるわけでありますが、現在余裕金が約八億円強と記憶しております。そのうち、相当部分は中小企業金融公庫債券を購入いたしておりまして、それによって中小企業への還元ということを心がけておると承知いたしておりますけれども、詳細な余裕金の運用状況につきましては、労政局長よりお答えを申し上げたいと存じます。御趣旨は、私は全く賛成でありまして、今後ともその方向に向かって努力いたしたいと存じておる次第であります。

冨樫總一労働事務官(労政局長)

○冨樫政府委員 運用金の扱いの基本は先生のおっしゃった精神で、ただいま大臣の申し上げた通りでございます。現状を申し上げますと、八億余りのうち八割方、商工債券あるいは不動産債券によりまして中小企業に流れるように配慮いたしておりますが、方といたしましては、安全、確実ということのほかに、中小企業に回るようにということでございます。御指摘の資金運用部との関係でございまするが、いろいろ折衝いたしました結果、政令におきましては、決算として現われた積立金の三割以内を資金運用部に預けるということになっておりまするが、その後折衝の結果、実際面といたしましては積立金の一割ということでございまして、その決算が三十四年度の決算に基づきまして、近く一千万円預けるということになっております。まあ国庫からも事務費全額、補助金も五%の補助金が出ておりますし、資金運用部の銭の若干はやはりそれなりに中小企業対策にも出ておるわけでございまするので、これをゼロというわけにも、ちょっとわれわれの立場として言いにくいのであります。法律にもそういうふうな趣旨のことがあるわけであります。で、きまりました三割以内、そうして実際には一割というのは、他の資金の扱いとのバランスから見て、まあ、われわれとしては、よく大蔵省とこの程度の折衝でまとまったというふうに考えているところでございますので、御趣旨に沿いまして今後とも一段と努力いたしたいと存じます。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 この問題はここだけできめることも困難な事情もある程度理解できます。ただ、この際私は強く主張いたしておきたいと思いますのは、今日の金融の実情というものは、零細企業者にはいろいろな金融政策がとられておるようでありますけれども、実際はパイプが詰まっておる。でありますから、実情は高利貸しからの融資を受けざるを得ないというこの厳粛な事実でありますから、中小企業向けの公債にいたしましてもあるいは政府の融資にいたしましても、タンクに水を張ることは可能であっても、パイプが通じておりませんので、実際は、中小企業向けとはいいながら、実質的には信用力のあるところに金融が行なわれるという、この金融政策の現状というものは、よほど考えないと、もしそのルールに乗せて還元融資をやるというのであれば意味をなさないということを私は強調いたしておきます。労働行政でありますから、単なる金融行政やあるいは通産政策の中で考えられるものと異なってくる。あくまでも零細企業者の退職金の積立金ということで、その融資が行なわれるときは、その目的に全く合致したところにいくような工夫が一段と行なわれなければ意味をなさない、こういうことを当局としては十分お考えをいただいて、今後間違いのない通常をいたしていただくことを私は希望いたします。  次に、事業団の性格でありますが、これは問題が非常に多いようであります。でありますが、私がこの機会にお尋ねをいたしておきたいと思いますのは、この法律の立法当初から多少疑問を抱いておるのでありますが、今日もなおその疑問は深まる一方であります。これは全く異質のものを二つ合わせたという、この表現が適当であるかどうかわかりませんが、この第一条の目的にも明らかにしておりますように、零細企業者が協同をして、そのもとに働く人々のために退職金制度を確立しようということは、一つの相互扶助の精神に基づく共済制度を大上段に振りかぶっておるものであります。また、それが大前提であるわけであります。ところが、その運営は事業団がとってかわることになるわけであります。契約という形において共済が運営されていくわけでありますが、私は、この矛盾は将来やはり続いていくと思う。今日の段階では比較的弊害は少ないかもしれませんが、将来は問題になると思われる。私はその点をこの機会に明らかにしておきたい。というのは、日本では事業団、公団あるいは公庫、公共企業体などいろいろ分かれて一つの行政を分担しているようであります。これは労働省からこの国会に雇用促進事業団法が出ておりますから、その節時間を得て実は明確にしていただこうと思っておりますが、この機会に伺っておきたいのは、この法律に表われております事業団の性格というものは、やはり労働省の行政の一つの形を変えたものであるというふうに理解ができる。これは、私はこの問題の定義を一つ知りたいと思いまして、質問書で一応回答をとって、それが先日手に入りましたが、それではまだ不得要領のものがあるわけであります。事業団というものに一体この種の仕事をさせていく場合に、私は、労働省としては的確な一つの方針を持つ必要があると思う。もし共済制度であるとするならば、その掛金をかけあるいはその制度によって保護を受ける労働者と企業者が、この運営に対してやはり十分な発言の機会あるいは運用に対する責任と権利の関係というものが明記されてこなければ共済制度にはならない。ところが、その点がこの中には全然削除されておるわけでありますから、名は共済であるけれども、実質的には掛金をかける人も、その法の対象になる労働者も、間接的な審議会などを通じて発言しようとしても、有機的な関係はどこにもございません。この点は、私はこの法案の大きな盲点であると思います。しかるに、事業団がそれを引き受けるのでありますから、事業団は、一体そういう掛金をかけております零細企業者、それからその権利者として保護を受ける零細企業の労働者というものと、要するにどういう関係を持ったらよいか、持たせるべきか。これはもうすでに何回も明らかにされたことでありますが、労働条件の重要な部分であります。でありますから、この関係は労働省の責任のあるところでもあると思いますが、この法律にはどこにも明確になっていないのであります。でありますから、こういう点に対する労働省の見解というものは非常に重大になってくると思います。法律改正するような時期も来るかもしれません。今日の段階においては限られた部分の改正でありますから、それに触れていないということはどういうお考えで触れなかったのであるか、またそういう盲点をどういうふうに行政指導されるおつもりであるか、これは将来のために明らかにいたしておきたいと思いますから、労働大臣の責任ある御見解を述べていただきたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 退職金という制度は、元来は企業者がその責任において独自に設けらるべき制度でございます。しかしわが国の実情——わが国の実情という部分には政府の責任が入るわけでありますが——から言って、自主的にその制度を確立し得ない業者がたくさんございますから、そういう状態に応じて労働者保護ということをいたさなければなりませんので、政府が補助をし、世話をする事業団をしてかわってこれを運用せしめるという建前でございますことは御承知の通りだと思います。しかしこの場合において、井堀さんのお話のように掛金をかけている者、それからそれによって保護をせられる対象である中小企業の労働者が第一にその運営にあたって発言権を持つべきである、それをずっと伸ばして参りますと、元来そういう制度をやろうとするなら共済組合なり何なり任意団体を作って、その団体によってお互いで運営をするようにすべきものであるということになることも理論的にはよくわかります。ただ実際問題といたしまして、こういう退職金制度というものは長期にわたっての運営がどうしても必要であります。そうなりますと、設立、解散あるいは改組というようなことが任意に行ない得る団体にまかせることはどうかという問題、それから実質的に意思決定が非常に複雑な手続を必要とする団体に、この仕事のような型にはまったと申しますか、きまったと申しますか、そういうような業務を行なわせることの問題、そういうような問題が実質的にございますので、御承知のごとき現在の事業団の制度が適当だと思って法を制定いたしておる次第でございます。ただその場合の事業団の運営についても、でき得る限りそういう効果的な趣旨に沿うような方法を見出さなければならないのでありますが、目下のところは審議会の御意見を拝聴しつつやっていくことを通じて、今井堀さんの御発言のような御趣旨を生かしていっておるわけでありますが、さらに諸般の研究を続けまして、他の要件を満たしつつ、井堀さんの御発言の趣旨を生かせるような方法を発見するように努力をしたいと考えておる次第でああります。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 この問題は多少時間をかけていろいろお伺いをいたしたい点でありましたが、時間のお約束がありますので、先ほども申し上げましたように、この委員会で雇用促進事業団法も出て、その節関連もありますから、便乗させてもらって伺いたいと思います。  そこでもう二点ばかりお尋ねをいたしますが、一つは審議会の問題であります。先ほど来お伺いしましたことでおわかりのように、審議会の役割は非常に重要な——他の審議会が重要でないというわけでありませんが、特にこの制度の中における審議会というものは大きなウェートを占めている。従いましてもこの審議会の制度は法律によりますと学識経験者という抽象的な表現で、労働大臣の責任においてその構成のメンバーが選ばれるわけであります。私も微力ではありましたが、その関係をいたして痛感をしたのであります。というのは今日零細企業、中小企業と俗に言っていますけれども、商工会議所の中にも中小企業に対する専門家も相当おいでになって、いろいろ政治的な発言その他大きな役割を社会的に演じていることは承知いたしております。また中小企業の団体も、法人格を持ちあるいは任意のものもあるようでありますが、いずれも零細企業の意思を表明する組織というものについては、遺憾ながら私はまだ十分でないと思います。それから労働団体の場合におきましても、総評の代表、全労の代表が推薦を受けておりますが、いずれも大企業の労働組合の幹部としてはりっぱな知識経験者でありますけれども、零細企業の労働問題をそれほど深く理解しているというふうにはわれわれは思われないのであります。これは一つには中小企業、零細企業の組織が皆無の状態にあるということの現われだと思うのであります。非常にむずかしいことではあると思いますが、そこは要するに行政の部門において補わなければならぬ一番大切な点だと思います。そういう意味において、私はこの審議会の構成については、労働省としては格段の配慮が必要だと思うのであります。具体的に私は要望申し上げるわけでありませんが、そういう点に対して労働省は十分お考えをいただかなければならない。でありますから、これに対する労働大臣の御見解をお伺いしておきたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 審議会に加入者代表、それから受益者代表というような人々が参加していただいて、そしてその希望を十分反映するようにいたさなければならないという御趣旨はよくわかります。よくわかりますが、これは井堀さんも御理解いただけると思いますが、技術的になかなか困難な問題が多いのでございます。どうも零細企業の代表者として来る人が必ずしも零細企業でないという実情が大いにありますので、これは技術的に非常にむずかしい点がございますが、そういう点を克服いたしまして、今後審議会の構成を改める場合においてはおっしゃるように努力をいたしたいと思います。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 最後に一つお尋ねいたしたいと思いますのは、以上の諸点で明らかになったように、本制度の重要なことは、労働行政の片棒をかついで出てきたところに一つの新しい試みがあるので、私は非常に関心を持っているのであります。そこで、この問題は言うまでもなく一つの段階的な制度だというふうに私は考えておったのであります。しかしなかなかそうではない性格が生まれてきたようであります。恒常的な制度になり、あるいは労働行政の中における大きな柱になって育ってくるのではないかと思われる。それは現段階におきまして、労働者の数が多い、事業場の数が圧倒的に他の事業場を支配している、それから産業の、特に輸出産業で占める地位を軽視できないというような客観的な諸条件からいきまして、当分の間日本の労働情勢におきましては、その量の上において質の上において、一番多くの精力を注がなければならぬものだ、そして一番具体的な条件と取り組んでくるということは、先ほど来お尋ねした点で明らかであります。そこで、この制度は一つには労働者の組織がないということであります。これは労働者の基本的なものでありまして、今日ILO条約の問題が世論になるように、しかしもっと卑近な問題で、しかも積極的に取り組まなければならぬものが、先ほど申し上げましたように、九百十八万を越える、九十九人未満の事業場の組織というものが見るべきものがありません。労働者の個々の人格がいかに尊重されましても、組織されない人格などというものは今日の制度の上におきましては意味をなさぬものでありますから、どうしても組織的な人格を対象にしていくというのが民主社会における基本的なことであります。でありまするから、どうしてもこういう制度を通じてその基本的なものに乗せていく、すなわち未組織労働者を組織させていく。それは大企業の場合におけるように、闘争第一主義、あるいは労使の力関係や権利、義務の関係だけでは解決できない客観的な諸条件があるわけでありますから、そういうものがこういうところへ形を変えて生まれてきたと見るべきなんです。でありますから、その使命というものはあくまで未組織労働者を組織させていくということが私は労働行政の基本でなければならぬと思う。この制度とそれが結びついていなければ、この制度は全く抜けがらになる、邪道に入っていくと思われますので、ぜひこの制度に対する労働省のこの基本的なものとの結びつきがどうあるべきかという基本的な所見を伺って、将来のために記録に残しておきたいと思いますので、労働大臣のこれに対する所見を明らかにしていただきたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 先ほども申しましたように、元来退職金制度というものは経営者が自主的に自己の責任において確立せらるべき性質のものであります。従ってそういう意味からいいますると、この事業団の仕事というものは、経過的な、時限的な性格を持っているべきものでありますが、一方ただいまお話しのような、わが国の中小企業、零細企業の実情から考えますると、それはやはり経常的に、相当長い期間にわたって行なわれるべきものとなりつつあることは、またなるであろうということは十分考えられることでございます。  そこで、これを運営して参ります場合の零細企業労働者の組織化の問題であります。これは一般的にわが国の中小企業における最近の労使間のあり方と申しますか、その労使周の紛争というものが異常な形態を示しつつあるのも、やはり中小企業における労働問題についての労使双方の無理解からくることでありまして、労使の間の問題を解決いたしますためには、健全な労働組合の結成が望ましいのであります。そうしてそれが中小企業、零細企業の場合におきましても、組織化されますると、本事業団の運営にその受益者の代表者の参加あるいは加入者の参加という問題もまた解決せられやすいのでありますから、私どもはそういう方向が早く招来せられますように、行政の面においても努力をいたしたいと考えておる次第であります。

井堀繁雄民主社会党

○井堀委員 お約束の時間になりましたので、また機会を得てお尋ねいたしたいと思いまするが、ぜひ一つ本案の精神というものを十分理解せられまして、将来間違いなく成長するように御努力いただきたいと願いまして、私の質問を終わります。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 島本虎三君。

島本虎三日本社会党

○島本委員 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案について、大臣の法律案の説明を読んで、その前文において私はほんとうに共鳴を感じた点がある。それは大臣が明確にここでデーターを示して、今日までの普及の度合いの状態については、昭和三十六年一月末で企業数が二万二千六百九十七、それから従業員数二十七万八千百二十三名という実績をあげた。こういうふうに明確に報告されたあとで、この制度が中小企業の労働福祉対策の柱の一つとして今後一そうの普及と発展をはかるべきものであることにかんがみて、現行制度には中小企業の実情に照らして若干の改善すべき点があると考えられるということで、改正する点を述べておられます。私はこの考えには賛成なんです。大臣がこの改正点を考えた動機とあわせて、ここからもう一度基本的な考え方にさかのぼって、労働者の生活の安定の柱とするならば、これは最低賃金制の完全実施という力を中小企業の面に強く実施さして、この面からの解決の促進が、おそらく大胆としてはこれ以上に重大なものとして考うべきものじゃないかと思って、大臣はこっちの方を重大だと一応ここに述べられておりますが、私の考え方としては、今のような最低賃金の完全実施の方が先ではないかと思うのですが、この考え方はいかがでしょうか。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 最近の建築は、昔のようにまん中に大黒柱を一本では工合が悪くなりまして、労働行政も、特に中小企業の労働行政も幾つかの柱のように積み、重ねていくべきものと考えておる次第でありまして、どっちが先かとおっしゃられると非常に困るのでありますが、私は退職金制度の確立と最低賃金制の実施、さらに各種の社会保険の零細企業への普及、それから大企業に見られるような福祉施設の完備というようなことがやはりあわせて、何本かの柱のそれぞれが一本ずつになるものと考えておる次第であります。従いまして最低賃金制の普及ということにつきましては今鋭意督励中でございます。  これは第一点におきましては、十五才で二百円を上回るものに定めるべきものである。これからきめるものはそうするのが当然でありますが、早い時期に定められた二百円以下のものでも二百円以上のものに改めていくべきものだと考えておりまして、そういう指導をいたしております。  第二点は、その普及度を広めていくということであります。これはただいま五十万くらいじゃないかと思うのでありますが、三十六年を初年度といたしまして、今後三カ年間に二百、五十万人の労働者諸君に適用いたすように普及いたしたいと思っております。そうしてこの普及を通じまして、いろいろ御議論のありまする最低賃金制の改正に進んで参りたいと思っておる次第であります。十五才で二百三十円程度というのが最近非常に多いのでありますが、そういたしますと、十五才から十八才までの年間の昇給率は平均二九・五%くらいであります。そういう計算で参りまして、一カ月二十五日の稼働といたしますと、十八才になりますと大体七千七百円か七千八百円という数字になって参るわけであります。こういう実績を労使の理解の上に漸進的に進めていって、問題点を解決する基礎を作っていきたい、私はこう考えておる次第であります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そのようにして漸進的に進めて基礎を作っていくという現在の考え方に、私はもちろん反対するものではない。このようにして中小企業の指導というもの、最低賃金制の制定の促進の面を、私は現在のままでいいというものではございませんが、それを中心にして考えていく場合には、逆に本法案の、いわゆる中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案ですか、これの適用人員の方を上の方へぐっと二百名、三百名とやっていくというととは、現在のやり方、考え方には少なくとも沿うた行き方であるというふうには考えられないわけです。というのは、やはりこういうようにして最低賃金法の完全実施の点を進めていく、すなわちその行き方として労使対等の原則の上に立って、もちろん労働組合運動の助長もしていく、こういうようにしてやっていく以上、組合ができたら労働協約も当然できるものであったならば、その中にこういうようなものが含まれ、賃金も、同時に経営の点なんかもあわせて完全なものになるように指導していった結果には、やはりこのワクを拡大することが現在必要だということよりも、企業そのものがやはり完全に立っていけるような指導、こういうようなものをまずしながら、最低賃金法の実施の方向を進めていくわけですが、今の大臣の説明によりますと、これはもう最低賃金法の制定の方がぐっと進んできて、しかしながらこの中小企業退職金共済法の一部を改正する法律、これもワクを逆に上の方へ二百人まで適用の範囲を広げていっている、この間にはやはり考え方としては矛盾するものがあるのではないかと考えられるのですが、大臣、この点いかがですか。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 私は考え方として正面から矛盾するとは思いませんけれども、しかし先ほど井堀さんの御質問にもお答えいたしました通り、元来退職金制度というものは、経営者が自分の責任できめるべきものであります。従って百人以上も人を使っているような企業は、自主的に自分の力で退職金制度というものを作るということが理想でございます。そういう意味において、この制度の中に入れるということについて御議論があることはよくわかります。これこそ漸次自主的に作るような制度に改めて参りましで、本法の対象から自発的にこういう企業はどんどんはずれていってもらうことがまず私は望ましいし、そういう方向に指導しなければならぬと思います。ただわが国の現状において、百人から二百人までのものでも、なおまだ十分なものができていないものが多いものでございますから、そこでそういうところでも加入し得られるような余地を残したので、決してそういうところがこの制度に全部入ってくることによって事足れりと考えてもらうのでは困るのであります。経過的に、自分のところで自主的にそういうものを作り上げ、その支払いをなす力を持つまでの間、こういう範囲のものも加入し得られるんだという考えでございますから、さよう御了承いただきたいと存じます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 これは話がちょっとそれますが、最近炭鉱の災害があったのは御存じの通りであります。この中にはやはり従業員として、中小炭鉱として、われわれが遺族に対するいろいろな見舞や給付を調べてみた場合に、ほんとうにこれでいいものかと思うような点が多いわけです。ある事業所によると、一世帯に見舞金として八千円渡しておる、そしてそのほかに一時金として二万円をやっておる、あとは葬儀料として若干やっておいて、それであとは何もきいていないので遺族の方でほんとうに困っておる、こういうようなことが報道されておるのを見ましても、すでに組合ができたり、中小企業としても十分やっていけるところでも、まだこういうようなことしか考えておらないし、しておらないということが実態だとすると、労働行政の中にもまだまだ私の方としては考えていかなければならない点が多いのじゃないかと思うのです。ちょっと言葉がそれてはなはだ失礼だと思うのですが、これからすぐ本論に戻りますけれども、中小炭鉱の災害の場合の、遺族が立つようないわゆる補償というようなものを大臣の方で考えて指導しましたかどうか、またこの点についてどのように考えましたか、この点、ちょっとそれますけれどもお伺いしておきたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 一応そういう場合の当然経営者が負担すべきものの補償といたしまして、労働者災害保険がございます。従ってその労働者災害保険で経営者の責任を代行するという形になっておるわけでありまして、残余の部分は経営者が任意で行なうということになっておるわけであります。しかしそれだからと申しまして、やはりでき得る限り丁重な取り扱いをし、遺族の方々の将来を安心ができるようにすることは、法外の道徳的背任と考えて処置していただくことを希望いたすわけでありますが、行政上の措置といたしましてはただいままで申しました通りであります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 本論に戻ります。大臣の説明の中で、中小企業で退職金制度のないところが相当にあって、そして中小企業においては短期の離職者が比較的多いから、これらに対する給付が薄いために、勤続年数の短い従業員を雇用している企業においては、勢い加入を渋りがちであるというのが実情である、こういうふうに明確におっしゃられている。われわれもこの打開についてはひとしく考え、なおかつわれわれ自身も別な方法でいろいろ運動はしてきておるものなんです。大臣はこのために今回の改正を出される、こういうふうなことになりますと、当然国家補助の問題だとか、給付額を上げる問題だとか、いろいろあるだろうと思うのですが、この問題についてはどの辺に改正の重点を置いたのであるかということを明確にしてもらいたいことと、短期の離職者が多いというのは、これは退職金がないためにこれらの離職者が多いということになるのか、それとも中小企業自身が現在置かれている暗い谷間の中で、低賃金、そのほかいろいろな労働の過酷さに耐えかねてやめていく人が多いのか、この点について大臣はどのように考えられましたか、お伺いします。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 中小企業の勤続年数が短い理由は、決して退職金制度があるとかないとかの問題ではなくて、これはやはり労働条件にあると思います。逆に申しまして、その労働条件の低いのは何によってくるかといえば、中小企業の生産性の低さによってくると思います。そこで労働行政の面から中小企業の生産性を上げ、そうして労働条件を向上せしめる素地を作るのには、やはりよく安定した労働力が中小企業に供給されるようにしなければならないと存じます。そこでよき安定した労働力を得られる行政の一つとして、中小企業の労働条件の向上のためにやはり行政上の手助けが必要である、その意味において中小企業の退職金共済制度というものを考えたのであります。そういう意味で、離職者の勤続年限が短いという理由は、もちろん言うまでもなく労働条件の問題であると存じます。それでは今度の改正においてどこを考えるか、私は、その短いという実情、これは現実です。直していかなければならぬことは先ほどから申した通りでありますが、短いことは現実です。その現実に合わないような年限制限がございます。そこで加入しても自分のところのものはそれに均霑する度合いが非常に低いわけでございまから、それが普及を阻害する大きな要因ともなっておりますし、また同時に実際上現実に合わせつつやっていかなければなりませんから、私はその年限を短縮するということ、それから政府の補助金その他、これはでき得る限り増額するように努めるつもりでありますが、これはやはり普及の度合いと合っていかなければなりませんので、普及を進めつつその度合いに合うような補助金のワクを考えて参りたいと思っておる次第であります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 わかりました。この普及の度合いと見合って退職金の増額の方も考えて実施するようにしたい、こういうように言われるわけです。その点におきましてはその通りであろう、私もその点は大いにやってもらいたいと思いますが、前に井堀委員も質問され答弁された中にございましたように、今回までのいわゆる零細企業に対するいろいろな救済を含めた中小企業の退職金共済法の一部を改正する法律案そのものが、ワクがだんだん百名から二百名にふえることによって、大臣の今のような考え方が逆にの方の層に厚くこれを利用させるような結果になり、零細企業の方が逆に軽く見られるような措置が将来考慮され、また案じられるようなことになれば、これは大へんだと思うのです。こういうようなことは絶対あってはならないと思うのです。この点について再度私ははっきりした心配のないということを大臣から明確に御説明願いたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 現実の問題といたしましては、百人から二百人の新しく対象となります企業におきましては、労働組合が漸次結成されつつございます。従って労働協約もあり、労使の間に退職金制度も相当数できておりますし、また順次ふえていくと思います。ただ、なおまだ組合も結成されず制度もできていないところがございますから、従ってそういうところも均霑し得られるように考えたのでありまして、先ほどから井堀さんの御質問にもお答えをいたしましたように、全体としてこの制度自体も経過的なものであるべきものです。経営者が本来自主的に作るべきものでありますけれども、特にその対象の中で大きいところはそうであるべきだと思います。従って現実的には範囲を拡大いたしましてもその大きい方はそう参加しないだろうと言われますことは、今まで百人未満という制限がありました場合でも、先ほど労政局長のお話のように、三十人未満が七九%であります。従ってこういう傾向というものは、二百人になりましても私は同じだと思います。しかしこの制度はでき得る限り零細企業に重点を置いて考えるべきものであることは申すまでもないことでありまして、運営にあたって御質問のような御心配のないように極力指導をいたすつもりでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 具体的に法令の中に入って若干質問いたしますが、五十三条の三項の中に、「事業団は、政令で定めるところにより、業務上の余裕金のうち一定の金額を資金運用部に預託して運用しなければならない。」こういうようなことになっており、これが今までの答弁にもございましたように、三十四年度の余剰金、積立金ですか、これは一応一億見込まれるものであり、一千万円だけは資金運用部の方に今後預託する見込みであるように御答弁があったわけでございますが、この点においては、私どもの方としてはいろいろ苦労された結果こういうようなことになっただろうという実情を十分に了解できます。しかしこの中で特に大臣に若干心配な点があるという点を申し上げてみますと、この審議会の中では今言ったようにして、資金運用部の方にこれを回すことに対して反対意見も多かった、こういうようなこととあわせて、この法令の中にある五十七条の大臣の監督権限の中に「必要な命令をすることができる。」ようになっているし、この「必要な命令」の中に現在はワクとしてきめられている責任準備金、これは三割ですが、現在のところでは一割だけは実施している。またこのワクを上げることも当然大臣としての監督権限の中に入れられ、大蔵大臣、通産大臣と協議してやるようになっております以上、これが政策の一端として要求された場合は、大臣としても、——大臣自身の考えのいかんを問わず、これは当然三割の線までは現在上げ得るように心配されるわけです。この点について、現在一割であるが、これを下げることに努力するのだけれども、法律では三割になっているが、決して三割まで私は上げませんよという断言をこの際大臣からお聞きしておきたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 詳細な経理上の問題は私ではわからぬところがありますので、労政局長にお答えいたさせます。

冨樫總一労働事務官(労政局長)

○冨樫政府委員 お話のように、現在の政令では責任準備金の三割の範囲内において資金運用部に預ける、しかし実際は大蔵省と労働省との折衝でそれを一割に食いとめておる。仰せのように事柄の性質上、われわれはこれを引き下げる方向に努力すべきであって、これを引きしげるようなことに軽々に同調をするというようなことは絶対にございません。

島本虎三日本社会党

○島本委員 局長の答弁の意のあるところはわかったわけですが、大臣、その点なんです。これが二百名にまで拡大されてやる場合には、現在の状態では大庭の説明によって私はわかりますが、将来この運用額という点のふえることは——減ることは絶対あり得ないのですから、今度ふえることは当然ネズミ算式に考えてもよろしいと私は思うわけです。そうなりますと、現在のようなやり方では、当然これを還元して中小企業に回すべきものが、三割までが現在法律でワクを認めており、現存それが一割で食いとめておるというこの努力はわかりますが、当然今度は三割まで有望な財源として大蔵省からにらまれた場合には、これはわれわれとしては相当大臣等に覚悟してもらわなければならないし、現在これを下げるにしても、将来は絶対上げないということを大臣としてはこの際明確に覚悟してもらいたいと思うのですが、いかがでしょう。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 これは百人を二百人にしたということによって直接くるとは思いません。私はそうしても結局は三十人未満のものが大部分になると思います。しかし三十人米満のところはまだ大半は入っていないわけですから、それをどんどん普及して参りますと結局運用金というものがふえて参りますことは御承知の通りであります。そうすると資金運用部は、これを自分でできるだけたくさん運用したいと思うでしょう。それもまあ想像にかたくはございません。しかしただいまのお話のように、私は労働省の立場から言いまして、これは先ほど井堀さんにお答えいたしました通り、第一に中小企業の振興のためにその金が運用せらるべき性質のものであります。しかも、これも形式的にその関係の債券を買ったからといって済むものではなくて、さらに検討して具体的に中小企業が使えるようにすべき性質のものであります。ただそれと償還の確実性という問題との相関関係を考えなければなりませんけれども、そういう性質のものであります。でありますから、三割とたとい法律に書いてありましても、現在の一割をさらに譲歩いたしまして、金額が多くなれば一割を下げるということがあっても、ふやすようなことはいたしません。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そのつもりで大いにやってもらいたいのですが、今大臣の方で、これは中小企業の振興のために考えたいということをはっきり申されました。それならば、この際運用の一部を中小企業の一部、または労働者に還元し、その大部分をやってもらうような組織を持っている労働金席利用ということも十分考えてこの中に入れて資金の運用をさせるのも、今言った中小企業の振興の一つにも当然なると思うのです。現在入っていないかのようですが、将来この問題については大臣は十分考えておられる、これは言葉を伏せながらも十分考えておられるのであるということを聞いておりますが、もうこの際言葉を伏せる必要はなかろうかと思います。十分労働金庫を通してでも、中小企業の振興、育成を考えるべきであると私は考えるのですが、いかがなものでしょう。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 具体的な資金の運用方法というのは、御承知の通り審議会でおきめをいただくことになっておるわけでございます。従って審議会の御議論、御決定を待たなければそういうところまで——労働全席でございますから、社会党の方々でも御反対はないと思いますが、たとえば一般市中銀行を私が特に指定でもいたしますと、またいろいろ御非難を受けるような問題でございます。従ってこれは審議会の御協議によってきめたいと存じます。ただその方向というものは、労働金庫に限らず、たとえば実質上加入者、受益者の利益を得られるような方向に運用せらるべきものだと思っておる次第であります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 私の方で事務的な点でお伺いしたいのは、六十二条できめられておりますところの審議会の運用についてですが、この審議会はきわめて熱心に行なわれているということも聞いております。それで委員に対する報酬、委員の出席率、または建議等今まで行なったことがあるかどうか、何回ぐらい審議会の開催を行なっておるか、この四点をお伺いします。

冨樫總一労働事務官(労政局長)

○冨樫政府委員 俸給は、委員長が一回千二百円、委員が千円、これはほかの審議会等の関係もございまして、これで十分とは思っておりませんが、組織なり事柄の性質にもかかわらず、御熱心に御出席いただいております。出席率の資料はございませんが、全般的に非常に御熱心に御出席いただいております。  それから建議、答申等につきましては、本法の施行以来日が間もないので、本法の施行関係については、ほとんど大部分この御意見を伺ってやっております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 最後にお伺いしたいのですが、四十六条の第二項にいろいろと明確になっているのですが、調査、広報、業務の一部を商に会議所その他の団体に委托することができるようになっております。この委託の点については、いわゆるPRを含めて相当広範囲に、なお強力な活動をしてもらいたいための趣旨ではなかろうかと思いますが、こういう点、委託の趣旨に沿って動いているのかいないのか。PRの点などは十分行なわれたかどうか。また委託された事実について、これを具体的にお伺いいたします。

冨樫總一労働事務官(労政局長)

○冨樫政府委員 この点につきましては、仰せのように非常に重要な点でございます。結論から申しますと、これらの民間の団体にいろいろお願いして、事実上自発的に広報、調査について御協力いただいております。アンケート等によりますと、労政事務所の勧誘と同程度の効果をこれらの団体の勧誘によって加入を見ているというふうにも聞いております。ただ制度的に労働大臣の認可を受けて云々という、この条文に基づくかみしもを着た形においての委託というところは、現在においてはまだやっておりません。事柄の本質からいえば、みずからの組織団体である零細中小企業ですから、私どもとしては、かみしもを着た委託なんていうことにかかわらず、自発的に大いにやってもらいたいということを考えておるのでありますが、今後これらにつきましてもし予算がとれますれば、予算の裏づけをもって積極的な委託をしたい、こういうふうに考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 大体わかりました。PRも十分していないということと、だんだん伸びつつあるのだ、こういう点をあわせて、私はこれは逆になると思うのです。このPRなんかもっともっとすべきじゃないかと思うのです。  それから法律の二十八条では必要な施設、管理をするようになっておりますが、従業員のための施設というようなものを今までどういうように考慮し、これを実施したのか、この点について一つお伺いしておきたいと思います。

冨樫總一労働事務官(労政局長)

○冨樫政府委員 これは前回も滝井先生から質問を受けて怠慢のおしかりを受けたのでありますが、先ほどからも大臣が申し上げておりますように、今後積立金がたまりました場合に大いにやりたい。現段階におきましては八億ちょっとの銭で、この目的にかかわらず思うにまかせない状況でございますが、今後は計画的にこの目的の実現に努力したい、こういうことでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 それではこれで終わります。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 滝井義高君。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ちょっと最後に三、四点確認をしておきたいのですが、まず第一点は、今回のこの法律の改正で、国庫補助金が五年でなければつかなかったものが三十六カ月、三年でつくようになったのですが、しかし実際にわれわれが現在加入している事業場の状態を統計的に見てみますと、八割は十九人以下の従業員を持っておる事業場がこれに加入しておるわけです。労働者の数でいくと、これは四割三分程度しかない。労働者の数は比重は低いのですが、事業場の数としては非常に多いようです。しかしそういう二十人未満の事業場は最も移動の多いところなのです。従ってこれを三年までおりてきたことは非常に前進でございますけれども、この際、日本の社会保障の逆ピラミッド型を直すためには、二十四カ月ぐらい、二年くらいのところまで国庫補助をおろしてくる必要があると思うのです。そのことがやはり零細企業の労働者にも国庫補助である程度恩典を浴せしめるという、こういう気持が起こりますと、だんだん加入する人も出てくるのじゃないかと思うのですが、政府は、今度の改正はやむを得ないにしても、次の改正あたりではそういう点まで踏み切る意思があるかどうか。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 非常に残念なことでありますが、日本の零細企業の勤続年限は非常に低い。そういう実情の上に立って本制度が運営せられなければならないのでありますから、今回は三年でありますけれども、その実情に沿うように、ただいま滝井さん御発言の趣旨に沿うように、次の機会、明年度には努力いたしたいと存じておる次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ぜひそうお願いします。  次は退職金の通算の問題でございますが、二十四カ月以上の掛金が納付された場合でなければ通算ができなかったのですが、今度それを削除をしておる。しかしなおわれわれが非常に気にかかるのは、この通算を受けたいという旨の申し出をするまでの期間が一年以内になっておるということです。中小企業にこの制度が十分徹底をしていないといううらみもあるわけですから、できればこの期間を、一年以内を二年以内くらいに延ばしていただきたいということが一つ、もう一つは通算の場合に、自己の責に帰すべき理由があった場合はこれはしないことはやむを得ないと思うのです。しかし自己の都合による場合、この場合のことを考えてみますと、現在中小企業を退職をするという場合に、破廉恥的なものでやめさせられる場合が一つ、それから定年で退職する場合、こういう場合はこれはやむを得ないと思うのです。しかしその他の大部分はほとんど自己の都合ということになってしまうのですね。そうすると、その自己の都合によってやめたときに通算をしてもらえないということは、これは事業主にとっても被共済者にとっても大へんなことです。そこで自己の都合という場合は、われわれはぜひこれは通算をするものにしてもらいたい。それを通算から除外をするということはどうも困るじゃないか。いろいろ今与党の方とも折衝をいたしましたが、なかなかお聞きになっていただけぬわけです。それほど頑迷固陋ではないと思っていたのですが、なかなかどうもがんとして聞かない。そこで与党が頑迷固陋でないということを代表して、大臣の方で一体これをどう今後お考えになって、どう処置されるのか、これを一つお聞きしたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 前段の御質問は、御趣旨に沿うように検討してみたいと存じます。  後段の自己の都合というものの解釈でございますが、これはどうせ退職するときは願いによりとかなんとかと届け書を書くわけですが、そういう形式的なことを自己の都合とは解釈いたさないつもりであります。勝手にやめるとか、いわゆる恣意に基ずくとでも申しますか、そういうこと以外の場合におきましては、でき得る限り広義に運用をいたしまして労働者保護の実を上げるようにいたしたいと考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 関連して。  労働大臣、あなたの私語を聞いておるとちょっとわかっておられないところがある。あなたがいないときに議論したのです。それで私どもが考えるのは、中小企業はいろんな事情があって転々とする場合が多いわけです。その際に、他の企業に変わっていった場合でもやはり通算をできるように原則としてすべきで、そうすることによって、賃金のいわゆるあと払い、こういう労働者の賃金と同じような本質的な問題にだんだんと結びつきつつあるそういう現状において、中小企業者の権利を保護することになる。そこでたとえば今の御答弁ですけれども、こういう場合については自己の都合によりというふうに解釈をして通算をしないというのでなしに、通算をするかどうか。というのは、自分はどこどこの企業にこういう事情で行きたい、こういうふうに言って、経営者が労働者の方の意向を納得した場合においては通算をするのかどうか。黙ってほんと飛んでいってしまって、そして通算してくれということはこの法文ではできない。できないけれども、経営者の方が納得をして行った場合においては、労働者側の都合による場合であっても通算をするのかどうか、そういう解釈上の問題としては、そこに一つ問題がある。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 やはりそういう場合の理由の問題だと思います。私どもは正当な理由と一般的概念で包みたいと思うのでありますが、具体的な事例をあけられた場合、退職金制度というものは、本来職を失った者がその次の職を探すまでの生活の保障という意味も大きいのでありますが、しかしもう一つは、やはり今までの勤労の結果というものに対する報償金と申しますか、そういう性格も加味されておると思います。そういう両方の性格がある。失職したあとの次の職へ行くまでの生活の保障ということですと失業保険金というものの運用で事足りるわけでありますから、それがそのほかに退職金制度というものがある理由は、単純にそういう意味だけでなくて、やはり過去の労働に対する報償という意味も加わるのであります。そういう意味から考えまして、これはどうも私の単独の判断でございますが、後段のような場合はやはり通算をいたす理由になるものと考えたいと存じます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それから事業団の代理店の問題ですが、全国一万二千のほとんど日本にあるような金融機関は全部代理店になり得る状態になっておるのだが、労働金庫だけは、この法律を通すときのお約束にもかかわらず、なかなか代理店と申しますか業務取り扱いの機関にしてもらえなかった。中小企業の退職金共済審議会にかけておやりになるという今島本さんの質問に対する御答弁もあったようでございます。聞くところによりますと、商工会議所や中政連ですか、何かそこら一、二の代表の賛成を得られないというようなこともあったらしいのですが、しかし、行政が相当熱意を持っておやりになれば、この金はもともと事業主が積み立ててしまって、一定の期間が来て支給を受ける資格ができれば、これはもう専業主のものではなくて労働者のものになる金なんですね。従って当然これは労働者のなじんでおる労働金庫を、大臣の方でやはり積極的に推進になっておやりになることが必要じゃないかと思う。先般予算委員会で、新しくできる年金福祉事業団の業務受託機関としては労働金庫をやりますという言明が、大蔵大臣なり銀行局からあったわけです。従ってこれはこの法案を通すときのお約束の経緯もありますから、審議会の力に、労働大臣も責任を持ってぜひ推進をして、四月一日からこの法律が動き始めるころにはなるように、責任を持って御努力願いたいと思いまするが、どうですか。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 前段の、経営者が掛金をしたけれども、掛金をした以上は労働者の金だ、それは労働者の金になる事由は、やはり退職したときにものになるので、それについては私は議論があると思います。  しかし、ただいまの労働金庫の問題については、これはよく御承知の通り、審議会で御決定を願うことではございますけれども、しかし、御趣旨に沿うように審議会の決定が得られるように努力いたしたいと存じます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ぜひ一つそうしていただきたいと思います。  これで終わりますが、自己の責めに帰すべき場合に退職金を減額することになっておるわけですが、その場合の退職金減額の認定基準の規定が、この法律に関する規則の中にあるわけです。窃取、横領、傷害などの場合、秘密漏洩とか正当な理由のない欠勤とかいうような場合には退職金の減額をすることができることになっている。それが基準になっておるわけです。そして幾ら減額するかは、使用血が自由裁量でやるわけです。そうすると、その事業主の自由裁量でやる減額が非常に過酷な場合には、事業団がそれはどうも被共済者に対して過酷であるというときには変更することができることになっておる。一体幾ら減額するかということがはっきりしないわけです。労働者にとっても。もちろんこれは横領をやったり傷害のような刑事事件を起こしたときは、相当減額されてもやむを得ないと思うのですが、秘密を漏洩したとか、正当な理由のない欠勤だとかいうことになりますと、これは水かけ論になる場合が多いわけです。われわれが診断書をいろいろ書く場合にも、必ず水かけ論になるのです。事業主の方に一方的にきちっとやられた場合には、これはなかなかかなわないわけです。こういう点についての明確な行政指導というか、これは内規か何かでなければできないと思うのです。規則には書きにくいと思うのですが、これは零細な労働者を保護する法律として作っておるわけですから、将来そういう点についての遺憾なき措置を労働省としてはとってもらいたい、こういうことですが、これはどうですか。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 具体的になかなかむずかしい問題を含むと思いますけれども、しかし、これはやはり御趣旨のように、労働者保護に重点があります。それからその減額の範囲その他が一瞬の感情的な手段によってきめられるようなことであれば過酷にわたるわけでもございます。そこで、その減額の基準等の設定にあたりましては、ただいま御趣旨のような線に沿うように努力をいたしたいと思います。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 これにて質疑は終局いたしました。     —————————————

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 引き続き本案を討論に付するのでありますが、申し出もないようでありますので、直ちに採決をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  午後二時まで休憩いたします。    午後一瞬六分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕      ————◇—————

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