公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第9号
- 発言数
- 139 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/06/07
会議録
○竹山委員長 これより会議を開きます。 まず、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。 今国会は明八日をもって終了いたしますが、本委員会といたしましては、院議をもって付託されております公職選挙法改正に関する件につき、議長に対し閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹山委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 次に、閉会中の委員派遣についてお諮りいたします。 ただいま議長に申し出ることにいたしました案件について、院議による付託があり、閉会中の審査を行ないます場合、委員を派遣して実地に調査する必要があろうかと考えられます。この際、議長の承認を求めたいと存じますについては、これの諸般の手続はあらかじめ委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹山委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。 ————◇—————
○竹山委員長 次に、参議院提出、昭和三十七年における参議院議員選挙の選挙運動等の臨時特例に関する法律案を議題とし、審査に入ります。 質疑の通告があります。順次これを許します。田中武夫君。
○田中(武)委員 大臣が見えるまで、提案者に先に一つ御質問いたしたいと思うのです。 昭和三十七年、すなわち、来年度に行なわれる参議院の通常選挙にのみ適用する法律案を出してこられたわけですが、そういう必要がどこにあるのか、まず、それをお伺いいたします。
○石原参議院議員 昨日提案理由を申し上げました際に申し述べたわけでございますが、私から申し上げるまでもなく、今の公職選挙法につきましては、選挙運動の実際面その他等について、すでに従来から、いろいろ施行の結果にかんがみまして、相当改正の意見が出ておることは御案内の通りであります。ことに、参議院は衆議院と異なりまして、選挙区も非常に広いのであります。それから、全国区というような特別の組織等もございまして、従来から論議されておりました大体煮詰まっておりまする問題点、それから、一昨年選挙制度調査会の答申等がございました少しでも合理化される方向へ近づけたい、しかし、抜本的な改正につきましては選挙制度審議会等で検討ざれるのでありますから、そういうことで、公職選挙法の改正としないで特に臨時特例という形をとりまして、来年の参議院選挙に適用していこう、こういうつもりで提案しております。
○田中(武)委員 今提案者が言われたように、参議院選挙は衆議院等と違って選挙区も広い、従って云々ということでありますが、そういうことであるならば、公職選挙法一本でなく、衆議院は衆議院の選挙法、参議院は参議院の選挙法というようにやった方がいいのではないかと考えるわけなんです。ただ、公職選挙法という一本の法律がある、しかも、今提案者も言われたように、今国会において成立を見ました選挙制度審議会法ですか、これによって根本的な選挙制度について考えていこう、こういうときに、何がゆえに来年の選挙だけに特別に適用する法律を作る必要があるか、こういうことをわれわれ疑問に思っておるわけなんですが、重ねてお伺いいたします。
○石原参議院議員 今度できました選挙制度審議会は、私から申すまでもなく、選挙制度全般にわたりまして抜本的ないろいろのことが審議されると思います。しかし、すでに今まで、今回提案しておりまするように、はがきやポスターの枚数を若干ふやすとか、あるいはトラックを廃止するとか、特に参議院のような選挙区の広い場合にはどうしても連呼を復活してほしいとか、こういう技術的といいますか、選挙運動を中心としたこういう面につきましては、これだけの改正を特に選挙制度審議会で引き抜いてやるというようなことは、言うべくして実際問題としてなかなか行なわれないのではなかろうか。ことに、衆議院選挙のこの前の選挙の前に、各派でいろいろこういうことを検討されましたけれども、とうとうまとまらなかったというようなこともありまするので、明年の参議院選挙には特にこういう点を抽出しまして、今回提案したような次第でございます。
○田中(武)委員 提案者の御答弁によると、提案者のお考えは、選挙制度審議会ができてこれから根本的なことについて検討し、その答申等を待って公職選挙法を根本的に、抜本的に変えていこう、こういうことがあるが、来年の参議院通常選挙までには間に合わない。だからこれだけ別にやるのだというお考えのように受け取りますが、そうでございますか。
○石原参議院議員 間に合う間に合わないは別にいたしましても、抜本的な問題は各選挙に通ずる問題でありますから、選挙制度審議会の結論を待ってやらなければならぬとわれわれ考えております。ただ、今申し上げましたように、選挙運動の技術的と言うと言葉が変でございますが、先ほど例示しましたような問題は、大体長く論議されまして、一応煮詰まったような形になっております。来年行ないます選挙についてどういう形で行なわれるかということは、やはり参議院は、来年の選挙がすでに予告されておるというか、すでにきまっておるのでありますから、どういう形で行なわれるかということは、各候補者になろうとしておる人は相当前から心組んでいなければならないだろうと思いますので、今度の国会で改正をお願いしたい、こういうわけであります。
○田中(武)委員 だから改正をお願いしたいということであるならば、公職選挙法の改正というのが筋だと思うのです。しかも、御承知のように、公職選挙法は、昭和二十五年四月十五日法律第百号によって施行せられまして以来、十何回の改正が行なわれておるわけです。その改正を一々調べてみますと、今回の特例法に出てくるよりか少ない点を改正しておる例もあるわけであります。しかるに、なぜ選挙法を改正するという方法をとらずに、こういった特例法というものを特に出してこられたか、この点についてお伺いしておるわけであります。
○石原参議院議員 選挙法の改正でいこうという考えも、もちろんあったわけでありますが、しかし、いろいろ考えますと、選挙制度審議会で抜本的な改正が行なわれることになるわけでございますから、そこで、今回は特に来年の選挙にだけ一応使う特例法という形で出して、選挙制度審議会の答申とは別に——ここでこういうことを申し上げる段階かどうかわかりませんが、今回のこれが制度審議会の答申その他を拘束しないで、自由な立場で選挙制度審議会が答申できるように、そういう考え方から今回は特例法という形をとったわけでありまして、田中委員の言われますように、もちろん、選挙法の改正でいくという考え方も一つでありますが、私の方で特例法という形をとりましたのは、今申し上げたような趣旨からそういう形をとったわけであります。
○田中(武)委員 結局、この特例法が成立するならば、選挙法の中のこれに該当する条文が変わるといいますか、少なくとも三十七年の通常選挙では適用にならない、こういうことになるわけです。あなたのおっしゃるような特例法でやらなくとも、基本である公職選挙法の改正、このことによって同じことになるのではないか。それならば、こういった特例法を作るというようなことでなく、参議院の方でお考えになるならば、あなた方が提案者となって、議員修正として改正案を出してこられるということも普通のやり方であるし、また、その方が望ましいのではないかと思うわけであります。 そこでお伺いするのですが、これは三十七年の通常選挙だけでございますので、この法律が成立後通常選挙までに、かりに参議院の地方区等で補欠選挙が行なわれるような場合、あるいは三十七年の通常選挙が終わったあとで参議院の地方区等の補欠選挙が行なわれるような場合、そういう場合はどういうことになるのですか。
○石原参議院議員 これはいろいろ議論があったのでございまするが、全く臨時特例だという形を強く打ち出すために、明年行なわれまする通常選挙と、そのとき同時に行なわれまする全国区の補欠選挙がございますが、それだけに適用する。でありまするから、その前に、あるいは極端な例をとればそのあとに地方区の補欠選挙がありました際には、現行の公職選挙法が適用されるというきわめて変な形になる場面もございまするが、そういうことがあり得ると考えております。
○田中(武)委員 この公職選挙法の改正という格好でおやりになるのと、今のような特例法ということでおやりになるのとの違いは、私の言っておるこの案が成立いたしました後、及び基本的な公職選挙法の改正までの間に行なわれる補欠選挙にどっちが適用せられるのかという点が、公職選挙法の改正という格好でくるときと、今のような特例という格好でくるときとの違いだろうと思うのです。そのことについて、提案者自体は、変な格好になるということをみずからお認めになって、これを出しておられる。こういうことがかりにいいとするならば、あえて通常選挙だけでなく、その前後に行なわれるような補欠選挙も、ないとは言えないのです。大てい一つや二つはあり得るわけです。そのようなときにおれたちだけはこれでやる、しかし、補欠選挙でやる人は原則に戻っておやりなさい、こういうことになるのです。そういうことでいいのでしょうか。それよりか、こういう趣旨をむしろ公職選挙法の中に入れてこれを改正する、そうするならば、おっしゃるような変則なことが起こらずに、この案が成立いたしましたあとは、参議院地方区等については、補欠選挙も通常選挙も全部同じような方法によって行なわれる、その方が選挙の公平という立場等からいいのじゃないですか。
○石原参議院議員 変な形になるのは、七月より前の場合はいいといたしまして、あとの場合がちょっと問題だろうと思うのでありまするが、たびたび申し上げまするように、制度審議会ができて抜本的な改正が行なわれようとしている際でありまするから、全く臨時特例であるという趣旨を強く打ち出したいというつもりでこれをやったわけであります。それで、私どもの念願しておるところでは、やはりなるべく制度審議会が早く結論を得て、選挙法全般についての改正が一刻も早く行なわれるということを期待しておるわけであります。地方区の補欠選挙というのは、そうたびたびはないのでありまして、七月以後かりにそういう事態があっても、できればそれに間に合うように、なるべく早く制度審議会で検討もしていただきたい、こういう意味で、きわめて例外的な場合を予測して今回の特例法にいろいろなことを書くということは、少し繁雑になるのじゃないかということで、七月の選挙一本に特例を限定したような次第であります。
○田中(武)委員 七月以後についてはそういうことですが、以前につきましても、かりにこういう方法がいいということであるなら、同じ参議院の議員となるべくやる選挙です。従って、これが通れば、同じ方法でやらすというのがほんとうの筋ではなかろうかと思うのです。また、あまり公職選挙法をいじるのはどうかと思うのでということなので、少なくとも審議会の答申が出れば、相当広範囲にわたって公職選挙法は改正されるのではなかろうか、こう思うわけです。それでは、とのときにどうせ大きく改正するのだから、現在しておいてもいいのではないか。そうして、答申がそれに合わなければ、また答申に合ったような方法をとってもいいのではないか、このように考えるわけです。 そこで、大臣がおられませんので政府委員にお伺いするのですが、あなた方の立場からいっても、こういった変な特例法というようなことで基本法をはずしていくという行き方は、立法技術から言っても好ましいことではなかろうかと思うわけですが、あなた方の立場からはどうなんですか。
○松村(清)政府委員 私どもは、この公職選挙法をこの際改正されますよりも、むしろ特例法の形でやっていただいた方が、今後選挙制度審議会の答申を得て公職選挙法を全面的に改める関係上、かえって都合がいいのではないかと考えております。
○田中(武)委員 公職選挙法の改正よりかこの方が都合がいいのじゃないかと考えているということならば、なぜあなたの方から出してこないのですか。参議院の議員さんが、自分たちのやる選挙だけについて法律を作ろうというわけです。しかも、それは基本法があるのにそれと違うものを作ろう、そうして、その特例によって本法を適用できないようにしていこう、言うなれば、自分たちの選挙をやりやすいようにしよう、こういうことなんでしょう。それがいいとするなら、あなた方が出していらっしゃったらいいじゃありませんか。
○松村(清)政府委員 私は、この特例法案の内容についていい悪いを申し上げているのではなくて、法の形式について申し上げているわけでございます。従って、政府といたしましては、選挙法の改正は選挙制度審議会の答申を待ってやろうという考えでおるわけでございますが、これは、国会で法律を改正されますことは、政府としてとやかく言うべき筋のものでもございませんので、そういう趣旨で申し上げたのでございます。
○田中(武)委員 ちょっと委員長にお願いいたします。提案者並びに政府委員からはお聞きのような答弁であります。しかし、私は、立法技術からいきましても、当然本法の改正というのが正しい行き方ではなかろうかと思うわけです。従いまして、これに関して法律的な点を伺いたいと思いますので、その専門家を一つ呼んでいただきたい。法制局長官、それで納得がいかなければ、公職選挙法の専門の学者でも呼んでいただきたい、このようにお願いしておきまして、この点は留保いたします。
○竹山委員長 法制局の者はおりますけれども、もし法制局の答弁を必要とすれば、あとでまた参議院の法制局から……。
○田中(武)委員 いや、政府の法制局をお願いしたい。こういうときは政府の法制局でしょう。
○竹山委員長 議員立法ですから……。あとでよろしければ、参議院の法制局長を呼びましょうか。
○田中(武)委員 それでは、そうしていただきたい。 それでは、政府委員にお伺いいたしますが、今回成立を見ました選挙制度審議会設置法に基づく審議会は、いつ発足をし、どういう観点から人選をし、どういうことを諮問し、どういうことについて答申を望んでおられるのか、そして、その結論は、大体いつごろに出るという見通しなんですか。
○松村(清)政府委員 これはむしろ大臣が来られてからお答えした方がいいかと思いますが、私の知っている範囲でお答えを申し上げますと、選挙制度審議会は、まず、御承知のように、きのう人選を内定いたしました。これは各界各層の、選挙について学識経験のある者等を選んだわけであります。正式な発令は後日でございますが、今のところ、この十六日に第一回の会合を開くつもりにしております。 どういったことを諮問するかということにつきましては、その十六日の会合までに政府部内で検討することにいたしておりまして、まだ今の段階では、はっきりしたことを申し上げるまでに至っておりません。 それから、いつまでにということでございますが、これは総理並びに私の方の大臣も国会で答弁されておりますように、できるだけ早く答申を得て、できるならば次の通常国会に法律の改正という形にしたいという気持でおりますけれども、しかし、これは政府の方の気持で、相手は審議会でございますから、審議会の方でそれに間に合うかどうか、その辺のところは、政府としてはっきりわからないわけであります。
○田中(武)委員 そのなるべく早くということなのですが、抽象的な言葉であるので、これが半年を意味するのか一年を意味するのか、はっきりいたしません。しかし、今の御答弁によると、少なくとも、希望としては、次期通常国会にその答申を受けての改正案が提出せられるように望んでおるわけなんです。そうすると、希望通りにいくならば、来年の七月の通常選挙に間に合うわけです。そうでしょう。もしそうでなかった場合は、来年の通常国会において、このような改正ないし特例を設けてもおそくはないのではないか。事は来年の七月なんです。それを一年以上も早い機会に改正しておくという——改正というか、特例を設けておくという必要もなかろうと思うのです。選挙制度審議会に抜本的な答申を求めて、改正が少なくともあなた方の希望では次期通常国会に間に合うように、次期通常国会に間に合うならば、来年の七月通常選挙には当然間に合うわけなんです。なぜ、こういうことについて、あなた方自体がむしろこれを歓迎するような態度をとられているのか、私わからぬのですが、どうなんですか。
○松村(清)政府委員 最後のお言葉でございますが、歓迎する、歓迎しないという事柄ではないわけであります。私ども、別にこれに賛否を述べているわけではございません。ただ、今申しましたように、私どもといいますか、政府としては、なるべく早い機会に選挙法を改正したいという気持はありますけれども、はたしてそれが次の通常国会までに間に合うものだろうかどうだろうか、そこらは今後の事情にもよりますし、その辺のことがありますので、確実な予定は立てられない状態であるような次第でございます。
○田中(武)委員 内容はともかくとして、立法形式として、むしろこういった特例法の方がいいと思っているとあなたはおっしゃっているのでしょう。従って、こういうことを歓迎しておられるわけだ。しかし、あなたの答弁は、できるならばという前提はあるといたしましても、選挙制度審議会の答申を得て次期通常国会に抜本的改正をしたい、こういうことなのです。それならその方でやったって、来年の七月には間に合うじゃないか。かりにその答申が間に合わないとしても、来年の通常国会において、こういう法がいいか、あるいは選挙法改正という格好がいいかは別といたしましても、望んでおられるようなはがきやポスターをふやすとか、トラックを使用しないとかなんとかいうようなことは、そのときしたっておそくないではないか。しかも、提案者が言っているように、大体このことは煮詰まった問題であるとするならば、その内容自体についてはその混乱もなかろうと思うのです。それなら次期通常国会までにやってもいいのではないか、このように考えるわけなのですが、政府当局と——当局といっても局長ですが、あなたと提案者、ともにどう考えておられますか。
○石原参議院議員 先ほどちょっと触れましたように、参議院の選挙は、三年目々々々というふうにもう予定されてきまっておる選挙でありますので、次の選挙がどういう形で行なわれるかということについては、候補者たろうとする人にとっては、若干早目にきまっている方が、心組みといいますか、そういうことで非常に便利であろうと思うのであります。そして同時に、今回の改正については、若干公営の面を一面進めるとか、あるいは選挙運動費用の合理化をはかるとか、少しでも前進をはかろうとしておるわけでございまするが、それらに関連いたしまして若干の予算も伴いますので、できればやはりこの国会で法律を作っておいた方がいいのではないか、こういう気持から今国会に提案しておる次第でございます。
○松村(清)政府委員 私は、先ほどからたびたび申し上げておりますように、内容の問題ではなくて、こういう内容を法律にされるのであるならば、公職選挙法で直されるよりも、法の形式として今提案されておるような形の方が望ましい、こういう趣旨で申し上げておるわけでございます。
○田中(武)委員 提案者は、衆議院と違って、参議院はあらかじめ選挙の時期がわかっておるからとおっしゃるわけです。従って、わかっておるからこそ、来年の七月までは、あるいは補欠選挙等があるかもしれませんが、大きな通常選挙というか、大半の改選ということはないということがわかっておるでしょう。衆議院の方こそ、いつ解散になるかわからないからと言えると思います。ところが、参議院の方は、あなたがおっしゃったように、あらかじめ来年の七月がわかっておるでしょう。しかも、今選挙局長が答弁したように、できるならば次期通常国会において答申を得て改正をしたいと言っておるならば、七月に間に合うでしょう。何を好んでこんなに早く、ことにこういう変則的な立法形式をもってやる必要があるのか、こういわざるを得ないのです。しかも、あなたの今おっしゃった答弁を聞いておると、暗に事前運動ということをあなたは認めるというか、考えておられるような感じを受けるのです。言うまでもなく、公職選挙法の百二十九条では、いわゆる選挙運動の期間として、告示から投票の前日まで以外には選挙運動ができないことになっておる。そうすれば、来年の七月、あるいは六月の末かもしれませんが、参議院の通常選挙の告示があるまでに法律が変わればいいじゃないですか。それをあらかじめ用意しておくということは、暗に選挙の事前運動を認めておられると同じような感じを受けるのですが、その点はどうですか。
○石原参議院議員 理屈のつけ方はどうにでもなると思いますが、今まで長い間、こういう技術的な面についてすら、なかなか意見が一致しなくて改正が行なわれてきていないのであります。ことに今度の選挙制度審議会では、いろいろ抜本的な問題にまで触れて検討されていくわけでありますから、来年の参議院選挙が行なわれますまでにそういう改正が間に合えば非常にけっこうなことでありますが、おそらくなかなか困難なのではないか。そうしますと、みんなが——と言うと、またそうではないという御意見も出ると思いますが、一応最大公約数として希望されておりますこういう事項については、ここでまとめておいた方がいいのじゃないか。また、事前運動云々と言われましたけれども、そういう意味ではないのでありまして、やはりポスターの枚数等がふえますれば、これはその検印その他のことから考えましても、役所としても相当事前に準備が要るのじゃないか。また、候補者たる者は、一体連呼が行なわれるであろうか、あるいはトラックは使用されるのであろうか、こういうことが、やはりできれば早く前からわかっておる方が——選挙の直前になって今度の選挙はこういう形であるということがわかるより、前からわかっておる方が、候補者たるべき人々にとって互いに便宜ではないか、こういう気持から私はこの国会に提案をしておるわけであります。
○田中(武)委員 役所の準備とか、本人の心づもり、こういうことのようでありますが、何もポスターをことしの八月から刷る人はないと思うのです。あるいは自動車の手入れといいますか、選挙用の、かりに今までのようであるならば、トラックの用意を、ことしの十月からやって看板をつける人もないと思うのです。それをやるなら、明らかな事前運動になると思うのです。そうするならば、けっこう次期通常国会で間に合うのではないか、このように私は申し上げているわけなんです。この点、重ねてどうでしょう。
○石原参議院議員 われわれ参議院の関係者といいまするか、同志としては、この国会で成立をさしておいた方がいいという総意で今回提案をしておる次第であります。
○田中(武)委員 来年選挙をやられる石原さんは、(石原参議院議員「来年じゃありません。」と呼ぶ)来年か次の三年先か知りませんが、来年選挙をやる参議院の方々によって、こういうのを、いわば自分たちの来年の選挙がしやすいような特例をあらかじめ作っておくということは、一般の人が聞いても、また、われわれが聞いても少し変じゃないか、このように考えるわけなんです。しかも、先日来の国会の動き等々を見ておりますと、これは政党内閣制としては本来の姿か知りませんが、与党できめたことがすなわち政府の態度になり、政府のやれということが、与党一致してこれを押し切ってくるというような態度が出ておるわけなんです。そうするならば、あなた方の手で、こういう特例法ということではなく、内閣提出という格好でやってもいいんじゃないか、内閣提出という格好でやらなかったのには何か理由があったのではなかろうかと思うのでありますが、その辺の事情があったら聞かせていただきたいと思います。
○石原参議院議員 別に特別理由もございませんが、参議院の各会派でいろいろ検討を長くされてきておったことでございまするし、来年の選挙の特例でもありまするし、これは政府提案より、むしろ参議院立法でいく方が、私どもは適切なのではなかろうかと考えております。それから、与党のきめたことを全部で押していくというようなことをおっしゃいましたけれども、少なくともこの特例法に関する限りにおきましては、長い間各会派といろいろ共同研究しまして、それぞれの会派からもいろいろの意見を出してもらいまして、もちろん意見が合わない点もございまするが、でき得る限り各会派の意見を広く徴しまして、まとまったのが今回の法案でございます。
○竹山委員長 田中委員に申し上げますが、法制局から見えました。
○田中(武)委員 それじゃ提案者に続けますが、この問題につきまして幾らあなたと論議をしても、これは平行線じゃなかろうかと思う。しかし、われわれとして、あるいは国民としてすっきりと受け取るのには、自分たちの選挙のために自分たちが提案者となって法律を作る、こういうことについては釈然としないと思うのです。そこで、願わくば、こういうことはあなた方が意見を述べてむしろ政府にやらすとか、あるいはこういった特例という格好でなく、基本的な公職選挙法の改正というような正道によってやられる方がいいんじゃないか、こういう点を重ねて申し上げておきますが、この点だけをやっておってもあなたとの間では平行線だと思いますから、これでやめます。しかし、あなた方も考えてごらんになって、確かにそうではなかろうかというようなお気持は起こるだろうと思う。起こらなければうそだと思う。少なくとも自分たちの選挙をやりやすいように、あるいは都合のいいように、しかも、参議院がやる。あなたもおっしゃるように、各会派共同でとおっしゃるなら、われわれの方に参議院の方から話があれば、衆議院の方から、むしろ参議院の選挙はこうしたらいいじゃないか、こういうふうにした方が聞こえがいいんじゃないか。あえてこういうような方法をとられたことについて、国民は釈然としない。同時に、われわれとしても、すっきりとしないものが残るということを申し上げておきます。 法制局の第二部長が見えたそうですからお伺いいたします。先ほど来論議をいたしておりますのは、来年の参議院の通常選挙の臨時特例に関する法律、これについてでありますが、こういう方法でなく、むしろ正道ともいうべき公職選挙法の改正という方がいいんじゃないか、このように申し上げておるわけなんです。立法技術の上からいって、この点いかがでございますか。
○腰原参議院法制局参事 立法技術形式につきまして今お話がございましたが、この法律は、第一条にございますごとく、昭和三十七年に行なわれる参議院の通常選挙、それから、この通常選挙と合併して行なわれる補欠選挙ということについてのみの特例でございます。この選挙に関してのみ適用があるという趣旨のもとに、こういう特例法という形をとったのでございます。
○田中(武)委員 とったのでございますって、提案者がとったのだよ。それに対して法制局としては一体どのように思うかということです。
○腰原参議院法制局参事 別に私ども、立法形式としまして、それに対してこういうことはおかしいのではないか、これはもっとこうしたらいいのじゃないかというようなことはありませんので、こういう形を私どもとしてもとったのでございます。
○田中(武)委員 参議院のなにだからとったのでございますと、こういうことなんです。しかし、あなた、法律の専門家として考えたときに、ほんとうに一回だけやられる選挙にこういう特例を設けていくということよりか、その内容はともかくとして——それも、おっしゃっておるように、大体煮詰まった問題だけを織り込んだというなら、本法改正という格好の方がよりシャープじゃないか、正道じゃないだろうか、こう申し上げておるのです。その点についてもう一度お伺いするとともに、こういった、一つの法律の改正という格好をとらずに、臨時措置というか、ともかく一回きりのことに対して、こういう立法例をとった前例がありますか。
○腰原参議院法制局参事 ただいま申し上げましたように、御承知の通り、公職選挙法では参議院の選挙以外にもいろいろ選挙がございます。で、そういうものをまとめてと申しますか、体系的に選挙について規定があるのは御承知のことと思いますが、先ほど申しましたように、事は参議院の通常選挙と、とれと合併して行なわれる補欠選挙、しかも、それが三十七年に行なわれるというような限定でありまして、全体がまとまってできておるものにつきまして、部分的にのみ働くと申しますか、部分的にのみ異なる点が出てきておるのでありますので、この点についてだけ特例を設けまして、その他は公職選挙法の規定が働くように、当然でございますが、そういうような形をとったのでございます。 立法例はどうかというお話もございますが、こういうような、たとえば、ある規定のうちにある条項を読みかえて適用するというような立法例はないわけではありませんで、われわれ通常立法にあたっても、そういうことはときどきいたしております。
○田中(武)委員 ないわけではないというのは、具体的に何に対する何措置法があるか、一つ代表的なものをあげて下さい。
○腰原参議院法制局参事 私、一般的に申しまして、選挙法に関しましては、ちょっとはっきり具体的な名前を覚えておりませんので申し上げかねたのでありますが、今調べて……。地方公共団体の議員の選挙の期日の特例は、やはりこういう形でやっておりますし、それから、そのほかの法律にも、六法全書を見て探せばそういうものはございます。それから、この法律は、規定の適用の読みかえのものとそうでないものもございますが、これと同じものは、そのままはありませんが、各条文ごとについて見ますと、そういう例は間々あると承知しております。
○田中(武)委員 先ほど例にあげられた地方議員の期日の特例というものは、まちまちに行なわれるのがいけないから、一緒に、四月なら四月にかためてやれということでしょう。それとこれとは、意味は違うと思うのです。しかも、この中のポスターとかはがきとかいうのは、公職選挙法の百四十四条ですかに、ちゃんと参議院の場合は幾らと、こうなっているわけでしょう。だから、何もこういう特例ではなくて、これを直せばいいわけです。それ以外のものは、公職選挙法が適用することは当然のことなんです。だから、これは必要なものをこっちに入れて、公職選挙法の改正という格好をとればいいじゃないですか。なぜこういう特例というような、三十七年の選挙だけに適用するものを持ってきたのか。どうもあなたの御説明では納得しかねます。 そこで、委員長にお願いいたしますが、あとで理事会で御相談をしていただきたいと思うのです。公職選挙法というと公法、行政法になると思うのですが、田中二郎さんあたりを一応参考人として呼んでいただいて、こういうことについての立法の形式、それが法律の立法論からいってどうなのか、こういうことについて十分に聞かしてもらわないと、われわれは、軽々にこのことについて賛否の態度を表わすことはできません。内容はともかくとして、この立法形式であります。その点を委員長にお願いしておきたいと思います。どうです。
○竹山委員長 それは理事会でということですから、理事会でよく相談をいたします。
○田中(武)委員 それでは、その点については後ほど、委員長が今おっしゃったように、理事会において、十分私の納得がいくよう、選挙の学者を——私は希望として田中二郎さんを推薦いたしますが、呼んでいただきたいことを申し添えておきます。 大臣が見えましたので、質問を続けていきたいと思うのですが、先ほど選挙局長にちょっと尋ねかけたところなんですが、大臣にあらためてお伺いいたします。 今度成立を見ました選挙制度審議会法に基づく審議会、これの発足はいっか、その前にやる人選ですが、人選はどういう立場からどういう人を選ぶか、そして、どういうことを諮問し、その結論はいつごろまでに——政府はなるべく早くということですが、具体的に諮問のときには、何月何日まであるいは十月末まで、十二月の末までというようにつけられると思うのですが、答申の期日をどう考えておられるか、その点をお伺いいたします。
○安井国務大臣 選挙制度審議会につきましては、各般の情勢を考えまして、各層の経験者あるいは実務担当者というものから選びましてそれぞれお願いをし、個人的に、今もう内諾を得ている段階にございます。 なお、審議会の発足は、総理がアメリカに行かれます前、今のところの予定では六月十六日に発足をいたしたい、こう考えておるわけでございます。 なお、この諮問事項につきましては、目下具体的に研究中でございますが、主として、あの法律案にございますように、公の選挙に関する制度あるいは罰則とか取り締まり、そういうような点を中心に、でき得る限り早く答申を求める、こういうつもりでございます。
○田中(武)委員 人選の一つの基準というか、それに選挙についての学識経験者、そのように局長も言われたし、あなたも今経験者と言われたのですが、選挙についての経験者ということは、選挙をやってきた者ということなんですか。そうするならば、お互い議員が一番選挙の経験者だと思うのです。ところが、そうでなくて、どういう観点から——この選挙についての経験者という点は、どういうように具体的に解釈するわけですか。
○安井国務大臣 選挙についての経験者と申しますと、まあ行政法あるいは憲法、政治学といったような立場から、選挙制度あるいは選挙そのものに対する学問的な権威者、こういうものが一つ、それから、一般に政治あるいは社会批評家の立場から、この選挙に対して特に関心を持たれておるというような方が一つ、あるいは準法律的な立場から、弁護士あるいはかつてのそういう関係の官吏出身経歴者、もう一つは実務経験者、こういったものを中心に選んだわけでありまして、選挙の体験者という意味からは、なるほど議員の皆さんが一番の体験者でありますが、これは先ごろ成立いたしました法律にもあります通り、特別委員という形で、特別に必要な事項については、今度は純粋の選挙そのものの体験者、そういう方から特別委員として選ぶ、こういう予定にいたしております。
○田中(武)委員 大臣が今あげられました定義から見ますと、これはすべて選挙制度についての学識者だと思うのです。と同時に、実務者だ。従って、選挙についての学識経験のいわゆる経験という点においては、その基準に合わないのじゃないか。このように考えるわけなのです。選挙についての学識経験者、こういうことで、選挙の経験者というのは実務の経験者である、こういうように答弁の中から私は推測するのですが、その選ばれましたメンバーの中に、選挙をほんとうに自分がやったという経験を持つ人が何人おりますか。
○安井国務大臣 一人あるいは二人ぐらい、かつて古い経験者はおられるかもしれませんが、ここで選びました標準は、そういう第三者としてこの選挙に関する造詣の深い人、あるいは知識の広い人、こういう人を中心に選んだのでありまして、法律でもきめてあります通り、議員さんは別個の角度から別に特別委員としてお願いする、いわゆる選挙の体験者はそういう特別委員という形でお願いする、これは法律にもそのように規定されておるわけであります。
○田中(武)委員 私は、公正な第三者的な立場から選挙制度はいかにあるべきか、こういうことについて答申をする人だから、現に選挙をしようという野心のある者、あるいはすることがきまっている者はいない方がいいと思うのです。しかし、あなたの答弁あるいは局長の答弁が、選挙についての学識経験者と言われるから、お伺いしているわけなのです。だから、こういうことでなくて、選挙についての学識と、その選挙事務の経験者ということだと思うのですよ。その点、訂正をしてもらう必要があるのじゃないかと思うのです。
○安井国務大臣 あるいは厳格な言葉をもってすれば、今のお話のようなことに相なろうかと存じます。
○田中(武)委員 そこで、答申がいつごろまでに出せるかというと、これはおそらく諮問のときに期限を付せられると思うのです。大体いつごろに考えておられるのですか。
○安井国務大臣 この諮問につきましては、今度委員に御内定をいただきました方の御意向をでき得る限り尊重するつもりでございます。そこで、政府としては、可及的すみやかにというように考えておりまするが、実際いつごろまでにというようなことにつきましては、あらかじめ政府で注文をつけてしまうのはどうかと思われますので、これは追って諮問を出しますに際しまして、よく委員の方々の御意向等も承った上で政府の希望も申し上げ、大体の見当をつけたいと思っております。
○田中(武)委員 先ほど選挙局長が、できるならば次期通常国会に、答申の上に立った改正案が出せるようにということを言われた。ちょうどあなたがお見えになる前に論議をしておったわけなのですが、もしそういうことであるならば、来年の七月の選挙なのだから、次期通常国会に公職選挙法の改正ができるならば、あえてこういった変則的な特例法というようなことでやらなくてもいいじゃないか、こう申し上げておったわけなのですが、大臣はどうなんです。
○安井国務大臣 御批判としてはそういうようなことも考えられると思うのでありまするが、政府としまして、絶対に間に合うということは、やはり審議会の委員の皆様の御意向も承り、そうしてやるのでなければいかぬと思います。審議会の自主性もできるだけ尊重していきたいと思いますので、それに対しまして絶対こうだと政府がきめてしまうわけには参りません。そこで、議員さんの方で、国会で御審議の上お運びになることにつきましては、政府として、あまり立ち入ってかれこれ言う筋のものじゃなかろうと心得ておる次第であります。
○田中(武)委員 大臣は、先ほど、いわゆる諮問事項の中にどういうものを入れるかという点について二、三例をあげられましたが、その中に、選挙のいわゆる区割りといいますか、別表についての答申をするような諮問をせられますか。
○安井国務大臣 あの法律案には、内容にも明記してありますように、選挙の区割りにつきましても諮問をいたすことは、当然あるはずでございます。しかし、これが通過いたします際の衆議院におきます附帯決議というようなものの御趣旨を政府は十分尊重いたしまして、手順をつけて、なるべく手近く、そうして一般から望まれておるものをなるべく早く出すような手順をつけたい、こういうふうに考えております。
○田中(武)委員 そういたしますと、今議題となっておるこの特例法は、来年の七月の参議院選挙のことなんです。従って、次期の通常国会に間に合うならば、この特例法の必要はないのです。これを出すことについて——これは議員立法でありますけれども、当局においても、先ほど選挙局長も反対でないというような答弁があったわけです。大臣もおそらく同じだろうと思うのです。そうすると、来年の通常国会までには答申は出ないものである、こういうことを初めから考えておられるわけですか。
○安井国務大臣 そうきめておるわけじゃございません。でき得る限り、来年の通常国会に間に合わすことができれば非常に好ましいものだというふうに考えておりますし、なろうことなら、そういうことを期待してこの諮問をいたしたいと思っておりますが、やはり審議会自体の自主性も十分尊重しなければなりませんので、今ここで期日を明確にするわけには参らぬ、こういうわけであります。
○田中(武)委員 同じことを繰り返しておるようなことになるのですが、提案者に本申し上げたのだが、少なくとも来年の七月の選挙だけに適用になる法律なんです。それならば来年の通常国会で十分間に合うじゃないか、こういうように考えるわけです。しかも、希望としては、選挙制度審議会が来年の通常国会に間に合うように答申をし、改正ができることを希望しておられる。そういうことなら、来年の通常国会まで一応お待ちになって、大臣がおっしゃるように、審議会の自主性もありましょうから、間に合わないというときになってこれをかりに成立せしめるとしても、来年の通常国会でおそくはないではないか、こういう疑問を持っておるわけなんです。先ほど提案者に毛同じことを伺ったのですが、大臣にも一つ御所見を聞いておきたいと思います。
○安井国務大臣 その点は、一応ごもっともな御議論もあると思います。従いまして、政府としては、今こういった一部修正だけを、政府が取り上げて出す予定はいたさなかったわけであります。いろいろな問題を含めまして、審議会の意向を諮った上で、全体的な改正案を作りたいという意向でございますが、やはり議員として、これは政府の希望的観測にすぎないんじゃないかというお立場から、特に特別の時期のきまったものについてお扱いになる、これは議員及び国会としてお扱いになるということになりますれば、それに対しまして政府がとやかく言う筋のものではなかろう、こう思っております。
○田中(武)委員 あなたのおっしゃることはそのままでありまして、なるほど議員が、憲法に定める権限といいますか、これによって議員提案をしてき、その取り扱いを国会がやられることは、政府は関知しないといいますか、そういうことはなるほど形式的にはそのままであります。しかし、現在では与党と政府とはもう表裏一体でしょう。できるならば、そういう希望が強いということなら、しかも、政府自体がそういうことに反対でなければ、これは政府提出とするのがいいのじゃないか、こういうふうに考えるわけなんです。どうもあなたの御答弁を聞いておりますと、何か、国会がおやりになることだからそれは勝手だ、こういうような答弁なんですが、このことについて政府自体は一体どういうふうに考えておられるか。ただ、形式的に、国会がやられることはそれは御自由でございます、政府がとやかく言うことではございませんというのですか。あなたは、自治省大臣として、選挙を管理する担当の責任者だと思うのです。そういう立場から——公職選挙法というものが厳然としてあるわけなんです。それが、かりに今特例を設けようとするようなことの方がいいとお考えになるならば、公職選挙法改正という格好でくればいいじゃないか、こういう議論をしておるわけなんですが、あなたはこれに対してどういうように考えておられますか。そういった形式的な答弁でなく、内容に立ち至って、ことにこういう立法形式についてどう考えておられますか。
○安井国務大臣 今仰せのように、政府としては、こういうふうな部分的な法案をこの際出すという意思はなかったわけでございまして、従いまして、出す用意もいたしておらぬわけです。しかし、これは政府がそう希望しても実際上どういうようになるか、もしわからない場合には非常に差し迫っては困る、そこまできまらなくちゃ、いろいろ準備の都合やその他で困るという御意図の上だろうと思いますが、こういうふうな御提案をなさったことにつきましては、私ども、これをとやかく言う筋ではない、こう考えておるのであります。 また、立法の形式につきましては、いろいろこれは御議論もありましょうが、それはまあ形式の問題でありまして、こういった例も今までも間々あるということでございますので、私どもは、この形式まであれこれ批評をする筋ではなかろうと思っております。
○田中(武)委員 先ほど同じことを提案者の石原さんともやりとりしたわけなんですけれども、この点についてはやはり平行線になろうと思いますので、これ以上お尋ねしないですが、ただいまおっしゃったように、政府としてはあまりこういう格好で出てくることは好まないといいますか、考えていなかった、そういうことだけははっきりと言えるのですね。
○安井国務大臣 政府からこういう形式で出す意思は持っておりませんでしたということだけは言えます。
○田中(武)委員 政府としては持っていなかったが、参議院の議員さんがこういう法律を作ろうとおっしゃるならやむを得ない、こういうことですか。
○安井国務大臣 やむを得ない——言葉のニュアンスはいろいろございますが、やむを得ないといいますか、そういうことであろうと存じます。
○田中(武)委員 じゃ、その点はその程度にして、次に質問を進めていきたいと思うのです。 先ほど提案者にもちょっとそういう点に触れたわけなんですが、こういう特例を、今国会で一年以上先にきめる必要があるのか。私は、もし公職選挙法の改正ができなければ、来年の通常国会にこの特例をやってもおそくないではないか、こう申し上げた。そうすると、心準備とか、いろいろ必要だ、こういうことなんです。そう言う言葉の裏には、一年前からそういう心組みが必要だということは、暗に事前運動ということについて考えておられるという感じを受けるわけです。そこで、事前運動のことについてお伺いしたいのですが、大臣も御承知のように、百二十九条には選挙運動の期間がはっきりと明確にせられており、二百三十九条では事前運動に対しては罰則をもって臨む、こういうことになっておるのです。一体、事前運動というものはどういう解釈なんですか。
○安井国務大臣 この事前運動の範囲とか内容につきましては、これは非常にむずかしい技術的な問題もあろうと思いますが、およそ常識をもって、買収とか供応に当たるようなもの、あるいは非合法の文書活動に当たるもの、こういうような形のものは事前運動として十分に取り締まられるべきものであろうと考えております。ただ、選挙が、たとえば来年の六月なり七月なりにあるということを予定されております場合に、それを全然意識なしに白紙でおれということは、これはおそらくどなたにとっても無理なことであろうと思います。それを、そういうふうにいろいろ心準備とか、そういうようなものがあるといたしましても、これが直ちに事前運動になるというふうには私ども考えておりません。
○田中(武)委員 少なくとも一年前から心準備をする必要があるということで、先ほど提案者の石原さんは、ポスターとかはがきとかいうものがふえるなら、そういう気持も心には必要だ、こういうことですが、何もことしの八月からポスターを印刷したり、はがきを印刷したりするわけじゃないでしょう。それなら来年でもいいと言っておるのですが、それはともかくとして、事前運動というのがあいまいだと思うのですよ。たとえば、現役の国会議員が国会の報告をやる、こういう場合は事前運動になるのですか、ならないのですか。
○安井国務大臣 私は、純粋の意味の国会報告活動をやられることは、事前運動にはならないと思っております。
○田中(武)委員 大体事前運動の期間、参議院のような場合は、はっきりと来年の七月なら七月ときまっておる、われわれの場合は、その日にならぬとわからぬというのがほんとうだろうと思うのです。大体いつごろ解散とは新聞等で書きますが、紫のふくさを見なければきまらないわけです。そうするならば、その前日まで、国会議員としての国会報告等は別に選挙とは関係なくやれると思うのです。しかし、それに対して選挙管理委員会等からとかくの電話がかかってきたりした例があるわけなんですが、そういう点についてはどうですか。
○安井国務大臣 これはそのときのケースによって判断してやりましょうが、たとい期日の前日でありましょうとも、純粋の意味の国会の報告演説会、あるいは純粋の政見発表会というようなものにつきましては、これはみだりに事前運動とみなすべきものじゃなかろうと思っております。しかし、それが過度にわたって、いかにも人目を引くようなポスターが、期日の前日まで張りめぐらされておるとかなんとかいうことがあれば、これはまた、常識上、注意があるような場合もあり得るかと思います。これはそのときのケースによってでなければ、一がいに判断できまいと存じます。
○田中(武)委員 そのために作ったポスターじゃないわけです。国会議員として、休会になればいつでもやるために、国会報告のポスター等は、期日と場所を空白にしたやつを作っておく。それを、去年の十一月の衆議院の総選挙に例をとれば、八月、九月ごろに、数枚張ってはその地区において国会報告をやったわけです。そのポスターについて、兵庫県選管は、実は私も勧告を受けたわけですが、云々というようなことを言ってきたのですが、あなたの今の御答弁に関する限り、こういうことは差しつかえないと思う。私も差しつかえないと思っている。その点については、選挙を管理する責任ある立場のあなたとして、はっきりとした明確な線を引いておいていただかないと困ると思うのです。そのために、事前運動でなかったが、いや県条例の違反とかなんとかいうような、つまらないことを言ってきたこともあるのです。そういう点についてはどうでしょう。
○安井国務大臣 これは個々のケースに当たってみませんと、簡単なお話だけでどうという御答弁もいたしかねるかと思いますが、県条例等で、張るべからざるところを指定してあるところへ張った場合に、そういうものの違反でとがめられる場合もあるかと思います。また、一方、そういうことに対する限界がややあいまいであるということも、今日の選挙法上言える点もあろうかと思います。こういう点につきましても、今度の審議会で十分具体的に御検討いただいて、できる限り明確にしたいと考えております。
○田中(武)委員 もう一度確認しておきたいのですが、選挙が近くあるであろうという予想の上に立って、そのために日時、場所等まで入れてしまったビラを、五里も十里も離れたところへ張るというのじゃないのです。常に場所あるいは日時は空白にして、そこへ日なり場所を記入するようにしてこしらえておる、三年も前から。それをそのつど国会報告ということで国会議員がやるのは、これはむしろ義務じゃなかろうかと思う。しかもそれは八月、九月ごろにやっておる。あれは十一月の選挙で、十月二十四日ですか、あの瞬間まで解散ということはわからなかった。あるであろうということはわかっておったが、解散がいつということはわからなかった。それを事前運動とか、あるいは県条例違反——県条例違反というのは、広告物に関するものは別でありますが、事前運動とかなんとかと、兵庫県の選管が言うてきたのです。私は、国会議員が国会報告をするのはあたりまえじゃないかと答えたのです。それは誤りでないと思うのですが、大臣どう思われますか。
○安井国務大臣 何度も申し上げますように、個々のケースにつきまして、どういう場面がありましたか、具体的な調査によりませんと明確には答えられませんが、一般論として言えますことは、国会議員が国会報告をやられます際に、それが一カ月、二カ月前でありましょうとも、常識の範囲で行なわれております限りは、これは事前運動でないと心得ております。
○田中(武)委員 この事前運動ということについては、解釈がむずかしいと思うのです。選挙があると予定せられる時期、参議院のときははっきりしておりますが、一体そういう時期の何カ月前をいうのか。あるいは無制限に、次期の選挙をやろうと思われる者がやることは、全部事前運動になるのかどうか。いろいろケースによって違うと思うのですが、事前運動に関する最高裁の判例がありますか。こういうものだという判例があれば、一つ教えていただきたいと思うのです。
○河井説明員 事前運動の成立する時期はいつかというお尋ねでございますが、これは判例も学者の見解も一致いたしまして、法定の選挙運動の期間以外の場合の選挙運動はすべて事前運動になるのだ、こういうふうに解釈いたしております。従いまして、別に、六カ月前なら選挙運動が行なわれても事前運動にならない、一年前ならばよろしいとかいうことではないのであります。問題は、それが選挙運動に該当するかどうかということによって決定される問題であろうと思います。
○田中(武)委員 現にあなた方の同僚である与党の代議士の人でも、これは初めての人ですが、次に出るだろうということが二年ほど前からあらかじめわかっておった。そういう人が盛んに、われわれが国会におる間にあき巣ねらい的にずっと回っている、そしていろいろな寄付をする、その人は現実に選挙をやって出てきておりますが、大体次に出るであろうということを一般が認めている人です。党においても、その人は公認になるであろうということがうわさせられておる。そういう人が、一年ないし一年半前からそういうことをやっていることは、明らかに事前運動だと思うのですが、判例で一体どういうことになっておるのか、もっとはっきりとしたものを示していただきたい。あるいはその事前運動についての判例を今ここにお持ちでなかったら、あとでけっこうですが、事前運動に関する最高裁の判例の出た件名とその時期、これを知らしてもらえれば、判例全書を見ればわかるわけなんですから、それを示してもらいたいと思うのです。法務省の方、いかがですか。
○河井説明員 私の記憶いたしております範囲では、先ほども申し上げましたように、この期間以前のものは事前運動にならないというような判例はないのであります。問題は、要するに、選挙運動になるかならないかということによってきまる問題でございます。そういう判例はたくさんございますから、いつでもお知らせいたしますけれども、ただ、それでは御質問の趣旨には沿いかねるのじゃないかと思います。これまでの期間行なったものは事前運動にならないが、ここからはなるというような判例にございません。問題は、選挙運動になるかならないか、今御指摘のような点が選挙運動になれば、それは選挙運動期間中以外の選挙運動でございますから、当然事前運動の罪を構成する、こういうふうになっておるのでございます。
○田中(武)委員 百二十九条ですか、いわゆる選挙期間以前の選挙運動は全部事前運動である、これは今あなたのおっしゃる通り、法律はそうなんです。しかし、そのことに関して、大臣も、今それぞれのケースを見ましてと、こうおっしゃっておる。なるほどそうだと思うのですが、全国の選管が一つの基準を持っていなければならぬと思うのです。あるところでは、そういうことにとかくやかましく言う、あるところでは、そんなことは別に言わない、そういうことが多いわけなんです。そういうことが結局最後に裁判所にいった場合に、裁判所においては、そういうことは問題にならないと思うことでも、選挙中あるいは選挙の直前あたりに電話がかかってきたり、勧告が出たりしますと、選挙にじゃまになるのです。だから、これは大臣にむしろお願いといいますか、希望し、要求いたしたいのですが、少なくともそういうことについての基準をはっきりとして、全国の選管が、そういう基準の上に立って勧告なり取り締まりをするというような方法、あるいはこれを警察庁とも打ち合わせられて、各警察署が、同じような基準の上に立ってやれるような方法をとってもらわなければうるさくてかなわぬ。幸い、私は、一つも選挙違反というものは今までかつてありませんが、しかし少なくとも文書で速達がきたり、何日までに出向いてくれなんて言われるとじゃまになります。そういう点について、はっきりとした一つの基準を設けてやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
○安井国務大臣 往々にして、ややこの取り扱い者、あるいは地区によって若干の見解の差が生じておったというような例は、絶無とは言えないと思っております。そういう点につきましては、今後十分気をつけまして、審議会の御意見等もしんしゃくし、この次の選挙等からはそういう基準をでき得る限り明確にして、普遍的なものにいたしていきたい、こういうふうに考えております。
○田中(武)委員 次の選挙ですが、次の選挙というのは、衆議院を言っているのか、参議院を言っているのか。参議院は来年七月、われわれのやつはいつになるかわからぬ。それまで大臣が自治大臣でおられるかどうかもわからぬ。あるいはもっと偉くなって、総理になっておられるかもわからない。しかし、あなたが、現在自治大臣として、選挙の総括責任者といいますか、管轄者である。このときに一つの基準を出してもらいたい、こういうように私は申し上げておるのです。直ちにそういうものの立案をして、全国一つの基準をもって事が運べるようにするという用意はいかがでしょうか。
○安井国務大臣 この問題は、いろいろ広い問題も含んでおります。この内容あるいは形式その他の点に含んでおりますので、この十六日から発足すべき審議会の諮問事項の内容にもそういう趣旨を含めたもので御諮問を願い、早期に検討の措置ができるようにはからっていきたいと思います。
○田中(武)委員 そういうことは、選挙がいつあるなしにかかわらず、常に、選挙管理委員会というのは全国府県あるいは市町村にあるわけですから、それが一つの基準を持っておる、あるいはそれが、何年か年が変わってくれば、そのときに変わったような基準を与えるということ、これは望ましいと思う。民主主義は選挙だといわれるように、今この時限においても、日本のどこかで村長選挙をやっているかもわからぬ、あるいは村会議員、町会議員の選挙をやっておるかもわからない。従って、そういうことは早く、少なくとも安井さんが自治大臣のときに——もうあまり時期も長くはなかろうと思うのですが、あなたが在職中に一つ作って出してもらいたい、そういうことを希望いたしておきます。いかがでしょうか。
○安井国務大臣 具体的な問題になりますと、非常に広範な内容を含みますので、私は、やはり審議会の答申を待ってから、全般にはした方が好もしいと考えておりますが、区々の問題で明らかに見解の不統一があるとかなんとかいう問題につきましては、これは十分、その場からでも現在あります規定上の徹底は、今後も大いに普及していきたいと思っております。
○田中(武)委員 それでは、それはなるべく早くそういう基準を与えてもらいたい。そうしないとまちまちになっていけない、そういうことを希望いたしておきます。 次に、お伺いいたしたいのは、これはわれわれよりか、むしろ与党の方に被害者が多いと思うのですが、公職選挙法の百四十八条の二に「新聞紙、雑誌の不法利用等の制限」という規定があり、その前後にこれに関する規定があるわけです。いわゆる日刊紙といいますか、そういうところはそうじゃないのですが、三種の認可をとっているとか、あるいは月に何回とかいう制限があって、それ以上出していなければいけないということになっておりますが、いわゆる地方紙とも言えないような、月に一回か二回かタブロイド判一枚くらい出すというようなところで、名刺広告を勝手にする、あるいはそれで金を取りに来たら断わる、そうすれば、選挙のときにろくなことを書かない、あるいはよく金を出す人のことは報道する。これがかりにそういうつもりはなかったとしても、名刺広告で、一方は、おれの知らぬときに承諾も得ずに出しておるのだからということで一文も払わない、一方は、金を少し多目に払えばその人の肩を持って書く、また、それを職業としておると言ってもいいと思うのです。その被害者は、むしろ与党の人にも相当多いのじゃないかと思うのです。しかも、その人が、あまり好ましくないけれども、選挙のときに変なことを書かれることをおそれて、あるいは逆に、金をやればいいことを書き、あるいは自分の活動等を新聞に載せるということをあらかじめ予見をして、そして一定量以上の金をやるということになれば、この百四十八条の二の違反ということにもなろうと思うのです。どういう言葉で言ったらいいのか知りませんが、そういった種類の新聞に対しても、一応選挙という立場に立って——選挙をやるからこそ、そういうのにもあまり怒らせたくないというのが、選挙やる身のつらさというのですか、困っていると思うのですよ。一定の基準を与えて取り締まりをする必要があるのじゃないか、私はこういうように考えるのですが、この種の新聞につきましてはどのように考えられますか。
○安井国務大臣 百四十八条ですか、この現在の公職選挙法の規定につきましては、新聞の報道あるいは評論の自由というものは、法律上明らかに、相当広範囲に認められております。しかし、同時に、選挙中に行なわれるそういう新聞の資格に対する規定も、一応は、事前一年間発行を定期的にやったものでなければいかぬとか、あるいは月に何回か出すものでなければいかぬというような規定もあるわけでありますが、それにしましても、相当広い報道、評論の自由というものが、公職選挙法では認められておるわけでございます。従いまして、これはそういった、中央の大新聞以外のいわゆるローカル紙につきましても、ある程度の実績を持った新聞には相当の評論——個人の有利、不利になってもやむを得ないというように解釈のできる現行法になっておるわけでありますが、はたして今、十分にこれが今日の時勢に適しているかどうか、こういう点については、今後やはり十分審議会の御検討の資料にしていきたいと私どもは考えております。
○田中(武)委員 百四十八条の新聞、雑誌の報道及び評論の自由というのは、当然なければいかぬと思うのです。ところが、私の言っているのは、はたして新聞と言えるのかという感じを受けるものなのですよ。それでも本人さんたちは新聞だと思っているのです。記事が三分の一くらいで、しかも、その記事たるや、日刊紙に十日も前に載ったようなものをちょっちょっと書くくらいで、あとの三分の二近いものが広告である、そういうものが多いのですよ。そういうものが、これは公職選挙法の問題かどうかわかりませんが、新聞と言えるのかどうか、私はそこに疑問があるわけです。百四十八条を逆用して新聞ということでやるので、あなた方も、大臣さえも被害者だと思うのですよ。選挙までにそういう新聞が、あなたの名前、自治大臣安井謙と名刺がわりにやって、五千円くらい取りに来やしませんか。ばからしいけれども、これは払わなければめんどうくさいし、うるさいからということで、払っておるのじゃないですか。そういうのをどうするかということですよ。少なくとも選挙法でいう新聞、これはもちろん百四十八条の三項で条件をきめておりますが、これをもう少し考える必要があるのじゃなかろうか、こう私は思うわけなのです。こういうことを言うと、またそういう連中からにらまれるから言わないと思いますが、私はあえて申し上げるのです。これは断固たる考え方を持って臨む必要があると思うのですが、大臣、どうですか。
○安井国務大臣 非常にむずかしい問題だと思います。これも、いわゆる日常のローカル紙につきましてもいろいろございますし、日常のつき合いということで、盆暮れのそういった広告すべてが全部いかぬというわけに参らぬ場合もあるかと思いますが、露骨にそういう意図を持っておるというものにつきましては、これは当然良識的に排撃すべきものだと思いますし、また、これはわれわれの気持でございますが、そういう新聞の扱い自身は、選挙の実態には比較的影響の少ないものじゃないか。現にきょうも傍聴にお見えになっております市川先生は、こういうおつき合いを一切なさらぬ由でございますが、いつも堂々と当選されておるということもあるわけであります。
○田中(武)委員 はばかりながら私もそういうことには出さないという主義なんですが、私の留守のときに来てぐずぐず言う。中には、承知してねらって来るというのがあるのです。そういうのを何かやらなければならぬと思う。あえて暴力は物理的なものばかりでなく、そういうペンの暴力も考えなければならぬ、私はこう思う。それがこの委員会の、あるいは自治大臣の所管であるかどうかは別としまして、たまたま百四十八条に関連をいたしまして——結局、皆さんそうでしょう、選挙をやるからあまりああいう連中の相手にならぬ方がいいというので、どぶへ捨てたつもりで、たとい三千円の金でも出しているのでしょう。やはり選挙に関係がある。だから、この公職選挙法の中でそういうことを考えていかなければならぬのじゃないか、こういうことを申し上げておきます。 次に、百五十条に政見放送の規定がございます。これはNHKでも民放でもやれるわけですが、今日、四軒に一軒はテレビを持っている。しかも、その数軒の中に一軒テレビがあれば、そこにはほとんどのうちの者が寄り集まって、見せてもらっているという実情なんです。ラジオで幾ら大きな声でやってみても、携帯ラジオ等で外で聞いている人は別として、家庭内ではラジオはあまり聞いていないと思うのです。そうすると、もうそろそろ政見放送にテレビを考える必要があるのじゃなかろうか、こう思うのですが、大臣はどう考えられますか。
○安井国務大臣 ごもっともな御意見でございまして、こういう点につきましても、今後十分検討して、でき得る限り広く採用するように考えたいと存じます、ただ、費用とか施設の普及度その他によりまして、これが直ちにできるかどうか、もっと具体的に検討いたしたいと思います。
○田中(武)委員 それから、二百二十三条の公職の候補者あるいは当選人の、買収は当然ですが、利害誘導罪こういうのがあります。これもはなはだはっきりしない点でありまして、たとえば、私を当選させてもらうならばこの地方の繁栄のために尽くしますという程度なら問題ないと思うのですが、どこそこの橋をかけますとか、そういうことはこれに触れるのじゃないかと思うのです。ことに、この種の演説をせられるのは与党の諸君が多いのですよ。この利益誘導罪というのは、一体どういう限界を持っておりますか、あるいはこれに対してどういう判例が出ておりますか、一つお伺いいたします。
○河井説明員 お尋ねの点につきまして、御指摘の通り、利害誘導の限界というのは非常にむずかしいのでございます。それぞれの具体的な事案によりまして決定する以外にはないのでございます。この規定の審議の過程におきまして、あるいはその後の学者、あるいは裁判所の判決の内容等を見てみますと、かなり具体的な内容を持った場合のものでなければ、利害誘導ということにはならないのであります。今おあげになりました例の中の、大いに当選後働こうというようなことは利害誘導の範囲に入らない、私どもはさように考えております。
○田中(武)委員 そうすると、具体的にどこそこの土地の堤防をやりますとか、あそこの道路が悪いから直しますとか、あるいはまた、あの学校は私が建てたんだ、こういうようなことを言う人がおるのです。一人の手で学校が建つはずはないのだが……。これはわれわれじゃないのです、与党の人が多いのですが、そういうことをやる。そのどの程度がこれに該当するのか。大臣、どうですか、はっきりと基準を設けておいてもらう必要がある。
○安井国務大臣 おっしゃる通りでありまして、一応の基準はあろうと思います。この全体の土地の繁栄に貢献するとか、労働者階級の待遇を改善するとかいう意味ならよろしいが、お前の月給をこういう方法で上げてやるように運動するとか、あるいはこういう橋をかけたということになりますと、これは明らかに利益誘導になると存じます。
○田中(武)委員 言葉でわかるのですよ。いわゆる一般抽象論としてなら、かまわない。しかし、具体的、個々にわたってはいけない。多分こうだと思うのです。その限界なんですよ。問題は、限界をどこに置くかということですね。これは法律にはあくまで抽象的に書かれておるわけです。そんなに具体的に書けるわけがないのです。法律の条文はものさしですから、このものさしをどう当てていくかというところに問題があると思うのです。そこで、やはり選挙管理委員会あるいは当面の取り締まりをやっている警察、これに一つのものさしの使い方を示す必要があると思うのです。従って、そういう点についても疑問の多い点でありますから、十分考えて参りたい、このように考えますが、どうですか。
○安井国務大臣 今後も十分検討して、これも非常にむずかしい問題でございますが、遺憾のないようにできるだけやっていきたいと思っております。
○田中(武)委員 それから、何条でしたか、示威運動といいますか、車を連らねてやったり何かしてはいかぬという規定がありますね。ところが、いつも与党はやられるのです。ことに総理が来て、この前の十一月の選挙でもあったのです。池田さんが来まして、それからその地区の候補者全体の車をうしろに並べて、しかも、随行か何か知らぬが、総理が来たので、おべっか連中もあるのでしょうが、数十台とまではいかぬが、十数台の自動車を連らねて、それで大きな声で池田総理来たるというようなこと、これは連呼ですよ。それで、前にパトカーがついて走ってくるのです。こういうのは、それに当たるのですか当たらぬのですか。
○河井説明員 今おあげになりました例だけで直ちに結論を出すというようなことは、非常にむずかしい問題でございます。ただ、過去におきましても、そういう自動車を連ねましたような場合に、犯罪になるかどうかということを、あらゆる証拠を集めて検討いたしましたことはございますが、池田総理の場合ではございませんけれども、そういう事例につきましては、具体的な事実に基づきまして、証拠上どのように認められるかということを判断して決定する以外に方法はないと思います。
○田中(武)委員 百四十条、「何人も、選挙運動のため、自動車を連ね又は隊伍を組んで往来する等によって気勢を張る行為をすることができない。」となっているのです。現にやったのです。各総理がやった。岸さんもやったし、池田さんもやった。しかも、パトカーがついて、これは選挙のときでないけれども、石原さんが自治大臣のときに視察に来られて、現に与党の諸君の選挙地盤で回ったのです。あのとき、兵庫県警はパトカーをつけて、七十キロ以上で走りましたね。これは選挙のときじゃないけれども、先ほどの法務省の見解なら事前運動なんだ。この百四十条をどう解釈するのですか。これははっきりしておいて下さい。それでなかったら、何人といえどもというのは、総理大臣も入っていると思うのです。総理大臣が来たときにはいつもやるのですよ。そうでなかったら、そんなことはやらぬというなら、池田さんに来てもらいましょう、現にやったんだから。日も時間もわかっている。それから、そのときに走った車の速さも、私の方は調べています。写真もある。だから池田さんを一ぺん呼んでもらいたいと思うのですが、これをはっきりして下さい。
○河井説明員 自動車を連ねることが、直ちに百四十条違反になるかというお尋ねでございますが、これは条文を見ていただきますとわかりますように、選挙運動のためにやらなければならない、それから、自動車を連ねる、あるいは隊伍を組んで往来する等によって気勢を張るという行為がなければならない。従いまして、選挙運動のために行なうという認識と、もう一つは、気勢を張る行為になるんだという認識と、行為者にその二つの要件がございませんと、百四十条違反にはならないのでございます。従いまして、そういう点の証拠が、今御指摘のような場合に、はたして集まるかどうかということは、捜査上非常に微妙な問題でございまして、そういう点を慎重に検討した結果、そういう事件につきましてはそれぞれの処置がなされておる、かように承知いたしております。
○田中(武)委員 去年十一月の選挙期間、しかも、終盤戦に入ったころ、日は調べたらわかりますが、池田総理が来た、兵庫県加古川市。池田さんの車のうしろに自民党公認の車が三台、宣伝カーを連ね、そのうしろにざあっと乗用車がつくわけです。それぞれの宣伝車は、池田総理とともに、こう連呼している。前にはパトカーが時速七十キロで走っている。これは選挙運動のためである。 あなたに伺いますが、この百四十条は、これは自然犯なんですか。行政上の犯罪でしょう。自然犯と違うんでしょう。行為者に故意を必要といたしますかどうですか。
○河井説明員 お尋ねの点は、もちろん故意が必要でございます。日本の刑罰法規におきましては、御承知のように、刑法三十八条一項は、故意犯を処罰するのを原則といたします。過失を処罰するのは、特別の規定がある以外には処罰しないという規定があります。当然本条におきましても故意犯である、かように承知いたしております。
○田中(武)委員 おっしゃるように、刑法には一般的規定があります。しかし、行政犯につきましては、必ずしも、本人の犯意を必要としない。これは通説ですよ。もちろん、この場合でも、今言っている総理のあれは、選挙運動のためにやっているんだ。それから気勢を張っている。これは故意があったと思うのですが、かりに今あなたが言っているようなことがなにしたとしても、故意を必要としないと思うのです。行政犯の場合は、結果を見て論ずる。この点については、意見が違うようでございますから、これは刑法学者を呼んでいただきたい。小野さんくらいがいいと思うのですが、刑法学者を一つ呼んでもらいたいと思う。なお、総理大臣に来てもらって、そういう事実があるかどうかを確かめたいと思う。私の方でも写真等を持ってきて、総理と対決したいと思いますが、これも委員長にお願いしておきます。
○竹山委員長 よく相談いたします。
○田中(武)委員 それから、寄付行為の禁止というのがありますね。こういうものはどうですか。後援会とか、代理人とか、親族とか、そういう名前を使ってやるわけです。本人の、たとえば安井謙さんの名前は出ていないが、しかし、何野何兵衛ということで、安井さんが金を出したということがはっきりわかるような名前で選挙前あるいは選挙中でもやる行為、これはどうでしょうか。法務省、どうですか。
○河井説明員 先ほどの行政犯に故意を必要とするかというお尋ねでございますが、これは私の承知いたしております範囲におきましては、行政犯については犯意は必要でないという学説をとっておる方は、私は、日本にはない、かように承知いたしております。すべて故意が要るんだ。ただ、その中に、犯意の成立に違法性の認識を有するかいなかという点については学者間に議論がある、さように承知いたしております。判例もそういうふうに解釈しております。 それから、ただいまお尋ねの百九十九条の四の問題で、候補者が知らない間に自分の名前で寄付が行なわれておる、その場合が違反ではないかというお尋ねでございますが、これは、刑罰法規はすべて、御承知のように、個人責任の原則に立っておりますので、意思を通じておる、すなわち、共犯であるとか通謀があるとかいう場合におきましては、もちろん責任を負うわけでございます。さようでない限りは候補者自身が責任を負うということは、意思を通じていない限りは認められない、さように承知いたしております。
○田中(武)委員 第一点の方ですが、違法性の認識の問題で、たとえばツバメを撃ってはいかぬ、益鳥を撃ってはいかぬ。ツバメをスズメだと思って撃った、しかしツバメを撃った、こういう場合でも、結局行政犯では、結果からいってツバメを撃ったということで、これは処罰があるのでしょう。ツバメを撃つという故意がなくても、結果的にツバメを撃てば処罰せられるのでしょう、そうじゃないのですか。
○河井説明員 そこへ参りますと、私は、ツバメとスズメの関係は、法律の規定を今承知いたしておりませんので、はっきりしたことは申し上げられないのでございます。ただ、行政犯の中には故意を必要としない、こういう規定が法律の中に書いてある場合がしばしばございます。税法とかあるいはその他の取り締まり法規とか、そういう場合には、今御指摘のような、別に故意がなくても処罰されるという場合もございますけれども、それは全く例外の場合でございまして、原則はどこまでも故意が必要であるということになっております。それからツバメとスズメの点になりますと、これは刑法学上も非常に議論のございます刑法三十八条の事実の錯誤という問題でありまして、これはもしどうしても御必要があるならば詳しく御説明申し上げることはできるのでございますけれども、ちょっとここでは不適当じゃないかと思いますので、さように御承知願いたいと思うのでございます。
○田中(武)委員 いわゆる刑法論議に対しては、主観論とか客観論とかありまして、いろいろ学説なり意見が分かれておりますが、大体行政犯に対しては、私は結果を見て論じる、こういうことだと認識しておるのです。本人の行政の犯意の認識ということは別として、結果を見て論じる、結果がその行政取り締まり法に違反をしておるとなれば、これはそれで違反である、このように私は認識しておるのですが、どうでしょうか、違いますかね。
○河井説明員 それはおそらく、違法の認識を要するかどうかということをおっしゃっているのじゃないかと思うのですが、犯意の成立には違法の認識は必要でないのだというのが、これまた日本の通説、判例の考え方でございまして、行政犯の場合に、たまたまこれは法律に反していないのだと思ってやった、ところが、法律に反したという場合に、これは、おれは法律上許されておると思ったのに、法律に取り締まり規定があったから処罰を受けるのだという場合は、それは処罰を受けないじゃないか、こういう議論がよくあるのでございますが、法律を知らざるをもって罪を犯す意思がないとは言えないぞ、これが刑法三十八条の規定であります。法律は不知の犯意を阻却せずと学説上は申しております。法律があって、それによって取り締まられておるのだということは、知らなくたって処罰されるのだ、この御議論ではないかと思うのでございますが、故意の成立が必要かどうかという点につきましては、先ほど来申し上げておる通りでございます。
○田中(武)委員 私も、二十五年前のことを考え出しながら今言うておるので、あるいは間違っておるかもわからぬと思うのですが、自然犯と行政犯と、どこか違うはずなんです。しかも、行政犯は、犯意の認識ということを故意には必要としないという、そういう取り締まり法があるということを知らなくても、それは罰を免れないのだ。自然犯の方は、当然そういう禁止事項がなくても、犯してはいかぬということです。人を殺してはいかぬとか、あるいは人の物をとってはいかぬということ、これとは違うのです。従って、行政犯に対しては、そういった結果を見て、それが結論的に取り締まり法に違反しておる場合は、それはその罪を負うのだというふうに解釈しておるのですが、違いますか。
○河井説明員 ただいまの百四十条の点につきましては、先ほど来申し上げましたように、やはりこれは当該選挙運動のために行なうところの行為である、そうして、この行為が気勢を張る行為であるという点について行為者自身が認識しておる、すなわち、犯意がなければ処罰されないのだ、すなわち、たまたまそれが過失行為に基づいてさような結果が発生したというだけでは、百四十条の違反にはならない、さように私は考えております。
○堀委員 今の点、重大なことですので、ちょっと関連して確認をしたいと思います。 一体犯意があるとか、故意があるとかないとかという判断はだれがするのですか。この法規では規定によって取り締まれ、こういうことにあるのですから、判断をするものがどこかに出てくるはずだと思いますが、一体その判断はだれがするのですか。
○河井説明員 最終的には裁判官がするわけでございます。
○堀委員 最終的には裁判官がしますが、この事実があるというふうに認められる場合に、原則的に——この場合、もしわれわれが告発をしなければ検察庁が黙っているというような場合、だれが見ても常識的にこういうことに該当すると思う場合に、その犯意があるとか、故意があるとかないとかということを調べなければわかりませんけれども、しかし、前段においては、まず、告発をしなければ調べられぬと思うのです。そうすると、告発は、こういう外形的な形式が整っておるならば、当然私は、この法律に基づいて——公職選挙法の第七条には、「検察官、都道府県公安委員会の委員及び警察官は、選挙の取締に関する規定を公正に執行しなければならない。」こういうふうにあります。そうすると、この取り締まりの規定は、第百四十条一の規定がある以上は、公正な取り締まりをするということになれば、常識的な判断に基づいて、これに該当することがあれば、それは意思があるないにかかわらず、この法律に基づいて検察官は告発する義務があるのではないですか。
○河井説明員 それはおっしゃる通りでございます。その意思があるかないかということを判断すると申しましょうか、その点の判断をするための証拠を収集することが、警察官なり検察官の仕事でございまして、何も告発がなくても百四十条に反するような事実がありますれば、これは当然、その点についての犯意の有無及び証拠を収集することが司法警察官の責務であり、それに基づいて犯罪を捜査して、犯罪の成立が認められる限りは公訴を提起して、国家刑罰権の発動を求めることが検事の仕事でございます。当然さような手続をとりまして、最終的には、その点について意思があったかなかったかということが議論になりますれば、裁判所がこれを判断するということになるわけでございます。
○堀委員 今おっしゃったことなら、田中さんも言われたし、私たちも眼前に見ておるわけであって、これは大体、法律というものが発動していく場合には、まず、形式によるものだろうと思います。そこも常識的な判断だろうと思うのですが、これは特殊な専門的なものではなくて、だれが見ても一応この行為に該当すると思われる行為については、当然私は、今のお話によって調査が行なわれなければならないと思うのですが、この間の池田さんの問題について、全国的調査が行なわれたかどうかについて承りたいと思います。
○新井政府委員 今手元に資料を持っておりませんから、はっきりお答えを申し上げかねますが、一般的にお答え申し上げます。 形式犯は、原則として警告をしてこれを制止し、さらにそれを繰り返さないようにするということを原則といたしております。また、そのうちでも、何回も反復して悪質であるというものにつきましては、捜査の上、検察庁に送致したものがございますけれども、今あげられました事例に当たるかどうか、私今承知いたしておりません。
○堀委員 これは全国的に反復して行なわれておって、事実わかっておるわけです。ですから、この件について、調査をされた事実があるかないか、次回の委員会までに出していただきたい。 それから、もう一つ、河井さんのお話によって、犯意がないということならばやってもいいのだというような受け取り方をされるわけです。そうすると、犯意があるかないかという問題は、私は、あと非常に問題が起きてくることではないかと思います。こういう形式的なものがそういうことで片づけられるということになると、言うなれば、黙秘権をずっと行使されるとするならば、犯意があるかないか他から推測することができなくて、この場合はその行為者自体の内部的な問題になると思うのです。証拠は何らない。証拠というのは、実際に動いているということだけが証拠であって、それについての犯意を立証することができるかどうかということについては、法律が不備なのかどこに問題があるかわかりませんが、この問題については今後この委員会において徹底的に取り上げて、こういう一国の模範を示す人が、先頭に立って疑わしき行為を——疑わしきは罰せずかもしれませんけれども、疑わしき行為をすることは望ましくないと思いますので、今後も検討したいと思います。
○田中(武)委員 やはりこれは、先ほど申し上げたように小野さん等、刑法学者に来てもらって意見を聞くということ、それから、総理の出席を求めて、その実情を聞くということが必要だと思うのです。そういうことにして、百四十条の論議はあとに回したいと思います。 それから、刑事訴訟法の規定によると、口頭でも告訴できるわけです。それで私、十一月の選挙当時、兵庫県加古川市において、そういう行為が各所において行なわれておるということをあなたに申し上げます。これによって調査してもらいたい。いかがです。
○新井政府委員 ただいま御指摘の事例がございましたから、調べてお答えしたいと思います。
○田中(武)委員 兵庫県加古川市の選挙管理委員会に聞いて下さい。あのときに、私の選挙事務所から警告をしておるはずです。それは、その調査の結果をあとで伺うことにいたします。 次に、先ほどの二百四十八条の寄付の制限違反の件ですが、今法務省のおっしゃるところによると、本人が知らないときにやったのはかまわないのだ、本人がそうせしめたのはというのだが、これもデリケートです。先ほど堀君が言っているように、黙秘権でも使えば何にもならない。こういうことから、やはり私は、結果的に見て、そういう行為が行なわれたということならば違反じゃないか、そうしなくちゃ意味をなさぬと思うのです。従って、この種行政取り締まりというものについては、私の主張している方が正しいのじゃないかというように考えておることだけを申し上げておきます。 それから、時効の点ですが、少なくとも二百五十三条、公職選挙法の違反者の時効ほどばからしいことはない。中には沖縄まで逃げた人がありましたね。逃げ得です。そうして、二年なり、一番多いので四年ですか、たって、時効が完成したら、のこのこ出てくる。この場合、時効の中断という手続は、普通行なわれておるのですかどうですか。
○河井説明員 犯罪事実が認められて、それについて公訴を提起する必要のある事案につきましては、公訴を提起いたしまして時効の中断が行なわれております。
○田中(武)委員 ところが、その本人が出てこなければ事実がわからぬで、公訴できないというのが多いと思うのです。それで、あらかじめ、二年逃げておったらいいのだと広言して、二年逃げるのですよ。あなたも御承知の通り、船を雇って沖縄に行った人がある。こういうことが平気で行なわれておるということは、私どうも解せないわけです。従って、この公職選挙法違反の事案については、時効の完成ということについて特別な配慮が必要じゃなかろうかと思うのですけれども、これは自治大臣の答弁を求めるのが正しいと思うのですが、どうです。
○安井国務大臣 私は専門家でございませんので、個々の具体的事実については答弁いたしかねることもあろうかと思いますが、いわゆる選挙違反に対しての取り締まりは、厳重にすべきものだと心得ております。沖縄へ逃げた人も、結局はつかまったというふうに心得ております。 なお、時効そのものの中断云々につきましては、選挙違反なるがゆえに特別刑を軽くするとか、特別の情状をはからうということは絶対好ましくない、法の前には厳正に扱われなければならぬのでありますが、今度は、選挙違反だけをほかの刑罰よりも非常に重い罰にするというような考え方が、はたして妥当かどうか、そういう点につきましても、十分今後の審議会等で検討いたして参りたいと思っております。
○田中(武)委員 すべて、犯罪者が逃亡するということは常識でしょう。しかしながら、これはむしろ警察当局の方に問題があるのかわかりませんが、殺人なら全国手配、指名手配でやる。しかし、選挙違反で全国指名手配をしておっても、逃げて半年もたてば、忘れられたような格好になっておる。その人も、あまりすぐではちょっと体裁が悪いからというて、どこかに隠れておるのだろうが、次の選挙前ぐらいになると、のこのこ出てくる、二年たったからということで。それが現に候補者の肉親である場合が多い。しかも、それが保守党に多い。そういうことにつきましては、何らかこういった法律で、ただ、起訴した場合に時効の中断を行なうということだけでなく、特別な、時効についての完成を妨げるといったような方法が必要じゃなかろうかと思う。今度の選挙で、全国指名手配をした人が何人逃げておるのですか。
○新井政府委員 ただいままで全国指名手配をいたしまして、逮捕せられていない者が、たしか二十四名だったと思います。
○田中(武)委員 それは全国指名手配で、それ以外で、いわゆる管内指名というのですか、そういうのが無数にあると思うのですよ。現に、私の選挙区において、逃げておる人の名前もわかっております。おるところもわかっておるのです。ところが、それが逃亡したことになっておるのですよ。その関係の議員の名前も、必要ならあげてもよろしい。そういうことについて、警察は、選挙の間はやかましく言って、われわれの選挙をじゃまするような——よく電話で言うてきたり、必要以上に、選挙事務所の責任者に来てくれというようなことがあるのですよ。ところが、それが終わって、逃亡した者については一週間か十日やかましく言っておるが、あとは忘れたような状態が多いのです。そういうことについて、私は、警察というよりか、むしろ法律それ自体で考えていく必要がある、こういうことを思いますので、これは一つ大臣、選挙制度審議会に諮問のときには、そういうことも考えてもらいたいと思います。
○安井国務大臣 この刑罰法規のあり方等につきましては、今度の諮問の際も、十分検討してもらうというつもりでおります。
○田中(武)委員 まだたくさんあるのですが、もうやめておけという声もありますから、この程度にして、委員長にお願いした点については、あとでよく相談してもらって、総理に来てもらったら、そのときのことをこちらもはっきり申し上げます。
○竹山委員長 午前中の会議はこの程度とし、休憩後直ちに理事会を再開いたします。 暫時休憩いたします。 午後一時二十一分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らな かった〕