社会労働委員会 第7号
- 発言数
- 168 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/02/22
会議録
○山本委員長 これより会議を開きます。 この際、厚生大臣より発言を求められております。これを許します。古井厚生大臣。
○古井国務大臣 去る二月十六日の当委員会の際におきまして、たまたま私は参議院の予算委員会に出席を求められて、そちらに出席いたしておりましたので、当委員会の方への出席が心ならずもおくれてしまいましたことは、はなはだ遺憾に存じております。事情御了承願いたいと存じます。
○山本委員長 去る十六日付託になりました予防接種法の一部を改正する法律案並びに去る二十日付託になりました医療金融公庫法の一部を改正する法律案、精神衛生法の一部を改正する法律案及び結核予防法の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題とし、審査を進めます。
○山本委員長 提案理由の説明を聴取いたします。古井厚生大臣。
○古井国務大臣 ただいま議題となりました予防接種法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。 急性灰白髄炎、いわゆる小児麻痺の罹患者は近年大幅に増加し、特に昨年の流行期に際しては一部地域において著しい蔓延を見たのであります。政府はこれに対処するため、伝染病予防法による各種防疫措置を行なうとともに、その最も有効な予防方法である予防接種の重点的な実施をはかってきたのでありますが、今回予防接種法を改正して、急性灰白髄炎を予防接種を行なうべき疾病に加え、予防措置の徹底をはかることとした次第であります。 以下簡単に法案の内容を御説明申し上げます。 まず第一に、急性灰白髄炎を定期及び臨時の予防接種を行なうべきものとして加え、その定期を、第一期を生後六月から生後二十一月に至る期間、第二期を第一期終了後十二月から十八月に至る期間と定めたことであります。 第二に、市町村長が定期の予防接種を実施したときは、実費を徴収しなければならないとされているのを改め、実費を徴収することができるものとし、その他必要な条文の整理を行なうこととしたのであります。 なお、改正法は、昭和三十六年四月一日から施行するものとし、急性灰白髄炎に最もかかりやすい年令層である生後三年までの乳幼児については、経過的に、別に定期を定めて予防接種を行なうことといたしております。 以上がこの法律案の概要でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことを御願い申し上げます。 次に医療金融公庫法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。 医療金融公庫は、私立の病院、診療所等の設置及び機能の向上に必要な長期かつ低利の資金であって、一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的として、昨年七月設立されたのであります。 昭和三十五年度におきましては、二十九億五千万円の貸付を行なうことを予定して発足したのでありますが、その後本年一月末までに約二十六億円の貸付決定を行なっております。公庫に対する資金需要はかなり旺盛でありまして、私立の病院、診療所等の適正な整備及び機能の向上をはかるためには、公庫の資金量を増加し、その経営の基盤を拡充することが必要であります。このため、政府は、昭和三十六年度におきましては、公庫の貸付額として七十億円を予定し、これに要する資金として資金運用部資金の借入金四十八億円及び貸付回収金二億円のほか、一般会計から二十億円を出資することといたしております。従いまして、公庫の資本金十億円を二十億円増加して三十億円とする必要があります。 以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。 次に精神衛生法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。 精神障害者の医療及び保護につきましては、従来からその対策の推進をはかっているところでありますが、精神障害者の治療には、長期に入院して高額な医療費を必要とするものが多いため、十分な入院治療が行なわれず、また、患者世帯が貧困階層へ転落していくことが多い実情であります。また精神障害者は自身を傷つけ、または他に害を及ぼすおそれがあり、社会不安の一因ともなっているのでありまして、精神障害者の医療費負担の軽減をはかるとともに、社会不安を除去する見地から、その医療及び保護の徹底を期すべく、今回精神衛生法に定める都道府県知事の行なう措置の制度を強力に推進する方途を講ずることといたしたのであります。 すなわち、第一に措置患者の入院に要する費用については、従来の二分の一の国庫補助率を十分の八の国庫負担率に引き上げ、都道府県における必要な予算化を容易ならしめ、入院措置制度の円滑化をはかることといたしました。 次に、措置患者の医療に関する診療方針及び費用について、その規定を整備するとともに、医療費の支払い事務等を円滑に処理するため、これを社会保険診療報酬支払基金に委託し得ることといたしました。 なお、本改正は本年十月一日から実施するものであります。 以上がこの法律案の提案理由でありますが、何とぞ御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。 次に結核予防法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。 近年、結核対策の進展及び結核医療の進歩によって、結核による死亡率は著しく減少して参りましたが、なお年々新たに発病する患者は相当数に上っております。しかも、近年は結核患者が比較的所得の低い階層に集積し、これらの患者が感染源となって、結核対策の進展を防げている点が大きく、これがために今回このような感染源患者に対する施策を強化し、もってわが国の結核対策の一そうの推進を期すべく、ここにこの法律案を提出した次第であります。 すなわち、第一に、感染源患者に対し行政庁が命令入所等の措置をとった場合に必要とされる医療費について、全額を公費で負担することを原則とし、患者に負担能力のある場合に限って自己負担をさせることとするとともに、従来の二分の一の国庫補助率を十分の八の国庫負担率に引き上げる等の措置を講ずることによって、命令入所等の措置の円滑な実施をはかることといたしました。 また、この公費負担と社会保険各法との関係については、公費負担を保険給付に優先するように改め、その間の調整を行なうことといたしました。 以上のほか、本改正案におきましては、患者登録制度の整備を行ない、登録患者に対する精密検査の実施等について規定を設ける等、結核対策の強化徹底に資するため、所要の改正を行なうことといたしております。 なお、本改正は本年十月一日から実施するものであります。 以上がこの法律案の提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○山本委員長 なお、ただいまの各案についての質疑につきましては後日に譲ることといたします。 ————◇—————
○山本委員長 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。質疑を許します。小林進君。
○小林(進)委員 私はこの前、十五日でございましたが、時間がなくて質問を途中で終わったのであります。その際に大体アウトラインだけは申し上げておきましたが、それは今行なわれておりまする病院ストと、直接関係はございませんけれども、間接には非常に影響いたしておりまする病院管理の問題であります。この病院管理について厚生省も大へん責任をお感じになったわけでありますが、急遽これが対策として、何か厚生省の医務局の機構改革に着手をされて、そのために一千五百万円予算を獲得して、この四月から医務局に指導課というものを創設して、そして病院に対する行政指導を強化する、あるいはまた病院管理研修所を研究所に昇格せしめて、職員九人から十七人にこれを増員して、そうして病院ストの抜本的対策を講ずることになった、こういうようなことが報道せられておるのでございまするが、これが一体間違いがないかどうか、あるいはその指導の内容を一体どこまで具体的に推進をしていかれるのであるか、まずこれを一つ大臣にお伺いいたします。
○古井国務大臣 少し病院の管理、経営の問題に取り組むのがおそ過ぎたかもしれぬと思うのでありますけれども、しかし昨年暮れにまずもってこの問題に真正面から取り組んでみたいと思いまして、そこで民間の実務家、専門の研究家などの方をわずらわして病院経営管理改善懇談会を発足いたしまして、そこで各方面の知識経験を動員いたしまして、どういうふうに経営管理について考えていったらよいかの意見を立てたいと諮ったわけであります。これにつきましては三月という期限を一応切りまして、三月までにとにもかくにも結論をいただきたい、こういう注文を申し上げて、現に熱心に検討していただいております。一方役所の方の機構といたしましてもその方面が少し整っておりませんために、そこでとりあえず今年度は応急のことで課まではいきませんでしたけれども、そのための担当の組織を局内に考えまして、そして今の経営懇談会とタイアップいたしまして、そうして役所で実行して差しつかえないことは、一つでも二つでもできるものからもうすでに実行しよう、こういうことにいたし、また三十六年度からお話しのように指導課を設けまして、もう少しく役所の体制も整備しまして、そしてこの問題を各病院と協力いたしまして改善する努力をしていきたい、こういうことであります。内容につきましては、今の懇談会の御意見とタイアップしていきたいと思っておるところでございまして、今発足の段階にある状況であります。
○小林(進)委員 病院経営管理改善懇談会は、これは臨時的な問題で、大臣もおっしゃったように三月中に結論を出すようにお願いをしているということでございますが、これは結論が出たなら将来解消するもの、なくなるものとわれわれは考えておったのでございますが、これは恒常的なものでありますか、伺いたいと思います。
○古井国務大臣 こういうことは期限を切ってやらぬとてきぱきいかぬものでありますので、とにかく三月までという期限を一応つけて臨時的に発足したのであります。ところで大へん熱心に各メンバーが審議に努力をして下さっておりまして、なかなかよい御意見が伺えそうであるのであります。この状況を見ますと、一応三月と大上段から区切って無理なような注文をしておるのでありますけれども、三月の様子を見まして、これは都合によってもう少し残る問題もあるかもしれませんから、それならば一応はそうしておきますけれども、十分尽くせない点があるならばこれは考えなければいかぬ、しかしいつまでも置いておくつもりはありません。だらだらやっておったら切りがありませんから、早く区切りをつけていきたい考えであります。
○小林(進)委員 懇談会の問題は、大体性格がわかりましたし、明日はまたこの問題で参考人をお呼びしてここでお話を聞くことになっておりますか、らこの問題はきょうはこれでやめます。 この指導課の問題でありますが、厚生省の案では指導課で二百八十万円の予算を組む。研究所の昇格で一千二百万円予算の要求をしておられるわけでありますが、今までの研修所というものは一体どういう仕事をしておったのでありますか。病院の管理指導にはどういうような役割を今までやってきたのか、これを一つお伺いいたしておきたいのであります。
○古井国務大臣 今までのことは担当の局長から正確に申し上げたいと思います。
○川上政府委員 病院管理研修所が従来どういう仕事をしておったかという御質問でございます。これは病院管理に関しますところの講習会をたびたびやっておるわけでございます。長期、短期のいろいろ講習会を催しておるわけであります。現在までに百四十二回、人員といたしましては六千四百十五人というような人たちに対して講習をいたしております。それからいろいろ調査などをいたしておりまして、たとえば中央検査室あるいは中央手術室というようなものを作る、つまり病院の共通な仕事を中央化するというような仕事に対する調査研究をやっております。それから病院事務の能率に関する改善、つまり伝票制度のようなものをやっております。それから病院配置の計画の基礎になっておりますところの病院の診療圏に関する問題を研究いたしたり、その他いろいろこういう種類の仕事も現在やっておるわけでございます。一方また指導相談、病院の経営の相談などにも応じておったり、また病院建築に対するところの研究なりあるいは指導なりというものもあわせて行なっているわけでございますが、何分とも従来は非常に人員が不足でございまして、十分その面で期待に沿うほどの実績を上げておりませんので、それでこのたび、むしろその病院管理研修所というものを病院管理研究所に直しまして、そうして総務課のほかに管理部門と建築の部門を置きまして、そうして管理の部面には経営管理の研究室、診療管理の研究室を置き、建築の部面では病院建築の研究と病院設備の研究等を行ないまして、従来不十分であったような点を強化して、今後医務局が病院の経営管理に対する指導の基礎になりますところの研究調査などをそこでやってもらおう、こういうように考えておるわけでございます。
○小林(進)委員 私は先刻も申し上げましたけれども、かくのごとく医療問題が取り上げられて、病院ストが出たり医師会の一斉休診が生まれたりして事態が困難になってくると、突然思い出したように、あるいは病院経営管理改善懇談会を設けるとか、あるいはまた病院の指導課を設ける、あるいは研修所を研究所に昇格して予算措置を講ずるという、いかにもどろなわ式に、そしてどうも世間にこういう形で努力をいたしまするという言いわけの材料みたいなものを作ってみたり、どろなわ式なやり方をしてみたり、あるいはこういう騒動に便乗して同僚システムを強化するような形を見せたり、どう考えてもわれわれの側からは承服できないような形が出てくるのでございまして、これは私は非常に遺憾だと思っております。おいおいにこまかい問題についてはこれから質問を展開して参りますけれども、そのこまかい問題に入る前に私は大臣に一つ御所見といいまするか、決意を伺っておきたいと思うのであります。 かくのごとく病院の問題が、ストを起こしたり、医師会、歯科医師会が一斉休診をしたり、探ってメスを入れてみたら医療体系が予想外に混乱をしていて、手も足もつけられないような形になっていたという過去の実績だ。どこに一体欠陥があるのか。私どもに言わせれば、厚生省の機構そのものの中にこういうような事態が起き上がってくる重大な要素があったのではないか。もっと具体的に言えば、各局の仕事の分担といいまするか、責任のあり方が非常に明確じゃない。ほんとうに病院とか医師会とか歯科医師会とか医療の体系とかというならば、われわれから言わせれば、もっと医務局は責任を持って正面から取り組むべき性質のものではないかというふうにも考えられて、これはほんとうに、一つの例でありますけれども、厚生省の機構それ自体にこういう問題が惹起してくる重大な欠陥があったのであると私は予想、推定をするのでありますけれども、こういう問題について私は大臣の御所見を一つ承っておきたいと思う。
○古井国務大臣 どろなわ式というふうに御批判になっておりましたが、病院の経営管理の問題は、考えてみればやっぱり根本的に今の時代に合うように協力して改善に努力をすべき段階にきておるように思いましたので、ただ一時の糊塗という意味でなしに、取り上げて、取っ組んでみる必要があると思って始めたわけであります。なお、いろいろの混乱が起こる原因は、相当根本的な、本質的なものがあるように私は思うのであります。今お話しのように、厚生省の機構という問題についてもいろいろ御意見もあるところでもありますし、これも十分検討をしてみたいつもりでおるのであります。しかし、のみならずそれだけでも解決がつかぬ、いわば医療保険というものがこういうふうに大きな分野を占めてきた、医療の大部分を医療保険が占めてきたというような新しい近代の情勢、それと一方、非常に医療の大きな部分を自由診療の立場に立つ開業医の方に受け持ってもらわなければならぬという現状、これとの調和というようなことも未解決に残っているように思うのであります。これは私の見方では、何しろ医療保障にしましても、かけ足でできるものからどんどん作るだけで、全体として他との調和とかまた社会保障、社会保障の内部における体制の整備とかというようなことを、十分考えるいとまなしに、かけ足できておったような段階でありましたので、こういうふうになってきたのではないかと思うのであります。でありますから、これからそろそろこれを整備したり調和をはかったり、仕上げることをしなければならぬ、そういう時期になったように思いますので、そのためには、いろいろお話しの辺や考えてみなければならぬ点があると思っております。ただ考えておっても仕方がありませんから、一つ一つ段階的にでも実行してみたいと思って、今いろいろ考えたり腹案を練ったりしてみておるところであるのであります。
○小林(進)委員 日進月歩をいたしておりますこの医学の進歩につれて、やっぱり制度も変えていかなければならないという考え方は、仰せの通りだと思うのでありまして、やはり今日の混乱している医療行政のよってきたるところは制度の欠陥、その制度というのは厚生省という省内における制度の欠陥だと思う。あとは人間です。その制度の中における人材と申しますか人、この一つの欠陥、これが相寄って——そればかりではありませんけれども、こういう事態を引き起こしたのであるという考え方に立てば——ほかの面の、別に大臣に関係のないことは質問をする必要がない。私は、大臣の関係のある問題としては、制度の問題と人の問題だと思う。一体、今度も厚生省の医務局に指導課などというものを設けるとおっしゃるのでありますが、そういうような小手先の——小手先と言っちゃ失礼かもしれません。これも一つの進歩に即した形であると大臣がおっしゃるならば、それはそれでけっこうでございますが、もっと根本的に厚生省の内部を一体改革する御意思があるかどうか。少なくともこの通常国会に厚生省のいわゆる組織、制度を変える法案をお出しになる意思があるかないか、私はそれを一つお伺いしておきたいと思います。
○古井国務大臣 ただいまのお話の問題も含めていろいろ今考えてみておるところでありまして、それでこうだという結論にきますれば、なるべくすみやかに立法化をはかったり実現をしたいと思っておりますが、今時期をいつでありますということはまだ申し上げかねる状況であります。
○小林(進)委員 まあ大臣は先般の参考人招致のときには、とうとう参議院へ逃避をしておられたのですから、われわれもなかなか了承しがたい点があったのでありまするけれども、しかしそればそれとしても、率直に申し上げて私どもは古井厚生というものに多少期待を持っている。われわれもしかし善は善、悪は悪、賛成は賛成、反対は反対ながらも 一つこの時期に抜本的に厚生行政の改革もやってもらいたいし、飛躍的な進歩の態勢もとっていただきたいというふうに考えております。どうか今思し上げました厚生省の機構改革等の問題、一つ大臣就任の場において早急に私は着手してもらいたいと思う。これは私は心からお願いしたいのでありまして、まあ通常国会までどうも腹案ができるかどうかというそのお言葉も、あるいは正直なお言葉かもしれませんけれども、一つ政治的な答弁じゃなしに、大臣の手腕を手一ぱい発揮していただいて早急に腹案を作って、そうして早くわれわれの目にその改革の手腕を一つお示し願いたい、これは私どもの希望であります。お願いをいたします。 次に私は、病院管理の問題なんでございまするが、一般病院の管理指導はやはり厚生省の医務局でおやりなのか、医務局長に一つお尋ねいたしたいのであります。
○川上政府委員 さようでございます。一般的には医務局の系統でいたしておりますけれども、しかし権限はおのずから、たとえば国立のものに対するもの、あるいは私立のものに対するものというような違った面がございまして、御承知のように大体医療法に基づいて指導監督をいたしておるわけでございますが、大体医療監視の面は府県に委任をいたしております。そういう形で府県の医療監視員が病院に参りまして、そういう面を指導なり監督をいたしておるわけであります。
○小林(進)委員 どうも川上局長さんの御答弁はもじょもじょと言われてさっぱりわからぬ。これは私は昨年以来何回も言うのでありますが、どうもあなたの答弁はわからない。もやもやとして、ふろの中でへでもひるような御答弁で、なかなかわからないのでありまするけれども、これは一つ明確にお答え願いたいと思う。今の話さっぱりわからない。聞こえないです。非常に困るのですが、ただその病院の管理を医務局が最終的に責任をお持ちになって監督指導をおやりになっているということになるならば、その病院におけるいわゆる無給の職員というような存在も当然私は知っていただきたい。これは小さな病院や私立病院にはございませんけれども、日赤病院だとか、あるいは国立病院だとか、あるいは大学に付属する病院だとかというものは、公的医療機関たると国立たるとを問わず、そういう無給の職員というものがたくさんいるのであります。こういうものの存在を一体承知しておられたものと私は考えるのでありますが、御存じなかったでしょうか。
○川上政府委員 知っておりました。
○小林(進)委員 この制度は、私はおそらく日本の特有のものじゃないかと思うのでありまするけれども、医学部を卒業してから一年間の無給で働くというインターン、これと違ったものなんだから、インターン生活が終わり、国家試験に合格したあとで、いわゆる一人前の医師になるための修行に五年、十年ほとんど無給で働いている、この制度です。こういう制度があることを今お尋ねいたしましたから、局長は承知をしておられたということでありまするが、一体こういうものの存在をそのまま承知をしておられて、これを一体それでよろしいと判断をして、そうしてそのまま黙認をしてこられたのかどうか、私はこの点を一つお伺いいたしたいのであります。
○川上政府委員 御承知のように、医師はただ学校を出ただけですぐ一人前の技術者になれませんので、自然に卒業生がそれぞれの病院に、権威ある病院でありますけれども、そういうところへ参りまして研究をする、あるいは研修をするというような従来の習慣になっておるわけでございます。別にこれは法規でどうというわけにも参りませんのでして、それぞれの病院におきまして研究生として、あるいは契約をした者、あるいは事実上契約もしないでやっておるというような、そういうような状態で、外国のようにレジデントの制度なども将来は考えていかなければならぬというように考えておるわけでありますけれども、現在では御承知のような状態になっておる次第でございます。
○小林(進)委員 私はそれを黙認してきたか、いいとお考えになっておるかどうかということをお聞きしたのでありまするが、それに対する御答弁はないようであります。従来の習慣だからということで終わっているのでありまするが、私どもの調査によれば、日赤の中央病院だけでも、有給の医局員が九十五名に対し、無給の研究生が四十名前後いるのではないか、こういうふうに言われているのでありまするが、全国的に見たら、一体この無給の研究生と称するものがどれだけいるのか、それをまた国立と公的機関とに分けて、国立機関に幾ら、その他の機関に一体幾ら、合わせてどれくらいいるのかどうか、おそらくこれは監督指導の機関でありますから数字もお持ちになっていると思います。一つお知らせを願いたいと思います。
○川上政府委員 その数字は実は調査をいたしておりませんのですが、御承知のように学位をとるために研究生になっているという人が非常に従来多かったわけでありますけれども、大学院制度なども設けられまして、それとの関連において、従来のように比較的容易に学位をとるということがむずかしくなって参っておりまするような関係で、最近はだんだん減っておるだろうというような、そういう推定をいたしておる程度であります。
○小林(進)委員 私は、数字がおわかりにならなければ、とてもそれは医療の指導とか病院の指導なんかはできようわけがないのでありまするから、これは私は、厚生省自体も医務局自体も早急に一つ御調査あってしかるべきだと思います。同時に、御調査の後にこの数字は一つ私どもにも至急お知らせを願いたいと思うのであります。ともかくこういう研究生というものは、これは正式な職員ではないのであります。給料をもらっていない。一体厚生年金に入ることはできますか、できませんな。これは厚生年金に入ることも、健康保険に加入することも、これは職員でないのですから……。また、各医療機関には組合がありまするけれども、その組合に入ることもできない。従って正式に発言をする場所というものもこの人たちには一つも与えられていない。しかし実際には各病棟をこの研究生が受け持っています。実にこまめに働いている。むしろ病院によってはこの人たちが診療担当の中核をなしているというふうな病院も実際にはあるのです。そうして病院の収入を上げながら無給で働いているこの制度というものは、あなたはこれは従来の習慣にあるのだからとおっしゃいますけれども、これは低賃金とかあるいは賃上げ闘争のストライキ以前の人権問題だと私は思うのです。これは近江絹糸以前の人権問題です。そういう基本人権の問題を、そのままこれは従来の習慣だからといって、いやしくも日の当たらない場所の人たちのめんどうを見ていこうという厚生省のその足もとでこういう制度をそのまま存続をして、あえてこれを不思議とお考えにならない、私はその政治感覚を非常に疑いたいと思うのでございまして、そういうことはいけませんよ。これを一体どうお考えになりますか。その人たちが病気になったら、だれが一体この人たちのめんどうを見るのですか。あなた方の厚生省が主宰している国家のあらゆる機関とあらゆる恩典に一つも浴さない。そしてただ働きですよ。しかも病院なり医療の中核の一番めんどうな仕事をみんな担当している。これをあえて怪しまず、今日まで放任しておるというがごときは責任大なるものありと感ずるが、大臣の御答弁をお伺いしたいと思います。
○古井国務大臣 医療従事者という立場、それから日本の医療全体の中に占める地位、そういう医療という立場から厚生省としても関心を払わなければならぬことだと思いますが、今の国立大学の病院に勤める人、これはまたその身分、待遇等はその筋でやはり握っておる問題でもありますから、それぞれ身分とか待遇とかいうことはそれぞれの筋もあることでありますから、厚生省ですべてその待遇等に関与する、口ばしを入れるわけにはいかぬ場合もあると思います。しかし医療全体の立場から、また医療従事者というものの地位、こういう問題からいって、われわれもこれは関心を払わなければならないと思うのであります。これはそれぞれの関係するところとわれわれの方と双方に関連して考えるべき問題だろうと思いますので、少し従来行き届いておらない点があるかもしれません、という感じはお話を伺っているうちに私も受けるのでありますが、関係の力もありますから、まずその辺をわきまえて検討をしたいものだと思います。
○小林(進)委員 それでは私も質問を集約して前に進みますが、こういう無給の研究生というもは、教授や部長の紹介や暗黙の了解のもとに、週に何回がどこかの診療所にアルバイトに行かせてもらって、やっと息をついておる。これは研究は自由だとおっしゃいますが、そういう名目のもとに、そういうしがない生活をして、そしてこれは十年くらいたつと、よっぽど金持ちの坊ちゃんでない限りは、みんなうちも破産をしてしまう。どうも後援続かずという、そういう悲しい物語もずいぶん残っておるのでありますから、五年も十年も食うや食わずに教授や部長にぶら下がって、そして生活も健康も職員としての身分も、何もかも保障されないままに放任されているということの現実の問題は、これはやはりどの角度から論じても、このままに放任しておける問題ではありません。医療の近代化の問題からも、あるいは人権尊重の面からも、いろいろの角度からこれをこのままに放任しておく手はないのであります。この機会において、医務局などというものは真剣に取り組んでもらわなければならない、私はこう申し上げるのであります。 この問題も、いま一歩今度は掘り下げて、一般の公立病院とか私立病院と国立病院というふうに立場を変えてくると、また問題は別になるのであります。一体国立病院の中における無給の研究生というものの身分は何か、私はこれを一つお伺いいたしたいのです。——文部省お見えになりませんか。国立大学の付属病院の管理の責任者は一体どういうのですか。もっと詰めて言えば、国立大学の付属病院の経営管理に対する文部省と厚生省との監督指導の区別を私は明確にお聞きしたいと思います。
○川上政府委員 御承知のように厚生省でやっておりますのは、医療法に基づきました指導監督をやっておるわけでございます。従って、構造設備がどうだとか、あるいは経営関係がどうだとかいうようなことを法の規定に基づいて実は指導監督いたしておるわけでありまして、経営の内容にわたっては私の方では監督する権限はございませんので、ことにそうした身分の問題というのは、全般的にそれをどうしていくかというようなことは、私の方も検討してみたいと思いますけれども、むろん国立大学の病院でありますれば、そこに身分としてははっきりは今のような研究生は確立していないと思いますけれども、一応契約かなんかでそこで研究をいたしておるわけでございますので、その監督はむろん院長が責任を持っておられると思います。また個々の病院につきましての管理の責任というものは、すべてそれぞれの院長が持っておるわけでございます。
○小林(進)委員 国の管理する病院においては、そこにいる医局員は、医師であるとともに、国家が任命した国家公務員でございますね。これは間違いございませんな。
○川上政府委員 今の場合は正式な職員のことでございますか。
○小林(進)委員 そうです。
○川上政府委員 それはむろん公務員、大学の研究員か教官か、そういう職だと思いますけれども文部省が見えましたら……。
○小林(進)委員 文部省が参りましてから、厚生省との見解をお尋ねいたしますが、国家公務員たる医師が医療に当たるということが、私は一般の病院と、国立病院なり大学の付属病院との違いだと思う。国立病院とか大学の付属病院における医師というものは、いわゆる医師であるとともに国家公務員である。これは重大な問題なんです。大学付属病院に関する医療の監督指導に関係してくる重大問題です。戦前においては国家公務員法がなかったのです。国家公務員法という法律は、これは大臣、ありませんでしたね、こういう法律はなかった。だから大学の付属病院等に官吏として任命された者、国が給与を支給する有給嘱託と、それ以外に任命の全然ない無給の嘱託と称する者があった。これはあっても不思議はない、戦前は不思議はない。ところが戦後は、国家公務員法というものが制定をせられて、定員制というものができちゃった。定員制というものがいわゆる国家の行政機構には全部しかれたのでありまするから、法制的に規制されている以上は、昔の無給嘱託という者は定員法の建前上これは置かれるはずがないと私は解釈するのであります。それが実際においては昔と一つも変わりがない。定員外の多くの無給の研究生などという者が置かれているわけです。そして国家によって任命せられた正規の構成員の補助として一生懸命に働いているわけです。ところがその定員外で無給でいる者が、実際にはむしろ主治医などという名称を用いて医療に従事をしておる。これは一体国家公務員法の関係はどうなっているか、いわゆる定員法との関係はどうなっているのか、私はまずそれから一つお伺いしておきたいのであります。これはむしろ厚生省よりあるいは文部省の方かもしれませんが、あなたも関係がありますので、一応お伺いします。
○春山説明員 大学には、今お話しのように大学院学生のほかに研究生、あるいは専攻生と申して、学生であって、お話しのような無給付の、従来では無給副手と申しておった医師がございます。現在では大部分が大学の専攻生、あるいは研究生というふうに名乗っております。ただ経過的に、まだ無給副手が副手という名称を残しておるところがございますが、もちろん副手あるいは研究生、専攻生というのは定員法には関係なく置かれておるわけでございします。教授のもとに教育、研究、診療に当たっているわけでございます。いつも教授、助教授のそういう教官の指導を受けて診療に従事しているわけであります。
○小林(進)委員 一体無給の——それは専攻生でも研究生でも名称は何でもよろしいが、無給の専攻生で、しかも大学の付属病院にも、いわゆる国家公務員である限りは定員法がしかれておりましょう。定員制度がございましょう。その定員制の中に、国できめた定員法の中に含まれないそういう人員がある。一体どういう法的根拠に基づいてそこにおられるのか、一体国との関係はどうなっているのか、その法的根拠を一つお示しを願いたい。
○春山説明員 その点は非常にむずかしい問題で、いろいろ研究はいたしております。ただ無給副手というような存在はなるべくすみやかに解消していきたいという考えでおりますが、解消するためには研究生あるいは専攻生という学生の身分に切りかえていくことが大切だ、こういうような考えで、今大学でいろいろなことを協議しておるわけでございます。
○小林(進)委員 将来解消していきたいとか、あるいは何とか定員に含めていきたいとか、研究生の身分を与えるとか、将来に対するお気持はわかりましたが、私が先ほどから言っているように、戦後に国家公務員法というものが制定をせられて、そうしてそれぞれの定員が制定せられた。その中に今日までこの定員にもあらざる、給料もくれない、職員組合にも入れない、厚生年金にも共済制度にも入れない、こういうおばけみたいなものを今日まで置いてきた、その国との法律関係、それをここでお示し願いたいと思います。一体どういう根拠に基づいてこれを置かれたのか、何かやはり根拠がなくちゃできないでしょう。文部省はいわゆる人事権を握り、病院の管理権を握っておられるのですから、何か法律の根拠がなければ、このおばけみたいなものを置かれるはずがないのでありますから、その法律の根拠をお示しを願いたいと思います。
○春山説明員 この問題は教育におきまする長い伝統がありまして、その伝統のもとにそういう存在があったわけです。これはいろいろ大学における学位制度、研究制度等に関係しておりまして、一挙に解決ができなかったのは非常に遺憾に思いますが、文部省といたしましては、終戦後も無給副手の解消に非常に努めたことがございますが、やはり戦後、戦地その他から医学卒業生が帰還いたしまして、その研究なり医師としての修練をする場所というものが得られなかったために、大学に無給副手あるいは研究生として席を置いて医者としての技術を練磨するという事実がございます。そういう関係で、実は解消ができなかったのですが、現在におきましても、これをなるべく早く解消したいという考えで、予算その他についてもいろいろ考究をいたしておるわけでございます。
○小林(進)委員 私はそのよってきたる好ましからざる過去の経緯をお尋ねしても何も参考にならないのでありまして、そういうことを今まで黙認をしてこられたところに、やはり行政官庁の怠慢があったと思う。けれどもそれは単なる怠慢で済むならよろしいが、今度は私はいま一歩進んで、国家とそういう無給嘱託との関係をお尋ねしたのでありまするが、一体患者とこの無給研究生か専攻生、それはどちらでもよろしいが、患者とその定員外のこういう幽霊みたいな研究生との関係は、一体どうなっているのか、これは大学の付属病院にいきますると、これが主治医と称している。私は主治医というような地位が法律上どういうものか知りませんけれども、この主治医と称して、診療、治療に当たっている。これはむろんインターンを終えておりまするので、医師の資格をとっておりますから、医師として診療行為、治療行為をするのはもちろん合法ではありまするが、国立病院の公務員としてはこれは資格はない。公務員じゃない。一体こういう公務員としてあらざる者が公務員としての行為を行なっていることが正当な行為であるかどうか、この問題です。先ほどから繰り返して言うように、国立病院とか国立大学の付属病院とかあるいは国立学校にいる、いわゆる医師というものは、医師の資格を持っている医師であると同時に、国家公務員法に基づいて国家の公務員であるという三重の資格を持っている。ところがこの人たちは公務員じゃない。定員外だ。こういう人たちが国家公務員と同じような行為をやることが正当かどうか、これはどうです。医務局長、これは診療の内容の問題でありますから、あなたの監督の問題でございましょう。これは文部省ですか、どっちの権限ですか知りませんが、明確な御答弁を願いたいと思います。 〔「主治医は教授だよ」と呼び、その他発言する者あり〕
○山本委員長 私語を禁じます。
○川上政府委員 今のお話のように、医師法からいいますと、医者でありますから診療行為ができないわけでありませんけれども、やはり国立の病院に参ります患者に対しまして診療を行なう場合には、国家公務員たる医師が責任を持って、研究生、専攻生などはむしろその助手というような形で診療を行なうことの方が適当だというふうに考えております。
○小林(進)委員 適当だという答弁はやや責任のある答弁ですけれども、私はもっと進んで、法律上合法な行為であるか、あるいは法律上許されざる行為であるかというところまで実はお尋ねをいたしたいのであります。 それから第二番目、もしその研究生が治療において過失を犯した場合、人の生命、身体をあずかる者が過失を犯したときに、一体これに対してだれが責任を負うかという問題であります。だれが負うのでありますか。それと、二つの問題を私は質問したいのであります。
○川上政府委員 医師と患者の間に診療行為が行なわれるわけでありますから、もし診療上の過誤があって、たとえば思考が死んだとかいうような問題になりますと、問題は、その人が一応公務員でありましょうが、あるいは公務員でありますまいが、その診療過誤に基づいた責任というものは、その診療に当たった医師が持たなければならぬと思うわけでありますけれども、しかしそういう公務員でない医師を、研究生なら研究生として入れまして、その研究生に診療をやらせた責任というものは、これはやはり私は教授なら教授が持つべきだと思います。従いまして、それによって損害賠償というような問題になりますと、その一部は、そのケースによって違いましょうけれども、国の病院であれば国が持たなければならぬという場合もあるわけであります。
○小林(進)委員 定員にもあらざる、職員にもあらざる者のそういう診療行為に対して、一体国が責任を持つ根拠がありますか。
○川上政府委員 それは、私は、そういう人を病院の院長なら院長の責任において、研究生としてその人を診療に当たらせたということの責任がやはりあると思います。
○小林(進)委員 私はこの問題に対しては、実は仮定の事実を言っているのでない。こういうような無給の研究生のために生命を失ったり、私は専門ではございませんから、あるいは過失とは申し上げませんけれども、現実に泣いている人がいるんだから、現実いるんだから、私は事実に基づいて御質問を申し上げている。 今度は入院者と病院との関係を一つ考えてもらわなければならないと私は思うのであります。病人が国立大学の付属病院に入院する、その入院する気持というものは、やはり病院の人的、物的設備を用いて、これを信頼して医療を施してもらう、そこで契約が成立をして入院加療を受けるという、こういう構成になるのでありますから、その正規の構成員でない者が、一体いかなる根拠に基づいて、その国立大学をいわゆる看板にし、大学の付属病院の名において治療をするか。入院をしていく人は、そんな定員外の幽霊みたいな者と契約を結んで、自分の生命や身体をまかすという契約をした覚えはないはずだ。国立病院の設備、その国立病院なり国立の付属病院における正現の公務員たる二重の資格を有する医師そのものを信頼して契約を結んでいる。そうではありませんか。それじゃこれは一つの契約違反だから詐欺行為だと私は考えるが、一体詐欺行為にならぬかどうか。私は入院患者と病院との関係を一つお尋ねしたい。
○川上政府委員 これは先ほど申しましたように、そういうような慣行と申しますか、ございまして、そういう悪い例ばかりではない。また反対に、名誉教授のような方を、国立でもそうでありますけれども、むずかしい患者には、ときには大学からほんとうに専門の方を呼んできて、その人が手術をしてくれるとか、そういう場合もあるわけであります。しかしいずれにいたしましても、先ほど申しましたように、その場合の責任は、やはり一応国が負わなければならぬ。ただやったその診療行為に非常に大きな過失があった、そのために非常に障害を与えた、こういうことになりますと、これは刑法上の責任を、やった本人が、公務員であるとないとを問わず課せられることがあるわけでありますが、そういうように、研究生、助手としてやるような場合もありましょうし、またむしろりっぱな先生に来てもらって、その人の指導のもとにやるというような場合が事実上あるわけでございまして、その辺は今申しましたような責任のもとで、慣行として行なわれておるというように思っておるわけであります。
○小林(進)委員 いま一回一つ具体的にお尋ねしますが、病院と研究生との間には雇用関係はございませんね。雇用関係はございますか、ございませんか。
○古井国務大臣 これは法律問題になってきますので、正確でなかったらまた訂正いたしますけれども、今だんだんお話を伺っておって感じますことは、従前の制度では、官吏制度の時代、そのワクに入らぬ者を雇員、嘱託と称して、民法上の契約で雇う慣行があったのであります。戦後の公務員制度の改革で、今度は、従前でいえば民法上の契約と認められておったような人まで公務員のワクに入れる、ランクはありましても、そういう格好で整理をしてきたのでありますけれども、しかし従前行なわれておったもので、新しいワクにはまらないものが、伝統的、慣行的に残ったものがあるような気がするのであります。ちょうど今の大学の病院の副手でございますね。研究生とか専攻生とかいうワクにも入らぬ、さらばといってきっかりした教授、助教授とか公務員のワクにも入らぬ、しかし慣行上残っておるというものがあるといたしますれば、これは法律解釈として、何にも法的根拠がなしに働いているのかというと、いろいろ今のお話のような責任問題とかが起こるのでありますから、何かの根拠がなければならぬ。とすれば、これは従前の慣行を引き続いたものとすれば、やはり民法上の関係になるのではないか。つまり雇われておる、使われておるというのも民法上の一種の雇用契約、それからそれに対して間違いが起こった場合の責任は、本人が民法上の責任を負う。また雇い主としての国が民法上の雇い主として責任を負う場合には負う。それから中間に入った、直接に指導しておる教授という人は、国家公務員として慣行上そういうものを使っておるとするならば、使っておる監督者の立場における責任は公務員制度上起こるのではないだろうか。しかしあやまちが起こったような場合には、民法上本人の責任また雇い主としての国の責任、そういうことでこれは解決する以外には法的に解決する道がないのではないか、従前のものがそこら辺に残った、こういう見方で解釈するほかはないじゃないか、こういうふうに私はお話を伺っておって一応思うのであります。誤っておればこれはいつでも訂正いたしますけれども、一応そういうふうに解釈できるのではないかと思います。
○小林(進)委員 それはもちろん現に存在しているものを指定しない限りは、やはり大国のおっしゃるように民法上の雇用契約で解釈する以外にない、それは一つの空論です。そういう解釈をつければつかないわけじゃありませんけれども、しかしその解釈をつけるためには、やはり現代の客観的な条件というものが何か一つ二つそろっていなくちゃいけない。たとえていえば、文書に基づいてお前を研究生に雇い入れるという何か契約をかわした公文書があるとか、雇用契約の何かの証書がどこかにあるとか、あるいは任命すという任命薄がどこかにあるとか、それはあなたの方の民法契約で口頭でいいのだ、お前はきょうから来たまえというのも一つの契約だとおっしゃるかもしれませんが、少なくとももうインターンを終えたものを、口頭であろうとあるいは文書の契約であろうと、任命の原簿に記載するとしないとにかかわらず、雇ったからには、今日の客観情勢の中においては、給与を授受しているという権利義務が生じてこなければならぬのは当然であります。そのためには給与簿というもののどこかにその民法の契約を証明するための一つの資料としてだけではなしに、今の客観的な情勢からながめても、若干の給与をもらっているという証拠がなくてはならぬと思う。あるいは本人に所得があれば地方税、さらに厚生年金から健康保険というようなものまで当然本人は払っていかなければならないのでありますから、そういう問題もどこかで考慮されなければならぬ。単に民法上の契約という言葉だけをとれば成立するという解釈ができても、それを裏づけするような客観的なものは今一つもないのであります。それはそのように解釈してみただけの話なんです。しかしこういうことは意味がない。あなたの頭のいいところでこじつけて、そういう解釈もやってみれるといっただけの話であって、これは何も論争すべきことではございません。しかし客観的には雇用を裏づけするような何もないから、私どもはそれさえも認めるわけにはいかない。いかないことはともかくとして、具体的な例としては、その医師が患者に対して主治医ということだが、主治医というものの法的地位は何でございますか、これをお聞かせ願いたい。
○川上政府委員 主治医というものは法的根拠はございません。
○小林(進)委員 それでは医師はみな適宜主治医と称することもできるわけですか。
○川上政府委員 それは慣習上その患者の診療に当たる責任を持った医師、その上に教授がおったり、上にまたそれを指導する方もおりましょうが、一応その患者を担当する、そこに複数の医師がおりますれば、その中の一人で全体の責任を持つ者を主治医と申します。
○小林(進)委員 文部省の方にお伺いをいたしますが、今の東京大学の付属病院に、一体国家公務員法に基づく定員の医師が何名、それから定員外のそういう研究生と称する医師が何名、その医師の中で、いわゆる教授、助教授でなくて、主治医という名称でその医療の責任を持っている人たちが何人おいでになりますか。あなたの知っている範囲でお聞かせ願いたい。
○春山説明員 ただいまの御質問でございますが、今数字を持っておりませんが、東京大学には診療科が十五くらいありますので、教授、助教授、講師、助手の数はおよそ四百人くらいになろうかと思います。そのほかに研究生と称し——今は東大では無給副手と申しませんで、研究生と称しておりますが、この数は本郷の本院、雑司ヶ谷の分院、あるいは伝研、そういうところにそれぞれおるようでございます。はっきりした数字は申せませんが、大体五百人か六百人くらいおろうかと思います。それで大学の中での取り扱いというのは、教授、助教授の指揮を受けて患者を分担して担当している状態、たとえば受け持ち医、東大は主治医と申しておりましたかどうか、今ちょっとはっきりしておりませんが、受け持ち医とか担当医とかいう名称かもしれません。いずれにいたしましても、主治医と申しましても、決して独立してその患者を診療しているわけではなくて、常に教授、助教授の指揮のもとにその患者の世話係というような意味で、あるいは受け持ち医、あるいは主治医というふうに大学の中の慣行として使っております。
○小林(進)委員 それは文部省側の解釈では、教授、助教授、講師、助手の世話係として病院の患者のめんどうを見ているという解釈ですね。その点を患者に明確に知らしておいでになりますか。私は教授、助教授、講師、助手の下請の世話係でございまして、あなたの世話をしている者ですが、それ以上の責任は持ちませんということを患者に明らかにしてやっておりますかどうか。言ってあれば非常にけっこうですが、どんなものでしょうか。
○春山説明員 それは大学の長い慣行がありまして、およそ大学病院へ入る方はそれを承知して入っているだろうと思います。ただ大学が一々の患者について、主治医なり受け持ち医というものはこういうものだという説明はいたしておらないかもしれません。
○小林(進)委員 私は、これは重大問題だと思う。あなたは、そういう大学の付属病院の問題を扱っておいでになりまするから、入院患者は主治医といえば、これは無給の研究生で、そして病人の世話だけをするものだと大体みんな知っているだろうという御答弁でありますが、私は入院する者が主治医という名刺を持ってきたら、これは無給の研究生で、ほんとうにこれはわれわれの世話だけをする人たちで、医療に対する責任は持たないのだというようなことを知っている患者が十人の中に一人でもあったら私の負けになりましょう。知らないで主治医という名刺を出されれば、これはこの大学における正式の公務員で、もう天にも上るようなりっぱなお医者さんだと考えている患者が私は十人の中の九人だと思っている。この私の考えが間違っておるか、あなたの方がほんとうの常識か、いま一回答弁して下さい。
○春山説明員 ただいまの御質問、大学というものを御存じなくておいでになって——主治医という名刺を作って患者に渡しますかどうかそれはわかりませんが、主治医と申せば、今のような考えを患者が持つだろうと思います。ただ大学の慣行としての主治医は、教授、助教授、講師、助手という組織がありまして、その下と申してはおかしいですが、その組織のもとに、あるいはその中に入って患者を一部担当するということでございますので、大学としては受け持ち医という立場は、今のような助手あるいは無給の方々が担当するという慣行になっておるわけです。ただ外来の患者は、今お話しのような感じを受けることはあろうかと思います。
○小林(進)委員 私ども患者は、大学の付属病院に入るときに、大学のシステムを研究して入る人なんかないのですよ。それは大学の教授の親戚とか身内とか、あるいは紹介状をもらって、そして国民の犠牲の上に安い診療をしてもらおうという高級官僚か、そういう者は大学のシステムは知っておりましょうけれども、一般の国民は、大学病院といえば、りっぱな設備を持って、一番えらいお医者さんがいると思うから、この人たち、このりっぱな医者にかかれば、直らぬ病気も直してもらえるという考え方だけで入院すると思うのです。入ってみたら、大学の定員でもなければ、りっぱな先生でもない無給で働いている研究生からこね回された。そんなこね回されるなんということを知らずに入る人が、百人のうちの九十九人です。みんなが知らないのです。それをあなたは、そういうような言葉で、病院の医療の制度を知らない者が無教養だとか、常識がないような——常識がないとおっしゃいませんけれども、そういうような押しつけがましい言いわけで、国民の側の切実なる要望を踏みにじるようなことは、これは言語道断です。あなた、それが一番官僚としての悪いところだ。この問題を取り扱うために私は数例を持ってきている。きょうは言いませんけれども、実はわれわれの仲間の中に、国立病院へ入って、おれのおやじは、おれの夫は、モルモットにされたという——こういう医療の問題は、証拠がないから言えないけれども、そういう切実な思いをした者もわれわれの仲間でいるのです。きょう来ませんけれども、いるのだ。お林さん、この問題だけはこの機会に徹底的にえぐってくれ、そういうのがあるのです。しかも私が今ここで申し上げているのは、そのほかに証拠を並べているのは、やはり大学の付属病院というものを信頼した、その公務員たる医師を信頼して入院したら、いわゆる主治医さんと称する者が診療してくれたから、これは実にえらい先生だと思って拝みます。頼みますとお願いしたら、あにはからんやこれは無責任きわまるものであった、そしてその診療を受けたため——きょうは時間がありませんからまたこの次にやりますが、しかもこの無責任な受け持ち医、主治医に配するに、その国立病院においては資格のない看護婦をそれにつけておいて、そのためにその看護を受けて——あるいは私は専門の問題でありますから、そのためにとは言わぬ、あるいはその手術の過失のためとは言わぬけれども、ともかく無資格の看護婦とそういう主治医の診療を受けて、遂にたった一人しかいない子供をなくしてしまったと、自来四年間切々としてこの問題を訴えておる。こういう切実な問題は、一人の子供をなくした私だけではない、探ってみれば幾つもあるから、これを契機にして無責任なる国立大学の付属病院のやり方をここに変えてもらわなければならぬ、あるいは看護婦制度のあり方あるいはそういう無責任な医療のあり方を文部省も厚生省もこの際根本的に一つ直してもらわなければ、私は人の子の親としてとうてい一日も晏如として生きていけない、こういう切実な訴えを私は受けておる。そういう多くの人々の涙の上に立って私は今質問しておるのでありますから、そういうあなた方のおちゃらかしの答弁では私は引っ込むわけにはいかぬ。そんなことで人間の命が粗末にされてたまりますか。そんなことで大事な人の命が奪われてたまりますか。いま一回、一つ責任ある答弁をして下さい。——答弁ありませんか。
○春山説明員 ただいまのお話、大学の実情とあわせて非常に大事なお話だと承りました。
○小林(進)委員 私は、病院管理の問題でまだ半分しか質問をしていない。まだ半分残っておるのですが、時間もありませんから、また後日にこれを繰り返して、今度は新しい展開をいたしますけれども、ただその中で先ほど大臣は、この主治医というのは、それは正式な雇用関係には立っていないけれども、やはり民法上の契約が存在するものとして、その人の過失については教授並びに国家がその責任を負う、こういうことを仰せになりました。そこで私は責任問題を今度は具体的に追及いたしまして、確かに責任あるときに、大臣は、ほんとうにその教授と国に——国といえば、さしあたり医療の監督をする厚生省の医務局か、あるいは人事権を持ち、病院の管理をしている文部省か、その細部の責任の分担区域は別として、責任を必ずお持ちになるのかどうか、私はいま一回ここでお尋ねしておきたいのであります。
○古井国務大臣 今の、ような地位の人があやまちを犯したという場合に、その責任について何もよるべき法規のないはずはないと私は思います。そうすれば国家公務員法のワクの中でこれは処理できない地位の人でありますから、よりどころは何かといえば、戦前の伝統と慣行が残った民法上の関係、これが慣行上認められているというふうに解釈しなければ何もよりどころがなくなってしまうのではないか。だれも責任を負う根拠がなくなってしまうのではないか。そうすれば、やはりこれは民法で解釈するよりほかにないのではないかと私は思うのです。そのときの責任は、本人自身の責任と雇い主の責任とあると思うのですが、雇い主は私は国家だろうと思うのです。 それから教授のと申しましたのは、教授が被害者に対して直接責任を負うという意味で言ったのではありません。教授は教授の職務として、公務員法上の職責と責任を持っておるわけであります。その職務を行なう範囲内において慣行土民法的な関係のものを使っておった、そうすれば、この監督上の責任が十分尽くしてなければ公務員としての、つまり対外的なという意味ではなくて、公務員としての責任という問題はそこに残るのではなかろうか、こういう意味で教授ということも申したのであります。私はそういう筋になるのではないかと思いますが、初めに申しましたように、これは厳密な法律論になりますれば、何か考え誤まりがあれば私はいつでも訂正いたしますが、一応私はそういうふうに思うのであります。
○小林(進)委員 これは事例はまたあとで幾らでも申し上げますが、その際に、国立大学の付属病院の医務局において、資格のない看護婦を資格あるものと称してやはり同じく看護業務に当たらしめた、その責任は一体だれが負うのであるか。やはり今の、研究生を主治医と称してやったのと同じようなケースで国出家が責任を負うのかどうか、これも私は聞いておきたいと思うのであります。
○古井国務大臣 その辺の実情は私もつまびらかでないところがありますが、看護婦でない人間を看護婦として使っているということはあり得ないのですから、看護婦あらざる、看護婦を補助する人間として、いわば助手というような意味で使っておるということにこれはなるのではないか。しかしさらばといって、使っておるという事実があります以上は、それに基づく法律上の責任論というものは、これは何らかの法によって解決しなければならぬということになってきて、公的な法の根拠がなければ民法によって解決していく。不法行為で間違いがあったという場合に、どういう道でも責任を問う方法がないということは私はあり得ないと思うので、落ち込むところはそういうことになるのではないか、こういうふうに思うのであります。
○小林(進)委員 もう時間がありませんから、その看護婦が資格があるとかないとかいう、そういう具体的な例はまたこの次にお伺いするのですが、とにかく保健婦助産婦看護婦法に基づけば、最初はそれは資格を与えられても、あるいは何年か看護業務に従事しなかったといえば資格を失うとか、そういうこまかい規定がこの法律にあるんですから、この法律に基づいているというと、看護婦としての資格を欠如している人が、あるものとしてやはり看護業務に従事しているという実例があるんだから、私はその実例に基づいて言っているのです。看護婦の資格があるとかないとかいう問題じゃないのです。一応仮定でもよろしいが、そういう資格の欠如した者、あるいはあったけれどもなくなった者が看護婦としての業務に従事しておった場合の国立病院の責任は、だれが負うのですかという、この後半だけ一つ御答弁願えれば私はよろしいのでありまして、それはやはり医師と同じケースであるというならば私はそれで了承いたします。
○川上政府委員 一ぺん看護婦の資格を取った者が……。
○小林(進)委員 いや、看護婦の方はどうでもよろしい。とにかく一応資格がないものとして、そういう者が看護婦として従事している場合を言っているんですから、前の方はいい、あとの方を……。
○川上政府委員 資格のない者は看護の業務に従事することができないわけです。しかし俗に看護業務というものの中には、患者の枕頭の整理だとかあるいは氷のうを取りかえたり湯たんぽを入れたりするような業務は、これは看護助手がやっておるわけです。看護婦がやらなければならぬような本来の看護業務というものは、資格者でなければできないわけですから、そういう資格のない者に本来の看護業務をやらせておる、こういう責任は、大きな意味でいえば院長が病院全体の管理権を持っておる管理者であります。それからその次に婦長、あるいは病棟についておる病棟の主任というようなそれぞれの看護婦が監督をしておるわけであります。
○小林(進)委員 私は了承いたしませんが、ちょうど同僚議員諸君も質問をやりたいということで、大臣もお忙しいようでございますから、きょうはこれで、了承しないままにきょうの私の質問は終わりますが、この次にはまたあらためて具体的な例をもって相まみえたいと思いますから、その点を一つ御了承願いたいと思うのであります。
○山本委員長 島本虎三君。
○島本委員 時間が制限されてはなはだ残念でございますけれども、要を得た質問をいたしたいと思いますから、答弁の方も簡単に、なおかつ明瞭な答弁でお願い申し上げたいと思います。 二点ございますが、まず第一点は、これは御承知だと思いますが、先年のあの安保国会で国民の住目を浴びた問題の一つに、ロッキードの機種の選定の問題があったわけでございます。これは大臣も十分御承知の通りだと思いますが、あれは防衛費の中でこれを購入し、自衛隊が使用するようになったものであろうかと私どもは伺っておるのでございます。今度の予算の中では、国民生活に与えるきめのこまかい予算を組んだということが、総理並びに大臣の自慢とするところであろうと思うのでございますけれども、このロッキードの使用の開始の年度にあたりまして、厚生対策として、このロッキードを使用することによって国民にどのような影響があるものであるという考えの上に立って、この対策をいかように講じたものであるか、これを伺いたいと思います。
○古井国務大臣 ロッキードの防衛費関係における使用と社会保障制度の拡充の問題と具体的に関連を持って考えたわけではございません。ただ防衛費と社会保障費、こういう関係は、私どもとしては社会保障費を大きに前進させたいと思いますので、ことしの予算においても、この社会保障費の方に力をよけい入れておる、こういうふうに思っておりますが、全体論としては、この防衛費との関係は十分考慮に置いておる。ロッキードという問題と具体的には関連を置いて考えておりません。
○島本委員 結局ロッキード使用後の影響等について、厚生省では具体的にこれを関連あるものとして考えなかったがために、対策も講じておらないという答弁のようでございます。私は、このロッキード使用による影響のうちの一つに、F86の十倍といわれる騒音が発せられるものであるということを聞き及んでおります。また百フォンの高音であるということも聞き及んでおるのでありまして、おそらくは八十フォン以上のものに対しての補償が現にもうすでに国等においては考えられているのが現状のはずでございます。百フォン以上の高音を発するような状態に、本年からすでに遭遇する国民を前にして、きめのこまかい予算の中でこの影響を全然考えないということは、私としてはあり得ないと思う。こういうような、問題に対して考えていないということであるならば、起こった責任に対してどうするのか。たとえば病人に対しての看護、今小林委員の方でいろいろと具体的に突っ込んでございましたが、看護するのも病人のためであります。この病人のためにはいかに看護を用いてもどうにもできないような影響がもうすぐ与えられるというような現実を前にして、対策が全然ないということは厚生大臣としては私は不勉強じゃないかと思うんです。この点いかがでございますか。
○古井国務大臣 お尋ねがロッキードとの関係についてと抽象論でおっしゃるのでどういうことかしらんと実は意味がわからないのでおったのでありますが、ただいま騒音、高音の影響の問題のようであります。この点については、これはロッキードを使うといたしましても、具体的にどこでどう使うかという問題もございましょうし、それからまたそれに対する対策の種類によっては防衛関係のワクの中で処置をするということもあります。そういうことでありますから、これは具体的にやはりどこでどういうふうに使い、それに対しての影響がどういうことでどういう対策を講ずるかという問題で、それぞれの立場で考えなければならぬ。これは考えなければならぬ問題だと思います。
○島本委員 これは厚生大臣は当然国務大臣であって、国のこういうような行政全体についての考えは必然お持ちになっているだろう、こういうふうに考えまするから、こなまいきなことは言わないと、私はこういうふうに決意をして質問をしておるわけなんです。ところがもうすでに三十六年度から始めて三十七、八、九年、それぞれこの購入計画が立っておって、もう実施の年になっておる。それにもかかわらず各地域の方ではこういうふうな対策がないままに、きわめて不安な状態にあるということ、今大臣の言うことを聞いてわかったのですが、これは全国の飛行場のうちで、おそらくはもうロッキードを使用できるであろうという滑走路を持っているところが、現在のところで四カ所ある。その四カ所も手直ししなければならないという状態である。北海道は千歳を初めとして他に三カ所あるもののように私どもは聞いておるんです。しかしそれらの滑走路、その延長等については住民との間で、これ以上の拡張はしないという契約を結んであるもののようです。しかしながらもうすでに飛ぶということによってトラブルが起きることが一つと、その周辺の人の病人に対する対策、病人だけじゃない、学校もあるんです。保育所もございましょうし、現在までの防音施設が全部むだになって、もう一回やり直さなければならないというピンチに遭遇するわけでございます。こういうふうなことはおそらく知らないということでは済まされない問題じゃないかと思って、現在これを聞いたわけでございまするけれども、こういうようなことになりますると、四カ所の問題を取り上げても、これは国としても大きい一つの補償の問題ではございません。これは厚生行政の問題になるわけですけれども、大きい考え方を、行政を、ここで実施するという決意をしなければならないはずなんです。今大臣の言うことを聞いてみますと、さっぱりそういうようなことをわれ関知せぬということの考えのようですが、これでは私は国民はほんとうに困ると思うんですが、しかし大臣は依然としてこういうふうなことはまだ考えておりませんと言いはりますか。
○古井国務大臣 考えなければならぬということを申し上げたので、考えないとは言わなかったのです。ただ影響が具体的に各地域の問題であり、またそこにある施設とか具体の状況の問題にも関係してきますし、各地の具体的な事情に応じて、そうしてまたそれもたとえば病院のごとき関係もあろうし、学校のようなところで、やかましくて学校の授業もうまくできぬというようなことでも起これば、学校の問題にもなりますし、これは考えないのじゃありませんけれども、具体的に考えるのが一番適切ではないか、そういう意味で申し上げたので、それは具体的に研究すべき問題、考えるべき問題だろうと考えるのであります。
○島本委員 具体的に考えるという意味は、もうすでにこういうようなことが発生した場合には、そういうような行政上の措置や補償等に要するいろいろな必要な措置は厚生大臣としては十分考えてこれを行なうものである、こういうようなことに私は解釈したいと思いますが、それでよろしゅうございますか。
○古井国務大臣 いろいろな教育とか、そのほか畜産にまで影響が及ぶという説もあるくらいで、各方面の影響がこれはあり得る問題でありますから、具体的によく検討して、ことに調達庁がこれは中心になって、面が広いのですし、そのつど考えておる問題でありますから、一緒に考えていきたいと思います。
○島本委員 調達庁の方面とよく考えてみたいと思うということなんですが、ちょっとくどいのですが、私はもうあまりくどくは言いたくありませんが、考えてみたいと思うということは、考えて必要な対策はする決意である、そういうような意味だと思っておるのです。そう、だったら答弁は要りませんが、そうなんでございましょう、そのように了解しておきますから……。
○古井国務大臣 必要なことは考えなければなりません。
○島本委員 それで一つ終わりました。 まだ時間が三分あるようですから、私は最後に一つだけこの速記録によって大臣の決意を伺いたいと思う。それは昭和三十六年二月八日の同僚井村委員の質問に対して答えたうちの一つでございますが、社会福祉問題について私営の養老院の問題に端を発して、その施設の問題に及んだことは御存じだろうと思う。それには国の方では二分の一を負担し、残りの二分の一は都道府県であり、施設軒はその二分の一を負担する。それではりっぱなものもできないからもうこういうようなものに対する対策は具体的に考えて進めないと、せっかくの養老対世はだめになるぞ、こういうような質問の趣旨だったと思う。そういたしますと、これは大臣は明確に今後「福祉事業団もそういう方面に活用される考えであります」、こういうようなことが議事録にはっきり載っておるわけなんです。そうすると、私設の養老院というようなものに対して、今やはり国民の中では養老施設というようなものに、老後施設というようなものに対しては関心が高まっておるのでございますけれども、福祉事業団の中でこの私営の養老院に対していかようにしてこの整備をはかっていく計画が載っているのか、具体的にお知らせを願いたい。
○古井国務大臣 これは年金の福祉事業団の活動分野の中でこの老養施設などの面も考えたいというふうに思っております。そこで、具体的にこれは養老施設だけではございませんで、その他の保健厚生施設、福祉施設もこの事業団の仕事の中で考えていきたいと思っておりますが、今の養老施設の点だけ取り上げて具体的にどうという点は、私は大づかみなことでありますので、私よりも事務当局からもうちょっと具体的にお答えいたします。
○熊崎政府委員 ただいまの先生の御質問の中身は、いわゆる養老院というものは、これは今先生のおっしゃられましたことは、生活保護でいう保護施設として生活困窮者を収容する養老施設、これは補助金を出しまして、それで県の負担もあります。それから自己負担分は四分の一でございますが、この四分の一の自己負担分については現存は寄付金を集めたり、あるいは主体はほとんど社会福祉事業振興会という金を貸す団体が現在特殊法人でございますが、そこから借りてやっておるのが大部分でございます。これは来年度におきましても、これまでにない、大体倍額くらいの増額になっておりまして、養老院はこれを活用していく、そういう計画になっております。 それからもう一つ、大臣が福祉事集団の力から貸すというふうに申し上げられましたのは、これは軽費老人ホームといいますか、多少でも有料の老人ホームという計画をまた別に持っておるのでございまして、これは生活困窮者じゃなしに、いわゆる中産階級程度の方々を入れる軽費老人ホームの施設を大々的にやっていこうというふうな形で、その方面にはプライベートな法人の団体にも福祉事業団の方から金を貸そうという計画があるわけでございます。これは福祉事業団の厚生福祉施設の金額——あれは厚生年金の方と国民年金の方と両方から融資をいたしますが、主体は国民年金の方から出します約十億のワクの中でその方をやる。これは有料老人ホーム以外にいろいろ共同保育所だとか、そういうふうなものも考えておりますけれども、主体はそういう軽費老人ホームを主体にやろうというふうな考え方になっております。
○島本委員 大体構想はわかりました。きめのこまかい中にこれが入ったかどうか、これは大臣にお尋ねしたいのですが、福祉施設費の中で、新たに今度養老院のような施設を作る場合の補助はわかりましたが、今度は国の方でこれを考える場合には、建物に対して幾らという補助をするけれども、この内部のことで、たとえば寒地の方面、現在積雪被害の問題等において問題になっておりますけれども、北海道を初めとして積雪の多い方面、また寒冷地にある建物、こういうようなものに対しましては、全国一律の考え方でこれをやることはまことに当を得ない措置であって、当然中には内部施設が必要なのであるから、ボイラーとか、こういうようなものを完全に見てやるようにするのでなければ、これはきめのこまかい行政であるといくら口で誇っても、こういうものが何もできないで、建物だけ作って坪幾らというようなことをやっておるのでは、仏を作っても魂を何も入れないような結果になるのじゃないかと思う。寒冷地の方の問題が現在いろいろな観点から取り上げられているのですが、この養老施設の問題等において、ボイラー設備その他の補助の問題を厚生省ではいかようにお考えになっておるか、伺いたいと思います。
○古井国務大臣 積雪寒冷地の問題は、これは養老施設のみならず、学校の問題でもあろうし、その他の福祉施設の問題でもあろうし、面の広い問題だろうと思います。厚生省の関係にも他にもあると思いますので、これは私は今ここではっきり申し上げるだけの知識を持っておりませんが、他との関連を考えて善処したいと思います。
○島本委員 あまり時間を制限されるので困りますが、こういうような設備に対する補助というものは、多年の間の寒冷地からの要望だった。ただ厚生省の方では、いかに今までの大臣が手を尽くしても、こういうようなところまで補助の対象に認められなかったということが涙の種だった。幸いにして古井、新しい感覚を持った大臣が出たわけでありますから、こういうような問題まできめのこまかい中に入れて、補助の対象にしてやるべきが当然であって、他の方はどうであれ、厚生省の方では十分これを考えておるぞという実を示すのが、古井厚生大臣としてはまことに当を得た考え方じゃないかと思うわけです。私としては、こういうのは対象に入れて考えるべきであろうと思いますが、大臣もそのように思うならばよろしゅうございます。これで質問を終わりますが、いいですか。
○古井国務大臣 よく研究いたします。 ————◇—————
○山本委員長 この際、参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。 厚生関係及び労働関係に関する件、特に医療機関における労働争議に関する問題について、明二十三日午前十時三十分より、日本病院協会会長橋本寛敏君、日本医療労働組合協議会議長岩崎清作君、これを参考人として意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 午後二時まで休憩いたします。 午後一時五分休憩 ————◇————— 午後二時五十八分開議
○柳谷委員長代理 休憩前に引き続いて会議を開きます。 質疑を続けます。小林進君。
○小林(進)委員 私は午前に質問いたしました病院の管理問題につきましては、これは医務局長がお見えになっておりませんから、後日またあらためてその続きをお伺いすることにいたしまして、このたびは一つ薬務局長に、麻薬の問題について質問をいたしたいと思います。 戦争が済みましてから、すでに十六年の歳月が経過をいたしておるのでありますけれども、まだわが日本には至るところに戦争のあとが残っているのでございます。その中でも特に大きいのがこの麻薬問題であると自分では考えておるのであります。この麻薬問題について、たしか十年ばかり前と思いますが、かつて衆議院に行政監察特別委員会というものがございましたときに、その委員会で実は麻薬問題を調査をしたことがあるのでございまして、それ以来私はこの問題に非常に関心を寄せておるのでございます。 まず第一番に、最近の麻薬の状態が一体どういうふうになっているのかということを局長にお伺いいたしたいのであります。麻薬は植民地国家に限られているというのが従来の通念でございまして、かつて上海等が麻薬の最もはなやかなる舞台であった。最近は、世界あたりの情報を取り寄せますと、日本は麻薬の天国であるということをいわれておるのでございまして、こういう非常に悪い評判が世界から流れてきているのでありまするけれども、一体今日の状態はどうなっているのか、まず薬務局長の御所見を一つ承っておきたい。
○牛丸政府委員 麻薬の流通というものは、麻薬取締法による規定によって、法的に相当強い規制をされておるわけでございますが、ただいま御質問のありましたように、麻薬の不正の取引が特に戦後わが国にも非常な弊害を及ぼしているのは御指摘の通りでございまして、最近三カ年におきます麻薬事犯の違反件数と検挙人員を申し上げますと、昭和三十三年に違反事数は千六百八十六件、検挙人員は二千百六十二人、同じく三十四年には違反事数が千五百五十九件、検挙人員は千八百九十一人、三十五年におきましては違反事数が千九百八十七件、検挙人員は二千三百十二人、大体違反事数において二千件前後、検挙人員において二千数百人の人員が検挙されておるわけでございます。しかしこれはこれだけではございませんので、さらにいろいろな手の及ばないような点もございますし、私どもも日ごろ麻薬の取り締まりに対しては非常に苦慮しているわけでございます。 ついでに、こういう事犯に関連しまして、麻薬の中毒者というものが現在どういうふうな状態であるかということを申し上げますと、これも同じく過去三年において、私どもが直接所管をしております麻薬取締官による検挙、あるいは警察、海上保安庁その他関係当局によって発見されました麻薬の中毒患者というものは、昭和三十三年におきまして二千九十九名、三十四年におきまして千八百五十六名、三十五年において千八百三十三名というように、大体二千名程度の発見者が出ておるわけでございます。しかしこれはいわば氷山の一角でございまして、推定によりますとこれの数十倍あるいは百倍近い人間が麻薬中毒に侵されているのではないかというふうにいわれておりますけれども、その正確な数字は私どもも的確に今把握できない状態でございます。
○小林(進)委員 私どもの知っている範囲では、麻薬の中毒者といっていいのか患者というのか、言葉の問題でありますが、それは戦前では大体全国で五千人といわれたのが最高であったということでございましたが、三十五年は、何か患者リストですか、この点も私はお尋ねしたいのでありますが、何かリストに載っている者だけで四万人いる。推定の数字は、ただいまおっしゃいました直接発見した者は二千名前後であっても、それが百倍にも及んでおるという言葉の通り、二十万人くらいこういう患者がいるのではないか、こういうふうに言われておるのでありますが、いま一度私の申し上げた数字に対する御見解を一つ承りたいと思うのであります。
○牛丸政府委員 ただいまの中毒患者の数といいますのは、麻薬事犯に関連して発見された数だけでございますので、実態調査をしました結果は、大体六千名くらいが線上に上がっているというような数字はございます。しかし四万名というのはどういうリストか、私今ちょっとわかりかねますけれども、いろいろな事犯その他から推定をして、二十万程度の者が現在はそういう害毒に侵されておるのではないかというふうに推定されております。それが大体六大都市あるいはその他の濃厚地区に集約的に集中しておるというのが中毒患者の実態ではないかというふうに考えております。
○小林(進)委員 私はちょっと今ここで、資料を持ってこなかったから正確を欠くうらみがありますが、たしか菅原通斉さんがやっております委員会がありますね、あそこで発表した数字ではないかと思うのでありますが、あるいは私の記憶違いかもしれませんが、そのリストに載っておるのが四万人というような数子が何か現われていたようでございますが、間違っていたらまたあとで私の方でも訂正いたしたいと思います。 そのほかに三十五年の七月、ジュネーブで開かれた国際連合のWHO、国際衛生機構ですか、その麻薬委員会の年次報告による世界の麻薬人口と称するものの報告によりますと、先進国と後進国に分けて、その先進国の中に入っては、日本が麻薬中毒者、麻薬患者では世界一番である。人口百万人に対して四百四十五人という比率が出ているのでありますが、この百万人に対する四百四十五人の実数は、その五倍くらい日本には存在しているといわれる。二番目の後進国、ビルマ、インド、イラン、エジプト等の地区では、人口百万人に対して一千人以上の中毒患者が存在をしておる。だから後進国ほど麻薬患者は多くないけれども、英、米、ドイツ、フランス等の先進国の中では、日本は驚くほど麻薬患者が多い、こういう報告がなされたというのでありますが、一体これが事実かどうか。もっと具体的な報告書類をお持ちになっておりましたら、ここで発表をしていただきたいと思うのであります。
○牛丸政府委員 国連の方に対しましては、条約によりまして各国が報告をすることになっておりまして、日本もその条約加盟国でございまして、先ほど私が申し上げました数字は、国連に対する報告の数字と一致するわけでございます。しかしただいま小林先生がおっしゃいましたようなことは、国連の報告には、今係のあれによりますと、ない。私はあまりよくその点は承知しておりませんが、今のところはないということでございますが、もし先生が何か資料がございましたら、あとでその点は調査いたしたいと思います。
○小林(進)委員 私の調査いたしました資料もあるいは正確を欠いているかもしれませんから、この資料の正確の問題については、また後日一つ直接でも資料の交換をしながら話し合いたいと思いますが、ともかく日本が世界一の麻薬の市場であるということは残念ながら私は否定できない、かように考えておるのであります。しからば厚生省の数字でいくことにいたしまして、その実態調査に表われて参りました六千名というその数の中における中毒患者の実態は一体どうなっているか、あるいは男女の区別あるいはその経済状態、職業、こういうものをほんの大まかでよろしゅうございますけれども、ちょっとお知らせを願いたいと思います。
○牛丸政府委員 先ほど申し上げました中毒患者のうち、まず女子の数を申し上げますと、昭和三十三年の二千九十九名のうち、女子の中毒患者が五百七十二名、三十四年の千八百五十六名中、女子は五百二十九名、昭和三十五年の千八百三十三名中、女子は四百七十五名というようになっております。 それからその中毒患者の職業別の調査でございますが、これは三十四年の例を申し上げますと、俸給生活者が七十六名、労務者が百三十六名、商人が百二十三名、飲食業、遊技場等に勤めている者が七十四名、医療関係が七十五名、船員が十一名、しかし一番圧倒的な数字を占めますのは無職でございまして、これが六百二十名。四割から半分くらいの者が無職というふうな合計になっております。
○小林(進)委員 男女合わせてですね。
○牛丸政府委員 そうでございます。男女合わせて今のような職業別でございます。
○小林(進)委員 大体麻薬の中毒者は、男子には今もおっしゃるように無職が圧倒的に多い。四割か五割近くいる。女の場合の大半は売春婦だというのでございますが、この点は一ついかがでしょう。
○牛丸政府委員 女子の先ほど申し上げました数字のうちで、売春婦というのは、実は売春婦という実態がよくわかりませんけれども、売春に関係があると推定される一つの状態にある人間として考えますと、これはその全部ではございませんが、接客婦とか女子の無職の類別に入る者がその中に入るわけでございますが、そういう接客婦と無職というふうな者を、もしかりにここで売春に関係ありとして、その女子の中の数字のパーセントを申し上げますと、昭和三十三年では八七%くらいがそれに当たります。三十四年においても八二%、大体八〇%以上の者がそういう関係がある職業なり状態にある人というふうに見ることはできると思います。
○小林(進)委員 大体内容が明らかになったのでありますが、どうしてこういう無職者や売春に近い接客婦とか、そういう職業の方々が麻薬中毒あるいは麻薬吸飲者になっていくのかという、その動機を一体御研究になったことがあるかどうか、お聞かせを願いたいと思うのであります。
○牛丸政府委員 これは私どもなりあるいは警察その他の関係当局が発見した中毒患者から調査した資料によりまして、中毒の動機というものを一応考えて類別しますと、病気のために痛みがある、そういう疼痛からの不安というものから逃避する、そういうことによって中毒に入っていったという者が三十四年の千八百五十六名の中で七百三十五名の数字になっております。それから痛気等でやけになって、末期的な症状としてのやけの気持からなった者が百九十二名、それからそういうものとは全然別に、好奇心から中毒患者になった者が五百三十二名、それから誘惑なりあるいは自分の同僚とか友だちがやっているのをまねをする、そういう模倣から入った者が二百八十五名、それから覚醒剤から移行した者が四十三名というような数字が一応三十四年においては出ております。三十五年においても大体そういうふうな傾向でございまして、一番比率を占めますのは、好奇心と病気等による痛みからの逃避という、この二つが原因の最大を占めているように思われます。
○小林(進)委員 その分析の結果は、われわれの調べておるのと少し違うようですが、第一番目にやはり好奇心が一番多いというのは同じであります。われわれは好奇心で入った者が四〇・八%、次には末期的疾病等で入ったのが二五%、これはやけのやんぱちでございますが、二五%、それから疼痛の不安からの逃避が二四%、誘惑なり模倣が九・二%というように、若干あなた方の統計と違いはあるようであります。しかしこれは大した違いはありません。けっこうと思いますが、麻薬問題で特にお尋ねしておきたいことは、これをなくする対策を一体どう具体的におやりになるかということでございまして、私どもはその対策としては、何としてもやはり中毒患者をまずなくすることが第一だと思う。これをなくするためには、その中毒患者を発見することがまず第一でなければならないと思うのでございますが、この麻薬患者というものを発見して、これを隔離するなり、その吸飲を防止するなりの方法を講じなければ、麻薬の密輸というものはどうしてもこれを断ち切ることができないと考えるのでございますが、この麻薬の中毒者を発見するということに対して、一体厚生省はどういう具体的な方法をお持ちになっているのか。やはり発見のためには調査しなくちゃいけない。麻薬中毒患者発見のための調査を一体おやりになっているのかどうか、それをお聞かせ願いたいと思うのであります。
○牛丸政府委員 中毒患者対策というものは、まさに今御意見の通り、まず患者を発見することから始まるわけでございまして、私どももその通りに思います。それで実は私どもとしましては、発見をしまして、そうしてそれの収容施設をやはり拡充していく必要がある。そこで十分な治療をしまして社会復帰をさせるという方向でこの対策を考えていく必要があるというふうに考えております。しかし、今の麻薬取締法その他によって、なかなかこれはむずかしい問題がございまして、三十六年度、来年度予算においてはそこまで一気にいくことができなかったのでございますが、とりあえず中毒患者の収容施設を作って、それから発見をするために濃厚地区に相談員というものを置きまして、そして現実におきましても、現在麻薬取締事務所というものが全国八地区にあるわけでございますが、取締事務所に麻薬中毒患者の家族なり、あるいは本人が直接自分でそういうものからのがれたいということで相談にくるという実例があるわけでございます。そういうものに着目いたしまして麻薬の不法所持の取り締まりということももちろん必要でございますけれども、患者を社会復帰させるために親身になって相談に乗って、そうして適当な病院をあっせんし、あるいは収容施設を拡充しましてそこへ収容して治療をして社会復帰をする、そういう方向に踏み出そうじゃないかということで、来年度はきわめて不十分ではございますけれども、そういう相談員の予算、それから収容施設百床分の補助金でございますけれども、そういうものを予算化して参ったわけでございますが、そういう線でさらに将来はもっと収容施設の中の治療に対する措置なり、そういうふうなものを考究していくべきじゃないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。
○小林(進)委員 厚生省が麻薬中毒患者に対して収容施設を百床設ける、それから濃厚地区に相談員を置いて、そうしてみずから救いを求める者に適当なる処置を講ずる、こういう施策をお持ちになっておりますことは私は否定はいたしません。これはやはり一歩前進した形であるという点においてすなおに皆様方の御労苦を認めたいとは思いますが、しかしいかにもこれは緩慢過ぎる。そういうまことに緩慢な、スローな措置で、この重大問題を根本的に処置できるというふうに私は理解するわけにはいきません。厚生省の予算を見ますと、昨年は四十六トンであったものが今年度はたしか五十六トン買付される予算をお組みになっておる。これはもちろん主として医薬の方にお用いになるのでありましょう。一体その金額はお幾らになっておりますか。
○牛丸政府委員 アヘンの購入量は外国から五十六トン、国産で四トン、合計六十トンを国家買い上げするわけでございますが、その予算が四億二千七百万円余でございます。
○小林(進)委員 これは公式にお買いになれば、六十トンにして四億二千万円というわずかな数字でありますけれども、密輸で行なわれるこういう麻薬が、御承知のようにいろいろな方法で雑物を入れて十倍にも二十倍にもなり、白い薬として患者の手に渡されていくのでありまするが、それを年間に見積もると大体六百億ないし七百億の相当の麻薬が日本に入っておると推定せられる、こういうのであります。これは私どもの調査でありまするが、厚生省のように正規のルートでおとりになればおそらく一億か一億のものでございましょうけれども、やみを流れてくるときには、数量は明確でありませんが、金額に見積もって六百億円か七百億円になっておる、こういう数字が民間の研究家の中からあげられておる。それだけの金が海外に流れていくというのであります。いわゆるドルに化けて流れていく。そうなりますと、これは日本の国民の健康なからだを毒するというだけの問題ではなくて、貿易の問題、日本の経済の問題から見ても重大な問題ではないかと思う。こういう多額の日本のドルが、麻薬によって日本の国民の身体を虫ばみ、しかもわれわれが働いた金がやみで多額に海外に流れていくということは、とても私は耐えるところではございません。それやこれや勘案しても、この麻薬の問題はもっと抜本的な対策を設け、もっと予算をかけて強力にこれを撲滅する施策を施しても、決して国家のために損失のある問題ではない、私はかように考えておりますので、この点いま少し、たとえば麻薬患者の名簿を作るとか、もっと金をかけて麻薬患者を発見するとか、そういう抜本的な対策を厚生省としてそろそろおやりになっていいのじゃないかと思いまするけれども、一つ御所見を承っておきたいと思います。
○牛丸政府委員 麻薬の年間の買い上げは、国家買い上げが四億でございまして、今小林先生は、その他不法の取引にされたものが数百億に上るというような推定でありますが、私ども押収しましたモルヒネなりそういうふうな雑物を入れた麻薬の量から推定したやみ値の数字は、三十四年が二億円、三十五年が六億円というように大体推定されます。従いまして、この金額ももちろんこれだけではございませんから、それ以上に相当のものが取引されておるということは現実であります。この点は私どももさらに取り締まりを強化して、いきたいと思います。 それから麻薬対策にもっと抜本的な考え方をしろという御意見でありますが、私どもも全くそういう点について考えていきたいと思っております。三十六年度予算におきましては、補助金として百床の予算の計上でございますが、さらに近い将来におきまして、できれば国立の収容施設を作りたいというふうに考えております。そしてもっとこれに対する根本的な対策を講じていくべきではないか。と同時にPRその他についても、もっと組織的なPRをやりまして一般の国民の協力も得まして、麻薬の中毒禍から国民を救うような方向に努力する覚悟でございます。
○小林(進)委員 一体密輸入者はだれかということを一つお聞かせ願いたいのであります。
○牛丸政府委員 違反者の国籍別の調査をしたものがございますが、これは数から言うと、日本人が今一番多いわけであります。そのほか中国人それから朝鮮その他の国籍の人がおります。それで最近の事例を見ますと、船舶による不法入手というようなものが相当ございますので、その船舶は、その船の国籍によってずいぶん違うわけでございますが、アジアの諸国の国籍を持った人、特に日本に近い隣国の国籍を持った人たちによる不法入手というのが、私どもの違反に上がってくるものでは一番多い事例でございます。
○小林(進)委員 アメリカの兵隊が密輸入に来たしている役割も相当大きいといわれておりますが、今まで一体そういう具体的な例がなかったかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
○牛丸政府委員 アメリカの兵隊による所持ということも麻薬事犯の中には入っております。数件の例が過去の実際においてございます。
○小林(進)委員 そういう点についてどういう処置をおとりになったか、お聞かせを願いたいと思います。
○牛丸政府委員 第一次的には、私どもなりあるいは警察なりが、そういう事犯をキャッチしまして、それが犯罪構成の事実ありとすれば、軍籍にある者はアメリカ軍に引き渡しまして、アメリカの軍法会議でそれが処置せられるというのが例であります。
○小林(進)委員 次には、治外法権を持つ外交官もその一役を買っている者があるのではないかと巷間いわれておるのでございますが、そういう確証をお握りになったことがあるかどうか、お聞かせを願いたいのであります。
○牛丸政府委員 現在までのところはございません。
○小林(進)委員 そういうことがあるのではないかということを、厚生省ではお考えになったことがあるかないか、お聞かせを願いたいと思います。
○牛丸政府委員 少なくとも私は、まだ半年くらいでございますので、そういうことを考えたことはございません。
○小林(進)委員 麻薬の密輸入を徹底的に取り締まり、あるいはこれを根絶するという確固たる信念をお持ちになるならば、私が今申し上げました、第一番目には米兵の密輸入のルートを断ち切るということを、可能不可能にかかわらず、まず一応考えていただかなければならぬ。この問題は、先ほどもお話しのように、密輸入したというお言葉ではなしに、所持をしていたという事犯を数件発見せられたというのでございますが、残念ながらその裁判権はわが日本にはないのであります。従って私はとことんまで追及することがおそらく不可能であったと思いますから、この点は一つ了承するといたしましても、やはりこの点は取り締まりの上からも十分腹の中で考えておいていただかねばならぬと思います。 第二番目には、今申し上げました治外法権を持つ外交官も確かに一役を買っておるのであるということが巷間しばしばいわれております。特に東南アジアの某国の中堅外交官がそれをやっておるという懸念がが実に濃厚であるというところまで、私どもは情報をキャッチしておるのでありますが、それは国際問題でありますから言えないけれども、そうしてまた治外法権の外交官は、取り締まったり身体検査をしたり尾行したりすることも許されておりませんので困難だと思いますが、こういう点はやはり十分考慮をしておいていただかなければならない。ぜひ一つこの点は抜かりなく御考慮を願いたいと私は思うのであります。こういう問題を何とかして厚生省は——私が今申し上げますように米兵を取り締まれとか、それはできません。そうしてまた東南アジア等を中心とする治外法権の外交官を、厚生省が行って、お前は白パイを持っているじゃないかというようなことでこれを取り締まることも困難でありますけれども、これは厚生省でできなければ、外務省、内閣としても、麻薬の密輸入のルートを国際的な協力で何とか押える、こういう形が打ち出せないものかどうか。これは大臣がちょうどおいでになりましたからお尋ねをいたしておきたいと思うのであります。
○古井国務大臣 御質問を途中から伺いましたので、今局長から聞いておったところですが、あるいはお尋ねを考え違いをしておってもいけませんが、国際的にこの問題はどこでも気に病む問題でありますし、国連が中心になって情報交換をやったり、各国で手配をしておる問題でありますが、外国の身分を持った者がこれをいいことにして密輸入を企てる、これは全く悪いことですが、そういうことも起こりそうな心配のある問題でありますから、これはよその国との情報交換をもととして、やはりいけないものはいけないのでありますから、逃がさないように取り締まりは遺漏なしにやっていかなければならぬことでありますから、できるだけそういう考え方でやっていたきいのだということを申し上げておきます。
○小林(進)委員 次の質問者が大臣をお待ちしておりますから、私は結論を急ぎますが、私は日本における麻薬取り締まり捜査上に欠陥があるのではないかということを、次に申し上げておきます。先ほど大臣がおいでにならないときに議論しましたように、厚生省は平均二千人ばかりずつ毎年押えられておりますけれども、実際はどうも二十万人近くの麻薬患者がいるという推定でありまするし、年間六百億円か七百億円の国の金が密輸の麻薬のために流れていくということで、これは重大問題であります。そのためには私は取り締まりももっと合理的にやっていただかなければならないと思うのであります。わが日本においては、麻薬取り締まりの官庁の数だけはまことに世界一流だ。役所同士のなわ張り争いが非常に重なり合っていて、どうもそれだけの成果を上げ得ないのではないか、私はこれを懸念をいたしておるのであります。役所の存在だけ申し上げますと、厚生省、これはあなたの所管でありまするが、その中には麻薬取締官が百五十人、それから取締員と称する者、これが百人、そこに大蔵省の税関があります。そして海上保安官があり、それから法務省の入国管理局、そのほかに直接ではありませんが、検察庁があったり外務省があったり警察があったりということでございまして、幾重にもこういう捜査取り締まりの機関があるにもかかわらず、むしろこれが成績を上げる上に欠陥をなしているのではないか、こういうことが言われているのであります。何かこれらの官庁の中には連絡機関か何かあって、一年に一、二回形式的に話し合っていられるそうでございますが、この取り締まりの制度の問題について、私どもはこれをもっと一本化して、もっと統一したものでなければ成果は上げ得ないのではないかと考えておりまするが、これに対する所見を一つ承っておきたいと思うのであります。
○牛丸政府委員 お説のように、麻薬取り締まりに関係のある官庁は数から言うと非常に多いわけでございますが、それはそれぞれの目的を持ち役割を持ったものでございまして、またこの相互間において緊密な連絡をとるべきことはもちろんでございます。それで三十二年の三月から連絡の懇談会を持ちまして、常時各関係の者が集まって連絡を本部においてやっております。それから実際の業務執行におきましては、情報の交換なりあるいは取り締まりの実際の出動なりについての事前連絡なりあるいは事後連絡ということが非常に重要なことでございますので、私どもも警察なりあるいは税関なりその他とも常にその点を連絡し、また第一線に連絡協調するように指導しております。しかし、いろいろとそういう実際におきましては、業務の執行上多少の手違いがあるかもしれませんけれどもその点は将来とも十分注意をしていきたいと思っております。
○小林(進)委員 ともかくわれわれの具体的に聞いたところによりますると、こういう麻薬の取り締まりが幾つにも分かれているがゆえに、当然捕えらるべき麻薬の被疑者までもむしろ逃がす結果になる。たとえて言えば、密輸入者が羽田の飛行場におりた。これはどうも大物だと思って、厚生省なら厚生省の麻薬取締り官が尾行してそれを泳がす。泳がしておいて、それをイモづる式にあげようと思って楽しみにして外側を囲んでおるときに、警視庁の麻薬取締官がひょっと出てそれを押えてしまって、そしてそのために前後の関係を全部断ち切られて、ほんの小者の末梢的な検挙に終わってしまったという、実に大きな目に見えない麻薬取り締まり上の損失が繰り返されているという、こういうことも聞いておりまして、取り締まりの上においても、どうしても一本化してもらわなければ実際の成果が上がらないという声があります。 それからいま一つは、これは私が偶然テレビかラジオで聞いておるときに、警視庁の昭和三十五年度の麻薬検挙の実績などについて、五百グラムですか何かを押えて、人員が何名々々という、こういう警視庁の発表が行なわれた。それからしばらくたつと、今度は厚生省の三十五年度の麻薬検挙の実績という数字が出た。これはまた警視庁よりは莫大に大きいようでありますが、そういう数字が出されている。同じ麻薬の取り締まりでも、そのように発表の形式もみんなばらばらに行なわれていて、われわれ第三者から見ると、いかにもこういう国の行政がばらばらでだらしがないように見えて仕方がないのであります。そういう点も十分御考慮願いまして、一つ取り締まりを一本化して徹底的にやる。特に私どもはオリンピックなんかは——オリンピックに驚くわけじゃありませんが、外国人が多数日本に出入りする、そういうことを前にいたしまして、日本は麻薬の天国だなどといって外国に喧伝せられているこの風潮は、このままでいけば、これを契機にまたどれだけ大きな麻薬の密輸入が行なわれるかもしれませんから、この際抜本的に取り締まりを強化し、制度の欠陥は解消をしてもらわなければいけない。これは私はお願いしておきます。 次に法律改正の問題であります。わが日本の麻薬取締法に対する罰則の規定がまだ軽過ぎる、こういう意見もあるのでございまして、わが日本では最高刑が十年、これはもう百害あって一利のないような麻薬に対しては、もっと制裁を強化すべきではないか、こういう意見があります。私はしかしこの法律問題は、刑法については目的刑、教育刑論者でございまして、なるべくそういう客観的事態に基づいて刑罰を重くするという主張には私は賛成じゃないのであります。牧野英一先生を私は非常に崇敬している。牧野刑法の私は崇拝者でございますから……。これは別といたしましても、しかし他国の例を見れば、お隣の台湾はかつては非常な麻薬の天国であった。けれどもしかし蒋介石がのがれていって、亡命政権ではあるけれども、ただこの麻薬取り締まりに関してだけは彼は死刑をもって、厳罰をもって臨んだ。その効果かどうか知りませんけれども、今日台湾における麻薬中毒患者というものは根本的に影をなくしたといわれておる。何かアメリカでは、十八歳以下の未成年にこの麻薬、アヘンを密売をした、こういう者に対しては十年から死刑の、いわゆる極刑をもって臨んでいるといわれる、こういうことも私どもは聞いておるのでありますが、それに対して麻薬天国といわるる日本に最高十年の刑罰は少し軽過ぎるのじゃないか。この際一つ法律も改正をして、悪質な者は無期刑から死刑にするほどまでおやりになった方がむしろいいのではないか、私はかように考えております。この麻薬取締法の刑罰をかくのごとく改めるお考えがあるかどうか、これは大臣、あなたの問題でございますから、あなたに一つお尋ねをいたしておきたいと思います。
○古井国務大臣 刑罰が軽いのではないか、重い刑罰をもって臨むことで、この問題を解決したらという、断定的ではないけれども御意見であります。これはよくよくならば刑罰を重くすることも仕方がありませんけれども、取り締まりを十分徹底することによって効果が上げ得るものなら、なるべく刑罰ということにはいかぬ方が、考えの方向としてはいいように私は思うんです。やむを得なければ刑罰も仕方がありません。できるだけ取り締まりの徹底を期することにまず努力をする。どうにもそれじゃ追っつかぬという段階で刑罰は考えた方がよいように私は思いますので、検討はいたしますが、一応の今日の考えをお答えをいたしておきます。
○小林(進)委員 一般論としては、私はただいまの大臣の御答弁に満足いたしますが、例の麻薬密売者というものは、御承知のように、これはもう刑務所に入りましても王侯貴族の生活なんです。最高十年ですから、三年か五年たてばもう出られるんだということでありますし、そしてその麻薬ルートをしゃべらなければ、差し入れも自由、その人の生涯の保障も自由、それはもうあらゆる便宜が与えられておって、刑務所に入っても天国のような生活ができる。しかしルートをしゃべれば、これはどこかで刺されて世の中からやみに流されていくという、これはまたやくざの世界、右翼の世界などでもまねのできないような厳格な規律が行なわれているのでございます。だから現実にわが日本においても、そういう麻薬のルートを流さぬ者なんというものは、実にそれはもうゆうゆうたるものでございます。しかもまた、こういう麻薬患者の弁護を行なう弁護士というものは、一事犯扱うだけでも巨万の富を作る。金銭を惜しまず弁護士に弁護料を払って、そうしてそういう密輸入者を守り、売人を守る、こういうようなシステムができ上がっておるのでありまして、彼らは捕えられても五年や十年は平気なんです。五年、六年入っていることは将来王侯貴族の生活ができるという保障を与えられているんですから。そのかわりしゃべればそれは消されてしまう。こういうことですから、こういう現実をながめる場合に、私どもは一般刑法論をもってしたところでは、こういうおそるべきものをなくすることができないのではないか。今も言うように、わずかなものを持ってきて、それが六百億、七百億、薬九層倍というけれども、これはほんのわずかのものが何千倍にばけるのですから、何百億という巨額の金にばけるのであるから、弁護士に何千万円金を払っても平気なんです。こういうようなシステムをやはり法律の上でもこわしていくという厳格な国の体制が整わなければ、私は撲滅することが困難ではないか、かような意味で私は大臣にお尋ねしているのでありますから、大臣も御研究の上、いま一つ大いに至厳なる態度でこれに臨んでいただきたいと思うのであります。答弁はよろしゅうございます。 私は次に、いま一点であります。医療の、今度は治療の方法です。先ほども局長は盛んに言っておられましたけれども、まだ任意的に、日本の法律では強制的に本人の意思を無視してこれを入院加療せしめるというようなことはできませんけれども、私はこの麻薬の中毒患者だけは国の力で強制収容する、国家の経費でその治療を負担するというところまでもっていかなければ困難じゃないか。ということは、せっかく中毒患者をつかまえてきて治療にあらゆる技術を尽くしても、出ていくと、必ずまたもとに返ってしまう。これが麻薬中毒患者の習性ですから、そういう習性、禍根を断つためには、強制収容と国庫の負担においてこれを徹底的に治療、加療をするということが、私は必要じゃないかと思います。この点、一つこれは局長から答弁をお願いしたいと思います。
○牛丸政府委員 ただいまのような線で私どもも研究したいと思います。それには麻薬取締法の改正なり法的改正が必要でございますので、さらに事務的な検討を加えまして、大臣の御決裁を得ましたら、そのときに考慮したいと思います。
○小林(進)委員 私の質問はこれで終わりますが、大体お尋ねいたしたいという点は一応お尋ねいたしましたので、この問題は後日に持っていきません。持っていきませんが、しかし私自身としては、麻薬に対する問題のあるところだけは、私はもうお尋ねしたつもりでおりますので、これを今度集約して、政府並びに厚生当局からこの問題を大きく取り上げて、私は徹底的にわれわれが今お願いしたことを実際に移してもらわなければならない。同じことを繰り返しますが、四年後にはオリンピックが開かれる。外国のお客さんがたくさん来る。そのときにいろいろなものが入ってくるのであります。これを契機に麻薬なんか持ち込まれて、日本の国民の血の中にこういう害毒を流し込まれて、そうして日本の国民を堕落せしめたそのほかに、日本の財産をみんな外国に持っていかれるようなばかなことが繰り返されたのでは、私どもはたまったものではございません。今日、もうおそ過ぎるくらいでありますから、一つ今年度からでも抜本的な施策を講じていただきたいということを繰り返しお願いしまして、私の質問を終わりたいと存じます。
○滝井委員 関連して。いま麻薬のことについて小林さんからいろいろ御質問がございましたが、私一つだけ麻薬の事務について……。 今療養担当者の団体から事務簡素化が言われているわけです。それでこの麻薬の事務についてでありますが、麻薬を必要とする患者をわれわれ医師が診断するという場合には、それを一々麻薬台帳に記入しているわけです。これは駐留軍がやって参りましてから、ヘロインその他が当時まだ日本では自由に使われておりましたので、ヘロイン中毒を米軍が恐れてああいうことをやれということになったのが、現実にずっと続いてきていると私は思うのです。ところが毎年十月十五日になりますと、前年の十月十五日の麻薬の現在量と、そしてさらに今度その後の受け入れ量と、その後の使用量と、今年の十月十五日の現在量とを報告することになっているわけであります。まあそれは、なお現在日本の国民の中に相当の麻薬患者もいるし、駐留軍もいることだし、第三国人の出入も相当激しいので、これは私はやむを得ないと思います。ところが十月十五日現在で毎年麻薬施用者の免許の取りかえをやるわけです。医師免許というものは、大学を卒業するとき国家試験に合格してもらいますと、そのままずっとこれは写しを出すだけで何でもないわけです。医師であれば当然麻薬施用の資格ができているわけですから、一回麻薬施用の免許をもらったら、もうあとは何か特別の事故がない限りはそういう手続をしなくてもいいと思うのです。ところがこれは毎年させるわけです。その毎年させるのが、何か手数料をかせくためなら——相当高い手数料、今その手数料の額を悲しいかな忘れましたけれども、相当高い手数料を取っているわけです。その手数料をかせいで何か麻薬の経験をよくするためにやるのなら、これはまた話が別だと思いますけれども、一回施用者の免許証を渡したならば、もう特別の変更のない限りは毎年一月一日現在でまたやりかえなくてもいいのだと思いますが、それはどうして毎年施用者の免許をやりかえさせるのですか。
○牛丸政府委員 現在の麻薬取締法にそういう規定をしているわけでございますが、それが現実に非常に大きな負担となっているとすれば、私は国際条約との関係で抵触がない以上は検討する価値があるのじゃないかと思いますので、少し検討してみたいと思います。
○滝井委員 麻薬で一番中毒を起こしやすくて被害が多いというのはヘロインです。まあしばらくは覚醒剤がありましたけれども、最近は影をひそめております。そうすると、ヘロインです。しかし、ヘロインは現在日本の医者は使うことができなくなっているわけですから、従って、そういう点についてはもう被害がないわけです。第一受け入れていないのですから、密輸入でもして医者が持っていれば別ですけれども、そういうルートというものは、麻薬中毒患者でない限りは、普通の医者ならなかなかつきにくい。従って、毎年やるのを、たとえば五年に一回くらい更新をするというくらいにして、もし手数料をどうしても高く取らなければならぬのなら、そのときに幾分高くお取りになったらいいと思います。麻薬の現在量その他の詳細な記入についてはだいぶ緩和されつつあるけれども、どの程度の現在量を持っておったか、どの程度のものを使ったかということを、あなた方の方でお調べになるために詳細に記入させるということは、ある程度これは妥協してもいいと思いますけれども、事務簡素化の一助として、五年に一回くらいの免許の更新にする、こういう程度のことはしてもらいたいと思うのです。事務の簡素化ということは、医師会の要求の四つの大きな項目の一つになっているのだから、まず麻薬の方から簡素化をやってみようか、こういうことも案外雪解けの一つの方法になるかもしれません。全く保険局が対立しておるときに、薬務局の方から雪解けを作ることも一つの方法ですから、せひ一つ——一年に一回は必ずやるのですから、そしてみんな麻薬はきちっと計算をして届出をする。ところが燐酸コデイン〇・〇一とか二とか子供に使う小児科なんかでは、この計算はなかなか大へんなんです。そういう点もありますから、計算はいいですから、麻薬の方の事務の簡素化だけはぜひ一つ御検討願いたい。これは大臣にお願いしておきます。
○古井国務大臣 さっき局長が言いましたように、よく検討してみたいと思います。
○柳谷委員長代理 大原委員。
○大原委員 きょうは、だいぶ時間もたちましたが、精神病の問題については法案が出ているのですが、精神病の問題に対する一般的な問題、それからいま一つの前からずっと縣案になっており、厚生大臣も改善命令等を出しております静養院の問題、それからあと時間を見まして原爆被爆者の医療費の問題、これは昨年の五月に一部法律の改正案が出たのですが、しかしこれは国会では審議する時間がなかった。安保国会とかいろいろな問題で審議をしないで法案が通っておる関係もありますので、若干のそれらの問題につきまして簡潔に御質問いたしたいと思いますので、明快な御答弁をいただきたいと思います。 精神病の患者は、全国で大体厚生省で把握している数はどのくらいで、病院数は幾つあって、その中で公立、私立の病院の内訳がわかっておると思うのですが、そういう点について最初に一つお答えいただきたい。
○尾村政府委員 これは前にやりました全国の実態調査、サンプル調査をやりました比率から現在を推定したものでありますが、それによりますと、ただいまのところ精神病と称するもののワクに入ります推計数は四十五万人、それから精神衛生法で申します精神病にプラス精神薄弱あるいは精神病質者というようなものを加えますと、全部で百三十万人という推計でございます。それから精神病院の数でございますが、これは約七百ございます。それからベッド数は、三十五年十一月現在で九万四千床ということになっておりまして、その内訳を申し上げますと、ごく最近の資料はちょっとございませんが、経営種類別に申し上げますと、市町村立、これが病院数で三十、それから公的医療機関である法人、これは日赤とか済生会でございますが、これが病院数十一、それから非常利法人、これは公益法人とかそういうものでございますが、これが三百十、それから学校法人立、これが十二、それからその他立が七、それから個人の精神病院、これが二百四十六、以上のような数になっております。
○大原委員 経営の内訳なんですが、その中で国立と県立病院は、都道府県の数といたしまして全国で大体どのくらい設立いたしておりますか。
○尾村政府委員 国立が全部で四十三ございまして、この国立の分布は約半数の県にございます。国立の中には、厚生省の国立それから国立大学の付属病院、こういうものも合わせてでございます。それから都道府県立が合計いたしまして五十一ございますが、このうち都道府県立そのもののない県は十一県でございます。これは専門のものを持っておらない、以上のようになっております。
○大原委員 広島県にはございますか。
○尾村政府委員 広島県には今の県立はございません。
○大原委員 国立は。
○尾村政府委員 国立の精神病院もございません。
○大原委員 私がこれから厚生大臣、担当局長に御質問したいと思いますのは、実は広島県の安芸郡府中町に静養院という社会福祉法人の病院があるのであります。この静養院の問題は、当初は労働問題ではなかったわけですけれども、草葉隆圓厚生大臣のときに、御承知のように改善命令が出ました。そうして大別いたしますと、役員の人事の問題と財産関係、それから決算の問題、これが中心に改善命令が出ておりまして、衆参の社会労働委員会もしばしば現地視察をいたしたところであります。私、ずっとこの問題にタッチいたしまして見ておりますと、精神病院というのは大体もうかると言われておる。相手が精神異常者でありますから、患者を送っている家族の人も、自分の子供や夫や妻や親を愛することには変わりはないのだけれども、しかし世間体をつくろうてこれを隠す、こういうふうなことであります。中へ入っている患者もそういう特殊な条件でありますから、患者が訴えたようなことはまともに取り上げてもらえない。あれは気違いだということになる。従ってそういう患者の人権問題を含めまして、精神病院は政府は今年度は結核対策と一緒に大きく打ち出していこうというふうなことなのでありまして、これは私ども社会党といたしましてもまことに賛成なんです。精神病院は、やはり公的な性格を強めて参って、そしてその人権を尊重して、この精神異常者の下宿屋だというふうな病院の汚名を一掃いたしまして、やはり治癒ができるように、快癒していくようにしなければならぬ。これはきわめて大切な問題であります。この問題につきまして、渡邊厚生大臣のときにも私は御質問いたしたのであります。そうしたら、私の意見に対しまして、この静養院の問題につきまして、改善命令以来の問題あるいは労働争議をめぐる問題等につきまして、渡邊厚生大臣はどういう御答弁になったかというと、監督機能を国としては強化をして、そのためにはやはりその裏づけになる行財政の措置をとっていく、こういうことについては全く意見は賛成である、こういう御答弁でした。広島県におきましても、あのような大県が公立病院がないというふうなことは、やはり精神病患者等を扱う行政上、一つの公立病院が責任を持って患者を扱っているということがやはり全部の患者の人権を尊重することになるのだ、こういう意味において、当時の局長も大臣も御賛成になったわけであります。 そこで、私はお伺いしたいのですが、大臣はこれはお聞きになっていただきたいと思うのですけれども、現状では、遺憾ながらもう静養院というのは社会福祉法人であって、その経営者は逐年変わりましたけれども、今は非常に県会議員の有力な人が理事長になっておるわけです。社会福祉事業団体の指導者でもあるわけだ。私はこういうことは党派とか、そういうことではない、大臣もきわめて廉直な方だからその判断をされると思って、きょうはこの問題を出したわけでありまするけれども、そういうことであって、いわば巷間ではどういうことを言っているかというと、国立の病院あるいは県立の病院を作ると、自分が経営している社会福祉法人の病院の方の経営が、患者をとられて少し落ち目になるのじゃないか。今でも実際には広島県においては私立の病院が定員をオーバーいたしまして患者を収容しておる。最近はやはりオートメーションその他の社会事情によりまして非常に精神病患者がふえておる。そういう実情であるのに、そういう県政における、そういう一部のいわばボスというか、そういうのが——それは与党自民党の中でありまするが、自民党の中でも、それに対して反対しておる人が、県会の中におきましても半分以上ある。だから、これは党派の問題ではないと思いますが、そういうことが精神病に対する行政の進行を妨げているのじゃないか、そしてやはりそういう社会福祉法人を私しているのじゃないか、こういう批判が相当広く行なわれているわけであります。従って、草葉厚生大臣がこの改善命令を出されて、逐次その後ずっと厚生省がタッチされて、最終責任者といたしまして監督上の責任を持っておられると思うのですが、まあそういう点でどういうふうに把握をしておられるか。これは全然とっぴな問題をここへ私が出して申し上げるのじゃない。この問題は前から厚生大臣がタッチして、社会労働委員会もタッチしている問題でありますから、どういう法的な権限と、そして、それに基づいてどういう監督をしてこられたか、あるいは改善命令の履行状況等についてどういう実態把握をしておられるか、こういう問題について、これは担当局長から一つ御答弁いただきたい。
○太宰政府委員 御指摘の広島の静養院の問題につきましては、前々からいろいろ問題がありまして、私どもも心配しておるわけであります。厚生省といたしましても、実地を監査いたしまして、改善命令を出したこともございます。その一部はすでにこちらの指示通り改善されておる点もございます。また、一部につきましては関係の帳簿等がまだ手元に戻ってきていないというために、まだそれが解決されていないという面もあることは事実でございますが、これは一つの事件がございまして、裁判所に帳簿がいっておりますために、これは今日のところではいたし方がないわけであります。 それから、最近、一昨年ごろから労働争議が起こって参りました。その間いろいろな方々の動きがございましたが、今日に至るまでそれが解決を見ていないということは、御指摘と同様、私どもの遺憾に思う点でございます。この社会福祉法人の監督につきましては、その第一次監督権を当該府県知事に与えておるわけでございます。私どもは広島県知事と連絡をとり、これに十分な監督をさせるように、また、ただいまの労働争議の点につきましても十分善処するようにお願いしておるわけでございます。もちろん、精神病院でございますから、医療法の問題になりますれば、主管局の方から広島県の衛生部を通じての監督、監視というものがあることは申すまでもないのでございます。そこで、この労働争議の問題もだんだんといろいろな方のごあっせんがあったわけでございますが、最終的には昨年の夏に広島県知事から広島地方労働委員会にあっせんを依頼したわけであります。そして、それに基づいて十月の終わりでありましたか、地方労働委員会から、労使の双方に対して、争議解決のための勧告が行なわれたというのでありますが、これが不幸にして成功しなかったということのために、またその間にいろいろ問題がやはり、付随的な問題でありますけれども、それが起こって、間に介入してきたために、本年の一月末、二十日過ぎだと思いますが、広島の地方労働委員会は、せっかく努力をしてみたけれども、今の段階ではどうもこれが実を結ばない。それで、今の段階ではもう少し本格的なあっせんの段階に入ることができないというので、一歩退いて事態の推移を見る、そのかわり当事者間は十分協議せられることを望むというようなことで、一応一歩手を退いたというような格好になってきておる現状でございます。私の方としましては、この地労委の勧告というものにつきまして、これは労使双方いろいろ言い分があるとは思いますけれども、こういうような公正な第三者のあっせん機関のあっせんというものに対しては、一応労使とも自分のそれぞれの不満はこれをのんで、そして話し合いの場に応ずるということを非常に期待もしておったのでありますけれども、残念ながら、それが結ばなかったということはくれぐれも遺憾に思うわけであります。そこで、今日の段階におきましては、広島県の知事の方におきまして、これをどういうふうにしてあと取りまとめていくかということをいろいろ苦慮されておるわけであります。それはやはりここまで相当ごたごたしてきた問題でありまするので、そう軽々に県が動くことは必ずしも適切とは言えない面もそれはあると思いまして、県の方では、十分その時期なり、そのきっかけなりというものを考えておるように存ずるのであります。私どもといたしましては、いろいろ中央においてとやかく私どもが申しますよりも、こういう問題になって参りますれば、やはり現地においてよくその間の動きのこまかい点までも承知されておる県知事、しかも、これは知事としての責任上からいいましても、こういうような問題をおさめて参るべき筋合いのものでございまするので、県当局の今後の動きというものに私どもは大いに期待しておるわけであります。またその間におきまして時々連絡を密にし、相談に乗るところは相談に乗っておるわけであります。ただ不幸にして本日までのところ、その動きが具体的に表立って展開するというところまでには至っていたいということは私どもも遺憾に思っておりますけれども、やはりこれは第一線の知事というものの努力、善処というものに私どもとしてはまず期待もし、またそれを本省としても指示しておるような現状でございます。
○大原委員 大事な問題は、改善命令が出ましてから、それで経営をガラス張りにしてもらいたい、従業員の人権と患者の人権を尊重してもらいたいということから問題が発展したわけであります。従って私はやはりこの社会福祉法人であるところの静養院をめぐる経営上の問題あるいは社会上のそういう問題というものが解決をして参りませんと、この問題は労働争議は解決していかない、こういう筋合いになっておると思うのであります。そういう点で、やはりその中にあるところの問題を解決するという面においては、一つは改善命令が根拠である。改善命令の中で、二十七年度の決算が行なわれておらぬじゃないかという点が指摘をされておるわけであります。その二十七年度の決算は、約九百万円くらいな財産の不足ができておるのだが、当時の問題では井上武一というのは、今はなくなりましたが、初代の理事長、これが社会福祉法人を税金対策上利用した。金の延べ棒なんか持っているということで、非常な社会問題になった。これは裁判中になくなったのであります。その二十七年度の決算は、帳簿が、訴訟中はこれは裁判所がとっておったのでありますけれども、これは返っておるのであります。その決算をやれということが、明確にしてやりなさい、こういうことが改善命令が出ておるけれども、これもいまだに放置されておる。財産関係の中でも土地の関係をうやむやにしておりました。これはやっぱり社会福祉法人というものを私的に、自分の財産保全のためや拡大のために税金対策に利用したという点があって不明確である。現在の理事長の前々理事長の宮地さんという人、これは検事畑でありますけれども、きわめて廉直な人でありまするが、これは裁判によって解決しようとしたが、現在の向井理事長がこれを取り下げた。こういう問題がありまして、人事の問題におきましては粛正はいたしておりますけれども、ほとんど実態の改善がない、こういうふうに私は把握いたしております。厚生省の方は大臣の改善命令が出されてからその実行状況を監査になっていると思うんですが、その点は他にもございまするけれども、最近の問題はたくさんあります。改善命令の指示に従わぬところはたくさん例がございますが、そういう改善命令の遂行状況、その後そういうふうにガラス張りになったかどうか、この点についての実態の把握、これはどういうふうに把握されておるか、この点が大切な点でありますので、一つお答え願いたいと思います。
○太宰政府委員 二十八年の暮れころでありましたが、実地監査に行きまして、二十七年度の決算をやるようにということをそのときの監査で申したことは事実であります。ただそのときの経理状況というものが、関係帳簿がやはりそういう事件がありまして裁判所の方で押収した、そういうことのために報告がまだなされていない、こういうふうに承知しておる。ただいま大原委員はすでに返っておるということでありますれば、その返っておりまする帳簿を、役所といたしましてそれを明らかにすべきことはそうでありまするが、しかし何分にもただいまそういう争議の過程にあるということのために、なかなかそういう作業も進まぬということもある。これは極力争議の方を早く解決するということに目下のところは一番力をそそいでいる段階でございます。ただいまの経理状況の面につきましても、これは現地に問い合わせまして、もしそれが可能であるならば、できるだけすみやかな機会にそういうものの決算というものを作らせるようにいたしたいと思います。
○大原委員 先般の県会でも問題になっておる新聞があるのですが、昭和三十四年度の、もう決算年度は過ぎましたけれども、昭和三十四年の決算がなされていないということを県の田嶋課長は答弁いたしております。やはりこの中には九十二万円とかいろいろな問題があるわけですが、社会福祉法人がそういうことをやらない、県の方もそういうふうに督励いたしましても、いまだに三十四年の決算ができていない、こういう新聞記事もあります。これは御承知ですか、この点について御承知ですか。
○太宰政府委員 その広島の新聞というのは私見ておりません。
○大原委員 三十四年度の決算がなされておるかどうかということについて……。
○太宰政府委員 最近三十四年度の決算を県の方に提出したということであります。
○大原委員 それからこれはどういう関係の監督ですか、現在患者に対しまして医者の数、従業員の数は法律上合法的ですか、どうですか。
○尾村政府委員 これは昨年の四月に衛生部にここの医療上の監査を命じたわけでございます。それによりますと、当時医療法に基づく病院分類の指導を受けるようになっておりますが、それの指導区分によりまして幾つかの不適当な点を指摘されまして、それを病院に指導事項として命じた。同時にその実態を私の方に知事から申請を受けまして、県立のいわゆる精神措置患者の代用病院としてずっと指定してきたわけでございます。四十五ベッド県立代用に指定しておるわけでございまするが、これはこの現状では不適当である、こういう意見を復申いたしまして、厚生大臣の指定病院の取り消しを申請して参りました。これはもっともこの指導を受けまして直ちにその場で直すことが困難な事項もございますので、病院当局の方もこの再指定の実態、これは三月に切りかえておるのでございます。それを受けまして、従って二カ月間の余裕を私の方でつけまして、三十五年の五月末までに在院しておる措置患者を他の措置入院に切りかえままして、他の病院に移しまして、これによりまして取り消しをいたしたわけでございます。従いましてその後の医療上の明細な指導を受けたことにつきましては、その後これは着々と実施をしなければならぬわけであります。これは一定の期間を置きまして、大体年に一ぺんやっておるわけでございますが、その途中でもやろうと思えばできるわけでございますが、衛生部の方では私の方とも相談いたしまして、これを適切な時期に実行状況を見る、こういうことになっております。現在のところはまだ再実施をした報告を受けておりませんが、これはぜひまた必要かと思います。普通の場合ですと、昨年の四月でございますので、本年の四月、一年目にやるのが通例でございますが、新聞紙の一部を私どもは拝見しておりますが、むしろ早くやった方がいいような情勢もございますので、これは衛生部にまた連絡をいたしまして知事の医療監視をするということにいたしたい、こう存じております。
○大原委員 現在の患者が二百三十四名ほどおるのですが、お医者さんは法律上どのくらいの人が要るのですか。
○尾村政府委員 現在のことは、今言いましたような事情で最近のはわかりませんが、昨年の四月に私の方で実態調査に基づいて承知しましたところでは、当時は必要人員が八名、当時の患者数に対して八名の必要人員に対して六名が現存しておる。従って二名不足であるから至急補充すること、こういう指導を加えておるわけでございます。
○大原委員 二百三十四名では何名要るのですか。
○尾村政府委員 七名でございますね、医療法上は……。
○大原委員 現在医師が三名である。これは患者が精神異常者でございますから、一人でもできるわけです。今までのことをいえば、たとえば盲腸なんかになったのは、中に入っておった患者の精神病のお医者さんに盲腸の手術をさせたり何かして社会問題を起こしている。そういう事実があるのです。これは当時の新聞にも出ましたよ。そんなむちゃくちゃな、患者を無視するようなことを精神病院がやったのでは困るのです。それから完全なる管理者がいない、病院長にかわる人がいない、こういう点は御承知ですか。
○尾村政府委員 ただいま正確には直接知る機会がないのでございますが、社会局からの話で聞いておるところでは、最近任命された、こういうふうに聞いております。
○大原委員 人数が足りない、違法であるということははっきりいたしておりますが、管理者は医療上の管理者である、私はちゃんと県に対する報告を聞いておりましたけれども、経理とかその他たとえば生活保護の手続をいたしましたり、患者に対しまして所定のちり紙を買ったり、タオルを買ったり、そういうことなどは一切最近はしておらない。生活保護の請求も七百万円か八百万円か処理されていない、事実はこういうことなんです。問題は労使の争議というよりも、その前の問題が私はあると思うのです。知事は、これは職権あっせんすべきだということで、今お話しのように地力労働委員会にあっせん方をやったわけです。そのあっせんの結末の出ました前後に、仮処分が二つ出まして、あっせん事項の中身は仮処分で解決したようなことになってしまった。保安要員以外の首を切ったり休職にいたしましたのは、仮処分でもとの位置に復帰させる、給料も払え、こういうことになった。それだけではなしに、一時金の問題が論争になっておりましたけれども、一時金は、患者を守っているんだから当然この問題についてもやるべきである、この問題については支払え、こういうことで出ておるわけです。それで地力労働委員会のあっせんの意見というものは、そういう過程を通じましてほとんど解消したような格好になっておる。そして地方労働委員会は手を上げたことになっている。最後に知事が職権あっせんをいたしまして、地方労働委員会に意見したということなんです。結果的にはこういう現状なんです。そうしますと、私は最終の監督責任は厚生大臣にあると思う。厚生大臣といたしましては、最後的にはどのような措置をとるところの法的な根拠と権限がおありか。厚生大臣にずっと聞いておっていただきまして、最終的な御所見を聞きたいと思って聞いているわけですが、法的な問題に対する監督上の根拠法規、監督上の方法、こういうものがあり得るかどうか、こういう点をお聞きしたい。
○太宰政府委員 これは社会福祉法人でございますから、その面から申しましては社会福祉専業法による監督権というものがあるわけであります。それから先ほど申し上げましたように、これが医療を行なっております限りにおきましは、またそれぞれの法規のもとに医療監視なり何なりの監督規定があるわけでございます。それで、社会福祉事業法によりますれば、厚生大臣は報告を徴したり、それから業務ないし財産の状況を検査することができる。また、もしそれをやっております法人が法令に違反したり、あるいはそれに基づく行政庁の処分に違反しているようなことをやっておって、それはどうしても指導によっても解決つかぬという場合は、最終的には解散を命ずることができるということまでの非常に強い権限を持っておるわけであります。ただ具体的なこの静養院の問題は、今日の時におきまして、先ほど申しましたように、とにかく労使が感情的にまで対立しておるという現状は、はなはだ憂うべきものでございます。これにつきましては地労委は、先ほど申しましたように、一応一歩手を引いた格好でありますけれども、労使がもしそういう話し合いの緒をつかもうということであれば、いつでも乗り出す態勢にあると思います。また当該広島県の知事も、これは知事という立場において、やはりそういうような問題を処理すべき地方における最後の責任者でもございます。知事にも十二分に善処してもらわねばならぬと思います。また広島県の方においても十分その考えがあって、どういうふうにこれを持っていったらいいかということを非常に苦慮されておる現段階だと思うのでございます。こういう点につきましては、もちろんわれわれも連絡をとり鞭撻もいたしますけれども、やはり広島県の知事がそういうきっかけを開拓していくのに今の段階では最もふさわしいのではなかろうか、かように考えておる次第であります。
○大原委員 その問題は、これは一昨年の十二月でありますけれども、そういう問題をめぐりまして労働争議が起きて第二組合ができた。そこで第二組合の関係の県会議員と私が中に入りまして——理事長は向井という、これは有力者でありますが、もちろん与党の中には反向井派もあるわけであります。大体前は社会福祉法人は反向井派の人が主導権を持っていた。それがひっくり返った。だから、その前の人は私どもに対しては非常に理解を持っているわけであります。そういうややこしい関係があるのですが、その向井さんと労働組合との間の話をつけまして、協定書をつけて、組合側も押えまして、これは社会福祉法人なんだからガラス張りにしたらいいじゃないか、納得できないはずはないじゃないかということでそういう争議状況は一たんおさめておった。これは厚生省に対しても報告があったと思います。私は、組合側に対しましても無理を言ったわけです。それが途中で理事者側の方がこれを破棄いたしまして、専務理事に、労働争議のブローカーみたいな谷本という、これは有名な人で、弁護士や経営者も相手にしないのでありますが、これを六万一千円ぐらいの俸給を払って雇って、医者も雇わずにおいて、六万一千円を払ってそういう悪質な経営者を雇って労働対策をやった。そして、その協定書を関係者の立会人に対しても言わないで一方的に破棄した。そういう悪質な経営者を任命いたしまして、そして強引にこの問題をやろうとして与野党を問わず超党派的にこの問題については、現在の理事者側に対する非難が集中しているのは事実です。しかしながらなかなか有力な人でありますから、県の方もなかなか手を出さない。そういうことで経営も行き詰まってしまいまして、このまま放置しておけば患者の人権問題になる、こういうところでありまして、私は、今や厚生大臣が知事とよく御相談なさって、法律上の権限とそういう責任に基づいて処理される段階にきていると思う。特に今年は、先ほど申し上げたように、政府は結核対策と並んで精神病対策もやっていこう、援助も強化して、そして命令入所等を設けて、強制入所の措置で全額国家負担の措置もとろうとする、一つの大きな進歩した政策をやろうとしておるのです。そういうときに公立病院が一つもない。むしろその公立病院ができることについては抵抗して、これに消極的な態度をとる。しかもこの社会福祉法人がこの問題についてはこういう状況で放任される。こういうことでは精神病対策は進んでいかないと思う。これは単に一地方の問題ではなしに、全国的にきわめて大きな問題だと思う。私はこういう状況を厚生大臣にお聞きいただきまして、厚生大臣は公正な方であるというふうに確信をいたしておりますが、この問題について厚生大臣が大所高所からその監督権を発動されて事態収拾をされる段階ではないか、そう思うのであります。大臣の御所見を一つお伺いしたいと思います。
○古井国務大臣 先ほど来だんだん経過や実情を伺って考えてみておったのでありますが、社会福祉法人であり、また精神病患者を扱っておる病院である、こういうことであって、しかもこの状況である。これはこのままでほうっておいてよいものか。できるものなら、これは惜しいものですから、立ち直りをさせたいものですね。また患者の処置もありますし、従業員のこともありますし、なろうことならこれは立ち直りをはかっていくのが本筋だと思うのであります。けれども今の経過や事情を聞いてみておると、そういうことができるだろうか、できぬだろうか、私も非常に疑問がわいてくるのであります。そこでこれはどうにもこうにも立ち直りができぬということなら、従業員のこと、患者のことを考えねばなりません。それなりに、一つほうっておくわけにいかない考えを立てなければならぬというふうにも思うのございます。そこで先ほど来の説明、答弁にも申しております通りに、今知事もこの争議についてひっかぶってあっせんをすると言っておる、こういうことでもありますし、しかしそれが実を結ぶ可能性があるのか、ないのかも、これは見てみなければわからない。これは研究さしていただいて、いよいよわれわれが自分で乗り出す時期かどうかを一ぺん考えさせていただいて、そして考えを立てるべきものなら、はっきり立てる、こういうことにしてみたいと存ずるのであります。しばらく研究さしていただきたいと思います。
○大原委員 社会福祉法人のこの協会は、すでに昨年の十二月十日には理事会を開いて解散決議をしておるわけです。これは世上では、擬装解散であるとか、労働対策であるとかいろいろ言われておりますが、評議員会も解散決議をいたしております。しかしながらその後に仮処分が出ましたり、いろいろ動きがあるわけですけれども、そういう状況になっておるわけです。そうすると社会福祉法人に対しましては、私は最終的に腹をきめればいろいろ法的な措置があると思います。現在の従業員の職員の給料は一万二千円平均といわれており、非常に低給に甘んじておる。平均してみましても一万二千円ですから、ひどく安い賃金です。だから職員は決してそうむちゃくちゃなことは要求していない、そのことで倒れるというようなことはしない。そういう点については私どもも十分自粛を求めて、その点については私どもは厚生省がいろいろなことを決断される場合には協力する。広島県の実情は一割か二割か、精神病の患者が多くて、ベットをオーバーして収容している実情です。そしてこういう環境のいい、設備も、ベッド数も三百もあるようなところをこのまま放置することもどうかと思う。そのことのために全般的な精神病に対する対策というものがやはり挫折を来たしておる、そういうことは社会福祉法人のあり方からいいましても、あるいは精神病の対策からいいましてもきわめて重大である。私はこまかいことは申し上げません、裏側の事情については申し上げませんけれども、そういう点については、厚生大臣がほんとうに公正な立場からこの問題解決に——医療問題その他で非常にお忙しいとは思いまするが、これを決断をされる問題でありまするから、精神病行政、社会福祉行政のあり方について一つ方向を示していただくように、私は最後にお願いをしておきます。 この問題はこれで済んだわけでありません。あとでいろいろとまた御意見申し上げたいと思うのですが、もう一回厚生大臣の御所見のほどをお伺いいたしまして終わりといたします。
○古井国務大臣 どうもこのままでいつまでもほうっておくわけにいかぬ段階にきておるような印象も受けます。そこで、最後的に厚生省がどう乗り出して片をつけるか、つけないか、一ぺん考えさしていただいて結論を出したいと思いますので、研究さしていただきたいと思います。
○柳谷委員長代理 本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後四時四十七分散会