社会労働委員会 第3号
- 発言数
- 164 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/02/14
会議録
○山本委員長 これより会議を開きます。 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑を許します。大原亨君。
○大原委員 きょうは、主としてILOの関係につきまして、権利の関係、ILO二十六号の最低賃金の問題、それから昨年からことしにかけてILOで論議されております時間短縮の問題、こういう問題を中心にいたしまして政府の見解を聞きたいと思います。 最初に、ILO八十七号条約の批准につきましては、昨年五月の国会に政府は案を出したのですけれども、今次国会ではいまだに条約承認に関する案件を出しておりませんが、これは一体どういう理由であるか、この点について一つ御答弁いただきたいと思います。
○石田国務大臣 ILO八十七号条約の批准につきましては、昭和三十二年であったと思っておりますけれども、前に私が労働省におりましたときに、労働問題懇談会に諮問をいたしまして、その諮問にこたえて三十四年の二月に、八十七号条約は批准すべきものだという答申がございまして、同時に、これに伴っての国内法の整備をすることと、それから現行法規を尊重するという建前が貫かれるということが条件になっておったのであります。それに基づいて、ただいまお話しのように、昨年の五月、関係法規の整備を伴って提出したのでありますが、不幸にして審議未了になりました。現内閣も労働問題懇談会の答申を尊重いたしますとともに、この八十七号条約はILOの基礎的な条約の一つであるという認識の上に立ちまして批准案件を国会に提出する方針をきめておるわけであります。ただ、関係法規の整備その他の意見の調整に今当たっておる途中でございまして、できるだけすみやかに意見の調整を終わって案件を国会に提出したい、こう思っておる次第であります。
○大原委員 ILO条約についての国際舞台、ILOにおける窓口というか、責任者はだれなんですか。それから国内法の関連法規を整備するというふうに政府は言っておるのですが、それらを扱う政府の責任者はだれですか。総理大臣ですけれども、総理大臣を除く責任者はだれなんですか。
○石田国務大臣 形式的と申しますか、法規上からいきますと、条約はそれ自体外務省の責任でありまするし、国内法の法規関係はそれぞれ法律の所管省が責任者であります。全体を取りまとめるのは内閣でありますが、その内閣の取りまとめの衝には総務長官が現在当たっておるというところであります。ただ、これは労働条件あるいは労働者の権利その他を規制するものでありますから、実質的には私がその責任に当たるべきものと私は考えておりますが、法規的に申しますと、先ほど申しましたような関係であります。
○大原委員 形式上の問題はともかくとして、対外的には外務大臣、それから国内の行政官庁としては総務長官、しかし実質は労働大臣である。労働大臣はすべてのILOのそういう内外の政策について最高の責任を持って処理する、こういう御答弁ですか。
○石田国務大臣 ILOが労働者の労働条件及び権利の向上を通じて世界の恒久平和に貢献するという目的に立っておりますから、つまりILOに関する問題は実質的には私の所管であると考えております。ただ、その中に、たとえば社会保障に関する問題とかそういう具体的なことになりますと、その問題自体があるいは厚生大臣の所管に属するものもあるかと思いますけれども、ILOに関することは、実質的には労働者の条件の向上を扱うという意味において私の責任である、こう考えております。
○大原委員 それは民間の労働者はもちろん、いわゆる公共企業体や一般公務員労働者も全部、そういうように考えておるのですか。
○石田国務大臣 御承知のように、国家公務員及び地方公務員は、公務員法及び地方公務員法によって労働組合法の対象から除外されております。従って、公共企業体その他は別でありますが、国家公務員、地方公務員は、やはりそれを担当しておる官庁が取り扱うべきものである、こう私は考えております。
○大原委員 それらの分野については総務長官が扱う、こういうように考えてよろしいですね。
○石田国務大臣 ただいまのところ総務長官が扱っておるわけであります。ただ、給与その他の問題については、給与担当大臣というものがございますから、迫水君の責任だと思いますが、公務員、地方公務員全体については総務長官と考えていただいてけっこうであります。
○大原委員 八十七号条約は、すでにいわゆる全逓提訴以来再三にわたってILOにおいては一つの結論が出ておるわけです。この問題については、公労法四条三項に関連をして出ておるわけです。そうして一昨年も現職の倉石労働大臣がILO総会に出席いたしまして、そういう政治工作とともに、国際舞台においてはっきり言明をいたしておるのです。そういう点については御了承になっておりますね。
○石田国務大臣 それを承知いたしておりますから、批准案件をできるだけすみやかに提出しようとしておるのであります。それだけではありませんけれども、できるだけ早く批准案件を出そうというのは、それを承知しているからであります。
○大原委員 昨年のILOの総会におきましても、やはりこの問題につきましては、国際舞台において政府がそういう了解工作をいたしておるし、その点について了解をされておるという前提の上に立って問題が大きく論議されなかった、この事実も認めておられますね。
○石田国務大臣 了解をされておるというのはどういうことですか。
○大原委員 それは五月におそまきながら条約の批准案を出したわけですね。だから、ILOの六月の総会前後の理事会その他の委員会におきましても、日本政府の態度について了承しておった、こういうことで、あまり蒸し返しては論議にならなかった、こういうふうに国際的にはいろいろな文書で判断をされている。その点も労働大臣は承知されておりますね。
○石田国務大臣 五月に批准案件が提出されたということは事実でありますから、その事実が六月の総会の前に先行しておるわけですから、無関係であるとは考えておりません。しかし私は、その総会にどういう議案が出たか具体的には知りませんけれど、五月に出されたということが前提になって、その前提がなければそのすべてに違った影響を与えるという一般的、概括的なお答えをするのは、今の段階でそれだけすべての案件を承知しておりませんから、具体的にどういうことをさされるのか、それを承って……。
○大原委員 ILOの昨年の総会におきまして、八十七号条約と一緒に九十八号の違反の問題が依然として懸案として持ち越されている。そして九十八号条約のいわゆる団結権、団体交渉権に抵触するおそれがあるという公労法四条三項に対するILOの見解も、専門家の間においては一致している。こういう点も御承知ですね。
○冨樫政府委員 ちょっと聞き漏らしておりましたら恐縮でありますが、九十八号条約につきましては批准し、かつこれについて国内法違反ということはございません。
○大原委員 それは最終的には結論されていないで、本年もその問題が蒸し返しになるわけです。というのは、八十七号条約批准に伴うところの公労法四条三項の問題がない限りは……。しかしILOの専門家会議の意見においては、一応は結論が出ているんですよ。だからその問題をもう一回本年検討される余地は残っている。時間的には八十七号条約の関連があるからです。その点は日本の立場を尊重しているわけです。労働者側もその問題は良識を持って処理しているわけです。だから九十八号条約に対する第二条、特に団体交渉の違反の問題、公労法四条三項でいわゆる職員でない者が組合の役員になっている場合でも、団結権の保障の原則の上に立って、組合員の自主的に選出した役員を団体交渉の対象として認めないということは、団結権だけでなしに団体交渉権の侵害だ。こういう問題については専門家会議の意見は一致しているのです。その問題については、やはり政府が若干の発言をしたのと、もう一つ問題となっておるのは、八十七号条約については政府がこの条約を批准するという態度を表明して、具体的に手続をとろうとしておるのだというところまでいっておったから——内容的には困っておったのだけれども、国際舞台においては、公労法四条三項はこの八十七号条約に抵触するのみならず、日本がすでに批准した九十八号条約に抵触する。こういう問題については専門家の間においては意見が一致している。こういう情勢は労働大臣は承知していないのですか。
○石田国務大臣 私は、公労法の四条三項は九十八号条約に抵触すると了解はいたしておりません。昨年の総会にはここにおります大島君が出席をいたしておりまして、私は出席しておりませんから、総会の前後におけるその間の意見等につきましては大島君の方からお答えさせます。
○大島政府委員 昨年の六月のILO総会自体におきましては、別にこの問題は議題でもございませんので問題にいたされませんでしたが、毎年ILO条約の適用委員会というものがございます。そこで各国の条約実施の問題について論議されます。世界各国でございますので、昨年かかりましたのが、正確には記憶いたしませんが百数十件かかっておったと思いますが、その中の一つにわが国の問題もあったわけであります。その際私から従来の経過、それから現在——現在と申しますのは昨年の六月の話でございますが、国会に批准案件を出しておるということを説明いたしました。四条三項削除の法律も出しておったわけでありますが、そうしますと関係者は、それはけっこうだということで非常に喜んでおったわけであります。今お話しの九十八号条約については、専門家委員会としては、御指摘のような説を持っておるわけでありますが、昨年来日本政府といたしましてはこの点は強く否定しております。従って日本政府としては、四条三項の問題は九十八号条約の問題とは別問題であるという見解を終始繰り返して申しております。昨年の六月にもその点は私からよく説明いたしております。大体概況は以上の通りであります。
○大原委員 あなたの答弁で声の小さいところがあったのだが、実際上、適用専門家委員会においては、すでに批准した条約について論議するんだが、私の言っておる通り、四条三項は抵触するという専門家の結論は出ている。日本政府はそれを否定したのですね。その通りでしょう。
○大島政府委員 専門委員会としてはそういう見解を持っております。日本政府はそれに反対をいたしております。そういうことで議論が町方とも繰り返されておるということであります。
○大原委員 昨年五月に、国会に政府はILO八十七号条約の批准の提案をしたわけです。しかしこれは、特に安保国会でもあったけれども、時間的にほとんど審議する余地がなかったわけです。だから本会議に上程もしなかったわけですよ。政府はそういう問題については、国際的に言いわけをするために出したにすぎない。その裏づけ証拠には、臨時国会がその中を経過いたしまして、さらに今日通常国会が開かれております。いまだにILO八十七号条約の承認案件が出ていないじゃないですか。これは国際的に見てみましても、すでに批准いたしました九十八号条約に違反しているという専門家の意見がある。これは大島さんの指摘した通りです。そして八十七号条約については出す出すと何回も言っておいて、そうして政治的な工作をしながらも、実際には言っていることとやっていることとは国内においては違っている。こういうのが現在の内閣のILOに対する認識であり態度である。労働大臣は最初に言ったけれども、そういうことでは、これから労働基本権を尊重して国際社会の平和の秩序の基礎にするというILO条約の根本精神を、国際舞台において誤解されるおそれが多分にある。私どもはこれは当然出すべきだと思うのです。なぜそんなに今日までおくれるのですか。一体いつ出すのですか。
○石田国務大臣 岸内閣のときのことは別といたしまして、池田内閣になりましてからも、八十七号条約は批准するという考えにずっと一貫いたしております。ただそれに伴ってのいろいろの議論、そういうものはどこの社会でもあることなのですが、各省間あるいは与党間、そのほかにいろいろな議論があることは御理解がいただけると思うわけです。その議論の調整を私どもはやっておるわけなのです。あれは継続審議になったわけではないので、新しい内閣として案件を出す場合には、それだけの所要の手続が必要なので、その所要の手続上の努力を今やっておる段階であります。しかし今おっしゃるように、出すだけ出して国際社会に対する言いわけにしようなどという考えは毛頭ございません。従って、あとう限りすみやかに出したいと思って、できるだけの努力をいたしておるのでありまして、いつ何日という日にちを切られると非常に困るのでありますが、関係方面及び国内法その他の調整が終わり次第すみやかに出すということよりしかお答えできませんけれども、全力をあげて早く提出いたしますように努力をいたしておりまするし、提出した以上はその案件の成立をこれまた全力をあげて期待をいたしていくことも当然でありまして、決して言いわけのために形式的に出すという考えはございません。
○大原委員 あなたは同じ自民党内閣でありながら、先般の岸内閣のILOに対する方針とあなたの方針は違う、そういう御発言だったようですが……。
○石田国務大臣 いや、そういうお答えをした覚えはありません。岸内閣のときにどういう事情で五月に提出されたかということは、私は詳しくは知りません。従ってその提出時期がおくれたという時期のことについての答弁は、私のいたすところではありませんが、しかし池田内閣になりましても、八十七号条約を批准するという方針は、初めから国会等において私からも答えましたし、総理からも答弁をいたしておるのでありますから、批准をするという方針に変わりはないのであります。しかしそれに伴っての国内法その他についての意見の調整は、あの案件がまた新しい池田内閣の責任において出されるということからいたしまして、池田内閣としての調整が必要なのでありますから、従ってその調整に今努力をしておる。こういう段階であるということを申し上げたので、岸内閣のときの意見と私のときの意見が違うということはない。批准するという基本的な方針には変わりはないのであります。
○大原委員 しかし昨年五月には出しているじゃないですか。
○石田国務大臣 従って私どもも今国会に出すと申し上げているのです。
○大原委員 臨時国会、通常国会と、いまだに出していないじゃないですか。私は質問要求いたしましたときに、そのことは総務長官あてに言ったのですが、大体条約の案件をどういうように取り扱うか、その見通しを一つ総務長官の方からお聞きしたい。
○藤枝政府委員 ただいま労働大臣からお答えいたしたようなことでございますが、政府といたしましては、先般、昨年の五月に提出をいたしました程度の国内法の改正は必要と考えまして、さような方向において政府部内並びに与党である自由民主党と折衝を続けておる次第でございます。
○大原委員 同じ自由民主党の中で、一たん出したものを引っ込めて、廃案になったんだから、また臨時国会から通常国会を経て今日まで延ばしておいて、新聞その他の報道するところによると、時期尚早論とか批准反対論も出てきておる。その中で、池田内閣の閣僚の一人の荒木という文部大臣は、脱退も辞せぬと言っておる。大体ILOの問題について終始一貫して政府がやっておることは、非常に消極的であり、かつILOの精神に沿うてない、こういうことを私は若干の経過的な事例をあげて申し述べた。そういうことは全然なってない。これは全部記録に載るんだから、私は国際舞台において堂々と主張できるような記録をとるために質問しているのです。このことは私どもの真意を国際的にも十分理解してもらうという面において大切だと考えておるのです。一たん出したものを引っ込めたりなんかして、終始一貫しないじゃないですか。
○石田国務大臣 出したものを引っ込めたのではなくて、出したものが国会として議決を見ないで、かつ継続審議の議決もなされなかったために廃案になったのであります。従って、池田内閣としてこの批准案件をあらためて出すことを決定いたしまして、そうしてその間の意見の調整を今やっておるわけであります。党内の意見にいろいろな意見があるというようなことをおっしゃいますが、それはどこだって、どこの党内でもいろいろな意見があることは仕方のないことであります。そのいろいろな御意見を調整をし、取りまとめていく努力は時間をかけてやっていかなければならぬことですから、従ってそれに相当の時間がかかるということは、これはどうも仕方のないことでありまして、誠意がないと言われるが、私どもは誠意を持って調整に努力をいたしまして、そうしてできるだけすみやかに案件を提出しようとしているのであります。 それからさっき荒木文部大臣の発言をお取り上げになりましたが、しかし閣議におきまして、この批准案件を今国会に提出して成立を期する旨の発言を私がいたしましたときに、閣内特に荒木さんから、それに反対するというような御発言はなかったのでありまして、荒木さんが批准することに反対だということを断定されることは、事実に反すると思いますので、私はそういう荒木さんの御意見を聞いたことがないことを申し上げます。
○大原委員 私が言っておるのは、引っ込めたというのではなしに、もう通常国会が始まって相当たっておるのになお調整しておるというのはおかしいじゃないかと言うんですよ。国際舞台に対してもそういう言いわけができるかということを言っておるんですよ、私が言っておるのははっきりしている。中身について答弁して下さいよ。
○石田国務大臣 これは先ほどから申しましたように、国内法の整備を前内閣の程度行なうととが必要だという認識の上に立って、私どもはその調整に当たっておるわけなのでありますが、それについても、あるいはその前の問題についても、数の多い与党の中にいろいろな意見があることはやむを得ないことだ。与党は多数でありますから、与党内の意見の調整をはからなければ批准も成立も期しがたいのであります。従ってそれに時間がかかり過ぎるという時間的な判定についての御認識であるならば、これはどうもお答えのしようがない。時間がかかり過ぎるということをいえばそうかもしれませんが、私どもとしてはあとう限りの努力をいたしまして、やる意思は明確にあることだけを、繰り返して申し上げておきます。
○大原委員 労働大臣、これは昨年も出しておる。国際舞台においても、やるのだ、やるのだと言明しておいて、国際的な批判や意見の集中を免れておいて、そうしていまだに、通常国会が始まっておるのに、与党内、政府部内の意見の統一をしているのだということにかこつけて出していない。こういうことはおかしいじゃないかと言って私は事実を指摘した。これは水かけ論ではなしに、事実をはっきり指摘しているのだ。 もう一つは、このILO八十七号条約に関連した国内法規の整備をしておる、こう言うけれども、どういう国内法規を整備しておるのですか。
○石田国務大臣 これは直接あとで藤枝総務長官からお答えする方が適当だと思いますが、政府としては、前内閣のときに取り上げました問題について、あの程度の国内法の整備が必要だという認定の上に立って党内及び政府部内の意見の調整に当たっておるのであります。
○大原委員 国内法規で関連法規の調整が問題になっておるらしいのだが、どういう点が問題になっておるのですか。政府としてはどういう関連法規を出そうとしておるのですか。その中でどういう点が問題になっておるか、こういう点を伺いたい。
○藤枝政府委員 関連法規といたしましては、昨年出しました公労法、地公労法、国家公務員法、地方公務員法等を政府としては考えております。ただ、具体的にどこが問題になっているという段階にまではまだ至っていない。その辺の党内において調整をされているところでございまして、政府に対しては、まだ党としては具体的な問題は申し出はございません。
○大原委員 鉄道営業法の改正については、関連法規という考えなんですか、いかがですか。
○藤枝政府委員 昨年御承知のように鉄道営業法の一部改正について提出をいたしたのでございまして、その限りにおいては、関連するものと心得て今調整をしようとしておるところでございます。
○大原委員 昨年の五月の国会に営業法の改正が関連法規として出ましたか。出ているならそれをちょっと見せて下さい。
○藤枝政府委員 御承知のように、鉄道営業法の一部の改正につきまして、他の関連法規よりもおくれて政府は提出をいたした次第であります。
○大原委員 それでは関連法規の内容を、簡単でいいから発表して下さい。
○藤枝政府委員 昨年の岸内閣当時に出しました鉄道営業法の一部の改正は、罰則の規定の改正でございます。
○大原委員 それは関連法規として扱ったわけですか。
○藤枝政府委員 昨年の政府部内の問題につきまして、私がお答えする限りではございませんけれども、私の存じておる限りにおいては、政府は関連法規と心得て、そうして提出したと存じております。
○大原委員 公共企業体等労働関係法、地方公営企業体関係、国家公務員、地方公務員法、こういうふうに関連法規を指摘されましたね。そこで、たとえば人事院の制度改革とかチェック・オフとか専従制限とか、そういう問題が出てきましたね。総務長官、これはILO八十七号条約と一体どういう関連があるのですか。
○藤枝政府委員 チェック・オフや専従の問題につきましては、具体的に法案を提出いたしましたときにお答えするのが妥当と思うのでございまして、先ほど労働大臣がお答え申し上げたように、昨年の岸内閣当時に関連法規として提出いたしました各法案の一部の改正につきましては、そういう基準によって関連するものと心得てやることが、池田内閣といたしましても妥当であると考えまして、今調整をいたしておるような次第でございます。
○大原委員 鉄道営業法の改正を含めてどこが関連しておるか、八十七号条約のどういう点が関連しておるか、こういう点を総務長官答弁して下さい、これは根本問題だから。
○藤枝政府委員 ILO八十七号条約に関連する国内法規というものの範囲をどの辺までに考えるかというようなものも含めまして、現在調整をいたしておりますので、むしろそういう点において関連があるかないかということについての御質問にお答えするのは、具体的に法案を提出をいたしましたときに、各関係の閣僚からお答えするのが妥当ではないかというふうに考えておる次第であります。
○大原委員 そうじゃないのです。前の岸内閣のときの関連法規については、原則的に継承して四つの法案を出すんだということをあなたは答弁したじゃないですか。その中身についてどこが関連しておるかということを私は質問したんじゃないですか。そんな答弁はありませんよ。あなたの答弁は、ILOに対する認識自体の尺度を物語るものです。 私は、この問題はあとで徹底的に論議される問題だから、きょうはそこまでは——一、二の点しか触れないけれども、一つ重大な点をお尋ねするんだが、八十七号条約はそんなに関連法規についてごたごたしていて、内容的にも政府の責任者が把握していない、そういう現状において、国内法規の、そういうふうに関連があるかないかという問題を含めて意見が統一していない、統一しなければ八十七号条約は批准しない、八十七号条約はそういう国内法規とのそういう問題の論議の中で批准がおくれている、こういうふうに了解してよろしいか。そうであるかないか、こういう点をはっきり答弁して下さい。
○石田国務大臣 具体的にもう一ぺん……。
○大原委員 八十七号条約の批准は、そういう国内の関連法規、あるいは関連するしないの問題を含めて、その根拠もはっきりしないけれども、その問題を含めて、そのことをやらなければ八十七号条約の批准承認は求めないのか、そういう方針なのか。
○石田国務大臣 先ほど冒頭に申しました通り、労働問題懇談会の答申の中に、やはりこれに伴って適当な国内法の整備が必要だということがうたわれている。これは労、使、公益三者が一致して出された結論の一つであります。従って、国内法の整備が伴うことが必要だということの認識の上に立ってわれわれは今調整しておりますが、私どもは八十七号条約を批准するという方針のもとに調整を行なっているのでありまして、この批准するという方針はきまっておるのであります。従って、それができなければじゃない、批准するという根本方針を満たすように調整を今やっている段階でございます。
○大原委員 鉄道営業法で罰則を強化するなんということは、端的に総務長官に尋ねますが、それは八十七号条約の批准とどこが関係があるのですか、あなた説明してみなさいよ。(発言する者あり)政府はこの前出したやつについて言っているじゃないですか。答弁できぬじゃないか。(発言する者あり)総務長官に聞いている。
○山本委員長 私語を禁じます。
○石田国務大臣 答弁ができないとかいうことでなくて、そういう問題をも含めまして調整している段階で、結論が出ていないのです。現内閣が結論を出して、責任を持って提出したその案についてお答えするのが当然であります。まだ結論が出ていない、法案もできてない段階でありますから、そういうものも含めて目下調整中であります。法案が出たときに政府は責任を持ってお答えいたします。
○大原委員 それは最初申し上げたのですが、一昨年は現職の倉石労働大臣が政府代表として行って、国際舞台において発言している。ILO八十七号条約の批准の方針について言っているということは、労働大臣が最初に答弁したじゃないですか。すでに批准をした九十八号条約については、条約適用の専門家委員会において一つの結論が出ているということは大島君も答弁したんです。ところが、昨年の五月提案したというけれども、これは会期末に、通らぬであろうということで提案した。だから、そういうことから考えてみて、八つの関連法規について前の内閣の方針を大体踏襲してやるというのに、その関連法規の調整について時間がたっているということははっきりしている。その点について、関連法規の問題については、概括的に前の提案だということを言ったから、だから私はその中身を追及したのです。そうしたら、その問題についてはっきりした答弁をしない。しかもいまだにおくれているじゃないか。国際的に見たって、こんなにおくれることはおかしい。おくれていてしかも答弁していない。
○石田国務大臣 だから、党内の調整に時間を取り過ぎているとか、またこれくらいの時間がかかるのはやむを得ないだろうというようなことは、それぞれの認識の問題でありますから、あなたの方から時間がかかり過ぎているとおっしゃられれば、私どももそれに対しては、私どもは全力をあげておりますけれども、しかし、いろいろの意見がございますから、その調整にある程度の時間がかかっていることを御了承いただきたいとお答えするより仕方がございません。 それからもう一つ、現内閣としては、前内閣が決定をした方針が適当と、現内閣としてはそういう考えのもとに党内の調整をしておるのでありますが、しかしそれは、その考えのもとに調整をしておるという方針でありまして、政府が責任を持って議会に案の内容について説明をいたしますのには、政府の案というものが決定をいたした後でなければ、責任を持ったお答えはできないのであります。その責任を持ったお答えができるような案を作るために今努力をしておる。従ってその過程におきまして、案の内容についてお答えを申し上げる、政府が責任を持ってお答えを申し上げるわけには参りません。
○大原委員 まあ政治的な答弁だけれども、鉄道営業法の改正については何かと言ったら、罰則の強化だとこう言った。罰則の強化だと答弁したんだが、罰則の強化と八十七号条約はどこに関係があるかと質問したら、答弁ができないじゃないですか。私は、全然中身についてあなたが発表していないことについて言っているのじゃない。
○石田国務大臣 いや、前内閣のときに出した鉄道営業法の改正の内容はどうかという、事実の関係をあなたはお聞きになりました……。
○大原委員 いや、出すことだよ。
○石田国務大臣 いやいや、前内閣が出した……。
○大原委員 いや、そうじゃない……。
○山本委員長 私語を禁じます。
○石田国務大臣 ちょっとはっきりお答えしますが、前内閣の決定をした程度の国内法の整備が必要だという方針のもとに、われわれは党内の調整をしているということを申し上げました。それで、あなたはその次に、それでは前内閣のときに提出をした鉄道営業法の一部改正の内容は何か、そういう御質問でありましたから、総務長官がその内容について、前内閣の出した内容を説明したのであります。それは前内閣の出した内容で、現内閣がこれをこのまま出すか、あるいはさらに検討を加えたものにするか、それを目下まだ調整中でありますから、現内閣として、それについての意見とか関連性について政府は責任を持った答弁をいたす段階ではない、こう言うのであります。
○大原委員 それでは、最後にもう一回質問いたします。公労法四条三項は、すでに日本が批准をしておる九十八号の団結権と団体交渉権についての原則の適用に関する条約、これに違反をしておる。この専門家会議の意見については大島、当時の政府の代表委員の方から、それは事実の確認があった。いわゆる全逓の九十八号条約適用、こういう問題は国際的にも一致した意見です。これは一歩突っ込んで議論すればいろいろあるけれども、この点については、九十七号条約は全逓の八十七号条約問題で論議されていて、この問題がやはり国際問題になっている。こういう事実は、労働大臣は認められましたね。
○石田国務大臣 専門家会議の空気がそういう空気であるということを、今大島、当時の政府代表委員の一人からの説明がありましたから、それは承知しております。ただし、日本政府はその空気に対して承服をしていないということも事実であります。
○大原委員 それでは端的に質問をいたしますが、ILO九十八号条約における、この前も予算委員会でちょっと問題になったようだが、公務員という、この中には全逓は入りますね。——公務員は、いわゆる全逓は政府の見解でも適用になりますか。公務員は、全逓の職員は、九十八号条約の適用になるのですね。 〔委員長退席、齋藤(邦)委員長代理着席〕
○石田国務大臣 あのときには、九十八号条約に書いてあるのは、いわゆるパブリック・サーバンツ、公務員ということですから、現業は適用から除外されぬものと私は認識しておりますが、なお法規上のことは法制局から答弁をいたさせます。
○山内(一夫)政府委員 全逓の職員は現業公務員でございますから、九十八号条約にいうところの公務員ではなく、従って九十八号条約の適用があるものと政府は考えております。
○大原委員 現業公務員という意味は、労働大臣、どういうふうに理解されておりますか。
○石田国務大臣 今国家公務員法及び地方公務員法の適用を受ける範囲の人を公務員といっております。
○大原委員 そうすると、これは大切な問題になってくるので、外務省、だれか来ていますね。——外務省、九十八号条約の第六条の公務員の、フランス語でなしに、英語の原文をちょっと言って下さい。
○鶴岡政府委員 パブリック・サーパンツ・エンゲージド・イン・ザ・アドミニストレーション・オブ・ザ・ステートであります。
○大原委員 現業員なら公務員であってもよろしい、九十八号条約の適用がある、こういうように労働大臣、考えてよろしいか。
○石田国務大臣 今法制局の答えの通り、現業員は九十八号の適用を受けると考えております。
○大原委員 国家公務員法では、郵政局の職員は、たとえば政治活動の制限——百五号条約、強制労働禁止に関連いたしまして、郵政局の職員は国家公務員と同じように扱っておるのです。その点は了解していますね。人事院がいないので、総務長官、どうです。
○藤枝政府委員 郵政職員は、服務の関係は御指摘のように国家公務員として取り扱っております。
○大原委員 それでは、その政治活動の制限その他市民的な自由の問題については、国家公務員と同じように扱っておるのですね。しかし、労働関係については、あなたが言っておるのは、少なくとも九十八号は適用になる、こういう政府の見解です。パブリック・サーバンツというのはどういう意味なんですか。労働大臣、一つ答弁をして下さい。
○石田国務大臣 外国語の説明、解釈は一つ外国語に強い方にお願いいたします。(笑声)
○鶴岡政府委員 この九十八号条約第六条は英文及び仏文両方とも正文でございますので、簡単な方をとって公務員といたしたのであります。従って、この英語とフランス語とは同じものだというふうに考えた上でのことであります。従って、この英語の方を直訳いたしますると次のようになると思いますが、これは私のほんの仮のことでございまして、ザ・ステートの管理に従事している公僕、こういうことでございますが、フォンクショネール・ピュブリークというフランス語の方は、この上の同じことを申しておるのでございますが、これは公務員というものにぴったり当たるわけであります。
○大原委員 私はこの問題をまだ専門的に論議できるのですが、すでに批准をしたILOの九十八号条約、その前にできた八十七号条約、百五号条約の強制労働禁止の条約は、国連においても一貫して論議されておるし、この討議の内容は非常に立体的なんだ。みんな関連があるのです。そこで、いわゆるILOに対する与党を含めての日本政府の根本認識、そういうことについて非常に国際的な疑義が深まっておるし、法案の取り扱いをめぐって議論があるし、また政府の答弁も支離滅裂である。今国連局長が答弁いたしましたように、ステートの管理に従事している公僕だ、こう言っている。アドミニストレーションというのはまさにその通りだろう。そういたしますと、たとえば地方公務員なら地方公務員の中で、掃除をやっている、あるいは単純なそろばんその他の事務を扱っている、そういうものは、たとえば保険業務でも年金業務でも何でもあるのです。そういうふうなものは九十八号条約にいう公務員の中へ入らない。これは明らかですね。これは政府の答弁からも明らかですね。明らかでなければ、それに対する反論を一つ答弁してもらいたい。
○山内(一夫)政府委員 九十八号条約の適用を受けますところの現業職員と申しましたのは、その労働条件なり勤務条件が法令により保障されていない、つまりその労働条件が団体交渉なりそういうものできまってくる、こういう職員を考えております。そういう職員については九十八号条約の適用がある、こう申しました。今御指摘になりましたところの人たちは、地公労法の適用を受けますならば、これはむろんその労働条件が法令によって保障されておりませんから、これは九十八号条約の適用を受けますけれども、それが法令の規定によって労働条件が保障されておりますならば、九十八号条約の適用を受けないというふうに私どもは考えておるわけであります。
○齋藤(邦)委員長代理 大原君、労働大臣は十一時半ごろまでですからその点お含み願って御質問願います。
○大原委員 まだまだ、大切な問題だ。法制局に答弁を求めますが、今あなたは大切な問題について答弁しているのです。今の答弁は非常に大切な問題だ。ICO条約について根本的にあなたの認識を表明した答弁です。 〔齊藤(邦)委員長代理退席、委員長着席〕 そういう考え方だったら、公労法四条三項の問題なんか起きてこない、団結権の保障の問題は起きてこない。あなたの答弁でおかしい点はどういう点かというと、現に団体交渉権で保障されている公務員については九十八号条約は適用になるのだ、こういうことを言っている。そうすると、条約と法律はどっちが優位なんだと私は端的に質問する。条約に抵触する法律というものは無効じゃないか、私はこのことを端的に質問してみるから、あなたは答弁してもらいたい。
○山内(一夫)政府委員 条約と法律の効力の関係につきましては、条約が優先し、条約に抵触する法律は無効だと私どもは思っております。
○大原委員 これはあとに問題を引きたいと思うんだが、たとえばアドミニストレーション・オブ・ステートというのは管理的な事務、こういうことに翻訳しておるけれども、つまり行政手段たる公務員だと思う。そういうことになると、今のあなたの議論はあとにして——あなたが言っているのはおかしい。なっちょらぬ。一方においては、条約が法律よりも優位しておると言いながら、国内法で法律において団体交渉権が規定してあれば、その分野においては九十八号条約は適用になるのだ、こういうことは矛盾ですよ。そういうことは法律をちょっと知っておれば、すぐわかる。あなたがILOについて知っていないという証拠なんです。いわゆる行政手段でない現業的な単純労務については九十八号条約の適用がある、こういうふうに解釈すべきなんです。そうでしょう。労働大臣答弁して下さい。
○石田国務大臣 今の法制局の説明は、労働条件が法令によって規定されているものは公務員で除外されるけれども、団体交渉そのほかによって労働条件がきめられるものは九十八号条約の適用を受ける、こう答弁したと私は了解いたしております。
○大原委員 国内法が条約に優先する考え方だといって私は反論した。だから、九十八号の公務員というのはパブリック・サーバンツであるけれども、パブリック・サーパンツの注釈として、国のアドミニストレーションに従事しているものという意味がある。それは国際舞台において議論された記録を見れば非常に大切な問題なんです。単純労務的なもの、いわゆる管理職でない、行政手段でないものについては除外するということが公務員法上の、いわゆるいろいろな立場から制約を加える最小限度の立場なんです。八十七号から九十八号、百五号条約で、一貫して労働基本権を人権として保障しているのがILOです。これが国際平和秩序の基礎になっている。だから国連の専門委員会になっている。そういうように一貫している。そうすると、そろばんをはじいたり、掃除したり、あるいは単純な事務をやっている、いわゆる管理職でない、アドミニストレーションという範囲に属さない、そういう問題については、当然労働基本権は尊重されるべきなんです。その範囲がどうかという議論はありますけれども、されるべきなんです。行政手段ではない、いわゆる行政ではない……。労働大臣いかがですか。
○石田国務大臣 公務員という文字の解釈の理解の内容の問題になってくると思うのですが、今外務省の英文の説明を基礎にして御議論になりましたが、逆に公務員という規定を九十八号条約の中に明確に規定してあるということになれば、それと違った公務員というものの規定が国内法にあった場合、条約の方が優先するでありましょうけれども、先ほどからの外務省の説明でもおわかりの通り、英文と仏文と両方とも正文になっておって、それを突き合わせて公務員と理解しておるわけなんでありまして、英文だけの言葉からあなたがそう御理解なさるということは、政府は今外務省の見解に従って、その仏文に書いてある公務員というものは、日本の法律で示す公務員と同一内容のものであるという理解でやっておるのでありまして、別に国内法が九十八号に優先している考え方に立っているとは私は考えておりません。
○大原委員 それでは時間をお急ぎですから労働大臣にお尋ねしますが、百五号条約の強制労働禁止については政府は批准する方針であり、疑義解明について国連に対して照会しているのだ、こういう話でした。百五号条約については公務員あるいは全逓の職員、郵政省の職員、こういうものも適用がありますね。
○石田国務大臣 百五号条約についての私の答弁は、百五号条約の強制労働という字句の内容その他について今照会中でありまして、それがおそらく本年の六月ごろから、それを批准した国々のいろいろな報告が入ってきて結論が出るだろうと思うので、その結論を待って百五号条約についての政府の態度を決定したいという考えであるということをお答えしたのであります。
○大原委員 適用範囲は……。
○石田国務大臣 適用範囲についての法律的解釈は、法制局あるいは外務省で答弁いたします。
○山内(一夫)政府委員 公務員も入ると私どもは思っております。
○大原委員 全逓とかなんとかいうのは……。
○山内(一夫)政府委員 全逓も入ると思います。
○大原委員 初めて満足な答弁をした。この問題は、政府の今の答弁の様子を見てみましても、非常にたくさんの問題が含まれております。 それで私は一つ労働大臣と総務長官にそれぞれお尋ねいたしますが、公務員に対して日本の国内法で労働関係についていろいろな制約があると、こう言う国内立法上の論拠は何ですか。憲法上の論拠は何ですか。
○石田国務大臣 詳しくは法制局からお答えいたしますが、私の理解は、公務員は公に奉仕する、全体に奉仕する、そういう憲法上の規定から、そういう公務員は特別の法律によって規定されていると理解をいたしております。なお、法制局から専門家が答えます。
○山本委員長 ちょっと……。大臣は非常に急いでいるそうだから、労働大臣を先にして下さい。
○大原委員 それじゃ話を進めましょう。今あなたは全体の奉仕者ということを言われた。憲法ではどういう条章、文言、字句ですね、それから全体の奉仕者という言葉が出るのですか。
○石田国務大臣 私は十二条、十三条の規定にあるように思いますが、今あけてもらいまして、読み上げます。
○大原委員 国務大臣が憲法を知らない……。
○石田国務大臣 だから十二条、十三条、十四条くらいのところに書いてあったと思います。思いますけれども、暗記はしておりません。
○山内(一夫)政府委員 御指摘の二十八条の労働三権について、公務員に関する限りどの程度の制限ができるかと、こういう問題でございます。法制局としては憲法の十二条、十三条を根拠にして、公務員については合理的な範囲で制限できるという考えで私どもおります。その点につきましては、昭和二十八年四月八日の最高裁の大法廷の判決を私どもは基礎に考えておるわけでございます。
○大原委員 憲法九十九条によると、「天皇又は摂政及び国務大臣・国会議員」は「この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と書いてあるのだ。十二条、十三条、十四条くらい、大体このくらいなことじゃろうと言われるが、全体の奉仕者という言葉はないじゃないですか。全体の奉仕者というあなたが引用した言葉はどこにあるのですか。
○石田国務大臣 それはそのあとくらいに書いてあったと思いますが、正確に暗記能力が非常にないものですから、ただばく然たる理解で相済みませんが、そのあとに書いてあったと理解しておりますが、具体的には法制局から……。
○山内(一夫)政府委員 公務員は、十五条の二項に「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」こういうふうに公務員の根本的な性格が規定されております。従いまして、公務員の労働三権につきましても、この公務員の本質からいきましてある程度の制限ができる、こういうふうに考えられております。こういう公務員のあり方そのものは、結局公共の福祉に奉仕しなければいけないという性格があるわけでございますから、その労働三権に関する制約は、同時に憲法十三条に基づく制約である、こういうふうに私ども考えておるわけであります。
○大原委員 その労働大臣の答弁でおかしい点は——私は公務員を含めて労働基本権の問題を議論しておる。それじゃ質問いたしますが、憲法二十八条の勤労者という中には国家公務員も地方公務員も入るかどうか、その点聞いておきます。
○山内(一夫)政府委員 私は入ると思います。
○大原委員 だから、労働基本権というのは、言論、集会、結社の自由という基本的な人権と一緒に一つの社会的な基本的人権です。これは憲法十一条には不可侵ということがある。それに基づいて労働基本権の規定があるんですよ。あなたはすぐ十四条、十五条の方に飛躍するが、それから憲法の議論をすることはおかしいですよ。そんな認識だからいけない。ILOの認識についても同じです。国際的な労働基本権の規定というものを歴史的には憲法に規定してある。そういう考え方がおかしいんです。労働大臣が、全体の奉仕者だというようなことを簡単にすぐ労働基本権の議論のところに持ってくるのは、専門家として不見識だと思う。これは憲法の構成から考えてみましてもなっちゃおらぬ。これはおかしいじゃないですか。
○石田国務大臣 私は全部暗記はしておりませんけれども、憲法に限らず、法令というものは全体からそういう関連性を持って理解をすべきだと考えております。従って、それについて御議論があることは承知しておりますが、その御議論については、先ほど法制局から御説明をいたしました最高裁大法廷の判決、判例というものの上に立って政府は先ほどお答えしたような見解をとっておるわけであります。
○大原委員 労働大臣が話をされた全体の奉仕者というのは、公共の福祉だ、こういうふうに法制局の方で答弁したわけですね。そうですが。
○山内(一夫)政府委員 さようでございます。
○大原委員 公務員は憲法第二十八条で勤労者の団結権、団体交渉権、団体行動権を保障されておる。これは憲法の基本原則で、基本人権ですから当然です。それで今の十二条、十三条等に公共の福祉という制限がある。これは憲法の規定するところです。しかし、公共の福祉という問題につきましては、労働基本権、基本的な人権——憲法は平和主義と民主主義と基本的な人権、こういう基礎の上に成り立っておるわけです。そういう基本的な人権に対する考え方、いわゆる国際的な常識、ILOにおける考え方と日本の政府の考え方がそごを来たすと、ここに大問題が起こる。これは全逓の問題だってみな逐次これから起きていく問題で、みなそうです。公共の福祉という制限に対する観念、これは論争すればきりがない。私は全体の奉仕者ということはともかくとして、公共の福祉ということについては十分論争できる。しかし、結論的に言い得ることは、一般的な概括的な拘束をもって、基本的な人権を公共の福祉の名前において侵害してはいけない。生命とか財産とかいう個々の問題について、個々具体的な場合に、公共の福祉の考え方が適用できるということは、ILOの一貫した議論を通じて、あるいは条約の立法過程を通じて非常に明らかで、憲法の解釈からも明らかだ。そこに基本的に認識の誤りがあるという点を、私は指摘しておる。この点についての基本的な理論的な立場を説明できたならば、一つ総務長官の方で——あなたは大切なILOの問題を初めとして、国内法規を扱っておるし、これは基本的な問題ですから、私の見解に反対であれば、一つあなたの見解を表明願いたい。
○藤枝政府委員 全面的に反対だというわけではございませんけれども、勤労者の団結権、団体交渉権、団体行動権、これは基本的な権利であることはおっしゃる通りでございますが、そうした基本的な権利といえども、十二条、十三条によってある程度の制限を受けることも、これまた十分御理解のところでございます。そうして、そのうちにおきまして、勤労者、特に公務員については、全体の奉仕者であるという性格から生まれてくる公共の福祉という問題があると思います。従って、その公共の福祉という点から、その基本的三権のうちの一部が制限をされるということはあり得る、憲法の解釈上十分成り立つものと私は心得ておる次第でございます。
○大原委員 あなたの議論はおかしいのですよ。私は、基本的な考え方というものは、やはり、いわゆる国家公務員という立場において、限られた範囲において、そういう性格があるということは原則的に認めるのです。しかしどういう範囲で、どういう方法で制限をすべきかという問題については、これは勝手にできないのです。ILOでもそうだったのですが、日本の憲法の一つの規定の歴史的な背景もそうですが、いわゆる市民的な自由、言論、集会、結社という、今右翼のテロが問題になっておるが、そういう侵すべからざる市民的な自由、これは営利追求の自由、私有財産の自由と一緒に市民的な自由だ。しかし基本的には、それが経済社会において、営利追求の原則の中で貧富の差がずっと出てきて、労働基本権の観念が出てきた。組織労働者が出てきた。社会的に大きな人権問題として出てきて、集団的な社会的な基本的な人権が認められた。このことを憲法二十八条は規定しているのです。勤労者にそういう保障をしている。ILOの七十八号と九十八号と百五号はそういう関連の上でできておる。法制局は灯五号条約を国家公務員も適用になると、こう言っておる。政治活動やあるいは労働運動に対する強制労働は禁止しておる。これはやはり人権として保障しておる。だからそういう考え方で公共の福祉という考え方を簡単にここに持ってくるということは、これは憲法の構成からいうても、歴史の進歩からいうても、非常に間違ったことになる。このこまかな議論について、私は個々の問題をあげてとにかく追及いたします。公務員に対する考え方は、概括的に見まして、公務員の労働基本権がどのような場合に制限できるかということを含めて非常に大きな問題であるが、政府部内においてはこれに対する認識がきわめて欠如している。あらためて私はこの問題の追及をいたしたいと思う。きょうはそういうところへは立ち入ってやらない。
○石田国務大臣 今、公共の福祉とかそれから全体の奉仕者と労働基本権との関係を政府が簡単に解釈しておる、簡単に解釈しておるとおっしゃいましたが、これはずいぶん長い間議論されておる問題でありまして、政府としては現在の段階、最終的には最高裁の判例を基礎にしてそう理解をしておる。簡単に解釈しておるわけではございません。
○大原委員 これは七十八号条約じゃなしに、すでに批准した九十八号条約、これに対する基本的な考え方の議論を私はちょっと窓口までやったわけです。私はその一つの適用の範囲の公務員の問題についてやっておる。公務員の概念規定、意味については原文が示しておるように、国の行政管理をつかさどる。パブリック・サーバンツである、こう言って外務省もその通りすなおに答弁しておる。一つの問題をしぼったのは、単純労働者、行政手段でない労務者、こういう意味です。その問題では予算委員会で教員が入るか入らぬかという議論があった。教員は行政手段である管理的事務であるかどうかという問題、この問題は国際的にはとうに解決しておる問題であって、私立学校だって教育をやっておるし、法律学校だって教育をやっておる。そういうことについては教育という事務の中身から、仕事の中身から全体的な教育上の規制はあっても、パブリック・サーバンツとしての規制はない、そういうことははっきりしておる。長官、いかがですか。
○藤枝政府委員 九十八号条約にいう公務員につきましては、先ほど外務省からもお答えがありましたし、労働大臣もその外務省の見解に従って公務員という範疇を考えておるということを答弁申し上げたわけです。従いまして、教育をつかさどる教員に政府といたしましては公務員という考え方をとっておるわけです。
○大原委員 あなたはどうしてそういうことを言っておるのですか、どういう観点からそういう考え方をとっておるのですか。私はILO条約について言っておるのですよ。理由を言ってごらんなさい。私はあんなに理非を正して質問したのに、あなたの答弁はまるっきりピントはずれですよ。ピントのはずれた答弁をしておる。そんな答弁では資格がないですよ。 総務長官、もう一つ伺いますが、郵政省の職員は、身分上、服務上も公務員法の制限を受けているのです。しかしながら九十八号条約からはずされているんですよ。これは何かといえば、ここだけはちょっと味なところなんだ。日本政府の今までやっているところでちょっと味なところだと思う。いわゆる国の行政管理をやる、そういう仕事に従事していない単純労務は民間に委託してもできる、どこでもできる、こういう種類のものだ、極端にいえば。そういうもの全部を公共の福祉という名前で基本的人権を制約しようとする。−その点はあとで問題になりますけれども、そういう考え方を矛盾なく一貫して考え、ILOの実態や原文に即して考えると、あなたの答弁はいかがですか、あなたの答弁はなっておらぬ、こういっているのです。
○石田国務大臣 今の御議論を伺っておりますと、九十八号条約に規定してある公務員ということの内容の解釈が、政府とそれからあなた方と違っておるところから出発しておるわけです。解釈というか理解というかそこが違っておる。そうでしょう。だからわれわれが英文と仏文とで書いてある公務員というものをどう理解し、その理解する根拠はどういうことであるかということを、労政局長から私どもの理解している根拠をお答えをして、それがはっきりしてくれば次の議論が出てくると思うんです。そこの私どもの解釈の根拠を私どもの方からも説明さしていただきたいと存じます。
○冨樫政府委員 九十八号条約は団体交渉権に関する条約でございます。従いまして問題は団体交渉によって自主的に労働条件の維持改善というところに眼目がございます。従いまして本質的に労働条件が法令によって保障、担保されているというものは質的にはずれるのでありますが、その根拠となるものとしてILOのとっている文書によりますと、ちょっと読んでみます。「国際文書において公の機関という概念を定義づけようとすることは無益である。」ちょっとはずしまして、「ILO事務局としては、何が公務員であるかの真の基準は法律で定めるその雇用条件、すなわち本条約案の定める保障と少なくともひとしい保障を公務員に与えている条件のうちにこれを求めなければならないと考える。」すなわち公務員という言葉よりも公務員であるかどうかの限界は、この条約については労働条件が法令によって保障されているかどうかというところに限界基準を求めるべきである、そういうふうな解釈がILOの公式の解釈として理解しております。
○大原委員 今の労政局長の答弁は、私はその範囲では納得する。私はそのことを言っているのじゃない。そのことは今の通りだと思っている。労働基本権について制限を加える場合においては、やはりそれ相当の裏づけがなければいかぬということを言っているのです。原則的なことを言っているのです。そのことは基本的人権の問題に触れる問題じゃないのです。 総務長官にちょっと聞いてみるが、人事院という制度をさらに弱体化しようとしているわけです。懲戒や研修をあなたのところに持っていこうとしている。そうでしょう。
○藤枝政府委員 公務員の利益の保護の権限等を縮小しようなどと考えたことはございません。
○大原委員 人事院の管轄官庁であって、あなたが全体として総括する、ここにもその立場として出席していますね。人事院は行政機関としてはどこが管轄しておるのですか、事務の管轄です。
○藤枝政府委員 人事院は独立した機関でございますので、総理府は管轄いたしておりません。
○大原委員 給与の担当あるいは公務員の勤務条件等については、あなたがこれからやる、政府の大体の方針でやるのでしょう。——あなたの方は今度懲戒とか研修とかの権限をとるということを言っておるでしょう。
○藤枝政府委員 先ほど来労働大臣並びに私からお答え申し上げましたように、そういう点は政府がそういうものを含めて調整をいたしおるのでありまして、いまだ政府として責任をもって提出する段階に至っておりません。
○大原委員 それはそのときに議論しましょう。ただ問題は、あなたは国家公務員、地方公務員の問題について、責任を持って労働大臣と並んでおるのでしょう。労働省は中身、あなたは名実ともに政府の責任者だ。そういうことでしょう。それで関連してお尋ねするのだが、今までよりも人事院が弱体化されるということは人事院総裁も言っておるのだけれども、その点については議論があるのですが、これはあとから議論しましょう。たとえば昨年人事院勧告が出ましたね。その人事院勧告の中には五月実施ということがうたってありましたね。それを政府は一方的に十月実施をしてしまった。労働条件の給与に関する公務員の保護が、客観的にも基本的な人権の原則に沿ってやられていない一つの証拠ではありませんか。
○藤枝政府委員 人事院の勧告は、政府並びに国会もこれを十分尊重しなければならないことは当然であります。しかしながら、人事院の勧告につきまして、国全体といたしまして、それの尊重をどういう形で尊重するかということについては、なお政府並びに国会において検討の余地のあるものと心得ております。政府も常に申し上げるように、人事院の勧告は十分に尊重するという態度をとったわけでございますが、昨年の給与改定におきましては、人事院の勧告のすべてをのむような状態でなかったことははなはだ残念でございます。しかし、できるだけそれに近いものに努力をいたしたことはお認めいただけるものと考えます。
○大原委員 私は事実を指摘しておるのです。たとえば三千円上がるとすれば、五カ月分で一万五千円ほど違ってくるわけです。政府は労使の当事者であると同時に、人事院という第三者機関——第三者機関というとおかしいが、独立機関、今の答弁によりますと政府は独立機関として尊重すると言っておる。その独立機関、行政機関が結論を出した問題について実施していない。今までその事例はたくさんありますよ。記録に残そうと思えばたくさんあるけれども、一つだけ端的に言うと、今労政局長が言った国際的常識とは違うのです。そのことを考えて独立機関、行政機関である人事院が勧告を出しておる。この点あなた方の答弁が非常に食い違っておるという点です。日本の公務員の労働条件が現実に基本的人権として守られていないという点です。この問題を突っ込んでいくと、八十七号条約、関連法規の問題をまたむし返すことになるから、これは問題として出しておきます。あなた答弁しますか。
○石田国務大臣 私は労働者の基本権が制約を受けておる場合は、その代償として、たとえば公務員の場合は人事院勧告あるいは公労協の場合は公労委の仲裁というようなものが尊重されるということが、その代償として私は当然なことだと思います。ただ公労法の中の規定と人事院規則の中の規定との間に食い違いがあります。私は仲裁裁定というものは完全実施すべきものだ、公労法の中に予算上資金上云々の規定がありますが、これは全くの、いわゆる例外規定であって、よほど非常の場合でなければ適用すべきものでないという理解をいたしておりますので、私は仲裁裁定を完全実施するという態度をとり、今日までそれは一貫してきておりますし、今後もそのつもりであります。公務員の場合の人事院規則は法令上の違いがございまして、従って政府はこれをあとう限り尊重し、政府の裁量の余地が残されているものと私は理解しております。しかしそれでも原則的にはやはり完全に実施されることが望ましいことは言うまでもありませんが、しかし他の財政上の諸条件から考えまして、法令上の規定の違いもありますので、残念ではありますけれども、諸般の状態から考えてやむを得ないもの、こう理解をいたしております。
○大原委員 今の労働大臣と総務長官の答弁を、ずっと同じような観点から検討いたしますと、これは非常におかしいのです。基本的な人権に対する考え方自体がおかしい。それから政府と労使間におけるそういう問題点について、人事院がやったことについて政府がまた——これはこの場合ははっきりしている。今まで歴史的にも人事院や仲裁裁定を政府は尊重しておらぬけれども、こういうはっきりした問題についてもこういうことなんだ。基本的な人権の考えがおかしいのですよ。あなたの公共の福祉の意味がおかしいのです。だからこの点についてあなたの答弁の食い違いがあるということと、労政局長が答弁いたしましたことの問題との間においてはたくさんの問題がある、こういうことを私は指摘しておきます。 それから、ILO百五号条約の解釈についての疑義を解明しているというけれども、その疑義の解明点を、ILOの事務局に対して政府はどういう意向を表明いたしておりますか。
○石田国務大臣 私が申し上げましたのは、百五号条約の中にある強制労働という言葉の内容であります。そこでこれについては大体本年の六月以降に、この百五号条約を批准した国々から、それのいろいろな報告なり結果なりが参りますと、その解釈というものが次第に明確になってくる。(大原委員「どんなことを聞いているのですか、照会しているのですか。」と呼ぶ。)具体的な照会ではないのです。強制労働という言葉の理解、言葉の解釈について、そういう結果が出てくるのを待っておるのでありまして、ILOとの照会連絡のこまかいことについては、事務当局からお答えをいたします。
○阿部説明員 労働省の審議官が二回ほどILO事務当局に対しまして、口頭で強制労働の定義等について、日本の法令等も参考に用いまして照会いたしましたが、事務当局といたしましても大臣が申し上げましたように・ことし批准条約のレポートが各国から集まったものを検討しなければ、しっかりした答弁ができないということでございまして、それで本年中のそのレポートの審査を待っておるわけでございます。
○大原委員 ILOの百五号条約の調印はしているでしょう、日本は。
○阿部説明員 まだ批准いたしておりません。
○大原委員 いや、調印はしているんですよ。
○阿部説明員 ILO条約は調印ということはないのでございます。
○大原委員 調印に当たる言葉は——日本はILOの常任理事国ですよ。ILOの機関として百五号条約を採択したんですよ。採択に参加しているだろう、こういう意味です。
○阿部説明員 百五号条約がILOの総会で採択されましたときには日本も参加いたしております。
○大原委員 その結果については不賛成ではないでしょう、賛成なんでしょう。
○阿部説明員 賛成でございます。
○大原委員 池田内閣の国連外交と、主体性がないということにおいてよく似ている。ILOの総会において採択された百毎号条約の解釈についていまだに疑義を提示するようなことは、その民主的な機関に参加しておりながら、私はこれを理由にして延ばすということはきわめて不見識なことだと思う。これは労働大臣だと思うけれども、労働大臣いかがですか。
○石田国務大臣 そのときの採決の具体的な事情について一々は承知いたしておりませんけれども、しかしほかの条約等につきましても、条約の大体の方向というものについて賛成をして議決しても、その言葉の内容というようなことの点については、あとでいろいろ解釈や議論が分かれるのは、日本の国内における法律等におきましても同様であります。そしてそういう場合においては、日本の場合は最高裁の判例というようなものが、解釈の最終的決定機関になるわけでありますが、国際関係の条約等については、やはり国際間の一致した理解というものを確かめておく必要があるので、私は必ずしも不見識なこととは考えていないのであります。
○大原委員 百五号条約はすでに採択をされているのです。その討論の経過と採択の結果は、はっきりしているのです。それでは端的に質問いたしますが、百五号条約の(d)項については政府はどういう見解を持っているか。有名なんだから知っているわけだ。ILOを知っている者は知っている。ストライキに対する強制労働を禁止している。
○阿部説明員 御指摘の百五号条約の(d)項は「同盟罷業に参加したことに対する制裁」、これについて強制労働を課してはならないという趣旨の規定でございます。これにつきましては審議経過に明確になっておりまして、国は忘れましたが、ある国の労働側の代表から、公共の福祉に重大な影響を及ぼすような争議行為についてその国がこれを禁止しています場合に、それに違反したことに対しまして刑務所労働を課すことができないというような考え方はばかげた考えであるということが、審議経過の記録に明確に載っておりますので、そういう意味の同盟罷業に参加したことに対して刑務所労働を課すということは、この百五号条約の(d)項には反しないという工合に考えております。
○大原委員 私はよく調べてみます。あなたは労働代表がそういう発言をしたと言うけれども、そうでないということを私は指摘しておる。それが一つ。それから私は持っているけれども、何対幾つかで(d)項が討論の末採択された。そのときにその過程において、それは使用者側の方が言った言葉である。それから多数をもって決定した、賛成をした人の意見の中には、その意見は入っていない。あなたは少数意見です。民主主義のルールに従って討論した後に採決した中で、少数意見をとって、そうして(d)項の解釈をそういうふうにこじつけようとすることは国際信義に反する。ILOの精神にも反する。政府を含めて多数決できまっておるのだ。そんなことだったら有名無実ですよ。そんなことはILOの精神をじゅうりんするものであって、そのことは不当である。あなたの答弁を取り消しなさい。
○阿部説明員 このILO条約につきましては、その解釈等は審議経過でもって把握するよりいたし方がないわけでございます。普通の法律のように、この条約につきまして事務当局が解釈を述べるというようなことは普通ございません。従って、われわれはそういう審議経過で特に否定されなかったようなそういう陳述をつかまえて、この条約を解釈いたしておるわけでございまして、今私が申し上げましたことは間違いないと信じております。
○大原委員 どこの労働代表が発言したのですか。
○阿部説明員 私の記憶では労働代表と思っております。
○大原委員 私は違っていると言うのだから、その点はしっかり調べなさい。 私が言っているのはこういう意味です。もう一回言っておきますよ。民主的な討論の後に採決するわけです。労・使・政府がおるわけです。結果的にはどちらへ多数の国の政府が加わるかということによってきまるのです。国際的な一つの条約の内容がきまるのです。そのときに使用者側が少数意見を保留したからといって、その条文の内容には変わりはないのです。あなたのような発言を労働代表がするわけはないのですよ。常識で考えてみなさい。その点は水かけ論になるから、あなたは調査をしなさい、私も具体的に指摘します。 それからこの百五号条約に関連してまだたくさんあるのですが、これは権利に関する条約の関連で最後に一つ……。 ILO条約の二十六号条約は最低賃金の条約である。これは政府も業者間協定をもってこれにかえようとしておる。条約の批准自体については私も賛成だ。しかしこの問題は一つの問題だ。 それからもう一つ、去年のILOの総会と本年のILOの総会で非常に大きな問題となっておるのは、時間短縮の問題なんです。一週間四十時間に努力するということの決定と一緒に、四十八時間以上は直ちにこれはやめるということです。四十時間の決定に努力するということ、そうしてことしのILOの総会では、勧告として、レコメンデーションとしておそらく採択されるであろう、こういわれておる。それについては各国とも政府の代表を含めて積極的な意見をはく人がある。日本の政府は昨年のILOの総会においては、四十時間労働に向かって具体的に方策を立てて努力をするという、漸進的に努力をするという決定に賛成をしたか、反対したか。ことしの総会においては労働時間短縮についてはどういう態度をとるか。この二つの問題について、特に後者の問題は石田労政の問題であるから、石田労政の基本的な考え方をお伺いしたい。
○石田国務大臣 この条約の審議その他についての経過、理解は、あとで出席をいたしました大島基準局長からお答えをいたします。ただ私の理解では、四十八時間という規定をやめるという議決はない……。
○大原委員 いやそうじゃない、四十八時間以上はやめる……。
○石田国務大臣 四十八時間労働という——四十八時間はいいわけですね。
○大原委員 それはいいです。四十時間を目標に努力する……。
○石田国務大臣 それはわかっています。それで私どもは時間短縮の問題については、基本的にわれわれはあらゆる努力を払って労働時間を短縮していくということが望ましいことだ、こういうふうに考えております。従ってそれに向かってわれわれあらゆる努力をするということには同感でありますが、その時間短縮の努力はやはり生産性の向上に伴って行なうべきものだ、漸進的に、着実に行なっていくべきものだと理解をいたしております。従って今度の総会にそういう提案をされた場合、政府はどういう態度をとるか、基本的にそういう考えでございますけれども、日本の現在の段階における労働時間の状態、生産性の向上との関連、さらにそこに提案される条約案の具体的内容というものを見た上で決定をいたしたいと思いますが、考え方はただいま申し上げた通りであります。
○大原委員 労働時間の問題は国際的にもずいぶん議論された問題で、四十時間を目標としてやるという国際的な一つの約束がある。私は時間短縮とか最低賃金、日本の賃金構造の問題、その中における業者間協定の問題等について、詳細に討議するつもりだったのです。そこで一つ日本の労働者の権利と生活がどのような状態にあるかという客観的な資料を中心として討議するはずでした。しかし遺憾ながら時間がないので申し上げておきますけれども、日本の経済成長は、国民所得の増大、工業力の増大は戦前の三倍です。しかし実質的な賃金は、政府の統計によりましてもほとんど変わっていないのです。労働者の福祉を増大するということが平和の基礎であるというILOの精神からいいましても、日本の労働条件はきわめて低位にある。労働による生産性の成果を分配する際に、やはり時間で分配する際もあるいは賃金で分配する際もあるだろう。しかしそれらを総合して考えた場合に、計数的にきわめて低位である。だから今の労働大臣のそういう簡単な、紋切り型の御答弁、これは私は全然了承できない。だから最低賃金の問題、賃金の制度の問題、あるいはILOの時間短縮の問題、国内における態度あるいは権利に対する考え方、そういうものをILOや憲法を基礎といたしまして、さらに私は具体的に政府の施策について追及することが、お互いに日本のあるべき姿やあるいは国際場裏における日本の信用を高めるゆえんである。東京のガット総会でもいろいろと批判をされている。これが平和に役立つ、国連中心主義の一つの中身であろうと私は考えます。従ってそういう問題点についてはたくさんの問題があるから、質問を保留をいたしておきます。 以上をもちまして終わります。 ————◇—————
○山本委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 医療に関する件について、明後十六日午前十時より日本医師会長武見太郎君及び日本歯科医師会長河村弘君を参考人として意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 この際暫時休憩いたします。 午後零時二十八分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕