建設委員会 第31号
- 発言数
- 36 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/05/17
会議録
○加藤委員長 これより会議を開きます。 この際お諮りいたします。 公共用地の取得に関する特別措置法案につきまして審査の慎重を期するため、参考人の出席を求め意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○加藤委員長 御異議ないものと認め、そのように決しました。 なお、参考人の人選、意見を聞く日時等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○加藤委員長 御審議ないものと認め、そのように決しました。 ————◇—————
○加藤委員長 公共用地の取得に関する特別措置法案を議題とし、審査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。 日野吉夫君。
○日野委員 大臣は塗すぐ来ますか。——それでは、政務次官に伺っておきます。あまりお見えでないようですから、よく経過がわからないかと思いますが、一応見解を何っておいて、そのうち大臣が来たら、また聞くことにします。 まず、政務次官に伺いたいことは、これは非常に重大な法律で、二日間にわたって論議がされましたけれども、問題点が非常に多い。総じてこの法律は、一体どっちを向いているのか。前向きになってやっていくというのは池田さんのしばしばのあれだが、この法律はどうもうしろ向きのようです。土地収用法の趣旨は、私権とそれから国家権利、これの激突を調整するために従来役立ってきた。そういう使命を持っている法律なんで、いつでも私権の主張、それから公権の……。
○加藤委員長 速記をとめて。 〔速記中止〕
○加藤委員長 速記を始めて。
○日野委員 大体どっちかというと、ここ数日来指摘されたように、公権力の強化をこの法律は先にし、私権の尊重について、大きく私権を剥奪したその代償として与える私権の方がきわめて少ない。民主主義の時代は、次官もこのことはよく御存じだと思うのだが、民権の尊重されることが一つで、これに背を向けるような方向というものは、これはどうしてもうしろ向きの法律である、こういわざるを得ない。われわれの期待したものとはだいぶ違ったものになっておる。土地取得の必要は、これはよくわかるが、こういう法律の方はどうか。それは憲法でも当然土地の収用は認めますが、これは無条件で認めておるのではない。こういうことで、たまたま次官がここに見えたので、一つ民主主義政治のあり方と法律の姿、これが民主主義の時代に合致する法律としてあなた方は自信を持って出しておられるのだが、この法律案の提案の理由ともいうべき次官のお考えを一つ承っておきたい。
○田村政府委員 この法案に規定いたしますものは、特に非常に大きな公権ということに関する問題でありますから、すべて適用するというわけではございませんので、そういう意味で、決して私権を公権の犠牲にするという概念的な考え方の上に立っておるとは思いません。そういうわけで、決してうしろ向きのものではなくして、むしろ大きな国家建設という建前からいっても前向きのものである、かように考えております。
○日野委員 これはあとでこまかな点は事務当局から聞きますが、政務次官は、それなら公権の強化はこれは別として、私権のどの点を大きく制約し、その代償として何を与えたか、この点をどうお考えになっておるか。たとえば国家公務員法でも、ストライキ権を奪う代償として人事院勧告、仲裁裁定というようなものを与えてこれをやっておる。だから、民権を大きく制約し、剥奪する場合は、その代償として大きなものを与えなければならないはずなのだが、そこらをどうお考えになっておりますか。
○田村政府委員 その点におきましては、たとえば現物補償の強化であるとか、あるいは生活再建対策の実施とか、そういう面において相当擁護されておるのではなかろうか、こういうふうに思います。
○日野委員 これはあとで局長とこまかな問答をしたいと思いますが、あなた方の与えられたと主張される現物補償の問題、これは現土地収用法にもあるのだ。現物補償をするというのがある。しかし、現実には行なわれていない。実例もほとんどない。しかも、被収用者の希望に沿うような現物の支給が行なわれないで——これはあとで補償基準の問題になりますが——何らかの金銭にかえたもので協議の中で支給しているのが実情であります。これを今度法文に掲げた大きな主眼点であると考えるならば大きな間違いじゃないか、こう私は思うわけです。同時に、あなたの言われる生活再建方式というこの規定、これは方向としては是認できるけれども、今のこの規定、地方自治体の長やあるいは権利者と相談して案を作る、誠意を持ってこれをやるのだと言われるけれども、誠意を尽くしたにもかかわらず、これが実施されないというような結果に終りはしないか。この補償の新しい方向を指向する点は認められますけれども、今度の法律でもって土地収用法の規定以上のものを与えられたということには、私はならないと思う。むしろ手続の簡素化に名をかりて期間を大幅に圧縮したり、あるいはいかにも訴権を剥奪するような形でもって民権を圧縮したその代償として、あまりにもこれは小さい、ほんの申しわけのようなものではないか。こう考えられるので、私はそういう意味からも、この法律は決して前向きの民権尊重の立法ではないということを申し上げて、これらの点は逐次事務当局との話の間にやりとりしていきたいと思う。大体政務次官に聞くことはこの程度にしておいて、大臣が来たらもう一度基本的な問題をお聞きしたいと思うのですが、まだ見えないから、一つ局長から二、三の点を伺っておきたいと思うのです。 大体土地の必要性と困難性については、各委員からしばしば論議されたところでございますので、あまり重複するようなことは避けたいと思うのですが、局長、この法律を出して、所得倍増計画とにらみ合わせて十年間に一体どのくらいの土地を取ろうとするのか、どのくらいの土地を買おうとするのか。最近の趨勢からいって、事業費の中で用地費というものが占める割合、年々変わってきていると思うが、これらの事情をまずちょっと伺いたい。
○關盛政府委員 最近の公共事業なり公益事業の実施のための用地が必要とされておる過去の実績等から推しまして、今後の経済基盤の拡充に伴う投資規模の増大からは、相当の規模の用地面積が必要であろうというふうに推測せられるわけでございます。大体まあいろいろな統計がございますけれども、結論的に申しまして、毎年必要とする公共用地は三千万坪をこえるものというふうに推定されております。さらに、過去の実績から見ましても、戦後の土地の需要というものは、一時は戦災地あるいは旧軍用地などもその用地の需要をまかなっておったのでございますが、だんだんとそういうふうなわけにもいかなくなりました。 従って、公共用地の取得の場合におきまする事業費の中で用地費の占める割合は、だんだんと高くなってきております。建設省関係の事業では、大体ここ二、三年間、昭和二十九年度あたりは一一%くらいでありましたのが、三十三年度くらいになりますと一四・五%くらい、特に市街地において実施せられます公共事業等におきましては四〇%程度が用地費に振り向けられておる、こういうのが実情でございます。
○日野委員 今の答弁のように、今後十年間の経済の発展と所得倍増の線から公共用地は膨大なもので、しかも、最近の趨勢から申しますと、これは非常に高い値段で買わなければならないというような事情になって参っております。しばしばこの点が問題になりましたけれども、重要な点が今まで抜けておったと私は思うので、あるいは多少この点は重復するかもしれませんが、公共用地取得の困難な原因をどう考えておられるのか。何がネックで公共用地の取得が困難になっておると理解をしておるのか。われわれは何といっても補償の問題であって、補償の合理化と適正化がない。それから、各地で行なわれる収用協議によるものでもきわめてまちまちで、公平を欠いておる。こういうようなことに根本的な原因があると思うのですが、いろいろほかにも取得困難になった事情は数えられる。こういう事情をどう認識しておられるのか。これがはっきりしないと、結局一つの困難な病気なんだから、これの診断を誤ると処方せんが違ってぐる。どういうことが一番ネックで土地取得が困難になって、こういう特別措置法を出さなければならぬようになったか、そこらをどう認識されておりますか。
○關盛政府委員 土地取得の困難性ということは、これはもう十分御承知の上で御質問されておられると思いますが、いろいろな原因があると思うのであります。一番大きな点は、わが国が、日本の狭い国土にたくさんな人口を包容いたしまして、しかも非常に過去の投資というものがおくれておる。そのおくれを取り戻すためにいろんな産業基盤の整備強化をはかっていかなければならない。そういうことから、いわゆる国土の総合的な開発をいたさなければならない。しかしながら、一方におきましてはまた、今日の産業なり人口なりというものを一定の地域に集まっておるというふうな傾向もありますので、従って、そういう国土の現状から見まして、大きく申し上げますれば全体的な視野に立った計画を進めていく過程におきましては、やはり人口なり産業なりというものが国土の利用面積から見て非常に多いということが一つの根本的な原因だと思います。 しかし、その過程におきまして公共事業というものが実施され、公益事業が実施されておるわけでございますが、その事業実施の立場に当たる人たちにつきましては、公共用地取得制度調査会におきましても一つの方向をつけられたのでございまして、一つは事業計画の合理的な作成ということであります。さらにまた、その計画を十分に関係の住民の方々にPRけるということによって、その必要とするところの事業というものを一つよく理解をしていただいて、適正な補償のもとに、つまり国の立場あるいは国民全体の立場において必要なものにこれを振り向けるという方向で、できるだけ現行の土地収用法の場面においてこの問題を解決すべきものであろうというのが、第一段階における一つのものの見方であったのでございます。しかしながら、それにいたしましても、やはり非常に高い公益性なりあるいは緊急度の高い事業につきましては、現行の土地収用法の手続上の問題点があるものですから、今回の緊急な事業についての特別措置法が出たわけでございます。 そういう意味におきまして、起業者が契約の手段によって実施いたします場合におきましては、あるいは今お話しのようにまちまちな、公平を欠くような起業実施があるというふうなこともあろうと思うのです。ことに、まとまった土地を取得するのに、各被補償者別々に話し合いを進めるということじゃなしに、町村単位によく話し合いをしておるというような例は非常によくいっておるというふうな話も聞いておるわけでございます。従って、制度論から見ました場合と、現実の現行の起業実施の運用面と、両方にわたりまして、予算面におきましても計画面におきましても、両方にわたりましてこの適正な運用をはかることが、公共用地の取得の困難性を打開する一番基礎ではないか、こういうふうに考えておるのでございます。
○日野委員 いろいろ事由は見る人によって違うのでございますが、大体経済の発展とかいろいろの事情で地価が騰貴したということ、それに政府が何ら抑制策をとっていなかった結果非常に高いものになったというようなことは、過般来指摘されているところであります。まあ見方によると、貨幣経済への不信が換物思想になって、最も安定した土地を買っておこうという方向にいっているという点、職業選択等に適切な保障がないので、老後のことを考えて土地を取得しようという者もある。公益に対する一般の意識が低い結果として換物思想になって、こういう土地のせり上がりが激化しておる。こういうことが各方面から言われておる。 もう一つは、これは起業者等にも、従来の建設省を中心とする官庁等にも大きな責任があろうかと思うのですが、工事が非常に大規模になって、従来では考えられなかった大きな規模の工事が行なわれる。そうして、被害者もまた今まで想像できなかった大きな数に上る。そういうことが非常に困難に陥れた原因にもなり、反対運動等を激発する原因にもなったのであります。全国各地域で一斉にこういう公共事業等が行なわれた結果、ますます取得を困難にさせた。しかも、こういう事業が、公益性やその重要性、緊急性などによって補償に軽重、でこぼこを生じたということが、また今日の土地取得を困難にする大きな原因になっておることもわかるのであります。 これを要約すれば、土地収用法に補償基準が明確でないこと、そのために各省が、農林省は農林省、建設省は建設省、通産省、調達庁というふうに、ばらばらに補償要綱というものを作ってやっている結果が、結局、一方では土地収用法の正当補償を基準にこれを厳守してまじめにやっている、一方では金にまかせて高い補償料を払うというような事情が出て参って、今ここでもいろいろ議論になっております。ごね得というようなものまで——ごね得とさえいえば、そんなものを許してはならぬという気持が皆に起こるのでそうなっているのですが、ごねる方にも一つの事情があって、何らかの根拠の上にそういう主張をしているのだから、こういう結果を招来して、今後の公共用地取得に非常に困難を来たしている。こういうことであろうと思う。要約すると、この一番重要な問題は、正当な合理的な補償の規定を持たない土地収用法、それに不統一に各省がばらばらに補償要綱を作って連絡なしにやっているところに、一つの大きな原因があると考えているのです。こういう考え方を認められるかどうか。一つその点を承っておきたい。
○關盛政府委員 今のお話の点は、現行土地収用法において補償基準に関する規定が不十分ではないだろうかという点を一つお話しになっておられます。この点に関しましては、現行土地収用法の第六章の「損失の補償」に関する規定以下、相当詳細に法律といたしましては損失の補償の規定を具備いたしておるわけであります。従いまして、収用委員会が損失の補償を決定いたします場合の基準につきましては、法律事項といたしましてはいろいろな御意見もございましょうが、戦後、昭和二十六年にこの法律が国会におきまして相当に慎重審議されました結果でき上がっておるのでございまして、この条項に関する限りにおきましては非常によく網羅をしておると思うのでございます。ただ、収用委員会が現実の場合におきまして個々の土地、個々の物件につきまして損失補償の裁決をいたします場合におきましては、八十八条等におきます「通常受ける損失の補償」というこの基準の内容等につきましては、さらに従来の裁決を検討の結果、この収用法の「通常受ける損失の補償」の範囲等につきまして、あるいはまたその程度につきまして、これは今後もっと補足いたしまして検討する必要があろう、こういうふうにわれわれは思っておるのでございます。今回の法律案におきましても、公共用地審議会がその一面の任務といたしまして補償基準の検討をしていただくようになっておりますのもそのことでございまして、それはだんだんとこまかいところまで一つの基準を作っていくという作業は必要だと思いますが、全体の体系といたしましては、現行法の体系は補償基準全体の姿といたしましては相当基準を持っておるわけでございます。 ただ、関係各省におきましてそれぞれの事業が予算の実施に伴いまして執行せられる場合におきまして、補償の基準を関係各省が契約の担当者として定められておる要綱を持っております。その点につきましては、この収用法の場面に直接出てこないのでございまして、この収用法の場面に出てこない各省の基準等につきましては、もとよりこれは各省それぞれのいわゆる判断によって、またいいものは取り入れ、できておるわけでございますが、若干違っておる点がありますことは、これはお説の通りでございます。この点につきましては、現在のところ将来の方向といたしまして、これを一元化するというふうなことは、これは建設省だけではちょっと困難でございます。従って、内閣におきましてもこの問題について今後一つのめどをつけるべき方向で検討してもらいたいということを、先般の公共用地取得制度調査会におきましても建議されたような次第でございますので、ただいまの御質問は、関係各省がそれぞれ持っておる補償基準に違いがあるということにつきましては、若干の違いがありますことは、国がやります場合、あるいは電源会社が電源開発法によってやります場合とそれぞれ違っておりますが、それはそれぞれの事業の性格上やむを得ない部面があるといたしましても、できるだけそれは今後一つの方向にまとめられることをわれわれも期待しておる、こういうのが現状でございます。
○日野委員 各省のばらばらを統一する問題は、あとの基準の問題で詳しくまた検討しますが、今はただ土地取得の困難な事情をどう見ておられるかということで、今の土地収用法の補償基準というものは不十分だ。これは十分検討されておると言うけれども、過般の全般の方針について建設大臣から伺った場合も、補償基準が不十分だということで、何とかこれを検討していいものにしようというようなことを言っておられる。答申書でも、答申書の一番あとのところに、補償基準と評価委員会のことが次の課題として残されておる。今やっぱり学者間でもいろいろ問題になっておるのは、この土地収用法の補償基準の決定の仕方だ。もう古い財産権補償の問題以外に、今日規定しなければならない幾つかの問題が出ておる。この収用法の基準の中にはこれは入らない。けれども、実際には何らかの形で、過般ここで岡本君と局長が論争しておる中に、営業権の補償という問題になると、これは入れられないけれども、何らかの形でそれは補償してやる。こういう種類の幾つかの問題が発生しておるので、こういう問題はやがて評価して明確な基準でもってやらなければ、不統一な問題になり、ばらばらな問題になって、これはとても解決できない。こういうことで、今当局者も収用法を使うことを非常にいやがる。収用法というのは、被買収者から見れば、収用法の適用を非常にいやがっておる。だから、そこで協議で話がきまっておるというような実情であるが、これを直さなければならぬ。不十分だということは、もはやいかに局長がここで弁明されようと、これをこのままにして今の日本の経済に対抗させるということは無理だ。ここからいろいろな問題が発生するものだ。これはやがて、今言っておられるように、この次の機会には委員会を通じて検討する。この法案を見ると、建設省の設置法一部改正をやって、ことしじゅうにこれをやろうという意思を明確にしておる。こういう点からやっぱり率直に、収用法の補償基準というものは不十分だという点を明確に認めなければ、用地取得の対策は立たないのじゃないかと私は思う。この点を私はこう考えるが、認めるかどうかということを聞いておる。その点、認めたと解していいのですか。一年間にこれをやろう、こういうのだから、不十分な点があることを認める、こういうことでよろしいかどうか。
○關盛政府委員 ただいまお話し申し上げましたように、現在の土地収用法の運用におきまして、収用委員会が裁決をいたしておりますが、その裁決の中におきまして、一般的な通常受けるべき損失の範囲というもののほかに、例外的に、ただいまお話のありましたような部面についての裁決実例があるわけでございます。しかしながら、この例外というものは、必ずしも例外にとどまるべき補償の範囲ではありませんで、今後土地が非常に狭い国土におきまして、諸般の国民の権利と公益との調整をいたします場合におきましては、その例外的な通常受けるべき損失の補償でありましても、慎重に今後の収用委員会の裁決の基準とすべきものかと思いますので、従って、この現行法に盛られておりますところの内容を整備充実するという方向に向かって、いわゆる補償基準の作成の検討をいたさなければならぬ。こういう意味で、一年間の期間ではありますけれども、今日の事態におきまして即応する、足らざるところを補正をして参りたい、こういうのでございます。
○日野委員 このことは、私は補償基準の問題が一番重大だから、このことについて特に相談しようと思って予定をしておりますけれども、その方向でとくと相談をしたいと思うのでありますが、建設大臣が見えましたから、大臣にこの法律に対する考えを一つ伺っておきたいと思います。 実は三月四日に、私は建設行政の一般方針について大臣に伺った。そのとき、この土地収用、公共用地の取得に関する問題で答弁があった。二、三日前に答申が出た、これを基礎としてとれから立法をやる、立法の構想はこうだ、こういう答弁が出ております。私もこれに非常に期待を持って、進歩的な、しかも法律に詳しい建設大臣の手腕に期待をして待っていたのであります。出てみると、どうもこの法律は、私は今も次官に聞いたのですが、私権と公権の関係においてどうもあまり進歩的な民主政治にふさわしくない、一つの逆コースを持っておるうしろ向きの法律じゃないか。と申しますのは、被買収者の、被収用者の権限に非常に大きな制約を加えている。その反面、それならば何を与えているか。こういうことになりますと、まことに明確を欠くというようなことであって、これは特に公共用地の取得が非常に困難になったからこの法律を作らなければならないという事由がはっきりいたさないので、むしろここまでやるならば、あなたが答弁なすったように補償基準の問題等をあと回しにしないで、この際十分これを検討してこれを規定するのでなければ、意味をなさない。むしろ現行収用法でも緊急裁決の規定があるのですから、これをもって一応やっておいて、補償基準あるいは評価の基準というものを明確にして、安心して土地収用に対応できるような体制をとったところで出していいではないか、私はそう思う。特に国民を刺激してこういう法律を出す。しかも、この法律の全体のあれから見ますと、三カ月後に効力を発生して、そして実施されるが、一年以内に建設省の設置要網を規定を改正して、一年間に調査委員会を作って、それらの問題を十分検討して改正するという臨時法だ。一つの暫定措置である。こういうことならば、むしろ根本的にこれを改めて、そして来年にでもりっぱな土地収用法の基本的改正なり、あるいは今も話していたところですが、今の収用法の規定する補償基準ではこれにあてはまらない新しい一つの権利があって、これは実際には協議の上で参酌して交付しているような事情があるのだから、これらを通常生ずべき損失の範囲内で法文化して、法律の体裁を整えてりっぱなものにして出すことが必要であったのではないか。これではほんとうに官僚独善の、一つの民衆圧迫のきわめて古い昔の法律体系に逆戻りするような印象を受ける。これでは安心して民衆が土地収用に、公共用地の取得に協力することができないのではないか。こう思うので、大臣は、この法律を出してこれをしゃにむに押し通して、ほんの短い期間これを実施するにすぎないこの法律をどこまでもやられるのか、あるいはこの中に特にひどいものがあるとするならば、これは修正に応ずるというような態度があるか、その辺一つ明確にしていただきたい。
○中村国務大臣 補償基準につきましては、御承知の通り、法律に書きます場合には、ごく基本的なことしか法律にすることは困難なもので、性質的にそういうものでありますので、かねて土地収用法を制定いたします際にもおそらくこの点は十分研究をされたと思うのでありますが、現在の土地収用法に記載しておる程度のことしか法律としては表わし得ないのではないかと私ども考えます。ただ、できるだけいろいろなケースを想定いたしまして、そのケースに合ったような損害補償の見積もりの基礎となるべき資料を整備する、これはもちろん必要でございまして、いろいろな電源開発等においても従来ある程度のことをやってきておるわけでございますが、われわれとしましては、この法律の施行にあたりまして手の届く限りの一そう綿密な補償基準と申しますか、基準の細目にわたるようなことを検討して明らかにいたしたいと思っておるのでございます。これにつきましては政令案にもございますように、この法律の施行と並行いたしましてその補償基準の検討をする機構を作りまして、さような点を掘り下げて参りたいと思うのでございます。従いまして、この法律の施行によりまして収用の最初の裁決が行なわれるころに十分間に合うようにそれらの準備を進めたい、かように考えておる次第でございます。これらはもちろん政府あるいは行政機関のみの考え方ではよろしくないのでありまして、むしろ第三者の立場の方々に御研究を願うのが適当であると考えまして、さような構想で進めておるわけでございます。 もう一つ、この公共用地取得に関する特別措置を講ずるについては、非常に期待に反すると申しますか、期待通りの被収用者に対する措置がとられていないではないかという御趣旨のように拝聴いたしました。これは多分、現物給付あるいは生活再建等に関する条文が、とのような現物給付をする、こういうような生活再建をやるという、その具体的なことが明記してない結果であろうと思います。この点は御理解を願いたいと思いますことは、法律に書きます場合にはなかなか、大体その考え方の骨子を記載する以外には表わしがたいのでございまして、現物給付にいたしましても生活再建対策にいたしましても、これは主として話し合いで進めませんとうまく措置ができないわけでございます。一片の法律に基づきましてこれでやるんだということでは、これはなかなかさばき切れないわけでございまして、従って、法律といたしましては現物給付及び生活再建対策に関する基本的な事項を明らかにいたしまして、主としてこれらの実施は法律の運用による強制収用ということよりは、その前の段階である協議の段階でこれは話し合って、こういうような現物給付の道を講じてもらいたい、あるいは講ずることが可能であるとか、いろいろな検討をいたしまして、具体的に施行者が被収用者との間に話し合いをつけてやるのでなければうまい現物給付はできませんし、生活再建対策も、もちろんそうでございます。従いまして、法律といたしましてはきわめて基本的なことしか書いてないのでございますが、これらの実施はあげて話し合いによる成果を期待いたしておる次第でございまして、話し合いというものが基本になければ実現不可能なことでございますので、われわれとしましては、今後この法律の運用にあたりまして極力努力をし、また各事業施行者にもその旨を含んで、この法律の精神をくみ取ってやっていくように指導いたしたいと思います。事柄自体がさようなわけで、一片の法律で明記することの不可能な、またそうしたことによったのでは相手方の被収用者が満足できるような結果を生み出すことができない性質のものでございますから、この精神はぜひおくみ取りをいただきたい、また事柄としてさようなものであるということを御理解いただきたいと思うのであります。
○日野委員 今も次官もそういう答弁をされたので、それにも言ったのでありますが、ちょっとダブりますけれども、現物補償の問題は現行法にもあるのです。現行法でも、大臣が今言うように協議の中ではこれをやっているけれども、収用法が実施になって実際にこれをやった例はあまりない。こういうことで、法律には規定しにくいが実際にはこれをやる、こういうことであるならば、むしろ私どもは補償基準の中にこれを評価できるように——実際話し合いの中で出ている大部分は、これはこういう現物補償の規定があるけれども、それよりもこれを金にしてほしいという要求が多いのであります。そういう取引をしているのが多いのです。ですから、これらの基準を求めて、適正な一つの基準を与えればこういう問題は解決ができるのでありますし、先ほども申しましたように、生活再建対策というのは、これは一つの方向としては非常におもしろいが、こういう土地収用法の規定だけでは入らない幾つかの無視するわけにいかない新しい権利が発生しているから、これも含めて、同時に、施行者ないし政府は、社会保障のようないろいろの政策をやってこれらに対応しなければならないというのが今の土地収用法、公共事業遂行に対する一つの常識であります。だから、そういうことをやる一つの生活再建対策というものは示唆には十分になる。しかし、実際の規定を見ますると、いろいろ努力をし、府県知事とも相談したし、市町村長とも相談した、起業者とも相談して案を立てたけれども、これはなかなかやれなかったということで終わりはしないか。あるいはそれが幾ばくかの金にかえられて協議の中でやられるのじゃないかと思うのですが、これだけの規定では不十分じゃないか。 調査会の答申の方では、さらに付近地の収用の問題も答申しています。租税の減免の問題も、これはやっています。けれども、これは協議の、立法化の途中で消えちゃった。残ったものは現物給付と生活再建だけである。これだけでは不十分ではないか。これも、これから努力をしてこの問題を中に取り入れようという答弁があろうかと思いますが、これだけでは私たちはきわめて不十分だろうと思う。その反面、この措置法では民権を制約した面が非常に大きいので、そういうことも言っておるのでありまして、これらの付近地の収用の問題、租税の減免問題は、過般も山中君から話があったのですが、今後どういうふうにやっていかれるお考えであるか。
○中村国務大臣 従来の土地収用法におきましては、現物給付等のできる規定もございます。これはできるということを明らかにしており、また現実にした分もございます。今度の立法におきましては、事業施行者あるいは関係都道府県知事等がこれらの現物給付あるいは生活再建等について、法律の条文において義務づけをしておるというわけでございますから、かような義務づけをしておくことによりまして、施行者等はその義務を履行するにあらずんば円満に事業を執行することができない。こういうことになりますので、もちろん誠意を持ってやらざるを得ないと思うのでございます。かような姿にすることによって、できるだけ被収用者の立場を考慮して事業の施行ができるように進めたいというのが考え方でございます。 それから、税の特別措置でございますが、これらの点は、なるほど答申には掲げられておるのでございますが、いろいろ関係当局との関連もございまして、私どもといたしましては、答申の趣旨を達成するように今後も引き続き努力いたしたいと思っておる次第でございます。現在におきましても、御承知の通り、一般の土地の売買、不動産売買の場合等に対する半額の減税措置は講じられておるわけでございますので、いろいろ税の当局等から見ればその立場の議論もございますので、われわれは論議を尽くしてその目的を果たすように、今後この問題は重要なる懸案として努力をして参りたい、かように考えておる次第でございます。
○中島(巖)委員 関連して。今、日野委員から損失補償の基準の問題で質問があったわけです。実は、この問題に対して私、質問通告をしており、後刻詳細に質問したいと思うわけでございますが、ちょうど自民党の首脳部の諸君もお見えでありますし、この際明らかにして研究していただいた方がいいと思いますので、質問をいたします。 そこで、今回提出の公共用地の取得に関する特別措置法は、公共用地の取得が非常に困難なために急いでおる形があるわけです。われわれの態度といたしましても、この膨大な公共事業費をかかえて、ごね得のような法律ではいけない。だから、この公共用地の取得に関する特別措置法を何とか通さなければならないという基本的な考えは持っておるのです。ところが、あなたたちが学識経験者を招いた調査会におけるところの質疑の内容なんかも「ジュリスト」の五月十五日号で見ております。ところが、損失補償に対するところの研究とか配慮というものが非常に少ないのです。 そこで私は、これは申し上げるまでもありませんが、親法の土地収用法の第六章の「損失の補償」に、六十八条で、「土地を収用し、又は使用することに因つて土地所有者及び関係人が受ける損失は、起業者が補償しなければならない。」と、土地の代価だけではなくして、広義の意味で損失補償をしなければならぬことはここではっきりうたっているわけです。それから、さらに八十八条において、「第七十二条から第七十五条まで、第七十七条及び第八十条に規定する損失の補償の外、離作料、営業上の損失、建物の移転による賃貸料の損失その他土地を収用し、又は使用することに因つて土地所有者又は関係人が、通常受ける損失は、補償しなければならない。」と、こういうふうにはっきりうたってありまして、土地に対する隣地の代価だけでなくして、それ以外の間接に受けるところの損失の補償もしなければならぬということをこの親法にはっきりうたってあるわけです。そこで、たとえば大地主とか大山林の持ち主が土地収用法の適用を受けて、そして取り上げられる土地に対してはいわゆる隣地の価格でいいでしょう。ところが、六反歩なら六反歩でもって営農している者が、三反歩とられた場合には、あとの三反歩で営農しなければならぬから、将来の生活再建ができぬわけなんです。従って、三反歩の土地というものは隣地の補償でもって取り上げる。これをこの土地だけ高くすると、その他の大地主の取られる土地も同じに高くしなければならぬから、これは三反歩は三反歩、大地主と同じような価格で取り上げて、あとの三反歩では営農ができないんだから、これに対する補償を、この第六十八条において示されてあるように、明確に本法案になぜ打ら出さないか。これを打ち出してありさえすれば、さっそく通りますよ。 従いまして、これは一項を設けて、あるいはそういう名前が適当であるかどうかは知らないけれども、特別損失補償とか、あるいは特別の生活保障とかいう一項目をこの中に設けて、そういうものを救うだけのあたたかい手段が親法にあるのだから、親法にのっとってこの中に組み入れるべきものだ。こうすれば、昨日のような農林委員会なんかの議論もなくなるわけなんですよ。その配慮が何ら、皆さんのあの審査会の会議の経過から見てもなされておらぬ。従って、私はただいま申しましたような一項をこの法律案の中へ、その名前はいかなる名前が適当であるかはわからぬが、つまり直接ではなくして、間接的な損失を補償するところの一項目を入れる。それは特別損失補償でも、あるいは特別生活保障でもいいから、それを入れさえすれば、これは納得して通る法律です。従って、ごね得とかなんとかいうこともなくなってしまう。おそらく今までの土地収用法で非常なめんどうなものは、純真な農民ではなくして、大きく山林を持っておるとか、あるいは収用をされるに際してばかげた不法な金をとろうというやつがやっておるのですから、そういうものは一項を入れることによって除外されるのであるから、ぜひこれは緊急に考えて研究していただきたい、こういうふうに要望するわけです。大臣、お考えいかがですか。
○中村国務大臣 母法ともいうべき土地収用法にございます精神は、もちろんこの法律の適用にあたりましてもつながっていくわけでございます。今御指摘のような残地ができまして、残地が従来の利用の目的の用に供することが事実上困難になったというような場合には、その部分の逆収用の請求権が認められておるわけでございます。主としてこの補償について問題になりますのは、今御指摘のありましたように、母法にもそれぞれ物件に対する補償のほかに、通常受くべき損害——総括的に言いますと、通常受くべき損害は補償しなければならぬ、この通常受くべき損害とは一体何かということが具体的に種々問題になり、また収用される人の立場と収用する事業の施行者との間に意見の対立を見る事項でございますから、今後の細目を検討して明らかにいたしまする場合には、いろいろなケースをできるだけ想定いたしまして、そういうような争いの余地をなくすように、そのめどをはっきりさせるようなふうにいたしたい。そのために、政令案にございまするように、政令によりましてその措置を講じて、この法律の施行に間に合うようにやろうというのが私どもの考え方でございます。
○中島(巖)委員 そういうような抽象的なことではいかぬのです。こういうように特例を設けてあるのでありますし、それから、親法にもこれは、はっきり出ておるのでありますから、ただそれを明確にうたう、うたわぬというところに問題があるわけなんです。たとえば電源開発なんかで土地を収用したり、あるいは土地を買収する場合でも、一反歩五十万円とか六十万円というようなばか値が出てくるわけです。それを切って、ここの土地の価格は幾らであるのだ、こういうふうにして、全部を大体それにならって買収すればいいでしょう。ところが、先ほど申し上げましたような特例の農民に対しましては、今度は二重賠償にはなるけれども、いわゆる生活のできるようにしてやるところの特別な損失補償とか、あるいは特別生活保障とかいう一項目を設けておいて、そうして区分けして重ねて支払ってやれば、それで他の土地の取り上げ価格にも影響はしないし、おそらく今までもそういうことをやっておらぬと思う。これはむしろ、そういうことをはっきりすることによって、起業者も、またそれによって生活に困る者も救えるのですから、どうしても今回の特例の中へその一項目を入れていただきたい。そうすることが起業者も、またそういう困る者も救える道であるし、またこの公共用地の取得に関する特別措置法案がスムーズに通るのだ。これがこの法案の一番のポイントだと私は考えるわけです。これについては、後刻またこまかくいろいろな例をお聞きしたりして質問するつもりでありますけれども、まぎわになって時間がなくなると強行採決というようなことになるので、自民党の首脳部の諸君も見えますし、あらかじめ一言申し上げたわけであります。
○日野委員 今、中島君から補償基準の問題が出て、私も後刻補償基準の問題で予定をいたしておるのでありますが、今出ましたから、ついでにその点をもう少し聞いてみたいと思います。 大体この点が、今、中島君の言うように、この特例法の救済に私は考えられると思うのでございます。特別損失補償法という法律、これは間接補償というか、これを規定した法律は一つあるのですよ。これは、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊等の行為による特別損失の補償に関する法律という法律が昭和二十九年に出ております。これは土地収用法において適用できない一つの事態、たとえば東京湾にアメリカ軍隊が防潜網を張る。あの防潜網の損害をどうして補償するかというのは、土地収用法のあの規定は適用できない。同時に、各地に演習地等を設けた。その弾道になる地帯だとか、あるいはそれによって起こるいろいろな事態は、こういう補償基準では救えないので、特別損失補償法としてこれを規定する。それはあくまで通常生ずべき損失です。基準はいろいろ波及をいたします関係から、綿々と続いていく因果関係をどこで断ち切るか。これは相当因果説の建前でこれを抑える。この決定は不動産審議会か、そういう一つの機関を作って、そこに弾力を持たせた一つの法律があるのですが、こういう一つの構想ですね。今日、何もかにもこの土地収用法の規定で完全補償をやろうなどということは考えられておらない。大臣の言われるいわゆる話し合いの中でならば、そういうものも現実には補償をしているのでありますから、表現がむずかしいということはありましょう、立法化する場合の問題は残りましょうけれども、これは収用委員会なり、今度作られるところの委員会にその判断をまかせる、こういうようなことにすれば、この中に相当因果ができてこの特例法が生きて参る。私はそう考えておりますので、これらの点を十分両党で考えてやれば、今、四面楚歌の中に立っている——これはきのうあたりの論戦を聞いていればそのことはわかる。この特例法がほんとうに生きてくる。そういうことになるのであって、この点は一つ十分お考え願いたい。あとでまた、この論議をいたしたいと思うのであります。 公共用地取得について、公共用地取得制度調査会が作られて、短期間の間にえらい勉強してその答申を出された。大臣から、二、三日前にその答申書がきたからこれを基礎にして一つ立法を考えるのだ、そのとき、その答申書をもらいたい、こういうことで、配ってもらって僕も読んでみたが、実に驚くべき答申をやっておられるのであります。中には、立法の過程でこれが削られ、押えられ、法律の面に出てこないものもありますし、答申の中でこれはいいと思われるものも、採用されていないというのもあるのです。経過等は大体今までの論議でわかったのですが、構成はどうなっているのですか。被収用者、あるいは起業者代表も、それに中立委員というようなものですか。その比率はどうなっていて、この論戦の中で利害相反する二つの代表者がそれぞれ意見を出し合って、まあまあ建設省の努力で一本になった、こういうことが言われているのですが、その当時の構成と論議の大まかな事情を一つ聞かせてもらいたい。
○關盛政府委員 ただいまのお尋ねは、公共用地取得制度調査会の学識経験者がどのような構成になってできておったか、こういう御質問だと思います。公共用地取得制度調査会につきましては、お手元に委員の名簿を差し上げてあったかと思いますが、これは学識経験者をもって組織せられておったのでございます。そのうち、特にただいまのお話のように、起業者の立場を代表するといいますか、事業を実施するという立場の関係の方々といたしましては三名、それから被収用者の立場でいろいろ意見を述べていただこうというつもりでお願いしたのが三名、その他九名は公正なる学識経験者という立場で、法律、経済あるいは不動産の評価鑑定等に詳しい方々を全体で十五名建設大臣から御委嘱申し上げた、こういうことになっております。
○日野委員 この答申が短期間に、予算措置やそういうものから急いだ関係もあると思うのですが、非常に大胆な決定をしておられる。それで、この立法にあたっては建設大臣は忠実に答申を立法化しようとした、翻訳的にやろうと考えたとさえ言われておるわけです。それがだいぶ答申と違ってきた。これは各省との折衝、あるいは法務省や法制同等との折衝の間でずいぶん変わったものになって、あるものは落とされ、あるものは立法化されないままあとに残されてある。こういうことですが、裁決申請書の縦覧期間の短縮について、一週間の期間にしようとする答申が、どういうことで逆に二週間ということに落ちついたのか。 もう一つ、重大なことは、訴権を奪う。たとえば調査を拒むという場合は、その者に対して懲罰の意味かとうか知らぬが、損害補償の要求はできるけれども、その他の補償訴願はできないという決定までこの答申はしておるのであります。これはどういう事情で取り入れないでこういうことになったのか。それらの経過をちょっと伺いたい。
○關盛政府委員 ただいま、公共用地取得制度調査会の答申の内容に触れられましての御質問でございます。 第一点の問題は、調査会が裁決申請書の縦覧期間についての特例ということで、特定公共事業にかかる裁決申請書の縦覧期間は、現行法におきましては二週間となっておるのを、一週間でよろしいのではないかという答申が行なわれたのでございます。この答申がいろいろな角度から議論をせられまして、一週間というところに出ましたのは、われわれこの答申を起草いたしますというか、得た結論を調査会におきまして、起草委員会で学識経験者の中立の方々で議論をせられました。その論議の過程を拝聴いたしておりましたので、その間の消息を申し上げて御理解をいただきたいと思うのでございます。今回の特定公共事業につきましては、事業計画を起業者が慎重に作成いたしまして、しかも、この法律にもありますように、第三条の規定によりまして、事業を関係の権利者なりまた施行地の住民に対しまして十分にPRをする。そういうふうな過税におきまして、この手続を事前段階におきまして地元によく説明をして周知をせしめますので、従って、特定公共専業の裁決申請書の縦覧というものは、この段階になってきておれば現行法の二週間も一週間程度ではどうだろうか、というのが一週間という答申になって現われた考え方の基礎にあったと思います。しかしながら、その精神は、FR手続等は確かに現行法よりは今回の措置法の特色でございますが、われわれといたしましてはこの答申の精神はよくわかっておりますけれども、やはり裁決の申請書の縦覧というものは、知れる権利者を発見けるところの一つの最終的な手段としての手続でもありますので、一週間というのは、あるいは形式的にはそういう理屈も出て参りましょうけれども、実質論から見まして、このことで全体の権利者の権利の保護に欠くことがあってはならないということから、この一週間は特例という措置にすることは不適当じゃないかというので、答申にはありましたけれども、そういう取り扱いを御相談をいたした、こういうわけでございます。 それから、答申の中には、裁決の申請書に添付されました土地調書なり物件調書、それが立ち入りをしなければ詳しく作成できない。しかも、土地調帯、物件調書というものが作られるゆえんのものは、起業者が関係権利者の権利を十分に、起業者という立場におきましても、収用委員会の裁決に付すべき権利の尊重の手段として土地調書、物件調書の作成を義務づけておるわけでございますから、そのような綿密な調査をする場合に、関係権利者が妨害をする。そのために、せっかくの起業者が作成をすることができなくなる。こういう場合において、この全体の法律の手続が円滑に手続がストップしないように一応進行するということを念願として調査会の答申が行なわれております。従って、簡略調書が簡略調書のままであっても、そのことによって、添付されました収用委員会に対する裁決申請書が不十分であるということで関係書が争うということはできないという答申になっております。この争うことができないという答申につきましては、いろいろ解釈の点につきまして、現行法の規定との関係で学説上もあることでございますので、最終的には理解に非常に困難をきわめたわけでございます。従いまして、いずれにいたしましても、損失の補償に関する訴権を奪うものではないということは、これは皆さんの一致した意見であったのでございます。が、一部の方々は、理論的にはそういうこともあり得る、そういう制度も立法論としてはあり得るという考え方で、この裁決によって簡略調書の結果不利益を受けることについて争うことはできないという意味は、訴権を奪うことも必要によっては差しつかえないのだ、こういう学説を持っておられる一部の方もおられましたけれども、それはだれがどうというわけではなくて、全体としてはそういうことに直ちに飛躍することはどうかということで、この点については法務省なりあるいはまた法制局なり、政府部内におきましてもいろいろ相談をいたしました結果、収用委員会は裁決に至るまでの手続を、一応簡略調書の建前上瑕疵があるかもしれないけれども、その調書に基づいて有効に裁決等の手続が進め得られる、こういうのが現行法でもありますので、そのような考え方のもとに、この現地調査を妨げた場合の裁決に関する答申をこのままいただかないことにいたしたのでございます。
○日野委員 これは法律の規定にならないで、内部の問題でございますから、これ以上ここで議論しようとは思いませんけれども、非常に重大な問題であります。これは規定になって出て参りますと、かなり議論の中心になろうかと思うのであります。私も、この点については非常に問題があり、これは規定からはずされてむしろよかったのではないか、こう思っているのであります。建設省は各省との折衝、あるいは法務省や法制局あたりと議論して、あくまで忠実に答申を守ろうという立場をとったわけでございますが、そうなりますと、どうもこの法律の立法にあたっても、建設省が最も官僚独善的な尖兵であるような印象を受けるのですがね。もう少しこういう点については、われわれは慎重を要すると思うのです。とにかく、日本の建設の、再建のために中心の官庁でありますけれども、獲物を見て山を見ず、あくまでこれをしていこうとするといろいろの支障が起こるので、こういう点ではむしろ私は慎重な態度を希望したい、こう考えるわけであります。 さらに私は、補償基準の問題を中心に、この点だけをやろうと思っていたのですが、だいぶ話のついでに触れました。なお、中島君からの話もあって、特にこの点の論議はまた機会があろうかと思うので、一応この点だけをお聞きしておきたいと思うのです。 先刻お話しになった、各省で補償基準というようなものが個々ばらばらに、必ずしも一致していない点があるわけですから、これの統一をはかることが一つの問題になろうと思う。当面このばらばらなあれでやることで、現地でいろいろの支障が起こるでしょう。これを早急に統一する一つの指導官庁としての建設省の立場がある。そういうことを大臣はどうお考えになっておられるか、お伺いいたしたいと思います。
○中村国務大臣 話し合いで解決をいたしまする場合には、いろいろ複雑な個々のケースがありますから別でございますが、いやしくも土地収用法を適用し、あるいは今回制定を願います特別措置法を適用して参りまする事業に関する限り、適用いたしまする場合における補償基準というものにつきましてはあくまで統一をしていくべきだと私は考えます。従いまして、先ほども申し上げたのでございますが、問題は物件に対する補償のほかに、通常受くべき損害は建前としては補償をすべきものでございます。ただ問題は、通常受くべき損害の見方というものが、立場により、場合により、非常に相違して参りますから、これが相違をしないような個々のケースをできるだけ想定をして標準を定めていくように、これは起業者とか建設省とか政府という立場でなしに、純然たる第三者の御研究によってそういうものを作り出していきたい、こう考えておるわけでございます。かくいたしまして、母法である土地収用法あるいはこの特別措置法を適用いたしまする場合の補償につきましては、少なくとも統一的な道を講じていきたい、こう思っておるわけでございます。
○日野委員 そういたしますと、あと問題になりますのは、ここからこういう問題が起こります。今、土地収用法の実施の場合はそうだけれども、協議できめる場合にも、各省がばらばらのものをもって臨んでいるというようなことは、実際上土地収用法の適用以前の協議にも非常に影響を持ってくる。こういうジャーナリズムの時代になりますと、どこで何をしたかということがすぐそのまま伝わるのですから、直ちに響いて協議を困難にし、あるいは容易に協力を求められぬという結果になるのです。これは実際上の運営において十分配慮して、やはり早急にそういう処置をとるべきである。むしろこういう問題は、私どもは収用官庁独立案に非常に賛成をいたしております。収用官庁を一つにして、その背景とする法は土地収用法の完全なものでも、あるいは別個のものでもよろしいが、建設大臣と別個の、内閣に所属するなり、この委員会が独立にあって、そして建設大臣はフェアな気持でそこに行って説明をして、そこの許可を得て仕事をどんどん進行していくというような姿のものが私は考えられていいのでないか。きのうもだいぶ議論になっておりましたが、建設大臣が権限を全部一手に掌握しているというようなそしりも、こういう問題の実施によって、泥を全部建設省がかぶる必要はそこでなくなる。こういう新しい構想に対して、建設大臣はどうお考えになられるか。
○中村国務大臣 協議によって補償の場合にいろいろ差異を生じて参りますのは、主として国家機関と申しますよりは、中央、都道府県、あるいはかつてございました電源開発、こういうようなものにつきまして、どうも一般の公共事業の場合とは違った、奮発をするといいますか、ケースを破ったものがときおりあるようでございます。できることならばこれらにつきまして、今御指摘のございましたように、すべて収用に関するものは一つの機構でやったらどうか、これも確かに考え方だと思うのであります。しかし、実施をする機関はいろいろ分かれておりますし、国だけの話ならばいざ知らず、都道府県の場合があり、地方公共団体の場合がある、いろいろありますので、この点はなかなかむずかしいと思います。しかし、将来私どもといたしましては、いやしくも公共性のあるものに関する限りは、何か補償基準のような行政指導だけでも徹底のできるような道を逐次研究をしていきたいと思っておるわけでございます。
○日野委員 時間もきておりますし、論議も残りはあとの機会に譲りまして、これで打ち切りますが、本法をあくまで強行して、建設省が被収用者の恨みを一手にかぶるようなことのないように、もう少し機構的に整備して実施に臨まれることを希望して、私の質問を一応打ち切っておきます。
○加藤委員長 次会は明十八日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十八分散会